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1996-05-08 第136回国会 参議院 予算委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年五月八日(水曜日)    午前九時開会     ―――――――――――――    委員の異動  五月二日     辞任         補欠選任      戸田 邦司君     鈴木 正孝君      広中和歌子君     直嶋 正行君      佐藤 道夫君     西川  潔君  五月七日     辞任         補欠選任      佐藤 静雄君     板垣  正君      小島 慶三君     本岡 昭次君      西川  潔君     佐藤 道夫君  五月八日     辞任         補欠選任      佐藤 道夫君     西川  潔君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         井上  裕君     理 事                大河原太一郎君                 斎藤 文夫君                 清水 達雄君                 塩崎 恭久君                 泉  信也君                 白浜 一良君                 都築  譲君                 山本 正和君                 有働 正治君     委 員                 阿部 正俊君                 石井 道子君                 板垣  正君                 久世 公堯君                 河本 三郎君                 鴻池 祥肇君                 坂野 重信君                 関根 則之君                 武見 敬三君                 谷川 秀善君                 野沢 太三君                 野村 五男君                 服部三男雄君                 真鍋 賢二君                 依田 智治君                 荒木 清寛君                 岩瀬 良三君                 海野 義孝君                 大森 礼子君                 加藤 修一君                 小山 峰男君                 鈴木 正孝君                 直嶋 正行君                 益田 洋介君                 横尾 和伸君                 朝日 俊弘君                 一井 淳治君                 大渕 絹子君                 梶原 敬義君                 川橋 幸子君                 前川 忠夫君                 緒方 靖夫君                 筆坂 秀世君                 本岡 昭次君                 佐藤 道夫君                 西川  潔君    国務大臣        内閣総理大臣   橋本龍太郎君        大 蔵 大 臣  久保  亘君        法 務 大 臣  長尾 立子君        外 務 大 臣  池田 行彦君        文 部 大 臣  奥田 幹生君        厚 生 大 臣  菅  直人君        農林水産大臣   大原 一三君        通商産業大臣   塚原 俊平君        運 輸 大 臣  亀井 善之君        郵 政 大 臣  日野 市朗君        労 働 大 臣  永井 孝信君        建 設 大 臣  中尾 栄一君        自 治 大 臣        国 務 大 臣        (国家公安委員        会委員長)    倉田 寛之君        国 務 大 臣        (内閣官房長官) 梶山 静六君        国 務 大 臣        (総務庁長官)  中西 績介君        国 務 大 臣        (北海道開発庁        長官)        (沖縄開発庁長        官)       岡部 三郎君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  臼井日出男君        国 務 大 臣        (経済企画庁長        官)       田中 秀征君        国 務 大 臣        (科学技術庁長        官)       中川 秀直君        国 務 大 臣        (環境庁長官)  岩垂寿喜男君        国 務 大 臣        (国土庁長官)  鈴木 和美君    政府委員        内閣法制局長官  大森 政輔君        内閣法制局第一        部長       秋山  收君        阪神・淡路復興        対策本部事務局        次長       生田 長人君        総務庁行政管理        局長       陶山  晧君        防衛庁防衛局長  秋山 昌廣君        防衛施設庁長官  諸冨 増夫君        防衛施設庁総務        部長       大野 琢也君        経済企画庁調整        局長       糠谷 真平君        経済企画庁調整        局審議官     河出 英治君        経済企画庁総合        計画局長     土志田征一君        国土庁土地局長  深澤日出男君        国土庁大都市圏        整備局長     五十嵐健之君        法務省民事局長  濱崎 恭生君        法務省刑事局長  原田 明夫君        外務省北米局長  折田 正樹君        外務省条約局長  林   暘君        大蔵省主計局長  小村  武君        大蔵省主税局長  薄井 信明君        大蔵省銀行局長  西村 吉正君        大蔵省銀行局保        険部長      福田  誠君        国税庁次長    若林 勝三君        文部大臣官房長  佐藤 禎一君        厚生大臣官房総        務審議官     亀田 克彦君        厚生大臣官房審        議官       和田  勝君        厚生省保健医療        局長       松村 明仁君        厚生省薬務局長  荒賀 泰太君        厚生省社会・援        護局長      佐佐木典夫君        厚生省保険局長  岡光 序治君        農林水産大臣官        房長       高木 勇樹君        農林水産省経済        局長       堤  英隆君        運輸省港湾局長  栢原 英郎君        郵政大臣官房審        議官       品川 萬里君        労働大臣官房長  渡邊  信君        建設大臣官房長  伴   襄君        建設省住宅局長  梅野捷一郎君        自治大臣官房総        務審議官     湊  和夫君        自治省行政局長  松本 英昭君        自治省行政局公        務員部長     鈴木 正明君        自治省財政局長  遠藤 安彦君    事務局側        常任委員会専門        員        宮本 武夫君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○平成八年度一般会計予算内閣提出、衆議院送  付) ○平成八年度特別会計予算内閣提出、衆議院送  付) ○平成八年度政府関係機関予算内閣提出、衆議  院送付) ○委嘱審査報告書に関する件     ―――――――――――――
  2. 井上裕

    委員長井上裕君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  平成八年度一般会計予算平成八年度特別会計予算平成八年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。  午前中は、住宅金融専門会社問題、経済及び財政等に関する集中審議を行います。  質疑者はお手元の質疑通告表のとおりでございます。  それでは、これより質疑を行います。石井道子君。
  3. 石井道子

    石井道子君 おはようございます。  参議院予算委員会もいよいよ大詰めを迎えまして、きょうは締めくくり総括までできることになりました。どうぞよろしくお願いを申し上げる一次第でございます。  一月十一日に橋本内閣が誕生して以来四カ月になるわけでございますが、その間、総理におかれましては、内憂外患のさまざまな難問題に直面をされまして、慎重にかつ果敢に取り組まれてこられました。さぞかしお疲れのことであろうと思いますが、ちょうど新緑の風薫るゴールデンウイークの中で休暇をとられたと聞いておりまして、多少リフレッシュされて英気を養われたんではないかと思うわけでございます。政策通として、そしてすぐれた手腕を発揮されるということを国民は大変期待しているわけでございます。持ち前のファイトを生かして、そして国民期待にこたえられる活動を、国政運営をしていただきたい、そんなことを御期待申し上げる次第でございます。  本予算委員会で最も重要な問題として、今回たびたび取り上げられてまいりました住専処理問題がございます。この連休中の四月三十日、五月一日、二日と予算委員会参議院におきましては開きまして、そして参考人招致、また証人喚問も行ってきたところでございます。  これだけ大きな不始末をしてかして、そして経営者として、口先では迷惑をかけたと言いながら、しかし結局は土地下落のせいにしたり責任逃れをするばかりでございまして、国民負担を軽減するというような言葉を聞けなかったことはまことに残念でございました。  特に、大口借り手の社長に至りましては、別件で告訴されていることを理由に宣誓、証言を拒否していながら、核心のお金の問題になると言を左右にし、そして不遜とも見られる態度に終始したことは、国権の最高機関を軽んじたものとして本当に腹立たしく残念至極でございました。さらに、証言を拒否したはずの別件に関連したことになりますと、逆にすらすらと多弁を弄しているのでございまして、今後の証人尋問の悪い例にならないかと心配をしております。予算委員会として、特にこの点について十分検討をしていただくことを要望いたしておきます。  今回の証人喚問につきましては、国民の目から見ますと、一部の証言にもありましたように、住宅ローンについては、サラリーマンが額に汗して満員電車で何十年も通勤をして、生活費を切り詰めてまで律儀にローンを毎月払い続けているわけでございます。しかし、何百億円また何千億円と借りた大口借り手資産隠しをしたり、あるいは高級車を乗り回したり豪邸に住んでいるというような状況でございまして、これが国民の大きな怒りの原因であろうと思います。特に潔癖性が強い女性にとっては許せないことでございますし、憤慨をしているわけでございます。  また、生活者として、特にお年寄りの立場において言えば、タクシーに乗って銀行へ行くとタクシー代で利子がなくなってしまうような超低金利でございますが、銀行業務純益史上最大となっております。そんな中で母体行は、体力が十分あるにもかかわらず、ずさん経営紹介融資経営が破綻した子会社の住専処理について、自分の債権放棄以上に追加負担をしようとしないということは理解に苦しむわけでございます。  きょうもテレビで報道されましたけれども、融資されたお金住宅などに使わないで、絵画を買ったり、株を買ったり、ゴルフ会員権を買ったりというふうなことに使われたという調査も行われました。こんなことでは住専処理が暗礁に乗り上げてしまって、せっかく回復に向かっております景気の腰が折れたら、雇用問題の深刻化を初め先行きの年金、保険医療、福祉などに関します生活の保障が不安定になりかねません。大変心配でございます。  一日も早く住専処理法案成立させ、そして国民の信用不安を除かなければなりませんし、また国際社会での信頼を回復しなければならないんではないかと思っております。  橋本総理は強いリーダーシップで外交に大きな成果を上げられました。国民は、景気回復また国民生活の安定についても総理に大きく期待をしております。総理は、住専処理を一日も早く一刻も早く進められますように母体行の協力について強く要請をされまして、国民負担をできるだけ軽減するような一層の御尽力をお願いしたいと思っております。そのことにつきまして、総理の御方針と御決意のほどをお聞かせいただきたいと存じます。
  4. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今おかげさまで多少とも雇用の状況回復に向かい始めた、あるいは景気回復軌道というものが緩やかながら本物の足取りに変わり、このまま経済運営過ちなきを期していくならば、我々は日本の景気というものを立て直すことができる、ようやくそういう思いを持てるところまで参りました。  しかし、その中で我が国の経済の前途になお大きく横たわっておりますのは金融機関不良資産処理という問題であります。そしてその中で、本委員会におきましても御議論をいただいてまいりました住専処理というものが、いわば喫緊の課題として私どもの前に立ちふさがっております。一日も早くこの問題を解決したいという思いを持って本日も本委員会に参上いたしました。  そして、今回の住専処理の中で、母体行というものに対しましては、住専の設立にかかわった経緯あるいは人間の派遣その他を含めまして、住専に関する責任というものは、債権全額放棄と同時に預金保険機構に対する低利融資など、住専問題を早期に処理するためにできる限りの協力が要請され、処理策に組み込まれてまいりました。しかしその後、紹介融資実態等、当時これを決定いたしました段階で私どもの知らなかった問題も次々にあらわれていることは議員御指摘のとおりであります。  当然のことながら、今後強力に回収を進めてまいりますプロセスにおきまして、必要があるならばその紹介を行った責任というものも問うていかなければなりません。法に触れる部分があるならば厳しくこれを処置していくことも当然でございます。  そして私は、やはり何といいましても、母体行というものがみずからの責任をどう受けとめて、そしてどうこたえていくのか、国会での御論議なども踏まえながらみずから十分に判断していかれる、その姿勢だけはぜひとっていただきたいものだと考えております。
  5. 石井道子

    石井道子君 次に、住専問題と並びまして重大な関心を呼んでおります薬害エイズ問題についてお伺いをしたいと存じます。  七年間にわたる薬害エイズ訴訟が、去る三月二十九日に和解成立をいたしました。全く何の責任もない血友病患者さんがエイズに感染してしまったというまことに不幸で悲惨な出来事でございました。そして、毎日死と直面をされて過ごしていらっしゃる患者さんの心中を思いますと、本当に残念で悲しいことだと改めて感じるところでございます。  参議院厚生委員会におきましても、四月四日にエイズに関する集中審議を行いました。そして、薬害エイズに関する小委員会設置をいたしまして、原告弁護団をお呼びしてお話を聞いたり、また参考人との質疑も行ってきたところでもございます。そして、真相解明に当たりまして努力もしてまいりましたけれども、十数年前の当時のことを振り返っていらっしゃる参考人方々も、決して故意や過失ではない、職務怠慢ではなかったと自信を持っておっしゃっている方もありますし、責任を転嫁する方々もいらっしゃいました。  今後、原因究明もしなければなりませんけれども、しかし再発防止対策充実していくことが、万全を期していくことが必要でございます。患者さんの治療とか恒久対策も重要でありますから、そのことも患者さんを救う意味で取り組まなければならない緊急な課題でございます。  まず、三月二十九日に和解成立をいたしましたが、そのときの原告との間で協議をいたしましたことについて、いわゆる恒久対策のその後の進捗状況について伺いたいと思います。特に、患者が最も強く求めていることはエイズ医療充実であります。和解の際の原告厚生省の間で合意されましたエイズ治療研究センター準備状況についてお伺いをしたいと思います。
  6. 松村明仁

    政府委員松村明仁君) エイズ訴訟和解におきます恒久対策におきまして、エイズ医療を総合的、一体的に推進いたしますために、国立国際医療センター病院エイズ治療研究開発センター、これは仮称でございますが、これを設置することとしておりまして、現在、国立国際医療センター作業委員会を設けまして次のようなことを検討しておるところでございます。  まず、感染症治療に必要な専門病棟整備、それから専門外来を実施する、さらに臨床研究研修情報等の体制、こういったことについて早急に実現を図るべく検討を行っておるところでございます。  それで、エイズ治療研究開発センターにおきましては、本年の七月を目途に感染症専門外来を実施しよう、こういうふうに考えております。入院患者さんにつきましては、各診療科の連携のもとに、各病棟既存個室等をまず活用させていただいて、これによって必要な患者の受け入れを行うこととしております。さらに、専門病棟における治療につきましては、これは既存病棟を改修する必要がございますので、ややもう少し時間がかかる見込みでございます。  いずれにいたしましても、患者さんの状況を踏まえまして、可能なものにつきまして早急に実現に努めてまいりたいと考えております。
  7. 石井道子

    石井道子君 また、治療を受ける病院の問題でございますが、拠点病院公表を積極的に進めるべきであると思います。どの程度公表されているでしょうか。そして、今後拠点病院充実のためにどのような対策をとられますか、お伺いをしたいと思います。
  8. 松村明仁

    政府委員松村明仁君) 拠点病院公表でございますが、平成八年四月二十六日現在、全国で百八十九の医療機関が選定されております。このうち、十六都道府県七十七の医療機関においてその機関名公表しておるところでございます。  もとより、拠点病院公表ということは私どもも常に関係機関に働きかけているところでございますが、本年の四月十二日に都道府県エイズ拠点病院等緊急連絡会議というものを持ちました。ここで未公表都道府県においても公表に向けてぜひ検討していただく、こういうことで指示をしたところでございます。現在、さらに五県において五月末までには公表できるよう作業を進めている、このように聞いております。  また、このように広く一般拠点病院公表できないという場合でありましても、私どもといたしましては、少なくとも医師会薬剤師会等専門団体やあるいは患者団体等に対しては拠点病院周知ができるよう、これを各都道府県に依頼しているところでございます。私ども情報では、現在、一般公表はしていないけれども、こういう形で専門家団体には公表というか周知をしておる、十六府県において周知を図っている、このように聞いております。なお、今後ともこの周知につきましては努力をしていきたいと思います。  さらに、拠点病院充実の問題でございますが、平成八年度予算案におきましては、新たに医療従事者実地研修、これは拠点病院医療従事者等を中心に行いますが、さらにカウンセラーの設置、あるいは国際エイズ会議への医療従事者派遣のための予算を計上させていただいておるとか、エイズ治療のための個室整備を進める、あるいは設備整備の拡充を行うなど、対策を進めることとしております。
  9. 石井道子

    石井道子君 また、患者方々入院をした場合の差額ベッド負担が大きいということで大変悩んでいらっしゃいますし、そのために十分な治療が受けられないという方もいらっしゃいます。ですから、差額ベッド負担の軽減についてどのような対策をとられますか、そしてさらに二次、三次感染者の具体的な医療費対策についてどのようになっておりますか、お伺いをしたいと思います。
  10. 岡光序治

    政府委員岡光序治君) まず、二次、三次感染者医療費対策でございますが、抗ウイルス剤の投与などエイズ治療が必要になった方につきまして、血友病患者と同様の扱いをすることによって医療費自己負担額解消したいというふうに考えております。すなわち、医療費自己負担額を一万円に引き下げまして、その自己負担額治療研究事業として公費負担する、こういう形をとりたいと考えております。いろいろ審議会等の手続もございますし、また患者プライバシー保護も考えなきゃいけません。あるいは医療機関への周知徹底も必要でございます。こういう準備を要しますので七月から実施をしたいというふうに考えております。  それから、差額ベッド解消の問題でございますが、治療上必要があって個室に入った場合には差額ベッド代を取ってはいけない、こういうことになっておりますので、そのことを徹底いたしたいと考えております。  それから、こういった制限をするにしましても経済的な補てんが必要でございますので、経済的な補てんを別途講ずる。あわせまして、センターであるとかあるいは拠点病院等個室につきまして計画的な整備を別途図っていく。こういうふうな対応を総合的に講じまして差額ベッド問題の解消を図りたいと考えております。
  11. 石井道子

    石井道子君 次に、再発防止対策についてお伺いをいたします。  血液製剤によるエイズ感染問題につきましては、厚生省も真剣に取り組んでいらっしゃいます。今度、厚生省の中にプロジェクトチームを発足させまして検討を開始すると聞いております。そして、厚生科学会議も開催をされました。その中で外部の有識者からも意見を聞いて、それを政策に反映するということは大変よいことではないかと思っております。今回の薬害の問題に対しましての貴重な経験を生かして、再び過ちを繰り返さないために万全を期していただきたいと思いますし、再発防止に向けてどのように今後取り組まれる御方針か、厚生大臣にお伺いをしたいと思います。  さらに、厚生問題についてのベテランであります総理の御見解と御決意のほどもあわせてお伺いをしたいと思います。よろしくお願いいたします。
  12. 菅直人

    国務大臣菅直人君) 再発防止についてのお尋ねであります。  この点については、石井委員の方からも今お話がありましたように、いわゆる有識者皆さんの御意見を聞くということと、そしてその話を伺った上で省内でそれをさらに検討していくという二つの場を設けております。  有識者皆さんに関しましては、既にかなり以前からあります厚生科学会議先生方に何人かの臨時的なメンバーも加わっていただきまして御議論を始めていただいております。今回のエイズ問題のような医薬品などによる健康被害再発防止具体策を取りまとめていくに当たりまして、この厚生科学会議を開催いたしまして、まさに大所高所からの御意見をいただいているところであります。  現在のところ、厚生科学会議は、この問題に関して先月の二十四日に第一回目の会議を開催いただきました。また、今月の十五日に第二回目の会議を開催する予定にいたしております。  その中で貴重な御意見がいろいろ出されておりますが、そのうち主なものだけ御紹介いたしますと、政策決定プロセスのあり方に関するものとしては、感染症などの新しい情報の収集体制をもっと強化すべきだということ、あるいは審議会や研究班の権限と責任の明確化、また専門家だけでなく第三者の審議会への参画、つまりは医療や薬学の専門家だけではない、言葉はちょっと微妙ですが、ある意味では素人のというか、そういう目から見た審議会への参画も必要ではないか、こういった御意見もいただきました。  また、第二番目の項目として、情報提供のあり方に関するものとしては、審議会の公開など情報公開の推進、患者さんに対する医療情報の提供の促進。  そして、第三番目の薬事行政及びその組織のあり方に関するものとしては、医薬品の慢性の副作用についての評価、チェック体制の整備。さらには、国際ハーモナイゼーションの推進などによって治験のルールを国際的に通用するものにすべきではないか。さらには、承認審査体制が必ずしも現在の業務行政は十分ではないので充実強化すべきではないか。こういった御意見も現在のところいただいております。  そして、省内に設けましたプロジェクトは、四月十二日に設けておりますが、これも連動する形で、政策決定プロセスのあり方、情報提供のあり方、薬事行政及びその組織のあり方の三つを検討課題の中心に据えまして、厚生科学会議における意見を踏まえながら、六月ごろまでをめどに再発防止具体策を取りまとめることとして現在検討を進めているところです。先月開きました厚生科学会議で御議論いただきましたが、今月中旬の第二回目でさらに踏み込んだ御議論をいただきまして進めていきたい。  また、再発防止に関しましては、本院を含め国会でも種々の御指摘をいただいているところでありまして、省内のプロジェクトの検討に際してはこういった国会での御議論も十分に受けとめて適切に対処してまいりたい、このように考えております。
  13. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 多く厚生大臣の方から細かい御答弁を申し上げましたので、私からは補足して一点気づいたことを申し上げたいと存じます。  今回の事件の一番悲惨な点、これは血友病という血液製剤に頼らなければ治療の方法のない方々に対して、汚染された血液からつくられた製剤が供給され、その安全性が確認をされていない状況でこれが使用されたということでありました。  かって、私どもの先輩の時代に、日本も血液の供給を買血によって維持していた時代がございます。それがさまざまな問題を起こし、現在の献血を中心とする血液行政に変わりました。しかし、多くの方々の献血の御協力にもかかわらず、必ずしも十分に必要な血液が確保されているとばかりは言えません。殊に、特殊な血液型になればなるほど万一の場合の入手は極めて困難であります。そして、この献血という非常にすぐれた仕組み、しかも国民個々人の善意による仕組みによって運営されてきた血液行政の上に、もしか甘えはなかっただろうか。  私は、今回の事件に際し、厚生大臣の方から今御報告のありましたような諸点とあわせまして、もう一つの角度として血液行政というものをもう一度我々は考え直してみる必要がある、そのような思いがいたしております。
  14. 石井道子

    石井道子君 時間になりましたので、次の方に質問をお譲りいたします。  終わらせていただきます。
  15. 井上裕

    委員長井上裕君) 関連質疑を許します。河本三郎君。
  16. 河本三郎

    ○河本三郎君 自由民主党の河本であります。橋本総理初め関係大臣、どうぞよろしくお願いをいたします。なお、時間の関係で一部の関係大臣には御質問ができなくなるかもしれませんが、その際はお許しをいただきたい、このように思います。  まず初めに、景気対策についてお尋ねをしたいと思います。  経済企画庁によりますと、平成不況もたび重なる景気対策によってようやく明るさが見え始め、緩やかな回復軌道に乗ってきた、こういうことでございますが、私はいささか庶民の実感とは食い違った面もある、このように思います。しかも、今回の景気回復のパターンといいますのは、これまでのものとは少々違ったようなところもあります。それは、やはり民間の設備投資の立ち上がりといいますか、一向に回復をしないというところが問題であると、このように思います。日本経済全体に根本的な変化が起きているということはだれもが実感をしているのでありまして、この不安定な時代に新たな力のこもった景気対策を打ち出せるのかということを経済企画庁長官にまずお尋ねをしたい、このように思います。
  17. 田中秀征

    国務大臣(田中秀征君) 今、委員がおっしゃるとおり、現在緩やかながら景気回復の動きを続けているというのが政府の見解でございます。しかし、これが本格的な軌道に乗るかどうかということになりますと楽観視はできないという状態にございます。  これは一言で申し上げますと、今までどおりにはいかなくなったということだと思います。今までは、日本経済を車に例えるならば、そこにガソリンをちょっと入れるとばっと動き出した、そういう形もあり得たんですけれども、幾らガソリンをつぎ込んでもうまく動かない。これはもう構造上に問題があるんだというふうに言わざるを得ないと私は思います。  これは私どもの消費行動一つをとっても、いろいろなものを買うとその多くが輸入製品になります。日本のメーカーだなと思っても外国で生産された品物であると、そんなふうになりまして、十年前に輸入製品が大体三割ほどだったのが今六割に達しているということであります。ですから、物を買ってもそれがすぐに国内の生産や雇用に結びつかない。したがって、生産に結びつかなかったらそれがほとんどすべてが設備投資に結びついていくものじゃないというような感じになってきまして、そうなったら大変だというふうにずっと言われてきたんですが、そうなってしまったという現状が今あるんだということをつくづく最近強く感じております。  したがって、低生産性部門が残って、あるいはまた規制によって手厚く保護されている産業が残って、その相対的なシェアが大きくなっていっている、今そういう状態に日本経済があると私は思いますから、単なる今までの財政金融政策だけでは本格的な回復軌道には乗らない、そんな状態にあります。  結論から申し上げますと、だからこそ構造改革を進めなきゃいけない、規制緩和を進めなきゃいけない、既成産業をもっと効率化したりあるいは新しい産業や企業を起こしていく、ベンチャーを支援していく、技術開発をどんどん推進していく、そういうことをしない限りはもう日本経済は取り残されるというところまで来ているんだと。ですから、緩やかながら回復の動きは出ているけれども、これを中長期の安定した成長軌道に乗せていくためには並大抵のことじゃないと私は思っています。
  18. 河本三郎

    ○河本三郎君 ありがとうございました。  それでは次に、住専処理策に関連して、借り手責任に問題を絞ってお尋ねしたいと思います。  参議院では、先日、証人喚問を行いました。大口借り手企業の経営者の発言は実にのらりくらりと逃げるばかりで、地価の値下がりのせいにするなど責任を棚上げした開き直りに終始したのであります。一体返済の意思があるのかと言わざるを得ません。  特に大口借り手企業の中には、割引債を隠し持ったり、多額の預金の名義を子会社に移したり、あらゆる不正手段を使って資産を隠し手元の資金を温存しようとしているところも少なくないと、このように聞き及んでおります。これを野放しにするわけにはいかないのでありまして、一つ一つその実態を明らかにして借り手としての責任を鋭く追及しなければ国民の理解は得られないということでございます。粉飾決算、資産隠しなど、刑事、民事にわたり借り手責任の全容が見えるような徹底した捜査、調査が強く望まれているのであります。  早急な摘発と追及体制の強化について、検察、国税当局のお考えをお聞きしたいと思います。
  19. 原田明夫

    政府委員(原田明夫君) お答え申し上げます。  いわゆる住専問題につきましては、貸し手、借り手を問わず関係者らの刑事責任が可能な限り追及され、明らかにされる必要があると考えている次第でございます。  検察当局におきましては、住専問題等に関する協議会あるいは捜査を担当いたします専従班を設置するなど所要の体制を整えまして、関係機関との協力を図りつつ、あらゆる観点から情報や資料の収集、分析、検討に努めているものと存じます。  検察当局におきましては、先ごろ住専からの大口借り手の一つとされております末野興産に関係する事件につきまして関係者を逮捕するとともに、鋭意所要の捜査を進めているところでございます。今後とも、関係者らの刑事責任を追及すべきであると認められますような容疑事実が判明いたした場合には、警察当局、国税当局等の関係機関との緊密な連携のもとに、法と証拠に基づきまして厳正に対処するものと存じます。
  20. 若林勝三

    政府委員(若林勝三君) 国税当局といたしましては、従来から納税者の適正な課税の実現を図るという観点から資料、情報の収集等に努めてまいりましたし、また問題があれば調査を実施するということで対応してまいったわけでございます。  ところで、今回の住専問題につきましては、関係者の課税の処理が適切に行われているかどうかということにつきまして大きな関心を持っておるわけでございまして、そういうことにつきまして適正かつ厳正に処理すべく対応しておるところでございます。
  21. 河本三郎

    ○河本三郎君 次に、私は阪神・淡路大震災の復興関連についてお尋ねをしたいと思います。  私がこの問題を取り上げるということは、地元の議員であるからというだけではなく、やはりあの忌まわしい阪神・淡路大震災から一年四カ月がたとうとしているのにもかかわらず、今なお八万人近くの方々が雨露をしのぐだけの仮設住宅での生活を強いられているというこの厳しい悲しい現実を率直に受けとめて国民全体が考える問題である、このように思うからであり、同時に橋本内閣の最重要課題である、このように確信をするからでございます。  ここにいま一度、改めて六千三百名を超える犠牲者に対し心から哀悼の意を表し、御冥福をお祈り申し上げたい、このように思います。  震災発生直後、三度にわたる補正予算で三兆三千八百億円の財政資金を投入し、十六本の法律も改正し、さまざまな特例措置も講じていただきましたが、被災地あるいは被災者は震災発生当初とはまた違った新たな難しい問題にも直面しているのであります。そこで、被災者の気持ちを代弁しながら、この間の取り組みを検証し、復興に向けた政府のお考えをお聞かせいただきたいと思います。  橋本総理は、震災発生直後より通産大臣のお立場で積極的に現地視察をされまして、予算委員会での私の質問に対しても誠意あるお答えをいただきました。被災者の立場に立って復旧に取り組んでいただいたのであります。  特に、ことしの二月十八日には総理大臣として現地入りをされ、西宮の鳴尾浜の仮設住宅を視察していただきました。私も同行させていただいたのでありますが、その後直ちに関係大臣をお呼びになり、家賃軽減策を中心とする住宅問題について御指示をされたと、このように伺っております。その熱意に対しまして大変大きな期待が集まっているということでございます。  そこで、総理に改めてお伺いをいたしますが、総理が被災者と国民にお約束をされた家賃軽減対策等についての具体的なお考えをお聞かせいただければと思います。
  22. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 先般も本委員会で御答弁を申し上げたとき、私は阪神・淡路大震災の被災地区に今必要なものはイショクジュウだということを申し上げました。ただし、そのイは衣ではなくてドクターである。精神的なケアを含めた医療というものが一つどうしても必要になってきている。  そして、ショクは食べるではなくて職業であります。震災直後から、仮設住宅の建設とあわせまして、通産大臣という立場から、働き場所をつくり出すという意味合いを込め、仮設工場あるいは仮設店舗の建設を地元の皆さんと御相談しながら私は進めてまいりました。しかし、その後一年四カ月という期間をかけて今振り返ってみましたとき、震災前の神戸にありました産業あるいは数々の職業、これが神戸に戻ってきていると言える状況では残念ながらありません。どうすればその働き場所、職を用意できるのか、散ってしまった産業を戻し、あるいは新たな産業を育成することができるのか、これがもう一つ私は大切な課題になったと思います。  ジュウはもう申し上げるまでもありません。鳴尾浜のときに仮設住宅の使用期間の延長というお話が出ましたとき、私は、むしろそれより恒久的に住まえる住宅の建設を急ぎたいんだということを申し上げてまいりました。そして、今後もこれは恒久住宅の建設を急ぐという基本に変わりはございません。  ただ、震災前の神戸の家賃構成というものを調べてみまして、国で今定めております最低の家賃でありましても、恒久住宅に入居することによって負担が倍以上になるという方々が現実にあることを私どもは存じております。今後も、こうした点については十分地元県、市と御相談をいたしながら対応策を進めてまいります。  同時に、この震災が起こりましてから各般の緊急措置を私たちは講じてまいりました。そして、そうした特例措置のうちの幾つかが、法令の定めるところによりまして平成七年の年度末において期限が参っております。これについて心配されている向きがあるということも伺いました。  今関係省庁が地元の県、市と御相談をし、状況を十分に踏まえながら、延長の必要があるもの、ないものの仕分けをいたしました。そして、例えば雇用調整助成金制度の特例などのように、これは延長する必要があると判断をいたしましたものは延長措置を既に講じております。あるいは私立学校の学費の減免事業に対する補助のように、総合的な判断からは延長措置は講じないが、そのかわり日本育英奨学金の特例による措置を用意し、こうした代替措置で目的を達成できると判断したようなものもございます。仮設工場あるいは仮設店舗の設置に対する助成のように、むしろ今度は仮設ではない本物をつくる必要があるという状況から特例措置を終了したものもございます。  私どもは、これからもきめの細かい現地との御相談の中で対策を立て、それを推し進めていく、そのような決意に変わりはありません。
  23. 河本三郎

    ○河本三郎君 それでは、次に建設大臣、よろしくお願いします。  兵庫県が被災者の生の声というものを聞きまして、アンケート調査の結果が昨日発表されたわけでありますが、仮設住宅生活している被災者の大半が家賃の安い公的な賃貸住宅に入ることを希望しております。しかも、多くの人が年金あるいは恩給だけで生活をしていたり、年収が三百万円未満であります。  この状況の中で政府が検討をしている家賃軽減策は、第一に年金生活者や所得の低い方は漏れなく対象とするのかということであります。二番目に、民間のアパートも対象とすべきだと私は考えておりますが、いかがでしょう。そして三番目に、住みなれた希望の場所に移れるのかということであります。そして最後に、四番目の質問でありますが、いつから入居できるのかということも大変大きな問題であります。この四点について、国はどのように御支援をしていただけるのかということをお尋ねしたいと思います。
  24. 中尾栄一

    国務大臣(中尾栄一君) 河本先生、大変に御熱心にこの問題をお取り上げ賜りまして、私どもも日ごろ鋭意頑張っておる立場といたしましては感謝にたえない次第でございます。  家賃に関することは、総理の指示に従いまして、二月二十八日に兵庫県で地元知事、市長と関係省庁幹部との意見交換によりまして行ったばかりではなく、国、県、市それぞれの実務者クラスの会議をこれまで二回行ったところでございます。  一方、地元兵庫県におきましては、現在、仮設住宅の入居者調査などによりまして住宅需要の把握を進めているところでございまして、建設省としましても被災者の方々生活状況を十分把握の上、関係省庁と協力して具体的な方策を検討してまいりたいと思っておる次第でございます。  またさらに、私ども建設省としましても、被災者の方々に御指摘のとおり一日も早く恒久住宅に戻っていただくためには、迅速な新規建設を図るほか、震災前に着工した住宅及び既存空き家も活用いたしまして、できる限り早期の供給を図るように努力してまいりたいと考えておる次第でございます。  いずれにいたしましても、供給住宅につきましては、現在、住宅供給そのものがこれは多少、私どもが想定するように、きょうがあす、あすがあさってというようなごく緊急にでき得るものではございませんが、できる限り早くこれを進める。現在、地元が懸命の努力をされておりまして、国といたしましてもそれと相まった形で積極的に全力投球をして支援してまいりたいと考えておる次第でございます。
  25. 河本三郎

    ○河本三郎君 建設大臣、何度も済みません。家賃の軽減策というものについて、何か具体的な金額というものは御検討していただいておるのでしょうか。
  26. 梅野捷一郎

    政府委員梅野捷一郎君) ただいま建設大臣の方から御答弁ございましたように、総理の御指示もございまして、私どもあるいは復興本部が中心になりまして幾つかの省がテーブルを一つにして検討を進めておるところでございます。  きのう、地元でも面接調査の結果なども発表されたところでございまして、それをさらに分析が進められる予定でございます。総理からは、現在私ども三万円というところまで引き下げておるわけでございますが、そこからさらに踏み込んだ検討ができないかということを、その結果の生活の実態をさらに詳細にした段階で詰めるという作業の途中でございまして、現状ではどの方法で幾らまでというところまでの結論には至っていないところでございます。
  27. 河本三郎

    ○河本三郎君 次に、復興基金についてお尋ねをしたいと思います。  昨年の二月に当予算委員会で質問に立たせていただいた際に、家を失った方々への手当てをお願いいたしました。当時の村山総理と武村大蔵大臣からは、雲仙の場合には六百三十億円の基金をつくり柔軟にニーズに対応した、今回も同様に検討したいと前向きな御答弁をいただいております。今回の復興基金は、運用益で各般の施策を補完し被災住民を支援するとして、おかげさまで雲仙の十倍の六千億円規模のものが実現をしたのであります。  これを聞いて被災者は期待に胸を膨らませているのでありますが、この基金の運用益をどう活用されているのかが一点、そして被災者に対して具体的に何ができるのか、この二つをお聞かせいただきたいと思います。
  28. 倉田寛之

    国務大臣(倉田寛之君) 阪神・淡路大震災復興基金につきましては、大震災による被害が極めて甚大であることにかんがみまして、河本委員お話にもございましたように、復旧・復興への各般の行政施策を補完すること、さらに機動的、弾力的な政策を推進することを目的といたしまして、兵庫県、神戸市におきまして事業の実施に必要な財源を確保していくために六千億円規模の基金を設置したものでございます。この基金の活用によりまして、災害復興住宅の取得に対する利子補給を初めといたしまして早期復興のための各般の取り組みを補完いたしまして、被災者の救済及び自立支援並びに被災地域の総合的な復興対策を進めることができるものと考えておるところでございます。  こういう趣旨にかんがみまして、自治省といたしましても、地元地方公共団体におきまするこれらの施策を支援していくために、出資金、長期貸付金に対して地方債を許可いたしますとともに、長期貸付金に係る地方債のうち約五千億円から生じる利子につきましては普通交付税措置をすることといたしているところでございます。  次に、被災者に対して具体的に何ができるかという御質問であったかと存じます。  阪神・淡路大震災復興基金が行う事業といたしましては、一つには災害復興住宅の取得に対する利子補給などの住宅対策、一つには中小企業災害復興資金等に対します利子補給などの産業対策、一つには災害復興ボランティア活動に対する支援などの生活対策、一つには私立学校等の復興に対する支援などの教育対策が行われていると伺っているところでございます。
  29. 河本三郎

    ○河本三郎君 地震共済保険制度についてお尋ねをいたします。  この震災で全国から一千七百五十五億円の義援金が寄せられたのでありますが、地元の議員として本席をおかりしまして心から感謝を申し上げたいと思います。  しかし、空前の額ではございますが、雲仙とか奥尻の災害に比べても被災者が余りにも多く、一世帯当たりの配分額はわずか数十万円と、生活再建にはほど遠いというところが現状であります。  そこで、個人補償への道を開くという意味で兵庫県が提唱したのが地震共済保険制度でございます。この制度について全国の都道府県の議員を対象にアンケートをとったところ、九割の議員が賛同、そしてその遡及措置についても七割が賛成をしていただいているのであります。  この新制度創設には課題が多いとは思いますが、その成否は被災地の切実な訴えを国がいかに吸収していただけるかだと思います。ところが、大蔵省の壁は大変厚い、こういう実感でございますが、大蔵大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  30. 福田誠

    政府委員(福田誠君) お答え申し上げます。  兵庫県の提唱しておられます住宅地震災害共済保険制度でございますが、私どもその内容を拝見いたしますと、一番大きな問題といたしましては、すべての住宅所有者等に強制加入ということになっておりますが、そのような負担増を多くの国民が受け入れるというコンセンサスがあるかどうかという点がございます。  また、現行の損保会社が行っております地震保険、これは利潤を認めずに可能な限り低い料率を提示しておりますが、兵庫県の提案しておられるシステムによりますと、この民間の料率よりもさらにはるかに低い負担で機能するとしておりまして、本当にこのような仕組みで可能なのかどうか。例えば、保険料算定の基礎となります被害想定額を過小に積算している可能性があるのではないかというような問題がございます。  さらに、損害査定につきましては、大地震が発生した際に保険者たる地方自治体の職員が行うということになっておりますが、そのような事態で迅速に対応できるかどうか等々、種々の問題があると考えております。したがいまして、本件についてはさまざまな角度から極めて慎重な検討が必要ではないかと考えておるところでございます。  なお、現行の地震保険制度につきましては、御案内のとおり、国の再保険を前提としまして既に昭和四十一年以降やっておりますが、今回の大震災を契機といたしまして、各界からの要望を踏まえまして商品性の大幅な改善を行ったところでございます。私どもとしましては、まずもって、今後とも広報等を通じまして現行の地震保険の一層の普及を格段に努めることが肝要ではないかと考えております。
  31. 河本三郎

    ○河本三郎君 まだまだお聞きしたいことも山ほどございますが、時間の制約上、これで質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  32. 井上裕

    委員長井上裕君) 以上で石井道子君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ―――――――――――――
  33. 井上裕

    委員長井上裕君) 次に、荒木清寛君の質疑を行います。荒木清寛君。
  34. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 平成会の荒木清寛でございます。  私は、きょうは住専問題に絞りまして質問をいたします。  先般、大口借り手であります桃源社の佐佐木社長が証人として来られましたが、そのときに平成二年三月のあの不動産融資を抑えるという総量規制を批判しまして、あの時代あの政策ではナポレオンでも失敗しただろうというふうに言って開き直ったわけです。私も本当に義憤に駆られました。総理は総量規制当時の大蔵大臣であったわけですが、この発言を聞いてどういうふうに思われますか。
  35. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私は、他の方々の御発言がどうこうという批判を申し上げるつもりはありません。  ただ、その当時、地価の高騰がどれだけ国民の大きな不満の種になっていたか、そしてその地価の上昇にいかに歯どめをかけるかが政治に課せられた極めて大きな課題となっていたことをまず御想起を願いたいと思います。そして、法的にでき得る限りの手法を行使しながらやってきたつもりでありましたが、依然として地価の上昇がとまらない中で、たしかその通達を出します数日前に、土地の閣僚会議がございました。そして、当時の海部総理から、いま一歩踏み込んでという御指示を受け、総量規制通達を発出した経緯を今思い起こします。その時代において、地価の暴騰に歯どめをかけようとする政府の行動が国民から許されないものであったとは思っておりません。
  36. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 その佐佐木証人の論理からすれば、財政資金の投入は当然だということになってしまうわけですね。  私は、このように借り手からほとんど真剣な反省の声が聞こえないという状況で、財政資金、税金を投入するということはだれも国民は納得できないと思います。ですから、この住専処理については、まずこの責任を民事、刑事はっきりさせて、その上で損失の負担額を決めて、最後に足らない場合にはどうするかと、そういう議論が私は一番公平で国民も納得できると思いますが、総理、違いますか。
  37. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私は、今の議員の御議論を全く根底から否定しようとは思いません。・しかし同時に、そうした作業が継続する間、住専に対するいわば資金供給の立場にあります金融機関、この債務額が幾らになるかはいつまでたっても確定をしないという時間が相当の間続くことが想像されます。そうした場合における金融全体への影響等を考えます場合、私は、政府としては今回の決断というものを本当に政治的な決断として判断をし、ここでそれぞれの金融機関負担すべき債務を確定することによって金融機関の一層の経営のディスクロージャー、透明化を促すとともに、健全な体質を取り戻すための努力というものがしやすい状況をつくるという意味でもこの手法は間違っておらなかった、そのように思います。
  38. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 次に、国民が六千八百五十億円の税金投入に反対しますのは、政府内でのスキーム決定をめぐる議論の過程が不透明である、その結果、何のために税金を使うのかというのがいまだにはっきりしていないということではないかと思います。  そこで、農林大臣にお尋ねしますが、先般、農林中金理事長の角道謙二証人が来られまして、こう証言されました。昨年十二月十八日ごろだったか、農相が蔵相のところに折衝に行く直前に系統団体が行ったと。農相のところに行ったときに、五千三百億円をめどに交渉したいという話を伺った。とっさにそのときに金額がよいか悪いか判断するあれもなかったが、農相が系統の要望を受けて折衝するのであれば、最大限御尽力をいただければそれをお受けしますと善処方をお願いしたと。積算の根拠については承知していないと答えざるを得ないというふうに言っていらっしゃるわけで、びっくりしました。  事実関係はこのとおりでございましょうか。
  39. 大原一三

    国務大臣(大原一三君) 委員御存じのとおり、五千三百億円が決まる前に、与党の各プロジェクトチーム、さらには政策責任会議等において我々は母体責任を終始主張したわけでございますけれども、何らかの寄与をするという基本方針が決まりました。それでいろいろ数字が出たようでございますが、五千三百億円程度の負担を大臣折衝で決着したいというのが十九日の前日の十八日であったようであります。その際に、四つの農協団体の全中、農林中金、共済、それから信連の代表をお呼び申し上げまして、五千三百億円の負担というものについて何とか御協力を願いたいという要請をいたしたわけでございます。  翌日でございますが、五千三百が決着をいたしまして、さらにまた関係者をお呼びいたしました。その積算の内容について具体的に申し上げまして再度御協力をお願いいたしましたところ、この問題についてはやはり金融秩序の安定のために協力をしようと、真摯に受けとめたいというお約束をいただいたと了解をいたしており.ます。
  40. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 そうしますと、今のお話によりますと、まず農林省の方で積算をして、そして決まってから系統の方にその根拠をお話ししたということになるわけですね。  私は、こんなおかしな話はないと思うんですよ。要するにこの五千三百億円というのは、もう再三、一月の国会以来答弁をされておりますけれども、要するに系統金融機関にとってぎりぎりの負担はどれだけかということは、それぞれの信連の経常収益を予想したりあるいは貸倒引当金の取りまし可能な額を算定する等、細かい作業をやって積み上がってきたというわけでしょう。それを、お金負担する当事者の相談もなしにそんな積算なんかどうしてできるんですか。お金を払う人に相談をして、どれだけ本当にぎりぎりの負担ができますかという話でしょう。ですから今のお話ですと、結局その積算根拠というのは、金額が決まってから、後から説明する理屈として考えたということじゃないんですか。
  41. 大原一三

    国務大臣(大原一三君) この積算につきましては、農水省は五千三百億円の数字をはじき出す前に、五千三百程度ならば平成六年三月決算期の決算に基づいて試算をすると半分ぐらいの信連が赤字になる可能性があると。やはりこれ以上の負担は、系統の協同組合の性格からいって内部留保は非常に薄い、正直に申しましてその当時の計算では一兆三千億、資本準備金と資本金を除きまして、そういう薄い内部留保の中で五千三百というのはその半分になるわけでございます。これ以上の協力は無理だと。  したがって、信連の経営状況、農中の経営状況、農中には若干の国債等の証券の含み益があるが、信連にはそういう含み益はない、したがって貸倒引当金を半額程度積み足せば何とか五千三百の負担ができるであろう、こういう積算をその前提に農水省としてやってまいりましたことは事実でございます。
  42. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 そういう厳密な積算をするんであれば、系統の方に全然相談がないというのはやはり納得できません。  次に、大蔵大臣にお聞きしますが、全国銀行協会連合会、全銀協の前会長橋本徹氏も証言をされました。そして、「昨年末、処理スキームの大綱を大蔵省から示されたのはいつか。」という質問にこう答えております。「確か、十二月十六日の晩、土曜日だったと思う。一次ロスは六・三兆円、二次ロスが一・二兆円で、とりあえず一次ロスを処理する。負担割合は、母体行が三兆五千億円、一般行は一・七兆円、農林系統金融機関は一・一兆円という話で進んでいた。」というふうに聞いたと言いました。  そういう説明を十二月十六日の段階でしたわけですね。
  43. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) 十二月十六日に母体行の代表の方を中心にいたしまして私の方からお話、御説明を申し上げましたけれども、その際に、全体的な考え方として、母体行として債権全額放棄三兆五千億円、それから一般行といたしましては修正プロラタ方式を基本とする考え方で一兆七千億ということはお願いをいたしました。そのような考え方でどのようにお考えになりますかということを御相談いたしました。  しかしながら、その残りの一兆一千億円をどのようにするかということは、相手方は直接の当事者でございませんでしたので、その処理の仕方につきましてはその際に申し上げたことはございません。
  44. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 そうしますと、銀行協会前会長ともあろう方が宣誓をしてうそをついたということになるんですか。  橋本氏はそれに次いで、「その分担の割合が変わったのを知ったのはいつか。」という質問がありまして、「確か十二月十八日ごろだった。突如として六千八百億円の財政資金が入ると。なぜなら農林系統金融機関は一・一兆円は負担できない。五千三百億円しか負担できない。従ってその足らないところは、財政資金を出さないと系統金融機関に不安が生じるという説明だったと思う。」ということですか。
  45. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) 私が先ほど申し上げたのは、確かに残りの資金が一兆一千億ということになるわけだけれども、その問題については農水省等関係者の方々も今いろいろと御検討の途中であるので、その問題について今の時点で御説明を十分に申し上げることはできない状況であるという趣旨のことを申し上げたわけでございます。  今その一兆一千億をどのように処理するかということにつきまして、農水省及び系統金融機関方々の真剣な御議論も踏まえまして五千三百億を分担していただくということになりましたが、その結果として足りない部分をどうするかという点につきましては、金融システム全体の見地から財政措置を講ずるという政府の提案を申し上げたところでございます。
  46. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 これは種々報道されておりますけれども、橋本証人がおっしゃったように、十二月初旬の段階では、大蔵省は系統に一・一兆円の負担を求めて交渉しておったということが実際はあったんでしょう。
  47. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) 住専問題の議論は、さかのぼりますと四月あるいは六月から七月にかけて、政府部内では金融制度調査会あるいは与党のレベルでは金融・証券プロジェクトチームにおきまして、半年ばかりの時間をかけて真剣な検討がなされてきたわけでございます。  そういう中におきまして、それぞれのお立場からいろいろな議論がございました。その中には、数字を挙げた議論もございましたし、考え方の対立をどのようにほぐしていくかという御議論もございました。そのような御議論の過程におきまして、そういう考え方というものも関係者の方々あるいは議論の過程で出たことはあろうかと存じますけれども、正式の御提案という形でそのような数字を申し上げたということではなかったと存じます。
  48. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 私は、その証言を聞いておりましてこういう推測をしたんです。要するに、大蔵省としては税金を投入しないという前提で少なくとも十二月十六日の段階までは折衝してきた、ところが系統が負担できないということで一夜にして六千八百億円を投入するということになったというふうに理解しましたけれども、これは大蔵大臣に聞きますが、そうじゃないんですか。
  49. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) 住専の損失をどのように関係者で分担をしていただくかということにつきましては、十二月十九日に最終的に与党、政府の間で意思決定をいたしますまでの間、最後の最後までできるだけ関係者の間で分担ができないかという努力がなされてきたと私どもは考えております。  したがいまして、今御指摘のように、一兆一千億を系統金融機関の分担を前提といたしまして物事が考えられてきたということでは必ずしもなくて、ともかく全体として六兆三千億あるいは六兆四千億の損失を関係者で最後までぎりぎりの努力をして、何とか財政措置というものがなしに済ませられないかということにつきまして努力されてきたことは御指摘のとおりでございますが、それを系統との関係だけで論ずるということは必ずしも正確ではなかろうと考えております。
  50. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 これは農林大臣だけではなく統一された政府の見解ですが、要するに住専の破綻についての責任は系統にはない、したがって債権放棄の必要はないけれども金融システム安定のためにできる限りの協力をすると。その協力の具体的な形が五千三百億円の贈与だというふうにおっしゃっている一方で、橋本証人の話を聞いていると、どうもそういう考えでないような形で大蔵省が動いてきたのではないかと思うから、どういう根拠の五千三百億円か、あるいはなぜ税金を投入するのかということにつきましてまだ国民にはすとんと落ちないところがあるわけであります。  次に「時の動き」という政府の広報によりますと、この住専処理策に関しまして「政府としてもこれまでの経緯を振り返り、反省すべき点については反省」するということを書いていらっしゃいますので、その点につきましてまずお聞きいたします。  第一は、第二次再建計画に深く関与して問題の先送りをしてしまった行政の責任ということであります。  国会に提出をされました第一次、第二次再建計画によりますと、第一次再建計画策定時に貸付金に占める延滞債権の割合は日住金で二三・五%に上がっていたほか、ほかの住専でももう軒並み一〇%近くに達していたわけであります。つまり、平成三年、四年当時もう既に住専各社の経営状態というのはかなり深刻になっていたということでございます。ところが、さらに住専経営内容も悪化をしまして、道半ばにして第一次再建計画も破綻をし、平成五年に第二次再建計画がつくり直されたということはもう周知のとおりでございます。  ところが、第二次再建計画を見ますと、非常にそういう厳しい状況で破綻をしてつくり直したにもかかわらず楽観的なことばかり書いてあるわけです。住宅ローンサービスや総合住金では販売用不動産の平成九年度までの全額売却を見込む等、不動産市況の回復を念頭に置いたと見られる計画を策定しておったわけであります。あるいは日住金に至っては平成九年三月期の当期損益の黒字転換を見込むという、全体的に本当にバラ色の将来を描いたそういう再建計画であったわけであります。  そこで、私は大蔵省にお聞きいたしますけれども、どういう査定というか審査をしてこの再建計画を大蔵省はよしとしたんでしょうか。
  51. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) 第二次再建計画の策定に当たりましては、行政当局といたしましても必要に応じ相談を受け、また私たちのできる協力というものは申し上げてきたわけでございますけれども、あくまでも住専の再建計画あるいは住専経営そのものは当事者の問題でございますし、これをどう処理するかは当事者間によって行われる対応が原則でございます。  当時、第二次再建計画の内容につきましても関係者の間で非常に真剣な努力議論がなされまして、会社の経営の先行き等につきまして関係者の議論の上に立ちまして、私どもも御相談に応じてきたということでございます。
  52. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 衆議院で参考人として出席されました当時の銀行局長の寺村さんは、第二次再建計画の策定について大蔵省が深くかかわったということを認めていらっしゃるわけです。大蔵省は、この第二次再建計画の文自体は見ていないというわけですか。
  53. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) 再建計画の策定に際しまして、大蔵省といたしましても、金融秩序の維持のために再建計画がまとまることが必要であるという立場で協力、相談に応じてきたわけでございますので、関係者の間での御議論というものは十分にフォローしておったと思います。したがいまして、再建計画の検討状況及びそのまとまりぐあいというものについては当時恐らく承知をしておったと思っております。
  54. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 ただ、衆議院では、再建計画は大蔵省には提出されていないというようなことを言ってらっしゃいますよ。  第一次再建計画では、住専七社中五社が破綻した貸付先の実名あるいは延滞債権額を明記し、窮状を訴えた上で農林系金融機関に対しまして融資残高を維持することを要請しておったわけであります。ところが、第二次再建計画には破綻先債権の詳細な情報が全く盛り込まれていない。ますます悪化したそういう住専の不良債権の実態を隠して、楽観的な見通しばかり言って系統金融機関の支援を求めたとしか考えられないわけであります。  大臣に聞きますけれども、こういう経過からすれば、第二次再建計画におきまして、住専あるいは母体行、再建計画をつくったわけでありますけれども、もう系統をだましたも同然じゃないでしょうか。違いますでしょうか。
  55. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) 第二次再建計画の策定に当たりましては、母体行、一般行及び系統、すなわち関係者がそれぞれのお立場で真剣な御議論をされたと存じます。  そのような中におきまして、系統金融機関におきましても、責任を持って国民からお預かりした資金を運用するというお立場から、本計画の応諾までに当然ながら真剣な検討に参画されたものと私どもも受けとめておりますので、その過程では必要に応じ住専各社の経営状況などについて住専あるいは母体行から説明を求められたであろうと考えているところでございます。
  56. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 第二次再建計画は、単に当事者間でまとめられたという性格ではありません。そこには強い行政の力が働いているわけであります。平成五年二月三日の大蔵省銀行局長と農水省経済局長の間の覚書の作成、そしてこれを受けて銀行局が母体行に対して誓約書を提出させたということにつきましては、もう何回も議論をされているわけであります。  この両文書につきましては、行政当局は母体行に系統の融資に対する元本保証を許容したものであるというふうに各方面から強い批判を浴びているわけであります。実際、時系列的に見ましても、覚書をつくりまして、同年二月二十六日の日住金の母体会議では三和銀行出身の丹羽進社長が再建案を示したと。これに対して三和を除く設立母体行八行が難色を示した。しかし、その会議における発言というのは全部携帯電話もあって大蔵省に筒抜けになっておった。その会議は十二時間続いて、結局銀行局の粘りといいますか圧力に押し切られて母体行の側が再建案を了承し、そして念書が配られた。それを持って帰って銀行のゴム印を押したというような経過がるる言われております。  衆議院の予算委員会におきましても、草川代議士からこの間の覚書また念書の提出の経過につきましてるる話がありまして、大蔵大臣も「今お話がございました点につきましては、さらに私も調べてみたいと思っております。」という話でしたね。調べられまして、やはりそういう経過でこの再建計画、十二時間に及ぶ再建計画、大蔵省のそういう力もあって成立したということでございますか。
  57. 久保亘

    国務大臣(久保亘君) 大蔵省としても、住専問題の再建計画というものが非常に重要な行政のかかわる問題であるということから、深く関心を持って必要な関与を行ってきたものと考えております。ただ、その間の事実経過につきましては、私よりも事務当局の方が正確に承知していると、このように考えておりますので、政府委員から答弁をさせているのであります。
  58. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) 第二次再建計画の策定をめぐりましては当事者間の協議は難航をきわめまして、そういう中で大蔵省及び農林水産省が、当事者間の協議が円滑に行われていくよういろいろな機会に再建計画の円滑な取りまとめというものに尽力したということは私も伺っておるところでございます。具体的に今御指摘のございましたような状況であったかどうかということについては、私その場にいたわけではございませんけれども、当時難航をきわめましたこの住専問題の再建計画の処理につきまして、関係の当事者及び関係の行政当局がそれぞれの立場で最大限の努力をしたということは伺っているところでございます。
  59. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 私は、この第二次再建計画におきまして大蔵、農水両省が余計な介入をしなければ、系統も恐らく資金を引き揚げ、その時点で住専は清算をされておったと思います。少なくとも当事者間の話し合いに任せておけばあんな楽観的な見通しの再建計画ができることもなかった、ひいては財政資金の投入もなかったと思うわけであります。そういう意味では、金融機関の自己責任ということをしきりに言っておるわけでありますけれども政策当局が民間の経済行為に強力に介入したという事実があるわけであります。  そこで、最後に総理にお聞きしますけれども、こういう経過を見まして、一介の局長にそんな民間の行為に介入するような権限があるのかと。しかも、銀行局長に至ってはこの覚書の作成を大臣に報告さえもしていないという話でございますね。そういう意味では、この両局長がこの覚書や念書をつくったということは越権行為も甚だしいわけでありまして、私に言わせればもうこれは懲戒処分に値するようなそういう内容じゃないかと思うわけです。そういうことをした両局長責任というのは不問に付していいんでしょうか。あるいはそういう官僚組織の暴走というのは、この際、断罪されるべきじゃないんでしょうか。そういう金融行政の実態につきまして総理はどういう認識を持っていらっしゃいますか。
  60. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 何回かこの問題は本委員会でも御議論になり、また私にも同様の趣旨の御質問がございました。私は、その当時の状況というものを今振り返ってみましたときに、まさに事務方が何回か申しておりましたように、当事者間の協議が円滑に進むようにという立場から再建問題の取り進め方について議論をし、それを整理したという意味で、私はこれが議員が今言われたような責任を問われるべきといった性格はないと思うんです。  しかし、ここで考えなければいけないのは、当時、既に金融行政というものが金融自由化の流れの中で従来の方式を変えろという批判を外からもいただくようになっておりました。また、大蔵省の内部においても私はそうした議論が行われておったと承知をいたしております。  そういたしますと、その金融の自由化の流れにとって、かつてとられてまいりましたいわゆる護送船団方式と言われるような金融行政というものは、当然のことながら変わっていくべき時期に既に入っておりました。今振り返って私はそう思います。そうした中において、従来と同じような行政指導という手法、あるいは通達といった手法、さらに関係の省庁間における覚書というものが非常に将来になって問題を含むという意識を持たずに行った軽率さというものは私は否定できないと思います。  そして、それは先般も申し上げたことでありますが、今私自身振り返ってそう思うことでありまして、私どもはやはり行政が変化していくプロセスにおいてその手法というものは常に見直していくべき責任のあることを痛感をいたしております。
  61. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 次に、農林省の監督責任についてお尋ねをいたします。  提出された資料によりますと、平成六年度末における住専七社に対する各信連の融資額が明らかになっております。私、一千億円以上融資をしている信連を調べてみますと、第一位が静岡でありまして三千四百三十九億円、何と全融資に対して四三・七%を住専につき込んでいる。二位が東京で二千五十四億円、これも七七・八六%を住専につき込んでいる。三位が三重でありまして千七百三億円、四一・七六%をつぎ込んでいる。極めてこれは常軌を逸しているわけですね。  金融業の古典的な定石、つまり融資を一業種に集中させないというのがあるわけですけれども、これから見ても非常に危ない。しかも、この信連の融資というのは総量規制後に膨張しているわけであります。要するに、不動産に向けられる融資を抑えようというのがこの総量規制でありますから、それにも著しく反する、そういう融資をしているわけです。  監督権限を持っているのは農林省でありますけれども、一体これに対していかなる指導をしたんですか。もう何も言わなかったんですか。放置しておったんですか。
  62. 堤英隆

    政府委員(堤英隆君) 御指摘のように、平成二年前後、系統から住専への融資というのが非常にふえております。その当時におきましては、いわゆる総量規制通達が不動産業向けの貸し出しの総量規制を主眼とするというものではございましたけれども、あわせまして住専を含みますノンバンクに対します融資につきましても、報告という形で貸し出しの動向を把握する、注視するということとしておりました。農林水産省といたしましても、この趣旨を体しまして必要に応じまして関係者に対する注意喚起あるいは理解を求めたところでございます。  ただ、当時の状況を今になって見ますというと、住専会社というのは国民に対しまして広く住宅供給を行うというかなり公共性、社会性の高い存在であったということで、かつ当時の住宅需要が旺盛であったということが一つ当時はございます。  それから二つ目は、農協の貯金量が増大するという中で、母体行によって設立されておりました住専につきましては、系統にとりましてはやはり安全な信用力のある貸出先ということで認識をされたということがございまして、他の業態のようにはその効果が出なかったというふうに理解をいたしております。  ただ、農林水産省といたしましては、当然ながら御指摘のように農協系統を指導監督する立場でございます。そういう意味で、農協系統が住専にこうした貸し付けを行うに至りました背景といったことにつきましても、整理、点検ということを行いまして今後の行政指導に十分反映させる必要があると同時に、農協系統の事業組織とあり方につきましても抜本的見直しをしていかなきゃならない、こういうふうなことを考えているところでございます。
  63. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 最後に総理にお尋ねをいたします。  今月号の先ほど言いました「時の動き」によると、政府広報資料ですね、「今回の処理策の目的は、国民の皆様の預金を守り、経済の動脈といわれている金融に対する不安感を一掃して、景気回復を確実なものとするためです。」と言っていらっしゃいますけれども、しかしこの住専処理というのは不良債権処理の全体像から見れば一部にすぎないわけです。  大蔵省の発表でも、不良債権金融機関総額は三十八兆円。私が計算しますと、その中で住専向け融資というのは九・三兆円にすぎないわけですね。さらに、実際にはその大蔵省の発表の何倍もの不良債権があるというふうに言われているわけでして、それを前提にすれば、私は氷山の一角ではないかと思います。ですから、この住専処理案で到底この金融システムに関する不安が一掃されるとかあるいは預金者が必ず保護されるという、そういう筋合いのものじゃないと思うんです。  ですから、私は、今まずやることは、不良債権全体の処理スキームといいますか、これをどうするかというルールをまず決めるということが一番大事じゃないかと思いますけれども、この点、総理の御見解をお尋ねして、私の質問を終わります。
  64. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 実は私、議員と本質的な視点は余り違わないのかもしれないと今思います。なぜなら、間違いなしに我々は金融の世界で抱えております不良資産の問題を解決しなければなりません。  私ども住専というものを突破口と申し上げております。議員は氷山の一角と形容されました。突破口と氷山の一角とどう違いがあるか、私ももう一つわかりませんけれども、少なくともやはりどこからか手をつけなければならないという意味では、私は一番問題の集約されているこの住専を突破口にして金融の抱える不良資産の解決に取り組んでいくということであります。そして、金融三法も御審議を願おうとし、今我々は全体にこれに対して取り組もうとしているところでありまして、どうぞ御協力を心からお願い申し上げます。(発言する者多し)
  65. 井上裕

    委員長井上裕君) 御静粛に願います。  関連質疑を許します。大森礼子君。
  66. 大森礼子

    大森礼子君 平成会の大森礼子です。  きょうは、主に大蔵大臣、大蔵省に質問させていただきます。  四月二十三日の予算委員会で、私は政府、大蔵省がずっと強調している強力な債権回収体制について、つまりは預金保険機構と新たに設立されます株式会社である住専処理会社の体制について、どこまで具体的に案ができたのかということを質問いたしました。  住専のパンフレットなんかにも「強力な取り立て機関があらゆる手段を使ってきちんと取り立てます。」なんと言っているわけですから、どんなぐあいになるのかなと思って質問したんですが、結局、大体の点においては検討中ということで、二月に示されました大ざっぱな一枚紙のイメージ・案より進んだ説明を得られませんでした。  例えて言いますと、住専処理機構をつくって、その一番下に事業部というのがあるわけなんですけれども、その点については旧住専、まだ住専はありますけれども、今七社で二千人いるので千人ぐらいが移るんじゃないかと、少し具体的といえばこれぐらいかなということです。  住専処理会社の取締役をどうするかはこれからの検討課題である。それから、住専処理会社、株式会社を設立しますが、本店は多分東京だろうけれども、建物とかそこまで検討するに至っていない。それから、住専処理会社の中に債権回収のエキスパートで構成するプロジェクトチームをつくると図にはあるんですけれども、その全体の規模とか人数とかはまだ具体化していないと。  それで、本部の中に回収困難事案対策室というのを置きまして、ここにいろんなスペシャリストを結集するということなんですけれども、その人数、規模についてはまだ公にするだけの準備がないと。預金保険機構内に設置する債権回収推進指導部、ここが法務・検察、警察、国税当局の現役を入れてとかといって物すごく強調されるところなんですけれども、その陣容とか人数についてはまだ具体的回答がなかったわけなんですね。それは四月二十三日の時点のことです。  それで、四月二十三日の質問以降二週間たっておりますけれども、何かここいらの点で具体案、具体化したようなことがありましたらお聞かせ願いたいと思います。
  67. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) 四月二十三日の大森委員の御質問に対してお答えいたしました時点から、私どもといたしまして、引き続き一日も早く予算及び法律案を御承認いただきまして、私どもがそのような法律、予算のもとでこの作業をさらに具体化できるようにぜひしていただきたいとお願いを申し上げる次第でございます。まことに恐縮でございますけれども、私どもできるだけ早くこの住専債権処理に当たりたいと熱望をいたしておるわけでございますけれども予算及び法律案の御審議の途中である、御審議をいただいているという状況の中でやはり私ども準備をいたします限界というものもございますので、そのような点は御理解を賜りたいと存じます。
  68. 大森礼子

    大森礼子君 銀行局長、この前も、予算及び法律について審議中であるから余り私どもが立ち入った説明をすることは何とかと言っているんですよ。そうしたら、そういう案を示さないまま、審議が終わってからでないとできないということなんですか。そういう趣旨なんですか。それまで言えないということなんですか。
  69. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) 私ども、御審議を進めていただきます上で、資料等につきまして、あるいは私どもの考え方の御説明につきましては最大限の誠意を持って対応しているつもりでございますが、さらに具体的にどのような人を、あるいはどこに本部をというような具体的な状況につきまして、今の段階で私どもが進めるということにつきましていささかのちゅうちょをしておるということでございます。
  70. 大森礼子

    大森礼子君 それはもうちゅうちょする必要はないんじゃありませんか。よろしいですか、並行してするものでしょう、急ぐというんだったら。  住専問題関連資料というのがございます。大蔵省が一月に出したものなんです。私、実は二月の書面かと思ったんですけれども、一月の書面の時点で、三ページです。ここに「住専の不良債権の強力な回収体制」の項目がありまして、「考え方」でこう書いているんですよ、大蔵省が。「債権回収と責任追及に最大限の努力を払う。まずやるべきことは、預金保険機構と住専処理機構が一体となって強力な体制をもったものにすることである。」。次ですよ。「その具体像を国民に明示することが緊急に必要であり、損失発生を前提にするような対応は変えなければならない。その体制確立を鮮明にすることなくして国民負担を求めることは出来ない。」、全くこのとおりだと思うんですけれども、この姿勢というのは後に変更されているわけでしょうか、大蔵大臣。
  71. 久保亘

    国務大臣(久保亘君) 今、政府委員がお答え申し上げましたように、この住専処理機構の設置に関する予算や法案等の御審議をいただく上で必要な構想については可能な限り御説明を申し上げてきたと思っております。  また、この法案が成立いたしました段階では、できるだけ速やかに強力な回収体制をつくってその任務に当たらなければなりませんから、法成立前に可能な限りの準備等については今大蔵省においても検討を進めているという状況にございます。
  72. 大森礼子

    大森礼子君 可能な限りの準備と言うのなら、もっとできると思うわけですよ。  それで、四月二十三日の時点では、ほとんど具体化されていないと私は驚いたわけなんですね。その後、平成会の先輩議員の方にちょっとそういうことを、まだ大蔵省は具体化していないんですってよと話していましたら、そんなことないよ大森さんと言われたんです。大蔵省はもう具体案をつくっているよ、隠しているんじゃないのと言われたんですね。ちょっと意味がわからなかったんですが、つまり具体案を示すとまた審議が紛糾するから、法案を通す直前まで隠しておくつもりなんじゃないかなという、そういうニュアンスでその方はおっしゃったわけなんです。  私はそこまで疑いたくないわけなんですけれども、本当にこの前、きょうもお認めになりましたけれども、例えばここに何人の現役検事が行くとか、本当にまだ具体像はできていないんですか。それとも、できているけれどもまだ言わない方がいいと、言わないだけなんですか、どちらですか。
  73. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) もとより、私ども予算及び法案を御承認いただきました段階で一日も早く債権の回収等に着手できますように私どもなりの検討をいたしておりますし、またそうしなければならないと思っております。しかしながら、おのずからその具体化につきましては、やはり予算及び法案の御審議中という、そういう環境のもとにおきます制約というものもあるということを私ども十分わきまえながら、かつ最大限の努力を払っているというふうに考えているところでございます。
  74. 大森礼子

    大森礼子君 具体化というのは、例えば債権回収推進指導部に法務から何々さん来ていただいて、そのほか何々来ていただいてと、そこまで言っているんじゃないんですよ。それはおわかりでしょう。それは最終的には預金保険機構が発起人になって、そこでまた取締役を選んでするわけですから。  だけれども、あなた方は、政府、大蔵省は強力な債権回収しますから御理解くださいと言っているわけじゃないんですか。だから、国民が、強力な債権回収をどんなふうにしてやるのかな、どんなふうに考えているのかなと。ないと信頼できないじゃありませんか。それを法案成立しないとできないというのはちょっと意味が違うと思いますよ。  それから、あなた方は当初の予定では、三月中に住専処理法案まで通った場合、四月一日の会社設立を目標、六月ごろ住専の臨時株主総会ですか、営業譲渡のため。それから、七月ごろから債権回収を新会社でスタートする予定だったらしいですけれども、三月四日にもし衆議院予算委員会で強行採決にでもなって仮に住専処理法案も年度内に通っていたら、もう本当はこの債権処理会社ができていなきゃいけないわけでしょう。だけれども、これだけ日が経過した今の時点で具体像もできないんだったら、これできているわけないじゃないですか。(発言する者多し)いや、新進党がピケ張ったからと言うけれども、それは大蔵省には関係ないはずなんですよ。やるべきことをやればいいんですよ。  一方では時間の戦いだといって、早く予算通して住専処理案を成立させてほしいと言うんですけれども、そうであれば早く強力な債権回収体制案の作業を急ぐべきではないかと思います。もう急がないと金融不安が起こると言ってあおっておきながら、それに見合うスピードで、大蔵省の事務方になりますけれども、大臣、作業していないのではないかということなんです。国民の方に設計図、今あらかたの線引きだけなんですが、設計図、軽四なのか二千ccなのかダンプなのか、できれば模型ですね、それ以上できませんから、これをやはり示していただきたい。もちろん、それが最終的にそうなるとは決まりませんけれども、でないとわからないわけです、我々は。  そこで、もう事務方は信頼できませんので、大蔵大臣、大体いつごろまでにこういう案を示しますとか、国民皆さんの御理解いただけるようにとか、こういうことを何か言っていただけませんでしょうか。
  75. 久保亘

    国務大臣(久保亘君) 住専処理機構が認められて、そして預金保険機構とともに一体となって強力な回収の任に当たるべきだというお立場から、大変積極的な御意見をいただいていると思っております。  私どもといたしましては、そのような立場に立って、できるだけ早く十三兆の債権を全部引き取ることによって、その債権の回収を最大限に可能とするよう努力をしなければならないと思っております。その準備を進める一方で、法令に基づいて追及されなければならない債権者、債務者、特に債務者の財産隠しや課税上の問題等については現在も必要な追及を進めていると考えております。  今後も皆様方の御協力もいただきながら、できるだけ早く体制を整えて、強力な回収という政府として国民皆さんにお約束いたしておりますことを誠実に実行しなければならないと考えております。
  76. 大森礼子

    大森礼子君 ただ、この時点までそれが示されていないということ、大蔵大臣、これはやはり怠慢だということは認めていただきたいと思うんです。もちろん、その都度その都度それは変わるかもしれません、みんなで検討してこっちがいいとなることもあるかもしれませんから。ただ、やっぱり早くそういうものを出していただきたい。でないと、法案の審議なんか債権回収がいいかげんなんだったらできませんよ。債権回収できるできると言っておいて、わからないままでいっちゃったら、こんなの詐欺じゃありませんか。私はそう思いますよ。  それから次に、住専処理会社、前回の質問であれですが、住専七社の従業員が大体二千名いる、そのうち千名をもって七事業部に充てるという答弁でございました。それでその作業は十分というふうに銀行局長はお答えになったんですが、ここで私は素朴な疑問がわくんです。決して、私は住専の従業員がこれまで遊びほうけていたとは思わないんですよ。七社一括になりますけれども、二千名で回収してだめだったのに、その半分の人数で強力な債権回収ができるというのはなぜなのかなと思うんですね。  それで、住専での仕事の内容は、回収に関してはこの住専処理会社ももとの住専の場合も同じだと思うんです。あらゆる手段を使って強力な債権回収しますと言うんですけれども、従来住専がとり得た方法以外にどういうふうな有効な手段があるのかと。というのは、法的手段というのはだれが使おうと一緒ですから。今現場サイドのことを言っています、一番下の事業部のところ。ここは余り変わらないわけでしょう。いかがですか、人数が半分になったら債権回収は大変になるんじゃありませんか。
  77. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) 現在、住専七社の役職員は約二千名いるわけでございますが、これは新しい仕事を推進していくためという人間も含んででございます。住専処理機構は住専の清算を目的としておりますので、そのような新しい仕事に取り組むという部分は必要でないということがございます。したがいまして、今までのように二千人の人数は必要がないという面が一つございますこういう意味では、極力人数を絞っていくつもりでございます。  他方におきまして、委員今御指摘のように、今までできなかったような債権の回収というものに取り組んでいく、あるいは資産の処分というものに取り組んでいく、こういう機能が必要なわけでございます。したがいまして、今までいただけの人の能力、経験だけでは十分でない面もございますので、新たに法律の専門家だとか不動産の専門家だとかそういう方々を採用いたしまして、御協力を得ながら債権の回収あるいは資産の処分に努めていきたい、このように考えているところでございます。
  78. 大森礼子

    大森礼子君 そこでいつも堂々めぐりになるんですね。要するに、旧住専の従業員、人数が減った部分を何とかされると言うんですけれども、それ以外にプロジェクトチーム、それからスペシャリストを投入とか、そこの部分にかかっているわけでしょう、大きな違いが出てくるのは。ところが、そこの部分が明らかにされていないから、人数、どの規模でと。だから何とも言いようがないんですよ。国民がわかりにくいというのはここなんですね。大蔵大臣、言っていることわかりますよね。違いの部分が明らかじゃないからどう違うのかがわからないということです。  それから、強力な債権回収の中で、預金保険機構の債権回収推進指導部の中に法務・検察、警察、国税当局の現役と。特に警察、検察の現役が行くといいますと、一般の方としては、何かこの預金保険機構の中に強力な特別な捜査本部でもできるのかな、こういうふうに勘違いしてしまいがちなんですね。検事が行くといっても、あくまでこれは出向ですから検事のバッジを外して行くわけです、一人の職員として。だから、捜査権限もないわけですね。あくまで債権回収という民事の仕事、これを任務として行くんだと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  79. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) 預金保険機構に出向いたします現役の公務員という立場は、これはもともと、例えば検事であるとか警察官であるとかいう方々のそのままの立場でお仕事をしていただくというわけではございません。そういう知識、経験を生かしまして、かつ住専処理機構に与えられます財産調査権やその他のいろいろな権限を活用しつつ機能的に働いていただく、こういうことでございますので、捜査権とかそういうものにつきましてはもともとの捜査当局との連携を保ちながら追及していくと、こういうことを考えているわけでございます。
  80. 大森礼子

    大森礼子君 当たり前なことなんですけれども、確認させていただきました。検事のバッジを外して行くわけでありますから、捜査権限はもちろんございません。  それから、強力な債権回収というので罰則つきの強力な調査権というのを強調されるんですけれども、これは住専処理法案十七条に規定がございます。時間の関係ではしょって言いますけれども、要するにこの十七条で立ち入りとかそういうことができると書いてあるんですが、住居に立ち入る場合には承諾が要ると。では、住居に入ろうとしても承諾がなかったら入れないということでございますね。もうイエス、ノーで結構です。
  81. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) 住居に立ち入る場合の国民の権利との関係からの制約というものはおのずからあろうかと考えております。
  82. 大森礼子

    大森礼子君 ちょっと末野社長の名前を使わせていただいて悪いんですけれども、例えば末野社長でもその住居には承諾がなければ入れないと、末野興産の会社名義の建物に社長さんが住んでいるとした場合でも、それが住居であればやっぱり承諾がないと立ち入れないということなんですね。違っていたら後で訂正してください。  ですから、強力な調査権と言いますけれども、これはあくまで行政調査の中の任意調査、これにすぎないわけでしょう。要するに、住居にいろんなものを隠されちゃったらどうしようもないということでしょう。イエス、ノーで結構です。
  83. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) 住居に立ち入る場合は、居住者等の承諾を必要とするということは御指摘のとおりかと存じます。財産調査権の実効性を確保するために、立ち入りを拒んだり虚偽の陳述をするなどの場合には罰金を科することにしておりますし、そのような意味で実効性は担保をされておると考えております。
  84. 大森礼子

    大森礼子君 悪質な債務者を相手にするわけですから、ちょっと現場を御存じないんじゃないかなと思うんです。  それから、罰金といいますけれども、もともと住居だったら承諾しなきゃいいわけですから、あと罰金の問題も起きない。それで、罰金はやっぱり五十万円でしょう。これは所得税法の検査を拒んだときより軽いんですね。五十万でしたら、こんな何億も何千何百もした人がたったの五十万払って勘弁してもらえるとか、これが実は現実の世界であると私は思います。  それで、時間の関係で最後に総理大臣にお願いするんですけれども、三月五日付のある新聞に社説が出ていたんです。これは「国民の倫理荒廃を恐れよ」という題で、与党も新進党も攻撃している社説なんですね。これは謙虚に受けとめたいと思うんですが、最後の方にこうあるんです。「住専処理の最善策は、」と書いて、  まず法ありき、これ以外にない。   「景気回復」だとか「金融秩序」だとか「国際信用」だとか、証明し難い情緒的表現をもって「超法規的」措置を強行するなら、結果は無残なものに終わるだろう。   国民の法への信頼を失い、国民の心理的荒廃を招き、そのことが結果的に金融秩序を乱し、景気回復を遅らせ、国際的信用を失うだろう。その責任を首相が負うとしても、事はあまりに重大かつ破滅的である。こういう形で結んでいるわけなんです。  私は、今回の処理案で、国民が長年にわたって築き上げてきた法治国家、その目に見えない価値、法への信頼、それに基づく社会秩序、これが崩れていくことを非常に恐れるわけなんです。この社説、「その責任を首相が負うとしても、事はあまりに重大かつ破滅的」とあります。  これに対しまして何か一言、時間がなくて申しわけないんですが、何かお考えがあればお尋ねしたいと思うんです。
  85. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私は、その論説がどこのものであったのか、今とっさに読んでいるかどうかを覚えておりません。しかし、指摘しておられる問題点は謙虚に受けとめたいと思います。
  86. 大森礼子

    大森礼子君 どうもありがとうございました。
  87. 井上裕

    委員長井上裕君) 以上で荒木清寛君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ―――――――――――――
  88. 井上裕

    委員長井上裕君) 次に、大渕絹子君の質疑を行います。大渕絹子君。
  89. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 衆参両院の審査によって、住専に深くかかわってきた母体行にさらなる負担を求める世論は高まっています。母体行が紹介融資をしたうちの九〇%が不良債権になっていることが判明し、また主要二十一行の不良債権処理で九三年三月期は赤字になっているわけです。前年比の業務収益では低金利政策のおかげで五六%の増ということで高収益を上げています。資本剰余金は七兆円を超え、自己責任を果たす能力も十分にある。負担のさせ方もいろいろと議論をしてきたところでございます。大蔵大臣も昨日の記者会見で母体負担は秋口までに決着をつけたいというふうにお述べになっておられると見ております。実現のための環境整備を早急に急ぐべきであると思いますけれども、いかがでございますか。
  90. 久保亘

    国務大臣(久保亘君) 今、大渕さんからお話がございましたように、ぜひ銀行側とも合意に達しております今日の御審議の対象でございます住専問題処理スキームを速やかに発足させていただきまして、その上で母体行を中心として新たなる負担をお願いしたいと考えております。  このことは、銀行協会の新旧の会長を初め、私の方からも直接お話をしてございまして、趣旨は十分におわかりいただいていると思いますが、今日の段階ではなお銀行協会側としては、民間の株式会社であるという問題点から、新たな寄与についての名案が考えられないということで非常に困難を示しておりますけれども、私はぜひ、住専問題の処理に取りかかるとともに、このことについて積極的に協議を進め、合意を得たいと考えております。
  91. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 母体行は一社で数千億円の不良債権処理を実際にもう行っておるわけですね。母体行及び一般行がとりあえず六千八百五十億円をゼロにする追加拠出は困難ではないというふうに思うわけでございますので、ここはぜひ金融機関の社会的責任を果たすためにも追加負担に応じていただきたいことを私は強く申し上げておきたいと思っております。  また、母体行に対する追加措置案として、金融安定化拠出基金にオールジャパンで一兆一千三百三十四億円を追加拠出していただき、これを国債運用で十五年やりますと六千八百億円の利益を生み出すことができるというふうな試算もあるわけでございます。  また、母体行などが拠出する九千億円は、債権処理会社が清算するとき分配されることになっています。これは住専処理法案の二十九条に記載をされているわけですけれども、これを分配せずに国庫に納付する規定を追加することもまた今後の課題としてできるのではないかというふうに思っています。  また、けさの新聞、これは朝日新聞ですけれども銀行の優先株を運用して二次損失の穴埋めにしたいというような記事も載っているわけでございます。これに対するいろいろ各界の批判もあるやに新聞報道されているわけですけれども、ありとあらゆる手段を使って国民の税負担を最低限に軽減していく措置を強力にとっていただきたいと思いますが、いかがでしょう。
  92. 久保亘

    国務大臣(久保亘君) 今さまざまな新たな寄与策についての意見がマスコミ等でも報ぜられております。今まだ母体行側と具体的な方策について協議を行うという段階まで来ていないわけでございますが、大渕さんが今お話しになりましたようないろいろな形で、結果的には国民の利益を確保するということによって六千八百五十億の財政支出が償われる、こういうことになればよいのではないかと考えております。
  93. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 総理大臣にお尋ねをいたします。  衆参両院の住専問題の審議の中で大蔵省、農水省の行政責任ということがかなり厳しく問われてきたわけでございますけれども、政府として行政責任のとり方についてどのようにお考えになっておられますか。  私は、国民の前に率直に行政責任を認め、そして国庫の六千八百五十億円をとりあえず拠出させていただくことを国民に理解を求めるべきだと思いますけれども総理はいかがお考えですか。
  94. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私は、議員の御指摘を非常に大切なものとして受けとめたいと思います。  なぜなら、私は、行政がそのときそのとき全力を尽くし、善意でそのときの判断によって行動してきたであろうことを疑うつもりはありません。しかし、結果として現在こうした状況が生まれております。当然のことながら、その中には行政の判断の誤りあるいはタイミングを失したもの、そうしたものが、民間の商行為の積み重ねではありますけれども、それをより悪化させた場面がなかったとは思いません。  そして、先ほども他の質問者にお答えを申し上げましたように、私は本当に金融行政というものが大きく変化すべき時期、金融の自由化等が進められているその中において過去と同じ手法がとられ続けていた、そこに今回問題の焦点の一つはあった、これはそのとおりに私自身思います。  こうしたことを含め、同じ事態を起こさないためにも我々はこの中から教訓を学んでいかなければなりませんし、でき得る限り行政の簡素化、規制緩和といったものを進めることによって民間の経済活動への行政の関与の度合いを減らしていくことが我々が怠ってはならない一つの責任のとり方と、そのようにも思います。
  95. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 農協系統系の金融機関にも苦言を呈さなければならないと思います。農民の大事な貯金を預かり、その運用を住専やノンバンクにつき込み、そして今回の損失を与えた系統金融の真摯な態度を私は求めていきたいと思っております。  協同組合はもともと自助、自己責任、民主主義、公正などの原則にのっとってつくられておるわけでございますので、今回の住専問題をきっかけにして、より地域に密着をした農協のあり方というものを確立し、信頼を回復していかなければならないというふうに思っております。  この際、抜本的な改革案について農林大臣にお尋ねをいたします。
  96. 大原一三

    国務大臣(大原一三君) バブルのさなかでいろいろの事情はあったと思いますが、今日のような状況を招いたその結果責任は農協の方々も免れない、ずっと私同じように答弁をいたしておるところであります。  それと同時に、我々が今一番考えなきゃならないのは、今御指摘のように、農家農民九百万の方々のための農協のありようをこれを契機に抜本的に洗い直していく必要があろうと。幸いにして農協の内部からも、おととしからでございますが、改革の一つのスケルトンが示されております。我々もまた、その中で特に信用部門についての新しいストラクチャーを考え直していかなければ、七十兆円という農協預金のこれからのありようをやはり効果的あらしめる手法を考えていってあげたい。  いずれにいたしましても、我々はそういった改革に対して積極的に支援をし、さらにまた誘導してまいる責任があると思っております。
  97. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 不良債権住専だけでなくて、銀行では三十七兆円、ノンバンクで三十兆円、政府の関係機関の不良債権、これは国民金融公庫に始まって日本輸出入銀行まででございますけれども、この政府の関係機関でさえも不良債権が七千二百八十億円にも上っているということが明らかになっております。  金融システムへの国民の不安は高まる一方でございますけれども、この不安の解消策についてお尋ねをいたします。
  98. 久保亘

    国務大臣(久保亘君) 不良債権処理によって経済の動脈と言われる金融システムを安定させるということは何よりも重要なことであり、今日まで新しい時代の金融のあり方に対する取り組みが非常におくれてきた行政の責任もまた重いと思っております。  その意味で、自己責任原則、市場規律というようなことが今日の問題にすぐそのまま適用できない状況にある中で、私たちは新しい金融システムを確立するためにも、今日の深刻な事態を早く解決しなければならないと考えているのであります。そのことが将来的には国民の利益を守る道だと考えております。
  99. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 金融システムの安定、それから内外の信頼を回復するためには、まず政府の住専処理スキームを一刻も早くスタートさせ、その上で徹底した関係者の責任の追及を強化させ、国民負担の可能な限りの軽減に尽くし、そして取り組むことが真の国民の利益にかなうものだと、私も大蔵大臣と同じ考えでございます。どうぞ一生懸命に取り組んでいただきたいというふうに思います。  それでは、住専問題から少し離れまして、まず総理にお尋ねをいたしたいと思っております。  憲法の書き出しに「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、」「ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。」とうたわれております。主権者たる国民の政治不信が高まり、去年夏の参議院選挙の投票率は全国平均で五〇%を割り込むという、まさに議会制民主主義にとって危機的な状況になっております。  主権者である国民の政治への信頼を回復する手だてはありますでしょうか。
  100. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 昨年の参議院選、直近の国政選挙として私どもの記憶にまだ新しいところでありますが、議員今御指摘の状況が私どもにも非常に大きな衝撃を与えました。  そして、それは前回の衆議院選においてもそうでありますけれども国民の一方では多様性を求められる部分が出てきた。その中で、従来、政党という比較的大きな固まりが存在し得たものが分極化しつつある傾向が生まれてきた。投票性向としてもそのような流れがあるわけでありますけれども、それ以上に、棄権という形に、投票所に行かないという形に示される。これが政治への不信でありますならまだ救いであります。無関心であったらなおこれは恐ろしいことであります。  我々としては、お互いに力を合わせながら政治というものにより国民の目を向けていただく、そしてその上で評価をしていただく、そのための努力を、これはマスコミの皆さんにもさまざまな角度から協力をしていただかなければならないことでありますけれども努力を続けていかなければなりません。要は、お互い一人一人がどこまで国民に密接した問題を取り上げ、その回答を国民に示していけるか、その努力の積み重ねが我々にいつの間にか欠けていたのではなかろうか、そんな思いがしてなりません。
  101. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 政治への信頼を回復させるために、私は重大な政策決定をするときに国民投票制度を導入したらどうだろうかと思います。ヨーロッパでは、EUに参加をするかしないかを各国が国民投票によって決定していったというような実例もあるわけでございます。  今の憲法では、議会制民主主義によってということで冒頭にうたってあるわけですけれども国民投票制度によって国民の意思を確認することについて否定をする条文は何もございません。そういう中で、新しい選挙制度が今度実施をされるわけですけれども、死に票になる部分が五〇%を上回るというような事態が起こってくると思います。  こういう死に票の国民意見を吸い上げる制度として、重要な政策決定、例えば国論を二分するような問題、後で介護の問題もちょっとお聞きをしたいと思いますが、将来的な高齢化社会のあり方であるとか、あるいはこの間の自衛隊の派遣の問題なども国論を二分する問題であったように思いますけれども、そういう問題について国民投票制度を導入したら国民の信頼の回復の一助になるのではないかというふうに思うわけですが、いかがでございましょう。時間がないので短く御答弁をお願いします。
  102. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私は、従来から提起をされている議論として国民投票という仕組みは一つの手法だと思います。殊に、選挙制度が変わり小選挙区制のもとでいわゆる死に票というものがふえるということになれば、その御議論はあるいは今までより強くなるかもしれません。  しかし、私はやはり議会制民主主義というものの中で判断を下す責任は我々にあり、その審判は国民が次の選挙によって示される、これが一番現実的なやり方ではなかろうかと思います。なぜなら、国民投票に付すべき問題そのものが恣意的に選ばれたのではどうにもなりません。そのような気持ちを持っております。
  103. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 総理、それはあくまでも議員が選挙のときの公約をここに来て守るということが前提になけりゃだめなんですよ、選挙のときに審判を受けるということであるならば。ところが、今実際に国会では選挙公約が完全に守られないということがあったり、あるいは政党の移動がもう自由に行われたりというようなことが明らかになっていて、そのことが国民の政治不信を招いているというふうに思うわけでございます。  私は、自分自身の選挙公約の実現のためにはどうしても必死に、全部が実現するということはありませんよ、ないですけれども、そのことに従ってどれだけここで努力をするかということが問われるのじゃないかというふうに思っています。そういう意味から、私は消費税について質問をしなければならないと思っております。  政府税制調査会では、消費税の見直しや特別減税の継続について審議が再開されていますけれども、この問題に対する政府の態度をお尋ねしたいと思います。
  104. 久保亘

    国務大臣(久保亘君) 御承知のように、消費税につきましては、平成六年十一月の税制改正におきまして、九年四月一日から五%にすることが決定されております。この消費税率の五%をどうするかという問題について検討条項が加えられておりますが、この検討条項に基づく検討を今日それぞれの立場で進めております。  しかし、私といたしましては、四月一日は法定の消費税率を実現することが任務と考えております。  特別減税につきましては、平成八年度におきましても単年度の景気対策の措置として実施をいたしておりますが、平成九年度の問題に関しましては、景気状況も見ながら今後検討すべき課題であると考えておりまして、現在では白紙でございます。
  105. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 消費税率が五%に引き上げられ、二兆円の特別減税も廃止をされると、来年度の実質国民総生産は一%押し下げられるのじゃないかというあさひ銀行の試算があるわけでございます。消費者物価は一・六%上昇し、住宅投資は一・四%、個人消費は〇・九%の落ち込みになるというふうに書かれておりまして、景気の足を引っ張るのではないかということで懸念されているところでございます。  また、住宅生産団体連合会はその消費税五%の引き上げに反対をし、また日本百貨店協会は、消費税増税には反対をしないけれども、所得税、住民税の特別減税を五兆円規模に拡大して来年以降も継続をしてほしいという要望を寄せています。また、日本チェーンストア協会は、消費税率引き上げをもう少し先送りできないか、景気回復を優先させたらどうか、そういうようなことを申しておるわけでございます。  経企庁長官景気回復の足を引っ張るという意味で、何か御意見がございましたら手短にお願い申し上げます。
  106. 田中秀征

    国務大臣(田中秀征君) 特別減税が景気回復の有力なアクセル役になってきたということは事実でございます。これを廃止すれば、ブレーキにならないまでもアクセルの踏み込みが弱くなる。ですから、それまでに景気あるいは経済の勢いをつけなきゃいけないというのが現在の課題だと思います。  消費税の税率アップあるいは特別減税の廃止ということが消費を通じて経済に影響を与えるということは委員おっしゃるとおりでありますけれども、全体としての税制改革を見れば、今回の景気回復に大いに役に立ってきたというふうに思います。一昨年の十月に経済企画庁で試算をいたしております。それによりますと、先行して減税をして、そしてその後で消費税を五%にした場合、その場合に実質でGDPを〇・五%押し上げる、そういう試算結果が出ております。私は妥当なところだと思っております。
  107. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 利子や株式譲渡益の総合課税化については、所得税の改正法附則の第五十一条、第八十一条の見直し条項では、一九九二年の十月までに見直しができるというふうになっているわけですけれども、実際には見直しがされませんでした。そして、引き続きこの見直しの具体的な案をつくるための努力がなされておると思いますけれども、そのことと、それから消費税率の引き上げで、これは消費税の持っている最大の欠陥と言われております逆進性の緩和という問題について、大蔵省もその具体案づくりに鋭意取り組んでおられると思います。この逆進性の緩和について、私は特に所得減税の恩恵を受けない低所得者層や年金や貯金で暮らしていらっしゃる皆さんに対して、食料品税率の軽減化あるいは非課税、ゼロ税率化について積極的に踏み込んでいただきたい。  これは税制自体をインボイス方式に改めるとか、あるいはもう少し消費税の枠の外でもそういう逆進性の緩和の枠というのはあるわけでございますけれども、そのことよりも何よりも優先をして、食料品の軽減税率についてのお取り組みを強化していただきたいと思います。  大蔵大臣、一分を残してやめろということでございますので、時間内での御答弁をよろしくお願い申し上げます。私の思いも込めてのお訴えでございます。
  108. 久保亘

    国務大臣(久保亘君) 消費税につきましては、私もこの逆進性の問題を中心にしてこの税に対しては異議を持ってきた一人でございます。  しかし、今日、消費税は既に国会において来年四月一日から五%とすることが法定されております。しかも、これは単一課税ということで決まっておりますが、飲食料品の税率軽減あるいは非課税の問題については今後も真剣に検討すべき課題であると考えております。
  109. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 ありがとうございました。終わります。
  110. 井上裕

    委員長井上裕君) 以上で大渕絹子君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ―――――――――――――
  111. 井上裕

    委員長井上裕君) 次に、筆坂秀世君の質疑を行います。筆坂秀世君。
  112. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 私は、住専問題について、衆議院そして本院での審議によって、改めてやはり六千八百五十億円は削除すべきだ、それは母体行の追加負担で賄うべきだということがいよいよ鮮明になってきたと、こう思います。そして、これを実現していく重要なかぎというのが母体行の身勝手を許すのかどうかという点に私はあると考えます。  私は、これまでの審議によって、いわば五つの母体行の身勝手というべきものが明らかになってきたというふうに思います。  第一の身勝手は、住専母体行が設立しながら、つぶれそうになると母体責任を放棄するという身勝手です。  第二は、体力は十分ある、にもかかわらず法制上これがぎりぎりの負担だと、こういう口実によって社会的責任を果たさないという身勝手です。  第三は、住専がよいときにはぼろもうけ箱にいわば利用しながら、悪くなるとこれをごみ箱のようにしてしまう、こういう身勝手であります。  第四は、債権全額放棄といいながら実はこっそりと一部債権を回収していた、こういう身勝手。  第五は、本来公的資金は導入せずに住専を含む不良債権処理するということを前提に共国債権買取機構をつくり、概算で三・五兆円の税の減免を受けながら、これがうまくいかなくなると税金にツケを回していく、こういう身勝手が私は今まで放置されてきたというところに最大の問題があると思います。  そこでまず、大蔵大臣にお伺いしたいと思います。  証人として出席された富士銀行の橋本頭取はこの場で、いわゆる系列ノンバンクについては債権額以上の支援をやってきた、いわゆる母体行主義でやってきた、これが言ってみれば不文律となってきたルールだということを系列ノンバンクについては事実上認められました。大蔵大臣もこの点の認識は同じでしょうか。
  113. 久保亘

    国務大臣(久保亘君) 銀行協会会長がそのようなことを実際におやりになった立場で証言をされているわけですから、そのとおりだと思っております。
  114. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 総理もこの母体責任の問題については再三大蔵大臣と同じ立場だということを言明されてきましたが、改めて今の点について総理の御認識をお伺いしたいと思います。
  115. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 本日も何人かの委員にお答えを申し上げてきておりますように、そもそもその設立から関与している母体行というものは責任が重いということを私は一度も否定をいたしておりません。
  116. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 系列ノンバンクに対しては債権額以上の支援をやる。ところが、住専について言えばなぜかそういうことはやらない。私、これ橋本頭取に尋問をいたしました。それに対して橋本頭取がお答えになったのは、系列ノンバンクというのは戦略的に重要だ、存立基盤があり再建が可能である、だから債権額以上の支援をやると、こう言われました。じゃ住専はなぜやらないんだと聞きましたところ、住専は既に存立基盤がなくなっているということでありました。私は、これは大変身勝手な論だと思うんですね。再建可能でこれからもうかるという可能性があれば債権額以上の支援をする、つぶれそうだとなるとみずからの責任を放棄する。  今、総理母体責任について言われましたが、総理は橋本頭取が述べられた証言について大変身勝手だというふうにお考えにはならないでしょうか。
  117. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私はその証言を拝聴しておりませんでしたので、具体的な前後の状況がわかりません。  ただ、私から申し上げますならば、この住専問題を論議してくる間にさまざまな角度の御論議がありましたけれども母体責任というものを否定する御意見はなかったと私は心得ております。
  118. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 要するに、戦略的に重要で再建できるものは自分たちで面倒を見ます、つぶれそうになったものは税金で面倒を見てください、公的資金で面倒を見てくださいというのが、これ簡一単に言えば橋本頭取が述べられたことであります。  しかし、大蔵大臣、母体行主義で処理するかどうか、母体責任処理するかどうかというのは、銀行にとって戦略的に重要か否かということじゃないと思うんです。大臣がたびたび述べられてきたように、どういう設立経過なのか、どういう支配をしてきたのか、どういうかかわりを持ってきたのか、これによって母体行主義で解決するのかしないのかということが決まる、これが一般的な考え方じゃないでしょうか。
  119. 久保亘

    国務大臣(久保亘君) 今度の住専問題の処理に当たりましては、総理からも今御答弁がございましたように、母体行の住専にかかわるかかわり方、その設立の段階から破綻に至るまでのかかわり方についての責任を重く考え、その上で当事者としての母体行の果たすべき責任を考えてきたのが今日までの処理スキームであると思っております。  しかし、それだけで母体行の責任は終わらないということについて、国会でも皆様方の強い御意見が党派を超えてございました。私もそのような立場を申し上げてまいりました。そういうことで、今母体行に対してさらなる負担による新たなる寄与を求めているという段階だと思っております。
  120. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 昨日、本委員会に、住専問題関連資料というので各住専母体行がつくったときの設立趣意書、こういうものが出てまいりました。例えば、住宅ローンサービスの設立趣意書を見ますと、こう述べています。「ここにわれわれは、民間住宅金融に寄せられる社会の期待に応え、金融機関としての社会的責務の一端を担うべく」「住宅金融専門会社の設立を計画した」と。つくるときにはとっても格好いいんです。社会的責任を果たすために住専をつくるんだと設立趣意書に述べられています。  ところが、この住専が破綻をすると、社会的責任を果たすどころか公的資金に頼っていく、これが今の母体行の姿勢です。私は、母体行に対して追加負担をお願いするというのでは到底この問題は解決しないと思うんです。母体行は出すべきなんだと、体力もあるということで強く迫っていくということが今どうしても必要なことだというふうに思いますけれども、改めて大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
  121. 久保亘

    国務大臣(久保亘君) 筆坂さんの同僚の方々も、衆参を通じて、母体行に対して法的に追加を強制する手段についてはなかなか考えられないということは同じ認識にお立ちだったんじゃないでしょうか。  私は、そういう中で、住専問題に対する母体行の責任というものに対して積極的にこたえるべきだという立場で、母体行に対して私の意見を述べているわけです。それは、表現としてはお願いをするということを申し上げる場合もあります。しかし、そのようなことを大蔵大臣の立場で銀行協会の最高幹部に申し上げるということは、非常に厳しいこちらからの要請だということで、相手もおわかりになっていると私は考えております。
  122. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 いま一つ母体行が追加負担に応じない理由として挙げているのが、三・五兆円の債権放棄が法制上許されるぎりぎりの範囲だということを盛んにおっしゃいます。私は、これも橋本頭取に聞きました。要するにおっしゃっていることは、株主代表訴訟に耐えられるかどうかということだということがはっきりしました。  そして、私は言ったわけですし、橋本頭取もお認めになりましたけれども、株主代表訴訟が起こるかどうかというのは、三・五兆円の債権放棄だって株主代表訴訟は起こり得るし、あるいは追加負担をやったからといって絶対に起こるということにもならないということをお認めになりました。もう一つ、株主代表訴訟に勝つか負けるのかを決めるのは決して富士銀行の顧問弁護士じゃない、確かに裁判所が決めることだというふうにお述べになりました。  つまり、法制上これがぎりぎりの限界だというふうに盛んに銀行側は言ってきたわけですが、私はこの理由というのは事実上崩れたというふうに思うわけですけれども、大臣の御見解はいかがでしょうか。
  123. 久保亘

    国務大臣(久保亘君) 私は、株主代表訴訟が行われようとも、今日、責任と体力によって母体行がなすべきことについては考えていただきたいと思っております。そのことが株主代表訴訟に該当いたします場合には受けて立つべきものではないだろうか、このように思っております。  しかし、そのことに対する判断は銀行側の判断にまつよりほかに、現在のところでは私の方でもなすべき手段を考えるのは大変難しいと思っております。
  124. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 株主代表訴訟について大臣がおっしゃったことは、私は全くそのとおりだと思うんです。株主代表訴訟があるかないか、これは乱脈経営をやれば取締役が責任を問われて当然のことです。ですから、そもそも株主代表訴訟があるかないかというふうなことは、いわば母体責任を言い逃れする理由にしてはならないことだというふうに思います。大蔵大臣もそういうお立場だということがわかりました。  そして、いま一つ、先ほど大臣が母体行に追加負担を求める法的根拠が云々ということをおっしゃいました。しかし、今のスキームだって十二月十九日の閣議決定で決めて、そして銀行に要請するということでやられたわけですから、私は追加の閣議決定あるいは新たな閣議決定をやれば十分に強い指導を、追加負担を求めることができるんじゃないかと思いますけれども、時間が参りましたので、この点について一言答弁をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
  125. 久保亘

    国務大臣(久保亘君) それは少し逆の論理だと思っております。十二月十九日の閣議決定は、当事者との協議に合意があった上で決められたものでございます。相手の合意が一切ないまま閣議決定を行うということは困難であろうと思っております。
  126. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 終わります。
  127. 井上裕

    委員長井上裕君) 以上で筆坂秀世君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ―――――――――――――
  128. 井上裕

    委員長井上裕君) 次に、本岡昭次君の質疑を行います。本岡昭次君。
  129. 本岡昭次

    本岡昭次君 新緑風会の本岡でございます。  新緑風会に与えられた時間はわずかでございますので、住専問題については基本的な考え方だけを述べて答弁は求めません。あと、阪神・淡路大震災問題について一、二お伺いをいたします。  新緑風会としましては、六千八百五十億の巨費を使って住専処理をすることについては反対であります。民間会社の不良債権の後始末、穴埋めに国民の血税を使ってはならないと考えます。法的処理を進めながら、必要があれば日銀特融の活用ということも可能ではないかという立場をとっておることをここでも強調しておきたいと思います。  そこで、住専問題と並んで重要な施策の一つである阪神・淡路大震災の被災地の復旧・復興、被災者の生活の再建問題についてであります。  国土庁長官においでいただいておりますが、この四月に被災地におけるさまざまな特例措置が打ち切られました。崩れた石垣、いわゆる被災住宅の擁壁の補修を無料にするとか、仮設工場、仮設店舗の建設費補助、被災自治体の歳入欠陥債の発行許可、あるいは国民健康保険料の減免、国保料の国の補助等々、被災地が立ち上がるために、被災者が自分の暮らしを自立していくために必要な措置がずっとあったんですが、それを四月に打ち切りました。  私は打ち切るべきでないという立場なんでありますが、なぜこの時期に四月が来たからということで打ち切らなければならなかったのか、被災者の皆さんが納得できる説明を求めたいと思います。
  130. 鈴木和美

    国務大臣鈴木和美君) ただいまの御質問に対しましては、政府全体といたしましては、特例措置に関しましては三つの分類で対応してまいりました。  一つは、先ほど河本先生にも総理の方からお答えがあったと存じますが、いわゆる現地からの強い要請でこれはどうしても特例措置を延ばさなきゃならぬというような分類のものが一つです。  二つ目の問題は、特例措置を廃止しても代替措置で県民、市民の皆さん生活に対応できるというような分類です。  三つ目の問題は、目的が既に終了したというものについては、これは特例措置を廃止してもいいんじゃないのか、こういう三つの分類で対応してまいりました。  特に、雇用調整助成金であるというような問題は第一の分類であり、それから私立学校の減免措置というような問題は第二分類でございます。  なお、十六件ぐらいございますので、細かに申し上げておりますと時間がございませんので、いずれまた先生の方に御連絡をさせていただきたいと存じます。
  131. 本岡昭次

    本岡昭次君 もう時間がありませんが、初めて総理、大蔵大臣に質問する機会が与えられましたので、一言だけ質問をさせていただきます。  この被災者に対する公的支援の問題なんですが、国民の生存権が脅かされているという状況に私はなっていると思うんです。大げさな言い方をすれば、震災難民が発生するかもしれないという状況下にあって、やはり公的支援という問題はもう一遍抜本的に再検討してもらいたい。  従来はこれを拒否しておられましたが、一言それについて総理と大蔵大臣の御答弁をいただいて、私の質問を終わります。
  132. 久保亘

    国務大臣(久保亘君) 公的支援ということについて、実際に震災を受けられた方々生活や暮らしや仕事の面での非常な困難というものを私も現地に何回も赴きましてよく承知いたしておりますが、公的支援ということはいろいろと制約がございまして大変難しい問題でございます。今後も検討をさせていただきたいと思っております。
  133. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 従来同様、県、市とも十分御相談をしながら対策を進めてまいります。
  134. 井上裕

    委員長井上裕君) 以上で本岡昭次君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ―――――――――――――
  135. 井上裕

    委員長井上裕君) 次に、佐藤道夫君の質疑を行います。佐藤道夫君。
  136. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 私からは、当面問題になっておりまする六千八百五十億円の支出根拠について承りたいと思います。  これにつきましては、実は政府の説明と母体行の言い分とが全く食い違っておる。天と地、水と油と言ってもいいような違い方です。  政府の説明によりますれば、この金は金融システムを守るために必要な金だ、これがなければどういう金融不安が起こるかわからない、預金者保護も図れないと。今もそういう話が出ておりました。政府はこういう説明をしております。  ところが母体行側は、これはむだ金であると、簡単に言いますれば。仮に母体行が負担するとしまして、これを支出すると直ちに株主代表訴訟が起こると。株主訴訟というのは、忠実義務に違反する、要すれば任務に違反する行為でありまするから、そして会社に損害を与える行為です。  政府の説明によれば、この金は銀行を守るための金なんだと、こう言っております。ところが母体行側は、これは全くのむだ金であると。一体この食い違いがどこから出てきておるのか。こんなことじゃ国民は一層迷うばかりでございます。きちっと統一してくれないと困ります。私はそう思います。  物の例えでございますけれども、政府の説明によれば銀行を守るためだと、こういうことでありますから、ある銀行が毎日のように窃盗団に襲われておる、金を盗まれてこのままでは銀行がつぶれるというので大金をはたいて非常に頑丈な金庫を買うことにいたします。これは銀行が生き延びていくために必要な金であります。これをもって不必要なむだ金であるといって株主代表訴訟を起こすような株主はおりませんし、仮に起こされても十分対抗できるわけであります。  ところが、骨体行側はどういうふうに言っておるかというと、これはむだ金であると。ですから、金庫を買う金だとは恐らく言わないんだと思います。支出すれば直ちに訴えられて取締役が不法行為の責任を負う、こういうわけですから、例えて言いますれば頭取以下の役員たちが毎晩のように芸者を揚げてどんちゃん騒ぎの遊興をやっておる、その金を銀行から出そうとすれば、これは株主はとんでもない話であるといって代表訴訟を起こすでありましょう。  政府の説明と銀行側のこの食い違いをこのままにしておいていいんでしょうかと私は思うわけなんです。銀行銀行として一体何を考えておるのであろうか。また、政府は政府でそういう銀行の説明をそのままほうり投げておいていいんだろうか、こういう気がいたします。両者協議の上、統一見解を出していただきたい。それでなきゃ国民は安心できないという気がいたします。  なるほど銀行側の言うとおり、これはむだ金だということになれば、政府は何もむだ金を、第一、救済される本人がむだだと、こう言っておるわけですから、出してやる必要は全くないわけで、ほっておけばよろしいわけでございます。(「それはむだだよ」と呼ぶ者あり)そうだと思います。  一方、銀行側が政府の説明を聞いて、なるほどこれは政府の言うとおりである、これは我々が本来負担すべき金であるが、しかし我々の金庫は遺憾ながら空っぽで、逆立ちしても鼻血も出ない、これは国民の皆様方、我ら銀行をお哀れみの上どうかお恵みくださいませと、こう言うならばこれまたわからぬ話でもないわけですが、銀行は決してそうは言いません。  銀行の金庫はもう金で今うなっているという話でありまして、低金利政策のおかげだろうと思います。その金は、しかしむだ金はびた一文出したくない。何か政府その他は銀行を救うために税金を投入するということをしきりに言っておると。そういうことならば、酔狂な人もおるものだから出させてやろう、それでもって我々が救われるか救われないか、そんなことは関知するところではない、こういうのが銀行の考えではないかとしか思えないわけでございます。  どうかもう一回銀行側ときちっと話し合って、今の見解を、一体どういうことになるのか、政府が間違っておるのか銀行が間違っておるのかきちっとしてほしい、こういうふうに思いましてこの質問をいたしたわけでございます。  大蔵大臣でも総理でも結構でございます。
  137. 久保亘

    国務大臣(久保亘君) 銀行側が財政支出についてむだ金である、出さなくてもいいものだというような発言をしているということは、私は聞いたことがございません。  それで、これは、今日のこの不良債権の中の象徴的なまず住専問題を処理するために、私はやむを得ざる支出だと考えております。そして、そのことによって住専問題の処理ができれば、銀行が進めております他の不良債権処理等も含めて日本の金融の安定を早期に図ることができるであろう、そのことによって国民的な利益が守れる、こういうことで財政支出をお願いしているのでありまして、これはむだ金であるという見解を私は承ったことはございません。
  138. 井上裕

    委員長井上裕君) 以上で佐藤道夫君の質疑は終了いたしました。(拍手)  これにて住宅金融専門会社問題、経済及び財政等に関する集中審議は終了いたしました。  午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時五十七分休憩      ―――――・―――――    午後一時開会
  139. 井上裕

    委員長井上裕君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  この際、御報告いたします。  本委員会は、平成八年度総予算三案につきまして、内閣委員会外十六委員会にその審査を委嘱いたしておりましたが、各委員長からそれぞれ審査概要について報告書が提出されました。  つきましては、これを本日の会議録の末尾に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  140. 井上裕

    委員長井上裕君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  なお、このほか、報告書は既に印刷して皆様のお手元に配付いたしております。     ―――――――――――――
  141. 井上裕

    委員長井上裕君) 平成八年度総予算三案の締めくくり総括質疑に関する理事会決定事項について御報告いたします。  締めくくり総括質疑は、本日及び明九日に行うこととし、質疑割り当て時間の総計は九十二分とする。各会派への割り当て時間は、自由民主党三十二分、平成会三十分、社会民主党・護憲連合十四分、日本共産党十分、新緑風会三分、二院クラブ三分とすること、質疑順位についてはお手元に配付いたしておりますとおりでございます。     ―――――――――――――
  142. 井上裕

    委員長井上裕君) 平成八年度一般会計予算平成八年度特別会計予算平成八年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。  これより締めくくり総括質疑に入ります。清水達雄君。
  143. 清水達雄

    ○清水達雄君 この予算委員会は、四月十二日に審議を始めましてきようで十六日、そのうち二日間はクリントン大統領の訪日に伴って一日二、三時間というふうなことでございまして、大変厳しい日程で審議をしてきたわけでございます。いろんな資料も随分御協力をいただいて集めましたが、私などはそれを読む暇もないというふうな状況でございました。しかし、閣僚の皆様、委員長、各委員の御努力によりまして、いよいよ締めくくり総括にまで至ったわけでございます。  ということで、時間もありませんので質問に入りますけれども、まず金融機関の不良債権処理に当たっての自己責任原則という点についてお考えを承りたいと思うんです。  昨年の恐らく夏ごろぐらいだったと思いますが、大変な不良債権がある、特に住専はひどい、これは一体どう処理していったらいいだろうかというふうなことが随分我々の頭の中にあって、その都度、大蔵省なんかにもお話を伺ったりはしてまいったんです。あるいは銀行業界自体もそうでございましたが、やっぱり自己責任原則で処理をしていくんだということをずっとおっしゃり続けてきたわけでございます。しかし、いよいよ昨年の十二月十九日の住専処理のスキームの決定に当たっては、それが果たせなかったということになるわけでございます。  私は基本は自己責任処理をするということだと思うんですけれども、しかしなかなかそうもいかない場合も出てくる。私は、今回の財政支出というのは言うなれば特急料金だと思っております。権利関係者といいますか、関係者が非常に多いわけですから、なかなか合意が成立しない。そういうところで急いで決着をつけなきゃならぬということになりますと、時間をかけてなかなか議論をしていられない、合意に達するまで議論していられないというようなことになってこういった財政支出が出てきたんじゃないかというふうにも思うんです。この点について大蔵大臣から、自己責任原則というものをどう考えているのか、あるいは財政支出が許される場合というのはどういうふうに考えておられるのか、伺いたいと思います。
  144. 久保亘

    国務大臣(久保亘君) 自己責任原則は金融システムの確立を図ってまいります場合の基本の原則だと考えております。特に、自由化、国際化が進んでまいりました時代におきましては、自己責任原則の確立と市場規律を基軸とする透明度の高い金融システムを機能させることが何よりも求められていることであると考えております。  しかし、自己責任原則を金融の基本に置きます場合には、ディスクロージャーを同時に徹底しなければならないことであろうと思っております。そのことは今日の住専問題の処理に当たりましても考えなければならないことでございますけれども、残念ながら新しい時代に対応できる金融システムが自己責任原則と市場規律のもとに透明度の高いシステムとして確立されてきていないという状況の中で、新しい時代の金融システムを考えてまいります場合には、今の深刻な事態というものをあらゆる手段を講じて早期に克服しなければ、新しい時代のシステム確立に対応することが困難であるという判断もあったと思います。  そういうことの中から、住専問題の処理に当たりましては、まことにやむを得ざる措置として、この事態まで追い込まれた中でこれを早期に解決することで新しい時代の金融のあり方を行政の側からも責任を持って切り開いていく、そのことをやり遂げるために、今財政支出という最も辛い立場を国民皆さんの御了解をいただいて選択させていただくことになったと思っております。  このことは、この事態をどうするか、新たな金融の時代に、行政がどのようにして将来的に国民の大きな利益を守る責任を果たすかということにおける政策選択の問題として、財政支出を選ばざるを得なかった、こういうことであると思っております。
  145. 清水達雄

    ○清水達雄君 要するに、市場競争を軸とし、情報を公開し、透明性の高い金融システムをつくっていく、その流れが必ずしもまだ確立されていないというふうな問題も一つあるし、あるいは政策選択だというお話もあったわけですけれども、昔からこんなふうに市場競争原理にきちっと支えられていない、あるいは情報公開もされていない時代でも、自己責任原則というのはかなりとられてきたという面があると思います。政策選択の問題というのもそれはそのとおりだと思います。確かに、護送船団方式から市場競争を軸にした金融市場ということにまだ移行し切っていないということもありますけれども、ちょっとそれとはやや、僕は自己責任原則の問題というのは本当に一体的なものじゃないというふうには思うんです。  それはそれといたしまして、住専母体行の責任といいますか、これが非常に議論をされました。母体行という場合に、一つの銀行が系列ノンバンクなどに対しては母体行であるという自覚をきちっと持つ。しかし、非常に数の多い母体行がグループになってやる場合には、どうもいわば共同投資事業みたいな感じで母体行意識が非常に乏しいというふうなことを、参考人とか証人への質問なんかを聞いていてそういう感じが非常にするわけです。私は、母体行たる責任というのは、母体行が一つであるか多数であるかによって変わるものではないだろうと思うんです。数が多ければ話し合いがまとまらないということはあると思います。しかし、責任は変わらないというふうに思っているわけでございます。  例えば、住宅ローンサービスなんというのを見てみますと、これは七行が母体行になっておりますけれども、一行五%の制限がありますから、合計すると三五%です。ところが、関連会社をいっぱい持っていまして、関連会社分を全部合わせますと八三%の株式保有率になるんです。それから、役員なんかにつきましても、延べ五百三十二名中四百七十三名が母体行出身者というようなことになっているわけですから、実質的にもう経営を支配しているということになるんですね。やっぱりこの辺の感覚というのが私は非常にずれているなという感じがするんですけれども、この点についてはどうお考えでしょうか。
  146. 久保亘

    国務大臣(久保亘君) 今お話がございましたように、厳密な意味で商法上の子会社と規定することはできないのだと思いますけれども、実際には今お話しのような形で母体行が住専経営に至るまですべて支配しているというような状況が存在した面もあると考えております。そのような設立の段階から破綻に至りますまでの間に母体行が負わなければならない責任は、紹介融資の問題なども含めて非常に大きいのだと考えております。  今お話しの中で、母体行である以上はその責任は同じだということがございました。私も一般的にはそのとおりだと思っております。ただ、かかわり方としては、単なる出資だけにとどまった銀行もあると思いますし、深く経営にかかわって銀行の利益と結びつけていった母体行もあると思っております。それらの点は、住専問題を処理してまいります中では詳細に検討され、特に賠償責任請求の問題などに関しましてはきちんとしなければならないことだと考えております。
  147. 清水達雄

    ○清水達雄君 それで、幾つかの問題点について伺いたいんです。  一つは、住宅ローンをやる会社として住専をつくったのに、途中から母体行が出ていってしまって住宅金融専門会社の方が商売にならなくなったということで、これはいわば支配会社たる母体行が被支配会社たる住専との間で業務が重なり合うといいますか、追っ払ってしまうというふうな状況があるので、これが法律的な意味で競業避止義務というふうなことに反することなのかどうかというのはよくわかりませんが、そういうふうな関係があって、結局、不動産事業ローンに行かざるを得なくなった。  今の銀行を見ておりますと、もう随分いろんなことをやって経営を確立しているわけですから、土地担保の不動産ローンだけでちゃんと仕事ができるというようなことにはおよそなりっこない。どんどん住宅ローンがだめになっていくということですから、いわば親が子を食ってしまうというふうな、結局、親のために子がつぶされていったというのが実態じゃないかというふうに思うわけです。そういう意味で、住専経営破綻の最大の責任母体行だということが言えると思うわけでございますけれども、この点についてはいかがでしょうか。
  148. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) 御指摘のように、もともと住専は、当時必ずしも一般金融機関が個人の住宅ローンに得意でなかったということがあり、また個人のサイドからはそのような資金需要があったということで設立されたものでございます。その場合に、公共的な色彩もあるというところから、単独の銀行ではなくて幾つかの銀行がグループになってこの役割を果たす会社を設立した、こういうことでございます。  しかしながら、設立された以上、これは独立した会社でございますし、広い意味での金融機関が、それぞれ法律で認められた業務分野において切磋琢磨していくということもまた避けられないことでございます。  私ども、今になって振り返ってみますと、そういうふうに一般金融機関住宅ローンという業務に進出していけるような、また進出するような意欲を持った時代になってからも、なお住専という一つの特別の目的を持ったような存在をそれ以前と同じように存続させることが適切であったかどうか、これは行政の判断だけじゃなくて、いわば母体行としてそのような判断をすることが適切であったかどうか、そのような問題はあろうかと思いますが、一般銀行住宅ローンという仕事をすること自体について特段の制約がなかったということもまた御理解いただきたいと存じます。
  149. 清水達雄

    ○清水達雄君 これは住専の側にも独立した経営意識というものが非常に欠けていたんじゃないかなという感じがします。母体行からおまえこれをやれよと言われて、はい、やりますというふうなことでスタートしておりますし、それがだんだんはしごを外されていっちゃって、新しい仕事、たまたまブームに乗っかって一時期は非常に活躍をしたということだろうと思うんです。本当に経営がこれでいいのかなということについての経営者の認識というか独立した経営意識というものが住専の方もやっぱり足りなかったなというふうにも思います。  それで、この住宅ローンの問題について議論をしますと、今まで参考人とかなんとかの方々からお話を伺うと、住専住宅ローンが低迷をしていったのは住宅金融公庫の融資がふえてきたからであると、こういう説明が非常に多かったんですよ。この点につきまして建設大臣はどのような御見解をお持ちでございましょうか。
  150. 中尾栄一

    国務大臣(中尾栄一君) 清水委員、適宜な、ちょうど私も申し上げたいなと思っておるときにこのような質問を受けまして、本当にある意味においてはずばりと私も申し上げておきたいことではあるのでございます。  住宅金融公庫というのは、そもそも国民の住生活の向上を図るため長期固定の低金利の住宅資金を安定的に供給してきておりまして、住宅着工が低迷した時期などにおきましては経済対策の面からも重要な役割を今日まで果たしてきているところでございます。  御案内のことではございますが、住専の個人向けローン残高が減少して事業者向けローン残高が増大いたしましたのは昭和六十年代でございまして、この時期におきましては住宅金融公庫融資は個人向け住宅ローンの新規貸付額でのシェアを逆に低下させているというような状況にあるわけでございます。今手元にはございませんけれども、これはあらゆるデータ、統計の図などによりましても明快に物語っておるわけでありますことは清水委員もよく御認識願えるかと思うのでございます。  こうした経緯から見ましても、住専そのものの住宅ローンの減退というものが住宅金融公庫の融資の拡大によるものというような指摘が、もしそのような形で参考人方々の一部が申されておったというならば、これは当を得た論議ではないと私も申し上げなければならないし、また申し上げるべきである、こう思っておりますので、御認識を願いたいと思っておる次第でございます。
  151. 清水達雄

    ○清水達雄君 私も若干住宅なんかにも関係したことがあるんですけれども、普通の人は住宅金融公庫のローンが借りられるのならば、それはみんな住宅金融公庫から借りたいわけですね。これは抽せん方式じゃなくなりまして、申し込んで要件に適格性があればみんな貸してくれるということになります。  住専というのはどういう役割をしたかというと、所得が不明確、証明が困難だとか、そういうふうな人たちが非常に利用するという面が多かったんですね。それに、若干一般金融機関よりも金利が高いとかいうふうなことがあって、これはもうそういう構造を背負って立っていたということが私はあるんじゃないかという気がします。  それはそれといたしまして、今度は母体行が紹介融資とかいろんなことを含めまして、もっと重い責任を感じて新たな負担を負うべきだというふうに私も思うんですけれども、この点に関しましては今回の証人喚問とかなんとかでかなり実態もよくわかってきたのでございますが、これはもう随分いろいろ議論されました。この点については、今ここで伺っても同じお答えですからやめておきますが、後からまた一緒に伺いたいと思います。  それで、法的限界問題というのが非常にあるわけですね。三・五兆プラス金融安定化拠出基金への拠出、それから低利融資、これをやっているんだから、もうこれを超えると株主代表訴訟に負ける危険があるということを盛んにおっしゃるわけでございます。  きょう午前中も話がありましたけれども、関連ノンバンクなら最後まで責任を持つと。ただし、どうもその話の筋が、関連ノンバンクに責任を持つというのは、いわゆる再建に向けての支援をする。そういう支援損については税制上の特例もあるし、再建によって母体行の方の株主の利益も増すんだから、だから支援がとことんまでできるんだということを言われるわけです。しかし、整理して会社をつぶすという場合には、自分の銀行の株主に対してある意味では損害をかけるおそれもあるというふうなことだろうと思うんですけれども、これはもう債権全額放棄が言うならば限度だと、こういうことをおっしゃるわけです。私は、社会的責任としてはつぶす場合だって同じことというふうに思うんですけれども、この点についてはどんなふうにお考えになりますでしょうか。
  152. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) 一般的に申し上げまして、ノンバンクの処理をどのようにやっているか。この場合に、先ほど清水委員からの御議論ございましたが、親と子の関係が通常一対一の場合のような直系ノンバンクと言われているようなものにつきましては、破綻を処理する場合におきましても、再建を行います場合におきましても、母体行が相当な責任を持ってこれを処理していくということが確かにございます。  そこで問題は、住専がそのような直系ノンバンクと同じような考え方で処理されることが適当かどうかという問題が一つあろうかと思います。先ほど、親が一人であろうと多数であろうと同じではないかという御指摘がございましたが、住専の場合、九十に近い母体行が一つの住専に存在するというようなことがございまして、この場合に一対一でかつ銀行の名前を付したようなノンバンクの場合と同じような処理をすることができるかどうかということについては議論のあるところでもあろうかと思います。  そういう一般の直系ノンバンクの場合と住専の場合の違いというものもあるわけでございますが、そのようなノンバンクの破綻処理において過去の事例を見ましても、破綻処理におきましては母体行または主力行を中心として法的処理を含むさまざまな方策により処理が行われてきているところでございますが、債権全額放棄を超える負担の例は承知をいたしておりません。  ただ、再建のための支援におきましては、みずからの信用に対する影響等を勘案いたしまして、母体のみが負担をし、他の金融機関には負担を求めないというような処理をされている例も見られるところでございます。
  153. 清水達雄

    ○清水達雄君 私も実態的にはそうではないかなというふうに思うんですけれども、どうしてそういうことになるのかという点についてもっとお話をいただきたいと思うんです、どうしてそうなるんだろうかと。
  154. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) どうしてという御質問の御趣旨が必ずしも私、理解をしておらないかもしれませんが……
  155. 清水達雄

    ○清水達雄君 何が理由とか、根拠です。
  156. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) ノンバンクの破綻処理においては、母体を含みます関係金融機関がそれぞれどのような負担を行うかについてケース・バイ・ケースで関係者の合意が形成されるものでございます。  そのケース・バイ・ケースという場合に、母体とその子会社、法律的な厳密な意味だけではなくて広い意味での子会社との関係にかんがみまして、関係者の間でその実情に応じた処理がなされていく、そのような実績が今申しましたようなことになっていると、こういうことかと考えております。
  157. 清水達雄

    ○清水達雄君 銀行のように株式保有制限みたいなものがある企業が子会社をつくるときには、持ち株比率は五%を超えてはならぬというようなことになると、みんな大勢集まらなきゃできないということになってしまうわけですね。普通の会社が子会社をつくるときはそうじゃないものですから、これはもうきちっと始末をするというようなことになると思うんだけれども。だからどうも銀行は、もう子会社をつくったら、余り社会的責任を果たせない子会社をつくることになるというふうなことにならざるを得ないような気がしますけれども、どうでしょうか、その点は。
  158. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) これはその制度の根幹にかかわる非常に難しい問題かと存じます。  子会社というものをつくる以上は、別の人格、別の法人として、株式会社の場合は特に有限責任ということで設立されるものでございますから、制度の趣旨といたしましては、別の法的な主体として運営され、特に最終処理をされる場合にはそのようなことになろうかと存じます。他方におきまして、今御指摘もございましたように、資本関係がある、あるいは経営に参画するというような意味では、単にその出資比率ということだけでない親と子の関係というものが生ずる場合もあるわけでございます。  それを法律的な処理をする場合にどのように反映させていくのか、とりわけ最終的な処理をする場合に何を限度としてどのような処理をするのかというのは非常に難しい問題かと存じますけれども、今までそれぞれのケースに応じまして関係者の間で話し合いがなされ、実態に応じた処理がなされてきたと、このように理解をいたしております。
  159. 清水達雄

    ○清水達雄君 それから、富士銀行の頭取の橋本さんの証人喚問のときに私つくづく思ったんですが、いわゆる株主代表訴訟が壁になっているということに関しまして、結局、株主の利益になるかならないかということだけを一生懸命考えて行動しておられる、物を考えておられるということをつくづく感じたんですよ。  というのは、子会社を再建すれば、それは再建ができ上がれば、これは母体行にとっても利益があることだからいいことだと、常に株主の利益になるかならないか、そのことばかり考えて物をおっしゃっているということをつくづく感じました。  しかし、今度のいわゆる住専問題の処理ということを考えてみますと、これはもう常々政府も言っておりますように、日本の金融システムの安定だとか、それから日本経済の安定だとか、景気回復の足を引っ張らないとか、いろんなそういうことをおっしゃっている。  特に、金融システムの安定ということになると、これは銀行自身の問題なわけですね。つまり、金融システムが崩れてくればその波は非常に多くの金融機関に及んでもう自分たちの商売の環境が非常に損なわれるわけですから、だからそのために負担をするということが、今の株主代表訴訟問題と絡めて言うと、負担をしてもいいという答えになかなかなってこないという感じがするんです。  この点について、これは今までも幾つかこの場でもその点の議論がなされておりますが、つまり自分の業界環境と言ってもいいわけですね、業界全体の問題と言ってもいいわけですけれども、それに対する負担が株主代表訴訟問題で負ける可能性があるというふうに判断されるということは私は非常におかしいと思うんです。その点についてはどういうふうにお考えでしょうか。
  160. 久保亘

    国務大臣(久保亘君) 民間の企業、株式会社の場合に、その経営に当たる者は社会的責任と同時に株主の立場を念頭に置いて経営に当たるということは、これは当然のことだと思っております。  しかし、金融機関のように公共性の高いものの経営に当たってその責任というものをどのように果たすかということは、株主に対する責任と同時に、社会、国民全体に対する責任というものを考えないわけにはいかない、こう思っております。したがいまして、株主代表訴訟をみずからの責任を回避するための盾に使うというようなことは許されないことだと思っております。
  161. 清水達雄

    ○清水達雄君 それで、株主代表訴訟の今までの判例とかいろんなものを見ますと、いわゆる取締役の忠実義務といいますか、こういうので株主代表訴訟が争われている例が多いわけですけれども、この取締役の忠実義務の規定を見ると「法令及定款ノ定並ニ総会ノ決議ヲ遵守シ会社ノ為忠実ニ其ノ職務ヲ遂行スル義務ヲ負フ」というようなことが書いてあるわけです。つまり、会社のために忠実に一生懸命やりなさいということなんですね。  ところが、取締役といいますか、要するに会社の経営、存在というものは社会的責任を果たしていかなきゃならない、そういう事柄が忘れ去られている。これは商法の世界ですからこういう規定にはなるだろうと思うんですけれども、自分の会社のことだけ考えていればそれでいいんだよ、その範囲を一生懸命やっていれば別にとがめられることもないんだよというだけじゃ済まないわけですね、これは。  それで、もし今回のような金融システムの安定のために金を負担することが限界があるとか嫌だとかそういうことが壁になるのであるならば、私は商法の改正も検討して、社会的責任をちゃんと果たせというふうなことも、これは立法としては非常に難しいと思いますけれども、何かそのくらいのことを考えないと今の壁が破っていかれないんじゃないかという気がするんですけれども、この点について法務大臣、どうお考えでしょうか。御検討くださるでしょうか。
  162. 長尾立子

    国務大臣(長尾立子君) お答えを申し上げます。  今お話がございました株主代表訴訟、これの個別の具体的な事案につきましては個別具体的な事情に即して裁判所に御判断をいただくべきことだと思っております。  一般論として申し上げますと、委員からも今お話がございましたように、株主代表訴訟とは、取締役の違法な行為によって会社に損害が生じた場合に株主が会社にかわって取締役の責任を追及するという性格のものでございますから、取締役の会社に対する善管注意義務違反、忠実義務違反等の違法行為の有無が問題になろうと思っております。  今、委員お話は、そのような義務違反の有無、それは具体的には母体行の置かれております状況等諸般の事情を総合して判断されるべきものと思われます。今回の政府の住専問題の処理案、これを考えてみますと、先生からも今お話がございましたけれども母体行をも含めました金融システム全体の安定性の確保を目的としたものでございますので、その点は裁判所の判断に当たって重要な要素として考慮されるものというふうに考えております。  なお、もしこういったケースについて具体的な事例を説明してみろということでございましたら、政府委員の方から説明をいたさせますが。
  163. 清水達雄

    ○清水達雄君 説明してください。
  164. 濱崎恭生

    政府委員(濱崎恭生君) 委員既に御案内かと思いますけれども、具体的な事例を一つ御紹介させていただきますと、これは株主代表訴訟の本案の判断ではございませんで、株主代表訴訟が乱用されるということを防止するという観点から、代表訴訟を起こされた取締役等がその当該訴えの提起が悪意に出たものであるということを疎明して、裁判所に対して原告から相当の担保を提供させるよう求めることができるという制度がございます。  その担保提供の申し立てについての決定における判断の例といたしまして、平成七年九月に出されました名古屋地裁の決定を御紹介させていただきますと、この決定におきまして、裁判所は金融システムの安定性の確保などの点も考慮した上で、当事者でございます東海銀行が、東海銀行の代表取締役であった被告には取締役としての経営判断において許容される裁量の逸脱があったとは言えず、忠実義務、善管義務違反の事実が認められる可能性は著しく低いという判断をしている例がございます。これは先ほど申しましたように、本体の判断ではございませんで、その付随の決定手続における中間的な判断であるということでございます。  なお、立法措置についてのお尋ねがございましたので私から答弁させていただきたいと存じますが、私どもは株式会社一般を対象とする商法を所管する立場にございますので、一般論として株式会社制度について申し上げさせていただきますと、株式会社の制度というのは、株主から会社の経営権をゆだねられた取締役が会社のため、株主のために適切に職務遂行に当たるべきことを制度の根幹としているわけでございます。そういう意味で、会社の取締役等役員が株主の利益を考慮して会社に損害を与えないようにという基本的義務を負っているということは制度の基本であるというふうに考えております。  ただ、そのことと、役員が会社の御指摘のような社会的責任を適切に全うするということとは必ずしも相入れないものではない、会社の社会的責任にこたえることが必ずしも株主の利益を害するということになるわけではございませんし、一般論として言えば、むしろ中期的に見れば株主の利益につながり得るということでございます。  代表訴訟の判断におきましては、そういった点も考慮して具体的事案に応じて適切に判断されるものであるというふうに考えておるところでございます。
  165. 清水達雄

    ○清水達雄君 いろいろ判例が重なっていけば、橋本さんみたいなことにはならなくて済むようになっていくのかなという感じもするわけでございます。  それから次に、この前の証人喚問のときに自民党の関根先生が、富士銀行債権放棄額について五百一億円ではないかとただしたのに対して、いや四百一億円ですと。その差の百億円というのは、言われるニューマネーというやつでございまして、第二次再建計画のときに収益支援のために出した金であって、これを回収するということについては大蔵省の了解も得ているというふうなお話があったわけですが、これについて富士銀行からは文書で回答はしておりますけれども、今申し上げたようなことについて、これは事実でしょうか、大蔵省にお伺いしたいと思います。
  166. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) この点については今まで何回か御答弁も申し上げたと存じますけれども、御指摘のニューマネーと申しますのは、住専各社の再建計画を策定いたしました時点以降に母体が追加で行った収益支援等のための融資のことを指しているわけでございます。これは、母体行が金利ゼロの融資をすることと当該住専がその資金を運用することが一体のスキームとなりまして、その運用益を当該住専に支援して提供するということ自体が目的で再建計画後なされたものでございます。  このような融資につきましては、大口定期等の確実な資産を担保といたしまして取得するとともに、当該住専処理策の対象資産とは別枠の位置づけで管理運営されてきておりまして、例えば破産などの場合にも優先的な弁済を受けるということが明定されている等の取り扱いを受けているものでございます。  このような経緯あるいは法的な位置づけ等にかんがみまして、今回の処理スキームにおいても母体行の債権放棄の対象外とされざるを得ないものと考えているところでございます。
  167. 清水達雄

    ○清水達雄君 それで、そういう約束があり、そういう考え方のもとになされたということですから、それはそれなりにわかるんですけれども、ただこの第二次再建計画なんというのは、もうついえ去っちゃって何ら効果を発揮していない計画なんですね。これは平成五年のときにつくられたわけですが、そういうことになっちゃっているし、しかも母体行は債権全額放棄ということを世の中に宣言しちゃっているわけですから、趣旨は違う金ではあるけれども、やっぱりこれも全額放棄をすると言った方が非常に話がわかりやすいし、私はそうした方がいいんじゃないかという感じがするんです。なぜそこまできっちりと処理をするというようなことになったのか、何かそういう感じが非常にするんですけれども、その点はどうお考えですか。
  168. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) 処理策そのものを策定いたします段階からこのような法律的な位置づけ等も判明しておったものでございまして、関係者の間でもそのような認識が確立をしていたものと私どもは理解しているわけでございます。  損失の分担をどのようにするかということにつきましては、関係者の間におきますこのような認識あるいは法律的な位置づけというものを前提として枠組みを形成するということはやむを得ないものと考えております。
  169. 清水達雄

    ○清水達雄君 このニューマネーというのはいつ融資をしたんですか。
  170. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) 第二次再建計画を設定いたしました平成五年以降でございます。
  171. 清水達雄

    ○清水達雄君 私は、古い話で第二次再建計画も効能を発揮していないんだから、もう全額放棄という看板どおりにやった方が非常にわかりやすかったんじゃないかなという感じがするわけです。  それで、きょうはいろいろ細かいことは言いませんでしたけれども母体行は本来ならば自己責任原則に基づいて処理をすべきである、ところがそれだけ話し合って合意を形成するまでの時間がなかった、しかし早く決着をつけなきゃならない、またその必要性もあるということで今のスキームができたと思うわけでございます。  したがって、今後、予算成立した後で本来の原則に戻った努力を私はやるべきではないかというふうに思っているわけでございますけれども、その意味での母体行の新たな負担、これは久保大蔵大臣がいつも言っておられるわけでございます。例えば鹿児島の記者会見で、いわゆる貸倒引当金の率をふやして、そのかわりにいわゆる預金保険機構の中の金融安定化拠出基金の額を少し積み増してというようなことも一つの案だと思うというふうな記者会見をなさったという報道もありましたし、きのうもテレビを見ておりましたら、予算成立後、住専処理機構ができるまでの間に具体案を詰めなきゃならぬというふうなお話もあったわけです。  大蔵省、事務当局も相当これは努力をされていると思うんです。どんな道筋でこれをやろうとしているか、大体の粗筋みたいなお考えがあれば伺いたいと思うんです。
  172. 久保亘

    国務大臣(久保亘君) 誤解があるといけませんが、私が鹿児島へ帰りましたときの記者会見で申し上げましたのは、たしかその前日でありましたか、ある日刊紙に大変大きな記事で、貸倒引当金の率を上げてそのことによって金融機関の側の負担をしてもらうという考え方、解説の中にあめとむちという言葉も使ってありましたけれども、そういう記事がございました。  このことに関して質問がございましたので、貸倒引当金をどうするかというようなことも一つの考え方としていろいろ論議があることは私も承知していると申し上げたのでありまして、むしろ私が従来から聞いております意見の一つには、貸倒引当金の引当率を下げることによって法人税負担を上げるというような意見の方がおられると聞いております。  だから、私がそのとき申し上げましたのは、追加負担、新たなる寄与ということについてはさまざまな意見が述べられている、しかし今どれかの方策を特定して論議をするという段階に来ているわけではない、だからこの新たなる寄与を行うことについての理解を得られれば、ではどういう方法でやるかという具体的な話になるか、あるいは予算成立した後、具体的に私どもの方からもこういう考え方はどうだというようなことを申し上げて協議に入るか、そういうことをやっていかなければならないだろうと思っておりました。  最も望ましいことは、法案が成立をいたしまして住専処理機構が具体的にスタートできる段階までには、そのことについても結論が出ていれば最も望ましいことであるということを申し上げておりました。今も私はそのように考えております。
  173. 清水達雄

    ○清水達雄君 総理、今までの議論、自己責任原則であるとか、あるいは株主代表訴訟の壁だとか、そんなふうないろんなことを絡めてきたわけですけれども総理も新たなる負担母体行を中心として求めると。それで、法的強制力がある求め方というのはできないだろうから、言うなれば預金保険機構の中の金融安定化拠出基金の額を積み増すとかいうふうなことになるんじゃないかなと思うんですけれども、そんなふうなことの議論に対してどんな感じか、お考えを持たれますでしょうか。
  174. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) これはもう改めて申し上げるまでもなく、衆議院における御議論、そして本院における御議論の中で、金融機関責任母体行とあえて申しますか、一般行まで含めてと申しますか、その責任というものは非常に多くの方々から厳しい御指摘が出ております。このままでいいのかという声も上がっておることは御承知のとおりであります。  今具体的にどうこうと申し上げる状況にはございませんけれども、気持ちの上においてこのままで済むものではないということを責任のある方々が自覚をしていただきたいものだというのが率直な今の気持ちであります。
  175. 清水達雄

    ○清水達雄君 今、総理のお言葉の中で母体行と一般行というお話が出ました。これは、母体行としての立場と一般行としての立場という中でかなりアンバランスな関係が生じているんですね。これは銀行業界の中でもそういう声があります。  例えば、名前を挙げて申しわけないけれども住友銀行などは、紹介融資につきまして、母体行として融資したのは七百三十二億円、ところが一般行たる立場で融資をしたのが千九百五十六億円、合計すると二千六百八十八億円で、損失額は千四百五十三億円というようなことになって、住友銀行一般行として相当な紹介融資をやっている。ところが住友信託は、同じ住友がつくけれども母体行として千五百三十五億円紹介融資をしている。ところが一般行としては三十九億円しか融資をしていない。  今紹介融資の話ですけれども、融資総額でこういう分析をしていきますと、一方は一〇〇%損失負担をする、一方は三兆八千億分の一兆七千億の負担というふうなことになるんですけれども、この辺について事務当局は、何とかうまくバランスがとれるようにするとかいうふうな、今後の問題としてそんな考えはありませんか。
  176. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) 今までの衆参両院を通じての皆様方の御議論におきましても、母体行というものはその設立あるいはその後の運営等において特別の地位にあったのではないかという御指摘でございました。母体行側におきましても、そのようなことを認識いたしまして、債権全額放棄あるいはそれを超える協力をするということを覚悟しているわけでございます。  他方におきまして一般行の問題でございますけれども、これは確かに、御指摘のように例えば紹介融資等によって何らかの責任あるような行為を行ったといたしますならば、それによって損害が生じておりますならば、損害賠償請求によりましてその責任を問うということは制度として可能なわけでございますし、また住専処理機構はそれをきちんとやっていくということを今まで申し上げているわけでございます。  ただ、債権者の立場といたしまして、それでは一般行と例えば系統金融機関の間に差があるのかないのかということにつきましては、これはなかなか難しい問題がある。今回の負担関係におきまして一般行と系統金融機関の間には差がつけられております。しかし、これは債権者の立場といたしまして説明することはなかなか難しい面もある。しかしながら、いろいろな過去の経緯だとかあるいは負担力だとかそういうことを勘案いたしまして、一般行の立場にある人にも最大限の貢献をしていただく、負担をしていただくということで今回の政府の提案を申し上げているわけでございます。
  177. 清水達雄

    ○清水達雄君 結局のところ、この不良債権処理というのは、担保不動産をいわば売却して回収をしなきゃならぬわけでございます。そこで一番大事になるのは、土地の流動化あるいは土地の有効利用を進めるということになるわけでございます。  それで、今度国土庁でいわゆる土地政策推進要綱の新しいのをつくる、こういうお話があります。この点については、私もこれは随分関係してきているわけですけれども、いろんな問題がありました。  例えば清算事業団の用地があります。あれは公的機関が土地取引をするときには国土利用計画法における勧告、届け出制を適用しないという、これは国が行う行為だから何も法律は関与しませんよということになっているわけです。ですから、国鉄用地を売るときはべらぼうな値段がついちゃうわけですね。だから、困る困る、売っちゃ困ると。これはもう橋本運輸大臣、あのときも随分いろいろ議論したわけですけれども、あそこを民間と同じように、要するに届け出、勧告制みたいな仕組みをつくっておけば売れたわけですよ、国鉄用地も、清算事業団用地も。  だから、こういうことも含めまして、かなり思い切った土地政策についての見直しを私は必要とすると思うんですけれども、どんなお考えでいらっしゃるか伺いたいと思います。
  178. 鈴木和美

    国務大臣鈴木和美君) 先生の御指摘の国鉄清算事業団のお話お話と承りまして、これから土地の政策の問題というのは大変重要な課題であるというように深く認識しております。  そのためには、今までも申し上げてまいったわけでございますが、ゆとりある住宅の問題であるとか、住環境の問題であるとか、町づくりの問題であるとかということで、有効利用というのは大変大切だということもずっと述べてまいりました。  特に今まで述べてきたのは、三つを特徴的にお話をしてまいったと思うんです。それは、一つは何といいましても公共用地の先行取得というんでしょうか、そのことと、民間の機構の活性化を促進しましょうと。もう一つは、東京二十三区の協議会と綿密な協議をしながら対策を進めていこう、これだけが今まで強調した中身だと思っています。  それでは具体的にどうもわからぬじゃないか、もう少しそれを具体化するような方法なり発表はないのかということで現在まで検討してまいりまして、先般の土地政策審議会にもお諮り申し上げた中に、私どもといたしましては五つの直接的な有効利用の仕方と間接的な三つの方法というものを発表したところでございます。  先生既にもう御案内だとは思いますが、直接的な有効利用の促進策といたしましては、一つには、街路、公園等の都市計画決定された用地や代替地の取得を早くやりましょうと。それから二つ目には、再開発、区画整理等の開発事業の促進。三つ目に、防災用地の取得の推進等による防災町づくりの促進。四つ目に、密集住宅市街地における建てかえの促進等に関する住環境の整備。そして五つ目には、都心居住を進めるに当たってのプロジェクトの推進に対して支援を行っていこう。これが直接的な課題ではないだろうか。  間接的なものとしては、土地利用の転換にかかわる計画策定などの支援をやること。二つ目には、レインズの活用による土地取得情報整備。そして三つ目には、国土庁がリーダーシップをとりながらもう少し全体の調和をとっていこうじゃないか。こういうようなことを発表いたしまして、先般の土地政策審議会にもお諮りしたところでございます。  いずれにいたしましても、土地の有効利用というものが促進されることは、今日の状況の中では極めて重要な課題であるということを認識いたしておりまして、先生から御指導をいただきながらこれからも推進してまいりたい。  以上、考えているところでございます。
  179. 清水達雄

    ○清水達雄君 次に、金融行政を今後どうしていくかという問題でございまして、非常に多くの議論があるわけでございます。透明性の高い金融行政の実現ということだろうと思うんですけれども、このために一体どんなことをどんなふうに推進していこうとお考えなのか、総理大臣にお伺いしたいと思います。
  180. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 事務的に書きましたものを読み上げれば、およそ味もそっけもないものになります。  ただ、私どもは、先般来繰り返して申し上げておりますように、今回の住専処理というものを金融機関の抱える不良資産問題の解決の突破口としたいということを申し上げてまいりました。そして、今後その預金者利便を図りながら破綻処理を円滑かつ迅速に行うために金融三法案を提出いたしております。  私どもがこれを推し進めていきます目標というものは、今までの金融行政というものが保護と監督というものを中心としたいわゆる護送船団方式でありましたものを、今大きく変化しつつある金融市場というものの実態に合わせて、自己責任原則という、言葉は簡単でありますけれども非常に中身の重いもの、そして市場規律の十分な発揮というものを軸にして透明性の高い金融システムをつくり上げること、これが我々の努めていくべき目標であると考えております。
  181. 清水達雄

    ○清水達雄君 次に、住専絡みの問題を終わりまして、景気対策の問題でございます。  景気も上向きには来ているようですけれども、はかばかしくはいってないわけです。今は去年の第二次補正予算経済対策による公共投資なども非常に効いてきていると思うんですけれども、これがなくなったことしの後半がどうなるかという問題、それからもう一つは、消費税率の五%への引き上げ、それから特別減税を廃止するかどうかといった来年に向けての見通し、こういうものを考えて、やっぱり秋以降の景気動向というのは非常にきちっとよく見ていかなきゃならぬし、必要な対策は早目に打っていかないといけないというふうに思っているんです。今の状況から考えて、様子を見なきゃいけませんけれども、秋ごろに何か対策が必要ではないかなというふうに私は思っているんですが、その辺についての見通し、それから八年度の成長率二・五%というのは大体達成できそうな状況にあるのかどうか、その辺を経企庁長官にお伺いしたいと思います。
  182. 田中秀征

    国務大臣(田中秀征君) 景気が秋になれば息切れをするんじゃないかという、そういう一部の声は承知しているわけです。心配もしております。  先生御承知のように、本年度予算も七年度の当初と比べて公共事業は四%増でございますし、また、ただいまのお話にありましたように、昨年の補正予算が年度をまたいで効果を発揮している、そういう状態であります。全体的に見て、平成八年度も公共投資は高水準で推移するものというふうに受けとめておりますが、それでよいのか、二・五%大丈夫なのかという話になりますと、また話が違うわけで、午前中から申し上げておりますように、いろんなハードルを越えていかなければいけないというふうに思います。  また、今度こそ、この景気回復を本物にしなければいけない、もうチャンスはないだろうとまで私は思っておりますから、万全の対策を講じていかなければいけないというふうにも思っております。ですから、さまざまな形で適切に機動的に追加対策を講じていかなければいけないというふうには思っております。  ただ、それが過度の負担を財政に強いるというような形のもの、これはできる限り避けなければいけない。申し上げるまでもなく大変厳しい財政状態でありますし、私が心配しているのは、景気がちょっとうまくいかないかなという形になると、すぐ公共事業の追加ということになりますと、これは本筋の解決策にはどうしてもならないわけですから、構造改革や規制緩和への決意や取り組みを鈍らせる、そんなことにもなりはしないかという心配もいたしております。  いずれにしても、真水を大量に導入するというような形での追加対策というのはなるべくならばやらないで済まして頑張っていかなきゃいけない。したがって、構造改革、規制緩和に一段と強い姿勢で取り組んでいかなければいけないというふうに思っているところです。来年予定どおり消費税の税率アップあるいは特別減税を廃止するということになれば、ますますことしは重要な年になると、そのように思っております。
  183. 清水達雄

    ○清水達雄君 問題は設備投資の動向だろうと思うんです。これはかなり上向きそうな状況にあるのかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
  184. 田中秀征

    国務大臣(田中秀征君) 一言で申し上げると、設備投資にも明るい動きが出てきていることはいろんな経済指標で読み取れるところです。最初は製造業中心あるいは大企業中心でありましたけれども、最近はこれが非製造業あるいは中小企業の方にも広まっていく、そういう期待感を持たせるような数字が見られます。中小企業は一番心配していたんですが、景況感ということになりますと先行きに対して明るい見通しがわずかずつ出てきている、そういう状態でありますけれども、雇用情勢とあわせて一番心配しているところであります。
  185. 清水達雄

    ○清水達雄君 次に、総理大臣に日米安全保障絡みの話で、いわゆるガイドラインの見直しの問題でございます。極東有事の際も含めた具体的な検討に入るというふうには伺っているわけですけれども、今後どのようなスケジュールで作業を進めて、いつごろ答えが出るんでしょうか。
  186. 池田行彦

    国務大臣(池田行彦君) 我が国の周辺地域で我が国の平和、安全に重要な影響を与えるような事態が発生した場合に適切な対応をとることは当然でございまして、具体的にその場合にどのようなことをすべきなのか、あるいは何ができるのか、こういったことをできるだけ具体的に研究、検討していくことは不可欠でございます。  そうしまして、そのような場合の我が国の対応の中におきまして日米の協力という点が非常に重要な要素になる、こういう観点から、先般の日米首脳会談において発出されました共同宣言におきましても日米防衛協力のための指針、いわゆるガイドラインの見直しを開始することを明らかにしたところでございます。  そのガイドラインの具体的な見直しのタイムテーブルといいましょうかスケジュールいかんという御質問でございますが、現在のところ個別具体的な協力内容につきましては今後検討を進めるということになっております。したがいまして、具体的にいつまでに検討の結論を出すか、この点は現時点においてまだ決まっているわけではございません。  いずれにいたしましても、今後この問題に真剣に取り組んでまいりまして、我が国のそういった事態における対応に誤りなきを期すための研究を進めてまいりたい、こう考えている次第でございます。
  187. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 仄聞いたしますと、今各党の中でもさまざまな立場でこの問題についての検討を始めていただいておると承知をいたしております。  政府としての体制は外務大臣から今御報告を申し上げたとおりでありますが、我々はいずれにいたしましても憲法という我々の一つの大きなルールの中で、自分たちのできることできないことをきちんと整序し、内容を明らかにしていこうとしているわけでありまして、国会からの御協力をもこの機会に心からお願いを申し上げます。
  188. 清水達雄

    ○清水達雄君 次に、普天間飛行場の返還に伴いまして、その機能の受け入れ先である岩国、嘉手納市との折衝状況はどうなっているのか、今後どのような場で地元自治体と折衝していくのか、これが一つと、それから周辺対策充実につきましてどのような対策を講じようとしていくのか、お答えをいただきたいと思います。
  189. 臼井日出男

    国務大臣臼井日出男君) SACOの中間報告の実現に当たっては、移転先の地元の御理解と御支援、御協力というものが不可欠であるというふうに考えております。これら移転先となる関係自治体等からいろいろな御意見があることは、当庁といたしましても十分承知をいたしているところでございます。  防衛庁といたしましては、所要の施設の移設を含めた中間報告の措置を実施に移すためには、本土を含む地元関係者の皆様方の御理解と御支援が得られるように最大限の努力をいたしてまいりたい、このように考えております。このため、普天間飛行場の返還を中心として、関係省庁及び沖縄県の代表者によるタスクフォースを設置いたしまして問題の解決を図っていきたい、こう考えております。その第一回目の会合を五月九日に開催いたすということになっております。  普天間飛行場の返還というものは沖縄県及び沖縄県民の強い要望を背景としてなされたものでございまして、その実現には今後沖縄県を含めた関係者による最大限の御努力をちょうだいするということが不可欠である、このように思っております。  また、山口県岩国市等からは、今回の移駐が将来の基地の強化につながるのではないかという懸念の表明もされております。当庁といたしましては、この措置は普天間飛行場の返還を解決するものであること、そしてそれと同時に岩国飛行場の騒音について配慮したものであることでもございますので、関係自治体に対しては基地強化を意図しているものではないということを十分御説明申し上げまして理解を求めてまいりたい、このように考えております。  中間報告に取りまとめられております措置を確実に実施するために、四月十六日の閣議決定の趣旨を踏まえ、法制面及び経費面を含め総合的な観点から早急に検討を行いまして十分かつ適切な措置を講ずることが必要である、こういうふうに考えております。いずれにいたしましても、地元関係者の御理解を得て本件問題の解決が促進されるように誠心誠意努力をいたしてまいりたい、このように考えている次第でございます。  また、次に御質問の周辺対策の件でございますけれども、極めて厳しい財政状況のもとでございますが、防衛施設の新たな措置や運用の態様の変更等に当たって、今後とも防衛施設の安定的な使用等に支障を生じないように防衛施設周辺対策の事業に積極的に取り組んでまいりたい、このように考えている次第でございます。
  190. 清水達雄

    ○清水達雄君 次に、楚辺通信所の緊急使用不許可問題でございます。  これは緊急使用が不許可とされたわけじゃないですけれども、不許可になりそうだというふうな話なんですが、こういうふうな状況を見ていますと、現行の米軍用地の確保対策につきましてはなかなか円滑にいくことが難しいんじゃないかなというふうに思うわけでございます。  結局、収用委員会は独立した機能を持つ委員会ですから、機関委任事務であっても国からの指導監督もできないとかいろんなこと、そういうふうなことでございます。建設省の所管で特定公共事業の特別措置法というのがあって、収用委員会が二カ月以内に収用裁決をしないときには建設大臣が収用裁決を代行するという規定もあるわけですね、特定公共事業について。特定公共事業にはそういう特別措置があるんだけれども、いわゆる米軍用地といいますか、駐留軍用地についてはそれがないと。  しかし、安全保障を確保するという点からいったら、道路や河川や空港よりもその必要性が少ないとも言えないんじゃないかという気もするわけです。ですから、私は特定公共事業の特別措置法のような法制度をつくって、総理大臣が収用裁決の代行権限を持つというぐらいのことをやらなくてはいけないんじゃないかなという感じがするんですけれども、これにつきまして防衛庁長官総理のお考えをお伺いしたいと思います。
  191. 臼井日出男

    国務大臣臼井日出男君) ただいま委員お話しのとおり、楚辺通信所につきましては三月三十一日に使用期限が終了いたしました。たった一人の所有者の件によりまして本件が使用権原がない状態になっているということは大変残念なことでございます。  本件の土地につきましては、去る三月二十九日に沖縄県の土地収用委員会に緊急使用申し立てを行ったところでございまして、その法律の趣旨にのっとりまして円滑かつ速やかに許可がいただけるように心から期待をいたしているところでございます。政府といたしましては、できる限り早く駐留軍用地特措法に基づく使用権原が取得できますように引き続き最大限の努力をいたしてまいりたい、このように考えております。  先ほど委員お話しの点につきましては、なお法律的な整備を図るべきではないかという御意見でございましたが、一般論として申し上げれば、駐留軍用地特措法に基づく手続のあり方について幅広く勉強しておくべき課題だと考えております。
  192. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 前にも本院で御答弁をしたことがございますが、私はこの駐留軍用地特措法の中に緊急使用申し立ての手続が盛り込まれていること自体、今回のような事態を避けるために組み込まれていたルールである、そう理解をいたしてまいりました。  そして、今回三月三十一日限りで使用権原が国からなくなるという一部の土地が出ました段階におきましても、私はこの法律のもとにおける緊急使用申し立てについて土地収用委員会がその法律の趣旨にのっとって円滑かつ速やかな許可をお認めいただきたいと心から願ってまいりました。現時点におきましてもなお収用委員会の御議論は続いておるわけでありまして、この姿勢を私は変えるつもりはありません。  ただ、全く違って、防衛庁長官からも今お触れになりましたけれども、国と地方との権限というものが地方分権の論議の中で改めて提起をされております。私は、そうした議論の中から、一般論として国と地方自治体の権限というものが整序される、その中において必要なものは国の権限として規定をされていくといったことも今後分権の議論と並行して論ぜられるポイントの一つかな、そんな思いは持っております。
  193. 清水達雄

    ○清水達雄君 これは大変難しい問題ですし、基地があるところの住民の感情とかいろんなことを考えても、総理がおっしゃるようなやり方が大変いい考え方かもしれないなという感じがいたします。  それで、今おっしゃいました地方分権問題なんですけれども、機関委任事務の全廃という方針といいますか、そういうことでいろんな作業が今続けられているわけでございます。機関委任事務をやめて自治事務と法定委託事務というんですか、そういうものに分けろというふうな話になっているわけですが、これについては非常にいろいろな議論意見があるわけです。例えば、河川なんというのをとってみますと、河川というのは大きな川が支川から何から皆つながって、一つのいわば生き物として動いているものですから、これをどういうふうに分けるかなんという話は非常に難しい話だと思うんですけれども、そういう問題もあります。  それからもう一つは、地方の事務がふえるということはそれだけ責任が重くなるということですし、それに耐えられるだけの地方公共団体になつているか、なり得るかということがあります。また、金もかかることですから財源が確保されなければならないということがあります。特に市町村の場合、都道府県に比べて非常に人口規模の格差なんかもありますし、あるいは行政能力の向上、マンパワーの育成とかいろんなそういう問題も絡んでくるということで、受け皿整備につきまして、自治大臣、どんなふうなお考えであられるのかお伺いしたいと思います。
  194. 倉田寛之

    国務大臣(倉田寛之君) 清水委員から多岐にわたる御質問でございますので、逐次簡単にお答えを申し上げていきたいと思います。  今回の地方分権推進委員会の中間報告につきましては、私が申し上げるまでもなく、長年にわたって形成をされて定着してまいりました現行の中央集権型行政システムを変革いたしまして、新しい地方分権型の行政システムを構築して定着してまいりましょうという意気込みを強く感じているところでございます。  中間報告におきましては、国と地方公共団体とが国民福祉の増進に向かって相互に協力する関係にあることはもとよりであるというふうにしつつ、真の共同、協力の関係は、国と地方公共団体との行政権限と行政責任の所在が明確に区分をされ、かつ両者の関係が上下、主従から対等、協力の関係に大きく変化して初めて可能となるとの考え方を示して、その上で機関委任事務制度の廃止後の新たな事務区分を提言されているものと理解をいたしているところでございます。  今後の地方分権推進委員会におきます中間報告をもとにした引き続いた協議が熱心に続けられ、審議が深められていくものと思料いたしますが、地方分権推進法に則しました実りある成果を上げることができますように強く期待をいたしているところでございます。  また、御指摘にありました自治体の財源の安定的な確保が重要であるという御意見は、そのとおりに存じます。地方団体がそれぞれの実情に即しまして事務事業を自主的、自立的に執行いたしまして、住民の福祉を高めることができますように事務配分に応じた地方税財源を安定的に確保していく、その財政基盤を確立することは極めて重要でございます。  委員御案内かと存じますが、先般の税制改革におきまして、地方分権を推進し、さらに地方税源の充実を図るために地方消費税を導入することといたしたところでございます。税制改正に当たりましては、地方税の充実強化、また国庫補助負担金の整理合理化などに当たりましては、これに伴います国から地方への税財源の移譲を図るなどいたしまして、その充実強化には最大限努力を払ってまいりたいと考えておるところでございます。  いずれにいたしましても、地方分権推進委員会におきまして地方分権の具体的な指針づくりが行われるところでございますので、この審議であるとか税制調査会の審議も踏まえまして、国と地方の役割分担に応じました地方税財源の一層の充実強化を図り、地方分権の推進に努めてまいりたいというふうに思う次第でございます。  市町村の合併につきましては、基礎的な地方公共団体でございます市町村の行財政能力を強化していくためにも、合併協議会の設置に係ります住民発議制度の創設であるとか、合併市町村の建設に係ります財政措置を初めといたします行財政上の特別措置を盛り込みました昨年の四月一日から施行いたしております市町村の合併の特例に関する法律、昨年一部改正を行っていただきましたが、この法律を適切に運用させていただきまして、自主的な市町村の合併を推進してまいりたいというふうに考えております。  広域行政の需要につきましては、広域連合等の広域行政制度の積極的な活用をさらに推進させていただきたいと考えているところでございます。  また、マンパワーの充実確保につきましても、時代の変化に対応いたします人材の育成が必要であることは言をまちません。現在ございます市町村アカデミーであるとか自治大学校であるとか、効率的に運用いたしまして、研修機会の多様化であるとか研修レベルの向上であるとか、計画的な専門職の確保に努めてまいりたいと考えておるところでございます。  以上のような観点を踏まえながら、地方の行政体制の整備確立を図ってまいりますために、今後とも積極的に取り組ませていただきたいと考えているところでございます。  いささか答弁が長くなりましたが、御理解のほどお願い申し上げます。
  195. 清水達雄

    ○清水達雄君 大分時間がたちまして、本当はあと一つ厚生大臣に薬事行政のお話伺いたかったんですけれども、ちょっと今大変お忙しいところでありますし、また後で機会があると思いますので、きょうはこの辺でやめさせていただきます。申しわけありません。  終わります。
  196. 井上裕

    委員長井上裕君) 以上で清水達雄君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ―――――――――――――
  197. 井上裕

    委員長井上裕君) 次に、白浜一良君の質疑を行います。白浜一良君。
  198. 白浜一良

    ○白浜一良君 本委員会の審議もいよいよ締めくくり総括というところへ参りました。総理、あすで本委員会も終わるということでございますが、三十分時間をいただいておりますので総括的な質問をしたい、このように思っております。  本題の住専、金融問題に先立ちまして、総理に二点だけちょっと確認したいことがあるんです。一つは安保、沖縄問題、もう一つは行政改革についてお伺いをしたいと思うわけでございます。  ただいまも清水委員からいろいろ質問がございました。いわゆるSACOの中間報告が四月十五日に発表されまして、この発表以後いろいろなことで物議を醸しているんですね。  ちょっと具体的なことを、これは防衛庁ですか、お伺いしたいと思いますが、例えば普天間の飛行場が返還されると、総理御苦労さまでございました、この問題は。しかし、それに伴って沖縄県内で代替地が必要だ、こういうふうに言われております。それからKC130ですか、空中給油機、この基地が岩国にという話が出ているわけですが、この辺の事実関係、ちょっとわかっている範囲で全部言ってください。  要するに、この海兵隊の普天間の飛行場にかわる代替地というのは、ヘリポートだけれども実際は千五百メーターぐらいの滑走路が要る、名古屋空港ぐらいの広さが要るんだと、こう一般的に報道されているんですが、政府から何の発表もなしに一方的にマスコミで報道されるということに対して、大変これシビアな問題で国民は不安になるんですよ。だから、この辺の事実関係、まず一遍はっきり述べてください。
  199. 折田正樹

    政府委員(折田正樹君) 四月十五日に特別行動委員会の中間報告が出されました。これは総理とモンデールとの間での合意を踏まえたものでございます。  その中間報告の中におきまして、今後五年から七年以内に十分な代替施設が完成した後、普天間飛行場を返還するとしておるわけでございます。これは施設の移設を通じて、同飛行場の極めて重要な軍事上の機能及び能力を維持した上で返還するという趣旨でございます。このためには、沖縄県における他の米軍の施設及び区域におけるヘリポートの建設、それから嘉手納飛行場における追加的な施設の整備、それからKC130航空機の岩国飛行場への移駐並びに危機に際しての施設の緊急使用についての日米共同の研究が必要となるということでございますが、具体的にヘリポートがどのようなものであるか、それから追加的施設というのはどういうものであるかということはこれから日米間で協議していく事項でございまして、何らかの形で日米間で話が固まったということはございません。
  200. 白浜一良

    ○白浜一良君 そういうことだからだめなんですよ。もう全然何も言えへんで。  きょうのこれ読売新聞でございますけれども、社民党の上原副党首が訪米されたと。こういうふうにはっきり、アメリカの要求は千五百メーターの滑走路だと、ここまで公になっていることがなぜ言えないんですか。こういうことが非常に不信感を、こういう要求があったというぐらい言っていいじゃないですか。認めるか認めないかは日本政府として考えればいい話であって、そういうことを一切言わないということに問題があるんですよ。
  201. 折田正樹

    政府委員(折田正樹君) 私どもその新聞記事は承知しておりますけれども、具体的に千五百メートルの滑走路云々という要請が政府レベルであったという事実はございません。
  202. 白浜一良

    ○白浜一良君 じゃ、防衛庁長官、この上原副党首がマーティン・スティールという向こうの企画政策局長ですか、その方との対談の中で、アメリカの要求はそうだと、こういうふうに明確に書かれていることはどういうことなんですか。あなたは政府として交渉していないかもわからないけれども、実際訪米された上原さんがこうおっしゃっているじゃないですか。これはどうなんですか、事実関係は。
  203. 池田行彦

    国務大臣(池田行彦君) 先ほど政府委員から御答弁申し上げましたけれども、具体的にどういうふうな施設をどういうふうにやっていくかという話は、これからSACOあるいはその上にございます日米間の正式の機関で話し合っていくわけでございまして、そういったところでは今まだそのような具体的なことは話題になっていない、こういうことでございます。  それで、委員御指摘の報道については、上原先生が訪米されたときに、会談の中であるいはいろいろなことが話題になったかもしれませんけれども、しかし仮に何かがあったとしても、それは決して米国のきちんとした正式の要望という性格のものじゃございませんし、また我々承知しているところでは、米側においてもそういうものは何も固まっていない、こういうふうに理解しているところでございます。
  204. 白浜一良

    ○白浜一良君 そういうことじゃなしに、要するに代替地の内容を多分おっしゃったと思うんですよ。普天間にある海兵隊のヘリ基地というのは、これは実戦部隊ですから千五百メートルぐらいの滑走路のある基地が必要なんだと、どこにつくるかは別ですよ、そういう要望があったという事実を、あなたはそうおっしゃるけれども、それは認めていいんじゃないんですか。
  205. 池田行彦

    国務大臣(池田行彦君) 普天間飛行場返還のために一体何が必要かという話の中で、ヘリポートの移設といいましょうか、それは出ております。しかし、それが具体的にどのような形のものかと、例えば何メートルなんということはこれは決まっていない、そういうふうに申し上げておるわけでございます。ヘリポートについてはいわば必要な措置の一つとして当初から出ているということは先ほど北米局長も御答弁したと、このように考えております。
  206. 白浜一良

    ○白浜一良君 総理、こういう話は微妙な話で、必ずしも交渉過程にある問題すべてを公表できない問題があるのは私も承知しております。極東の平和を考えた場合に、日米安保体制が基軸だというのは私どももよくわかるんですよ。しかし、この在日米軍基地を考えた場合に、その重要性が増せば増すほど住民の協力というのがなければやっていけないんですよ、これは絶対に。  そういうときに私が思いますのは、住民の代表も参加した協議機関をつくってきちっと決めるということ、それから一定程度の情報開示はするということがなければ、およそ住民の協力を得ることは、政府がどんな立派なプランをつくっても住民は反対すると思いますよ。そういう問題として私は具体的にこの問題をお聞きしたわけでございますが、総理のお考えはどうですか。
  207. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 先ほど来、上原衆議院予算委員長の訪米の御報道の中にあります部分を引用してお尋ねがございました。私自身がモンデール大使、マイヤーズ司令官と最終的に交渉した責任者であります。当事者でありますから改めて申し上げますが、ヘリポートの機能を現在ある沖縄県内の他の基地に移すということはその時点で出ております。しかし、そのために必要な面積あるいは特定の地域といったものはその時点で議論には出ておりません。そして、その内容を当然ながら大田知事に私がお電話をいたしましたときにも、場所でありますとかそういう問題については申し上げるものを持っておりませんでした。  ただ、先ほど来いろいろな角度から新聞記事のお話が土台になって御議論がありますけれども、現在の普天間の滑走路は二千八百メートルであります。少なくともそれを相当程度小さくすることはできる。今他の国内の空港施設と比しての御議論を一方で出されておりました。しかし、現実に二千八百メートルの滑走路が、その後、正式な米軍あるいはアメリカ政府からSACOの中間報告後の作業の再開について具体的な連絡があったという報告を私はまだ受けておりませんけれども、仮にその報道のとおりでありましたとしても、現在よりはるかに小さなものになるということだけは間違いないと申し上げてよいと思います。
  208. 白浜一良

    ○白浜一良君 それは普天間飛行場が返還されるという大きな出来事ですから、代替地も当然それよりスケールの小さなものでということは、それはそれなりに成果だと私も認めますが、もう少し説明されないといかぬということを私は言っているわけで、絶対住民の協力なんか得られないですよ。  それで、先ほど防衛庁長官お話しされていました。あす沖縄でタスクフォース、作業部会が行われると、そういう話。要するに、関係……
  209. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) ここで。
  210. 白浜一良

    ○白浜一良君 ああ、東京で。
  211. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 沖縄県じゃなくて。
  212. 白浜一良

    ○白浜一良君 いやいや、沖縄県も入れた作業部会という意味で私は言っているんです。  普天間の飛行場は沖縄基地内に移転ということですから、当然沖縄県、また関係の市町村の協力を得にゃいかぬわけで、そういう部会でいろいろ協議される。それはやっぱり住民にはね返るわけですから、そういうものが非常に私は大事だと思いますね。そして、こういうことを多分アメリカのマーティン・スティールさんという方がおっしゃったんですよ。でないと、これは上原さんがおっしゃるわけないわけで、どれだけ根拠があるかは別にして、おっしゃったからこういう記事になっていると思うんです。  だから逆に、こういうことは約束していないんだというんじゃなしに、むしろそういうことを日本から、住民の声も聞いて、政府として積極的に広報するということは私は非常に大事だと思う。一方的にアメリカから、それは事実か事実でないかは別にして、こういうたぐいのことが報道として流される、日本国民は受け身的に聞かざるを得ない、何も聞いていない、どうなっているんだと、総理、絶対こうなりますよ、国民の意識としては。  ですから、住民の協力という観点から申し上げましたら、これ以上はやめますけれども、岩国基地の問題もそうなんです。県とか市の関係者も含めた協議会をつくってほしいし、十分そこで情報を与えて協力を得るという流れをぜひともつくっていただきたい。その基地が日本国の平和と安全のために欠かせないようなものであればあるほど住民の協力が必要だからこそ、そういう丁寧なプロセスが大事じゃないかという意味で私は申し上げているわけで、その点で総理のお考えを聞かせてもらえますか。
  213. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 先日、山口県知事と岩国市長にお願いをし御上京いただきまして、改めて連絡の不備とともに私のできる限りの御説明を申し上げました。そして、おわびをするとともに、今後の御協力をお願い申し上げました。県また岩国市としてはそれで納得をされたわけではもちろんございませんでした。ただし、今後の対応について地元として、地元で十分相談をした上で、改めて自分たちの考え方を防衛施設庁の方に持っていくというところまでほぐしていただけたと思っております。  そして、こうした点の連絡が悪かった、あるいは事前に知らせるべきであったというおしかりは、私は甘受いたします。しかし、委員が今例にお引きになりました報道一つでありましても、私は上原委員長がお会いになった方がどういう方かよく存じませんけれども、それが報道されました途端にどれほど大きく関係者の間に心配の念を呼び起こしたりあるいは動揺を与えたりするか、御理解がいただけると存じます。  そして、少なくとも私は、日米首脳会談に向けて沖縄県知事の御要請としては、普天間基地の返還に対して日付を入れてほしい、これだけはぜひということを言われて交渉をいたしました。そのぎりぎりの中でさまざまな条件が行き来いたしましたもの一つ一つ御連絡をしなかったのが悪いというおしかりであれば、おわびをする以外にありません。また、これは現に知事にも後におわびを申し上げたことであります。特に山口県及び岩国市には、私は本当にこれは、私自身ばたばたしておりましたためにそこまで思いが至らなかったというのは申しわけなかったと思います。そして、情報はできるだけこれからも開示をしていくつもりでありますけれども、政府として公表のできるものはやはり相手の政府から正式に受け取ったものでなければならないこと、それは御理解がいただけると思います。  そしてタスクフォースも、今お話がございましたように、沖縄県は副知事さんあるいは政策調整監をこの中に加えてくださることになりました。この中で隔意のない話し合いが進むことを私としても願っておりますし、でき得る限り情報の開示は必要な途次努めてまいりたいと思います。
  214. 白浜一良

    ○白浜一良君 沖縄はこういう作業部会ができているんですが、ちょっと確認のために申し上げますけれども、この候補地になっている山口県、岩国市とか、そういう自治体関係も何らかの協議機関というものを設けて調整されていきますか。
  215. 諸冨増夫

    政府委員(諸冨増夫君) 山口県からは、先日、五月二日に県知事さんと岩国市長さんが私ども防衛庁長官のところにお見えになりました。その場で、やはり国との協議機関みたいなものをぜひつくってくれという御要請がございました。そして、そのレベルは沖縄で現在タスクフォースとして私どもつくっておるレベルと違って、県と施設庁レベルといいますか、私どもの出先に広島施設局というのがございます。そこの広島施設局と県、それから私ども本庁レベルのしかるべき者を入れて十分事前にいろんな問題点について検討しよう、こういうことで現在話し合いが進んでおりまして、来週早々にも発足したいと、このように考えているところでございます。
  216. 白浜一良

    ○白浜一良君 重要な問題は総理にも報告していただいて、適切に対応していただきたいと思います。  それから、もう一つこの住民の協力という意味でぜひとも総理に御尽力いただきたいなと思いますのは、地位協定の問題なんです。  実は昨年の臨時国会のときに、当時村山総理でございましたが、私ども随分これ議論をいたしました。やはり住民が安心できるような、地位協定の運用の改善運用の改善とはよく言うんですね。今回へSACOの中にもその地位協定の運用の改善は明記されているんです。しかし、地位協定そのものの見直しというか、ここが触れられていないんですよ。  私は、この地位協定、特に昨年議論した中身は御案内のとおり十七条の五項(c)の問題で、米軍基地は全世界にございますが、ドイツやイギリスと比べると非常にやっぱり日本の方が劣っているというか、そういう内容がございまして、この辺は住民の協力という面では総理におかれましてもぜひとも尽力されるべきじゃないかと、私はそのように考えているわけですが、総理、どうでございましょうか。
  217. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今の御質問に対して、私は二つの点からお答えを申し上げたいと思います。  昨年秋、あの非常に不幸な事件が発生いたしました後、確かに委員から大変強い、その他の方々からも大変強い御議論がございまして、刑事裁判手続に関する特別専門家会合の検討の結果、昨年の十月二十五日、合同委員会合意というものがまとめられました。そして、この結果、米軍人等による凶悪な犯罪については、日米合同委員会に提起することによって起訴前にも被疑者の身柄が引き渡される道が開かれたわけであります。  しかし、地位協定との関連で往々にしてこの問題だけが、議員の御議論は拝見をいたしました、そしてそうではないことは承知をした上で申し上げたいと存じますが、地位協定に関連しては沖縄県からはこの刑事裁判手続ばかりではなくさまざまな御意見をいただいております。そして、今までにも沖縄米軍基地問題協議会などの場で県側の御意見伺いながら、できるものから拾い上げる努力をしてきました。  先般のSACOの中間報告におきましても、例えば嘉手納飛行場及び普天間飛行場における航空機騒音規制措置、これが確認をされた、あるいは嘉手納飛行場についての海軍駐機場の移設あるいは遮音壁の設置についての合意、幾つか地位協定の運用の改善措置が発表されてきております。  政府としては、当然のことながら、沖縄県民ばかりではなくこれは基地周辺に住まわれるすべての方に共通することでありますけれども、特に沖縄県の場合、非常に大きな負担を背負っていただいているその重荷を少しでも軽減すべく全力を尽くしていくつもりでありますし、まず私どもとしては委員の御指摘にもありますSACOの中間報告の措置を具体化していくことにこの問題では全力を挙げたいと考えております。  と同時に、共同宣言の中におきまして、我々は、地位協定そのものがもし本当に見直しを必要とするときに、その議論の行える道はつくったつもりであります。従来、そこに至るには大変な問題があるということになっておりました。しかし、日米の両首脳として両国政府がさまざまな努力を払っていく中に、そうした問題を生じる可能性をも考慮に入れながら、地位協定そのものを明記はいたしておりません。むしろ、そういう事態が起こらないことを私は願います。運用でどんどん現実的に処理できることがいいとは思いますけれども、必要な場合に議論ができる仕組みは用意したつもりであります。
  218. 白浜一良

    ○白浜一良君 私も、言いましたように運用の改善でどんどん改善されていくのはいいわけですが、今含みのあるお話、御答弁をいただきましたけれども、具体的なこの十七条五項(c)のいわゆる身柄の拘束は起訴をされるまで米軍が持っているという、これは要するに不平等だと、ドイツやイギリスとは違うという、ここが住民の側からすると非常に不平等感がするわけで、それはすぐに解決されないかもわかりません。しかし、米軍のヨーロッパにおける危機、それとドイツとかイギリスの協定を見ましたら、この部分が非常に劣っているんですよ、日本の地位協定が。だから、当分そういうことも含めて、総理は含みのあるお話をされましたけれども、やっぱり住民の協力という観点からここの項目は避けて通れない、私はそういうように認識しているわけです。  総理に重ねて御答弁をお願いしたいと思います。
  219. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 十七条五項の(c)に関して、刑事裁判手続に関する日米合同委員会合意そのものを、文書を読み上げることをお許しいただきたいと存じます。  一 合衆国は、殺人又は強姦という凶悪な犯罪の特定の場合に日本国が行うことがある被疑者の起訴前の拘禁の移転についてのいかなる要請に対しても好意的考慮を払う。合衆国は、日本国が考慮されるべきと信ずるその他の特定の場合について同国が合同委員会において提示することがある特別の見解を十分に考慮する。  二 日本国は、同国が一にいう特定の場合に重大な関心を有するときは、拘禁の移転についての要請を合同委員会において提起する。 これが合意文書、その文章そのものであります。  そして、私は、これによって起訴前に被疑者の身柄が引き渡される道が開かれた、そう信じておりますし、むしろこうした条文が、新たな解釈が実際に使用されるような事態が起こらないことを心から願います。
  220. 白浜一良

    ○白浜一良君 もう一つ、申し上げました行政改革について、総理、基本的なお考えをお聞きしたいんですが、五月二日に御党の行政改革推進本部の幹部会ですか、そこで行政改革を推進しよう、こういう指示をされたと報道されておりますが、橋本総理の行政改革そのものに対する基本的なお考えを伺いたいと思います。
  221. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私は、比較的若い議員のころ、自由民主党の中にありました、当時は行財政改革特別委員会でありましたが、引き続き行財政調査会となりましたその組織の中にずっと籍を置き、今日に至っております。  そして、私自身がそのような思いを最初に持ちました理由は、その時点では今日ほどの高齢化が進んでいたわけではありませんけれども、既に昭和四十年代の終わりに近くなりますと、敗戦後、言いかえれば人生が五十年になるかならないかの時期に設計された行政の組織というものが、既に人口の高齢化に伴って必ずしもうまくワークしないケースを見聞きするようになりました。そして、その人生五十年時代に当てはめて設計された行政の仕組みというものを人生七十年時代、八十年時代にふさわしいものに変えていくべきではないかというとらえ方をしたのが最初の切り口であります。そして、私は今日も、人口構成の変化という要因はほかのいかなる要因を無視しても行政改革が行われなければならない最大の要因であると考えております。  しかも、その上に、今日非常に大きな社会経済の揺れ動きます中で我が国の高コスト構造が問題となり、構造的な課題というものが、新しい事業展開がなかなかうまくいかない、あるいは産業の空洞化の進展といった事態を招いております。そして、いつの間にか、投資して引き合う魅力のある国という地位を我が国は失いつつあります。  こうした側面からいきましても、我が国の経済の将来に対する展望というものをより透明なものにしていく、不透明感を払拭していく、そして中長期的に将来を展望していこうと考えましても、産業構造というもの一つをとらえましても大規模な構造改革は避けて通れません。そして、そのためには行政改革はどんなことがあっても私は必要だと思います。  鳴り物入りで特定のものだけをクローズアップするのではなく、それには規制緩和も中央省庁も、地方分権さらには逆に地方にお預けをしている権限の中で国が責任を持つべきものが何かも含めまして、さまざまな角度の問題が必要になります。こうしたものを総合的にどうバランスをとりながら進めていけるか、先日、我が党の中でそのような議論を真剣にいたしました。
  222. 白浜一良

    ○白浜一良君 基本的なお考えを伺いましたが、前村山総理も行革がこの内閣の命だとおっしゃりながら、結果的にはいわゆる特殊法人の若干の統廃合しかできなかったと言うたら失礼な話でございますが、私は率直にそう思います。  再び橋本総理が行政改革に取り組まれる、今基本的なお考えを伺いましたが、どのぐらいの決意で、これはお考えをまとめられてそれを現実に反映していかなきゃならないわけですから、長くかかるもの、短いもの、いろいろございます。しかし、その橋本総理のお考えをいつの段階でまとめられて行政に反映させようとお考えになっているのか、もしお考えがございましたらお伺いしたいと思います。
  223. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 本当にそうした問題をじっくり考えるだけの精神的なゆとりを持てるように早くなりたいと思っております。しかし、なかなか残念ながらそれほどのゆとりの持てる状況ではございません。  ただ、非常に粗い言い方をいたしますと、行政改革というものを具体的に進めていきますうちに相互の目的で相反するものが出てまいります。例えば、規制緩和と地方分権などは一つの典型的な例かもしれません。同時に、できる限り権限を下におろそうとした場合、行政機構のより下の組織に権限をおろしていこうとした場合、見かけの機構が膨れてしまうという問題があります。  その辺について、自分なりにいろいろな工夫をしてみながら、これならばという案がっくり切れないでいるというのが今率直な状況でありますが、今後一層自分なりに検討しながら、同時に政府全体の、また与党各党の御意見等々をもすり合わせながら方向づけ、肉づけをしてまいりたい、そのように思います。
  224. 白浜一良

    ○白浜一良君 タイムスケジュール的なことはおっしゃりませんでしたけれども、これも報道で知ったんですが、行革関連の四つの審議会がございましてその委員皆さんと懇談もされたと、そのように伺っております。第三次臨調をつくるぐらいの勢いじゃないか、そのぐらい総理は積極的じゃないかというような向きの報道もされているわけですが、その辺の方向性、それから若干のタイムスケジュールも含めて、総理の希望というか期待でいいんですが、その辺のお考えを伺いたいんですが。
  225. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 大変失礼いたしました。党の方の話をされたものですから、つい党でお答えをいたしました。  実は、私は前内閣以来気になっておりましたことは、かつて土光臨調と言われました第二次臨時行政調査会が作業いたしましたとき、幾つかの部会が中につくられましたときに、その部会同士のスピードの調整、あるいは二律相反になります部分を調整することに非常に大きなエネルギーを必要としたことを教訓といたしております。しかも、その土光臨調の場合には、事務局は各省庁だけではなく民間からも加わっていただく非常に大きな事務局を持って、単一の事務局で運営されておりました。それでも実は進度調整に非常に苦労をいたしました。それだけに、行政改革委員会、地方分権推進委員会、さらに国会等移転調査会、そして全体にかかわりを持つ経済審議会、それぞれ別の法律で目的を定め、つくられ、その任期もばらばらである、そのためにややもすると、片方が前進をしようとするときに他の審議会がブレーキの役をしてしまう、こうした点が気になって仕方がありませんでした。  そして、まさに自由民主党の総裁選挙に立候補をいたしましたころには、私は第三次臨調的なものをという言い回しを使った時期がございます。ところが、屋上屋を重ねるという御批判をいただきまして、第三次臨調的な組織というものは一応頭の中から外しましたが、それでもそれぞれの審議会の進度調整ということは非常に気になっておりました。  それだけに、この四調査会、審議会の会長さん方、代理の方にまずお集まりをいただきまして、それぞれの審議会の持つ問題意識を共有していただくことはできないか、そしてそれを土台に共同して全体を進めていただくことはできないか、さらにその事務局、これはまたみんな別々にできております、この事務局に問題意識を共有させることはできないかというお願いを申し上げ、それぞれの関係審議会が同じような問題意識をお持ちいただいておりましたので、おかげさまでその会長方だけではなく事務局までを含めた横の連携がようやく形づくられるようになりました。  先般、本委員会におきましても阿部議員の方から、社会保障に関連する分野でも同じようなことを考えてみるべきではないのかという御指摘をいただきましたし、今審議会それぞれが目的を持って存在するものでありますけれども、その横の連携がないためのある部分の欠落あるいはある部分の重複、こうしたものをまずできるだけ整理をしていきたい、そのような思いでこうしたものを今進めております。
  226. 白浜一良

    ○白浜一良君 今のお話を伺っていましたら、そういう第三次臨調とかいう大げさなものじゃなくても、機関相互のいわゆる調整というんですか、そういうものは恒常的に積み重ねていかれるということですか。
  227. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私はできればそうしたいと願っておりました。  そして、今申し上げました四審議会、調査会につきましては、不定期ではありますが、そうした方向に向かいつつありますし、事務局相互の連携は今緊密になりつつあると思っておりまして、できれば常時、余りぎちぎちと日取りを決めたりせずに、必要な都度どんどんどこからでも呼びかけられるようなそんな形がとれればと願っております。
  228. 白浜一良

    ○白浜一良君 先ほどのタイムテーブルの話なんですが、本年度中に一応の取りまとめをするとかそういう構想はないんですか。
  229. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) この四つの審議会、失礼いたしました、国会等移転調査会は調査会でありますが、の中で、既に国会等移転調査会のように調査会としては任期を終了しておられるものもございます。そして……
  230. 白浜一良

    ○白浜一良君 いや、橋本行革です。
  231. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) いやいや、ですから、今この全体の構成の中でです。  そして、これから作業がなお引き続いて行われていく規制緩和のたぐいのものもございます。さらに、恐らく近いうちに他の審議会に相当従来とは違った角度のお願いを申し上げ、研究をしていただくものもありましょう。  私自身、いつまでこの職にいることを許していただけるのかもわかりませんし、大それた目標を立てるつもりはありませんけれども、少なくとも今年末の予算編成のころまでに、それぞれの項目について一応の方向立てが見えるようなそんな速度で進んでいただけることを期待いたしておりますし、またそういう方向に全体を動かしていきたいと思っております。
  232. 白浜一良

    ○白浜一良君 よくわかりました。  そういう長期的な問題はなかなかそうすぐにいかないと思いますが、一応の第一次的な取りまとめというか、予算に反映する形で年内にしたいという今の御答弁だと理解しています。  少しロングタームの問題かもわかりませんが、中央省庁の統廃合、これを私ども一番主張しておるんです。財政再建というのは今後大きなテーマになりますが、これとパラレルな問題でございまして、この中央省庁の統廃合、合理化に対して、総理はどのような認識を持っていらっしゃいますか。
  233. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私は、従来から、中央省庁の統廃合というものを首都機能移転の時期と合わせて設定すべきだということを申してまいりました。この職につきましてからも同様のことを申し上げております。  と申しますのは、私はかつて総理府と行政管理庁の統合の案を私自身の責任でつくらせられましたが、いかに応援団がそういうときになるとなくなるかということと、こちら側の席におります官僚の諸君というのは一致結束をするかということを嫌というほど味わいました。そして、よほどタイミングを見て整理をしていかないと問題を生ずるという思いがございます。  そして、それは抵抗とかいうことではございません。要するに、幾つかの案がつくられたり直されたり、その間にその手をつけられた行政のラインというものはどうしても混乱をいたします。そうすると、そういう混乱を最小限にしようとしたときに、どこか一つのピリオド、終止点というものを設定し、そこに合わせて集約をし、一定のタイミングで全体が切りかわるそういう形をとることが一番望ましいのではないだろうか、それが私の基本的な考え方でありました。  そして、首都機能移転というものが提起をされ、そして当然のことながら今後御論議をいただきながら、国会を初め首都機能の、殊に政治にかかわる部分は大きく変わっていく時期が来るでありましょう。その時点で、例えば国会がAという場所に移転いたしますときについていく中央省庁が今とそっくり同じ形でついていったのでは私は意味がないと思います。  ですから、私はこれを逆に終点とし、そこまでに全体を集約していきたい。そして、それはただ単に中央省庁だけではなく、例えば特殊法人等の所在地にいたしましても、今度、新東京国際空港公団が成田に本拠を移したというのは私は大変見事だったと思っておりますが、こういった必ずしも東京になければならないものではない機関がこの時期に動いていくことを願っております。同時に、その空間を東京都民にとってどう暮らしやすい空間づくりに利用するか、その時点までに設計を終わらなければならない、そう感じております。
  234. 白浜一良

    ○白浜一良君 よくわかりました。  ちょっと前置きが長くなりまして、これからいよいよ住専、金融の問題を御質問したいと思いますが、まず初めに、総理、率直な感想を伺いたいと思うんです。  私の認識では、衆議院の委員会の終盤において、国民の理解が得られているかということに関しまして、得られていないことは痛いほど感じていると、このような御答弁をされた。参議院に参りましてはぼ一カ月審議してまいりました。今の時点で率直に総理はどのような感想を持っていらっしゃいますか、この住専問題に対する国民の理解。
  235. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 官邸に参りますインターネットを見ておりまして、少しずつ変わってきたなと思うことがございます。それは、まず第一に住専に対するメールが減り始めたということ、あるいはほかの問題とあわせて意見を言ってこられる方がふえてきたということ、全くお触れにならない方というものがふえてきた。その意味では、インターネットを通じて届けられます方々の声というものには変化が生じてきたように思います。  しかし、各種の世論調査等を見せていただきましても、また地方に私自身が出ましたときの話しかける聴衆の反応を見ておりましても、納得しておられるという感じを受けとめる、そんな状況にはないというのが私の正直な感じであります。
  236. 白浜一良

    ○白浜一良君 そのとおりでございまして、これ以上言いませんが、一番直近のマスコミの世論調査というのは、毎日新聞が四月二十八日に報道された分があるんですね。これを見ましても、反対というのは八六%の方がいらっしゃる。率直な総理の今の受けとめ方と私一緒だと思うんです。なぜかということ、これいろいろ理由がございます。政府の側から見ると、十分、理解してもらっていないんだ、こういう受けとめ方もありますが、私どもからいうと、理解せいと言う方が無理だ、こういうことを思うわけでございます。  それで、何点かそういう角度で御質問したいと思うんですけれども、まず西村さん、この間、証人喚問を二日間やりました。私も富士銀行の橋本さんに質問したんです。あなた方からもらった資料は、これ全然合っていないんですよ。  例えば第一次調査、あなた方からいただいた資料を見ましたら、富士銀行紹介でリッチという会社が住専から、これ富士銀行系の住宅ローンサービスね、株式に貸し込んでいる、こういう問題点を大蔵省が調査で指摘されているんです。それで、富士銀行に聞きましたら、回答では「(株)リッチにつきまして、当行が紹介したという記録はございません。また過去、当行との取引もございません。尚、貸出先である(株)住宅ローンサービスに確認したところ、当社としても、富士銀行紹介ではないと認識しているとの回答がございました。」、こういう回答なんですよ。  これどういうことなんですか、あなた方がつくった資料というのは。
  237. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) 第一次調査そのものは初めての調査でございましたので制約もあったわけでございますけれども、今御指摘の点につきましては、第一次調査は基本的に債務者のグループ単位で見ました大口貸付先をその対象として抽出したわけでございます。リッチにつきましても、リッチの親会社でありグループの中核的企業である山京株式会社を含む山京グループとして抽出を行ったものでございます。  なお、第一次調査におきましては、山京グループのうち査定の結果、リッチはⅡ分類となりましたが、そのほかのグループ会社は分類対象とならなかったわけでございます。調査報告書における個別債務者の記載は基本的に分類された債務者を記載するものでございますところから、結果的にリッチのみを記載しているところでございます。  ところで、山京グループへの住宅ローンサービスの融資の取引は、昭和五十七年に富士銀行紹介によりまして山京との取引が開始されたことが端緒である旨、住宅ローンサービスより聴取しているところでございます。リッチにつきましては、特に紹介されたものではなく、住宅ローンサービスが開拓したものと聞いておりますけれども、調査報告書の紹介先欄におきましては、グループ全体、すなわち山京グループ全体の取引の端緒となりました紹介者を住宅ローンサービスからの聴取に基づきまして記載をした、こういう経緯でございます。
  238. 白浜一良

    ○白浜一良君 あなた、それは言いわけや、どう考えても。これはあなた方がまとめた大蔵省の書類やないですか。そこにちゃんとリッチが二十一億富士銀行の江戸川橋支店の紹介で借りていると、そういう証拠になっているんじゃないですか。包括的に山京グループで借りたといっても、個別会社が借りているんですよ。あなたたちのその姿勢もいいかげんやし、山京グループでは富士が紹介したと言いながら、その中のリッチは私ども全然知りませんと言う。富士銀行だって不誠実ですよ。両方これは責任あるんですよ。  こんなことで国民の理解が得られますか。そうでしょう。それはあなた、言いわけだけれども、実際問題、富士銀行紹介してリッチが住宅ローンサービスから借りたのは事実じゃないですか。その部分だけ認めなさいよ。
  239. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) グループ全体といたしまして、富士銀行の御紹介によることが端緒となったものであること及びリッチについてそのような貸し付けがあることは御指摘のとおりでございます。
  240. 白浜一良

    ○白浜一良君 総理総理には聞きませんけれども、こういうことだから絶対理解が得られないんですよ、わかりませんよ、この辺から。私たちが国民にかわって関係筋から資料をもらって、それをもとにしていろいろ国会で議論しているんですよ。それを使ってやってもわけがわからぬ。こんなんじゃ、私たちがわからぬのだからなおさら国民が理解できるわけないということを申し上げておきたいと思います。  もう一つ聞きますよ。第二次調査の結果で、これも私は富士銀行に聞いたんです。シーエスグループというのは富士が紹介されている。ところが、あなたたちの資料によりますと、七十七億円貸し金残高があるんです。ところが、富士銀行の橋本頭取に聞いたら、いや、これは完済しましたと。これはどうなんですか、この資料は。そういう答弁だったんですよ。
  241. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) 第二次立入調査における地銀生保住宅ローンからの聴取によりますと、シーエスグループへの貸し付け取引は、富士銀行からの紹介によりまして二十億円強の貸し付けを行ったことが端緒であるとのことでございます。  橋本頭取は、二十億円強の当該債権そのものはその後返済されており、調査時残高七十七億円は富士銀行紹介によるものでないことを説明されておられるようでございますけれども、調査報告書の紹介先欄においては当該グループとの取引の端緒となりました紹介者を地銀生保住宅ローンからの聴取に基づき記載したと、こういう経緯でございます。
  242. 白浜一良

    ○白浜一良君 読んでいるあなた、それ意味わかっているの。聞いている僕も何のことかわからぬわ、それ聞いていたら。  私の言いたいのは、あなたたちがつくったこの調査資料が、現実的にはこれを聞いたら全然否定しているということを言っているんですよ。それをあなた、いろいろだれが書いたか知らぬようなペーパー読んで。こういう調査だからだめだと私は言っているんですよ。こういう実態で国民に理解を示せというのは無理です。もうそのぐらいにしておきます。  それで、次に伺いたいことがございますが、何点かちょっと聞きます。  農水大臣、私、不思議なことがあるんですよ。要するに、系統が住専に貸し込んだ一番大きなのは御案内のとおり信連なんですね。信連がわあっと額が広がったんですよ。  私がいただいた資料からいいますと、信連の貸し付けの最高限度届け出額というのがございますね、毎年度、上半期下半期に分けて報告されている。これによりましたら、六十三年の下半期は二千六百十四億円、平成元年の上半期は二千九百六十九億円、ところが平成元年の下半期、これが要するに総量規制がしかれるときに入っているんですね、ここは。総理もよく御存じだと思います。このときに四千五十六億円にはね上がってくるんですよ。平成二年の上半期には八千億円まで、これ全部報告を受けていらっしゃるはずなんです。義務づけられていますから、これ、限度額は、報告。  こういう実態を知りながらいわゆる信連のそういう信用事業に対して何の不思議も持たれなかったのかと思うんですが、率直に、素朴にどうですか。大臣の所感を聞きたい。
  243. 大原一三

    国務大臣(大原一三君) 私も、委員今御指摘の数字はよく了知をしているつもりであります。  当時の状況で、もとより平成二年の不動産に対する総量規制、これは各信連もさらには農林中金も単協もそれには従っているわけでございます。  委員御指摘のいわゆる住専に対する貸し込み、これはいわゆる報告書をとるという程度の規制しかなかったわけでございます。そういった意味で、事実上、最高限度額とおっしゃいましたけれども、これは各信連が半期ごとに幾ら貸すか、それを全国信連の方で取りまとめたというのが実態のようでございます。もし我々が、先ほど委員も御指摘ございましたが、住専経営があれほどずさんであれば、そしてまたその情報が的確にとれておれば、あるいはこういう事態は起きなかったかもしれない。大変残念な事態だと我々も反省をしております。  したがって、これらの問題について今後そういったことの起きないような、やはりしっかりした地に足のついたリストラをしていかなきゃならぬと思っております。  委員十分御存じと思いますが、いわゆる貯貸率というのが単協で四割ぐらい、信連で二割ぐらい、住専というのは超一流銀行が設立された立派な金融機関に準ずる組織であるということで信用し切っていたこと、さらにまた当時のいわゆるバブルの波の中で洗われていったということについては、我々は十分反省をしなければならぬと思っております。
  244. 白浜一良

    ○白浜一良君 農林大臣、時間がないので議論やめますけれども、今の答弁はあちこちでしてはるんです。住専経営実態をわかっていたらと言わばるけれども、いやしくも、信連も系統も中金にしたってみんな信用事業じゃないですか。そんなこともわからぬで貸し込むような金融機関ありますか。時間がもったいない、やめます。  時間がないので具体的なところをちょっと聞きたいんですが、三兆五千億のいわゆる母体行の債権放棄でございます。  これ、西村さん、住専ごとの放棄額を教えてくださいよ、各住専ごとの。
  245. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) 住専ごとの放棄額の概数でございますが、日本住宅金融につきましては八千二百億円、住宅ローンサービスについては二千八百億円、住総につきましては八千九百億円、総合住金については二千億円、第一住宅金融については二千四百億円、地銀生保住宅ローンについては五千二百億円、日本ハウジングローンについては五千四百億円、合計約三兆五千億円となっております。
  246. 白浜一良

    ○白浜一良君 そうしたら、もう一つ伺います。  平成七年三月度、いわゆる年度末のそれぞれ住専別の母体行からの貸付残高、これを言ってください。
  247. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) まず、日住金でございますけれども八千六百四十三億円、それから住宅ローンサービスでございますが、三千五百七億円と存じます。ちょっと私、今足し算をいたしましたので、正しいと思いますけれども。それから住総が八千六十五億円、総合住金が二千四十六億円、第一住金が二千二百六十九億円、地銀生保住宅ローンが五千三百四十五億円、日本ハウジングローンが五千八百二十億円。ちょっと今私の手元の資料で申し上げましたので、とりあえずの御報告でございます。
  248. 白浜一良

    ○白浜一良君 それで西村さん、伺いますけれども、いわゆる今回のスキームをつくられたときの母体行の債権放棄というその額の算定は、今平成七年三月度末の貸付残高を聞きましたけれども、それはいつの日付ではかられたんですか、今回のスキームをつくるときのその三兆五千億というのは。
  249. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) この住専問題の議論が具体化いたしましたのが昨年の六月から七月にかけてでございました。そして、そういう議論の中で住専八社の調査をいたしましたのが昨年の八月から九月にかけてでございました。その時点では、昨年の六月末の数字をもとに議論をしておったと記憶をいたしております。  ただ、そういう時点の数字を基礎として議論をしつつも、その数字の内容、すなわち契約に基づいてそれぞれの数字がどういう意味を持っているかということも当然念頭に置きながら議論をしていた、こういうことでございます。
  250. 白浜一良

    ○白浜一良君 私はそこまで聞いていません。貸付残高の基準となる日付を私聞いただけで、あなたが今おっしゃったことは後でちょっと聞きますから。  平成七年、昨年の三月末の貸付残高と、このスキームをつくるときは六月末だ、こうおっしゃったんです。それは確かに三カ月たっています。たっていますが、余りに額が私から言わすと違い過ぎる。日住金は三百四十三億円違いますね。それから住総に至っては八百数十億違うんです、これ。その三カ月の間にそれだけ貸し付けというのが移動したんですか。これはどう説明されるんですか。
  251. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) 先ほども御質問にお答えいたしましたいわゆるニューマネーというものでございますけれども、第二次再建計画を策定いたしました段階で、一つは融資残高を維持するという申し合わせがございました。ただ、その場合に、いわゆるニューマネーにつきましては当事者の契約によりましてまた別途の取り扱いをするということになっていたわけでございます。  今御指摘の数字につきましては、恐らくそのほとんどというか、すべてがそのような性格の資金であろうかと理解しております。
  252. 白浜一良

    ○白浜一良君 局長、そんないいかげんなことを言うたらあかんて。  住総、今僕が言ったでしょう、平成七年三月末貸付残高が八千六十五億、あなたおっしゃったとおり。債権放棄額が八千九百億円。だから、もう八百三十五億円違うわけね。あなたはニューマネーと言わはったけれども、住総にはこのニューマネーは入っていないんです。私たちがいただいた資料からはニューマネーが入っていませんよ。先ほど証人喚問で問題になったのは住宅ローンサービスの母体行七行からの百億ずつ、これはちゃんと入っていますよ。これは入っていないんです。あなたの説明、全然できていないよ、これ。
  253. 井上裕

    委員長井上裕君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  254. 井上裕

    委員長井上裕君) 速記を起こして。
  255. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) 恐縮でございます。  精査をして後ほどお答えさせていただきたいと存じます。
  256. 白浜一良

    ○白浜一良君 これ私は通告しましたよ、きのう。貸付残高といわゆる債権放棄額の関係を聞きますよって。  こんな八百億以上違う。あなた方はこういう単位の数字はなれているかわからぬけれども一般庶民から見たら物すごい額ですよ、八百数十億円違うというのは。あなた方は麻痺しているんですよ。だから、いろいろおっしゃっていることにどれだけ根拠があるのかということを私は具体的な事例を通して言っているんですよ。それを説明できないようじゃ、このスキームは何なんですか。この債権放棄額は何を根拠に算定したんですか。これが僕はわからないんですよ。
  257. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) ちょっと手元に資料がすぐに出ませんで、まことに申しわけございません。  ただ、今まで御説明をしております、また政府案の基礎になっております数字は確かなものでございまして、その根拠は十分御説明をすることができるものでございますけれども、今ちょっとその御指摘の数字の相互の関係について直ちに御説明できないことをお許し願いたいと存じます。
  258. 井上裕

    委員長井上裕君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  259. 井上裕

    委員長井上裕君) 速記を起こして。
  260. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) 手元の資料での御説明でございますが、先ほど七年三月末の貸付金残高が八千六百四十三億円と申し上げたと思います。また、他方におきまして放棄額については八千九百億円と申し上げた、その違いを御指摘ということであると理解をいたします。  すなわち、七年三月末に比べましてふえているわけでございますけれども、これはちょっとまた後ほど最終的に確認をさせていただきますが、七年三月末の時点で借入有価証券の形で住専、日本住宅金融が……(「日住金じゃないよ、住総を聞いているんだよ」と呼ぶ者あり)失礼しました。住総八千六十五億円と申し上げたと思いますが、その差額につきましては、借入有価証券の形になっておりましたものを貸し付けの形に直したのでこのような数字になっているということでございます。
  261. 白浜一良

    ○白浜一良君 あかん、あかん。そんなの全然説明になってないわ。  とにかく八千六十五億円が七年三月末の貸付金残高で、あなたが六月末の残高をベースに債権放棄額を決めたのが八千九百億と、これは間違いないんやから、あなた方が書かれたやつやから、これ。  それで、局長どうですか、これをもっと明確にするために全母体行の母体行ごとの債権放棄額を明確にしなさいよ、一遍。
  262. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) 母体行がどれだけ債権を放棄するかということについては、現段階でそれぞれの母体行は既に態度は固めているものと私ども理解をいたしております。ただ、その額を確定いたしますのは当事者、すなわちそれぞれの金融機関がそれぞれの機関の手続を踏みまして確定をすべきものだと存じますので、私どもの方からそれを申し上げるということは必ずしも的確、適切ではないと存じますけれども、御指摘の点につきましては母体行の側と相談をいたしまして後刻御説明を申し上げたいと存じます。
  263. 井上裕

    委員長井上裕君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  264. 井上裕

    委員長井上裕君) 速記を起こしてください。
  265. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) 先ほどの住総について数字がふえておりましたのは、七年三月末には有価証券という形で信託銀行から貸し付けておりましたものを、最後に母体行の負担ということで整理する段階では貸付金という形に整理をいたしましたので金額がふえ、その分をより多く母体行が負担をする、こういう整理をしているわけでございます。  ところで、御指摘の最終的に各住専ごとに負担額が幾らになるかということの確定数字を出せというお話でございますが、先ほど申し上げましたように、それぞれの金融機関がその機関としての意思決定を最終的にいたしますのは、住専処理計画を確定いたします段階で例えばそれぞれの取締役会で意思決定をする、そういうことによって最終確定がされるわけでございますが、今の段階においてそれぞれの金融機関が心づもりをしております金額というものは当然あるわけでございます。  ただ、私先ほど申し上げましたのは、それを私どもが各行別に御説明を申し上げるということは私どもの立場として適切でないと申し上げたわけでございますが、住専ごとのそのような数字につきまして精査をいたしまして、後ほど御報告を申し上げるように努力をいたします。
  266. 白浜一良

    ○白浜一良君 あなた方が出されたいわゆる数の裏づけが弱いということを、わからないということを今具体的に指摘しているわけで、これはこれでまた説明してください、余り賢くない私がわかるように。  それで、これに関連して大蔵大臣にちょっと御見解を伺いたいんですが、先ほど清水理事もおっしゃっておりましたけれども、第二次再建計画でそれぞれ追加融資とか増資とかいろいろやっているんですよ、金利減免だけじゃなしに。このときの融資は何で債権じゃないんですか。これが私よくわかりませんね。母体行が責任あるから、母体行が責任持って第二次再建計画をつくったわけでしょう。そのとき融資した額というのは、住宅ローンサービスでいうと母体行七行から百億ずつ融資したんですよ、七百億。それはなぜ債権じゃないんですか。そこが私非常にわからない。母体行が責任あるから出したんですよ。これは大臣どう思われますか。
  267. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) これは先ほども御説明申し上げましたように、責任があるからということではなくて、再建計画の時点でそのときの経営実態を反映しつつ、これを維持していくためにはどのような措置が必要であるかということで母体行がその役割を担ったということでございます。  この再建計画を遂行していく上で、それぞれの立場のものがいろいろな形で、例えば母体行は金利をゼロにするとか、あるいは一般行は二・五%にするとか、系統は四・五%に減免するとか、それぞれの役割に応じていろいろな形で寄与をし、あの段階では再建をしていこうという意思決定をしたわけでございます。そのような措置の一環でございますので、必ずしもそれを責任ということに直結させることは私どもの理解しておるところではございません。
  268. 白浜一良

    ○白浜一良君 大臣よく聞いてください、これは理屈になりませんよ。母体行が責任があるから第二次再建計画にも加わっているんですよ。責任あるから加わっているんです。責任なければ何でこの第二次再建計画に加わらなきゃいかぬのですか、母体行が。自分の子会社ですから、責任あるから加わったんですよ。その加わった再建計画に融資を決めているんだから、当然その債権は従来の債権と同じじゃないですか。どこが違うんですか。全然あなたの説明わかりませんよ。大臣、どうですか。
  269. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) 私も、母体行が責任があるということは前提にした上でお答えしておるわけでございます。母体行の責任は第二次再建計画の段階でも当然一番重い立場にあるということで、例えば金利減免の措置につきましても母体行は金利を受け取らないという最も厳しい措置を甘受しているわけでございます。  しかしながら、その金利の幅というものが、それそのものが責任ということを表現しておるものであるかというと、そういうふうに直結しておるものではないという意味で、いろいろな手段を講じた上で、再建計画をつくっていく上の一つの手段としてニューマネーという手法もとられたわけでございます。したがいまして、そのことと母体行の責任の量というものと直結させるということを、私は先ほど我々はそういう理解をしておりませんと申し上げたわけでございます。
  270. 白浜一良

    ○白浜一良君 それは大蔵省銀行局の説明であって、およそそんなのは理解できません。  大臣、これはこの間問題になった住宅ローンサービスだけじゃないんです。日住金は六百二億円がいわゆるニューマネーとして融資されているんです。こういうのが全部入っていないんですよ、母体行の責任と言いながら。実際の融資の実態を大臣におかれてきちっと調査されて、しかるべく判断をしてほしいと思います、この問題に関しては。  今、銀行局長は説明していますよ。でも、あれは銀行局としての説明であって、およそ融資という観点から、母体行という責任からいえば、このニューマネーはおよそそんなの私わかりません、理解できません。だから、大臣、うかつなことは言えないと思いますが、実態をよく調査されて、しかるべき判断をしてほしいと私は思うんですが、大臣いかがですか。
  271. 久保亘

    国務大臣(久保亘君) ニューマネーの問題につきましては、何回かこれまで両院の予算委員会において御議論がございました。私は債権であることは間違いないと思います。これは住専に対して金融機関が貸し付けたわけでありますから、その運用益を再建に役立てるようにということで貸したのでありますから、債権であることは間違いない。  しかし、整理の段階に入りますときに、今度は放棄すべき債権の協議をいたします中で、このニューマネーとして貸し付けたものは、貸し付けるときの条件その他に基づいて放棄すべき債権から控除するといいますか区分けするということについて、私が聞いておりますときには関係当事者との協議の中で了承されたものと、こういうふうに聞いてまいりました。しかし、白浜さんから今この問題の実態についてきちんとしろということでございますから、きちっと精査いたしたいと思います。
  272. 白浜一良

    ○白浜一良君 関係者だけで調整されても、今回のように住専問題全体のスキームから見ましたら、なかなかこういう部分が理解できないんですよ。だから、そういう観点から、大蔵省と銀行と集まって、それでこうしましょうかと決めたのはそれはわかりますよ。それを見ている国民の目から見たらわからぬという意味で言っているわけで、よく内容を調査、精査してほしいということを私申し上げたわけで、大臣よろしくお願いしたいと思います。  もう時間もなくなってまいりましたが、あと具体的な今後の問題というか、反省点でちょっとお伺いしたいんです。  一つは、会計監査のあり方。これだけ住専経営もめちゃめちゃだけれども、信組とかも含めて金融機関、監査では通っているんですね。監査体制というのは、我が国のこんな監査でいいんですか、これ担当だれかわかりませんが。
  273. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) 直接の私の担当でございませんが、住専の担当ということでお答えをさせていただきたいと存じます。  株式会社、特に上場をしておりますものにつきましては、適切な会計処理ということで公認会計士等がしかるべき監査をしているわけでございます。住専につきましても、当然そのような手続を経ているわけでございまして、そのときそのときにおいて担当の監査に当たる者は適切な監査をしていたと信じております。
  274. 白浜一良

    ○白浜一良君 そういう答弁をしたら国民の信頼がますます遠くなる。  例えば兵庫銀行、破綻したでしょう。これを担当している会計士の方が、決算書の不良債権額は実際の四%だったんですよ、これを見抜けなかった。たった四%ですよ、決算書にあらわれているのは。監査というのは、こういうことをきちっとするのが当たり前じゃないですか。あなたは適切にやっていると言うけれども、そんなのはうそですよ。これは反省を込めて兵庫銀行の場合おっしゃっているんですよ。だから、こういうことをきちっとしないと、今後のためにももっと反省を込めた決意の答弁しなさいよ。
  275. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) 兵庫銀行の会計処理につきましては、特に子会社の会計処理が問題となっているわけでございます。子会社の再建を前提として会計処理をいたしました場合と、最終的に子会社が成り立たないという判断をいたしまして会計処理をする場合に相当大きな差額が出るということで、兵庫銀行はそのようなケースであったわけでございます。  御指摘のように、特に金融機関につきまして、経営実態を的確に反映するような会計処理の仕方にするためにどうしたらいいかという御指摘を私どもは重く受けとめて、今後の課題とさせていただきたいと存じます。
  276. 白浜一良

    ○白浜一良君 もう一つ、抵当証券の場合、不動産鑑定士の評価額が非常に違うんです。このトラブルは昔から指摘されておりますが、担当者は国土庁ですか、ちょっと答弁をお願いします。
  277. 鈴木和美

    国務大臣鈴木和美君) 鑑定の評価の件でございますが、白浜先生からどういうところでどういう具体的なものがあったのかということをお尋ねしないと的確には答えにくいわけでございますが、御案内のように一般的には不動産の鑑定評価に関する法律というのと不動産鑑定評価基準というのがございまして、現在は社団法人の日本不動産鑑定協会に鑑定を依頼しているところでございます。  それで、鑑定の評価に対して不備があれば不動産鑑定士に対して懲戒処分を行うというようなこともございまして、鑑定評価について、今私どもの掌握している限りにおいては、一般論として無理がないんじゃないのかなというように私どもは把握しております。
  278. 白浜一良

    ○白浜一良君 総理、最後に総括的な話、この会計監査の問題と不動産鑑定士の話の感想をちょっと聞きたいのです。時間がないので私が言いますが、これは大阪の木津信抵当の問題なんです。聞いていてください。  平成六年に十五億四千万で評価されて、法務局からも発行の許可を得ているんです。ところが、破産して特別清算されました。平成七年、一年ちょっと後です。このときの評価額が七億三千九百万。だから物すごい評価。これはどこに疑問があるか。これはやっぱり不動産鑑定士が評価したからこれだけの十五億四千万という抵当証券になったんでしょう。実際、清算したらそのときの評価額は七億、もう半分以下です。こういうこともいわゆる金融不祥事を防げなかった一つの、会計監査にしても不動産鑑定士の問題もあるんですね。これは何とかしないといけない。  そういうことも含めて総理のお考えを伺って、質問を終わりたいと思います。
  279. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 実は、私は不動産鑑定の方は今まで余り感じておりませんでした。そして、今御指摘をいただいたことにお礼を申し上げます。  監査の方につきましては、ここしばらく非常に深刻に考えさせられてまいりました。そして、従来のいわば規制と保護と監督といういわゆる護送船団方式の中であればあるいは問題を起こさなかったのかもしれないケースが、今後透明性を確保すべくディスクロージャーが進めば進むほど私は内部の問題を世間に明らかにする可能性はふえてくるのではなかろうか、そんな不安感も持ちました。しかし同時に、その壁を一度越えなければ日本の金融システムというものが真に信頼性を取り戻すことはないだろうと思います。となれば、私はこの機会にこうした監査のあり方、実態等々についても十分な反省を込めて見直していく努力を必要とする、率直な感想としてそういったものを受けとめました。
  280. 白浜一良

    ○白浜一良君 不動産の方はわかりませんか、鑑定士は。
  281. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) これは、今実際上私は余り考えておりませんでしたので……
  282. 白浜一良

    ○白浜一良君 調べてください。
  283. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 逆に教えられたことに感謝しますと申し上げたのが率直な印象であります。
  284. 白浜一良

    ○白浜一良君 終わります。
  285. 井上裕

    委員長井上裕君) 以上で白浜一良君の質疑は終了いたしました。(拍手)  明日は午前十時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時散会      ―――――・―――――