○山崎順子君 確かに、大臣のお立場ではこの七年という刑が軽いとか重いとかというふうにお答えになることはできないかと思いますけれども、沖縄県民の人々の間にはこの判決に対して軽過ぎるという不満が渦巻いております。基地に囲まれ、米兵による犯罪が後を絶たない中で暮らさざるを得ない沖縄県民の人たちのこの
事件に対するわだかまりというものはなお強いということを私たちはしっかり認識しなければならないと思います。また、沖縄県民だけではなくて、私たち
日本の女性たちのほとんどはこの七年を軽過ぎると感じております。しかし、他の強姦
事件を見ますともっと軽いんですね、残念ながら。この国は法治国家なのか、
社会全体が女性を余りにもないがしろにしているのではないか、女性の尊厳を低く見ているとしか思えないと、この強姦罪が軽過ぎるということに対してほとんどの人が怒りをあらわにしております。
先ほど私は、あえて少女暴行
事件ではなく少女強姦
事件と申しました。
新聞等では強姦を暴行と言いかえ、また強制わいせつをいたずらなどと言いくるめております。これはどうしてなのか。これは
新聞の品位を保つためということらしいんですけれども、これは逆に私は、加害者の犯罪を大変あいまいにして、性暴力の恐怖は全く伝わりませんし、悪質な犯罪であるという意識すら男性に持たせることができないのではないかと思います。
もう
一つは、被害者のプライバシーの保護ということも言われておりますけれども、私の友人で強姦
事件の被害者の弁護を一生懸命ずっと引き受けている女性がいるんです。彼女は今アメリカへ行って、アメリカの方がもっと強姦やそういった性犯罪、女性への暴力に対する
事件に対してシビアで、大変すばらしい
弁護士さんがいらっしゃるところで今勉強中で
日本にいないんですけれども、さまざまな
裁判のときによく私のところに、この日に
裁判があるから傍聴に来てくれというはがきをくれました。それで、私たち女性はみんな、できればその時間をあけて傍聴に行くんです。
なぜ傍聴に行くかといいますと、その
裁判所では、もちろん
裁判というのは公開になっておりますから、聞きつけてマニアと言われる人たちがたくさん
裁判所の傍聴に来ておりまして、その女性がどういった過去の性体験があったか、それから強姦されたときどういう
状況であったかということを、その場で全部根掘り葉掘り聞かれることを逐一速記いたしまして、それをまたマニアに配るというようなことをやっているわけです。
そういった傍聴人がいるようなところでは、警察でも事情聴取されるときにジェンダー意識のない警察官によって第二のレイプが行われたような大変つらい気持ちになり、また
裁判所でそういった傍聴人がいて、そこで過去の性的体験まで、異性関係まで問われるというような
状況では、だれも大変苦しくても告訴もしないということは当然だと思うんです。
そういったプライバシーの保護こそ本来はされるべきであって、
裁判所ではそんな過去の異性関係は問わないとか、そういった
制度にすべきなんです。また、そういったマニアをできるだけ排除できるようなシステムにすべきですし、私たち女性が、できるだけそういった人たちが入らないように傍聴券をとって並ぶというようなことをずっとしてまいりました。そういった被害者のプライバシー保護すらしないで、ただ犯罪をあいまいにするような暴行というような言葉は私は使うべきではないと考えているんです。
先ほど申しました朝日
新聞の読者からの記事の中にも、小学生のころ性暴力を受けた四十代の女性がこういうことを言っております。「子どもへの性暴力を「いたずら」と表現した記事を見ると、怒りと悲しみを抑えられない。どんなに小さな心が傷つき、おびえ、泣いているだろうと思うと、胸がふさがります」、このように言っていらっしゃいます。これはマスコミの問題でもありますけれども、こうしたマスコミ等の意識や
社会の意識の根源に、私は、やはりその強姦罪の軽さやまた
裁判でのプライバシーの無視があるのではないかと思います。
再度、強姦罪の構成要件の見直しなど早急に必要だと思うのですけれども、こうした刑法の見直しですね。ここに、女子学生がやはり「これほど性犯罪の刑が軽いとは。法治国家
日本への信頼すら揺らぎました。女性の
法曹関係者が過半数の
委員会を作り、刑法を改定すべきです」と書いていらっしゃる。それから、慶応大学の女子学生が今回そうしたものを卒業論文になさったということで、かなり女性たち、若い女性の間で女性への暴力についての
制度や
法律が不備だということが認識されてきました。
実は、今私もぜひ早急にその刑法を
改正してほしいと思っていますが、昨年の刑法
改正時には
法制審議会の刑法部会に当然女性がいたんだと思いますけれども、いかがでしょうか、答えていただけますか。