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1996-05-23 第136回国会 参議院 労働委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年五月二十三日(木曜日)    午後一時開会     ―――――――――――――    委員異動  五月二十二日     辞任         補欠選任      千葉 景子君     青木 薪次君  五月二十三日     辞任         補欠選任      青木 薪次君     瀬谷 英行君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         足立 良平君     理 事                 南野知惠子君                 真島 一男君                 武田 節子君                 大脇 雅子君     委 員                 小山 孝雄君                 佐々木 満君                 山東 昭子君                 坪井 一宇君                 前田 勲男君                 松谷蒼一郎君                 石井 一二君                 今泉  昭君                 星野 朋市君                日下部禧代子君                 瀬谷 英行君                 吉川 春子君                 笹野 貞子君                 中尾 則幸君    国務大臣        労 働 大 臣  永井 孝信君    政府委員        労働大臣官房長  渡邊  信君        労働省労政局長  七瀬 時雄君        労働省婦人局長  太田 芳枝君        労働省職業安定        局長       征矢 紀臣君    事務局側        常任委員会専門        員        佐野  厚君    説明員        人事院事務総局        職員局職員課長  佐久間健一君        大蔵省主税局税        制第一課長    木村 幸俊君        大蔵省銀行局総        務課金融取引管        理官       大月 洋一君        郵政省通信政策        局情報企画課長  中田  睦君        労働省労政局勤        労者福祉部長   藤井 龍子君        建設省住宅局民        間住宅課長    内田 俊一君    参考人        雇用促進事業団  本庄  資君        理事     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○勤労者財産形成促進法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付)     ―――――――――――――
  2. 足立良平

    委員長足立良平君) ただいまから労働委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日、千葉景子君が委員辞任され、その補欠として青木薪次君が選任されました。  また、本日、青木薪次君が委員辞任され、その補欠として瀬谷英行君が選任されました。     ―――――――――――――
  3. 足立良平

    委員長足立良平君) まず、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  勤労者財産形成促進法の一部を改正する法律案の審査のため、本日、雇用促進事業団理事本庄資君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 足立良平

    委員長足立良平君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  5. 足立良平

    委員長足立良平君) 勤労者財産形成促進法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 前田勲男

    前田勲男君 それでは幾つかの御質問をいたしたいと存じます。  まず最初に、法案の前に、景気もようやく実感として薄明かりといいますか、温かみが出てまいってきたわけでございますが、力強さというか、こうしたものはいまだなお遠いという感じもいたします。特に、昨今の状況を見ますと、構造的な不安、構造的な長期的な課題というものを抱えておる。特に、最近の経済企画庁を初め報道等によりましても、まさにこの産業空洞化、これがなお顕著になってきておるわけであります。経企庁の発表等によりましても、西暦二〇〇〇年で製造業の六割が海外移転していく、海外生産現地生産をするというような資料でございますとか、中でも大都市周辺中小企業中小都市のいわゆる組み立て加工業的な業種、これが大変海外移転が現在進んでおりまして、私どものところにも例えば地元の中小企業中小企業の中でも中に近い業種皆さん方からアジアへの移転のあっせん、あるいは紹介をしてほしいという陳情がこのところ大変ふえてきております。雇用問題にとりましては、極めてこれ憂慮する事態に立ち至り、なおその感を深めているという観点から、昨年も労働省提案改正業種雇用安定法、また中小企業労働力確保法、これを制定され、かつての労働行政、こういう言い方をすると失礼かもしれませんが、守りから攻めに入ってきておる、非常にこれは結構なことでございます。  例えば、この二法は現在どのような効果を発揮しているのかどうか、またそれだけではなくて、新たに進む空洞化に対して労働行政としてどんなお考えを持っておられるのか、伺いたいと思います。
  7. 征矢紀臣

    政府委員征矢紀臣君) 先生指摘のように、いわゆる産業空洞化等背景にいたしまして、産業構造の転換等構造的な問題、これが非常に大きくなっているわけでございますが、これに雇用面から適切に対処するためには、やはり雇用が減少する分野から雇用が創出される分野への労働移動、これが避けられないわけでございまして、これについて適切な支援をする。  それからもう一点は、特に中小企業あるいはいわゆるベンチャー企業等、そういうところで新たな雇用機会をつくり出す、これを積極的に支援していくということが極めて重要である、こういう観点から、ただいまお話ございましたように、業種雇用安定法につきましては昨年の国会において御審議をいただき、三月に改正し七月から実施、また中小企業労働力確保法、これは中小企業庁と共管の法律でございますけれども、これについては昨年の十月、臨時国会改正お願いし、十一月から実施して今日に至っているわけでございます。  これにつきまして、この効果といいますか実績につきましては、改正業種雇用安定法につきましては、この支援対象となります特定雇用調整業種、これを現在まで百十四業種指定をいたしまして、この支援前提であります雇用維持等計画、これはこの九カ月間で百八十件を認定しているところでございます。この計画対象労働者数が二万二千人となっております。また、改正中小企業労働力確保法支援前提となります改善計画につきましても、実施以来六カ月間でこれは八十五件を認定しておりまして、そういう意味で着実に実績も上がっておりますし、また今後ともこの雇用の安定のために一層の効果が期待できると考えております。  なお、我が国海外生産比率につきましては、平成六年度の時点で八・六%となっておりますが、アメリカの二五・二%、ドイツの二一・三%に比べれば低いとはいえ、今後ともこれは恐らくさらに上昇をしていくことが避けられないのではないかというふうに考えているところでございます。  このような問題に適切に対処するためには、間違いますと、今回の新しい経済計画でもあるいは雇用対策基本計画におきましても指摘しておりますように、我が国も高失業社会に陥る、そういう心配もしなければならない、こういうことでございます。したがって、私どもといたしましては雇用対策基本計画も踏まえまして、ただいま申し上げた二つの法律に基づく支援策等から成る新総合的雇用対策、これを今後とも積極的に推進してまいりたいと考えております。さらに、我が国が高失業社会にならないようにするための方策について検討する必要があるのではないか、これはなかなか難しい課題でございますけれども、御指摘の点も念頭に置きながら、今後さらに検討を進め、雇用の安定の確保努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  8. 前田勲男

    前田勲男君 御答弁のとおり、例えばこの支援業種もふえていっておる、この業種がふえることは結構ですが、反面裏返せば空洞化海外移転が進んでいる、まさにその裏づけになるわけでありまして、ひとつ現二法の措置にとどまらず高失業時代を迎えないために努力を続けていただきたい、かように思います。  また、労働省分野からいささかちょっと距離があるんですが、昨今農業の再評価というのが国民的なブームになって、特に文芸界方々などは最近農業大変関心を持ってみずからやっておられる。宮沢賢治ブームどもその一つだと私は思っておりますし、殊に勤労者農業にuターンするという件数がこのところ急激にふえております。こうした点についてもひとつ労働政策の中で頭に入れて、農水省とともに十二分な対応をしていただければ、これは日本の農業のみならず雇用政策にとっても大事なことでございますので、その点をちょっと角度を変えて要望いたしておく次第であります。  あと、大臣に感想だけ伺いたいと思いますが、これは行政改革的な発想からのことでありますが、公務員採用制度、1種の一括採用案というのをとったらどうか、こういう新聞報道というか議論がなされ始めておりますが、閣僚のお一人として大臣はどのようにお考えになっているか、ひとつ参考までに教えていただきたいと思います。
  9. 永井孝信

    国務大臣永井孝信君) 今、先生の御指摘のありましたように、国家公務員のⅠ種の一括採用という問題がマスコミにも載って目につくことが最近多うなってまいりました。  私の立場から申し上げますと、各省庁セクショナリズム是正という観点から見まして、現在与党において公務員一括採用一括人事管理という立場に立って議論が行われているということは承知をいたしております。しかし、各省庁セクショナリズムを排除するために当面実施すべきことといたしまして、省庁間の人事交流推進やあるいは採用後の初任研修を初めとする各種合同研修というものなどの充実を図っていくことが当面重要なのではないかと実は思うわけであります。  先生御案内のように、一昨年の十二月二十二日に「省庁間人事交流推進について」という閣議決定がなされておりますが、その中でも触れられておりますように、本省庁課長職につくまでの間に広い視野に立った人材の養成をするという観点から、他省庁あるいは国際機関等における勤務を原則として二回以上経験させることにすべきだ。またその際、各省庁間の緊密な連携の強化観点をも踏まえまして、他省庁における勤務を一回以上経験させるように努めるというふうに閣議決定がなされているわけであります。したがって、今私が考えますことは、いわゆる各省庁セクショナリズムを排除するためにはそういう人事交流が当面重要なのではないかな、こう思うわけであります。  一括採用一括人事管理の導入ということにつきましては、公務員制度の根幹にかかわる問題でございますから、与党における検討がどのように進んでいくのか十分にその動向を注意して見守りながら、私としては慎重に勉強してまいりたい、このように考えるわけであります。
  10. 前田勲男

    前田勲男君 慎重というのはいろいろ表現がありますが、前向きに慎重にひとつ御検討いただきたいとお願いをいたしておきます。  さて、この法案の関係になりますが、財形制度ができてまさに四半世紀になるわけでございますが、この法律が整備されて以来、当初言われていた勤労者のいわゆる資産面での立ちおくれ、これが今日どの程度改善されたのか、またその中で、特に中小企業と大企業に働く勤労者の格差等々も目に受けるような感じもいたします。その辺、数字ではなくてどう改善をされたか、簡単におっしゃっていただければ結構です。
  11. 七瀬時雄

    政府委員七瀬時雄君) ちょうど二十五年前に財形法ができたわけでございますが、簡単に数字をちょっと申し上げますと、当時勤労者貯金が百十万だったのが千二百万になっているというようなこと、貨幣価値が変わっておりますので単純に比較できませんが、預貯金は大分ふえてきているという感を持っておりますし、それから勤労者持ち家比率も上がってきております。  ただ、自営業者方々預貯金あるいは持ち家比率ということで比較しますと、かなりやはり少なくなっている状況があることもまた事実でございます。
  12. 前田勲男

    前田勲男君 資産形成大分改善をされたということがおよその結論だというふうに伺っておりますが、さっき申し上げたように、企業規模によって格差等おっしゃるとおりあるわけでして、今後もなお御努力をいただきたいと思います。  そこで私は、財形制度を魅力ある制度またみんなが進んで加入する制度という観点からすると、言われておりますがやっぱり非課税限度額引き上げ、これが一番わかりやすくまた効果がある、かように思っており、もちろん労働省とされてもこの限度額引き上げ大変努力はされておるということは承知をいたしておりますし、また議員立場として我々も努力をなおフォローアップをしなきゃいかぬという気持ちでおりますが、この非課税枠拡大に向けてどういう見通しあるいはお考えを持っておられるのか、簡単で結構です、伺います。
  13. 七瀬時雄

    政府委員七瀬時雄君) 非課税限度額、これは税制全般にかかわる問題でございますけれども、私ども立場から申しますと、例えば安定した老後を送るために個人年金原資として一千九百万円ぐらい必要なんじゃないかとか、それから住宅自己資金、俗に言う頭金が一千四百万円ぐらい要るんじゃないかというような推計もございます。そういった中で五百五十万円という非課税限度額は低いと、そういうことでございますので、私どもは、これは財形制度の大きな柱でございますので、何としても額を拡大していかなきゃならぬと、そういう気持ちを強く持っているところでございます。
  14. 前田勲男

    前田勲男君 その額の拡大がなかなか難しい情勢にあるという中で、財形貯蓄活用助成金という制度を、表現は悪いんですが苦し紛れといいますか、そういうのじゃなくて努力して今提案されたということだと理解をいたしておりますが、そもそもこの制度そのもの勤労者財産形成が当然の趣旨でありまして、そこへこの助成金介護育児等まとまった支出、これを支援すると。そもそもの、当初の趣旨と変わってきたような印象を受けますが、その辺はいかがでございましょうか。
  15. 七瀬時雄

    政府委員七瀬時雄君) 当初の趣旨と言われました財産を形成するということが基本でございますが、おっしゃいますように、ただ、ためて人生節目節目で起こってくる問題について使って対処するという、そういう要素を盛り込んできたという意味では少し変わってきているという感がございます。そういった意味で、人生節目で起こります例えば介護育児教育あるいは自己啓発といったそういった問題について自助努力をすることに対して支援する、そういう形で立派な介護ができる、あるいは立派な育児ができる等々というのも、これもまた一つ財産と言えるのではないか、そういった思いもありましてこういった制度をつくったわけでございますので、そういった意味では社会的なコンセンサスが現段階で得られる事項に中身としては絞っておるところでございます。
  16. 前田勲男

    前田勲男君 まとまった支出となりますと、例えば結婚だとか病気だとか不幸な葬儀だとか、こうしたものもまとまった支出になってくるわけで、これは政令で指定されるんですか。
  17. 七瀬時雄

    政府委員七瀬時雄君) はい。
  18. 前田勲男

    前田勲男君 ということになると思いますが、その辺はひとつ慎重に御決定をいただきたいのと、なお広げて考えるとすれば、例えば人が持つ技能専門知識等、これもまさに資産であります。そうすると、勤労者がいろいろな教育を受けられ、資格を取られ、専門技能をつけられるということもまさにソフトとしての資産でありますから、こうしたものにもひとつ格段の配慮を置いて決定をいただきたい。これはお願いをいたしておきたいと思います。  それから、この財形貯蓄制度の、今までなかなかよく頑張って伸びたという説もあれば、まだまだという話もありますが、まだまだという中で、財形事務の負担が少し事業主にとっても重い、それがやっぱり一つ大きな障害になってきたのではないかという推測を私はいたしております。  そこで、早く言えば政府国家主導型の天引き預金制度ですが、例えば局長大臣も我々もみんなそうです、今日給与というのはみんな銀行振り込みですよ、今ほとんど。今日キャッシュカードでもって買い物をされている方も多く見える。その中で、国が主導した天引き預金を国の財政出動まで今後加えてやっていくということの基本的な問題、殊に小さな政府、今日の財政状況考えたときにそうした視点が必要であると思います。  今、この助成金制度を見ておりますと、大変事務的には煩雑、事業主にとってもまた新たな助成のチェックのために雇用促進事業団の手を煩わす。また、事務代行制度を創設して、そこにまたいわば資金的な援助をする。こうしたことは、額はそう大きな金額にはならないけれども基本的な姿勢としてやはりもう少し慎重であるべきだし、あるいはもっと、今ほとんどの給与銀行振り込みで、しかも銀行は、銀行に限らず手数料を取ってないわけですよ、サービスで。これは銀行預金高がふえるわけですからね。そうした民間の力というものももう少しこの制度の中に導入した方が国家財政ということも、小さいことではありますけれども工夫があった方がいい。そういう意味で、出された法案はこれはもうこれで結構ですけれども、今後そういう観点をもう少し加えて、なおこの勤労者財産形成に大いに役立つような努力労働省においてされることをお願いしまして、時間も参りましたので終わらせていただきます。  どうぞよろしくお願いいたします。答弁は結構です。
  19. 石井一二

    石井一二君 石井でございます。若干の質問をさせていただきたいと思います。  勤労者財産形成促進法の一部改正案、いろんな改正がなされようとされておりますが、まず私は大臣に対して、この制度自体をどう評価しておられるのか、まず大臣の御所見を承りたいと思います。
  20. 永井孝信

    国務大臣永井孝信君) この財形制度というのは、多様なこの社会の状態から考えまして、勤労者が、一言で言えばよりよい生活を営むことができますように、あるいは育児であるとか教育であるとか介護であるとか、その節目節目に必要な資金を一定の範囲内で確保することができるように、それをより援助拡大することによって勤労者生活に十分なゆとりをもたらすことができるんではないか、そういう面が一番大きな言いかえれば財形制度メリットではないかな、こう思っておりますので、勤労者生活を向上させるという視点に立ってこの財形制度推進を図っていきたいと、このように考えているわけであります。
  21. 石井一二

    石井一二君 私も、過去二年間サラリーマンをした経験がございますが、私がもし今、中小企業サラリーマンをしておったら、必ずしも中小企業に限りませんが、この制度は利用しないと思うんですね。というのは、メリットが余りないように思うんです。例えば非課税限度額、先ほど前田議員からもお話がございましたが、五百五十万円を超えた場合には非課税メリットがなくなるとかですね。  私は、ここに労働大臣自身資産公開預金の明細についての資料を持っておりますが、労働大臣自身、今大臣をやっておるからあなたはそういうようにこれはいかにもいい制度だとおっしゃるんですが、大臣をおやめになっても、信条として、信念としてこの制度はやはりどんどん今後やっていくべき性格のものだとお思いですか。前田議員の、与党議員発言の中にも、こういったことに対して、財政出動をすることについてひとつ一考をしていただいてもいかがかというような御発言もあったわけですが、再度大臣の御所見を伺いたい。
  22. 永井孝信

    国務大臣永井孝信君) 勤労者が、豊かな生活を求める、日々の生活ゆとりを持ちたい、そういう強い要望を持っていらっしゃるわけでありますが、そういう社会を実現させるための一つ仕組みの中にこの財形制度の占める役割というものは非常に大きいと私は思っているわけであります。  大臣をやめたらどうかというお話がございましたが、私は大臣をやる前からずっとこの財形制度拡充強化については要望し続けてまいった方でございまして、その意味では先生指摘のようにそのことが万全だとは言いませんけれども、しかし、少なくともゆとりある勤労者生活を、言えば助長していくためには非常に重要な施策の一つであると、このように考えているわけであります。
  23. 石井一二

    石井一二君 別に言葉じりをとらえるわけじゃございませんが、過去のこの制度に対する国会における各議員のいろんな要望というものを精査しておりますと、永井大臣、あなたは一点だけについて要望されているんですね。限度額を超えた場合の課税措置の取り扱いの是正要望、これは五百万を超えた場合に全体に利子がかかるという。要望し続けてきたとおっしゃいましたけれども、ほか、どんな点について今まで制度について欠陥があるという観点から指摘されて要望されましたか、これまでの質疑で、大臣が一議員としてのお立場で。
  24. 永井孝信

    国務大臣永井孝信君) すべてを全部ここで記憶を呼び戻すことは非常に難しいかもしれませんけれども、少なくとも税制仕組みの中でこの財形貯蓄が五百万円で非課税限度額が定められておるということは大変問題であるということで、私自身が大変その面については国会で何回も要望してきたことは先生指摘のとおりであります。そして、私が政務次官をしておりましたときにこの五百万円を一千万円に引き上げようとしたんでありますが、最終的に五十万円の引き上げにとどまったというのが一つの経過であります。  もう一つは、直接委員会で具体的に質問したかどうかは記憶は定かでありませんけれども、いわゆるこの財形が、住宅の問題であるとかあるいは育児の問題であるとかあるいは教育の問題であるとか、そういう幅広いものにその財形預貯金をしてきたものが活用できるような道をできるだけ広げていこうということを、私も労働政策委員長なんかを党でしておったものですから、そのことを含めて当時政府の方に要望してきたということは今も記憶に残っているわけであります。
  25. 石井一二

    石井一二君 私は今ここに、全金融機関財形貯蓄の特徴という、MMCとか、農協、漁協の貯金コース郵政省コース生命保険コース証券会社コース損害保険会社コース普通銀行、それから信託銀行長期信用銀行、信用金庫、信用組合、労働金庫、商工中金、農林中金等々持っていますけれども勤労者が、わずかのと言うと失礼ですが、この制度に加入し、天引き貯金をすることによって、むしろ広く広く開かれたほかのこういったもっとメリットのある制度を利用する芽を摘むということにもなりかねないと思うんですね。  そういう観点から、私は局長に、財形貯蓄の最近の利用状況、この残高がふえておるというように私は聞いておりますが、契約者数とか事業所数等はむしろ減少しておるというような傾向もあるとも聞いておりますが、その背景を踏まえてどのようなビジョンをお持ちなのか、御見識を承りたい。
  26. 七瀬時雄

    政府委員七瀬時雄君) 財形残高は十八兆円になっておりますし、それから契約者数は、一般財形、年金合わせて千七百万人程度になっております。ただ、先生が御指摘になりましたように、一般財形でちょっと加入者数減少傾向が出てきているというようなことがございまして、これは確かに昭和六十二年に非課税措置一般財形についてなくなったことも影響しているかと思っております。  さて、これについて、財形をふやしていくということにつきましては、やはり住宅、年金というものが大きな柱であるとすれば、この非課税限度額引き上げるということが大きな柱になろうかと思います。そういったことに最大限の努力をしながら、今回一般財形についてそのメリットを高める、あるいは中小企業の加入を促進するために手厚い措置を講ずるということで、確かにインセンティブとして十分でないという御批判もおありかと思いますけれども、何とかこの一般財形について財形としてのメリット感じられるような制度にすることによって財形全体を浮揚していく、そういう思いと、それから先ほど申し上げましたけれども人生節目節目で起こってくる事象に対して有効に使うと。と申しますのは、年金とか住宅のようにかなり大がかりなものではなくて、やや中間的な経費が必要な部分について有効に使ったときにインセンティブをつける、そういう形で一般財形についても少し浮揚効果を上げていきたいというのが今回提案させていただいている私の思いでございます。
  27. 石井一二

    石井一二君 せっかく制度があり、それをよりよきものにしようという思いで今回の提案はなされた、そう受けとめたいわけでありますが、私は、関係する役所が必ずしもこの制度、あるいは関連法案について御熱心じゃないんじゃないかというような気がしてならないわけであります。  例えば、一例を挙げますと勤労者財産形成政策基本方針というのが第四条に、この法律の中にございますが、その中の四項に「労働大臣は、勤労者財産形成政策基本方針を定めたときは、その概要を公表しなければならない。」という決まりがあります。この基本方針を定めてどのような格好でいつ公表されたか、まずそれをお伺いしたいと思います。
  28. 七瀬時雄

    政府委員七瀬時雄君) 率直に申しまして、基本方針はいまだ策定されていないということでございまして、これは法の施行に当たる私どもとして非常に反省しなきゃならぬことだと思っております。  ただ、財形制度ができた当初、基本方針で大きな方向性を見出そうということであったわけでございますけれども、労使のそれぞれの思いがございまして、審議会で議論をしかけたところ意見がなかなかまとまらなかったと。その間いろいろと制度を着実に伸ばしていくために、言葉はあれなんですが試行錯誤的に何とか改善できる点はということでやってきておりまして、何かまだその大きな方向性を本当に自信を持って打ち出せるようなところまで来ていなかったと、こういう状況がございます。  しかし、ただいま御指摘がございましたし、大きな方向性をということでございますので、今回の改正についていろいろと十分でない点を御指摘いただいている中で、改めて審議会で基本的な問題について問題を投げかけて、何とか本当に実りのある基本方針ができるように、そういった環境づくりをしていきたいと思っております。  非常に大きな問題でございまして、今すぐ基本方針をいつつくるということまで言えないわけでございますが、本当に御指摘を踏まえて、基本的な方向というものについて改めて議論をしていくということが大事なことだというふうに思っております。
  29. 石井一二

    石井一二君 できた当初云々と言われたが、いつできたんですか。
  30. 七瀬時雄

    政府委員七瀬時雄君) 昭和四十六年、二十五年前でございます。
  31. 石井一二

    石井一二君 じゃ二十五年間いろいろ努力してきたけれどもできないと。一体、現在、審議会の責任者はどなたですか。これをようおまとめにならない、その方の前歴は何ですか、お教え願いたい。
  32. 七瀬時雄

    政府委員七瀬時雄君) これは審議会の責任というよりは、私どもとしての考え方をきちんと交通整理をして審議会に問題を投げかけることができなかった私どもの方により大きな責任があると考えております。  ただ、御質問でございますので、審議会の会長は関英夫氏でございまして、経歴は労働省の事務次官等を経験している、いわばOBの方でございます。
  33. 石井一二

    石井一二君 局長は、これが大きな問題だから決定ができないとおっしゃいますけれども、我々国会におって全予算をつくり全法案を、今国会だけでも百本を超える法案が出てくる。国家的な問題として財政再建の問題もある。こういった皆大きな問題なんですよ。失礼ですが、これをとりたてて国家として大きな問題とは思っていない人の方が、国会議員の中ではむしろ多いと思うんですがね。  この法律を見ていますと、労働省だけじゃなしに、「労働大臣、大蔵大臣及び建設大臣は、」ということで、ほかの大臣についてもこの基本方針を決定すべきだということを義務づけているわけですよ、法律で、二十五年前に。こういったことがそのまま放置されているということは、やはりこういった問題に御熱心じゃないんじゃないかと言われても私は仕方がないと思うんですが、ちょっと大蔵省と建設省のこの第四条に関する所見をお聞かせいただきたいと思います。
  34. 大月洋一

    説明員(大月洋一君) 御説明させていただきます。  大蔵省といたしましては、国民の貯蓄運動をサポートしていく立場にございます。勤労者財産形成促進法、いわゆる財形法第四条もこのような観点から大蔵省が勤労者の貯蓄に関する部分を所掌してございます。勤労者財産形成に関する施策の基本となるべき方針につきましては、先生指摘のように策定できていない状況にございます。しかしながら、これまでも勤労者財産形成審議会におきまして検討が続けられ、その都度法改正等を行っていただき、制度改善が図られてまいりました。ただいま御審議いただいております法改正も、経済社会情勢の急速な変化に対応した財形貯蓄制度の拡充整備を図る観点から、勤労者財産形成審議会の建議を受けまして制度改善を図ろうとするものでございます。  今後とも、経済社会情勢や勤労者財産形成審議会の動向などを見守りながら取り組んでまいりたいというふうに考えております。
  35. 内田俊一

    説明員(内田俊一君) 建設省は、財形法の第四条におきまして勤労者の持ち家の取得または改良に係る部分に限ってこの策定に携わることになっているところでございます。  先ほど、労働省の方から御説明ございましたように、まだ現在策定をいたしておりませんけれども、私どもとしましても、勤労者財産形成審議会の検討の動向を踏まえながら、労働省と協議を続けてまいりたいと思っております。そこで、住宅について定められるべき方針として私ども考えておりますのは、まず基本は、家族の構成に代表されるようなライフサイクルでございますとか、お住まいになっている地域の特性、さらにはお一人お一人の価値観に沿ってそれぞれ充実した住生活を営むということを基本に、例えば量の確保と質の向上、あるいは持ち家の取得の促進といったような総合的な施策を推進する、こんな方針を決めるべきだろうと思っております。現実にそういった方向で現在いろいろな施策を講じているところでございます。
  36. 石井一二

    石井一二君 法律にそう書いてあるんだから、なすべきはなすというのがお役人としての務めであろうと思いますので、一応指摘をして、今のような御答弁をいただいたということにこの場はとどめておきたい、そう思います。  それから、外郭団体ですが、今回の改正によって中小企業勤労者福祉サービスセンターという名前が出てまいりました。また、雇用促進事業団という名前は前々から関連としてあるわけでありますが、例えば雇用促進事業団は本改正案にどのような格好でよりかかわりが深くなってきつつあるのか、どのような自覚を持っておられるのか。理事が来ておられたら、御所見を承りたい。
  37. 本庄資

    参考人本庄資君) それでは、ただいま委員のおっしゃった点につきまして、この財形業務を担当させていただいているという立場からお答え申し上げたいと存じます。  雇用促進事業団は、既に委員承知と存じますが、労働者の技能の習得及び向上、それから地域間及び産業間の移動の円滑化その他就職の援助に関し必要な業務を行うということを目的として昭和三十六年に設置された特殊法人でございます。事業団といたしましては、この大きな目的を達成いたしますために、職業能力の開発の推進雇用に関する総合的サービスの実施とともに、勤労者福祉の増進という、この三つの柱を業務の柱といたしておりまして、そのうち勤労者福祉の増進の一環といたしまして、かねてから勤労者財産形成促進業務につきましては、住宅及び教育融資を実施いたしますとともに、この制度の普及促進を極力図ってまいったところでございます。  先ほど申されました、今般の助成金等の新しい業務につきましても、私ども事業団の立場からは、これは非常に勤労者の、ある意味では立ちおくれを指摘されかねない財産形成分野におきまして、その活用を図ることによってメリットが生まれ、さらに本制度の本来の目的がより大きく前進するという意味で重要な業務であるというふうに受けとめておりまして、積極的な実施を予定しておるところでございます。
  38. 石井一二

    石井一二君 非常に御懇切な御説明ではございますが、もう少し具体的な、例えば特別会計で扱った基金をうちを通じて払っていくんだとか、年間何件ぐらいの支払いを予定しており、それに  ついては何人ぐらいの職員の事務量が必要であり、それについてはどのような内部の予算的措置考えておるといったような答弁を期待しておるんですが、もう少し具体的なお答えが出ませんか。
  39. 本庄資

    参考人本庄資君) ただいま仰せのように、どのような体制で何人ぐらいということでございますが、現段階におきまして、今般の財形貯蓄活用助成金の支給業務等につきまして平成八年度途中から実施ということで、九年度から平年度化ということが予定されていると伺っております。その実施に当たりましては、総括的な業務は事業団の本部の融資財形部にあります勤労者財産形成課において担当しよう、それから実際の助成金の支給業務等につきましては、私どもが全国各都道府県の県庁所在地に有しております雇用促進センターにおきまして実施したいという考えでおります。  現在、雇用促進センターにおきましては、勤労者財産形成促進業務の実施部隊は業務第一課というところの職員がやっておりますが、これは雇用管理業務等、他の業務と事務の複合的な運営ということであわせて担当いたしておりまして、新たな業務につきましても平成八年度におきましては、これらの職員にフルに働いていただこうということでございます。本部におきまして、昨年度までこの勤労者財産形成課長以下十三名の体制でこの制度実施に当たってまいっておりますが、このたびの助成金等に関します新規業務の準備とか実施に伴いまして一名の増員をお認めいただいたところでございます。  それから、予算その他についてただいま仰せを受けましたけれども、差し当たりは特別幾らということではございませんが、あわせて団体の方々をこの制度の一層の円滑な滑り出しその他に活用すべく中小企業財形共同支援事業というのをお考えいただいております。これにつきまして、団体にも予算措置をとりまして、事業主勤労者等に対する相談に要する費用とか、関係機関や事業主への説明、懇談会等を開催するに足りる費用、あるいはその団体として広報に必要な費用を支弁したいと存じております。  以上でございます。
  40. 石井一二

    石井一二君 団体の方々という言葉が唐突に出てきたんですが、ちょっと具体名を挙げていただけますか。そうすると我々理解をしやすいと思うんですが。  それと、雇用促進センターが地方にあって、そこにやらせるんだということですが、全国に何カ所ぐらいあって、総勢何人ぐらいの人がおられるんですか。
  41. 本庄資

    参考人本庄資君) 雇用促進センターでございますが、四十七県、県庁所在地に一カ所ずつということで合計四十七ございます。そこで働いている定員でございますが、八年度の数字といたしまして四百六十九名という者が働いております。  それから、ただいま申しました団体名ということでございますが、これは具体的にどこを選ぶかというようなことにつきましても、まだその制度実施に移っておりませんので、最も効率のよい選び方を今後考えたいと存じております。
  42. 石井一二

    石井一二君 先ほど、私が申した中小企業勤労者福祉サービスセンターと労働省の関係というのはどういうことになりますか。
  43. 七瀬時雄

    政府委員七瀬時雄君) これは福祉における大企業中小企業の格差ということを問題にとらえまして、大企業では非常に企業内福祉が総体的に充実している、それに対しまして中小企業ではそういうことができないものですから、中小企業勤労者が個々に会員になりまして、例えば月に五百円ずつぐらい会費を払って、それで中小企業勤労者福祉サービスセンターでいろいろと福祉のサービスを提供するという制度でございます。例えば、福祉の情報に対するアクセスでございますとか、あるいは慶弔見舞金を出すとか、非常に生活に密着しているものから情報の提供とか、いろんな形で個々人の勤労者に対して福祉を提供できないか、それに対して労働省としては市町村単位で設置されるサービスセンターに運営費を補助する、こういう関係でございますので、補助の問題はございますけれども、サービスセンターというのは基本的に市町村の肝いりで勤労者方々が加入する形で発展させていこうという、そういう団体でございます。
  44. 石井一二

    石井一二君 あなたはサービスセンターの中身についていろいろ御説明されましたが、私の質問労働省との関係は何かということなんです。あなたの言葉の中で運営費を補助していくという言葉が出ましたが、それだけの関係ですか、外郭団体とかなんとか、そういうのじゃなしに。
  45. 七瀬時雄

    政府委員七瀬時雄君) 一般的な用語では労働省の外郭団体という表現は当たらない、そういう団体でございます。
  46. 石井一二

    石井一二君 じゃ、今言われた委託サービス、依頼サービスというのは、別にこのセンターだけじゃなしに、例えば商工会議所とか商工会とか、そういったものもお考えになっているように私承っているんですが。と申しますのは、このサービスセンターは分布状況から見て全国をくまなくカバーしておりませんね。その反面、この法改正にのっとった新しいいろんな提案というものは全国の勤労者を均一にカバーする可能性のある問題でしょう。そういった意味でやや偏ってますね、全部カバーできないですよね。そこらあたりについて、どのような方針をお持ちですか。
  47. 七瀬時雄

    政府委員七瀬時雄君) やはり立ち上がりのときには全国をくまなくカバーするということが、率直に言ってそう簡単にいかないこともあろうかと思いますが、考え方としてくまなくそういう団体が委託を受けるという関係に持っていきたいというふうに考えておりますので、事業主の団体を中心に、つまり事業主に対する加入促進、財形に対する加入促進というような効果もねらっておりますので、そういった意味先生指摘の商工会議所とかそういう団体を含めて、事業主に対して啓発活動ができるようなそういう団体に事務を委託するという考え方でおるところでございます。
  48. 石井一二

    石井一二君 私が今お聞きしたいと思っていますポイントは、鶏が先か卵が先かという言葉がありますが、この改正をやることによって、雇用促進事業団はまさにそのものずばりですが、こういった労働省の息のかかったそういう枝というか外郭団体といったそういったところへどんどん仕事を何とかして与えたいと。その結果、私は冒頭この制度自体に余りメリットがない、魅力がないんじゃないかと、私が勤労者だったら入らぬですよと申しましたけれども、どうもそこらあたりにむしろねらいがあるような気がしてならぬわけです。  だからお聞きしたわけですが、サービスセンターというものは外郭団体ではない、したがってほかの商工会とか商工会議所にも同じようなお願いをする、そういうことでございますので、とにかくどこにある中小企業でもそれがすぐ利用できて、またどこにでもある団体がそういうお手伝いをするという体制をつくることが極めて必要と思っておりますので、ひとつよろしくお願いをいたしたいと思います。  それで、大蔵省にちょっとお聞きしたいんですが、先ほど大臣も、いろいろ私は要望してきたと、こう言われましたが、この制度に関係して過去いろんな税制上の要望が出ていると思うんです。それで、大蔵省自身、これは馬の耳に念仏じゃ困るんです。よく要望というものは聞いて、もううちはそれはだめなんだと言い切ってしまわずに、持って帰ってよく検討してもらいたいわけです。今過去のいろんな議事録とか何かがあなたのところに投げかけられているんだから、当然こういう問題があるというように認識しておられると思うんです。それで、本制度に関して、今税制上どのような要望制度から持ちかけられておると認識しておられますか、二つ三つ具体的な例を挙げて御示唆をいただきたいと思います。
  49. 木村幸俊

    説明員(木村幸俊君) 委員よく御承知のとおり、税制改正要望につきましては毎年度の税制改正の中でいろいろ議論が出てくるわけでございますし、また財形を含めまして各種の税制に関する措置につきましては国会等の場においていろいろ議論されておりまして、私どももそういったものを十分踏まえて検討していくべきものだと考えております。  財形につきましては、例えば昨年の例でございますと、今回、八年度改正でございますが、二点につきまして、その御要望を踏まえてこういう形で改正をしていると。一つにつきましては、まさに財形貯蓄非課税限度額の管理に関する事務を勤務先にかわって事務代行団体が行う場合につきましても非課税措置の適用を認めるとか、さらには特定事由の支出等に充てるために財形貯蓄の払い出しをした場合に、事業主から支払いを受ける財形貯蓄活用給付金につきまして一時所得とする特例措置を講じるとか、こういったものもすべてそれぞれの所管省庁等、関係者等からの要望を踏まえて講じているところでございます。  その他、先ほど大臣からもお話がございましたように、非課税限度額、現行五百五十万円になっておりますけれども、それを引き上げたらどうかと、そういったような要望も出されているところでございます。
  50. 石井一二

    石井一二君 あなたは今、合計で三つだけ言われたようですが、もう一つ二つないですか、具体的に御認識になっている問題というものは。
  51. 木村幸俊

    説明員(木村幸俊君) 財形関係もいろんな要望が出されているところでございます。  例えば、そもそも論として、そもそも一般財形につきまして、六十二年九月の税制改革におきまして、一般財形につきましては、一般の預貯金利子を原則課税とする中で、これにつきまして例外的に老人等の貯蓄や勤労者住宅貯蓄、年金貯蓄の利子を非課税とするという現行制度にした、つまり一般財形貯蓄につきましては非課税から課税することにしたわけでございますが、こういった問題につきましても、どのぐらいあるかわかりませんが、一部にはまた非課税限度というものを認めたらどうだろうかという議論もあるのかもしれません。
  52. 石井一二

    石井一二君 例えば、基金の特別法人税の撤廃についてどのような御所見をお持ちですか。
  53. 木村幸俊

    説明員(木村幸俊君) これも委員よく御承知のとおり、財形基金にかかる特別法人税の問題でございますが、これは財形基金のみならず、財形基金を含みますところの適格退職年金等にかかる一%課税という形で制度が仕組まれているところでございます。この特別法人税につきましても、各種いろんな財形基金を含めまして議論があることを承知しております。
  54. 石井一二

    石井一二君 例えば、財形貯蓄の利子所得にかかる遡及課税の適用除外についてはどのようにお考えですか。
  55. 木村幸俊

    説明員(木村幸俊君) 今、委員の御質問の御趣旨は、ちょっと間違っていたら恐縮でございますが、限度額が今五百五十万とございまして、その限度額を超えた場合にその利子の課税の問題をどうしたらいいかということだと思っております。  ただ、御承知のとおり、財形貯蓄利子非課税制度でございますけれども、これはまさに老人等のマル優制度と同様に、本来少額の貯蓄を行っている者を優遇するものと考えております。また、この制度勤労者に対する特別の優遇措置であるということを考えますと、例えば貯蓄限度額を超えるような残高を有するといった方についてまで優遇する、要するに非課税といたしますことは、税負担の公平の観点から見て適当でないんじゃないだろうかというふうに考えているところでございます。
  56. 石井一二

    石井一二君 局長にお伺いしたいんですが、中小企業財形制度が今どの程度のパーセンテージで普及しておるか、数字をお持ちだったらちょっと教えてほしいんですが、企業サイズによって違うと思いますけれども
  57. 七瀬時雄

    政府委員七瀬時雄君) 中小企業三十人から二百九十九人で、一般財形で六四%、年金財形で約四〇%、住宅財形も約四〇%、そういう状況でございます。
  58. 石井一二

    石井一二君 今ちょっと聞き漏らしたんですが、企業のサイズは何名から何名と言われましたか。
  59. 七瀬時雄

    政府委員七瀬時雄君) 三十名から二百九十九名でございます。
  60. 石井一二

    石井一二君 問題は、三十名以下について極めてこの加入率が悪くなるんじゃないかと思うんですね。あるいは、いやそういった零細企業の方が加入率が高いんですよとおっしゃるんならうれしいんですが、ちょっとそこのところを、もし実態を御存じであればお教えをいただきたいと思います。
  61. 七瀬時雄

    政府委員七瀬時雄君) 今、三十人以下の加入率についてちょっと数字を持ち合わせておりませんけれども、やはり率直に申しまして、担当している立場からいうと、今挙げました二十九人以上に比べればかなり加入率というか、そういう財形制度に入っている率は低いんだろうというふうに、残念ながらそういうことだろうと思っております。
  62. 石井一二

    石井一二君 日本の中小企業は、数の上において全企業の九五%以上を占めると言われているんですね。それで、中小企業の定義とは何ぞやというとサービス業、物をつくっている生産業等によって違いますけれども、三十人をベースに考えていることが多いわけですよ。それで、あなたは主務官庁でありながら、三十人以下の数字を持っていないということは、臭いものにふたをする行為に近いんですよ。数字の悪いところは発表したくない、自分でも見たくない。だから、本当にお持ちになっていないのか、持っているけれども今言いたくないのか、そういう調査をされたことがないのか、そこのところをひとつ正直に御答弁願います。
  63. 七瀬時雄

    政府委員七瀬時雄君) そういう調査をしたことがないというのが、正直なところでございます。
  64. 石井一二

    石井一二君 こういう大事な調査をしたことがないとふてぶてしくおっしゃる、私はその心臓に実際毛が生えておるのかどうか知りたいような気持ちなんですが、なぜ調査しないんですか。むしろ、そういうところに今後普及させていかないといかぬのじゃないですか。そういうところで働いている勤労者こそこういった助けが要るんじゃないですか。また、今おっしゃっている業務の代行なんかも、こういったところこそ具体的なそういう経理の人の手が足らぬとか、専門的知識がないから代行を要求しているんじゃないですか。だから、その辺についてあなたは事実に反することをおっしゃっていませんか。そういう資料がないはずはないと私は思いますけれども、いかがですか。
  65. 七瀬時雄

    政府委員七瀬時雄君) まことに申しわけございませんけれども、そういう調査をやったことがないというのは事実でございますので、事実を申し上げたわけでございます。  調査というのが、規模が小さくなると技術的になかなか難しいという問題もあろうかと思いますが、ただ調査というかそういうことの実態についてもう少し意を払うべきではないか、何らかの形でそういったものについて状況をきちんと把握すべきではないかという御指摘だろうと思いますので、その点については先生の御指摘を十分頭の中に入れながら、どんな形で把握できるのか、それは検討してみたいと思っております。
  66. 石井一二

    石井一二君 前向きな御発言をいただいて、私は当然そうあるべきと思いますので、ひとつ御配慮をお願い申し上げます。  いずれにしろ、普及していないとすれば、あるいはもっと前進の余地があるとすれば、なぜ普及しないか何らかネックになっているポイントがあると思うんですけれども、どういつだことを想定しておられますか。
  67. 七瀬時雄

    政府委員七瀬時雄君) 中小企業、特に零細規模に普及していない理由というのはいろいろあると思います。我々は、これから一生懸命団体などにもお願いしながら普及・啓発活動とかあるいは情報提供とか、そういうことをきちんとやっていく必要があると思っております。  ただ、一つ言えることは、やはり財形貯蓄一つメリットというか普及しやすい面として、事業主の御協力を得て、その事業主の天引き、あるいは事業主預貯金の管理、あるいはそういった事務を通じて貯蓄がふえていくという形で普及していくことを考えているわけですが、同時にそれは逆の面がございまして、そのこと自体が事業主の負担がややもすれば重くなってきているところがあると。だから、事業主のいろんな援助で貯蓄が手続的にスムーズにいく、プラス面が逆に事業主の負担になっているという、そういった相矛盾すると言うと言い過ぎなのかもしれませんが、そこをどうやって調和を図っていくかという問題があるんだろうと思います。そういった意味で、中小企業事業主の負担を軽減するということが非常に大きなこの制度を伸ばす要因になるんではないかと、こういうふうに思っております。
  68. 石井一二

    石井一二君 いろんな要因があると思います。私は、むしろこういうものを利用しているとプライバシーの問題として、貯金なんというのはこっそりしておきたいというふうな人もおるかもわかりませんし、限度額もあることですからここがメーンじゃない、ほかにもっとということも言えますからね。まあ、いずれにしろ御自身でお考えになって欠陥があると思われる部分はいろいろ改良していただきたい。今後法改正がなされるわけでございますから、前向きな姿勢で進んでいただきたいと思います。  ところで、事務代行制度を今度創設されますが、その事務代行に関して四百五十万とか五百万とか、そういう奉仕料を払われるというように聞いておりますが、金額は幾らになっていますか、手数料ですか。
  69. 七瀬時雄

    政府委員七瀬時雄君) 事務代行制度を認めるわけでございますが、同時にこの事務を代行する団体が、まあ事業主団体といたしますと、傘下の中小企業の皆様方に財形制度を普及促進する、そういうためには、いろいろPRも必要だろうし、相談にも乗ってもらわなきゃいかぬし、いろいろと経費がかかるだろうということで、そういう形での助成金を今度の予算でお願いしているということで、平均的にはおっしゃるように一団体四百五十万ぐらいを想定した形になるだろうと思っております。
  70. 石井一二

    石井一二君 今、平均的とおっしゃったけれども、何の平均なんですか。例えば、扱い量に応じて、一口座について百円やっているから、平均しての扱い量は何ぼになるから何ぼだとか、その平均してという言葉の意味をもう少し、この四百五十万か何かの積算根拠とともにお示しをいただけたらありがたいと思います。
  71. 七瀬時雄

    政府委員七瀬時雄君) 具体的にどういうふうにやっていくかというのはこれからの議論でございますが、全体としてスタートの時点で各都道府県に大体二カ所ぐらいということから出発を考えておりまして、全国で九十四団体でトータルの予算として二億円強の予算を組んでいるという状況でございますので、例えば団体の規模でありますとか、そういった状況でお金の援助の仕方についてもランクづけをするというようなこともひょっとするとあるのかと、その辺については率直に申しましてこれから施行までに検討をしていきたいと、こういうことでございます。それで、大体今申し上げた数字ぐらいの金額になるということは申し上げられるわけでございます。
  72. 石井一二

    石井一二君 具体的にはわからぬが、これから論議していきたいということであれば、論議をされてそういうことをはっきりしてから法案を提出されるべきじゃないですか。そうじゃないと我々、法案審議するに際して、その辺の細部がわかっていないと審議するベースというものがあやふやになりますからね、私は手法としてそういった手法はノットウエルカムであるということを申しておきたいと思います。  それと、先ほど商工会議所とか商工会にも頼むと言われましたが、今あなたのおっしゃった二億何ぼというのは、頭からこの中小企業勤労者福祉サービスセンターのみを対象として、しかもそれは地域的に非常に偏っているということが分布状態を見たらわかっているわけですね。そこにだけなぜ予算をつけるんですか。じゃ、ほかの地域はほうっているんですか。あるいはまた商工会議所とか商工会等については頼まないんですか、頼んだ場合はそれについては全く予算をつけないんですか。非常に偏っていると私は思いますけれども、いかがですか。
  73. 七瀬時雄

    政府委員七瀬時雄君) これは、財形制度中小企業にその当該地域で普及するのに一番ふさわしい団体、事業主といろいろと協力関係ができる団体ということでございますので、決して中小企業サービスセンターだけはということでもなければ、サービスセンターであればということではなくて、最もそういうことに協力を願える団体をこれからお選びしていくというそういうスタンスでございますので、特定の団体だけをという気持ちはございません。
  74. 石井一二

    石井一二君 今既に財形をやっている、これから入る。サービスセンターによっては既に五百件持っているところもあるわけですよ。あるところはゼロのところもある。そういった団体の後ろにあるこういった制度を利用している企業の数というものを考慮せずに、一律に九十四団体掛ける何ぼというような計算をされているんですか。予算要求のその根拠、そこのところをちょっと御説明願いたいと思います。質問意味がわからなかったら、後ろの人に答えてもらってください。
  75. 七瀬時雄

    政府委員七瀬時雄君) 予算要求の段階では、やはり標準的なケースを考えて積算根拠といたしておりますので、それが例えば加入事業主の数とかいろいろな要素によって多少団体によって、これは客観的な基準でございますが、差をつけるかどうかというそこのあたりは、ちょっと申しわけないけれども今の段階では検討課題として残しているということでございまして、基本的には大体そういった四百五十万とか、そのあたりのところで何とか普及啓発に御協力を願いたいと、そういう思いでございます。
  76. 石井一二

    石井一二君 企業の融資対象の一つに共同社宅用住宅融資というものも含まれているように思いますが、どの程度実績がありますか。また、見込みとしてどのように考えておられますか。
  77. 七瀬時雄

    政府委員七瀬時雄君) その点につきましては、実績はございません。
  78. 石井一二

    石井一二君 実績はゼロということは、その制度自体が採択されたのが平成三年十月、それ以後今日まで制度をつくっておきながらゼロという裏には何らかの理由があると思うんです。係員がサボっていて十分なPRをしていないか、あるいはまた制度自体に何らかの拒否反応を示すような理由が含まれておるとか、その辺いかがお考えですか。
  79. 七瀬時雄

    政府委員七瀬時雄君) やはり先生の御指摘のメニューにつきましては、なかなか利用されようとする方の御意向に沿わないところが確かにあるんではないだろうかと思っております。  ただ、私どもとしては、それはそれとして勤労者が持ち家を持たれるようなことのために、この融資制度を拡充したいというふうに思っておりますので、このメニューについては確かに御指摘のようなことがございますので、十分深くどういう理由であるかを再度研究したいと思っております。
  80. 石井一二

    石井一二君 あなたの答弁は無責任なんですよ。なぜならば、この制度労働省が三年十月につくったんでしょう。つくったときにはつくるだけの理由があったはずですよね。その後さっぱり利用されないという裏には、もう少しちゃんとした説明が要るし、それであればこの際、物はつくるだけが能じゃないんだから、今回改正案の中にそれを廃止するような条文を入れられたらいかがですか。
  81. 七瀬時雄

    政府委員七瀬時雄君) ただいまの共同住宅、日経連と連合でいろいろ工夫をされてこういう制度をつくったわけでございますが、その後、御承知のとおりの金利事情で、他の金利が安くなったということもあったり、確かに私どもが十分予測できなかったことがございますので、その点は確かに平成三年から五年たっておりますので、よくよく検討しなければならないことだろうと思っております。
  82. 石井一二

    石井一二君 金利だけが理由であれば、社宅に限らず一般の住宅についてもそういう需要減というものが大っぴらに出るはずですが、むしろ基金全体の金額、預け入れ残が残っておるが、住宅の個人住宅のいわゆる利用件数というのはふえているはずなんですね、この制度のもとにおける。だから、あなたの答弁はそういった面では矛盾すると思いますよ。そういう観点から局長の見識高いお答えを聞きたいんですが、ILO百十五号勧告との関係についてどう理解しておられますか。
  83. 七瀬時雄

    政府委員七瀬時雄君) 率直に申しまして、ちょっと私手元に百十五号勧告を持っておりませんので、まことに申しわけございませんが、その勧告を手元に持っておりませんのでお答えが能力的にできないということで、御容赦願いたいと思います。
  84. 石井一二

    石井一二君 私も、過去五年間の本問題に関する国会論議のすべてを見て、その中から拾ってお聞きをしておるわけですが、労働省局長として私は当然御認識をいただいておると、そのように思うわけでありますが、じゃ、この問題は後でどなたでも結構ですから、ちょっと一遍御説明にお越しいただいて私を教育していただきたい、お願いをしてよろしゅうございますか。
  85. 七瀬時雄

    政府委員七瀬時雄君) はい。
  86. 石井一二

    石井一二君 次に移りますが、こういった制度がどんどん普及していくためには、やはり勤労階層の方々生活に余裕があって貯金でもしようかというムードが必要だと思うんです。私は、ここにエンゲル係数の数値を持っておるわけでありますが、本制度ができた一九七一年、エンゲル係数は三三・三四なわけです。今日、これ九四年の数字ですが、二四・一三ということで、食うに困るという観点からは徐々に日本人は豊かになっておるわけであります。  そういう背景のもとで、私はこの伸び率というものが、冒頭お聞きしたように必ずしも満足いくような成果を上げていないその裏には、私だったらこれは入らぬですよと申しましたけれども制度自体に魅力に欠ける面があるんじゃないか。そういう観点から、大蔵省に対しましても税制上今どんな問題意識を持っておるか、あるいはその持っておるかと聞いた裏には、そういったことを認識している以上は少しでもこの制度が発達するように変えていただける可能性がないかということを暗にお願いしつつ聞いておるわけでございますが、できた以上、また法律改正がなされた以上、これが大きく育ってもらい本来の目的を完遂していくということが本来の姿だと思うんです。  それで、年金あるいはまた貯蓄、その他の特別な事情等ありますが、今この法律改正で特に具体的な事項として、冠婚とかなんとか、そういう固有名詞でどういつだことを想定されて、この制度に当てはめようとしておられるんですか。質問意味がわかりませんか。
  87. 七瀬時雄

    政府委員七瀬時雄君) 恐らくわかります。
  88. 石井一二

    石井一二君 わからなかったら、後ろの人に聞いてくださいよ。
  89. 七瀬時雄

    政府委員七瀬時雄君) 先生そうおっしゃられましたが、要するにどういう事由について積極的に給付金をつけながら援助するのかと、こういうお話だと思いましたので恐らくと申し上げたんですが、もしそうであるといたしますれば、私ども考えておりますのは、人生節目節目である程度お金が必要になる事由ということ、それからこれは使い道についてもお互いのコンセンサスが得られるような、皆さんがこういう計画的な貯蓄で乗り切っていくのが一つの大きな道筋であると考えられるようなということでございますので、考えておりますのは育児介護教育、それからこれから転職という問題、労働移動の問題も出てきますので、自己啓発といいますか、自分の能力を磨く、あるいは技能の向上と申し上げてもいいかと思いますが、そういった事由に絞りながら制度をスタートさせていこうというふうに考えております。
  90. 石井一二

    石井一二君 男女雇用機会均等法が施行されて、女性の皆さんの社会進出は極めて著しいものがある。これは我々が魅力がないからかどうかわかりませんが、最近では結婚しない女性というものもどんどんふえておられると。こういった中で、本制度は全く男女区別なく一本なんですが、女性の皆さんに対する特別な優遇措置も私は検討されてもいいんじゃないかと思うんです。そのこと自体が逆差別だと言われればそれまでですが、少なくともそういったことを指摘している文献はあるんです。そういった意味で、今回は今から法案の文章を書けいっても難しいですが、局長、何かひらめきあるものがありませんか、あなたの脳裏をかすめるもの、アイデア、いかがですか。
  91. 七瀬時雄

    政府委員七瀬時雄君) 極めて率直に申し上げまして、例えば育児とか介護という問題について、かなり女性の方々の負担が多くなることが想定されるとか、そういったことで育児とか介護、それを男女雇用機会均等法という枠組みの中でどういうふうに、必要に応じ必要な事項については女性に援助をしなければならないということもあるいはあるのかもしれませんが、率直に申しまして、本件の財形制度でそういうことをするというのは、私は、非常に率直に申させていただきますが、適当ではないんではないかと個人的に思っております。
  92. 石井一二

    石井一二君 非常にきっぱりした御発言でございますが、後ろにおられる勤労者福祉部長の藤井さん、御所見があればお聞きしたい。
  93. 藤井龍子

    説明員(藤井龍子君) 恐縮でございます。今局長がお答えいたしましたとおり、財形制度というのは勤労者全般、男女問わず資産形成援助するという目的で実施させていただいておるものでございますので、この制度において男女平等を図るための何かのというところまで御期待いただくのは、いささか買いかぶりされ過ぎではないかという感じもいたしますので、それはそれでまた別途、別の局で十分御配慮いただければと思っているところでございます。
  94. 石井一二

    石井一二君 部長に局長と違う答えを求めるということも私は非常識であろうと思いますので、今の御答弁をありがたくちょうだいしておきたいと思います。  最後に、テクニカルな面を二点だけ指摘して、私の時間は二十一分まででございますので、終わりたいと思います。一つは、手間がかかって煩雑だと、もうやめておくかということになりますので、勤務先の異動申告書の提出について、同社内の違う作業所なんかの場合にこれを統一するというようなことに向けてどのように進みつつあるかという点が一点と、住宅関係の持ち家の融資をやる限りは、住宅金融公庫というような政府関係の貸し付けをやっているところと条件の上で劣ったらだれも飛びつかぬですから、その辺を比べてやっておられるということがやや疎いように思うんです。だからその辺について、もし具体的な数値を示しての御指摘があれば承りたいと思います。答弁は、二つひっくるめてお願いします。
  95. 七瀬時雄

    政府委員七瀬時雄君) 後段の方につきましては、やはり財形融資を大いに伸ばしていくためには、融資条件が非常に大きな意味合いを持つということは承知いたしておりますが、同時にやはり住宅政策の枠の中である程度整合性もとっていかなきゃならぬとか、それぞれの制度の特性を生かしていかなきゃならぬというような問題もございますので、鋭意関係省庁と引き続き詰めていきたいというふうに考えております。  前段の方につきましては、ちょっと具体的な答弁はできかねるわけでございますが、ただ、いずれにしろ今回の法案議論の中で、中小企業の皆様方の手続がやたら難しくなっちゃっているのではないかという御批判、御意見は本当に至るところで受けておりますので、この実態と同時に手続の面について本当に簡素化をしていくという視点を持っていなきゃならぬと思っております。そういった意味で、さらにその手続面についてよく検討してみたいというふうに思っております。
  96. 石井一二

    石井一二君 じゃ、御検討いただくということでございますので、私が申した一会社内にいろんな事業所がある、その中で岡山支店から京都支店へ移ったとかいったような場合に、もう一遍一からやり直しというようなことじゃなしに、統一的なもので済むというようなことを要望している、これは業界の要望なんかで出ているんですよ、社団法人日本損害保険協会からの要望としても。そういったこともお願い申し上げておきまして、時間でございますので私の質問を終えたいと思います。  ありがとうございました。御無礼の段がありましたら、お許しをいただきたいと思います。
  97. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 勤労者財産形成促進法改正案につきまして、その改正の意義についてお尋ねをいたします。           .  と申しますのは、ごれまで勤労者財産形成促進制度というものは、例えば財形年金貯蓄あるいは財移住宅貯蓄等はいわゆる五百五十万円までが非課税、そして財形融資制度というものは、例えば持ち家に関しましては利子補給という形で税の特例というものを主体とした援助措置であったと思うわけですが、今回は財産形成貯蓄活用給付金というものをストレートに育児介護教育等について出すという形をとるわけですから、制度の本質が少し変わってきたのではないかというふうに考えるわけです。したがって、その改正の意義をどのようにとらえたらいいのかという点について、お尋ねをいたします。
  98. 永井孝信

    国務大臣永井孝信君) 今回のこの法改正の意義でございますが、最前から各先生から非常に微に入り細にわたって御質問がございました。  この財形法が今の社会の中のすべてのニーズに完全にこたえることができているというところまでは申し上げませんけれども、しかし勤労者が豊かさを実感し、そして安定した生活を送ることを実現するために、我が国におきましては従来からこの財形制度によりまして勤労者計画的な財産形成に対して支援を行ってきたわけであります。  バブルのときとバブルが崩壊したときと必ずしも同じような視点で、あるいは同じ目線でその問題を見詰めて対応することは必ずしも適当でないかもしれませんけれども、しかしながら近年の少子社会、高齢化社会、こういうものがどんどん進展していく中で、労働者が労働移動の増加によって育児であるとか教育であるとか、あるいは私、最前御答弁申し上げたわけでありますが、介護などの勤労者の生涯を通しての節目節目における経済的負担が従来にも増して増大してきていることだけは間違いがないと思うのであります。しかも、勤労者のニーズがそういう面では非常に多様化してきておるというのが今の実情ではなかろうかと思うわけであります。  このような中で、勤労者の意欲と活力を維持すること、そして勤労者が豊かさを実感し、そして安定した生活を送ることを実現するためには、勤労者計画的な財産形成及びその成果の活用といういわゆる自助努力を行うことが私は非常に大事ではないかと思うわけであります。このため、今般このような勤労者自助努力支援する事業主に対して財形貯蓄活用助成金というものを支給して、何とかそれを私どもはさらに推進していきたい、そういう制度として今回法改正お願いいたしているところであります。  もう一つの大きな柱といたしましては、福利厚生面での企業規模間格差というものがございますが、これをできるだけ縮小して中小企業勤労者の福祉の向上に十分に役割を果たしていきたい、こう考えているわけでありまして、中小企業への財形制度の一層の普及促進、こういうものを図るために事務代行制度を創設したところであります。最前の議論の中で、例えば十人以下の中小零細企業あるいは三十人以下の中小零細企業、そこにこそもっと普及ができるようなことを考えるべきではないかという御指摘も他の委員からございました。そういうことも十分に認識をしながら、それを克服していくために、よりこの事務代行制度というものを有効あらしめるようにしていきたい、このように考えるわけであります。  その結果、勤労者の経済的基盤の安定が実現をしていって、勤労者が豊かさを実感することができる、あるいは安定した生活を送ることが可能になってくる、そのための私は重要な一つ一つの段階を着実に踏んで上っていくための一つの施策である、このように財形制度改正についてはその意義を私どもは求めているわけであります。
  99. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 よくわかりました。ただ、先ほど私がお尋ねいたしましたのは、いわゆる非課税限度額とか利子補給とか、そういった課税の特別措置のような形のものが中心であった財形制度が、給付金を直接に出していくという形ですと少し制度の性質が違ったような気がするのですが、その点どうなんでしょうか。
  100. 七瀬時雄

    政府委員七瀬時雄君) やはり人生節目節目で起こってくる事象、ある人は介護かもしれないし、ある人は教育かもしれないし、そこのところは場合によっては予測できない。しかし、何か起こるかもしれない、そのために計画的にためておこう、こういう制度でございますので、事由の発生時期が不特定であるというようなこととか、それから単に貯蓄残高をふやすよりも、勤労者が本当に資金を必要とする時点で使うそのときに支援するというようなことが大事なんじゃないか。そういったことで、一つにはこういった自助努力支援する方法として、使うときにということになるものですから、なかなか利子非課税制度という形ではやりにくいと、そういうことがございました。  したがって、これは財形制度改正でございますので、考え方が変わったということではないのですが、ただニュアンスとしてやはり計画的にためて使うという、使うところも大事にしようという意味で、そこのところがちょっと今までとは違った要素が入ってきたかなと、こういうことなんだろうと思います。
  101. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 そういたしますと、事務代行団体へ中小企業における財形事務を委託するということですが、先ほど少し御説明があったかもしれませんが、事務代行団体にするかどうかということは指定だと思うんですが、どんなところに指定を考えておられるのでしょうか。
  102. 七瀬時雄

    政府委員七瀬時雄君) 趣旨は省略いたしまして、どういうところに事務代行をお願いするかということでございますが、これは最終的には審議会に諮って決定することにいたしておりますが、私ども考えておりますのは、一つはきちんと事務処理ができる、あるいは事務処理ができるということが関係者の方々にわかった形という意味合いで法人格を有する事業主団体である、それからやはり構成員となっている中小企業事業主の数が相当数ある、それから事務処理手続を行う体制を整えている、そんな要件を考えているところでございます。
  103. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 委託の際には当該勤労者の同意を要するというふうに書いてあるわけですが、この意義と手続等は具体的にどうなるのでしょうか。
  104. 七瀬時雄

    政府委員七瀬時雄君) 同意を求める趣旨は、やはり財形という貯蓄金の管理ということでございますので、やはりそれを事業主でない人に管理してもらうわけですから、それは本人が同意しないでというわけにはいかないという、そういうことでございます。  手続としては、事業主が委託をしようと考えたときに、それぞれの財形貯蓄をやっている人、やろうとしている人に対して、わかってくれと、こういうことだということで手続が進んでいくのだろうと思っております。
  105. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 例えば、その事務代行団体とそれから労働者あるいは事業主との間で何かトラブルが起きたときは、どのように解決をするのでしょうか。
  106. 七瀬時雄

    政府委員七瀬時雄君) 事務代行契約を結ぶときにトラブルの処理をどういうふうにするかということをきちんと定めてもらおうかというふうに考えておりますが、恐らく勤労者の方、あるいはその委託した方、委託された団体、三者間で良識をもって解決すると。そのいろんなルールがもし定型化できるならば委託契約のときに定めるということでございますが、何はともあれ受託団体、委託を受ける団体がそういうトラブルを起こさないようなしっかりした団体であるということを特に意を払っておく必要があると思っております。
  107. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 この融資制度に関しましては雇用促進事業団が間に立つわけですが、ちょっとわかりかねるんですが、財形のいわゆる貯蓄というのは一定の金融機関にいたしまして、そして融資を受ける場合にはだれが具体的に査定といいますか、融資が適当であるかどうかという査定をするのでしょうか。雇用促進事業団は、そこでどのようなかかわりをするのでしょうか。
  108. 七瀬時雄

    政府委員七瀬時雄君) 融資を決定するのはだれがするかということは、窓口になった金融機関雇用促進事業団の共同作業ということに、平たく言えばそういうことになるんではないかと思っております。つまり、やはり融資でございますので、返済の問題とかいろいろと融資をすることに伴って生ずる金融上の問題というのがございますので、その辺の判断に当たっては窓口になっている金融機関の意見を聞くということだろうと思いますが、この融資自体が制度趣旨に合った財形融資であるかどうかという判断になってくると大いに雇用促進事業団の責任を持つ事項になるんだろうと思っております。
  109. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 そうすると、共同作業だというと、結局それは財形融資をするかどうかという認定は雇用促進事業団だけれども、例えば返済とか担保とかそういったものは金融機関だと、こういうふうに理解してよろしいんでしょうか。
  110. 七瀬時雄

    政府委員七瀬時雄君) 恐らくそこら辺の担保とかそういった金融上の手続ということになると金融機関に御協力を願わないと難しいんじゃないか。ただ、最終的にだれが決めるかといえば融資をするのは雇用促進事業団でございますので、その責任であるということでございます。
  111. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 そうすると、そういった融資が適当かどうかとかさまざまな調査とか、それから認定作業等に関する人件費その他のコストがかかるわけですが、このコストの負担は金融機関とそれから雇用促進事業団とどのような形で分担しているのでしょうか。
  112. 七瀬時雄

    政府委員七瀬時雄君) そういう窓口業務をお願いするわけですので、委託料は出しております。ただ、金融機関もやはりそれに伴っていろいろと確かに間接的なメリットもあるんだろうと思いますが、そういったことで委託料が十分であるかどうかということはあるんですが、委託料という形をとりながらある程度御協力をいただいているというのが実態ではないだろうかと思っております。
  113. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 今回の改正によります財産形成貯蓄活用給付金は、これは事業主から出るんですかね。勤労者に対しては事業主が負担して、事業主へ国が補助をするということになろうかと思いますが、その際、金融機関から出すことについて、その金融機関の方からそういう事務処理については困るということで議論があって、そして手続的にはそういうふうに落ちついたというふうに聞いたんですが、具体的にはどういう議論があったんでしょうか。
  114. 七瀬時雄

    政府委員七瀬時雄君) どういう議論があったかは、今ちょっと十分つまびらかにできないんですが、ただ考え方として事業主勤労者方々に、いわば使う時点で、預金をおろす時点で援助をして、それに対して国が中小企業はどれぐらい、大企業はどれぐらいとやる、そういう制度でございますので、もともと金融機関にそういう助成金をということではなくて、雇用促進事業団の全国にございます雇用促進センター、そういったものを活用するのが適当ではないかというふうに私どもとしては全体として考えておったつもりで、現在そういう制度になっております。  途中でいろいろな人からいろいろそれについて御提言をいただいたことがあったかどうか、私は十分承知していませんが、事の筋としては私はそうだと思っておりますので、そういう制度を仕組んで御提案を申し上げているということでございます。
  115. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 細かいことで申しわけないんですが、例えば介護あるいは育児、それから教育に関係する給付金の要件を満たしているかどうかというのは、どこが判断するんですか。
  116. 七瀬時雄

    政府委員七瀬時雄君) 最終的には当然国から援助をする雇用促進事業団が判断することになりますが、手続としてはやはり財形制度企業内福祉という形の中でやっておりますので、事業主がそういう援助をするときに第一次判断をする。しかし、事業主が国からそういう援助を受けるという第二次のところにいったら、当然雇用促進事業団が判断をすると、こういうことになるわけでございます。
  117. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 現在、財形の融資制度といいましても、低金利でかつ利子補給をするという制度であるわけですが、現行のような低金利状況になりますと余り使うメリットがないのではないかという気がいたします。ということは、各金融機関の方が融資のさまざまな条件を提示しておりますし、市場金利がこれだけ下がってきますと果たしてこれが機能するのかなという気がいたします。  現実に大体どの程度利子補給をしていて、こういう低金利の状況の中ではどのようにこの制度が機能しているのか、その実績はどのように変化してきたのでしょうか。
  118. 七瀬時雄

    政府委員七瀬時雄君) 概略お答え申し上げますと、先生指摘のとおりで、低金利時代になってきておりまして、現在利子補給制度によるいわば支出というのはほとんどゼロであるし、ここ二、三年で利子補給制度を活用していわば援助をしたということは、ここ一、二年と申し上げた方がいいかと思いますが、そう多額な金額ではなかったように記憶しております。
  119. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 そうしますとへ恐らく現在の利子の補給は国が三%ぐらいを最低として使っていると、ほぼ一%ぐらいだと聞いていたんですが、現在ではほとんど利子補給はゼロに計数上ならざるを得ないのではないかと。すると、融資のメリットというのはほとんどこの低金利の中では使われないのではないかというような気がいたしますが、今後財形制度の一層の充実について、例えば育児介護教育等のさまざまな援助措置もあるわけですが、それとの関連をどのように考えておられるのでしょうか。
  120. 七瀬時雄

    政府委員七瀬時雄君) 今回、そういう育児とか介護とかという事象が生じたときに支出の段階で援助をすると、そういうために計画的貯蓄を奨励するということで、それ自体は一つ制度として発足させていただきたいということでございます。  ただ、それにあわせて、それだけでいいのかと、場合によってはそれにあわせて後で返済するという形の融資がセットになっていいんではないかという議論は審議会段階でもございましたし、いろいろと内部で検討しておりましても、確かにそれはわからないことでもないだろうということでございまして、引き続き検討課題として残していきたいといいますか、関係省庁との関係があれば政治折衝するなど、そういったことで努力してまいりたいというふうに考えております。
  121. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 財形法質問からちょっと外れますが、今回、男女雇用機会均等月間で、女子学生の就職問題に関する特別相談窓口の実態例の御報告をいただいておりまして、婦人少年室における十年間の延べ相談件数が十一万件、とりわけ募集、採用に係る相談件数が大幅に増加して、ここの委員会でも何回か女子学生の就職問題に関する問題が出ました。これは女子学生だけではなくて、若年の就職ができないという形で、いわば失業でございますけれども、しかし採用されていないので雇用保険に関しては適用がされないということがあるわけですが、諸外国ではそうした就職できない人たちにも訓練手当その他の名目で雇用保険等のそういう措置がなされているというふうに言われておりますが、そういった就職できない人たちが非常に失望をして働きたくないというような形にまでなっていくのをやはり何らかの形で支援するということで、私は雇用保険をそうした就職できない人たちに対して何らかの形で支出するということを検討する時代ではないかと思いますが、その点についてはいかがでございましょうか。
  122. 征矢紀臣

    政府委員征矢紀臣君) 新規学卒者につきまして、平成八年三月卒業の方の内定状況は四年制大学で九五・九%、短大が一番厳しいわけでございまして八四・九%、専修学校九五・四%、こういうことでございまして、専修学校につきましては前年度より内定状況が上がっているわけでございますが、短期大学につきましては昨年同期を下回っていると、こういう結果でございます。  ただ一方で、トータルで、いわゆる団塊の世代の第二世代の方々の時期が終わっておりまして、卒業生が減っているというふうなことでございまして、三月時点で就職できずに卒業した方は男女合わせて二十万人、昨年が二十三万人でございまして、三万人ほど減っております。そういう状況でございます。そういう中で、しかし御指摘のように未就職で卒業された方について対策を強化しなければならないということで、大臣の御指示もいただきまして、三月二十一日付で都道府県知事あてに通達をしまして指示をしているところでございます。中身としましては、積極的な求人の確保、これにつきましては求人一覧表を出して求人していただいたわけでございますが、それの埋まっていない部分も含めまして積極的な求人を確保する、それに基づきまして学生職業センターあるいは相談室において職業相談、職業紹介をするというようなこと。  それから、本年度は特にそういうことから就職面接会を未就職の方について重点的にやるということで、五月、六月で十六都府県二十一会場でこの面接会を始めております。実は五月十七日に栃木県で第一回目を実施しまして、あと埼玉県で五月二十日、それから大阪府では特に女性の方についての面接会というようなことで昨日実施をいたしておりますが、そういう形でこの就職面接会による就職につなげるための対策、そういうものをとっているところでございます。  あわせまして未就職の方について、これは就職が自分の希望するところが必ずしもないというミスマッチの問題等もございますが、そういう方に実際に職場を体験してもらうというようなことで、一定の期間、これはまあ職種によっての長短はございますが、一週間から三カ月、あるいはそれ以上の期間というようなこともございますけれども、職場に入って体験していただき、それがよければそこに就職していただく、こんな形での対策も始めているところでございます。  ただ、御指摘のようなヨーロッパの状況に比べますと、就職内定率が九五%を超えているというのはヨーロッパから見ればいわば理想に近い形でございまして、若年者の失業率が三割近いというようなところで、先生おっしゃるような社会保障の一環での失業手当というような対策を講じている国もあるわけでございますが、我が国の現状から見ますと、むしろそういう対策よりは今言ったような形での対策で、できるだけ就職に結びつけるような形で努力をすることの方がよいのではないかと。一方ではそういう非常にコストがかかる対策をとっている。それが非常に厳しい財政状況の中での社会保障についてのコスト負担、そういうものが別の大きな課題になっておりますので、そういうことも考えながら対処してまいりたいというふうに考えております。
  123. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 ありがとうございました。終わります。
  124. 吉川春子

    ○吉川春子君 勤労者財形促進法は、一九七一年、昭和四十六年に制定後、これまで七次にわたって改正されてきましたが、労働省のこの制度に対する熱意といいますか、これにもかかわらず財形実績は下がってきているのではありませんか。財形年金、財移住宅について数値を御報告していただきたいと思います。また同時に、その原因をどうとらえておられるのか、お尋ねいたします。
  125. 七瀬時雄

    政府委員七瀬時雄君) 昭和四十七年に財形制度が発足いたしまして、平成二年度には契約者数が一千九百万人に達しておりましたけれども、その後ちょっと少しずつ減ってまいりまして、平成七年九月末には一千七百二十万人というふうに、平成二年をピークといたしまして減ってきているという状況でございます。一方、貯蓄残高の方は、毎年制度が定着してくるわけでございますので、貯蓄残高の方はふえてきておるわけでございます。  そこで、契約者数が減ってきている理由としては、やはり一つには昭和六十三年に一般財形に対する非課税メリットがなくなったということ、それから昨今のいろいろな事情を反映いたしまして、かなり持ち家の建設が進んできているので、そのために持ち家を取りましていくというようなことで減ってきたということと、それから三点目には、やはり財形制度事業主援助、手続的な意味で、そういうことで伸びてきている反面で、同時に事業主の負担感というものが大きくなってきているという面もあって、トータルとして契約者数が減ってきているのではないだろうかというふうに思っているところでございます。
  126. 吉川春子

    ○吉川春子君 日本生産性本部が出版しております「勤労者財形の手引き」によりますと、財形制度は、財形貯蓄制度をまず軸として、それと密接に関連させて財政融資を組み合わせているという点から見て、財産形成への従業員自身の自己努力前提とした制度であり、賃金、給与計画的活用を促進する制度でもある。このような財形制度仕組みからいって、財形制度は広く企業に受け入れられ、従業員が積極的に活用できるようにするためには、従業員の賃金、給与水準が、世間全体として、日常の生活費にまず消費した後に、長期にわたり貯蓄や融資返済に充当できるゆとりが生ずる程度まで上昇する必要がある。つまり、低賃金の中からは積極的に財形制度にかかわりを持つゆとりは生まれない、低賃金の中からはこういうゆとりは生まれないことに留意すべきであると述べています。  今、指摘したようなここ五年から十年の財形件数の長期低落は、労働者の実質的な賃金の低下及び伸び悩み、こういうところに原因があるのではないかと思いますが、この点いかがお考えですか。
  127. 七瀬時雄

    政府委員七瀬時雄君) 確かに、先生ただいま御指摘になりましたように、貯蓄あるいは貯蓄性向というのは所得に非常に大きな影響を受けるわけでございますので、所得が伸びればそれ以上の割合で一般的には貯蓄が伸びる。したがって、財形貯蓄も伸びるべきだろうと思いますが、昨今の財形貯蓄がやや伸び悩んでいる理由は先ほど申し上げたような理由だろうと思っております。  それから、昨今の賃金水準の問題、いろんな議論があると思っておりますが、確かにある時期、高度成長あるいはその後の景気が非常にいいときに比べますと所得の伸びが相対的にはふえていないという問題も一つの問題意識の中においておかなきゃならぬと。ただ、先ほど申し上げましたように、昭和六十三年の非課税制度とかが一般財形についていわばなくなったというような、そのある時期からこういう事態が生じてきておりますので、所得との関係ということもよく検討しなきゃならぬと思いますが、主たる原因は先ほど申し上げた三点にあるのではないかということで、そのために制度の充実あるいは改善を図らなきゃならぬという思いを強くしているところでございます。
  128. 吉川春子

    ○吉川春子君 そういうことも念頭に置かなくてはいけないという答弁だったと思いますが、実質賃金の低さという点では中小企業労働者は一層深刻です。  財形審議会の平成七年八月七日の報告でも、「中小企業においては大企業に比べ福祉面で立遅れがみられ、今後の社会経済情勢の変化の中でこのような格差が一層拡大することが懸念されるため、中小企業勤労者の福祉向上のための取組みが求められる。」と、こういう指摘もあるわけです。財形中小企業の加入率はどうなっていますか。
  129. 七瀬時雄

    政府委員七瀬時雄君) 中小企業財形の加入率でございますが、年金貯蓄に関しては大企業においては七五%となっておりますが、中小企業では四〇%、それから住宅については大企業で八〇%に対して中小企業では四〇%ということで、明らかに低いということでございます。
  130. 吉川春子

    ○吉川春子君 大臣、いかがでしょうか。今回の改正に私ども反対するものではありませんけれども、いかにも小手先の改正という感がしないでもありません。こうした中小企業と大企業との格差是正を図ること、こういうことに全力を挙げるということが勤労者福祉の原点ではないかと思いますが、その点についての御認識は、いかがですか。
  131. 永井孝信

    国務大臣永井孝信君) 先生の御指摘のように、大企業中小企業が賃金の面でも福祉の面でもそれぞれ格差が生じていることは、これはもう社会的に一般的に見て事実だと私も認識をいたしているわけであります。  したがって、そういう格差を解消するために、例えば賃金の引き上げであるとかいうことも労働組合が自主的に労使交渉で行っているわけでありますし、そのことに直接政府が介入することはできませんけれども、しかし日本の産業構造の実態からいきまして、できるだけそういう格差が生じやすいようなことを除去していくことが私は大切だと思うのであります。  そのことと、またこの財形の問題、直接この財形の問題だけですべての格差の解消に資するということにはなってまいりませんけれども、要は格差を解消するためにはもういろんなことが全部複合的に前へ進んでいって初めて格差が解消することになっていくだろうと、私はこのように実は思うわけであります。そういう意味で、非常に加入率が低いという中小企業にも財形制度が普及できやすいような援助といいますか、そういう手だてを政府としても最大限進めていくことが大事だろうと、こう思うわけであります。  そういう意味で、今回も財形事務を処理できる体制の一助として事務代行制度も実は取り入れたわけでありまして、そういうことを通しまして、中小企業事業主の事務負担をできるだけ軽減することによって、中小企業に働く勤労者が加入しやすいようにあるいは加入への意欲を持つことができるように、そういうことに私ども努力をしてまいりたいと、こう思うわけであります。  また、財形制度そのものを、制度が発足してからかなり長期間たっているわけでありますが、財形制度そのものが存在することすら今の時点でなおかつ認識がされていないという零細企業もございますので、そういう面につきましては、中小企業財形制度普及促進月間を設けるなどして、あらゆる機会を通してPRもしていきたい。PRをする以上は勤労者の期待にこたえるような制度にできるだけ、一挙にできなくとも改善を積み重ねていって、住宅教育育児やいろんな面でこの財形が役立っていくようにしていきたい、このように考えるわけであります。
  132. 吉川春子

    ○吉川春子君 労働者福祉の点で最もおくれていると言われている家内労働者の問題があるんですけれども、現在家内労働旬間だそうですけれども、この家内労働者の賃金とか人数、男女別にちょっと御報告いただけますか。
  133. 太田芳枝

    政府委員(太田芳枝君) 家内労働者と申しますのは、家内労働法で定義されているものでございまして、いわゆる物品の製造、加工などの委託者から主として労働の対償を得るために委託を受けて物品の製造とか加工に従事する者でございまして、法律では、「その業務について同居の親族以外の者を使用しないことを常態とする」というふうに書いてございます。  このような家内労働者の数でございますけれども、最近減少傾向を示しておりまして、昭和六十年には約百二十二万人ほどおりましたが、平成七年現在では約五十八万人ということになっております。そのうちの約五十一万人が女性でございます。従事しております業種を見ますと、衣服関係が最も多く約二十二万人、それから電気機械器具、例えばコイル巻きとかハンダづけというような仕事に従事されておる方が約十一万人というふうになっておるところでございます。
  134. 吉川春子

    ○吉川春子君 ことしのILO総会で家内労働条約が採択されると聞いていますが、そうですが。
  135. 太田芳枝

    政府委員(太田芳枝君) ILO総会では昨年度から家内労働条約について討議がされておりまして、ことし第二回目が行われることになっております。そういう意味で普通にいけば採択がされるというふうに考えております。
  136. 吉川春子

    ○吉川春子君 一九九五年、第八十二回総会で、家内条約の第一次討議のために事前にILOからのアンケートが来ましたけれども、それに対して日本政府は、法的拘束力を持つ条約に反対であると、このように回答されていますが、なぜですか。
  137. 太田芳枝

    政府委員(太田芳枝君) 家内労働の実態が各国によってさまざまでございますので、国際条約として文章となるためには、やはり各国で受け入れられるような弾力性のある文章をつくられることが望ましいというスタンスに立って対応しているということでございます。
  138. 吉川春子

    ○吉川春子君 日本政府が反対したにもかかわらず、世界の大勢は条約という形式で行うということになりまして、日本政府の消極的な姿勢は国際的には明確に少数勢力になった、こういうことです。条約案の内容は、私は画期的なものだと思います。それで、まず家内労働者の定義は、条約が採択されるとどういう内容になるんでしょうか。
  139. 太田芳枝

    政府委員(太田芳枝君) 現在、案の段階でございますけれども、条約案の第一条のところにこういうふうに書かれてございます。家内労働という用語は、家内労働者として言及されるべき者が以下のように行う労働を意味するということで三つに分けてございまして、「自宅または自ら選んだ他の建物内で、使用者の作業場所以外において、」、それが一でございます。二つ目が「報酬のために、」、そして三つ目が「使用される設備、材料またはその他の投入物を誰が提供するかを問わず、使用者が定めた製品またはサービスにつながる労働。」というのが家内労働であるというふうに定義されております。
  140. 吉川春子

    ○吉川春子君 この定義は、現在の我が国法律とはちょっと違うんですけれども、もしこの定義によりますと、我が国において新たに家内労働者とされる範囲はどの程度広がりますか。職種とか人数とか、具体的にお示しいただきたいと思います。
  141. 太田芳枝

    政府委員(太田芳枝君) 今、申し上げたとおりでございまして、現在の条約では非常に広い範囲を家内労働というふうに言っているわけでございます。いわゆる在宅で仕事をする雇用労働者や何かも含まれるわけでございまして、現在私どもが持っております家内労働法に規定する家内労働と比較いたしまして非常に広く定義がされておるわけでございます。  そして、そういう場合に職種、人数についてどうかという先生の御質問でございますけれども、現在労働省等で実施しております統計では、そういう雇用労働者の職種別の人数というのについては極めて調査が少のうございまして、なおかつそれが在宅就労をしているというようなことで、在宅を別に分類して集計している調査が残念ながらございませんので、先生の今の御質問にお答えすることができないというのが実態でございます。
  142. 吉川春子

    ○吉川春子君 今は雇用労働者として把握されていない人まで範囲が含まれると私は思いますが、次の機会にまたこれは質問しますので、ぜひ把握に努めていただきたいと思います。  それで、条約案の第四条で、家内労働者と他の賃金労働者との平等待遇の促進をうたっておりますが、具体的にはどういう内容を決めようとしておりますでしょうか。
  143. 太田芳枝

    政府委員(太田芳枝君) 先生指摘の第四条ではこういう書き方になっております。「家内労働に関する国内政策は、家内労働の特殊な特性及び適切な場合には企業内で行われる同一または類似の労働に適用される条件を配慮し、家内労働者と他の賃金労働者との平等待遇を促進する。」と、そして平等待遇はとりわけ以下に関して促進されるということで、幾つか例示がされております。  それを申し上げますと、まず最初がみずから選択した団体を設立するか、それに加入し、そのような団体の活動に参加する家内労働者の権利、二つ目が雇用及び職業における差別待遇からの保護、三つ目が職業安全衛生の分野における保護、四つ目が報酬、五つ目が法的な社会保障の権利、六つ目が訓練を受ける権利、七つ目が雇用または労働の認められる最低年齢、八つ目が母性保護、というふうに規定をされております。
  144. 吉川春子

    ○吉川春子君 日本政府は平等待遇について、とりわけ労働時間、有給公休日、年次有給休暇、母性保護については、勧告としても規定すること自体に反対を表明しましたけれども、その理由はなぜですか。
  145. 太田芳枝

    政府委員(太田芳枝君) 先ほど申し上げましたように、各国いろいろでございますので、できるだけ前向きには行きたいと思いますけれども、現在の状況からなかなかそういうことが難しいのではないかというふうに考えているところでございます。
  146. 吉川春子

    ○吉川春子君 現在の状況というのは、家内労働法との関係ということも含みますか。
  147. 太田芳枝

    政府委員(太田芳枝君) そういうふうに考えております。
  148. 吉川春子

    ○吉川春子君 今回の勧告には使用者と労働者の協議機関、報酬率を定め、それから団体交渉の権利を認めるなどが規定されております。低工賃、低賃金ですね、を一方的に押しつけられている今の日本の家内労働者にとってこれは画期的とも思われる内容ですけれども政府はなぜこれらのことを規定することに反対されたのでしょうか。
  149. 太田芳枝

    政府委員(太田芳枝君) 先ほど来申し上げておりますが、国によってはいろいろなやり方がございますので、私どもといたしましては家内労働者と使用者の間の個別合意ということもあってもいいのではないかというようなこともありまして、反対をしたということでございます。
  150. 吉川春子

    ○吉川春子君 我が国には家内労働者の組織があるわけですけれども、今回の条約に対して家内労働者自身はどのように評価しているのか、政府としては意見を聞いてみましたでしょうか。
  151. 太田芳枝

    政府委員(太田芳枝君) 私どものところに中央家内労働審議会というのがございますが、そこの審議会におきまして、先日、昨年の状況等について御報告をさせていただいております。
  152. 吉川春子

    ○吉川春子君 今回の条約について、審議会はもう一度聞こうと思っていたんですけれども、家内労働者自身あるいは家内労働審議会の意見を聞いたとおっしゃるんですけれども、じゃどういう意見だったんですか。私は、何遍も意見を聞いてほしいと要請したにもかかわらず労働省は意見を聞いてくれなかったと、こういう報告を受けていますが。
  153. 太田芳枝

    政府委員(太田芳枝君) 家内労働審議会におきましては、私どもは去年のILO総会における家内労働条約案及び勧告案の審議状況について御報告をさせていただいたわけでございますが、そのときに委員からはぜひ情報提供をもっと頻繁にしてほしいというような要望が出されたところでございます。
  154. 吉川春子

    ○吉川春子君 前半の質問にちょっと答えていただけませんか。家内労働者自身、審議会じゃなくて、自身に意見をお聞きになったのかどうか。
  155. 太田芳枝

    政府委員(太田芳枝君) これは条約に関してというふうに考えてよろしゅうございましょうか。――それにつきましては、ILO総会の技術議題の審議につきましては国際労働総会の議事規則の規定に基づきまして、これは別にこの家内労働条約だけではございませんけれども、あらかじめILO事務局から各国政府に対して質問書が送付されるわけでございます。そのとき政府は、最も代表的な労使団体と協議の上、ILO事務局に回答を行うということになっているわけでございます。  日本の場合、この最も代表的な労使団体といたしましては、私どもは、連合及び日経連がこれに該当するものとされておるということで、本年のILO総会の議題である家内労働につきましても、同様にこれらの団体に対して協議を行ったところでございます。
  156. 吉川春子

    ○吉川春子君 先ほど来伺っておりますと、家内労働者にとっては非常に画期的な内容であり、労働者自身がこの条約を批准してほしい、この内容は自分たちの地位を向上させるものだというふうに評価をしているわけです。それにもかかわらず、本当に肝心かなめの家内労働者自身の意見を聞かなかった、日本の代表的な団体は連合である、こういうふうにおっしゃるんですけれども、そしてそのILOの憲章の条文を盾にとっているんですけれども、肝心かなめの家内労働者自身に意見を聞いてはいけないと、こういうような規定でもあるんですか。
  157. 太田芳枝

    政府委員(太田芳枝君) そういう規定は特段あるわけではございませんけれども、同じようなお答えになって恐縮でございますけれども、少なくともILOの規定からは代表的な労使団体ということで、連合及び日経連の御意見を聞くということでやっているところでございます。
  158. 吉川春子

    ○吉川春子君 大臣にお伺いしますけれども、何か非常に血が通わないことをやっていらして、それでよしとするというのは私は問題だと思うんですよ、手続的に瑕疵があったとまでは申しませんけれども。家内労働者の唯一と言っていいか、とにかくその組織した組合があるんですよ。まさにそこにぴったりの条約が出てきて、どうしましょうかというアンケートもILOから来ている。二度も会議が開かれる。そういう中にあって、いや日本の代表は連合ですよ、もうほかは知りませんよと、こういう形で、そしてしかも当事者が意見を聞いてくれと何遍も労働省に言っているにもかかわらず全く耳を傾けなかったというのは、労働省というのが労働者の利益を守るお役所だというふうにとらえると、これはいかにも硬直していると思います。大臣、この点についてはいかがお考えですか。
  159. 永井孝信

    国務大臣永井孝信君) 労働省としては、できるだけ当該労働者の意見を十分に把握するということは一般的に言って非常に大事なことだと、こう思っております。  昨年の十一月二十二日と本年四月十一日の二回にわたりまして家内総連から労働省に対しまして要請がございまして、それを承ったわけであります。それは、承っただけですよ、もう後は知りませんよという態度じゃなくて、承った内容につきましては、そのことを十分認識をしながら審議会の方にできるだけそういう実態を反映させるように努力をしてきたものと私は実は理解をいたしているわけであります。  ただ、画期的な条約であるということを先生は御指摘されているわけでありますが、実は日本の家内労働における定義と、今度はILO条約で、採択されるのであろうとは思いますが、その原案に盛り込まれている定義とはかなり違うわけです。したがって、それぞれの国の生い立ちがございますから、日本の場合は、仕事は製造業者から委託を受けること、そして原材料の提供を受けてその製造、加工に従事すること、そして主として労働の対償を得るために働くものであること、基本的にはそれぞれ一人一人が仕事をする、自己一人で仕事をする、こういうことになっておりまして、雇用関係が存在しないという形の中で、この家内労働で働く人の最低工賃とかそういうものについても一定の基準を実は設けてきたわけであります。  したがって、その定義と今度のILOの定義とかなり違うものでありますから、その定義の違うままに、そのまま条約を採択されることが果たして妥当なのかどうなのかということも議論をされてきた模様でありまして、いずれにいたしましても、そのILOの条約をどのような形で日本が受けとめていくか、こういうことについては十分にそういう国内法との関係も含めて対応しなくてはいけない、このように実は思うわけであります。  したがって、今後、ILO総会が目の前に来ておりますけれども、そのILOの総会でどういう議論がされるかということを踏まえまして、その行く末を十分見きわめながら最終的な判断を労働省としても固めていきたい、こう思っているわけであります。
  160. 吉川春子

    ○吉川春子君 これから質問しようと思っていることも含めて御答弁いただきましたが、家内労働者の組織、家内労働者自身の意見には十分に労働省としても今後耳を傾けてもらいたいということが一つです。それから、今大臣が言われましたこの条約の採択に当たっては、やっぱり賛成してもらいたい、反対は絶対しないでもらいたい。それと同時に、今大臣からも御指摘がありました家内労働法と条約の家内労働者の定義が違っております。財形は今言いましたように、一年後にできたんですけれども、今度はもう八度目の改正ですね。家内労働法は一遍も改正をしてないんですよ。この財産重視といいますか、労働者の権利をもうちょっと大事に考えていただいて、家内労働法の改正も含めて検討いただきたいと思うんです。というのは、国際的な水準になかなか日本の実情がついていってないということが今度の条約案の内容を見ても明らかです。  この点、労働者の意見を十分に聞いてもらいたいということと、家内労働法の今日の水準に合わせた検討、この二つについて大臣答弁をいただきたいと思います。
  161. 太田芳枝

    政府委員(太田芳枝君) 大臣の前に、私からよろしいでしょうか。
  162. 吉川春子

    ○吉川春子君 じゃ最初に太田さん、どうぞ。
  163. 太田芳枝

    政府委員(太田芳枝君) 今、先生指摘の点におきましては、最近家内労働をめぐる問題が変化してきたという認識は私どもも持っておりまして、今後の家内労働対策について幅広い観点から議論をするということで家内労働問題懇談会というのを設けさせていただいておりまして、これを早急に開始しようと。これはもう少し広い、テレワークとかそういうのも含めて議論をしようというふうに思っているところでございますので、問題意識としては労働省も十分受けとめているということを御理解いただきたいというふうに思います。
  164. 永井孝信

    国務大臣永井孝信君) 先生の御指摘のように、現在家内労働として定義されている中で働いていらっしゃる方々は年々減少傾向にあります。数の問題ではないと思うのでありますが、そういう家内労働に従事されている人の現状というものは、労働省なりに十分にその実態というものも把握に努めていきたい、こう思います。  ただ、この条約との関係で、今直ちにここで採択に賛成するか否かということについてはコメントを避けておきたいと思うわけでありますが、いずれにいたしましても働く人の労働条件をきちっと確保すること、いわゆる生活の水準を高めること、こういうことも含めて日本の産業の形態の中に家内労働がどういう位置づけになっているかということも十分に認識をした上で、今後十分に勉強して、必要なことについては検討を加えてまいりたい、このように考えます。
  165. 吉川春子

    ○吉川春子君 終わります。
  166. 笹野貞子

    ○笹野貞子君 今回の、この財形法というのを私も一生懸命理解しようと思って勉強をいたしております。確かに、勤労者財産の形成についての促進ということは、それだけを見ますとれは大変いいことですし、私のように正直な人間は、そのために労働省が一生懸命に応援をしているということはこれはすばらしいことだという思いと、反面この住専の国会を見たりしておりますと、金融機関というのは私が想像した以上にずさんな経理というんでしょうか、何か非常に国家的過保護な中でこの金融機関というのがこういう状態に今なっているということに唖然とする思いもいたしました。  この金融機関というのが、貸し付けにしても、いろんなことにしても、これだけずさんなことをやっているその金融機関との一つのタイアップのこの制度というのは、私は本来の目的はそうじゃなくて勤労者のためであるということであるならば、なおさら私は、その目的からそれないように労働省はきちっとしたビジョンというか、そういうものをお示しいただきたい。  例えば、私が勉強している中で、本当にこれは勤労者のためなんだろうかという目的意識が疑われそうな事実といいますと、まず私たち勤労者というのは、銀行と取引をするときには利息というのはどうなんだろうか、そして貸し付ける条件はどんなものだろうかというようなことに大変興味を持つものです。  そこで、私はこの財形の利息と貸し付け条件の一覧表をずっと拝見しますと、特に一般財形ですけれども、利息が高くなろうが安くなろうが、貸し付けの金利が安くなろうが高くなろうが、この制度はほとんど関係ないということが表の上からわかりました。そして、今のように非常に利息が安くなって、今こそ勤労者にしたらいろんな意味で融資を受けなければならない時代に、かえって融資を受けないで非常に残高が残ってきてしまっている。なおかつ利用している人は、十八兆あるのに二兆ぐらいしか利用していない。私にしたら、おかしいな、本来であるならば今のようにこんなに利息が安くなって今こそ利用しなければならないときなのに、かえって利用しなくなるというのは、これは勤労者にとってはそんなにもろ手を挙げていい制度だというようなわけにも言えないのかなというような、そんな感じもいたします。  そして、もう一つ。促進をしてほしいという要望が来るのは勤労者や事業者じゃなくて、生保協会や損保協会が促進してほしいということを要望に来るというのは、これは何だか随分変な話だなというふうに私自身思います。こういうことを労働省皆さん方は変だとお感じになる余裕を持って、この制度は黙っていても金融機関にごそっと定期と同じようなお金が入ってくる、銀行はぬれ手でアワのような感じすら私はしないでもないような感じがいたします。決してこれは断言はしておりません。ですから、勤労者のためという以外の目的のためにこの制度が利用されないような、そんな思いをしっかり持っていただきたいと、まず最初にちょっと私の思いを申し上げます。これは答弁は要りません。どうぞこの制度を活用する上においては、そういうことが懸念されるということもあるんだ、そしてそういうことを懸念する人も現にいるんだということを御認識していただきたいということを、まずもって申し上げたいというふうに思います。  さて続きまして、この制度はもともと勤労者財形ということでドイツの制度を見本にして、まねしてつくったということを聞きます。ドイツというのはいろんな意味で日本のお手本になった国ですので、まずドイツの財形制度の内容を、ちょっとお聞かせいただけますでしょうか。
  167. 七瀬時雄

    政府委員七瀬時雄君) ドイツでは、おっしゃるとおり進んだ財形制度があるわけでございますので、ちょっと歴史的にさかのぼってみますと、そのころは西ドイツであったわけでございますが、一九五二年に住宅建設割増金法ができ、一九五九年に貯蓄割増金法を公布いたしまして、住宅建設を目的とした貯蓄に対しまして奨励金を支給するとともに、一定期間据え置かれた貯蓄に対して国から一定の奨励金を支給するということで、広く国民一般の財産形成支援してきたわけでございますが、そういった発展を踏まえて一九六一年、昭和ですと三十六年になりますか、勤労者財産形成促進法が制定されまして、勤労者に対してさらにその財産形成支援する措置が講ぜられることになったわけでございます。  具体的には、事業主あるいは勤労者が積み立てて一定期間据え置いた財形給付金に対しまして税制上の優遇措置やあるいは社会保険料の控除が講じられるとともに、一定の所得限度内にある勤労者については貯蓄付加金を支給する、こういうことにしたわけでございます。  その後、勤労者のより有利な財産形成手段への選好が高まってきたと、勤労者の側で。それから、オイルショックの後の不況の中で、企業の方で資本拡充が要請されたと。こういう両者のいわば考え方が一致したと申しますか、そんな中で一九八四年、十二年前ですが、改正財形法におきまして経済の活性化の観点から勤労者の生産資本への参加が政策的に推進されることになりまして、財形給付金の対象が、資本でございますので株式とか社債とか有価証券にまで拡大されたと。こういったことで、経営者の側でも勤労者の資本参加を促進する、勤労者の側ではより有利な、そういう財産形成の方法に乗っかっていくと。こういうことで、現在全勤労者の八割以上という非常に高い率で財形制度が発展しつつあると、こういう状況でございます。
  168. 笹野貞子

    ○笹野貞子君 今のドイツの制度をお聞きしますと、目に見える形で給付金がもらえる、また資本形成に参加できる、そういう協力をするという、私にしたら非常にユニークであって、勤労者に直接的な援助というのがあるんですが、そうすると日本の場合はちょっと違うような気がするんですけれども、ドイツをお手本にしたときに、一体何を取り入れて、何を手本にしなかったんでしょうか。
  169. 七瀬時雄

    政府委員七瀬時雄君) ドイツの場合には、ただいま申し上げましたように、税制上の優遇措置を講ずるということと、それから所得制限がございますが、そういう勤労者に対しまして貯蓄付加金を支給する、こういうことになっているわけでございます。  我が国財形制度が発足いたしましたときに、非課税制度の方は取り入れたということでございます。それと同時に、ドイツの制度と比べると確かに十分でないかとは思いますが、その後いろいろな見直しを経て、財形給付金とか財形基金制度が創設されまして、事業主援助措置を介在させながら国がそれに対して援助をするという形での給付金・基金制度が創設されております。  そういった意味において、十分に普及していないという御批判はございますけれども、形としては税制といわば給付金という形が整っていると思いますけれども、恐らく先生の御意見もおありかと思いますが、つまり形はいろいろと参考にしてきているけれども、その実態の進み方においてちょっとドイツには及ばないという感を持っているというのが率直なところでございます。
  170. 笹野貞子

    ○笹野貞子君 ドイツの場合には、勤労者というのをちゃんと規定しているんですね。例えば、年間、単身者で日本で言うと百九十三万九千円までの人、それから既婚者であるならば三百八十七万九千円までの人は、この給付金とかあるいは資本参加というのを具体的にこうこうこうしてあげるよというふうに、非常にわかりやすくしかもドイツの場合では百九十三万九千円までの人には、五百マルクですから三万六千円ですか、こういう非常に具体的な金額で給付してあげるよということなんですね。  私はこれを見て、こういう条件の勤労者にはこういうふうに援助しますというわかりやすい制度。ところが、日本はそれはないわけですね。一般的に勤労者雇用関係がある人に限ってと、そういう幾らまでの給料を取っているかとか、本当に中小の一番援助しなきゃならない人ということが全然なしの財形という意味ですね。  私は、特にドイツの資本参加の制度というのに非常に興味を持ちました。働く人もそういうことに興味を持つということは非常に資本主義経済の中の経済活動というものに対する認識が持てたり自分でも自助努力という興味がわくと思うんです。この資本参加という制度が、なぜそのとき日本には導入できなかったんでしょうか。
  171. 七瀬時雄

    政府委員七瀬時雄君) ドイツで資本参加という形の方法がとられたことについては、率直に申しまして十分私も分析し尽くせていないんですが、ただ、当時西ドイツという国が置かれた環境から、やはり東西という関係もあって、そういう中で西ドイツの経済、労使関係をきちんとしていくためには労使協調ということを非常に重視しなければいけない、そういう中で協調体制を図っていくためには資本に参加していくということがいいのではないか、こういうことで先ほど申し上げたような制度ができたのではないだろうかというふうに思っております。  では、我が国でそれを昭和四十六、七年のときにどうして入れなかったのかということでございますが、思いとしては勤労者自助努力ができる人に対して財産形成を促進するという視点で、これは最初から大きな制度でないのかもしらぬけれども、将来段階的に育てていこうというので財産をつくり上げていくという視点を非常に重視したのではないだろうかと。そうすると、資本参加という面について、これは私の個人的なあれでございますけれども我が国で長期継続雇用とか非常に良好な労使関係とか、そういうことがあったものですから、恐らく資本参加という視点よりは財産形成住宅とかそういう方によりウエートが高かったのかなと、これは個人的な見解で十分分析し尽くせておりませんので恐縮ですが、私はそんな感じを持っております。
  172. 笹野貞子

    ○笹野貞子君 私も、このドイツの制度を見まして率直に大変おもしろい発想だというふうに思っております。そして、おもしろい発想であるがゆえに非常に参加率が高いということですね。これはもう数字を見ると九割方になっているわけです。  そういう意味で、ドイツは本当に低所得者の人には直接的に援助しましょう、また会社と一体になって株を買ったり資産形成をしたり資本参加したりして、そういう訓練をしましょうという一種の教育的見地も見られるんですけれども、日本の場合にはそうじゃなくて、何か五百五十万円以上出ちゃうと元から税金かけちゃうぞとか、教育じゃなくてちょっとした意地悪発想というんでしょうか、何か恩に着せ着せやっているかのようなそういう気すら私はこの制度感じるわけで、これはいいのかしら悪いのかしらという感じで、何か気がついてみたらたまっているから喜べと思えと。それは、私は本当のことを言うと自助努力自助努力というのは自分の意思でためようとかこうしようとかいうのが自助努力で、勝手に雇用主が天引きしてくれるから面倒くさくなくていいわというのは、勤労者がかえってずぼらをすることに手をかしているような、そういう気すらしないでもないと、意地悪く思うとそう思うんですね。  そこで、今度の改正ではちょっとドイツに似たかなというような気もしないではないんですけれども、この支援措置というのはどういう趣旨で、どういう考え方で、また私が今ちょっと似たかなと思ったのはドイツとどの点が近づいたというふうに御判断できるのでしょうか。
  173. 永井孝信

    国務大臣永井孝信君) 今の先生の御指摘でございますが、勤労者が少しは豊かになってきたかなということがあったとしても、自助努力といいながら自分で資金を積み立てるというのは、よほど意思がしっかりしておりませんとなかなかできないこともある、これも一面の真理だと思います。そういう面では、給与から天引きで積み立てるということは非常に積み立てやすいという一面を持っておりますから、いずれがいいか悪いかということはありますけれども、できるだけ勤労者のそういう財産形成に、もってやりやすいようなことを法律の上でも援助していくということを決めていく、これは非常に私は大切なことだと実は思っているわけであります。  ドイツとの関係が随分出てまいりましたけれども、ドイツの貯蓄付加金制度と比べますと、事業主勤労者に対して支給する給付金に関しまして国が助成を行うという点においては、私は日本の制度もちょっと類似してきているんではないかなと、こう思っているわけであります。  しかしながら、ドイツの貯蓄付加金が勤労者資産の増加そのものに対する支援措置ということになっているのに対しまして、我が国の場合は、今般の改正もそうでありますが、財形貯蓄活用助成金という制度は、勤労者計画的に行った財産形成の成果を、育児であるとか教育であるとか介護であるとか、あるいは自分の能力の自己再開発であるとか、こういうものに的確に対処するために活用することについても支援しましょうと、こういうことになっているのが日本の特色でありまして、必ずしもドイツとイコール、同じような発想に立っていない。しかし、ドイツのいいところを十分に取り入れながら今までこの財形制度もつくってきたわけでありますから、その面については今回の改正だけにとどまることなく、さらに次への段階について改正のための努力はしていく必要があろうと、こう思うわけであります。  また、五百五十万円の話が出ました。これはもう各先生方皆同じように思っていらっしゃると思うのでありますが、五百五十万円までは非課税ですよと、五百五十万円超えれば全額に対して税金がかかるという、これは私もどう考えても納得ができないところでありまして、今までもそのことについては改善を求めてきたわけであります。非課税限度額を一千万円へ引き上げるということもそうでありますが、そういうことを十分踏まえながらこれからの税制度改正の中で労働省としては頑張っていきたいなと、こう思っていることもつけ加えておきたいと思います。
  174. 笹野貞子

    ○笹野貞子君 これはすべての委員がおっしゃいましたように、矛盾点の一つだというふうに思いますので、今後とも大臣に一層頑張っていただかなければいけないというふうに思います。  さて、今回の一般財形は、先ほどから御指摘もありましたように、その加入率を見ると大企業とか大きな企業ほど加入率が高いと。雇用されていなければこの財形という恩恵はこうむれないし、あるいは中小企業のようにある種の、給料の高い低いによってこの恩恵も余り直接的には今まで受けれなかった。そうするならば、中小企業というのが受けれなければ、それに雇用されていないパートタイマーとか、あるいは今度派遣でもって女性がどんどん派遣という仕事にかかわっていくわけですけれども、私はこれがどういうふうにして加入するかどうかお聞きすると同時に、この制度というのは恵まれた人だけに応用できるという、非常に不公平感を勤労者に与えてしまうんではないかという危惧があるんですけれども、その点はどうでしょうか。
  175. 七瀬時雄

    政府委員七瀬時雄君) 財形制度の対象となっております雇用者ということで、要するに賃金をもらいながら企業雇用されている人はすべて含むということでございます。したがいまして、パートタイマーの方々あるいは派遣労働者の方々についても、その企業財形制度に加入していればその財形に加入できるということでございますので、制度的に特段不利益になっているということではないだろうと思っております。  ただ、おっしゃいましたように、実態として例えばパートタイマーの方々とかが中小企業雇用されている、そしてその中小企業が概してこの制度の普及が行われていないということであると実態的になかなか財形に入りにくいということもあるだろうし、こんなことがあってはならないと思いますけれども、パートタイマーの人たちには財形のサービスを、サービスと言うとあれですが、事業主がいろいろな事務をやらないというような、そういうことがあっては絶対ならないだろうというふうに思っております。
  176. 笹野貞子

    ○笹野貞子君 それは理念としてよくわかりますけれども、実態の数としてはやっぱり中小企業になるとどんどん下がりますし、きっとパートや派遣の人方の数はもっと少なくなるというふうに思うんです。そこで、こういう不公平感をこれからどのように解消していかれるおつもりでしょうか。
  177. 七瀬時雄

    政府委員七瀬時雄君) これは、先ほど申し上げたかと思いますが、この財形制度を通じた福祉というのは、制度的に事業主の協力を求めるということで企業内福祉ということと関係してまいりますので、要は中小企業財形制度が広がっていくということが一番大切なことなのではないだろうかと。  そこで、どうしていくかということでございますが、一つ中小企業の事務に対する負担、こういったものを極力減らしてあげられるような方向に制度改善していくということもありましょうし、それから今回お願いしております法改正でも、財形給付金を支給するに当たって、中小企業と大企業との格差が現にある以上、中小企業に対して国の援助を手厚くするという形で中小企業に魅力づけを行いながら底辺を広げていくということがございます。  それから、何と申しましても、財形普及促進月間という話も先ほど大臣の方からございましたけれども、そういったこと。あるいは、その運用に当たる事業団の方で丹念に相談をファクスであるいは電話でというようなものを含めて、そういった普及、啓発ということに力を入れていくことが、なかなかありふれた物の言い方ですけれども、やっぱりもとに返って基本になるのかなと思っております。
  178. 笹野貞子

    ○笹野貞子君 繰り返しになりますけれども、ドイツは九割方入っている、日本は三分の一ぐらいしか入っていないというこの現実、そして今のお話でも、その入っていない原因というのは中小企業、だんだん小さくなると入っていない。  こういう現実を見まして、今度の法改正で事務代行を、今事務が煩雑だったからと言いますが、ドイツと比べてこれだけ数字が違うという理由は何だったのか、事務が煩雑だけなのか。そうすると、今度の法改正で事務代行をつくるわけですね、そうするとドイツのように高い加入率になるとの御判断ですか。
  179. 永井孝信

    国務大臣永井孝信君) 先生の御指摘でありますが、理由はともかくとして、いきなりドイツ並みにいくということになるかどうかわかりませんけれども、中小零細企業も含めてこれからどんどん加入がふえていくようなことを目標に掲げて今やろうとしているわけです。  もう一つ、私が事業主じゃありませんから直接事業主気持ちを代弁することはできないと思いますが、今までの財形制度でいいますと、労働組合のあるところは財形制度についても労働組合自身が組合員に周知徹底を図るという面がありますけれども、労働組合の組織率が非常に低いという現状の中で、中小零細企業などについては働いている勤労者財形制度のことについて熟知していないことがまず一つあります。事業主の側からすれば、これを加入させるということになると事業主に余分の負担がかかるんではないかという危惧も私はあったと思うんです。そういう面からいきますと、財形制度のあり方というものをもっともっと周知徹底することと事務代行制度を設けること、あるいは一定のそのために補助することなどを複合的にやることについて、事業主やあるいは労働組合があろうとなかろうと中小零細企業勤労者の皆さんにも周知徹底を図れば、私はかなり加入者がふえてぐるだろうし、またそのためにふえてもらわなくては困る、こういう気持ちを持っているわけであります。  いずれにしましても、なかなか一挙にいくということではないかもしれませんけれども、この財形制度というものが勤労者生活に大きくいい面で寄与できるというそのメリットをできるだけ拡大していくという立場に立ってやっていきたい、このように考えるわけであります。
  180. 笹野貞子

    ○笹野貞子君 大臣の御決意は十分痛いほどわかります。この事務代行制度を今回の改正で入れるわけですけれども、先ほどから何度もこの制度についての御指摘がありましたけれども、この事務代行制度というのは本当に地元の中小企業や私ども連合に加盟している組織等を、そういう本当に身近な団体が中小をきちっとこれに加盟させるような、そういう組織に事務代行をぜひともさせていただきたいというふうに思います。  最後に、私も改正法を含めましてこの制度を見ましたけれども、本当に飛びついてこれはやろうという、そんなに魅力的じゃないというのが、私にしたらもうちょっと頑張っていただかなければ、これは働く者にとってそんなに魅力的ではないんではないか。先ほど石井委員が自分なら入らないと言いましたけれども、私はそこまで言い切れるかどうかちょっとわかりませんけれども、こういう制度をつくったからには、確かにこれは勤労者にとってすばらしいものだという、そういうふうなものにこれからどんどん発展させていただきたいというふうに思います。  例えば、何ぼ入りたいと思っても事業主が入ってなければ入れないとか、あるいは雇用されている労働者じゃなければ利用できないとか、自分が直接それこそ自助努力銀行に行って自分が形成をした人には何の恩典もないというのは、同じ勤労者であっても変な話なわけですから、事業主がやらなければ財形はできないという、こういう制度を、勤労者であれば自分の力で銀行に行った人に対して何らかのこういう制度の恩恵がこうむれるというような、そんな斬新的な発想でこの制度を発展させていただきたいというふうに思います。  例えば、何も雇用されていなくても、働いているんだという何らかの証明があれば直接銀行に行ってこの制度を利用できるような、そういうようなことはできないものでしょうか。その御決意を、これとは限りません、この全般に関して大臣の御所見をいただきたいと思います。
  181. 永井孝信

    国務大臣永井孝信君) 今まで、この制度が発足しましてから七回にわたって改正をしてまいりました。それぞれその都度その都度問題点が提起をされまして、それを次の改正に生かしていくということを繰り返してきたことも事実であります。今の経済情勢がどんどん変化してきておりますから、そういう面からいきまして勤労者計画的な財産形成に資するようにしていきたい、そしてそれを計画的に活用してもらいたい。こういう立場自助努力に対する支援措置を行ってきているわけでありますが、先生指摘のように、事業主の理解がなくて、事業主が入ろうとしないと。その場合でも、勤労者事業主を経由しないで自分で加入するような道を考えるべきではないかという一つの御提言でもあります。  今のこの財形制度は、事業主から賃金控除していただいて、それを払い込み代行してもらうという、そういう形態をとっているわけです。その意味では、事業主勤労者財産形成に協力するという財形制度趣旨を体現して今の法制度ができているわけでありまして、その意味からいきますと、今直ちに事業主を経ないで個人が勝手に加入するということは、少し今のところではなかなかなじんでいかないんではないかと、こういう気がいたします。  また、この勤労者財形制度というものを全く無視して、全くないものとしてやろうとすれば、これは個人の自由で貯金をする人もおれば、株を購入する人もおれば、いろんな財産を蓄財していくという方法はあろうかと思います。しかし、そういうところになかなか手が伸びない勤労者も含めてこの財形制度財産形成を図っていこう、活用していこうという趣旨でございますから、そういう意味では事業主の皆さんにも全面的に御協力をいただきたい、いただくことを前提にしてこういう制度になっているということで、先生の御提言は御提言として承っておきたいと思います。
  182. 笹野貞子

    ○笹野貞子君 終わります。
  183. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 中尾でございます。  先週、当労働委員会に配属されたばかりでございます。労働委員会での初めての質問です。よろしくお願いします。  財形制度の話、先ほどからの審議を伺っておりまして、私も何点か質問通告を差し上げましたけれども、多くの部分重複いたしますが、お許しいただいて何点か御質問申し上げたいと思います。財形制度の柱でございます財形給付金制度あるいは財形基金制度がございます。こうした支援制度は今なお、先ほどからの御質疑にもありましたけれども中小企業勤労者あるいは事業主等になかなか周知徹底していないというふうに思われます。例えば調査結果を見てみますと、財形基金制度が、制度の内容、概要を知っている人が二八・六%、名前ぐらいは知っている四九・一%、制度そのものを知らないという方が三一・四%ございます。  せっかくの支援事業も、制度そのものを知らないということは、その趣旨が生かされないと思いますけれども、これについてこの現状をどうとらえているか、取り組み等も含めて簡潔にお答えいただきたいと思います。
  184. 七瀬時雄

    政府委員七瀬時雄君) 御指摘財形給付金・基金制度でございますが、これは事業主財形に加入している従業員のために、七年間にわたりまして毎年一定額の金銭を拠出して、これをうまく運用して七年後に勤労者に支給する、こういうことで財形支援する制度でございまして、うまく生かしていけば本当にいい制度だと思っておりますが、ただいま御指摘いただきましたように、給付金制度を有する企業は約三千二百社というようなことでございまして、ちょっと制度をつくった割にという感は施行当事者である我々も反省しているところでございます。  ともかく、今回御審議をいただいていることを契機に、そのPR、普及、ただいま先生からお示しいただきましたような数字がございますので、そういうことが改善されていくように、財形普及促進月間を初めとして、国、雇用促進事業団あるいは金融機関が一丸となって、何とかいろんな機会を通じ、また関係労使の御協力も得ながら普及をしていきたいと思っておりますし、関係労使の方からもこの改正を機に、ああそういう制度があったんならもっとPRしなきゃだめじゃないかとおしかりを受けたことも私自身ございますので、そんな思いで一生懸命頑張っていきたいと思います。
  185. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 平成七年の三月末、労働省の推計の資料をちょっと見てみますと、財形年金貯蓄、これ五百五十万円を超えている人が六千人しかいないですね。財移住宅貯蓄で十三万五千人、それでもう限度額を超えるすれすれになりそうな方、いわゆる五百万から五百五十万の方が年金貯蓄で二万八千人、住宅貯蓄で七万九千人とあります。  利子非課税限度額の問題については、改めてお聞きしません。大臣の決意も伺いました。ただ、先ほど、周知徹底しない、あるいは魅力がないという話がありましたけれども、この数字を見て何がわかるかといいますと、結局は限度額引き上げられていないから、財形貯蓄で積み立てたくても、アクセルを踏みたくてもブレーキを踏みながらやっている、だからますます今の現状にそぐわないということで、大臣の決意もありましたから改めて聞きませんが、この利子の非課税限度額について、これが一つの根本的なネックだろうと思っております。  さて、そうはいっても五百五十万を超えたらこれは課税対象になりますけれども、これは超えた分の金額にのみ課税ということは考えられないんですか。
  186. 七瀬時雄

    政府委員七瀬時雄君) 結局、超過した部分だけに課税するということになりますと、五百五十万に至る過程で、それは元本と利子が両方合わさって五百五十万になっているわけでございますので、その五百五十万に課税をしないということになりますと、制度のつくりからいってやっぱり非課税限度額の問題そのものに戻ってくるんではないだろうかというふうに思っております。  そういった意味で、超えちゃったときにブレーキを踏みながらとか、あるいはいろんな金融機関の側から黄色い信号が来るようなことは、確かに財形制度を普及していく上でいろいろ障害になっている面も否定できませんので、要は非課税限度額拡大するという形で基本努力していかなきゃならぬだろうと。限度を超えたというところも、問題意識としてはございますけれども、さてそういう問題をすべて解決するためには非課税限度額に戻って頑張っていくのがやっぱり正攻法ではないんだろうかなと思ったりしております。
  187. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 この質問は、よせばよかったです。大臣が、この五百五十万円を超えた部分について、全体に課税するのはこれはいかがなものかというようなお答えをいただいておきながら、失礼しました、頑張ってください。結構でございます。それじゃ、もう一度決意を。
  188. 永井孝信

    国務大臣永井孝信君) 百万円から五百万円に限度額が一挙に上がりました。しかし、それでもなお現状に合わないということで五百万円から一千万円を要求いたしました。最初に一千万を要求したときは、まだ私は政権与党の側ではございませんで野党の立場にあったわけでありますが、我が党の労働部会を代表する立場で求めてきた経過がございます。私が労働政務次官になりましたときに、何とかこれを実現したいということで重点課題として問題提起をいたしましたが、結果的に五十万円の引き上げにとどまりました。  したがって、それ以降もずっと一千万円の目標に向けて努力をしてまいりましたし、昨年の例で言いますと、与党の中に労働調整会議というのがございますが、そこの座長を私がしておったものですから、これを重点課題として再び取り上げました。そして、そのときに私は申し上げたんですが、今までの議論の経過からありますように、一千万円に到達をどうしても一挙にできないとするなら、五百五十万円の限度額を超えた分だけに課税をするようにしたらどうかと。それを全部ひっくるめて、五百五十万円までは税金かかりませんよ、五百五十万一千円になると一遍にその全額に税金がかかるということは現実になじまないということもつけ加えてやったんですが、最終的に予算の査定の段階で、そのことが現実として通らなかったというのが現状であります。  したがって、私の決意としては、今局長答弁しましたように、限度額引き上げることが最大の目標でありますが、その過程において必要であれば、そういう超えた分を含めて全体に課税するという現実にどうもそぐわないことについては改善するように私としては全力を尽くしていきたいと、こう思っておりますので、再度決意を申し上げておきたいと思います。
  189. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 力強い決意ありがとうございました。先ほどからもお話がございました今回創設される助成金制度、特定事由として育児教育介護、自己再開発(教育訓練・健康増進)等々ありますけれども、これを限定しているのはなぜなんだろうと。生涯の節目という言い方をされています。その中で、一つは単純に考えますと冠婚葬祭、これもやっぱり不意の出費を要するわけでございまして、これは含まれるのかどうか。それだけで結構です、お答えください。
  190. 七瀬時雄

    政府委員七瀬時雄君) 冠婚葬祭、要するに結婚と葬儀、これにつきましてはやはりこれをどういうふうにやっていくかということは人によってお金のかけ方は非常に違ってきている、そういうことがございます。簡潔にお答えします、現段階でこれを含める考えはございません。
  191. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 私も質問通告して悩んだんです。結婚という形態は、例えば一度だけとかというふうに限って、それは果たして法的になじむのかどうか。ただ、大変不幸にして例えば御両親を亡くされたりというようなところもこれは配慮、ちょっと結婚はどうかなということで余計なことは言いませんけれども、そんな配慮も含めて検討していただければなと思います。  それでは、事務代行制度についてお伺いいたします。石井先生お話にもございました。これの算出根拠は私もよくわからないんです。一団体当たり四百五十万あるいは五百万、各都道府県に二カ所程度だと言いますね。これは、各都道府県のエリアが全然違うと、二カ所程度で果たしてそういう決め方でいいのだろうかと思うんですが、それがまず第一点。  それから二点目、この中で例えば四百五十万と言われています、事務代行をするわけですね。その中で盛りだくさんなんですね。啓発活動だとか財形制度の加入勧奨、相談サービス事業、果たしてこれできますか。特に私は先ほどから言っていますけれども、啓発する、浸透していないからいろいろPRする。四百五十万でPR、ビラ一枚つくって、私北海道ですけれども、これは無理ですよ。ですから、そこら辺はっきりと、簡単で結構ですから、これだけをお答えください。
  192. 七瀬時雄

    政府委員七瀬時雄君) この事務代行制度事業主団体でございますので、やはり傘下の事業主の福祉のために事業主団体にも自助努力お願いしたいということで、助成金支援措置の中身だけで完璧なものができるとは思っておりません。そういった意味では、費用投資効果を見ながら必要に応じて、二カ所とかというものについては拡充も視野の中に入れていかなきゃならぬのかなと思っております。
  193. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 私、素人でよくわからないんですが、財形貯蓄活用助成金、これの予算額三億九千四百万円、それから中小企業財形共同支援事業、いわゆる事務代行を含めてですね、これが二億二千四百六十万円となっております。本体はこの財形貯蓄活用助成金の方なんですよ。しかし、こうやって突き詰めていくと、事務経費もかかると。本体がサポートする側の倍にもなっておらぬというふうに私は思うわけです。  お答えはいいですけれども、これについてちょっと不思議だなと思っておりますけれども、こういうものなのかなと変に納得したりしているんですけれども、それについて一言。お答えは要らないと言いましたが、失礼しました、お答えください。
  194. 七瀬時雄

    政府委員七瀬時雄君) 予算の額、これは平年度化すればもう少しふえるということです。それから、いろいろと制度を伸ばしていく過程で利用状況に応じてふやしていくべきだろうと思っております。ただ、現実的感覚に立ったときに、法を施行したとき、すぐそこまで行くのかなという現実的な計算というのも頭の中にあることも率直なところでございます。
  195. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 余り水を差しちゃいかぬですね。加入が余りないだろうということでこのぐらいの金額になったのかなと、私はそう思います。  さて、若干この財形制度と離れますけれども、昨年五月に出されました財形制度研究会の報告書を読ませていただきました。対応すべき課題として、今回の法案背景となる自助努力支援の重要性、これがうたわれています。もう一つ勤労者が豊かさを実感できていない状況にあるとこれは指摘しているわけです。この中で、「わが国の経済力に比し、勤労者は自らの生活に豊かさを実感できていないこと、また今後の構造変化の中で、ゆとり、安心、活力ある勤労者生活の実現が強く求められている。」と、こういうふうに指摘しているわけです。豊かさ、ゆとりというのは、今回もそうですけれども、経済的な基盤をつくるというのもこれは大事なことでございますけれども、豊かさ、ゆとり勤労者にとっては時間だとか生きがいだとか、これはあろうかと思います。  そこで、私はテレワーク政策の推進について若干お伺いしたいと思います。労働省郵政省が共同でことし二月からテレワーク推進会議を開催しました。推進会議の目的を、まず最初にお伺いしたいと思います。
  196. 七瀬時雄

    政府委員七瀬時雄君) 郵政省と一緒になりましてこういう会議をつくったわけでございますが、これは、情報化が進展している中で在宅勤務とかサテライトオフィスとか、そういった形での遠隔型勤務形態、そういうことをうまく利用するテレワークというのが非常に役に立つのではないかと。そういうことで、通勤の問題の軽減もありますし、それから多様な働き方が出てきているとかそういったこともございますので、こういった形での形態を本気になって検討するということが、これから特に大事になってくるんじゃないかということで設けたわけでございます。
  197. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 郵政省に伺います。一昨年、電通審が我が国のマルチメディア社会の将来像について発表をいたしました。二〇一〇年には新規市場規模が百二十三兆円、それから雇用創出が二百四十三万という、これはあくまでも試算でございますけれども、そういう数字を発表いたしました。  産業形態、労働形態、社会全体が二十一世紀にいや応なしにこういう高度情報通信社会によって変わっていくというのは、これは私が言うまでもありませんけれども、この電通審の答申に沿って社会形態がどうなるか、労働形態がどうなるか、簡単に御説明いただきたいと思います。
  198. 中田睦

    説明員(中田睦君) 今、御指摘ございましたように、マルチメディア社会ということになりますといろんなとらえ方がございまして、一概にこうだと言うのは難しいわけでございますけれども一つの言い方といたしましては、現在の電話の感覚と同じように音声だけではなくてデータの信号でございますとかあるいは動画像、こういったいろんな形の情報というものを自在に使いこなす、自在に流通をしていく、そういう社会ができて、距離の克服あるいは時間的な制約の克服ということが可能になってくるんじゃないか、そういうふうに一つの言い方ができるのじゃないかというふうに思います。  その結果といたしまして、これが社会あるいは生活のいろんな場面で今までのやり方を変えてまいります。例えば行政分野でございますと電子市役所でございますとかあるいは遠隔医療、遠隔教育あるいはショッピングと、いろんな新しい形態が生まれてまいります。そのことによって国民生活に豊かさをもたらす、あるいは効率化をもたらすということになると考えております。  それで、今御指摘の就労という観点で見ますと、今までは仕事のあるところに出向いていくということであったわけでございますけれども、それが自分がいるところに仕事を持ってくる、自分のいる場所で仕事をしていこう、情報通信を使うことによってそれが可能になってくるということで、いわゆるサテライトオフィスでございますとか在宅勤務という広い意味でのテレワークというのが広がってくるんじゃないかと思います。このことによりまして、就労形態の多様化あるいは就労機会の拡大ということに寄与していけるんじゃないかというふうに理解しております。
  199. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 今、我が国におけるテレワーク、サテライトオフィスですから、例えば本社は大手町にあって、サテライトオフィスですから通っちゃ遠いから町田市に置くとか、そういう実際の現状はどうですか、簡単に。
  200. 中田睦

    説明員(中田睦君) テレワークにつきましては、一部先進的な企業において導入が始まっておるという状態でございまして、社団法人日本サテライトオフィス協会という公益法人がございますけれども、ここが九五年現在でテレワークの実態を調査、報告しておるんですが、これによりますと、週に一回以上定期的にテレワークを実践しているいわゆるホワイトカラーの正社員という数でございますけれども、大体日本全体で約四十万人おられると。この四十万人というのは、大体日本のホワイトカラー正社員総数の大体二%強ぐらいであるというふうに推定をされまして、あとテレワークを制度として導入をしている企業ということになりますと、回答のあった四百七十社近くのうち二十一社、四・五%ぐらいが導入している、このような報告がございます。
  201. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 労働省に聞きます。ゆとりと豊かさという話なんですけれども勤労者にとって通勤時間は、特に都市勤労者については大変深刻な問題でございますけれども、今もう実際に導入している企業があると。ある企業でも結構ですから、具体的にどのぐらい短縮になっているのか、ちょっとお示しいただけますか。――通告してありますよ。結構です。私から申し上げます。ある会社で、これ大手の企業ですけれども、新百合ケ丘というところにサテライトオフィスを使って、普通だったら都心まで片道百十五分かかるところを、片道四十三分で行けると。ですから、片道だけで七十二分のゆとりが生まれると。これは大変な結果が出ておるわけでございます。年間通勤時間は五百七十六時間短縮できるという統計が出ております。  さて、テレワーク実施についてのアンケート調査についてちょっと伺います。これをやってみたいという方は全体の六六二%、やりたくない方は二八%。特に女性が大変多いんです、七七・二%。先ほど吉川先生からも話がありましたけれども育児だとか介護に手がかかる、遠くまで通勤できない、なるべく在宅でやりたい、パソコンだとかそういう高度の情報通信を生かしてやりたいというのがそうではないかなと思っているわけです。そのほか障害を持つ方、特に車いすの方の通勤とか、大変想像を絶するところがあると思うんです。  ですから、このテレワークというのは言ってみればそういう方々にとっても極めて重要な政策課題ではないかなと私は思うんですが、労働省考え方をひとつ伺います。
  202. 七瀬時雄

    政府委員七瀬時雄君) ただいま御指摘になりましたように、通勤問題あるいはそれによって自由時間をふやすという観点、それから障害者の方々の問題、あるいは家事、育児、家庭との関係、そういったことで非常にうまく仕組んでいかなければならないと思っておりますが、仕組み方をうまく工夫していくと、いろいろな方のニーズに今より以上にこたえられるようなことになっていくんだろうと、こういう視点検討を進める必要があると思っております。
  203. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 日本障害者雇用促進協会ではもう既に実験をされているという、大変いいことだなと思います。車いす利用の重度障害者を中心に七人程度、実際にサテライトオフィスをつくってやっていらっしゃると。これから労働政策を展開する上でも、大変重要なことだなと思っております。  郵政省に聞きます。確かに建物をつくる、これ近未来の話じゃないんです、もう。建物をつくるけれども、例えば障害を持つ方々がパソコン等のいわゆる端末機器、これの使い勝手が普通の人でも大変厳しいという中で、そういう障害を持つ方々がどうやってこういうマルチメディアの恩恵を受けるのか、それの実験かなんかありますか。
  204. 中田睦

    説明員(中田睦君) 今、御指摘ございましたように、今後ますます身障者の方、あるいは高齢者の方々が使いやすい端末・情報機器を開発していくことは、非常に重要なことだと考えております。  郵政省では、まず基礎的な技術開発につきまして、やや長期的な観点から幾つかの研究開発に取り組んでおります。例えば手話がございますけれども、この手話を認識しまして文字とか音声に変換する技術でございますとか、あるいは指が震えますとキーボードの小さいボードがなかなかうまく打てないという方がいらっしゃるんですが、そういう一人一人のために大きさを自動的に設定するそういった技術の開発、あるいは視覚障害者の方が画面のある部分を見たい、そこを拡大したいというときに、目の動きから拡大したいと思っているところを探知しましてそこを自動的に拡大するような技術でございますとか、あるいは耳の聞こえなくなった方が直接その人間の耳の骨を介します骨伝導という方式によりまして直接聴覚に訴える方式でございますとか、あるいは目の見にくくなった方のために音声でキーボードを入力する、こういった研究活動に取り組んでおります。
  205. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 そういう点では、労働省郵政省がことし二月タッグを組んでこの六月にも中間報告をまとめるということでございまして、私大変心強く思っております。  人事院、来ていらっしゃると思いますけれども、テレワークシステム、これは当然、先ほど言ったおうちで仕事をしたい、あるいは障害を持った方々、あるいはほかの勤労者方々、大変ゆとりや豊かさをもたらすということで今お話がございましたけれども、全国に国家公務員八十五万人いらっしゃると、その職種によってはこのテレワークシステムを導入する、検討することが必要になってきているんじゃないかなと、民間任せじゃなくて。特に職種の問題がありますが、それについてはどうお考えですか。
  206. 佐久間健一

    説明員佐久間健一君) 今、御指摘がありました、特に在宅勤務ということになろうかと思いますけれども、現在、今この場でも御議論されているとおり、私どもとしても通勤時間の短縮とかあるいはオフィスコストの削減、こういった観点も含めて効果のあるものだというふうに考えておりますし、人事院としては非常に関心を持って今民間の動向を見守っているところでございます。  私どもとしましては、平成五年に研究職の職員でございますけれども、フレックスタイム制を導入するなど勤務時間の弾力化に努めているというところでございますけれども、在宅勤務国家公務員への導入ということにつきましては、勤務時間の管理をどのように考えていくか、あるいは公務員が在宅で勤務することについて国民の皆様方にどのように理解していただけるか、そういったことで検討すべき課題がいろいろあるだろうと思いますけれども、いずれにしても重要な課題一つとして勉強をさせていただきたいというふうに考えております。
  207. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 先ほどちょっと聞き忘れましたけれども、実際このテレワークシステム、地方自治体でも既に開始しておるというふうに伺っています。一昨年から山形県で導入を始めて、それから去年からですか熊本県阿蘇で導入が開始されるというふうに聞いておりまして、そういう時代になったのかなと思っております。  最後に、大臣に伺います。きょうの財形の話でもございますけれども、若干見方を、今までの有形資産いわゆる財政の話から無形の資産視点を移されたということは、私大変ずばらしいことだなと思っております。そして無形の資産、先ほど言いました通勤時間の問題、ゆとりの問題について私も若干質問を申し上げたんですが、来年四月から週四十時間制がいよいよ全面的に適用されるという時代を迎えます。勤労者ゆとり、それから豊かさを実感できる社会ということで、今申し上げたテレワークあるいはテレコミュニティーあるいは在宅勤務、同じような意味合いでございますけれども、アメリカのフロリダあたりは一九八八年から二年間、実験プロジェクトを始めておりまして法整備も進んでおります、これは州レベルでございますけれども。そんなような状態の中で、大臣のこの新しい高度情報通信と労働環境の豊かさ、ゆとり考える上での御決意を伺って、私の質問を終わります。
  208. 永井孝信

    国務大臣永井孝信君) 先生が御指摘されましたように、このテレワークをもっともっと普及、拡大することによっていわゆる生活ゆとりの時間を持つことができる、あるいは通勤困難者がそれを緩和することができると。とりわけ、今先生の御指摘を聞いておりまして私自身に強く印象づけられたことは、障害を持つ方々、そういう方々にどうやって仕事を提供することができるか、仕事に取り組むことができるか、この関係からいいますと、このテレワークというのは非常に私は重要な課題だと、こう思っています。  したがって、労働省といたしましても、豊かさを実感できる勤労者生活の実現のためという立場から、関係者のコンセンサスの形成を図りながら、このテレワークの利点を生かし切るようなことができる、そういう立場に立っての普及をどうやればできるか、郵政省も含めて関係省庁とも十分に連携をとりながら努めてまいりたいと、このように考えるところであります。
  209. 足立良平

    委員長足立良平君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  210. 足立良平

    委員長足立良平君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。――別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  勤労者財産形成促進法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  211. 足立良平

    委員長足立良平君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、武田節子君から発言を求められておりますので、これを許します。武田君。
  212. 武田節子

    ○武田節子君 私は、ただいま可決されました勤労者財産形成促進法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、平成会、社会民主党・護憲連合、日本共産党、新緑風会及び新党さきがけの各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     勤労者財産形成促進法の一部を改正する     法律案に対する附帯決議(案)   政府は、次の事項について適切な措置を講ず  べきである。  一、勤労者財産形成促進制度については、少   子・高齢化の進展、労働移動の増加、勤労者   の意識・価値観の多様化、金融の自由化等の   社会経済情勢の変化に即応し、引き続き制度   全般の整備充実を図っていくこと。  二、勤労者財産形成促進に必要な非課税限度   額の引上げ等税制面の優遇措置の充実につい   て、更に一層努力すること。  三、財形事務事務代行制度効果的に活用さ   れるよう、助成の充実を図るなど、中小企業   に対する勤労者財産形成促進制度の普及促進   に一層努めること。   右決議する。  以上でございます。  何とぞ御賛同いただけますようお願いいたします。
  213. 足立良平

    委員長足立良平君) ただいま武田君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  214. 足立良平

    委員長足立良平君) 全会一致と認めます。よって、武田君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、永井労働大臣から発言を求められておりますので、これを許します。永井労働大臣
  215. 永井孝信

    国務大臣永井孝信君) ただいま決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を十分に尊重し、努力してまいる所存であります。
  216. 足立良平

    委員長足立良平君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  217. 足立良平

    委員長足立良平君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時二十三分散会