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1996-12-12 第139回国会 衆議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年十二月十二日(木曜日)     午前九時五十分開議  出席委員   委員長 仲村 正治君    理事 安倍 晋三君 理事 鈴木 宗男君    理事 中谷  元君 理事 浜田 靖一君    理事 長内 順一君 理事 白保 台一君    理事 鰐淵 俊之君 理事 池端 清一君       石崎  岳君    嘉数 知賢君       河井 克行君    桜田 義孝君       下地 幹郎君    新藤 義孝君       林  幹雄君    吉川 貴盛君       旭道山和泰君    原口 一博君       丸谷 佳織君    三沢  淳君       小平 忠正君    松本 惟子君       古堅 実吉君    上原 康助君  出席国務大臣         外 務 大 臣 池田 行彦君         国 務 大 臣         (沖縄開発庁長         官)      稲垣 実男君  出席政府委員         内閣審議官   及川 耕造君         防衛庁防衛局長 秋山 昌廣君         防衛施設庁長官 諸冨 増夫君         防衛施設庁総務         部長      伊藤 康成君         防衛施設庁施設         部長      首藤 新悟君         沖縄開発庁総務         局長      嘉手川 勇君         沖縄開発庁振興         局長      牧  隆壽君         外務省アジア局         長       加藤 良三君         外務省北米局長 折田 正樹君         外務省条約局長 林   暘君  委員外出席者         特別委員会第一         調査室長    田村 勝美君     ――――――――――――― 十二月六日  北方領土の早期返遷に関する陳情書  (第一七五号) 同月十二日  北方領土問題等解決促進に関する陳情書  (第二  五六号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  沖縄及び北方問題に関する件      ――――◇―――――
  2. 仲村正治

    仲村委員長 これより会議を開きます。  沖縄及び北方問題に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。下地幹郎君。
  3. 下地幹郎

    下地委員 まず最初に、質問をする前に、十二月六日に発生いたしました蒲原沢土石流災害におきまして、お亡くなりになられました方々に御冥福と、そして負傷者回復を心からお祈りを申し上げたいと思います。そして、この復旧作業に一生懸命に努力をなされている自衛隊及び消防、関係者皆さんの御苦労に私は感謝の意を伝えたいと思います。早目回復が、安全確保がなされることを希望いたします。  蒲原沢土石流に関しましては天災でありますけれども、今度、宮古島の方で、平良港において台湾の船が座礁いたしまして、その座礁した船が百五十メートルある航路幅の五十メートルを封鎖をしてしまう、そういうふうな状況が今起こっております。それによりまして、海上保安庁の方から大型船入港を回避するような要請が出ておりまして、その大型船が入れないために、今宮古島において物資の輸送に大きな障害が出ております。十二月七日よりそれが始まったわけですけれども、もう十三日間過ぎてまいりました。  そして、宮古島の方では、その平良港に生活物資の九〇%以上も今依存している状況がありまして、きのうも市町村長が参りまして、非常に今困っている、大変なことになっている、正月を迎えるに当たって物資がどうしても値段が高くなったりいろいろな状況が出ているので、国の早急な対応お願いしたいというふうな要請が来ております。そして、それに関しましては、隣接の岩礁を破壊して大型船入港できるような状況を国の方にやってもらいたいというふうな要請が来ておりますけれども長官の方で、ひとつこのことをぜひお願いをしたいと思います。
  4. 稲垣実男

    稲垣国務大臣 ただいま下地議員から質問のあったことについてお答えを申し上げます。  私も、実は省内から、台湾船座礁事故後、いろいろな時点で早く撤去できないかということで相談も受けております。いずれにしましても、船舶安全確保というものが、平良港の大型船入港が現在のところは制限されておるような状況だ。平良港への定期航路を有する海運各社においても、入港可能な代替船入港させるというようなこと等も聞いております。早急に大型船入港できるように、航路安全確保原状回復がもちろん必要だと考えております。  沖縄開発庁といたしましては、原状回復対策として、今回の状態は、その原因をつくった座礁船の船主によって座礁船の撤去がまず行われるべきだ、これは法的にいいましてもそうでありますので、そのように考えておりまして、関係機関にただいま要請を行っておるところでございます。  しかし、いずれにしましても、航路が、今議員がおっしゃいましたとおり、年末、正月というのは非常に物資が交流するときでありますし、人の行き来も非常に激しいということも聞いておるわけでございますので、航路の一部が使用できない現状では、極めて住民の生活に多大な影響を及ぼしておる。なるべく早く航路安全確保が図れるように、沖縄開発庁としても、これからあらゆる施策を活用して総合的に検討してまいりたいと考えておる次第であります。
  5. 下地幹郎

    下地委員 長官事故を起こしたその船舶台湾の船籍でありますけれども、それに対する責任の追及というのは物すごく大事なことだ、法的にもそれはしっかりとやっていかなければいけないと思います。それはもちろんやっていただくといたしまして、それと同時に、今困っている島民の現状というのを私は国の対策として重点的に考えるべきだと思うのですね。あの事故を起こした船舶船会社が何をしてくれるのか、どうするのかというのじゃなくて、蒲原沢災害でもそうでありますけれども、こういうふうな図られている人がいたら早急に国の方で対応していくということは物すごく大事なことだ。しかも、現状は九〇%近くがあの港を頼って物資が来ているという状況考えたら、私はもっと早急な国の対応があってしかるべきじゃないかというふうに思っておりますので、どうかよろしくお願いを申し上げたいと思います。  二つ目質問をさせていただきますけれども、十二月二日にSACO発表がありました。このSACO発表がありまして、私は評価をさせていただくというふうなことをこの前の十二月五日の外務委員会でもお話外務大臣にさせていただきました。二十四年間で四千ヘクタールしか返らなかったものが、十年開で五千へクタール返る。それで米軍施設の二一%が削減されるようになった。そして、公務外事故に関しても、新しい国の制度を用いて、そういうふうなものに対して国が積極的に取り組むというふうなことも今度のSACO発表でありました。そして、私どもが一番戦争を身近に感じる一〇四号線の砲弾演習、これも本土に移設が今度SACO発表でなった。  私は、こういうふうな大きなものを一つ一つ解決していくことは前進だと評価するべきだと思っております。それは、去年、本当に痛ましい事故がありまして、村山政権がしっかりとそれを受けとめてスタートをして、橋本政権がつないで、一つの形が今十二月二日にあらわれた。そういうふうに私は評価をしております。  それを踏まえて、十二月五日には外務委員会池田大臣質問をさせていただきました。しかし、大臣、これはまだまだ沖縄県民満足と言えるような状況ではありませんよ、そういうふうな御認識をぜひしっかりと持っていただきたいというふうなことも言わせていただきました。それに対して、大臣はしっかりと、これは自分たち満足というふうな評価はしていない、途中であるというふうな認識であります、これから沖縄基地整理縮小に向かって一生懸命に努力をしていきたいというふうな御答弁がありました。  そして、私はもう一つ質問をさせていただきました。この沖縄基地の問題が沖縄県民には花火のように打ち上げられて忘れられるのではないかという心配が非常にある。そのことに関しても、日米の公式の会談クリントン大統領橋本総理外務大臣と国務長官いうふうな会談の中で、日本政府から議題として上げて、沖縄基地がゼロになるまで絶えず同じ考え基地の問題を考えていったらいかがですかという提案に対して、大臣の方は、沖縄基地の問題が日米間にとっても重要な課題であるということほ十分に認識をしています、今後とも日米間で鋭意努力をしていきたいというふうなお話であったと思うのです。私は、それは非常に評価のできる答弁であって、そしてSACOの十二月二日の発表も非常に評価できると思っているのです。  しかし、他の政党の方々もそうでありますけれども、これは今まで使ってない土地を返したんだとか、何も前進をしてないとか、もうこれで終わりだ、そういうふうな感じだというふうなことをいろいろ言われる方がいる。それに対して、この沖特の場で、外務大臣の方から、これから基地の問題に対して積極的に私どもは国として取り組んでいきたい、そして沖縄皆さん満足できるようにしっかりと頑張っていくという決意のほどをもう一回お願いをしたいというふうに思っております。
  6. 池田行彦

    池田国務大臣 我が国の安全を守るという大切な目的のためとはいえ、沖縄県民方々に、米軍基地が存在するということで、本当に長い間大きな御負担お願いしてまいりました。そして、そのために大変な生活面での御不自由があっただけではなくて、県民皆様方のお気持ちの上でもこれは大変な大きなものであるということは、我々真剣に考えているところでございます。  なお、現在の国際情勢のもとにおきましても、やはり日米安保体制というものは引き続き堅持しなくてはなりませんし、そして安保条約目的が円滑に達せられるために、なお引き続き沖縄県民方々米軍基地の存在をお願いせざるを得ないという事情は一方においてございます。  しかしながら、先ほど申しましたように、沖縄方々に担っていただいておる御負担、そのお気持ちというものをやはり真剣に考えまして、でき得る限りの基地整理統合、そして縮小をやっていこう。そうしてまた同時に、運用面におきましてもできる限りの配慮をしていこうということで、沖縄県の方からも現地のいろいろな御事情や御要望というものも十分お聞かせいただき、そういったものも踏まえながら、政府で真剣に考え、そして日米間で共同作業を進めてまいりまして、去る十二月二日に、これまでの共同作業一つ区切りとしてあのようなSACO最終報告というものを取りまとめさせていただき、いわゆる2プラス2でそれを確認し、さらに三日には、閣議において政府が一丸となってこの問題に対応するのだということを決めたところでございます。  したがいまして、これはこれまでの作業一つ区切りではございますが、私どもはこれですべて終わったのだとは毛頭思っておりません。いろいろな情勢変化も十分見ながら、情勢変化を見るだけではなくて、日本をめぐる安全保障の環境が改善されるような外交努力もしながら、そういったものを全部踏まえた上で、これからも沖縄における基地整理統合縮小という努力は続けなければいけない、こう考えているところでございます。  そういった意味で、沖縄県民方々になおこれからも御負担お願いしなくてはいかぬところがあるのはまことに心苦しいのでございますが、政府としても誠心誠意この問題に取り組んでいく、また、これからも引き続き県民皆様方の御負担のできる限りの軽減に努めていくという姿勢対応していく、対処していくということをどうか御理解賜りたいと存ずる次第でございます。
  7. 下地幹郎

    下地委員 私は、今の外務大臣姿勢を非常に高く評価をして、県民も非常にこの言葉を聞いて安心をしている、そして、新たな基地整理縮小日本政府が取り組んでいただくことに期待をしているのではないかと思います。その期待にぜひこたえていただきたい。そして、目に見える形で、しっかりとした基地整理縮小が進められることを希望しております。基地整理縮小、これはどんなことがあっても進めていかなければならないというふうに思っております。  五十一年間、沖縄には大きな基地があります。しかし、この五十一年間、沖縄基地はいろいろなところで影響を及ぼしているのですね。そして、復帰をいたしまして二十四年が流れております。この二十四年間で、沖縄における振興開発事業に四兆九千億円投下をされました。そして、復帰のときに、沖縄だけの特別措置二十七項目青色申告減税措置酒税における軽減措置、ウイスキーに関しての酒税軽減措置、全部で大体二十七項目沖縄にあるわけですね。その四兆九千億というお金沖縄の今の復興をしっかりとつくってきたことだけは間違いないと思うのです。そして、二十七項目のこの税の軽減措置一つ一つの仕組みが沖縄の企業をここまで成長させてきたことだけは間違いないと思うのです。  しかし、二十四年間たってみて、冷静に沖縄を振りかえってみましたら、今失業率が七%を超えているのですね。四万二千人も失業者がいる。全国の二倍以上の失業者が今沖縄には数字的に存在している。一人当たりの所得も、平成五年においては二百十一万円で、全国の平均が二百八十五万円ですから、大きな開きがあるというふうに今数字が出ているわけです。その数字は、私は冷静に受けとめなければいけないと思うのです。  二十四年間で一次振計、二次振計、三次振計、そういうふうな大きな国の政策がなされてまいりましたけれども、この現状、今の沖縄数字を見て、一次振計、二次振計、そして三次振計は今折り返しに来ておりますけれども沖縄復興という意味では大きな役割を果たしてきたかもしれない。しかし、ある意味では構造に疲労が出てきているのではないか。そして、私どもは、こういうふうな危機的な状況は、新たな政策を持ち寄ってやっていかなければ、幾らお金投下しても、政策をそのまま延長しても、沖縄経済自体発展をし切れない、そういうふうな状況になるのではないかという不安も持っているのです。  そして、大臣、これは沖縄基地整理縮小にも大きな影響を及ぼすのです。どんどん基地を返していく、そして雇用ができないような状況にどんどんなっていく、そしてこの土地が使えないという状況になって、今の数字に上乗せをするようなことがあったら、基地整理縮小も前に進みません。そして、沖縄経済生活も安定できません。だから、私は、基地整理縮小をやっていくことと沖縄生活を守っていくことは、両方でしっかりと進んでいかなければ現実的なものはできないというふうに考えさせていただいているのです。  だから、私はぜひ開発庁長官に御認識をいただきたいのは、一次振計、二次振計、三次振計はあと五年間で終わってしまいますけれども、新たな政策、新たな制度、それによって沖縄の新しいスタートを切らなければいけないというお考えをお持ちかどうか。今までどおりそういうふうな振興開発を今までの決まったものの延長でずっとやっていくのか、新たなものを持ってこなければだめだと開発庁として認識をしているのか、まずその辺の認識をぜひお伺いをしたいと思います。
  8. 稲垣実男

    稲垣国務大臣 ただいま下地議員から、今後の沖縄あり方としてまことに示唆に富んだお話がございまして、私ども省庁挙げて今その対応に取り組んでおるところでございます。  御承知のとおり総理懇談会等々で示されましたように、今まさに基地のある市町村に対する施策ということで原案が出ておりますが、さらに、政策協議会で示される幾つかの提案がございます。各省庁から出たのも、八十八の事業計画を出そうとしておるわけであります。我が沖縄開発庁といたしましても、十九の項目を挙げておるわけでございます。  そのように、これはまだ約一年くらいかかると思いますが、三部会に分かれまして、十のプロジェクトにすべて沖縄開発庁としても参画いたしまして、ここで十分精査していかなければならぬ、こう考えておるわけでありまして、この成果を見て、しっかりと沖縄経済自立経済で立ち行っていくということが肝心だと私は思いますし、先回参りましたときに知事さんからも言われましたが、若い人たち本土へ就職をせずしてこの沖縄において雇用がしっかりできるような体制をつくっていきたい。そのためには、国際都市形成構想等もあるようでございますし、そういった総合的なあり方として今後考えていかなければならぬ。そのために、税の問題、法制の問題等十分皆さんと協議して、また県民皆さん沖縄県とも十分協議してまいりたいと思っている次第です。
  9. 下地幹郎

    下地委員 ぜひ新しい政策、今までの既成観念にこだわらない新しい沖縄制度をつくっていただきたいというふうに私は思っております。  そして、今、沖縄基地料金が大体七百五十億円あります。そして、雇用者に対する給与支払いが五百億、軍人軍属基地外で落とすお金が五百億だと言われております。防衛施設庁基地対策資金が一千五百億。これで大体三千三百億ぐらいのお金が毎年沖縄投下をされております。これは、平成五年の沖縄県の県民総生産が三兆一千億あると言われておりまして、そのうちの一〇%近くを基地関係が占めているという現状が今あるわけです。  今回、SACO発表におきまして、私どもが試算をいたしましたら、今度のSACO発表全部で、基地料金支払いだけで八十六億円あるわけですね、普天間基地から始まって。普天間基地が四十六億円、それから始まって全体で八十六億円。それに、今回基地返還になって、その基地内でお仕事をなされている方がもうお仕事がなくなる、そういうような皆さんが六百八十四人いらっしゃる。その皆さん給与やその他を全部計算しますと、百二十億円ぐらいのお金経済効果と申しますか、基地にかかわるお金がなくなってしまうというふうな現状があるんです。失業率も、六百八十四人の方々が職を失ってしまうと、失業率も〇・一%上がってしまう、そういうふうな現状があるわけでございます。  これは、SACO発表なんかを見ると、先ほど外務大臣がおっしゃいましたけれども、これからどんどんどんどん基地が返ってくる。そういうものが返ってくる前に、私ども受け皿準備をしておかなきゃいけないと思うんですね。返されてから考えるのではなく、返される前に私どもはしっかりと準備をする、こういうふうな雇用はこういうふうにして吸収していこう、返された土地があったら国としてこういうふうなものに使っていこうと。それで、僕は間をあけちゃいけないと思うんです。返されたらすぐ使える、返されたらすぐ雇用ができる、その雇用されている沖縄従業員皆さんが、沖縄の人々が生活に困らないような新たな職を設ける。そういうふうなものは現実的に前向きに、前から前からやっていく必要があるのではないかと私は思うんです。  私は、その意味で、この基地問題、基地跡地利用経済政策をしっかりと持つ機関が必要だと思うんです。そして、これは一元的ではなくて、沖縄基地問題は十年、二十年かかります。今回の五千ヘクタールでいつでも十年かかるわけです。これからまだまだ七〇%残っているものが返ってくるわけですから、私どもは、このポジションが、この室がしっかりとこの問題を考えるという受け皿をつくる必要があるというふうに思っているんです。  それで私は、開発庁の中に基地跡地利用対策室、そういうふうな名称のものをつくって、外務省防衛庁基地返還と連動した形で絶えず連絡をとりながら、これが返りますよといったら、この跡地利用対策室できちっと経済政策をつくって、そして準備をしていて、すぐ受け入れをして、失業率がアップしない、経済にその緩みが出ない、そういうふうなものをやる対策室みたいなものが必要じゃないかと思っているんです。それには何といっても、私は、沖縄のことをよく知っている開発庁主導権を持ってやらなければいけないというふうに考えています。  どうかその跡地利用対策室をつくっていただきたいという希望でありますけれども、その辺に関して大臣のお考えをお聞かせをいただきたいというふうに思っております。
  10. 稲垣実男

    稲垣国務大臣 先日、自由民主党の沖縄県連から、今下地議員が言われましたような基地跡地利用対策室をぜひ沖縄開発庁に新設すべきであるという要望がございましたことも私承知しております。今議員が言われましたように、米軍施設・区域の跡地利用対策は、もちろん当庁の所管する事項でもございます。地主皆さんの不安の解消や沖縄の今後の経済振興を図る上におきまして、極めて重要であると考えております。  そこで、本庁に跡地利用対策班、室ではございませんが、対策班を設置して、また、現地沖縄総合事務局にも、県や市町村あるいは地主皆さんから相談を受けたらすぐ機動的にこれが応じていかれるというような、必要な事務連絡調整を行うための連絡協議会を設置いたしまして、推進体制を強化してまいりたいと思っておるところでございます。  今後とも、沖縄振興策を積極的に推進していくためには、まず跡地利用が早くきちっとできるようにということが極めて大事でありますので、その実情の推移に応じまして体制の充実に努めてまいりたいところでございます。
  11. 下地幹郎

    下地委員 二十四年前に、復帰当時に沖縄開発庁ができました。沖縄開発庁役割は、沖縄復興、それをしっかりとつくっていかなければいけない、そういうふうな目的でつくられたものだと思います。  今、沖縄開発庁役割が、復興から、先ほど大臣がおっしゃいました自立というふうなものに変わってくるでありましょう。その自立の中でどうしても基地跡地利用対策というものは欠かすことができない重要課題でございますから、弧とかその程度のものじゃなくて、沖縄の将来、日本安全保障を支えている沖縄経済発展、それをやるためには、どうしても室、大きく言えばぜひ局までつくってしっかりと対応していただく。それに関して、橋本総理を初め他の省庁で文句を言う人は一人もいないと思うんですね。ぜひ長官が自信を持って開発庁役割の大きいところを示していただきたいというふうに思っております。  そして、その中で一つやっていただきたいのは、先ほど申し上げました七%の失業率、そして四兆九千億がありましたけれども経済自立をしておりません現状でありますから、私どもは、四兆九千億というふうなお金じゃなくて、今からは制度規制緩和によって沖縄の将来をつくっていく必要があるのではないかと考えております。  この前も長官お願いをいたしましたけれども沖縄経済ゾーン、法的な税制の優遇規制緩和をしていただきたい、そして、ノービザ制度とかそういうふうな新しい制度を持ち寄ってもらいたい、そして、マルチメディアの構想沖縄でしっかりと進めてもらいたい、そういうふうないろいろなお願いをさせていただきました。税制的に優遇を持ち、そして規制緩和をしっかりと沖縄でやる。そういうふうなことによって沖縄の新たな経済ゾーン起爆剤をつくっていただく、ぜひ沖縄の中で、今フリーゾーンがありますけれども、これを拡大した形でつくっていただきたいということをお願いをさせていただきました。  早急には無理でありますから、今度橋本内閣で認められましたこの五十億円の調査費の中、沖縄経済ゾーン調査をする費用を開発庁の方でとっていただいて、それでしっかりとこの経済政策に対する、沖縄基地跡地利用考えるだけのビジョンづくりをぜひやっていただきたいというふうに思っておりますので、どうかその辺のところをよろしくお願いをしたいと思います。
  12. 稲垣実男

    稲垣国務大臣 今、下地議員からいわゆる経済特別地域の形成を図ってくれということでございます。  自由貿易地域につきましては、今議員が言われましたように、税制や関税面を中心とした特別措置の導入、また、指定地域の拡充等によって自由貿易が促進されるような自由貿易地域の拡充強化を要望されておることは、私どももよく承知をしております。  私は、就任間もなく、沖縄をぜひ訪れたいということで二度ほど参りました。そのときに現地を視察しまして、あの自由貿易地域というのを実は見てまいりまして、一体あの程度の規模でいいのか、あるいはもっと拡大化しなきゃならぬか、入っている企業の皆さんにいかがですかといろいろな問い合わせもしてみました。なかなかはっきりしたこともそのときは伺えなかったんですが、大変不満なところもあるんじゃないかなと思っている次第でございますので、今議員が挙げられましたように、果たして五十億円の特別調整費がその中で使われるかどうか、これからまだ検討を加えておるところでございますので、ぜひ実の濃いものにしていかなきゃならぬな、こんなふうに思っている次第であります。  自由貿易地域については、御承知のとおり、本年九月の内閣総理大臣の談話におきまして、その拡充等による産業や貿易の振興など沖縄県とともに検討を行うべしということになっているところでありまして、今後、沖縄政策協議会の国際貿易物流基地の形成プロジェクトチームにおきまして、自由貿易地域の拡充効果についてこれから幅広く検討を加えていきたい、こういうところでございます。  沖縄開発庁におきましても、平成九年度におきまして、自由貿易地域に関する調査の実施を予定しております。また、当面、自由貿易地域那覇地区の活性化を図るために、平成九年度の税制改正におきましても、工業等の用に供する機械等の特別償却制度、自由貿易地域投資損失準備制度等の拡充についてただいま追加要望を行っているところでございます。  いずれにしましても、引き続き関係省庁とも連絡をとり、さらに沖縄県とも連絡をとりながら自由貿易地域の充実強化に鋭意取り組んでまいる覚悟でございます。
  13. 下地幹郎

    下地委員 基地整理縮小の問題と沖縄振興策、それは本当に車の両輪でありますから、ぜひ御認識をいただいて、整理縮小をした。しかし経済がだめになった。生活ができなくなった。若者が夢が持てなくなった。そういうふうなことにならないように先手先手で開発庁がしっかりとやっていただきたいというふうに思っております。  最後になりますけれども、石垣島の空港の問題を質問して終わらせていただきます。  今、石垣島の空港の問題が大きな論議を呼んでおります。そして今、宮良牧中案が県の方で進められておりますけれども、これは優良農地でございまして、この十年間で国の予算が八百七十七億円投下をされております。そして白保の漁民に対する漁業補償が五億円、そして宮良牧中に対する補償を国がやりたいと言っているのが二十三億円、そして今度の土地取得料に関しては一億円、空港建設に四百五十億かかると言われております。二千メートルの石垣空港をつくるのに一千三百五十億円、あの宮良牧中で算定をしたらこれだけの膨大なお金がかかるのです。国費を八百七十七億円も投下をして、四年間でそこをつぶしてしまって空港をつくるという理論が私は非常に考えられないと思うのです。  今、財政再建が言われております。国民の税金をしっかりとした効果のあるものに使わなければいけないという論議の最中で、これだけの、石垣には宮良牧中以外に空港ができないというならばそれで結構でありますけれども、しかし、そんな状況じゃないところにわざわざ空港の予定地を持っていって、一千三百億円ですよ、大臣、そういうふうなお金をかけてまでそれをやらなければいけないというふうな状況がありますか。その辺に関して、大臣、一言だけお願いをしたいと思います。
  14. 稲垣実男

    稲垣国務大臣 新石垣空港の建設は県が事業主体であるということでございまして、平成四年、沖縄県知事が宮良地区を建設候補地として選定されましたが、空港計画の前提となります地元の合意形成、また、今言われましたような農政上の課題等々を抱えております。県において検討をすべきそういった課題がたくさんまだ残っておるわけでございます。  本年度、県予算に当地区での基本計画作成のための調査費が計上されまして、夏場から現地調査が開始されましたが、調査の進展がなく、現在中断されておるというふうに聞いております。また、今回、民事保全法による妨害行為の禁止、妨害排除を求める仮処分の申し立てをしていることも承知しております。今後どのような調査を行っていくかということは、県において実は決めるべき問題だと考えております。  いずれにしましても、沖縄開発庁としては、県及び地元関係者が、八重山地区の将来の発展のために、新石垣空港のあるべき姿について、私どもとしては大局的見地に立って十分協議をしていきたいと思う次第ですが、お互いの理解のもとに、一日も早く合意形成が図られるように一層の努力をしていただくように期待をしておるところでございます。
  15. 下地幹郎

    下地委員 これで質疑を終わります。
  16. 仲村正治

    仲村委員長 白保台一君。
  17. 白保台一

    ○白保委員 新進党の白保台一でございます。  外務大臣、シンガポールからお帰りで大変お疲れだと思いますが、後ほど質問しますが、初めに、御存じのように沖縄は島嶼県でございまして、物資の輸入や人々の交流というのが非常に島々の活性化につながっていきます。  そういう状況の中で、先ほども話がございましたが、台湾の船が座礁いたしまして、そのために物資の流入や交流というのが大変厳しい状況になっておるということでございますので、その件について概要を聞かせていただきたい、こう思います。
  18. 牧隆壽

    ○牧政府委員 去る十一月二十九日に台湾船座礁事故が発生したが、事故影響等、概要についてという御質問でございます。  沖縄県の離島におきまして、港湾は物流、人の往来にとって大変重要な役割を果たしております。とりわけ、御指摘の平良港につきましては、復帰後、接岸能力が三倍ほどに拡充されまして、三千トンから今一万トンということになっています。それから、それに伴いまして、宮古圏の経済活動の拡大もございますが、取扱数量も三倍強になっております。  そういう中で、台湾船の座礁によりまして、お話にございましたように三分の一ほど航路がふさがれておりまして、各船舶会社は九千トンないし八千トンで運用しておりました船を五千トンほどの船で今需要を賄っている、そういう現況でございます。  繰り返しになりますが、平良港は、那覇あるいは宮古圏全体の住民の生活、産業の振興あるいは石垣圏とのつなぎということでございますので、御指摘のとおり、先島住民の生活にとってさまざまな影響を及ぼしております。昨日も、地元の市町村長さんを初め、その影響について私も直接お話をお伺いしております。  事故発生後、海運各社においては、宮古島への定期航路に就航している船舶で今回の事故によって入港が不可能となったものにつきまして、入港可能な代替船を手配する等によりまして、生活物資の輸送を確保しているところでございます。  沖縄開発庁としましては、沖縄総合事務局に、今後とも海運会社との連絡調整を密接にしてくれ、生活物資の安定輸送にできるだけ支障が生じないようにという指示をいたしております。住民生活に対します今度の事故影響を最小限にとどめるべく、今後とも地元市町村あるいは県、総合事務局、関係機関と十分に連絡をとりますし、また要請を行っていきたい、こういうふうに考えております。
  19. 白保台一

    ○白保委員 私も去る九日の月曜日に現場へ参りまして、早く行って現場を見たい、こう思っており良したけれども、いろいろ日程等の都合が狂って九日にしか行けなかったわけですが、地元の対策協議会の皆さん方ともいろいろとお話をしました。いろいろな御意見がございましたし、答弁のように、昨日も地元の市町村長皆さん方、そしてまた商工会議所の会頭の皆さん、おいでいただいて、要請書を持ってこられたと思いますが、こういう状況の中で、今の御答弁もありますけれども物資の流入、輸送というのが極めて大きいのですね。そして、これは先ほどの答弁にもありましたように、先島全体の問題になっていく問題でございますので、宮古群島のみならず、大きな船で宮古を経由して八重山へ行く、こういうような状況もあるわけですから、全体の影響が出てまいります。  そこで出てきたお話の中に、三分の一封鎖されていますから、引っ張って何とかならぬかとか、あるいは岩礁を砕いてあと五十メーター延ばして、早く従来どおり船が入るようにできないかとか、そういうさまざまな御意見がありました。ただ、これは年末年始を控えて直ちに対応できる問題じゃありませんし、やったからといって二十日間ぐらいでできる問題じゃありません。したがって、今後の問題として、できる限り早くこういった地元の声にこたえていかなければいけない、こういうことだと思うのです。  そこで、その際に、私も要請をしまして、船のそばまで行って見てまいりました。環境に対する影響はないよというようなことも言われていましたが、油の流出はとまっておるというようなことを言っていましたけれども、そばへ行ってみましたら石油のにおいがすごいんです。そして、翌日、地元宮古島の新聞を見ましたら、やはり油は伊良部島の方まで流れておる、真っ白い砂が汚染されて無残だ、こういうようなことまで出ています。  したがって、今後の対策の問題としては、一つ物資の流入の問題もありますが、もう一つは環境に対する問題もあります。そしてまた、従来どおりの輸送ができるような方向へ持っていく応急策も必要です。こういった対策を含めて御答弁をいただきたいと思います。
  20. 牧隆壽

    ○牧政府委員 先ほど来繰り返して御指摘がございますように、大型船入港が制限されている、その問題が一つ。それからまた、新たに海洋汚染の問題等が御指摘いただいております。  まず、原状回復の点で申しますと、私どもといたしましては、これは原因者がいるわけでございますから、この原因者のところでそういう状態を早く回復すべきということが原則だろうと思っております。幸い、私ども聞き及んだところによりますと、近日中に諸手続が進められると聞いておりますので、原因者によってできるだけ早期の航路の安全の確保が図られてほしいというふうに考えております。  また、海洋汚染については、それぞれの役所があろうと思いますけれども、いずれにいたしましても、航路の一部が使用できないという現状は、住民の生活あるいは産業の振興等にとって大きな影響を及ぼすものでございますので、海洋汚染も含めまして、なるべく航路安全確保が図られるよう、沖縄開発庁としましては総合的に検討しまして、各省庁関係機関と協力しながら、あらゆる対策をとっていきたいというふうに合しているところでございます。
  21. 白保台一

    ○白保委員 離島というのは、私も島で生まれて島で育ちましたからよくわかりますが、物が不足する、人が来ない、大変なんです。ですから、そういった面では、やはり地域の皆さん方が要望しておられる方向でしっかりと対応をしていただきたい。今のようなお話でございますと、なかなか原因者同士の話が進みませんとそのまま置き去りにされていくような状況になっていきますので、政府としてもどういう対応ができるのか、地元の要望におこたえをして、例えば岩礁を破砕して早く船が通れるような状況も含めて検討をお願いしたいと要望いたします。  さて、外務大臣にお伺いしたいと思いますが、SACOの報告がございまして、地元沖縄ではさまざまな意見があります。不満の声もありますし、また反対の声もありますし、多くの声があります。そしてまた、県民集会を開こうかというような声も出てきたり、非常にいろいろな声が出てきておるわけでございますが、私どもが長い間追求してきたことは、私自身の問題ですけれども基地整理縮小なんです。  基地整理縮小ということについては、例えば五十年前に焼け野原であったところが接収された。ところが、年々、自分のふるさとへ戻ってきて住宅ができ上がっていく、それに伴って学校ができる、あるいは公共施設ができる、基地周辺に大きな町や村、そしてまた都市が形成されていく。そうなっていきますと、もともとそこに住んでいた人たちですから、その場で一つの都市形成がなされていく。そうすると、基地というのは県民生活にとって非常に大きな阻害要因になってくる。そういうようなところは早いうちに返還された方がいいんじゃないかと思います。整理された方がいいんじゃないかと思うのです。あるいは遊休施設だとか、あるいはまたこの周辺地域の振興開発計画にのっているようなところとか、そういったものを一つ一つ洗い直して整理縮小していく、こういったことを我々ずっと追求してまいりました。  そして、今回の報告についても、恐らく県民の多くは、自分たちがこれまで求めてきたものにかなっていくだろう、こういう大きな期待があっただろうと思うのです。ところが、そういった意味では、多くの不満や反対の声があるということに対して、やはりまだまだ県民は納得をしておらない、もっともっと多くの返還縮小がなされなければならない、そういう気持ちが強くあると思います。  そういう面では、報告書が発表されて以来、沖縄県民の声をお聞きになって、外務大臣、率直にどういう御感想をお持ちなのか、まずお伺いしたいと思います。
  22. 池田行彦

    池田国務大臣 私どもといたしましては、沖縄県民皆様方が非常に長きにわたり基地の存在ということで大変重い御負担を担ってこられたということ、そしてまた、そのことが生活の上での大変な御不自由の原因になっている、ただいま委員御指摘になりましたように、その後の生活の状態やあるいはお住まいになっている場所の変化もございます、そういった中で、本当にいろいろな御不自由をおかけしていると思います。ましてや、そういったことから、一つずつ県民皆様方のお気持ちと申しましょうか、心情ということも我々は実は十分に考え対応しなくちゃいけないと思っているところでございます。  しかし、一方におきまして、やはり私どもは我が国の安全という見地から、これからもなお沖縄県民皆様方に御負担お願いしなくちゃいかぬという面もあるわけでございます。  そういったことを両方考えながら、でき得る限りの御負担軽減を図ってまいろうということでやってまいりました。そして、今回の一応の共同作業の集大成というもので、SACO最終報告というものを取りまとめさせていただいたわけでございますが、これにつきましても、沖縄のお地元でいろいろなお考え、御意見、そしてお気持ちがあるということは十分承知しております。しかし、私どもといたしましては、そういったお気持ちも、また御事情もでき得る限り勘案しながら、しんしゃくしながら、我々として今の段階でできる限りのものをつくった。こう思っておりますので、何とか御理解をちょうだいしたい、こう思っている次第でございます。  なお、委員の御指摘の中で、返還するにしてもいろいろな、現在においてそれがどういう障害になっているのかということ、あるいは、将来、これからどういうふうにそれを例えば利用、活用していけるか、そういった観点も考えるべきだというお話がございました。そういう点につきましては、私ども沖縄県の方からいろいろお話をお伺いしております。  かつて、現在ございます基地を三段階に分けて返還してほしいという御要望もちょうだいしております。そういった中で、第一期という御要望が二〇〇一年まで、第二期というのが二〇〇二年から二〇一〇年まで、それから第三期というものがその後というふうになっておるわけでございますが、私どももそういったことを十分勘案しまして進めたつもりでございます。  具体的に申しますと、第一期に、まず二〇〇一年までに返還要望したいとおっしゃられましたのはたしか十件あったと思うのでございますが、そのうち、もう既にSACOの中間報告以前に全面返還を決定しているものも三件くらいございました。それも含めまして、その十件のうち七件につきましては、今回、SACO最終報告までで返還していこうという方針は確定したわけでございます。そして、さらに二期分の中から七件ぐらいでございますか、これは全部じゃなくて一部返還も含まれてございますが、そういうふうに、私どもといたしましても、地元の御事情、それを踏まえての御要望も十分考えながら対応しているところでございます。
  23. 白保台一

    ○白保委員 私は、この報告を見ておりまして、言葉じりをつかまえて言うわけじゃありませんが、「整理統合縮小」という言葉が出てくるのですね。  御存じのように、九月八日に県民投票が行われました。この県民投票は、基地整理縮小なのです。ところが、その後、十日に総理が来られて、ごあいさつをなさりました。県民整理縮小に対する思いを厳粛に受けとめる、こういうごあいさつが初めありまして、その後ずっと話が進んでいくと、途中から整理統合縮小になっているのですね、総理のあいさつも。  県民が求めたのは整理縮小なのです。途中にこの統合というのがなぜ入ってきたのか。また、この統合というのは一体何なのか。県民が求めているのは整理縮小です。その統合ということについて、外務大臣、真意はどこにあるのか。非常にはかりかねているのですが、今回の報告にも、整理縮小でなくて整理統合縮小というふうに出ています。これは言葉じりと言いますけれども、この言葉によって実体が変わってくるおそれがあります。したがって、私は、この統合というのがなぜ入っているのかということをお聞きしたいと思います。
  24. 池田行彦

    池田国務大臣 先ほども申し上げましたが、私どもといたしましては、やはり日米安保条約の円滑な運用、この目的を達成することが一つございます。同時に、県民皆様方の御負担をでき得る限り軽減していこうということで作業を進めておるわけでございます。そういたしました場合に、県民の御要望はともかく整理して縮小してくれ、こういうお気持ちであるというのはよく承知しております。  しかし、現実にどういうふうにそういったお気持ちに具体的におこたえするかを考えました場合に、今沖縄にございます幾つかの複数の基地の中のある特定の基地を全面的にお返ししようといたしました場合に、その返還する基地で担っておった機能を一体どうしていくのか。その機能そのものをなくしてしまって済むならばよろしゅうございますけれども、そうでないものもございます。ただ、部分的にはそういったものを、例えば一〇四号線越えの射撃訓練を本土に移転するとか、あるいは一部岩国に移転するとかそういうこともやっておりますけれども、場合によっては、どうしても沖縄基地でその機能を負担していただかなくちゃいけない、こういうものもあるわけでございます。そういうことをいたしませんと、せっかくお返ししようという基地返還もできない、こういうことがございます。そういったものについては、やはりこれは統合ということを考えざるを得ない。  だから、言葉じりとおっしゃいましたけれども、私どもは、ああ、お気持ち整理縮小だからそれでやりますよということじゃなくて、整理縮小という御要望に真剣にこたえていこうとするならば、その機能の統合というのもあるんだ、そういうことをむしろ正直に申し上げながら、全体としての御負担軽減を極力図っていこう、こういう姿勢であるということをどうぞ御理解賜りたいと思います。
  25. 白保台一

    ○白保委員 結局、今大臣お話にもございましたように、県内移設が多いわけです。すべて直ちに出ていけとか、安保を否定したりという人たちばかりでは決してないのです。長い間基地の周辺で生活をして、基地の重圧に耐えてきた人たちは、整理縮小という言葉を聞けば、また自分たち気持ちも、少しずつでも段階的に少なくなっていくのだ、こういう期待を持ってこの九月八日の県民投票があったわけですから。そういう面では、この辺の県民気持ちをよく理解をしていただかなければいけないのじゃないか、こう思います。  そこで、具体的なことでお伺いいたします。  普天間の代替ヘリポートの件についてお伺いいたしますが、「SCCの決定」の(a)ですが、  海上施設の建設を追求し、普天間飛行場のヘリコプター運用機能の殆どを吸収する。この施設の長さは約千五百メートルとし、計器飛行への対応能力を備えた滑走路(長さ約千三百メートル)、航空機の運用のための直接支援、並びに司令部、整備、後方支援、厚生機能及び基地業務支援等の間接支援基盤を含む普天間飛行場における飛行活動の大半を支援するものとする。海上施設は、ヘリコプターに係る部隊・装備等の駐留を支援するよう設計され、短距離で離発着できる航空機の運用をも支援する能力を有する。 そして、次のページヘ行きますと、  海上施設は、沖縄本島の東海岸沖に建設するものとし、桟橋又はコーズウェイにより陸地と接続することが考えられる。 云々というふうに出ておるわけですね。  そこで、これは東海岸沖というふうに言われておるわけですが、この場所をこれから検討するというふうに言われているのですけれども、この規模は長さ千五百、滑走路千三百、こう言っておるわけですけれども、この規模について、今わかる範囲で教えていただけませんでしょうか。
  26. 折田正樹

    ○折田政府委員 規模ですが、今委員御指摘のように、最終報告の中で、施設の長さは約千五百メートル、計器飛行への対応能力を備えた滑走路の長さ約千三百メートルという規定がございます。今決まっておりますのはその点だけでございまして、今後、普天間実施委員会という委員会を設けまして、遅くとも平成九年十二月までに実施計画をつくることになっておりまして、その議論の過程の中で施設の大きさその他を決めていくということになっております。
  27. 白保台一

    ○白保委員 一般論になるかもしれませんけれども、今の普天間飛行場の代替案で海上に持ってくる、桟橋やコーズウエーで結びます、このヘリポートだけがぽつんと独立してあるわけじゃないのです。これは滑走路だけが千三百メーターぱあっとあるわけじゃないでしょうし、その規模というのは、長さだけ出ていますけれども、幅とか大体予想されるのじゃないか。それで、ここに後方支援とかいろいろなことが書いてありますけれども、どういうものができるというのが大体わかっているのじゃないかと思うのですね。それもわからないで、ただ東方海上沖にぽつんとつくりますという話にはならないのだろうと思います。もう一度お答えいただけませんか。
  28. 折田正樹

    ○折田政府委員 施設の長さは千五百メートルということでございます。そうすると、幅が問題になるわけでございますが、それはどの場所でどういう建造物をつくるか。今おっしゃるように、例えば司令部ですとか整備のための施設とかそういうものもいろいろつくるわけでございますが、それが、例えば一列になるのか上下になるのかとか、いろいろな要件があるわけでございます。そして、米軍の運用の要求も踏まえながら、それから具体的な場所でどういう建造が可能なのか、そういうことを一々詰めていかなければならないわけでございまして、今決まっておりますのは、先ほど申し上げましたように、滑走路としては千三百メートル、施設の長さは千五百メートルということになるわけでございます。今申し上げられるのはそれぐらいのことでございます。
  29. 白保台一

    ○白保委員 今、東海岸海上、こういうことをおっしゃった方がおられまして、それだけでも地元の住民の皆さん方は大変大きな反対の声を上げているわけです。  水域を使ってということになっておりますが、例えば大きさがほぼわかってきて、それでここにつくります、こういったときに、環境の問題、桟橋で結ぶわけですから、桟橋も二キロも三キロもなどというわけにはいかぬでしょうし、コーズウエーも二キロも三キロもということもいかないでしょう。そうしますと、漁業をやっている皆さん方にも大きな影響を与えてくるでしょうし、そしてまた、軍事施設ですから、ぽつんとそれだけを単なる滑走路のようにつくるわけにもいかないでしょう、そうしますと、軍事施設であるならば、周辺を陸上の提供施設と同じように囲っていかなければいけないだろうと思うのです。そうすると、その囲うのをどのぐらい囲うのかという問題も出てきます。そうしますと、これは容易に地元の皆さん方の納得のいく問題ではないんじゃないか、極めて難しい問題じゃないか、こういうふうに私は思います。その場合に、大臣、これはやはり大事なことだから強行するということになりますか。
  30. 池田行彦

    池田国務大臣 この海上施設案を実現いたしますといたしましても、そのこと自体においても、また今御指摘のございました環境面への影響あるいは漁業等への影響等、いろいろな困難が伴うことは私ども十分承知しておりますし、また、そういったことをめぐってお地元にいろいろな声があることも私ども承知しております。  しかし、私どもといたしましては、今回の一連の作業の中で、沖縄基地整理統合縮小と申しましょうか、整理縮小でもよろしゅうございますが、要するに御負担をいかに軽減していくかというその作業の中で、最も沖縄の地元の御要望が強かった。そしてまた、実態を見ましてもいろいろの生活の面ではお与えしている影響も非常に大きい、そういったものが普天間の飛行場であったということは、これはお地元でも、あるいはまた日本全体としても、あるいは日米作業においても衆目の一致したところなんでございます。そして、何とかこの普天間の飛行場の返還ということを実現できないんだろうか、こういうことで本当にありとあらゆる可能性を追求してまいりました。  そういった中で、いろいろな困難はあるけれども、やはり海上施設の案を追求するということが、全体としての御負担軽減にもつながり、御理解を得る努力を重ねていくならば最も実現の可能性もあるのではないか、こういった判断のもとに今回のようなSACO最終報告を出させていただいたわけでございまして、これから御指摘のような困難がいろいろございますけれども、私どもは極力そういった影響軽減する方策を模索しながら、そうしてまたお地元の関係方々の御理解を得べく最善の努力を払ってまいりたい、こう考えている次第でございます。
  31. 白保台一

    ○白保委員 私はもう一点お伺いしておきたいと思いますが、いわゆる地位協定の三条三項です。  公共の安全に妥当な考慮を払う、これが義務づけられているわけです。ところが、沖縄基地の実態、大臣もよく御存じだと思いますが、実弾演習で涵養林をぶち抜いて見たり、あるいは石油を垂れ流ししてみたり、かつては戦車道を山の中へつくって赤土を垂れ流してみたり、こういうことが行われているわけです。  そういう面では、単に基地の中だけで安全に考慮を払ってという話ではなく、今や環境の時代ですから、環境ということをきちっと踏まえた場合に、果たしてどれぐらいのものなのかわからないものが海上に、先ほど申し上げたのは、恐らく陸地に近いだろうと、軍人の出入りにも便利なところ、利便性の高いところ、こういうふうにもうたっておりますから。そうしますと、海岸線をどうしても破壊してしまう、こういうおそれもあるのではないか。ですから、環境の問題等もありますし、非常にこういう面では困難を伴いますよ、こういうことを私は強く申し上げておきたい、こう思っています。  そこで、時間がありませんので、次に移りたいと思います。  実は、これはきのうの沖縄の新聞です。雨の中、米軍トラックが十キロオーバーで走って、そして事故を起こして、助手席に乗っていた米兵が亡くなる、三人が重傷を負う、こういうハンドル操作ミスをやっています。これは海兵隊なんです。キャンプ・シュワブの海兵隊の隊員ですけれども、こういう事故がよく起きてくるわけです。いろいろな事故があります。大体多いのは海兵隊の事故です。  今、さまざまに私たちは議論いたしますけれども、結局は何かというと、海兵隊の問題が一番大きな問題でございまして、この海兵隊をどうするか。報告によりますと、十万人の兵力は維持していくということですけれども沖縄基地整理縮小していこうということになってまいりますと、結局は海兵隊の削減の問題ということが大きく照準が当てられてくる、こういうふうに思うのです。  ところで、アメリカにおいては、今度、来年あたりに国防計画の見直しか出てまいります。そういう中で、日本政府として海兵隊の削減といった問題をアメリカ側に申し込む考えがおありかどうか、それをお聞きしたいと思います。
  32. 池田行彦

    池田国務大臣 まず、沖縄におけるそういった交通事故等も、極力絶滅を目指していろいろな努力をしていかなくてはいけないと思います。そういった観点から、我が方も米国に対しまして繰り返し申し入れておりまして、米軍側におきましても教育の徹底等を図ってくれてきているところでございます。さらに、御承知のとおり、今回の一連の日米共同作業の中で、例の自動車の任意保険の問題であるとか、あるいはナンバープレートの問題とかにつきましても、いろいろ改善が図られたことは御高承のとおりでございます。  さて、それはそれとして、海兵隊の存在をどう考えるかという点でございますけれども、私どもは、今、アジア太平洋地域での十万人の米軍のプレゼンス、その中には現在の水準での在日米軍の存在、そうしてその中の兵力構成といたしまして海兵隊が含まれている、こういったものは今のこの地域の安全保障環境から見て必要である、こういう前提で物事を考えております。これは四月の日米首脳会談でも確認された。その後、先般の2プラス2でも確認されているわけでございます。それは前提にしながら、そしてなお沖縄県民皆様方の御負担軽減を図るためにどういう方策があるかということで今回の作業を進めてきた。こういうことでございます。それをまず申し上げておきます。  そして、将来に向かっての問題でございますが、これは、四月の両首脳間の安保共同宣言においても、また先般の2プラス2の取りまとめにおきましても明らかにしておりますように、将来にわたって日米間でいろいろ協議していく、その中には兵力構成を含む在日米軍のあり方についてもいろいろ協議していこうということがございますので、そのようにやってまいりたい、こう思っております。  ただ、委員の御指摘ございました四年ごとの見直しでございます。これは、ちょうど来年の五月十五日が、米国の議会に米国の政府として報告を出すべき時期に当たっております。  この関連でございますが、この件につきましては、先般の2プラス2でも話題になりました。話をしました。そして、米側、具体的にはペリー国防長官からの発言でございますけれども、この来年行われます見直しというのは、先ほど申しましたアジア太平洋地域でいいますと十万人のプレゼンス、これを前提にした上でのいわば運用上でございましょうか、どういった見直しがあり得るかという作業でございますので、したがいまして、その来年行われる四年ごとの見直しの中で、十万人、そしてその中の日本におけるプレゼンス、あるいは海兵隊の存在というものは、見直されるということは想定されていないところでございます。  ただ、将来的には、先ほど申しましたように、いろいろ情勢を見ながら協議をしていくということでございます。
  33. 白保台一

    ○白保委員 実は大臣、十二月の七日に沖縄県の吉元副知事がある集会で講演をやりました。その中で、これからは海兵隊の削減を県としては求めていく、同じように、その後の定例記者会見で大田知事も同じようなことを言っているわけです。  ただいまの御答弁は、それはそれとしてお聞きしましたけれども沖縄現地の問題として言うならば、やはり一番多い存在であるところのこの海兵隊の削減なくして本当の意味での沖縄基地整理縮小はないのではないか、こういうふうにみんな受けとめています。したがって、来年のボトムアップレビューですか、この時期に向けてぜひとも国の方も、日本の方としてもこの辺の話し合いはしていただきたいというのが県民考え方です。ぜひその件についても大臣の御努力を我々としてはやっていただきたい、こういうふうに思いますけれども、もう一度。
  34. 池田行彦

    池田国務大臣 先ほど御答弁申し上げましたように、将来の問題といたしましては、兵力構成も含めまして、在日米軍のレベルなりアジア太平洋地域のプレゼンスのレベルについてもより協議してまいる、こういうことでございますが、ただ、来年の四年ごとのボトムアップ・レビューの関係で申しますと、これは残念ながら、去る四月にも確認したところのこの地域のプレゼンス、兵力構成というものを前提としてのものでございますので、沖縄のお地元のいろいろなお気持ち、お考えもよく承知はしておりますけれども、それは将来的にいろいろ政府としても対応していこう、こういう考えでございます。  さらに、先ほども他の委員の方に御答弁で申し上げましたけれども日本政府といたしましても、外交努力等を通じまして、我が国周辺の地域の安全保障関係がさらに将来に向かって改善されるように努力していくことは当然のことでございます。
  35. 白保台一

    ○白保委員 納得しておりませんが、終わります。
  36. 仲村正治

    仲村委員長 松本惟子君。
  37. 松本惟子

    ○松本(惟)委員 民主党の松本でございます。  私の質問の中には既に大臣がお答えになられたことがあるかもしれませんが、確認の意味も込めまして御質問をさせていただきますので、初めに御了承をいただきたいと思います。  沖縄県は、第二次世界大戦後、長期にわたり米国の施政権下に置かれ、一九七二年に返還されてから二十四年がたとうとしております。国土面積のわずか〇・六%を占めるにすぎない県土に、現在在日米軍施設の七五%が集中しているという事実、これは沖縄の戦後がいまだに終わっていないということを物語っていると私は思っております。二十一世紀に向けた沖縄のあるべき姿を追求するためには、米軍基地の大幅な整理縮小が不可欠でございます。私は、そうした立場から、以下幾つかの点につきまして御質問をさせていただきます。  初めに、SACO最終報告についてでございます。  昨年の十一月設置されました沖縄に関する特別行動委員会は、一年間の協議を経まして、沖縄県の米軍基地の約二一%の返還日米地位協定の運用の改善などにつきまして最終報告をまとめ、作業を完了したところでございます。  SACOが普天間飛行場の返還を初め沖縄米軍基地整理統合縮小日米地位協定の運用の改善で一定の成果を上げたことにつきましては、私はそれなりに評価したいと思います。  しかしながら、SACO最終報告について、現地沖縄ではいまだに強い批判があり、県内の移設では根本的な解決にならないという反発があることも御承知のとおりでございます。基地のたらい回しでは沖縄の根本的な解決にはならないのではないかという沖縄県民の批判に対し、外務大臣はどのように受けとめ、お考えになっていらっしゃるのか、お聞かせを願いたいと存じます。
  38. 池田行彦

    池田国務大臣 私どもは、沖縄県民皆様方が本当に長きにわたり重い御負担を担っていただいているということを本当に真剣に考え、少しでも、いや、極力その御負担軽減してまいりたい、そういうことでSACO作業を進めてきたところでございます。  しかし、また同時に、それは現在の我が国を取り巻く国際情勢からいいましても、日米安保体制というものは必要である、そしてまたその目的を達成するためには、沖縄に存在するものも含めまして米軍基地というものも必要である、それも前提にしているわけでございます。  その御負担軽減、そして安保条約目的、そういった二つの要請をどうやって調整しながらやっていくかという作業でございました。  そういった中で、今回取りまとめましたSACO最終報告では、全体として五千二ヘクタール、これは現在ございます沖縄米軍基地の二一%に相当いたしますし、これまで二十四年間に返還されました総面積が四千三百二十八ヘクタールでございますので、それをも上回るものでございます。それだけの返還というものの方針を確定いたしましたので、我々はすぐこれをきちんと実施してまいりたい、こう思っております。  しかし、そのことで沖縄県民皆様方がこれでもうよしと思っておられるとは我々は思っておりません。なお引き続き努力をしてまいりたい、こう思っている次第でございます。  それからまた、たらい回しという御指摘がございました。この点につきましては、私どもといたしましては、この安全保障のための負担というものは日本国民全体として考えるべきものである、沖縄方々にだけそれを担っていただくというのは、やはりそれはよく考えなくちゃいけない、こういったことでいろいろ努力してまいります。  そういったことで、今回も部分的ではございますけれども、例えば射撃の訓練を本土へ移転するとか、あるいはその一部の機能を沖縄に移転する、こういうこともございます。しかし、返還いたします基地で担っておりました機能のうち、どうしてもこれは沖縄の他の地域で、他の基地で代替してもらわなくては全体としての米軍の機能が果たせない、つまりは安保条約目的が達成できない、こういうこともございますので、その辺をいろいろ工夫しながら全体としてのあのような負担軽減措置という方向を打ち出させていただいた次第でございます。
  39. 松本惟子

    ○松本(惟)委員 続いて質問させていただきますが、普天間飛行場の移転についてでございます。  SACO最終報告の大きな柱の一つに、普天間の飛行場移転問題がございます。最終的には、先ほどから発言がございましたように、海上施設案が採用されたわけでございます。移転先を確定するに当たっては、地元の理解、環境保全などに十分な配慮が必要と思います。ぜひ慎重に対応すべきと思いますが、いかがでしょうか。  この点につきまして、橋本総理は、住民の頭越しに見切り発車して特定の場所に押しつけることはないということ、地元との協議を十分行うというお考えを表明しております。重ねて外務省の見解をお聞きかせいただきたいと思います。  なお、つけ加えさせていただきますと、昭和四十九年、第十五回日米安全保障協議委員会で、那覇港湾施設、いわゆる那覇軍港の返還が合意をされております。しかし、移転先である浦添市の合意が得られないということで、いまだにこれは実現しておりません。こうしたことが今回繰り返されることがないよう、万が一にも地元の合意を口実とするようなことがないように、国の責任において地元との協議を誠実に行っていくべきだと考える次第でございます。  お答えをよろしくお願い申し上げます。
  40. 池田行彦

    池田国務大臣 普天間基地の飛行場の返還に伴いまして、これまで普天間が担っておりました機能を他のところで代替していただく、これはどうしても必要になります。そして、それをどういったところで形にするか、あらゆる可能性を追求したわけでございますが、全体としての県民皆様方の御負担を極力少なくしていく、あるいは今御指摘もございましたいろいろな面への影響も極力少なくしていく、そういったことで海上施設案というものが今回の最終報告で打ち出されたわけでございます。  しかし、これを実現するためには、先ほど来いろいろ御指摘ございますし、また地元でもいろいろ声がございますように、海上施設の建設そのものについてもそうでございますが、そのことが環境面あるいは漁業等に及ぼす影響という面でもいろいろな問題があるのはそのとおりでございます。私どもは、そういった面への影響等も極力軽減しながら、そしてお地元の皆様方の御理解を得てこれを進めてまいりたい、こう思っております。  しかしながら、ひとつここで委員にも御理解いただきたいということは、沖縄県の基地整理統合縮小を図っていく中で、お地元からも最も御要望が強く、そして現実にお地元への影響あるいは御負担も極めて大きい、それが普天間の飛行場であるという現実があるわけでございます。そして、何とかこの普天間の飛行場の返還を実現しようということで沖縄皆様方の声もよくお聞かせいただき、そして日米間で精力的に検討を進めまして出てきたのが今回の案だということをひとつよく御理解賜りたいと思います。
  41. 松本惟子

    ○松本(惟)委員 時間がございませんので、先に進ませていただきますが、ぜひとも普天間基地返還の実現をお願いをしたいと思います。国と沖縄の信頼関係が根底から崩れることがないように、ぜひともお願いをいたしたいと思います。  次に、県道百四号線越えの移転先の問題でございます。もう一つの柱でございます県道百四号線越えの移転先についてお尋ねをいたします。  最終報告では、百四号線越え実弾射撃訓練の本土移転につきまして、政府は、沖縄の痛みを国民全体で分かち合うという立場から、移転先について国内五カ所の候補地が挙がっているようでございます。移転先の候補地はどのようなプロセスで決定していかれたのか、そしてまた、受け入れについての説得が難航していると伝えられておりますが、今後どのように調整をしていくおつもりなのか、お尋ねをいたしたいと思います。
  42. 首藤新悟

    ○首藤政府委員 お答え申し上げます。  今御指摘の県道一〇四号線越えの射撃訓練の分散実施の問題でございますが、まず、これの実施先の選定がございますけれども、これにつきましてのプロセスは、最初、平成七年、昨年一月の村山総理クリントン大統領会談、それから同年九月の日米安全保障協議委員会、いわゆる2プラス2でございますが、この結果を受けまして日米合同委員会のもとに特別作業班を設置いたしまして、ここにおきまして、十月以降、キャンプ・ハンセンと同程度の射程、約四、五キロでございますが、これを確保できる国内の十の演習場を対象に、私ども、演習場の面積でございますとかあるいは機能、具体的には弾着地の規模あるいは射撃陣地の規模、さらには演習場へのアクセス、それから受け入れ施設、そういったものでございますが、を勘案いたしまして総合的に検討を重ねてきたところでございます。  その結果、当庁といたしましては、本年の八月十二日に、それまでの日米間で行われました技術的あるいは専門的な検討結果を踏まえまして、十のうち本土の五演習場、具体的には北から矢田別演習場、王城寺原演習場、それから東富士、北富士演習場、それから九州の日出生台演習場におきまして実弾射撃訓練の分散実施を行いたいと考えまして、関係自治体等に御理解と御協力を以後お願いして現在に至っているわけでございます。  今先生、なかなか地元の理解が得られていない、困難な状況とおっしゃられましたけれども、確かに現在まだ五つのうちどこも合意があるいは受け入れ協力がなされておらないわけでございますけれども、本件問題につきましては、私ども関係自治体等の御協力ができるだけ早く得られることを切望しているところでございまして、今後とも誠意を持って地元に対応するということをいたしまして、最大限の努力をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  43. 松本惟子

    ○松本(惟)委員 時間が大変気になりますので、さらに続いて別の質問をさせていただきます。  沖縄大使の派遣問題についてでございます。  御承知のように、昨年の九月の少女暴行事件をきっかけにいたしまして、米軍人が殺人やレイプのような凶悪事件を公務外に犯した場合の日本側への身柄の引き渡しにつきましては、起訴前の引き渡しがようやくできるようになりました。現在、日米合同委員会のもとには刑事裁判管轄権分科委員会というものがございまして、ここでは主に地位協定の十七条に関して国内法との関係を協議する場となっております。米軍人軍属による犯罪防止について常時協議する機関がここではございません。私は、再び少女暴行事件のような凶悪な犯罪が起こらないように、米軍犯罪防止のための常設機関が必要と考えております。  橋本総理は、日米地位協定の運用など、米軍に対する県側の要望を聞く窓口として、沖縄県に外務省の出先機関の設置、いわゆる沖縄大使の派遣構想を明らかにしております。その目的役割はどのようなものであるのか、お尋ねをいたします。
  44. 折田正樹

    ○折田政府委員 米兵の犯罪防止のために協議をする機関を設けたらどうかという今の御提案でございました。実は、日米地位協定に基づきまして日米合同委員会というのがございます。これは常設の機関でございまして、地位協定の運用にかかわる問題、あらゆる問題について議論ができるところでございます。去年あの痛ましい事件が発生したときも、その委員会でさまざまな観点から議論をいたしました。綱紀粛正の申し入れもいたしましたし、私どもとしては、この機関を活用して今後とも米側と協議をしていきたいというふうに考えているところでございます。  それから、沖縄大使のことでございますが、去る四日、総理沖縄にいらっしゃったときに米軍基地所在市町村長と懇談を行った際に、大使を長とする外務省の出先機関沖縄に設置するというふうに言われたわけでございます。  この目的でございますが、例えば地位協定の運用など、米軍に関する関係市町村の御意見、御要望をお聞きして、まず現地で処理できるようなものは現地で早急に米側と話をして処理をする。それから、現地では処理ができないものについては本省に報告していただいて、地位協定に基づきます合同委員会等を通じ処理をしていくというようなことで、本省との連絡調整に当たってもらえるものというふうに思っております。  それから、国際交流に関しまして沖縄県側の御相談にも応じるような体制にしたいというふうに考えておりまして、常駐で四、五名の規模にすることで今検討している最中でございます。
  45. 松本惟子

    ○松本(惟)委員 ぜひとも、せっかく置かれます沖縄大使の派遣でございますから、主体的に日本側の窓口として、先ほど申しましたような問題も含めて対応していただければと願うものでございます。  最後に、SACO最終報告によりまして、政府は一区切りがついたとお考えになっているようでございますけれども米軍基地整理統合縮小に向けて、日米合同委員会日米安全保障高級事務レベル協議、つまりSSCを積極的に活用して、沖縄米軍基地縮小を可能とするように御努力を鋭意お願いをしたいと考えているものでございます。  沖縄の過重な基地負担軽減するためには、在日米軍四万七千人の兵力の見直しが必要だと私は考えております。それに関しまして、日米安全保障協議委員会共同発表の中で、「防衛政策及び米国の軍事態勢について、特に、米国国防省の四年毎の国防計画の見直しとの関連において、緊密な協議を行う。」ということを言及していらっしゃる点につきまして注目をしております。  最後に、米軍基地縮小に向けての外務大臣のお考えをお聞かせいただきたいと存じます。
  46. 池田行彦

    池田国務大臣 先ほど来御答弁申し上げておりますが、私どもは、今回のSACO最終報告によって、これまで集中的に行ってまいりました日米間の共同作業一つ区切りがついたとは思っております。しかしながら、そのことで沖縄基地をめぐる問題がすべて終わったなんということは毛頭考えているところではございません。今後とも、SSCあるいは先ほどの話題になりました合同委員会等の場を通じまして、基地をめぐる諸問題についても適切に対応してまいりたいと思っておりますし、また、将来の方向としては、なお国際情勢の推移等もよく見ながら沖縄県民方々の御負担をさらに軽減していくように努力をしてまいりたいと思っております。  ただ、先ほどおっしゃいました来年の米国で四年ごとに行われますボトムアップ・レビューとの関連でございますが、これはことしの四月の日米首脳会談でも話し合われました。現在の日本にございます米軍の存在も含めて、アジア太平洋地域での十万人の米軍のプレゼンスというものを前提にしたものでございますので、そこの前提になる部分についての変化は来年のレビューではないもの、出てこないもの、このように承知しているところでございます。
  47. 松本惟子

    ○松本(惟)委員 どうもありがとうございました。これで終わりにさせていただきます。
  48. 仲村正治

    仲村委員長 古堅実吉君。
  49. 古堅実吉

    ○古堅委員 十二月五日の外務委員会で、SACO最終報告に関連する質問を行いましたが、再度質問させていただきます。  橋本総理は、十二月五日、沖縄を訪問された際、海上ヘリポートについて、米側が早い時期に場所の確定を主張しているが、地元の合意を取りつけない形では難しい、もっと時間をかける必要があると述べています。一方、シュワブ沖水域での合意を目指し、一月からは地質や海流調査などに着手したい意向などの新聞報道もなされています。また、地元沖縄の各自治体はすべて激しく反対しているのが現状です。  そこで伺いたい。一つ沖縄県民の頭越しに見切り発車して特定の場所を押しつけないと確約できますか。二つ、同じく県民の合意なしにはその調査も着手しないと確約できますか。明確にお答えください。
  50. 池田行彦

    池田国務大臣 去る四日に橋本総理沖縄を御訪問されました際に、基地のございます市町村長方々との懇談会に出られました。そこでの総理お話というのは、どのような施設であっても、それはやはり受け入れるというところがあって初めて移設できるというのは、これは当然のことでございまして、そのために新たな御苦労をお願いするところが出てくることを率直に申し上げる、こういう話がまずあったと思います。  そして、普天間飛行場の代替ヘリポートにつきまして、地元の地方公共団体、自治体が御納得されないうちに、その頭越しに国がいわば見切り発車をして押しつけるというようなことはないということを申し述べられた。こういうふうに私どもは承知しております。  そして、御指摘の調査という点につきましては、外務省が直接担当しているわけじゃございませんけれども、いずれにいたしましても、政府といたしましては、今申しました総理の御方針のもとに進めていくのは当然のことでございます。  今後、海上施設の建設候補水域を特定していくに当たりましては、地元の御理解を得るために最大限の努力をしながら進めていく、こういうことでございます。
  51. 古堅実吉

    ○古堅委員 外務大臣は、十二月五日の外務委員会で、私の質問に対して、日米協議ではアメリカは十万人体制を変えないと述べており、SACO報告は現在の米軍兵力の維持が前提である旨答弁されました。  改めて伺いますが、米軍の十万人体制の削減について、今後、日米間の協議において日本側からは要求していくことはしないということなのか、そこをはっきりさせてください。
  52. 池田行彦

    池田国務大臣 今後とも、国際情勢、とりわけ我が国周辺の安全保障環境の状況、状態というものをよく考えながらいろいろ日米間でも協議していく、その兵力構成あるいはそのレベルの問題を含めて協議するということは、それはございます。  しかし、私が申しましたのは、四月に行われました日米首脳会談、また、先般行われましたいわゆる2プラス2あるいはそういったもの、また、過去一年間集中的に作業を進めてまいりました沖縄基地整理統合縮小に向けての努力、その集大成としてのSACO最終報告といったようなかのは、現在のこの地域の状況からいたしまして、日本における米軍の存在も含めた十万人の米軍のプレゼンス、このアジア太平洋地域における十万人の米軍のプレゼンスが必要である、そういう前提に立ってすべていろいろ進められている、こういうことでございます。  しかし、先ほど申しましたように、それが未来永劫変わらないということは申しておりません。今後、この地域の状況変化を見ながらいろいろ変わることはあり得るだろうし、また日米間で話し合うことも当然あるわけでございます。
  53. 古堅実吉

    ○古堅委員 日米安保共同宣言でも同じ立場が言われております。SACOの態度というのも、今説明を繰り返し言われたように、同じ立場をとりました。十万人体制はアメリカの東アジア戦略体制だから日本として異議を唱えないということなのか、それとも日本政府としても十万人体制縮小すべきでないという方針なのか、そこをお聞きしたい。
  54. 池田行彦

    池田国務大臣 まず、米軍日米安保条約に基づきまして担っていく役割と申しましょうか、あるいは米国の義務でございますね、日本の安全を守る、あるいは極東地域の平和を守っていく、そのために米国としていろいろしなくてはならないことがございます。米国としてその義務を遂行するために必要な事柄の一つとしてなしておるのが、我が国に現在駐留しております米軍の存在である。そして、現在の情勢の中では、この兵力構成あるいはこのレベルというものは必要であると米側は判断している。自分たちが条約上の義務を遂行していく上においてこれが必要であるという判断に立っているわけでございまして、私どももその認識は共有しておるところでございます。
  55. 古堅実吉

    ○古堅委員 九月十日に発表された閣議決定は、米軍の兵力構成を含む軍事態勢について、継続的に協議するという方針を示し、橋本総理は、九月十七日に沖縄で述べた県民へのメッセージでも同じことを述べています。そのことを受けて、沖縄県当局は、二〇一五年までにすべての米軍基地をなくするという方針を前提にしながら、政府が海兵隊を含む在沖米軍兵力の見直し要求を米側に行うとの期待をしていることがたびたび報道されています。  この継続的に協議するということは、沖縄県当局が期待している米軍兵力の見直しを米側に求めるということを意味するものですか、違うというのであればどう違うのか、明らかにしてください。
  56. 池田行彦

    池田国務大臣 私どもは、日本の安全を守っていく、そういった観点からみずから自衛隊というものを持っておりますし、また日米安保条約を締結いたしまして、米国との同盟関係を持っておるわけでございます。そして、そういった安保の目的を達成する上で、米側として、どのような兵力のレベルあるいは構成をするかという点についてはいろいろお考えになるわけでございますし、また、そういったことにつきましては、我々は日米安保の目的をちゃんと果たしていくという観点からいろいろ協議はしてまいろう、こういうことでございます。  もとより、その目的を達成するためには、日本にございます米軍基地というものが存在することが必要なのでございますが、また、基地の存在するということが地元の皆様方にいろいろ御負担をおかけしていることも事実でございます。その御負担も、安保条約目的との調和を図りつつ、できる限り軽減してまいりたい、こういうことで今回のSACO作業もしてきたわけでございます。  したがいまして、将来にわたりまして、いろいろ話をしていく上におきましても、沖縄方々の御負担をどうするかということは常に念頭に置きながら、また沖縄の地元のいろいろな御要望、こういったことも常に我々は忘れることなく日米間でいろいろ話をしていく、これは当然のことでございます。
  57. 古堅実吉

    ○古堅委員 要するに、継続的に協議するということは、沖縄県当局が期待しているように、そういう閣議決定があったから、総理がそう述べたから、改めてそのことを基礎にアメリカ側に具体的に海兵隊などを含む在沖米軍兵力の縮小を求める、そういう交渉をやっていこう、そういうものではないということですか。
  58. 池田行彦

    池田国務大臣 私どもは、今後ともそういった米軍のレベルなり構成についても、日米間でずっと協議はしてまいります。国際情勢をずっとにらみながらやってまいります。そしてまた、にらみながらだけではなくて、我が国といたしましても、外交努力等を通じまして、我が国周辺の安全保障環境が改善していくような努力も当然していくわけでございます。そういったことも全部勘案しながら協議をしていく、こういうことでございます。  しかしながら、今の段階でどうかということを申しますと、少なくとも現在の段階では、在日米軍のレベル、兵力構成を含むアジア太平洋地域の十万人の米軍のプレゼンスというものが必要である、こういう認識に立って作業をしているということでございます。
  59. 古堅実吉

    ○古堅委員 普天間飛行場の代替ヘリポートを海上に求めるのは、海上施設は必要がなくなったときには撤去可能だからという趣旨のことを総理政府関係者は繰り返し述べています。必要がなくなったときというのは、沖縄県がすべての米軍基地沖縄からなくしたいと設定している二〇一五年までのことを想定して述べられているのかどうか、明らかにしてください。
  60. 池田行彦

    池田国務大臣 先ほど来申しますように、今後の国際情勢、とりわけ我が国周辺の安全保障環境の変化に応じまして、在日米軍のレベルなり構成にも変化があり得ましょう、将来の問題として。だから、そういうことは私どももいろいろな機会に申し上げている次第でございます。  一方におきまして、今回、普天間基地返還との関係で、その代替の施設としてお願いしよう、その可能性を追求しようとしております海上施設案につきましては、これは、今想定される構造から申しましても、必ずしも固定的なものではない、その必要性がなくなれば撤去可能だというものでございます。そういうことを総理もおっしゃったのだと思います。  しかし、現在の時点において、それでは一体いつになったら普天間にかわる、普天間の果たしている機能を代替するものとしてつくろうとする施設が必要でなくなるかということは、申し上げられる状況にはない。これは、これからの状況変化等々を見て、日本全体における米軍の存在がどうなるのか、そして沖縄米軍あり方がどうなるのか、そういう全体の中で考える問題でございますから、特定の施設について、これはいつになったらどうなるということを申し上げられる状況にはないという点については、おわかりいただけるのじゃないかと思います。
  61. 古堅実吉

    ○古堅委員 要するに、二〇一五年までにということを念頭に言われたことではないということなのか、もう一度確認しておきたい。  それから、必要がなくなったときというのは、アメリカ側からそう言われたときにそういうことになるのか、そこも。
  62. 池田行彦

    池田国務大臣 沖縄県が、基地返還あるいはそういったこともにらみながら、沖縄県の将来の発展の方向についていろいろ計画、構想をお持ちになっているのは承知しております。その中で、二〇一五年という年をきちんと書いておられるということも私どもも十分承知しております。  そういうことは十分承知しながらいろいろな作業をしておるわけでございますが、しかしながら、それではその二〇一五年という年、あるいはそれ以外の特定の将来の時期を現在目しまして、それが沖縄における特定の基地、あるいはこれから代替施設としてつくろうという施設との関連においてこういうことになるのでございますということは申し上げる状態にはないということは、御理解いただけると思います。  それから、沖縄を含めまして、日本にありますいろいろな米軍基地あるいは米軍の存在というものが将来どういうことになるかという点につきましては、日米間でも協議していこうということにしているのは御承知のとおりでございますので、我が国が全く関与せず、一方的に米側からの通知によるという性格のものではございません・
  63. 古堅実吉

    ○古堅委員 終わります。
  64. 仲村正治

    仲村委員長 上原康助君。
  65. 上原康助

    ○上原委員 池田外務大臣、お疲れのところどうも御苦労さんです。また、開発庁長官、連日大変御苦労さんです。時間がありませんから、きょうは普天間の移転先についてだけ絞ってお尋ねしておきたいと思います。  これは、議論がありますように、私はそう簡単に進むとは思っておりません。しかし、何としても普天間の全面返還、那覇軍港の移設、県道一〇四号とか読谷のパラドロ移転等の重要懸案事項は、この機会に政府にももっと御努力をしていただいて、県民の理解と協力を得られる環境ができればと私自身も考えておるところです。そういう立場でお尋ねいたしますが、要するに海上移設が最善の選択だったということでSACO報告ができ、それを2プラス2で確認をしているわけですが、この表現では「沖縄本島の東海岸沖」となっているわけですね。しかし、これはこれから環境影響調査、いろいろなことをやらなければいかない。これはあくまで候補地であって、ここが、言われているキャンプ・シユワブ沖合というものが特定されたと日米間で確認を見たというふうには私は理解ができないわけですが、その点はひとつ明確にしておいていただきたいと思います。簡単にしてください。
  66. 秋山昌廣

    ○秋山(昌)政府委員 SACOの最終レポートで「海上施設は、沖縄本島の東海岸沖に建設するものとしこというふうに書かれております。今御指摘がございました候補地なのかどうなのかという点につきましては、この海上施設をつくるために別途FIG、普天間実施委員会というものをつくることにしておりまして、この普天間実施委員会で実際に調査をしてみませんと適地なのかどうかわからないという意味では、まずもって調査をする地域を候補地として地元の御理解を得ながらやってまいりたい、そういうふうに考えているところでございます。
  67. 上原康助

    ○上原委員 なぜそういうことをお尋ねするかといいますと、予算委員会でもそこまでは時間の関係でできなかったわけです、いろいろ聞いたのですが。この外務省の十二月四日の概要発表を見ましても、普天間飛行場の代替ヘリポートの問題に関しては、海上施設案を追求しというふうになっているわけですね。ですから、私はきのうも説明を受けたのですが、三つの候補があるというけれども、海上にこれだけの普天間の施設の大半を移設をしたような飛行場というものが果たしてできるのかどうか。それは理論的には可能かもしれないが、台風の問題とか潮流とか環境とか海上汚染の問題等を含めて、汚染というか環境を含めてあると思うので、その点はそう簡単にいかないのじゃないのか。したがって、移転先というものについては、余りこのことにこだわらずに、いろいろ地元なり沖縄県、関係団体の意向等も踏まえてこれから協議をしていった方がいいのじゃないかという気がするということを申し上げておきます。  そこで、今の皆さんのイメージとしては、要するに海上につくっても、何というのですか、連絡路をつくるわけでしょう。どのくらいの距離をイメージしているのですか。
  68. 秋山昌廣

    ○秋山(昌)政府委員 海上施設につきましては、確かにその技術的な可能性という問題について大きな課題がございました。私たち外務省防衛庁で協力いたしまして技術評価委員会を二つつくりまして、十月から十一月にかけて十回以上の審議をした結果、三つのタイプが技術的に建設可能と考えたわけでございます。それを踏まえまして、SACOでは海上施設の開発、建設というオプションも含めて嘉手納統合案、キャンプ・シュワブ案を検討した結果、この海上施設案がいろいろな面から最適という結論を出したわけでございます。  今の点につきましては、SACOでは「海上施設は、沖縄本島の東海岸沖に建設するものとし、桟橋又はコーズウェイ(連絡路)により陸地と接続することが考えられる。」というふうになっております。したがいまして、桟橋あるいは連絡路、これはどのくらいの距離がということは、具体的にどこの場所、どういう水域ということが候補地としてもまだ決まっておりませんので、どのくらいの長さになるかということはわかりませんが、実は技術評価委員会のときに四つのケースを、これは仮定の問題として議論をいたしました。  水深五メーター、水深二十五メーター、そして水深五十メーター、百メーター、それぞれにつきまして陸地からの距離を、これは仮定の議論でございますが、五百メーター、二キロ、三キロ、七キロ、こういったような仮定の前提で技術評価をいたしたわけでございますけれども、「桟橋又はコーズウェイ(連絡路)」ということであれば、おのずからその距離には一定の限度があるというふうに理解しております。
  69. 上原康助

    ○上原委員 距離のことについては、初めて実際に皆さんが想定、イメージしているものが二、三、七という数字が出ましたが、素人的に見ても、沖縄の台風銀座、こういう面からしても、果たしてそううまくいくのかどうか。それを含めて、これは私は、このコーズウエーなり、実際に日米間の大手の鉄鋼業者がもうかるために沖縄利用するのじゃないか、こういう話は必ず出てきているわけで、よほど考えないと、そう簡単に進められると思ったらとんでもない誤算になるということだけ申し上げておきます。  そこで、施設庁長官、来ていただきましたので、これも強行するとかそう簡単にいかないと思うのですが、できれば今月ないしは一月いっぱいにでも調査には入りたいというような話もあるようですが、この普天間実施委員会の構成と、これから皆さんが仮に地元の理解と協力なりが得られた場合にはどういう手順でこれを進められていくのですか。
  70. 諸冨増夫

    ○諸富政府委員 お答えします。  現在の状況でございますが、SACO最終報告を受けまして、私どもとしては何とか候補地を決めていくに当たって調査工事を実施させていただきたいというふうに考えておりまして、東側水域の対象市町村あるいは沖縄県漁協を初めとする関連漁協の皆さん方の理解を得ながら、そういう候補地の選定に当たって何とか調査工事を始めさせていただけるような御理解をいただけるようにいろいろお願いをしている段階でございまして、先生がおっしゃいましたように、いつまでということを別に限っておるわけじゃございませんが、一日も早くそういう御理解を得ながら調査工事の実施に着手させていただきたい、このように考えているところでございます。  それから、FIGの構成は、ちょっと手元にございませんので……。一応課長クラスでございます。
  71. 上原康助

    ○上原委員 いいです。大体わかりますから。  そこで、本会議の都合がありますから、最後に、外務大臣、今お聞きになっても、これはそう簡単にいかない、条件整備は非常に厳しいと思うのですね。冒頭申し上げましたように、私はそういう立場で、県なり関係市町村とも協力できるところは協力し合って、政府にまた注文もつけながらやっていきたいという気持ちなんです。容易じゃないと思うのですね。  総理は、本会議でもそうですし、この間の予算委員会でも、強行はしない、頭越しにやらないと。これは国民も県民もみんな知っていらっしゃるわけです。ですから、今後の沖縄側との協議いかんによっては、いろいろ場所の変更等を含めて柔軟性を持って対処していかれようとするのか、これが一つですね。  もう一点は、外務大臣、これとも関連するんだが、沖縄外務省の出先を置くのも結構なんだが、歴代の外務大臣は一度も沖縄視察したことがない、基地を。私は、伊東正義先生が外務大臣のころからこのことを申し上げて、皆さん何回も約束した。この一事をもってしても、外務省がいかに沖縄米軍基地問題でこれだけの犠牲と負担を強いておきながら軽く見てきたか、と言うとあれでしょうが、私はわかる気がするんですね。大変でしょうが、日帰りでも行こうと思えば行ける。土曜、日曜だって使える。  この二点について、私はここで外務大臣の決意を聞いておきたい。また、稲垣開発庁長官にも、今私が申し上げたことについての御所見があれば伺っておきたい。五十三分までありますから。あと三分残っているので、大丈夫です。
  72. 池田行彦

    池田国務大臣 まず第一点でございますが、委員御自身も御指摘なさいましたけれども、私どもとしましては、沖縄基地整理統合縮小を図っていく上で、普天間飛行場の返還を何としても実現しなくちゃいけない、このことを非常に大切に考えております。  そのためには、やはり普天間が果たしている機能をどこかで担っていただかなくちゃならぬわけでございますが、それで、これも委員も御指摘になりましたように、陸上のほかのところでいろいろ可能性は追求してみました。十分検討してみたわけでございますが、いずれにもいろいろな難点はございます。そして、そういったときに浮上してまいりましたのが海上施設案でございます。  海上施設案についても、御指摘のように、技術的な面あるいは環境面や漁業その他の影響等々、解決しなくちやいけない問題が多々あるのも私ども十分承知しております。しかし、そういったことも全部勘案いたしまして、それからさらに技術的な面については専門の委員会まで設置していろいろ検討しました結果、やはり総合的に見てここのところは海上施設案を追求すべきであるということがSACOの取りまとめでございます。  今、私どもはそういうことで進めさせていただきますし、もとより地元の御理解を得なくては、そういった建設はもとより、その後の基地そのものの運用もできないわけでございますから、地元とは十分にお話し合いをし、理解を得ながら進めてまいりたい、こう思っております。ひとつ委員にも今後とも御理解とお力添えをお願い申し上げる次第でございます。  それから、外務省として、沖縄の問題についての対応、過去のあり方につきましても、いろいろアドバイスなり御叱正を賜りました。私ども、今後、沖縄県民皆様方のお心を自分の心として、真剣にこの問題に取り組んでまいりたいと思います。  私自身、沖縄に、現地にお伺いすべきじゃないかという御提言につきましても、これは真剣に受けとめさせていただきまして対処してまいりたい、こう考える次第でございます。
  73. 稲垣実男

    稲垣国務大臣 御承知のとおり、沖縄の問題は内閣を挙げて真剣に取り組んでいく問題だ、最重要な課題であるということを認識しております。  私も二回ほど沖縄を訪問させていただきまして、沖縄県民皆さんが抱えておられる問題あるいはその悩み、痛みの心を十分心として、県民皆さんの視点に立って見てまいりました。  何といいましても、基地が大きな問題でありますので、一日も早くこれらの問題、跡地利用のことを考えていかなければならぬので、このことについてもまた真剣に取り組んでまいります。そのために、先ほど質問ございまして、跡地利用対策班を本庁の方に設けましたし、また連絡協議会等を現地につくりまして、県民皆さんたちの悩みその他について十分にしんしゃくしてまいりたい。  要は、沖縄自立経済を目指し、また、さらに雇用も増進されるように、県民生活の向上のために全力投球でまいりますことをお誓い申し上げまして、発言を終わります。
  74. 上原康助

    ○上原委員 終わりますが、県民の受けとめ方はそう芳しくありませんので、ひとつぜひ政府は心して努力してください。  終わります。
  75. 仲村正治

    仲村委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午前十一時五十四分散会