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1996-12-26 第139回国会 参議院 決算委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年十二月二十六日(木曜日)    午前十時三分開会     ―――――――――――――    委員異動  十二月二十五日    辞任         補欠選任      本岡 昭次君     川橋 幸子君  十二月二十六日    辞任         補欠選任      川橋 幸子君     菅野 久光君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         野沢 太三君     理 事                 塩崎 恭久君                 松谷蒼一郎君                 吉川 芳男君                 山崎 順子君                 山下 栄一君                 筆坂 秀世君     委 員                 岩井 國臣君                 海老原義彦君                 大木  浩君                 景山俊太郎君                 中島 眞人君                 長峯  基君                 松村 龍二君                 守住 有信君                 海野 義孝君                 加藤 修一君                 星野 朋市君                 益田 洋介君                 大脇 雅子君                 上山 和人君                 田  英夫君                 今井  澄君                 川橋 幸子君                 菅野 久光君                 水野 誠一君                 栗原 君子君    国務大臣        法 務 大 臣  松浦  功君        外 務 大 臣  池田 行彦君        大 蔵 大 臣  三塚  博君        厚 生 大 臣  小泉純一郎君        農林水産大臣   藤本 孝雄君        運 輸 大 臣  古賀  誠君        労 働 大 臣  岡野  裕君        建 設 大 臣  亀井 静香君        自 治 大 臣  白川 勝彦君        国 務 大 臣        (内閣官房長官) 梶山 静六君        国 務 大 臣        (総務庁長官)  武藤 嘉文君        会計検査院長職        務代行        検  査  官  疋田 周朗君    事務局側        常任委員会専門        員        貝田 泰雄君    説明員        人事院総裁    弥富啓之助君        総務庁人事局長  菊池 光興君        総務庁行政監察        局長       土屋  勲君        法務省刑事局長  原田 明夫君        外務大臣官房長  原口 幸市君        大蔵省主計局        長        細川 興一君        文部省初等中等        教育局長     辻村 哲夫君        厚生省保健医療        局長       小林 秀資君        厚生省老人保護        福祉局長     羽毛田信吾君        厚生省児童家庭        局長       横田 吉男君        厚生省保険局長  高木 俊明君        社会保険庁運営        部長       真野  章君        農林水産大臣官        房長       高木 勇樹君        農林水産省構造        改善局長     野中 和雄君        労働省労働基準        局長       伊藤 庄平君        建設大臣官房官        庁営繕部長    田村 至敏君        建設省河川局長  尾田 栄章君        建設省住宅局長  小川 忠男君        会計検査院事務        総局次長     平岡 哲也君        会計検査院事務        総局第一局長   深田 烝治君        会計検査院事務        総局第二局長   諸田 敏朗君        会計検査院事務        総局第三局長   山田 昭郎君        会計検査院事務        総局第四局長   小川 光吉君    参考人              労働福祉事業団  松原 東樹君        雇用促進事業団        理事       和田東洋司君        日本銀行総裁   松下 康雄君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件平成六年度一般会計予備費使用調書及び各省  各庁所管使用調書(その2)(内閣送付予備  審査) ○平成六年度特別会計予備費使用調書及び各省  各庁所管使用調書(その2)(内閣送付予備  審査) ○平成六年度特別会計予算総則第十四条に基づく  経費増額調書及び各省庁所管経費増額調書  (その2)(内閣送付予備審査) ○平成六年度一般会計歳入歳出決算平成六年度  特別会計歳入歳出決算平成六年度国税収納金  整理資金受払計算書平成六年度政府関係機関  決算書(第百三十六回国会内閣提出)(継続案  件) ○平成六年度国有財産増減及び現在額総計算書  (第百三十六回国会内閣提出)(継続案件) ○平成六年度国有財産無償貸付状況計算書(第  百三十六回国会内閣提出)(継続案件)     ―――――――――――――
  2. 野沢太三

    委員長野沢太三君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨二十五日、本岡昭次君が委員辞任され、その補欠として川橋幸子君が選任されました。     ―――――――――――――
  3. 野沢太三

    委員長野沢太三君) 平成六年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その2)、平成六年度特別会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その2)、平成六年度特別会計予算総則第十四条に基づく経費増額調書及び各省庁所管経費増額調書(その2)、以上三件を一括して議題とし、説明を聴取いたします。三塚大蔵大臣
  4. 三塚博

    国務大臣三塚博君) ただいま議題となりました平成六年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その2)外二件の事後承諾を求める件につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず、平成六年度一般会計予備費予算額一千五百億円のうち、平成七年二月六日から同年三月二十四日までの間において使用を決定いたしました金額は一千五十二億一千三百万円余であり、その内訳は、災害対策費として、災害救助費負担金不足を補うために必要な経費等の三件、その他の経費として、老人医療給付費負担金不足を補うために必要な経費等の五件であります。  また、平成六年度各特別会計予備費予算総額二兆七千六百七十九億七千五百万円のうち、平成七年三月二十四日から同年三月三十日までの間において使用を決定しました金額は九百三十三億九千六百六万円であり、その内訳は、食糧管理特別会計輸入食糧管理勘定における調整勘定へ繰り入れに必要な経費等特別会計の四件であります。  なお、平成六年度特別会計予算総則第十四条の規定により、平成七年三月三十日に経費増額を決定しました金額は七百九十八億七千四百三十万円余であり、これは郵便貯金特別会計一般勘定における支払い利子に必要な経費増額であります。  以上が予備費使用調書等についての概要であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御承諾くださいますようお願い申し上げます。
  5. 野沢太三

    委員長野沢太三君) 以上をもちまして説明の聴取は終了いたしました。     ―――――――――――――
  6. 野沢太三

    委員長野沢太三君) 次に、平成六年度決算外二件及びただいま説明を聴取いたしました平成六年度予備費関係三件を一括して議題といたします。  質疑に先立ちまして、平成四年度決算及び平成五年度決算における警告決議に対し、その後内閣のとった措置につきまして、大蔵大臣から説明を聴取いたします。三塚大蔵大臣
  7. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 平成四年度及び平成五年度決算に関する参議院審議議決について講じました措置概要を御説明申し上げます。  今後の本格的高齢化社会に対応し得る行財政の確立につきましては、我が国財政が、平成八年度末の公債発行残高が約二百四十一兆円程度となる見込みであるなど、先進国中最悪と言える状況にあることを厳しく認識するとともに、今後の少子・高齢化の一層の進展を踏まえれば、我が国経済社会の活力を維持するためには、財政構造改革に取り組むことが喫緊の課題であると考えております。  そのため、我が国の極めて厳しい財政状況財政構造改革必要性につきまして、国民各層の御理解を得るべく従来より各種資料パンフレット等を提供するとともに、将来展望として、中期的な財政事情に係る試算である「財政中期展望」等をお示ししているところであります。  また、平成九年度予算編成におきまして、歳出全般について聖域を設けることなく徹底した洗い直しに取り組み、特に一般歳出を厳しく抑制するとともに約四・三兆円の公債減額を実現し、行政制度運営について不断のかつ徹底した見直しを行うとともに、引き続き、既定方針を踏まえ、所要の改革合理化措置を実施したところであります。  今後とも、各般の制度改革の実現に努めるなど、行財政改革に一層の努力を傾注してまいる所存であります。  新型転換炉につきましては、経済性核燃料リサイクルに与える影響など総合的観点から慎重かつ精力的に検討した結果、実証炉建設計画を中止することを決定したものであります。  今後、大型技術開発実用化推進に当たりましては、研究開発主体実用主体との緊密な連携等を図るとともに、進捗状況に応じて開発計画の評価を行うことに努めるなど適切に対処してまいる所存であります。  国民健康保険財政調整交付金の不適正受給に係る指導徹底につきましては、過大交付再発を防止するため、文書及び会議等あらゆる機会をとらえて補助金申請等事務適正化に努めるよう強く指導を行ったところでございます。  また、国民健康保険制度安定化につきましては、制度の抱える構造的な問題に対応するため、低所得者対策及び小規模保険者対策等を継続して実施したところであります。  今後とも、制度安定化にさらに努力するとともに、財政調整交付金の適正な執行に万全を期してまいる所存でございます。  年金積立金自主運用体制整備につきましては、年金福祉事業団において平成七年度から、長期運用のための新しい基本ポートフォリオに基づき資産の管理を行うとともに、運用機関の特徴を生かした多様な運用体制の構築に取り組んでいるところでありまして厚生省としても年金福祉事業団の適切な指導努力しておるところであります。  また、ディスクロージャー推進につきましては、平成七年度決算より、広く国民自主運用事業考え方や内容を理解していただきますため、従来の簿価データとあわせて、総合収益等の時価のデータ参考として公表したところであります。  今後とも、年金積立金の安全かつ効率的な運用に努めますとともに、ディスクロージャー推進してまいる所存でございます。  日本下水道事業団に対する入札談合事件再発防止につきましては、工事発注において、従来の指名競争入札方式にかえ、公募型指名競争入札方式を全面的に導入するとともに、入札監視委員会委員増員等組織体制の充実により、発注における透明性客観性の一層の確保等事業団業務改善について万全を期したところであります。  また、工事事業団発注する場合につきましては、事業団地方公共団体との協定等において、発注業務委託団体からの独立性を明記することとするとともに、発注委託団体が行い、工事監督管理業務のみを事業団が受託する場合についての規定整備を行い、受委託関係明確化を図ったところでございます。  今後とも、これらの措置徹底を図るなど事業団に対する適切な指導を行ってまいる所存であります。  以上が平成四年度及び平成五年度決算に関する参議院審議議決について講じました措置概要でございます。  政府は、従来から決算に関する国会審議議決会計検査院指摘等にかんがみ、国費の効率的使用事務事業運営適正化不当経理発生防止等に特に留意してまいったところでありますが、今後とも一層の努力を続けてまいる所存であります。
  8. 野沢太三

    委員長野沢太三君) それでは、これより平成六年度決算外二件の総括的質疑第一回及び平成六年度予備費関係三件の質疑を行います。――質疑のある方は順次御発言願います。
  9. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 自民党の松谷でございます。  冒頭若干の時間をいただきまして、大変お忙しい中でございますが、外務大臣に御質問をいたしたいと思います。  このたびの在ペルー日本大使公邸襲撃事件につきまして、事件勃発と同時に直ちにペルーに赴かれまして諸般の指揮をやっていただきました外務大臣につきましては、心から敬意を表する次第でございます。その御労苦に感謝を申し上げます。日本にお帰りになっても大変忙しい身でございますが、若干御質問をさせていただきます。  まず、これまでの経過それから現状につきまして御報告いただきますとともに、今後我が国としてこの事件について協力できることはどういうようなことがあるのか、それからまた諸外国関係者がまだ人質として監禁されておりますが、こういった諸外国に対して理解を得なければならないであろうというように思いますが、それらについてのお考え、今後の見通し等につきまして外務大臣よりよろしくお願いを申し上げます。
  10. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) お答え申し上げます。  まず、今回の事件経過でございますが、去る十七日の午後八時半、これは現地時間でございます、日本時間ですと十八日の午前十時半になりますが、そのころ在ペルー我が国大使公邸におきましてレセプションを開催しておりましたが、そこで爆発が起こりまして、続いてテロリストが侵入し、そして占拠されると、こういうことがあったわけでございます。その当時、公邸内にはレセプション招待客等で数百人の方がおいでになったわけでございますが、そういった方々が内部に閉じ込められました。  それで、そのテロリストペルー左翼ゲリラでございますトゥパク・アマル革命運動通称MRTAと言っておりますが、そのメンバーであるということを表明いたしまして、その後犯人グループからいろいろな要求といいましょうか、出されておりますが、基本的にはこれまでに逮捕され、あるいは判決を受けて収監されているグループメンバーの釈放を要求する、そのほかいろいろな要求事項を出しておるところでございます。  そして、その後の経過でございますが、まず当日、十七日の夜に、女性あるいは年配の方を中心にしてかなりの多数の方が解放され、そしてその後も段階的にいろいろ出てこられまして、昨日までに合計二百七十八名、そしてけさまた一名我が方の書記官が解放されまして、二百七十九名が十八日以降解放されております。  しかしながら、国際赤十字の在ペルー代表の話によりますと、依然として現段階でまだ百四名の方々人質状態になっているということでございまして大変厳しい状態が進んでおりますので、これからペルー政府と協力しながら、何とか全員が無事にしかもできるだけ早く解放されるように努力をしなくちゃならないと、こういう状況にあるわけでございます。  以上がこれまでの経過並びに現状でございますが、我が国といたしましては、この事件が起こりまして直ちに、即日、外務省といたしましては事務次官を本部長といたします対策本部を設置し、自来今日に至るまで、省内のオペレーションルームにおきまして二十四時間体制交代制で対応しているところでございますし、政府全体といたしましても内閣総理大臣本部長とし、関係閣僚で構成する対策本部を設置して対応しているところでございます。総理自身事件発生以来連日のように、例えば外務省オペレーションルームにもお越しになりましてみずから陣頭指揮をおとりになるというふうに真剣にやっておられるわけでございます。  そして、現地の方は青木大使ほか大部分の館員が人質状態になったということで現地体制壊滅状況にございましたので、これを早く立ち上げなくちやいけない、私が現地へ飛びました目的の大きな一つも現地体制のまず立ち上げでございました。  そして、近隣公館あるいは本省からも要員を派遣し、さらには関係各省ジェトロ等、あるいはその他の関係の、政府以外の機関の御協力も得まして現地体制をどんどん整備しておりまして、現時点で既に五十名を超すスタッフになっております。そして中南米局長本部長といたしまして、それからさらに現在の駐メキシコの大使であり、フジモリ大統領初めペルー関係者ともかねてから非常に旧知の仲である寺田大使現地対策本部の顧問とするということで、現地での対処にも遺漏なきを期する、そういう体制で進めておるところでございます。  さて、そのほか、今御質問の中で、これから将来に向かって我が国として協力できるところ、あるいは関係諸国との調整あるいは理解を得るということいかんという質問がございました。.これからの問題につきましても、基本的に我が国政府といたしましては人命の尊重ということをまず最優先にいたしまして、そしてこの対処については基本的にペルー政府の作業というか活動に全幅の信頼を置きつつ、同国の関係機関あるいは関係国と緊密に連絡をとりながら平和的解決、そして人質全面解放に向けて全力を尽くしたい、こういうことでやっておるわけでございます。  そういったことで、私自身が参りましてフジモリ大統領とも二度にわたりいろいろお話をいたしまして、まず我が国としての基本方針、先ほどから申しますように、平和的な手段で、そして人質状態にある方々の安全というものを最優先にしながら早期解決を図るという方針をよくお伝えし、基本的にペルー政府も同じ考え方に沿って着実にやっておられる、そういうことを確認してきたわけでございます。それからさらに、私は帰ってまいりましたが、先ほど申しました現地対策本部あるいは寺田大使等ペルー政府との間の緊密な連携の仕組みも確立させてきたわけでございます。そして、その後もそれがちゃんとワークをしております。  それから関係諸国、いっときは多くの外交団方々人質状態になったわけでございます。その後、順次解放はされておりますけれども、現時点におきましてもなお我が国以外でも五カ国の大使あるいはほかの方が人質状態にあるということでございますので、そういったところとも緊密に連携をするようにしております。これは東京において、あるいはそれぞれの関係国にあります我が国公館を通じて、そして現地ペルーにおける各国の大使館との間ということで、三つのチャンネルでそれぞれ緊密な連携をしているところでございます。  私自身ペルーへ参りましたときに、そういったいわばこの事件に巻き込まれた形になった国々の外交団方々に、主要国については個別に、また全体としては大使を初め、あるいは大使人質状態になった国についてはそれにかわる方々に集まっていただきまして、我が国としての考え方、あるいは私がフジモリ大統領とお会いした上でのペルー対処ぶりについての、詳しいことは申せませんでしたけれども、私の得た心証も含めていろいろお話をし、連携をとっているところでございます。  そういったことでございまして、事柄の性格上、なかなか具体的な点について必ずしも御説明申し上げられないところは本当に恐縮なのでございますが、やはり人質の安全にかかわる問題でございまして、例えば本委員会における御審議につきましても報道を通じて広まってまいりますと、場合によっては人質となっておられる方々安全確保影響も及ぼすという可能性もあるわけでございますので、その点詳しく御答弁申し上げられない点は御理解賜りたいと思います。  いずれにいたしましても、まずペルーときちんと連携をとりながら、そうして関係国ともよく意思の疎通を図りながら、人質状態にいまだにとどめられておられる方々の安全を最優先にしながら早期全面解決全力をもって当たってまいりたい、こう考えておりますので、どうぞ今後ともよろしく御理解あるいはお力添えを賜りますようお願い申し上げる次第でございます。
  11. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 どうもありがとうございました。今後とも、ペルー政府とも緊密な連携をとりながら、迅速な平和的解決ができますよう御努力をお願い申し上げます。  なお、本事件に関連しまして、私どもが大変危惧をしておりますのは、一部新聞等報道されておりますが、日本国内におきまして、ペルー大使館ペルー人経営レストラン等に対して投石があったり嫌がらせが見られるというように聞いております。このことは大変私は遺憾なことであるというように思いますが、外務大臣の御見解をいただきたいと思います。
  12. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 私も報道を通じまして、日本に来ておられるペルー人方々に今おっしゃるような嫌がらせ投石、甚だしきに至っては何かお仕事を奪うというようなことまであったというようなことを知りまして、何と申しましょうか、大変遺憾なことでございますし、憤りというのか、やりきれなさというのか、本当に残念なことだという気持ちでいっぱいでございます。  御承知のとおり、現在この事件の最終的な、しかも本当に結果的にハッピーな解決をもたらさなくちゃいかぬということで、ペルー政府全力をもってこれに対処していただいておるわけでございます。ペルー政府だけじゃございません、ペルー国民方々も、ちょうどクリスマスでございましたが、報道日本国民皆様方もごらんになったところでございますが、人質方々の安全を、そうして早期無事解放を願って大勢の方々がミサに参加されたり、あるいは解放を願うデモに参加されたりしておられるわけでございます。これはいわば政治的な立場も超えて、ペルー国民がみんなそういう願いで、またその行動にも出ておられる。一そういった中で、我が国において、在日ペルー人方々に対して報道されたような心ない、あってはならないことがあるということは、これはまさに許されないことでございますし、どうぞ日本国民方々も、事件早期解放を願ってペルー政府あるいは国民方々の御努力感謝をしていただきこそすれ、報道されたような心ない行動のないように、政府としても本当に願っておるところでございます。
  13. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 ただいまペルー事件は非常に危機的な状況にあるわけでございますので、外務大臣におかれましては、どうぞ御退席いただきまして、先ほど申し上げましたように、平和的な解決ができるだけ早くできますよう御努力いただきたいと思います。  次に、大蔵大臣にお伺いいたします。  大蔵大臣予算折衝で大変お疲れのところでございますが、決算委員会大蔵大臣所管でもございますので若干お伺いをいたします。参議院決算のあり方について政府の御見解を問いたいと思います。  平成六年度の決算につきましては、本年の五月十五日の参議院会議大蔵大臣概要報告を受けて質疑を行いました。同日、決算委員会に付託されまして、直ちに大蔵大臣及び会計検査院長からそれぞれ説明を聴取いたしたわけであります。しかしながら、第百三十六通常国会では実質的な審査に入れなかった。通常国会閉会の翌日、すなわち本年の六月二十日に全般的質疑の第一回目を行い、その後、七月、九月、十一月に連続して審査を行いまして、本日締めくくりの総括質疑を迎えたわけであります。  私ども参議院決算委員会としては、少なくとも次の平成七年度決算国会に提出されるまでには六年度決算を議了して、その成果を次の予算に反映させたいという思いであります。国会開会中にできなければ閉会中にと、本日もそうでございますが、決算審査に精力的に取り組んでおります。しかし、決算審査というのはやはり国会の開会中に行いまして、足りなければ閉会中にも審査を進めるというのが国会活動の本来の姿であろうと思います。ところが、実際には閉会中審査が常態化しております。この点は私ども国会運営の立場から反省すべき点がありますし、改善の余地があると思いますが、参議院決算審査に対する政府側の協力につきましても大変重要であると考えております。  そこで、大蔵大臣に伺いますが、これまでの参議院決算審査に対する取り組みについてどのように評価をしておられるか、また国会決算審査に対する政府側の協力ということについての御所見を伺いたいと思います。
  14. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 本日も年末の真つただ中で閉会中審査に御熱心にお取り組みをいただいておりますこと、委員長を初め委員各位の国政に対する責任という意味の御努力に深い敬意を表するものでございます。  決算は御案内のとおり予算の執行の実績でございまして、国会における決算審査はまさに予算執行が所期の政策目的に合致をいたしておるのかどうかということについての審査、検討でございまして、国政における極めて重要な部門であると考えております。  このような重要な決算審査に当たり、精力的に本院の決算委員会審査が行われており、決算審査の充実に取り組む御努力、ただいま委員御指摘のように通常会中に、国会開会中に行うべきのところ、閉会審査やむを得ず、そういう状況でありますこと、院の問題とは存じますけれども、私ども政府といたしましても、事柄の重要性にかんがみまして今後最大限の努力をし、協力をしてまいる所存でございます。
  15. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 決算審査に関連をいたしまして、決算早期に提出をしていただくという問題がございます。  本決算委員会におきましても、また参議院の本会議においてもしばしば質疑が行われておりますが、財政法第四十条が決算早期提出の支障になるかどうかについて質疑が行われまして、政府から明快に「決算を常会以前に提出することは現行財政法上可能である」という答弁をいただいております。  そこで、国会決算審査の成果を早期に次の予算編成に反映させるためには、まず決算国会提出を早めるべきではないか、そのことを具体的に検討すべき時期に来ているのではないかと思います。  さらに、今月の十六日でありますか、本院の前田勲男議員が座長をされております参議院制度改革検討会から議長に対しまして報告書が提出されました。  その第二番目に、「決算審査の充実について」が取り上げられており、その中で「決算早期提出を政府に求めるとともに、早期提出を確実なものとするため財政法及び関係法令の改正を併せて求める」としております。「早期提出を求める以上は、参議院としても決算早期審査を行う必要がある。」として、具体的には通常国会冒頭の代表質問に引き続いて決算概要報告を聴取するとしております。  今後、参議院の各会派間の協議で具体化していく問題であるとは思いますが、参議院改革の中で進められようとしている決算早期提出、早期審査ということについて、改めて政府側及び会計検査院の御所見を伺いたいと思います。
  16. 細川興一

    説明員(細川興一君) 決算国会への早期提出につきましては、予算編成に反映させる見地からのみならず、決算の効果的な審議をお願いするためにも望ましいことと考えております。  政府としては、従来からできるだけ早期決算国会に提出するよう努力してきたところであります。このため、提出前に必要な手続である内閣から会計検査院への送付は財政法第三十九条の規定では「翌年度の十一月三十日まで」とされておりますが、これまでいろいろ努力を行ってまいった結果、現在では十月の初旬に送付しているところでございます。  今後とも、決算作成の事務の促進を図るべく政府として最大限の努力をしてまいる所存でございます。
  17. 疋田周朗

    会計検査院長職務代行(疋田周朗君) お答え申し上げます。  会計検査院といたしましては、決算とあわせまして検査の結果が予算編成に十分反映されることを強く希望しているところでございます。したがいまして、委員御指摘の決算早期提出の重要性につきましては十分認識しているところでございます。  会計検査院では、膨大な検査対象につきまして一年間の検査サイクルで会計検査を実施しておりまして、現行のサイクルでは一月から七月までの地方実地検査、それから九月の本省等検査、十月から十二月までの検査報告の取りまとめ業務というようになっております。これらの業務が終了し、検査を終えた決算とともに検査報告を内閣に送付するのが毎年十二月中旬となっておるところでございます。  したがいまして、会計検査院といたしましては、現行の検査サイクルを基本としながらも、十月以降の検査報告の取りまとめ業務をより効率的に行うなど、一層の工夫を凝らすことによりまして検査報告の内閣送付をできるだけ早めるよう最大限の努力をしているところでございます。
  18. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 次に、今回いろいろと問題になっております厚生省の特別養護老人ホームの事件に関連をいたしまして、公的建築施設の補助の問題、さらに積算見積もりにつきまして御質疑をいたしたいと思います。  最初に、厚生省の方から御報告をいただきたいのでございますが、事件の主役でありました小山理事長が関連します彩福祉グループ関係施設がいろいろあります。八つか九つ、埼玉県と山形県にわたってあるわけです。  この中で、吹上苑とそれから川里苑というのがあります。この二つの施設につきまして、おのおの国庫補助額と県の補助額、それから県単でやっております補助額、それから社会福祉・医療事業団からの融資額について御説明をいただきたいと思います。
  19. 羽毛田信吾

    説明員羽毛田信吾君) お答えを申し上げます。  吹上苑と川里苑につきましての補助の状況を申し上げます。  まず、吹上苑でございますけれども、国庫補助額が二億六千六百万円でございます。それから県の補助、これは法定補助が一億三千三百万、さらに県の単独補助が一億ということでございます。それから社会福祉・医療事業団の融資が二億七千万でございます。  それから、川里苑でございますけれども、国庫補助額が三億五千万でございます。県の補助が一億七千五百万、これは法定補助でございますが、そのほかに県の単独補助で一億三千万ということでございます。それから事業団融資が三億三千五百万、こういうふうに相なっております。
  20. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 そういたしますと、この吹上苑の補助額の合計、国庫補助額と県の補助額と県単補助額の合計、要するに税金で賄っている部分でございます、これは単純に足せばいいわけですが、これが約五億円になりますね。それから川里苑が補助金の合計が六億五千万円になる、こういうことですね。  今度はちょっと別の観点からでございますが、この吹上苑の施設の建設にかかわる元請契約額と下請契約額、それから差し引き、いわゆる丸投げによる利益と新聞報道等では言われておりますが、その差し引き額。同じく川里苑につきましても、元請契約金額と下請契約金額、それから差し引き額。これについて御報告をお願いします。
  21. 羽毛田信吾

    説明員羽毛田信吾君) お答えを申し上げます。  今申し上げました中で、いわゆる建設工事にかかわる部分で今回いわゆる元請金額と下請金額との間で大きな差があったということでございまして、その施設建設にかかわります元請契約額と下請契約額とを述べさせていただきます。  まず、吹上苑でございますけれども、元請の契約金額が六億五千九百万、それに対しまして下請契約額が四億五千五百万、差し引き二億四百万のいわば差が出ております。  それから、川里苑でございますけれども、元請契約金額が八億五千二百万、それから下請契約金額は六億三千万ということで、差し引き二億二千二百万の差が出ておるというふうになってございます。
  22. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 そうしますと、吹上苑では税金で構成されている補助金の合計が五億円なんですね、さっき申し上げましたが。それから下請契約金額、要するに実際の工事費、これは四億五千万ですね。ということは、補助金が五千万余っているんです。補助金の方が建築費よりもたくさん出ているわけですよ。それが小山グループに行っているわけです。それから川里苑の方も、補助金の合計が国、県合わせて六億五千万、下請は六億三千万。ですから、二千万実際の建築工事費よりも補助金だけで多いわけですね。  さらに、融資というのは、これもやはり税金が関与しているわけでありますが、融資額を入れれば吹上苑については七億七千万円、下請金額が四億五千万円ですから、もう三億二千万以上公的な費用の方がたくさん施設には出ている。実際の工事費に比べて三億も公的な資金が出ている。ただ、これは融資ですから、いろいろな見方があるでしょう。補助金額は純粋に税金ですからね。そういうような状態になっているということはこれはどういうことですかね。
  23. 羽毛田信吾

    説明員羽毛田信吾君) 私、先ほど述べました国庫補助額あるいは各種の県の補助等の額につきましては、先ほどの対応で申し上げますと、元請なり下請の金額を申し上げましたが、そのうちの建設工事にかかわる部分でございます。したがって、国庫補助なりあるいは県の補助は、それ以外に設計監理あるいは介護リフトとか初度設備等その他のものを入れました事業費でございますので、そういった総体額との差というのはそこに出てきております。  したがいまして、建設工事との関係からいきますれば一先生おっしゃるような形での国庫補助が余分に出ているという実態にはなっておらないわけでございます。
  24. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 設計費用なんというのは大したことないんですよ。建物の工事費が大部分を占めているわけですから、ほとんど補助金は全部下請プラス彩グループに行っているわけです。  それで、こういうのはなぜかということですが、いろんな考え方があるんでしょう。一つは、建設業者が赤字覚悟でやったというようなのがあるいはあるかもしれません。しかし、一般的に見れば、その補助対象となるいろいろな特別養護老人ホームの施設についての積算見積もりが甘かったんじゃないかというようにも思われます。  その点について、この補助対象である吹上苑なり川里苑なり、あるいは割に大きいのが「あけぼの」というのですか、三十二億九千六百万円、下請が二十六億円で、丸投げの利益が六億五千八百万円も出ているというこの「あけぼの」等々、見積もりのやり方はどんなふうにしてやられているのか。
  25. 羽毛田信吾

    説明員羽毛田信吾君) お答えを申し上げます。  事件になっております特別養護老人ホームは、それぞれ社会福祉法人が設置をいたすものでございます。したがいまして、いわゆる工事に係ります見積もりそのものは事業者でございます法人において行われるわけでございますが、国庫補助につきましては、それを国庫補助の基準という形で、単価なりあるいは基準面積という形で一平米当たり幾らの単価、それから何人入る施設であるというようなことから計算をする、いわゆる国庫補助基準単価になっておるわけでございますので、国庫補助基準単価についての決め方ということでお答えをさせていただきます。  これにつきましては、これまで現実に行われている施設の建設につきまして実態調査等を行いまして、この実勢単価というものを踏まえまして基準単価の改定を行ってきております。  そういう中で毎年度基準単価なりを決め、また施設の基準面積等につきましても、特別養護老人ホームの内容の充実というようなことをも勘案いたしまして面積の改定等を行ってきていると。そういう形でいわば物差しを決めまして、それでそこのやろうという施設がその物差しで何床の施設であるか、どこの地区につくられるものであるかということで、そういう積算をいたして国庫補助基準を決めております。そしてそれを受けて今度は具体的なプロジェクトとしては、その福祉法人が見積もりをしまして契約をしているという形でやられておるものでございます。
  26. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 補助金は税金ですから、当然税金の対象としての補助対象額というものを決めるわけですね。それについては、例えば二分の一を国が補助金を出す、こういうような仕組み。ですから、補助対象額としての施設費の見積もりというのが極めて重要であるわけです。  ところが、今お聞きしますと面積だけとかいうようなお話ですが、やはり施設についてはきちんとした見積もりを積み上げて、こういうような補助対象が想定されるからこれについて補助額はかくかくしかじかであるということで、財政当局と予算折衝をしながら積み上げていくべきであると思うんですが、そういう単価の見積もりの作業を実際に厚生省ではやっているんでしょうか。
  27. 羽毛田信吾

    説明員羽毛田信吾君) 基本的に先ほどお答え申し上げましたように基準単価というものを決めまして、それから基準面積というものを決めまして、その積算によって国が補助すべき国庫補助基準額というものを設けております。そのほかにその施設のエレベーターでございますとか、そういった付加的な施設整備がどうあるべきかというような観点を含めながら国庫補助基準というものを決めてやっております。その基準を決めるに当たりましては、先ほどの実態調査等の分析に当たりまして専門家の意見も中に入れながら決めておるというのが実態でございます。
  28. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 その専門家の意見を聞きながらというのはどういうことですか。  大体基準単価といったって、基準単価の見積もりをどうやってやっているんですかと聞いているわけですよ。例えば土工事がどうで鉄筋工事がどうでというような見積もりをやっていくわけでしょう。それで見積もりの全体をとって、その総計としてこの施設についてはこれだけの工事費が必要である、それの補助対象額はこれだけだ、その二分の一を補助金として出すというようなことでやっているはずですが、単なる基準単価の問題を聞いているわけですから、そこのところを含めてお伺いします。
  29. 羽毛田信吾

    説明員羽毛田信吾君) 基準単価につきましては、今お話しのあれでございますと、鉄筋の場合には平米当たり単価を幾らにする、それからブロックの場合には幾らにするという形で単価を決めまして、それに必要面積を掛けるという形で補助基準額を決めているというのが現在のやり方でございます。そこに付加的な施設等につきましてさらにその配慮を入れて決めるというやり方で補助基準そのものは決めております。  具体的なプロジェクトの、具体的なこの施設についてどうする、どのような工事費でやるか、あるいは工事の見積もりをするかということはその社会福祉法人が事業者としてやっているという形になってございます。  それから、先ほどのお話で専門家と申し上げましたのは、実勢単価や何かを調べました結果を分析するというときには、厚生省の中にも国立病院部の中に建築の専門家あるいは電気技術の専門家、機械の専門家がそれぞれおりますので、その参画を得まして、大体標準的な仕様というものがどういうふうにあるべきかというような意見をちょうだいして、それからやっておるということでございます。
  30. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 鉄筋コンクリートが幾らでブロックが幾らなんてそんな大まかな話ではなくて、鉄筋コンクリートであっても、何平米の特別養護老人ホームであればこうこうこういうような施設が要って、それに今言ったように工事別に人件費が幾ら材料費が幾らと、そういうものを積み上げていくのが積算でしょう。そういうようなことはしないで、単に鉄筋コンクリートは幾らとか、そういうことでやっているんですか。  それから、もちろん実際に発注するときは彩福祉グループ、そこで発注価格というのは出すんでしょうけれども、少なくとも厚生省が補助金を支出する以上は、その補助金に相当する額についてはきちっとした積算がなければおかしいわけですからね。そこのところを聞いているわけです。
  31. 羽毛田信吾

    説明員羽毛田信吾君) お答えを申し上げます。  今の先生のお尋ねに即して言えば、私どもの今の国庫補助のやり方は、そういうように個別のプロジェクトごとに具体的にその施設の建物から廊下からいろんなものを積み上げて国庫補助額を決めるというやり方ではなくて、先ほど来御説明申し上げておりますように、鉄筋であるかブロックであるか、そういったある種の類型化をしまして、それについて集計分析の中で標準的な仕様を出しまして、そのときの単価というものの実勢を調べて、その実勢単価に応じて掛け算をして積算をするというような形の中で国庫補助を決めるというのが今のやり方でございます。
  32. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 だから、そういうようなやり方の欠陥がこのたび露呈したわけですね、補助金の額の方が工事をやる業者の請負金額よりも多かったというんですから。そういうようなやり方を改めなきゃならない。  それからもう一つは、補助金の額よりも実際の工事費価格が少なかったというのであるならば、これは会計検査院も関連するんでしょうが、その補助金については返還をするよう厚生省としては今後求めるんでしょうか。
  33. 羽毛田信吾

    説明員羽毛田信吾君) 先ほど先生にお答えを申し上げましたいわゆる丸投げによるさやが生じたというところは建設工事に係る部分でございまして、総体事業費として申し上げれば、吹上苑の場合でございますと、そのほかの設計監理、介護リフト、初度設備等を入れれば七億六千四百万の総事業になっておりますし、それから川里苑の場合でございますと九億九千百万余の事業費になっておりますので、そうした中でその中の一部としての国庫補助基準額でございます。  したがって、その国庫補助基準額をさらに下回って契約金額が総体としてなっておればおっしゃるような事態がございますけれども、今回の場合は、いわば国庫補助基準額を上回るような施設を整備いたしまして、それはある意味からいうと豪華な施設ということになるわけでありますけれども、そういう一つのプロジェクトを組みまして、その総事業費もそういうふうにしまして、そこからいわば元請と下請との間でさやをとるというような形になっております。今、具体的に判明をいたしておりますのは建設工事に係る部分でございますけれども、そこの部分でさやをとるという形、現在いろいろ話題になっております二十七億というのはそこの部分のさやでございます。  したがって、全体として言いますれば、まだ国庫補助基準額を上回るところで総事業費は決定をされているということでございます。ただ、そういう全体を無理する中で本当に国庫補助基準としてやっておるようなきちっとした工事がやられているかどうか等々につきましては、今後もまだ精査をしなければならない要素もあると思いますし、そうした中で、おっしゃるように、もしいわゆる今度のような事態があれば、これは検査院ともよく御相談をして、国庫補助上の扱いについては今後検討していただかなければならない部分はあると思います。
  34. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 どうも局長の答弁を聞いていますと、これだけ社会問題化して丸投げで二十億も三十億も彩グループがもうかっている、それが一部厚生省関係に還流されたと、こういうような非常に社会的に厳しい事件のときに、いや、この補助の見積もりは設計費とかなんとかと。設計費なんてわずかなんですよ、設計費なんというのはせいぜい一%かそんなものですからね。そうやって逃げていくというのは極めて遺憾だというように思います。  これだけ社会問題化している以上は、この丸投げの費用、特に吹上苑等については補助金の総額よりも工事費の方が安かったわけですから、これは当然補助金の返還を求めるというような厳しい姿勢に立って検討を進めるべきではないかと思うんですが、いかがですか。
  35. 羽毛田信吾

    説明員羽毛田信吾君) 今私どもで把握をいたしておりますところによりますれば、吹上苑の場合でございますと、総事業費七億六千四百万、内で設計監理等で三千五百万、それから介護リフト等で六千六百万、それから初度設備で約四百万、それに先ほど申し上げました建設工事費六億五千八百万というものが乗りまして七億六千四百万になっております。したがって、そういうその他の経費を含めたところでの国庫補助であるという点が一点。それからもう一つ、これは先生がおっしゃる趣旨も踏まえてこれから検討しなければならないところでございますけれども、実はそのさやが生じたのは元請と下請との関係において生じております。  したがって、元請で工事を受けたということ自体が無効になっていないという事態で一応想定をいたしますというと、元請と下請との間で生じた利ざやというものを、いわば下請業者が最初から社会福祉法人との間でやったような形にできるものなのかどうか、そこらのところはなかなか難しい問題があろうと思います。  つまり、工事としては一応元請が契約を受けているわけでございますから、その元請の工事を受けました額との関係においてはさやが生じておらないわけです。元請と下請との間でのさやという形でそれが生じておりますので、そこがどこまで追い切れるものか、ここらのところにつきましては、財政当局あるいは検査院ともよく御相談を申し上げて、どのような対処ができるか今後とも検討してまいりたいというふうに思っております。
  36. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 元請と下請といったって、下請が工事をやっているということは、実態的にその費用でできているということでしょう。補助金がそれを上回っている。あなたが言う初度費用だとか設計費とかで、融資額の方も全部入れて吹上苑についていえば七億七千万、補助金も入れて支出しているわけですから、非常にその答弁は遺憾でございます。  こういった問題について、会計検査院見解を問いたいんですが、いかがですか。
  37. 諸田敏朗

    説明員(諸田敏朗君) お答え申し上げます。  彩グループの社会福祉法人の設置しました特別養護老人ホームに係ります施設整備費補助金につきましては今後検査を行う予定でありますが、その際にはただいま先生御指摘の点も十分踏まえまして実施する所存でございます。
  38. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 今の会計検査院の方の答弁のようにきちっと精査をしていただいて、その仕組みも十分検討をしていただきたいと思います。  さらに、私はやはりこの問題の実質的な問題としては、厚生省が補助金を出すに当たって、施設に対する積算体制というのかな、見積もり体制がきちっとできてないんじゃないだろうかというように思います。その積算の体制は今一体どんなふうになっているのか。それから今回の事件にかんがみて、今後積算体制というものをどういうふうに見直していこうと考えているのか、いかがですか。
  39. 羽毛田信吾

    説明員羽毛田信吾君) 私ども、現在の補助基準単価の決め方、あるいはその基準の決め方につきましては、先ほど来御説明申し上げたとおりでございますけれども、この補助基準単価を決める、あるいは補助基準の全体を決めるというときに、今までは実態調査を行いました際に、その調査分析なり、そういった部面で省内の他部局、具体的に申し上げれば国立病院部にはそういった建設関係、建築関係、それから機械関係、電気関係の専門家は相当数おりますので、そのスタッフの参画を得て検討いたしてまいったわけであります。  今回、先生御指摘のように、現にこういう形で彩福祉グループによる丸投げというようなことも起きてまいりましたし、今後、より一層実態に即した実勢単価のあり方、補助基準単価のあり方ということをきちっとしていただかなければならないということがございますので、そういった意味で、省内におけるそういった技術部門との連携をより密にしてやっていきたいというふうに思っております。
  40. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 それから、これは厚生省だけに限らないんですが、契約のあり方ですね。少なくとも税金が、下請のやっている工事費、あるいはそれ以上の補助金が入っている施設の発注について、一般的に公共建築であれば今までは指名競争入札、今は一般競争入札ですか、そういうような発注方式をとってきたわけです。今回の特別養護老人ホームの工事の契約の仕組みを新聞報道によるところで関知いたしますと、すべて社会福祉法人である彩福祉グループから小山がやっているジェイ・ダブリュー・エム、実際にはぺーパーカンパニーみたいな、そういう建設という名前だけのついたところに随意契約をやっているんでしょう。指名競争入札とか一般競争入札とか、そういうことをやっていないわけですね。そこに諸悪の根源があるのかもしれませんね。  したがって、少なくとも補助金が非常に多くの部分を占めている。わずかな部分なら別として、そういうものについては公的な建築物と同じように発注、入札のあり方についてやはり検討する必要があるんじゃないか。特に埼玉県なんかの場合は九割近くが補助金で占められているわけですから。さらに融資もありますしね。これについてはどういう見解でしょうか。
  41. 羽毛田信吾

    説明員羽毛田信吾君) お答え申し上げます。  先生御指摘のとおり、今回のそれぞれの入札のあり方につきましては、極めて問題が多かったというふうに私どもも今反省をいたしております。形は、場合によって競争入札をしたような形をとっている場合もございますけれども、どうも実態を調べていくと、その社会福祉法人自体の意思決定としてもそういう痕跡が見られなくて、理事長の独断でやっているようなもの、あるいは本当に随意契約みたいになっているもの、さまざまでございます。いずれにしても極めて不適切な契約方法がやられていたことは事実でございます。そのことを私どもは反省しなければならないと思っておりますし、全国的にこれを契機に少しヒアリングをしたのでございますけれども、全国的にもまだそういう意味での徹底が図られていない部分もあることがわかりました。  したがって、先生仰せのように、これからの入札につきまして、確かに今の私どもの方の規制自体が公共工事に比べましてやや緩やかな、社会福祉法人のいわば創造性と申しますか、いわば善意を信じたような形になっている部分がございます。これをどの程度、どういうふうにしていくかという点はございますけれども、もう少し厳正にやっていく方法というものについて、目下検討委員会で一月末をめどに結論を出そうということでやっておりますので、その中の大きなテーマとして、入札のあり方、契約のあり方ということをどのように国レベルでいわば指導をしていくか、また県レベルでどのように受けとめていただくかというようなことを含めまして、検討を進めたいというふうに思っております。
  42. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 ちょっと前に戻りますが、積算見積もりの体制あるいは見積もりのあり方というのは非常に重要だと思うんですが、こういうようないろいろな不祥事が起こった。補助金というのは国で言えば全部の補助対象額の二分の一ですね。その二分の一の補助金に若干の地方単独の補助金が入ってはおりますが、それよりは工事費はもっと安かったと。こういうような中で、来年度、特別養護老人ホーム、最初、一次内示ではゼロだというから、なかなか大蔵省もやるんだなと思ったら、最終的には特別養護老人ホームは全額復活したという。復活したという以上は、単価についてはどういうような単価で復活されたんですか、この補助単価。こういう不祥事があったけれども、補助単価の見直しはないままに相変わらず同じような形で補助金が予算として内示されたんでしょうか。
  43. 羽毛田信吾

    説明員羽毛田信吾君) 今回の予算編成過程におきます特別養護老人ホームの施設整備に係ります状況、先生お話のございましたように、やはりこの不祥事にかんがみまして、今後の再発防となりにどのように取り組むかということについての厚生省としての取り組みの方向なり姿勢なりというものを見きわめた中で予算化をしたいということでの財政当局のお考えがございました。  そういう形で、最終的にはつきましたけれども、その際にも、先ほどのお話との関係で申し上げれば、大蔵省も入りまして、一月中旬をめどにまず工事契約等につきましての全国的な実態調査をして、今後の工事契約なりの適正化をどういうふうにしていくかということについてのきちっとした総点検をもう一回するということが、いわば予算がつきます際のお話として私どもに来られまして、それを受けとめてやっていくという点が一つございました。  それから単価の点でございますけれども、単価につきましては、据え置きの単価でとりあえずちょうだいをいたしておりますけれども、実勢価格の調査等をいたしますにはそれなりの時間もかかりますので、これにつきましては据え置きという単価をもらいながら、平成九年度においてその単価の実勢単価をどのような形でするか、これもさらに調査をして実勢に近づけるような努力をするということを約束しましたということが実態でございます。  いずれにしても、特別養護老人ホームの整備の予算というものは、現在超高齢社会を控えましてこれが全然つかないということになりますと、今後の要介護者の方々に対する対応というものに非常に大きな支障を来します。それぞれの地域で待たれておる施設でございますから、そういう意味では何としても整備そのものはお願いをしたいということで最終的にお聞き届けをいただけたという形で、このような推移になってございます。
  44. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 単価の見積もり体制について、十分御検討して整備をしていただきたいように思います。もちろん、特別養護老人ホームもこういった不祥事でなくすというわけにはいかないわけでございますから、これは厚生省としても重要な施策でありますから、そういった体制整備しながら拡充をしていく必要がある、こういうように思います。  ところで、こういった積算見積もり体制について若干の省の方に来ていただいておりますのでお伺いをいたしますが、まず厚生省で似たような施設として保育所がありますね。保育所の関係については、工事費、補助金の補助単価の見積もりの体制がどういうふうになっているのか。それからさらに、社会福祉法人である保育所からの工事についての契約、入札システムはどんなふうになっているのか、これについて伺います。
  45. 横田吉男

    説明員(横田吉男君) 保育所関係の単価の設定でございますけれども、これにつきましては、昭和四十七年に大蔵、厚生、自治の三省合同によりまして、五百を超える保育所について詳細な実態調査を行っております。それに基づきまして標準的な仕様を定めまして、定員、基準面積等を勘案して実勢単価を出しております。その後は物価等あるいは公立文教施設のアップ率等に応じましてその単価を伸ばしてきているというのが実態でございます。  それから、建設工事につきましての契約でございますけれども、これも一般の社会福祉法人と同様、補助金の対象になります保育所につきましては、公立の場合は地方自治法、あるいは社会福祉法人立の場合は社会福祉法人に関する経理規程準則によりまして、原則として一般競争入札に付するということにしているところであります。ただ、契約の性質あるいは目的によりまして、競争に加わるべき者が少ないというような場合につきましては、指名競争入札によることができるというふうになっております。  保育所の整備につきましては、今回の事件を契機といたしまして、現在、平成六年以降の全施設についてその入札状況等の実態を調査点検しているところでございますが、八年度におきまして民間福祉法人が創設いたしました保育所十九について取り急ぎ調査した結果によりますと、これらにつきましては、保育所の場合、一つは通所施設ということもございまして、一件当たりの工事高が一億五千万円ぐらいから三億程度の範囲でございますけれども、十九件すべてが指名競争入札で行われているという状況にございます。  私どもといたしましては、今後、省内の調査委員会の検討の中におきまして点検を行いまして、契約が適正に行われるようにルールの透明化等を図ってまいりたいというふうに考えております。
  46. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 保育所の場合はなかなか厳しいんですね、特別養護老人ホームと違って。民民で一般競争入札をやるというのだからなかなか厳しいものだなと思いましたが、それは別として、文部省、幼稚園はどうですか。
  47. 辻村哲夫

    説明員(辻村哲夫君) まず第一点の見積もりの関係でございますが、私立の幼稚園の施設整備費につきましては三分の一の国庫補助を行っておりますが、その補助単価につきましては、同じ施設でございます公立学校施設の補助単価に準ずるということで補助単価を設定してございます。公立学校の施設の補助単価につきましては、随時、全国の実態調査、最近は平成四年度でございますが、実態調査を行いまして、それに基づきました標準的な設計に基づきます標準的な単価ということで補助単価を設定しているところでございます。  それから、もう一点の入札その他契約の関係でございますけれども、公立の幼稚園につきましては入札ということで行われるわけでございますが、私立の幼稚園につきましては、設置者でございます学校法人が随意に建設業者を選択できるということが原則になってございます。ただ、この適正化を図るということから、私どもといたしましては、都道府県を通じまして、複数の業者から見積もりを徴取し、比較検討した上で適正な契約を行うようにという指導を行っているわけでございますけれども、原則として、公立と違いまして随意の契約で行われているというのが実情でございます。  以上でございます。
  48. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 保育所と幼稚園じゃまた随分違うんですね。各省によっていろいろと入札の仕組みが違うんですな。  建設省では似たようなものとして特優賃の住宅がありますね。これについてはどうですか。
  49. 小川忠男

    説明員小川忠男君) お答えいたします。  特定優良賃貸住宅の場合には、共同施設等の整備費、これは例えば共用の通行部分でございますとか管理室ですとかあるいは空地等、こういうふうな部分につきまして、国が三分の一、公共団体が三分の一補助をするというふうな形になっておりますが、実態はそれをはるかに下回る標準的な工事費の百分の五ずつを補助するというふうな形で運用をいたしております。  また、実際の運用に当たりましては、民間の方が工事発注するわけでございますので、現実に発注した場合にはその見積書を県に提出していただく、どのような価格で工事発注したのかという積算見積書の写しを提出していただくというふうな形にしております。  以上でございます。
  50. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 見積書を県に提出して検査してもらう、こういうことですね。  これは補助による施設ではありませんが、労働福祉事業団あるいは雇用促進事業団におきまして病院とか住宅とかいろいろやっておりますが、それの見積もり体制、仕組み、契約についてはいかがでしょうか。  まず労働福祉事業団
  51. 松原東樹

    参考人(松原東樹君) お答え申し上げます。  当事業団におきまして、御指摘のような医療施設でございます労災病院の増改築等の工事発注いたしておりますが、発注に際します見積もり等の体制につきましては、事業団本部に営繕部がございまして、そこに建築課及び設備課がございます。そこの技術職員、大半が建設省から割愛して出向していただいておりますが、その技術職員が積算並びにチェックをする体制をとっております。  また、積算に当たりましては、建設省建築工事積算基準などの基準類を用いまして、建設省と同じ考え方により実施しておるところでございます。  契約、入札につきましては、アクションプログラムに従いまして、原則一般競争入札、額によりましては指名競争入札、あるいは特段の理由があるものに限りまして随意契約によって契約の適正を期しておるところでございます。
  52. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 雇用促進事業団はいかがですか。
  53. 和田東洋司

    参考人和田東洋司君) お答えいたします。  雇用促進事業団では、福祉施設として勤労者のための総合スポーツ施設、共同福祉施設、それから勤労者総合福祉センター等をつくっておりますけれども、見積もり等につきましては、ただいま労働福祉事業団の方からお答えありましたけれども、システム的には大体同じシステムをとっております。私どもの方にも技術室がございまして、そこに建築関係それから設備関係の技術者がおりまして、積算等につきましてはその技術者が見積もりをつくり、またチェックをいたしております。  以上でございます。
  54. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 建設省の営繕部では、公的な建築物についての積算の体制はどんなふうになっておりますか。また、契約の方。
  55. 田村至敏

    説明員(田村至敏君) 積算体制についてお答えいたします。  建設省官庁営繕部におきましては、建築工事の基本となります積算基準の作成と個々の官庁営繕事業の発注に必要な積算業務を適正に実施するため、本省官庁営繕部及び地方建設局の営繕部に必要な積算の担当者を配置しているところでございます。
  56. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 営繕関係で、積算の専門家というか要員数はどのぐらいですか。
  57. 田村至敏

    説明員(田村至敏君) お答えいたします。  平成八年十月の数字でございますが、建設省官庁営繕部及び北海道開発局と沖縄総合事務局を含めました技術系の職員は千六十名でございますが、そのうち積算要員は百二十六名でございます。建築と電気設備、機械設備工事に分かれております。  以上でございます。
  58. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 時間がないので突っ込んだ質疑はできませんが、いずれにしても各省におきましてかなりばらつきがあるし、それから入札の仕組みにつきましても、補助金を受けた施設の建築の入札の仕組みについても、例えば建設省の特優賃、それから文部省の幼稚園、厚生省の保育所、かなりばらばらのような感じがします。  もちろん補助率の問題もあると思います。例えば、再開発などは補助率が全体の施設工事費の大体一〇%程度ですから、そういった場合のものと、それから今回の特別養護老人ホームのように地方公共団体の補助金を入れれば九〇%近いというような場合ではやはり発注の仕組みも違うし、それから積算体制についての整い方も違うんだろうと思います。そういうことからいえば、特別養護老人ホームについては積算体制が非常に弱いんじゃないかというように思われます。  この辺は、公共建築というのは補助建築も含めて国民の税金を支出しながら事業を実施しているわけでありますから、適正な見積単価によって工事を実施していく必要があるわけですね。ところが、各省によって非常にばらつきがある。  であるならば、やはり各省十分な連携をとりながら、工事費単価が適正な単価で行われるように、例えば建設省の営繕には百二十六人もの積算要員があるというならば、そういうような積算要員を中心として各省連携しながらやっていくようなことが必要であると思いますが、これについて営繕部長、どうですか、自分たちの積算要員をどうぞお使いになってくださいとかいうようなことはできませんか。
  59. 田村至敏

    説明員(田村至敏君) 先ほどお答えいたしました数字は、基本となる積算基準の作成を担任しておる人数と、それから私どもの実施しております営繕事業の発注に必要な積算要員でございますので、余力となる積算要員は現在ございません。
  60. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 いずれにいたしましても、公正な、適正な建築単価できちっと各省横並びで事業が実施されるように十分連携をとっていただきたいというように思うわけであります。そのためにも、これは会計検査院がそういった意味ではいわばそのお日付役でありますから、会計検査院としても十分にそういった体制について検討し、また予算の支出の官庁であります大蔵省主計局等々とも連携をしながら、この点については十分に御検討をいただきたいというように思います。  なお、発注の仕組み、入札の仕組みについても各省ばらばらでありますから、そこのところは補助率の問題があるからなかなか一律にはいかないとは思いますが、その点についても検査院として十分考慮された上で、必要であればこういった考え方決算委員会に示していただけるというようなこともやっていただきたいと思うんですが、いかがでございましょうか。
  61. 疋田周朗

    会計検査院長職務代行(疋田周朗君) ただいまの御議論を承っておりました。今後の検査に当たりまして、十分に念頭に置きながら鋭意検査に当たってまいりたいと考えております。
  62. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 それでは、時間が参りましたのでこれで終わりますが、ただいま申し上げましたように、公共建築あるいは補助建築、さらに公共工事等々につきましては、十分積算体制というものを検討して適正な単価で施行されるようにお願いを申し上げまして、私の質問を終わります。
  63. 松村龍二

    ○松村龍二君 自由民主党の松村龍二でございます。  決算委員会におきまして質疑の機会を与えていただきまして、大変光栄に存ずる次第でございます。  まず、農林水産省、農林水産大臣にお伺いするわけでございますが、木曽岬干拓事業の進捗状況についてお伺いしたいと思います。  ちょうどこの質問を準備しておりましたところ、十二月二十三日の朝日新聞にこの木曽岬干拓地につきまして記事が載っております。  「「陸」になれぬ干拓地」。「百五十五億円を投入 使途定まらず」。「木曽岬干拓地。 愛知、三重県境の木曽川河口部にある。東京ドーム九十五個分の空き地にススキや雑木が茂っている。」。「農水省の直轄事業としてネギやニンジンなどの耕作を目的に一九六六年に着手された。七四年に干拓はほぼ終了し、」、二十二年かかった「八八年には道路や排水路も整えられた。」。しかし、三重、愛知「両県が干拓地をより多く確保しようと県境の線引きで対立したため、帰属が決まらずに、「陸」としての承認がもらえなかった。」と。  ことしの二月に吉川委員質問をされて、その後多少変化しておるようでございますが、「農水省の事業終了をもって「陸」と認められる。」ために、「かんがい用のポンプが必要だが、まだ設置していないから」「事業は終了していない」。「そもそも「農地」という目的には疑問符がついている。「航空宇宙産業の集積地がいい」「いや空港かテーマパーク、万博会場はどうか」。様々な案が地元の経済界から出た。「名古屋が目の前のこの土地を畑にしようだなんて、だれもいわない」、こういうような記事があるわけでございます。  この干拓事業につきましては、平成元年度の検査報告で取り上げられて以来毎年度指摘されておりますが、ただいまの記事にありましたように事業が完了していないのであります。  本年二月の平成四年度、五年度決算の締めくくり総括質疑の際に我が党の吉川理事からも早期解決を求める質疑がなされておりますが、その後どのような状況になっているか説明をしていただきたい。
  64. 野中和雄

    説明員(野中和雄君) 木曽岬干拓事業の進捗状況でございますが、懸案でございました三重県、愛知県の県境問題につきまして、平成六年の六月に両県知事会議で合意をされたわけでございます。その後、両県の関係町、これは三重県の木曽岬町、長島町、愛知県の弥富町でございますが、の町境につきまして協議が重ねられておりまして、知事の裁定を受けるなどによりまして、ようやく平成八年九月三十日に町境が確定をしたところでございます。これによりまして土地利用計画策定の前提でございました県境及び町境問題が解決をいたしましたので、事業完了に向けまして大きな前進を見たものと認識をいたしております。  干拓地の土地利用につきましては、両県及び東海農政局で構成をいたします木曽岬干拓土地利用検討会議の中で、干拓地の立地条件や将来の農業情勢なども総合的に勘案をしつつ、干拓地の多角的利用も含めた検討を行っているところでございまして、当省といたしましても両県に対し必要な指導、助言を行っているところでございます。  両県知事におかれましては、今後早期に土地利用計画が策定できるように鋭意最大限の努力をするという旨、表明をされているところでございます。
  65. 松村龍二

    ○松村龍二君 ただいまの構造改善局長の御説明で、県境が定まりまた町境も定まって、土地利用計画の策定へ向けて関係者間で協議中ということでありますが、いつごろまでをめどに利用計画を決定するのが、お伺いします。  と申しますのは、木曽岬干拓を横断する第二名神高速道路の建設計画がありまして、平成十年度以降早期の完成を目指して既に一部事業が開始されているところであります。本件土地利用計画の決定がおくれますと、第二名神高速道路の事業の進捗にも支障を生じるのではないかと思われるところでございます。  土地利用計画の策定の見通しにつきまして、農林水産大臣見解をお伺いします。
  66. 藤本孝雄

    国務大臣(藤本孝雄君) 今、事務当局から御説明申し上げましたような状況でございまして、この土地利用の前提でありました県境であるとか町の境の問題が、率直に申し上げまして本当にようやく解決をしたということで、この土地利用についての前提が解決をしたということでございます。  我々としても、いろいろ今まで各方面から御指摘があったわけでございますので、土地利用計画が早急に策定できるように、両県に対しましては強く要請をし、指導をし、この事業が早く完了できるよう最大限の努力をいたしてまいりますし、また、今先生御指摘の第二名神の道路計画について支障がないように努力をしていきたいというふうに考えております。
  67. 松村龍二

    ○松村龍二君 それでは次に、旧臨時軍事費特別会計の最終処理の問題について、大蔵省にお伺いします。  聞きなれないあれでございますが、旧臨時軍事費特別会計は、日華事変、太平洋戦争に関する臨時軍事費の会計を一般の歳入歳出と区分し、整理するため、戦争終結までを一会計年度といたしまして昭和十二年に設置されたものであります。ところが、戦後五十年を経てなお、この旧臨時軍事費特別会計はその最終処理が終わっておりませんで、このため、現在も一般会計の歳入歳出決算に添付してその歳入歳出整理額計算書国会に提出されております。  各委員にも配付されている資料でございますが、平成六年度歳入決算明細書等に続きましてわずか七項目ある決算の参照書類の中の一項目、でんと座りまして「旧臨時軍事費特別会計歳入歳出整理額計算書」というのがございます。中を見ますと、歳入の部ですけれども、公債及繰替借入金、朝鮮総督府特別会計より繰入、台湾総督府特別会計より繰入、また歳出の項を見ますと、臨時軍事費、支那事件行賞諸費、俘虜収容費、物資特別購入諸費、軍政費等、最近では聞きなれない項目があるわけでございます。  そこで、大蔵省にお伺いしますが、この旧臨時軍事費特別会計の処理に関するこれまでの経緯及びその最終処理がいまだにできない理由につきまして御説明をお願いします。
  68. 細川興一

    説明員(細川興一君) まず、旧臨時軍事費特別会計の処理に関するこれまでの経緯について申し上げます。  先生、今御指摘がありましたように、臨時軍事費特別会計は、昭和十二年九月十日に臨時軍事費の会計を一般の歳入歳出と区分して終戦、終局までの期間を一会計年度として特別に経理するため、臨時軍事費特別会計法により設置されたものでございます。  この臨時軍事費特別会計は、昭和二十年、勅令第五百四十二号、「ポツダム」宣言ノ受諾二伴ヒ発スル命令二関スル件に基づく臨時軍事費特別会計の終結に関する件によりまして、昭和二十一年二月二十八日をもって同会計を終結し、歳入の収入済み額千七百三十三億円、歳出の支出済み額千五百五十四億円、差し引き剰余金百七十九億円をもちまして決算を行ったところでございます。  なお、臨時軍事費特別会計決算終結後に判明しました同特別会計所属の収入支出を整理した結果、約百九十八億円の歳入不足が明らかになったことから、ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く大蔵省関係諸命令の措置に関する法律によりまして、当分の間この収入支出については「別途に整理し、据え置くもの」とされております。また、この別途に整理することとされた金額は、旧臨時軍事費特別会計の歳入歳出の決算額と合算して、先生、先ほど御指摘がありましたように、計算書を作成し、毎会計年度の一般会計の歳入歳出決算に添付して国会に提出しているところでございます。  次に、その最終処理がいまだにできていない点につきましてでございますが、旧臨時軍事費特別会計所属の収入支出に係る整理額の処理につきましては、旧外地あるいは戦地における国庫金の受け払い等に関連いたしました債権債務の整理等が伴っていることからその解決にはなかなか困難なものがございまして、いまだ最終的な処理ができないところでございます。
  69. 松村龍二

    ○松村龍二君 農林水産大臣、昨日は予算の編成、本当に御苦労さまでございました。日本の食糧の自給、また、農林漁村の明るい発展ということに日々心魂をすり減らせて予算を成立させていただいたということで、心から敬意、感謝を申し上げる次第でございます。どうぞ御退席ください。  それでは、次の質問を続けます。  ただいま整理がなかなか難しいということで残してあるというお話でございましたけれども、この旧臨時軍事費特別会計歳入歳出整理額計算書によりますと、歳入につきましては昭和五十年度以降整理収入の計上はなく、また、歳出に至っては昭和二十三年度以降整理額はないのであります。こうした状況を見ますと、戦後五十年を経てもなおその最終処理ができないという根拠について納得しがたいのでございます。  この問題は平成三年に衆議院予算委員会でも取り上げられまして、その際、当時の橋本大蔵大臣からも、戦後四十年余を経てまだ最終処理が終わっていないことは好ましいものではなく、他の戦後処理問題とあわせて解決していく方向で努力する旨の答弁もされておるのでございます。  あわせて伺いますが、現在、百九十七億円の決算が生じているということでありますが、最終処理を行う場合、この負担は一般会計が負うことになるのか、また今後、この決算額が拡大する可能性はあるのか、お伺いします。
  70. 細川興一

    説明員(細川興一君) 旧臨時軍事費特別会計の収入支出につきまして、別途に整理し据え置くこと、現時点でとめて最終整理を行うためには、御指摘の欠損額、すなわち歳入額と歳出額との差額である歳入不足額約百九十八億円につきましては何らかの方法で一般会計の負担として整理することが必要であると考えております。  なお、この決算額が拡大する可能性があるかどうかにつきましては、旧臨時軍事費特別会計の収入支出が先ほど申し上げましたように旧外地あるいは戦地における国庫金の受け払いに関連したものでありますから、今後、当時の支出支払いについての事実が判明する可能性を否定することはできないと考えられます。したがって、現時点でその拡大の可能性の有無について予見を与えることは適当ではないと考えております。
  71. 松村龍二

    ○松村龍二君 私が今回この問題を取り上げましたのは、国家総力戦でありましたさきの大戦において、その戦費は多額の公債及び借入金により賄われ、それが戦後激しい財政インフレをもたらしたという苦い経験から戦後の財政制度が形成されたということに思いをいたしたからであります。その意味で、旧臨時軍事費特別会計は戦後財政制度にとってシンボリックな存在でありますが、この最終処理をおくらせることは、現在差し引き百九十七億円の欠損額の処理を戦後生まれの世代に負担させるのではないかというふうに思うところでございます。  先ほど平成三年に当時の橋本大蔵大臣からお答えがあったということでございますので、財政構造改革元年に当たりまして、もうそろそろこの問題の処理方策を明らかにする必要があるのではないかと思いますが、大蔵大臣の所見をお伺いします。
  72. 三塚博

    国務大臣三塚博君) ただいま御質疑の中で明らかにされましたように、この最終処理については、旧外地、戦地における同特別会計の国庫金の受け払い等に関連をしました債権債務の整理が伴うことから、その解決は極めて困難という見通しがあります。年という御指摘、いつまでもこれを引きずるということは決してよろしくございません。御指摘のとおり、最終処理が未済の状況にありますことは好ましくないものと考えておりますので、できる限りの努力をしてこの解決に当たってまいりたいと思っております。
  73. 松村龍二

    ○松村龍二君 昨日、いろいろ新幹線の問題等で時間が延びたという報道がされておりますけれども、九七年度予算の政府案が、七十七兆円の予算が決定されまして、大蔵大臣、大変御苦労さまでございました。  しかし、本日の新聞等をあけてみますと、「国・地方の債務五百兆円 GDP並み規模に 財政再建、一段と難しく」。これはどの新聞も同じような記事かと思いますけれども、「懸案先送り 負担増す」「公共事業 リストラ置き去り」「長期債務 処理の道筋見えず」「負担も借金も膨らんで… 国民一人当たり 七万円超す増税 公債は三百十七万円」と。一番大きな見出しを拾い上げるだけでこのようなことになるわけでございます。  既に国の財政が、公債の発行が二百四十一兆円になりまして、また地方の債務を合わせると四百四十二兆円、対GDP比で九〇%にも達しておる。また、国鉄清算事業団の長期債務が二十八兆円ある。また、国の会計間のやりくりであるいわゆる隠れ借金の問題、国有林野事業特別会計の累積債務の問題等を抱えた我が国財政状況は極めて厳しい危機的な状況に立ち至っているということでございます。そうした中で我が国財政は、かつてアメリカの双子の赤字ということで傍観しておりましたけれども、今や主要先進国中最悪の水準にまで落ち込んでいると言われるわけでございます。  そこで、政府といたしましては、第二次橋本内閣といたしましては、財政構造改革、金融構造改革、また経済構造改革、社会福祉構造改革等々、意欲的に我が国状況を打破しようということで、戦後五十年たちましていろいろな重荷を身につけた日本丸を二十一世紀に入りまして世界の諸国の中で生きていけるように、また日本国民が生きていけるようにということで努力しておられることと思うわけでございます。  そこで、大蔵大臣にお伺いしたいのは、今後我が国財政構造改革をどのように進めていこうとお考えなのか、その基本的な考え方及び決意のほどをお伺いします。  また、今回の予算につきましては、財政構造改革元年と位置づけ、その名にふさわしい予算編成に最大限の努力が払われたものと承知をしておりますが、平成九年度予算案におきます財政構造改革に向けた具体的成果につきましてもあわせてお伺いします。
  74. 三塚博

    国務大臣三塚博君) ただいま松村委員から、現下、我が国財政の危機的状況について御指摘をいただきました。  まさにそのとおりでございまして、先進七カ国サミット構成国の重要なポジションを占める、G7、蔵相・中央銀行代表者会議でこれまた重要なポジションを占める。G10というのもございまして、そういう中でマクロ経済はもとより、それぞれの主要国が健全財政を達成することなくして地球の平和はあり得ない、こういうことで、それぞれの国がそれぞれに目標を明示いたしまして努力いたしております。  委員御指摘のGDPに対比する債務残高、九〇%程度であります。最悪の状態であるというイタリーをはるかに凌駕する形に相なりました。経済大国日本どこへ行くという御批判が出てくる昨今でございます。このようなことを踏まえながら、まさに財政構造改革元年というので九年度予算編成に当たったわけでございますが、その基本的な方式といたしまして、まずは公債債務残高の対GDP比を二〇〇五年までにできるだけ全体で、地方財政財政赤字も含め、国の財政赤字を含めたその対比を三%、この目標に到達をしなければならないだろうと、こういうことであります。  御案内のとおり、アメリカ合衆国の目標、EUの主要国の目標、それに向けて、二〇〇一年でありますとか二〇〇〇年まででありますとかという厳しい目標達成年を明言しながらスタートを切っておるところであります。  我が国は二〇〇五年というところに目標を置いたわけでございますが、しかしこれとてもできるだけ早い機会に健全体質に戻っていかなければならないということであります。それには、この公債依存度の引き下げを断行することであろうということでございます。これらの目標を達成することは、後ほど申し上げますが、九年度はもとより十年度以降、聖域のない歳出カットをしていかなければなりませんし、この努力が引き続き求められておるわけであります。  なぜこれだけのことが、先進各国だけではなくそれぞれの国家が目標を立てるということでありますと、現世代の受益が国民負担をはるかに超えて行うということは決していいことではございませんし、それ以上に国民の一体化というものに大きな問題を投げかけるものでございますから、やはり現世代とすればこの問題、目的達成のために痛みを伴うだけではなく血が出るかもしれません。これにあらゆる観点からメスを入れることによって取り組んでいかなければなりません。  そして、初年度である平成九年でございますが、そのことを踏まえまして全体としての歳出規模を厳しく抑制することにまず努めたところでございます。この結果、消費税国庫負担分の増加などの特殊要因、いわゆる上がりますと国も消費税を払わなければいけませんから、四千億円を歳出に計上したわけでございます。そういう中で、九年度の一般歳出は一・五%の増ということでございましたが、これは財政健全化目標を達成するために定められました名目経済成長率よりも低く抑えるという原則を忠実に守りながら、三・一の名目成長に対し一・五ということであります。  ちなみに、平成八年度予算編成の際には、対前年比二・四というシェアであったことは御記憶のとおりでございます。消費者物価、九年度の見通し一・六と言われておりますが、この点を下回る倍率になったということでございます。  財政赤字の縮減につきましては、健全財政の目標といたしまして、ただいま申し上げましたとおり現世代の受益が負担を上回る状況は解消しなければなりません。そういう意味で、国債費を除く歳出を租税等の範囲内とするということであります。さらに、二〇〇五年、平成十七年でありますが、できるだけ早期に特例公債依存から脱却するために公債依存度の引き下げを図るということで努力をいたしたところでございます。  この公債依存からの脱却後、公債残高が累増しない財政体質を速やかに構築していかなければなりません。九年度予算において既に一つの問題、ただいま申し上げました租税等の範囲内ということは達成をいたしたわけでありますが、平成十七年度、二〇〇五年の特例公債からの脱却につきましても、八年度で十二兆円を上回る特例公債が発行されておったわけでありますが、九年度においては七・五兆ということで縮減をいたしたところでございます。目標値とすればまさに元年にふさわしい縮減額四・五兆円であったことは御案内のとおりであります。また、八年度の二八・〇%の公債依存度から今回は二一・六%、こういうことに引き下げたわけでございます。  これらを勘案いたしますと、九年度予算の制度改革の内容、財政赤字の縮減の両面から財政構造改革元年予算ということで御評価をいただけるものと、こういうふうに思っておるところであります。  いずれにいたしましても、あくまでも初年度にすぎません。マスコミ報道を昨日、今朝来拝見いたしております。また、御指摘をいただきました。ミドルで見ていただかなければなりません。初年度は初年度で決意表明に値するそれぞれの切り込みをやらせていただいたところでございます。しかしながら、御案内のとおりに、十年度の予算編成に三月以降入るわけであります。そして、八月には概算要求基準が明示をされて十二月と、こういうことで、年が明けますと早々にそういう準備態勢に入るということであります。  私は昨日の閣議におきましても申し上げたわけでございますが、次の平成十年度予算編成に向けて早い時期から歳出の全般的見直しに取り組むと同時に、一層厳しい概算要求基準を設定することによりましてさらなる歳出削減の実現を図ってまいりたい。まさに、将来の世代に負担を残さない財政構造をつくり上げますことが現下の政治、社会、経済全般にわたって活躍をいただいておる現世代の役目であり、ましてや政府が預かっておる予算編成権を握る者として、また全体として、本件は国会両院の議員各位に、置かれておる現状の御理解を賜りながら、その目標を達成してまいります。  日本はどこに行くのだろうかという、最近、極めて憂慮すべきことが外国評論家、外国の学者から飛び出すようなことであります。そのことを肝に銘じながら、九年度予算を元年に、スタート台にふさわしいものにするために、議員各位の、与党の皆様方の特に御辛抱、御努力をいただいたわけでありますが、まさに正念場は十年度予算編成でありますから、新春早々にその態勢に入って、結果として努力を実らせるようにしてまいらなければならぬと思っておるところであります。
  75. 松村龍二

    ○松村龍二君 大蔵大臣が着任されましてまだ余り間がない状況でございますが、先頭に立って、子孫に大変な負担を残さないということで意欲的に取り組んでおられるということに敬意を表する次第でございます。  しかし、多額の公債というのは、超インフレによって解消するとか、あるいは先ほどの戦争によって公債発行していたものが紙切れになってしまうとか、そういう方法でなければ、やはり財政の切り込みを効果的にしませんと財政の硬直化を招く、財政構造改革が伴いませんと国民の経済をただただ冷やしていくということにもなろうかと思うわけでございます。その辺のさじかげんにつきまして力量を十分発揮していただきますようお願い申し上げる次第でございます。  終わります。
  76. 野沢太三

    委員長野沢太三君) 午前の審査はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。    午後零時五分休憩      ―――――・―――――    午後一時開会
  77. 野沢太三

    委員長野沢太三君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  この際、委員異動について御報告いたします。  本日、川橋幸子君が委員辞任され、その補欠として菅野久光君が選任されました。     ―――――――――――――
  78. 野沢太三

    委員長野沢太三君) 休憩前に引き続き、平成六年度決算外二件及び平成六年度予備費関係三件を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  79. 山崎順子

    ○山崎順子君 平成会の山崎順子です。  五分の時間をいただいて、お忙しいところと思いますけれども、ペルー日本大使公邸占拠事件人質解放について外務大臣質問させていただきます。  まず、皆様も御存じかもしれませんが、人質となっている青木大使事件に巻き込まれる直前に投函なさった新年のあいさつ状の一部を御披露させていただきます。   昨年は、フジモリ政権にとっては試練の年でした。経済が低迷し、この国の最大の課題である貧困、失業の問題が一向に改善を見ない上に、政治の面でも、政権内部の不協和音が目立ちました。フジモリ大統領の施政は、まさに胸突き八丁に差しかかったと言えるでしょう。  (中略)   そうした中で、フジモリに期待して我慢を重 ねて来た草の根の人々の忍耐が切れかかっています。  (中略)   それにしても、ナスカ地震へのこの国の対応は見事なものでした。地震発生から二時間以内に、何人もの閣僚が現場に駆けつけ、首相を中心に彼等が救援、復旧活動の陣頭指揮を取りましたし、たまたま東南アジア三ケ国を公式訪問していた大統領も、帰国後ほとんど一睡もしないまま、現地に駆けつけています。 この手紙からは、阪神大震災での我が国政府の初期対応のおくれ、危機管理のまずさへの皮肉、またペルーへの大使の愛情が読み取れます。  さらに、解放された人々が、青木大使は最高の大使事件後も日本に帰らないでほしいと言われたような人柄も読み取れ、こういう大使の存在が人質になっている人々の不安とストレスを和らげていることはせめてもの救いです。残る百四人の人々が速やかに解放され、事件解決することを私も願っております。  それは、リマへ飛ばれた外務大臣も同じお気持ちと存じますが、解放されたディエス・カンセコ国会議員によりますと、青木大使はゲリラとの仲介役を務めようと何度かフジモリ大統領に電話をされたとか。ところが、側近に忙しいと断られ、コンピューターや学校もつくっているのに日本はこんな対応しかしてもらえないのかとゲリラに言われました。何かの行き違いだったのかとも思いますけれども、大使の冷静な人柄でも限度があります。  外務大臣早期に帰国されたことへの不満も現地では出ていると聞いておりますし、日本政府だけが何もしていない、何もする意思もないことを世界各国に知られてしまった。第一、なぜ自国民安全確保に関して何もしないのかというようなことも言われております。危機管理の甘さはここでも露呈してしまったのではないでしょうか。  一体、政府レベルの外交はどうなっているのか、またペルー我が国、各国との信頼関係はしっかり築かれているのでしょうか。こんなことで解決に向け十分な協力ができるのか、御答弁願いたいと思います。
  80. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 日本時間においてでございますが、去る十八日に起こりました在りマの我が国大使公邸占拠事件、いまだに百四人の方が人質状態に置かれているわけでございまして、日本政府といたしましても、一日も早く人質状態にあられる方々が無事に解放される、その日を願い、またそのためにあらゆる努力を傾けてまいっておるところでございます。そして、何と申しましても、この事件解決のためにはペルー政府我が国との間の連携のもとで、この事態に対処するに最も適切な手法、そしてその体制で臨んでいくということが肝要かと存じます。  そういった意味で、事件発生以後、我が国政府としてはペルー政府と緊密な連携をとっておりますが、そういったことの一環といたしまして、私自身も十九日から二十三日にかけましてペルーに行ってまいりました。  ペルーへ参りました目的はいろいろございますけれども、まず第一は、青木大使を初め大使館の大部分の方々人質状態に置かれた、そういったこともございますので、現地における我が国のこの事件対処する体制対策本部をとにかく立ち上げていくという、この仕事をきちんとやっていくということが一つございます。  それから、ある意味ではそれよりもさらに重要かと存じますけれども、ペルー政府との間で緊密な意思の疎通、連携体制をつくっていく、そういったことでこの事件への対応に遺漏なきを期しているところでございます。さらには、今回の事件に巻き込まれた関係国との関係、それから人質にとられておられる方の御家族や企業の方々との連携、そういったことでございます。  そういった意味で、私は現地に参りましてフジモリ大統領とも二度にわたりいろいろ会談いたしまして、我が国としてあくまで人質方々の安全を最優先しながら平和的にしかも早期事件解決するという基本方針をお伝えし、そしてまたいろいろ御相談をしてきたわけでございます。  そういった意味でペルー政府との間で基本方針についてのすり合わせもでき、信頼関係がきちっとできた、そうしてまず第一義的には今本当に真剣に取り組んでおられるペルー政府のこの事件への対処、それに信頼を置きながら全力を傾けてまいろう、こういうことでございます。私どもといたしましては、今この事件解決のために日本政府としても最も適切と思われる対応をしてきたつもりでございますし、今後とも遺漏なきを期してまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  81. 山崎順子

    ○山崎順子君 人質方々の安全と速やかな解決を願って質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  82. 山下栄一

    ○山下栄一君 平成会の山下でございます。  今も円先生の方からお話がございましたが、大変緊迫した状況の中で御心労の日々を過ごされております外務大臣でございますけれども、私も一、二質問させていただきたいと思うわけでございます。  今もお話にございましたが、現地において日本政府を代表して即座のしかるべき判断ができる、そういう政治家の役割が非常に求められている、それが何となく影が薄いというふうになってしまっているという、今も山崎さんの方からお話があったわけでございます。もちろん今回の事件ペルー国内における事件であるわけでございますけれども、事件が起こったその場所は日本の主権下にあるところであるということで、今回の事件に対しまして橋本総理は即座に対応されて外務大臣を派遣されたわけでございます。  そこで、ペルー政府と緊密な連携をとりつつという今お話にあったわけでございますが、途中でお帰りになった。今現在、現地における日本政府を代表する立場の方は官僚である中南米局長である、現地対策本部長といいますかね、このことが今大きく問われているのではないかな、このように思うわけでございます。危機管理という観点から非常に素早い対応をされたけれども、何か中途半端に終わってしまった状況が現在なのではないか。  したがいまして、非常緊急事態が起こったときに即座にペルー政府日本政府の対応を求めるということが予想されるわけでございますが、そういうしかるべき判断、即座に決断のできる外務大臣並びにそれに相応する方が常駐しておらないと万全を期した対応はできないのではないか、こういう不安が私は国民にもあるのではないかな、現地方々にもあるのではないかな、このように思うわけでございますが、このことに対する外務大臣の御所見をお願いしたいと思います。
  83. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 先ほども山崎委員に御答弁申し上げましたように、我が国としてはペルー政府と緊密な連携のもとに何としてもこの事件を平和裏に、そして人質の全員解放ということを実現したい、こう思っております。  そして、現地体制が不十分ではないかという御指摘でございますが、私ども、先ほど申しましたように、壊滅状態になった大使館の機能というものを回復しながら、さらに対策本部を立ち上げていくということで、外務本省から、また近隣公館から、さらには関係の省庁等々の御協力も得ながら整備を進めてまいりまして、現在の時点で五十名くらいの体制、そうして現地対策本部長には中南米局長を当たらせております。それからさらに、中南米の事情に詳しく、またフジモリ大統領とも従来から格別の親密な御関係をお持ちになっております寺田駐メキシコ大使現地対策本部の顧問という形で現地にいてもらっておるわけでございます。  そういった体制で、今、この事件早期解決のために、また人質になっておられる方の関係者方々のいろいろな御要請、ニーズにこたえるために遺漏なきを期しておるわけでございまして、私どもはこの体制で御批判を受けるようなことにならないように努めてまいりたいと思います。  なお、東京におきましても、御承知のとおり、外務省におきましては、この事件が起こりましたその日に外務事務次官を本部長といたします対策本部を設置いたしまして、自来、今日まで二十四時間体制交代制でずっと対応しておりますし、また、政府全体といたしましては、橋本総理本部長にしまして関係閣僚から成る対策本部をつくって遺漏なきを期しているわけでございます。そして、このような国内における、東京における体制現地における体制との間の連携も、二十四時間常にとれる形になっておるだけではなくて、現に連携をとりながら対応しております。  そういうことで、私どもは御指摘のような問題が起こらないようにこれからも注意してまいりたいと思います。  なお、私がフジモリ大統領と二度目にお目にかかりましたときには、そういうふうな我が方の体制についてもお話し申し上げながら、現地対策本部長、中南米局長がおりますし、それから寺田大使がそういう役割を果たしておられますので、こういった方々から大統領あるいはペルー政府に協議をしたい、いろいろ御相談したいという要請を申し上げたときには、それに即座に応じていただくよう特に私からお願い申し上げまして、ペルー政府からもそれを快諾いただいておりまして、その後も現実に現地で密接な連携協議のもとに事に当たっている次第でございます。  そういったことでございますので、一番大切な目的は、何とか平和裏に人質に置かれた方々の御無事な全面解放を実現するということでございますので、現地における例えば政治家の影が、あるいは姿が見える見えないということではなくて、事態をいかに解決に持っていくか、そういう観点から政府としても全力でこれからも取り組んでまいりますので、どうぞ御理解のほどを賜りたいと存じます。
  84. 山下栄一

    ○山下栄一君 姿が見えるとかと言っておるのではなくて、政治家たるべき外務大臣、またそれに相当する方が現場で指揮をとるという状況があるのではないかということを申し上げたわけでございます。  きょうの午前中の答弁でも、また今の答弁でも、外務大臣の方から、我が政府基本方針といたしまして、人命尊重、そして平和的解決、これを何よりも最優先するんだという、このメッセージは繰り返し日本政府方針として表明されておるわけでございます。もう一方の、これは総理も繰り返しおっしゃっているんですけれども、そのメッセージが余り伝わっておらないのではないか、国際社会において、また対ゲリラ側に対して。それは、やはり国際社会におけるテロに対する断固たる対応といいますか、屈しない、戦うということが本年度のサミットでも確認されておる。この観点から、日本のメッセージが弱いのではないかと私は思うわけでございます。  今回の事件がまた後の方に繰り返し起こることのないようにするためにも、そういうもう一面の方の国際社会で繰り返し確認をされておりますテロに対する対応、屈しないまた譲歩しないというその強いアピールを、政府として、今申し上げましたようにゲリラ側に対し、また国際社会において日本政府のもう一方の考え方といいますか、これも私、基本方針の一つであるべきだと思うわけでございますけれども、これを外務大臣また首相の方からやるべきではないか、このように思うわけでございますが、いかがでしょうか。
  85. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) もとよりテロというものは断じて認めることはできないわけでございますし、そこのところは国際社会全般としてもまた日本政府としてもきちんと踏まえてこれの対応をしておるわけでございます。  そういった意味では、フジモリ・ペルー大統領がテレビ、ラジオを通じて国民への訴えかけということで出されたメッセージ、これがペルー政府としての今回の事態に対する基本的な考え方を示しておるわけでございまして、それにつきまして、日本政府としてもそのペルー政府の対応、対処ぶりを支持するということを直ちに表明させていただいたわけでございます。  その中におきましても、平和裏に人質全員の解放を図るために、人質状態に置かれたあらゆる方々の即時の釈放を求めながら、そのために必要ないろいろな配慮はするにやぶさかでないということを明らかにしながら、一方において、テロの要求している、既に収監されているメンバーの仲間の釈放とかその他のMRTA側の要求に対しては、これを受け入れることはできないということを明らかにしておられるわけでございます。そのような、一方における平和解決人質の即時釈放を求めながら、他方でMRTA側の要求に対しては、これを受け入れることはできないという内容のフジモリ大統領の姿勢というものを全体として我が国は支持しておるということでも、委員御指摘のようなテロリズムに対する基本的な対応の仕方について疑問の点はないというふうに御理解いただきたいと思います。
  86. 山下栄一

    ○山下栄一君 ペルーフジモリ大統領のゲリラ側に対する強い姿勢は声明で発表されているわけですけれども、日本独自としてのそれはちょっと私は弱いように感じるので、テロ行為に対する日本政府の断固たる態度、それはやはり発信しておかないと私は後に大きな影響を与えるのではないかという懸念がございますので、質問申し上げました。  もう一点。つい昨日ですか、ウルグアイの国内でMRTAのメンバー二人がウルグアイ国内で判決を受けて釈放された、その後に要するに大使館内のウルグアイ大使解放されたというふうなことがございまして、これに対してペルー政府もウルグアイ政府に対して非常に強い抗議の姿勢を示したというようなことを聞いているわけでございます。  きょうも午前中、関係各国と緊密な連携をとりながらというふうなことをおっしゃっておったわけでございまして、東京においても現地においてもまた各国に対してもというふうなことがあったわけでございますけれども、今回のこのウルグアイ政府のことに対しまして日本政府として何か抗議の対応をされる用意があるかどうかをお聞きしたいと思います。
  87. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) ウルグアイにおきましてMRTAのメンバーがその裁判の結果釈放された、時間的にそれから間もなく人質状態にあったウルグアイの駐ペルー大使解放されたと、こういうことがございました。その関係につきましては、ウルグアイ政府はこれは関係はないんだということを言っておられる、いろいろな説明をしておられるようでございますし、私どもとしても事実関係が果たしてどういうことであったのか、そこのところはつまびらかにしないところでございます。  しかしながら、結果においてこういうことがあったために今回の事件に対する対処といいましょうか、事件解決のための努力を難しくしたあるいは難しくなった、そのことは否定できない、かように考えております。そういったこともございますので、我が国としても、ペルーあるいは関係国におかれましても、今回の事態に対する対応、対処というのは慎重の上にも慎重に配慮しながらやっていかなくちゃいけないと考えている次第でございます。  そういった意味でこれまでも、午前中にも申し上げましたけれども、東京においてあるいはそれぞれの任国においてあるいはペルー現地において、関係の国々に対しまして、日本考え方そしてペルーの対応ぶりについての我が方の理解も話をしながら、適切な対応をお互いにしていこうという話をしていたわけでございまして、全体として見ればそういった我が国努力はそれなりに効果を示していると思います。  御承知のとおり、早い段階におきましては事情がよくわからないということ、あるいはペルー政府がどういうふうに対応しようとしておられるか必ずしも明らかでないということもありまして、ある意味での疑心暗鬼と申しましょうか、そういったことで、各国においてそれぞれ独自の対応の仕方についての考え方が出てくるような可能性もあったわけでございますが、その後、ペルー政府の対応が基本的にしっかりしているんだということが明らかになってきた。そういったことが明らかになるについては我が国努力もあったわけでございますが、そういったことで、全体としてはこれまで比較的慎重な配慮をしながらの対応を国際社会全体がしておるんだと思います。  そういった中で、ウルグアイの今回の出来事というものが、先ほど申しましたように少なくとも結果において事態への対処を難しくしたという点があると、この点は将来に向かっていろいろ考えていかなくちゃいけない、こう思いますので、我が国としても、先ほど申しましたようないろいろな機会、場あるいはチャンネルを通じて適切に対処してまいりたい、こう思っております。
  88. 山下栄一

    ○山下栄一君 今もちょっとお触れになりましたけれども、やっぱり協力体制、緊密な連携は大丈夫かなということの一端をちょっと今回のことがあらわしたのじゃないかと思います。  いずれにしましても、今回のペルー事件日本の主権下にある場所が今現在も国際社会の大きな注目を集めている。日本政府の対応をかたずをのんで見守っているという現実が私はあると思いますので、大変な御心労、御苦労があるわけでございますけれども、所期の目的を達成されますようにどうぞ御努力をお願い申し上げたい、このように思うわけでございます。  続いて、平成六年度の会計検査院の指摘事項につきまして御質問したいと思うわけでございます。  これは国保組合員、特に全国土木建築国保といいますか、国民健康保険組合員の厚生年金保険適用漏れ、こういうことで検査院の指摘を受けているわけでございます。  これが大変な金額になっておりまして、健康保険、厚生年金保険の徴収不足というのが平成六年度の検査院の全体の中で半分を占める百十三億、そのうちの半分が全国土木にかかわる金額である。こういうことで、これは検査院が非常に力を入れて本格的に取り組んだ件ではないかなと思うわけでございます。  これについて、私は厚生省の責任が大変重たいのではないか、このように感じておるわけでございますが、各都道府県の社会保険事務所の事務能力を疑われるようなそういう事件なわけでございますが、なぜこのようなことが、それもつい最近起こったのではなくて昭和五十九年以来十年以上にわたって続いておったということになるわけでございますけれども、これはもう大変な責任問題ではないかなというふうに思うわけでございます。  この原因は一体どのようにお考えなのか、社会保険庁に端的にお聞きしたいと思います。
  89. 真野章

    説明員(真野章君) お答えをいたします。  御指摘のとおり、全国土木の事業所のいわゆる第二種の組合員が厚生年金の適用を受けていなかったということでございます。これにつきまして端的に申し上げますと、事業主に対する私どもの制度に関する周知の指導が十分でなかった、また、全国土木からの手続に対します社会保険事務所における適用除外申請のチェックが十分行われていなかったということであろうかと思っております。
  90. 山下栄一

    ○山下栄一君 今も部長さんから御指摘ございました。私も、この適用除外の申請を承認した、ここに一番の原因がある、このように思うわけでございます。  日雇い労働の方でも常用的に雇用されている方については厚生年金保険の適用対象になる、そういうことが昭和五十九年以来確認されておるわけでございますが、これが常用的に雇用されながら日雇い労働者のままで扱われてしまった。この原因がいわゆる国保組合員の中で日雇い労働の方については日雇い労働者特例健保、この適用ではないんだという適用除外の申請承認を社会保険庁が行う。また一方、いわゆるサラリーマンも含めまして常用的雇用といいますか、そういう方々については一般健康保険組合ではなくて国保組合員対象になるから一般健保の適用除外の承認を社会保険庁がやるわけでございます。  要するに、常用的に雇用されながら日雇い労働者のまま扱われていた、この原因がいわゆる日雇い特例健保、この適用除外の申請を承認してしまった、ここに一番の問題があると私は思うわけでございます。承認されてしまったから事業主の方も、このメンバーは常用的雇用だけれども日雇い労働者の扱いにしていいんだということで雇用保険の資格取得申請を出さなかった、その原因をつくったのは社会保険庁である、こういうことだと思うんです。  それで、こういう日雇い労働者の中で常用的雇用をされていた方々、これは第一種組合員扱いになるという、これは具体的に全国土木の中で何人いらっしゃったのか、人数を教えていただきたい。
  91. 真野章

    説明員(真野章君) 本来という数字はなかなかはっきりいたしませんが、平成六年当時、第二種の全国土木の組合員が四万四千人おりまして、私ども、今回会計検査院の指摘を受けまして、各事業所に対しまして社会保険職員が出向きまして指導いたしました結果、平成七年度末には一千人になったということでございますので、四万三千人ほど職種が違っていたという結果になっております。
  92. 山下栄一

    ○山下栄一君 だから、常用雇用者といいますか正社員といいますか、そういう第一種組合員が約三十万人、日雇い労働者の方々が四万四千、その四万四千のうちの大半が、今千人とおっしゃっていましたが、それ以外の四万四千人中四万三千人が常用的雇用であった、その方々が年金保険の資格取得届を出していなかった、こういうことから適用漏れになったわけでございます。これがもう延々と十一年間続いておった、会計検査院の指摘でやっとわかったと。  この原因は、先ほど申し上げた日雇い特例健保適用除外対象者、いわゆる国保組合における日雇い労働者、これが日雇い特例健保の適用除外を受けて国保組合員の対象になるんだということを認めたと。このときに社会保険事務所は、会社における雇用関係が常用か否かということを十分審査することのできる資料、賃金台帳とか雇用契約書もお持ちであるのに、それの確認を怠ってこの申請を承認してしまったと。この承認によって事業主は厚生年金保険の資格取得届を出さなかった、こういうことが一番大きな原因であると先ほど申しましたけれども、このことについてお認めになりますか。
  93. 真野章

    説明員(真野章君) その適用除外申請は事業主から全国土木組合の組合員であるという証明をいただきまして私ども社会保険事務所に提出されるわけでございまして、その際に第二種の被保険者であるということでお届けをいただきましたので、私どもとしてはそれを信頼して承認をしているということでございます。
  94. 山下栄一

    ○山下栄一君 ということは、全国土木に責任がある、こういうことですか。
  95. 真野章

    説明員(真野章君) もちろん、全国土木にだけ責任があるというふうに申し上げておるわけではございませんで、実態として事業主に対する常用の労働者であるということであれば、二種ではなくて一種であるということを五十九年に私ども通知を出しております。それの周知を私どもとして十分個々の事業主にきちっと徹底したということが言えないということも問題であることは間違いございません。
  96. 山下栄一

    ○山下栄一君 わかりました。  じゃ、全国土木にも責任があるし、社会保険庁にも責任がある、こういうことであるわけでございますが、厚生大臣にちょっとこの件についてお伺いしたいわけでございます。  この日雇い労働者の大半が常用的に雇用されていた、若干名がまさに本来の日雇い労働者であったということであるわけで、この確認を社会保険庁が怠ったということでございます。  このために全国土木、これは健康保険の国保組合であるわけでございますが、この扱いを間違うと補助金の額が変わってくるわけです。この全国土木国保組合に対する厚生省から、国からの補助金が二百五十億あるわけでございますけれども、今回の扱いを誤ったために、平成七年度の検査院の指摘によると、五、六年度で約六億、これは検査院が調べた範囲内だけのものですから、二十数億になるんじゃないかと、年間の不正受給です。だから、これが十何年間になると大変な金額になるわけでございますが、そこまで言いませんけれども、例えば平成六年度における年間の本来補助をすべきでない補助金をどれだけ補助していたのか、金額わかりますか。
  97. 高木俊明

    説明員高木俊明君) 平成七年度の検査院の決算検査報告で指摘されておりますのがトータルで六億五千九百五十七万三千円でございます。
  98. 山下栄一

    ○山下栄一君 それは今言いました。それはわかっています。  それは検査院が指摘した、検査院というのは悉皆調査をやっていないわけだから、一部の中でわかった、二年間における不正受給が約六億数千万だったと。だけれども、それは厚生省が国の補助金を渡しているわけだから、全国土木というのは、理事長は元厚生事務次官なわけですし、専務理事も厚生省の天下りになっているわけだから、これはまた大変大きな問題になりかねない、非常にまた不信感を抱く話なんです。だから、平成六年度において検査院から指摘を受けているわけだから、それに伴って余分の補助金をどのように渡していたのかということは調査していて当然だと。  先ほどもおっしゃったように、検査院が検査した以外の事業主に対しても、厚生省は、社会保険庁はと言ってもいいですけれども、約四万四千のうち大半の人が常用的雇用者だったんだということは調べられてわかったんでしょうけれども、その調べる過程で補助金もわかっているはずなんです。検査院の指摘でわかっているんですけれども、要するに大半の方が雇用労働者であった。日雇い労働者のままだったので補助金を置いているわけですけれども、日雇い労働者の本人に対して、また家族に対して。それはどれだけの金額なのかというのはわかっていないんでしょうか。わからないのはおかしいでしょう、これは。
  99. 高木俊明

    説明員高木俊明君) 私どもが調べた額につきましては、データ等の関係もございますけれども、ただいま申し上げましたような過去二年分について調べた金額でございます。
  100. 山下栄一

    ○山下栄一君 平成六年度は、厚生省の調べでどれだけの金額が余分に、公益法人である健保組合の全国土木に余分に払っていたのを返してもらわなきゃいかぬわけですから、その金額はわかっているのかわかっていないのかということ、どちらか答えてください。
  101. 高木俊明

    説明員高木俊明君) 今申し上げました六億五千九百万余の中身でありますが、平成五年度が......
  102. 山下栄一

    ○山下栄一君 そんなことは聞いていない、総額何ぼだと聞いている。六億というのは検査院が指摘したものだから。
  103. 野沢太三

    委員長野沢太三君) 山下君、まず聞いてからにしてください。
  104. 高木俊明

    説明員高木俊明君) 先ほど申し上げましたように、私どももチェックをいたしましたけれども、平成五年、六年、二カ年につきましてチェックしたものが先ほど申し上げた額に相当するわけでございます。
  105. 山下栄一

    ○山下栄一君 それは絶対おかしい。病院で診療を受けたときに国から三二%補助されているわけだから、四万三千人プラスその家族の分、その金額はわかるでしょう。それは要するに明確になつていないということなんですね。
  106. 高木俊明

    説明員高木俊明君) 先ほど運営部長が御答弁しました四万数千人があたかも何か全体が間違っていたかのごとき印象を与えたとすれば、ここは訂正させていただく必要がありまして、先ほど申し上げました七年度末の人数が千人ということでありますが、その差の四万三千人が全部適用間違いということではありませんで、その間脱退等もございますから、それら等々を除きますと、必ずしも四万数千人が全部適用を間違っておった、こういうことではないわけでございます。
  107. 山下栄一

    ○山下栄一君 そんなことは聞いていないでしょう、人数は若干誤差があるのかもわからぬけれども。会計検査院が七年度で指摘した金額というのはごく一部なんですよ。調べた範囲内だけでも不正に受給していたということなんです、全国土木が。それはだから全部調べられたんでしょう、社会保険庁は。それに伴ってわかった補助金の不正受給額はわからないのですかと、こういうことを聞いているわけです。金額の話です。人数の話じゃないです。
  108. 高木俊明

    説明員高木俊明君) 先ほどの金額平成五年度、六年度における全体の数字でございます。
  109. 山下栄一

    ○山下栄一君 全然おかしいよ、それは。  会計検査院が指摘したのは全事業所じゃないわけだから。部分的な指摘なんですよ、五億円か六億数千万というのは。そんなことしっかり勉強してくださいよ。中途半端な間違った答弁しないでください。  だから、それは僕は調べてないというふうに、これはもうすぐ正確な報告書を、平成六年度で結構ですから、どれぐらい年間不正受給があったのか。これは二十数億円と言われているわけです。検査院が指摘したのが全部じゃないわけだから、一部。それを通して社会保険庁は対応して全事業所を調査したんでしょう。その金額を教えろと言っているのにわかってない。それはもう五億、六億の話じゃないんです。  こういう問題があるわけでございまして、だから厚生省のトップが理事長をされている全国土木に対して、公益法人に対して厚生省のお金というか、国のお金が補助金として行っているわけですから、これは大変大きな責任問題であるというふうに私は思うわけです。  と同時に昭和五十九年の日雇い特例、日雇い健康保険廃止に伴う中で、日雇い労働者でも常用的雇用の方については、要するに第一種組合員、常用一般正社員として扱うという、それに伴う今回の問題であるわけでございますから、本来これはきちっと雇用関係を調べれば社会保険庁はわかるはずです。それを関係外の会計検査院が入って初めてわかったというふうな問題であるわけでございますが、これは社会保険庁、厚生省の大変大きな責任である、このように私は考えるわけでございますが、厚生大臣はどのようにお考えでしょうか。
  110. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 委員御指摘のように、適用に対する調査確認や指導が確かに十分でなかったと思います。  今後、この適用が適正に行われるよう指導、監督を十分に行っていかなきゃならないと思っております。
  111. 山下栄一

    ○山下栄一君 社会保険庁、一万数千人、地方事務官も含めていらっしゃる。これが検査院の指摘によって十何年間にわたる不正が発覚したと。法改正に伴うきちっとした対応が社会保険事務所でできていなかったということが露呈されたわけでございまして、社会保険庁の、全国の社会保険事務所に至るまで事務能力が疑われる今回の事件であるわけでございます。  冒頭申しましたように、平成六年度検査院が指摘した半額がこれにかかわる、百十三億に上る。全体が二百四十数億ですから、そのうちの半分がこの全国土木にかかわる問題なわけです。この金額は厚生年金保険料の適用漏れの金額ですけれども、それとは別に、今申し上げた補助金も余分に払ってしまっていたという二重の大きな過ちを犯しているわけでございまして、この事務の審査が不十分であったために大変な税金のむだ遣いが行われているということ。一つの件数でこれほど多額の金額というのは会計検査院の指摘始まって以来のことであるという、このことに対する厚生大臣の再度の御答弁をお願いしたいと思うわけです。  厚生省はいつも毎年指摘、金額はちょっと少ないんですけれども、平成六年度、七年度は大変な金額になっているわけでございまして、もう大変な税金のむだ遣いがされておったということに対する厚生大臣の御所見を再度。
  112. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 適用における調査確認、指導が十分に行われていなかったことに対しては全く遺憾に思っております。  今後、適用が適正化されるよう十分指導していきたいと思っております。
  113. 山下栄一

    ○山下栄一君 済みません。ちょっと時間があれですが、労働省に先にお伺いいたします。  平成元年以来指摘を受けていることなんですが、これも検査院の指摘でございます。労災保険診療費、労働災害保険の診療費、これは通常の健康保険とは別に、労働省所管の、労働省が病院に対して支払うというそういう診療費でございますけれども、この地域特別料金、地域特掲料金を解消せないかぬという指摘が平成元年に行われているんですけれども、いまだに県によってはこの地域特掲料金が解消されていないという県がある。これどこの県なんでしょうか。現在いまだに解消すべき地域特別料金を使っているところ、適用している地域、教えてください。
  114. 伊藤庄平

    説明員(伊藤庄平君) 御指摘のございました労災保険の診療費につきましての地域特掲料金でございますが、平成二年に会計検査院より指摘を受けまして、私ども全力を挙げてその解消に努めてきておるところでございますが、当初、二十四労働基準局の管内でそういった地域特掲料金が見られたわけでございますが、私ども関係方面と懸命に調整し解消に努めた結果、現在二十二局において解消がされました。  したがいまして、残り二労働基準局の管内で残っておりますが、そのうち一局、これにつきましては地元医師会との調整が進みまして最終合意が解消に向けてできたところでございます。現在、最終的な詰めを行ってその解消について最終的に固めたいと、こう思っておるところでございます。これは茨城労働基準局の管内でございます。残る一局でございますが、これは東京労働基準局の管内でございますが、解消に向けての交渉を継続しておりまして、現在地元医師会、私ども、東京労働基準局も全力を挙げてこの問題の解決に向けて取り組んでいるところでございます。
  115. 山下栄一

    ○山下栄一君 平成元年に検査院が指摘して以来ずっとこれが続いてきて、いまだに解消していない県が茨城と東京、茨城は解決の方向だと。この最大のネックは何なんでしょうか。簡潔にお願いします。
  116. 伊藤庄平

    説明員(伊藤庄平君) 労災の診療費、労働災害を受けられた労働者に対する治療等でございますので、迅速的確な治療を行う必要があるわけでございますが、この地域特掲料金、過去、診療上の必要から全国一律の基準よりも高い料金が一部入っていたもの等でございまして、その解消に向けて努力しているところでございますが、そういった地元の診療側の皆さんとの調整、合意を得てそういった解消を図っていくということに必死で努めております。  そういったことを行って解消に向けてまいりませんと、診療現場でのいろんな混乱、場合によっては被災者の皆さん方が一時的に診療費を立てかえなくちゃいかぬといったような混乱が出るおそれもございますので、私どもそういったことのないように関係者理解を必死に得ながら解消に向けて努力を重ねてきたところでございます。
  117. 山下栄一

    ○山下栄一君 労働大臣いらっしゃっていますか。  労災診療費の算定について、昭和五十一年に労働省が全国的な統一基準をつくって料金の設定をやったわけでございますけれども、それが守られていない。これは二十数件あって、徐々に減ってきているわけですけれども、平成元年の指摘なんですね。この問題がいまだに解決していないと、こういうことになっているわけです。だから、もう七年以上この問題が毎年検査院の検査報告に掲載され続けてきているわけです。  これは地元医師会と労働基準局との交渉が、やっぱり地元医師会の特別料金をおろさないということが一番ネックであると感じるわけでございますけれども、こういうことになってくると、一体会計検査院を軽視しておるのか、このようになるというふうに思うわけです。  労働省としては全力を挙げてこれの解消を約束しているわけですけれども、いまだに解決していないということに対しまして、労働大臣、どのような御認識をお持ちか。
  118. 岡野裕

    国務大臣(岡野裕君) 私どもの労災保険が負担をすべき労災の診療単価、これが全国的に地域によって差異がある、まことに残念といいますか、ゆゆしい問題だということで、去る昭和三十六年以来、累次にわたって医師会と各県の労働基準局との間で話し合いを進めてきた結果、先生がおっしゃいますような御論議もありましたので、とうとう東京都一都だけが残ったということであります。  しかし、一都道府県といえども大きな問題であることに変わりはありません。今後も一生懸命医師会との話を詰めてまいろう、こういう思いであります。
  119. 山下栄一

    ○山下栄一君 一県というよりも、一番中心の東京の話だからね、これがいまだに言うことを聞かないという。労働省の指導軽視、検査院の指摘軽視と、このようになると思います。  中央省庁と地方自治体の人事交流につきまして、各大臣にお伺いしたいと思うわけでございます。  この問題につきましては、特に地方自治体の出向に関する交流大事について、白川自治大臣が、指定ポストについては私が在任中はもう送らない、こういうふうなことを述べられておるわけでございますけれども、自治省本省から、全国に特別職も含めまして二百四十名になんなんとする方が出向されておるわけでございます。この役職が総務部長財政課長、こういうあたりを中心といたしまして、副知事とか地方課長、これが指定職となっている。  空出張の不正経理が問題となった自治体、北海道、秋田、宮城、群馬、埼玉、福岡、空出張で大きく取り上げられている県でございますけれども、これはすべて自治省から財政課長として出向している、受け入れている、こういうことでございます。  これは一体どういうことだと。もちろん、予算決算の担当部局との関係はまたあるかもわかりませんけれども、自治省から出向している財政課長がいる県で空出張が起こっているということも大変大きな問題で、これは自治省みずからが責任を感じなきゃいかぬ問題ではないかなと、このようにも思うわけでございます。  また、一番金額的に問題になっております福岡県、これが副知事、財政課が入っている総務部長財政課長が十五年以上にわたって自治省の官僚によって占有されている、総務部長も二十四年間にわたってずっと。そこで二十数億の空出張が発覚したということでございます。  これは、自治省が県の財政を握っておったにもかかわらずと、こういうような印象を与えかねないわけでございますけれども、これに関しまして自治大臣のお考えをお伺いしたい。
  120. 白川勝彦

    国務大臣(白川勝彦君) 就任以来あるいはその前からこの話が出ておりまして、私は図らずも自治大臣になりまして、どうして見つかったら返せばいいのと、泥棒して見つかって返して済むのならば、世の中、警察も検察官も裁判所も要らないよと。不正経理ということで問題になっている都道府県等で、返す返すということでみんな話が済んでいるけれども、私にそこのところを教えてくれと、私は逆に自治省に問うておるわけでございます。  これは基本的には、各都道府県において一義的には論議され、そして本当に不正で違法な支出であるならば、それは公務員法に違反することであるから問題になるでしようと。しかしそうではなくて、そういう名目で他の費目に使われたというふうにあるものだからそうなっているんじゃないでしょうかと、こういうような答えが返ってきております。基本的には、これは各地方自治体において、特にそれぞれの議会において論議されるべきことであって、自治省においてこれを調査したりあるいは処分したりする問題ではないということであります。  ただ素朴な疑問、本当に悪いことであって、もしそれが違法なことであり、返せば済むという話ならば、私も法律家の端くれでございますので、どうもそこがわからないと疑問を投げかけているところであります。  さて、その原因が自治省から出向している総務部長あるいは財政課長のもとで起きたのかどうかは私は細かく承知しておりません。それが原因でそうなったのかは私は承知しておりません。
  121. 山下栄一

    ○山下栄一君 よく調査していただきまして、自治省にも責任の一端があるのではないかという私の問題提起でございますので、非常に意欲的な自治大臣に真剣な取り組みをお願いしたいと思うわけでございます。  指定職の出向について見直すべきであるということにつきましては、建設大臣も閣議かどこかちょっとわかりませんけれども同調されたというふうなことをお聞きしておるわけでございますけれども、建設省から自治体への出向というのはもう省庁の中でも一番多いわけですね、数的に。二百四十数名、これは建設省からお聞きした数で二百四十六名ですか。これに対して、反対に県の方から建設省へというのは八人しかいらっしゃらないということになっているわけでございます。建設部長、土木、建築関係部長職、四十七都道府県中三十八県が建設省の出向で占められている。これは公共事業にかかわるポストというふうにも考えられるわけでございまして、国民に誤解を招く可能性が高いというふうに私は思うわけでございますが、人事交流のあり方について建設大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
  122. 亀井静香

    国務大臣(亀井静香君) まず、委員から誤解を招くというお言葉がありましたが、何が誤解を招くのか、私はちょっと理解しがたい点もあるわけであります。  建設省の職員は、私から見ておりましても極めて見識が高く、非常に技能の優秀な職員が多いわけでありますから、各自治体から建設行政と都道府県としての密接な関係を持ちたいというような一面からの強い要望があることは事実でございます。私は、交流人事が悪いというように断定することはできないと思います。ただ、特定の県の土本部長が常に建設省の交流の部長でないといかぬという、そういう考え方というのも間違いでありまして、それは各自治体の要望等との間で処理をすべき問題であります。  なお、御承知のように逆に都道府県から建設省への出向者がちょっと少ないんです。これも建設省としてはできることであれば、都道府県の職員の方に建設行政の中身をいろいろとお知りいただくという面からも、また都道府県の実態を建設省自体がそういう形で知る機会もふえるというようなことから、ぜひお願いしたいということを言っておるわけでありますが、なかなか花のお江戸に出てきてという気持ちを持つ人も少ないようでございまして、我々はお願いをしておるわけでございますが、実際としては非常に数が少ないということであります。
  123. 山下栄一

    ○山下栄一君 指定職の問題につきまして、きょう出席していただいております農水、運輸また厚生各大臣それぞれ、これは特に埼玉県の方で指定職とも言うべき職が長期にわたる厚生省からの出向で占められていたということもございますので、農水、運輸、厚生各大臣に、自治省と同じように見直す意思がおありかどうか、御見解をそれぞれお伺いしたいと思います。
  124. 白川勝彦

    国務大臣(白川勝彦君)  私にそのことの質問があると思って来たのでございますが、空出張等の問題にどうかということだったのでございまして、私が最初に言ったことなのでお答えさせていただきたいと思うのでございます。  私は、出向人事のあり方について、特に厚生省の問題が起きてから国会の中で議論されている中で私なりに考えてまいりました。そして、自治省の場合は、大変率としては自治省本省が四百数十名の人数の中で二百四十名近くを出向させているという中で、一番深刻に考えなきゃいけないだろう、こう思ってきたわけでございます。  かつ、自治省は本来地方自治の健全な発展を図ることを任務としており、地方自治体との人事交流も数多く行っているわけだから、率先垂範、隗より始めよということで、私は実は十二月十七日に開かれた参議院の地方行政委員会でいろんな委員からお尋ねを受けるものでございますので、私としてまず答弁をし、そして答弁をした以上は実施をしようと、こういうことで事務当局に指示をしたわけでございます。自治省、そして自治省が置かれている地方自治の健全な発展を担わなきゃならないという立場で、隗より始めよということで私は事務当局に強く指示をし、少なくとも責任を持って実行させるつもりでございます。  自治省がこうしたのだから他の役所はどうかということを私はストレートに言うつもりもありませんが、ただ、自治省としては地方自治の健全な発展を願う立場で、特にあるポストをプロパーのそこの地方自治体の方がやれないというようなことになると、地方自治体全体の公務員の士気にも影響することだということで申し上げ、御理解を賜ったわけでございまして、自治省がこうしたんだからほかの役所はどうだというふうに言われると、置かれている立場も違いますので、どうかその辺のことについてはまた御理解を賜りたいと思います。
  125. 山下栄一

    ○山下栄一君 私が申し上げたのは、もちろん自治大臣のお考えはよくわかっておるわけでございます。それをわかった上で申し上げているわけでございます。  ちょっと時間がなくなってまいりましたので、先ほどの指定職問題について農水、運輸、厚生大臣からお答えいただきますが、官房長官も、人事交流のあり方なんですけれども、国と地方の人事交流というふうな言い方をするのであれば私は対等の関係であるべきだと。何か国が上で地方が下であるという、役職についても国の課長補佐が自治体で課長になるとか、そういうふうな役職における面、人数におきましても先ほど建設省のお話をしましたけれども非常にアンバランスである。  出向の場合は全部自治体が財政というかお給料の人件費は負担するわけでございますし、片一方の国への県からの出向というのは非常に少ないという、これはどこの省庁にも共通した問題でございますので、この辺も見直す必要があるのではないか。これは各省庁というよりも内閣としてこういうことについてのやはり一般概括的な見直しをすべきではないかということについての官房長官の御見解もあわせてお伺いしたい、このように思います。
  126. 梶山静六

    国務大臣(梶山静六君) 各省庁それぞれ自治体とのかかわりの度合いが、濃淡というか違いがあることは御承知のとおりであります。ですから、指定職的なことがあっていいかどうかという問題になりますと、特に惰性に流れるということは安易に流れるということで、今までの長いしきたりがある意味で能力、ある意味で惰性、ある意味で慣習というか、そういうもので今までの交流がなされたという側面があることは否定できません。  ですから、これからは必要に応じ、思い新たに、地方と中央、あるいは官民の交流、そういうものが適正になされることの方がむしろお互いに刺激があっていいというその前提に立って今までの惰性を直していきたい、このように考えます。
  127. 藤本孝雄

    国務大臣(藤本孝雄君) 地方へ我々農水省から出向さす問題でございますけれども、これにつきましては指定職的な考え方は持っておりません。農政上の一定の制約がございますから、限られた範囲に出向者が参りますけれども、しかしその場合に相手先の自治体と十分に話し合った上で対応しておりますので、このポストが固定化するというようなことも考えておりません。
  128. 古賀誠

    国務大臣(古賀誠君) 運輸省といたしましては、運輸省の出向人事、特に地方の運輸行政の展開の中で空港、港湾等にかかわるいわば専門的な技術を必要とする分野が非常に多いわけでございます。県側の強い要請に従って出向人事を行わせていただいておりますが、今後とも、さらに県の要請を受けた中で、十分協議をしていく中でこれらの問題については研究をしてまいりたいというふうに思っております。
  129. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 厚生省としても、地方と中央との人事交流については、特定のポストを長期間占め続けるというのは望ましいこととは思っておりません。これからは多様な分野で人事交流ができるように、また視野を広げることができるような望ましい形を検討していきたいと思っておる次第であります。
  130. 山下栄一

    ○山下栄一君 どうもありがとうございました。
  131. 海野義孝

    ○海野義孝君 平成会の海野義孝でございます。  本日は、大蔵省の改革の問題、それからもう一つは財政構造改革の問題について関係方々に御質問をさせていただこう、こういうことでございますが、午前中に自民党の松村議員から財政構造問題についてるる御質問がございましたので、私の限られた時間の関係でこの問題の方を後にさせていただきまして、最初に大蔵大臣及び松下日銀総裁に、きょうはお忙しいところどうもありがとうございます、御質問させていただきたいと思います。  年初来、いわゆる大蔵省の改革問題というのがいろいろと、国会内におきましても、あるいはまた大蔵省におきましてもプロジェクトチームをつくり、この改革問題について取り組んでこられたわけでありますけれども、一昨日、与党三党におかれましていわゆる大蔵省の改革、あるいは大蔵改革案なるものがまとめられました。そういった機会に、ひとつ私の方から大蔵大臣に御質問をさせていただこうと、こう思うわけでございます。  大蔵大臣行政のお立場ということで、今回の大蔵省の改革案につきましては、これは与党三党で合意が得られたことでありますから、その点ではお立場が違うわけでありますけれども、大蔵省の改革問題についての所管の大臣であられるわけでございます。これまで自民党の幹部として年初の住専国会以来、金融行政あるいは大蔵省の改革についてもつぶさにこれを見てこられているわけでございますので、その点で御所見をお聞きしたい、こういうわけでございます。  一応、大蔵省からいわゆる金融関係の検査・監督部門というものを一体分離しまして、これを総理府のもとに仮称金融検査監督庁、こういう形で設置をされるというように合意をされたようであります。私も年初来ずっと見てきておりまして、どうしてこの大蔵省の改革問題というのが出てきたかということについては、金融行政関係する大変重要な問題であります。  そうした中で、この機構という点から見まして、第一次橋本内閣のときには、金融の検査、監督の分離につきましてはいわゆる公取委員会型の機関構想というのがたしか出ていたように思うわけでございますけれども、ここへ来まして取りまとめられる段階では、新しいそういった機構としましては、先ほど申し上げたような金融検査監督庁となったようであります。これはもちろん、来年の常会におきましていろいろと審議されていくという大変重要な問題であろうかと思います。  こういったいわゆる公取型からこのような総理府のもとに置くというような方式になってきたという点について、金融行政という観点から大蔵大臣の御所見をまずお聞きしたいと、このように思います。
  132. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 段々の御指摘のとおり、与党三党が我が国の金融政策、特に行政機構改革ということについて、昨日、提言を総理大臣に提出、総理大臣から私に指示と、こういうことでございます。委員も御案内のとおりでございます。  官界をいかにということでありますが、本問題が出てまいりましたのは、御承知のとおり、住専問題を初めとする金融機関の不良債権問題、これに対して国民各層からさまざまな御批判が出ました。同時に、国会論議の中でもその問題点の指摘がございましたことは御案内のとおりです。激動の二十一世紀を迎えるに当たりまして、経済国家である我が国の金融行政の確立の必要性が提言されたものと率直に受けとめておるところでございます。  議院内閣制の建前の中から、与党三党が真剣な御論議の中で提示をいただいたものにつきましては、内閣はしかとこれを受けとめていかなければなりませんし、段々の御提言が書かれておるわけでございますので、御趣旨を踏まえながら、総理府その他関係省庁ともよく協議、相談を申し上げ、特に金融政策、個人の資産を保障、保護し、安定したところに位置づけなければなりませんし、多様な国際の中におきまして我が国経済が自由闊達な行動、活動もできなければなりませんし、国内経済またしかりであります。  こういう国民経済の基本にかかわる問題でございますものですから、主管大臣ということ、金融、財政の主管大臣、こういう意味であります、生まれてくる三条省庁としての機関は期待にこたえるものでなければなりませんから、万般の詰めを行ってまいりたいと、こう考えておるところであります。
  133. 海野義孝

    ○海野義孝君 私は、今回、この大蔵省の改革という問題につきましては、どういった箱物といいますか機構をつくるかということもさりながら、やはり透明性あるいは独立性ということが、これまでの我が国の金融行政あるいは護送船団行政あるいはその後の住専問題、あるいは昨年の大和銀行事件等々から見まして、いろいろと問題を提起したわけでございます。そういう意味からも、この新しい機関といいますか機構については、まさにこれまでの戦後の我が国の金融行政、これはかなり制度疲労もしているわけでございますけれども、そういったもろもろのことを踏まえて、画期的な行政機構あるいは行政そのものにしていかなくてはならないと、このように思うわけでございます。  今、大臣からは、そういう意味では今後常会等におきましても十分にこれを審議していくということでございますが、私は現在の日本の金融市場に対する国際的な不信、こういったことを取り除くためにも、あるいはまた官僚の都合といってはやや言い過ぎかと思いますが、そういった官僚の裁量あるいはその政治的な利害、こういったことに左右されない金融検査・監督の仕組みを設けるということが不可欠ではないかと、そのように思う次第でございます。  したがいまして、そういった点から、独立性が最も強く、あるいは透明度の高い公取型の機関をつくるということが私はいいんではないかと、このように思うわけですけれども、再度その点について大臣の御所見を伺いたいと思います。
  134. 三塚博

    国務大臣三塚博君) ただいまの御提言、公取型の三条機関をと、こういう委員の御意見であります。  今回、与党三党の提言は、三条の庁として金融検査監督庁でございます。検査と監督が一体となって独立性を発揮しながら取り進めてまいりますことが、よりこれからの多難な金融行政に、また預金者の保護、金融システムの維持と、こういう点からそうあるべきだという御提言をいただいたわけでございます。  前段申し上げましたとおり、その趣旨を踏まえ、独立性透明性、それに加えましてこれからの突発する金融不安諸状況、そして国際金融の分野における我が国として果たしていかなければならない役目もあるわけでございますから、総じて言いますと、危機管理体制が万全でございませんと、昭和恐慌のようなものは起きないと私は思いますが、起きてはならぬと思っておりますし、それの備えをしっかりしてまいりますことも新機関の重要な役目でございますから、国会論議の中で御指摘をいただきながら、提案をいただいた骨子、御趣旨を踏まえて、法律が内閣と相協議しながら取り組んでいかなければならぬ問題だなと。  来春の通常会には法律として出されるものと信じておりますし、また出すように、私どもも、大蔵省の管轄でないからなどというけちなことは一つも考えておりません、ノウハウの限りをその新機関に対して注入し、サポートをしながら法律案として提示させていただきますので、また盛んな御論議と御提言を賜りますればと存じます。
  135. 海野義孝

    ○海野義孝君 大変ありがとうございました。  私としましても、新しい機関がどういう形態になるかはわかりませんけれども、やはり運営の自立ということがどこまで徹底できるものか、あるいはまたこれまでの大変強い力を持っている大蔵省に取り込まれるというような形に終わらないように、その点を懸念するわけでございます。そういったことも踏まえて、ひとつ来年の常会においては、これは我が国の金融行政の今後百年の大計にかかわる問題でありますから、私としましては、これについては党派を超えて、国民のために、また国際的な我が国の金融の使命を果たすために取り組んでいきたいと、このように思う次第でございます。  次に、松下日銀総裁に二、三お教えをいただきたいということで、きょうは年末のお忙しいところをわざわざお運びいただいた次第でございます。  まず第一点は、先月ですか、総理の私的諮問機関、中央銀行研究会におきまして日銀法の改正問題について踏み込んだ議論がされ、その考えがまとめられたということでありますけれども、そうした中で、一つは日銀考査の法制化ということが盛り込まれたわけでございます。大蔵省の金融検査との役割の分担、これをどのように定めていくかということが課題ではないかと、このように思うわけでございます。  そういった点で、この大蔵省の改革で論議されております金融検査・監督部門の独立問題とも兼ね合わせて、この際、金融機関の監督のあり方について総裁としてのお考え方をお述べいただきたい、このように思います。
  136. 松下康雄

    参考人(松下康雄君) 考査は、現在は日本銀行が取引先の金融機関との契約に基づきまして実施をいたしております。これは、日銀がいわゆる銀行の銀行として、また最後の貸し手としての機能を果たしてまいります上で必要な金融機関の経営の実態把握ということや、また一方で中央銀行の使命でございます決済システムの円滑、安全な運用を通じまして金融システムの安定を図るという必要性や、さらには金融政策を行います場合にその効果が金融機関の中をどういうふうに伝達されて発揮されていくのかという点を確認するといったような、いろいろの意味合いから行っているものでございます。  したがいまして、これは日銀が中央銀行としての自分の責務をよりよく果たしてまいりますために必要な資料その他を集める不可欠な業務であると考えているわけでございます。したがいまして、私どもとしましては、これは中央銀行としまして自分で考査を実施いたしまして、そういう必要な情報等を入手するということが大変大事なことだと思っているわけでございます。  先般の中央銀行研究会におきましては、報告書で「日本銀行の考査は、金融機関を監督するために政府が行う検査とは別に、決済システムの安定的な運行の確保等の観点から行う必要がある」ということを指摘しておられまして、さらに「業務内容の明確化の観点から、法律上何らかの根拠規定を設ける」「ことが望ましい。」という指摘をしていただいているわけでございます。  私どもは、そういうこと、お示しをいただいた方向はまことに適切な方向であると思っておりまして、今後とも現在の考査の内容をさらに金融市場の高度化、複雑化に対応していけるように改善してまいりたいと思っておりますが、同時に報告書では「対象となる金融機関の事務負担を考慮し、政府の検査との関係で、できる限り無用の重複を避けること」という御指摘もございまして、この点につきましても私ども、政策、業務運営面での見直しの一環として改めて考えてまいりたいと思っております。
  137. 海野義孝

    ○海野義孝君 大変詳しく御説明いただきまして、ありがとうございました。  日本銀行さんとしましても、こういった日銀法の改正といった問題が先月明らかになった段階で既に前向きにいろいろとお取り組みをされているということでございまして、大変よく理解できました。  それから、もう一点でございますけれども、いわゆる透明性とそれから独立性という問題についてお聞きしたいと思うのでございます。  この日銀法の改正というのは、一九四二年に制定されましたいわゆる戦時立法、これが現行法となっているわけでありますけれども、これを現在のものに改めるという点がありますけれども、日銀の政策運営透明性を確保するということとともに、政府からの独立性を高めるということが主たる目的と、このように考えられるわけであります。  十一月の研究会がまとめた最終報告書では、政策委員会の議事録を公開するといったことなど透明性という視点から見ますと一段の前進が見られるわけでありますけれども、しかし、独立性という問題については、政府による広範な業務停止命令権とか日銀総裁を初め役員の解任権は削除されたわけでありますけれども、政策委員会への政府代表の出席を認めたこととか、政府の日銀に対する一般監督権については明確な答えが出ていないというようなことで、大蔵省の介入に道を残したような形が見られるわけでございます。  先ほどの大蔵省の改革の段階ではちょっと申しませんでしたけれども、いわゆる一連の金融行政改革の問題の中で、財政と金融の分離論というのがあるんですが、財政の論理と金融の論理、こういう対立の調整という問題については、今回の日銀法の改正ということによりまして相当部分解決でき、日銀に強い独立性が求められるというゆえんにもなるわけでございますけれども、そういった意味で、日銀の独立性の確保という観点から松下総裁の御所見をお聞きしたい、このようにお願いします。.
  138. 松下康雄

    参考人(松下康雄君) 委員御指摘の、中央銀行としての政策運営に当たります場合の独立性と、その政策を遂行いたします内容の透明性を確保するというのは極めて重要な二つの根本原則であると私どもも思っておりますし、また先般の中央銀行研究会の報告書におかれましても、基本的にその方向を明らかにされておるというふうに受けとめております。  そこで、ちょっとお触れになりましたいろいろの個別の問題で、報告書の中には後の議論に譲っておられるものもございます。その中で、今お挙げになりましたことにつきまして一、二申し上げますと、政策委員会に対します政府の指定する者の出席の問題につきましては、こういう制度はドイツやフランスなどでも採用されている制度でございます。また、そういった国でも、この制度が政策決定への圧力につながるように見られないための中央銀行の独立性に十分配慮した制度運用というものを図っているというふうに聞いているわけでございまして、私どもも今後の日銀法改正案の検討に当たりましては、そういった点も十分参考にして御検討を願いたいと考えているところでございます。  それからもう一つ、予算あるいは一般監督の問題でございますけれども、日銀は公的な法人でございますが、ただ他の法人と若干違っておりまして、政策委員会という、非常に重い手続によって任命された委員によって構成される合議制の機関が諸般の決定を行うという責任体制になっております。中央銀行に対します一般監督のあり方につきましては、そういった特性を持っているという点を十分踏まえて検討が行われることが必要であると考えております。  予算の自主性につきましても、これは中央銀行研究会でお触れになっているのは、何らかの公的チェックを考えることの必要性とあわせて金融政策の独立性及び運営の自主性が担保されることの必要性を指摘しておられるところでございまして、今後の具体的な制度内容の決定に当たりましては、この二つの原則を十分尊重して配慮いただきたいというふうに考えております。
  139. 海野義孝

    ○海野義孝君 総裁には大変お忙しいところをありがとうございました。お引き取りいただいて結構でございます。  時間の関係で最後に一問だけ、大蔵大臣にお願いいたします。まとめてひとつ御答弁をしていただければと思います。  午前中、来年、財政構造改革元年に対する平成九年度予算についての政府の取り組み方ということについてお話がありました。それを踏まえまして、いわゆる財政構造改革といったことに絡んで御質問させていただきます。  一つは、財政健全化という問題がございます。これにつきましては、先般諮問があったわけでありますけれども、現在の国及び地方自治体の年間の赤字の対GDP比率が七・四%ということでございますが、これを九年後の二〇〇五年度に三%以下にすると、こういう目標というものが一応出ているわけでございます。  こういったことを踏まえて、昨日の新聞でも報道になりましたけれども、来年早々にも財政再建会議を設置して今後取り組んでいかれるということで、まことに結構なことで大いにその御努力をお願いしたいと思うわけであります。私は、こういった目標というものを設定しましても、いわゆる歳出の膨張につながるような長期計画というものを、やはりこの際思い切ってこれについての徹底的な見直しということをやらないと、いわゆる財政支出、政府の単年度予算の歳出の硬直化という問題の呪縛から逃れるということはできない。  この点、我が国にもいろいろ長期計画があります。例えば我が国の貿易収支あるいは経常収支の黒字という問題から、我が国が米に対しまして十年間で六百三十兆円の公共投資を行うというようなことを言うなれば公約したわけでありますけれども、そういった当時と現在置かれております我が国状況等を考えましたら、その時代の要請に合わせまして財政再建法を優先させるというような方向に内容を改めていかなくてはならないのではないか。  来年度の予算の中でも、公共事業あるいはODAあるいは防衛費、こういった問題につきましてもこれまでに比べますとかなり思い切った絞り込みがなされているということで、所管大蔵大臣の大変な御努力であったとは思いますけれども、これはまだ緒についたばかりであります。  それからもう一点は、来年度の我が国の歳出歳入について見ますと、確かに公債費の新規発行はかなり今回は絞り込んでいるわけでありますけれども、いわゆる国債費については年々相当な費用が膨らんでいく、こういうような状況にもあるわけでございます。そういったような点から見ますと、来年度は一応四兆三千億円のいわゆる公債費の発行を切り詰めたということでありますけれども、片や七兆円近い増税及び減税の打ち切り、あるいは社会保険料の増加、こういったことを見ますと、これでもなお歳出については私は切り込みが少ないと思います。  問題は、再来年度になりますと来年度のような単年度的ないわゆる税制の面を改革したことによる効果というのはなくなってくるわけですから、再来年は再びよほど景気がよくなってきませんと歳入の面はふえない、問題を起こすということで、むしろ私は来年度後半ぐらいに財政を含めた補正予算をまた組む必要があるんじゃないかということまでも心配するわけであります。  今申し上げたことを含めて、財政の健全化といわゆる財政再建法についての大蔵大臣の今後のお取り組み、その決意のほどをひとつお聞かせいただきたいと思います。
  140. 三塚博

    国務大臣三塚博君) ただいま海野委員から財政再建の目標及び財政再建法、平成十年度の予算編成の困難性をどう打開するか、補正予算の問題もそこに出てくるのではないかという御指摘の御質疑がございました。  本年度予算編成に当たりましては、御案内のとおり万般に気を配った八年度予算でございました。しかし、平成九年度予算編成に当たりましては、赤字公債からの脱却をうたいつつ、制度にまで切り込んだ歳出の見直し、一般歳出の削減、こういうことで赤字体質から健康体に戻っていかなければならないのではないか、こういうことで、午前の御質疑にお答え申し上げましたとおり、四・五兆の赤字国債の削減、これは平成十年度の予算編成におきましても目標を立てて削減をしていかなければならぬ基本的な目標の一つであります。同時に、減税の効果は九年度でなくなったわけでございますから、御指摘のとおりであります。  増税もないニュートラルな状態の中で果たして国民需要にこたえ、歳出カットができるのか、こういうことでありますけれども、平成六年の二%導入を決めた直後から三兆五千億に上る恒久減税が行われ、二年度にわたる特別減税が行われてきましたことによって体質が地についたものに変わつたきたことは間違いありません。緩やかな経済の成長ということが、それぞれの機関から平成八年度見通しについても二・五の達成はほぼ確実であろう、こういうことでありますし、九年度の経済見通しはそのマイナス点も含めながら一・九%の年度成長になるであろう、こういう政府見通しの中でその方向に着実に近づいていくための努力をしていかなければならない。  詰めて申し上げますと、困難なことは承知でありますけれども、財政目標を明示しながら、また個々の問題についても国会の論議を踏まえ、国民各位の御論議の帰するところで削減の具体的な項目もつくることによって、財政再建法についてはその検討を待って提出をしていく、時期は論議が煮詰まったところをとらえてと、こういうことになるわけであります。まさに血の出るような体質改善をしてまいりませんと、悪性インフレによって、またあるいはバブルの期待感によりまして、そういうことでは麻薬によって生き延びるという短時間の問題になるわけであります。  そういうことなども考えてみますと、正常な、オーソドックスなやり方で耐え得るときには耐えていくということでございませんと目標は達成できない、こういうことで補正予算の問題はただいまのところ考えつつ、困難でありますが、オーソドックスな財政再建の道を歩み続けなければならぬときではないか、こういうことであります。
  141. 海野義孝

    ○海野義孝君 最後に、長期計画の見直しについてということはお触れになりませんでしたけれども、ぜひともこれも見直しをしていかないと完全に我が国の今後の予算の編成あるいは財政構造改革については行き詰まる、このように私は懸念するわけであります。  大変ありがとうございました。以上で終わります。
  142. 上山和人

    ○上山和人君 社会民主党・護憲連合の上山和人でございます。  きのうは岡光前厚生省事務次官が収賄罪で起訴されました。今私たちの周りには岡光前事務次官を頂点とする老人福祉施設建設にまつわる不祥事、そしてまたオレンジ共済の問題、さらには泉井商会をめぐる疑惑など、信じられないような不祥事が相次いでいるわけでございます。まさに世紀末的様相を呈していると言っても言い過ぎではない状態ではないでしょうか。  しかし、私たちは、どんなことがあっても私たちのこの二十世紀末に、あのヨーロッパの十九世紀末の退廃、混乱を再現してはならないと思うのでございます。そのためには国民のしっかりした心のよりどころがなければならないと思うのでございますけれども、その国民の心のよりどころは何よりも政治でなければならないし、行政でなければならないと思います。そういう政治と行政に対する国民の皆さんの不信は、今もうきわみに達していると言っても言い過ぎではないような状況にあるように思えてならないのでございます。  けさの毎日新聞の朝刊に世論調査の結果が発表されておりました。恐らく総務庁長官大蔵大臣もごらんになったのではないかと思うのでございますけれども、今、国民の目は官僚に対してどういうふうに、どういう目で見ているか。  けさの毎日新聞の世論調査では、中央省庁の官僚、中央省庁の役人が守ろうとしている利益は自分自身の利益だと思っている国民が五〇%、二人に一人いるわけでございます。そして、国民の利益を役人の皆さんが守ろうとして努力していると答えた人はわずかに七%、国家の利益を守ろうとしていると答えた人はわずかに三%なんです。自分の利益を守るために働いているという目で国民は今残念ながら、不幸なことに役人たちを見ている。官僚のイメージも、勤勉、誠実などプラスイメージから、金銭欲が強いなどのマイナスイメージの方がけた違いに多い世論調査の結果になっているわけであります。相次ぐ官僚の不祥事に対する国民の怒りが調査結果に反映されて、官僚神話の崩壊を数字が示している。毎日新聞はこのように世論調査の結果を報道しているわけでございます。  そこで、私たちは、何よりも今こういう状況の中で、国民の政治に対する信頼、そして行政に対する信頼を取り戻さなければならないと思うのでございますが、そういう観点から私は総務庁長官人事院総裁に、先ほど山下委員の方からも御質問のありました中央省庁からの地方自治体への出向に関する問題、そして人事院総裁にはいわゆる各省庁からの関連企業への天下りと言われる問題についてお尋ねをいたします。  まず、総務庁にお尋ねいたしたいのは、もう埼玉県の高齢者福祉課長の問題が起きましてから、つまり岡光前事務次官を頂点とする老人福祉施設にまつわる不祥事が明らかになりましてからかなりの時間がたっておりますけれども、各省庁を束ねて統括的に所管なさる総務庁として、地方自治体への各省庁からの出向の実態を把握なさっていらっしゃると思いますが、その実態についてまず御報告いだだけるでしょうか。
  143. 菊池光興

    説明員(菊池光興君) お答え申し上げます。  今、先生御指摘のとおり、今回の事件を契機に、国と地方公共団体との人事交流、この問題について国会の場でもいろいろ御論議が出ておりますし、また私どもの総務庁長官を初め閣僚からも同様の問題提起がされておるところでございます。こういうのを受けまして、私ども、国から地方公共団体への出向状況について今実態を把握すべく調査を行っているところでございます。まだ数字を具体的に固まった形で把握しておりませんが、できるだけ早くに把握したいなと、こういうふうに思っております。  ただ、出向と申しましても、今回話に出ましたようないわゆるⅠ種採用の事務職の職員だけではなくて、いろんな形での専門技術職の方々、そういうような方々の交流というものもございます。そういうようなことで、いましばらくお時間をちょうだいしたいなと、こういうふうに思っております。
  144. 上山和人

    ○上山和人君 現在調査中というお答えなんですね。しかし、先ほど申し上げましたように、埼玉県の問題が起きましてからもう何カ月かたっています。まだ調査中というのはどうしても理解できないんですよ。あの埼玉県の高齢者福祉課長のポストは二十五年十一代にわたって厚生省から出向している者が占めているということについては余りにもよく知られていることであります。二十五年にわたって十一代厚生省の指定席になっているポストから問題が起きているわけです。  そういう問題が起きて何カ月もたっているのに、私たちの感覚からしますと、そのときにすぐ総務庁や自治省が各省庁と連絡をとり合って、出向者によって起こっている問題ですから、今各省庁から地方自治体への出向の実態がどういうふうになっているかということについては敏感に対応されるのが自然だと思うし、調査の結果などはもっと以前にはっきり完全にわかっているんじゃないかと思ってお尋ねをしたのでありますけれども、現在調査中というお答えについては、言いたくありませんけれども、今も行政の反応がやっぱり鈍い、本当に私は緩慢な対応だと思うし、それだけ危機感がないということのあらわれに思えてならないんです。大臣としてどのようにお考えですか。
  145. 武藤嘉文

    国務大臣(武藤嘉文君) 今、人事局長がお答えをいたしましたのは、あのような不祥事件が起きてから、出向者がどういう形でああいう方向へ行っているか、こういうことも含めて私は調査をしていると思うのでございます。  今、先生の御指摘の出向者はどうかという実態は、私も事務当局からの数字を持っておりますので、これは私わかっておりますから何だったら私からお答えさせていただきたいと思います。  ただ、これは今の事件が起きてからじゃなくて、ことしの夏の出向者の実態というのはわかつております。それに基づいて、今実際にそういう不祥事が起きたことと、出向者の実際の行っている数に基づいてそれぞれの役所でも調査をしていただかなきゃなりません。総務庁だけではとても全国の全部を調査するだけの能力もまだございません。これはやっぱりそれぞれ出向者を出している役所の協力を得なければできない問題でございますので、その点だけは御理解いただきたいと思います。  念のために出向者の数だけは申し上げますと、本省庁から地方公共団体へ出向している者は合計で九百八十人、それから地方団体から本省庁へ、これは出向じゃなくて人事交流でございますが、これが六百七十三人というのが実際の数字でございます。  その数字だけはつかんでおりますが、今申し上げましたように、不祥事が起きてから、出向者がどういう形でああいう形になっていったのかということを今調査していると思うのでございます。その辺は総務庁だけではなかなかできない問題でございますから、もう少し時間がかかるということを人事局長はお答えをしたと、こういうふうに私は承知をいたしております。
  146. 上山和人

    ○上山和人君 そんなに時間のかかることでしょうか、長官。今度のあの問題を見ますと、単に各省庁から都道府県にあるいは政令都市にあるいはその他の地方自治体に何名出向しているかという数だけが問題じゃないと思うんです。一体出向年限はどうなのか、あるいは長期にわたって指定席になっているようなポストがあるかないか、そういったことなどを子細に調査をしないと、実態を把握しないと、この問題の改善策、改革の方策は出てこないんじゃないでしょうか。  そういう調査をするのに、霞が関に各省庁は固まっているわけですよ、大部分は。なぜそんなに時間がかかるんでしょうかね。私は、各省庁はいつだってそういう実態は把握されているんだと思うんです。それを総務課長同士が連絡をとり合って調べるのにそんなに時間がかかるんですか。  問題は危機感がない。本当の意味の責任感が私は余りにも乏しいように思えて、大変失礼な言い方ですけれども、本当に不満でならないんです。この点については、局長どうですか、率直に取り組みについて反省点はありませんか。
  147. 菊池光興

    説明員(菊池光興君) 今、委員からおしかりがございました。私どももできるだけ早期に、今大臣が申し上げましたようなことも含めて、今後の方策の検討に役に立つ実態を把握すべく努力しておるところでございます。  遅いではないかと、こういうおしかりについては甘受せざるを得ないと、こういうふうに思いますが、そういう実情にあるということと、それから今大臣が申し上げましたのは、いわゆる国家公務員Ⅰ種採用職員、Ⅰ種試験の合格職員についての数字でございますが、地方公共団体との交流ということで国から派遣される人たちというのは、必ずしもⅠ種の人たちだけではなくて、それぞれの専門分野でやっぱりその能力なり経験というものを買われて地方公共団体から派遣要請があって行っているような人たちもございます。  それから、霞が関だけで把握できるだろうと、こういうようなお話もございますけれども、例えば地方建設局でありますとか、やはり地方地方の管区局あたりでもってやっている人事というようなものもございますし、そういうようなところから今申し上げましたような専門技術職の方々地方公共団体に行って働いておられるというようなこともございますから、そういうようなところについてまで把握しようということであるとおのずから時間がかかるというところについても御理解を賜りたいというふうに思います。
  148. 上山和人

    ○上山和人君 この問題をこれ以上追及しても前に進みませんから、これからもう少し鋭く敏速に反応する、そういう各省庁の積極性といいますか姿勢を改革していただきたいとお願いを申し上げておきたいのであります。  出向者の問題は、これは省庁から地方自治体といいましてもほとんど各県に出向していますね。しかも、各県は、私は地方の鹿児島選挙区選出でございますけれども、鹿児島県の県、市町村の実情はよく見ているつもりでありますけれども、このごろ、鹿児島だけでなくて地方自治体や公共団体が中央省庁にお願いをして中央省庁から副知事を欲しがる、あるいは財政課長を欲しがる、土本部長を欲しがる、そういう傾向が広がっていると思うんです。  しかも、その構図が、今度は地方に行きますと、地方の市町村は県から市町村に割愛してくださいと、市町村が県の職員を欲しがるんですよ、助役に、そして何々部長に、何々課長に。各省庁から各都道府県中心に、政令都市中心に出向しているような構図が、各県でも県と市町村の関係に生じているわけですよ、広がっている。これは一体何を意味するかということを本当に真剣に考えなくてはいけないんじゃないでしょうか。  私は、はっきり言って明治以来の中央と地方の上下・主従関係、もうこの構図の中に如実にあらわれていると思うんです。欲しがるものですか一ら、来てくださいと地方がお願いをする。したがって、若い出向者がやっぱり上席に就任をされますね。課長は非常に若い課長。横にいる課長補佐は、それは個人差もありますけれども、しらがの生えたかなり年配の人。係長だって課長よりは随分年配の者という状態になっていて、そして年配の課長補佐が若い課長のかばんを持って歩く。これは象徴的な一つの例にすぎませんけれども、必ずしもかばんを持って歩く人ばかりではありませんが、そういう状態になっていて、やっぱり上下関係、主従関係、もう本当にそういう職場、その状態が県民の目にも地方の人たちの目にもよく見えているわけですね。違和感を持ってみんな見るようになっているわけです。なぜそういうことになっているのかということをもう感じ始めている。今度のような不祥事が相次いで起こりますと、やっぱりこれではいけない。  大蔵大臣総務庁長官、知事選挙にいたしましても、知事の候補者が中央の自治省の事務次官から鹿児島は三代続きました。そして、ほかの県でもそういうことがあると思うし、いろんな中央省庁からどうしても呼び寄せて知事にするという傾向もありますよ。そういうことについて疑問をやつと抱くようになりました。目が覚めたといいますか、そんな意識状況に変わりつつあるということは申し上げておきたいと思うんです。恐らく十分御理解なさっていらっしゃると思うんですけれども。  したがって、今こういう上下・主従関係改革しないことには第二の埼玉問題、第二の厚生省問題は根を絶つことはできない、いっだってどこでも起こり得る状態にあるんじゃないかと全国民的に思っているんだと私は思いますよ。したがって、どうぞこの問題については総務庁長官の時代に根底からの改革を願いたい。地方への出向について、一定の出向年限なり同一ポストについての年限なり、そういったことを含めた改革の御用意は今はありませんか。どんなふうにこの問題をとらえていらして今後どういうふうに改革なさろうとしているのかをお聞かせいただけませんか。
  149. 武藤嘉文

    国務大臣(武藤嘉文君) この間も私もこの問題については御答弁を申し上げたことがあるのでございますが、それはやっぱり特定のポストにずっと同じ省から同じような形で出向していくとこの間の埼玉県みたいなことが起きるのかもしれない。あるいは、まだ国家公務員になって間もない若い人が地方へ行けば、税務署長であるとかあるいは何々課長であるとかいうような形でポストを与えられて、またそれを本人が自覚をすればいいのでございますけれども、つい若いものでございますから、おだてられたりすると、何か今お話しのように中央の役人が偉いんだという錯覚を持つ人間もなきにしもあらず。こういう形で、こういうことは極力避けていくべきではないか。出向した人はもっと汗を流すようなポストで仕事をさせていただくようなことが望ましいのではないか。そうなると、いわゆる公務員としての自覚が出てきて、公僕としての自覚、そして国民全体への奉仕者であるという自覚が出てくるんじゃないか、私はそう思っております。    〔委員長退席、理事吉川芳男君着席〕  そういう形になるようにしていかなきゃならないし、今お話しのような上下関係とか主従関係とか、これは絶対おかしな話でございまして、やつばり中央も地方も同じレベルでございます。  そういうことで、今度地方分権推進委員会で、要はできるだけ仕事を中央から地方へ持っていっていただこうということでいろいろ御議論いただいておるわけでございますが、その中でこの間二十日の日に勧告が出てまいりました。これは機関委任事務を原則として廃止するという方向でございます。  もう一つ、これからいろいろ議論していただいて来年の六月にぜひ勧告をしていただきたいとお願いしているのが、補助金の問題を含めたいわゆる地方と国の税財源の配分の問題。それから、それに応じて地方の行政体制をどう確立していくかという問題。これらの問題も今度の六月ごろまでには勧告をいただきたい。そして、この一次と二次の勧告をあわせて新しい時代の地方と中央の行政の配分をすっきりした形で区分をいたしました体制をぜひっくり上げていきたい、こういうことを私どもは考えております。  行政改革の一環としてきのう行政改革プログラムを閣議で決定いたしましたけれども、その中にも入っておりますので、ぜひそういう方向で努力をしてまいりたい、こう考えております。
  150. 上山和人

    ○上山和人君 長官の積極的な前向きな御答弁、それが一日も早く具体化されるように御期待申し上げております。  やっぱり出向者は自然に、今まで周囲が今長官が言われたような状況なものですから、ついつい錯覚をするんじゃないかと思んですけれども、上下・主従関係は利権構造化しやすい要因を持っているように思えてならないんですよ。  埼玉は二十五年十一代にわたって高齢者福祉課長のポストが指定席になっていた。そこから問題が生じた。山形では、障害福祉課長が市町村長に対して仲介を行っていた疑いが持たれています。だから、所管する課の問題だけではなくて、中央から出向しているばかりに、周りも悪いと思うんですよ、長い間のこれは今の行政のシステムですからね。余りにも期待といいますか、中央からの出向者に対する思い入れが間違ってもいるし、過大にもなり過ぎる。  したがって、一例ですけれども、例えば山形で障害福祉課長が市町村長に対して仲介を行った疑惑を持たれるように、利権構造化しやすい。だからああいう問題が起こるし、どこの地方自治体だって第二、第三のこういう問題が起こらない保証は全くないと思うんです、今の状態が続く限りは。ぜひ局長も、一日も早く実態を把握されて具体的に改革案というんですか、改革の方策を一日も早くお示しいただくように強くお願いを申し上げたいと思うのでございます。  また、ちなみに長官から御丁寧に把握なさっている出向者の数の御報告がございましたけれども、民間が既に調査結果を発表しているわけです。日経産業消費研究所の調査結果は、都道府県と政令指定都市への出向者の数だけですけれども、しかも課長級以上の出向者だけに限って調査結果を発表しておりますから長官が今言われた人数よりも少ないんですけれども、そういう民間の調査結果すら早くから出ているんです。  例えば平成八年度、課長級以上で都道府県、政令都市への出向者は、都道府県に五百五十二人、政令都市に六十人、合わせて六百十二人。建設省が百八十二、自治省百四十九、農水七十七、厚生七十一、この四省で出向者の七八%を占めている、そういう結果も発表されているわけでありますから本当に一日も早く正確に、人数だけでなくて内容の実態把握もしていただいて私たちにもお知らせいただきたいし、国民の前にもその調査結果を明らかにされるべきだと思うし、それに基づいて本当に根底から改革する改革案をお出しくださるように長官に特にお願いを申し上げて、次の人事院への質問に移ります。  いわゆる天下りの問題でありますけれども、なぜ中央省庁から関連企業に再就職を、中央省庁を定年に達しないのに早く退職して関連企業に行くいわゆる天下りというシステムがなぜ生まれたんでしょうか。なぜこういう天下りというシステムができたんでしょうか。人事院総裁、どのように把握なさっていらっしゃるでしょうか。
  151. 弥富啓之助

    説明員弥富啓之助君) お答えを申し上げます。  もう委員既に御承知のとおりでございますが、営利企業への就職の制限制度というのは、退職をいたしました公務員が、言うなれば一般の人になったわけでございますが、憲法に規定されております職業選択の自由ということと勤労の権利ということがあるわけでございまして、それとまた、退職前には公務員であったわけでございますから、公務の公正な執行の確保、これをいかに調和させるかということを図る一つの制度でございます。  公務をめぐります環境の変化、特に最近いろいろ各方面から公務に関する論議、それからまた一つは、職員の就職意識がいろいろ変化をいたしてきておりまして、こういう問題を踏まえまして現行の承認基準等につきましては所要の見直しが必要であるというふうに我々も判断をいたしておるところでございます。
  152. 上山和人

    ○上山和人君 いや、本当にそういう理由で今の天下りのシステムができたんでしょうか。私たちはそうは思えないんですよ。そこに何らかの利点がある、はっきり申し上げて。受け入れようとする、これもやっぱり来ていただきたい、お願いしたいと欲しがるその理由があると思うんですね。あるいはこちらから国家公務員を退職して民間の企業に就職していくだけの何かがある。そこからこういう問題はやっぱり生まれたんじゃないでしょうか。  もう時間がありませんから私の方から申し上げますけれども、これはもう固有名詞は申し上げません。営利企業じゃありません、天下りは必ずしも営利企業だけが問題だということに限らないということをこの例は示しているんですけれども、ある業者の団体がございますね、業者が一緒になってそれぞれいろんな研究をしたり改革の話し合いをしたりする。協会という名前が多いですけれども、そういう協会などがございます。  そういう協会の中心的なポストに長年ある省から就職された人がいますよ。非常に長期にわたって中心的なポストを占めていらっしゃる。その人が事務局長ですよ。だから、協会の皆さんは今こういう法律をこんなふうに改正してほしいという話し合いの結果、いろいろ研究をしたりした結果、そういうことになる場合だってありますよね。事務局長ですから、ぜひこの法律の改正にひとつ御尽力いただきたいと、会長以下お願いをする。  その事務局長が何と言ったかというと、一つ法律を改正するのに億単位の金がかかるんですよと言っているんです。わからないんですね。法律を改正するのに金が要りますか。法律一つ改正するのに億単位の金がかかるんですよ、どうしてそういうことがわからないんですかと。その言葉が何を意味しているかを私たちは考えたいんです。  やっぱり役人を接待したり、あるいは政治家に政治献金もしなくちゃならないといったようなことがずっと行われてきているんじゃないでしょうか。法律改正についても、そういう役所とのパイプあるいは政治家との便宜的な関係、そういうものがあって企業にも大変有益である。あるいは公務員を退職して民間の企業に就職していけば優遇されるという処遇の違いもあると思う。それは今の公務員の処遇がこのままでいいかどうかという問題を検討する問題ともまたかかわってくると思いますけれども、やっぱりそういう利害関係が顕著にあると、天下りの問題には。  今、営利企業でない協会の中心的なポストに、具体的にはもう申し上げませんけれども、ある省から行っている人がそんなふうな対応をしてみんなを指導している。何十年かかっても一つの法律だって改正できないと嘆いているわけですよ。  私たちは天下りの問題というのはそういうふうな問題としてとらえるものですから、人事院は何とかしてこの天下りのこれを、今の状態から少しでもそういう弊害が起きないようにどう改善をするかということについて、随分具体的に御努力なさっていることはよくわかっておりますけれども、人事院総裁どうなんですか。私が申し上げるようなことは当たっておりませんか。どのようにそれを改革なさろうとしているのか、御報告いだだきたいと思います。
  153. 弥富啓之助

    説明員弥富啓之助君) 御案内のとおり、ただいまの法律制度では国家公務員法百三条の二項によりまして営利企業、これは商法上の営利企業でございますが、それにつくのに制限があるということでございます。    〔理事吉川芳男君退席、委員長着席〕  ただいま業界団体、あるいはいろいろなことがあるということをお聞きしたわけでございますが、とりあえず我々といたしましては、先ほど申し上げましたとおりに、現行の承認基準、これについて所要の見直しをすると。見直しに当たりましては審査の範囲とか、あるいは職責に応じて上の人は厳しくするとか、あるいは逆に職業意識の変化がありますから若いうちにやめていくという場合、あるいは業界団体に監督とかそういう権限が余りない例えば研究公務員、こういう人たちにはまた一方で弾力的取り扱いをしたらどうかというようないろいろな検討を鋭意進めておりまして、できるだけ早く一定の結論を得たい、得て御報告を申し上げたいと、かように考えておる次第でございます。
  154. 上山和人

    ○上山和人君 まずは現行のこの就職制限について、今も少し触れられたと思うんですけれども、国家公務員法百三条の規定がございます。二年間という制限がございますね。これはそれなりの対策だと思いますけれども、私どもが把握している、そして天下りの問題が問題にされている理由というのは、私は端的に一つの例で申し上げましたけれども、まさにそういう問題として、天下りの問題に国民が今疑問を持ち、そしてこれは改革すべきだという意識に変化しつつあるわけです。  だから、私たちは、もう天下りは単なる制限でなくて、一定の制限規定を設けるのでは足りないんじゃないか、全面的に禁止してもいいんじゃないか。憲法上のあるいは就職の自由、権利、いろいろ人権の問題としてもありますけれども、そういうことに抵触しないように工夫しながら、天下りの全面的な禁止が実質実現できるような改善の方策は、人事院総裁、全くないとお考えですか。
  155. 弥富啓之助

    説明員弥富啓之助君) 先ほども申し上げましたとおりに、これは退職公務員でございます。これは、公務員になっておりましたんですが、退職いたしますと一般の人になるわけでございまして、その人たちの就職を全部禁止いたしまして制限をしてしまうということ、これは憲法上から問題があるのではなかろうかと、これはもう制度発足のときからいろいろ御議論があったように私も承っております。  ただ、二年間とかあるいは五年間というふうな年限が今決められておりますけれども、これについてはまた国会の方面におきましてもいろいろ御議論があったことは十分承知をいたしておるところでございますが、また諸外国の例を我々も検討いたしましたが、公務員であったということで全面的に禁止するというふうなことは、なかなかこれは難しい問題があるのではないかと、そういうふうに考えておる次第でございます。
  156. 上山和人

    ○上山和人君 時間がなくなるんですけれども、総裁は、公務員を退職していくんだから、再就職をするんだから、人権の問題、権利の問題、あるいは就職の自由の問題等に抵触する、非常に難しいとおっしゃる。それは、そういう面は否定しませんけれども。  私も去年の八月からことしの一月まで建設省にお世話になっておりました、五カ月でしたけれども。その間、人事課長が人事案件をあらかじめいろいろ報告をします。非常に若い年齢で退職をすることに初めて気づいたんです。これは退職を余儀なくされて退職するんじゃなくて、まさに民間企業に行くための、再就職するための計画的な退職なんです。  そして、岡光前事務次官はたしか五十七歳ではなかったですかね。五十七歳以上は、事務次官以上の年齢の役人の皆さんはおいでにならないという慣行になっているんでしょう。例えば岡光さんが五十七歳、それ以上の役人はいないというようなシステムがなぜできているんですか。これはもう極めて不自然でならないし、本当に利権につながるような、利害関係をもとにして天下りが望まれたり進んで行きたがったりするような実態になってきたんじゃないでしょうか、長い間に。  私たちはそういう点を非常に深刻に、極めて行政の根幹にかかわる問題だと思うがゆえに、天下りは全面的に禁止することはできないものだろうか。二年制限することが許されるのであれば、それは二年だ五年だという部分的な制限が可能であるのなら、何らかの方法で人事院が組織を挙げて工夫、検討されるなら、実質全面的に、もう退職して民間企業に就職しないで六十まで、やがて年金支給開始年齢が六十五になるときには雇用システムとして公務員はみんな国家公務員、地方公務員問わず六十五に実質定年が保障されるような雇用システムに変えていく。  そういうこととあわせて、私は、憲法上のいろんな権利の問題などあるんだと思いますけれども、何とかして地方自治体への出向の問題、それから天下りの問題はもっと総務庁と人事院が本当に抜本的な改革に向けて御努力をいただかなければ行政への信頼を回復することはできないんじゃないかと思います。人事院の御努力にもいろいろ敬意を表したいこともあります。でも、どうかひとつ、これからはさらに積極的に、総裁を先頭にして今申し上げた問題に大胆な改革のメスを入れてくださるようにお願い申し上げます。  時間が来ておりますから、最後に、やっぱり今度の一連の不祥事は政官業の構造的な不祥事だと私たちは理解をしております。きのうの岡光前事務次官の起訴に関して署名入りの毎日新聞の記事が出ておりますけれども、「いま必要なのは官僚に倫理を説くことではなく、政治の側が強烈な問題意識の下に官僚をチェック、コントロールすることである。政治家も「政治とカネの関係」を見直すことは言うまでもない。」。  もうどなたがと申し上げませんけれども、政治家で企業から政治献金を受けていらっしゃる方はたくさんある。私たち社会民主党は、企業、団体からの献金を即時全面禁止することを提唱しているわけでありますけれども、そういう状態にならないと、本当に今国民が求めている政治、行政への課題を解決することはできないんじゃないか。  したがって、何よりも二十一世紀に向かう私たちが責任を持つべき課題というのは、政治と行政に信頼を取り戻すことだと思う。そのためにぜひ申し上げましたようなことについて総務庁長官、そして人事院総裁、せっかく御同席の大蔵大臣、格段の御努力をお願い申し上げて、質問を終わらせていただきます。  本当に失礼しました。ありがとうございました。
  157. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 まず、小泉厚生大臣にお伺いします。  大臣、予算委員会での私の質問に対して、日本病院寝具協会の会長を務めたのが九二年の五月二十六日から同年の十二月十一日までだというふうに答弁されました。しかし、私が調べた資料とはこれは明白に食い違っています。昨年、寝具協会は三十年を迎えまして、三十年史を発行しておりますけれども、それによりますと、平成四年五月二十六日から至る現在、つまり昨年までやっておると。この間一度も退任したということは書かれておりません。あるいは、ことしの七月一日号の機関誌「病院寝具」でも、「役員等名簿」というのがありまして、一番上に会長として小泉さんの名前がはっきり書かれておる。  先般、衆議院の委員会で松本善明議員の質問に対して、小泉事務所と病院寝具協会の事務局とで突き合わせたところ大臣の答弁が正しいんだということをおっしゃいましたけれども、同時に、会長と言われれば、はいと言ってあいさつするんだということをおっしゃいました。  この三十年史あるいは機関誌を見ると、結局この病院寝具協会が大問題になった、そのために後でつじつま合わせの任期合わせをやったというふうに私は見ざるを得ないと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  158. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 私は、この前の予算委員会でもお答えしたと思いますけれども、会長とはいっても名誉的な会長だしどっちでもいいと思っているんです。しかし、厚生省の公益法人の要覧を調べてみますと、実際の権限を持っているのは理事じゃなきゃ役員と認めていない。私は理事でもないということだったものですから、厚生省所管の法人には会長の名前もない。事務所に調べさせたら何か行き違いがあったようだ。しかし、私どっちでもいいと思います、会長でも会長でなかろうが。私、関与していないんですから。  で、問題がある、会長という名前が変な誤解を受けちゃいけないというのだったらば、それははっきりさせた方がいいだろうということになっていると思うのであります。一時期、確かに会長になったことはあります。いつからいつまでというのははっきり調べればわかると思いますが、それは私はどちらでもいいことだと思っております。
  159. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 どっちでもいいことだというふうにおっしゃいましたけれども、私はそれは済まないと思う。この前も指摘したけれども、日本病院寝具協会の定款には、会長の権限というのは明確に書かれていて、この前厚生省も読み上げましたでしょう。しかも、何もやってこなかったということでは済まないんです。  病院寝具協会の会員でなかったために病院との取引を不当に制限された、こういう業者はたくさんおります、寝具業者で。そのうちの一人に、北九州市にあるエルゼという会社があります。我々会ってきました、ここの平田会長に。この平田好正会長は、いかに日本病院寝具協会の新規参入の妨害がひどいかということを資料まで添えて大臣の事務所あてに、小泉会長ということで何とかしてくださいという手紙が数度にわたって届いているはずです。そのうちの現在も保管しておられた二通、平成五年一月七日付と四月十二日付、これはコピーですけれども、ここにも資料を添えて会長の小泉さんに何とかしてください、こんなひどい妨害が許されるのかといういわば切々たる訴えが出されていた。  つまり、あなたはこのとき会長ですよ。厚生大臣の経験者でもある、政治献金も当時受け取っておられた、この時期は。そのときに病院寝具協会の横暴を何とかしてくれという訴えをあなたは聞かれて、これを全く援護しなかった、ほうり捨てたと、こういう態度でもとったんですか。
  160. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 確かにそういうお手紙を読んだ記憶はあります。そこで何とか改善した方がいいんじゃないかと言った覚えもあります。
  161. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 そうしますと、これまでの答弁と違いますよ。大臣は、これまでそういう独占禁止法に違反するような行為をこの業界がやっていたということはこれは知らなかったと、業務運営にも全くタッチしていないからだというふうにおっしゃってきたんです。ところが御存じだったじゃないですか、ちゃんと手紙を見て。手紙を見てちゃんと御存じだった。
  162. 小泉純一郎

  163. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 ちょっと待ちなさい、これから聞くんだから。  つまり、あなた知らないでは済まないという立場にあったんですよ。しかも、この病院寝具協会の独占禁止法違反によって病院寝具協会の会員が納めている病院寝具というのはどんなものだったか。これは公正取引委員会の担当官の方が「公正取引」という雑誌に書かれていますよ。どういうふうに書かれているかといいますと、「本業界では、競争が十分に行われなかったため、寝具類の洗濯交換の回数が少なく、患者が不衛生の状態に置かれているとか、耐用年数を超えた寝具類が使用され続けているといった苦情が聞かれた。」と、これ調査をした担当官が書いているんです。  つまり、独占禁止法違反で新規業者の参入を妨害したというだけじゃない、この協会は、偉そうに業務代行保証だ、病院の寝具は大事だといって独占的にやって、何かといえば不衛生な寝具を納めた、洗濯回数が少なかった、こういう苦情も聞かれたというんですよ。  あなたは会長として運営関係していなかったというふうに言い張りますけれども、私はそれで済まない。厚生大臣まで経験した、そして国会議員が会長まで務めて、そしてこの団体がこんないわば反社会的行為をやっておるというのであれば直ちに改善を命じると。ところが、実際にはそこから政治献金をもらっていた、こういう関係でしょう。私は責任重大だと思いますよ。
  164. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 私も大体アバウトなものですから、具体的な業務はわかっておりません。しかし、そういう批判があったから、批判のないように改善を講じたらどうかという程度でありました。
  165. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 私は非常に無責任だと思うんです。  ところで、あなたの政務秘書官で飯島さんという方がいらっしゃいます。十二月三日にこの飯島政務秘書官が病院寝具協会の役員を厚生省に呼んで、役員の体制の見直しであるとかあるいは運営の改善であるとか、解散も含めて、もう病院寝具協会解散ということも含めて非常に強い要請を行われたということが報道でありました。  私、厚生省を呼んで伺いました、この事実関係はどうだったんだと。そうしますと、この強い要請がききまして、翌四日には常任理事以上の役員は全員退任しております。ただ、だれも後のなり手がいなくて、今こんな問題ですから空席のままになっているそうです。  監督官庁である厚生省のしかるべき、例えば所管の局であるとか課であるとかが、あなた方まずいよというので要請するならまだわかります。何で政務秘書官がやったんだと。これは異例なことだと思うんです。政務秘書官が公益法人の役員を呼びつけて、そして運営改善させる、役員を一新させる、そんな例は余り聞いたことがないです。  何でそんなことやったんだと言いましたら、これは厚生省説明ですよ、三つ理由を挙げました。  一つは、大臣がこれまでこの協会の政治連盟から政治献金をいただいてきた、そういう関係にあった。会長なんかどうでもいいとおっしゃいますけれども、元会長であった。現職の厚生大臣でもある。この三つがこういういわば異例の要請を行つた理由だというふうに私は説明を受けましたが、間違いございませんか。
  166. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) そうだと思います。いろいろ批判がある、批判を謙虚に受けとめて改善すべきところは改善した方がいいんじゃないかという意向を受けて秘書官が話したんだと思います。これからも批判を受けることのないような公正な活動をしたいというような助言というか、話をしたということは聞いております。
  167. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 要するに、この事件が表ざたになって大問題になる、そこでやっと改善に手をつけた。政務秘書官が呼べば、それで直ちに改善、改善というか役員の一新もされたということなんですから。  そういたしますと、大臣が会長だった当時、例えばエルゼの平田会長から訴えがあった、そのときに直ちに手をつけておられれば、言ってみたら、公正取引委員会が調査に入る以前にも独占禁止法違反、こういう行為をやめさせる、あるいは具体的には業務代行保証制度が悪用されているんじゃないかというふうなことであるとか、あるいは役員の一新であるとか、こういうことができたはずなんですよ。しかし、そのときにはやられなかった。独占禁止法違反で公取が勧告をしても、役員体制は基本的に何も変わっていない。独占状態も何も変わっていない。  つまり、私は、少なくとも大臣は結果としてこういう暴走を見逃してきたという政治責任は当然あるというふうに言わざるを得ないと思うんですけれども、この点はいかがでしょうか。
  168. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) それは国会で、こういう不祥事が起こって議論の的になる。受けとめ方が違うと思います。受けとめ方は確かに違ったと思います。深刻の度合いが違ったと思います。その深刻さを重く受けとめて、恐らく協会の方もそうなんでしょう、今まで改善した方がいいんだということについても受けとめ方に違いがあったと。これだけ国民的な議論を呼んで、やはり姿勢を正していこうかなということを真摯に私は受けとめてくれたんじゃないかなと思っております。
  169. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 私は、そういう態度が結局協会の暴走を許してきたと。  例えば、これは厚生省の責任も重大だと思うんです。厚生省に聞きますけれども、ワタキューあるいは病院寝具協会、独占禁止法違反で勧告、そして警告、これを受けています。それに対して指名停止の処分を行ったと思いますけれども、何カ月の指名停止をやりましたか。
  170. 小林秀資

    説明員(小林秀資君) お答えいたします。  平成五年十二月に公正取引委員会から勧告を受けまして、そして寝具の賃貸し業社十五社に対しまして平成六年一月十八日より一カ月、それから複数県にわたるところについては二カ月の指名停止の処置を講じたところであります。
  171. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 福岡県、佐賀県、長崎県、岡山県、ワタキューはこの四県で勧告を受けて、そして指名停止処分を受けている。たった二カ月ですよ。実害はあったんですか、ワタキューに、指名停止処分で。
  172. 小林秀資

    説明員(小林秀資君) 指名停止を受けますと、その期間は新しく入札に応札ということができません。そういう意味から、国立病院の分についてはもう契約が成り立っていまして、実際に患者さんのケアのために非常に困りますので、その約束のことは履行されますけれども、その業者にとっては、その間は指名に入札はできないということで、それなりの処分を受けた形の効果はあると思っています。
  173. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 実害なんかあるわけないんですよ。一月十八日から二カ月でしょう、三月十七日までですよ。契約は四月からするんだから。だから、国立病院・国立療養所の指名停止処分を受けてワタキューはもう納められなくなった、こんなケース一つもないんですよ。  最高九カ月できるでしょう、最高九カ月の停止。あなた方の内規なのか何だか知りません、いただいた資料を見ると最高は九カ月までできるんですよ。九カ月と言わなくたって、三カ月、四カ月やれば本当におきゅうを据えるということになる。二カ月じゃ全くおきゅうを据えたことにならないしかも、複数県にまたがる場合には一カ月じゃなくてもっとできるとなっているんだから。ワタキューの場合は四県ですよ、勧告だけで。そのほかに警告受けているのが二つある。最悪のケースですよ。何でそれをわずか二カ月にしたのか。これじゃワタキュー痛くもかゆくもない。  その結果どうなっているかといいますと、例えば佐賀県を例にとりますと、佐賀県でも指名停止処分を受けている。しかし、ワタキューは佐賀県にある国立病院・国立療養所の寝具はすべて独占状態、ずっと続いている。厚生省がいかにこの日本病院寝具協会、ここを優遇していたかということは、この経緯を見ても結果を見ても明らかだと思う。  その結果どうなっているか。全国的に見ても日本病院寝具協会役員業者とワタキューの独占というのは目に余るものがあります。全国に国立病院・国立療養所二百二十六カ所ありますね。このうち日本病院寝具協会の役員企業あるいはワタキュー、それぞれどのぐらいのシェアを占めていますか。
  174. 小林秀資

    説明員(小林秀資君) 国立病院、全部で二百二十六施設ありますが、このうちワタキューセイモアの委託率が六十七カ所、二九・六%であります。ただ、民間の調べによりますと、この寝具関係の業界の中でシェアの第一位がワタキューセイモアでございまして、この民間の調べではワタキューセイモアが全体でも約三〇%のシェアを持っているということでございますから、そういう意味では、国立病院の二九・六%というのは、何も国立病院が特にワタキューと契約が多いということには当たらないのではないかなと、このように思っています。
  175. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 それは全くごまかしです。要するに、日本病院寝具協会が業務代行保証制度を悪用して、そして独占をやってきたと。何も国立病院に対してだけじゃないでしょう。民間病院に納めるときだって業務代行保証制度はあるわけでしょう。あなたの答弁は、国立病院が特別多いわけじゃございませんというんじゃないんですよ。実は民間も多いんですということを言っているだけの話です。そうでしょう。  じゃ、理事企業あるいは元理事企業も含めて、どれぐらいのシェアになっていますか。
  176. 小林秀資

    説明員(小林秀資君) このリネンサプライ関係の業者が全部で幾つあるかというのは、正確な数字は把握いたしておりません。  ただ、民間の調べですと、大体全部で百八十ないし百九十ぐらいの業者があって、そのうち日本病院寝具協会に入っているのは約百六十ぐらいだろうという記事がございまして、まあそんなところなのかなと、こんなふうに思っているところであります。
  177. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 大体そんなところです。百六十六施設、国立病院でいいますと、七割を超えるところが病院寝具協会の理事か元理事になっているんです。つまり、圧倒的に国立病院の仕事がこの仕組みによって、そして寝具協会の役員のところへ行っている。何でこんなことになるのか。私は政治家の責任もまた重大だと思いますよ。  同時に、天下りですよ。例えばワタキューセイモアに対しては、国立療養所秋田病院事務長、国立習志野病院事務部長、国立金沢病院事務部長、この三人が天下っているんです。これ厚生省からもらった資料だから間違いない。事務部長あるいは事務長というのは契約を直接担当する人ですよ。こういう人が天下っている。  あるいは日本病院寝具協会の方へはどうかというと、元関東信越地方医務局次長、国立医療センター事務部長厚生省医務局長、関東信越地方医務局次長、こういう方々が専務理事あるいは理事として天下りをされている。これは間違いないですよね。
  178. 小林秀資

    説明員(小林秀資君) 寝具協会の方はちょっとわかりませんけれども、ワタキューセイモアに再就職しているのは平成八年十二月十九日現在で三名であることは間違いありません。そのうち一名は既にみずから退職をいたしております。
  179. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 大臣、やはり特定の公益法人であるとかあるいは特定の企業であるとか、しかもそこには業務代行保証制度といういわば役所にかわってある権限を与えている、そういうところへ厚生省からその重要な部署に天下っていくというふうな体制があるから、先ほども指摘があったけれども、結局、政と官とそして業、こういう癒着関係ができ上がって、今日の事態を引き起こしている。私はここに本当にメスを入れる必要があると思うんですけれども、最後に大臣の見解をお伺いしたいと思います。
  180. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 天下り問題については、公務員制度あるいは定年制全体の観点から議論を深めて、正すべき点は正したらいいんじゃないかなと思っております。
  181. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 終わります。
  182. 今井澄

    ○今井澄君 民主党・新緑風会の今井澄でございます。  最初に、質疑通告はしなかったんですが、冒頭三塚大蔵大臣の方から、平成四年度、五年度にこの参議院決算委員会及び本会議でも当然議決したわけですが、警告決議について講じた措置概要お話がありましたが、私はちょっと不本意なものですから、このことをちょっと申し上げたいと思います。  第一点の行財政改革のことにつきましては、きょうの新聞各紙社説で、なっていないということが出ておりますが、このことは、ここは決算委員会ですから予算委員会等でやっていただくことにいたします。  第二点目なんですが、警告決議の中では、明らかに約二千億円の国費が投入されて、これは非常にむだだったんだと。もともと中途半端なんですね、あのATRという新型転換炉というものが。こういうものをだらだらとやって、業界から言われて中止したというところに問題があるという指摘だったと思いますが、その点では、この二番の措置概要ということについて、やっぱりその財政の効率化とか効果とか、そういう点の視点が欠けたものだというふうに私は考えざるを得ません。  それから、三番目の国民健康保険財政調整交付金の不適正受給ですが、これも極めて緊張感を欠いた措置だと思うんですね。強く指導を行ったところでありますと言っていますけれども、平成六年度は減りましたね。減りましたけれども、平成七年度、つい最近概要が発表されましたけれども、また三億に近い不適正な交付が行われている。この警告決議の中では累積で百五億と言っていますが、それがついに百二十億を超えているんですね、平成七年度。そうすると、強く指導を行ったところでありますということで済まされる問題ではないというふうに思います。  この問題については、もう厚生省の方もよくおわかりでしょうけれども、こういう不適正な受給をいろいろ偽って調定をしてやるところというのは大体はわかっているんですよ。これまで昭和六十三年度以来四十市町村。その四十市町村のうちの三五%は大阪府を中心とする近畿ですよ。医療費の高いところが大体この国保の医療費の不適正受給を受けているという、この辺をきちっと踏まえてちゃんとやらないと、またこれはイタチごっこみたいでどんどんふえていくと思うんです。ですから、そういうことについては、私としては本日お伺いした講じた措置ということについては極めて不満であるということをまず申し上げておきたいと思います。  委員長にこれは一つ御提案申し上げたいんですが、この警告決議は本会議議決をするわけですね。この措置委員会だけで聞いて、しかも当日お聞きしてさらっと済ませていいものだろうかどうだろうか。もうちょっとやっぱり重いものではないだろうかと思いますので、今後、この講じた措置をどこでお聞きしてどういう取り扱いをするか、質疑等を行うのかどうか、また委員長の方でお取り計らいを願いたいというふうに思います。  以上のことにつきましては、私の方も質疑通告をしておりませんでしたし、ちょっと御指摘を申し上げて、質疑に移らせていただきたいと思います。  まず第一は、特養の例の丸投げ事件、今回のことについて建築費、単価等の問題ですが、きょうトップバッターの松谷委員から大変詳細な、含蓄のあるいろいろなおもしろい事実もわかった御質疑がございまして、私も大変感心いたしたわけでありますけれども、まず事実関係を幾つか、これは新聞にいろんなことが報道されておりますが、やっぱりきちっとしたこういう委員会の場で議事録にもとどめるという形で、厚生省の調査結果などもお伺いしたいと思います。  まず第一は、この彩福祉グループが埼玉県内五カ所、それから山形県内二カ所の特養で、いわゆるジェイ・ダブリュー・エムを通じて丸投げによって二十五億九千二百万円の差額利益を得ていたということ、こういうふうに確認してよろしいかどうか。そしてまた、そのうちで、けさも松谷委員がお取り上げになりました吹上苑及び川里苑の建設に際しては設計費を三倍余りに水増ししていたということ、そしてこの設計費については、厚生省の補助基準を見ますと本体建築というのはありますが、設計費というのは補助項目にないんですね。私は、この本体建築の中に設計費は含まれているというふうに理解しているんですが、それでいいのかどうかということについて、まず厚生省の方からお答えいただきたいと思います。
  183. 羽毛田信吾

    説明員羽毛田信吾君) お答えを申し上げます。  まず、いわゆる丸投げによって七施設で二十五億九千二百万円の利ざやを稼いだのではないかという点の事実関係の御確認でございます。そのとおりでございます。それ以外にあと一施設、いわゆる丸投げではございませんけれども、契約額が本当かどうかというところについて疑念を持たれておる。そこでさやといいますか差額を稼いだのではないかと思われるものがございます。そういうものを含めました数字で申し上げますと、八施設、二十六億九千八百万円ということになります。  また、御指摘の設計費にかかわるところでございますけれども、吹上苑とそれから川里苑につきましては、埼玉県の調査したところによりますというと、吹上苑の設計費として県に報告された契約額が三千五百二十万円であるのに対しまして、業者から聴取した実際の契約額は九百十万円。また川里苑につきましても、設計費として県に報告された額が四千二百八十万円であるのに対しまして、業者から聴取をしたら千二百九十八万円であったということで、その間に差があったと。調査の事実としてはそのようなことで私どもの方も県から報告を受けております。  そして、その設計費というのは、先ほど先生仰せのとおり、私どもの方の国庫補助の中ではいわゆる補助単価なりなんなりの中に入れて計算した額になってございます。
  184. 今井澄

    ○今井澄君 今、ジェイ・ダブリュー・エムを経由するいわゆる丸投げではない北本苑のお話もありましたが、ここでは工事契約書を偽造して実際の受注額より一億六百万水増しして申請していたということが確認されたと思います。  次に、補助金の実際の交付ですけれども、この補助金の交付の決定が行われた後、実際に事業が行われて、その事業が実施されたという確認の上で工事の補助金が出されるんだというふうに思いますけれども、特別養護老人ホームの場合には一体年間何回に分けて工事実績を報告させて補助金を交付するのか。それで、その途中でいろいろあると思いますが、二カ年、三カ年の事業については最終的にそういう補助額の増減があるのかどうかということをお聞きしたいんです。  と申しますのは、これは新聞記事によりますけれども、山形県大江町の「らふらんす・大江」については、ことし三月十八日に工事契約が行われた直後の三月二十八日に工事が一〇%近く進んだという出来高内訳書が提出されて、それをそのまま受け取って、一〇%分の補助金、国、県合わせて一億三千七百万円が交付されているということなわけでありますけれども、三月のこのころというと、まだ山形県では雪が深くて、一〇%の工事というのは進んでいないんですよ。現場も見ないでやったのかどうか、そのことをお聞きしたい。  もう一つは、平成八年度分、上尾市の「あけぼの」、それから川里苑、上福岡苑、鷲宮苑ですか、それから山形県の方ではリバーサイド成安、「らふらんす・大江」等、相当の額の補助金の交付の決定が既にされているわけですが、これは一部分でも既に交付されたのか、あるいは今後交付する予定があるのか、この辺をお聞きしたいと思います。
  185. 羽毛田信吾

    説明員羽毛田信吾君) 幾点かのお尋ねがございましたが、まず補助金の交付の手順につきましてのお尋ねでございますけれども、特別養護老人ホームの国庫補助金につきましては、まず協議をしていただいて、それについて……
  186. 今井澄

    ○今井澄君 交付の回数だけでいいです。
  187. 羽毛田信吾

    説明員羽毛田信吾君) 補助金の交付は年度ごとに一回やっております。そして、その交付の決定を行った後に年度ごとに事業実績報告によりまして確定しまして、その確定額が交付決定額より少ないというような場合にはその分は実際の支払い額を減額される、つまりその分は返還をしていただくという形になっておりまして、過去にもそういう形で返還を求めた例はございます。  それから、具体的な山形県大江町の「らふらんす・大江」についてのお尋ねでございましたけれども、これにつきましては、厚生省におきまして特別養護老人ホームについては平成八年三月二十二日に実は補助金の交付を行っております。それで、今、先生のお話のございましたいわゆる工事の出来高内訳書との関係でございますけれども、私ども報告を受けておりますところでは、これは山形県が平成八年三月二十八日に現地におきまして竣工検査をやりまして、いわゆる出来高検査をやって、法人から提出された実績報告書あるいは工事出来高内訳書等で確認して、工事の進捗率を一〇%ということにして厚生省に交付決定どおりの実績報告が出てきたというふうに県からは報告を受けておるところでございます。  それから、平成八年度につきまして、現在、「あけぼの」、あるいは川里苑、上福岡苑、鷲宮苑、リバーサイド成安、「らふらんす・大江」等についての補助が差しかけになっておりまして、内示をしたままになっておるわけでありますけれども、現在のところはまだ交付決定には至っておりません。それで、今後どうするかにつきましては、今回のこういった不適切な法人運営、それから設置認可についてのいろいろな問題というものが含まれているというところからしまして、今後の法人の体制をいかにきちっと立て直すかということを見きわめた上で、そこで県とも十分協議を申し上げ、今後適切に対応していきたいということで、今とりあえず交付は差し控えておるところでございます。  以上でございます。
  188. 今井澄

    ○今井澄君 ところで、午前中の松谷委員質問の中で、特に二つ吹上苑と川里苑を挙げて、実際に下請で行われた工事額を補助金が上回っている、こんなばかな話があるかというお話で、全くそんなばかな話があるのかということで私も我が耳を疑ったわけであります。  というのは、私は自治体病院に勤務しておりましたし、身近で特養の建設も見ておりました。また、保育園の建設等も自分のいるところで見ておりまして、市町村、自治体の関係者、市町村長たちの嘆きあるいは私たちの嘆きは、厚生省が補助金を出す際の補助単価が低過ぎる、それからこういうものをつくった場合に補助金を出すという基準面積が少な過ぎると。本当に患者さんのために、収容者のためによかれと思ってつくるとどうしても面積はオーバーするし、入札にかけてみても単価はそれじゃおさまらないということで、国が二分の一補助を出すというけれども実態は四分の一ぐらいの補助だと。  例えば私の地元の自治体でも、これは平成四年度ですが、特養をつくりましたところ、厚生省の基準の一人当たり面積の約三九%オーバー、そして入札をした落札価格の平米単価がやっぱり四割近くなんです。そうしますと、実際の事業費は厚生省が補助基準額として定めている額の約一・九倍になるんです。これは、地方自治体は、特養の場合も保育園の場合も学校の場合も聞いておりますが、結局国のそういう基準でやってもだめだと。自己負担が多い、いわゆる超過負担と言われるものが生ずるというのが我々の実は常識だったわけであります。ですから、私も国会にお世話になるようになりましてから委員会でも取り上げたことがありますし、直接厚生省にも何とか単価を上げられないのかということで大分働きかけ、幸い少しずつ上がってきたという経過があります。  ところが、きょうの松谷委員お話なんかを見ましても、実際にそれだけの値段でできるなら一体これは何を意味するのかということなんです。例えばこの吹上苑とか川里苑、できたものが粗悪なものだとすれば、それはやっぱりその工事費が間違っているんだと思うんです。単価が安過ぎる。例えば、防音が十分でないとか雨漏りがするとか、あるいはすぐ耐用年数があれだとか、あるいは地震になったら崩れちゃうということがあるんだったら、こういう単価で請け負ったこと、あるいは丸投げされたこと自身がおかしいということになると思います。  しかし、もしこういう吹上苑なり川里苑なりがかつかつでも十分使用に耐えるものだとすれば、きょうの午前中のお話を延長すれば、この単価を見直すということは単価を下げてもいいんじゃないかと。補助金が上回るようなことはあってはならないということになるとそうなるんですが、そうしますと、私どもは今適正な競争入札にかけてそういった建築をやってきているわけですね、地方の自治体はやってきている。そうすると、そこで落札される価格は実はおかしいのかな、相当の利益を見込んだ入札が行われているのかなという気がしないでもないんですね。  そこで、ちょうど私、この前、小谷村の土石流の災害の現場も見てきました。そうすると、この丸投げというのは実はああいうところでも常態化しているんですね。そもそも元請のところが、下請がやっているところの立ち会いも監督も見張りも何もしていないんですね。丸投げしたまんまということ。これは建設業法に違反しているはずなんですけれども、こういうことが行われている。そしてまた、その下請、孫請をやった会社の人のお話をいろいろ聞いてみますと、大体元請から下請にまず十三%から二〇%抜いて渡されるというんですね。  そうすると、一体そのお金は何なのか。もともと工事単価の中にそういうことまで見込まれているとすると、これはやっぱりおかしいんではないだろうか、工事単価はもっと切り下げてもいいのではないかということを特養だけではなく思うわけであります。  そこで、それやこれや考えてみますと、話が飛びますけれども、例えば官官接待の問題にしても、みんな必要だからという名目でかなりいいかげんに公金を使っているということもありますし、前回の決算委員会で私は質問しましたが、例えば研究費が出る場合には必ず一〇%が一般管理費で出るんですね。一般管理費で一〇%というのは一体何の根拠かというのは一切明らかでない。国民からいただいた税金を使って工事が行われたり研究が行われたりいろいろなそういう接待が行われるとき、どうも甘過ぎるのではないかと思うんですね。  これから厳しい工事単価の見直しや入札等が起こると思うんですけれども、この辺について厚生大臣、建設大臣、大蔵大臣の御感想をちょっとお伺いしたいと思うんです。ただ下げればいいという問題ではない。単価を下げれば今困るのは地方自治体だと。だけれども、実際に単価がそんなに要らないんだとすると、今行われている入札がおかしい、実績がおかしいということになると思うんですが、それはいかがでしょうか。
  189. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) ただいまの御意見そして午前中の松谷議員からの御意見等を伺っていまして、両方の意見があると。実際の厚生省が出している補助単価はとても現実離れしている、低過ぎるという声がある一方で、午前中の議論でいきますと、むしろ補助金が余っちゃうほど安くやっている、これは本当にどうなっているのかという気がいたします。  そういう今までのやり方を含めて補助金がどのような形で実際使われているのか、業務の再点検を含めまして鋭意今改善措置を講じているところであります。  また、一昨日の大蔵大臣と厚生大臣との大臣折衝におきましても、特別養護老人ホームの整備費の補助金については、内示はゼロでありましたけれども全額復活を認めていただく際にも大蔵大臣から、厳しく業務の再点検をすべきだと、また来年には厚生省のみならず大蔵省も共同してこの実態調査をしようということで全額を補助金が認められたという経緯もありますので、きょうの御意見を踏まえて、よりよい補助金の使われ方、今の業務の再点検、あるべき改善措置を講じていきたいと思っております。
  190. 亀井静香

    国務大臣(亀井静香君) 委員御承知のように、公共事業の受注につきましても、実際に工事を施工する施工能力のある業者が直接受注をしないで下請につく、あるいは孫請につくという形の中で相当部分やられておるという現実がございます。  公共事業につきましても、工事完成についての責任あるいはその後のメンテナンス等の問題を含めまして、大手の業者が受注をして、責任を持ってそれを中小等に下請させていくという、そういう形態での施工が絶対にいかぬということではないとは思います。しかし、実際の施工能力があり、その後のメンテナンスを含めて工事完成についてきっちり責任が持てるような中小業者に直接受注の機会をふやさなければならないと、このように私は考えております。  そういうことで、現在、中小零細の受注機会が減ってきておる状況、最近ちょっと改善されておりますけれども、この際思い切りまして、このたびの補正予算の執行につきましては、実験的に中小零細のCクラスの業者にJVを組ませまして、Bランクの仕事を直接JVで受注させるということを、補正予算の執行については極めて実験的な面がございますが全国で実施をする予定にしておりまして、これがうまくいきますと本予算の執行につきましてもそうしたことをどんどん取り入れてまいりたい、そして委員御指摘のような不合理な面があればこれを直していきたいと思います。  なお、ちょっと誤解されておる点について委員説明させてもらいます。  小谷村の災害復旧工事に関しましては、今、全体につきましては災害調査委員会、これは学者先生による中立的な委員会で調査をしていただいておりますけれども、工事のあり方等全体について問題があったかなかったかということは、建設省自体としてこれは徹底的に調査をする必要があるということで我々調査をいたしておるわけでございます。  まだ途中経過でありますけれども、現在のところ、あの現場は五社が受注をして、下に下請等をやらせておったわけでございます。災害が発生した時点で、その時点では五社のうちの一社の技術者が現場にいなかったということはありますけれども、それはたまたまそのときでございまして、今までの調査によりますと、あの五社とも技術者を現地に派遣をしておったようでありますが、しかし、さらに詳細にそのあたりは調査をしてまいりたい。  そういうことでございますので、いわゆる丸投げというような形で、いわば上を一五%、二〇%懐に入れて、そして下請、孫請にやらせるということは、ある意味ではこれはもう税金のむだ遣いという形にもつながってくるわけでございます。しかし一方では、先ほど申し上げましたように、公共事業をきっちりと完成をさせていかなければならない。そういう面での施工能力、管理能力の面もございますから、そのあたりを今後とも検討してまいりたいと、このように考えております。
  191. 三塚博

    国務大臣三塚博君) ただいま今井委員の御発言、質疑を拝聴いたしておりまして感じますのは、基準単価はそれぞれに決められておると。二分の一でありましてもその四分の三でありましたり、いわゆる超過負担ということで自治体が苦しむ実態は私もよく経験をいたしておるところであります。  それに引きかえまして、今日の場合は、丸投げでなおかつ利益が残る。こういう問題がどうして起こるんだろうなと。このことが、特養老人ホームの方々に直接の何の責任もない、彩グループの非常に特徴的な考えられないことが行われておったということで、しかし、小泉大臣からも触れられましたが、最終的に復活をいたしました。  これはまさに特別養護老人ホームの重要性、高齢化社会に向かう政治、行政の取り組みとすれば真っ正面からこれに取り組んでいかなければならない大事な国の基本的業務でありますから、そういう点でかかる批判にこたえますために施設整備に係る補助金の執行手続について厚生省において再点検を行い、一月末を目途に具体的改善策を取りまどめてほしい、しかし本省だけでやるわけではない、ともに年明け早々大蔵省を含めまして国としての実態調査を行ってまいり、具体的改善策を取り進めてまいりたいと、こういうことであります。  今回の事件を踏まえまして、従来にも増して適正かつ効率的な執行が行われますよう補助金等予算全体について見直しを行っていかなければならない、そのように進めてまいりたいと思います。
  192. 今井澄

    ○今井澄君 これはなかなか複雑な問題が絡んでいるわけですが、公が発注するあるいは準公が発注したものがどうも高い買い物につくということのないようにしながらきちっと見直しをしていかなければならないと思いますので、よろしくお願いいたします。  ここでちょっと話題を転じまして、先ほど木曽岬の干拓のお話もありましたが、今干拓事業というのが見直しの大きな対象になっているということはもうこれは常識だろうと思います。特に中海の問題につきましては、来年度予算折衝の中でもいろいろな経過があったということをお聞きしているわけですけれども、特にこの問題について総務庁行政監察局にお尋ねしたいんです。  農林水産省関係の大型事業を中心に七十七カ所、昨年の四月から七月にかけて現地調査をされたというふうに聞いているんですが、普通、行政監察の場合はよほど異例のことでない限り一年以内には報告が出る。ところが、一向に行政監察の報告が出てこない。この農水省の事業の中では中海の干拓の問題は非常に大きな問題だったはずだし、関係者はそういうふうに言っているわけですね。  これはそういう調査を実際にやったのかどうか、なぜこの行政監察結果が出てきていないのか、中海についてやったのかどうか、どう考えているのかについてお尋ねをしたいと思います。
  193. 土屋勲

    説明員(土屋勲君) 御指摘の監察は大規模農業基盤整備事業に関する行政監察でございますが、この監察は、干拓事業、それから農地開発事業、かんがい排水事業、圃場整備事業等八事業を対象に調査を行っておりまして、そのうち干拓事業につきましては国営事業を中心に八地区を調査いたしております。御指摘の中海もその中に含まれてございます。現在その調査結果を鋭意取りまとめ中でありまして、できるだけ早期に取りまとめたいと考えているところでございます。
  194. 今井澄

    ○今井澄君 これは某紙の記事ですけれども、ここには前、現両総務庁長官の発言として引用されているんですが、これは単なる新聞の憶測記事か本当かということも含めてお聞きしたいんです。  中西前総務庁長官は「「中海」は中止勧告が妥当と思い、事務当局にもそう指示した。その方向になっていたはずだ」、「だが、総務庁も他の官庁と仲よく付き合おうという弱さがある。そんなことでは行革はやれなどとハッパをかけてきたつもりだが……」と語った。」と書いてあるんですね。それから、武藤総務庁長官は「行政監察は(事業が)必要か必要でないかまで踏み込めなければ、いらないということになる。一段高いところに立った判断が必要だ」が、その裏にいろいろあるようだというふうな発言をなされているようです。いろいろあって延びているようだが、こういうことが必要だということを述べておられるようですが、総務庁長官、この中海の問題と行政監察の限界ということについて何かお考えがありましたら。
  195. 武藤嘉文

    国務大臣(武藤嘉文君) 中海の問題につきましては、今、局長が答弁をいたしましたように、できるだけ早い機会に報告がまとめられて勧告がなされなければいけないと思っております。  行政監察というのは、正直、私このごろあちらこちらの委員会で御答弁いたしておりますけれども、定員も減ってきておりますし、わずかな定員で全体の行政を全部監察していくのはなかなか大変だろうと私は理解をいたしております。また一方、行政監察ということになると、これは国会の中でもいろいろ今御議論いただいておりますが、やっぱり行政府の中にみずからチェック機能を果たしていく役割というのは私は大変大切だと思っております。やはりそういうことをしてこそ、行政というものがみずから自浄作用を起こし、みずから改善をしていくところに国民から信頼があるわけでございますから、そういう面で私は必要だと思っております。  行政監察局のいろいろな話を聞いておりますと、もう少し高い次元に立って何かしっかりした権限を持って監察ができるようにできないのかなと、正直そんな印象を持ちながら、行政監察局のあり方も含めて行政監察全体、今度の行政改革の中でしっかりひとつやっていかなきゃならないんじゃないか、こう考えております。
  196. 今井澄

    ○今井澄君 私もやっぱり内部監査というのは非常に大事なんだというふうに思います。そのことが緊張感をもたらすと思います。  実は、一昨日も「特殊法人に関する調査結果報告書」というすごいのが出まして、私も大変期待して総務庁の監察官の御説明を伺って、いろいろ質問したわけですが、やっぱり失望せざるを得なかった面があるんですね。  例えば、これは九十一の特殊法人のディスクロージャーについて初めて踏み込んだと鳴り物入りで出ているわけですが、確かに九十一特殊法人のいわゆる子会社等が千二百五十四ある。また、関連の公益法人が七十九ある。どういうところがあるかという一覧表とか各種特殊法人の財務内容なども出ているわけです。  しかし、例えば日本道路公団の場合には関連の公益法人に道路施設協会というのがあって、さらにその道路施設協会というところが出資したりしてサービスエリアとかパーキングエリアでいろんな御商売をやっておられるような会社が六十六社あるんです。これと道路施設協会を合わせると、何と年間の売上高が五千四百億を超えているということですし、従業員も二万六千人と非常に巨大なんですね。このファミリー全体を見ないと、今言われている財投の流れがどうなっているのかとか、そういうこともわからないし、またこの経営自体もはっきりしてこない。  ところが、お聞きするとそこまで踏み込めないんだと、子会社がどこにありますよというところまでしかいかないということを聞きまして、やっぱりこれは限界があるのかなと、さらに高い観点からのこういう政策的な見直しが必要だというふうに考えているんですが、総務庁長官、お聞きしても同じ御意見ですね。  時間が参りましたので終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
  197. 水野誠一

    ○水野誠一君 さきがけの水野でございます。  昨日、平成九年度予算の政府案が閣議決定されたわけでありますが、その中でも、公共事業については十兆円近い巨費が投じられているというにもかかわらず、ここ三十年間、省庁別シェアを見てまいりますとほとんど変わっていない。この硬直性こそが縦割ワ行政の弊害のシンボリックな一面ではないかと思うところがあります。  私は、これからの公共事業のあり方について、今まで若干欠けていた点、すなわち単純な経済効率のみではない多面的検討、例えば環境負荷の配慮等も含まれるわけでありますが、あるいは事業の検討、決定、再評価のプロセスの透明性、公正性、及び事業の変更あるいは中止の手続等々が法的に明確に担保されるべきであるというふうに考えるものであります。また、それが財政改革にも大いに資するものであると思っているところであります。  そこで、この公共事業に占める割合の中で最も高いシェアを持っておる、七割のシェアを持っておられる建設省及び農水省、これは二割、約二〇%でありますが、この両省庁につきまして、その中でも特に長期間を要する公共事業について質問させていただきたいと思うわけであります。  まず、建設省の治水事業に含まれますダム・堰事業についてお尋ねしたいと思います。  これらの事業については、建設省で平成七年六月に新しい評価システムが取りまとめられました。既に試行されているわけであります。このシステムは、事業が予算化される前に、地方自治体によって知事推薦の学識経験者なども構成員に含まれたダム等事業審議委員会というものを設置して、国などの事業者に意見を述べることができるとされているわけであります。また、その議事内容の概要は公表するものとされております。  加えて、事業計画作成済み事業についても、関係都道府県知事もしくは市町村長から要請があったとき、または事業者みずからが、事業計画作成後、長期間が経過してその間に社会情勢の変化があった、そういった理由から地域の意見を聞くことが必要だと判断をしたときに、当該事業の中止も視野に入れた事業の再評価を可能としている点は大きな前進であると、私どもは前向きに評価しているところであります。  さて、今述べてまいりましたような今までにない多くの特徴を持ったこのダムの事業評価システムでありますが、運用が始まってから約一年半がたっているということでありますが、改めてこれを調べてみますと、いろいろまだ検討の余地が残っているような気がいたします。  建設省が河川局長名で平成七年七月十四日に出した通達を見てみますと、事業の再評価について「社会情勢の変化等」と言っているわけでありますが、この「社会情勢の変化等」というのは一体何を意味しているのか、具体的な基準はどこに設けているのか。これはその再評価を実効あるものにするための非常に重要なポイントであるというふうに感ずるわけでありますが、この「社会情勢の変化等」ということの具体的に意味するところについてお答えいただければと思います。
  198. 尾田栄章

    説明員(尾田栄章君) ただいま先生お尋ねの平成七年七月十四日付の河川局長通達に言いますところの「社会情勢の変化等」の具体的な基準は何かという点でございますが、「社会情勢の変化等」につきましての具体的な基準というものは特に定めておらないところでございます。  多目的なダム事業と申しますと、洪水調節あるいは水需要に対します水供給、あるいは河川維持用水等を通じましての下流の河川環境の形成など、大変幅広い効果あるいは影響が及んでおるところでございます。また、その影響範囲につきましても、ダムサイトから河口に至りますまで大変広い範囲にわたっております。  このため、ダムの建設そのものにつきましても大変長期間を要する。過去十年間に完成をいたしましたダムについて見ましても、十七年間かかっておるというような次第でございまして、そういう期間の間に水需要の動向等々社会情勢の変化が考えられるわけでございまして、そういうものを踏まえつつ、それらの必要性や特に緊急性につきまして考えてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  199. 水野誠一

    ○水野誠一君 今のその社会情勢の変化ということが非常に重要な意味を持つというふうに思いますので、今後この点についてはまた別の機会に議論をしていきたいというふうに思っております。  次に、具体的な運用面で幾つか伺いたいと思うんですが、委員の選定について、通達では関係都道府県知事が推薦する者に事業者が委嘱するということになっています。知事が事業推進派であった場合、どうも公正な人選が保証されるとは言いがたいというふうに私は思いますが、いかがなものでありましょうか。たとえダムが直轄事業であつたとしても、ダムに付随する道路の整備などで実際上自治体も共通の利害関係にあるということが非常に多く見られることからしても問題があるのではないかと思うわけであります。  次に、委員会の進め方でありますが、一つ実際にあった例を挙げて問題点を指摘したいと思います。  中国地方建設局が事業主体であります苫田ダム建設事業の審議委員会は、強硬な事業推進派であります知事のもとに平成七年八月二十九日に委員会が設置されて、何とたった三回しか委員会を開催せずに、この六月十日にダム事業は推進されるべきという答申を出しています。しかも、その内容がまた実に不十分なものだと思うんです。  第一回目、これは平成七年十月十一日に運営方針を決めて、それから半年たった平成八年五月三十日に二回目を開き、ここでもほとんど内容審議をしないで、十日後の六月十日に上記の答申、つまりダム事業は推進されるべきという答申を出している、こういうものでありまして、一回目と二回目は半年以上もあいたかと思うと、それから十日後にはもう答申を出してしまう。しかも、公聴会も開かれておらず、一体実質的な審議が本当に行われているのかどうか、私としては大きな疑問を持たざるを得ないわけであります。  この例は極端なものであるとしても、実際に知事の驚異的なシステムの運用が可能であるということをこの例は実証しているわけでありまして、例えば現在は任意開催である公聴会を義務づけること、事業反対の意見を聞く機会を必ず設けることを義務化するなど、こういった措置も必要ではないかと思います。  さらに言えば、推進、反対、双方の討論の場を設けるということも理想的ではないかと思いますが、この点について建設省の御見解を伺いたいと思います。
  200. 尾田栄章

    説明員(尾田栄章君) ただいま二点のお尋ねがございました。  まず、人選についてでございますが、この審議委員会の人選につきましては、事業者が選定するのではなく、地域の総合行政の代表者たる知事さんにお願いをするというのが最も適当と考えて実施をいたしておるところでございます。  また、審議の進め方についての御質問でございますが、ダム等事業審議委員会につきましては、事業者が当該ダム事業について地域の意見を的確に聴取し、その後の事業の進め方を判断するというものでございまして、私どもといたしましては、客観性透明性が確保された審議がなされるということが大変重要と認識しているところでございます。その審議客観性を確保するという意味合いにおきまして、審議委員会運営につきましては審議委員会において議論をしていただき、その上で御判断をしていただくということにいたしております。  今お尋ねの住民からの公聴会につきましては、七事業について公聴会等が開催をされておりますし、また三事業につきましては調査専門委員会等一が設置をされているという状況でございまして、それぞれ委員会の自主的な議論とその判断に基づいて設置、運営されているというふうに考えておるところでございます。
  201. 水野誠一

    ○水野誠一君 今、御答弁にもありましたその公開性あるいは透明性ということについても非常に大きな問題があります。きょうはもう時間もございませんので、余りそこは突っ込みませんが、マスコミ等も御用記事を書く数社にしか公開をしないとか、傍聴が許されないとか、こういった問題があることも申し添えておきたいと思います。  それでは、実際に出たこういう答申をどう取り扱うか、これが結論として非常に重要な問題になるわけでありますが、これは建設省等はその答申を尊重するということでありますが、判断はあくまで当の事業者であります。第三者に決定をゆだねるお考えというものはないのかどうか。もしその事業を中止することになったとして、現行の河川法等の関連法規上それは可能なのかどうか。また、中止とは予算要求をやめるのか、それとも要求はした上で執行をやめるのか、その辺の御見解を伺いたいと思います。  そしてまた最後に、当システムの今後について伺っておきたい。つまり、現在はまだあくまでも試し、つまり試行であるということでありますが、本格運用をにらんだ法制化というものを検討されているのかどうか、この点について伺いたいと思います。
  202. 亀井静香

    国務大臣(亀井静香君) ダム審をつくりました目的その他は委員御承知のとおりでございまして、その地域の方々が事業に対してどうした判断をされておるか、そういうことをきっちりと前提にしなければ、ダムの建設、私ども建設省で国家的に必要だというような判断をいたしましても、実際上これを実行することがなかなかできないわけでありまして、そういう意味ではダム審の機能というのは私は非常に重要だ、このように考えております。  委員からいろいろ運用面その他について御指摘がございましたけれども、やはりその地域に住む方々の生活を守りあるいは向上させていく責任は知事にあるわけでありますから、しかもちゃんと選ばれた知事でありますから、知事がそういう立場からダム審をきっちりと運営をしていただけるものだと我々は思っております。これについては我々として最大限に尊重いたします。ただ、国家的な観点からダム審の意見と我々の判断が違う場合も出てこようかと思いますけれども、その場合は、我々としては十分時間をかけて協議をして結論を出していきたい、そのように考えております。  なお、法制化につきましては、現在私どもは法制化までは考えておりません。実際にきっちりとしたダム建設についての大きな役割を果たしていただけるものと。今のままでも、法制化しなくてもいけるんではないかと。今も我々として気がつかなかったいろんな点について御意見をいただいてきておるような点もございますので、我々にとって非常に有用な制度だなと、このように考えておりますので、最大限尊重してまいりたいと思っております。
  203. 水野誠一

    ○水野誠一君 ともかくこういった制度は本当にきちっと機能されていく、そして公共事業の抜本的な見直しにつながっていくということが私は非常に重要だと思いますので、この制度が絵にかいたもちにならないようにくれぐれもよろしくお願いをしたいと思うところであります。  次に、農林水産省に伺いたいと思います。  この十二月二十日に農水省から「農林水産公共事業の重点的、効率的実施について」という資料が出されました。これは総理大臣からの指示に基づき農林水産大臣が省内に指示を出して検討された結果ということでございます。  資料には、この資料は五月に省内に設置しました農林水産公共事業に関する検討委員会がまとめたというふうにされておりますが、まず、この検討委員会とは何か、その性格についてお答えいただきたいと思います。
  204. 高木勇樹

    説明員高木勇樹君) お答え申し上げます。  農林水産公共事業に関する検討委員会でございますが、委員も御指摘のとおり、現在、公共事業につきましていろいろな問題が指摘されております。農林水産公共事業につきましても、これまで以上に投資の重点化、建設コストの低減といったような課題にこたえていくことが必要であるというふうに考えております。  こういった課題につきましては、私ども農林水産省には、主として林野、水産、それから構造改善局にそれぞれの地域を対象にして公共事業がございますが、こういった農林水産公共事業に共通する課題といたしまして全省横断的に取り組むということをねらいとして、この五月に官房長を座長といたしまして公共事業を所管する、ただいま申し上げました各局庁の長を構成員といたします省内委員会として検討委員会を設けたというものであります。
  205. 水野誠一

    ○水野誠一君 建設省に次いで公共投資の多い農水省にしては非常にこういった対応は大切だというふうに思うわけであります。  さて、この資料の中身の中で、事業の費用対効果分析の活用について述べられております。特に、「土地改良事業については、既に土地改良法に基づき経済効果を算定し、投資効率が一・○以上であること等を事業採択要件とするとともに、効果の算定結果を公告・縦覧手続きにより公表している。」とされています。  農林水産省所管の公共事業の中でも土地改良事業は非常に長期間を要するものである、しかも巨額の投資が必要とされる点で、前に伺いましたダム設置事業と同様、これからそのあり方を抜本的に見直していく必要がある事業ではないかと思うわけであります。  そこで、費用対効果の算定はどこが行っているのか、その中には例えば環境面での評価は十分にされているのかどうか、されているとすればそれはどのような手段、方法でされているのか、これについて伺いたいと思います。
  206. 野中和雄

    説明員(野中和雄君) 土地改良事業の費用対効果の算定でございますが、土地改良法、同施行令、施行規則及び通達によりまして、算定方法、範囲等を規定しているわけでございまして、国民経済的な側面からの評価としての投資効率の測定、それから私経済的側面からの評価としての所得償還率の測定というものを事業主体において行っているものでございます。  環境面の評価につきましては、金銭換算手法の確立がされておらないことから困難な面が多いわけでございますが、水質及び景観にかかわるもので金銭換算が可能なものにつきましては効果算定の対象としているところでございます。環境に関する評価手法につきましては、今後とも充実をさせてまいりまして、事業の評価に反映をさせてまいりたいと考えております。
  207. 水野誠一

    ○水野誠一君 この土地改良事業の事業再評価の制度についてお尋ねしたいと思います。  まず、先ほど建設省のときにも伺いましたが、長い年月にわたる事業において、社会経済情勢の変化の影響はやはり避けがたい面があるというふうに思います。時間の経過に従って、当初の事業目的が失われてしまったり、あるいは事業費が膨らみ採算が合わなくなったりするということは十分に考えられるところでありますが、大臣はこの点についていかがお考えでございましょうか。  土地改良法には、国営土地改良事業計画の変更に関する条文がありますが、重要な部分の変更というふうにうたわれておりまして、その具体的内容は施行規則にも書かれていないようであります。最終的には通達に書いてあるわけでありますが、それを見ますと、事業費の変動が一〇%以上に及ぶものあるいは主要工事計画の変更などとうたつております。  そこで伺いたいんですが、今、日本全国で多くの土地改良事業が進行中であり、あるいは計画中であろうと思いますが、事業費の変動による事業計画の変更はすべてきちんとその都度なされているのかどうか。また、ある事業について二回以上にわたって事業計画の変更が行われた例があるのかどうか。あるとすれば、その事業の数などについてお答えいただきたいと思います。  また最後に、土地改良事業の再検討により事業の中止が可能かどうかということは、国営の土地改良事業については土地改良法の条文には何も書かれておりません。法解釈上、事業に公益上の根拠がなければ廃止できるという見解もあるわけでありますが、この点について農林水産省としてはどのようにお考えなのか。これについてもあわせてお答えをいただければと思います。
  208. 野中和雄

    説明員(野中和雄君) 御質問のうち、後段の事務的な部分につきまして御答弁を申し上げたいと存じます。  土地改良事業の計画変更でございますが、土地改良法第八十七条の三に基づきまして適正に実施をしているところでございます。  具体的には、労賃または物価の変動によるものを除きます事業費の変動が一〇%以上に及ぶもの、これは先生御指摘のとおりでございますが、これ以外にも事業施行に係る地域のうち受益面積の変動が五%以上に及ぶもの、それから主要工事計画の変更が必要なもの、これらにつきまして、地方農政局及び構造改善局におきます計画変更審査委員会で内容等を審査いたしまして、計画の見直しを行いまして、所要の法手続を行っているものでございます。  現行土地改良法に基づきまして実施をされております国営土地改良事業におきまして、二回以上の計画変更を行っている地区は、平成八年度までに着工いたしました地区数、総計で八百九地区でございますが、このうちの一一%、八十九地区につきまして二回以上の計画変更を行っているものでございます。  それから、廃止の件でございますが、国営土地改良事業は受益農家の申請などによりまして国が慎重に事業計画を定めて実施をするものでございますので、土地改良法自体に事業の廃止について直接の規定はございませんが、ただ廃止をいたします場合には、既に完成している部分がございまして、それのみで事業効果を有する場合には計画変更を行いまして、その他の部分を計画から除外するというようなことをいたしております。  また、全く事業の受益が発生をしていないような場合には、受益農家の合意を得まして、行政行為の撤回に準じまして計画決定の取り消しを行うことになるものと考えておりまして、これらの事例もございます。  以上でございます。
  209. 藤本孝雄

    国務大臣(藤本孝雄君) 今すべて御答弁申し上げましたので、御理解いただけたと思います。
  210. 水野誠一

    ○水野誠一君 終わります。
  211. 栗原君子

    ○栗原君子君 新社会党・平和連合の栗原君子でございます。  まず私は、ペルーにおきます日本大使公邸占拠事件について、外務大臣にお伺いをさせていただきたいと存じます。  大臣は、ペルーにおいて、新聞記者の人に、このやろう何で質問をしたのかと、このような御発言があったということを日本のマスコミでも報じておりましたけれども、私もそう言われるかと思いますが、でも、今連日テレビでも報道をされておりまして、国民みんな心配しておる問題でございます。ぜひお答えをいただきたいと思います。  まず、フジモリ政権側は、ゲリラ側が武力行使をしない限り政府側から武力の行使をすることはないと、そういった方針だという報道があるわけでございますが、これは事実でございましょうか。
  212. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 私ども、何とか平和的な解決が図られないものか、そしていまだに人質状態に置かれておられる方々が全員無事で早く解放される、そういった目的が達せられないか、これを願い、またそのためにあらゆる努力をしているところでございまして、ペルー政府もそういった方針であると存じます。  私自身ペルーへ参りまして、フジモリ大統領にも二度にわたりいろいろお話を申し上げました。日本としてこの問題に対処する基本的な考え方、先ほど申しましたような考え方を申し上げました。そして、ペルー政府におかれても、やはりこの事態を打開するために何としても人質状態に置かれている方々の安全を大切にしながら平和的に解決をしたい、そういうお考えであるというふうに承ってきたような次第でございます。
  213. 栗原君子

    ○栗原君子君 大使公邸は治外法権の区域でございます。例えば、ペルー政府側あるいはまた英国とかドイツの特殊部隊の力をかりて、軍隊とか官憲による強行突入や武力行使に踏み切る場合は日本政府の同意が当然必要だと思うわけでございますが、このような場合、同意を与えられる用意があるのかどうか、それとも最後まで多少時間がかかっても話し合いあるいはまた交渉による解決を目指そうとなさるのか、どちらのお考えでございましょうか。
  214. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 在外公館の施設に関する位置づけにつきまして一般論として申し上げますならば、今委員おっしゃったような治外法権といったようなものではございませんが、接受国の方はそういった外交施設に対しましてみだりに官憲を立ち会わせてはいけないということがございます。また、その一方におきまして、そのような外交施設に対して第三者が侵入するということを防止するということも受け入れ国、接受国側の責務、義務としてあるわけでございます。それが一般論でございます。  さて、御質問のケースでございますが、事柄の性格上いろいろな仮定を置いての御質問にお答えすることは必ずしも、必ずしもというよりもこの際適切ではないと存じます。  いずれにいたしましても、先ほど申し上げましたように、人質状態に置かれておられる方々全員が御無事で一日も早く解放されるようにあらゆる努力を傾注していくというのが我が国の基本的な考え方であり、またペルー政府もそういった同じような考え方で今対処しておられる、こういうことでございます。
  215. 栗原君子

    ○栗原君子君 いろいろ大変な状況もございまして御苦労も多いかと思いますけれども、ぜひ流血の事態だけは避けていただくように御努力をよろしくお願いいたします。  そこで、国内でも天皇誕生日をお祝いする人はそんなにいるとは私は思えないわけでございますけれども、海外でこのように五百人近くの人たちを招待してお祝いするということをペルーでやっておられたわけでございますけれども、そうした天皇誕生日をどれだけの公館でお祝いをしたものでございましょうか。
  216. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 天皇誕生日は国民の祝日でございまして、そして天皇は我が国の憲法におきましても日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であられるわけでございます。そして、この日本の国内においても、日本国民もそういった天皇の憲法上の地位、そして現実に果たしておられる役割を考え、また天皇誕生日が国民の祝日であるということを考えて、私は、こぞってと申し上げていいんだと思いますが、その日をお祝いしておるんだと、このように理解しております。  さて、在外公館ではどうかということでございますけれども、そういうことでございますので、原則としてすべての公館で天皇誕生日はそういった趣旨でお祝いし、内外の関係の深い方々をお招きしてお祝いすると、そういう日にしております。原則としてと申しましたのは、いろんな特別な事情があって、物理的その他の事情で、ある場合には行われない方が適当であろうという極めて例外的なケースを除いては原則として行っております。また、それは必ずしも日本公館についてだけ特有なことじゃございませんで、いずれの国も原則として、例えば自分の国の独立の記念日であるとか建国の日であるとか、そういった日には同じような形で集いを持つというのがむしろ外交上の常識とでも申しましょうか、一般的に行われている慣例であると、このように承知しております。
  217. 栗原君子

    ○栗原君子君 お聞きするところによりますと、天皇誕生日を海外の公館でやっているのは百六十三カ国と申しましょうか、百六十一二カ所でやっているということでございますが、これらはアジアの国々でも同じような形で毎年やっているんでしょうか。  それからもう一点は、年に何回か国民の祝日があるわけでございますけれども、ほかの祝日の日もそうしたお祝いのパーティーなどもやられるものなんでしょうか。
  218. 原口幸市

    説明員(原口幸市君) お答え申し上げます。  まず第一の点でございますけれども、今、在外公館実館が百八十二ございます。それに兼勤駐在官事務所というので開かれているのが六つございますので、合計で百八十八あるわけでございますが、このうちアフガニスタンとリベリアとホラムシャハルは一時的に閉鎖しております。  それから、現在、種々の理由から旧ユーゴだとかザイール、中央アフリカ、イラク等ではことし、天皇誕生日の祝賀レセプションを開くことは不適当と判断しておりまして、そういうことでいきますと、合計しますと約百八十一の公館で、本来であればことし祝賀レセプションを開催してしかるべきであったわけでございますが、今回非常に不幸な事件が起こったことを踏まえまして、十九日の時点でまだ祝賀レセプションをやっていないところにつきましては原則として取りやめろという指示を出した結果、合計としては百六十三の公館についてことしは天皇誕生日レセプションをやったわけでございまして、その中には我が方が持っているアジアの在外公館の大半が含まれております。  それから、二番目の御質問でございますが、各国とももちろんいろいろな祭日を持っておりますが、外交的にいいますと、その中から一つ、その国が対外的に一番適当と思われる日を選んでナショナルデー、国際日と指定しておりまして、我が国の場合には、先ほど大臣から御説明いたしましたが、憲法で規定されている国の象徴、国民統合の象徴である天皇陛下の誕生日をもって我が国の国際日とすることが一番適当であろうということで、明治の時代からそれが慣例として定着しているということでございまして、我が国はこれを対外的にはナショナルデーとして祝っているわけでございます。ほかの国もそれぞれの適切な理由から数ある祭日のうちから一つの日を選んでそれをナショナルデーとして指定し、その日には我々が天皇誕生日祝賀レセプションを祝うのと同じようにいろいろなレセプションを行う、それから元首間で祝辞のメッセージを交換し合うというようなことをやっているわけでございます。
  219. 栗原君子

    ○栗原君子君 これは毎日新聞の報道でございますけれども、池田外務大臣ペルーに行かれまして、「滞在六十三時間で帰国したため不可解な印象を国内外に残した」、こんな報道があるわけでございます。それで、「ペルーにすれば、事件はあくまでも国内問題。ゲリラとの交渉に日本が介入して事態がより複雑化することを警戒したようだ。外相はいわば「招かれざる客」だった。」と、こんな書き方があるわけでございますけれども、これはどういうことがあったためにこういう記事になって出たわけでございましょうか。
  220. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 私どもは、今回の大変不幸な、また重大な事件を何とか平和裏に解決したい、そして一日も早く今人質状態に置かれている方々の御無事での解放を実現したいと、そういった気持ちであらゆる努力を傾注しておるわけでございます。そういった努力の一環といたしまして、私といたしましては、まず我が国として現地でこの事件対処するための体制をきちんと立ち上げたいということを大きな目的としてペルーへ参りました。  それと同時に、この事件対処するに当たって、我が国の基本的な考え方方針というものを的確にペルー政府にお伝えし、そして、先ほど申しました平和裏の全員解放を実現するためのペルー政府における御努力をしっかりとお願いしてくる、こういうことが目的でございます。さらに、人質になられ出てこられた方、あるいは人質状態にあられる方々の御家族を初め関係方々ともお話しする、さらには、大使あるいは公館員がこの事件に巻き込まれる形になった関係国ともいろいろ御協議してくるという、そういったことを目的として参ったわけでございます。  そして、ペルー政府との間におきましては、フジモリ大統領との間の二度にわたる会談、あるいは担当している閣僚等との会談を通じましてしっかりと我が方の方針をお伝えし、そしてまた、ぺルー政府としても基本的に同じような考え方方針で最善を尽くしていただくということをお約束いただき、そして全体として両国間のこの問題に対処するに当たっての信頼関係をきちんとつくってきたつもりでございます。それから、現地での我が国対策本部も早急に立ち上げてまいりまして、その活動が円滑にいくようになった。  そういったこと等を含めまして、私が参りましたいわば初動の時期における役割はおおむね果たし得たかなと思っておる状況のときでございましたが、そういうときにいろいろ御相談いたしまして、総理の方からも、この際は外務大臣は帰国するようにと、そして後事をしっかりと託してくるようにということでございましたので、私が入りました後に来られました寺田駐メキシコ大使を同道いたしまして再びフジモリ大統領とお会いし、私は、日本政府としてこういうふうな体制をつくりました、今後とも緊密な連携のもとにその事態に対処していきたい、そして我が国の代表としては中南米局長の佐藤君が行きますし、顧問として寺田大使がいろいろ活動いたしますので、大統領を初めペルー政府におかれても、こちらからお願いに上がったときにはすぐに御意見を賜り、いろいろ御相談させていただきたいし、またペルー側からも随時御連絡をちょうだいしたいと、そういったこともやりまして帰ってまいりましたわけでございます。  先ほどおっしゃいました記事その他につきましては、それはいろんな見方もございましょう。現にこの審議の場でも、委員には必ずしも私どもの対応に十分ではないというお気持ちもおありかと、こういうふうにおうかがいしますけれども、いろんな考え方があるんだと思います。  しかし、政府といたしましては、この事態に対処するに当たって細心の注意を持って、そして先ほど申しました人質状態になられた方の全員無事の解放を平和裏に実現するという目的を達成するために、その段階その段階でベストと思われる対応をしてきたつもりでございますし、今までのところそれは大きく外れていないんじゃないのかなと。また、今後ともそのようにこの目的を実現することに向かって細心の注意を持って当たってまいりたい、こう考えている次第でございます。
  221. 栗原君子

    ○栗原君子君 外務大臣、お引き取りくださって結構でございます。ありがとうございます。  続きまして、高齢者の福祉をめぐる汚職問題についてお伺いをいたします。  実は、昨日でございますけれども、埼玉県の方にお伺いし、さらには上尾市にもお伺いをいたしまして、いろいろ事情も聞かせていただきました。  特に土屋知事にもお会いをいたしまして、知事がおっしゃっておられた中で大変印象的だったと思いますことは,焼き鳥屋の前を通ってもにおいがするだろう、同じところに行って何で早く気づかなかったんだ、このように職員を厳しくしかったんだと、このようにおっしゃっておられました。まさに私もそうだと思いました。  そこで、小山氏とそれから岡光氏あるいは茶谷氏の贈収賄事件については、高齢者福祉の拡充という要請を悪用して特定の団体とか個人に有利になるように、また、地位を利用し血税である補助金制度を食い物にした、こうしたことにつきましては許せない問題であると思っています。  そこで、岡光氏や茶谷氏が、起訴状によりますと有利かつ便宜な取り計らいをしたということが書かれておりますけれども、法務省におきましては、この有利な取り扱い、便宜な取り扱い、これは何があったんでしょうか。お伺いしたいと思います。
  222. 原田明夫

    説明員(原田明夫君) お答え申し上げます。  ただいま委員御指摘の点につきましては、公訴事実として掲げられている事実でございますが、これはあくまでも検察官において今後公判廷におきまして証拠に基づいて立証しようとする中身でございまして、いずれ公判廷において明らかにされるであろうと考えております。
  223. 栗原君子

    ○栗原君子君 それでは厚生大臣にお伺いしたいと思います。  同じように、厚生省では有利な取り計らいをしたということについてはどのように認識をしていらうしゃるのでしょうか。何が有利であったのか、お答えをいただきたいと思います。  実は、きのう上尾市に参りまして、担当者のお話を聞きますと、上尾市においては特養のホームが足りなくて困っていた、こういう形で福祉を食い物にしたことについては悪いけれども、でもできたことについては大変よかったと、このような発言があります。  それから県の担当者に伺いました。有利な取り計らいは何が取り計らいだったのか。県の方では有利な取り計らいは一切なかった、こういうことを言っておりますが、厚生省においてはどのように認識していらっしゃいますか。
  224. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) この施設整備費補助金に対する仕組みを悪用した事件、どういう点が問題だったのか、選定手続に問題がなかったか、あるいは業務等工事契約等において問題がなかったか、そういう点を今調査委員会を設けて鋭意改善措置を講ずるべく検討中であります。  そして、地元の皆さんにとっては特養施設というのは待ち望んでいる施設であります。だからこそ、一昨日の大蔵大臣との折衝におきましても、不祥事はあったけれども、この特養施設に対する補助金というものを削らないで全額確保することができたのも、特養施設に対する多くの国民が待ち望んでいるという声を酌んでくれたからだと思います。同時に、二度とこのような不祥事を起こさないように今後きっちりと業務の再点検、調査を進めていこうということでこの予算が確保されたことでありまして、引き続き一月下旬をめどに今までのあり方というものをよく見直して、二度とこのような事件が起きないような改善措置を講じていきたいと思っております。
  225. 栗原君子

    ○栗原君子君 彩グループだけで三十億円近い利ざやを出したと言われておりますけれども、この補助金算定のシステムに欠陥があるということはいろいろと指摘されるところでもあろうかと思います。  もし、手抜き工事があったのなら検査し、是正をさせるべきではないのか。あるいはまた、手抜き工事がなくても三十億円もの利ざやを得ているなら、補助金の過剰交付となるわけでございますので、これは返還を求めることができるのかどうか。それから、補助金の総額が工事費を上回っていたということもあるわけでございますけれども、そういう場合に返させることができるものなんですか、どうなんですか。
  226. 羽毛田信吾

    説明員羽毛田信吾君) 今回の事例におきまして、約二十七億の利ざやがいわゆる丸投げ等の手法を通じて稼がれたというふうに目下の調査の中で出てきております。  これは、国庫補助基準単価を上回る豪華ないわば施設をつくりまして、そういった事業を一たん膨らませまして、その中から契約単価を丸投げの形でうんと下げて、その間でさやを稼いだということでございます。したがいまして、いずれも国庫補助基準を大幅に上回った形になっております。  したがいまして、先ほどの先生のお尋ねの関係でいえば、国庫補助なりが出ている額を下回った単価でやられているという事実はございません。したがいまして、そういう意味での、国庫補助基準そのものにつきましては適正なものでやられているというふうに思っておりますけれども、今後とも、そういう基準単価のあり方につきましては、一方において非常に低くてまだ足らないという声もございますので、実勢に合いますように調査等を通じて適正にやっていきたいというふうに思っております。
  227. 栗原君子

    ○栗原君子君 時間がなくなりましたので、終わります。自治大臣、済みませんでした。
  228. 野沢太三

    委員長野沢太三君) 他に御発言もないようですから、本日の質疑はこの程度といたします。  次回の委員会平成九年一月十六日に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時八分散会