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1996-03-27 第136回国会 参議院 内閣委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年三月二十七日(水曜日)    午後二時開会     —————————————    委員の異動  三月二十七日     辞任         補欠選任      岡野  裕君     松村 龍二君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         宮崎 秀樹君     理 事                 板垣  正君                 矢野 哲朗君                 吉田 之久君                 齋藤  勁君     委 員                 海老原義彦君                 岡野  裕君                 狩野  安君                 鈴木 栄治君                 松村 龍二君                 村上 正邦君                 依田 智治君                 大久保直彦君                 鈴木 正孝君                 友部 達夫君                 永野 茂門君                 萱野  茂君                 角田 義一君                 笠井  亮君                 聴濤  弘君    国務大臣        国 務 大 臣       (内閣官房長官)  梶山 静六君        国 務 大 臣        (総務庁長官)  中西 績介君    政府委員        内閣総理大臣官        房審議官     平野 治生君        内閣総理大臣官        房管理室長    安藤 昌弘君        宮内庁次長    森  幸男君        皇室経済主管   角田 素文君        総務庁恩給局長  石倉 寛治君    事務局側        常任委員会専門        員        菅野  清君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○皇室経済法施行法の一部を改正する法律案(内  閣提出衆議院送付) ○恩給法等の一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付)     —————————————
  2. 宮崎秀樹

    委員長宮崎秀樹君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  皇室経済法施行法の一部を改正する法律案議題とし、前回に引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。——別に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 宮崎秀樹

    委員長宮崎秀樹君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  4. 笠井亮

    笠井亮君 私は、日本共産党を代表して、皇室経済法施行法の一部を改正する法律案に対して反対討論を行います。  本案引き上げが提案されている内廷費皇族費は既に高過ぎる水準にあります。仮に給与所得同様の課税をした場合、国税庁の試算でも六億百万円にもなり、三権の長の年俸の約十五倍にも相当するものになります。その上、宮廷費との区分けが不明確なため、衣食住の大半が別途支給される宮廷費によって賄われているのであります。さらに、内廷費で支出すべき私的な経費、例えば交際費冠婚葬祭費医療費光熱費などまで公的な経費として宮廷費から支出し、実質的に内廷費をさらに膨らませる結果になっています。  また、今回の引き上げについて、施行法制定当時、審議の際には提出していた内廷費金額別費目資料提出は行われず、国民が納得できる根拠が示されていないことも問題です。  皇族費についても同様で、その内容はプライバシーを理由に明らかにされていません。これは、皇室財政を国会を通じて国民の前にガラス張りにすることを要請している憲法八十八条の趣旨からしても大きな問題と言わざるを得ません。  今日の国民経済状況を見ても、内廷費皇族費引き上げは行うべきではない、このことを申し上げて、反対討論を終わります。
  5. 宮崎秀樹

    委員長宮崎秀樹君) 他に御発言もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 宮崎秀樹

    委員長宮崎秀樹君) 御異議ないと認めます。  これより採決に入ります。  皇室経済法施行法の一部を改正する法律案賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手
  7. 宮崎秀樹

    委員長宮崎秀樹君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 宮崎秀樹

    委員長宮崎秀樹君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  9. 宮崎秀樹

    委員長宮崎秀樹君) 次に、恩給法等の一部を改正する法律案議題とし、前回に引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  10. 鈴木正孝

    鈴木正孝君 平成会鈴木正孝でございます。  本日は恩給法改正に絡みまして若干の質問をさせていただきます。私、この内閣委員会のメンバーにさせていただいて初めての質問ということで大変緊張はしておりますけれども恩給受給者の個々の方々にとっては生活にかかわる大変大事なことでもございますので、若干の質問をさせていただくことをお許しいただきたいと思います。  恩給法そのもの恩給制度、これは昨日も海老原委員、大変経験豊かな委員からいろいろと恩給意義やら性格やらお話をいただいて、私も大いに参考にさせていただいたわけでございますけれども、どちらにいたしましても日本のいろんな制度の中で百数十年の歴史を持っているというようなことでもあって、大変難しい問題もたくさんあるだろうと思っております。  そんな中で、最近の社会保障的な意味合いを含めての恩給意義とか性格とか、そういう点についておさらい風にちょっとお聞かせいただければありがたいと思います。
  11. 石倉寛治

    政府委員石倉寛治君) それでは御答弁いたします。  恩給意義だとか性格だとかということにつきましては諸説ございます。恩給法を見ましても何も書いてございません。先ほど委員おっしゃいましたとおり、恩給制度そのものは百二十一年の歴史を持っております。これが法律制度になりましたのが大正十二年でございます。したがいまして、その間、長い運用の積み重ねの中で意義その他のものについての御説明をいたしてきたわけでございます。  恩給は、公務員が相当年限忠実に勤務をして退職した場合、これが普通恩給になるわけでありますが、さらに公務による傷病のために退職した、これは傷病恩給ということになります。あるいは公務のために死亡した場合、こういった場合には遺族扶助料が出る、こういった皆さん方に対する国家使用者としての責任、そういった公務員生活の支えになるということでお支払いをしているわけでございます。  したがいまして、国家補償的な立場で支給いただいておるわけでございますので、いわゆる社会保障一般制度と違います。社会保障制度と申しますものは社会保険というもので賄っているわけでございますが、これはいわゆる保険数理計算上出てくる制度でございまして、国家補償立場から出しております恩給とは基本的に違うということで御理解をいただいているところでございます。
  12. 鈴木正孝

    鈴木正孝君 今、八年度予算衆議院の方にかかっているわけでございますけれども法律が先行してということでもございますので、八年度恩給改善についてお伺いしたいと思います。  この大変厳しい財政事情あるいは経済の厳しい環境の中で総務庁皆さん方も大変な御努力をしていただいているということがよくわかるわけでございますけれども、この八年度恩給改善がどのような考え方に基づいてなされているのか、あるいはその具体的な内容について御説明をいただければ大変ありがたいと思います。
  13. 石倉寛治

    政府委員石倉寛治君) まず、恩給改善の基本的な考え方でございますけれども恩給改善に当たりましては、先ほど申しましたように、恩給国家補償的性格を有するという特殊性がございます。こういった特殊性を考慮いたしまして、かつ公務員給与改定なり物価動向など諸般事情総合勘案して恩給年額実質的価値を担保するということで今回も改善内容を決めたわけでございます。  平成年度恩給改善内容につきましては大きく二つございまして、まず第一に、本年四月からでございますけれども恩給年額を〇・七五%引き上げるということでございます。第二番目に、戦没者遺族等に支給される遺族加算につきまして、これも四月から公務関係扶助料につきましては年額十三万二千六百円に、あるいは傷病者遺族特別年金につきましては年額八万五千五百十円にそれぞれ引き上げることにいたしております。
  14. 鈴木正孝

    鈴木正孝君 恩給改善の中心は、やはり生活にかかわる恩給年額増額というようなことだろうと思います。先ほどお話がございましたように、改定率が〇・七五%というようなことでございますけれども、その根拠とされるところを具体的にお示しいただきたいと思います。
  15. 石倉寛治

    政府委員石倉寛治君) 平成年度恩給改善につきましては、先ほども御説明しましたように、恩給国家補償的性格を有するということの特殊性を十分考慮いたしまして、諸般事情総合勘案の上で恩給年額実質価値維持を図るために〇・七五%の改善を行ったところでございます。この具体的な改定率の算定につきましては、公務員給与改定消費者物価動向など諸般事情総合勘案してっくられたものでございますので、従来、総合勘案方式というふうに御説明をいたしておるところでございます。
  16. 鈴木正孝

    鈴木正孝君 現在の恩給受給者はさきの太平洋戦争で大変御苦労された旧軍人あるいはその遺族方々が九割余を占めているというような実情でございます。戦後五十年、昨年そういう大きな節目を迎えたわけでございますが、受給される方々高齢化が相当進んでいる、昨日もそのような議論が出たように記憶しております。  受給者高齢化に伴って、その反面、将来急速に受給者が減少するというふうに思うわけでございますが、今後の推移、見通しについて恩給局としてどんな理解をされておるのか、その辺をお伺いしたいと思います。
  17. 石倉寛治

    政府委員石倉寛治君) 恩給受給者につきましては、お亡くなりになった場合には失権をいたしますし、もちろん奥様に転給するという場合が普通でございますけれども、全員ではございません。そういう意味で、毎年四、五万人ずつ減少しているのが実態でございます。そういったことで、予算推計上もそういった推計をして平成年度恩給受給者は百七十二万人と見込んでおるところでございます。  ここからさらに将来への推計というのはまた仮定が入りますのでなかなか難しゅうございますけれども、いつも厚生省でつくっております簡易生命表を使って機械的に推計した場合にどうなるかということで計算をいたしました場合に、逐年を申し上げても細か過ぎますので五年ぐらいで申し上げますと、平成八年を一〇〇にいたしますと五年後に大体八六%ぐらい、つまり百四十八万人になるというふうな推計をいたしております。さらに五年先の十年後を見ますと、対八年度で六四%ぐらいになる、それで百十万人、およそ百万人台はこの十年ぐらいで終わりまして、後は急速に落ちていくというふうに推計をいたしておるところでございます。
  18. 鈴木正孝

    鈴木正孝君 受給者の大変急速な減少というようなこと、それかり受給者平均年齢そのものも七十歳、七十五歳を超えているというようなことだろうと思っております。できるだけそういう方々処遇というものを手厚く行っていくのが望ましいんじゃないかというふうにも思っているわけでございますが、その辺の今後の恩給改善に対する基本的な考え方、取り組み方につきましてお伺いしたいと思います。  大臣、その辺は大いに力を込めて取り組んでいただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  19. 中西績介

    国務大臣中西績介君) 恩給制度そのもの国家補償的性格を持っておるということはもう十分御認識いただいておると思います。こうした制度の上に立ち、そしてしかも七十七歳という平均年齢に達しておるという高齢化、こうした問題を考えますと、これによって生活を支えられておるわけでありますから、これからどう対応するかということになってまいりますと、何としても恩給年額実質価値維持を図る、このことが一番大事ではないかと私たちは思っております。  したがって、そのための処遇をどのようにして改善していくかということをこれから重点的に考えなくちゃならぬと思っております。
  20. 鈴木正孝

    鈴木正孝君 昨日もちょっと議論になりましたけれども、個別の問題につきましてお尋ねをしたいというふうに思います。  私どものところにも請願陳情という形で一つ出てきております問題に、中支における湘桂作戦あるいは硫黄島での同じく戦務乙から甲への加算の問題、そういう請願が実は出ております。昨日もちょっとお話がございましたけれども、こういう問題につきまして、現在は戦務乙のようでございますけれども恩給加算年をさらに加えて甲にするというような改善策につきましてぜひ御検討いただきたいと思います。  制度ですから、一つ触るとあちらこちらに影響が出てなかなかそれも触りにくいというようなこともあるいはあるかもしれませんけれども、当事者の気持ちになってみたときには大変大きな問題、念願だろうと思いますので、その辺につきましてどのようなお考えでいるのか、お聞かせいただきたいと思います。
  21. 石倉寛治

    政府委員石倉寛治君) 御指摘湘桂作戦あるいは硫黄島の問題につきましては、私どもも戦史上ではありますが相当激しい戦闘であったということは承知をいたしております。  しかし、加算制度の枠組みといいますのは戦前から恩給法できめ細かく決められておったところでございまして、いわゆるその戦務加算等加算の程度あるいは加算の認められる期間及びその他の地域等決定勅裁で定められるということになっておりまして、戦時または事変の都度内閣告示をもって公示をされておりました。したがいまして、その内容は、その加算事由の生じた当時においての戦時事変状況状況を把握いたしておりました旧陸海軍省、この担当省の御判断の上で決定をされたものでありまして、先ほど出ました湘桂作戦についても硫黄島の話につきましても、それぞれのしかるべき手続で決定をされたところでございます。したがいまして、加算年割り増し等について、今日、戦時の状態について判断能力を持たない恩給局といたしまして改めてこれを再検討することは甚だ難しい技術的な内容その他の問題をはらんでおります。  こういったいろいろな経緯から見まして、種々の難しい問題がございますので、この点につきましては御理解をいただきたいと考えております。
  22. 鈴木正孝

    鈴木正孝君 もう少し具体的なテーマお尋ねをしたいと思います。これも同じように陳情請願という形でかねてからずっと出ているようなテーマでございますが、それは旧日赤救護看護婦、そして旧陸海軍従軍看護婦方々慰労給付金についてのことでございます。  これは、日赤方々には昭和五十四年、そして旧陸海軍については五十六年以降、日赤に対する経費補助というような形で予算措置として国の負担でそれなりのことをしているということでございますけれども、この給付金制度趣旨、あるいは国庫補助としている理由、その辺をお聞かせいただきたいと思います。  旧軍人という形で戦地に行って云々ということではないということですが、実態的にはかなり旧軍人と同じような勤務をされていたのかなというような思いもあるわけでございます。立場の違いということでそれなりにまた違う扱いを受けているというようなこともございますので、従来からいろいろと議論されているところは承知しておりますが、その辺の事情等につきましてちょっとお伺いをしたいと思います。
  23. 安藤昌弘

    政府委員安藤昌弘君) お答え申し上げます。  旧日本赤十字社救護看護婦は、兵役の義務のない女性の身でありながら旧陸海軍大臣命令を受けた旧日赤赤紙召集によりまして戦地等に派遣され、戦時救護活動を遂行したという特殊事情があり、今次大戦末期状況及び戦後の抑留等事情により長期にわたりまして外地にあったということも考慮し、これら旧日赤救護看護婦の長年の御労苦に報いるため、昭和五十四年度から国庫補助による日本赤十字社慰労給付金支給措置が講ぜられたところでございます。  また、その後の調査によりまして、旧陸海軍従軍看護婦につきましても、女性の身でありながら旧陸海軍命令等により戦地事変地に派遣され、戦時衛生勤務に服したという旧日赤救護看護婦と同様の事情があり、またその勤務内容、形態も旧日赤救護看護婦と同様であったことが明らかとなりました。そこで、旧陸海軍従軍看護婦につきましても、旧日赤救護看護婦に対する処遇との均衡上、昭和五十六年度からこれと同様の措置を講ずることとしたものでございます。  なお、国庫補助を行う根拠につきましては、昭和五十三年八月の六党間の合意事項におきまして、「その措置については、特例として日本赤十字社において行わしめることとし、その財源はすべて国庫より支出する。」との趣旨を踏まえたものでございます。
  24. 鈴木正孝

    鈴木正孝君 慰労給付金制度そのものはそのような経過で実現したということであろうと思いますが、これからの問題でございます。先ほど大臣からもお話がございましたように、給付の実質的な価値維持する、そういう配慮をすることが大変大事なんだろうと思いますが、政府として来年度以降この問題についてどういうような対処予定でおられるのか、その辺をお伺いしたいと思います。  引き上げの率につきましては、恩給と同じように公務員給与改定率あたりも加味しながら決定すべきではないか、そんな気もするわけでございます。また、先般も衆議院の方で慰労給付金については引き続き適切な措置をとるというような附帯決議がなされたのではないかと思いますけれども、そんなことを考えますとやはり実質的価値の確保ということが大変大事だというふうに思うわけでございます。  そんな中で、来年以降のことにつきましてはなかなか言いにくいところがあろうかと思いますけれども、どんな考えでおられるかお伺いしたいと思います。
  25. 安藤昌弘

    政府委員安藤昌弘君) ただいま御質問ございました慰労給付金につきましては、その実質価値維持する必要があるということで、これまで昭和六十年度平成元年度及び平成年度において増額措置を講じてきたところでございます。ただいまお尋ね平成年度についてでございますが、前回平成年度改定時からの消費者物価上昇率を勘案し、三・七%の増額措置を講ずることとしているところでございます。  また、恩給等とのお話がございましたけれども慰労給付金の額の改定に当たりましては、その実質価値維持するために物価上昇率を基礎として考えておりますが、恩給のような所得保障を図るという年金的な性格を有するものではないということで、公務員給与改定率等を加味して決定するようなことは考えておらないところでございます。
  26. 鈴木正孝

    鈴木正孝君 それに関連いたしまして、これもやはり請願のような形でいろいろと御希望が出ていることでございますけれども、そういう従軍看護婦さんの給付金欠格者につきましては、恩給欠格者については平和祈念事業特別基金というものができて、それにかかわっていろんな事業が行われているわけでございますけれども、同じように看護婦さんの受給資格のない方々についてもこの事業対象にすることはできないだろうか、そういうような切実な声も届いているわけでございます。  お伺いしますと、八年度事業として、そちらの恩給欠格者に関しましては三事案ですか、恩給欠格者引揚者あるいはシベリア抑留者等につきまして、内地勤務経験のみで、加算年を含んで在職年が三年以上の者には書状を贈呈するというようなことも新規事業として認めているようでございますので、そういうことの制度的な均衡ということがあるかもしれませんけれども、同じようにいろいろと積極的に考えていただくことが戦地で大変苦労された看護婦さんに報いる道の一つではないかなと思うわけでございますが、その辺について対象欠格者事業を新たに起こすというようなお考えはないかどうか、その辺をお聞かせいただきたいと思います。
  27. 平野治生

    政府委員平野治生君) ただいまお話がございました平和祈念事業特別基金でございますが、これは先生既に御承知のとおり、いわゆる恩給欠格者シベリアなどに抑留された戦後強制抑留者あるいは引揚者方々に対しまして、いろいろ問題が出た中で、戦後処理問題懇談会報告を受けて設立されたものでございます。  基金法におきましても、この特別基金はこれら三問題の関係者に対し慰藉の念を示す事業を行うということが目的にうたわれているわけなんでございます。したがいまして、このような基金設立経緯等から見ますと、お尋ねのございました旧日赤救護看護婦等について基金法に基づいて直ちに対応することはなかなか難しいのではないかというふうに考えております。
  28. 鈴木正孝

    鈴木正孝君 どうもありがとうございました。
  29. 笠井亮

    笠井亮君 私も恩給法の問題に関連して質問いたします。  まず、恩給法等の一部を改正する法律案に関連してですけれども、今回の〇・七五%という処遇改善は超低率にとどまった公務員給与引き上げ幅〇・九四%さえも下回るものであると思います。極めて不十分な改正案ですけれども恩給受給者国家公務員並み引き上げをというささやかな願いに対して、多少ともそれに沿って現状を改善しようとするものと見ることはできると思います。  その上で私が伺いたいのは、今の質疑とも関連するんですが、その恩給を受ける権利さえない恩給欠格者の問題についてであります。本委員会も含めて繰り返し指摘されているように、これらの方々への慰藉事業ということで、欠格者方々に賞状と銀杯と慰労品といういわゆる三点セットと言われているものの贈呈事業があると思うんですけれども、やっぱりこれをもっと早めると。昨日もありましたけれども、全体として高齢化されている中で、やっぱり非常に苦労されてきた方々ですから、早めていただきたいというふうに思うわけです。  そしてまた、この事業対象者について、先ほど平野審議官からありましたが、当初は加算も含めて外地勤務三年以上だったけれども、本年度外地一年以上に拡大されて、来年度内地勤務加算を含めて三年以上ということで、二十万人ほどが新たに対象になると伺っているわけですが、それを含めてもまだ関係者二百五十三万人のうち百三十五万人にしかならないと思うんです。この対象者の拡大の全体としての努力をさらに求めたいと思うんですけれども、端的に御答弁をいただきたいと思います。
  30. 平野治生

    政府委員平野治生君) ただいま先生から御指摘ございましたとおりに、いわゆる恩給欠格者方々に対する慰藉事業につきましては、平成元年加算三年以上という者を対象にいたしておりましたけれども、本年度平成年度からは加算三年なくても実役一年あれば贈呈するというふうにしてきたわけでございます。そしてまた、ただいま御審議をいただいております八年度予算におきましては、内地勤務者加算三年以上の者にも書状を贈呈しようかという制度改善を実はお願いしているわけでございます。  この基金そのものをつくるいろいろな経緯につきましては既に御承知のとおりでございますが、要するにこういう関係者方々に対して国として衷心から慰藉の念を示すというために設けられた基金であるわけでございますから、その趣旨に沿ってこの基金事業を進めていかなきゃいけないというふうに思っているところでございますので、今後とも関係者の心情に思いをいたしながら適切な事業を進めてまいりたいというふうに考えております。
  31. 笠井亮

    笠井亮君 そこで、適切な事業を進めていくという上での財源の問題なんですけれども平和祈念事業特別基金への出資枠を二百億から四百億に拡大するということで、この間毎年五十億ずつ国が拠出をしてその運用益で行うというふうにされてきたと思うんです、もちろん補助金もあると思うんですけれども。八年度分でいきますと、五十億円の拠出で目標の四百億円にそれ自体はなると思うんですけれども、今おっしゃったような事業をさらに進めていく上で、それからまた金利の低下も一方でありますから、そういう点でまだ足らないことは明らかだと思うんです。その後、つまり平成年度以降の拠出計画について今どう考えていらっしゃるか、その点について伺いたいと思います。
  32. 平野治生

    政府委員平野治生君) 基金への出資金につきましては、ただいま先生から御指摘がございましたとおりに、当初この基金を発足するときは二百億ということでスタートしたわけでございまして、平成年度に二百億円の出資が完了いたしました。その後四百億にするということでございまして、平成年度予算において最後の五十億円の積み増しと申しますか、出資を計上いたしているわけでございますので、その御審議をお願いしているところでございます。これによって目標額の四百億は出資が完了するということになるわけでございます。  今、先生が御指摘のとおり、さらに積み増すかという問題が確かにあるわけでございますけれども、要するに基金事業が円滑にかつ適切に行われればいいという観点に立ちますと、ただいまお話もございましたとおりに、金利等もいろいろと実はあるわけでございまして、基金を積み増す方法ではなしに、そういった基金事業の進捗状況とか金利動向考えながら事業の実施に支障がない方法でやった方がいいのではないかというふうに考えているわけでございまして、今直ちに基金を積み増すというようなことを考えているわけではございません。
  33. 笠井亮

    笠井亮君 今の問題なんですけれども、もともと出資枠を拡大するときの政府趣旨説明というのがありましたし、議事録にもその経過があると思うんです。書状とか銀杯などの贈呈を初めとして、新規その他の慰藉事業の着手や進捗を勘案して、今後必要と見込まれる事業費の財源が確保されるようにするために出資枠をふやしていくんだというふうにされたわけで、その理屈でいけば現在の進捗状況はまだ十分と言えないわけですから、今後の出資枠の拡大は避けられないというか、当然そういうこともあり得ると思うんです。  それから、基金法の六条二項でも、さらに不足の場合には積み立てができるというふうにあると思うんですけれども、そういう立場で具体的にどう対処していくかというのがやはり今の現状とその進捗状況を踏まえて問われてくるんじゃないかと思うんですが、その点いかがでしょうか。
  34. 平野治生

    政府委員平野治生君) ただいま六条二項のお話がございましたが、御承知のとおり、確かに基金に追加して出資することができるということになっているわけでございます。ですから、これから追加できないということは毛頭ございません。  ただ、この法律にこの規定を載せた当初の意図は、とにかく最初の予算では十億円しか積めなかったという経緯がございまして、それをこの附則で二百億まで何とか積み増したいということもございましたので、法律では十億としか書いていないけれどもそれをさらに二百億まで積み増したいという意図があって二項を残したわけでございます。もちろんこの二項があるからその後さらに四百億まで積み増しもできましたし、またさらに積み増すこともできるわけでございます。  それからもう一つは、事業の進捗状況だけを申しますと、御指摘もございましたとおりに、関係者方々、待っていらっしゃる方が随分いらっしゃるということも私ども承知しておりまして、全力を挙げてやっているところでございますけれども、なかなか時間もかかるという問題があるわけでございます。ですから、私どもは、基金事業を適切に実施するという意味におきますと何らかのことをしなきゃいけないということは十分考えているわけでございます。  そのやり方につきましては、今お話がございました基金を積み増せばいいというやり方も確かにあると思うのでございますけれども、私どもは円滑に進めるためには何かもっと別の方法でうまく進めていった方がいいのではないかなというふうに思っておりまして、金利の動向とかいろいろございますので、事業の進捗状況を見ながら対応してまいりたいというふうに考えているところでございます。
  35. 笠井亮

    笠井亮君 別の方法ということで言えば、補助金の問題もあると思いますし、当然今おっしゃったように出資枠そのものの問題も含めて、全体の趣旨はやっぱりこの目的の達成のために必要なお金を確保するということになると思いますので、さらに促進のための財源策を強く要望しておきたいと思います。  それから、もう一つここで伺いたい問題なんですけれども、旧陸海軍省に所属していた書記の方、技手の方ですね、判任文官と言われた判任官の方々恩給をもらっていない方々への平和祈念事業特別基金法の適用のことなんですけれども、それについて伺いたいと思います。  これらの判任官の方々恩給法上の公務員のうちで昭和二十一年の勅令六十八号で廃止をされなかったということで、制度としては恩給を受ける可能性はあったというか、あるわけですけれども、実際にはいろいろな経過も含めて、判任官だった多くの方が勤続年数が十七年に満たずに恩給受給資格がないということになってます。かといって恩給法で言う旧軍属には該当しないということで、この祈念事業基金法に基づく点でいきますと恩欠者とみなされずに、慰藉事業対象にもなっていないという問題があると思うんです。  私もこの問題を知りまして、非常にこれは筋が通らないんじゃないかと思うんです。軍人とともに文字どおり身命をささげて勤務してきた者を除外せずに、国として御苦労だったという意思をとにかく表現してほしいというこの方々の願いは本当に切実だと思うんです。当然、基金法を適用して、書状、銀杯、慰労品などの慰藉事業対象とすべきだと私は考えるんですけれども、誠意ある答弁をここでお願いしたいと思うんですが、いかがですか。
  36. 平野治生

    政府委員平野治生君) そもそもいわゆる恩給欠格者の問題が出てまいりました発端は、既に御承知のとおりに、いわゆる軍人として戦地で非常に過酷な経験をなさり御苦労された方々恩給年限が足らないために恩給をもらえなかったという方々をどうするかという問題から出たわけでございます。  そういった旧軍人方々、いわゆる恩給欠格者方々をどうするかという問題が出たときに、六八勅令とよく言っているわけでございますけれども、戦後、恩給が一たん廃止になったという経緯がございました。そのときに、廃止になった旧軍人はもちろんのこと、GHQの命令によりやっぱり廃止された旧軍属の方々がいらっしゃったんですね。そういう方々恩給法昭和二十八年に百五十五号として復活した際に改めて旧軍人恩給対象になった、こういう経緯があることは既に御承知のとおりでございます。  したがって、この特別基金法をつくるときにどういう方々対象にしたらいいかというふうに考えてきたときに、いわゆる恩給が廃止になった旧軍人軍属、この方々処遇をどうしたらいいかという観点から見たわけでございまして、そしてまた戦後処理問題懇談会でもいろいろ議論もございましたし、また恩給制度におけるそういう長い積み重ねがあったわけでございます。  つまり、この法律に基づくいわゆる恩給欠格者という方々恩給法による旧軍人軍属の方々であったわけでございます。したがって、判任文官の方は実は二十一年の六八では外れておりまして、その当時でも恩給はもらえましたし、また年数が足らない方々につきましては一時恩給という制度もあってそれをもらわれた方々もあるわけでございます。  こういうように、いわゆる判任文官と言われる方々恩給法上の旧軍人軍属と違った取り扱いを受けてきた経緯があるわけでございまして、そしてまた恩給欠格者の問題が議論されてまいりまして、いろいろな議論経緯から見てみますと、そういう考え方に基づいて基金法はできてきたということなのでございます。  したがって、誠意ある答弁というお話があったのでございますけれども、いわゆる恩給法による旧軍人軍属という中に、この基金法対象になる人の中に判任文官を入れるということについてはいろいろ難しい問題があるのではないかなというふうに考えているところでございます。
  37. 笠井亮

    笠井亮君 私は判任官だった方々からもいろいろ話を伺って、直接御苦労も伺いました。軍人ではないんだけれども、実際には軍属として外地に行った方もいるし内地に勤務された方もいますけれども、本当に命がけで、むしろ武器を持たずに同じような行動をしなきゃいけないというので身の危険はたくさんあったとか、一方では機密保持の宣誓をさせられたりして軍人同様に軍規に拘束されるということもあったり、あるいは外地で直接生命の危険にさらされたり、戦争が終わってからもずっと軍属という肩書がついて回ったりしたということです。  確かに制度上で言えば廃止されなかったから、厚生省の復員局ですか、そこを通じながらまたその後公務員として続けていくというような道があったじゃないかという議論もあるかもしれないんですけれども、そうはいっても戦争の傷を負われる、それから公務員の枠がある。そしてさらに、戦争中そういう形で判任官として仕事をされたけれども、では戦後違う省で公務員として引き続き働くかどうかというようなことになれば、それはなかなかそういうふうにすっきりいくものじゃないという方がたくさんいらっしゃって、実際には判任官の中で多くの方々がやはり公務員としては続けられないという方が多いわけです。しかも、この枠の中では実態としては恩給はもらえないということもあるわけです。  しかし、もう一方では、戦争ではやっぱり軍人と同じようにつらい思いをしてきたということがあって、とにかく御苦労だったという声をかけてほしい、そういう姿勢を国が示してほしいという気持ちはすごくあると思うんですね。だから、それに何らかの形でこたえなきゃいけないし、本来この基金法自体がそういうことが趣旨だったんじゃないかと私は思うんですけれども、その辺のことはやっぱり現実を踏まえてもう少しやるべきじゃないかと思うんです。さらに同じことの延長ですけれども、いかがですか。
  38. 平野治生

    政府委員平野治生君) 先生のおっしゃることはよくわかるので、私も関係者方々からいろいろなお話を承っております。  ただ、この基金法をつくるときのいろいろの経緯から申しますと、いわゆる旧軍人方々をまず念頭に置きまして、そういう方々が年数が足らないために恩給をもらえなかった、それは問題があるのではないかということで起きてきたという経緯があります。そして、判任文官の方はまさに文官でございますから、復員された後ももしそういう職があればいろんな官庁に勤めることも可能だったという、やっぱりその差がちょっとあるのでございます。  ですから、差はあってもそれは軍隊で働いていたんだから同じじゃないかということで、そういうところへ着目しろという御要望はわかるのでございますけれども、いろいろ基金ができた経緯等もございますので、だからといって直ちに今そういう方々にこの法律に基づいて何かをするということにすることは難しいのではないかなというふうに今のところは考えているところでございます。
  39. 笠井亮

    笠井亮君 難しいというお話なんですが、基金法に基づいてということなので、私もその法律に則して議事録なんかも読んでみて申し上げたいことがあるんですけれども基金法というのはそもそも恩給法、援護法によって処遇をされない、そういう元軍人軍属に対する処遇を旨としてつくられたということだと思うんですね。  それで、昭和六十三年の法案がかかったときの議論の中で、平野審議官は当時参事官をなさっていて、その中で御答弁なさっているんですけれども、恩欠者、戦後強制抑留者引揚者のこの三つの問題を中心にした戦後処理問題が基金の目的である、だから今後それに関連するような問題が出た場合にはこの基金対象として考えていくという形で御答弁をされていると思うんです。  それなのに、基金法にある旧軍人軍属の解釈というのは恩給法における用語の規定をそのまま使うということで、判任官はあくまで対象に入れないんだ、いろいろ事情はわかるけれどもと言われても、当時の議論とかこの法案をつくった趣旨、それからそのときの御説明等のかかわりで見ますと、やっぱり今おっしゃったことをそのままそうだというふうにはいかないんじゃないかと思うんです。  厚生省の援護局に伺ったところ、はっきりした数はないそうですけれども、判任官の方々は数千から数万と幅がありますが、その中であの戦争で外地に出されて前線に立ったけれども慰藉も受けに亡くなっていく方も次々いらっしゃるわけです。このままでは死んでも死に切れないという気持ちをやっぱり皆さん持っていらっしゃるわけで、このままほっておいてこの問題は終わりということには決してならないと思うんです。それにどうこたえるかということが問われてくると思いますし、まさにそういう点では基金法の設立の経過、それからこの間いろんな議論がありました。  戦後補償の問題をどうするか、決着をつけると言ってつけられなくてもう一回またやって、またこれで決着とか言いながら、それでもまだまだたくさんの問題が残っている状況があると思うんです。  やはり戦後五十年を過ぎたこの時点になりまして、判任官をなさった方々は八十何歳とか、もう本当にお年の方で、何とか生きているりちにとにかく御苦労だったということを言ってほしいと。  私自身は戦争体験ないですけれども、あの戦争体験を引き継いでいかなきゃいけない世代としては、そういう書状なんかを見せられて、自分はこういうことであってなかなか大変だったけれどもとにかく国から御苦労だと言われた、おまえらの世代はこんなことがないようにとにかく頑張ってくれというような形で、やっぱりぜひとも形が残るようにやっていただきたいと心から私は思うんです。  同じ問題ということですけれども、難しい難しいとおっしゃるんですが、今やっぱり本当に一歩踏み出してやるべきときだし、そういう点で先ほど申し上げたような誠意ある御答弁というのを重ねてお願いしたいんですが、いかがですか。
  40. 平野治生

    政府委員平野治生君) 今お話がございましたとおり、私はこの法律をつくるときも関与したことがあるわけでございます。この第一条に書いてございます旧軍人軍属の中に判任文官を入れるということになりますと、やや理屈っぽく申しましたけれども、なかなか難しい問題があるわけでございます。  この中で、さきの戦争で非常に御苦労された方をどうすべきかという問題になりまして、私どもよく一般慰藉という言葉を使っているんですが、そういう御労苦を後世に伝える事業ということになりますと、単にここに書いてあるがりがりのがちがちの旧軍人軍属じゃなくて、もっと広い意味でのという考え方はあろうかというふうに思っているわけでございます。  ただ、私が冒頭に申しましたとおり、この旧軍人軍属の中に判任文官が含まれるのではないかと言われると、やや法律的な議論になって恐縮なのでございますが、非常に難しいということでございます。ただ、先生お話、それから関係者方々からも当初からいろいろ伺っておりますので、そういう点も十分踏まえて今後とも対応してまいりたいと思っております。
  41. 笠井亮

    笠井亮君 繰り返しになりますけれども、この問題にやっぱり一つ一つ具体的に踏み出していくということが求められていると思います。  この旧軍人軍属の解釈の問題はこれはまた大いに議論しなきゃいけないことで、この法律を見る限り、旧軍人軍属というのはこの基金法では具体的にこうであるというふうにはこれ自体は書いていないわけですね。だけれども、それは恩給法で言う旧軍人軍属であるという形で解釈をされて、これでこういくんだ、だから外れるんだということになるんですけれども、やっぱり実態に即して解決をするということが求められているし、それがこの今の制度の中でどれだけできるのかということで、平野審議官もこの問題に精通なさっていて、関係者からも具体的に話を聞かれているということですので、今のお話を受けながら、さらに具体的にどうするのかということで検討に入っていただきたいと思います。そのことを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
  42. 聴濤弘

    ○聴濤弘君 私は、先ほどもちょっと議論がありましたけれども、旧日赤救護看護婦及び旧陸海軍従軍看護婦の慰労金の引き上げ問題について質問をいたします。  昨年二月の本委員会で私はこの問題を取り上げて、二点の要望をいたしました。  一点は、平成年度より慰労金が引き上げられるという答えがそのときありましたので、もうこの看護婦の皆さんが非常に切実に望んでおられるので、せめて一万円程度の引き上げを私は要望いたしました。三・七%の引き上げが行われるということが先ほど質疑で御答弁がありましたけれども、そういうことであればそれも改めて確認をさせていただきたいと思います。  もう一点私が昨年二月に要望したのは、今のシステムは一生懸命請願をして、そして陳情をし、それに応じてやっと何年目かにちょっと上がるというシステムになっているので、それではよくないと。もっと制度的に、今までよりも短い期間で、あるいは毎年ぐらい見直していくという制度が必要ではないかということを申し上げ、その点も要望をいたしました。  以上の二点についてどのように検討されたのか、お答えいただきたいと思います。
  43. 安藤昌弘

    政府委員安藤昌弘君) お答え申し上げます。  まず初めに、平成年度慰労給付金の額の改定の問題でございますが、平成年度におきましては、前回平成年度改定時からの消費者物価上昇率を勘案いたしまして、先ほど申し上げましたように三・七%の増額措置を講ずることとしております。  具体的に申し上げますと、実勤務期間別の慰労給付金の額として、三年以上六年未満で十三万円でありましたのを十三万四千八百円に、十八年以上で三十九万円でありましたところを四十万四千四百円にそれぞれ増額することとしているところでございます。  また、二点目といたしまして、この増額の問題についてもっと期間を短くしてあげるべきではないかというような御指摘がございました。この点につきましては、平成年度以降のことになるわけでございますが、平成年度以降における慰労給付金増額措置につきましては、平成六年十二月十五日の与党戦後五十年問題プロジェクトにおきまして、「政府は、旧日本赤十字社救護看護婦慰労給付金支給額改定にあたっては、受給者の置かれた状況に配慮し、消費者物価動向をより適切に反映させた措置を講ずるべきである。」というような合意がなされたところでございます。この与党三党合意の趣旨を踏まえまして、より適切に反映させた措置ということで今後とも適切に対処してまいりたい、このように考えている次第でございます。
  44. 聴濤弘

    ○聴濤弘君 より適切というのは毎年見直していくという意味ですか、それともその辺はまだ具体化されていないんでしょうか。
  45. 安藤昌弘

    政府委員安藤昌弘君) ただいまもお答え申し上げましたように、現時点で将来の検討の結果となるようなことは申し上げられませんけれども、いずれにいたしましてもより適切に反映させた措置を講ずるという観点から適時適切に対処してまいりたいということで御理解を賜りたいと存じます。
  46. 聴濤弘

    ○聴濤弘君 慰労金の引き上げの三・七%、実際今までが十三万円だったのを十三万四千八百円にしたということなんですが、これは月額にしますと一万円程度なんですね。それで、元看護婦さんの圧倒的部分がここなんですね、この一番最低のところなんですね。一番最高の四十万というのはもうごくごくわずかで、七割以上がこの最低のところなので、そうしますと、これは引き上げられたとしても一カ月一万円程度ということなんで、これではやはり非常に現実に合っていない。もちろん慰労金は所得保障ではないという建前ではあったにしても、余りにも低いと思いますので、引き続き引き上げる方向で適切な処置をとられるように要望をしておきたいと思います。  それから、先ほど出ましたので繰り返しになりますけれども、こういう慰労金を受け取れない方々がこれまた非常にたくさんおられる。たくさんというのは、受給されている方と比較しましてたくさんおられる。この方々から、ぜひ平和祈念事業として書状や銀杯あるいは記念品、そういったものを何とかして受け取れないだろうかと、これも非常に切実な要望として出されております。  先ほど回答がありまして、私も聞いておりましたけれども、平和祈念基金事業としては、これはシベリアの抑留者等々そういった者のためにつくられたのだからそこから出すわけにはいかないという答弁がありまして、ちょっと先取りして質問するようですが、そういうことであれば別の基金をつくればいいだけの話であって、一体、金がないからやらないのか、やる気がないからやらないのか、そこのところをはっきりしてもらいたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  47. 平野治生

    政府委員平野治生君) 先ほど申しましたのは、基金ができる経緯をまず申し上げたわけでございまして、いわゆる恩給欠格者、それからシベリア等に抑留された戦後強制抑留者あるいは引揚者方々、こういう方々処遇をどうしたらいいかというところから始まったわけでございまして、そして戦後処理問題懇談会におきます報告に基づきましてこの基金が設立されたわけでございます。したがって、この基金のもとになります基金法のいわば目的のところにこの三問題の方々を明記いたしまして、こういう方々に対して国としての慰藉の意を示すということを明らかにしたわけでございます。  ですから、そういう限りにおきますと、いわば法律をつくったときの念頭に今御指摘のいわゆる旧日赤看護婦方々が最初からいたかということになりますと、そこはいろいろな経緯からそういうことはないということを申し上げたわけで、したがいまして救護看護婦方々にこの基金において直ちに基金法を適用して対処することは極めて難しいということを申し上げたところでございます。
  48. 聴濤弘

    ○聴濤弘君 経過の説明だけで、大変不満であります。  時間がありませんので、私、最後にどうしても聞いておきたいことがございますので、そちらに移ります。  こういう切実な要望で、例えばフィリピンで餓死寸前まで仕事をしておられた方の圧倒的多数が未受給者なんですよ。そういうことを本当に切実に訴えておられる。そういうことで、今総理府に陳情とか請願とかに行くと、最近では、もう陳情なさらなくて結構です、陳情しなくていい、そういうふうに言われるというんですね。それから、日赤では、総理府からの話として、もう毎年毎年こういう請願が来るとうっとうしいと言われる。  こういう事実があるんですか。
  49. 安藤昌弘

    政府委員安藤昌弘君) 大変恐縮でございますが、私ども承知いたしておりません。
  50. 聴濤弘

    ○聴濤弘君 承知しておられないということでありますけれども、昨年の夏、今私たちも陳情を受けているこれらの団体が日赤を通じて総理府から、増額陳情やあるいは未受給者の救済の要求などはもうしないでほしい、そういうことはしないという内容の文書を書いてくれ、こういうふうに言われたと。元日赤救護看護婦会の方はもう既に提出しているので、私たちが陳情を受けた別の会は、これをあなた方も出しなさい、こういうことを言われた、私たちはきっぱりと拒否したと言っています。これ否定しますか。
  51. 安藤昌弘

    政府委員安藤昌弘君) 重ねて恐縮でございますが、大変恐縮でございますけれども、私どもそのようなことを承知いたしてございません。
  52. 聴濤弘

    ○聴濤弘君 これは、言っておられる方がそれではうそを私に言ったということになるんで、そうじゃないと思うんですよ。  聞きますと、この方々はみんな二十代ですよ。  そのときに死ぬ思いの苦労をされた方々陳情に来られた。台定されたから、私はどっちが正しいと今すぐ言えませんが、うっとうしいだの、以後は陳情を出すなとか、こういう文書を書けとか、もってのほかだと思うんですが、本当にひどいですよ。もしそういうことが行われるとすれば、憲法十六条の国民、人一人が持っている請願権の重大な侵害です。  総務庁長官、このようなことが行われないよう、これは今査定されましたから行ったとは私言いませんが、厳重に注意をしていただきたいと私は思います。いかがでしょうか。
  53. 中西績介

    国務大臣中西績介君) 実態がどうであるかということを十分承知いたしておりませんので、今直ちにここで申し上げかねますけれども、こうした事態というのは絶対にあってはならない問題だと承知いたしますので、この点はまた後でいろいろ総理府の方にも私の方から御連絡申し上げたいと思っております。
  54. 聴濤弘

    ○聴濤弘君 よく調査をして報告をしていただきたいと思います。  以上です。
  55. 宮崎秀樹

    委員長宮崎秀樹君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  56. 宮崎秀樹

    委員長宮崎秀樹君) 御異議ないと認めます。     —————————————
  57. 宮崎秀樹

    委員長宮崎秀樹君) 委員の異動について御報告いたします。  本日、岡野裕君が委員を辞任され、その補欠として松村龍二君が選任されました。     —————————————
  58. 宮崎秀樹

    委員長宮崎秀樹君) それでは、これより討論に入ります。——別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  恩給法等の一部を改正する法律案賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手
  59. 宮崎秀樹

    委員長宮崎秀樹君) 全会一致と認めます。  よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  吉田君から発言を求められておりますので、これを許します。吉田之久君。
  60. 吉田之久

    ○吉田之久君 私は、ただいま可決されました恩給法等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・自由国民会議、平成会、社会民主党・護憲連合及び日本共産党の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     恩給法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、次の事項について速やかに善処すべきである。  一 阪神・淡路大震災により被災した恩給受給者については、その被災の状況にかんがみ、恩給証書の再発行、受給権調査の実施等につき特段の配慮を行い、恩給の受給に支障のないよう努めること。  一 恩給年額改定については、国家補償としての恩給性格恩給受給者高齢化等に配慮し、今後とも現職公務員の給与水準との均衡維持するよう努めること。  一 恩給改定実施時期については、現職公務員の給与との遅れをなくすよう特段の配慮をすること。  一 恩給の最低保障額については、引き続きその引上げ等を図るとともに扶助料については、さらに給付水準の実質的向上を図ること。  一 恩給受給者に対する老齢福祉年金の支給制限を撤廃すること。  一 外国特殊法人及び外国特殊機関の未指定分の件について、速やかに再検討を加え適切な措置を講ずること。  一 戦地勤務に服した旧日赤救護看護婦及び旧陸海軍従軍看護婦に対する慰労給付金について引き続き適切な措置をとること。  一 恩給欠格者等の処遇について検討の上、適切な措置を講ずるよう努めること。   右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  61. 宮崎秀樹

    委員長宮崎秀樹君) ただいま吉田君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手
  62. 宮崎秀樹

    委員長宮崎秀樹君) 全会一致と認めます。  よって、吉田君提出附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、中西総務庁長官から発言を求められておりますので、この際、これを許します。中西総務庁長官
  63. 中西績介

    国務大臣中西績介君) ただいまの附帯決議につきましては、今後慎重に検討してまいりたいと存じます。
  64. 宮崎秀樹

    委員長宮崎秀樹君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  65. 宮崎秀樹

    委員長宮崎秀樹君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時三分散会