○山本幸三君 新進党の山本幸三であります。
新進党を代表いたしまして、ただいま
趣旨説明のありました
行政監視院法案及び
関連二
法案につきまして
質問いたします。
まず、具体的な
質問の
前提として、
行政改革、特に橋本
内閣の
行政改革について、一言触れておかなければなりません。
今や
行政改革が最大の
政治課題となったことについては、どなたも異論がないことと存じます。だからこそ
橋本総理は、第二次橋本
内閣を行革火の玉
内閣と位置づけ、矢継ぎ早に大号令をかけておられます。なかなか威勢のよいかけ声でありますが、問題はその中身であります。橋本行革が本当に
国民のためになるのか、その実効が上がるのか否かを見定めなくてはなりません。これこそ
国会が果たすべき大きな役割でありましょう。
私は、橋本行革には以下の三つの大きな特徴があると考えます。
第一に、それが平面的なアプローチにとどまっているということであります。
橋本総理は繰り返し、金融
システム改革、財政構造
改革など五つの
改革を提唱しておられますが、それらの相互の
関係、あるいは立体的な秩序づけ、優先度というものが全く示されておりません。これは、最終的な
政策目標として何を目指そうとするかの理念が欠如しているために起こる
問題点でありますが、橋本行革の大きな欠陥であります。
第二に、静態的なアプローチであることであります。
橋本総理には、短期の問題なのか中長期の問題なのかの区別、あるいは循環的な問題なのか構造的な問題なのかの区別がつかないようであります。例えば、
さきの消費税凍結
法案の審議のときでも、短期の景気対策と長期の財政赤字対策とをごちゃまぜにした議論しか聞くことができませんでした。まして、財政赤字にも、構造的財政赤字と循環的財政赤字とを分けて考えるなどということは、ついぞ一言たりとも聞くことがありませんでした。こんなことで、まともな対策が出てくるとは到底思えません。
そして第三に、タコつぼ的アプローチであることであります。
今日の
行政は縦割りに、タコつぼが並ぶように並立して
制度として定着しています。それぞれの現存の
制度の枠内で何とか
改善、効率化を図ろうというのが橋本行革に目立ちます。例えば、新たな目標値を定めて財政再建を図ろうとしていますが、税収が拡大し国債依存度が低下したとしても、そのことをもって財政危機が克服されたと
評価することはできません。それは、単に一時的に危機の姿を埋め込むことに成功したにすぎません。危機を生み出す
政治行政を通じた
意思決定のプロセスにまで踏み込まなくては、本質の解決にはならないのであります。
金融の分野についても、今、与党三党において、金融
機関の検査・
監督権限を大蔵省から分離するとの議論が行われているようでありますが、驚くべきことは、この議論の中で、郵便貯金の取り扱いについて何も触れられていないということであります。
国民貯蓄の二二%に当たる郵便貯金を外しておいて金融
システム改革とは、笑止千万であります。
以上、橋本行革の特徴というか限界について申し述べました。今
国会も残すところあと一日だけとなりましたが、今
国会の最大の成果は、橋本行革なるものが、言葉の割には中身の乏しいもの、実効が上がるとは到底思えない代物であることが明々白々となったということでありましょう。
そこで、私
たちは、真の
行政改革を実現するためには何が必要かを考えなければなりません。今回、民主党が
提案された
行政監視院法案もその一つの試みだと思います。
国民の立場に立って
行政を
チェックしようという
観点から、
国会に、
行政機関の
監視を行い、法令の
制定、
改廃まで提言する
権限を持つ
行政監視院を
設置しようというまことに意欲的な試みであります。私
どもも、
国会が
行政を
監視統制することは当然で、それを実効あらしめるために何が一番有用かを
検討しているところであり、本
提案には大きな関心と
期待を寄せるものであります。(
拍手)
問題は、本
法案が私
どもの
期待に十分こたえ得るものかどうかということでありますが、一読したところ、かなりの疑問点が浮かび上がってまいりましたので、この際、率直にお伺いいたしたいと存じます。
第一に、当初、私
どもは、この構想はアメリカの会計検査院、GAOの
日本版だと聞いておったのですが、本
法案では会計検査院の
機能は一切入っておりません。それはなぜなのか、また、それで十分な
監視、
政策評価ができるのか、お伺いいたします。
憲法上の限界があるというなら、
憲法改正も
提案するくらいの意気込みがあってもいいと思うのですが、いかがでありましょうか。
第二に、会計検査院を取り込まないとしても、検査院から
国会に
勧告させるということについて
検討されなかったのかということもお聞きしたいと存じます。この点、検査院には協力依頼ということだけになっており、もっと緊密な
関係を持つべきではないかと考えるからであります。
第三に、
対象が国の
行政機関だけになっていますが、特殊法人及びその子会社、地方公共団体あるいは公社などはどうして外れているのでしょうか。私は、従来、民主党の皆さんは、そうした隠れた分野にメスを入れることが必要だと主張しておられたと承知しているのですが、本
法案では不十分と言えるのではないでしょうか。
現行の会計検査院の
対象よりも後退しているように思えますが、いかがでしょうか。いや、解釈で大丈夫だということなら、将来疑問の生ずる余地がないよう明文で規定すべきだと考えますが、いかがでしょうか。
第四に、
行政監視院は基本的に
総務庁の
行政監察局を吸収する形になっていますが、その調整がうまくいくのでしょうか。例えば現状の
行政監察では、
対象も特殊法人等も含め広く、また各省に
勧告できることになっていますが、
行政監視院ではそうなっていないようであります。これでは現状よりも後退してしまうのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
第五に、
監視という言葉は何を
意味するのでありましょうか。
調査とどう違うのでありましょうか。また、
業務の
評価という場合、そのもととなった
政策の適否まで行おうと考えておられるのかどうか、お伺いいたします。
第六に、
行政監視院は
国会の
要求がなくても独自に
行政の
監視、報告を行うことができるとは書かれていないようでありますが、この点、いかがでありましょうか。
第七に、
法律の
制定または
改廃等に関する
意見具申は、
国会の
要求に係る
監視の結果を踏まえてと条件づけられていますが、
監視という行為がなければ
意見具申もできないということでありましょうか。そうであるとすると、相当限定されてしまうのではないかと思いますが、いかがでしょうか。また、
法律ではない
行政指導についての
意見具申はできないのでありましょうか。
第八に、
行政監視委員の任命につき
両院の
意見が食い違った場合はどうするのでしょうか、念のためお伺いいたします。
第九に、
職員の報酬及び身分の保障について、
国会職員並みと考えているようでありますが、それで本当に能力のある
人材を採用することができるのでしょうか。特に、
政策の
評価をするには相当高い能力が
要求されると思いますが、このような
人材を集めることができるのでありましょうか。
第十に、
資料の
提出の
要求は、本
法案第二十三条で「国の
行政機関、地方公共団体その他の者」に対してできることとなっていますが、これはだれに対してもできると解釈してよろしいのでしょうか。もしそうなら、この
資料要求のところだけ急に強権的になっているように感じますが、いかがでありましょうか。
また、第二項では、二十日以内に
提出しなければならない
対象に「その他の者」は入っておりません。この区別はなぜ設けられたのでありましょうか。「その他の者」は出さなくてもやむを得ないということでしょうか、お伺いいたします。
第十一に、
資料提出を拒んだ場合に、直ちに
内閣声明まで行ってしまう構成になっていますが、これは少しやり過ぎではないでしょうか。その前に、
委員会での
参考人招致、証人喚問などの
手続をとった上で、なおかつ拒否する場合にというぐあいにすべきではないかと考えますが、いかがでありましょうか。そうでなければ、
国会法、
議院証言法の規定が
意味をなさなくなるのではないかと思うのですが、いかがでありましょうか。
第十二に、
立入調査は官公署その他必要な場所に対してできることとなっておりますが、これはどこでも立ち入れると解釈してよいのでしょうか。例えば銀行とか郵便局でも大丈夫でしょうか、お伺いいたします。
以上、多少細かい点も含めてお伺いしてまいりましたが、
国会の
行政に対する復権を図るということでは思いは一つであり、ぜひともよりよい
システムに仕上げていきたいものだと願っております。私
どもといたしましても、本日の
質問に対する答弁を聞かせていただいた上で、できるところは大いに協力してまいりたいと考えております。(
拍手)
民主党の皆様のこれまでの御努力に対し深甚なる敬意を表するとともに、私
どもも本
提案に真剣に取り組んでまいりますことをお誓いして、時間も参りましたので、私の
質問を終わります。(
拍手)
〔
枝野幸男君
登壇〕