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1996-06-06 第136回国会 参議院 内閣委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年六月六日(木曜日)    午後二時三十五分開会     —————————————    委員異動  五月二十一日     辞任         補欠選任      尾辻 秀久君     村上 正邦君  六月五日     辞任         補欠選任      齋藤  勁君     大脇 雅子君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         宮崎 秀樹君     理 事                 板垣  正君                 矢野 哲朗君                 吉田 之久君     委 員                 岡野  裕君                 狩野  安君                 鈴木 栄治君                 村上 正邦君                 依田 智治君                 鈴木 正孝君                 友部 達夫君                 永野 茂門君                 大脇 雅子君                 萱野  茂君                 角田 義一君                 笠井  亮君                 聴濤  弘君    国務大臣        国 務 大 臣       (内閣官房長官)  梶山 静六君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  臼井日出男君    政府委員        内閣官房内閣安        全保障室長        兼内閣総理大臣        官房安全保障室        長        三井 康有君        防衛庁長官官房        長        江間 清二君        防衛庁防衛局長  秋山 昌廣君        防衛庁教育訓練        局長       粟  威之君        防衛庁経理局長  佐藤  謙君        防衛庁装備局長  荒井 寿光君        防衛施設庁長官  諸冨 増夫君        防衛施設庁総務        部長       大野 琢也君        防衛施設庁施設        部長       小澤  毅君        外務省総合外交        政策局長     川島  裕君        外務省北米局長  折田 正樹君    事務局側        常任委員会専門        員        菅野  清君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○自衛隊法の一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付)     —————————————
  2. 宮崎秀樹

    委員長宮崎秀樹君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る五月二十一日、尾辻秀久君が委員辞任され、その補欠として村上正邦君が選任されました。  また、昨五日、齋藤勁君委員辞任され、その補欠として大脇雅子君が選任されました。     —————————————
  3. 宮崎秀樹

    委員長宮崎秀樹君) 自衛隊法の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。臼井防衛庁長官
  4. 臼井日出男

    国務大臣臼井日出男君) ただいま議題となりました自衛隊法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容概要を御説明いたします。  自衛隊アメリカ合衆国軍隊との間の物品または役務提供を行うための枠組みにつきましては、これまで日米間で検討を続けてきたところでありますが、今般、日米間で合意に達し、四月十五日に日本国自衛隊アメリカ合衆国軍隊との間における後方支援物品又は役務相互提供に関する日本国政府アメリカ合衆国政府との間の協定の署名が行われたところであります。  本協定は、共同訓練国際連合平和維持活動または人道的な国際救援活動に必要な物品または役務自衛隊アメリカ合衆国軍隊との間における相互提供に関する枠組みを設けているものでありますが、本協定に定める物品及び役務提供を実際に自衛隊が行うことができることとするためには、自衛隊法改正することが必要であります。  この法律案は、総理府の長たる内閣総理大臣等は、本協定の定めるところにより、自衛隊任務遂行支障を生じない限度においてアメリカ合衆国軍隊に対し物品提供することができることとし、防衛庁長官は、本協定の定めるところにより、自衛隊任務遂行支障を生じない限度においてアメリカ合衆国軍隊に対し役務提供することができることとすること等を内容とするものであります。  以上が自衛隊法の一部を改正する法律案提案理由及びその内容概要であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。
  5. 宮崎秀樹

    委員長宮崎秀樹君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 鈴木正孝

    鈴木正孝君 本日は、ただいま趣旨説明がございましたけれども自衛隊法の一部を改正する法律案審議ということでございまして、平成会を代表して、私がまずはトップバッターで若干の質問をさせていただきたいと思います。衆議院の方の金融特関係で慌ただしい中、両大臣にはまたいろいろと御答弁いただくということで大変恐縮に思いますけれども、よろしくお願いしたいと思います。  初めに、一昨日、六月四日に、海上自衛隊の「ゆうぎり」によりますリムパックでのアメリカ艦載機A6をCIWSで撃墜してしまったという大変不幸な出来事、遺憾な出来事がありました。このリムパックアメリカが主催している環太平洋の共同訓練で、かなり多くの国が加わっているということでありますけれども、今回のリムパックそのもの概要につきましてお伺いをしたいというふうに思います。  戦術技量向上ということを旨として、今回で九回目ということでございますので、そんなことを含めまして、どんな国がどのような形で加わってやられているのか、その辺の御説明をお願いしたいと思います。
  7. 粟威之

    政府委員粟威之君) リムパック米海軍の第三艦隊が計画する総合的な訓練でございまして、外国艦艇参加を得て、主として中部太平洋において二年に一回実施されているものでございます。昭和四十六年以来今回で十五回目でございますが、海上自衛隊昭和五十五年以来今回で九回目の参加でございます。  リムパック96の概要は、参加艦艇等能力評価を行い、これらの戦術技量向上を図ることを目的としておりまして、五月二十二日から六月二十一日までの期間ハワイ周辺海域で、オーストラリア、カナダ、日本、韓国、アメリカ、さらにことしはチリの海軍が新しく加わって六カ国で行う訓練でございます。訓練内容といたしましては、対潜訓練防空戦訓練、対水上戦訓練等を行います。  我が海上自衛隊参加部隊でございますが、第四護衛隊群司令指揮官にいたしまして、DDHでございます「ひえい」、DDGでございます「たちかぜ」、「きりしま」、さらにDDの「やまぎり」とか問題の「ゆうぎり」等八隻、さらに補給艦一隻を入れまして九隻、今のは艦艇部隊を申し上げましたが、さらに航空機部隊としてP3Cを八機、さらに潜水艦一隻という部隊参加しておるものでございます。
  8. 鈴木正孝

    鈴木正孝君 事故そのものは、搭乗員二名の方は幸い軽傷ということのようでございますけれども、本当にこれも不幸中の幸いという言葉がまさにぴったりするような感じのことではなかったかなというように思います。  事故原因につきましては、それなりの究明といいましょうか、全力で現地で今いろいろとやられているんだろうというふうに思います。こういうことにつきまして、専門家に一生懸命調べてもらうということも大事なことだと思いますし、当然のことなんですけれども、言ってみればある種の危機管理観点、そういうもので見てまいりますと、今回の事故概要、そしてそれにかかわって現地部隊あるいは防衛庁、あるいはまた政府がとられたそういうことへの対応措置等につきまして、具体的にちょっと御説明をお願いしたいと思います。
  9. 粟威之

    政府委員粟威之君) まず、事故日本時間の六月四日の午後二時十二分に発生いたしました。  その後、午後三時四十八分に海上幕僚監部を経まして防衛庁担当課であります私ども教育訓練局の方に報告がございました。これを受けまして直ちに、午後四時ごろでございますが、逐次、防衛庁長官、さらに総理の方に、第一報でございますが、御報告をいたしました。  それから、あとどういうことをやったかということでございますが、こういう国内の手続とともに、対外的には、アメリカの方でございますが、まず海上自衛隊米海軍の間の各レベルにおきまして遺憾の意の表明をいたしました。また、在京大使館にも私どもの方から、防衛庁のしかるべき人間が遺憾の意をあらわしました。さらに、大臣の方からペリー国防長官の方にメッセージを送ってございます。これは在米大使から国防次官を経てペリー長官の方に伝えられたというふうに聞いております。  こういうことで、これらの一連の行動によりまして、大統領補佐官の方からクリントン大統領本件事故についての日本側からの遺憾の意が伝えられ、大統領はこれを了承したというふうに述べておられるようでございます。  以上でございます。
  10. 臼井日出男

    国務大臣臼井日出男君) 今、政府委員から御答弁申し上げましたとおり、今回の事故はまことに遺憾でございます。また、こうした事故がないように、今後、徹底的に原因究明をいたしまして、事故再発防止に万全を期してまいりたいと思っております。  このような私どもの意向をペリー国防長官にお伝えを申し上げたところでございます。
  11. 鈴木正孝

    鈴木正孝君 原因でございますけれども原因調査については米海軍協力して行うことで調整中というように承知はしておりますが、一部の報道等によりますと、日米共同原因調査調査団のようなものをつくるというようなところもあったのかなと思います。その辺の真偽でございますけれども、要するに日本調査主導権といいましょうか、責任主体というものが日本側になるのか、それとも日米共同でやられるのか。日米共同という話は実はなくて、それぞれが別個におやりになって、連絡協調しながらおやりになるのか、その辺はどうなんですか。  本来的に言いますと、やはり日本の艦で起こったことですから、日本責任を持って日本主体となって米国協力を得て調査をし、きっちり原因究明をするということが筋のようにも思いますけれども、今どのような体制を組みつつあるんですか。
  12. 粟威之

    政府委員粟威之君) 事故調査でございますが、六月五日に現地ハワイの方で海上自衛隊一等海佐を中心とする九名の人間米海軍人間が「ゆうぎり」に乗艦して本格的な事故原因について調査をやっております。さらに本日でございますけれども海上幕僚監部内に監察官を長とする艦船事故調査委員会を設置いたしました。  これは、先生おっしゃるとおり、私どもの方で事故調査主体にやります。また、アメリカの飛行機が被害を受けたわけですから、アメリカの方はアメリカの方で事故調査をやりますが、ただそれはお互い協力をしていく、それで事故調査に当たろうということでございまして、共同してやろうということとは異なっております。
  13. 鈴木正孝

    鈴木正孝君 ぜひそのようにやっていただきたいと思います。  先ほど大臣なりあるいは総理なりに御報告された時刻の御説明もありましたけれども事故が起こったのが二時十四分ごろ、日本時間で言えばそのような時刻、そして第一報大臣のところにあるいは官邸に報告されたのが午後の四時ごろ、大体二時間見当くらいの時間があるんですね。先ほどあえて危機管理という言葉を使ったんですけれども、そういう観点から見たときに、長い時間なのか短い時間なのか、その辺は評価が分かれるのかもしれません。  しかしながら、「ゆうぎり」は例の通信衛星送受信装置というものもちゃんと持っておやりになっているということを考えてみますと、恐らく派遣部隊からの第一報というのが十五時半ころだということであるとしますと、事故発生から一時間強たっているというのは、そんなにすばらしいほどに早い事故速報があったということではないような気もするんですね。  手段がないということではないわけですから、その辺をどのように評価するかというのはいろいろと分かれるところがあるかもしれませんけれども、私も通信衛星の利用にかかわっていろいろと工夫した当事者の一人でもあるものですから、しかも遠航部隊だとかリムパック派遣部隊だとか、そういうものについてはなるべくそういう複合的な通信手段を持ってということでいろいろと工夫した、努力したということもございますので、そんなところから見るとちょっと時間がかかっているんではないかなというように実は内心思っているところでございます。  その辺は特にとりたてて、例のF15のミサイル誤射のときのこと、そういう教訓もございますので、十分にまた配慮していただくことが今後とも大事かなというふうに思っております。その辺は要望ということで、いろいろと部内的な指導を十二分にやっていただければよろしいかなというふうにも思います。  次に、法案に入りますが、この自衛隊法改正のもとになっておりますACSA協定はもともと昭和六十三年のSSC、日米安保事務レベル協議の場で米側から提案があったというように承知しておるわけでございますけれども考えてみますと、その後随分時間がたっているんですね。八年ほど経過している。そして、アメリカ国内法の整備そして改正等含めて、いろんなNATO以外の国々についてもこれが締結できるような状態になっておったと。また片方では、冷戦の終結というような大きな状況の変化もあったわけですけれども、この八年もかかったといういきさつ、経過、理由、その辺を外務省の方からお聞きしたいと思います。
  14. 折田正樹

    政府委員折田正樹君) 今、委員指摘のように、この話が一番最初にアメリカ側からありましたのは昭和六十三年のことでございます。そして、自衛隊米軍との間の物品役務相互提供のための協定を結ぶとするとそれは有意義ではないかということで、我が国政府内検討を開始したわけでございます。  アメリカがほかの国といろいろ結んでおられますので、そういう協定中身調査したり、それから日米間において本当に必要なのかということを議論したり、それから我が国の国内法制との整合性、特にこの国内法制の問題につきましては、この協定と申しますのは一定物品役務相互に融通し合い、最終的には決済をするというものでございますので、こうしたスキームを導入することと日本国内法との関係はどうであろうか等々、検討を重ねてきたということでございます。  そういう検討をした結果、今回、自衛隊法改正ということで政府にこの協定中身を実施する権限を与えていただくということで法案を提出させていただいているわけでございまして、こういうことにいろいろ時間がかかったということでございます。確かに八年という長い期間がかかったのはそのとおりでございます。
  15. 鈴木正孝

    鈴木正孝君 いろんな事情があったということでございましょうが、政治的ないろんな配慮ということもその背景にはあったのかなというふうにも推測はしております。  実は日米共同訓練の際に、海上自衛隊あるいは航空自衛隊では防衛庁事務次官通達アメリカ側への給油がもう既に相当前から行われております。そういうような実態を踏まえて考えてみますと、今ここで本協定を締結することの意義というものはどういうことが積極的に考えられるのかなということが一つあろうかと思います。  決済手段を明確にして、簡略化してスムーズにお互いに融通できるというようなこと、そういう技術的なこともあろうかと思いますけれども、なぜ本協定を今ここで締結することになったのか、その必要性等について御説明をいただきたいと思います。
  16. 折田正樹

    政府委員折田正樹君) 今までも共同訓練におきましては自衛隊から米軍に対しまして、非常に限定的ではございますが、例えば物品管理法二十九条に基づきます洋上給油などは防衛庁長官物品管理権の範囲内で行ってきたという事実はあるわけでございます。これは一定の要件のもとで非常に限られた物品役務に限定的に行っているということでございまして、日米間の共同訓練を円滑に実施するためには十分ではないということで、今回こういう協定を結んでそこを円滑に実施できるようにしようということでございまして、私ども外務省といたしましても、日米安保条約の円滑かつ効果的な運用という観点からも非常に重要なものであるというふうに考えておる次第でございます。
  17. 鈴木正孝

    鈴木正孝君 次に、個別にお伺いするわけですけれども弾薬がこの協定の中には入っていないわけであります。自衛隊の中で、いささか自嘲的な川柳で「タマに撃つタマがないのがタマにきず」なんという、そういう実は隊員がつくった川柳なんというのもあるわけでございます。訓練の中でいろんな意味で重要な要素を持っているものの一つにそういう弾薬というものがあろうかと思うんですけれども、それをなぜ抜いてあるのか、その辺につきまして御説明をお願いしたいと思います。
  18. 折田正樹

    政府委員折田正樹君) この協定を締結するに当たりまして、我々国内でいろいろ検討いたしましたし、米側ともいろいろ検討したわけでございますが、実際に今回の協定対象となっている共同訓練等におきましてどういうニーズが具体的にあるんだろうかということで精査した結果、弾薬の供給については特段のニーズがないという判断弾薬提供というのを除いたわけでございます。この協定には十五の区分のものを掲げてありますが、これはいろいろ精査した結果こういうものが必要である、ニーズがあるということで入れたわけでございます。
  19. 鈴木正孝

    鈴木正孝君 米側からのニーズ余りないということが根拠の一つかなということだろうと思うんですが、訓練の一場面を考えてみますと、たとえ米側にそういうものが不足しておっても自衛隊提供を求めることがない、あるいは提供を求めることがあるというような逆の場合もあるのかもしれませんけれども、そういうようなことを考えてみますと、訓練というものですから元来いろんな事態想定して行われるべきものだろうと思います。そうしますと、十分な弾薬というものを前提にして、そういう想定状況のもとで訓練をやるというのも一つのやり方かもしれませんけれども、どうもちょっと不自然で余り現実的でないような気もするというふうにも思います。弾だけ別というのは何か奇妙な感じもするというようなことでございます。  また、これを一般的に広げてみますと、そもそも初めから問題の生じないような計画をつくってしまえば問題がないということであれば、ACSAそのもの共同訓練で本当に必要なのかなというような議論にも発展しかねない、そういう要素もあるんじゃないのかなというふうに思ったりするわけです。  そんなことを考えますと、余り恣意的に、あるいは政治的な配慮ということではないのかもしれないけれども、それは集団的自衛権だとか有事対処だとか、いろいろとあちらこちらでそういうような議論がありますから、そういうことの配慮をした上でというようなこともひょっとしてあるだろうと、こういうふうに思いますので、そんなことをトータルで考えてみますと、初めから余り除外をしないで、訓練なので訓練の設定、想定、そういうものを純粋にそういう立場から考えてみれば初めから除外することもなかったのではないかなというような思いもします。  そんなことを含めて、防衛庁長官、どんなふうにお考えになりましょうか。
  20. 荒井寿光

    政府委員荒井寿光君) 防衛庁立場説明させていただきますと、私どもといたしましても、実際に共同訓練をする立場アメリカ側といろいろ話し合いをいたしました。そのプロセスにおきましては、現在行ってきている日米共同訓練実態はどうか、あるいは今後どのように行われていくかというようなことでございまして、ではその際に円滑に行うためにはどんなものを対象考えたらいいかということでいろいろな品目、対象につきまして分析をしたわけでございます。  そういうプロセスにおきまして、アメリカサイドにおいても今回弾薬対象にするニーズがないという判断を先方もしておりまして、私どもとしても同じ考えに立った、こういう次第でございます。
  21. 鈴木正孝

    鈴木正孝君 リムパックが行われているということでもありますが、その協定の中には、日本側事前同意のもとであればアメリカ側からさらに第三国に移転することもオーケーだというようなことがあるわけでございます。このリムパックにひっかけてということではありませんけれども、例えば日本側からアメリカ側に行き、アメリカ側からさらに今リムパック共同演習をやっている第三国に渡るということ、そういうことも協定上は可能、法律上は可能というふうに思いますが、その辺の確認をさせていただきたいと思います。
  22. 折田正樹

    政府委員折田正樹君) 委員指摘の点は第六条に関するものであろうかと思います。提供される物品または役務については、提供当事国政府書面による事前同意を得ないで受領当事国政府部隊以外の者に移転してはならないということを定めてございます。  そういうことでございますので、理論的可能性ということでいきますと、書面による事前同意がある場合には、例えば自衛隊から米軍提供された燃料を第三者提供することは協定上排除されているものではないということはそのとおりでございますけれども、この協定趣旨から考えますと、そもそも自分の方で一時的に足りない部分について、自衛隊米軍との間で物品役務相互に融通し合って後で決済をしましょうという枠組みを設けるものでございまして、第三者物品または役務提供を移転させることを念頭に置いて締結されたものではないし、通常は想定されないのではないだろうかというふうに考えるところでございます。
  23. 鈴木正孝

    鈴木正孝君 どちらかというと否定的ということでございましょうか。  それはそれといたしまして、次に、一つ懸念しているということではありませんけれども、ちょっと気になるといいましょうか、この協定によって日米間のいろんなものがスムーズにいくというような中でいきますと、インターオペラビリティー等を含めまして装備共通性といいましょうか、米国装備をこれからも現在以上にいろいろと導入しなければならないというような事態が生ずる、そういうことはないと思いますけれども、そんなような懸念がございます。  それから、防衛産業自身も新大綱のもとでリストラを迫られながら非常に厳しい状況にあるというようなことを総合的に考えてみますと、その辺の対応というのがこれからなかなか難しいのかなという気もいたします。  防衛庁長官、その辺はどんなふうにお考えでございましょうか。
  24. 荒井寿光

    政府委員荒井寿光君) ただいまの点でございますが、私どもACSA協定の実施を含めまして、自衛隊米軍との間で御指摘のようなインターオペラビリティー向上されていくということ自身は重要なことだと思っているわけでございます。  インターオペラビリティー向上するためには装備品の規格や基準を統一するということが必要でございますが、そのためには、御指摘のようなアメリカからの製品を輸入する場合もございますし、あるいはアメリカから技術を導入して国内で生産をするケース、あるいは国内で開発、生産することもございますので、防衛庁といたしましては、いろいろな視点を総合的に踏まえながら国内の健全な防衛産業技術基盤維持確保について十分配慮してまいりたいと思っております。
  25. 鈴木正孝

    鈴木正孝君 次に、重要事態対処研究、政府側でそのような呼称で言われているのかもしれませんけれども、去る五月十三日に橋本総理から我が国周辺地域で我が国の平和と安全に重要な影響を与えるような事態への対応策の検討というものに着手せよというような御指示が出て、四つの作業部会といいましょうか、ワーキンググループをつくって今おやりになっているということでございます。その辺の検討状況、そして内閣安全保障室がその事務局になっているというようなお話でもございますけれども、そこが国内の調整の場になるのか、その辺をあわせてお伺いいたしたいと思います。  そして、こういう事態の取り組みの姿勢というもの、これは今まで必要だ、大事だと思いながらもなかなかできなかったということを考えてみますと、政治的なリーダーシップを発揮しながらということになるんだろうと思うんです。その中で、大変な実力者でもございます官房長官が内閣官房を指揮しておられるわけでもございますので、そのリーダーシップを振るうという観点からも、政府としての取り組みの姿勢、方針、そういうようなものを含めてお伺いをしたいというふうに思います。
  26. 梶山静六

    国務大臣(梶山静六君) 一般の自然災害その他に関しての危機管理というか、そういうものについてはある程度の準備その他を今進めております。  しかし、委員の御指摘は有事のことを想定されると思うんですが、有事の場合もいわば災害の延長線上という考え方が一つはあってもいいと思います。しかし、そのことだけで対応ができる問題ではございませんし、新防衛大綱、こういうものを踏まえて我が国の安全や平和を、あるいは国民の生命、財産をどう守るか、こういうことに政府は一致をして対応してまいらなければならない、そういう心構えはできております。  また、総理から、それ以外の分野というか、有事の発生した場合における我が国としての安全な対応、四つぐらいの部門について今検討をいたしておる段階でありますが、本質的に日本の防衛はどうあるべきか、こういう問題についてはまだまだこれから検討を加えていかなければならない分野が多いという感じがいたします。誠心誠意そういうものに取り組んでまいりたい、このように考えております。
  27. 鈴木正孝

    鈴木正孝君 大変心強いといいましょうか、一生懸命やっていただくということでぜひお願いしたいわけでございます。  もう時間も参りましたものですから、最後に一点伺います。  この間、ハワイでSSC、実務者会議が行われたわけでございますけれども、ここで今後の対応、スケジュール、メンバー、その種のものが仮決定といいましょうか、大体合意に達しつつあるというようなお話も一部漏れ伝わっているようなところがあるわけでございますが、どんな状況になっておるのか、その辺をお聞かせいただければありがたいと思います。  これで最後にいたします。
  28. 秋山昌廣

    政府委員(秋山昌廣君) 先般、審議官級の日米の実務者会合がハワイで開催されました。その中で、今御指摘がございましたいわゆる日米防衛協力の指針の見直しにつきまして、いろんな点について意見交換をいたしたところでございます。  例えば、これを検討する組織としてどういう組織がいいだろうかということでございますが、現在のガイドラインをつくりましたときの防衛協力委員会、このメンバー構成を新しい今日的なメンバー構成にできないだろうかと。例えば先般から行っておりますSACO、特別行動委員会のメンバー構成を念頭に置きながらこの検討をいたしたい、そしてその下にまたワーキンググループの設置をしたらどうだろうかというようなことを話し合ったところでございます。  六月下旬にアメリカ国防次官スローコム氏の訪日が予定されておりますので、そのときまでに両国でこういった見直し組織、あるいは見直し作業の大枠、タームズ・オブ・レファレンスという英語で言っておりますが、そういう見直し作業の大枠につきましてある程度明確にしたいというふうに考えております。  なお、九月に2プラス2が予定されております。また、指針の見直しと国内の緊急事態対応検討との関連、こういったものに留意していく必要があり、並行的に進めていきたいといったようなことで、今後の作業日程につきましても意見交換をしたところでございます。
  29. 鈴木正孝

    鈴木正孝君 どうもありがとうございました。
  30. 宮崎秀樹

    委員長宮崎秀樹君) 午後三時五十分に再開することとし、休憩いたします。    午後三時十分休憩      —————・—————    午後三時五十七分開会
  31. 宮崎秀樹

    委員長宮崎秀樹君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、自衛隊法の一部を改正する法律案議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  32. 板垣正

    ○板垣正君 まず初めに、自衛艦の誤射事件、米軍機の撃墜事件について長官にお伺いします。  これは極めて衝撃的な事件でした。しかも、昨年十一月にF15がF15を撃ち落とすという想像もできないような大きな事故があった。それからわずかの間にこうした事態が招来されたということ、しかも対米関係ということで、極めて重大に受けとめておられると思いますけれども、やはり懸念しますのは、せっかく日米間の防衛協力あるいはガイドラインの見直し、こうした新安保宣言に基づいて新しい体制に入っていこうと双方が大いにやる気を出している最中にこうした事故が起きたということが今後そうした流れに非常な懸念を与え、いろいろな問題が生ずるんではないかという点であります。  第二点は、やはり国民の皆さん方が、果たして自衛隊というのは大丈夫なんだろうかと。今までは信頼を日々に重ね、リムパックも大変活躍しておられるというふうに我々も聞いておりましたから。  第三点は、自衛隊員の士気がこれによって左右されることがあっては大変でありますから、そういうことについての基本的な考え方を長官からまず伺いたい。
  33. 臼井日出男

    国務大臣臼井日出男君) 今回の事故は、ただいま委員お話しいただきましたとおり、リムパック参加をいたしております護衛艦「ゆうぎり」が訓練中に米海軍のA6型機をCIWSにより撃墜をしてしまったという事故でございまして、まことに遺憾でございます。  撃墜されました米海軍のパイロット二名の方は幸い軽傷というふうに伺っておりますが、しかしながら大変申しわけないことだと思っております。今後、事故原因を徹底究明いたしまして、このような事故の再発防止に万全を期してまいりたい、このように考えております。  事故後、これまでの対応状況についてお話を申し上げさせていただきたいと思います。  本件事故について、海自及び米海軍より現地において事故発生後直ちに事故調査を開始したところでございますが、本日、海幕内に監察官を長とする艦船事故調査委員会を設置いたしまして、本格的に原因究明を行うことといたしております。  また、海自のCIWS訓練につきましては、国内外を問わず当分中止をすることといたしました。  これに加えまして、防衛庁長官、私からペリー国防長官あてのメッセージを発出しております。  すなわち、本件事故についてはまことに遺憾であり、今後、事故原因を徹底究明し、事故の再発防止に万全を期する旨を斉藤駐米大使からスローコム国防次官を経てペリー長官に伝達いたしたところでございます。なお、右メッセージに先立ちまして、事故後直ちに防衛庁より在京米大使館に対しまして、海自から米海軍に対しまして、双方に遺憾の意を表しました経緯がございます。  これらを受けまして、米大統領報道官は、本件事故につきまして日本側から遺憾の意が伝えられ、クリントン大統領がこれを了承した旨述べております。  米側が大変冷静に受けとめていただいておるのはありがたいと思っているわけでございますが、一日も早く事故原因究明をいたしまして、今後こうしたことのないように今後とも努力をいたしてまいりたいと思っております。
  34. 板垣正

    ○板垣正君 それで防衛庁に伺いますが、この事故原因についてはこれから調査されることで、断定的なことは申し上げられないと思いますけれども、やはり直感いたしますのは、いずれにしましてもこのCIWSというのは船を守る対空兵器としては大変すばらしい性能を持つ、先端産業と結びついたコンピューター、レーダーで、大砲の弾でも百発百中で落としてしまうと。それだけにその扱いというものは相当周到な管理が必要ですし、また何よりも訓練が必要だと思いますね。  それでは、リムパック参加され、今度その「ゆうぎり」に乗って担当された海上自衛隊の方々が十分なる訓練を受け、実弾射撃の経験も何回か踏んで、本当に自信を持ってこの演習に参加されていたのかどうか、その辺のことについて防衛庁はどうお考えですか。
  35. 粟威之

    政府委員粟威之君) リムパック参加した部隊につきましては、いろいろな練度の隊員がいるかと思いますが、総じて訓練を十分にして実弾の射撃も経験のある人間が多数おります。そういうことでございますので、実弾射撃の経験が不足とかそういうことは調査をしてみなければわかりませんが、今のところそういうことはなかった、私どもはこういうふうに考えておるところでございます。
  36. 板垣正

    ○板垣正君 長官、お願いしたいのは、やはり何といっても自衛隊は経費節減という予算的に非常に厳しい中で、隊員の生活環境なりあるいは訓練、演習、そうした費用にどうしてもしわ寄せが行ってしまうと思うのであります。現に演習の回数が減らされたり、パイロットの飛ぶ時間を減らされたり、そういうのはいろいろあるわけであります。しかし、事、国を守るためには、この精強なる自衛隊でなければ有事には対応できない、国を守れない。そういう意味合いでは、むしろ私は日ごろもっと十分な訓練、もっと十分な実弾射撃の経験を持ってもらうということをぜひこれを契機に前向きに取り組んでいただきたい、このことをお願い申し上げます。  次に、きょうの主題でございますACSAであります。  長年かかってここでまとまったということは大変意義があると思います。日米間のいわゆる安保体制の円滑な効率的な運用という面でははかり知れないぐらいの成果であろうと思うんです。ただ、残念ながら、これは諸外国のいわゆる戦時接受国の支援協定に比べますと非常に制約があります。  そこで、時間もありませんから端的に伺いたいのは、どうもこの審議をめぐって、今日までに外務省の見解と防衛庁の見解がちょっと食い違っているんじゃないかと。そういうふうなことが現に国会で論議をされたり、あるいは報道されたりという面があったわけであります。  これは有事も平時も限定はしておらない、規定はしておらない。ただ共同訓練とかPKOとか人道救援とか、そういう作業をやるんですよと。そうなりますと、では有事のときの共同訓練はどうなるか、これをめぐって若干食い違いがあるんじゃないかというふうな印象を持ったわけでありますが、ここで改めて、防衛庁としてというよりも政府立場、内閣としての立場も込めてこの統一した見解を承りたい。
  37. 臼井日出男

    国務大臣臼井日出男君) 日米物品役務相互提供協定につきましては、先ほどお話がございましたけれども自衛隊米軍との間で平素から相互支援の体制を確立していくことが日米間の安全保障の円滑かつ効果的な運用を図る上で重要である、そうした観点から、自衛隊米軍相互ニーズを精査し判断いたしました結果、共同訓練、国連平和維持活動及び人道的な国際救援活動を本協定の適用対象とすることで米側と話がついたところでございます。  本協定は、有事、平時といった概念を使用してはおりません。しかしながら、本協定共同訓練、国連平和維持活動及び人道的な国際救援活動を適用対象とするものであることから、いわゆる極東有事や我が国有事における米軍の戦闘作戦行動への協力としての物品役務提供に適用されるものではないということは明確となっているところでございまして、こうした観点において、防衛庁外務省との間で見解の相違はございません。
  38. 板垣正

    ○板垣正君 わかりました。  今御答弁いただいたとおりに、やはりこの三つの分野で行われるということが基本であります。  極東有事にせよ日本有事にせよ、まだこれに対する法的なものが、まあ極東有事はまさにこれから、同時に国内も具体的な有事の場合におけるこれに相当するものがまだ整備されておらない、つまり有事法制ができておらない、こういうことでありますから、今回のこの法案を第一歩として、これを踏まえながら、今後のガイドラインの検討あるいは緊急事態対処の検討を進めながらさらなる前進を遂げていただきたいと思います。  そこで、ガイドラインの見直しであります。先ほども御論議がございましたけれども、ハワイにおいて先月末にやってこられたわけであります。  それで、これも確認したいわけでありますが、このガイドラインの見直しの基本方向として、改めて日米の役割分担は変えないんだと。つまり日本有事に共同対処をするわけでございますけれども、実質的な軍事的活動は米軍が担当する、日本後方支援、これを中心とすると。これは俗に言われる盾とやりというふうな表現もありますけれども、そういう形で改めて確認をされたということが言われ、報道もされております。  また、その背景には、今回のガイドラインの見直しというものは、いろいろな角度から注目されている中でその方向を明確にしようということで、改めて日本後方支援を十分ひとつ詰めてもらう、こういう形で方向が一応出されたというふうに言われておりますが、その点について伺います。
  39. 秋山昌廣

    政府委員(秋山昌廣君) 五月二十八日にハワイで審議官級の日米の実務者会合が開かれました。  日米安保共同宣言での指針の見直しの開始の合意や、あるいは先月十三日の橋本総理の緊急事態対応策の検討、研究に関する指示を踏まえまして、日米防衛協力の指針、いわゆるガイドラインに係る問題を中心に話し合いをしたところでございます。  どういうふうにこれからガイドラインを見直していくのか、いわゆる実質的な中身についての議論は今回は余りいたさなかったわけでございます。すなわち、どういう組織でこのガイドラインの見直しをしたらいいだろうか、あるいは正式にその組織をいつスタートさせるか、あるいは秋にいろいろ予定されております外交日程に合わせて、すなわち2プラス2といったような外交日程に合わせてどういう報告なり説明なりができるだろうかといったような議論をいたしたところでございます。  御質問にございました日米の役割分担の問題につきましては、実は現在のガイドラインが御案内のとおり一項、二項、三項と分かれておるわけでございますが、御質問に対しましては二項と三項でそれぞれ若干問題が異なるという点についてちょっと御説明をさせていただきたいと思うわけでございます。  現在の二項の日本に対する武力攻撃がなされた場合の対処行動につきまして、実際に武力攻撃がなされた場合、自衛隊は作戦構想といたしまして主として日本の領域、その周辺海空域において防勢作戦を実施する。これはもちろん防衛出動が下令されているという状況でのある意味で防衛行動、軍事行動になるわけでございます。そして、米軍自衛隊の行う作戦を支援するとともに、自衛隊の能力の及ばない機能補完のための作戦を実施する、こういうことになっているわけでございます。  御質問の趣旨はあるいは第三項に係るのかと存じますが、第三項は日本以外の極東における事態日本の安全に重要な影響を与える場合の日米間の協力ということでございます。これは率直に言って研究が余り進んでいないわけでございますが、このガイドラインにおきましては、日米政府日本米軍に対する便宜供与のあり方についてその研究を進めていく、こういうことになっているわけでございまして、現行のガイドラインの第三項ではまさに便宜供与でございますから後方支援、こういう形になっているわけでございます。  したがいまして、今後ガイドラインをどういう範囲で議論していくのか、今あるような項目に沿ってやっていくのか、これから議論をしていくわけでございますけれども、今御指摘がございましたように、必ずしも米国が軍事的な役割で日本後方支援ということで話が進んだ、そういうことではございません。
  40. 板垣正

    ○板垣正君 私が申し上げたいのは、ほかにもいろんなテーマはありましょうが、米側との話し合いによってガイドラインの見直し、その中から特に極東有事の問題を優先的に協議していこう、そういうふうな合意に達したというふうにも聞いておりますが、その点を後でまた御答弁いただきたい。  今お話にありましたが、いわゆる第三項の問題ですね。第三項の問題は、今までは便宜供与という表現になっておりました。しかし、今度合意をされたのは便宜供与ではない、一歩踏み込んだ後方支援、こういう立場で、それでは内容的にどこまでやるかということがこれからの焦点になってまいると思います。これは我が国がある一つの枠を決めて従来の解釈の枠の中で考えるのではなく、これは後から言う国内検討についても言えると思いますけれども、我が国は何をなすべきなのか、想定される事態のもとで我が国は我が国として何をなすべきなのか、どういうことをやることが必要なのか、そういう問題をやはり具体的に掘り下げ検討し、そういう形で内実のある後方支援というものにこの際踏み込んでいっていただかなければならないんではないかと思います。  そこで、防衛庁長官後方支援と申しましても、例えば人、物の輸送の問題があります。医療の問題、食料の供給あるいは燃料、あるいは機雷の掃海というようなこともございますし、米兵の救難というような問題もございましょう。そういうふうに広範にわたりますし、こうした問題についていわゆる同盟関係にある我が国の責任においてどこまでやるべきなのか。これは相当踏み込んだ検討をしないと、そうでなければせっかくの安保条約、改めてのパートナーシップといっても今までのようなあいまいな姿勢は許されないのではないのか。その辺の長官の御決意をひとつここで承りたい。
  41. 秋山昌廣

    政府委員(秋山昌廣君) 実はこのSSC、実務者会合におきまして、指針の見直しと、それから国内で今始まっておりますいわゆる緊急事態対応策の検討、この作業は大変関連性を持っているという認識をいたしまして、この関連性に留意しつつ同時並行的に進めるという話し合いをしたところでございます。  御案内のとおり、この緊急事態対応策は四つの項目について現在検討を進めておりますが、その四つの項目のうちの一つが各種対米協力措置、施設・区域面での協力やあるいは米軍に対する後方支援ということになっておりまして、これとの関係でガイドラインの見直しもいわば国内の緊急事態対応検討の作業と同時並行的にその関連性に留意して進めていく、今話し合ってそういうことになっているところでございます。  具体的に今、輸送ですとか医療ですとか食料、あるいは救援、あるいは機雷の掃海等々御指摘がございましたが、まさにそういった具体的な事案につきまして、今後、今言いました二つのトラックといいますか組織で議論を進めていくということになっているところでございます。
  42. 臼井日出男

    国務大臣臼井日出男君) ただいま局長から報告がありましたけれども、現在使われております指針が策定されまして以来、我が国と米国との防衛協力の進展というのは大変目覚ましいものがございます。  今般、内外の諸情勢の変化等を踏まえて防衛大綱の見直しを行いました。防衛力の役割につきましても前大綱と内容を異にいたしておりますし、また防衛協力の重要性も新しく再認識した大綱を作成いたしたわけでございます。  こうした状況を考慮いたしまして、新防衛大綱の内容あるいは日米防衛協力の現状、そうしたものをしっかりと将来を見据えて見直していく必要がある、このように考えておりまして、こうした観点をしっかりと踏まえた上で、米側と協議をしつつ今後さまざまな観点から幅広く検討いたしてまいりたい、このように考えております。
  43. 板垣正

    ○板垣正君 次に、今度は国内の、五月十三日に橋本総理からいわゆる四項目についての指示がありまして、安全保障室を中心に各関係省庁でもう既に作業を始めておられると思いますが、具体的に項目ごとにどの程度やっておられるのか聞かせてください。
  44. 三井康有

    政府委員(三井康有君) 現在、総理からの御指示に従いまして、内閣安全保障室が事務局となって、第一に在外邦人等の保護、第二に大量避難民対策、第三に沿岸・重要施設の警備等、第四に対米協力のための諸措置等の各検討項目につきまして、それぞれ関係省庁の職員から成る作業グループを設置して検討を行ってきたところでございます。  これまでのところ、一部の作業グループにつきましては既に最初の会合を開催したところでございますが、他の作業グループにつきましても近く会合を開催すべく、現在、関係省庁と調整を行っているところでございます。
  45. 板垣正

    ○板垣正君 では、もう少し具体的に伺いますが、邦人救出の問題で、これは現在自衛隊法による救援の規定はございますけれども、あれに自衛隊の艦船を加えるとか、あるいは民間の船を加えるとか、こういうことが既に検討され、方向づけられているのかどうか、その点はどうですか。
  46. 三井康有

    政府委員(三井康有君) 今お述べになりました具体的な内容につきましては、今のところまだ作業グループの中におきましても審議に入るというところまでいっておりません。
  47. 板垣正

    ○板垣正君 それと、これは難民対策の一環だと思いますけれども、難民の救援物資の備蓄の問題であります。人道救援物資協力問題検討会で検討されて、難民六千人分の備蓄を来年度から行うというようなことも報ぜられていますが、その内容をもしおわかりでしたら教えていただきたい。
  48. 三井康有

    政府委員(三井康有君) まことに申しわけございませんけれども、ただいま御指摘の件につきましては総理府のPKO事務局というところで担当いたしておりますので、追って先生に御説明に上がるように段取りをつけたいと思います。
  49. 板垣正

    ○板垣正君 わかりました。  あと、輸送の問題等についてもいろいろ細かい点をお聞きしたいと思っておりましたが、まだ作業がそこまでも進んでおらない、これからいろいろ検討されると思うわけでございまして、具体的に伺うのはきょうは控えますけれども、さっきお願いしたように、ぜひ積極的な姿勢で、既成の枠や既成の解釈とかなんかにとらわれないで、何が必要なのか、こういう立場でぜひ取り組んでいただきたい。やはり橋本総理の意向はそこにあると私どもは受けとめているわけであります。  次に、沖縄の問題に入らせていただきますが、沖縄の問題では頭の痛いことが幾つかございます。特に当面しますのはいわゆる署名を拒否しておる方々の問題です。楚辺の通信所を初め嘉手納の飛行場を含めますと十三施設、三千件、こういうことでございますけれども米軍用地強制使用、この問題については来年の五月には期限が来るわけであります。  御承知のとおりに、この問題が最高裁大法廷に移され、来月十日ですか、第一回弁論が行われるということですけれども、どうでしょうか、この裁判の成り行き、判決というものは相当時間がかかるのではないのか。  いずれにいたしましても、来年の五月までに法的な手続がとられる見通しがあるのかないのか、その辺をまず伺いたい。
  50. 諸冨増夫

    政府委員(諸冨増夫君) ただいま先生御指摘のように、現在、楚辺通信所の一部の土地につきましては使用権原のないような状態が継続しておりまして、私ども極めて憂慮すべき事態だということで、現在、駐留軍用地特別措置法による手続をとっておるところでございます。  私ども、実はきょう、その三千件につきましては県の収用委員会の方に受理をしていただきまして、これから県の収用委員会の方の手続が開始されるわけでございます。したがいまして、私どもは何とか使用期限、来年の五月十四日までに使用権原が得られるように現在政府として最大限の努力をしてまいることが当面一番大事なことではないか、このように考えておるところでございます。  今後の最高裁等の見通しにつきましては、私ども司法の御判断にゆだねるところでございまして、現在のところちょっと見通しは私どもとして申し上げられるような立場にはございません。  一方、立法等というようなお話もございますが、私ども現在の駐留軍用地特別措置法につきましていろいろ幅広く勉強しておる段階でございまして、当面は、先ほど申し上げましたように、現在の法律に定められております手続に従いまして使用権原が何とか期限内に得られるように現在努力をさせていただいておる、こういう状況でございます。
  51. 板垣正

    ○板垣正君 最大限沖縄の方々の、知事さんを初め地元の方々の理解を得ながら何とか間に合うようにというお気持ちはわかりますし、当然だとは思いますけれども、同時に見通しを持たなければならない時期にもう来ているんじゃないでしょうか。これはもう既に一回苦い経験をしているわけですね。私はやはり昨年の手続のおくれというのが後に非常に大きな問題を残してしまったと思います。  どうでしょうか、長官、もうこのあたりで政府立場、内閣の立場、長官のお立場においてもやはり立法措置をとる、こういう方針をお決めいただいて、いずれこの国会でやるか次の臨時国会ということになりますね。それでなければ物理的に間に合わない、大混乱を招来すると思いますが、この事態をどう受けとめておられるか、立法への決意をひとつ聞かせていただきたい。
  52. 臼井日出男

    国務大臣臼井日出男君) ただいま諸冨防衛施設庁長官から御説明いたしましたとおり、いよいよ来年五月に向けて手続を始める、こういうことになりました。  現在進んでおります楚辺通信所の権限取得につきましても、いよいよ所在市町村長さんの公告縦覧がいただけないところを知事さんにお願いする、こういう段階に来ておりまして、私どもはぜひとも知事にもそうした状況を御理解いただいて御判断をいただきたい、このように思っております。そうした環境で、現状ではいまだ期限内の裁決が不可能になった、こういう状況ではない、こういうふうに考えております。  しかしながら、そういった手続は一つ一つ着実に踏ませていただいてまいりまして、一方、従来から説明申し上げておりますとおり、そうした立法措置につきましても将来に向けての勉強をしっかりとさせていただきながら、前回のような使用権原のないような状態にならないように全力を尽くしてまいりたい、このように考えております。
  53. 板垣正

    ○板垣正君 ありがとうございました。  終わります。
  54. 宮崎秀樹

    委員長宮崎秀樹君) 午後五時に再開することとし、休憩いたします。    午後四時三十分休憩      —————・—————    午後五時二十七分開会
  55. 宮崎秀樹

    委員長宮崎秀樹君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、自衛隊法の一部を改正する法律案議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  56. 永野茂門

    ○永野茂門君 時刻もかなりオーバーして始まりましたし、私が描いておりました質問は既に多くの方々とかなり重複をしておりますので、できるだけ重複しない部分だけに限らせていただいてお伺いしたいと思います。  まず、海上自衛隊リムパック派遣訓練部隊事故などについてお伺いします。  第一は、現地から防衛庁長官、そして総理への第一報は、先ほどの鈴木委員の質問に対する答弁でも、非常に時間がかかっていますね。一時間以上かかっているというのはやっぱりどう考えても遅過ぎる、こう思うわけでありますが、これについてどういう所見をお持ちでありますか。そして、私も一佐のころまでは通信に長くいました関係でこういうことについては非常に敏感なんでありますが、今後、是正策をぜひ講じていただきたいと思いますけれども、長官、いかがでしょうか。
  57. 臼井日出男

    国務大臣臼井日出男君) 一昨日の夕刻、現地からの報告を受けたわけでございます。何分ともにリムパックは洋上でございますので、先ほどの御質問の中にもございましたが、事故以来約二時間程度たってからと、こういうことでございましたが、やむを得ないというふうにそのとき感じた次第でございます。  私が受けた情報につきましては、逐次官邸の方にも御報告をさせていただきまして、米側に対しても海自の方からすぐ遺憾の意も表させていただいたり、また私からもペリー長官に対して遺憾の意を表させていただく等、私どもの陳謝の意、そして今後の再発防止に対する気持ちというものは米側にもお伝えをしたところでございまして、そうした点についてはできる限りのことを私どももやらせていただいた、このように感じております。
  58. 永野茂門

    ○永野茂門君 私は、今のお話を聞いても、第一報のやり方はもう少し工夫をしていただきたい、こう思います。  第二は、事故に伴う対米措置、救難を含む対米措置と米側の反応について承りたいんですけれども、これももう既に多くを御答弁いただいておりますので、次の二点だけに絞ってお願いしたいと思います。  米側はこういうようなCIWSの事故は今までにもあったと言っておりますか、それとも何らそういうことについて発言しておりませんか、これが第一点です。それから、今後これの物的補償、またけがの方は軽かったわけでありますけれども、こういう補償関係はどういうように進めるんでしょうか。その二つだけをお答えいただきたい。
  59. 粟威之

    政府委員粟威之君) CIWSの事故があったのかどうかということでございますが、今回の米軍のいろんな高官の方々の発言の中にはそういうことは、米側による米側のCIWSの事故があったという話は特に出ておりません。  それから、補償の問題でございますけれども、今回の事故については事故原因調査が現在行われているところでございまして、損害賠償についてはその結果がある程度進展した後に米軍を含めて関係機関との調整を踏まえて対応検討することとしております。したがって、現時点で確定的なことを申し上げることは差し控えたいと思います。
  60. 永野茂門

    ○永野茂門君 三つ目は、考えられる事故原因について伺うことにしておりましたが、この中で次の二つだけをお答え願いたいと思います。  海上自衛隊でCIWSの実射訓練というのは、各チームといいますかクルーによって年間何回ぐらいなされておるんでしょうか。そして、実際に今回の事故を発生させたクルーは、本年に入ってからでも結構ですけれども、今まで何回ぐらい実射をやっていますか、これが第一点です。それから第二点は、訓練のルールなどにそごはなかったんだろうか、あるいは誤解はなかったんだろうか。この二点をお伺いいたします。
  61. 粟威之

    政府委員粟威之君) CIWSの訓練につきましては、実際に標的を使ってやる訓練と、さらに標的は使わないで弾だけを撃つ訓練とございます。  それで、平成元年からCIWSの標的を使っての訓練をやっておりまして、年によって大分違いますけれども、かなりやった年もございますが、その回数は多いときは年間数十回、最近は回数が少なくなっております。それからさらに、先ほど申し上げましたように標的を使わない訓練、CIWSは自分で自分の弾がどこに行っているかということを評価できますので、それによって訓練を行っておりますが、これは各艦大体年間四回ぐらいはやっているんじゃないかと思います。  それから、実際の事故を起こした船については、今ちょっと私どもの手元に資料がございません。
  62. 永野茂門

    ○永野茂門君 その場合、曳航機は何を使っていますか、そして曳航機のスピードはどのぐらいですか、今度のA6と比べてどうですか。
  63. 粟威之

    政府委員粟威之君) 曳航機はU36という飛行機でございますが、スピードは、今回のA6は大体亜音速だというふうに聞いておりますが、こちらの方は今ちょっと手元に資料がございませんので、後ほどお答えいたします。
  64. 永野茂門

    ○永野茂門君 次に、昨年十一月の航空自衛隊F15J撃墜事故報告が最近ありましたけれども、この最近の調査報告概要について御説明願いたいと思います。
  65. 粟威之

    政府委員粟威之君) 事故部隊だとか日時だとかというのはもう省略させていただきまして、概要は、ミサイルが発射された原因は、一番機のミサイル発射系統が導通状態、ミサイル系統の電気が通っていたということでございますが、導通状態になっており、それをあらわす表示が幾つか出ておりました。それが出ていたにもかかわらず、操縦者が操縦操作に集中して表示の意味するところまでは気づかずに、通常訓練と同様に発射操作をしたということでございます。
  66. 永野茂門

    ○永野茂門君 発射してよろしいという赤信号が出ていたという報告ですけれども、そういうことはしょっちゅうあるんでしょうか。
  67. 粟威之

    政府委員粟威之君) マスター・アーム・スイッチという武器の電気を入れる装置がございまして、それを入れれば導通状態になるわけですが、今回の場合にはその辺のところがどういうふうになっていたかちょっとわかりません。が、そういう表示はマスター・アーム・スイッチを入れれば出ますが、入れない場合にはそういう表示は出ないことになっております。
  68. 永野茂門

    ○永野茂門君 実目標に対して実射する場合には、必ずそのランプといいますか表示をチェックするのが当然だと思いますけれども、それはどうなっていたんですか。
  69. 粟威之

    政府委員粟威之君) 今回の場合にはアラート予備機を使って訓練をいたしたところでございます。そのために実弾を積んでいたということです。通常の訓練は、アラート予備機を使わない場合にはミサイルを積んでおりませんので、電気を入れて全部そういう表示が出て、発射装置はありますがそれは弾が出ないということです。今回みたいにミサイル等を実際に搭載した飛行機を訓練に使った場合にはそういうことはしない、マスター・アーム・スイッチというものを入れないということを決めておって、それをさらに指導もしていたところでございます。
  70. 永野茂門

    ○永野茂門君 なぜついていたかということはまだ現在の調査ではわかっていないということを報告書で読みましたけれども、なお調査を厳しくやって、こういう事故が再発しないようにお願いしたいと思います。  本件について最後に長官にお伺いしたいと思いますが、両方の事故を通じて私はハイテク兵器の使用について起こり得る事故というものに何らかの共通性を感ずるものであります。長官は全然そういうことはないというようにお感じになっているかもわかりませんけれども、いずれにしろこういう事故を通じてどういうように観察され、今後どういうように指導されようとお考えでしょうか、お伺いします。
  71. 臼井日出男

    国務大臣臼井日出男君) 昨年十一月のF15型機墜落事故及び今般の海自リムパック派遣部隊事故、いずれも武器にかかわる事故でございまして、こうした事故が続けて発生したということはまことに遺憾でございます。  委員お話しのとおり、武器の性能が向上する、このことによって訓練も安全にはより一層注意をして行わなければならない環境になってきているというふうに感じております。  F15型機墜落事故について、先般発表された事故調査の結果を踏まえまして先ほど一部お話ございましたが、アラート予備機による攻撃訓練の禁止、安全装置の付加、教育の徹底等の方策を講じることによりまして再発防止に万全を期している次第であります。また、海自リムパック派遣部隊事故につきましても、既に現地においては米側協力をいたしまして事故調査を開始いたしておりまして、今後、事故原因を徹底究明してまいる所存でございます。  自衛隊にとりまして、武器を安全に取り扱うためにも、日ごろの訓練に励み練度を維持することが必要不可欠である、このように考えておりますが、いずれにいたしましても今後とも訓練の実施に当たっては安全管理に留意しつつ実施してまいりたいと思います。
  72. 永野茂門

    ○永野茂門君 次に、ACSAについてお伺いをいたします。  その第一は、ACSAの適用を共同訓練やPKOなどの現場に限定するということになっております。しかも、先ほどからの御説明によりますと、有事における適用についてはまだ検討をされていないようなお話を伺いました。  一つは、一方だけの訓練米側あるいは日本側のそれぞれが独自に行う訓練においてもやっぱり必要なときは必要なんじゃないかと思いますが、これを排除している理由はどういうことなんでしょうか。それから、有事について言うならば、ACSAが一番必要なのは有事であることは間違いないと思います。これについてまだ歩を進めていないということはなぜなんでしょうか。この二つをお伺いします。
  73. 臼井日出男

    国務大臣臼井日出男君) 日米物品役務相互提供協定につきましては、自衛隊米軍との間で平素から相互支援の体制を確立しておくことが日米安保条約の円滑かつ効果的な運用を図る上で重要であるとの観点から、自衛隊米軍相互ニーズを精査し判断した結果、共同訓練、国連平和維持活動及び人道的な国際救援活動を適用対象とすることで米側と合意したものでございます。  あとの観点については局長の方から御報告いたします。
  74. 秋山昌廣

    政府委員(秋山昌廣君) 御質問の中に有事のときのACSAといいますか、そういう点についてなぜ検討していないのかという御質問がございました。  御案内のとおり、現在、日米安全保障共同宣言を踏まえ、それからまた昨年決定いたしました新防衛大綱の基本的な考え方を踏まえ、日米間の防衛協力の指針についての見直し作業を始めたところでございます。これはもちろん我が国有事の場合、あるいは極東有事も含むその他の問題を含めてこれから検討を始めようとしているわけでございますし、また御案内のとおり、五月十三日の総理の指示によりまして、我が国周辺において我が国の安全にとっての重要な事態が発生した場合の具体的な対応ぶり、特にその中で米軍に対する支援の各種措置といったものを具体的に検討するということになっておりまして、これらの検討の中で今御質問の点についても具体的な検討を進めていくということになろうかと思います。
  75. 永野茂門

    ○永野茂門君 有事におけるACSAの検討は極めて重要なことであると思います。とにかくこのACSAは日米の緊密な協力を促進し、日米相互協力とそれから安保条約の円滑かつ効果的な運用に寄与するというのが目的になっておりますが、この目的が一番必要なのは有事でありますから、ひとつ大いに力を入れてやっていただきたいと思います。  次に、ACSAにおける提供物品と武器輸出三原則及びPKO法との関係について確認したいと思いますが、一つだけに絞ってお聞きします。  PKO活動、いわゆる日本で言うPKFを含むとした場合に、この活動で弾薬が使用されることは間違いないわけでありまして、したがって弾薬提供物品の中に入るのが当たり前だと思われるわけですが、これが当たり前でない状態になっているのはなぜでしょうか。  それからまた、情勢が緊迫して、まだ日本有事でもない、あるいは極東有事でもないけれども非常に緊迫してきているときに、仮に増援部隊アメリカ本土あるいはどこからか持ってくるといった場合に、一番必要なのは弾の下をどういうように勇気を持ってくぐれるかという訓練が一番大事なものの一つであるわけであります。そのために、近隣国といいますか韓国あたりでは御承知のような潜入課程だとか、専門的な言葉を使って済みませんけれども、突撃に膚接して攻撃ができるような、実弾を撃ちながらその下で行動するというようなことを特にやるわけですが、これはもう本当に情勢緊迫がだんだんと高まり始めて、まだ有事にはならないというようなときに特に必要だと思うんです。  そういうものは米軍も要求しなかったんだろうと思いますけれども、必要性からいいますと私は非常に高いものだと思うんですが、この辺は何か話題になったか、あるいは検討されたかということを伺います。
  76. 荒井寿光

    政府委員荒井寿光君) ACSAにつきましては、アメリカから提案がございまして、それからいろいろ両国政府の間で時間をかげながら慎重に検討してまいったわけでございます。その中の非常に重要なテーマがどういうものを対象にするかということでございましたが、対象として国連平和維持活動、あるいは人道的な国際救援活動、それから日米共同訓練というものでございまして、そういうのがそれぞれ今両国の間でどのように行われているか、それに伴いましてどのような物品役務対象になるか専門家の間で検討いたしまして、それぞれ双方のニーズを精査して今まとまったような協定になったものでございます。  その中では、アメリカサイドからも弾薬についてのニーズがあるという話がございませんで、そういうプロセスを経まして両国の専門家の間で双方のニーズを精査した結果、弾薬については提供対象となる物品とはならなかったものでございます。
  77. 永野茂門

    ○永野茂門君 私は、現在はそういうことだろうと思いますけれども、実際は要求してくる可能性は高いと見ます。しかし、これは米側が要求しなかったんですから、それで結構です。  その次は第三問に移りまして、昨日の本会議で総理防衛庁長官も、それから外務大臣も、三人おそろいで、田村議員の質問に対して、集団的自衛権不行使は日本に何ら不利益をもたらさない、こういうようにお答えをいただいたわけでありますが、私は本当にそうだろうかと、これは疑問を持たざるを得ないのでありまして、日本においてもそういうものが不利益を感じないというのなら、世界の列国とも似たようなことだろうと思います。  国連憲章でも明示され、それからサンフランシスコ平和条約でも触れられ、日米安保条約でも明確に集団的自衛権というものは保有するということを述べられておる。それはそれほど大事なものであって、行使すべき権利として大事だから一般の国はそういうようにしているわけでありまして、今それは抑制するというようなことはあり得るかもしれませんけれども、私はこれを不利益が全くないとおっしゃるのは何といっても納得いきませんし、少し行き過ぎた発言ではなかろうか、こう思うわけでありますが、どういうことをお考えになってこういう結論を政府は御発表になったんでしょうか。
  78. 臼井日出男

    国務大臣臼井日出男君) 我が国が国際法上集団的自衛権を有していることは主権国家である以上当然でございますが、憲法第九条のもとにおいて許容されている自衛権の行使は我が国を防衛するため必要最小限度の範囲にとどまるべきものである、こういうことから、集団的自衛権を行使することはその範囲を超えるものであるということで、憲法上許されないと考えているわけであります。  我が国はかかる憲法のもと適切な防衛力を整備し、日米安保体制を堅持することによりまして我が国の安全を確保することにいたしておりまして、また我が国周辺地域において我が国の平和と安全に重要な影響を与えるような事態が発生した場合には日米安保体制の円滑かつ効果的な運用を図ること等により適切に対処することといたしております。  私の答弁は、このような我が国の政策について累次の機会に説明をいたしておりまして、米国を初め内外の理解を得ているものと考えている、集団的自衛権を行使しないことにより国家的な損失というものをこうむっているということはないとの考えを表明したものであります。
  79. 永野茂門

    ○永野茂門君 集団的自衛権の行使をしないという選択をする、あるいは現在の憲法を政府集団的自衛権を保有すれども行使してはいけないと考えておると。これはそのとおりで、そういう解釈もあるわけですからそれで結構だと思いますけれども、だから集団的自衛権の行使をしない場合に全く不利益をこうむらないということには直ちにはつながらないと私は思うわけでありまして、その辺を十分検討しておく必要がある。前回の質問でもそれを官房長官に申し上げたわけでありますけれども、どういう影響が本当にあるのかということは細かく検討すべきであると私は考えます。  本件に関してもう一つの問題を質問するつもりでありましたけれども、短縮すると言って全く短縮しておりませんので、この辺で私の質問は終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  80. 大脇雅子

    大脇雅子君 日米物品役務相互提供協定というものができましたが、その協定の適用範囲についてお尋ねをいたします。  橋本首相は五日の参議院本会議で、自衛隊米軍訓練の際、いわゆるこの協定の適用範囲については戦闘時には適用しないということを明言されております。協定自体には明確に平時か有事か規定しておりませんが、憲法九条の趣旨からそのように解されるのはまことに妥当だと考えますが、防衛庁長官はその御見解について同じように考えられるのでしょうか。
  81. 臼井日出男

    国務大臣臼井日出男君) 先ほど来お答えを申し上げておりますとおり、日米物品役務相互提供協定につきましては、自衛隊米軍との間で平素から相互支援の体制を確立しておくということが日米安保条約の円滑かつ効果的な運用を図る上で重要である、こうした観点から、自衛隊米軍相互ニーズを精査し判断した結果、共同訓練、国連平和維持活動及び人道的な国際救援活動を本協定の適用対象とすることに米側と合意をいたしたところでございます。  本協定は有事、平時といった概念を使用いたしておりませんけれども、本協定共同訓練、国連平和維持活動及び人道的な国際救援活動を適用対象とするものであることから、本協定はいわゆる有事における米軍の戦闘作戦行動への協力としての物品または役務提供に適用されるものではありません。
  82. 大脇雅子

    大脇雅子君 共同訓練はバイラテラル・エクササイジズ・アンド・トレーニングというふうに言われておりまして、それは演習と訓練といいましょうか、その共同訓練の態様によっては憲法九条による武力の威嚇に当たる場合があるのではないかと危惧されますが、この点はいかがでしょうか。
  83. 秋山昌廣

    政府委員(秋山昌廣君) 自衛隊米軍との共同訓練につきましては、防衛庁設置法第六条第十二号に規定する「所掌事務の遂行に必要な教育訓練を行うこと。」に基づいて実施しているものでございまして、自衛隊が憲法で禁止されている武力の行使とかあるいは武力による威嚇に該当する共同訓練をするということはあり得ないことでございまして、本協定はそのような共同訓練というものは全く想定していない、我々が共同訓練をする場合には憲法の範囲内で実施をしているということですから、そういったようなケースはあり得ないと考えております。
  84. 大脇雅子

    大脇雅子君 そうしますと、いわゆる戦闘地域における共同訓練ということは考えられないと解釈されますが、いかがでしょうか。
  85. 秋山昌廣

    政府委員(秋山昌廣君) 戦闘地域における共同訓練というのは例えばどういうケースを御指摘になっているのか私よくわかりませんが、例えば日本訓練をする場合、日本がその訓練する場所において戦闘状態であるということであれば、それはまさに自衛隊法で言うところの防衛出動の下令下と考えざるを得ませんので、そういう時期に共同訓練をしているということは、これはもう常識的にあり得ないと思います。
  86. 大脇雅子

    大脇雅子君 そうしますと、平時において共同訓練をする場合に、例えば戦闘へ入ることが予見されるような場合とかあるいは共同訓練の後に戦闘に入ったときなどはこの協定とどういう関係があるのでしょうか。  例えばベトナムやペルシャ湾に出撃した場合に、領域内は移動訓練であっても領域を出た場合に出撃命令が出たというような場合、その物品役務協定によって補給をしたものが戦闘に使われるということになる場合に、憲法との関係ではどのように解釈したらよろしいのでしょうか。
  87. 秋山昌廣

    政府委員(秋山昌廣君) 本協定共同訓練、国連平和維持活動及び人道的な国際救援活動を適用対象とするものでございます。  御指摘のケースが具体的にいかなる事態かちょっと私もなかなか認識しがたいわけでございますけれども、あえて一般論を申し上げれば、日米共同訓練は、訓練そのものは間違いなく有事のための備えということでございますけれども、それを平素から、つまり平時のときに部隊の練度向上を目的として行うということでございますので、まさに戦闘作戦行動を行わんとしている米軍との間で共同訓練を実施するということはなかなか想定しがたいと考えております。
  88. 大脇雅子

    大脇雅子君 PKO活動にはこの協定相互提供ができるわけですが、例えば我が国では自衛隊はPKFの活動は凍結されております。米軍のPKFを含んだPKO活動におきますこの相互提供協定の適用はどのように解釈されるのでしょうか。
  89. 秋山昌廣

    政府委員(秋山昌廣君) 自衛隊が国際平和協力業務として米軍に対して行う物品または役務提供は、今回のこの協定第三条第三項におきまして、我が国の国際平和協力法により定められた業務の範囲内で実施することとされております。したがいまして、かかる業務の範囲内であれば、いわゆるPKF活動に従事している米軍に対しても物品または役務提供することができるわけでございます。  なお、国際平和協力法第三条第三号イからヘまでに掲げる業務、いわゆるPKFと言っているわけでございますが、その平和維持隊本体業務につきましては、この法律の附則第二条におきまして、別に法律で定める日までの間は実施しない、いわゆる凍結されているわけでございます。したがいまして、我が国の行う国際平和協力業務としての他国の部隊への物品または役務提供がこの凍結業務に当たるものであってはならないことは言うまでもありません。
  90. 大脇雅子

    大脇雅子君 極東有事の研究について、現在、日米首脳会談を受けて検討が始められたと言われておりますが、与党三党は近隣諸国との関係に十分配慮しつつ憲法及び関係法令に従い検討を進めるということを明確にいたしております。政府も閣議におきまして、憲法及び関係法令に従い日米の効果的な協力態勢の構築に努めるということを確認していると思います。  この閣議の決定に従いこの研究は行われるべきだと考えますが、防衛庁長官の御見解はいかがでしょうか。
  91. 臼井日出男

    国務大臣臼井日出男君) ただいま委員からお話しいただきましたとおり、まさに今後とも研究というのは閣議の趣旨を踏まえ実施していくべきものと考えております。
  92. 大脇雅子

    大脇雅子君 再び日米物品役務相互提供協定に移りますが、物品というのは原則として自衛隊装備を含むのでしょうか。例えば武器は部品とか構成品を含むということになっておりますが、この場合、武器輸出三原則につきまして内閣官房長官の談話がございます。そして、これは武器等に当たるものが含まれるということで武器輸出三原則等によらないことにする、しかしこれの基本理念は堅持するというふうに言っておられますが、これについて防衛庁長官の御見解はいかがでしょうか。
  93. 荒井寿光

    政府委員荒井寿光君) ただいまの点でございますけれども、ACSAに基づきましていろいろ物品提供するわけでございますが、その関係で武器輸出三原則によらないという官房長官の談話がございます。  これとの関係防衛庁考え方を申しますと、ACSAに基づくいろいろな武器部品の提供日米共同訓練とか国連平和維持活動等の実施のために必要なものでございまして、これらはそれぞれ防衛庁設置法や国際平和協力法のそういう根拠に基づいたものでございますし、さらにまたこの武器部品の提供につきましても、基本的に国連憲章と両立する形で使わなけりゃならないとか、あるいは受領者、この場合ですとアメリカサイドから第三者に移転するというときにも日本側同意なしてはできないとか、いろいろな条件が付されておりますので、国際紛争等を助長することを回避するという武器輸出三原則等のよって立つ平和国家としての基本理念は維持されているというふうに考えております。
  94. 大脇雅子

    大脇雅子君 それから、役務についてお尋ねをいたしますが、これは原則として自衛隊のいわゆる役務、隊務だと考えられますけれども、例えば自衛隊が委託している隊務、民間業者とか地方自治体にあると思うんですが、そういったものも含むと考えられるのでしょうか。
  95. 荒井寿光

    政府委員荒井寿光君) これは自衛隊による役務提供でございますので、自衛隊自身による役務提供想定しております。
  96. 大脇雅子

    大脇雅子君 そうすると、委託している地方公共団体や民間のそういう業務というのは含まないと解釈してよろしいでしょうか。
  97. 荒井寿光

    政府委員荒井寿光君) 自衛隊自身によるものということで、そういうものは含まれないというふうに承知しております。
  98. 大脇雅子

    大脇雅子君 そうすると、重ねて確認をさせていただきたいのですが、自衛隊法の百三条によりますと、防衛上必要な場合は強制収用その他物品役務が民間から調達できるように自衛隊法はなっておりますが、この自衛隊法百三条はこれには関係ないという解釈でよろしゅうございますか。
  99. 江間清二

    政府委員(江間清二君) ただいま御指摘自衛隊法百三条の関係とこの今回の物品役務提供協定に言うところの役務云々というものとは関係がないというふうに御理解をいただいてよろしいと思います。
  100. 大脇雅子

    大脇雅子君 六月四日、リムパック演習に参加している海上自衛隊の護衛艦「ゆうぎり」が実弾訓練中に米海軍のA6E攻撃機を誤射するという事故が起きました。これについてはさまざまな御質問がありましたが、現在、事故調査中ということでございます。  補償を行うかどうかという場合には、この協定には規定がありませんが、そういう場合はどういう法的な根拠、基準で取り扱われるのか、何か検討がありますでしょうか。
  101. 佐藤謙

    政府委員(佐藤謙君) ただいまのリムパック関係事故の問題でございますけれども訓練中とはいえこのような事故が発生しましたことはまことに遺憾なことだと考えております。  今回の事故に係ります損害賠償につきましては、先生今お話のございましたように、現在、事故原因調査が行われているところでございまして、その調査結果がある程度進展した後に、米軍を含めまして関係機関との調整を踏まえてしかるべき対応検討いたしたい、かように考えておるところでございます。
  102. 大脇雅子

    大脇雅子君 我が国の外交を展開する場合に、やはりアジアのさまざまな状況、不安定要因等を考えた場合に、地域的な多国間の安全保障に関する対話、協力のためには日米が緊密な協力を積極的に進めるということが表明されております。とりわけ、私は予防外交でもってその基本となる信頼醸成を地域の中にしっかりと拡大をしていく、そして人権ミッションなどを出して紛争の早期警報などを的確につかんで予防的な外交を展開すべきだと考えておりますが、今後のそうした外交姿勢について外務省防衛庁双方にお尋ねをいたします。
  103. 川島裕

    政府委員(川島裕君) お答えいたします。  まことに御指摘のとおり、平和が破れないようにどういうふうに外交努力を重ねるかということは非常に重要なところでございまして、従来からいろいろな面にわたって努力を続けてきたわけでございます。  ただいま先生御指摘の予防外交でございますけれども、これは国連の作業なんかにおきましても非常に重要性が認識されるに至っておりまして、例えば旧ユーゴ及びその周辺地域における紛争予防ミッションといたしまして欧州安全保障協力機構がマケドニアにミッションを派遣したことがございますけれども、このときに我が国からも人員が多々参加しておりますし、こういう努力というのは非常に重要だろうと思っております。  それから、人権ミッションにつきましても、同じくこのマケドニアにミッションが派遣された際には、その一つの役割が人権状況の監視ということでございまして、そういう面で、紛争が実際に起こる手前のところでいろいろ手だてをするということは非常に効果的かつ重要な作業だと思っておりまして、今後ともいろいろなそういう活動に参加していくべきものと考えております。
  104. 秋山昌廣

    政府委員(秋山昌廣君) 昨年十一月に安全保障会議及び閣議で決定いたしました新しい防衛大綱の冒頭に、この防衛大綱の「策定の趣旨」ということで「我が国は、国の独立と平和を守るため、日本国憲法の下、紛争の未然防止や解決の努力を含む国際政治の安定を確保するための外交努力の推進」云々の整備に努めてきたところということをまず言い、かつ今回の新防衛大綱の一つの特徴だと考えておりますところの「防衛力の役割」として、本来の役割である「我が国の防衛」のほかに、「大規模災害等各種の事態への対応」と並びまして「より安定した安全保障環境の構築への貢献」というものを掲げました。この中身といたしまして、国際平和協力業務の実施ですとか、あるいは軍備管理・軍縮ですとか、そういったものを挙げますと同時に、安全保障対話、防衛交流の推進、それから我が国の周辺諸国を含む関係諸国との間の信頼関係の増進ということをうたっておりまして、この新しい防衛大綱に基づきまして、ただいま委員指摘の点について我々としても努力を続けていかなければならないと考えているところでございます。
  105. 大脇雅子

    大脇雅子君 一部のマスコミに、米軍用地の収用問題をめぐり特別立法の制定について政府検討を開始したとの報道がありますが、そのような事実はあるでしょうか、防衛施設庁長官にお尋ねいたします。
  106. 諸冨増夫

    政府委員(諸冨増夫君) けさほどの新聞でそういうふうな報道がされておるのは私ども承知しておりますけれども、私どもとしては現段階ではいろんな角度から幅広く勉強はしておりますが、けさの報道のような事実は全くございません。
  107. 大脇雅子

    大脇雅子君 では最後に、米軍基地の整理、統合、縮小ということが言われておりますが、ぜひ沖縄県側と真剣な対話を行っていただきたいと思います。防衛庁長官に最後にお願いをいたしまして、お答えをいただきまして終わります。
  108. 臼井日出男

    国務大臣臼井日出男君) 委員お説のとおり、沖縄における米軍の施設・区域の整理、統合、縮小は、単に沖縄だけの問題としてとらえるのではなくて、まさに我々日本国民全体の問題としてとらえていく必要がある、こう思います。長い間御苦労された沖縄県民の皆様方の御労苦にこたえるためにも、この問題が一日も早く解決できるようにさらに努力をいたしてまいりたいと思います。
  109. 大脇雅子

    大脇雅子君 ありがとうございました。
  110. 笠井亮

    ○笠井亮君 今回の自衛隊法の一部改正にかかわって、最初に日米後方支援物品役務相互提供協定、いわゆるACSAの有事適用の問題について伺いたいと思います。  橋本総理は、昨日の本会議での聴濤議員の質問に対して、朝鮮半島で戦争が行われているようなときに日米共同訓練などが実施される場合、本協定に基づいて当該訓練などに必要な物品役務提供することは排除されないと、こういうふうに答弁されるとともに、いわゆる有事における米軍の戦闘作戦行動への協力として物品役務提供できないことは明らかだというふうに言われておりました。このことについて、幾つか具体的に伺いたいと思います。  まず、前提の問題なんですけれども、平時の共同訓練の問題です。昨日、総理は、自衛隊米軍共同訓練はあくまで憲法の範囲内で行われるもので、米軍に対する物品または役務提供共同訓練の円滑化のためである以上、憲法上の問題を生じるものではないと答弁されておりました。  そこで、例えば先ほど来質疑がありました海上自衛隊の護衛艦が米軍機撃墜事故を起こして問題になっている今回のリムパックの目的は何か、また自衛隊はどういう目的でこれに参加しているのか、まずその点について伺いたいと思います。
  111. 粟威之

    政府委員粟威之君) リムパックの目的でございますが、参加艦艇の能力評価を行って、これらの米海軍共同訓練することによって戦術技量向上を図ることが目的でございます。
  112. 笠井亮

    ○笠井亮君 日本自衛隊参加する目的は。
  113. 粟威之

    政府委員粟威之君) 日本自衛隊の艦艇が米軍の艦艇と共同訓練することによって戦術技量向上を図ることが目的でございます。
  114. 笠井亮

    ○笠井亮君 私きのうインターネットで引いてみましたら、米国防総省が海洋戦術及び戦域作戦における連合軍及び統合軍の調整及び相互の運用性の練度の向上のためというのが目的だというふうに言っておりましたが、このリムパックというのは今アメリカの新しい戦略に沿って明らかに地域紛争対応型を想定したものになっているんじゃないかと思うんですね。  それで、その中で海上自衛隊の在来型潜水艦などが標的役に使われているケースもふえているというふうに言われております。そうした訓練、演習への自衛隊参加ということになりますと、きのう総理もあくまで日本防衛のための戦術技量向上のためというふうに言われたんですけれども、そうは言っても日本の防衛を超えるのは明らかじゃないかというふうに思うわけです。  リムパックだけではなくて、アメリカの国防報告を見ますと、アメリカは同盟国との共同訓練を含む平時の米軍の軍事行動を他国の政策と行動に影響を与えるいわば軍事的威嚇と位置づけているということがあると思います。こうした共同訓練にACSAを適用するとなれば、いかに言い抜けをしても、それ自体が武力による威嚇あるいは行使をもって国際紛争に臨むことを禁じた憲法の平和原則に反するものになるんじゃないかというふうに思うんですけれども、その点についての御所見を長官に伺いたいと思います。
  115. 秋山昌廣

    政府委員(秋山昌廣君) 共同訓練は平時に行われているわけでございますけれども、これは有事に備えて訓練をしているわけでございまして、その限りにおきまして訓練といえども有事を念頭に置いて行っているということでございます。  しかし、共同訓練そのものはまさに防衛庁設置法に基づいて行っている訓練でございまして、これが憲法に反するような武力の行使とかそういったものに該当するようなことは、少なくとも我が国が行う訓練あるいは我が国が参加する共同訓練にはあり得ないことでございます。
  116. 笠井亮

    ○笠井亮君 そういうふうに主観的に言われても国際的に通用するのかということになると思うんですけれども、実際にアメリカ側の位置づけとしてその訓練はこういうものであるという中で、自衛隊があくまで我が国の防衛のために、自衛隊の練度を向上するためにこの共同訓練参加しているんだといっても、それはもう通用しないというふうに思うんですね。  そこで、ましてや昨日の総理答弁に従えば、朝鮮半島で戦争が行われている、そのもとでも例えば日本海や朝鮮海峡など朝鮮周辺の公海上で共同訓練が行われて、そこで洋上給油を行うこともこの協定は排除していないということになるんですか。きのうの総理の答弁からいえば、そういうふうになるんでしょうか。
  117. 秋山昌廣

    政府委員(秋山昌廣君) 具体的なケースにつきまして条件をいろいろ設定してみませんと、それについて的確な答弁というのは難しいわけでございますけれども、あえて一般論を申し上げますと、共同訓練の目的や内容防衛庁の所掌事務の遂行に必要な範囲内のものである限り、それは公海上の訓練であろうと今回の協定に基づく物品役務提供は可能であると考えております。
  118. 笠井亮

    ○笠井亮君 一般論では排除をしていないんだというふうに私は今伺ったわけですけれども、そうであれば非常に重大であると思うんですね。朝鮮で戦争中に日本海などで日米が演習を行う、あるいは共同訓練を行うといった場合に、それがあくまで共同訓練である、防衛庁設置法に基づいてやっているんだといっても、それはだれがそういうふうに認めるかということで、冗談じゃないという感じがするわけです。まさに戦争遂行ということになっていくんじゃないかと思うんですね。  先ほど局長自身もお答えの中で言われていたと思うんですけれども、私が注目しましたのは、ウェスト米陸軍長官が宣戦布告後は訓練とは言わないんだというふうに先日発言をしていたと思うんです。まさに戦争遂行中と言っているわけでありまして、そういう問題として極めて重大な中身だと思います。  そこで伺いたいんですけれども、では一体どこまでなら協定を適用することができるのか、そういうことが問題になってくると思うんですけれども、いかがでしょうか。
  119. 秋山昌廣

    政府委員(秋山昌廣君) 我が国といたしましては、訓練と言わないような訓練には参加しないということになろうと思います。
  120. 笠井亮

    ○笠井亮君 ちょっと角度を変えますけれども総理は答弁で米軍の戦闘作戦行動への協力としての物品役務提供できないというふうに言われておりました。となりますと、結局、戦闘作戦行動以外の米軍部隊ならばすべて適用されるということになるんじゃないかと思うんです。  そこで、これは長官に伺いたいんですけれども、ACSAが適用できない戦闘作戦行動への協力というのは具体的にどういう協力を言うんでしょうか。
  121. 秋山昌廣

    政府委員(秋山昌廣君) このACSAの協定では、対象となりますのが共同訓練、国連平和維持活動、それから人道的な国際救援活動という、もうまさにそういうことでございまして、共同訓練につきましてももちろん自衛隊参加する共同訓練でございますから、自衛隊参加する共同訓練は設置法に基づいて参加する、その設置法に基づいて自衛隊が行う行動につきましては憲法の範囲内で行うということでありますので、武力行使ですとか武力の威嚇ですとかそういったものがあるはずはない、そういう訓練にしか我々は参加しないということでございます。
  122. 笠井亮

    ○笠井亮君 私が伺ったのは、ACSAが適用できないというきのうの答弁があったわけですから、ACSAが適用できない戦闘作戦行動への協力というのは具体的にどういうことなのかということなんですが、それについてお答えいただけていないと思うんですね。
  123. 秋山昌廣

    政府委員(秋山昌廣君) これは共同訓練でございますから、自衛隊が設置法に基づいて参加する共同訓練でありますので、それ以外の訓練対象にならない、こういうことでございます。
  124. 笠井亮

    ○笠井亮君 どうも具体的にならないんですけれども、具体的なことがあるからこそ昨日総理米軍の戦闘作戦行動への協力としての物品役務提供できない、それ以外はというふうなことで言われたと思うんですけれども、それが具体的にならないというのは大変おかしいと思うんです。  例えば一九七五年十二月の衆議院内閣委員会で、戦場にいる部隊に対して直接弾薬を投下して補給するということは戦闘作戦行動と不可分一体だという形で答弁があると思います。それから、さらにさかのぼりますけれども、一九五九年、昭和三十四年三月の参議院予算委員会で見ますと、極東の平和と安全のために出動する米軍と一体をなすような行動をして補給業務をすることは憲法上違法だという形で答弁があると思うんですけれども、ではそれ以外は結局いいということになるんでしょうか。
  125. 秋山昌廣

    政府委員(秋山昌廣君) 御質問の趣旨が私には余りよくわからないんですけれども、戦闘行為あるいは戦闘作戦行動を行っている米軍との共同訓練というのはあり得ないわけでございまして、その戦闘作戦行動についてのいろいろなケースについて今取り上げられたわけでございますけれども、概括的に申し上げれば、これは共同訓練でありまして、日本参加する共同訓練日本の憲法の範囲内で参加する訓練でございますので、今取り上げられたような具体的なケース、すなわち米軍の戦闘作戦行動と一体化するような共同訓練というのはあり得ないわけでございます。
  126. 笠井亮

    ○笠井亮君 それ以外はあり得ないということなんですけれども、そうすると非常におかしな話になると思うんですね。  大体この八年間、このACSAに至るまでいろいろと検討してきたということで、その結果として日米共同訓練、それからPKO、さらには人道的な国際救援活動という三つの分野になったというふうに伺っているわけです。その上で、先ほど来ありましたけれども弾薬を含めなかった、あるいは単独訓練のときには適用しないという問題にはニーズがない、あるいは具体的ニーズが乏しかったという形で答えられていると思うわけであります。  そこで伺いたいんですけれども、先ほどの装備局長の答弁でも、今後どのように共同訓練を行っていくかということでかなり日米の間ですり合わせがあって、その際どうやれば円滑かということで一つ一つ相互ニーズをかなり突っ込んで検討し合ったというふうに言われていたと思いますが、具体的にアメリカニーズということでは何が一番問題だったのか、何が一番アメリカニーズとして言われたのか、それを伺いたいと思うんです。
  127. 秋山昌廣

    政府委員(秋山昌廣君) 日米間における物品役務相互提供協定の話は、確かに八年前、かなり前からの議論でございますが、実は当初から米国側は日米間の共同訓練において現場で部隊同士が物品役務お互いに不足したときに貸し借りできないかという話で出てきたわけでございます。したがいまして、そのスタートから共同訓練というものが対象でございました。  その後、時もたちまして、いろいろ議論しているうちに、国連平和維持活動ですとかあるいは人道的な国際救援活動ですとか、そういった面でもニーズがあるなということで、それらを対象にしたわけであります。  それで、もちろん共同訓練の中で非常にニーズの高いものは事前に現在の法律体系の中でやってきた。例えば給油の問題というのはやはり大きかったと思いますけれども、それ以外にも現場で、米軍あるいは自衛隊双方でこういったニーズがあるなということを議論した結果、現在のような枠組みができてきたということでございます。
  128. 笠井亮

    ○笠井亮君 そうしますと、先ほどの問題に戻るわけですけれども、そういう中でアメリカ側ニーズはどういうことがあるかというのがいま一つ具体的に出てこないんですが、戦闘作戦行動以外の米軍部隊ならばすべて適用されるのかというような話に、きのうの総理の答弁によるとなるのかということになると思うんです。  どこまで米軍に対して協力ができるのかという点では、先ほど戦闘作戦行動はできないというところで言ったというわけですけれどもアメリカ側がどこまで具体的なニーズを、どこまでならということで向こうが言って、そしてこちら側がすり合わせの中でどこまでならばやるということでお考えなんでしょうか。
  129. 秋山昌廣

    政府委員(秋山昌廣君) 御質問の趣旨との関係で言いますと、自衛隊共同訓練参加して、武力行使あるいは武力の威嚇の懸念があるような訓練というものを御懸念されているような気がいたしますので、そういう意味でお答えさせていただきますと、要するに日本自衛隊が憲法の範囲内、つまり武力の行使は行わない、あるいは武力の威嚇はしない、そういう前提での訓練として共同訓練参加するもののみが対象でございます。
  130. 笠井亮

    ○笠井亮君 さっきからの議論なんですけれども、戦闘作戦行動への協力ということになりますと、先ほど私は過去の答弁も挙げさせていただいたわけですが、結局そういうことを考えているというのは否定されていないわけですね。それ以外のことだったらできるということになれば、これはもう武力行使と一体になるのは明らかだと思うんですね。そうなると、これはもうまさに憲法のもとにおいてという話は全体が崩れてくるというふうに思うわけです。  アメリカニーズという点で言いますと、朝鮮などの日本周辺で戦うときに日本からの支援を円滑にするためのもので、共同訓練に名前をかりながら前例をつくっていくということがかなり具体的に出たんじゃないかというふうにこの間の議論の経過と今のお答えを聞きながら思うわけでありまして、結局、限りなく有事適用に踏み込んでいくことにつながるということを私は重大な問題として指摘させていただきたいと思います。  次の問題ですけれども、極東有事の際の機雷除去の問題で具体的に幾つかお聞きしたいと思います。  本題に入る前に、北朝鮮の核疑惑の問題で緊張が高まりました一九九四年四月、在日米軍が防衛庁に対して、朝鮮半島で万一武力衝突が起きた場合の海上自衛隊掃海艇の派遣打診が米軍側からあって、防衛庁集団的自衛権は認められていないという理由で断ったという報道がございました。  そういう事実があったかどうかまず最初に確認をしたいんですが、いかがでしょうか。
  131. 秋山昌廣

    政府委員(秋山昌廣君) 報道による御質問だと思いますが、ちょっと事前にそういうことについて調べてきておりませんので今ここで正確にお答えできませんけれども米軍からの機雷の掃海の依頼があった場合に応ずることが憲法上あるいは法律上可能かどうかという点について、若干関連してお答えさせていただいてよろしいでしょうか。
  132. 笠井亮

    ○笠井亮君 はい、どうぞ。
  133. 秋山昌廣

    政府委員(秋山昌廣君) そういう場合につきましては、まさに具体的な状況がわかりませんと一概に申し上げられませんけれども、機雷の除去に関しましては、これは一般的に申し上げますと、遺棄されたと認められる機雷につきまして、それがしかも我が国船舶の航行の安全にとり障害となっている場合に、その航行の安全を確保するためこれを除去する行為は可能であると考えております。
  134. 笠井亮

    ○笠井亮君 先ほどの報道というのは昨年の十一月二十六日の朝日新聞にあったわけですけれども、それは確認いただいて、また別の機会にと思います。  それでは、先ほどの質疑の中で秋山局長は、橋本総理が五月十三日に指示をされた緊急事態対応策のうちの各種対米協力措置ということを言われました。その中で、機雷の除去それから機雷掃海による米軍への協力検討対象になっているというふうに言われたと私は伺ったんですが、関連しまして、自由民主党の山崎政務調査会長が六月二日のNHKテレビ討論で、極東有事の際に米軍が戦っている間に機雷除去のために掃海艇を派遣することは正面で戦っているわけではないので検討範囲に入る、これが許されれば自衛隊法改正になるというふうに発言をされております。  この発言は集団的自衛権にもかかわる問題だと思いますので、この際、防衛庁の見解を伺っておきたいんですけれども、その中身であります。要するに極東有事、つまり米軍が戦闘している間に、公海上とはいえ海上自衛隊の掃海艇を派遣して機雷を除去できるというのでしょうか。
  135. 秋山昌廣

    政府委員(秋山昌廣君) まず、五月十三日の総理からの指示によりまして作業が始まりました緊急事態対応策でございますが、これは我が国に対する危機が発生した場合やそのおそれがある場合におきまして我が国としてとるべき種々の対応について、起こり得るあらゆるケース、いろいろなケースを想定して必要な対応策をあらかじめ具体的に十分検討、研究しておくこと、こういうことでございますが、具体的に四つほど挙げております。そのうちの一つが今の御質問に関連するものでございますけれども、対米協力の諸措置ということになるわけでございますが、先ほど私は答弁で機雷の問題には一言も触れておりません。いずれにいたしましても、施設・区域面での協力米軍に対する後方支援といったものが議論対象になろうかと思います。  それから、自民党の山崎政調会長の御発言についての御質問がありましたが、私は同会長の御発言について正確に存じ上げませんので、それについてのコメントというものはここで申し上げにくいわけでございますけれども、いずれにいたしましても我が国周辺地域で我が国の平和と安全に重要な影響を与えるような事態が発生した場合には、我が国として憲法の範囲内で事態に応じて適切に対応するというのは当然のことであろうと思います。  そして、万一そのような事態が発生した場合に我が国として適切に対応できるように、平素から我が国として何をなすべきか、また何ができるか、これを具体的に研究、検討しておくことが不可欠と考えております。ただいまの総理の指示もございましたし、あるいは日米防衛協力の指針、あるいはそれに基づく研究といったような中でこれから具体的に十分検討してまいりたい、そういう段階でございます。
  136. 笠井亮

    ○笠井亮君 前段の方で言われた、答弁されていないというのは、私確かに聞いたと思ったんです。先ほどの質疑の中で機雷の問題が取り上げられましたので、私はそういうふうに伺ってメモしているんですが、それはおきまして、当然そういうことも検討対象に入るということで、広い意味ではなるということで理解をさせていただきたいと思います。  そして、先ほど遺棄された機雷の問題も挙げられて、そういう場合にはできると、自衛隊法の九十九条でいわば警察行動という形になると思うんですけれども、そういう問題もありましたが、憲法の範囲内でこの問題も対処するということで、それも含めて検討だというふうに今おっしゃったと思います。  ただ、この問題で言いますと、あくまで湾岸戦争のときとも、今想定して申し上げたような、あるいは山崎政調会長が言われたような想定というのは違うことになっていると思うんです。湾岸戦争の場合は戦争終結後にイラクも含めて関係国の合意のもとに行われて、しかも遺棄された機雷というのは要するにごみと同じもの、平たく言えばそういうものだったはずであります。  今問題になっていろいろ議論が出ているのは、極東有事でまさに米軍が戦闘中ということでありまして、公海中とはいえ交戦海域に極めて近い海域、あるいは交戦海域になる場合もあり得ると思うんですけれども、そのようなところに掃海艇を派遣できるのかということが問題になっているし、それが私の伺ったことでありまして、交戦国が相手国に対する戦闘行為の一環として公海に機雷を敷設するケースがあり得ると思うわけであります。その機雷を海上自衛隊の掃海艇が除去するということになると、これは武力行使そのものになって、集団的自衛権の行使になるんじゃないかと思うんですけれども、その問題についてはいかがでしょうか。
  137. 秋山昌廣

    政府委員(秋山昌廣君) 今御質問の中にございましたペルシャ湾における機雷の掃海活動について、いろいろその前提条件のようなお話がございました。それはそれとして九十九条として処理されたわけでございますが、それではそういった条件が整わなければ機雷掃海はできないのかというと、直ちにそういうことは言えないと思います。  しかしながら、今具体的に例にとられたケースについてそれはどうなのかと言われますと、もう少しいろいろ詰めなければいけないいろんな要素があろうかと思います。  我々といたしましては、我が国の周辺地域において我が国の平和と安全といいますか安全保障に重要な事態が発生した場合に、御質問にございますような機雷掃海の問題も含めて、今後具体的にどういうことができるのか、どうやったら何ができるのか、そういった議論をしてまいりたいと考えております。
  138. 笠井亮

    ○笠井亮君 よく状況を見て、ケースを研究してということで、必ずしも憲法上問題があるとは言えないという御趣旨だったと思うんですけれども、例えば一九八七年九月二十二日の参議院の決算委員会で、当時の西廣防衛局長が、公海にあるすべての機雷を除去できるかということになるといろいろ問題があると。ある国が公海上に機雷を敷設することがその国の自衛行動であると、そういったものについて我が方が掃海をするというようなことはある意味での武力行使になる場合があるという形で答弁されて、まさに今の問題でのかかわりで過去にきちっと答弁があるわけですね。  さらに、同じ参議院の決算委員会でしたけれども、湾岸戦争の際のペルシャ湾への掃海艇派遣問題について、当時は後藤田官房長官ですが、まさにペルシャ湾というのは公海であっても交戦海域と認定せざるを得ない、戦いが行われているようなところへ出たときに、たとえ機雷の除去であっても武力行使に出たと判断せられて相手方が武力攻撃をしかけてくるという形で答弁もされているわけであります。  だから、そういうことを踏まえて、やっぱりきちっとこの問題に対処すべきだと思います。そこを踏み出すようなことになって、必ずしも今までの状況にとらわれないんだということになりますと、これは重大な問題だと思うんです。  最後に、長官にぜひその点で御所見をいただきたいというふうに思いますが、いかがですか。ぜひ長官にお願いします。
  139. 秋山昌廣

    政府委員(秋山昌廣君) ちょっと私の方から一言。  今の御指摘について、公海上とはいえその機雷掃海が武力行使に当たるのではないかというケースは私は確かにあると思いますし、そういう場合に自衛隊が機雷掃海をするということは憲法に反すると私も思います。しかし、逆に公海上でのすべての機雷掃海がそういうケースかというと、そういうことではないと私も思いますし、その辺の状況、いろんな角度からの条件を積んだ上で、どれが可能なのか可能ではないのかという議論をこれから具体的にしていかなければならない、かように考えているところでございます。
  140. 笠井亮

    ○笠井亮君 長官、ひとつお願いします。
  141. 臼井日出男

    国務大臣臼井日出男君) ただいま御議論いただいておりました自衛隊法九十九条に基づく機雷の除去の権限、これは公海上まで及ぶということは当然のことでございますが、一体どのような状況でもってどこまでそれができるのか、こういった問題はその一つ一つについてすべて判断していくということはなかなか難しい問題だと思います。どのような状況でもってなし得るのか、こういった問題については先般総理から御下命をいただきました研究の作業グループにおいて今後しっかりと詰めていかなければならない問題である、このように考えております。
  142. 笠井亮

    ○笠井亮君 終わります。
  143. 宮崎秀樹

    委員長宮崎秀樹君) 他に御発言もないようですので、質疑は終局したものと認めます。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時四十六分散会      —————・—————