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1996-06-04 第136回国会 参議院 逓信委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年六月四日(火曜日)    午前十時開会     —————————————    委員の異動  五月三十一日     辞任         補欠選任      三浦 一水君     河本 英典君      中尾 則幸君     水野 誠一君  六月三日     辞任         補欠選任      伊藤 基隆君     久保  亘君      水野 誠一君     中尾 則幸君  六月四日     辞任         補欠選任      久保  亘君     伊藤 基隆君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         及川 一夫君     理 事                 陣内 孝雄君                 吉村剛太郎君                 広中和歌子君                 松前 達郎君     委 員                 岡  利定君                 景山俊太郎君                 河本 英典君                 北岡 秀二君                 保坂 三蔵君                 守住 有信君                 小林  元君                 鶴岡  洋君                 西川 玲子君                 伊藤 基隆君                 上田耕一郎君                 山田 俊昭君                 中尾 則幸君    国務大臣        郵 政 大 臣  日野 市朗君    政府委員        郵政大臣官房長  谷  公士君        郵政大臣官房審        議官       品川 萬里君        郵政省通信政策        局長       山口 憲美君        郵政省電気通信        局長      五十嵐三津雄君        郵政省放送行政        局長       楠田 修司君    事務局側        常任委員会専門        員        星野 欣司君    説明員        警察庁交通局交        通企画課長    中川 雅量君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○電波法の一部を改正する法律案内閣提出、衆 議院送付)     —————————————
  2. 及川一夫

    委員長及川一夫君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。  電波法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案につきましては既に趣旨説明を聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 岡利定

    岡利定君 自由民主党の岡利定でございます。  電波法関係について御質問させていただきます。  まず初めに、大臣に基本的なことでお伺いいたしたいと思っております。  二十一世紀高度情報通信社会だというふうに言われておりますし、またこれからの世界リーディングインダストリー情報通信分野だということで積極的に取り組まれておるわけでございますけれども、そのためのインフラといいましょうか、整備すべき事項ということでいろいろあるわけです。光ファイバー網整備だとか、あるいはコンピューター関係のハード、ソフトの技術開発というような点も大きく取り上げられておりますけれども、これらと並んでやっぱり電波というものは大変大事な役割を占めてくるのではないかと思うわけでございます。  そういう意味で、高度情報通信社会の実現に向けてどのような電波行政が展開されるかというのがこれまた大きな視点になると思いますので、この点について、所管されます郵政大臣の基本的なお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  4. 日野市朗

    国務大臣日野市朗君) 二十一世紀社会というのは情報通信関係が非常に大きな役割を占めることはもう間違いないと思われます。つまり、高度情報通信社会と一言で言われますが、そのために情報通信ニーズが高度化し、多様化し、そして個人的な関係にも使われるパーソナル化というようなことがどんどん進展をしていくだろうと思うんでございます。  電波を使う無線通信というのは、既に移動通信が可能になっているわけであります。それから、いつでもどこでもというような形でパーソナル通信が実現するということ。それから、電波の持っている同報性といいますか、一遍にぱっと情報を伝達するというような同報性だとか経済性にすぐれている。それに最近非常に注目されるようになってまいりましたが、災害にも強い。いろんなメリットがあるわけでございます。  また、先生今御指摘ありましたように、リーディングインダストリーとしての役割というものを十分に果たしていかなくちゃいけないと思います。新たな産業もどんどんこの関係で発生してくるでありましょうし、雇用を吸収するという力も非常に強いだろう、このように思っているところでございます。  でありますから、電波利用ニーズはどんどん拡大をしていくと思うんでございます。それで、国民の生活、それから社会でのいろんな諸活動、それから産業分野というところでどんどんニーズが広がっていって、また技術開発もどんどん進んでいくだろうと思うんでございます。でありますから、今すぐに、じゃ、どういうふうにやっていくということを一概に打ち出していくこともなかなか難しいことでございます。  我々がこれから行政を進めていくための基準として一つ私が申し上げておきたいのは、電波利用の仕方というものをますます広げていくと同時に、十分に安心して電波を使いこなしていけるというようなことを一つ基準としてこれからの電波行政を進めてまいりたい、このように考えております。
  5. 岡利定

    岡利定君 大臣おっしゃるように、まさに電波利用の促進、しかも安全にも配意しながらというのが大変大事だと思います。そういう意味で、従来の貴重な資源である電波を上手に使うというだけの立場での一種の監視行政といいますか、警察行政的な意味よりも、そういう部分も大変大事だと思いますけれども、さらにそういう電波利用の促進的な面にお力を入れて頑張っていただきたいと思います。  今回の電波法改正部分というのは、やっぱりそういうような電波利用の実態を反映しておるものじゃないかと思うわけでございます。  その改正点の第一は、電波利用料見直し料額を下げることであるというふうに伺っておりますが、予算事業だとかあるいは研究開発分野が大変ふえてくるというような状況の中であるにもかかわらず、電波利用料引き下げるというような措置をあえてとられた理由といいましょうか、背景というものについてお教えいただきたいと思います。
  6. 五十嵐三津雄

    政府委員五十嵐三津雄君) 現在の電波利用料料額といいますのは、平成五年度から平成七年度までに電波利用料を充てることが必要と見込まれる、いわゆる電波利用共益費用と言っていますが、この額を平成五年度から平成七年度の間に見込まれます無線局で公平に負担するということで算出されております。こういったことで、今後も現在のこの料金額水準をそのまま適用していくことが適当かどうかということは、次の第二期とでも申しましょうか、平成八年度からの三年を考えた場合に検討を行う必要があるというふうに私ども考えたところであります。そんなことで、今回再計算を行ったということでございます。  そうしましたところ、費用の方もだんだん増加していくという要素はありますが、携帯電話普及あるいはPHS基地局増加、そんなことで昨今の無線局の急増によりまして、今後、現在の料額を維持すると収入額が必要な電波利用共益費費用を上回るというような傾向が続くというふうに想定されます。そういったことから、免許人に求める負担水準を適正化する必要があるということで引き下げを行いたいというふうに考えたところでございます。
  7. 岡利定

    岡利定君 わかりました。  改正点の第二は、電波利用料の使途を拡大するとのことでありますけれども、その条文を追加する理由をお教えいただきたいと思います。
  8. 五十嵐三津雄

    政府委員五十嵐三津雄君) 申し上げるまでもないことですが、最近無線局利用というのがとみに増大しておりまして、そういった意味では周波数逼迫対策というのが緊急の課題になっているところでございます。そういったことから周波数をより能率的に利用する技術導入して、無線局が引き続き安定的に電波利用していけるような対策充実する必要がございます。  そういった意味合いにおきまして、今回新たに電波利用を活用する技術試験事務、これはこのような技術導入するに際しまして必要となる技術基準を制定するということですが、そのための試験事務を追加するといいますか、拡大をしていくということをお願いしたいと考えているところでございます。  具体的に少し申し上げさせていただきますと、例えば限られた周波数帯域への収容能力を向上するということで、いわゆるデジタル化符号を用いて回線を多重化する新しい方式、私どもCDMA方式と言っていますが、こういう方式導入でありますとか、あるいは新しい周波数帯域有効利用ということで、現在固定通信利用されておりますマイクロ波帯電波移動体にも利用するというような観点とか、あるいは限られた周波数帯での伝送効率の向上を図るというようなこと、あるいは混信、妨害の軽減、解消を図る技術導入、そういったことを行いたいというふうに考えております。  このような事務に要する費用については、従来は一般財源を充てていたものでありますけれども、今日におきましては周波数逼迫状況がより厳しくなってきたことから、今後大きな費用が必要になってくるというふうに見込まれます。そこで、今回このような費用負担のあり方について見直しを行いましたところ、周波数逼迫対策充実により今後とも周波数を安定的に利用できる利益を受けるのが無線局免許人であるということから、この費用電波利用料を充てることにし、そういたしたく今回法案を提案させていただいている次第でございます。
  9. 岡利定

    岡利定君 昨年の四月二十五日の当委員会でも、私からも電波利用料見直し、そして対象の拡大ということについてお願いをしておりましたので、今回のこの二点の改正は大変適切だと思う次第でございます。  この電波利用料ですけれども平成五年度から導入されて三年たったわけですが、これを財源として行ういろんな事務の中で不法無線対策というのも大変大きな要素だと思います。これらについて電波監視施設整備を進めてこられたというように伺っておりますけれども、どのような成果を上げられてきたのか、過去三年を見直すという意味でお話しいただきたいと思います。
  10. 五十嵐三津雄

    政府委員五十嵐三津雄君) この電波利用料をお認めいただいたという中で、新しい電波監視施設であります、私どもDEURASシステムと言っていますが、これを導入いたしました。複数のセンサーの局で受信しまして、電波の来た方向到来方向通信回線を通じましてセンターに集めてコンピューター画面の地図上にあらわして、その交点等から不法無線局発射地点を求める、こういう施設であります。平成六年度から稼働をいたしております。  このDEURASシステム導入いたしましたことによりまして、不法無線電波発射源の事前の絞り込み、あるいは現地での探査活動というのが迅速になってまいりました。あるいは、移動する不法無線局情報の継続的な把握によりまして不法無線局移動先へ先回りをして対応するというようなことも可能になってまいりました。あるいは、深夜、夜間、こういったときにおきまして、自動監視仕組みになっておりますので、詳細な電波監視データの収集が容易になったというようなことによりまして、迅速的確な不法無線局探査が可能になったところでございます。  この結果といたしまして、DEURAS稼働軌道に乗り始めました平成七年度、六年度から稼働いたしているわけでございますが、平成七年度におきましては、六年度に比べまして八二%増に上る七千四件の不法無線局に対して措置を行ったところでございます。  そういった意味合いにおきましても、具体的な無線局探査というのがかなり容易になりつつあるということであろうかというふうに存じております。
  11. 岡利定

    岡利定君 大変成果が上がっておることは結構だと思います。  ところで、今回の電波利用料引き下げ要素の中で、今、局長の方からお話がありました中で、携帯電話が非常に普及したということを挙げられておるわけであります。この携帯電話普及周波数事情ということとの関係電気通信技術審議会に諮問されて、四月に答申を受けたというように聞いております。  この携帯電話周波数関係ですけれども、今後ともまだまだふえてくると思うんですが、十分確保できるのかどうか、あるいはどのようにして確保していくのかというような点についてお伺いしたいと思います。
  12. 五十嵐三津雄

    政府委員五十嵐三津雄君) ただいま御指摘のありましたとおり、携帯電話につきましては、本年四月で一千万台を超えまして、この一年間で六百万台以上の増加を記録しております。そういった意味では、周波数確保あるいはそれに伴う技術開発というのは大変急務課題になっております。  そういった意味で、昨年七月に電気通信技術審議会に諮問したことにつきまして、本年四月に一部の答申をいただいております。それは、「二〇〇〇年までの携帯電話等周波数有効利用方策について」ということでございます。  この答申に基づきまして幾つかの開発の考え方が提案されております。  一つは、現行方式携帯電話基地局を小ゾーン化していく。現在、基地局の局間の距離は一・五から二キロメーターということでございますが、これをさらに一キロメートル程度に小さくするということで、加入者の容量も二倍から二・五倍程度までなっていくということでございます。  それから、デジタル化してハーフレート化するということで、簡単に申しますと、一つ周波数帯域を倍に使えるというような形でやっていくという技術開発でございます。  それからもう一つは、大変混雑する地点におきましてさらにスポットゾーンを、大きなゾーン方式の中にさらにスポットの小さいゾーンを設けて周波数有効利用方策をとっていくというようなこと。加えまして、八百メガヘルツ帯、これはいわゆる移動通信に使われるところでございますが、これにさらに八メガヘルツ帯を追加して、トータルで百四十四メガヘルツ帯の幅で使っていこうということにする、そういうことが提言されております。  これによりますと、二〇〇〇年におきます移動電話需要予測というのは、上限下限がありますが、二〇〇〇年には高い方で三千二百五十万加入ということが上限としてあるだろう、低い方は二千五百万加入というふうに見込まれております。先ほど申し上げました小ゾーン化あるいはハーフレート化等々の技術開発を積み重ねていきますと、三千八百七十万の加入が可能ということでございますので、三千二百五十万と予想されるものを上回るということで、周波数的にはこれを十分収容できるものというふうに考えております。  また、二〇〇〇年以降につきましては、今、国際電気通信連合国際標準検討が進められておりまして、IMT二〇〇〇というふうに言っておりますが、この中で、さらに次の周波数、これは二ギガヘルツ帯でございますが、その帯域につきまして二百三十メガヘルツの周波数というのがさらに用意されるということになっておりまして、需要に対してこれで対応していくことができるというふうに考えているところでございます。
  13. 岡利定

    岡利定君 二〇〇〇年まではまず大丈夫、二〇〇〇年以降さらに対応を積極的に進めてやっていくから大丈夫だろうというようなことをお聞きしまして、大変心強く思っております。  ところで、アメリカでは、イリジウム計画と言うんですか、中・低軌道周回衛星地球を回る衛星を用いたグローバル移動衛星通信導入計画があるというように伺っております。  日本では国産のこのような具体的な計画はまだないようでありますけれども、先般、電気通信技術審議会からの答申によりますと、推進すべきプロジェクトとしてグローバルマルチメディア移動体衛星通信システムというのが挙げられておるようでございますけれども、これはどのような内容のものでしょうか。
  14. 山口憲美

    政府委員山口憲美君) 通信世界衛星利用と言いますと、大体静止衛星ということがまず常識のようになっておりますが、最近、米国系の企業を中心にいたしまして、今お話しのように、低軌道あるいは中軌道、高さが七百キロから一万キロぐらいの高さのところでございますが、そういうことで、移動衛星周回衛星地球の周りを回るという衛星を使って通信をしようというふうな構想が打ち上がっております。したがいまして、衛星も十個から八百四十個とか大変多く、複数衛星を使うという形になりますが、そういった形での構想が打ち上げられております。  残念ながら、我が国ではこういった分野、これにはいろんな技術開発が必要でございますので、技術開発面のおくれというふうなこともございまして、こういった構想我が国独自の衛星計画としては今は出されていないということでございます。  こういうふうな状況でございますと、こういう通信サービス導入でおくれをとるだけでなく、また今後予想されます各種の衛星需要に対しまして産業界が十分そのニーズ対応できなくなってしまうんじゃないかというふうな懸念があるということでございます。  そこで、こういうふうな状況に対しまして、過般、電気通信技術審議会から答申がございまして、今後、我が国としてどういう措置をとっていったらいいかということでございますが、結論的に申しますと、単に欧米の技術を追いかけて追いつくということではなくて、いわばもっと先を見た、先回りした技術開発を実施すべきだというふうな提言がその内容でございます。  具体的には、現在計画されておりますシステムというのはいわば電話中心でございますが、将来のシステムということを考えますと、画像が自由にやれるというふうなところにいわゆるマルチメディア対応システムとして到達することになるだろうということで、そういったところにねらいを定めた技術開発をしていこうということがお尋ねのグローバルマルチメディア移動体衛星通信技術の具体的な内容でございます。  いずれにいたしましても、郵政省といたしましては、これは重要な提言でございますので、これを真摯に受けとめまして、この技術研究開発を進めていきますとともに、さらにこれがニュービジネスに結びついていきますように努めていきたいというふうに思っている次第でございます。いろいろ御指導を賜れればと思います。
  15. 岡利定

    岡利定君 また携帯電話に戻るわけですけれども携帯電話が広く普及するにつれて、いろんな陰の部分といいますか、そういうものが出てきておるというような感じがいたしております。  マナーの問題とか、最近特に取り上げられておりますのは交通事故の原因になっているとか、それから医療機器影響を与えるとかいったようなものが種々挙げられておりますが、その中で電波人体に与える影響について大変不安とか疑問が持たれておる状況もあるんじゃないかと思います。  郵政省では、この問題について検討されて、この三月に一定の結論を出されたようでございますけれども、本当に十分なんだろうかという点についてお伺いしたいと思います。  言うまでもなく、これは人の健康、安全あるいは人命にかかわる問題でありますので、必要があれば必要な予算を獲得して万全を講ずるべきではないかと思うわけでございますけれども、今後の取り組みについてお伺いしたいと思います。
  16. 五十嵐三津雄

    政府委員五十嵐三津雄君) 電波社会になってまいりまして、電波を安心してお使いいただくということが非常に重要なことになってまいります。  平成二年の六月に電気通信技術審議会から、電波防護指針と言っておりますけれども電波のエネルギーの量と生体、人間の体への作用との関係を示すものとして防護指針という指針が示されておりまして、その中では出力が七ワット以下の無線機器から発射される電波というのは人体影響を及ぼすものではないというふうにされておりました。念のためですが、現在多く利用されております携帯電話というのは〇・六ワット程度でございますので、ここで言ういわゆる七ワット以下というものよりは大変微弱ということにはなります。  でございますが、その後、ただいま御質問のございましたように、移動体通信の急速な利用拡大対応するということで、平成七年度に人体電波防護の在り方に関する調査研究会というものを開催いたしまして検討をし、この三月に報告をいただいたところでございます。  その報告によりますと、国の内外、国際的な動きも見まして最近の電波防護に関する研究動向も調査して、先ほど申し上げたものでございますが、現行の「電波利用における人体防護指針」におきます出力七ワット以下の無線機器から発射される電波というのは人体影響を及ぼすものではないという基本的な部分については従来どおりということで、改定は要しないということで取りまとめられております。  ただ、今後の課題として幾つかの点が提示されております。それは電波防護指針普及、安心して国民皆さんが使えるようにその普及、それに対する取り組みを強化しろということがございます。そういう意味で、私ども電波防護Q&Aのようなものの発行の提案も受けておりますので、そういうことを検討してまいりたいと思っていますし、また電波防護一一〇番ということで国民皆さんが簡単に問い合わせができるというような仕組み、こんなことも提案をされております。  さらに、研究の推進というか、研究体制充実というようなことで、数多くの電波が長期間にわたって人間の体に及ぼすことの研究をやる必要があるのではないかということ、それから、より高い周波数が体に当たっている場合の人間に及ぼす影響、こんなことについても提案されております。  私どもは、こういうことを踏まえまして、この七月を目途に対策を実施すべく今検討しておりまして、関係団体とも打ち合わせをしているところでございます。一つ電波防護指針に当たるものとしての防護標準規格国民皆さんにわかりやすいようなものにして、一般向け普及版を作成して配るというような観点、それからQ&Aというようなリーフレットをつくっていこうということ、そして電波防護一一〇番というような電話相談窓口、こういうものの開設、これもあわせて関係団体相談をして、七月から具体的な実施に入るべく今打ち合わせを進めているところでございます。  そのほかに、電波が長期間人体に当たった場合の影響、それからミリ波など、そういう高い周波数電波人体にどういう影響を及ぼすのかというようなことにつきましては、通信総合研究所などでの研究というようなことにつきましても今後検討してまいりたい。そういった意味でも、先ほど御指摘のありました予算等確保につきましても今後とも努力をしてまいりたいというふうに存じております。
  17. 岡利定

    岡利定君 ありがとうございました。終わります。
  18. 西川玲子

    西川玲子君 平成会松あきらこと西川玲子でございます。  電波法の一部改正について質問をいたします。  国内の景気回復がおぼつかない足取りをよそに、携帯電話PHSの市場が急拡大していると報道されております。この拡大爆発的拡大とも表現されておりますが、さきの逓信委員会でも申し上げましたとおり、携帯電話にかかわるモラルやマナーについて早速にも御検討いただきたいと存じます。  パンフレットなどをつくって徹底を図っているとの局長さんの御答弁がございましたが、先ほど岡先生もおっしゃっているとおり、悲惨な事故としての現実の問題となっております。四月三十日、大阪でダンプの運転手さんが携帯電話を手に親子をはねまして、二人が死傷するという痛ましい事件も起こっております。ほかにもたくさんございます。これでは歩行者は安心して道路を歩くこともできません。車を運転しながら携帯電話を操作することは片手運転状態となりまして、運転の注意をとても損ないます。安全運転の上で問題があろうかと存じます。自動車の運転者が運転中に携帯電話を操作すること自体、道路交通法の上でどのような法規に触れるんでしょうか。  また、運転中は携帯電話を使わないように指導するとか、あるいは運転中に留守録音、例えばただいま運転をしておりますので後ほどというような留守電とか、そういう機能を搭載させるとか、警察庁は道路交通法の上からどのようにお考えになっておられますでしょうか。また、車での携帯電話の使用について何か検討されておりますでしょうか。お願いいたします。
  19. 中川雅量

    説明員(中川雅量君) 運転中に携帯電話を使用することが直ちに道路交通法に違反するものではありませんが、携帯電話を使用していて他の車両や歩行者の動きに十分注意していなかった場合などは道路交通法第七十条の安全運転義務違反が成立することになると考えております。  警視庁等の調査によりますと、最近自動車の運転中に携帯電話を使用していて交通事故を起こすというケースが目立っているということでありますし、また最近の携帯電話の急速な普及を勘案した場合には、今後携帯電話使用中の事故の増加が懸念されるということから、警察庁としても必要な調査を開始したところでございます。  今後は、その調査結果を踏まえまして、先生御指摘の点も含めて各種の対応策について検討してまいりたいと考えております。
  20. 西川玲子

    西川玲子君 ぜひ緊急によろしくお願い申し上げます。  ほかに、カーナビとかあるいはカーステレオの操作でも気をとられてしまって事故を起こしてしまう、やはり便利が優先して安全が問われているんですね。電話でもそうですけれども、目で見るだけじゃなくて、耳で相手の言うことを聞こうとするので余計注意が散漫になってしまうんです。これは郵政大臣の方からもよろしくお願いいたします。  それでは、電波法の一部改正について質問をいたします。  法案の説明によりますと、近年の無線局増加電波を能率的に利用する技術についての技術基準制定のための試験及びその結果の分析を加えるといったことに電波利用料の使い道を拡大したいということだそうでございます。しかも、三年間の実績を検討したら利用料を引き下げても大丈夫だと先ほどもおっしゃいました。財政が危機的状況にあると言われる中での値下げですから、まことに珍しい現象だと私は思っております。  先ほど技術という点について御答弁ございましたけれども、それはどんな緊急性があるとお考えなんでしょうか、御答弁をお願いいたします。
  21. 五十嵐三津雄

    政府委員五十嵐三津雄君) ただいま先生からお話のございましたとおり、電波利用というのが普及していく中で、まさに周波数逼迫対策というのは緊急のこととなっております。そういう意味合いにおきまして、平成八年度の予算におきまして技術試験事務というふうに考えている内容、大ざっぱに申し上げて四点ほどございますが、そのことについて申し上げさせていただきたいと思います。  具体的に、まず一つ目は、限られた周波数帯域への収容能力の向上を図るというようなことで、デジタル化をいたしまして回線を多重化する新しいCDMA方式導入というのが一つございます。それから、高い周波数帯域有効利用を図るということで、現在は固定の通信としてマイクロの通信利用されている電波移動体通信にも利用しようという考え方でございます。それから、限られた周波数帯域伝送効率を図ろうというような技術開発、あわせまして混信、妨害の軽減、解消というようなごと、こういうようなことについての試験研究事務としてこれを進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  22. 西川玲子

    西川玲子君 電波利用料料額改定について、九つの無線局の区分のうち六つの区分についての利用料の減額の提案がされております。  無線局のうち圧倒的に局数の多くなるのが携帯電話などの移動局で五千八百十七万局、次がアマチュア局などで四百九万局、続いて携帯電話等基地局の百六十七万局となっているそうです。移動局、基地局とインテルサットなどの地球局が増加する局のようでございますけれども、人工衛星局、放送局、多重放送局、アマチュア局やマイクロ固定局などは余り伸びない、むしろ減少の傾向のようでございます。  このごろは、通信手段がインターネットなどへの移行でアマチュア無線などが余りはやらないのではないかと思います。アマチュア無線などの利用状況はどのように把握をされているんでしょうか。
  23. 五十嵐三津雄

    政府委員五十嵐三津雄君) ただいま先生から御指摘のございましたとおりに、携帯電話あるいはインターネット、パソコン通信、こういった個人が情報手段として利用できるメディアが急速に普及している状況でございます。そういった中にありまして、アマチュア無線局というのは毎年増加の傾向にありましたのですが、平成七年三月の百三十六万から、平成八年三月で見ますと百三十五万ということで、この一年間で一万局ほど減少しているという状況にございます。  これは、どういうことで減少しているかということにつきましては、アマチュア無線の団体でございます日本アマチュア無線連盟の分析では、最近における景気の低迷が大きく影響しているということで、インターネット等の影響は軽微なものではないかというふうなことも言われておりますが、正直申し上げまして初めての現象で、私もどういうふうに考えたらいいか必ずしも自分では整理されておりません。  ただ、もう一方で、アマチュア無線の従事者という資格がございます。これを見てまいりますと、毎年毎年ふえております。平成五年が二百六十一万五千、平成六年度が二百七十六万六千、平成七年度が二百八十八万と毎年増加しておりまして、アマチュア無線そのものに対する関心が減少してきているということはにわかに断定もできないような状況かなというふうに存じます。  一方、私どもとしまして、四月にアマチュア無線の規制緩和によりまして空中線電力の上限を二倍にしてアマチュア無線の効用を高めるというようなことをいたしました。  そういう意味合いにおきまして、アマチュア無線局の増減の動きにつきましてはもう少し様子を見なければ具体的な判断というのはできないと思いますが、先生御指摘のとおり、数字を見ますと確かにこの一年間で一万局ほど減っているという現状はございます。
  24. 西川玲子

    西川玲子君 ありがとうございます。  何か、このごろダンプの運ちゃんがこういう昔の無線でお互いにおしゃべりをしているようでございますけれども、そういうことが関係しているんでしょうか。  移動局がどんどんふえるでしょうから、将来の電波の逼迫に対しまして、先ほど電波有効利用のために技術基準を制定したいということでございましたけれども電波の区分自体の周波数の分配を見直したらどうでしょうか。無理やりに、壮大な技術を駆使しなければならないような高い周波数帯のためにわざわざ研究をするのであれば、余り利用されていない区分の電波を見直すのも一つの手だと思いますが、いかがでございましょうか。  今の周波数の割り当てはアナログ時代のもので、このごろはデジタル化が進んでおりますので、これからのデジタル時代に見合った電波の割り当てと利用が考えられるべきだと思いますが、いかがでございましょうか。
  25. 五十嵐三津雄

    政府委員五十嵐三津雄君) 御存じのとおり、移動体通信無線局がどんどんふえておりまして、その対応ということは大変喫緊の課題でございます。そういった意味合いで、私どもも従来から周波数の移行あるいは再分配というようなことによりまして、例えば移動体通信の八百メガヘルツ帯、これが一・五ギガヘルツ帯でデジタル化方式をとっていくというようなことをやりましたり、周波数の移行、再分配というようなことをやってまいりました。  それから、二十一世紀以降の移動通信需要に対処するというようなことで、国際レベルのことではございますが、IMT二〇〇〇というようなことで、従来固定通信利用している準マイクロ波帯のうち二百三十メガヘルツ、この幅を移動体通信利用可能とするための周波数の再分配を行うことといたしております。  さらに、携帯テレビ電話等で使用するために、従来は技術的に移動通信で使用できなかった高い周波数帯、マイクロ波とかミリ波のたぐいですが、こういうものを移動体通信で使用するための技術開発、こういうことに努めているところでございます。  さらにまた、放送用の周波数帯、これはUHFでございますが、における移動体通信との周波数の共用の可能性についても技術的に検討を進めているところでございます。  今後とも、先生御指摘のように、技術開発の推進を進めるとともに、周波数配分の見直しなどによりまして長期的な周波数需要にこたえていきたいというふうに存じております。
  26. 西川玲子

    西川玲子君 ありがとうございました。  先ほども話題になりましたけれども、九つの無線局の区分のうち移動局とアマチュア局以外の七つの無線局は業務用というか、電波で収入がございます。移動局、アマチュア局はおおむね収入があるわけではないと思うんです。先ほどもおっしゃいましたけれども、アマチュア無線局の区分について、アマチュア無線しかなかった時代と違いまして、インターネットあるいは携帯電話普及利用の仕方が変わってきているのではないかというふうに私も思います。  情報通信分野の規制緩和として、行政改革委員会の意見では、ここに書いてありますけれども周波数割り当てのオークション制度の提案もございます。電波は限りある国民の財産ですから、常に有効利用ということを考えていかなければならないと思います。周波数利用実態をいつも調査をしまして周波数資源の有効活用に努めていただきたいと思います。先ほども御答弁ございましたが、さらにしていただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  27. 五十嵐三津雄

    政府委員五十嵐三津雄君) 規制緩和推進計画ということで三月に閣議決定いたしました中でも、周波数のオークションの導入の是非を含めて周波数割り当て方式のあり方について検討するというふうになっているところでございます。私どもはこれを受けまして、ことしの四月から外部の有識者も入っていただいた懇談会を開催し、御検討を今お願いしている段階にございます。  ちょっとオークションのことに触れて申し上げさせていただきたいと思います。  アメリカ等々でもこういう方式導入されておりますが、オークションのために、落札のためにたくさんお金がかかるとか、ある一定のお金のある会社が独占的に電波確保してしまうとか、あるいはこれまで電波を使ってやっていた方々に再免許のチャンスがなくなるとか、そういうような現実も出てまいりまして、アメリカでも幾つかの訴訟があったりで評価がまだ定まっていないのかなという側面もございます。  そういった意味で、この懇談会で検討をお願いするということでございますが、あわせまして、五年後の電波利用の展望でありますとか、あるいはマルチメディア移動体通信や自動車交通システム等の新たな需要対応する周波数の割り当ても含めまして、今後の電波の有効活用方策についても御検討いただくことにいたしております。さらには、手続の透明性とか公平、能率的な利用観点から周波数割り当て方式をどうすればいいかというようなことも御検討願うことにいたしております。  私どももそういったことを踏まえながら、ただいま先生からも御指摘ありましたが、国民の財産を有効に使っていけるように電波の有効活用について推進をしてまいりたいというふうに存じております。
  28. 西川玲子

    西川玲子君 ありがとうございました。  ところで、五月三十日の衆議院逓信委員会での日野郵政大臣の岩國哲人氏のTBS出演に対しての発言は報道の自由にかかわる重大な発言でございます。まさに放送の自由への不当介入ではないでしょうか。これは、電波をあずかる郵政大臣として甚だ問題がございます。  大臣、TBSが岩國哲人氏を出演させたことが大臣のおっしゃるように政治的公平に欠けるなら、これは放送法三条の二に反しているという認識でおっしゃったんでしょうか。それはTBSの電波をとめるということなんでしょうか。また、大臣としての発言ではないとおっしゃっているようでございますけれども委員会での発言でございますから大臣の発言でないというわけには絶対にまいりません。  報道の自由に公権力が直接介入するという重大な問題ですから、委員会としてもきっちりけじめをつけるべきだと思いますので、ぜひ御検討いただきたいと思います。これは委員長にお願いでございますので、答弁は結構でございます。  以上で私の質問を終わらせていただきます。
  29. 小林元

    ○小林元君 平成会の小林元でございます。  今回の電波法改正につきまして質問いたします。  この電波利用料というのは、先ほど来、岡委員質疑の中でもありましたけれども無線局全体の受益を直接の目的として行う事務に要する費用ということで、電波利用共益費用財源確保するというふうになっております。しかし、ただその費用に充てる財源というのはどうも性格的にはっきりしません。  今も質疑の中でお話がありましたが、国民共有の財産である電波利用させる、だから利用料を取ってその利益を守るんだというような、いわゆる財産使用料という性格なのか、ただ単に全体の受益を守る費用に充てる財源としての利用料というのか、その辺をやはり明確にした上で徴収をするというのが本来ではないかと思います。  例えば、この利用料をもって充てるべき財源というところの事務の中に総合無線局管理ファイルを作成するんだというようなことが書いてございますが、例えば免許申請手数料あるいは設備の検査手数料、そういうもので手数料を取っているわけです。免許を更新するに当たって、例えばその総合無線局管理ファイルというものを持ち出して多分審査をするんではなかろうか。あるいは設備検査をするにしても、この放送局あるいはこの無線局についてはこういう設備を有しているというふうに管理ファイルの中に書いてあるんじゃないか。今は磁気ディスクか何かそういうものだろうとは思いますけれども、そういうものはやはり免許申請あるいは検査をするときに必要である。  それから、今度の電波利用料を徴収するに当たっても、例えば不法無線といいますか、電波監理をするというときにもその台帳に照らして、こういう局はないはずである、それが違法な電波を発射しているというようなことで、多分、多様な利用というようなものがあるんではないかと思いますが、その辺をどのように理解をしたらよろしいか、お答えいただきたいと思います。
  30. 五十嵐三津雄

    政府委員五十嵐三津雄君) 電波利用料というのは、すべての無線局が混信や妨害を受けることなく電波を安心して利用できる状態を確保するために、郵政省が行う共益的な事務に要する費用無線局免許人全体で負担していただく負担金というような性格というふうに考えております。そういう意味では、財産使用料とは趣を異にするものというふうに思われます。  総合無線局管理のファイルでございますが、これはすべての無線局の免許等に関する情報を記録するデータベースでございまして、無線局の免許の審査とか免許を受けた無線局の検査や監督、あるいは違法な電波の発射の規制といった電波監理事務に共通的に使用する基盤的なツールでありまして、無線局全体が安心して電波利用できるようにすることを目的として整備するものでございます。  一方、免許の申請手数料あるいは検査の手数料といいますものは、特定の無線局を対象といたしまして、個別の申請の処理や検査に要する実費を徴収するものでございます。  このように、行政の行う特定の事務費用を賄うために徴収するという点においては電波利用料も免許申請手数料とも類似している側面はあろうかと思いますが、電波利用料というのは無線局全体のために行う事務に充てるものであるということから、その両者は性格も充てる費用の対象というのも異なるものであるというふうに考えているところでございます。
  31. 小林元

    ○小林元君 答弁がわからないわけではないんですけれども、やはりそのようないろいろな事務に、免許申請の判定あるいは設備検査の資料、そういうものにも当然使うべきだろうというふうに考える次第でございます。  ただ、残念ながらといいますか、制度上はそういう手数料については一般歳入ということで、郵政省予算にはね返らないというようなことでこのような負担金制度というものを多分お考えになったんではないかと思いますが、やはり理論的にはその辺を整理した上で徴収をするというのがよろしいんではないかと思っております。  それから、電波利用料の額を今回引き下げるわけでございます。ただいまも西川委員からございましたが、たぐいまれなる、公共料金の引き下げというのはめったにないわけでございます。そういうことでこれは歓迎すべきことではあります。  しかし、その引き下げ理由というのは、今回新たに事務が加わりましたけれども、そういうものを加えてもなおかつ費用部分がそんなにはかからないということでございます。やはり携帯電話利用が急増している、あるいはPHSが増大をするというような三年間の見通しを踏まえてやるわけでございます。そしてまた、そういう技術基準制定試験というのは三年間で百十六億円かかるということでございますけれども、そういうものがなかりせば、携帯電話一台当たり幾らぐらい引き下げになるのか。何か聞くところによりますと二百円ぐらい値下げできるんだと。ところが今回は据え置く。やはり増加といいますか、収入が費用に対して大き過ぎる、だから引き下げるというんですが、その主たる原因はやはり携帯電話PHSの増というようなところにあるんだろうと思います。そういうことで、そういう原因になった携帯電話利用者に還元をするというのが普通の考え方ではないか。  それから、今回の改正によって用途が拡大される、拡大をしたいと。技術基準を定める制定試験でしょうか、そういうことが利用者が増大するために必要であるということは十分理解できるわけでございます。  ただ、やはり電波利用料の額の算定の仕方につきまして、御説明によりますと、無線局全体の共通な均等割部分、そして区分ごとに比例配分といいますか比例部分というふうになっておりますが、均等負担というようなところで電波の監視あるいは技術基準の制定、電波利用料の徴収というような部分が共通経費である、こういう御説明であります。  その辺がどうもマジックになって、共通部分は六百円かかるんですよ、だからこれは引き下げられないんだというようなお考えのようでございますが、例えば携帯電話普及増大によりまして、今回いわゆる二の区分の携帯電話基地局ですか、携帯電話そのものの方は据え置きで、基地局の方を引き下げるというようなことになります。  いろいろ計算をしてみますと、三年間に例えば九十億円、百億円近い利用料の値下げというようなことになるわけでございます。これはやはり携帯電話会社、通信事業者が汗もかかずにその分の収入がふえていく、収入がふえるといいますか、料金を据え置けばという前提でございますが、そういうことがございますので、これは本来であれば料金値下げにつなげていくというのが筋合いかと思います。  例えば、電力料金につきましても円高差益というようなことで電気料金を引き下げる、そして国民に還元をする。確かに一軒一軒にとってはわずかでございますけれども、そういう考えで実施をしたわけでございますが、その辺につきましてお考えをいただきたいと思います。
  32. 五十嵐三津雄

    政府委員五十嵐三津雄君) 電波利用料料額の考え方は、これまでの平成五年度から七年度までに電波利用料を充てることが必要と見込まれるいわゆる電波利用の共益費用、その額を同期間中に見込まれる無線局で公平に負担するということで算出してまいっております。  平成八年度から十年度までこのような形で再計算をしてまいりますと、費用の方も増加してまいりますが、昨今の無線局の急増によりまして、今後、現在の料額を維持すると収入額は必要な費用の額を上回る傾向が続くということが想定されるために引き下げを行うものでございます。  具体的に携帯電話の場合の計算をしてみますと、均等負担の場合、これまでの料金六百円ということですが、これは均等負担部分のいわゆる監視の場合、これが算出によりますと、計算をいたしますと五百三円。データ量の部分、ファイルをつくっていくという部分でございますが、これが百一円ということで六百四円。それが手数料等の国の費用の場合、納入のしやすさ等々から六百円になっているということでございます。  今回、これを再計算してみますと、均等負担部分、今度は監視と試験事務が入ってまいりますが、五百三十二円。それにデータ量の部分が五十三円ということで五百八十五円になりまして、従来より若干安目につくというのは事実でございます。ただ、五百八十五円でございますので、これも百円単位という手数料等のあり方からいって同じように六百円になったという結果でございます。  このように、均等部分について、携帯電話普及なんかによりまして無線局数も増加してまいりますが、その分、周波数逼迫対策というようなことで、技術試験事務充実する必要があるということで費用増加しているということで、ただいまも申し上げましたようにほとんど変わらない状況になっております。  御指摘のように、均等負担の点については電波利用料の現在の性格を踏まえて私ども算出をしてまいっております。そういうようなことで、均等負担金という考え方が基本的なものですから、こういうような形になって案分をさせていただいているということでございます。  それから、今回、技術試験事務というようなことで追加いたしましたものについては、周波数の逼迫が軽減されることによって得る利益というのは、電波の監視事務と同じように、すべての無線局にひとしく及ぶものであるということで、すべての無線局に広く薄く均等に負担していただくことが適当というふうに考えているところでございます。  先生御指摘のような幾つかの問題点があることにつきまして、私どももそういう認識は持っているところでございますが、今抜本的な見直しというようなことになってまいりますと、制度を創設いたしましてまだ三年しか経過していないというようなこともありまして、現在はそのような抜本的な改正を行う段階ではないのではないかというふうに考えております。ただ、御指摘の点については今後の課題一つとして研究をしてまいりたいというふうに存じております。
  33. 小林元

    ○小林元君 時間がありませんから、最後に要望と大臣の所感をお伺いしたいと思います。  実は、きのうですか、雲仙・普賢岳の火砕流によって被害者が出て五年目になったわけでございます。それから、阪神大震災からはもう五百日を過ぎようとしているわけでございます。  そういう中で、地方自治体の仕事は地方自治法に書いてあるとおりでございますけれども、住民の安全を保持するというようなことが大事な仕事になっているわけでございます。  そういう中で、防災体制の強化が、国が先頭になりまして、地方自治体でも一生懸命やっているというような状況でございます。茨城県でも防災行政無線については十年前に整備をしたところでございます。  実際に、この料金について今回の改正では何も触れられておらない。二分の一というようなことになっておりまして、それは防災以外にも一般行政事務でも使えるというような意味合いでそういうお考えになったのかどうかわかりませんが、現実に電話をかけるということになりますと、防災行政無線の方は長い番号をかける、それから一般電話は短い番号で済む、あるいは短縮も可能であるというようなことでございます。実際には一般行政事務にはなかなか使わない、どうしても一般電話を使うというような状況でございます。やはりこれは二重防御といいますか、多重防御といいますか、防災無線というのはそういう形での役割を果たして、緊急用に使うというのがメーンで整備をしたわけでございます。  やはりかなりの投資をしておりますし、この辺で防災行政無線につきましては無料化をしてもいいんではないか。国の無線については無料であるというようなことでございます。あるいは、別な財源措置をして、それでもって自治体が払うと。交付税の算入に繰り入れるというようなこともあるかもしれませんけれども、でき得るならば直接的に国の方針として防災無線については無料であるというのがいいやり方ではないかというふうに考えております。  それから、時間を超過して大変申しわけございませんが、先ほど来、岡先生からもいろいろありましたけれども無線通信につきましては高度情報通信社会の中で大変重要な役割を果たしていくということでございます。三年前までは電波料は無料ということだったわけでございますが、全体の利益を守るということで創設されたわけでございます。しかも、携帯電話が相当ふえてきているというような状況で今回の引き下げというふうになったわけでございますが、そういう電波利用のあり方といいますか、時代の要請を的確につかんで負担のルールというものについてもやはり十分に理論的に詰めていただきたい。  例えば、道交法につきましては、交通違反は反則金というようなものを財源にしているわけでございます。不法電波については電波利用料で賄うというようなことで、どうも法律体系を見ましても整合性がとれているというふうにはなかなか考えにくいわけでございます。その辺について、時間がありませんのでもう答弁は結構でございますが、十分検討されるように、この機会に要望して質問を終わります。  どうもありがとうございました。
  34. 松前達郎

    ○松前達郎君 社会民主党の松前です。  電波法に関連して質問させていただくわけですが、先ほどからいろいろと私がしょうと思った質問も含めて質問があったわけですから、なるべく重複しないように質問させていただきたい、こう思います。  昭和五十四年から自動車電話サービスが開始されたわけでありますが、その中で特に携帯電話というもの、自動車電話と言った方がいいかもしれませんが、一千万台を超えるというふうに伺っております。最近ではそのほかに自動車にGPSが非常に爆発的流行を、流行と言ったら悪いんでしょうけれども、爆発的に今設置をされつつある。確かに便利な装置であることは間違いないと思います。これは本来軍用だったと思うんです。  このGPS、カーナビゲーションシステムが使われるようになり、マルチメディアといいますか、非常に車の中がそういったものでいっぱいになってくる、そういう時代に次第になっていくんだろう、こういうふうに思っております。そこにまた加えて、四月二十三日からでしたか、VICS、道路交通情報通信システムというのが発足をするということになりますから、自動車をめぐる電波利用というのは急速に今伸びつつある、そういう状況だと思っております。  先ほど質問の中にもありましたが、携帯電話ばかりではないと思うんです。カーナビを見ながらぶつかっちゃったとか、あるいは人に被害を与えた、こういうこともあるかもしれませんが、そのほか原因はたくさんあると思うんです。  しかし、いずれにしても、そういった運転に集中できなくて事故を起こすという例が非常にふえてきたという話が先ほどあったわけであります。例えば熊本県警の調査では、片手で運転をした結果、七割が事故を起こしている、こういうデータもあるわけです。きょうは警察庁の方がせっかくおいでになっておられますから、もう少し具体的に、数値がわかればなおいいんですが、現状、ごく生々しい現状といいますか、これについてお伺いできればと思いますのでよろしくお願いします。
  35. 中川雅量

    説明員(中川雅量君) 今、先生の御指摘の点につきましての事故統計というのはまだ全体的にとられておりませんので、個別の調査になるということでお許し願いたいと思います。  警視庁の調査によりますと、平成七年中に都内で携帯電話の使用に関連する人身事故が七十一件、それからカーナビゲーション装置の使用に関連する人身事故が七件発生しておるということで、これらの機器がさらに今後普及するということに伴いまして、このような事故がさらに増加するということが懸念されているということであります。  警察としてこれについてどうするんだということでありますけれども、やはり今事故の実態等がよくわかりませんので、私どもとしても事故の実態調査というものをまず先に始めて、それからこれらの機器の使用というものが交通事故の原因とならないように、関係機関とも連絡をとりながら、必要な対策について今後積極的に検討を進めてまいりたいというふうに考えておるところであります。
  36. 松前達郎

    ○松前達郎君 携帯電話は一遍かかってしまえば口と耳だけで済むんです。カーナビになると目がそっちに行かなきゃならない。特に交差点のところでしょっちゅう目が行くわけですから、カーナビの方が私は非常に危険性があるんじゃないか、こう思います。また同時に、テレビをつけている自動車が多いんですが、テレビを見ながら運転する、こういうこともあると思います。これからそういう面で運転に対する影響といいますか、こういうものをどういうふうにすれば事故等を防止するような方向に向かうことができるのか。ちょっと難しいかもしれませんが、この辺も非常に大きな課題だろう、こういうふうに思っておりますので、その辺をまた御検討いただければありがたいと思います。  件数はまだ少ないようですね。だから、統計的にはわかっていないということでございました。それじゃ、警察庁の方は結構であります。  次は、先ほどちょっと質問の中に出しましたGPSの問題なんですが、これはグローバル・ポジショニング・システムですから当然全地球位置測位システムというふうなことになるわけで、いろんな利用方法があると思います。最近はいわゆる民需用としての利用が非常に拡大をされてきているわけであります。  このシステムなんですが、実はこれはアメリカの衛星を使っているんです。アメリカの二十四個の衛星から発せられる信号を受信しながら正確な位置を測定する、こういうシステムなわけです。アメリカの政府としてことしの三月に、このGPSについての関連産業の育成を図ろう、そして測定精度の向上、利用拡大ということの方針を打ち出してきたわけであります。これを受けまして、我が国でも高精度の測位システム実現に向けた技術開発あるいは導入促進のための施策が今推進されようとしているのではないかと思います。本来、このGPSに関しては米軍が軍事目的で開発したものですから、二〇〇五年までは無償で民生的な利用を認めようと。ですから、今ただなわけですね。そういうふうな状況で進められてきている。  ところが、その後の対応についてはまだ明らかになっていないわけであります。恐らく何らかのアメリカ側からの要求が出てくるんじゃないか、こういうふうに思います。また同時に、利用がどんどん今拡大されていっていますから、米国の安全保障あるいは経済促進、権益等に支障を来すのではないかという報告もあるぐらいですから、当然何らかの対応をアメリカ側としては考えているんだろうと思います。  この問題について、我が国で科学技術庁あるいは宇宙開発事業団等が衛星の自主開発を今検討しているというふうに聞いているんですが、今後とも恐らく利用拡大がさらに進行すると思いますこのGPSについて郵政省としてどういう対応をお考えでしょうか、これをお聞かせいただきたい。
  37. 山口憲美

    政府委員山口憲美君) 全地球測位システム、GPSと言わせていただきますが、これにつきましては今お話ございましたように、カーナビゲーション等に代表されますように大変国民生活の中に深いかかわりを持つような形での利用のされ方がなされてきているということでございまして、御指摘のように、現在アメリカの衛星に依存しているというふうな実態でございます。  そして、このGPSの今後につきましては、今お話ございましたように、二〇〇五年までは無償で利用を保証するというふうなことになっていたわけでございますが、本年の三月に大統領の声明が出されまして、無償による保証について、二〇〇五年以降についても保証するというようなことが声明として出されているということでございまして、ひとまず二〇〇五年というところは超えたのかなというふうに思っております。  ただ、いずれにいたしましても、アメリカの衛星に依存しているということでございますので、アメリカの動向というものを注視していくということが非常に大事なことだというふうに思っております。  一方、ヨーロッパにおきましても、ECとして将来の全世界的な民生の衛星測位システムということで、国際的な民生組織によって運営されるGNSS構想を持っているというふうなこともございますので、そういった動きも注視をして判断の中に入れていかなきゃいけないかなというふうに思っております。  現在、郵政省といたしましては、この問題につきまして、将来の全世界衛星測位システムの在り方に関する調査研究会、ちょっと名前が長くて恐縮でございますが、この調査研究会を持っておりまして、ここでいろいろ検討しております。  いずれにいたしましても、この検討の結果に基づいて対処していきたいと考えておりますが、今御説明申しましたように、アメリカの動向あるいはヨーロッパの動向を注視しつつ、差し向き大切なことは測位技術開発でみずからが持つということだと思いますので、そういった測位技術開発について当面対応していきたいというふうに思っているところでございます。
  38. 松前達郎

    ○松前達郎君 技術開発というのは受ける方の問題ですか、電波を受ける方の技術ですか。
  39. 山口憲美

    政府委員山口憲美君) 衛星の方でございまして、時間が非常に正確でなきゃいけないということと、軌道位置、軌道が非常に精度が高いということがこの技術開発の二つの難しい要件だと聞いております。その辺のところを中心にというふうに考えております。
  40. 松前達郎

    ○松前達郎君 これは今後さらに応用が広がっていくと思うんです。現在では航空機ですとか船舶も皆これになってしまっていますから、船舶の場合はロランなんという不正確な方法をやらなくても済む。ちょっとした小さな計器でもって自分の位置が、一メーターぐらいの誤差でしょうか、そのぐらいで出てくるというんですから、恐らくこれは将来非常に大きな利用範囲があると思います。  次は電波法の問題なんですが、電波法電波というのは一体何かという規定がありますね。三百万メガヘルツ以下の電磁波である、明確にそういうふうに書いてあります。それを通信利用する、それについての法律が電波法である、こういうふうに考えていいと思うんです。ですが、それ以上の周波数があるわけです。未利用周波数帯域もその中に入っていると思うんですが、この方も少し考えていかなきゃいかぬのじゃないでしょうか。  電波の領域はまだまだ上の方にどんどん広がっていく可能性がある。その辺のテラヘルツになりますと光線領域に入っていくわけですが、光通信なんというのはそういう方法で通信をやっているわけです。こういった分野について、現在では例えば赤外線レーザーを使って通信をするということが今もう既にやられているわけです。  そうしますと、通信の手段としてその領域を使うということから、電波法ではないかもしれませんが、それを拡大した形で法律の中に包含してしまうという考え方が生まれてくるんじゃないか。ある意味でいうと規制的な方向だろうと思います。しかし、現在その領域というのは非常に技術的な開発というのが盛んに行われている領域ですから、これをそういうふうなところに入れないで自由に開発をさせた方がいいんじゃないか、こういうふうに私は思っておるわけでありますが、開発するからにはそれに対するバックアップもある程度必要なんですね。  そういう意味から、郵政省の方でこういった領域の通信利用に関する何らかのバックアップというものをお考えになっておられるのかどうかということと、この領域をいわゆる電波法的な取り扱い領域の中に入れてしまうということをお考えになっているのかどうか。私はこれは反対なんです、今は考えるべきじゃないと思いますけれども、そういうふうなことをちょっとお聞かせいただければありがたいと思います。
  41. 五十嵐三津雄

    政府委員五十嵐三津雄君) 国際電気通信連合の条約で、電波というのは当面三百万メガヘルツより低い周波数の電磁波というふうにされておりまして、我が国電波法の中におきましても「三百万メガヘルツ以下の周波数の電磁波をいう」、こういうふうに定義をされております。  一方、国際電気通信連合憲章という中では、周波数の範囲を問わず研究を行い、無線通信に関する勧告を作成することというふうにされておりまして、この辺のところは先生から今御指摘のとおりでございます。  三百万メガヘルツ以上の周波数帯域につきましては、大容量の光無線LANでありますとかあるいは光センシングというようなことでの利用が期待されておりまして、私ども通信総合研究所におきまして五十八年から基礎的な研究開発を実施しておりまして、今後とも積極的に光領域の研究開発をバックアップしてまいりたいというふうに存じております。先般も先無線通信ということでシンポジウムを民間の方々と一緒に開きましたところ、大変大きな関心を呼んだということもございました。  電波法では「三百万メガヘルツ以下の周波数の電磁波」というふうに規定されておりまして、現在のところ三百万メガヘルツを超える周波数帯というのは電波法に定めるいわゆる電波の対象とはなっていないという法律的なところはございます。ただ、申し上げましたように、私どもはバックアップをしてさらにより多くの周波数通信手段を得てまいりたいというふうに考えております。この高い周波数帯域につきまして、光無線で象徴されますように、通信への利用技術の確立を図っていくということは非常に重要なことでありまして、今後ともそういう取り組みをしてまいりたいと思っております。  現段階は、まずは利用技術の確立ということが極めて重要だというふうに考えておりまして、具体的な規制のあり方につきましては光無線の研究開発、こういったものを踏まえまして今後の課題ということで検討していくべきものではないかというふうに認識をいたしているところでございます。
  42. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 日本共産党の上田でございます。  三年前の電波利用料創設の改正案のときには私ども反対をいたしました。というのは、国民の共有財産である電波利用者が排他的、占有的に使用するんだから、その利用料は国民全体に還元すべきだと。しかるに、共益費のみということに限定されていて、しかも大口利用者優遇だというので反対いたしました。  今回、改正内容が二つあります。  一つ利用料の値下げで、個別に検討しますと、一般国民に多いアマチュア無線、それから携帯電話などは値下げの恩恵が及びません。一方、放送事業者はおおむね得をします。同時に、地方自治体、タクシー無線、漁業無線なども負担が減りますので、必ずしも大企業優遇というわけでございませんので賛成ということになりました。  それから、使途の拡大についてはむしろ私どもの主張に近づいた、そう思います。先ほど局長周波数資源の逼迫の解決が必要だと、そのための試験研究という答弁をされました。  そこで一つ質問ですが、この調査室の参考資料にも三年前の改正のときの郵政省の態度としてこう書いてある。「周波数資源・電波有効利用技術開発にかかる経費については、新技術開発による利益を免許人だけでなく将来の免許人等も受けるため、一般財源でまかなうべきとしている」。今回、とにかくこういうかたくなな態度が少し変わったんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
  43. 五十嵐三津雄

    政府委員五十嵐三津雄君) 先生御指摘のとおり、三年前の電波利用料制度創設のときには、周波数資源の開発等ということにつきましては電波利用料を充てることも検討したところでございますけれども、制度創設に当たっては、電波利用者にとって受益がわかりやすいものが適当であるというようなこと、あるいは電波周波数資源の開発等ということは広い概念でありまして、基礎的な研究開発周波数移行のための経費等も含むといったこともございまして、電波利用料を充てることに必ずしも広く理解を得られるという状況ではなかったということで、現行の二つの業務、すなわち電波監視と総合管理ファイルでスタートさせていただいたところでございます。  ただ、法律には百三条の二で、「その他の電波の適正な利用確保に関し郵政大臣無線局全体の受益を直接の目的として行う事務の処理に要する費用」ということで法律的には盛り込まれていたということでございます。  今回、電波利用料を新たに充てる事務というのは、制度創設後のさらなる無線局の急増ということによる周波数逼迫状況への緊急対応ということで、既に開発済みの技術導入しまして技術基準を制定するために行う試験研究事務ということでございます。このような事務の中には、制度創設時の周波数資源開発等の中にも含まれていたものもありますが、無線局が現実に直面しつつある周波数の逼迫の解消を図るものでありまして、一般的な研究開発を行うというのではなくて、技術基準の制定を通じまして無線局を開設する者を対象として行う事務であるということから、一般国民でなくて、無線局の開設の受益を目的とした者というふうに考えることができるのではないか。  以上のことから、負担の公平を図るという電波利用料制度創設の趣旨にもかんがみまして電波利用料を充てることが適当と考えて、今回、法案の改正をお願いしたということでございます。
  44. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 局長、いろいろ弁明的な答弁されておりましたけれども、我々は、利用料値上げになるのは困りますけれども、さらに進んで、例えば難視聴問題とか過疎地の問題とか、それの解決あるいは災害関係の解決とか、国民全体に還元されるよう使うべきであろう、そう思います。  ですから、我々は今度の改正は賛成になりましたけれども、最初に考えた根本問題はなお解決されていません。しかし、局長も先ほどまだ始めてから三年なので今後さらに研究したいという御答弁もありましたけれども、不公平は明白なんですね。  例えば、アマチュア無線局と放送局の実験局は同じ五百円なんです。それから、携帯電話、それからかなり数種類の周波数を使い長距離通信をする航空機も船舶も同じ六百円。それから、首都圏をカバーする東京タワーからの大きな出力電波も地方の二、三百世帯相手のサテライト局も今度でいうと同じ二万五千三百円というように、不公平は明らかなんですね。  ですから、やはり出力だとか、あるいは営業用なのか公共用なのか、そういう性格も考えた料金体系に改善することが必要だと思うんです。無線局の免許申請手数料の方は出力が基本になっている。テレビ放送局では〇・一ワット以下から百ワット以上まで五段階に分かれ、手数料も一万一千円から十五万円まで。船舶局、アマチュア無線局出力で手数料料金が決まっているんです。  ですから、始まってから三年で、今後三年の提案があるんだけれども、先ほど局長が答弁されたように、そういう実態がつくり出しているさまざまな問題点をぜひ検討して、公共性、営業性がどうかとか、あるいは出力とか使用周波数帯がどうかとか、そういう実態に即した検討を進めていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
  45. 日野市朗

    国務大臣日野市朗君) 今お話を伺っておりまして、先生のおっしゃるところも私どももよく理解できるわけでございます。  ただ、この電波利用料をいただくというシステムをつくること自体、そう簡単にたどり着き得たものではございませんで、いろんな苦労を重ねながら現在の一つの制度をつくってきたということでございます。  今度の改正はその一つの枠の中ではございますが、制度が発足をいたしましてまだ期間も少ないことでございますから、今これを大きく変えるということもなかなかできないということでございます。そういう抜本的な改正を今行うことはできないと思いますが、今後の課題として、先生おっしゃるとおりのいろいろな検討をやってまいりたいというふうに考えております。
  46. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 次に、公益法人無線設備検査検定協会の問題を質問したいと思います。  携帯電話、自動車電話PHS、これは非常にふえているわけですけれども、その結果、この公益法人無線設備検査検定協会が莫大な黒字になっているという問題が五月五日の読売新聞で書かれました。郵政省からいただいた資料を拝見しますと、理事十名中郵政省のOB五名ということで、新聞記事によりますと、会長は元郵政省放送行政局長ということで、世論の批判の強い天下りの強い公益法人なんですね。  この新聞記事の問題では、検査手数料を二重取りしていると。書面申請と試験申請、どっちか選択できるという建前になっているのに、実情は、試験申請二千台分全部やって、一台五千五百円を取って、二千台を終わると今度は書面申請を受け付けるという法外なやり方をしているというんですね。それで、どうやら郵政省も多少指導をして、五千五百円を取っていたのを五月十日から三千八百円に下げるという若干の是正が行われたようですけれども、もっと抜本的な是正が必要だと思うんです。  書面と、それからちゃんと機械の現物が来て、それを見てOKならそれでいいんだと思うんですね。それを二千台も検査して金を取っておいて、さあそれから書面審査だ、こういうやり方は許されないと思いますので、実態をさらに調査して改善指導すべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
  47. 五十嵐三津雄

    政府委員五十嵐三津雄君) ただいま御指摘をいただきました無線設備検査検定協会の関係でございますが、この技術基準の適合証明を受ける方法としては、ただいまお話のありましたように、現物の試験機器を持ち込んで試験申請をするという形と書類だけで証明を受ける書面申請の二通りがあります。この方法は、言ってみますと申請者が選択をするということになっておりまして、新聞が報じているように二重の手続を課しているというものではございません。  この協会が技術基準適合証明の申請者に対して申請の手順について説明をするために作成しました申請の手引きというのを見てみますと、その中で、現物を持ち込んで「試験申請によって二千台程度の証明を行った時点で、書面申請への移行の有無を打診いたします」という記載があります。この表現が書面申請に先立って試験申請が必須というような誤解を与えたものではないかというふうに考えられまして、この一文を申請の手続から削除するように協会に既に指導済みでございます。これを受けまして、当協会は、今月中に改定した申請の手引きが発行される予定になっております。  加えまして、当協会では五月十四日にメーカーと関係する方々に対する説明会を開催いたしまして、試験申請と書面申請のいずれの方法を選択するかは申請者にゆだねられていること及び申請の手続の改定につきまして周知を図ったところでございます。機会をとらえましてこの周知を図るように私ども指導をしております。  いずれにいたしましても、今後とも協会が指定証明機関として適正な運営を行うよう十分指導をしてまいりたいというふうに存じております。
  48. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 もう一つ、これは九三年の十月九日の朝日新聞の報道で、社団法人日本アマチュア無線連盟のおかげで、アマチュア無線の方々が要望しているアメリカと同じような包括免許がなかなか進まないのではないかという記事が朝日新聞にかなり出ているんです。  資料をいただきますと、ここも理事十四名中郵政省OB七名、大体OBの方が半分いらっしゃるんですね。日本アマチュア無線連盟は、もう二十年前から今の事業者免許、さらに開局免許、二重になっているんです。ですから三、四カ月かかる。アメリカは包括免許で一カ月以内でできるんだそうです。技術基準が日本とアメリカと違うというのが郵政省の答弁なんだけれども、二十年前から言っているんですよ。  ところが、これがなかなか進まないのは、朝日新聞の記事によると、こういう振興協会の収入が免許を単純にしちゃうと減るということがどうも障害になっているんではないか。「簡素化に「協会」の壁」という大見出しですからね。  そういうことがあると、今何百万人いらっしゃるのかな、アマチュア無線の方々はかなり多いわけでしょう。そういう方々が二十年にわたって、今度の三十八回の通常総会の議案も「バンド使用区別の改善、包括指定制度、ゲストオペ制度の導入」、これらの要望がやっぱり書いてあるんですよ。このバンド使用区別の改善、包括指定制度、ゲストオペ制度の導入、こういうアマチュア無線連盟の強い要望に対して、これを受けるべきだと思うんですが、態度をお聞きいたします。
  49. 五十嵐三津雄

    政府委員五十嵐三津雄君) アマチュア無線の活性化あるいはアマチュア無線家の負担軽減ということから規制緩和をしていくといいますか、そういうことは重要なことであるという認識をいたしております。  これまでの関係者の要望も踏まえまして、最近におきましては、アマチュア無線技士資格の操作範囲を拡大してアマチュア無線局あるいはアマチュア無線局の空中線電力の増力を行うというようなことを図りました。あるいはまた、アマチュア無線技士資格の取得を容易にするというようなことも図ってまいっております。さらに、アマチュア無線技士資格の欠格事由の緩和というようなことも行って、アマチュア無線技士の資格の取得が容易にできるような施策もやってまいりました。  さらに、緩和を進めるということで、ただいま先生からお話のありましたゲストオペレーター制度ということですが、その導入、さらにはアマチュアバンドの使用区分の緩和、これは検討中のところでございます。  まず、ゲストオペレーター制度の関係でございますが、この導入につきましては、アマチュア無線局の免許を受けているアマチュア無線技士資格保有者が、その資格の操作範囲内であれば他のアマチュア無線局の無線設備の操作が行えるようにするということによりまして、アマチュア無線家の運用の機会が拡大されるという方向で今検討しているところでございます。  それから、アマチュアバンドの使用区分の緩和につきましては、アマチュア業務に使用する一・九メガヘルツ帯から十ギガヘルツ帯までの十八の周波数帯域で使用できます電波の型式、これは電信とか電話とか画像等があるんですが、その区分を緩和しましてより自由に行えるようにしようとする方向で今検討しているところでございます。  このほか、四月に導入しました総合無線局監理システム、いわゆるPARTNERの活用によりましてアマチュア無線局の免許事務の迅速化ということも図っているところでございます。  それから、アマチュア無線局の包括免許についてでございますが、ことしの四月にアマチュア無線技士の資格の操作範囲の拡大及びアマチュア無線局の空中線電力の増力、さらには現在検討中のアマチュアバンドの使用区分の緩和の実施に伴いまして、電波監理が適正に行えるかどうか、さらにはアマチュア無線機器の不正使用が増加しないかどうか等アマチュア無線局の運用状況をよく見きわめた上で、その導入の可否について慎重に検討する必要があるというふうに考えているところでございます。
  50. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 終わります。
  51. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 今の上田先生の関連になるかと思いますけれども、調査室からいただきました資料に基づきますと、「不法無線局の出現及び措置数の推移」というのがあるわけですけれども不法無線局が年々増加の一途をたどっているわけであります。平成七年度を見てみますと、三万三千九百四十六件の不法無線局が出現した、こう数字に出ているわけであります。それに対して、郵政省措置されたのがわずか七千四件、二割強かと思うんです。不法無線局の出現の八割のものが野放しの状態になっているというのがこのいただいた資料、統計から読み取れるわけであります。この措置数、措置というのは一体どういうことをなさるのか。不法無線局の開設はたしか電波法四条と百十条の罰則で懲役一年または五十万円以下の罰金という刑罰が科せられることになっているわけですけれども、この措置数、措置はどのようなことなのか。警察との関係もあるんでしょうけれども郵政省はこういう現実に対してどう考えられて、どう対応されようとしているのか、この現実の認識をお尋ねいたします。
  52. 五十嵐三津雄

    政府委員五十嵐三津雄君) 不法アマチュアあるいは不法市民ラジオ、不法パーソナル、そういったもので不法無線局の出現というのはたくさんありまして、ただいま先生から指摘されたように、平成七年度で三万三千を超える、むしろ三万四千に近い数字になっております。これにつきましての措置数というのが七千でございますので、不法無線のうち措置したものは七千程度、他は措置できなかったということになります。  ただ、ここで申し上げさせていただきたいと思いますのは、DEURASシステム等々を入れて把握するようになってきておりますが、電波の場合は一過性で、一回だけ出て、後何も出ないというのも一とカウントされますので、そういうところがございます。それから、出る秒数も継続的に出ないで十秒とか一分以内とか、そういう格好で出てきて回数が多くなるというようなことで、監視体制が強まれば強まるほどそういうものの把握の数字も上がっていくという実態もございます。私ども決してこれで満足しているわけではありませんが、そういう事実があるということでございます。  私どもとしましては、電波監視施設によって固定間での監視をやる、あるいは現地での探査活動をやる、あるいは警察等々と一緒になった捜査機関と共同での取り締まりをやるということによって、その開設、運用者を特定するということでやってまいっております。  正規の無線局への混乱の予防、排除、すなわち無線を正常に使っていただくということで、こういう不正な使い方につきましてはその開設、運用をやめるということで、統計上指導と出ておりますのは、特定できたものについてその開設や運用をやめさせる指導をするということが一つでございます。  それから、もうちょっと長期にわたって混信、妨害、そういう実害を与えるという悪質なものにつきましては捜査機関に告発をするということにいたしております。例えば、平成七年度で見てまいりますと、告発が三百四十五件に上っております。  そういう意味でも、電波監視施設整備も功を奏してきておりまして、前年度対比で見ましても八二%増の不法無線局、すなわち七千四局ということになりますが、その不法無線局措置ができたということでございます。  そういう意味で、今後ともこういった指導、告発といったような措置を適正にやってまいりたいと存じております。
  53. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 郵政省がなさる措置というのは警察に対する告発、平成七年度が三百四十五件だということですが、あと指導というような形だとおっしゃったんですが、例えば当局が告発された三百四十五件中、いわゆる有罪率はどの程度あるか、おわかりですか。
  54. 五十嵐三津雄

    政府委員五十嵐三津雄君) ちょっと今手元に具体的な数字を持ち合わせておりませんが、私の記憶だけで申し上げさせていただきますと、こういう長期に及ぶ悪質なものにつきましては捜査機関と連携をしながらやっておりますので、告発されたものの大半は有罪になっているというふうに受けとめております。
  55. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 次に、最近、都内や近郊の電車の車両基地から緊急時に電車を停止させるいわゆる防護無線機が盗まれている。この無線機を悪用した怪電波によって運転妨害が頻発していると聞いております。幸いにして、今のところ大きな事故は聞いておりませんけれども、この無線機盗難に基づく当局の電波監視体制というか、電車の運行妨害をしようという意図が犯人の意図から読みとれるわけですけれども、こういうものに対する当局の対応状況と申しますか、お尋ねをいたします。
  56. 五十嵐三津雄

    政府委員五十嵐三津雄君) 列車防護無線というものは、事故等異常発生時に無線によりまして警報を発しまして、約一キロ以内の列車を停止させることによって二次災害を防止するというものでありまして、現在JR東日本が設置しているものは六千二百台あるというふうに私ども承知をしております。  四月七日に中央線で防護無線機四台が窃取されたということが判明をいたしました。以来、発信元不明の防護無線とおぼしきものが発報された事件というのがずっと続いておりまして、郵政省電波監視施設DEURASによっても四件について電波を受信いたしております。  こういうことで、私どもとしては発射源と推定される現地への電波監視車を出動させましたり、あるいは電波監視施設による当該周波数の二十四時間の監視とか、あるいはJR東日本それから警視庁との連絡即応体制というようなことに努めて、電波監視の体制を今強化しているところでございます。  ただ、しかしながら発射時間というのは十秒から一分程度、この四回把握されたところでございます。極めて短いというようなことで、いまだ発射源というのは特定されておりません。  この防護無線というのは、電波出力も一ワットということで小さくて、約一キロメートル四万にしか到達しないという状況でございます。私どもの監視システムというのは、センサー局というのは置いている間隔が二十キロ間隔だというようなこともありまして、いまだ残念ながら発射源は特定されていないということであります。  私どもとしては、このセンサー局の設置間隔の細分化を検討するなどしまして、電波監視施設整備、機能の向上を図ってまいりたいというふうに存じております。JR東日本においてもプロジェクトチームをつくって対応するということで、セキュリティーの高い新しい防護無線を開発するとかいうようなことについても取り組んでいるということであります。あわせまして、警視庁も捜査本部を設置して犯人の捜査体制を強化しているということで、こうした関係の向きとの連携も強めながら、監視体制をさらに強化してまいりたいというふうに存じております。
  57. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 次に、携帯電話からの一一九番通報についてお尋ねをいたしますが、携帯電話普及によって、いわゆる一一九番通報が昨年の平成七年度には百本に一本が携帯電話によってなされているという実情なんだそうであります。この携帯電話による一一九番通報によって、消防本部が市町村、県庁所在地にしかないということから携帯電話によって一一九番通報しても早急な措置がなされない。違ったところへ行ったり再度公衆電話からかけ直していただきたいとかというようなことで、最も緊急を要すべき一一九番通報が携帯電話でかけることによってその目的を達しないといいますか、緊急の対応ができないという極めてゆゆしき事態が生じている、このように伺っているわけですが、この問題に対して現在どのような対応を考えておられるか、お尋ねをいたします。
  58. 五十嵐三津雄

    政府委員五十嵐三津雄君) 携帯電話普及してまいります一方で、一一九番通報をしましても、携帯電話からの通報では、警察関係へはきちっと行くんでありますけれども、一一九番の消防関係については必ずしもきちっと最寄りの消防署に伝わるようになっていないという現状でございます。これは、今までの電波を使うシステムのあり方、それから消防組織ということで、消防組織自身が市町村単位になっておりまして、本部が指揮をしたり何かするという形にはなっていないというようなこともかかわっております。  私どもとしては、指揮系統のことは別といたしましても、少なくとも国民皆さんからの連絡体制だけは警察本部のように連絡をして、そこから最寄りの消防署におりるという仕組みが必要だというふうに考えております。現在、各市町村消防本部というのはトータルで九百三十カ所あります。これがそれぞれ独立をしているということで、万が一消防本部に接続するようになっていても、警察の体制のように自動的に各消防署におりるといったことにはなっていないというようなことがございます。  現在、かかわる関係者というのはそれぞれ消防本部の方々、そして携帯電話の事業者ということで、携帯電話の事業者の方々も警察のような本部までネットワークを張ってもらえば自分たちとしてもそこに持っていく専用線を引く等、そういう負担をするというような体制になってまいっております。  そういうようなことで、これまでも消防等関係の向きと連絡をとってやってまいりました。やってまいりましたが、現実に消防庁との協議という中で、この六月中旬に全国消防長会というのが開かれる、その中におきまして検討委員会を設けるというふうに私ども伺っております。そういう意味合いにおきまして、通信事業者の方々の協力を得て速やかな連絡体制がとれるよう、接続の関係になりますけれども、早期実現を目指して促進をしてまいりたいというふうに存じているところでございます。
  59. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 技術的に御検討なさってやっていただくのはもちろん大切だと思いますけれども携帯電話によって一一九番、一一〇番は大丈夫だということなんですが、緊急の火事だとか何かを連絡するのに携帯電話を使用した場合は非常にそういう問題があるということを一般国民は知らないんだと思うんです。それをやっぱり知らしめることをそういう技術的につながるまでの対応としては考えていただきたいと思います。  次にポケベルなんですが、ポケベルも非常に普及率が高くてパンク状態だと聞いているんです。看護婦が医者を緊急患者の場合に呼び出すのになかなか通じないということで、ポケベルによる弊害が非常に出てきている。これも技術的に非常に難しいとは思いますけれども、一般のどうでもいいというとおかしいですが、女子高生や大学生が使っているつまらない会話のためのポケベル利用と、そういう緊急用のポケベルというものを二つに分けるような何か方法というのはないんだろうかと単純に思うんですが、その点、簡単で結構ですがお答えいただきたい。
  60. 五十嵐三津雄

    政府委員五十嵐三津雄君) ポケベルの台数が一千万台を超えまして、最近はPHS普及携帯電話普及によってちょっと頭打ちの状態で伸びがとまってまいっております。ただ、一時期の現象として先生がおっしゃるような状況が出たのかもしれませんが、大きく二つの原因が考えられるというふうに思います。それは、ポケベルの事業者がNTTと結ぶ専用線の設備を十分に確保しているかどうかというような観点、それから私どもにあっては周波数の問題ということになります。  いろいろなこれまでの苦情等々を踏まえ、事業者の方々は専用線の容量の確保に努めているというふケに存じておりますが、私どもとしましては現行のポケットベルの二倍以上の収容能力を持つ新しい方式、高速ページャーシステムというふうに言っておりますが、それを導入することを可能にしまして、平成七年の六月一日からそれが施行できるように省令の改正をいたしました。  そんなことで、本年三月から一部の事業者がこの高速無線ぺ−ジャーサービスを提供しているということで、今後、各事業者が東京、名古屋、大阪、こういったところを中心にこの高速無線呼び出し方式導入を図るということですので、周波数利用は促進されるものというふうに期待しておりまして、今、先生から御指摘のあったような問題点というのは解消していくものというふうに考えております。
  61. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 済みません。大臣に対して質問通告しておりながら、時間の配分でできなくて申しわけありません。  終わります。
  62. 中尾則幸

    中尾則幸君 中尾でございます。  電波法に関する質疑の前に、郵政大臣に一言お伺いしたいと思います。    〔委員長退席、理事陣内孝雄君着席〕  去る五月三十日、衆議院の逓信委員会におきまして、TBSの情報番組に次期衆議院選の候補予定者が出演したということでございますが、それについて大臣は政治的公平を欠き極めて遺憾というふうに発言したとマスコミ等で報道してございます。  御存じのように、電波法七十六条の規定で郵政大臣は放送局に対して行政罰を加える権限を持っておりまして、発言の持つ重みは極めて大きいと私は考えます。今回の場合、明らかに特定の政治勢力や立候補予定者に加担したり、これは恣意的な報道に当たるわけですけれども、あるいは一方的な見解を押しつけるということであれば、放送法第三条の規定に触れるということも考えられますが、今回の場合はどう見ても法の規定に触れるものではないというふうに私は判断しております。大臣も法律の専門家でございますので、私が言うまでもないと思いますが、この点については十分把握していると思います。この際、大臣の真意を確かめたい、伺っておきたいと思います。
  63. 日野市朗

    国務大臣日野市朗君) 先生も長い間テレビの世界で仕事をしてこられた方でございますから、テレビの持つ影響力は非常に強いものだということはよく御存じと思います。  それで、特に放送法に「放送の不偏不党」というようなことの規定もございますし、またテレビの各事業者がそれぞれの基準もいろいろお持ちでございます。とにかく少なくとも選挙に影響を与える可能性のある問題については、どの党について扱う場合もでございますが、今回のケースも、それからそのほかのいろんな番組についてのいろんな各党の組み合わせというのはあると思うんですが、どの党について扱う場合であっても特に慎重な対応が必要であるという趣旨を私はそのときに述べさせていただいたつもりでおります。    〔理事陣内孝雄君退席、委員長着席〕  これは五月三十日の委員会でございましたが、五月二十二日の衆議院逓信委員会で御指摘があった番組を一つの例として、私はそのときに個人的な見解を述べたつもりでおります。そして、五月三十日の逓信委員会におきましても、誤解を避けるために、念のため政治家としての発言という旨をお話ししておいたところでございます。大臣の立場として個別の番組について批判をしたものではございません。発言内容が誤解を招いたとすれば、それは私の意図するところではないということをひとつ御理解いただきたいと思います。
  64. 中尾則幸

    中尾則幸君 ただいまの発言を聞いて私も安心いたしました。番組準則にありますけれども、当然政治的公平を確保する、それにもう一つ大事なのは、意見が対立している問題には双方のその対立した意見をできる限り取り上げるという、これは放送法の規定ばかりじゃなくて報道人の務めであろうと思います。  報道の自由がいろいろ言われておりますけれども、当然報道の自由というのは国民の知る権利を保障するということでございまして、ただそれは何もかにもすべて自由だと私は思っておりません。放送人がみずからを律して、それに立ち向かっていく姿勢というのは私も指摘しておきたいと思います。  これは大変な問題でございますので、大臣の立場ということを離れた発言であったように思いますけれども、やはり大臣の発言というふうにどうしてもとられますので、よりより慎重な対応を私は求めたいと思います。  次の質問に移ります。今回提出された電波法改正についてちょっと伺います。  今回の改正では電波利用料の使途拡大内容一つであります。その中で、電波利用がふえるに従って周波数等の研究開発など積極的に推進する、この姿勢は私は大変重要であろうかと思います。申すまでもなく、電波利用をめぐる環境の変化はまさに日進月歩と言っていいかと思います。  そこで、移動体通信あるいは放送等デジタル化について有限で数少ない希少な電波をどう利用するか、どう利用拡大を図っていくかということについて郵政省はどう取り組んでいくのか、また今回の法改正によって電波有効利用がどう広がっていくのか、お示し願いたいと思います。
  65. 五十嵐三津雄

    政府委員五十嵐三津雄君) 移動体通信、そういった分野で特に周波数の逼迫は緊急の課題になっているということで、今回こういう改正をお願いしているわけでございます。  具体的に移動体通信周波数逼迫対策のために取り組もうとしていることについて御報告をさせていただきます。これは、当面平成八年度ということを考えてのものでございます。  一つには、現在固定通信利用されておりますマイクロ波帯、三ギガヘルツから十ギガヘルツなんですけれども、この周波数帯電波利用していわゆる移動通信に使っていけないかというような研究分野一つございます。  それから、現在、公共業務用として利用している電波の幅を狭帯域技術によって狭くしまして、多くの無線局を収容して移動体通信を行うというようなこともあわせて検討するということにいたしております。  それから、放送分野での周波数逼迫対策のために、具体的にはデジタル技術を用いまして周波数利用効率を向上させて多くのチャンネルを伝送する技術についても研究開発を行っていくということで考えているところでございます。
  66. 中尾則幸

    中尾則幸君 ただいま御説明ありました帯域圧縮技術は今大変進んでいるというふうに思っておりますけれども、それに関連して、先ごろ郵政省から放送高度化ビジョン中間報告が出されました。光化、今御説明あったデジタル化へと向かう技術革新への意欲的な取り組みといいますか、これは私は評価してよかろうと思います。  ところで、これを読ませていただきましたけれども、この報告書はなかなかわかりにくい面もございます。例えば、デジタル放送とハイビジョンの関係はどう考えればいいのか。二十一世紀初頭は放送のデジタル化を達成とありますけれども、ハイビジョンとなるといま一つ郵政省の歯切れが悪いわけです。私も三年前からハイビジョン問題を取り上げてまいりました。そのとき、郵政省としては過去の経緯から、いわゆるアナログ方式のハイビジョンを推進したという経緯もございましたけれども、それがあるのかなと思います。世界の趨勢を見るまでもなく、今度CSが、これはデジタル放送、九月から有料放送を開始する。何でBSがアナログなんだという意見も当然あったと思いますけれども、デジタル放送とハイビジョンの関係について歯切れの悪いところを聞くのは大変恐縮なんですが、一言歯切れのいい答弁をお願いしたいと思います。
  67. 楠田修司

    政府委員(楠田修司君) デジタルの問題とハイビジョンに入る前に、その前段となるデジタル化と多チャンネル化ということをちょっと申し上げたいと思うんです。  御承知のとおり、現在、放送のデジタル化というのは世界の潮流となっております。先生御指摘のこの中間報告におきましても、二〇一〇年にはサイマル放送としてのアナログ放送は残るものの、衛星放送、CATV、地上放送とも全体的にデジタル化するだろうと。したがいまして、将来のデジタル化の流れは当然の動きであるということでございます。  このデジタル化の効果といいますか、メリットというのは、これまでいろんなところで論ぜられておりますので省略をさせていただきますけれども、これは放送産業の面、視聴者の面、あるいは放送制度のあり方、いろんな面に影響を与えるとともに、非常に大きなメリットを与える、かつ通信との融合であるとかあるいはコンピューターとの融合ということで、あらゆるサービスが可能になっていることは御案内のところでございます。  その中で、ハイビジョンとデジタルというのはどうなるかということでありますが、ハイビジョン放送というのは我が国世界に先駆けて開発した非常に高精細度のテレビジョン放送でありますが、これは御指摘のとおり伝送方式がアナログでございます。伝送方式以外はすべてデジタルとなっておりますので、受信機とかあるいは撮影のところ等はいろいろデジタルになっておりますが、伝送の波のところがアナログとなっておるということであります。  一方、デジタル放送というのは、先ほど申し上げましたように、圧縮技術利用しまして非常に少ない電波でもってたくさんのチャンネルがとれるということと、それからまた将来は高精細のものも可能になっていくということであります。  そうしますと、将来はハイビジョンも含めまして恐らくデジタル化するだろうというふうに思いますが、現段階としては、このハイビジョンによって培われた高画質の技術、これは伝送以外はすべていろいろデジタルになっておるわけですが、こういうものを生かす、あるいは今のソフトをどんどん蓄積するという意味で、アナログのハイビジョンというのはそれなりの意味のあるものであるということでございます。そういう意味で、ハイビジョンにつきましては、来年打ち上げのBS4の先発機におきましてもこれを継続する。したがいまして、二〇〇七年まではアナログで継続するということを決めたわけでございます。  そのうちにいろんなものが、地上放送も含めてデジタル化するわけですが、ではその段階においてハイビジョンがどうなるかということも一つのこれからの検討課題であります。あえて申し上げますならば、デジタル化しましてもアダプターをつけるという方法が一つございます。それからもう一つは、同時にサイマルでアナログも視聴者のために流すという方法があるわけです。これは決めているわけではございませんが、こういうふうな形で解決可能な問題である。ただ、今の段階ではハイビジョンでデジタルのものはまだない、これだけは申し上げられると思います。
  68. 中尾則幸

    中尾則幸君 きょうあすの話じゃなくて、これは二〇一〇年の話ですね。さっき御説明ありましたBS4の先発機、これは二〇〇七年までなんですよ。そのときの技術革新を見れば、私は二〇〇七年まで、それは当時の電監審の方向もございました、九三年時代は確かにこれほど帯域圧縮技術を含めて進展するとは思わなかったということは私も理解はしております。しかし、それについては郵政省は大変苦しい胸のうちがあろうかと思いますけれども、十分検討していただきたい。  それで、今ありましたBS4の先発機に続いていわゆるBS4の後発機の問題、これについては放送方式あるいは利用主体が決められないまま三年間先送りされた。いや、先送りじゃないんだよという意見もございますけれども、先送りされてきました。そしてこの報告書では、放送はデジタル化する、それからBSとCSの放送の境目が次第になくなる、これはもうはっきり予測しているわけでございます。それでもまだBS4の後継機については結論を出さない。  郵政省はこれから一年かけて論議を重ねて結論を出すというように聞いておりますけれども技術革新の著しい今にあって、行政当局の政策決定のおくれがやっぱり今後のメディア産業ばかりじゃなくて社会経済にも非常に大きな影響を与えるんじゃないかなと私は思っているんですが、これについて御答弁願います。
  69. 楠田修司

    政府委員(楠田修司君) 先生御指摘のとおり、平成五年の電波監理審議会では、当時は、放送分野におけるデジタル技術というものは開発段階である、したがいましてデジタル技術導入は時期尚早であるという認識のもとに、BS4におきましてはアナログ方式の放送が好ましいという答申をいただいたわけであります。  しかし、その答申で、同時に、デジタル技術というのは当時動いておりまして、そういうような急激な発展があり得る、場合によっては想定し得なかった大きな状況変化が起こることも考えられるから、そういうときにはその環境変化に応じなさいという答申をいただいたわけであります。  それで、実は三年間たったわけですが、その三年の間にその後のデジタル技術の発展というのは非常に急激でありました。MPEG2という標準化が進められ、各国もどんどんデジタル化するというところで三年を迎えたわけでありまして、そういう中で当初の答申どおりでいくかどうかということは後半の部分の判断を見て、やはり一年程度デジタル化の動き、諸外国の動き、それから視聴者の利益をどう考えるか等々を含めてやはり一年程度また関係者の意見を聞いてじっくり考えて、一年後に結論を出すということに今回したわけでございます。
  70. 中尾則幸

    中尾則幸君 残り一分しかありません。この放送高度化ビジョンのソフト供給政策については非常に不明確だと。チャンネルは大変ふえる、CATVあるいは衛星放送、地上放送、多チャンネルの時代を迎えると言っておきながらいわゆるソフト政策がなかなか見えてこない。これは機会がありましたらまた改めて御質問申し上げます。  それで、今MPEG2、私も京阪奈で見てまいりました。帯域圧縮技術、これは大変すばらしいものがございまして、もはやデジタル化の時代だなということの認識を強めてまいりました。  ですから、郵政省は今までいろいろ政策誘導含めて検討されているということは私も承知しております。デジタルへの通信・放送の融合とか、いろいろな問題がございますけれども、ぜひともその方向を誤らないようにしっかりと取り組んでいただきたいと思います。  これで質問を終わります。
  71. 及川一夫

    委員長及川一夫君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  72. 及川一夫

    委員長及川一夫君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。——別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  電波法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  73. 及川一夫

    委員長及川一夫君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  広中君より発言を求められておりますので、これを許します。広中君。
  74. 広中和歌子

    広中和歌子君 私は、ただいま可決されました電波法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、平成会社会民主党・護憲連合、日本共産党、二院クラブ及び新党さきがけの各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。    電波法の一部を改正する法律案に対する    附帯決議(案)  政府は、本法の施行に当たり、次の各項の実施に努めるべきである。一、電波利用料額については、最近の携帯電話  等の無線局増加状況も踏まえ、無線局の区  分間の公平な負担電波利用の実態に配慮  し、適正な水準確保に努めること。一、電波利用拡大・多様化に伴い、様々な社  会問題も生じてきていることから、国民が安  心して電波利用できるよう環境の整備に努  めること。  右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  75. 及川一夫

    委員長及川一夫君) ただいま広中君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  76. 及川一夫

    委員長及川一夫君) 全会一致と認めます。よって、広中君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、日野郵政大臣から発言を求められておりますので、これを許します。日野郵政大臣
  77. 日野市朗

    国務大臣日野市朗君) ただいま電波法の一部を改正する法律案を御可決いただき、厚く御礼を申し上げます。  本委員会の御審議を通じて承りました貴重な御意見並びにただいまの附帯決議につきましては、今後の郵政行政を進めるに当たり御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。  まことにありがとうございました。
  78. 及川一夫

    委員長及川一夫君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  79. 及川一夫

    委員長及川一夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時十分散会      —————・—————