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1997-02-21 第140回国会 衆議院 安全保障委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年二月二十一日(金曜日)     午後二時開議  出席委員   委員長 伊藤 英成君    理事 江口 一雄君 理事 中谷  元君    理事 中山 利生君 理事 浜田 靖一君    理事 岩浅 嘉仁君 理事 平田 米男君    理事 前原 誠司君 理事 中路 雅弘君       浅野 勝人君    今村 雅弘君       臼井日出男君    大石 秀政君       奥山 茂彦君    嘉数 知賢君       川崎 二郎君    阪上 善秀君       田村 憲久君    谷垣 禎一君       戸井田 徹君    中野 正志君       中山 正暉君    宮下 創平君       目片  信君    遠藤 乙彦君       神田  厚君    倉田 栄喜君       佐藤 茂樹君    達増 拓也君       冨沢 篤紘君    福島  豊君        二見伸明君    村井  仁君       安住  淳君    藤田 幸久君       東中 光雄君    上原 康助君  出席国務大臣         外 務 大 臣 池田 行彦君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 久間 章生君  出席政府委員         防衛政務次官  浅野 勝人君         防衛庁参事官  山崎隆一郎君         防衛庁長官官房         長       江間 清二君         防衛庁防衛局長 秋山 昌廣君         防衛庁装備局長 鴇田 勝彦君         防衛施設庁長官 諸冨 増夫君         防衛施設庁総務         部長      伊藤 康成君         防衛施設庁施設         部長      首藤 新悟君         外務省総合外交         政策局国際社会         協力部長    朝海 和夫君         外務省アジア局         長       加藤 良三君         外務省北米局長 折田 正樹君         外務省中近東ア         フリカ局長   登 誠一郎君         外務省経済協力         局長      畠中  篤君         外務省条約局長 林   暘君  委員外出席者         安全保障委員会         調査室長    平川 日月君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  国の安全保障に関する件      ――――◇―――――
  2. 伊藤英成

    伊藤委員長 これより会議を開きます。  国の安全保障に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。嘉数知賢君。
  3. 嘉数知賢

    嘉数委員 自民党嘉数でございます。外務大臣並びに防衛庁長官質問をいたしたいと思います。  外務大臣並びに防衛庁長官所信表明の中で、安保重要性、そして安保の中に占める沖縄基地問題に関する重要性を大変強調なさっておられました。私も、沖縄基地問題を中心質問を進めていきたいと思います。  御承知のように、私ども沖縄県は、戦後五十年、基地を抱えてやってまいりました。私も地方議員としてずっと議会活動をやってまいりましたけれども、正直申しますと、私ども自民党県議団は、日米安保がある、あるいはまた地位協定があるということで、精いっぱい実は守ってきた。基地問題について、革新政党と対峙をしてきたつもりです。その根底にあるのは何かと申しますと、近い将来、少なくとも安定した形になったときに、国が、政府が真剣に基地問題を取り上げていただくだろうという期待のもとに、本当に袋だたきに遭いながら頑張ってきた経緯があります。  ただ、しかしながら、五十年たって、復帰二十五年たって、私どもが気づいたときには、なかなか私ども期待にこたえてくれなかった。政府は、ある意味では大変冷たかったという言い方をしてもいいのではないかと思います。  私ども県議会で、実は、米軍軍属の起こした事件事故というのは、これは復帰後三千八百回ぐらいあるのです。その中で、議会でこれはどうしても決議をしなければいかぬといって取り組んだのが二百六十回ぐらいあるのです。その中で、今度は政府要請をしなければいかぬ、抗議をしなければいかぬといって東京にやってまいりましたのが百二十六件ですか、ありました。そうしますと、復帰後二十五年ですから、大体二カ月に一回大きな事件が発生する、そして四カ月に一回私ども東京にあるいは米国大使館抗議をしてまいった。  そのたびに、実は、日米安保があってなかなか取り組めない、地位協定があって人権問題がなかなか進まないという返事をして、大変追い詰められた形になってきたのです。しかも、私たち自民党内でさえも、これ以上我慢することには限度があるだろう、したがって、この際だから反基地闘争をやろうか、基地撤廃まで踏み込んで決議をするべきではないかという議論も実は出つつあったのです。そのときに、平成七年の九月の事件が起こりました。  ですから、そういう意味では、私どもとしましては大変対応に苦慮しましたけれども、これは沖縄県民が持っている政府に対する不満それから不信感、それが一気に爆発した形で県民決起大会が開かれた、そのように理解しております。私もその大会実行委員長をしておりました。基地撤去まで踏み込むべきなのか、それは大変意見があったのです。沖縄県民として踏み込まざるを得ないのではないかという意見も相当ありました。  しかしながら、総体として、もう一度政府を信用しようではないか、もう一度政府の中で沖縄基地問題をしっかりととらえていただいて、問題解決努力をしてもらおうではないかという意見が、ある意味では県民の常識というのですか、それがまさりました。そのために、共産党から革新政党あるいは革新団体と言われる団体などを含めて、地位協定見直しあるいはまた基地整理縮小という二つをもって、どうしても国の重要な政策課題として位置づけてほしいという形で大会を持つに至った。  ですから、そういう意味では、私は、これからの沖縄基地問題は、安保を守る中で大変重要な位置を占めると同時に、その問題解決に一番大事なのは、やはり国と沖縄県の信頼関係だと思っているのです。その信頼関係をきちっと結んでいかなければなかなか解決しないだろう、そのように思っております。  しかしながら、私が国政に出ましてからも、十二月の爆弾投棄事件、あるいはまた、ついこの間の劣化ウラン弾事件と、県民の感情を逆なでするような形で発生をして、せっかく信頼関係を築いていこうとするやさきに、またその信頼関係を揺るがすような事件が起こるという意味で、大変不幸な、大変悔しい思いを実はしておりました。  外務大臣予算委員会等で、劣化ウラン等については相当いろいろな質問を受けて、ある意味マチワラにされる。マチワラというのは沖縄の方言なのですが、ボクシングでいえばサンドバッグみたいなものです。突いたり、けったりするのです。マチワラにされて大変ひどい目に遭ったと思うのですが、しかしながら、なぜおくれたのか、なぜどうしたのかという話は今しようとは私は思わないのです。  ただ、しかしながら、これから本当に信頼関係を結んでいこうと思ったならば、その通報システムだけはしっかりとやっていただかなければいかぬ。これはSACOの中でも、たしかいろいろな形でしっかりと事故報告をやり合おうという取り決めをなさっている。それについてはしっかり通報する体制、システムをつくっていただいて、事件が起こったならあるいは事故が起こったなら、速やかに通報できるというシステムをしっかりつくっていただきたい。  しかも、それは予算委員会でも答弁していただきましたから私は了としますけれども、その中で一番大事なことは、通報システムだけではなくて、何を通報するのか、どの事柄通報するのかというその事柄を決めることが大事だと思うのです。SACO取り決めの中では、危機に重要な影響のあるとかあるいはその危険だとかいう取り決めがあるのですが、あの取り決めだけではどうにもならぬと思っているのです。むしろ、私ども沖縄県としては、大変、沖縄米軍基地に対してあるいは政府に対しての不信感根底にあるものですから、そういう意味では、少なくとも沖縄の、あるいはまた沖縄以外でもそうですが、地域の環境に影響を及ぼすとかあるいは人命にいささかでも危険があるだろうと予想できることについてはしっかりと通報できる、しかも、しっかりと県に対して直ちに通報できるというシステムを、事柄も細かく決めていただかなければいかぬのです。  米軍というのは不思議なもので、決めたことはしっかり守るのですが、しかしながら、決められていないことについて要求すると、いや、これは話し合いをしたことはない、そういうことはないと、どんなことでもしっかり断ってくるのです、よく御存じだと思うのですが。そういう意味で、やはりきめ細かにそれをつくっていく必要があると思うのです。そういう意味で、外務大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
  4. 池田行彦

    池田国務大臣 嘉数先生沖縄で、ずっと住民の皆様方が背負っておられる大きな御負担、そうしてそのことからくる悩み、苦しみというものをみずからのものとして長年取り組んでこられた、そういったお立場から、そして昨今の情勢を踏まえての御質疑、私も真剣に受けとめさせていただきます。  今おっしゃるとおり、いろいろな問題についての連絡通報システム、現在その作業を進めておりますが、きちんとしたものをつくると同時に、それが実際に生きたものになり、本当に沖縄県民方々信頼関係の上に立ったものであると同時に、信頼関係を深めていくようなものでなければいけない、こう考えておる次第でございます。そして、昨今いろいろございますけれども、我々政府もそうでございますし、米側も今真剣に考えております。沖縄県民方々の御負担というものを少しでも軽減したいし、また、米軍が存在することによるいろいろな御不自由や何かを軽減しなければいけない。そして何よりも、何か不測のことが起きた場合の通報、御連絡、そして善後措置に万全を期さなければいけない、そういうことで努力をしているわけでございます。  そういった最中に、また二度、三度と信頼関係を裏切るようなことが起こったではないかとおしかりを受けております。私も、先ほどサンドバッグになっておるとおっしゃいましたが、サンドバッグになりながら、必ずしも、さようでございます、御無理ごもっともでございます、おっしゃるとおりでございますといったことで頭を下げっ放しにならぬ、あいつはだからかわいくないと言われている部分もあるかと思うのでございますけれども、実は私も、本当に、何かあったらただ頭を下げてやり過ごせばいいという姿勢でやったのでは本当の信頼関係はできないのだ、事実を事実としてとらえ、改めるべきところは改めるけれども、どうしてもできないことは、それは正直にここは無理ですと申し上げて考えていく、こういう姿勢でなくちゃいけないということで今考えている次第でございます。  そういった感じで申しますと、今回の劣化ウラン弾の問題も、大変残念なことではございますけれども、これはかってならば、先ほど先生がおっしゃいました、米軍というのはルールあるいはマニュアルになっていないものはこれは関係ないということである。確かに、こういった軍みたいな組織はそういうところがあるわけでございます。従来のプラクティスあるいはルールでまいりますと、これは必ずしも連絡あるいは通報する対象になるものじゃない、そういう考え方もあり得たかもしれない。現実に、当初は、米軍はそういう認識連絡しなかったようでございます。  しかしながら、昨年来、SACOでも連絡通報システム改善しなくちゃいけないということでその作業を進めておった中で、米側としても、ひょっとするとこれまでの認識じゃいけないというのでぼっと話を出したというのが、これが出てきたきっかけでございまして、そして、我々としては、当然これはきちんと対象になるべきものだという話をしていろいろやってきた。その後の連絡の仕方その他について、当然おしかりも受けております。それは、反省するところはいたしますけれども、しかし、全体として見るならば、改善していこうという努力の中での事柄だ、いわば生まれ出る悩みだというふうにお考えいただければと存ずる次第でございます。  そして、我々今真剣に考えております、遅くともこの三月末までにはきちんとした通報連絡システムをつくりまして、しかも、それを動かしていきたいと思っております。今、その基本はいろいろできましたけれども、細部を詰めております。その中で我々が一番大切に考えておりますことの一つは、文字どおり委員が御指摘になりました、一体どういう事柄をそのシステム連絡対象にすべきか、それでございます。  これまで事故あるいは事件ということを言いますと、典型的なそういったものに限定されるおそれがある。そうではなくて、今回の問題も、従来の在来の考えでやると、必ずしも事故ではなかったかもしれない、誤っての使用であり、そのことが事故につながってはいなかったかもしれないということがありますけれども、いや、こういったものを対象にすべきである、こういうことで今精査しているところでございますので、私どももいろいろなこれまでの経験、そして反省も踏まえまして、少しでもよい連絡システムをつくり、そしてお地元方々との信頼関係をつくってまいりたいと存じます。  そういった中で、この十四日に、外務省といたしましても、現地でのお地元方々のいろいろな御意見や御要望を承るために、また現地での米軍との可能な調整をするために、沖縄担当の大使というものを任命いたしました。数人のスタッフも置きます。私も、明日、そのいわば開所、お披露目のための会に沖縄へ参りますけれども、こういったものもそういった連絡調整をしていく仕組みの中でどういう役割を果たせるか、真剣に考えてまいりたいと思います。実質的な形、権限に立った組織とは別に、本当にきめ細やかな心遣い、気配りをしながら、こういった新しいシステムが生きていくようにしたいと考えている次第でございます。
  5. 嘉数知賢

    嘉数委員 どうもありがとうございました。ぜひしっかりとしたシステムをつくっていただきたい。  それから、先ほど出ました、私ども十年以上前から、東京沖縄に相当の温度差があるんだということをわかってもらうために、ぜひ外務省の出先を沖縄県に置いていただきたいということをずっと言ってまいりました。やっとそれが実現した。これからは、ある意味でその温度差というのを解消できるだろうと大変期待をしております。御配慮いただきまして本当にありがとうございます。  それから、通報システムの中で、私は何で一国の総理あるいは外務大臣が一地方自治体の長に済みませんと頭を下げなきゃいけない事態になったのだろうと思うときに、通報をする中で、真剣に事情調査しながら正確な通報をということもあるかと思うのですが、むしろそれよりも先に連絡をする。簡単に言えば「カネオクレ イサイフミ」という方法で、まず事実があったらすぐ連絡しておくということをやっていただいていたら、申しわけなかったと謝る必要もなければ、しっかりとした後々の信頼関係もつくれると思うのです。ぜひ御配慮をいただきたいと思います。  それから、通報の件でもう一つ。これは私も知らずにびっくりしたのですが、この間、劣化ウラン弾の件で、沖縄県の漁業組合の幹部の皆さん、ほとんどの代表の皆さんにおいでいただいたときに、沖縄の海域には制限水域がいろいろありまして、米軍が訓練するときには、二十四時間以前にここの地域で訓練をするから船は入っちゃいかぬ、そこで漁をしちやいかぬという連絡通報システムがあります。しかしながら、原潜が寄港したり、あるいは艦船が寄港するときに通報が来ないと言う。  原潜が来るときには、その原潜中心にして直径二百メートルの範囲内で漁はやっちゃいけない、通航してもいけないということになっているのです。それは、私の確認した中では、防衛施設庁には連絡が行っています、二十四時間以前に。それから、県にも連絡が行っています。それから、海上保安庁にも連絡。しかし、そこでとまってしまって、肝心な漁業組合に何の連絡も行っていないということで組合皆さんは大変不安を持っておられました。なぜそこでとまっているか、よくわからないのです。ぜひ話し合いをしていただいて、これは答弁は結構ですから、現場に行くというシステムを。それは彼らがそう言うのです。要請の中でそういう話が出たので私もわかったのですが、やはりどこかで欠落している部分があると思うのです。そういう意味で御配慮いただきたい。
  6. 諸冨増夫

    ○諸冨政府委員 ただいま先生質問の件でございますが、私も、漁業組合の、漁連の会長さんとお会いしたときに、そういうふうなお話を承りました。それで、今週、たまたま又吉調整監、県の又吉さんがお見えになった際に、私の方からこういう御要望がある旨お伝えしてございます。  現在、外務省の方から、確かに県の方には御連絡が行っておるようでございますが、県から漁連の方には、勝連町までは行っておるようでございます、一例を挙げますと。それから先、ちょっと正確に届いていないような状況がございますので、今政府部内でどういうやり方がいいのか、あるいは県と市町村との間で調整をとりながら、しかるべき時期にきちっとした連絡が行くように今相談をさせていただいている、こういう状況でございます。
  7. 嘉数知賢

    嘉数委員 ぜひ頼みます。  それから、外務大臣、私ども県民大会でも、あるいはまた県民の一番の願いとして、地位協定見直しをぜひしていただきたい、お願いします。それについて、日米相互間で、SACOの中でもいろいろ話し合いをされ、改善を相当していただきました。その一つのあらわれとして、犯罪の、要するに犯人の引き渡し等については守られていると思うのです。  そこで、私が確認した中で、どうもまだしっかりと徹底していないなということがあるものですからお伺いしたいと思うのですが、一つは、米軍車両戦闘用車両あるいは米軍人用車両、これは当然、改定しなくても地位協定の中で識別番号を表示するようになっておるはずなんです。それがなかなか、所属部隊などがさっぱりわからなくて、我々としてはナンバープレートをつけてくれということでした。今年度の一月までにナンバープレートをしっかりつけて識別できるようにしますと。そうしなければ、彼らと起こす事故は、彼らはみんな部隊に逃げ込むものですから、全く泣き寝入りでどうにもならないということで、私も要請したのです。それはきちっと話し合いをしていただきましたけれども、今私が確認しておる範囲内で、ナンバープレートをつけて走っている車というのはなかなかないのです。どのくらい進捗されているのか、ぜひ御答弁をいただきたい。  それと同時に、それ以外に、例えば、人、動物、野菜の検疫等、植物の検疫等をしっかりとやる。これまでやられていなかった、それをしっかりとやりますということ。それがどうなっているのか。  あるいはまた、米軍車両任意保険が入っていないために、彼らが事故を起こしたら、被害者泣き寝入りをしなければならない。なかなか補償金が取れないということで、任意保険まで入れますということもたしか地位協定改善の中で入っていると思うのです。その部分がどうなっておるのか。なかなか私どもに知らされていないものですから、実際に、本当にそれが実施されているのか、あるいはまたどういう状態なのか、その他の取り決めについても含めて、わかる範囲で結構です、今作業を進めている段階で。御答弁をいただきたいと思います。
  8. 折田正樹

    折田政府委員 米軍公用車両の表示につきましては、委員がおっしゃるとおり、非戦闘用米軍車両については一月まで、その他の米軍車両については本年十月までということになっております。私どもは、着実に実施しているという話は聞いておりますが、実際どういうことになっているのか、あした私も大臣にお供して参りますので、ちょっと現地事情を詳しく聞いてみようと思います。  それから、検疫につきましても、これは着実に実施されるという報告を受けております。
  9. 諸冨増夫

    ○諸冨政府委員 車両任意保険につきましては、昨年、一九九六年の十月十八日に在日米軍司令部の方から私どもの方にきちっとした御連絡がございまして、一九九七年一月一日、ことしの一月一日から、対人で三十万ドル、三千万円、それから、対物で三万ドル、三百万円の任意保険の加入を在日米軍規則によって義務づけているというふうに私ども連絡を受けておりまして、現段階で、すべての車両についてはこういう規則に基づく保険が全部添付されておるというふうに承知しております。
  10. 嘉数知賢

    嘉数委員 不明なところはしっかりとした追跡調査をしていただいて、もし守られていなかったら守らせる。それから、任意保険についても、なかなかしっかりと守られていない部分があるんですよ。ですから、しっかり守らせる努力を、これは私どもの手には負えないですから、その点お願いをいたしたいと思うのです。  それから、SACO報告の中で、沖縄基地返還計画整理統合計画をきちっとやっていただきました。しかしながら、やっていただいたけれども実際は一つも動いていない。まだこれからの話です。これからが一番難しい。これは日米間で合意しておりますけれども地元がちっとも納得をしていないものがいっぱいあります。  その中で、御苦労しているのもわかります。私も当事者ですから、大変いろいろな面でやりにくい面があって苦労しているんですが、ただ一つだけお願いしたいんですが、私ども沖縄県が一番望んでいる、普天間飛行場を別にしましたら一番期待をしている、しかも、唯一沖縄県から持っていかれるのが一〇四号の砲弾演習。それ以外は全部県内で何とか処理しよう、一〇四号だけは県外に移動してやりましようということになった。それだけ私どもも、こういうことをやっているじゃないかということで盛んにPRもしておるし、胸を張って言っているんですが、なかなか前に進まない。  この間、沖特委でも答弁いただきましたけれども、私ども沖縄県で一カ所で五十年近くずっとやっていたんです。それを五カ所に移動させようということですから、私どもとしては、これは当然のこととして移していただかなきゃいけないと思うんです。中には、自分たちが嫌がるものをよそへ持って行けというのかと言う人もありますけれども、しかしながら、私どもは五十年間我慢してきたんです。少しは痛みを分けてくださいというのが、実は沖縄県民立場なんです。その移動がなかなかうまくいかない。  沖特委でも答弁いただきましたけれども、その五カ所の話の進捗ぐあい。それから、例えば一カ所イエスと言ってそこが可能であれば、一カ所分だけを移すんですか、あるいは、五カ所きれいに承諾をして初めて移されるんですかということなんです。私は、これは、これからやられるいろいろな返還の一番根本をなすものだと思います。これを解決し得なくして、よその難しい問題は一切動かないと思います。私は、大変難しいと思うんです。  例えば私の地元に移そうとしている普天間のヘリポートだって、うちの市長は、県内移設、移される方は反対しているじゃないかという言い方をするんですが、よそに移そうとしたって、何も国は他県に移そうとさえしてくれないじゃないかと実は本人が言っているんですよ。私は、そんなのは黙っておけ、今すぐやれるかと言っているんですが。その部分は大変大きな障害になる可能性があります。ぜひ全力を挙げて、せめてこの部分だけでもしっかりと年度内に解決をしていただかなければ、後で示すのは大変難しいと思う。  そういう意味で、進捗状況と、それから、いつごろまでにできるのだろう、あるいは、先ほど聞きました、一部でも移すのかあるいは全部そろわなきゃだめなのかということについて、これは防衛施設庁長官ですか、防衛庁長官ですか、お願いいたします。
  11. 久間章生

    ○久間国務大臣 本当にこれまで長い間、一〇四号越えにしましても、沖縄でずっと、しかも一カ所でやっておったわけでございますから。先日も、五カ所のうちのある地区の国会の先生方がおいでになりましたので、とにかく沖縄の方の気持ちもわかっていただいて、基地を移してくるんじゃないので、その日数をせめて十日以内、しかも、自衛隊あるいはまた米軍が今までやっておるそういう総日数の中で、全体を超えないで、その中で十日間以内でやっていただくんだから、ぜひ御理解していただきたいということをお願いしたわけでございます。  そういう形で、五カ所につきましてはいろいろと温度差もございます。もろ手を挙げて賛成というわけにはいかないけれども、とにかく反対という声がある以上は賛成はできないけれども、気持ちはよくわかる、理解できる、何か協力しなければならないという気持ちもわかるというふうにおっしゃっていただく方から、うちはいいとはっきり言われる町長さんもおられますし、いろいろございます。  そして、これを五カ所全部でということじゃなくて、ともかく沖縄で現在行われております年間三十五日を何とかこの五カ所の演習場で分けながら、とにかく平成九年度からは実施できるようにということで今全力を挙げてお願いしているわけでございますので、どうか、沖縄嘉数先生だけではなくて、本日御出席の委員先生方も、その沖縄の気持ちを本土でできるだけ酌み取ってやろうというような気持ちで一緒になって御協力いただければ大変ありがたい、そういうふうに思っているところでございます。そういうことで、どうか、もうしばらくその推移を見守っていただきたいと思います。
  12. 嘉数知賢

    嘉数委員 これは先ほど申しましたように、沖縄基地問題を解決するのに一番大きなインパクトになる、そう思っております。そういう意味でもぜひ頑張って実現をしていただきたい、そのように思っています。  それから、きょうから実は沖縄県で例の反戦地主を含めた未契約地主の公開審理が始まりました。大変難しい局面に行くなという予想はできますけれども。ただ私は、その未契約地主があたかも沖縄県で大変大きな割合を占めていて、しかも相当の坪数がある、相当の面積があってという、マスコミ等の報道を見るとどうもそういう感じがある。正直申しますと、私はどうも納得いかないなと思うのです。  そういう意味で、施設庁長官、実は実態はこうなんですと、私がしゃべるよりも、これは議員の皆さんに理解していただくためにも細かく説明をしていただきたい。ぜひお願いします。
  13. 諸冨増夫

    ○諸冨政府委員 それでは、ちょっとお時間をいただきまして、数字を御説明させていただきます。  一坪地主の実態といいますのは、嘉手納飛行場に三筆、全部で二千百四十八平米の面積のところに二千二百七十九名の一坪地主がおられる。それから、もう一カ所は普天間飛行場でございますが、ここは六十七平方メートルのところに六百八十九名の一坪地主がおられる。嘉手納飛行場は、平均いたしますと一人当たり〇・九四平米でございます。それから、普天間飛行場は一人当たり〇・一平方メートル、こういう状況でございます。
  14. 嘉数知賢

    嘉数委員 もう一つ、その中で、沖縄県民でも本来の地主じゃなくて政策的意識を持って行動をした皆さんと、それ以外に、県外からの比率をしっかりと説明していただきたい。
  15. 諸冨増夫

    ○諸冨政府委員 内訳でございますが、本土の一坪地主の方が千四百五十一名、それから沖縄県の一坪地主の方が千五百十七名、合計二千九百六十八名でございます。
  16. 嘉数知賢

    嘉数委員 どうもありがとうございました。  なかなか沖縄の反戦地主ということを理解されていないと思うのですが、ある政策的な目的を持って行動している団体、しかも、これは沖縄県民もおりますけれども、本土、他県からわざわざそのために乗っかってきている、その人たちが実は沖縄県を騒がしている。そういう意味で大変残念だという思いもしております、後で公開審理の中でいろいろ出てくると思うのですが。  あと一つ、最後に、外務大臣、この間も委員会で出ておりました五・一五メモ。これは私ども、ずっとこの二十五年間、五・一五メモを開示していただきたい。それはなぜかといいますと、実は、これもある意味では米軍に対する不信感政府に対する不信感がバックになっている。だから、何があるかわからない、どういうことなのだ、私ども沖縄県というのは、我々の全く力の及ばない、わからないところでどういう取り組みをされているのかという部分を知りたいなと思っていて、開示をしていただきたいということ。これは前向きに努力をしてできるだけ明らかにしたいとおっしゃっておりましたけれども、改めて御答弁いただきたいと思います。
  17. 池田行彦

    池田国務大臣 五・一五メモ、いわゆる返還時に日米間でなされた合意でございますけれども、これはできるだけ早く、できる限り全貌が御理解いただけるような形での公開をしたい、こう考えております。  かつては、日米合同委員会の内容というものは表に出さないことにしておりましたけれども、昨年三月二十八日の合意に基づいて、公開の方向に大きく転換しました。それ以後の合同委員会の内容は公表しております。さらに、それ以前のものにつきましても、順次検討の上、公開していこうということで作業を進めておるわけでございますが、その中でも、この五・一五メモを優先的に対象にいたしまして、早期に公開できるように今作業を進めておるところでございます。
  18. 嘉数知賢

    嘉数委員 終わります。どうもありがとうございました。
  19. 伊藤英成

    伊藤委員長 次に、平田米男君。
  20. 平田米男

    ○平田委員 きょうは、私は、主に沖縄の問題についてお伺いをさせていただきたいと思います。  きょうの県の収用委員会、第一回の公開審理が行われているわけでございますが、まず冒頭にお伺いいたしたいのは、今嘉数委員がお尋ねになって防衛施設庁長官がお答えになりましたが、今この公開審理の対象になっておるのは約三千名の反戦地主の方々である、その面積は基地全体からすると小さい、そして反戦地主の人たちは、一坪地主とはいいながら、実は座布団地主とかハンカチ地主とかという言葉があるそうですが、非常に面積が少ない、しかも半分近くの方々県外方々である、こういう実態を明らかにすべきだということで、諸富防衛施設庁長官がお答えになったわけでありますが、おっしゃるとおり、実態はそうだと思います。  しかし、沖縄県民皆さんのこの問題についての考え方というのは、面積が小さいとか、一人当たりの面積が極めて狭いとか、あるいは半分くらいの方が県外であるとかというようなことが果たして重要なものなのかどうか。沖縄県民皆さんのこの収用委員会、強制使用の手続についての思いというものを両大臣はどのように御認識になっておいでになるのか、まず伺わせていただきたいと思います。
  21. 久間章生

    ○久間国務大臣 それぞれ所有者の方は、それぞれの気持ちでそれぞれの行動をしていらっしゃるのだろうと思います、今までの経緯もございますでしょうし。  ただ、先ほど施設庁長官が言いましたように、全体で三万二千人ほどいらっしゃるわけでございますけれども、そのうちの二万九千人の方はとにかく契約をしていただいておるわけでございます。そして在来地主の方、百十六名ですか十七名ですか、その方もおられるわけでございますけれども、こういった方と、そして、先ほどから話題にのりました一坪地主といいますか、そういうようなたくさんの共有地を持っておられる方々、いろいろな方が沖縄基地の中にはおられるわけでございますけれども、大多数の二万九千人の方がいわゆる契約に応じていただいておって、数からいっても三千というのは非常に多うございますが、全体の面積でいきますと一%ではなくて〇・〇〇一%の土地だということについても御理解はしていただきたいと思います。  ただ、そうはいいましても、先ほど言いましたように、それぞれのお立場で、それぞれの考えで、今までのいろいろな経緯の流れの中でそういう行動をとっておられるわけでございますから、それはそれなりのお考えがあるのだろうと思います。したがいまして、私どもは、一応法に基づいて、収用委員会の皆様方にその期間とか補償の対価とかそういうことについて判断を仰ぐべく、今裁決の申請をしておるところでございますので、そういう総合的な中でこの問題を処理していきたい、そういうふうに思っておるところでございます。
  22. 池田行彦

    池田国務大臣 ただいまこれを所管される防衛庁長官からお話ございましたとおりに私ども認識しております。
  23. 平田米男

    ○平田委員 私の質問をちょっと取り違えられたかのかもしれませんが、三千名くらいの反戦地主の方々が任意契約を拒否して強制収用手続に入っていることに対して、県民皆さん、地主以外の約百二十何万ですかの沖縄県民方々、三万二千人の方は地主ですが、非地主でいらっしゃる百二十万以上の沖縄県民方々はどのように思っておいでになるか、防衛庁長官あるいは外務大臣の御認識を伺いたい、こういうことでございます。
  24. 久間章生

    ○久間国務大臣 御承知のとおり、国がいろいろな施策をやります場合に、そこの住民の方々の、一人一人の皆さん方の意見がどうかというのを直接徴するわけにはまいりませんので、普通の場合、地方自治体、町村でありますとか県でありますとか、そういったところの意見を聞きながらやってきておるわけでございます。  そういう意味では、沖縄は、従来基地ができましたいきさつあるいはその後の経緯を見ましたときに、そういうような流れの中でいいますと、非常に特異な経過の中でああいう現状ができておる。これが非常に我々としてもある意味では悲しむべきことでございますので、できるだけ沖縄のそういった痛みをどういう形で解決できるのか、それはそれとして今一生懸命苦慮しているところでございます。  ただ、日本が、先生もこの一員でございますけれども安全保障条約を国会で批准して、それに基づいて基地の提供をしておる我が国としては、基地の提供をしなければならないという義務を一方では負っておりまして、そういう絡みの中で政府も苦慮し、また、地方自治体ともそういう中でうまい調整の仕方がないものかということで非常に苦慮しながらその現状をとにかく追求しておる、そういうような実情をひとつ、私どもはそういうふうに思っておりますし、それについても先生もまた御理解賜りたいと思うわけでございます。
  25. 平田米男

    ○平田委員 外務大臣もお答えにならなくても同じことだろうと思いますので、重ねてお伺いいたしません。  私、つい先日もまた沖縄へ行ってまいりましたが、去年の七月から約七カ月くらいの間に四回沖縄に行かせていただきまして、リゾートの島ではございますが、全く視察あるいは意見聴取ばかりでございましたが、行くたびに目のうろこが落ちる思いがいたした四回の沖縄訪問でございました。東京から見ていた沖縄と、そして沖縄に入らせていただいて、ひざを詰めて何時間もいろいろな方々とお話を伺ってもう一度見直し沖縄というのは、全く様相の違う、我々の認識をはるかに超えた沖縄であったなという思いがしているわけであります。  私は、今、県民の心をどのようにお感じですかというふうに伺いましたのは、確かに、防衛施設庁が説明されたように、地主の間では少数派です、今の反戦地主の人たちは。しかし、ほとんどの県民の支持を受けている、こう言っても過言ではない。地主の方にも会いましたし、非地主の方の話も聞きましたが、非地主の方々の一部にはこういう声もありました。地主の皆さんはとられたときは大変だった、しかし、今は一人当たり百万、二百万という大変な高額の地代をもらっておられる、騒音で苦しむ基地周辺にはその方々はほとんど住んでおられない、基地周辺に住んで基地問題で苦しんでいるのは非地主の私たちですよ、そういう言葉もございました。  したがって、単に地主の中で反戦地主の方々がごくわずかだ、だからそういうことをしっかり認識すべきだというのは、沖縄問題の本質をとらえたことにはならないのではないか。沖縄県民皆さん基地の重圧に苦しんでおるわけでありまして、単に地主の問題ではない、沖縄県民基地重圧に対してどのようにしてくれるのか、そういう問題だというふうに御認識をいただきたいわけでございます。御答弁では、果たしてその辺の御認識が十分なのかどうか。  私は、この七カ月の間に四回行きまして、延べにして二週間近くしかいなかったわけでございますが、できれば外務大臣防衛庁長官も一週間か十日べったりと沖縄に入っていただいて、朝から晩までいろいろな方の話を聞いていただく、これが一番大きな成果が上がるのではないかというふうに思います。これについては特段御答弁は求めませんが、ぜひともそれをやっていただきたい。  外務大臣はこれから委員会が終わってから沖縄に行かれるそうでございますが、今回沖縄に駐留する沖縄大使ですか、その事務所開きがあるそうでございます。今晩行かれればそれなりのお時間もあるかと思いますので、できるだけ大勢の方、バッジをつけた方とか役職のある方だけではなくて、一般県民の方の声にぜひ耳を傾けていただきたいなというふうに思います。  そこでお伺いしたいのですが、まずこの強制使用の手続、きょう第一回の公開審理で、きょうの五時までだそうでございますので、現在まだ審理中ということになるわけでございます。これはきょうで終わるのか終わらないのかというようなことが次なる手続に大きくかかわるわけでございます。今、一つ言われておりますのは、従来の経験則からすると、一回の公開審理では到底終わらないだろう。次は三月十二日という予定にされておるわけですから、この次は少なくとももう一回行われる。仄聞するところによれば、収用委員皆さん現地調査もしなければいけない、このようにもおっしゃっておいでになるとするならば、これから少なくとも半年ぐらいは審理に時間がかかるのではないか。これまでの経験則からするとそのような予測がされるわけであります。  そういたしますと、期限の五月十四日を越してしまうという事態がほぼ確実に予測されるのではないかと思うわけでありますが、そのような予測をしておいでになるのかならないのか、まず、その点お伺いをさせていただきたいと思います。
  26. 久間章生

    ○久間国務大臣 確かにおっしゃるように、今までの経験則といいますか、これまでの例でいきますと、かなりの日時を要しておりますだけに、非常に厳しい状況であることは私どもよく存じ上げておるわけでございます。そういう過程の中で、今委員がおっしゃられましたような点も踏まえて、いろいろな御意見がこれまでも予算委員会等でも出されました。  しかしながら、御承知のとおり、ああいう形の中で大田知事が公告縦覧に踏み切っていただいた、そういう県との信頼関係の中で現在審理が進められましくきょうようやく第一回目がスタートしたわけでございますし、次の第二回の日取りも三月十二日と伺っておるわけでございます。  私どもとしては、できますればそういう過程の中でできるだけ早く裁決をしていただければ、本当に万が一というような非常に際どい状況ではございますけれども、何とかうまい軟着陸ができればというふうな期待を込めて、一日も早い裁決を待ち望んでおるというのが現在の心境でございます。そういう意味では、ほかのいろいろな手続を現在時点で考えているというようなことはないわけでございます。  もちろん、いろいろな勉強というのは、私ども先生の党を初めいろいろな方々から指摘も受けておりますのでやってはおりますけれども、現在はとにかくそういうことで一日も早く裁決を終えていただけないだろうか、そういうお願いを込めた気持ちで一日も早い裁決を願っておるという状況でございます。
  27. 平田米男

    ○平田委員 防衛庁長官の苦衷のお心はよく解したわけでございますが、終わってもらいたいという希望はわかりますが、終わらない可能性も、今申し上げたように経験則からすると可能性大だということを前提にして、これまでの国会答弁ではそこまで踏み込んだ御答弁はありませんでしたが、私は、本来日米安保条約上の国の責任として、もう考えているということがなければならないのだろうと思うのです。ただただ沖縄県との信頼関係を信じていますなどというのは、少なくとも国の安全保障をやる防衛庁長官としては、いろいろな場合を想定して、その場合に対しての適切な対応策というのを考えておられなければならないお立場でいらっしゃるわけであります。それは、日本防衛という観点は常にそうでございますが、同様にこのような強制使用手続に入ってしまったものについても、さまざまな事態に対する適切な対応というのは当然検討をされておられるし、されておられなければならないはずでございます。  それを前提にしてお伺いをいたしますが、まず緊急使用の申し立てというのが一つのオプションとしてあるわけでございます。報道によれば、緊急使用の申し立てばどうもしないらしいというような報道もあるようでございますが、緊急使用の申し立てについては御検討されているのかどうか。そしてまた、申し立てをしないという選択肢もその中にはあるのかどうか。そして、あるとするならばそれはどういう理由によるものなのか。お教えをいただけますでしょうか。
  28. 久間章生

    ○久間国務大臣 本当にくどいようでございますけれども、今のこの時点で緊急使用の申し立てをしないとか、あるいは緊急申し立てをするのだとか、そういうことを決めているわけではございませんで、とにかく三月十二日の第二回まで審理が決まっておるわけでございますから、その推移をとにかく見守らせていただきたい、そういう気持ちでございます。
  29. 平田米男

    ○平田委員 そういうふうにおっしゃるのは、まさに県との信頼関係を崩さないというお立場と善意に解したいと思います。しかし、ある意味では、そうおっしゃっていて突然やられますと、まさに信頼関係を破壊をするという逆効果も私はあると思います。また、一般国民は、一面から見るとなぜ無責任とも思われるそういう一方的な言い方だけで言われているのか、またそれほど沖縄県との信頼関係は危ういのか、橋本総理と大田知事との関係は極めて弱いんだなという印象しか受け取れません。  私は、少なくとも、そのような御答弁を続けられるとするならば、国民に対してあるいは沖縄県民に対して、いつの時点で決断されるおつもりなのか、いつの時点で検討作業に入るのか、いや、いつの時点で決断をしなければならない、そういう点ではタイムリミットをいつだというふうにお考えになっておいでになるのか。タイムリミットをお聞かせをいただきたいと思います。
  30. 久間章生

    ○久間国務大臣 タイムリミットをいつまでと言うわけにはまいりませんけれども、先ほどから何回も言っておりますように、きょう、その第一回の審理が始まったわけでございますし、第二回の審理が三月十二日ということになっておるわけでございますから、少なくともそういうことが今続けられている途中において、先ほど言いましたように、するとかしないとか、あるいは他の方法をとるとか、そういうような態度決定を政府がするわけにはまいらないという事情も……。それで、今私の言いました言葉でタイムリミットととっていただけるのかどうかわかりませんけれども。  とにかく第二回目が三月十二日となっておるわけでございますから、その推移も見させていただかないと。先ほど言いましたように、今までのいろいろな信頼関係の中に立って裁決をお願いしておるわけでございますので、ぜひその辺の苦しいところも御理解を賜りたいと思うわけでございます。
  31. 平田米男

    ○平田委員 おっしゃるとおり、三月十二日に第二回の公開審理が入っておるわけでありますから、その前にアクションを起こされるということは、まさに信頼関係を破壊することだと思います。  しかし、これまでの前例を見ますと、緊急使用の申し立てをして、一日で出してもらった場合もありますし、また、何日かかかった場合もあります。しかし、いずれにしましても、出たとしても、これは三千名の人全部に送達手続が必要なわけでありまして、これに約一カ月半はかかるということになりますと、四月の初め、すなわち三月の末には強制使用の決定を出していただいてようやく間に合うということになります。  そうすると、三月十二日の公開審理の結果を見た上で、一週間かそこら、一週間の時間があるかどうかわかりませんが、そのわずかの時間の間に決断をしなければならないというふうに計算上はなるのですが、それでよろしゅうございますか。
  32. 久間章生

    ○久間国務大臣 何回も申し上げますように、先生の今言われたような御意見等も非常に参考にさせていただきますけれども、今、この場でいつまでにというタイムリミットを申すわけにはまいらないわけでございますので、ひとつ御理解いただきたいと思います。
  33. 平田米男

    ○平田委員 これ以上何を言ってもお答えにならないようでございますので、厚い壁を感ずるわけでございますが、私は、やはり県民との信頼関係を考えたら、次なる手続に入るとしたら、言われているような特措法の改正に直ちに入るのではなくて、緊急使用の申し立てをやられるべきだと考えます。  確かに、全部が全部認められるかどうかわからないという危惧もあるかと思います。しかし、これまでずっとおっしゃっておられたのは、県との信頼関係とおっしゃった。これは、県の収用委員会も含めてのおっしゃり方だと思います。その信頼関係を前提とするならば、私は、緊急使用の申し立てが前提になければ、申し立てをしないということは、信頼関係がなくなったということを宣言するに等しいんじゃないか、このように思いますが、いかがでございますか。
  34. 久間章生

    ○久間国務大臣 県との信頼関係で申し上げておるわけでございますから、何をするにしても、全く県にコンタクトなしに一方的にいろいろなことをやってしまうということは、従来の流れからいくとまず考えられないわけでございます。そういう全体のことも含めまして、県との信頼関係に立って現在とにかく審理のお願いをしておるわけでございますから、これから先についても、私どもは県との信頼関係を損なわないというのは念頭に置きながら処していきたいと思っております。  答えになっていないかもしれませんけれども、現在のあるいはこれから先の推移についての非常に苦しい状況についてもぜひ先生にも御理解していただきたいと思うわけでございます。
  35. 平田米男

    ○平田委員 今、大変すばらしい御答弁をいただいたと私は思うのですが、一方的にはされないというお言葉は極めて重要だと思います。やはり事前に、向こうの意に反したとしても、今度こういうふうに私どもはせざるを得ませんといって事前に通告をし、いろいろな問題点も話し合った上で次なるアクションに進められるというのは、私は、いいことだ、いや、ぜひやっていただきたい、こう思うわけであります。  緊急使用の申し立てをするにしても、また、お考えになっておられるような特措法の改正、まだ考えているとまではおっしゃっていないわけでありますが、一つのオプションとして言われているそういうもの、まだほかにも隠れたオプションがあるのかもしれませんが、いずれにいたしましても、一方的にはしない、この原則はぜひ守っていただきたい、その点御確認いただけますか。
  36. 久間章生

    ○久間国務大臣 一方的という言葉でいいかどうかわかりませんけれども、何らかのコンタクトなしに一方的にすることは、今までの信頼関係を考えたらできないということを申し上げたわけでございます。
  37. 平田米男

    ○平田委員 ぜひそういう姿勢で最後まで貫いていただきたいなというふうに思います。  特措法の改正については、まだこの委員会の席上では御答弁になっておられませんので、このテーマで議論をさせていただくと不毛な議論になるのかなというふうにも思いますが、しかし、私、今回、十六日、十七日の二日間行かせていただきまして、この問題について地元から極めて重要な発言を聞いてまいりましたので、ぜひこの問題に触れさせていただきたいと思うわけでございます。  それで、今報道等で言われております駐留軍用地特措法の改正というのは、附則を少し変えて、県の収用委員会の審理中は、従前から借りているところはそのまま継続使用を審理期間中は認める、審理でだめだというならば返すけれども審理期間中はいいですよ、こういうふうに報道では私は理解をしているわけでございます。  従前は、沖縄特別立法というようなことで極めて拒否反応が地元から強かったわけでありますが、この問題については、十六日に大田知事にお会いをいたしましたときにも、大田知事からはきっぱりとそのようなものは反対であると言われました。それから、基地を多く抱えた重立った市あるいは町の首長の皆さんとも約二時間意見交換をさせていただきましたが、そのときにも、皆さん、絶対反対だ、こうおっしゃいました。いろいろなチャンスに、地方議員皆さん、あるいは各地域の有力者の皆さん、あるいは業界団体の責任者の皆さん、そういう方みんなに伺いましたが、口をそろえて反対だというふうに言われました。  これは、新聞報道でもそのような報道が押しなべてされているわけでありますので、何も私が申し上げて耳新しいことではないと思いますが、私は、その基地を抱えた自治体の市長さん、町長さんとの懇談の席で、ある首長さんからこういう言葉が飛び出したときには、びっくりいたしました。もし特措法の改正をするということは、地元の自治体あるいは地主の意見を聞かないで国が一方的にその使用権を取得することができる、これはまさに強権の発動だ、もしこのような強権の発動をするならば、テロさえ起きかねない心配があります、こういう御発言がありました。法律にのっとって住民の福祉のために懸命に努力をしておられ、基地問題にもいろいろ現実問題として悩みながら、現に存在する基地と、そして米軍と住民との間に入って現実的対応をしなければならない、また現にしておられる、そういう立場の方からのその発言は、私にとっては極めて衝撃的な言葉でございました。  実は、私は弁護士でございまして、沖縄に行く前、すなわち昨年の七月前は、楚辺の通信所の問題がおさおさやっておりましたし、とにかく日米安保条約があるから、日本は法治国家だから、条約をきちっと守る義務がある以上、国内法上合法化しなければいけないなというふうに考えていたわけでございます。しかし、沖縄方々からすれば、今のような言葉がごく自然に出てくる。これは一体何なんだろうか。四回沖縄に行かせていただいて、そのことがだんだんとわかってまいりました。  まず一つは、簡単に申し上げれば、簡単ではないかもしれませんが、この二十五年間、沖縄が返ってきてから二十五年間でありますが、その前の二十七年間の米軍の占領下における沖縄県民皆さんの暮らしはどうだったのか。実は、私は読谷村に行きまして、読谷の村長から、その占領直後、要するに沖縄戦直後の読谷の状況を、いろいろな資料を見せていただいて教えていただきました。  日本は敗戦によりまして本土も米軍の進駐を受け、占領されたわけでありますが、それは武力による侵攻ではありませんでした。そして、進駐した先も日本軍の基地がほとんどでございまして、新たに米軍基地がつくられるというのは極めてまれであったわけでございます。したがって、精神的には、占領された、大変だという思いがありましたが、しかし銃弾が飛んできたわけではありません。占領によって命を失ったわけではありません。  しかし、読谷の状況はまさに米軍の武力侵攻でございまして、読谷の村民は占領によってどうなったか。銃弾によって多くの方々が亡くなりました。そして、戦闘が終わったときには、読谷の村民の皆さんは全員が一カ所に集められて、全員が捕虜になったわけです。そして、その捕虜になった地域の一部だけがその住民の方々の居住地でありまして、これは読谷の村域の何十分の一と言っていいぐらい小さな地域であります。そして、いろいろな部落が各地にあったわけでありますが、米軍はそれを全部ブルドーザーで平らにしてしまい、従前の家はない、道路はない、後に返還されたときに、どこが家の境界だということが現実にはわからない、そういう状況になってしまった。そして長い間、二十七年間、米軍の一方的な統治のもとで暮らしてきた。  それだけではありませんで、南部では六十万人の住民のうちの約二十万人が亡くなったそうでありますが、そのありさまというのはどういうことなのか。ほんの少ししかおっしゃいませんでしたが、要するに死体がごろごろごろごろしていたんですと。もう足の踏み場のないような死体の散乱、それが沖縄南部の状況であった。  それでどうなったかというと、戦闘行為が終わりますと、南部の生き残った住民は全部山原の方、この間名護市も見てまいりましたが、名護市が終わってから金武町の役場へ行きまして、金武町の屋上でキャンプ・ハンセンを眺めたわけでございますが、そのときに一緒に同行された県会議員の方が町長と話しておられました。このちょっと北側に中川というところがありましたね、ありますよ、実はあそこに私は収容されていたんですと。収容されていた。要するに、南部は死体だらけで、とにかくとりあえず北へ行けということで、カヤぶきの粗末な粗末な収容所に全員が入れられたんです。幾つでしたか、十二歳だ。一家四人で、米軍からの配給というのは十分じゃなくて、一日一合の米しかなかった。また、友達も栄養失調ではたばたばたばたと亡くなっていきました、そう言われながら、今は立派な地元の政治家でいらっしゃいますが、そっと冒頭を押さえておいでになった。恐らくあのときの悲惨な思い、友人の苦しみながら亡くなっていった姿、そういうものをまたぐっと心の中に思い出されたんではないかというふうに思いました。私も、それ以上その方に声をかける勇気がありませんでした。  今沖縄県民皆さんは、自分の肉親を亡くし、そして自分自身がまさにその戦争体験をし、また米軍の占領の生々しい体験、苦しみというものを持っておられるわけであります。本土の我々も、私は戦後生まれですから知りませんが、父親たちの話を聞けば、戦争の苦しみを話してくれますが、しかし、その苦しみは、地上戦をやった沖縄の人たちとは天地雲泥の差がある。確かに空襲も大変だったと思いますが、すべてを焼き尽くされた、そして占領によって、残った家屋敷もすべてつぶされた、そして一カ所に収容されて過酷な待遇であったという沖縄県民の人たちの経験と天地雲泥の差があるのではないかと私は思うんです。  しかし、沖縄方々は、そういうちょっとした縁がない限りはとうとうとその苦しみをお話しになりません。みんな心の奥底に、いや、きっと思い出したくないんでしょう。なかなか言葉にされません。また、奥ゆかしいんだろうと思います。守礼の邦琉球のよき精神的伝統をお持ちなんだろうというふうに思うんです。そういう沖縄県民皆さんの心で、この強制使用の問題を考えなければならないと私は思うんです。  確かに法治国家であります。楚辺のような不法占拠があってはならないという防衛施設庁のお考え、また防衛庁長官外務大臣のお考え、恐らく橋本総理も同じお考えでいらっしゃいましょう。しかし、じゃ沖縄方々からすれば、二十五年前沖縄が返ってきてからどうなったんですか。たしか核抜き・本土並みというふうに言われたんじゃないですか。本土並みというのはどういうことですか。例えば米軍基地はどういうことですか。  伺うところ、沖縄が返ってから、本土の米軍基地は六割削減されたそうでありますが、沖縄基地は一五%しか削減されていないと聞いております。日米安保条約上、片務的に米軍は、米国は日本を守ってくれることになっておりますが、そのかわりに我が国は極東の安全のために日本の基地を提供することになっている。しかし、その日米安保条約を結んだときの基地の提供は、そのとき沖縄の施政権はありませんでしたから、米軍に行っていたわけですから、本土の米軍基地だけが日米安保条約の、要するに片務的に米軍が日本を守るかわりに基地提供の対象になったわけです。それが、沖縄返還になったら、突然、沖縄がまた安保条約の基地提供の対象にすりかえられてしまった。そして、本土の基地はどんどん削減され、沖縄基地はずっとそのまま残っている。  しかも、御承知のとおり、沖縄基地はいいところばかりにあります。なぜ住宅ががけつ縁にあるのだろうか。私も行ってびっくりして聞いたのですが、いいところは全部米軍が、先ほどお話ししたように、一カ所占領しているうちに全部田畑を基地にしてしまって、あと残っているのはがけつ縁しかなかった、解放されたときはそこに住むしかないのですよと。だから、軍用地の地主の方々も、今は相当高額な地代をもらっておいでになるわけでありますが、当時はめちゃくちゃだったわけです。  しかし、その基地が、日本政府によって、日本の本土の安保条約上の基地提供義務の肩がわりをさせられたのです。地上戦で日本軍に苦しめられ、そして沖縄返還がなされた後は、今度は本土並みと言いながら沖縄は本土の義務の肩がわりをさせられたのではないですか。あなた方は、約束は守らなくてはいけない、法律は守らなくてはいけないと、では本土並みというのは法律ではないから守らなくていいのですか、これに対して、私は答えようがありませんでした。  また、翻って、日本は有事法制が何もなくて、自衛隊はいざというときには超法規的に動かないと本当に日本を守ることができない、非常に貧弱な防衛法体系になっています。日本が法治国家だというのだったら、沖縄のことばかり言うのではなくて、なぜ有事法制をきちっとしないのか。私は弁護士として、法治国家を守るべきだという観点から、そういう主張をずっとしてまいりました、おかしいではないかと。もし三千名のこの強制使用をどうしても合法化するのだというのだったら、そして特措法の改正まで視野に入れるとするのだったら、法案を提出するときは、有事法制もあわせて提案しなければまさに不公平のそしりは免れない。  沖縄にばかり何でこんなにしわ寄せをするのだ、法治国家だ、法治国家だというのは、要するに日本の本土の、政府の勝手な言いぐさではないですかと言われたときに、私たちはまた何の反論もできないのではないかと思うのですが、長官、大臣、いかがですか。
  38. 久間章生

    ○久間国務大臣 先ほどるるお話しになられまして、沖縄に行かれて、聞かれて、また感想を持たれた、私も委員と恐らく同じような気持ちだと思います。私自身も沖縄へ行きまして、そういう話を聞き、本土との違い、基地ができたときのいきさつ、いろいろな流れ、そういうのを知るにつけ、とにかく今委員がるる述べられましたような心境でございました。そういう点については、同じような基盤に立っておるのではないかと思います。  そういう中で、ただ、委員が先ほど法のお話をされましたけれども、私どもとして今この場でそういうことはお答えできないわけでございますけれども、立法府としていろいろお考えを願って、法律は立法府で最終的には御決定いただくわけでございますから、そういうときにどういう形になっていくのか、強権的なことができる限りないように、立法府も含めてこれは配慮していかなければならないことではないかというふうに私は思っているわけでございますので、その辺についても御理解を賜りたいと思います。  また、有事法制についておっしゃられました。弁護士の先生として御活躍していらっしゃるわけでございますから、現在の法整備が不備があるというような御指摘もそのとおりかと思います。  ただ、言いますならば、今のところは自衛隊法その他の法律によって骨幹的な部分は一応ありますので、現在の段階では混乱がないわけでございますけれども、いざというときの有事に備えていろいろな法整備をやらなければならないということは、私どもも常日ごろ考えておりましてそういう勉強は、研究はさせていただいておるわけでございます。  ただ、法整備をするといいましても、これまた国会で御審議をしていただいて、そして、その中で法律をつくっていただかなければならないわけでございますので、今まで、第一分類、第二分類として、いわゆる自衛隊の運用に係るもの、あるいは防衛庁の直接所管する法律、あるいはまた他省庁の所管する法律、あるいはどの省庁かわからないもの、そういうふうに分けながら勉強は、研究はさせていただいておりますけれども、法整備が直ちに今できるかどうか、そういうことについては、これまたこの場でなかなか言えないわけでございます。  いずれにしましても、立法府等の御意見等、あるいはまた国民の御意見等、そういうものも集約しながら、こういう問題については絶えず研究していかなければならない課題である、そういうふうには認識いたしております。  沖縄の問題については、先ほどからも何回も言っていますように、とにかく現在ああいう形で審理が進められておりますので、どうか、そういう状況下における現在の政府の置かれている立場も御理解賜りながら、私どももしばらく推移を見させていただきたいと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。
  39. 池田行彦

    池田国務大臣 過ぐる大戦におきましてあれだけの辛酸をなめられ、そしてまた、その後も米軍の占領時代、あるいは復帰後も長きにわたり多大な負担を強いられ、さらに沖縄戦の苦しみと悩みに耐えてこられた沖縄県民方々でございます。そういった方々に、今日もなお、先ほど先生がつぶさにお話しになりましたような御苦労を強い、そしてまた、そのような思いを耐え忍ばなければいけない状況にあられるということは、我々政治にある者はもとよりでございますが、日本国民全員が真剣に考えなければいけないことだと思います。  そういった観点から、将来に向かって基地の整理、統合、縮小はもとよりのこと、また地位協定の運用面での改善も当然のこと、また沖縄の将来の振興についてもそうでございますし、また安全保障の面で国民全体がどういうふうにそれぞれ責任を分かち合っていくか真剣に取り組んでいかなければいけない、こう思います。沖縄県民方々のそういった思い、悩みを一挙に解消し切ることはなかなか難しいかもしれませんけれども、私ども、そのことを大切にいたしまして、着実に努力を積み重ねてまいらなければいけない、こう考える次第でございます。
  40. 平田米男

    ○平田委員 私は、誇張しても何とも言っておりません。本当に沖縄の人たちの生の苦しみを、ぜひ長官、大臣ともに御理解をいただいて、まさに同苦、同じ苦しみを我々政治家はしなければいけないのではないかというふうに思います。  楚辺の通信所、内閣の見解は別として、私は不法占拠であることは間違いないだろうと思います。しかし、現実問題としては、知花さんが入られて、そこで三味線を、蛇皮線ですか、弾かれて、その後は平穏な状態になっているわけであります。  三千名の反戦地主の皆さんの中にはいろいろな考え方があるかもしれませんが、その反戦地主の持っておられる土地がちょうど嘉手納基地の滑走路のど真ん中にある。こういうようなことから考えますと、政府の焦りといいますか、何かしなければいけないという心もよくわかるのですが、しかし、それが私は沖縄県民にとっては逆効果になるのではないかというふうに思います。  広大な嘉手納基地であります。米軍に言わせますと、海外の空軍基地では世界一だと。その基地のほんのわずかのところが不法占拠になった途端に何らかの小競り合いはあるかもしれませんが、しかし、大多数の沖縄県民、一部反戦地主の方の中にはいろいろな考え方があるかもしれませんが、県民皆さんは冷静に対処をされるんだろう、不法占拠になったとしても。私は、その方が重要だ、法律を守るというよりも、県民の心を安寧にする方が為政者として配慮すべき事柄なのではないか、そのように思います。その辺はこれからの御検討だと思いますので、ぜひ冷静に御判断をいただきたいというふうに思うわけでございます。
  41. 久間章生

    ○久間国務大臣 今委員が不法占拠になったとしてもとおっしゃられましたけれども、そういうことはやはり避けたいと思っているわけでございますので、不法占拠になったとしてもというようなことを、はあ、そうでございますと言うわけにはまいらぬことだけはひとつ御理解しておっていただきたいと思います。  不法占拠というのは、特に嘉手納飛行場あるいは普天間飛行場といったいわゆる公共的な利用をされているところでの不法占拠というのは、非常に大変なことにもなりかねません。そういう場合には、言うなればこちらは法律上の義務として提供しておりますから、米軍の方は法律上の、条約上の権利として使っておりますので、法的にはいわゆる占有がそのままできる形になっているわけでございます。  ただ、日本の政府の方が地主との関係でいわゆる権限がなくなるわけでございますので、そうなりましたら、そこに不法に入るということになりますと、これは刑特法の対象になりますので、それをまた避けるというようなことにもなってまいりますので、不法占拠ということにならないように、とにかくそれを絶えず念頭には置いておかないといかぬ。法律家であられる先生ならばもう御存じと思いますけれども、そこのところが非常に苦しいわけでございます。今ちょっと先生おっしゃられましたので、あえてそういうことについて一言答えさせていただいたわけでございます。
  42. 平田米男

    ○平田委員 公式な御発言はそういう御発言しかできないかと思いますが、不法占拠になったからといって向こうが直ちにそこに入れるわけではありません。周りは全部他人の土地ですから、通行権がありませんので。その点もよくお考えになられた方がいいというふうに私は思う。そんなことは、私があえて申し上げなくても重々おわかりのことだと思います。  楚辺もそういうことでありまして、そこは知花さんの土地であるけれども、知花さんはそれを自由に使えないわけですよ。しょっちゅう行けないわけです。だって、他人の土地を通行する権利はないわけですから。囲繞地通行権でもちゃんと裁判所で認めてもらうとか、そういうようなことでない限りは行けないわけであります。  そういう法の灰色の部分を残しながらであっても、私はもっと県民の心を大事にしなさいという御要望を申し上げているわけでありまして、それは、今長官が、いや、不法占拠でもそのままにしますなんという答弁はできるとは思っておりませんが、だけれども沖縄県民の心というものを本当にしっかりとらえないと、あの少女暴行事件の後の沖縄県民皆さんの怒りどころではない、それを私は申し上げたいわけでございます。  それで、前にも海兵隊の話を時間がなくて大分はしょって申し上げさせていただきましたが、海兵隊の削減、撤退は大田知事も強く求めておいでになります。先般の私ども新進党の沖縄調査団との対話の中でも、我々もその方向で考えているということを申し上げましたら、大変高く評価をしていただいたわけでございます。  政府沖縄基地を整理統合とおっしゃいますが、沖縄の人たち整理縮小とおっしゃっています。統合は余分だ、それは県内移設の口実でしかないとおっしゃっていまして、統合は禁句でございますが、整理縮小するためには、本当に日米安保条約を維持しながら――私も日米安保条約は維持すべきだと思っています。そして、駐留なき安保ではなくて、米軍のアジアにおけるプレゼンスというのは大事だと思っております。そして、今、それができるのは日本であり、とりわけ沖縄本島だろうと思います。  しかし、現状は、占領直後に一五%削減されて、今度また大分削減するという話ではありますが、北部訓練場がほとんどですよ、今度挙がっているのは。五千ヘクタールと言いながら、四千ヘクタールは北部で、あれもほとんど国有地で自然保護のためには手をつけられない。そういう沖縄県民皆さんの目から見ると、本当に整理縮小するためには、沖縄に現に駐留している米軍の構成を議論しない限りあり得ない、こういう結論に至らざるを得ないわけであります。  嘉手納基地は空軍が主力でございますが、これは米軍から詳しく説明を受けましたが、北はシベリアから西は中東までカバーしております。これは、安保条約上は極東の安全と限られておるので、どうも実態と乖離しているんじゃないかと私は思いますが、今これをあえて取り上げません。それだけ米軍にとっては極めて重要な基地です。しかも、海外の基地としては最大、一番だ。この嘉手納の基地とほかの基地を比べたときに、質的に存在感が違う、存在意味が違う、私はそのように評価して間違いはないと思っています。  これからの極東の安全を考えたときには、この嘉手納基地の空軍とアメリカ海軍の機動力、これが主要な柱になってくるだろう。最低限これが維持されれば、海兵隊というのは一つ組織で陸海空を持った機動的な、要するに小規模の戦闘をそこだけでやってしまえるという、例えば上陸作戦などはここにやらせればうってつけで、あと空軍と海軍はそれを後方支援する、援護する形になるんだろうと思います。  それでは、この第三海兵師団、沖縄に駐留する第三海兵師団がぜひともここに必要なのかという議論をしなければ、沖縄県民皆さん整理縮小に対する回答は出てきません。それは、海軍外せ、ホワイト・ビーチにはもう来るな、空軍も嘉手納基地を撤去しなさい、こういうことを言ったら、要するに米軍の駐留は結構ですと言うに等しいだろうと私は思うんです。嘉手納の使い方についてもいろいろ注文を出さなければいけませんし、ホワイト・ビーチについても同様でございますが、なくするなということは私は言えない。今の時点では到底言えない。私自身はそう判断をいたしております。  そうするならば、海兵隊はどうなんだという検討はしなくちゃいかぬのだろうと思うんですよ。先般、時間がなくてざっと総まとめに伺って、北米局長から簡単な御答弁をいただいておるわけでございますが、実際上、ここは新兵の訓練組織になっているんですよ。精鋭は、第一、第二海兵師団は全部アメリカ本土ですよ。この沖縄が――それは北の問題があるでしょう。それ以上言うと、またいろいろ影響がありますから言いませんが、けれども、最前線として精鋭を置いておかなければいけないのだ、海兵隊の精鋭がぜひとも必要なんだというのだったら、何で第一海兵師団、第二海兵師団を置かないんだ。日本はそれを注文すべきですよ。第一海兵師団を連れてきてください、サンディエゴに揚陸艦をたくさん置かないで佐世保にもっと持ってきてください、いや、那覇軍港に常駐してください、このぐらいのことを言わなければ、防衛庁長官外務大臣もこれは職務怠慢ですよ。そうじゃないですか。  最前線ですよ、最前線にいるのに必要だ、海外にいるのはこの第三海兵師団だけですよということは、ちゃんと外務省は認められたのだから。それが海外に常駐しなければならない必然性がある、極めて緊張した状態だと。にもかかわらず、何で新兵の訓練ばかりやっている海兵師団がいるのですか。精鋭がいないじゃないですか。まず、この辺どうお考えですか。
  43. 折田正樹

    折田政府委員 大きなところの議論は大臣にお任せしたいと思いますけれども、ちょっと事実関係のところで申し上げます。  今沖縄におりますのは約一万七千から八千名の海兵隊員ですが、そのうち約三千五百名がいわゆるローテーションで来る部隊でございます。これは戦闘部隊でございまして、大隊とか飛行隊等の部隊単位でローテーションをしているということでございまして、部隊のメンバーが新たに編成されますと、この中には、これは全部が新兵ということはございませんで、当然新兵はもちろん入りますけれども、新しいメンバーで新たな編成がなされますと、アメリカ本土で約十八カ月に及ぶ教育訓練を通じて十分な練度に達した後、一日本にやってまいりまして、六カ月のローテーションで展開している。  海兵隊は、いろいろな任務や作戦環境に応じて柔軟に部隊の構成を変更し、事態に対処し得る即応部隊でございますので、このようにローテーションで行うことによって、ほかの部隊と一緒に訓練を行うとか種々の作戦環境にも完熟することによって、あらゆる事態に対応できるよう即応能力を身につけるということで、部隊全体としての標準化を図ることにあるということでございます。  そして、この六カ月のローテーションを終えますとまたアメリカの本土に戻りまして、そこでまた一定期間おりますと、それがまた戻ってくる。それで、そのうちまたそのメンバーが、メンバーというのは大体二年から三年で配属がえになるようでございますが、また日本に戻ってくる。こうやって回ることによって、全体としての即応力、あらゆる事態に対応できるようにしているということでございます。  そして、若い人が多いという議論があるのです。私どもいろいろ調べてみましたら、これは戦闘部隊でございまして、戦闘部隊は全体的に若い人が多うございます。屈強の部隊だということでございますが、そもそもアメリカ海兵隊で兵及び下司官は、総兵力のうち、二十三歳以下の隊員は六一%というふうに承知しております。  こういうことで、ちょっと事実関係だけ申し上げました。
  44. 平田米男

    ○平田委員 長官、大臣、いかがですか。
  45. 秋山昌廣

    ○秋山(昌)政府委員 まず、御質問の中に、米軍の構成につきまして、海軍あるいは空軍の力というものがあればいいではないかというお話がございました。そして、海兵隊を撤退することなくして沖縄基地問題が解決できないではないかという御指摘がございましたが、海兵隊の機能につきましてはこれから御説明したいと思います。  一年間、日米あるいは沖縄ともいろいろ相談をしながら、昨年十二月二日にSACOの最終レポートをまとめました。今、言葉の使い方で委員の方から御発言がございましたけれども米軍の現在の兵力の水準あるいは機能を維持しながら、何とか沖縄にございます米軍基地を減らしていくということで、現在ある基地の約二〇%を減らすということをお取り上げになりました。普天間の問題でいえば、まさにそれを県内に移設する。今、案としては海上施設ということで、現在ある普天間の面積約四百八十ヘクタールを返還をするということを考えているわけでございまして、現在のSACOの最終レポートの考え方では、撤退という議論は一応おきまして、現実的に沖縄基地返還をしていくということで、その実現のために、我々何とか早くこれを行いたいということで努力をしているわけでございます心  御質問にございました海兵隊の機能につきましては、御質問の中でもお触れになっておりましたけれども、航空、地上、兵たん部隊が一体となった自己完結性を有する組織でございまして、高い機動力と即応性を備え、人道援助等の非軍事的な活動から水陸両用戦の遂行に至る幅広い任務を柔軟に遂行し得る能力を有しているわけでございます。  お答えをする中に、やはり地政学的なことも触れざるを得ないわけでございますけれども沖縄という場所は、南西諸島の中心にございまして、東シナ海と太平洋の境という要衝に位置し、周辺地域から一定の距離を隔てていわゆる重心性というものを確保しておりまして、基地の安全を確保しつつ、地域の不測事態に対し迅速に兵力を投入し、当該戦力に対し効果的に補給整備を行い得る位置に所在しているわけでございます。  この海兵隊の個々の運用につきましては最終的に米国の判断によるわけでございますけれども、御指摘の点に関しまして一般論として申し上げますと、海兵隊につきましては、次のような三つの意義があるのではないかと考えているところでございます。  まず我が国防衛との関連で申し上げますと、我が国に対する武力攻撃が行われた場合、海兵隊は、侵攻部隊に対する水陸両用作戦を含む反撃を中心にいたしまして、あるいは、当然のことながら、その機能からきますところの抑止力というものを念頭に置いて、陸上自衛隊と共同いたしまして陸上作戦を実施するということでございます。もっとも、状況によりましては、阻止及び持久作戦ということも実施するわけでございます。  第二点目は、我が国周辺地域において生じ得る緊急事態に関しまして申し上げたいと思いますけれども、この即応性に富む海兵隊を中核といたしました部隊によりまして迅速な増援等を行い得る態勢を保持している、こういうことを通じまして極東の平和と安全に貢献しているわけでございます。この中には、当然のことながら、その抑止力というものも非常に大きな要素であると考えております。  そして三番目に、これは全体として申し上げるわけでございますが、我が国周辺地域に海兵隊を含む十分な兵力が抑止力として存在していることによりまして、その周辺地域における武力紛争の発生を懸念することなく、中東等で生じた大規模地域紛争に対して、米本土より大規模な動員が可能となるといったようなグローバルな安全保障上の意義も有していると考えるところでございます。
  46. 平田米男

    ○平田委員 大臣、長官も余りお答えになる状況にはないようでございますので、専門的なお話に引きずり込まれておるのですが、そもそも精鋭の第一、第二師団、ここに第三海兵師団じゃなくて、第一から第三まであるわけですから、どうしても海兵師団が必要だという御判断をしておられるのだとするなら、第一、第二の精鋭に来てもらいたい、こういうお気持ちはあるのですか。
  47. 池田行彦

    池田国務大臣 先ほど北米局長からの答弁の中で御説明申し上げましたように、海兵隊の人員もそれぞれの段階において所要の訓練をするということでローテートしているという話がございました。決して、現在日本に、沖縄に駐留している米海兵隊が、その練度あるいはその機能において期待される役割を果たすに十分でないというものではないということは、先ほどの御答弁で申し上げられるかと存ずる次第でございます。
  48. 平田米男

    ○平田委員 でも、もっと精鋭の方がいいんじゃないですか。ここが緊迫した状況でやっておられるなら、それは交互にやっておられるといったって、そもそも第三海兵師団というのは定員不足だそうですよ。第一、第二はしっかり定員までおるけれども、第三海兵師団というのは定員がしっかりいない。こういう状況にある様子ですよ。しかも、揚陸艦は佐世保ですよ。今機動的な対応をする、迅速な増援をするのだというふうにおっしゃいましたが、迅速な増援というのは、まず佐世保から船を回さないとあかんですわ。  それから、侵略に対しては反撃、阻止、持久をするんだとおっしゃいましたが、これはどこを侵略するのですか。沖縄本島を侵略するという趣旨ですか。いるのは沖縄本島ですよ。日本本土じゃないのですよ。沖縄本島を侵略する。沖縄本島にはどういう基地があるかといったら、米軍じゃないですか。そうすると、米軍を守るという趣旨じゃないですか。我々国民には関係ないという話になりますよ。  抑止力の話はいつもされますが――ちょっともう少し言わせてください。先ほどずっと質問時間をとられているわけですから。抑止力はわかりますよ。だけれども、それは海兵隊だけの抑止力じゃないのですから、海兵隊が全体の抑止力の中でどういう位置を占めているのだというもっと厳密な議論をしなければ。今危機的状況ですよ。沖縄県民方々は五十年間我慢に我慢に我慢を重ねてきて、大田知事はその我慢の心を代弁しているわけですよ。それをきちっとわからなければここまで踏み込めないですよ。私も勉強する前はわかりませんでした。  しかし、沖縄皆さんの置かれてきた歴史的経過、そして日本本土政府沖縄に対する冷たさ。国民所得も県では最低ですよ。水商売なんかやらなければいけないので、子供たちも夜遅くまで親がいないので夜遊びする。こういう社会問題も抱えているのですよ。失業率も極めて高い。これは全部米軍基地の存在による原因なんだというふうに、いや、そうではないという反論もあるかもしれないけれども沖縄の人たちはそう思っている。  ここに、では整理統合を望んでおられる方々にどうやって切り込んでいくかといったら、そんな建前論をやっておったって入れませんよ。有事法制もつくれない日本政府なんですから、アメリカからすれば何を余計なことを言うのだ、あなた方有事法制もない自衛隊でどうやって国を守るのですか、こう言われたら恐らくぎゃふんでしょう。有事法制なんというのは、もう立法準備はできているのですから、後はゴーサインさえ橋本総理が、いや、久間防衛庁長官が準備しなさいと言ったら、この通常国会だって出せないわけはないですよ。そういうこともやらないで、ただ抑止力だ何だかんだと一生懸命防衛局長がお答えになりましたが、国民はそんなことはわからないのですよ。沖縄県民はましてわからないのですよ。そういう建前論じゃなくてしっかり議論しましょうよ。  私、ぜひ委員長に提案したいのですが、この海兵隊の存在意義というのはもっと専門的にこの安全保障委員会で議論しませんか。いかがですか、委員長
  49. 伊藤英成

    伊藤委員長 今の平田委員からの私に対する今後の審議の仕方の問題でありますが、ぜひそういう方向でやりたいと私も思いますので、また理事会で相談をして進めるようにいたしたいと思います。
  50. 平田米男

    ○平田委員 ぜひこの安全保障委員会で海兵隊のあり方、また有事法制も含めた議論を私はすべきだと思いますが、先ほどから外務大臣がお答えになりたいということですので、どうぞ。
  51. 池田行彦

    池田国務大臣 海兵隊について先ほどいろいろ御議論がございましたけれども、その中で二つのことがあったかと思います。一つは、御指摘になりました米海兵隊の中で沖縄へ駐留するものが練度その他において劣るものじゃないかという点については、決してそんなものではないということは、先ほどの北米局長答弁で御理解いただきたいと思います。それから、あと海兵隊が具体的にどういうふうな機能を持っており、それがどういうふうな役割を果たすものであるかという点については、防衛局長答弁であったと思うのでございます。  いずれにいたしましても、そのような海兵隊というものの存在も含めた駐留米軍全体の兵力構成とレベル、そしてまた、そのほか第七艦隊初め太平洋地域に展開するようないろいろな部隊、場合によってはさらに本土からの来援というケースもありましょう。そういった全般的なものを踏まえまして、我が国の安全あるいは極東地域の平和、そういったものを米国が安保条約上の責務として守っていく、そのための体制を組んでいるのだ、こういうことだと思うのでございます。  そういった観点から申しますと、例えば欠員があるだ何だということも、そういった全体の国際情勢あるいはとりわけ安全保障にかかわる情勢をにらみながら、また米軍全体のそういった構成、体制の中で生じている問題だと思います。  そういったことを前提にいたしまして、いずれにおきましても、現在の我が国周辺地域の情勢から見ますと、米国がその責務を果たすためには、在日米軍を含めまして今日のようなレベルが必要であるということを米側も言っておりますし、我々もそういうふうに認識しているわけでございます。  ただ、委員も御承知のとおり、こういったものは国際情勢の変化によって将来的には変わり得るものでございます。そのことは私どもも否定しておりません。そして、昨年の日米首脳間の安保共同宣言の中でも、いろいろな情勢を踏まえながらそういった点についても兵力構成の問題も含めて日米間で協議をしていこうじゃないか、こういうことは申し上げているわけでございます。ただ、現在の時点において、そういった大きな情勢の変化が具体的にある特定の地点において生ずる蓋然性が非常に高いというようなことは言えるような情勢にはないということは申し上げられると思います。  また、さらにもう一点申し上げますと、これは予算の総括質疑の中で橋本総理が御答弁申し上げたところでございますけれども、我々はそのような国際情勢の変化をただ待ってそれにどう対応するかというだけではなくて、国際情勢の変化そのものを主体的につくり出していく、外交努力等を通じましてこの地域の安定度をさらに増していく、そして、そのことが駐留米軍の存在をも含めましていろいろな変化に結びつき得るようなこともやってまいりたい、こう考えております。
  52. 平田米男

    ○平田委員 御答弁がございましたが、反論もございますが、また海兵隊に限って委員会をぜひ開いていただいて、そこでまたいろいろやらせていただきたいというふうに思います。  劣化ウラン弾の話を少しさせていただきたいと思います。まだ予定した質問が幾つかありますので、それではまず端的に劣化ウランの関係を伺っておきます。  一つは、劣化ウラン弾の回収をするという話でございますが、回収ができるまで鳥島での演習を中止するという要求が出ておるわけでございますが、そのような演習中止を米軍に対して申し入れるお考えはございますでしょうか。
  53. 池田行彦

    池田国務大臣 私どもといたしましては、今回の劣化ウラン弾が誤って鳥島における訓練で使用されたということは非常に遺憾だと考えておりますし、米側においては既にこれまでにある程度の回収も進め、またいろいろな調査も行った結果、人体あるいは環境に対する大きな影響はない、こういうふうに理解しているという説明は受けておりますけれども、私どもはそれでは十分ではない、こう考えておりまして、さらなる副査並びに回収の作業米側においても行うように強く申し入れ、米側もさらなる調査あるいは回収努力をしようとしております。それから、そのほかにまた、我が国独自でもそういった調査をしようということで、来週早々にも沖縄県の御協力も得まして、周辺海域の調査からまず始めることにしております。  さて、そういうことでございますが、今委員の御指摘は、そういったことが進むまで、あるいは終わるまでとおっしゃる意味でございましょうか、あの地域での訓練はやめるべしという御質問でございますが。(平田委員「一時中止ですね」と呼ぶ)一時中止でございますね。その点については、私どもはこう考えております。  今回の誤使用が生じた原因は、御承知のとおり、劣化ウラン弾は日本での訓練に使ってはいけないのだという表示が不十分であったために誤って使用されたということでございます。そして、そういった誤使用の再発を防止するために、表示の変更を含めまして、その管理の一層の厳正化の措置は既に米軍でとっておりますので、それから劣化ウラン弾の誤使用の再発の可能性の排除のための最善の措置は講じておりますので、そういった観点から申しますと、このことのゆえをもって訓練そのものを中止するというのを要求する、求めるということに当たらないのではないか、こう考える次第でございます。
  54. 平田米男

    ○平田委員 もう一つ、端的に伺っておきたいのは、長年の訓練の結果、島がどんどん小さくなっている。高さ十二メーターあったのが、今六メーターしかない、二十年間やり続けてきて。今後またどんどんやったら、この島は消えてしまうのではないかというおそれを抱くわけでありますが、もし万が一消えてしまったら、日本の経済水域はどの程度影響を受けるのか。領海と経済水域、これはどういうふうになりますか。影響はないのですか。
  55. 林暘

    ○林(暘)政府委員 まず、演習を続けた場合に島が水没するかどうかについては、私承知しておりませんし、その点は留保いたしました上で、数字だけをお尋ねでございますからお答え申し上げますと、鳥島が有する領海の面積は約八百平方キロメートルでございます。それから、鳥島を考慮に入れない場合に日本の排他的経済水域が変わりますけれども、鳥島を考慮に入れない、それだけによって減少する排他的経済水域の面積は約五百平方キロメートルでございます。
  56. 平田米男

    ○平田委員 今回、劣化ウラン弾が何で使われたのかというのは、いろいろ聞いてみました。そうしたら、米軍の訓練に使う弾薬のリスト、これは世界じゅう共通だそうでございますが、カタログというのですか、そこには特定の場所しか使ってはいけないという表示が従前はあったけれども、新しいカタログにはそれが欠落しておった、こういう説明がなされているわけであります。  私がさらに聞いてみましたら、その弾薬が入れてあるケースには放射能物質でありますよというマークがついていると。放射能物質であるというマークがついていれば、普通の兵隊さんだったら――これは嘉手納でハリアーに積み込んだのですが、ハリアーの胴体の下に、これは三百発入るものらしいのですが、機関砲というのですか、それに装着をしたのですが、それは海兵隊のハリアーですから、もちろん海兵隊の兵隊が来てそれを装てんをした、こういう話だそうでございます。  いずれにいたしましても、弾薬が入っていたケースには放射性物質ですよということを表示してあったということなんですよ。そうすると、カタログには一定地域では使ってはいけませんというのはミスで落ちておったかもしれませんが、普通の兵士だったら、放射性物質だということが書かれたような弾薬をそんな簡単につけるのかなという疑問が私はそこで起きました。簡単にそれに抵抗なくつけたのは、いつも放射性物質だという表示がある弾薬を使っておったのではないのか、こういう疑問が起きました。外務省に聞きましたら、いや、今回、誤射はこれが一回です、こういう話です。  じゃ、そうだとするならば、恐らく装てんした人が未熟で、すなわち新兵でという意味ですよ。未熟で、そんなのを無視して、すなわち教育訓練もよく受けてなくて、そんな放射性物質を、普通だったら、そんなしょっちゅう使ってないような、見たこともない、恐らく見たことがなくてもこういうマークはどういうものだというぐらいは新兵でも教えてもらうのだろうと思いますが、それに注意も払わないでつけてしまったということが二番目に推測されるわけであります。  これは、私は重大な問題だと思うのですよ。この劣化ウランを使っているものはあと何がありますかというと、戦車砲用の徹甲弾百五ミリと百二十ミリ、それから機関砲はハリアーが二十五ミリで、CIWSは二十ミリだそうでありまして、結局この四種類しかない。そうすると、放射性物質がありますよというマークがついているのは、恐らくこの四つの弾薬だけなのだろう。核兵器は別ですよ。もっとうがって考えれば、何だ、核兵器にしょっちゅうさわっているのかと。こんな疑いは持ちたくありません。嘉手納弾薬庫にはもうない、もちろん核抜きですから。だけど、こんなことにさえしっかり神経がいかないようであったら、そういう疑いさえ出てくるわけですよ、この問題は。何もこれから気をつけます、事後処理はきちっとやりますという、私はそんな問題じゃないと思う。この誤射は極めて重大だ。  これで何で三回、この三回も、何遍か聞いてようやく三回はいつなのかということがわかりました。九五年の十二月五日と十二月七日、それから九六年の一月二十四日だそうでありますが、しかし、ハリアー何機で行ったかというのはまだわかりません。こういうみすぼらしい調査結果でございます。何で三回で終わったのですかと言ったら、実は機関砲が詰まってしまったと言うのですね。詰まってしまったので、戻ってきて見てもらったと。見てもらったら、経験者が出てきて、いや、これは使ってはいかぬものだぞということがわかって、ようやく気がついたと言うのですよ。だから、三回とも気がつきもしないで、しかも放射性物質だという表示のある弾薬を、その弾薬の装てんの任務者がほいほいつけておったということです。  この米軍の弾薬の管理というのは極めてルーズ、そう思いませんか、大臣。これはどうするのですか、こんなことで。我が国土の中で放射性物質を簡単に使って、へっちゃらでやっている。詰まって気づくまではまだやっていたかもしれない。そんな兵隊の訓練をやっている。先ほど精兵だ、新兵じゃないですよという説明があった。全部うそっぱちですよ、これは。こんなものにも気づかないような兵隊で、何が訓練された精兵ですか。そうじゃないですか。自民党さんの議員だってそう思うでしょう。こんなことを日本の提供する基地の中で勝手にやられておって、我々国民は安心できません。したがって、どうしてこうなったのか、もっとしっかり究明してください。なぜ放射性物質について気づかなかったのか、気づいたにもかかわらずなぜ装てんしちゃったのか、一体どういう訓練をしていたのか、これを明らかにしてもらわなきゃだめですよ。大臣、きちっと調査をして御報告いだだけますか。
  57. 池田行彦

    池田国務大臣 本件につきましては、我々も必ずしもその全貌をつかみ切れない部分もあるわけでございます。そして、米軍におきましても、さらなる調査をといいましょうか、検討を進めておりまして、全体としての報告を三月いっぱいに米側がまとめ上げる、こういうことにしております。さらに全貌が掌握できるようにその努力を傾けていくつもりでございます。  いずれにいたしましても、先ほど御指摘のございました誤使用については、あってはならないことでございます。そういうことが起こらないようにいろいろ改善措置を求め、改善措置を講じた、こういうことでございます。
  58. 平田米男

    ○平田委員 ぜひ厳正な調査報告をお願いをいたします。  もう時間がありませんが、一言だけ質問しておきたいと思いますが、黄書記の亡命事件が大きく話題になっております。この問題をどのように外務省は評価をしておいでになるのか。もう時間がありませんので、簡単で結構でございます。李韓永銃撃事件、これも絡んでいるのかどうか。これも含めて、簡単で結構でございますので、今の外務省の御認識を伺わせていただければと思います。それで質問を終わります。
  59. 池田行彦

    池田国務大臣 私どもも必ずしも正確なところを承知しておるわけじゃございません、事実関係についても。そしてまた、必ずしも評価もし切っているわけじゃございませんけれども、簡略にというお話でございますので、全般的に申しますと、北朝鮮が今大変な苦境にあるというのは否定できないと思います。そういった中で、指導層もいろいろ将来に向かっての打開策を模索し、それを尋ねあぐねておるのだと思います。そういった意味で、いろいろ悩みもある、こう思います。  そういった中で、今回亡命しました黄書記という人物は、どちらかというとイデオロギーの面で責任者として長く役割を果たしてきた、こういう人物であると承知しておりますが、そういった彼の役回りの中で、自分の北朝鮮国内での果たし得る役割についての行き詰まり感といいましょうか、挫折感と申しましょうか、そういったものが今回の一つのきっかけになったのじゃないかな、そういったことは、その後発表された彼自身の書簡等にもうかがわれるところでございます。  それから、いま一つおっしゃいました……(平田委員「李韓永」と呼ぶ)ソウルにおける事件との関係につきましては、これは韓国の当局の発表でも、その関連性も否定し切れないけれども、逆に関連があるとも言い切れないということのようでございますので、今日本政府としてコメントするのは差し控えさせていただきたいと存じます。
  60. 平田米男

    ○平田委員 終わります。
  61. 伊藤英成

    伊藤委員長 次に、前原誠司君。
  62. 前原誠司

    ○前原委員 質問通告をしていた内容について御質問をさせていただきます。  まずは、今後の対中政策についてということで、両大臣にお伺いをしたいと思います。  まず、鄧小平さんが亡くなられました。いろいろな評価はあろうかと思いますけれども、私自身は希代まれなリーダーシップを持った方ではなかったかと思いますし、よくも悪くも今の中国の改革・開放経済というものを軌道に乗せた、あるいは緒をつけた、そして引っ張ってきた、そういう意味で、希代まれなる傑出したリーダーシップの持ち主だということで、大変遺憾に私自身は思っております。  さてそこで、じゃ、今後の体制の変化とか、あるいは、今中国がとっている改革・開放経済においていかような変化がこれから起きるのかどうかといったことについて御質問をさせていただきたいと思います。  ポイントを絞ってまずお伺いをしたいわけでありますけれども、中国というのは、御承知のように、共産党が一党で独裁指導をしておる国でございますけれども、その今の総書記、リーダーである江沢民さんを指名したのは紛れもない鄧小平さんであるわけであります。そのときに、今までそういう後ろ盾といいますか、指名した人というものが亡くなったときに、その体制そのものが正統性を持つのかどうか、こういった問題点が一つあるのではないかと思います。  また、よく言われますけれども、中国においては、党と政府と軍の三つをきっちり押さえられるかどうかといったところが、実態として権力を掌握できているかどうかという一つのメルクマールになると思います。一つ弱いと言われているのが軍でありまして、今まで中国のリーダーというのは、中国の解放以来は毛沢東、そして鄧小平、大きく言ってこの二人であったと言っても過言ではないわけでありますが、このお二人は、抗日戦争といわゆる解放運動というものにみずからも携わってこられた方であって、軍に対してはもちろん顔がきく存在であった。しかし、新たな世代に入って、江沢民さんについても、軍に対する基盤がなかったといったことで、本当に軍を掌握できるのかどうかといったところが一つのお伺いしたいポイントになってくるわけであります。  毛沢東の言葉に、革命――権力と言ってもいいわけでありますけれども、銃口から生まれるという言葉がありますし、中国では大体そういう形で政権が変わってきている部分もございます。そういったところで、軍の掌握について、日本政府としては、この鄧小平さんが亡くなられた後に、江沢民体制が軍の掌握というものが特にできて、どういう推移がこれから予測できるのかといったことをまず一点お伺いをしたい。  もう一つ、改革・開放経済政策の見通しについてもあわせてお伺いをしたいと思います。  これは私の見方でありますけれども、今まで中国というのは、加熱をしたり、またそれに対して冷水を浴びせかけたりという揺れを経験しながらも、基本的には改革・開放というものを続けてきたと思っております。その結果、もちろん国民所得というものもふえてまいりましたけれども、それによる負の遺産というのも随分出てきただろうと思います。一つは、貧富の格差、それは地域間の格差と言ってもいいかもしれませんが、そういったものが顕在化をしてきた。それから、経済の自由化というものを認めながら、社会主義市場経済という言い方をしておりますけれども、政治的な自由というものは、今申し上げたように共産党一党独裁という形で抑えてきた。果たして、経済的な活動の自由というものを認めつつ、いつまでたっても政治的な自由というのは認めませんよという体制がシステムとして長続きするのかどうか。  そういう今の軍の問題と改革・開放経済の今後の見通しの問題の二つ、ポスト鄧小平という形で御見解をお伺いしたいと思います。
  63. 池田行彦

    池田国務大臣 まず、鄧小平氏の逝去によりどういうふうな影響が出てくるかということでございますけれども、御承知のとおり、かなり前から鄧小平氏は政治の第一線から退かれ、また、体調も崩しておられましたので、中国内部におきましても、悲しいことではあるけれどもいずれこういった事態は避けられないんだ、そういった感じは一般的であったのだと思います。そういったことの証左でございましょう、昨日来、中国のいろいろな様子を聞きましても、皆哀悼の意は表しながらも、比較的冷静に、全般的に冷静に受けとめておる、こういうことでございます。  それからいま一点は、ポスト鄧小平の体制につきましても、江沢民氏を中心として体制が組まれ、それがこれまでに実際に政治運営、国家の運営をしてきたわけでございます。基本的に言って、かなり揺るぎない体制になっていると思います。  そういった両方の要素がございますので、現在の指導体制というものが今後ともきちんと政治を掌握していくのじゃないかと大筋では見るわけでございます。  そういった中で、軍の掌握いかんという点でございますけれども、これも二つの面から見なくちゃいけないのかなと思います。  一つは、確かに毛沢東、鄧小平の指導者のようなケースと違いまして、現実にあの解放戦争を戦ったというあれはないので、掌握度といいましょうか、あるいは信頼関係というのが希薄であろうということは、それは一般論としては言えると思います。  他方におきまして、世代の交代が進んでいるのは軍の中でも同じだと思うのでございますね。こういうこともある。それからまた、いわゆる解放のための戦争という段階あるいはそういった記憶がまだ鮮明な時代と、それ以後のいわゆる改革・開放路線なんかに基づく経済建設が中心になった時代、こういうことがありますので、その体制全体の中でも軍の相対的な役割というものにも変化が出ているんだと思います。  そういった両方の要素を考えますと、現在の中国の指導体制の軍に対する掌握度云々ということが体制全体の安定度に大きく影響を与えるというふうには必ずしも言えないのじゃないか、こういうふうに考える次第でございます。  それから、いま一つは、経済面での改革・開放路線でございますが、改革・開放路線は、鄧小平とその後継の体制によって推進されてきたというだけではなくて、それがこれまでのところ、概して言いますと着実に成果を生み、そして、そのことによって国民の中でも幅広い支持が得られていると思いますので、そういった意味でこれからも基本的にはこの路線が推進されていくんだと思います。  しかし、一方におきまして、委員御指摘のように、このことが地域的なものも含めましていろいろな格差も生んできているというのは否定できません。これにどういうふうに対応していくかというのは、文字どおり中国のこれからの抱える大きな課題であろうと思うのでございます。それは、我が国も含めまして、これまでもいろいろな面で経済的な発展を遂げてきたいろいろな国がそれぞれ発展の過程の中で取り組んでこなければならなかった課題ではございました。  しかしながら、中国のようにあれだけ広大な地域にあれだけ大勢の国民を抱えて、こういうふうな発展の過程を歩んでいくというのは、これはある意味ではそれこそ量と質の違いでございますから、これまで経験されたことのないような大きな試練でもあるし、場合によってはチャレンジでもあるのかな、こんな感じがいたします。我々もこれを注目して見ておりますし、そのことがやはり日本と中国との関係へもいろいろな影響があると思いますし、また、逆に言いますと、そういった課題に取り組んでいかれる上で我が国としても協力する面が出てくるかもしれない、こういうふうに考えております。  それから、そういった経済的な発展が政治的な面での自由にも結びつくかどうかという点でございます。これは、私どももぜひそういうことを期待したいと思っておりますけれども、これもどうでございましょうか。民主化の問題であるとかあるいは人権の問題などでいろいろ世界の注目が集中しておりますけれども、そういうことが表へ出てきたということは、ある意味では、そういった政治的な自由とか人権の保障というものが進んでいるんだと思いますね。進んでいるからこそ、まだ残されている問題がクローズアップされるという面もあるんだと思います。  いずれにしても、我々もそういった面の進展を隣国としても期待したいと思います。
  64. 前原誠司

    ○前原委員 ありがとうございました。  今の外務大臣の御認識を踏まえて、じゃ対中政策をどういうふうに今後も展開をしていくかといったところに話を移していきたいと思っているわけであります。  一つは、私はもちろん日中友好というものを信じてやまない、その観点からもちろん御質問をするわけでありますが、かといって、盲目的な友好ではいけないという思いを常に持っています。したがって、中国の実態がどうなのか、あるいはどういうふうに進もうとしているのかといったことをいかに日本が把握をして対中政策をとり得るかといったところが一つ大きなポイントだと思っています。  そこで、当初、鄧小平さんが進めてきた四つの現代化というものがありまして、その一つに国防の現代化というのがありました。その現代化という名前に合わせて鄧小平さんがやられたのは、人民解放軍の数を減らしたんですね。四百万人から三百万人に減らす。これはさっきの話じゃありませんけれども、もともと軍に基盤のある人だからそういった思い切った、反対も抑えながらできた部分があった。  しかし、鄧小平さんが表舞台から出てこられなくなってきて、今は逆の方向にまた動いてきている。今、世代も解放軍の中でもかわってきているんだというお話が大臣からありましたけれども、要は、自分の意に合った人にポストを与えていくというようなやり方もなされているし、また、そういう意味で、台湾の問題もこれあり、主に海軍力の増強というものが中国では一つ顕著になってきているのではないかと思っています。ロシア製のスホーイという戦闘機がございますけれども、これが七十二機ロシアから購入がなされている。  その一つの背景は、今申し上げた台湾の問題と同時に、これは私の考えでありますけれども、人口が多くなって、十二億の人口、十三億と言われていますけれども、そのうち八割が農民と言われながら、実際問題、食糧自給率というものがその十三億の人を食べさせるだけのものになっていない。したがって、食糧輸入国に転じてしまっているということがまず一つ。したがって、資源の問題ともあわせて、シーレーンとかそういう確保の問題というのがこれから中国にとっては死活的に重要な問題になってくるだろう。  それから、改革・開放経済というものが進む中で、エネルギーの需要というものが飛躍的にふえていく中で石油の輸入国にこれまた転じている。南沙諸島の問題、もちろん領有権の問題というものもありますけれども一つは、資源というものを視野に入れた中国の今後の政策展開というものが、海軍力の増強というものが、ただ単に権力基盤を強化するということだけでなくて、食糧の問題とかあるいはエネルギーの問題とか、そういったある種の膨張主義的な要素にも出てきている部分はあるんじゃないかと思うわけです。  そこで、私が大臣あるいは防衛庁長官にお伺いをしたいのは、日米安保との関係なんですね。さっきの平田先生質問の中に、仮想敵国というものを言ってしまえば問題があるという趣旨の御質問もありましたけれども、冷戦が終わって、冷戦のときは防衛白書の中に仮想敵国としてソ連が書かれていました。ある意味でそれがわかりやすかった部分もある。しかし、今、日米安保の再定義をする中で、何が一体脅威なのかといったものをあやふやにした中ではなかなか見えなくなってきている。確かに、あなたのところが怖いから防衛力を増強しますよということを直截に言ってしまえば大きな外交問題になるけれども、しかしながら、国内においても、沖縄の問題だけではなくて、どういう趣旨で安保の再定義をして日本の防衛力の整備というものをやらなければいけないのかということは、これは、有権者、納税者に対する責任としてあるんだと私は思うんですね。これはジレンマでありますけれども、ある程度その両方というものは克服をしていかなきゃいけない部分だと思うんです。  したがって、中国が脅威であるとか、そういう言い方ではなくて、例えば、台湾の総統選挙のときに中国が演習をして威嚇行動をしたときに、アメリカは空母を派遣してそれに対するにらみをきかしたとか、あるいはさっき申し上げたような今の中国のエネルギー、食糧、そして海軍力の増強といったものが一体どういうところを示しているんだろうかというような認識は、私はこれから持つべきではないかと思うんですね。それが逆に、日米安保はなぜ必要か、そして、沖縄問題をきちっと日本政府が片づけなくてはいけない大切な問題なんだということを示すためには、ジレンマだけれども、そういう周辺諸国の情勢分析というものはきっちり国民の前に示さないと、なかなかこの防衛力の整備という話は私は国民に理解される問題ではないと思うんですね。  したがって、国民に対する説明責任という観点の中で、今の中国は食糧輸入国になっている、あるいはエネルギーの輸入国に転じた、そして海軍力も増強している、そして中台関係のときにはああいう行動を起こした。そういう中で、日本は中国の行動についてどういう認識を持って、そしてまた、それを日米安保にどう結びつけていくかという説明は私はきっちりすべきであると思うのですが、その点、両大臣からお話を簡潔にお伺いしたいと思うのです。
  65. 池田行彦

    池田国務大臣 まず、軍事面の近代化については防衛庁長官からお話がちょうだいできるかと思いますけれども、簡単に私の認識を申し上げますと、確かに四つの現代化の一つとして軍の近代化も進められておりますけれども、これまでの中国軍の装備その他はかなり時代おくれのものが多かったということでございますので、現在、スホーイ27であるとか、あるいは海軍の方のいろいろな増強が行われているという見方もございますけれども、全体として見れば、特にそんなに突出した軍事努力がなされているというふうにとらえるべきであるか否か、ちょっとそこのところは疑問があると思っております。  ただ、そういったバックに、委員のおっしゃいましたように、単に膨張意欲だ何だということではなくて、食糧あるいはエネルギーという問題も含めてシーレーンの確保、要するに中国自身の国民生活を維持していくという必要性からのあれもあるのじゃないかという見方でございますが、そういった視点というのは確かに私も重要であろうと考えております。これから将来に向かってあれだけ膨大な人口を抱えた国が大きな発展をしていく、そのときの食糧、エネルギーの需要というものは大変なものでございます。それが環境面に及ぼす影響も含めてどう対処するかというのは、二十一世紀の前半の世界全体にとっての最重要課題の一つだと思います。そういった観点から、中国が当然安定した輸入経路その他についても関心を持っても不思議はない、こう思うのでございます。  ただ、中国も、一方においてそういうこともあるのでございましょうか、国際的ないろいろな政治や安全保障の対話の場あるいは信頼を醸成していくフォーラムに出てまいりまして、積極的に多国間の枠組みの中での安定を図っていこうという努力もしております。とりわけ近年そういったことが顕著でございまして、例えばARFでの信頼醸成ワーキンググループの共同議長国をことしからやっていく、こんなことにもあらわれている次第でございます。そういったことだと思います。  それから、そういったかかわりで日米安保を一体どう考えるかということでございますが、委員も御指摘になりましたように、今日の国際情勢の中で日米安保というのは非常に大切な意義がございます。このアジア・太平洋地域の安定のためにも大きな役割を果たすと私どもは思うのでございますけれども、それは、どこか特定の国が非常にけんのんであるから、それに備えるなんというものでは決してない。  むしろまだ十分にこの地域の安定を保っていくための枠組みというものがきちんとできていない、アジア・太平洋ではヨーロッパと違いましてもちろん信頼醸成の仕組みなんか努力はやられておりますが。しかし、きちんとしてないところではやはり旧来のいろいろな同盟関係なんかも役割を果たすところが多いのだろう。そういった中で、日米安保体制とかということがきちんとしているということは、この周辺の国々にとっても自分たちにも安堵感をもたらす要因だというふうにとらえられているところでございます。  その中で、唯一と言ってもいいのだと思うのでございますが、何となく中国だけが日米二国間の関係、枠組みをはみ出すようなものであっては困るんだという危惧の念を表明しておりますが、私どもは繰り返し、そうじゃないんだ、昨年の安保共同宣言自体にも中国との関係をきちんと良好に保たなくちゃいかぬということが書いてあるんだということを口を酸っぱくして日本からもアメリカからも申しておりますし、それから文字どおり、きょうあたり、きょうは防衛、安全保障の問題についての局長レベルの、中国と日本との間の何か行われる予定にされておったわけであります。延期になったのは承知しております。そういうふうな努力も積み上げてまいりますので、そういったことで中国との間においてもお互いの信頼関係を高めていきながら安定的な関係をつくっていきたい、そういった中で安全保障の面でも良好な関係をつくっていきたい、こう思っておる次第でございます。
  66. 久間章生

    ○久間国務大臣 確かに中国が軍事力において量から質へ転換を図ろうとしておりますし、また海軍についても、キロ級潜水艦を導入したり、ヘリコプター搭載可能な新型のルフ級駆逐艦及びヂァンウェイ級フリゲート艦を建造、配備するなど、その装備の近代化に努めていることは事実でございます。しかしながら、今中国は経済建設を当面の最重要課題にしておりますから、この近代化もそう急激にということではなくて、漸進的に進むのじゃないか、そういうふうに見ているところでございます。  それから、先ほどちょっと委員が冷戦時代にはソ連を仮想敵国にしておったと言いますけれども、その当時から我が国においては仮想敵国ということまではしてないわけでございまして、仮想敵国というからには、その国が能力とそういう意図を持っているということを前提にして初めて仮想敵国になるわけでございますけれども、意図というのはなかなかつかめないわけでございます。だから、能力については絶えず我々も情勢としてマークしております。  そういう意味では、中国についても、どういう軍事情勢か、そういうことについては絶えず把握はしておりますけれども、意図からいいましたときに、脅威とか、あるいはまたその一歩手前の潜在的脅威とか、そういうまでには今至っていない、そういう認識でございまして、安保条約においても、これを前提として安保条約が必要だという論拠にはならないのではないか。安保条約は、我が国の立場をもっと全般的に見たときに、いわゆる日米同盟を基礎づける、そういう一つの条約としての働きが今一番機能しているのじゃないか、そういうような認識をしております。
  67. 前原誠司

    ○前原委員 言いたいことはいろいろありますけれども、また次回に譲ります、安保委員会ですから。今のには大分言いたいことがあります。  最後にODAの問題についてちょっと簡単に御質問して、終わりたいと思います。  核実験をやって、無償援助を人道以外はとめていた部分がありますけれども、何か新聞報道によりますと、本年度中に再開をしようということで動いておられるということでありますが、なぜそんなに急ぐのか。つまり、あのときは自社さで、私もその中におりましたけれども、核実験をやったということ、確かにモラトリアム宣言はしていますけれども、その年度においてはやはりODAは凍結をしよう、無償援助は凍結しようということだったわけでありますけれども、なぜ四月以降じゃなくて三月末までに慌ててやろうとするのか。私は、非常にお金が余っているのかな、あるいは中国に対して何か逆に意図があるのかな、こういう思いを抱かざるを得ないわけです。  ODA大綱の絡みもありますけれども、中国に対するODAというのは、これは有償の方でありますけれども、インフラ整備に余りにもお金が割かれ過ぎている。ぜひ調査団がもっと現地へ細かく行かれて、事後も行かれたら私はいいと思いますよ。というのも、沿海側が主でありますけれども、沿海側なんかは特にどの地区も発電所をつくる、そして港を整備する、道路を整備するといったことでやっていますけれども、その後がなかなか埋まっていないとか、要は、どこもやったので非常に総花的になってしまって、それが有効活用されていないというケースは多々あると聞いています。  だから、そういうインフラの重点というものについて私は変えるべきではないかというふうにも思いますし、その内容、今後の展開についても要望したいし、また質問としては、なぜこの時期に再開をしようとするのか、なぜ平成九年四月以降、つまり平成九年度の中でそれをやろうとしないのか、その点についてちょっと外務大臣から御答弁をいただきたい。
  68. 池田行彦

    池田国務大臣 私どもは、中国が改革・開放路線を進めまして発展すると同時に、このアジア・太平洋地域あるいは国際社会全体の中でも建設的な役割を果たしてくれることを期待しています。そういった中国の努力を支援する一つの方途として、我が国からのODAというものは大きな役割を果たし得るのだと考えております。もとより、そういったものの中でも委員御指摘のように有効な運用がされなくてはいけないというのは当然で、その点の努力は続けてまいります。  さて、無償の再開をなぜこんなに急ぐのかという話でございますが、一方ではなぜいつまでもとめておるのだという御意見もあるということも御理解いただきたい。  御承知のとおり、この問題は中国の核実験に抗議するという意味でとめられたわけでございますけれども、中国は、核実験はもう行わないということを明白に宣言しただけではなくて、昨年、CTBTの条約締結におきましても積極的な役割を果たしましたし、そういったいろいろな情勢を勘案いたしまして、今、それの再開に向けてのいろいろな準備作業に入ろうとしているところでございます。
  69. 前原誠司

    ○前原委員 時間が来ましたので終わりますけれども、ODAについては、ODA大綱というものがあるわけですから、もっと大原則を貫いてもらって、何か中国に対してだけ優遇をしているような、平等にやられているならいいけれども、僕はそういう感じがしてなりません。またこれも機会を譲って大臣とお話をさせていただきたいと思います。  終わります。
  70. 伊藤英成

    伊藤委員長 次に、藤田幸久君。
  71. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 まず、防衛庁長官にお伺いしたいと思いますが、平成九年度予算の中に四百トン級の特務艇というものが計上されておりますけれども、これはいろいろ報道なんかもされておりますけれども、既に今まであるいわば接待を目的としたような迎賓艇といいますか、今までも、東京オリンピック時分からあった艦船で「ゆうちどり」とか「はやぶさ」とか「ひよどり」とかいうのがあるそうですけれども、今度二十六億円計上されている中身といいますのが、例えば座って二十人でディナーパーティーができるとか、百三十人で立食ができるとか、それで、それを維持するために大体一年間に三億円ぐらいかかる。それで、現在も「ひよどり」というものが横須賀港にあるそうですけれども、昨年は二十回ぐらいしか出航しなかった。そのうちの十回ぐらいは外国の要人の接待だけれども、あとは大蔵省の官僚やOBその他を招く日本人の宴会だというような報道もあるわけですが、そもそもこの二十六億円の特務艇というものはどういうものかお聞きしたいと思うのです。
  72. 秋山昌廣

    ○秋山(昌)政府委員 海上自衛隊では、各国国防省等との交流を推進し、信頼感を醸成するなどの観点から、我が国を訪れる各国国防関係者に対しまして、基地施設や艦艇を洋上より視察させて現況説明や意見交換を行い、また、国内におきまして、自衛官募集・就職援護協力者、マスコミ関係者その他の防衛行政関係者に対しまして効果的な広報活動を行うための船といたしまして、昭和三十九年度から今日までの三十年余、この特務艇一隻を保有し、運用してきたところでございます。  それで、平成九年度の予算におきましては、平成十一年度に、現在持っておりますこの「ひよどり」という時務艇が老朽化によりまして減勢する、廃船することが見込まれておりますため、これを更新、建造することとしたものでございます。防衛庁といたしましては、この特務艇のただいま申し上げましたような機能、役割は、これまで三十年以上果たしてきたわけでございますけれども、今後とも重要なことと考えておりまして、この更新が必要というふうに考えているところでございます。  ちなみに、その建造予定の船でございますけれども、現在の船は大体四百トンぐらいでございますけれども、ほぼ同程度の規模に抑えまして可能な限り経費の節減に努めますとともに、他方で、災害派遣時における医療支援あるいは給食支援等の任務にも活用し得るような工夫をしてまいりたいと考えているところでございます。
  73. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 就職活動にこれだけ豪華なものが要るのかなという気もしますし、信頼醸成ということであるならば、実際に防衛庁なり自衛隊のもうちょっと具体的なものを見せた方がはるかにわかるのではないかな。最近の劣化ウランのこともございますけれども、そういう気がいたします。  それから、いわゆる交流ということであるならば、現在も外国なんかの軍も使っているようですけれども、いわゆる交通艇といいますか、この話を実は質問しようということでほかの議員の方に聞きましたら、自分もそういえばハワイで接待をされたよ、なかなかよかったよという話がございまして、だから、アメリカ海軍も持っているのではないだろうかということですが、アメリカ軍が持っているのは、はるかに規模が小さないわゆる交通艇のようなもののようでございまして、どうも二十人がいわゆる着席してディナーができたりというような規模のものではないようです。  それから、ほかの国におきましても、ごく一部の国を除きますれば、これだけの規模のものはないのではないかというふうに聞いておるわけです。実際にこの査定に当たったのは大蔵省の方のようですけれども、要するに、三十年来こういったものを使ってきているからといういわば既得権があって、つくり直すということなので通ったけれども、新規だったらとても通らないよという話のようなんですが、その辺はいかがでしょうか。
  74. 秋山昌廣

    ○秋山(昌)政府委員 援護関係、募集関係、あるいは広報、そういった面で、国内向けにもこの船を使っていることは御指摘のとおりでございます。  今外国のことも少しお触れになりましたけれども、実は、その詳細について我々承知しているわけではございませんけれども、知る限りにおきまして、海軍におけるかかる活動は、海軍に所属する王室専用船、あるいは接遇用途にも充てられる船を活用するなど、各国それぞれのやり方で実施しているものと承知しております。  それで、今ごらんになっている記事をベースに御質問になられた点で、一点私申し上げたいと思いますのは、米海軍が小さな船でやっているという点でございますけれども、我々承知している限りでは、米海軍では、少将以上の海上部隊の指揮官に一隻ずつ専用のクルーザーが割り当てられているというふうに、これは聞いている話でございますので詳細は全部調べなければなりませんけれども、各国すべてそれぞれのやり方でやっているということでございますし、海軍に所属する王室の専用船は、これは大変大きなものでございます。  我々のこれから建造をお願いしようと思っている船につきましては、これは十分財政当局とも相談の上、この機能の必要性にかんがみ、同じ程度の、約四百トン程度の規模の特務艇を建設したいというふうに考えているところでございます。
  75. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 米海軍の話はほかの議員の方に伺ったことでございますが、防衛庁長官にお伺いしたいのですが、財政再建元年といいますか、とにかく歳出を削減するということが橋本総理初め現内閣の課題だろうと思いますし、どうも今の説明を聞きましても、非常に経費がかかる折にこういう二十六億円といったものが本当に必要なのかな。確かに、ほかの艦船に比べれば額が小さいのかもしれませんが、逆に言いますと、一般常識から考えますと二十六億円というのは非常に大きな額でございますので、財政再建、行政改革という観点から、これを組み替えするあるいは執行段階で削減をする、そういったお考えはないのかどうか、長官にお伺いしたいと思います。
  76. 久間章生

    ○久間国務大臣 御承知のとおり、我が国の安全を考えますときに、特に最近重要になっておりますのは、いわゆる装備をするハード面だけではなくて、ソフト面の防衛交流あるいは安全保障対話、そういうのが非常に今重要視されてきておりまして、そういう面からの会合が非常にふえてきておるわけでございます。  昨年、私が就任して間もなくでございますけれども、西太平洋のいわゆる海軍のトップクラス、司令官クラスを集めてシンポジウムをやりましたが、これなんかにも、今まで参加していなかった中国の海軍の司令官までが出てきてくれたというふうに、各国非常に、今そういう交流が我が国を中心としてふえております。  そういう意味では、従来、こういうような特務鑑といいますか、そういうのがあって、それなりの機能を果たしてまいりましたけれども、それ以上にこれから先やはり必要になってくるのではないかというようなことから一応これを認めたわけでございます。  しかも、これを古い船で、またそれを改造してやることはできるかということでいろいろ研究しましたけれども、残念ながら、ちょうどこのクラスの、現在の「ひよどり」と同じくらいのものというのはなかなかなくて、もっと大きいわけでございます。そしてまた、そういうのを、あるいはまたいろいろな大きいものを改造しようとしましてもこの値段以上にかかってしまうというようなことから、もう三十九年からずっと三十年間やってきて、現在つくりかえようとしても、どれかを変えようとしても、それだけかかるならば、これから先、恐らくまた三十年この船は使えるわけでございますから、そういう意味では、これをやはり必要とするということで予算を組ませていただいてそういうことにしたわけでございますので、もちろんこれから先ずっと長く使うためには改修の費用もかかるかもしれませんけれども、そういうようなことでございますので、ひとつ……。  それから、先ほど中国と言いましたけれども、ロシアの方の司令官。中国も参加してくれましたが、中国は司令官ではございませんで、失礼しました。司令官はロシアでございました。  そういうようなことで、これから先、そういう安全保障対話等で大いに活躍するし、また、それ以外にもいろいろな形でそれを利用していったらいいのではないかというふうに思っております。確かに、政府専用機もそうでございますけれども、自衛隊で今管理させていただいておりますけれども、これだって一機かなりかかりました。しかし、それはそれなりに非常に機能しておりますし、こういうようなのは特務艦としてこれから先どう活用していくか、そちらの方がむしろ大事ではないかな、そういうふうに思っておりますので、ひとつよろしく御理解賜りますようにお願い申し上げたいわけでございます。
  77. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 現在あるものが半分くらいは国内向けに使っておったという話もございましたが、これは時間がありませんのでこのくらいにさせていただきまして、地雷の話に移りたいと思います。  地雷の件は、昨年の外務委員会でも外務大臣にお聞きしたわけですけれども、いよいよ三月六日、七日に、昨年、リヨン・サミットで橋本総理が提唱されました高級事務レベル会議ということで地雷の会議が開かれるわけですが、リヨン・サミットにおいて、橋本総理が対人地雷の全面禁止に向けた国際的努力を支持するとともに、我が国としても地雷の使用等について一連の自主的措置を講ずることを決定したというのがこの地雷の会議の説明文に入っておるのです。  地雷の使用等について一連の自主的措置を講じるということの中身を外務大臣の方から、これは外務省の方からいただいている六日、七日の地雷の会議に関してでございますので、お願いをしたいと思うのですが。
  78. 久間章生

    ○久間国務大臣 私の方からお答えさせていただきたいと思います。  地雷につきましては、対人地雷をとにかく自己破壊装置をつけたものに切りかえていく、そういうことでこれから先やっていかなければならないということで、まず平成九年度からは、自己破壊装置のつかない地雷は買わないということと同時に、平成八年度分の予算がついておりましたけれども、八年度分につきましても、これは八年度からそういうことでやろうということで実施しております。  それと同時に、我が国においては、作戦上はもうとにかく使わない、いわゆる自己破壊装置のついていない従来のものというのはないわけでございますから、そういうような方針をとっております。  ただ、教育上、教育訓練といいますか、地雷とはこういうものだということをまず知ってもらうための教育をやったり、あるいはまた爆発物のそういうような実験をやってみたり、そういう場合には使いますけれども、原則として、もうとにかく自己破壊装置のついていない地雷あるいはまた捜索不可能なプラスチックの地雷というのは使わないというような方針で臨んでおるわけでございますので、事実上、この条約を先取りして進んでおる、そういうふうに理解しておっていただいて結構だと思います。  詳しくは政府委員の方から説明させます。
  79. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 教育訓練と言いますけれども、実際に二十億円計上されているわけで、対人地雷は七億円でございますけれども。それから、既に百万個以上日本にあると言われているわけですけれども、使用しないといいましても、昨年の十二月に国連総会で、日本を含む八十八カ国が提唱して締結した決議案では、対人地雷を使用、備蓄、生産、輸出入の全段階で禁止する国際条約とあるわけですから、教育訓練のために二十億を使って地雷をつくること自体がこれに矛盾するのではないかと思うわけでございます。  御承知のとおり、アメリカ、フランス、ドイツ、オーストリアを初め、とにかく現在持っているもの、通常型の対人地雷使用の即時停止とか、それから通常型地雷の破棄というような状況でございますので、もしそういったものに整合性を持たせるならば、百万個の中には自己破壊装置がついていない地雷を保有しているはずですから、むしろそれを破壊をするなり、あるいは自己破壊装置つきのものに、そういったものをつけるという予算がむしろなければおかしいはずではないでしょうか。
  80. 久間章生

    ○久間国務大臣 二十億という数字はどういうふうにつかまれたのかわかりませんけれども平成九年度は先ほど言われたように七億でございます。(藤田(幸)委員「それは対人地雷だけです」と呼ぶ)いや、散布式が四億円で、対戦車地雷は入っていないわけですから。対人地雷の話だと思うのですけれども、対人地雷は今言うように七億。  それで、今おっしゃられましたそういうものにつきましては、いわゆる既存のものをどうするかが問題でございますけれども、それについては、信管について今研究をしておるわけでございますが、かえていくのに非常に高価にかかるわけなのですね。新しいのを一個買った方がまだ安いのではないかというような、そういう計算になるものですから、もう少し安く信管を取りかえることができやせぬかということで、今一生懸命その研究に取り組んでもらっておるわけでございますので、いわゆる規制された地雷を使って、どんどん教育訓練をやって爆発させていくというようなことではない。  今言いましたように、テストとして目の前でやってみせる、そういうときにたまたま使うことはあるけれども、原則として、作戦上は使わない、そういう方式をとっておりますので、これは先生の御指摘の方向に今動いている、そういうふうに理解しておっていただいていいのではないかと思います。
  81. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 今、その地雷の探知とか除去技術の開発に世界各国――橋本総理がリヨン・サミットで提唱して、わざわざ日本でその会議をする。そして、それぞれ陸地続きの国が多い中にあって、それでも地雷というものを持っているものは破壊をし、そして生産をしないでという動きの中で、日本だけが、先ほど教育訓練というお話を伺いますと、鯨のという話が前にありましたが、何かそんなイメージも持ったわけですけれども、実際に日本が国連で共同提案国になっておりながら、いまだにつくっておる。それで、破壊もしていないということは、今度三月六日、七日に外務省の方で地雷会議を、世界から四十カ国くらいの方々をお呼びして高級事務レベル協議をするわけですが、実態がそうだとどうなのでしょうか、外務大臣、日本が主催をしてもあるいは総理が公約をしても、示しがつかないのではないかという気がするのですが。
  82. 久間章生

    ○久間国務大臣 私の言い方にちょっと誤解があったらいけませんので政府委員から答弁させますけれども、教育訓練と言いましたのは、地雷というのはこんなものだ、これはこうやったら爆発するのだというのを目の前で見せるときに、そういうような場合についてはそれを爆発させてみても問題はないだろう、そういうのには使いますよということで今言ったわけでございまして、教育訓練用にだあっとまいて、それでどんどんやるというようなことではございません。原則としてそういう使い方はしないということを決めているわけでございます。  詳しくは防衛局長から答弁させます。
  83. 秋山昌廣

    ○秋山(昌)政府委員 先生御案内のことだと思いますけれども、対人地雷の使用あるいは移転に関する規制を強化することとなった特定通常兵器使用禁止制限条約、CCW条約、対人地雷でございますけれども、これの改正議定書の早期批准に向けて、我々今準備作業をやっているわけでございます。  同時に、昨年の六月に、この対人地雷の全面禁止に向けた国際的な努力というものを日本政府としても支持するということで、日本における自主的な措置として幾つかのことを決定して、発表しているわけでございます。  一つは、我が国は対人地雷の全面禁止に向けた国際的な努力を支持するということで、今御質問にございましたけれども、いろいろな国がもちろんあるわけでございますが、我々調べる限り、フランス、ドイツ、イギリス、イタリアその他いろいろな各国との比較におきましても、基本的に我が国が対人地雷の全面禁止に向けた国際的な努力を支持するということを公にし、かつその二番目に、幾つかの具体的な措置を自主的な措置として国際的な全面禁止に関する合意が達成されるまでの期間に講ずるということを決定したわけでございます。  幾つかはもう大臣からその説明がございましたけれども、若干繰り返しになりますけれども、自己破壊装置を有する対人地雷への回収等に必要な措置を適切に進める。それから、自己破壊装置を有さない対人地雷の新規の取得は計画しない。これは八年度からそういうことで実施しております。そして、自己破壊装置を有さない対人地雷は、特定通常兵器条約改正議定書により使用が認められている場合も含めて、つまり議定書で認められる場合も含めて我が国は作戦上これを使用しない。そして第四番目に、一般市民に危害を与えるおそれのない対人地雷の代替手段の検討を早期に進める。こういう自主的な措置を講ずることを発表したわけでございます。  正確に申し上げますと、以上の措置は、上記の期間において我が国が侵略の脅威にさらされ、かつ我が国防衛のために他に代替し得る有効な手段が存在しない場合にのみ再検討に付される。ただし、その場合においても特定通常兵器使用禁止制限条約改正議定書を遵守する。それから三番目に、なお引き続き地雷の輸出は一切行わない。こういうことを日本政府として発表し、決めまして、そして、この対人地雷の全面禁止に向けての我々としての支持を明らかにしたわけでございます。  それから、対人地雷についての捜索といいますか、発見する問題、これまた別途あるわけでございまして、これは我々としても今いろいろ研究しているところでございます。
  84. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 時間がなくなりましたので、外務大臣に一言。  三月六日、七日の地雷会議のホスト役を務められるわけですが、今日本の自衛隊といいますか、防衛庁がそういう状況でございまして、もちろんリハビリとかそういうことを中心会議はおやりになるようですけれども、ほかの国の地雷に対する取り組みと比べて、ホスト役として、今の日本の現状がこういう中でホスト役をされる場合に、非常になかなか苦しい面もある、つまり、リヨン・サミット等での総理との温度差というものを外国が感じられるのではないかという気がするのですが、言いかがでしょうか。
  85. 池田行彦

    池田国務大臣 三月六日、七日には、三十カ国、そして国連等の国際機関の代表を集めまして、地雷除去作業あるいは地雷探知及び除去の新しい技術の開発、また、犠牲になられた方のリハビリ等の面での国際協力をテーマに会議をするわけでございますけれども、その会議に至るまで、これまで私ども地雷の関係で随分努力をしてまいりました、国連での共同提案の点なども含めまして。そういったことでございまして、各国からの我が国のこの問題に対する取り組みに対する評価は高いものがあると思います。  その中には、防衛庁長官から御答弁のございました我が国の自主的な措置も含めまして、各国は高い評価をしているところでございまして、決して私どもホスト国として肩身の狭い思いをすることはない、こう信じております。
  86. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 ありがとうございました。
  87. 伊藤英成

    伊藤委員長 次に、東中光雄君。
  88. 東中光雄

    ○東中委員 最初に、沖縄県の収用委員会の公開審理がきょうから始まっておるわけですが、これは三千八十五件の十三施設に関する一括した審理だと思うのですが、その中で、楚辺通信所の知花さんの分だけは、これは一緒に進められていますけれども出発点が違うわけです。  それで、昨年の三月いっぱいで使用期限が切れた。以後は、国としては使用権原を持たない使用になっているわけですが、それは適法ではないということは異論がないわけです。それで緊急使用の申し立てを出されて、緊急使用の申し立てを出しているから、適法でないけれども直ちに違法とは言えないという趣旨の官房長官談話なんかが出されたわけですが、その緊急使用の申し立てば、五月十一日には許可しないということで、あの裁決書を見ましたけれども、四つの必要要件、一切どれも該当せぬということで、いわゆる却下決定があった。そうしたら、もう権原はないし、緊急使用が許されないということになったら、当然返還をせないかぬということだと思うのですが、既に権限がなくなってから十カ月を超しています。現在なおその使用を国がやっている。これは違法ではないのか。直ちに返還すべきだ。  法律上の構成としては、緊急使用を申し立てしたのだから、許可してもらったらそれは使用できます、許可しないと言われてまだずっとおったのではこれはどうもなりませんので、現在の状態を国としてはどう思っているのか、直ちに返却すべきだと思うのですが、いかがでしょうか。
  89. 久間章生

    ○久間国務大臣 国は、御承知のとおり、安全保障条約に基づきまして、基地の、いわゆる施設・区域の提供を義務づけられておるわけでございます。そして、それを受けていわゆる米軍は占有をしておるわけでございます。ただ、国と知花さんとの関係では、これは期限が切れておるわけですから無権原になっているわけでございますので、これは確かに適法でないと思います。  しかしながら、米軍が今占有している状態が生じておるわけでございますけれども、それは、安保条約に基づいて国から提供されたそれを占有しているという状況でございますから、米軍と知花さんとの関係は直接ではございませんで、日本国から提供されたやつを占有しているという状況にございますから、日本としては、政府としては、今土地収用委員会の方に裁決の申請を出しているところでございますので、そういうような複雑な状況にあるということでございます。
  90. 東中光雄

    ○東中委員 それは何も複雑なことは一つもないですよ。緊急使用をしたいという申し立てを出したのでしょう。申し立てを出して、要は緊急使用を許してくれるか許してくれないかしかないのですから。それに従うことでこそ――あなた、出したのでしょう。そして、だめだと言われて、それでもまだアメリカに対しては提供する安保条約上の義務があるなんというようなことを言うたって、それはあなた、緊急使用申し立てのところに書いてあるじゃないですか、あなた方の方の。それじゃだめですよというのが、日本の法制度からいって収用委員会はだめだと言っているのだから。そうしたら、国としては返さなければいかぬ。それをあなたは今違法とは言わぬかったけれども……(久間国務大臣「適法でない」と呼ぶ)適法でないと言ったけれども、違法とは言わない、それで返さない。これはいつまででも続く、こういうことになるよね。  その論理でいけば、これはあとの三千八十四件についても、五月十四日が来る、申請を出そうが、出すか出さぬかそれは知りませんが、出した、それで却下された、また同じ理屈になりますね。だから、おおよそ今土地収用法の百二十三条ですかを適用して、特措法を国が全く無視してしまう、もともとその手続に従わないのだから。手続はやるけれども、だめだと言われてもそのままだ、そのままでおることは違法でないんだ。こんなことを言えば、米軍のためには、国民は黙っておらなければいかぬということになってしまいます。
  91. 久間章生

    ○久間国務大臣 いや、そういうふうに言っているわけではなくて、現在、そういうことで土地収用委員会に緊急ではなくて公告縦覧の手続を一緒にしてもらいまして、そして収用の裁決の申請を今出しているわけでございまして、それと、知花さんのものも入れて現在審理が、きょう公開審理が行われているわけでございますから、全くもって後は全然知らぬ、緊急使用の申し立てをして、それでけられてそのままだということではなくて、その後に手続がいろいろと進行中だということを申し上げているわけでございます。
  92. 東中光雄

    ○東中委員 法律的には全くナンセンスな話です。だって、手続上は緊急使用が許可されなかったら、許可されても六カ月しかだめなのだ、それ以上は延長できないのだというふうに法律で決まっているのですから。それに従ってない。  しかも、それは、それだけではなしに、今後五月十四日が来れば同じことを繰り返すことになる、その論理でいけば。だって、現に収用委員会が許可しないということになったら、返さなければいかぬでしょう。返せないというのは――楚辺通信所でいえば二回返したでしょう。使ったでしょう。あそこは著しい支障が起これば別だが、しかし、著しい支障がないといってあれは不許可になったのですね。現に、知花さんが一日、二日使ったけれども、何にも支障が起こらなかったわけです。起こらぬから使ったわけでしょう。それなら返したらいいじゃないですか。
  93. 久間章生

    ○久間国務大臣 緊急使用については確かにあのとき認められなかったわけでございますが、今言いましたように、今度は、いわゆる本裁決を今は申請しているわけでございます、あとの十二施設と一緒に。それら本裁決がかなわないということになりますと、これはまた確かに大問題になりますけれども、そういうことで本裁決で収用が認められますと、そうしたら、その期間だけが権原がなかったということになるわけでございますので……。だから、確かに知花さんの問題については適法ではない、非常にゆゆしきことである、それは私どもも認めておるわけでございます。  ただ、その後にそういう手続がとられて、一緒に収用委員会で審理が行われて、きょうも第一回の公開審理が行われておるわけでございますから、そういう流れの中で全体を見ていただきたいということを言っているわけでございます。
  94. 東中光雄

    ○東中委員 土地収用委員会に収用の申請を出しておるから、その審理が始まっておるから、緊急使用は許されなくても使用をそのまま続けていくのだ、こんなもの論理じゃありません。そうなっておるじゃないか。初めから、三月二十九日に声明を出したときも、収用委員会へ出すという手続はそれはそれとしてやっていたわけだから、重視するかどうかはいろいろ条件があったにしても。だから、あなたの今言っている論理は、特措法の法体系を無視して、それに従ってやって通らなかった場合はそれを無視して沖縄県民の土地を使い続ける、アメリカが必要だと言っている限り使い続ける。ほかの三千八十四人についても同じ論理が適用されるということで、緊急使用の申し立てをした意味がない。  緊急使用の申し立てをやって許可されたらそれはいいけれども、許可されなくても同じなのだ、こんな態度というのは許されない。その態度が、今度は特措法自身を変えよう、申し立てをしておる間は続くのだというふうに法律を変えようかという、今うわさされていますけれども、そういう論理に行く。これは断じて許せぬ。土地強奪の姿勢だ。現にある法体系を国自身が否定しているという問題だということを申し上げておきます。直ちに改めるべきだ。私、きょうは時間が余りないので、次の問題がありますので、そう申し上げておきます。  それから、劣化ウランの問題ですが、これについて、北米局長が二月十二日の予算委員会の総括質問でこういうふうに言っていますね。劣化ウランは、核燃料物質の管理という観点から、日本もそうでありますが、アメリカにおいては原子力エネルギー法及びその関連法令に基づいて管理されている。米軍は、その国内法令に従い、劣化ウラン含有弾薬の使用について的確にモニターし得るための人員、機器がある米国内の指定基地においてのみ訓練を行っている、こういう答弁をしています。だから、そういう体制のあるところでしか、アメリカの国内法からいって、米軍もそれに従って、だからこれは四カ所だということですね、そういうのを行っている、こう言っているのです。  そして、劣化ウラン弾は、我が国の訓練場における使用は禁止されている、しかし、緊急事態においては米軍がこれを使用する必要が生ずることがあるため、我が国における一部施設・区域に保管されているものと承知している。一部施設ですね。これは、米軍規則に基づいて、所定の基準を満たした特定の弾薬庫において安全に万全の配慮を払いつつ厳重な管理をして保管をしているものと承知しております、こう答弁しているわけです。そうだろうと思いますよ。  だから、日本にあるのは、米軍規則に基づいて所定の基準を満たした特定の弾薬庫において安全に万全の配慮、それから厳重な管理をやって保管しているのだ。この日本にある特定の弾薬庫において安全に万全の配慮を払いつつ厳重な管理をして保管をしている劣化ウラン弾、その弾薬庫はどことどこにあるのですか。
  95. 折田正樹

    折田政府委員 日本国内の一部の施設・区域に保存してあるということは承知しておりますが、具体的にどこの場所にどれぐらいあるかというのは、軍の運用上の問題であるので明らかにしないというのがアメリカの方針であるというふうに承知しております。
  96. 東中光雄

    ○東中委員 そんなアメリカの方針に、そのまま、はい、そうですがと言うわけですか。どこにあるかも何も知らない。特別に米軍規則で所定の基準を満たした特定の弾薬庫しかだめなんだ、それは安全確保のために厳格に特別に管理をすると言っておるその場所がどこだということも、アメリカが言わぬといったら日本政府は黙っている。しかし、米軍は、岩国の司令官は、ここにあると言っている、嘉手納にもあると言っている、ほかにあるかどうかについてはわからないと。こういうことになっているのでしょう。そして、厳重に特別に管理しておるはずのものが、それから米軍は日本では使わないということになっている、法律上、法制に基づいて。それが今度使われたわけでしょう。  この間、二月十七日付日米安全保障条約課が仮訳してくれた「九六年三月十八日付アームストロング研究所第三分隊司令官発第十八航空団医療群司令官宛メモランダム要約部分」というのがあるのですが、これを見ますと、その要約してある部分の冒頭にはこう書いています。「九五年十二月及び九六年一月に米海兵隊のAV-8(ハリヤー)機が嘉手納飛行場の西五十五海里に位置する鳥島空軍射爆撃場において千五百二十発の二十五ミリ劣化ウラン含有弾を用いて対地射撃訓練を行った。」と書いています。九六年四月十五日付の同じようなメモランダムにも同じ文章があります。  だから、米海兵隊は使用しないことになっておる、日本では訓練をやらないことになっておる。それから、緊急のときでなければ使わないのだ、緊急のときに使うために厳重に保管しておるのだ、こう言っておるその劣化ウラン含有弾を用いてAV8ハリアーが対地訓練をやった、こう言っているのですよ。これは部隊としてやっているわけですからね。いかなる部隊がこの日にハリアー何機でこういう訓練をやったのか。やらぬことになっておるはずなのですが、やったというのだから。その部隊、それからハリアーが何機、態勢というものを当然米側に聞いているでしょうね。明らかにしてください。
  97. 折田正樹

    折田政府委員 誤って劣化ウラン含有弾を発射したハリアーが何機であるかということは、私ども、アメリカに問い合わせているわけでございますが、まだ明確な答えは返ってきていないのが実情でございます。
  98. 東中光雄

    ○東中委員 部隊は。大体、射撃訓練をやるのに、個人でやるのではないのですから。部隊がやるのでしょうが。海兵隊の何部隊が――十八航空隊なんて出てきますよ、さっきのところでも。何という部隊が誤ってなどということは何も書いていない、このアメリカ側のメモランダム自体では。「劣化ウラン含有弾を用いて対地射撃訓練を行った。」と書いてあるのですよ。  そして、AV8Bの性能からいえば、先ほども出ておりましたが、左のポッドに二十五ミリ機関砲が一つある、右側のポッドの中には普通弾で二十五ミリ三百個、それで射撃するのだということは、これは例えば世界航空機年鑑を見たって全部載っていますよ。そういうものを何機でやって――ウラン弾を撃つのですから。そういう訓練というのは、自衛隊でもそうでしょうが、訓練をやるについて訓練計画があって、そして、最初に言ったように、特にこういう問題のウランなどというのは使わないのだ、訓練はしないのだと言っている。そういう規則になっておる、それは単に便宜的にそうしているのではなくて、アメリカの原子力管理の体系からいってそうなっているのだということを言っているのでしょう。  そういうものなのだから、射撃訓練などというのは、ちょっとラベルが違っておったから、カタログが違っておったから渡し間違えたというような問題ではないのですよ。千五百二十発といえば、ハリアー機でいうと、少なくともこれは十二月二回と一月一回、三回やっているわけですから、そうすると、三百発積めないのですよね、劣化ウラン弾になると重いですから。だから、千五百二十というのは、二機ずつ三回ということにならざるを得ないのですよ。それが、厳重な管理をしているところへ行って、特別に管理をしている、訓練には使わない、法律でもそうなっているんだと局長答弁しているそういうものを、はい、間違えましたといって出せますか。厳重に管理しているんだったら出せやせぬです。  これはそうじゃないんです。もっと大きなところで、法律はそうなっているけれどもそんなものは構わぬ、日本ではやっていいんだということでなければ、そう簡単にいけるものじゃないんです。これが岩国だとすれば、岩国から嘉手納へ持っていったとかいうことも報道されていますね、そういうものを。米軍はいかにひどいか、占領下そのものなのですね。法体系上そうなっていると局長は言っておきながら、その法体系、米軍規則にまるっきり反したことを、しかも、たまたま一回滑り落ちたとかいうんじゃないんです、二機ずつ三回、二カ月にわたってやっておる。  そういうことがあって、この報告を聞いて、誤って誤射したんだと、冗談もいいかげんにしなさい。こんなことをアメリカが言っておるからといって、そのことをそのまま伝えて、外務大臣も、アメリカが間違えたとか誤射だと言っておるからといってその言葉ばかり使っている。ねらったやつが間違って横へ行ったとかという誤射と違うんだよ。態勢を組んでやるものですよ、部隊の行動というのは。いわんや、こういうふうに禁止されている問題なんですよ。それを、ああいう子供だましのことを聞いたからといってそのまま言うというのは、その行為については米側から言っていないから聞いていません、こんなことじゃほんまにいかぬと思うのです。  外務大臣、これは部隊の運用ということを少しでも知っている者なら、私も飛行機に乗って知っていますからね、そういう点からいえば、こんなことはあり得ないんですよ。だから、第三海兵師団の航空団が部隊として弾薬庫で厳重管理したやつを出さす、命令がなかったらそんなもの出せませんよ。命令があって出して、それでやったでしょう。そして、そのことが、たまたま機関銃が故障したから発見したなんて、冗談じゃありませんよ。そんなばかなことがありますか。そういう子供だましのことをまともに受けて国会で言うというのは、私はほんまにアメリカからなめられておると思うのですね。  事はウラン弾です。体系上は局長が言っているような体系になっているんだ。それなら、何ということだ、こんなとんでもないことをやって、アメリカの国内法及び軍の規則に反してやったんだから、それに対して責任をとって、そういう訓練の際に使うようなウラン弾というのはみんな持って帰れというぐらいのことを言うのが当たり前じゃないですか。向こうが言うたとおりのことを繰り返し繰り返し……。アメリカ側の説明の概要というのは、これはむちゃくちゃじゃありませんか。矛盾撞着。むちゃむちゃですよ。これは説明つかぬです。  それから、ワシントン・タイムズが書いたやつを見たら、そういう通報をもする義務がないんだというようなことを言っているのですね。お情けで知らせてやっているんだというようなことを言っている。こんな日本におけるアメリカ軍のやり方というのは、これは断じて許されぬことです。  だから、そういう点でちゃんとただすべきだ。そして、こういう不当なことをやった部隊の撤去、それからウラン弾の撤去、これを要求すべきだと思うのですが、外務大臣、どうでしょう。ラベルの張り違えだとか見違えだとか、新兵さんがよくわからぬでやっていたんだとか、そんなものと違うということについて、どうですか。
  99. 池田行彦

    池田国務大臣 いろいろ推定も交えてお話しなさいましたけれども、私どもは、現在の段階で掌握しておりますのは、今回の劣化ウラン弾の使用は、誤って米軍の内規に沿わない形で行われたものだと思っております。  それで、まず必要な措置の一つは、このような誤使用が今後行われないようにその管理の厳正化を図るということ、これを行わなくてはいけない。それはやっております。それからいま一つは、誤って使用された劣化ウラン弾がまだ存在します。それの人あるいは環境等に与える影響いかん、こういった点につきましても、米側調査の結果その危険はない、こういう説明はしておりますが、さらに念には念を入れてさらなる調査をしようということで、米側もそれをやると言っておる。そのほかに、日本としても別個に沖縄県の御協力を得ながらその調査もしよう、こういうことをしているわけでございます。同時にまた、この問題の全体としての報告は三月末までに米側から寄せられる、こういうことになっている次第でございます。
  100. 東中光雄

    ○東中委員 時間ですから、終わります。
  101. 伊藤英成

    伊藤委員長 次に、上原康助君。
  102. 上原康助

    ○上原委員 どうも、両大臣、御苦労さまです。あともうしばらくですから……。  二十分で防衛論争をやれというのは、これはどうかと思うのですが、限られた時間ですから、基本的な点だけお尋ねをさせていただきたいと思います。今後の日本の安全保障あるいは日米関係と密接に関連をすると思うんですが、沖縄米軍基地整理縮小等々の問題です。  私は、昨年四月の日米共同宣言というのは非常に重い意味があると見ております。そこで、懸念する問題点もありますが、防衛協力指針の見直しということで、「「指針」の見直しの基本的考え方及び目的」というのがありまして、若干その経過についても報告というか資料をいただいております。  まず最初にお尋ねしたいことは、五十三年の十一月の防衛協力指針の場合は、御承知のように前提条件があるわけですね。今回、これは一体変更するんですか、しないんですか。
  103. 秋山昌廣

    ○秋山(昌)政府委員 御質問にありました五十三年のガイドライン策定のときの前提条件というのは幾つかございました。その時点の前提条件で現在のこのガイドラインを策定したものと我々認識しております。  現在、このガイドラインを見直すことをやっているわけでございますけれども、見直す前提条件といいますか基本的な考え方としては、既に御説明したような、例えば日米安全保障条約及びその関連取り決めに基づく権利及び義務を変更しない、日米同盟関係の基本的枠組みを変更しない、日本国憲法の枠内で行う、こういう前提条件で今見直しを行っているところでございます。
  104. 上原康助

    ○上原委員 これは、総理を初め外務大臣防衛庁長官もそうなんですが、日本国憲法の枠内だということであれば何でもできるようになってしまっているんですね、正直なところ。そこいらの解釈の問題、運用が大変問題になってくる。  そうしますと、もう一遍確認しますが、五十三年の十一月のガイドラインを日米間で策定というか作業をしてつくったその前提条件は、今回の見直しにおいても変えないということは確認できますか。ずばり言ってください。
  105. 折田正樹

    折田政府委員 前提条件に「事前協議に関する諸問題、日本の憲法上の制約に関する諸問題及び非核三原則は、研究・協議の対象としない。」というふうに書かれております。  事前協議に関する諸問題というのは、今秋山局長が申されたとおり、安保条約の権利義務にかかわることでございますから、これは全くそのとおりでございます。それから、日本の憲法上の制約に関する諸問題というのは、今我々が作業を進めています前提が憲法の枠内で行うということでやっておりますので、そのとおりでございます。それから非核三原則、非核三原則はそもそも我が国の方針でございますので、これを研究協議するというものではございませんので外してあるということでございますから、今申し上げましたところについては基本的に同じことだろうと思います。
  106. 上原康助

    ○上原委員 そこまで変えるということになると、これは大問題であることは当たり前だから、これは変えると言わぬでしょうね。ほかにもあるんでしょう、前提条件というのは。これは、かつて相当僕らも議論したんですよ。例えば、両国の立法措置とかあるいは予算の裏づけを伴うものではない、こういう説明を皆さんはしてきたんでしょう、五十三年のガイドライン以降、ガイドラインの議論の中では。そのことはどうなるのか。
  107. 秋山昌廣

    ○秋山(昌)政府委員 現在のガイドラインで前提条件と言われておりますのが二つございまして、その一つについては今折田局長から説明があったとおりでございます。その二番目の前提条件のことを委員は御指摘だと思いますが、そこにはこのように書かれているわけで)ざいます。「研究・協議の結論は、日米安全保障協議委員会に報告し、その取扱いは、日米両国政府のそれぞれの判断に委ねられるものとする。この結論は、両国政府の立法、予算ないし行政上の措置を義務づけるものではない。」こういうふうに書いてあるわけでございます。  現在の指針の見直しにおきまして、今申し上げましたような、折田局長も説明しました二つの前提条件の趣旨につきましては、見直し後の指針におきましても基本的には妥当するものと考えておりますが、具体的な記述ぶりにつきましては、ガイドラインの見直しの中で検討してまいりたいと考えております。
  108. 上原康助

    ○上原委員 私も最近不勉強なんだが、何もわからぬで質問しているんじゃないよ、あなた。本当の問題点に踏み込んでいこうとすると、また言い直したりする。だから、かつてはそういう説明を皆さんはしてきたんだ、「この結論は、両国政府の立法、予算ないし行政上の措置を義務づけるものではない。」と。私流に言うと、あなた方はこれで逃げてきたんだ。  しかし、今回、本当に具体的に予算ないし行政上の措置を、立法措置を含めてやらないでできるのか、あなた方がやろうとしている作業というのは。そのことについてはどうなっているのか。僕は、それをやりなさいとかやるなとか今言っているんじゃない。基本的な問題点を明らかにしたいわけですよ。新しい時代における防衛協力の見直しを天下に明らかにする、天下とは書いていないけれども皆さん、国民に明らかにするためにやるといってディスクローズしなきゃいかぬですよ、今までの。その点はどうなっていくんですか。立法措置もなくてできるのか、予算も伴わないでできるのか。
  109. 池田行彦

    池田国務大臣 その点につきましては、これからいろいろ検討、研究を進めていった上でどうするかでございますが、検討の結果、新たな予算措置あるいは法律的な立法措置を要するというケースが出てくる可能性もございます。そういった場合にどうするかでございますが、それはまたその段階で、当然のこととして、政府において、そうしてまた国会にもお話ししながら決めていくべき問題であろうと考えております。  さらに申し上げますならば、義務づけるかどうかという点について、先ほどの局長答弁はちょっと明確さを欠いておったと思いますけれども、私、こう考えます。ガイドラインの研究の結果何か出てきた、こういうことが必要だと出たからといって当然のこととして立法やら予算措置につながるものではない。しかしながら、先ほど申しましたように、日本として新たな措置が必要でございます、検討の結果こういうことが出ても、これは何もしなくてもいいのかという点になりますと、そこは完全にはニュートラルではないのだと思います。  先ほど委員も御指摘になりましたが、昨年の四月の日米共同宣言というのは大変重要な意味を持っている、そのとおりでございます。いろいろこれから日米間でも協力をしていこうということを約束しているわけでございまして、それを具体化するための作業一つとして今回のガイドラインの検討などをするということになれば、やはりそこでは必要だということになってくれば、それを実現するという方向に向かって努力しようという意味が含まれ得るのだと思います。  しかし、念のために申しますけれども、それは必ず義務化されるとか義務づけられるというものではないということは当然でございます。
  110. 上原康助

    ○上原委員 義務化するしないの話は、これは対米的に皆さんがそれなりに玉虫色に見せようということのようにしか受けられません。そこでこれだけのことをやるとするならば、私はいろいろな問題が出てくる可能性は十分あると思うのですね。  そこで、もう時間もだんだん迫ってまいりますので……。日本周辺地域において発生し得る事態とか、一方、極東有事の際の研究とか、いろいろこれまで言われてきたわけですね。また、共同宣言ではアジア・太平洋の平和と安全云々という文言もある。確認というか、皆さんの、政府の見解を聞いておきたいのですが、日本周辺地域とは一体どこなのですか。それと極東の平和と安定ということとはどう違うのですか。
  111. 秋山昌廣

    ○秋山(昌)政府委員 極東という地域につきましては、これまでも国会における審議の中で、あるいは政府答弁書という形でお示ししてきたとおりでございまして、現在のガイドラインの見直しの中におきましても、安保条約あるいはそれに伴う地位協定、そういった関連協定の権利義務を変更するものではないということでございますので、何ら従来と考え方は変わってないわけでございます。  しかし、日本周辺地域といった場合におきましては、現在見直ししておりますのが日米の防衛協力のあり方についての見直しでございますし、そして、その日本周辺地域において発生し得る事態で日本の平和と安全に重要な影響を与える場合の協力ということでございますから、当然日本の安全保障にかかわりのある地域という概念でございまして、具体的にここといったような、そういう規定はしてないところでございます。
  112. 上原康助

    ○上原委員 それはいずれこれから相当議論になるところですが、極東の範囲云々でもさんざんやりました。そういう論争は必要なときはまたやりますけれども、どうも日本周辺云々のところで……。  そこでもう一つ、今は大変あいまいな答弁しかいたしませんでしたが、この検討対象の中に、日本周辺において発生し得る事態で日本の平和と安全に重要な影響を与える云々かんぬんとあって、例えば人道的救援活動、非戦闘員を退避させるための活動、NEOですね、米軍による施設の利用、米軍活動に対する後方地域支援とか、自衛隊の運用と米軍の運用――例えば非戦闘員を退避させるための活動というようなことになると、どういうことを想定しているかよくわからないのだが、これは国内のこともあるし、日本周辺地域だから日本国外のこともあるのですよね。恐らくあると思う。それはどういうふうに考えているのか。  仮に日本周辺のどこかの国でそういう異常というか有事のことが想定されてやった場合には、日米間の独自の判断だけではできないですね、相手国の救援に行くにしても。そこいらの関係はどのように検討しようとしているのか。
  113. 秋山昌廣

    ○秋山(昌)政府委員 今御質問の中にございました非戦闘員を退避させるための活動は、我が国周辺の地域ということでございますから、当然我が国内ということではございませんで、圏外からの在外邦人あるいは在外邦人以外の国民、例えば他の国の国民の緊急避難の際に必要となる日米間の協力ということでございまして、具体的には緊急退避の輸送手段における協力といったようなものが考えられるわけでございます。その場合に、当然のことながら、輸送手段を国外において運用するための必要な調整は当該国としなければならないというのは、御指摘のとおりでございます。
  114. 上原康助

    ○上原委員 もうきようは時間がありませんから、一、二例を挙げて……。  これをあなた方が立法措置とか予算措置は伴わないとか、両国を義務づけるものではない、アメリカにそれは義務づけない、アメリカも日本には義務づけないと言うが、これは相互関係のことであって、非常に重要な問題が入っているわけですよ。  そうしますと、これはいつまでにそういう中身を、具体的というか例示を、今挙げたようなことを含めて国会に中間報告なりをやろうとするのか。僕は、これはぜひやるべきだと思うのです。四、五月という話もあるし、秋までには仕上げるというのだから。防衛庁と外務省だけで秘密裏に仕上げてもらっては困る、こういう重要な問題は。そのことについては、両大臣から御答弁を願います。
  115. 久間章生

    ○久間国務大臣 先般も予算委員会で、これは外務大臣もお答えになられたと思いますけれども、これから先、今機能とか分野とかを抽出しながらいろいろとワーキンググループでやっているようでございますけれども、これがある程度経過が対外的に出せるということになりましたら、広く国会あるいは国民各階層に提供しながら、また、それと同時に、これは我が国だけではなくて、近隣諸国の誤解を招かないようにもしなければなりませんので、そういったところへも説明できるような格好で、要するにオープンにしながらやっていかなければならないと思っております。  防衛庁と外務省だけでぎりぎり固めてしまっていて、向こうとやる直前になってばっと見せるようなことはするべきでない、そういうふうに思っておりますので、御懸念のないようにやっていこうと思っております。
  116. 上原康助

    ○上原委員 ですから、それはいつ提示なさるのですか。それを含めて、外務大臣から。
  117. 池田行彦

    池田国務大臣 ただいま防衛庁長官から御答弁申し上げたとおりでございますが、私どもとしても、一定の段階におきまして国会の方にいろいろ御審議賜るようにしたいと存じております。  それで、具体的なタイミングを今の段階で明確に申し上げるのはちょっと難しゅうございますけれども、いずれにしても、秋までにまとめようとしておりますから、そういうのをにらみながら、国会の方にもいろいろ御検討いただくような時間的な要素を考えてお諮りしたいと思っております。
  118. 上原康助

    ○上原委員 これは秋までという一応の皆さんの目安があるわけですね。そううまくいくかどうか、私は疑問を持っている。沖縄問題とも非常に絡んでくる。  私が重視しているのは、皆さん、こういう新たな日米間の防衛協力とか、あるいは極東有事とか、いうところの有事立法的なものだけを突出させて、沖縄米軍基地整理縮小問題なり、先ほども出た土地問題、あるいはSACOで決まったこと等が進展しないとなると、沖縄を利用してまた日米の防衛協力だけ強化したというそしりは免れませんよ。私はその懸念があるから、池田外務大臣が重視するのと私が重視するのは全然違うので、僕は沖縄立場も含めてやっているのです。だから、その点は、六月十八日までがこの国会ですから、この国会中に提示をしていただくように、それが一つ。  最後に、沖縄のことについて一言触れますが、あした原島大使の事務所開きがあるのだが、外務大臣、あなたの国会答弁とか、沖縄へ行ってどういうごあいさつをなさるかわからないが、よほど気をつけてもらわぬとかえって政府不信に発展しかねない状況であるということは、篤と私は申し上げておきたい。劣化ウランの問題しかりまるで他人事のように聞こえるんですよね、残念ながら。深刻ですよ、この問題は。その点を申し上げて、もし御感想があれば。六月十八日まで――六月十八日に出したって、国会が終わって審議できぬからね。それは、やはり衆参で予算が上がった段階では中間報告ぐらいしてもらわなければ困ると思うのです。
  119. 池田行彦

    池田国務大臣 委員の今の御発言の趣旨あるいはその意味するところもよく考え、踏まえながら、今後検討してまいりたい、こう考える次第でございます。
  120. 上原康助

    ○上原委員 終わります。     ―――――――――――――
  121. 伊藤英成

    伊藤委員長 この際、委員長から、理事会の協議に基づき政府要望いたします。   平成七年十二月から平成八年一月にかけて行われた米軍による鳥島射爆撃場における劣化ウラン含有徹甲焼夷弾誤使用の事件が発生したこと及び米国から我が国に対する連絡が遅延したこと並びに政府から沖縄県に対する連絡が遅延したことは、まことに遺憾であります。   政府におきましては、米軍部隊・装備品等及び施設に関係する事件事故につきへ可及的速やかな通報が確保されるよう、米国及び関係地方公共団体と緊密な情報連絡体制を確立するよう強く要望いたします。   さらに、政府としては、本件の事後処理に当たり、米国側提供の環境上の影響評価等の情報へデータを詳細に分析するだけでなく、その上でさらなる環境調査政府及び沖縄県が主体的に参加し、回収作業の要否の検討等の必要な措置を講じ、沖縄県民ひいては国民全体が納得のいく処理がなされるよう重ねて強く要望いたします。以上であります。  この際、外務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。池田外務大臣
  122. 池田行彦

    池田国務大臣 ただいまの委員長の御発言に対して一言申し上げます。  政府といたしましては、今後この種の事件事故について通報が漏れなく迅速に行われるよう確保したく、日米関係当局間で行ってきている事件事故通報体制の整備のための努力を加速化し、遅くとも三月末までに適正なシステムを確立し、これを公表したいと考えております。  また、政府としては、鳥島射爆撃場周辺海域の現地調査を、沖縄県が推薦される方々にも御参加いただき、今月二十四、二十五日に実施することといたしました。  米側においても、三月末までにさらなる現地調査、回収作業を行うべく所要の準備を進めており、政府としては、かかる調査についても米側と協議、協力していく所存であります。  以上でございます。
  123. 伊藤英成

    伊藤委員長 本日は、これにて散会いたします。     午後五時四十四分散会