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1996-11-19 第138回国会 参議院 決算委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年十一月十九日(火曜日)    午前十一時開会     —————————————    委員異動  十一月十八日     辞任        補欠選任      須藤良太郎君     亀谷 博昭君      加藤 修一君     渡辺 孝男君      筆坂 秀世君     山下 芳生君      国井 正幸君     本岡 昭次君     —————————————   出席者は左のとおり。    委員長          野沢 太三君    理 事                 塩崎 恭久君                 松谷蒼一郎君                 吉川 芳男君                 山崎 順子君                 山下 栄一君    委 員                 岩井 國臣君                 海老原義彦君                 景山俊太郎君                 亀谷 博昭君                 清水嘉与子君                 中島 眞人君                 長峯  基君                 松村 龍二君                 海野 義孝君                 小山 峰男君                 星野 朋市君                 益田 洋介君                 渡辺 孝男君                 上山 和人君                 菅野  壽君                 清水 澄子君                 山下 芳生君                 朝日 俊弘君                 本岡 昭次君                 水野 誠一君                 栗原 君子君    国務大臣        通商産業大臣   佐藤 信二君        国 務 大 臣  麻生 太郎君       (経済企画庁長        官)    事務局側        常任委員会専門  貝田 泰雄君        員    説明員        経済企画庁調整  小林 勇造君        局審査官        厚生省老人保健  江口 隆裕君        福祉局老人福祉        振興課長        通商産業大臣官  広瀬 勝貞君        房長        通商産業大臣官  今野 秀洋君        房商務流通審議        官        通商産業大臣官  藤島 安之君        房審議官        通商産業省貿易  伊佐山建志君        局長        通商産業省産業  渡辺  修君        政策局長        通商産業省環境  稲川 泰弘君        立地局長        通商産業省機械  中川 勝弘君        産業局長        通商産業省生活  村田 成二君        産業局長        工業技術院長   佐藤 壮郎君        資源エネルギー  江崎  格君        庁長官        資源エネルギー  岡本  巖君        庁公益事業部長        特許庁長官    荒井 寿光君        中小企業庁長官  石黒 正大君        会計検査院事務  深田 烝治君        総局第一局長        会計検査院事務  森下 伸昭君        総局第五局長    参考人        中小企業金融公  角谷 正彦君        庫総裁        中小企業信用保  神谷 和男君        険公庫総裁     —————————————   本日の会議に付した案件 ○平成六年度一般会計歳入歳出決算平成六年度  特別会計歳入歳出決算平成六年度国税収納金  整理資金受払計算書平成六年度政府関係機関  決算書(第百三十六回国会内閣提出) ○平成六年度国有財産増減及び現在額総計算書  (第百三十六回国会内閣提出) ○平成六年度国有財産無償貸付状況計算書(第  百三十六回国会内閣提出)     —————————————
  2. 野沢太三

    委員長野沢太三君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨十八日、国井正幸君、筆坂秀世君、加藤修一君及び須藤良太郎君が委員を辞任され、その補欠として本岡昭次君、山下芳生君、渡辺孝男君及び亀谷博昭君が選任されました。     —————————————
  3. 野沢太三

    委員長野沢太三君) 平成六年度決算外二件を議題といたします。  本日は、通商産業省経済企画庁中小企業金融公庫及び中小企業信用保険公庫決算について審査を行います。     —————————————
  4. 野沢太三

    委員長野沢太三君) この際、お諮りいたします。  議事の都合により、これら決算概要説明及び決算検査概要説明の聴取は、いずれもこれを省略して、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 野沢太三

    委員長野沢太三君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  速記をとめてください。    〔速記中止
  6. 野沢太三

    委員長野沢太三君) 速記を起こしてください。     —————————————
  7. 野沢太三

    委員長野沢太三君) それでは、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 景山俊太郎

    景山俊太郎君 景山俊太郎でございます。  佐藤大臣、また麻生大臣には、御就任になり、心からお喜びを申し上げたいと思います。  それでは通告に従いまして順次質問をさせていただきますので、よろしくお願いしたいと思います。  来る二十一日からAPECフィリピンで行われるわけでありますけれども、閣僚会議が行われるわけでありますが、佐藤大臣主要閣僚主要閣僚というよりももう主役としてこれに出席をされて、晴れの国際舞台で大活躍をされる第一歩じゃないかと思うわけであります。  今、胸が高鳴っているんじゃないかと思いますけれども、このたびの会議は、昨年大阪で開かれました会議の結果を受けまして具体的な行動を起こす第一歩となる大変重要な会議と位置づけられております。我が国にとっても環太平洋地域国々にとってもそうだろうと思います。  それと同時に、新しくAPECに入りたいという国もありますけれども、しかしそれらの国々においては参加を他国から認められるかどうかという議論も現在あっているようにも聞いております。また、発展途上国におきましては、自由化のための行動計画に関して国内調整等がなかなかつかないということもあって消極的である、新規参加はもう少し様子を見ようではないか、こういう気配も感じられるようであります。そういったときにありまして、十二月にはシンガポールWTO閣僚会議も行われますし、当然APECでの会議の結果がこれに何らかの影響を及ぼすということは私は必至ではないかと思います。  そうしたときに当たりまして、佐藤大臣APECに対する気迫といいましょうか決意といいましょうか、それをひとつ大いに語っていただきたいと思います。  今度のAPECの大きな主要議題というのは、民間の関与をいかにするか、またはインフラ整備をどうするか、または投資環境整備をどういうふうにするか。これまではODAで二国間とか政府間協力で援助とかそういうのはやっていたんですけれども、今後は民間活力や新しい協力方式というものも当然こういったところで考えられなくてはいけない、こういうふうにも思います。  そういった内容も含めまして、ひとつ御決意をお願いしたいと思う次第であります。
  9. 佐藤信二

    国務大臣佐藤信二君) 景山委員お答えをいたします。  今御指摘のように、APECがこの二十一日から始まるわけでございますが、私自身は明日から行ってまいります。今のお話のように、私にとっては初めての国際会議でございますが、総理からも余り肩に力が入らないようにと、こんな実はお話がございます。  今御指摘のように、APECというものは、我が国としては、アジア太平洋地域の持続的な経済発展を実現する上の中核ということになる地域協力として、このAPECを大変重視していることは言うまでもございません。そしてこのフィリピンにおける会合というのは、昨年の大阪大会における大阪行動指針というものを着実に実行するということが一番の課題になっておりまして、我が国としては、民間ビジネスを関与させながら、貿易投資自由化円滑化に関する国別行動計画というものを作成しております。これを各国とすり合わせるということが大きな目的になります。この開発協力分野を充実させるべく、インフラ整備推進に向けた貿易保険機構協力ということがまた大きな課題になっておりますし、今御指摘もございましたが、APECの非拘束的投資原則の強化を含む投資環境整備のための作業というものに関して合意を形成する、こうした三つの問題に積極的に取り組んでいくべきだと、かように考えております。  フィリピンにおいては、関係国とも十分な協議をしながら、これらの課題につきまして合意が実現するように努力して、そしてこの会合が成功するように積極的に貢献したいと、こう思っております。  今御指摘がありましたこのAPECに対する新規の加入の問題でございますが、いろんな国から実は申し込みがございます。日本の立場としてはその中において、みんなと話し合わなければいけませんが、ベトナムとペルーというものを重視していこうと、かように考えている次第でございます。  以上でございます。
  10. 景山俊太郎

    景山俊太郎君 APECでは自由化ということが随分日本にとっても大きな影響があろうと思います。今後、日本にも国内のいろんな事情があるわけで、これは農林その他いろいろあるわけですけれども、そういった国内自由化促進、または国内調整のつかない面、そういう面が当然議題になるんじゃないかと思います。その点はどういうふうに、そういうお話が出ればでしょうけれども、お考えですか。
  11. 佐藤信二

    国務大臣佐藤信二君) 今の御指摘のように、今度の新内閣としての目玉というものは経済構造改革ということ、もちろんその前には行政改革ということもございますが、この中においてやはり行革の方でも規制緩和ということが問題になっておりますし、そして今の構造改革の方においては空洞化、こういう問題が実は存在いたしますので、こういうところの説明、それから各国も関心を持っているのではないだろうかと、こう思います。  それで、実は今申しましたAPECの全体会議の前に二国間の話し合いというものを主要国との間に行いますから、そういうときにおいてそうした説明をしていきたい、かように考えております。
  12. 景山俊太郎

    景山俊太郎君 シンガポールWTOに対して。はちょっとお答えがなかったような気がいたしますが。
  13. 佐藤信二

    国務大臣佐藤信二君) 今おっしゃるように、これにおけるマニラの場合とシンガポールの場合と参加国が実は違うわけでございまして、シンガポールの場合はもう少し拡大されますが、少なくともAPEC参加する国は大体参加する、こういう仕組みになっておりますので、その場合において、もちろんWTOの話というのも、このAPECにおいてはそうした共通の認識というものを持つような話し合いが当然に行われると考えております。
  14. 景山俊太郎

    景山俊太郎君 次に、経済構造改革について伺いたいと思います。  先般、十一月一日に産業構造審議会総合部会基本問題小委員会が開催されまして、我が国の今後の経済構造産業構造改革のための審議が行われて、中間的なまとめ案が発表されたわけであります。  その中で、今の我が国を取り巻きます産業空洞化経済が非常に低迷している、これを考えたときには、この産業構造改革というのは非常に大きな課題であろうと思います。  新しい時代に対応した経済社会を構築していくためには抜本的な構造改革を進めていかなくてはならないし、もう遅きに失しているような感じさえあるわけですが、第二次橋本内閣もこの構造改革を最大の目標として早速着手しろと、こういうお話を聞いておるわけです。それで、通産省も当然日本の現況というものをよく御存じでありますから、平成六年からこの素案になりますものも議論されて今日に来ておられるわけであります。  こうした経緯もありまして、橋本総理は、この経済改革というのは各省庁いろいろ関係があるけれども、通産省が中心になってリーダーシップを持ってやっていただかなくてはいけない、こういうことを申されております。だから、経済改革にはもう待ったなしだ。首相は、十二月上旬までを第一段階、来春までを第二段階として、第一段階では、構造改革の基本的な方針と直ちに改善する必要のある課題について九七年度の予算編成に盛り込み、通常国会での法改正を目指すようにと指示をされたとも聞いております。また、第二段階では、来年度以降見直す政策について具体的なスケジュールを含めて通産省に案を出せと、こういうことも命令といいましょうか、お話があっているんじゃないかと思います。  それを受けられて、佐藤大臣は、この問題にはもう時間的な余裕がないんだ、経済構造改革に対してはもう本当に早くやらないことには日本は大変なことになってしまう、そういう危機的な認識のもとに新聞記者会見等もされておりますけれども、この場におかれまして、経済構造改革に対する決意と、今後通産省として、それこそ各省庁をまとめる、行政改革も大事でありますが、この経済改革もまた大事であります。その点を通産省として本当に命がけでやっていただかないことには日本の今の構造というものは大変なことになるというふうに思います。  まず、その点につきましてお伺いをしたいと思います。
  15. 佐藤信二

    国務大臣佐藤信二君) 今、景山委員の御指摘のとおりでございまして、まず初めに、当初私の事実認識というのは、まさに今の日本経済においては高コスト構造あるいはまた社会資本整備のおくれという構造的な問題を背景に産業空洞化の懸念というのは一層深刻化しているということで、従来からも規制緩和等経済構造改革推進してまいっておりますが、今後この取り組み方というものを加速していかなきゃいけないと、かように実は認識しております。  こうした中で、先日、今御指摘のように、橋本総理より私に対しまして、新規産業創出規制緩和等による魅力ある事業環境創出などから成る抜本的な経済構造改革のプログラムを早急にまとめるよう御指示がございました。具体的には、まず抜本的な経済構造改革推進のための基本的な方針というもの、これを十二月の初めまでに第一段階として出しまして、そして来春までにこれの具体化という計画、こういうふうな二段階で実は持っていこうと考えております。  いずれにいたしましても、この構造改革という問題は新しい橋本内閣にとりまして最も重要な課題一つでございまして、関係省庁に対して叱院激励をして強力に推進したいと、かように考えております。どうぞ、委員を初めとして、委員会皆様方の御協力とまた御支援をお願いしたい次第でございます。
  16. 景山俊太郎

    景山俊太郎君 そこで、この取りまとめの素案によりますと、今、大臣もおつしゃつたけれども、産業空洞化のおそれが非常に深刻なんです。それを回避するには新しい産業市場を開拓していく必要が当然あるわけなんですけれども、今後発展する市場として有望な産業市場分野というのは十四分野見込まれているというふうにこの間の小委員会報告書にもあるんです、例えば住宅医療情報通信。  村山内閣のときに経済五カ年計画というのが発表されまして、同じような内容も書かれておりましたけれども、その十四分野というのが、それこそ本当に相当検討されて、これが一番いいというふうにおっしゃっていると思うんですけれども、果たしてこれが今後の日本経済成長を期待し得る中身であるかどうか。またはもうちょっと違った分野といいましょうか、違った業種にももっと日本経済を引っ張っていくような内容のものがあるんじゃないかとか、いろんな面があろうと思いますけれども、そういう多面的な面も検討されるべきじゃないか。それから今度はバイオとか航空宇宙、そういったものに宣言及されておりますけれども、そういった追加された点ほどういう将来展望を開いて追加されたのか。この提一言に対しまして御見解を伺いたいと思います。
  17. 渡辺修

    説明員渡辺修君) 新規産業分野に関する委員の御質問でございますが、経済構造改革に占めます新規産業分野育成重要性については先ほど大臣から御答弁申し上げたとおりでございまして、今の新規産業については、先生指摘のとおり、これはいわばどこにでも出てくる可能性のある産業でございますから、従来からあらゆる芽を伸ばそうという考え方で、資金、人材、技術、その他各方面からの施策を結集いたしまして、新規産業育成に努めてきておるわけでございまして、特別絞り込むとか、そういうことではございません。あらゆる可能性に対応するようにしたい、こういう考え方展開いたしてきております。  産業構造審議会におきましては、そういった施策に加えまして、特に経済社会の今後のニーズを踏まえて需要が見込まれる可能性のある分野、そしてまた現在幾つかの技術シーズ技術の種がございます。それをこれからブレークスルーしていくことによって市場規模がどんどん拡大していく可能性がある分野、そういった潜在的な可能性というのを諸先生方に検討していただきまして、そういう考え方のもとに、今御指摘がありましたような住宅医療あるいは情報通信、そういったようなものを含めた十四分野というのがこれからのいわばニューフロンティアのような分野ではないかと、こういうことで現在審議が進められておるところでございます。  特にその分野というのは、良質な雇用機会の担い手として、また経済活力の原動力として今後期待される分野でございまして、その中で産業育成していく、振興していくことそのものは個々の企業のまさに企業家の責任、メーンプレーヤーでございますけれども、我々といたしましては、そういう産業が育っていく場合に、個別十四分野それぞれにいろんな規制があったり、あるいはさらなる基礎技術研究が必要であったり、いろんなまだネックがございます。そういう環境整備してやろうというのが我々政府の基本的な考え方でございまして、それをこれから意欲的に進めていきたい、こういう考え方でございます。  今、二年前の十二分野に加えて新しいものが入っておることについての御質問がございました。今回、従来からの十二分野に加えて、バイオテクノロシーの分野、それから航空宇宙分野、この二つを新たに追加して、その分野でさらなる施策展開を図っていこう、こういうことになっております。  御案内のように、バイオというのは多様な分野研究成果の活用が期待できる、将来のより夢のある産業でございますし、航空宇宙というのは典型的な知識集約型産業でございまして、既にいろいろな振興を行っておりますけれども、諸外国ともにこの分野育成に拍車をかけておる分野でございます。こういうことも含めて、この二つをさらに追加いたしまして、十四分野というのを現在視野に入れて施策の検討を行っておるところでございます。
  18. 景山俊太郎

    景山俊太郎君 これは、新規成長産業分野について重点的に通産省予算措置を講じておられると思いますし、また今度の平成九年度の予算要求ベースを見まして、非常に財政が悪いときですから仕方がないのかなと思いますけれども、住宅分野では三十一億円、医療分野では四十一億円、生活分野では三十八億円などとなっておりまして、重点支援という言葉のイメージからするとちょっと何だか鈍いような感じがいたします。これは通産省の所管だけではなくてほかの各省庁の金額も合わせればもっと多くなる。お金だけではないわけでありますけれども、やっぱりシーリングの中でやりくりして御苦労いただいているんじゃないかと思います。  その点につきまして一点お伺いしたいのと、今後こうした分野を重点的に支援していくには、例えば一年や二年ではこれはもうなかなかできないわけでありまして、長期的に、長期といいましても十年、二十年というんじゃなくて、五年とか七年とかそういう中期的な観点でもって支援策を講じていく必要がある、こういうふうに私は考えます。  それから、財政難でありますから、大蔵当局等財政当局はそういった財政的支援もなかなか難しいと言うんじゃないかと思いますけれども、そのあたりの、予算を前にいたしましての皆さん方の気構えといいましょうか、そういう点につきまして伺いたいと思います。
  19. 渡辺修

    説明員渡辺修君) 十二分野についての、二年前から進めております我々の施策について予算措置その他の面でなお重点分野という名前に負けているんじゃないか、こういう御指摘でございました。  限られたシーリングの中での展開でございますので、ある意味で成功を奪っている場合ももちろんあるわけでございますけれども、我々といたしましては、その中で例えば情報通信の例でいたしますと、当初予算以外に、例えば昨年度の一次補正、二次補正で合わせて三百億、ソフトウエア二百八十億、約六百億円ぐらいのお金を投入してエレクトロニックコマース、その他思い切った施策展開を図るとか、あるいはそれぞれの限られた分野でございますけれども、画竜点睛を欠かないような予算措置を講じてきておる、こういうつもりで頑張っておるわけでございます。  さらに、今御指摘のありましたように、例えば今後の十四分野一つであります流通物流関連分野、この分野は今、これから飛躍的に生産性を上げていって新たなコマースが始まろうとしている分野でございますけれども、そういう分野というのは予算措置ももちろんでございますけれども、物流分野にかかるもろもろの規制がございます。こういった規制を、これは運輸省さんとよく話し合っていかなきゃいけませんし、そういったような一つ一つ分野について関連する各省ときめ細かく、我々問題意識を持って規制あるいは基礎技術研究、そういったものを組み合わせまして連絡会を設けながらあらゆるソフトウエアを注入していって振興していきたい、こういうふうに思っておるわけでございます。そういうことで、我々といたしましては、限られた中ではございますけれども、全力投球してまいりたい。  それからもう一つ計画性でございますけれども、これは昨年の産業構造審議会で出されましたときに、一年間で不況を脱出し、三年以内に規制緩和を思い切って進め、五年後には新規産業に花を吹かそうと、一年、三年、五年という施策の答申を得たわけでございます。これがさらなる空洞化の進展によってよりスピードアップし、また施策の彫りを深くしなきゃいかぬというのが今我々の問題意識でございますが、頭に置いておりますのは一、三、五、特に五年後には新規産業に花を吹かさなきゃいかぬ、こういうことで力いっぱいやっております。そういう意味での今後の時間的なタイムフレームというのは、今先生指摘になられたのとほぼ同じような考え方に我々立っておる、こういうことでございます。
  20. 景山俊太郎

    景山俊太郎君 ということは、五年したら大体大丈夫ですか。
  21. 渡辺修

    説明員渡辺修君) そのような目標を持ち、強い期待を込めて全力投球してまいりたいと思っております。
  22. 景山俊太郎

    景山俊太郎君 それから、新規成長産業分野のほかに税制改革とか高齢化社会対策にまで踏み込んだ構造的な政策を、これは本当にモザイク的にやらないと私はいけないと思うんですが、企業負担軽減ということで税制、いろいろ問題があります。国民的な目から見ますと、余り企業負担軽減ということを、わかっているんですけれども、前面に出すとなかなかこれがうまくいかないんじゃないか、そういう心配もいたしておるわけでありますが、産業界からのいろんな要望もあろうと思いますが、やっぱり国民の視点というもので私はやっていくべきじゃないか、そのあたりいま一度お考えを伺いたいと思います。
  23. 渡辺修

    説明員渡辺修君) 現在の空洞化の問題、さらには将来の高齢化社会の問題、いずれも産業の抱えております問題を十分御理解の上での先生の御忠告でございまして、我々もこういう物事に対して施策展開していく場合に、国民の理解が得られるようにさらなる説明の仕方、その他注意していかなきゃいかぬ点があると思っております。  と同時に、先ほど申し上げましたように、グローバル化したこの世界でございまして、現在、アメリカ、欧州、東南アジア、それから日本という、こういういわば産業が、企業が国を選ぶ時代になっておりますから、そういう四つの市場において国際的な産業立地競争が行われておるというのが二言で言って現在の状況でございます。  そういう意味で、日本の国土というのを魅力ある事業環境にしなければ、日本の国の企業も出ていくし、外国企業は全然日本に入ってこない、こういうような状況になっておるわけでございます。そのことをしっかり頭に置きまして、規制の緩和をして高コスト体質の改善を図るとか、あるいは雇用制度を初めとして幾つかの制度がございますが、思い切った流動化、自由化を行っていくとか、あるいは先ほど先生例に挙げられましたけれども、諸外国に比べて相対的に非常に高くなっておる税制について、せめて諸外国とイコールフッティングになるような形での努力をして環境整備するとか、そういったようなことというのは特に世界との関係において十分私は国民に説明がつく話ではないか。そういうことが今まで我々は不十分であったかと思います。御指摘も踏まえまして十分御説明をしてまいりたい、このように思っております。
  24. 景山俊太郎

    景山俊太郎君 五年後を楽しみにいたしておるわけであります。  次に、為替相場と国内製造業の空洞化対策についてちょっと質問をしたいと思います。  円とドルの為替相場については、昨年は一ドル八十円台を記録したこともありましたし、七十円台、こういうこともあったわけですが、現在ではおよそ百十円台、この間は百十四円、百十五円に達しようかというときもありました。  このようにわずか一年間で四〇%、こんなに円が大幅に変動するということは、これは日本経済が非常に弱まっているということに私は尽きると思うんです。もちろん国際的な操作はいろいろあったと思うんです。株投機とか為替投機、いろいろあると思うんですけれども、企業が将来の生産計画を立てる上において四〇%も変動するようなことでは、これは本当に日本経済というのは日没前のような感じがするわけなんですよ。  この間も、大蔵省の高官の円が少し安くなり過ぎたという二言で、一日のうちに円が二円何は高くなった日がありましたですね、あれはたしか十日ばかり前だと思うんですけれども。そういうことで円が余りにもフロートし過ぎる面があるんじゃないかと思うんです。  そこで、前の塚原通産大臣も円が余り動くとよくないということを言われているのをよく聞いたことがあるんですけれども、この円安傾向を反映してまた海外へ出ている企業が少しは戻ってこようかという気配もあるとは思うんですが、なかなかそうはいかないと思うんです。  円の相場、これは相場でありますから本当にフロートするんですけれども、通産大臣としてこういうことでは日本産業育成、また貿易、こういうことを考えますと非常に私は心配であろうと思います。通産大臣として、円の適正価格というのはおかしい話なんですが、そういった点をお聞かせ願いたいと思います。
  25. 佐藤信二

    国務大臣佐藤信二君) 今、御指摘のように、為替の問題というのは、特に日本のように原材料を輸入する、それを製品にして輸出をする、これで国の経済というのが今までは成っていたわけでございますが、最近は、今言われるように輸出よりか輸入という問題も非常に重視されてきたわけです。ですからそういうことでは、今御指摘のように、為替の水準というのはある一定の幅を持って安定しないと、どちらに振れるにしろ非常に難しい問題が出てくる。ただ、今、景山委員が言われたように、日本経済が弱まったからここでもって円安に動いているというのは、見方によっては、戦後は一ドル三百六十円というのからだんだん変わってきて二百五十円、百幾らとずっと高くなったわけですから、必ずしもそれだけでもないと思います。  いずれにいたしましても、全言ったように安定ということが大変重要であるという認識は持っておりますが、じゃ幾らならいいのかというのは、今御指摘のように大蔵省の高官が言ったことによって二円振れたということでございますから、少なくとも私の立場としてそれを幾らと言及するというのはちょっと差し控えたいと思っております。
  26. 景山俊太郎

    景山俊太郎君 ことしの十一月に通産省から出された「海外展開戦略に係る企業調査報告」、これによりますと我が国の製造業全体の雇用は、企業が一生懸命にリストラをやりましたり海外進出をしたり、そういう影響によりまして今後五年間で約七十万人から百二十四万人の減少が起こるというふうに見込んでおるわけなんです。  なぜそのような雇用の予想値が出たのか、その根拠をちょっと教えてください。
  27. 渡辺修

    説明員渡辺修君) 委員指摘の海外展開戦略に係る企業調査でございますけれども、これは本年八月に既に海外に進出いたしております製造業上位約二百社を対象にいたしましてアンケート調査を行ったものでございます。総海外売上高の約八割ぐらいのカバレッジになるかと思います。  この結果を取りまとめたのが調査報告でございまして、具体的な調査の中身及び集計の手法に対する御質問でございますのでちょっと技術的になりますけれども、まず回答企業の雇用がどれだけ落ちていくかという見通しを、業種によってそれぞれ特性が違っておりますので、二百社を業種ごとにまず分けまして、それを業種ごとのトータルの現在の雇用率に一般化する形で今の減少する比率を掛けまして、業種ごとに将来どういう数字になっていくかという全体の数字をはじき出したわけでございます。  特にその際配慮いたしましたのが、平成七年度の中小企業白書で分析いたしておるところによりますと、中小企業の雇用減少率というのは大企業に比べて年率一%程度ぐらい大きくなっておる、こういう分析がございます。したがって、今申し上げました業種ごとに将来の雇用減を計算いたしますときに、大企業と中小企業の比率を分けまして、中小企業にはもう少しそれが、計算上でございますけれども、雇用減が一%大きく響くだろう、こういう仮定を置きまして計算をいたしました結果が先ほど委員のおっしゃった数字になってきた。こういうことでございます。  約百二十四万人の減と、為替によってもちろん前後に振れますけれども、おおよそそのぐらいの雇用減が全体として製造業で見込まれるんではないか、相当のマグニチュードであろう、したがって新規産業育成以下、先ほど申し上げた経済構造改革に全力で取り組まなきゃいかぬ、こういうことで理解しておるわけでございます。
  28. 景山俊太郎

    景山俊太郎君 五年後、為替相場が一ドル百二十円程度、現在よりも円安の場合で計算されても製造業の雇用減少は百十七万人、それから五年後の想定レートを一ドル百円、現在よりちょっと高いぐらいですけれども、いろいろ計算方法はあるんでしょうけれども、余り変わらないらしいんですね。この企業調査報告書によりますといろいろ試算をして出されておりますけれども、その点をちょっと御説明していただきたいと思います。  それから、結局私は日本経済というのは、こういう厳しい状況になった原因はいろいろあると思うんですが、日本経済が高コスト構造になっているという点があろうと思います。  例えば、海運の運賃は横浜−兵庫が欧州−日本とほぼ同じであるとか、こういう状況でありますから米国の方へ工場を移した方がいいんじゃないか、こういう企業だってあったようですし、それから家電や工作機械などの部品が非常に複雑な流通機構のせいで高くなって、日本流通機構ではとてもやっていけない、こういうことで輸出された部品を再輸入した方がいいとか、こういう何だかおかしいような話まであるんです。  それから、先ほど大臣も言われたんですが、税の問題ですね。法人税の実効税率がシンガポールでは二七%に対して日本は五〇%近くになっておる、子会社の利益を日本へ戻さず、現地で再投資している。こういうことも、高コスト構造になっているという点からも雇用という面で我が国国内には非常に問題が生じているんじゃないか。百二十万人という雇用減の規模は、米国が一番厳しい状態のときでも、人口は日本の二倍ですけれども、八〇年から五年間で減少した製造業の雇用人口というのは百六万人だったんです。だから非常に日本経済情勢というのは厳しい。日本では製造業が九一年から九五年までに五十万入減っているんです。ところが、これを補ったのが建設産業なんですね。それが百一万人雇用を抱えているわけです。  ところが、これからいつまでも公共投資優先というわけにもいきませんし、片一方には、地方財政も国の財政も大赤字、国鉄の赤字も大赤字で、四百四十兆も赤字がある。そういう中でいつまでも公共事業公共事業というわけにもいかぬ。そういたしますと、今まで補っていた産業というものもおのずと人減らしをしていかなくてはいけない。こういう状態の中で、私はレートが百二十円の場合でも百円の場合でも余り雇用人口の減少が変わらないというようなことは非常に危惧しておりますけれども、その点いま一度詳しく御説明をお願いしたいと思います。
  29. 渡辺修

    説明員渡辺修君) まず、為替との関係でございますが、今御指摘ございましたように、百円強の場合と、それが円安に振れまして百二十円ぐらいまで行った場合において海外投資のスピードがどうなるか。この点につきましては、今御指摘のとおりでございまして、円安に振れましてもそれほど大きな雇用の減少の差異が出てこない、こういう点は調査の結果明らかになっております。  これは考えますに、恐らくいわゆる汎用技術及び汎用技術をもとにした部品、例えば家電とかあるいは自動車も一部そういうのがあるかと思います。そういったようなものというのはむしろコストを引き下げることが今競争の一番重要な役割になっておりまして、メガコンペティションのもと、むしろそういうのは安いところに出ていってそこでコスト競争をしてメガコンペティションに勝とうとする、そういう計画的な投資計画があるからこういう姿になっているんじゃなかろうか、こういうふうに思っておるわけでございます。  逆に申し上げますと、百円が円高に振れた場合にはそのスピードが加速するというそういう姿になっております。したがって、円安による歯どめというのはそんなに大きくこの調査には出てきておらない、それはまさに個々の企業が今行おうとしておる大競争時代における投資政策そのものの影響であろう、このように考えておるわけでございます。  それからもう一つ、幾つが御指摘がございました輸送コストの話、流通機構の話あるいは税制の問題、いずれも御指摘いただいたのが調査結果にあらわれております。極めて正確な事実でございまして、これは先ほど申し上げましたように、まさに世界的な魅力ある事業環境の立地競争になっておる。そういうところが、日本において魅力がある事業環境であるかどうかという点についての事業を行っている企業サイドの幾つかの指摘であろうと思っております。  そういうことも踏まえまして、先ほど冒頭に大臣から強い決意表明がございましたけれども、規制緩和を含めましてあらゆる各省間とよく連絡を申し上げまして、通産大臣のもとでこの十二月及び三月というターゲットも設けまして、全政府ベースでの経済構造改革に思い切って取り組んでいきたい、こういうことで対応してまいりたいと思っております。
  30. 景山俊太郎

    景山俊太郎君 その産業空洞化、これが一番問題が起こりますのは地方に影響してくると思うんですね。地場産業に大変な影響を及ぼしております。これはもう全国津々浦々そういう影響があっていると思います。  平成八年の四月に中小企業庁が発表いたしました平成八年度産地概況調査結果によりますと、産地企業の海外展開は極めて増加傾向にある、五八%の産地で生産が減少している、もう全体の半分以上。その結果、五四%の産地で雇用が減少している、こういう状態があるんですね。  そこで、通産省は全国各地の空洞化に対応するために、この次の通常国会に地域産業集積活性化法案、前にも何か似たような法案があったんですけれども、焼き直しじゃないと思いますが、こういうものをまた提出して地域産業空洞化を阻止しようというお考えのようでありますが、今度の地域産業集積活性化法案というものの内容についてちょっと伺いたいと思います。
  31. 稲川泰弘

    説明員(稲川泰弘君) 委員指摘のように、新法を準備、検討いたしておりますが、地域の産業集積を二つのタイフに分けて検討を行ってございます。  一つは、自動車、家電に代表されます量産型の産業の足回りを支えてきた集積でございまして、鋳物であるとか金型プレス、メッキ、切削加工、こういった異業種がネットワークを組んで集積を形成しているものでございまして、サポーティングインダストリー、足回り、すそ野産業という集積と理解をいたしてございます。  それからいま一つの集積は、いわゆる産地と言われるものでございまして、繊維、陶磁器などに代表されます同業種の企業が集積をしておるものでございまして、地域の経済の自律的発展の基盤になっておるというものでございます。  この二つのタイプの集積に委員指摘空洞化影響が非常に大きく打撃を与えているわけでございますが、他方で、日本国内製造業に対する需要あるいは日本の製造業の産業構造一つの変化がございまして、非常に象徴的に申し上げれば、自動車、家電のような量産型耐久消費財の生産から、自動車、家電をつくる、機械をつくる、あるいは工場の生産プロセスを管理する検査装置をつくる、あるいはさらには半導体の製造設備そのものをつくる。全体的に量産型耐久消費財生産構造から、いわゆる資本財のウエートがふえてくる変化であろうかと理解してございます。  また、一般の日用消費財につきましても、ニットのように二万着、三万着という標準品、普及品は海外でつくって、数着あるいは十着程度の限定された仕様晶あるいは特殊仕様品をつくる、そういうふうな需要の変化、構造変化というものがうかがえるかと思いますが、こういう需要変化に対応するエッセンスというのは、精密さ、精度に代表されます一つ技術の向上でございます、技術水準の向上。それからもう一つは、鋳物、金型、プレスその他いろんなネットワークを既に組んでございますが、そのネットワークの幅を広げること。この二つが新しい需要構造の変化に対応する一対応の仕方のエッセンスであろうかと考えでございます。また、こういう対応が可能であれば、この次の新しい資本財あるいは特殊仕様財をつくる時代の足回りの産業集積として将来を支えるものになっていくだろうと、かような考え方でございます。  このため、地域産業集積活性化法という名前の法律を考えでございますが、ここでは今申し上げました精密さ、精度に代表されます技術のレベルを向上する、それから各業種のネットワークの厚みをふやす、そういう二つの観点から、産業インフラ整備、研究開発、人材育成促進、投資促進と、かような内容を柱とした施策を総合的に推進いたしまして、産業集積の活性化、維持を図りたいということでございます。  なお、この施策は建設省の道路整備事業などの公共投資施策、あるいは労働省の技能承継、雇用能力開発施策などの関係省庁との連携を密にしながら検討を進めているところでございます。
  32. 景山俊太郎

    景山俊太郎君 産地内企業が海外に展開しておりますのは、中華人民共和国に六四・二%、ASEANに一六・八%、アジアNIES諸国に一二・四%、こういう統計が出ております。  これを今言われたようなこういう新しい法律をつくって少しでも呼び戻そうとかまた出ないようにしようとかいろいろ行われるんですが、結局中国とかそういうところへ行くのは賃金が安いというところを求めて行くんじゃないかと思うんです。また高コストという日本の状況、この前に特定中小企業集積の活性化に関する臨時措置法ですか集積活性化法という法律もつくっておられまして、今度またこういう法律をつくる、法律を屋上屋を重ねるだけで果たしていいのかと、もちろん以前の法律の中身を検討してよりよくということでありましょうけれども、以前の集積法との関係はどういうふうになるんですか。
  33. 稲川泰弘

    説明員(稲川泰弘君) 御指摘の中小企業集積活性化法は平成四年から中小企業庁で運用を行ってございます。今回の法律は、この中小企業集積活性化法を換骨奪胎いたしまして、先ほど申し上げました二つの集積、従来の中小企業集積活性化法が対象といたしておりました産地にさらにネットワーク型のサポーティングインダストリiの集積を加えまして、二つの集積を対象とした新たな法律として準備をいたしておるというものでございます。  それから、中小企業の海外展開でございますが、これは委員の御指摘のような両面の理由があろうかと思いますが、新しい法律の中で我々が目的としておりますものは、国内で生産活動を継続するに際して、現在の需要の構造変化、産業構造変化に対応するための政策的メニューが、恐らく先ほど申し上げました技術の水準を向上しネットワークの厚みをふやすという二つの方向であればこの対応が可能であり、また将来、日本で資本財型あるいは特殊仕様財型のものをつくっていく時代においても足回りとして支えていく形になるだろう、かような検討あるいは考え方から現在の準備をいたしておるものでございます。
  34. 景山俊太郎

    景山俊太郎君 それから、ベンチャー企業育成策ですけれども、ベンチャー企業支援一つには、昨年の十一月に、これも通産省からですが新規事業法の改正がありまして、この中でストックオプション制度が導入されております。同制度の運用状況について、まず伺いたいと思います。  この制度の対象は通産省所管の事業所だけとなっておりますけれども、その対象の範囲を拡大することを考えていらっしゃるか。これは法律改正もありますから法務省とかいろいろあろうと思いますけれども、その点をまずお聞きしたいと思います。
  35. 渡辺修

    説明員渡辺修君) 委員指摘のように、昨年の十一月でございますが新規事業法を改正いたしまして、人材確保と勤労インセンティブの付与を目的といたしますストックオプション制度の導入が行われたわけでございます。  本日現在、同制度の認定実績は十二社でございます。それで、平成七年度の新規事業法改正に伴いまして新規事業そのものの認定件数が急増いたしてきております。それに伴いまして、我々の予測といたしましては今後ストックオプションの数も、ややおくれではございますけれども、その認定数の増に合わせましてふえてくるのではないか、こういうふうに思っているわけでございます。  それから第二点は、さらにこのストックオプションを一般化するような考え方はいかんと、こういう御指摘でございますが、これにつきましては法務省が御担当でございまして、本年三月改定されました規制緩和推進計画におきましては、平成九年度中に運用実態調査を行い、調査結果を踏まえてストックオプション制度のあり方等について検討に着手する、こういうのが本年三月に決まっております。  したがいまして、現在我々が実施しておりますこの制度の着実な運用を図ってまいりたいと思いますけれども、それらの調査を踏まえまして、運用実態を踏まえまして法務省の方で御検討されると、こういうスケジュールになっておるわけでございます。
  36. 景山俊太郎

    景山俊太郎君 法務省が検討されることは必要でしょうけれども、現状というのは通産省が一番認識されているわけですから、通産省から法務省にきちっとその必要性を説得されて法改正を早急に行うべきじゃないかと思います。  それから、労働省が行った調査では、ベンチャー企業の公的支援について、開業時に公的機関の支援制度を利用していない企業が七割もある、こういう利用していないところが非常に多いということが労働省の報告で言われておりますけれども、現行のベンチャー支援制度は中小企業にとって余り魅力がないんじゃないか、来年度はどういうふうにされるか、その点をお聞かせ願いたいと思います。
  37. 渡辺修

    説明員渡辺修君) ベンチャー支援対策につきましては、先ほど来の大きな経済構造の変革を頭に置きまして、既に資金面、人材面、技術面でもろもろの施策展開しておるわけでございます。さらに、資金面におきましては、特に昨年、七年度の二次補正によりまして融資とか債務保証、出資制度の思い切った拡充を行ったわけでございます。  そういう意味では、私ども幅広く、相当きめ細かな施策展開しておるつもりでございますが、おっしゃるようにベンチャー企業のそれぞれの、全国に、特に地域に散らばっておられるベンチャー企業皆様方に必ずしもそういった施策の細かい中身というのが十分行き渡っていない、啓蒙が必ずしも行き渡っていない点があるんじゃないか、こういう点は非常に我々反省しておるところでございまして、まさに今おっしゃった労働省の調査というのはそういった一面をあらわしておるんじゃないかと思っておるわけでございます。  したがいまして、これにつきましては中小企業庁が中心になりまして、創業期のベンチャー企業とエンゼル、つまりそれに投資する人とのお見合いの場を全国的に展開して設けていこうとか、つまり施策のPRにつながるような面も考慮いたしながら幅広い展開を図っていこうと思っております。  加えて、来年度の新規政策でございますが、特にエンゼルと呼ばれる個人投資家がベンチャー企業投資をする場に、あるいはベンチャーキャピタル、そういったようなものがベンチャー企業投資をするときに投資をしやすくするように、さらには年金基金といったような豊富な民間資金新規事業にうまく投入されていくように、そういった各種の規制の緩和とさらなる税制上の優遇措置を今我々は強く要望しておるところでございまして、税務当局と今意見のすり合わせをしておる、こういうところでございます。  したがいまして、そういった各般の新規施策とさらなる全国ベースでのPR及び啓蒙の努力、両方合わせて隅々まで新規事業の皆様方施策を活用していける、そういう体制をつくっていきたいと思っております。
  38. 景山俊太郎

    景山俊太郎君 終わります。
  39. 野沢太三

    委員長野沢太三君) 午前の審査はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。    午後零時一分休憩      ————◇—————    午後一時開会
  40. 野沢太三

    委員長野沢太三君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、平成六年度決算外二件を議題とし、通商産業省経済企画庁中小企業金融公庫及び中小企業信用保険公庫決算について審査を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  41. 松村龍二

    ○松村龍二君 自由民主党の松村でございます。  佐藤大臣麻生長官におかれましては、大変難しい時代に大臣に御就任になりまして、心からお祝い申し上げる次第でございます。  さて、まず経済企画庁長官に、財政構造改革において経企庁の果たすべき役割についてお伺いいたします。  かって私、昭和五十四、五年でございますけれども、今から十五年前に総理府の広報室に勤務いたしておりまして、政府広報の制作に携わっていたことがございます。そのとき、大蔵省が財政再建について政府広報したいということで、渡辺大蔵大臣がみずから案を出されまして、国民にわかりやすい財政再建の状況をぜひ訴えたい。何兆円という単位ではわかりにくい。したがって、当時二十六兆円の税収があったことを、二十六万円の月収がある方が毎月五十万円の生活をしておる。十四兆円は国債から借りておる、サラ金から借りておると。積もり積もったサラ金が七十二万円になっておるというのを漫画で週刊誌や新聞等で訴えたことがあるわけでございます。  七十二兆円という国債が将来どのようになるんであろうかというふうな予測も大蔵省から伺っておったわけでございますけれども、平成八年度末の公的債務残高が国及び地方を含めて実に四百四十二兆円。国債であれば二百四十一兆円でございますけれども、国及び地方を含めて四百四十二兆円、GDPの九割にも達するという極めて厳しい財政状況にある我が国におきまして、財政の健全化、財政構造改革は、今後人口高齢化が急速に進展する中で、二十一世紀においても豊かで活力ある社会を実現するために焦眉の課題であると思います。  こうしたことから、当決算委員会質疑におきましても、国の財政状況をバランスシート的感覚なども取り込みながら国民の前に明らかにするなど、具体的かつ有用な提案もなされたところでありまして、また、大蔵省及び財政制度審議会でも、財政構造改革についての国民的理解を得るために財政情報開示、ディスクロージャーに積極的に取り組んでおられるものと理解をしております。  こうした中で、財政構造改革の実現に向けまして、経済政策に関する総合調整を担当している経済企画庁の役割もまた今日ますます重要となっていると言えるのではないでしょうか。昨今、口を開けば行政改革あるいは財政再建ということが言われますけれども、昨年のちょうど一年前には、必ずしもそのような皆さんの一致した姿勢があったわけではない。やはり経済企画庁におきまして、わかりやすく国民に訴えるということが必要かと思う次第でございます。  経済企画庁では、昨年の経済白書で世代会計の考え方を用いまして、将来の財政を通じた世代別の受益と負担の関係を推計いたしましたり、また先月は経済審議会におきまして国民負担率の将来展望について幾つかのシミュレーションを示すなど、今後の我が国財政のあり方について議論をする上でも極めて有益な分析を提供しております。  経済企画庁におきましては、こうした分析等を今後とも国民に積極的かつ継続的に提供し、経済の専門家としての展望、指針を与えることは国民から求められている一つの大きな役割であり、財政構造改革のために政府一丸となってそうした国民的理解を得るための努力をすることが必要であると考えますが、麻生経済企画庁長官に、財政構造改革において経済企画庁の果たすべき役割という観点から、財政状況の一層の情報開示への取り組みにつきましてぜひとも前向きな御所見を承りたいと思います。
  42. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 今、御指摘のあっておりましたとおりに、我が国財政需要というものは、今年度末には実に二百四十兆円となる見込みであります。先ほどの松村議員の御指摘にありましたことからいけば、この十四、五年の間に約三倍近くになったということになるんだと思いますが、国債費が結果的に政策費を非常に大きく圧迫しておることはもう間違いない事実でありまして、構造的に極めて難しく、かつ昔よりもっと厳しくなってきておるということだと理解をいたしております。  こういった状況にありますので、昨年十二月に策定をいたしております、経済審議会においての「構造改革のための経済社会計画」、既にいろいろ話が出ておりますこの計画に基づきまして、歳出面におきましても当然のこととして徹底した洗い直しを行えと、また歳入面におきましてもいろいろ努力が要るということで、財政改革を一層強力に推進していかねばならぬという考え方を示しておるところであります。  御存じのように経済審議会では、財政構造改革のあり方についてということで、関連に四つの審議会というのがございまして、経済審議会、財政制度審議会、税制調査会、社会保障制度審議会の間でいろいろ横の連絡をとりつつ検討してほしいという橋本総理の御指示を踏まえまして、この計画のフォローアップとして財政及び社会保障の問題について検討を目下まさに進めておる最中というところであります。  先ほどお話のあっておりましたように、シミュレーションというのが出ておりますけれども、このシミュレーションをそのまま見ますと、今のままの状況をそのまま放置しておきますと、間違いなく財政、いわゆる社会保障等々赤字が累積をしてこれは維持が不能という状況になりますし、また経常収支の赤字が累積してまいりますので、我が国は基本的には債務国に転落しかねないという状況で、しかねないところか間違いなくこのままほうっておけば債務国に転落するというシナリオが書かれておるところでありまして、社会保障制度及び財政構造につきましては相当思い切ったことをやらねばならぬ、かなり痛みを伴うことであろうとやらねばならぬ限りは、これは間違いなく我が国財政は極めて悪くなり債務国に転落するということであります。  したがいまして、この問題につきましては今後とも、総理指示等々強い御指示もありますので、これは関連審議会の間でも極めて横の連帯が大事でありますので、一人の思いっきやなんかでできる話ではありませんので、この種の問題につきましては関連審議会等とよくよく連絡をとりつつ処置をしてまいりたいと思って、これは大変大事な問題だと思っておりますので、慎重に検討してまいりたいと思っております。よろしくお願い申し上げます。
  43. 松村龍二

    ○松村龍二君 ぜひ財政構造につきまして的確な改革を加えていただきまして、必要なところに必要な金を使うといった。国民が本当に要求しているところにお金を使うといったことをぜひお願いしたいと思う次第でございます。  さて、中小企業の問題、中でも繊維産業振興につきまして御質問をしたいのでございます。  通産大臣におかれましては大変商工のエキスパートであるということで、最後にまとめて御高見を伺いたいと存ずる次第でございますが、幾つか各論につきまして御質問をしたいと思う次第でございます。  橋本総理が自民党総裁になられましたころから、日本の物づくりを大切にしたい、それから外国に物づくりが移ってしまって日本産業空洞化するというようなことがあってはならないというようなことを昨年来口癖に言っておられたところでございます。  中小企業の統計を私から御指摘申すまでもなく、事業所数は九九・一%、従業者数におきましては七八%、国民の大多数が中小企業に携わっているところでございます。そして、中小企業の一般会計の予算平成八年度は一千八百五十五億円、この十年来見ておりましてもほとんど千九百億円前後で推移してきておるといったことでございます。  私の地元におきましても、中小企業、中でも繊維産業が事業所あるいは従業者数とも減っておるといった状況で、政府としても先ほど来申し上げております中小企業に的確な予算をつけて必要な手当てをするということが必要であるというふうに存ずるところでございます。  そこで、まず繊維産業の現状でございますけれども、私から申すまでもなく、日本の歴史の中におきましては、明治維新以来、日本の工業化過程の牽引車であり、また第二次世界大戦後におきまして国民生活への必需品供給や輸出による外貨獲得を通じて我が国の復興、高度成長に多大の貢献をしてきたところでございます。その後の重工業化、サービス産業化の中で我が国産業に占めるウエートは減少いたしましたけれども、現在でも出荷額におきまして全製造業の約四%、私の地元におきましては二十数%、雇用におきまして全製造業の約九%、百万人を抱えている我が国の重要基幹産業一つでございます。  しかし、繊維産業をめぐる近年の状況は非常に厳しいものとなっております。すなわち、国内需要は経済成長の鈍化、市場の成熟、国内景気の低迷等を反映し、低迷を続けております。一方で、我が国の繊維品貿易は、発展途上国の台頭、プラザ合意以降の急激な円高の進展、消費者の価格志向の高まり等を背景といたしまして、一九九五年におきましては百七十四億ドルという大幅な輸入超過となっておりまして、輸入浸透率は五七・七%という高水準に達しております。  さらに、企業のグローバルオペレーションの進展や国内の高コスト構造、例えば電気料金が東南アジア、欧米に比較して五割から二倍かかる。同じ条件で競争して優劣が決着するというのであればいいわけですけれども、そういう電力料金等によって非常に足かせを受けているといった状況もあるわけでございます。円高等を背景に、労働集約的なアパレル分野を中心といたしまして、中国、東南アジア向けの直接投資が急拡大し、繊維産業の国際分業が急速に進展しているという状況が見られます。  これらの要因から、国内生産は出荷額ベースで一九九〇年から四年間で約二割という大幅な減少となっておりまして、我が国の繊維産業空洞化による雇用への影響が懸念されているところでございます。  私の地元について見ますと、この十年間で全出荷額に対する割合は二八%から二二%へ低下しておる。従業者数を見ましても十年間で二〇%減少いたしまして、全従業者に占める割合は全国一でございますけれども、三二%へと低下しているところでございます。このような繊維産業振興は、雇用の面からも大変重要な問題かと思います。  そこで、幾つか御質問をさせていただきますが、アメリカ等におきましては適切な輸入の規制によって自国の繊維産業を守るということを伺っておるわけですけれども、繊維関係に携わる者はいわゆる輸入規制、繊維セーフガードということに大変関心を持っているところでございます。  全繊維製品の輸入浸透率は五八%ということは先ほど申しましたけれども、綿におきましては八〇%の浸透率ということで繊維セーフガードの措置が問題になっておったところでございます。合繊産業をとりましても四二%の輸入浸透率ということで、必要なときに政府がセーフガードを発令して助けてほしいというような願望を持っているところでございます。  そこでまずお伺いしますが、綿製ポプリン・ブロード織物に係る日中間の繊維貿易問題につきまして、繊維セーフガード措置に係る調査が行われている中で今回、日中間で共通の認識に至った経緯をお伺いします。
  44. 村田成二

    説明員(村田成二君) 御指摘の経緯について御説明申し上げます。  御案内のように、綿製ポプリン・ブロード織物、これは平織りの綿織物の一種でございまして、シーツ等の寝装具あるいはワイシャツ等に用いられる材料でございます。  これにつきまして、御指摘のように中国との間でいろいろな話し合いが行われましたが、経緯を申し上げますと、昨年十一月以降、実はこの綿製のポプリン・ブロード織物の輸入が急増いたしました。これに対しまして、本年の七月九日、関係業界、すなわち日本紡績協会と日本線スフ織物工業組合違合会でございますが、この両団体から繊維セーフガード措置の発動要請が通産省に対してございました。八月九日以降、通産省としましてはこの要請を受けまして調査を行い始めたわけでございます。  この間、実は七月二十二日でございますけれども、私どもの当時の塚原通商産業大臣と、それから中国の呉儀対外貿易経済合作部長、これは大臣でございますが、この間におきまして、本件につきましては、中国側としては輸出自主管理措置を強化して話し合いによって解決したいという強い申し出があった次第でございます。こうした大臣レベルでの中国側の申し入れもございましたものですから、八月から十月まで毎月一回、計三回でございますが、局長レベルの日中間の話し合いを行ったわけでございます。  その結果、中国側から、綿製ポプリン・ブロード織物を含みます平織物、平織りの綿織物につきまして日本向けの直接輸出、これが安定化するよう自主管理措置を強化するという申し出がございました。我が国といたしましては、これに対応いたしまして、中国から輸入が正当に輸出されたものであるかどうかというのを通関時にチェックする、こういう措置を講ずることとしたわけでございます。  この両措置をもちまして、問題となっておりました中国からの綿織物につきましてきちんとした対応ができるというふうに判断いたしたわけでございますが、WTO繊維協定との関係ないしはセーフガード調査との関係について付言させていただきますと、御案内のように、繊維セーフガード措置につきましては、WTOの繊維協定におきまして具体的な管理というのはまず輸出国側で行うと、こういうことにされているわけでございます。ただいま申し上げました中国側の措置も、そういう意味で輸出国側の管理措置というふうに受け取られるわけでございますし、それからまた数量的にも輸入安定化の効果が期待できるというふうに私ども判断いたしまして、調査につきましてはその続行を見合わせるということにいたした次第でございます。  経緯としましては、今申し上げたとおりでございます。
  45. 松村龍二

    ○松村龍二君 中国側の輸出自主管理措置強化の具体的な内容はどのような内容でございましょうか。また、中国側が約束した効果を持たない場合いかなる対応をとるのか、お伺いします。
  46. 村田成二

    説明員(村田成二君) 中国側は従来からある程度の措置は実施してきておったようでございます。すなわち、全世界向けの輸出枠の管理ですとかあるいは日本向けの輸出につきましての総代理店制ですとか、そういう措置を講じてきたようでございますが、今回新たにポプリン・ブロード織物を含みます織物につきまして対日直接貿易につきましては輸出数量の調整を実施する、こういうことにいたしたわけでございます。  また、この具体的な数量水準としましては、中国側の統計で見た場合に、毎年大きな変動がなく安定的に推移するという点と、二点目は最近過去四年間ないし五年間の対日輸出数量の実績の平均と同等の水準に三年後にはおさまる、こういう二つの点が確保されたわけでございます。  それからまた、今申し上げました問題になっております綿織物のうち、日本向けの輸出の大宗、九五%ぐらいを占めます未漂白の綿織物、これにつきましては中国側で正当な輸出であるということを証する証明印をインボイスに押す、こういうことになっております。インボイスにその証明印を押しますのは中国紡織品進出口総公司駐日本代表処というところでございますが、輸入インボイスにこの証明印を押印する、こういうことになった次第でございます。  したがいまして、日本側としましては、この証明印のあるものだけ通関を認める、ないものは通関を認めない、こういう措置を先ほど申し上げました輸入通関時にとる、こういうことにいたしたわけでございます。  それから、御質問の第二点でございますが、効果がなかった場合どうするんだ、こういう御指摘でございますけれども、今回の措置は、ただいま申し上げましたように、中国側の単なる輸出自主管理措置というだけでなくて、その実効性を確保いたしますために日本側で今申し上げましたような通関時確認制というものを講ずることとしておりまして、こういうことによりまして中国側の措置がきちんと十分な効果を発揮するというふうに私ども見ておるわけでございます。  それからまた、中国との間におきましては、この日中間の綿織物の貿易に関しまして常時両国において十分状況を把握する、あるいは必要があればいろいろな意見交換、調整を行う、こういうことに合意しておりまして、仮に御指摘のような問題が生じてくるということでありますれば早急に中国側との協議を行って善処を求める、対応を求める、こういうことになろうかと思います。  いずれにしましても、問題は、こうした日中間の合意というものをきちんと今後ともフォローし、その実効性を確保するということが大事だと思っておりまして、私どもといたしましてはこの合意に従って運用に万遺漏なきを期してまいりたい、かように存じている次第でございます。
  47. 松村龍二

    ○松村龍二君 セーフガードの問題につきましては、農業の分野でショウガ、ニンニク等が問題になっておりまして、せっかくWTOで認められておる措置であるということから、日本貿易立国で非常に神経を使うということはわかりますけれども、日本産業を保護するという点に関しまして通産省におきましても常に積極的な姿勢を持っていただきたいというふうに念願、希望するものであります。  さて、先ほど繊維産業の現状についてちょっと触れたわけでございますけれども、繊維産地の空洞化の状況につきまして通産省の現状認識がいかようであるかということをお伺いします。また、繊維産地の発展のための通産省の対策はどのようなものであるか、お伺いしたいわけであります。  やはり東アジアとのすみ分けをしっかりしなければならない、国際分業の立場から、日本で高度なハイテクノロジー商品を開発していかなければならない、あるいはクリエーション機能の一段の強化を図らなければならないといったことで、そういう観点から、地元の産地におきましてはいろいろ血のにじむような努力をしているところでございます。  また、クイックレスポンスということで、今までのような、生産者が織物を繊維工場でつくって、どうぞこれを買ってくれということではなくて、消費者のニーズにいち早くこたえて必要な商品をつくるといったクイックレスポンス、プロダクト・アウトからマーケット・インというようなことに気は使っているわけでございますけれども、先ほど申しましたような事業所数の減少あるいは雇用の減少ということがトラスチックに起こっておりまして、私も週末地元へ帰りましたときに、しっかり繊維対策について施策をしてほしいというような陳情も受けてきたところでございます。  ただいまの現状認識、また対策につきましてお伺いいたします。
  48. 村田成二

    説明員(村田成二君) 繊維産業、特に繊維産地の状況につきましては、先ほど来先生が御指摘になられた。そういった認識と全く同じ認識を抱いております。  改めて申し上げる必要もないわけでございますが、全製造業の従業員数のまだ一割という大きな雇用、これを抱えている産業でございます。  それからまた、非常に中小企業の比率が高こうございますし、それから地域の偏りといいますか、産地性といいますか、そういうのが非常に高い産業でございますから、地域雇用あるいは地域経済に非常に大きなウエートを占めているわけでございます。先生御出身の福井県におきましても、全製造業の三二%の雇用を持っておられると。それからまた、石川県におきましても、京都府におきましても、二十数%という雇用を担っている産業でございます。  ところが、残念ながら、先生指摘のように、プラザ合意以来非常に競争力の喪失ということ、それからまた消費の長期にわたる低迷ということもございまして、九五年時点で見まして輸入浸透率が実に五八%、綿製品につきましては八十数%という高い輸入浸透率になってきているわけでございますし、それからまた日本企業の海外進出ということもございまして、産地の空洞化の進行というものが懸念される状況になっているわけでございます。  ただ、一方におきまして、やはりもう一つ私どもよく考えておかなければいけないと思いますのは、我が国の繊維市場というのは非常に質の高い市場でございますし、それから規模から見ましても世界第二位の規模を誇っているわけでございます。さらにまた、近隣には成長性の高いアジア市場を控えているということもございますし、それから繊維機械産業、エレクトロニクス産業といった関連産業も非常に優秀な企業産業が周辺にあるという特質もあるわけでございます。  したがいまして、今や国境のない、ボーダーレスの大競争時代に入ってきているわけでございますけれども、今申し上げましたような特質を生かしながら、やはり日本の繊維産業のより高度な先進国型産業への脱皮というものを図っていく必要がある、これが基本であろうというふうに私ども考えているわけでございます。  具体的にどういうふうな対策を考えておるかという御質問でございますが、一言で申し上げますと、やはり今申し上げましたように、高度化する市場のニーズにきちっと対応していける、迅速に対応していけるような、そういった産業構造形成をしていく必要があるというふうに考えております。  具体的には、このために実は平成六年に国会におきまして繊維産業構造改善臨時措置法の改正をしていただきましたけれども、この改正法におきましてマーケット・インあるいは創造性といったものをきちんと発揮できる、志向できる産業構造を構築する、そういった政策展開しているところでございます。  具体的に申し上げますと、情報技術を活用いたしまして、繊維産業のネットワーク化、これは現在、平成八年の十月で三十六グループが形成されておりますが、そういったグループに対する支援を行いますほか、デザイナーを含めまして新技術、新商品開発を行う産地企業グループに対しまして支援を実施しているところでございます。それからまた、企業構造改善を円滑化するための地域全体の環境整備も大事でございまして、そういった視点から、各地に繊維リソースセンターあるいは産地組合によります人材育成情報提供、需要開拓、こういった事業も支援をしているところでございます。  以上でございます。
  49. 松村龍二

    ○松村龍二君 ただいまこの情報化時代において情報支援というお話がございましたけれども、特に中小繊維企業情報化を推進するために昨年補正予算で二十五億円の出資が認められたわけですけれども、中小繊維企業情報化を推進するための通産省の対策についてお伺いいたします。
  50. 村田成二

    説明員(村田成二君) 具体的には、特に中小繊維企業の場合には、情報化にしましてもあるいはその担い手であります人材の点におきましても、それから個々の企業資金力、総合力におきまして、やはり大企業に比べますといろいろ不利な点、難しい点があるわけでございまして、そういった点に対応しましてきちっとした産地の中小企業も含めた全体の構造改善を進めていくということのために三点ばかり主な柱を立てて政策を実施しております。  具体的に申し上げますと、第一点は、情報ネットワーク化を実現します構造改善グルーブに対します助成というものを行っております。これは先ほど申し上げました三十六グループがこの対象でございますけれども、そのグルーブが先進モデル事業として現在この助成制度を活用しているところでございます。フィージビリティースタディー調査あるいはシステム設計といったものにつきまして一定の補助を行ってこれを推進しているところでございます。  それから第二点は、繊維産業全体のやはり情報化の基盤整備というものが大事でございます。電子データ交換、EDI推進のための標準化事業ですとか、あるいは商品管理のためのデータベースセンター、そういったものの整備推進する必要がございまして、これにつきましてもしかるべく予算措置を講じて推進しているところでございます。  それから第三点目は、高度情報技術を活用しまして具体的に電子市場をどうつぐっていくかということでございますし、そこにまた産地企業がどう参加していくかということでございます。これは、先生ただいま御指摘になられました平成七年度の二次補正予算二十五億円を活用いたしまして、繊維産業革新基盤整備事業、TIIPと略称しておりますが、このTIIP事業を推進しているところでございます。主たる目的としましては、やはり繊維の中小企業が容易に使えるソフトウエア、これをどう開発するか、それからまたその実証実験を行い、それで参加する企業に具体的にこういったシステムの中に入ってきてもらう、それでその中で経験してもらう、こういった事業でございます。一言で申し上げれば、生産流通段階のこのプロダクトバイブというものをいかに短縮、効率化するかということに具体的に実態的に取り組むという対策が第三番目の柱でございます。  いずれにしましても、先ほど申し上げましたように、中小企業の場合、非常にいろいろ難しい問題点がございます。きめ細かくかつ具体的な事業を通じて、やる気のある、意欲のある中小企業にぜひとも一つでも多くの参加をいただいて今申し上げましたような事業を推進してまいりたいと、かように考えております。
  51. 松村龍二

    ○松村龍二君 繊維二次製品の輸入が近年増大傾向を継続しておりますが、このことにつきまして基本的なお考えをお伺いします。  また、これに関連いたしまして、先ほどのセーフガートとも関連するわけですが、繊維というのは非常に川中産業も幅が広くて、糸加工、織布、染色、縫製加工とございます。  現在、セーフガードで問題になりますのは、外国からの第二次製品の豪雨的な増加ということでありますけれども、その際に日本のアパレルメーカーだけがこれに対抗するというのではなくて、幅広い川中産業もこのセーフガードというようなことに大変関心を持っておるわけでありますので、これらもセーフガードの申請ができるということにならないかといった希望を地元では持つわけですが、あわせてお伺いします。
  52. 村田成二

    説明員(村田成二君) まず、前段の二次製品輸入の点について私からお答え申し上げ、セーフガードの関係につきましては担当局長の方からお答えさせていただきたいと思います。  第一点の二次製品の輸入につきましてでございますが、確かに先生おっしゃいますとおり、九二年以降、毎年非常に高い伸びで輸入がふえてきております。最近、その伸びも伸び率としては若干鈍化しておりますけれども、いずれにしましても増大傾向には変わりがないわけでございます。  これに対しまして、私どもとしましては、根本的な対応策といたしましては、先ほど申し上げましたようにやはり市場に対応できるより高度な産業あるいは産業構造を求めでいろいろな情報手段その他を駆使してこの強化を図っていく、そういった生きる道を見出していくというのが基本かと思っております。  ただ、現実問題としまして、御案内のように、この二次製品の分野におきましても最大の輸入相手先が中国でございます。私どもといたしましては、従来より機会をとらえまして、中国に対しましてもやはり繊維品目全体、二次製品も含めた繊維貿易全体の安定化というのは日中両国にとって非常に大事なんだということを常日ごろから申してきておるわけでございますけれども、引き続き二次製品の輸入動向を見ながら、私どもとしましては、そういった中国を初め関係国との間の今申し上げましたような認識を高めるべく努力していきたい、かように存じております。
  53. 伊佐山建志

    説明員伊佐山建志君) 先生質問の第二点目の件でございますが、川中産業もひとしく損害を受けるということにつきましては私どもも十分懸念をいたしているところでございますが、繊維セーフガード措置そのものはWTOという世界の貿易ルールをつくる国際取り決めの中にありまして例外的な措置でございます。そして、貿易WTOのもとでは原則自由でなければいけないというルールのもとで進められているわけでございまして、繊維セーフガード措置を発動するというときには、特定の品目の繊維製品等の輸入の増加がそれと同種の品目または用途が直接競合する品目を本邦において生産する者に重大な損害を与えていることを必要条件といたしております。  今回の場合も、繊維セーフガード措置の調査を開始するか否かということを判断するに当たりましては、そういった本邦の生産者及びその団体の意向を踏まえることをベースに進めてまいったわけでございます。調査を開始するか否か、その直接当事者の実態、今後の見通しといったようなものについての関連データを十分に精査させていただいてきております。もちろん、それ以外のデータにつきましても参考にさせていただくことはございますけれども、国際的なルール上は、一義的には輸入製品と同種のものあるいは競合する製品を生産する者の実態を調査し判断するということになっておりますので、私どもといたしましては今後ともそのルールを尊重していかざるを得ないんじゃないかと思っております。
  54. 松村龍二

    ○松村龍二君 最後に大臣にお伺いしたいわけですけれども、中小企業の問題で法定労働時間の問題が大変関心が深いところでございます。  現下の厳しい経済環境の中で、来年四月からの法定労働時間の週四十時間制への完全移行に伴う労働時間短縮問題につきまして深刻な声が上がっております。  私も外国へ行きますと、ニューヨークその他ヨーロッパにおきましても、食事をしに行きますと、日本料理屋はお休みしておりますけれども、中華料理屋は決して休んでいない。戦後、日本人は働き者だと言われておりましたけれども、やはり労働時間の合理化といったことだけが先行いたしまして、中国人等と比較いたしますと労働の価値観というのも変わっているのではないか、そのようなことではこの厳しい時代に生き延びていけないといった意味におきまして、この週四十時間制への中小企業からの深刻な声も上がっているのではないかと思うわけでございます。このことについて大臣の所見、今後の対策をお伺いしたい。  また、中小企業にとりましては金融の問題が一番重要でございます。昨日の日経新聞等によりましても、中小企業に対して金融が閉ざされている、大変資金繰りに苦しんでおるといった記事があるわけでございます。昨年の第二次補正予算によりましてそのような中小企業に対する枠が広げられたり、信用保証協会の無担保審査によります範囲が広がったというような政府の前向きの施策はあるわけでございますけれども、中小企業金融に関する現状認識及び今後の取り組みもお伺いしたいわけでございます。  あわせまして、繊維産地企業を中心といたします中小企業振興につきましての大臣の御所見あるいは御決意を賜ればありがたく存ずる次第でございます。
  55. 佐藤信二

    国務大臣佐藤信二君) 松村委員お答えいたしますが、その前に大変委員この中小企業、特に繊維問題に関しまして将来への御懸念あるいは深い洞察力を持っていることに敬意を表します。私の方も非常にこの中小企業対策、政策というものを重視しておりまして、今度私が大臣になりまして、二人いる政務次官のうち参議院出身の上野公成政務次官を中小企業担当に任命をいたしました。  さて、今の御質問でございますが、まず第一に時短の話があったと思います。御存じのように、今、我が国の中小企業をめぐる状況というものは大変に厳しいものがございまして、時短ということに伴う実質的な賃上げ、そして片一方では雇用の維持というもの、すべてを同時に実現するということが非常に困難だと、こうした認識を実は持っております。そうした切実な状況を踏んまえて、週四十時間労働制への円滑な移行を実現するためには何らかの措置を講ずることが必要不可欠だというふうに考えております。そういうことでよく労働省ともこの問題をすり合わせていって、そして社会的混乱を生じないようにまず万全な対策を整えていきたい、かように考えております。  もう一つの御質問は金融の話でございましたが、今申したように大変厳しいことから、通産省といたしましても引き続き円滑な中小企業金融の確保ということに努力する所存でございます。  その中で、昨年実施いたしました金利の減免措置ということに関しましては、初めは一カ年でもって打ち切るんでしたが、今のような状況ということでさらに一年間これを延長するということで、平成九年の十月十八日までとしたところでございます。  最後の質問としては、中小企業振興をどういうふうに考えているのかという非常にグローバルな話でございましたが、特に委員が御指摘のように、繊維産業を初めとする地域の中小企業は地域の経済や社会の中核でございまして、地域の中小企業の活性化は重要な政策課題というふうに認識をしております。  他方、地域の中小企業をめぐる昨今の状況というのは大変厳しいものがございまして、廉価な輸入品との競合ということの理由から出荷額の低下あるいは休廃業というような悪影響も出ておりまして、いわゆる空洞化というものが大変懸念されるわけでございます。  そのために、これからの中小企業振興策といたしましては、中小企業の連携や技術開発、情報化を支援する中小企業経営革新対策というものと、産業集積における販路の開拓や人材の育成等を支援する中小企業集積対策というものを重点的に進めていくという考え方でございます。  特に中小企業の集積対策につきましては、産業集積の機能や特性に応じた支援策を一層充実してまいりまして、地域産業集積活性化法、これはまあ仮称でございますが、こうしたような法律と、そしてまたそのうちの関連の施策平成九年度の予算に盛り込んでこうした法制化も図っていきたいと、こういうふうに考えております。  今のように非常に厳しい状況にある繊維産地に対しましては、今のような中小企業の対策と繊維産業の対策、この二つを有機的に連携させる。ちょうど一枚の布を織るように、たて糸とよこ糸というふうな連携を持ってやっていきたいと、かように考えております。
  56. 松村龍二

    ○松村龍二君 大変前向きな御答弁をいただきましてありがとうございます。  繊維産業におきましても、せっかく日本が大きな消費地を持っておるわけでございますので、大変意欲的に、イタリア等に負けないような先進的な取り組みも一方で行われております。今週もそういういろいろなファッションの催し等も行われて非常に意気高いものもありますけれども、一方で量産定番品をつくっているところが東南アジア、東アジア等と競合できなくなっているといった両面があるわけでございまして、ぜひとも雇用の問題あるいは産地、産業育成といった観点から今後とも絶大なる御関心をお寄せいただきますようお願い申し上げまして、質問とさせていただきます。  終わります。
  57. 小山峰男

    ○小山峰男君 平成会の小山峰男でございます。  通産関係について御質問を申し上げます。  佐藤大臣、御就任どうもおめでとうございました。佐藤大臣は大変通産通だということの報道がなされておるわけでございますが、いろいろの報道関係、通産大臣の抱負等を拝見いたしますと、かなり行革については通産省が率先して各省の模範になるようにやるんだとか、あるいは各省で行革競争をやるんだとかいうようなお話が各報道関係に出ておるわけでございますが、残念ながらその行革の具体論が見えてこないという状況でございます。多分大臣はそれぞれ頭の中にはこういうことをやるんだというようなことをお持ちだと思いますので、その辺につきましてまずお聞かせいただきたいと思います。
  58. 佐藤信二

    国務大臣佐藤信二君) 小山委員お答えいたしますが、今おっしゃるように、私自身が就任するときに総理から行政改革をしっかりやれということと、経済構造改革を中心となってやれと、二つの大きな命題を実は賜ったわけでございます。  今申したように、この行政改革というのは橋本内閣の重要な課題でございますが、その認識は今申した経済構造改革を実現す多ための前段としてやらなければいけない、こうした意識でございまして、その柱は規制緩和ということが実は大きな柱だろうと、こう思っております。  これに関しましては、今総理のところでもって直属の機関というものを設けまして、そこでもって今の中央官庁を四ブロックぐらいに分けて、これのいわゆる統廃合というのが出てまいると思います。それに関しまして、私の方はそれがスムーズに移行するように、その前段として省内でもってある程度の軽減措置と申しますか、身軽にしておくということですし、そして今申したように、規制緩和ということは私の方の省庁が中心となってこれを推進していきたい、かように考えております。
  59. 小山峰男

    ○小山峰男君 確かに通産省の職務として産業構造改革規制緩和というようなものが当然必要なわけでございますが、前段として今おっしゃられたように通産省そのものをスリムにしてというお話があったわけでございまして、これはもう国民的にも大多数の皆さんが要望している、それを監視しているということでございますので、ぜひ大臣、率先してスリムな通産省をつくっていただくように頑張っていただきたい。  なお、あわせて、地方分権の中でもいろいろ論議されておりますが、いわゆる地方出先機関、通産局のような出先機関等の統廃合というような問題も含めて視野に入れていただきたいというふうに思っておりますが、その点いかがでしょうか。
  60. 佐藤信二

    国務大臣佐藤信二君) 今おっしゃるとおりでございますし、さらに付言すれば、特殊法人というものをやはり再度見直す必要があろうかと、かように実は考えております。
  61. 小山峰男

    ○小山峰男君 それでは、次の問題といたしまして規制緩和推進でございますが、昨年の十二月に通産省として各方面から寄せられた要望等に対する状況を発表しておるわけでございます。要望総数は四百十三件というふうに言われておりますが、措置済みあるいは措置予定のものが百四十一件、検討中のものが九十五件、措置困難なもの百九件、その他六十八件というふうになっております。これは昨年の十二月でございますが、約一年たってこの数字がどのように変化したか、それを教えていただきたいと思います。
  62. 広瀬勝貞

    説明員(広瀬勝貞君) 今、具体的な数字はちょっと持ち合わせておりませんけれども、私どもの規制緩和への取り組みについて簡単に御説明をさせていただきます。  平成七年の三月でございましたけれども、規制緩和推進計画というのをつくっておりまして、そこで政府全体として千九十一項目の規制緩和を挙げております。その中で当省の関係は百四十八項目でございますけれども、これに基づきまして、石油製品の輸入の自由化とか発電部門への参入の自由化とか、あるいは電気・ガス料金制度の改革といったようなことを既に行っております。  その後、平成七年の十二月でございますけれども中間公表等を行いまして、平成八年三月の規制緩和推進計画の改定では規制緩和の項目につきましてさらに百四十一項目の追加をいたしまして、政府全体では千七百九十七項目の規制緩和の中で、当省の関係は二百九十八項目、さらにこれから規制緩和に取り組むということになっております。  既にこの中で輸出検査制度等の廃止とか工業標準化制度の見直し等、あるいは外国為替管理制度の見直し等につきましては、次期通常国会で法案の御審議をお願いできるように準備を進めているというような状況でございます。
  63. 小山峰男

    ○小山峰男君 政府全体として数字としてはかなり規制緩和が行われたという状況かと思いますが、まだまだ国民としてはそう自由な経済社会が建設されたというふうにはなかなか実感できない状況かというふうに思います。  通産省が主体になって規制緩和を進めてほしいと願うところでございますが、私が先ほど申し上げました数字は、通産省が発表しました平成七年十二月二十七日の中間公表についてというものを申し上げたわけでございまして、いずれ機会を見てこの数字の現在の状況を教えていただきたいというふうに思います。  それから、私も通産省関係のいろいろ規制緩和を見てみますと、いやこんなものが通産省じゃないところの規制緩和の項目に入っているのかなというふうなことで、びっくりする部分がかなりあるというふうに思っております。  実は、長野県でも地ビールが今六カ所で稼働あるいは稼働が予定されているわけでございまして、これなんかも例の二千キロリッターが六十キロリッターに下げられたということで、そういう地ビールというようなものができるようになったということでございまして、これはもちろん大蔵のいわゆる規制緩和項目の一環ということになっているわけでございます。  産業という面から見ると、まさに本来的には通産が主導権を持って規制緩和を進めるべき事項というようなのが各省にかなりまたがっているというふうに思っております。いろいろの情報あるいは通信関係だとか、あるいは福祉の医療関連分野、これも厚生省との関連とか住宅、人材、流通、物流関連とかいろいろの面で、通産が必ずしも管轄していない部分の規制緩和で、しかも産業政策的に当然通産がやるべきものが多いというふうに思っておりまして、今後規制緩和構造改革についてはぜひ通産省が主導的な立場で各省をリードするような形でお願いをしたい。そういう形にならないと本当の意味経済構造改革もできないのではないかというふうに思っておりますので、大臣、御所見をお願いしたいと思います。
  64. 佐藤信二

    国務大臣佐藤信二君) 今、小山委員が御指摘のとおりでございまして、御質問の初めにまずございました地ビールという問題、これは大蔵省の国税局の管轄だというわけでございますが、私たちの方はいわゆる産業というような観点からはすべて通産省がそれにかかわりがある、こんな実は認識のもとに、今申したように、これからの規制緩和とかあるいは構造改革というものの中心になっていきたいと、かように考えております。  そういうことで、先ほどもちょっと申しましたが、経済構造改革の断行ということで、総合的な政策として経済構造の変革と創造のためのプログラムというものを当省でもって早急にまとめていく、そして各省と話を進めながらこの問題について取り組んでいって所期の目的を達成したいというふうに考えております。
  65. 小山峰男

    ○小山峰男君 ぜひ行政改革にあわせて規制緩和の面につきましても、そういう方向を一日も早く打ち出していただきたいと思うわけでございます。  次に、行政改革委員会規制緩和委員会の「規制緩和に関する論点公開」、第四次の分の中でございますが、いわゆる電気の関係で御質問を申し上げたいと思います。  自己託送の促進というような意味で、例の許可制がなくなって、企業が独自に電力会社と契約と申しますか、話し合いで託送ができる、自分の違う工場へ電気が送れるというふうになったわけでございますが、どうもこの自己託送が余り進んでいない、あるいはほとんどないというふうに聞いております。  発電につきましては、配電も含めて基本的に地域独占というような形の中で行われている中でございまして、この部分だけ、自己託送部分だけを許可制を廃止したからといってなかなかこれが進むものではないというふうに思うわけでございます。  この「論点公開」の中では、相対取引に任せていては託送は実現しない、適切な対価による有効活用の促進が望ましいというふうに述べられているわけでございますが、エネルギー庁、この辺につきましてどういうようにしたら本当にこれが実効ある形になるか、お考えをお願いしたいと思います。
  66. 岡本巖

    説明員(岡本巖君) お答え申し上げます。  行革委員会から、いわゆる自象発電の自己託送について論点公開という御指摘をいただいたわけですが、昨年十二月に施行されました電気事業法の改正によって、先ほど委員指摘のとおり、自己託送については、従前許可が要ったものを許可不要、電気事業者と託送を希望する方との相対交渉でやってくださいということに改めたわけでございますが、その後、私どもが聞き及んでいる限りにおいては、七年十二月の制度改正施行後、実績はないということで承知をいたしております。  その間、一部には、託送の打診があった場合に、そういうサービスはやっていないかのごとき冷たい対応があるというふうにも聞きましたものですから、私どもといたしましては、行革委員会指摘もありましたので、どういう場合にどういう条件でやれば託送に応じられるかという点について、ある種の予見可能性が得られますようなマニュアルとかガイドラインとか、そういうものをつくって託送を希望する方々のニーズにおこたえをしたらどうでしょうかということで検討の要請をいたしまして、今冬電力会社において鋭意検討を進めているところでございます。
  67. 小山峰男

    ○小山峰男君 先ほども私申し上げたんですが、電力というのは少なくとも地域独占という形になっている。その中で託送部分だけが自由になったということで、実際問題としては、これが実施されるのはいろいろ技術的な面も含めてなかなか難しいと思いますので、ぜひ実が上がるように通産省としてもそういう面では指導力を発揮してほしいと思います。  それから、いろいろ原子力発電等の問題もございますが、これからの発電につきましては白象発電というのをかなり重要視していく必要があろう。今、何かお聞きしますと、約一割程度の供給が自家発電で行われているというふうに言われているわけでございますが、さらに小規模自家発電等についても積極的な対応が必要だと思います。  通産省として、自家発電につきましてどういうふうに将来的に考えているのか、お願いしたいと思います。
  68. 岡本巖

    説明員(岡本巖君) 自家発電につきまして、従来からいわゆる電力会社の系統に連系をするということでありますとか、あるいは事故とか定期検査の際の補給電力供給、バックアップ供給をやりますとか、あるいは自家発の電気が余った場合に余剰電力を電力会社が買うというような形で、自象発といわゆる一般電気事業者との間には密接な協力関係があったわけでございますが、これに加えまして、昨年十二月に施行されました電気事業法改正のもとで、いわゆる卸電気市場というものを自由化するということに踏み切りました。  自家発の経験のあるような方々がいわゆる独立の卸電気事業者、略称IPPと言われておりますが、そういう形で発電部門に参入することができることになりまして、平成八年度の電力各社のいわゆるこのIPPからの電源の購入の入札予定枠としましては二百六十五万五千キロワットの募集をしたところでございます。先ほど委員指摘のように、鉄鋼とか石油精製でありますとか紙パとか、いわゆる素材系の産業を中心に一千八十一万キロワットの応募がございまして、結果としまして、三百四万七千キロワットの落札という形で、各電力会社は合計して三百四万七千キロワッ十分をいわゆるIPPという従前自家発をやっていたような方々から将来電気を購入するという決定をするに至ったところでございます。  私どもとしましては、安くて需要地に近いと、こういうIPPの電源というものをできるだけ利用するということは、それ自体大変望ましいというふうに考えておりまして、ひいては電力業界の経営効率化にも資するというふうに考えておりますので、来年度以降のIPPの募集枠についても電力各社に積極的に取り組むように検討の要請をいたしているところでございます。
  69. 小山峰男

    ○小山峰男君 次に、燃料費調整制度についてお聞きしたいわけでございます。  この制度は、消費者の利益を考えて、ある程度石油等が値下がりした場合に当然電力料金に反映させていきたいということで導入がなされたというふうに思うわけでございますが、実際問題としては、逆にこの制度に基づいて過去二回電力料金が値上げされているというようなことでございまして、また来年の一月には三回目の値上げが予想されているというような状況のようでございます。  この制度、つくった当初の趣旨とは違う形で機能してしまったのかなというふうにも思うわけでございますが、現行制度について、このままでいいのかあるいは何らかの手を加える必要があるのか、その点につきましてはどうでしょうか。
  70. 岡本巖

    説明員(岡本巖君) 燃料費調整制度は、今、委員指摘のとおり、原油価格あるいは為替レートの変更等がありました場合にそれを料金の方にできるだけ速やかに反映させるという一面と、もう一つ、まさに委員今御質問の中で御指摘なさいましたように、いわゆる為替レートとか原油価格とか外在的な要因に左右される部分をはっきり区分することによって各電力会社の経営効率化の努力がはっきり見えるようにするという、そういう趣旨のもとにスタートをした制度でございます。    〔委員長退席、理事吉川芳男君着席〕  その後の実際の推移については、残念ながら原油価格がかなり上向きで推移し、それから為替レートも御案内のように円安の方向で推移しているということから、これまでのところ燃料費調整制度のもとで二期連続若干の値上げ方向に働いたという点は先生指摘のとおりでございます。  私どもとしましては、これから先の原油価格とかあるいは為替レートの推移いかんによっては下げ局面というのが早晩出てくるということもあろうかと考えておりますので、発足したばかりの制度でございますので、この制度のもとで、一方で電力会社の経営効率化ということについて引き続きそれを促しつつ、為替、原油価格の変動の推移というのをいましばらく見守っていきたいというふうに考えております。
  71. 小山峰男

    ○小山峰男君 次に、特許等の審査処理の迅速化というようなことについて二、三お尋ねをしたいと思います。  特許等の審査処理期間につきましては、ペーパーレス化とかいろいろの御努力により、従来三年程度要していたものが現在では二年というような短縮がなされてきているというふうにお聞きしておるわけでございます。しかし、現在のこのスピードの時代に二年というのはまだまだ期間が長過ぎるというふうに思いますし、また外国等に比べても審査期間が長いというふうに聞いております。  特許庁は来年から十二年までの間に約一年に短縮するというような計画で現在進めているというふうにお聞きしておるわけでございますが、これは本当はぜひ一日も早くやるべきことだというふうに思っておりまして、その内容をお聞かせいただきたいと思います。
  72. 荒井寿光

    説明員(荒井寿光君) 特許権を迅速かつ的確に付与することは特許行政の根幹だと思っております。迅速ということが大変大事だというのは、先生から今御指摘があったとおりでございまして、私どもとしても従来から努力をしてきてはおりますが依然としてまだ二年で長い。かつてよりは短くなっておりますが長いわけでございまして、何とかこれを短くしたいということで考えております。  審査期間の一層の短縮のためには、一つは、やはり特許を審査するのは最終的に審査官でございますから、この審査官の増員をどのように図っていくかというのが一つ課題でございます。もう一つは、コンピューターの時代でございますから、コンピューターを十分に使って迅速に処理をする。それから三点目といたしましては、民間能力の活用ということで、民間にあります技術、能力を活用いたしまして特許の審査期間の短縮に努めてまいりたいと思っております。
  73. 小山峰男

    ○小山峰男君 いずれにしても、私も地元である会社の社長さんから話を聞いて、特許が遅かったために私の会社は大変な損失をこうむった。この点はぜひ国の方へ短縮をというお話もいただいているわけでございまして、お願いをしたい。  おくれる一つの理由としては、大変出願件数が多い、そういうことが原因だというふうにも言われているわけでございまして、何か世界全体の約三割を占めるぐらいの件数が日本では出願されている。出願そのものについても、似たような出願が出ないようにとか、いろいろの方策があり得るわけだと思います。だから、出願件数をできるだけ厳選した形で出願してもらうというのも大きな一つの方策だろうと思っているわけでございますが、いろいろの検索システムだとかあるいは情報のネットワークだとか、そういうことが当然なされていると思いますが、その辺の配慮についてどうお考えなのか、よろしくお聞かせいただきたいと思います。
  74. 荒井寿光

    説明員(荒井寿光君) 日本の発明、研究開発が大変熱心でございまして、そのこともございまして、日本では大変特許の出願が多くて、今御指摘ございましたように世界の三割を占めるということでございまして、発明が多いこと、特許の出願が多いこと自身は国家にとって好ましいことかと思っておりますが、同時にそれに対応する特許の審査体制が十分遣いついていないということでございます。  そういうことで、よく分析をしてみますと、特許の公告率と言っておりますが、いわば合格率のようなものが外国に比べて日本の場合にはかなり低いということで、企業が、あるいは個人の発明家の方が特許を申請されるときに、いろいろよく社内でチェックをしていただいたりして厳選をしていただいて、いいものを出していただくということが必要ではないかと思っております。そういうこともございますので、企業の方に出願や審査請求についてはぜひ適正にやっていただきたい。  それからもう一つ、特許の場合には幾つかの発明もございますので、それを一緒に出していただくという多項制という制度を日本でも導入いたしまして、一遍の出願で多くの発明を一緒に出していただければ能率が上がる、こういうことも制度として整備いたしましたので、企業によく事情をお話しして協力を要請してまいりたいと思っております。
  75. 小山峰男

    ○小山峰男君 それから、休眠特許の活用をして中小企業支援をということについてお聞きしたいと思います。  特許庁は、何か平成九年度の概算要求で休眠特許を中小・ベンチャー企業に活用させるための特許流通市場整備策というようなものを考えているというふうにお聞きをしておりますが、この施策の概要、あるいは休眠特許等をいかにみんなに利用してもらうか、その辺の考え方についてお願いしたいと思います。
  76. 荒井寿光

    説明員(荒井寿光君) 日本の場合に特許の出願が多いわけでございまして、そのことの結果、特許として発生しているものもかなりあります。今全体で六十八万件ございますが、実際に使われているものは三分の一だということで、今御指摘の休眠特許というものが全体の三分の二、四十六万件ほど日本にはあるのではないかと推定されるわけでございます。  これは非常に貴重な資源が活用されていないということでございますので、何とかこの休眠特許を活用して、日本のベンチャー企業が起きていくためになっていくことが必要じゃないかということで、特許の流通市場整備していくことが大事ではないかと思っております。  そのためには、売り手であります特許の保有企業企業の場合、大学の場合、研究所の場合等ございますが、そういう企業の方と特許を使いたいという希望を持っておられる中小企業の方やベンチャー企業の方、この出会いの場をふやすことが大事だろうということで、出会いの場としての特許流通フェアあるいはそういうものが可能になるような特許流通データベースを整備していくということが大事ではないかと思っております。  また、こういうことを可能にするためには、中小企業の方はいろいろこの特許の技術を把握するのになかなか大変でございますので、全国に知的所有権センターというものをつくりまして、そちらに特許流通アドバイザーを置いたりして中小企業の方にコンサルティングをする、指導する、相談事業に乗る、こういうことをすることによって休眠特許が生かされ、そして中小企業新規産業創出に役立っていくんじゃないかと、こういうことを今予算要求しております。これらの活用を通じまして、何とか中小企業の方の技術力の向上や日本の特許の有効利用に役立ってまいりたいと思っております。
  77. 小山峰男

    ○小山峰男君 次に、ベンチャー企業支援策についてお聞きしたいわけでございますが、この政策については中小企業創造活動促進法と創造的中小企業創出支援事業というようなものが主な施策の中心になっているというふうにお聞きしているわけでございます。そんな中で平成七年度に設立予定の財団、いわゆるベンチャー財団、これが十都道府県とか、あるいは平成八年度設立予定は三十二都道府県というふうに聞いておりますが、その状況をお願いしたいと思います。
  78. 石黒正大

    説明員(石黒正大君) お答えいたします。  委員指摘のベンチャi財団の設立状況でございますが、本制度は御案内のように平成七年度の第二次補正予算でスタートしたわけでございますけれども、既に四十一の道府県において設立をされておりまして、さらに来年度までにはそれに加わること四県が設立を予定いたしております。  それで、具体的にじゃどこまで事業をやっているかということについて若干御説明をいたしますと、これまでに十六道府県におきまして三十六の企業に対しまして二十三億円ばかりの投資という形の実績がございました。設立当初でございますので、そんなにわっと出てくるわけでもございませんが、本年度末までには合計百四十億円の投資が行われるのではないかというふうに見込まれている状況にございます。
  79. 小山峰男

    ○小山峰男君 これからの問題だと思いますが、大いに機能を発揮してベンチャー企業育成されることを願っているわけでございます。  創造的中小企業創出支援事業の運用につきましては、一部から、その民間ベンチャーキャピタルが自己資金を確実な投資に回す一方、リスクの高い投資に財団からの預託資金を充てるのではないかというふうに、運用上問題点を指摘する意見もあるわけでございますが、この点につきまして中小企業庁はどのようにお考えでしょうか。
  80. 石黒正大

    説明員(石黒正大君) 委員指摘のような意見があるのは承知をいたしておりますが、ベンチャー財団が行います直接投資というものは、あくまでもベンチャーキャピタルによる投資を補完するものという位置づけをいたしておりまして、したがいまして、これだけで成り立つわけではございませんで、あくまでベンチャーキャピタルがやったのに補完する形でついていく、直接投資をやるケースがあるということでございますので、御懸念の点はないものというふうに考えております。
  81. 小山峰男

    ○小山峰男君 ベンチャー財団あるいはベンチャiキャピタルが直接このベンチャー企業資金支援するということでございますが、そのベンチャーキャピタルなりの審査眼というか、こういう事業はいわゆる将来成長可能性があってベンチャー企業として支援してもいいんだというようなその判断をする、そういう人たちというか、人材の確保とか能力の開発とか、そういうことが大変に大事だというふうに思っておるわけでございますが、そういう点についてはどのようにお考えなんでしょうか。    〔理事吉川芳男君退席、委員長着席〕
  82. 石黒正大

    説明員(石黒正大君) ベンチャー育成のためには、資金技術、人材ということがよく言われておりますけれども、審査能力を高めるという意味では、ベンチャー企業自体の技術能力だけじゃなくて、それを生かすための審査人材といいますか、その部分が重要であるということは御指摘のとおりでございます。  ベンチャーキャピタルの審査能力は基本的にはベンチャーキャピタル自身の問題でございますので、それを積み上げていくということによるのが基本だろうというふうには考えておりますけれども、私どももいろいろ審査能力を高めるための工夫というものは我々なりに勉強をしております。例えば、有識者等から成ります審査委員会を設置いたしまして、ベンチャーキャピタルの審査能力は十分かどうかというのを督励するということもございますし、また、そういうのをベースにいたしまして、できましたベンチャー財団の運用に当たるガイドラインみたいなものをつくったり、いろいろ努力をしておるところでございます。
  83. 小山峰男

    ○小山峰男君 アメリカなんかだと銀行にそういう審査能力を持った人たち、グルーブが大勢いてというような話をよく聞くわけでございまして、これからの問題としてぜひそういう部分についても積極的な御指導をお願いしたいというふうに思っております。  時間もあれでございますので、最後に大型店の関係で若干お聞きしたいわけでございます。  大型店の問題は、規制緩和等、当然必要な面もあるわけでございますが、既存の商業地にとって大変な影響を与えることは御存じのとおりであるわけでございます。  今後の大型店の出店の見通しあるいは商店街への影響等についてどういうふうに考えているのか、その辺についてお伺いしたいと思います。
  84. 今野秀洋

    説明員(今野秀洋君) 大型店の出店の動向と見通しにつきまして、まず御説明させていただきます。  大規模小売店舗でございますけれども、この出店届け出数を見ますと、平成五年度以降、確かに増加傾向にございます。ちなみに平成七年度は二千二百六件届け出が出されておるところでございます。  この原因を見ますと、一つは乗用車の家庭への普及、これによりまして商圏が非常に拡大しているということがございます。また、消費者行動が変化してきておりまして、一カ所で買物ができる、ワンストップショッピングと申しますか、こういう利便性を求める傾向が非常に高くなってきております。また、規制緩和等の状況もございます。こういったもろもろの流通を取り巻く環境の変化といったようなものが影響しているというふうに考えております。  今後の見通してございますけれども、このような流通を取り巻く環境が今後どう変化するかということによって異なってくるものでございまして、一概に確たることを申し上げることは難しゅうございますけれども、平成八年度、ことしの前半のデータを見ますと、これまでのところ、ほぼ前年並みの届け出というところで推移しているところでございます。
  85. 石黒正大

    説明員(石黒正大君) 御質問の後半の部分の中小小売商への影響いかんという点についてお答えをさせていただきます。  我々、中小小売商あるいは商店街のサイドから見ますと、なかなか厳しい経営環境にございます。それは消費者ニーズの変化であるとか、価格競争の激化であるとか、モータリゼーションの進展、郊外への大型店の出店の加速化といったようなとらえ方をしているわけでございますけれども、こういう要因によりまして我が国の商店数は従業者一人から四人の零細小売店を中心に著しく減少を見ております。商業統計によりますと、平成六年の我が国の商店数は約百五十万店でございまして、平成三年から六年までの三年間に約十万店の減少を記録いたしております。  商店街では、御議論ございますように空き店舗問題も深刻化いたしておりまして、空き店舗がある商店街は全国の商店街の約八割五分、八五%ということで、全国の商店街の平均空き店舗率は約一割というふうな影響にあるというふうに考えております。
  86. 小山峰男

    ○小山峰男君 いろいろ影響も出るわけでございます。  大規模小売店舗法の見直しを平成九年度に前倒しで実施するという方針のようでございますが、この見直しに対する通産省の基本的な考え方、また、旧来の既存の小売店等に対する対応というのはだれが考えてもなかなか難しいことだろうと思いますがどのようにお考えか、最後に通産大臣にお聞きしまして、質問を終わらせていただきます。
  87. 佐藤信二

    国務大臣佐藤信二君) 今おっしゃるように、大店法に関しては内外から、廃止という話から、あるいはこれ以上の規制緩和は困るという大変幅広い意見が出ていることは御存じのとおりでございます。  実感としては、やはり消費者の方から考えると、一カ所でもって何でも購入できるという利便さがあります。片一方では、大型店舗の出現によって地域の商店街、小売商業者が非常に困っている、あるいはその町自体が疲弊する、こうした非常に極端な意見の対立があるということでございますので、今御指摘のように平成九年度にこうした制度の見直しということになっておりますが、その際には中小小売業の方々あるいは消費者の方々、学識経験者、いろんな方の実は幅広い意見を聞いて検討していきたいと、かように考えております。  非常にこれは難しい問題でございますが、両者がうまく立つように図っていきたいと考えております。
  88. 海野義孝

    ○海野義孝君 平成会の海野義孝でございます。きょうは通産省経済企画庁の方に御質問をさせていただきたいと思います。  最初に、佐藤通産大臣に御質問させていただきます。  先般の第二次橋本内閣の発足によりまして、佐藤大臣には通商産業の最高行政責任者として大臣に就任されたわけでございますけれども、お聞きするところでは、過去におきましても通産政務次官を御経験されているし、大変通商行政を熟知されているということでございます。  現下の我が国の抱えている、例えば経済あるいは財政税制等、大きな構造改革の問題に直面しているわけでありますけれども、そのような中で、当面の通商行政につきましての最重点の課題、一般には行政改革ということがよく言われますけれども、いわゆる産業の問題としては多くの問題を抱えているわけでございます。午前中から同僚の議員の方々からも御質問がありましたように、いわゆるコスト高構造の問題であるとか、あるいは産業空洞化の問題であるとか、あるいは製造業の海外生産比率が著しく上昇していることであるとか。我が国の当面の財政問題にとって考えましても、いわゆる収入をふやしていく、経済成長率を押し上げていく、そういった中でも通商産業問題については取り組むべき問題が多々あるかと思うんです。  そういったことも含めまして、佐藤大臣、当面最重点課題としてどのようなことにお取り組みになるか、その点についてひとつ御所見をお聞かせいただきたいと思います。
  89. 佐藤信二

    国務大臣佐藤信二君) 今、委員の方から非常にお褒めの言葉がございましたが、私自身、そうした経歴というか経験を積んでいることは確かでございますが、どうも昨今大変急激な変化というか内外情勢は大変な変化がございますので、まず初心に戻ってこうした通商行政に取り組んでいきたいと思いますから、よろしくまた御指導をお願いいたします。  今おっしゃったように、行政改革だとかあるいはまた構造改革ということが今非常に言われておりますが、やはり何といっても一番通商行政として大事なことは、現在の景気が一体どうなっているのかというところから入りたいと思います。  御存じのように、最近の景気の動向というのは、住宅投資、設備投資、そういった民間需要が一応堅調に推移しているということで、緩やかながら回復の基調を続けているというふうに認識はしております。しかし、大企業と中小企業という間に大分格差がございますし、また地域差あるいはそこにおいて雇用の情勢というのが改善しつつあるものの大変厳しいと、こうしたことでございます。こうした中でもって景気が民需主導で自律的な回復の過程へ移行できるか、引き続いてこの景気の問題というのを注視しながら適切な経済運営というものに努めてまいりたいと、かように思っております。  これから先というか中長期の安定を実現するということでは、先ほどから申し上げていますように、経済構造改革というものを積極的に進めていかなければいけないと、かように思っておりますし、その中において、行政改革の一環としての規制の緩和というものにも真剣に取り組んでまいりたいと、かように考えております。
  90. 海野義孝

    ○海野義孝君 大変積極的に当面の行政にお取り組みになるということを伺ったわけでありますけれども、そういった中で、今景気の問題ということについて大変御心配され、またいかに景気を浮揚させていくかということで御腐心される。これは後で麻生企画庁長官にもお尋ねしようと思っているわけでございます。  そういった中で言われております問題は、いわゆる補正予算の問題、あるいはまた所得税等の来年四月以降の恒久的な減税の問題、これを継続されるのかあるいは今年度限りにされるのか、こういった面もやはり来年の景気浮揚という重要な問題について大変重要な施策になるんではないかと、このように思うんですけれども、この点、通産大垣のお立場としてはどのように現在お考えか、お聞きしたいと思います。
  91. 佐藤信二

    国務大臣佐藤信二君) 今おっしゃるように、私の方としては、今の景気というものがまだ確かなものでないと、こうした前提に立った場合に、来年の四月から消費税が二%ほど上がるということでございまして、しかもここ一、二年続いておりました特別減税が続かないということになると、やはり購買力に対して影響があるんではないだろうかと、それについて心配していることは事実でございます。しかし、今申したように、景気の見通しによってそこのところは総合的に判断をすべきものだと考えております。
  92. 海野義孝

    ○海野義孝君 今のことに関連しまして麻生企画庁長官に御質問させていただきたいと思います。  今、我が国を取り巻く諸環境は大変厳しいものがあるわけでございますけれども、そうした中で経済企画庁長官として御就任になった。これから大変な御苦労があろうと、率直にそう思うわけであります。  そういった中で、今、来年の予算編成も控えておるわけでございますけれども、そうした中で景気論争といいますか、一体景気はどうなるんだというようなことが巷間、官民ともに言われるわけであります。  そうした中で、先週ですか、十一月の月例経済報告を序としてお出しになりました。十月に引き続きさらにまた半歩前進したというようなことで、いわゆる民間需要というものがかなり上向いてきたというようなことをその月例経済報告のコメントの中では序として述べていらっしゃるわけであります。しかしながら、考えてみますと、雇用情勢というのは三・三%ぐらいの失業率というようなことで、やはり依然として大変厳しい状況が続いている。あるいはまた、いわゆる金融の貸し出しの状況等を見ましても、これは民間の設備投資がやや上向いてきているというような中で資金需要が出てこないのか、金融機関の貸し出しかほとんどふえていないというような面から見ると、ややそういう面でも心配があるんです。  そういったことから考えますと、今こういうような時期でございますので、今回やや強目のお見通しをお出しになったことについては、やや景気対策必要論というものに対する牽制ではないかというようなことが言われるし、私もその辺のところは、それほど景気がよくなってきているかというようなことについてはやや心配な面が多いんです。率直なところ、まだ長官に就任されて間もないわけですから、そういった面でひとつ新鮮なお立場で率直にその辺のところの見通しというか、当面の、ことしの経済がどうなるんだというようなことについてまずちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  93. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) それではまず最初に、海野委員には、経済構造改革等につきまして大変長期的な問題に取り組んでおられますので、そういう意味で私どももいろいろ勉強させていただくことも多く大変感謝を申し上げておるところです。  今お話があっておりました経済に関しまして、特に当面の経済運営ということだと思いますけれども、十一月の月例報告にも出させていただきましたように、少なくとも数字の上で見れば間違いなく十月に比べまして十一月の方が動いたようになっているわけですね。先月に出しました分に比べれば今月の方がいろんな意味で、消費動向また車の売り上げ台数、設備投資住宅投資等々いずれでも前月に比べて上がってきておりますので、あのような形になって報告を、少々文学的表現に過ぎるかもしれませんけれどもちょっと前よりはよくなったという形の表現を出させていただいておるところなんです。  こういったものが少なくとも今後安定したことになってずっとこのままいくのかどうかというところに関しましては、まだ確実な確信が持てたわけではありませんけれども、少なくとも数字の上ではそのような形になっておるということだけは間違いないところでもありますので、前月に比べればということだと思っておりまして、自律的な景気回復が進んでいくように期待はいたしておるところであります。  ただ、これを今後中長期的に見て、先ほど佐藤通産大臣の方からもお話があっておりましたように、中長期的な問題としてこれを確実なものにしていくためには、先ほど御指摘にありました構造改革というようなものをやっぱりしていきませんと、日本の国としては、今までのような形で単なる景気波動としての不況とか不景気とかいうのではなくで、日本経済自体が抱えております経済構造というものを少なくともこれからの、グローバライゼーションとかメガコンペティションとかいろんな表現があっておりますけれども、そう。いった時代に合わせていくために構造改革をやっていかぬ限りは、いろんな産業の方々もそれに対応していく自信も持てないところでしょうし、そのためには規制緩和等々、今六つの分野とよく言われておりますあの分野につきまして今後やっていかねばならぬところだと思っておりますので、経済効果が特に高いと思われます御存じのような六つの分野につきまして私ども三党合意というのもいただいております。  そういったものとして私どもとしてはこれをきっちりやっていくことが、少なくとも先行きこれで間違いなくいけるという気持ちを消費者の方々にも、また企業の経営者の方々にも持っていただくということになりませんと、いわゆる中長期的な安定したものとして景気の、数字ではなく気分の問題として景気感の方もよくなってまいりませんので、そういったことも考えて対応していかねばならぬと思っております。
  94. 海野義孝

    ○海野義孝君 これは一部新聞等で報道されましたけれども、長官が御就任のときに行革問題、これはまさに御庁は行革の先頭として旗振りをしていかれるというお立場にあるけれども、その長官の御発言というのがやや曲解されて伝えられたかと思いますが、今の御答弁で大変前向きに取り組んでいかれるということでございますので、その点はまず安心したということでございます。  もう一つ長官にお聞きしたいんですけれども、いよいよまた来年度の予算編成が行われるということで、その前提となります政府経済見通しというのをまた来月には御発表になろうと、こういうことかと思うんです。これまでの我が国の抱えているまさにいろいろな構造改革の問題に象徴されますように、近年の我が国経済というのは大変厳しい状況を続けてきたということであります。  先ほど佐藤通産大臣からもちょっとお触れになりましたけれども、来年の四月からは消費税を二%アップするということを政府としては決定されているわけであります。そういった面で、一方ではいわゆるデフレ効果的な面が心配されますし、それからもう一つは、今年度におきまして、来年四月からの消費税のアツブということに絡みまして、例えば住宅建設、これは今大変好調でありますけれども、あるいは自動車、高額耐久消費財、こういったものが言うなれば今大変いいわけですが、これはある面で言うと、来年の四月から消費者にとって価格の上昇ということになるわけですけれども、そういったことから、言うなれば前倒しで需要が起こっている、その反動が来年心配されるのではないかというようなことが、特に民間のシンクタンク等におきましてはそういう厳しい見方をしている。来年は経済成長が実質一%以下ではないかというふうな見方をしているようなところもありますけれども、これはまだ政府としての公式な御発表は来月ですから今の段階で数字を求めることはいたしませんけれども、私は来年度はそういう意味では大変厳しいことになるんではないかという懸念を持っているわけです。  このことは、一方で、来年の財政再建の、いわゆる構造改革の初年度ということからの取り組みとも絡んでくる大変重要な問題であろうと。見通しが甘ければ税収の予測を、判断を誤るというようなことが結果的に予算の収支について大変なそごを来していくというようなことは過去においてもあったわけでありますので、そういった点が特に、来年度そういった見通しについては、政府経済成長見通しというものの背後にはいろいろな目的というか意味合いがあるわけですけれども、その辺のところを踏まえて、ことしに比べて来年の日本経済というものをどのようにお考えになっているか。何か思い切った景気対策というようなものを講じないと厳しいんではないかというようなことも踏まえてひとつお答えいただきたいと思います。お願いします。
  95. 小林勇造

    説明員(小林勇造君) 景気の現況につきましては先ほど来大臣からお答えがございましたように、民間需要が非常に堅調さを増してきておるというような状況にございます。  今年度の下期についての景気の見方でございますが、基本的にまず金融が緩和基調にあるということが大前提でございますが、一つには、日銀短観で見ましても雇用情勢が徐々に回復しつつございますし、こういうことから個人消費も底がたい動きを続けるんではないかと見ております。  それから二つ目は、先般公表させていただきました機械受注等の先行指標が好調なことや企業収益も引き続き回復傾向にあるというようなことから、設備投資についても堅調に推移すると見込んでおります。  それから三つ目に、低金利等を背景に民間住宅投資が当面は高水準を保つんではないかというふうに期待しておりまして、我が国経済全体としては公的需要から民間需要主導の自律的回復へと移行していく基盤が整いつつあるんではないかというふうに認識しておるわけでございます。  先生指摘の来年度の経済見通しについてでございますが、この問題については、例えば来月の初めに七−九月のQEが発表されるとか、さまざまな経済指標がこれから出てまいりますので、そのような今後の経済の状況も踏まえて考える必要がございまして、これらを総合的に勘案して予算編成と同時に十二月にお示ししたいというふうに考えております。
  96. 海野義孝

    ○海野義孝君 ニュアンスの面である程度判断はできるわけでありますけれども、民間のいろいろな調査機関等のお話を聞いたのと今の御答弁では大分感触が違うなというように私は思います。今後のそういった景気というものは、ことしから来年というのがまさに正念場にあるということでございますので、そういった意味で景気を浮揚させるということにやはり全力を挙げて取り組むべきであるということを申し上げて終わりたいと思います。  もう一つ麻生長官にお聞きしたいんですが、先ほどもちょっとお触れになりましたけれども、昨年の十二月の政府の決定で「構造改革のための経済社会計画」というのを御発表になった。これは二十一世紀に向かっての向こう五年間の一つの、これは戦後十三回目の経済計画ということを伺っていますけれども、この中には大変盛りだくさん、いろいろあります。  私は、きょうは特に産業というような面から考えまして、今いろいろと問題になっておりますような高コストの問題であるとかあるいは空洞化の問題であるとか等々含めて、まだああいった計画を御発表になってから一年足らずという状況でございますけれども、そういった中で一つ払お聞きしたいのは、規制緩和という問題はそういった構造改革の中で大変大きな問題であろうと。先ほど同僚議員からも御質問がありましたけれども、そういった意味で、たしかこれは九月か十月ごろだったと思うんですけれども、企画庁で規制緩和経済効果、いわゆる雇用促進効果あるいは経済成長率を押し上げる効果、そういったことについてたしか試算をされたというか調査をされたというようなことをちょっとそのころ承知したんです。  これについて、私の記憶からすると、規制緩和の問題ということは既得権の問題とかいろいろと痛みがあるわけでありましょうけれども、やはりこれはどうしても当面の日本の景気を浮上させていく、あるいは産業構造を大きく変えて新規産業創出していくといった場合にも大変重要な問題だろうと、こう思うわけであります。  そういった面で、規制緩和のそういった経済効果ということについての状況と、今後のそれの見通しというか、さらにどう取り組まれるかというようなことについて簡潔にひとつお答えいただきたいと思います。お願いします。
  97. 小林勇造

    説明員(小林勇造君) 先生指摘のように、先般、これまで実施された規制緩和の効果が経済全体でどの程度の規模となっているか試算を行っております。  本試算では、情報通信流通住宅等主要な分野、項目を取り上げまして、これら項目における消費、設備投資等について従来のトレンドから増加している部分等を規制緩和効果とみなして集計したところ、九〇年度以降の年平均で名目GDPを約一・七%程度押し上げている、実額にいたしまして七兆九千億円程度というふうに試算しております。  この試算は、規制緩和のマイナスの効果を勘案していないこと等から、項目によっては過大となっている可能性がございますが、そういう意味で十分幅を持って見る必要がありますけれども、規制緩和は相当程度のやはり消費や投資を生み出す役割を果たしていると見られます。  今後とも、このような試算等をもとに規制緩和の議論を一層深めていくことが重要というふうに考えております。
  98. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 海野委員指摘のとおりですが、今例えば情報通信を思い出していただければおわかりと思いますが、あれをやりましたおかげで、少なくともあの真っ黒な電話しかなかったものが、最初はテレホンカード、次がポケベル、コードレス、自動車電話、それから携帯電話、PHSと、この数年間あの規制緩和のおかげでそれはすさまじい勢いであの種の分野というのは大きく出てきたところはもう御存じのとおりであります。それが一つの文化になるぐらい携帯電話、PHS等々、非常に大きく影響を与えて、経済効果、今申し上げたような全体として七兆数千億、GDP比一・六、七%という数字までになっておるんです。  今後の、今度は先ほど申し上げた六分野につきましては、これは計算もまだ終わっておるところではありませんし、これは一体どれだけ、十二月初めに出まずこの六分野経済構造改革なるものができました後、これ実際どれぐらいやっていただけるのかどうかというところが大変大事なところだと思いますが、それにつきましての計算はまだでき上がっておるわけではありませんので、この点につきましてはまたいずれかの機会に、でき上がりました上で御質問いただければ答弁させていただきたいと思っております。
  99. 海野義孝

    ○海野義孝君 このほかに、産業構造改革の問題等々いろいろ御質問したいこともありましたけれども、午前中来、同僚の委員の方々からいろいろと経済構造改革の問題等につきましても御質問がありましたので、その点はひとつ私は省略させていただいて、次に、これは現在また大変残念な事件が起きているということについて、これはどうしても、国会も今開会されておりませんし、そういったことですので、この場で率直なところをひとつお聞かせいただきたいと思いましてあえてきょうはお聞きしたい、このように思うんです。  実は、昨日も深夜にかけまして厚生省のいわゆる役人の方の不祥事件の問題、これが出ました。昨年来、住専問題と前後しまして大蔵省のそういった問題もありました。ことしになりましてからはエイズの問題につきまして、これも大変国家的な大きな問題として、改めて現在の政治あるいは行政、こういったものに対して国民からも大変厳しい眼で見られるようになったということでありまして、私ども政治家としましても心してこれから国政のためにも取り組んでいかなくてはならないし、また官庁の方々あるいは業界の方々、すべてがやはりそういった面で襟を正していく。そして今後、大変な我が国の今の状態、また国際的にも大変厳しく見られている現状にありまして、そういった点でもこれからひとつ改善あるいは是正することは是正する、問題の点はきちんと正していくということをやはりやっていかなくてはならない、このように思うわけであります。  そこで、今回というか、ちょうどあれはいわゆる第二次の橋本内閣が御出発になったあのころ、ほぼ同時だったかと思いますけれども、いわゆる泉井石油商会事件というのが出ました。私も長いこと証券界におりまして、産業調査なんかも何十年がやっておりましたのであります付れども、まずあのときに思ったのは、そういった中小のいわゆる一スポット業者といいますか、石油ブローカーといいますか、そういった人が業転のことで日本の巨大資本、こういったものとのかかわり合いを持っているというようなことが最初出てきまして、それからその後この問題がだんだん言うなれば今いわゆる政官業、こういったことに絡むというような問題で、私どももこの行方につきましては大変心配をしているわけでありますし、また国民の我が国の行政あるいは政治に対する不信というものがさらに高まるということに対して大変私は心配しているわけであります。  現在のところまだ東京地検の特捜の調査中ということでありますけれども、大臣あるいはエネルギー庁の方としまして、石油行政という問題から見て今回こういう事件が起こったということについてひとつお考えというか、我々からすると大変わかりにくい問題なので、その辺のところについて少しお話しいただければと思うわけです。
  100. 江崎格

    説明員(江崎格君) お答えいたします。  この件につきまして現在報道されております内容を見る限りにおきましては、個別の取引としては大変多額の手数料を取っている、あるいは口銭を取っているということで、いわゆる業転取引としては非常に特殊な事例ではないかというふうに認識をしております。  通常、委員も御承知のとおりですが、業転取引というのは系列外の取引で需給の調整をするために行われる取引というふうに一般に言われておりますけれども、こうした取引というのは、石油の場合で言えば一種のプロ同士の取引でございまして、マージンなども決して高いものではないというふうに承知しているわけでございますが、そうした一般的な私どもの持っておるような認識からしますと、今回の事例は極めて特殊な例であるという認識をしております。  いずれにしましても、本件につきましては、委員も今御指摘のように、所得税法の違反容疑で検察当局が取り調べ中でございますし、また当事者間でも係争中であるということでございます。したがいまして、私どもとしてはこうした検察当局の取り調べの進展などを注意深く見守っていきたい、このように思っております。  ただ、仮にこのような取引について、石油製品の安定的供給など石油行政にかかわるような一般的といいますか、普遍的な政策的な課題が明らかになった場合には、もちろんその時点で適切な措置をとる必要がある、このように思っております。
  101. 海野義孝

    ○海野義孝君 佐藤大臣もひとつお願いします。
  102. 佐藤信二

    国務大臣佐藤信二君) 今、御指摘のように、この泉井問題が起きて新聞報道されたとき、私自身選挙戦の真っただ中でございまして、余りよく内容を把握していない。それと関係のあるというか所管の大臣になったというので、まさに仰天したというのが心境でございましたが、それはさておき、この問題で、今の話のように一般常識からいうと、この業転というのは合法的な取引であってもちょっと多額のマージンが動き過ぎたというふうに実は感じております。  しかし、今申したように、この問題は泉井という人の脱税問題ということでございますし、その問題に関しては、その背景となるルートというのが、新聞紙上でございますと、まず一つは石油の開発に関する疑念だと。その方は、石油公団その他というものによく事情を聞いてみても、当省の者が介入するというまず余地がないと。あるいは、三井炭鉱の方の話でございますが、これもこの閉山自体が決定したというか、いわゆる発表もまだしていない段階でございますので、これもないと。  そうすると、一般的に、この泉井という人がいわゆる政財界、そしてまた芸能界、スポーツ界、多くの人と面識があったということでございます。そういうことに関しては、今のこの犯罪の構成とは別に、綱紀の問題であろうと実は考えております。  きょうも、今御指摘のように、厚生省であのような事件がございまして、それにおいて、直観的にですが、やはり今の官僚の諸君が本来の使命感と責任感というもの、これが欠如して、そして自分たちの行動に責任を持つべき立場にある人が心の緩みというかそういうことからあのような行為に走った。同じことが当省でも言えるのかなと実は気はしておりますが、今申したように、少なくとも泉井の事件というものに関しては司直の手が入っているということで、本件に関しては冷静にこの推移というものを見守っていきたい、かように考えている次第でございます。
  103. 海野義孝

    ○海野義孝君 命の御答弁では私もいささか不満であります。  というのは、これは端緒は脱税事件というようなことであったようでありますけれども、これは大阪地検で告訴されてそれが東京地検の特捜部に移送されたという点、そしてしかもこれは脱税事件を取り扱う財政経済チームではなくて汚職事件などを担当する特殊な直告チーム、こういったところが実質的に調査しているというような報道もあるわけであります。  私は、この問題は五十六億円のいわゆる業転というような問題でここで議論をするというようなことはおかしいのであって、そもそも既に二十数億円が三菱石油に還流した。そしてまた、いわゆる政治家等に対する政治献金というのは微々たるものであって、実際には政治家の裏金としてそういったものが使われているんじゃないか。例えば交際費が十一億円あったとか、あるいは使途不明金が五億数千万円あったとか、司直の手で今捜査中でありますけれども、いろいろな疑惑が出てきているというようなことで、私どもの方でいろいろと調べてみますと、最初、三菱石油と泉井氏との間にそういったお金のやりとりはなかったということから、実は三菱石油から泉井氏に金を渡し、そしてまたそれに対するバックがあったとか、こういうようなことがあります。  どうもこの問題は、いわゆる石油資源開発に絡んで三菱石油と泉井氏との間でそもそも始まったということが実は一九八七年の当時の新聞報道にも出ているわけであります。折しも、このときはベトナム政府が油田開発の対外的な開放政策を表明した年であった。九一年に油田の自主開発を目指した三菱石油がこのベトナムの沖合の油田開発の入札に失敗した。しかし、その後取り組みの強化を行ったと思われるということで、実はその後一連の、日本がアメリカに先駆けて対ベトナム経済制裁解除とかODAの再開とか、こういったことを行っていた中で、三菱石油が実はベトナム国営石油会社と提携して日本ベトナム石油を設立した。その中に、その五〇%を石油公団が出資し、さらに試掘の経費の七〇%、合計して両方で七十億円を出資、拠出している、こういったようなことも明らかになっているわけであります。  こういった面からして、私もちょっと乏しい調査力ではありますけれどもいろいろ調べてみましたところ、石油公団初め大変たくさんの石油関係の財団法人とか特殊法人がありますけれども、そういったところへも相当通産省の官僚の方々が天下っているというようなことが実はあるわけです。  時間もありませんから、これ以上は次の機会にまた機会があれば申し上げたいと思いますけれども、大変この問題について私は考えていることは、ぜひとも委員長、いわゆる通産省から資源エネルギー庁、あるいは石油連盟、石油公団その他多くのそういった関連のところがありますけれども、私どもの方でもある程度は調べておりますが、いわゆるこの石油行政という問題は大変利権の絡んだ大きな問題である、このように思いますので、そういった面で、事前にもちょっと申し上げてありますけれども、通産省、エネルギー庁の方からそういった関連の業界あるいは関係団体等への天下りと言ってはなんですけれども、そういったところへ最近もなさっている、そういった方のリストをぜひとも発表していただきたい、このように思いますが、その点大臣それからエネルギー庁の関係の方々、御答弁いただきたいと思います。
  104. 佐藤信二

    国務大臣佐藤信二君) 今、私の話が若干舌足らずだったかもしれませんが、この問題を私自身はかばうという気持ちは毛頭もございません。今言われたように、政界にとかほかの話ではなく、私は今通産省大臣として通産省の役人がこの問題にどういうふうに絡むかということが一番問題だろうと、かように実は考えているわけでございます。  それにおいて、今御指摘のように、ベトナムの開発ということは、詳細が必要でしたらエネ庁の方からでも説明をさせますが、私の認識では、これには通産省自体が絡むという要素はなかった。かように実は考えているからあのようなことを申し上げたわけでございます。  今のこれに関するのは、私も同じような実は意識を持たせてもらっているのは、新聞報道というのが若干先行しているんではないだろうか、かように考えておりまして、はっきり言って幾らほど還流したというのは実は詳細はまだ聞いておりませんし、またそのことは今司直の手が入っているということで、検察並びに国税の方が懸命にこれを精査しているというふうな認識を持っています。
  105. 江崎格

    説明員(江崎格君) 石油開発についてお答えいたしますけれども、今委員指摘の点は、三菱石油がベトナム沖の探鉱の権益の問題につきまして、九二年の三月にベトナム国営石油会社が国際入札を行いましてこれに応募したわけでございまして、結果として落札したわけでございます。ただ、これは通常の手続にのっとった公正なものであるというふうに私ども承知しております。  それから、石油公団の投融資でございますが、七〇%という今お話がございましたけれども、これも通常のルールにのっとっておりまして、一般的にこういったケースの公団の投融資率というものは七〇%ということになっております。なお、本件は実はルール上八〇%までいけるケースだったんですが、これはむしろ日本ベトナム石油からの要望で七〇%というふうに抑えております。  ということで、その融資につきましても、公団につきまして技術的あるいは経済的観点から厳正に審査をしておりまして、私どもの承知しているところでは何ら不公正な事態は存在しないというふうに承知しております。
  106. 海野義孝

    ○海野義孝君 時間がちょっと超過して申しわけありませんけれども、一言だけ申し上げて終わりにしたいと思います。  今、大臣からも大変力強い御答弁をいただきまして、こういった問題についてはきちんとやはり状況を掌握され、また御発表をしていただいて、そして今行革等の問題につきましても我が国としましても大変大きな関心を持っておる中で、こういうような各省庁でいろんな問題が出てきているということについては、やはりきちんとこれを厳正に処分というか対処をしていただきたい。  私の知るところでは、既に一九八七年に三菱石油が泉井氏に対して資金供給を始めたといったことがありまして、そういったことから以降、こういった巨額のいわゆる資金がいろいろな形で、ルート取引とかいろいろなことが言われておりますけれども、大変仕組みのわかりにくい、そういった中で膨大な資金が使途不明とかいろいろな形で現在さまよっているということでありまして、厳正にこれを調査、捜査していただいて、国民の前にこの問題についても明らかにしていただくということが今後の行政の前進のために私は大事なことであると、このように思いますので、ひとつよろしくお願いを申し上げます。  委員長にも先ほど申し上げたリストの件、よろしくお願いします。  大変時間を超過して申しわけありません。以上で終わります。
  107. 清水澄子

    ○清水澄子君 佐藤大臣、御就任おめでとうございます。  早速でございますが、今質問のございました大阪の石油卸商泉井石油商会の所得税法違反で東京地検特捜部が捜査に乗り出している事件についてお聞きをしたいと思います。  今、いろいろお話がありましたけれども、泉井石油商会は業者間に石油を転売する石油卸商ですが、非常に高率といいますか売買益の八五%という高率の石油仲介手数料を三菱石油から受け取っていた。そして、今もお話がありましたように、それらのことがベトナム沖の石油開発に絡んで起きていたということも絶えずうわさもあり、報道もされておりました。  これらについては、また私どももいずれ質問の機会を持ちたいと思いますが、きょうはここでは、新聞報道ではございますが、これらの件で国税当局などによるとして、通産省など中央官庁の現役そしてOB幹部で、この卸商から宴会やゴルフ接待を受けた官僚は百人以上と指摘されております。  このところ、厚生省の幹部と埼玉県の社会福祉法人理事長との収賄の逮捕事件まで起きているわけですが、それだけではなくて、大蔵省幹部への過剰接待とか都道府県の空出張問題など、最近官公庁における規律の緩みといいますか、あるいは官僚と業界の強い癒着において非常に私は今日異常な事態が起きていると思います。そういう中で、私は大臣にお伺いしたいと思います。  橋本政権は、行政改革を掲げてスタートされました。そのもとでの大臣は、こうした官公庁における腐敗、そして官僚と業者の癒着についてどのようにお考えをお持ちか。そしてどのように対処をされようとされているのか。このことについてひとつ御見解をお願いしたいと思います。
  108. 佐藤信二

    国務大臣佐藤信二君) 今、清水委員から御質問がございまして、基本的には清水さんと全く私自身同じ気持ちでもって今の職についております。  と申し上げるのは、今起きております泉井問題、これは先ほども申しましたように、泉井商会の脱税事件ということで社長が逮捕されて、今その取り調べを受けている、こういうことでございますが、それを通じて当省の職員というか、それとこの泉井という人との関係がいろいろ新聞あるいはその他のマスコミをにぎわわせておりますことを大変私自身も憤慨し、心配しているものでございます。  こうした問題が起きますのは、やはり長い間のなれということで、先ほども申したように、公務員というものが本来持つべき使命感と責任感というものを欠如してきた。俗に言う綱紀が素乱しているんだろう、こう実は思うんです。  今言われたように、行政改革という、一口にそういう言葉で集約されますが、もっとそれを平たく言えば、要するに国民の全体の奉仕者である公務員が、また国民の税金をもらっている公務員がそれだけの仕事をしていないという一言に尽きるんだろうと。だから人を減らしたり、人一倍の仕事をしよう、かようなことだと思うんです。その場合に前提になるのは、高い倫理観というかそんなものが必要だな、こう思っております。  そういうことで、私自身、先ほど申したように、本件とは別に刑事問題ではなくても一般常識からいって、過度の接待を受けた者は、これはまだその段階において厳正に対応していきたい、かように実は考えているわけでございます。
  109. 清水澄子

    ○清水澄子君 大臣、今お考えを述べていただいたわけですけれども、まず通産省の幹部に対する疑惑も、それは特に接待を受けたということも取りざたされておるわけですから、そういう問題がうわさなり報道なりされている以上、やっぱり大臣みずから通産省内部の事実の解明を私は指示される必要があると思います。  そして、それを率先してなさることにおいて初めてこの問題に対する綱紀というものが厳正に行われていくものと思いますので、そのことを速やかに指示されることを求めますし、そして同時に、どのような問題があるかということを公開されることを私は要求したいと思いますが、いかがでしょうか。
  110. 佐藤信二

    国務大臣佐藤信二君) 今おっしゃるとおりでございますが、ただ最近の報道を見ると、若干本質から逸脱した興味本位のような記事もあるのではないだろうか、きょうのある新聞は職員がタケノコをもらったというような記事まで載っております。そうしたときに、やはりこれは大きな問題としては、その個人の名誉もありますが、省全体の名誉もあるわけでございまして、その点を実は私自身が苦慮しているわけでございます。  それで、当然のことながら、先週でしたか、次官と官房長を呼びまして、この問題に関して一体どういうふうに考えているのかということは話をよくしておきました。その後、新聞だとかその他からよく聞かれることは、調査を開始しているのかと、こんな質問でございますが、私自身今申したような観点から、この問題に関してはある程度自分自身の、何というんですか問題点というか、そういうものを把握しているつもりでございますから、格別に調査を依頼したということはございません。
  111. 清水澄子

    ○清水澄子君 私は、直接調査をされるように求めます。求めているわけです。ですから、そのことをどうぞお酌み取りいただきたいと思います。  次に、この決算委員会平成六年度の歳入歳出の決算委員会でございますので、私はそれに沿いまして、特に電源立地促進対策交付金等についての質問をさせていただきたいと思います。  まず、ことし八月に行われました新潟県巻町の原発立地の賛否を問う住民投票では、住民の六割が反対するという結果が出ました。巻町の町長は、住民投票の結果を受けて、予定地の町有地を売却しないということを言明されております。これにより巻原発の建設は事実上延期あるいは凍結されることになったわけだと思います。もしこの巻原発が着工されれば、約四十三億円の電源立地促進対策交付金が地元に支払われることになっていたと思いますけれども、巻町の住民はその四十三億円よりも原発のない町を選びました。  そしてまた、最近の十一月十七日の宮崎県串間市の市長の選挙におきましても、やはり原発立地に反対して、そして当選一年以内に市民投票の公約を掲げた候補者が当選をしております。  このことは、今後の原発立地は従来に増して、住民や国民の関心が原発立地に対して余り従来のようには簡単にいかないということを予測させていると思いますけれども、通産大臣はなぜ原発の立地が困難になったと認識されておられるのか。そしてもう一つは、これらはこれまでの利益誘導型の地域振興策を中心とした原発立地政策の見直しが求められているのではないかと思いますが、その点についてお考えをいただきたいと思います。
  112. 佐藤信二

    国務大臣佐藤信二君) 今、清水委員の方からお話がございました。まず巻町の話でございますが、これは御存じのように、地元でもって町議会あるいは町長が町議会の決定を受けて誘致ということ、そしてこれを県に求めて、県議会も知事の同意を得て電調審の方にもかかったということでございます。  今言われたように、まず基本的には、これからの我が国のエネルギー政策というものを考えた場合に、産業上そして民生上、今のような経済の発展というか、民生の安定を考えた場合には、どうしても現在の電力ではまず欠乏するというか穴があく。その場合にもう一つはコストの問題、こういうことを言いますので、国といたしましてはどうしてもその穴埋めということでは、もちろん安全性ということも十分に第一義には考えますが、その上でもってこの原子力発電の設置というものをお願いしようというのが基本的な考え方でございます。  そこで、同時にその場合に、今申したように地域の方の同意というものがもちろん必要でございますが、その地域の皆様方考え方には当然安全だということをおっしゃるのはこれはもちろんでございますが、そのほかにも発電所ができることによって地域がいかに振興するかということ、これをおっしゃる方も多うございまして、そういうことでもってこの交付金というようなものによる地域の振興というものには期待されているという面も非常に多いということを御認識願いたいと思うんです。  そういうことで、私たちといたしましては、この問題は東北電力もそうした考え方を持っている以上、地域の方に対して理解をいただくようにこれからも粘り強く話していかなければいけないんだろうと、かように実は考えております。  今言われた宮崎県の串間市の話でございますが、先日市長選挙があったということも認識しております。これはあくまでもそのときの公約でもって当選された市長さんが原発反対の意思表示をされてということも存じております。そのほかにも串間市の振興、そういうことがありまして、その中の一つとしてこの公約を掲げられた。こういうふうに実は考えております。  これはあくまでも地方自治の問題でございまして、これはまだこれから手続があるように考えておりますので、それが済みまして結論が出ました段階でコメントしたい、かように考えております。
  113. 清水澄子

    ○清水澄子君 私も非常に時間が短いのでこれだけにかかわっておれませんけれども、ちょっと基本的な御認識が私とは違っております。  それは、私は今なぜこういうふうに住民たちの特にこういう原発の立地に対して反対をする声が多くなったんだろうか、その原因はなぜなんだろうかということをお聞きをしたわけです。今、地域振興政策を大変みんな喜んでいてくれるという御返事でしたけれども、そういう地域もあるかもしれません、しかし、全般にはそうではないと思うわけですね。それはなぜかというのをしっかり御認識にならないと、今の原発立地政策そのものに原因があるんじゃないかと私は思います。ですから、その点をお聞きしたかったんです。  例えば、今の交付金は公共事業を中心にした箱物を重点に出してきた。そうすると、その維持費が市町村なり自治体の非常に大きな負担になっていくとか、また、この「もんじゅ」を初め安全性への疑問というものも非常にあります。そのことは情報公開がない、非常に秘密主義であるという、こういう批判もありますし、それから国や電力会社が密室的に物事を進めていく、つまり現地住民の皆さんの意識尊重という機会がおくれている。私は、こういう問題等が特に今日こういう状況をつくっているんじゃないか、だから、これまでのような利益誘導型の地域振興政策を中心にした原発立地政策というのは見直しが求められている、私はそう思っていますが、今これのお返事をいただいているともうこれで時間がたちますので、私はちょっともう一度その点での認識をぜひ改めていただきたいと思います。  そこで、次に移りますけれども、この平成六年度の通産省所管の電源開発促進対策特別会計の決算を見ますと、電源立地対策費四百五十二億七千八百万円が不用額として計上されております。それは不用率二一・五%となっておりまして、また電源立地勘定を見ますと、翌年度繰越金百十一億円余、つまり剰余金千五百三十二億円余となっておりますが、私はこのような決算の状況というのは非常に異様だと思います。  そこで、このような多額な不用額とか繰越金、剰余金が、これは五年間ぐらいこういう状況が続いているわけですけれども、その理由は何であったのかということをお聞かせください。
  114. 岡本巖

    説明員(岡本巖君) お答え申し上げます。  立地勘定、今委員指摘のように、平成六年度の決算で千六百四十四億円の剰余金を計上しているというのは事実でございます。  これは過去からの剰余金に加えまして、当該年度で発電所の建設計画が予定どおり進まなかったとか、あるいは電源立地交付金の対象とします事業が予定どおり進捗しなかったというようなことで、電源立地交付金を初めとして歳出予算に不用が立ったという、そういう事情によるものでございます。  ただ、平成四年を最後に立地勘定の当該年度税収と当該年度の歳出決算額というのは歳出決算額が上回るという形で、平成四年度以降年々この剰余金の額は逐次縮小してまいっている途上にございます。
  115. 清水澄子

    ○清水澄子君 この電源開発促進税が導入されたとき、一千キロワット時につき七十五円であったと思いますが、現在は四百四十五円ですから、税率は五倍に膨れ上がっているわけです。  そういう中で、平成六年度の電源開発促進対策特別会計を見ますと、歳出予算額に対して支出された予算額の割合は七三%ですし、同様に平成五年度は五四%が支出されたのみですね。それから、平成四年度になりますと四九%のみ支出、平成三年度は三三%、平成二年度には支出されたのは三三%であるわけです。さらに、平成元年に戻りますと、歳出予算に対して実際支出された予算は二九%なんですね。ですから、過去にさかのぼってみますと、歳出予算額に対して支出済み予算額の割合が非常に少ない。この時期は一つチェルノブイリの原発事故が起きておりますし、そして今おっしゃったように原発の建設が容易に進まなかったのであろうと思います。  であるならば、私はその事情はわかりますけれども、予算の組み方としてはこれは問題があるんじゃないでしょうか。そういうふうに歳出予算額に比してもう何年も実際に支出した額が半分以下だという状況が続いても、ずっと同じような予算の組み方というのはいかがなものかと思います。  それで、特にこの電源開発促進対策特別会計のうち、いわゆる電源立地の地域整備の事業の決算状況を見ますと、平成六年度は歳出予算額に対して支出済み予算額の割合はやはり四九・八%にしかすぎません。このことは歳出予算額に対して実際の支出済み予算は半分であるわけです。言い方をかえますと、支出額の二倍の予算がずっと組まれているということであるわけです。ですから私は、この予算の電源立地地域施設整備事業予算というのは非常に組み方がおかしいと思います。もっと通産省は現実を踏まえた予算編成の適正化を図るべきだと思いますが、この点について通産大臣、一度御検討される御準備はございませんか。
  116. 岡本巖

    説明員(岡本巖君) 予算の執行に関する件でございますので私の方から御説明させていただきます。  先ほど来、清水委員から原子力についての反対の声が強まっているというお話ございましたが、他方で私どもは、文字どおり公開の形で、それも私どもの総合エネルギー調査会という大臣の諮問機関を各地方でも開催をするという形で、これからのエネルギーの選択について多方面の御議論を今いただいているわけですが、これからのエネルギーの安定供給とそれから地球環境問題というようなことを考えました場合に、原子力発電を軸とする電源開発をベストミックスという形で進めていくことはぜひとも必要だと考えております。  そういう考え方のもとに、各電力会社が向こう十年の供給計画というものを私どもに毎年お出しいただいて、そこで位置づけられた電源の開発の計画ということで所要額を予算計上し、しかし今先生がおっしゃいましたように、過去数年、実際の立地が計画どおりに進まないという難しい時期がございました。しかし、先ほど私御説明の中で申し上げましたように、平成四年度を境に単年度の税収額を上回る歳出予算の執行が行われるという形で先ほど来先生指摘の事情というのは今着実に改善の方向に向かっておりますし、それから来年度におきましても、例えば既設の原子力発電所所在市町村に対する長期発展の交付金という、かねて既設地点から強い御要望のありました地域振興策について新たな交付金というのを用意もいたしているわけですが、そういう中で間違いなく原子力を初めとする電源立地の方は再び順調な方向に動くという歩みを進めておりますことも一方にありますので、今の立地勘定の不用額の、あるいは剰余金の額というのは間違いなくこれから着実に減っていくものというふうに私どもは考えております。
  117. 清水澄子

    ○清水澄子君 先ほどどなたかの質問にも日本の電気料金は非常に高いという御指摘がございました。平成八年一月現在の標準家庭の一カ月当たりの電気料金は六千七百五十円であります。このうち電源開発促進税相当分は百二十四円六十銭、いわゆる電気料金六千七百五十円に占める割合は一・八五%であるわけです。電源開発促進対策特別会計の財源というのは私たちが日常使う電気料金の中にすべて税として含まれているわけですけれども、昭和六十三年度から平成三年度の場合にはその税収に見合う形で予算編成が行われておりましたけれども、それから後は前年度からの剰余金の受け入れを前提とした予算編成に変わってきているわけです。  そういう状況の中で、本来ならばやはり収入に即した予算というものが組まれるべきであるわけですから、非常に日本の公共料金というのはいつも高いということが、これは特に指摘をされているわけですけれども、この電源開発促進対策特別会計の予算編成の適正化とその運用の効率化をぜひ御検討いただいて、電気料金、つまり電源開発促進税そのもののあり方ということについて一度御検討していただきたいと思いますが、その点はいかがでございますか。
  118. 岡本巖

    説明員(岡本巖君) 決算をつぶさに御審査いただく中で、先生が先ほどのような御疑問をお持ちになるのも至極当然かと存じますが、他方で私ども実は来年度の概算要求で、先ほど申しましたように、原子力発電所の既設の市町村に対する新たな交付金というものを要求することにいたしたわけですが、当然のことながら将来にわたる歳出需要というのを計算しながら新しい交付金の設計というものをやっていくわけでございますが、先々大きな歳出需要につながることが必至なものですから、私ども電源開発促進税を引き上げるということはいたしませんが、別途この特別会計が抱えております電源多様化勘定から一部の税収を立地勘定の方に振りかえるということをして、何とか先々の歳出需要が賄えるという見通しを立てて、先ほどの既設原子力発電所所在市町村に対する長期発展交付金の概算要求に踏み切ったような次第でございます。  私どもとしては、これまで必要のない予算は、その執行は極力見合わせるということで適正な予算執行に努めてまいったところでございますが、他方で今日の状況を踏まえて、これから光電源開発を計画どおり進めていくために必要な所要の交付金についてはやりくりをしながら、今の税率のもとで、電源特会の中で用意をしていくというつもりで汗をかいてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  119. 清水澄子

    ○清水澄子君 ですけれども、私たちが日常支払っている電気料金の中に電源開発促進税がそのまま含まれて徴収されているわけです。しかも、この電気料金制度には燃料費とかそれから発変電とか送配電の設備の減価償却も入っていますし、それからいわゆるまだ建設されていない建設仮勘定の二分の一が電力会社の報酬率なども含めて上乗せされて、総括原価方式という方式がとられているわけです。ですから、非常に大がかりな建設仮勘定の半額を原価に算入できるというこの特典がありますから、建設費用の非常に高い原発を建設すればするほど電力会社にとっては利益につながりますし、一方、利用者の電気料金はその分だけ高くなっていくという状況の中で、最も電気の税金を払っている、原発促進をするその税を払わせられている国民の側が、どの程度の原価というんですか、電気料金の一体どこが原価なのか、それから原発の原価というのは一体どの程度なのか全然わからないで税が徴収されているというこの事実を、もう今の段階では私はそろそろ情報公開をする必要があると思います。  原子力エネルギーは絶対必要であるということだけをおっしゃるんじゃなくて、必要であるならば、なぜ、どうなのかというのとあわせて、これはどういう原価になっているんだ、それは私はこの税金を納める者には当然明らかにすべきだと思いますが、その点については今後それを検討するということをお約束していただけますか。
  120. 岡本巖

    説明員(岡本巖君) 昨年十二月に電気料金の改定を行いましたが、その際に、私ども電力各社の総括原価の内訳というのがこうなっておりますということで公開をさせていただきました。  それから、原子力発電のコストでございますが、それを他のいわゆる電源との比較でどうなっているかということもよくお尋ねになられます。そういうこともありますので、この点につきましては、OECDで各電源のコストを比較する際に一定のフォーミュラというのがございまして、それに従いまして一九九二年に私どもが算出をした電源別のコストというものをオープンにいたしております。  それによりますと、一般の水力が十三円、それから石油火力が十円、LNGが九円、石炭火力が十円、原子力が九円という、大体今申しましたようなレンジでございまして、原子力につきましては、そのうちの約二割ぐらいが燃料費及び再処理とか廃炉とか、先々の費用見合い分として積み立てている費用、そういうものを含めまして約九円程度というコストを公表いたしているところでございます。
  121. 清水澄子

    ○清水澄子君 今ちょっと詳しく討論することができないんですけれども、今の資源エネルギー庁が九二年度に発表された試算、原発は日本では約九円だということですが、これは燃料のウラン価格が非常に急落したためであるわけですね。そして、原発のこの九円の中には原発の廃止費用は含んでおりますけれども、原発の核燃料の再処理費用や廃棄物の処理費用は含んでおらないわけです。ですから、今この九円ということで私たちはすっとうなずいていたんですけれども、ずっと調べてみますと、この費用の原価というものについてほとんど私たちはしっかり認識をすることができないと思いますし、送電費などはアメリカの三割高だと言われています。  今、日本の物価といいますか、高コストをどう是正するかということは大きな国際問題でもありますし、そういう意味からも私は、この電気料金の原価についてはもう一度検討をし直す、そして通産省側なら通産省側の理由があったとしても、やはりそれは公開をされる必要があると思いますが、これはぜひお願いをしておきたいと思います。
  122. 岡本巖

    説明員(岡本巖君) 先生、一言よろしゅうございますか。
  123. 清水澄子

    ○清水澄子君 もう私は三分ぐらいしかありませんので、ちょっとだけ。
  124. 岡本巖

    説明員(岡本巖君) コスト、電力料金の引き下げに向けて、電力各社は経営効率化計画というのをつくって、今先生がおっしゃったような御批判なり御意見をどんどん寄せていただいて、そういう中で電力各社の効率化努力を促すという方向に持っていっていただけたらと思います。  先ほど先生おっしゃった再処理とか廃炉の費用は、実は九円という中には含めておりまして、電力会社は将来の再処理とか廃炉に必要な経費を今から準備金で積んでおりますものですから、総括原価の中にそれを入れさせていただいております。
  125. 清水澄子

    ○清水澄子君 最後に、これはぜひ大臣お答えください。  国民の皆さんたちは将来にとって原子力エネルギーが最もいいものというふうには思っていないと思うんですね。より安全なものを求めている、それは当たり前だと私は思います。そういう中で、通産省も今原子力発電にかわる代替エネルギーの開発の導入等についても研究開発を進められているんだと思いますし、それから今日、大量のエネルギー需要を化石燃料や原発で賄う、このハードエネルギーという考え方というのはだんだん国際的にも見直されてきていると思います。  よく原発は二酸化炭素を排出しないとかそういうことを言われるわけですけれども、これはウラン燃料や原発設備の生産の過程では大量の石油エネルギーを消費しております。またCO2の排出等の問題、地球温暖化の問題等で、環境問題の上でもこれらはもっと本当にソフトなエネルギーといいますか、太陽光とか風力などの再生可能なエネルギーをどう開発していくかということは私たちに課せられた非常に大きなテーマであると思います。  ですから、通産省もそれらについて今努力をされておられると思うんですけれども、しかし私は、日本政府のソフトエネルギー・パスの目標値というのは何か消極的で少な過ぎるのではないかと思います。例えば九四年に閣議決定されました新エネルギー導入大綱の風力発電目標というのも、これは紀元二〇〇〇年度で二万キロワットというふうな非常に少ない数字になっておりますが、既にアメリカは風力発電の設備容量はもう実用化されて百七十七万キロワット、そしてドイツでは百十三万キロワット、デンマークでは六十三万キロワットという、そういう開発が進んでいる中で現在の日本は一万キロワットです。これだけの技術を持ち、開発のできる能力を持ちながら、原子力発電にのみ力を入れるというやり方を少し私は是正する必要があると思います。  そして、日本では既にそれらを開発していく力といいますか、それは日本は現実に持って、三菱重工業は既にアメリカやイギリスに風力発電装置を輸出しているわけですが、むしろ国内の需要がないという現状ですから、欧米で成果を上げているそういう風力発電等について、日本もやはり本当の意味の自然のエネルギーというものをもっと多く使うような、そういう私は政策に変えていっていただきたいと思うわけです。そういう意味で、私は大臣に現在の風力エネルギーの数値目標、それらをもう一度修正をし直すということを考えていただきたいと思います。  例えば、電源多様化勘定の中の原子力開発予算平成七年度予算で四百一億円ございますが、これを太陽光発電の助成に割り当てるというふうなことを考えていっていただきたい。そしてソフトエネルギー・パスのための研究開発とか設備の助成の予算を今後増額していただくように、そういうことについてぜひ大臣のソフトエネルギー・パスに対する熱意をひとつ御見解を述べていただきたいと思います。  これをもって終わります。よろしくお願いいたします。
  126. 佐藤信二

    国務大臣佐藤信二君) 私自身もこうしたエネルギー政策というものも党におりまして大分かかわりを持ったわけでございます。  今の日本の現状を申しますと、まず省エネということでもってある程度消費を抑えるということですが、この問題も非常に難しいのは、言ったときはそれは実行しますが、すぐ翌年はなくなる。今言われるように、私自身も原子力発電というものが最終的なエネルギー源、電力源というふうには思っておりません。しかし、残念ながら新エネの開発というのは、言うは易しいですけれども、なかなか実は進まないというのが現状なんです。  最終的にはやはり太陽の熱、光の利用だろうと思うんです。そうした場合に、日本自体におけるそういうものを集める立地条件というのも、ほかの国に比して非常に領土が狭隘だとか、こういうふうな制限がございますし、いずれにしてもそれをどうやって貯蔵するか、運ぶかというところに問題がございます。そういうことで、これは超電導の開発と相まって、そして貯蔵電池というもの、これに集約されてくるだろうと思います。  そういうことで、これに予算をたくさんつければすぐ解決するかというと、どうもそうもいかないようでございますので、今おっしゃることはよくわかりますし、私自体もそういう認識でもってこれから先取り組んでまいりますので、御理解いただきたいと思います。
  127. 山下芳生

    山下芳生君 日本共産党の山下芳生です。  まず、泉井石油事件について伺います。  大臣は先ほど冷静に推移を見守る、あるいは特別に調査を依頼はしていないと答弁されましたけれども、私はこれでは国民は到底納得できないというふうに思います。  今回の事件というのは、泉井石油商会の代表である泉井氏が三菱石油や三井鉱山という大企業の間に入って、石油の業転取引を通じて、あるいは業転取引を装って手に入れた常識外れの利益を元にして、政治家それから官僚、特に石油行政を所管する通産省の幹部、さらに石油公団の幹部などを広範に長期にわたって接待していた問題であります。そして、そうした人脈を利用して、三菱石油のベトナム石油プロジェクトの資金やあるいは三井鉱山の三池炭鉱の閉山交付金の交付に便宜を図るという、エネルギー行政をゆがめた疑惑が持たれている事件であります。  通産大臣として、こういう事態に至っているわけですから、国税庁や検察庁の調査を待つまでもなく、これは事実関係を独自に調査してその内容を公表する、同時に再発防止のための具体策をとるのが当然じゃありませんか。  大臣にお願いします。
  128. 広瀬勝貞

    説明員(広瀬勝貞君) 先に私の方からお答えをさせていただきます。  委員指摘の泉井石油商会の脱税事件に絡みまして、私どもの職員と泉井氏との関係についていろいろ、まだ報道の段階でございますけれども、世間をお騒がせしておりまして、このことについては私どもも大変深刻に事態を受けとめております。  大臣の方からも、先ほどこの場で御答弁をしておられましたように、このことに関しまして事務当局には、一つは内外の課題が山積しているときに事務に停滞があることは許されないということを厳しく言われております。もう一つは、私ども事務当局に対しましては事態の推移をきちんとフォローして適切な対応をとるようにということを言われております。  そういう大臣の御指示を私どもいただきまして、今、国税や検察当局の捜査等、事態の推移を見きわめているというところでございます。
  129. 佐藤信二

    国務大臣佐藤信二君) 今、山下委員質問でございますが、この問題、非常に私自身が苦慮しておりますのは、大臣に就任したときから、御存じのように、通産省自身が今の景気の問題から行政改革、そしてまた何といっても経済構造改革と、こういう非常に責任ある省庁でございますだけに、それを遂行するためには省内が一丸となってそれにぶつからなきゃいけない。要するに、相互の信頼関係というのが一番の実は基礎になるわけであります。  そうした場合に、軽々にそれを調査ということによってお互いに疑心暗鬼になることはいかがなものだろうか、こういう考え方があるし、同時に、私自体が命の御指摘のように一体このままでいいんだろうかと、大変その間でもってはざまに立っております。  いずれにいたしましても、この問題がまだ若干の猶予があると思っておりますのは、今の泉井氏に対する取り調べというものが現在進行というか、いわゆる取り調べ中で、一つの結論を見出した段階ではっきりさせても遅くないんではないだろうか、こんなふうに実は考えているわけでございます。  いずれにいたしましても、先ほどのようにこの問題に私自身も自分なりにいろんな関係者の方に情報の提供を実はお願いしているわけでございますので、山下委員の方でもこういう問題が一体どうなんだという情報をお持ちでしたらぜひとも御提供願いたいと、かように考えています。
  130. 山下芳生

    山下芳生君 事の重大性をもっと真剣に受けとめる必要があると思うんですね。  平成八年度、通産省の一般会計予算の額は九千百八十八億円です。そのうち石特会計繰入額が五千二百三十九億円です。つまり全体の五七・〇二%が石油を中心としたエネルギー予算になっているんです。  今その部分に対する国民の疑惑の目が注がれているわけです。まさに通産行政全体に対する信頼が失われかけているわけです。そのときに、大臣が先頭に立ってなぜ調査できないのか、それから信頼関係が揺らいではあかんとかおっしゃいましたけれども、調査を依頼すべき相手が省内に本当にいるのか。報道では、本来調査の先頭に立つべき通産省の次官だとか今お答えのあった官房長自身も泉井氏と面識がある、みんなすねに傷を持っている、こういう及び腰だということまで報道されているじゃありませんか。  そういうときに、庁内の信頼関係に重きを置くよりも、私は国民に対する信頼を取り戻すために大臣が先頭に立って当たり前だと。そうじゃなかったら行政改革を語る資格はないというふうに思うのです。あいまいな答弁じゃなくて、独自にどういうふうに調査をするおつもりなのか、もう一遍答弁してください。
  131. 佐藤信二

    国務大臣佐藤信二君) 私自体も大変この問題を深刻に受けとめているということは御認識願いたいと思うのです。  そこで、よく言われるように、調査というのは、調査を命ずることは楽ですが、それだけで本問題の解決ということにはならないだろうと、ここが一番のポイントだと思うのです。  今、非常に山下委員から厳しい質問でもって部下との信頼関係云々と、これには語れば長い物語がございますのでこの場では差し控えますが、そういうことで、私自身この問題を今おっしゃるように早くはっきりさせるのが私自体の責任だと考えております。
  132. 山下芳生

    山下芳生君 庁内の官僚の大きな部分、特にトップの部分から疑惑の目が持たれているわけですから、これを正すのは大臣しかいない。それをあいまいにするわけにはいかないと思うのです。私は、引き続きこの問題を追及いたしますし、行革を掲げる政権の重要閣僚の一人としてどういう行動をとるのか国民が監視の目を持っているということを指摘して、次の問題に移ります。  中小小売業の振興問題について質問いたします。  まず、中小小売業者の社会的役割について聞きます。  小売業全体の年間販売額を見ますと、その約八割は中小の小売業者が担っております。国民生活は中小小売業者なしには成り立たないと言ってもいいと思うんです。同時に、中小小売業の場合、そのお客さんの大部分は顔見知りの近隣の人々、それからみずからも地域住民である場合が多いです。地域社会に溶け込んで営業している、これが中小小売業者です。  ですから、地域社会が発展すればそれに伴ってみずからも発展できるし、生活の向上も期待できる人々です。だからこそ、中小小売業者の皆さんは、地域社会に愛着を持ってその健全な発展に常に心を砕いている人々であると言ってもいいと思うんです。実際、多くの中小小売業者が町内会などの地域の自治組織の役員を引き受けられたり、あるいはまた地域のお祭りや文化行事の担い手になっております。  私は、こういうことも含めて中小小売業者の社会的役割を全体として正当に評価することが大事だと思いますが、大臣の所見を伺います。
  133. 佐藤信二

    国務大臣佐藤信二君) 今おっしゃるとおりでございまして、小売業は社会システムの中で消費者との接点としての役割を果たしているという非常に大きな存在だと思います。  こうした観点から見ると、国民生活を豊かにするためにも消費者のニーズにこたえる選択肢として多様な業態、商業集積がそれぞれの役割を果たしていくことが重要であることは言うまでもございませんが、特に商店街、中小小売業については、地域密着性というものを生かせて、消費者ニーズに対応したきめ細かいサービスを提供する役割だということで、同時に、やはり地域文化の保存、伝承というものを通じた町づくりの担い手としての役割を果たしてきたと、こうした認識も持っております。また、今非常にモータリゼーションという時代になりましても、自動車を利用しない高齢者や身体障害者の人たちにとっては貴重とも言える徒歩で利用ができる、そうした購買の機会を与えていただくところだと、こんな気持ちも持っております。  その持ち前の企業家精神や機動力の発揮によって、そしてこれからの新しい時代におけるニュービジネスの苗床としての役目も持っていると、こうした認識もありますし、そして何といっても全国でもって約百五十万店、約六百万人の従業員の生活の場、そして雇用の担い手としての役割を持っているといった。大変さまざまな重要な役割を持っているという認識でございまして、今おっしゃったのと共通の認識だと思っております。
  134. 山下芳生

    山下芳生君 ところが、今、大臣がおつしゃつた重要な役割を担っている商店街の現状が大変深刻です。先ほどの政府の方からの答弁にもありましたけれども、全国の小売店の総数、九四年度で百四十九万九千、三年前と比べて十万店、六・六%減少しております。これは一九五二年調査開始以来最も大きな減少率でして、特に大臣御出身の山口県が全国で一番小売店の数が減っております。  とりわけ、従業者規模一人から四人の小売店が三年間で十三万八千余り、一〇・九%減少しておる。これは東京都全体の小売店の数が十三万二千余りですので、三年間で東京都の小売店が全部消えてなくなった。そういう大変な事態なんです。  私はいろいろ原因があると思うんですけれども、その中でこういう今の中小小売店、商店街が危機に立たされている最大の原因というのは、大型店の出店攻勢だというふうに認識をしております。  大型店の出店攻勢がいかに急激に進んでいるか。一九九〇年から三次にわたって大店法の規制緩和、この中には店舗面積一千平米未満の大型店は原則出店自由にするなどが含まれておりますけれども、この規制緩和によって大型店の出店の届け出件数というのが急速に増加をしております。この規制緩和の年度であります九〇年を境にして、その前の六年間、八四年度から八九年度と、その後の六年間、九〇年度から九五年度までの出店届け出件数を見てみますと、前の六年間が三千四百九十五件、後の六年間が一万二百九十件、二・九倍に増加しているわけです。つまり大店法の規制緩和によって大型店の出店届け出件数が急増したということはもうはっきりしていると思うんですね。  中小企業庁の委託による平成七年度の商店街実態調査というものがあります。私も見せていただきましたけれども、これによりますと、買い物客が少なくなったと答えている商店街は全体の七五・八%、多くなったと答えている商店街の六・一%の十二倍以上になっております。その少なくなった理由として挙げているのが、七九・四%の方が大規模小売店舗にお客をとられたと、こう答えているわけです。  それから、店舗面積一千平米未満の出店の原則自由化内容とした規制緩和影響についても調査しておりますけれども、悪い影響があったとする商店街は六六・七%、よい影響があったという商店街二・四%のこれは二十八倍に及んでおります。  私は、こういう大型店の出店攻勢をこのまま野放しにしていたのでは、先ほど大臣から御答弁があった非常に大事な地域社会に対して貢献をしている中小小売業者が本当にこのまま廃れていってしまう、そういう今局面にあると思います。これ以上の大型店の進出については何らかの歯どめをかける必要が私はあると思いますが、いかがでしょうか。
  135. 佐藤信二

    国務大臣佐藤信二君) 今のお話でございますが、御存じのように大店法については、内外より廃止という話から、あるいはまたこれ以上の規制緩和というものは反対だとか、大変幅が広いわけでございます。  これを実は来年の平成九年度にこの制度について見直すということになっておりますが、今、委員指摘のように、私自身も自分の地元を歩いてみて、これは大きな問題だろうと認識を持っているんです。というのは、大型店ができることによって商店街が非常に被害を受けていることは事実でありますが、他方、消費者というか買い物に来られる方は一カ所でもって済む、こういうことでその利便さを言われるし、あるいはまた大量購入大量消費ですか、単価も安い、こんな問題もあるので、その辺が非常に難しい問題です。  いずれにいたしましても、この大店法の見直しという場合には、消費者だとか小売商業者あるいは学識経験者、いろんな方の御意見を聞いて見直しをしなければいけないと思います。  ただ、私自身が中小企業庁の方にも前から話しているのは、今までのように商店街の振興ということでアーケードをつくったり、それからカラー舗装ということも必要だが、地域によってそれが余り魅力的でないところもあるだろうし、有意義なところもあるだろうということで、そして同時に、これからもっと地域地域に合う施策というものを講じていかなければいけないだろうと、かように言っておりますが、いずれにいたしましても、今おっしゃるように、これは重大な問題だという強い認識を持っているということをまず披露したいと思います。
  136. 山下芳生

    山下芳生君 私、この間、京都の西新道商店街というところを訪ねました。非常に衝撃的だったんですが、今も大臣認識のとおり、全国の商店街は非常に空き店舗がふえたり大きな問題に直面しておりますが、この西新道の商店街は少し事情が違っておりまして、例えば商店街としては全国で初めてのICカード事業をやる。それからカタログ外商事業もやっておられる。牛乳パックの回収やチャリティーバザーなど福祉ボランティアも力を入れてやっていらっしゃる。それから修学旅行生が全国から京都においでになりますけれども、そういう修学旅行生の体験学習の受け入れも商店街として取り組んでおられる。さまざまな活動を積極的に展開しているわけです。  理事長さんの話では、各家庭と商店街をファクスで結んで、地域で活動するボランティア団体などの情報も商店街から発信をしようという計画や、空き店舗を利用してホームヘルパーの基地や介護の出張所をつくるという計画もお持ちだそうです。単に商品を販売、供給することだけではなくて、消費者とともに町づくりに取り組んでいる、そのことによって地域になくてはならない商店街としての高い評価を住民の皆さんから得ているわけです。  私はぜひ大臣にも一回ごらんになっていただきたいなと思うんですが、そういう二十一世紀の、これから高齢化時代を迎える地域社会の中で、私は商店街が果たす可能性を見る思いがしたわけです。この可能性をこれからの地域社会の中で生かさなければならない、生かすべき財産だというふうに思います。  そういう意味からも私は大型店の出店ラッシュというのをこれ以上放置するわけにはいかない。私たちも何も大型店は必要ないという立場じゃございません。先ほど答弁があったとおり、消費者の多様なニーズにこたえるためには、中小の小売店やそれから商店街、これも必要ですし、百貨店やスーパー、コンビニエンスストアなども必要でしょう。それぞれが独自に役割を担っていくということが大事だと思うんですね。いろんな形態の小売業者が共存共栄できるということが大事だと思うんです。しかし、現状は、そのために何らかのルールが必要であって、大型店が資本に任せて地域に、まあ言葉は悪いですけれども、殴り込みをかけるような状態で、こういう将来にわたって大きな役割を果たすであろう商店街がつぶれていく、小売店がつぶれていくということでは、私はこれは大きな禍根を残すことになると思うんです。  そもそも大店法の目的自身も、そういう目的が第一条に書かれておりますけれども、来年この大店法を見直すということになっておりますけれども、私はこれ以上の規制緩和はもってのほかだと。むしろ、今の大店法の例えば届け出制を都道府県知事の許可制にするなど、やはり地域のあり方をしっかりとトータルに考えながら、大型店の出店についてもルールをつくっていくために規制の強化も必要ではないかと思うわけです。  ぜひ大臣におかれましては、大型店の大店法の問題、来年に向けていろんな団体が絶対これ以上の規制緩和は認めないとおっしゃっておりますけれども、そういう将来の地域社会における役割も含めて規制緩和は考えるべきじゃないという立場に立っていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  137. 佐藤信二

    国務大臣佐藤信二君) 今、規制緩和の問題でこれ以上広げないとか言うのはまだちょっと早計だと思いますが、私自身の実は経験からいっても一番考えますのは、企業の責任というものをもっと自覚してもらいたい。大型店が進出した場合にやはりそこの地域の発展というものを第一に考えてもらわなければ困るというふうなことを強く感じております。  具体的には、今言われたように大体全国の例を見ても、割と気ままに進出して店をつくって、そして営業が、売り上げが悪いとほかに引っ越してしまう。こういうものも中には見られますので、こういうのは企業の責任として、出店する以上は一応の制限というか一応の条件を付すことも必要だろう、かように考えております。
  138. 山下芳生

    山下芳生君 ぜひそういう立場で、全国から大変強い要望が出ておりますので、今の答弁を踏まえて事に当たっていただきたいというふうに思います。  以上です。
  139. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 民主党・市民連合の朝日でございます。新しい会派ですので、ひとつどうかよろしくお願いいたします。    〔委員長退席、理事吉川芳男君着席〕  きょうは平成六年度の決算審査ということでございますので、私の方からは、平成五年に制定されましたいわゆる福祉用具法に基づいてこの間実施されてきております福祉用具の研究開発及び普及の促進、この問題に絞って通産省及び厚生省にお尋ねをしたいと思います。  冒頭に私自身の問題意識を申し上げておきたいと思いますが、御承知のとおり、今、高齢化の問題、とりわけ高齢者の介護問題は文字どおり国民的な課題となってきております。政府の方もようやく次の臨時国会に公的介護保険制度の創設にかかわる関係法律を提出する、こういう予定だというふうにお聞きしております。  高齢者及び障害者の日常生活を具体的に支援するための介護関連用品といいますか、いわゆる福祉用具の開発と普及は極めて緊急かつ切実な課題であるというふうに言わねばなりません。これまでにも両省を中心にその促進方策についていろいろ取り組んできておられると思いますが、私の印象では、率直に言って膨大なニーズ、圧倒的なニーズが存在しているにもかかわらず、日本産業界のトータルな力量と比較しますと、この分野における事業規模や研究開発のレベルはまだまだ低い、極めて不十分と指摘せざるを得ません。したがって、今後よりきめ細かく、そしてより総合的かつより積極的な事業展開をぜひとも求めたい、こういう立場から以下幾つか質問をさせていただきたいと思います。  まず第一点は、通産省及び厚生省それぞれに、福祉用具の研究開発及び普及にかかわる事業について、現在どのような制度あるいはどのような仕組みのもとでどんな事業がどれくらいの実績で実施されてきているのか、簡単にお尋ねしたいと思います。  なお、福祉用具法が施行されましたのは平成五年ということですので、平成六年から七年、八年と、今日までの概況についてできるだけ簡潔にお願いをしたいと思います。
  140. 佐藤壮郎

    説明員佐藤壮郎君) お答え申し上げます。  通産省におきましては、産業技術研究開発制度の中で厚生省と連携しつつ、最先端の産業技術を駆使した福祉用具の研究開発を産学官の協力のもとに推進しているところでございます。その成果といたしまして、平成六年度から今年度まで三年間の実績といたしましては八つのプロジェクトが現在実施中でございまして、昨年度までにそのうち例えば尿失禁防止訓練装置等三つのプロジェクトが終了しているところでございます。  また、御指摘のございました平成五年度に厚生省との共管で制定をされました福祉用具の研究開発及び普及の促進に関する法律、いわゆる福祉用具法でございますが、これに基づきまして通産、厚生両大臣が福祉用具の研究開発それから普及の促進に関する基本方針を定めることとなっております。それに基づきまして研究開発に対する助成事業を推進するとともに、研究成果の普及に努めるとの観点から研究開発成果の展示、広報を実施しているところでございます。  この助成事業につきましては、産業技術の研究開発に関する豊富な知見を有しております新エネルギー・産業技術総合開発機構、いわゆるNEDOでございますけれども、ここが実施しておりまして、平成六年度より今年度までの三カ年間で二十八件を採択しておりますし、十八件の研究開発が終了しているところでございます。予算ベースで申し上げますと、八年度で、前者の研究開発につきましては五億三千八百万円、それから助成事業につきましては一億七千三百万円という形になっております。  通産省といたしましては、産業技術を活用しつつ厚生省とも協力して、具体的な福祉ニーズにこたえる福祉用具の研究開発及び普及にかかわる施策を引き続き強力に推進したいと思っております。
  141. 江口隆裕

    説明員(江口隆裕君) お答えいたします。  厚生省といたしましては、高齢者、障害者等の具体的なニーズに対応するために確立された技術を応用した福祉用具の実用化という観点から研究開発に対する助成等を行っております。  具体的には、福祉用具法の指定法人であります財団法人テクノエイド協会におきまして、民間企業、研究機関等が行う優良な福祉用具の研究開発プロジェクトに対する開発助成を行っております。これは平成六年度十五件、平成七年度十三件、平成八年度九件と三年間で計三十七件の助成を行っております。  また、このほかに国立身体障害者リハビリテーションセンターがございますが、ここにおきましても福祉用具に関する基礎的、臨床的研究開発の推進を行っております。研究件数としましては、平成六年度七件、平成七年度七件、平成八年度六件ということで進めております。  また、福祉用具の普及についてでございますが、まず在宅介護支援センター、これは新ゴールドプランにおきましても全国一万カ所を目標整備するという施設でございます。  さらには、平成四年度から介護実習・普及センター、これは現在三十二道府県で設置が進んでおりますが、これらにおきまして福祉用具の展示、相談事業というものを実施し、さらには寝たきり老人等に対する日常生活用具の給付等の事業というものも実施しているところでございます。
  142. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 両省でいろいろ努力はされていると思うんですが、金額的にも率直に言って余り大したことないというか、そういう意味ではこれからの高齢社会の対応に向けての一層の努力をぜひお願いしたいと思います。  さて、そこで、この事業にかかわって私は二つの関心を持っておりまして、まず第一の関心は、福祉用具の研究開発及び普及というこの同一目的の事業を通産省と厚生省の二つの省が所管されていて、しかもそれぞれ別の機構を通じて実施されている、果たしてこういうやり方がその目的をより適切かつ有効に達成することにつながっているのかどうかということであります。  先ほどの御説明では、両省それぞれ協力、連携してやっている、こういうお話でございましたが、具体的にどういうふうに協力、連携しているのかどうもよく見えません。もう時間が余りありませんけれども、可能な範囲でもう少し、具体的にどんなふうに進めているのか、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  143. 佐藤壮郎

    説明員佐藤壮郎君) 福祉用具の研究開発に当たりましては、厚生省との連携を通産省といたしましても十分やっているつもりでございます。具体的には、研究開発の大まかな指針の決定、それからプロジェクトの選定の場として産業技術審議会というのがございますけれども、そこで厚生省の参加を得つつプロジェクトの選定、それから終了時には評価も行っております。  それから、研究開発過程におきましても、両省の研究者が協力してプロジェクトを推進するということで人材の相互の派遣を行っておりまして、研究成果の共有化、相互利用を可能としているところでございます。  また、福祉用具法に関連いたしましては、両省が相互に連携して福祉用具の研究開発に対する助成を行うということを規定しておりまして、両省がそれぞれ所管する助成事業の実施主体に対しまして情報交換を密に行うということと、それから採択決定の委員会等に専門家の相互派遣をするなど指導をしているところでございます。
  144. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 今、通産省の方からお答えをいただきましたが、この点に関して厚生省の方から何か補足なり追加はございますか。
  145. 江口隆裕

    説明員(江口隆裕君) 私どもも、福祉用具の研究開発につきましては、通産省の持っております知識、技術、さらに私どもの持っております。そういったものを両様相合わせて開発を進めることが大事だと考えております。  具体的には、先ほど通産省からお話がございましたような両省の共同作業のほかに、私ども、通産省、厚生省といたしましてもそれぞれ適宜連絡会を設けるなどしてお互いの施策の連携を図っているというところでございます。
  146. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 時間の関係もあって十分御説明をいただいていないかもしれませんが、この研究開発の事業あるいはそれを実用化し普及する事業、両面にわたって双方が情報を共有化する、あるいは共同して評価をする、その上で、例えば予算編成作業に当たっても、それぞれ検討しながら共同して要求する、あるいは分担して要求するというようなこともぜひ今後の課題として検討していただきたい、こんなふうに思います。    〔理事吉川芳男君退席、委員長着席〕  二番目の関心事に移りたいと思います。  私は、この福祉用具の研究開発、それからその成果を福祉用具として実用化、普及していくわけですが、その研究開発の過程あるいはその成果、これらをだれがどんなふうに評価するのか、そしてそのための適切な仕組みをどういうふうにつくるのかというのは大変重要なポイントだというふうに思います。  これまでのさまざまなプロジェクト、幾つか資料を見せていただきましたけれども、なるほどと手を打ちたくなるようなプロジェクトもあるんですが、これはいかがなものかとちょっと首をかしげざるを得ないものもありまして、率直に言って、従来のブランあるいは企画が業界、メーカー側主導であったり、あるいは福祉サービスの提供者側の発想にとどまっているような節もあるんではないか、そんな傾向を感じます。  これからは、研究開発の内容とか、あるいは福祉用具そのものを企画し、それを評価し、またそれを企画に結びつけるというプロセスに利用者自身、障害者自身あるいは高齢者自身、ユーザーが直接に参加する、ユーザー、障害者の人たちの発想と感覚をもっと重視していく、大事にしていく、こういうことがぜひとも必要ではないかというふうに思います。  実は、大した用具じゃないんですが、例えばあるところでは具体的に障害者の方に合わせて随分と形の変わったスプーンとかフォークとかナイフとかを用意している。一つ一つがまさに障害者の感覚、障害者のニーズを的確にとらえて、むしろそれにさまざまな技術が合わせていく、そういう取り組みをしているところもあるわけであります。  そういう意味では、ぜひともこれからの過程で、研究開発のプランニングあるいはその成果をどう評価するか、こういうプロセスにユーザーの方自身も参加していただけるような、そんな仕組みをぜひともつくっていただきたいと思いますが、この点について通産省としてはどのようにお考えでしょうか。
  147. 佐藤壮郎

    説明員佐藤壮郎君) 非常に重要な御指摘でございまして、私ども福祉用具の供給者の研究開発の場合には、その利用者が持っている情報やノウハウというものを提供していただいて活用できるシステムを構築することが大変重要と考えております。  このことを踏まえまして、医療福祉機器研究開発におきましては、これまでもユーザーからの要望も勘案しつつ研究開発の選定を実施してきたつもりでございます。例えば、声帯を摘出した人のための食道発声補助装置の研究開発というものを現在進めておるところでございますけれども、これにつきましては、実はこのプロジェクトの要望自体がそういう障害を持った方たちからの要望を受けとめたものでございまして、そのほかにも障害者対応マルチメディアシステム等も障害者御自身からの御要望を実現しているプロジェクトでございます。また、その研究開発過程におきましても、こういう障害者の方々の参画を得ることで、利用者の要望に適した研究開発を実施できるよう努めております。  それから一方で、産業政策的観点からも、福祉用具産業市場原理を導入するということで、利用者のニーズを的確に反映するための施策について、通産省としても現在積極的に検討を進めているところでございます。  先生の御指摘を踏まえ、利用者のニーズというもののデータを一番たくさん持っておられる厚生省と協力しながら、先ほどの法律の基本方針の実現に向けて今後とも努力していく所存でございます。
  148. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 今お話がありました。よりユーザーの側というか、高齢者、障害者の皆さんに近い立場で、厚生省の方からこの問題について御意見なり追加髪言を求めます。
  149. 江口隆裕

    説明員(江口隆裕君) 私ども、福祉用具法に基づきます指定法人でありますテクノエイド協会におきまして、平成六年の十月から福祉用具普及モデル事業というものを実施しております。これは、例えば全国十三都道府県の介護実習・普及センター等におきまして、車いす、特殊寝台等を実際に使っていただく、さらにその相談、助言を行うといったようなことでその効果の検証等を行っております。  また、平成六年度からは福祉用具研究開発モニター支援事業というものを実施しておりまして、実際に利用者がモニターを希望する場合に、その費用の一部を助成するといったような事業も行ってきております。  なお、今後ともこういった福祉用具の開発につきまして、先生指摘のように、利用者のニーズがより反映されるような工夫というものに努めてまいりたい、こういうふうに考えております。
  150. 佐藤信二

    国務大臣佐藤信二君) 今、朝日委員の発言を聞いていて、両省が一体どういうふうにこれから協力していくのか、非常に御心配ではないだろうかと思うんです。  実は、先ほどから話が出ましたこれからの経済構造改革という、新しい産業創出というところでもって、産業と言っていいかわかりませんが、こうした福祉関係のところを大いに伸ばさなければいけないというのが実は当省の考え方でございまして、また実は総理からもそのような指示がございます。  そういうことで、この問題にやはり内閣全体として力を入れていくということをまずお約束いたします。その際に、ちょっと表現が違うかもしれませんが、今までやはり通産省の方は、工技院が中心となってそうした器具をつくるということはいろいろ研究しておりますが、実際的にそれを使われる人の身になっては余りその辺が行き届いてないということで、そうした面を厚生省の方に受け持ってもらって、言うなればこちらの方で形はつくるが、その中に本当に使いやすい、そして身障者の方がこういうような器具があってよかったというふうな、心というものを厚生省の方に握ってもらおうというふうに考えて、両省ががっちり手を握って、この事業と申しますか、こうした仕事というものを成長させていきたいと、かように考えております。
  151. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 最後に申し上げようと思ったところを大臣お答えをとられてしまったので、最後に二言だけつけ加えて終わりたいと思います。  私は、先ほども申し上げたように、二つの省が一つの目的に向かって今進んでいる。お互いが足りないところを補い合うような形でいけばよろしいんですけれども、えてして重複したり引っ張り合ったりということがあり得ると。そういう意味で、一つの事業について関連する省庁あるいは部局をどうやって有機的に動かすかというところが一つの焦点だというふうに思っています。逆に、それができなければ、二つに分かれてばらばらにやっていることはよろしくないということにもなるだろうと思いますので、ぜひそのことを念頭に置いて頑張っていただきたいと思います。  どうもありがとうございました。
  152. 本岡昭次

    本岡昭次君 私は、与えられた時間で阪神・淡路大震災の産業復興の問題についてお伺いいたします。  しかし、その前に、やはり石油取引疑惑に絡んで所得税法違反に問われた泉井容疑者から通産省の幹部も何かいろいろ接待を受けておるということについて一言申し述べなければならない。というのは、もう少し歯切れよく大臣が言っておれば何も私は言う必要はないんですが、先ほどの質問に対してもやっぱり歯切れが悪い。どうもそれではいかぬと思います。  これは私の地元の新聞ですが、こういうふうに大々的に通産省の宣伝をしてくれておるんです。すごいでしょう、これ。「通産省、独自調査踏み切れず」、「石油疑惑・泉井容疑者からの接待 皆スネに傷 及び腰」、「幹部ら六十人反省薄く 行革控えて職員の動揺懸念」、これだけ書かれたらたまりませんね。それで、それのきわめつきが、終わりの方に、「就任から一週間が過ぎた佐藤信二通産相は」「いまだに調査を命じていない。」、こういうふうに書いてあるんです。そしてその中ほどには、「ある中堅職員は「皆がすねに「傷」を持っている。調査などできるわけがない」と言い切る。」と。それは新聞は勝手なことを書いとんねやといえばそれまでですけれども、これ皆読むんですよね。  それで、この明くる日が参議院の補欠選挙だった。二一%、兵庫県の投票率。もうみんな白けている。白けさせた私たちも悪い、責任があります。しかし、もう投票所へ足を運ぶ気がせぬという原因がやっぱりこういうところにもあるんですよ。これをやはりしっかり受けとめていただきたいですね。  だから、それは通産省、独自調査踏み切らずならいいですよ。踏み切らず、する必要なしならいいんだけれども、「踏み切れず」というような、こういう表現で書かれて黙っておる法はないでしょう。やるのかやらないのか私ははっきりさせにゃいかぬと思いますよ。やはり通産大臣、調査やりなさいよ、いかがですか。一言だけ、私、本論を質問したいので、一言だけ答弁してください。
  153. 佐藤信二

    国務大臣佐藤信二君) 大変この事態深刻に、また私自身のこともお考え願いまして大変ありがたいと思いますが、先ほどから繰り返しておりますように、これは非常に事態が深刻なだけに、この問題に関しては歯切れが悪いと言われてもいたし方ない、かように考えておりますが、もう少し時間をおかし願いたいと思います。
  154. 本岡昭次

    本岡昭次君 それでは待っております。  それで、まず大震災以後一年十カ月が経過いたしまして、被災地の産業復興については、港湾、鉄道、道路等のインフラ復興によって全体としては着実に復旧が進んでいます。しかし、観光、商業を中心とする第三次産業の復旧のおくれなど、業種間のばらつきが顕著になっているとも言われています。また、産業全体の本格的な復興はこれからという状況にあると思います。しかも、震災地の産業の復興については、佐藤通産大臣も御理解のとおり、単に震災前の状況に戻すということでなく、二十一世紀の成熟社会に向けた持続的発展を可能にする新しい産業創出産業構造を被災地にやはりモデル地域的に構築していくという、そういうことでなくてはならぬという一つのテーマがあります。  しかし、時間の経過とともに、どうしても被災地の復興問題については風化がやはり懸念をされるんですね。大臣として、この震災問題、今度は官房長官が陣頭指揮に立っていただくようで非常に心強く思っているんですが、通産大臣として産業復興についての御所見をまずひとつ簡潔に承っておきます。
  155. 佐藤信二

    国務大臣佐藤信二君) 今、本岡委員が言われるように、やはり被災地域の産業の復興ということは単に震災前に戻すということではいけないと思います。この阪神・淡路地域の経済社会が将来に向けてより一層やはり活力を持つようにするというのが基本的な話でございます。  そういうことで、通産省といたしましては、地元自治体といろいろ協議をしなければいけない、地元のニーズというものを十分に踏まえるということでございまして、御案内のごとく民活法だとかFAZ法、こういうものの活用によって産業関連基盤整備というものを推進してまいります。そして、特にあの地域というのは中小企業の方が多くいらっしゃったということもございますので、これに関してはやはり阪神・淡路産業復興推進機構という、これは御存じのように県と市と民間と、こういうことからできておるものに関して産業復興の支援事業の実施ということで、通産省からもことしは一億五千万ほど補助した。こういうことでございます。  今後とも、地元の自治体というものと緊密な連携をとりながら、これをやはり一生懸命やっていくということをここではっきりと申し上げます。  これは歯切れがいいでしょう。よろしくお願いいたします。
  156. 本岡昭次

    本岡昭次君 これは実質でいただければ結構ですから。
  157. 佐藤信二

    国務大臣佐藤信二君) やります。
  158. 本岡昭次

    本岡昭次君 そこで、ひとつ具体的な問題でエンタープライズゾーンの推進問題をお伺いいたします。  エンタープライズゾーン構想というのは、これはもう御存じのとおり英国や米国を中心にゾーニングを活用した産業振興策であります。この基本的な考え方は、当該地域の直接的な責任に帰せられない理由で経済的困難が生じた場合、指定地域外に比べ排他的な優遇策をそこに与えて経済的な振興を図るという、こういう考え方なんです。そこで、兵庫県でもエンタープライズゾーンの問題の検討をしました。私も災害特別委員会でこの問題についての質問もいたしました。  そこで、地元としては、国は非常に私は及び腰だと思うんですよ。歯切れも悪い、これについては。しかし、地元では、まず地元から、地元でできるものからやっていこうと、国を待っておったらどうしようもないというせっぱ詰まった状況の中で、兵庫県では十月八日に、税財政等の優遇措置を内容とする新産業の拠点地区の形成による産業復興の推進に関する条例を制定しました。また、神戸市においても、ポートアイランド第二期に設置する神戸企業ゾーンに進出する企業を対象に、五年間の時限措置として、固定資産税、都市計画税や事業税の免除も含めた軽減措置を講じる神戸企業ゾーン条例をあすから始まる市会に上程をして、これを可決して来年の一月一日からこれを施行する。  このように、県と市が連携して困難な状態のもとでとにかく地元でやることはやり抜いて、そして国の力をかりよう、こういうことでまことに意気盛んなものがあって、私はこの心意気は評価してくれないかぬと思うんですよ。国がやってくれたら何かしようというんじゃなしに、まず地元からやれることはやろうというここの心意気を大事にしてほしいとまず一つ思います。  そして、神戸市が対象としている企業は、マルチメディア関連や研究開発、人材育成などの新産業を初め、情報発信、交流機能を持った集客施設とする、さらに施設建設費の助成や外資系企業への家賃補助、こんなことも予定しております。しかし、先ほども言いましたように地元だけが幾らやっても、やはりこの中央集権の日本経済というか税制とかあらゆる仕組みの中では、どうしても政府の強固な推進をしていこうという姿勢、そこから出てくる積極的な支援がなければこのエンタープライズ構想というものは成功しないのであります。  ちょうど先ほど考え方で言ったように、この阪神・淡路大震災というのは何も兵庫県と神戸が望んで起こしたものではない、そうでしょう。先ほど言ったように、その地域の直接的な責任に帰せられない事由によって経済的困難が起こったところにどうするかというところがこの基本にある。まさに阪神・淡路大震災の被災地はそういうところなんですよ。しかも、神戸という港を持った国際都市をそこに控えている大阪湾ベイエリア、大阪から京都、京阪神という経済地域もそこにある。ここにひとつモデル的に規制緩和の問題とかあるいは税制の新しい措置とかというものを持ち込んでいって、そして英国やアメリカで成功しているそういうゾーン、地域によって新しい成熟社会の二十一世紀の、どうせ経済的な改革をせないかぬわけですから、そのモデルとしてこの兵庫、神戸をやったらいかがかというんです。  沖縄問題だってそうでしょう。米軍の基地に体存しておる沖縄なんです。米軍の基地をなくせといって、後どうするんだというときにはやっぱりこれと同じ、これ沖縄の県民が選んだのでも何でもないわけです。だから、その当該地域の責任によって生じたものでないという、そういう状態から起こってくる経済的な問題に対して、やはり別の視点を述べていかなければ問題は解決しない。  そういう意味で、私は、阪神・淡路大震災の復旧・復興の一つの大きな軸としてこのエンタープライズゾーンを導入してこれを実施させる、モデル的に実施させるということに何で通産省はためらうのか、腰を引いておるのかというのがわからぬわけです。そやから地元は辛抱できぬといってみずからスタートしたんです、行動を起こしたんですね。ほっておきますか、これ。勝手に地元がやっておるのだといってほっておきますか。ほっておけぬでしょう。阪神・淡路大震災の復旧・復興問題を一体どうするか、通産省の姿勢いかんということが問われておるんじゃないですか。大臣に頼みます。
  159. 佐藤信二

    国務大臣佐藤信二君) ちょっとその前に向こうから答弁させ、それから私が答弁します。
  160. 稲川泰弘

    説明員(稲川泰弘君) エンタープライズゾーン構想につきまして、地元、県、市また商工会議所から各種のプロジェクトが提案をされ、検討をされておるところはまさに承知しておるところでございます。  ただ、このプロジェクトにつきまして、推進内容、具体的な進め方というのがエッセンスでございます。そういうところから、通産省としては、先ほど大臣から御説明申し上げました財団法人の阪神・淡路産業復興推進機構に平成七年度補正で一億五千万、また平成八年度一億五千万、来年度は増額をして一億七千万の予算要求をしているところでございまして、こういう機構を中心として自治体、産業界がさらにプロジェクトの具体化推進されることを期待しているところでございます。  もちろん我々として、いろんな形での御支援をしたいと考えでございますが、具体化された事業につきまして、現在我々受け皿として民活法あるいはFAZ法の受け皿をもって、でき上がったプロジェクトからできる範囲のことをしていきたい、かような考え方でございます。
  161. 佐藤信二

    国務大臣佐藤信二君) 今のような話を実は聞いてまいりましたので、ちょっと本岡委員の話と食い違いがあったかなと思って先に答弁させたわけです。  私の認識では、今のようにこのエンタープライズゾーン構想というものは復興対策本部を中心として政府全体でもって取り組むものだと、こういうのが第一でございますし、そしてそれを具体化するためには、地元の自治体と産業界が一体となって具体的なプロジェクトはこういうのがあるぞということをつくってもらって、それを受けて通産省としてはその事業に対して現在ある民活法だとかFAZ法というもの等を活用して支援していく、こういうふうな実は体制でございまして、別に通産省が腰を引いているとかいうわけではございません。また、もし引いているようでしたら、今のようなことでもって前向きに対応してまいります。
  162. 本岡昭次

    本岡昭次君 今おっしゃった財団法人阪神・淡路産業復興推進機構、これがこういうふうに「エンタープライズゾーン・先行事例から得られること」ということで、「ゾーニングを活用した産業振興策の海外事例」ということで、この財団自身がちゃんとアメリカやイギリスヘ行って調査をして、いかにこれが有効かという報告書も出ておるんですよ。  それで、先ほど言ったように、まず地元からやれることをやっていこうということで、先ほどおっしゃったけれども、いろんなものを今出してきよるんだから、積極的に受けとめてこれを成功させるようにやってくださいということを私は申し上げているんです。
  163. 佐藤信二

    国務大臣佐藤信二君) よくわかります。
  164. 本岡昭次

    本岡昭次君 ひとつよろしくお願いします。
  165. 佐藤信二

    国務大臣佐藤信二君) はい。
  166. 本岡昭次

    本岡昭次君 それでは、これからの具体化についてよろしくお願いしたいと思います。  それから、今ちょっと出ましたけれども、この民活法の被災地特例、それからFAZ法の税減免分の交付税補てん措置、こうしたものが講じられて地元の産業復興は今進んでおります。ところが、この被災地特例の措置というのがある年度が来ると次々と打ち切られていくんですね。  それで、地元の心配は、民活法の被災地特例が平成八年度で打ち切られてしまうんではないかという心配をしております。というのは、来年の三月三十一日に打ち切られてしまうということを心配しておるんですね。  それで、今の進捗状況、例えば被災地の産業復興の基盤的施設となる神戸国際会館、この間十一月一日に起工式やりましたね。あるいは高度商業基盤施設国際会議場、神戸国際マルチメディア文化都市ワールド、舌をかみそうなあれですが、こういういろんなものをこの民活法の被災地特例の支援を受けてやってきよるんですよ。  だから、こういうことを考えると最低あと二年ぐらいこの民活法の被災地特例を延期してもらいたいという、私が二年でいいのかと言うと、二年以上ですと言うから、それはそうやろうなと、こう言っています。  一生懸命、今困難な状況の中で立ち上がっていきよる阪神・淡路震災の後の復興事業ですが、この民活法のこれどうですか。特例を平成八年度で切らないと、最低二年以上の延長が必要やと言っていることについても十分理解をしてもらい、また今後の事業推進について政府支援の方向はこうだといった点について、簡潔にひとつ御答弁いただきたいと思います。
  167. 藤島安之

    説明員(藤島安之君) 被災地の産業復興プロジェクトの支援についての民活法の適用でございますが、平成八年度の認定案件については、補助金の引き上げ、かさ上げ、五%を一〇%にする、あるいはNTT無利子融資を五〇%まで拡大する、こういう措置を講じたところでございます。これは委員指摘のとおりでございます。  これを延長するかどうか、こういうお話でございますが、我々としては、これを延長、適用の継続ということで現在財政当局と折衝中でございます。頑張りたいと思っております。
  168. 本岡昭次

    本岡昭次君 どうもありがとうございます。ひとつどうぞよろしく。  終わります。
  169. 水野誠一

    ○水野誠一君 私は、大店法についてまず通産省に御質問申し上げたいと思います。  もう既に小山委員あるいは山下委員から大店法の規制緩和について御質問がありました。私は、多少違う観点になろうかと思いますが、まず通産省に伺いたいと思います。  十一月十四日の日経新聞の夕刊に、大店法の出店申請に対して、出店を調整する通産大臣の諮問機関であります大規模小売店舗審議会、いわゆる大店審が店舗面積の大幅削減を勧告するケースが相次いでいるという報道がございました。これによりますと、中には届け出面積を約六割カットされて出店を断念したスーパーもあるというような報道もありましたほかに、茨城県とかあるいは京都府でも約六割の削減勧告を受けたケースがあったということが報道されておりました。  大店法に関しましては、九〇年の日米構造協議の後、規制が緩和されてきており、大規模店舗の削減率に関しても減少してきているというふうに聞いておりましたが、この報道にあるように、届け出面積の六〇%もカットされるような勧告がされているということが事実であれば、この規制緩和というものも骨抜きなのかという新聞の論調があながち誤っていないのではないかというふうに感ずるわけであります。  大型店側としては、削減理由が非常にあいまいだと反発しているということでありますが、私もこの大店審における審査のプロセスにかなりのグレーゾーン、あいまいな部分が依然存在しているのではないかと考えています。  昨年の行革委員会規制緩和委員会の報告にも、大店法の見直しに関しては、上乗せ規制と言われる地方の独自規制が存在したり、また事前協議による調整が廃止されたわけでありますが、それにもかかわらず、地方通産局や都道府県の中には依然この事前協議を指導してやらせているケースもある、大店法の趣旨が十分に徹底されていない事態が依然存在しているという指摘があるわけであります。  今回の新聞報道から見ても、削減勧告がどのような基準に基づいて行われているのか、どうもはっきりしない印象がぬぐえないわけでありますが、この件について通産省から御説明をいただきたいと思います。
  170. 今野秀洋

    説明員(今野秀洋君) 大店法の運用につきましてお答え申し上げます。  まず、日経新聞の記事の件でございますけれども、いろんな数字がございます。この削減率がどうかという問題でございますが、この記事では関東と近畿圏を例にとりまして、上がっているのではないかという報道がなされているわけでございますけれども、全国平均で見ますと、むしろ店舗面積の削減の程度は減少の傾向にございます。これは地域によってばらつきがございますのが実態でございます。  それから、地方の行き過ぎた独自規制云々ということで、これは確かに昨年の十月、行政改革委員会から依頼調査というのがございまして、総務庁が調査結果を発表いたしました。そこには、地方の行き過ぎた独自規制あるいは事前協議の指導等の例があるという指摘がなされているわけでございます。  通産省におきましては、この報告書が出ました後、調査をいたしたところでございますけれども、事前協議の指導につきましては、私どもが把握した事例はございませんでした。地方の独自規制でございますけれども、これにつきましては、種々の地方自治体の条例あるいは指導要綱等を取り寄せまして精査いたしましたのでございますけれども、いわゆる行き過ぎた規制といいますか、あるいは大規模店舗法の精神に合致しない規制というものは見当たらなかったというのが実態でございます。もちろん、私どもはそれでよしとしているわけではございませんで、実際にこのような事例がありました場合には直ちに是正を指導するという方針でいるところでございます。  大店法の運用の、この店舗面積の調整等をどのようにしてやっているかという御指摘でございますけれども、御案内のように、これは大規模小売店舗審議会というものが大きな役割を果たしていただいておりまして、これは中立の学識経験者に委員になっていただいている審議会でございます。この審議会におきまして、消費者利益の保護と、それから周辺の中小小売業の事業活動の機会の確保と、この双方の観点から調整を行っているわけでございます。  具体的には、これは審査要領がございますけれども、消費者、小売業者、学識経験者等から意見を聴取いたしますが、同時に、必要に応じまして商工会議所あるいは商工会に対しまして関係者の意見集約を依頼するというようなこともございます。審査要領に定められました定量的な分析、それから定性的な考慮要因、こういったものを総合的に勘案いたしまして最終的な判断を下しているということでございます。  大変難しい案件が多うございますけれども、私どもといたしましては、この大規模小売店舗審議会におきまして個々の案件について非常に慎重な総合的な判断をしていただいているというふうに思っているところでございます。
  171. 水野誠一

    ○水野誠一君 今の御答弁ですと、余り行き過ぎた指導というものがないというようなお話であったわけですが、例えばこの新聞記事の中に具体的に出ております米子のダイエーの五八・八%の削減というような数字もあるわけですが、こういう具体事例について、これは何ゆえにこういった削減率が出てきているかというあたりについてお調べになっているんでしょうか。
  172. 今野秀洋

    説明員(今野秀洋君) 削減率が、先ほど申し上げましたような全国平均で見ますと比較的下がってきておりまして、ことしの例でございますと、この一月から十月までの平均で見ますと、勧告を受けたものの平均削減率が二〇%ぐらいという数字などございますけれども、ここ数年のデータを見てみますと、五〇%以上の削減率になりましたものは年間十件程度ございます。これが最近必ずしもふえているというわけではございませんで、それはあるのも事実でございます。  その米子の件は御指摘の事実のとおりでございますけれども、その審査内容につきましては、ただいま申し上げましたように、審査要領に定めております定量的な分析、それから定性的な諸要因というのを勘案しまして、消費者、小売業者、学識経験者等から慎重に意見を聴取し、かつ意見集約を踏まえた総合的な判断であるというふうに私ども理解いたしております。
  173. 水野誠一

    ○水野誠一君 余り時間もございませんので、その問題はまた改めて伺うとしまして、私も中小小売業者の保護、育成ということに対しては非常に重要なテーマであるということは理解をしております。しかし、そのときに大規模店舗法というようなものを強化するという形ではなく、むしろ特定商業集積法を拡大して中小小売業者の構造改革を進めていく、これが本筋ではないかと思うわけです。非効率な小売店舗を保護していくという消極的な対応ではおのずから限界があるわけでありまして、構造改革をおくらせ、長期的には中小小売店舗の利益をも阻害していくということにつながる危険性もあるという中では、もっと積極的な育成策、つまり特定商業集積法を拡大して考えていく考え方、これが私は大事ではないかと思うわけでありますが、ひとつ佐藤通産大臣の御見解を伺わせていただければと思います。
  174. 佐藤信二

    国務大臣佐藤信二君) 今のお話でございますが、いわゆる商店街の問題、そのまず認識というのは、近年非常に我が国流通というものは消費者のニーズが変化してきた。価格競争の激化、それからモータリゼーションの進展、それからまた郊外への大型店進出の加速等を背景として構造的、持続的な変化の中にある、こうした認識であるわけでございます。  こうした厳しい環境変化の中で中小小売業者が消費者の支持を得るということには、まず中小小売業者自身がみずからの構造改革に取り組むことが重要だと、そしてまた意欲のある中小小売業者のこうした取り組みを後押ししていくのが中小小売商業対策の本筋だと、こうした認識を持っております。  こうした認識のもとで、具体的には大企業との連携も含めた商店街、商業集積の整備、それから情報技術の活用等による効率化の向上とか消費者のニーズへの対応ということに関して、今後とも補助だとか高度化の無利子融資、低利の融資等各般の支援措置の整備を進めていきたいと思います。  今お話がありました地域の問題として、高度の商業集積型というのでは、私の地元でもって二つ実は成功したことがございまして、またそれには進出された大型店の地元への理解が大変深かった。こういうことも言えると思います。  以上でございます。
  175. 水野誠一

    ○水野誠一君 次に、最近話題になっております電子商取引のための暗号技術開発について通産省に伺いたいと思います。  盛んになっておりますエレクトロニックコマースの中で、セキュリティーの重要性というのはもう申し上げるまでもないわけでありますが、比較的進歩しておりますアメリカでも国防省のコンピューターに昨年ハッカーが侵入したケースが一年間に約十六万回あった。アクセスをした数まで入れますと二十三万回のハッカーのアクセスがあったというような状況の中で、ますます情報に関するセキュリティーの重要性というのが出てきていると思います。  電子取引実証実験の十九プロジェクトの中にはこの認証暗号に関するものもあるわけですが、また私が伺うところではRSAなどのアメリカ製の。暗号が導入されているというふうに聞いております。しかし、このような商取引の暗号とそれから、さらにもう一ランク高い国家機密に関する暗号とではおのずから要求されるレベルが違ってくるのではないかと思うわけでありますが、日本独自のこういった国産技術というようなものを暗号分野で例えば育成していくというようなことについて通産省はどういうふうにお考えになっているか、この点についてお答えをいただきたいと思います。
  176. 中川勝弘

    説明員(中川勝弘君) 先生指摘のように、最近の情報技術の大変急速な発展によりまして、インターネット等を利用いたしましたいわゆるオンラインショッピングと申しますか、電子商取引が現実のものとなりつつございます。  ただ、これを本格的に実現していくためには、取引情報の盗聴あるいはクレジット番号等が漏れるとかデータが改ざんをされる、あるいは破壊されるというような不正行為から商取引を守っていく必要がございます。また、従来は相対取引で書面でもって署名や印鑑を押したわけでございますけれども、コンピューターのネットワークの上で確かに本人がその契約当事者であるということを確認するということも必要でございます。したがいまして、こういう観点からセキュリティーの確保を図っていくことが極めて大事でございまして、そのためには信頼性のある暗号技術の活用が不可欠だという認識をしております。  したがいまして、私どもとしましては、電子商取引を初めといたしますコンピューターネットワークの利用推進のために、いろんな取引がございますしいろんな利用の形態もございますので、その形態に合わせた多様かつ高度な暗号技術の提供が必要であると思っておりまして、アメリカ等で開発されましたRSAなどの暗号を利用すると同時に、我が国の大学やあるいは企業による暗号技術の開発を支援していきたいと考えているところでございます。  具体的には、私どもの関係団体でございます情報処理振興事業協会を通じまして、平成七年から我が国の大学や企業による暗号のアルゴリズム、暗号をもとに戻すということでございますが、この仕組み、方式についての開発を支援いたしておりますし、十九の電子商取引実験プロジェクトにおきましても、暗号認証技術を応用した電子決済のプロトコル、方式等につきましても実験を行っているところでございます。  御指摘のように、大変セキュリティーは大事だと思っておりますし、その確保のために今後とも暗号技術の開発に努力をしてまいりたいと思います。
  177. 水野誠一

    ○水野誠一君 それでは続いて、麻生経済企画庁長官にお尋ねいたしたいと思います。  私は昨年十二月のこの同じ決算委員会で、当時の宮崎経企庁長官に、昨年十二月に閣議決定されました構造改革のための経済社会計画について、当時の厳しい経済状況の中で景気の先行きに対する不透明感を払拭するものだということで大変大きな期待をされているものでありましたし、また、とりわけ構造改革重要性ということを前面に打ち出しているということは大変評価できるものではないかと、こう申し上げたわけであります。  そして、この計画が速やかに実現化することに日本経済の将来がかかっているわけですが、しかしその中で示されている三%の経済成長率というものを実現するのは、また同時に並大抵なことではないということも申し上げたわけであります。  特に、労働市場の活性化という視点のところも言及したわけでありますが、この点につきましては先週の十五日に、中央職業安定審議会の答申素案に基づいて民間有料職業紹介の原則自由化橋本総理も了解されたという新聞報道がされております。これは規制緩和の一歩ということで高く評価されるのではないかと私も非常にうれしく思っております。  規制緩和構造改革の重要な柱であるということは間違いないわけでありますが、先ほど御質問した大店法の緩和というようなところについても徐々にその成果があらわれてきているということであります。また同時に、一方では製造業が高い税金と高コストの中で大変国際競争の中で苦しみ、依然空洞化の心配がある、空洞化が進展しているというような状況もあるわけであります。二十一世紀に日本で製造業が生き残れるのかどうかということは我々にとって依然深刻な問題ではないかと思うわけであります。  このように、申し述べてまいりました昨年の経済社会計画でも高コスト構造の是正の行動計画ということの重要性が述べられているわけでありますが、この答えというのはやはり規制緩和の中に相当部分あるのではないかというふうに考えております。規制緩和に関しては、行政改革委員会及び経済審議会において鋭意検討されているというふうに承知しておりますが、昨年の閣議決定から約一年たった今日、我が国における経済構造改革の現状を麻生長官としてはどのように評価をされているのか、ぜひ伺いたいと思います。  また、日経連は、新経済計画というものが実現可能かどうかということに対して、半ば期待とともに不安を述べております。経済企画庁長官として、経済構造改革推進の担い手である新大臣がどのように政治のリーダーシップをとっていかれるおつもりなのか、この点についてもあわせてお答えいただければと思います。
  178. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 今、水野委員の方から御質問があっておりましたとおり、おかげさまで景気は、確実とは言いませんが、緩やかではありますけれども前よりはよくなってきておるとは思っておりますけれども、この景気の回復基調が、少なくとも中長期的に見て、いわゆるほかから手を差し伸べられるのではなく経済自体が自律回復をやっていくというのが日本の今後の経済のために最も重要でありますので、そのためには今御指摘のありました経済構造改革は不可欠の問題だと思っております。  これは多分多くの方が皆同じような思いをしておられるのだと思いまして、それに基づいて昨年の十二月、いわゆる経済計画として構造改革のための経済社会計画というのが出されて、それをもちまして今御指摘のありました高コストの是正とか、新しく産業展開をしていくためにいろんなものがひっかかっておるという部分を考えまして、こういったものを規制緩和等々を含めてやっていかなきゃならぬということで、経済審議会において経済計画のフォローアップをずっと中心として今なされてきて、この十二月の初旬までに最終的な答申がきちんとでき上がってくることになっております。  今御指摘のありましたとおりに、これを進めていくに当たりましては規制の緩和というのは大変重要な要素でありますので、特に経済効果に資するところが多い、波及効果がでかいと言われる六つの分野、いわゆる高度情報通信、物流、それから金融、土地・住宅、それと先ほど御指摘のありました雇用の問題等々を含みます労働市場の問題、そして福祉と医療というこの六つの分野に特に的を絞って進めてきておるところであります。  この規制緩和につきましては、水野委員御存じのように、十月三十一日の三党合意におきましてもこの点が最も重要であるということで認識をいただいておりますので、このでき上がりましたものの具体化をやっていかなきゃなりませんので、今後ともこの十二月をめどに経済審議会の報告はきちんと取りまとめていきたいと思っております。  行政改革規制緩和、今回の経済審議会と行政改革委員会、この二つは車の両輪みたいなものだと思っておりますので、構造改革への取り組みはまだ緒についたばかりということであろうかとは思いますが、改革こそが展望を切り開くということで、経済構造改革の着実な前進に今後とも全力を挙げてまいりたいと思っております。
  179. 水野誠一

    ○水野誠一君 ありがとうございました。
  180. 栗原君子

    ○栗原君子君 新社会党・平和連合の栗原君子でございます。よろしくお願いいたします。  私は、原発の新増設にかかわって幾つか質問をさせていただきたいと思います。まず、佐藤通産大臣も特に御関心をお持ちのことと思いますけれども、去る十一月十三日でございますが、山口県の上関町において多くの町民が原発反対の意思表明をする中で、中国電力の社長が直接上関町に出向きまして町長に申し入れるという当初の計画は不可能となりました。結局、ファクスでそういったことを行うという前代未聞のやり方になったわけでございます。  上関におきましては、原発計画が浮上いたしましてから十四年余りの年月が経過する中で、これまで大変穏やかで人情味あふれる人間関係を持ってきたところが、もう今日ではずたずたにそれらの人間関係も崩れてしまったということの報告もいただいております。私は、これは単に上関の問題だけではなくして、原発誘致や増設をめぐっては過疎と高齢化の町が多く、その中で流血騒ぎ寸前まで起きているところが多いように思うわけでございます。  そこで、各地で地元の反対を押し切る形で新増設の動きが出ておりますけれども、先般の朝日新聞の記事によりますと、通産省が「原子力の割合が低いところには、供給計画のヒアリングなどを通じて強く指導している」と、こうしたことが新聞の報道でもなされているわけでございますが、こういった記事は本当なんでしょうか、事実でございましょうか。
  181. 江崎格

    説明員(江崎格君) 将来の電源の問題につきましては、電気事業審議会というのがございまして、ここに需給部会というのがあるわけでございますけれども、そこで策定されました電力の供給目標というものがございます。これによりますと、平成十二年、それから二十二年の目標を設定しておりまして、例えば原子力ですと平成十二年には電力設備の一九%、それから二〇一〇年、平成二十二年には二五%という目標を立てているわけでございます。電気事業者は、この目標を勘案しながら向こう十年にわたる電力の供給計画というものを毎年策定いたしまして、通産大臣に対して届け出を行うということになっております。  この目標というのは、供給の安定性とかあるいは経済性などを踏まえまして、それから特に最近地球環境問題というような問題にも配慮した最適な電源構成を構築するために電力供給計画というのは必要なものと私ども考えているわけでございますけれども、私ども通産省としましては、いろいろな機会をとらえまして電気事業者に対しましてこの目標になるべく近づけるようにということで指導を行っているところでございます。
  182. 栗原君子

    ○栗原君子君 ちょっとお言葉を返すようでございますけれども、実は、これは地元中国電力の社長の言葉でもございますけれども、「もんじゅ」あるいは巻町と一連の中で原子力問題は順調に進んでいない、このように言っております。さらには、先般広島市で十月二十九日に一日総合エネルギー調査会なるものが開かれたようでございますけれども、ここでも中国地域総合エネルギー対策審議委員の立場で出席いたしました中国電力の社長は、国の原子力政策に揺らぎが生じているのではないか、原子力開発の方向性の再確認をお願いしたい、こういう気持ちをお持ちのようでございます。  そうしたところで、電力会社の社長もこうした考えを持つ中で、国のエネルギー政策というものについて、通産省はこれからもあるいはまた今までやってきたことに対しても全く考える余地はあるのでしょうか、ないのでしょうか。
  183. 江崎格

    説明員(江崎格君) これまで進めてまいりました国の原子力政策、これは一番トップがまず原子力委員会というのがございまして、そこが大方針を決められまして、それを私どもの総合エネ調とか、あるいはいろいろな場で具体化をしているわけでございますけれども、御指摘のように、「もんじゅ」の事故以来こうした原子力政策につきましていろいろな意見が出てまいりまして、確かに国の原子力政策について改めて再構築をしなければならないという事情になっているのは私どもも承知しております。  特に、ことしは電源立地県であります三県知事からの御提案等もございまして、こうした情勢を踏まえまして、国の方では、一つは原子力委員会におきまして円卓会議というのを設けまして、国民の各層からいろいろな御意見を出していただいて原子力政策につきまして議論をしていただいておりますし、また私どもにおきましても総合エネルギー調査会の原子力部会というのを改めて六月から開催をいたしまして、原子力政策を進めるについての具体的な問題につきまして現在議論をしているところでございます。できれば年末あるいは年明け早々ぐらいにはこうした各界の意見を反映した原子力政策について改めてお答えを出していただきたい、このように思っておるところでございます。
  184. 栗原君子

    ○栗原君子君 上関の原発の計画の例をとってみましても、絶対反対を掲げる漁協があるわけでございます。さらにまた、土地の不売の地主もいるわけでございます。こうした中で、無理やり電源開発調整審議会、いわゆる電調審と言われておりますけれども、これを通すことは巻町のように前にも進めないし後にも引けない、こういった状況をつくることにはならないんでしょうか。
  185. 佐藤信二

    国務大臣佐藤信二君) 今、栗原委員の方から、大臣がまず大変関心を持っているだろうというような話もございましたが、おっしゃるとおり私自身は関心以上のものを持っておりまして、これは実は私の選挙区において最も重要なところなんです。まさに私たちの一族にとっての墳墓の地のすぐ近くの町だということでございます。  若干ちょっと委員の方に誤解があるかと思いますので申し上げたいのは、この町は確かに平和な漁村だったわけです。橋ができまして、昭和四十年代だったと思いますが、三十年代だったかわかりませんが、橋ができたために逆に非常に過疎化してまいりました。そういうことで、地元としては地元の振興策をどうするかということがございまして、それで初めはLPGの実は貯蔵というか基地という案があったんですが、大変当時としてはうまくいかなかった面があったんです。そういう経験をしてきましたが、ますます町として疲弊して大体人口が四千名ぐらいになったんです。  そういうことで、町の方からこれからの地域振興として何がいいかということを実は研究して、やはり原子力発電によって地元の活性化を図ろう、こういうことで今の町長は実はそのことを公約として四期当選をしておりますし、それから町議会の方の意向もございます。私自身も、ちょっと言い方がおかしゅうございますが、今度の選挙のときはもちろん原発推進が公約でございましたし、実はそれ以前から原発推進ということで当選させてもらったし、また特に今回の選挙は私自身にとっても大変厳しい選挙で非常に僅少差でもって勝ちましたが、そのうちの半分ぐらいはこの上関のおかげで勝った。こういうような認識でございます。  もちろん、私に対する町の投票というのは今の発電所誘致反対の人たちも実は入れていただいておりますので、全部が全部賛成とは言いがたいですが、少なくとも私自体の公約は賛成ということでやらせていただいた。こういう結果でございます。  そういうことで、今までやはりどちらかというと中電さんの方が地元の反対も強いしということで時間がかかってまいりましたが、今回やっと中電さんの方からそこに進出していいという話を実は役場の方と並びに県の方に申し出た。こういう段階でございまして、そのときに、今おっしゃるように上関町というのは先ほど申したようにもともと離島だったんですが、その中でまだ一つだけ祝島という島がございまして……
  186. 栗原君子

    ○栗原君子君 私は時間が少ないんですけれども。
  187. 佐藤信二

    国務大臣佐藤信二君) これは非常に大事な話なんで申し上げますが、そういうことで、そこの島は確かに反対なんです。これは何と申しますか古い歴史がございまして、もともとここは瀬戸内海特有の源平時代の平家の落人が住んでいる、こういうところからいって非常に閉鎖社会でもあったと。そこに対するアプローチにちょっと若干問題があったかと思います。  そういうことで、今の地元に関してはどちらかといったら町、地元の方が主導権を握って今日まで来たということでございます。  ちなみに、先ほどお話がありました中電さんの話でございますが、これは現実問題として非常に全国でもって自家発というのが多いのが山口県の特徴でございますし、それからもう一つは、数年前に夜間料金というのを設けましたが、これも実は非常に利用者が多いということは、中電自体の電気料金がほかの電力会社に比べて高いということが言えるわけでございまして、そういうことことからして今のような処置になったというふうに御理解いただきたいと思います。
  188. 栗原君子

    ○栗原君子君 電源三法の交付金の制度ができまして二十二年になりますけれども、その総括が抜きにされたままに次々と新しい交付金を出しているのは私は問題だと思っております。特に一九八一年以降は企業誘致の条件整備に力を入れてきたわけでございますが、企業誘致に成功した例はどれだけあるのか、お伺いいたします。
  189. 岡本巖

    説明員(岡本巖君) 電源立地交付金、先生指摘のように地域振興のためのソフト、ハード両面にわたって私ども交付金などを現に出しているわけですが、まず総人口で見ました昭和四十五年との対比におきまして、平成六年度で、原子力発電所が所在します各県の平均は四十五年の一〇〇に対して九七でございますが、発電所所在市町村は二四ということでございます。同様に、就業者数が一一六。製造業出荷額が四十五年の一〇〇に対して七十三・四倍、県平均では十八・二倍という状況でございますし、商業販売額も県平均の七・四倍に対して十一・九倍というふうにふえてきておりまして、例えて申しますれば、浜岡町で池新田の工業団地なんかの整備をやりまして、浜岡は農業と並んで工業の出荷額も順調にふえる、そういうような地域振興の実が上がっているところでございます。
  190. 栗原君子

    ○栗原君子君 今、浜岡ということをおっしゃいましたけれども、実は私は浜岡の方に聞いたんです、どれだけ成功したのか。実は私も調査に行きたいということを言いましたら、こんなファクスがわざわざ参りました。こう書いてあります。  企業誘致に成功した例として浜岡を揚げるのはとんでもないことです。原発が来て以来二十五年、浜岡町へ来た企業には上場企業などはなく、わずかに以下の三社程度ですが、いずれも原発とは関係ありません。  浜岡の周辺町、相良、小笠、大東などは企業誘致(TDK、スズキなど)に成功しており、浜岡の若い人達はそのような企業を狙って働きにいっている現状です。これは周辺町の努力で実現していることであり、これをも含めて原発による効果などとはとてもいえないはずです。    木村鋳造(沼津に本社のある鋳物の会社)    浜岡東芝エレクトロン(テレビカメラの色素を作っている)    日本特殊塗料(車の塗料)  原発がきたことで浜岡に来たものは、民宿、飲食業のようなサービス業であり、ゼネコンの下請けとしての土木建築事業が恩恵を受けただけでした。  このようなファクスが来ましたが、それじゃこのファクスについてはうそなんですか、本当なんですか。
  191. 岡本巖

    説明員(岡本巖君) 今、先生指摘のファクス自体は私ども拝見をいたしておりませんので、その中身の逐一について、真偽のほどについて御意見を申し上げることは控えさせていただきたいと思います。
  192. 栗原君子

    ○栗原君子君 それで、担当者の方から伺いましたら、何か柏崎も成功した例だということで、この二カ所であろうと。十七カ所稼働しておりまして、二カ所であろうと、そういうことでございます。柏崎の人に聞きましたけれども、そこも今までいた企業がそこへ移転しただけであって、別に他から来たと思えるようなものではないと、こんなことを言っている人もあるわけでございます。  そこでまた、原発地域の交付金で高齢者対策をするということを通産省では言っておられますけれども、本来、高齢者対策は原発建設の見返りとして行うべきではないと思うんですね。私は、高齢者対策は厚生省が中心になって行うべきだと思うんですけれども、なぜ原発と高齢者対策なんですか。なぜ原発と寝たきり高齢者の対策なんですか。本来、原発というのは危険だということが言われております。これはチェルノブイリの例でも明らかでございますけれども、その危険だというところへそうした一番弱者を置くということ自体どうも私は矛盾を感じるわけでございますね。それらについてはどうなんでございましょうか。
  193. 岡本巖

    説明員(岡本巖君) 原子力発電所の所在市町村に、電源三法に基づいて各省とも御相談した整備計画に基づいて、各省で助成対象となっているようなものにつきましても各省とすり合わせの上で、地元の御判断で幅広く地域の振興なり福祉の向上のためにお使いくださいということで私ども交付金をお出ししているわけでございまして、そういうメニューの中で、例えば高齢者福祉のための施設を整備されるという地元の御判断があれば、この交付金をお使いいただくということは交付金の趣旨に十分沿ったものだと私どもは考えております。  それから、先ほど来、先生は御指摘の中で原子力発電所が安全でないという点を繰り返し御言及でございますが、私どもとしては多重防護の考え方のもとに、日本の原子力発電所の安全運転という面での実績は世界のトップ水準を行っておりますので、そういう点についても御理解を賜りたいと存じます。
  194. 栗原君子

    ○栗原君子君 総合エネルギー調査会の原子力部会の議論でも、地域振興はわいろであって、やめた方がよいといった議論が出ておりますけれども、こうした地域振興について根本的に見直すというお考えはございませんか。
  195. 江崎格

    説明員(江崎格君) この地域振興政策の評価でございますけれども、原子力発電を立地する際に、地元の方に受け入れてもらうためにどうしても必要なことというのは、安全性とかあるいは国のエネルギー政策上必要だということを御説明し納得していただくのは、これはもちろんなんですけれども、それだけではやっぱりどうしても不十分でございまして、原発の立地に伴う具体的なメリットの還元というものが地元に対してないと受け入れてもらえない状況でございます。  そうした問題に対応するための措置として各種の振興策というものがかねてから行われておりまして、その意味で現在も地元の要望というのは振興策に対して非常に強うございます。ただ、もちろん地元の要望を踏まえて適宜改善していく必要があると思っておりますけれども、依然として振興策の重要性というのは非常に私どもあるのではないか、このように考えております。
  196. 栗原君子

    ○栗原君子君 諸外国でもいろいろ原発をやっているところは多いわけでございますけれども、地域振興をやっているところは何か韓国とフランスのみということを伺っております。そういう状況の中で日本がこうしてやることについて、諸外国からいろいろ批判の声も出ているといった報告も受けております。  それから、電源開発によるこうした交付金とか補助金とか委託金、それから電力会社の立地の市町村への寄附金、こうしたことは金で地域の住民を黙らせる、金と引きかえに命の買収をするということは、私は差別につながるんじゃないかと、こういったことも考えるわけでございますけれども、この点についてはいかがでございましょうか。
  197. 岡本巖

    説明員(岡本巖君) 原子力発電を初めとする電源地域の振興という点で、日本以上に原子力発電に対する依存度が圧倒的に高いフランスでは、先生も御指摘のように、あの国なりの地域振興策を講じているところでございます。そのほかに私どもが承知しているのでは韓国という程度でございます。  ぜひこの点でお考えをいただきたいのは、例えばヨーロッパのように地続きで天然ガスが入る、北海の天然ガスが入る、あるいは北米大陸のように自前のガス、油の資源が潤沢にあるという国と、私ども日本のように八割以上を輸入に仰がざるを得ない国でエネルギーの安定供給というのを確保するかたがた環境問題に十分配慮した中で必要な電気を賄っていく。そういう際に、原子力発電というのを日本の場合には省エネ資源となるものの基軸として位置づけてやっていくことの必要性については、ぜひとも御理解をいただきたいと存じます。
  198. 栗原君子

    ○栗原君子君 もう時間が参りましたけれども、私は原発にばかり頼るべきではないと思いますし、やはり省エネを皆さんに呼びかけていくとか、あるいはまたクリーンなエネルギー、ソフトエネルギーの開発を進めていくとか、そういうところへもっと資金を投入していただくべきではなかろうかと思いますけれども、最後にそうしたことをお願い申し上げまして、大臣の見解を伺って終わりたいと思います。
  199. 佐藤信二

    国務大臣佐藤信二君) 今、御指摘のように、私自体も原子力発電による発電というものが最終的な電力源ではないというところでは一致しております。  もちろん省エネというものは徹底してやる必要がございますが、言ったときはやってもらうんですが、省エネというのも何というか余り長続きしないという問題がございますし、そして新エネの開発というのは金をかけて技術の開発をやったから完成するという問題ではございませんで、ある程度時間がかかる。そういうことで、それまでのつなぎとして、今のような生活状態を維持する、あるいは産業の発展というものを考えた場合には、どうしても一時期は原子力発電に頼っていかなきゃいけないんだろうと、こう思います。  ただし、今委員指摘のように安全の問題ですね、安全性の確保ということと平和利用ということが大前提にあることは言うまでもございません。そういうことでひとつ御理解のほどをお願いしたいと思います。
  200. 栗原君子

    ○栗原君子君 終わります。
  201. 野沢太三

    委員長野沢太三君) 他に御発言もないようですから、通商産業省経済企画庁中小企業金融公庫及び中小企業信用保険公庫決算審査はこの程度といたします。  次回の委員会は明二十日午前十時に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。午後五時四十八分散会      ————◇—————