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1997-01-16 第139回国会 参議院 決算委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年一月十六日(木曜日)    午後一時一分開会     —————————————    委員異動  十二月二十七日     辞任         補欠選任      小山 峰男君     魚住裕一郎君      菅野 久光君     本岡 昭次君  一月十日     辞任         補欠選任      椎名 素夫君     末広真樹子君  一月十四日     辞任         補欠選任      須藤良太郎君     畑   恵君      上山 和人君     大渕 絹子君  一月十六日     辞任         補欠選任      畑   恵君     須藤良太郎君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         野沢 太三君     理 事                 塩崎 恭久君                 松谷蒼一郎君                 吉川 芳男君                 山崎 順子君                 山下 栄一君                 筆坂 秀世君     委 員                 岩井 國臣君                 海老原義彦君                 大木  浩君                 景山俊太郎君                 清水嘉与子君                 須藤良太郎君                 中島 眞人君                 長峯  基君                 松村 龍二君                 守住 有信君                 魚住裕一郎君                 海野 義孝君                 加藤 修一君                 星野 朋市君                 益田 洋介君                 大渕 絹子君                 大脇 雅子君                 田  英夫君                 今井  澄君                 本岡 昭次君                 末広真樹子君                 水野 誠一君                 栗原 君子君     国務大臣        内閣総理大臣   橋本龍太郎君        外 務 大 臣  池田 行彦君        大 蔵 大 臣  三塚  博君        文 部 大 臣  小杉  隆君        厚 生 大 臣  小泉純一郎君        農林水産大臣   藤本 孝雄君        運 輸 大 臣  古賀  誠君        労 働 大 臣  岡野  裕君        自 治 大 臣        国 務 大 臣        (国家公安委員        会委員長)    白川 勝彦君        国 務 大 臣        (総務庁長官)  武藤 嘉文君        国 務 大 臣        (環境庁長官)  石井 道子君        会計検査院長職        務代行        検  査  官  疋田 周朗君    事務局側        常任委員会専門        員        貝田 泰雄君    説明員        警察庁刑事局長  佐藤 英彦君        環境庁自然保護        局長       澤村  宏君        国土庁土地局長  窪田  武君        外務省アジア局        長        加藤 良三君        大蔵省主計局次        長        細川 興一君        厚生省生活衛生        局長       小野 昭雄君        海上保安庁長官  土坂 泰敏君        会計検査院事務        総局次長     平岡 哲也君        会計検査院事務        総局第一局長   深田 烝治君        会計検査院事務        総局第二局長   諸田 敏朗君        会計検査員事務        総局第三局長   山田 昭郎君        会計検査員事務        総局第四局長   小川 光吉君     —————————————   本日の会議に付した案件平成年度一般会計歳入歳出決算平成年度  特別会計歳入歳出決算平成年度国税収納金  整理資金受払計算書平成年度政府関係機関  決算書(第百三十六回国会内閣提出)(継続案  件) ○平成年度国有財産増減及び現在額総計算書  (第百三十六回国会内閣提出)(継続案件) ○平成六毎度国有財産無償貸付状況計算書(第  百三十六回国会内閣提出)(継続案件)     —————————————
  2. 野沢太三

    委員長野沢太三君) ただいまから決算委員会開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る十二月二十七日、菅野久光君及び小山峰男君が委員辞任され、その補欠として本岡昭次君及び魚住裕一郎君が選任されました。  また、去る十日、椎名素夫君が委員辞任され、その補欠として末広真樹子君が選任されました。  また、去る十四日、上山和人君が委員辞任され、その補欠として大渕絹子君が選任されました。     —————————————
  3. 野沢太三

    委員長野沢太三君) 平成年度決算外二件を議題といたします。  本日は、総括的質疑第二回として、内閣総理大臣に対する質疑を行います。  まず、私が決算委員長として若干の質疑をさせていただきます。  橋本総理にはASEAN加盟五カ国の歴訪、御苦労さまでございました。お疲れのところを早速当決算委員会に御出席をいただき、まことにありがとうございます。本日は平成年度決算締めくくり総括質疑の日でありますので、まず、決算委員長として若干の質疑をいたしたいと思います。  本日、ここに橋本総理の御出席をいただき、平成年度決算国会提出前に六年度決算に対する最後の総括質疑を行うまでに決算審査が進捗しましたことは、委員並びに関係者各位の御協力のたまものと心から感謝申し上げます。  しかしながら、当委員会における平成年度決算審査は、政府及び会計検査院からの説明聴取を除けばすべて閉会中に行わざるを得なかったことに象徴されるように、決算閉会審査が常態化しており、国会活動の本来の姿からはかけ離れております。この点は国会運営立場から大いに反省すべき点があり、改善の余地があると思いますが、開会中における決算早期審査とその促進については政府側協力もまた大変に重要であります。  そこで、橋本総理に伺いますが、これまでの参議院決算審査の取り組みについてどのように評価していただいているか、また、今後の国会決算審査、特に開会中の早期審査に対する政府側協力について、改めて総理の御所見をいただきたいと思います。
  4. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 冒頭、非常に積極的な決算審査に大変な御努力をいただきましたことに心から敬意を表します。  そして、今、主として閉会審査を活用しながら決算審査を進めたという委員長お話を大変重く受けとめております。私どもの立場から申し上げますならば、国会における御審議、これについてとやかく御意見を申し上げるべき立場ではございませんけれども、閉会審査を御活用いただきながら決算審査を進めていただいたという事実そのものにお礼を申し上げたい気持ちであります。  申し上げるまでもなく、決算予算執行実績でありますし、国会における決算審査と申しますものは、予算執行が所期の政策目的を達しているかどうか、こうした点についての審査、御検討をいただくものでありまして、その持つ意味合いが極めて大きなものであることは申し上げるまでもありません。このような重要な決算審査に当たりまして、精力的に御審査をいただき、決算審査充実に取り組む御努力に対して心から敬意を表する次第であります。  政府といたしましては、決算審査重要性というものを十分認識し、今後も最大限協力をしてまいりたい、そのように考えております。
  5. 野沢太三

    委員長野沢太三君) 次に、決算早期提出の問題について伺います。  参議院決算委員会は、これまで歴代委員長質疑等を通じて決算早期提出政府に求めてまいりました。  一方、政府決算早期提出を求める以上、既に提出されている決算審議促進に努め、少なくとも次の決算国会提出されるまでには前年度決算を議了するよう今日まで努力を重ねてきました。御承知のように、平成年度決算までは暮れの十二月中に提出されておりましたが、常会召集の一月移行に伴い決算国会提出が従来より約一カ月おくれる結果となり、我々の望む方向とは逆になっております。  昨年十二月、各会派の委員から成る参議院制度改革検討会から議長に報告書提出され、その中で決算審査充実について取り上げられ、決算提出時期については一月以前においても可能と考えられるので、決算早期提出政府に求めるとともに、早期提出を確実なものにするため財政法及び関係法令改正をあわせて求めるべきであると提言しております。このことは、かねてより当決算委員会が念願していたことであり、もし実現するならば、決算審査の結果を次の予算編成等早期に反映させるための第一歩となります。  そこで、橋本総理に伺いますが、決算早期提出に関するこれまでの政府答弁を踏まえ、決算国会提出を現行よりどこまで繰り上げることが可能か、またその場合の問題点は何か、具体的に検討すべき時期に来ているのではないでしょうか。決算早期提出の問題は、政府における決算作成事務促進ばかりでなく検査サイクルにも関係する問題でありますので、会計検査院とも十分意見交換の上、決算早期提出に向けた具体的作業に着手すべきと考えますが、総理の御所見はいかがでしょうか。
  6. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 決算国会への早期提出につきましては、予算編成に反映されるという見地からだけではなく、決算の効果的な審議をお願いするためにも望ましいことだと考えておりまして、政府としては従来からできるだけ早期決算国会に御提出いたしますように努力をいたしてまいりました。そのため、提出前に必要な手続であります内閣から会計検査院への送付は、財政法第三十九条の規定では翌年度の十一月三十日までとされておりますけれども、努力してまいりました結果、現在では十月の初旬に送付いたしているところでございます。今後とも決算作成事務促進を図るために政府としても最大限努力をしてまいります。  なお、各省庁及び大蔵省における事務処理手続会計検査院における会計検査の時期、その取りまとめなどの関連もありまして、決算国会への提出時期というものにはおのずからの限度はあろうかと思います。しかし、今後とも早期提出については工夫を凝らしながら努力を続けてまいりたい、そのように考えております。
  7. 野沢太三

    委員長野沢太三君) 本日、平成年度決算に対する委員会審査を終了する予定でありますが、本決算に含まれている六年度一般会計特別会計予備費使用(その2)については、昨年の常会冒頭衆議院提出されましたが、いまだ国会承諾議決がなされておりません。その理由は、本件予備費について衆議院が議決しておらず、本院への送付がいまだないからであります。  参議院決算委員会は、さきの臨時国会に再提出された六年度予備費案件予備審査閉会中に行うなど、与えられた権限の中で最大限努力を重ねておりますが、これは異例なことであります。  予備費は、憲法に定められた制度であり、「内閣は、事後国会承諾を得なければならない。」と定められております。しかし、近年の予備費事後承諾のおくれに対して、参議院決算委員の間からは、予備費についてはもう使ったことだということで政府はその早期承諾に関心が薄く、審議促進にも余り熱心ではないようだとか、予備費審査の遅延が今後も続くようだと、予備費事後承諾参議院先議にしてもらいたいという声が出ております。  決算予備費事後承諾とはもちろん別々の案件でありますが、決算の議了に際し、いまだ予備費国会承諾が行われていないことは本来望ましいことではありません。予備費国会承諾早期に得られるよう、決算委員長として政府にも一層の努力をお願いしたいと思いますが、この点について総理の御所見をお伺いいたします。
  8. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 予備費は、申し上げるまでもなく、財政法第三十六条第三項の規定によりまして、その使用につき事後国会の御承諾をいただくことになっております。  政府としても、従来から予備費使用調書早期提出に努めてまいりました。衆議院の解散に伴いまして廃案となりました六年度(その2)、七年度(その一)につきましても、既に百二十九回臨時会に六年度(その2)と七年度一年分を提出させていただいております。一日も早く御承諾がいただけるようお願いを申し上げているところでございます。
  9. 野沢太三

    委員長野沢太三君) 本年は、日本国憲法施行されて五十年になり、憲法附属法規である会計検査院法施行五十年を迎えます。御承知のように、会計検査院法は旧帝国議会時代衆議院貴族院によって審議され制定されたものであり、法施行後、他の法改正に伴う字句整理中心としたわずかな改正はありましたが、会計検査院法そのものを見直すことは今日までありませんでした。  しかし、いかなる制度でも五十年を経過すれば現実にそぐわない点が出てくるのは世の常であり、基本制度といえども状況の変化に応じて見直す必要があるのは当然のことであります。貴族院時代審議し制定された会計検査院法は、検査官任命同意について衆議院優越規定を置いておりますが、二院制のもとにおける参議院役割を考えるとき、今日、その必要性があるのでしょうか。  当初、衆議院優越規定を置いていた人事官公正取引委員会委員長及び同委員国家公安委員会委員については、いずれも昭和二十年代に既に全面削除されており、国会任命同意について衆議院優越規定が残っているのは検査官のみであります。  これまで、参議院決算委員会は、会計検査院検査報告を生かして決算審査充実を図るなど、決算重視参議院として努力を重ねてまいりました。これまでの実績二院制のもとにおける参議院役割を考えると、会計検査に関する事項を所管する当決算委員会委員長としては、検査官任命同意に関する衆議院優越規定は速やかに見直す必要があり、削除すべきと考えますが、この点について橋本総理の御所見を伺って、委員長としての質問を終わります。
  10. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 参議院決算委員長としてのお立場から委員を代表しての御意見、そのように拝聴いたしました。  その御指摘の点につきましては、立法政策にかかわる問題でありますけれども、会計検査院決算検査というその職責を全うするために検査官会議構成員である検査官の欠員が生じないように、こうすることが必要であると考えられた結果、院法第四条第二項におきまして憲法第六十七条第二項の例によると規定されたものではないかと考えます。その上で、改めて今委員長の御見解委員を代表する御意見として、決算についての御意見として重く受けとめさせていただきます。
  11. 野沢太三

    委員長野沢太三君) 以上で私の質問は終わらせていただきます。  質疑のある方は順次御発言願います。
  12. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 自民党の松谷でございます。  このたび橋本総理におかれましては、内外多事多難な折からブルネイ等東南アジア諸国ASEAN諸国歴訪されました。その目的成果について総理の御見解をいただきます。
  13. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今回のASEAN訪問を考えました最大の理由は、ASEANが創設三十周年を迎えることしにおいて、ASEAN日本関係というものがややもすると経済関係に偏りがちであります状況から、より幅の広い、より深化した関係に変えていく必要がある、そのきっかけをとらえたいというのが当初私がASEAN訪問を考えた時点における目的でございました。  ところが、その後におきましてペルーにおける日本大使公邸人質事件発生をいたしました。そして、そうした状況の中で、無理をしなくてもいいよというASEAN各国首脳からの温かい伝言もありましたが、最終的に私はその計画どおりこれを実行する決断をいたしました。  そして、今回の訪問そのものASEAN諸国が非常に素直に受けとめてくださった。すなわち、こうした事件が起きているさなかに政府最高責任者が国を離れる決断をしたということ自体が、ASEANを重視するというその姿勢のあらわれととらえていただけたこと、そして、これによってASEAN諸国日本との関係というものがより深化するきっかけをつかみ得た、この点は御報告を申し上げられることだと存じます。  同時に、この機会各国首脳に対しまして、現在ペルーで起きております事態について私の方から説明をするとともに、ペルー政府全面信頼を置きながら、テロにはあくまでも屈することなしに人質即時解放を求めるという日本姿勢、こうした点を説明した上で、ペルー政府並びに日本政府のとっているその姿勢についての支援を呼びかけましたところ、各国ともに非常に積極的に、ペルー政府があくまでもテロに屈することなく人質全面解放努力する、そしてそれを支援する日本姿勢というものに対する支持をしていただくことができました。  細かいことを申し上げ出しますと幾つかの点はあろうかと存じますが、私は、この訪問を実行いたしましたこと自体に対し、非常に積極的にASEAN重視姿勢と受けとめていただいたことが一番大きなあるいは成果かもしれないと存じております。
  14. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 私は、このたびの総理決断によって、ペルー公邸人質事件等もございますが、しかしその中であえてASEAN諸国歴訪も予定どおりされたということは極めて重要なことであると大変高く評価をしております。  やはり我が国外交の基調は、もちろん日米協調の問題もありますが、アジア諸国に対する外交姿勢というものをきちっとした形で見せるということが極めて重要であると認識をしております。そういう意味で、このたびの総理ASEAN諸国への歴訪は極めて高く評価されるものと考えている次第であります。  ところで、ペルー公邸人質事件でありますが、本日の新聞情報等によりますと、保証人委員会の設置について武装グループの方でも基本的に了承したというような報道がされております。長い間膠着状態にありましたが、これを契機に人質解放に向けての動きが具体化するのかどうか、その点について外務大臣に伺います。
  15. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) ペルー事件につきましては、発生から一カ月近くが経過したわけでございますが、依然として多数の方々人質状態に置かれているわけでございまして、事態は依然として厳しく、予断を許されないものがございます。  しかしながら、ただいま委員指摘のとおり、去る十二日のペルー政府による保証人委員会提案に対しまして、MRTA側からその提案を受け入れるという回答があったわけでございます。そうしてペルー政府におかれましてもいろいろその協議をされておるようでございます。  双方の主張にはなお隔たりがございますので、これで急テンポにこれから事件解決に向かって事態が展開していくとは必ずしも期待できるとは言えないわけでございますが、いずれにいたしましても、このように双方が直接の交渉をする、そういう方向へ向かって作業が進んでいるところでございますので、我が国政府といたしましても、両者間の交渉が早く再開され、そして事件平和的解決に向かって進展が見られることを強く期待しておるところでございまして、ペルー政府とも緊密に連携をしながら我が国としてなすべき努力をしてまいりたい、このように考えている次第でございます。
  16. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 このペルー人質の問題についての対応策というのは、これは基本的にはやはりペルー政府にあることはもちろん論をまたないわけでありますが、それでは我が国はどういった外交的な対応ペルー政府ないしは各国諸国とやっていくのか、どういう姿勢でこれに処していくのか、その点についてお伺いいたします。
  17. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 御指摘のとおり、この事件解決につきましては、基本的には、また第一義的にはペルー政府がこれに当たられるわけでございますが、我が国といたしましても、当然のことといたしましてこの解決のために適切に、また十分な対応をしなくちゃいけない、このように考えております。そういった意味におきまして、我が国といたしましては、まずテロリズムに屈するということはしてはならないということ、そうしてまた人質になっておられる方々全員が御無事で解放される、このことを最も大切にしながら事件平和的解決に当たるべきである、こう考えております。  目下のところは、そういったことでこの事件にまず第一義的な当事者として対処しておられますペルー政府フジモリ大統領中心とする対処というものに全幅の信頼を置きまして、そうしてペルー政府と緊密な連携を持ちながら、先ほど申しましたような基本的な方針に基づきましてペルー政府協力してまいる、こういうことでございます。  これから先ほど申しました両者間の対話が再開される、あるいは保証人委員会というものが構成され、そうしてそれが動き出すというふうな進展が見られますならば、我が国として果たすべき役割というものもいろんな面で出てこようかと思います。  いずれにいたしましても、ペルー政府と緊密に連携しながらベストを尽くしてまいりたい、このように考えております。
  18. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 今、外務大臣からお話がありました人質の安全、それからゲリラに対する屈伏はしない、この二つの原則は極めて重要であると思いますが、こういうようなことを日本国政府として考えているというだけじゃなくて、当然そのことを強くペルー政府にも要望している、こういうことですね。
  19. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) おっしゃるとおりでございまして、我が国といたしましては、事件発生いたしました直後から、ペルー政府と話し合いをする中で先ほど申しましたような基本的な我が国考え方を伝達し、そうしてまたペルー政府も同じ考え方に立っているということを確認し合った、こういうことが一つございます。  それからまた、このような方針事件解決していくためには、ペルー我が国だけではなくて、国際社会全体としてそのような方針による解決への努力に対する支持支援というものが必要なわけでございますが、この点につきましても、我が国といたしましていろいろな機会に働きかけ、努力をしてまいりました。例えばG7ロシアを含めましたいわゆる八カ国で早い段階でこの事件に対する共同声明を出しましたが、そこにおきましても今申しましたような基本方針が盛られているところでございます。  これは最初ロシアエリツィン大統領からそういうようなことをやったらどうだという提案があったわけでございますが、それをつかまえまして、我が国のイニシアチブにおいて、内容的には先ほど申しましたようなテロに屈しないということ、それから人質の安全を最大限尊重しながら平和的な解決を図っていくという共同声明がつくられていった。これは、橋本総理が直接そのような考えを支持されまして、我が国としてG7あるいはロシアの国々に働きかけながらまとめ上げたものでございます。  それからまた、先般の橋本総理ASEAN五カ国歴訪の際にも、この事件につきまして、我が国あるいはペルト政府方針に対する全面的な支持というものを各国首脳からちょうだいした、このように存じておりますし、そのほか、外務省といたしましても他の関係諸国にあらゆる機会をとらえましてそのような働きかけをしておるところでございます。  そういった作業を通じまして、現在、国際社会は一致して、テロリズムに屈してはいけないということ、そして一方で、人質の安全を尊重しながら平和的解決を図っていくべきであるということでそういった支持が集まっておるというふうに承知しております。
  20. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 これは総理にお伺いしたいんですが、今回の事件について、報道関係対応というものが私は問われているんじゃないかというように思います。.  今回、テレビ朝日の記者が単独で公邸の中に入って取材活動をし、その結果、ペルー政府に勾留された。このことは、報道は確かに自由だということはわかりますが、しかしこれは何もかも自由だということではなくて、やはり状況によっておのずからの節度というものがあると思うんですね。こういう緊迫した事態の中でもし不測の事態が起こったら、これは報道の自由だけでは済まされない問題であると私は思います。  この点について総理見解を伺いたいと思います。
  21. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私ども、この事件発生いたしまして以来、常に繰り返して日本政府としての立場を強調してまいりましたこと、それは我々はテロに屈することはできないということでありました。ですから、ASEAN訪問も、それによってテロリスト側を利することになってはならない、予定どおり行うことの方が望ましいという判断をいたした次第でありますが、同時にもう一つ、我々が当初から非常に強くペルー政府にも働きかけ、また国際世論にも働きかけておりますことは、人質の安全、そして即時全面解放という目標であります。こうした考え方のもとに私どもは今日まで努力をいたしてまいりました。  ペルー政府の許可を得ず強行されました大使公邸内の取材というのは、こうした点から考えまして極めて遺憾であります。不測の事態を招く可能性なしとしない、また事件の平和的な解決人質全面解放に向けたペルー政府努力を阻害するおそれのあるこうした行動が二度と繰り返されてはならないと考えておりますし、報道機関の協力をも心から願いたいところであります。
  22. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 次に、このたびのナホトカ号による重油流出問題について若干お伺いをいたしたいと思いますが、海上保安庁の政府委員、来ておりますでしょうか。  油の防除について初期の対応が十分でなかったのではないかということ、それから新聞報道によればへ重油の回収についてはひしゃくですくっているというんですね。いかにも原始的な感じであるわけですが、これについて、宇宙開発時代の現在、もっと科学的な回収対応策というものはないのかどうか、これについて伺いたいと思います。
  23. 古賀誠

    国務大臣(古賀誠君) 初期についての対処でございますけれども、海上保安庁はナホトカ号の遭難情報を入手すると同時に巡視船及び航空機を投入いたしまして、まず、二日未明の事故でございましたけれども、乗務員の救助に全力を尽くしました。終了後、流出油について直ちに航空機による調査、同時に巡視船によります航走拡散及び油の処理剤の散布など、対応可能な限りの防除措置を講じてきたというふうに認識いたしております。  ただ残念なことに、一日から一週間、日本海特有の荒天でございました。大変な十五メーターから三十メーターの強風、波の高さが五メーターから七メーターというような状況の中の措置として可能な限りの油防除措置をとったというふうに認識をいたしております。  科学のこれだけ進んだ中でのひしゃくの作業をどう思うかということでございますが、そういう荒天の中での作業でございまして、不幸にして沿岸に漂着した油というものの処理につきましてはいろいろな防除作業があろうと思いますけれども、残念ながらあの方法をとるということが一番有効的な手法だというふうに今日言われております。  油の回収船やまた回収装置の使用等によって未然に防げるということは、その処置に全力を尽くすということは当然でございます。やれることは全部やる、できるものは全部やっていく、こういう考えでこれからも全力を尽くしていきたい、このように考えております。
  24. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 これは総理に伺いたいんですが、今回の事故は日本海で発生をいたしました。原因者はロシア船籍のナホトカ号である。我が国の法令によれば恐らくああいった古い船について航海を認めるかどうか等々の問題はあるのかもしれませんが、いずれにいたしましても、こういう中古船による遭難によってしかも重大な事故が発生をした。それはロシアの船籍であった。かつ、これは国際水域でありまして、ロシア、北朝鮮、韓国、日本にまたがる海域である。  したがいまして、こういうような事故が発生した場合、関係国が対応をしてこれに救助対策、回収対策をやっていくというような体制ができているのかどうか、あるいはもしないとすればこれに対してつくるよう努力をしていくべきではないかというように思いますが、いかがでございますか。
  25. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 油における汚染事故が発生いたしました際の対応などに係ります国際的な取り決めとしては、一九九〇年の油による汚染に係る準備、対応及び協力に関する国際条約、OPRC条約と言われるものがございます。そして我が国は一九九五年十月十七日にこの条約を締結いたしております。  そして、そういう点は私はこれから先もなお国会の御論議等も踏まえながら我々が努力していかなければならない点があると考えておりますけれども、当面何よりも急ぎますのは、ちょうど三国町のところに船首部分が打ち寄せられております。この中に約五千キロリットルの油があると言われておりますが、現時点におきましても、この船首部分からの油抜き取り作業が、天候の状況が悪化しておりますためになかなか作業がはかどらないという状態であります。  けさ、運輸大臣並びに海上保安庁長官に対し私の方から指示をいたしましたのは、まずとにかく一番急ぐことは、この漂着いたしました船首部分に残る油の抜き取り作業を何としても急げと、次に、千八百メートルから二千メートルの深さに沈んでいると言われております船体後半部の破損状況を科学技術庁の協力を得て、その破損状況がいかなるものか、これもできるだけ早く状況を把握した上で対応策を講じろと、しかし、今急ぐことは何よりも船首部分の油の抜き取り作業であり、これに集中して全力を尽くせということを指示いたしたところであります。
  26. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 このタンカーの事故により流出した重油の回収のこれからの見通し、めど、これについて運輸大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
  27. 古賀誠

    国務大臣(古賀誠君) ただいまの総理の御答弁にもありましたように、まず着底いたしております船首部の油を抜き取ること、私の状況説明が間違っていたかわかりませんが、この中にはおよそ二千八百キロリットルの油が入っているわけでございます。  この抜き取りにつきまして、十三日、地元関係者との協議を調えておりまして、タンカーに接舷することによってポンプで吸い上げるという工法でございますけれども、この工法で一日も早く作業に取りかかりたいということで昨日より具体的な作業に取り組んでおりますが、昨日の気象状況等で作業が具体的に進んでおりません。私どもの報告によりますと、きょうは少し穏やかな波だということでございまして、具体的には、四時に準備が整い次第ポンプによる吸い上げ作業が入るというように聞いているところでございまして、総理の御指示もございますし、全力を尽くしてまいりたいというふうに思います。  なお、船尾部が水深千八百から二千メートルのところで沈没をいたしているわけでございます。このことにつきましては、科学技術庁の持っております技術をぜひ活用させていただき、まずどういう状況にあるのかということを一日も早く正確に把握をしてまいりたい、このように思っております。  なお、ありとあらゆる御協力をいただく中で、沿岸に漂着する前に浮流油の防除にこれからも全力を尽くしていきたい。今日までも大変な御努力をいただいているところでございますが、さらに全力を尽くしてまいりたい、このように考えております。
  28. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 被害が沿岸諸県に非常に拡大をしているわけでありますが、この被害補償に対して政府としても万全の取り組みを行うべきではないかと思いますが、いかがですか。
  29. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 御指摘のとおり、今回の事故が発生いたしましてから生じております被害、これは漁業の関係あるいは環境等に与えております状況というものを考えますと、補償の問題というのは大変重大な課題になる、そう認識しております。  補償の問題そのものは、本来基本的には船主側と被害者側の間の民事の問題でありますけれども、政府としても船主側が責任を果たすように外交当局を通じ働きかけをいたしていく所存でございます。
  30. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 環境が大変に汚染をされたわけでありますが、環境保全についてもその対策をきちっとやっていただきたいと思います。環境庁長官の決意を伺います。
  31. 石井道子

    国務大臣(石井道子君) このたびの油事故におきます環境汚染というものは大変大規模でございまして、深刻なものがございます。そして私も昨日、石川県、福井県を視察してまいりまして、その重大性を改めて肌で感じ再認識をしたところでございます。  これまで環境庁といたしましても、あの地域は国立公園、国定公園が非常に多いところでありますし、すぐれた景観、そしてきれいな澄んだ海、また海岸、浜辺のような環境があるわけでございましたが、その環境がまことに著しく破壊をされてしまったということで残念に思っております。そのための重油の除去とかをやってまいりましたが、その節には大変多くのボランティアの方々の御協力をいただいている現状でございます。  そして、さらに水鳥や海鳥の被害も大変ふえてきておりまして、現在のところ保護、収容されております鳥が四百四十四羽ということになりました。この鳥を救出するためにもごく限られた方々の善意によって対策が講じられているわけでございまして、この面もさらに充実をさせる必要があるということを感じております。  また、これからも関係省庁あるいは自治体の方々の御協力をいただき、連携を図りながら環境の調査を行っていくわけでございますけれども、昨日もちょうど国立環境研究所の職員を調査団といたしまして派遣をいたしました。そして、環境影響を的確に把握し、それを評価してさらに今後の対策に生かすことが重要であると思っております。  今後もかなり長期的な視野で展望を持って取り組まなければならない環境問題でございまして、段階的にまた継続的にその調査を実施していくということを今後も続けていきたいと思っております。どうぞ御協力、御支援のほどお願い申し上げます。
  32. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 次に、株安の問題について総理にお伺いいたしますが、総理ASEAN諸国歴訪されている間、今年になりまして株が急落をいたしました。二千円以上の株安になったわけであります。  その原因について報道各社ではいろいろな見解が出ております。一つは、このたびの第二次橋本内閣による予算案について、財政改革や行政改革、規制緩和等々の明確な姿勢が見えないんじゃないかという説があります。片や、逆に、景気対策に対する公共事業の投資の問題も含めて、景気を何としてでもここで立ち上げなくちゃいけない、回復させなくちゃいけないというような形での予算編成ができていないんじゃないか、あるいは補正予算についてもこれは十分ではない、あるいは補正予算早期に成立するのかどうかと、そういうことが株安の一つの原因になっているのではないかというような意見もあります。  これはかなり矛盾した意見ではありますが、総理としては、この株安の状況について、現在は小康状態を保っているとはいいながらまだまだ予断を許さないところにあります。これが景気回復の足を引っ張ることにならないとも限らないわけでありますから、この点について認識を伺いたいと思います。
  33. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 確かに今議員が御指摘になりましたように、株価は昨年の末から今年年初の十日にかけまして大幅に下落をいたしました。私はこの要因というものを特定することは大変難しい。なぜなら、株価というものはさまざまな要因を背景に自由な市場での需給関係で決まっていく、そうした性格であることから特定することはなかなか難しいと思います。例えば企業業績や景気の先行き不透明感という指摘が一方にございます。他方、規制緩和に対して政府が真剣に取り組んでいて、その効果が目に見える形であらわれてきたのが原因だ、こういう指摘をしているものもあります。  いずれにいたしましても、我が国の経済の最近の動向を見ますと、テンポは緩やかでありますが景気は回復の動きを続けておる、雇用情勢もわずかとはいいながら少し改善の方向に向かっている、あるいは設備投資を初めとした民間需要というものも堅調さを増しております。こうしたことを考えましたとき、経済のファンダメンタルズは決して悪いものではない、私はそう思っております。  それだけに、政府といたしましては補正予算早期の成立、同時に九年度予算年度内に成立をさせていただけますよう、そしてその結果として切れ目のない経済運営を行うと同時に、経済構造改革あるいは財政構造改革等の各種の構造改革に積極的に取り組んでいきたいと考えております。  株式市場の動向は、当然のことながら今後とも注意深く見守ってまいりたいと存じますし、その水準と同時に取引数そのものについても注意深く見守ってまいりたいと考えているところであります。
  34. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 いずれにいたしましても、総理の行財政改革に対する決意というもの、姿勢というものが、第二次橋本内閣の発足に当たって、自分は火だるまになってやるんだというその姿勢がいささかの揺るぎもないということを特にここで決意を再度示していただければ、私は株価の問題にしても景気回復の足取りもきちっとした形で回復に向かっていくんじゃないかというように思いますので、再度、行財政改革に対する取り組みについての総理姿勢を伺います。
  35. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 例えば、行政改革というテーマの中で一つ規制緩和という部分を取り上げてみたいと存じます。  当然ながら、長い目で見てこれは我が国に資するものであります。しかし、その規制が撤廃あるいは緩和されました瞬間、その保護のもとにあったところには極めて厳しい風が当たります。それだけに抵抗は当然出てまいります。しかし、中央省庁の権限を地方に渡していく、あるいは中央省庁の権限を民間にお渡しをしていく、こうしたことを含め、我々はこの行政改革というものをやり上げていかなければあすがないんだということだけは間違いがありません。全力を尽くして進んでまいりますので、国会における御協力をも心からお願い申し上げたいと存じます。
  36. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 実は、公共事業あるいは公的資金、補助金による各種施設の単価の問題についてお伺いする予定でございましたが、非常に多くの問題が山積をしておりまして、その問題に時間をとられましたのでこれは後日に譲ることにいたします。  いずれにしても、十二月二十六日の締めくくり総括におきまして大蔵大臣にお伺いしたとおり、公共事業あるいは公的建築物の補助に係るものの単価が各省庁別、ひどいところでは各局別に単価の根拠が異なっております。さらに契約そのものもばらばらであります。やはりこういうことは、まず行財政改革の一環の第一歩としてこれを正すべきではないかと考えますので、これにつきまして最後に大蔵大臣の御所見を伺って、終わりといたします。
  37. 三塚博

    国務大臣(三塚博君) ただいま委員指摘予算単価の積算についてでありますが、仕様書や標準的施設をモデルとして認定し、これに基づいて単価設定などが行われております。しかし、各省違うのではないかという御指摘もあります。  予算単価の改定に当たりましては、補助単価が実勢価格より低いのではないかという地方公共団体の要望などを踏まえながら、三省合同、すなわち大蔵、自治、所管官庁の実態調査を実施するとともに、官庁営繕単価や建築工事費の変動等を勘案して行っていかなければなりません。  以上のように、各種事業の実情に応じ予算単価を設定しておりますが、類似性のある事業、すなわち警察署庁舎と官庁営繕、学校施設と社会福祉施設については整合性をとりながら行っておることだけ申し上げておきます。この方式を全体に及ぼすということが大変大事な手法だろうと考えます。
  38. 中島眞人

    ○中島眞人君 自由民主党の中島眞人でございます。  松谷委員質問に関連をして、大変短い時間でございますので、総理が席の暖まる暇もなく東奔西走、御尽力いただいております具体的な成果並びに御期待等を申し述べるべきでございますけれども、質問に直ちに入らせていただきたいと思います。  外務大臣、昨年のペルーといい昨日の韓国といい、御苦労さまでございます。私も実は驚いておるわけでございますけれども、来週予定されている首脳会議に先立ちまして外務大臣が昨日韓国に行かれました。その中で一斉に各社が報道している内容が、まず韓国側から、女性のためのアジア平和国民基金が韓国人元慰安婦七人に一時金を支給したことに強い不快感を示された、撤回をしてほしいという提起がなされたという点が第一点。第二点は、江藤発言を二度と発言をしないようにという要請も受けた。  私は、このことにつきまして総理並びに外務大臣に御所見をお聞きしたいと思うのでありますけれども、私どもの見解としては、慰安婦という言葉は私は使いたくないのでありますけれども、この言葉になっておりますからあえて使わせていただきますけれども、一九六五年の日韓基本条約などで両国間の請求権問題は完全かつ最終的に解決をされたという基本的な認識が私どもにはあるはずであります。  しかし、そういう中でもかつ、やはり戦争という大きな災いの中で大変な御不幸をかけたということでアジア平和国民基金という問題が出、そしてそれには総理の手紙まで添えられている。突如として撤回、打ち切りという問題。私は、我が国政府も韓国との間にこれらの問題についてはそれなりの話し合いの積み上げがあったんであろうと。きのうの話を聞くと、全く一方的ないわゆる解釈、打ち切りという感じがするのでありますけれども、この辺の御見解をお聞きをしておきたい。  そして、今後はどうするんだという第二点の問題でありますけれども、私は、日本国民一億二千五百万の人間の中にはさまざまな意見があると思うのであります。総理が言った、外務大臣が言ったというならともかく、一人の政治家が言ったことが、国民的感情を害するから二度とこういう発言をしないようにということを首脳会談の席上で要請する、またそれを受けてくる。まあ外務大臣政府を代表する人間でないからと言ってお断りをしたようでありますけれども、私はさまざまな意見がさまざまに出てきて、そしてさまざまな意見を集約して、それを両国の平和あるいは悠久の平和のために構築していくというのが両首脳役割だろうと思うのでありますけれども、その辺について御見解をお聞かせいただきたい。  それともう一点、実は報道では、池田外務大臣はこの問題については主張をしてこなかった、一部したようでございますけれども。韓国の国民感情という問題が大変出てくるのでありますけれども、日本の国民感情ということになりますと、竹島の埠頭建設工事や有人灯台化の計画の問題が着々と進んでおるんだけれども、この問題については、これからどういう態度でどういうスケジュールで日本の国民感情を背景にして両国で話し合いをしていくんだろうか。私はきょうの新聞を見て日本国民だれしもがこのことに対する思いをいたしたと思うのであります。  昨年の十二月、日韓でこれからは言うべきことはちゃんと言うと総理がおっしゃいました。翌日、韓国側のプレスはこれに反応した経過も承知をしているわけであります。しかし、自分に都合の悪いことは言うな、自分の都合のいいことだけ言うんだということでは、両国の親善、長い国交というのは私は構築されないだろう、このように思うのでありますけれども、総理並びに外務大臣にこの辺の御所見をお伺いいたしたいと思います。
  39. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) まず、元従軍慰安婦の方々に関する点でございますけれども、私ども、この方々がお受けになられました大変な苦痛あるいは深く傷つけられた名誉等々を考えまして、日本国民全体としてその償いの気持ちをあらわさなくちゃいけない、そういったことでつくられましたのがその基金である、このように考えております。そして基金とされましては、関係方々の御理解をいただきながらそのような日本国民の気持ち、誠意をあらわすものとしてこの事業を実施していっておられるわけでございます。  韓国につきましてもそのようなことで進めてこられたわけでございますが、なかなかその目的、趣旨とするところが十分には理解されないという状況が続いておりました。そういった中で理解を求めつつ事業の具体的な実施をと努力しておられたわけでございますけれども、元従軍慰安婦の何人かの方々から、その趣旨を御理解され、これを受けたいというお申し出があった、そんなことであったわけでございます。韓国におきましては、その支援団体等を中心としましてこのような事業に対する御理解がまだ十分得られていないという状況でございましたから、韓国政府としても、もう少し時間をかげながら理解の深まりを待って事業の実施をされるべきではないかという意向がかねてからあったわけでございます。  私どももそのような情勢というものは基金の方々にもお伝えしておりましたけれども、基金の方では、具体的にお受けになろうという方がもうかなりの御年配でもございまして、いつまでもそういうようなお気持ちにこたえないでいるということも難しい、こういうこともございまして、今般七名の方々にこの事業の実施ということに踏み切られたと、このように承知しております。しかるところ、先ほど申しましたような韓国における一般的な状況あるいは国民的な世論の状況でございますので、反発が出てきたということでございます。  昨日の外相会談におきましてもそういうお話がございましたが、私といたしましては、この基金の事業の性格あるいはこれまでの経緯等もよく御説明申し上げまして、どうかこの事業の実施については御理解をちょうだいしたいということをお願いしたわけでございます。ただ、このような状況の中で今後これからもさらにこの事業をどんどん進めていけるかどうか、こういう点についてはいろいろな心配もあるだろうということでございますので、その点については外交当局間ではいろいろお話はしてまいりましようということを韓国側にも申し上げ、韓国側もそれを了とされたと、こういうことでございます。  今後とも、この基金の事業に対する御理解を得るように努力をしながら、我が国国民としての誠意が受け取っていただけるように努めてまいりたいと、こう考えております。  それから、二つ目の点でございますけれども、その御指摘のございました発言につきまして、これが韓国の国民の感情、そしてまた、場合によっては両国の関係に好ましからざる影響を与えることがあり得べしという指摘が先方からございました。それにつきましては、私の方からは、これは日本政府立場をあらわしている発言ではない、日本政府の発言というのはいろいろな機会に表明されております、とりわけ戦後五十周年の節目の年に当時の総理の談話としても示されたところでございますが、これが日本政府方針であるということを申し上げてきたところでございます。  いずれにいたしましても、私どもは、韓国を初めといたしまして近隣の諸国との関係、近いがゆえにあるいは歴史的にいろいろな深いかかわりがあったがゆえに難しい問題もございますけれども、そういった問題を解決するために協力しながら努力をしていく、それと同時に両国関係全般を  一層発展していくために努力していくべきものと、そのようなことで進めてまいりたい、こう考えております。
  40. 中島眞人

    ○中島眞人君 竹島問題。
  41. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 失礼いたしました。  それから、領有権をめぐる問題についてでございますけれども、この問題につきましては、かねてから我が国立場は一貫しているところでございます。しかしながら韓国が違う立場、異なる立場、そして異なる主張をしておられることも事実でございます。そういったことを踏まえまして、これまでもいろいろな機会我が国としての立場を鮮明にしながら、しかしこの問題に関する立場、主張の違いが両国関係全般を損なうことがあってはならないとうことで対処してまいりました。  具体的には、昨年バンコクで行われました日韓の首脳会談あるいは済州島で行われました首脳会談におきましても、それぞれそういった立場の違いというものはある、しかし両国関係進展させていこう、とりわけ海洋法条約の締結に基づきまして漁業問題とか排他的経済水域の問題等も調整し解決を図ってまいらなくちゃいけません、そういった問題についてもきちっと進めていこうということでその合意はなされているところでございますが、今回の昨日の会談におきましても同じようなことで確認をしてきたところでございます。したがいまして、この問題についての我が国立場はきちんと一貫したものであるというふうに御理解賜りたいと思います。
  42. 中島眞人

    ○中島眞人君 時間がございません。  率直に言って、総理が来週予定をされています日韓首脳会談がございます。私は、言うべきことは言ってといった昨年の総理のあの発言を大変高く評価いたします。言わなくして五十年間、その場先送りで来たツケが現在全部たまっておるんです。言うべきことを言って、そして強い握手のもとに長い友好関係がつくられていくということが私は今、橋本総理に課せられている大きな責務だというふうに思います。  韓国には韓国の国民感情があるでしょう。日本には日本の、竹島を固有の領土とする固有の国民感情があるわけです。これをぶつけ合ってこそ私はそこに真実が生まれ、友好が生まれてくる。そういう点で、総理の力強い御決意と、そして日韓親善への並々ならない期待を心から込めて質問を終わりたいと思います。  委員長質問を終わるに当たりまして、松谷委員からも出ましたように、ペルーにおける人質問題あるいは日本海における重油流出問題について、今、日本国内では非常に大きな問題になっております。  そういう中で、私はこの際委員長にお願いをいたしたいと思うのでございますけれども、これらの問題が緊急かつ解決方向に向かっていき、国民の皆さん方に安堵と、そして将来に向かって二度とこういうテロが起きないように、こういうことを参議院の場の中で、国民の前で決議なりなんなりをしていただく形でその意思を強力にまとめていただきたい、こんな御要望を委員長に申し上げたいのでありますが、取り扱いは委員長に御一任をいたしたいと思います。
  43. 野沢太三

    委員長野沢太三君) ただいまの御提案を私として重く受けとめまして、しかるべく関係方面と処置をいたします。
  44. 中島眞人

    ○中島眞人君 なお、質問を通告しておきながらできなかったことについてはおわびを申し上げます。次の機会にさせていただきます。どうもありがとうございました。
  45. 星野朋市

    ○星野朋市君 平成会の星野でございます。  総理、このたびのASEAN諸国歴訪、まことに御苦労さまでございました。総理に、先ほども御答弁がございましたけれども、一言だけ御見解を承りたいと思います。  御歴訪なさった国の一部に、総理就任から約一年、ちょっと遅過ぎたんじゃないか、しかし、この非常に重大な時期に歴訪されたことを非常に評価するという見解があるやに聞いておりますけれども、改めて総理の御見解をお伺いしたいと思います。
  46. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私が回りました中で、ただいま議員が御指摘になりましたような指摘というものは受けた記憶がございません。  なぜなら、昨年就任いたしました後に、例えばASEMの会議でバンコクにおいて、あるいはAPECの会合におきましてフィリピンのマニラ及びスービックにおきまして、ASEAN首脳の皆さんとはひざを突き合わせてお目にかかる場を持ってまいりました。そして、その結果として、今回目程的な問題もありまして、フィリピンとタイは終了後直ちに私の代理を派遣しながら、今日一連のASEAN各国における話し合いの結果をお伝えし、あわせて、このペルー事態に対するペルー政府並びに日本政府に対する精神的な支援を送っていただきたいというお願いを申し上げております。その意味で、ASEAN首脳には、それぞれの国を訪問することが遅かったという御批判は私はなかったと存じます。  むしろ、定期的な会議の場をもっと公式、非公式を問わず持ちたいということに対し、それぞれの国、例えば議長国の立場では、みんなに諮らなきゃならないとかいろいろな留保はございました。しかし、そうした機会をふやすこと、そして我々の方から出かけていく場合、ASEANの皆さんの方から日本に来ていただく場合を含めて、できるだけ多くの機会を持ちたいということは共通の考え方であったように私は受けとめております。
  47. 星野朋市

    ○星野朋市君 よくわかりました。  きょうは、平成年度決算の締めくくりということで、私はこの平成年度について三つの特徴があるということを前もって申し上げてあります。  それはどういうことかといいますと、この一年の間に内閣が三回変わった、それから一月十七日に阪神大震災が起こった、それから平成七年の一月から急速な円高が起こった、この三つの特徴があると思っております。  今思い出しますと、円が一番高かったときは実は四月十九日でございました。その翌日の二十日に、私は参議院予算委員会で主として武村大蔵大臣に質問をいたしました。通貨当局はなかなか口出しができないんだというお答えがございましたときに、いや私は、通貨当局の責任者が幾らであるということを口にすべきではないけれども、いろいろな形でのメッセージを送るべきだということを申し上げました。そして、そのときに既に投機筋のターニングポイントは終わっているんじゃないかということを大胆に申し上げました。そのとき総理は通産大臣でおられた。私は、その私の質問総理が一々うなずいておられた姿を記憶しております。  円はその後じわじわと安くなってまいりまして、その年の秋に、今おいでになる榊原さんのお力もあったんでしょう、円は百円になりました。その後、ゆっくりとした調子で円は現在の状態になってまいりました。ぎょうの午前中の終わり値はほぼ百十七円、百十六円台の全く後半で推移しておりますけれども、円高になってくると、マスコミもそれからこの政治の場面でもいかにも日本がつぶれるかのような大騒ぎをいたしますけれども、円安になってくると比較的黙ってしまうんですね。  ところが、私もこれは再三申し上げているんですが、日本の今の貿易状況、年間の輸出三千数百億ドル、それから輸入が二千数百億ドル、輸出の円建てが三八%、輸入の円建てが一八から二〇%という構造からすると、実は円高・円安というのは年間通すとツーペィになる。タイミングがありますからその時点では多少問題がありますけれども、そういう結果になっている。  しかも、円高になる過程では、総理は通産大臣のときにいみじくもこうおつしゃつている。企業はいろんな努力をして七〇%はこれを回収しているんだと、要するに値上げその他の努力によって七〇%はと。そういう一連の話からすると、むしろ日本は緩やかながら円高になることの方が私は望ましいと思っている。  今の円安の状況、これはいろんな要因があると思いますけれども、総理はどうお考えになっておられますか、御見解をお伺いします。
  48. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私は、今円安というとらえ方で議員が組み立てられました御論議を全く否定するものではありません。むしろ、先ほど引用されました御論議のころ、私どもは中小企業を抱えながら、その経営状態の分析に悩み抜いておるところでありました。そして、当時約二十数%の企業がこの急速な円高の中で対応策なしという答えを出しているという非常に厳しい状況でありました。  今私は、現在の為替の状況と申しますものは、対円だけではなくて、対Dマルクに対してもドルが上がっている。むしろ、全面高にドル高の方向で動いている。そうすると、果たして円安というとらえ方だけでいいんだろうかという思いはございます。しかし、特定の為替の水準について申し上げることは市場にいろいろな影響を及ぼすことであり慎まなければなりませんけれども、我々にとって一番大切なことは為替相場の安定ということでありまして、それは行き過ぎた円安も行き過ぎた円高も我々にとって決して望ましいものではございません。  むしろ、為替の相場というものが我が国の経済に与える影響ということになりますと、今議員からもお触れになりましたように、円高あるいは円安、いずれについてもプラスとマイナスがあるわけです。そして、その両方の効果があるわけですから、それらの効果がどの程度になるか、これは実はそれぞれそのときの経済状態によって考えなければならないことではないかと思っております。  ただ、今私から申し上げたいことは、我々は為替の動向というものに対しては、今までもそうでありましたし、これからもそうでありますが、十分注意を払いながら、円高であれ円安であれ、行き過ぎた動きに対しては適切に対処していきたいということを申し上げておきたいと存じます。
  49. 星野朋市

    ○星野朋市君 為替の問題から入りましたけれども、実は問題は、先ほどもちょっと御議論ございました株安の問題でございます。  先ほど総理の御見解がございましたけれども、皮肉にも株安が始まったのは平成年度予算案が成立した直後からでございます。そして、今年度に入って急速に下げが速まった、こういうのが結果でございます。  三塚大蔵大臣は、市場のことは市場に聞けと言われましたけれども、まさしくそれは適言でございまして、株式という相場がいまだに先見性を持っているならば、今の株式市場は日本の経済に対して警告を発しているということを考えなければならないと思います。  先ほど総理もこの三月期の決算の見通しということを若干お触れになりましたけれども、今これは大した問題ではない、その先が問題だと思います。消費税の二%アップ、それから特別減税の中止、この二つで約七兆円。平均的な世帯で負担がどのぐらいになるかというと、一年間で約十四万円と言われております。余り政府はこのことを申しておらないけれども、さらに医療費の値上げであるとか保険料の引き上げであるとか、これらを合計すると約二兆円。全部合わせると一世帯当たりの平均的な負担分は年間で約二十万円になるという試算もございます。これが景気に影響を与えないわけはない、そう私は考えております。  九日に小川大蔵事務次官は、今の経済は巨大な公的需要の支えから既に足場を別に固めているから景気判断は変える必要はないということを申されましたけれども、今私が申し上げましたような問題からすると、来年度の景気というのはやはり相当慎重に考えざるを得ない。特に、今まで好調を誇っておった住宅投資関連というのが目に見えて減るだろうということはだれしも想像されることです。  そういうことで、最近になって、特に九日以降の新聞論調、特に社説の一部に予算を組み替えるべきだ、もしくは減税取りやめを中止して制度減税に切りかえるべきだという論調が出てまいりましたけれども、政府はそれに対してどうお考えになっておられるか、総理にお聞きしたい。
  50. 三塚博

    国務大臣(三塚博君) 委員からそれぞれの分析、またお考え方の御紹介がございました。  御案内のとおり、日本経済のファンダメンタルズはしっかりとした足取りに向けて前進をしておるというのが各経済指標の発表をいたしておるところであります。  先ほど総理が答弁されましたとおり、失業率につきましても、わずかではございますが、三・四から三・三というふうに改善をされ、先行く雇用状況もさらにいい方向で進むであろうと、こういうことなども言われておるわけでございます。  来年度予算編成に当たりましての御指摘がございました。財政構造改革元年にふさわしい改善に大きく踏み出すことによりまして、健全財政がもたらす経済への好影響、こういうものを編成の基本方針として総理から強く指示されたところ、これに向けて四・三兆の公債の発行を減額するということにいたしましたし、編成に当たりましても、各制度の見直し、歳出の削減等を行うことによりまして、全体として構造改革元年にふさわしい突破口を切り広げたものと考えておるところでございます。  株安の問題についても触れられました。これも総理から先ほど答弁にありましたとおりと私は全く見方が同じでございます。  最大の経済を安定せしめる方向は切れ目のない経済運営ということで、年度予算編成と補正予算を一体的に取り進めることにより、補正予算、御案内のとおりに次国会において御審議をいただくわけでございますが、これが早期に成立をさせていただくよう御理解を得ますと、引き続き平成年度予算年度内成立に向けてこれまた深い御理解の中で国民論議を盛んにする。また、その大前提である国会の論戦がありとあらゆる観点から行われることにより国民各位の経済に対する理解、また日本経済が三極の中のベースを保っておるというその世界的な評価の中で日本経済が確実な足取りに向けて取り進めさせていただくということになりますと、私は市場も健全な形で動いていくであろうと、こんなふうに考えておるところでございます。
  51. 星野朋市

    ○星野朋市君 せっかくの大蔵大臣の御見解でございますけれども、先ほど申し上げましたように、株価の急落というのは予算案が成立したというその時点から始まっているということをよくお考えいただきたいと思います。これは株式市場というのが、まさしく大蔵大臣がおっしゃるように、経済構造、企業そのものの体質改善、これを促していると同時に、政府の行政改革、財政改革、これが一向に予算に反映されていない、それに対する催促の相場であると私どもは感じておるからでございます。  これは通常国会が始まりまして、また予算委員会その他で御議論する場面もあるかと思います。そのときにどうなっているかということを今から注意深く見守っていきたいと思います。  経済論争につきましてはひとまずおきまして、きょうはせっかくの決算委員会の締めくくりでございますので、決算のあり方について御要望を申し上げておきたいことがございます。  今までの会計検査院決算は、予算執行状況がどうであったかということについて主眼が置かれておって、決算として実際日本予算がどうあるべきかという観点が私は欠けているように思うのであります。  決算の中身を見ましても、問題点が見つかって検査報告に載らない案件というのが年々相当あるというふうに聞いております。また、検査の対象の聖域というものはないと言われながら、例えば特殊法人の高額な役員の退職金問題なんというのはまるっきり触れられていない。構造上の問題にほとんど会計検査院はタッチしていないという問題点がございます。予算が法令どおり経理処理されているかという個別チェックよりも、事業が経済的、効率的に行われたか、そういう政策の事後評価に重点を置かなければならないんじゃないかと私は思っております。  例えば、厚生省の補助金かすめ取り、また都道府県の組織的な不正経理、こういうものをえぐり出すことによって、それが結果的に制度改革や政策変更に結びつく可能性があると思っております。そして、今までのように、一カ所に三、四日、しかも二、三人の人間を派遣して幅広く浅く検査をするよりも、もっと重点的な検査体制を整え、それが予算にどう反映されるか。そうでないと、行政改革、財政改革、その他いろいろ言われながら、予算の編成というのが今までとちっとも変わらない形、これは予算編成を見れば項目的にすぐわかるわけです。  こういうことを問題にしているのが先ほどから申し上げている日本の株式相場だろうと私は思うんですが、会計検査院のあり方、決算のあり方について最後に御見解をお聞かせ願いたいと思います。  私は、総理に前もって通知してあります。
  52. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今、検査院側か、どちらの見解をただされたかわからなかったものですから、大変失礼をいたしました。  私は、今議員が御指摘になられました中で、特殊法人の財務内容など、あるいはそのほかの幾つかの問題にお触れになりましたけれども、こうしたものの公開というものが、その活動に対して国民の信頼を確保していく上で非常に重要な課題だということにつきましては、全く委員意見を否定するものではありません。  そして、そうしたことを進めていきますために、昨年十二月、総務庁の勧告に沿いまして、一括して処理する法律案を次期通常国会提出する、そうした所要の措置を行政改革プログラムに盛り込んでまいりました。今後とも、行政改革プログラムなどに沿って必要な措置はとってまいりたいと存じます。  その上で、私はやっぱり決算審査というのは大変国会の持たれる役割の中でも大きなもの、重要なものだと思います。そして、従来から予算の適正かつ効率的な執行政府としては当然のことながら留意してまいったわけでありますが、なおかつ毎年のように不当支出と言われる指摘を受けるということを大変恥ずかしいことだとも思います。また、予算編成などに当たりましても、国会における議決あるいは予算執行の実態などをでき得る限り反映させるように努めてまいりました。  これからも決算審査というものの重要性にかんがみて、その必要性を十分認識しながら一層の努力をしてまいりたい、そのように考えております。
  53. 星野朋市

    ○星野朋市君 終わります。
  54. 山下栄一

    ○山下栄一君 平成会の山下でございます。  私は、松谷委員も触れられましたけれども、ロシア船籍のタンカーによる日本海への重油流出事件につきまして総理の御所見をお伺いしたい、このように思うわけでございます。  被害がどんどん拡大しておるわけでございまして、西は島根県から、場合によっては天候の状況、また時期がずれてまいりますと山口県の方にまでという可能性もあるわけでございます。ずっと東の方は、北東といいますか、既にもう石川県の能登半島の最北端禄剛崎ですか、そこまで海岸に漂着しておる。富山、新潟にまで影響を及ぼしかねないというふうな状況になっておるわけでございます。  この関係から、特に漁業、水産業にかかわる方々はほとんど仕事ができない、魚をとるのではなくて油を取っている、そういう状況があるわけでございます。生活破壊、暮らしの破壊、そしてまた自然環境の破壊、生態系の破壊、こういう状況が広がっておるわけでございます。  こういう状況に対しまして、今までどちらかというと自治体中心対応、自治体もそれはもう都道府県というよりも市町村、三国町とか越前町とか芦原町とか、福井県におきましてはそういう町村が対応しているということだったわけで、国のかかわりが極めて、国は何をしてくれるのかなという不安が大変、不安というよりも不満ですね、これが非常に高まっておるわけでございます。  総理がお帰りになったのはおととい十四日の夜でしたね。それでけさですか、運輸大臣に対してというよりも政府の災害対策本部、船首部分、根元を断たなきゃいかぬということで本当に的確な、もうそれしかないと思うわけですけれども、既に三国町沖、安島岬沖に着底している船首の部分、まだ数千キロリットル、それが今も流出している、漏れ出しているということが確認されている。確認されたのも、これもたしか十四日、二、三日前だったと思います。はっきり言うとその漏れぐあいも微々たるものという話もありましたし、もう少し亀裂が大きくなっているということがわかったのも二、三日前の話であると。  それから、船体、船の本体の部分ですね、先ほども総理が触れられました、隠岐島から百六キロ北北東ですか、そこの沈没地点もいまだにはっきり確認されていないわけですけれども、そこから流出したと思われる油膜また油塊、これはもう原因、沈んだところから油が出ているという上の部分、海上に浮き上がった部分、間違いないということがわかったのも、これも二、三日前の話だという、そういう状況であるわけです。  特に、今、総理は船首部分について全力を挙げろというお話があったわけですけれども、これにつきましても船主、船の所有者が費用負担をしますという話が明確にあって、船主側から、ロシアの船会社といいますかの方からの依頼で、もし油で汚れた場合の国際的なそういう条約に基づく民間の加盟の基金があるわけですけれども、その辺からの提案もあって、今回の作業道路をつくるとかそれから抜き取り作業をするとかという方針が、これは日本政府提案をしたのではなくて向こうから提案があってそしてやりましようというふうなことを十四日、二日前に方針が決まったという状況でございます。  総理の方からは、とにかくそれに全力を挙げるんだという話がきょうの話でございます。運輸大臣もやれることは全力でやるんだというようなことを先ほどおっしゃったわけですけれども、こんな話を何でもっと前にやれなかったのかなと。  と申しますのは、二日の午前二時ですか、夜中に事件が起きたわけですけれども、もちろん人命救助でこの二日間大変だったというお話、先ほどございました。  ところが、その真っ二つに破断した船の船首部分がどんどん日本近海に近づいてきて、一月六日の時点で、今から十日前です、その時点で直前に接近した。七日にはもう着底した。一週間前にもう着底しておったわけですよ。それで、そこから漏れているというのも、漏れているのかどうか、漏れぐあいがどうかというのもその時点でわからない。それで、漂着した海岸沿いではとにかく仕事を全部休んでひしゃくでという話ですね。自衛隊の船もバケツを下へおろして作業しているというふうな状況が続いている。漁業関係者も連日その作業で疲れ果てた状況になっているわけです、今。目前に漏れているのがわかっておりながら沿岸部分を清掃してきれいにした。きれいにしたけれども、きのう、おとついはまた新しく、清掃し終わったところにまた漂着しているわけです。  もう徒労としか言えないけれども、作業せざるを得ないから、みんなボランティアまで動員して、一万人を超えるボランティアが来てやっているという状況になって、全力を挙げますなんて言われたって、とにかく七日に船首部分が着いていたわけですからね。七日というのは総理が東南アジア歴訪の旅に立たれたときだったと思いますけれども、十日になってやっと政府の、通常体制の課長レベルの連絡会議じゃなくて、政府の災害という名前を使った対策本部が、総理が立たれて十日の閣議で、それで第一回の会議が開かれているわけですよ、運輸大臣中心の。この時点になって全力を挙げますとか、それはちょっとひどいぞというふうに私は思うわけです。  やはりこれは、もちろん費用負担をどうするかということもあったとは思いますけれども、費用負担なんて言っておれない状況がもう七日から続いておったわけでございますから、仕方がないから福井県も三国町も、とにかく何とかするからやれという形で、今ドラム缶の処理体制とか一生懸命になって最近やり始めているという状況なんです。自治体職員もかかわって最近始めたという、そんな状況なわけですよ。それまでは漁業関係者とかボランティアがやっていたと、それが延々と続いておったわけです。  そんなふうに考えますと、やはりこれは政府対応総理は危機管理の意識が大変高い総理だと私は思うわけですけれども、このことにつきまして私は政府対応がおくれたと言わざるを得ない、このように思うわけですけれども、総理のお考えをお聞きしたいと思います。
  55. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私は御批判は率直に受けたいと存じます。  ただ、この事件発生いたしました当初、私の方でまず気になりましたこと、実は油よりも人命救助という要請であり、これを優先しておりましたことは事実であります。ところが、その後、天候の非常に悪化しております中で、船首部分の沈没をしないままに海上を浮遊している、その方向日本の沿岸のどこかに向かう可能性ありという報告を受けてから、大変気になりながら私はASEANに出発をいたしました。そして、出先でもその報告を受けておりましたけれども、気象状況の非常に悪い中で、着底といいながら船首部そのものが揺れている、非常に危険な状態でなかなか作業がはかどらない、そういう情報も聞いて大変気になっておりました。  また、委員が御指摘になりましたその周辺の海域に付着した油がいかなる被害をもたらすか。私は自分の郷里の水島における重油流出事故の後の状況のいかに深刻なものかは存じておるつもりであります。それだけに、その被害状況あるいは油の漏れの状況等が、悪天候のためとはいいながらおくれたということでありますなら、その御批判は甘んじて受けたいと存じます。  しかし、私は、地元の皆さんにも大変な御協力をいただき、またボランティアの方々にも御協力をいただきながら、海上保安庁の巡視船艇、海上自衛隊の自衛艦、港湾建設局の油回収船、あるいは海上災害防止センターの契約漁船等、非常に努力をいただきながら今必死で除去作業に取り組んでおりますところだけに、御叱正とともに、今後作業を円滑に進める上での御協力を心からお願い申し上げたい気持ちでいっぱいであります。
  56. 山下栄一

    ○山下栄一君 総理、七日に着底したと申しました、先週。十四日の午前中に対策本部が二回目の会議でその方針を決めたんですよ、七日に着底していながら。どくどくと出ている。もう徒労の作業を繰り返しているんですよ。総理おっしゃったように根元をとめないかぬという方針をもっと早くやっていたらそういう徒労の作業というのは積み重ねる必要がなかったわけでございますから、この点を明確に指摘しておきたいと思うわけでございます。  それから、ロシアヘの対応なんですけれども、いろいろ外務省から報告を受けておりますけれども、エリツィン大統領から人命救助ありがとうございましたというのが来たのが二日の事故があって一週間たった一月九日なんです。九日の時点ではありがとうございますだけなんです。大変御迷惑をおかけしておりますと、遺憾の表明も何にもない。その時点ではもうたくさんの被害が出ている状況です、九日ですから。それ以降、大分官僚レベルでは、大使館の話とか、向こうへ行かれた審議官が第一副首相に要請されたというようなことは聞いております。そのときに遺憾の意を表明されておりますけれども、しかるべきロシア政府の代表からいまだに遺憾の表明もない。  日本の国も、外務大臣が、おとといですか、ロシア大使と外務省で会われたという話をお聞きしましたけれども、総理からも外務大臣からも、ロシア政府はちょっとまずいですよと、対応に対する遺憾の表明もいまだにされておらないわけですけれども、これは私は大問題であると思うわけです。  この点についていかがでしょうか。
  57. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私自身、十四日の夜分に帰着をいたしまして、三塚内閣総理大臣臨時代理、梶山官房長官、また池田外務大臣から、ペルー事件の推移とともに、この状況報告を受けました。そして、作業の難航しております状況も聞いておりました。  また、対策本部が早くできていればこんな事態にならなかったという御指摘でありますけれども、対策本部が早かった遅かった、御批判があるならそれは最初に申し上げましたように甘受をいたします。そして、不在中とはいえ、私の責任であります。しかし、悪天候というものに対してどうか御理解を私はいただきたいと存じます。  そして、現場で作業をしておる諸君は、海上保安庁も自衛隊も、地方自治体の職員の方々、あるいは災害防止センターからお願いをいたしました漁業関係の皆さん、ボランティアの方々、一生懸命にやっていただいていると思っております。  また、エリツィン大統領からこれについて遺憾の意が表されていないと。確かに、私あてに人命救助の方のお礼状をいただきました。しかし、この手紙の中にその後の被害云々ということがなかったことは事実でありますが、議員もマスコミの報道等で御承知と思いますが、エリツィン大統領は入院中ということでもあります。  そして私は、外交当局との間に遺憾の意の表明は当然のことながら行われたと承知をいたしております。外務大臣呼ばれておりませんので、ちょっと詳細わかりませんけれども。そして、それを受けて大使が、昨日でありましたか、現地へ行かれたと私は承知をいたしております。
  58. 古賀誠

    国務大臣(古賀誠君) 事実関係だけ明らかにさせていただきたいと思いますが、総理ASEAN訪問中も、常にこの問題で御心配をいただきまして、毎日この問題についての報告を大変総理自身お気にしていただいていたことを申し添えさせていただきますと同時に、本部長として私から若干の事実関係、触れさせていただきたいと思います。  政府の災害対策本部を設置いたしましたのは十日でありますけれども、それぞれの管区には四日、六日と八管区、九管区設置をさせていただいております。七日、船首部が着底したときに海上保安庁の長官を本部長とする対策本部も設置させていただき、着底した船首部をどう持っていくのか、どうした方が一番油の流出をふさぐことができるのか、こういうことについて早速検討に入らせていただいた事実関係は御報告を申し上げさせていただきたいと思っております。  なお、この問題につきましてそれぞれのできる限りの船首部の処理法についての検討を重ねた上、十二、十三と地元関係者との協議、船主側との協議、海上保安庁を中心といたしまして大変御苦労いただいた中で処理法を決定させていただき、自然条件との中で十四日に着手したい、その状況が非常に極めて厳しい状況でございましたので、きょうあすと自然状況を見ながら取り組ませていただきたい、こういう状況であることだけは御報告を申し上げておきたいと思います。  なお、十四日、パノフ在京ロシア大使は池田大臣を訪れになりまして、本件につき改めて深い遺憾の意を表明するとともに、ロシア政府としても今回の件につき責任を感じており、油の防除の作業に参加するため、政府予算により三十万ドルを特殊船舶の派遣に充当している旨を申し述べてあります。  このことも付言させていただきます。    〔委員長退席、理事吉川芳男君着席〕
  59. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 本年一月十四日、いわゆる男女雇用機会均等法改正と、その関連法案の法律案要綱が婦人少年問題審議会に諮問されました。制定から十年余を経て、二十一世紀に向けて前進した法律改正のためにいかにあるべきか、労働大臣の改正にかけての御決意を伺いたいと思います。  なお、関係法律の整備に当たりましては、労働基準法における一般女子保護規定、時間外・休日労働及び深夜業に関する規制が廃止されることになっておりまして、これにより多くの女性労働者の労働の継続が困難になるということが危惧されております。労基法における男女労働者に対する労働条件の設定が急務でありますけれども、女子保護規定の解消に当たりましては、育児や家族の介護を抱える労働者のために、少なくとも深夜業の免除について請求できるような形で育児・介護休業法を改正すべきだと考えますが、労働大臣のお考えを伺いたいと思います。
  60. 岡野裕

    国務大臣(岡野裕君) 大脇先生には前々から男女雇用均等法の問題について温かい関心をお寄せいただいておりまして、非常に心強く存じているところでございますが、おかげさまで前年十二月十七日の日に、一年余にわたる審議の結果、建議という形で婦人少年問題審議会から私ども答申をちょうだいいたしました。内容は非常に、公労使三者構成でありますので、いろいろな論議が闘わされたことだと思うのでありますが、やはり苦心の跡が行間によく見える、そんな建議だと私ども読んでいるところであります。  したがいまして、この苦心の結果の建議、積極的な建議でありますので、今度の通常国会、これにぜひ本案を法律案とすることで御審議を賜り、なるべく早く国民の皆様の期待にこたえてまいりたいと、こう思っております。  問題は三点ほどあります。やはり男女の均等扱い、これは職場においてもあるいは社会意識全般においても定着をしてきているのではないかなと。これを法文上で竿頭一歩を進めようということでございます。それからまた、母性の保護、尊重ということは、いかに男女均等といえども当然配慮をすべきであるということに心得ているところでございます。  先生のただいまの後段の御質問は、男女を問わず言いますならば、育児あるいは介護を必要とするような家族がおいでになるというような場合に、均等法との絡みで、深夜業あるいは休日労働あるいは時間外労働、これの規制が撤廃になるということでありますが、深夜業については、今皆さんの、先生の持たれておられる御心配、私どもも前々から十分心得ておりまして、やはりそういう必要があるということで当該の労働する方々から御要求がありました場合には、業務に支障のない限りその請求に我々はこたえていくということを法条の中でうたってまいりたいと、こう思っている次第であります。  いずれともあれ、次期国会でぜひ御審議を賜り、可決成立までお願いをしたいものであると、こう存じておりますので、ひとつ先生におかれましてはよろしく御配慮賜りますようお願いいたします。
  61. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 総理にお伺いしたいと思いますが、高齢・少子社会の二十一世紀を迎えるに当たりまして、女性の労働力はまさに社会を支える基本であると思われます。育児、介護の責任は男女でともに負いながら職業生活における平等が確保されることが日本の社会の活性化のために非常に重要だと思われます。  総理我が国における男女平等政策の促進に関する御決意を伺いたいと思います。
  62. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 女性と男性、これが社会のあらゆる分野におきまして対等なパートナーとして積極的に参加を行う、こうした男女共同参画社会の形成というものが本格的な少子・高齢社会において間違いなく極めて大切な課題である。そして、我が国の将来を決定する大きなかぎの一つである。こうした点は私どもそのとおり、議員の御指摘のとおりだと思いますし、政府一体となって取り組むべき最重要課題の一つだと、そのように思います。  そのため、昨年十二月に私が本部長を務める男女共同参画推進本部におきまして、新たな国内行動計画であります「男女共同参画二〇〇〇年プラン」を策定いたし、四つの基本目標の一つとして「職場、家庭、地域における男女共同参画の実現」を掲げました。雇用等のあらゆる分野で男女共同参画を一層推進するための具体的施策を盛り込んだところでございます。  また、性別による固定的な役割分担の意識の改革についてもこの中に重点的に取り入れているわけでありますが、今後こうしたプランに沿って施策の着実な実施に努めたいと考えておりますし、夫婦共働きの御家庭というものが一般化した今日におきまして、仕事と育児の両立というものは社会の支えがなければ非常に困難なものでございます。子供を持つ家庭のさまざまな要請に応じて保育サービスを選択できるようにすること、これが重要な課題の一つだと思ってもおります。
  63. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 昨年の十月三十日、御嵩町の町長は暴漢二人に襲撃されて重傷の上、奇跡的な生還を遂げられました。事件より既に二カ月有余を経ておりまして、犯行の態様から計画的だと言われながら、まだ犯人は検挙されておりません。町長みずから、一点心当たりがある以外私は恨みを買うことはないとまで言われますし、それ以前、さまざまなミニコミ誌による町長に対する誹謗中傷、産業廃棄物処理場の反対住民への嫌がらせ等ありながら、ここまで犯人の捜査が長期化しているということは非常に納得ができません。地方自治体の長に対するこうした暴力というのは、民主主義に対する大きな攻撃でありまして、私どももそれに対して座視することはできないわけであります。  そこで、国家公安委員長は本件につきどのような所見をお持ちであり、どのような態度でこれに対応していかれるおつもりか、御決意をお尋ねいたします。また、現在の捜査体制と進捗の程度、背景事件も含めて真剣に捜査が行われているのかどうか、お尋ねをしたいと思います。
  64. 白川勝彦

    国務大臣(白川勝彦君) 本件は、先生の御指摘のとおり、自治体の長を襲撃した極めて重大、悪質な犯罪であり、民主政治に対する挑戦だと思っております。    〔理事吉川芳男君退席、委員長着席〕 そして、それだけにとどまらず、私は、思想、信条あるいは宗教上の対立等のいわゆる思想、信条、良心を言論によらずして暴力的な手段で解決しようということは断じて許されない行為だと思っております。  私は、ニュースでは知っておりましたが、就任早々、隣におられます田先生からこのことについて子細な説明を受けて、私としても改めて関心を持ちまして、直ちに警察庁長官に対し、私の今申し上げたような真情を吐露し、警察として万全の体制で早期検挙に当たるように指示をいたしたところでございます。
  65. 佐藤英彦

    説明員(佐藤英彦君) 岐阜県警察におきましては、お尋ねの事件は自治体の長を襲撃した悪質、重大な事件であると認識いたしまして、百八十名の警察官による初動捜査を実施いたしました。また、刑事部長を長とする捜査本部を所轄警察署に設置いたしまして基礎捜査を遂行するとともに、本事件を目下の最重要課題としてとらえまして、現体制を堅持してへ御嵩町の町政をめぐる諸問題につきまして慎重に捜査を実施しているほか、関係都府県警察の協力も得て幅広い捜査を鋭意推進しているところでございます。
  66. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 鋭意御捜査を継続されることをお願いいたします。  さて、御嵩町の産廃処理計画については、本件土地の買収につきまして事業者より、当初は「資産保有・資材置場」ということを利用目的として平成三年十月二十二日届け出をされました。しかし、県としても当初から業者が産業廃棄物処理施設をつくる意向を持っていたということを承知していたわけであります。にもかかわらず、十二月十日付で不勧告通知を出して土地の買収が行われたわけです。これは国土利用計画法二十三条の趣旨に反すると思いますが、国土庁の御見解はいかがでしょうか。
  67. 窪田武

    説明員(窪田武君) お答えします。  国土利用計画法に基づきます土地売買等の届け出につきましては、国土利用計画法の趣旨から見まして可能な限り具体的な利用目的を記載させることが望ましいということで、国土庁としても都道府県等に対しましてそのような一般的な指導を行っているところでございます。  本件の届け出は平成三年に行われているわけでございますが、届け出の利用目的が御指摘のとおり「資産保有・資材置場」というふうになっておりまして、岐阜県の資料によりますと、岐阜県側も当初から産業廃棄物処理施設をつくる意向を有しているということについても承知している節があったところでございます。本件届け出に対します岐阜県の対応には必ずしも十分適切であるとは言えない面もあるというふうに考えております。
  68. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 それでは、次は環境庁にお尋ねいたします。  本件計画では、総面積三十九ヘクタールのうち一部が飛騨木曽川国定公園にかかっているわけです。国立・国定公園内における廃棄物処理施設の設置は今後原則として認めない趣旨の環境庁の通達が、平成六年四月一日、「国立・国定公園内における廃棄物処理施設の取扱いについて」という通達があります。岐阜県は、二年の経過措置を認めた林政部長通知を出しまして、御嵩町に通知をしなかったことが住民の不安をもたらしております。これは環境庁の了解を得ているというふうに岐阜県廃棄物問題検討委員会に岐阜県が説明しておりますが、環境庁は了解をしていたのでしょうか。そして、了解していたとすればどのような協議を行ったのか、お尋ねしたいと思います。
  69. 澤村宏

    説明員(澤村宏君) ただいま御指摘のございました通知は、機関委任事務であります自然公園法に基づく国定公園の許可事務を担当しております都道府県知事に対しまして、国定公園内の産業廃棄物処分場の取り扱いについて平成六年四月一日に通知したものでございます。  このような許可等の取り扱いの変更に際しましては、一定の経過期間を設けて円滑な移行を図ることは一般的に妥当なものと考えられているところでございますが、この経過期間につきまして二年間という具体的な猶予期間を設けることにつきましては、岐阜県当局が判断したものでございまして、環境庁としては関知したものではございません。
  70. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 私は、田議員を団長といたしまして超党派で御嵩町の産廃事業場を視察いたしました。  この計画は非常に大規模でありまして、四十ヘクタールに産廃を埋め尽くすわけです。大きな谷を一つ丸ごと廃棄物で埋め立てるわけです。私は事業者に問いただしましたときに、さらに大きな、拡大する計画かあるということも医しておるわけでございます。  その大規模な、むしろ日本一ないしは東洋一とも言われるほどの大きな産廃処理場が、しかも安定型の処分場で非常に環境上問題が指摘されているという処分場であること、それから水源地に近いということで、ほぼ百メートルぐらいで木曽川の源流に面しているわけです。木曽川下流五百万の市民がそのことについて非常に不安を持っております。  排水処理施設の技術力をもってしてもなお不測の事態というものは起こるでありましょうし、自然のはんらんは人為を超えることも多いのでありますから、そうした取り返しのつかない事態を避けるために産業廃棄物処理場の立地に関する規制が必要であるというふうに考えますが、厚生大臣はその点についてどのような御見解をお持ちでしょうか。
  71. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 産業廃棄物の最終処分場の設置に当たっては、生活環境保全上、十分な配慮がなされなければならないと思っています。  今、水源地の問題が出ましたが、私は、水源地だけでなく、より広範囲な生活環境面も配慮して、施設設置に伴う地域の生活環境への影響等、関係住民、市町村等からいろいろな意見を踏まえて審査、判断するという新たな制度の導入が必要じゃないかと思っております。今後、産業廃棄物処理法改正案の次期通常国会への提出を初めとする対策に厚生省としても積極的に取り組みまして、産業廃棄物処理施設についての信頼性を回復するとともに、より安全な施設となるように努力していきたいと思っております。
  72. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 産業廃棄物処理場の設置につきましては、地域紛争は七年間で約二百二十件を超え、現在九十四件が全国で紛争中と聞いております。多発の傾向は住民の意思を問うシステムが制度化されない点に問題があると考えられます。御嵩町では十四日、住民投票条例が採択されました。そして中部弁護士会連合会は、投票に向けて民事暴力が住民の意思表示を抑圧することのないよう、監督体制を自主的にとるというような態度を表明しております。  いわゆる大量生産、大量消費、大量廃棄物という量産型の社会から循環型社会へと転換していくという今の時代にありまして立ちおくれている国の産廃行政に対して、私はこの事件は住民からの異議申し立てという象徴的な意味があると思います。こうした住民の意思を組み込んでいくシステムに対して、法改正に向けてどのような努力を考えておられるのか、再び厚生大臣にお尋ねをいたします。
  73. 小野昭雄

    説明員(小野昭雄君) 産業廃棄物につきましては、最終処分場が大変に逼迫をいたしております一方で、今先生御指摘のございましたように、その設置をめぐりまして紛争が増加しているというふうなことによりまして、新規立地が非常に減少しているわけでございます。そういった現象があるわけでございますが、こういった事態は生活環境の保全、ひいては産業活動にも大きな支障を来すというふうなおそれが生じてきているところでございます。  最終処分場の設置をめぐります紛争の背景には、将来その施設が安全なのかどうか、あるいは運び込まれます廃棄物の種類あるいは量が明らかでないといったようなこと等に対します住民の皆さんの不安もその一因となっていると考えられるところでございますし、またそういった御指摘もあるところでございます。こういった点を踏まえまして、産業廃棄物処理に関します信頼性の回復と安全性の向上を図ることが必要と考えているところでございます。  このため、施設の基準の強化のほかに、設置手続に当たりまして、事業計画あるいは生活環境への影響調査結果等の公開、それからそれに対します関係住民等からの意見聴取、施設の運営に関します情報公開の推進等を含めました総合的な産業廃棄物対策の検討を進めているところでございまして、次期通常国会に廃棄物処理法の改正案を提出いたしまして、対策の強化を図ってまいりたいと考えているところでございます。
  74. 本岡昭次

    本岡昭次君 私は、阪神・淡路大震災の被災者救済の問題と、従軍慰安婦問題に絡んで韓国の被害者が一時金を支給されたという問題について伺います。  まず、阪神・淡路大震災の被災者救済でございます。  あす一月十七日は、死者六千三百人、四万人の負傷者、二十万戸に及ぶ家屋の全半壊、焼失、四十四万四千九百世帯が被害を受けた、三十万人を上回る人たちが避難所生活をした、被害総額十兆円で、復興に十七兆円を必要とされる未曾有の被害をもたらした阪神・淡路大震災が発生した日であります。  橋本総理があす神戸で開かれる震災犠牲者追悼式に参列されることを念頭に置きながら、総理に阪神・淡路大震災の被災者救援について質問いたします。  大震災が発生してあすでいよいよ三年目に入るわけであります。しかし、いまだに四万近い世帯、六万六千人がこの寒い冬空のもと、劣悪な仮設住宅などで必死に暮らしております。県外に被災者が五万五千人、いまだに兵庫県に戻れずにいます。既に、高齢者を中心に千人を超す人たちが自殺、孤独死に追い込まれています。生き残った子供たちも、震災の恐怖と生活環境の崩壊や大変化から立ち直れず、深い心の傷を負って苦しんでいます。神戸市の中小商店の約二割、二千四百店が店を畳んだまま開くことができません。被災者は、地域社会全体の復興とともに、自立のための個人への援助、補償を切望しております。  この悲劇を繰り返さないために、生活の基盤となる住宅の再建を支援する全国的な保障制度をつくろうと、国民的保障制度を求める国民会議が昨年七月につくられました。この国民会議には、兵庫県、神戸市、全労災協会、労働組合の連合、日生協連合会、社会経済生産性本部の六団体などが基本四原則に合意して参加しています。  この国民会議が提唱する保障制度とは、一、地震、風水害など大きな自然災害で被災した住宅の再建。二、給付対象は住宅と家財。三、財源は国と地方自治体。四、阪神・淡路大震災の被災者にも適用。この四点が基本原則になっています。この保障制度を通常国会で法制化するよう、全国二千五百万人署名運動が今展開されています。  署名運動の先頭を切った兵庫県では、私の家族も署名しましたが、四百三十五万人もの署名を集め、一月九日に段ボール百十箱をトラック二台で国民会議に運び込みました。間もなく二千五百万人を上回るであろう署名を持って橋本総理に訴えることになります。  橋本総理、国民的保障制度を求める国民会議のこの請願署名をどう受けとめますか。個人の失った財産は個人で復元するのが原則という政府方針のもと、自立困難な大震災の被災者に、住宅という基本的財産と居住権の保障をすべて民間の地震保険や自己努力の分野にゆだねることが適切な対応であるかどうかが私は問われると思うのであります。総理の御所見を伺いたいと思います。
  75. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今、議員からお話がございましたように、明日、あの日からちょうど三年目を迎える。私も神戸に参上させていただくつもりであります。  そして、この阪神・淡路大震災というものは我々の上に大変大きな影響をもたらしました。議員がさまざまな角度から御指摘になりましたように、国民の中にもいろいろなお声が出ております。  一般的に自然災害によって個人が被害を受けた場合、これは確かに我が国は自助努力による回復というものを原則としてまいりました。しかしながら、政府としては、その中でありましても、災害救助法による救助あるいは各種の融資措置などによる被災者支援などの現行制度の運用によって幅広くかつきめ細かい被災者の生活再建を支援してきたところであります。  特に、この阪神・淡路大震災につきましては、被害の甚大さにかんがみて特別の立法などによって被災者の生活再建などへの支援を拡充している、これはもう議員がよく御承知のとおりであります。そして、個人補償という形ではありませんが、各般の行政施策を補完する阪神・淡路大震災復興基金への地方財政措置、あるいは住宅金融公庫についての特別措置の実施など、大幅な支援を講じてまいりました。そして、今後ともに自然災害の被災者の生活再建に向けて、これまで講じてきたこれらの各種の施策を着実に支援のために行っていくことが大事だと思います。  それと同時に、やはり私は、神戸が仕事を呼び返せる状態をつくること、働き場所がつくり出せる状態を一日も早く取り戻すことが必要だと思っております。住宅等につきましては、県からあるいは市からの御要望もあり、被災を受けられた方々の被災前の所得の状況等をも勘案して非常に低い家賃設定での公的住宅の提供にも努力をしてきたことは議員もお認めをいただけると存じます。  しかし、これから先の神戸を復興してまいりますためには、かつての港の繁栄というものを取り戻さなければなりません。この間に散った荷物をもう一度神戸港に戻すというのは大変な努力が必要になります。そして、今まで以上の機能を持った港に生まれ変わっていただかなければなりません。同時に仕事を呼び戻す。こうしたことも我々が取り組んでいく大切な課題であると、私はそのように認識をいたしております。
  76. 本岡昭次

    本岡昭次君 国と地方と八兆円近い金が投入された。ハードの面はかなり復旧された。  今おっしゃったように、町がにぎわうというのは、道路ができ港ができビルが建ちするだけではだめなんですよね。やはり人がそこに戻って住まなければならない。しかし住めない。住めないのはなぜかというそこのところを一つ一つきめ細かく対応しなければ、阪神・淡路大震災の被災地に被災難民、地震被災難民ができると、私はこう思うんです、今のままでほっておったら。  だから、きめの細かい個々人に対する救済の手を国がやるべきだ、これは国の政治に対する信頼回復の最大の手だてであろうと、私はこう思っているんですよ。復旧・復興は、神戸の町をというよりもやはり国の信頼を喪失した状況をどう回復するかということが復興の一番大事なものであると、私は常々こう思っているわけでありまして、そういう意味での今後の総理のきめ細かい、阪神・淡路大震災、今までもしていただいたことについては、住宅の問題とかは感謝しています。  しかし、それでもなおかつ、先ほど言ったように問題は解決していないところに深刻な事態があるという認識をぜひともお願いを申し上げたいのであります。また、改めて予算委員会等でこの問題を質問させていただきますが、あと従軍慰安婦問題がありますので、きょうはこれではしょらせていただきます。  次に、従軍慰安婦問題でありますが、外務省と外政審議室に尋ねます。  事前の通告も協議もなく償い金を強行したというのは、これは政府の指示によるのか、あるいは国民基金の独自の判断によるのか、イエスかノーかで簡単に答えてください。
  77. 加藤良三

    説明員加藤良三君) この件につきましては、基金が近々事業を開始せざるを得ない意向であることを承知しておりまして、そのことを韓国には伝えてあります。
  78. 本岡昭次

    本岡昭次君 韓国には事前に通告してあるのですか。
  79. 加藤良三

    説明員加藤良三君) 外交ルートを通じまして、基金として近々事業を開始せざるを得ない、そういう意向であり状況であるというのは伝達してございました。
  80. 本岡昭次

    本岡昭次君 そうすると、報道で事前にこれを通告受けたことないというのは、韓国政府側が、うそと言ったら言葉おかしいですが、事実でないことを言っているというふうに理解したらいいんですか。
  81. 加藤良三

    説明員加藤良三君) 今申し上げましたとおりでございまして、外交ルートを通じて、近々基金として事業を開始せざるを得ない意向であり、そういう状況であるということを伝えたという経緯がございます。
  82. 本岡昭次

    本岡昭次君 いや、だから、その経緯を韓国は知らないと言っているこの食い違いはどうなるんですか。
  83. 加藤良三

    説明員加藤良三君) 私どもとしては今のような意向、状況を韓国側に伝達いたしておることは事実でございます。
  84. 本岡昭次

    本岡昭次君 わかりました。それなら事実は事実で後で明らかになるでしょう。  そこで、目録を渡したと言っておりますが、どういう目録を渡したんですか。
  85. 加藤良三

    説明員加藤良三君) 償い金二百万円をお届けすることと医療・福祉支援事業として三百万円規模の財・サービスをお届けすることが記載された目録でございます。
  86. 本岡昭次

    本岡昭次君 それでは、外務大臣に伺います。  外務大臣はきのう韓国を訪問されて、外務大臣なり大統領とお会いになっています。ここに新聞の記事がございます。私が読みますので、そのとおりであるのかどうかということだけお答えください。  韓国の外相が「日本の「女性のためのアジア平和国民基金」の一時金支給手続き開始は極めて遺憾だ。撤回と今後の一時金支給中止を求める。この問題が二国間関係に悪影響を及ぼしてはならない。われわれが総意として納得できる方法で解決してほしい。」。これに対して池田外務大臣は「基金は本人の意思を尊重し、人道的観点から手続きを実施している。日本政府として撤回させることはできない。ただ両国の外務省間で話し合うのは構わない。」ということでありました。  あるいはまた、大統領との間では、「基金の措置は韓国の国民感情にとって望ましくない影響を強く与える、遺憾な措置と言わざるを得ない。こういう措置が二度ととられることのないよう望む。」、池田外務大臣が「今後、十分協議するのはやぶさかでない。」というふうなやりとりがあったと私の手元にあるニュースではありますが、間違いございませんか。
  87. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 昨日の外相会談におきまして、韓国側よりは、今回の基金の事業実施が極めて遺憾であること、そして既に実施した措置の撤回とそれから一時金支給業務の中断を求めてまいりました。これに対しまして私の方からは、基金が実施した措置の撤回はできないが、今後については両国の外交当局間で話し合う用意はある旨申し上げたところでございます。そうしてまた、日韓関係全般にこのことが悪影響を及ぼすことがあってはならないというのは双方の認識でございます。  それから、大統領に表敬訪問いたしました際に大統領からは、この基金が実施した措置を遺憾として、再びこのような措置がとられないようにお願いしたい旨の御発言がございまして、私の方からは外務部長官に申し上げたと同様のお話を申し上げたところでございます。
  88. 本岡昭次

    本岡昭次君 それでは、また再び支給を求める被害者が出た場合は、今と同じような方法で償い金を支給するんですか。
  89. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) この基金事業の今後の韓国における実施につきましては、基本的にまた第一義的には基金がどういうふうに対応されるかということでございますが、外務省といたしましても、昨日外相会談において、先ほど御答弁申し上げましたように、外交当局間で話し合うことはやぶさかでないと申し上げたところでございますので、そのような機会にまたこの基金の事業についての御理解を得られるようにいろいろ話をしてまいりたい、こう思っております。
  90. 本岡昭次

    本岡昭次君 もう時間がありませんから、総理に伺います。  これは加害者があって被害者があって起こった問題なんです。そういうことからいえば、我々は残念ながら加害者という立場にある。被害者の方が気持ちよく受け取っていただける状況をつくるのが我々の務めであります。ところが、通告した、せぬはいろいろあったとしても、現に被害者がこのことに反発し、韓国政府までもが事前に通告がなかった、強行支給だ、遺憾だと。そして、先ほど言ったように、大統領も二度とこんなことはやってもらいたくないと言い、そして外務大臣は白紙に戻せ、撤回せいということを、うそですか、これ。撤回と今後の一時金支給の中止を求めると外務大臣は言ってないんですか、韓国の外務大臣は。言ったんでしょう。こういう事態になるというのは、外交上こういうふうにならないようにするのが外交なんじゃないかと私は思うんですよ。相手が何を言おうとこちらがやったらそれでいいんだということではないと思う。  だから、どう考えてみても加害国である日本が被害者である韓国の皆さんに対して、やはり政府が了解し納得し、そしてこのことを通して二国間の外交関係がいいものになっていくようにしなければ、このことを通して悪いものをつくっていくという、外務省は何か問題をこじらせるように、もめさせるようにこういうことを国民基金に私はやらせたんではないかと思えて仕方がない。  橋本総理、二十五日に金大統領と別府で……
  91. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) まず事実関係こちらから答えて、その後答えます。
  92. 本岡昭次

    本岡昭次君 会談されるそうですが、そのときにこの問題はやはり出てくると思うし、韓国から言われなくても日本立場からきちっと物を言うべきだと思うんです。私は、強行支給という問題は白紙に戻して、そして被害者及び韓国政府とこの問題についてどうすればいいのかということを改めて話し合って問題の解決に当たるべきだと、こう思います。  いろいろ申し上げたいことがありますが、時間が来ましたのでこれで終わりますけれども、ひとつこれは外務大臣橋本総理の方からきちっとした御答弁をいただいておきたいと思います。
  93. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 私どもは、この基金の事業は我が国の国民として本当に誠意を持ってこの問題に対応しよう、そういう事業であると考えておりまして、その趣旨をよく御理解いただきながら進めてまいりたい、こういうことでこれまでも関係各国との間でも、あるいは当事者の方々関係のある方々に対しても御理解を得るように努力をしてきたところでございます。  韓国の場合には、残念ながら十分なる御理解がまだ得られるに至っていない状況である、そういったことで、韓国政府側も、さらにもう少し理解が一般的に広まり、スムーズに受け入れられるような状況ができてくるまでは事業の実施は急がない方がいいんじゃないか、こういうふうに言っておられたのは事実でございます。  しかしながら、一方におきまして、元従軍慰安婦の方々の中で、この事業の趣旨はよくわかるし自分としては受け取ったい、こういった方も出てこられたと。そういった方々をいつまでもお待たせするというのもこれまた非常に大きな問題があるわけでございます。そういったことを勘案いたしまして、基金におかれましても、理解を得るための努力はなお一層続けながらこの事業の実施はしようということで踏み切られたことと承知しております。  外務省といたしましても、そういった事情を踏まえまして、先ほど政府委員から御答弁を申し上げましたように、近々その事業の実施に踏み切らざるを得ないということを連絡しながら進めていく、こういうことでございます。いずれにいたしましても、今後ともこの基金事業の目的、趣旨というものをよく御理解いただきながら進めてまいりたい、こう考えている次第でございます。  そしてまた、昨日行われました外相会談あるいは私の大統領表敬訪問におきましても、このことが日韓関係全体に好ましからざる影響を与えることは避けなくちゃいけないということでは完全に認識が一致しておりまして、両国関係のさらなる進展を図るために、この二十五日、二十六日、大統領の訪日を得まして別府で行われる予定にしております日韓の首脳会談を実り多いものにしていこうということで、これは完全なる意見の一致を見たところでございます。  そういったことでございますので、どうか先生におかれましてもこの基金事業の趣旨、目的とするところが正しく関係各方面で理解を得られるようにお力をおかしいただければ幸甚に存ずる次第でございます。
  94. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私からは日韓首脳会談に関連する部分のみについてお答えを申し上げたいと存じますが、現在、これは二国間の問題あるいは国際的な問題、どのようなテーマをもって話し合うか、まだ確定をしておる状況ではございません。  いずれにいたしましても、この首脳会談を行います結果が両国の未来に向けてよりよいものになりますように努力をしたいと考えております。
  95. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 私はナホトカ号からの油流出事故についてお聞きしたいと思います。  事故が発生してから二週間たったわけですけれども、依然として被害は拡大の一途をたどっているという状況であります。私どももこの事故が発生してから現地に調査団も派遣しました。関係自治体、漁協関係者、旅館関係者等々と会って話も伺いましたけれども、先ほど総理もお述べになりましたけれども、やはり政府対応が遅いんじゃないかということへの不満というのは多く聞かれました。例えば、運輸大臣を本部長に対策本部が設置されたのが、事故から八日経過した十日であります。  まず最初に伺いますけれども、今何といっても急ぐべきことは、油の回収を急いで、そして被害を最小限に食いとめていく、この点にあることは、これは言うまでもありません。そのためにあらゆる力、あらゆる能力を総動員していくという態勢が当然必要であります。  ところが、海上災害防止センターが保有しております油回収艇というのがあります。十一隻あります。回収艇というぐらいですから、もちろんこれは小さなものであります。ですから、日本海の荒天のところに簡単に行けないことは、これはよく私も承知をしております。  しかし、実際、この間の報道を見ておりましても、毎日荒天じゃない、なぎのときだってあります。しかも、調べてみますと、海上保安庁が保有している油回収艇つるみ型というのがありますね。これを見ますと、トレーラーで陸送できるというのが、これが売り物の一つになっているんです。一時間七十五トンの回収能力を持っています。  先日、日曜日の十二日でしたか、回収しているところの写真が載っていましたけれども、この日はたまたま大変静かでしたよ。そこで、しかし実際どうなっているかというと、漁船が出てひしゃくでくみ上げている。これは、もしこういう日であれば、こういう回収艇を派遣すれば、これはもちろん活動できる日数、時間というのは少ないと思います、荒れますから。しかし、全く役に立たないということじゃないと思うんです。あるいはもう少し大きい、しらさぎ型というのがある。これはトレーラーで運ぶというわけにはいかないでしょうけれども、これをやはり日本海側に回航させるということ。荒天だけを理由にしないで、この十一隻、せっかくこういう油回収艇があるわけですから、これがいまだに一隻も使われていない、やはりこれを総動員していくということは当然やるべきじゃないでしょうか。
  96. 土坂泰敏

    説明員(土坂泰敏君) 油回収船は、水の上の油を回収いたしますので、波があったりしますと、波が高い場合にはなかなか十分な効果が発揮できない。通常は波の静かなところで使うということを前提にしたものでございます。  したがって、今先生の方からもお話がありましたが、外洋で直接使えるような船というのは私どもは持っておらないわけでございますが、中には外洋で使える船もございます。  私ども今やっておりますのは、外洋で使える船、それから外洋では使えないけれども平水で使える船、こういうものをやはり現場に持ってきておりまして、外洋で使える船は既に使っておりますし、外洋で使えない船については晴天を待って使えるように準備をしておる、こういう状況でございます。  ただ、それと同時に、やはり油の回収は一刻も許さず、最善を尽くしてやらなければいけません。そういう意味で、巡視船を使ってネットで回収するとか、あるいはちょっと原始的でありますが、ひしゃくですくうとか、あるいは油の処理剤をまいて拡散させるとか、あらゆる方法を使ってとにかくやっておるわけでございまして、今御指摘の油回収船も使えるものは使うと、とにかく全部使えるものは使うということで全力を尽くしてやっておるところでございます。
  97. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 私もそのことはよく承知して言ったので、ですからこれは十一隻全部持っていくということが可能かどうか、これはまた別です。しかし、少なくとも向こうに持っていっちゃう、そうすれば、なぎのときだってあるわけだから、そのときにはそれを直ちに出動させるということをやれば、これは効率的な油回収ができるわけです。  あるいは、十四日、二日前現在で、行っている油回収船はわずか四隻ですよ。日本で最大の油回収船である清龍丸が現場に着いたのが、四日の出動要請から五日もたった九日ですよね。私どもで調べてみますと、民間には約四十数隻の油回収船があるんです。しかし、それ全部動員されていない。きょうあたりはもう六隻ぐらいになっているのかわかりませんが、少なくとも二日前じゃ回収船は四隻しか行っていないんです。  私、総理にお伺いしたいと思うんですけれども、もちろん日本海側はいろんな困難があります、冬場ですから荒天の日も多いし。しかし、民間が持っている油回収船あるいは海上災害防止センターが持っている回収艇、こういうものをやつぱり総動員していく、これは今国が主導権を発揮しなきゃできませんから、ぜひこういう方向で取り組むべきだと思いますけれども、総理の御見解をお伺いしたいと思います。
  98. 土坂泰敏

    説明員(土坂泰敏君) 総理のお答えの前に事実関係だけ申し上げますと、先生の御指摘の趣旨でございまして、とにかく回収船で動員できるものはやはりなるべく現場へ持っていって、使えるものは使い、待機させるものは待機させるということでやっております。  ただ、緊急性のある話でございますので、やはり油回収船だけというのは、これはちょっと波が高くなりますと大型の回収船でも効果が上がりません。したがいまして、それと同時に、漁船も千隻以上動員しておりますし、自衛隊の船も十何隻も来ていただいております。あらゆる船を動員しまして、私どもの船も入りまして、ネットですくう、あるいは油処理剤で拡散する、あるいはさっき申し上げましたように、原始的ですが、直接ひしゃくですくう、あらゆる手を尽くしてやっておるわけでございます。先生の御指摘の、船も使えるものは使うということでやってまいりたいと思っております。
  99. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今、実務の責任者としての立場から答弁をさせましたが、私どもも使える手段は何でも使いたいという思いは同様でありまして、御指摘を大切にしたいと思います。
  100. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 こういう事態がなぜ起こったか。一つの大きな理由というのは、今まで余りにも太平洋側が重視されていた。果たしてこれも重視と言えるかどうかわかりませんが、調べてみますと、油回収艇というのは太平洋側の第三管区、四管区、五管区には九隻ある。しかし、日本海側の八管区、九管区は一隻もないんですね。あるいは排出油処理能力を見ましても、海上保安庁と海上災害防止センター、両方ですが、太平洋側は一万七千七百キロリットル、日本海側は十五分の一の千二百キロリットルしかない。あるいはオイルフェンスの範囲も、太平洋側は三万五千三百十メートル、日本海側は約九分の一の三千八百メートルしかない。  やはり私は、今回の事故を教訓に、油回収艇が日本海側には一隻もない、こういう事態を改めていく、あるいは外洋に出られないような小さい回収艇じゃなくて、もっと大型な回収船もつくっていくということを、今回の事故を教訓にやるべきだと思いますけれども、これは運輸大臣、いかがでしょうか。
  101. 古賀誠

    国務大臣(古賀誠君) 先生の御指摘いただきました点につきましては、今回の事故を教訓といたしまして十分検討していくことだというふうに認識をいたしております。  なお、油の回収船につきましては、御案内のとおり、現在、海上保安庁や海上災害防止センター、この油の回収船は静穏な海域で使用することを前提としております。そういう意味からも、今回のような外洋での大規模かっ広域的な油の汚染事故の発生、こういった現実を踏まえて前向きにひとつ考えていきたい、運輸省といたしましても検討していきたいというふうに考えております。
  102. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 最後に、補償問題について伺いたいと思うんですが、漁業関係者はこの間休業する。そして、岩ノリであるとかウニであるとか、今後カニなどにも被害が及ぶ可能性がある。あるいは旅館関係もキャンセルが相次いでいる。土産物店もはやらない。自治体も大変な出費になっている。ある報道によれば、被害総額は八百億から九百億ぐらいになるだろうという推定もありました。  ところが、ナホトカ号の船主の側は五億ドルの保険に入っているけれども、実際にはなかなか五億ドル出ないと。きょうの新聞を見ますと、二、三億円程度しか出ないと。国際油濁補償基金からも二百二、三十億程度しか出ないということが言われております。これではもう到底、被害補償ということはできないと思うんですね。国として何らかの助成措置を講ずるということを検討される必要があるだろうし、あるいはナホトカ号はこれはロシアの船ですから、この船の安全性とかいうものについてはロシア側が責任をこれは当然一〇〇%持たなきゃいけない。そういう点ではロシア政府に対しても外交当局を通じてやはり必要な話し合いをやっていくということが当然求められると思うんですけれども、この点につきまして最後に総理にお伺いしたいと思います。
  103. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) そういう御質問があるのでありましたら、外務省、外務大臣にいていただいたんですが、ちょっと細かい点を私失念しております部分があるかもしれません。  しかし、この事件発生後モスクワにおいて、たしか外務審議官が第一副首相にであったと存じますが、こうした点の申し入れを行い、遺憾の意の表明を受けると同時に、ロシア側としてもできる限りの対応をするといった趣旨の回答を受けておったと存じますが、その後、池田外務大臣のところに、日本でも大使が遺憾の意の表明とともに、この事後処理を含めた対応についてのお話を持ってこられたと存じております。  今回の事故、今、議員が触れられました以上に私はその補償の範囲は非常に大きな問題があると思います。私、自分のふるさとで、水島で原油の流出事故が起きましたときにも、今お挙げになりましたようなところから始まりまして随分広範の補償問題を生じました。これはやはり基本的に船主側そして被害者側の民事の問題でありますけれども、これは我々として、政府としても船主側が最大限責任を果たすように働きかけていく、今この時点で申し上げられることはこういうことに尽きるかと存じます。  ただ、その補償以前の問題として、先ほど申しましたように、この船首部分からいかにして油を抜いてしまうか。当面は保安庁の諸君を中心に私はこの問題に全力を挙げさせたい、同時に海上を浮遊しております油が接岸をすることをできるだけ食いとめておきたい、このように考えております。
  104. 末広真樹子

    末広真樹子君 無所属クラブの末広真樹子でございます。  本日は平成年度決算の締めくくり質疑の日でございますが、橋本内閣の課題の一つでございます福祉政策に関連して、愛知リハビリ自動車教習所の存続について質問させていただきたいと思います。  正式名称は労働福祉事業団労災リハビリテーション愛知作業所付設自動車教習所と申しますが、長いので愛知リハビリ自動車教習所と略させていただきます。  この施設は宿泊施設と健康管理体制を伴う身障者用全寮制自動車教習施設で、全国では公共のものとしては唯一のものでございます。労災による身障者を対象に昭和四十六年に開設されました。その後は一般身障者にもその対象を拡大してまいりまして、平成八年末で約一千四百六十名の卒業生を日本全国に送り出しております。  ところが、平成五年総務庁勧告で、行革の一つとしてこの愛知リハビリ自動車教習所を閉鎖するよう勧告がございました。そして、平成七年二月二十四日の閣議決定に基づいて同教習所の閉鎖時期は平成九年三月末日と決定されました。私はこの愛知リハビリ自動車教習所を何とか存続させていただきたいと考えまして、昨年の五月に労働委員会にて質問させていただきましたが、既に民間の自動車教習所で受け入れ体制を三二%強のところで整えていると永井労働大臣から御答弁をちょうだいしました。その後、実際に民間の自動車教習所に問い合わせましたところが、まず障害者用の改造乗用車を御持参ください、専門の教官はおりません、実質七十五日泊まり込みとなりますと費用も膨大なものになります、ケアもできません、付き添いの方を自分でつけてきてくださいと。その実態はまさに門前払いに等しいのではないかと思うのです。  そこで、総理にお伺いいたします。  こうした実態について総理は御存じでしたでしょうか。総理が火の玉となって立ち向かう行革というのは、こんな弱い者いじめではないと私は信じております。総理のお気持ちをお聞かせください。
  105. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 先般、まさに議員からお手紙をいただきまして、初めて私はこうした問題が生じておることを知りました。同時に、そのとき同封されておりました、たしか北川さんと言われましたか、これが閉鎖をされると聞いて、ぎりぎりで免許を取ったい、その思いで入られた方の無事に免許取得後の感想をつづられた文章も拝見をしました。そのほかにも何人かの方が同じようなことを書いておられました。  これを私自身その時点で改めて調べてみますと、確かに労災リハビリテーション愛知作業所付設の自動車教習所、これは労働福祉事業団の施設としては廃止するということになっておる、今私自身もそう承知をいたしております。そして、その労災被災者の利用者数が減っている、そうした点の理由から労働福祉事業団の直営としての自動車教習所は廃止をしなければなりませんけれども、一般身体障害者に対する施設としてこの機能を有効活用できるように、関係方面と調整を図りながら、労働省がその受け皿を含めて今検討をいたしている、そのような報告を受けております。
  106. 末広真樹子

    末広真樹子君 ありがとうございます。これは一見小さな問題に見えるんですけれども、総理の行革の大なたが一体どこへ向かうのか、国民は大変気にしております。  実は、私自身教習生となりまして、両足不自由、右手も不自由という状態でこの教習所で運転を習ってみました。私、普通免許を持っています。でも、できません。非常に困難をきわめます。また、教官も日々命がけで乗っておられます。ですから、この施設は障害者にとってはまさに自立と共生への入り口なんですね。そのことをよくわかってあげていただきたいと思います。  最後の卒業生となられた北川直美さん、二十七歳の女性ですが、その請願のお手紙の中で、「私が最後の卒業生となることはとても残念です。ここに来れた私は幸せでした。私たちのような身障者はまだまだ沢山おります。それらの人達に足をあげて下さい。小さな希望の灯を消さないで下さい。」、こういうふうに訴えていらっしゃいます。そのほか全国からたくさんの請願署名が寄せられ、私もその紹介護員になっております。  それで、今まさに総理がおっしゃられたように、労災による身障者が当愛知リハビリ自動車教習所を利用する率は年々低下傾向にございます。労働省はこれを受けて当施設の閉鎖を決定したのでございます。ところが、一方で交通事故や病気、そして北川直美さんのように薬の副作用で身障者になられる方は近年増加しているのが現状でございます。  私は、労働大臣と厚生大臣で御協議をいただきまして、どうぞこの愛知リハビリ自動車教習所を公的施設として、労働省もしくは厚生省のしかるべき機関で身障者のためにその運営を引き継ぎ存続させるべきだと考えますが、いかがでございましょうか。  残り時間があと四分弱で、大変短くて恐縮でございますが、労働大臣と厚生大臣の御答弁を、傍聴に八人ほどお見えでございますし、全国で皆さん緊張感を持って期待して御答弁を聞いておられると思いますので、よろしくお願いいたします。
  107. 岡野裕

    国務大臣(岡野裕君) 基本的な考え方につきましては、もう既に総理お話を申し上げたとおりであります。  したがって、具体的にはやっぱり、労災の被災者がこの教習所へ入るといいます数が昭和四十六年、四十七年当時のように百何十名と、こうありますとよろしいのでありますが、今日の時点では七名、九名というように非常に減ってきてしまっております。したがいまして、行政監察のそういった勧告あるいは閣議決定というものになったと思います。しかし、先生のお話にありましたように、この施設を労働福祉事業団の施設ではなくて一般身体障害者のための施設として機能が何とか有効に活用できないだろうかという御相談については、関係の向きに一生懸命私どもはやっているところでございます。
  108. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 今お話しの点については、労働省で検討されていると私は承知しております。  また、厚生省におきましては、障害者の外出や移動を支援し、社会参加を促進するために自動車運転免許の取得に要する費用の助成事業を実施してきておりまして、平成年度には全国で約二千名の身体障害者の方に活用されております。今後、これらの施策の充実に努めていきたいと思っております。
  109. 末広真樹子

    末広真樹子君 厚生大臣の御答弁はもう少し期待していた部分がございまして、どんと厚生省で引き受けてまいりましようと、そこまでいただけるかなと思っておりましたが、そこはひとつ、今後労働大臣と厚生大臣との御協議の上しかるべき受け皿を早い機会に、何しろ切迫しているものでございますから、九年三月末と切られている事態でございますので、できるだけ明るいニュースとして提供していただきたい、御決断いただきたいとお願いして、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  110. 水野誠一

    ○水野誠一君 本日は、決算委員会ではありますが、決算と密接な関係があります予算編成のあり方について橋本総理にお考えをお聞きしたいと思っております。  総理は、さきの臨時国会における所信表明演説で、行政改革、経済構造改革、金融システム改革、社会保障構造改革、財政構造改革の五つの改革を本内閣の最重要課題とされる旨を表明されました。中でも財政構造改革については、平成年度を財政構造改革元年と位置づけられ、また財政再建法案を提出すべく財政構造改革会議の設置を指示されるなど、この問題にかける総理御自身の決意のほどがうかがわれると思います。  さて、このような重大な危機意識を持って総理が臨まれました平成年度予算編成であったわけでありますが、従来の仕組みや発想を超えた斬新な予算が組めたかというと、私自身与党の一角でこの予算編成に参画させていただいた反省も含めて申し上げるとすれば、残念ながらなかなか理想的な結果と評価が得られなかったのかなというふうにも考えております。年明け以来、株価や為替レートの低迷がこの改革第一歩としての予算案への市場の失望感のあらわれであるという解説もされているわけであります。  私は、その根本的な原因は現在の予算編成の仕組みそのものにあるのではないだろうか、大所高所の見地に立った大胆かつ弾力的な予算を実現するためには、シーリングなどの政府予算案編成の仕組み自体を抜本的に変える必要があるのではないかというふうに考えるわけであります。  シーリング方式というのは、もう御案内のように、青天井の各省庁の要求をあらかじめ抑えることで歳出抑制と査定実務の軽減を実現するというメリットがあることはもう十分に承知しているわけでありますが、その反面、予算要求に省庁別の枠がはめられるということで、その枠を超えた思い切った弾力的な配分を予算編成の時期で行うことができなくなるという問題点もあると思います。その背景には、既に担当省庁ごとに予算が既得権益化しており、さらにその背後には地方の利害と結びついた族議員がいるという構造があるのだと言われているわけであります。十二月の時点で根本的な予算論議をすることは事実上不可能であるわけでありますが、政府は概算要求以前の時点から予算トータルについて考えていく必要があると思います。  しかし、仮にそうしたとしても、省庁の既得権益の枠を超えた思想を予算に反映することは大変難しい。そして、その対応としては、内閣直属の予算編成機関が予算編成を行うということなどが問題解決には有効であると思いますし、これはまた行政改革による省庁再編の段階では十分考えられるというふうに思います。その際は恐らく省庁別予算から事業別予算へと考え方も切りかわってくることになると思います。  与党三党は総理に財政構造改革会議の議長にぜひ御就任をいただきたいというふうにお願いをしているわけでありますが、当会議目的であります歳出の縮減合理化の方策を総理みずから先頭に立って検討されていくお立場である中で、今私が申し上げましたような抜本的な予算編成の見直し、具体的にはシーリングの廃止、あるいは内閣直属の予算編成機関の設置などについてもお考えの中には含まれるのかどうか、その点についてお答えをいただければと思います。
  111. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私自身は財政再建会議(仮称)という言い方をいたしておりましたところ、与党の方からも十三日に申し入れをいただきまして、同じような考え方のもとに、我が国の危機的な財政状況にかんがみて歳出の削減合理化を行う、政府・与党が一体となって行う検討の場として財政構造改革会議という御提案をいただきました。これは議長であるのか座長であるのか、どういう名称でも結構ですが、当然私自身その責任を持つ立場になるわけであります。ただ、これから国会も始まりますと、だれか代理をお願い申し上げられる方を指名しておかなければならないかなとも思っております。  この会議、考えておりましたのは、まさに財政再建のための法律の骨格を含めた歳出削減合理化の具体的な方策というものを検討する場として想定をいたしました。諸外国の例などを参考にして考えてみますと、例えば歳出上限の設定でありますとか、あるいはスクラップ・アンド・ビルドの徹底、あるいは個別の歳出削減目標といったものが考えられるわけであります。  しかし、当然ながらそれぞれの国、日本日本としての他国とは異なる社会経済システムを持っているわけでありますから、どのやり方に固定するという考え方は私は持ちません。どのような方策が一番必要であり有効であるかということをここで御議論いただきたいと思います。  私は、十年度の概算要求基準について、これからそこで検討する話でありますから、今具体的なことを申し上げる段階にないことは御理解をいただきたいと思います。  そして同時に、予算編成権のあり方というものになりますと、これはまさに行政機構のあり方の根幹とでも言うべきものでありまして、中央省庁の再編を初めとする行政改革全体の中で慎重に考えていくべきではないかと考えております。
  112. 水野誠一

    ○水野誠一君 続きまして、公共事業の見直しについてお尋ねしたいと思います。  最近、公共事業のあり方というものが問われているわけであります。公共事業というものをただ減らせばいいというふうには考えておりませんで、むしろその公共事業こそが政府予算に対する思想を最も反映するというふうに考えれば、公共事業のあり方、その進め方というものを質の面からもう一度しっかりと見直すべきタイミングに来ているというふうに思います。  しかし、実際の公共事業は、省庁別シェアがここ三十年間ほとんど変わっていない。この硬直性が打破できるかどうかに財政構造改革の真価が問われるというふうに考えるわけであります。一度始めた事業がさまざまな利害関係に縛られて途中でやめられないがために時間を経過していくと、社会経済情勢が変化しているにもかかわらず、当初の事業を何が何でも継続していかなければいけない、こういうことも大変多いわけであります。  例えば、長良川河口堰建設事業は、当初は九年間に約二百三十五億円をかける事業計画でありましたが、結局は二十七年という歳月と一千五百億円の巨費が投じられることになった。また、最近話題になっております中海干拓事業は、現在事業が中断しておりますが、同じく十一年間で百四十億円かける計画でありましたが、現在までに三十四年が経過して既に六百五十億円が使われた。試算によりますと、さらに二百七十億円が事業終了までに必要である、こういうふうに言われるわけであります。  こういうふうに、一度始めた公共事業がなかなか見直せない原因には地方財政負担の問題があるというふうに思います。先ほどの中海の事例で申しましても、事業費の約三割が地方負担になる。地方にとっては非常に重い負担となるわけです。事業が完了すれば施設の利用等によって負担の償還も可能であるというふうに考えられるわけでありますが、中止をするということになるとそれもできないと。したがって、どんなに時代の変化により当初目的がずれてきている、あるいはむだな事業になっているということがわかっても、やめられないということになってしまうわけであります。  こうした問題の根源には、やはり構造上の、制度上の何か欠陥というのがあるのではないかなというふうに考えるわけであります。公共事業のあり方を総合的、長期的視点から見直して、事業を中止する場合の償還すべき地方財政負担の処理をも含めたスキームを構築することが、情勢の変化に伴い意味を失いつつある公共事業へのむだな出費を早急に抑える効果を持つのではないかと思います。この公共投資処理スキームがあれば、今行われています公共事業の見直しに資するのみでなく、将来発生するでありましょう財政赤字の予防の効果も期待できるものでもあろうと思います。  総理の掲げられます財政構造改革とは、今現在財政赤字を減らすという対症療法的なものにとどまらないと私は認識をしておりますが、総理は今私が申し上げましたような公共事業の見直しスキームというようなものについてどうお考えか、お考えをお聞かせいただければと思います。
  113. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私は、基本的に議員の御意見に対して反対をするものではございません。  我々、この平成年度予算におきましても七年ぶりに前年当初予算と実質的に同水準、その中におきまして大くくりの事業別の伸び率で見ますと、二けたのものもありますしマイナスにしたものもある、それだけの努力はしてきたつもりであります。  また、大規模な公共事業、ちょっと幾つか例示で挙げられましたように、必要に応じて事業の内容とか必要性に再評価を行う、こうしたことを通じて社会経済情勢の変化を踏まえながら国民にわかりやすい事業にすることが大切だということはそのとおりであります。  今回も、初めてでありますけれども、ダム事業などにつきまして、昨年度から事業実施中の十二の事業について第三者審議会を設置して審議をしていただいておりますし、今後その意見を尊重しながらダム事業の実施を図る、こうした考え方をとってまいりました。そして、四つの事業を治水事業において中止する、休止するという対応もいたしております。  同時に、私どもがやはり公共事業の公共工事というものを考えましたときに、現在の公共工事の執行プロセスというものを総点検しなければならないという思いがございます。そして、その計画あるいは設計の段階までさかのぼりながら、社会資本としての品質要求水準あるいは工事発注の効率化、工事実施の合理化、建設資機材のコスト縮減、発注方法といったものまで含めて、やはり我々は広範なまた具体的な検討を必要とするのではないか、今そのようなことを頭に描きながらコスト縮減の方策に取り組んでおるところであります。
  114. 栗原君子

    ○栗原君子君 新社会党・平和連合の栗原君子でございます。  三点にわたって質問をさせていただきたいと存じます。  実は、旧日本軍における中国東北部での遺棄化学兵器は、その処理につきまして、化学兵器禁止条約が規定しております十年間の廃棄期限を努力目標に日中の政府間協議がなされているところでございます。砲弾等につきましては、いわゆるプラズマ炉方式と申しまして、高熱処理で毒性を緩和していく、これらの炉導入の方向検討に着手したとされておるところでございます。そうしたことに対しては私も両国政府努力敬意を表するところでございます。  ところで、中国政府は中国における被害者は約二千名と言っております。中国人被害者への人道的立場から、救援、救済措置についてどのようにお考えになっていらっしゃるのか。被害者について今回の政府間協議では触れられていないわけでございます。  彼らは、要するに戦後の作業などをしているときに被害に遭ったとか、例えば私が中国でお会いした被害者の方は、川のしゅんせつ作業にかかわっていて、砲弾が機械に挟まってその中身が出たことによって被害に遭った。こういう人たちがたくさんいるわけでございますけれども、これらについてはどのようにお考えでいらっしゃるのか、お尋ねしたいと思います。
  115. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 今、委員指摘のような被害をお受けになった方々がおられるということは私ども承知しております。そしてこれは、実はこれまでの中国側との話し合いの中でも話題になっております。そしてまた、我が国の国内においてもそういった方々に対して人道的な見地からどうしたらいいのかといった御議論があるということも認識しております。  政府としてこれからどういうふうに対応していくかということでございますが、一般論として申し上げますならば、日中間の戦争に起因いたしますいわゆる請求権の問題というのは、これは日中共同声明以後は存在しない、こういう法的な立場でございます。しかし、そういった法的立場を踏まえつつも、今申しましたようないろいろな議論があるということを念頭に置きながら、どういうふうに対応していくか、これから検討していく必要があろうかと考えております。  我が国政府としてもいろいろ考えてまいりますし、また日中間においても話し合ってまいりたい、このように考えている次第でございます。
  116. 栗原君子

    ○栗原君子君 ここで、私はひとつ提案を申し上げたいと思いますけれども、池田外務大臣の地元の竹原市の忠海病院には、かつて大久野島での毒ガスの製造にかかわった人あるいは戦後の処理にかかわった人たちが被毒をされまして、今日も治療を続けていらっしゃる。そして、そこではたくさんの臨床の経験もお持ちでいらっしゃいます。また、広島大学の医学部でもそれらの臨床経験はお持ちであるわけでございます。特に原爆被爆者の場合は国籍条項がないわけでございますので、何とかこれに似たような形で中国の被害者についても何らかの手だてをしていただくことはできないものか、これを提案したいと思うんです。  そのためには、例えば中国の医師を広島に招いて幾つかの臨床の実態を学んでいただくとか、あるいはまた日本の医師が中国に参りましてそうした被害者のケアをすることもよいかもしれません。そうした医師の交流なども含めて、何とか前向きに私は取り組んでいただきたい、このことをひとつ提案させていただきたいと存じます。  それから次に、中国政府関係者と私たちも何度もお会いをしておりますけれども、その席でことごとく指摘をされておりますのが日本人の歴史認識についてでございます。私たちは、この歴史認識につきましては九五年八月の村山総理談話をぜひ堅持していただき、その基礎の上に立って全面的な解決を図っていただきたい、こういうことを強く要望するものでございますけれども、橋本総理の歴史認識はどのようでございましょうか、もう一度確認させてください。
  117. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 何回か本院においてもお答えをさせていただいたと存じますけれども、政府考え方、すなわち一九九五年八月十五日の村山内閣総理大臣談話を書き上げますとき、私自身がその作業に参画した閣僚の一人であります。これを基本として、我が国が過去の一時期に植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対し多大の損害と苦痛を与えた事実を謙虚に受けとめながら、これらに対する深い反省とおわびの気持ちに立って世界の平和と繁栄に向かって力を尽くしていく、これが当時内閣として宣言をしたことであり、談話として発表した内容であり、こうした考え方を踏まえながら未来に向けて関係諸国との信頼を一層強化していきたい、責任のある国際社会の一員としてその役割を果たしてまいりたい、それが私どもの姿勢であります。
  118. 栗原君子

    ○栗原君子君 ところで次に、先ほどお二方の委員からも質問があったところでございますけれども、女性のためのアジア平和国民基金についてでございます。  韓国の元従軍慰安婦七人に一時金の支給手続を始めたと発表をしておりまして、先ほどの政府側からのお答えでは、事前に外交ルートを通じて伝えてあるといったことが答弁として返ってまいりましたけれども、これはいつお伝えになられましたのでしょうか。
  119. 加藤良三

    説明員加藤良三君) 外交ルートを通じての外交活動の一環として、いっだれがどういうふうにということの詳細についてはお答えを差し控えさせていただかざるを得ないと思いますけれども、基金として近々事業を開始せざるを得ない、そういう状況であり意向であるということは、外交ルートを通じて私どもから韓国側に伝達してございます。
  120. 栗原君子

    ○栗原君子君 韓国の大統領の方から、韓国国民感情に望ましくない影響を与える、これは遺憾な措置だ、このような措置が再びとられることがないように望みたい、こうした発言があったと報道されているわけでございますけれども、大統領の発言ということになりますと、私は大変これは重いものだと思っております。あるいはまた、撤回とか中断をしてくれ、こういったことも意味の中に含まれているようでございますが、ここまでまいりますと、このまま進めようとするには私は大変な無理が出てきているような気がいたします。何とか白紙からもう一度この議論をし直すということにはならないものなのでしょうか、お答えいただきたいと思います。
  121. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 既に本日の委員会におきまして、他の委員方々にも御答弁を申し上げましたところでございますので重複は避けたいと存じますけれども、確かに昨日の外相会談において、あるいは私が大統領を表敬訪問いたしました際に、韓国側から遺憾の意が表明されたところでございます。  しかし、私の方からは、この措置をとるに至るまでのいろいろな経緯を御説明申し上げ、そして、既にとられた措置についてこれを撤回するとかそういうことはできないということも御説明申し上げ、ただ、これからの韓国における基金の事業の実施をどうするかにつきましては、両外交当局間で話し合っていくことはやぶさかでないと、こういうことを申し上げた次第でございます。  そういうことでございますので、そういった機会をとらえましてこの基金の持つ意義あるいは趣旨というものをよく御説明申し上げ、御理解を得る努力をさらに進めていきながら、今後適切に対応してまいりたいと考えておる次第でございます。
  122. 栗原君子

    ○栗原君子君 一番の隣国でありますので、このことがこじれて両国に溝ができるようなことがあってはならないと思います。ぜひ、最善の努力を尽くして、韓国の国民感情を十分にお考えいただく中で進めていただきたいということをお願いいたしまして、終わりたいと思います。
  123. 野沢太三

    委員長野沢太三君) 他に御発言もなければ、平成年度決算外二件に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  124. 野沢太三

    委員長野沢太三君) 御異議ないと認めます。  橋本内閣総理大臣は、御退席いただいて結構でございます。  これより平成年度決算外二件について討論に入ります。  平成年度決算の議決案はお手元に配付のとおりでございます。  なお、内閣に対する警告案文につきましては、理事会において協議の結果、意見が一致したものでございます。案文を朗読いたします。    議決案  一、一本件決算は、これを是認する。  二、内閣に対し、次のとおり警告する。  (一) 厚生省の前事務次官が収賄容疑で逮捕・起訴されたのを始め、大蔵省、厚生省及び通商産業省の幹部職員が関係業界及び業者との過度の癒着を指摘されるなど、最近の公務員をめぐる一連の不祥事により、行政に対する国民の信頼を失墜させたことは、極めて遺憾である。   政府は、国民の行政及び公務員に対する信頼が早急に回復されるよう、行政と関係業界との癒着の防止に努めるとともに、公務員に関する具体的行為規範の遵守を図るなど、綱紀粛正の徹底が図られるよう諸般の方策を講じるべきである。   (二) 消費税の納付について、その新規発生滞納額が、近年、多額で推移しており、平成年度末の滞納額も三千三百五十九億円に上っていることは、遺憾である。政府は、消費者が負担した消費税の一部が国庫に納入されていない事態となっていることを重く受け止め、消費税に対する国民の信頼を損なわないよう、滞納の未然防止及び滞納整理の促進に一層努力すべきである。  (三) 病原性大腸菌O−一五七による食中毒が全国的に発生する中で、学校給食においても集団食中毒が相次いで発生し、死者が出る事態となったことは、遺憾である。    政府は、O−一五七に対する総合的な対策を着実に進めるとともに、安全な学校給食が提供されるよう、衛生管理の徹底や施設・設備の充実促進するなど学校給食における食中毒の再発防止に一層努めるべきである。  (四) 健康保険又は厚生年金保険に関し、特定の国民健康保険組合に加入している土木建築業の従業員や地方公共団体に雇用されている嘱託職員等について適用漏れの事態が生じ、平成年度決算検査報告において、百十三億円を超える保険料の徴収不足が指摘されたことは、遺憾である。   政府は、社会保険の公平・適正な適用の重要性にかんがみ、社会保険事務所における調査確認及び指導の徹底を図るなど、健康保険及び厚生年金保険の適用の適正化に格段の努力をすべきである。   (五) 医療費について、支払の不適切等に係る指摘が、決算検査報告において、昭和六十一年度以降毎年続いており、それに係る国庫負担額も平成年度までに七十八億円に上っていることは、遺憾である。    政府は、今後も高齢化の進展等により医療費の増加が見込まれるとともに、医療保険財政の状況も深刻化していることにかんがみ、審査支払機関及び保険者等による審査点検の徹底を図るなど、医療費の請求・審査の適正化に一層努力すべきである。  (六) 国庫補助事業である特別養護老人ホームの施設整備等を巡り、贈収賄事件が発覚するなど、その国庫補助金の適正な支出等に関し疑惑が持たれる事態が生じていることは遺憾である。   政府は、今後の高齢化に対応した新ゴールドプランの強力な推進が求められている中で、こうした事態が生じたことを厳しく認識し、特別養護老人ホームの施設整備等に関し早急に必要な実態の把握を行うとともに、補助金交付や社会福祉法人の認可等について制度の全般にわたる見直し・再点検を行い、社会福祉事業の適正な実施が確保されるよう万全の対策を講じるべきである。  (七) 農業構造の改善に寄与すること等を目的とした農業者年金事業における経営移譲年金について、不適正支給の事例が見られることは遺憾である。    政府は、農業者年金制度が多額の国庫助成を行わざるを得ない状況となっていることにもかんがみ、その支給の適正化に万全を期するとともに、年金財政の健全化、情報開示に向けて今後とも更に努力すべきである。  (八) 労働者災害補償保険の診療費の算定について、全国的な統一基準が定められているにもかかわらず、これと異なる割高な料金を設定したいわゆる地域特掲料金が、なお一部の都県において解消されていないことは遺憾である。    政府は、地域特掲料金の解消について平成年度決算検査報告指摘されて以来、既に六年が経過していることにかんがみ、その完全解消の早期実現に努力すべきである。  (九) 国庫補助事業に係る食糧費の使用について、補助事業との関連性が明確でなく、また、その経理関係書類が不備である等の不適切な事態が見られたことは遺憾である。   政府は、食糧費の使用について、今後国民の疑念を生じさせないよう、補助事業者である地方公共団体に対し一層の指導に努めるとともに、食糧費を含む事務費の支出状況を的確に把握し、不適正な使用が明らかになった場合には返還を命じる等、厳正な措置を講じるべきである。  (十) 各地の地方公共団体において、いわゆる食糧費の不正使用やカラ出張・カラ飲食等による不適正な公費支出が相次いで明らかとなり、しかも、公正な行財政執行を確保すべき監査委員及び同事務局においても同様な公費支出が見られたことは、遺憾である。   政府は、公正で能率的な行政の確保という監査委員制度本来の機能が発揮されるよう必要な指導等に努めるとともに、地方分権の推進に伴う監査機能の充実方策について検討すべきである。  以上でございます。  それでは、御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  125. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 私は、日本共産党を代表し、一九九四年度一般会計歳入歳出決算、同特別会計歳入歳出決算、同国税収納整理資金受払計算書、同政府関係機関決算書及び同国有財産増減及び現在額総計算書は是認せず、一九九四年度国有財産無償貸付状況計算書内閣に対する警告決議案には是認及び賛成の立場から討論いたします。  是認しない理由について述べます。  一九九四年度当初予算は、生活者重視のかけ声とは全く裏腹に、国民には犠牲を押しつけ、他方では相変わらずの大企業奉仕、在日米軍への思いやり予算の拡大に象徴されるようにアメリカ追随を特徴とするものでした。  第一に、国民が切望していた基礎控除の引き上げなど抜本的な減税要求に背を向け、一年限りの特別減税でお茶を濁すものでした。また、不況が深刻であるにもかかわらず、年金改悪、病院給食費の保険外し、私立高校助成の大幅カット、国立大学授業料値上げなど、国民に負担増を押しつける制度改悪がメジロ押しのものでありました。  第二に、世界第二位となっている軍事費を、世界的な軍縮の流れに逆らって一層拡大するだけでなく、ゼネコン本位の公共事業についても引き続き大盤振る舞いをするものでありました。  この結果、巨額の財源不足を建設国債の大量発行と債務返還の繰り延べなどで埋め合わせ、消費税率の引き上げなど国民負担の増大を招く危険を一層大きくするものでした。特に、赤字国債の発行は五年ぶりとなり、歳入の国債依存度は一八・七%にも達し、年度末発行残高は約二百一兆円に上ってしまいました。  一九九四年度補正予算も、税収落ち込みの穴埋めに国債を増発し、あわせて地方交付税交付金を大幅に削減するなど、軍事費の拡大やゼネコン本位の公共事業に大盤振る舞いをしてつくり出された財政危機のツケを、地方自治体と住民への犠牲転嫁でしのぐとともに、将来の国民負担増大への危険をますます強めるものでありました。  また、一九九四年度国有財産増減及び現在額総計算書は、我が党が反対した一九九四年度予算執行結果を国有財産の増減として集約したものですが、特に軍事費関係物品の増加が顕著に突出しており、これを認めることはできません。  今、消費税の五%増税が予定され、それが大問題になっています。また、財政危機がますます深刻化しているにもかかわらず、相変わらずのゼネコン型公共事業、軍事費は聖域とされ、ふえ続けています。こうした事態をもたらしたあしきレールとなったのが九四年度決算であり、これを是認することはできません。  一九九四年度国有財産無償貸付状況計算書については是認しますが、すべて問題なしというわけではありません。例えば、国が公園用地として東京都に貸し付けている用地に米軍の臨時ヘリポートである麻布ヘリポートが建設され、約束期限後にはもとに戻されることになっていたのに、こちらの方が使いやすいと米軍が居座りを続けている問題です。東京都と周辺住民は米軍が直ちに返還することを要求しており、この不正常な事態を国が責任を持って解決するよう強く求めて、私の討論を終わります。
  126. 塩崎恭久

    ○塩崎恭久君 私は、自由民主党を代表して、平成年度決算外二件に対し、これを是認することに賛成するとともに、委員長提案の警告案に賛成の意思を表明するものであります。  平成年度の行財政運営を振り返ってみますど、細川内閣、羽田内閣、村山内閣と三代にわたり内閣が交代し、本予算成立後の六年六月三十日には、自由民主党、日本社会党、新党さきがけ三党による村山連立内閣が発足するという、まさに激動する政治情勢の中でその予算編成及び執行が行われたと言うことができます。  その一方で、平成年度我が国の経済情勢は、バブル崩壊等による二年八カ月にも及ぶ景気後退局面をようやく脱し、景気の足取りは緩やかながら回復の方向へ向かっていたところに、七年一月に入って阪神・淡路大震災が生じるなど、我が国経済の自律回復への移行過程には厳しい状況がありました。他方、財政に目を転じますと、平成年度末の公債残高は二百兆円を超え、六年度税収も戦後初めて四年連続して対前年度減収となるなど、我が国財政は一段と危機的な状況を迎えておりました。  そうした中で、本件決算の是認に賛成する第一の理由は、政治的混迷等から低迷の続く厳しい状況から始まった平成年度我が国経済の実態に対し、予算の着実な執行やきめ細かな経済政策の実施を図るなど、深刻な景気への対応を行い、国民生活の安定に努力したことであります。  こうしたことから・個人消費は耐久消費財の販売が好調となるなど緩やかな回復傾向を示したほか、設備投資も総じて下げどまりの動きが見られ、六年九月には政府の景気判断も、ようやく低迷基調から緩やかながら回復の方向に向かっているとの判断に変更されたのであります。  加えて、年度後半には、活力ある福祉社会の実現を目指した税制改革の決定や、生活者重視等の視点に立って社会資本整備の質的量的な拡充を図る新たな公共投資基本計画の策定、地域のニーズを踏まえ高齢者介護サービス基盤の整備目標の引き上げ等を行った新ゴールドプランの策定や、国際的に開かれた自由な経済社会を実現し行政事務の簡素化を図る規制緩和推進計画の策定など、来るべき二十一世紀に向けて山積する諸課題に重要な指針を与えております。  ただし、平成年度においては、当時の細川内閣による予算編成の大幅なおくれと細川元総理の疑惑解明への不誠実な態度等により、三カ月もの暫定予算を余儀なくされたことは、景気低迷下の我が国経済に与えた影響等を考えると、極めて残念なことであったと言わざるを得ません。  是認に賛成する第二の理由は、六千人を超えるとうとい人命が失われ、甚大な被害をもたらした阪神・淡路大震災に伴う災害関連の緊急対策等に政府において全力を尽くし、適切に対処したことであります。平成年度第二次補正予算では、阪神・淡路大震災等に対応するため当面緊急に必要となる経費に関し一兆二百二十三億円の歳出の追加が行われ、災害復旧事業等に関し補助の特例措置等が行われております。  以上、決算の是認に賛成する立場から平成年度の行財政運営について述べてまいりましたが、財政執行上の個々の問題につきましては、会計検査院から指摘された事項のほか、本委員会審査の中でも、反省ないし留意すべき点の指摘がありました。  とりわけ、特別養護老人ホームヘの補助金交付等をめぐり、厚生省の前事務次官が収賄容疑で逮捕、起訴されたことを初めとする一連の不祥事の発生は、行政に対する国民の信頼を著しく傷つけたものであり、現場で働く福祉関係者を冒涜するものであります。政府としては、今後二度とこうした不祥事が生じることのないよう、公務員の綱紀粛正を徹底するとともに、補助金や事業団融資のあり方を初めとして、社会福祉事業に関する制度、施策全体の見直し、再点検を図ることなどにより、行政の信頼回復に努めるべきことをこの際強く要請いたします。  また、深刻化する我が国の財政状況にかんがみて、いわゆる隠れ借金等を含め国の債務の実態等について一層の情報公開に努めるとともに、財政構造の改革に全力を挙げて取り組むことを求めます。  政府においては、これらの指摘を真摯に受けとめ、今後一層財政の効率化及び行政の適正化に努め、国民の信託にこたえていくよう強く要望しておきます。  最後に、決算審査充実に関して一言申し上げます。  国会における決算審査は、国会が議決した予算及び関係法律が適正かつ効率的に執行されたか等について審査し、あわせて政策の実績評価を行うことにより、その審査の結果を将来の予算編成執行等の改善に役立てることにその目的があります。  平成年度決算については、参議院決算重視という共通認識のもと、各会派の御協力により精力的に審査を進め、昭和四十年度決算以来実に二十九毎度ぶりに次年度決算提出前に委員会において審査を終えることとなりました。  今日、国民の貴重な税金の使われ方に対する関心がますます増大する中で、本委員会においては、今後ともできるだけ早期に、かつ充実した決算審査を行うことが求められているものと考えます。  政府においても、本院の決算審査に一層積極的に協力するとともに、決算審査成果が今後の予算編成及び政策遂行に反映されるよう強く要望いたしまして、私の討論を終わります。
  127. 今井澄

    ○今井澄君 私は、民主党・新緑風会を代表して、ただいま議題となりました平成年度決算外二件に対し、その是認に賛成するとともに、委員長提案の警告決議案に賛成する旨の討論を行います。  まず初めに、次年度決算国会提出前に平成年度決算充実した審議を終了できましたことに対し、委員長を初め関係各位の御尽力に敬意を表します。  さて、平成年度の財政運営を見ますに、バブル崩壊の長引く影響に対し、当該年度も多額の補正予算執行しなければならなかったことにより、国債の累積残高が二百兆円にも達したことにつきましては、財政再建の必要性と公共事業の経済効果のバランスの問題等、是認するについても、今後に大きな教訓を残したことを指摘しておきます。  第一に、警告決議に記載されております特別養護老人ホームの建設費にとどまらず、公共事業における費用の見積もりが適正であるか否かについて、本決算委員会審議の過程で、今後の課題として問題が提起されましたことを政府は重大に受けとめ、善処すべきであります。  第二に、長期にわたる公共事業につきましては、木曽岬干拓事業のように、事業の遂行が著しくおくれて効果発現が遅延しているものや、時代の変化に伴って事業目的が変化してきているものにつきましては、担当省庁だけではなく、政府全体として総力を挙げて事業の効果的な推進や見直しに取り組むべきであります。  第三に、公共事業に限らず、国民の血税であります公費をむだなく効率的に使用するという視点からの会計検査充実を要望いたします。と同時に、権限に制限のある政策評価の分野や調査対象範囲については、会計検査や総務庁の行政監察に頼るのではなく、決算委員会みずからが踏み込んで審査すべきであると考えます。また、そのためのスタッフの充実についても考慮しなければならないところであります。  最後に、参議院決算審査充実についてでありますが、政府及び会計検査院協力を得て、決算早期国会提出を実現する必要があるとともに、国会開会中に実質審議ができるように参議院としても早急に取り組むべきことを提案いたします。  さらに、我が民主党はさきの臨時国会に行政監視院法案を提出いたしておりますが、国権の最高機関である国会が、国民の立場を代表して行政の監視、予算執行、政策の評価をしっかりできるよう、そして、なかんずく参議院がチェック機関としての機能を遺憾なく発揮できるために、現在進められております参議院改革との調整を図りながら、前向きの国会審議が進められることを希望いたしまして、討論を終わります。
  128. 野沢太三

    委員長野沢太三君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  129. 野沢太三

    委員長野沢太三君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  まず、平成年度一般会計歳入歳出決算平成年度特別会計歳入歳出決算平成年度国税収納金整理資金受払計算書平成年度政府関係機関決算書の採決を行います。  第一に、本件決算は、これを是認することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  130. 野沢太三

    委員長野沢太三君) 多数と認めます。  第二に、内閣に対し、先刻朗読のとおり警告することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  131. 野沢太三

    委員長野沢太三君) 全会一致と認めます。よって、平成年度決算につきましては、多数をもってこれを是認することとし、内閣に対し、先刻朗読いたしましたとおり警告すべきものと議決いたしました。  次に、平成年度国有財産増減及び現在額総計算書の採決を行います。  本件につきましては、これを是認することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  132. 野沢太三

    委員長野沢太三君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって是認すべきものと決定いたしました。  次に、平成年度国有財産無償貸付状況計算書の採決を行います。  本件につきましては、これを是認することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  133. 野沢太三

    委員長野沢太三君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって是認すべきものと決定いたしました。  なお、これらの案件審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  134. 野沢太三

    委員長野沢太三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  この際、内閣に対する警告について関係国務大臣から発言を求められておりますので、順次これを許します。まず、武藤総務庁長官
  135. 武藤嘉文

    国務大臣(武藤嘉文君) ただいま御決議のありました国家公務員の綱紀粛正につきましては、御趣旨を踏まえ、昨年十二月十九日の行政及び公務員に対する国民の信頼を回復するための新たな取り組みについての事務次官等会議申し合わせに基づき、各省庁が新たに制定した公務員倫理規程の遵守を図ることなどにより、政府を挙げて綱紀粛正の徹底を図り、国民の信頼が早急に回復されますよう努力してまいりたいと存じます。
  136. 野沢太三

    委員長野沢太三君) 次に、三塚大蔵大臣。
  137. 三塚博

    国務大臣(三塚博君) ただいま御決議のありました消費税の滞納の未然防止及び滞納整理の促進につきましては、従来から努力を重ねているところでありますが、御決議の趣旨を踏まえ、今後とも一層努力してまいりたいと存じます。  次に、国庫補助事業に係る食糧費の使用等につきましては、従来から各省庁においてその適正な執行に努めてきているところでありますが、御決議の趣旨を補助金等適正化中央連絡会議の場等を通じて周知徹底してまいりたいと存じます。
  138. 野沢太三

    委員長野沢太三君) 次に、小杉文部大臣。
  139. 小杉隆

    国務大臣(小杉隆君) ただいま御決議のありました学校給食における食中毒再発防止に係る事項につきましては、衛生管理の徹底と施設・設備の充実促進するなど、御決議の趣旨を踏まえ、安全な学校給食の提供に一層努力してまいる所存であります。
  140. 野沢太三

    委員長野沢太三君) 次に、小泉厚生大臣。
  141. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) ただいま御決議のありました健康保険及び厚生年金保険の適用の適正化、医療費の請求・審査の適正化並びに特別養護老人ホームの施設整備等に関する補助金の適正な支出等社会福祉事業の適正な実施につきましては、御決議の趣旨を踏まえ、一層努力してまいります。
  142. 野沢太三

    委員長野沢太三君) 次に、藤本農林水産大臣
  143. 藤本孝雄

    国務大臣(藤本孝雄君) ただいま御決議のありました農業者年金事業につきましては、御決議の趣旨に沿うよう、今後とも努力してまいる所存であります。
  144. 野沢太三

    委員長野沢太三君) 次に、岡野労働大臣。
  145. 岡野裕

    国務大臣(岡野裕君) ただいま御決議のありました労働者災害補償保険の診療費の算定について、全国的な統一基準が定められているにもかかわらず、これと異なる割高な料金を設定したいわゆる地域特掲料金がなお一部都県において解消されていないことにつきましては、従来からその解消に努めてきたところでありますが、今後とも御決議の趣旨に沿って努力してまいる所存であります。
  146. 野沢太三

    委員長野沢太三君) 次に、白川自治大臣。
  147. 白川勝彦

    国務大臣(白川勝彦君) ただいま御決議のありました地方公共団体の監査機能の充実につきましては、その趣旨に沿うよう、第二十五次地方制度調査会における審議も踏まえ、監査機能の充実強化について具体的な検討を進めてまいる所存でございます。
  148. 野沢太三

    委員長野沢太三君) ただいま警告決議に対して各国務大臣からそれぞれ所信の表明をいただきましたが、本決議は内閣全体に対する警告でありますので、関係する省庁においては、決議の趣旨に沿って十分な改善を図るなど万全の措置をとるよう求めます。特に、綱紀粛正の問題及び国庫補助事業に係る食糧費の問題については、全省庁に関係する問題であるということを念のため申し上げておきます。  以上をもちまして関係国務大臣の発言は終了いたしました。  審査の終了に際しまして、一言ごあいさつを申し上げます。  平成年度決算は、昨年の五月に着手し、十三回の委員会、約八カ月を経て、本日ここに審査を終了することができました。この間、委員の皆様方には閉会中にもかかわらず熱心に審査を進めていただき、また、政府会計検査院政府関係機関等の皆様には格段の御協力をいただいたことに改めて感謝を申し上げる次第であります。  今回の審査では、補助金に関する集中審議等、時間の関係委員の御要望に十分こたえられなかったこともあったとは存じますが、今後とも皆様の御協力によりまして、平成年度決算審査に取り組んでまいりたいと思います。どうもありがとうございました。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十三分散会