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1996-12-05 第139回国会 衆議院 外務委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日平成八年十一月二十九日)(金曜 日)(午前零時現在)における本委員は、次のと おりである。   委員長 逢沢 一郎君    理事 鈴木 宗男君 理事 福田 康夫君    理事 牧野 隆守君 理事 森山 眞弓君    理事 東  祥三君 理事 松沢 成文君    理事 玄葉光一郎君       安倍 晋三君    石崎  岳君       柿澤 弘治君    河野 太郎君       櫻内 義雄君    下地 幹郎君       新藤 義孝君    田中 昭一君       原田昇左右君    森  英介君       青木 宏之君    坂口  力君       羽田  孜君    丸谷 佳織君       山中 燁子君    若松 謙維吾       井上 一成君    藤田 幸久君       古堅 実吉君    松本 善明君       伊藤  茂君    平野 博文君 ――――――――――――――――――――― 平成八年十二月五日(木曜日)     午前十時三十分開議 出席委員   委員長 逢沢 一郎君    理事 鈴木 宗男君 理事 福田 康夫君    理事 牧野 隆守君 理事 森山 眞弓君    理事 青木 宏之君 理事 東  祥三君    理事 松沢 成文君 理事 玄葉光一郎君       安倍 晋三君    石崎  岳君       柿澤 弘治君    河野 太郎君       櫻内 義雄君    下地 幹郎君       新藤 義孝君    田中 昭一君       原田昇左右君    森  英介君       大野由利子君    坂口  力君       丸谷 佳織君    山中 燁子君       井上 一成君    藤田 幸久君       佐々木憲昭君    古堅 実吉君       伊藤  茂君    平野 博文君  出席国務大臣         外 務 大 臣 池田 行彦君  出席政府委員         外務省総合外交         政策局長    川島  裕君         外務省総合外交         政策局国際社会         協力部長    朝海 和夫君         外務省アジア局         長       加藤 良三君         外務省中近東ア         フリカ局長   登 誠一郎君         外務省経済協力         局長      畠中  篤君         外務省条約局長 林   暘君  委員外出席者         防衛庁防衛局防         衛政策課長   大古 和雄君         外務大臣官房審         議官      田中  均君         外務委員会調査         室長      野村 忠清君     ――――――――――――― 委員異動 十二月五日  辞任         補欠選任   若松 謙維君     大野由利子君   松本 善明君     佐々木憲昭君 同日  辞任         補欠選任   大野由利子君     若松 謙維君   佐々木憲昭君     松本 善明君 同日  理事赤羽一嘉君十一月二十五日委員辞任につ  き、その補欠として青木宏之君が理事に当選し  た。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  理事補欠選任  国政調査承認要求に関する件  国際情勢に関する件      ――――◇―――――
  2. 逢沢一郎

    逢沢委員長 これより会議を開きます。  理事補欠選任の件についてお諮りいたします。  委員異動に伴い、現在理事が一名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例によりまして、委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 逢沢一郎

    逢沢委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  それでは、委員長は、理事青木宏之君を指名いたします。      ――――◇―――――
  4. 逢沢一郎

    逢沢委員長 次に、国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。  国際情勢に関する事項について研究調査し、我が国外交政策の樹立に資するため、関係各方面からの説明聴取及び資料の要求等方法により、本会期中国政調査を行うため、議長に対し、承認を求めることにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 逢沢一郎

    逢沢委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。      ――――◇―――――
  6. 逢沢一郎

    逢沢委員長 国際情勢に関する件について調査を進めます。  この際、外務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。外務大臣池田行彦君。
  7. 池田行彦

    池田国務大臣 去る二日、久間防衛庁長官とともに、ペリー国防長官及びモンデール駐日大使との間で日米安全保障協議委員会、いわゆる2プラス2を開催し、沖縄に関する特別行動委員会SACO最終報告を了承し、発表いたしました。この最終報告に盛り込まれた措置実施されれば、沖縄県の地域社会に対する米軍の活動の影響を相当程度軽減することができるものと考えております。  最終報告に含まれている措置の主要点を御説明申し上げます。まず、土地の返還項目では、普天間飛行場を含む十一の施設区域の全部または一部の返還が取りまとめられております。これらの返還がすべて実現すれば、現在沖縄県にある米軍施設区域は約二一%、五千二ヘクタール縮小することになります。この縮小規模は、沖縄復帰以来今日までの二十四年間に返還された施設区域の面積の累計四千三百二十八ヘクタールを上回るものであります。  また、同報告書の不可分の一部をなす普天間飛行場に関するSACO最終報告では、同飛行場代替ヘリポート建設の方策として海上施設案を追求することが明らかにされております。そのため、日米安全保障高級事務レベル協議、いわゆるSSCのもとに新たに普天間実施委員会を設置し、同委員会代替ヘリポート建設のための実施計画を遅くとも明年十二月までに作成することとされております。さらに、同委員会は、実施計画について日米安全保障協議委員会承認を得た上で、日米合同委員会と協力しつつ、設計、建設、試験及び部隊・装備の移転についての監督を行い、このようなプロセスを経て、普天間飛行場は、今後五ないし七年以内に、代替施設が完成し運用可能になった後、返還されることとされております。  次に、訓練及び運用方法調整項目では、県道一〇四号線越え実弾砲兵射撃訓練日本本土への移転などが盛り込まれております。騒音軽減項目では、嘉手納飛行場における海軍航空機運用及び支援施設海軍駐機場から主要滑走路反対側移転することなどにより、米軍飛行場周辺の住民の方々に対する航空機騒音による御負担をできる限り軽減する措置などが掲げられております。  そして、地位協定運用改善項目では、米軍航空機事故調査報告書提供手続米軍施設区域への立ち入り及び検疫手続に関する合意などのほか、任意自動車保険請求に対する支払いなどの改善策が取りまとめられております。  今回の最終報告をもって、沖縄に関する特別行動委員会作業は成功裏に結実し、沖縄県における米軍施設区域の問題は一区切りを迎えたわけですが、両国政府は、この最終報告に盛られた措置の着実かつ迅速な実施のために共同の努力を継続し、また、引き続き沖縄県の米軍施設区域に関連する問題に真剣に取り組んでいくことにつき意見の一致を見ました。また、地位協定運用についても、これを改善するための努力を継続することとなりました。  そして、この最終報告を受け、三日には、政府を挙げて、特別行動委員会最終報告に盛り込まれた措置を的確かつ迅速に実施するために、法制面及び経費面を含め十分かつ適切な措置を講ずるとの決意確認するための閣議決定を行いました。政府としては、こうした点につき最大限の努力を払う所存でありますが、委員各位におかれましても、特別行動委員会最終報告に盛り込まれた措置の趣旨を御理解いただき、その実現のため、御協力いただきますようお願い申し上げます。(拍手)
  8. 逢沢一郎

    逢沢委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。下地幹郎君。
  9. 下地幹郎

    下地委員 自由民主党を代表いたしまして、質問をさせていただきたいと思います。  私は、本日はSACO最終報告を受けて、それと沖縄基地全般の問題について、外務大臣所見を承りたく思っております。  沖縄県は、復帰して二十四年を迎えました。この沖縄県の二十四年間は、基地問題抜きに語ることはできません。全国の国土の〇・六%しかない沖縄県に米軍主要施設の七五%があるという今の現状を、私は異常と言わざるを得ないというふうに思っております。そのことをしっかりと改善をしていかなければならないというふうに思っているわけでございます。そして、今戦後五十一年になりますけれども日本経済発展の最大の要素は日米安保条約、それがしっかりとお互いの中で確認をされてきた、これも経済発展に大きな役割を担っていると私は思うのでありますけれども、その日米安保条約をしっかりと支えてきたそのまた大きな役割を、沖縄県、その沖縄県の皆さんがしっかりと我慢をしながらもやってきたことが経済発展をつくってきているというふうに私は思っております。  その意味におきましても、私は沖縄のこの役割というのは非常に大きなものがあったと思うのですけれども大臣所見をまずお伺いをしたいと思います。
  10. 池田行彦

    池田国務大臣 ただいま委員からも御指摘がございましたけれども、戦後半世紀にわたりまして我が国は平和を享受することができ、そして、その上に立って国民生活の向上を図ることができました。それはやはり、みずからの国はみずからの手で守っていくといったその意思のあらわれとしての適正な規模自衛力の整備、それと並んで日米安全保障条約に基づく安保体制が確固としてあった、このことがその基礎にあったという点は御指摘のとおりだと思います。  ただ、その日米安保体制をしっかりと維持し、そしてまた運用していく上におきまして、とりわけ沖縄県民皆様方には非常に多くの基地存在、そしてその米軍のプレゼンスという事情の中で、大変な御負担をおかけし、また生活の上でもいろいろな御不便を忍んでいただいたわけでございます。そしてまた、時にはあってはならない大変な不幸な事件どもございました。そのような沖縄県民皆様方のこれまで耐え忍んでこられた御負担あるいは御苦労というものを我々は決して忘れてはならない、こう考える次第でございます。  そういった認識のもとに、今回の沖縄における基地整理統合縮小につきまして、あとう限りの努力を傾注したわけでございますが、今後とも沖縄県民方々になお、お願いしなければいけない御負担、あるいはそのお気持ちというものに深く思いをいたしまして、政府といたしましても、さらなる努力を傾注していかなくてはならないと思いますし、また沖縄県の振興と申しましょうか、全体としての発展のためにもあらゆる努力を傾注してまいらなくてはならない、このように考えている次第でございます。
  11. 下地幹郎

    下地委員 今の大臣答弁をお聞きいたしまして、私は非常に納得をさせていただいております。  しかし、沖縄問題を考えるには、絶えずこの原点を、私は踏まえながらやる必要があるというふうに思っているのであります。今度十二月二日にSACO発表がありました。私は、あの報告書を見させていただきまして、本当に総理が並々ならぬ決意沖縄基地問題に取り組み、そして結果を出さなければいけないという報告書になっているというふうに思っております。  そして、昨日の沖縄においても、福祉サミットの前のレセプションでも、沖縄に新しい外務省出先機関をつくって、そして意見の吸収ができる、そういうふうなものをつくりたいという提案もなされているようでありますから、ぜひ推し進めていただきたいと思うのであります。そして、このSACO作業にかかわった皆さんにも本当に感謝を申し上げたいというふうに思っているわけでございます。  しかし一方で、県民の間で、このSACO最終報告で満足だというものはまだまだでき上がっていないことも現実だと私は思うめであります。それを踏まえて、最終報告と言われますけれども、これは沖縄基地整理縮小の途中の話であって、これからもっともっと沖縄基地整理縮小、そういうふうなものに日本政府として取り組んでいくのだという外務大臣決意をぜひお伺いをさせていただきたいというふうに私は思っております。よろしくお願いします。
  12. 池田行彦

    池田国務大臣 私どもも、橋本総理のかたい御決意、そうしてその非常に力強いリーダーシップのもとに、過去一年間にわたりましてSACOを中心にしまして、何とか沖縄における基地整理統合縮小、そうしてまたそれに伴う諸問題についても改善を図りたいということで最善の努力を尽くしてまいりまして、去る二日に最終報告書を取りまとめたものでございます。  先ほども御報告申し上げましたが、これでこれまでの作業が結実し、一つの区切りがついたとは思っておりますけれども、決してこれで沖縄基地問題が終わったということは考えておりません。毛頭そんな思いはございません。まずもって、この最終報告に盛り込まれたいろいろな措置を迅速にそして的確に実行していかなくてはいけない、そのたかに政府は一丸として当たっていくということを三日の閣議決定したということも御報告申し上げたとおりでございます。  それと同時に、なお将来にわたりましてもいろいろな情勢事情を勘案しながら、沖縄における基地のさらなる整理統合縮小につきましても政府として努力をしてまいりたい、このように考えているところでございまして、そこのところは、SSCと申しますが、局長レベル日米協議機関がございますが、そこでそういった問題も含めて沖縄に関連する問題を今後とも日米間でも協議していくのだということを、明確な、しかも追加的な新たな任務として今回付与したところでございます。日米間でもそうでございますし、もとより政府といたしましても、沖縄県とも御相談をしながら今後とも努力を進めてまいりたい、このように考えている次第でございます。
  13. 下地幹郎

    下地委員 沖縄県民が聞くと本当にうれしいと申しますか、頑張っていただきたいというふうな御答弁、ありがとうございます。  そして、もう一つなのですけれども、今、沖縄問題が昨年の不幸な事件以来本当に大きな問題となってまいりました。基地問題を契機といたしまして、基地整理縮小をどういうふうに進めていくのか、それを目に見える形でどうやっていくのか、そういうふうなことも進めさせていただく。それと、一方で、沖縄の今の経済の状況やそういうふうなものにかんがみて、基地問題と一緒に経済問題も考えていかなければいけない、振興問題も考えていかなければいけない、そういうふうなことが今大きな問題になってきていることは確かなのです。そして、その問題が盛り上がれば盛り上がるほど、一つの不安が持ち上がってきている。それはなぜかと申しますと、この沖縄基地問題、こんなに盛り上がっているけれども、いつかどこかで花火のように終わってしまうのではないか。この沖縄基地問題は後十年も十五年も続く、そういうふうな中で、今回だけで終わってしまうのではないかという不安もあることだけは確かだと思うのです。  それで、私なりの提案でございますけれども、絶えず目に見える形で、先ほど大臣がおっしゃったように、沖縄県民に、絶えず協議をしているのだ、整理縮小に向かってどんどん進めていくのだというふうなものを見せていかなければいけないと思うのです。そのためには、外務大臣が公式的な会見米国政府お話をするとか、年に何回かわかりませんけれども総理がアメリカの大統領とお話をするとか会談をするとか、そういうときに、沖縄基地がゼロになる間は絶えず日本政府から沖縄問題を議題として上げていただいて、お互いでとにかくその方向に行こうという確認を絶えずしていただきたい、そういうふうなことを私は提案をさせていただきたいと思うのですけれども、いかがでしょうか。
  14. 池田行彦

    池田国務大臣 日米でいろいろなレベル協議会談をいたします場合に、それは当然、日米両国間の問題、そうしてまたアジア太平洋地域全般にわたる問題、さらには世界全体にかかわる問題、いろいろなテーマを対象にして協議がなされるわけでございますが、その中でも、やはりこの日本の国の安全を守り、そうしてまたこのアジア太平洋地域の安定にも資していくという観点から申しまして、日米安保体制がきちんと維持され、そして有効に機能していくということは、日米両国にとって最重要関心事項一つでございます。そうしてまた、この日米安保体制が有効に機能していく上におきまして、沖縄基地の果たす役割は言うまでもなく大変大きいものでございます。  そういったことを考えますならば、今後とも沖縄県民皆様方の御理解をちょうだいしながら、そういった基地の有効な機能が維持されるようにしてまいらなくてはなりませんし、また同時に、先ほども申し上げましたが、これからも沖縄県民方々にお願いしている御負担を少しでも軽減していくという努力は当然しなくてはならないわけでございます。  そのように沖縄に関する問題の日米間における重要性というものを位置づけますならば、ただいま先生おっしゃいましたような機会に、例えば私どもの入ります2プラス2の会合などでは、当然のこととして、今後とも大きな関心お互いに持ちながら協議していくべきもの、このように考える次第でございます。
  15. 下地幹郎

    下地委員 私は、今、細く長くそういうふうな問題を論じるということは物すごく大事なことだと思います。大臣がおっしゃった、絶えず2プラス2とかいろいろな会合沖縄基地整理縮小に向けての話題をぜひ議題に上げていただいて、討論をしていただきたい、そういうふうに思っております。私は、結論が出てくることも非常に大事でありますけれども、過程も大事だと思っております。その意味でも、切れ目ない沖縄問題の認識というものが非常に大事なことではないかなというふうに思っておるわけです。  それともう一つなのですけれども、十二月二日にSACO発表がありました。私は、SACO発表橋本内閣総理大臣の並々ならぬ決意あらわれだ、外務大臣あらわれだというふうに理解をさせていただいております。  しかし、一般的にSACO発表最終報告と申しますと、普天間基地移設がどうなっているのだろうか、海上案がどうなっているのか、それがどこに決まるのか、それぐらいしかSACO発表では話をされていないのじゃないかというのが県民の一般的な見方なのですね。そしてまた、きょう岡光さんの新聞記事があって、トップを飾っておりますけれども、こういうふうな問題がトップになっちゃって、国の将来の安保の問題など、大事なものがなかなか表に出てこないからわかりにくいというふうな現実があることだけは確かだと思うのです。  今回、先ほど大臣が朗読をなされた閣議最終報告の内容にもありますけれども、本当に、二十四年間で四千ヘクタールしか返らなかったものが十年間で五千ヘクタール返るというふうな、形にあらわれる大きな前進一つ見られた。そして、沖縄県民が一番矛盾と感じていた五時以降の交通事故に対する補償問題、これも、保険の問題、任意保険に必ず入るようにしなければいけないとか、損害賠償等請求に対して新しい制度を持ち寄って、国が制度の中に入ってやっていくというふうな、県民生活の中の思わぬトラブルに対する措置も今回のSACO発表では盛り込まれているのです。  そしてまた、一番沖縄県民が戦争というものを身近に感じるという意味では、県道の一〇四号線越えの実弾砲撃演習、これも本土移設になるというふうな、大きく挙げて三つでありますけれども、この三つも今度のSACO報告では盛り込まれているのですね。これは、まさにこの基地問題の前進が図られた、もう前向きに進んでいるというふうなことは間違いないと思うのです。しかし、この盛り込まれている三つが全部が全部、ある意味では失われるくらいの、普天間基地移設の問題とか海上案に注目が行きまして、このこと自体が県民になかなか理解をされていないというのが私は現実だと思うのです。  それで外務大臣、私は今外務大臣がおっしゃった、今後沖縄県民にしっかりと理解を得る、しっかりと話しかけるとかという先ほどお話でありましたように、私はこういうふうな大事なことは、ただ東京において記者会見をするというだけではなくて、大臣みずから行って、この普天間基地の問題もこういう方向でやりますけれども、それに伴って今度の発表ではこういう三つの大きなこともやることになりました、前進をしていくことになりました、そしてこれからも沖縄問題を忘れることなくしっかりとやる、そういうふうなことを私ども決意をしておりますというふうなことを沖縄に赴いてお話をするとかという、表現方法と申しますか、それをもっと外務省の方でしっかりと考えるのが大事じゃないか。  私は、この基地問題、沖縄県民の心というものをより開いていくためには、絶えずそういうふうな話しかけが必要だと思っているのですけれども、いかがお考えでしょうか。
  16. 池田行彦

    池田国務大臣 委員指摘のとおり、今回のSACO最終報告につきましては、基地整理統合縮小につきましても、決して普天間だけではなくて、全部で十一の施設についていろいろな措置を講じながら返還していくということが決定されているわけでございます。それから、そのほかにも運用上の改善も多く盛り込まれているのは、先ほど報告したとおりでございます。  しかしながら、おっしゃるとおり、どうも報道ぶりでは普天間の問題にわっと焦点が当たり過ぎて、ほかの点が必ずしもよく周知徹底されていないのではないかという嫌いがあるというのは、御指摘のとおりでございます。  しかし、これは考えてみますと、普天間がいわば沖縄における米軍墓地の象徴的な存在であった、沖縄県民方々が、ああいう町の真ん中にございまして最も御負担を強いられている、そういうことで関心が強かったということで、やむを得ない部分があるかとも思いますけれども、我々としては、普天間関係はもとよりでございますが、そのほかも同じように大切なことと考えて措置を講じてまいったし、講じていこうとしている次第でございます。  そして、運用の面でも、先ほど若干申し上げ、また御指摘もございましたけれども、これまで懸案であった騒音の除去の措置であるとか、あるいは米軍の車両の表示の問題、そして自動車任意保険にもちゃんと入ってもらうというような問題、さらにはいろいろな請求につきましても、従来なかなか決定が下されなかったり、決定が下されても支払いがおくれたということもございましたが、そういうことについても前払いをやっていく、場合によってはそのつなぎの融資を日本の側でやっていくとか、いろいろな措置を講じて沖縄県民方々のいろいろな御不自由を少しでも軽減していこうというように努力しているわけでございますので、そういった点についてもよく御認識いただき、また御理解いただくように政府としても努力をしてまいりたいと思います。  そういった一助にもなろうかと考えます。昨日、沖縄において総理の方から発表していただきましたけれども外務省といたしましても、大使級の人間をキャップにいたしまして、連絡調整に当たるための仕組みというものを沖縄の現地に来年の早い段階で置かせていただこうと考えているわけでございます。これはもとより、米軍といろいろな調整もございますけれども、今委員指摘のようなこともきちんと対応してまいりたいと思います。そしてまた、お話もございました、私自身もこれまでも何か機会を得て現地へ参りたいと思って何度かその計画をしたのでございますが、いろいろな事情でまだ参っておりませんけれども、機会をとらえて現地の事情もこの目で見させていただき、またいろいろなお話もお伺いさせていただき、こちらからもいろいろ御説明なりお話をさせていただける機会が得られればなと考えているところでございます。
  17. 下地幹郎

    下地委員 今回の基地問題、ある意味ではいろいろな大きなうねりを持ちましたけれども、このうねりをしっかりと現実的に私は解決をしていく意味では、県民に対する理解というものは大きな役割を担うのではないかと思うのであります。  その意味でも、今大臣がおっしゃったように話しかける作業、そして御理解いただく手段を数多くとっていくということが大事なことではないか、そういうふうに考えております。そして、三日にも閣議決定がなされた。そして、この行動計画をしっかりと進めていきたいというふうな意気込みも、県民にわかるような形でぜひお進めをしていただければなというふうに思っております。  そして、もう一つでありますけれども、やはりこの普天間基地が大きな問題であった、だからどうしてもその他の問題よりも普天間基地の問題が中心にならざるを得なかった、まさにそのとおりであると思います。  橋本内閣総理大臣と大田知事の会談の中の、普天間基地返還がやはりその中心課題になったというのは、何といっても市街地のど真ん中で危険度が一番大きいのが普天間基地なんだという認識お互い一緒だった。まず沖縄基地の政策、その象徴的なそのものの解決を進めるには、普天間の解決をまず手始めにしなければいけない。その合意から私はこれが進められてきている作業だと思うのであります。  私は、何といっても普天間基地の問題は、まず移設をして、危険度の一番これだけ大きい、とにかく市街地のど真ん中であるということをまず私は早めに転換をしていかなければいけない。そういうふうな作業を進める上では、私は今度のSACO海上案に関しても現実的な路線ではないかというふうに思っているのです。  しかし、またこの中でも、これからこの問題をまた理解させるという作業の中でも、一つやはり大きな問題があるのですね。その問題は、一つは、何といってもこの基地が固定化をするのではないか、そしてまた拡大をしていくのではないか。そういうふうなものが、移設という、危険度を少なくするという意味はよくわかるけれども、これが固定化をしたり、また大きくなるのではないかという不安が沖縄県民にあることは確かだと思うのです。私は、それも取り除く方法をやはりしっかりと講じなければ、また大きなトラブルになると思うのです。  総理がよくおっしゃっておりますけれども、あれは撤去可能なものである、撤去可能であるということが固定化をしないという最大の表現なんだというふうなことをよくお聞きをしているのですけれども、私は、今具体的な表現をすべきではないだろうか。  そして、抽象論ではなくて、沖縄県民がしっかりと目に見えるように、今度の発表でも平成十九年というふうな日時を打っておりますけれども、そういうふうな具体的な日にちを打って、県民にはこの海上案に関しても、とにかく移設するけれども何年何月までにはこれは民地に返る、そして撤去をする、そういうふうなことをしっかりと私は県民に示すと、県民はもっと理解しやすい形で、その海上案に関してまず沖縄においても危険の少ないところにというふうなお話が出るのではないかというふうに思っておるのですけれども、固定化というものに対する大臣の考え、それをぜひお聞かせいただきたいというふうに思っております。
  18. 池田行彦

    池田国務大臣 委員指摘のとおり、普天間は市街地の真ん中にございまして、沖縄にございます基地の中でもとりわけ住民の方々に対する御負担なりあるいは御不自由をかけている、また危険ではないかというお気持ちも深いものがあるということでございますので、いわばそういった象徴的なものとして、この移転につきまして日米ともに努力してきたところでございます。そして、これをきちんとやってまいりますために、今回の報告では、先ほども申し上げましたが、普天間実施委員会というものをつくりまして、ここで精力的にこれからも細部を詰めていく、そして平成九年の十二月までにはきちんとした実施計画をお示しする、こんなことで考えているわけでございます。  そして、固定化のおそれということでございますが、この点につきましては、むしろ固定化しないためにこそいろいろな知恵を絞って海上施設という案を出してきた、こういうことでございまして、これは今回の施設がその目的を、必要とする間にはきちんとした役割を果たせると同時に、その役割が必要なくなりました場合にはこれを撤去することが可能である、こういうことであるということをまず御理解いただきたいと思います。このことは今回の報告でも明らかにしているところでございます。  そしてまた、きちんといつまでにということを明確にしたらどうかという点でございますけれども先ほど申しましたように普天間についての具体的な作業の日程についてはでき得る限りの明確な日程を明らかにさせていただいた次第でございますが、さて今度は、それが、できました施設が、それじゃいつまで使うのだ、いつになったら要らなくなるのかという点につきましては、これは残念ながら、これからの我が国を取り巻く安全保障環境あるいは国際情勢がどういうふうになっていくかということにもかかわるわけでございますので、現在の時点でそれを、いつということを申し上げるというのが極めて難しゅうございますし、あえてそれを申し上げることはかえってミスリードすることにもなるのじゃないのか、差し控えるべきものじゃないかと思います。  しかし、気持ちとしては、決してそれを固定化するものではないのだ、いろいろな情勢というものをよく見まして、その必要性がなくなればそのときは撤去できるものだ、またするべきものだ、このように考えている次第でございます。
  19. 下地幹郎

    下地委員 私は、この基地の問題、普天間基地の問題は象徴的なものだというふうに、外務大臣も私も認識は一緒だと思うのですけれども、解決の方法にやはり、もう何回も申し上げますけれども、感情論とかいろいろなものが大きな問題を生じてくる。  十年後、二十年後のアジアの、極東情勢の不安定要素、その不安定要素もしっかりと私ども認識をしながら物事を考えなければいけないと私思うのですけれども、私は、先ほど前半に申し上げましたその沖縄県民感情の不安定要素、それも私は今基地問題が大きなウエートを占める問題になってくると思います。その二十年後の不安定要素の心配もしかりでありますけれども、今の不安定要素、県民の抱えている、固定化とかいろいろな不安定要素も早急に解決をしていくことも、安全保障上も非常に大事なことではないか。軍備論だけではなく、そういうふうな人間の心というものもしっかりと安定をさせることが、安全保障上でも非常に大事な役割が今この一年間の沖縄の全体の県民の動きを見てもあるのではないか。昔と違って、感情というウエートは非常に大きなものが出てきていることもぜひ御理解をいただきたいというふうに思っております。  そして、もう一つでありますけれども、今、尖閣の問題が大きな問題になっております。この尖閣の問題もしっかりと私ども沖縄県の問題としてとらえていかなければいけないと私思うのです。私ども自由民主党もそうでありますが、尖閣諸島は我が国の固有の領土であるという認識をしっかりと持たせていただいて今進めさせていただいておりますけれども、まず大臣の、固有の領土であるという認識をひとつお聞かせをいただきたいというふうに思っております。
  20. 池田行彦

    池田国務大臣 尖閣諸島が我が国の固有の領土であるということは、これは歴史的にもあるいは国際法的にも疑いを差し挟む余地のないところでございまして、また我が国が有効に支配しているところでございます。  ただ、一方におきまして、この問題をめぐるいろいろな動きというものが日中関係――この日中関係というのは、両国にとってはもとよりのこと、このアジア太平洋地域全体にとりましても、あるいは国際社会全体にとりましても大変大切な関係でございますので、その大切な日中関係全体にこの尖閣諸島をめぐる問題が非常に否定的な、マイナスの影響を与えることがあってはならない、そこのところは非常に注意しながら冷静に対処していくべきものだと考えております。
  21. 下地幹郎

    下地委員 私は、尖閣の問題、固有の領土であるというふうにお聞きをさせていただきましたけれども、尖閣の近辺で、今与那国の問題も出てまいりました。そして、台湾と国境を接し、そういうふうな状況が今出ているわけです。  八年の三月二十三日、中華民国の総統選挙を控えまして、いろいろな軍事的な出来事が多く出ました。そして三月八日の未明には、三発のミサイルが中国から撃ち込まれております。そして十三日には、早朝一発のミサイルが撃ち込まれております。これは与那国からちょうど六十キロ、もう本当に私ども日本の領土からすぐ横にミサイルが撃ち込まれているというふうな、もう有事と言えるような状況が今そこで起こっているわけでございます。このこともまた東京においてはなかなか認識不足でありますけれども、私はその後与那国へ参りまして、いろいろな方々お話をさせていただいた。本当にもう不安におののいているというふうな現状があることだけは確かなのです。  しかし、日本政府の対応は非常に遅かったというふうに私は思っております。そのことも、もっとそういうふうな、ある意味での有事のような出来事に対してはもっと早急な対応をしていただきたいというふうに私は思うのであります。  そして、もう一つでありますけれども、与那国は一千七百名の島民でございます。そのうちの百七十四名、一〇%以上が漁業で生計を立てていらっしゃる、そういうふうな皆さんなのでございます。平成五年の総水揚げ高が一億一千八百万、そして平成七年、それが六千九百万になって、平成八年のミサイルの発射の後はもう本当に惨たんたる状況になってきているわけでございます。台湾の方も、それに控えて演習をする。どんどんどんどん、一番魚のとれる海域で演習をしてしまうというので、もうどうにもならないというふうな形になっているわけでございます。  私は、そのことをもっと早急な対応、そしてこの補償制度、与那国の皆さんに対する損失の補償等の問題も、国として、軍事の問題でこういうふうな状況ができているという現実を踏まえて、もっと前向きに検討すべきではないかと私は思っているのですけれども、中国や台湾に対する外務省の、どういうふうな形でやったのかということと、補償制度に対するお考えの二つをぜひお聞かせをいただければと思っております。よろしくお願いします。
  22. 池田行彦

    池田国務大臣 本年三月、中国が行いましたミサイル発射訓練に関しましては、外務省から在京の中国大使館に申し入れを行いました。その際、その演習が我が国の領土、領海の近い水域で行われているので、不測の事態が起こるおそれがあるのじゃないか、そして、特に訓練区域が与那国島から極めて近いところでございますので、その点を心配しているということを申し入れの中で言って、先方に伝えているところでございます。  それから、台湾につきましても、これも一昨年の夏ぐらいからでございましたか、射撃訓練が行われまして、その海域が、ただいま委員おっしゃいました与那国を初め、この地域の漁民の方々の主要な漁場になっているということもございますので、政府としては交流協会、それから亜東関係協会のルートを通じまして、台湾に対しまして、訓練の中止あるいは訓練水域の変更というものができないかということを繰り返し要請してまいっております。  台湾側は、それに対しまして、国防上の必要から訓練の中止とかあるいは水域の変更ということはできないけれども、しかし、関連の情報を事前に我が方に公開する等安全には十分配慮しておるというような回答をよこしているというのでございますが、政府としては、今後この問題についてもなお、交流協会を通じまして、引き続き粘り強く働きかけてまいりたい、こう考えている次第でございます。  それから、最後の、漁民に対する補償の件につきましては、これは御指摘の趣旨を管轄します省庁の方にしかるべく連絡させていただく、こういうことにさせていただきたいと思います。
  23. 下地幹郎

    下地委員 ありがとうございました。  これで質疑は終わらせていただきます。
  24. 逢沢一郎

    逢沢委員長 次に、東祥三君。
  25. 東祥三

    ○東委員 まず初めに、池田外務大臣、御留任といいますか、外務大臣としての再任、おめでとうございます。  本日は、大きく分ければ二点について、いろいろ大臣に教えていただきたい、また、意見交換させていただきたいと思います。  外交、安全保障にかかわる問題だと自分自身では思っておりますが、一つは、十月の中旬から下旬、ザイールの東部において部族間の戦闘激化に伴いまして、多くの難民が流出いたしております。それにかかわる、日本としてでき得る支援の可能性、こういう問題についてもう一つは、今報告がありましたSACO関連について、普天間基地の海上ヘリポートヘの移設問題、あるいは底流で関連しているであろうと思われる北朝鮮、朝鮮半島情勢、さらにまた、日本における海兵隊の問題、さらにKEDO等の問題について、四十分間時間をいただいておりますので、質問させていただきたいと思います。  本題に入る前に、長い政治家としての経歴をお持ちになっております池田外務大臣に、現在の政治家のありようといいますか、とりわけ日本の政権を長く担ってきた与党としての矜持というのですか、誇りが失墜されている状況があるのではないのか。とりわけ、国家予算の配分をめぐりまして新聞紙上をかなりにぎわしております与党の首脳の方々の発言。ある意味で恫喝政治が行われているのではないのか。新進党を応援した諸団体に対しては、予算配分に関してはある意味で無視するような、そのような発言がいろいろなところで行われましたし、またそういうものが新聞紙上をにぎわしているわけでございます。  外務大臣というお立場は、まさに国内の利害関係をある意味では超越いたしまして、本当に日本国のあり方を模索していけるすごい仕事だ、そういうふうにも思います。また、外務大臣というお仕事は、すべての外交案件に目を通さなければなりませんし、そういう意味におきましては、やはり自分自身の判断あるいは決断というものが日々迫られている、本当に激務をつかさどっているお立場の方である、このように私は認識いたしております。そういう意味においては、他の大臣とは全く違った極めて重要な重みを持っているポストにいらっしゃる方であるというふうに思っております。  日本のみならず、世界全体がどうしても内政に引きずられるような、そういう状況でありますが、これだけ国際社会間の依存度が高まっている今日、やはり内政から外政へという視点が強調されなければいけない、そういう時代に入っているのだろう。現実はなかなかそういう状況に行っていないわけでございますが、そうであるがゆえに、長い政治家として、政治家を長くやっていればいいという、そういうことではないのですが、良識をお持ちになられている池田外務大臣が、今日の政権与党としてのありよう、おかしいんじゃないのか、この点について外務大臣が政治家としてどのように御観察され、またその点についてどのように思われているのか。まさか外務大臣も同じような趣旨でしゃべっているとは、私はにわかには思えないのですけれども、その点についてどのようにお考えになっているのかということをまずお話しいただければと思います。     〔委員長退席、牧野委員長代理着席〕
  26. 池田行彦

    池田国務大臣 まず、今回、外務大臣に再任されましたことにつきましてお励ましのお言葉をちょうだいしましたことに厚く御礼申し上げます。非力ではございますが、全身全霊をもって日本の外交のかじ取りに誤りなきよう期してまいりたいと存じますので、よろしくお願いします。  そして今、外交と内政の関係についてもいろいろお話がございましたけれども委員も御指摘になりましたけれども、現在の世界というものは、人、物、金、情報、あらゆるものが本当に極めて早いスピードで、しかも大量に地球上を飛び回る時代でございます。そして、そういったものの流れの中で相互依存のいわば網の目のようなネットワークが形成されている、そういった中で動いている世界であり、その中に存在するそれぞれの国であり、そしてその国の民であると思うのでございます。  そういった観点から申しますと、現在では内政も国際関係を考えずしてあり得ないし、逆に外交の衝に当たる者も常にそのことが国民の皆様方の暮らしを大きく左右するんだという認識を持って考え、そして行動していかなくちゃいけない。  とりわけ国際政治の場も、かつてのように、例えば二つの超大国の力関係で物事が決まるという、比較的単純といいましょうか、理解しやすい構図ではございませんで、複雑多岐な力関係の中で行われますので、四万八万に目配り、心配りをしながら誤りなきを期してまいりたい、こう考えている次第でございます。  そういったことを前提にいたしまして、予算の配分について云々という点でございますけれども、私は国の政治というものは、当然のこととしてこれは国民すべてのためにあるものでございますし、その国の政治あるいは行政が執行されていく際のいわばその裏打ちとしての予算というものも、そういった意味で国民のためのものであろうと考えております。  そういった意味で、予算編成に当たりましては、当然のこととしてそれぞれの施策の必要性あるいは優先度というものを比較考量して、最も適正な配分がなされるべきものだ、このように考える次第でございます。  ただ、そういった比較考量、そしてその位置づけをします際に、政治家あるいはその予算編成に当たる者の判断、その基礎には、やはり国民がこれをどういうふうに考えておられるだろうか、それからどういうふうな必要性があるだろうか、そういうことを十分踏まえて行われるということは当然あるわけでございますので、与党の幹部が言われたということも、あるいはそういった国民の気持ち、考えというものを吸収しそれを反映するという面を強調したということではないのかな。必ずしも何か選挙の結果で恣意的に配分をするということではない、こう考えるわけでございます。  いずれにしましても、先ほど申しましたように、政治は国民すべてのためのもの、そしてそれの裏づけになる予算も国民すべてのためのものであり、全体としての優先度をよく考えて編成されるべきものであると考える次第でございます。
  27. 東祥三

    ○東委員 やはり池田外務大臣は良識の方であられるな、このように思うのですが、問題は、まさに外務大臣がおっしゃったとおり、予算というのは国民の税金として受け取っているものですから、確かに、自分自身を応援しなくて他の対立候補を応援した人が、予算編成に当たりまして何とぞよろしくお願いしますというふうに言ったときに、人間ですから当然これはおもしろくないというのはよくわかります。  今までの与党であるならば、今までの政権与党としての矜持を持っている自民党であるならば、そのようなことを思ったとしても決して口に出さなかっただろう。口に出しちゃっているわけですね。これはもう世界から見たとしても下品なんですね。まさに政権与党であり、また日本の政治を率いていこうとするその中枢におられる方が、露骨にそういうことを言ってきている。まさに自分たちの利益のことだけしか考えていない。まさにその部分が外交にやはり反映していくものなわけですね。  これほど下品な政治家たちが日本の政権を担ってしまっている、その点について私は、外務大臣のお立場としてどういうふうに思われるのか、外交上響いてくるのではないのか、このようにも思っているわけでございます。  基本的な、人間として、また政治家として、また国家予算という中立なお金を日本国の繁栄のために、また国民の生活向上のためにどのように使ったらいいのかという、そのプリンシプル自体も忘れてしまった言動が出てしまっている。この点について、外務大臣として本当に情けないというふうに思うのか、またこの状況を何とかして変えていきたい、そのような決意をされているのか、その点についてどのように思われますか。(発言する者あり)
  28. 池田行彦

    池田国務大臣 代表制民主主義という場合には、必ずしもいわゆる直接投票してくれた方の意見をただ代弁するということではございませんで、国民の皆様方から、有権者の方々から国民の代表として政治に参画しろという、いわばお許しをちょうだいして入るわけでございますから、それで入りましたら国民全体のことを考えでいろいろな判断をしていかなければいけないのだ、これは当然のことだと思います。  そういった意味で、先ほども申しましたけれども、国政の中で非常に大切な予算の編成に当たっても、これは国全体の立場、そして国民全体のためという観点から対応していくのは当然のことだと思っております。  そして、仮にもしそういったことを忘れて、偏った、だれの目から見ても偏った対応をしました場合には、また改めて国民の皆様方の御審判を受けるわけでございますから、そのときにまた御判断が出るのではないかと思います。そういったことを我々は常に念頭に置くといいましょうか、そうして間違いのない対応をするように心がけていくべきものと考えております。     〔牧野委員長代理退席、委員長着席〕
  29. 東祥三

    ○東委員 そのようにお願いしたいと思います。  先ほど、そちらにお座りの方から場所が違うというような発言があったのですが、まさに外務大臣が言われているのは、外交と内政というのは緊密化しているのですね。内政での発言というのは大きく外にはね返っていくという意味においては、全然場所が違っているどころではなくて、場所が違っていると思うこと自体に基本的に認識の甘さがあるのではないのか、このように私は思います。  それでは本題に入らさせていただきたいと思います。  十月十八日にザイール東部における部族間闘争がありました。そして、ブルンジの難民あるいはまたルワンダの難民が大挙して脱出した。この点に関しましては、UNHCR、国連難民高等弁務官事務所、とりわけ緒方貞子弁務官の方から、極めて危機的な状況にある、国連の職員あるいはまた難民活動に従事されている方々が極めて生命の危険に遭遇するような状況下にある。そして、十一月十五日に一連の流れを通じて国連の決議が出まして、そしてカナダのイニシアチブに基づく多国籍軍派遣というものが一応決議されたわけでございます。ただ、状況に関してにわかに全体像を把握することができない、その規模、そしてまた内容等においても今議論がし続けられている、このように聞いております。  そういう状況の中にあって、日本がとりわけ国際の平和に対して貢献していく、また積極的に貢献していくということを明確に決意表明されているわけでございますが、大きく言えば、前国連大使であられました波多野前大使のお言葉をかりれば、基本的に国際の平和にかかわる大きな問題というのは五つに分類することができるのだろう。一つは難民の問題、さらにまた人権の問題、そしてPKOの問題、人道支援の問題、そして人口・環境問題、こういう分類が正しいかどうかわかりませんが、よくわかる一つの分類だと思うのです。ある意味日本は声高にこの人口・環境問題以外についても言っているわけですけれども現実にいざ行動を起こすとなると、ほとんど最も不得意とする分野であるというふうに言っても過言ではないのではないのか、このように思うのです。  その関連の中で、このザイール東部における部族間の衝突、そしてそれについて日本政府が今まで一体何をやってきたのか、十一月下旬に調査団を派遣したという報告は入っているわけですけれども、何をやろうとしているのか、その点について御報告をいただければと思います。
  30. 池田行彦

    池田国務大臣 いわゆるルワンダの難民の問題につきましては、九四年でございました、大量の難民が発生いたしましたのは。それ以後、国際機関でいろいろ御努力をなさっておる、それに対する支援ということで我が国としてもいろいろ積極的に対応してきたところでございます。  ことし、つまり一九九六年をとりましても、ただいまもお話がございましたけれども、UNHCR、緒方貞子さんが勤めております国連難民高等弁務官府でございますが、それに対しまして六月と十月にそれぞれ一千万ドル、合計二千万ドルの支援をいたしましたし、またWFPを通じまして二回にわたって合計十四億円相当の食糧援助をしておるところでございます。これを合わせますと、合計で大体三千四百万ドル程度をことしになってこの関係で支援しております。  ただ、ただいま委員からも御指摘ございましたように、最近になりまして難民がザイールから大量に移動するということが起こりましたので、これから一体どういうふうに支援活動をやっていくか。これは日本だけではなくて国際社会全体としてもただいまいろいろ検討をしているところでございまして、先ほどもございましたように、新たなアピールが発出されましたので、それに対して日本もまた追加的な支援等を行うということで対応していきたいと思いますし、その際に、一体どういう内容のものにするかということをいろいろ調べなくてはいけませんので、十一月二十九日に政府調査団を十二月十日までの予定でルワンダに派遣しております。  そのような調査団の調査結果あるいは国際機関、国際会議等におけるいろいろな協議を通じて、一体この際どのような支援が最も求められているか、また適切であるかということを考えてまいりたいと思いますが、基本的には我が国としては難民そのものに対する支援でございます。  これは支援といいましてもいろいろなものがございます。帰還民の再定住のためのものも含めてそういうことを考えてまいりたいというのが一つでございますし、二つ目には、今お話もございましたカナダを中心にいたしましていろいろ多国籍軍の派遣の準備も進められておりますが、それに対して、例えばアフリカの諸国からこれに参加する場合にその派遣経費の一部を日本負担するということが考えられないかというような話も、先般来日されましたカナダのクレティェン首相初めいろいろなところから打診も来ているわけでございますし、こういったことも一つの方策として考え得るのじゃないかと思っております。  さらには、地域全体の安定化のために、国際社会として、あるいは日本として一体何ができるか。そういった大体三つの柱があろうかと思いますけれども、具体的な支援策につきましては、先ほども申しましたような調査団とかあるいは国際機関における協議を踏まえながら検討してまいりたい、こう考えておる次第でございます。
  31. 東祥三

    ○東委員 これまでも常に、ある意味で同じ議論、内容になってしまうのですが、最終的に日本というのは金だけしか出さない、そういうことになるのではないのかど私は危惧いたしているわけですが、外務大臣の頭の中には、必要ならば自衛隊も、あるいは人的支援といいますか、その派遣をも考慮した上で考えているということですか。
  32. 池田行彦

    池田国務大臣 先ほど申しましたように、具体的な方策はこれからまた詰めてまいりますので、今の段階でなかなか申し上げにくいのでございますが、私は決して、人的な面での支援というものは最初から考えない、そんなことではございません。一体どういうところに事実があるかをよく調べてみまして、そうしてまた、日本としてそういったものに対応できるかどうかということを見ながら検討してまいりたいと存じます。  そういったものを進めるということではなくて、あえて、これは可能性も検討の対象になり得るという意味で申し上げますと、例えばザイールから帰還された難民がまた定住される場合に、医療の面でいろいろな問題が起こるのではないかとか、あるいは定住のための施設建設その他居住環境を整える上でのいろいろな人的な支援が求められるのではないかということがあるならば、我が国としても、場合によってはNGOの方なんかも含めまして、現地へ行ってやっていただく方があるかどうか、そしてその場合には、NGOの方といえども政府としていろいろな便宜、あるいは場合によっては派遣の経費の一部などを負担するという例もこれまでもあるわけでございますから、そういったものも含めて、決して資金的な面だけに限定するのではなくて、我が国全体として人的な面での支援という可能性も模索してみたい、こう思っております。  ただ、自衛隊という点につきましては、委員御承知のとおり、大きく事情が変わりまして、多国籍軍の構想も、当初想定されたものとは規模においても構成においても随分変わってくるのではないかと言われておりますし、そういった観点から申しましても、今我が国に対してそういった面での支援が求められるという情勢には必ずしもないのではないか、こう考える次第でございます。
  33. 東祥三

    ○東委員 もちろん、日本自体としての内部調査といいますか、日本自体の派遣団を送ることによって現場を調査するということは、これは必要不可欠なことなんだろうというふうに思うんですが、十月の十八日に戦闘が激化して以来、一連の、いろいろなところでいろいろな報告というのがなされているんですね。十月の二十五日には緒方高等弁務官から、十月二十七日にまた緒方高等弁務官から、十一月十五日には安保理決議、さらにまたそれを踏まえた上で、国連でのいろいろな情報というのは流れてきているわけです。また、現場にもいろいろな職員、さらにまた国連機関関係者の方々がいる。  さらにまた御質問させていただきますが、十一月の二十五日から二十七日の間に、カナダ主導のザイール多国籍軍、ザイール活動をめぐる国際会議がドイツのシュツットガルトで二十五カ国以上の参加者を得て開かれております。日本はこれに参加しておりますか。
  34. 登誠一郎

    ○登政府委員 委員の今お尋ねの、ドイツにおきます多国籍軍派遣関連国の会議には、日本もオブザーバーという形で参加いたしました。
  35. 東祥三

    ○東委員 外務大臣、この報告は受けていらっしゃいますか、今の報告は。
  36. 池田行彦

    池田国務大臣 承知しております。
  37. 東祥三

    ○東委員 また、先週、オタワの方において、十四カ国が参加して、同様か異種か、この内容は定かではありませんが、国際会議が行われているのですが、これについては日本は参加していますか。
  38. 登誠一郎

    ○登政府委員 オタワにおける会議は、多国籍軍派遣全般に関する会議でございまして、オタワに駐在する各国の外交官が参加しております。これは、軍を派遣する国だけではなく、この問題に関心を持っている国ということでございますので、我が国も在カナダの臨時代理大使が参加いたしました。
  39. 東祥三

    ○東委員 私が述べたい趣旨というのは、日本は国際の平和と安全に関して積極的な参加、協力をしていきたい、こういう決意日本政府というのはしているのですね。ところが、国際社会の平和が脅かされてしまう、また、現実にこういう紛争等が激化してくる、そういうときには、多分、先ほどお話がありましたとおり、シユツットガルトの場合もオブザーバーですね、あくまでも一つのその平和を回復していく、また、平和秩序をいかにして構築していくのか、そういうところのメーンパーティシパントとしては外されていってしまっている、そういうふうに私はともすると理解してしまうのですが、この認識は間違っているのでしょうか。どうなんでしょうか。
  40. 池田行彦

    池田国務大臣 我が国といたしましても、このようないろいろな不安定な状況が生じた、そのときに生ずる難民に対してどういうふうに対応していくかとか、あるいは戦乱がおさまった後の状況にどういうふうに参画していくか、これは強い関心を持ち、いや、積極的に寄与していくという姿勢で臨んでまいりたいと思います。  しかし、それにどういうふうな形で、また、どの程度の役割を果たしていくかというのは、これはやはりケース・バイ・ケースでございまして、例えば、最近において最も成功したPKO活動といいましょうか、そういった国際的な努力と評価されておりますカンボジアの安定化に至るプロセスにおきましては、日本は御承知のとおり中心的な役割も果たしてきたわけでございます。  今回の、ルワンダといいましょうか、またザイールも含めて、その周辺で起きております事態につきましても、先ほど申しましたとおり、我が国としても適切な支援はしてまいりたい、役割を果たしてまいりたいと思いますけれども、しかし、これまであの地域の事態に対して既にかなりの役割を果たしてきたという諸国もおります。そして、そういった国々を中心として、いろいろな今の仕組みが、例えば多国籍軍の問題については、作業が進んでいるとするならば、それはそのことを前提として、日本として、さあどういうふうな役割ができるか。  多国籍軍の問題につきましては、先ほども申しましたけれども、今現実の、人員の面で不足があるからどうこうというのじゃなくて、人員の面については大体のめどがむしろもう立っておる。そして、費用の面でどうかというようなことであるならば、そういった面で対応を考えていくのかなということでございますし、それからそれ以外の面で、例えば先ほどもちょっと申しましたけれども、帰ってきた避難民の再定着などの過程でどういうふうな作業が必要なのか、それに我が国としてどうかということでいろいろ考えていくということでございますので、決して今回の問題につきまして、オブザーバーであるから日本の姿勢がどうかとか、あるいは消極的であるというわけじゃございません。日本としては積極的な役割を果たしたいということでございます。
  41. 東祥三

    ○東委員 十一月十五日の安保理決議が終わったその後、十一月二十七日にカナダの首相と首脳会談が行われましたね。そして、フランスのシラク大統領との会談においてもカナダ主導の活動の話は取り上げられたというふうに私は伺っております。  そこで、外務大臣は外相ともこの日本の貢献についてお話をされたというふうに聞いているのですが、そこの点についてはいかがですか。
  42. 池田行彦

    池田国務大臣 外務省といたしましては、先ほど局長からも御答弁申し上げましたが、いろいろな関連する国際会議等にもきちんと参加いたしまして、カナダも含めました関係諸国、関心を有する諸国と連携をしているところでございます。  そして、私自身がどうかという話でございますが、実はカナダのアクスワージー外務大臣とは電話でお話ししました。電話でいろいろお話ししました中で本件にも触れまして、これはクレティエン首相がおいでになる少し前、首脳会談が行われるちょっと前だったと思いますが、そのときもアクスワージーさんがおっしゃったのは、いろいろ多国籍軍のことを考えているけれども、事態も今流動しているので、もう少し具体化するには時間がかかりそうだということ。そして、考えられる支援の方策としては、そういった多国籍軍の問題もあるし、また、そのほか先ほど申しました定住等に対する支援などもあるという話があり、そして、特に我が国に対しても、これまでもいろいろルワンダ難民の問題についても国際機関に対する支援をしているということを評価しながら、これからもひとつよろしく頼むといいましょうか、一緒にやっていきたいという話がありました。  そして、具体的なことがあったとすれば、その多国籍軍の中にアフリカ諸国から参加が見込まれる、その場合に、その派遣経費というものがなかなかみずからの国で賄えないケースもあり得るので、そういった点について日本の貢献が考えられないだろうかという話がございました。それに対しまして、私も、先ほどちょっと御答弁申し上げましたけれども日本としてもいろいろな支援をやっている、その際の検討課題の一つとして、そういった多国籍軍に参加するアフリカ諸国の経費の一部というものを想定しながら拠出するという可能性も検討の対象にしようというお答えといいましょうか、考えを申し上げたところでございます。  いずれにいたしましても、最初に申し上げましたように、先方も、事態が流動しておるし、固まったわけではない、これからもいろいろ動いていくのだからという前提の上に立っての話でございます。
  43. 東祥三

    ○東委員 これ、新聞報道によるのですけれども、ドシャレット外相ともお話しされていますか、フランスの外相だと思うのですが。
  44. 池田行彦

    池田国務大臣 ドシャレット外務大臣お話ししたのはそれよりもう少し前でございますね。シラク大統領と御一緒に来られたときでございまして、このときは彼とは三時間か四時間話しておりますから、地球一周か二周するぐらいいろいろな話題を話しております。  そして、確かにこの情勢につきましても話はしましたけれども、これは、どういうふうな事態に今あるのだろうかというふうなことが中心であって、具体的な方途についてどうこうということではなかったのではなかったかというふうな記憶でございますが、何しろ外務大臣もたくさんございまして、毎週何カ国かの外務大臣と会っているような状態でございますので、あるいは記憶に正確でないところがあるかもしれませんが。
  45. 東祥三

    ○東委員 日本が内外にわたって国際の平和に対して積極的に貢献していくということを言っている以上、国際社会で平和の秩序が脅かされてしまったとき、それに対して日本というのは何を常に考えているのかということは、これは当然世界各国、また我々も思うわけですね。  そういう意味で、報道によりますと、ドシャレット外相とお話をされたときに、このザイール東部における難民流出の問題に関して、池田外相は、これは十一月二十日付の新聞ですけれども日本に何ができるかを真剣に検討していますと。もちろん中身についていろいろ議論されたのかどうか、それは定かでありません。当然、戦争に行くわけではないわけですから、また難民の問題というのは、それなりにもうケーススタディーが山積みされているわけですから、そういう可能性のある、バスケットみたいなものの中で、こういうことはできるのではないのかというぐらい、僕は外務大臣というのはお立場として言われたらどうなのかというふうにいつも思っているのです。常に慎重を期して、何をできるかということを検討していきますと。ただそれだと、世界が聞きたいのは、日本というのは金以外何をやってくれるのだと。日本というのはやはり金しか出せないのかということなのだろうというふうに思うのです。  そういう意味では、ザイール東部における戦闘が激化して一カ月以上もたっている、安保理の決議ももう出ている、それに対してまだ日本というのは何も具体的なことを考えていない。真剣に検討しますと。その後調査団を現地に派遣している。そういう意味においては、現実と今僕が申し上げていることとは違うのかわかりませんけれども、その点について外務大臣はどのようにお考えになりますか。
  46. 池田行彦

    池田国務大臣 私どもとしても、決して、なるべく逃げに逃げて最後にやむを得ない部分だけおつき合いしようなんという姿勢では全くございません。これは果たすべき役割はきちんとやってまいるということでございます。  それで、先ほど調査団につきましても、調査団として出しましたのは先ほど申しましたように十一月二十九日でございますけれども、実はその前、に単独の形で、団ではございませんけれども、責任ある担当職員を現地に派遣しましたのはもう一月ぐらい前だと思います。そういったことで、ちゃんと対応しながら考えてまいっております。  それから、ドシャレットのときも、今ちょっとよく思い返してみますと、事態の変化というものをいろいろ踏まえながらこれからどういうふうに考えていくかということで、日本としてはこれまで、先ほども申しましたが、難民に対する食糧の支援だとかUNHCRに対する支援とかやっていますと、こういうこともちゃんと考えなくてはいけないし、また、難民が大量に移動しているからその再定住の面というのもありますが、それからさらに多国籍軍のことがどうなるかということも踏まえながら、それに対する対応の可能性ということも話題にしております。  しかし、何分事態が流動しておりますので、こういうことをやりますということをお互いに、フランスにしてもカナダにしてもまだからっとは言えないと。また、一たん仮に想定したものも変更を余儀なくされているという面もございますので、そういった事態であるということは御理解いただきたいと思います。我が国としては、果たすべき役割はきちんとやってまいるという姿勢だけは御理解いただきたいと思いますし、理解されるような話しぶりを対外的にはしておるということでございます。
  47. 東祥三

    ○東委員 SACOの問題に入れなくて時間が終わりそうなのですけれども、最後に外務大臣の憲法観をお聞きいたします。  今回起こっているザイールの東部における部族間闘争、そこで何十万という難民があふれている、現地にいらっしゃる方々というのは食べる物すらなくなってきている。したがって、空中輸送して援助物資を投下しなければいけない、そういう状況下にある。そういう多国籍軍というものをつくろうとしたときに、日本はその多国籍軍に参加できると思われますか、あるいは、現行の憲法内においてはそういうことはやってはだめだ、これは内閣法制局に行けば、そういうふうに詰めていけばそういうふうになってくるのですが、それで外務大臣はよろしいと思われますか。さらにもっと突き詰めていけば、そのような状況下において、日本というのは国際の平和と安全に対して積極的に貢献していける国になれると思われますか。この点についていかがですか。
  48. 池田行彦

    池田国務大臣 憲法との関連で申しますと、我が国の自衛隊が、自衛隊でなくても要するに武装した部隊が武力行使の目的を持って海外へ出ていくということはこれは認められないということは、はっきりしておるわけでございます。  ただ、具体的などのような自衛隊の海外での活動がそのような憲法の認められない武力行使に当たるのかどうかというのは、これはやはり具体的ケースに即して判断しなくてはいけないというのがこれまでの政府の繰り返して明らかにしております考え方でございます。また、内閣法制局もそのような筋の考え方であると思います。私も橋本内閣の一員として、そういった解釈のもとに考えてまいりたいと思っております。  ただ、そういったことだから、それでは世界に対して日本役割が果たせないか果たせるかという点につきましては、これはいろいろな国際貢献の方途はあるわけでございまして、そうしてまた世界の各国も、現在の日本の憲法を逸脱してまでの、どうしてもこの貢献はしてくれなくては困るということを求めているわけではない。当然、憲法というのはそれぞれの主権国家を形成する国民がみずからの判断でつくるわけでございますから、そこに現に厳然としてある現行の憲法のもとでできる手段、方途というものを用いて国際的な貢献をしていくということでよろしいのじゃないかと思います。
  49. 東祥三

    ○東委員 僕は、具体的なケースに即して申し上げさせていただいていると思うのですが、武力行使を目的に自衛隊を海外へ派遣すると言っているのじゃないのです。  今部族闘争が行われていて、何十万という難民がそこに出てきている。そして物資が着かないと飢えて死んでしまうかもわからない。人道支援ですよ。そして、そこに物資を着かせるためには軍隊を派遣しなくてはいけなくなる。日本が行かす行かせないは別ですよ。物の見方として、そういうところに参加させること自体がおかしいと思うのか。また、それをやることをやはり目指していくべきだと思うのか。外務大臣のお考えを聞きたい。  一つは、空中から物資を投下させる、あるいはまたその現場に行って、そこでまだ戦闘が行われているかもしれません、そのときに、物資を陸上輸送でもって運んであげなくてはいけない、そういうときに、外務大臣はどのようにお考えになりますかと。それも結局、結果として武力行使になるかもわからないので、たとえ国連の決議があったとしても、あるいはまた国際平和協力のための活動であったとしても、そういうことというのはやらないのですよ、こういうお考えですか、どうですか。
  50. 池田行彦

    池田国務大臣 このケースではございませんけれども、自衛隊が海外へ出てまいりましていろいろな仕事をするということがすべて認められないわけではないというのは、既にカンボジアあるいはルワンダにもかつて参りました。それから、現にゴラン高原にも行っておりますね。そういうことに明らかなように、憲法上全く問題もないし、現実に行われている活動もあるわけでございます。  ただ、今おっしゃるような、物資の輸送というものも、具体的にそこの地域の情勢がどういうふうな形になっておるのかということとの関係もございます。それから、そこに各国から派遣されている部隊のありようがどうかということの関係もございます。そういったことの関連でいろいろ考えてまいりまして、我が国の憲法を初めとする法体系のもとで認められるものかどうなのかということ、さらには、そのニーズその他の問題から申しまして、実体的にそういったものを派遣することが妥当かどうかということで考えていくということでございまして、今回のケースにつきましては、先ほども申し上げましたけれども日本に対してそういった面での寄与を求めるという声が現実に上がっていないわけでございます。むしろ、そちらの面は、カナダあるいはアフリカ諸国というようなところで大体間に合っているよというような状況でもございますので、今あえてそういったところに踏み込んで検討するというのは考えていないというところでございます。
  51. 東祥三

    ○東委員 時間が来ましたのでやめさせていただきますが、カナダのイニシアチブと言っていますが、カナダは別に国連から言われてやってくださいということじゃなくて、カナダのイニシアチブで国連を動かしているという側面があるのですね。今外務大臣は、要請されていないから、もうそれは間に合っているから、そういう御発言というのは、日本が本当に国際社会の平和と安全に対して積極的に貢献していく、そういう言っていることと、そしてまた、日本が、本当に具体的に政府がやろうとしていることとの間には大きな乖離があるなということを認める御発言のように伺わさせていただいてしまいました。  もう時間がありませんのでやめさせていただきますが、また通常国会においてこういう問題について本当に深い議論をさせていただきたいと心から思いまして、きょうは終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  52. 逢沢一郎

    逢沢委員長 次に、藤田幸久君。
  53. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 質問の時間をいただきましたことを感謝申し上げたいと思います。  それから、今回、外務省におきまして閣僚経験の外務次官を設けられたということで、外交に関する姿勢が大変重んじられているというふうに印象を持っておりますので、評価を申し上げたいと思います。  それから、SACO最終報告に至るまでの外務大臣並びに外務省関係方々の御努力に敬意を申し上げたいと思います。  私、二十分しかございませんので、三つほど御質問を申し上げたいと思います。  このSACO沖縄の問題に関して思いますことは、日米安保条約の本質、とりわけ在日米基地役割について本質的な議論というものを始めるいい機会ではないかと思っております。その内容について御質問申し上げます前に、そういう本質的な議論について、外務大臣あるいは日本政府として、今後さらにアメリカに対しても、それから日本国民に対しても、そういった機会を設けていくというお考えがあるかどうか。あるとすれば、もし具体的な案があれば、どういったことをお考えかどうかについて、まず簡単にお答えをいただきたいと思います。
  54. 池田行彦

    池田国務大臣 御質問の趣旨を正確に理解したかどうかでございますけれども日米安全保障条約あるいは安保体制でございますね、これの意義というものを全体としてどう考えるかという、とりわけその中での米軍基地の果たす役割ということだと存じますが、そもそも日米安保条約は、五条、六条をごらんいただきますと、その目的とするところは、第一には、日本の安全を守る、そのために米国はちゃんと米国としての役割を果たしていくし、米国がその役割を果たしていくときに必要なファシリティーズとして、その一つとして日本側は施設区域の提供、つまり基地の提供をする、こういうことになっております。それからまた、それは決して日本の安全を守るという目的だけではございませんで、いわゆる極東の地域と言われる地域の平和を守るという面におきましても、その提供される基地を使用して米軍が活動するということが条約上規定されておるわけでございます。  そういったことでございますので、この条約に基づいて米軍に提供される施設区域というものは、我が国の安全を守り、そうしてまた我が国周辺の極東地域の平和を守っていくという上で大きな役割を果たしている。そういった意味では、日本がそういったものを提供するということは、日本としても、自分の、みずからの安全と同時に、周辺の地域の平和にもその限りにおいて役割を果たしている、こういうことが言えるのだ、こう思います。
  55. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 実際に、最近の在日米基地役割等についていろいろ調べてみますと、実は、日本を守るために在日米基地がある、あるいは沖縄基地があるという実態よりも、アメリカが世界的な戦略を持って、その戦略を行使するための役割としての在日米基地の性格の方が実態として正確であるといういろいろな事実があると思うわけです。  湾岸戦争のときが非常にいい例でございますけれども、例えば、AWACSなんかも日本基地から出ていっておりますし、トマホークを撃ったイージス、巡洋艦とか、それからミッドウェーも横須賀から出ていっております。それから、いろいろなロジスティックスというのが近代の防衛において非常に重要な役割を持つわけですけれども、例えば、鶴見、佐世保、八戸なんかを足しますと、一千百万バレルの石油を持っておる。それから、嘉手納にしてもアメリカ空軍最大の弾薬管理部隊がある。佐世保も第七艦隊の最大の弾薬貯蔵施設を持っておる。湾岸戦争のときも実際にそういった役割を果たしたわけですから、湾岸戦争というのははるかに極東を超えただろうと思うわけです。  こういった具体的な事例に加えて、実はアメリカの高官の方でも、例えば、沖縄の海兵隊というのは、日本の防衛のためではなくインド洋とかあるいは西太平洋に派遣するためだというふうなことも言っておるわけです。それから、沖縄の勤務をしております将校の人たちが、やはり海兵隊の機関誌に、沖縄からは撤退すべきだというようなことを実際に書いておるわけです。  ですから、アメリカ側の方からはいろいろそういう発信もございますし、最近も、アメリカの国防分析の専門家のマイケル・グリーンなんという方も、沖縄の在日米基地が持つ戦略的意味は、アジアにおける米軍の前方展開の柱であるというようなことをおっしゃっているわけですが、こういった具体的な事例もあり、それからアメリカ側の方からそういう発言もあるわけですが、こういった事例あるいは発言に対して、それを覆す裏づけのある論拠というものを外務大臣の方でお持ちなのか。つまり、これをはっきり認識をするということが日本の国益につながるのではないかと思いますので、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
  56. 池田行彦

    池田国務大臣 安保条約の目的、そしてまたその目的を達成するために米国として果たさなくてはならない義務、責務、そういった観点から申しまして、現在の我が国を取り巻く国際情勢の中で一体どの程度の米軍のプレゼンスが必要であるか、こういうことを考えまして、御承知のとおりのレベル米軍が御承知のとおりの兵力構成のもとに現在存在するわけでございます。そして、これが現在の国際情勢のもとで適正なものであるということは四月の日米首脳会談でも話し合われたところでございますし、今回の2プラス2におきましても、この点についてはペリー国防長官からもまたはっきりと触れておられるところでございますので、アメリカ側でいろいろな論説があるとおっしゃいますけれども、米政府の責任ある立場というものは今申したようなことであり、そしてまた我が国としても同一の認識を持っているということでございます。  そしてなお、米軍日本存在しますのは、先ほど申しましたように日本の安全を守る、そしてまた極東地域の平和のためにという目的でございますが、米軍は、それはいろいろな目的で世界的に展開しておりますので、その中のいろいろな運用の一部として、いろいろなそういった兵員などが移動するということは、これは当然あるわけでございまして、そのこと自体が安保条約上特に問題になるということではないという点は申し上げておきます。
  57. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 ただ、実際に……
  58. 逢沢一郎

    逢沢委員長 藤田幸久君、委員長に発言の許可を求めて発言をお願いします。
  59. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 済みません。よろしくお願いします。  ただ、実際に日本の防衛そのものに直接かかわる部隊というものも、実際お調べになればそんなにないということもはっきりしていると思いますし、逆に一方、実際、現在の自衛隊が持っておるいろいろな戦力構造というものも、単に日本を守るという以上に、むしろそういう役割を持った、在日米軍を守るために存在をするというような構造の方がむしろ強いのではないか。そういう実態もあるということを思っておるわけですが、その辺はいかがでしょうか。
  60. 池田行彦

    池田国務大臣 幸いにして、私ども非常に長い間、平和を享受することができました。そういったことで何となく、日本の安全というのは当たり前なんであって、日本が本当に安全を脅かされるなんということはあり得ないんだという前提でお互い物を考えがちなんでございますが、しかし、やはりそこのところは、長年にわたり自衛隊あるいは安保体制ということで備えをしてきた、これがあって初めて今、安全をあたかも空気のごとく考えることが可能になっているんだと思います。  そして、現実に今の自衛隊の兵力なり装備なりというものが、あるいは米軍の力が、いや、それでは日本を守るに必要ないものじゃないかというふうな御主張でございますけれども、そこのところはやはり、何と申しましょうか、全体としてのこういった体制という中できちんと平和は守られているので、そのようないわば、のんきとは申しませんけれども、そういうふうな御主張につながるのではないかなという感じがいたします。  もし現実に、本当に我が国が軍事面で安全を脅かされるという、そうして、現実にあってはならないことでございますが、戦火のちまたになるような事態になりますと、果たして今委員御主張のようなことが言えるのかどうなのか。現実に今の自衛隊で、あるいは日本存在する、駐留する米軍だけでそれが対応できるかどうなのかということも考えてみなくてはいけないのではないかと思います。少なくとも、これまで我々はそういったことを経験しないで済みましたけれども、過去半世紀の中には、あるいはそういうことがあってもおかしくなかったと、後になって考えますと、そういった国際情勢の時期もなかったとは言い切れないのではないでしょうか。
  61. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 ありがとうございます。  それでは、この件についてはまだ引き続き御議論を別の機会にさせていただきたいと思います、大変重要な問題でございますので。  時間の関係で次の質問に移りたいと思いますが、日本政府はことしの六月のリヨン・サミット、それから秋の国連総会を経まして、来年三月に対人地雷に関する国際会議を主催されるというふうに聞いておりますけれども、その目的は、地雷の除去作業とか地雷探知及び除去の新しい技術の開発、あるいは地雷犠牲者のリハビリということになっているわけですが、この対人地雷に関しましては非常に人道的にも大きな問題になっておりまして、現在やはり世界じゅうで一億一千万個ぐらいの地雷があると。地雷の被害を受ける人々というものは大体一日に七十人、一年間に二万五千人ぐらいと。しかも、その被害を受ける方々は、いわゆる兵士ではなくて、一般の女性であったり、子供であったり、農民であったり、そういう関係で国際会議を開くというふうに理解をしております。  ただ、この内容を見ますと、例えば地雷除去作業に関しましても、例えば日本の自衛隊が外国に出ていって除去をできるかということになると、PKOの凍結条項に当たってしまう。それから、いろいろな新しい技術を開発して、そういったものを外国地に持ち込もうとしましても、やはり武器輸出三原則に当たってしまう。同じように、新しい技術を開発すること自体、やはりそれに当たってしまうということで、実際に日本としてお金を出す以外に貢献できる機会というものは非常に難しいのではないかと思うのですけれども、せっかく主催はしてみるものの、実際にどういうことができるのか。  それから、この三つ項目というものはむしろ対症療法的な性格が強いと思うのですけれども、基本的には、ことしアメリカのクリントン大統領が、九九年までに通常型の対人地雷を破壊すると宣言をしておりますし、ドイツ、カナダ、フランスの方では具体的なことを始めているわけですけれども日本の方もそういう全面的な禁止に向かうもうちょっとはっきりした踏み込みをした上で、この対症療法的なことに関しても、国際会議を開いて具体的なやはり日本としての貢献がわかるような対応をすべきだろうと思うわけですけれども、これについて外務大臣のお答えをいただきたいと思います。
  62. 池田行彦

    池田国務大臣 対人地雷に対する国際的な対応という点から申しますと、大体四つの分野があるのだと思います。一つは、要するに全体として対人地雷の全面禁止に向けた努力をやっていくという面でございますね。それから二つは、現実に埋設されている地雷を除去していくという作業、そのための努力です。それから三つ目には、探知であるとか除去のための新しい技術を開発していくということ。そして四つ目が犠牲者に対する支援、こうなるのだと思います。  そして、対人地雷の全面禁止に向けた努力につきましては、国際社会としてもこれまでいろいろな面で進められておりまして、我が国としてもそのような国際的な、世界的な流れをよく見ながら進めていこうと考えている次第でございますが、来年の三月に東京で開催しようとしております会議は、その一番中心になる部分は当然のこととして進めなくてはいけないけれども、それ以外の三つの分野についてもいろいろその進展を図っていこうじゃないか、そういう観点から取り組もうとしているものでございます。  そうして、もとよりこれは、その会議、シンポジウムというかセミナーといいますか、そういうものでございますから、その会議に参加する、あるいは会議を主催すること、そのこと自体がそれぞれの分野で具体的な仕事をしていくということには直接つながるわけではございませんけれども、もとより我が国としても、会議を主催する以上、それぞれの分野でも具体的な貢献はしていかなければならないと思っているのは当然でございます。  そして、地雷の除去作業につきましては、これまでも例えばカンボジアで行われたりします地雷除去活動に対して、資金の提供ということでやってまいりました。  それから技術開発ですね。こういった面については、今、技術開発そのものを、何か我が国の法制その他に抵触するという可能性があるというような御趣旨の御発言があったかと思いますけれども、私は、技術開発そのものは基本的にそういうことはないのではないのかなと思っております、地雷の除去あるいは探知に関するものでございましたら。  それから、三つ目の地雷の犠牲者に対するリハビリ等については、これは全く問題もございませんし、我が国としても積極的に今後ともいろいろ取り組んでいくべき分野ではないかと思う次第でございます。  いずれにしましても、国際社会としてはいろいろな取り組みが地雷についても行われています。例えば、来年もほぼ同じ時期にカナダでやはり地雷に対する会議が開かれる。これは、先ほど申しました、全体としての全面禁止に向かう話し合いをテーマにするということでございますから、我が国で行う会議と両々相まって、いわば相互補完の関係で地雷問題への全世界的な取り組みを盛り上げていくことになるのではないか、こう考えておりますが、今後とも我が国としてはそういった面でも努力をしてまいりたいと思っております。
  63. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 ありがとうございます。  二、三分ございますので、最後の質問はミャンマーに関してでございます。  御承知のとおり、アウン・サン・スー・チーさんの方で、しばらく集会もずっと禁止をされておる。それから、けさの新聞を見ましても外出禁止になっておる。それから、きょう大分大規模な集会があるやのような報道がございますけれども、今、いろいろ聞いてみますと、いわゆる軍事政権とNLDの間で非常に緊張関係が高まっておる。  日本は、アウン・サン・スー・チーさんの釈放その他で大変今まで努力をされてこられたわけですけれども、ミャンマーに対して、人権問題とかそういう観点から、北風といいますか欧米的なやり方に対して、日本は太陽というやり方でそれなりの効果を上げてきたというふうに認識をしておりますけれども、ここまでいろいろな力による弾圧というものが続いておるわけで、その太陽がどの程度機能してきたのか。いまだに努力を続けていらっしゃると思うわけですけれども、そういった両者の間の仲介を含めて、日本政府が、太陽のような形でもう少しミャンマー情勢の好転に向かってどういう努力をされるのか。それから、もしこういう力による政策が続いた場合に、日本政府としてそのまま放置しておくのか。  太陽というのは非常に普遍的な存在だろうと思いますので、一部のいろいろな利益でもってミャンマーというよりも、もうちょっと人権とか民主化とかいう普遍的な価値を標榜するのが太陽かなという気持ちもいたしますので、ミャンマーについてお答えをいただければ幸いです。
  64. 池田行彦

    池田国務大臣 私どもも、ただいまのミャンマーの情勢、非常に注視しております。注視というよりも、懸念といいましょうか、心配して見守っておるというところでございます。  そして、これまでも我が国としては、NLDとそれからSLORCの政権の方と双方に話をしていくチャネルを維持しておりまして、極力この両者の話し合いにおいて平和裏に解決をし、そしてまた人権の面においても民主化の面においても着実な進展を図っていくようにということをずっと話しかけ、働きかけてきたところでございます。  それなりの効果はあったかと思いますけれども、しかし、全体として見れば、なかなか事態は好転しないなというお気持ちをお持ちいただくのもやむを得ないところはある。しかし、事柄は他の主権国家の内部のことでございますし、我々自身ももどかしい思いもありますけれども、しかし粘り強く努力を続けてまいりたい、こう思っております。  今回の事態に際しましても、我が方はミャンマーの政府に一体どういうことだということも説明を求めたりしておりますけれども、例えばスー・チー女史がいわゆる閉じ込められた、外出を禁止されたなんという点につきましても、政府側の説明というのは、いや、これは決して、何といいましょうか、そこへ閉じ込めたなんという話じゃないんだと。今の情勢から見ると外へ出られると非常に安全の面で問題があるので、外出をされないように要請した、スー・チー女史自身がある方と会いたいというお話であったので、その方をむしろスー・チーさんのお宅の方にお連れするというようなことは講じた、こんなことを説明しております。  その説明で我々納得するわけではございませんけれども、少なくとも、これはもうミャンマー自体の国内の問題であるし、あれこれ言われる筋合いのものではないといったふうな開き直りの言い方はできないというような状態になっているということは、ミャンマーの政権側といえども、国際社会のいろいろな批判、そしてまた我が国の、非は非としながらもなお対話を通じて物事を解決するようにしていくようにという働きかけなり慫慂というものを十分念頭に置きながら対応しているということのあらわれではないかと思います。  これからも両者へのチャネルを生かしながら、何とか事態の好転、そしてミャンマーにおける人権なり民主化の進展が図られるように我が国なりの努力を続けてまいりたい、こう考える次第でございます。
  65. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 ありがとうございました。
  66. 逢沢一郎

    逢沢委員長 次に、古堅実吉君。
  67. 古堅実吉

    古堅委員 日米特別行動委員会、すなわちSACO最終報告について質問します。  昨年の米兵による少女暴行事件以来、沖縄県民は、米軍基地整理縮小日米地位協定の見直しを求め、県民ぐるみで必死になって訴え続けてきました。九月八日の県民投票の結果は、その県民の意思を確固として示すものとなっています。  しかるに、この最終報告は、県民の意思を真っ向から踏みにじり、基地のたらい回しで、二十一世紀にわたって基地との共存を県民に迫るものとなっているばかりでなく、普天間基地返還を口実に有事の際の民間施設の使用に道を開き、二重三重に県民を愚弄するものでしかありません。県民世論を反映した沖縄地元の二つの新聞が十二月三日の社説で怒りを表明し、厳しい指摘をしていることに見られるように、圧倒的な県民がこの報告に怒っています。  外務大臣は、沖縄県民がこの報告に怒り、反対していることをどう思われるか、まず最初に伺いたい。
  68. 池田行彦

    池田国務大臣 私どもは、長年にわたり沖縄県民皆様方が御負担いただいておりましたその御負担を少しでも軽減したい、そしてまた、生活面での御不自由も少しでも軽減したい、そういった観点から作業を進めてきたところでございます。  その過程におきましては、沖縄県からもいろいろお地元としての御事情やお考えというものもお聞かせいただきました。そういったものを踏まえながら、そして、一方において日米安全保障条約の目的もこれは守っていかなくちゃいけない、その両者の調整を図りながら、でき得る限りの沖縄における米軍に対する施設区域の提供の整理統合縮小を図り、またその運用上におきましてもでき得る限りの改善を図っていこうということで、一年余にわたりまして、いわゆるSACOにおきまして精力的な活動をしてまいり、それを去る二日に最終報告として取りまとめさせていただいた次第でございます。  それは、この内容におきましても県民皆様方がこれでいいとおっしゃっておるとは毛頭考えておりません。多分、まだいろいろな御不満もあり御希望もあり、そしてまたいろいろなお気持ちもあるというのは重々承知しておりますけれども、そこのところは先ほど申しましたような立場から我々なりに、また米側も誠意を尽くして、でき得る限りの御負担の軽減に努めたということで御理解を賜りたい、こう思っております。  、そして、この合意をこれからは本当に迅速にかつ的確に実施に移していくために、政府も一丸となって県民皆様方の御理解を得つつ進めてまいりたい、こう考えているところでございますので、どうぞ委員におかれましても、今回の最終報告に盛られました諸措置意味するところを御理解賜りまして、御協力をちょうだいできればと考える次第でございます。
  69. 古堅実吉

    古堅委員 SACOは、あれこれやってきたように言っておりますが、結局は、沖縄基地を存続させ、固定化するものでしかありませんでした。  現在、沖縄にある米軍基地は約二万三千五百ヘクタール、今回返還の合意ということになっておるのが約五千ヘクタールです。それが五年ないし七年、あるいはそれ以上かかって返還されるということになりますが、それが完了したときにも一万八千五百ヘクタールが残ります。沖縄が祖国復帰して二十四年たちました。その間に、本土全国にある基地は約六〇%減少されました。しかし、同じ期間に沖縄にある米軍基地は約一六%が減少されたにすぎませんでした。  今回の五千ヘクタールが返還されたその時点をとってみても、全国の基地が約二万六千四百ヘクタール、沖縄に残る基地が約一万八千五百ヘクタール、米軍専用基地の七〇%が相変わらず残ります。  大臣、戦後五十一年たってもなお、沖縄基地を押しつけられ続ける、なぜなんですか。一体沖縄を何と心得ておられるのか、もう一度しかと大臣からお聞きしたい。
  70. 池田行彦

    池田国務大臣 沖縄県民方々に、本当に長年、長きにわたり、我が国の安全を守るための必要性に基づくとはいえ大変な御負担をお願いし、また生活の面でも御不自由をおかけしているということは、本当に我々として深く思いをいたさなくてはならないことだと存じております。  そして、このことは、政府はもとよりでございますが、我が国の国民全体としてよく考え、そうして沖縄方々思いをよく考えまして、その御負担の軽減に、でき得る限りの軽減に努力していくと同時に、また、沖縄県全体の将来の発展について、国としてもいろいろ努力していくべきものと考える次第でございます。  そういったことで、今回のその措置についても御不満は残りましょうけれども、私どもも、現在の与えられた条件の中で、でき得る限りの基地整理統合縮小を図っていこうということで、これまで沖縄本土復帰後二十四年間で四千三百二十八ヘクタールの返還でございましたが、今回のSACO最終報告ではそれを上回る五千二ヘクタールの返還を合意したところでございますので、まずこれをきちんと実施してまいりたいと思っておりますし、また御承知のとおり、騒音の面あるいは車両の任意保険の面であるとか検疫の面であるとか、地位協定運用をめぐるいろいろな諸問題についても、でき得る限りの改善措置を講じておるところでございます。  そうしてさらに、沖縄全体の将来の振興発展を図るためにも、政府が一丸となって取り組んでいこうということで、いろいろな仕組みをつくりまして今全力を傾注しているということは御承知のとおりでございます。私どもといたしましては、どうか沖縄県民方々に、政府としてのでき得る限りの努力をしている、このことを御理解賜りまして、ひとつ今回の措置実施についても御協力を賜れないかと心から願っているところでございます。また、日本の国民の皆様方全体に対しましても、私どもの平和を守るために沖縄方々にこれだけの御負担を願っているんだということをよく御理解いただきまして、安保条約運用上においても御負担を願うところにはぜひ御理解をちょうだいしたいと思いますし、また、その他の面でも、沖縄発展のために、日本の国としていろいろ力を尽くしていくということに十分な御理解をちょうだいできればと考える次第でございます。
  71. 古堅実吉

    古堅委員 普天間基地の問題についていえば、これはもう明らかにこれまでなかった海域への最新鋭の基地、そうなっています。海上基地建設に対しては、名前が挙がるたびに、県民はもちろん自治体、地方議会、漁民団体等が次々に激しい反対の声を上げてきました。報告には、「海上施設建設を追求しことありますが、これは県民の反対を無視しても押し切る考えを示したどいうものになりますか。
  72. 池田行彦

    池田国務大臣 私ども沖縄における施設区域整理統合縮小を図ってまいります上で、普天間の問題というのが沖縄県からもお地元からも一番大きな問題であるということで提起された、御要望のあったところでございます。そして現実に市街地の真ん中にございまして、大変な影響を住民の方々にも与えているということでございますので、私どももこの問題、普天間の問題は何としてもきちんとした対処をしなくてはいけないというので、いろいろ知恵を絞ってきたところでございます。そういった政府としての、あるいは沖縄のいろいろな御事情もお伺いしながら、日米協力のいろいろな作業の結果として出てまいりましたのが海上施設案ということでございまして、そういうことで普天間基地代替ヘリポート施設としてぜひその海上施設というものをつくらせていただきたい、このように考えているわけでございます。  これが、いろいろな住民生活に対する影響という観点におきましても、また目的が達成された暁には、それはいつのこととは申せませんけれども、将来において撤去も可能であるということ等もお考えいただき、沖縄県民方々にも、やはり今回の基地問題の中でも象徴的な、一番御関心の高かった普天間問題を解決するためにとらざるを得ない措置なんだということで、ぜひこの海上施設案について御理解を賜りたい、こう考える次第でございます。
  73. 古堅実吉

    古堅委員 理解が得られないときには強行はやめますか。取り下げますか。
  74. 池田行彦

    池田国務大臣 御理解を得べく最大限の努力をしてまいりますので、どうか委員におかれましても、今回の海上施設案の持つ大きな意義というものをよく御理解いただきまして、住民の皆様方の御理解を得るためにも御協力賜れればと存ずる次第でございます。
  75. 古堅実吉

    古堅委員 再度お伺いします。理解が得られなくても方針の変更はないということですか。
  76. 池田行彦

    池田国務大臣 御理解を得るよう最大限の努力をしながら、そうしてまた具体的な点をいろいろ詰めてまいりまして、特別の委員会を設けましたから、そこで九年の十二月までにきちんとした方向を出していただく、そういった作業を通じましても、いろいろ住民の皆様方がお持ちになるであろう御質問に対していろいろお答えしていくような努力も、具体的な努力もしながら、何としても御理解をちょうだいしてまいりたい、こう考えている次第でございます。
  77. 古堅実吉

    古堅委員 具体的な問題について二、三お尋ねいたします。  「最終報告の不可分の一部をなす」という文書がございます。その文書の3の(b)には「海上施設の滑走路が短いため同施設では対応できない運用上の能力及び緊急事態対処計画の柔軟性(戦略空輸、後方支援、緊急代替飛行場機能及び緊急時中継機能等)は、他の施設によって十分に支援されなければならない。」とありますが、「他の施設」とはどこを指しますか。
  78. 田中均

    田中説明員 お答え申し上げます。  これは四月の中間報告の合意でもそうでございましたけれども、非常に大きな固定翼の航空機の機能、こういったものは嘉手納の施設に移していく、そのための所要の整備を行うということになっております。それが第一点でございます。  それから、それ以外に、いろいろこれから海上施設についての研究を進めてまいりまして、基本的な考え方としては、できるだけヘリポートとしての機能はそこに完備をしたい、こういうことでございます。
  79. 古堅実吉

    古堅委員 嘉手納飛行場以外の基地も対象にしているということなんですね。
  80. 田中均

    田中説明員 緊急事態におきましてどういう施設が使用できるかどうかということは、これから検討、研究をしていくということになっております。
  81. 古堅実吉

    古堅委員 時間が少ないので、あと二つは質問を続けて行いますので、答えてください。  同文書の2の(c)に、「海上施設又は岩国飛行場移転されないものを支援するための施設については、嘉手納飛行場において追加的に整備を行う。」とあります。この追加的整備とは何を考えているのか、それが一点。  同じく文書の2の(d)は、「危機の際に必要となる可能性のある代替施設の緊急時における使用について研究を行う。」とあります。代替施設には民間飛行場沖縄でいえば那覇空港が含まれるのか、その二点。
  82. 大古和雄

    ○大古説明員 防衛庁の方からお答えさせていただきます。  まず、嘉手納飛行場における追加的整備の関係のお尋ねでございますが、この点につきましては、代替ヘリポート、または岩国飛行場への移設が困難な、有事または緊急事態に際しまして輸送機等を利用するという現在の普天間飛行場の機能につきまして、これを嘉手納飛行場移転するという趣旨でございますが、その場合の追加的施設の具体的内容につきましては、今後さらに米側の運用所要等の明確化等を図りまして形成されるものでございますので、現時点で具体的に申し上げることは困難でございます。  二点目の「緊急時における使用について研究を行う。」という点でございますが、この点についても、今後具体的な検討対象等につきましてさらに米側の運用所要の明確化を図りながら確定していくということになりますので、この点についても現時点で申し上げることは困難でございます」
  83. 古堅実吉

    古堅委員 十一月二十一日、米国防副長官が来日して、来年度に予定されている米新戦力計画、ボトムアップ・レビューの見直しに関して、アジアに兵力十万人を維持し続けることを明言し、また今回の日米協議後の共同記者会見で、ペリー国防長官も同様の発言をしています。  SACO最終報告に関連する一連の日米協議の際に兵力十万人維持方針が示されたのか、それが一つ。それに対して政府は賛成したのか、それが二つ目。また、今回のSACO最終報告もアジア兵力十万人維持を前提としたものなのか、その三点について簡単にお答えください。
  84. 池田行彦

    池田国務大臣 今回の2プラス2の会合の中におきまして、ペリー国防長官からその点についての御発言がありました。それは四月の日米首脳会談においても、日本における現在とほぼ同水準のものを含めまして、アジア太平洋地域に十万人のプレゼンスというものが同意されているわけでございますが、今回、2プラス2でもペリー長官からそのことに言及があり、そしてそのことは、最近クリントン大統領がオーストラリアを訪問されましたときにオーストラリアでも、そのアジア太平洋地域の十万人のプレゼンスと、いうことを言っておられるということがあった。だから、その基本はそれを踏まえておるんだ。  そして、いわゆるボトムアップ・レビュー、来年の五月に四年ごとのものとして米国の議会に国防省が提出する報告がございますが、それに向かっての作業が進められるわけでございますが、それは今申しましたアジア太平洋地域の十万人のプレゼンスというような基本線を動かすかどうかを検討するものではなくて、その基本は前提にした上で、それを具体的にどういうふうに運用していくかという観点からやるものだという趣旨の御説明、御発言がありました。  それで、私どももそれは、その四月のときの日米首脳会談の際のいろいろな話、それからその後のいろいろな米国との間の協議を通じまして、そのような同様の認識をしておりますので、それに対して、それは違うというようなことを異論を挟むようなことはいたしません。そういうことでございます。  それから、SACO報告がどうかということでございますけれども、これは現時点におきましては、そのような前提がございます。しかし、そういった中でも、極力、どうやれば御負担を軽減することができるかということで鋭意作業を続けまして、今回のような報告に至っだということは、もうるる申し上げているところでございます。
  85. 逢沢一郎

    逢沢委員長 時間が参っております。
  86. 古堅実吉

    古堅委員 最後に締めくくりますから。
  87. 逢沢一郎

    逢沢委員長 簡潔にお願いいたします。
  88. 古堅実吉

    古堅委員 一兵たりとも減らさぬなどというアメリカの態度に追従しては、沖縄基地整理縮小、そういう要求にこたえられないことは申すまでもありません。日本の防衛とは関係のない海兵隊の撤退を実現すれば、沖縄米軍基地の七割、米兵の六割を一挙に縮小することができます。  沖縄が背負っできた重荷を国民全体で分から合うとの姿勢に立ち云々など、口先の同情論はやめて、真に県民の声に耳を傾けて、アメリカ政府に海兵隊の撤退を迫るなど、沖縄にまともな姿勢でこたえるべきだと強く指摘し、求めて、質問を終わります。
  89. 逢沢一郎

    逢沢委員長 次に、伊藤茂君。
  90. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 ODAの問題で見解を伺いたいと思います。  ODAと申しますと、大変低い、かつてない低い伸び率のシーリングでございまして、防衛費よりも低いという、ちょっと今までと変わった状態になりました。  私もかかわっておりましたから、あのときを思い起こしますと、大臣も慌ただしい日程の中で大変御努力をなさっておられましたし、また担当の経済協力局長も苦渋というのか苦悩の表情を今でも忘れませんが、ということでございました。私もあのとき申し上げたのですが、財政事情が非常に厳しい中ですからやむを得ない決断ではあるけれども、しかし平和国家日本としてこの分野の活動は非常に大事なんだということは変わらず認識をしておりますからということを申し上げたわけでございます。また、割方高い伸び率で努力をしてきたという経過がございまして、一度、質と、次を考える節目という意味を持って努力と勉強をお願いしますということを申した覚えがございます。  国会が終わりましたらいよいよ予算の編成にかかる、また内外から見て一つの焦点がこの問題でございますけれども、厳しい状況の中で中身の濃いと申しましょうか、対応をお考えいただかなければなりません。その辺の重点を今どうお考えになっているのか、できるだけ応援しますという気持ちを込めて……。
  91. 池田行彦

    池田国務大臣 ただいま伊藤委員からお話がございましたけれども、来年度予算の概算要求の段階におきまして、まずシーリングの段階、また要求の段階におきましても、与党の政策決定の最高責任者のお一人でございました伊藤委員にはいろいろとODAのあり方について御指導、御助言あるいは御理解ある措置などをちょうだいいたしまして、外務省としても大変感謝申し上げておるところでございます。  私自身の力不足のために、そういった与党の政策最高責任者としてのお立場の御配慮にもかかわりませず、残念ながら二・六%という低い概算要求枠の中にいわば押し込まれたところでございます。いよいよ来年度予算の編成も間もなく大詰めを迎えるわけでございまして、私どもといたしまして何としてもこの非常に遠慮した、いや遠慮せざるを得なかった概算要求枠の二・六%というもの、これだけはせめて満額お認めいただけないかということで、いろいろ関係方面の御理解を得ているところでございます。  伊藤委員も御記憶いただいていると思いますが、たしか二・六、やむを得ないということでのみましたときに、これはシーリングであるけれども、同時にフロアである、天井であって床である、しかもコンクリート製の床であるから予算が成立するときにも微動だにしないものであってほしいということをお願い申し上げ、また御理解をちょうだいしたのだと思いますが、私どももこれからも予算の編成の最終段階に向かって最善を尽くしていくつもりでございますので、どうか伊藤委員を初め外務委員会委員の諸先生方にも御理解とお力添えを賜ればと存ずる次第でございます。  本当に大変苦しいのでございます。二・六%でもふえるからいいじゃないかという声もあろうかと存じますけれども、これは国内と違いまして外との関係で使うものでございますので、御承知のとおり為替もここのところ円安傾向でございます。今年度平成八年度の予算ではたしか為替のレートは九十七円で設定されていると思いますが、現在の為替レートは御承知のとおり百十何円かの水準になっておりますね。そうしますと、それだけで、仮に二・六%全部認めていただいても実質的にはこれはへこみになる。  そういった中で、どうやってこれまで開発途上国にやってまいりました経済協力をきちんと遺漏なくやっていけるか、大変頭が痛いところでございます。運用上はもちろん効率化を図りつつ、そしてまたODA以外のいろいろな、例えば市場アクセスをもっと容易にするための規制緩和を進めるとか、あるいは直接投資などを進めるとか、いろいろな方策を講じながらやってまいりたいと思いますけれども、しかしODA自身も依然として非常に大切な外交の手段であるというだけではなくて、国際社会において日本が果たしていく役割の非常に大きな部分を形成するわけでございますので、どうかこれからも伊藤委員初め皆様方の御協力を重ねてお願い申し上げまして、答弁とさせていただく次第でございます。
  92. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 あのときに大臣がおっしゃった、天井であり、またフロアであるというお話は今も記憶をいたしております。大事なことでございますから、協力をし合っていい内容の予算ができますように、私もそう思っております。  我が党も零細企業になって、時間がございませんので、二点一緒に、もう一問だけ希望を申し上げたいと思います。  一つは、昨日橋本総理が那覇にいらっしゃいまして、その中で外務省沖縄事務所を設置するという御発表がございました。まことに適切なことであろうと思います。また、大使級の所長ということでございまして、恐らくは内外から沖縄大使というふうに評価をされるということになると思います。予算が厳しい中ですから、そう大規模な活動というのは難しいと思いますが、注目をされることでございますから、何か基地問題とか日米関係調整とかということは当然あるでしょうが、それだけではなくて、やはり外務省の立場から、沖縄それから東京――那覇、東京、ワシントンと申しましょうか、さまざまな有益な活動をなされるようにぜひ私は期待したいと思います。  今まででも、今度退任をされるモンデールさんにいたしましても、ペリーさんにいたしましても、大田県知事と時々将来についての意見交換があったようにも伺っておりますし、いろいろな意味でやはり協力し合って新しい構想とかできることを考えるという面もあると思いますので、ぜひ注目される御活動を大臣、指導されますようにということを一つ思うわけであります。  もう一つは、ODAと関連もいたしますけれども、アジアの流れを考えますと、かつては日米欧という言葉遣いで新聞でも言われておりましたが、最近はアメリカ、EU、アジアと。地域全体の経済の基盤もどんどん発展しておりますし、かつてとは様相の違った発展、しかも二十一世紀にはアジアの時代と言われるような進展を見せるであろう。そういう中で、日本もますます大きな役割を果たすべきであろうと思います。サンセットになるとかあるいは地盤低下になるとかということでない、相ともにいい努力をすべきであろう。  私は、そういうことを考えますと、例えばASEANの皆様方の方から何か大きな意味でのアジアセンターというか、学術的にも技術的にも人材養成も何かしようとか、いろいろな構想が具体化をしてくるという段階にもなると思います。また、考えますと、経済の大きな発展ですから、例えば環境問題、それから例えばですが、この地域が原子力発電などの導入の比率の割かし高い地域になる。そうすると、原子力機関などで検査監督をするだけではなくて、安全性、技術協力のこととか、経済にかかわること、あるいは海洋の交通も非常に活発になりますから、海洋法の制定もございましたけれども、そういうこともやはり起こってくる、あると思います。  そうなりますと、今のODAのシーリング、予算のことも含めてなんですが、やはり外務省の予算の枠だけでないかもしれませんけれども、大きな目標と構想力を持つということが非常に大事なときになっているのではないだろうかという気がするわけでありまして、その二つ、希望として御見解を伺いたい。
  93. 池田行彦

    池田国務大臣 私どもも、今回沖縄に、大使級ベッドとしまして、数人の規模ではございますけれども、現地にそういった拠点を持たせていただくことにいたしました。これは、もとより米軍関係調整というものが中心の任務にはなりましょうけれども、決してそれだけでは済まないのです。今御指摘のございましたように、幅広く沖縄が今後を考えていく上において、アメリカとの関係あるいはその他国際関係において必要とする面につきまして、外務省の立場でできるサポート、知恵でもあり力、力は余りございませんけれども、ない知恵をいろいろ絞りながらやってまいりたいと存じます。  とりわけ、そういった中で、アジアとの関係を今おっしゃいました。そのとおりだと思いますので、これからアジア地域、どんどん発展もしてまいりますし、そういったアジアの諸国と日本の連携のもとで、決してアジアが伸びれば日本が相対的に落ちるというのではなくて、持ちつ持たれつの関係で、相乗作用で将来に向かって発展するということも十分可能なのだと思います。  そういったときに、沖縄というのは、歴史的にも東南アジアの地域の方々との交流の長い歴史がございます。大航海時代から。そういった意味では、いわば我が国から見ればアジアヘのゲートウェーでございましょうか、あるいはアジアの諸国から見れば日本全体へのゲートウエーとして沖縄を位置づけて、大きな役割を果たしてもらいたいと思います。  そういったときに、具体的に、委員指摘になりましたいろいろな分野で、既に沖縄の県におきましても将来計画をお考えになる上でいろいろなおもしろい構想をお持ちのようでございますし、政府としても、先般各省から沖縄振興策としていろいろな構想をまとめました。そういった中には、委員指摘になりましたようないろいろな分野についての取り組みと相通ずるものでもあると思いますので、外務省の立場でできる限りの取り組み、努力をしてまいりたいと存ずる次第でございます。
  94. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 質問を終わります。ありがとうございました。
  95. 逢沢一郎

    逢沢委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時五十三分散会