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1996-09-10 第136回国会 参議院 内閣委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年九月十日(火曜日)    午後一時開会     ―――――――――――――    委員長異動  六月十九日宮崎秀樹委員長辞任につき、その  補欠として鎌田要人君を議院において委員長に  選任した。    委員異動  六月十九日     辞任         補欠選任      宮崎 秀樹君     鎌田 要人君      永野 茂門君     広中和歌子君      吉田 之久君     林  寛子君  六月二十一日     辞任         補欠選任      林  寛子君     吉田 之久君      広中和歌子君     永野 茂門君  八月一日     辞任         補欠選任      海老原義彦君     中島 眞人君  八月八日     辞任         補欠選任      矢野 哲朗君     溝手 顕正君  八月二十七日     辞任         補欠選任      友部 達夫君     猪熊 重二君      吉田 之久君     山崎  力君  八月二十八日     辞任         補欠選任      山崎 力君      山下 栄一君  八月二十九日     辞任         補欠選任      鈴木 栄治君     鈴木 貞敏君      中島 眞人君     海老原義彦君      溝手 顕正君     矢野 哲朗君      山下 栄一君     山崎  力君  九月九日     辞任         補欠選任      海老原義彦君     亀谷 博昭君      山崎  力君     友部 達夫君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         鎌田 要人君     理 事                 板垣  正君                 鈴木 貞敏君                 鈴木 正孝君                 齋藤  勁君     委 員                 岡野  裕君                 狩野  安君                 亀谷 博昭君                 依田 智治君                 猪熊 重二君                 大久保直彦君                 友部 達夫君                 永野 茂門君                 萱野  茂君                 角田 義一君                 笠井  亮君                 聴濤  弘君    国務大臣        国 務 大 臣        (内閣官房長官) 梶山 静六君        国 務 大 臣        (総務庁長官)  中西 績介君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  臼井日出男君    事務局側        常任委員会専門        員        菅野  清君    説明員        内閣官房内閣参        事官       安富 正文君        内閣官房内閣内        政審議室長    田波 耕治君        人事院総裁    弥富啓之助君        人事院事務総局        管理局長     武政 和夫君        人事院事務総局        給与局長     小堀紀久生君        人事院事務総局        職員局長     佐藤  信君        総務庁人事局長  菊池 光興君        防衛庁防衛局長  秋山 昌廣君        防衛施設庁長官  諸冨 増夫君        防衛施設庁施設        部長       首藤 新悟君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調  査並びに国防衛に関する調査  (一般職職員給与等についての報告及び給  与の改定についての勧告に関する件)  (沖縄米軍基地の整理縮小問題に関する件)     ―――――――――――――
  2. 鎌田要人

    委員長鎌田要人君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  この際、一言ごあいさつを申し上げます。  去る六月十九日の本会議におきまして内閣委員長選任されました鎌田要人でございます。  この委員会は、御案内のとおり、国家行政組織、国の防衛等の重要な諸問題を所管する委員会でございます。このように重大な責務を担う内閣委員会委員長といたしまして、委員各位の御指導、御協力を賜り、公正円満な委員会運営を行っていく所存でございますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。     ―――――――――――――
  3. 鎌田要人

    委員長鎌田要人君) 委員異動について御報告いたします。  去る八月二十七日、友部達夫君及び吉田之久君が委員辞任され、その補欠として猪熊重二君及び山崎力君が選任されました。  また、去る八月二十九日、鈴木栄治君が委員辞任され、その補欠として鈴木貞敏君が選任されました。  また、昨日、海老原義彦君及び山崎力君が委員辞任され、その補欠として亀谷博昭君及び友部達夫君が選任されました。     ―――――――――――――
  4. 鎌田要人

    委員長鎌田要人君) 次に、理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が二名欠員となっておりますので、その補欠選任を行います。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 鎌田要人

    委員長鎌田要人君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事鈴木貞敏君及び鈴木正孝君を指名いたします。     ―――――――――――――
  6. 鎌田要人

    委員長鎌田要人君) 国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調査並びに国防衛に関する調査を議題といたします。  まず、一般職職員給与等についての報告及び給与改定についての勧告に関し、人事院から説明を聴取いたします。弥富人事院総裁
  7. 弥富啓之助

    説明員弥富啓之助君) 人事院は、去る八月一日、国会内閣に対し、公務員給与に関する報告及び勧告を行いました。本日、その内容について御説明申し上げる機会をいただきまして、厚く御礼を申し上げます。  以下、その概要について御説明をいたします。    〔委員長退席理事板垣正着席〕  初めに、職員給与に関する報告及び勧告内容について御説明をいたします。  公務員給与改定に当たりましては、人事院は、従来から社会経済情勢全般動向を踏まえつつ、公務員給与民間給与に均衡させることを基本として臨んでまいりました。本年も、公務員給与に関する判断材料を得るため、民間企業給与を的確に把握するとともに、厳しい経営環境のもとにおける企業の対応について調査を行い、また広く各界から御意見を拝聴し、公務運営改善についてもさまざまな角度から検討をいたしました。  本年の調査結果によりますと、民間企業においては、引き続き厳しい経営環境の中で、新規採用の抑制など雇用中心としてさまざまな措置がとられているものの、賃金については大部分事業所において低率ではありましても引き上げが行われており、官民給与の間には放置できない較差が生じていることが認められました。人事院は、このような諸事情を総合的に勘案した結果、本年も職員給与について所要改定を行うことが必要であると認め、勧告をいたしました。  本年四月時点における官民給与較差は、公務員一人当たり平均三千三百三十六円、率で〇・九五%となっております。この三千三百三十六円を給与改善原資として、俸給改善に二千九百八十円、諸手当改善に三百五十六円配分いたしました。  改定内容につきまして順次御説明いたしますと、まず俸給表につきましては、中堅層職員改善中心として全俸給表改定を行うこととしております。改定に当たりましては、引き続き刑務官少年院教官若手研究員看護職員等に配慮をいたしております。  また、初任給につきましては、民間初任給動向を踏まえ、I種採用者については平均改定率の半分程度、Ⅱ種、Ⅲ種採用者につきましては平均改定率程度引き上げを行うこととしております。  なお、職員の昇格時の号俸決定方法改善が本年度から本格的に実施されることに伴い、教育職俸給表等一部の俸給表について所要調整措置を講ずることとしておりますほか、指定職俸給表については行政職を下回る改定を行うこととしております。  次に、手当につきましては、基礎研究推進や重要な科学技術分野に関する研究開発推進を図るため、研究活動状況研究員採用状況等から見て、人材確保等を図る特別の事情があると認められる中核的研究所対象として、そこに勤務する研究員等に新たに研究員調整手当支給することとしております。    〔理事板垣正退席委員長着席〕  一方、筑波研究学園都市移転手当につきましては、筑波研究学園都市生活環境状況等から見て移転手当としての役割が終了したものと認められますことから、廃止することとしております。  また、科学技術分野に関して、民間等から高度な科学技術専門的知識を有する優秀な研究者等採用する場合で特に必要なときには、新たに初任給調整手当支給することとしております。  寒冷地手当につきましては、基準額定額化など手当の趣旨に合った仕組みとし、適切な支給水準に改めるとともに、支給基準日を変更することとしております。  なお、扶養手当通勤手当、医師の初任給調整手当及び宿日直手当についても所要改善を行うこととしております。  実施時期につきましては本年四月一日としておりますが、宿日直手当については平成九年一月一日、研究員調整手当筑波研究学園都市移転手当研究員に対する初任給調整手当寒冷地手当につきましては平成九年四月一日としております。  次に、公務運営改善に関します部分について御説明を申し上げます。  社会経済システム全般の変革が求められる中で、行政においては簡素で公正な行政が期待されております。また、民間企業では、厳しい経営環境のもと、人事制度改革などへの取り組みが進んでおります。近時、公務運営あり方公務員人事管理についてさまざまな批判や提言がなされております。これらの諸情勢を踏まえ、本院としては、現行の人事管理について全般的な見直しを行い、新たな時代に対応できるよう、制度運用両面にわたり改革に取り組む必要があると考えております。  このような認識に立って、報告で述べました主な課題としては次のようなものがございます。  まず、これからの時代に求められる幅広い視野などを持つ人材計画的育成活用に努めることが重要であり、そのため、当面三カ月程度初任時の長期合同研修を新設するとともに、幹部職員も含めた省庁間人事交流の一層の拡大を図る必要があります。また、官民双方向の新たな交流システムについて法制的整備を含め検討する必要があると考えております。  次に、我が国の重要課題一つである科学技術の振興のため研究活動活性化が求められておりますが、研究業務の特性を考慮し、一定の研究公務員について新たに任期制を導入することが必要と考えており、これに伴う給与処遇裁量労働制を含めた自由度の高い勤務形態について検討を進めることとしております。これについては、別途立法措置について意見の申し出を行うこととしております。  またヘボランティア活動について各方面からその活動の支援の必要性が打ち出されており、人事院といたしましても、災害時における被災者障害者高齢者等に対する援助活動対象としてボランティア休暇を導入したいと考えております。  さらに、画一的、固定的と言われる人事慣行見直し、Ⅱ種、Ⅲ種等採用職員の登用を図ることが必要と考えております。  また、高齢化に対応して、昇進、退職管理あり方見直し幹部職員等在職期間長期化を図っていくことを検討することが必要と考えております。その一環といたしまして、事務次官の定年のあり方についても検討することとしております。職員の離職後の営利企業への就職制限については、その制度運用について再点検を行い、見直しを進めていくこととしております。  なお、人事管理全般的見直しに係る課題については、各界意見も聴取しながら、専門的な立場から総合的な検討を進めたいと考えております。  次に、公務における高齢対策について御説明を申し上げます。  活力ある高齢社会を構築するため、六十五歳まで働くことのできる雇用システム確立社会全体の課題となっております。公務においても、公務能率維持などに留意しつつ、高齢者の本格的な活用を図ることが必要であり、フルタイム勤務や短時間勤務の多様な勤務形態などの新たな再任用による高齢者雇用制度骨格をお示ししたところでございます。今後、この骨格に基づいて、制度具体的内容について検討を進めるとともに、関係省庁による検討及び各省庁における職域開拓等への努力を要請いたしております。  以上、給与に関する報告及び勧告概要を御説明申し上げました。  人事院は、本年も勧告に向けて、公務員勤務条件に関し、中央、地方を通じて広く各界から意見を聴取いたしました。公務員給与決定民間準拠方式には異論はないものの、給与についても業績評価を反映するシステムの導入を求める意見がございました。また、ボランティア休暇高齢対策についての公務における積極的取り組み公務内外での人事交流活発化提言がある一方で、幹部職員早期退職慣行見直し成績に基づいた人事管理制度確立などの指摘、また公務員あり方について厳しい注文もございました。これらの提言指摘を厳粛に受けとめ、公務員制度等の一層の改善に努めてまいる所存でございます。  公務員給与に関する人事院勧告は、申し上げるまでもなく、公務員労働基本権の制約を受け、みずからの給与決定に直接参加できる立場にないことの代償措置として行われるものでございまして、公務員にとってほとんど唯一の給与改善機会となっております。  人事院といたしましては、職員を適正に処遇することが、その士気高揚を図り、職場労使関係の安定に寄与するとともに、将来にわたって国の行政運営の安定を図るための基盤であると考えております。  内閣委員会の皆様におかれましては、人事院勧告制度が果たしている役割職員が真摯に職務に精励している実情に深い御理解を賜り、この勧告のとおり速やかに実施していただきますよう衷心よりお願い申し上げる次第でございます。
  8. 鎌田要人

    委員長鎌田要人君) これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  9. 狩野安

    狩野安君 狩野でございます。よろしくお願いいたします。  まず、人事院質問する前に、さきの通常国会会期末に成立した内閣法の一部改正による内閣総理大臣補佐官制度の公布、施行後三カ月ほど経過して、いまだに内閣総理大臣補佐官任命しようという動きが見えないわけです。私もこの前のこの委員会質問をした経過がございますので大変興味があって関心を持っていたんですけれども、いまだ何も動きはない、補佐官任命をされた形跡もございませんので、きょう本当は官房長官にお聞きしようかなと思いましたけれども、ぜひこの件についてお聞かせをいただきたいと思います。
  10. 田波耕治

    説明員田波耕治君) 内閣総理大臣補佐官内閣重要政策に関しまして内閣総理大臣に対して直接進言をする、あるいは命を受けまして意見を具申することにより、内閣の首長としての内閣総理大臣の思考それから判断、そういったものを内面的に助けるものであるというふうに理解をしております。  そういった意味におきまして、委員の先国会からの大変御熱心な御意見、御質問も伺っておりますけれども、基本的にこの任命につきましては、今後の社会経済情勢あるいは政策課題等を踏まえまして、内閣総理大臣御自身が判断されるものであるというふうに承知をしておるところでございます。
  11. 狩野安

    狩野安君 会期末に成立させたわけですので、もうできるかななんというふうに思っていたわけですが、当分の間は総理大臣も必要ないというふうにお考えか。まあお忙しいのでそういう余裕もないということなのかもしれませんけれども、これからまだまだ忙しいし、いろんな問題が起きておりますので、できるだけすばらしい補佐官を早く任命していただければいいなというふうに考えております。  もう一つ、昨年の十二月二十五日に閣議決定された内閣官房室長の格付について、俸給引き上げが二段階に行われているわけですけれども、なぜ一律じゃなくてあのような形の引き上げ方をしたのかということをちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  12. 安富正文

    説明員安富正文君) 先生御指摘のように、昨年、平成八年度の予算要求におきまして、内閣機能強化一環といヶことで五室長格上げについて要求してまいりました。その結果、内政室外政室安保室のいわゆる三室につきましては、従来指定の九号俸ということだったわけですが、これを指定の十という形に上げております。それから、広報官内閣情報調査室長の二室長につきましては、従来指定の七ということでしたが、これを二段階上げまして指定の九という形に上げております。  一律にならなかった点はございますけれども、いわば従来指定の七、指定の九とあったのを、片方指定の九、片方指定の十ということで、それぞれ一段階及び二段階ずつ上げまして、特に内閣広報官内調室長につきましては指定の九ということになっておりますが、職歴等を勘案して指定の十になるというような道も残す制度になっております。そういう意味では、非常に財政状況は厳しい折でございましたけれども、一応の格上げというようなことができたんではないかというふうに考えております。
  13. 狩野安

    狩野安君 私もこういうのはよくわかりませんけれども、せっかく上がったんですから、何かそれも一緒に上がるのが本当なのかななんというふうに考えておりますので、よろしくお願いをいたします。  さて、ことしの人事院勧告平均金額で三千三百三十六円、率では〇・九五%と、昨年に次ぐ史上二番目に低い勧告内容であるというふうに考えております。任意的勧告を毎年慣例的に行う意義というのはどういうことなんですか、ちょっとわからないのでお聞かせいただきたい。
  14. 弥富啓之助

    説明員弥富啓之助君) 御承知のとおり、公務員給与等勤務条件、これは国公法にも規定がございますが、これは社会一般情勢に適応するように定めるというふうになっておりまして、人事院としましては、毎年、社会経済全般動向や各方面の御意見などを踏まえながら、公務員給与民間給与に均衡させることを基本として対処してきているところでございます。  例えば、国公法の二十八条二項を見ますと、「人事院は、毎年、少くとも一回、俸給表が適当であるかどうかについて国会及び内閣に同時に報告しなければならない。」というふうな規定がございます。毎年の勧告を通じまして職員に常に適正な処遇を確保することは、先ほども申し上げましたとおりに、職員士気高揚、それから職場労使関係の安定に寄与するとともに、毎年その必要な人材を確保し、将来にわたりまして国の行政運営の安定を図るための基盤となるものと考えておるところでございます。
  15. 狩野安

    狩野安君 次に、民間企業における賃金制度変化を踏まえた民間準拠基本とする公務員給与制度改革への取り組み経過と今後の方向性、また民間企業賃金制度変化の実態についてお伺いいたします。
  16. 弥富啓之助

    説明員弥富啓之助君) 先ほども御報告を申し上げましたとおりに、民間企業では御承知のとおり今厳しい経営環境のもとにございます。それにつきまして、民間企業では人事給与制度の大幅な見直しを行う動きが見られるところでございます。  一方、公務におきましても、職務内容複雑化専門化やあるいは在職パターン多様化がいろいろ進んでまいりました。これらの情勢変化に対応いたしまして、例えば世代間や職種間や地域間、また個人の能力や実績に応じた適切な配分を行うことが必要ではないかというふうに考えております。このために、民間企業取り組みも踏まえまして、我々といたしましては給与制度全般にわたりまして見直しを進めていく必要があるのではないかというふうに考えております。  このような観点から、調整手当あるいは期末・勤勉手当見直しを初め、俸給調整額や、今回は寒冷地手当制度見直しをやりましたし、年功要素を見直すという観点からでございますが、給与カーブというのがありまして、給与カーブ早期立ち上がり型へ修正をして、今までよりもなだらかなカーブにしていくというふうな考え方もいたしておるところでございまして、今後とも一層成績主義を反映いたしました給与システム社会環境変化に対応した職種別、きめの細かい給与及び地域生活関連手当というもののあり方について検討を進めてまいる所存でございます。
  17. 狩野安

    狩野安君 なるべく私たちにわかりやすく、そして納得いくような方法をぜひとっていただきたいと思います。  それからもう一つ、私は茨城県選出なものですから、筑波研究学園都市移転手当廃止理由事情についてお伺いいたします。私は筑波人たち反対意見もいろいろ聞いておりますので、ぜひその理由事情について伺わせていただきたいと思います。
  18. 弥富啓之助

    説明員弥富啓之助君) 筑波研究学園都市移転手当というのは、これは東京都一極集中の排除あるいは研究教育の効率的な運営をしたいという国の政策といたしまして筑波研究学園都市が建設されたというのは御存じのとおりでございます。それに伴いまして、その当時は生活環境等の未整備な同都市移転する試験研究機関等職員異動と定着、これを促進する観点から、昭和四十六年に当分の間の措置として設けられた手当でございます。  現時点になりますと、その当分の間の見直しの年がことしてございますが、現時点筑波研究学園都市移転手当をめぐる状況を見ますと、昭和五十五年に気象研究所移転いたしましたのを最後にもう移転が行われておりませんし、そういう意味移転促進手当としての役割は事実上終息しているのではないか。また、委員承知のとおりでございますが、同都市生活環境等近隣都市と比べて遜色がない程度まで充実をしてきている、いわば都市として成熟をいたしておるわけでございまして、この際、同手当を存続させる合理的な理由はないのではないか。いろいろ御意見を聞きましたが、今回そういう考えを持ちまして廃止することとした次第でございます。
  19. 狩野安

    狩野安君 この筑波研究学園都市移転手当廃止理由というものを聞いておりますと、私も反対じゃなくて、反面、大変うれしく思うわけですね。ほかの都市と比べてずっと成長した、成熟したということを伺って、私もそう思っているわけですけれども、皆さんやはり何か不満を感じることもあるのかなという面、まだまだ住んでいる方が筑波研究学園都市に対して足りない部分があるのかということと、よくなったということと、大変複雑な気持ちでございます。あそこに住んでいらっしゃる方のこともよく考えていただきたいと思いますけれども、移転手当代替手当という見方もある研究員調整手当というものは実際どの程度置きかわるものと見込んでおられますか、また研究員以外はどのような職種のものが支給対象となるんでしょうか、お聞かせいただきたいと思います。
  20. 弥富啓之助

    説明員弥富啓之助君) ただいま申し上げましたように、筑波移転手当研究学園都市に所在する研究所研究員人材確保に寄与いたしておりましたし、研究員全体の給与水準維持に大きな位置を占めてきた。また、御承知のとおりに科学技術の振興というのはもう我が国の重要課題一つとされておりまして、そのための処遇改善が求められております。研究員調整手当はそういうことなどを考慮いたしまして、全国に所在する研究所のうち高い研究水準を維持し、または研究活動活性化が図られている研究所勤務する研究員対象とするように措置しようとするものでございまして、いわば今までは筑波研究学園都市という地域的な問題に絞られていたのを、今度は全国に所在する研究所のうちで高い研究水準を維持した研究所に対して活性化人材の確保を図るための措置をとったわけでございます。  したがって、今、委員が言われましたように、研究員調整手当というものは筑波移転手当代替手当といいますか、筑波移転手当が果たしてきました役割を十分に踏まえまして、同手当廃止を契機として新たに措置することとしたものでございます。  ただ、今どの程度のという御質問がありましたけれども、これは研究員に対する手当でございます。また、それとともに、有機的な関連を有しまして研究に従事した大学等の教官もいわば権衡職員としてこの措置対象といたしたい、かように考えておる次第でございます。
  21. 狩野安

    狩野安君 筑波研究学園都市移転手当廃止というものは、今お話を聞きますと発展的廃止ということで、研究に携わっている方々が十分に心置きなく研究できるような手当ということに変わっていったんだと思いますので、どうぞそういうように十分に働きやすい環境というものをよろしく御指導のほどお願い申し上げます。  次に、初任時における長期合同研修の新設の具体的内容、またそれらと平成五年十月の第三次行政改革推進審議会の最終答申における共同採用推進と今回の提言内容との関連についてお伺いいたします。
  22. 武政和夫

    説明員(武政和夫君) ちょっとうっかりしまして、先生の御質問をちょっとあれしたんですが、合同初任研修ということでよろしいですか。
  23. 狩野安

    狩野安君 そうです。合同研修と、それから行革審の最終答申における共同採用推進と今回の提言内容との関連についてお聞きしたいのです。
  24. 武政和夫

    説明員(武政和夫君) 私ども、合同初任研修といったようなものを来年から新設し実施すべく用意をしておりますが、今、先生おっしゃいますように、共同採用云々の話とは直接かかわっておりませんで、今日的な状況にかんがみまして、今日的な状況と申しますのは国際化とか国民の価値観、行政ニーズの多様化への対応あるいはセクショナリズムの排除、そういったものをねらいとしまして、三カ月程度の合同研修を実施したい、こういったようなものを計画している段階でございます。  共同採用の件につきましては、やはりセクショナリズムの弊害打破ということから一つ考え方として打ち出されているかと思いますが、そのことと今申し上げました研修ということは直接関係ない。共同採用の有無にかかわらず、私どもとしては合同研修というものをセクショナリズム排除という意味から充実強化してまいりたい、このように考えております。
  25. 狩野安

    狩野安君 関連はないわけですね。わかりました。  それから、七月三十日に政府が閣議決定した国家公務員採用I種試験による採用者の縮減を行政改革の一層の推進を図るためとしておりますけれども、1種採用者の縮減がなぜ行政改革推進につながるのでしょうか。
  26. 安富正文

    説明員安富正文君) 先生御指摘のように、七月三十日付でI種職員採用数の縮減ということで、平成九年度は一割、その後五年間で三割ということで決めさせていただきました。  これにつきましては、行政改革推進との関係で申しますと、いわゆる行政の中核を担っているI種職員採用を三割というような形で大幅に減らすことによりまして、従来の行政運営あり方自体を見直す契機にしていただこうということに大きな意味があるかと思っております。行政運営の効率化とか規制緩和あるいは地方分権といったようなことを推進していかないとなかなか行政運営自体がスムーズにいかないというようなことになるであろうということで、一つの契機にしたいということでございます。  それからもう一つは、I種職員採用縮減とあわせまして、地方自治体とかあるいは大学、民間人、そういう方々との人的交流を進めるという契機にもしたい。その結果として、行政運営に幅広い人材活用できるということと、いわゆる従来以上に発想の活用ということが進むのではないかということで期待しているものでございます。
  27. 狩野安

    狩野安君 I種採用者の縮減がなぜ行革の推進になるか、ちょっと私まだ理解できないんですけれども、これはよく勉強させていただきます。  それから、昨年一月の阪神・淡路大震災の際には数多くのボランティアの方々が各方面で活躍し、それを契機に我が国でもボランティア活動がかつてない高まりを見せ、ボランティア休暇に関心を持つ者も増加していると聞きます。そういう中で、今回の報告ボランティア休暇を取り上げたのは時宜を得たものだと思います。まず、ボランティア休暇を導入する趣旨及びその内容についてお伺いいたします。
  28. 弥富啓之助

    説明員弥富啓之助君) ボランティア活動につきましては、今、委員言われましたとおりに、阪仲・淡路大震災を契機といたしまして、その意義やあるいは必要性についての認識が社会一般に浸透するとともに、一方、高齢社会に対応するための多様な活動一つとしてその重要性が認識をされ、各方面から支援していくことの必要性が打ち出されているものでございます。ボランティア活動は、今申し上げましたように、今後、社会的に重要な役割を担うものであるという認識が広まっておるということも事実でございます。  したがいまして、本院といたしましては、このような状況を踏まえまして、従来から検討を進めてきた結果、人事行政の側面からもこれを支援していくことが適当であるというふうに認めまして、ボランティア活動に参加しやすくするためのきっかけとなるものとして、対象といたしましては、災害時における被災者、それから障害者高齢者等に対する援助活動に参加する場合に取得できる休暇を設けることとしたものでございます。  具体的に申し上げますと、一年につきまして五日の範囲内で、給与を減額することなく認める特別休暇として導入を予定いたしておるところでございます。
  29. 狩野安

    狩野安君 ボランティア休暇を取り入れたことは私は大変評価するものですけれども、ボランティアといっても大変幅が広いわけです。  今度の対象となるのが災害における被災者及び障害者高齢者等に対する援助活動に限定しておりますけれども、最近は自分の肉親なんか身近にも高齢者援助を必要とする者が多くいると思います。そういう意味でも、それへのボランティア休暇の適用というものをぜひ考えていただきたいと思いますし、またこういう要望に対して人事院はどういうふうにお考えになるか。また、五日ということも、それと別枠として自分の肉親などに対する休暇というものも考えていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
  30. 佐藤信

    説明員(佐藤信君) 委員おっしゃいますように、ボランティア活動と一口に言いましても、具体的には非常にさまざまな活動が含まれておりまして、おっしゃる人によってもいろいろ違うことがございますし、時代変化によりましてもその活動の及ぶ範囲というものが拡大してきているところでございます。  そのような中で、今回初めて私どもボランティア休暇というものを考えようということで、その際に、休暇の対象となる活動をどういうふうに考えるべきかということでいろいろ議論をいたしたわけでございますけれども、公務員が有給の休暇として勤務時間を割いて活動するものであるという点、それからまたボランティア休暇が民間においてまだ必ずしも広く普及しているとは言えないという状況の中で、公務が民間に先駆ける形で導入することとなるものでございますので、大方の国民の目から見て異論がないというふうに思われる活動に限定することもやむを得ないんではないかというふうに今回判断をいたしまして、御指摘のございましたように、災害時における被災者に対する援助活動、それから障害者高齢者などに対する援助活動対象とすることとしたいということで報告をさせていただいたわけでございます。  御指摘がございましたけれども、これからの高齢社会に向けて、肉親なりに対する介護の問題も非常に大きな問題になるということは言うまでもないわけでございますが、ボランティア休暇対象としてそういうものまで含めるというのは、ややボランティア休暇あるいはボランティア活動というもののあり方からしていかがなものかということがございますが、他方で、父母等肉親の介護に従事する場合については別途介護休暇というものを数年前に措置しているところでございますので、そちらの方を御利用いただくということになろうかと思っております。
  31. 狩野安

    狩野安君 民間に先立って公務員の方がこういうことをおやりになるということは大変すばらしいことだと思います。ボランティア活動に対する国民の関心というのも日々高まってきておりますので、これは平成九年の早い時期ということを言っておられますけれども、できるだけ早く実行していただきたい。具体的には平成九年のいつごろを目標としていられますか。
  32. 佐藤信

    説明員(佐藤信君) 基本的な枠組みにつきましては報告においてお示しをしたわけでございますけれども、なお具体的に細かい点について詰めていく部分もございますので若干の時間をいただきたいというふうに思っております。御指摘がございましたように、平成九年のできる限り早い時期に成案を得て実施できますように最大限の努力をいたしたいというふうに考えております。
  33. 狩野安

    狩野安君 最後の質問になりますけれども、高齢者雇用制度については、今回の報告で示した方向でできるだけ早く成案をまとめていただきたいと思いますけれども、高齢者雇用の問題は単に制度をつくれば済むというものでもなく、それと同時に具体的な雇用の場の確保が重要であると思いますけれども、いかがでしょうか。そしてまた、将来的には定年延長を考慮し、これまでの六十歳定年を前提とする人事管理について全般的に見直すことも必要ではないかと思いますけれども、この二つについて御意見をお伺いしたいと思います。
  34. 武政和夫

    説明員(武政和夫君) 先生御指摘のように、高齢者雇用問題は働く意欲と能力のある高齢者を広く雇用するというのが基本であろうかと思います。そういう意味におきまして、私ども再任用制度整備ということを考えているわけでありますが、あわせまして高齢者の職域の開拓を図るというのは大変重要でございますから、人事院としましても、各省庁に対して職域開拓や職務再編等の努力を促している状況あるいは今後も促していきたいというふうに考えております。  その際、公務能率維持とか行政サービスの確保に留意しつつ高齢者を本格的に活用し、さらには高齢者の能力や経験や持ち味も十分に生かせるような視点も重要でございますので、業務内容や業務運営方法見直しを図ることも必要というふうに考えております。  さらに、高齢者の関係につきましては、各人の能力、適性に適合した雇用機会を拡大する上で、政府全体として省庁を超えて雇用機会の提供というか人材情報の交換の場を設けるといったような対応も必要ではないかというふうに考えている次第であります。  現在、六十歳定年制を前提としまして人事管理の仕組みができ上がっております。先生御指摘のように、今後、六十歳代前半層の職員雇用といったものが本格的に動いていくためには、現在のそういった六十歳定年を終点とする現行の人事管理システムといったものは見直しまして、六十五歳継続雇用というようなものを組み込んだ新たな人事管理システムの構築が必要ではないかというふうに私どもも考えております。  また、高齢化の進展とともに国際化や高学歴化あるいは勤労観の多様化、そういった社会経済環境の変化といったものもありますから、そういったものに対応する公務員制度を目指すという意味でも人事管理システム全般的見直しが必要ではないかというふうに考えております。  気持ちはそういうことでございますが、若干具体的なものを申し上げますと、年功を重視した人事体系、処遇体系の見直し、あるいは就業意識の変化とか専門職志向に対応した多様な勤務形態や昇進コースの設定、そういったようなもろもろの課題があるのではないか、それに取り組んでまいりたいというふうに考えております。
  35. 狩野安

    狩野安君 終わります。
  36. 鈴木正孝

    鈴木正孝君 私、平成会の鈴木正孝でございますが、人事院勧告、そしてまた防衛関係の質問をさせていただきたいというふうに思います。  人事院勧告につきましては、今、狩野先生から大変きめ細かな御質問もございましたものですから、なるべく重複を避けながら質問させていただきたいというふうにも思います。  昨年の勧告はたしか〇・九〇ぐらいだったように記憶しておりますけれども、官民較差の本年の調査の結果、勧告内容は〇・九五%ということであったわけでございますが、この給与改定に当たっての人事院基本的な方針、どの点に重点を置いておやりになったのか、その辺からまずお尋ねしたいと存じます。
  37. 弥富啓之助

    説明員弥富啓之助君) 公務員給与に関する人事院勧告でございますが、これは先ほど来申し上げておりますように、従来から社会経済情勢全般動向を踏まえながら民間給与との均衡を図るということを基本として行ってきておるところでございます。  本年の勧告は、依然として厳しい経営環境のもとにおける民間企業の賃上げ動向を反映いたしまして、昨年〇・九%でございましたが、ことしは〇・九五と昨年に引き続き低率の較差となったわけでございます。改善内容につきましては、俸給表において民間に比べて改善のおくれていると見られております中堅層を重視した改定を行うとともに、職員の家計負担の実情を十分に配慮いたしまして扶養手当及び通勤手当引き上げるなど、職員の生活実態に十分に配慮をいたしたところでございます。  また、適正な給与配分ということを図るために、これは長年にわたって検討してきたところでございますが、寒冷地手当制度見直しを行うとともに、先ほども申し上げました研究活動活性化を図るために研究員調整手当を新設いたしましたし、これから申し上げることもあるかと思いますが、民間等から優秀な研究者等採用する場合に新たに初任給調整手当支給することとしたようなところでございます。
  38. 鈴木正孝

    鈴木正孝君 めり張りのきいた、中堅層の方々を重点的にというような、そういうことなのかなというふうにも思いますが、行政職俸給表(一)の初任給改定の中でI種が〇・五%、そしてⅡ種が一・二%、Ⅲ種が一・〇%というような形になっております。特に、実質的に同じ大学の卒業生を対象とするようなⅠ種とⅡ種の改定率でこういう低率の場合にはちょっと大きな差かなというような感じもするわけでございますけれども、その辺はどういう理由になるのかお尋ねしたいと存じます。
  39. 小堀紀久生

    説明員小堀紀久生君) 初任給につきましては、民間と直接に競合する部分でございますので、従来から民間企業との均衡を基礎に置きながら、俸給表全体のバランス、それから人材確保の要請等を総合勘案して決定してきたところでございます。  ことしの引き上げ率でございますが、委員今御指摘のとおりのものといたしておりますけれども、I種試験採用者初任給につきましては、Ⅱ種試験採用者初任給より二号俸程度、一万円以上高く設定されていること、それから民間大卒初任給が依然として抑制傾向が強く、ことしは調査によりますと〇・四%ぐらいの引き上げ率でございました、そういう引き上げ率が非常に抑制されたものであったこと、それから大企業中心といたしまして凍結をする企業の割合も依然として相当の水準に達していること等を踏まえまして、平均改定率の半分程度引き上げというふうに抑制した改定にしたものでございます。  一方、Ⅱ種試験採用者初任給につきましては、民間大卒初任給との間になお相当の差がありますので、人材確保必要性等にも配慮いたしまして、ここ数年、平均改定率より若干高い引き上げ率で改定してまいりましたが、ことしも同じような考え改定したものでございます。
  40. 鈴木正孝

    鈴木正孝君 報告の中の公務運営改善について関連してお尋ねをしたいというふうに思いますが、今日、住専問題であるとか薬害エイズの問題に見られるような行政の閉鎖性といいましょうか独善性、そういうものに対する国民の批判、不信というものは大変厳しいものがあるわけでございます。また、縦割り行政あるいはセクショナリズムの弊害ということも長年言われ続けているというような状況でございます。行政あり方、これは今もうよきにつけあしきにつけて公務員制度あり方とも密接な関係がある、こういうふうに従来から思っているわけでございますが、将来の行政あり方、そして公務員制度あり方について人事院はどのようにお考えになっているのか、お伺いしたいというふうに思います。
  41. 弥富啓之助

    説明員弥富啓之助君) 現在、我が国では二十一世紀に向けまして社会経済システム全般改革が求められておる中で、行政分野におきましても規制緩和やあるいは情報公開、地方分権推進などによる簡素で公正な行政を求める声が高まっているところでございまして、行政に対する厳しい御意見、御批判については、まず我々として真摯に受けとめなければならないというふうに考えております。そこで、行政に携わる公務員といたしましては、国際化の進展する中で多様化していきます行政ニーズヘの対応、あるいは総合的視野のもとでの迅速な問題解決への取り組み等が求められていると考えておるところでございます。  一方、最近の民間企業における人事管理制度面について見ますと、御承知のとおりに年功的な処遇から能力主義、実績主義と申しますか、これに基づく処遇への転換やあるいは専門職化や勤務地限定制などの複線化的な人事、あるいは管理職層を中心とした年俸制の導入など、社会経済の変化に対応するさまざまな試みが行われているところでございます。  このような情勢を踏まえまして、人事院といたしましては、まずこれからの時代に求められていきます幅広い視野を持つ人材の育成、それから長年続いてまいりました人事慣行見直し、それから高齢化や就業意識の変化に対応し得る多様で柔軟な勤務形態や昇進システムの設定など、能力や実績をより重視した給与システムの構築などについてさまざまな検討を進めてまいる所存でございます。
  42. 鈴木正孝

    鈴木正孝君 次に、官民人事交流という点につきましてお尋ねしたいと思います。  最新の資料で拝見いたしますと、民間企業からの省庁別、任用形態別受け入れという状況考えてみますと、報告書では二百三十六人ということであったように思いますが、この七月の初めあたりですとさらにふえて、各省トータルで二百八十三人というような状況だと承知をしております。  この官民交流については、メリットが大きなものがある反面、官民の不健全な癒着と、言葉は余り耳に心地よいものではないわけですけれども、そういうような批判も現実にはございます。そういう点を含めまして、今後の官民人事交流検討に当たってどのようなことを考えておられるのか。  またさらに、法的整備を含め検討するというように言っているわけでございますけれども、そのスケジュール、実質的にはスケジュールの検討というようなことなのかもしれませんけれども、そんなことを双方向の新しいシステムを取り入れながらということでいろいろと御提言されているわけでございますので、どのような段取りで進まれるおつもりなのか、その辺をお伺いしたいというふうに思います。  また、人事院検討をされて、そしてまたできるだけ早く勧告というような形で何か出てくるんだろうというふうに思いますが、政府側ではそれにどういうように対応していこうとお考えになるのか、人事院あるいは総務庁になろうかと思いますけれども、その辺をあわせてお尋ねしたいといりふうに思います。
  43. 弥富啓之助

    説明員弥富啓之助君) お答えを申し上げます。  ただいま社会経済システム全般の変革が求められている中で、新たな時代における官と民との役割の分担等のあり方を踏まえて、相互理解、相互啓発を深めていくことが不可欠でございまして、島民の交流は非常に重要なものと考えております。  また、官民の人的交流というのは、組織の活性化、相互発展の重要な契機となるものであるほか、幅広い視野を持った人材の育成、これについても非常に有効なものであり、専門的知識や技術の相互活用に資するものであると思いますが、委員が今言われましたように、御指摘のとおりの官民癒着等の批判を生じないように、公務の公正性の確保に十分配慮したシステムとすることが重要であると認識をいたしております。そのために、交流手続の透明性あるいは人事院の関与等によりまして、公務の公正性の確保に十分配慮したシステムの実現に向けまして検討してまいる所存でございます。  今後、有識者及び各方面意見を聴取しながら鋭意検討を進めてまいる所存でございますが、課題といたしましては、例えば交流の手続の透明化や、今申し上げました人事院の関与などによる公正性の確保、派遣や受け入れに当たっての双方の身分上の取り扱い、給与の取り扱い等々などがございまして、立法措置を含めて法的整備について検討していく必要があると考えております。今後の具体的日程につきましては、現時点では明確に申し上げられる段階でございませんが、できるだけ早い時期に整備できるよう努力してまいる所存でございます。
  44. 中西績介

    ○国務大臣(中西績介君) 御指摘のございました官民交流につきましては、官民の相互理解を深めるという観点からいたしましても、公務部門の活性化を図る上からいたしましても必要だということを感じております。多様な経験を積ませる中から本当に広い視野を持つ組織体制をどうつくり上げていくかということがこれからの重要な課題であろう、こう考えます。こうしたことも従来から考えまして、それぞれ官民交流セミナーなるものを年に数回開きまして、局長あるいは審議官、課長等を含めまして積み重ねてきたところであります。  さらに、今御指摘ございましたように、人事院のそうした指摘等もこれから出てくると思います。また、この官民人事交流を進める上に当たりましてただ一つ先ほど総裁も申しておりましたけれども、この癒着という問題が懸念されるということになってくると大変でございますので、この点をどのように配慮し、そしてこれから後の法整備等を含めまして十分慎重に検討していく必要があるだろう、こう考えまして、条件整備をどのようにしていくかということをまず手がけていかなくちゃならぬだろう、こう考えております。
  45. 鈴木正孝

    鈴木正孝君 官民人事交流ということにつきまして、私も公務員生活を長くやっておりましたものですから、双方を若干ながら承知しているところもございます。大変いい経験になる、勉強になるということもありますし、その結果大変すばらしい人材が育成されるということもまた事実でございますので、ぜひ法的整備を含めて検討される、その過程で今お話のあったような点に十分気をつけていただいて、そして積極的に人事院の方でも取り組んでいただいて、それを受けてまた政府も法的対応をとれるようにぜひしていただきたいというふうに思います。その際、なるべく部外の方の御意見を幅広く聞いていただくということも大事な要素ではないかなというふうに思いますので、その辺は申し添えておきたいと思います。  次に、防衛関係のお尋ねを若干いたしたいというふうに思います。  初めに、一昨日、九月八日、日曜日に行われました沖縄の基地の問題に絡んでの県民投票でございます。  一言で言いますと、県民の約六割の方の投票で、その約九割の方々が基地の整理、縮小を望んでいるというような結果が出たわけでございます。この結果につきましていろんな分析あるいは評価というものが当然ながらあろうかと存じますが、政府としてこれに対してどのような御感想をお持ちになり、また今後どのような取り組みをしていこうと、この結果に基づいての対応はどのようにされるおつもりか、官房長官からお伺いいたしたいと存じます。
  46. 梶山静六

    ○国務大臣(梶山静六君) 委員指摘のように、八日、沖縄県において、日米地位協定の見直し及び米軍基地の整理、縮小に関する県民投票が実施をされましたが、政府としてはその結果を厳粛に受けとめたいと考えております。そして、今回の県民投票の結果により、沖縄県民と政府が今日は問題意識を共有いたしているということが判明をし、政府が沖縄の問題解決のために目指している方向と沖縄県民の表明された方向が一致していることが改めて示されたというふうに理解をいたしております。  もとより、日米安全保障体制は我が国の安全のために必要不可欠であり、アジア太平洋地域の平和と繁栄に極めて重要な役割を果たしており、このような日米安全保障条約の目的を達成するためには必要な施設・区域を米軍に安定的に提供することが不可欠であることもまた御理解をいただきたいと願っております。  政府としては、今後とも沖縄の明るい未来が描けるよう、さまざまなレベルでの沖縄の振興を進めていくということが重要な課題考えており、引き続き全力を挙げて努力をしてまいる所存であります。同時に、この問題解決のためには、国民全体が沖縄県の現状を十分理解をし、沖縄県民の方々が負われている御負担を国民全体で分かち合うという姿勢が求められており、国民各位の御理解と御協力をお願いしたい、このようにこの県民投票の結果を受けとめております。
  47. 鈴木正孝

    鈴木正孝君 政府の基本的な考え方ということでございましょう。  昨年の九月に起こりました大変不幸な事件で、その後いろいろな事柄が起こっているわけでございますけれども、私自身は、言ってみますと第二次沖縄返還交渉というような重い重い位置づけ、意味づけというものがこの基地問題整理、縮小の問題については基本的にあるというふうに考えております。  また、きょう四時ですか、沖縄の大田知事と橋本総理が会談されるというように承知しているわけでございますけれども、来年の五月に期限が参ります三千人の人たちの公告縦覧の問題、代行に向けての取り組み、この会談によって事態が好転するというふうに見ておられるのかどうか、その辺はいかがでございましょうか。  また、現段階で普天間の代替ヘリポートの問題はどの程度進展をしているというふうに見ているのか、SACOについて沖縄県側の理解が得られるような結論になる情勢なのかどうか、その辺も含めましてお伺いをいたしたいというふうに思います。
  48. 梶山静六

    ○国務大臣(梶山静六君) 前段、県民投票の結果についての受けとめ方、これを申し上げましたけれども、これから来年五月に向けてのいわば取り組み方、私は誠意を持って当たるならば通ずる道があるということを強く期待し、また信じて今日まで努力をいたしておりますし、今後ともその方に全力を尽くすし、それを強めていく、そういう考えを持っております。
  49. 秋山昌廣

    説明員(秋山昌廣君) 四月に発表いたしました特別行動委員会、SACOの中間報告の趣旨を確実に実現するために、現在、米軍基地の整理、統合、縮小につきまして日米間で共同作業をしているところでございます。普天間の基地の返還といったような問題も含め幾つかの案件がございまして、これまでも作業班の設置、SACOの代理会議の開催あるいはSACOそのものの開催を通じまして日米で共同作業をしておりまして、何とかこの四月に発表した中間レポートの実現ということを、この十一月の最終レポートに向けて鋭意エネルギーを注いでいるところでございます。
  50. 鈴木正孝

    鈴木正孝君 嘉手納の基地に普天間の代替ヘリポートということで、県内移設ということで折衝をされているように承知はしているわけでございますが、アメリカ側から相当難色を示されているようでございます。その辺の理由が、安全性の面で支障があるというようなことも言われているわけでございますけれども、管制業務そのものは今技術的に相当いろんな手だてが進んでいるというような実情もあるわけで、一説によればそういうことも対応可能ではないかというような話も伝わっているわけでございます。  そんなことを考えますと、アメリカ側が一番懸念しているところは実はそういう技術的な話ではなくて、有事の際、嘉手納での運用が統合されることによっていろいろと難しくなる、そういうようなところではないかという感じもしないではないわけです。そんなことを考えてみますと、有事における日米協力のあり方、そういうものの研究あるいはそれに取り組む姿勢、態度ということが、日本政府全体のそういうことがこの問題の解決に非常に大きくかかわっているのではないかというように思えるわけでございますけれども、防衛庁長官、その辺いかがでございましょうか。
  51. 臼井日出男

    ○国務大臣(臼井日出男君) ただいま委員から御質問いただきました件につきましては、我が国周辺地域における我が国の平和と安全に重要な影響を与えるような事態を中心とする緊急事態における対米協力につきましては、総理の御指示に基づきまして、他の検討項目とあわせまして内閣安全保障室が事務局となって政府内部で現在検討中でございます。また、この作業と関連いたしまして、日米安全保障共同宣言に基づきまして、日米間で「日米防衛協力のための指針」の見直しを進めさせていただいている次第であります。  これらの検討作業につきましては、いまだ具体的な成果を申し上げる段階にはございません。また、在日米軍の兵力構成等については、国際情勢や米側の兵力配置に係る考え方等の要因が関係いたしますことから、緊急事態における対米協力の進展が在日米軍の駐留等にどのような影響を与えるかについて現時点で一概に申し上げることは困難でございます。  こうした中で、普天間飛行場の返還につきましては、かかる検討作業と並行いたしまして、代替ヘリポートの移設先や移設条件等につきまして日米間で共同作業を鋭意行っているわけでございます。今後、沖縄県を含む関係の御協力を仰ぎまして、地元の御理解と御協力を得られるようにさらに努力をいたしてまいりたいと思います。
  52. 鈴木正孝

    鈴木正孝君 先ほどちょっと言いましたけれども、来年の五月に使用期限を迎える十二施設、約三千人ほどの土地所有者がおるということが言われているわけでございますが、この三千人の所有者の中には、いわゆる一坪地主といいましょうか、そういう方々が相当数いらっしゃるというような話も承っているわけでございます。  この方々の実態がなかなか明らかになっていないようなところもあるわけでございまして、今施設庁の方でそれを掌握している範囲でいろいろと区分して具体的に御説明をいただければ幸いだと思います。そして、その中にどんな方が具体的にいらっしゃるのか、氏名の公表というような点につきまして、それをやはりやるべきではないかという御意見も世の中にはあるわけでございます。確かに一つの政治的信条に基づいてそういう行動をとられている可能性も多々あるわけでございますので、それはプライバシーあるいはいろんな問題も片方ではあるのかもしれませんが、そういうことを含めてやはり安全保障にかかわる大きな事態ということでございましょう。現実に一人であった楚辺通信所の方の例であっても、恐らく現地の皆さんは事務的には大変な苦労をされているふうに私も見ております。そんな中で、三千人の中でそのようなことが発生するということであれば、これはなかなか容易ではないというふうに思うのが常識でございます。  そんなこともございますので、その実態と氏名公表についてどのように考えるのか。私は公表しても差し支えないんじゃないかというふうに思いますが、その辺はいかがでしょうか。
  53. 首藤新悟

    説明員(首藤新悟君) まず、平成九年五月、来年五月に使用期間が満了いたします十二施設に係る駐留軍用地特措法手続対象者、これは全体で三千六十七名でございまして、そのうち先生今おっしゃいましたいわゆる一坪反戦地主は二千九百五十一名、そしてそれ以外の地主は百十六名というふうになってございます。  このいわゆる一坪反戦地主でございますが、嘉手納飛行場及び普天間飛行場におきましていわゆる一坪共有運動を行っております一坪反戦地主会、これは戦争に反対し軍用地を生活と生産の場に変えていくことを目的に掲げまして、一坪反戦地主の拡大でございますとか、あるいは契約拒否運動の拡大を図る等の活動を行っていると承知いたしております。  本年八月一日現在におきます一坪共有地主の居住地別内訳でございますが、沖縄県内居住者が千四百九十九名、県外居住者が千四百三十九名、そして外国居住者等が十三名でございます。  ちなみに、一坪共有地につきまして在沖縄米軍基地の全部の民公有地と比較いたしますと、所有者数では九%、それから面積では〇・〇〇一%、すなわち十万分の一というふうになってございます。
  54. 諸冨増夫

    説明員(諸冨増夫君) お答えいたします。  今、先生御指摘のいわゆる一坪地主等の公表の問題でございますが、これは現在、駐留軍用地特措法に基づきまして、いわゆるそういう対象の方々については公告縦覧という制度がございまして、公衆の知り得るような形に全部公告縦覧という手続をとる、こういう仕組みになっております。そこで一般の方々がごらんいただければ、どういう方が一坪地主かということは当然知り得るわけでございます。  しかしながら、私ども一応この特措法に基づきまして手続をとるのと同時に、一方ではまた契約をお願いする立場でもございます。そういう観点から見ましても、あるいは先ほど先生もお触れになりましたプライバシーの保護といいますか、どういう方々がその一坪地主になっておられるのか、そういうことを私ども契約をお願いする立場から別途公表をするというようなこともいかがかと思いまして、現段階ではこういう公表は差し控えさせていただいている、こういう状況でございます。
  55. 鈴木正孝

    鈴木正孝君 ちょうど時間が参りましたものですから、今の実態を明らかにしていただいたということで、私からの問題の指摘ということで終わらせていただきますけれども、とにかく国民は非常な大きな関心を持って今この問題、このテーマを見ているわけでございます。私どもは立場立場としてあるわけでございますけれども、どうぞ政府全体で全力で対応していただけるようにぜひお願いをしたい、そのように思いまして質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  56. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 社民党の齋藤でございます。  ことしの勧告でございますが、先ほど弥富人事院総裁からも御説明の中で後段触れられましたとおり、言うまでもなく公務員給与に関する人事院勧告でございますけれども、公務員労働基本権の制約を受けているというのが大前提でございまして、公務員みずからが給与決定について直接参加できない、そういう立場の中で代償措置としてあるんだということで今日的な位置づけがあろうかというふうに思います。    〔委員長退席理事板垣正着席〕  したがいまして、公務員の生活改善、生活の実態をきちんと踏まえた上で、官民較差ということの中での勧告をされているわけでございますが、多くの公務員の方々が近年一%を切るという極めて低率の勧告の中で生活をされている。率直に私自身の所感で申し上げさせていただければ、極めて低率であるということについては公務員の方々の生活実態から見れば極めて不満ではないかなという、そんな気がいたすところでございます。  しかしながら、それらにつきましては既に勧告も出ているところでございますので、今後の対応につきまして幾つかお伺いをさせていただきたいというふうに思います。  また、この人勧が、公務員だけでなく、これからの政府予算あるいは地方公務員も含めまして全般的に非常に影響を与えているということで注目をされているというふうに思います。  既に勧告でも触れられておりますとおり、四月から民間ではもう新賃金支給されているわけでございまして、仲裁裁定につきましても完全実施が確定をしているということで、まず大前提になりますのは一日も早くこのことを完全実施していくべきであるということが言えるのではないかと思います。  ここ最近の人事院勧告の取り扱いをめぐる状況でございますが、連立政権のもとでこ三二年間非常に早く処理されております。昨年は九月二十六日に閣議決定をされまして、十月二十日には改正法案が成立をして、一部では十月中に差額精算をされ、十一月に新賃金支給という段階まで来ました。私は、ここでこういった数年の早期実施についての流れをやはり定着させていくべきだというふうに思います。    〔理事板垣正退席委員長着席〕  ということで、冒頭、長官にお伺いさせていただきますけれども、早期の処理をすべきだというような立場に立ちまして、人勧の早期完全実施に向けての明確な決意をお伺いしたいというふうに思います。
  57. 中西績介

    ○国務大臣(中西績介君) 今、委員指摘のように、人事院勧告制度労働基本権制約の代償措置として持たれておるわけでありますから、この点を基本に置きまして、この制度そのものの勧告でありますから、十分尊重して基本姿勢を明確にしてこれから取り組んでいかなくてはならぬだろう、そして今指摘のありましたように、ようやく昨年ああいう体制になったわけでありますから、これを堅持できるようにしていかなくてはならぬだろう、こう考えます。  特に、問題は国政全般との関連等がございますけれども、私たち人事院勧告をできるだけ早期に実現するということを前提にして最大限の努力をこれから積み重ねていきたい、こう考えております。
  58. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 政治情勢も極めて流動的であるということは当然認識をしているところでございますが、今ここで新賃金支給日までの日程的なものにつきましてはなかなかおっしゃりにくいという点はあろうかというふうに思います。人勧の取り扱いの閣議決定の時期については、この段階に至れば私は大体見通せてくるのではないかというふうに推察をいたします。したがいまして、今、九月中の早い段階で完全実施の閣議決定を行うべきだというふうに思いますけれども、政府部内の検討状況も含めてお伺いしたいというふうに思います。
  59. 中西績介

    ○国務大臣(中西績介君) 御承知のように、八月一日の勧告を受けまして、八月七日に給与関係閣僚会議の第一回目を開きました。国家公務員給与の取り扱いを検討し始めるということになったわけであります。  そこで、これから問題は、国民の皆さんの理解を得ながら公務員給与改定を行うために、先ほど申し上げた給与関係閣僚会議におきましてこの制度を十分尊重するという基本姿勢を貫いた上でどのようにしていくかということになりますが、現段階におきましては二回目をまだ開いておりません。そうした日程等につきましても、具体的にこれから座長を中心といたしまして十分話し合いをしようというところまで今行っております。したがって、同月何日にということは今のところ触れることはできませんけれども、御指摘のようにできるだけ早い時期にやっていきたいということはもう仰せのとおりであります。  何と申しましても、人事院勧告をできるだけ早期に完全実施することを基本としておるということを御理解いただきまして、その上で、先ほども申し上げましたように最大限早期にこれをできるように努力していきたい、こう考えております。
  60. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 ただいま完全実施^早期閣議決定ということでの基本的な考え方について長官からお伺いいたしました。  二回目の関係閣僚会議がまだ開かれていないということでございますが、その関係閣僚会議の予定というのは、長官、今スケジュールは大体わかっているんでしょうか。
  61. 中西績介

    ○国務大臣(中西績介君) 座長とも打ち合わせをして、来週にするかどうか、さらにまた政治の流れもございますので、とにもかくにも早い時期にということを今確認しておるところであります。
  62. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 そこで、過去こういうようなことがあったのかどうか、私も十分把握するところではないんですけれども、完全実施ということならば各職種俸給表全部に関する国家公務員というのが対象となりまして完全実施ということになるんですが、これは勧告をされた後でありますけれども、弥富総裁にも御意見があれば伺いたいというふうに思うんです。  一部の省庁の中である範囲の職員、例えば管理職が、いろいろ理由は別にしましても、例えば大臣なりの考え方で、公務員に対して大変厳しい状況である、したがってうちの省としてはある職以上は完全実施については返上したいとか検討したいとか、そういうようなことがあり得ることなのか。あったことがあるのかどうかという経過と、そういうことがあり得るのかどうかということについてちょっとお伺いしたいというふうに思います。
  63. 菊池光興

    説明員(菊池光興君) 御質問に的確なお答えになるかどうかわかりません。人事院勧告を受けて勧告を実施していく過程の中において、一部の省庁の一部の職員についてだけこれは返上するというような話は私ども従来聞いたことがございませんし、給与制度というのは本来的にそういう返上というようなことを前提にして仕組まれているものではない、こういうふうに私どもは理解しております。
  64. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 私もたしかそんな話は聞いたことがないなと思いますし、これからもないというふうに思います。仮にあるとすれば、少なくともその省の置かれている立場で、それはその服務規律とか違った対応で処理すべき問題じゃないかというふうに思いますので、先ほど来言われています完全実施というのはそういう意味ではないということで、双方の認識を一つにさせていただく意味で、ここでは早期の関係閣僚会議、そして閣議決定、そして閣議決定をされましたら国会に提出できるよう改正法案の準備を早く進めるように要請させていただきたいと思います。  給与勧告につきましてはその程度にとどめさせていただきたいと思います。  次に、今回の勧告の中でも触れられておりますけれども、「人事管理システム見直し」の中に「人事慣行見直し職員の登用」、その後段の中に「男女共同参画社会を目指す中において、女性の一層の活用を図るよう、計画的な人材育成を進める必要がある。」、こう記されております。  あわせて、過日の七月三十日、内閣総理大臣あてに男女共同参画審議会から「男女共同参画ビジョン 二十一世紀の新たな価値の創造」というのが既に提出されているところでございます。この中にも「政策・方針決定過程への男女共同参画の促進」ということで、取り組みの視点から具体的な取り組みについて非常に詳細にわたって指摘をされているところでございます。  一、二紹介させていただきますと、「国は、引き続き女性公務員採用、登用、職域拡大及び能力開発に努めるべきである。その際、採用、昇進等の状況を定期的に調査、公表し、改善が必要とされた課題への取組を示した計画(公務員採用・登用等に関する男女共同参画計画(仮称))を策定することを検討すべきである。また、地方公共団体においても、同様の取組が期待される。特殊法人など政府関係機関や、大学を始めとする高等教育機関及び研究機関においても、女性の一層の参画が望まれる。」というふうに記されているところでございます。  後段読み上げさせていただきましたのは男女共同参画審議会の政府あての答申でございますし、前段のは人事院勧告の中に触れられているわけでございます。  いずれにしましても、現状の女性公務員採用、登用等につきまして分析をされた上での審議会の答申であるわけでありまして、それぞれ実態については人事院勧告も同様な背景を持った中での勧告であるということで私は一致をするんじゃないかというふうに思います。  そこで、「計画的な人材育成を進める必要がある。」という勧告でございますけれども、この計画的な人材育成を進めるということについては本当に急務でなきゃならないはずでございますが、人事院勧告の中での協議の中身あるいは今後このことにどう政府として対応していくのかということについてお尋ねさせていただきます。それぞれ人事院あるいは総務庁のお立場もあるのかと思いますが、今の点につきましての御意見なり考え方について伺いたいというふうに思います。
  65. 弥富啓之助

    説明員弥富啓之助君) ただいま委員が言われました本年七月三十日に男女共同参画審議会から発表された御提言につきましては、もちろん十分に承知をいたしております。  さて、その女性の採用活用の促進につきましては、人事院といたしましても従来から非常に重要な課題一つとして取り組んでまいっておりまして、これまでも採用試験におきます女性の受験制限、もちろんこれは逐次緩和、撤廃するということとともに、各省庁に対しまして機会あるごとに平等取り扱いの原則及び成績主義の原則により女性の採用及び活用が行われるよう指導をしてまいったわけでございます。そのほかに、育児休業制度、それから介護休暇制度を新設いたしまして、これはもちろん女性だけに関連した問題ではございませんけれども、新設をいたしまして、実質上、女性が働きやすい勤務環境の整備にも努力してきたことは御承知のとおりでございます。  今回の報告でも、今後とも各省庁に対しまして人事管理の各方面にわたりまして男女共同参画の趣旨、これを十分に踏まえながら個々の職員の能力あるいは適性、意欲等に応じました計画的な人材育成を行いまして、女性職員の一層の活用を図るように働きかけていく姿勢をお示ししたところでございます。
  66. 菊池光興

    説明員(菊池光興君) 政府の立場を全部代表して申し上げるというようなことはできないわけでございますが、委員から今お話がございました、例えば一つの例として女性の政策決定過程への登用というようなことで言いますと、よく言い古されておる話でございますが、審議会の中に占める女性委員の割合というようなことで目標数値を定めてやってまいりまして、それが一五%というようなことが先般達成された、さらに新しい目標をと、こういうようなことで御提言があったことは御承知のとおりでございます。  総務庁といたしましては、従来から一般の公務員につきましても、やはり時代変化あるいは要請に適切に対応していくということが何よりも必要だと考えておるわけでございますが、その中で女性の公務員への登用、採用、こういうようなものが非常に大事な課題であるということは私どもも認識して従来から推進してきているところでございます。  そこで、平等取り扱いの原則あるいは成績主義の原則、こういう基本原則を踏まえつつ、その中で男女共同参画社会の実現というさらに新しい時代の要請があるわけでございますので、その要請に適切に対応する、そういうような人事管理を進めてまいりたいと考えておるところでございますし、各省庁にもそういうような形でもって要請しておるところでございます。
  67. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 この問題につきましてはまた別な機会にいろいろ意見交換をしたいというふうに思いますけれども、たまたま人事院の今回の勧告の中に「採用試験別採用者数及び割合」という資料がございます。昭和五十年、五十五年、六十年、平成二年、六年度と、それぞれ年度ごとに区切りまして、I種、Ⅱ種、Ⅲ種別の女性割合の数が出ております。確かに、Ⅲ種につきましては、採用割合で言いますと昭和五十年度が二五・八%、そして平成六年度が三九・二%とそれなりに徐々にふえているなという感じがいたしますが、Ⅱ種、I種となりますと、ちなみにⅠ種の方は平成六年度でまだ一四・二%ということで、総数七百三十四名のうち女性の割合が百四名ということになっております。  これは採用者数でございまして、一方、申込者数で言いますと、これは総務庁からいただいた資料でございますけれども、非常に多くなっているんです。例えばI種の例で申しますと、五十年度にはI種申込者三万七千八百二十五名のうち女性は千八百二十五名、四・八%しか占めていなかったわけですけれども、平成六年度では四万一千四百三十三人のうち九千二百八十六人、二二・四%と、女性の方のI種申込者の割合も大変ふえている。ところが、先ほど申しましたように、採用となるとI種、Ⅱ種と比較してまだまだ非常に低率でありまして、どこかでやはり問題点があるのではないかというような危惧もございます。これらも含めまして、数値を十分把握されていると思いますので、ぜひ検討を加えていただきたいというふうに思うところでございます。  次に、公務員制度審議会にかわる新たな審議の場ということで、いわゆる新公制審と言わせていただいておりますけれども、このことについては先月の衆議院の内閣委員会で我が党の同僚議員からも長官との質疑があったところでございます。  公務員制度審議会は、昭和三十八年六月、いわゆるILO八十七号条約の批准問題がこじれた中でのいろいろなやりとりの中で公務員制度審議会を設置するという構想が出始めて、四十年一月に国内法改正案で公務員制度審議会の設置を盛り込んだ提案があり、今日にまで至っているというふうに思います。このような中で、この公務員制度審議会にかわる新公制審ということになっていくんですけれども、来年度の概算要求の中にこのことが盛り込まれていますが、この概算要求で総務庁としてどう取り組んだのか、まずお伺いしたいというふうに思います。
  68. 菊池光興

    説明員(菊池光興君) 社会経済情勢変化してまいりまして、そういう中で適切な行政運営を確保していくためには、行政に対する需要も変わってまいりますし、行政対象とします社会生活、経済情勢というのも変わってまいります。そういうようなことの中で適切に行政運営を確保していくには、それを支える、携わる国家公務員について適切な人事行政制度が整えられる必要があることは申すまでもございません。  このような中で、総務庁といたしまして、経済社会情勢変化に対応した国家公務員制度あり方について幅広い視点から検討を行うことといたしまして、中西総務庁長官の御指示もございまして、そのための新たな調査審議機関を設けるという方向で、その運営に必要な経費、金額にいたしまして約千五百万という金額でございますが、それについて概算要求、組織要求を行ったところでございます。
  69. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 ただいま御答弁いただきましたけれども、要はこれからだというふうに思うんです。問題は具体的に何を課題として審議をしていくんだと、こういうふうになっていくというふうに思います。  幾つか考え方がございますが、今この時点で一、二申し上げさせていただけば、一つの視点としまして、公務員制度見直し課題でございますが、住専あるいはエイズ、それぞれの問題に端を発しました現在までの厳しい公務員批判というのがあろうかというふうに思います。今、局長からもそれら具体的な住専、エイズという言葉でないにしても、政府自身が国民の声にこたえていくという姿勢も伺っているところでありますが、まず国民の声にこたえていくために検討をしていくということについては当然考えなきゃならないというふうに思います。  しかし、それは単に国民の声、批判を一時的にかわすんだということであってはならないわけでありまして、この公務員制度見直しについてはやはりきちんと時代変化という認識をまずしていくんだと、それからそれに対応して、二十一世紀の行政あり方、そして公務員制度とのあり方を広く抜本的に議論をしていく、そういうことでなければならないんではないかというふうに私はまず第一義的に思います。  そして、二つ目でございますけれども、今度の新たな審議の場が、経過的に見るならばあくまでも現在の公務員制度審議会を廃止していくということで設けることを考えれば、公務員の労働関係問題ということについて、これは課題にきちっと位置づけて検討しなきゃいけないんではないかというふうに思います。先ほど申しました公制審の歴史的な成り立ちからいえば当然ではないかというふうに思います。  一次から三次までの公制審で議論してきたわけでございますが、それはそれなりに時代の背景があって議論をしてきている。これからは新しい時代の背景の中で、今日、そして二十一世紀を展望した新しい労使関係という、そういったことに伴ってふさわしい公務員の労働関係を見直していくということが私は二つ目の大きな観点ではないかというふうに思います。  そして同時に、先ほど弥富総裁からも地方分権のお話がございましたけれども、これは事実、法律をもとにして地方分権について取り組んでいるということになると、国家公務員、地方公務員、このことも今後展望した上での分権の前提の上に立ったあり方というのが私は課題として、審議の視点としてあるんではないかというふうに思います。そうならば、国家公務員、そして地方公務員制度を含め広く審議をしていくということ、そしてあえて言わせていただければ、委員の構成につきましても、政労使の三者構成で出発をしていくべきだという私自身の見解でございます。  そういった見解について披瀝をさせていただきましたけれども、先ほど質問に答えまして、あくまで概算要求のための総務庁としての考え方だということでございますが、しかしながら既にもうこのことが流れて来年度の予算編成作業はどんどん動いていくわけでありまして、政府案が固まるときにはぜひ今の位置づけについてひとつ十分酌んでいただいて、そしてまたさまざまな関係者の意見を十分聞いていただきまして、実りのある審議の場をつくれるよう検討作業を進めてもらいたいというふうに思います。  この点につきまして長官としての御見解を伺いたいというふうに思います。
  70. 中西績介

    ○国務大臣(中西績介君) 今御指摘をいただきましたように、行政をめぐる諸環境が大きく転換を求められておるし、戦後五十年、多くの問題が今噴出をしておる状況でありますだけに、国民の行政に対する信頼をどのように回復するかということが今大変重要な課題になってきておりますだけに、これを達成するためにいかになすべきかということを考えなくてはなりません。  したがって、先般からも当庁におきましては、そうした広い視野からどのようにこの調査会についても論議をすべきかということ等を含めまして本格的に取り組んでいこうと。そして、今指摘のございましたように、行政あり方、そしてさらにその中における行政サービス、これに携わる公務員あり方、そして労働関係、今までの審議会がこれを中心にしてやっておったわけでありますが、近来この点がほとんどと言っていいほど論議されておりませんでしたので、審議会なるものを廃止をして改めて広範な角度から論議をすると同時に、このことも含めてこれから論議を進めていかざるを得ないと思っております。  私は、何としてもこうした問題が、特にまた行政改革の面におきまして問題になりました情報の問題にいたしましても、さらにまた地方分権という大変大きな課題も今抱えておりますだけに、地方の公務員がいかにあるべきかということも含めて、それと対応する国家公務員がいかにあるべきかなどなど大変な内容を持つものであるということを十分自覚しておりますので、そうした観点からこの調査会なるものを運用できるようにこれから進めていかなくてはならぬと思っております。  したがって、三者構成という問題でございますけれども、ただ単にそれだけではなしに、広い視野でもう少し多くの皆さんの御意見をお聞きし、そして今分権あるいは情報公開などについても委員会等も開かれた体制でやっていこうとしておるわけでありますから、こうしたものも含めまして多くの皆さんの御意見を聴取して、ここに我々が目指す調査会をつくり上げてまいり、そして期待できる公務員をということでこれから目指していきたいと思っております。
  71. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 終わります。
  72. 聴濤弘

    ○聴濤弘君 まず初めに、人事院総裁にお尋ねいたします。  ことしの人勧は二年連続でコンマ以下という超低率の勧告となっております。しかも、寒冷地手当の二割削減、それから筑波手当廃止を打ち出すなど、公務員の生活改善を図るという勧告とは到底言えるものではないというふうに思います。現在の国の財政状況考えてみてもなお、労働基本権制約の代償措置としての公務員の利益を擁護するという人事院の本来の使命を果たしていない、そう言わざるを得ないというふうに私は思います。人事院あり方の根本にかかわってくるというような問題だと思います。  具体的な問題については後で笠井議員が質問する予定になっておりますので、全般的な点について総裁の所見をまず伺いたいと思います。
  73. 弥富啓之助

    説明員弥富啓之助君) ただいまおしかりを受けたわけでございますが、御承知のとおりに、公務員給与に関する人事院勧告は、従来からたびたび申し上げておりますとおり、社会経済情勢全般動向を踏まえながら民間給与との均衡を図るということを基本として行ってきていることはもう委員承知のとおりでございます。  さて、本年の勧告というのは、今言われましたように非常に低率といいますか、去年は〇・九、ことしは〇・九五でございますが、これは依然として厳しい経営環境下にございます民間企業の賃上げ動向というのを反映いたしまして、昨年に引き続き低率の較差となった。しかし、その改善内容につきましては、俸給表においては民間に比べて改善のおくれている中堅層を重視した、これも先ほど来申し上げているとおりでございますし、職員の家計負担の実情にも配慮をいたしまして、扶養手当及び通勤手当引き上げるなど生活実態にも十分に配慮をいたしております。  人事院といたしましては、給与勧告が果たしている役割を十分認識をいたしまして、今後とも情勢適応の原則に従いまして職員の適切な処遇の確保に努めてまいる所存でございますので、何とぞよろしくお願いを申し上げたい、かように考える次第でございます。
  74. 聴濤弘

    ○聴濤弘君 筑波手当なんか年間約八十万円もらっている、そういう手当が出ているというところもあるわけで、それから寒冷地手当だって相当な額が出るわけで、生活の中に入っているわけですね。そういうものをカットしておいて、改善だと言うわけには到底いかないということを一つ指摘しておきたいと思います。  きょうは官房長官に来ていただくことができましたので、私あとは沖縄の問題について官房長官にお尋ねをしたいと思います。  きょう午後四時から、あと一時間余り後から国民注視のもとで橋本・大田会談が行われるということになっております。会談がどうなるのかということについては、これは当事者の問題でございますので、会談前にそういった点について私は伺うつもりはございません。しかし、沖縄県民はもちろんのこと、国民全体が現在の時点で政府の沖縄問題についての態度に関連して、整理していろいろな点が聞きたいということは幾つもございます。時間の許す限りその点を端的に伺いたいと思います。  第一は、八日に行われました県民投票の結果で、先ほどそれについての官房長官の見解は伺いました。それで、私は次の点を伺いたいんですけれども、八日の県民投票の結果でも明らかになりましたように、沖縄の県民は基地の整理、縮小を求めています。ところが、普天間問題にしましても、あるいは県道一〇四号越えの実弾演習の本土分散の問題にしましても、米軍のこれまでの基地機能を維持するということを前提にしているのでは問題は解決しない、目に見える縮小というのはできないというのがこの間の経過であった、この点は明白だと私は思うんです。ですから、その前提に踏み込んでいかない限り目に見える縮小といったものはできないんだと思います。政府はこの点で踏み込んだ交渉をアメリカとやる用意があるのかどうかという点を伺いたいと思います。  八月二十四日、大田知事は加藤自民党幹事長との会談の中で海兵隊のハワイあるいはグアムヘの移転という問題を提起し、政府がこの点での対米交渉を行うよう提起されたと報道で読んでおります。県民投票の結果を踏まえて、政府の態度をお聞きしたいと思います。
  75. 梶山静六

    ○国務大臣(梶山静六君) 県民投票の結果については先ほど鈴木委員にお答えを申し上げたとおりであります。そして、今御指摘の沖縄の置かれている立場、私は、今回の県民投票の結果により沖縄県民と政府は今日は問題意識を共有している、こう申し上げました。  と申し上げますのは、あの県民投票の地位協定の問題、それから基地の整理、統合、縮小の問題、我が政府はその方向に向かって努力をいたしているさなかであります。ですから、過去の経緯は別にいたしまして、今日的な問題の視点は、その量的な大きさあるいはスピードの問題、その間、若干の期待感と現実の問題の処理の間にそごはあるかもしれませんが、大きな方向としては私は一致をしている、そのような認識のもとでこの県民投票を受けとめたということも先ほど申し上げたとおりであります。ですから、私たちは今後その方針に従って懸命な努力を払うことがいずれ沖縄県民の要望に合うものと、このように考えます。  そして、今回の日米首脳会談に基づくSACOその他のいろんな取り決めを見ますと、米軍がいなくならなければできないと言いますけれども、例えば面積の二〇%を今回も縮小をしているという現実もございます。そういうもろもろのことを合わせながらこれから懸命な努力を払い、沖縄県民の願っている振興の問題、それから基地の整理、統合の問題、こういうものに向けてさらなる努力を払って期待にこたえたい、このように考えております。
  76. 聴濤弘

    ○聴濤弘君 前提そのものについても踏み込んで交渉をするかという私の質問なんですが、その点の具体的なお答えをいただきたいと思うんです。
  77. 梶山静六

    ○国務大臣(梶山静六君) 前提条件になるものがあるいは聴濤委員と若干の異なりがあるかもしれませんが、私は、良好な日米関係の基軸をなすものは日米安保条約、これに基づく今の体制、これが日本の安全を確保し、そしてアジアの安定に大きく寄与し、今日の発展を我々は維持できる、そういう方向で実は考えているわけでありますから、大きな意味で日米安保条約の有効性、必要性、これを否定するものではないし、むしろこれのコンパクトな延長線上に我々の安全も保障してまいる。お聞きをする前にこんなことを答えちゃいけないんですが、この点は聴濤委員とあるいは考え方が若干異なるものがあるかもしれません。  そういう前提に立ってなおかつ、知事さん初めお話し申し上げますと、それではなぜ沖縄だけにという反間があるわけであります。この問題に私たちは胸を痛め、この問題の解決に努力を払っている、このことに御理解をいただきたいと思います。
  78. 聴濤弘

    ○聴濤弘君 次の点についてまた端的にお伺いしたいと思います。  それは楚辺通信所の一部の土地が、これは知花さんの土地でありますが、ことし三月三十一日で使用権原を失いまして今違法状態にある。もう五カ月これが続いております。  私は、その権原が失われた九日目の四月九日のこの内閣委員会で、ちょうど官房長官においでいただいて、これは違法ではないかという質問をいたしました。それに対して長官は「今でも直ちに違法であるという認識は持っておりませんけれども、これが無制限に長く続くという状態になりますと、これははっきり違法状態と言われるのかどうなのか、この点には懸念を持つわけでございます。」と、こういうふうにお答えになりました。  その後五カ月たちました。長く続いておるわけでありまして、この言明から照らして、今、長官はこれは違法である、そういう認識を持っておられると私は思いますが、いかがでございましょうか。
  79. 梶山静六

    ○国務大臣(梶山静六君) 聴濤委員指摘のとおり、ことしの四月九日のこの委員会で聴濤委員からの質問に、直ちに違法とは言いがたいと答弁を申し上げましたし、しかし法治国である以上、権原のない状態が長く続くことは大変身を切られるほどつらい問題である、こういうお答えをした覚えがございます。ですから、それ以降の占有に権原がない状態となっておりますが、目下、駐留軍用地特措法に基づき土地使用の権原を得るための所定の手続をとり、引き続き適法に使用し続けるための努力を払っていることはいろんな手続上御案内のとおりであります。  ですから、直ちに違法とするには当たらないという言葉と、それから五カ月たったのだからもう相当長いだろうという、これはどこまでが長さ、それからどういう状態にあることが短いかということには当たりませんが、私は当時答えたその延長線上の問題として今日もとらえ、なおかつその措置をあの何日間ある期間だけしかその当時はお答えができませんでしたけれども、その後もその努力を重ねているという状態であれば、その延長線上にあるという認識を私は持っております。
  80. 聴濤弘

    ○聴濤弘君 官房長官、そのときの答弁でもう一つあるんですね。官房長官はその後こういうふうにおっしゃっているんですが、防衛施設庁が緊急使用の申し立てを今やっておると。この私の四月九日の時点での質問のときやっておるわけで、いずれ近いうちにその結果が出るわけで、それ以降違法でないかの判断がその時点でできると思うということも官房長官はおっしゃっている。  ところが、五月十一日に県収用委員会は申し立てを不許可にしたんですね。ですから、五カ月、六カ月が長いのか、あるいは四カ月が短いのか、三カ月が短いのかということではなくて、ここに質的な問題があると思うんです。収用委員会は緊急使用の申し立てを不許可にしたというその後ですね。ですから、結果が出たら判断できるとおっしゃっていたわけですから、この点ではやはり違法だと、こう言わざるを得ないんじゃないかと私は思うんですが、いかがですか。
  81. 梶山静六

    ○国務大臣(梶山静六君) それは確かに収用委員会一つ判断があったわけでありますが、それ以前の問題として、駐留軍用地特措法という日米安保条約に基づく法律を我々は持っているわけであります。これに基づいて引き続き使用権原を得るべく努力を行っているさなかでございます。  ですから、先ほど聴濤委員指摘のとおり、本日、総理と大田知事との会談、その内容に私が関知すべきものではございませんが、私なりに下働きをし、その条件整備を一生懸命行ってまいりまして、そのことで何とかこの署名、公告縦覧、こういうものに応じていただけるという環境を私は先ほど強く期待をしているという言葉を申し上げましたけれども、その願いに間違いはございませんし、私はそうなるものとかたく信じながら今日まで交渉に当たってまいってきております。
  82. 聴濤弘

    ○聴濤弘君 権原が失われていることはもう事実なんでありまして、ですからやはり権原が失われたら法に基づいて地主に返すというのがこれは法治国家の筋だというふうに私は思います。  そのことを申し上げた上で、笠井委員質問がありますので、私は最後の質問をさせていただきます。国民が今の政府の態度についてぜひ聞きたいと思う点について質問をいたします。  この権原が失われても、収用委員会の裁決が出るまではその基地、もう権原が切れてしまった土地を使用することができるというふうに特措法を改正するという動きがあるということが新聞で報道をされました。そのようなことを政府としては考えているのかどうか。もしそうであればこれは大変なことでありまして、違法状況を合法化するという問題になるわけで、こういう特措法の改正というのはあってはならないと私は思うのでありますが、こういう報道がなされている以上、私としても、こういう考え方で特措法の改正を行うという考えを政府は持っているのかどうか、この点はっきりお聞きしたいと思います。  同時に、特措法の改正の問題だけではなくて、新規立法という問題、これが依然として不透明なままで今まで来ております。現在も不透明なままであります。この新規立法というものをやるのかやらないのか。やらないとはっきりここで言明することが長官としてできるのかどうか。この二点をあわせて質問して、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
  83. 梶山静六

    ○国務大臣(梶山静六君) 今懸命な努力を払い、ただいまから総理と大田知事の会談が持たれる。即刻どういう回答が出るかという問題は別にいたしまして、私は、あとう限り近い機会に沖縄県側のいわば対策というか対応が出るのであろう、そういうものを期待している段階でございますから、その先のことに関して、特別立法とかいろんなことを申し上げる段階に今ございませんのでお許しをいただきたいと思います。
  84. 笠井亮

    ○笠井亮君 先ほど質疑がございましたけれども、ことしの人事院勧告に盛り込まれている筑波研究学園都市移転手当廃止研究員調整手当の新設の問題に絞って質問をいたします。  初めに、この問題について七月の科学技術基本計画とのかかわりで官房長官に伺おうと思っていたんですけれども、日程も迫っていらっしゃるということなので、次の機会に改めてじっくりその問題を伺うことにしまして、きょうは結構でございます。  そこで、人事院に伺いたいんですが、まず本年見直しの期限を迎える筑波研究学園都市移転手当廃止の問題でございます。人事院報告では、「筑波研究学園都市生活環境状況等からみて、移転手当としての役割は終えたものと認められる」というふうに述べております。  そもそもこの筑波研究学園都市については、先ほど弥富総裁からもありましたが、国の政策として建設されたもので、それゆえにこそ移転を余儀なくされた職員について、昭和四十五年五月十二日の参議院の建設委員会で、政府は「研究者等意見に留意するとともに当該研究者等の生活条件の低下または支障をきたさないよう努めること。」という附帯決議が採択をされて、移転手当もそういう趣旨に基づいてつくられたはずでございます。  ところが、もう二十五年たったからと打ち切るということになれば、当時、東京と同じレベルの生活保障があるならということで異動を納得してきた職員から、約束を破ってくれるなという怒りの声が上がっているのも当然だと思います。しかも、二十五年を経まして、当初の異動保障的な性格から人材確保筑波の特殊性に基づく手当的な性格に変わってきているのが実態ではないかと思います。  人事院にまず伺いますが、最新の数字で、筑波手当受給者数、そのうち当初からの移転職員とその後の赴任または採用職員の内訳はどうなっているか、お答えをいただきたいと思います。
  85. 小堀紀久生

    説明員小堀紀久生君) いわゆる筑波地区に移転しました官署に勤務する職員は、ことしの七月現在の数字でございますけれども、一万一千二百六十二人おります。そのうち手当を受給している方は一万五百四十三人でございまして、全体の九三・六%、それから手当支給されていない職員は七百十九人、六・四%になります。
  86. 笠井亮

    ○笠井亮君 私が伺ったのは、移転職員とそれから権衡職員と言われているその後の採用または赴任の職員の内訳なんですが。
  87. 小堀紀久生

    説明員小堀紀久生君) 手当を受けている職員のうち当初から移転していらしたという方が千三百六十人、全受給者の中で一二・九%いらっしゃいます。
  88. 笠井亮

    ○笠井亮君 今挙げられた数字自体が手当の性格の変化を示していると思うんですね。  他方で、人事院が根拠にされている生活環境状況はどうかといいますと、先ほど総裁は近隣と遜色ない、それから都市として成熟しているというふうに言われましたが、私、先日も行ってみてなかなか大変だなと思ったんです。人事院は地元のつくば市議会などからもこの都市手当に関する要望意見書を受け取っておられると思いますが、その中で、筑波研究学園都市協議会会長の橋本茨城県知事も、「生活環境という面から見ると、人口定着の遅れ、公共交通体系の不備に伴う不便性等なお多くの解決すべき課題を抱えている」というふうに強調しておりました。  人事院は、前回、昭和六十一年の期限切れの際には、手当を引き続き存置することが適当と認めた、生活環境があるというふうに言われたわけですが、今度は一体何を調べられて、何に基づいて廃止が妥当だというふうに判断されたのか、総裁にお答えを願いたいと思います。
  89. 小堀紀久生

    説明員小堀紀久生君) 御指摘のように、六十一年に一度見直しの期限が参りましてそのときに検討した経緯がございますが、その当時はつくば万博がございまして、生活環境が非常に大きく動いていたという状況がございます。そういうこともございまして、それから気象研究所移転しましてから五年ちょっとしかたっていなかったというようなことを考慮いたしましてこの存続が必要だというふうに判断したわけでございます。  その後、都市機能の整備等の状況を見てみますと、例えば上水道などにつきましては完全に完成をいたしまして給水が行われておりますし、総合病院等も当時なかったものができております。それから、都市施設として筑波センタービル等もでき上がっておりますし、それ以外にもショッピングセンターみたいなものの整備状況も大変進んでいるという状況でございまして、これを同じような人口を持っております諸都市整備状況等と比べてみますと十分遜色のないものになっているというふうに判断した次第でございます。
  90. 笠井亮

    ○笠井亮君 何も進んでいないとはもちろん私も思っていないわけです。ただ、都市として成熟しているのか、それから生活環境がもうこれ以上というか、要するに当初言われたような形でいろいろ問題あるというようなことに対して問題はないかといえば、そういう点では現地自身が不備だということを知事も言われているわけですから、納得できるような理由を今挙げられたとは到底思えないわけですね。  大体、筑波手当廃止となれば、職員団体の計算でも年間に少ない人で十万、多い人で八十万という形で賃金がマイナスになると。生活及び業務意欲への影響が甚大で、科学技術の振興ということが求められているときに学園都市が逆に学術研究活動の停滞につながりかねないという問題になっていると思います。  また、人事院はいつも官民比較ということを言われますけれども、筑波に進出した民間企業賃金水準が東京本社と同一にあるという実態もさまざま言われているわけでありますから、当該の職員団体が求めているような、全職員への東京並みの手当異動保障ということを内容とする手当の新設こそ今必要だということを強く強調したいと思うわけであります。  ところが、人事院は、そういう要望は別としてということなんでしょうか、筑波手当廃止と代替というふうに総裁は言われましたけれども、引きかえにして、研究員調整手当の新設を勧告されたわけであります。その内容は、対象研究職に限定するばかりか、特定の研究機関のみを選別して、そこに在職する研究者だけを支給対象とするという極めて問題の大きなものとなっていると思うんです。  人事院はよく配分の適正化ということを言われますけれども、そういう名のもとに新たな配分の不適正を持ち込むものではないかというふうに私いろいろ伺っていて認識をしているわけでありますが、人事院支給対象となる研究機関をじゃどのような基準で選定をしていくのかということについて、総裁、いかがでしょうか。
  91. 弥富啓之助

    説明員弥富啓之助君) お答えを申し上げます。  今どういうふうな基準でそういう研究機関を選定していくかという御質問でございます。我々の方でこの筑波研究学園都市移転手当廃止して新たに研究員調整手当というものをつくりますときに、廃止理由先ほどから申し上げているとおりでございますが、今一番問題なのは、特定の研究所を選定するということに結果的になるわけでございまして、これについてはやはり大方の納得が得られなければこれはもう大変なことになるわけでございます。  我々の方でただいま検討をいたしておりますのは、関係各省庁及び関係者と緊密に協議をいたしまして、研究所の選定基準項目というものを今考えておるところでございます。その基準項目は二十項目ほどございますけれども、それにつきましては、その研究所研究の成果の問題、研究所活動状況観点研究所人材確保等の問題あるいは地域的な問題等々、四つの観点の中に二十項目を入れまして、それを指数化いたしまして、できるだけ客観的な選定基準項目にのっとって基準をつくっていこうではないかと。  しかも、この時代でございますから科学は日進月歩でございますし、それは政府のいろいろな科学技術政策にも関連するところでございます。科学技術基本計画は一応五年ということを考えておられるようでございますから、五年を単位として見直すというようなことも考えられるわけでございますが、今度は最初の問題になりますと、やはり五年ではちょっと長過ぎるんではないか、それを常に見直しながら公正な選定をいたしていきたい、かように考えておる次第でございます。
  92. 笠井亮

    ○笠井亮君 総裁も言われたように、こういう問題をやるときは当事者の納得なしに進めるということがあってはならないと思うわけであります。  二十項目とかいろんな項目ということを言われましたけれども、来年四月実施というふうにうたわれて勧告を出されているわけで、まさにいろいろ検討中でございますということでは済まされないようなもう切迫した時期に今のままでいけばなると思うんです。  人事院説明をいろいろ伺いますと、重要な分野とか中核的な研究所とかというふうに言われるわけですけれども、こういうことに客観的な判断基準を設定できるのか。なるべく客観的にいろんなことと言われましたけれども、なかなか難しい問題がある。それを人事院がやれるのかということ、またそういう権限があるのかということが職員からも研究機関のサイドからも出ているのは当然だと思うわけであります。  例えば論文数によってはかるというようなことも一つ入っているそうでありますけれども、そのこと一つとっても、研究にはいろいろあるわけで、いわゆる先端的なのか、現場密着型なのか、標準型研究なのかということは分野ごとに特殊性があるわけでありまして、物差しが違うわけですね。しかも、一定期間ごとに見直すということでありますけれども、次の見直しに向けて、じゃ次は何とか入れてもらおうということで論文数を水増しというと変な言い方ですけれども、そんなことも起こることになれば、これは変な競争に駆り立てることになる。しかも、五年間と言わず一定期間ということで、もう少し頻繁にということなのかもしれませんが、少なくともその期間については差別的あるいは不適正な状態といいますか、一方では受けられて一方では受けられない。研究所ごとですから、そこの研究員は丸ごと受けられないわけであります。  そういうことも含めて多くの問題があり、国立研究機関長協議会の意見書でも、「手当支給、非支給判断する客観的、且つ、合理的基準を見いだすのは極めて困難」という意見書を出されていると私も伺っておるわけでございます。こういう手当の新設は断念すべきだというふうに思います。  それから、最後に確認したいんですけれども、総裁、職員からの要求に沿わない形での勧告を出して、そういう意味ではいろんなことがあるわけですから、この点については少なくとも当該の関係職員団体には説明があってしかるべきだと思うんですが、まだ説明を受けていないということも伺っております。経過措置の問題あるいは行政職への処遇などについてもさまざまな不安が出されているというのも私いろんなところで伺いましたが、人事院の本来の性格から見ても、直ちにこの問題については少なくとも説明をする、関係職員団体にも説明して話し合いを持つべきだというふうに思いますし、そのことについては当然というふうにお考えだと思うんですけれども、そのことを最後に総裁に確認を求めたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  93. 弥富啓之助

    説明員弥富啓之助君) 今、委員が御指摘になりましたことは当然でございまして、今まで例えばいろいろな改革なり政策を行ってまいりましたときには、関係団体、関係者とは十分に協議をいたしておるつもりでございます。今後ともそのようにやってまいりたいと考えております。
  94. 笠井亮

    ○笠井亮君 終わります。
  95. 鎌田要人

    委員長鎌田要人君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後三時二十分散会