運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1996-05-21 第136回国会 参議院 内閣委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年五月二十一日(火曜日)    午前十時開会     —————————————    委員異動  五月二十日     辞任         補欠選任      村上 正邦君     尾辻 秀久君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         宮崎 秀樹君     理 事                 板垣  正君                 矢野 哲朗君                 吉田 之久君                 齋藤  勁君     委 員                 海老原義彦君                 尾辻 秀久君                 岡野  裕君                 狩野  安君                 鈴木 栄治君                 依田 智治君                 大久保直彦君                 鈴木 正孝君                 友部 達夫君                 永野 茂門君                 萱野  茂君                 角田 義一君                 笠井  亮君                 聴濤  弘君    国務大臣        国 務 大 臣       (内閣官房長官)  梶山 静六君        国 務 大 臣        (総務庁長官)  中西 績介君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  臼井日出男君    政府委員        内閣官房内閣安        全保障室長        兼内閣総理大臣        官房安全保障室        長        三井 康有君        内閣法制局長官  大森 政輔君        内閣法制局第一        部長       秋山  收君        内閣総理大臣官        房審議官     平野 治生君        国際平和協力本        部事務局長    高野幸二郎君        総務庁行政管理        局長       陶山  晧君        防衛庁参事官   小池 寛治君        防衛庁参事官   藤島 正之君        防衛庁長官官房        長        江間 清二君        防衛庁防衛局長  秋山 昌廣君        防衛庁教育訓練        局長       粟  威之君        防衛庁人事局長  大越 康弘君        防衛庁装備局長  荒井 寿光君        防衛施設庁長官  諸冨 増夫君        防衛施設庁施設        部長       小澤  毅君        外務大臣官房審        議官       大島 賢三君    事務局側        常任委員会専門        員        菅野  清君    説明員        科学技術庁研究        開発局航空宇宙        開発課長     森口 泰孝君        外務大臣官房審        議官       田中  均君        外務省北米局日        米安全保障条約        課長       梅本 和義君        文部省高等教育        局大学課長    近藤 信司君     —————————————   本日の会議に付した案件防衛庁設置法の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付) ○国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調  査並びに国防衛に関する調査  (集団的自衛権憲法第九条との関係に関する  件)  (BMDの研究宇宙平和利用に関する件)  (神奈川県内米軍施設の移転・返還問題に関  する件)  (「日米防衛協力のための指針」見直しの対象  に関する件)     —————————————
  2. 宮崎秀樹

    委員長宮崎秀樹君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨二十日、村上正邦君が委員を辞任され、その補欠として尾辻秀久君が選任されました。     —————————————
  3. 宮崎秀樹

    委員長宮崎秀樹君) 防衛庁設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は前回既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 依田智治

    依田智治君 おはようございます。自由民主党の依田智治でございます。  防衛庁設置法の今回の改正は、統幕に情報本部設置するというのと、防大総合安全保障研究科というものを設置するということでございまして、大綱並びに中期防等におきましても情報面強化とか教育環境充実という問題は中長期のテーマとしても取り上げられている問題で、私は今回の設置法改正には賛成でございます。こういう立場から、これらに関連する諸問題について若干質問させていただきたいと思います。  まずその前に、この情報本部も含めて防衛庁市ケ谷台に移転する計画がなされておるわけでございますが、当初、私どもがちょうど防衛庁にいて計画を立てたころから、バブル崩壊もあり、また尾張藩上屋敷に位置するというようなこともあって、市ケ谷台文化財発掘とかで大幅に計画がおくれているように聞いておるわけでございます。  この情報棟市ケ谷に入るということでございますが、いつごろ完成して、大体いつごろから運用開始予定しているのか、このあたりからまず質問させていただきたいと思います。
  5. 藤島正之

    政府委員藤島正之君) 市ケ谷地区におきましては、情報本部を含めた情報関係組織等が使用する庁舎、これはB、C棟でございますが、この建設工事平成五年五月から進めてきております。  既に躯体工事がおおむね完了いたしておりまして、現在、内装工事及び設備工事等を実施中でございます。  これらの新庁舎につきましては、ことしの秋ごろに一応完成する予定でございまして、秋から冬にかけまして陸海空自衛隊資料隊等情報関係組織が移転し、業務を開始する予定でございます。情報本部につきましても、分析部等の大部分が八年度中に新庁舎に移りまして業務を開始することができる予定でございます。なお、情報本部本部長等の幹部とか総務部計画部は檜町におりまして、当分そちらの方で業務を行う、こういうふうに考えております。
  6. 依田智治

    依田智治君 この情報本部も含めて、今回の六本木等から市ケ谷へ移転し、玉突きで大宮とか十条とかへ移転する計画になっているわけですけれども、このあたりの全体計画というのは大幅におくれていると思うんですが、いつごろ大体完成する見通しになっていますか。
  7. 藤島正之

    政府委員藤島正之君) 御承知のように、この計画は六十三年度から着手しておったわけでございますが、御指摘のような市ケ谷地区及び十条地区予定以上の埋蔵文化財の問題がございまして、実は平成七年度に完成する予定でございましたが、おおむね四年くらいおくれまして、現在の予定でございますと平成十一年にはほとんどが移転できる、こういう計画でございます。最近は非常に順調に進んでいるというところでございます。
  8. 依田智治

    依田智治君 この建築に関係して、これは時間の関係でさらに詳しくお聞きするのは今回は見送りますが、やはりバブル崩壊等もあって、当初予定していた、いろんな費用的な面でも非常に窮屈になっているんではないかと思うんです。今回、阪神・淡路大震災、こういう状態を見ましても、情報体制の問題、それからそのヘッドクオーターたる防衛庁のいろんな組織、それから市ケ谷台から今まで常駐していた連隊等朝霞等へ移転するような問題もあるわけでございます。全体的に危機管理という面からしますと、昔の関東大震災のころには近衛師団初め相当な部隊都心部に集中しておった、それがほとんど都心部にいないという状態になるわけでございます。この危機管理体制という面から疎漏のないよう、この計画完成までには十分検討してしっかりとした工事を完成していただくよう要望しておきます。  あと防大関係でございますが、総合安全保障研究科を新設するということでございます。二十人くらいの研究ということですので、恐らく既存施設を使うのではないかと思いますが、このあたりはどういう計画考えておるのか、ちょっとお伺いしたいと思います。
  9. 粟威之

    政府委員粟威之君) 総合安全保障研究科は、先生お話しのとおり、一学年二十人の学生数予定して、教場については防衛大学校既存施設を活用することで対応することは可能だと考えておりますが、具体的には平成三年度に建設されました社会科学館演習室がございます。これを予定しているところでございます。
  10. 依田智治

    依田智治君 防大につきましては、創設以来もう既に四十年以上たっておるということで、その後、六十年代の初めころから理工学総合実験棟というようなものを、A、B、C、D、今Eまで来たのか、そういうようなことで、割合そういう面での増設とかその他なされておりますが、本体の本館なんかは非常に老朽化してきておるんじゃないか。防大卒業式なんかへ行ってみますと、非常に古いなという感じもするわけでございます。  これから二十一世紀にたえ得るしっかりした安全保障の学問の殿堂としていくためには、やはりより充実した設備計画というものが必要だと思っていますが、当面、防衛大学校ではおくれている設備等の問題について、近代化計画というか、どんな計画を持っておるのか。聞くところによると、学生舎なんかいまだに冷房がなくて汗を垂らしながら勉強している、こんなような状況で、これも一つ訓練にはなりますが、ちょっと考える問題じゃないかと思うわけでございまして、そのあたり状況をお伺いさせていただきたいと思います。
  11. 粟威之

    政府委員粟威之君) 防衛大学校施設につきましては、先生お話しのとおり、昭和三十年前後に建設されたものが多く、全般的に老朽化していることは事実でございます。そのため、逐年整備をしております。平成七年度には防衛学館平成八年度には理工学館改修等を実施して、逐次計画的に改修することを考えております。また、先ほど言われた理工学総合実験棟E棟まで既にできております。  さらにまた、冷房につきましては、先生お話でございますが、夏季につきましては、七月の初めから定期訓練が約一カ月ほどございまして、その後夏季休暇等、八月中はそういう時期でございまして、学生がそこに住む時間というのは余りないものでございますから、必要性が今までのところ少なくて実現をしていないというところが現状でございます。
  12. 依田智治

    依田智治君 訓練は八月ですが、その前後というのは残暑もあり、七月というのは本格的な夏ですから、ちょっとそのあたり考えは古いんじゃないかと思います。  そんなことで、全般的にやはり各一般大学等が非常に学校施設充実して、優秀な学生を集め、かつ充実した教育をしようという流れの中ではやや立ちおくれぎみではないか、こんな感じを持っておりますので、今後ともひとつしっかりと防衛庁としてもこのあたり充実に努めていただくようお願いしたいと思います。  以上で施設については終わりますが、あと情報に関連して伺います。  私が非常に関心を持っておりますのは、戦前なんかは、陸軍とか海軍等情勢判断なり情報がまちまちで、このあたり作戦面でも非常に影響しているというようなことが「坂の上の雲」とかそんなのを読んでみますといろいろ出ているわけですが、今回、情報本部をつくって陸海空情報を統合して運用する、これは私は画期的なことじゃないかと思います。  そういうことで、まず第一にお尋ねしたいのは、今回、情報本部をつくり陸海空情報を統合していくということでございますが、こういう情報の一元的な管理という問題についてどういう点で配慮しておるのか、今回の計画でそういう面からちょっと御説明をお願いしたいと思います。
  13. 秋山昌廣

    政府委員秋山昌廣君) ただいま御質問にございましたように、今回の情報本部各種情報を集約の上総合的に処理分析いたしまして、国際軍事情勢等自衛隊全般を通じて必要となる情報等を作成することを基本的な業務として設置予定しているものでございますが、かかる情報業務と申しますのはまさに統合幕僚会議事務の主な対象になっております。そういったような理由から、この情報本部統合幕僚会議設置することとしたものでございます。  防衛庁といたしましては、この本部運用に当たりまして、情報本部の保有する画像ですとかあるいは電波情報等はもとより、陸海空自衛隊からの情報を含めまして各種情報の総合的な処理分析を行いまして、かつまた人的な面でも陸海空自衛官及び事務官等相互協力、こういったことによりまして質の高い情報を作成するとともに、庁内各機関の配布も含めまして迅速かつ適切な情報を総合的にやってまいりたいということでございます。
  14. 依田智治

    依田智治君 情報の建前だけつくってもなかなか運用面というものが実態的に伴わないとうまくいかないと思います。本当に陸海空からあらゆる情報が迅速に集まり、そしてこれを早急に分析して生かすという体制をとっていくには相当な努力が要ると思いますので、まずそういう面についての一層の御尽力をお願いしたいと思います。  あと一つ、やはり情報面考えにゃならぬのは、ただ単に防衛軍事情報という面で陸海空を統合的に運用するというだけでなくて、レーダーにしてもいろんなところにいろんな国家的に重要な情報が入ってくるんじゃないかと思うんですね。そういう面で、国家全体的な見地からこの情報を生かしていくというためには、例えば情報本部官邸等ハード面の直結とか、防衛庁内閣外務省その他関係のところとのいろんな人事交流を含めた、そういったような問題が非常に重要じゃないかと思いますので、そういう面での配慮はどうなっておるのか。この情報本部ではそういう面ではどういう点に配慮してハード面をつくり、今後運用していこうとしているのか、この点をお伺いしたいと思います。
  15. 秋山昌廣

    政府委員秋山昌廣君) 防衛庁といたしましては、従来から内閣総理大臣内閣官房長官等官邸に対しまして適時適切に各種情報を報告いたしますとともに、関係省庁と緊密な連携を図ってまいりました。そして、今回、情報本部設置防衛庁情報機能充実にとどまることなく、当然、内閣全体あるいは政府全体の情報機能強化にも積極的に寄与していきたいと考えているところでございます。防衛庁といたしましては、情報本部作成情報を初め、案件に応じまして迅速かつ適切に官邸に報告してまいりたいと考えておりまして、その連絡システムにつきましても今後とも適切な整備を図ってまいりたいと考えております。  また、関係省庁とも引き続き緊密な連携を図っていく考えでございますが、特に御質問の中にございました人事交流につきましても重要な案件考え、今後、各省庁と検討してまいりたいと考えております。
  16. 依田智治

    依田智治君 いずれにしても情報国家的視野に立って総合的に運用していくという観点で、ひとつ充実した体制を心がけていただくようお願いしたいと思います。  大韓航空機事件が起こったときには、ちょうど交信記録とかさらにレーダーに映った航跡等で、当時ソ連が否定していたのを、そういうことを国連等にも提出することによってソ連の否認を結局打破したというか、そういうことで大変効果を上げたわけでございます。  一方、情報というのはやはり公開することによって情報源がある程度明らかになるということもあって、そのディスクロージャーにはおのずと限界があるということでございますが、今回、情報本部は恐らく現在の防衛庁の持っておる情報体制情報入手手段をそのまま引き継ぐということだと思いますが、今後、情報本部が保有することになる情報収集手段というか、そういうのは一体どういうことを考えているのか、その点を差し支えない範囲でお知らせいただきたいと思います。
  17. 秋山昌廣

    政府委員秋山昌廣君) 情報本部では公刊情報、これは公にされている情報でございますが、公刊情報、それから電波情報画像情報、そして交換情報といいまして、これは情報交換をして得られる情報という意味でございますが、交換情報、そういった情報本部みずから収集いたしました各種情報に加えまして、各自衛隊陸上部隊、艦艇、航空機、こういったものによる警戒監視活動や、あるいは防衛駐在官を含む他省庁からの情報、こういったもの、さらに各幕僚監部や内部部局から提供を受けたいろいろな情報に基づきまして当該業務を総合的に行ってまいりたいと考えております。
  18. 依田智治

    依田智治君 衛星ですね、これまで地球観測衛星なんかを活用しておると思いますが、現時点における衛星なんかを情報に活用しているのはどんな状況か、ちょっとお伺いしたいと思います。
  19. 秋山昌廣

    政府委員秋山昌廣君) 御質問にございました衛星は我々も重要な情報収集手段一つ考えておりまして、現在は米国が打ち上げた地球観測衛星であるランドサット、それからフランスが打ち上げました同じく地球観測衛星でございますSPOTなどの広く一般に提供されている衛星画像データ利用いたしまして、地形の変化及び土地、施設状況等分析、把握に努めるとともに、データ処理技術研究を行っているところでございます。
  20. 依田智治

    依田智治君 ただ、この地球観測衛星というのは分解能が非常にまだ低いということでございまして、新聞等によれば米国等が近く公開するという商業用高分解能衛星利用についても関心を持っているというのか、研究を始めているというような情報がありましたが、この点はいかがでございますか。
  21. 秋山昌廣

    政府委員秋山昌廣君) 今、御質問の中にありましたように、解像度あるいは解析度といいましょうか、これが現在我々利用しておりますランドサットで三十メーターSPOTで十メーターでございますから、これは必ずしも解像度が高い画像ではないというのは御指摘のとおりでございます。  したがいまして、分析データ処理能力というのが大変問われるわけでございますけれども、御質問にございましたさらに解像度の高い高分解能衛星というものが米国で商業化されるのではないかといった点につきまして、我々もそういう情報を得ております。米国において民間企業が高分解能衛星を打ち上げて、そのデータ一般に販売する等の事業を行う計画があるというふうに承知しております。  防衛庁といたしましても、専守防衛を旨とする我が国防衛にとりまして、こういった面像からの情報収集というのは非常に重要なことであると考えておりまして、本件につきまして強い関心を有しております。その動向を注意深く見守って、対応ぶりについても考えていきたいと思っております。
  22. 依田智治

    依田智治君 この高分解能衛星というのは、精度というか分解能というのはどんな程度ですか。
  23. 秋山昌廣

    政府委員秋山昌廣君) 我々が得ている情報では二つの計画がございまして、片方の計画では直下解像度が八十二センチメートルと聞いております。もう一方の計画では直下で一メーター、こういうふうに聞いております。
  24. 依田智治

    依田智治君 もしこれを防衛庁利用しようとした場合には、いわゆる衛星利用等に対する国会決議という問題には抵触するんですか、どうでございますか。
  25. 秋山昌廣

    政府委員秋山昌廣君) 国会決議有権解釈国会でなされるものだと承知しておりますが、御指摘国会決議宇宙開発利用を平和の目的に限っておりますのは、その利用一般化していない段階における自衛隊による衛星利用を制約する趣旨であるというふうに理解しているところでございます。  防衛庁といたしましては、商業用高分解能衛星に関する各社の計画等動向を注意深く見守っている段階でございまして、確たることを現在申し上げられないところでございますけれども、御指摘の今議論しております商業用の高分解能衛星につきましては、我々の承知しているところではその画像データ一般に販売される計画であるということでございます。そういうことであれば、防衛庁がそのデータ利用することは国会決議に反するものではないと我々は考えているところでございます。
  26. 依田智治

    依田智治君 国会決議解釈でもこれまで、一般化した段階まではよいというか、そういう見解ですから、これが一般化して売り出されるということになれば、これを買い入れてより我が国防衛に活用するというのは当然のことだと思います。  ただ、この商業用がいかに性能がいいといっても、本当に我が国の必要な情報が必要なときに得られるのかとかいろいろ考えてみますと、今例えばノドンとかその他大陸間弾道弾等、いつどういうものが開発されて飛んでくるかわからないとか、そういうことを考えますと、TMDとかいろいろこれから研究して結論を出すということでございますが、やはり将来的には、ある程度共同してでも結構ですが、我が国独自の衛星を持って、そして防衛目的に役立てるということが極めて重要じゃないかと考えております。  防衛庁長官防衛庁として将来偵察衛星を持つということについてはどのようにお考えか、お伺いしたいと思います。
  27. 臼井日出男

    国務大臣臼井日出男君) 専守防衛を旨とする我が国防衛につきまして各種情報機能充実は極めて重要であることから、防衛庁といたしましても有力な情報収集手段一つである偵察衛星に従来より関心を有している、このことはただいま防衛局長からお話を申し上げたとおりでございます。  現在のところ、偵察衛星の保有についての構想ないし計画等はございません。しかし、各国利用動向等については今後とも注意深く見守ってまいりたい、このように考えております。
  28. 依田智治

    依田智治君 情報面衛星の問題も含めてあらゆる手段を講じて入手し、分析し、対応していく、私はこれは決して我が国憲法体制に反するものでもないし、専守防衛を旨とする我が国としてはまさにこういう面で充実して専守防衛目的を達するということが極めて重要だと思いますので、今後とも御努力をお願いしたいと思います。  あと五分しかなくなってしまいましたので、防大関係を一問お聞きする前に、文部省に、この安全保障問題については我が国の場合には欧米各国に比べるとまだまだ一般大学において取り上げている例が比較的少ないというように聞いておるんですが、どんな状況なのか、概況をちょっと御報告いだだくとありがたいと思います。
  29. 近藤信司

    説明員近藤信司君) お答えをいたします。  御案内のとおり、現在、既設の大学におきましては、安全保障でありますとか安全保障学、こういった名称教育研究組織は見当たらないのでありますが、法学や国際関係学部でありますとか研究科に置かれます国際法国際政治学あるいは国際経済学、こういった講座におきまして国家安全保障論あるいは国際紛争処理法、こういった関連の授業科目が開設をされているところでございます。  こういった観点から、安全保障関係授業科目を開設している大学数を見ますと、例えば平成七年度の場合で申し上げますと、学部段階授業を開設している大学数国公私立て十八大学二十五学部でございます。また、大学院段階授業を開設しております大学数国公私立で九大学研究科、こういった状況にあるわけでございます。  委員指摘のように、欧米大学などに比べておくれているのではなかろうか、こういうお尋ねでございますが、例えば国家安全保障研究課程、こういった名称を冠した教育研究組織設置している大学欧米では一部にはあるのでありますが、欧米でも多くの大学では一般学部あるいは大学におきまして国際関係論あるいは国際政治課程の一部として安全保障に関する授業科目が開設されている、こういうふうに承知をいたしております。我が国大学でも恐らく今後は安全保障に関する授業科目を開設する学部研究科がふえてくるのでなかろうか、こういうふうに考えております。  いずれにいたしましても、文部省といたしましては各大学におきます検討の内容を踏まえまして適切に対処してまいりたい、このように考えているところでございます。
  30. 依田智治

    依田智治君 欧米等に比べまして我が国の場合はまだまだ一般の国民の安全保障という問題に対する意識というものが低いというように言われております。文部省としても、一般大学でさらにこういう問題について講座等がふえて、国際水準に近づくように国民の水準を高めていただければありがたいと思います。  そこで、大学ではそんな状況ですから、総合安全保障科というか研究科というのが防大にできるというのは画期的なことなんで、ただ単に自衛官のみでなく、一般の部外者も広く、と言っても二十人ですから、広く入れたら部外者だけになっちゃっても困るわけですが、そのあたりについて広く各省の関係者等も入れるとか、将来は定員をふやしていくとか、さらにそのためには教授陣の充実とか、講座内容の充実とかいろいろあると思うんです。  そういう意味で、この点は基本的問題ですので、最後に防衛庁長官にお尋ねして、私の質問を終わりたいと思います。
  31. 臼井日出男

    国務大臣臼井日出男君) ただいま御指摘防衛大学校総合安全保障研究科は、自衛隊の任務の多様化、国際化に対応いたしまして、幹部自衛官に対し安全保障に係る高度の研究能力を修得させることを目標といたしております。  同研究科に対する留学生または民間人等の受け入れにつきましては、幹部自衛官等がそれらの方々とともに一緒に教育を受ける、そのことによりましてその視野を広めるとともに、諸外国との信頼醸成等の推進や同研究科における研究充実に資する等、有意義であると考えられます。同研究科の受け入れ体制を踏まえつつ、御指摘もございましたので検討いたしてまいりたい、このように考えております。
  32. 依田智治

    依田智治君 教授陣の充実とかカリキュラムの充実、この点をぜひひとつ心がけて、充実した教育を推進していくようにお願いしておきます。  終わります。
  33. 友部達夫

    ○友部達夫君 平成会の友部達夫でございます。  まず、この法律案に賛成する立場から、冒頭に現在の自衛隊並びに自衛官の位置づけについて伺います。  私は旧海軍兵学校出身でございます。それで、非常に崇高な使命を持っていたつもりなんです、江田島の兵学校生徒として終わりましたけれども。つまり、現在の自衛隊は要するに国を守るという崇高な任務を遂行しているわけです。実質は軍隊であり、国際法的にも軍隊であることを政府みずからが認めているにもかかわらず、これを軍隊と呼ばせない。こういうことは自衛官にとって非常に不幸ではないか、私はそう思うわけであります。また、正当な呼び方をしないことは、政治家として自衛官に対しまして非常に不誠実ではないかと思うんですが、この点について防衛庁長官の御所見を伺いたいと思います。
  34. 臼井日出男

    国務大臣臼井日出男君) 委員指摘のとおり、自衛隊我が国を守るという崇高な任務を持っているということは御指摘のとおりでございます。すなわち、自衛隊は外国による侵略に対しまして我が国防衛する任務を有するものでございますけれども、憲法上必要最小限度を超える実力を保持し得ない等という制約を課せられておりまして、通常の観念で考えられる軍隊とは異なるものであると考えております。したがいまして、我が国においては自衛隊と呼称しているわけでございます。
  35. 友部達夫

    ○友部達夫君 では、憲法改正したらどうですか。
  36. 臼井日出男

    国務大臣臼井日出男君) ただいま御指摘でございますが、この呼称は大変長い間日本で使われているわけでございまして、国民の間にも定着をいたしていると考えられるわけで、現在はその考えはございません。
  37. 友部達夫

    ○友部達夫君 現在はないというわけですね。  例えば一等海佐と言いまして、これは昔の海軍大佐であるということがすぐわかる人は日本に余りいないと思うんですよ。これは非常に残念なことだと思うんです。なぜ海軍と言わないんですか、海軍、陸軍と。自衛隊などと言うよりも陸軍、海軍と言った方がいいと思うんですが。
  38. 臼井日出男

    国務大臣臼井日出男君) ただいま御指摘の自衛官の呼称、階級呼称の点でございますが、先ほども御説明申し上げましたとおり、もう四十年以上にわたりましてこの呼称というものが使用され現在に至っているわけでございまして、自衛隊内部及び国民の間で既に定着をしていると考えられているわけでございますので、現在これを改めるという考えは持っておらないわけでございます。
  39. 友部達夫

    ○友部達夫君 海軍兵学校は七十八年間ありました、私は七十八期で最後ですから。  それから、どの国でも安全保障、要するに大事な国を守るということですから、どこでも国防省というのがあるわけですよ、先進国には。なぜ日本は国防省にしないんですか、その理由を長官に伺います。
  40. 臼井日出男

    国務大臣臼井日出男君) 私も時々、国務大臣防衛庁長官と言われないで、国防大防衛庁長官と言われてびっくりすることがございますが、我が国におきまして防衛庁は、国家行政組織法上、総理府の外局として位置づけられておりまして、防衛庁組織については防衛庁設置法並びに自衛隊法等において所要の規定が置かれております。  自衛隊我が国の平和と独立、国の安全を守るというこの任務を果たすために必要な体制整備されているところでございます。したがいまして、現在のところ、防衛力の整備自衛隊の維持運用を適切に実施していく上で、この点に特段の支障があるとは考えておりません。  いずれにいたしましても、防衛庁を省に昇格させるという問題につきましては、国民世論の動向防衛庁についての国民の意識等を踏まえまして総合的に判断すべきものと、このように考えております。
  41. 友部達夫

    ○友部達夫君 では、法律案に入ります。  要するに、冷戦後の国際情勢に的確に対応するため高度の情報収集分析を総合的に実施し得る体制充実させることを目的に、統合幕僚会議情報本部を新たに設置することなどを内容とするものであると思っております。そこで、情報本部設置の問題について伺います。  専守防衛を旨としておりますが、我が国防衛にとりまして、我が国安全保障に必要な情報の収集、処理、分析は極めて重要であると私も思っております。  先日の防衛庁長官の提案理由によりますと、「冷戦後の国際情勢に的確に対応するため」と説明されておりますが、むしろ冷戦のさなかの方が情報収集の必要があったんじゃないですか。それはともかくとしまして、先日も我が同僚の鈴木議員が指摘しておりましたけれども、昭和四十六年四月に公表された四次防の原案に情報の一元的処理に当たる情報中枢機構の整備を掲げておりましたが、それからもう二十五年もたっているんですよ。ようやく国会の場に正式に提案されたわけですが、これほど時間を要した理由はどこにあるのか、ちょっと伺いたいと思います。
  42. 秋山昌廣

    政府委員秋山昌廣君) 今回の情報本部設置につきまして、今御発言の中にもございましたように、冷戦後の国際情勢に的確に対応するために高度の情報収集分析等を総合的に実施する体制充実したいということでございまして、現在、防衛庁情報組織陸海空、内局あるいは統幕とばらばらに分かれているものを一本に統一いたしまして、そして総合的にこの情報処理分析する体制を整えたいというのが今回の構想でございまして、御審議をお願いしているところでございます。  今御質問にございましたように、四次防の原案に情報の一元的処理に当たる情報中枢機構の整備が盛り込まれたということは事実でございますが、今申し上げましたように、今般の情報本部は冷戦後の国際情勢に的確に対応するためのものでございますとともに、画像情報ですとか電波情報ですとか、そういった収集手段も持ち合わせる構想を立てたわけでございまして、具体的な内容につきましても、当時の構想とはかなり異なっているということでございます。当時の構想をもとに検討したものではございません。あくまでも冷戦終えん後の不透明、不確実な状況に対応するために相対的に情報業務が非常に重要になってきたということを踏まえて今回こういう構想を立て、お願いしているものでございます。
  43. 友部達夫

    ○友部達夫君 そうしますと、この情報本部の新設に伴って各自衛隊から情報業務に携わってきた要員が情報本部の方に移しかえられるわけですが、人員の規模とか整備の面でこれまでと比べて充実強化されるのか、あるいは現状と変わらないのか、将来的に強化する構想はあるのかないのか、お伺いしたいと思うんです。
  44. 秋山昌廣

    政府委員秋山昌廣君) 御質問にございました人員の面につきましては、現在、ほぼ陸海空自衛隊、内局あるいは統幕にございます組織の中から情報要員を移してまいるものでございます。  我々が考えておりますのは、ばらばらに分かれていた情報業務を一本化することによって効率化し、あるいは情報業務を高度化させたい、さらには情報担当の専門家を大いに育成するような、そういう体制本部という一本化をすることによって確立したい、こういうことでございます。  今後のことにつきましてはこれからまた考えていかなければならないと思いますけれども、冷戦終えん後の不透明、不確実な状況にかんがみますと、この情報業務は相対的にも大変重要なものになってくると考えておりますので、整備面、体制面あるいは人員面でも、我々としては今後の状況を見ながら積極的な考えで取り組んでいきたいというふうに考えております。
  45. 友部達夫

    ○友部達夫君 去年はいろいろ災害がありまして、その危機管理というものが非常に論じられたわけです。その情報収集体制等についていろいろ批判があったことはわかっておりますが、例えば昨年十一月のF15J戦闘機のミサイルの誤射事故がありましたね。当時の村山総理まで情報が短時間のうちに届かなかったという批判があったわけですが、情報というものは収集だけでなく分析処理されて活用されなければ意味のないものだと思うんです。  官邸防衛情報を理解するスタッフがいないのは欠点であると思うんです。総理に進言できる高いレベルのスタッフを常駐させるべきであると考えますが、この点、官房長官と防衛庁長官にお考えを伺いたいと思うんです。
  46. 梶山静六

    国務大臣(梶山静六君) 緊急時の情報収集については、今般、内閣情報調査室に内閣情報集約センターを設置し、二十四時間体制各種情報を収集、集約し、総理等に速やかに報告する体制整備したところでございます。  総理等への補佐については、防衛を初めとする国の安全に関する事項に関しては内閣安全保障室長が官邸に隣接する総理府内に執務し、その任に当たっております。  現時点において御指摘のような措置をとる必要があるとは考えておりません。
  47. 臼井日出男

    国務大臣臼井日出男君) ただいま官房長官から御報告ございましたけれども、防衛庁におきましても従来から適時適切に官邸情報を報告、説明いたしてきております。今後とも総理に対する情報伝達に遺漏なきを期してまいりたい、このように考えております。  また、これまでも内閣安全保障室や内閣情報調査室に防衛庁から職員を出向させてきておりまして、今後とも総理を補佐する体制に寄与してまいりたい、このように考えております。
  48. 友部達夫

    ○友部達夫君 去年の十一月に策定された新防衛計画大綱には、「多様な情報収集手段の保有及び能力の高い情報専門家の確保」という文言が記述されております。この文言はどういうことを言っているのか。つまり「多様な情報収集手段の保有」とは偵察衛星の保有を意味しているのかどうか、能力の高い情報専門家の確保のためにどのような施策を考えておられるのか、お伺いしたいと思います。
  49. 秋山昌廣

    政府委員秋山昌廣君) 多様な情報収集手段の保有につきましては、例えば電波や画像情報の収集、処理等の機材、それから沿岸監視用の機材、偵察用の機材等の整備を図っていくことを考えているところでございますけれども、偵察衛星の保有につきましては現在のところその構想ないし計画はございません。ございませんが、ここで言っております「多様な情報収集手段の保有」というのは、要するに情報収集手段の保有でございますから、例えば偵察衛星に関して言えば、その画像情報を収集する手段という意味では、保有そのものではない。より高解度の画像の収集というような面について強い関心を持っていることは先ほども申し述べたとおりでございます。  また、能力の高い情報専門家の確保についてでございますけれども、情報本部設置によりまして情報専門家を確保するための基盤を整備するということと、今後その情報要員の体系的な人事管理といったような面でいろいろ工夫をいたしまして、より高度なあるいは専門的な要員の育成、そして確保に努めてまいりたいと考えております。
  50. 友部達夫

    ○友部達夫君 いずれにしても、偵察衛星は有力な情報収集手段一つであることには違いないですね。この辺は先ほどの依田委員とダブるかもしれませんが、先日の本会議で総理は、宇宙平和利用との関係について、「利用一般化している衛星及びそれと同様の機能を有する衛星については自衛隊による利用が認められていると判断しております。」と答弁しておられたわけです。衛星利用するにしても、欲しいときに欲しい場所の情報が即時に入手できないと情報の価値というものは半減してしまうと思うんです。  そう考えますと、自衛隊衛星を保有して運用することが不可欠であるとなりますが、衛星自体を自衛隊が保有することや宇宙開発事業団が自衛隊衛星を打ち上げることは問題ないと考えていいのか、防衛庁及び科学技術庁にお尋ねしたいと思います。
  51. 秋山昌廣

    政府委員秋山昌廣君) 専守防衛を旨とする我が国防衛にとって各種情報機能充実は極めて重要でありますから、防衛庁としても有力な情報収集手段一つである偵察衛星に従来から関心を有しているところでございます。  国会決議有権解釈国会でなされるものと承知しておりますが、その利用一般化している衛星及びそれと同様の機能を有する衛星につきましては自衛隊による利用も認められるものと考えているところでございます。  なお、現在のところ偵察衛星の保有についての構想ないし計画はございませんけれども、今後、具体的な問題が生じますれば、それに応じまして防衛庁としては十分検討してまいりたいと考えております。
  52. 森口泰孝

    説明員(森口泰孝君) 御説明申し上げます。  宇宙開発事業団は宇宙開発事業団法に基づきまして業務を行っておりますが、同事業団法の第一条におきまして、平和の目的に限り人工衛星の開発等を行うこととしているところでございます。  先生指摘宇宙開発事業団による自衛隊衛星の打ち上げにつきましては、現在そのような構想ないし計画はないと承知しております。今後、具体的な計画が生じますれば、それに応じて政府として検討がなされていくものと考えております。
  53. 友部達夫

    ○友部達夫君 利用一般化している衛星の保有は問題ないとしても、その程度の性能では軍事的には満足できないと私は思うんです。高性能の軍事衛星に関しましては、現在研究が進んでおります弾道ミサイル防衛、BMDにとりましても不可欠のものであると思うんです。早期警戒、探知、追尾等を二十四時間体制で行うには民間が利用している観測衛星では間に合わないと思います。  宇宙平和利用につきましては、国際法上、平和の意味を非侵略と解釈する有力な見解があると承知していますが、軍事技術の進展には目覚ましいものがあります。宇宙平和利用というのは今後とも堅持すべきであるとは考えますが、平和の意味を非軍事から非侵略に変更し、国際軍事情勢に的確に対応できるようにより性能のよい偵察衛星を保有すべき体制整備すべきであると考えますが、防衛庁長官の御所見を伺いたいと思います。
  54. 臼井日出男

    国務大臣臼井日出男君) ただいま委員指摘のとおり、我が国をそうしたミサイル等から守るということは大変難しい、しかも大切な仕事であるわけでございまして、そのために各種情報をしっかりととっていくということは極めて重要な要素でもございます。それらのものは私どもにとりましても大変有力な情報手段として考えてはおりますけれども、先ほど来お答えを申し上げておりますとおり、私どもでは現在計画等を持っておらないということをお話し申し上げたい、こう思います。
  55. 友部達夫

    ○友部達夫君 次に、防大の所掌事務の変更について伺いたいと思います。  これは一般大学大学院修士課程に相当する研究科に社会科学系の総合安全保障研究科を新設するためのものと承知しております。一般大学にはない研究分野で、しかも我が国安全保障考える上で重要な研究であると思いますが、設置自体やや遅過ぎるのではないかと思います。理工系の理工学研究科につきましては昭和三十七年に開設したようでありますが、これに比べまして非常に遅いという感じを持っているわけです。防衛庁長官はどのように考えておられるのか、お伺いしたいと思います。
  56. 臼井日出男

    国務大臣臼井日出男君) 防衛大学校におきまして、本科、研究科とも理工系の教育研究が先行してまいりました。そういう経緯があるわけでございます。しかしながら、今日、自衛隊の任務が多様化し、また国際化が進展いたしてきております。またさらには、信頼醸成、防衛交流の推進といった観点から、これまで以上に安全保障全般にわたった教育研究体制整備が必要となってまいってきております。  このような状況に私ども自衛隊といたしましても適切に対応するために、防衛大学校に社会科学系の研究科設置し、幹部自衛隊員等の安全保障に関する見識を深めることによりましてその資質を高め、多様化、国際化した任務の遂行に資するための高度の知識及び研究能力を修得させるべくこれまで鋭意検討を進めてまいったところでございます。このほどの設置法の一部改正によりましてそれが初めて完成をするということでございまして、この御審議をさらに進められんことを心からお願い申し上げる次第でございます。
  57. 友部達夫

    ○友部達夫君 予算委員会の要求資料の中に、自衛官の公費による大学院への在籍状況というのがあります。この資料によりますと、文科系の大学院に毎年二十人前後が在籍しているようでありますが、今回の総合安全保障研究科設置された場合、これらの人を吸収しようという考えなんでしょうか。  防大というと昔の海軍兵学校と陸軍士官学校ですから、それは大変な学校ですよ。私は、防大大学院ができようとも、自衛官が一般大学に入って一般学生と一緒に研究することはそれ自体大変意義のあることだと思うんです。この制度は引き続き存続するべきであると考えます。  また、それの裏返しではないんですが、今回新設される研究科には防衛庁以外の人も受け入れるべきであると考えますが、防衛庁長官のお考えを伺いたいと思います。
  58. 臼井日出男

    国務大臣臼井日出男君) 委員指摘のとおり、防衛庁では従来から、自衛隊員を職務上の必要から国内の大学大学院へ国費により派遣をいたしているところでございます。このような一般大学大学院における自衛隊員の教育は、その任務遂行に必要な専門的知識、技能を修得させるとともに、自衛隊員の外部との交流を深めるという面からも大変意義があるものと認識いたしております。したがいまして、防衛大学校総合安全保障研究科が設立された後におきましても、一般大学大学院や防大研究科、それぞれの利点、特性を踏まえながら、自衛隊員に対する大学院レベルの教育を幅広くかつ適切に実施することによりまして自衛隊員の知識、技能をより一層向上させるために努力をいたしてまいりたい、このように考えている次第でございます。  また、同研究科に対する留学生または民間人等の受け入れにつきましても、幹部自衛官等がそれらの者とともに教育を受けることによりましてその視野を広めるとともに、諸外国との信頼醸成の推進や同研究科における研究充実に資する等、大変意義あるものと考えられておりますことから、同研究科の受け入れ体制等を踏まえつつ適切に検討いたしてまいりたい、このように考えております。
  59. 友部達夫

    ○友部達夫君 国際軍事情勢についてちょっと質問したいんですが、報道によれば、中国が今月中にも核実験を行う準備をまた行っているようです。米国偵察衛星が確認しているようですが、防衛庁はこのような中国の動きについてどの程度把握しているんでしょうか。  中国はいまだに核実験を続ける意思を強く持っているようですが、中国が国際世論の反発を受けながらも核兵器の近代化にこれほどまでに執着する理由はどのあたりにあるのか、長官の見解を伺いたいと思います。
  60. 臼井日出男

    国務大臣臼井日出男君) 初めに私の方からお答えをさせていただきたいと思いますが、中国は核兵器保有は自衛のためである、いかなる国に対しても脅威になるものではない、こういうふうに主張いたしておりますが、その核実験の目的については現在明らかにいたしておりません。しかしながら、中国の核戦力は米ロと比べて質、量ともに低い水準にあるために、有効な抑止力を確保する等の観点から、中国は核搭載ミサイルの長射程化や機動力の向上、多弾頭化、SLBM化といった核戦力の近代化、多様化を目指しているものと考えております。  以下の点につきましては政府委員の方から御答弁いたします。
  61. 小池寛治

    政府委員(小池寛治君) 防衛庁といたしましては、国際軍事情勢に関する情報の収集分析に鋭意努めているところでございますが、その一環として中国軍についてさまざまな情報も得ております。その一部に中国の核実験に関する情報もございます。しかしながら、核実験に関する現在の中国の動向につきましては、具体的に説明することは差し控えさせていただきたいと思います。  なお、中国は包括的核実験禁止条約が発効すれば核実験を終了するというふうに明言しておりますが、それ以前の核実験については実施しないとは言っていないところであります。昨年も現に五月及び八月に地下核実験を実施したところでございます。
  62. 友部達夫

    ○友部達夫君 今お話しの包括的核実験禁止条約が締結されたとしても、核兵器は厳然として存在しているわけですよ。核を持たない国との不平等、持たない国にとっての脅威感、脅威を受けるということが今後も継続するわけであります。このような現状に対し、国の安全を確保するための実動部隊の統括者である防衛庁長官はどのような認識を持っておられるか伺いたいと思います。
  63. 臼井日出男

    国務大臣臼井日出男君) 包括的核実験禁止条約というものは、核兵器の脅威を完全になくすものであるということは言えないわけでございますけれども、核兵器のない世界を目指す上での現実的かつ着実な一歩になるものとは考えているわけであります。  こうした観点から、我が国といたしましては、包括的核実験禁止条約は核軍縮推進の上で極めて重要な課題であると考えておりまして、同条約の交渉の推進のためにさらに尽力をいたしてまいりたい、こう考えております。
  64. 友部達夫

    ○友部達夫君 先日、北朝鮮から韓国に亡命した高級将校らの証言が報道されました。それによれば、北朝鮮で開発されている弾道ミサイルの標的は在日米軍基地だそうであります。日本人としては重大な関心を持たなければならない証言であると考えます。  まず、北朝鮮の弾道ミサイルの開発状況をどうつかんでいるのか、防衛庁に伺いたいと思います。
  65. 小池寛治

    政府委員(小池寛治君) 北朝鮮は、先生承知のとおり、一九八〇年代半ば以降、スカッドBあるいはその射程を延長したスカッドCを生産、配備していると見られております。また、現在、射程一千キロメートルとも言われる弾道ミサイル・ノドン一号、これは配備位置によっては我が国の大半がその射程内に入る可能性がございますが、このノドン一号を開発中であると見られ、さらにそのノドン一号よりも射程の長いミサイルの開発も目指しているというふうに見られております。  なお、一九九三年五月に北朝鮮が北朝鮮東部沿岸から日本海中部に向けて発射実験を行ったミサイルがございますが、これはノドン一号の可能性があるものと見ております。  ノドン一号の開発状況の詳細については不明でございまして、開発がいつ完了するのか、実戦配備がどういう時期になるか等について明確なことを申し上げる段階には至っておりません。
  66. 友部達夫

    ○友部達夫君 そのノドン一号ですが、射程や命中精度、その性能をどの程度と理解しておられるのか、長官に伺いたいと思うんです。
  67. 小池寛治

    政府委員(小池寛治君) ノドン一号につきましては、現在、開発中ということもありましてその詳細は明らかではございませんが、いろんな情報を総合しますと、恐らく次のようなことかと思われます。  射程につきましては約一千キロメートルというふうに見られております。  それから、弾頭については単弾頭、弾頭重量は約一千キログラム程度と言われております。また、弾頭の種類についても不明でありますけれども、通常弾頭のほかに核弾頭あるいは化学弾頭を搭載し得る可能性もあるというふうに考えられております。  それから、命中率精度についてですけれども、スカッドミサイルの技術をもとにしていると見られることから、命中率といいますかCEPは約三千メートルという情報もありますが、特定の施設をねらって攻撃するような精度の高いものではないというふうに見られております。  それから、移動式か固定式かについては、一部に移動式であるという情報もありますが、確認されてはおりません。  それから、燃料については、恐らく液体燃料である可能性が高いというふうに見られているところでございます。
  68. 友部達夫

    ○友部達夫君 弾道ミサイルに対する我が国の対処能力について伺いたいんですが、仮に北朝鮮から発射された場合に、我が国に十分足らずで到達すると言われています。他方、我が自衛隊の対空ミサイルは湾岸戦争で勇名をはせたパトリオット、また海上自衛隊にはイージス艦があり、航空自衛隊には早期警戒管制機が配備されようとしています。これらを総動員してどの程度の対処能力があるのか、お伺いしたいと思います。
  69. 秋山昌廣

    政府委員秋山昌廣君) 現在、我が国といたしましては、現有のペトリオットを含めましても、北朝鮮のスカッドミサイルのようないわゆる弾道ミサイルに対処することを想定したシステムというものは海空も含めてもございません。また、特に北朝鮮が開発していると見られる、今御議論の対象になっております射程約一千キロメートル級のノドン・ミサイルのような長射程の弾道ミサイルにつきましては、そもそもこれに対処するシステムを現時点で配備している国が、これは米国も含めてあるとは承知しておりません。現在、我が国整備を進めております能力向上型のペトリオツト、PAC2と呼んでおりますけれども、これによってもこれに対処することはなかなか困難であるというふうに認識しております。  いずれにいたしましても、我が国における弾道ミサイル防衛の問題につきましては、引き続き必要な検討を行ってまいりたいと考えております。
  70. 友部達夫

    ○友部達夫君 今の答弁をお聞きしていて、大変お寒い限りだと思うんです。  それで、弾道ミサイルに対する防衛について、防衛庁長官にその必要性、効果に関する見解を伺いたいと思います。
  71. 臼井日出男

    国務大臣臼井日出男君) 今日の国際社会におきましては、大量破壊兵器の運搬手段となる弾道ミサイルの拡散が進んでおります。また、現実的に我が国周辺においては弾道ミサイルを保有する国が存在しており、弾道ミサイル防衛の問題は大変重要な問題であると考えております。今後、この弾道ミサイル防衛につきまして、私どもは防衛政策上の大変大きな課題として認識をしておりますので、現在、検討をいたしているさなかでございます。  しかしながら、弾道ミサイル防衛必要性や効果につきましては、これを論じるためには、弾道ミサイルの脅威あるいは弾道ミサイルの防衛システムの具体的内容、その技術的可能性、費用対効果等、多岐にわたる問題について十分な検討を行うことが必要であると考えております。  このために、現在、弾道ミサイル防衛に関する多くの知見を有するアメリカ側の協力を得つつ日米共同で研究を進めているほか、所要の検討作業を行っているところであり、現在、お尋ねの点につきましてお答えできる段階にはまだございません。しかしながら、私も、ただいま委員お話しのとおり、この問題はできるだけ早い時期に方針というものを決めるべきである、このように感じているところであります。
  72. 友部達夫

    ○友部達夫君 BMDにつきましては、八年度からの五カ年計画である中期防衛整備計画におきまして、「その有用性、費用対効果等に関し、総合的見地から十分に検討の上、結論を得るものとする。」となっておりまして、米国が進める研究に参加するかどうかを検討中であると承知しています。この問題について、さきの日米安保共同宣言におきまして、「既に進行中の弾道ミサイル防衛に関する研究において引き続き協力を行う。」とあり、日米間の積極的な協力関係をうたっていると読めなくはないと思います。  ところで、この共同宣言が出される前々日の四月十五日の日米防衛首脳会談の席上で、ペリー国防長官から研究への参加を年内に判断するよう求められたとの報道がありますが、事実なんでしょうか、防衛庁長官に伺います。
  73. 秋山昌廣

    政府委員秋山昌廣君) これまでも弾道ミサイル防衛につきましては日米間でさまざまな意見交換がなされてまいりました。今御質問の四月の時点も議論がなされましたけれども、その具体的な内容につきましては、米側との関係もございますのでコメントは差し控えさせていただきたいと思います。  ただいま大臣の方から御答弁がありましたように、なるべく早く政府としてどうすべきかということを判断すべきである、そういう中で、現在の研究自体が実は八年度の予算で九年度にかけての調査研究費がついておりまして、この研究を終えて、そして今御質問にもございましたように、現在の中期防衛整備計画の期間中に政府としてどうするのか結論を出すということでございますので、極力早くどうしたらいいのかということを考えていかなければならないというふうに考えております。
  74. 友部達夫

    ○友部達夫君 去る二月には、BMDに関し米国が技術情報を日本に無償提供し、日本は秘密情報の保護に努める旨の交換公文を交わしているようですが、秘密情報の提供まで受けたものについて研究参加を見送るとは言いにくいものではないかと思うんです。  これまでの防衛装備品につきましては米国の立場を配慮して導入したとの批判のあるものが少なくありませんが、今回のBMDにつきましても、どういう結論が出るかわかりませんが、日本の防衛というものを第一に考え、仮に参加ということになってもそういう批判が出ないよう国民に納得のいく説明をしていただくよう防衛庁長官にお願いしたいと思います。
  75. 臼井日出男

    国務大臣臼井日出男君) 現在、私どもは日米安全保障条約の中でアメリカの協力を得ながら我が国防衛をいたしているところでございますが、私どもの国を守る、このことは第一義的に我々自衛隊の責務である、このように考えております。今後とも節度ある防衛力を自主的に整備する、こういう基本からして、当然のことながら主体的に我々日本の自衛隊がどういうふうに国を守っていくか、こういう主眼を外れないようにして、なお米側とも協力しながら努力をしていきたい、このように考えております。
  76. 友部達夫

    ○友部達夫君 次に、PKOの問題について伺いたいと思います。  現在、ゴラン高原に自衛隊部隊が派遣されておりますが、報道等も少なく、実際にどのような活動をしているのか国民の目にも明らかではありません。そこで、現在の活動状況とその活動に対する国連や関係国の評価について、これは総理府国際平和協力本部に伺いたいと思います。
  77. 高野幸二郎

    政府委員高野幸二郎君) まず、現在、部隊といたしましては四十三名、それに加えましてUNDOF司令部に対して二名、合計四十五名の自衛隊員が現地に行っております。  そこで、この四十五名がどういう仕事をしているかという業務内容でございますが、まず部隊につきましては、まず一つは輸送業務でございます。トラックとかトレーラー等を運転いたしまして、日常生活物資等の輸送、これはイスラエルの場合ですと、ハイファ港に関連物資が船で着いた場合そこから基地まで、あるいはベングリオン空港に着いた場合はその空港から基地までというこの間等の輸送業務一つでございます。それからもう一つは、ブルドーザー等を使いまして道路の修理整備、これは輸送に使います道路の整備でございます。それからもう一つは、運んでまいりました物資等は一たん基地内の倉庫に入るわけでございますが、この倉庫の管理、大体主にこの三つを業務内容として部隊は行っているところでございます。  司令部要員の二名でございますが、二名のうち一名は日本の部隊の行っております輸送業務あるいはブルドーザー等の重機材等にかかわります企画調整といいますかを司令部において担当しております。もう一名の司令部要員は司令部要員としての後方業務を担当しているということでございます。  そこで、これら四十五名につきましての受け入れ国あるいは国連側の評価でございますが、私どもはいろんな機会あるいはチャネルを通じまして、シリア、イスラエル両国政府等の評価、あるいはUNDOF全体の司令官でありますコステルス司令官、後方支援部隊全体の責任を持っておりますカナダのカーベス中佐、あるいはニューヨークの国連本部ですとPKO担当部局等の幹部等、これらの人たちがどういう評価をしているかということは具体的に承知しております。  これらのことを一々具体的に申し上げておりますと時間の関係もございますので、一言で申し上げれば、社交辞令の範囲をはるかに超えた極めて高い評価を例外なく得ているということが言えるかと存じます。
  78. 友部達夫

    ○友部達夫君 高い評価を得ているということは非常に結構なことなんですが、PKO協力法が施行されてから間もなく四年を迎えようとしております。法律にあります三年後の見直しについては、昨年、野坂官房長官の指示で政府内で検討を開始したとの答弁はありますが、残りの会期もわずかになってきましたし、検討状況について伺いたいと思います。  それから、特に武器の使用については、早くから個人の判断で使用するということでは精神的負担が大き過ぎるといった現場の声があるわけですが、先ほど申し上げましたように、今現在、自衛隊の諸君はゴラン高原で同じような精神的負担を感じながら活動しているわけです。早急に結論を出すべきであろうと思うんですが、防衛庁長官並びに総理府のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  79. 高野幸二郎

    政府委員高野幸二郎君) このPKO法といいますか国際平和協力法の三年後の見直しの件につきましては、ただいままさに委員指摘のとおり、昨年の八月、国際平和協力本部副本部長でもあります当時の野坂官房長官から見直し作業を開始するようにという指示がございまして、それを受けまして私ども国際平和協力本事務局が中心になりまして、昨年の八月以来、関係省庁、なかんずく防衛庁外務省内閣法制局等と問題点の洗い出し作業、整理等から始まりまして、その後引き続き鋭意、文字どおり鋭意作業をしているところでございます。  この作業のタイムテーブルといいますか日程につきましては、特に具体的な日程を前提としてやっているわけではございませんが、そう遠くない時期に事務方としては一応の作業の区切りをつける必要があるという問題意識を持って今やっているところでございます。  内容の点でございますが、ただいま委員から御指摘のございましたように、見直し作業の中でいわゆる武器使用原則の問題、これはまさに委員が御指摘のとおりの問題がございます。この点については国会等においても種々の論議があるところでございます。したがいまして、私どもとしては、この見直し作業の中で特にこの問題については大きな問題意識を持って取り組んでいるというところでございます。
  80. 臼井日出男

    国務大臣臼井日出男君) 私にはPKO法上の武器使用のあり方についての御質問でございました。これまでの国際平和協力業務の実施を通じまして得られた教訓、反省事項、いろいろあるわけでございますが、その一つとして、武器使用の件につきましては個々の隊員の判断によるものとされているわけでございまして、このことが隊員の心理的負担が大きかった、こういうことが反省の一つとして挙げられているわけでございます。  例えば、先般も防衛政務次官が現地を激励に参りまして、現地隊員も、先ほど御報告がありましたとおり、各国から働きぶりを大変評価されて元気にやっているわけでございますが、その中でもやはり幾つかの問題点というものも出てきている、こういうふうに報告をされております。  例えば、業務日程というものは七十二時間前に提出していただく、こういうふうになっているそうでありますが、しかし実際は大変時間が近くなってから緊急に入ってくるような仕事も結構多いと。このことによりまして、しっかりと対処いたしておりますが、隊員の疲労感というものも大変重くなってきている。あるいは休暇等を順調にとることができない、こういうふうな問題点もございまして、私どもは例えばこういう問題についても、一生懸命にやるということは我が国自衛隊員としてそれは本旨ではございますが、やはり事故につながりかねないということで、こうしたものに対しても、今どのようにしたらこれらのものをうまくやれるかというふうなことについても対処を考えている、こういうふうなことも現に起こってきております。  この武器使用の問題につきましては、これまで国会等においても議論がなされてきているところでございまして、現在行っております国際平和協力法の見直しにおいても、この問題も一つの重要な課題になるものと考えております。今後、現行法下での運用の問題としての措置がどのようにできるかどうか、このようなことを検討いたしまして、現行法を見直す必要があるものか、あるいはできないものか、慎重に検討を行う必要がある、このように考えております。
  81. 友部達夫

    ○友部達夫君 相当の長い質疑で、一時間で時間が足りるかなと思ったんですが、これで最後の質問になります。  北朝鮮の食糧問題についてお尋ねします。  北朝鮮は極度の食糧不足に悩んでいるようですが、その実態はどうなのか。軍用の備蓄などに回されているためだとも言われておりますが、その辺を外務省にお尋ねします。また、国民の不満はどこまで高まっているのか、体制崩壊につながる見通しなどはないのか、その辺を伺いたいと思うんです。
  82. 大島賢三

    政府委員(大島賢三君) 御説明申し上げます。  まず、北朝鮮におきまして従来から非常に困難な食糧事情があるということはいろいろ伝えられておるわけでございます。構造的な問題もあるということもいろいろ指摘されております。特に、昨年の夏に大規模な洪水被害もありまして、さらにこうした困難な状況に一層困難さが増しておるということで、全体として厳しい状況にあると言われております。  具体的な数字もいろいろな専門家や組織あるいは国の専門家等が出しております。一つの例として申し上げますと、国際機関でありますWFP、世界食糧計画の見積もりによりますと、約百二十万トンが去年の収穫期からことしの収穫期のこの一年間に不足するのではないかと。これは需要量が約六百万トンに対しまして穀物の生産量が約四百万トンで、その差が約二百万トンでございますが、そこから諸外国からの援助、穀物支援、それから北朝鮮自身の輸入計画、こういうものを差し引きまして、なお百二十万トンぐらいが不足するのではないかというふうに見積もられておるわけでございます。ことしの秋の収穫期までこれから端境期に差しかかるわけでございますけれども、こうした状況はさらに一層厳しさを増すのではないかというふうに見られておるわけでございます。  私どもといたしましても、こうした情勢につきましては、特に北朝鮮情勢につきましては経済あるいはエネルギー情勢も非常に厳しいわけでございますけれども、特に食糧を中心とします事情につきましては今後とも注視していく必要があるというふうに思っております。北朝鮮情勢の把握には種々困難が伴うわけでございますけれども、細心の注意を払っていきたいと思います。  それから、国民の不満がたまって体制の問題にはね返るんじゃないかという点でございますけれども、国内体制につきましては金正日書記が現時点におきまして政府、党それから軍をコントロールしている、掌握しているというふうに認識いたしております。  体制動向、これからの問題につきましては種々の見方やあるいは動きが報じられておるわけでございますけれども、我々としてはこうした現状の分析とか今後の見通しについては慎重な判断が必要であると考えておりまして、北朝鮮の体制の見通しにつきまして予断を持ってお答えすることは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、引き続き慎重に見守っていきたい、こういうふうに思っております。
  83. 友部達夫

    ○友部達夫君 どうもありがとうございました。  終わります。
  84. 角田義一

    ○角田義一君 社民党の角田でございます。  若干お尋ねをいたします。  まず、防衛庁設置法の一部を改正する法律案につきまして二、三お尋ねをいたしたいと存じます。  一つは、冷戦が崩壊をいたしたわけでございます。かつてはソ連脅威論ということで、それに対応しなければならない、そのためのこちら側の体制なりあるいは武器なり、どういうふうに確保していくかというような観点から情報を得るということも非常に大事だったと思います。しかし、今日、冷戦が崩壊をして、しかもなおかつ情報本部まで設けて情報収集をし、いろいろ分析をしなければならぬということになりますと、私は率直に申し上げまして、求める情報の主軸といいましょうか、対象といいましょうか、目的といいましょうか、それはおのずから冷戦時代とは変わるのではないかというふうに思っております。今後どういう情報に力点を置いて求めていくのかということについて防衛庁の方のお考えをお聞きしたいと思います。
  85. 秋山昌廣

    政府委員秋山昌廣君) ただいま御質問の中にもございましたが、国際情勢につきましては、冷戦終結後、東西間の軍事的対峙の構造は消滅いたしましたけれども、宗教上の対立や民族問題等に根差す対立が顕在化するなど依然として不透明、不確実な要素が残っておりますし、特に我が国周辺地域におきましてもいまだ種々の不安定要因が残っているわけでございます。もちろん、他方で国際関係の一層の安定化を図るための各般の努力の継続がなされているところでございます。  このような情勢のもとで、専守防衛を旨とする我が国にとりまして、情勢の変化を早期に察知し、機敏な意思決定を行うことが重要であると考えまして、戦略情報を含む高度の情報収集分析等を実施し得る体制等の充実を図ることが必要不可欠と考えたところでございます。    〔委員長退席、理事板垣正君着席〕  その情報対象がどう変わるのかという御質問だったと思いますけれども、我々防衛庁として、これまでも内局、統幕、陸海空自衛隊、それぞれの組織で戦略情報を含む情報、戦略情報を含むという意味は戦術情報もあるわけでございますけれども、この情報本部では戦略情報を含む高度の情報、これを総合的に収集分析するという機能がこの冷戦終えん後特に必要なのではないかという考えでございます。
  86. 角田義一

    ○角田義一君 私は、今回の日米安保共同宣言の中で、いろいろ問題にすべき点もあると思いますし、また評価しなきゃならぬ点もあると思うんですが、アジア太平洋地域における諸問題の平和的な解決の重要性というものを強調しているわけですね。そして、特に北東アジアに関する安保対話のような多国間の地域的安保についての対話及び協力の仕組みをさらに発展させるための作業を継続することも再確認されておるわけです。私はこの路線というものは非常に大事にしなければならぬなというふうに思っておるのであります。  そこで、そういう路線を維持発展させるに必要な情報収集ということも防衛庁として今後心がけていかなきゃいけないのじゃないかというふうに思うのでございますが、いかがですか。
  87. 秋山昌廣

    政府委員秋山昌廣君) 日米安全保障共同宣言にも触れられておりますし、かつ昨年十一月に安全保障会議及び閣議で決定いたしました新防衛大綱におきましてもただいま委員質問のような点が触れられているわけでございます。  我々の頭の整理といたしましては、特に昨年十一月に決定いたしました新防衛大綱で、防衛力の役割といたしまして、我が国が侵攻されることから守るという本来の第一義的な防衛というものにつけ加えまして、大規模震災等多様な事態への対応、これは大震災のほかに、我が国周辺におきまして我が国安全保障に重要な影響を与えるような事態が発生した場合の我が国の適切な対応というのが含まれておりますし、さらに三本目の柱といたしまして、より安定した安全保障環境の構築への貢献、これが防衛の役割というものとして入りましたので、当然今御質問がございましたPKOも含むそういった多様な防衛庁自衛隊の役割に対応した情報収集がこの中に含まれるというふうに考えております。
  88. 角田義一

    ○角田義一君 そうなりますと、私はやはりこの情報本部というものに対するシビリアンコントロールということについてどうしてもお尋ねをしておかなきゃならぬと思うんです。  これはもう御承知のとおり、今回の情報本部本部長は将ですね。そこで私がお尋ねしたいのは、防衛庁内でシステムとしてどういう形でシビリアンコントロールが確保されるのかということであります。  といいますのは、先ほど局長からもお話がございましたとおり、かつては調別というようなものに対しても内局の指揮、監督、指導というものが行われておったというふうに承っておるわけでありますが、今回、組織的にシステムとしてどういう形でシビリアンコントロールが確保されるのかということについて、これはぜひお尋ねしておかなきゃならぬと思っております。
  89. 秋山昌廣

    政府委員秋山昌廣君) 情報本部は、国際軍事情勢等、自衛隊全般を通じて必要となる情報等を作成することを基本的業務といたしますが、これはまさに統幕会議がかかる情報に関する所掌事務を主な対象としておりますので、統幕会議にこの情報本部設置することといたしました。その結果として、将官の自衛官を長とするという構想になったわけでございます。  他方、シビリアンコントロールにつきましては、これは民主主義国家における政治の軍事に対する優位の確保を指すものでございまして、我が国では自衛隊については国会が自衛官の定数、組織などを法律、予算の形で議決するとされておりますほか、国の防衛に関する事務内閣に属し、文民である内閣総理大臣防衛庁長官のもとに十分管理されておりまして、国防に関する重要事項等については安全保障会議の議を経ることとされております。  したがいまして、統幕会議につきましても、従来からこれらの制度によるシビリアンコントロールのもとにございまして、情報本部設置によってこれらの制度が変わるものではないと考えております。将官の自衛官を長とする情報本部設置され、統幕会議情報機能強化が図られることは、シビリアンコントロールに何ら影響を与えるものではないと考えております。    〔理事板垣正君退席、委員長着席〕  なお、防衛庁の中で何か特別な組織上の配慮をしていないのかというような御質問もございました。  それにつきましては、情報本部業務運営に当たりましては、同本部運営上の基本的事項等を事務次官を長とする防衛庁情報委員会で決定することとしておりますほか、情報本部の構成につきましても、御案内のとおり、自衛官と事務官等の適切な配置及び相互の補完によりまして情報業務の適切な実施が確保されるように考えているところでございます。
  90. 角田義一

    ○角田義一君 私が聞きたかったのは今の後半の部分でございます。特にその部分についての運用はしっかりやっていただきたいというふうに思うわけです。  それともう一つ、ロシアとの例えば信頼醸成措置の中で軍事情報の公開、交換というようなこともあるわけです。私は、これだけのスタッフを集めて得たこの情報というものは、基本的にはやはり国民の財産であるという発想に立たなきゃいかぬと思いますね。情報の性格上、全部公にするということはできないと思いますけれども、しかしこれだけのスタッフとお金をかけて集めたものについて、これは防衛白書なりに一層その内容を充実させなきゃならぬと思います。  この情報公開については基本的にどういうふうに考えておられますか。
  91. 秋山昌廣

    政府委員秋山昌廣君) 行政情報の公開につきましては、防衛庁といたしましても、行政に対する国民の信頼を確保するとともに、行政情報を有効に利用するという観点から積極的に取り組んでいるところでございますし、特に今御指摘のございました情報本部に関しましても、情報の公開ということについて真摯に取り組んでいきたいと考えております。  なお、情報本部の具体的な情報成果につきましては、今御質問の中にもございましたけれども、同本部の保有する情報活動の手のうちを明かすようなことになるといったようなものについてはなかなか公開できないものがあるという点については御理解をいただきたいと思います。
  92. 角田義一

    ○角田義一君 改正案については以上三点だけお尋ねをしておきます。  それから、過般、防衛庁長官がロシアへ行かれまして、ロシアとの間で広範な安保対話、信頼醸成措置について合意された、私は率直にこれを高く評価したい、こういうふうに思うわけでございます。と同時に、やはり先ほどちょっと申し上げましたように、今度の日米安保共同宣言の中にある「多数国間の地域的安全保障についての対話及び協力の仕組みを更に発展させる」、これは私は日本にとって非常に大事なことだというふうに思っておるわけです。  特につい最近、台湾海峡波高しというふうなことで我々も非常に憂慮しておったわけでありますが、昨日の李登輝総統の就任演説は私は大変格調の高い立派な演説であるというふうに思うんですが、四つ言っておりますね。台湾独立の路線はとらない、それから中国大陸を訪問、最高指導者と会見し直接意見交換をしたい、それから実務外交を進め国際社会の支持を得る。次が私は一番大事だと思うんですが、二十一世紀において中国人は必ず平和統一を実現する、こういうことをはっきりと言っておるわけでありまして、この演説というのは今後非常に大きな影響力を持つのではないかと思います。  そういう中で、九四年から日本と中華人民共和国との間でも安保対話というのが始まったわけでありますが、こういう極めて重要な時期にやはり防衛庁長官が訪中をするなりして、この対ロの信頼醸成措置を踏まえながら、対中においてもこういう信頼醸成措置を合意するというふうなことを目指して動くべきであるというふうに私は思うのでございますが、防衛庁長官の御所信を承りたい。
  93. 臼井日出男

    国務大臣臼井日出男君) 委員お話しのとおり、アジアにおいてはまだヨーロッパのOSCEのような多国間の安全組織防衛上の組織というのはできておらないというのが現状でございますが、冷戦終結後の今日の国際社会においてはより安定的な安全保障環境の構築が重視をされるようになってまいってきております。こうした安全保障上の課題の変化や我が国が国際社会に置かれている立場を考慮いたしますと、安全保障対話や防衛交流の積極的な推進が極めて重要であり、また新防衛大綱や新中期防においてもその必要性が確認をされているところでございます。また、委員お話しのとおりでもございます。  このため、日中両国間では、両国の防衛政策やアジア太平洋地域の安全保障情勢につきまして意見交換を行うことを目的といたしまして、ほぼ年一回、双方の外交、防衛担当当局が参加する日中安保対話が行われているわけであります。また、防衛当局者の相互訪問につきましても、早期にハイレベルでの訪問を実現すべく調整を行っておりまして、日本側からは遅浩田国防部長に対して訪日要請を行っているところでもございます。  また、先ほど申し上げましたけれども、ASEAN地域諸国との間では、二国間での防衛当局間の対話交流やASEAN地域フォーラム関連諸国会合といった多国間での場を通じまして信頼醸成を図っているところでもございます。今後とも大臣レベルを含めましてさまざまなレベルで緊密な対話を行いまして、相互の信頼感をさらに高めるように努力をいたしてまいりたい、このように考えております。  なお、中国やASEAN諸国との対話、交流の機会には、先般の日ロ防衛首脳会議を含め、最近の各国との防衛首脳会談の内容についても適宜説明してまいりたい、このように考えております。
  94. 角田義一

    ○角田義一君 防衛庁長官に二つお願いをしておきたいんですが、一つは中華人民共和国の国防部長の訪日を早急に実現してもらうように外交努力をしてもらいたいということと同時に、状況は動いていますから、長官みずからも訪中していろいろ対話を深めるということも私は考えていただきたい。それはお役人さんが一年に一遍やればいい、こういうことではなくて、政治家たる、大臣たるものがやっぱりみずから出かけていくという積極姿勢をぜひお願いしたいというふうに私はお願いをしておきます。  それから、マレーシアの首相がつい最近講演の中で非常に際どいことを言っております。新聞報道を見ますと、何のための日米同盟か、潜在的に敵とみなされた国々にとって気分のいいものではない、地域の軍拡競争につながるということも言っております。私はこのマハティールという首相はなかなか物をはっきり言う人だとは思うんですが、ASEANの中には今回の日米共同宣言について積極的に評価する面と懸念を表明する面と両面あると思うんですね。  そうしますと、やはり防衛庁とすればその懸念というものを解消するために努力しなければならない。したがって、この前、本会議で、何か各大使館なりで説明をした、あるいは日本の大使館でも説明をしたということですが、これでは私は不十分だと思うんですね。やっぱり政府特使を派遣して東南アジア等々の理解を求めるというぐらいの積極外交をやってみなきゃいかぬのじゃないかというふうに思うわけでございまして、これは防衛庁長官とそれから田中審議官外務省としてどういう気持ちでおるか、お聞きしておきたいと思います。
  95. 田中均

    説明員(田中均君) 委員指摘のとおり、日米安保共同宣言というものを諸外国によく理解していただかないといけないということについては御指摘のとおりでございまして、私ども基本的に、先般、大臣が本院の本会議で答弁をしましたとおり、日米安保体制というものがアジア太平洋の平和と繁栄というものに役立ってきたし、今後もそうでなければいけないということを共同宣言は再確認をしたものであるし、それから二十一世紀に向けての日米の同盟関係というものの具体的なあり方について語ったものであるということと、日本の防衛政策というのは変化がない、専守防衛に徹して日米安保体制というものについても従来どおりの基本を維持するということを共同宣言でうたっているわけですから、こういう趣旨についていろんなルートで今までも説明をしてまいりましたし、大臣自身も説明をしているということでございます。今後ともあらゆる機会を通じてこういう努力を重ねてまいりたいというふうに考えております。
  96. 角田義一

    ○角田義一君 きょう本当は外務大臣に来てもらいたいんだけれども、これは委員会が違いますからできないんですが、日本外交というのは余りうまくないね。やっぱり政府特使を出して説明をさせるというのは、外から見ればわかるんですよ。  幾ら外交官が大使館の中でしゃべったって、それはそれだけのものなんだよ。この点はあなた、大臣に進言しなさいよ、そういう意見があったと。  防衛庁長官、どうですか、私の言っていること。
  97. 臼井日出男

    国務大臣臼井日出男君) ただいま外務省側から御説明がございましたとおり、今回の日米首脳会談におけるこの宣言の発出というものはアジア地域においてもいろいろな受けとめ方があるということは私も承知をいたしております。  先般、私が訪ロいたしましてグラチョフ国防大臣と会談をした際にもこのことはよく御説明をいたしたところでございます。  そうした中で、今回、私ども日本としては、日米安全保障条約の再確認というのは将来に向けて大変意義あるものと考えているわけでございますが、特に中国に対してはこのことについてしっかりと説明をしておく必要があるということを改めて感じるところでございますので、先ほど大臣が行けという話もございましたが、遅浩田国防大臣も御招待をいたして待っているような状況でもございますので、委員お話しのとおり、なるべく早い機会にこのことについてははっきりと日本の立場というものを御説明をしていく必要もあろうか、こう考えておりまして、そのことも指示し、早急に進めたいと考えている次第でございます。  また、今お話がございましたマハティールさんのお話につきましても、アジア全体についてそれらの配慮というものは極めて大切だと思っておりまして、委員お話というものは私はぜひとも総理にもお話をしたい、このように思っております。
  98. 角田義一

    ○角田義一君 そしてもう一つ、やっぱり一番気になるのは朝鮮半島の情勢であることは間違いないと思います。  四者会談が提唱されたこと、私どももこれは大変結構なことだというふうに思っておるのでございますが、現実に日朝では国交が正常化していないわけですよ。日本はこれから例えば軽水炉型の原子力発電のためにも相当なお金を出さなきゃならないし、それから食糧の問題もある。四者会談が開かれ、そして将来はロシア、日本を入れた六者会談によってこの地域の安定を図るということが私は望ましいだろうと思うんですね。そういうときに日朝でまだ国交がない。九二年からは談判中断です。このまま放置しておいていいのかどうかという問題が私は率直にあると思うんです、日本政府として。きょうの新聞等を見ますると、あちらさんは外務省サイドでもっと積極的にやってくれないかというようなことを外務次官が言ったとか言わぬとかというのが報道されているわけですね。  これはじっと座っていればいいというものじゃないと思うんです、今の状況では。どう思いますか、どういうふうに打開しますか。
  99. 大島賢三

    政府委員(大島賢三君) ただいまの四者会議の提案でございますけれども、これにつきましては、現在のところ北朝鮮がなお検討中ということでございまして、正式な返事はなされておりません。  御案内のとおり、我が国としましては、北朝鮮がこの四者会合提案に応じて四者会合が実現すること、これを通じまして朝鮮半島における緊張緩和、それから信頼醸成というものが促進されて、現在の休戦協定にかわる永続的な平和が確立される、そのための合意が達成されるということを強く期待しておるわけでございます。  したがいまして、現状では、北朝鮮がこの四者会合提案を遅滞なく受け入れる、対話の席に着くということを希望しておるわけです。と同時に、北朝鮮側にこの休戦協定を損なうような行動あるいは休戦協定違反の行動も見られるわけでございますので、平和が達成されるまでの間、休戦協定を遵守して平和と安定を害するような動きをとることのないように、これを改めて呼びかけていっておるわけでございます。  日本につきましては、将来この四者会合が実現をしまして、その枠組みのもとで実質的な話が進展する過程で、場合によりましては我が国としてもいろいろな役割があり得るというふうに我々も思っておりますし、恐らく韓国や米国もそういうふうに認識しているのではないかと思っております。  一方、日朝の国交正常化交渉につきましては、御案内のとおり主に三点を考えておるわけでございますが、第一は北朝鮮との間の不正常な状態を正す必要があるということ、第二点としてそういう目的を追求するに当たって朝鮮半島の平和と安定に資するような形でこれを実現していきたいということ、それから三番目に韓国その他関係諸国と緊密に連携をとりながらやっていくということでございまして、現状におきましては、国交正常化交渉の再開の具体的な時期等につきましてはまだめどが立っておりません。  我が国政府としましても、特にこの四者会合というのは朝鮮半島の平和と安定に深くかかわるイニシアチブでございますので、今後ともこの点を重視しつつ、韓国等とも連携を緊密にしながら全体を進めていきたい、現在こういうふうに対応しているところでございます。
  100. 角田義一

    ○角田義一君 一点だけちょっと念押しで聞きますけれども、今後の朝鮮半島の状況考えたときに、やっぱり私は日朝の国交が正常化していないということでは日本としてしかるべき役割を果たせないだろうと思うんですよ。だから、今の答弁はちょっと不満なんで、この際腹をくくって日朝の国交正常化交渉というものを再開するために日本政府としても努力をするんだということなのか、ほっとけばいいということなのか、その辺だけもう一遍はっきりと言ってください。
  101. 大島賢三

    政府委員(大島賢三君) 先ほど申し上げましたように、国交正常化交渉を進めていくということ自身は当然目的一つであるわけでございますが、同時に朝鮮半島情勢等の絡み、これが当然ございます。種々複雑な問題もあるわけでございますので、その辺全体をよくよくにらみながら非常に慎重な対応が必要であろうということでやっておるわけでございます。  国交正常化交渉の問題についてももちろん頭に置きながら、かつ同時に四囲の状況も慎重に目配りをしながら対応していきたい、こういう現状でございます。
  102. 角田義一

    ○角田義一君 わかりました。  時間もありませんから、あと二つほど大事なことをお聞きしておきます。  最近、日米安保共同宣言以来盛んに、私は括弧づきと言うんだけれども、括弧づき極東有事というようなことが云々されて、そして集団的自衛権、これを認めなければ対アメリカとの関係がまずくなるとか日本の責任が果たせないとかというような議論が一部でされております。いたずらに極東有事をあおり、しかも憲法改正まで云々するようなことについては率直に言って苦々しいというふうに私自身は思っております。  そこで、まず内閣法制局に改めて聞いておきますけれども、日本の憲法のもとでは集団的自衛権の行使ということは許されないというふうに思うんですが、そのことは今日、内閣として全然変わらない、それで何でそれが許されないのか、違憲なのかということについて改めて私は聞いておきたいんです。
  103. 秋山收

    政府委員秋山收君) 集団的自衛権についてのお尋ねでございますが、まず国際法上の考え方といたしまして、国家集団的自衛権、すなわち自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を自国が直接攻撃されていないにかかわらず実力をもって阻止することが正当化されるという地位、これを有しているものとされておりまして、我が国国際法上この集団的自衛権を有していることは主権国家である以上当然と考えております。  しかしながら、政府は従来から一貫して、我が国憲法第九条のもとにおいて許容されております自衛権の行使は我が国防衛するため必要最小限度の範囲にとどめるべきものでありまして、他国に加えられた武力攻撃を阻止することをその内容とする集団的自衛権、それの行使はこの必要最小限の範囲を超えるものとして憲法上許されないという立場に立っているところでございます。
  104. 角田義一

    ○角田義一君 アメリカ政府だってペリー国防長官だって、日本の憲法のもとでやってもらって結構だと言っているし、モンデール駐日大使もそう言っているわけですよ。これは長い目で見た場合に、日本とアメリカとの関係が本当に友好的なものであるためには、私は憲法改正まで踏み込んだようなことをアメリカは求めていないと思っています。  そのことを踏まえた上で政府は対応してもらいたいと思うので、そこでいわば日本周辺地域を中心として予想される緊急事態に備えた対応策の検討というものが今政府の方で具体的に着手されたというふうに聞いておりますが、その手順等について一応説明を受けておきたいと思いますし、それから今言った集団的自衛権の絡みの中でどういうふうに対応していくのか、この点についてひとつ聞いておきたいと思います。
  105. 三井康有

    政府委員(三井康有君) 去る十三日に総理から御指示がございました。御指示は内閣官房、外務省、それから防衛庁関係者に対して行われたわけでございますけれども、その内容は、我が国周辺地域で我が国の平和と安全に重要な影響を与えるような事態を中心としまして、我が国に対する危機が発生した場合、あるいはそのおそれがある場合において我が国としてとるべき種々の対応について、起こり得るさまざまのケースを想定して必要な対応策をあらかじめ具体的に十分検討するようにということでございました。  その際、この検討はあくまでも現行憲法の枠内で行うものであって、集団的自衛権に関する政府のこれまでの解釈を当然前提として行うものであるという御指示があわせてございました。  この御指示を受けまして、その後、十六日に関係省庁局長会議といったものを行いまして、総理の指示を伝達するとともに、関係省庁の協力を要請しまして所要の作業を開始することとしたわけでございます。  具体的には、検討すべき項目としまして大きく分けて四つばかりを考えております。  まず第一に在外邦人等の保護、二番目に大量避難民対策、三番目に沿岸、重要施設等の警備などの問題、四番目としまして対米協力措置の問題、この四つに分けまして、それぞれの問題ごとに作業グループを設けて関係省庁間の連携をとって、内閣安全保障室がその事務局となりながら今後検討を進めていくということを決めておるわけでございます。
  106. 角田義一

    ○角田義一君 その際、特にお願いをしておきたいのは、特定の地域、特定の国名、こういうものを挙げてやるということについては、日本の立場ということを考えると、特にアジアの中で生きていく日本の立場を考えた場合に、これは避けなければならないと思うんですよ。これは私は非常に大事なことだというふうに思うんですが、室長はどういうふうに考えていますか。
  107. 三井康有

    政府委員(三井康有君) 御指摘のように、このたびの検討は特定の国または地域において生ずる緊急事態への対応策を検討するものではなくて、我が国に対する危機等が起きました場合に我が国としてとるべき種々の対応につきまして、起こり得るもろもろのケースを想定して、必要な対応策を努めて具体的な形で検討、研究しようとするものでございます。
  108. 角田義一

    ○角田義一君 その取りまとめの時期について、内閣の安保室長の方と防衛庁の方と若干違いがあるやのような新聞報道もあるんだけれども、その辺の期限というものの定めは一応あるんですか。
  109. 三井康有

    政府委員(三井康有君) 今後の検討のスケジュールと申しますか、あるいはその取りまとめの期限と申しますか、その点につきましては、政府としましては特段の時期を設定しているわけではございません。  と申しますのは、やはりかなり多岐にわたる検討ということになりましょうし、またこれまで未知の分野というものがいろいろあるわけでございますので、ある程度具体的検討に取りかかりませんといつまでにまとめられるかといったこともなかなか確信が持てないということがございます。  さらに、今申し上げました四つの事項、これはあるものはかなり短期間で検討が進むというものもございましょうし、また項目によっては相当長期間を要するというようなものもあると思われますので、一律に機械的なタイムスケジュールというものを設けるということはなかなか困難であろうかと、このように考えております。
  110. 角田義一

    ○角田義一君 PKOの武器使用について先ほど同僚の議員からお尋ねがありましたのでこれ以上ちょっと突っ込んで聞きたくはないんですが、私も例の国会審議でこの問題についてはいろいろやりまして、大変微妙な問題がたくさんあるんですね。しかし、これは日本の憲法というものがあるものですから、通常の国がPKOに出しているときの武器の使用と日本の憲法のもとではおのずから差異があるというふうに言わざるを得ないんです。  その後、実践を踏まえていろいろ微妙な問題がたくさんあると思うんですけれども、先ほど作業をやっておるとおっしゃったが、一定のめどを立てて、結論は例えば秋までに出したいとかどうのこうのということなんですか。それだけ聞いておきたいと思うんです。
  111. 高野幸二郎

    政府委員高野幸二郎君) 具体的な時期は念頭にございません。ただし、通常、国内法、法律で見直し規定がついております場合、常識的に言えば一年とかそういうことで大体取り計らわれておりますので、私どもとしてはそういう一つの慣行といいますか、そういうものがあるということは一応念頭にはございます。  ただ、念のため、繰り返して恐縮でございますが、いついつまでに我々の作業の結論を出さなきゃいけないという認識はございません。
  112. 角田義一

    ○角田義一君 時間があと三分ほどありますので、大変恐縮ですけれども、地元のことでお尋ねしておきたいと思うんです。  群馬県の渋川市を中心とする地域におきましては、平成七年の七月十日以来今日まで計五回、三十一件のアメリカ軍の超低空飛行の訓練と思われる被害が発生いたしておりまして、群馬県知事あるいは地元の市町村から在日米軍に対して四回、外務省に対して五回、それから防衛施設庁に対して五回、訓練の中止方の要請がしてございます。  時間の関係がありますからまとめてやります。  こういう地元の知事あるいは市町村長の要請に対して国は今までどのように対応してきたかということが一つであります。  それから二番目は、幸いにして被害補償等についてはほとんど片がついておるのでございます。  その点については私はありがたいと思っておりますが、問題は補償じゃないんですね。要するに、なぜこのようなことが起きるかという原因についてやっぱり米国からはっきり明らかにしてもらわなければならないということであります。  それから、交渉の過程におきまして米軍自身も、甚だ遺憾であるということは司令官も認めている、そういうことも言っているわけなんです。  彼らの言うことによれば、米軍の規律では町の上で低空飛行をやってはいけないとか、あるいは航空法施行規則百七十四条を守れば起きないんだとか、こういうことを言うんですけれども、それをやらせているんだと言うんですが、なお今日起きているわけです。これは地元の知事や市町村にすれば、住民の不安、動揺というものを解消するのが最大の任務ですから、この点を国がしっかりアメリカ軍に対して申し入れをしてもらいたい、対応してもらいたいという切実な要求があるわけであります。  私も現場へ行きました。爆音によって子供が泣き出す、あるいは老人がしりもちをつくとか、あるいは普通の者でもすくむということです。ある工場は、化学工場ですけれども、かつて爆発があったということもあって、その爆音によって、従業員が食事をしておったんですけれどもみんな飛び出して、一体何事かというぐらいですから、これはかなりの衝撃音があるわけでありまして、地元にとってはかなり深刻な問題になっているわけであります。  何回も御要請申し上げておるんですけれども、ひとつ国の今日までの対応とともに、私が今お尋ねしたことについて、もう時間がありませんからまとめて御答弁願います。
  113. 田中均

    説明員(田中均君) 委員指摘のとおり、こういう事件、事故が起こっておりますことは大変残念なことだというふうに私ども考えておりまして、こういう事故の再発防止ということのために米国に対しても申し入れを行っているところでございます。  なぜこういうことが起こるかということでございますが、確たる原因というのは必ずしも明らかではないんですが、一般的な説明によれば、超音速の飛行による衝撃波によってガラスの破損等が起こっている可能性が非常に強いということでございます。私どもが米軍から聞いているところは、一定のルール、すなわち航空法施行規則に基づく飛行高度の維持であるとか、あるいは超音速で飛行しないような措置を講ずるといったようなことについていろんな角度から研究をしたいということを言っております。  私どもといたしましても、飛行訓練一般については日米安保条約の目的達成という見地から重要なことであるというふうに考えておりますけれども、やはり公共の安全というものが担保されなければいけないわけでございまして、今回、御指摘も受けまして、引き続き米軍に対してきちんとした対応をとってもらうように申し入れを行ってまいりたいというふうに考えております。
  114. 角田義一

    ○角田義一君 最後に、一つだけ要望しておきます。  日本とアメリカとの友好関係というものをきちっと維持したいという、お互いそういう立場であれば、やっぱりアメリカにも真剣に対応してもらわなきゃならないと思うんです。日本政府はそのことをはっきりアメリカに言わなきゃいかぬと思います。そのことだけちょっと言っておきます。  終わります。
  115. 笠井亮

    ○笠井亮君 日本共産党の笠井亮でございます。  私は、先日の本会議において、本法案によって新設される情報本部が今日の日米安保条約のもとにおける自衛隊の役割、それから機能の強化に関して重大な問題を持つものだという観点から質問をいたしました。  それを踏まえてきょう幾つかの問題をまず伺いたいんですけれども、最初に専守防衛との関係でございます。  総理は、今回の情報本部の新設による情報活動の充実について、あくまで専守防衛の範囲内だというふうに答弁されました。そこで、その問題に関連して長官に伺いたいんですけれども、専ら日本を守る、まさにこの立場から政府はこれまでその手段として自衛隊情報活動の必要性を強調されてきたと思うわけであります。  つまり、専守防衛の原則によるために、相手からの侵略が予想されても先制攻撃はできないこと、また我が国の国土の地理的特性と相まって我が国防衛はなかなか難しい、だから侵略者の意図や動静を少しでも早く察知してこれに対する防衛態勢をとらなければならないと。警戒、監視、偵察等が重要で、レーダー等による早期警戒機能の充実や性能のよい偵察機の装備などが必要だということで、いわばウサギの耳になぞらえて、専守防衛のためにそれを限りなく長くするんだというふうに説明をされてきたと思うんですけれども、そのことについて間違いありませんか。
  116. 臼井日出男

    国務大臣臼井日出男君) 委員お話しのとおり、我が国専守防衛を旨とする国でありまして、こういった立場から各種情報はできるだけ早く確実なものをとっていくということは極めて大切なことだと考えております。
  117. 笠井亮

    ○笠井亮君 そうしますと、自衛隊は日米安保共同宣言と新防衛計画の大綱に基づいて、アジア太平洋地域での紛争対処とかPKO出動など日本の防衛とは直接関係ない事態に機敏に対応できる体制強化を図ろうということも一方で確認されて今やられていると思うわけであります。他方で、情報本部の新設によって情報収集の範囲は広がらない、あくまで専守防衛の範囲内だというふうに説明されるのであれば、アジア太平洋地域での紛争対処とかPKO出動は今の新しい事態の中でやるけれども、それに関する情報活動はやらない、あるいはやれないということになるんじゃありませんか。
  118. 秋山昌廣

    政府委員秋山昌廣君) 専守防衛を旨とする我が国にとりまして、とにかく情勢の変化を早く察知すること、そして機敏な意思決定をするということは大変重要なことでございます。したがいまして、まさに戦略情報を含む高度の情報収集分析等を実施し得る体制というものが必要不可欠と考えているところでございます。  専守防衛我が国にとりまして、我が国安全保障にかかわるいろいろな情報をいろいろな角度でなるべく早く確保するというのは当然のことでございまして、情報本部はかかる観点を踏まえて設置されるものでございます。従来からも、アジア太平洋に限りませず世界の軍事情勢についても我々は情報収集しているわけでございまして、それらはもちろんのこと我が国安全保障にかかわる観点でやっているところでございます。  そういう意味におきまして、今回の情報本部の活動が例えばその情報の範囲というもので従来の活動と大きく変わるといったようなものではございません。
  119. 笠井亮

    ○笠井亮君 今御答弁を伺っても、今この新しい事態のもとで安保共同宣言が出され、それから新防衛計画の大綱が出たもとで、この活動範囲、自衛隊の任務を新たにやったということとのかかわりでいいますと、結局どうやってみても専守防衛ということでは説明がつかないと私は思うんですけれども、そのことは非常に重要な問題だと思います。  とりわけ、その中で見過ごすことができないと思うんですけれども、総理が答弁される中で、自衛隊と米軍との間では平時、有事とを問わず、いわば常に相互に必要な情報の交換を実施するのは当然だという立場から述べられたと私は思うんです。  私が、日本が有事でない極東有事の際にも、自衛隊が独自につかんだ戦術情報を戦闘状態にある米軍に対して提供することになるんじゃないかということを伺いましても、結局、憲法上は問題はないんだ、常に必要な情報交換をやるんだというふうにお答えがあったわけですけれども、どうしてそれが憲法上問題がないのかということについて次に伺いたいんです。
  120. 秋山昌廣

    政府委員秋山昌廣君) まず最初に、専守防衛との絡みで御質問がございましたけれども、専守防衛というのはもちろん我が国が侵略されることを防ぐ防衛ですから、これはまさに今度の新防衛大綱にいうところの我が国防衛力の役割の第一番目に書いてあるわけでございます。  しかし、我が国安全保障を確保する観点からすれば、侵略されないようにするということがよりまた重要なことであることは御理解いただけると思いますし、この新防衛大綱にも我が国防衛力の役割として今回新たに「より安定した安全保障環境の構築への貢献」というものを掲げたところでございます。あわせて申し上げますと、「大規模災害等各種の事態への対応」ということも掲げたわけでございます。  こういったものは、まさに我が国安全保障関係で、未然にこういった大変な事態が起こらないような環境の構築のための活動でございまして、そのための一つの活動としてPKOというのはあるわけでございます。そして、PKOのための情報収集をするというのはまた当然の帰結であろうと私は考えます。  それから、後半の質問でございますけれども、情報提供と憲法上の問題でございます。  日米安保体制下におきまして日米が平素から軍事情報を含め相互に必要な情報交換を行うことは当然のことであると考えておりまして、このことは我が国が有事でない場合においても何ら変わるものではございません。  なお、どのような場合に我が国情報提供を行うかにつきましては、これは具体的な事例に即しまして、国益に基づき自主的に判断すべきものであると考えております。そして、ある行為が集団的自衛権の行使に当たるか否かは、集団的自衛権が実力の行使を内容とする概念であるために、その行為が実力の行使であるかどうかにより判断されるべきであると考えるところでございます。  かかる観点から、一般的に申し上げますと、我が国防衛のために収集した情報を提供するということは集団的自衛権の行使には何ら当たるものではないと考えております。
  121. 笠井亮

    ○笠井亮君 前段の問題で、侵略されないようにするということで結局無限に広げていくということは、この前も新防衛計画大綱の問題の中で大いに問題になった点であります。  先ほど冒頭に確認させていただいたんですが、専守防衛の中身は何なのか、ウサギの耳を長くするということでやってきたのがこれまでのことじゃないかというふうに伺ったのに対して、長官もそうだということを言われたわけであります。そのことから、侵略されないようにするということと、新たに任務を加えて、結局我が国の平和と安全のためにという名前のもとに世界的な活動に広げていくということになっていくと、これはもう明らかに今までのものじゃ説明がつかない。日本の防衛とは無関係な事態に対して、従来の政府説明さえ踏み越えて進んでいくということになっていくと思うんです。だから、そこは非常に重大な問題だと思います。  それから、後段の問題で、具体的事例というふうに言われましたので私も具体的に伺いたいと思うんですけれども、AWACSとかP3C等で得た情報を日本が平時のときに朝鮮有事で作戦行動している米軍に知らせるのかどうか、この問題はどうでしょうか。はっきり情報提供するのかどうかということであります。
  122. 秋山昌廣

    政府委員秋山昌廣君) どのような場合に我が国我が国独自で得た情報を提供するかということは、先ほど申し上げましたように、その状況に照らしまして、そして国益に基づいて自主的に判断をするわけでございますので、そういう具体的なケースが起こりましたときに判断をするということでございます。  なお、先ほども申し上げましたけれども、集団的自衛権というのは実力の行使ということと絡んでいるわけでございます。一般的に申し上げまして、我が国防衛のために収集した情報を提供するということは何ら集団的自衛権の行使とは関係がないというふうに考えております。
  123. 笠井亮

    ○笠井亮君 私が伺った具体的事例についてはどうですか、AWACS、P3Cなどの先ほど申し上げたそういうケースについて。
  124. 秋山昌廣

    政府委員秋山昌廣君) 具体的事例という御指摘でございますが、それはその情報収集手段についての指摘でございまして、そこで得た情報をどのように提供するのかということは、そのときの状況、そして具体的なその場の事例に即して、かつ国益に即して判断をするということでございますから、今の事例でお答えすることはできません。
  125. 笠井亮

    ○笠井亮君 もともと政府は戦術情報、タクテイカルな問題は、日本を守るという自衛隊目的からして、七十六条の事態ですね。つまり自衛隊法の七十六条で、外部からの武力攻撃に際して、我が国防衛するために必要と認めた場合ということにならないと知らせる必要がないという立場をもともととってこられたと思うんですけれども、そういう点から見て、先ほどの何ら問題ないというのはどういうふうに説明をなさるんですか。
  126. 秋山昌廣

    政府委員秋山昌廣君) 冒頭にお答えいたしましたけれども、日米安保体制下におきまして日米が平素から軍事情報を含めて相互に情報交換を行うことは当然のことであろうかと考えております。
  127. 笠井亮

    ○笠井亮君 安保のもとで相互にやるのは当然のことだということで、これまでの情報の問題も、先ほど私が申し上げたのは一九七五年十二月の衆議院内閣委員会での防衛局長の答弁ですけれども、その後、情報問題そのものについてもさまざまな議論があったと思います。それは私も会議録を読んでいろいろ勉強しましたけれども、情報を交換するという問題、米軍との間でやること自体が非常に重大な問題としてあったし、それがもともと政府自衛隊法とのかかわりあるいは憲法とのかかわりでできないんだという立場、日本の防衛で日本が攻められてきたとき以外はできないんだということで出発してきたはずだと思うんです。  それが今、安保があるからやるのは当然であります、いつでもやりますということで、私が申し上げたような具体的なケースについても否定もされないということになりますと、これはいわゆる紛争に共同で介入する行為につながっていく、少なくとも相手国からはそう見られるということになっていくと思うわけでありまして、それが憲法上許されるかということが今問題になってきていると思うわけであります。そこのところはやっぱり非常に重大な問題だというふうに私は申し上げたいと思います。  そこで、関連しまして、日米物品役務相互提供協定、いわゆるACSAの問題で、その運用に関連して幾つか具体的に伺いたいと思うんですけれども、このACSAに基づいて提供される後方支援、それから物品役務の内容の一つとして通信というのがあると思います。ACSAの付表には、「通信設備利用、通信機器」というふうに記されておりますけれども、この意味はどういうことでしょうか。自衛隊の通信システムを米軍に提供するということも含んでいるのか、それから米軍のための情報収集も含むということなのか、または米軍との通信情報収集の共同訓練についても既にこのACSAに先立って実績があるのかどうか、幾つか具体的な問題なんですけれども、お答えいただければと思います。
  128. 荒井寿光

    政府委員(荒井寿光君) ただいまお尋ねの通信でございますが、通信とは、共同訓練または国際平和維持活動等の場において必要となる部隊間の通信を通信設備を用いて媒介し、または必要となる通信機器等を提供するものであります。  具体的な役務の例示は次のとおりでございまして、みずから構築し保有する通信回線やNTT等の電気通信事業者の通信回線を使用して通信を媒介すること、電気通信事業者から借り上げた携帯電話を使用させることなどが具体的な例として挙げられると思います。  また、物品の場合には、共同訓練または国連平和維持活動の場で使用するための携帯型無線機、電話端末、ファクス端末、小型交換機など、それからそれらの通信機器で使用する消耗品、例えばファクス用紙や電池などでございます。
  129. 笠井亮

    ○笠井亮君 後段の質問に対する答弁はいかがですか。通信システムを米軍に提供するのか、それから米軍のための情報の収集も含むのか、それから米軍との通信情報収集の共同訓練について今までそういう実績があるのかということなんですが。
  130. 秋山昌廣

    政府委員秋山昌廣君) 米軍のための情報収集も含むのかという御質問に対しては、このACSA、日米間の物品役務相互提供協定はつまり物品役務サービスでございますから、米側にかわって情報収集をするというものは含まれないと考えます。
  131. 粟威之

    政府委員粟威之君) 通信訓練につきましてはかねてから実施しております。
  132. 笠井亮

    ○笠井亮君 このACSAは対象について日米の共同訓練とPKO活動、それからさらに人道的国際救援活動ということで、三つの分野で具体的に書かれていると思います。  まず、共同訓練のことについてなんですけれども、自衛隊による米軍への燃料提供などについては既に共同訓練などで行ってきた実績があるんじゃないかと思うんですけれども、昨年一年間の日米共同訓練の中でどの程度燃料補給などを行ったのか。それから、ことし一月には米空母のインディペンデンスと海上自衛隊の護衛艦などが洋上補給訓練を行っていると思うんですけれども、それについて間違いないかどうかお答えいただきたいと思います。
  133. 荒井寿光

    政府委員(荒井寿光君) 昨年一年間の日米共同訓練におきましてアメリカへの燃料貸付実績は、海上自衛隊が五回、約一千七百キロ、それから航空自衛隊が三回、約三千八百キロでございます。  それから、本年の一月二十三日にはアメリカの空母インディペンデンスに洋上給油二千二百キロを実施しております。
  134. 笠井亮

    ○笠井亮君 インディペンデンスはその訓練の一カ月半後に台湾海峡に行ったわけですね。  そうしますと、これまで既に実施しているというふうに補給の問題で答弁があったわけですけれども、これまでは特例措置として次官通達などで行われてきたものをまさに法的に追認して、そしてさらに適用対象の範囲を一気に広げてPKOなど地球的な規模での日米軍事協力も可能にしようとしているのがACSAだというふうに私は理解をするわけであります。  そのPKOと人道的国際救援活動の場合の後方支援についてなんですけれども、ACSAではPKO法によってこれを行うというふうにしていると思うんですけれども、周辺地域の重大事態という場合の人道的国際救援活動というのはどのようなものを想定されているのか、それからその活動を行う場合の前提条件となるのはどういうことなのか確認しておきたいと思うんですけれども、いかがですか。
  135. 秋山昌廣

    政府委員秋山昌廣君) 恐縮ですが、ちょっと御質問趣旨が必ずしも明確にはわかりませんでしたが、まず一つ質問に対してお答えしたいのは、PKO活動は武力行使でもなければ海外派兵でもないということでございまして、先生は日米軍事協力ということをおっしゃいましたけれども、平和維持活動に対する協力というふうにぜひ御理解いただきたいと思います。  それから、周辺地域での人道援助、人道活動に対しての前提条件その他についてございましたが、人道援助につきましては、御案内のように、PKO法、平和協力業務法に基づきまして規定されているその仕組みによって要請される業務でございまして、例えば国連あるいはその他の国際機関からの要請があって、かつ平和協力業務法の種々の条件、三原則ということになろうかと思いますけれども、そういった条件を満たしているような案件というものでございます。
  136. 笠井亮

    ○笠井亮君 PKOについてはこの間もいろいろ議論もあったところですから、その性格についてはまた別の機会にやります。  そうしますと、周辺地域の重大事態という場合の人道的国際救援活動の場合にも、今おっしゃったような前提条件が満たされればやるということですね。
  137. 秋山昌廣

    政府委員秋山昌廣君) 今、国会にも御審議をお願いしているこの日米物品役務相互提供協定の中では、平和協力業務あるいは国際的な人道援助活動はいずれも我が国の国際平和協力業務法に準拠するということになっておりますので、その法律に従ってやるということでございます。
  138. 笠井亮

    ○笠井亮君 その人道的救援活動ということで、極東有事の際に、自衛隊が米軍への難民の救出とか、それから輸送、通信、修理などの協力のために発動する、動くということはあるんでしょうか。
  139. 秋山昌廣

    政府委員秋山昌廣君) 極東とかいう地域の制約に関係なく、この国際平和協力業務法に基づいて行われる国際人道援助活動であれば、その限りにおいて日米間で物品役務の相互提供はあり得るということでございます。
  140. 笠井亮

    ○笠井亮君 そうしますと、人道救援、支援という名前にしていれば事実上の有事にも軍事の協力ができると。先ほど局長はそれは軍事じゃないんだということをおっしゃいましたけれども、協力ができる道を開くものであって、これは非常に重大な問題だと思うんです。  関連して、村田防衛事務次官が先日の記者会見の中で、通常は平時だろうけれども、条文の上では有事、平時とは言っていないということをお述べになって、緊張が高まっている状態の中で共同訓練や人道的救援の名前でこの協定が適用されて米軍への協力ができるという旨のことを述べられたというふうに伝えられています。他方で、その翌日、長官は記者会見で、共同訓練は有事では通常行われないというふうに述べられて、その上で、現在の条文ではACSA適用というのは平時に限定されるというふうな考えを示されたと思います。  長官、日本有事、極東有事を含む重大な事態にこの協定は適用しない、平時に限定されるということでよろしいわけですね。
  141. 秋山昌廣

    政府委員秋山昌廣君) この日米物品役務相互提供協定につきましては、自衛隊と米軍の間で平素から相互支援の体制を確立しておくことが日米安保条約の円滑かつ効果的な運用を図る上で重要であるとの観点から、自衛隊と米軍相互のニーズを精査いたしまして判断した結果、共同訓練、国際平和維持活動及び人道的な国際救援活動をこの協定の適用対象とすることで合意したところでございます。  そして、今御質問の中にございましたように、本協定は有事とか平時とかいった概念を使用しておりませんが、本協定が共同訓練、国連平和維持活動及び人道的な国際緊急援助活動を適用対象とするものでありますことから、本協定はいわゆる有事における物品または役務の提供を想定しておりません。
  142. 笠井亮

    ○笠井亮君 秋山防衛局長御自身の発言ですけれども、五月十四日の衆議院の安全保障委員会で、自衛隊提供の部品をつけた米軍航空機あるいは艦船などの装備が自衛隊との共同訓練が終わった後に別のオペレーション、作戦に出ることを妨げるものではないという形で答弁されていると思うんですけれども、たまたま結果的にそうなる場合でも構わないということなのか、それとも共同訓練直後にオペレーションに出ることが想定される場合でも適用するつもりがあるのかということについて伺いたいと思います。
  143. 秋山昌廣

    政府委員秋山昌廣君) 私が五月十四日の衆議院安全保障委員会で、日米物品役務相互提供協定に基づき共同訓練のために部品の提供を受けた米軍部隊が共同訓練後に別のオペレーションに向かうことが妨げられるわけではない旨答弁したことは事実でございます。そして、これは共同訓練等の際に提供を受けて装備品等に取りつけました部品を共同訓練後直ちに取り外して返還することが必ずしも合理的でないことがあり得るわけでございますから、本協定では例えば同種、同量、同等の部品を後日返還することが許容されている、そういった趣旨を述べたものでございます。  いずれにいたしましても、本協定があくまで共同訓練等限定された場合における、しかもその具体的なニーズに基づいて適用されるものであること、また厳格な手続のもとで提供された物品役務の返還が義務づけられていること等にかんがみまして、本協定のスキームをもっていわゆる有事において行動中の米軍部隊への補給等が行われるというふうに考えるのはいかがかと思いますし、そういうことは困難であるというふうに考えております。
  144. 笠井亮

    ○笠井亮君 実際にそういうケースが考えられないことはないわけで、今合理的ではないということだとか、あるいは限定的な具体的ニーズということをおっしゃいましたけれども、時間的にも地理的にも米軍の武力行使と接近した共同訓練の中でも日本の後方支援が可能になるというような形での解釈があり得るとすれば、これも重大な問題だと思うわけであります。  アメリカのウェスト陸軍長官が先月二十九日にこの問題で、戦争が宣言されたもとでは共同訓練とは言わないという形で、いわば逆説的な表現を使って発言をしているわけです。つまり、これは宣戦布告がない限り、地域の緊張が高まったような有事に際しての共同訓練でも日本による後方支援を想定し得るということを言っているというふうに理解できるわけです。  戦後五十年にわたって、朝鮮戦争もベトナム戦争もあるいは湾岸戦争にしても、宣戦布告をした戦争などはないわけでありまして、アメリカから見れば、ウェスト長官の発言というのはいわば無制限に後方支援を求めてきているということで、そういう要求なんではないかというふうに思うわけです。  このようにして、戦闘作戦行動に出る米軍への武器部品なども含めて提供することになれば、明らかにこれは集団的自衛権の行使そのものになるんじゃないかと思うんですけれども、その点での御見解をいただきたいと思います。長官、お願いします。
  145. 秋山昌廣

    政府委員秋山昌廣君) 今回の日米間の物品役務の相互提供はその対象を共同訓練等に限っているわけでございます。かつ、共同訓練と申しますのは自衛隊と米軍との共同訓練でございますが、防衛庁のあるいは自衛隊業務としては防衛庁設置法第六条第十二号でいうところの「所掌事務の遂行に必要な教育訓練」という中でやる共同訓練でございます。その共同訓練目的あるいは内容が今申し上げました設置法にいうところの防衛庁の所掌事務の遂行に必要な範囲内である限りにおきまして我々はこの共同訓練をやるつもりでおりますし、その限りにおいて物品役務の相互提供というものを行いましてその共同訓練を効果的なものにしたいと考えているわけでございます。  今申し上げましたようなことから、これが憲法上の問題が生じる余地はないと考えているところでございます。
  146. 笠井亮

    ○笠井亮君 もともとアメリカ側には平時とか有事の区別がない。それから、梶山官房長官は既にACSAの有事適用について研究をしていくことが大切というふうに述べられておりますし、アメリカとNATO諸国の間並みにACSAの適用範囲を変更、拡大していくという議論も強まっている中で、今問題になっているACSAであれ、新たな枠組みへの変更であれ、戦闘状態の米軍に協力することは憲法上許されないとしてきた集団的自衛権の行使につながるものだということで、これは政府が言ってきた理屈によっても認められないものだというふうに私は思います。そのことを最後に申し上げて、質問を終わります。
  147. 宮崎秀樹

    委員長宮崎秀樹君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  148. 宮崎秀樹

    委員長宮崎秀樹君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  149. 笠井亮

    ○笠井亮君 私は、日本共産党を代表して、反対の討論を行います。  本法案は、日米安保共同宣言と新防衛計画の大綱のもとで、自衛隊がアジア太平洋地域での紛争対処やPKO出動などに機敏に対応できる体制強化する一環として、情報機能を拡充強化し、専守防衛のための情報活動という従来の政府説明さえ踏み越えて、日本の防衛とは無関係な事態に対応することに踏み出すものであり、極めて重大なものです。  今回新設される情報本部は、平時、有事を問わず米軍との間での情報の交換を一層強化し、極東有事の際にも、自衛隊が独自につかんだ情報を戦闘状態にある米軍に提供することに道を開くものであり、集団的自衛権の行使にかかわる問題として憲法上許されません。また、戦略情報を含む高度の情報分析体制をつくるためとして、自衛隊独自の偵察衛星の保有につながるものであり、それは宇宙平和利用に関する国会決議に反するものであります。  さらに、情報本部の新設によって、陸海空自衛隊の統合運用態勢確立を図り、統幕会議の機能を強化し、ひいてはシビリアンコントロールを弱めること、また従来行ってきた外国の通信・電波傍受の活動を一層強化しようとしていることは重大です。  以上を指摘して、反対討論を終わります。
  150. 宮崎秀樹

    委員長宮崎秀樹君) 他に御発言もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  151. 宮崎秀樹

    委員長宮崎秀樹君) 御異議ないと認めます。  これより採決に入ります。  防衛庁設置法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  152. 宮崎秀樹

    委員長宮崎秀樹君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  153. 宮崎秀樹

    委員長宮崎秀樹君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  午後一時四十五分に再開することとし、休憩いたします。    午後零時四十二分休憩      —————・—————    午後一時四十五分開会
  154. 宮崎秀樹

    委員長宮崎秀樹君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調査並びに国防衛に関する調査を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  155. 永野茂門

    ○永野茂門君 最初に、極東有事に際しての集団的自衛権行使などの検討のあり方について官房長官にお伺いいたしますが、その前に、さきに行われました日米首脳会談ではすばらしい成果をおさめられ、二十一世紀に向かって日米両国がかたいきずなのもとに日本の安全、そしてアジア太平洋地域の安定、平和、ひいては世界の発展に対して重要な役割を果たしていくということを約束し、具体的にはまたいわゆるガイドライン、日米安保協力のあり方の研究、極東有事の際における協力のあり方について、さらに一歩進めた研究を臨場感あふれる姿でやっていくというように決定されました。大変に喜ばしいことであると思います。  そこで、私は本日、集団的自衛権の行使を直ちに採用しろとか、そういうことを申し上げるつもりはありません。こういうものを決定する場合に、どういうようなことを検討しながらどういう考え方でやっていくべきであろうかということについて申し上げたいところであります。  御承知のように、政府は極東有事あるいは日本周辺地域事態における日米協力のあり方について、現行の憲法解釈のもとで我が国は何ができるかを検討しようとしております。これそのものはそれだけの重要な意義を持っておりますが、この種の事態対処におきましては、日本の安全でありますとかアジア地域の平和、安定のために我が国は何をしなければならないのかをまず検討すべきではないかと私は考えます。その際、憲法解釈を含む現法制の枠を超えて検討することも必要ではないでしょうか。  また、集団的自衛権を行使しないようにした場合、その不行使を継続する場合において、日米関係やアジア太平洋、ひいては世界の安定、平和にどのような影響を及ぼすかについて国民に明らかにすべきであると考えるものであります。この点について官房長官の御見解をまず承りたいと思います。
  156. 梶山静六

    国務大臣(梶山静六君) 委員指摘のとおり、過般の日米首脳会談、冷戦終結後の現状を踏まえていろんな議論がなされ、若干の結論も出たわけであります。  よく誤解をされることは、集団安全保障に踏み込まなければ一朝有事の際に物事をなすことができないのではないかという議論もあることは承知をいたしておりますが、私たちは現行の平和憲法を守りながら、なおかつこの憲法解釈の中で何ができるか、この問題を検討しなければならないというふうに考えております。  ただ、今ありますことは、完全な自衛権の中でも、完全な自衛権の行使の中でもまだ法制化をされていない、あるいは想定をされていない、そういう問題が幾つかあるわけであります。ですから、戦後五十年たった今、この日米安保条約というのは、貧しい、弱い日本という国を、武力を放棄した日本を助けるというのが発生起源ではなかったかと思いますが、五十年たった今日、日本も経済力を増し、日米安保条約というその中でアメリカだけに依存をしていいのかどうなのかというのはもちろんこれは大きな問題がありますから、自衛隊があることは、自衛権があることは当然のことであります。  しかし、一方、アメリカと日米安保条約を結んでアメリカだけに日本の有事の際守ってもらう、その片務状態が果たしてアメリカの国民の納得を得られるものかどうか。これを考えますと非常にバランスに欠けた感じすらするわけであります。  そして、私たちは今、憲法の許す範囲内、また米軍の日米安保条約に期待をするもの、こういう中でどういうものができるかということをこれから検討し、そしてその中でさらにもう一回厳密な憲法解釈を行いながらその事態に対処していく、このための作業を始めようとしているわけであります。
  157. 永野茂門

    ○永野茂門君 何ができるかということを検討する前提の頭の中には、少なくもこういうことをやるべきではなかろうかということがあるはずであります。いずれにいたしましても、冷戦後、二十一世紀に向かっての重大な転換点に立ちましてこれからの我が国の進路を過たないように、特に将来を洞察して国民とともにその準備を怠らないことが必要だと思います。繰り返しますけれども、どうか集団的自衛権の行使につきましては、これを不行使でずっと通すといった場合の影響についても十分検討され、国民とともに考えるようにしていただきたいと思います。  次に、類似の問題でありますけれども、武力行使を伴う多国籍軍などに我が国が参加することにつきましても、これを違憲として不参加を続ける場合、経済大国でありP5とともに国連の主要な国であり、そして米国とともに国際的なリーダーシップを期待されている我が国の地位と国際的な役割にかんがみまして、今のような状態を続ける場合に国際的な影響をどのように見積もっておられるか。これも私は政府はだんだんと国民に明らかにすることが重要であると考えます。この件につきましての官房長官の御見解を承りたいと思います。
  158. 梶山静六

    国務大臣(梶山静六君) 私は、現在の極東の状態を見て、直ちに有事体制が有事になるというふうには理解をいたしておりません。平和維持のために我が国はどういう力をいたすことができるか、これが私は第一義的に大切なことだと思います。  それから、もう委員は専門家でありますから百も承知のことでありますが、百年兵を養うはこの一事のためなりということもありますけれども、万が一にも起きないことを想定しながら、なおかつ私たちはその準備もいたしておかなければならない。それは、私たちが憲法上、武力をもって他国との間の交渉事をなさないという大前提の上に立ってでありますから、このことを踏まえてやるならば、私はその有事の際の対応はおのずと理解をされる状態でなし得るというふうに確信をいたしております。
  159. 永野茂門

    ○永野茂門君 今PKO法のいわゆるPKF条項は凍結されておりますが、この凍結ももはや解除すべき状況に達していると私は考えるものであり、アメリカやEUなどとともに世界の紛争の予防、平和の回復、維持などにも主要な役割を日本は分担すべき時代に入ったと認識すべきではないか、こういうように考えるものであります。  長官、いろいろとお考えのことだと思いますが、その辺につきましても深い洞察力を持って国を引っ張っていかれることをお願いいたします。  第一問については終わります。  次に、防衛の所要と宇宙利用などにおける平和原則との調節について防衛庁長官にお伺いいたします。  我が国の戦略情報分野での偵察衛星利用は必要不可欠なものであり、また将来、対ミサイル防衛システムを展開し、これを運用することは我が国の安全にとって必須のものであると考えます。  宇宙利用する偵察衛星は直接の攻撃武器ではありませんし、対ミサイル防衛システムは防御専用の武器システムであり、ミサイル防衛につきましては他に代替する手段はありません。そういう点から考えますと、国会決議にいう平和原則にこれらの二つのシステムは反しない、こういうように解釈していいのではないか、そういうように認めるべきである、こう考えるわけであります。これについて、防衛庁長官はどういうような御見解をお持ちでしょうか、お伺いいたします。
  160. 臼井日出男

    国務大臣臼井日出男君) 専守防衛を旨とする我が国防衛にとりまして、各種情報機能充実は極めて重要であります。そのことから、防衛庁といたしましても、有力な情報収集手段一つである偵察衛星につきましては従来より関心を有しているところでございます。  ただいま委員から御指摘をいただきました国会決議の件につきましては、国会決議有権解釈につきましては国会でなされるものでございますが、その利用一般化している衛星及びそれと同様の機能を有する衛星につきましては、自衛隊による利用も認められるものと考えております。  現在のところ、偵察衛星の保有につきましての構想ないし計画はございません。しかしながら、今後具体的な問題が生ずれば、それに応じて十分検討いたしてまいりたいと考えております。
  161. 永野茂門

    ○永野茂門君 偵察衛星につきましてはもう長い間この保有について論議が行われておるわけでありまして、ぼつぼつこれの保有、運用について一歩踏み出すべき環境に達しつつあるのではないかと思います。  そこで、防衛庁は現在米国が開発しつつあるTMDあるいはBMDの共同開発に参加するかどうかということについて調査研究を行っておりますが、現在の調査研究状況について承りたいと思います。
  162. 秋山昌廣

    政府委員秋山昌廣君) 弾道ミサイル防衛につきましては、我が国防衛政策上の位置づけですとか我が国の対応につきましての政策判断を行う必要があると考えておりますが、そのためには弾道ミサイルの脅威、それから弾道ミサイル防衛システムの具体的内容あるいはその技術的可能性、費用対効果等、多岐にわたる問題につきまして検討することが必要であります。現在、日米共同で研究を進めているところでございます。  平成七年度予算におきましては、我が国の防空システムのあり方に関する総合的調査研究に係る経費を計上いたしまして、弾道ミサイル攻撃などの空からの脅威に対処するための防空システムの機能、性能等について委託研究を実施したところでございます。八年度予算におきましても、引き続き本調査研究を行うため所要の経費を計上しております。  防衛庁といたしましては、これによりまして弾道ミサイル攻撃などの空からの脅威に対処するための防空システムについて分析評価を行いまして、本件政策判断に必要な技術的資料の収集に当たりたいと考えております。そして、このような検討をも踏まえまして弾道ミサイル防衛に関する政策判断を行っていく、そういうプロセスに入っていくということでございます。
  163. 永野茂門

    ○永野茂門君 米側の研究開発がどの程度進んでいるかということは御掌握だと思いますが、もしお話しできるならばそれを話していただきたいし、そしてそれに対して日本側はどういうような検討をしつつあるか、これもお話し願いたいと思います。
  164. 秋山昌廣

    政府委員秋山昌廣君) 現在、我が国は弾道ミサイル防衛構想ということで、BMD研究ということでやっておりますが、御案内のとおり、米国はTMDという戦域ミサイル防衛についてかなりの研究が進められているというふうに理解しているところでございます。もちろん、いわゆる宇宙配備の要撃兵器から国家ミサイル防衛、いろいろなプロセスがあって、現在このTMDというものをやっているわけでございます。  TMD構想の概要は御案内のことかと思いますけれども、戦域、戦術ミサイルから在外配備の米軍、それから同盟国、友好国、これを防衛する構想でございまして、上下二層の防衛が必要だという考えであります。そして、当面、まず現有の防空システムの能力向上を行う、続いてペトリオット、それから戦域高高度地域防衛ミサイル、これはTHAADと言っておりますが、そういったもの等との組み合わせによる新しい防衛システムの開発を実施するという構想と承知しております。  経費につきましては、一九九七年度から五年間で約百四十億ドルをBMDというものに投入する、そのうちTMDにその予算が配分されると聞いております。一九九六年度予算ではBMD予算約三十五億ドルのうちTMDに二十三億ドルが投入されるということで、かなりの予算を投入して研究開発を進めていると承知しております。
  165. 永野茂門

    ○永野茂門君 次に、本件に関連いたしまして、宇宙利用において平和利用でなければいけないとか原子力において平和利用でなければいけないとか、こういうことが日本では非常にやかましく言われて、これは非常に大事な原則ではあります。  しかしながら、そういう考慮をしても当然使うべきもの、あるいは当然軍事目的で使用していいようなものまでもこれを非常に忌避するという風潮があるわけであります。私はこれについて、例えば平和イコール非軍事とかあるいは軍事力即侵略戦力であるとか、こういう風潮は全くの誤りであって、その辺を基本的に直さないと日本の物の考え方が修正されていかないし正常な判断ができない、正常な政治、正常な国家行為ができないということに陥っていく、あるいは現在残念ながらそういう状況にある、こういうように見ています。  世界の今の情勢は至るところで紛争が行われ、至るところで国連の平和維持活動あるいはその回復活動が行われておるわけでありますが、こういうものを見るまでもなく、現在、軍事力が平和の創出でありますとか維持回復に重要な役割を演じていることについて論をまちません。したがって、こういうことにつきましてもっともっと国民に訴えて、これは憲法の精神に反するものではなくて憲法の精神に全く合うものでありますから、そういうことに一層努力する必要がある、こういうように私は考えておりますが、防衛庁長官の御所見を承りたいと思います。
  166. 臼井日出男

    国務大臣臼井日出男君) 先ほど来、防衛局長からお話を申し上げておりますが、弾道ミサイル防衛につきましては我が国防衛政策上の位置づけや我が国の対応につきましての政策判断を行う必要がある、こういうことで、先ほど来申し上げておりますとおり、そのために弾道ミサイルの脅威、弾道ミサイル防衛システムの具体的内容、その技術的可能性、費用対効果等多岐にわたる問題について検討を進めることが必要であり、現在、日米共同で研究を進めているところでございます。  委員お説のとおり、現時点では我が国に必要とされる弾道ミサイル防衛システムがいかなるシステムであるか明らかになっておらないわけでございまして、それらが具体化する時点で先ほど来お話し宇宙平和利用に関する国会決議との関係も明確にいたしたい、こう考えております。  なお、私もこれらの問題については防衛庁の方にも、ぜひとも早い機会にこの研究の区切りをつけ、このことをはっきり決めるようにということを申し伝えている次第であります。
  167. 永野茂門

    ○永野茂門君 この質問の終わりに私が質問いたしました軍事力の平和に対する意義、これについてもっと国民に訴えたらいかがですかという質問に対してはいかがお考えでしょうか。
  168. 臼井日出男

    国務大臣臼井日出男君) 我が国防衛は私ども防衛庁自衛隊が担当いたしているわけでございますが、委員お話しのとおり、我々の力だけで日本を守るということはできないわけでございまして、国民の広い御理解と御支持がなければできません。そういう意味におきまして、これからもできるだけ国民が我々の活動を御理解いただけるようにしっかりと国民にも訴えてまいりたい、このように考えております。
  169. 永野茂門

    ○永野茂門君 ぜひ国民が軍事力の意義を十分理解し我が国防衛が万全を期することができるように、政府一体となってぜひ御努力を願いたいと思います。私ども政治の側におきましても、もちろん与党、野党を問うことなく、この点については一体となって努力する必要があると感じております。  次に、毅然たるアジア外交のあり方についてということで官房長官の御見識を伺いたいと思います。  中国、ロシア両国、特に中国がアジア太平洋地域の将来に非常に大きな影響を与える国となってきておる、将来はますますその傾向が強くなるということは人口に膾炙され、そして多くの人が認めておるところであります。両国がより一層国際協調路線にコミットするように、日米両国は根気強い共同努力を継続しなければならないと思います。  そこで、中国の状況を見ますと、核実験の継続、台湾に対する武力威嚇、軍事力の増強あるいは領域法による係争地域の一方的な領有宣言といいますか帰属宣言など、非常に一方的な自己主張をやっておるわけであります。これに対して我が国が抗議を継続していることは十分承知しておりますけれども、必ずしも明確に我が国の反対意思を伝達しているとは認めがたいものがあると見ます。  そこで、例えば経済協力の部分的なカットでありますとか縮小でありますとか、その他一層明確な具体的意思表明の手段を用いて、将来覇権志向になり得る芽を摘み取るということで、先ほど申し上げました基本的な考え方である、中国などが一層国際協調路線にコミットし国際ルールに従って民主的、自由な状態を続けるということをかち取らなければなりません。そういうための継続努力というのは非常に大事だと思いますが、官房長官はいかにお考えでありましょうか。とにかく大変にソフトな道と、それから一方でやはりしっかりした毅然たる態度による説得あるいは意思表示をちゃんとやる必要があると思いますが、官房長官はいかにお考えでございましょうか。
  170. 梶山静六

    国務大臣(梶山静六君) 我が国は、中国が均衡のとれた経済発展を維持し、また日中間の協力関係を深めていくことがアジア太平洋地域、ひいては世界の安定と繁栄につながるというふうに考えております。我が国はこのような認識に基づき、引き続き中国の改革・開放政策を積極的に支援していくとともに、対話を通じて核軍縮等に関する国際社会の関心を中国側に率直に伝えていくことにより日中間の協力を促進し、未来志向の日中関係を築いていくべきだ、原則的にはこのように考えております。  残念ながら核実験その他が現在も進行し、終結をしたとは断定できない状況にあります。ですから、この核実験の実施を踏まえて、中国が核実験停止を明らかにしない限り、対中無償資金協力の一部の例外を除き供与しないという前例のない強い措置をとったところでもございます。そして、今般の中国の台湾沖での軍事演習に関しては、東アジアの平和と安定の観点から我が国としても憂慮しており、先日の日中外相会談において外務大臣から、国内の反応には強いものがあり、今回のやり方には疑問を呈さざるを得ない旨を率直に伝達をしたところであります。  このように、我が国は中国に対して我が国の立場を明らかに伝えてきております。ただ、強い調子と弱い調子というものは一律的に言えば軍事的なものあるいは平和的なものというふうに誤解をされがちでありますが、日本は武力をもって他国を威嚇しない、この大前提があるわけでありますから、対話を通じてこの問題は処理をしていく、そして中国が健全な経済政策やあるいは国民生活の向上等を通じて平和志向になっていくことを私たちは願っていかなければならないというふうに考えております。  そういう観点から、これからも対中経済協力、なかんずく円借款を通じて対中政策の基本的な部門を我々は形成をしていく、こういうことを継続することによってこれからの中国の、いわば穏健路線と言っていいのかどうかわかりませんが、中国がアジアの中において平和的な友好的な安定勢力になることを我々は望んでいかなければならないというふうに考えております。
  171. 永野茂門

    ○永野茂門君 官房長官のおっしゃることはよくわかりますし、大体その方向へ行っておると思いますし、軍事力などをこういうところに持ってくることはもうナンセンスであることは言うまでもありません。  ただ、日本の中でもそれから諸外国のいろんな幹部と話し合ってみても、中国だとか北朝鮮、北朝鮮とは国交がないわけでありますけれども、朝鮮半島の北、南等に対する日本の顔は非常に弱い、弱過ぎる。大事なときにはやっぱりきりっとした顔をするのが本当じゃないかという声も非常によく聞きますし、私もそういう感じを持つことが多いわけでありまして、そういうことは十分御勘案を願いたい、こういうことを申し添えさせていただきます。  次に、北朝鮮等の問題について触れたいと思います。  北朝鮮の核疑惑もまだ引き続き警戒のシグナルを送る必要があり、絶対にその開発を進めさせてはいけないと思います。また、ミサイルをよく日本海に実験的な射撃と称して試射を行っておりますが、これは一種の威嚇でありまして、しかしこういうことについては断固とした態度で意思を表明する必要があると考えます。  韓国との関係では、竹島問題はやはり領土の問題でありまして、主権の問題でありますので、これは画然とした取り扱い、ちゃんとした話し合いといいますか抗議をし、いい解決方法を見出さなければならないと思いますが、国際司法裁判所に訴えることについても韓国側は拒否しております。いずれにしろ協議機関を設置して、韓国の実効支配を白紙に戻すような調整を進めるべきであると考えます。  私がこの第三問で訴えようとしていることは、これらの近隣諸国に対して良好な関係を保ちながら、つまり経済的にも政治的にも友好的な支援を続けながら、その中で将来に禍根を残すようなことがないように毅然たる外交をさらに工夫する必要があると考えるということであります。官房長官の御見解を承ります。
  172. 梶山静六

    国務大臣(梶山静六君) まず第一に、北朝鮮の核疑惑ないしはミサイルの威嚇発射についてでございますが、北朝鮮の核兵器開発問題は国際的な核不拡散体制やあるいは国際社会の安全保障にかかわる重大な問題であります。我が国自身が直面する安全保障の重大な懸念でもあるわけであります。しかし、日本が単独でこの懸念を払拭することは残念ながら今の状態では十分ではございません。  ですから、一九九四年十月の米朝合意は北朝鮮の過去、現在及び将来の核開発に関する透明性を確保するとともに、北朝鮮の核兵器開発の可能性を将来にわたって封じようとするものであり、我が国としても右の合意を支持し、また合意の実施過程において北朝鮮が南北関係により前向きに取り組む等、国際社会の一員として責任ある態度をとるならば北東アジアの緊張緩和につながるものだ、このように考えております。  今後とも我が国としてはKEDO等に対する積極的な貢献を通じて北朝鮮の核兵器開発問題の解決に向け、米国、韓国と共同歩調をとりながら最善の道を尽くしたい、このように考えております。  なお、韓国との関係について、特に竹島問題の領有についてでございますが、協議機関を設けてということもございますけれども、これはそれぞれの主権の主張でございます。韓国の領有権については我が方の立場は一貫しているものでありますし、韓国側に対して各レベルにおいてあらゆる適当な機会をとらえて我が方の立場を申し入れる等、外交努力を重ねてきていることは御案内のとおりであります。  したがって、韓国の竹島に対する実効的支配が既に確立している、あるいは今後確立されるというようなことはないわけであります。有効に支配をしていないという現実、というのは平穏でないということでありますから、平穏ではなくそれぞれが異議を唱えているわけでありますから、それはそういうことにはならないというふうに考えております。  韓国側が、竹島は自国の領土である、我が国が竹島の領有権を主張しているのは韓国として容認し得ず遺憾であるとの立場で、かかる状態にかんがみれば、御指摘のように両国間で協議機関を設置して本件を調整していくというのは、両方の主張が違うわけでありますから、お互いに放棄をしない限り私はこの問題の二国間の調整というのは大変難しい、現実的なものではないというふうに考えております。
  173. 永野茂門

    ○永野茂門君 官房長官に対する御質問はこれで終わるわけですが、以上、官房長官に対する二つの質問、そして真ん中の防衛庁長官に対する御質問、私がこの三つを特に取り上げたのは、この前の日米会談が一つの契機となるべきものであると考えるわけですけれども、とにかく二十一世紀に向かって日本はこれだけの力を持ち、今後もこれだけの力を維持しながら、あるいはそれを拡大しながら、とにかく世界のリーダー国の一つでありますので、そのリーダー国の一つとしてそれにふさわしい国際的な役割、責任を果たしていく、そういう体制に本当に転換していかなきゃいけない時期が今であると思うからであります。そして、これを逃すとなかなか再びチャンスが来ないのではないか、この数年間が本当に大事な時期であると思うわけでありまして、いろんな日本の物の考え方、日本の国家の哲学、そういうものを本当にここで見詰め直してちゃんとした展開をやらなきゃいけない、こういうように感じておりますので、特にこの三つを取り上げて官房長官の御高見を拝聴したわけでありまして、どうか今後とも御活躍をお願いしたいと思います。  次に、第四問に移りますが、武器輸出の管理体制強化について防衛庁長官にお伺いいたします。  先ほどアジア外交のところではロシアのことに触れませんでしたけれども、ここで特にロシアも問題として取り上げてみたいと思います。  緊張緩和のための多国間の安全保障の枠組みづくりの一環として、武器でありますとか軍事技術の輸出をコントロールする必要があることは論をまちません。日本が提唱して既に国連に設置した通常兵器の移転登録制度によりまして多数の国が既に登録を行っており、この制度はそれなりの成果を上げつつあるわけでありますけれども、中国、ロシアの動きは依然として不明な点が多く、とにかく中国、ロシア、そして北朝鮮は武器あるいは武器技術の輸出の一方の旗頭といいますか、世界で注意を要する輸出国がアジアに集中しておるわけであります。そういう意味でこの地域が世界の不安定要因をつくる原因になりかねない、ほかの地域の紛争を起こす材料ですけれども、その原因をつくる地域になりやすいということで、特に警戒を要するものであると考えます。  ロシアの昨年の武器輸出額は三十億ドルにも達しておりまして、一昨年の十七億ドルなんかに比べますと、大変な拡大であります。経済的な力がないので、こういうもので必要な外貨を獲得するということもその一因かもしれませんけれども、インド、中国などへ向けて、戦闘機や潜水艦だけではなくて、御承知のように核兵器などの大量殺りく兵器に関する物資あるいは技術の流出が続いております。同様の懸念が中国からパキスタンヘ、あるいは北鮮からリビアへ核技術、ミサイル技術がどんどんと渡されております。  アジアにおける武器及び軍事技術の移転や輸出に関する情報収集管理体制の確立に向けて協議の場を特に設定し、これは例えばARFの中につくってもいいしあるいは別につくってもいいわけでありますが、何らかの協議の場を設定いたしまして、アジアの緊張緩和と世界へ緊張の種をばらまくようなことのないように、安全保障強化に貢献することが我が国に期待されていることと思います。  先ほど御説明がありましたけれども、防衛庁もこの方面、つまり信頼醸成その他のフォーラムで活動しながら平和の網をつくっていくことについて責任の一端を負うことになってきておるようでありますが、防衛庁長官の本件に関する御所見を伺いたいと思います。
  174. 臼井日出男

    国務大臣臼井日出男君) 冷戦終結後、兵器等の無秩序な移転、拡散が国際的に懸念をされておりますことは委員指摘のとおりでございます。  防衛庁といたしましては、これまでも専門的見地からの助言あるいは情報交換等を通じまして国際的な兵器の不拡散体制をより実効的なものとするための協力をいたしてまいってきております。  また、国連軍備登録制度への登録を通じて、みずからの軍備の透明性、公開性を保つとともに、他国に対しても同制度への参加による兵器輸出入の透明性の向上を促してまいってきているところでございます。  委員指摘のASEAN地域フォーラムにつきましても、第一回及び第二回のASEAN地域フォーラムにおいて国連軍備登録制度への登録を未登録国に対して推奨するなどの努力が行われており、防衛庁としても引き続きかかる動きを初め地域における兵器の不拡散のために積極的に努力をいたしてまいりたい、このように考えております。  なお、この国連軍備登録制度には既に中国等も加盟をいたしておるわけでございますので、こうした場を通じてさらに私どもの主張というものを訴えてまいりたい、このように思っております。
  175. 永野茂門

    ○永野茂門君 ヨーロッパのOSCEが紛争防止センターなどを運用しようとして、若干の実績があるようでありますが、アジアにおいてもだんだんとそういう方向に成熟させていき、特に武器の移転については日本はかなり前からリーダー役を買って出ておりますので、アジア地域においてその模範をつくり上げる、あるいはテストをしっかりやるというようなお考えも必要ではないかと思います。  次に、即応予備自衛官につきまして防衛庁長官にお伺いいたします。  政府は新防衛大綱で、事態の推移に円滑に対応できるように適切な弾力性を保持することを目的として、定数一万五千名の即応予備自衛官を設けることとしていますが、この即応予備自衛官は自衛官の編成定数の中に入れられており、有事の際にはまさに即応的に出頭し戦力化されなければならない存在であります。  そこで、即応予備自衛官の将来の採用計画はどうなっているか。それから、即応予備自衛官を確保維持するためには彼らを採用している企業等の理解がなければならないけれども、それらのためにどのような法的支援を準備しようと考えているのか。  これはとにかく休暇をとって参加するわけですが、この予備自衛官が持っておるポストは他の人によってその休暇の間は穴埋めしなきゃいけないということで、企業にとってかなりの負担になっていることは間違いありません。それが予備自衛官の訓練参加率が下がったり、あるいはまた予備自衛官を長く務める人が必ずしも十分ではないというような状況の原因になっておりますが、これに特にどういうような支援を考えておるかということであります。  それと関連してですが、即応予備自衛官の訓練参加率を高めるために特に工夫することはどういうことでありますか、また練度の向上維持のためにどのような施策を考えているか。かなり細かい質問になりましたけれども、新しい制度でもありますし、よろしくお願いいたします。
  176. 秋山昌廣

    政府委員秋山昌廣君) ただいま御質問にございましたように、即応予備自衛官につきましては、新防衛大綱におきまして編成定数十六万人の中に常備自衛官定員十四万五千人と合わせ一万五千人が示されているところでございます。  将来の採用計画ということでございますが、とりあえず平成八年度からスタートする新中期防におきまして改編する師団及び旅団の一部の部隊を即応予備自衛官を主体として編成いたしたいと考えておりまして、この中期防の計画期間末の員数といたしましておおむね五千人程度をめどとして持っているところでございます。したがいまして、部隊改編にあわせまして平成九年度以降可能な限り早期の導入を図りたいというふうに考えております。  また、企業等の理解を得るための施策あるいは訓練への参加率を高めるための施策等々についての御質問がございました。率直に申し上げまして、九年度の予算要求にあわせまして今部内で鋭意検討している最中でございまして、御指摘の点はいずれも大変重要な点でございます。  特に訓練への参加率を高めるためにどうしたらいいだろうかということは、例えば年間の訓練の日をどのぐらいとるのか、あるいはどのぐらいのインターバルでそれをやるのか。まことに申しわけないんですけれども、土曜、日曜が活用できるかどうかといったような細かい議論を今しておりますが、いずれにいたしましてもこの即応予備自衛官は第一線の部隊に充当できる程度の練度、即応性を有する必要がありますので、企業への対策も含めまして今鋭意検討中でございます。
  177. 永野茂門

    ○永野茂門君 ちょっと先の方のことを聞きまして申しわけございませんでした。防衛庁長官、本当にありがとうございました。  最後に、総理府に恩欠者に対する慰労金の支給の検討についてお伺いいたします。  私自身も本当は恩欠者になるべきところだったわけでありますが、引き続き公務員になったものですから通算されて恩欠者にならずに済みました。  そこで、恩欠者につきましては基金法に基づく慰労措置が始められ、そして今後ともこれが続けられるということになっておりますが、恩欠者で残っている人たちは、私のように引き続き公務員になったことで実質的に恩欠が解消されたという人はうまくやっているなと、率直に言ってですね。  それから、シベリア抑留者は御承知のように慰労金が特に出たわけですね。これは基金法をつくるときにそういうことを趣旨として挙げておったはずでありまして、私どもその基金法の審議に参加していた当時の内閣委員といたしましては、この基金でいいのかなと思っていたわけでありますけれども、こういうものとの比較においてやはり不公平感が解消できずに不満が続いておるようでありまして、今の慰労の措置について、受け取らないという人もおりますし、毎年何度かの陳情が続いておるわけであります。  私自身も、私のかつての部下の中にたくさん恩欠者がいるわけでありますが、慰労金支給について検討する余地はないんだろうかと。私は検討していただく必要があるんじゃないかと考えますが、難しいでしょうけれども、御見解をお願いいたします。
  178. 平野治生

    政府委員(平野治生君) ただいま先生からお話もございましたとおりに、恩給欠格者を初めとするいわゆる戦後処理問題はいろいろ経緯がございます。  戦後処理問題懇談会というのがございまして、そこの報告の中で、「求められることは、これらの尊い損害、労苦が時日の経過とともに国民の記憶の中から忘れ去られ、風化していくことを防ぎ、更に後世の国民に語り継ぐこと」だということと、「戦争により損害を受けた関係者に対し衷心から慰藉の念を示す」ということだという御指摘がございまして、「このため、今次大戦における国民の尊い戦争犠牲を銘記し、かつ永遠の平和を祈念する意味において、政府において相当額を出捐し、事業を行うための特別の基金を創設」しろと、こういう提案がございまして、それに基づきまして既に御承知のとおり平和祈念事業特別基金を設立いたしまして、関係者に対し慰藉の念を示す事業をやっているわけでございます。  それで、一つの大きな柱は、恩給欠格者の方々に対しても、御労苦を後世に伝えるための資料の収集とか調査研究とかあるいは展示会だとか、つまりそういう御労苦を後世につなぐ事業をひとつやっていくということと、その御労苦に対して御苦労さまでしたという慰藉の念を示す書状あるいは銀杯等の贈呈を行っているわけでございまして、私どもとすればこの基金事業を適切に今後とも運営してまいりたいというふうに思っているわけでございます。  そこで、ただいま先生から御提案がございました慰労金の要請があるということは私どもも十分承知しているわけでございます。公務員になった場合、御承知のように、これは恩給法の分野に入るのでございますけれども、恩給法は戦前から公務員と軍人というものに適用されるいわば年金法でございましたので、軍人の方もいわば公務員ということでございましたので、戦後まさに公務員になられた方は通算手続がとられた。ところが、いわゆる国民年金とか厚生年金とか、そういう年金になった方は年金制度が違うということで通算制度がございませんでしたもので、それが不可能になったということでございます。それを通算すればいいじゃないかということはございますが、これは厚生省の問題でございますから極めて難しいということになっているわけでございます。  ところで、もう一つ指摘がございましたシベリアの抑留者に対しては、基金法におきまして、御承知のとおりシベリアは非常に酷寒の地であり、あのような厳しい労働と申しますか御労苦をなさったということに対する慰労の措置といたしまして、確かに十万円というわずかの額で、額的にはいろいろあるかと思いますけれども、そういう額を慰労金として支給するような法律体系にしたわけなのでございます。そういうことでございますので、ちょっとシベリアの方々といわゆる恩給欠格者の方々とは、状況と申しますか、少し違うんではないかなというふうに思っているわけでございます。  したがいまして、私どもとすれば、今行っております慰藉の事業というものを累次、範囲の拡大というとオーバーでございますけれども、いろいろできる限りのことはするべきじゃないかということでやっておりますけれども、現在の時点で私ども慰労金を検討するというところまでまだ行っていないというのが正直なところでございます。
  179. 永野茂門

    ○永野茂門君 ありがとうございましたと言って下がるわけにはいきませんけれども、とにかく御説明ありがとうございました。引き続き私どもの方も検討をいたして、改めてまた意見を申し上げたい、こう思います。  終わります。
  180. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 社会民主党の齋藤勁でございます。  よろしくお願いいたします。  最初に、総務庁長官に所感なり今後の対応についてお尋ねさせていただきます。  四月十九日に富山で一日地方分権委員会が開催されましたけれども、五月十八日付の朝日新聞でこういう内容が報じられております。事実であれば大変問題であり、このようなことが二度とあってはならない、そういう意味で指摘をさせていただきたいと思うんです。「地方分権委意見発表者 国寄り発言求められる 中央省庁側が働きかけ」、こういう見出してございます。  この日の分権委員会で、富山県ホームヘルパー協議会の松原会長さんが委員会の前日に富山県の三觜厚生部長に呼ばれてということで、この厚生部長さんは前任が本省の、厚生省の某課長だそうですが、「分権推進委員会中間報告に盛り込まれた「保健所長の医師資格規制の廃止」に反対するよう求められた」という、そういうことがあり、しかし結果としてこの方は既に発表する内容が決まっていたので、実は三觜部長の言うとおりにはなっていないわけでございます。さらに報道では、三智部長は「直接、厚生省から指示されたわけではないが、国の考えは日常の情報交換で知っている。福祉、医療の代表として幅広い視点をもって発表してほしかった」、こう言っております。  さらに、県の町村会を代表いたしまして冨樫さんという方が、これは立山町長さんですけれども、「委員会の四日前に、北陸農政局の幹部が町役場を訪れた」と。そして、「この幹部は「二ヘクタールを超す農地転用については、従来通り国の許認可事業として残すべきだ」と農水省の立場を説明した」と。この方も既に原稿もできていたということで、たまたま松原さんにしましても冨樫さんについても、北陸農政局あるいは厚生部長のこういう指示といいましょうか要請にはこたえていないわけですが、地方分権推進委員会の諸井委員長も大変好ましくないことだと語り、そしてまた富山県庁の幹部も、中央官僚が何でここまでやるんだと、こういうことで実は反発をしております。  これは数日前の報道でございますから、総務庁なりも詳しく調べられたかどうかわからないんですけれども、これから中間報告が出て、そして今、推進委員会では財源問題なり、さらに細分化して、これから秋、そして暮れにかけまして勧告をまとめていく、こういう作業のスケジュールに入っています。当然、従来までの仕事の仕組みとこれから変わっていく、大変な変化ですから、いろいろあっても、少なくともやっぱり地方は地方の立場、市民は市民、県民は県民の立場で発言をさせていくということ、これがきちんと保障されていない限り、大変ゆゆしき問題だというふうに思います。  そして、自治省が所管している部分もいろいろございますが、総務庁が総括的にこの分権推進委員会を所管されていると思いますので、これらの内容等についてどう受けとめ、これからどう対応しようとするのか、長官の考え方について伺いたいと思います。
  181. 中西績介

    国務大臣(中西績介君) 地方分権につきましては、内閣の重要な課題の一つであるだけに、閣僚並びに関係省庁におきましてはその重要性を十分認識して取り組んでおるところであります。むしろ前向きにするという、そういう事態の中で地方分権推進委員会の論議に水を差すような事態にならないようにしていかなくてはならないのではないか、こう思います。  そこで、報道の内容についてはまだ具体的に掌握をいたしておりませんので、ここでコメントをすることについては差し控えるべきだとは思いますけれども、もしこの報道が本当だといたしますと、これは大変な事態だと思っております。出先の皆さんの細心の心遣いは極めて貴重であるとは私は思いますけれども、事前に接触することは、本人はそのつもりでなくとも、そのことが誤解を与えるような事態に立ち至るということが大変問題を拡大するわけでありますから、それぞれの皆さんの言動については十分差し控えるべきではないか、こう思っております。
  182. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 官房長官にぜひお願いしたいと思うんですけれども、官房長官は閣議を全体的に所管されていると思うんです。これはたまたま厚生省の前任課長さんと現職の農水省の北陸農政局の幹部の方でございますが、これからこの二省に限らず各省庁に対しても、こういったことが起きない、起こさせないということについてしかるべき閣議の時期にぜひ徹底していただきたいということを要望したいと思うんですが、長官、いかがでしょうか。
  183. 梶山静六

    国務大臣(梶山静六君) 十分配慮をして行ってまいりたいと考えております。
  184. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 それでは次に、米軍施設の現状等について触れさせていただきたいというふうに思います。  午前中の防衛庁設置法改正の中で、我が党の角田議員の方から、今日の国際情勢、そして日米共同宣言等のこの時点の中で、新しいいわゆる平和外交、信頼醸成につきましてるる述べられました。また、有事立法等について、改憲をしてまでというような今の日米関係ではないということについて述べられまして、私まさに同感でございます。  そこで、私はそういう全体的な議論とちょっと角度を変えて質問させていただきます。  とりわけここ最近、沖縄の米兵によります少女暴行事件で沖縄県におきます基地問題というのが非常にクローズアップをされております。私自身、神奈川県に在住しておりますけれども、この神奈川県も県内に十八カ所の米軍施設がございまして、県土の一%になります。施設数でいいますと沖縄県に次ぐ数になるわけでございまして、戦後五十年余たちましたけれども、今日まで返還された施設もございますが、現時点でそういう数字になっているところでございます。  そういう意味で、整理、縮小、返還、こういう立場に立ちまして、まず横浜市の神奈川ミルクプラントについて幾つか指摘をし、現段階考え方についてお伺いしたいというふうに思います。  この神奈川ミルクプラントは、御案内のように、沖縄を除く日本全国の米軍各部隊とその家族に供給するミルク、アイスクリーム等の乳製品を製造しております。本国から原料を持ってきて、この神奈川のミルクプラントで製造して各地に運んでいる、こういう施設でございます。  平成五年の四月三十日にこの神奈川ミルクプラントの公式返還申請書を神奈川県とともに地元の自治体が出しまして、平成六年、一昨年でございますけれども、十二月十五日に返還合意がされているところでございます。返還合意されているのでありますけれども、しかしながら今日まできちんとした返還がされていないということであります。御案内のように、この返還合意というのは横浜ノースドックの方に移設をしていくという前提での現在地の返還でございます。  私の調べたところによりますと、横浜ノースドックに移転集約をしていくという中で、この移転地において新しい施設をつくる設計予算を平成七年度で講じているけれども、それを現年度まで繰り越しをしている、こういうふうに承っておりますけれども、なぜこの執行が繰り越されたのか、その原因と設計予算額について伺いたいというふうに思います。
  185. 小澤毅

    政府委員(小澤毅君) お答えいたします。  ただいま先生からお話がございましたように、神奈川ミルクプラントにつきましてはノースドツクへ移設するということで、平成六年度から整備に着手しているところでございます。現在までのところ、平成六年度予算におきましては、地形測量、ボーリング等で予算的には二千七百万円ほどついております。  また、先生ただいま御指摘のように、平成七年度予算につきましては設計を行うということで八千八百万円ほどの予算がついておるというところでございまして、平成八年度へのこの繰り越しにつきましては、いろいろ米軍との設計等の調整に手間取ったというところでございます。
  186. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 米軍との調整で時間がかかり、そしてまた予算額については八千八百万円ですと、こういうお話でございます。地元といたしましては、先ほど申しました返還合意がされて今か今かと待っているわけでございまして、移転後の残る土地につきましても地元での利用についてるる検討しておりまして待望しているわけでございます。  そこで、今後の見通しでございますけれども、建築に至る具体的なスケジュールをどういうふうに見通されているのかについて伺いたいというふうに思います。
  187. 小澤毅

    政府委員(小澤毅君) 本件のミルクプラントの移設につきましては、単に屋家を建てるだけではなく、その中にただいま先生がおっしゃいましたようなミルクなりアイスクリーム等の製造のための機器類の調整も必要になります。そのようなことを考え合わせまして、当方の現在の見込みでございますけれども、平成九年度から三年度程度で本件については移設が完了するということで我々今作業を進めております。
  188. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 平成九年度から三年度、三年間ぐらいということでございますが、率直に言って三年もかかるのかなと、建築の専門家じゃない素人としては思います。いずれにしても、一日も早く竣工に向けまして努力をしていただきたいと思います。  今までいつ着手していつ終わるのかというようなことが地元でわからなかったものですから、いずれにしましても九年度中には着工するということは少なくとも地元にとっては朗報だというふうに思います。  これから建築規模をお考えになるんでしょうけれども、今の建築物より大きくなるということは聞いておりません。規模とか機能、機能はミルクプラントでしょうけれども、何階建てにするとか、大きさはこのぐらいを考えているとか、あるいは建設費は総額大体このぐらい見込んでいますというようなことは今おわかりなんですか。
  189. 小澤毅

    政府委員(小澤毅君) 現在まさに米側と設計等の作業を詰めておる段階でございますので、具体的にどの程度の規模、また金額的にどの程度になるということはまだ申し上げる段階ではございませんけれども、いずれにしましても現有規模の移設ということで考えております。
  190. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 ぜひ早期完成と、そしてまた現在のミルクプラントの返還というのは、移転をしないと完全な返還ということにはならないわけですから、ひとつそういう意味での努力をお願いしたいというふうに思います。  関連しまして、この移設先のノースドック、瑞穂ふ頭でございます。これも歴史をいろいろ調べますと、地元自治体でも相当な金額を出して埠頭をつくったのに、すぐ接収をされて今日に至っているということで、我が国としては本格的にずっと使った経緯や歴史がこの瑞穂ふ頭をつくって以来ないという大変特徴的な埠頭でございます。  しかも、横浜に行かれた方は御案内かもわかりませんが、横浜ベイブリッジから横浜港を真っすぐ見ますと、ちょうど中央にある埠頭でございます。ベイブリッジからこのノースドックを見、そして左側の方にはみなとみらい地区ということで、さらにこれから右側の方は京浜臨海部の再生ということで、ここを直結した形で町づくりが今構想されていますが、戦後五十余年たった今引き続き接収をされ、横浜冷蔵倉庫の移転と、そしてしかもこのミルクプラントのまた移転ということで、一部商船との共同使用部分がありましても大部分は接収されて今日に至っています。  本格的にこの返還ということを求めるわけでございますが、今申しました地元の自治体のこれからの開発への支障、そして埠頭の共同使用を見ましても日本の商船はほとんど使っていないわけですね。確かにもう船というのは全部コンテナ化になっていますから、横浜でいいますと大黒とか山内とか本牧を全部使いますからここを使わないということですが、しかし内航の場合には船舶は使用することが可能であるということになります。  そういう意味で、このノースドックの返還、場合によれば地元との共同使用をよりもっと積極的に広げていく、こういう観点をとるべきではないかというふうに思いますが、この点いかがでしょうか。
  191. 小澤毅

    政府委員(小澤毅君) 横浜のノースドックにつきましては、地元の神奈川県の基地関係市長連絡協議会や横浜市議会の方々から、都心部に近接した港湾施設として立地条件を生かして生活関連物資等を扱う港湾施設、また市民利用施設等の用地として利用したいというふうな御要望が出ているということは我々十分承っております。しかしながら、現在この横浜ノースドックにつきましては米軍にとって重要な港湾でございまして、現在、米軍はその岸壁、また倉庫施設、輸送業務管理施設等として使用しておりまして、返還は極めて困難な状況にあるのではないかと我々認識しております。  また、先ほど来お話ございましたように、この横浜ノースドックにつきましては、MM21の関連で、冷蔵倉庫及び先ほどお話がございましたミルクプラント等の移設先として集約、整備する計画も現在進めておるところでございますので、そのような意味からもまた返還、転用につきましてはなかなか困難な問題ではないかというふうな状況でございます。
  192. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 私も、今移設したばかりで、これから移設しようというところもありますし、返還はなかなか困難だと思いますが、少なくとも共同使用している部分はあるわけで、それが全体的な市域の町づくりにとって可能であれば、そういった点についてやはり私は日米双方で話し合う課題として提起をしていいんではないかというふうに思います。  今みなとみらいというお話も出ましたけれども、みなとみらいと、さらに山内ふ頭を結びまして鶴見の方に行きます臨港幹線道路も通っていこうというところであります。そしてまた、京浜臨海部の再生に当たりましては、内港部をインナーハーバーとして身近な港にしていこうということになって、ちょうど主要なところにあるわけですね。専ら米陸軍の方がしょっちゅう使っているということなら別ですけれども、例のベトナム戦争のときに相模原から戦車が搬出されたという時期もございましたけれども、今は年間わずかしかないということになると、やはり我が国の立場に立った利用の仕方を積極的にアメリカ側に提示してもいいんではないかということで、返還という原則を持ちつつも共同使用を拡大していくことについての対応というのはいかがでしょうか。
  193. 小澤毅

    政府委員(小澤毅君) 米軍の使用に支障のない範囲内で一般商船の共同使用が認められるということは御指摘のとおりでございます。また、米軍の運用実態がそれほど頻繁ではないということも、これは船の入港数としてはそのようなことが言えるかもわかりませんが、この現在の運用形態は、米軍にとってもこのノースドックというのはやはり切り離せない施設だというふうに感じております。  しかしながら、共同使用等云々につきましては、港湾の施設等の問題もいろいろあろうかと思います。この辺も踏まえまして、地元の方々から御要望等がございますれば我々話し合うことについてはやぶさかではございません。
  194. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 ぜひいろいろ地元自治体中心に、どう利用できるかということについては具体的なプランなしにまた話ができないと思いますし、そういった点につきましてぜひ要望させていただきますので、積極的な対応をお願いしたいというふうに思います。  さらに基地施設としまして、次に上瀬谷の通信施設について幾つか尋ねさせていただきたいと思います。  これは接収年月日が昭和二十六年、一九五一年でございます。土地が国有地、私有地、民有地、建物もそれぞれございます。これは戦前は旧横須賀海軍軍需部、旧第二海軍航空廠、そして旧海軍航空技術廠倉庫施設ということで使用されておりましたけれども、大変長い間のこの通信施設利用の仕方が変わって、表示が通信施設から支援施設というふうに今看板が変わっているわけでございます。  このことについて事実かどうかということを一つ確認をさせていただくのと同時に、通信施設から支援施設に変わったということによってこの基地の持つ機能がどういうふうに変わっているのかということについて把握されている範囲で伺いたいというふうに思います。
  195. 小澤毅

    政府委員(小澤毅君) まず、看板の問題でございますけれども、看板につきましては我々も報道でこれを確認したわけでございまして、このような名称に変わっているということは承知しておりますけれども、それは米軍の中のいわゆる俗称的な言い方ではないかというふうに感じております。正式な名称につきましては、やはり合同委員会において決定されているところが正式な名称でございまして、依然として上瀬谷通信所という名前は変化ないというふうに我々は思っております。  現在、その運用実態として通信の運用がなくなりつつあるのじゃないかという御指摘でございますけれども、確かにここにおりました海軍保安群部隊、また海兵隊の分遣隊、さらに太平洋統合情報センター分遣隊等につきましては廃止または他の施設に移転されたというふうな実態がございます。しかしながら、まだ第七艦隊の第七二任務部隊というものは当該上瀬谷通信所に残って通信機能を果たしているというところでございますので、上瀬谷通信所という名称について今のところ変えるつもりはないというふうに思っております。
  196. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 名称をやはりきちんとした方がいいと思うんですね。看板も支援施設ということになっているんだったら、それはもう日米合同委員会できちっとするとかした方がいいと思いますね、通信施設じゃないんだったら。このことを私はまず一つ求めておきます。  それから、この上瀬谷通信施設に関して、日米合同委員会というのがいつが最新なのかなというのがあるんですが、私の方の調べでは、昨年の四月一日から施設周辺に設定されておりました電波障害防止地域が廃止をされております。これが一昨年十二月十五日の日米合同委員会の合意でございます。今の施設の表示もそうですけれども、施設機能が変わってきたということについて日米合同委員会はどういうような協議をされているのか、そして我が国の方はどういうふうにこの通信施設の今後について考え方を述べているのかどうか、お尋ねさせていただきます。
  197. 梅本和義

    説明員(梅本和義君) 上瀬谷通信所につきましては、私ども、横浜市当局あるいは神奈川県当局さらには横浜市議会等々、地元の自治体の皆様から返還について強い御要望等を承っておるところでございます。  今、施設庁の方から御答弁がございましたように、現在、米海軍の第七艦隊の第七二任務部隊というものが現に通信機能を含めて使っておるわけでございますが、そういうような機能等、私どもは合同委員会の正式の会合の場以外にも日常的にアメリカ大使館あるいは在日米軍といろいろな機会に接触をしております。そういう中で、上瀬谷通信所の機能の変化等についても私どもは情報として承知をしておるところでございますし、また上瀬谷通信所をめぐる周辺の状況あるいは自治体の皆様の御意向等については私どもの方から米側に説明をするというようなことをやっておるところでございます。  なお、ただいまお話にございましたように、いわゆる合同委員会の正式の会合の場といたしましては、これは平成六年十二月の合同委員会合意に基づきまして、平成七年四月一日以降に電波障害の防止地域を廃止するというようなことの措置をとってきているところでございます。
  198. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 私はどうも疑問なんですけれども、この通信施設という名称、機能なんですが、機能に著しく変化があったということで、今それぞれ説明がございました第七艦隊所属第七二機動部隊、これは哨戒部隊なんですね。哨戒部隊の司令部が移駐ということで今日に至っているところですが、要は通信の専門隊じゃないわけですね。ですから、アンテナはもうないわけでございまして、通信機能を持つ施設ではないと。だからこそ電波障害防止地域が廃止になっているわけで、周辺の住民の方々は喜んでいるわけでございます。  そうであるならば、日米合同委員会で、もうこの通信施設としての機能はなくなったということで、当然返還という我が国の方からの提起というのがあってしかるべきであったというふうに思うんですけれども、そのことがどうもはっきりしないで今日に至っているんですが、再度その点についてお尋ねいたします。
  199. 小澤毅

    政府委員(小澤毅君) 一般論ということでお許しいただきたいと思いますけれども、一般論として言えば、米軍は地位協定上提供した施設・区域が協定の目的のため必要でなくなったときにはいつでも我が国に返還しなければならないことになっております。この規定に従って今まで施設・区域の返還等が行われてまいりましたけれども、我々、米側といろいろ話している現段階におきましては、この上瀬谷通信所につきまして、これが返還の義務の対象になっているというふうな判断は今のところしていないところでございます。
  200. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 私は、もう上瀬谷通信施設というのは通信施設としての機能はなくなっているということで、ぜひその全面返還に向けまして要望したい、日米合同委員会に提起していただきたいということを求めさせていただきたいというふうに思います。  とりあえず、先ほどノースドックの話で港湾上の問題あるいは周辺の町づくりの問題での支障について話をさせていただきましたけれども、この地区におきましても、環状四号線という道路の整備がやはりこの施設内に入ります。こういう共同使用の問題というのも出されておりますし、広域避難場所を兼ねた自然公園にしよう、あるいは緑地を保全しよう、公益施設用地にしようとか、いろいろ地元では返還後のプランも立てているわけでございます。積極的な対応をお願いしたいというふうに思います。  もう一つ、この上瀬谷通信施設でお伺いしたいんですが、いわゆる電波障害補償でございますけれども、神奈川県からの資料では平成四年度までの件数と補償金しかないんですけれども、これは平成七年四月一日から防止地域が廃止をされております。ということは、平成七年度からこの補償金というのはもう支払われていないということで受けとめていいのかどうか、お尋ねいたします。
  201. 小澤毅

    政府委員(小澤毅君) ただいま先生の御発言のありましたとおり、平成七年度以降、補償金は支払っておりません。
  202. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 次に、いわゆる米軍人軍属の方々の家族住宅の現状についてお尋ねさせていただきたいというふうに思います。  全国各地にそれぞれ住宅がございます。とりわけ近年は我が国の思いやり予算ということで、老朽住宅の改築とかあるいは新しい住宅の建設等行っているわけです。神奈川県に限ってお尋ねさせていただきますけれども、現在までの軍人軍属用の家族住宅の数について、幾つなのか伺いたいと思います。
  203. 小澤毅

    政府委員(小澤毅君) 米軍自身がつくりました家族住宅の数につきましては、我々ちょっと把握できない面もありますのでお許し願いたいと思うんですけれども、当庁のいわゆる提供施設整備によってつくった家族住宅について申し上げれば、これにつきましては昭和五十四年度から整備を始めております。平成七年度までで合わせまして二千三百四十九戸整備をいたしておるところでございます。
  204. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 今二千三百四十九という数字を伺いましたけれども、例えばそれは厚木で幾つとか横須賀で幾つとか、そういう内訳はおわかりですか。
  205. 小澤毅

    政府委員(小澤毅君) まず、海軍関係で申しますと、横須賀海軍施設、これが五百三戸、池子住宅関係が現在進行中のものを含めまして八百五十四戸、さらに海軍の飛行部隊関係になりますけれども、厚木飛行場関係が六百八十八戸でございます。次に、陸軍関係で、キャンプ座間が二百四十戸、相模原住宅地区が六十四戸でございます。
  206. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 ただいま伺いました数字は平成七年までと、こういう数字でございますけれども、例えば今既に平成八年度、新年度予算が過日可決をされておりますね。平成八年度に、例えばこれから県内で住宅について既に合意をしている、あるいはこれからこういう点でも予定をしているということでの建築戸数というのはどの程度なんでしょうか。
  207. 小澤毅

    政府委員(小澤毅君) お答えします。  八年度において新たに計画しているものは、キャンプ座間の関係が六十八戸と横須賀海軍施設関係で六十八戸でございます。
  208. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 座間と横須賀それぞれ六十八戸と伺いましたが、これは地元自治体とはもう協議されている住宅でございましょうか。
  209. 小澤毅

    政府委員(小澤毅君) 地元の関係市町村の方々とは協議を行っているところでございます。
  210. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 協議をされているということで、それについてはひとつ安心をするんですが、実は安心という言葉を言うについては、これからこういうようなことがあってはならないなということで、ひとつ姿勢というんでしょうか、改めてほしいというふうに思うんですけれども、一つは横須賀の基地の中の泊浦湾埋め立て問題でございます。  米海軍横須賀基地に実は含まれているわけでございますが、泊浦湾の埋立地、埋立地といいますのは通常埋立申請をして埋立許可をとって、そして海でありますから漁業補償等をして埋め立てに入っていくんですが、これは公有水面埋立法の手続をとっていない、国内法の手続をとっていないで米海軍が一九八五年から埋め立てを始めてできた土地でございます。  横須賀市役所等の調査によりましても、国の方は、艦船停泊地周辺水域のヘドロなどの捨て場であって、米軍が独自に行うものではない、この用地の利用計画はない、こういうのがずっと一貫した姿勢だったんですが、今やこれができ上がって、さらにここに利用計画があるというようなことが実は明らかになっています。これも、横須賀市、神奈川県あるいは国経由ではなくて、地元の市民団体が在日米海軍司令部へ情報公開を昨年から求めまして、ことしの二月に入手をしたということです。  私はここで何を問題にするか。一つは、国内法の手続を経ないで埋め立てをしているということの違法性についての指摘であります。そしてさらに、いろいろ調査内容についても言っていながら、こういったことについて国の方は一切知らないとか、そしてこの跡地の利用計画についても米軍経由でやっとわかるということであります。  こういうことは、先ほど来これからの我が国安全保障が他国との信頼醸成とか平和外交とかありましたけれども、他国、他国民とはもちろんそうですが、国内、国民同士がこういうのじゃ信頼醸成が図られないということになると、大変これは問題だというふうに実は思っています。どこまで情報公開をすべきかというのはいろいろルールがあろうかと思うんですけれども、この泊浦湾の埋立地問題、そして跡地利用計画についての今日までの経過、見解について伺いたいと思います。
  211. 小澤毅

    政府委員(小澤毅君) お答えいたします。  まず第一点の、要するに国内法によらずにして埋め立てを行ったという点についてでございますけれども、これは米軍が直轄工事として行ったものでございますので、一般的にこれは国内法の適用は受けないということで、公有水面埋立法等の適用はないというふうに我々は理解しております。  また、このしゅんせつ土砂につきましては、米軍は提供海面になっております横須賀海軍施設の水域におきまして、船舶の出入と停泊に必要な水深を確保するため、昭和六十二年の八月から六十三年の五月にかけてバース付近の土砂約三十一万立米のしゅんせつ工事を実施したものでございまして、それを泊浦湾等に堆積した、そこからいわゆる土地が生じたということでございます。  このため、横浜防衛施設局におきましては、横須賀市長に対しまして、平成五年の四月、泊浦の土地確認依頼文書を提出し、市議会におきまして平成五年の六月にこれが可決されたところでございます。これを受けまして、平成五年六月に横須賀市長は神奈川県知事に対しまして土地確認の届け出を行い、同月、神奈川県知事による告示がなされておるところでございます。まず経緯はこのようなところでございます。  また、この泊浦湾の利用計画につきまして、報道等におきましていろいろなことが出ております。防衛施設局が当該土地の利用計画がないというふうな文書をいろいろ出したとか、また具体的計画は米側から聞いていないとか、そのようないろいろな報道がなされておるのは我々も承知してございますが、これにつきましては、当該埋立地に米軍としては運動施設等の設置をしたいというふうな具体的要望があったということはありましたけれども、まだその計画自身が具体性を帯びていないというふうな状況で、当方としても、仮に提供施設整備でやる場合には、いろいろ自主的判断でこれをやるかやらないか決めていくというふうなこともございますので、その辺を勘案しました結果、その採択は見送るということも事実としてございました。  このようなことから、地方公共団体との間である程度意思の疎通が欠けたという点があったということは御理解いただきたいと思います。
  212. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 時間がないので要望と意見にしますけれども、いずれにしても泊浦湾については後から土地の認定をしていまして、最初から埋め立てをしますということのルールに基づいてやっていないわけですね。ですから、環境の問題もあるし、これはもう日本政府に断りなしに基地の拡張ができてしまうということにもつながっていくわけで、大変私は問題だというふうに思います。  そして、前段で家族住宅のお話を聞きましたけれども、家族住宅をこれだけ在日米海軍が要望しているというのも、国に聞いてもわからないということで、これも在日米海軍経由で情報を得てわかったというのがこの市民団体の資料であるわけです。どれだけ要望しているかということについては、どれだけこなすかということについては我が国の予算なり事情もあるわけですからあるにしても、少なくともこういう情報については、何か隠すというようなことは私はどうも合点がいかないわけであります。  さっき言いました信頼醸成に尽きるんですけれども、国内におきましてはできる限り市民に情報を明らかにしていくということで、これからのまさしく冷戦構造が崩れた後の安全保障面についての対応についてやはり姿勢を改めてもらいたいということを申し上げさせていただきまして、終わりたいというふうに思います。
  213. 聴濤弘

    ○聴濤弘君 私はまず第一に日米共同宣言と集団的自衛権の問題について御質問したいと思います。  さきの日米安保共同宣言の発表などとともに、集団的自衛権憲法との関係の問題が今大きくクローズアップされております。国の基本法にかかわる問題ですので、私はまず法制局長官に一連の問題について明確な見解を伺いたいと思います。  第一の問題は、新進党の小沢一郎氏が四月七日のテレビ放送で集団的自衛権について次のように述べております。日本は国連に加盟するときあらゆる手段をもって国連に協力すると表明した、その国連は集団的自衛権を認めている、これまで私は憲法上は制約されているのではないかと考えていたが、制約されているというのは集団的自衛権を行使するということですね、制約されているのではないかと考えていたが、論理的には認められると思うという考え方をこのテレビで述べております。  これは、安全保障基本法プロジェクトチームというのが新進党にありますが、それが二月に私案をまとめ、その中で、憲法九条にある武力行使及び武力による威嚇の禁止というこの規定は国連憲章第二条の加盟国は武力行使などを慎まなければならぬということと同義であると解釈し、国連憲章が集団的自衛権の行使や多国籍軍の活動を認めている以上、日本の集団的自衛権の行使も合憲という考え方に小沢氏が同意をしたものだというふうに報道をされております。  小沢氏の見解は憲法に合うものなのでしょうかどうなのでしょうか、法制局長官の見解をお聞きしたいと思います。
  214. 大森政輔

    政府委員(大森政輔君) ただいま小沢議員の発言というものを御紹介になりましたが、私自身直接伺ったわけでもございませんし、いろいろな方々がいろいろな立場からこの集団的自衛権の問題について最近発言をなさっているわけでございますが、それについてこの席で私の立場からコメントをするということにつきましては差し控えさせていただきたいと考える次第でございます。
  215. 聴濤弘

    ○聴濤弘君 私、これ突然やった質問じゃありませんで、小沢氏が最近こういうことを述べているということをあした質問しますよという通告まで私はやっているわけで、それに答えないと。私が今直接そういうことを言ったとしたら、それはよく聞き取れなかった点、その他いろいろあると思いますが、小沢氏の最近の発言の一番の特徴はこれであることはもう周知のところであります。それについてはコメントをしないと。コメントしないということを私は確認しておきます。そんなことで法制局長官が務まるのかと私はっきり申し上げたいと思います。  もう一つ質問したいと思います。  これもまたきのう私申しましたが、宮澤元首相は読売新聞のインタビューで次のように述べておられます。「日本の領海の少し先で」、すなわち領海の少し先だから公海でということですね、公海で「日本に対する攻撃があって、日米両国が防衛している時にアメリカの軍艦がやられた場合、それを助けることは一体だ」と。これは日米で一体の行動をとるという意味の一体です。一体だと。  「が、それは日本の自衛なのでないかという議論が想定される」と。アメリカ軍を助けるんだけれども、そうじゃなくて、それは日本の自衛のためなのではないかということが想定されると、こういうふうに宮澤元総理は読売新聞のインタビューで述べております。  これは小沢氏の議論とは大分違うように聞こえますけれども、これは個別的自衛権というものを無限にどんどん拡大していって、現に宮澤元首相は武力行使以外のことなら何でもできる、武力行使は憲法で禁止されているということをこのインタビューの中でもはっきり述べておりますが、そういうふうにして無限に拡大をしていって、そのことによって事実上集団的自衛権をどんどん行使していけるという意味において、小沢氏と非常によく似ているというふうに私は思うんです、論の立て方は違いますけれども。  法制局長官に伺いたいんですが、こういう宮澤氏の見解もやはり合憲でしょうか。
  216. 大森政輔

    政府委員(大森政輔君) 先ほどの私の答弁に対して、事前に通告してあるのに答えないのは不見識であるという趣旨の言葉がございましたが、私どもも質問の通告を受けまして関係資料は調査はいたします。しかしながら、私が先ほど答弁を差し控えさせていただきました理由は、そのようなこういう公式の場における発言ではなくて、新聞情報等に基づく発言につきましては、本来のお述べになったその趣旨が正確に伝わっているかどうかということの保証もございません。そのような発言に対して、一々この席において論評するということはいろいろ支障も生じようと思います。そのような理由から答弁を差し控えさせていただくというふうに述べたわけでございまして、ただいまお尋ねになりました宮澤議員の新聞等で報道されております発言内容につきましても、またおしかりをいただくかもしれませんが、同様のお答えで御容赦いただきたいと思います。
  217. 聴濤弘

    ○聴濤弘君 怒ってもみてもしようがないのでそういうふうに受け取りますが、それでは法制局自身の考え方を伺いたいと思います。  法制局は米軍に対する支援はどこまでが憲法で許されると考えているのか。これはもう小沢氏が言っているの宮澤氏が言っているのということじゃございません、法制局自身です。法制局はこれまでは、あるいは政府といってもいいが、武力行使と一体になる支援は憲法上許されない、こういう見解をとってきたと思いますが、この点については変わりはございませんか。
  218. 大森政輔

    政府委員(大森政輔君) 一般論としてのお尋ねでございますので、この点については正面から答えさせていただきたいと思います。  一般論ということで、先ほどの集団的自衛権との関係についてまずお答えいたしますと、これは私どもの第一部長が午前中にも詳細にお答えしたところでございますが、我が国に対する武力攻撃がない場合における問題としてお答えいたしますと、要するに憲法第九条のもとで許容されている自衛権の行使というものは我が国防衛するため必要最小限度の範囲にとどまるべきものである、したがいまして集団的自衛権の本質でございます他国に加えられた武力攻撃を阻止することをその本質的な内容とする集団的自衛権の行使はこれを超えるものとして憲法上許されないというのがまず第一点でございます。  それから次に、ただいま米軍というお尋ねでございますからそれに限定してお答えいたしますと、アメリカ合衆国軍隊に対する補給などみずからは武力行使を行わない行動についてそれが憲法九条との関係で許される行為であるかどうかということにつきましては、他国、合衆国軍隊による武力の行使と一体となるような行動としてその行動を行うかどうかということによって憲法上の問題は決せられるべきものであるという見解はただいま御指摘のとおりでございます。
  219. 聴濤弘

    ○聴濤弘君 私は、今度の日米共同宣言によって今お答えになったこの問題は非常に新しい次元のところへ来ている、少なくとも二点にわたってこれまでの議論とは違う新しい次元の問題が起きているというふうに思うんです。  武力行使と一体とならないのならいいということが第一の問題なんですけれども、これまで法制局は、一体どういうことが武力行使と一体にならないのかという今度はその具体的な問題について言うと、次の見解をとっておりました。  それは、現場に近いところでの協力は武力行使と一体だと。これはもう湾岸戦争のときに国会で何回もやった議論です。湾岸戦争のときに、日本があの近くまで行って燃料を補給する、いろいろな食糧を補給する等々というようなことをすることは武力行使と一体になる、現場でやるんだからと。しかしながら、遠くならいいと。私は自分の言葉で今言っておりますが、引用は山ほどありますよ、私ここにたくさん持っています。遠くならいいということだったんです。  ところが、今回の日米共同宣言によってガイドラインを改定することになった。その内容は何かといえば、まさに日本の周辺地域で日米が共同の対処をしていこうというわけですね。まさに一番近いところですよ。中東じゃないんです、日本の一番近いところで共同しようと言っている。だから、遠いの近いのという距離的概念はこれには当てはまらないと私は思うんです。こういう距離的な概念で武力の一体という問題を説明していたのはもう成り立たぬと思いますが、いかがですか。
  220. 大森政輔

    政府委員(大森政輔君) ただいま議員の言葉として、遠いところはいいが近いところはだめだという趣旨の答弁であるというふうに御要約いただきましたが、まさにそのような要約が誤解をもたらすわけでございまして、私どもが湾岸危機の際等に述べてきました見解を正確にお聞き取りいただきたいと思います。  すなわち、各国軍隊による武力の行使と一体となるような行動に該当するか否かは、一つ、戦闘行動が行われている、または行われようとしている地点と当該行動の場所との地理的関係、二つ、当該行動の具体的内容、三つ、各国軍隊の武力行使の任にあるものとの関係の密接性、四つ、協力しようとする相手方の活動の現況等の諸般の事情を総合的に勘案して個々具体的に判断さるべきである、このように述べてきているわけでございまして、ただ遠いところはいい、近いところはやばいというような、非常に粗な、粗い見解を述べたわけではございません。
  221. 聴濤弘

    ○聴濤弘君 今四つ述べられましたが、四つを一つ一つこれからやろうと思って私はやったわけじゃない。私もよく知っています、四つを。だけれども、あなたが挙げた一番は何だったですか。やっぱり距離でしょう、距離の問題だったですよ。  その次は中身の問題です。私は今これから中身の問題について質問をしたい。ですから、私がいいかげんなことを言っているというふうに反論されるについては私は大きな異議を持ちます。  二番目の問題です。あなた自身が言った二番目の問題、今度は中身の問題です。  今度の中身は、これまで日本の周辺で日米が共同対処をする、日本の領海じゃないですよ、日本の周辺で対処していく。これまでは、日本の領域外で日米が共同の作戦をとるという場合には、これは集団的自衛権の行使になるからやれないということであった。ところが、そういう場合には自衛隊と米軍とが個々に行動をして、そして共同の結果として何かが出てくるかもしれないけれども、それはあくまでも個々の行動としてやった結果にすぎないんだ、そういうふうにして説明をし、その場合もあくまでも個別的自衛権の行使だというふうに説明をしてきました。しかし、今度はまさに日本の周辺で共同しようということがガイドラインの改定になるわけですから、この二番目の論拠というのもこれはもう通じないんじゃないかと私は思いますが、いかがですか。
  222. 大森政輔

    政府委員(大森政輔君) ただいま諸般の事情として四点を申し上げましたが、それを個々具体ばらばらにして、それぞれについて判断をするという趣旨じゃございませんで、あくまで四つの事情を総合判断いたしまして、要するに要点は、米軍が武力の行使をしている、それに我が国の実力組織がある一定の協力をしている、このような四つの事情等の諸般の事情の総合判断として我が国の実力組織も武力の行使をしているという評価を受けるに至るという場合には我が国はそのようなことはできないんだということを申し上げているわけでございまして、ただこの四点それぞれを分解して、この点はどうだ、この点はどうだと言われるのはその本意じゃございません。
  223. 聴濤弘

    ○聴濤弘君 一つ一つやるとだめだ、全部やれば大丈夫だ、そんな議論はないと思うんですよ。やっぱり一つ一つ吟味していって、これもだめじゃないか、これもだめじゃないか、あるいはこれはいいじゃないか、これはいいじゃないかと出てくるのであって、私が順序よく一つずつやっていったら、一つずつじゃだめだと。これは議論にならぬと私は思います。  官房長官、あと五分しかおいでになれないと聞いておりますので、どうしても官房長官に聞きたいんですけれども、こんな調子で、こんな調子というのは言葉が不適切で失礼ですが、こういうふうに余りはっきりしないままに防衛庁がアメリカと日米共同でどうやって対処するかという具体的ないろいろな交渉をこれからやっていくわけですね。何の判断をもってこれは集団的自衛権の行使になるからだめなのか、あるいはこれはいいのか、これは一つ一つ区別していかなきゃならぬ。  ところが、何か質問して法制局に聞くと、ともかく何だかよくわからない、簡単に言うと何だかよくわからない答弁が私に返ってくる、ばらばらではだめだと。こういう態度で一体どこに基準を持って対米交渉ができるのか、私は非常に疑問に思います。  昨年の十一月、例の新防衛大綱を発表されたときに、官房長官が、新しいいろいろな任務を自衛隊は行うが、集団的自衛権の行使のような我が国憲法に反するようなことはしないという特別の談話を出されました。  今の私と法制局長官との議論をお聞きになって、梶山官房長官として、新しい次元に問題が来ていてもう今までの解釈でこの憲法問題を通り抜けるということはほぼ限界に来ている、無理だ、もうある限界点に達している、そういう認識をお持ちかどうか、持っておられるんじゃないか、そういう点について私は官房長官の御意見をお聞きしたいと思います。
  224. 梶山静六

    国務大臣(梶山静六君) にわかに確たる返答ができるわけではございませんが、憲法九条を前提にして我々の日本というのが成り立っているということは、これは変わらない。私の信念でありますし、日本の立場であります。しかし、今これからの新しい事態への対応についてと言いますけれども、ただ観念的なものではなくて、どういう問題が起きる場合があるか、その問題は果たして今の憲法とどういう整合性があるのか、それを見ておのずからノーと言うべきものはノーであり、イエスと言うものはイエスである。  そして、先ほど言われたように、日本のいわば領海のすぐ近くという宮澤さんの表現がございますが、これも私は宮澤さんに聞いてみなきやわかりませんが、ごく近海ということは、直接か間接かは別として、日本の防衛そのものではないかという場合を想定して言っているのではないかという気がいたします。個別の自衛権を我々は当然持っているわけでありまして、領海内に入らない限りは日本の自衛は成り立たないなどということになりますれば、今日的な近代兵器の中でそういうものは日本の防衛を正しく認識し、国民の生命や財産や日本の独立を守るゆえんのものではないので、領海の近くで起きた場合に何ができるかということは当然研究対象にしなければ我が国の安全は守り得ない、そういう感じがいたします。  ただ、遠い場所でというのがどのぐらいを遠い場所と言うのか私にはよくわかりませんが、いわば直接的な軍事行動を伴わない、日米安保条約というのが片務の状態であることは皆さん方既に十分御認識のとおりでありますが、そういうものが本当に成り立つのかどうなのか考えてみますと、日本は守ってもらう、そのかわりアメリカのことに関しては知りませんよと。  ですから、事軍事力においては少なくても日本は憲法の精神を生かしていかなきゃならない。しかし、世界の中で平和を希求し、それからいわゆる米軍が日米安保条約に基づいて我が国に駐留をし、その抑止力ないしは諸外国の期待、そういうものが今日的な安定を築いておるとするならば、アメリカの意図するものは必ずしも私は日本の防衛オンリーのものではないと思います。しかし、それにこたえ得るものがなければこれは片務であって、そういう日米安保条約というのは砂上の楼閣になってしまう。私たちは日米安保条約の有効性を信じております。有効性を信ずるという立場においては何らかの貢献あるべし、それは憲法九条に抵触をしないものである、このように考えております。
  225. 聴濤弘

    ○聴濤弘君 私は官房長官が今おっしゃったことの中で非常に重大だと思うことを一つ感じますので、もう時間がなくて退席されるようですが、それはいたし方ございませんが、一言だけ申し上げたいと思います。  それは、日米が共同の行動をとり得るのは、日本が直接の侵略、直接の攻撃を受けた場合に共同の行動がとり得る、これが安保条約の第五条でありまして、あるいは危ないからとかということで共同の行動がとり得るというようなことは安保条約にはないわけです。  今そういうふうに官房長官がおっしゃるならば、これは少なくとも今までの政府の見解とはやはり見解を変えた、見解の変更になるというふうに言わざるを得ないと私は思います。そのことだけは一つ私どうしても申し上げておきたいというふうに思います。
  226. 梶山静六

    国務大臣(梶山静六君) お答えを申し上げて退席させていただきたいと思います。  私が申し上げたのは、いわば近代社会、近代戦争において日本の領海のごく近くでという、先ほどの宮澤さんの言葉を私は引用したわけでありますが、これが起きるということは日本に対する極めて直接的な攻撃の場合を想定している、あるいは極めてデモンストレーション的なことで一触即発の状態が生じたという場合においては、これは私は日本国有の自衛権の中に入る、この見解を持たなきゃ日本の安全は保障できません。政府としては当然そういう状態に対応する準備とそれから法制上の準備もしておかなければならないと感じております。
  227. 聴濤弘

    ○聴濤弘君 残念ですが時間になりましたので、官房長官にはまた次の機会にお願いをいたします。  あと五分ほど残っておりますので、別の質問をさせていただきます。  これはやはり日米共同作戦の発動の問題なんですけれども、これももう時間がありませんからいろいろ説明は申しません。安保条約の第五条に基づいてこれでもって発動をするということになっておりました。ところが、今度の日米共同宣言では、日本の周辺で起こった場合にもそういうふうな共同の作戦をとっていくというふうにやっていこうということなんですけれども、そうしますと、これは防衛庁長官にお伺いしたいんですが、第何条によってそういうことができるんでしょうか。
  228. 秋山昌廣

    政府委員秋山昌廣君) 我が国周辺地域で我が国の平和と安全に重要な影響を与えるような事態が発生した場合には、まず当然我が国としてみずからの平和と安全にかかわる問題として憲法の範囲内で事態に応じ適切な対応をとることになるわけでございます。  かかる事態が発生した場合の我が国の対応におきましては、日米安保体制の円滑かつ効果的な運用を含め、日米協力が極めて重要な要素となるわけでございますが、このような日米協力は必ずしも在日米軍が我が国の提供した施設・区域を使用して行動することのみに限られないわけでございまして、事態の拡大波及を防ぐ外交努力等、必ずしも日米安保条約の個々の条項を直接の根拠とせずに行う措置も含み得るものでございます。今次の共同宣言におきましては、そのような観点から、かかる事態における日米協力について研究を促進する旨を明らかにしたところでございます。  なお、いずれにいたしましても集団的自衛権の行使のように我が国憲法上許されないとされている事項について従来の政府の見解に何ら変更を与えるものではございません。
  229. 聴濤弘

    ○聴濤弘君 私は五条のことで聞いたんですが、六条のことでもどちらでも結構です。ともかく今お聞きしていて、個々の条項によって決められるものではない、もっと広いんだという意味の御答弁だったと思うんですけれども、法制局長官にお伺いしたいんですが、そういうことでいいんですか、この条約を解釈していく場合に。
  230. 大森政輔

    政府委員(大森政輔君) ただいまのお尋ねの趣旨、若干理解ができない部分があるわけでございますが、安保条約第五条を読みますと、「各締約国は、日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、」共同対処行動をする、こう書いてあるわけでございます。  したがいまして、この第五条に基づく共同対処行動というのは日本の施政下にある領域に対する武力攻撃があるということが前提でございますが、それ以外の、施政外の公海上の近海における日米協力というものは安保条約の五条外であるから一切できないというものではないということを今防衛局長がお答えになったんだろうと思います。その限りにおいてはそれは何も間違いじゃないというふうに考えます。
  231. 聴濤弘

    ○聴濤弘君 これは本当に大事なことだと思うんです。間違いじゃないと、そういう答弁は私これからもさらに研究いたしますが、少なくともきょう私が準備する間に今までの国会の議事録をずっと勉強してまいりました。さっき一連のものを持っていると言いましたけれども、そういう共同行動がとれるのは日本の施政下にあるもの、そういうときに限るということがずっと政府が言ってきた答弁だったと私は思います。ですから、やはり今の秋山防衛局長の答弁でいいんだと法制局長官まで言われるとなると、私はこの問題を非常に重視し、この問題を国会の場でもさらに質問し、追及したいというふうに思います。これでとても私は納得をするわけにはまいりません。  最後に、秋山局長にお聞きしたいんですが、このごろよく安保条約というのと安保体制ということと言葉を使い分けちゃいまして、五条の範囲ではここまでしかできないでしょうと言うと、条約上は確かにそうです、しかし日米安保体制におきましてはというので、体制という言葉になると何でもできると。それじゃ五条違反じゃないかと言うと、いやそうじゃないんだ、五条は五条なんだと。そういう体制と条約という言葉の使い分けが非常によく行われているように思いますが、これは言葉は慎まなきゃいかぬが、要するに言葉のあやで物事を説明しちゃっているというふうに思います。まずいと思います。いかがでしょうか。このことをお伺いして、私の質問を終わります。
  232. 秋山昌廣

    政府委員秋山昌廣君) いろいろな切り口がある話について、委員の方はある一つの切り口で御質問されているように私は思うわけでございます。それは、日米関係につきまして安保条約という切り口、あるいは日米関係について自衛隊と米軍という切り口、私の認識ですと、委員の御質問は、自衛隊と米軍の関係につき、かつ米軍が武力行使をしていることについての安保条約上の問題というふうに私にはとれます。  しかし、日米関係は必ずしも米国の軍隊と自衛隊関係だけではございませんで、多くの複雑なふくそう的な関係があるわけでございまして、かつ安保条約だけではない関係ももちろんあるわけでございます。  と申しますのは、例えば日本の法律に基づいて当然できることについて別に条約上の義務としてやる必要はないわけでございまして、そういう意味におきまして、安保体制と申しておりますのは、私の理解するところでは、日米安全保障条約をもとに置きました日米の関係、これを安保について言えば日米安保体制、安保以外に経済ですとか政治ですとか外交ですとかいろいろな要素を織り込みますといわゆる日米関係といったような言い方をしていると理解しております。  議論になっております問題についても、日本周辺という場合には安保条約上の問題はどうなるのかということですぐ議論になりますが、安保条約外の問題もあるわけでございますから、そういった安保条約をベースにした日米安保体制、あるいはより広く日米同盟関係といったような関係で物事を考えていくべきではないかというふうに私は考えております。
  233. 聴濤弘

    ○聴濤弘君 終わります。
  234. 矢野哲朗

    ○矢野哲朗君 自由民主党の矢野哲朗であります。よろしくお願いを申し上げます。  冒頭、先ほど賛成多数で可決成立しました設置法一部改正について確認をさせていただきたいと思うのでありますけれども、総定数が五十名ほど減った定数になっていると思います。これは昨年策定された新防衛大綱で、もう既にその定員削減という方向に向いて一歩を踏み出したという一つ考え方でいいものかどうなのか、加えまして今後五年間の中期防における定数削減の具体性、もしわかっていますればひとつお教えいただきたいと思います。
  235. 臼井日出男

    国務大臣臼井日出男君) 昨年十一月に決定いたしました新防衛大綱では、諸情勢を考慮いたしまして、現行の防衛力の機能、規模につきまして合理化、効率化、コンパクト化を進めるということにいたしております。同時に、必要な機能の充実防衛力の質的な向上も図るとともに、適切な弾力性を確保する施策を進める、こうした考えを持っているわけでございます。  また、国内外からの自衛隊の役割に対する期待の高まりにこたえまして、防衛力の役割として、従来私どもがとってまいりました我が国防衛という柱のほかに、大規模災害等各種事態への対応、あるいはPKO活動などより安定した安全保障環境構築への貢献、こうした柱を立てておるところでございます。  これらの業務を着実かつ効果的に行うこととしたいと考えておるわけでございまして、このことは隊員にもよい影響を与えるものである、このように考えております。また、隊員の処遇改善等、その士気の高揚を確保するための諸施策の展開を引き続き重点的に進めてまいりたい、こう考えております。
  236. 秋山昌廣

    政府委員秋山昌廣君) 定数削減の今後の見通しについてという御質問でございますが、一応現在我々は、八年度をスタートといたします中期防衛整備計画におきまして、この五年間で定数、これは今現在十八万人になっているわけでございますけれども、これを編成定数としてこの五年間に十七万二千人程度にすることを考えております。その中身は、常備自衛官おおむね十六万七千人程度、即応予備自衛官おおむね五千人程度ということでございます。
  237. 矢野哲朗

    ○矢野哲朗君 今の世界的状況を見ますと、世界的規模の大戦はもう起こらないかなというふうな一つの判断はでき得ると思います。ですから、米国、ロシア、そして欧州の関係諸国の中で軍縮を進めようという一つ努力が行われておる、これは一つの時の趨勢だと私も解釈をするわけであります。  今、長官がおっしゃった今回の新防衛大綱で、コンパクト化、合理化、この二つの言葉が非常に私には心痛く響くわけであります。当然のことながら今後も基盤的防衛力構想を維持しよう、そして新たに災害関係についての対応、そして多様性に対する対応、新たな任務に対する明確な文言が挿入されたわけであります。それから、PKOについても、広く国内外でまさにこの重要性がますます増してくると思っております。  そうすると、本当に自衛隊に期待するものがどんどん多くなってくる。その反面、定数は削減だぞと。このことを思いますと、隊員一人一人の気持ちというのは私は相当シビアなものがあろうと思っています。ですから、士気の高揚、そして能力の維持向上ということになりますと、本当に並々ならぬ長官の御努力が必要になってくるかなと思います。  ぜひともその辺で、今後の自衛隊の最高指揮官としてどう指揮していくんだという決意も含めて長官のお考えを御提示いただきたいと思います。
  238. 臼井日出男

    国務大臣臼井日出男君) ただいま私がお話をいたしましたとおり、自衛隊の見直し、合理化、効率化、コンパクト化というものを進めなければならない、その反面で自衛隊の士気というものもしっかりと保っていかなければならない、そうしなければ国際的な広がりの中で我々自衛隊の役目というものは果たせない、こういうふうに思っております。  最近、私のところに各地区の自治体から議員の方々あるいはあるときは自治体の長の方もいろいろお見えになります。そのことはまさに委員お話しいただきました、私どもが計画をいたしておりますこのコンパクト化に関連をいたしまして、ぜひとも自衛隊の基地というものをしっかりと残してもらいたい、こういうふうな要望が圧倒的に多いわけでございます。私どもも自衛隊が地元の方に大変理解をされ、また御支持をいただいていることは大変ありがたいわけでございますので、そうした地元の期待というものも念頭に入れながら、ぜひとも我が国防衛における全体のあり方というものと整合性をとりながら今後努力をいたしてまいりたい、このように考えております。
  239. 矢野哲朗

    ○矢野哲朗君 一件要望しておきます。  先ほどの秋山防衛局長の答弁ですと、今中期防の最終年度までには約五千人ぐらいの即応予備自衛官を導入するんだというふうな話がございます。ですから本当に待ったなしの話だと思いますし、なおかつ言うは易く行うは難しのような即応予備自衛官の状況だと思います。採用についてもこれまた、先ほど永野委員からもお話があったように、関係企業に対していろんな協力を求めると。大変な苦労があると思いますし、その整備たるや日時もかかろうと思います。ぜひとも前広にその法整備やらその環境整備の論議ができますように、検討をひとつ進めていただきたいとお願いをしておきます。  加えまして、新大綱の中で一つ確認をさせていただきます。  「我が国周辺地域において我が国の平和と安全に重要な影響を与えるような事態が発生した場合には、憲法及び関係法令に従い、必要に応じ国際連合の活動を適切に支持しつつ、日米安全保障体制の円滑かつ効果的な運用を図ること等により適切に対応する」というふうに「防衛力の役割」の中に書かれておりますけれども、この「我が国周辺地域」及び「我が国の平和と安全に重要な影響を与える」、この辺は具体的にどういう事態を想定しているのかお聞きをいたします。
  240. 臼井日出男

    国務大臣臼井日出男君) 委員指摘の「我が国周辺地域において我が国の平和と安全に重要な影響を与えるような事態」につきましては、特定の事態を念頭に置いているわけではございませんが、あえて一般論を申し上げれば、我が国周辺地域において限定的な武力紛争が生起したような事態を考えておるわけでございます。  そのような事態における我が国への直接的影響として、いつも申し上げておりますとおり、例えば大量の避難民が到来をすること、在外邦人等の緊急退避のための我が国への輸送が必要となること、敷設された機雷が遺棄機雷となって我が国周辺海域に浮遊をすることなどが考えられ、その際には状況に応じて自衛隊による対応、例えば遭難した避難民の捜索救助、在外邦人等の輸送、遺棄機雷の除去が必要となることが考えられるわけでございまして、こうしたものに対処をしたい、こう考えているわけであります。
  241. 矢野哲朗

    ○矢野哲朗君 先般の日米首脳による日米安保宣言の内容については、二十一世紀に向けてアジア太平洋の今の繁栄、そして安定を維持していくために基軸となるものだという再評価をしてくれたということで我々も評価をするところでありますし、国民ともどもそういう気持ちだと思うのであります。日米安全保障条約の再確認ができたということだと思うのでありますけれども、その内容として「日米防衛協力のための指針」を見直そうというような一つの文言があります。  その指針たるや五十年代早々検討に入ったわけで、その結果、見直しという言葉が果たして妥当性があるのかなと。残念ながら第三項については検討に入ったけれども結論を見ずして今日に至るというふうな一つの経緯もあるようであります。  ですから、ただ単に見直しをしようといっても、日米間の先ほどの集団的自衛権を含めて非常に大きな問題がある中での検討だというふうに考えますので、その辺で今までの検討した体制の反省も含めて今後どういうふうな取り組み方をしていくのか、加えて今後どういうふうなスケジュールで結論を出していくのか、その辺をお伺いいたします。
  242. 秋山昌廣

    政府委員秋山昌廣君) 現在の日米防衛協力の指針、いわゆるガイドラインは三つの事項に分かれておりまして、そのうちの最初の二つ、すなわち「侵略を未然に防止するための態勢」と「日本に対する武力攻撃に際しての対処行動等」という点につきましてはある程度研究が進みました。御指摘のとおり、第三項すなわち「日本以外の極東における事態で日本の安全に重要な影響を与える場合の日米間の協力」につきましては、ガイドラインはございますが、研究そのものはほとんど進んでいないというのが実態でございます。  今回、このガイドラインの見直しの背景として考えられたものは、もちろんその当時の状況からやはり世界情勢ないし軍事情勢が大きく変わったということ、特に冷戦が終えんしたといったようなこと、加えまして日米間の防衛協力につきましてこの十数年の間に相当積み上げができたといったようなこと、それから去る五月十三日に総理から指示がございましたが、そういったような我が国に対する危機が発生した際の対処、これは実は昨年の十一月に安全保障会議及び閣議で決定されました新防衛大綱で示された点でございますので、そういったようなことを背景といたしまして、この際、日米の防衛協力の基本的な考え方、指針というものを見直してみようということになったと私は理解しております。  したがいまして、その対象となります現在の一項、二項、三項、これらにつきましてそれぞれ見直しをすると同時に、あるいは三項につきまして新しい視点でガイドラインをつくるのか、あるいはガイドラインの対象として従来の一項、二項、三項以外にあるのかどうか、そういったような議論をこれから米側としていきたいと考えております。  なお、米側と本件につきまして協議していくに当たりまして、もちろん何らかの枠組みが必要であるということについて、これまた近々米側と協議して検討スキームを決定したいと思っておりますし、またどの程度の頻度でそれを開き、どんなタイミングで何をしていくのかというのは、まさにこれから米側とも協議してなるべく早くその検討をスタートさせたい、かように考えているところでございます。
  243. 矢野哲朗

    ○矢野哲朗君 今ちらっと話が出ましたけれども、去る五月十三日、総理から関係者に、我が国に対する危機が発生した場合の対処はどうあるべきかということを検討しろというような指示が出たようであります。それも四項目にわたって指示が出たかなと思います。しかしながら、そこの四項目に後方支援というような検討もしろということも入っているというように伺います。  そうすると、今の指針についての検討と今回の総理から指示が出た四項目の中の第四項目の検討がどういうふうな調整の中でなされていくんだろうかなと、その辺を整理しておきたいんですけれども、見解を伺います。
  244. 秋山昌廣

    政府委員秋山昌廣君) ガイドラインの見直しはまさに日米の防衛協力の基本的な考え方でございますから、日米間の問題でございます。その意味におきまして、十三日に橋本総理から指示のありました検討課題のうち、四つあるわけでございますが、その四番目にある対米協力措置等という項目はかなり密接な関係があると認識しております。  ただ、我が国に対する危機が発生した際の対処、私の理解するところではかなりの状況が日米間の協力ということに関連してくるとは思いますけれども、必ずしも日米間の協力といったようなことを前提にしているわけではございませんで、我が国独自で対応すべきいろいろな検討をしなければいけないという意味では同じものではないわけでございます。  ただ、今申し上げましたように、かなりのところで密接な関係を有するということで理解しておりますので、この指針の見直しは総理から指示のおりました我が国に対する危機が発生した際の対処の検討とよく連絡をとりながら、その関係に注意しながらやっていく、ただ一応別々にやっていくということになろうかと理解しております。
  245. 矢野哲朗

    ○矢野哲朗君 ですから、日米関係の今日の協力体制いかにあるべしというふうな後方支援のあり方、これは我が国だけで判断を下すんじゃなくて、当然のことながら米国の要望が相当あろうと思うんですね。ですから、その辺でのリンケージが極めて重要になってくると思いますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。  加えまして、私は、今の社会情勢、また今回の日米安保共同宣言が出されて、その後大変防衛論議に花が咲いてきたかな、積極的な論争がされているかなというような感じがいたしております。  ですから、私、先ほどそれぞれの先生方の論議を聞いていまして、まず真っ先に集団的自衛権の極限の解釈はどうなんだというふうなことをやると、どうも整理がつかないんですね。それよりも、今までは研究段階、検討段階で終わっている。一たん有事になったときに、有事という言葉になると非常に抵抗ある方もおられるようでありますから、日本の危機管理の中で未整備な部分はどうなんだと。国民の生命、財産を守るために自衛隊が緊急出動をしたときに、その活動に支障になるようなことはどういうところがあるんだろうなと。  しからば、それをどうやって解決していったらいいんだろうなというあたりから論議を深めていきますと、国民の方もなかなか今の論議だと理解ができない、しからばそういう切り口から導入していくと、意外と具体的にわかってくれて、ああ、こんなこともまだ未整備なのかなと、だったらやっていった方がいいんじゃないのかなというふうな国民世論の一層の高まりを期待できると思うのでありますけれども、長官、その辺のお考えをひとつお聞かせ願いたいと思います。
  246. 臼井日出男

    国務大臣臼井日出男君) 今回、総理から御指示をいただきました我が国の危機に対する対処のあり方につきましては、防衛局長から説明がありましたけれども、まさに委員指摘のとおり、一体そうした状況の中で日本として何をどうするべきなのか、何ができるのか、あるいは何ができないのか、そういうことをできるだけ、臨場感あふれるというお言葉があったそうでありますが、まさに具体的なケースとして個々に検討していくということであります。  その中で、現状でなし得るもの、なし得ないものがいろいろ出てくると思うわけでございまして、それらのことを積み重ねた中でもって、我が国がそうした危機に対してどのように対処していくのか、また日米安保条約の中で米軍とどう協力して我が国を守っていくのか、そういうことが国民にも具体的に御理解をいただけるような形になってあらわれてくる、こういうふうに思っているわけでございます。  先ほどお話がございました指針の見直しにつきましては、秋の2プラス2までに形をはっきりさせたいと思っているわけでございまして、そうした関係等もございますので、今後とも鋭意また検討もさせていただきたい、こう考えております。
  247. 矢野哲朗

    ○矢野哲朗君 総理の検討をしろという内容は多岐の省庁にわたっての検討になろうかと思います。外務、防衛、運輸それから警察、まだまだあろうと思いますけれども、その辺を掌握しながら一つの結論を見出すということは並大抵の努力ではないと思うのでありますけれども、安保室に今後の取り組みについてのお考えをお聞きしたいと思います。
  248. 三井康有

    政府委員(三井康有君) 総理から御指示がありました件につきましての政府としての今後の取り組みにつきましては、まさにおっしゃるとおり関係省庁連携を密にとるということが極めて重要でございまして、その際、内閣安全保障室が事務局となりまして本検討を円滑に進めてまいりたいと考えているところでございます。  このため、総理の御指示がございました後、早速、内閣官房では古川内閣官房副長官にも御出席をいただきまして、関係省庁局長会議というものを開催いたしております。ここには外務、防衛、警察、運輸の各省庁から御出席をいただきましたが、これらの省庁といいますのは今回の検討の核となる役所でございまして、内閣官房から改めて総理の意のあるところをお伝えいたしまして、その上で各省庁の御協力を要請し、所要の作業を作業部会を設ける等により今後開始していくということを確認したところでございます。  将来、この検討がさらに進みますと、今申し上げました省庁以外の省庁の協力といったものもいずれ必要となってくるのではないかと予想いたしておりまして、これらに備えましてさらに協力体制の確立には万全を期してまいりたい、このように考えているところであります。
  249. 矢野哲朗

    ○矢野哲朗君 最後になりますけれども、繰り返すようでありますが、この防衛論争が大変盛んになってきた昨今であります。防衛庁長官、ぜひ先頭に立たれまして、ひとつどんどんこの審議に挑んでいただきたい。そして、確かに角度が違えばまさに厳しい論議もあろう、審議もあろうと思いますけれども、そんな中に必ずや国民が熱いまなざしを与えて、そして結果的に日本の防衛はどうあるべしというような一つの方向性もできようと考えておりますので、ぜひ今後の御努力、御尽力に心から御期待を申し上げたいと思います。  以上であります。
  250. 宮崎秀樹

    委員長宮崎秀樹君) 本日の調査はこの程度にとどめ、本日はこれにて散会いたします。    午後四時二十分散会      —————・—————