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1996-01-26 第136回国会 参議院 本会議 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年一月二十六日(金曜日)    午前十時二分開議     ━━━━━━━━━━━━━議事日程 第三号   平成八年一月二十六日    午前十時開議  第一 国務大臣演説に関する件(第三日)     ━━━━━━━━━━━━━ ○本日の会議に付した案件  一、裁判官弾劾裁判所裁判員予備員及び裁判官   訴追委員辞任の件  一、裁判官弾劾裁判所裁判員予備員等各種委員   の選挙  一、国家公務員等任命に関する件  以下 議事日程のとおり      ——————————
  2. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) これより会議を開きます。  この際、お諮りいたします。  坪井一宇君及び野間赳君から裁判官弾劾裁判所裁判員予備員を、下稲葉耕吉君から裁判官訴追委員を、それぞれ辞任いたしたいとの申し出がございました。  いずれも許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) 御異議ないと認めます。  よって、いずれも許可することに決しました。      ——————————
  4. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) この際、欠員となりました  裁判官弾劾裁判所裁判員予備員二名、  裁判官訴追委員一名またあわせて  国土審議会委員、  国土開発幹線自動車道建設審議会委員各一名、  国会等移転調査会委員二名の選挙 を行います。  つきましては、これら各種委員選挙は、いずれもその手続を省略し、議長において指名することとし、また、裁判官弾劾裁判所裁判員予備員職務を行う順序は、これを議長に一任せられたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) 御異議ないと認めます。  よって、議長は、  裁判官弾劾裁判所裁判員予備員大島慶久君及び佐藤静雄君を、  裁判官訴追委員松浦孝治君を、  国土審議会委員松浦功君を、  国土開発幹線自動車道建設審議会委員青木薪次君を、  国会等移転調査会委員木宮和彦君及び松浦孝治君を、 それぞれ指名いたします。  なお、裁判官弾劾裁判所裁判員予備員職務を行う順序は、大島慶久君を第一順位とし、佐藤静雄君を第三順位といたします。      ——————————
  6. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) この際、国家公務員等任命に関する件についてお諮りいたします。  内閣から、国家公安委員会委員那須翔君を任命することについて、本院の同意を求めてまいりました。  内閣申し出のとおり、これに同意することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立
  7. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) 過半数と認めます。  よって、これに同意することに決しました。      ——————————
  8. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) 日程第一 国務大臣演説に関する件(第三日)  昨日に引き続き、これより順次質疑を許します。村沢牧君。    〔村沢牧登壇拍手
  9. 村沢牧

    村沢牧君 戦後五十年の我が国歴史に大きな足跡を残してきた日本社会党は、新しい時代に対応して、先日、一月十九日の党大会をもって社会民主党として生まれ変わりました。私は、その社会民主党護憲連合を代表して、橋本総理並びに関係大臣に質問いたします。  村山政権は、税制改革規制緩和推進計画策定地方分権推進法制定などの大きな改革実現する一方、原爆被爆者援護法制定、水俣病問題の解決、戦後処理推進などの長年の懸案事項も次々に解決してきましたし、さらに新ゴールドプランエンゼルプラン障害者プラン策定するなど、人にやさしい政治推進してきました。こうした村山内閣の実績が多くの国民に認められていることは、最近の各種世論調査にもあらわれています。  一月五日、村山総理は、人心一新を図る必要があるとして辞意を表明され、これを受けて自由民主党と新党さきがけ、それに我が党の三党は、日本国憲法の目指す平和と民主主義を守ること、そして村山政権のもとで行われた政策継続性基本としつつ新たな課題に果敢に挑戦をしていくため、「新しい政権に向けての三党政策合意」を確認し、三党による連立政権継続、堅持することに合意いたしました。こうして政治的空白、混乱を来すことなく村山内閣から橋本内閣への移行が実現したのであります。  そこで、総理村山政権評価、新たな連立政権意義性格についての見解、そして総理リーダーシップにより新たな三党合意を実行に移していく決意についてお聞かせいただきたいと思います。  次に、私は、村山内閣橋本内閣との政策的継続性に関連して、以下二点についてお尋ねをしておきたいと思います。  その一つは、戦後処理問題であります。  周知のように、村山内閣は昨年、数々の戦後五十年問題に積極的に取り組み、その一環として昨年八月十五日に、我が国は過去において多くの皆さんに多大の迷惑をかけたとして、深い反省の念と平和への決意を示した総理談話を発表し、アジア近隣諸国を初め諸外国から高い評価を得ました。  橋本内閣の誕生に際して、国の内外から、こうした日本政府の認識や姿勢が後退するのではないかとの懸念が示されておるところでありますが、橋本総理はこの談話をしっかり受けとめて、そしてしっかりこれからの政治に取り組んでもらいたいというふうに思います。また、歴史資料センターの問題など、残された戦後処理の諸施策に今後とも積極的に取り組む決意をあわせてお聞かせください。  その二つは、沖縄の米軍基地縮小問題であります。  昨年九月、沖縄で発生した駐留アメリカ兵によるあの忌まわしい少女暴行事件は、沖縄県民国民全体に大きな衝撃を与えました。そして、日米地位協定のあり方が問われるとともに、在日米軍基地の七五%が沖縄県に集中している現実と、そのもとでの生活を余儀なくされている沖縄県民苦しみを突きつけ、在日米軍基地整理統合縮小必要性をだれの目にも明らかにしました。  村山内閣は、この問題を真正面から受けとめ、日米両国間に特別行動委員会を設置し、国と沖縄県の間には基地問題協議会を設置して、問題解決全力を挙げてまいりました。橋本内閣は、その後継内閣として、発足早々池田外務大臣を訪米させ、四月に予定されている日米首脳会談までに一定方向性を明確にする必要があることを確認し合いましたし、つい先日の大田沖縄県知事との会談では、橋本総理村山政権対応方針を踏襲する姿勢を示されました。  新しい三党合意も踏まえつつ、沖縄県の要望を十分受けとめ、ぜひともできるだけ早い時期に目に見える具体的な成果を上げていただきたいと思うのでありますが、日米首脳会談にはどのような態度で臨むのか、このことも含めて総理並びに外務大臣決意と、そのための具体的な方策についてお伺いいたします。  さて、次に、当面する景気経済対策について伺います。  先般の政府月例経済報告によれば、「景気には緩やかながらこのところの足踏み状態を脱する動きがみられる」ということであります。円高是正や株価の持ち直しなど明るさは見え始めましたが、しかし、中小企業地方では景気がよくなったという感じがありません。ここで景気回復について気を緩めるわけにはいかないのであります。  明るさが見え始めた最近の動向を加速化させまして景気回復を確実なものにするには、景気に配慮する施策を引き続き切れ目なく講じていく必要があります。必要ならば、さらに追加的な対策を打ち出さねばなりません。この際、景気回復に向けた総理決意と、そのための方策についてお尋ねをしたいと思います。  雇用情勢はなお厳しい状況が続き、昨年十一月の完全失業率は三・四%と、これまで最高の数値を示しております。特に、大学新卒者等を取り巻く就職環境は、就職氷河期と言われた前年よりも厳しい状況になっており、その中でも女子学生男子学生に比べ一段と厳しい状況に置かれています。このような厳しい雇用失業情勢のもとでどのような雇用対策を講じていくのか、また、特に女子学生等若年失業者対策はどうか、総理並びに労働大臣答弁を求めます。  次に、住専問題についてであります。  政府は十九日に「住専等関係資料」を公表いたしました。しかし、これでは大口融資が匿名で示されているにとどまり、一体だれが、また、どのような理由で返済していないかという国民が最も知りたいことがわかりません。六千八百五十億円、国民一人当たり五千五百円という多額の税金を投入する以上、国民理解と納得を得るため、政府はぎりぎりの努力をすべきであります。我が党も住専問題等特別委員会を設置いたしまして連日協議をしていますが、与党三党が政府に要請をする実名リストも含めた各種資料提出について、政府は積極的に対応すべきでありますが、いかがですか。  大蔵省は、第二次損失処理の枠組みについても検討しているようでありますけれども、まずは債権の回収に全力を挙げるべきであります。  関係方面責任ということでは、まず住専から融資を受けて返済をしていない者の責任がありますし、融資をした住専の側にも債権保全に関する経営責任があります。母体金融機関については、信用力のない者にも融資をするよう住専に指示するなど経営影響力を行使したり、大口融資を紹介した銀行など、その責任が問われます。農林系統金融についてもそれ相応の責任があります。そしてまた、住専多額系統資金が貸し付けられるようにしたり、大蔵農水両省の覚書によって住専を延命させ、傷口を大きくする結果を招いたことなど、行政責任が問われなければなりません。  こうした各方面責任について、必要な調査解明を行い、国民の前に明らかにすべきであると考えますが、いかがですか。  この際、確認の意味で質問しておきたい。  昨年十二月二十六日の参議院決算委員会におきまして、村山総理は、財政資金導入系統金融機関を救済することを目的としたものではないと答弁されております。しかるに、金融業界関係行政機関の一部に、財政資金導入農協系統の救済のために行われたかのように主張する向きがありますが、これは聞き逃すわけにはいきません。そこで、今回の財政資金導入性格考え方についても明確な答弁を求めておきたいと思います。  さて、住専問題では、行政当局責任判断に対し最も厳しい批判があります。今後再びこのような問題を生じさせないようにするためには、大蔵省中心金融行政・検査・監督のあり方について総点検を行うなど、新しい金融システムの検討も必要であります。この点についてもお伺いしたい。  以上、総理並びに大蔵農林水産大臣答弁をお願いします。    〔議長退席、副議長着席〕  次に、安保平和外交国際貢献の問題について幾つかお尋ねします。  国を守り平和を保っため、軍事的手段必要性がしばしば強調されます。しかし、平和とは、軍事的手段による抑止と平和の強制によってのみ実現できるものでしょうか。私はむしろ、軍縮を進める一方、社会開発を促し、貧困を取り除き、人権を守り、自然と共生を図ることこそ、冷戦後の地球社会において平和を確保する早道であると信ずるものであります。  平和憲法国民平和意思に基づき、軍事力でなく、経済力技術力を国力の基盤に据える国家をつくり上げてきた我が国こそ、こうした非軍事的貢献分野において独自の積極的役割を果たし得る資格と責任を有しておると思うのでありますが、いかがですか。  この際、冷戦後の国際社会において我が国平和国家としてどのような国際的役割を果たすべきかについて、総理見解をお伺いいたします。  国連安保理常任理事国入りの問題については、「わが国は背伸びをせず、国連改革の進展、アジア近隣諸国推薦状況国民的合意を踏まえて、慎重に対処する」という三党合意に沿って対処されるものと考えておりますが、総理並びに外務大臣、いかがですか。  また、ことし正念場を迎えることになる全面的核実験禁止条約交渉の成功に向けて、我が国としてはどのように貢献していくおつもりか、総理のお考えをお伺いいたします。  特に、最近の報道でフランス核実験による放射能漏れが明らかになりましたが、これは極めて憂慮すべきことであり、事実関係解明核実験の中止をフランス政府に強く求めるべきであります。中国核実験継続の構えを崩そうとしておりません。世界で唯一の被爆国として、これら両国にどのように対応していくのか、あわせて御所見をお尋ねいたします。  朝鮮半島に真の平和が訪れることこそアジアの平和につながります。我が国としても、朝鮮民主主義人民共和国との政府間交渉早期に再開し、日朝国交正常化に積極的に取り組むとともに、朝鮮半島における南北対話推進と統一に向けた努力を支援する必要があると考えますが、総理並びに外務大臣答弁を求めます。  さて、規制緩和行政改革地方分権等重要課題については道半ばであり、情報公開法制定を含め、橋本総理には強いリーダーシップを発揮して進めていただけるものと期待しておりますが、その決意推進方法についてお聞かせください。  また、数年来、景気動向などに配慮した財政出動が行われてきましたが、その成果がようやくあらわれようとしている今日、国の財政公債依存度が極めて高くなりました。この財政実態を健全化するよう財政改革にも着手しなければなりませんが、その基本的な考え方と具体的な進め方について質問いたします。  私は、この際、消費税についても伺いたいと思います。  本年九月末までに、消費税率が五%でよいかどうかの判断の上、所要の措置をとることが求められていますが、消費税の欠陥を排し課税の適正化を図る必要はありますが、財政が厳しいから即引き上げをするというような安易な姿勢は許されません。政府はこれに対してどのような姿勢を持っておりますか。消費税率見直し規定に対する考え方について、総理並びに大蔵大臣から御答弁をいただきたいと思います。  阪神淡路大震災の問題であります。  地震から早くも一年が経過しました。しかし、関係者による復旧復興努力にもかかわらず、被災地ではなおも仮設住宅に十万人にも及ぶ人々が不自由な生活を余儀なくされているなど、復旧復興政治行政が取り組むべき課題はまだ多く残されています。住宅問題を含め、引き続き被災地復旧復興に万全を期するとともに、総合的な災害対策充実強化を図ることが必要であります。阪神淡路大震災復旧復興防災都市づくり推進決意総理に伺います。  阪神淡路大震災被災者救援では、市民の自主的なボランティア活動が注目されました。こうした市民自主的活動は、今日、災害救援に限らず、環境福祉、その他多方面にわたっており、こうした活動を国としても積極的に援助し、促進することが求められています。  現在、与党三党は、その一環として、非営利の市民活動団体一定の要件を満たせば容易に法人格を取得できるようにするための法案を検討しており、議員立法として今通常国会提出する予定にしていますが、この際、総理市民活動支援に対する基本的な考え方をお示しいただきたいと思います。  次に、二十一世紀の少子・高齢社会に向けた福祉政策について質問いたします。  村山内閣のもとで、従来のゴールドプランをほぼ倍の規模に拡充する新ゴールドプランがスタートしたことは大きな前進であります。この計画を着実に実施しなければなりませんし、さらに拡充する必要があります。そのため、公費を相当程度導入した公的介護保険制度の創設も必要だと考えます。  昨年十二月には、障害を持つ方々地域でともに生活ができるようにするための障害者プラン策定されました。ノーマライゼーションの考え方政府部内に徹底し、この計画を着実に実現しなければなりません。さらに、今年度予算からスタートしたエンゼルプランについても一層充実しなければならないと考えますが、これらについて総理のお考えをお示しください。  我が国世界有数経済大国になりましたが、国民にはゆとりがなく、豊かさを実感できないのが実情であります。親たちは相変わらず長い労働時間のもとで働き、いわゆる過労死など労働災害はなくならず、子供たちは過熱する受験競争の中でゆとり子供らしさ、人間性を失い、いじめや不登校などの問題が後を絶ちません。学校社会ももっとゆとりを持つことが必要であります。そのためには、年間労働時間千八百時間の早期実現に向け、週休二日・週四十時間労働制早期実現等労働時間短縮を推進すること、また、学校の週五日制の早期実現が不可欠の課題であります。  いわゆる会社人間の克服や教育改革推進も含め、ゆとり社会創造への総理見解決意をお伺いしたいと思います。  昨年秋、北京で第四回世界女性会議が開かれ、女性のエンパワーメント、つまり女性が力をつけるための行動綱領が採択されました。男女共同参画社会実現のために、この行動綱領を踏まえ、法的整備を含む国内推進体制強化し、総合的な施策推進を図る必要があると考えますが、総理はいかがお考えでしょうか。  次に、人権と差別問題についてであります。  人種差別撤廃条約批准を受けて、国内での差別撤廃に向けた取り組み強化が必要であります。  私は、この際、特に現行の北海道旧土人保護法の廃止とアイヌ民族問題の解決を目指す新たな立法が必要であるというふうに思います。このため、政府内に設けられた「ウタリ対策あり方に関する有識者懇談会」の論議を促進すべきだと考えますが、総理、いかがでしょうか。  また、部落問題の解決に当たっては、一九六五年の同和対策審議会答申の精神を踏まえ発展させる見地から、差別解消に向けて、新たな法的措置も含め総合的な取り組みを進めるべきであります。現行の地対財特法によっては解決できない諸問題も存在しますが、これらの問題についてはいかなる対策が必要であるとお考えになるか、見解を伺いたいというふうに思います。  さらに、「人権教育のための国連十年」に対応する国内行動計画策定推進のための具体的作業状況についてもお伺いいたします。  最後に、農林水産業問題について質問いたします。  ウルグアイ・ラウンドの農業合意農畜産物の総関税化は、過疎と高齢化、そして後継者難の三重苦にあえいでいる日本農業農村を一層厳しい状況に追い込むことになりました。新総合農業対策が進められておりますが、これで十分だとは言えません。特に、担い手対策の拡充や、縦割り行政で行われている中山間地域対策整備拡充して、地域で受け入れやすくすること、その実態に即したような対策にすることが必要であります。  また、世界食糧不足が指摘されている今日、世界最大農産物輸入国である我が国は、農業の持つ社会的、公益的機能を維持し、都市農村の共存と共生食糧自給率の向上を基本に据えた新たな食糧農業農村基本法制定し、農業農村の将来に明るい展望を切り開くべきことを我が党はかねてから主張してきましたが、その作業を急ぐべきであります。  また、ことし十一月にローマで開催される食糧サミットや、同時期に開催されるAPECフィリピン会議への対応についてお伺いいたします。  農業とともに荒廃のふちに立たされているのが林業であります。若者は山を下り、山村では真昼でも人影はまばらで、外材に押されて山は荒れ放題であります。国土保全、緑の環境を維持するためにも、貴重な資源である森林を育てなければなりません。そのために、森林資源に関する基本計画長期見通しを早急に改定すること、また、国有林改善計画によって組織・定員の合理化は劇的に進んでいますが、累積債務は一二兆円を超え、国有林役割を果たすことができなくなっておりますので、抜本的な再建対策を講ずることが急務となっています。どのように対応されますか。  次に、今国会提出が予定されている国連海洋法条約に関してお尋ねいたします。  我が国周辺水域におきます韓国・中国漁船の無謀な操業や、重要水産資源の著しい減少に対応して、条約批准後は、資源管理型漁業実現のために速やかに排他的経済水域全面設定全面適用を図るべきだと思いますが、現在暫定措置となっている問題についてはどのように対応されますか。  以上、農林水産問題について、総理農林水産大臣外務大臣に伺います。  以上、私は当面する重要課題について質問してまいりました。今、世界日本も大きく変化をしており、我々はこれに対応して、政治経済社会、その他あらゆる面で、時には強い痛みを伴うとしても大胆に改革を進めなければなりません。しかし、それは痛みに無関心であったり単純に切り捨てることであってはならないと思います。  私はこれまで、「政治の谷間に光を」をスローガンに政治家としての活動を続けてまいりましたが、大胆な中にも優しさを忘れてはならない、このことを申し添えて、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣橋本龍太郎登壇拍手
  10. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 村沢議員にお答えを申し上げます。  まず、村山政権に対する評価連立意義性格、三党合意についてのお尋ねがございました。  村山政権は、三党が話し合いにより国民の納得できる合意点を見出しながら、さまざまな懸案解決してまいりました。高く評価をいたしております。これはまさに透明で民主的な政治と申せますが、この点こそが連立政権意義であり、性格であったと思います。私は、このたびの三党合意に基づいて新たな課題解決に邁進してまいりたいと考えております。  また、さきの施政方針演説でも私は申し述べましたとおり、我々は過去の重みからも、また、未来への責任からも逃れることはできないのであります。政府といたしましては、今後ともアジア近隣諸国などとの間の過去の歴史を直視しながら、将来に向けて各国との相互理解相互信頼を促進すべく積極的に取り組んでいく所存であり、このため、昨年開始いたしました平和友好交流計画推進を初めとする諸課題に着実に取り組んでまいる決意であります。  次に、沖縄米軍施設区域の問題についてのお尋ねがございました。  政府といたしましては、先般の新しい三党政策合意の趣旨も踏まえながら、長年にわたる沖縄方々苦しみ、悲しみというものに最大限心を配った解決をしてまいりますためにも、先般設置されました特別行動委員会などを通じ、日米安保条約目的達成との調和を図りながら、沖縄米軍施設区域整理統合縮小推進いたしますとともに、騒音、安全、訓練などに係る諸問題につきまして、早期に動かせるものから一つ一つ取り組み、実質的な改善を図るべく誠心誠意努力を行ってまいる決意であります。  先日、大田沖縄県知事にお目にかかりました際にもその旨申し上げたところであり、四月のクリントン大統領の訪日はこうした問題の解決を図る上での大きな節目となるものでありますから、その際の日米首脳会談におきまして一定方向性を示すことができるように、政府としても、アメリカ側の協力も得て最大限努力してまいりたいと思います。  次に、景気回復に向けた決意方策についてお尋ねがございました。  本年こそは、ようやく明るさの見え始めました景気回復を確実なものにし、中長期的な我が国経済持続的発展につなげていく景気回復の年といたさなければなりません。  このため、来年度予算におきましては、経済社会構造改革基盤となります分野を重点的に整備を図ることといたしましたほか、特別減税の来年度継続実施など、税制面でも格段の配慮を行うことといたしており、本予算並びに関連法律案が、御審議をいただきました上、早期に成立することを期待いたしております。  政府としては、引き続き為替動向を注視しつつ、今後とも切れ目のない適切な経済運営に努めてまいる決意であります。  雇用対策お尋ねがございました。  政府としては、昨年十二月、閣議で決定をいたしました第八次雇用対策基本計画を踏まえ、新総合的雇用対策を効果的に実施するため、雇用の安定に総力を挙げてまいりました。  特に、女子学生等の若年者対策として、積極的な求人開拓や就職面接会の開催などを行いますとともに、学生職業センターや学生職業相談室におきましてきめ細かな職業紹介・相談などを強力に実施し、若年者の就職を全力で支援してまいります。  次に、住専問題についてお尋ねがございました。  住専処理に当たっての政府取り組み等についてのお尋ねでありますが、住専問題は、金融機関の不良債権問題における象徴的かつ喫緊の課題であり、政府としては、我が国金融システムの安定性と内外からの信頼を確保し、預金者保護に資するとともに、経済を本格的な回復軌道に乗せるため、慎重の上にも慎重な検討を重ね、財政資金導入を含む具体的な処理方策を決定いたしました。  また、先般、住専各社の財務状況等について資料を提出いたしましたが、今後も本院の御理解、御協力をいただきながら、情報開示に最大限の努力を払ってまいります。  いずれにいたしましても、本問題につきましては、透明性の確保、原因やさまざまな責任の明確化を図りながら、本処理方策についての国民の御理解を得るべく全力を尽くしてまいる決意であります。  なお、新たに設置されます住専処理機構が住専から買い取りました債権などにつきましては、まず回収に全力を挙げることが先決であると考えており、こうした回収努力を行うことにより、現在以上の損失が極力生じないよう努めてまいりたいと考えております。  また、住専処理に当たっての財政資金導入性格考え方についてのお尋ねがございましたが、財政支出を含む今般の処理方策は、今申し上げた考え方に基づくものでありまして、系統金融機関を救済することを目的とするものではございません。  新しい金融システムの検討も必要ではないかと御指摘がございました。  金融自由化の進展やバブルの発生、崩壊といった環境の変化を踏まえながら、過去の金融政策や金融検査・監督のあり方を総点検いたしまして、今後、自己責任原則と市場規律の十分な発揮を基軸とする透明性の高い新しい金融システムを早急に構築していくよう努めてまいる所存であります。  次に、冷戦後の国際社会における我が国役割という御指摘がございました。  私は、我が国国際社会に受け入れられる理念を打ち出しながら、それに基づいてみずからのイニシアチブで行動する自立的な外交を展開し、世界の平和と安定のために積極的、創造的役割を果たしていくべきだと考えております。  具体的には、日米安全保障条約を基礎とする日米関係を外交の基軸としながら、アジア太平洋諸国を中心に心の通い合う外交を展開すると同時に、国連改革推進地域紛争の解決と軍縮・不拡散への創造的な取り組み世界経済の繁栄への枠組みづくりに努めてまいりたいと思います。  次に、我が国常任理事国入りの問題についてお尋ねがございました。  我が国の安全保障理事会常任理事国入りの問題につきましての政府としての立場は、連立政権発足以来、国連総会における演説等において述べましたとおり、憲法が禁ずる武力の行使は行わないという基本的な考え方のもとに、多くの国々の賛同を得て、安保理常任理事国として責任を果たす用意があるというものであります。  この問題につきましては、平成七年十月の総理府世論調査を見ましても、我が国常任理事国入り賛成の意見が前年の五六%から六一%に増加するなど、国民の御理解が進んでいると承知をいたしておりますが、今後とも新たな連立政権の三党合意をも踏まえながら、より多くの国々の賛同と国民の皆様の一層の御理解を踏まえ、取り組んでまいりたいと思います。  次に、全面核実験禁止条約交渉の成功に向けての我が国の貢献についてお尋ねがございました。  我が国としては、全面核実験禁止条約は核軍縮を推進していく上で極めて重要な課題考えており、昨年の国連総会におきまして、本年春までの交渉の実質的な妥結、秋までの署名を提唱しております。このスケジュールを念頭に置きながら、我が国としては、このような国際社会への働きかけを通じ、今後とも交渉の加速化のため全力を尽くしてまいりたいと思います。  また、我が国核実験の検証技術の向上にも貢献してきており、こうした技術面での貢献をも通じ、交渉推進努力してまいる所存であります。  次に、中国及びフランス核実験への対応についてのお尋ねがございました。  我が国としては、昨年の国連総会において核実験停止決議が多数の国々の賛成を得て採択されたことをも踏まえ、中国フランスに対し、本決議に示された国際社会の意思を真剣に受けとめ、これ以上核実験を繰り返さないよう、引き続きあらゆる機会を通じて働きかけてまいります。  なお、フランス核実験の放射線漏れにつきましては、報道されております放射性物質の漏えいに関しフランス政府に事実関係を照会いたしましたが、フランス側から、今回の一連の核実験においてそうした物質は検出されていない旨の回答を受けております。  次に、日朝国交正常化への取り組みについてのお尋ねがございました。  我が国としても、今後とも第二次世界大戦後の日朝間の不正常な関係を正すとともに、朝鮮半島の平和と安定に資するという観点を踏まえて、韓国などと緊密に連携しながら対応していく考えであります。  朝鮮半島における南北対話に関しましては、南北対話の進展により朝鮮半島における緊張緩和が図られ、ひいては朝鮮半島の平和的な統一が一日も早く実現することを祈念しており、そのための環境づくりにできるだけの貢献を行う所存であります。  次に、行政改革についてお尋ねがございました。  施政方針演説でも申し上げましたとおり、内外の諸課題解決を図りますためには、まず行政みずからが時代の潮流変化を踏まえて大きな価値観の転換を遂げていかなければならないと考えております。  そして、私は、根本的な問いかけにこたえる行政改革を行うことを求めてまいります。政治家の強い意志と責任で大きな改革の方向づけを行い、その最終責任行政責任者でもある政治家が持たなければならないと考えております。  こうした考え方に立ちながら、引き続き、規制緩和地方分権、特殊法人などの各般の行政改革課題について、相互の有機的な連携に配慮しつつ、積極的に取り組んでまいりますとともに、情報公開法の制定に向けて所要の検討を行ってまいる所存であり、今通常国会にも特殊法人の統廃合などを初めとする具体的な改革案を盛り込んだ法律案を提出させていただくことにしております。  次に、財政改革についてお尋ねがございました。  今回の予算編成に当たりましては、もはや危機的と言っても過言ではない財政事情のもとに、景気国民生活の質の向上に十分配慮しつつ、歳出削減に一層強力に取り組んだところであります。  今後、この八年度予算を地ならしとして財政改革取り組み、できるだけ速やかに健全な財政体質をつくり上げる、これが緊急の課題であり、財政制度審議会や与党での御議論をも踏まえながら、財政改革に強力に取り組んでまいりたいと考えております。  次に、消費税率の見直しについてお尋ねがございました。  五%とすることが法定されております消費税率につきましては、社会保障などに要する財源確保の観点、行財政改革推進状況財政状況などを踏まえつつ、本年九月末という法律の期限に向けて鋭意検討を進めてまいります。この場合、検討条項が設けられた趣旨、また、深刻な財政状況考えますと、しっかりした議論を避けてはいけないと考えております。  次に、阪神淡路大震災復旧復興防災都市づくり推進についての決意を問われました。  政府はこれまで、兵庫県及び関係市町と御相談をしながら、復旧復興に必要な施策推進全力を挙げて取り組んでまいりました。地震発生から一年が経過いたしましたが、阪神・淡路地域の一日も早い復興と被災者の方々生活再建に最大限の取り組みを行うことが内閣の最重要課題であることはいささかも変わりはありません。今後ともに兵庫県など地元地方公共団体と緊密な連携のもとに、基本的な課題対応した復興関連施策の円滑かつ着実な実施に政府一体となり全力で取り組んでいく決意であります。  次に、市民活動の支援についてのお尋ねがございました。  国際化や高齢化の進展など、我が国経済社会を取り巻く環境変化に適切に対応してまいりますためには、ボランティアや市民活動団体が行う市民活動の活性化が重要であります。また、その献身的な御努力というものは、阪神淡路大震災を契機に広く国民の中にも知れたところであります。そのためには、御指摘の与党三党で行われている市民活動団体法人格の取得に関する法案の検討は重要なものだと考えており、政府といたしましても、ボランティアや市民活動団体の自主性を尊重しながら、その活動環境整備を促進してまいりたいと考えております。  次に、公的介護保険制度についてのお尋ねがございました。  少子・高齢化の進展に伴い、高齢者介護問題は国民の老後生活の最大の不安要因となっており、その解決は喫緊の国民的な課題であります。こうしたことから、保健・医療・福祉にわたる高齢者介護サービスを総合的、一体的に提供するために、公的責任を踏まえ、適切な公費負担を組み入れた社会保険方式による新たな高齢者介護のシステムの制度化に向け全力で取り組んでまいるつもりであります。  次に、福祉政策についてのお尋ねがございました。  私は、長生きしてよかったと言っていただける長寿社会の建設に向けて努力していくことを内閣の最重要課題の一つと位置づけております。  私の目指す社会は、老若男女、障害の有無などを問わず、社会のさまざまな構成員が自立し、積極的に社会に参画し、相互に助け合い、ともに充実した人生を送ることのできる社会であり、こうした社会をつくりますために、障害者プランエンゼルプラン、新ゴールドプラン推進など、福祉政策の一層の推進全力を尽くしてまいります。  次に、ゆとり社会創造のための御指摘がございました。  まず、年間総労働時間千八百時間の実現に向けた労働時間の短縮は重要な課題でありまして、現在、猶予措置が講ぜられております中小企業などが円滑に週四十時間労働制に移行できますように、きめ細かな指導、援助を行うなど、平成九年四月からの週四十時間労働制の全面的な実施を確実なものにしたいと考えております。  また、学校週五日制及び教育改革につきましては、子供生活ゆとりを持たせ、望ましい人間形成を図るという観点から、現在月二回実施しております学校週五日制の今後のあり方を重要な課題と受けとめております。  こうした観点を踏まえ、現在、文部省の中央教育審議会におきまして、「二十一世紀を展望した我が国の教育の在り方」について鋭意審議をいただいているところであります。この御審議を踏まえながら、教育改革を積極的に推進し、ゆとりある豊かな国民生活実現してまいる所存であります。  しかし、この中に秘められた問題は学校だけでできるものではなく、子供たちによりよい環境を与えますためには、家庭と地域社会そして学校が有機的な連携の中に対応していくことが求められていると私は思っております。  次に、男女共同参画社会実現のための国内推進体制強化についてお尋ねをいただきました。  平成六年七月に、従来の事務次官レベルの婦人問題企画推進本部を改組強化いたしまして、本部長を内閣総理大臣、副本部長を女性問題担当大臣、その他の全閣僚を本部員とする男女共同参画推進本部を設置いたしております。  また、男女共同参画審議会におきまして、今後の総合的なビジョンとともに、国内本部機構の強化についての検討をしていただいており、政府といたしましては、今年夏に予定されている本審議会の答申を踏まえ、適切に対処してまいりたいと考えております。  次に、「ウタリ対策あり方に関する有識者懇談会」の論議の促進についてお尋ねをいただきました。  法制度のあり方を含むウタリ対策の今後のあり方につきましては、官房長官のもとに御指摘の懇談会を開催し、既に八回の会合を重ねてまいりました。  懇談会では、このたびの与党三党の政策合意に盛り込まれた懇談会の論議促進の要請を踏まえ、今年春の取りまとめに向けて基本的な論点を整理され、現在、それに沿ってアイヌの先住性の問題やアイヌ語、伝統文化の保存振興などの具体的なウタリ対策あり方について鋭意御審議をいただいているところと承知をいたしております。  北海道旧土人保護法の廃止問題及び今後のウタリ対策に関する新たな立法措置必要性の問題につきましては、本懇談会の結論を踏まえ、政府として適切に対処してまいりたいと考えております。  次に、同和問題についてのお尋ねがございました。  同和問題につきましては、憲法に保障された基本人権にかかわる重要な問題である、その認識のもとに、政府としては、現行の地対財特法に基づき啓発などの各般の事業を積極的に推進しているところで、同和問題の早期解決努力をしているところであります。  同和問題の早期解決に向けた方策あり方につきましては、地域改善対策協議会に設置された総括部会において、同和地区実態把握等調査の結果も踏まえ、引き続き精力的に御審議をいただいており、本年三月末ごろまでに最終意見を取りまとめていただくことといたしております。  また、人権と差別問題に関するプロジェクトチームにおきまして与党間の話し合いも進められておりますので、その議論の動向にも十分留意しながら対処してまいりたいと考えております。  次に、「人権教育のための国連十年」への対応についてお尋ねをいただきました。  政府としては、総合的な施策推進するために、昨年十二月、内閣総理大臣を本部長とする「人権教育のための国連十年推進本部」を内閣に設置したところであります。  政府といたしましては、当面、人権についての教育、研修、啓発活動推進などを内容とする国内行動計画を早急に策定し、「人権教育のための国連十年」に係る取り組みを積極的に推進していきたいと考えております。  次に、新たな基本法をという御意見をいただきました。  現行農業基本法をめぐる社会情勢の変化、また、国際化の進展という状況変化も踏まえながら、農林水産省において既に新たな基本法の制定に向けた検討に着手しているところでありますが、この問題は農政の根幹にかかわる極めて重要な問題と認識しております。そのために、この検討に当たりましては、農業農村に対する国民的な理解が得られますように、国民各層の御意見も伺いながら、当面、腰を据えた十分な議論を積み重ね、対応したいと考えているところであります。  国連海洋法条約につきましては、これを早期に締結したいと考えて、具体的には今通常国会提出することを目途に、現在、政府部内で所要の準備を進めております。  排他的経済水域にかかわる問題につきましては、現在、政府部内で検討を進めている状況にありまして、我が国関係者の意見も念頭に置きながら、さらに検討を進めてまいる所存であります。  残余の質問につきましては、関係大臣から答弁をいたします。(拍手)    〔国務大臣池田行彦君登壇拍手
  11. 池田行彦

    国務大臣(池田行彦君) 村沢議員にお答え申し上げます。  私には五つの点について御質問がございましたが、そのうち国連安保理常任理事国の問題、日朝国交正常化問題につきましては、総理から御答弁申し上げたとおりでございます。  沖縄の米軍基地の問題につきましては、これについても総理から御答弁がございましたけれども、私が先般米国を訪問いたしました際、クリストファー国務長官並びにペリー国防長官の会談におきましても本件を重要な問題として話し合いました。そして、村山内閣以来の方針に従いまして、特別行動委員会において、ことしの秋までに具体的な成果を出していく、これを基本にしてまいりますが、四月の大統領訪日という大きな節目で一定方向性を明確にしていこう、こういうことで認識が一致したということは御指摘のとおりでございます。  本件につきましては、私といたしましても、誠心誠意かつ精力的に取り組んでまいる所存でございます。  次に、食糧サミットAPECフィリピン会議における対応でございますけれども、世界食糧サミット、この際には、世界食糧需給の安定のためには世界各国の努力が肝要である、こういった認識のもとに積極的に議論に参加していく所存でございます。  また、APECにつきましては、昨年の大阪会合において採択されました行動指針に従って本年は行動計画を出すということになっておりますが、我が国といたしましても、十分に内容のある前向きな行動計画策定すべく、今、努力をしているところでございますし、また、前議長国としての経験を本年の議長国でございますフィリピンに伝える等、APECのさらなる発展のために力を尽くしてまいりたいと存じます。  また、さきの大阪会合において非公式の首脳会合がございましたときに、我が国からAPECとして取り上げていくことを提案いたしました人口、食糧、エネルギー、環境といった広範な問題につきましても長期的課題として取り組んでまいりたい、このように考えております。  最後に、国連海洋法条約に関しまして、私からは、新たな漁業秩序に関する韓国と中国との協議、これはなかなか困難な問題を伴うとは思いますけれども、その協議早期に開始してまいりたい、こういうことを御答弁申し上げたいと存じます。  以上でございます。(拍手)    〔国務大臣永井孝信君登壇拍手
  12. 永井孝信

    国務大臣(永井孝信君) 村沢議員からの御質問は二点であります。  まずその一つは、厳しい雇用失業情勢のもとで労働省はどのような雇用対策を講じるかという御質問であります。  基本的には、総理からお答えいただいておりますが、現在の雇用情勢については依然として厳しい状況が続いているものと認識をいたしております。労働省といたしましては、こうした状況対応するため、昨年十二月に策定しました第八次雇用対策基本計画を踏まえた新総合的雇用対策の効果的な実施に努めているところであります。  その中でも特に、人材高度化支援事業の実施や中小企業人材育成プロジェクトの拡充等から成る高付加価値化・新分野展開を担う人材の育成、また、改正業種雇用安定法に基づく特定雇用調整業種の労働者についての失業なき労働移動の支援、さらには改正中小企業労働力確保法に基づく中小企業の活力を生かした雇用機会の創出、そして学生職業センター、学生職業相談室における新卒者への就職支援、求人開拓の積極的な推進など離職者の再就職促進への支援などに重点を置いて施策を強力に推進しているところでありますが、こうしたことにより働く人すべてが、ともに働き、ともに喜び、安心して暮らせる社会実現できますように努めてまいりたいと考えております。  二つ目の問題は、厳しい雇用失業情勢のもとで、特に女子学生等若年失業者対策がどうなっているかという問題であります。  女子学生等の就職問題につきましては、当面、三月の卒業までに何とか就職が決まるよう、新卒者の採用枠の拡大や男女雇用機会均等法及びその指針の周知徹底について、事業主団体に対する要請を行っているところであります。  また、求人開拓に全力を挙げるとともに、公共職業安定所、大学等を通じた求人一覧表の提供回数や全国各地における就職面接会の開催回数をふやすなど、昨年以上に充実させた就職支援を行っているところであります。  学生職業センターや学生職業相談室におきましても、きめ細かな職業紹介・相談等を強力に推進しているところであります。  就職に際し、女子学生男子学生に比べ不利に取り扱われることのないよう、都道府県婦人少年室に特別相談窓口を設置いたしまして女子学生からの相談に応じるとともに、企業に対し必要な指導を行っているところであります。  今後とも、女子学生等の若年者の就職を全力で支援してまいる決意であります。(拍手)    〔国務大臣久保亘君登壇拍手
  13. 久保亘

    国務大臣(久保亘君) 村沢さんの私に対するお尋ねは、住専問題、財政改革消費税率の見直しの三点でございました。  債権回収が先決ではないかというお尋ねでございますが、御指摘のとおり、法律上認められておりますあらゆる回収手段を迅速的確に用いることにより、回収に全力を挙げることが先決であると考えております。このため、住専処理機構は、本部に回収困難事案対策室を設けることにいたしております。また、共通・大口・回収困難事案について特別のプロジェクトチームを組織し、過去の経緯や関係者の利害にとらわれることなく、強力な回収を進める体制を整備することといたしております。  次に、住専問題処理に当たっての責任の明確化についてのお尋ねでございました。  住専をめぐる問題は、金融機関の不良債権における象徴的かつ喫緊の課題でございます。一刻も早い解決が望まれていることから、財政資金を含む具体的な処理方策を決定したところであります。このため、借り手の返済責任については、過去の取引経緯、関係者の利害等にとらわれることなく、回収額を最大化すべく、あらゆる回収手段を迅速的確に用い、捜査当局と緊密な連携をとり、厳正に対処をいたすつもりであります。  住専問題の処理多額財政資金を支出する責任を重く受けとめ、このような強力な債権回収、積極的な情報開示、さらに種々の責任の明確化は、国民に対する政府の責務と考えております。  次に、財政資金導入への考え方についてのお尋ねでございました。  住専問題は、金融機関の不良債権問題における最も重要な課題であり、この問題の処理のため、先般、財政資金の支出を含む処理方策を取りまとめたところでありますが、住専問題の処理に当たって講じられる財政措置は、本問題の早期処理により、我が国金融システムの安定、内外の信頼の確保、預金者の保護、景気を本格的な回復軌道に乗せるために不可欠でやむを得ない措置であり、系統金融機関を救済することを目的としたものではありません。  次に、新しい金融システムの検討についてお尋ねがございました。  幾つかの中小金融機関の経営破綻や住専問題の経験にかんがみて、金融政策や金融検査・監督のあり方を総点検し、金融機関における自己責任原則の徹底を図るとともに、市場規律が十分に発揮される新しい金融システムを早急に構築していく必要があると考えております。  このような観点から、昨年十二月の金融制度調査会答申も踏まえ、ディスクロージャーの促進、早期是正措置導入や検査、モニタリングの充実を図るほか、破綻処理手続の整備、預金保険制度の拡充等を進めることとしており、このため所要の法律案を今国会提出することといたしております。  次に、財政改革についてのお尋ねがございました。  我が国財政は、平成八年度末の公債残高が約二百四十一兆円に増加する見込みとなり、国債費が政策的経費を圧迫するなどの構造的な厳しさに加え、税収の動向も引き続き厳しく、一段と深刻さを増しております。二十一世紀に向けてこのような財政状況を放置することはできず、財政改革に取り組むことが喫緊の課題となっております。  そのため、財政制度審議会においては、財政の果たすべき役割や守備範囲の見直し、財政健全化に取り組むに当たっての目標について、引き続き検討が行われることとなっております。(発言する者多し)
  14. 松尾官平

    ○副議長(松尾官平君) 御静粛に願います。
  15. 久保亘

    国務大臣(久保亘君)(続) また、今回の三党合意により設置されることになる財政構造改革に関する与党の検討の場や、国会の場においても、財政構造改革について幅広く論議がなされていくものと考えております。  最後に、消費税率の見直しについてのお尋ねでございました。  平成六年十一月に成立いたしました税制改革関連法においては、消費税地方消費税を合わせた税率は、既に先行して実施している所得税、個人住民税の負担軽減とおおむね見合う形で、九年四月一日から五%とすることが法定されているほか、いわゆる検討条項が盛り込まれております。  検討条項にあります社会保障等に要する費用の財源確保の観点、行財政改革等の四つの勘案項目に関して、これまで七年度、八年度予算編成等を通じてそれぞれの場で真剣に取り組んできたところであります。  いずれにせよ、五%という消費税率について新たに法改正を要するかどうかについては、こうした取り組み消費税に対する国民各層の議論を踏まえながら、平成八年九月末という法律上の期限を勘案して判断をしていくことになると思います。  以上であります。(拍手)    〔国務大臣大原一三君登壇拍手
  16. 大原一三

    国務大臣(大原一三君) 村沢議員の御質問にお答えいたします。  まず、今回の財政資金投入の問題でございますが、総理並びに大蔵大臣からも御答弁がありましたように、私も、現今の金融システムの早急な安定性を確保し、そして内外からの信頼を得、預金者保護に資するとともに、景気を本格的な回復軌道に乗せるために必要なものであり、農協系統金融機関の救済や負担軽減のものではないと認識をいたしております。  今後、系統金融システムにつきましては、早急に新しい金融構造の再構築のために種々検討を重ね、早急にその結論を得たいと思っております。  次に、農業担い手対策の問題でございますが、議員御指摘のとおり、農業の担い手問題は喫緊の最大問題でございます。農業を何とか魅力のある、やりがいのあるものとしていくことが重要であると認識いたしております。  このような観点に立って、農業経営基盤強化促進法によるいわゆる認定農業者に対する支援、新規農業者の確保、農地利用の集積等を積極的に推進し、効率的かつ安定的な農業経営の育成を積極的に進めてまいる所存でございます。  中山間地対策につきましては、関係各省庁との連絡を密にいたしまして、地域の自主性と創意工夫を生かした農林業の振興を基本として、多様な就業機会の確保、生活環境基盤整備、医療・福祉水準の向上等の具体的施策を総合的に推進しているところであります。  今後とも、御指摘のとおり、関係省庁と一層の連携を図り、農山漁村高齢者対策等も含め、中山間地対策の充実に努めてまいります。  次に、新たな農業基本法の制定についてでございますが、総理からも御答弁がございましたが、現在の農業基本法は昭和三十六年に制定されましたが、一昨年十月、緊急農業農村対策本部において決定されたウルグアイ・ラウンド農業合意関連対策大綱で、「新たな基本法の制定に向けて検討に着手する」とされたところでございます。  このため、九月に農業基本法に関する研究会を農水省において発足させるなど、その基本制定の問題は農業の根幹にかかわる極めて重要な問題であると認識いたしております。その検討に当たっては、議員御指摘の点も十分踏まえつつ、農業農村に対する国民的な理解を得るために、国民各層の御意見も聞きながら、当面、腰を据えた十分な議論を積み重ね、対応してまいりたいと考えております。  次に、森林・林業についてのお尋ねでございますが、御指摘の「森林資源に関する基本計画並びに重要な林産物の需要及び供給に関する長期の見通し」、昭和六十二年のものでございますが、近年の国内外の森林・林業及び木材需給をめぐる状況を踏まえまして、新たに本年中を目途といたしましてその計画及び見通しを改定することにいたしまして、鋭意検討を重ねております。  また、国有林野事業につきましては、要員規模の適正化、さらに組織機構の簡素化・合理化、自己収入の確保等、自主的改善努力を尽くすとともに、所要の財政措置を講ずることにより、経営の健全性の確立に向けてさらに最大限の努力を払ってまいります。  最後に、国連海洋法条約批准後の排他的専管水域の設定・適用についてのお尋ねでございますが、現行の二百海里の漁業水域は、東経百三十五度以西の日本海等に設定しておらず、また、中国、韓国に対しては規制の適用を除外しているといった暫定措置となっております。  海洋法条約の批准に伴う排他的経済水域の取り扱いにつきましては、現在、政府部内で検討を行っているところでありますが、漁業者等の関係者から全面的に設定・適用をすべきであるとの声があることは十分承知をいたしております。農林水産省としては、このような御意見を踏まえつつ、適切に対処してまいりたいと思います。  なお、排他的経済水域の設定・適用を行う場合、韓国、中国我が国の二国間漁業協定との整合性を確保する必要があることから、韓国、中国との間で早急に話し合いを行う必要があると考えております。  以上でございます。(拍手)     —————————————
  17. 松尾官平

    ○副議長(松尾官平君) 立木洋君。    〔立木洋君登壇拍手
  18. 立木洋

    ○立木洋君 私は、日本共産党を代表して、橋本首相並びに関係閣僚に対して質問をいたします。  戦後五十年を経、二十一世紀を目指して日本が選択すべき進路は、かつての侵略戦争への厳しい反省に立脚し、国民こそ主権者としての民主政治の徹底を図る道であることがいよいよ鮮明になっています。  侵略戦争と植民地支配について日本がどのような認識と態度を示すかは、戦後五十年を経た今日、新しい首相の歴史的認識の表明に国民の重大な関心があったのであります。ところが、橋本首相の施政方針演説歴史認識を欠いたもので、内外から強い懸念と批判が出ているのは当然であります。  そこで、お聞きしたい。太平洋戦争とは一体どんな目的性格の戦争であったと認識されるのか。  とりわけ首相は、一昨年十月二十四日、衆議院税制特別委員会で、中国に対しては侵略行為、朝鮮半島に対しては植民地支配と言い、太平洋各地の戦場については侵略であったかどうかは微妙と述べています。このことについて国際的にも、国粋主義的傾向がありアジア諸国と摩擦を巻き起こすおそれもあると批判されています。これに答えるのは新首相の義務であるにもかかわらず、答えないでだんまりを決め込むことは許されないのであります。今日どうお考えなのか、改めてお聞きしたい。  歴史の事実は、日本は大東亜における新秩序を建設するとして、中国侵略を拡大し、アジア地域を勢力圏とする立場に立っていたことを示しています。一九四三年五月、大東亜政略指導大綱についての御前会議は、マライ、スマトラ、ジャワ、ボルネオを「帝国領土ト決定シ重要資源ノ供給地トシテ極力コレカ開発並ヒニ民心把握ニ努ム」ことを取り決め、明確に、アジア諸国への領土拡張と収奪という侵略戦争の目的を明確にしております。  首相、当時の日本国の決定した明確なこの事実を否定なさるのでしょうか。また、東京裁判は米、英、オランダに対する戦争を侵略と断定していることについても、改めて首相の歴史観を明確に述べていただきたいのであります。  次に、財政危機に関する施策についてであります。  九六年度の予算は、二十一兆円を上回る巨額の国債発行を決めています。償還財源の保障のない単なる歳入不足補てんのための赤字国債発行は、赤字国債発行を中断した九〇年度以来初めてのことであります。規模も戦後最大で、九六年末には国債残高は二百四十兆円を超え、年間税収の約五倍に達します。政府自身は既に財政危機を宣言しているにもかかわらず、なぜこうした破綻した予算提出したのでしょうか、理由を答えていただきたい。  特に今日、財政の健全化に努力すべき責任に背いて、軍縮に逆行して世界最高クラスとなった軍事費を抑制するどころか、一般歳出平均の伸びを上回る二・五八%まで計上し、さらに新たな中期防で五年間に二十五兆二千六百億円、年平均二・二五%の伸び率の軍事費を保障しているありさまであります。  また、景気対策といわれるたびに追加され、財政危機の重要な原因の一つとなっている公共事業予算もあわせて再検討が当然必要であります。世界の多くの国々では、国民総生産に対する公共投資の比重は約二%前後なのに、日本国は八%、国際水準の四倍であります。しかも、それがゼネコン本位の大型プロジェクトに集中し、東京の臨海部開発にしろ、首都移転のプロジェクトにしろ、国民生活、文化の立ちおくれを放置したままのこうした投資の浪費は根本的に改めるべきではありませんか。あわせて明確な答弁を求めます。  住専問題で国民が何よりも怒っているのは、バブルに踊り、乱脈経営で破綻したツケをなぜ国民に押しつけるのかということであります。日本共産党は六千八百五十億円の予算からの削除を要求していますが、これこそ国民の圧倒的な声であります。  しかも、それにとどまらずへ早くも二次損失分についても、政府処理策では、適切な財政措置を講ずると述べ、さらなる半額負担のレールまで敷いております。これでは住専破綻のツケを国民に無限に押しつけるということになるではありませんか。そうでないと言うなら、その根拠を明確に示すべきであります。政府は口を開けば金融システムの維持のためと弁明しますが、金融会社破綻のツケを国民に押しつけることこそ、正常な金融システムの破壊ではありませんか。  住専破綻で何よりも問われなければならないのは、母体行の責任であります。  そもそも住専は母体行がつくり、人事も経営もすべて握ってきました。八〇年代半ばから住専の個人住宅ローンの市場を奪い、リスクの高い土地投機に走らせたのも母体行であります。しかも、住専が土地投機に暴走し、バブル崩壊で破綻が明確であったにもかかわらず、第一次、第二次再建計画で農林系統資金をつなぎとめ、傷口を拡大させてきたのも母体行であります。  設立母体となった大銀行は、バブル崩壊後も毎年業務純益を上げ、純益を大幅にふやしています。大手二十一行の内部留保は、貸倒引当金を合わせて二十一兆円を超えており、土地、株などの膨大な含み資産をも活用すれば住専破綻を処理する力は十分備わっています。母体行こそが負担するのが当然の筋ではないでしょうか。  さらに、大蔵省責任の一つ一つをリアルに究明しなければなりません。大蔵省は、九〇年三月の総量規制で住専を外したのはなぜか。三業種規制で農協、信連から報告を求めなかったのはなぜか。九一年と九三年の再建計画で、既に当時破綻が明らかであったにもかかわらず、農協、信連に住専への貸出残高維持の指導をしたのはどうしてなのか。八九年から九一年当時の大蔵大臣であった橋本首相の責任は免れません。明確に答えていただきたい。  さらに黙過できないのは、住専融資と暴力団や政治家との関係であります。母体行はリスクの高い案件、担保が十分でない案件を住専に紹介し、その多くが不良債権化しています。しかも、暴力団絡みの融資政治家絡みの融資も少なくなかったことが指摘されています。そのしりぬぐいを国民の税金で行う、こんな道理がないことを絶対に通用させてはなりません。そのためにも、銀行の紹介融資の全容、暴力団や政治家とのつながりを徹底的に究明すべきであり、それを国会にも提出すべきであります。  以上、あわせて明確な答弁を求めます。  いずれにしても、このような無責任で異常な財政支出、いわばむだ遣いが、深刻な我が国財政をますます悪化させています。このツケは結局国民に回されることになるのではありませんか。  政府は、来年四月の消費税率引き上げについて、法律では五%とされていますが、放漫財政の片方で国債をどんどん発行していく今のようなやり方を続けるのなら、既に財界などからも要求が出されているように、消費税は五%どころか一〇%、あるいはそれ以上の引き上げも押しつけてくるのではないでしょうか。消費税率についての将来の明確な考え方を問うものであります。  ここで久保大蔵大臣に特にただしておきたい。  あなたは、五年前の本院で消費税廃止法案を提出しました。提案者を代表してのあなたは、消費税は低所得者に過重な税負担を押しつけるなどと六つの理由を挙げ、どうしても消費税は廃止しなければならないと力説したのであります。ところが、大蔵大臣になった今、あなたは廃止どころか税率を引き上げる最初の大蔵大臣になろうとしているのであります。あなたが見識のある政治家であるならば、消費税の増税などとるべき選択では断じてありません。納得のいく説明を求めるものであります。  次に、不況対策についてですが、日本の九〇年代不況は深刻なまま五年目を迎えました。政府の一月の月例経済報告は、「景気には緩やかながらこのところの足踏み状態を脱する動きがみられる」と述べていますが、首相は施政方針演説で、「雇用中小企業分野では、なお極めて厳しい状況が続いて」いると認めざるを得ない状態であります。  今、製造業や建設業関係中小企業の業者を訪ねると、仕事がないと異口同音に訴えられます。電機や自動車でも事態は同様であります。もし仕事をもらおうとすれば、東南アジア諸国で生産するのと同じコストでなければもらえない。仕事をすればするほど赤字がふえる事態になっているのであります。商店街が、くしの歯の抜けたように閉店が多発しているのも実態であります。  ところが、主要企業百社の調査によりますと、減収減益はゼロ、六十二社が増益になると明らかにしております。この背景には、今指摘した大企業の生産拠点の海外移転の加速化、部分品や製品輸入の激増、下請中小企業の切り捨て、下請単価の極端な切り下げ、無慈悲な首切り合理化のあらしがあることは言うまでもありません。  こうした事態を解決するためには、第一に、百五円台に下がってきているとはいえ、中小企業の採算が成り立つぎりぎりの限度は百十五円から百二十円というのが最近の調査の結果であり、なお高い水準にある円を引き下げる対策をとるべきではないでしょうか。  第二に、大企業による下請中小企業いじめを規制するため、下請代金支払遅延等防止法、下請中小企業振興法の厳正な運用とともに、それに基づく下請振興基準を単純な基準にとどめるのではなく、罰則をつけて大企業に遵守を義務づけるものに法律を改正する必要があると思うが、いかがでしょうか。  我が国失業率は三・四%と最悪の事態になっております。特に、男女十五歳から二十四歳、男子六十歳から六十四歳の失業率が上昇しています。新規学卒者、中でも女子学生の就職が超氷河期と言われるほど厳しく、若者の将来の希望を打ち砕いています。中高年労働者の生活不安も深刻であります。橋本内閣は、景気回復にも大きな影響を落としている雇用問題解決のためにどんな具体策をとろうとしているのでしょうか。  雇用を守るためには、過労死まで生み出す長時間過密労働を短縮し、対価の支払われないサービス残業がまかり通っているこの事態をなくすこと、NTTなど業績優良な大企業の大量人減らしをやめさせること、使用者の一方的な不当解雇や事実上の退職の強要をやめさせるための解雇権の乱用規制など、ヨーロッパなどの先進国では当然のルールとなっている労働者の雇用上の権利を確立することが必要であります。  そのために政府は解雇規制立法制定すべきではありませんか。そして、その法律には、正当事由なしに労働者を解雇してはならないこと、退職の強要や出向や転籍の強要の禁止、また、地域経済にも大きな影響を与える経営上の理由による解雇は、最高裁の判例でも確立されている四要件の法律化、さらにパートや派遣労働者にもこうした保護を与えること、そして解雇をめぐる係争中は賃金だけでなく就労も保障されるべきこと等が盛り込まれるべきではないでしょうか。首相の見解を伺います。  阪神淡路大震災から一年たった今日、依然として住、職業、財産のすべてを失った多くの被災者は大変な苦境の中に存在しています。それに自力で立ち直れというのがどれほど非現実的でしょうか。さらに、冷え冷えとした仮設住宅にいるお年寄りの孤独死は後を絶たないという全く痛々しい状態が続いています。住民が生活を再建する以外に町の真の復興はあり得ません。  憲法では、国民の生命、財産をさまざまな侵害から守ることは国の重大な責任と明確にしているところであります。そのためには、生活基盤を再建するために個人補償を実現することではないでしょうか。国の防災対策の不備や怠慢が原因となって大きな被害となったことを見るなら、憲法二十五条の精神からしても、国家賠償制度から見ても、国の個人補償は当然であります。さらに、低家賃の公営住宅の大量建設も欠かすことができません。国の責務としてこの実現を重ねて強く要求するものであります。  次に、沖縄問題についてであります。  沖縄では広大な一等地を米軍基地が占め、県民は爆音被害や多発する米軍犯罪と事故に脅かされています。さらに、沖縄の振興開発や経済発展の条件は根底から奪い取られています。  こうした事態は、米軍が沖縄占領時代の、私権の尊重と収奪を禁止したへーグ陸戦法規を初めとする国際法に違反した農地強奪、それと米軍基地の構築、それに引き続く銃剣とブルドーザー強奪による米軍基地の異常な成り立ちや構造に見られるように、事実上、占領の継続そのものであると言っても過言ではありません。  普天間飛行場が市の中心部にある宜野湾市の桃原市長は、「人間でいえば、胸から腹にかけてえぐりとられたようなもので生きてはいけない」との表現で深刻に訴えていました。嘉手納飛行場のある嘉手納町は、町の八三%が基地であります。飛行場の周辺部の狭隘な地域に住民がひしめいて住んでいるのであります。これでどうして経済の振興や町づくりが可能なのでしょうか。  アメリカのデイトン・デーリー・ニューズは、膨大な米軍犯罪の記録を分析して、世界じゅうの米軍基地の中で性犯罪の発生率は日本の米軍基地が第一位を占め、最も多発しているという事実を明らかにしています。現に、あの少女暴行事件の直後にも痛ましい事件が発生しているではありませんか。それなのに、沖縄県民の反対を押し切って基地の強制使用を戦後の長期にわたり押しつけてきたことを政府はどう考えているのでしょうか。  政府は、当然、沖縄県民、県知事の要請を踏まえてアメリカ政府交渉すべきなのに、逆に沖縄の米軍基地の強制使用を維持するために、代理署名を拒否した大田知事を裁判に訴えるという前代未聞の暴挙に出たのであります。全国的な反対と怒りの声が上がっているのは当然であります。  その上、許されないことは、沖縄返還に際し、沖縄の施政権返還の交渉を行った一九六九年、佐藤・ニクソン首脳会談において、核兵器を沖縄から完全撤去するかわりに、核兵器再持ち込みの秘密合意が交わされていたことであります。  一昨年、京都産業大学の若泉敬氏が、密使として日米間で秘密の合意議事録を作成したことをその著書「他策ナカリシヲ信ゼムト欲ス」で明らかにしています。その秘密の合意議事録によれば、「重大な緊急事態が生じた」なら「米国政府は核兵器を沖縄に再び持ち込むこと、及び沖縄を通過する権利が認められることを必要とする」、「日本政府は」「遅滞なくそれらの必要を満たすであろう」とし、さらに「大統領と総理大臣は、この合意議事録を二通作成し、一通ずつ大統領官邸と総理大臣官邸にのみ保管し、最大の注意を持って極秘裏に取り扱うべきものとする」という密約内容であります。  また、昨年の十月に秘密を解禁されたアメリカの外交文書で、「日本政府は(核兵器の存在を)肯定も否定もしないとする米国の政策を厳格に維持することの重要性を強調する」と記載し、米艦船に核の有無は問わないとして、重大な非核三原則に背く態度を伝えていたことも明らかにされています。このときの報道によれば、元米政府高官は、六〇年安保条約調印の際、アイゼンハワー大統領と岸首相が、日本は核兵器の存在を肯定も否定もしないという原則を尊重するという秘密文書を交わしたと言っています。  首相、これら二つの重大な秘密の真相を明らかにしていただきたい。そして、六〇年と六九年の秘密協定が存在するのなら、それは破棄すべきことを強く要求するものであります。  ペリー米国防長官は、昨年の十一月一日、記者会見で、アジア太平洋地域に十万人の部隊を、そのうち日本に引き続き四万七千人の米軍兵力を駐留することを表明し、削減の意思のないことを明らかにしています。  首相は、四万七千人在日米軍の体制を受け入れたままで沖縄の基地の抜本的縮小ができるとお考えになっているのでしょうか、また、日米地位協定の抜本的な改定を求める意思がおありになるのでしょうか、あわせて答弁を求めます。  特に、米太平洋海兵隊の一翼として編成されている沖縄駐留の第三海兵遠征軍について質問をいたしたい。  海兵隊は、日本防衛などとは全く無関係で、いざというときに地球のどこにでも出かけて敵前上陸して戦争する、いわゆる殴り込み部隊にほかなりません。米軍の海兵遠征軍は三つあります。そのうちの二つは米国に、一つが日本であって、日本以外にアメリカの海兵遠征軍を受け入れている同盟国は全くないのであります。しかも、第三海兵遠征軍の分担区域はアフリカ東海岸にまで及んでおり、日米安保条約にさえ違反するではありませんか。こうした米戦略による海外遠征を目的とする海兵隊の撤去を速やかに実施すべきことを検討することを改めて強く要求するものであります。  米国防総省が昨年三月に発表した「アメリカと日本の安全保障関係に関する報告書」で、「アメリカの安全保障目的(の一つ)は、安保条約にしたがって、地球的規模でも地域的規模でも日本がより大きな政治責任を負うのを支援することである」、「日本役割には地域的、地球的規模の安定へのより大きな貢献が含まれている」と述べて、クリントン政権が、日米安保体制をアジア太平洋全域にとどまらずさらに地球的規模に拡大するように迫っております。  四月十六日に来日するクリントン米大統領は、橋本首相との共同声明を発表することになっているようであります。政府自身、これまで日米安保条約の適用について、それは日本が攻撃されたときに日米共同作戦を行うこと、さらに極東の平和と安全のために米軍に基地を提供することを柱にしていることを明らかにしてきましたが、予定されている共同声明は、日米両国で、この日米安保条約を改定することなく、拡大解釈と運用で、さらに進んで日本地域的、世界的規模で米戦略により積極的に協力することを合意する安保再定義を行おうとするものではありませんか。これは国会国民を無視した暴挙と言わざるを得ません。  政府は昨年十一月に防衛計画の大綱を作成し、その中に、日米共同作戦を、我が国への侵略の事態のみならず「我が国周辺地域において我が国の平和と安全に重要な影響を与えるような事態が発生した場合」に広げていますが、これは安保再定義の先取りではないでしょうか。一体この「周辺地域」の範囲はどこまでを指すのか。アジア太平洋全域まで拡大して日米共同作戦を行えるようにしようとするものではないのでしょうか。はっきり答えていただきたい。  以上述べてきたもろもろのことは、日本がアメリカの戦略に一層深く追随し、憲法の平和原則をじゅうりんする危険な選択であって、断じて容認できません。首相の明確な答弁を求めるものであります。  最後に、私は、橋本内閣の発足について主権者である国民が強い疑念の声を寄せていることを指摘せざるを得ないのであります。  一九九三年七月の総選挙では、社会党などがともかく非自民を標榜し、細川内閣が誕生しました。ところが、その後、自民党政権の打倒を掲げていた社会党が突如として自社連立政権をつくる変質と転換を遂げ、村山政権が誕生、そして今日、橋本自民党首班政権の誕生であります。  この自社さきがけ連立政権国民に信を問うことなく党利党略によってその連立政権を維持し続けようとすることは、政権を私物化し、国民政治不信を一層強めるものであります。悪政を繰り返し続けてきた末行き詰まった当然の結果として村山首相は辞任をしましたが、橋本首相は施政方針演説で「主権在民」を述べており、何よりも民主主義の原点に立つというのであるならば、新たな政権は言うまでもなく速やかに国民の信を問うべきではありませんか。  首相の明確な答弁を求めて、私の質問を終わるものであります。(拍手)    〔国務大臣橋本龍太郎登壇拍手
  19. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 立木議員にお答えを申し上げます。  第一問は、太平洋戦争についてのお尋ねでありました。  いわゆる太平洋戦争の目的性格について、戦争に至りました経緯というものが複雑であり、また、一般的に戦争の目的性格を特定することは容易ではなく、本件についてもさまざまな御議論があると承知をいたしております。したがって、断定的なことを申し上げることは困難であります。いずれにせよ、過去の我が国の行為が多くの人々に耐えがたい苦しみと悲しみをもたらしたことを深く心にとどめなければなりません。  我が国が過去の一時期に、植民地支配と侵略により多くの国々、特にアジア諸国の方々に大きな損害と苦痛を与えた事実を謙虚に受けとめ、これらに対する深い反省に立って、世界の平和と繁栄に力を尽くしていくべきと考えております。  財政の危機的状況についてのお尋ねがございました。  御指摘のとおり、昨年十一月、大蔵大臣から八年度の財政状況は容易ならざる事態に立ち至ったことなどを発表いたしました。平成八年度予算におきましては、このような容易ならざる財政事情のもとに、景気国民生活の質の向上に十分配慮しつつ、歳出削減などに一層強力に取り組んだところでありますが、なお多額の公債発行に依存せざるを得なかったところであります。このような状況を受け、財政改革に取り組むことが喫緊の課題となってまいっております。  次に、平成八年度の防衛関係費について御質問がございました。  平成八年度の防衛関係費は、先般策定されました新中期防のもとに一層の効率化、合理化に努め、極力経費を抑制するとともに、容易ならざる事態に立ち至っている財政事情等を勘案し決定されたものであります。この平成八年度防衛関係費は、歳出化経費の大幅増という当然増要因が存在するといった事情を考慮すれば、実質的には抑制されたものと認識しており、これ以上の削減は困難であると考えております。  公共事業の推進のための政府取り組みについてお尋ねがありました。  我が国の住宅・社会資本の整備水準は欧米諸国と比較して依然として立ちおくれており、また、比較的投資余力のある期間内に質の高い住宅・社会資本整備を積極的に推進していくことが強く求められており、今後の公共事業の推進に当たりましては、地域の住宅・社会資本整備の現状、国民のニーズ等を踏まえながら、コストの縮減等に努め、適切に対応していく所存であります。  次に、住専処理に当たっての財政資金及び金融システムについてお尋ねがありました。  住専問題は、金融機関の不良債権問題における象徴的かつ喫緊の課題であり、本問題を一日も早く解決することが必要であります。このため、我が国金融システムの安定性とそれに対する内外からの信頼を確保するなどの観点から、慎重の上にも慎重に考えた結果、財政資金の投入を決断し、本問題の処理方策を決定したところであり、予算に盛り込まれた住専処理のための支出について削除することは考えておりません。  将来、追加的な損失が発生した場合の対応お尋ねがございました。  現在、住専処理機構が住専から資産を買い取るための資金調達の方法につき関係当事者間で検討されているところであり、機構へ融資された資金の返済は今後の回収状況に依存することとなりますが、これにつきましては、法律上認められているあらゆる回収手段を迅速的確に用いた回収努力により、現在以上の損失が生じないよう極力努めてまいりたいと考えております。  次に、母体行に係る負担割合について御質問がありました。  住専の問題の解決に当たりましては、その緊急性にかんがみ、経営に当たっております住専自身及び母体が主体的役割を果たすとともに、関係当事者それぞれが責任を自覚しつつ合意形成を行うよう政府としても促してまいったところであり、関係当事者による最大限の努力の結果、今回の処理方策がまとめられたものであります。  次に、総量規制通達でなぜ住専を外したかという御指摘がございました。  九〇年三月のいわゆる総量規制通達は、特定業種向けの融資量の調整を求めるという極めて厳しい措置であり、こうした厳しい措置の対象はあくまで免許業種である金融機関に限ることが適正と判断されましたため、住専を含むノンバンクは総量規制の対象とされなかったものであります。  また、同通達において、農協系金融機関に対して三業種向け融資報告を求めなかったのは、当時既に他の通達により報告を求めていたこと等によるものであり、他の金融機関と同様の指導を行っていたところであります。  なお、農協系金融機関による残高維持を含む住専の二回の再建計画は、民間当事者が累次協議を行い検討を進めていく上で策定されたものと承知をいたしております。  次に、住専問題の処理に当たって、真相の解明についての御質問がございました。  政府としては、透明性の確保の観点から、先般、各種の資料を提出いたしましたが、今後とも住専問題をめぐる情報開示につきましては、本院の御理解、御協力をいただきながら、最大限の努力を払う所存であります。  また、さまざまな責任の徹底した明確化を図り、借り手、貸し手に限らず、その他の関係者につきましても違法行為に対しては厳正に対処していく所存であります。  次に、消費税率についてのお尋ねがございました。  五%とすることが法定されております消費税率につきましては、社会保障等に要する財源確保の観点、行財政改革推進状況財政状況等を踏まえつつ、本年九月末という法律上の期限に向けて鋭意検討を進めてまいります。この場合、検討条項が設けられた趣旨や深刻な財政状況考えますと、しっかりした議論を避けてはならないと考えております。  次に、為替の水準についてのお尋ねがございました。  最近の為替市場におきましては円高是正が進んできているところであり、一月二十日、大蔵大臣に出席を願ったG7会合におきましても、こうした展開を歓迎し、為替市場において各国が引き続き協調していくという基本認識が確認されたところであります。  我が国としても、こうした認識に立って、引き続き為替相場の動向に細心の注意を払いながら、関係通貨当局とも緊密に連携をとりつつ対処してまいりたいと考えております。  次に、下請取引に関する法令の厳正な運用等についてのお尋ねがございました。  政府としては、従来から下請代金支払遅延等防止法に基づく親事業者に対する立入検査、改善指導等を行っているところであります。また、親事業者に対し、下請中小企業振興法の振興基準を含め、下請取引関係法令の周知徹底を図るための講習会を開催するなど、下請取引の適正化を図っているところであり、今後ともこれらの施策の着実な実施により、下請取引の適正化に万全を期してまいる所存であります。  次に、雇用対策についてお尋ねがございました。  政府としては、現下の厳しい状況やさまざまな構造変化に対応した中長期的観点からの雇用対策方策を定めた第八次雇用対策基本計画を昨年十二月に閣議決定したところであります。この計画を踏まえ、改正業種雇用安定法に基づく施策や、新卒者への就職支援等を内容とする新総合的雇用対策推進することにより、雇用の安定に取り組んでまいります。  解雇規制立法制定すべきではないかとの御指摘がございましたが、判例におきまして、解雇や出向等については、合理的な理由を欠き、社会通念上相当でない場合は無効と判断されるという考え方が確立をいたしており、実際の解雇や出向に当たっては、判例の考え方を踏まえ、労使間で十分話し合っていただくべきものと考えており、一般的に解雇等を規制するような立法措置が必要とは考えておりません。  阪神淡路大震災の被災者に対する個人補償についてのお尋ねがございました。  一般的に、自然災害により個人が被害を受けた場合には自助努力による回復を原則としておりますが、政府としては、災害救助法や各種融資措置などによる被災者支援など、幅広くかつきめ細かく被災者の生活再建を支援しているところであります。特に、阪神淡路大震災については、被害の甚大さにかんがみ、特別の立法などにより、被災者への生活再建等への支援措置を拡充しているところであります。  また、公営住宅の大量建設についてお尋ねがございましたが、阪神淡路大震災の被災者の方々の居住の安定を図るために、公営住宅を初めとする恒久住宅の早期大量建設が必要であると認識をいたしております。このため、政府としても、兵庫県のひょうご住宅復興三カ年計画等の円滑な実施を強力に支援することといたしております。  また、平成七年度第二次補正予算までの措置により、兵庫県の三カ年計画で定められた公的供給住宅七万七千戸のうち約九割に当たる約七万戸の建設の着手に必要な予算を確保し、現在これらの住宅の積極的な建設に取り組んでいるところで、今後とも被災者の方々の居住の安定を図るために、公営住宅を初めとする公的住宅の早期大量建設を強力に支援してまいる決意であります。  沖縄米軍施設区域の撤去が必要ではないかとお尋ねがありました。  政府といたしましては、依然として不安定要因を残している国際社会の中で、日米安全保障条約を堅持していく所存であり、同条約の目的達成にとり必要な施設・区域を提供することは不可欠だと考えております。  他方、長期にわたる沖縄方々の御負担を可能な限り軽減することが最も重要であると考え、先般設置された特別行動委員会等を通じ、日米安保条約目的達成との調和を図りつつ、沖縄米軍施設区域整理統合縮小を図るよう誠心誠意努力を行ってまいる決意であり、また、沖縄の振興開発にも引き続き力を注いでまいります。  次に、米兵による犯罪及び米軍の施設・区域についてのお尋ねがございました。  昨年九月、沖縄県で起こりました児童の暴行事件は、私としても断じて許すことのできない忌まわしいものであります。このような犯罪が二度と起こることがあってはならず、政府としては、引き続きアメリカ側に対し、再発防止及び綱紀粛正を強く求めていく所存であります。  沖縄県におきまして米軍の施設・区域が高度に集中していることに伴い、さまざまな問題が生じていることは十分承知しており、長年にわたる沖縄県の方々苦しみや悲しみに最大限心を配りながら、日米安保条約目的達成との調和を図りつつ、米軍施設区域整理統合縮小推進などを初めとし、県民の負担の軽減のために誠心誠意努力を行ってまいります。  また、沖縄への核兵器の再持ち込み等に関する密約及び核兵器の存在を肯定も否定もしないとする密約があるのではないかとお尋ねがありました。  沖縄返還交渉に際して、核兵器に係る問題は日米間で極めて明確に確認されているところであり、歴代の総理大臣、外務大臣が密約の存在を否定するとともに、核持ち込みの事前協議に対しては常にこれを拒否する旨国会等の場で繰り返し明らかにしているところであり、御指摘のような密約なるものが存在しないことは明らかであります。  また、安保条約調印の際、核兵器の存在を肯定も否定もしないとの米国の政策我が国が尊重するという秘密文書が交わされたといった報道があったことは承知しておりますが、これにつきましても、そのような秘密文書が交わされた事実はございません。  沖縄における米軍基地の縮小及び地位協定に関するお尋ねがございました。  政府としては、長年にわたる沖縄方々の御負担を可能な限り軽減することが最も重要であると考え、先般設置されました特別行動委員会等を通じ、日米安保条約目的達成との調和を図りながら、沖縄米軍施設区域整理統合縮小を図るよう誠心誠意努力を行ってまいる決意であります。  また、日米地位協定につきましては、沖縄における米軍の駐留に関する諸問題につき、沖縄米軍基地問題協議会等の場において既に沖縄県からも詳しい御説明を伺ってきており、早期に動かせるものから一つ一つ取り組み、具体的改善を図っていく所存であります。  海兵隊の沖縄からの撤去を米国に要求すべきではないかというお尋ねがありました。  沖縄に駐留する海兵隊は我が国の安全及び極東の平和と安全の維持に現実に寄与しており、政府としては、依然として不安定要因を残している国際社会の中で、日米安全保障条約の目的の達成にとり必要な米軍が我が国に駐留することは不可欠と考えております。  クリントン米大統領訪日の際の共同声明についてお尋ねがございました。  私は、日米関係日本だけではなく世界の中においても最も重要な二国間関係であると考えており、この両国アジア太平洋地域及び世界全体の平和と繁栄のために、安全保障、政治経済等の各般の分野で緊密に協力していくことは極めて重要と考えており、このような日米協力関係の中核をなす日米安保体制は、我が国の安全確保にとり必要不可欠であるのみならず、日米協力関係政治基盤であり、アジア太平洋地域の平和と繁栄にとって極めて重要な役割を果たしております。  クリントン大統領訪日の際には、これまでの緊密な対話の成果を踏まえ、日米安保体制の重要な役割を改めて確認する共同文書を発出し、二十一世紀に向けた日米同盟関係あり方につき内外に明らかにしていきたいと考えております。  新防衛大綱におきましては、日米共同作戦をアジア太平洋地域までに拡大して行うことを意図している、これは安保再定義の先取りではないかというお尋ねがございました。  新防衛大綱におきましては、御指摘のとおり、「我が国周辺地域において我が国の平和と安全に重要な影響を与えるような事態が発生した場合」、我が国としてとるべき対応についての記述がございます。ここで言う「我が国周辺地域」につきましては、その時々の国際情勢により変動し得るものであり、明確に境界を画する性格のものではございません。  このような事態が発生した場合の対応について申し上げれば、新防衛大綱におきましても明らかなように、憲法及び関係法令に従うこととしており、また、日米安全保障体制との関係ではその枠内で対応することとなっており、何ら御懸念には及ばないものと考えます。  いずれにせよ、政府としては、これまでも日米安全保障体制の信頼性の向上に努めてまいりましたが、引き続き努力をしてまいります。  国民に信を問えというお話がございました。私は、先般来繰り返して申し上げておりますように、今、国政において政治の空白をつくる状況にはない、そのように考えております。(拍手)    〔国務大臣久保亘君登壇拍手
  20. 久保亘

    国務大臣(久保亘君) 立木さんの御質問は、消費税に関連してでございました。  消費税率変更の懸念についてのお尋ねでございましたが、平成六年十一月成立の税制改革関連法における附則の検討条項を念頭に置かれての御質問かと思いますが、各年度の予算編成等を通じて真剣な検討が行われてまいりました。五%の税率をどうするかについては、法律に定める本年九月末の期限を勘案しながら、これまでの取り組み消費税に対する国民各層の御議論を踏まえて判断してまいるつもりであります。  次に、消費税考え方について私に特に御質問でございましたが、消費税についてはさまざまな経緯がございましたけれども、創設後七年余りの間に、平成三年に益税対策等の法改正を行い、また、平成六年十一月の税制改革などによって、導入世界的潮流となっておりますいわゆる付加価値税としての体系を整えるよう努力が続けられてきているところでございます。一方、ゴールドプラン推進など、高齢化の進展を初めとする我が国社会の構造問題に対応する必要性はこれまで以上に増大してきているところでございます。  こうした考えに立ち、活力ある福祉社会の構築を目指す観点から、平成六年秋の税制改革を法律に沿って確実に実施することが必要であると考えております。(拍手
  21. 松尾官平

    ○副議長(松尾官平君) これにて午後一時十分まで休憩します。    午後零時六分休憩      ——————————    午後一時十一分開議
  22. 松尾官平

    ○副議長(松尾官平君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。  国務大臣演説に対する質疑を続けます。永野茂門君。    〔永野茂門君登壇拍手
  23. 永野茂門

    ○永野茂門君 私は、平成会を代表し、昨日の大久保会長に引き続き、橋本新総理施政方針演説など四演説に対し質問を行うものであります。  さて、新年度予算案の国会提出を前にしたこのたびの突然の村山総理の辞任は、巷間、敵前逃亡と悪評を受けた責任回避の茶番劇でありました。橋本総理、あなたはこの辞任の結果、さきの総選挙で非自民政権による新しい政治を公約した当時の社会党の前総理からたらい回しで政権を受け継いだのであります。  総理、あなたが自民、社会、さきがけ三党の理念なき談合的連立政権を維持しようとする限り、いかに「元気を出せ日本」と叫んでみても指導力を発揮することはできないでありましょう。  あなたも重要閣僚として入閣しておられた前内閣は、この一年余、重要事案の解決はすべて先延べしながら、場当たり的な政策運営に終始するほかありませんでした。大震災や地下鉄サリン事件などでは国民の安全確保と危機管理の能力の欠如を露呈し、景気回復や金融不安解消などにも失敗し、無為無策の政権とまでやゆされたのであります。こうしたことが国民政治不信を増幅させ、ひいては経済を初めとする社会全体を行き場のない閉塞状態に陥れてしまったのであります。  総理、このような状況を解消することがあなたの責務であります。それはとりもなおさず解散・総選挙で出直すことであります。国民橋本総理に期待すること、それは国民に信を問うことしかありません。総理の所信を求めます。  次に、外交・安全保障問題についてお尋ねいたします。  世界は二十一世紀に向けての新しい秩序を模索しています。核抑止力による恐怖の平和の時代が終わり、国際協調による安定した平和のもとでの発展を求めています。日本は、経済においても技術においても米国とともに世界をリードする力を持ち、政治的、文化的にも世界のリーダーの一翼を担うことを要請されるようになりました。日本は、みずからの力にふさわしい、世界が要請する役割責任を遂行しなければならないと思います。我が国は今や、総理の言う「自立」のもとに、世界の将来を描き、未来を築くために貢献することを求められています。  そこで、まず日米安保体制の強化在日米軍基地問題について伺います。  日米安保体制は、第一に、アジア太平洋地域における安全保障の枠組みの根幹をなしています。第二に、安保体制は日米の友好協力関係基盤であります。経済摩擦があっても、同盟関係のかたいきずなが日米の揺るがぬ信頼を支えているのであります。第三に、米国との防衛協力があればこそ、我が国は専守防衛に徹することができるのであります。  冷戦が終わり、地域紛争の続発や大量破壊兵器の拡散など不透明な状況が続く中、我が国の独立と安全を確保するためには、我が国独自の外交努力、防衛努力と相まって日米安保体制をさらに効果的に発展させなければならないと考えます。  残念ながら、村山総理は、このことについて国民理解を求めることには甚だ消極的でありました。この怠慢きわまりない姿勢が内外の安保解消論を誘発していると見なければなりません。橋本総理は、安保体制の維持強化について、国民理解と支持を拡大し深めていくためにどのような努力を傾注するつもりでしょうか。四月の日米首脳会談における安保共同文書の発表に向けて、安保体制の新たな意義について内外に対しどのように理解を求めるのでしょうか、お尋ねいたします。  先般、閣議決定された防衛計画の大綱と次期中期防衛力整備計画は、今なお非武装の考えを捨て切れない社会党のパフォーマンスに引きずられたものではないでしょうか。質的向上をうたいながらも具体的な努力の跡が見られず、効率化、コンパクト化の美名に隠れて、基幹部隊、主要装備すら削減しています。削減は、情勢を見ながら、例えば即応予備体制の整備や装備の近代化などの進展に合わせて慎重に進めるべきだと考えますが、総理はいかが答弁なさいますか。  私は、我が国の安全保障の基本方針と自衛隊の存在、その機能を明確にした安全保障基本法を制定し、そのもとで適正にして精強な自衛力の整備に努めるべきであると考えます。そして、これが在日米軍に対する駐留支援や兵たん支援の維持・改善とともに、日米協力の基本的要素であると考えます。まずみずから守る意志のない国に、同盟も安全もありません。  また、政府は従来から、我が国は集団的自衛権を保持しているが、憲法上行使することは許されないとしています。この集団的自衛権に関する考え方整理を初め、アジア太平洋地域、特に日本みずからの安全に直接関係ある地域における米軍の活動に対する我が国の協力のあり方について、確固たる方針を確立すべきときが到来していると思います。総理の御見解をお示し願います。  総理は、沖縄県の米軍基地問題について、一年以内に解決のめどを示すよう努めるとしておられます。沖縄県民の皆さんの気持ちを体し、解決努力される意気込みは評価します。沖縄県民痛みを全国民で分かち合いながら、しかも駐留米軍の機能を損なうことなく基地の整理統合縮小・分散化に努めるべきと考えますが、どのように問題解決を図ろうとしているのか、総理並びに外務大臣に伺います。  次に、国連改革我が国国際貢献の拡大強化についてお尋ねいたします。  冷戦後の不安定な情勢は、国連を中心としながら世界各国が共同して打開していかなければなりません。我が国は、ARFなど、アジア太平洋地域の信頼醸成、紛争防止などに関するシステムを通じて地域の安定、平和に貢献するとともに、国連の中核的な役割を担うべきであります。このことは世界各国からも期待されていることであり、我が国の国益にも合致することであります。  総理、諸外国の推挙を待ってなどという悠長な態度に終始することなく、世界平和の秩序づくりの先導役を果たすべく、安全保障常任理事国入りを積極的に推進すべきではありませんか。とりわけ、地域紛争や民族対立の背後にある貧困・飢餓問題、宗教問題、環境問題などの地球規模の諸問題の解決に向けて、経済社会理事会の活性化あるいは財政改革など国連改革の先頭に立って、我が国経済力技術力を活用すべきであると考えます。総理及び外務大臣の御決意をお願いいたします。  我が国は、紛争防止を含む国連平和維持活動、PKOへの積極的な参加に努めなければなりません。本年二月から自衛隊の諸君がゴラン高原のPKOに参加します。無事任務を果たし、立派な成果を上げるものと確信しております。PKO協力法の成立から既に三年半が経過しましたが、カンボジアなどでの経験に照らして見直しを進めるべきであります。  我が国は若葉マークだからと凍結した平和維持隊、いわゆるPKF本体の任務についても、これまでの自衛隊諸君の実績を踏まえれば十分達成できると信じます。(発言する者あり)新進党として申し上げております。  武器使用に関する規定も、これを隊員個人にゆだねるとする今の規定は現場の状況を全く理解していないものであり、早急に見直すべきであります。さらに、ガリ事務総長が提案したPKOの予防展開に対する支援も考えなければなりません。  PKO協力法の見直し検討を促進するとともに、積極的参加を進めるべきものと考えますが、これらについて総理並びに防衛庁長官の御見解をお示し願います。  次に、危機管理について伺います。  昨年は、一月の阪神淡路大震災に続き、地下鉄サリン事件、警察庁長官銃撃事件、新宿駅青酸ガス事件、ハイジャックなどの事件が頻発し、我が国の危機管理に欠陥が多く、そのシステムの整備がなされていないことを改めて認識させられました。  第一に、初動対処の問題であります。  阪神淡路大震災では、前総理の危機認識が甘く、適時適切な意思決定を行うことはできませんでした。そのために各機関の初動がおくれ、損害を増大させました。私は、これを反省材料として、官邸に危機管理の指揮情報センターを設置すべきであると考えます。自治体を初め、警察、消防、自衛隊、海上保安庁など関係各機関からの映像やあらゆる情報が直ちに官邸に伝達されるようにするとともに、総理が直接指揮することができるように内閣法を改正すべきだと思いますが、危機における総理が直接指揮するその対処のあり方について御見解を伺います。  第二は、現場における各機関の総合力発揮の問題であります。  さきの大震災では、自治体を中心とした各機関の総合協力体制が確立されるまで大変な時間を必要といたしました。自治体みずからの危機管理のセンターを設置するとともに、平時から各種の事態を想定した全関係機関にわたる総合調整と共同訓練を重ねることが重要であると考えます。  危機管理で重要なことは、責任者が危機を危機として認識すること、即応の初動、そして総合力の発揮であります。これらは、危機管理システムの確立の上に、平時からの研究と訓練によって初めて完成されることを肝に銘じなければなりません。総理並びに国土庁長官の御所見をお伺いします。  次に、「もんじゅ」の事故について伺います。  昨年の十二月八日に起きた高速増殖原型炉「もんじゅ」のナトリウム漏えい事故は、我が国の危機管理の欠陥を露呈し、国民の「もんじゅ」の安全性に対する信頼を失わせたのみならず、動燃そのものとの信頼関係を著しく損ね、さらに我が国の原子力政策にも大きな影響をもたらしたことは否定できません。  特に、事故現場ビデオテープの改ざんや虚偽の報告は、原子力政策基本である公開の原則にももとる行為であります。これら政府を初め関係者責任は重大であります。徹底的な原因究明を行い再発防止に万全を期するとともに、責任を明らかにし、さらに動燃内の閉鎖性を徹底的に反省し、正常化させなければなりません。全国にある原子力関係施設の危機管理体制も再点検し、訓練を日ごろから行っておく必要があると考えますが、総理はいかがお考えでしょうか。  次に、財政税制問題について伺います。  平成八年度の予算審議は今国会の最大課題でありますが、住専処理における国民不在の暴挙を切り離して考えたとしても、非常に問題の多い予算案であります。  第一は、財政節度を放棄した予算ということであります。償還財源の裏づけのない赤字国債を十二兆円も大量発行するという異常事態に陥っております。この結果、歳入に占める国債依存度は二八%に達し、平成七年度と同様、先進七カ国中で最悪に近い状況となります。  そこで、橋本総理にお聞きします。  総理は、昨年の自民党総裁選挙の際、大型の景気刺激のため赤字国債発行もやむなしとの公約を掲げ、それが平成七年度第二次補正予算、さらに八年度予算案での赤字国債発行につながっております。景気財政赤字のジレンマをどう克服していくのか、お考えを述べていただきたい。  第二は、昨年十一月に武村大蔵大臣財政危機宣言を行いました。しかし、新財政再建目標を設定することなく、赤字国債垂れ流しの予算案になっております。久保大蔵大臣は、財政再建に向かい具体的な処方せんをお持ちか、御答弁をお願いします。  第三は、歯どめなき財政悪化を招いた原因と改善努力について、村山政権責任をどうお考えですか。当時、経済閣僚であった総理の御見解をお願いいたします。  第四は、昨年十二月に財政制度審議会から「財政基本問題に関する報告」が発表され、これまでの不況期における財政依存型の景気刺激策のあり方の見直しの方針が示されております。しかし、平成八年度予算では公共事業費が前年度当初比四%増になっております。また、同報告では、同時に根本的な検討の見直しの必要性が示されていますが、政府は何らの手順も手法も今後の方針も明らかにしておりません。国民が期待するのは、政府の明確なビジョンと、国民理解を得ながらの実行であります。財政再建への総理決意内閣取り組みをお聞かせください。  第五は、これまでの財政政策の結果が今日の財政危機を招いたことについて、行政組織の責任は極めて大きいものと言わなければなりません。徹底した行政改革の断行で歳出を詰める努力が必要であります。村山総理は、一昨年十月十四日の参議院予算委員会で、消費税アップの前提として行政改革をやると断言しておられます。しかし、実態はほとんどなされていません。村山内閣を継承した総理責任を問うとともに、行政改革に取り組む姿勢をお聞かせください。  税制問題についてもお尋ねしなくてはなりません。  昨年十二月に平成八年度税制改正の大綱が発表されましたが、景気への配慮との名目で目先の利害にとらわれた見直しが目につきます。今後、我が国税制をどのような方向に誘導していくのかが皆目わかりません。  また、本年九月には消費税見直しのタイムリミットが参ります。来年四月からの引き上げが決まっている消費税率に対し、橋本政権は確定の意向を前政権から引き継がれました。財政再建との兼ね合いで、今後、消費税率をどうするのか。五%からの再引き上げを考えているのか、大蔵大臣答弁をお願いいたします。  次に、経済雇用問題について伺います。我が国経済の現状を見ると、マクロ的には上向きの傾向が見られると言われていますが、個別的には必ずしもそう言える状態ではありません。経済基本である財政の枠組みも金融市場も健全性を失い、一方では、経済構造が大きく変化しているにもかかわらず、内閣対応を誤り、景気対策と称しての手当ても常に後手に回ったことが大きな原因となっていると言えます。  失業率は前例がないほどに高く、国民のだれもが政府発表の三・四%より高いと実感しています。社会に一歩を踏み出そうとしている若者たちに仕事がないという現実、特に男女差別と見られても仕方がないほどに女性には閉ざされた職場、三十代から四十代の、企業における働き盛りの職員に対する肩たたきなど、人々から希望を奪い取ってしまうような昨今の状況総理はどのように見て、どのように改善を図ろうとしているのか、伺います。  国際的な経済活動が盛んになるなど経済構造が大きく変わってしまった今日、これまでのような公共投資を中心とした景気刺激策はもはや十分な効果が期待できないことは明らかであります。これについては、新しい時代の要請に合致したあり方を追求すべきであると考えます。  また、現在の低金利政策は、表向きは景気回復を目指したものでありますが、実は本来家計が享受すべき利子配当を金融機関が受けているととらえることができます。国民生活の観点からはむしろ問題の多い政策と言わざるを得ません。総理並びに大蔵大臣の御所見をお尋ねいたします。  円高のゆえに空洞化した部分を埋めていくためには新しい産業を興していく必要がありますが、新規ビジネスが全く育たず、心ある人々を失望させています。具体的対策をどのように推進しようとしているのか、総理の御所見を伺いたい。  さらに、規制緩和が叫ばれて久しいのでありますが、政府は項目の減少で規制緩和が成ったとしているように見えます。国民は実効ある規制緩和が行われたとは認識していません。例えば、今後二、三年が勝負と言われているマルチメディア情報通信分野生活の豊かさを実感するための住宅分野での緩和措置を早急に断行すべきであると考えます。総理政府はどのように進めようとしているのでありましょうか、伺います。  政治リーダーシップを欠くことがいかに景気の先行きを暗いものにし、国民全体を不安にしているか。前内閣経済閣僚の一人でもあった橋本総理はどのように反省し、今後どのようにリーダーシップを発揮するのか、その決意を承りたい。  最後に、もう一度、可及的速やかに国民の信を問うべきことを重ねて訴えて、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣橋本龍太郎登壇拍手
  24. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 永野議員にお答えを申し上げます。  解散・総選挙につきましては、住専問題の解決を含め金融システムの信頼回復が求められており、また、平成八年度予算の年度内成立など切れ目のない経済運営により景気を本格的な回復軌道に乗せていく必要があるばかりではなく、クリントン大統領の訪日を控え、沖縄米軍基地問題について誠実に取り組み我が国外交にとって重要な日米関係をより強固なものとするなどさまざまな課題の山積する中で、政治の空白は許されないものと考えております。  日米安保体制の維持強化については、日米安保体制を円滑かつ効果的に運用していくためには、日米安保体制の重要性につき幅広い内外の理解と支持を得るのが必要であることは申し上げるまでもありません。  かかる観点から、日米両国政府は、過去一年間、日米安保協議委員会、日米安保事務レベル協議を初めさまざまな形での安保対話を集中的に行い、その内容について可能な限り公表してきたところであります。また、日米安保体制が我が国の安全及びアジア太平洋地域の平和と安定に果たす役割、その重要性については、昨年作成した新防衛大綱に明確に述べているところであります。  政府といたしましては、四月の日米首脳会談での安保共同文書の発表に向け、国民の皆様に関心の深い沖縄の問題に真剣に取り組むなどしながら、日米安保体制堅持の必要性及び重要性について内外の理解を得るため、さらに努力してまいりたいと考えております。  防衛力の削減は慎重に進めるべきだとの御指摘でありましたが、新防衛大綱におきましては、現行の防衛力の合理化、効率化、コンパクト化を一層進めるとともに、必要な機能の充実と防衛力の質的な向上を図ることにより、多様な事態に対し有効に対応し得る防衛力を整備することとしており、また、新中期防におきましては、新防衛大綱に定める新たな防衛力の水準への円滑な移行に配慮していくことといたしており、政府としては、新中期防に従って計画的かつ段階的に防衛力の整備に努めてまいります。  我が国の安全保障の基本方針等につきましては、我が国は従来から、日本国憲法のもと、日米安保体制を堅持し、節度ある防衛力の整備に努め、我が国を取り巻く国際環境の安定を確保するための外交努力を行うことを安全保障政策基本といたしております。  先般策定した新防衛大綱は、この基本的な考え方のもとに今後の我が国の防衛力のあり方についての新たな指針を示したものであり、いわゆる安全保障基本法の制定につきましては、各種の御論議があることは承知いたしておりますが、国会の御審議を初めとする各方面の御議論を踏まえて、その可否について検討してまいりたいと思います。  また、安全保障基本法のもとで自衛力の整備に努めるべきという御意見につきましては、政府としては、新防衛大綱に基づいて引き続き適切な防衛力の整備に努めてまいります。  アジア太平洋地域における米軍の活動に対する協力のあり方については、政府としては、引き続き駐留経費負担や施設・区域の提供などさまざまな施策を通じ在日米軍の駐留を支援し、もって日米安全保障体制の効率的運用を図っていく所存であります。  また、さきに策定いたしました新防衛大綱において、「我が国周辺地域において我が国の平和と安全に重要な影響を与えるような事態が発生した場合には、憲法及び関連法令に従い、必要に応じ国際連合の活動を適切に支持しつつ、日米安全保障体制の円滑かつ効果的な運用を図ること等により適切に対応する」とされているところでありますが、米軍活動への協力のあり方を含め、具体的にいかに対応していくべきかは政府として真剣に研究、検討していくべき重要課題であると考えております。  なお、昨年の新防衛大綱作成時の官房長官談話においては、「集団的自衛権の行使のように我が国の憲法上許されないとされている事項について、従来の政府見解に何ら変更がない」旨述べられているところであります。  沖縄米軍施設区域の問題につきましては、先日、大田沖縄県知事総理大臣に就任して初めてお目にかかり、沖縄の気持ちをじっくり聞かせていただくことができました。  一方で、日米の信頼のきずなを一層深いものにいたしますために、また、長年にわたる沖縄方々苦しみ、悲しみに最大限心を配りながら解決を得るために、先般設置された特別行動委員会等を通じ、日米安全保障条約の目的達成との調和を図りながら、整理統合縮小を図るよう努力をいたしますとともに、騒音、安全、訓練などの問題の実質的な改善が図られるよう誠心誠意努力を行ってまいる所存であります。  我が国安保常任理事国入りの問題につきましては、この問題についての政府としての立場は、連立政権発足以来、国連総会における演説等において述べたとおり、憲法が禁ずる武力の行使は行わないという基本考え方のもとに、多くの国々の賛同を得て、安保理常任理事国として責任を果たす用意があるというものであります。  国連が二十一世紀の課題にこたえていきますためには、安保改革のみならず、新しい時代に適合した国連全体の機構改革や行財政改革を積極的に取り進め、その機能を強化することが必要であり、我が国は、このような認識に基づき、国連創設五十周年を契機として国連強化改革を前進させるべく、各国と協力しつつ、率先して鋭意努力していく所存であります。  PKO協力につきましては、施政方針演説で申し上げましたとおり、本年二月にはゴラン高原に展開している国連兵力引き離し監視隊に我が国要員及び部隊を派遣していくこととしており、今後とも平和維持活動等、国連活動に人的な面で積極的に貢献してまいりたいと考えております。  また、国際平和協力法の見直しについては、現在、政府として検討を行っているところでありますが、これまでの派遣の経験をも踏まえた上で、国会等における御論議にも十分耳を傾けつつ検討する必要があると考えております。  官邸の危機管理につきましては、危機管理に当たって、さきの阪神淡路大震災の教訓等からも、初期段階の情報収集が非常に重要であり、政府としても、来年度予算の中におきまして内閣に二十四時間情報集約センターを設置することとしております。  また、緊急事態発生時における総理リーダーシップ発揮も重要なことであり、初動対処におくれを生じないよう政府の陣頭に立って対応することは、内閣の長としての内閣総理大臣の当然の責務であると考えております。  いずれにしても、緊急事態発生に対し、政府として万全の体制で臨み得るよう政府部内の情報連絡、緊急参集体制、意思決定の仕組みなどのさらなる整備に努めてまいる所存であります。  災害時の自治体の危機管理につきましては、地方公共団体においては、災害に強い情報通信施設の整備などにより災害即応体制の強化を図るとともに、広域応援協定の締結を進めるなど、危機管理体制の充実に努めているところであります。  また、阪神淡路大震災の教訓などを踏まえ、新たな防災基本計画に定めましたように、国、地方を通じて関係機関が応急対策などについて事前に調整しておくことや、実践的な訓練を共同して行うことなどにより、緊急時に各機関が総合力を発揮できる体制づくりを進めることが重要だと考えております。  「もんじゅ」の事故への対応に関しては、まず何よりも徹底した原因究明を進め、万全の安全対策を講ずると同時に、積極的かつ速やかな情報公開などにより、地元の方々を初めとする国民各位の御理解と信頼を得るよう全力を尽くしていかなければなりません。  現在、科学技術庁におきまして、事故後の対応措置等について鋭意調査をいたしております。調査を通じて得られる教訓を適切に反映させながら、訓練の実施も含め、原子力関係施設の危機管理体制を一層充実していく必要があると考えております。  財政赤字の問題、景気対策への取り組みなどに関しましては、長期にわたって極めて厳しい状況が続いてきた今次の景気局面において、政府は、一日も早い景気回復を喫緊の課題として累次の経済対策を講じてまいりました。一方で、我が国財政は、税収の減少などもあり、現在、巨額の公債残高を抱えるに至り、一段と深刻さを増しているのも御指摘のとおりであります。  今後、本格的景気回復実現を通じ、強靱な日本経済の再建を行う中で、同時に、高齢化社会資本整備等に適切に対応し得る健全な財政体質を築き上げていかなければなりません。  すなわち、ようやく明るさの見え始めました景気回復を確実なものとし、民需中心の自律的回復に移行させる一方で、歳出面において制度の根本にまでさかのぼった見直しや施策の優先順位の厳しい選択を行うことが必要であり、経済再建のための方策としても、経済社会の発展基盤整備や土地の有効利用の促進など景気に対する効果の高い施策を重点的に行うと同時に、市場メカニズムの発揮や新規産業の創出等に必要な規制緩和や競争政策推進などの経済構造改革に強力に取り組む必要があると考えております。  財政をめぐる事情につきましてはただいま述べたとおりであり、政府としては、これまでも財政改革に取り組んでまいりましたが、さらに今後、八年度予算を地ならしとして、できるだけ速やかに健全な財政体質をつくり上げていくことが緊急の課題であり、財政制度審議会や与党での御議論を踏まえながら、財政改革に強力に取り組んでまいりたいと考えております。  景気刺激策のあり方の見直しについてお尋ねがありましたが、財政赤字と景気刺激策への取り組みにつきましてはただいま申し上げたとおりであり、なお平成八年度予算におきましても従来にも増して徹底した歳出の洗い直しに取り組む一方、限られた財源の中で、景気への配慮など現下の経済情勢に適切に対処するため、公共事業関係費において対前年度当初比四%増の伸びを確保いたしました。内容的には、国民生活の質の向上や経済発展に必要な分野に重点的、効率的に配分したところであります。  今後とも内外の要請に的確にこたえるために、適切な経済運営財政運営に努めてまいります。  次は、行政改革についてであります。  まず、規制緩和につきましては、昨年三月、規制緩和推進計画策定し、千九十一項目にわたる事項について計画的に推進いたしております。  地方分権につきましては、地方分権推進法制定していただき、現在、地方分権推進委員会において精力的な検討が行われております。  特殊法人については、昨年、総合的かつ全般的な見直しを行い、統廃合等の方針を定めるとともに、先般、財務内容等の公開についてもさらに積極的に進めることとしたところであります。  あわせて、定員削減計画に基づく定員の縮減、補助金等の整理合理化行政情報公開の推進等、各般の行政改革課題を着実に推進しているところであり、今後とも施政方針演説で述べました考え方に立ちながら、これらの問題相互の有機的連携に配慮しながら改革に積極的に取り組んでまいる所存であり、今通常国会にも特殊法人の統廃合等を初めとする具体的な改革案を盛り込んだ法律案を提出させていただくつもりであります。  雇用対策については、政府としては、昨年十二月に閣議決定した第八次雇用対策基本計画を踏まえ、新総合的雇用対策を効果的に実施することにより、雇用の安定に全力を挙げて取り組んでまいります。  特に、女子学生等の若年者対策として積極的な求人開拓や就職面接会の開催等を行うとともに、学生職業センターや学生職業相談室においてきめ細かな職業紹介・相談等を強力に推進し、若年者の就職を全力で支援してまいります。  公共投資と経済対策あり方につきましては、財政景気刺激策についての考え方は先ほど申し上げたとおりでありますが、若干つけ加えさせていただきますと、今次の景気局面における施策につき、公共投資につきましては、国民生活の質の向上や新しい産業の創出等の観点に立ち、質の面でも充実を図りました。消費や設備投資の動向等も踏まえて、所得減税や金融の緩和の措置も講じてまいりました。加えて、経済構造改革推進するため、広範な規制緩和や研究開発、情報化の促進、新規事業の育成などにも積極的に取り組んできております。  これらの施策は、需要の拡大や民間活動の活性化等を通じ経済にプラスの効果を与え、景気回復や下支えに十分寄与してきたと考えており、今後とも経済状況対応した効果的な施策を適切かつ積極的に展開することにより、本格的な景気回復、さらには強靱な日本経済の再建が実現するものと考えております。  低金利政策については、確かに現在は物価も安定しておりますが、低金利状況のもとで預金者の方々にとって当面利息収入の減少をもたらすという点は否定できません。この点は十分承知をいたしておりますが、他方、こうした低金利が景気回復に大きく寄与するものと考えられ、これがひいては国民生活にも好ましい影響を及ぼすという側面も御留意をいただきたいと思うのであります。  なお、近時、民間金融機関の中で、それぞれの経営判断により年金生活者に配慮した金融商品が開発されていると承知しております。  我が国経済の将来の展望を切り開くためには、大胆な経済構造改革に直ちに着手し、新たな産業創出などに努めることが大切であり、具体的には、新たな成長分野の発展を阻む要因を取り払うため、規制緩和を断行すると同時に、科学技術の振興を通じた経済フロンティアの拡大を図ってまいります。  また、新たな産業の担い手となるベンチャー企業に対する資金調達、人材確保面での支援の充実を図ってまいり、こうした措置により、我が国経済が活力と創造性にあふれたものになるよう進めてまいりたいと考えております。  規制緩和につきましては、具体的には、御指摘の情報通信や住宅に係る規制緩和を含め、規制緩和推進計画に沿って計画的かつ着実に推進すると同時に、昨年十二月にちょうだいをいたしました行政改革委員会の意見を最大限に尊重し、内外からの意見、要望等を踏まえながら、本年度末までに作業の透明性の確保に配慮しながら計画の改定を行い、さらに充実した内容とするなど、引き続き強力に推進していくつもりであります。  私も閣僚の一人でありました前内閣におきましては、過去最大規模の経済対策を初め、景気に効果のある施策切れ目なく講じ、景気回復に向けて全力を挙げて取り組んでまいりました。その結果、景気には緩やかながら足踏み状態を脱する動きが見られるようになりました。しかし、雇用中小企業分野では、なお極めて厳しい状況が続いております。  私は、この内閣に課せられた最も緊急の課題は「強靱な日本経済の再建」であると考えており、その実現のために、本格的景気回復実現、抜本的な経済構造改革、そして創造的な二十一世紀型経済社会基盤整備の三つの重要な課題に取り組むこととしており、これにより、ようやく明るさの見え始めた景気回復を確実なものにし、中長期的な我が国経済持続的発展につなげていく所存であります。  この過程は決して容易なものではありません。しかし、内閣が一体となり、挙げてこれに当たりますよう全力を尽くしてまいります。(拍手)    〔国務大臣池田行彦君登壇拍手
  25. 池田行彦

    国務大臣(池田行彦君) 永野議員にお答え申し上げます。  沖縄の米軍基地問題につきましては、ただいま総理から披瀝されました方針、決意のもとに真剣に取り組んでまいりますが、先般、私が米国へ参りまして、クリストファー国務長官、ペリー国防長官との間で会談いたしました際にも重要な課題として取り上げました。そして、ことしの秋までに特別行動委員会において具体的な成果を得る、これを基本にいたしまして、四月の大統領訪日という大きな節目でも一定方向性を明確にする、こういうことで認識の一致を見たところでございます。  次に、我が国国連常任理事国入りの問題につきましても、総理から御答弁がございましたけれども、現在、国連総会の安保改革作業部会におきまして、本件を含めた安保理の改革について議論が進められておるところでございます。第五十回の総会が終了する本年九月までに改革案の大枠に各国が合意する、こういうことを目標といたしまして積極的に取り組んでまいりたいと存じます。(拍手)    〔国務大臣臼井日出男君登壇拍手
  26. 臼井日出男

    国務大臣(臼井日出男君) 永野議員にお答えを申し上げます。  初めに、PKF本体業務の凍結解除についての御質問でございますが、同業務につきましては憲法上の問題はございませんが、内外の一層の理解と御支援を得るために、別に法律で定める日までの間はこれを実施しないこととされているところでございます。  この取り扱いにつきましては、防衛庁といたしましては、既に終了いたしましたカンボジア、モザンビーク、ザイール等への派遣といったさまざまな貴重な経験をも踏まえた上で、国会等における御議論にも十分耳を傾けつつ討議すべきものと考えているところでございます。  次に、武器使用規定見直しについてのお尋ねでございます。  この問題に関しましては、これまで国会等においても議論をされてまいっているところでございます。見直しに当たってはこの問題も検討項目の中に入ってくることになると考えておりますが、今後、現行法のもとでの運用の問題として措置できるものかどうか、また、現行法を見直す必要があるものなのか等について真剣に検討を行う必要があると考えております。(拍手)    〔国務大臣鈴木和美君登壇拍手
  27. 鈴木和美

    国務大臣(鈴木和美君) 災害時に備えた総合調整と共同訓練についての永野議員の質問にお答えを申し上げます。  昨年改定いたしました新しい防災計画においても、防災関係機関相互の連携体制の強化を打ち出しております。平常時から、相互応援協定の締結、それから救援活動拠点の確保、共同の防災訓練の実施などを推進したところでございます。  また、毎年九月の防災の日につきましては、総合防災訓練を行い、関係機関共同して訓練を行ってきているところでございますが、特に昨年は阪神淡路大震災の経験を踏まえた実践的な共同訓練も行ってきたところでございます。  また、地方公共団体間で広域訓練も実施してきたところでございますが、今後、さらに共同訓練の充実強化などを通じて関係機関の連携体制が一層堅固になるように国土庁としてもこれから努力していくつもりでございます。(拍手)    〔国務大臣久保亘君登壇拍手
  28. 久保亘

    国務大臣(久保亘君) 財政の危機的な状況は、改革を喫緊の課題といたしております。そのため、財政制度審議会は、財政の果たすべき役割と守備範囲の見直し、財政健全化の目標について検討を続けることといたしております。また、財政構造改革について、国会においても幅広い議論が行われるものと考えております。  消費税に関しましては、検討条項が設けられた趣旨や深刻な財政状況考えてまいりますと、十分なしっかりした議論を避けてはならないと考えております。ただ、国民消費税率五%を超える負担をお願いするということは容易なことではありません。国民各層の御意見を十分に伺いながら、今後も各方面で御議論をいただき、慎重に判断していかなければならない問題だと考えております。  次に、低金利にかかわる問題についてでございますが、総理からお答えがございました。今後とも配慮すべきことについての貴重な御提言として受けとめさせていただきます。(拍手)     —————————————
  29. 松尾官平

    ○副議長(松尾官平君) 武田邦太郎君。    〔武田邦太郎君登壇拍手
  30. 武田邦太郎

    ○武田邦太郎君 新緑風会を代表いたしまして、第一に農業食糧問題、第二に平和・安全保障問題、第三に地方分権、規制緩和の問題、第四に若い世代、特に女性の就業機会の問題につき、総理大臣、外務大臣、農水大臣の御所見を伺います。  今後の食糧問題は、世界にとっても日本にとっても平和・安全保障問題と同じく重大な政治問題であります。途上国人口の激増、特に中国、東南アジア諸国、インド等の経済成長に伴う食糧需要の増加と、逆に世界的な食糧生産力の発展速度の急テンポな低下によりまして、二十一世紀は「飢餓の世紀」と言われております。金があれば食糧は幾らでも輸入できる時代ではなくなりつつあるのであります。  このような事情に対しまして、日本では、御承知のように、若い世代の離農が激化いたしました。昨年の農業センサスによれば、農業後継者、これは年間百五十日以上自家農業に従事した三十歳未満の男子をいうのでありますが、わずかに三万人、農家百十二戸に一人、各市町村に平均十人もおらないのであります。厳格には女子も考慮すべきでありますけれども、女子は男子よりはるかに少ないのであります。しかも、耕地面積は、昭和三十五年に出発した高度経済成長下に百万ヘクタール以上も激減いたしました。今なお毎年四万ヘクタール前後ずつ減少しておりまして、どこまで減少したらとまるのか、わけのわからない状況であります。  このような状況で、穀物の自給率は平成五年度わずかに一九・七%。約二百万トンの肉類輸入を穀物にして千六百万トンと換算すれば、通計自給率は一五%を割るのであります。平成五年度は不作の年でしたから、平成四年度を見ましても、穀物の自給率は二六・六%で、約百八十万トンの肉類輸入を穀物換算して加えますと、自給率は通計二〇%にすぎません。日本はこのような形で「飢餓の世紀」を迎えようとしておるのであります。総理、御関心の問題でありますので、十分掘り下げを願います。  貿易自由化は歴史の必然でありまして、米だけがいつまでも例外ということはあり得ないのであります。ただし、対策がないわけではありません。耕地の減少を約三十万ヘクタールと予想し、四百七十万ヘクタール見当を確保し得るとしまして、後継者一人当たり百五十ヘクタールの耕地が存在しているのです。自由化に対応する農産物価格で二次・三次産業と均衡する従事者所得と経営利益を確保するのに必要な面積は、二戸当たり都府県で三十から四十ヘクタール、北海道で五十から七十ヘクタールで、これは十分可能な目標であります。  ここでは土地利用型農業についてだけ申し上げますが、耕地全体の約七〇%が平野部でありまして、これが本舞台であります。原則として規模拡大は耕地賃貸借で行われ、後継者のいない農家は適正な耕地賃貸料を約束されます。こうなれば所要数の後継者は必ず得られましょうし、単収の向上、裏作の励行によりまして、平常時には穀物自給率を七〇から八〇%に高め、非常時には応急に牧草畑やゴルフ場に麦類やバレイショをつくりまして、国民のすき腹や栄養失調を免れさせることができます。    〔副議長退席議長着席〕  ただし、国際競争可能な農地基盤整備及び一年分の油類、肥料、農薬の備蓄が必要であります。農地基盤整備は、現在進行中の第四次土地改良長期計画の事業費四十一兆円の範囲内で十分賄えます。総理、農水大臣のお考えを伺います。  次は、平和と安全保障の問題であります。  科学技術が進歩いたしまして、各国が国際紛争を軍事力解決しようという態度を捨てない限り、核兵器を持つことは各国の抜きがたい欲求とならざるを得ません。第二次大戦の勝利国だけが独占的に核兵器を持つ状況が永続するはずはないのでありまして、キッシンジャー氏が日本もやがて核兵器を持つだろうと言っているのは、日本人にとっては甚だ意外でありますけれども、むしろこれが通常の考え方でありましょう。  さらに、現状において日本は米国の核の傘の下に中国の核兵器と対峙しているわけで、万が一にも、万が一にも核戦争になれば、日本は核戦争の最前線にさらされるのであります。これが平和であり安全を保障されていると言えるでしょうか。米ソの冷戦期、米ソの双方が幾たびか敵国の核攻撃と錯覚してこちらもボタンを押しかけたことがあるというではありませんか。核兵器が戦争を抑止するということなどとんでもない迷信であります。  日中米三国及び韓半島の両国の間に三十年間の相互不可侵条約を結ぶことを喫緊の重要課題として検討することを切に要望いたします。それはやがて全世界に波及するはずであります。沖縄の解放も戦争の放棄も核廃絶も、すべてそこからこそ現実化するでありましょう。  米国は一国で全世界の四〇%以上の軍事予算を負担しているのです。米国の良識あるいは国民の多数が不可侵条約を歓迎する可能性は十分にあります。中国にしても北朝鮮にしても、国民の空腹あるいは飢餓の上に巨大な軍備を強行せざるを得ないでいるのであります。韓国も軍備の重圧を耐え忍んでいることは同じであります。日本の英知と友情、そしてかつての侵略戦争あるいは植民地支配への心からなざんげがあれば、通じないはずはないと思います。戦争放棄の憲法を持ちながら、日米安保条約のもとに、軍事予算の金額でいえば米国、ロシアに次いで世界で三番目の軍事大国になっている日本あり方は、何ら反省の必要がないものでしょうか。これらの軍事予算の数字は、英国国際戦略研究所の「ミリタリー・バランス 一九九四−一九九五」によるものであります。  総理にお願いいたします。中国と米国とを心からな親友たらしめることに成功されましたならば、総理のお名前は人類史にさん然と輝くでありましょう。外務大臣も日米安保の専門家におなりにならないで、平和を求める米国国民の感謝を一身に集める外務大臣となっていただきたいと思います。  第三は、地方分権、規制緩和の問題であります。  阪神淡路大震災被災地復興・再建が、かゆいところに手の届くような配慮をもって急速に進むどころでないことは、この問題に対する国民の要望を一段と熾烈たらしめるものであります。  例えば、兵庫県の要望する十七兆円の再建事業費の予算におきまして、もしもその大枠の合理性が中央政府において了解されましたならば、細目にわたる予算費目や仕事の進め方はすべて県知事に任せるような変革ができないものでしょうか。それだけの決断ができてこそ、中央の権威は断然高まるものと思います。  このことは、全国土の活気あふれる新建設を計画するとき、そのすべての分野において言えることであります。全国を北海道、東北、新潟県を含む関東、中部、近畿、中・四国、九州の七地方に分かつ連邦制を採用し、中央の全国的裁量を必要としない国内政治行政の大方を地方政府に任せる、特に自由はつらつたる民間活動を可能にするような変革をぜひ御検討願いたいのであります。  第四は、若い世代、特に女性の就業機会の問題であります。全国土に合理的に産業、文化、人口を配分すべき時代、特に空前の情報化時代の展開に当たりまして、何よりも重要な第一要件は、研究と教育の飛躍的発展であります。これらの事業はできる限り民間の事業として互いに競争し、切瑳琢磨する方式が望ましいと思いますが、その間に男女平等の豊かな就業機会が必ず生まれるはずであります。  次は、総理の重視される長生きを真に幸福と感じ得る老人生涯の創造であります。もちろん介護の問題もありますが、老人にふさわしい生産的活動を最優先させたいものであります。ドイツのクラインガルテンのようなごく小規模農業ないし施設園芸が特に好適と思いますが、その間の指導やマネージには女性に適した就業機会がたくさんあります。  また、既にボランティアとして幾多の先例のあります途上諸国における教育、衛生、あるいは植林等への奉仕を忘れることができません。特に、今後は数百人単位、千人、二千人単位の組織的奉仕が重大な役割を持ち得ると思います。もちろん男性も大いに活動すべきでありますが、女性ならではの分野が至るところに開けるでありましょう。  以上、二、三の例にすぎませんが、女性の就業機会の問題を特に時代に即した重要な政治課題としていただきたいと思います。  第三、第四の問題につきまして、総理大臣のお考えを伺います。  最後に住専問題に言及したいのですが、既に多くの皆さんが論じておられますし、時間もありません。これで終わります。(拍手)    〔国務大臣橋本龍太郎登壇拍手
  31. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 武田議員に御答弁を申し上げたいと思います。  まず、穀物自給率を引き上げるべきという御指摘は、二十一世紀における、例えばAPECにおける成長の制約要因として食糧問題が挙げられておりますとおり、極めて大切な問題だと我々も考えます。  このような状況にかんがみまして、今後の農業政策推進について、昨年十二月に閣議決定されました「農産物の需要と生産の長期見通し」を踏まえながら、食糧自給率の低下傾向に歯どめをかけることを基本とし、可能な限り我が国農業生産の維持拡大を図ってまいりたいと考えております。  具体的には、平成六年十月のウルグアイ・ラウンド農業合意関連対策大綱に示された施策を総合的かつ的確に講じながら、効率的かつ安定的な経営体を育成することを中軸に置いて、国内食糧供給体制の整備に努めてまいる所存であります。  また、後継者の問題について御指摘がありました。この点について、私は、若い人々にも喜んで働いていただけるような農林漁業を力を合わせてつくってまいることが重要だと考えております。  次に、日・中・米・韓・北朝鮮の間における三十年間の相互不可侵条約を締結すべきという点につきまして、我が国を含むアジア太平洋地域におきまして安定的な安全保障環境を構築していくことは、この地域の平和と繁栄にとって極めて重要なことであり、そのために努力すべきことは当然だと思います。  このような観点から、我が国としては、周辺諸国との間で二国間関係の増進に努めるとともに、ASEAN地域フォーラム等の場において、安全保障面での対話・協力を通じた信頼醸成の促進に努めているところであります。  なお、日米安全保障体制がアジア太平洋地域の平和と安定にとって不可欠であることは、累次申し上げてまいったとおりであります。  次に、阪神淡路大震災復興・再建につきまして、兵庫県初め関係市町と十分連携をとりながら進め、その総意を尊重することは当然だと考えておりますが、連邦制につきましては、地方分権を徹底するために我が国導入してはどうかという御主張があることを存じております。しかし、連邦制の導入というものは国の統治機構の根本的な変革をもたらすものでありますし、我が国の沿革あるいは経済社会実態になじむかどうかという問題もあります。私は、この御提言を地方分権を徹底するための御提言と理解し、長期的な幅広い研究課題の一つとして受けとめさせていただきたいと存じます。  次に、女性の就業機会の問題につきまして、高齢者等、より積極的な社会活動への参画をいかに実現するか、こうした御指摘をいただいたわけでありますが、今後の我が国社会考えましたとき、女性がその持てる力を十分に、いや十二分にかもしれません、発揮していくことができることは、極めて重要な課題であることはそのとおりであり、科学技術の振興や教育につきましても極めて重要な課題だと認識しております。  大変厳しい環境にあります現下の女子学生の就職問題に的確に対応すると同時に、女性がその意欲と能力に応じ多様な就業機会を得ることができますように、新たな産業分野の創出等も含めまして、雇用機会の均等確保、女性として業を起こそうとされる方々への支援策の検討、幅広い分野での職業選択の奨励により多様な就業機会が得られ、確保され、創出されるよう、一層努力してまいりたいと考えております。  残余の質問は、関係大臣から御答弁をさせます。(拍手)    〔国務大臣大原一三君登壇拍手
  32. 大原一三

    国務大臣(大原一三君) 農政の専門家であります武田議員からるる御意見を拝聴させていただきまして、ありがとうございました。  お説のとおり、二十一世紀はまさに食糧問題にとっては大変な時期だと思います。地球環境の制約にもかかわらず、地球人口の爆発的拡大等々を考えるときに、我々もこれらの問題を厳しく受けとめて頑張ってまいらなきゃならぬと思っております。  総理がおっしゃいましたように、昨年十二月に策定いたしました長期見通し基本にして、さらにまた、新しい農業基本法の制定等を踏まえ、精いっぱい頑張ってまいる所存でございます。御声援をぜひともお願い申し上げます。(拍手)    〔国務大臣池田行彦君登壇拍手
  33. 池田行彦

    国務大臣(池田行彦君) 武田議員にお答え申し上げます。  日・中・米・韓・北朝鮮の間の相互不可侵条約についての御提言でございますが、総理からも御答弁がございましたように、我が国としては、日米安保体制を堅持するとともに、二国間、多国間の対話・協力を通じてこの地域の安全保障環境の一層の安定化へ努力を積み重ねてまいりたい、このように思います。  なお、アジア太平洋地域はもとより、世界全体の安定と繁栄のためにあらゆる面で努力を払っていくことが我が国外交の基本であることは当然でございます。(拍手
  34. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) これにて質疑は終了いたしました。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時二十分散会