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1997-04-08 第140回国会 衆議院 運輸委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年四月八日(火曜日)     午前十時開議  出席委員   委員長 杉山 憲夫君    理事 林  幹雄君 理事 細田 博之君    理事 村田 吉隆君 理事 横内 正明君    理事 江崎 鐵磨君 理事 北橋 健治君    理事 細川 律夫君 理事 寺前  巖君       衛藤 晟一君    関谷 勝嗣君       橘 康太郎君    谷川 和穗君       中馬 弘毅君    古屋 圭司君       堀内 光雄君    森田  一君       上田  勇君    久保 哲司君       今田 保典君    坂本 剛二君       玉置 一弥君    中田  宏君       松浪健四郎君    川内 博史君       辻  一彦君    平賀 高成君       濱田 健一君    望月 義夫君       米田 建三君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 古賀  誠君  出席政府委員         運輸政務次官  衛藤 晟一君         運輸省鉄道局長 梅崎  壽君         運輸省港湾局長 木本 英明君  委員外出席者         大蔵省主計局主         計官      南木  通君         自治省財政局調         整室長     岡本  保君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  全国新幹線鉄道整備法の一部を改正する法律案  (内閣提出第二七号)  日本国有鉄道清算事業団債務負担軽減を  図るために平成九年度において緊急に講ずべき  特別措置に関する法律案内閣提出第二六号)      ――――◇―――――
  2. 杉山憲夫

    杉山委員長 これより会議を開きます。  内閣提出全国新幹線鉄道整備法の一部を改正する法律案及び日本国有鉄道清算事業団債務負担軽減を図るために平成九年度において緊急に講ずべき特別措置に関する法律案の両案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。玉置一弥君。
  3. 玉置一弥

    玉置委員 新進党のトップバッターとして、今回の国鉄長期債務並びに整備新幹線、この問題について質問をいたしたいと思います。  私は昔何回か、議事録を見てみますと、かなり長期的に長期債務整備新幹線質問をしているわけであります。一番最初からいきますと、昭和五十五年ぐらいですか、いわゆる旧国鉄時代に、大変な危機感を持って質問したわけでありますが、結局、民営化という形で今のJR各社に分かれ、そして新たに清算事業団がつくられて、その中で国が処理する分と、JR各社分担分というものに分けられてきたわけであります。JR各社の方は、それぞれ企業努力の中でいろいろと吸収をされ、返済をされてきたわけでありますが、清算事業団に受け継いだ中の、特に国が責任を持たなければいけない部分について全然進展していかないという、残念ながらそういう結果になっております。  当初から、民営化そのものが本当にメリットがあるかどうかといういろいろな話があったわけでありますけれども、トータルで、JR各社が分担した分は確かに前向きにいろいろ消化をされておるということでありますが、国として、国の方に残りました部分について全く進まない、こういう状態でございますので、やはりまずその原因はどこにあるかということを見ていかなければいけない、こういうふうに思うわけであります。  国が処理すると決めたときから、本来でありますと、その当時から残るだろうというふうに推測をされた部分について、何らかの形で償却をしていくということを国の制度として考えられなかった。清算事業団がまず土地を売って、株を売って、それで残った部分についてということで当初計画があったわけでありますが、もう既にそのときには幾らぐらい残るだろうという推測があったわけですから、この部分について手がつけられなかったということが、借金が利息を生んでどんどんと膨れ上がった、こういうことであります。  そういう面で、まず一番最初にお聞きしたいのは、国鉄長期債務について、国が処理するというふうに閣議決定までされたわけでありますが、なぜ国鉄清算事業団の中にそのまま残されてきたのか、そして、そのほかのいろいろな特別勘定を設けるとか国債で肩がわりして返していくとかいう方法あるわけでありますが、そのことが行われなかったのかということについて、お聞きをしたいと思います。
  4. 梅崎壽

    梅崎政府委員 国鉄清算事業団の負いました国鉄長期債務でございますが、先生承知のとおり、これにつきましては、昭和六十三年一月の閣議決定におきまして、国鉄清算事業団が持っております土地処分収入等自主財源を充ててもなお残る債務等につきましては最終的には国において処理をする、こうされております。まずは、事業団が持っております自主財源でございます土地株式等売却収入によりまして、債務償還を行い、残る国民負担をできるだけ少なくするという努力をすべきであるということで、今申し上げましたこの自主財源売却によりまして対処するという考え方のもとに、今までこの努力が行われてきたわけでございます。
  5. 玉置一弥

    玉置委員 大臣にお伺いしたいと思いますが、これは所管の問題で、逆に言えば、国鉄清算事業団にこの債務が残されていたから運輸省ということでございますが、国の責任となった時点で、特別勘定を設けて大蔵省なりどこかへ移してしまうということがなぜできなかったのか。  それから、今運輸省関係予算総額は一兆円弱ということでございますが、その一兆円弱しかない予算総額のところの中で、幾ら考えてもそんなに出てこないですね。ということであれば、やはり国全体の七十七兆、今までは七十兆とか六十兆とかですけれども、その当時は五十兆弱ですよね、その時代にやはり全体として少なくしていく、どの費用をあてがっていくかということを考えていかなければいけないだろうというふうに思います。  そのことについて、大臣として、まず所管運輸省であったから私は進まなかったという主張をしておりますので、それについてどう思うかということ、それからもう一つは、六十二年十二月ぐらいだったと思いますが、中曽根内閣のときに、土地を売るなということでストップがかかったですね。ストップがかかって、それも当分の間ということだったですけれども、そのストップがかかった状態の中で、土地売却で進まないということがわかったわけですから、なぜ新たな手が打たれなかったのか、その辺についてお聞きをしたいと思います。
  6. 古賀誠

    古賀国務大臣 先生の方で御指摘いただいておりますこの国鉄長期債務の問題、まず所管についてでございますけれども国鉄改革、それぞれの御議論をいただいた中で、この長期債務十三兆八千億でございますか、金額がはっきりして、しかもこれだげの債務が残るということが明確でありますだけに、その時点で、今まさに御論議をいただいているような真剣な御議論というものがなされたのかどうか。当然この長期債務の問題をどういうふうにして処理していくかということは、いろいろな検討委員会も当時もつくっていただいていたようでございますので、私は御論議は真剣にあったというふうに思っておりますが、結果として清算事業団の方にこれを積み残していった。これは、私は、政府全体としてこの問題に取り組んでいくということは、今鉄道局長からも御答弁申し上げましたように、閣議の中でもしっかりと決定をされているわけでございますので、これだけの長期債務で膨大な金額というものを、一運輸省だけではなくて、財政当局であります大蔵省、そしてひいては政府全体の問題としてどう本格的な処理をしていくかということは、まさにこれから、九年中に成案を得るということになっているわけでございますから、論議を重ねていく問題だろうというふうに思っております。先生から御指摘いただいたように、当時、国としてその分を負担していたならば、こんな結果にはなってないのではないかという考えについては、私も先生認識をある意味では同じくするものだというふうに思っております。  もう一点、なぜそれでは資産売却株式売却、こういう問題でおくれをとったのかということについての御指摘もあったかと思いますけれども、御承知のとおり、バブルのちょうど始まる状況の中で、土地が異常な高騰をしていたわけでございます。これも今考えますと、先生にもそれぞれの御意見があろうかと思いますが、私自身も、なぜ需要と供給の中で、需要を抑制するような凍結というのが地価の抑制につながるだろうかという思いがありますが、あの当時は、大規模なしかも一等地、一番いいところを一般競争入札なんかでやると、また地価高騰を誘導してしまう、こういう御論議が多かったわけでございます。特に、東京都を中心とします都市圏においても、そういう強い御要請があったということもまた事実でございます。総合的に国の政策がどうあるべきかということの中で決められたことだというふうに私は思っておりまして、それはそれで私は、当時としては間違いがなかったのではないかと思いますが、結果として、今、国鉄長期債務というものを先生方と一緒になって真剣に御論議する中では、そういうさまざまな過去の政策についての思いがあろうということも事実だというふうに私は理解をいたしているところでございます。
  7. 玉置一弥

    玉置委員 大蔵省にお見えをいただいていると思います。同様の質問なんですけれども、当時、この十三兆八千億、国の責任ということがある程度決まりまして、処理をしていかなければいけないということの中で、もう既に土地売却推定額七兆七千億とか株売却推定額が出ていたわけであります。ということは、ある程度はもう残るのはやむを得ないという形で、それが国民負担となって処理せざるを得ないだろう、当時のいろいろな議事録を見て、そういう話が成り立つわけであります。大蔵省もこの利払いについて、結構いろいろな勘定利払い、今までやっておられますが、当然この国鉄長期債務についても、特別勘定をつくって償却をするとか、少なくとも利払いぐらいは、国の責任としてやっていくというふうに考えなければいけなかったのではないかと私は思ったのでございますが、その当時のお話から、大蔵省としてはどういう判断をされてきたかということをちょっとお聞きしたい。
  8. 南木通

    南木説明員 ただいま運輸大臣、それから鉄道局長もお答えになられたとおりでございますけれども昭和六十三年の閣議決定というのがございます。一月の閣議決定でございますけれども、そこに書いてございますように、「事業団債務等は既に膨大であること、当面新たな借入れが必要であること及び最終的に残る債務等について国民負担を求めざるを得ないことにかんがみ、土地株式等資産の適切かつ効率的な処分を進め、自主財源の増大を図り、極力国民負担軽減に努めるものとする。」というのが当時の閣議決定の基本的な考え方でございます。  それで、ただいま御説明もありましたように、「土地処分収入等自主財源を充ててもなお残る事業団債務等については最終的には国において処理するものとするが、その本格的な処理のために必要な「新たな財源措置」については、雇用対策土地処分等見通しのおおよそつくと考えられる段階で、歳入・歳出の全般的見直しとあわせて検討決定する。」ということであったわけでございます。これが当時の考え方であろうということでございます。
  9. 玉置一弥

    玉置委員 当初から利息は発生していたと思うのですが、なぜ今ごろになってこの法律が出てきたかということですね。これはどういうふうに受けとめればいいのですか。これはどっちに聞けばいいのですか、運輸省ですね。
  10. 梅崎壽

    梅崎政府委員 利子負担の問題でございますけれども、当然国鉄改革時におきましても、その後の利子負担というのがあるということは認識をされていたわけでございます。それに対しましては、先ほども申し上げましたが一昭和六十三年一月の閣議決定におきまして示されておりますとおり、まず自主財源によって債務償還を行って国民負担を減らしていく、残ったものにつきましては、最終的には国において処理をするというような考え方でございました。そこで、自主財源、すなわち土地株式等資産早期かつ効果的な処分につきまして、私ども努力してまいりました。  それからまた、政府といたしましても、長期債務にかかわる利子も含めた債務増加を抑制する対策といたしまして、平成八年度までの十年間にわたりまして、総額約一・六兆円の補助金の交付を受けております。これは清算事業団が受けております。それから、平成二年度には、営団出資持ち分評価額と同額の有利子債務を国におきまして承継するといったような対策も講じてきております。私どもといたしましても、そのような措置につきまして、利子負担増嵩をできるだけ抑制する対策につきまして、予算の許す範囲内で努力をしてきたつもりでございます。  ところで、このような利子対策がなぜ突然出てきたかということでございますが、この利子負担増加分も含めました国鉄長期債務につきまして、この本格的処理早期に実施すべきでございますけれども、一方で処理額が極めて膨大であるということから、この具体的処理策の策定に当たりましては、幅広く国民的な議論を尽くす必要がある、こういうように考えております。  このため、昨年十二月の閣議決定におきまして、国鉄長期債務本格的処理平成十年度から実施する、平成九年中にその具体的処理方策成案を得るというぐあいにしたところでございますけれども、このような検討を行う間におきましても、清算事業団債務の累増によります最終的な国民負担増加を極力防止するために、今回、この法律で二つの措置、すなわち、平成九年度中におきます国鉄清算事業団借り入れ見込み額、これは約三兆円でございますけれども、この無利子化と、それから国から借りております無利子貸付金償還、これの平成九年度における猶予、この二点を柱とする措置をお願い申し上げているところでございます。
  11. 玉置一弥

    玉置委員 何か今回の日本海のタンカー事故と似たところがありまして、被害が増大してから慌てて対応する、そんな感じがするわけですね。普通、大蔵省運輸省も、いろいろな面で先行きの見通しというのは結構立てられるはずなんですよね。なのに、今ごろになるまでこの利子補給とかそういう法律が出てこなかったということは、非常に問題があるのじゃないかと。今の時期はわかりますよ。もう大変だからというのはわかりますけれども、では、何で今まで出さなかったのかということです。この辺が非常に甘いといいますか、それから例えば、土地が売れなかった場合にどうなるかというのは目に見えているわけですから、その時点では早々と、本当にいろいろな対策をとるということが一番重要じゃないかというふうに思うわけですね。それを私は指摘をしたいのですが、率直に言って反省しているかしていないかというのも、ちょっと聞きたいと思います。
  12. 古賀誠

    古賀国務大臣 結果として、私が申し上げましたように、そのときそのときに一番適切な施策を優先し、そして実行してきたということだろうと思いますけれども長期債務については今御議論いただいているような結果が出てきているわけでございますから、まさに先生から今御指摘いただいたような反省点というのは、十分私どもは感じていかなければいけない問題だということは御指摘のとおりだと率直に認めているところでございます。
  13. 玉置一弥

    玉置委員 次に、清算事業団そのものについてお聞きをしたいと思います。  平成七年の二月の閣議決定にも特殊法人整理合理化というのがありまして、清算事業団がこの中にも挙げられているわけでありますが、清算事業団、当初はたしか五年ぐらいめどという雰囲気ですよね、雰囲気というのは変ですけれども。いろいろな方にお聞きをしましたら、当初は五年ぐらいだと。それで、土地売却とか雇用、特に雇用関係は三年ぐらいでめどをつけたい、こういう話をされておりました。  それについて、例えば今度平成十年以降、処理案がいろいろ確定をします。土地が全部売れて、あと株売却も終われば、清算事業団としてはもう仕事は終わりということになるわけであります。その後、職員の方も結構たくさんおられるわけでありますから、その人たちは一体どうなるだろうという話です。  それから、遊休土地活用のために子会社をつくられてまいりました。その子会社が果たして今もうかっているのかどうかというのがまず一つある。もうかっていれば存続できるわけですけれども、もうかってなかったら何のためにつくったのだということになるので、これはどうなっていくのかということですね。  とりあえずここまでまず聞きたいと思います。
  14. 梅崎壽

    梅崎政府委員 清算事業団組織としての存続の問題でございますが、先生指摘のとおり、平成七年二月の閣議決定で、「長期債務等処理資産処分等の主たる業務が終了した時点で、職員雇用の安定・確保を図った上で、整理する」というぐあいにされております。  ところで、先生、先ほど、清算事業団は当初五年ぐらいではなかったかということでございますが、実は、平成元年閣議決定で、土地の実質的な処分平成九年度までに終了するということが決められておりまして、そういうことからいたしますと、当初五年ぐらいということではなかったと存じます。  そこで、お尋ねのまず職員の問題でございますが、これは平成七年の閣議決定にもございますとおり、職員雇用確保というのは極めて重要な課題でございますので、清算事業団を整理する場合におきましては、この職員雇用確保のために万全を期す必要があるということは私ども強く認識いたしております。昨年来、運輸省あるいは清算事業団の内部におきまして、運輸省では事務次官をヘッドといたします対策本部をつくりまして、この問題に鋭意取り組み始めたところでございます。  それから、子会社でございますけれども子会社につきましては、国鉄長期債務本格的処理、このための具体的処理方策に関する検討の一環として清算事業団組織の問題を検討してまいりますが、その際に、子会社の取り扱いにつきましてもその中であわせて検討していくことにしたいと考えております。
  15. 玉置一弥

    玉置委員 清算事業団に一番最初移されました方の再雇用対策といいますか、そのためのメンバーの方がたくさんおられたわけでありますが、その人たちが、今もう既に一応再雇用という形で雇用された方と、それからほかの企業に再就職された方と、それから退職された、こういう方法があったと思うのですが、当初どれだけの方が事業団に移られて、どういうふうな経過就職されてきたかということをまずお伺いしたいと思います。
  16. 梅崎壽

    梅崎政府委員 昭和六十二年四月一日に国鉄清算事業団が発足いたしましたが、その際に、国鉄から事業団に移行されました職員は二万三千六百六十人ございます。このうち二千五百七人は事業団の本来業務を実施するための職員でございます。それ以外に、退職前提の休職の方、それから当時既に再就職先が内定しておられた方が一万三千五百二十五人ございます。この事業団本来の職員の方も合わせましたものを除きまして、再就職先が未内定の方は七千六百二十八人でございました。  この七千六百二十八人の方々に対しまして、再就職のあっせんであるとか職業訓練であるとか、こういうものを実施いたしましたが、その結果、JRへの追加採用あるいは公的部門民間企業等へ再就職した方々が五千七百三十七人おりまして、こういった方を含めました六千五百八十一人の方々平成二年四月一日までに辞職をしていかれた、こういうような経緯でございます。
  17. 玉置一弥

    玉置委員 これからまだ清算事業団におられる方の就職も考えていかなければいけないと思うのですが、実は、その当初、組合別といいますか、所属組合別にというよりも、いろいろな評価によって採用を拒否された方がおられるわけであります。私はそのころばそういうこともあるのかなと簡単に受けとめていたわけでありますが、十年ぐらいたってそのころを振り返ってみますと、同じ企業に働きながら、片方はいろいろなところに就職お世話をしていただいて、残りの方は就職の世話もされないというようなことで、格段に差がついてしまっている、こういうことを感じますし、中労委とか地労委のいろいろな裁定が出そろってまいりましたし、また一方では、裁判もぼちぼち結審になる、こういうことでございます。  そういう面で、過去は過去としていろいろあったと思いますが、やはり労働者という立場から考えていきますと、一つ企業全体が命運をかけて改革をするという時期に、当然離職者というのはおられるわけでありますが、少なくとも、当時は約束として、それぞれの職員の方に再就職お世話するということが前提でこの民営化が進められていたというふうに思うのです。  それで、ずっと経過をたどっていきますと、亀井静香運輸大臣のときですが、そのときから、これに対して政府仲介役として何とか再雇用という形で就職お世話をしようという努力をされてまいりまして、歴代運輸大臣もそういう努力をされてきた。ある時期になりまして、今度、永井労働大臣が、一応労働省としてもいろいろ動いていかなければいけないということでお世話をされてきたということがありますが、一向にその後の進展がないということなのです。ずっとその御家族のこととか子供さんたちのこととか考えてみますと、過去は過去としても、やはりとってこられた措置について、私どもは、十年を一つめどとして、将来にわたっての何らかの結論を出すべきではないかということでございます。そういう意味で、中労委とか地労委裁定もあるわけでありますから、政府としては、やはりその実現に向けて努力をするということが必要であるというふうに思うわけであります。  あとは、個々にちょっとまだ細かい点があるのですが、どういうふうにとらえて政府として対応されていくのかということで、とりあえず全体の姿勢としてお聞きをしたい。よろしくお願いします。
  18. 古賀誠

    古賀国務大臣 先生の方からも経過についてお話がありましたように、このJRの発足時の職員の不採用問題については、御承知だと思いますけれども、現在、東京地方裁判所において係争中であるわけでございます。また、この件につきましては、過去、亀井運輸大臣を初め永井労働大臣、今先生からおっしゃっていただいた各大臣のほかにも、歴代大臣大変政治決着に向けた労使双方に対する協力方を求めていただいている、そういう経過があることは私も十分承知をいたしております。  しかしながら、今先生も触れられましたように、なかなか御期待にこたえるような結果が出ていないというわけでありまして、一つには、関係者間に意見の隔たりが非常に大きかったり、経営者側から言わせれば、何が何でも裁判決着をさせたい、こういった方針を堅持している、こういうところにもうまくいかない理由があろうかというふうに思っております。  私といたしましては、これまでの、それぞれの歴代大臣を初めとする経過を踏まえまして、労使双方のこれからの対応を見守る中で、この問題の解決のために私がなすべきことがあれば最大限の努力をしてまいりたい、こういう今気持ちでいることを御理解をいただきたいというふうに思います。
  19. 玉置一弥

    玉置委員 待ちの姿勢ではなくて、やはりどちらかというと、監督官庁ですから、ある程度そこに働く人たちの生活の実態というものを見ていかなければいけないというふうに思います。そういう面で、いつまでも労使双方結論が出るまでというのでは、今まで出ないのですから、出るためにどうしたらいいかということですね、そういう面での動きをお願いをしたいというふうに思います。  それで、個々考え方についてちょっとただしていきたいところがあるわけであります。このとおりに読むと、何か組合の代弁をしているみたいになるのですが、そうではないようにちょっとやりたいと思います。一つは、JR各社採用される以外にほかの企業をいろいろ推薦されたということもあるみたいですね、今まで。その辺で、ともかくもJRでなければ、いわゆる旧国鉄ですね、国鉄マンですからという非常に国鉄マンの強い希望があって、それを拒否されたという方もおられるわけです。我々にしてみれば、要するに生活の糧だからともかく就職すればいいのではないかと思うのですが、その辺について、今のJR各社のみならず、他の産業、企業も含めて再就職の提示をされる可能性はあるのかないのか。これは、JR各社についてはJRがやられると思いますが、それ以外については清算事業団なり政府なりという形で対応していかなければいけないと思うのですが、この辺についてどうかということ。  それから、裁判の結果、一番最初の二百億でしたか、ちょっときょう資料を探したら見当たらないので、一番最初亀井静香運輸大臣が仲介されて、提訴されているのを取り下げて、それを糸口にして進展をしていこうという姿勢があったわけですね。ところが、そこまでいったにもかかわらず話が進まないということなので、これをどう思うかということです。  それから、今までのこの問題になった人たちの取り扱いの中で就職をされてきた人たちお世話をされてきた人たちが大体どのぐらいおられるのかということを、わかればお答えをいただきたいというふうに思います。  それから、裁判の結果毎出るまで動かないのではなくて、これはまさに労使双方の協議の結果が一番重要でございますから、ほかの刑事事件とかそういうことではなく、逆に裁判の結果が出るまでにいろいろと努力をされるということが一番いいわけですから、その辺についてどうお考えになるかということをお伺いしたいと思います。
  20. 梅崎壽

    梅崎政府委員 事実関係につきまして御答弁させていただきたいと思います。  清算事業団が六十二年の四月から実施いたしました再就職のための事業でございますが、これはいわゆる再就職促進法に基づきまして、三年間にわたりまして、先ほど申し上げました再就職先が決まっておらない方に対しまして、一人当たり平均延べ三十四回の再就職のあっせん活動、それから延べ二万人に対します専門教育を実施いたしました。また、JR各社へ五回にわたり合計二千三百人の追加採用の実施、こういったようなことで再就職に関しましては最大限の努力を行ってきたわけでございます。  このような対策に応ずることなく、平成二年四月一日にいわゆる再就職促進法が失効しまして、これに伴いまして、先ほど来先生指摘の千四十七人の方々が解雇となったわけでございます。ここで、清算事業団の本来の職員を除きまして、再就職活動に応じてやめていった方々、あるいはこれに応ずることなく平成二年四月一日に解雇された方々、こういうぐあいに分かれていったわけでございまして、この方々に、今政府としてさらに再就職のためのあっせん等を行うということは、法的な意味ではそれを行う根拠はないという状況でございます。  それから、二百億円の裁判という御指摘がございましたが、これはスト権ストに伴います訴訟事件のことだと存じますが、確かに、亀井静香運輸大臣当時この取り下げということが行われまして、この後に、いわゆる国労の組合員で採用されてない方々の問題につきまして、亀井運輸大臣も、政治的な決着ということから、何らか打開の道がないかということで努力をされたことは事実でございます。ただ、その際も、経営者側あるいは国労側の意見の隔たりが大変大きくて、結局のところ話し合いの進展がなかったわけでございます。あるいは話し合いの場が持たれなかった、このような経緯でございます。以上、事実関係だけ御答弁させていただきました。
  21. 古賀誠

    古賀国務大臣 私に対して、もう少し積極的に行動していくべきではないかという御指摘でございますが、ただいま御答弁申し上げましたように、関係者間での隔たりがなおまだ大きいようでございます。それから、今申し上げましたような経営者側姿勢と申しますか、これも非常に現在のところかたい、こういう状況でございます。  私も、先般も子供さんたちが御上京いただきまして大臣室にもお訪ねいただいて、お父さんを思う作文なんかも聞かせていただきました丁本当に胸を打つものがあり、胸の痛む思いでありますけれども、何か一つのきっかけがないと、今のような硬直状態から脱していくことは極めて不可能ではないかなというような感じを実は持っております。亀井静香前々運輸大臣でございますが、また永井労働大臣がなされた御労苦という経過も聞きながら、今申し上げましたような硬直状態から何か動きがある、例えば裁判になっております中での判決が出るとか、そういった機会に、私なりになすべきことが出てきたというようなことがあれば積極的にひとつ行動してみたい。どういうことができるのか、またどういうことをやるべきかということは常に念頭に置きながら、先生からごらんになればまことに消極的じゃないかとお思いなのかもわかりませんけれども、御叱正は甘んじて受けますが、私自身としてはそういう考えでいるということも御理解をいただきたいというふうに思います。
  22. 玉置一弥

    玉置委員 もともと、国鉄清算事業団のできる前の長期債務のずっと積み重ねがやはり国鉄の労使関係にあったというのは、我々見るところではまず間違いないだろうというふうに感じるわけですね。昭和四十七年前後のマル生運動とか、ともかく立ち直らなければいけないときにやらなかった責任は労使ともにあるわけですけれども、普通の民間の企業から考えると考えられないようなことが今まで行われてきた。  それからもう一つは、戦後処理として国鉄が使われてきたということですね。こういうものはやはり国の責任だと思うのですよ。ですから、そういう意味で、法的には根拠は確かにありませんけれども国鉄がこういう状態になって、やむを得なくそういう解雇者を出してきているという面もやはり考えていかなければいけないだろうと思いますし、組合関係も昔のようにもうイデオロギーで争うような時代ではありませんから、まあ民間企業になられたら特にそうですよね、やはりちゃんとした労使関係があって初めて企業が安定して継続していくわけですから、ぜひそういう面での努力をお願い申し上げたいというふうに思います。  ここで、この国鉄民営化のメリットがあったかどうかということを、ちょっとどういうふうに受けとめておられるかというのを確認していきたいと思います。  もともと負債がふえていくような民営化というのは、とんでもない話でございまして、当初に比べて累積債務がふえてきたということが数字上出ているわけでありますが、JR各社の経営状況も含めて、では、どういうふうに見ておられるかということをまずお聞きをしたい。JR民営化のメリットが出ているか、こんな簡単に聞いていいのかと思うぐらい簡単に聞きますが、いかがでございますか。
  23. 梅崎壽

    梅崎政府委員 国鉄改革のメリット、あるいは言葉をかえますと、国鉄改革について今、私どもがどのように評価をしているかということであろうかと思います。国鉄改革の基本理念というのは、国鉄事業の破綻の原因が公社制度という全国元的な経営にあるという考え方に基づきまして、分割・民営化することによりまして、効率的で地域の実情に即しまして、また責任ある経営を可能とするということといたし、これによりまして国鉄事業の再生を図ろうとしたもの、このようなことであったと理解しております。  このような観点から見ますと、これまでのところ、JR全体としては高い生産性のもとで鉄道輸送サービスの向上が図られておりますし、全体として見ますと、収支状況も改善しておりまして、国鉄事業の再生という観点からはおおむね順調に推移をしてきている、このように認識しております。したがって、国鉄改革国鉄民営化のメリットは生じている、発揮されていると考えております。  ただ、しかしながら先生指摘のとおり、国鉄清算事業団に残されました長期債務の問題、それから本州三社と比較いたしますと、厳しい経営環境に置かれておりますJR北海道、四国、九州それからJR貨物、これを含めました全体としてのJR各社の完全民営化という大きな課題が残されております。これもまた事実でございます。
  24. 玉置一弥

    玉置委員 JRに分担していただいた分についての償還はかなり順調にいっているというのと、それから、あそこまで能率の悪かったというと言い方は悪いですけれども国鉄時代に能率の悪かったのがここまでよくなるのかという、片方はちょっと驚きなんですけれども、何でもっと早くやっておかなかったのだろうかというふうに思うのですが、そういう気持ちでずっと見てまいりました。  最初JR各社に分担していただいた金額というのはかなり大きい金額がありまして、十四兆五千億という普通の民間企業では考えられない数字を持ちながらやってきて、よくこのことを消化してきたなと思いますが、この辺の要因は何でしょうか。
  25. 梅崎壽

    梅崎政府委員 確かに、国鉄改革時にJR各社に対しまして、新幹線保有機構が国鉄清算事業団に対して負っております債務二兆八千億も含めまして十四・五兆の負担を負いました。  これがスムーズにやってきた背景といたしましては、一つは、当然のことながらJR各社努力があったということ、二つ目は、低金利というような外部経済の状況にも恵まれたこと、そういったようなことの集積であろうかと考えております。
  26. 玉置一弥

    玉置委員 この当初の分担ですけれども、どういう根拠でこういう数字をあてがわれたのかということがあります。というのは、これから処理をどういう形にしていくかという中で、大変重要な要素になると思うのですね。経営状態がよくなったから、では、その次これだけ負担してくれというふうになるのか、あるいは、今までの根拠からいって、これは十分責任を果たしたからあとは自分たちというか国で考えますよというのかという大変重要な方向の分かれ目になるわけでありますから、そういう面で、国の処分で、清算事業団に残した部分JR各社負担された部分、どういう根拠でこの分担を分けられたかということをまず確認をしておきたいと思います。
  27. 梅崎壽

    梅崎政府委員 国鉄改革時に、国鉄長期債務は将来費用も含めまして三十七・一兆円と見込まれておりましたけれども、これをJR負担させる分といいますのは、その際の基本的な考え方は、最大限の効率的経営を行うことを前提に、当面収支が均衡し、かつ将来にわたって事業等を健全かつ円滑に運営できる限度、こういったような基本的考え方JR本州三社、それから貨物会社に長期債務負担させたところでございます。それから、その残りを清算事業団負担する、こういうぐあいになった次第でございます。
  28. 玉置一弥

    玉置委員 その当初見込みからすると、本州三社は非常に優秀な成績をおさめられたということでありますが、先ほどありました貨物と三島の会社はそれぞれ赤字ということでずっと継続しているわけですね。そういうことで、その配分を見直さなければいけないのじゃないかと私は思うのです。というのは、やはり赤字会社に大きな負担を背負わせていくというのは非常に難しいのですね。この辺は将来の課題として残りますので、お答えを今すぐというわけではなくて、今いただいてもいいけれども、まだ何も方向が決まっていないと思うのですね。可能性ありかなしかぐらいはちょっとお伺いしましょうか。
  29. 梅崎壽

    梅崎政府委員 先ほどちょっと御答弁をしなかったのでございますが、長期債務負担させましたのはJRの本州三社とJR貨物でございます。  御承知のとおり、JR北海道、四国、九州につきましては、営業損益で赤字が見込まれるというところから、長期債務の承継をさせないということにした上で、なお営業損失を補てんするための経営安定基金を設けたところでございます。したがいまして、いわゆる北海道を初めとする三島会社に対しましては長期債務の承継という問題はなくて、ただ、経営状況は厳しいという事実はございますので、私ども、まずこの三島会社につきましては、経営基盤の強化のための努力が必要であると考えております。  なお、JR貨物は大変経営が苦しゅうございますが、これにつきましては、国鉄改革時に一定の、本州三社に比べますと大変規模は小そうございますが、長期債務の一部を負担させました。また、これに対しまして、これに見合う資産JR貨物の方に持たせまして、JR貨物におきましてもこの債務の円滑な償還ということを私ども期待したわけでございますが、その後の状況は、先生も御指摘のとおり全体的に経営状況は大変厳しゅうございまして、私どももこのJR貨物の経営の強化策というのが極めて重要な課題になっている、こう考えております。
  30. 玉置一弥

    玉置委員 私もちょっと一部勘違いしておりまして、三島ではなくて貨物だけですよね。貨物の方へ資産もということでございますが、その資産でも有効に活用できる資産であれば価値を生むのですけれども売却するだけのものだとお荷物になるわけですね。その辺もありますので、また何かの機会によくお考えいただきたいというふうに思います。  それで、長期債務の中に共済年金の負担分というものが五兆円という金額で入っているわけでありますが、私もこの国鉄共済については統合のたびにいろいろと今まで参加をしておりまして、一体今どうなっているのだというのがありまして、ちょっとその辺を知りたいと思います。  この成熟度が、当初から考えますと、よその制度と比べて成熟どころかもう老化しているわけでありますから、その辺が今どういう状態になっているのか、成熟度を中心にして、まず数字的にお示しをいただきたいと思います。
  31. 梅崎壽

    梅崎政府委員 鉄道共済年金の平成八年度末におきます組合員数でございますが、これは約十九万三千人でございます。これに対しまして、年金の受給者数は約四十三万四千人でございまして、成熟度は約二二四%となっております。したがいまして、一人の現役が二・二四人のOBを養っているということでございます。  このような状況から、保険料率、これは標準報酬月額に対する保険料額の割合でございますが、これにつきましても二〇・〇九%負担するということになっております。厚生年金の方は一七・三五%でございますので、比較いたしますと、相当高い保険料を負担しているということでございます。このような状況でございます。
  32. 玉置一弥

    玉置委員 この負担額は、要するに労使の分だと思うのですよね、五兆円という金額は。これ以外にはもう発生しないですね。もう既に退職された分とか今おられる方たちの分とかそういうので、その当時、昭和六十年ですかのある時点で切ったときの金額だと思いますが、またこれは新たに五兆円にプラス幾らという追加はあるのかどうか。今の財政上から考えたら、かなり危険度が高いみたいな気がするのですよね、成熟度が当初予測されたよりも大分大きいというような感じもしますから。その辺についていかがでございますか。     〔委員長退席、横内委員長代理着席〕
  33. 梅崎壽

    梅崎政府委員 国鉄改革時に言っております将来費用の五兆円でございますが、これは、その当時におきまして想定されます鉄道共済年金の追加費用と申しておりますが、追加費用を中心といたしました負担分、これには恩給の負担金であるとか公経済負担の清算金とかそういったものが含まれておりますけれども、これらを国鉄の地位を引き継ぎました国鉄清算事業団負担するということになりまして、それを六十二年四月の国鉄改革時には、五兆円の負担が発生するということで、この五兆円の将来費用を長期債務の中に入れたものでございます。  これを現在の時点で試算してみますと、平成九年度以降、今後の支払い見込み額は、七十二年度までの累計で合計約六兆九千億円というぐあいに見込まれております。六十二年当時の五兆円も、当時の長期国債の十年間の平均利率七・三%で将来発生する負担を割り戻している、要するに、六十二年度の現在価格に割り戻して算出をして五兆円であるということでございます。これを割り戻さないで今試算いたしますと、申し上げましたとおり六兆九千億円になるということでございます。これを、六十二年度の二十五・五兆円に含まれている五兆円ベースに同じく七・三%の利率で割り戻しいたしますと、三兆四千億円というぐあいになります。  ただ、これは、今申し上げましたように、現実の額としては、今後平成七十二年度までの間に六兆九千億の負担が発生するということでございます。この共済年金の追加費用等は、既に今までの分は顕在化された債務でございますが、これからの分はこれから発生する、現実化する債務でございます。したがって、その点が性格を異にしておりまして、先生先ほど、今後さらなるものはないのではないかという点に関しましては、今後の分はこれから払うんだ、これから現実化していく債務なんだという点で、御認識のところは多分違っているのではないかと考えます。
  34. 玉置一弥

    玉置委員 長期債務はいろいろな返済の方法があると思いますが、幾ら考えてもなかなか出てこないのですよね、考えて出てきたら、今ごろ終わっていると思うのですけれども。  そこで、大蔵省にお聞きしたいのですが、先ほどかちも言っていますけれども特別勘定に入れてそれを定期的に処理していくというような方法と、それから利息も、今回は一年限りみたいな法律ですけれども、これは継続してやらないとどんどんふえていくわけです。それを考える以外にとりあえずないのじゃないかと思うのですが、いかがでございますか。大蔵省に聞いてもあれですかね、こういう特別勘定を設けてやるという方法が私はいいのじゃないかと思うのですが、それについて御意見も含めてお聞きしたいと思います。
  35. 南木通

    南木説明員 国鉄長期債務処理につきましては、昨年の十二月の閣議決定におきまして、「平成十年度より、国鉄長期債務等の本格的処理を実施する。」「このため、その具体的処理方策検討を進め、平成九年中にその成案を得る。」ということになっているわけでございます。  現時点におきまして、資産処分を最終的に国においてどうやって処理をしていくのかということにつきまして、その具体的な方策を申し上げられる段階にはないわけでございますけれども特別勘定とおっしゃっておられる意味が、あるいは一般会計に今すべて、負担して償還していくということであるとしますと、そこは、昨年の七月に財政制度審議会の「財政構造改革を考える」という報告がございまして、そこで指摘されている問題点がございます。ちょっと御紹介をさせていただきますと、  処理策の一つとして清算事業団債務の全額を一般会計に移し換えれば良いのではないかという考え方があるとすれば、それは政府部内における一般会計への単なる債務の付け替えにすぎないことから、金利払いのコストも軽減せず、旧国鉄債務の最終的処理とは到底言えず、将来世代への先送りをするだけのものであると言わざるをえません。こういうような指摘がございまして、今後単なる債務の移し替えではなく、具体的な形で最終的な国民負担額を極力軽減するために土地株式早期かつ効果的な売却策等いかなる措置がありうるか、そして最終的な国民負担のあり方としていかなる形があり得るかを、真剣に検討していく必要があるものと思われます。 こういう指摘がございます。  国鉄長期債務の問題につきましては、この三月に財政構造改革会議のところでも触れられておりまして、そこで触れられておりますところを少し紹介させていただきますと、「本問題は財政構造改革の見地からも極めて重要であり、避けては通れない課題である。」ということでございます。それから、「将来世代への負担の単なるつけまわしとならないよう、あらゆる選択肢を精力的に検討する。」というふうにされているところでございます。  私ども、こういった考え方に立ちまして、あらゆる選択肢を精力的に検討いたしまして、とり得る選択肢を平成十年度から着実に実施していくということが必要であろうというふうに考えている次第でございます。
  36. 玉置一弥

    玉置委員 いろいろ考えたのですが、遊休土地利息売却益以上に稼ぐものがあれば将来は必ず減っていくことがわかるのですね。ところが、売れるときはいいところから売れますから、余りもう残っていないのじゃないかというふうに思うと、余り土地にも期待できないということになります。  そうなってくると、もう腹を決めて、それも国債の残高と一緒で、処理すべきだ。確かに財政審でおっしゃるように国民負担を回すだけだという話でありますが、国が処分をするというふうに決めた段階でもう国民負担になっているわけですね。置いておくと利息もどんどん膨らんでいくということになるわけでありますから、それはもうある程度腹を決めてやる以外ないのじゃないか。あるいは特別の税制を考えるとか、いろいろな話が出てくるわけでありますが、そういうことも結局同じなんですね、国民負担という意味では。だから、いずれにしても一般会計の中へ入れて特別勘定処理していくしかないのじゃないかというふうに思います。本当は一番大事なところなんですけれども、これはこれからの論議でございますので、そういうことだけをまず指摘をしておきたいというふうに思います。  同時に、整備新幹線が今審議されているわけです。我が党も、その沿線の人たちはとにかく積極的にやれというお話でございますし、そうでない人は、ちょっと財政的に考えろと、みんな意見が分かれている。これは日本国じゅうそうだと思うのですね。まさにそうだと思います。  新幹線が今回なぜ未着工区間の条件まで出そろってきたかというようなこと。政府・与党の申し合わせが十二月にございましたけれども、これは単なる政府・与党の申し合わせですから、議会としては何もこの条件に対する担保がないわけです。これをどういう形で担保すべきかということで、我が党の委員の方でもいろいろ今相談をしているわけであります。  まず、政府・与党の申し合わせを議会の中でもう一回確認をしたいということでございます。どういう形で確認をするかということですが、まずは、政府の中でどういう位置づけにあるのかというのが一つと、それからもう一つは、政府・与党として、議会の中でもう一度正確に、この申し合わせ事項についての効力をお伺いしたいというように思います。
  37. 梅崎壽

    梅崎政府委員 まず、政府の中でさらなる確認といいますか、そういったような御質問でございますが、整備新幹線に関しましては、先生承知のとおり、従来から政府と与党が一体となって方針を定めるということでやってきております。現在の三線五区間につきましても、昭和六十三年、平成元年平成二年の政府・与党の申し合わせがございます。また、この見直しの時期の平成六年におきましては、細川政権時におきます連立与党の申し合わせと関係大臣の申し合わせがございます。  それから、今般、昨年の政府・与党の申し合わせば、その前に平成六年十二月の連立与党の申し合わせと関係大臣の申し合わせがなされまして、これに基づいて精力的検討が進められました結果、現在の政府・与党の申し合わせが成立したわけでございます。これにつきまして、政府側からは内閣官房長官、大蔵大臣運輸大臣、自治大臣、与党側からは与党三党の幹事長、政調会長が参画されておりまして、このような合意がまとまったわけでございまして、私どもは大変重みのある決定と考えております。従来から、このような形式で申し合わせを行い、これを踏まえて行政を進めるということでやってきておりまして、政府として、他の機関で改めて確認をするというようなことは必要ではないと考えておりますし、また従来からそのように扱ってきております。  国会の中での確認という点でございますが、これはまさに、国会での御審議の中で政府側のお答えをいろいろ申し上げるというようなこと、あるいは国政調査権の範囲で国会でいろいろ行政を調査されるということの中で、政府側の考えを申し述べていくというような筋合いのものではないか、このように理解しております。
  38. 玉置一弥

    玉置委員 一つは、政府・与党間の申し合わせ事項について閣議決定をされてないということなんですが、なぜ閣議決定されないのか。閣議決定と申し合わせとどちらが拘束力があるのかということをまずお聞きをしたい。  それから、もう一つは、議会がタッチしてないということであります。議会にとって、条件がどうこうというのはこれからまだ詰めていく問題があると思いますが、少なくとも、この条件が正しいというか、要するに理想に近いということであれば、政府間の申し合わせというのをやはりオーソライズして、国会としてもそれを確認をしておきたい、こういうことでございます。  だから、とりあえずは閣議決定と申し合わせとどちらが拘束力が強いか。政府の方針としてなされた場合には必ず閣議決定というのがあるわけですから、なぜ閣議決定されないのかということ、その辺についてお伺いしたいと思います。
  39. 梅崎壽

    梅崎政府委員 大変難しい御質問でございますが、先ほどお答え申し上げましたとおり、従前から政府・与党の申し合わせということでやっておりまして、政府側は内閣官房長官、大蔵大臣運輸大臣、自治大臣といった関係の大臣が参画いたしまして申し合わせをしておりますので、これでまず行政側は、行政を進めるには、関係大臣の調整がついているということで、支障がない。  それから、与党との間におきましても、与党の政調会長、幹事長が参加されたような、あるいはその代理の方々が参加されたようなものでございますので、与党とのコンセンサスの確認という点におきましても問題はないということでやってきているものだと考えております。  効力に関しては、別に差異はないものと考えております。
  40. 玉置一弥

    玉置委員 今のお話を聞きますと、各省庁で話し合って内閣がかんでおるものについては申し合わせで十分だということらしいですね。そうしたら、今まで閣議決定されてきたものは大体ほとんどそれに該当すると思うのですけれども、なぜ閣議決定しないのか。  申し合わせというのは関係する人たちだけで決めるわけですね。閣議決定というのはそれ以外の方も入っているわけです。その辺が国全体として決めたということにならないわけです。条件が変わればまた申し合わせでどんどん変わっていくという可能性があるので、我々としてもこの条件が担保にならないわけです。その辺が問題だということなんですね。  ですから、政府として閣議決定するということは、政府が明らかに方針を示したということになるわけです。これは、関係する人たちがこうやっていこうという約束をしただけなんですね。それが同等の扱いを受けるというのは非常に不思議なことでございまして、なぜ閣議決定されないのかということをもう一回確認したいと思います。
  41. 古賀誠

    古賀国務大臣 今、鉄道局長からも御答弁申し上げましたけれども閣議決定と申し合わせという点でございます。  私は、整備新幹線というのは、従来から、政府・与党が常に一体となりまして、その状況の中で一番適した考え方の中で合意を見出して、そして申し合わせの中で決定をさせてきていただいたということでございます。御承知のとおり、経過をずっと鉄道局長お話しいたしましたけれども、今回の場合も、政府そして与党、それぞれの責任のある立場の方々が、今回の新しいスキームという形で申し合わせの合意ができたわけでございます。私は、閣議決定がなされなければそれは信用できない、先生のそうした御指摘でございますけれども、まさに差異のない状況等の中で、一番この問題を取り扱うには適したやり方の中で、今までどおりの政府・与党の合意ということで決定されたというふうに理解をいたしているところでございます。
  42. 玉置一弥

    玉置委員 大蔵省にお伺いしますが、この整備新幹線の着工ということは、まさに予算事項ですよね、予算に関係する事項ということでございまして、申し合わせをやればそのまま大蔵省としては予算化をしなければいけないのかどうか、それから、申し合わせを大蔵省としてどう受けとめているか、参画されてどういうふうな分野でタッチをされてきたかということも含めてお伺いしたいと思います。
  43. 南木通

    南木説明員 お答え申し上げます。  平成九年度予算におきます整備新幹線の取り扱いにつきましては、今いろいろ答弁がございましたように、昨年暮れの段階でぎりぎりの判断をいたしまして、大蔵大臣もメンバーになりました政府・与党協議の場で合意に至ったものでございます。それで、予算につきましては、その後、閣議決定を経てもちろん国会に出させていただいて成立させていただいたという次第でございます。  それで、昨年末の政府・与党協議の場におきましても、大蔵大臣がメンバーとなって合意に至ったわけでございますし、それから、今後の取り扱いにつきましては、過去に政府・与党から成る検討機関がつくられましたときにも財政当局として参加させていただいておりましたし、今後の話ではございますけれども財政当局も参加させていただくことになろうというふうに思っておりますし、その場におきまして、収支採算性の見通しですとかJRの貸付料等の負担、あるいは並行在来線の経営分離についての地方公共団体の同意、JRの同意等の基本条件を十二分に確認した上で、財政構造改革と矛盾することがないよう厳正に判断するということにさせていただきたいと思っております。     〔横内委員長代理退席、委員長着席〕
  44. 玉置一弥

    玉置委員 議会という立場で考えた場合に、いろいろ条件を示されましても、それは議会に対してこういうことでやりますということではなく、あくまでも政府部内の条件でございますので、それを確認しないとなかなか我々も納得できないということでありますから、ぜひ何らかの形でこの委員会を通じてもう一回確認をしていきたいというふうに思います。  それから、この整備新幹線が今着工されている路線ができ上がりまして動き始めるのが平成二十五年ぐらいだという数字がどごかに出ていましたけれども平成元年ぐらいから工事が始まって平成二十五年、二十五年間工事をやりながら細々とやっていくということは経済効率からいっても非常に悪いわけですし、その間の金利を含めますと、かなり大きな影響がありまして、これ、平均値、投資額全体で四兆円ぐらいというふうに推定をして、その平均値ですから二兆円ぐらいですよね、が金利がかかる平均値になるだろうというふうに計算しますと、三%の場合、四・二兆円かかるんですね、二十五年たちますと。五%だと六・八兆円ということで、これだけの余分な負担をしていかなければいけない、長いために。その間に、本当は運用で費用回収をしていくわけでありますが、こういうこともやはり考えていかなければいけないということで、同じやるなら早くやったらどうだというのが私の考え方です。やらないならもうやめた方がいい。二十五年もかけてやって、本当にそのときになって新幹線の意味があるのかというのは予測できないわけですから、その辺を考えていきますと、やるならもっと早くやるべきだ。財政再建の中ですけれども、もうやると決めたら、ともかく、その分も後でも先でも返していかなければいけないのは事実でございますから、やはりその辺をもっと考えて、ただ少なく少なく、ちょびちょびやるということじゃなくて、やるならもう一気にやるというぐらいに構えていただきたいというふうに思います。  路線別の採算とかいろいろあるわけでありますが、引き続き同僚議員の方が質問いたしますので、そちらに譲りまして、私の質問はこれで終わらせていただきます。ありがとうございました。
  45. 杉山憲夫

    杉山委員長 上田勇君。
  46. 上田勇

    ○上田(勇)委員 玉置先生に引き続きまして、鉄道関係の二法案につきまして質問をさせていただきます。  この両法案とも、今の国の厳しい財政事情に重大な影響があるものでありますし、多くの国民が非常に大きな関心を寄せている法案であるというふうに思います。その意味で、国会の場でも、慎重な審議を行って、いろいろな角度から検討を加えていく必要があることじゃないかというふうに考えている次第であります。  初めに、整備新幹線関係についてお尋ねしたいのです。  この整備新幹線事業の目的でありますけれども、これまでに比べて特段変わっているというふうには思わないのですが、法案の中で、本法の第一条で目的を改正しておりまして、今までの「国民経済の発展と国民生活領域の拡大に資すること」というのに加えて、「地域の振興」というのが入っております。当然、これまでも整備新幹線というのは地域の振興に大いに役立ってきたのだというふうに考えているのですが、今回の事業目的にわざわざこれを追加するというのは、ある面では、今後、この新幹線整備事業が、交通政策としての直接的な効果とか経済的な効果よりも、それよりも波及的というのでしょうか、より抽象的な地域振興というようなところにむしろ視点が移っているのかなというような気もするのです。  この法律の中において、今回、わざわざ目的の改正を行った理由をお聞かせいただきたいというふうに思います。
  47. 梅崎壽

    梅崎政府委員 新幹線は、地域格差の是正であるとか地域住民の利便性の向上あるいは地域の産業の振興に大きな役割を果たすものであることはもう御指摘のとおりでございまして、これは従前から変わらないと考えております。  今般、新幹線の建設費につきまして、地方公共団体の負担法律上定めるということにいたしましたが、こういうことにかんがみまして、新幹線の整備は地域の振興に資するものであることを法律の目的規定におきましてもあわせて明らかにする、このようなことから目的規定の改正を行おうとするもめでございます。
  48. 上田勇

    ○上田(勇)委員 それで、ちょっと話題が変わりますが、報道によりますと、これは新聞記事でありますが、政府として九九年度末までに、アメリカに比べて二割から四割も高いと言われている公共事業のコストを一〇%削減するとの行動指針を決定した、新聞記事にはそういうふうに書かれております。当然のごとながら、新幹線鉄道整備事業もこの対象になるというふうに思うのです。  そこで、ここでは一〇%、これは全体ということなんだと思うのですが、新幹線について、例えばどの程度の削減を考えているのかとか、また、これは決まったばかりかもしれませんけれども、今後の具体的な対応をどうされていくのか、ひとつ大臣の御所見を伺いたいというふうに思います。
  49. 古賀誠

    古賀国務大臣 先生もかつて御経験いただいておりますので、公共事業のことについても十分熟知していることだと思っておりますが、今先生が御指摘になりましたように、今回、大変公共事業のコストについていろいろと御論議をいただいているところでございまして、何とか公共工事のコスト縮減ということが関係閣僚会議の中で先般来決定をされました。そのスケジュールに従いまして、公共工事のコスト縮減対策に関する行動指針というのを実は踏まえさせていただきまして、運輸省といたしましても、「運輸関係公共工事コスト縮減対策に関する行動計画」というのを実は策定をさせていただいたわけでございます。  この行動計画は、まず第一に計画と設計等の見直し、また、第二に工事発注の効率化、第三といたしまして工事構成要素のコストの縮減、そして工事実施段階でのさまざまな合理化と規制緩和等の施策を通じて、少なくとも一〇%以上を縮減することを目指す、それが平成十一年度、約三年を目途にしてそれを達成していこう、こういうことでございます。大変厳しい目標数字でございますし、また期限でございますけれども、公共工事コストの縮減に、今申し上げましたような分野の中で努力をいたしまして果たしてまいりたい、こういうふうに思っております。当然そういった中で整備新幹線の事業につきましても対応してまいるということは、御指摘のとおりでございます。
  50. 上田勇

    ○上田(勇)委員 公共事業のコスト削減というのは、今非常に限られた財源の中の有効利用という意味で大変結構なことでありますし、多くの国民もそれを希望しているところだというふうに思います。問題は、こういうスローガンを掲げるだけではなくて、いかにしてこれから実行に移していくかということじゃないかというふうに思いますし、また多くの国民もそれを注視しているのじゃないかというふうに思います。先日決まったばかりで、今のところまだもう一つ、具体的なことはこれから詰めていくということであるというふうに思いますけれども、今大臣の方から大変な決意を示していただきました。そういう意味で、大いに期待するところであります。  このコスト縮減ということがこれから重要なわけなのですが、一方で、これまでの事業の実績を見てまいりますと、実はこの事業費というのが計画段階から実施段階で大きく増嵩しているのが実態であります。これは、例えば三線五区間の事業費を見てみましても、当初と平成七年度の事業費を比べてみますと、当初が一兆八千六百億円だったのが、七年度の概算では二兆二千億円、約一・二倍になっています。また、その中でも完了間際であります北陸新幹線の高崎―長野間の事業費を比べてみますと、これはそれを上回る一・四倍になっております。このように、当初の計画に比べて実際の事業費がかなり増嵩している、これはどこに原因があるのか、その具体的な要因をぜひお示しいただきたいというふうに思います。
  51. 梅崎壽

    梅崎政府委員 ただいま先生から御指摘ございましたとおり、三線五区間につきまして、各線区の当初の認可時の価格を合計いたしますと、一兆八千六百二十二億でございます。これは平成六年四月でございますが、この価格で示しますと約二兆二千億円でございまして、約一・二倍となっております。  それから、高崎―長野間の事業費、これは高崎―軽井沢間と軽井沢―長野間の当初認可額を合計しますと、五千八百八十三億円でございます。その後、環境対策の追加等々ございまして、平成七年三月の時点で見ますと、八千四百二十四億円になっておりまして、御指摘のとおり約一・四倍でございます。  これの増嵩の主な要因でございますけれども一つは大きなものとして物騰というのがございます。それから、内容が追加されたというのが次の要因でございまして、これには具体的には、例えば新たに市街化した区域などにおきまして防音壁を増強するといったような環境対策費の増加といったようなことがございます。それから、新たに計画がつくられ、整備されました道路との交差なんかに伴いまして、高架橋などの構造変更といったようなことがございます。それからさらに細かく申し上げますと、調査を進めていったら、その過程で判明いたしました埋蔵文化財が見つかりまして、この調査に要したということとか、あるいは上下水道、ガス管等の埋設物、電力や通信設備等の機能補償、こういったようなことで工事費が増嵩する要因が発生した、こういったようなものでございます。
  52. 上田勇

    ○上田(勇)委員 物価上昇分であるとか、実際に工事を実施する段階においていろいろな工法が追加されるということは、ある程度やむを得ないことだというふうに思います。  ただ、そうすれば、当然その三線五区間の事業費も、これから事業が進んでいけば、今推定している事業費よりはもっと大きくならざるを得ないでしょうし、さらに新規着工区間の事業費も今推定している額を、これはもっと先の話ですから、さらに大幅に上回るというようなことに結果的にはなってしまうのじゃないかということが懸念されるわけであります。  そうなると、新幹線整備によってどれだけの効果が得られるのか、果たしてこの新幹線整備に投資するということが本当に妥当なのかどうか、やはりこれは慎重に検討する必要があるのじゃないか。さらに今思っている数字よりももっと大きなものになるわけでありますから、その辺はもっと重要になってくるのじゃないかというふうに思うわけであります。    〔委員長退席、村田(吉)委員長代理着席〕  この事業費のほとんどの部分というのは国や地方の資金、これはすなわち税金を投入するわけであります。もちろんJR負担する分もありますが、ほとんどの部分は公的資金であります。これは、地方の負担部分についても地方財政措置で手当てされるということでありますので、事業費は、当然沿線の方々だけじゃなくて、全国の納税者が押しなべて負担しているということになってまいります。そうなると、やはりこれは国民経済的な視点から効果の問題について論じる必要があるのじゃないかというふうに思うわけであります。もちろん、その効果の中には直接的な効果もありますし、間接的なものもあります。あるいはなかなか定量しがたい、把握しがたいような波及的なものもいろいろとあると思いますけれども、この新幹線鉄道整備事業の投資効果については運輸省としてどのように評価をされているのか、お伺いをしたいというふうに思います。    〔村田(吉)委員長代理退席、委員長着席〕
  53. 梅崎壽

    梅崎政府委員 御指摘の点は、国民経済的な投資効果の分析を行うべきではないかということであろうかと存じます。  昭和六十三年におきます既着工三線五区間の着工優先順位の検討に際しましては、そのような観点からの検討を行っております。若干この内容について申し上げさせていただきますと、国民経済的な投資効果のほかに、新幹線建設に要する工事費であるとか国土開発上の視点からどう考えるか、鉄道事業の長期収支から見てどうか、それから旅客会社各社の経営見通しと新幹線の建設に対する考え方はどうであるか、沿線地域の新幹線建設に対するコンセンサスはどうであるかとか、こういったようなことを評価項目といたしまして、検討結果を総合的に判断しまして優先着工順位の決定を行っておりまして、投資効果は、その評価項目の一つとして、着工順位決定に当たりましての相対的な比較の資料として用いたという実績がございます。
  54. 上田勇

    ○上田(勇)委員 先ほども申し上げましたけれども、これは全国民負担する工事でありますので、やはり投資するのに本当に妥当なのかどうか、効果が上がるのかどうか、これが非常に重要だと思うのですね。  今ちょっと御説明があったのですが、これは、何らかの定量的というか客観的な効果の評価の手法、あるいはシステムといったものは確立されているのでしょうか。
  55. 梅崎壽

    梅崎政府委員 ただいま申し上げました六十三年におきます既着工三線五区間の着工優先順位の検討に際しましての具体的な算定方法でございますが、その際は、新幹線の整備に必要となる建設費や設備の維持更新に要する費用の投資に対しまして、新幹線の整備により発生いたします旅客の時間短縮効果や各輸送機関ごとの収入と費用の増減、こういったものの経済的便益を見返りといたしまして、向こう三十年間の便益の増加を年平均利回りの形で示すというような形でやっております。いわゆる内部経済収益率と言っておりますが、それと同じような物の考え方で当時は投資効果を分析いたしました。
  56. 上田勇

    ○上田(勇)委員 そうすると、今度の新規着工分についても同じような考え方、同様な手法で効果を算定して、そうした客観的な比較検討を行った上で着工順位、優先順位等を決めていくというふうに考えてよろしいのでしょうか。
  57. 古賀誠

    古賀国務大臣 当然、検討委員会の中で検討して進めていくというふうに御理解いただいて結構でございます。
  58. 上田勇

    ○上田(勇)委員 政府・与党の合意の中では、収支採算性の見通しについては言及されているのですが、事業全体の効果について、その効果が上がるのかどうか、効果が高いもの、低いもの、そういったものについて検討するというようなことが欠けているのですけれども、今、そういうようなことも十分考慮に入れた上で事業を実施していただくということでありましたので、ぜひともその点、これは重要なことであると思いますので、ひとつよろしくお願いしたいと思います。  それで、もう一つの視点というのは、収支採算性についてもありましたけれども、今回の政府・与党の合意の中で、この収支採算性については一番最初検討項目として入っているのです。これを運行する鉄道各社の採算性については、採算がとれないものは原則として事業を行わないというふうに私は理解しているのですが、このことが本当に守られるのかどうか、一部に疑問も示されているのも事実であります。  また、収益の上がる見込みのないような区間については着手しないんだということを再度確認していただきたいということと、例えば平成九年度予算ではJRの貸付料等が百三十八億円が見込まれていますけれども、仮にこれから、これは先の話でありますので、開業が近くなったときにそれだけの収益が見込めないというようなこともトータルしてみれば出てくるのではないかと思うのですが、そうしたときにはどういうふうに対応されるのか、その辺の方針を伺いたいというふうに思います。
  59. 梅崎壽

    梅崎政府委員 ただいま御指摘がございました九年度予算での百三十八億円は、北陸新幹線の高崎―長野の建設に必要な借入金の分でございます。  今、三線五区間におきましては高崎―長野に借入金を入れておりますが、これにつきましては、高崎―長野の建設に伴うJRの受益の範囲内での貸付料、これは当然のことながら開業後日本鉄道建設公団がJRから徴収するものでございますが、この高崎―長野の貸付料を初め三線五区間の貸付料によってこれを負担するということにしておりまして、当然のことながら、借り入れを行う場合には、そういったような貸付料等によって償還することが可能であるということを確認した上で、私ども借り入れを行うという形にしております。
  60. 上田勇

    ○上田(勇)委員 それでは、全体の計画について少しお伺いしたいと思うのです。  現在の計画では、二十二年間という非常に長期間をかける計画になっておりますし、それでもなお整備計画線の半分も完了しない、計算上はそういうわけであります。基本計画線全体から見れば、このペースでいくと一割ぐらいしか完成しません。実際には、事業費というのはどうしても実施を行っていけば少しずつ増嵩していく、そういう傾向があるわけでありますので、結果としては今言った半分というか一割、これもほど遠いところで終わってしまうのではないかという気もするわけであります。そうすると、やはりこれは、正直言って非常に気の遠くなるような、また、言い方を変えれば、ちょっと非現実的な計画になってしまっているのではないのかな、そういうふうに言わざるを得ないのですけれども、そうした計画で本当に今期待しているような効果が上がるのだろうか、これはもう率直な疑問であります。  四半世紀も先には、国の経済社会の情勢も大きく変わっているでしょうし、人や物が動くあり方も全然変わっているのではないかと思いますし、交通体系それから技術体系といったものも一変しているのではないかというふうに感じるわけであります。しかも、まして基本計画線はこのままのペースでいけば全部完成するには二百年ぐらいかかるのですね。そのときには、もうこれは、今のベースで考えていることは少し現実離れしていることになってしまっているのではないかというふうに思うわけであります。  この際、やはりもう非現実的になってしまっているし、計画自体の意義がそういう意味ではよくわかちなくなってしまっているのではないかと思うのですが、そうした意味で、この基本計画であるとか整備計画そのものを見直していく必要が今迫られているのではないかと思うのですが、その点、大臣どうお考えでしょうか。
  61. 古賀誠

    古賀国務大臣 確かに、先生がおっしゃることも、これだけ長期な計画になりますと、一つの理論ではないかなというふうに思いますが、私どもといたしましては、この新幹線鉄道の基本計画というのは、国土をどういうふうに開発をしていくことが将来にわたって一番必要なことか、また、重点的な方向はどういうところに考慮していくことなのかというようなことなどを考えて、具体的な整備の必要性を踏まえた整備すべき路線について整備計画をつくる、全体の基本計画の中で、その中でまた重点的な、必要性の高いところを整備計画として設定をさせていただいている、これが基本計画と整備計画ということになろうかと思っておりますが、それが今のような進捗状況であれば、百年、二百年というお話がありましたけれども、今回の新しい財源スキームの中でも、極めて限られた財源の中で整備を進めさせていただくわけでございます。  そういうことを考えてみますと、今度の新しい財源スキームの中で進められる事業というのも大変年月がかかるわけでございますけれども、今申し上げましたように、我が国の国土の均衡ある発展、地域間の格差をなくしていく、そしてまた、将来にわたっての新幹線の役割、必要性、こういったことを考えますと、大変歯がゆい思いはいたしますけれども、今の財源スキームの中でできる今回の整備新幹線の未着工区間に着実に着手させていただくと同時に、今申し上げましたような基本計画線、そして整備計画線というものを踏まえながら、できるだけの成果が上がるような努力を、今の段階で、この限られた状況の中でやっていくということは必要なことではないかというふうに私どもは考えております。先生にも、ぜひひとつ御支援いただくと同時に、御理解をいただきたいというふうに思います。
  62. 上田勇

    ○上田(勇)委員 私も、東北や上越の新幹線が、地域経済の発展や交通体系の整備に大変な効果があったということは、そのとおりだというふうに思います。ところが、この計画が、では四半世紀先には本当に新幹線が交通の手段として有効なものなのかどうか、まして、全国にそれを整備するという、何世紀という単位の話をすると、それはもう何か本当に、むだな計画を今一生懸命考えているのじゃないのかなというようなことも思わざるを得ないわけであります。特に、今のJR運輸省などでも、リニアモーターカーだとか、そういうような新しい技術も開発しているわけでありますし、今の考え方に基づいてそういうような計画路線を立てていることが本当にいいことなのかどうかということは、大いに疑問を感じる点であります。今のそうした基本計画であるとか整備計画の見直しを行わないまま、これまでの延長線上で事業を実施していくと、結果的には非常に中途半端なものができ上がってしまうのじゃないかというようなことも気になるわけであります。そうなると、今期待している効果といったものも十分に発現しないでしょうし、結局は、今一生懸命鉄建公団なりが行っているそうした投資が有効に機能しなくなってしまうといったことも懸念されるわけであります。  先ほど玉置先生からもお話がこの辺はあったわけでありますけれども、やるのなら集中的にやればもっと効果は発現しやすいでしょう。ところが、今財政再建元年と銘打たれているように、そういう意味では、国の支出が近い将来にそう大きくふえていくということは考えられないのじゃないかというふうに思います。むしろ、支出をいかに効率化、縮減していくかということが今の重要な課題でありますので、その意味では、もっと本当に現実性のある、ここだけはどうしても早い時期につくっていくんだ、あるいは、ここはちょっと今の財政事情を考えると当面はできないので、そのときになったときの新しい総合的な交通体系の中で一番有効な交通手段をつくっていくのだ、そういうような考えで、この基本計画は特にそうでありますし、この整備計画についても、これはまだかなり遠い将来のことまで含まれている計画ですので、その辺ももっと、今日性のある、現実性のある、そうした視点でこの計画を改めるべきじゃないかというふうに考えるわけであります。  もう一つは、やはり、しっかりした現実性のある計画に改めてから、その計画に基づいてこの事業を推進していく、実施していくということが筋じゃないかというふうに思いますし、それまで、新たな事業着手についてはもう少しょく考えた上で実施する。今回、新規着工区間というのが出てきていますけれども、そうしたことについても、その線全体がどうなるのか、そういう基本計画、整備計画をもうちょっとしっかり見直した上で、新たな、より投資効果の上がるような事業実施体制をつくった上で新規事業に着手する、それまでは事業実施についても若干期間を見合わせるというのも一案ではないかというふうに思うのですけれども、その辺についての御見解はいかがでしょうか。
  63. 古賀誠

    古賀国務大臣 先ほども申し上げましたように、今回財政構造改革会議の中でも言われておりますように、基本的な考え方として、財政構造改革会議の中で言われている考え方に矛盾しない中で、新しい財源スキームの中で、未着工区間についても、再三申し上げておりますように、幾つかの基本的な条件を確認した上で着実に進めていくということは大事なことだというふうに私自身考えております。検討委員会の方で十分御検討いただいて、適切に措置してまいりたい、対処してまいりたいというふうに思っております。  ただ、今お話があっておりますように、基本計画だとか整備計画、こういった点は、今の状況では見直すという段階ではないというふうに思いますけれども、いずれ、長い期間の中で、我が国の今後の社会資本の整備、とりわけ総合交通体系のネットワーク等々の整備がどのように進んでいくかというような状況の変化の中では、そういうときが来るのかな、こういう感じは当然私としても持っております。しかし、今の状況の中では、新幹線についての基本計画や整備計画の見直しという段階ではないという判断でいるわけでございます。
  64. 上田勇

    ○上田(勇)委員 この基本計画や整備計画というのは、先ほどからちょっとお話ししていますように、非常に、かなりスパンの長い話であります。当然それまでの間に日本の経済や社会の情勢も変わると思いますし、また、もっといい交通手段が出てくるということも十分考えられると思います。そういう意味で、基本計画というのは、ちょっと中身、どういうものが書いてあるかというのを見てみますと、非常に漠とした内容でありますので、これがすぐ事業実施につながるというふうにも理解はしておりませんけれども、この公共事業、どこの省庁で実施しているものも同じだと思いますが、一回始めると、なかなか計画があるのでやめられない、こうしたことにならないように、ぜひ機動的な予算の運用、また計画の見直しをお願いしたいというふうに思います。  次に、国鉄債務の関係について若干お伺いしたいというふうに思います。JR再建時に、JR株式売却収入が当初見積もりで四千五百九十五億円であったということであります。現在までにJR東日本それから西日本の株式の一部を売却しただけで既に一兆五千億円を超える収入が上がっております。今後他の鉄道会社の株式売却を進めていけば、トータルでは三兆円から四兆円の収入になるのじゃないか。単純な計算ではそういうふうに考えられるのですが、当初四千五百九十五億円が結果的には最大では四兆円ぐらいになるというのは、当初の株価の評価というのが低過ぎたというような感じもするのですけれども、当初どのような方法でその売却収入というのを計算されたのか、その辺をちょっと教えていただきたいというふうに思います。
  65. 梅崎壽

    梅崎政府委員 昭和六十二年度、国鉄改革時当初におきます株式売却収入でございますが、これは一兆二千億円と見込んでおりました。  これは二つございまして、一つはただいま先生指摘JR株式の分でございます。これは、当時の考え方は、発行済み株式数九百十九万株に額面五万円を掛けまして算出いたしました約五千億円でございます。当時はどうしてそのような算出方法をしたかと申しますと、JR各社国鉄改革により発足したばかりでございまして、直ちに上場できる経営体質ではないというところから、株価を評価することは困難であるということから額面の一株五万円ということで評価せざるを得なかったということでございます。  なお、JR株式のほかに、先ほど申し上げました一兆二千億の中には、帝都高速度交通営団に対する出資持ち分につきましての清算事業団の保有分三億一千万口の評価額七千億円というのが含まれておりまして、先ほど申しましたJR株式の五千億と合わせまして一兆二千億円という評価にしておった次第でございます。
  66. 上田勇

    ○上田(勇)委員 株式評価というのは、額面というのは一説によると単なる飾りでありまして、実際の価格というのは額面とは関係ないわけですね。株価は大体ほとんど同じ、どの会社の株価も額面は同じなわけでありますから、そういう意味で、そのときに市場がJRのトータルな価値をどのように評価したかというのがわからなかったということによって額面で計算したということじゃないかというふうに思うのですが、結果的に株価を実際の市場が評価するものよりも低く評価してやっていたことになりますね。  そうすると、それはどういうことかといえば、実際に民営化されたときのJR各社の、それはいいところもあるし悪いところもあるのでしょうけれども、トータルで見たときに、JR各社の収益性をやはり過小に評価していたということになるのじゃないかというふうに思います。そうしたことから、私は必ずしもこの意見とは同じではないのですけれども、そういう意味で、その負担割合を決めたときに比べれば、そのときJRの収益性は過小に評価されていたのだから、JR各社にも追加負担を求める余地がまだあるのじゃないかということも一部で言われているのですけれども運輸省としてはそのことについてどのようにお考えか、御意見をお聞かせいただきたいと思います。
  67. 梅崎壽

    梅崎政府委員 まず、お答えの前に、JR株式評価の問題でございますけれども国鉄改革時には、最大限の効率的経営を行うことを前提に、当面収支が均衡し、かつ、将来にわたって事業を健全かつ円滑に運営ができる限度という基本的な考え方長期債務負担させるというようなことをしたわけでございます。正直申し上げまして、その後JRの経営努力等もございますけれども、皆さん国鉄改革に当時タッチされた方々は、このように短期間に良好な経営成績を上げるとは思わなかったとおっしゃっておられますけれども、やはり当初は額面で評価するしがなかったのだろう、このように思っております。  なお、ただいまJR負担の問題に関して御意見等がございましたけれども、一方では国鉄長期債務が極めて膨大であるということから、国鉄改革後の好調な経営状況も踏まえてJRも一定の負担をすべきではないかといったような意見、あるいは年金問題に関しましても、国鉄清算事業団が年金負担を負っているけれどもJRも一層の負担をすべきではないかといったような意見があることも承知いたしております。  また、これに対して一方では、JRによる国鉄長期債務等の負担国鉄改革時に枠組みとして決定済みであって、これを動かすのはおかしいというようなこと、それから、さらに負担を求めると、民間企業であるJRに対する追加負担でございますので、一般株主との間でも問題ではないかといったような御意見があることも承知いたしております。この問題に関しましては、要は国鉄長期債務等の本格的処理につきましての新たな財源措置についての国民的な議論を十分に尽くしましてコンセンサスを得ることが不可欠でございますので、広く議論を尽くしまして、国民的なコンセンサスを得ながらこの問題に対処していく必要があると考えております。  このような基本的な認識に立ちまして、昨年十二月の閣議決定を踏まえまして、本年中に本格的処理につきましての具体的処理案の作成に向けまして最大限努力をしていきたいと考えております。
  68. 上田勇

    ○上田(勇)委員 JR各社に対する負担を求めるということについては、確かにおっしゃったように両論あることだと思います。  経緯からすれば、やはりJR民営化されたわけでありますので、今おっしゃったように、既に株式も発行しておりまして、株主の保護ということもあるのでしょうから、なかなかJRに追加負担を求めていくということは市場経済の中では問題が多いのじゃないかというふうに感じるわけであります。となると、やはりこれは国民全体でどういう形で負担をしていくか、それは国民全体で負担せざるを得ないわけでありますので、国民全体の合意が非常に重要になってくるというのは本当に今の答弁のとおりだと思います。この処理方針について平成九年の末までに成果を得るということでありますし、先般、本会議で橋本総理がこの処理方針について、幅広い国民的な議論を十分尽くす必要があるということを述べられております。  そうすると、国民負担の話になりますと、住専処理のときのことが出てくるのですが、あのときのように土壇場になって、あのときは大蔵省と農水省でありましたけれども、今回は大蔵省運輸省国民から見えにくいところで国民負担、しかも今度は何倍もの額になりますので、そういうことが決められるということは、やはり到底国民理解は得られないことになるのじゃないかと思います。  そうした事態とならないように、やはり運輸省としても早い段階でこの案をオープンにしていただいて、国会の場で議論することも重要だと思いますし、同時に国民的な議論を進めていっていただきたい。先の話のようですが、実際にはもう半年しかありませんので、その点ひとつ早い対応をよろしくお願いして、もう一つ最後に、今後の具体的なスケジュールについて今お考えのものをぜひお示しいただきたいというふうに思います。
  69. 古賀誠

    古賀国務大臣 先生から御指摘いただきましたように、一番重要なことは、幅広い国民の御論議をいただく、そしてコンセンサスを得ることのできる本格的な処理策ということが重要だろうというふうに思います。  今までも、国鉄長期債務の状況につきましては、国会等におきましても御報告を申し上げておりますし、また、その都度土地処分状況や債務状況につきましても発表させていただいております。同時に、広報活動も運輸省国鉄清算事業団の方で大変緻密に状況報告をさせていただいたところでございますが、今まさに先生がおっしゃったように、この本格的な処理ということになりますと、できる限り国民の皆様方にオープンにして、そして御論議をしていただいて本格的な処理策をつくるということが重要であります。  そういうことも踏まえまして、昨年暮れの閣議決定に基づき、九年中に平成十年度から始める本格処理に向かっての処理策を得るということにいたしておりますので、運輸省といたしましても、また私といたしましても、可能な限り、できるだけ早い時期に国民のコンセンサスを得ることのできるような、また国民の御論議を踏まえて、処理策について明らかにできるように最善の努力をしてまいりたい、こういう考えで今後取り組んでまいりたいと思います。
  70. 上田勇

    ○上田(勇)委員 時間ですので、これで終わらせていただきます。ありがとうございました。
  71. 杉山憲夫

    杉山委員長 本会議散会後直ちに再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時二分休憩      ――――◇―――――     午後二時四十二分開議
  72. 杉山憲夫

    杉山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。川内博史君。
  73. 川内博史

    ○川内委員 民主党の川内博史でございます。  私は、先日の本会議におきましても、整備新幹線の問題につきまして、民主党を代表して、整備新幹線は推進すべきであるという論調で質問をさせていただきました。本日もまた、これに加えて清算事業団法もあわせて質問をさせていただきますが、何といっても私、鹿児島の出身でございまして、新幹線のことが気になって気になってしようがないというところでございますので、まず新幹線の方から質問をさせていただきたいと思います。よろしくお願いを申し上げます。  まず、今回の整備新幹線の新規着工に係る部分については、マスコミ等でもいろいろな批判があったわけでございます。それはどういうところに起因をするのかなということを考えましたときに、やはり新幹線ができてから具体的に収支の採算がどうなるのかというところがひとつ見えてこないというところがあったのではないかというふうに思っております。私ども民主党の申し入れに対しまして、政府の方からその収支の採算を計算するモデルといった資料をおつくりをいただいて、私なりに検討をさせていただきました。またその資料のことについては後ほどお尋ねをさせていただきますが、金曜日の与党側の質問の中では、収支採算性は余り計算はしていないが、できてしまえばおおむね良好な状態になるのではないかという政府の答弁があったわけでございますが、まず運輸大臣にお伺いをいたします。  東京ディズニーランドなども、できてしまうまでは、あんなものはできたってどうしようもないだろう、だれも行かないよと言われていたのですけれども、できてしまったらもうすごい人が集まって、大変な成功をおさめたわけでございます。また新幹線も、評判が悪い割には、もしかして、つくってしまえばこれはみんなが乗ってもうかってしようがないということになるかもしれないのですが、その逆も大いにあり得るということでございます。  運輸大臣は、この新幹線のことについて、国家的なプロジェクトであるというふうな御答弁をされていらっしゃいますから、その国家的プロジェクトという意味を、その概念規定というか、その辺をまず御答弁をいただけますでしょうか。
  74. 古賀誠

    古賀国務大臣 先生みずからおっしゃっているように、大変整備新幹線につきましては先生にはいつも温かい御支援もいただいておりますし、また御理解と御指導を賜っております。心からお礼を申し上げたいと思います。  整備新幹線について、国家的プロジェクトという概念はどうかということでございますが、常に私がこの整備新幹線を整備することについてお話しを申し上げておりますのは、まず第一に国土の均衡ある発展、そしてまた、沿線地域の活性化に資するという観点をいつもお話し申し上げております。そういう意味で、まさに整備新幹線の整備というのは国家的プロジェクトであるという意味で申し上げているところでございます。  また同時に、収支採算性のお話がありましたけれども、御承知のとおり、そうした国家的なプロジェクトでありましても、採算性を度外視するものではないということは御理解をいただいておきたいというふうに思います。
  75. 川内博史

    ○川内委員 国土の均衡ある発展、そしてまた、沿線地域の発展に資するために企てられたプロジェクトであるというお答えであったというふうに思います。  ところが、午前中の質問でもあったのですけれども閣議決定に関してなのですけれども昭和五十七年の九月二十四日に、「日本国有鉄道の事業の再建を図るために当面緊急に講ずべき対策について」という閣議決定がされております。短いですから全文読みますと、   国鉄経営の危機的状況にかんがみ、臨時行政調査会の第三次答申の趣旨に沿って、当面、以下により緊急に講ずべき対策に取り組むこととする。  三 設備投資の抑制    設備投資は安全確保のための投資を除き原則として停止する。    なお、整備新幹線計画は、当面見合わせる。 という五十七年の閣議決定があるわけでございます。  また、昭和六十三年の国鉄清算事業団に関する閣議決定では何と書いてあるかと申しますと、「事業団債務等は既に膨大であること、当面新たな借入れが必要であること」などにかんがみ、「極力国民負担軽減に努めるものとする。」というふうに書いてあるわけでございます。  結局、この時点ではまだ新幹線の問題と旧国鉄債務の問題というのはリンクしていた。国鉄の再建が図られない限り、この債権債務の整理が済まない限り新幹線は見合わせるのだというふうな閣議での決定が、これを読んでいくと内閣はそういうふうな理解をしていたのではないかというふうに思うのです。それにもかかわらず、六十三年に政府・与党合意ということで整備新幹線の着工が決まった。これは一体いかなる理由であったのか。午前中も、なぜ閣議決定ではないのかという御質問があったわけでございますが、この点を、なぜ閣議決定ではなく政府・与党合意なのかということを再度お尋ねをさせていただきます。
  76. 梅崎壽

    梅崎政府委員 整備新幹線に関する閣議決定でございますが、五十七年九月の閣議決定によりまして、当時の国鉄の財政状況にかんがみまして、国鉄財政の再建を図るという観点から、その一部といたしまして整備新幹線計画が凍結されたというのは事実でございます。これにつきましては、その後、昭和六十二年一月の閣議決定によりまして凍結の解除がなされております。  それから、ただいま先生指摘の六十三年一月の閣議決定、これは国鉄清算事業団のいわゆる旧国鉄債務に関する処理についての基本方針を定めた閣議決定でございまして、整備新幹線の問題は直接的にはそれには触れられておらない、こういう状況でございます。
  77. 川内博史

    ○川内委員 済みません、私、ちょっと不勉強で申しわけなかったです。六十二年の閣議決定で凍結解除されているわけですか。私がきのういただいた資料の中にはその六十二年の閣議決定がなかったのですが、もう一度、どういう閣議決定であったのか、内容を教えていただけますでしょうか。
  78. 梅崎壽

    梅崎政府委員 ちょっと読ませていただきますと、閣議決定の件名は「整備新幹線計画及び日本鉄道建設公団の取扱いについて」、こうなっておりまして、昭和六十二年一月三十日でございます。内容でございますが、   整備新幹線計画及び日本鉄道建設公団の取扱いについては、国鉄改革実施後の新たな状況、将来における鉄道の高速化の要請、厳しい財政事情等を踏まえ、今後下記のとおり取り扱うものとし、昭和五十七年九月二十四日及び昭和五十四年十二月二十八日の閣議決定中、これらの取扱いに係る部分については、これを廃止する。 こうなっておりまして、「記」といたしまして、   整備新幹線計画については、昭和六十一年六月十日付け臨時行政改革推進審議会答申に沿って適切に対処するものとする。   また、日本鉄道建設公団については、大規模工事の円滑な実施に資するようその存続を図るものとする。 このような閣議決定でございます。
  79. 川内博史

    ○川内委員 整備新幹線については、第三次臨時行政調査会の答申に沿って処理するというふうに六十二年の閣議決定でもなっているわけですよね。
  80. 梅崎壽

    梅崎政府委員 「昭和六十一年六月十日付け臨時行政改革推進審議会答申に沿って適切に対処する」、この閣議決定を受けまして、結局、整備新幹線に関しまして検討が行われまして、先生承知のとおり、昭和六十三年、平成元年平成二年にかけまして種々検討が行われまして、現在の三線五区間の基本スキームができたわけでございます。
  81. 川内博史

    ○川内委員 今、鉄道局長から時系列的に懇切丁寧に教えていただきまして、ちょっと私がいただいた資料の中にないものもあったものですから、確認をさせていただいた上で、また質問の機会がめぐってくるかどうかわかりませんけれども、その点は後日に譲るといたします。  その昭和六十三年の整備新幹線の取り扱いについて、着工の具体的な手順とか手法を整備新幹線建設促進検討委員会において検討するというふうに政府・与党合意で、また、今回の新規着工分のと似たような取り決めを政府・与党間でしているわけでございます。建設促進検討委員会において検討する。それで、そのときの検討委員会の顔ぶれがどういう方だったのかなと思ってお尋ねをいたしましたらば、官房長官であるとか総務庁の長官であるとか大蔵、自治、運輸のそれぞれの大臣、そしてまた与党の方からは政調会長、総務会長代理、幹事長代理、それから新幹線建設促進特別委員会の委員長といったような方々がこの検討委員会にお入りになられて検討されたというふうに聞いております。  今回の政府・与党合意の中にも出ております検討委員会ですが、これは前回の検討委員会と似たような性質のもので、メンバーもほぼ同じような方々で構成をされるというふうな理解でよろしいでしょうか。
  82. 古賀誠

    古賀国務大臣 御承知のとおり、今まさに御提案申し上げております法案について御審議をいただいているわけでございます。平成九年度の予算につきましては、それぞれ各党の御理解をいただきまして、まことに波静かに成立をさせていただきまして、それぞれの、各般の法律の御審議を今いただいているということで、まさにこの整備新幹線の問題、国鉄長期債務問題をきょう御論議をいただいているということでございます。  そうした関連法案を速やかに成立させていただくことによって、検討委員会をどういうメンバーで立ち上がらせるのかということも、その時期とタイミングを見ながら考えていかなければいけない問題だと思っておりまして、検討委員会のメンバーがどうあるべきなのかということも、その時点で具体的に検討していくべきものだというふうに考えているところでございます。
  83. 川内博史

    ○川内委員 今、大臣から、検討委員会のメンバーもまだまだこれから検討をするのだというような御答弁があったわけでございます。この前の本会議での質疑におきましても、総理からも、この検討委員会のことについては、国民の皆さん方にわかりやすく、広く情報公開をしながら進めていくんだというふうな答弁があったわけでございます。古賀運輸大臣それから橋本総理それぞれのお立場で、開かれた議論をしていかなければならないという御決意を持っていらっしゃるということは、国民にとっても大変ありがたいことだというふうに思うのです。  では、検討委員会のメンバーを検討するのをどういう場所でやるのかとか、検討委員会が開かれているときにどういうふうに情報公開をしていくのか、具体的な担保というか、具体的にはこうするんだというような手順といったようなものも、これまたこれから検討するとおっしゃるのか、よくわかりませんが、検討委員会の情報公開に向けてどういう対応をとっていくのかということを御説明をいただければと思います。
  84. 古賀誠

    古賀国務大臣 まさに総理の御答弁の中でも、また私も答弁をさせていただいておりますが、これから、整備新幹線未着工区間それぞれの基礎的な、基本的な条件を見定めながら、着実に、適切に対処するということを御答弁申し上げておるわけでございます。  その、検討するまさに検討委員のメンバー、これは、先生先ほど、前回につくらせていただいております検討委、政調会長初め具体的に名を挙げられましたけれども、まず党のそうした責任ある立場の方々、また、政府側といたしましては官房長官を初めといたしまして財政当局、それに何といっても所管であります運輸大臣、こういった重立った方々はそう大きな違いはないのではないかと思っております。できるだけ早く検討委員会のメンバーを考えさせていただいて立ち上がらせなければいけない。  しかし、これは、今申し上げましたように、今まさにその法律を御審議いただいているわけでございますから、それが衆参で成立して、できるだけ早く立ち上がらせたい、こういうことをまず基本的に御理解をいただいておきたいと思っております。  なお、検討の状況についての公開でございますが、これは先生からもたびたび御指摘があっておりますように、これだけ整備新幹線について、いろいろな角度から、またいろいろな多くの方々に御議論をいただいているところでございますから、しっかり国民の皆さん方に理解される、また、国民の皆様方に支持されていくような未着工区間の着工に対処していくべきことだと私は思っておりますから、それぞれ検討委員会で御論議いただく中身を、どのような速やかな公開の方法があるのか、そういうことをこれから考えながら、その都度その都度検討委員会のあり方というのが適切に広く国民の皆様方にお示しできるような情報公開というものを今後取り入れていきたいと考えておりますので、また先生からも、それぞれの意味で御指導いただければ幸いだと思います。
  85. 川内博史

    ○川内委員 運輸大臣から、冒頭で、新幹線は国家的プロジェクトであるという、再び確認の御答弁をいただいておりますし、また、この情報公開をいかに進めるかということに関しても、前回と同じメンバーではどうなのか、もっともっと違う形の情報公開があるのじゃないかというような御答弁がございました。私も、国家的プロジェクトというからには政府と与党だけでやらずに、私ども検討委員会に加えていただき、私もぜひ検討委員会のメンバーになれたらいいななんということを思っているわけです。  続いて、九年度の実質的な予算のことについてお伺いをさせていただきます。この九年度の予算案においては、整備新幹線建設の国の負担は、公共事業費かち三百四十億、既設新幹線譲渡収入七百二十四億の、合わせて千六十四億ということになっているわけでございます。この既設新幹線譲渡収入七百二十四億がどこから来たのか、それをまず説明してください。
  86. 梅崎壽

    梅崎政府委員 七百二十四億円は、既設の新幹線を再評価いたしました際に発生した財源を活用しているものでございます。多少長くなるかもしれませんが、この問題、新幹線の譲渡なり再評価の問題の経緯を申し上げて経緯とともに御理解を賜りたいと思います。  まず最初に、国鉄改革の際に、本州JR三社の経営基盤の均衡化と利用者負担の適正化を図るということで、新幹線鉄道保有機構による一括保有制度がとられまして、その際に、経営の自主性と責任の明確化という分割・民営化の趣旨を一層徹底するために、国鉄改革の際に一括保有制度をとったわけでございます。そこで、その後、本州三社の株式上場をにらみまして、資産債務を確定するだめに、平成三年に既設新幹線を本州のJR三社に譲渡する、それで、一括保有制度を廃止するということにいたしました。  そういうことに伴いまして、特殊法人であります新幹線鉄道保有機構が保有しておりました、いわば準国有財産ともいうべき新幹線の鉄道施設に関しまして、国有財産の処分の方法に準じまして、適切な時価、すなわち譲渡時点におきます再調達価格、これを九・二兆円と算定いたしまして、この九・二兆円で譲渡することにしたものでございます。その結果、新幹線保有機構には、債務総額、これが約八・一兆円ございまして、この差額の一・一兆円が財産として残ることになったということでございます。この保有機構は、新幹線の譲渡によりましてその存立基盤を失いまして、鉄道整備基金というものに引き継がれまして、この鉄道整備基金が新幹線の譲渡代金の九・二兆円を承継しております。  この御指摘の七百二十四億円は、JRから鉄道整備基金に支払われます既設新幹線譲渡収入のうち、再調達価格の九・二兆円と保有機構の総債務額八・一兆円の差額でございます一・一兆円につきまして、六十年間の元利均等半年賦償還として支払われるというものでございます。すなわち、もともとは新幹線保有機構が所有しておりました準国有財産ともいうべき既設新幹線の譲渡の代金ということでございます。
  87. 川内博史

    ○川内委員 今鉄道局長から懇切丁寧な説明がございまして、簡単に言うと、JRか新幹線を購入したときに払った代金と言えようかと思います。また、この新幹線保有機構が保有していた新幹線の設備というのは、もともとすべて旧国鉄に所属をしていたもので、その国鉄債務償還にこの新幹線保有機構のすべてが充てられるべきではなかったのかというふうに思うわけでございます。国鉄債務の問題については、あらゆる閣議決定で、とにかく減らすんだ、利子負担も極力減らそうというふうな閣議決定、再三再四にわたってやっているわけですから、この新幹線保有機構をわざわざ清算事業団とは別途つくって、その一・一兆円分の六十年の元利均等払いをつくったというのは、新幹線建設を考えた上で、清算事業団と新幹線保有機構を切り離してやられたのかなというふうに思うのですが、その辺はいかがでしょうか。
  88. 梅崎壽

    梅崎政府委員 先ほど多少長くなりましたけれども、そもそも国鉄改革時には、新幹線保有機構というものをつくりまして、既存の新幹線施設をこの保有機構に持たせまして、本州三社の収益調整を行うことといたしました。その際に、新幹線の収益性に着目いたしまして、一回目の再評価をいたしまして、当時の薄価に対しまして二・九兆円を上回る価格を前提といたしまして、本州三社からリース料という形でいただくということにしたわけでございます。この分は長期債務償還に回されております。  先ほど申し上げました平成三年の二回目の再評価の分は、新幹線の売却に伴いまして改めて二回目の再評価を行ったものでございます。それが従前の価格との差額が一・一兆円でございまして、これをどのように使うかということに関しまして、先ほど申し上げましたが、いろいろな議論の結果、新幹線鉄道を初めといたします鉄道施設の財源とするということになりまして、また、そのために鉄道整備基金という特殊法人を新幹線保有機構の後継の特殊法人として設立したわけでございますけれども、鉄道整備基金法という法律を国会で御審議願いまして、そういった議論も踏まえながら、今申し上げましたような鉄道整備の財源として使うということでなってきたわけでございます。
  89. 川内博史

    ○川内委員 旧国鉄の財産であった、資産であった、非常に収益性の高い新幹線の設備を、一部は清算事業団債務償還のために使い、一部は鉄道建設、新幹線建設のために使う。平成三年に再調達価格をもう一度再評価して、一・一兆円が出てきた。その一・一兆円をどう使おうかというときに、鉄道整備のための財源にしようとなりましてというふうに、今鉄道局長はおっしゃったのですが、だれがそういうふうに決めたのですか。
  90. 梅崎壽

    梅崎政府委員 これは先ほど申し上げましたように、鉄道整備基金を設立するときに、鉄道整備基金法ということで国会にその関係の法律を上程いたしまして、この成立を見たわけでございますが、その際、鉄道整備基金の業務といたしまして、先ほど申し上げました一・一兆円のその差の分を財源とする鉄道整備のスキーム、これがこの法案の内容の一部でございましたので、これが認められたわけでございます。
  91. 川内博史

    ○川内委員 要するに、整備新幹線の建設財源にしようという政府側のお考えがあって、一・一兆円についてはそういうふうな御決定がされたのだと思うのですが、私は、やはりこれは清算事業団債務償還のために使われるべき資金ではなかったのかというふうに考えます。  今るる申し上げてきましたように、新幹線の問題というのは財源に尽きるわけでございますけれども、この前、私地元でおばちゃんたちと話をしていましたら、よかったね、新幹線がもう決まってよかったね、これいつできるのと聞かれたものですから、いや、つくるにはつくるのですけれども、これはあと三十年か四十年かかるのではないでしょうかねというふうに答えたら、そんなんじゃ私たちはもう死んでいていませんよと言われてしまったのです。これはもう何回も何回も繰り返し言われていて、運輸大臣鉄道局長も耳にたこができているのではないかと思うのですけれども、やはり交通財源というか、財源の整理統合というものに真剣に取り組むべき時期ではないのかなというふうに思っております。  例えば運輸省の港湾局なんですけれども、福井港と鳥取港の、新聞でもちょっと取り上げられましたが、福井港は総額四百五十億をかけて、千四百メートルの防波堤と九百メートルの水深十メートルの岸壁をつくったのだけれども、大型船が年に何回かしか来ない。また、鳥取港は総額三百億をかけて、やはり港をつくったけれども、大型船が年に二回しが来なかった。みんな岸壁に仲よく並んで釣りしているわけです。  全部で七百五十億ですか、七百五十億では新幹線はできないわけですけれども、しかし、そういう縦割りの財源をどうしても統合する必要があると思うのですけれども、港湾局長、せっかく来ていただいていますから、この鳥取港と福井港のことについて、事実関係の確認を。
  92. 木本英明

    ○木本政府委員 鳥取港と福井港につきまして、利用状況が十分ではないのではなかろうか、たくさんの投資をしてきたのにという趣旨の御質問かと思います。  港湾というのは、先生も御承知かと思いますけれども、大きい船も入れば小さい船も入る、中型の船も入る。そういうことによって、物流拠点として、その地域の物流コスト削減に大きな役割を果たしていく、そういう機能を果たしているかと思いますけれども、そういった観点で、福井港、鳥取港の状況をちょっと御説明させていただきます。  平成七年、九五年のデータでございますけれども、いわゆる外航船、内航船合わせまして、全体で九百二十七隻の利用隻数がございまして、取扱貨物量も二百万トンの貨物を扱っているということで、これはそれなりに福井地域全体の物流拠点として大きな役割を果たしている、こういうふうに私ども考えております。  それから、鳥取港につきましては、同じ九五年のデータでございますけれども、外航船、内航船合わせまして、百九十二隻の利用隻数がございまして、取扱貨物量は約十六万トンでございます。バブル経済のときには二十一万トンも扱っていたのですけれども、最近やや低迷を呈しているということで、そういった状況でございますが、やはり鳥取港につきましても、鳥取地域の物流拠点としてそれなりの機能を果たしている、こういう港であるということで考えております。  いずれにいたしましても、港湾投資をむだな投資にしないためにも、利用促進に今後とも頑張っていかなければいかぬというふうに考えておりまして、港湾管理者ともども全力を傾けて利用促進、ポートセールスに励んでいるところでございます。ひとつ御理解をいただきたいと思います。
  93. 川内博史

    ○川内委員 一生懸命頑張っていただいているということは私もよく理解をしているわけでございます。大型船が着くために必要だということで大きなものをおつくりになられたのだと思うのです。しかし、その大型船が入ってこないということではむだ遣いではないかということを御指摘を申し上げたわけでございまして、もちろん、港の利用についてはその地域の自治体の方々あるいは運輸省さんも一体となって一生懸命お考えをいただいているということはわかります。  ただ、やはりこういう財政の状況でございますので、運輸大臣、いかがでしょうか、せめて運輸省の中でだけでも縦割り財源の見直しをする、これはもう運輸大臣、するとおっしゃれば、これは大変な御発言ですから、省庁間の縦割りはまだまだ難しいでしょうけれども運輸省の中だけでも財源の見直しをするというようなお考えはございませんでしょうか。
  94. 古賀誠

    古賀国務大臣 最初に御理解をいただいておきたいことは、確かに、今港湾の件で先生から御指摘をいただいておりますけれども、運輸関係社会資本の整備にむだなものはないと私自身そう信じておりますし、それぞれの背景、必要性の中で運輸関係の社会資本の整備が着実に進められているということはぜひひとつ御理解をいただいておきたいと思います。  ただ、問題は、必要性と緊急性、そしていかに効率的な、効果的な整備が進められているかということについては、今先生指摘のように、もっとめり張りをつけるということは、私たちは今後も気をつけていかなければいけない点だと、まさに先生おっしゃるとおりだと私もそう思います。  整備新幹線財源につきましては、そういう観点から、平成八年度におきましても前年度比一三・四%、これは御承知のとおり、平均的な伸び率からいったら三倍、四倍に当たる伸び率でございますけれども運輸省の公共事業費の中で各局大変な努力をしてくれまして、また理解もしてくれまして、伸ばさせていただきました。また、平成九年度におきましても、御承知のとおり、前年度に比べて一一・六%伸ばさせていただいております。これは、ある公共事業の運輸省の分野においてはマイナスというところがあるわけでございますが、そういう分野に比べてみますと、大変運輸省の中でのめり張りと申しますか、そういったことについては、私は一つ大きな前進だというふうに評価をしていただきたい、このように思っているところでございます。  今後とも、先生から御指摘いただきましたような観点を踏まえまして、思い切った、緊急性そして必要性、そういった効率的な効果的な投資というものに心がけていきたいと考えております。御支援をいただきたいと思います。
  95. 川内博史

    ○川内委員 大臣、ありがとうございます。  財源についても今後どんどん見直しをしていくという強い御決意を示していただきましたので、次の質問に移らせていただきます。  先日、政府の方でおつくりをいただいた「整備新幹線について」という試算の資料でございますが、この資料の九ページに試算結果というのが出ておりまして、「新幹線が建設された場合の当該新幹線区間の需要」、括弧書きで「新幹線が建設されない場合の並行在来線の需要」ということでそれぞれの比較が出ておりまして、収支がシミュレートされているわけでございます。  この試算の表を見ますと、試算ケース①、②、③、④と四つのケースを想定してございます。②と③で大きく結果が分かれるわけですね。「新幹線が建設された場合の当該新幹線区間の需要」というところが一万人の場合には、大変その収支の採算をとることが難しいであろうというシミュレート。③の試算結果では、新幹線区間の需要が一万五千人ある場合にはおおむね黒字になるでしようという結果ですね。その括弧書きのところがそれぞれ現在の並行在来線の需要でございます。ということは、現状、並行在来線の区間での需要が一万人ある場合には、新幹線を建設したとしても収支がほぼとれるのではないかということがこの試算結果から読み取れるわけです。  きのうお尋ねしておいたのですけれども、現状の西鹿児島―博多間の在来線の輸送需要、それから今建設中の三線五区間ございますが、それぞれについて現在の在来線の輸送需要をお答えいただけますか。
  96. 梅崎壽

    梅崎政府委員 ただいま先生お尋ねの西鹿児島―博多間の数字はちょっと今手元にございませんので、引き続き調べさせていただきたいと思います。  今、私どものモデルにつきましての先生の御見解でございますが、例えば一万人のケースは、並行在来線で今八千人の需要があって、新幹線の建設に伴ってそれが一万人、一律二五%需要増になる、それから関連線区で千人の誘発効果がある、こういったケースでございます。当然のことでございますが、当該新幹線区間のみならず、当該会社の関連線区の分も含めて収支採算性、すなわち収支改善効果を判断するということでございまして、一万人であればマイナスということではなくて、この九ページの表の一番右側の合計の欄を見ていただきまして、一番右のところで判断をするということでございます。  申しわけありませんが、今鹿児島本線の八代―西鹿児島間だけ手元に数字がございますが、これで申し上げますと、輸送密度、平成七年度の実績でございますが、これだけで申し上げますと、優等と普通と合わせまして六千人ということでございます。  博多―西鹿児島間につきましては、後ほど資料があるかどうか確かめてみます。
  97. 川内博史

    ○川内委員 今、西鹿児島―八代間で六千人という在来線の輸送需要の数字をお答えいただいたわけですけれども、それでいうと、西鹿児島―八代間は若干採算性が厳しいのかなということになるわけですが、私の予想と反していて大変苦しいのですけれども、何とか頑張って建設を推進いたしましょう。  今お尋ねをしたそれぞれの線区の輸送需要に関しては、後ほどまたきちっとした資料をいただければと思います。思いますと言うより、いただきます。  この試算ケース、試算の仮定あるいは計算の方法、それぞれに、経済は生き物ですから、想定される場合とは若干違うかもしれないのですが、いろいろな情報をお持ちになっていらっしゃって、あらゆる仮定を想定した上で、モデルとしてこの収支採算のモデルをおつくりになったのでしょうから、現状の西鹿児島―八代間の数字を聞くと、分離される並行在来線の収支も当然黒字になるとは考えられないし、非常に厳しいなというところを率直な感想として申し上げなければならないのかなというふうに思います。  これ以上新幹線で聞くと大変なことになりそうですから、清算事業団に話題を移させていただきたいと思います。  金曜日の堀内先生質問の中に、清算事業団の清算スキームの中に予想される債務利子が全く入っていないというのは、大変な落ち度ではないかというふうな御指摘があったかと思います。それに対しては、何か明確なお答えがなかったような気がするのですけれども閣議決定の中でも、利子負担が将来大変なことになるだろうというようなことを言っているのですよ。六十三年の一月二十六日、「債務の借換え等のため、当面新たな借入れが必要となり、処理すべき債務等の予定額が増大することが考えられる。」と。  だから、利子債務が膨らむのじゃないかということをだれもが予想しながら、その処理スキームの中に利子を入れていないというのは一体どういうことなのか。もう一度私にわかるようにお答えください。
  98. 梅崎壽

    梅崎政府委員 国鉄改革時におきましては、利子負担は当然予測されていたわけでございますけれども昭和六十三年一月の閣議決定におきまして、土地処分収入などの自主財源を充ててもなお残る債務などについては最終的には国において処理する、こういうこととされておりまして、まずは国鉄清算事業団自主財源でございます土地であるとか株式であるとか、こういった資産早期かつ有効な処分によりまして対処すべきであるという基本的な考え方のもとに今日まで力を尽くしてきたというのが一点でございます。  それから、政府といたしましても、国鉄長期債務にかかわる利子も含めました債務増加を抑制する対策といたしまして、平成八年度までの十年間にわたりまして総額約一・六兆円の補助金を交付する、このような措置を講ずるとともに、平成二年度には営団出資持ち分評価額と同額の有利子債務を国において承継する、こういったような対策を講じまして、必ずしも十分ではないという御批判はあろうかと思いますけれども、このような考え方のもとにいろいろ手を尽くしてきたわけでございます。
  99. 川内博史

    ○川内委員 今まで一生懸命いろいろな手だてを講じていただいているということは、もう私もよくわかっているわけでございます。  しかし、例えばきのう鉄道局におつくりをいただいた「日本国有鉄道清算事業団 借入金の推移」。毎年、清算事業団はへ収入と支出のアンバランス、資金不足分ですね、資金繰りが苦しいわけです。その資金繰りの不足分を借り入れでずっと賄ってきた。当然、清算事業団の支出の大部分は、財投への返済資金なわけですね。期限が来て返す分ですね。その財投に返す分をまた財投から借りて返している、金利も含めて。  バブルがはじけて以降へ非常に低金利の状況が続いているわけですけれども大蔵省さんにちょっとお尋ねをしますが、清算事業団の財投の平均金利と、民間の、市中の長期金利が逆転をしたのは、平成何年の何月くらいでございましょう。
  100. 梅崎壽

    梅崎政府委員 財投の金利でございますが、清算事業団が資金調達を行う際の財投の金利と民間借り入れの金利、これは、財投の金利が長期の固定金利であるのに対しまして、民間は短期の変動金利でございますので、単純に比較するのは適切ではないと考えますけれども、あえて各年度の四月時点の調達金利で比較いたしますと、平成三年度まではおおむね民間借入金の金利の方が高い、平成四年度は大体同水準で、平成五年度以降は財投の金利の方が高いという状況にございます。
  101. 川内博史

    ○川内委員 もちろん、民間の金利は変動するわけですから、財投の金利と単純に比較をすることはできないというのは、それはそうだというふうに私も思うのです。しかし、近々処理スキームを、国民負担をどのように解決していくのかという抜本的な解決策を講じるというときに、短期の資金で資金繰りを済ますことができるときに、わざわざ十年物の財投を借りるというのは、資金調達の常識としてちょっと外れているのではないか。それはすなわち、景気が悪くて財投の運用先がないから、国鉄清算事業団に財投の資金を押しつけたと言われても、これはしようがないのではないかというふうに思います。  その証拠に、平成四年、五年、六年、七年と清算事業団の借入金の推移を見ますと、平成六年だけは、財投と民間とほぼ同額の借り入れになっていますが、あとは、平成四年、五年は民間の借り入ればゼロ、財投のみ三兆三千億。平成七年は財投一兆二千億、民間八千億。平成久年が財投七千億、民間九千億と、相変わらず財投偏重なのですね。これは要するに、やはり財投の運用先がないから、清算事業団に押しつけて、悪く言えば、結局国民負担で、国民にけつをふかせるから財投を押しつけておけというふうに言われてもしようがないのではないかと思いますが、その辺はいかがでしょう。
  102. 梅崎壽

    梅崎政府委員 清算事業団の資金調達でございますが、一つは、長期間安定的な金利の資金が必要であるという要請、それから先生も御指摘のとおり、当然ながら他方でできる限り低利の資金を調達する必要があるという要請、それから資金調達の規模が兆円単位という非常に巨額に及びますので、資金調達の安定性であるとか資金の需給バランス、そういったいろいろな点を考慮しながら、財投と民間借入金のバランスをとって調達をしてきたわけでございます。  御指摘のとおり、平成四年度、五年度、民間借入金がないという状況でございます。結果的に見ますと、民間の低利資金をもっと導入すべきではなかったのかという御指摘もございますけれども、今日のような低金利が長期間にわたって続くということを予測するのが難しかったといったような事情もあることも御理解賜りたいと思います。  それからあわせてちょっと。先ほど私、新幹線の財源七百二十四億、すなわち一・一兆円の差額の部分につきまして、新幹線を初めとする鉄道の整備の財源とされていると申し上げましたが、この七百二十四億円は新幹線の整備のための財源でございまして、他の鉄道の整備の財源には回っておりません。訂正させていただきます。
  103. 川内博史

    ○川内委員 ですから、長期安定的な資金として財投を調達するということではないと思うのですよね、資金繰りで調達するというのは。その年度の収入と支出の差額を、あくまでも運転資金として借り入れるという場合に、そのときベストなチョイスは何なのかということだと思うのですね。私が資金繰り担当者であれば、当然、国民負担をちょっとでも減らす。金利負担だけで大変なんだという御認識が本当にあれば、その時点でベストなチョイスは民間の低利の資金ではなかったのか。閣議でも、有利な借りかえを行うために、政府が保証するなりなんなり、万全の対策を講じるという、内閣が一致しての決定をしているわけですから。  それは多分、財投の運用先がなくて財投の金を清算事業団に押しつけたというふうに、これは金利が上がって、続くとは思わなかったとおっしゃいますけれども、続くだろうというのはこの当時であればだれもが思っていたことですし、それを今になって、続くとは思わなかったとか言うのはちょっと当たらないと思います。長期安定的な資金というのも、ちょっと余りにも言いわけが過ぎるなというふうに思うのです。せっかく大蔵省さんに来ていただいていますので、押しつけましたと言ったらどうですか。    〔委員長退席、村田(吉)委員長代理着席〕
  104. 南木通

    南木説明員 財政投融資を直接担当しておりますのは理財局でございまして、私、直接やっているわけではございませんけれども、基本的に、財政投融資につきましても、関係の省庁を通じまして、要求があって、その上で精査をしてやっているわけでございまして、決して押しつけているとか、そういうことではなかろうと思います。  それから私、やや個人的な体験で恐縮でございますけれども、以前、理財局に勤めておりましたときに、理財局の方で、民間の融資を清算事業団に貸してくださいということをあっせんしておるというような仕事をしたことがございます。そのとき、たしか平成の割合早い年度だったと思いますけれども、銀行団の方にそういうお願いをいたしましたときに、その前の年よりはたしかふやしていただいたと思うのですけれども、やはりなかなか銀行団の方も、ではすぐそのとおりふやしてあげましようということでもなかったものですから。やはりそういったことですとか、それから非常に経常収支の黒字がたまっている中で、比較的金利が低い時期が続いてきたということがございます。特に、今みたいな金利になるということはなかなか予想しがたかったところもあろうかと思います。そんなことでございます。
  105. 川内博史

    ○川内委員 資金調達のあっせんをされていたということなんですけれども、この当時の銀行といえば、それはもう今いろいろな金融事件が起きているように、これは返してくれない人にいっぱい貸しているわけですよ。そんなところに貸すよりは、政府の保証がついている清算事業団に貸した方がよっぽど金利は取れるし元本も返ってくるし、こんな確実な融資はないのですから、それは民間の方が渋かったというのも、私は、ちょっとそれは借り手の説明の仕方あるいは資金調達の方法がまずかったんだと言わざるを得ないのではないか、それはもう言いわけですよと思います。  先ほど新幹線と絡んで、新幹線だけは別途保有機構をつくって、旧国鉄債務償還に使い、あるいは新幹線の新たな着工の財源に使うというスキームがあったわけですけれどもJR本州三社については、大変に好調な収益を今は維持している、将来にわたっても維持をし続けていくであろうというふうに思うのですが、新幹線だけがなぜ保有機構があったのか。例えば、山手線保有機構とか赤羽線保有機構とか、あるいは埼京線保有機構というようなものをつくって、先ほど鉄道局長がおっしゃったように、保有機構というのはJRの経営状況を見ながらリースしていったんだという答弁がございました。全く同じように、山手線も赤羽線も埼京線も、これは時価評価すれば大変な値段ですよ。だから、それこそJRの経営状況を見ながら、保有機構をつくってリースして、経営状況がよさそうだったらリース料をちょっと上げて債務償還に回すとか、これはいろいろなことが考えられたのではないかというふうに思うのです。例えば今この時期、では山手線、もう一回簿価で山手線保有機構をつくってJRから買い取らせて、それをリースしてJRにもう一回貸すということは不可能ではないと思いますね。ですから、いろいろな方法があると思うのです、この旧国鉄債務の問題については。  橋本総理も、今年度中にはその処理スキームを何としても決定をするんだというふうにおっしゃっていらっしゃるわけでございます。最後に、古賀運輸大臣から、今年度中には何としても、今はもうお手上げ状態だからあと全部国民の皆さん方に、よろしくね、お願いしますということだけではなくて、ありとあらゆる、今私が御提案申し上げたようなことを含めて御検討いただいた上で、国民負担を極力少なくした上で理解を求めていくのだという御決意を聞かせていただければと思います。
  106. 古賀誠

    古賀国務大臣 先生おっしゃるとおりに、国民負担軽減が基本であろうと思っております。そのために、あらゆる選択肢を検討していくということが最重要なことだと思っておりまして、平成九年中にそのための論議を重ねていくわけでございます。  今先生から御意見、いろいろとそれぞれの角度からおっしゃっていただきましたけれども、十分踏まえながら真剣に検討してまいりたいと思っております。
  107. 川内博史

    ○川内委員 終わります。
  108. 村田吉隆

    ○村田(吉)委員長代理 平賀高成君。
  109. 平賀高成

    ○平賀委員 私は、全国新幹線整備法改正案について質問をいたします。  政府・与党は、昨年末に整備新幹線の建設を決めました。その中身は、地方自治体の負担を一五%から三〇%にふやす一方、並行在来線は切り捨てる、こういう中身であります。これでは、これまで以上に自治体負担を過酷なものにしながら、住民の不便は拡大することになります。  改正案は、整備新幹線建設の負担を明確にしていますが、国の負担の二分の一ということで、地方自治体の負担は二倍になります。この改正案によって、地方自治体以外で新たにふえるというところはありますでしょうか。運輸大臣に伺います。
  110. 梅崎壽

    梅崎政府委員 御指摘のとおり、今回のスキームは、JRが鉄道整備基金に支払っております既設新幹線の譲渡収入の全額、これを国の分とみなしまして、これに国の公共事業関係費を加えた分を国の負担分、その二分の一を地方公共団体の負担分とされております。したがいまして、国の公共事業関係費がふえなければ、この既設新幹線の譲渡収入というのは七百二十四億円の定額でございますので、地方の負担分がふえる、このようなスキームでございます。    〔村田(吉)委員長代理退席、委員長着席〕
  111. 平賀高成

    ○平賀委員 今お話があったように、改正案では、整備新幹線建設の地方自治体負担だけが重くなっていることがはっきりしています。その一方で、国の負担はふえず、JR負担は受益の範囲ということで、場合によってはなくなる場合もあるわけです。既に建設した新幹線の譲渡収入の一部を、従来は国とJR負担とみなしていたわけですが、今度は全部国の負担とみなすということで、国の負担は今までどおり変わらないのですが、見かけの負担は大きく膨れ上がってきます。その半分の負担が自治体の負担となる、こういうふうな仕組みになっています。  整備新幹線の既に着工した三線五区間の事業規模というのが二・二兆円です。未着工の事業規模が一・二兆円であります。全体では三・四兆円の規模になっておりますが、そのうちで、既に着工した区間に使われたものが一兆円ありますから、残りの事業規模としては二・四兆円になります。この財源について伺いたいと思いますが、今度のスキームで新たな財源となるのは、地方自治体の負担で三百二十億ふえたというこの財源です。二〇一八年までの二十年間で、ざっと計算いたしましても、財源は七千億円程度ということになります。そうしますと、あとのその財源を一体どうするのか、この点についてどう考えるか、伺いたいと思います。
  112. 梅崎壽

    梅崎政府委員 整備新幹線の建設費は、ただいま先生も御指摘されましたとおり、国の公共事業関係費と既設新幹線の譲渡収入、年額七百二十四億円でございます。それから地方公共団体の負担分、貸付料などのJR負担分ということでございます。このうち、貸付料などのJR負担分につきまして除外いたしました事業規模、これが平成三十年度までの間の公共事業関係費それから既設新幹線の譲渡収入、それとこの両者の合計の二分の一として算出されます地方公共団体の総計、こういうぐあいになります。これにつきまして試算を行いますと、平成七年価格で、合計おおむね一・二兆円というような値を得ております。
  113. 平賀高成

    ○平賀委員 公共事業の部分は、これはふえるのですか。
  114. 梅崎壽

    梅崎政府委員 国の公共事業関係費は、平成九年度におきまして三百四十億円でございます。これを発射台といたしまして、物騰率程度の伸び率で推移する、こういう前提での計算でございます。
  115. 平賀高成

    ○平賀委員 とにかくだんだんふえていくということですね。それでいいですね。
  116. 梅崎壽

    梅崎政府委員 物騰率程度の名目値で伸びていまして、平成七年価格にまた物騰率程度で割り戻すというような作業をいたしております。
  117. 平賀高成

    ○平賀委員 結局、公共事業費はふやしていくということになります。  そうしますと、国の負担がふえていくために地方自治体の負担がふえていくということになるのですが、少なくとも、政府の方針でいきましても、公共事業というのは余りふやすのじゃなくて見直しをして、逆にコストは三年間で一〇%縮減をする、これが方針だと思います。少なくとも財政再建の上で公共事業費の見直し、削減というのは避けて通ることができないと私は思いますが、そういうふうないわば国の大きな方針との関係でいいましてもやはり矛盾するような、そういう中身だと私は思います。  その上で、JRの貸付料について伺いたいと思いますが、今度の法案の第十三条の「建設費用の負担等」のところで、「日本鉄道建設公団が行う新幹線鉄道の建設に関する工事に要する費用」とあって、その次に、「営業主体から支払を受ける」「貸付料その他の日本鉄道建設公団の新幹線鉄道に係る業務に係る収入をもつて充てるものとして」「算定される額に相当する部分を除く。」とあります、ちょっと長いのですが。この「その他の日本鉄道建設公団の新幹線鉄道に係る業務に係る収入」という規定は、法律的にも整備新幹線建設費を財投などからの借り入れができるようにしたものだということですか。
  118. 梅崎壽

    梅崎政府委員 改正案の第十三条の第一項の、「営業主体から支払を受ける新幹線鉄道に係る鉄道施設の貸付料その他の日本鉄道建設公団の新幹線鉄道に係る業務に係る収入をもつて充てるものとして政令で定めるところにより算定される額」、これは、まず一つは貸付料でございます。この例示をされているとおりでございます。あと一つは、日本鉄道建設公団が、例えば不用地の、新幹線用に確保しておりました、建設用に確保しておりました土地を例えば不用になりました場合に処分をするといったようなことで、自主的な財源が出る場合がございます。そういったようなもの。それから、これは契約の問題でございますけれども、日本鉄道建設公団とJRとの間におきまして、貸付料の前払いを行うといったようなもの、こういったようなものが入ると考えております。
  119. 平賀高成

    ○平賀委員 私の質問は、財投などから借り入れができるようになるのかどうなのか、そのことを質問をします。
  120. 梅崎壽

    梅崎政府委員 建設のための借入金、財投を初めとする借入金でございますが、これは、この法律の規定に関係なく、鉄道建設公団が建設主体としてその償還が可能といったような場合には借り入れを行うことができると考えております。
  121. 平賀高成

    ○平賀委員 今まで北陸新幹線の建設においても、長野オリンピックに間に合わせるために建設費が集中的に必要だ、こういうふうな理由で、鉄建公団は九三年からJRの貸付料相当分を財投などから借金をして建設費を調達してきました。九三年から九七年までの財投などの借入金の推移と残高は、現状はどうなっておりますでしょうか。
  122. 梅崎壽

    梅崎政府委員 北陸新幹線の高崎―長野にかかわります借入金でございますが、平成五年度から借り入れまして、平成九年度の予算額百三十八億円を入れまして、合計二千七百五十一億円の借入金でございます。
  123. 平賀高成

    ○平賀委員 今言われたとおりだと思います。  それで、これはJRの貸付料の予定相当分であって、鉄建公団が財投などから借金として調達しているものであります。貸付料が計算より少なくなれば、財投の借入金返済のためにまた借金をしなければならないという、借金のための借金ということになって、これまでの旧国鉄債務の教訓を台なしにしかねないというものだと思います。財投への返済は十年一括支払いになっておりますが、もし支払いや元金返済の上でその財源となるJRの貸付料が不足した場合、どのような措置をとられるのですか。
  124. 梅崎壽

    梅崎政府委員 整備新幹線の建設に当たりまして借入金を導入する場合は、開業後JRから支払われます貸付料、これによって償還することができるかどうかを私ども確認した上で借り入れをやるということにしております。  ちなみに、今の三線五区間につきましては、貸付料をプールするということが元年当時、今の三線五区間のスキームとして認められておりまして、三線五区間の全体の貸付料により償還が確実に行われるものというのをチェックした上でただいま申し上げました借入金を導入してきた次第でございます。
  125. 平賀高成

    ○平賀委員 鉄建公団は、JRが貸付料予定相当分を必ず負担するものとして財投から借金をしています。しかし、JR負担、つまり予定貸付料は、JRの収益が現状より上がった分だけ、それも上がった分を限度にした受益め範囲の負担であって、事実上負担だとはいえないようなものだと思います。  それで、九七年度予算運輸省が示しているJRの貸付料は百三十八億円とい、スキームになっておりますが、運輸省は、確実にJRから入ってくる貸付料であると言って借金をしておりますが、そうであれば、運輸省が確実であると言う貸付料の積算根拠は一体どうなっているのでしょうか。
  126. 梅崎壽

    梅崎政府委員 ただいま先生から御指摘ございました百三十八億円は、高崎―長野の平成九年度の建設費の一部を構成いたします借入金でございます。問題は、先ほど申し上げました全体としての、平成五年度から平成九年度まで、その百三十八億円を入れますと二千七百五十一億円になりますが、これの償還を、JRから開業後支払われる貸付料できちんと償還できるかどうかということでございます。これにつきましては、先ほど申し上げましたように、私ども償還できるということを確認した上で、この借り入れということをやっておるわけでございます。
  127. 平賀高成

    ○平賀委員 きちっとした保証があるというふうな話でありますけれども、もし保証があるというのでしたら、しっかりとした積算根拠を示すべきだ。先ほど別の委員の方が言われておりましたけれども、各路線ごとの収支の見通しをやはりしっかり出すべきだと私は思います。もしそれが出せないというのでしたら、これは私はちょっと心配をしているわけなんですが、また返済の裏づけのない借金をしたことになるのじゃないのかというふうに思うのですが、この点についてはいかがでしょうか。
  128. 梅崎壽

    梅崎政府委員 高崎―長野の貸付料に関しましては、ことし秋の完成を控えまして、現在、JR東日本と私どもの間で調整中でございます。このような調整の段階にございますので、今の段階で私どもの考えを明らかにするのは差し控えさせていただきたいと存じます。  それから、収支採算性に関しましては、これはたびたび政府側から答弁をさせていただいておりますけれども政府・与党の検討委員会の場で、個々の線区ごとにきちんと詰めてまいる、こういうことにいたしております。
  129. 平賀高成

    ○平賀委員 各線区ごとの試算というのはあるのですか。出せないのですか。これは。
  130. 梅崎壽

    梅崎政府委員 各線区ごとの収支見通しと存じますが、これは、政府・与党の検討委員会の場で具体的にやっていくということになっております。どのような収支見通しを行うのか、あるいはそれがモデル的に見たらどのようになるのかということで、この法案の御審議の御参考に供するために、お求めに応じまして資料を出させていただいているところでございます。
  131. 平賀高成

    ○平賀委員 今やはり、こういう場できちっとそういう見通しを持って審議をやらざるを得ないわけですから、ここの場にしっかりとその収支見通しが出されなければ、先ほども、どうも収支は危ないかもしれないけれども、やらざるを得ないというふうな、こういうふうなめくら判を押すようなことを求めることになっていくのじゃないのかというふうに私は思うのですね。ですから、もう今のようなやり方をやっている限り、これは旧国鉄の二の舞をやりかねないというふうな心配を私はしているのですね。そのことを一つ指摘をしまして、整備新幹線の建設による並行在来線の廃止の問題について伺いたいと思います。  九〇年の政府・与党の申し合わせによって、全国で初めて信越本線の篠ノ井と軽井沢間が第三セクターになります。このように、JR各社が経営分離をしたいと表明した並行在来線の一部区間が次々と第三セクター化されることになりますと、幹線鉄道はJRと第三セクターの継ぎはぎだらけだというふうになっていくと思います。さらに、信越本線の軽井沢と横川間は廃止しようとされています。北陸新幹線建設に伴って、初めて幹線がぶつ切りにされることになります。新幹線建設と引きかえに、不採算路線あるいは一部区間を廃止するという論理では、将来、我が国の鉄道網として残るのは新幹線ぐらいしかなくなる、こういうふうな危険性が私はあると思います。  分割・民営化のときに、我が党の指摘に対して、当時の橋本運輸大臣は、一般の地方交通線につきましては維持していくことが可能である、これらの路線について廃止申請が出されることは通常考えられませんと答弁しておりますが、事態は次々と廃止申請が出されるようになっているのではありませんか。
  132. 梅崎壽

    梅崎政府委員 まず基本的な考え方でございますけれども、鉄道網の維持ということでございますが、これは道路、航空とか、そういった他の交通機関と厳しい競争関係にあるところから、鉄道特性が発揮できる分野におきまして、鉄道路線の維持あるいは充実を図ってきているというのが一般的な考え方であろうかと思います。  そこで、まず新幹線の整備に伴います並行在来線の問題を抜きに考えますと、国鉄改革後、鉄道網の維持につきましては、各社の努力によりまして、廃止をどんどんとやっていくという状況じゃなくて、いわゆるかつての地方交通線も含めまして、その維持が今の段階ではよく図られているのではないか、このように考えております。  それから、整備新幹線の建設に伴う並行在来線の問題でございますけれども、これは、新幹線の整備によりまして、在来線の優等旅客の大部分が新幹線に転移をするということになりますから、新幹線と新幹線整備後の並行在来線ともにJRに経営させる場合は、JRの経営に過重な負担をかけるということになりますので、これを避けまして、第二の国鉄をつくらないという観点から、開業時に並行在来線をJRの経営から分離するということを基本的な考え方としております。現在の三線五区間におきましても、そのような考え方で対処しておりますし、また、このたびの昨年十二月の政府・与党申し合わせにおきましても、この並行在来線の分離につきましては、同じような考え方に立っているわけでございます。
  133. 平賀高成

    ○平賀委員 今のそういうやり方の中で、例えばいろいろな事例が生まれています。信越本線の軽井沢―横川間の廃止は、地域住民の生活に重大な影響を与えています。軽井沢から群馬県の安中市内の中学へ通う生徒の場合、JRの定期でいいますと一カ月約六千円です。それがバスになりますと約二万一千円になって、現在の三倍に大きくふえます。公衆の利便性が著しく阻害されることは、私は明らかだと思います。  さらに、整備新幹線の建設でJRから経営分離、廃止が行われようとしている幹線は、例えば信越本線の篠ノ井―軽井沢間、北陸本線の糸魚川―魚津間、北陸本線の石動と津幡間、さらに鹿児島本線の八代と川内間、東北本線の八戸と盛岡間というふうに、いろいろなところに大きな被害を及ぼす計画があります。これでは本当にその地域住民の足というものが、保障されなくなるというふうに私は思うのですね。こういう問題について本当にどう考えているのか、改めて答弁を求めたいと思います。
  134. 梅崎壽

    梅崎政府委員 整備新幹線を建設する場合に並行在来線を分離するということは、先ほど来御答弁申し上げていますとおり、現在の三線五区間あるいはこの新しいスキームでも原則的な考え方でございます。これは、新幹線の整備に伴ってJRの経営に過重な負担をかけることを避けまして、第二の国鉄をつくらないという観点から、従来から講じられているものでございます。ただ、並行在来線を廃止する場合に、地域の足の確保に支障を生ずることがないように、代替の交通機関につきまして、関係者間で十分協議を行って適切に対処をしていくということは、当然のことながら必要だと思っております。  御指摘ございました横川―軽井沢間でございますけれども、これにつきましては、運輸省JR東日本、群馬県、長野県、これらの関係者が入りました協議会を設置いたしまして、代替交通機関について検討いたしました上、バス転換を図る、バス輸送とするという合意に至っております。確かに、運賃等の点につきましては御指摘のような事情はございますが、何といいましても輸送需要が大層少のうございますので、鉄道としての維持は極めて困難というところから、バス輸送ということになったわけでございます。
  135. 平賀高成

    ○平賀委員 私は、やはりそういうやり方が、本当に鉄道交通網をだめにしていった教訓だと思うのですね。ですから、私は、そういう点を本当にその根本から是正していただきたいと思います。そのことを一言指摘をして、次の問題に移ります。  ここに、自民党と群馬県知事の間に結ばれた確約書があります。これは一体どういう確約書なのかといいますと、昭和六十年十一月十五日に、当時の群馬県知事情水一郎氏と自由民主党の副総裁の二階堂進氏、幹事長の金丸信氏、総務会長の宮澤喜一氏などが「信越本線については、地域圏交通としての機能を維持するよう努めるものとする」こういう確約書なのですね。署名もされています。整備新幹線は、その四年後の八九年から再開されることになりました。ところが、その着工の条件が、今お話にあった八九年一月十七日の政府・与党申し合わせで、並行在来線横川―軽井沢間については開業時に廃止するというふうな中身なのですね。自民党は、当時の自民党副総裁以下の幹部と群馬県知事が確約したことをほごにしたわけです。それで、こうした地域住民を欺くやり方は、公党の信義にも反するものだと思います。  運輸大臣に伺いますが、自民党副総裁以下の幹部と県知事との間で、信越本線の機能を維持すると確約書まで交わしていた経過に照らしても、この横川―軽井沢間の廃止は撤回するべきだというふうに私は思いますが、いかがですか。
  136. 梅崎壽

    梅崎政府委員 ただいま先生指摘のような経緯、私ども承知いたしておりませんが、横川―軽井沢間の問題に関しましては、先ほど申し上げましたように、運輸省、地元、JRを含めました関係者の協議会で代替の交通機関につきまして協議いたしました上、バス輸送ということで決定され、地元でもこれが受け入れられたというぐあいに私ども承知しております。
  137. 平賀高成

    ○平賀委員 ここに写しがありますので、また後でごらんになってください。  それで、信越本線の横川―軽井沢間の路線廃止の申請は、まだ行われておりません。鉄道事業法の二十八条において、鉄道事業の休廃止というのは、運輸大臣の許可になっております。大臣が許可をしなければ廃止できないわけです。私は、この法律の第二項のところに、公衆の利便が著しく阻害されるおそれがあると認められる場合は許可できないというふうになっておりますので、ぜひこの立場に立ってしっかりと対応していただきたいということを改めてお願いしたいと思います。大臣、どうですか、この問題について。
  138. 古賀誠

    古賀国務大臣 私も、かつての自民党の党役員の方々と群馬県の知事さんとの確約書というのは初めて見させていただくわけでございますが、今、政府委員の方で御答弁申し上げておりますように、それぞれの関係機関の中で協議会をつくっていただいておりまして、この在来線の今後のあり方について御検討いただくわけでございます。そういう検討を踏まえてどうするかということを私の方に申請を出されるわけでございますので、そうした協議の中身を十分私も精査させていただきまして、私なりの判断で決断させていただきたい、こう思っております。
  139. 平賀高成

    ○平賀委員 ぜひ誠意ある対応をしていただきたいと思います。  それで、整備新幹線建設に伴う並行在来線の経営分離、廃止という問題は、これは法律で明記されているものではなくて、政府・与党の合意だということです。それで、地方自治体や地域住民に押しつけられること自体がおかしなものだというふうに思いますが、並行在来線の経営分離や廃止ではなくて、地域住民の足を守るために在来線を整備充実して鉄道網を確保していくべきだと私は思います。改正案のように、地方自治体負担を倍加させながら住民の足であるべき並行在来線も廃止されるのでは、二重、三重の負担を負わせるものだと言わなければならないと私は思います。  このまま市場原理に任せていたのでは、会社と会社の間でありますとか、県境の町と町を結ぶ交通手段がなくなっていくわけですから、私は、運輸省には生活路線を含めた日本の鉄道網をどんな経営でどう維持していくのかという基本的政策がないと言わざるを得ないと思うのです。運輸省がもしそうではないというのでありますなら、ぜひこの政策というものを示していただきたいと思いますが、この点について、運輸大臣に伺いたいと思います。
  140. 古賀誠

    古賀国務大臣 幹線鉄道につきましては、鉄道特性の発揮のできる分野において、さらに高度化、快適化等を主な内容とする幹線の鉄道ネットワークを図っていくということが必要だろうというふうに考えております。このために、新幹線の整備や在来線の高速化を推進すると同時に、新幹線のネットワークと在来線の高速化をどう組み合わせるか、こういうことも幹線鉄道ネットワークの整備充実を図るという意味で大切なことだろうというふうに思っております。  具体的には、整備新幹線につきましては、今いろいろと御議論いただいております三線五区間、この着実な整備を進める、また新規着工区間におきましても、与党それから政府の合意に基づきまして、基本条件を整備させていただいた上で適切に対処していくということを進めさせていただきたいというふうに思っております。また、在来線の高速化につきましては、輸送需要の動向、また同時に、投資採算性等を勘案しながら、何といっても経営主体であります鉄道事業者そして地方公共団体、こういったところとしっかりと連携をとりながら取り組んでいくということが必要だろうと思っております。そのためにも、これまで、補助制度や鉄道整備基金の無利子貸し付け等を活用いたしまして、先生も御承知のとおり、山形のミニ新幹線だとか、つい最近開通いたしました秋田のミニ新幹線「こまち」とか、要するに新幹線が直通に運転化されて在来線の高速化が急速に進んでいく、こういうことに努めてきたところでございます。  今申し上げましたような観点から、今後とも、整備新幹線また在来線の高速化等を推進することによりまして、より質の高い幹線鉄道ネットワークが構築されるように努めるということは、当然のことだと思っております。
  141. 平賀高成

    ○平賀委員 最後に手短に言います。運輸省自身も、一九六〇年代には総合的交通政策というものを言っていました。今、世界的に見ますと、ドイツやフランスでも、道路や空港や鉄道を、日本でいえば運輸省が一元的な管理を、統制を行っているわけです。ドイツなどでも、交通省として総合調整を行っているわけです。  私は、せんだっても本会議で言いましたけれども、今の日本の交通体系を考えた場合、道路建設優先になっているわけですね。ゆがみがあるわけです。そのゆがみを是正していく上でも、やはり揮発油税など特定財源、それから港湾整備の特別会計、さらには空港整備の特別会計、そして鉄道予算というものを一元的に管理して、バランスよく交通網を整備していくというふうな総合交通政策の特別会計をぜひつくるべきだということを訴えているのですが、この点について最後に一言答弁をお願いして、私の質問を終わります。
  142. 古賀誠

    古賀国務大臣 私も手短に答弁させていただくことをお許しいただきたいと思います。  さきの本会議におきましても、平賀先生の方からこの御指摘いただきました。そのときも申し上げましたけれども、施設ごとに受益と負担のバランスの調整の中で利用者の負担というものが設定されているわけでございまして、そうしたもので別の施設の整備を図っていくということが適当かどうか、国民理解を得られるかどうか、慎重に検討すべきことだと思っております。
  143. 平賀高成

    ○平賀委員 以上で終わります。
  144. 杉山憲夫

    杉山委員長 濱田健一君。
  145. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 社会民主党の濱田健一でございます。  国鉄債務処理法案、全国新幹線鉄道整備法、両案に対して賛成し、了承した立場で、時間がございませんので、概括的な質問をさせていただきたいというふうに思います。  まずは、昨年の十二月二十五日の閣議決定で、国鉄長期債務については、「国鉄長期債務等の本格的処理及び平成九年度において講ずる措置について」ということに基づきまして、九八年度から本格的な処理を実施するために九七年度中にその具体的処理方策についての成案を得るということは、御案内のとおりでございます。  そこで、今年度、九七年度期首には、既に明らかになっておりますとおりに、二十八・一兆円を超えると見込まれております債務について、九七年度における金利発生による債務の累増を防止するために特別措置を講ずるということで、今出されております法律案、社会民主党としても了承をしているところでございます。  この法案は、既に金曜日とけさからの審議の中で中身というものが明らかになっているわけでございますが、いわゆる止血法案といいますか、血どめのための処理をすることというふうによく言われているわけです。いわゆる九七年度中に具体的な処理方策についての成案を得るということで、自民党さんの方も社民党の方も今精力的にプロジェクトをつくりまして、ヒアリング等々、国民負担をかけずにどのようなうまい方法があるのかということを必死で模索しているところでございます。正直言って、ヒアリングを受け、勉強を深めれば深めるほど、なかなか難しいなというところになっていくのが現状だというふうに、変な認識の仕方なんですけれども、思っているところでございます。  それで、成案を得るという御努力政府としても、そして各政党としてもやらなければならないということは当然のことなのでありますが、先延ばしという批判も受けながら債務問題の情報を国民の皆さん方にしっかりと開示し、国民各層の意見を十分にお聞きしながら本格的な処理を行っていくためには、もしもの場合ということを想定しながら、来年度以降に生じる利子についても、債務の累増を防止するためにことしのような措置検討していかなければならないのではないか、ちょっと早いかもしれませんけれども、そういう措置を講じることを含めながら、本格的な処理に向けて対応するのが現実的ではないだろうか。これは私だけの考えかもしれませんが、その点についていかがなものでしょうか。     〔委員長退席、横内委員長代理着席〕
  146. 梅崎壽

    梅崎政府委員 先生のお考え、一つのお考えだと拝聴させていただきましたけれども、今回の措置によりまして、平成九年度におきます国鉄清算事業団有利子債務三兆三十五億円の無利子化を行うということでございますけれども、これは、国鉄長期債務本格的処理のための具体的処理方策検討する間におきましても、事業団による借り入れから将来的な利子負担が生じるということで、これを軽減するために臨時・異例の措置というぐあいに考えております。  この措置による場合は、事業団による将来的な利子負担軽減は図られますけれども、元本の処理の問題につきましては、国鉄長期債務の本格的な処理の問題として検討を行うことが必要であるということでございます。したがいまして、平成十年度以降もこのような無利子化を図るということにいたしますと、本来的な意味での元本部分処理が放置されるといったような問題がある、このように私ども認識しております。
  147. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 局長のおっしゃるとおりだというふうに私も思うのですけれども、とにかくどういう形でやればいいのかということを必死で論議しながら、今申し上げました点なども、ちょっとマイナーな考えかもしれませんけれども、頭に入れておかなければならないのではないかということを申し添えておきたいというふうに思います。  もう一点は、国民の皆さん方に、二十八・一兆円というこの膨大な債務が、国が借金したのだから棒引きしたらいいのじゃないかというような、簡単なというか、中身のわかってない状況というものが、いろいろなところでお話ししますと、あるのですね。  それで、さまざまな立場、角度からお話を伺い、ヒアリングを行いながら、問題の現状認識というもの、また原因の究明、あるべき対策、こういうものを広く論議していく、当然のことだと思います。それで、当然私たちは、将来の世代に負担をかけないような現実的な本格的処理のための具体的な方策を図るということでは、この国鉄清算事業団の負った債務の内容について、各党ともヒアリングその他オープンにしながら、各界各層の皆さん方にこんなに厳しいのですよということをお知らせしているわけですけれども、もっともっとこの部分国民にいわゆる情報開示をして認識を深める、細かく具体的に深めてもらう必要がある。そこから賛意を得ながら、この解決に向けて方向性を模索しなければならないのじゃないかということも考えるのですが、いかがでしょうか。
  148. 梅崎壽

    梅崎政府委員 ただいまの点、まことにごもっともな御指摘だと思っております。  私ども、今までも国鉄長期債務の残高がどうであるとか、あるいは土地処分とか株式処分の状況がどうであるとか、そういう情報につきましては、運輸省もそれから国鉄清算事業団もマスコミ等を通じました資料提供によりまして情報開示を行うとともに、また国会等にも御報告申し上げているところでございます。この問題につきまして、国民の皆様の負担であるというような意味での開示の仕方というのは確かに今までは必ずしも十分でなかった、こういう点があろうかと存じます。今の御指摘を踏まえまして、私ども、できるだけこの問題に関しましては情報を開示いたしまして、広く国民の皆様の御理解を賜るようにしていきたいと思っております。
  149. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 去年の住専の問題のときも、どうして急にこういうものが出てきたんだと。急じゃなかったんだけれども国民の目から見るとそういうふうに映ってしまう。本格的な処理をやっていく、成案を得る、そのことが国民の皆さん方の目に明らかになっていく状況の中で、やはりしっかりとした、国民全体でこのことは考えていかなくてはならないという認識を持っていただくためには、今局長から答弁いただいたような形で最善の努力をしていただきたいというふうに申し添えておきたいと思います。  債務の問題から少し離れますが、いわゆる清算事業団職員の今後の雇用の問題に一点触れさせていただきたいと思います。  平成七年二月二十四日の閣議決定、「特殊法人整理合理化について」という中で、要員問題については次のように明記されております。「長期債務等処理資産処分等の主たる業務が終了した時点で、職員雇用の安定・確保を図った上で、整理することとし、当面、定員削減の実施を含めた要員の効率的な活用等を通じ、土地JR株式等資産早期・適切かつ効率的な処分等を進める。」これらを踏まえて、平成十年度より国鉄長期債務等の本格的処理を実施した上で速やかに事業団を整理する方向で、事業団組織、定員の合理化を進めるとともに、再就職対策を本年度、平成九年度より開始することというふうに述べられております。  具体的には、十年度末までに現在の定員を半減するのだということ、九年度における四国支社の廃止等組織の統廃合等の推進を図る、定員を半減するために事業団職員早期退職や転職を促進をするということ、このような数々の方向性というものが明記されているのですが、具体的な方法、内容というものはまだ示されておりません。職場では、将来に対する雇用問題で悩み、不安が増大しているとの声が日増しに高まってきている。そして十一年以降の職場の展望もなかなか見えないということで、今回の諸措置の中で、定員問題は十年からというふうに書かれているわけですが、現実に働いていらっしゃる皆さん方からすると、今後私たちはどうなっていくのかという不安が募っていかれるのは人間として至極当然だというふうに思います。  きょうは時間がございませんので、大まかな聞き方しかできませんが、このことについての今運輸省として持っていらっしゃる展望といいますか、今後どのように方向性を定めていかれようとしているのか、お聞かせ願いたいと思います。
  150. 梅崎壽

    梅崎政府委員 ただいま先生指摘閣議決定を受けまして、私どもも、事業団と協力しながら、事業団職員の転職を促進する措置、それから再就職を希望される職員の受け入れの促進といった措置に全力を挙げる必要がある、こう考えておりまして、関係方面の御協力も得ながら最大限努力していきたいと考えております。  この問題に関しましては、まず運輸省におきまして、私ども、昨年の九月に、長期債務に関しまして予算の事項要求というのを出させていただきました。その際に、長期債務処理清算事業団の整理という問題で事項要求をさせていただきましたが、事業団職員の再就職対策運輸省として支援するために、事務次官を長といたします日本国有鉄道清算事業団職員雇用問題プロジェクトチームというものを設置いたしまして、JR各社であるとか運輸省所管特殊法人、こういったものに対しまして事業団職員採用の要請を行っております。その結果、既に一部の法人からは採用の申し出がなされてきておるという状況でございます。  それから、各省庁の人事担当課長会議などの場におきまして、公的部門における受け入れを各省庁に対しまして要請いたしておりまして、これからは自治省を通じまして、地方公共団体に対しましても要請を行ってまいりたいと考えております。  それから、事業団そのものにおきましても、理事長を長といたします職員転職対策推進本部、これを設置いたしまして、民間企業等への再就職先確保など転職先の開拓に努め、また一方では、希望退職の募集につきまして組合と交渉を開始すべく現在準備中である、このような状況でございます。     〔横内委員長代理退席、委員長着席〕
  151. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 局長お話しのとおりに、運輸省所管特殊法人その他、数的にはそう多くないのですが、努力をしていただいていることは私も認めます。ぜひとも、今雇用関係が厳しい状況の中ですけれども、国の力といいますか、持っていらっしゃるノウハウを使いながら、運輸省だけではない、ほかの省庁関係の部分も御努力いただきたいというふうに思っているところでございます。決して、本庁で働くとかどこどこという指定はございませんので、その辺を含めて御努力をお願いをしておきたいと思います。また後日、この部分について細かいさまざまな観点での御質問はさせていただきたいと思いますので、きょうはこれぐらいにさせていただきます。  新幹線の件でございますが、関係大臣の申し合わせの中で、平成八年度中に新しいスキームをつくっていくんだということで、新規スキームが去年の暮れに完成をいたしました。新しい財源の見つけ方というものにつきましては、固定資産税の特例が切れる部分を充当する案などいろいろと検討がなされ、地方交付税等も活用していくという自治省からの、ある意味でいうと特例といいますか、大臣が二階から飛びおりたなんという言い方もされておられるようですが、いろいろな方策を検討しながら新しいズキームというものが決定し、その方向性をこれからどのように形づくっていくかということが今度の法案の中身でもあるかと思うのです。  これから先、さまざまな障害を乗り越えなければならない、きょうの質問の中でも、その点を心配された御質問がいっぱい出てきているというふうに思うのですが、役所としてどういうふうに、国土の均衡ある発展という言葉もよく使われるのですけれども、これから先整備新幹線を推進していこうと思っていらっしゃるのか、ちょっとマクロ的な聞き方になってしまいますけれども、今の御決意をお聞かせ願いたいと思います。
  152. 古賀誠

    古賀国務大臣 昨年の十二月に、政府・与党の合意におきまして、新規着工区間につきましては、与党において、今先生もお触れいただきましたけれども、大変御苦労いただきました。財源の問題等含めて大変御論議をいただいて取りまとめていただいたわけでございますが、与党において財源スキームについて取りまとめていただくと同時に、この新規着工区間の今後の取り組みについて、JRだとか地方公共団体の意見、こういうことを踏まえて、実は御苦労の上に取りまとめられたものである、そのように承知をいたしているところでございます。  新規着工区間の今後の取り扱いにつきましてでございますけれども、与党三党の申し入れに基づきまして、まず、政府また与党から成る検討委員会を設置させていただき、そこにおいて、整備区間ごとに、既に何回も申し上げておりますけれども、収支採算性の見通し、それからJRの貸付料等の負担、また今も御議論があっておりますけれども、並行在来線の経営分離についての地方公共団体の同意、またJRの同意等、基本的な条件を十二分に確認をさせていただいた上で、財政構造改革に矛盾しないように適切に処理をしていくべきことだということで、そういう考えのもとに進めさせていただきたいというふうに思っております。
  153. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 古賀大臣、九州新幹線の真っただ中にいらっしゃいますので、今の御決意、私たちも頑張りますので、御努力を願いたいというふうに思います。  政府・与党の合意では、整備新幹線の建設費、国が三五%、地方が三〇%、JRが三五%という率的な区分でやっていくという財源のスキームがあるわけですが、地方の負担割合が増加するということで、地方負担については自治体の財政運営上過度な負担とならないように十分配慮することが大切だというふうに言われております。先ほども申し上げましたとおりに、この法案の中で、財政運営に支障を生じることがないよう必要な措置を講ずるものというふうにうたわれておりまして、これは具体的に地方交付税措置を地方の自治体にはやっていくということになるというふうに皆さんが理解をしているわけでございます。  しかしながら、整備新幹線は国家的なプロジェクトということで、本来は地方の共有財産である交付税を支出するのはどうなのでしょうかという声も、例えばもううちの地方には新幹線は多分できないだろうなというような自治体からは、ちらほら上がっているというような声も聞いているわけでございますが、自治省にお伺いいたします。交付税措置の理由づけと具体的な措置を講じる仕組みというものが、現段階でどのように考えられているのか明らかにしていただければ幸いだと思います。
  154. 岡本保

    ○岡本説明員 全国的に新幹線を整備してまいりますためには、特に今後整備が予定されておりますいわゆる未着工区間、ここを整備してまいります上には、営業主体でございますJR負担を明確にした上で、なお不足する部分については公的負担を拡充していく必要があるだろう。その際、国の負担とあわせ、地方団体も相応の財政負担をしなければならないのではないかというふうにまず考えているところでございます。  そういうふうに考えました場合に、その地方団体の財政負担につきましては、いわゆる未着工区間の関係地方団体の財政力は一般的には脆弱でございます。また、既設の新幹線には地方の負担がなかったわけでございます.また、新幹線プロジェクトというものは地域格差の是正にとって重要な意味を有するものでございます。そういうこと等を勘案いたしますれば、税源の偏在を是正し、地域格差の解消を目的とするという地方交付税による財政措置を講ずることが適当というふうに判断したものでございます。  このような考え方に立ちまして、今御審議をお願いしております全国新幹線法の改正ということを、その中でJR負担以外の公的負担の根拠を明らかにし、国、地方の負担割合も法令で明定をし、さらにそういう当該地方の負担については地方団体の財政運営に支障が生ずることのないよう所要の財政措置を講ずるということを法律上明定したいという改正をお願いしているわけでございます。  現在、具体的な財政措置の内容として考えておりますのは、地方団体の負担につきまして、その九割について地方債の発行を認めまして、その元利償還金の五〇%を普通交付税により措置するという予定にいたしているところでございます。
  155. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 今、自治省の方からしっかりとした財源の理由づけと具体的な措置のあり方を話していただきました。これだけはっきりと言っていただけるわけですので、いろいろなところからの不協和音というのは出てこないものというふうに理解しておきたいというふうに思います。  最後になりますが、非常に難しいことかもわかりませんけれども国鉄清算事業団職員の平均年齢、五十一歳ぐらいだというふうにお聞きしております。残念なことに、古賀大臣の地元であります三井三池炭鉱、三月末をもって閉山をいたしました。  一つは、閉山に伴う離職で、新しい職場を見つける。今、一生懸命国も自治体も新しい職場の可能性があるところを離職者の皆さん方に提供して、新しい職場を探しておられるというわけでございます。清算事業団の皆さんの平均年齢も五十歳、似たようなところだというふうに理解をしているわけですが、これから始まる新しい新幹線工事、これらの部分に、非常に難しいと申し上げたのは、手続的に国がどれだけ関与といいますかバックアップできるかという点が難しいということなのですけれども、先ほど局長が話をしてくださいましたとおりに、事業団の皆さん方の再就職先も一生懸命見つけていただいている。この三井三池の皆さん方も、国家的なエネルギー事情の中で、新しい職場を見つけるというごとで、新幹線工事のいろいろな現場にも、地元雇用ということをも含めて活用ができないものかという声が上がっているわけでございますが、なかなか厳しいということを前置きしながら、要望として、大臣にも頑張っていただければなというふうに思っているわけですが、大臣から一言ございましたらお願いいたします。
  156. 古賀誠

    古賀国務大臣 先生も九州ですので、三井三池炭鉱のことはよく御承知だと思います。私も全く地元でございますので、百二十八年の我が国最大の石炭を産出した三井三池炭鉱が三月の三十日に幕を閉じたわけでございますが、感慨深いものを覚えるわけでございます。閉山に当たりましては、先生もいろいろな角度から、三井三池石炭の閉山対策につきまして適切な御指導、また御助言をいただいておりまして、この機会に厚くお礼を申し上げたいと思っております。  まず、一番の問題は、閉山に伴います再雇用の問題だと思っております。まだほかにも地域振興の問題だとかいろいろございますけれども、当面政府が一丸となって考えなければいけないのは、離職者の再雇用をどうしていくかという問題だろうと思っております。当然、労働省が中心となりまして政府全体で考えるべきことでございますけれども、今先生からお話しいただきましたように、三井三池炭鉱でお働きいただいていた方々は、ある意味では専門的な技術と申しますか技能をお持ちになっているわけでございます。そういう分野を整備新幹線の九州ルートの工事に活用できないかというのは、私はある意味では新しい視点として真剣に考えることではないかなと思っております。  直接、鉄建公団等々の特殊法人でということはなかなか難しい問題だと思いますけれども、実際に工事に携わっていただいている建設会社にはそういった専門的な技術的な技能を有する方が必要なわけでございますので、運輸省でできることは、先生のそういった御助言もいただいた中で積極的にひとつ取り組んで、何かの役に立ってまいりたい。大変ありがたい御助言だったと承っておきます。
  157. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 時間が来ましたので、終わります。
  158. 杉山憲夫

    杉山委員長 次回は、明九日水曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時五十分散会