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1997-03-18 第140回国会 衆議院 安全保障委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年三月十八日(火曜日)     午前十一時二分開議  出席委員   委員長 伊藤 英成君    理事 江口 一雄君 理事 中谷  元君    理事 中山 利生君 理事 浜田 靖一君    理事 岩浅 嘉仁君 理事 平田 米男君    理事 前原 誠司君 理事 中路 雅弘君       浅野 勝人君    今村 雅弘君       臼井日出男君    大石 秀政君       奥山 茂彦君    嘉数 知賢君       川崎 二郎君    下村 博文君       新藤 義孝君    田村 憲久君       谷垣 禎一君    中野 正志君       中山 正暉君    林  幹雄君       宮下 創平君    目片  信君       長内 順一君    神田  厚君       倉田 栄喜君    達増 拓也君       冨沢 篤紘君    原口 一博君       福島  豊君    二見 伸明君       村井  仁君    山本 幸三君       安住  淳君    藤田 幸久君       横路 孝弘君    東中 光雄君       上原 康助君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 久間 章生君  出席政府委員         防衛政務次官  浅野 勝人君         防衛庁長官房         長       江間 清二君         防衛庁防衛局長 秋山 昌廣君         防衛庁教育訓練         局長      粟  威之君         防衛庁人事局長 大越 康弘君         防衛庁装備局長 鴇田 勝彦君         防衛施設庁長官 諸冨 増夫君         外務省北米局長 折田 正樹君  委員外出席者         沖縄開発庁総務         局企画課長   襲田 正徳君         外務大臣官房外         務参事官    田中 信明君         外務省国際情報         局国際情報課長 福島  実君         安全保障委員会         調査室長    平川 日月君     ――――――――――――― 委員の異動 三月十八日  辞任         補欠選任   阪上 善秀君     下村 博文君   戸井田 徹君     新藤 義孝君   山崎  拓君     林  幹雄君   遠藤 乙彦君     長内 順一君   佐藤 茂樹君     原口 一博君   冨沢 篤紘君     山本 幸三君 同日  辞任         補欠選任   下村 博文君     阪上 善秀君   新藤 義孝君     戸井田 徹君   林  幹雄君     山崎  拓君   長内 順一君     遠藤 乙彦君   原口 一博君     佐藤 茂樹君   山本 幸三君     冨沢 篤紘君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  防衛庁設置法等の一部を改正する法律案内閣  提出第二一号)      ――――◇―――――
  2. 伊藤英成

    伊藤委員長 これより会議を開きます。  内閣提出防衛庁設置法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田村憲久君。
  3. 田村憲久

    田村委員 自由民主党の田村憲久でございます。  それでは、幾つか御質問をさせていただきます。  昨今、我が国を取り巻く国際情勢というのはますます複雑化をいたしておるわけでありますけれども、特に、極東地域といいますか、この地域に係るいろいろな問題というものが、緊張が高まってきてもおるわけであります。  北朝鮮の問題におきましては、何と序列二十六位というような高位におられる黄書記が、要するにチュチェ思想最高権威であり、また権力の中枢であるにもかかわらず亡命というようなショッキングな事件も起こったわけであります。先般からの北朝鮮からのたび重なる亡命事件等々を見ておりますと、かなり政治的に混乱を来しておるのかな、そんなことも推測ができるわけであります。  国内の経済状況におきましては、御承知のとおり、水害が続きまして凶作が続いておる、そんな中で食糧不足慢性化をいたしておるわけでありますけれども、それでも重点的に防衛力に資源を再分配をしておりまして、ある意味におきましては軍事大国化を進めておるわけでもあります。GNPの二〇から二五%を国防費に回しておる、また、総人口の五%が何と正規軍であるというような状況を見ましても、そのようなことがうかがえるわけであります。  いろいろな部分で、経済的にも破綻を来しておる、そのような中で、いつ内部でどのようなことが起こってもおかしくないような状況であるというようなことを言われる方々もおられるわけでありまして、かなり危険水域に入っておるのではないのかな、そのようにも思えるわけであります。  また、中国に関しましても、開放路線をずっと続けておるわけでありますけれども、その中において、経済市場経済化が進み民主化が進んでおるわけでありますけれども、政治的にはまだまだ改革というものが十分に進んでいない、民主化というものは進んでいないわけであります。  そんな中で鄧小平氏死亡というようなことになりまして、突然中国の政局というものがぐらつくということはまずないというふうに言われておるわけでありますが、これも長期的な展望から見ますとまだまだ不安定要因というものも残っております。特に、江沢民体制というのがカリスマ的な政治体制ではないわけでありまして、集団指導体制といいますか、そのような状況の中におきましては、なかなかこの部分というのも大変不透明な部分があるわけであります。  そのような中で、今回の全国人民大会におきまして、法治国家化、要するに法律国家運営をしていこうというような方向性が示されてきたわけでありまして、特に、国防法等々を見ますと、中華人民共和国の武力は共産党がその指導をしていくというようなことがうたわれておるわけでありまして、軍部に対して党が掌握をしていく、そのような方向性が打ち出されたわけであります。  いずれにいたしましても、そのような中におきましても、鄧小平氏と江沢民主席との間におきましては、軍歴の有無というものがあるわけでありまして、同じような形で軍部に対する力関係というものが持てるかどうか、これは微妙な部分もあるわけであります。  九年連続して国防費が一〇%を超える、今回の場合一五%とも言われておるわけでありますけれども、中国に関しましてもやはり軍事大国化というものを進めておるような形になっておるわけでありますし、昨年の台湾との問題、また核の実験問題等々、いろいろな部分を考えましても、まだまだ今後の中国というものの動向に対して、これは十分に注視していく必要があるんじゃないのかな、そのようにも思えるわけであります。  そこで、北朝鮮中国におきます軍事情勢について、今防衛庁の方ではどのように把握をされておられるのか、お聞きをいたしたいと思います。
  4. 秋山昌廣

    秋山(昌)政府委員 私の方から、北朝鮮軍事情勢中国軍事情勢につきましてお答えいたしたいと思います。  先生大分指摘がございましたけれども、北朝鮮は、深刻な食糧不足エネルギー不足等経済困難に直面しているにもかかわりませず、依然として、御指摘がございましたように、全人口の約五%に当たる百万人以上の兵力を擁しております。また、国防費につきましては、GNPの約二〇ないし二五%を割いていると見ておりまして、軍事面にその国力を重点的に配分し、軍事力近代化を図っていると見ております。  また、北朝鮮核兵器開発疑惑、あるいは射程一千キロメートルと言われておりますノドン一号の開発に見られますような弾道ミサイル長射程化のための研究開発動きというものは、これは我が国のみならず我が国周辺あるいは国際社会に不安定をもたらす要因として強く懸念しているところでございます。  最近では、昨年四月に、武装した北朝鮮兵士板門店共同警備区域内に侵入いたしましたり、九月には、御案内のとおり、北朝鮮潜水艦韓国領海内で座礁する、そして乗員が韓国領土内に侵入するといったような、非武装地帯等をめぐるさまざまな動きが見られるところでございます。  いずれにいたしましても、北朝鮮は、依然として地上戦力の約三分の二をこのDMZ付近に前方展開いたしますとともに、即応態勢の維持に努めていることから、その動向につきましては、今後とも引き続き細心の注意を払っていく必要があると考えているところでございます。  中国軍事情勢でございますけれども、中国軍事力につきましては、百万人の兵力削減を行う一方で量から質への転換を図っていると見ておりまして、また、御指摘ございましたように、九年連続で一〇%以上の増といったような、名目ベースでございますけれども、近年国防費をかなりのペースで増額していると同時に、軍事力近代化を進めていると見ております。  中国軍事力近代化は、同国が経済建設を当面の最重要課題としていることなどから、今後も漸進的に進むと見ておりますけれども、核戦力近代化あるいはキロ級潜水艦、SU27戦闘機のロシアからの導入といった海空軍力近代化の推進、そして海洋における活動範囲の拡大、あるいは御指摘がございましたような台湾周辺での軍事演習による台湾海峡緊張の高まりなど、その動向には今後とも注目していく必要があると考えているところでございます。
  5. 田村憲久

    田村委員 今お話がいろいろあったわけでありますけれども、そのような形で極東地域においても大変予断が許されない状況があるわけであります。もちろん、世界じゅう考えましてもいろいろなところでいろいろな問題があるわけでありまして、いつ我が国にとってその影響があるかわからないわけであります。  そこで、危機管理がいろいろ言われておるわけでありますけれども、我が国にとっての防衛体制といいますか、現在の防衛体制、また今後の方針について防衛庁はどのように考えておられるのか、お聞きをさせていただきます。
  6. 久間章生

    久間国務大臣 我が国にもし関係するような緊急事態が発生した場合には、防衛庁のみならず政府が一体となって対応しなければならないわけでございますが、防衛庁としては、従来から我が国の安全を確保するという観点から、緊急事態に対する対策充実を図ることを重要な課題として考えて、まず必要な情報収集を行い、適切かつ迅速に対応し得るよう情報収集警戒監視機能指揮通信機能等充実に努めるほか、昨年五月に総理から指示されまして、今内閣安全保障室事務局になって行っております緊急事態対応策検討にも参加してきておるところでございます。  防衛庁としては、今後も内閣安全保障室中心になってやっておりますこういう中で万全を期していきたいと思っておるところでございます。  ちなみに今、これから先の検討にまつことでございますけれども、内閣安全保障室中心になってやっておりますのは、大まかに言えば在外邦人等の保護、大量避難民対策沿岸重要施設警備、各種対米協力措置等が含まれているわけでございますけれども、いずれにしましても、これらを含め万全を期してまいりたいと思っているところでございます。
  7. 田村憲久

    田村委員 我が国のいろいろな防衛体制、さらにきめ細かい部分お願いをしていきたいわけでありますが、そんな中で、新防衛大綱のもとで最初の中期的な防衛力整備計画である新中期防衛力整備計画において、要するに即応予備自衛官制度というものがうたわれており、今回その導入というものが目指されておるわけでありますけれども、この制度導入の意義というものを簡潔にお聞かせをいただきたいと思います。
  8. 久間章生

    久間国務大臣 今度の防衛大綱においては、国際情勢等の変化を踏まえまして、国内的には若年人口減少傾向、また格段に厳しさを増しております経済財政事情等を配慮しながら、防衛力の規模及び機能について見直しを行いまして、その合理化効率化コンパクト化を進めるとともに、必要な機能充実防衛力の質的な向上も図る、あるいはまた多様な事態に対して有効に対応し得るよう防衛力整備して、同時に事態の推移にも円滑に対応できるよう適切な弾力性を確保することとしたものであります。  こういう考え方から、陸上自衛隊については、基幹部隊見直し等を行うことにより、陸上自衛隊の基本的な枠組みを示す編成定数において、従来の十八万人から十六万人に縮小することによりまして合理化効率化コンパクト化を図る一方で、部隊等編成に当たって、常備自衛官だけではなくて即応予備自衛官を一部の部隊について充てることにしまして、適切な弾力性を確保することとしたものでございます。
  9. 田村憲久

    田村委員 さて、今回そのような形で即応予備自衛官制度というものの導入を目指しておるわけでありますが、以前から予備自衛官制度というものがございます。この制度即応予備自衛官制度、本質的に違いがあるのであろうと思いますが、基本構想、また任務処遇についてどのような相違があるのか、また両者がこれからどのような関係になっていくのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  10. 秋山昌廣

    秋山(昌)政府委員 現在ございます予備自衛官と今回導入しようとしております即応予備自衛官につきましては、いずれも非常勤自衛隊員として招集を受けて出頭することにより自衛官となって勤務する者であるという点では変わりがございません。また、人事制度の基本的な部分におきましても共通点を有するわけでございます。  しかしながら、陸上自衛隊予備自衛官は、従来から陸上防衛力の基本的な枠組みとは別個の人的勢力といたしまして、防衛招集が行われた場合におきまして陸上自衛隊体制を補完するため確保されているものであるのに対しまして、今回導入しようといたしております即応予備自衛官は、防衛大綱におきまして示された陸上自衛隊体制において、編成定数により示された陸上防衛力の基本的な枠組みの一部として位置づけられているものである点で、基本的な相違があるわけでございます。  具体的に申し上げますと、予備自衛官が、常備自衛官部隊防衛出動に当たりまして、これを適切に補完するため、後方地域等警備後方支援等任務に当たるのに対しまして、即応予備自衛官は、招集を受けて自衛官となった場合において、あらかじめ指定された陸上自衛隊部隊において勤務し、当該部隊常備自衛官により編成される部隊とともに師団等作戦地域において行動をするということでございます。それが第一点でございます。  第二点は、予備自衛官はあくまで防衛出動時における常備自衛官の補完のためのものでございます。したがって、それ以外には招集されることはないわけでございますけれども、即応予備自衛官は、陸上自衛隊が主として行動することが想定されているものといたしまして、防衛出動及び治安出動のほか災害派遣及び地震防災派遣といった、いわゆる平時に際しても招集されて任務につくという点であります。  それから第三番目が、かかる運用構想を踏まえまして、予備自衛官訓練が「一年を通じて二十日をこえないもの」とされているのに対しまして、即応予備自衛官につきましては「一年を通じて、三十日を超えない範囲内で総理府令で定める期間」ということで、実際に三十日の訓練を予定しているわけでございますが、そういった面で相違を持つものでございます。  また、処遇等につきましても、即応予備自衛官及び予備自衛官が負う義務等を適正に評価することによりまして、おのおの妥当な水準を設定しているところでございます。
  11. 田村憲久

    田村委員 さて、この即応予備自衛官でありますけれども、最終的には一万五千人ぐらい即応予備自衛官にしていきたいな、そういう話があるわけでありますが、部隊の構成におきまして、即応予備自衛官を主体に置く部隊をつくるという話であるわけであります。  ただ、いろいろな部分を考えますと、今武器等々の近代化、要するにコンパクト化でありますとかハイテク化等々を進めておるわけでありまして、訓練を年三十日という話であるわけでありますけれども、そのようなコンパクト化ハイテク化が進んでおるような武器に対してのいろいろな操作等々の熟練度というものも要求されてくるわけであります。果たして、この即応予備自衛官がこれからどんどん導入されていく中で、そのような形でこれからの複雑化しておるいろいろな防衛体制の中において十分に機能が果たせるのかどうなのか、そこら辺のところをお聞きをさせていただきたいわけであります。
  12. 粟威之

    粟政府委員 即応予備自衛官につきましては、年間三十日の教育訓練を実施することによって、装備近代化へ対応することも含めて、部隊運用に必要とされる練度を最低限度確保するということで三十日を決めたわけでございますが、具体的には、もともと即応予備自衛官というのは、元自衛官から採用しておりますので、既に保有装備についての特技というものを有しております。また、訓練におきましても、装備の取り扱い、操作を習熟させるための特技訓練と、さらにその装備をもって基本的な戦術行動において運用し得るための部隊訓練というものを実施することにしておりますが、合わせて二十日以上そういう訓練を実施することにしております。したがいまして、装備近代化にも配慮した訓練体制をとっているところでございます。
  13. 田村憲久

    田村委員 十分な訓練お願いをしたいものであります。  この即応予備自衛官制度、もちろんこれからそのような形で招集をしていかなければ、招集といいますか、募集をしていかなければいけないわけでありまして、ある意味ではやはり企業側の御理解というものも得ていかなければならないのであろうと思います。そしてまた、企業の中においてのそれぞれの従業員方々の御理解もいただいていかなければいけない。大変厳しいなというふうに私は思うわけでありますけれども、その点に対しまして、現在どのような配慮、施策等々を考えておられるのか、お聞かせをいただきます。
  14. 大越康弘

    大越政府委員 お答えを申し上げます。  即応予備自衛官年間三十日間の訓練招集あるいは予測困難な災害等招集に安んじて応じるためには、即応予備自衛官個人の意思あるいは努力に加えまして、即応予備自衛官雇用しております企業におきましては、訓練出頭時の休暇制度整備のほか、即応予備自衛官訓練出頭等によります回収できない維持的な経費の支出でございますとか、あるいは訓練出頭時の業務ローテーションの変更でありますとか、あるいは顧客に対します影響等、種々の負担を負うことになります。こういった企業に対しましての理解協力が不可欠であるというふうに認識しております。  したがいまして、防衛庁といたしましては、こういった即応予備自衛官雇用することにしております企業のさまざまな負担や労苦に報いますとともに、こういったことによりまして、即応予備自衛官雇用を円滑なものにするために、即応予備自衛官雇用企業給付金といったものを支給することとしております。  また、こういった給付金の支給に加えまして、即応予備自衛官制度につきまして広く社会全般の御理解と御協力を得るための積極的な広報活動を行うことによりまして、こういった制度導入を円滑なものにしていきたいと思っている次第でございます。
  15. 田村憲久

    田村委員 広報活動等々も十分にしていただきたいと思うわけであります。  さて、この即応予備自衛官制度でありますけれども、自衛隊の中に入って、その中でいろいろな訓練をするという話があったわけでありますけれども、当然大変な、危険的なといいますか、危険度の高い訓練というものもその中には含まれてこようかと思います。そんな中で、要するに即応予備自衛官方々がもし万一訓練中事故等々があった場合、それに対していかなる補償といいますか、お考えになっておられるのか。もちろん、有事といいますか実戦においてはそのまま自衛隊員というような形になるのであろうと思いますけれども、招集されたときに、要するに訓練中何かあったときに対しての補償というものはどういうふうな制度になっておるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  16. 大越康弘

    大越政府委員 即応予備自衛官に対します災害補償でございますけれども、即応予備自衛官といえども非常勤防衛庁の職員でございますので、訓練招集中にその職務に起因します災害、傷病でありますとか、疾病、障害、そういったことにつきましては、現職の自衛官と同様の補償が行えることになっております。
  17. 田村憲久

    田村委員 今回の法律改正案でありますけれども、要するに、陸上自衛隊についてのみ即応予備自衛官制度というものを導入をするというふうな形になっておろうかと思います。いろいろと近代化を進めていく中で、またコンパクト化などいろいろな部分があるわけでありまして、はっきり言いまして、世の中の流れの中では、このような即応予備自衛官制度というものはいたし方がないのかなというような気もいたすわけであります。  今回は陸上自衛隊だけでありますが、今後、海上自衛隊でありますとか、また航空自衛隊等々、果たして即応予備自衛官制度というこの枠を広げられていくおつもりがあるのか。その点、まだまだ先のことであるのかもわかりませんけれども、お聞かせをいただきたいと思います。
  18. 秋山昌廣

    秋山(昌)政府委員 今回、即応予備自衛官制度導入する理由は、防衛大綱のもと、陸上防衛力枠組みである編成定数を十八万人から十六万人とする、そういうことによりましてコンパクト化を図るという観点で、陸上自衛隊中心に考えたところでございます。  したがいまして、現時点におきまして、海上自衛隊及び航空自衛隊について、かかる即応予備自衛官制度導入するということは考えておりません。
  19. 田村憲久

    田村委員 わかりました。  今回のこの改正案でありますけれども、この即応予備自衛官制度の問題とともに、陸上自衛隊においての中央補給処等々の集約一元化というようなことも含まれておるわけであります。新たに補給統制本部が新設といいますか再編成される中で、効率化合理化というわけでありますけれども、どのような部分効率化されるのかなかなか見えてこない部分もあるわけであります。具体的なところをぜひともお聞かせをいただきたいと思います。
  20. 秋山昌廣

    秋山(昌)政府委員 御指摘がありましたように、これまで陸上自衛隊装備品等調達、保管、補給または整備等業務は、五つ物別中央補給処、これは需品、武器施設通信及び衛生でございますけれども、これと四つの地区補給処等が実施してきたところでございますが、今般、陸上自衛隊補給業務を迅速かつ効率的に実施するとの観点から、五つ物別中央補給処等を廃止いたしまして、補給処事務の実施の企画総合調整及び統制業務並びに調達の一部を実施する補給統制本部を新編するものとしたものでございます。  この補給統制本部の新編による陸上自衛隊補給業務効率化につきましては、例えば複数の中央補給処が所掌してきましたシステム、装備品調達補給等業務補給統制本部が一元的に所掌することによりまして、諸手続が一元化、迅速化されるほか、補給統制本部が各補給処補給業務企画機能総合調整機能等を保有することによりまして、補給処間の装備品等の迅速な融通等が可能となると考えているところでございます。  ちなみに、この五つ中央補給処等集約一元化によりまして、約七十名の削減が可能になっているところでございます。
  21. 田村憲久

    田村委員 ありがとうございました。  いろいろとお話をお聞かせいただいたわけでありますけれども、今回のこの法律改正案でありますけれども、いろいろな部分我が国防衛体制等々、過渡期といいますか、大きく転換をしていくうちの一つの象徴的なことであるのかな、そんなことを感じさせていただきました。  細かい部分等、いろいろな部分はあるわけでありますが、今回の法律改正案におきまして、我が国防衛体制というものが全体的にいかなる位置づけに変わっていき、そしてまた、これからどのような効果が生まれてくるのか、ぜひとも大臣、長官の方から総括的なお話というものをお聞かせをいただきますようにお願いをいたします。
  22. 久間章生

    久間国務大臣 先ほども申しましたように、最近における国際情勢の変化等の中で、また、我が国では若年者の減少傾向等が見られます。あるいはまた、財政的にも非常に厳しい状況が予想されるわけでございまして、そういう中で、どうすれば我が国の防衛を全うすることができるか。いろいろ考えました結果、陸上自衛隊については即応予備自衛官という制度を設けることによってこれを乗り切っていこう、そういうふうに考えたわけでございます。また、先ほど補給統制本部のことについても触れられましたが、そういう形で効率化を図っていく。  今度の改正を通じて、厳しい財政状況あるいはこれから先の国際情勢、さらにはまた、そういう中でどういうふうに我が国の防衛を全うしていくか、いろいろなことを考えてこういう改正を行ったわけでございますので、また、その結果、その後のいわゆる訓練その他を通じまして万全を期していこうと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。
  23. 田村憲久

    田村委員 いずれにいたしましても、我が国防衛体制というものは、今、世界情勢がどのような形になっていくかわからない中で大変重要性が増しておるわけであります。コンパクト化とかハイテク化は当然重要であります。ただ、そんな中で、防衛体制というものに対しての緩みといいますか、ふと抜ける部分というものがあっては大変なわけであります。この即応予備自衛官制度は、ある意味におきましては大変効率が上がる部分であるかもわかりませんけれども、また、ある部分におきましては防衛体制に対して大変不安感といいますか、そのような部分も感じられるところでもあるわけでありまして、どうか、今後ともそこら辺のところを十分に配慮をしていただきまして、この制度というものを充実をしていくような形でよろしくお願いをいたしたいと思います。  それでは、私の質疑の方は、これにて終わらせていただきます。
  24. 伊藤英成

    伊藤委員長 次に、大石秀政君。
  25. 大石秀政

    ○大石委員 自民党の大石でございます。  党内では比較的リベラルといいますか、護憲的な立場をとっておりまして、憲法初めこの問題につきましては党内でもいろいろと議論がございますので、先輩委員の中には心穏やかでないというような質問もするかもしれませんけれども、やはりハトの子はハトになってしまうということで、どうか御了承いただきたいと思います。  今、田村議員からも質疑がございましたけれども、そしてまた、その御答弁の中にもありましたけれども、今回の法改正並びに即応予備自衛官制度導入ということにつきましては、現大綱と申しますか、新しい平成八年度以降に係る防衛計画の大綱に大変に密接な関係がございますというよりは、この新大綱を新大綱たるものにするには、この即応予備自衛官制度導入というものが必要不可欠なものであると言っても過言ではない。そういった観点から、私は、これら新しい防衛大綱及び新しい中期防といいますか、今計画が実行なされております中期防についての質問を、その策定の経緯等も若干含めつつ質問をさせていただきたいと思います。  御案内のとおり、この新しい現防衛大綱の策定に至るまでには、大変に長期の検討あるいは議論というものが積み重ねられてきたという事実がございます。平成二年に決定された前中期防で期間中に結論を得るということが確認をされたということもありまして、こういったものを考えますと、相当長い期間の検討が行われたわけでございます。  その間、平成五年の選挙結果というものもございますし、その後の特に衆議院における新選挙制度導入ということもありまして、その間政権の交代が、かつて、この言葉は大変古くなりましたけれども、五五年体制以前には見られなかったような大変目まぐるしい政権の交代及び立法府においても会派の構成の変化というものがあったわけでございまして、当然そういった政権をとられた政党の意見というものも反映をされているかもしれません。  したがいまして、策定の期間中に政局、政権を初めとする、そういった今まで見られなかったようなことがいろいる起こったということが、今回の新しい防衛大綱についてどのような影響があったのか。特に、平和憲法及び我が国の基本的防衛政策との関係でこの現大綱がどういうような意味合いがあるのか、お尋ねをしたいと思います。
  26. 秋山昌廣

    秋山(昌)政府委員 ただいま委員指摘のとおり、新しい防衛大綱の策定のプロセスは確かに長い期間あったわけでございます。そして、前中期防の計画の中に、その計画期間中にある意味で新しい防衛力のあり方について結論を出すということが書かれたわけでございます。その背景としては、一つは国内の情勢、例えば先ほどもちょっと説明がございました若年層の人口減少傾向という問題、それのみならず、もちろん冷戦が終えんしたということによる国際情勢の変化、そういったものを受けまして検討が進められ、一昨年新しい防衛大綱が策定されたわけでございます。  この国際情勢の変化、つまり冷戦の終結等による東西間の軍事対峙の構造の消滅、しかし、不透明感あるいは不安定な状況があるという状況。あるいは国内の状況に加えまして、実は自衛隊の役割に対する期待の高まりという国内情勢、あるいは海外からの要請もあったわけでございます。大規模な災害等への対応、あるいはより安定した安全保障環境の構築への貢献、そういったことから大綱の見直しというものがなされた。  これは一つの面ではございますけれども、前大綱のもとで何回かの五カ年計画で防衛力整備にある意味で重点を置いてやってきた。その最終段階から少し方向が変わってまいりましたが、今回の防衛大綱のもとで新しい中期防衛力計画というものを進めておりますけれども、でき上がった、整備された防衛力をいかに効率的に、あるいは効果的に、あるいはコンパクト化も進めてその運用をしていくかといったような面が一つの大きな側面としてあったかと思っております。
  27. 大石秀政

    ○大石委員 いずれにいたしましても、こういった激しい政局といいますか政権の変動の中でそういった新しい防衛大綱ができまして、私といたしましては、これは大変に国民の理解というものを得ているものであると思います。  その原因といたしましては、お話にもございましたとおり、自衛隊員の皆様の献身的かつ適切な各種大規模災害等における対応ということももちろんあると思いますけれども、根幹に、その政権政権にもよりますけれども、現在の我が国の平和憲法というものを守っていくといった姿勢が見える限り、私は、国民というものは、政権のそういった移り変わりにかかわらず、日本の防衛政策というものにつきまして大変な理解というものを示し、また、ある種の安心感というものも得られるのではないかと考えるわけでございます。  いろいろと幅広に考えますと、外国とのいろいろな関係も、今回の大綱ではいろいろ話し合い等も含まれているわけでございますけれども、あくまでも現行平和憲法の枠内ということをぜひとも大切にお考えいただきたくお願いを申し上げる次第でございます。  さて、この新しい防衛大綱に定められた体制に移行することによりまして、今後自衛隊というものは、具体的に、現在も変わっておると思いますけれども、どのように変わっていくのか、また、きているのか。先ほど田村議員の方からも御質問がありましたけれども、確認の意味を含めて、具体的にお答えしていただきたいと思います。
  28. 久間章生

    久間国務大臣 委員、先ほど自分はハトの子はハトだとおっしゃられましたけれども、私なども、むしろ考え方としては大石前議員といいますか、お父様あたりともそんなに変わっていないわけでございます。また、前大綱から今期の大綱に変わったといいますけれども、基本的には私は変わっていないと思うのです。  我が国は日本国憲法のもとできちっとやっていこうということについては変わりないわけでございますし、また、防衛力整備だけですべて我が国が防衛できるわけではございませんし、やはりそこは外交努力が必要でございますし、あるいはまた内政を安定しておかなければならないわけでございますから、そういうのを踏まえて、そういうことによってでき上がりました安全保障基盤の確立を図った上で、なお必要な防衛力整備はきちっとやるというような考え方でございます。  しかも、専守防衛に徹するという、これもまた従来から考え方は変わっておりませんし、あるいはまた他国に脅威を与えるような軍事大国にならないというこの姿勢もそのままでございます。そして、日米安全保障体制を堅持して、日米関係のそれをきちっと提携していくことによって、これも大事だということも言っておりますし、また、いわゆる文民統制とか非核三原則とか節度ある防衛力を自主的に整備するとか、こういう点をとらえますと、前大綱と本大綱とは基本的には変わっていないわけでございますから、その辺についてはそう御理解いただいて構わないと思います。  ただ、先ほど防衛局長が言いましたように、その後の、例えば大規模災害に対する対処の仕方、あるいは災害だけではなくてそのほかの対処の仕方、あるいはまた国際貢献とか、いろいろ自衛隊に対する期待が全体的に高まっておりますから、そういうことについても取り組んでいこうということで防衛大綱は変わっておりますけれども、基本的な部分については従来と変わっていない、そういうふうに理解いたしております。
  29. 秋山昌廣

    秋山(昌)政府委員 御質問に防衛体制についてもございましたので、私の方から少し具体的に説明させていただきたいと思います。  防衛大綱におきまして、国内外の情勢の変化や防衛力の役割に対する期待の高まり等を踏まえまして、現行の防衛力の規模及び機能について見直しを行うこととしております。  まず第一に、規模についてでございますけれども、合理化効率化コンパクト化を推進し、近年における科学技術の進歩、若年人口減少傾向及び経済事情の厳しさ等にも配慮しつつ、適切な規模の防衛力を保有するということにしております。具体的には、例えば陸上自衛隊の四個師団及び二個混成団を旅団化する、海上自衛隊の地方隊の護衛艦部隊を十個隊から七個隊にする、航空自衛隊の要撃戦闘機部隊を十個飛行隊から九個飛行隊にすることとしております。これらに伴いまして、戦車、護衛艦、戦闘機等の主要装備についてもおおむね一ないし二割程度の減とするほか、陸上自衛隊編成定数につきまして、十八万人から十六万人とし、うち一万五千人を即応予備自衛官とすることとしております。  第二に、質的な点でございますが、質的な面では、この充実を図り、多様な事態に有効に対応し得る防衛力整備を図ることとしております。例えば、新しい支援戦闘機F2の整備等によりまして装備ハイテク化近代化を図りますとともに、情報本部の新設、新中央指揮システムの整備等を通じまして情報・指揮通信機能等充実強化を図るほか、適時適切に災害救援を実施するための各種施策も推進することとしております。  第三番目に、事態の推移にも円滑に対応し得る弾力性を確保することとしております。例えば航空自衛隊の教育部隊に要撃戦闘機等と同型の戦闘機を配置するといったようなことによりまして、その養成及び取得に長期間を要する要員及び装備教育訓練部門等において保持するということのほか、即応性の高い予備自衛官を確保することとしております。  なお、先ほど大臣が御答弁になりました点につきまして、実は最初の御質問に、私、的確に答弁していなかったかと思いますが、今回の防衛大綱におきましては、それ以前に政府が表明しておりましたいわゆる憲法に基づくという点について、あえて防衛大綱に全部入れまして、閣議決定をしたという点を御紹介しておきたいと思います。  その閣議決定になりました防衛大綱では、「我が国の安全保障と防衛の基本方針」という項目で、「我が国は、日本国憲法の下、外交努力の推進及び内政の安定による安全保障基盤の確立を図りつつ、専守防衛に徹し、他国に脅威を与えるような軍事大国とならないとの基本理念に従い、日米安全保障体制を堅持し、文民統制を確保し、非核三原則を守りっつ、節度ある防衛力を自主的に整備してきたところであるが、かかる我が国の基本方針は、引き続きこれを堅持するものとする。」と述べております。
  30. 大石秀政

    ○大石委員 そういうことで、現大綱に沿って中期防等も漸次その計画が遂行されていくわけでございますけれども、実は、私、きのうも、きょうも新聞等で、橋本総理が、来年度の、一九九八年度予算の編成に当たって歳出削減を進めるための基本指針というものを出す、その中に、今回の新中期防の見直しの前倒しということと、本年度予算でも見られた主要装備等の後年度負担について再検討をするというようなことをちょっと見たわけでございます。この点に関して、防衛庁の方としては、何か通知とか連絡とかあるいは確認はしているのでしょうか。
  31. 秋山昌廣

    秋山(昌)政府委員 今御質問がありましたその報道の内容、報道されたことは私たちも承知しておりますが、その中身につきまして確認しているわけではございません。  しかし、現在、本日財政構造改革会議というのが開かれておりますので、我々としても確認したいと思っておりますけれども、中期防そのものは、防衛力合理化効率化コンパクト化を一層進めることを初めとした防衛大綱に示された防衛力の内容を実現することを目指したものであります。そして、今御質問にございました点に関連いたしまして申し上げますと、中期防におきましては、「三年後には、その時点における国際情勢、技術的水準の動向経済財政事情等内外諸情勢を勘案し、この計画に定める所要経費の総額の範囲内において、必要に応じ見直しを行う。」ということになっておりますが、現在、今申し上げました財政構造改革会議におきまして、聖域を設けず、防衛関係費を含むあらゆる経費を対象に議論が行われているところでございまして、御指摘の点についても、その中でさまざまな議論が行われることになるものと考えております。  防衛庁といたしましても、いずれにしても防衛関係費も財政の上からは聖域ではないというふうに考えておりますが、その扱いにつきましては、我が国の安全保障に影響を与えることが懸念されるようなことになってはならない、あるいは我が国の安全を維持していくという視点も考慮する必要があると考えているところでございます。
  32. 大石秀政

    ○大石委員 今の御答弁にもありましたけれども、実際、今回の大綱及び中期防というものは、非常に財政に対して配慮の文面が盛り込まれているわけでございます。  例えば大綱の方ですけれども、ローマ数字のV、「防衛力整備、維持及び運用における留意事項」というものが書かれておりまして、その(1)には「経済財政事情等を勘案し、国の他の諸施策との調和を図りつつ、防衛力整備、維持及び運用を行うものとする。その際、格段に厳しさを増している財政事情を踏まえ、中長期的な見通しの下に経費配分を適切に行うことにより、防衛力全体として円滑に十分な機能を果たし得るように特に配意する。」というふうに書いております。  また、中期防の方につきましては、今の防衛局長の御答弁にもありましたとおり、総額明示方式を踏襲するとともに、「各年度毎の予算の編成に際しては、」「その時々の経済情勢、格段に厳しさを増している財政事情等を勘案し、国の他の諸施策との調和を図りつつ、」節度ある防衛力整備に一層努力する。なお、今お話にもありましたとおり、「三年後には、その時点における国際情勢、技術的水準の動向経済財政事情等内外諸情勢を勘案し、」「所要経費の総額の範囲内において、必要に応じ見直しを行う。」こととしているというふうに書いてあるわけでございます。  もし、報道等が実際のものでありますと、中期防の見直しの前倒しというものが、実質上三年後が一年早くなってしまうわけでございます。  私は、冒頭申し上げたとおり、決してタカ的な人間ではございませんけれども、既に各分野において、予算面において財政の縮減に協力をすべく防衛庁としても大変な努力をしているわけでございます。また、正面装備につきましても、本年度予算で後年度負担などの歳出化を繰り延べることで総額を圧縮するなど、ぎりぎりの努力といいますか、これ以上のことはできないのではないかというふうに大変努力をしている姿勢というものは私も感じるわけでございます。  そうしますと、これ以上の財政の削減ということになりますと、お話にあったいろいろな自衛隊に対します国民の期待、防衛庁の調べによりますと、何か国防よりも災害派遣の役割の方が国民の方としては期待が大きいというような調査、アンケート結果も出ているというふうに聞いておりますけれども、災害派遣あるいはPKO、国際平和協力関係、あるいは沖縄の問題等もあると思いますけれども、そういった政策のすべての面とあわせまして、特に私が訴えたいのは、実際の隊員、自衛隊員の皆様が本当に一生懸命やっておられる姿というものは、国民の皆さんも大変に感心をしているわけでございますけれども、私も静岡で東富士の演習場などもありまして、実際に隊員の方々施設、特に隊舎とか宿舎というものも拝見をしたことがあるわけでございますけれども、そういったものの改善ですとか、お給料の面を初めとするいろいろな処遇の改善、そういったものに結果的にいろいろなしわ寄せというものが来てしまわないかなというような心配がございます。  ですから、先ほど読みましたけれども、経済財政状況というものを勘案するということは大切なことであろうと思いますけれども、十分な機能を果たし得るように特に配慮するというようなことで大綱の方は締めておりますので、いろいろな努力をされて何とかそういうふうに持っていっていただきたいと思います。  仮にというような形での質問にはちょっとお答えにくいとは思いますけれども、その点で、防衛庁の方の財政のさらなる縮減というものを求められた場合のお考えというものをお聞かせ願いたいと思います。
  33. 久間章生

    久間国務大臣 確かに今委員おっしゃられましたように、この中期防をつくるときから財政的に非常に厳しいということは予想されておりましたので、この中期防の計画の中にも至るところにそのような配慮の文面があるのは御承知のとおりでございます。  それと、防衛庁関係の予算というのは、人件費あるいはまた糧食費、こういうのも非常に限られて、きちっと出てくるわけでございますし、また装備にしましても、現在あるものよりも機数をふやしたりどんどん装備をふやしていくわけじゃございませんで、これは古くなったのを買いかえるという形が基本的でございますから、それらについても、現在を維持しようとしてもそれだけの経費がかかってくるわけでございます。  それと同時に、先ほど話がございましたように、隊員の処遇改善あるいはまた隊舎の整備等だけではなくて、基地周辺の市町村に対してもまた配慮をしていかなければならない。こういうことを考えますと、切り詰めるところが非常に少ないわけでございます。  しかしながら、橋本内閣は、財政構造改革元年だということを言っておられますし、特に平成十年度からは新しい概算要求をどういうふうに取りまとめていくか、これから六月に向かって今その原則をつくっていこうとしているさなかでございまして、そういう場合には防衛関係費も聖域でないのだという、それは私どもも十分理解して認識しておりますので、そういう中で、この中期防の精神といいますか、決められましたことをいかにして調和させていくか、これをこれから先努力していかなければならないのじゃないか、そういうふうに思っております。  委員が先ほど御指摘されました災害に対する出動の期待あるいは国際貢献の期待等ももちろん大事でございますけれども、何といっても我が国が平和で安全であるということが一番大事なわけでございます。そのためには、最小限必要な装備といいますか、それはみずからが整備しておかなければならないわけでございますので、そういう自衛隊として本来あるべき姿はきちっと守りながら、どのようにして現在非常に差し迫っております財政構造改革という問題と調和させていくか、またいろいろと御提言もいただきながら、その中で努力していきたい、そういうふうに思っているところでございます。
  34. 大石秀政

    ○大石委員 ありがとうございました。  もちろん行財政改革ということも大変に重要なことでございますので、その点につきましては私も大変思うところはあるわけでございますけれども、やはり最低限の国の防衛、これに国民の皆様方の貴重な財源が使われているわけでございまして、そういったものをしっかりやっていくということが結局どういうことにつながるかということを私は改めて考え直さなければいけないと思います。  国の防衛というものは、もちろん国土を外敵から守るということもありますけれども、その国の体制ですね。現在、日本は平和憲法のもとに自由民主主義体制をしいております。ですから、そういった主権在民というような新しい今の憲法の一番大事なものも含めて守っているのだということを改めて認識をしなければならないと思います。  護憲というのは、もちろん条文を守るということもこれは大切なことだと思いますけれども、この国自体がそういった外敵に対して脅威を受けて、大切な民主主義国我が日本が侵されるということも、これは憲法も含めた日本の自由を守るということから考えますと、危機といいますか、あってはならないことでありますので、大変に厳しい財政事情かとは思いますけれども、その点でも最低限の防衛に必要な備えというものはしっかりとやっていただきたいと思うわけでございます。  また、最後にこれは私見的なものですけれども、そういった最低限の防衛力が必要となった場合、これはやはり国民全体でひとしくいろいろな負担というものを分け合うということが大切ではないかと思うわけであります。精神的にも心理的にも、あるいは地域的にも地理的にも、一カ所にそういったものの負担がかかってしまうというような体制があるとすれば、それは速やかに改善をしていかなければならないと思っています。日本人が一人一人そういった自覚を持って国の防衛政策に当たりますよう、私も努力をしてまいりますので、その点を当局にもお願いを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
  35. 伊藤英成

    伊藤委員長 この際、休憩いたします。     午後零時一分休憩     ―――――――――――――     午後二時三十二分開議
  36. 伊藤英成

    伊藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。村井仁君。
  37. 村井仁

    ○村井委員 新進党の村井仁でございます。  私は、きょうは防衛庁の非常に基本的な法律の審議でございますので、どちらかと申しますと防衛問題の基本的な問題につきまして幾つか長官にお伺いをしたいと思います。お伺いしたいと申しますよりは、私もいろいろな経験をいたしまして私なりの考えもございますので、それを申し上げまして、それについて長官の御見解をお伺いできればありがたい、そんなふうに思うわけでございます。  まず最初に、自分の思い出話みたいな話になりまして大変申しわけないのですが、私は、防衛の問題というのは、率直に申しまして、早い時期に余り関心がございませんでした。昭和四十一年に、私は、西アフリカにナイジェリアという国がございますが、そこの大使館勤務になりましてそちらへ赴任いたしました。そこで、昭和四十二年、一九六七年のことでございますが、ビアフラ戦争という内戦が起こりました。子供たちが飢えて死に、そしてナイジェリアの国を二つに割ってその戦争は数年続くわけでございますが、私はその初期にいたわけでございます。  そのとき非常に印象的でございましたのが、実は在ナイジェリア日本国大使館が、これは首都のラゴスという町にあるわけでございますが、これがガラス張りの非常にスマートなビルでございまして、でき上がりました。これはまさに平和日本を象徴するようなビルでございまして、周りには何の障害もない、障壁もない。ほかの国の大使館は、そこへ入るのには随分苦労するのでしょうが、我が日本国大使館は、ガラスできらきらと輝いてはおりますが、ともかく自由に出入りできる、すばらしいものができたわけであります。本当にこんなところで大丈夫なんだろうかという思いはなきにしもあらずだったわけでありますが、しかし、これは平和な日本を象徴する我が大使館であるということで、いいじゃないかと思っていましたら、例のビアフラ戦争が始まったわけであります。始まりましたら、途端にラゴスの町がいわゆる反乱軍といいますか、ビアフラ軍から空襲を受けました。そして大使館から三百メートル離れたところに爆弾が落ちたわけであります。この爆弾が爆発いたしまして、このガラス細工の大使館が見事に穴があきまして、だれでも自由に暗号室の手前まで入れるという状態になってしまったわけでありました。私は、大使館という、在留邦人にとってもあるいは日本がそこにある権益にとっても最後のとりでになる建物がこうして簡単に破壊されてしまうということの恐ろしさ、別の言い方で言えば、日本は平和だが、外国、世の中は決して平和じゃないなということをみずから本当に実感を持って経験したわけであります。  そしてもう一つ、当時大きな問題でございましたのが、当然在留邦人の保護でございます。  そのころナイジェリアには、主に繊維の貿易そのほか雑貨の貿易も多かったわけでございますが、石油の産出の兆候もございまして、在留邦人もだんだんふえて、当時ラゴスの町に二百五十人くらい在留邦人がいたと記憶しておりますけれども、これをどうやっていざというときに避難させるか、手だてがないわけであります。  当時、ナイジェリアの大使館がどういうことをやったかといいますと、大阪商船三井船舶、三井OSKという船会社、それから川崎汽船、この両者が月に一回の割合で、当時はまだ貨客船が非常に盛んな時代でございますから、ずっと西アフリカの港々をコールしながらヨーロッパまで行く、いわゆる欧州日本航路はまだやっていた時代でございますので、私、それぞれ三井OSKと川崎汽船の駐在員にお願いしまして、ラゴスの港に停泊する時期を調整してもらいまして、その二隻、一杯ずつ来るわけでございますが、その二隻の船のコールする時期をずらしてもらって、そしてできるだけ長いこと、いざというときに日本人がそこへ当座逃げられる態勢づくりのお願いもした、こういう経験が自分でもございます。  それに引きかえ、ある国のフリゲート艦がラゴスに来航しまして、そしてその国の大使館の周りを水兵がきちんと守っているという場面もあったわけであります。内戦でございますから、別にそのフリゲート艦自身何らかの軍事行動をしたわけではありません。単なる示威行動、一種の示威行動に違いございませんけれども、何といいましても、そこの居留民といいますか、そこにいる外国人にとっては非常な安心感を覚える。私にとりましては羨望のきわみでしかなかったわけであります。水兵が何人かその国の大使館を、本当に大した数ではありません、しかしきちんと着剣をして守っているという状態、派遣されているという状態、それだけで私は防衛というものの大切さを非常に痛感したわけでございまして、これはある意味では私自身目からうろこの落ちた一つの経験でございます。  こんなお話をしておりますと、だんだん自分自身の経歴もばれまして、質問にも迫力がなくなって、何だ、防衛庁とのなれ合い質疑かという話になりそうでありますけれども、もう一つ、これはどうしても私は申し上げておきたいと思いますので、申し上げさせていただきたい。  昭和五十六年、私は防衛庁に勤務する光栄に浴しました。そして、いわゆる庶務担当課長会議、これは今もあるかどうか存じませんが、各局それから各幕僚監部との調整をやる、幕僚監部の総務課長、各局の筆頭課長が集まる会合でございますが、そこでメンバーの一人として議論に参加したのが防衛記念章の制定問題であります。防衛記念章、現在制服の皆様が胸に飾っておられますけれども、これをやらせるかどうか、認めるかどうか、創設するかどうか、これを議論したわけであります。  これは、御存じの方は御存じですけれども、結局、昔の軍隊の勲章、記念章の略綬を並べたようなもの、防衛記念章というのは略綬そのものが本体だ、こういう形になっているものなんです。  ああいう形になるにはいろいろな経緯がありますけれども、それはそれとして、私の申し上げたいのはその話じゃなくて、その議論をしている最中に、私は、カクテルパーティーの場所だったと思いましたが、アメリカのある武官と話をする機会がありました。そのときに、その武官は私どもがその議論をしていることを知っていまして、それで何と言ったかというと、おまえさんたち、何でそんな議論を一生懸命やっているんだ、そんなのは早くつくったらいいじゃないか、こういう意味のことをそのアメリカの武官が言うわけでございます。そこで、私が、何しろ三十年も平和で、彼らは、というのは制服の自衛官のことでありますが、功績を立てる機会がないからね、機会がなかったからねということを言いましたら、その武官が、ふだんは大変温和な人でありますが、きっとなりまして、ミスター村井、我々制服を着ている身にとって三十年にわたって平和を維持するということくらい大きな功績はほかにないではないかと言うわけであります。  私は、これを言われましたときに、本当に雷に打たれたような思いがいたしました。そして、なるほどそのとおりだ、我々がこうして平和を享受していられるのも、自衛官の皆さんが日夜努力をしておられる結果だということを改めて認識したわけでございまして、この武官が、三十年平和を守ることこそ、何事もなかったことこそ武人の誉れであるということを言ったときには、私は本当に感動したわけでございます。これが、ある意味では、私にとりましては、防衛というものを考える一つの原点になっているような思いがいたしております。  よく考えてみますと、この日本の国というのは、昭和二十年八月十五日、敗戦のときまで、あるいはもっと正確に言えば、マッカーサーが厚木におり立って実際に占領が始まる八月三十日、武装解除が始まるときまでは、二百万とも二百万余とも言われるいわゆる帝国陸海軍がこの四つの島を中心にする島々におり、そこで世界でも相当のレベルの武力をきちんと維持していた。その後は、米軍を中心にするいわゆる連合軍が占拠することによって、この日本の国土の上には力の空白というものが全然起きていないのですね。そして、それはやがて、独立、安保条約の締結とともに、米軍プラス自衛隊、当時は保安隊といいましたか、というような形で現在に至っているということでありまして、力の空白というものは生じていない。.力の空白というのは本当に恐ろしいことであるわけでありまして、例の北方四島の問題だって、よく考えてみれば、あれは余りそういう観点から議論する人が多くないのですが、本当は力の空白がほんの数日、九月のたしか二日から六日くらいまでとかなんとかと言われているようでありますけれども、あの時期に起きたために、当時のソ連軍が、米軍は入ってきていないかと言いながらあの国後、択捉などに入ってきた。そして、そのまま今の不幸なロシアと日本の関係ができてしまった、固定化してしまった。力の空白というのをつくりますと、とんでもないことが起こるのだということを私は感じるわけでございまして、これもやはり歴史の教訓だと思うわけであります。  ちょっと長くなって申しわけありませんけれども、そういう意味で、常に高い練度と士気を維持して、そして、非常の事態に備えながら、三十年にわたって功績を立てることができない、素人の私なんかが言うような意味では何もしない、非常の事態を招かないようにする、これは大変な仕事なのでありますけれども、非常の事態を招かないようにする、そのことが理想である。これがある意味では、自衛隊を含めて、世界の軍隊の置かれている本質的な立場なのではないだろうか、私は、そんなふうに思っているわけでございます。  そういう意味では、常に技量を磨いて、しかもそれを使わない、これは大変難しい立場だと思うのです。武という言葉は、よく言われることでございますけれども、「戈を止める」、このような言葉にも解釈できると聞くわけでございますが、これもまた本質をついたことだと思うわけであります。その意味で、自衛官というのは、生涯の半分をほとんど教育訓練という形で過ごしておられるわけであります。また、部隊においても、常に訓練が義務づけられる、非常に高いレベルの練度というものを維持することを期待されている。私は、それが自衛隊の、本当に難しい立場でありますけれども、本質的な立場だというふうに思っているわけでございます心  そういう意味で、剣道の達人でもいらっしゃる久間大臣から、そのあたり、どのようなお考えをお持ちか、ぜひお聞かせいただければありがたいと存じます。
  38. 久間章生

    久間国務大臣 今、委員がおっしゃられましたように、自衛隊任務といいますか防衛の本質というのは、直接あるいは間接の侵略をまず未然に防止する。そして、一たんそういう侵略があって、独立が損なわれあるいは平和が侵されるような状態になったならば、その侵略を排除する、そういう使命が防衛の本質だと思います。  まず未然に防止する、これがやはり一番いいわけでございまして、幸い、日本の場合、安全保障条約に基づくアメリカとの提携もあったでしょうし、また、節度ある防衛力をみずから持っているということで、これを未然に防止して今日まで平和が保てておるということは、非常にすばらしいことだと思います。  ただ、ここで一言だけまた言わせていただきますと、ちょっと言い過ぎかもしれませんが、一私人でありますときには、いざとなったら、自分は隷属してもいい、あるいはまた、敗れたら敗れたでいい、そういうような気持ちも持てるかもしれませんけれども、これだけの国を構え、国民を抱えておる政府の責任者としてみれば、そういうことは絶対に許されないという気持ちでございます。  そういう意味で、節度ある防衛力を持つことによってそういうような状態が起こらないように、やはり抑止力としても最低限の武力は備えておかなければならないというのが現在の心境でございます。
  39. 村井仁

    ○村井委員 ペルーの日本大使館の人質事件、これは、日本にとっても安全保障にかかわる大変な問題だと私は思うのですね。ともかく大使館を乗っ取られてしまった。そして、手も足も出ない。これは政府もいろいろ御苦労になっているわけでありますし、今ああいう形で交渉が行われている段階で、いろいろなことを申しましてそれにまた影響を与えてはいけませんから、私、これ以上立ち入りませんけれども、ほかの国なら、ほかの国がかかわっていれば、当然に軍隊が何らかの寄与をすることを期待される、そういう世界ではないかと私は思うのです。  日本の場合は、そのことの議論さえもされない。議論されても、どちらかというと否定的、消極的な議論が先に立ってしまいまして、自衛隊を使うなんということはないだろうねというふうに念を押されて、どんどんと踏み固められてしまうというような傾向があるように私は思うのです。これは別にお答えは要らないです。  災害派遣とかPKOとか、こういう世界になりますとようやく認知されてきたわけでございまして、阪神大震災、それから、昨年暮れ、私の選挙区でもございますけれども、長野県と新潟県の境、長野県の小谷村蒲原沢というところで大変な土砂災害があったわけでございまして、十三人の方が亡くなられ、お一方がいまだに行方不明ということで、本当に痛ましい事故でございました。その際にも、消防等々とあわせまして、自衛隊の皆さん、高田と松本の連隊が出動して大変な御努力をいただいた。非常に目覚ましい活躍であります。  その意味で、防衛庁あるいは自衛隊というのは、安全保障、危機管理、こういったものの最後のとりでである、こういうように私は思っておるわけであります。警察とか消防とか、いずれも私たちの生活の安全を確保する組織でありますけれども、その中で最大の規模を持ち、それから最後の最後に頼りになるのは私はやはり自衛隊なんだろうと思うのですね。ところが、実際問題としては自衛隊というのはそのような位置づけを与えられていないように思える。私はその点は非常に残念なことだと思うのです。  例えば警官が常に実弾入りのけん銃を持って歩いていても、これは全然だれも不思議に思わない、当たり前だと思っている。ところが、自衛官が実弾の入った武器を携行するということは実際問題としてはほとんどないやに言われている。これは言っていいことか悪いことかという問題は、さっき申し上げたように力の空白の議論がありますから、そんなことを大臣お認めいただく必要は全然ないけれども、だから私の方からあえて申し上げているのですけれども、丸腰で行くことは当たり前だというふうに言われる。  後でちょっと触れますけれども、この間の下甑島でありました密入国者の問題一つにしましても、武装をしないで出ていった、だからいいのだと言わんばかりの書き方がされている。私は、こういう世間の常識、世間の受けとめ方、これに非常に問題があると思っているのですよ。  私は、自衛官というのは常に武器を携行するというのはある意味では任務上当然のことなのじゃないか、そのようなものとしての位置づけを本当は明確にするべきなのじゃないかと私自身は思っているのです。  それから、自衛隊自衛官行動についての対応というものを見ますと、現在では、例えば長官の命令がある、あるいは地方自治体の長による出動要請がある、そういうようなことがあって初めて動ける。ほかに手段がないから最後に動く。こういう仕組みになっているわけですね。この仕組みというのはそろそろ改めなければならないのじゃないか。  例えば阪神大震災のときにも、これはよく言われることでありますけれども、自衛隊の方ははるかに立派な情報をとっていた、実際問題として政府の初動が非常におくれた、これはそのシステムに非常にこだわったからだ、こういうことを言われますよね。  当然のことですけれども、そういう意味で、自衛隊が情報を集めていたという事実もあるし、あるいはその能力も十分持っているということを考えれば、自衛隊に対しまして、一番最初に申し上げた、自衛隊の存在そのものが国民の安全保障をやっているのだという本質は踏まえながら、自衛隊というのは国民の安全保障を総合的に最終的に行う集団なのだという位置づけを本当に明確にしていく、そういうことが必要なのじゃないか。そして、それがそろそろ可能な社会環境が今この日本でもようやく醸成されてきたのじゃないだろうか。こんなような感じを私自身持っているのですが、大臣、いかがでしょうか。
  40. 久間章生

    久間国務大臣 委員と若干ニュアンスを異にするかもしれませんけれども、まず最初に言われました、ペルーのようなああいう事件が起きたときに、ほかの国だったら自衛隊の出動云々という話をされました。確かに、その国の安全をどうやって守るか、いろいろな守り方があろうかと思います。  しかしながら、自衛隊といいますか、そういうような武力をもって守るという以前に、その国の民主主義体制といいますか、国の体制をどういうふうにするか。その中で、ああいう内乱のような状態を――内乱とは言いません、確かにあそこは今大統領制がしかれていますけれども、国内でそういう反乱を起こさないように内政を安定させる、それからまた外交努力も必要だ、そういうのがすべてもって武力の前にまず必要なことは言うまでもないことでございまして、そういう中で国の安全というのはつくられていくわけでございます。  我が国を見た場合に、そういう意味で治安問題まで自衛隊に頼らないといかぬのかといいますと、治安出動というのは確かに法律上は規定されておりますけれども、今は少なくともそういうことをしないで、まず警察力をもってそういうのは対処できておるというような点があるわけでございますから、一概に他国と比較して自衛隊は云々ということには即つながってこないのじゃないかというふうに思うわけでございます。  それともう一つは、最後のとりではそうかもしれませんけれども、自衛隊が出動するにはそれなりの窮屈さといいますか、最後のとりででございますから、それだけに日ごろはできる限りほかの制度でカバーしていくというのがあっていいのじゃないか。だから、災害等においても、やはり第一義的には地方自治体の長がその地域については安全かどうかまず把握する、阪神大震災の後ででも、原則としては。もちろん、地方自治体の長が連絡をとれないときは自衛隊が出られるように法律改正していただきましたけれども、やはり第一義的には地方自治体の長が判断して要請をする、そういうような基本的なレールがあってもいいのじゃないか。私は、そういう点については、自衛隊がすべて頭から出ていかなければならないということではないのじゃないかという基本的な感じがいたします。  武器にしましても、必要な場合は携行をするという可能性といいますか、そういう道は残されておるわけでございますから、日ごろはむしろ武器を持たなくてもいいような雰囲気の中で警備行動に当たる、そういうようなこともいいのじゃなかろうか。今治安が余りにもいいものですから、そういうことだと、もし武装した侵入者といいますか、そういう場合があったらどうするのだという御指摘もあるかもしれませんけれども、やはりそういう非常に危険性が迫った場合には持てるような仕組みになっておるわけでございますから、常時それを持っておかなければならないということにはならないのじゃないか。現に、今の制度ででも歩哨その他でも必要に応じて司令官が持たせる場合もあるわけでございます。  そういうことを総合的に考えますと、現在差し当たってそんなに窮屈なことではないのじゃなかろうか、そういうふうに理解しておるわけでございます。
  41. 村井仁

    ○村井委員 大臣、現実に自衛官が現場で行動するときに非常に制約がある。どっちかというと法律で与えられた権限というのは非常に狭い、あるいはマニュアルがきちんとしていない、こういうような問題があって、現場の指揮官というのは非常に苦労しているというのが実態なんですね。  例えば、この間、二月の初めに起きました下甑島ですか、中国からの集団密入国の例なんかも典型的な例だと思うのですが、あそこは何かお巡りさんが三人しかいないところなんだそうでありまして、そこへ中国人が密入国してきた。そこで、川内の警察署なんかからともかく応援の警察官が出かけて、とりあえずは保護してそれなりの所要の対応をした。しかし、まだいるのじゃないかという話になって、消防団員が百三十人ばかりですか、それと、あそこにいる空自の基地の自衛官が三十人ばかり応援に出ていって捜した。そうしたら、途端に命令がなくてどうしたこうしたというようなことで問題にされてしまう。私はこれはやはり非常に気の毒だと思うのですね。  そういう環境のところで、制服の自衛官が手をこまぬいて、それで消防団や警察が島の中を捜索するのをただじっと見てろと、これも随分むちゃな話だと逆に世間の常識というものからすると思うのですよ。そういう意味で、それは確かに役場の職員が対応する、警察官が対応する、そういうことができるところはいいですけれども、そうでないところでは自衛官だからといって一切動いちゃいけないというものではなくて、ある程度臨機応変に対応することが許されるのじゃないか。  しかし、自衛官というのは特別な武装集団でありますから、どういうときにどういうふうな手順でどうしたらいいのだ、ここまでは部隊の指揮官の自由裁量だぞということはしっかりと決めておかなきゃいけないのじゃないかと私は思うのですね。  今の状態というのは、残念ながらそういうルールがきちんとしていない。一番高いレベルでいえば、いわゆる有事法制の問題につきましては、私の承知している限りでも事務的には相当な議論がされているはずであります。そういう意味では、私はある意味では政治決断の問題だと思うのですけれども、まだ残念ながら余り進展が現実に政治のレベルではないというのが実態でありまして、いざというときの対応というのは、すべて現場の指揮官がいよいよとなれば腹切る覚悟でやらなきゃならない、そういう実態になっている。  私は、これは、自衛官にある意味では無作為を、何にもしないことを、おまえ、ともかく何もするなということを強制するか、あるいは良心的な自衛官、良心的な指揮官なら自衛隊法違反をあえて犯す覚悟をしてやるということを、そのどっちをやるんだという選択を強いるような状況に今なっていると思うのですよ。私は、これは私どもも含めて政治の責任だと思っています。私たちがともかくこれはこの際何とかしなきゃならない非常に大きな問題じゃないかと思うのですけれども、大臣、このあたりはどうお考えになりますか。
  42. 久間章生

    久間国務大臣 下甑島のああいう状況になりましたときに、村民の皆さん方、消防団あるいは役場の職員までが一緒に行っているときに、自衛隊が何もしないというような状態がもし出たとすれば、かなりの非難を浴びたと思います。あの場合に、丸腰ではありますけれども、一緒に出かけていって捜索を手伝ったといいますか、そういうことをやったわけでございまして、今、委員はあれに対して非難めいたいろいろな記事があったと言われますけれども、私が見る限りでは、出ていったことに対してけしからぬというような論調はほとんどなかったのじゃなかろうかという気がいたします。むしろ行かなかったならば、かえって非難されたのじゃないか。  そういうふうな雰囲気に昨今なってきているというのは非常にありがたいことでございまして、昔ならば自衛隊がむしろ行かずに、今委員が御指摘のとおり、黙って腕を組んでいて、そして、ほかのみんなが一生懸命になって捜しているときに自衛隊だけが出ないことを拍手喝采するのじゃなくて、村民の一人として一緒に出ていったということ、むしろそっちの方がかえって支持は多かったのじゃなかろうか。新聞等も見てみましたけれども、決して出ていったことに対する非難はなかつたのじゃないか、そういう気がいたします。  ただ、かといって、そういうマニュアル、あるいはまだそういう出ることについてのきちっとした判断ができ上がっておるかと言われますと、そういう点についてはもう少し議論する余地があるのかもしれません。しかしながら、ようやく常識的なことを、自衛隊が常識的な行動を行うことについてすら批判されておった往時のことを思いますと、最低限そういうようなことについてはやるべきだという議論がこういった委員会でも出していただけるということは大変ありがたいことだと思っております。  ただ、注意すべきことは、私どもは、そうかといって、先ほど言いましたように、自衛隊は制約された部隊でございますから、やはりいろいろな規制の中で行動するという原則はわきまえておらなきゃいけないというような、そういう自制心といいますか、そういうようなことは十分考えております。
  43. 村井仁

    ○村井委員 大臣のおっしゃっていることと私はほとんど同感なんですが、ただ、大臣はこれを報道する新聞記事に出動を非難するようなことはなかったと言うが、これを訓練名目でやったことはけしからぬとか、一部の評論家はこれは不適当だったとかというようなことを言っている記事を見ますよね。これは否定できない。  今、大臣御自身、こういうルールをつくる必要がある、マニュアルをつくる必要があるということはお認めになられましたので、結構であります。そういう方向で、ぜひお互いに協力しながら、ともかく現場で余りどうしようかということで悩んだりしないようにしなきゃいかぬと思うし、させなきゃいかぬと思うし、それから、下甑島の場合なんかは、現場の指揮官の対応は、どっちかというと基本的に褒められこそすれ責められるべきものじゃない、私はそういうふうに思うわけでございまして、ぜひひとつよろしくお願いしたいと思うわけであります。  さて、今度のこの法律案は、陸上自衛隊装備関係の組織の改編が提案されているわけでございますが、そこで私は、装備品、とりわけて正面装備の問題を少し議論させていただきたいと思うのです。  正面装備の問題というのは、大変残念なことですけれども、余りこの安全保障委員会でも議論がされていない。どちらかというと、午前中与党の両委員の御質疑を拝聴しておりましたけれども、隊員の処遇の改善でございますとか、そういうお話の方には話題が行きますけれども、私は、自衛隊自衛隊たるゆえんはやはり武器を持っているから、武装しているからだと思うのですね。その一番肝心な武器の問題、武装の問題、それについての議論が非常に欠けているというのは私は大変な問題だと思うのです。  日本の防衛費というのは、計算の仕方は為替レート、それから人件費をどういうふうに読むかということでみんな違いますから、また、どこまでを防衛費として算入するかということで違いますから、これはなかなか計算しにくいのですが、たしかソ連がまだ盛んなりし時代に、一部の計算の文書では、日本の防衛費は既に世界第三位だというようなことを言っているのを読んだような気がいたします。これはうろ覚えですから、余りそんなことをお尋ねする気もありません。政府委員の皆さんに別にお尋ねする気はありません。  そこで、私は、日本の防衛費が金額の上で高いのはある意味で当たり前のことだと思っているのです。それはなぜかというと、まず徴兵制を採用していませんから、結局、世間並みの人件費をきちんと払わなければ要員の確保ができない。当たり前のことなんですね。そういう意味では、世界一人件費の高い日本で、自衛隊員が受ける給与も世間並みのものであるべきであるとすれば、当然に防衛費の中に占める人件費が相当実額で金額が高くなる。当たり前のことなんです。それから、食糧費にしましても、あれだけの訓練量をこなすわけでありますから、たくさん食べるのは当たり前のことだ。そういったことを考えますと、こういったいわゆる人件・糧食費というようなものが相当な金額に上るのは当然のことであります。  それからもう一つ、日本の場合は非常に特徴的なのは、武器輸出をしないという原則を立てているわけであります。政策選択をしているわけであります。これは別に憲法上のルールでもなければ何でもない。法律にそう書いてあるわけでもない。要するに、日本政府の政策としてそういう政策を採用して、そして国民に日本はこういう政策をとっていますよと言っているわけですね。  これがあるわけでありますが、武器輸出をしないということは、日本でできた武器自衛隊しか買ってくれない、自衛隊という大変限られたマーケットしかないということなんですね。言ってみれば、自衛隊の特別注文品をつくっている。これが日本のいわゆる武器産業の実態です。そうなれば、特注品というのは当然高くなる。だから、この辺は自衛隊も、いよいよ窮屈になりましたら、ミルスペックなんかもだんだんあきらめ始めて、普通に輸送車とか、非戦闘的車両といいましょうか、そういうものにつきましては少しずつ対応を変えているようでありますが、それにしても、そんなにえらい安くなるものじゃない。本当の武器というのはよその国に比べたらやはり割高にならざるを得ない。  だから、私に言わせれば、日本は、意識するかしないか、そのように深く考えるかどうかは別にして、率直に言って、日本人は高い防衛費を負担することをあえて選択をしているのだと思うのですよ。このことは、私は、防衛庁もはっきり国民に伝えるべきだと思うのですね。いや、いろいろな言い方で言っているとおっしゃるかもしれないけれども、国民の皆さんは、防衛費はすぐ役に立たないのだから削ればいいではないかというようなことをおっしゃるけれども、このあたりの事情を国民によくわかっていただく、その必要は私はあるだろうと思うのです。  そこで、武器開発生産というような問題について議論をさせていただきたいのです。  防衛費がだんだん削減されてきます。近年特に大幅に削減されてきますよね。人件費は世間並みに払わなければならないから減らせない。それから生活環境も、これは言われるように非常に劣悪なところが多い。これをどんどん改善してくれというお話があるということで、このために非常に金を食う。そうすると、しわはどこへ寄るか。いわゆる正面装備の世界へだんだんしわが寄ってくるという実態になるというのが現実ですよね。  これは本当にゆゆしき問題で、私はさっきこの話の最初に申し上げたように、武器というのは自衛隊にとって文字どおり不可欠のもので、武器がなければ自衛隊ではないのですよね。そういう意味で、それが十分に補給されない。「たまに撃つ弾がないのが玉にきず」という有名な川柳がありまして、これをつくったのはある自衛隊員ですけれども。こういうことでは訓練のレベルというものが本当に恐ろしいことになってしまう。  高い防衛費と言われます。それを払っていてもいざというときに役に立たない、こんなことになってしまっては、これは取り返しのつかない話でありまして、やはりたまに撃つ弾では困るので、きっちり訓練ができるだけの所要を充足してやる。私は、これは大臣の責任でもあるし、我々政治家の責任でもあると思っているのです。  もう一つ、十分に補給されないとか、あるいは時代おくれのものを結構使っている。これは最近どうなっているか知りませんけれども、ともかく第二次大戦末期の武器が三十年たっても使われていたというような現実もありますし、少し調べてみれば、今でもどこかにあるのではないか。そういう細かいことはまたで結構ですけれども、私は、そういう状態というのは本当に寒心にたえない、本当に残念なことだと思うわけであります。  特に、後で触れますけれども、即応予備自衛官という制度をおつくりになる。自衛官のOBが民間にいて、これが入ってきて、今度は実際の防衛活動にも防衛出動の際にも使われるということになりますと、やはり使い勝手のいい、精度のよい武器をきちんと所要の分だけ与えるということがどうしても必要になってくると思うのですね。そういう意味でも、私は、武器の問題というのは非常に重要だと思うのです。  ところが、世の中には、武器は外国から買えばいいではないか、外国ではたくさん安い武器を売っているよ、これを買ってくればいいではないか、特にアメリカは日本にとって友邦である、同盟国である、ここから買ってくれば全部済むではないか、何も日本でわざわざつくる必要はない、こういうことをおっしゃる方がある。私は、幾つかの点からこれについては批判を申し上げたい。  一つは、極東という地政学的な場所ですね。この地域で日本ほどのレベルの工業国というのはそうたくさんない。これは一つの現実であります。そこで、米軍と共用する武器体系を持ち、そして、それを補修できる設備をきちんと備えている状態を確保するということは、非常に重要なことだと思うのです。これは非常に現実的な防衛力の一部を構成する要素だと思っているのです。  それからもう一つ、我が国開発製造能力がありませんと、先端的なよいものを入手することができないということがあるのです。私は一つの例を挙げさせていただきたいのですが、私も防衛庁に勤務した人間として、一種の防秘、防衛秘密の世界を尊重するものでありますから具体的な話は申し上げませんが、私が防衛庁に勤務しておりますときに、日本がある武器のFMS契約を、ライセンス契約を結ぶのですね。その結果、NATOのいずれの国にもアメリカがまだ供与していない最新鋭のある武器を、日本に対してだけはライセンス生産するのを認めるのですよ。これは大変な事件だったのです。  それは米国の最新鋭の武器だったのですけれども、それにほぼ匹敵するようなレベルのものを日本が独自に開発して生産しそうになったので、これは大変だ、伝統的に日本はアメリカ製の武器体系を使っているのに、日本に独自に開発されてつくられてはかなわぬ、それではライセンス生産でお売りしましょうということでぱっと売ってきたということであります。たしかイギリスに先駆けること五年くらい早く日本はその武器体系を手に入れることができたと記憶しておりますけれども、そういうことがある。  これは何かというと、一種の国際的なバーゲニングパワーの問題なのですね。幾ら同盟国アメリカだといっても、やはり別の国なのですから、そう簡単には渡しはしない。そういう意味で、日本にそういう能力があるということが、アメリカからそういう最新鋭のものをきちんと手に入れて、もちろん日本にとって必要なものを手に入れて、そして生産をする、そういうことが可能になる条件なのだろうと思うのです。  日本が自国でせっかく開発したものを、この場合は生産できなかった。そういう意味では、関係者は非常にがっかりした人たちもたくさんいるわけです。しかし、世界最新鋭の、しかもいろいろな形で使われることによって実証された武器体系を日本の自衛隊が使うことができたということで、この開発努力は報いられた、私はこんなふうに思っているのです。  そこで、そんなようなことを申し上げた上で、武器という問題について十分議論することの必要性ということはるる申し上げたわけでありますけれども、アメリカとの武器の共同開発、これは言葉はちょっと荒っぽい言い方ですけれども、これは可能になっているわけでございますね。そうなってからは随分時間がたつわけです。  これは昭和五十八年、中曽根内閣の登場とともに始まったプロジェクトでありまして、その後、事務レベルで、また歴代の防衛庁長官が非常な御努力をなすって国防総省とも交渉されて今日に至っているわけでありますけれども、一番問題は、その結果共同生産されたものを第三国に輸出するという話になりました場合は、それは今の武器輸出についての原則のもとではできないということになっている。これは私は非常に実は大きな問題だと思うのですね。  そもそも武器輸出三原則というのはどういう内容であったかということを、わかり切った話ですけれどもおさらいしてみますと、まず第一に、共産圏には出しませんというのです。ところが、共産圏というものは事実上なくなってしまったわけですね。それから、国連でここへは出しませんと決めたところには出さないということになっているわけですね。それから、現にドンパチやっているところ、紛争当事国には出さない、あるいはそのおそれのある国には出さない。これが武器輸出三原則で、これ自体はある意味では当たり前のことを書いていたのですね。  ところが、そもそもの共産圏がともかくなくなってしまったということになりまして、いわゆるココムというのもなくなってしまった。そして、御案内のとおり、今、ワッセナー・アレンジメントという形で新しい武器の貿易のコントロールのシステムというものが、日本も含む先進諸国の間で合意がなされている状況であります。  そこで、私は、昭和五十一年当時、三木内閣のときに、武器輸出三原則の対象になる三地域に対しては輸出しない、それ以外の地域に対しては慎むということを決定して、それで武器輸出三原則なるものがいわば武器禁輸の体系になって二十数年たっわけでありますけれども、そろそろこれは考え直さなきゃいけないんじゃないかという気がするんですね。  といいますのは、日本と米国の間で防衛技術の交流をやって、ある武器体系をつくるということになりました。そして、それぞれで、例えば日本でこの部分をつくります、アメリカでこの部分をつくります、そうしてできたものは日本でもアメリカでも使いましょうねということになります。そうすると、これは必ず、いわゆるNATO諸国、さらにはNATOが今度東の方へ延びるとかいって、昔のワルシャワの同盟軍の国々も武器体系に入るのかどうかなんてところが随分微妙な話になっていますけれども、NATO諸国とアメリカとの間では武器体系の共有が行われているという実態があるわけですね。どこでもというわけにはもちろんいかない。それはもちろん日本がかかわっている以上、ここはいいよ、あそこはだめだよということを言う権利は当然あるはずですけれども、そろそろそういうことも考えなきゃいけないんじゃないか。  といいますのは、金がないでしょう、そうすると、武器というのは高いですから、結局共同生産をやらなきゃ安くならないんですよ。そういう意味で、日本は、安くさせる、安い武器体系を手に入れる、しかも日本の技術はちゃんと維持する、そういうことが可能な条件を持っているんですよ。それを何とか氷を割る、ブレークスルーする、そういう政治決断がいずれ必要になるんじゃないかと思うんです。  私、昔、中曽根総理、そしてたしか谷川防衛庁長官の時代だったと思いますけれども、対米武器技術供与を決めるという大変感動的な政治的現場に居合わせたことがありました。久間大臣、大いに研究をしていただいて、この問題につきまして何か一つ御在任中にでも前向きにやっていただけるといいんじゃないかなという気がするのでありますが、御見解をひとつ。
  44. 久間章生

    久間国務大臣 若干委員と見解を異にするのかもしれません。といいますのは、確かにたくさんつくって輸出するようなことになれば、単価も安くなって、それだけまた防衛費は少なくなってくる、論理的にはそういうことになります。  ただ、我が国は国際紛争等を助長することを回避するというような目的でもって、武器についてもそういう観点から輸出をしないということを決めておりまして、それはそれなりに今の国際社会においては一つの役割を果たしておるんじゃないか、そういう気がするわけでございます。  それを委員から見れば少しやせ我慢だと言われるかもしれませんけれども、日本は戦後こうしてずっと、いわゆる自衛隊は持ちますけれども、とにかくそういう紛争については、極力国際紛争を減らしていく方向に努力するんだという姿勢が世界じゅうで認知されてきておるようなこともございますので、現在、政府が国際紛争等を助長することを回避するため武器輸出禁止の三原則を貫いていくという姿勢はこれからも持ち続けていきたいというふうに私は思いますので、若干委員とはその辺においては見解を異にするのかもしれません。  世界じゅうがとにかく大きな組織体の中で監視されて、統一されて、そのもとで武器がきちっと管理されながらあるという状態ならともかく、今はそんな状況がまだ世界的にできていないわけでございますから、自分のところでつくった武器がどんどん世界各国に散らばっていって、それで、いわゆる武力衝突が行われたときに日本製の武器が使われておるというようなことはあってはならないことじゃないかという気がいたしますので、その点で若干違うんじゃないかという気がいたしております。
  45. 村井仁

    ○村井委員 武器というのは、必ず人を殺傷するというふうに決めつけてしまうのも、これはなかなか難しい問題でありまして、これはさっきも大臣御自身もお認めになったことですけれども、防衛力というのは抑止力なんですね。そういう意味で、必ずしも使われるというものでもない。しかし、使うとなれば使えるぞということで抑止が効くんですね。  そればかりじゃない。これは大変ややこしい話になっていきますからあえてお答えを求めませんが、例えば地雷探知装置。地雷をどうやって除去するか、これは世界的に大変大きな話題になっていますね、条約の問題もありますし。だけれども、地雷探知装置もやはり武器なんですね。それで、輸出はできないんですね、今のままですと。しかし、日本の技術をもってすれば、例えば金属探知器にしても金属探知のシステムにしても、あるいは非金属のものを何らかの形で探知する能力にしても、私は恐らくポテンシャルとしては相当なものをつくり得るんじゃないかと思うんです。そういうものは、逆に平和を維持する手段にも十分なり得るだろうと私は思うんですね。日本のものを出すのがいかぬのだと決めつける時期じゃないんじゃないかという気がするんですよ。そういう意味で私は申し上げているんです。
  46. 久間章生

    久間国務大臣 だから、私も言葉を選んで言っておりますのは、従来の政府見解も、国際紛争等を助長するのを回避するためにという縛りをつけて従来の政府が使っておるわけでございますから、平和が確立されて、その平和を守っていくために、その地域で一般住民の方々に、例えば地雷の除去が必要な場合に、それについてどうかというと、従来の考えでいくとできないということになるのかもしれません。それは、まだそういう時代要請が来た場合に議論されるべきことかもしれませんけれども、少なくとも現在とっておる政府武器輸出禁止の三原則というのは、頭にそういう縛りのちゃんとついたことでございます。  その辺については、我が国のみんながどういう考え方でどういうふうに整理をされていくか。これは正直言いまして、先般、外国で油が流れたときに、そこに行ってその油をくみ取る作業をする人たち、新聞記者もひっくるめて、その防除のためのマスクも、我が国武器輸出三原則にひっかかるからマスクもはめられないということで、わざわざヨーロッパ製を買ったという話も聞いております。したがいまして、こういうことについてはみんなが議論をして、果たしてこれが武器輸出三原則という従来政府がとってきた延長にあるものなのかどうか、その辺はみんなが議論すればいいことでございますけれども、従来の解釈でいくと、やはりこれも一応できないということで、その当時は外国から買ったそうでございます。  そういうことで答えになるかどうかわかりませんけれども、今言いましたように、国際紛争をとにかく助長するのを回避するため、こういうものをやっておるということでございますので、よろしく御理解のほどをお願いします。
  47. 村井仁

    ○村井委員 大臣、非常にいい例を今お出しいただいたんですが、そのとおりなんですよ。国際紛争を助長するような武器の輸出はいけない、この原点に戻ればいいんですよ。  それを、大臣、例えばそういうマスクを出しちゃいけないとだれが決めているんですか。それは役人が決めているわけでしょう。それは、私は非常にある面では情けないことだと思うんですね。率直に申しまして、こういう問題というのは、私も役人をしていましたからよくわかるんですけれども、とても役人はそんな思い切ったことはできませんよ。自分の目の前をきれいに掃いて、私は責任ありません、私のところは大丈夫です、大臣、ここのところは安心してください、これを言うのはある意味では役人の務めなんですよ。役人はそれ以上のことをやっては越権なんです。大臣こそ、政治家こそ、そういうところで氷を割らなきゃだめなんですよ。私は、だからあえてこういう問題提起をしているのであります。  私は、今の防衛費のあり方、使われ方、正面装備の削られ方、それから防衛産業におけるラインの細くなったことに率直に危機感を覚えているのです。今の正面装備に投ずる金額が限度があるために何が起きているか。防衛庁はここ数年にわたって、これはやむを得ないことだから――私はそれは今のところやむを得ないことだと思って見ていますけれども、いわゆる実験的に開発、試作をする、こういう方向にずっと走ってきているんですね。そして開発、試作をしてできた装備品は、これは大量生産しない、そういう技術を維持するだけ、開発ができたからいいじゃないか、これで行こう、こういう感じになっているんですね。私は、これだと職人芸、職人の技術、職人の技能というものは維持されるかもしれないが、いざというときに使えるような生産力、これはラインを維持するのでなければとても維持できないと思っているんですよ。実は、そういう状態は、残念ながら今の日本の防衛生産の世界ではできていないんですね、兵器廠というものを持っていない日本では。  結局、民間が担当している生産ラインというものは、ある意味では防衛力の非常に重要な一部をなしているわけですよね。そのことは、大臣、百も御承知のことだと思います。そういう意味で、私は、このラインを何とか維持するような方向に、思い切ったことをこれから考えていっていただかなきゃいけないんじゃないだろうか、それはやはり政治的な決断というものなんだろうと思うのです。そのあたり、大臣、もう一回御見解を聞かせていただけませんか。装備局長、要らない。あくまで大臣の御見解を聞きたいんだ。装備局長の話を聞く必要はない。
  48. 久間章生

    久間国務大臣 今、装備局長は細かいことで答えようとされたのかもしれませんけれども……(村井委員「いや、細かいことは聞いていませんよ」と呼ぶ)確かに、大量生産をやらないと生産ラインに乗らないというのはわかるわけでございます。しかし、我が国は、御承知のとおり、戦後これだけ長い間、いわゆる武器は外国に出さない、我が国で使うものだけだということでやってきながら、そういう中で、我が国の防衛産業と言っていいのかどうかわかりませんけれども、民需を担当する企業が、それとあわせて防衛産業の一翼もやりながら今日まで来ておるわけでございます。  そういう意味では、試作品をつくるだけで終わっているということじゃなくて、試作品をつくって、それがすばらしいものであれば、それを実用化して、また我が国の防衛にそれを使ってきて、十分じゃないかもしれませんけれども、今日まで曲がりなりにもやってきておるわけでございます。決して村井委員が言われるほど、単なる試作品だけで終わってしまって、それで満足しているということじゃなくて、それをさらに防衛産業の一つとして我が国の防衛にも役立たせてきたという事実もあるわけでございますから、私は、これから先、確かに正面装備がだんだん減っていく、そういう中で、そういう生産ラインが持てるのかという御指摘も、そういう危惧もないとは言えませんけれども、それで全部だめになってしまうという、そんな弱いものじゃないんじゃないか、我が国の産業というのは結構力はあるんじゃないかというふうに思っております。  そうはいいましても、確かに昨今は数は減ってきておるわけでございまして、むしろ開発費とか単価が高くなってきているわけでございますから、防衛予算の金額だけ見るのじゃなくて、ボリュームで、量で見た場合には、生産ラインにはなかなかきついんじゃないかなという委員の御指摘もわかるような気がいたします。  しかし、そういう中ではございますけれども、先ほどから言っておりますように、我が国武器を外国へ出さない、特に国際紛争で使われるような、そういう使われ方をするような武器については、とにかく技術も含めて出さないんだ、そういうことをとってきておることがまた別の面ではいい面もあるわけでございますので、とにかくもうしばらくといいますか、これから先もそういうようなぎりぎりの努力を民間産業にもやってもらう、そういう中で頑張っていく以外に仕方がない点もあるんじゃないか、そういうふうに思うわけでございまして、これもちょっと委員のお気持ちとは若干ずれる点があるかもしれません。
  49. 村井仁

    ○村井委員 同盟国あるいは準同盟国といったところに結果的に供与されるような状態くらいは認めていってもいいのじゃないだろうかという問題提起を私は申し上げているわけです。
  50. 久間章生

    久間国務大臣 日本とアメリカの関係は、戦後一貫して日米安保条約という同盟関係で結ばれておりますので、日本としてはアメリカに対しては、これは武器技術についての輸出も、そういう実績の上に立って、信頼関係の上に立って、一〇〇%とにかく認めている格好になっているわけでございます。  しかしながら、そのアメリカがどこの国と結んで、どういうふうに広がっていくかについては、これは他国のことでございますから、やはり気になるわけです。だから、日本としては、アメリカまではそういうことについては認めておりますけれども、それから先のことは認めていないために、大量に生産して世界各国に散らばっていくということ、あるいは同盟国であるといえども、そういうところに散らばっていくことのないようにしている。それは、日本とアメリカとの関係以外の国については、日本から見ればそういう同盟関係にないわけでございますので、やむを得ない点もあるのじゃなかろうか、そういうふうに思うわけでございます。
  51. 村井仁

    ○村井委員 大臣、またお時間がおできになりましたら、ぜひ国内の武器をつくっている会社の状態を見ていただきたい。非常に大変な状態であるということを恐らく御理解いただけるだろうと思いますし、日本の防衛力維持のために政治的な決断が必要な時期が遠からず来るということを、あえてこの機会に記録にとどめておくためにも私は申し上げておきたいと思います。  もう一つ、いわゆる即応予備自衛官制度につきまして、私はこれは率直に申しまして、これまであいていた定数を削って実質をとる方向に持っていこうということで一つの進展である、このように積極的に評価したい、こんなふうに思っております。  そのことをまず申し上げた上で、数が減り、あるいは一たん退職した人を中心即応予備自衛官を採用するということになりますと、これは午前中、教育訓練局長の粟さんが、装備近代化を図らなきゃならないというようなこともおっしゃいました。私は、全くそういう問題意識でさっきの議論もさせていただいたわけで、装備の面でもっと金をかけていかなきゃならないのじゃないかという気がするんですよね。いつも訓練をやっている人だったらいいですけれども、年間三十日しか訓練をやらない人が入ってくるということになりますと、その装備品が途端にちょっとトラブルを起こしたというようなことでは、これはなかなかうまく活動ができない。  そういう意味では、私は、そういう体制を入れることによって、今まで触れたような装備品近代化、高度化というような努力がますます必要になるのじゃないかということをもう一度申し上げました上で、即応予備自衛官制度、これは企業協力を得なきゃならないわけですけれども、五十万円ですか、五十万何がしかの金額の給付金をこの採用企業に給付するというような形になっているわけでありますけれども、それで本当に十分な人員を採用できるのだろうか、どうなんだろうか。私は、この制度自体を評価しますだけに、ほかに何か手を尽くしていかなきゃいけないのじゃないかな、こういう問題意識があるわけであります。  具体的にどうということを言っていただく必要はないわけでありますけれども、この制度を創設する時期の大臣でもいらっしゃるわけでありますから、ぜひ大臣から、この制度を定着させるために、それ以外にもできるだけの努力をするということにつきまして、基本的な姿勢をぜひお話しいただきたい。
  52. 久間章生

    久間国務大臣 企業に対するそういうような給付金といいますか、協力をしてもらう企業に対する助成金といいますか、そういう形で完璧かというと、それはそういうことじゃございませんで、自衛官がやめてから就職しておる会社に対してこの制度そのものを理解していただく、そしてまた、会社だけではなくて、ほかの一般の人たちにも即応予備自衛官に対する温かい雰囲気をつくってもらう、そういうことが一番大事なことでございますので、そういう広報活動にはこれから先も努めていこうと思っております。  そして、今言いました給付金が、積算根拠はもちろんありますけれども、これで十分機能するのかどうか、これはスタートでございまして、これを定着させるべくいろいろな努力をしてみて、その中で今後また必要ならば議論しなければならないと思いますけれども、一応こういう形でスタートして、できるんじゃないかというような感じを持ってスタートさせようとしておるわけでございますので、私どもも、これから先、ことしの予算が通りましたら、四月から早速広報活動を行いまして、御理解を賜りながらこの制度の定着化を図っていこうと思います。  委員におかれましても、まだそういう点でひとつ御協力いただければ大変ありがたいと思っております。
  53. 村井仁

    ○村井委員 即応予備自衛官制度の採用とともに、師団の改編が行われまして、結果的に将来人数がぐっと小さくなりまして旅団編成に変わる、そういう師団も出てくると承知しております。私は、これはやむを得ないことでもあり、ある意味では陸上自衛隊のスリム化ということにつながるとは思うのですが、私はかねて非常に不思議というか問題だなと思っていたのは、実は制服自衛官の、特に高級自衛官処遇の問題なんです。  ずっと昔、私は内閣委員会でこの問題を一度取り上げてみたこともありますけれども、師団長の待遇というのは、たしか私の記憶では、指定職の三号俸という水準だったと承知しておりますけれども、私はこれは非常に低過ぎると思うのですね。これが旅団長になりますと、師団長は当然スリースターですけれども、要するに昔でいえば中将という格ですけれども、旅団長となりますと、これは本来でしたらワンスター、准将の世界なんですね。日本の場合、恐らく一佐じゃなくて将補のランクになるのかもしれないと思うのです。そうなりますと、指定職の中でもやはり待遇の面で下げられることになってしまうんじゃないか。私は、これを非常に懸念しておりまして、これは師団長の処遇を引き上げ、旅団長でもせめて三号俸くらいは与えられるような方向へ持っていくべきじゃないかと思うのです。  なぜそんな議論をするかというと、幹部自衛官、一年間に採用される人数は、私、正確に知りませんけれども、ざっと目安で勘定しまして、防衛大学校を出てそのまま自衛隊へ入る人が四百数十人、それに一般大学から入ってくる二百人弱あるいはその前後、合わせて六百人前後の方が幹部自衛官として一期で入ってくる。としますと、その中で将補に上がるのが厳選されて四十人。これは陸で二十人、それから空、海で十人ずつ。それから、この将補になった中で、さらにその同期の中で将まで進むのはせいぜい二十人。陸で十人、海空で五人ずつ。そう当たらずとも遠からずの数じゃないかと思うのです。そのくらいぎゅっと絞られるのですね。私は、この人たちには、いわゆる国家公務員上級甲のキャリアの皆さんの中でしかるべき地位に上がられる方々と同じ待遇を与えていいと思うのですよ。  普通、中二階と呼ばれるランクにいわゆるキャリアの事務官が上がっていきますと、これは飛びつきで大体指定職の四号俸になる。三号俸というのは、与えられても瞬間タッチですよ。ちょっと一時期三号俸にいて、三月くらいいて、すぐ四号俸になる。審議官とか部長、あるいは管区局長とかいうのもランクは大体四号俸。大体そんなことになっているはずです。  私は、制服の場合、いわゆるキャリア組に比べて、端的に申しまして、年次面で見ましても、数年おくれの扱いをされているのじゃないかという感じがするのですよ。これは私はぜひ改善を図っていただきたいと思います。いろいろ問題はあると思うのですけれども、大臣、これはぜひ大臣のリーダーシップで、制服の自衛官全体の話になったらこれまた大変ですけれども、本当に厳選された方々なんですから。これを、事務官といいますか、いわゆる背広の皆さんとえらい大きな差がついている状態というのは、余り芳しい状態じゃないのじゃないかと私は思っています。そのあたり、ひとつお考えを。     〔委員長退席、平田委員長代理着席〕
  54. 久間章生

    久間国務大臣 自衛官処遇については、従来から、各官職の職務の重要性と責任の度合いでそれぞれの適正な処遇がなされるように努めてきたところでございまして、特に今言われました指定職の三号から四号に、平成六年、七年、九年と各師団長を引き上げもしてきたわけでございます。  今後、一部の師団については旅団への改編等も予定されているわけでございますけれども、その改編に伴う官職の格付については、官職の職責等を評価した上で、適正な処遇が図られるよう今後とも努めていきたいと思います。今の委員の言われた御指摘の点についても念頭に置きながら、これはすぐにどうこうじゃございませんけれども、なかなかできないかもしれませんけれども、その辺逐次、今までもやってきたわけでございますので、これから先も、そういうような適正な判定が下せるよう、そういう格付等についても引き続き努力してまいりたいと思っております。
  55. 村井仁

    ○村井委員 私の一番懸念していますのは、師団から旅団に改編されました場合に、格下げになるというようなことにならないように、今でも低いのだから、大臣、これはしっかりお願いします。  それで、実は私ちょっと所用がございまして、申しわけない、時間いっぱい使わずに失礼するかもしれませんが、最後に大臣に教えていただきたいのは、沖縄の問題もございますし、いろいろな意味で、アメリカ国防総省で現在進められておりますいわゆるQDRの問題でございますけれども、日本の中でも非常に関心がある。アメリカの日本におけるプレゼンスあるいは極東におけるプレゼンス、これがどういうことになるだろうか。  ことしのQDR、今回のQDRはとりわけて非常に注目を浴びております。これはまさに文字どおり四年に一回恒常的に米政府がやるレビューであることはそのとおりでありますけれども、ことしくらい注目されていることはないのじゃないかと思うのでありますけれども、これの影響と申しましょうか、これの結果と申しましょうか、もちろん今予測すべくもないが、大臣のお立場で、現在持っておられる情報の限りで、お見通し、どんなふうにごらんになっていらっしゃるか、ぜひ御見解をお聞かせいただきたいと思います。
  56. 久間章生

    久間国務大臣 予算委員会のときもたびたび、御党の委員さんだったと思いますけれども、QDRにおいて見直しが行われるのじゃないかという質問をされたわけでございます。それは直接私に対するものじゃなくて、そのときは外務大臣が答えられましたけれども。  ペリー前国防長官が私のところに来られてお会いしましたときに、はっきりと、自分がやめられる直前であるにもかかわらず、この現在の十万人体制は現在の国際情勢では変えないということを強く言われたわけでございます。私はそれを聞きながら、自分がやめて、かわりの人が後任になるときに、それなのにそこまで言われるというのは、これはよっぽどかたいんだなという感じを受けておりました。だから、いろいろな議論がありながらも、私は、今度の五月のQDR、現在の状態が、全体の米軍の構成はどうか別としまして、少なくともこのアジア・太平洋地域の十万人体制というのは変わらないという感じをそのとき強く受けましたけれども、それは今でも変わっておりません。  そして、先般、これは別のルートで、外務省に対してその旨をペーパーでいただいたということを外務省から回してもらっておりますから、そういう点でも、これの現在の体制といいますか、これは将来は別として、少なくとも今度の五月のQDRでは変わらない、そういうふうに私は思っております。
  57. 村井仁

    ○村井委員 大変恐縮でございますが、ちょっと時間が早いですけれども、これで私の質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  58. 平田米男

    ○平田委員長代理 次に、安住淳君。
  59. 安住淳

    ○安住委員 民主党の安住でございます。  きょうは、時間を四十五分いただきましたので、三点について質問をさせていただきます。一点目が軍事情報革命というか今後の二十一世紀の防衛に与える影響、それから即応予備自衛官と、時間があれば沖縄の問題についても触れさせていただきたいと思います。  ところで、長官、突然の質問で大変恐縮なんですが、この暮れに大変はやった映画がありまして、「インデペンデンス・デイ」というハリウッド映画なんですけれども、ごらんになったことがございますか。
  60. 久間章生

    久間国務大臣 私は、最近ほとんど映画を見ておりませんので、残念ながら見ておりません。
  61. 安住淳

    ○安住委員 実は、この映画は、宇宙軍が攻めてきて、アメリカの大統領が地球防衛軍の司令官になりまして、一挙にその宇宙軍をやっつけるという映画なんです。私、これを見ていまして非常に感じたのが、情報防御システムというか、つまり相手の攻撃力をコンピューターウイルスを侵入させることによって破壊をすることで、それがこちらの大きな威力になっていく。この映画については、実は、アメリカの国防総省の分析研究所のマイケル・グリーン氏も各種論文なんかで書いてあるのですが、二十一世紀の戦争体系をいわば示唆するものであるというような言い方をしているのです。  そこで、このことについての認識といいますか、私もまだ三十五でありますから、戦争の体験もございませんし、本当のことを言うとテレビでしか戦争というのは見ていないわけです。だけれども、ベトナム戦争と一九九一年の湾岸戦争というのは、私の目から見ていて非常に形態が変わったなと実は感じておるのです。  そこで、長官に一言お伺いしたいのですが、一九九一年の湾岸戦争、あの戦争そのものを軍事情報技術の点からごらんになったときに、どのように総括をなさいますか。
  62. 秋山昌廣

    秋山(昌)政府委員 湾岸戦争におきまして、御指摘のとおり、情報関連あるいはコンピューターシステムを駆使したようないろいろな機能というのが目の当たりにされたわけでございます。精密誘導技術あるいは目標探知技術、特に指揮通信技術、そういった面での最先端技術を応用した兵器の有効性というものがテレビでも報道され、実証されたという気がいたしますし、同時に、その技術水準の差が戦闘の帰趨を決定づけることが示されたというふうに思うわけでございます。  その意味で、防衛庁といたしましては、今後とも質の高い技術を維持することは非常に重要なことだと考えております。防衛大綱におきましても、「技術進歩のすう勢に対応し、防衛力の質的水準の維持向上に資するため、技術研究開発の態勢の充実に努める。」というふうにしておりまして、こういった面でも努力してまいりたいと考えております。
  63. 安住淳

    ○安住委員 確かに湾岸戦争は、私が見ている限りでも、戦争の形態を根本的に変えたのじゃないかと思います。実は、後で即応予備自衛官のときに関連で質問をしようと思いますが、あのとき、アメリカ軍を中心とする部隊というのはたしか五十四万人だったと認識をしているのです。間違っていれば後で数字を訂正していただきたいのですが、予備役がその中に十七万人ぐらいいたのじゃないか。しかし、湾岸戦争の中で、五十四万人の部隊の中で実際に戦闘行為に参加をしたのは非常にごく少数であった。つまり、どういうことかというと、非常に遠距離の標的に対して正確な攻撃システムを持っている、それから指令制御システムを非常に高めた、それから情報提供システム、この三つのシステムの中のシステムをうまく組み立てることによってアメリカ軍は近代戦争のいわば一つのモデルケースをその時点で示したと言われているわけであります。  そういう点からいうと、この湾岸戦争に――先ほどちょっと入り口のところで映画の話をさせていただきましたけれども、私は、我が国防衛力整備という点からいっても、今後、先端技術、高度情報システムのウエートというのが非常に高まってくるのだと思うのですが、長官の認識をお聞かせ願いたいと思います。
  64. 久間章生

    久間国務大臣 我が国は、幸いに、いわゆる民需の、民間産業においては情報産業ではかなり進んでいるのじゃないか、そういう気がいたしております、軍事面にそれをどういうふうに使ってどうこうするというのは私もわからぬ点がありますけれども。だから、我が国のいわゆる技術レベルで比較するならば、他国にはそうおくれはとっていない。ただ、それを有効に使うシステム等が完備されているかどうか、そこの辺についてはこれから先努力していかなければならないと思っております。
  65. 安住淳

    ○安住委員 長官、大変失礼ですが、本当に他国に軍事技術面で、情報システムの面でおくれをとっていないというふうな認識をなさっていますか。
  66. 久間章生

    久間国務大臣 いや、軍事面でと言っているのじゃなくて、情報産業といいますか、そういう点で、我が国の国全体のレベル、水準はおくれをとっていないということを言っているわけでございまして、これを、いわゆる防衛産業といいますか、防衛面でどのようにシステム化しておくれをとらないようにやっていくか、これはこれから先の問題だと思いますけれども、少なくとも総合力としては、情報産業において我が国もかなりの力を持っておるということを言いたかったわけでございます。
  67. 安住淳

    ○安住委員 最近、ペリー前国防長官が論文の中で、核の傘から情報の傘へというふうにアメリカの戦略は変わりつつあるというふうな認識を示していらっしゃるのですね。これがアメリカの軍事面での主流のものなのかどうかということまで私はちょっとわからないのですが、しかし、私は、ある意味では、湾岸戦争を見て感じたときに、非常に説得力があるなと思ったのです。  このことについては、私は二十一世紀の近未来の我が国の戦略防衛構想の中で非常に骨となる部分だと思いますので、その点の認識が本当に防衛庁としてあるのかどうかというのをちょっと確認をしたいのです。
  68. 秋山昌廣

    秋山(昌)政府委員 私もその核の傘から情報の傘へという意見を見た記憶がございます。多分、その趣旨は、情報の重要性あるいはインテリジェンスの重要性という点と、それから装備品あるいは武器の中に占めるいわゆるコンピュータライゼーションといいましょうか、ソフト開発も含めたそういう面での重要性を非常に強く主張するがための一つの言い方であったかと思います。  先ほど申し上げましたように、新しい防衛大綱でも情報・指揮通信機能というものの重要性を特にうたっておりまして、そういった面で、例えばことしの一月から情報本部を設置するとかあるいは指揮通信関係の予算に重点を置くとか、そういう分野で防衛庁としても今後努力していきたいというふうに考えているところでございます。
  69. 安住淳

    ○安住委員 私がぜひ答弁していただきたいのは、情報本部をつくったとかそういう直近の問題じゃなくて、今後五年後、十年後の我が国の防衛構想というのは、正面装備充実していくだけで本当にいいのかというと、私は必ずしもそうではないのではないかなという認識を持っていましたものですから、そこのところの認識を聞きたかったわけです。  つまり、核の傘というのはまさに核の傘ですけれども、今言われているのは核を作動させないシステムを持つことが最大の傘であるというふうな認識を、アメリカの軍事研究者の中には何人かがそれを主張して、国防総省の中にもそれに対する支持派が非常に多い。国防総省内部でも、この軍事情報技術といいますか、このことについて非常にウエートを高めていくべきだという意見が非常に強くなってきたという話を聞いたものですから、今後の我が国の防衛構想の中で、この軍事情報技術というものが非常に高いウエートを占めるのではないかと私は思っていたものですから、長官、これは首をひねらなくて、こういう認識は非常に重要だと僕は思います。  要するに、これはこれからどこにウエートを置いて我が国の防衛を築いていくのかという重要な話ですから、これは長官としてぜひその点の見通しというか認識をきちっと示していただきたいと思います。
  70. 久間章生

    久間国務大臣 私の理解力が不十分なのかもしれませんけれども、核の傘というか核のウエートが、冷戦構造がなくなりましてから、かなりの部分で非常にウエートが減ってきたというのはわかります。また、いろいろな戦争が起きたときに、この間の湾岸戦争等で見られますように、ハイテク化されておりますだけに、情報産業を中心とした、そういった面でのウエートも高まっているのはわかります。  しかしながら、かといって正面装備なしで情報産業で国を守れるかというと、これまたできないわけでございます。正面装備装備として備えながら、しかし、新しいハイテク時代に対応した、そういう情報産業の中で育ってきた情報技術というのを十分に駆使する体制をつくっておかなきゃならない、そういう意味でおっしゃるのならば、その趣旨はわかりますし、その努力をしなければならないと思いますけれども、いわゆる情報技術だけでとにかく核の傘時代のそれに匹敵するような、情報の傘の下に入ってしまえばそれで済むということにはならないんじゃなかろうか。  我が国の場合は、核の傘に入るというのは、我が国はあくまで核を持たないということでございますから、アメリカの核の傘に入らない限りは相手国が核を持っている場合には対応できないというようなことで、そういうような選択を選んだわけでございますけれども、情報技術については、これはまた別じゃないかという気がします。  委員の御趣旨をきちっととらえていないのかもしれません。そういう点では、もし答弁になっていなかったら大変失礼なことになるかと思いますけれども、お許しいただきたいと思います。
  71. 安住淳

    ○安住委員 核の傘が要らないと言っているわけではないのです。これからの戦略防衛構想の中で、私は避けようにも避けられない問題だという話をしているのです。  つまり、我が国の防衛構想の中で――では、長官の思っていらっしゃる近代戦争というのはどういうものなのですか。つまり、大量に自衛隊が戦闘行為をする、いろいろな形態がありますよね、例えば領土拡大戦争をイメージしているとか。つまり、近代戦争というのがどういうものであって、そのためにどういうシステムが今必要なのかという話を僕はしているわけです。  私が言っているのは、近代戦を戦う上で九一年の湾岸戦争というのは非常に参考になったというふうに思っていますから、それをベースに考えたときに、組み立てていけば、情報技術革命というか軍事技術の革命というものをやはりかなり強く認識をしていかないといけないのではないかなという話をしているのです。
  72. 秋山昌廣

    秋山(昌)政府委員 先ほどちょっと申し上げましたが、いわゆるC3あるいはC3Iという言葉がございますけれども、その機能武器とか装備の中にもありますし、あるいは情報・指揮通信機能という面にもあるわけでございますが、いわゆるC3Iとか、C4Iとか最近言われておりますけれども、そういった面について極めて重視する形で今回防衛大綱をつくったという背景はございます。  したがいまして、それに基づいて中期防にいろいろと情報・指揮通信機能の拡充を織り込んでいるわけでございます。例えば防衛大綱の中で「各種の態勢」というところに、今回「警戒、情報及び指揮通信の態勢」という項目を立てまして   情勢の変化を早期に察知し、機敏な意思決定に資するため、常時継続的に警戒監視を行うとともに、多様な情報収集手段の保有及び能力の高い情報専門家の確保を通じ、戦略情報を含む高度の情報収集・分析等を実施し得ること。   また、高度の指揮通信機能を保持し、統合的な観点も踏まえて防衛力の有機的な運用を迅速かつ適切になし得ること。 というふうに書き込まれているわけでございます。  前大綱でどう書いてあったかというのをここで御紹介する時間もあれですから省略いたしますけれども、この新しい防衛大綱を書き込むときに、そういう今委員指摘のような点を重視して書いたということでございます。
  73. 安住淳

    ○安住委員 情報本部をつくったということでありますが、それはそれで評価はいたします。  しかし、一線の、例えば私、同じ世代の防大出身者とこの間ちょっと話す機会があったのですが、この話をしたらば、技術の将校の皆さんが、まさに我が国自衛隊のシステムの中で一番欠落している部分だと言っているのですよ。私は、やはり陸海空という枠を超えて、情報システムというのをかなり円滑に、システムの中のシステムと位置づけて、横の連絡を密にしてやるコントロールタワーとなるべきだと思います、情報本部が。  つまり、何でそういうことを言うかというと、アメリカもまだ縦割りでして、例えば陸軍の持っている空対空ミサイルが海軍の持っているイージス艦で使えないのですよ、制御システムが。そういうのを、アメリカでは国防総省の予算を上げて相互乗り入れできるようなシステムにしようということで今動き始めているというわけです。それから比べると、残念ながら、我が国の態勢はどうかというと、非常に疑問を感じておる。  なぜかというと、例えば予算面で見ましても、これは私の認識が間違っているかもしれませんが、指揮通信・情報機能充実の関連の予算というのは、これはちょっと確認しますが、一千億ちょっとでよろしゅうございますか。
  74. 鴇田勝彦

    ○鴇田政府委員 委員御質問の指揮通信・情報に関する予算、これは明確に定義もございませんし、どこまで含めるかという問題があろうかと思いますが、私どもが使っております公表資料であります平成九年度予算案の大要では、指揮通信・情報機能充実のための経費として約千三十六億円、これは防衛費の約二二%を占めてございます。  ただ、今委員も御指摘になりましたように、どこまで情報の予算の範囲を広げるか。情報本部の予算も五十数億ございますし、そういった意味で、これ以外にも情報対策の予算が含まれているという点があろうかと思います。
  75. 安住淳

    ○安住委員 長官、今お聞きのとおりで、わずか二%でございまして、私は予算の面でもっとこの部分が大きくなっていかないといけないと思っているのと、それからやはり人を育てないといけないと思います。今やアメリカでは、ビル・ゲイツ並みの知識量を持ってコンピューターウイルスを、シールドを破れるような男は一師団分の兵力だと言われています。私は、そういう意味では、そういうふうな人を育てていくシステムが必要だと思います。  では、新しくなった防衛大綱を私も読ませていただきましたけれども、防衛大学校の中で、この種の教育については、本当に前と今とで変わった教育をなさっていますか。
  76. 粟威之

    粟政府委員 今、防衛大学校でどういう教育をしているかと申しますと、防衛大学校は理工科系と人文科学系とございますが、すべての学生に対して、基礎教育として情報処理科目を履修させております。また、理工科系の専攻の中で情報工学科の学生に対しては、コンピューターシステムに関する理論とその応用について教育を行っておりますが、いずれも、防衛大学校は将来幹部自衛官となる者に必要な基礎学力及び技能を育成するという観点から教育を行っているところでございます。  また、防衛大学校は理工科系の研究科というのがございます。ここにおきましては、情報数理専攻の学生に対しては、情報システムに関する高度の理論とその応用について一般の大学院と同程度の教育を行っているところでございます。
  77. 安住淳

    ○安住委員 アメリカの国防総省との間では頻繁に各レベルで防衛庁の皆さんは接触をなさっているんだろうと思いますけれども、この種のことで意見の交換といいますか、そういうことは定期的にやっているとかということはないんでしょうか。
  78. 秋山昌廣

    秋山(昌)政府委員 先ほども答弁いたしましたけれども、いわゆるインテリジェンス、情報関係については、当然のことながらいろいろな施設整備の問題も含めまして意見交換を行っております。それから、武器あるいは装備の中に組み込まれた形でのC3あるいはC4あるいは指揮統制といったような分野については、いろいろなシステムについては、それぞれの装備の購入に当たり米側のシステムを参考にすることが多いものでございますから、そういう議論は常にやっていると言えると思います。
  79. 安住淳

    ○安住委員 そこで、ちょっと具体的な話になりますが、情報本部で衛星の画像等についてどのように収集をしていらっしゃるか、これは次にいかに情報をとるかという手足の話を少ししたいと思いますので、とりあえずその点を御説明願えますか。
  80. 秋山昌廣

    秋山(昌)政府委員 従来から、防衛庁は各種の情報源からの情報の収集、整理に努めているところでございますけれども、御質問の画像情報の入手につきましては、米国が打ち上げました地球観測衛星であるランドサット、それからフランスが打ち上げた地球観測衛星でございますSPOT、これにつきましては、同衛星からの受信データは広く一般に提供されていることでもございまして、我が国におきましても、リモートセンシング技術センターを通じて受信データが広く提供されている状況でございます。  防衛庁におきましても、これを利用いたしまして、このデータを使っているということでございます。
  81. 安住淳

    ○安住委員 長官、お伺いしますが、そろそろこの衛星の問題、我が国も昭和四十四年の国会決議等があってなかなかこれは利用できないわけですが、たとえ同盟国といえども、今防衛局長がおっしゃったように、他国の情報を買っているわけですね。しかし、私は、これで本当に情報の戦争に勝てるのかというのは非常に疑問に思うんですが、長官、これはとりあえず認識をまず聞かせてください。
  82. 久間章生

    久間国務大臣 偵察衛星に大変関心を持っているのは事実でございますけれども、現在、それをみずから持つことについての構想ないし計画というのは、正直言ってございません。  これが、将来、科学技術の発達により偵察衛星と同じような機能を有する衛星の利用が一般化した状態になってくれば、それを利用することによっていろいろな意味で、というのは、今の衛星もそうですけれども、かなり解析度その他が高まってきておりますので、一般衛星のそういうような機能が非常に技術が進んできたら、それを利用させてもらってもいいんじゃないか、そういうような感じでございます。
  83. 安住淳

    ○安住委員 外務省に伺いますが、外務省所管の予算の中で情報処理業務庁費というのがありますね。これはどういう予算でございますか。
  84. 福島実

    福島説明員 お答えします。  私ども、既に衛星の画像をある程度入手して、衛星を通じた情報の入手ということをやっております。  平成九年度の予算案におきまして関連の調査費を計上させていただいておりますが、我が国外交の推進にとって通信機能と並び情報機能充実が極めて重要と私ども認識しておりまして、かかる観点から情報衛星というのは有力な情報手段の一つであると考えております。  この調査費は、金額にしまして約五百十三万円を計上させていただいておりますが、これは情報収集衛星についての政策の立案のための判断材料を得るということを目的としたものでございます。具体的には、関係国により既に打ち上げられている情報収集衛星についての利用状況の調査、その性能に関する諸データの収集、そして衛星を運用する際の各国の国内体制並びに衛星を購入または開発あるいは運用するにおける各国の国内法制上の問題点及び所要経費等について調査する予定でございます。
  85. 安住淳

    ○安住委員 要するに、調査費をつけて利用状況等を調べているということでありますけれども、例えば北朝鮮の情勢なんかについて、これは安全保障の観点からどういうふうな入手経路で北朝鮮の軍事衛星情報を買っているのかどうか、その辺は全く明らかにできない、防衛局長、そういうことでございましたよね。
  86. 秋山昌廣

    秋山(昌)政府委員 先ほど申し上げましたように、今防衛庁としてはランドサットあるいはSPOTから画像情報を購入しているわけでございます。そして、その画像の場所については、これは防衛庁として情報収集の、対外的な関係で公にすることは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、我々が関心を持つ地域についての画像の情報収集を現在はこのランドサット、SPOTを通じてやっているところでございます。  ちなみに、ランドサットの画像は解析度が三十メーター、SPOTは十メーターでございますが、近々同じような形で一般に商業化された画像データとしてさらに解析度の高いもの、数メーターから一メーターに近いものが提供されるということでもございますので、防衛庁としては、そういう画像の購入も含めまして、十分な分析をしてまいりたい、かように考えているところでございます。
  87. 安住淳

    ○安住委員 長官、今手足の問題を少し話しましたけれども、要するにどういうことかというと、将来的な話です。ある意味では、例えば米軍を含めてこの極東に展開しているアメリカの兵力が、今すぐそう簡単に削減されるとは思いません。また、削減されるのがいいのか悪いのかという議論があると思うんです。しかし、私が今まで質問をしたこの軍事情報システムの向上、それから、それに基づく例えば衛星等の手足が充実してくれば、これも私が言っているというよりも、先ほどから言っているように、アメリカの各種論文の中にも載っているんですが、アジアの基地に保持する兵力が非常に少なくて済むのではないか、そういうことがアメリカでも議論として出てきているというふうに聞いているわけです。  そういうところからいうと、私は、当然科学技術の進歩が戦争の形態を変え、なおかつ今の我が国のある意味では米軍の前方展開そのもののスタイルというのを変えていく可能性が非常に高いのではないかな、そういうふうに認識をしているものですから、この質問をさせていただいたわけですね。これについて、局長で結構ですから、防衛局長、認識はいかがでございますか。
  88. 秋山昌廣

    秋山(昌)政府委員 軍事技術の高度化が今後いかなる影響をもたらすかにつきましては、当然防衛庁としても大変関心を有しているところでございます。  御指摘にございました在日米軍の駐留など、いわば米軍の前方展開兵力につきまして、軍事技術の高度化によりまして影響がないとはもちろん言えないと思うわけでございますけれども、他方、技術の向上、主として情報系統の技術の向上というのは、これは守る側も攻める側もあるわけでございますから、自分たちだけの技術が上がるわけではないという点。それから、米軍の前方展開戦力には、海兵隊に見られるように、いわば即応性のような能力がやはり必要でありまして、多分即応性というのは、一日でも二日でもおくれるとそれだけ被害が大きくなる、これは過去の戦いにおいても実証されているところでございますので、そういった問題。あるいは、米国の関与の目に見えるあかしといった、技術の進歩では代替し得ないような機能とか意義というものがあるわけでございます。  御指摘の軍事技術の高度化が、あるいは日米安保体制とかそういった面についての御指摘もあるのかもしれませんけれども、そういったことにいかなる影響を及ぼすかについては、現時点で一概に申すことはできないと考えております。
  89. 安住淳

    ○安住委員 私は、そういうことに対して、私どもの国の方からアメリカ軍に対して例えば問題を提起するとか、先端技術に対してある意味では非常にデリケートであってもらいたい、そういうことをぜひお願いしたいと思います。ですから、決して、現有しているものを否定して、架空の専有システムをつくれば現有兵力が要らないんだという話ではないのです。  しかし、ある意味では、それはシステムの中で、組み合わせの中でいろいろな可能性がこれからあるのであって、未来永劫、例えばこれから二十年も三十年も、今の極東の軍事情勢も随分変わると思いますし、それは一概には言えませんけれども、防衛というか純粋な軍事的な側面から考えれば、少なくとも、例えば長距離のミサイルというものが開発もされ得るのではないかと言われている。そういう点からいうと、決して将来の空想の話ではなくて、現実として、もう既にそういうことを視野に入れながら、アメリカ軍の前方でのプレゼンスというか、それを変え得るチャンスであるというふうに私は認識をしております。  この問題について、最後に長官、今までの議論を聞いていただいて、今後のことも含めて認識を教えてください。
  90. 久間章生

    久間国務大臣 私はどうも委員ほど、いわゆる情報産業といいますか情報技術といいますか、そういう分野に疎いからかもしれませんけれども、米軍なら米軍の抑止力というのは、戦ったときにどうこうじゃなくて、そこにおるということで一つの抑止力になる場合があるわけでございまして、情報技術だけではなくて、よそからそこまで運んでくるよりも、そこにおることで抑止力が働いている面が実はあるわけでございます。  確かに、情報が早くとれるようになると、攻撃をしかける前にそれをキャッチする、そうすれば、少々遠くても移動が可能であるというふうに言えるかもしれませんが、例えが悪いかもしれませんけれども、かつて朝鮮動乱がありましたときに、北の方がさっと攻め込んで、ソウルの方に一日も早くばっと来てしまいました。今度はこっちから盛り返すために、ソウルをたたくわけにはいかぬわけでございます、ソウルに入ってしまいましたから。だから、現在、米軍がいわゆる一番前方に展開しておるわけでございます。  だから、そういうことを考えますと、委員指摘のように、情報技術が将来発達していったならばプレゼンスはなくてもいいのかといいますと、必ずしもそうは言えないんじゃないか。むしろそれよりも、外交努力なりいろんな面で努力をすることによって、現在のような緊張した国際情勢が解きほぐされて、そういうようなことをしたら損だということになって初めて前方展開する必要もないし、お互いがそれぞれの軍備をちゃんと備えておけばそれでいいんだというふうになれれば一番いいんじゃないかと思いますけれども、情報技術産業の発展だけで果たして日米安保条約に基づく前方展開が要らなくなるということまで今想像することは、私はなかなか難しいような気がしております。  ちょっと、情報技術の理解の仕方、のみ込みの仕方が委員ほどでないのかもしれませんけれども、まだまだそこまでの時代にはなっていないんじゃないか、あと五年や十年ではそう簡単にならないんじゃないか、そういう感じがしております。
  91. 安住淳

    ○安住委員 私というよりも、長官、これはアメリカから流れてきている話なんです。要するに、ペリーさんでさえそういうことを示唆しているわけです。だから、私が言っているのは、そういう認識を持つか持たないかで二十一世紀の私たちの国の防衛のあり方というのは随分変わるんですよという話なんです。  失礼ですけれども、朝鮮動乱の話を今ごろされては、私、ちょっと認識が違うなという感じはしました。ある意味では、私が思っていることは、もっと先のことを考えたときに、もちろんプレゼンスは必要だと私は言っているわけです。しかし、その比重というものは確実に薄まっているということなんです。  もし三十年前だったら、湾岸戦争は、多分五十四万人のうちの相当規模が砂漠の中で展開したと思いますよ、いろんな意味で、しかし、砂漠の嵐作戦というのは、実際にはそうはならなかった。それがなぜなのかというところをもう少し認識していただきたい、そういうことを私は言ったわけです。
  92. 久間章生

    久間国務大臣 確かに、湾岸戦争があんなに簡単に終わったというのは、彼我の、両方の情報技術にかなり差があったんじゃないかと思うのです。これが匹敵しておったら、そう簡単にいかない可能性があっただろうと思うのですよ。  だから、情報技術がすぐれておりさえすればいいというのではなくて、双方がこれから先発達してくるわけでございますから、今までおくれているところも、最近見ておりますと、各国がとにかく情報技術に力を入れて軍の近代化を図っておるのは間違いないわけでございますから、あの湾岸戦争が果たした役割というのは、いい意味では大変なプラスの面もあったかもしれませんけれども、マイナスの面では、おくれている部分が全部近代化を、とにかく情報技術を取り入れて、ハイテクを取り入れてということで軍拡に結びついていったんじゃないかという気がするわけでございます。  私は、朝鮮動乱云々と言いましたのは、本質的には、とにかくそこを占領されてしまって、占領地になってしまったところを奪回するのはなかなか大変なんだ、だから、なる前に、そういうことのないように侵略を防がなければならない、そこのところに前方展開という意味があるのであって、占領されるおそれがあるときにはそういうプレゼンスを置いておくということが大事なんで、それは、現在時点で考えたときに、なかなか簡単にぬぐい去るといいますか抜き去ることができないのではないかという認識を持っているということです。  例が悪かったかもしれませんけれども、朝鮮動乱というのは、さっと攻め込まれてしまってから、それを盛り返すためにどれだけ苦労したかということを言いたかったわけでございます。
  93. 安住淳

    ○安住委員 だから、今のままではその情報戦に負けるんじゃないかと私は思っていますので、そこをぜひちゃんとやってもらわないと、幾ら兵力を持っていても、それこそ、そこは長官おっしゃるとおりで、近代兵器を持っていたイラクでさえ、逆に言えば、百対ゼロの戦争になってしまうということを認識をして、組織面でも体制面でも整備をしてもらいたいということであります。  そこで、ちょっと時間がないので、即応予備自衛官のことについて一問と、沖縄の問題を一問だけ伺います。  即応予備自衛官、今ちょっと湾岸戦争のことを言いましたけれども、私は今度一つ問題があると思うのは、実戦部隊の中の代替の一つになるということになっていますが、実際、例えば湾岸戦争のときでも、予備役が約十五万人いて、その大体九〇%が後方支援部隊に回されたということなんですね。ですから、どうも、実戦部隊といいますか、現役部隊とこの予備役というのは、やはり運用面でかなり違いが出てくるのではないかなと思っています。ですから、そういう意味では、同じ部隊の横並びにするのが果たしていいのか悪いのか。  それから、この即応予備自衛官制度というよりも、予備役制度というものを根本的に充実させていくというか、そういうことをやらないと、今我が国では現役一に対して予備役〇・二、これは平和時の軍隊であって、有事のときはこういうことではとても対応ができない、そういうふうに私は認識をしております。ですから、この点について簡潔にお答えしていただけませんか。
  94. 秋山昌廣

    秋山(昌)政府委員 今回の新しい防衛大綱によりまして、特に陸上自衛隊について、合理化効率化コンパクト化という中で、必要な機能を確保するという観点でこの即応予備自衛官制度導入ということを考えているわけでございます。  現在も予備自衛官制度というのはあるわけでございますけれども、現在の予備自衛官は、実は陸上自衛隊編成の枠外といいますか、人的補完勢力ということで、防衛出動が発動になったときに部隊の守備あるいは後方支援ということに特化された機能を付与しているわけでございますけれども、今回導入しようといたします即応予備自衛官は、陸上自衛隊編成の枠内にありまして、出頭命令が出されれば、あらかじめ決められた部隊に配属になって活動をする。したがって、自衛隊行動として求められる防衛出動に限らず、治安出動あるいは災害派遣活動、そういったものにも対応するということで、招集されないときはもちろん部隊にはおりませんけれども、必要があるときに直ちにあらかじめ定められた部隊に配属して活動をする。しかも、防衛出動があった場合には、現在の予備自衛官とは異なりまして、その戦闘作戦地域で後方支援活動ないしは常備自衛官部隊の支援といったような活動をするものでございます。  各国にいろいろ予備役制度はございまして、日本と同じというものはなかなかないわけでございますけれども、若年人口が逓減する傾向の中で、あるいは経済財政事情の厳しい中で、我々としては必要な機能とその弾力性を確保するという観点でこの即応予備自衛官制度というものを導入して対応していきたい、かように考えているわけでございます。
  95. 安住淳

    ○安住委員 本当に時間がありませんから、これについては一言だけ申し上げますが、これからトータルフォースという発想に立ってマンパワーの活用というのを考えていただきたい。自衛隊経験者だけに限定すると、人的供給の面でかなり厳しくなってくるのではないかと私は思いますので、そこはぜひ知恵を絞っていただきたいと思います。  最後にちょっと、先週、民主党の調査団の一員として私も沖縄に行ってまいりました。宜野湾の市長さん、沖縄県の幹部の皆さんと話をしてきましたが、長官、まず一つ大変気になった問題があって、去年の日米合同委員会、例えば普天間基地の夜間訓練の騒音の問題で、四月から遵守する規定というのは一応あったのですが、地元の皆さんの話を聞いても、沖縄県の話を聞いても、これは一向に改善をされていないというようなことを言っているのですね。  それからもう一つ、SACOの関係で、県道百四号線の実弾訓練の移転の問題というのは、九年度中にというお話でございましたけれども、どうもこれはなかなか進捗していないのではないかなと私も非常に危惧というか心配をしております。また、車のナンバーをつけるというのも十月までにということなのですが、進捗状況は、私も目で見ましたけれども、まだまだよくないようであります。これは約束事でありますから、ぜひ米軍の方に対してこの点をもう一回きちんと言っていただきたい。  それから、きょうは諸冨長官いらっしゃっていますが、国内の、私の宮城県にも王城寺原がありますが、各市町村に対する取り組みの問題、これは入り口のところでいろいろ問題があったんじゃないかなと思いますが、その現状をお伺いします。  そしてもう一つ、時間がないのであれですが、沖縄開発庁、フリー・トレード・ゾーンの問題について、これは沖縄県が強く要望しておりますから、今後のこれについての取り組み、この三点についてお答えをいただいて、私の質問を終わらせていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
  96. 田中信明

    ○田中説明員 ただいま先生が御指摘の点でございますが、これは沖縄の要望を踏まえまして、SACOの一環として、昨年三月、日米合同委員会におきまして、嘉手納と普天間の騒音規制措置について合意されております。  そこにおきましては、いろいろな側面におきまして規制措置を合意したわけです。先生がおっしゃっております、二十二時から六時までの間の飛行及び地上での活動は、米軍の運用上の所要のために必要とされるものに限定されるとか、あるいは離発着のための飛行場周辺の飛行経路につきましては、学校、病院を含む人口稠密地域上空をできるだけ避けて飛行するとか、そういう措置がさまざまな側面で合意されております。  私ども政府といたしましては、騒音問題の重要性というのは十分認識しておりまして、これまでも機会あるごとに米側に対しまして、周辺住民の生活に最大限配慮するよう要請してまいったところでございます。米側といたしましても、本件の合意された騒音規制措置にのっとって、運用上の所要のために真に必要な場合を除いて、飛行だとか地上での活動を制限するというような最大限の配慮を払っているものと私は確信しております。  しかしながら、先生今御指摘のように、仮にいろいろな措置が実施されていないという御批判があるとすれば、私どもはこういうものがより実効性のあるものになるように、例えば合同委員会の枠組みの中で随時アメリカ側と協議して、引き続き理解協力を求めてまいる所存でございます。
  97. 久間章生

    久間国務大臣 一〇四号線越えの砲弾射撃を本土の方でやるということは村山内閣のときに決めていただいて、また橋本内閣でこれを五カ所で実施するということを決定して、その後、各地方自治体の皆さん方、いろいろな方々に御相談に行っているところでございます。  確かに、最初は反対も非常に強うございました。しかしながら、沖縄県は今までずっと、戦後、そしてまた復帰後もああいう形で続いておる、それを五カ所に分散して、しかも一カ所では十日以内で、しかも三百人の人間が、その人数で来て、それも、そこにずっとおるのではなくて、とにかく仮宿泊といいますか、そういう形で来るだけなんだから、しかも、砲撃日数も今までやっている全体の日数の中で実施するんだからというようなことでずっとお願いをしてまいりまして、まだまだ十分な御理解を得たというわけではございませんけれども、最近、かなりのところで勉強会を開こう、聞いてやろうというような形でいろいろと聞いていただいております。  したがいまして、私どもとしましては、平成九年度にはぜひ本土で、この五カ所について、五カ所全部であるかどうかわかりませんけれども、要するに沖縄のものをこちらの方に持ってきて、こちらでやらせていただきたいということで今一生懸命努力しているところでございます。  委員御出身の宮城県においても、私どもも一生懸命今お願いしておりまして、勉強会等も先般開いてもらったようでございますが、沖縄の痛みをみんなで分けて背負おうじゃないかという空気にだんだんなってきておりますので、どうぞひとつよろしくお願いを申し上げたい次第でございます。
  98. 襲田正徳

    襲田説明員 御説明を申し上げます。  自由貿易地域についてのお尋ねでございますけれども、御案内のように、沖縄県の方におきまして、税制あるいは関税面を中心といたしました特別措置の導入、また指定地域の拡大等によります拡充強化の要望が出されているわけでございます。この自由貿易地域につきましては、昨年九月の内閣総理大臣談話の中におきまして、その拡充等による産業や貿易の振興につきまして沖縄県とともに検討を行う、このようにされているわけでございます。  今後、沖縄政策協議会の中の国際貿易・物流基地の形成プロジェクトチーム、この中には沖縄開発庁も参加しておるわけでございますけれども、この中で自由貿易地域の拡充強化につきまして幅広く検討していくことになるというふうに考えております。  それで、沖縄開発庁といたしましては、既に九年度予算の中におきまして、自由貿易地域につきましての沖縄県の要望を踏まえまして、自由貿易地域の拡充強化に関する調査費四千二百万円を計上をさせていただいております。私どもといたしましては、今後とも、関係省庁及び沖縄県と密接な連携をとりながら、産業や貿易の振興のために自由貿易地域の拡充強化あるいは充実強化につきまして鋭意取り組んでまいりたい、このように考えております。
  99. 安住淳

    ○安住委員 ありがとうございました。
  100. 平田米男

    ○平田委員長代理 次に、中路雅弘君。
  101. 中路雅弘

    ○中路委員 限られた時間ですので、きょうは法案そのものについてだけ御質問したいと思います。  最初に、即応予備自衛官の問題ですが、新防衛大綱のもとで、陸上自衛隊部隊編成は、現行の自衛官定数十八万の体制から、最終的に常備自衛官が十四万五千人、それにプラスしまして即応予備自衛官が一万五千人の合計十六万の体制に改編されるわけですが、現行の陸上自衛隊は、定数十八万ですが、欠員は三万で、実員約十五万の体制です。  新体制への移行による編成で見ますと、定数は十八万から十四万五千に減るわけですけれども、常備自衛官の減は、実質的には実員で見ますと五千人減るにすぎないんですね。その一方で、一万五千人の即応予備自衛官編成されて十六万になりますから、実質の人員は事実上ふえるわけですね。定数では十八万から十六万と減少するわけですが、実働実員では、即応予備自衛官を入れると、十五万から十六万に増加をするということになるんですが、これはそのとおりですね。
  102. 秋山昌廣

    秋山(昌)政府委員 今回、即応予備自衛官制度導入お願いしているわけでございますけれども、防衛大綱におきまして、現在の体制というのは、陸上自衛隊については十八万でございまして、十八万人をベースにして部隊編成あるいは装備品装備といったようなものを整備してきておるわけでございまして、これで陸上部隊としての我が国の防衛ということを形づくってきたものでございますが、諸般の情勢を考慮いたしまして、その規模あるいは機能についての合理化効率化コンパクト化を進めると同時に、その必要な機能は確保するあるいは弾力性を確保する、そういう観点から、陸上自衛隊については、即応予備自衛官導入することによりまして十八万から十六万に落とし、かつ、そのうちの一万五千は即応予備自衛官で対応するという、いわば部隊編成について合理化効率化コンパクト化する中で即応予備自衛官制度導入する、そういう考え方でございます。
  103. 中路雅弘

    ○中路委員 だから、お聞きしていますのは、結論的に言えば、事実上、実質の人員はふえるわけですね。定数十八万から十六万になるでしょう。実際には実員は今十五万でしょう、三万欠員でしたよね。今度は十四万五千になっても、即応予備自衛官がいれば十六万になるわけですから、今は十五万ですから、それを見れば実質人員はふえるわけですね。
  104. 秋山昌廣

    秋山(昌)政府委員 現在、陸上自衛隊機能あるいは募集状況あるいは財政状況も勘案いたしまして、御案内のように、十五万人を超えるような実際の自衛官がおるわけでございますけれども、現在の防衛大綱の考え方は、我が国を守るという場合に十六万人にして守るということでございますから、十八万人から十六万人に落とし、かつ十六万人の中は、一万五千人は即応予備自衛官で対応する、こういう考え方で防衛大綱をつくったと  ころでございます。
  105. 中路雅弘

    ○中路委員 私も繰り返し言いますけれども、これは、例えば前の衛藤長官が朝雲の九六年の一月四日で言っているんですが、   現在、陸自の定数は十八万人ですが、実員は約十五万一千人です。それが新防衛大綱でどうなるかというと、編成定数は十六万人で、うち十四万五千人を常備自衛官、一万五千人を即応予備自衛官にして、十六万人体制を常に準備しておこうというわけです。   十五万一千人が即応予備自衛官を含めて十六万人になる。なおかつ中期防の五年間常備自衛官を減らすのは徐々に約四千です。その一方、即応予備自衛官は五年間で五千人体制を整えていくわけですから、むしろ内容としては、実働人員は増えていく。 ということを言っているんです。私はこれを確認しているんです。前の防衛庁長官も実質人員はふえるということを言っているんです。数字の上ですから、間違いないですか。
  106. 久間章生

    久間国務大臣 定数と実数とを比較してそういうふうに言われると困るわけです。定数はあくまで定数で、その時々の実数は、それは補充されてない場合がありますから減っておるわけですけれども、その減っている数字と定数とを比較して実際はふえるじゃないかと言われますと、こういう制度改正というのはあくまで定数を前提として制度お願いしているわけでございますので、定数は定数同士比較していただかないと、果たして十四万五千になったときに実数はどうなのかというのは、そのときにならないと実際これはまだわからない点が出てくるわけでございますので、定数と実数とを比較しながら、現在の実員数が少ないから、それよりはふえるんじゃないか、ふえる可能性があるじゃないかと言われましても、それは非常に困るわけでございます。  あくまで現在は十八万、今防衛局長が言いましたように。それが最終的には十六万、十六万のうち一万五千は即応予備自衛官を入れるということでございます。
  107. 中路雅弘

    ○中路委員 私がお話ししているのは、だから実質ですね。実質、実員は削減ではなくて、この数字でいえばふえる。前の防衛庁長官もふえるんだということを言っている。これは数字の上のことなんで、実員定数では、これを計算しますと、中期防、新防衛大綱はふえるんだということを言っているわけです。  それからもう一つ、続いてお聞きしますけれども、防衛庁は中期防で即応自衛官を例えば五千人にすると言っていますが、当面は普通科の連隊をつくる考えのようですが、五千人あるいは一万五千人となれば普通科だけでは済まないと思うんですね。他の兵種、特科とかあるいは戦車、高射、後方にも充当していくということになるのではないですか。
  108. 秋山昌廣

    秋山(昌)政府委員 御指摘の点はおっしゃるとおりでございまして、即応予備自衛官につきまして、普通科連隊のみに充てられるものではございませんで、師団または旅団中の四個戦闘単位のうち一個について即応予備自衛官を主体として編成するという考え方でございますから、普通科連隊と共同することとなる特科等の各種部隊についても、即応予備自衛官を充当する考えでございます。
  109. 中路雅弘

    ○中路委員 そうしますと、例えば一万五千人になった場合、即応自衛官を含めた部隊編成運用について、今後どういう姿を想定されているのですか。
  110. 秋山昌廣

    秋山(昌)政府委員 現在、地域配備の師団が十二個師団あるわけでございますけれども、この十二個師団のうち四個師団は旅団にする予定でございますが、いずれにいたしましても、師団または旅団中の四個戦闘単位のうち一個につきまして、即応予備自衛官を主体とした部隊にするということでございます。  例えば師団で申し上げますと、一つの師団に四つの普通科連隊がございます。したがいまして、そのうちの一つを即応予備自衛官を主体とする部隊にする。即応予備自衛官を主体とする部隊というのは、おおむね八〇%を即応予備自衛官、二〇%を常備自衛官で構成する。司令官とか隊長とか、そういった指揮官は常備自衛官でもって充てる、大体そういう考え方でございますけれども、二割が常備自衛官、八割が即応予備自衛官。それから、例えば師団でいいますと、特科連隊がございますけれども、その中に特科大隊がある。特科大隊のうちの一つを即応予備自衛官主体の大隊にする。同じように、後方支援連隊につきましても、例えば幾つかある小隊のうちその一つを即応予備自衛官主体の部隊にする。  そういった形で、師団、旅団のうち、四個ある戦闘単位の組織を一個だけ即応予備自衛官を主体とする組織に切りかえていく、こういうことでございます。
  111. 中路雅弘

    ○中路委員 全体として定数に満たない部隊を、今度の組織改編によって、定数を一〇〇%常備自衛官で満たしたいわばフル部隊編成して、これを即応予備自衛官で補うということですね。  世界的にも、今、常備軍の軍縮というのが全体の流れになっていますけれども、我が国の場合でも、今、国家公務員の定員の四分の一以上を自衛隊員が占めているわけです。私たちはこれは計画的にやはり削減すべきだという立場をとっていますけれども、今度のこの場合は、削減ということを装いながら、事実上自衛隊の定員を、削減ではなくて、実質では陸上自衛隊全体としての戦力を保持していく、強化していくという道だということを強く指摘しておきたいと思います。  もう一問、これは、先日、二月二十七日の本会議での私の質問に対してのお答えなのですが、国際平和協力業務、PKOにこの即応予備自衛官を参加させる、この任務を拡大することは考えておりませんという答弁をされていますけれども、防衛庁の資料によれば、運用構想については、中でこれは検討中ということになっていますが、この点は今後どうされますか。     〔平田委員長代理退席、委員長着席〕
  112. 秋山昌廣

    秋山(昌)政府委員 国際平和協力業務等につきましては、いわゆる本来業務ではないということも考慮いたしまして、そしてまた、非常勤職員たる即応予備自衛官招集してまで当該任務に参加させる必要も乏しいと考えておりまして、これらの業務については、即応予備自衛官業務の対象からは除外しております。
  113. 中路雅弘

    ○中路委員 今検討中ということになっていますが、考えていないということですか。
  114. 秋山昌廣

    秋山(昌)政府委員 考えておりません。
  115. 中路雅弘

    ○中路委員 もう一点、防衛庁は、今回の即応予備自衛官だけではなくて、別の新しい予備自衛官制度導入の問題で、これも本会議で質問したのですが、公募予備自衛官制度、この問題について、防衛庁の資料でも、自衛隊未経験の大学生、社会人、公務員等から採用して、後方部隊等に配備する、これを検討中となっています。  この問題では、前回の予備自衛官の手当の引き上げの際、大分前ですが、昭和五十四年、七九年十二月六日の内閣委員会で、私の質問に、当時の人事教育局長、夏目さんの答弁で、現に自衛官であった者以外の中から予備自衛官を採用する計画がないと答弁されていますが、今度はこれは検討中ということなので、いつからこの検討を始められたのか、現在の検討内容、あるいは導入されるとすればいつからと考えられているのですか。
  116. 大越康弘

    大越政府委員 お答え申し上げます。  予備自衛官は、防衛出動時におきます自衛隊の実力の急速かつ計画的な確保と継戦能力の向上を目的としまして整備しております関係上、予備自衛官の採用時においても、相当の技量、練度を有する者である必要があるということで、自衛官であった者の中からその志願に基づいて採用しているところでございます。  ただ、今御指摘のように、自衛官の未経験者について一般の予備自衛官に採用できないかという問題については、その可否を含めまして、その教育、あり方、処遇あるいは管理方法について現在検討しているところでございます。まだ検討が進んでおりませんものですから、具体的なことを申し上げる段階にはございません。
  117. 中路雅弘

    ○中路委員 これは、前回は採用する計画はないという答弁なのですね。やはり対象を拡大していく新しい計画ですね。  即応予備自衛官雇用企業への給付金についてですが、年間五十一万二千四百円、一人当たり月額四万二千七百円を雇用企業に給付するというこの積算の根拠はどこにあるのですか、端数まで数字を出されていますけれども。
  118. 大越康弘

    大越政府委員 お答え申し上げます。  即応予備自衛官雇用する企業と申しますのは、従業員でありますこの即応予備自衛官年間三十日もの長い間訓練に出頭しなければならないということのために、訓練に出頭している間は業務のローテーションを変更しなければならないとか、あるいは業務のスケジュールを変更しなければならないとか、あるいは代替要員を充当しなければならない、あるいは業務変更のため顧客に悪影響を与えるなどといった負担を負うわけでございます。そのほかに、企業は、企業活動に要します種々の維持的経費を支出しながら、訓練出頭のため即応予備自衛官である従業員企業活動に従事できないことによりましてそれを回収できないといった負担をしていることになります。  このような企業が負うことになります種々の負担を個別に算定することは事実上不可能でありますので、比較的算定しやすい維持的経費の負担額を種々のデータからモデル化いたしまして、それを算定し、雇用企業給付金の算定の基礎とした次第でございます。
  119. 中路雅弘

    ○中路委員 その算定の根拠を聞いているのです。数字を具体的に出しているでしょう、月額四万二千七百円とか。ここまで数字を具体的に出しているのだから、根拠を言ってください。
  120. 大越康弘

    大越政府委員 お答え申し上げます。  即応予備自衛官になります者の産業別におきますシェアでありますとか、あるいは年齢構成、そういったもののモデルをつくりまして、現在の予備自衛官の中から参考にしましてモデルをつくりまして、さらに、現在のこの一般社会の企業におきます、それぞれの産業におきます年代別の賃金を調べまして、また、それぞれの企業におきます人件費と、先ほど申し上げました維持的経費の割合等を調べまして、それを前提にモデルをつくりました。したがって、その結果としまして、年間三十日もの訓練に出頭するために、年間五十一万二千四百円ほどの負担を余計にしているというふうに算定したものでございます。
  121. 中路雅弘

    ○中路委員 私が聞いているのは、いろいろな産業別のモデルと言っていますが、モデルはどういうモデルなのですか。賃金というのは、幾らで計算した賃金を基礎にしているのですか。それを聞いているのですよ。中身を聞いているのですよ。
  122. 大越康弘

    大越政府委員 これは、先ほど申し上げましたように、それぞれの産業によりまして、年齢によって、それぞれの賃金が違います。そういったものをいわば加重平均をしまして数字を積み上げたものでございます。
  123. 中路雅弘

    ○中路委員 全然答えにならないのだ。その数字を出しているでしょう、月四万二千七百円と端数まで出しているでしょう。だから、それには数字の根拠があるでしょう。賃金といっても、幾らの賃金をベースにしてやっているのか、それを聞いているのですよ。
  124. 大越康弘

    大越政府委員 即応予備自衛官になります従業員年間にその訓練、一年間にそのために企業が要します経費は、先ほど申し上げましたようなモデルで計算をいたしますと、九百三十四万六千円ほどになります。それが、三十日間の訓練のうち、企業のいわば勤務日に当たりますのが二十日でございますので、それを二十日にいたしまして、先ほど言いました九百三十四万の中には人件費も入っておりますので、その中からそれらの人件費を除きますと大体五十一万二千四百円になる、こういうことでございます。
  125. 中路雅弘

    ○中路委員 もう時間が限られていて、この問題は、もう少しはっきりと中身まで知らせてほしいのですよ。これは法律規定じゃないでしょう、この金額は。政策的な給付として出しているわけですよ。それだけにあいまいなものがあるのですよ。だから、もっと正確に、金額の端数まで出しているのだから、幾らのものをベースにして、どうして計算したのだということを聞いているのですよ。もう一度。
  126. 大越康弘

    大越政府委員 お答え申し上げます。  この算定の根拠になりました賃金の調査は、これは労働省の調査の結果でございますし、それぞれの産業別におきます企業の人件費なりあるいは固定経費のデータにつきましては、中小企業の調査の結果を使ったものでございます。
  127. 中路雅弘

    ○中路委員 やりとりしてもしようがないので、今の問題は、具体的な算定根拠の資料を後で出してほしいと思いますが、いかがですか、提出てきますか。
  128. 大越康弘

    大越政府委員 検討しまして、お出ししたいと思います。
  129. 中路雅弘

    ○中路委員 この問題は長く検討しているでしょう。例えば予備自衛官雇用懇談会というのをつくって、メンバーもいただいていますけれども、検討してきたのでしょう。具体的な検討の中身を知らせてほしい、教えてほしい。そうしなければこれは論議にならないですよ。この給付金、こんな制度は諸外国ではほとんどないですからね。例えば障害者の雇用促進法がありますけれども、こういうものと全く性格が違うわけですよ。しかも、それは法律じゃなくて、政策的にこれだけの金を出すということを言っているわけですから。大変あいまいなものなので、私はその根拠を明確にしてほしいと言っているので、必ずこの資料は出してほしいと思います。  時間が来ていまして、最後にもう一問、補給本部の問題について御質問しますけれども、これ一問にします。  今度十条の駐屯地に新設されるわけですが、海上自衛隊の需給統制隊、航空自衛隊補給本部も同時にここに移転すると言われていますが、陸海空の三自衛隊補給統制部隊が全部ここへ集中するわけですね。これまで陸海空の三自衛隊装備品の共通化、標準化を進めてきていますけれども、相互融通制度の確立ということを検討してきましたが、この十条に集める三つの自衛隊補給部隊のコンピューター同士を相互に結ぶのか、あるいは三つの自衛隊補給統制部門の統合化を今後考えられているのですか、いかがですか。
  130. 秋山昌廣

    秋山(昌)政府委員 今回新編される補給統制本部は、あくまで陸上自衛隊における補給業務の迅速化及び効率化を図るためのものでございます。  御指摘の三自衛隊補給面における統合化構想、具体的にどういったものを委員が念頭に置いておるのか必ずしもわかりませんけれども、例えば三自衛隊補給業務全般を所掌するような組織を設置するといったような構想だとすれば、そういったものは現時点で持っておりません。
  131. 中路雅弘

    ○中路委員 時間ですので、最後にこれは指摘をしておきたいのですが、これまで自衛隊と米軍が日米共同訓練を通じていろいろ相互運用性の強化をやってきたわけです。ACSA協定締結によって、日米共同訓練における自衛隊による米軍への物資、役務の提供の体制がつくられてきたわけです。去年の十一月、私、このとき御質問しましたけれども、日米共同統合演習で、給油、人員、貨物、装備部品等の輸送を行っていますけれども、現在検討を進めている日米間のガイドラインの見直し作業、周辺有事における日米共同作戦として米軍活動に対する後方支援、地域の支援や自衛隊運用と米軍の運用ということは検討されていますけれども、今度の補給体制一元化というのは、補給面で米軍との相互運用性を強めていく、自衛隊による米軍への後方支援を強化するものだと思うのですね。  この点については、将来も、例えばこれは朝雲に出ていますけれども、二〇〇五年にはCALSの導入を準備されていますけれども、装備局長がこのCALSの導入は米軍との相互運用性の向上に不可欠だと言っていますけれども、装備局長も述べられているように、こうした補給体制の強化が、ガイドラインの見直しとも関連して、日米の補給面での一層の一体化につながるということで、私たちはこれには強く反対をしていきたいと思います。  時間なので、一応終わります。
  132. 伊藤英成

    伊藤委員長 次に、上原康助君。
  133. 上原康助

    ○上原委員 できれば法案についても、賛成ではありますが、いろいろお尋ねしたいこともあるのですが、時間がありませんから。  まず久間長官に、今までの防衛庁長官よりは自分の考えを述べたり、率直な御答弁をしている感を受けるのですが、ぜひその姿勢は貫いてもらいたいことを要望しておきます。  当面している沖縄の軍用地使用のための特別措置法のことについて、今与党内調整も鋭意なされておるわけですが、けさのある新聞、マスコミ等では、何かこの二十八日にも閣議決定という大変ショッキングな報道もなされているのですが、政府はそういうお考えでやろうとしているのですか。
  134. 久間章生

    久間国務大臣 正直言いまして、私もあの新聞記事を見まして、どこでこういうふうに決定されたんだろうか、そういうことを思いました。  先ほど正直言いましてというのは、与党内でいろいろな話がされている、それにまた我が防衛庁の方からも出かけていって、いろいろな考え方といいますかケースについて話をしているというのは聞いておりますけれども、あのような形で二十八日というのが紙面に躍りまして、正直言ってそういうことはございません。
  135. 上原康助

    ○上原委員 私は、今、個人的というか、せんだってから白紙の立場で、ぎりぎりの努力を続けるということです。いずれいろいろな与党内調整、あるいは極めて重要な課題であるだけに野党の皆さんの御意見や御協力も仰がなければいかない面も、私は、この沖縄の問題、法律改正だけでなくして全体的にあると思いますので、やはりぎりぎりの努力をやってもらいたいということをここで重ねて要望しておきたいと思います。  沖縄県側の立場あるいは県民、毎日のマスコミ報道等を見ますと、とてもじゃないが今政府が進めようとする内容では難しいんじゃないかという気がしてなりません。しかし、同時にまた、五月十四日、十五日以降どうするかという政府の立場なり日米関係等々を考えると、これもいろいろな角度から検討をしなければいかない面があろうかと思うのです。ですから、沖縄振興策とかいろいろな海兵隊の縮減問題等々、これは結果として判断をしなければいかないけれども、私は、政府の御努力は、総理初め大変深刻に受けとめてやっていらっしゃることはわかるけれども、まだ沖縄側の理解を得るには足りないんじゃないかという気がしてなりません。  そこで、よく指摘される緊急使用申請というのは、これも大変限られた期間内のことでありますので、一体どういう御認識を防衛庁長官は持っていらっしゃるのか、もしよろしければ聞かせていただきたいと思います。
  136. 久間章生

    久間国務大臣 先生でございますから率直に言わせていただきますと、緊急使用等について私自身もいろいろと勉強したことはございます。しかしながら、今でも片一方の方の申請を、本音で言いますと、月内にあるいは月初めにでも裁決してもらえればぎりぎりで間に合いはせぬかなというふうに思っているときに、緊急使用を出すというのも、これまたなかなかそういうこともできないかといって、緊急使用の場合でも、今までの例でいきますと、かなりの日数がかかっているわけでございます。そうすると、緊急使用を今は出せない、しかし、そのときになって出したら、またそこから、今までの例でいったら間に合わない、そういうようなジレンマといいますか、そういうことがあって、緊急使用については非常に厳しいんじゃないか、そういうような気持ちでございます。
  137. 上原康助

    ○上原委員 これは与党内調整がどう進むか、今週いっぱいいろいろなされると思うのですが、私は、一つの選択肢として、ぎりぎり現行法制下で何をお互いに努力をしたか、その上でなお問題解決のためにどういう解決策があるかということは残されていると思いますので、その点は御検討を願いたいと存じます。  そこで、この基地問題ともかかわるのですが、来る二十五日に橋本総理と大田県知事との会談がなされる予定があるようでございます。そこは非常に重要だと私も認識をしている一人ですが、沖縄の基地の運用の仕方の問題でこれまで余りにも秘密扱いにしたことが多かった。合同委員会の合意事項を出せと言ったってなかなか出さない、アメリカ側の了解が得られないとか。私は必ずしもそうじゃないと思うのです、なかったのじゃないかという勘ぐりさえせざるを得ない。  そこで、外務省も来ていると思うのですが、五・一五メモについては、総理初め外務大臣あるいは防衛庁長官は、できるだけ全面開示をしたいということをこれまで予算委員会等で御答弁してきたと私は理解をしているのですが、どうなさるか、知事との会談のときに全面開示なさるのかどうか、はっきりお答えいただきたいと思います。
  138. 折田正樹

    ○折田政府委員 五・一五メモというのは、昭和四十七年五月十五日に合同委員会合意の形で、たしか八十八だと思いますが、その施設・区域、それから訓練区域について合同委員会で合意したものでございます。大変大部なものでございますし、それに附属文書等がついているということがあって、今公開に向けて最大限の努力をしているところでございます。  橋本総理も大田知事に対しまして前向きに対応するということを言われ、私どもにも強い指示がおりているところでございまして、私どもとしては、全貌が明らかになるような形で公開ができるよう、目下夜も徹して努力を続けているところでございます。
  139. 上原康助

    ○上原委員 この点は所管が外務省かもしれませんが、基地問題では防衛庁関係するのですね。久間大臣、この種のものは、防衛庁にただ任すというのでなくして、この際、総理あるいは官房長官、外務大臣、防衛庁長官が、これは沖縄の基地問題なり今抱えている沖縄問題の中の一つの重要な位置を占めているし、県民が求めてきたごとなので、私は、政治家の判断でこういうことについては橋本総理と大田知事の会談のときに全面公開をしてもらう、その姿勢で日本政府は、内閣はやっているのだ、そういう決意でやっていただかなければならない課題だと思うのですが、いかがですか。大臣の決意を聞かせてください。
  140. 久間章生

    久間国務大臣 そういう決意でやってもらっておりますし、少なくとも防衛庁に関する限りは全面公開といいますか、防衛庁に関することについては全部公開されて結構ですというような姿勢で臨んでおります。
  141. 上原康助

    ○上原委員 さっき外務省の北米局長がおっしゃるように、附帯事項が多いのですね。海域とか空域とかあるいは図面等も恐らく資料としてついていると思いますので、そういう面は、今防衛庁に関する限りは全面公開すると恐らく初めてきっちりおっしゃったのじゃないかと思いますので、ぜひ強く要望しておきます。  次に、劣化ウランの件でお尋ねしたい。  これも私はまだ相当問題が残っていると見ているのです。三月五日の予算委員会の締めくくり総括で、私は、この問題で、英文だけで出してあったので、いろいろ指摘をいたしました。ようやく三月六日に仮訳文が出たわけですが、私も、あれだけ予算委員会でも取り上げ、要求した以上、膨大なものですから、出されてから中身も検討せずに、何だ、嫌がらせかと思われても困ると思って、六日の六時ごろいただいて、相当私なりにない知識を絞りながら、英文もある程度照会しながらやってみました。そして、十二、三項目についての問題点あるいはもっと解明をすべき点を、私から外務省、外務大臣あてに提出をいたしました。これは、初めて外務省が二、三日で誠意を持って回答してまいりましたね。沖縄問題もあるからだろうか、私がうるさいからかもしれませんが、二十五年余り外務省といろいろやりとりしたが、本当に初めてそういう回答を出してきた、それには敬意を表します。  だが、依然として解明すべき点が多いのですね、この中身というのは。新たな資料の提出というものはいつまでにできるのか、現段階においてはどうなっているか、私が指摘をした問題点について、その後検討中と言ったものについてどうなっているか、できるだけ簡潔にお答えを願いたいと存じます。
  142. 折田正樹

    ○折田政府委員 上原委員からいろいろな点についての御質問をいただきました。私どもそれを率直に受けとめまして、米側に対してできる限り解明してもらうようにということで、今も日夜やっているわけでございます。  例えば資料につきましては、第三者がレビューをすることになっているような記述があるのですが、その文書自身まだ日本政府は受け取っていないということがあるわけです。そういうことも含めまして、私ども、今鋭意米側と調整をしているところでございまして、三月末までに本件の全体像が明らかになるような報告書を米側が出すようにということで、今懸命の努力をしているところでございます。それに加えまして、解明のために必要な個々のいろいろな点につきましても、できる限り明らかにしていくということで対応しております。
  143. 上原康助

    ○上原委員 これは外務大臣もはっきり予算委員会等で答弁なさっておるのです、三月末までに全体像を明らかにするということを。きょうは十八日ですから、あと幾らも残っておりませんね。ですから、沖縄の基地問題というのは、沖縄問題というのは、五・一五メモであるとかSACOの決定事項であるとか、すべて関連しているということを政府の方は認識して仕事をしてもらわぬといかないということを申し上げておきたいと思います。  私、もう一点確かめておきたいのですが、米側と皆さんが口頭でやりとりをしたというこの資料の中に、要するに極めて意外な、意外というか解明しなければいかない点があるのですね。一九九六会計年度の訓練用として四万六千発の劣化ウラン弾が海兵隊に支給されたとなっているのですね。支給されたとなっている。これは訓練用として支給したと言っているのです。このことについての解明はどうするのですか。可能性はあるのか。現在は、その弾はどこに保存され、どうなっているのだ。
  144. 折田正樹

    ○折田政府委員 なぜこういうことが生じたかということについて米側と協議をして解明に努めているわけでございますが、海軍省から各部隊に至るまで弾薬の取り扱いにかかわるすべての者に配付され、実際に弾薬の支給、使用、保管等の際に参照される弾丸カタログにおきまして、その作成の過程の誤りで、劣化ウランを含有する二十五ミリ徹甲焼夷弾について配付、支給制限に係る表示が欠落していたということが判明したということでございます。このため、弾薬を訓練で使用することについての権限付与、弾薬の配付、支給、それから実際の使用のいずれの段階においてもカタログとの照合によるチェック機能が働かなかったということでございまして、海軍は、一九九六会計年度の訓練用として、今委員指摘のように、太平洋艦隊に四万六千発の劣化ウランを含有する二十五ミリ徹甲焼夷弾を割り当てて、その後、またカタログに使用制限の記載がなかったために今回こうしたことを起こしました海兵隊部隊に支給され、本件誤使用が生じたというふうに米側は説明しているところでございます。  四万六千発の劣化ウランが今どこにあるかということでございますが、そこは米側は、これは訓練には使わないものであるということを明確にしたという説明をしておりますが、具体的にどこにどれだけ置いてあるかということは明らかにしないというのがアメリカ政府の政策であるという説明を受けております。
  145. 上原康助

    ○上原委員 今の御答弁では納得しかねるので、四万六千発のうち千五百二十発は鳥島で撃ったわけだ。その被害が出ているわけで、これは今の局長の答弁では納得できませんので、また引き続き全体像が明らかにされたときにもう少し、私もいろいろ今調査をしていますので、やってみたいと思います。  そこで最後に、この法案との関係で、いろいろ私なりに疑問もあります。また、注文もあります。平成七年十一月二十八日の安全保障会議決定、そして平成七年十一月二十八日の閣議決定、これは防衛計画大綱のものですね。もう一つは中期防衛力整備、いわゆる平成八年度から十二年度までのもの。この両方の内容が違っているのですね。前倒し云々の話は恐らくこのあたりから来ているんじゃないのかなと私は推測している。  これは、二十分間で防衛論争をするというのは本当に難しいので、いずれ一時間ぐらいどこかでいただいて、もう少し提言も含めてやっていきたいと思うのですね。そして防衛庁長官、私はかつてのように棒をのんだ議論はしたくないし、また何でも削ればいいとも思わないし、あるいは反面強化すればいいとも思っておりません。しかし、いずれにしても日本は憲法を大事にし、軍縮の基調というものは私は絶えず政治は考えるべきだと思っている一人です。  そこで、これは現行中期防、いわゆる九五年末に定められた一九九六年から二〇〇〇年までの五カ年計画で、所要経費総額二十五兆一千五百億円の計画達成というものを、今の国際情勢なり日本の財政状況等でこのとおり皆さんが無理してやるということは僕は不可能だと思うのだよ。それを、恐らく総理も聖域を設けない、官房長官も前倒しで検討せざるを得ないというふうに、私は私なりに勉強しながら理解をしているわけですよ。しかも、その伸び率というのは毎年度二・一%上積みしていかなければならない計画なんですよね。  こういうことについては、今までのように土俵の中で議論できないような状況であるなら別だが、防衛庁もそういう面は率直に受けとめて、この自衛官の問題とかいろいろ考えなければいかない点だと思うのですが、今私が指摘をしたことについては、防衛庁長官はどういう御見解を持つのか。恐らくこの即応予備自衛官というのも、先ほども指摘がありましたが、一面では全体像の強化になりかねない面もあるのですよ。それは、私は、社民党とてそういう立場には立てませんよ。そこのお考えがあれば聞かせていただきたいと思います。
  146. 久間章生

    久間国務大臣 今度の防衛大綱で、合理化効率化コンパクト化を図っていくという一つの流れの中で、この即応予備自衛官制度陸上自衛隊の中に取り入れたわけでございますので、その考え方は、今度の即応予備自衛官制度も、結局今言った合理化効率化コンパクト化の流れに沿うものだ、私はそういうふうに思っております。  これから先、先ほどから話がありますように、若年層の人たちが減少傾向にございます。そういう中で我が国に必要な防衛力をどうやって維持していくか、そういう中で出てきた制度でございますので、どうかその点については御理解賜りたいと思うわけでございます。
  147. 上原康助

    ○上原委員 ですから、即応自衛官の問題は、まだ企業との関係もあるのですね。これもその必要性は否定はいたしませんが、やりようによっては、これは産軍一体化の傾向にならざるを得ない面もあるかもしらない、シビリアンコントロールをどうするかということ等を含めてよほどいろいろなところで配慮をしないと。  そして、私が申し上げたいのは、やはりこの中期防の九六年から二〇〇〇年までの二十五兆一千五百億でしたか、そのことについては、かなり無理があるということだけは指摘をしておきたいと思います。  最後に、改めて、当面する沖縄の米軍基地問題について、防衛庁長官内閣の場でどう解決をしていかれるおつもりなのか、決意を聞いて終わりたいと思います。
  148. 久間章生

    久間国務大臣 日本に駐留する米軍基地が余りにも過度に沖縄に集中している部分について、また、そのために沖縄の皆さん方がいろいろと苦慮しておられる、経済発展等の支障にもなっている、これは痛いほどよくわかっておりますので、これから先も、その縮小、統合、整理等については努力してまいりたいと思いますが、ともかく今は、SACOで決めましたこれを一つの区切りとして、それに全力を挙げてやってまいりたい、そういうふうに思っております。
  149. 上原康助

    ○上原委員 終わります。
  150. 伊藤英成

    伊藤委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     ―――――――――――――
  151. 伊藤英成

    伊藤委員長 これより討論に入ります。  討論の申し出がありますので、これを許します。中路雅弘君。
  152. 中路雅弘

    ○中路委員 私は、日本共産党を代表して、防衛庁設置法等改正案の反対討論を行います。  新たに創設される即応予備自衛官制度は、常備戦力の削減を余儀なくされるもとで、第一線部隊と同等の戦力をつくり出して、陸上戦力のトータル的な兵力を維持強化するものであります。陸上自衛隊の兵員を削減するとはいうものの、大綱策定時の陸上自衛隊の実員十五万人は、即応予備自衛官を加えると十六万人に増強されるのであります。  即応予備自衛官は、防衛出動だけでなく、治安出動災害派遣地震防災派遣に際して招集されるものとされ、普通科、特科、後方部隊等にも即応予備自衛官を充当しようとしています。また、即応予備自衛官を確保するため、企業に法定給付となし得ないような給付金を支給することは、予算制度上重大な問題をはらむものであります。  私は、このような即応予備自衛官制度導入に反対するものであります。あわせて、即応予備自衛官のPKO派遣に道を開くことに反対し、公募予備自衛官制度導入検討を中止するよう求めるものであります。  補給統制本部の新設は、陸上自衛隊補給部隊一元化し、補給整備業務効率化を進めることによって、ガイドライン見直しのもとで、補給面で米軍と自衛隊との相互運用性を強め、米軍への後方支援を強化するものであり、容認できるものではありません。  以上、本法案に反対の態度を表明して、討論を終わります。
  153. 伊藤英成

    伊藤委員長 これにて討論は終局いたしました。     ―――――――――――――
  154. 伊藤英成

    伊藤委員長 これより採決に入ります。  内閣提出防衛庁設置法等の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  155. 伊藤英成

    伊藤委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  156. 伊藤英成

    伊藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  157. 伊藤英成

    伊藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時三十五分散会