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政府委員(加藤良三君)
中国が今月の八日から十五日までの予定で
台湾周辺の北部及び南部の水域において
ミサイル発射訓練を、また十二日から二十日までの予定で福建省沖合において海軍及び空軍による実弾演習を
実施しているという事実がございます。
私
どもといたしましては、現在、
台湾海峡において直接の武力行使が直ちに行われるというような差し迫った
状況にあるとの
情報には接しておりません。しかし、
台湾海峡において緊張が高まることは
東アジアの平和と安定にとって好ましからざることであると思います。
中国が
台湾周辺での
軍事演習を本格化しておりますことは、この
観点から私
たちとして強い憂慮の念を抱くところでございます。
政府といたしましては、
台湾問題は
関係当事者間において平和的に
解決されるべきであるという
立場を一貫して保持してまいっております。私
たちとしてはそのような
解決を強く希望しているわけでございまして、現下の
台湾海峡の
情勢を踏まえまして、
中国に対してはそのような
立場に立って
行動することを強く求めてまいっておる経緯がございます。
今申し上げたところに
政府としての
立場は尽きるのだろうと思いますけれ
ども、具体的に申し上げれば、今月の六日、私から在京
中国大使館へ、また海空軍の演習が始まって演習が本格化すると見られる前夜の三月十一日に、同じく私から在京
中国大使館に対して
日本側の強い懸念と憂慮の念を伝達いたしました。あわせて、
日本の船舶航行、漁業等、そうした
活動に対する
影響というものがないよう確保されるべきであるということも申し入れた次第でございます。
それに先立って、今月初めバンコクで
アジア欧州会合がございました際に、
日中首脳会談、日中外相会談が行われました。このときにはまだ訓練の具体的な内容ということが広報されておりませんでしたけれ
ども、既に演習があるということは確実視されておりましたので、総理及び
外務大臣から
中国の李鵬総理及び銭其シン副総理兼外交
部長に対しまして、私
たちは
台湾問題の平和的
解決を強く願っている、そして当事者がそういう考え方に立って
行動してもらいたいということを直接伝達した経緯がございます。
私が六日、十一日に申し入れを
中国側に対して行いました際にも、今後、実際の
状況の展開にかんがみましてさらに申し入れを行うことがあり得べしということを
中国側にあわせて伝達してございます。
その次に御質問の対話の
努力という点で、既に新聞報道などにも
選挙が終わった後には
台湾の
李登輝総統の方から平和攻勢に出るというような話が出ていたということもあろうかと思いますけれ
ども、いずれにいたしましてもこの問題について当事者間の対話というものが始まるということは、そういうことがあれば非常に望ましいことだというふうに私
たちは考えておる次第でございます。
次に、御指摘のクリントンの親書でございますが、私
どももその親書の件についての報道を見まして米側に確認を行いましたところ、これは何らかの誤解であろう、すなわちそのような親書が発出された事実というものはないということでございました。親書が発出されたわけではございませんけれ
ども、米側として、米側の懸念と
委員が今おっしゃられたような諸点も含めて、いろいろなレベル、いろいろな機会に
中国側に伝達しているということは想像するにかたくないところであろうと考えます。
それから、空母ニミッツあるいは空母インディペンデンス、その他随伴艦のこの
地域における
活動についてでございますが、既にインディペンデンスは
台湾の百マイルぐらいのところにいると。
他方、ニミッツはまだ到着しておらず、ペルシャ湾からマニラ経由で今
台湾周辺の海域の方に向けて進んでいるところでございまして、そこに到達するのは来週の初めぐらいではなかろうかというふうに承知いたしております。このような最近の
台湾海峡における米海軍艦艇の
活動状況などにつきましても、私
たちは米軍、米側から適宜
情報提供を受けてまいっております。
具体的には、例えば空母インディペンデンスの監視
活動でございますとか、空母ニミッツの
台湾近海への移動などにつきまして、米国の国防総省、在米国の大使館、それから在京米国の大使館、すなわち我が方と米国の双方の大使館、それから
在日米軍などから逐次
情報を得ております。この関連で、
中国の
ミサイル着弾についても米側より
情報を受けたというふうに承知いたしている次第でございます。
なお、この点が作戦
行動に該当するかどうかという点につきましては、御承知のとおり、日米安保条約第六条の
実施に関する交換公文においていわゆる事前協議と言われるものの対象となっておりますのは、合衆国軍隊の
日本国への配置における重要な変更、合衆国軍隊の
装備における重要な変更、それから
日本国から行なわれる戦闘作戦
行動のための基地としての
日本国内の
施設及び区域の使用というこの三つのカテゴリーになっているわけでございます。
この点については今まで累次の国会における
質疑、やりとりが行われていることは御案内のとおりでございますが、現在、空母インディペンデンスを初めとする米海軍艦艇は、
台湾海峡において緊張が高まっているという
状況にかんがみまして、
台湾から沖縄にかけての海域で通常の訓練を行って監視
活動を継続しているという実態のものであると承知いたしておりまして、このような
活動であれば、これは事前協議の対象になるものではないというふうに私
どもは考えております。