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1996-04-09 第136回国会 参議院 内閣委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年四月九日(火曜日)    午前十一時開会     —————————————    委員異動  三月二十七日     辞任         補欠選任      海老原義彦君     倉田 寛之君      萱野  茂君     久保  亘君      齋藤  勁君     藁科 滿治君  三月二十八日     辞任         補欠選任      倉田 寛之君     海老原義彦君      松村 龍二君     岡野  裕君      久保  亘君     萱野  茂君      藁科 滿治君     齋藤  勁君  四月八日     辞任         補欠選任      鈴木 正孝君     小林  元君  四月九日     辞任         補欠選任      岡野  裕君     釜本 邦茂君      鈴木 栄治君     谷川 秀善君      村上 正邦君     山本 一太君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         宮崎 秀樹君     理 事                 板垣  正君                 矢野 哲朗君                 吉田 之久君                 齋藤  勁君     委 員                 海老原義彦君                 狩野  安君                 釜本 邦茂君                 谷川 秀善君                 山本 一太君                 依田 智治君                 大久保直彦君                 小林  元君                 友部 達夫君                 永野 茂門君                 萱野  茂君                 角田 義一君                 笠井  亮君                 聴濤  弘君    国務大臣        郵 政 大 臣  日野 市朗君        国 務 大 臣       (内閣官房長官)  梶山 静六君    政府委員        内閣法制局長官  大森 政輔君        防衛施設庁長官  諸冨 増夫君        防衛施設庁総務        部長       大野 琢也君        防衛施設庁施設        部長       小澤  毅君        郵政大臣官房長  谷  公士君        郵政大臣官房審        議官       品川 萬里君        郵政省通信政策        局長       山口 憲美君        郵政省電気通信        局長      五十嵐三津雄君        郵政省放送行政        局長       楠田 修司君    事務局側        常任委員会専門        員        菅野  清君    説明員        郵政大臣官房国        際部長      長谷川憲正君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○郵政省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付)     —————————————
  2. 宮崎秀樹

    委員長宮崎秀樹君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る三月二十八日、松村龍二君が委員辞任され、その補欠として岡野裕君が選任されました。  また、昨八日、鈴木正孝君が委員辞任され、その補欠として小林元君が選任されました。  また、本日、岡野裕君が委員辞任され、その補欠として釜本邦茂君が選任されました。     —————————————
  3. 宮崎秀樹

    委員長宮崎秀樹君) 理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 宮崎秀樹

    委員長宮崎秀樹君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事齋藤勁君を指名いたします。     —————————————
  5. 宮崎秀樹

    委員長宮崎秀樹君) 郵政省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。日野郵政大臣
  6. 日野市朗

    国務大臣日野市朗君) 郵政省設置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容を御説明申し上げます。  二十一世紀も間近になった今日、世界経済社会は従来の枠組みを超えて大きな変化を遂げつつありますが、我が国としても、このような激動する国際社会の中にあって、我が国経済社会国際化をさらに促進し、より一層世界に開かれた経済社会を実現することはもとより、相互依存関係を深める国際社会において我が国が積極的な貢献を果たしていくことが重要な課題となっております。  特に、情報通信分野においては、その重要性と今後の発展性に着目して世界各国が戦略的な取り組みを行っている結果、さまざまな国際摩擦が生じており、郵政行政として、複雑かつ多様に影響し合う利害の相違を超え、国際社会全体としての調和達成に取り組むべき課題が山積しております。さらに、情報通信基盤整備については、持続的な経済成長、新たな雇用創出等世界が現在直面しているさまざまな課題を解決していく際のかぎとして国際的に関心が高まってきており、我が国としても、従来にも増して国際的な連携、協調を深め、世界的な情報通信基盤整備に積極的に貢献していくことが重要となっております。  郵政省におきましては、従来、国際問題に関する事務大臣官房総務審議官が総括整理してきたところでありますが、かかる見地から、我が国を取り巻く国際情勢推移等を踏まえつつ、高級事務レベルで国際問題の的確な処理を図るとともに、総合的な国際郵政行政を強力に推進していくためには、事務次官に準じて郵政行政に係るこれらの国際関係事務を総括整理する職の整備が必要不可欠となっております。  このため、郵政省所掌事務に係る重要な政策の企画、立案及び実施に関する事務を総括整理する郵政審議官一人を設置することとし、この法律案を提出した次第であります。  なお、この法律案施行期日平成八年七月一日からといたしております。  以上がこの法律案提案理由及び内容であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
  7. 宮崎秀樹

    委員長宮崎秀樹君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 海老原義彦

    海老原義彦君 自民党の海老原義彦でございます。  ただいま大臣提案理由説明を伺いまして、まことにごもっともな御説明だったと思います。世界的な情報通信基盤整備に積極的に貢献していくために、官房総務審議官の職をもっと高いものにしなきゃいかぬ、高級事務レベルの国際的な対応をしなきゃいかぬということで、事務次官に準じて郵政行政に係る総括整理職が必要だという御説明はよくわかるのでありますが、ちょっとひっかかる言葉がございますので、二、三伺いたいと思います。これは事務的な説明で結構でございます。  まず、持続的な経済成長、それから新たな雇用創出、という言葉を使っておりますが、この二つについてちょっと御説明いただきたいと思います。
  9. 山口憲美

    政府委員山口憲美君) 御説明申し上げます。  情報通信基盤整備意義にかかわる問題だというふうに思っておりますけれども、実はこれは電気通信審議会からもう二度もこういう言葉答申をいただいているわけです。今後の経済持続的成長を実現しながら、高齢化の進展や東京一極集中等の諸課題に対処していくために情報通信基盤整備が不可欠であるとか、あるいは持続的な経済成長とか雇用創出など我が国が直面しているさまざまな課題を解決していく上で情報通信基盤整備が不可欠だというふうな表現での答申をいただいているということでございます。  したがいまして、私どもも大変大きな意義を持っているというふうに思っておりますが、ちなみに最近いただきました電気通信審議会答申の中でも具体的な数字で示されておりますので、ちょっと御紹介させていただきますが……
  10. 海老原義彦

    海老原義彦君 時間がありませんので、簡略にお願いします。  実は私、当初もっと長い時間を予定しておりましたが、極めて短い時間に圧縮しなきゃならぬということなので、答弁はごく簡略にお願いいたします。端的に意味だけをお答えいただければ結構です。
  11. 山口憲美

    政府委員山口憲美君) わかりました。  情報通信は今後大きな成長が期待される産業分野である、いわゆるリーディングインダストリーに成長していくということ、それからもう一つはこの情報通信が他のいろいろなニュービジネスを創出する基盤になる、経済成長を助けるという意味で使われているということでございます。  それから、雇用創出でございますが、この雇用創出につきましても、新しい分野が開けてくるということに伴いまして新たな雇用の場が開けるという意味での雇用の増大が図られる、こういう意味でございます。
  12. 海老原義彦

    海老原義彦君 私がひっかかると申しましたのは、端的な御説明をいただいたので理解したのでございますけれども、持続的な経済成長というと、通常それは地球環境を破壊しない、今後継続的に地球をつぶさずにやっていける成長だと、こういうことでありまして、それは非常に結構なんです。  また、確かに郵政分野ではそういうことが図られると思うので、それは非常に結構なことなんですが、それだけではない。  それ以上に、郵政分野、殊に電気通信分野では継続的にイノベーションが進行しておる、今数少ないイノベーションが進行している、イノベーションこそが経済成長の基礎になる、世界経済がこうやって沈滞しているときにこの分野で打開していくんだ、そういうもう少し気迫を込めた表現があればよかったと思うんですが、ただいまの説明で了解いたしました。新たな雇用創出についても同様でございますね。  それで、さまざまな国際摩擦を生じているという表現がございますけれども、具体的にどんな国際摩擦が生じておるのか、それを伺いたいと思います。
  13. 長谷川憲正

    説明員長谷川憲正君) 先生指摘のとおりに、この情報通信分野では技術革新が大変に著しいわけでございまして、そしてまた情報通信を使います産業の方もどんどんとグローバル化しております。そういう中で、各国ともこの情報通信分野というのを二十一世紀を担う戦略的な分野だというふうにとらえまして、その重要性が認識をされておるところでございます。こういった中で、多国間の関係あるいは二国間の関係でさまざまな摩擦が生じております。  具体的に申し上げますと、情報通信関連機器をめぐります貿易の不均衡の問題あるいはまた政府調達の問題、それからさらには人工衛星軌道位置でございますとか電波の周波数の国際調整の問題、さらには自国に有利な技術標準世界全体の標準にしようとするいわゆる国際標準化競争と言われるような問題、それからさまざまに異なっております各国電気通信制度あるいは規制枠組みについて国際的な調整を求めていく問題等々、適切な解決を図らなければならないさまざまな問題が生じているところでございます。
  14. 海老原義彦

    海老原義彦君 ただいまのお話を伺いますと、主としてハードの問題でいろいろ国際調整が必要な問題があるということでございます。実はそれも非常に重要なことで、今後果たしていかにやならぬ問題だと思いますけれども、それだけじゃなく、ソフトの面でもいろいろな問題が出てくるんじゃないか。後でこれを順次指摘していきたいと思うわけでございます。  さて、話は少しもとへ戻りますけれども国際郵政行政、特に情報通信分野におきまして、ただいまお話のありましたように技術動向が先行的、戦略的に世界標準をかち取っていくというような大きな利益をもたらす情報産業、それから非常に戦略的な政策が望まれる分野だという点につきまして、二十一世紀に向けての郵政省情報通信分野における世界戦略と申しますか、これからの国際郵政行政を進めていく上での基本的な考え方についてまず大臣の御説明をいただきたいと思います。
  15. 日野市朗

    国務大臣日野市朗君) 今いろいろ話題に出ておりましたように、情報通信分野というのは何人もちょっと予想できなかったようなイノベーションが非常に急速に進んでおりまして、それがまたどんどん国際的な展開をいたしております。  このような中にあって、人間人間との心と心を結び合わせていくという面、それから経済成長の面、雇用創出の面、これはそういったあらゆる点から見て不可欠なインフラであるとともに、世界的な情報通信基盤整備というものが非常に大事になってまいりました。  特に、先進国のみならず開発途上国、とりわけ地域的、歴史的にも密接なアジア太平洋地域、こういうところで我が国も積極的に協力を進めるとともに、我が国情報通信分野がそこにどんどんと展開していく、このことが私は必要であると思っております。  二十一世紀リーディング産業である、こう言われているわけでありますが、技術貿易等をめぐる国際協調のために多国間の協議、二国間協議を通じて国際的な政策面での協調、これも非常に大事になってまいります。そういうことを考えながら、これからの日本国際展開というものを考える上でそういった観点は決してないがしろにできない非常に重要なことであるというふうに考えております。
  16. 海老原義彦

    海老原義彦君 大臣の御説明、ありがとうございました。  さて、きょう実は私が一番伺いたかったのは、最初に申しましたようにハードよりもソフトの問題でございます。インターネットというものが近ごろ非常にはやってきておりまして、インターネットにおいていろいろ国際的な問題が生じておる。例えば俗悪情報ポルノであるとか、そういったものがインターネットに一度乗るとざつざっと流される。アメリカでは、国内法規制でございますけれども、今度成立しました一九九六年電気通信法の中で規制が行われて、コンピューターネットでの未成年者へのわいせつ情報の配信を処罰するというような刑事罰を考えておるようでございます。こういったことに刑事罰を科すのは表現の自由との関連アメリカ国内でも問題があるようでございますけれども、いずれにせよそういった対応を考えておる。これは国際的な問題としてどうなのか。国際的にも実はいろいろな問題がございます。  ドイツではナチスの思想の復活ということを非常に恐れておりまして、ナチスを賛美するような情報を流すことは法律で禁止されておるわけでございます。ところが、カナダ在住ナチス信奉者がおりまして、この人がインターネットを通じてそういった情報をどんどんドイツに送っておる。ドイツ検察当局は非常に頭を悩ませております。検察だけじゃありませんで、これは郵政当局も一緒になって対応しておるわけでございまして、郵政当局としては、この人のページがあるプロバイダーとの接続を切断するとか、そういった措置をやっておるんですが、そうしますと今度は潜りでほかのルートから入ってくるというような切りのない話で、大変な問題があるわけでございます。  それからもう一つ、最近の新聞で見ますと、電子カジノという問題がある。つまり賭博でございます。これは我が国に直ちに関係してくる問題だと思います、我が国では賭博は禁止されておりますから。  今のところアメリカカナダとそれからメキシコ、そこらあたりなんだろうと思いますけれども、ヨーロッパにも及んでおるようでございます。自宅でラスベガスのだいご味が味わえるというようなったい文句でやっておるわけでございまして、アメリカではラスベガスあたりの業者にとっては大変脅威であるというにとどまるわけでありますけれども、これが我が国へもちろん流れておりまして、我が国国民も恐らく参加している人がいるだろうと思うんです。我が国としてこれを取り締まるのにどうするか。これは警察当局が頭を悩まさにやならぬ問題であると同時に、郵政当局としてもプロバイダーとの接触を切るとか、いろいろな対応を考えなきゃならぬ問題だろうと思います。  また、ドイツではインターネット上に流れる幼児ポルノ画像規制する国際的な統一基準設置ということを連邦議会で打ち出しております。そのために各国国内法整備するように求める提言を行っているのであります。  そういったようないろいろな関係が国際的にインターネットの問題として出てくるわけでございまして、これから日本で一番盛んになろうとしておる産業であるインターネットに関して、盛んになる前に未然にこういった問題を防ぐ措置を考えていかにやならぬというのは重大な課題だろうと思いますが、御答弁を求めます。
  17. 五十嵐三津雄

    政府委員五十嵐三津雄君) ただいま先生からるるお話がございましたように、通信イノベーションということで、インターネットの普及というのは、アメリカ、そして今や日本に大きな波紋を投げております。国境を越えてくるというようなこともございますが、先ほど先生の御指摘にもありましたとおり、アメリカでは今回九六年の電気通信法未成年者への対応とともに、単に電話設備というだけではなくて電気通信装置一般に拡大するというインターネット等を意識した対応になってくる等々の法律制度整備というのが見られるところでございます。一方では、アメリカでもこの法律に対して憲法違反ではないかというような訴訟がなされるとか、そういう状況がございます。  さらに、国際的にもということで先生からドイツお話がございましたが、このインターネットにつきましては、とりわけ俗悪というふうに言われるものにつきまして、国境を越えてくる、それから国によってその判断基準が異なるというようなことで、現実の問題としましては、OECDにおきましてもインターネット内容規制に関する国際的なコンセンサスを得る必要があるのではないかということで今議論が始まったというところでございます。これは先生から今御指摘のありましたようなことが問題意識の背景になっているものというふうに私どもは受けとめております。  我が国におきましては、一昨年七月より、郵政大臣諮問機関ということで二十一世紀に向けた通信放送の融合に関する懇談会という研究会を開いていただいておりまして、その中におきまして、例えばインターネットにおきますわいせつ情報あるいは他人の誹謗中傷というようなもの、いわゆる公序良俗に反する情報への対応について総合的に今議論がなされているという現状でございます。  これまでですと、通信分野における保護法益としては通信の秘密ということがございました。  一方では、放送という意味では公序良俗というようなことが保護法益になっていたということでありますが、先生指摘のように、表現の自由とのかかわりでこれをどう考えていくかということに現状はなってまいっております。私ども、例えばOECDの場等国際的な動きもありますので、そういったこととも連携しながらこの検討を進めて、適切に対処してまいりたいというふうに存じております。
  18. 海老原義彦

    海老原義彦君 これは大変難しい問題だと思います。法制度的にも難しいし、また排除する技術という面でも大変難しいということがあると思うんです。ですから、尋常一様の検討ではなかなかできないと思いますので、ひとつ腰を据えて御検討いただきたいと思います。  あわせて、インターネットの問題でもう一つ、さっき言い落としましたけれどもプライバシー保護の問題があると思うんです。従来、電子メールなどでかなりプライバシーにかかわる、あるいは場合によっては名誉毀損に該当するようなことも流されておるわけですけれども、これがインターネットなどに乗って広く流された場合には明らかに名誉毀損の問題になるわけでございまして、そういうものに対する救済措置ということも考えていかなきゃならぬということかと思います。  それから、時間がございませんので話を先へ進めます。  TBSの問題に関連しまして、TBSでは今回のあの問題について鋭意社内調査を行っているということでございますが、なかなか限界があるようでございます。  これはアメリカの例でございますけれども、昔ワシントン・ポストで記事程造事件というのがございました。これは一九八一年度のピュリッァー賞を受けた麻薬中毒児のルポでございます、「ジミーの世界」という題だったと思うんですが。これは作り話だと、このことがわかるとワシントン・ポストでは直ちにこの賞を返上した。ピュリツァー賞といえばもう報道界ノーベル賞のような大変な賞でございます。それが捏造事件によって汚されたということで大変な問題でございました。そのときに社外オンブズマンが活躍いたしまして、たった四日間で関係者を徹底的に洗って長文の報告書をつくって、これを紙面に掲載した。  過度の功名心の弊害があったとか、幹部が疑問を厳しく追及することを怠ったなど厳しい指摘をしているわけでございます。こういう社外オンブズマンというような制度も大いに参考にすべきだと思うんです。  それからいま一つ、イギリスにおきましては、BCC、放送苦情処理委員会と訳されておりますが、ブロードキャスティング・コンプレイン・コミッションというのがございます。私は放送不服審査委員会と言う方が正しいのかと思いますけれども、そういったものがありまして、これは国民文化相が任命する三名以上の委員により構成とありますから、設置根拠放送法に基づいて国で設置しておるわけでございまして、ここでいろいろな放送に関する不服を取り上げて審査する。審査した結果、当事者間の和解という形で反省を放送上に出すというケースもございまするし、裁定を行ってその要旨を放送させるというケースもあるでしょう。こういった放送不服審査委員会というような形も必要かと思います。  それからいま一つ、けさの毎日新聞家庭欄でございますけれども家庭欄の筆者になっているやまだ紫という人が個人的な出来事で恐縮だがと書いているんです。これは放送でなくて新聞の問題なんですけれども放送も同じような問題を抱えているわけでして、インタビューしたいという申し出があったのでインタビューを受けたところ、テープもとらずにメモだけとって帰ったのでどうも不安だと思って、出す原稿を見せてくれと言ったら、一々そういうものに応じているととてもやり切れないと言うので、執筆者大変自信を持っているのならいいだろうというのでやってもらったところ、間違いだらけであったと。平凡な家庭生活に飽き足らず離婚したとか、名家の出であるとか、言いもしないことが書いてあると大変怒っております。  こういう場合に、ドイツやフランスでございましたら反論権というのがあるんですね。反論を同じサイズで載せる、そういうことを要求する権利がある。日本にはそういうものもない。いろいろ検討すべきことがあるだろうと思うんですが、そういった検討をどういうふうにしておられるのか。  昨年の逓信委員会放送法の一部を改正する法律案に対する附帯決議がございまして、その中に「国民の人権を擁護するため、訂正放送等制度の周知に努めるとともに、放送番組審議機関の機能の十分な活用を図るほか、諸外国の例を踏まえつつ、放送番組に関する苦情処理の在り方について、広く各界からの意見を聴き、放送事業者運用面も含め検討すること。」という文言もございます。  そういったことで、こういった放送に対する不服審査をどういうふうに考えているのか。日本ではまだこういうものがないわけで、諸外国に比べて非常に劣っておる。そういうことを是正していく必要があると思うんですけれども、今どういうふうに検討が進められておるか、そのあたりを伺いたいと思います。
  19. 楠田修司

    政府委員(楠田修司君) 先生から外国の諸制度について詳しく御紹介いただきました。また、先年の国会の附帯決議によりまして御紹介のとおりのことでございます。  この件につきましては、放送による権利侵害の問題あるいは番組が番組準則等に反するような疑いを持たれる場合に、このような判断を放送事業者と異なる第三者といいますか中立的機関にゆだねることによりまして、放送法に適合した放送番組の確保を図るという目的があるわけであります。これまでに実は椿発言問題あるいはオウム報道の問題、それからサブリミナル問題等々、幾つかの番組の問題が起こりまして、昨年九月以来、放送番組に関する諸問題を含めた放送のあり方を検討するということで、多チャンネル時代における視聴者と放送に関する懇談会というのを続けておりまして、もう八回から九回の懇談を済ませております。  その中では、例えば放送の被害の事例について判断する中立的機関が必要であるという意見も出ております。一方、人権等の問題については、基本的には放送事業者が自己責任による対応をすべきだという意見も出ております。また、放送番組の編集の自由といっても、自己評価だけでなく他者の評価といいますか、そういうものが必要だなどのいろんな意見が出ておるわけであります。また、外国の方へも調査に行っております。  そういうことを含めまして、この四月末に一応中間取りまとめを行っていただける予定でございます。その後、本年十二月までに最終取りまとめを行うという予定で今進めておるところでありまして、郵政省といたしましては、同懇談会議論を初め幅広く意見を伺いながら検討してまいりたいというふうに進めておるところでございます。
  20. 海老原義彦

    海老原義彦君 懇談会に預けて御検討いただいておるということで、なかなか積極的にどうやるというところまでは言えない段階だろうと思いますけれども大臣、今までの議論をお聞きくださいまして、非常に問題があるんだということを十分理解されておられるんだろうと思います。今回のTBSの事件については、諸外国でもこれを見ておりまして、日本というのはとんでもない国だ、大和銀行のあの事件と同じような一つのジャパン・プロブレムである、そういうふうに理解するおそれすらあると思うんですよ。  今度設置されます郵政審議官は対外問題を所掌する職でございます。対外交渉も重要でありますけれども通信放送分野におきましては国際化、ボーダーレス化がほかに比べて著しく進む分野でありますから、プライバシーの問題であるとか俗悪番組の問題であるとか、あるいは放送倫理一般の問題、そういったルールについては我が国は非常におくれておると思うので、一日も早く先進国と足並みをそろえられるような国際的な調和を図ることも大変必要だろうと思います。  大臣の御決意を伺いたいと思います。
  21. 日野市朗

    国務大臣日野市朗君) 今、先生指摘になりましたように、国際化、ボーダーレス化というものが進みますと、諸外国の問題というのが我が国にはね返ってくる、逆に我が国の問題もまた国際間の問題としてはね返っていくというようなことになっていくわけでございます。これに関して、特に情報通信だとか放送分野においてはもう本当に距離がなくなってしまうようなものでございますから一層その傾向が強いかと思います。  それではこれをどのようにコントロールしていくのか、そのルールを策定するということになりますと、これは各国のそれぞれの事情がございます。各国の法制度がございましょうし、各国の文化、民族性、それから宗教問題、これはいろいろ重なってくるわけでございますが、その中でそういった各国の事情に配慮しながら国際的な調和を我々は求めていかなければならない、こういうふうに思っております。  今ここで具体的にどのようにということを申し上げるのはなかなか困難でございますけれども、こういった国際的な状況、それから情報通信分野における特殊性、そういったものを考えながら適切な対処をいたしてまいりたい、このように考えております。
  22. 海老原義彦

    海老原義彦君 終わります。
  23. 齋藤勁

    齋藤勁君 社会民主党の齋藤でございます。  郵政省設置法の一部を改正する法律案につきまして何点かお尋ねさせていただきたいと思います。  先ほどの大臣の提案説明、そしてまた各省が新しく機構等を設置する場合、いわゆる行政組織の新設改廃につきましては従来からスクラップ・アンド・ビルドという原則で行われてきているわけでございます。今回、審議官を一人設置することに伴いまして、説明資料等では通信政策局次長、そして官房審議官及び官房国際部国際機関課を廃止する、こういうふうになっているわけでございます。  とりわけ私がちょっと危惧しますのは、審議官を一人設置し国際担当ということで主としてお仕事されるわけでございましょうけれども、省内の体制にきちんと伴っていかなければならないわけでございます。スクラップ・アンド・ビルドという原則についても、官房国際部国際機関課を廃止するという内容になっておりますが、これについての心配はないのかどうか、まず冒頭お尋ねしたいと思います。
  24. 谷公士

    政府委員(谷公士君) 国際機関課におきましては、現在、郵便、郵便振替、それから電気通信などに関する国際的な取り決めてございますとか、それからITUなどの国際機関との連絡事務等を担当しておりまして、大変重要な仕事をしている課であると考えております。しかし、先生指摘のとおり、社会の変化に伴いまして行政組織を見直します際にはスクラップ・アンド・ビルドの原則で対応するということになっておりまして、この郵政審議官設置が現下の郵政行政をめぐる国際的な諸情勢の変化、それに対する体制の整備ということでは非常に緊急的に措置を要するものだと考えておりますので、こういった組織につきましては優先度を勘案いたしまして所要のスクラップを行わざるを得ないと考えております。  この国際機関課につきましては、ただいま申し上げましたような現在行っております所掌事務を国際部の国際政策課に一元化いたしまして、その中で事務処理に当たっていきたいというふうに思っております。  いずれにいたしましても、この中で支障のないよう、私どもとしては最大限の努力をして対応してまいりたいと考えておるところでございます。
  25. 齋藤勁

    齋藤勁君 次に、今回郵政省が国際高級会合への対応等で審議官を設置しますが、既にさかのぼること、大蔵省では財務官を昭和四十三年に国際金融問題担当として設置され、以降、農水省、経企庁、そして通産省、また近年では運輸省に国際経済問題担当として運輸審議官が平成三年に一人設置されております。外務省の仕事柄、外務審議官二名というのは性格上違うと思うんです。  いずれにしましても、郵政省自身もここで省内の全体的な対応はもちろんのこと、国内関係省庁との連携もとっていく、こういう方向があろうかというふうに思うんですけれども、現段階で既に設置されています各省の国際問題に関する関係部局、そういう部局との連絡会議というようなものが定期的にあるいは臨時的にも開かれているのかどうか。そして、今回郵政省審議官が設置されますけれども、こういった次官級の審議官レベルの会合というのが当然必要であろう、むしろ積極的に行っていかなければならないと思います。よく言う省益を代表するということではなくて、国益がまさに重要なわけです。  そういった総合的な日本の国益としての視点に立つならば、各省の高級事務レベル調整を行っていくというふうなことが考えられるんではないかと思いますが、この点についての考え方を伺いたいと思います。
  26. 長谷川憲正

    説明員長谷川憲正君) 先生指摘のとおりに、高度化、多様化いたします国際問題に適切に対応いたしますためには、まず我が国政府内での関係省庁における十分な調整を行っていくことが不可欠であろうと私どもは思っております。したがいまして、今後、郵政審議官設置していただきますと、郵政行政国際展開を強力に推進するというのは当然でございますけれども、同時に国内関係省庁の次官級審議官ともよりハイレベルな調整の機会が持てるものと期待をしているところでございます。  私どもが伺う限りでは、首脳級の会談等が各国と持たれますときの準備会合ですとか、あるいはそのための対処方針の機会等に時折こうしたハイレベルの会合が行われておるということも聞いておるわけでございまして、私どももぜひこれに積極的に対応してまいりたい、このように考えております。
  27. 齋藤勁

    齋藤勁君 もう一点だけこの法案につきまして聞かせていただきますけれども、従来、総務審議官で対応していたということでございます。しかし、今回新たに総括整理する立場での郵政審議官設置されるわけですけれども、従来、現在そうですけれども、総務審議官で対応していた時点で何か問題点があったのかどうか。少なくとも今度の郵政審議官設置には省益から国益へということでの、そういう視点で私も指摘させていただきましたけれども郵政省としてこの審議官を設置した最大のメリットはこういうことなんだということについて、従来の問題点と関連しましてお尋ねしたいと思います。
  28. 谷公士

    政府委員(谷公士君) 近時、情報通信を中心といたしまして郵政行政に係る国際化が進んでまいります中で、私どもといたしましても、官房に国際部を設ける、あるいは総務審議官を設けましてこういった対応をしてまいったわけでございますが、総務審議官はいわば局長級のポストでございます。しかしながら、ゴア副大統領によって提唱されましたいわゆるGII構想でございますとかAII構想のように、世界的な情報ハイウエー構築構想が提唱されるようになり、あるいはそういったことで情報通信分野重要性が国際的に高まる中で閣僚代理あるいは次官級によりますハイレベルの会合が非常に増加をしてまいりました。それから、これに伴いまして、先ほど御指摘がありましたように、国内での関係省庁の次官級の審議官等と外交方針のハイレベルな調整、あるいは省内におきましても高い見地からの各部局をまたがった強力な調整の必要性というのが出てまいりました。  こういったことに対応するために、やはりそれなりのレベルと責任を持てる組織をつくっていく必要があるということで私どもも今回こういう体制の整備が必要であると考えるに至った次第でございます。  この組織をお認めいただけましたならば、この体制のもとで直面する国際的な政策課題の取り組みに精いっぱい努力してまいりたいと考えております。
  29. 齋藤勁

    齋藤勁君 省益ではなく国益優先だということや国際的な会合等についての指摘は私もごもっともだと思うんですが、実はちょっと気になる報道が三月二十九日付の毎日新聞に大変大きく取り上げられております。  見出しては「NTT分割でロビー活動 郵政省監督下の公益法人介し 米の外圧を期待」、また別の見出しの方では「「省益第一」浮き彫りに」、こういうような内容でございます。時間の関係で全部読み上げることはできませんが、要は郵政省が監督下の公益法人を通じて、アメリカの外圧を利用して持論のNTT分割を推進しようとしている、そんな疑いがあるということであります。郵政国際協会という公益法人がアメリカのメリーランド州に本社があるコンサルタント会社とことしの一月に契約し、そして日米通商問題について情報収集あるいは分析の仕事を契約した、こういうことだそうです。  アメリカでは、コンサルタント会社は請け負った以降どういう業務をするんだということについては司法省に登録する、実はそういうようなルールになっているそうでございますけれども、その中には、米政府経済界を説得し、特にNTT分割を含む日本電気通信産業規制緩和をアメリカ市民に支持させるよう周知していく、こういう記載があるそうでございます。  事実としますと、電通審の答申が出る前でもございますし、大変問題であろうかというふうに思います。直接郵政省自身が契約したということではないにしても、監督下の公益法人がやるということならば、郵政省としてのかかわり合いについてただしておくべきではないかというふうに思う次第でございます。  そういう意味で、契約の事実、そしてまたこのコンサルタント会社が司法省にこういう内容で登録をしたのかどうかという事実関係についてたださせていただきたいと思います。
  30. 長谷川憲正

    説明員長谷川憲正君) 先生指摘の毎日新聞に報道された中身についてでございますけれども郵政省がこのようなロビー活動を行ったという事実は全くございませんし、また私どもが外圧を期待するというようなこともあり得ないことでございます。  この新聞に書かれております財団法人郵政国際協会は私どもの監督下にあります法人でございますけれども新聞にありますとおり、米国のコンサルタント会社に保険事業に関します日米の貿易問題、それから貿易問題一般に関する情報収集と調査研究を依頼するための契約を結んだというふうに聞いておりますが、国際協会にただしましたところ、新聞にありますようなロビー活動を依頼したという事実は協会としてもないということを言っております。  それでは、今御指摘のように、この調査等を請け負いましたアメリカのコンサルタント会社が司法省にどうしてこういう届けをしたのかということでございますが、協会を通じまして問い合わせましたところ、アメリカで調査活動を外国の企業等のためにいたしますときにはこういった届けを司法省にするというのが一般的だそうでございます。というのは、ロビー活動を法律に決められた届けをせずにした場合には罰せられるという規定がアメリカにあるそうでございます。したがって、調査活動をするような場合においても安全のためにこういう届けをするというのが一般的に行われているそうでございます。  この業者につきましては、契約の内容は今申し上げたとおりのことでございまして、この契約書も司法省の方に提出されておるようでございます。ただ、調査をいたしますときに要らない誤解を招いたり、要するに自分が届けもなしにロビー活動をしているのではないかという疑いを持たれないためにこういう広い範囲で届けをしたということだそうでございます。  この点に関しましては、国際協会の方は業者から何らかの相談を受けたということは全くございませんで、業者の責任においてこのような届けを出したそうでございますが、その届けの中にNTTの分割問題も含んで活動するというような記載がありますところにつきましては、いずれにしましても契約の範囲から外れておる部分でございますので、業者の方では迷惑をかけたということでその部分については訂正したいということを協会の方に申し述べているというふうに聞いております。
  31. 日野市朗

    国務大臣日野市朗君) この件については先生方にも非常に御心配をおかけしていると思いますが、今事務方から御説明申し上げたとおりでありまして、この毎日新聞の記事については私も甚だ遺憾と存じております。郵政省といたしましても毎日新聞に厳重に抗議をしたところでございます。
  32. 齋藤勁

    齋藤勁君 そうすると、郵政国際協会は、コンサルタント会社と契約した文書がある、その文書はあるけれどもロビー活動を要請したこともないということで、そういう内容じゃございませんと。  しかし、このコンサルタント会社は司法省に登録するときにNTT云々という表現をしたと。後日それは外郭団体である郵政国際協会の方に謝ってきたということで、訂正をしたんですか。
  33. 長谷川憲正

    説明員長谷川憲正君) 訂正をすると言ってきたというふうに聞いております。
  34. 齋藤勁

    齋藤勁君 引き続きですが、訂正をしたのかどうかということと、それから事実認識で言いますと、司法省の登録には実際そういう表現があったということですね、訂正するということ自体は。  そうすると、大臣が毎日新聞に抗議をしたということになりますと、だから事実としたら、事実についてはこれは毎日新聞どおりだというふうになるので、毎日新聞に抗議をしたということは何を指して抗議をされたのか。
  35. 長谷川憲正

    説明員長谷川憲正君) 御説明申し上げます。  アメリカのコンサルタント会社が司法省の方に届け出をいたしましたものの中には契約の内容が書いてございまして、これは先ほど御説明いたしましたように、ロビー活動等は一切含まない純粋な調査研究活動についての届けがなされております。  ただ、それと同時に、活動の範囲をいろいろ書きます際に、今申し上げましたように、なるべく広く活動ができるようにということで業者の方で届け出をした、その中にNTTの分割問題を含むということが書いてあるということでございます。  先ほど大臣の方からお話し申し上げましたことは、ロビー活動を私ども郵政省としてやったかのような印象を与える記事でございまして、しかも外国政府の圧力を利用するかのような記事が書いてございましたが、そのような事実は全くございませんし、また国際協会としてもそのようなことを意図したことも実行したこともないという意味での抗議を申し上げているところでございます。
  36. 齋藤勁

    齋藤勁君 ロビー活動をやっていないのに司法省の届けには書いてある、書いてあるけれども実際はやっていない、やることについても依頼をしていないと。この報道ではいかにも郵政省自体がやっているかのような、そういうことで抗議をしたということでよろしいんですか、大臣
  37. 長谷川憲正

    説明員長谷川憲正君) そのとおりでございます。ロビー活動もいたしておりませんし、そういうことを依頼したこともございません。
  38. 齋藤勁

    齋藤勁君 次に、一点だけただします。  先ほど海老原委員TBSのオウム報道問題等について触れられておりました。国会の場でこの報道問題について取り上げる、しかも報道機関が幾たびか来ていろいろ説明する、やりとりをするということについて、まずは非常に異常な状態であるというふうに私は言わざるを得ないと思います。  しかも、事実としか考えられない数々の疑惑を常に否定し、そしてまた具体的なことを指摘されると主張を後退させていく、変えていくというようなことについて、いずれにしましてもオウム真理教との関係をめぐる同社の幹部の対応というのは、私は報道機関としての自覚を本当に持っているのかどうかということについて考えざるを得ないわけであります。  しかし一方、私は放送法の適用についてもやはりきちんとしなきゃいけないというふうに思います。まずは報道機関の自主的、自律的な作用をきちんとしなきゃならないというふうに思います。  この間、大臣放送法の問題について非常に慎重な御発言をしていることについては、私も同じような立場に立つわけでございます。明確に放送法に違反していると断定するのは非常に軽率ではないかと思わざるを得ないというふうに私自身は認識をしているところでございます。  そういったことで、この間、衆参の参考人招致もございました。新聞報道でございますけれども大臣措置という言葉を使われているわけでございますが、TBSのオウム報道問題について、放送法、電波法等を所管する郵政省の所管大臣として、現時点でのお考えを伺いたいというふうに思います。
  39. 日野市朗

    国務大臣日野市朗君) TBSのオウム報道が問題化してから、郵政省といたしましてもTBSの方から報告を受けるという形で調査を進めてまいりました。  先生指摘のとおり、TBSの調査自体にもいろいろ問題があったようでございますが、まずTBSの社内における調査のシステム、これについて報告を受け、それからその調査の進め方についても定期的な報告と、それから随時の報告という形で調査をするように、そういう形で今進めているところであります。  私は、透明度の高い手続で調査を進めていただきたい、それから調査は厳格にやっていただきたい、こちらも厳格にその報告をいただきますよということは申し上げております。しかし、これはもう先生もおっしゃっておられるように、報道の自由という非常に高い価値を持った憲法上の価値判断があるわけでありまして、そういうことを十分念頭に置きながら、放送法、電波法という一連の放送関係の法体系、これを当てはめていくという作業が残るわけでございます。  先の見通しということは、これは予断を持って調査を行うべきでもないし、予断に基づいて発言をすべきでないというふうに私は思っております。処分という言葉はややもすると行政処分を連想させます。でありますから、措置という言葉を使わせていただいておりますが、その措置がどのようなものになるかということについては、今お答えは控えさせていただきたいと思っております。  いずれにしても、その法体系をきちんと大事なものとして、それとまた一方、マスメディアのあり方について問題なしとはしないわけでありますから、そういう調査の方もきちっと遂げてまいって結論を見出していきたい、このように考えております。
  40. 齋藤勁

    齋藤勁君 どうもありがとうございます。  私も報道で見たのかわかりませんが、社内調査チームが郵政省との話の中で、あるいは話の中以外で、おおむね一カ月以内に改めて社内調査の結果を明らかにしたいと、こういうふうに実は記憶をしているんです。たしか見たのは三月中旬ぐらいですからもうそろそろ一カ月になるのかなというような、その程度の記憶で恐縮でございますけれども、そういうふうに郵政省の方も受けとめられているのか、そういうことで進行しているというふうに判断してよろしいでしょうか。
  41. 楠田修司

    政府委員(楠田修司君) TBSとしましては、一カ月を目途に事実関係を明らかにできるよう調査を進めるというふうに聞いております。郵政省といたしましては、できる限り早急に事実関係を調査するように要請しているところでございます。
  42. 齋藤勁

    齋藤勁君 終わります。
  43. 笠井亮

    ○笠井亮君 今回の改正で審議官を新設して強力に進めると言われております郵政省の国際活動に関連して質問したいと思います。  私が取り上げたいのは、先ほど齋藤議員も触れられたいわゆるロビー活動と言われる問題であります。  答弁の中で、全くロビー活動はない、外圧に期待することもないし依頼した事実もないと言われましたけれども、私が入手した資料を見ますと、先ほどありましたように、ことし一月十九日に郵政省所管の財団法人である郵政国際協会が米国のコンサルタント会社ストラテジック・インフォメーション、戦略情報社という会社と五万ドルの契約をしているということでありまして、これを見ますと、契約書の日本側の代表は関啓一郎氏ということで、郵政国際協会に出向中の郵政省の国際政策課課長補佐であるということであります。  このコンサルタント会社が外国機関との契約の際の法的義務として司法省に登録をするということで、その登録書によりますと、この契約には政治活動を含み、米国政府、業界及び識者に対して日本電気通信産業規制緩和、特にNTT分割について支援を取りつけるよう説得することであると書いてあって、その広報活動の範囲について見ますと、政治的な広報活動、宣伝活動の範囲は公務員、議員、政府機関、新聞編集者というふうに書かれております。  とにかく広く活動するためにそういうことも勝手にやったんだろうというような話もありましたけれども、これはかなり具体的で、いいかげんなものとはとても思えないわけであります。しかも、NTT分割問題などかなり微妙な問題について説得するということまで書かれているわけでありますが、この契約が交わされた一月というのは電気通信審議会答申直前のまさに大もめの大詰めの段階であります。こういう経過を見ますと、政府が決定する前に、海外駐在の郵政官僚、それから公益法人である郵政国際協会が米国のコンサルタント会社を介して米議会や政府などに対してロビー活動や働きかけを行っていた、そういう重大な疑惑をかけられてもこれはもう説明がつかないという問題になっています。まさに日本の主権にかかわって、国民や国会の上に郵政省の立場を置こうとするものだという指摘があっても当然だと思うんです。そういう点で徹底した解明が必要だというふうに私は思うわけであります。  そこで具体的にお伺いしたいんですけれども、先ほど私も紹介しましたように、日本側の代表として郵政省に籍がある関啓一郎氏が郵政省所管の郵政国際協会の首席代表として署名をして契約を結んでいるという中で起こったことでありまして、これで郵政省が関与していないと言えるのかどうかということについて明確に調査すべきだというふうに私は思うんですけれども、政治的にきちっと答弁いただきたいんですが、大臣、いかがでしょうか。経過はもうわかりましたから、大臣答弁をお願いします。
  44. 長谷川憲正

    説明員長谷川憲正君) 先生から今御指摘のありました郵政国際協会の契約の担当でございますが、この契約に署名をいたしましたのは御指摘のとおりに郵政省から郵政国際協会に出向しておる人間でございます。同時に御説明もありましたように、郵政国際協会の業務として、保険に関する日米の貿易問題、そして貿易問題一般に関する情報収集、調査研究を依頼するための契約を行ったものでございます。したがいまして、郵政省の職員として活動したものではございません。
  45. 笠井亮

    ○笠井亮君 そういうふうに説明されても、籍があり、かつ郵政省所管の郵政国際協会の代表としてこういうことをやった、そういう中で起こったことです。  先ほど毎日新聞に抗議されたと言われていましたけれども、これは毎日新聞だけじゃないんです。  四月五日の日経新聞にも同様のことが書かれています。郵政省関係者がNTTの分離・分割が有効だということで米政府や企業に働きかけているという証言もあるということで、まさにこういうことを日常茶飯事やっているというふうに言われてもおかしくないと思うんです。まさにその渦中に日本側の代表で郵政省に籍がある国際政策課の課長補佐の方がそういうふうに介在しているということは重大な問題だと思うんです。  それで、毎日新聞に抗議したというふうにおっしゃいましたけれども、抗議する相手が違うんじゃないかと思うんです。そういうことを相談なくやったのであれば、そういうコンサルタント会社があるわけですし、それから国際協会がこういうことがあったにもかかわらずそういうところと関係を続けていく、訂正するということで済まそうとしているということがあるわけですけれども、そんなことをしていたら、今後またそのコンサルタント会社がどんな勝手なことをやるかわからないわけで、大臣も御心配じゃないかと思うんです。  そういう点で、郵政省が関与したことが非常に濃厚になっているわけですから、きちっと調査をするということを明確にしていただきたいと思うんですけれども大臣、いかがでしょうか。大臣にお願いします。
  46. 日野市朗

    国務大臣日野市朗君) 毎日新聞はこの記事に先立っても、NTTの金で郵政省アメリカ事務所を持ったとか、郵政国際協会の金で郵政省事務所を持っているんだとか、こういうことをずっと一連の記事として出しておられまして、そして今度はこの郵政協会のロビー活動だというようなこともずっと言われているわけですね。  しかし、我々も実は調査をしておりまして、そのようなことはないのだということで一貫して新聞社の方の取材にもそういう答えをしておりますし、抗議もこれ一度ではなかったと思います。それで、私どももいろいろ聞き取り等もやって、そしてロビー活動をした事実はないということを一応我々としては認めておりまして、これ以上特に調査をする必要もないのではないかというふうに思っております。
  47. 笠井亮

    ○笠井亮君 一応認めていらっしゃるということなんですが、私が伺っている範囲ではとても納得できないというふうに思います。抗議するなら真っ先にコンサルタント会社や協会の側に抗議をして、それこそ、これは協会がやることでしょうけれども、契約破棄などを求めて、そして郵政省関係者は協会にかなり出向しているわけですから、これはもうやめるとか、そういうことを含めてやるべきだと思うわけであります。そういう当たり前のことをやれないということは、郵政省にもともとNTT分割を米国から働きかけてもらうような意図があったからではないかというふうに思われても仕方がないという問題になってくると思うんです。  国会にも明らかにできないようなこんな国際活動があるとすれば、これはもう認めることはできませんし、勝手な国際活動をやっていて、それを強力に進めるために次官級の郵政審議官を新たに置こうといっても、これは道理が通らないというふうに思います。  この間、郵政省日本市場の開放を求める米国の意向に沿って外資規制の見直しとか料金認可制の緩和などを促進している、こういう状況があると思うんですけれども、これを進めていけば国民生活の基本的な料金の一層の値上がりにつながります。この国際活動のリーダーシップをとるのが今回の郵政審議官であり、この間の農水省とか運輸省の前例からいってもこうした法案には反対の意思を表明して、私の質問を終わります。
  48. 聴濤弘

    ○聴濤弘君 きょうは郵政関係の法案の審査をしているわけですけれども、梶山官房長官においでいただきましたので、長官の最近の発言について幾つか質問をさせていただきたいと思います。  梶山官房長官は四日の衆議院の予算委員会で、沖縄の楚辺通信所の一部民有地に対する国の使用権原が消滅しているという問題に関連して、国の根幹にかかわる用地の確保に関する何らかの特別立法があってもいいのではないか、国の存立にかかわる問題は国みずからその事務を行うような準備も考慮に入れておかなければやっていけなくなる、こういうふうに答弁をされております。これは一連の憲法上の重大な問題とかかわる問題であります。この中身については後に回しますが、一連の重大な問題がある。  それを考慮されてかどうか、このことは別といたしまして、臼井防衛庁長官は同じ四日の予算委員会で、現在のところ新しい法的措置は考えていないと答弁をされた。それから、自民党の山崎政調会長も七日のNHKのテレビ討論会で、政治的に見て、沖縄県民の気持ちを考えると慎重に取り組むべきだというふうに述べておられます。  経過はちょっと長くなるんですが、官房長官自身もこの四日の予算委員会の後の記者会見で、特別立法の制定を具体的に検討しているわけではない、そういうふうに述べられたと報道されております。  そこで、はっきりとここでお伺いしたいのは、特別立法の問題というのは現橋本政権としては現実的課題として位置づけているわけではない、こういうふうに理解をしてよろしいのかどうか、これをまず最初にお聞きしたいと思います。
  49. 梶山静六

    国務大臣(梶山静六君) 一般論を申し上げたわけでございまして、今々沖縄の基地問題をめぐっていわば権原のない状態にあっておるわけでありますが、誠心誠意沖縄と話し合いをすることによってこの問題の解決を図るという現実的な対応策に変わりはございません。
  50. 聴濤弘

    ○聴濤弘君 ということは、橋本政権の政府のもとでも、研究の結果、法案を提出するということはあり得るということですか。
  51. 梶山静六

    国務大臣(梶山静六君) 国の行政で法的に適法でない状態が生まれるということは、これは行政のシステムとして決していいものではございません。それを考えますと、確かに憲法上の私権と公益、国益というものとの調和、この問題はあろうかと思うんですが、例えばの話、御承知のように公共用地の取得に関する特別措置法がございまして、道路や高速道路その他はもちろん土地収用委員会にはかかりますけれども、最終的な段階では建設大臣がその業務を行うことができるようになっております。  ですから、一般の、特に地方の下の目標であればそれはそれなりに私はいいと思うんですが、日米安保条約に基づいて米軍に施設・区域を提供する、そういう責任を負っている国の一番根幹にかかわる問題が、国としての行政的な措置をとることができない状態で、違法な状態にまで放置をしていいのかどうなのか、これを考えますと、そういう問題に対する対応の仕方があるのではないか。そして、そういう事務的なものを乗り越えて、なおかつ政治判断は当然その上にあるわけでありますから、一般論として行政の方々はそういうものが不法な状態にならないための努力をすることは当然であります。その上に立って政治判断が行われるべきであります。  ですから、今の沖縄の状態を考えますと、前総理、今の橋本総理は沖縄と話し合いをするという根本の姿勢を政治的に取り決めをしたわけでありますから、私はこの問題で今行っているということを御説明申し上げたわけであります。
  52. 聴濤弘

    ○聴濤弘君 一般の問題として提起しているんだ、その努力をすべきだという見解を述べたんだというふうに理解をいたしますが、私の質問に対する問題として、現政権のもとで提案するかどうかということについては一般論としてのお答えに限定をされた、そういうふうに理解をしますが、よろしいですか。
  53. 梶山静六

    国務大臣(梶山静六君) 今々の沖縄の問題の処理に当たってはそのとおりでありますが、これから長い先にわたって橋本政権をこれが拘束するものではない、このように考えます。
  54. 聴濤弘

    ○聴濤弘君 橋本政権がいつまで続くかという問題になってきますが、わかりました。  そこで、次の問題ですが、官房長官も今おっしゃったんですが、ああいう状態というのが不法な状態であるということになりますと、ここで官房長官の前の発言との関連でもう一つ質問したいことが起こってまいります。  というのは、梶山官房長官は、三月二十九日だったと思いますけれども、例の知花さんの土地使用の期限が切れる直前ですが、そのときに四点にわたる理由を挙げて、この土地が土地所有者に返還されていない状態について直ちに違法であるということには当たらないのではないかと考えているという談話を発表されました。  ところが、四日の予算委員会で、一般論としてかもしれませんが、特別立法必要論という答弁が出てきた。これは、経過からいいますと、四月一日以降不法な占拠状態になっていることについて、新進党の山口議員が、法的見地からも政治的見地からもこれは望ましくない、制度としてこういう空白を許しているのは妥当ではないという質問をされて、それに対する梶山官房長官の答弁としてそれが出てきた、こういうことでありまして、これは私は明らかに矛盾すると思うんです。  というのは、違法というには当たらないというふうに談話でおっしゃった。それなら新規の立法とか新規の特別立法というものは必要ではないじゃないかということに当然なるわけで、ですからこれは矛盾だと思います。長官としては違法だと考えられるからこそそういう新規立法、特別立法という答弁になったんじゃないかと私は思うんですが、その辺はいかがでしょうか。
  55. 梶山静六

    国務大臣(梶山静六君) 今でも直ちに違法であるという認識は持っておりませんけれども、これが無制限に長く続くという状態になりますと、これははっきり違法状態と言われるのかどうなのか、この点には懸念を持つわけでございます。  三月の段階、まだその権原のある状態の中で申し上げた四つの理由、それから既に四月になっていわば権原のなくなった状態での対応の仕方、今すぐ特別立法をしたからといってこの問題の救済ができるわけではございません。ですから、今々やっていることは、総理がおっしゃっているように、誠心誠意この問題に政治的な対応をしてまいる、そのことに限られているわけでありますが、こういう状態がこれから必ずしも軍用地のみではない地帯に起こる場合においては、一般論としては当然行政は遅滞なく適法な状態に置かなきゃならないわけでありますから、研究しておくことは大変必要だという気がいたします。
  56. 聴濤弘

    ○聴濤弘君 無制限にこういう状態が続くということであればやはり大変重大な問題なのでというふうにおっしゃいました。  そこで、私、過去との関係で質問をしたいんですけれども、かつて七七年にこの空白状態が同様に生まれました。そのときには政府は、空白状態が生まれたときに政府は遅滞なく返還しなければならない、積極的には使用できないという見解を出されました。私は議事録をここへも持ってきておりますけれども、七七年五月十五日の参議院内閣委員会のこの席上で、政府の統一見解まで出まして、その統一見解の第一項で、「期間は過ぎているので第二条による権原はない。従って第四条による返還の義務がある。」、これが統一見解の第一項めであります。  このときは四日間の空白が生まれたんです、現実に。それも非常に短期の空白なんだけれども、返還の手続をとらなきゃいかぬ義務がある、そういうのが政府の統一見解でした。今の官房長官のお話だと、こういう状態が無限に続く、際限なく続くというようなことがあればということでありますけれども、かつてはたったの四日間で返還の手続をとらなきゃならぬというのが政府の統一見解として出されたわけです。ところが、今のような見解ですと、これは大いに違ってくる。この点はどういうふうに説明されるのか、お伺いしたいと思います。
  57. 大森政輔

    政府委員(大森政輔君) まず、ただいま御質問で言及されました直ちに違法というには当たらないのではないかという見解についての意味でございますが、これは要するに正権限に基づく占有でないことを前提といたしまして、今までに述べられている諸事情を踏まえた法秩序全体の見地からの法的評価といたしましては、当面、当該土地を返還しない状態を続けることができるという意味でございます。したがいまして、もちろんのこと最終的に適法ないし合法な使用というためには、ただいまとっております駐留軍用地特措法所定の手続によりまして緊急使用の許可あるいは使用裁決により正権原を取得することが必要であるということを否定しているものではございませんということが一つ申し上げたいことでございます。  それから、前回、昭和五十二年との関係でございますが、当時は要するにこの土地の境界自体が非常に不分明であると。したがって、返還するにもだれに返還していいかわからないという状態のもとで、事務管理として当面使用及び使用の権限を有し義務を有するんだということを述べた見解でございます。今回は明らかに所有者が決まり、対象土地も特定しているという点では事案を異にするということでございます。
  58. 聴濤弘

    ○聴濤弘君 今の法制局の答弁は私は大分違うと思うんです。  幾つもありますが、時間があれですからまず簡単な方から言いますけれども、だれに返すかわからないから管理をしたのが前回だと。とんでもないですよ。これはこの当時の質疑を読めば明白なとおり、何で管理をするかといえば、返還の手続をする、その返還の過程を管理するんだというのが政府の見解だったんですよ。だれに返すかわからないから何もしなかったんだなんてとんでもないです。地主に返還の手続をする、しかし手続が終了するまで若干の期間が要るから管理するんだ、そういうことで管理させてもらっているんだというのが当時の法制局長官の答弁です。だれに返すかわからないなんて、そんなでたらめなことを言ってはだめです。今は知花さんに返す、これはもう明確なことなんで、こんな答弁で私は納得することはできません。  それから、直ちにという問題ですけれども、これは官房長官の談話で四つ例があるんですけれども、二十年間にわたって適法で借りてきたというのが第一、これは事実を述べたにすぎないわけで、これが適法だということにはならない。事実を述べたにすぎないわけです。  二番目の理由というのは、日米安保条約及び地位協定の義務であるというのが第二番目の理由なんですが、これは仮に国として義務があるとしても、どうやって土地を借りるかというのは手続法が要るわけです。日米安保条約あるいは地位協定でアメリカに土地を貸すことになっておる、だから貸すんだと。これは法律じゃない。では、どうやって民有地を貸していくのかというその適格性あるいはまた手続、そういったものはきちっとした法律があってこそ初めて貸すことができる。それが特措法のはずです。ところが、その特措法の期限が切れたわけだから、ただ安保条約のことを持ち出してこれが適法だというわけにはいかない、法治国家である以上いかないということは明白だと思います。  三番目に挙げられている理由は、今緊急使用の手続をしているところだというのが三番目の理由ですが、これは手続をしているという経過を述べているだけで、このことから出てくるわけじゃない。  それから四番目は、土地の借地料を払っているので損害を与えていないと。これは当たり前のことです。  今の四つのことを全部合わせてみても、だから適法だという結論は私は出てこないと思うんです。直ちにという理由を今御説明になりましたけれども、直ちにもとても私は理解できない。  そこで、現在の法の秩序のもとでこの問題に矛盾なく対処できるやり方というのは、やはり知花さんに土地を返還する、そういうことだと思うんです。その手続を開始することだと私は思います。これは七七年の経験からいって当然出てくることだというふうに私は思うわけであります。  矛盾なく解決しようと思うと、要するに今のままで適法だ、合法だということでもってすべての論理を一貫させるか、あるいはやっぱり無理があるから新立法をつくらなきゃならぬという論理で一貫させるか、どちらかしかないと私は思うんです。その辺の言ってみれば苦衷が出て官房長官の二つの談話になっているというように私は理解いたしますが、それを今の法制局の答弁のような形で理由説明とするのは絶対に私は成り立たないと思います。  法解釈については時間もあれですから、実際の沖縄の事情をよく理解しながら対処したいと官房長官も言っておられるんだから、現在の法的な状況のもとで矛盾なく対処するためには知花さんの土地を返還すべきだ、この措置を防衛庁としても施設庁としても私はとるべきだというふうに思いますが、施設庁にも来てもらっていますので、一言御答弁をいただきたいと思います。
  59. 諸冨増夫

    政府委員(諸冨増夫君) 私どもは安保条約及び地位協定に基づきまして米軍に施設・区域を提供するという条約上の義務がございます。したがいまして、現段階で当該土地を返還するという考え方は持っておらないところでございます。
  60. 聴濤弘

    ○聴濤弘君 それも答弁になっていないと思うんです。先ほど何で官房長官談話の第二項めが成立しないかということを私は申し上げました。やっぱり防衛施設庁として、土地を使用させる、使用するという任に当たっているところが今のような答弁でもって終わりにするなどということは、沖縄県民だけじゃない、日本国民をとても納得させ得ないと私は思います。  時間が来ましたので、私は官房長官に最後にお尋ねしたいと思います。  特措法については私はそれなりの意見がありますが、今特措法というのが存在しているわけで、このもとで日本が法治国家を守っていくためには、やはりこの知花さんの土地の返還の手続を開始しなければ、これは矛盾にさらに矛盾を積み重ねるという問題だと私は思います。  それで、立ち入りについては、何か防衛施設庁の方で何人で立ち入るならばいいとか、あるいは許可できるとかできないとか、今そういうことが報道されておりますけれども、この返還の問題について最後に官房長官の明確な見解を伺いたいというふうに思います。
  61. 梶山静六

    国務大臣(梶山静六君) 前に申し上げましたように、沖縄県の収用委員会に対し駐留軍用地特措法に基づいて緊急使用の申し立てを行っているわけでありますから、いずれ近い機会にこの判断が出ると思います。  ですから、私が先ほど直ちに違法であるとは必ずしも判断しないと申し上げた理由もそこにあるわけでございまして、今々の状態が何らの手続や何らの措置もとらないで長く続くということに関しては大きな懸念がございますけれども、引き続きそういう行政上の措置をとっているわけでございますので、その間は返還をすべき立場にはない、このように考えます。
  62. 聴濤弘

    ○聴濤弘君 やはり七七年のときの政府の態度と違う。これはやはり真剣に考えてもらわないと法治国家としては正道を歩むことはできないということを私は申し上げたいと思います。  以上で私の質問を終わります。
  63. 宮崎秀樹

    委員長宮崎秀樹君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  64. 宮崎秀樹

    委員長宮崎秀樹君) 御異議ないと認めます。     —————————————
  65. 宮崎秀樹

    委員長宮崎秀樹君) 委員異動について御報告いたします。  本日、鈴木栄治君及び村上正邦君が委員辞任され、その補欠として谷川秀善君及び山本一太君がそれぞれ選任されました。     —————————————
  66. 宮崎秀樹

    委員長宮崎秀樹君) それでは、これより討論に入ります。——別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  郵政省設置法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  67. 宮崎秀樹

    委員長宮崎秀樹君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  68. 宮崎秀樹

    委員長宮崎秀樹君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時二十六分散会      —————・—————