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1996-05-30 第136回国会 参議院 逓信委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年五月三十日(木曜日)    午後二時四分開会     ―――――――――――――    委員異動  五月二十八日     辞任         補欠選任      水野 誠一君     中尾 則幸君  五月二十九日     辞任         補欠選任      中尾 則幸君     水野 誠一君  五月三十日     辞任         補欠選任      河本 英典君     三浦 一水君      水野 誠一君     中尾 則幸君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         及川 一夫君     理 事                 陣内 孝雄君                 吉村剛太郎君                 広中和歌子君                 松前 達郎君     委 員                 岡  利定君                 景山俊太郎君                 河本 英典君                 北岡 秀二君                 保坂 三蔵君                 三浦 一水君                 守住 有信君                 小林  元君                 西川 玲子君                 林 久美子君                 伊藤 基隆君                 上田耕一郎君                 山田 俊昭君                 中尾 則幸君    国務大臣        郵 政 大 臣  日野 市朗君    政府委員        郵政大臣官房長  谷  公士君        郵政大臣官房審        議官       品川 萬里君        郵政省通信政策        局長       山口 憲美君        郵政省電気通信        局長      五十嵐三津雄君        郵政省放送行政        局長       楠田 修司君    事務局側        常任委員会専門        員        星野 欣司君    説明員        警察庁生活安全        局生活安全企画        課長       平石 治兌君        郵政大臣官房総        務審議官     内海 善雄君        建設省道路局路        政課長      峰久 幸義君    参考人        株式会社東京放        送代表取締役社        長        砂原 幸雄君        株式会社東京放        送取締役     鴨下 信一君        株式会社東京放        送取締役     鈴木 淳生君        弁  護  士  佐藤庄市郎君        通信放送機構        理事長      小山 森也君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○郵政事業通信放送及び電波等に関する調査  (オウム報道等に係るTBS問題と放送の在り  方に関する件) ○電気通信基盤充実臨時措置法の一部を改正する  法律案内閣提出衆議院送付) ○通信放送機構法の一部を改正する法律案(内  閣提出、衆議院送付) ○電波法の一部を改正する法律案内閣提出、衆  議院送付)     ―――――――――――――
  2. 及川一夫

    委員長及川一夫君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  本日、水野誠一君が委員辞任され、その補欠として中尾則幸君が選任されました。     ―――――――――――――
  3. 及川一夫

    委員長及川一夫君) 次に、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  郵政事業通信放送及び電波等に関する調査のため、本日の委員会株式会社東京放送代表取締役社長砂原幸雄君、株式会社東京放送取締役鴨下信一君、株式会社東京放送取締役鈴木淳生君及び弁護士佐藤庄市郎君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 及川一夫

    委員長及川一夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  また、電気通信基盤充実臨時措置法の一部を改正する法律案及び通信放送機構法の一部を改正する法律案審査のため、本日の委員会通信放送機構理事長小山森也君参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 及川一夫

    委員長及川一夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  6. 及川一夫

    委員長及川一夫君) 次に、郵政事業通信放送及び電波等に関する調査のうち、オウム報道等に係るTBS問題と放送の在り方に関する件を議題とし、参考人から意見を求めることといたします。  この際、参考人方々に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多忙中のところ、本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。委員会を代表してお礼を申し上げます。  本日の逓信委員会TBS社長を初め四名の参考人出席を求めましたのは、去る四月二日の逓信委員会で、オウム問題の報道に関して説明を受け、論議を交わした経過があってのものであることを申し上げておきます。つまり、放送倫理観点から、社会的に問題となっていたTBSオウムをめぐる報道についての質疑が交わされた後、結論として、その時点での報告はあくまで中間的なものであり、当日の国会論議を重く受けとめ、なお調査を続けたいとの態度が表明されました。そして、四月三十日、報告書がまとめられ、本委員会報告する運びになったものであります。  したがって、本日の運営も、まずTBS側から二十分ほどお話をいただき、その後、各委員からの質疑を求めることといたしたいと思います。  それでは、砂原参考人にお願いをいたします。砂原参考人
  7. 砂原幸雄

    参考人砂原幸雄君) 砂原幸雄でございます。  本日は、審議御多忙の中、私どもをお招きいただき、まことにありがとうございます。  前回、四月二日の本委員会では、私どもの前社長磯崎洋三出席させていただき、坂本弁護士テープ問題に関する経緯などにつきまして御説明を申し上げました。今回の当社事態につきましては、委員長を初め委員皆様に大変御迷惑をおかけいたしましたこと、まことに申しわけございません。  私どもは、坂本さんとの信頼関係をみずから損ない、視聴者聴取者国民皆様信頼にもひびを入れてしまいました。私どもではこうした事態を極めて重大かつ深刻に受けとめ、鋭意事実関係の再調査を進めました。その結果を先月三十日に取りまとめ、郵政省に提出するとともに皆様のお手元にもお届けをいたしました。また、記者会見及び特別番組としてテレビラジオを通じて全国の視聴者聴取者国民皆様にも直接お伝えをいたしました。ゴールデンウイークのさなかでもありました関係で、委員皆様には詳しく御説明をする機会を失い、本日になりましたこと、深くおわび申し上げます。  本日は、再調査の結果と再発防止のための改善策につきまして概略を御報告させていただきたいと存じます。  再調査は、テープを見せていたという事実が判明いたしました直後の三月二十七日に開始するとともに、独立した調査人として、ここにおられる元最高裁判事佐藤庄市郎弁護士調査を委嘱いたしました。その後、約一カ月の調査の結果は以下のとおりでございます。  まず、坂本弁護士テープ問題でございますが、一九八九年十月二十六日、「3時にあいましょう」の金曜日担当プロデューサーが富士宮におけるオウム取材の際に坂本弁護士インタビューテープの存在をオウムに知らせ、その結果、同日夜、オウム幹部当社千代田分室に来訪いたしました。金曜日プロデューサー総合プロデューサーの二人はオウム要求に応じ、当該テープを彼らに見せる指示をしたものです。これは取材の原則を逸脱する行為であり、また取材協力者との信頼関係を損ねたという点で番組制作のモラルにもとる行為でありました。  問題のテープが翌日の放送に使用されなかったのは、必ずしもオウムの圧力によるものとは言えないにしても、彼らの訪問が放送中止の一因であったことは否定できません。また、失踪事件公開捜査後もオウムの来訪を関係者に通知しなかったことは、テープを見せたことに対する後ろめたさがあったためであると判断いたしました。これは、取材者制作者であるがゆえに知り得た情報放送を通じて知らせなかった点で重大な誤りでありました。  こうした行為が生じた背景には、ワイドショーなどの情報系番組が増大する傾向に制作力が追いつかなかったこと、現場教育欠陥管理者の配置に適切さを欠いたこと、組織における責任体制機能していなかったことなどがありました。そして、テープ問題が発生した時点当社組織として対応し得なかったこととあわせますと、全体的な責任当社そのものが負うべきものと判断いたしました。  ボンにおける麻原単独インタビュー当社報道局記者に対するお返してはないかという点でございますが、この記者オウム教団及び社会情報局との関係調査した結果、オウム幹部認識と事実関係が一致していないことが判明いたしました。  さらに、一九九五年三月の強制捜査情報の漏えい問題に関しましては、当社関係者がそのような情報を通報した事実は認められませんでした。  次に、本年三月十一日の当社調査報告概要が誤ったものとなった原因について簡略に御報告いたします。  第一は、昨年九月段階で、当社として坂本弁護士テープについて捜査当局が強い関心を示していることを知った時点で問題の重要性認識に欠けるものがありました。そのため、当社調査初動体制に不備が生じ、このことが調査全体に最後まで影響したものであります。さらに、十月十九日に日本テレビテープ問題を報道した際には、報道機関として冷静な判断を示し得ず、感情的な選択を行う結果となりました。その後も社内調査の限界を超えることができず、見せた記憶はないという二人のプロデューサーの証言を覆すことができませんでした。  こうした経過の中で、決断の先送りと不作為という誤りを積み重ね、調査方針を変更する機会を失い、誤った報告を行うことになったものです。報道機関としてこのような結果を公表いたしましたのはまことに申しわけなく思っております。  以上が再調査結果の骨子であります。  こうした再調査の結果を踏まえまして、四月三十日、当時の番組「3時にあいましょう」の総合プロデューサー懲戒解雇の処分といたしました。金曜日担当プロデューサーにつきましては既に三月二十五日付で懲戒解雇といたしております。さらに、五月一日、磯崎洋三代表取締役社長及び取締役辞任杉本明代表取締役専務及び取締役辞任、既に前回調査誤り責任をとって常務取締役辞任しておりました大川光行取締役辞任いたしました。また、残る常務谷田志津雄田代功鴨下信一鈴木淳生の四人は常務取締役辞任して取締役となりました。磯崎にかわり、私、砂原幸雄が五月一日付をもちまして代表取締役社長に就任いたした次第であります。  さて、私どもでは、再調査と並行して、問題が起きた要因として当社に構造的な欠陥があったとの認識から、組織番組制作あり方について全面的な見直しを進めておりました。その上で、制作現場組織教育研修システムの再構築、チェック機能強化拡充管理部門整理統合番組内容改善の五項目に分けて改善策を検討いたしておりました。  そして、五月十七日に日野郵政大臣より、厳重注意とともに、再発防止のため、放送番組素材管理体制の確立を図る等番組制作体制見直し社員及び社外スタッフに対して制作現場実情に見合った実践的な教育研修が十分行えるよう研修体制を見直す、事実関係調査等について組織的かつ迅速に対応できるよう組織機能を見直す、番組考査部門充実強化を図る等番組チェック機能改善する、取材対象者等に対して十分に配慮できる体制を充実させる、視聴者に対し本件についての社としての責任対応を明確にする、以上六点について具体的な措置を講ずるよう強く指導を受けました。  当社といたしまして検討作業を急いだ結果、十七日と二十日に分け改善策を発表いたしたところでございます。  以下にその改善策について御報告をさせていただきます。  まず、番組制作体制見直し組織改革について御説明申し上げます。  今回の当社不祥事は、まずは主として、かつてのワイドショー番組「3時にあいましょう」の制作現場で発生したものであり、これを踏まえて情報系生番組制作体制を総点検してまいりました。  ワイドショーという番組スタイルそのものは、それ自体としては一概に否定されるべきではなく、テレビが開拓してきた最もテレビ的なジャンル一つとして評価されてもよいのではないかと私は考えております。しかしながら、この長所を支える基盤がいかにも脆弱でありました。総点検の結果、みずからの制作力取材力を超えた、言うならば身の丈を超えた番組づくりが今回の不祥事の大きな要因であることが明確となりました。番組コンセプトジャンルをもう一度はっきりさせていくことも当然ながら必要であります。さらに、放送番組素材管理体制改善も早急に進めるべきテーマでありました。  こうしたことから、まず番組制作現場に関しまして思い切った組織改善を行うことといたしました。  具体的には、社会情報局番組単位報道局制作局とに移し、再編成することといたしました。番組名で申しますと、従来、社会情報局でつくっていたもののうち、「サンデーモーニング」は報道局に、その他の番組制作局に移しました。これによって、テレビ番組制作関連部門は従来は四局でしたが、報道制作、スポーツの三局に整理統合されることになりました。こうした措置で、専門性が必要とされる分野などの面で取材を一元化し、放送に混乱の起きないよう図ってまいりたいと考えております。今回の制作組織整理統合内部組織改善、その運用の改善により放送番組素材管理体制も明確にさせることになると確信しております。  また、今回の不祥事では、番組チェック機能が的確に働かなかったことが大きな要因一つでありました。番組チェック体制見直しを進める中で、パッケージ番組、生番組など、番組の形態に応じたチェック体制が必要であり、しかも放送前、放送中、放送後を通じて行われるべきであることも明らかになりました。さらに、教育研修を強化することによってチェック機能効果をより高めることも必要と考えました。  こうした検討作業の結果、編成考査局を新設することといたしました。この編成考査局ラジオテレビにまたがる考査全般担当することになります。また、制作現場から独立したモニターグループをここに設けます。これによって、これまで十分に機能していなかった生番組チェック担当させることにいたしました。加えて、社外モニター制度を早急に発足させることにいたしております。オンブズマン制度につきましては引き続き具体化を検討してまいります。  さらに、番組審議会はこれまで総務局審査部担当しておりましたが、番組審議会事務局として独立した部署に担当させることにいたしました。これによって、番組審議会運営が円滑に行われるようになり、放送法で求められている番組審議会機能の活用が十分発揮できるものと考えております。  以上のほか、報道局には新しく編集主幹のポストを設けて、取材上、編集上の問題などを統括し、現場指導させることにいたしました。また、制作局でも制作推進部を設置し、番組チェックや内外の番組制作スタッフ教育研修を徹底させることといたしました。  さて、番組をつくるのは人間であります。仕組みマニュアルを立派にしても、そこにいる人間能力意欲判断力をきちんと働かせなければ何の意味も持ちません。従来の教育研修制度を充実させ、活性化させることが重要と考え、教育研修のかなめとして教育研修部を新設することにいたしました。ここでは、従来、全社一律に実施してきたさまざまの段階での教育研修を一層充実させるとともに、教育研修を受けることを厳しく義務化して効果を高めるようにいたしました。  さらに、従来現場それぞれの裁量に任せていた現場教育についても、番組制作にかかわる各局に教育担当者を配置し、教育研修部指導のもとで、今後、現場それぞれに合ったカリキュラムを作成し、体系的で実践的な教育研修を行ってまいります。社外スタッフに対しても、同様に教育研修部指導し、実情に応じた教育研修を統一的に実施するよう進めてまいります。   さらに、倫理綱領マニュアルにつきましても、各現場で既に見直し作業を進めつつありますが、早急に取りまとめた上、この教育研修部が集中的に社内関係会社等での周知徹底を図ってまいります。  管理部門につきましても、今回の事態に関しましては、事実関係に関する社内調査を初め、社としての対応が適切、十分でなかったことが強く指摘されました。この点、郵政大臣からも見直し改善を強く求められたところであります。  番組制作現場ばかりでなく、管理部門においても肥大化、非効率化が進み、迅速かつ的確な対応ができがたい状況にあったことは事実であります。特に、問題が生じた場合、事実関係調査判断組織的かつ迅速的確にできるよう整備することが重要であります。  そこで、社長室を拡充いたしました。ここに、それぞれ責任分野を分け持つ局長クラス担当者を複数配置し、社長を補佐させるとともに総合的ないわゆる危機管理の指揮を担当させることといたしました。そのために総合調整委員会組織して、恒常的に専門的な活動ができるようなベースをつくっておき、いざというときに組織的かつ迅速的確に対応させることといたしました。  総務局には法務部を置き、みずからの取材放送視聴者聴取者の権利を侵害する結果になってはいないか、取材対象者に対する配慮などを十分にしていないのではないか、こうしたことに対応することが今重要な時期になってきております。法務部はこの要請にこたえるべく設置したものであります。  今回の法務部の設置とあわせ、さきに申し上げた教育研修制度充実等により、取材放送する上で広い問題意識社員社外スタッフが持つように意識改革を一層推進してまいる所存であります。  このほか、経営企画局国際部メディア企画部を吸収し、二十一世紀に向かってメディアマルチ化国際化が一層進展する中で総合的な経営戦略を立てやすくすることといたしました。  以上の措置で、局レベルで八つあった管理部門は六つとなりました。  最後に、番組内容改善でありますが、まず、私どもTBSの代表的なワイドショー番組スーパーワイド」を今月いっぱいで終了させていただくことといたしました。坂本弁護士テープ問題を契機に、TBS番組あり方組織制作体制の抜本的な見直しをすることを対外的に発表しました。特に、取材力制作力に比べて放送時間が膨張している情報系生番組見直しが急務であり、その第一段として「スーパーワイド」を終了することにしたものであります。また、「スーパーワイド」は今回問題を起こしたプロデューサーが長年にわたってかかわってきた番組であり、謹慎、自粛の意味もございます。  先ほども申し上げましたが、ワイドショーそれ自体テレビというメディアが生み出したユニークな情報処理のジャンルとして評価すべき面を持っております。出演者皆様にも努力を重ねていただいてきたと思います。しかし、反面で制作手法番組内容に問題も出てきました。今回の経験で私どもワイドショー番組番組コンセプト制作手法にさまざまな問題を抱えていることを自覚させられました。  今後も、情報系番組につきましては、先ほども申し上げましたように、番組コンセプトジャンルをはっきりさせていくという作業の中で、さらに整理改善してまいる所存でおります。  以上、番組面改善について報告させていただきました。  このほか、先週月曜日から金曜日まで実施いたしましたが、今回の不祥事に関しまして目に見える形でのおわびとしまして「筑紫哲也ニュース23」第二部以降の深夜放送を休止いたしました。私どもは、自粛するという形がおわびといたしましては最も明瞭な形であろうと考え、実施いたした次第であります。  私ども民放としては、出演者及び外部制作スタッフは当然のことながら、番組を支えるスポンサー、広告会社など多くの外部方々協力が必要であります。今回、当社が起こした不祥事視聴者聴取者国民信頼を失った上に、直接間接にそうした外部関係者に御迷惑をおかけし、そうした方々からの信頼をも損なったと思っています。  私としては、各方面の方々信頼を回復する、あるいは新しく信頼を築いていくために、今回犯した過ちを徹底的に反省し、TBSは新しく生まれ変わるべきだと強く認識しております。当社改善措置は新しく生まれ変わるための道づくりだと心に決めております。  組織機構面改革は先週二十三日に人事異動を行って実施に移しました。形は変わったばかりであります。マニュアル仕組みをどんなに変えても、それを運用する人間能力意欲判断力を的確に発揮しなければむだになってしまいます。今後は、教育研修を通じ、また新しい組織機構を運用していく中で、社員そして一緒に番組制作に携わる外部スタッフがともに意識改革していくことが最も重要なことだと思います。私は陣頭に立ってこの改革を推進してまいる決意でおります。  今後とも御指導、御鞭撻を何とぞよろしくお願い申し上げまして、報告を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  8. 及川一夫

    委員長及川一夫君) ありがとうございました。  以上で砂原参考人意見の陳述は終わりました。  これより参考人に対する質疑を行います。  本日は、あらかじめ質疑者を定めないで、委員の皆さんには自由に御質疑をいただきたいと思います。質疑を希望される方は挙手をし、私の指名を待って質疑を行っていただきたいと存じます。  なお、自由な質疑方式が特定の委員の方に偏っては問題がございますので、大変恐縮ですけれども、お一人五分以内を意識されて御質疑をいただきたいというふうに思います。  なお、再質問は、これを時間の範囲内で許すことにいたしますから、再質問ありということでひとつ御協力をお願いしたいと存じます。  それではどうぞ。
  9. 北岡秀二

    北岡秀二君 自民党の北岡でございます。  砂原参考人初め参考人皆様方大変お忙しいところ、本委員会に御出席をいただきましてありがとうございます。  また、先日の砂原社長就任記者会見におかれましては、再発防止に向けて渾身の努力を傾けて今後頑張っていくという決意を表明されましたし、そしてまたきょう、今後の対策等について改めてこの場でいろいろお話をいただいたわけでございますけれども、まずもって、どうか信頼回復に向けて今後全力を挙げて取り組んでいただきたいということを最初に申し上げておきたいと思う次第でございます。  それと、今回の一連の事件というのを私拝見させていただいておりまして、今のコメントの中にもありましたけれども、これはTBSあるいは放送業界の構造的なあるいは制度的な根本的な部分のゆがみがたまたま出てきたんじゃないのかなというような認識を私はさせていただいておるわけでございます。そういう観点から、基本的な枠についてどういうふうにお考えをいただいておるのかということを二、三お伺い申し上げたいと思う次第でございます。  私ども、最近、この事件に関連して、テレビ業界の視聴率あるいは視聴率至上主義というような話をよく耳にするわけでございます。確かに、私も間接的に仄聞いたしますと、視聴率によってテレビ自体の、放送業界自体の動向がいろいろ変わってきた節もある。そしてまた、ともすると何か視聴率自体放送界の目的のような取り違いも起こってきておるような現象もなきにしもあらずというような印象を持っておるわけでございます。  しかしながら、多分皆さん方もお感じだろうと思うんですけれども放送界の本来の使命というのは、別に視聴率獲得が使命じゃなくて、言論の自由あるいは表現の自由という崇高な自由が保障されておる以上、もっと大きな崇高な使命というのがあるような感じがするわけであります。  新しく社長さんに就任された時点で、TBSとして、あるいは放送業界としての使命をどのように感じておられるのか、お聞きを申し上げたい。  そしてもう一つ、これまたよくある議論でありますけれども、今申し上げました表現の自由あるいは報道の自由が保障されておる以上、その裏にはそれを全うするだけの責任があって初めて自由が保障されるんだという議論がよくあるわけであります。放送業界の中にあっての責任というのをどういうふうに感じておられるのか、まず総論でちょっとお聞かせをいただきたい。  それともう一点、先ほど放送番組審議機関について新しく独立した事務局で対応するということをおっしゃっておられましたけれども、今までTBSの中にあって放送番組審議機関が十分に機能を果たしていたかどうか、今までの現状がどうであったかという社長自身の感想をお聞かせいただきたいのと、これから将来どういう姿が本当の審議機関のあるべき姿だろうか、そのあたりの御認識をお聞かせいただきたい。  以上三点について、これは基本的な認識だろうと思いますので、今後、放送に対する国民信頼を回復する上での基本的な部分の御認識をお聞かせいただきたいと思う次第でございます。
  10. 砂原幸雄

    参考人砂原幸雄君) 視聴率至上主義の問題でございます。  視聴率は視聴者の関心、支持、共感などをはかる一つの尺度でもございます。また、私ども民間会社として収益を支えるファクターの一つでもあるというふうに意識しております。しかし、決して視聴率至上主義ということにのみ走ってはいけない問題だと私は思っております。  番組というものが支持され共感されるには、あくまでその番組がどのようなテーマ、コンセプト、いわばつくる人間の志というものをはっきり持った番組があって初めてそれが支持を得ていくものだと思いますし、またそれなくして支持を得られないような番組であってはならないと思っております。ともすれば、いろんな分野ではやっているもの、流行しているもの、そういうものをただ現象として持ってきて横に並べただけの番組、そういうものが私は余り長く成功したというようなことはないと思いますけれども、ただ、そういうふうな作業のみが後になって浅ましい記憶として残っていくことも多いと思っております。  私は、視聴率というものは決して無視できないものであると思いながらも、その視聴率というものを質に置きかえる、制作者の志をどう表現していくか、やっぱりこれは企画をつくる時点、また編成作業の中で、企画を選択していく作業の中でそれを改めてしっかりと確立させて、この問題に対応していきたいと思っております。  放送局としての言論、表現の自由というものをしっかりと持って、それにどう責任を持って対応していくかということのお尋ねかと思いますけれども、やっぱり国民の知る権利にどう我々がこたえていくかというのが私たちの使命でありますし、また我々は言論の自由、表現の自由という中で我々の作業をしていかねばならない。しかし、これに対する我々の行為というのはあくまで厳しい責任、モラル、それなくしては絶対できないものだと思います。その責任を自覚して、鍛えられたスキル、プロとしての判断力、これをいかに養って日々の作業をやっていくかということが一番重要であろうと思います。  私どもは開局して四十年という歴史を重ねてきましたけれども、どこかやはりその中で緩みが出てきた。そういう現象はへ取材の中で取材対象者への配慮をいっか見失ってしまっていたことの例が多々あるというようなこと、それもどこか緩んできたあらわれではないかと思っております。もう一度ここで教育研修、またそれを支える自覚、またそのもとには健全な市民感覚というのも一番重要であろうかと思います。そういうものをもう一度取り戻すべく頑張りたいと思っております。  審議会に関してでございますが、これは放送法にも定められているものであります。審議会、私どもは長い歴史も重ねてまいりました。その中で、個々の番組の審議、それから放送の大きな流れの中でのその当時の放送体系をどうとらえるかという審議もしていただいてまいりました。ある時期には確かに個々の番組審議に偏った時代もあろうかと思います。しかし、偏ろうとも、絶えずその中での節目節目の大きな流れの中でまた我々が抱えている問題というのもこれまで審議していただいてきたと私は思っております。  しかし、今の放送を取り巻く環境、また将来のいろんな放送環境の変動を前にして、また番組審議会の方でも今どのような機能でやっていかなきゃいけないのかということを十分考えていただいている、また我々も議論もしております。私どもでは審議会というのは十分機能を発揮してきていただいたと思っております。
  11. 林久美子

    ○林久美子君 平成会の林久美子でございます。きょうはお忙しい中を本当にありがとうございます。  二点質問させていただきます。  国会も公権力の一つと例えれば、これから申し上げることは微妙な問題があることを承知しながら、あえて申し上げさせていただきます。  昨年十月八日、東京地検がTBSに対して坂本弁護士テープ、そのほかのテープの任意提出を要求したところ、明くる日の十月九日に社内会議が持たれ、いとも簡単に応じている事実があります。  過去、TBSでは、九〇年の暴力団の債権取り立て現場撮影など、当局からのフィルム押収に対して最高裁まで抗告しております。また、ワイドショー放送した内容を関係者に見せないということで訴えられて高裁で闘っていられるということも報道されております。しかし、今回は坂本弁護士一家の殺害という事実、その原因がどうもオウム側に見せたテープにあるようですし、しかもテープを見せたということを公表していないということで後ろめたさがあります。また、世間の非難を最小限にするためということで、そういうことも頭をかすめているのかもしれません。  一方で、放送による表現の自由を守るために裁判でも闘っているTBSが、今回は坂本弁護士のテープなどを検察庁に任意提出されております。今回の対応はどうも不可解に思えてなりません。TBSが直面しているこの課題を知る上に一つの手がかりとなると思いますので、東京地検にテープを提出された経緯の御説明をお願いいたします。  それからもう一点、郵政省への民放の派遣についてです。  民放では、特にTBSでは平成三年の六月から二年交代で一人ずつ郵政省社員を派遣し、社員研修と人材育成が目的のようですけれども、この制度に対して、衛星放送のチャンネル争奪という事情があるにしろ、監督官庁で研修させていることに強い疑問を投げかけている学者がおられます。  本来、ジャーナリズムの機関は公権力への監視機関としての使命があるはずです。しかし、公権力へのすり寄りは批判能力の欠落を生み、内部の自浄作用を低下させ、逆に公権力の権威の助長を促すことになると危惧を感じているようです。もし、お上にもろく、逆に市民に尊大なジャーナリズムの機関に成り下がってしまったとしたならば、もう民主主義社会はなくなると私は思います。極端な言い方かもしれませんけれども、お上の味方で市民の敵という図式になってしまいます。  ニューヨーク・タイムズの記者が、民主主義を保障するのは憲法の条文ではなく、ジャーナリズムの批判が健全であるかどうかにかかっていると言っております。こうした批判に対して社長の御意見をお伺いしたいと思います。  以上です。
  12. 鈴木淳生

    参考人鈴木淳生君) テープ提出問題について御説明申し上げます。  先生今おっしゃっていたように、TBSもそういうテープ問題については過去にいろいろ歴史がございますけれども、これは極めて例外的なケースで我々は提出に応じたというふうに考えております。  なぜ例外的であるかということの御説明でございますけれども先ほども先生ちょっとおっしゃっておりましたけれどもオウム事件というまれに見る凶悪事件の真相究明にかかわることであり、真相究明は坂本さんの利益にもかなうということが一点でございます。それからもう一点は、坂本さんの最後のインタビューということでほかにかわるものがない。第三点は、坂本さんのインタビューのみ収録されているものなので情報源の公開に当たらない。それからもう一つ、インタビューのすべてが放送済みであるということ、その四点の理由でございます。  もちろん、当社としては、取材によって得たものは報道目的以外には用いないという大原則は守っておりまして、これによって放棄したということではございません。今後ともこの大原則を遵守することは当然のことと考えております。  それから、二点目の郵政への出向ということでございますけれども、私どもは一九九一年に、放送通信の区別が長い目で見て将来どうなるだろうか、それからソフトや機材の国際化がどういうふうな推移を持つかといったようなテーマになってきましたので、我々は将来に向けて若い社員に広い見聞を持たせたい、こういうふうに思っておりました。  当時、そのようなことを総合的に研究していらっしゃるのが郵政省だったので、何かチャンスがないのかなというふうに我々は考えていたわけですけれども郵政省もちょうどソフトの状況とか放送の国際環境についての知識が欲しいと考えていたようで、放送を取り巻く環境が非常に変化する兆しの中で、双方の思いがたまたま一致したということで非常勤職員として任用されることになったのでございます。  我々とすれば、先ほど先生が御心配になっているようなことをおっしゃっておりましたけれども、派遣する本人に対しては、直接民放に関する情報に接しようとしてはいけない、長い目で君らがどういう時代に生きるんだ、そのための一つの教養といいましょうか、そういう幅広い目を持つ、そういうことを得るんだというふうに考え、まず人材も広げようということで行かせてございます。  以上が御説明でございます。
  13. 及川一夫

    委員長及川一夫君) 砂原参考人、よろしゅうございますか。
  14. 砂原幸雄

    参考人砂原幸雄君) はい、私も鈴木参考人と同様の認識でございます。
  15. 西川玲子

    ○西川玲子君 平成会の松あきらでございます。  先ほどから御苦労さまでございます。各委員が御質問なさいましたけれども、私も少し質問をさせていただきたいと思います。  表現の自由、報道の自由ということはもちろんございます。しかし、その責任の一番大事なことは国民を守るという責任じゃないかと思うんです。それはやはり人権であり、生命である。これを守るという、国民を守るという責任を一番忘れての報道や表現の自由ということはあり得ないと私は思っております。  先ほど砂原社長から全社挙げて改革に取り組むということを伺いまして、それを信じております。社員以外にもプロダクションスタッフの研修を教育研修部においてしっかりと研修するということでしたけれども、それは倫理観、そして使命感というものを本当に徹底して教えていただきたいというふうに思います。  私も少なからずテレビ等の仕事をさせていただいておりましたけれどもテレビ局の外注制、下請制、発注側の圧倒的立場から買いただきをしている、非常に下請が苦労しているというような話もいろいろ聞いて、独禁法の違反なんかも指摘されておりますけれども、今回の件で下請発注のあり方改善はあるでしょうか。それが一点でございます。  それからもう一つは、郵政大臣より文書で厳重注意があった。これは私どもも存じております。文書でこういう注意がありましたということはもちろんさっきから伺っておりますけれども、しかし、こういう文書でございますということを視聴者にきちんと示したかどうか。私はこれはジャーナリストとして当然だと思うんですね。内容がこうでありました、ですからこうでございます、そういうふうに示したかどうか、それをお聞きしたい。  そしてまた、もしその文書をきょうここにお持ちでしたら、簡単にこういう内容でございますということをはっきりとお示しいただきたいことと、その文書をTBS番組審議会にお見せになったかどうか。私は、これはTBSだけじゃなくて各局ともに番組審議会が有名無実であると。本来ならば、番組審議会はあるけれども、余りそこからがたがたと意見を言われたくないというようなことを昔聞いたことがございます。  今回のことで、TBSだけではなくて各放送局もその辺は改革に取り組むとは思いますけれども番組審議会にお見せになったか、そして番組審議会意見はどのようだったかということをきちんと視聴者に伝えていただきたい。  以上、お答えいただきたいと思います。
  16. 鴨下信一

    参考人鴨下信一君) 先生御指摘の一点目と三点目に関して私からお答えさせていただきます。  先生おっしゃるように、今の状況では社員だけで番組をキャリーしていくことというのはどこのテレビ局でもまことに難しいのではないか。それは、一つは人員の問題もありますけれども一つは各才能の分岐といいますか、非常に才能が専門化せざるを得ない状況というのがテレビ番組制作にありまして、そのためにいわばすみ分けという状況がつくられているように思います。  実際に外部スタッフは非常に専門的に分岐しておりまして、このものはこれじゃなきゃできないという状況がだんだんできてきていると思っております。ですから、以前のように下請というふうな概念でなかなかとらえられなくなってきて、私は専門的ないいパートナーだというふうにとらえております。いろいろ問題点はございますが、徐々にいい方向に進んでおるように思いますし、その傾向をいっときも早くよりよい方向に進めたい、私どもは常にそう思っております。  三点目でございますが、番組審議会のことでございます。  今回のオウムの一連の問題におきましても、TBSが見せたとは思えないという誤った報告をした三月の段階から、視聴者にわかりにくい報告だとか外部スタッフ管理体制の問題、番組の際の責任の所在の問題、あるいは未放送テープ等の素材の管理などで非常に厳しい御指摘を三月時点からいただいております。  また、TBSが見せたとの結論を出しました四月の番組審議会では、ワイドショーをどうするんだ、やめてみてはどうかとか、番組審議会としてワイドショーあり方を集中的に審議、チェックしよう、あるいは報道倫理や人権問題の研修を積極的に実行すべきであるという御指摘をいただき、今回の改善措置にも十分反映をさせていただいておるところでございます。  また、番組審議会の議論の開示の問題でございますが、私ども番組審議会の議事の概要を実は社報に載せております。その社報が、社内報でございますからそんなにはなかなか広まらないと思っておりましたところ、その社報をもとにした新聞の投書等もあったように聞いております。つまり、番組審議会の開示がいかに求められているかということの一つの証拠でもあろうかと思います。  私どもは、番組審議会の内容をこれからもインターネットでありますとかその他刊行物、そういうものでもなるべく皆さんに知っていただきたいと思いますし、また社内でもできる限りその議事録が徹底いたしますようにしております。番組審議会に出る私ども社内人間はやはり人数が限られますので、比較的シニアの局長とか、そういうことになっておりますが、実はこの間の番組審議会ではぜひ現場プロデューサーを出すべきであるという御意見もありまして、そのようにさせてもいただきたいというふうに考えております。  以上のように、番組審議会の活性化につきまして、番組審議会の先生方も御自身で非常に努力をなさっておりますし、これからもなされることと、私ども今後とも番組審議会を活性化することに関しまして私ども協力をより密接に、より大きくしていきたい、こう思っております。
  17. 砂原幸雄

    参考人砂原幸雄君) 先生の御質問の第二点は、我々のやる作業番組審議会報告したか、また視聴者報告したかという点であったと思います。  私どもは五月十七日に郵政省から厳重注意を受けました。そして、その夜、番組面改善ということで私みずから記者会見をいたしました。土日を挟んだ月曜日正午から番組審議会を開いていただきまして、この厳重注意の内容を御報告し、それに基づいて我々がどのような改善策を進めようとしているのかということを報告し、また御意見もいただき、御了承を得ました。そして、視聴者に対しては、その二十日の夕方と夜十一時五十分の二回に分けまして、私みずから画面に出て視聴者に骨子を御説明申し上げました。  以上でございます。
  18. 伊藤基隆

    ○伊藤基隆君 私は社会民主党の伊藤基隆であります。  二点お聞きいたします。  一点は、先ほど自民党の北岡委員質疑にもありました視聴率の問題であります。  本件に関して、視聴率に対する過度の傾斜ということが問題になってまいりました。私は、先ほど社長の答弁にあったように、民放が視聴率を大切にするということについては当然のことであろうというふうに思っております。問題は過度に傾斜していくという問題でございまして、言論・報道機関という使命からすれば、安易にそれのみを追い求めるという姿勢について批判があったわけであります。  先ほど郵政省からの厳重注意を受けて社内体制を変革したとの説明が行われましたが、では、その弊害の根本的な問題の一つである視聴率問題について、社内におけるどのようなセクションが、またはどのような立場の人が視聴率と言論、報道との調和を図るのかということについて、システムというものが重要でありますから、このことについて、まずお伺いしたいというふうに思います。  さらに、前回質疑の中で、放送事業者としてどのように社員教育をするか、ないしはその効果追跡をどう行うかということについて私は質問いたしました。今回の体制を変えていかれる中で、十分そのことについて留意されているということについてうかがえるわけでございます。  今回問題となったオウム真理教の抗議というものに限らず、社としての対応、最前線の社員じゃなくて会社としての対応が求められる突発的事態というものはいろんな形で生じるんではないかというふうに思っております。そのような場合に重要なのは、必要な情報がトップまで迅速に伝達されるか、または問題意識と危機感を会社全体が共有した上で組織を挙げて対応できるかというところにかかるんではないかというふうに思っています。  この点では、TBSにおいては、オウム真理教の抗議とか検察庁の事情聴取とかに関する情報の伝達に不十分さがありましたし、調査委員会を設けても取り組みが一部にとどまったり誤った調査結果を発表するという失態を招いたというふうに私は思っております。  社長は、就任に当たって、番組をよくするも悪くするも結局はそれに携わる人間の問題ということもおっしゃっておりますが、私は、今回は報道機関としての根本の問題が問われたと言いながらも、もう一方で組織、システムというものが問われているんではないかと思います。  それは、一つに、TBSとか放送局だけでなくて、あらゆる組織というものに内在している弱点というものが露呈したんではないかというふうに思っています。会社ないしは報道機関という立場での基本的な原則について最先端の社員認識していなかったか、あるいは認識していたにもかかわらず自己中心の判断を優先させたというようなことが今回の事態を招いたということもあるわけであります。問題はそれらのシステム、もしそのような事態が起こりかかるか、またはその状況が起こったときに、組織としての基本的な立場に立った防御システムがどう働くかというところが重要でありまして、今回の機構改変の中でどのセクションがそういった任務、役割を果たしていくのか、この点についてお聞かせいただきたいと思います。
  19. 鴨下信一

    参考人鴨下信一君) まず、視聴率をブロックするシステムというふうに私は先生のお考えを理解いたしましたが、もちろん視聴率に関しましては、先ほど来話が出ておりますように、まず視聴率至上主義は排する。それはまず個人の自覚、プロデューサーや何かの自覚の問題でありますが、ではシステム的にどういうふうに視聴率至上主義のはびこるのを防ぐかということでは、私ども今回新設いたしました編成考査局というのがございます。これは、モニターし、問題点を出し、提言、勧告するという組織でございます。いわば会社の中において一番客観的な目と耳を持つ組織というふうに御理解いただけるとありがたいと思います。  ここでは、そういう出ました放送に過度の表現がなかったか、あるいは倫理的に問題がなかったか、そういうふうに視聴率とはまた別の、放送のあるべき姿としてとらえられるようなベテランの社員をモニターに配しまして、これは生放送もモニターいたします。今までは実はパッケージしか私どもモニタリングはしていなかったんでございますけれども、生放送もモニターいたしまして、見た結果を必ず報告して提言、勧告を行う、こういう組織にしております。これが編成考査局として視聴率のブロックをするシステム、これは一つのシステムでこういうものが稼働するわけではございません。当然のことながら、教育、研修を含んだものでございますけれども、まずこれが一つの新しいシステムかと思っております。  それから、先生御指摘の二番目のいわば危機対応、あるいは危機のときにおける情報の風通しのよさということでございますが、これに関しましては私どもは今回本当にそういうことが欠けていたという反省をしております。  一つは、実際の現場あるいは一般部門の組織の活性化ということでございますが、組織、システムといたしましては、社長室を拡充いたしまして、三つの違った部門を担当いたします局長クラスを複数置くようにいたしました。三つと申しましたが、複数の局長を置くようにいたしました。そして、危機的な状況、あるいはそういう情報の流通のよさを確保するために総合調整委員会というものを恒常的にいつでも置けるようにしまして、情報の収集、管理、評価、対応の立案等に当たらせる。必要に応じて関係者を加えあるいは作業チームを組織する等、弾力的にこれを運用しまして、情報が下から上、上から下へと常に流通性がよくなる、こういうことを心がけていきたいと思っております。  以上です。
  20. 中尾則幸

    中尾則幸君 新党さきがけの中尾でございます。持ち時間が五分程度ということで、質問させていただきたいと思います。  実は、私、昨年の四月二十七日の当委員会で、オウム教団の幹部が刺殺された事件の後でございますが、このような質疑をしております。報道の自由は守らなければならないけれども、そのとき、あの豊田商事の刺殺事件を重ね合わせますと、今大変な事態に立ち入っているなと思う、これは放送局の自殺行為につながると私は指摘いたしました。放送自体が自縄自縛に陥っていると思ったわけでございます。  先ほどから視聴率の問題がございます。私も二十数年間、視聴率の最前線におりました。こういう視聴率至上主義にしてはならないということだけで現場はいかないはずでございます。その気持ちはよしでありますけれども、現在それだけではいかないということを申し上げておきます。  今回の調査報告書、これは佐藤先生以下も大変御苦労された。この努力は多としたいと思いますが、TBS経営者あるいは幹部の肉声が聞こえてまいりません。  時間がありませんので一つ一つ申し上げませんけれども先ほどからありました番組審議会の問題でございますけれども、これについても、オウム問題については三月以降だけなんです、この審議の内容は。出てきてから初めて審議に当たったと。私が一年前に指摘したときには、TBSさんだけだと申し上げませんけれども、少なくとも当時は視聴率に走っていたわけです。この実態をきちっと今後何らかの形で明らかにしていただきたいと思います。  それで、私がまず一つ聞きたいのは、審議会の問題も時間があれば後から聞きますが、TBSは今回三つの大きな罪を犯したと思います。  一つは、当然のことながら、オウム教団幹部にビデオテープを見せたという、これは皆さん語っている問題でございます。  それから二つ目は、先ほどどなたか先生が指摘したように、それも唯々諾々として、先ほど理由は言っていましたけれども、官の力に屈して、東京地検の要請を受けて四日後にビデオテープを提出した。今まで四十年の歴史の中でこういうことがあったのかと大変残念な思いです。  そして、私が質問を申し上げたいのは、三つ目の罪でございます。つまり、今回、郵政省から改善命令が出されました。そして、TBSのとった措置についてお伺いします。  郵政省から恐らく要請もないのに深夜放送を五日間休止いたしました。これは現場から大変な反論があったと思います。まず、反論があったかどうかが一つ。  そしてもう一つは、少なくとも報道機関の命綱であるニュースの枠を削ったということであります。この削った理由について簡潔にお答え願いたい。  それから三つ目に、五月十七日、社長記者会見しております。私は唖然といたしました。ちょっと一部を引用します。国民共有の財産である電波をとめるということが最も明瞭な形のおわびだと。これは全く逆でございます。反省の意をあらわすことならばほかにさまざまな方法があったはずです。少なくとも深夜放送を中止するならば、先ほど指摘しましたけれどもオウム教団の圧力で放送を中止した、これは実態は違いますけれども、事情こそ違え形態は同じでございます。  TBSに対して一言申し上げたい。電波は私物ではございません。公共のものです。私物ならば、何か過ちを犯した、謝る、ごめんなさいと謝ります。しかし、公共の電波である以上、どんな?りい形であれ国民情報を送る責任があるんではないでしょうか。  私は、今回、唯々諾々として深夜放送、しかも報道のニュース番組をつぶしたことについて大変遺憾に思います。この時間を生かして、今までの放送局の取り組み方の甘さ、あるいはワイドショーのあるべき姿、報道倫理がどうかということを視聴者の前に訴えられるのが筋じゃないかと思いますけれどもTBSの使命と、これからの決意を伺いたいと思います。
  21. 砂原幸雄

    参考人砂原幸雄君) 私ども一つの形として深夜放送自粛ということに踏み切りました。しかし、これは非常につらい決断でもございました。  まず、深夜放送というのは視聴者の生活サイクルにも合わせて番組をやっておりますし、またそれを見ていらっしゃる方も多々いらっしゃいます。そういう人たちに対する電波をとめるということも非常につろうございます。  しかし、何か具体的な形でどうあるべきかということの中に、とめるかわりに今の放送を取り巻くいろんな問題に対する討論番組をやってはどうかという議論もございました。本当に中では決めるまでにいろんな議論もいたしました。  しかし、一番明瞭な形でやれ得るのは放送自粛という形ではないかという一番つらい結論に達し、また今回の事件というのは私どもTBS一局が起こした行為であります。そして、TBSの問題をTBS一つの形であらわすためには、非常にローカル枠が集中しております深夜でやろうという決意に至ったわけであります。  その中に「筑紫哲也ニュース23」第二部、これはもちろんニュース番組であります。ただし、前半は非常にストレートニュース系の強いもの、後半はいろんな文化問題を含めた、あるいは討論形式をとっております。だからといって、どっちがどうという価値の問題ではございませんけれども、二部はローカル枠であったということから自粛のスタート時間といたしました。  本当にいろんな議論を重ねましたけれども、非常につらい決断でありました。そのことを申し上げたいと思います。
  22. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 日本共産党の上田でございます。参考人の皆さん、どうも御苦労さまです。  当委員会参考人の皆さんをお呼びして質疑をするのはきょうで二回目ですけれどもオウムの考えられないような犯罪、特に坂本弁護士一家の殺害事件TBS誤りとが結びついているのではないかという重大な問題が起きたからだと思うんです。検察は事情聴取、今も指摘されましたテープの提出、それから冒頭陳述で坂本一家の殺害事件のかなり重要な動機をTBSが提供した、そう見ているように我々受け取られる経過があるわけです。  ですから、私は四月二日の参考人質疑で、TBS放送ジャーナリズムの倫理を犯した問題としては、オウムの干渉を受けて番組の編成権を事実上放棄して放映も中止したという問題、それからニュースソースの秘匿と保護という鉄則を放棄した二つの問題をお聞きしましたし、それからそういう倫理の踏み外しが、踏み出した結果責任として坂本弁護士一家のあの事件、それからさらに通報もしなかったということで、そのことが結局松本サリン事件や地下鉄サリン事件等々、オウムの重大な犯罪に結びついたとすると、厳しい言葉ですけれども、結果的には犯罪の幇助者の役割を演じたんじゃないかということまで私は申し上げたんです。  今回、この二つの報告書を拝見して私が改めて驚いたのは、実はAプロデューサーはどうも自分が全く中身を知らないテープオウムに見せたとしか読み取れないことだったんです。これは実に驚くべきことだと思います。  これを見ますと、坂本弁護士のインタビューは八九年の十月二十六日午前十一時前後から昼にかけて千代田分室で行われたと書いてある。Aプロデューサーは午前十一時に水中クンバカの取材に千代田分室を出発したと書いてある。だからタクシーの手配をしたというんですけれども、知らないんですよ、どういうインタビューだったかはね。それで、中身を知らないのに、もめごとが起きたときにオウムにインタビューを見せるという約束をしたんですね。この九ページには、レポーターCはプロデューサーが簡単にオーケーをしたので抗議したということまで書いてある。全く自分の知らないインタビューをいきなり見せるという約束をまずする、ここから私は倫理の崩壊が始まっていると思うんです。  それで、Aが分室に帰ってきたのは午後十時半過ぎだと。午後十一時にオウムが来るまで三十分ある。この前後の時間、Aは報道局と富士宮の素材交換を手配したと書いてあるから、帰っても見ていないんですよ。さあ、それでいろいろもめごとが始まって、二階の狭い編集室、E2で見せたということになっていますね。  この十九ページには、Fディレクターが言っているんだけれども、「小さい方の編集室(E2)で、自分が立って編集機を操作した時、後ろにいたのは早川だったように思う。ドアを開けて半分ドアの外にいるような形で椅子に座り、大学ノートにメモを取っていた。そこにスタッフの誰かが来たと思う。Aだったような気がする」というので、Aがあるいはちらっと来たかもしれないというのが一つある、十九ページに。  ところが、次の二十ページをあけますと、プロデューサーのAもEも「「二階の狭い部屋で、オウムと一緒に五人でVTRを見たとするなら、異様な状況なので覚えているはずだ。しかし、どう思い出そうとしてもそんな光景は思い出さない」と強調している」と。だから、彼らがそこに立ち会っていないとすれば整合性が生まれるということですね。どうやら立ち会っていないのが整合性だとすると、どうも全く知らないまま見せたと、立ち会いもしないでという疑問が生まれるわけです。  それで、田代取締役が私の部屋に説明に来たとき私はその話をして、調べてほしい、再調査プロデューサーAに対して、あなたは中身を知らないでオウムに見せる指示をしたのか、あるいは立ち会ったのかどうか、田代さんは努力すると言われたので、これ第一点、お伺いしたい。  二番目に、もし自分が知らないまま見せたとすると、いっ見たのかという問題が起きてくる。恐らくもう放映中止しているので、しばらく忙しいし、見ていないですよ。TBSがこのテープを放映したのは公開捜査のときでしょう。公開捜査のときに放映したんだから、そうすると公開捜査が十一月十五日ですから、この日に音なしで十秒放映したというんですね。そうすると、一体いつ見たんだろうか。公開捜査で、弁護士一家が失際したかと、あるいはオウム関係があるんじゃないかというんで慌てて見たのかもしれない。だから、一体プロデューサーAはいつ見たのかということを調べてほしいということを田代取締役に私はお伺いしたんですが、その結果を報告していただきたい。  第三問は、郵政省が作成した「TBSからの追加説明」という文書があります。この中で、「ビデオを見せることについての判断は、文書化されてはいないが、TBS社員プロデューサーが行うことがルールになっていた」と。だから、TBSでは見せていいんだと。見せるか見せないかはプロデューサーが決めるというルールがあったというんですね。  お伺いしたいのは、私が聞いたように、もし全然自分も見ていないビデオを一体見せてもいいというふうなルールがあったのかどうかということです。  以上の三点、鴨下参考人にお伺いしたいと思います。
  23. 鈴木淳生

    参考人鈴木淳生君) 第一点でございます。今、上田先生がおっしゃっていた件でございますけれども、金曜担当プロデューサー取材に行く際にはサンデー毎日の記事を読んでいるわけです。それが一点です。  また、坂本弁護士と電話でアポイントメントをとったりしておりますので、そのときのインタビューの打ち合わせもやっております。したがって、坂本弁護士がどのような主張をしていたかは概括的にはつかんでいただろうと思います。ただ、千代田分室に帰ってからテープを見たかどうかについては二人のプロデューサーからはっきりした供述は得られておりません。したがって、そこのところは今のところはわかりません。  それから、第二点でございますけれども、それじゃ一体いつ見たのかという御指摘でございますけれども、常識的にはテープオウムに見せる際、立ち会っていたと考えるのが普通でございます。しかし、残念ながらそういった点は調査では確認できておりません。それで、二人のプロデューサーは、先ほどもちょっと先生おっしゃっておりましたけれども、十一月十五日の公開捜査時点坂本弁護士テープの使用に厳しい制限をつけているわけです。どうしてそういうことをやるかという点を考えれば、その時点においては内容を把握していたと思われます。しかし、残念ながらいつ見たかの記憶はわからない、こういうことでございます。  それから、三点目でございますけれども報道素材の目的以外使用は例外的には認められるケースがございます。ケースによりどう考えるかを判断するのはプロデューサーの役割でございます。今申し上げましたように、判断するのはPの役割ということでございますが、そのルールにのっとっても間違った判断はやはり間違いだと思いますけれども、そういうこともあるということでございます。  以上でございます。
  24. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 ルールがありますので、次に佐藤参考人にお伺いしたいんですが、その前に、今のTBSの返事というのは私は非常に悲しいですよ。一体Aプロデューサーが自分も見たこともないテープを見せたのか、それとも見て見せたのかというのは重大問題で、見もしないのを、坂本さんが何を言ったか、何を言うか大体概略を知っているという程度の返事をしてこの問題を非常に軽く見る。  私は、田代取締役にこの二点は非常に重大な問題で、Aプロデューサー誤りがどんなに大きなものか、それに対して会社としてどれだけ責任を負うかは重大な問題なので、ぜひ調べてほしいと。もう解雇しているかもしれぬけれども、Aプロデューサーから聞くルートは幾らでもあるはずだ。努力すると言ったでしょう。何も調べてないじゃないですか、確認できないと言うだけで。これは全く結果責任の大きさについてTBSが無自覚だということの新しいあらわれですよ。そのことを指摘しておきたい。  佐藤参考人にお伺いします。  佐藤参考人調査報告は、確定できる事実、確定できない問題点等々を整理されて、確実に確定できるということを的確に述べておられまして、御努力に敬意を表したいと思うんです。  問題のテープを見せた二階のE2という小さな編集室、地図を見ますと非常に狭い部屋ですね。それについて、Fディレクターが見せたということの事実を確認し、その指示はAとEの二人のプロデューサーが行ったということをも確認され、オウム側が見たのははだしの上祐とそれから早川の二人だった、早川がメモをとったということも確認されております。そのことだけ確認して書かれてありますけれども、それ以外に例えば私が問題にしているAプロデューサーが立ち会ったかどうかについては書かれておりません。  第一点は、Aプロデューサーは立ち会っていたのかどうか、これが佐藤参考人の特別調査人調査でもしおわかりになっていればお伺いしたいと思います。  二番目の問題、倫理の崩壊については佐藤参考人は非常に重視しておられて、例えば十ページ、「「素材は見せるべきではない。就中、対立している相手方に対しては見せるべきではない。」という意見が圧倒的であった」、TBS社内では。だから、非常にルーズだったということを書いておられますし、それから通報しなかった問題についても、厳しい非難を受けるのはまことに当然のことだということを十五ページで書いておられまして、彼らの弁明というのはおよそ理解しにくい弁解だ、そう言われ、十五ページでは次のように厳しく指摘されています。  坂本一家行方不明の報道に接し、オウムのメンバーが坂本弁護士の事務所を訪ねて激しい議論をした、その事実を聞くに及んで「事のあまりに重大な進展に驚愕したため、自らの失策を公表する勇気を欠いたまま、真実を語ることを拒否しているとしか考えられない」、こう言われております。私も全く同感なんです。  私は、先ほどTBSに対する質問で、一体Aプロデューサーはいつ見たのか、私は恐らく公開捜査になってから慌てて見たんだと思うんです。見て、こういう激しい内容だったのかと。そうすると殺害事件、このときはまだ失踪事件でしょうけれどもオウムがやったのかもしれぬ、そうなると、見せたことが犯罪の重要な動機になったかもしれぬという非常な恐怖を恐らく感じたのではないかと思うんです。そうすると、佐藤参考人が書かれているようなこういう気分に陥って、驚愕して勇気も欠いて真実を必死に隠した、非常に厳しい非難に値することを続けたと思うんです。私の推定です。  佐藤参考人には二番目に、一体いつ見たんだろうということについて佐藤参考人の指摘と関連して御意見をお伺いしたいと思います。  三つ目は、結果責任……
  25. 及川一夫

    委員長及川一夫君) 上田先生、まとめてください。
  26. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 簡単に。  私は結果責任というのは非常に重大だなと思うんだけれども、偶然が重なり合って誤りが結果責任を引き起こしたんだから、TBSあるいはその中の社員方々責任はそう重くないというとり方もあるかもしれないけれども、倫理というのは、ニュースソースを守るか守らないかというのは、それを守らなければニュースソースに命の危害さえ加えられ得る危険があるからこそニュースソースの秘匿と保護、こういうことがあるんです。  そういう意味で、私は今度のTBSが引き起こした誤りというのは、オウム全体の犯罪がそういう結果責任と結びついているとしか思えない。だからこそこれだけ社会的大問題になっていると思うんですけれども、佐藤さん、大変御専門の立場から、そういう放送ジャーナリズムの倫理を破ったという今回の問題と、今回の坂本弁護士殺害事件を初めとするオウムの犯罪の結果との関連について、もし御意見があればお伺いしたいと思います。  以上三点です。
  27. 佐藤庄市郎

    参考人佐藤庄市郎君) 第一点のAプロデューサーはいつ問題のテープを見たかという点につきましては、私の記憶に間違いがなければ、Aプロデューサーは十月二十六日には見ておらない。では、いつ見たかというのは、話では十一月十五日以前には見たような気がするという返事しか得られなかったと思います。  それから、こういう倫理規定、倫理に違反して、その結果重大なる事件が起きた。これに対する責任をどのように、だれがとるべきかということは、私は「結語」において申し述べております。先ほどから問題になっておりますように、場合によってはそういったテープを見せることもあり得るのではないかというような点がもしあるとすれば、これを見せたことというのが当時どのような結果をもたらすか、これは万人だれも知り得ないことであって、私個人としては、個人責任はそれ相応ではあるべきであるが、それほど結果責任を個人に全部負わせることは適当ではないのではないか、これは会社として責任をとるべきではないか。その責任のとり方というのはいかなるものであろうか、これについては問題を提起するにとどめるというのが私の「結語」でございます。  それからまたもう一点、何がございましたですか、私ちょっとつかまえ損ねておりますので、もし改めて御質問がございますれば御返事申し上げます。
  28. 小林元

    ○小林元君 平成会の小林でございます。  きょうは、砂原参考人以下御苦労さまでございます。  先ほど冒頭に、今回の調査に関しまして、四月三十日付の調査報告ということとあわせてTBS対応についてお伺いをしたんですけれどもTBSの方で郵政大臣報告した報告書によりますと、もう今さら言うまでもありませんけれども、「当社行為放送の基本的倫理に反するものであり、視聴者信頼を傷つけ、放送界全体に混乱を及ぼしたことにつきまして、国民皆様及び関係各位にお詫び申し上げる次第です」、こういうことが報告をされております。それに対しまして、郵政大臣から五月十七日に厳重なる注意というようなことで文書が手交されたわけでございます。  そういう中で、今後の措置というものがいろいろ書いてございます。先ほど説明によりますと、そういう具体的な措置について今後こういうふうにしたいというお話はあったんでございますが、砂原参考人御自身の言葉として、こういう厳重注意を受けたということは、言論機関として公権力の介入というような考え方があるのか、これはやむを得なかった、今回の厳重注意措置についてどのような考えを持っておられるか、またこの措置に対してどのような基本的な所信をお持ちなのか、ひとつお伺いしたいと思います。  それからもう一つは、四月三十日でしたか、自主的に検証番組ということで、七時から十一時まで四時間にわたって検証番組がありました。私も拝見をしておりました。それにつきまして、視聴者の反応というものはどのようなものであったのか。  私はちょっと先ほど電話をしまして、TBS視聴者センターというところがあるんだそうでございますが、そこでいろいろ伺ったんですけれども、やはりたくさん反応があったというような話でございまして、あんなものじゃとても物足りない、突っ込みが足りないという意見が非常に多かったというふうに聞いております。  せっかくそういう検証番組といいますか、TBS自体で企画をされておやりになったわけでありますが、普通の番組ですと、そういう中にファクスなり電話で視聴者の反応を聞くというようなことはテレビ番組ではもう日常茶飯事に行われておるわけですが、そういうことを考えなかったのかどうか。要するに、国民なり視聴者に向けてTBSとしてはこういうことを明らかにする、明らかにしたい、あるいはこういう点が疑問だというものに対してお答えをするというのが本来ではなかったのかというふうに考えております。  それからもう一つは、やはり今回の事件、本当に結果責任ということが今いろいろ言われておりますけれども、このオウム事件というものが非常に集団的な凶悪犯罪だということになったわけですが、スタートのころはだれがそれを予測し得たかということになりますと、それはなかなか大変難しい問題であります。今、政治のといいますか、阪神大震災の話ではありませんが、危機管理というか、そういう小さな芽の段階判断というか、予測はできないのかもしれませんけれども、これは大変な重要な問題である、重大かどうかは別としまして。  そういう危機管理意識というのか、そういうものがやはりテレビ局にも必要なんではないかと思います。そしてまた、それがそういう犯罪を防止する、そして国民をよい方向へ向けていくというようなことになるんではないか。それこそが本当に言論機関である、あるいは公共性の強いテレビの役割ではないかというふうに考えるわけでございますが、その辺に関してお考えがあればお聞かせをいただきたいと思います。
  29. 砂原幸雄

    参考人砂原幸雄君) 今回の郵政大臣からの厳重注意に関してでありますが、とにかく私どものこうした不祥事につきましては深く反省しております。また、多方面からちょうだいいたしました厳しい御批判を非常に重く受けております。郵政省厳重注意については、特に行政の判断のとおりであると私どもは受けとめております。今後、放送の使命を果たすべく全力を挙げて取り組む所存でございます。  そして、信頼回復というのは放送を通じて、番組を通じてやっていかなければならない問題であります。視聴者におわかりいただけるのは、我々が組織改革したとかなんとかというよりも、その結果として起こるやっぱり番組を通じての信頼回復、御理解をいただくことだと思っております。そのために、今度の改革が、全社員協力で魂を入れ、また教育研修を行き届かせ、とにかく全力を挙げてこの厳重注意を重く受けとめて改革に邁進したいと思っております。  二項、三項については鴨下参考人より答えていただきます。
  30. 鴨下信一

    参考人鴨下信一君) 検証番組につきましては、今なお方々からあれがどうであったかという御批判もいただき、また社内番組としては非常に努力の跡は認める、不明なところはまだあるし物足りないところはあるけれどもその努力は認めるという御批評やら、さまざまな御批評をいただいております。  あの検証番組に関しましては、当然のことながらそういう御批判、御批評あるいは努力の跡は認めてやるという御意見等がずっと僕は長く続くんだろうと思います。長く続いていただけることがやはり私どものこれからの信用の再構築、信用の再生、そういうものの肥やしになるのだろうというふうに考えております。  それから、先生おっしゃいました三番目のジャーナリズムとしての危機管理はどうかという御質問でございます。  もちろん、今回の場合は社としての危機管理対応もございましたが、まずその前にオウムの犯罪性をどの辺まで早く、つまりジャーナリストであれば一般人よりも早く先見性を持ってそのことを見抜けなかったかという御質問であろうと思っております。  これに関しましては、全く私どもジャーナリストとして本当にそういう先見性を持ちたかったと非常に悔しい思いでございます。このことに関しましては、私ども報道あるいは情報系、もちろんそればかりではありません、制作に携わる者はだれでもそういうジャーナリストとしての先見性を持ち得るように、各人の努力もございますが、会社としても現場の教育あるいは教育システムの徹底ということで、ぜひそういう先見性を備えたジャーナリストを一人でも多く私どもの会社が生み出すことがまさに問われていることだろうと思います。そのつもりで努力をいたします。
  31. 保坂三蔵

    ○保坂三蔵君 自民党の保坂でございます。  一点だけお尋ねしたいんですが、その前に、前回の参議院逓信委員会TBSの幹部の方々がお見えになりましたとき、鴨下重役もおいでになりましたが、そのときの質問の最後に、私はTBSオウム報道に関しての疑惑を要約いたしまして十項目にまとめてお尋ねしたわけです。  あのお尋ねは、何といいましてもTBSオウム報道では突出していた、「スペースJ」が視聴率の記録をとるほどの、やはりTBSは率直に言ってオウムでかなりポイントを上げていたというのが私たちの感覚だったんですよ。そういう中から先見性だとか、あるいは行き過ぎだとか癒着だとかというのが出てきた、こう判断しているんですが、今、鴨下重役のお話を聞きますと、オウムの異質性についてはジャーナリストとして気づいていなかったがごときもしお話であったとしたら、それは現場を余りにもおちょくっている。  やっぱり現場はもう張り詰めた考えで、命がけじゃないんですか、暴力団と対応したり。現にあの千代田分室で取材が行われたときは、サンデー毎日の牧編集長は既にオウム教団に身の危険を感じたと言っているんですよ。先見性を持って取材し、オウムの異質性を知れば知るほど怖さを知っていたんじゃないんですか。にもかかわらずのめり込んでいった、私はそう思うんです。  ですから、これは質問じゃないんですが、委員長の御配慮で、前回は私の質問が終わって、再質問の機会がないときに磯崎社長から十は全部風間である、そんなのはうわさだと一蹴されたんです。私は発言の機会がなかったものですから、それは委員会のお取り計らいで削除をされました。  鴨下常務はその御担当委員長ですね。今でもあの「10の疑惑」というのは全く根も葉もないうわさであって、TBSへのいわれなき他からの横やりである、こうお考えでしょうか。
  32. 鴨下信一

    参考人鴨下信一君) この問題に関しましては調査チームの鈴木から若干お答えする方がよろしかろうと思います。それで、よろしゅうございましょうか。(「それはちゃんと答弁してもらわなきゃ困る」と呼ぶ者あり)
  33. 保坂三蔵

    ○保坂三蔵君 社長の言葉で聞いたんですよ。(「あなたがそういう答弁されているから」と呼ぶ者あり)
  34. 鴨下信一

    参考人鴨下信一君) ちょっとお待ちくださいませ。
  35. 及川一夫

    委員長及川一夫君) 参考人に申し上げます。  私が議事さばきをやっておりましたが、あのときには社長さんが発言を求めまして、これは広中先生の質問に、質問というよりも御意見というものを聞いた上で、それに対する反論かと思っておったら、そうじやなしに、前回の発言を訂正したいということで保坂さんの意見について全面否定するような発言があったんです。だから、それはちょっと委員会のルールからいっても、それから前後のつなぎからいっても問題があると思うから、委員長として後で整理をするが、そういう答えについては疑問がありますということを申し上げた経過がございます。  したがって、この辺は今の保坂先生の御質問には砂原参考人の方から、やっぱり社長なんで、そういう経過があったということを前提にしてお答えをいただき、もし、それで当時の出席者として問題がある、あるんじゃなくて不十分だというふうにお考えになるんなら鴨下さん、あるいは鈴木参考人からお答えをいただく、こういうふうにしたいと思うんですが、砂原参考人、いかがですか。
  36. 砂原幸雄

    参考人砂原幸雄君) 前回の際に先生から御指摘いただいたという「10の疑惑」、まことに申しわけございません、十のことに関して私明確に今思い出しますことができません。申しわけなく思っております。  確かに、先生がおっしゃったように、千代田分室というところで放送倫理に非常にもとるような出来事があった反面、もう一つ報道局に属する「スペースJ」というところでは非常に突出した取材というのもございました。それは本当に体を張った結果だと思いますし、それゆえにいろいろと後になって取材あり方ということに関していろいろ問題も残したことであると思います。  今回の件に関しましては、非常に取材倫理、報道倫理に欠けた、本当にいわば初歩的なことさえ判断に誤ったセクションというのもございますし、また突出した二つのチームというものが本当に両存しました。それゆえにいろんな疑惑というものもいただきました。それに関して、第一次調査が誤ったということ以来、私ども丹念にいろいろと調査をしてまいりました。このことに関して、本日出席し、鈴木もその責任者でありますので、その疑惑に関して鈴木からも話を聞いていただければと思っておりますが、いかがでございましょう。
  37. 及川一夫

    委員長及川一夫君) 保坂君、よろしいですか。
  38. 保坂三蔵

    ○保坂三蔵君 結構です。
  39. 鈴木淳生

    参考人鈴木淳生君) 先生が御指摘になりました十点の項目に関しまして、あれ以降私どもも調べまして、そうでなかったものもございますし、また残っているものもございます。今現在、そういう状況でございます。
  40. 保坂三蔵

    ○保坂三蔵君 今、全部御答弁いただかなくても、部分的には調査結果を拝見していますから、この場では結構です。結構ですけれども、私もこの間の質問で述べたんですけれども、今回のTBS事件不祥事というのは幾つものいろんな事件が重なっているという実態。それと、「3時にあいましょう」のあの取材と前後する坂本事件の件と、それから日本テレビの十月十九日の報道からの御社のトップのこの問題に対するスタンスの分岐点といいましょうか、これを前後で感じるわけです。当然、異質なものもある、しかし底辺に流れる同質のものもある、こういろいろ思うんです。  私がどうしてもわかりませんのは、二人のプロデューサー、幹部ですよね。幹部の方々が、さっき上田委員の質問もありましたとおり、見せた見せないの繰り返し、いろいろありました。しかし、現実に、現社長砂原社長は、本日の衆議院の逓信委員会で、昨年の九月、検察が坂本テープに強い関心を示しているという事実を知っていたと、こういうふうに逓信委員会のたしか委員長の質問に答えていますね、きょう午前中に。昨年の九月に知っていた。坂本テープを地検が非常に強い関心を持って見ていた。要するに地検の動きを知っていた。  その後に、十月十九日に日本テレビが夜のニュースでTBSオウム番組を見せたと報道するわけですね。そして、すぐ御社はNTVに電話で抗議をする。追っかけ「ニュースの森」で、かなり現場では抵抗があったようですけれども、事実無根であると報道する。そして、それに対して、日本テレビが十一項目の質問書を出したら、調査の結果ビデオを見せたことはない、お互いに報道機関でありながら、こういういわれなき風評で言うのはNTVの反省を求めるというようなたぐいの反論をしているわけですね。しかし、その前段で九月に知っていたという社長の御発言にあるように、既にTBS社員が地検で事情聴取をされているわけです。それから、「スペースJ」の某氏は、まるで本物の早川メモを見せられて、暗記して帰ってきて会社に報告しているとも言っているわけですね。  そういうことを考えますと、日本テレビ事件がきっかけに、それまでテープを提出したり、それはいろいろ事情はお話がありましたけれども、やっぱりマザーテープを提出するというのは、今までいろいろ議論がありましたでしょう。ありました中から、テープを提供して地検に協力をする、事件の重みを痛感している、こういう姿勢をとりながら、何で十月十九日から地検のいろんな警告も無視して変わっていったんでしょうね。これがわからないんですよ。  それで、きょうの衆議院の逓信委員会では、当時の心境を社長は、当時社長さんではなかったと存じますけれども社長さんは感情的な選択であったと。言葉じりをとるつもりはありませんが、こんな重大な問題で、会社がつぶれるかつぶれないかというのはそれはわかりませんよ。しかし、そのぐらいに大きなオウム事件が起きている中で感情的な選択なんというのは考えられますかね。これは佐藤弁護士の御調査の中でもどういうふうに御判断されていくかですね。それから、坂本テープの動きに対しても重要性認識に欠けていた。いずれもエモーショナルな御判断をしているような感じなんです。  これがどうしてもわからないんです、僕は。そこから幹部のミスリードが始まっているわけです。いろんな状況が集まって、プロデューサーが見せないと言ったって、その事実と判断というのは違うんじゃないんですか、トップは。判断でこれを見せたこと、結果的には、きょうの同じ委員会でも二人のプロデューサーは見せる指示をした、こう言っていますよ、どなたかの御答弁では。もう既に衆議院では言っていますよ、二人のプロデューサーは見せると。しかし、プロデューサーは見せると言っていませんよ、今までの調査報告書では。  ですから、状況判断というのはそこまでかちんかちん。現に、早川メモでは日付が特定され、いつ、どこでとか、言い回しから、それから特殊な言葉の使い方から、使い回しですね、これじゃ、ぎゃふんと言わんばかりのあれが出ているわけですよ、ここで。それが、年が明けて三月にわかったというのはちょっと認識が甘いんじゃないか。  しかも、二月になって大川常務がわざわざ地検に出かけられましたよね。地検に出かけていって、うちは知らないよと。何か地検に対して、言ってみれば、あなたからいろいろ言われてもおれの方は知らないとはっきり断言しちゃって三月十一日の報告書になってくるわけです。どうもここのところが、佐藤先生、わからないんですよ。  わからないがゆえに、私個人の見解を申し上げれば、番たび、貴重な部分に危機管理、会社全体を守り、社員取材上の危険を守り、それから取材を受けたり、それによって放送したりしなかったりという問題はともかくとして、被害者が出たり、そういう事件の際、判断の重要なポイントで専門家の認識、専門家の見解というのは聞くものじゃないんでしょうか。例えば刑事事件で、宗教事件だとかあるいはそのほかの事件で専門家の弁護士さんに聞くとか、そういうことをされないんでしょうか。TBSさんはされたんじゃないんですか、今度も法務部をきちんとつくりましたけれども。  現に、前段の坂本弁護士の取材のときも訴訟を起こすぞと言われているんですよ、青山弁護士に。片方は弁護士が来ているんですよ、青山弁護士が。片方は弁護士が来て、それで弁護士は訴訟を起こすと、早川はじっとやくざみたいな形でにらんでいる、上祐氏はべらべらしゃべる、そういう責め方をしているというのがどなたかの発言でもありましたよね。  そうすると、青山弁護士という法律の専門家が責めて、前にも私この委員会お話ししたんですが、東京都がこの三カ月ぐらい前に認証を起こすときも、個人を最後まで裁判で責めるだと、損害賠償をするだと、カルト教団共通の訴訟をちらちらさせながらやるわけです。そういう専門的な分野に入っていったらば、弁護士さんに相談するのが常識じゃないですか。  それから、私の「10の疑惑」のときも、先生の御発言があった後に社長がぱっと突発的に言われたのは、後ろから弁護士さんが言ったんじゃないんですか、まあ知らないことにしておけと。  私たちは、交通事故を起こしますと、出ていっていきなり謝るなと、お前が悪いと先に言えと、自分が悪くても。それが訴訟になったときの第一発のあいさつ。私も法学部ですけれども、和姦だとか強姦なんというときもそういうケーススタディーも習いました、絶対自分の非を先に認めるなと。しかし、そういうやり方というのは、弁護士さんの訴訟上の技術的な問題でこういうミスリードに手をかしたとしたならば、私はゆゆしき事態だと思う。  私、今お尋ねするのは、最終的には御答弁はなぜミスリードしたかというのは言えませんでしょう。しかし、少なくとも弁護士さんというお立場で佐藤先生が御見解を持っていたらぜひ伺いたい。青山弁護士ももともとは日弁連の会長の鬼追先生のところの所員でしょう。現に、日弁連の会長に鬼追先生が立候補されたとき、私はオウム関係ありません、青山弁護士は首を切りましたとおっしゃって当選されていますね。  弁護士さんの職業的な人権上の問題とか、いろいろそういう点でも、片方の依頼者からの依頼を受けるという立場もあるでしょうけれども、こういうTBSを救わなくちゃならないときに、ミスリードというようなときに、弁護士さんがどういう絡みを今までしてきたんだろうか。これで終わりですが、そういう見解をぜひ承りたい。
  41. 及川一夫

    委員長及川一夫君) 保坂先生、まとめてください。
  42. 保坂三蔵

    ○保坂三蔵君 それから、時間ありませんので委員長にお願いしたいんですが、結局、私はTBSを責めているんじゃないんです。現実的にはこういう事件を再び起こしちゃいけないと思う立場から申し上げておりますし、被害者が出たときの救済の方法について、今度TBSさんが出した現実的な対応策というのが発表された中に、権利者の救済というのが、視聴者ですね、被害者と言った方がいいんでしょうか、権利救済のことについて全く触れていないんです。できれば委員長のお取り計らいで、こうなってきたら第三者機関としての救済機関を設けて、多チャンネル時代に入っていますから、どういうところでどういう放送が行われているかわかりませんので、そういうときに被害者が出たり、あるいは被害者が出たと判断されたら、第三者であっても訴えたら、それを判断する場所をぜひ設けていただきたいんです。これを申し上げておきます。  そして、最後に申し上げたいんですが、個人的なことで恐縮なんですが、私は鴨下重役の後輩なんですよ。全く個人的なことで恐縮です。ある高校、中学の先輩でして、TBSというのは株式会社東京放送、東京の人間というのはTBSに対してまた違う感情を持っているんです。物すごい親しみを持っているんです。その会社の常務さんまでいかれて、我々の誇りだったんです。その鴨下さんが番組に出られて後輩の方から責められた。あれもよくなかったですね。検証番組としては仕方ないかもしれませんが、本当に悲しい思いをしましたよ。  TBSが今この事件を乗り越えて立ち直らなけりゃ、民放の雄だけじゃなくて、民放連自体だってTBSがつくってきたんじゃないですか、初代の足立さんを初めとして。砂原社長、ぜひこの危機を乗り越えてTBSを再生させなければ、日本の映像メディアは救われませんよ。  そういう点を、最後は要望を委員長と会社に申し上げましたけれども、一般論として、先ほど申し上げました弁護士さんとのかかわり合い、ひとつぜひ佐藤先生の御卓見と、事件を御調査になった結果、弁護士さんというのは何にも関係なかったのか、本当に何も関係なかったのか。お名前が一人も出ませんけれども、顧問弁護士は。そのことだけをお尋ねします。
  43. 及川一夫

    委員長及川一夫君) 佐藤先生にはよんどころない事情があって時間が制限されておりますので、私の判断で大変恐縮ですが、山田先生が何か佐藤先生に御質問があると。簡単にひとつお願いします。
  44. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 お忙しい先生、恐縮ですが、二院クラブの山田でございます。  佐藤参考人にお尋ねしたいんですが、一連のオウムに関連する調査TBSから依頼を受けて調査をなさって報告書が出たということなんですが、先生がこれを受けて調査報告書を出される、受けて立つ立場というのはどんなものかとお尋ねします。  弁護士として受任されたんだろうと思いますが、弁護士としての受任であれば当然守秘義務という、釈迦に説法でございますけれども、依頼者の不利益とか決定的な秘密事項は漏らしちゃならないという法的な義務があるわけであります。そういうところをどの程度、どうお考えのもとにこの調査報告書を作成されたかということをお尋ねしたいと思います。  お忙しいところ恐縮ですが、先生は客観的にいろんな調査を一カ月もかけてなさいました。そして、この調査報告書ができ上がりまして、私ども拝見させていただきました。調査される中でいろいろと問題点なり今後のあるべき姿だとか、先ほど上田先生も御質問になったんですが、TBSがジャーナリズムとしての倫理にどこにどう違反したのか、客観的な調査をされた先生が主観的な、TBSが今後いかにあるべきかという問題も含めまして、テレビ報道がどうあるべきかということを調査をされた担当者としてどうお考えか、その所見をお伺いいたしたいと思います。
  45. 佐藤庄市郎

    参考人佐藤庄市郎君) 先ほどの保坂先生の質問で、私が会社から受け取りましたいろいろの書面の中で、TBS側意見を求めた弁護士の名前は四名、あるいはこれは名前が出ておりませんので私ははっきりいたしませんが、六名ぐらいおられたのではないかと思います。  したがいまして、TBS側としては弁護士の意見を大いに尊重してやられたというふうに考えております。しかし、結果としては、どうも私どもが納得するようなアドバイスとか結果というものにはなっていないのではないかというふうに私は考えました。  それから、今度の問題で、これについて守秘義務その他の点についてどう考えるか、こういうお尋ねですが、私どもがこの事件を受けましたのはTBS関係のある弁護士を通じて受けたのであります。そのときに、独立して自由にこの事件を解剖し判断してください、こういう依頼でありました。したがいまして、その意味でのいわゆる守秘義務というものはその報告書に記載する限りにおいて問題はないというふうに私は考えております。  それからもう一つは、そういうことで……
  46. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 先生の主観的な今後のTBS及びテレビ放送の……
  47. 佐藤庄市郎

    参考人佐藤庄市郎君) 放送倫理あり方とか、今後のTBSはいかにあるべきかというような点についての主観的な考えということでございますけれども、どうも私、放送そのものについては専門家でございません。マスコミに関係をいたしましたのは今回が初めてでございます。したがって、その点、いかにあるべきかという点は、私としてはちょっと定見、いい考え方が浮かんではいないわけであります。  ただ、先ほど保坂さんでしたかの意見に出たように、TBS側としては今後違った解決の方法があるのではないかという点については、私もそのような解決の方法があるかなというふうに考えております。
  48. 広中和歌子

    広中和歌子君 一つだけ簡単に御質問させていただきます。  視聴率についてたびたび御質問があったわけですけれども、今後の民放のあり方にもかかわりますので、三一日お伺いいたします。    〔委員長退席、理事吉村剛太郎君着席〕  この視聴率について砂原社長は、視聴率を無視はできない、しかしそれを質に置きかえ志を持った番組をつくっていくとおっしゃいまして、その心意気を大いに多とするものでございます。そしてまた、それを期待しているものでございます。  しかしながら、申し上げるまでもなく民放というのはコマーシャル収入によって成り立っているものでございます。ですから、コマーシャルの収入と番組の視聴率、それがどのようにかかわっていくのか。今後、スポンサーが志を買ってくれるようになるには、やはり東京放送TBSだけの御努力ではなくて放送界全体の問題となると思いますけれども砂原社長は、今後、イニシアチブを持たれ、そしてそういうような方向に民放を引っ張っていくお考えがあるかどうか、御決意を伺いまして御質問とさせていただきます。    〔理事吉村剛太郎君退席、委員長着席〕
  49. 砂原幸雄

    参考人砂原幸雄君) 確かに、私ども民間会社としまして、広告収入といいますか、それは重要な柱の一つであると思います。また、今現在の我々の営業収入が視聴率にリンクしたスポットというものによって非常に大きく動いているのも事実でございます。  しかし、だからといって、ただ視聴率だけに流れていっては番組の質というのはどこかに置き忘れてしまう。やっぱり視聴率というのは質を伴った、質において視聴者に支持され得るような形というものをとるのが我々の目指す道でありますし、また我々の収入の中には番組を提供することによって、番組の提供という形でクライアントから収入を得ることもございます。  一概にクライアントは視聴率ばかりを追うというようなことではない。クライアントも視聴率は意識しないはずはないと思いますけれども、クライアントにとってはやっぱり企業イメージというものを非常に大事にしていらっしゃるクライアントがほとんどだと思います。  その部分において、我々は企画のプレゼンテーション、提案、またクライアントのニーズというものを的確にくみ上げて、そしてそういうクライアントのニーズと我々の志というものが結びついていく形で番組を開発していきたい、そのように私はこれから頑張っていきたいというふうに思っております。
  50. 及川一夫

    委員長及川一夫君) ほかにも御質問あろうかと存じますが、予定の時間も来ておりますので、本調査に対する本日の質疑はこの程度にとどめたいと存じます。  参考人方々に一言お礼を申し上げます。  本日は長時間にわたり本委員会に御出席をいただき、まことにありがとうございました。放送界の健全な発展を我々も願っておりますので、よろしくお願いしたいと存じます。厚く御礼を申し上げ、三参考人方々は退席していただいて結構でございます。ありがとうございました。  五分ほど休憩させていただきます。    午後四時七分休憩      ―――――・―――――    午後四時十二分開会
  51. 及川一夫

    委員長及川一夫君) ただいまから逓信委員会を再開いたします。  電気通信基盤充実臨時措置法の一部を改正する法律案及び通信放送機構法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。  両案につきましては既に趣旨説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  52. 守住有信

    守住有信君 今までのTBSとは違いまして、我々は頭を切りかえなきゃいかぬわけでございますけれども、しかし逓信委員会というのは、予算関係法案でございますから、法律、政策、こういうのが私は一番重大だと思っております。何もTBSが云々じゃございません。  そこで、頭を切りかえて、この二法案について自由民主党を代表して質問をさせていただきます。  まず最初に、せっかく小山理事長参考人としておいででございますので、通信放送行政と機構との関連ということで御質問申し上げます。  昔は通信放送衛星の管制だけだった。それをみずからも所有する。さらには、平成の時代に入ってから情報通信行政のいろんな政策展開、いろんな立法が出まして、そしてそれがみんな機構郵政省にとりましては行政上の唯一の認可法人と考えておりますけれども、それが執行部隊である。立法、政策、これを実行していく強力な手段である、こういうふうに考えております。  そこで、機構もどんどんいろんな世界が広がりまして、例えば経理面の勘定から見ると七つも勘定がある。いろんな立法で次々に毎年新しい行政の手法が出て、これを実行するのが機構なんですね。だから、法律と同時にその執行面がどのような実績を生んでおるのかというのは我々逓信委員会としては非常に重大なテーマではないか。決算委員会等でも、やはり参議院は決算と言われますけれども、予算をプラン・ドゥー・シーして次のプランに移る、これではないか。それで、逓信委員会での、行政の唯一の認可法人ですから、そういう意味で私はこの機構の実績というか、勘定別に幾つも分かれております。いろんな機能を持っております。  そして、機構法の中では三十二条第三項ですか、財務諸表、事業報告、予算区分に従った決算報告書を備えつけなければならない、事務所には。そしてまた、一方では公開規定、内閣としてもそういうものを、特殊法人だけでなくて、各省庁と特殊法人は決算委員会でやりますけれども、認可法人についても、決算委員会という意味ではなくて、これは逓信に関係した世界だけですから、そこの委員会にやはり年に一回機構は備えつけなきゃならぬ、そういう規定になっておるわけですね、財務諸表、実績その他を。したがって、それを私はこの逓信委員会に年に一回、ただ数字だけではだめなんだから、その実績、実行した姿というものを多少わかりやすく解説を入れて、この逓信委員会に提出していただきたい。委員会として一遍そういう角度で理事会でもお諮りいただきたい。  実は、情報公開というのは非常に強くいろんな世界で言われておるけれども、具体的には法律に事務所に備えつけなきゃならない、こうなっておるんです。それを多少解説を加えてこの委員会に提出されまして、これは与野党とも十分御審議いただいて、それを知ること、郵政省の政策に従って機構がどのような成果を上げておるかという角度で我々は委員会としてこれを十分踏まえて、また次の新しい政策へ展開していく、これは非常に大事じゃないかと思っておりますので、委員長や理事の皆さん方にも冒頭に一言お願いを申し上げる次第でございます。それが入り口の論でございます。  またもう一つは、この実行部隊の機構として、郵政省がいろいろ法律をつくり予算化したりして、勘定も七つある。多様多元ないろんな手法が入っておるわけですね。対象もいろいろ違うし手法も違う。こういうものを理事長としてずっとやってこられて、私は正直なところ、やっぱりいろんなずれがあるんじゃないか。つくってからまだ年数も足りませんから、そういう点で私は、機構側として行政の方にどういう点が不十分だろうか、またどういう険路があるかとか、そういう感じを、感じで結構ですから、こういう公の場で率直におっしゃっていただく。大臣以下政府委員はそれを聞いておるわけですから、執行部隊としての責任者として、例えて言うなら定員はたった百二十名ぐらいしかおらぬ。全国に一カ所、地方にブランチもない、地方の時代と言われながら。  それで、いろんな例を挙げますけれども、東京、関東中心だ。奈良とか京都、神戸にちょっとある。九州にはたった一つ、リサーチセンターが佐世保だけ。四国でも一カ所だけとか、地方から見ましてもせっかくのこの機構の動きというのが余り見えないんですよ。はっきり言って、通産系はやっておる。ほかもいろいろやっておりますけれども、これは見えるんだ、地方から見ておって。テクノポリスとかいろいろやっております。電子応用機械技術研究所とか、私の熊本のところはやっておるけれども、なかなか見えない。  そういう点で、また理事長もいろいろ行政側にも要望したいことがあるだろうと思います。定員の話も一言言いましたけれども、やっとこさ七名ふえた。やっと百二十名になった。これだけ七つの勘定もあって、いろんな法律制度がありながら、果たしてどういう気持ちでみずから責任者として執行しておられるかという点を率直にお気持ちをお話しいただきたいと思います。
  53. 小山森也

    参考人(小山森也君) 最初に、当委員会の常日ごろの御支援と御指導をいただきまして、私ども機構の業務推進を順調にいかせていただいておることに御礼を申し上げておきます。  それから、ただいま守住先生の方からお話がございました率直なということでございます。率直なことを申し上げますと、それは人間人間のやることでございますので一〇〇%すべて小骨も刺さないというようなことはございません。ただ問題は、そのことによって私ども機構に命ぜられております仕事の業務ができていくのに支障があるかどうかということでございますが、関係御当局の非常な御理解と御指導を得られまして、現状では特にここで大きな声を上げて非常に困るというようなことはございません。  特に、定員にいたしましても、今、先生御発言いただきましたように、本年度七名の定員の増もいただきまして、そういった意味では非常に私どもに御理解ある行政御当局、政策御当局、国全体の政策に基づく実施機関として仕事をさせていただいておるということを申し上げたいと思います。
  54. 守住有信

    守住有信君 私としては、多少外交辞令的に公の場だからというふうなことかもしれませんが、細かい点もあるかもしれないけれども、もっとかくありたいというような、今後も、また来年も恐らくこういう機構に対する実行部隊としての新しい時代の変化に即応して郵政もいろいろ立法されると思うんです。そして、いろんな手法があるんだな。手法が違うんだよ。信用保証から始まって、基金とか出資とか研究開発とか、そういう民間の世界、あるいは各研究機関との関連とか、ずっと次元の違う、手法が違うこれがあるわけです。そういう資本の出資から始まっていろいろあるわけだ。民間の金融機関、開銀との関係、その他ももろもろありますよ。そういう点でひとつ両方とも連携して、行政と実行部隊が連携して地域に向かっても力強く進めぬと、地方から見て、通信放送機構と私が質問します。例えば県庁に質問します。うっという声がはね返ってくるんだな。それを余計感じております。  周知徹底も、何か聞いておると、パンフレットもありますよ。機構へ参観された人にはお渡ししておる。果たして関連する産業界のトップクラスとか各種研究機関とか大学とか、そういうところまでこれは送ってあるだろうか。これですな、通信放送機構。これはみんな御承知ですな。こういうのも我々委員にもみんな来ておるだろうかとか。脚下照顧ですから、そういうのを足元から見直して進めていきたいと思っておりますので、こういう周知宣伝の仕方なんかも直接トップの方へ、各国立大学とか私立大学とか研究所とか、あるいは県庁とか企画開発部とか、もろもろの世界がある、大学もある。こういう点は機構としてどういう知恵を出して積極的にどのような手法でやっておられるか。通信放送衛星機構は余り知られてないんですよ、はっきり言って。何か衛星ばかりやっておるようで、衛星はもう抜けておりますわな、通信放送機構。ここのところをちょっと幾つかの例でいいから、やり方、啓蒙運動、啓発運動、これをお聞かせいただきたいと思います。
  55. 小山森也

    参考人(小山森也君) 私どもは、実際の仕事をする上におきまして、ほとんど地方公共団体と共同でやると。第三セクターであるとか、それからいろいろな通信機器関係あるいは通信事業者とのペアでもって組んでやるということは大いにございますので、そういった意味ではほとんどの地方公共団体にはそういった周知のパンフレット等はお配りしております。  特にまた、難視聴地域解消というようなこともございますので、これはもうほとんど全国の市町村に全部配布してございます。  ただ、先生御指摘のように、私どものいつもやっていることは正義で正しいと、全部が完璧にやっているということを申し上げるつもりはございませんでして、御指摘いただきました点がありましたら、また行政御当局ともいろいろ御相談しまして、足りない点ほどんどんこれからも改善していかなければならない、こう思っておる次第でございます。
  56. 守住有信

    守住有信君 あと、ほかのいろんなテーマ、切り口がありますので、お隣の建設省の方へ今からお尋ねしたいと思いますから、結構です。  まず建設省ですが、今度の法案の中へ初めて対象にCATVを入れる。第一種通信事業者だけでなくて光ファイバー、都市型のCATVを入れて、まさしく映像、放送通信の結合、融合の第一歩が始まる、このように私は受けとめておるわけですけれども、そのときの有力な手段が道路なんですね。無線じゃない、有線だから。この道路の利用について、道路占用許可、許可の使用料、こういうのが今の制度であります。  最近、建設省は新たにこういう構想で、二、三日前の日経ですけれども、「光ファイバー情報ハイウエー 専用溝十五万キロ整備 民間負担軽減低料金で開放 建設省、九七年度から」、そしてまた、この下の方に解説が入っておる。いわゆる共同溝の法律も改正して臨んでいこうという非常に斬新な、道路の公共利用を光ファイバー、CATVのグループも使う、しかも低廉で使いやすくする、簡単に言うとそういう遠大な構想です。今まではいわば地下共同溝だった、真ん中を掘った。脇の方を掘って小さい情報溝、こういうネーミングで地下の数十センチメートルぐらいだな。国道、県道で、これをやろうという構想も出ております。  まず、今までの現状、道路の利用、それから特に道路占用利用料がまことに高くて、それに対して具体的にどういう現状にあり、そして今後の展開、構想、これをひとつ御説明いただきたいと思います。
  57. 峰久幸義

    説明員峰久幸義君) 高度情報化社会におきまして、全国的な光ファイバーのネットワーク網を整備するための情報インフラを早期に整備しなければいけないということにつきまして、我々も極めて重要なことと思っております。  それで、まずCATVに係る占用料のことについて御指摘ございましたが、我々も基本的にはこういう認識のもとで、道路の占用料につきまして昨年十月に見直しを行いまして、道路法の施行令を八年ぶりに改正いたしました。その中で、地下電線の項目を新設しましたり、あるいは地下の埋設管の外径区分を細分化して安い区分もできるようにするとか、そういうところで電線類の地中化の促進を図る施策、こういうことをやりながら高度情報化社会の推進に資する観点からの改正ということもそこに入れております。  CATVについて具体的に申し上げますと、例えば人口五十万人以上の都市におきましては、電線を上空に設けます場合には、今まで年間一メートル当たり三十六円、一キロに直しますと三万六千円でございましたけれども、これを今回の改正によりまして、上空電線でございますが、二十円という形で六割弱になっております。また、電線を地下に設けます場合にはさらに安くなっておりまして、年間一メートル二十円であったものを十円という形で半額にしております。  こういう形で八年ぶりの占用料の改定の中で、地価のいろんな経緯を見まして、全体的には上がっている中でございますけれども、CATVの占用料につきましてはこういう形で大幅に引き下げられておる、そういう意味で事業者の負担は相当軽減されることになると思っております。手続についてもいろいろ簡素化を図っているところでございます。  それと同時に、いろいろ新聞情報等で御指摘ございましたけれども、我々こういう占用料の問題と同時に、今まで共同溝の整備ですとかキャブの整備によりまして情報インフラの整備を進めてきたわけでございますけれども、特に昨年の三月には安いコストで管理の容易な電線類の共回収容施設を整備するということから、電線共同溝の整備等に関する特別措置法というものを制定させていただきまして、さらに今国会では下水道なんかでございますけれども、下水道の管渠の中に光ファイバーを設置できるようにした、こういう形で公共空間を利用した光ファイバーネットワークの整備ということを今進めているところでございます。  以上でございます。
  58. 守住有信

    守住有信君 それに対して、郵政省はそういう法案で各省庁協議でやるから、そのときからわかっておると思うし、それをきっかけにして建設省がどのように新しい発想でトライしておられるかというのも詳しく御承知でなきゃならぬはずだ、こう思っております。CATV等の所管は、あるいは電話も含めてですが、電力は通産だが、含めて御承知だと思っておりますけれども、あえて聞きません。  ただ、問題は地方なんです。地方で建設省は、例えば九州でいうなら九地建がある。各県ごとに三、四カ所土木事務所がある。それから県の方も土木部、きちっとした組織があって、河川だろうと道路だろうと都市計画だろうとどんどん連携して進めておる。一方では電監しかないわけですな、地方電監。これと建設省の地方事務所なり地建、それと特に県、これとの三者の連携というのが、本省は当然ですけれども、非常に大事になってくる。それで、話が抽象論じゃなくて、もう具体的にどの道路から取り組むかという現実論になってくるわけです。そういうときに、片やCATV事業者とか、ほかも関係あるけれども、それとの接点をやはり行政として媒介せにゃいかぬわけだ。せっかく建設省が公共事業としてやっていく中でそれが活用されなきゃだめなんだ。  そこらもありますから、民間の事業者との間のつなぎ、CATV事業はやっぱり郵政だから、電監。それと建設系の、あるいは県庁も含めた世界との連携を図っていかにゃいかぬ、こういう点について郵政省側はどういう発想をしておられるのか。  ただ会議やりましただけじゃだめなんだ。やっぱりさっきの理事長機構だってパンフレットだけじゃだめなんだ。地方へ行って講演会をやるとか、そういうのと手法は違うと思いますけれども、同じ各省庁の出先機関なんだから、あるいは事業者との関係、これを今後どういうふうにするか。  建設省の物すごい大構想なんだな。これはすごい、十五万キロ整備する。こういうことですから、そこのところをどのように今、あるいは今後連携の策というものを、地方も含めて取り組もうと思っておられるか、そこのところをお尋ねしたいわけです。
  59. 楠田修司

    政府委員(楠田修司君) 先生御指摘のとおり、CATVの例をとりますと、これに係ります道路占用許可につきましては、国道の場合は建設省、県道及び市町村道の場合は道路管理者であります県あるいは市町村ということになります。したがいまして、県とかあるいは地方建設局、市町村との連携というのは非常に重要になってまいるわけであります。  このほか、ケーブルを引く場合に、いま一つは電柱共架ということがありまして、NTTあるいは電力会社の共架の問題がございます。道路占用手続の方は一週間から四週間程度で処理していただけますけれども、電柱共架の方はむしろ一カ月から三カ月かかる、こういうような実情もありまして、これらのところが一緒になっていろいろ協力をやっていくということは非常に必要だと思っております。  これまでどういうことをやってきたかということを申し上げますと、もう十分御承知のことと思いますが、地方建設局が開催する地方電線類地中化協議会というのがございまして、ここへ先ほど申し上げました県とかあるいは建設局、電力、ケーブル、あるいは電監局等が入ってやっております。ただ、これは年に一回でございます。それから、有線放送関係でこれまでいろいろ問題がありましたので、そういう関係で建設局なり、道路占用許可とか電柱共架の問題になりますが、それを協議する場というのがこれまであったわけでございます。  今回、非常に建設省の方でいろいろ御努力いただきまして、簡素化あるいは料金面での低減というふうなこともございましたので、それらのメリットを還元するという形で、より詳細なといいますか綿密な連携をとってやるという方向で進めたいというふうに考えておるところでございます。
  60. 守住有信

    守住有信君 今お話が出た、前も水野委員から大阪有線放送ラジオだった、最初は。暴力団が後ろにおるような会社。不法添架をやるしキャバレーその他、大阪辺からだっとやって、何か近ごろは全国展開しちゃって、初めて最近の状況を水野さんから聞いた。前はラジオでやったけれども、大阪有線。そういうマイナス面の問題もあるから、警察からも来よったんだ、ここをやろうと、この不法添架している会社を。ぱっと一晩のうちに別のところにひっかける。夜中のうちに別のところへぐっとかけ直すというふうな、いろんなことをやりおったというのが非常にマイナス面です。  したがって、郵政の法令に違反しなくても他の法令に、他省庁の所管の法令に違反するものについて、やっぱりそういうCATVは、有線放送郵政省所管なんだから、郵政省が他の法令との関係も絶えず把握して、情報提供する、事業者に対して。CATV法には違反していないかもしれないけれども他の法令に違反しておるようなやつは許可を取り消せと。届け出だとか自由化自由化というものだから、規制緩和ばかりなものだからがっちりできなくなっておるというマイナス面のことも実は感じておるわけです。しかし、やはりマイナス面を抑え込みながら積極性が大事だと。今度の法案も非常に積極性の発想が入っておるというふうに評価をしておるわけです。  ただ、今度はCATVを考えていった場合に、私が昔から知っていますのは、まだ有線テレビジョン放送法ができる前に、いわゆる財団法人という形で東京、名古屋、大阪、福岡、これらの都市難視、原因者負担、財団法人だと。もう今はとっくに株式会社、資本の論理、技術の論理、経営の論理、しかもそれの高度化を図る、光ファイバーにするというふうなことで幾つかのところは、例えて思い出すと、あの田園都市線の東急あるいはまたセコムは将来は家庭の中の警備とか福祉とか、いろいろそういうもので発想しておる、横浜とか。大手のそういうところ、あるいは伊藤忠とかその他入ってこれをどんどんやっておるけれども、大部分はなかなかいかぬ。だんだんと規制を緩和して、同一地域に今までは一社だけであった、したがって財団法人がありますと他の後発の民間のCATVはそこへ広げられなかった。  財団法人が物すごく投資してどんどん進めるならいいけれども、寄附行為ですよ、財団法人ですから。出捐でございます。出資じゃございません。増資もないんだ。大阪の方は何かいろいろやり出して、どんどんやっておるらしい。詳しくは知りません、伝え聞きだけなものですから。福岡あたりは、福岡市内の中心街に財団法人があって、それでさっぱり広げない。片や民間でどんどん新規参入でやり出す。こういう問題もある。  そこらあたりも、財団法人について、もう過去の遺物ですよ。私は解散すればいいと前に役人のときに言いよったんだ。それで、解散するとこの資金は国庫に帰属するから、CATV等の研究調査機関にしておく。そして出資者は、いろんなところが出指していますから、これを出資者の中心にして、総合商社でも地元の資本でもいいです、そういうので大きくしていく。  私は簡単に言うとこういう絵を描いておったわけでございますが、今でもずっとこの財団法人の形での設備投資その他、お隣にあるわけですから、他の地域の民間と比べてみてどうだろうか。どこまで本当に局長さん以下課長さんその他、地方電監もどう認識しておられるだろうかというのであえて御質問を申し上げる次第です。その辺のところを財団法人が、もうずっと昔から財団です。どう発展させていくのか。この財団法人が見えないんだ。いろんな資料を見ても全然出てこないんだ。どんどん伸ばしておるところは民間ばかりだ。民間は当然だと思いますけれども、そこらあたりもどう把握しておられるか、お聞かせいただきたいと思います。
  61. 楠田修司

    政府委員(楠田修司君) 先生御指摘の財団形式のCATVというのは、高速道路とか高層建築等の人為的原因によるテレビジョンの受信障害解消を目的に、昭和四十年代ぐらいから各地で先導的に設立されたものでございます。例えば、具体的に申し上げますと、東京ですと財団法人東京ケーブルビジョン、京阪神にいきますと京阪神ケーブルビジョン、それから名古屋ケーブルビジョン、先ほど御指摘の福岡ケーブルビジョン、これが大きなものでございます。  一方、最近のCATVの動きというものを見てみますと、近年、都市型のCATVというのは非常に大きく伸びておりまして、規制緩和もありまして年率二、三〇%の勢いで伸びてきておるということでございます。将来の情報通信分野での大きな役割を占めるだろうというふうに予測されておるわけであります。そういう中でのこの財団のあり方についての先生の御指摘であろうかと思います。  我々も、この財団においていろんな問題がある、将来性はどうかという点についてはいろいろ考えなければならない問題でございます。都市型CATVへどのように財団が移行しなければならないか、こういうような今後のあり方について財団自身においても現在検討しているところでございます。郵政省としましても、必要に応じましてできる限り財団に適切に協力してまいりたい、このように考えておるところであります。
  62. 守住有信

    守住有信君 どうもそういう認識じゃ、基本構造が違うんだよ、財団と株式会社は。財団が増資できますか、スタートのときの。それで、原因者負担で毎年道路公団等からちょぼちょぼもらっておるだけだ。現状維持なんですよ。株式は資本の論理だよ、投資だよ、それから技術の論理。光ファイバーだろうと何だろうと、どんどん入れていく。じゃ、どうなんだということを、基本構造が違うんだから、財団と株式会社とは。わかりますか。ここは何か財団にも言っていろいろ努力をしていただいて、大臣、そこのところを、あなたは弁護士だから法律制度をおわかりで、一番わかっておるでしょう、株式会社と財団法人の違い。  まして、こういう設備投資でやっていく、市民のためにやっていく、そして経営にも営業にも役に立つ。そして光ファイバーの時代、情報通信、電話もできる、通信もできる、インターネットもできる、こういう時代なんですから、あとのテーマがあるから、大臣、そこらをよろしくちょっと一言、まあ文句とは言わぬけれども、今後積極的に取り組んでやっていただきたい。
  63. 日野市朗

    ○国務大臣(日野市朗君) 先生御指摘のように、財団とそれから株式会社というのは企業をこれからどう進めていくか、事業をどう進めていくかというところで非常に違う。そして、株式会社というのは非常に多くのメリットを持っているのはそのとおりでございまして、これから伸びていくCATVなんかについてどのようなセクターで行っていくのがいいのか、これは十分に検討しながら進めてまいりたい、こう思っております。
  64. 守住有信

    守住有信君 その四つが大都会のど真ん中にある。四十五年からですよ。それを私は次官のとき、当時は電波監理局長は平野君だったかな、ふやすより換骨奪胎しろと言ったんだ。あれは解散すると国庫に帰属するから研究調査機関にしておけ、あとは民間と一緒になって出資者と会社をつくれと言っていてもう十何年たちます。もとから言うと四十五年だな。法律が、有線テレビジョン放送法なんかなかった時代だったから、電波監理局長が浅野賢澄さんのときに財団方式で都市難視で始めた。余り時間がありませんので、この程度にしておきます。  あと重大なのが電話による悪質な、もう電話勧誘だけじゃないんですよ。通産省は訪問販売法を改正しまして電話による不当な訪問販売を規制したんです。もう法律はできましたよ、つい最近。この電話というのは非常にメリットがありますが、電話の持つマイナスの特徴というのは何だろうかと考えて整理しました、マイナス面は何だと。  匿名性。まず、匿名だ。発信者主義だ。それから不意打ち。それから情報が限定されるし、人間人間の音声ですから聞いた側もよくわからぬ。電話の方も、勧誘だけじゃないですよ、無言電話から始まって、嫌がらせ電話、中には脅迫も入れる。そして、家庭の奥様方が一番悩んでいらいらしておられるのは嫌がらせ、無言その他です。もちろん電話による訪問販売見事に通産省が規制しましたよ。商工委員会でもう上がりました。  ところが、訪問販売でない、電話利用の市民生活に対する、家庭に対する、平和な家庭だ、我が家だってどこだってリーンというから家内が出て行くと、ぶつっと切れる。おれが出りゃ何をと言うんだけれども、嫌がらせから始まって、それが実態なんです。  訪問販売法で通産系の消費者センターや経済企画庁の国民生活センター、物すごく上昇しておるのが、この訪問販売だけでグラフがぐわあっとこれだけ上がっているんですよ、電話による訪問販売。  訪問だけでない。この悪質なやつをどこも調査したことはない。何か郵政省は、電気通信利用の適正化に関する法制度研究会、去年の十二月、報告書が出ております、法制度からというふうなことで。  私が現職のころ、当時電電公社でしたが、デジタル化というのが入ってきた、電話のデジタル化。そうしたら、電子交換機、端末のところで相手の電話番号が表示できるんですよ、自動的に。そうすると、それは何のたれべえか、住所はどこかわかりませんが、しかしおのずから電話利用社会で自制が起こる。お互い人間だ。それを早くやれと言いよった。もう一つは幅広く法制度です。ところが、そういう研究会のレポートは出ておっても、通産省の方が電話訪問販売をがっと入れたわけだ、今度の法律の中に。これは消費者団体にとって一番のあれだった  ところが、じゃ郵政はどうだと。そうしたら、こういう報告書を受けながら、NTTの方が何か今度は社会的実験をやると、三つぐらいの地域で。もう都会地はとっくにデジタル化できておるんですよ。しかし全国はできていません。また、嫌がらせが多いのは都会地なんです。過疎は本当の純朴なあれなんですよ。だから、都会地に真っ先にデジタル化ができたところからぼんぼん入れていけと言って電電公社にどなった覚えがあるんですけれども、その後もう十何年間でございます。  そこをひとつ御認識いただいて、あのNTTがやっていく、何だったか忘れましたけれども、そういう新しいサービスを全国で三カ所、早いやつは秋ごろから実験をやり出すというわけです。  電話というのは郵便と違うんだ。郵便は妙なあれが来たら捨てりゃいいんだ。そうでしょう。内容証明が来たら受け取り拒絶ができるんですよ。ところが、電話というのはもう一方的です。そして、市民生活を乱しておる。これをどういう方法でというのが、デジタル電話で相手の電話番号がわかる、こういう方式なんですな、簡単に。余り金取らぬでもいい、それについては余りもうけぬでもよかというか、もうけ過ぎたんだ。  そういうので、どういうふうに行政としてNTTを指導して、女性の立場、家庭の立場、消費者の立場、これを代弁するのが通信行政ではないのかと。私はそういう立場に立っておりますので、そこらあたりの取り組みをお聞かせいただきたいと思います。
  65. 五十嵐三津雄

    政府委員五十嵐三津雄君) ただいま先生からるる御指摘がありましたとおり、今の電話社会におきましていわゆる迷惑電話というのがどんどんふえる傾向になっております。私ども、ことし実施をいたしました通信サービスのモニターアンケートの中でもそういう迷惑電話を受けたという方が八割以上いるというような状況になってございます。  ただいま先生からお話のありました、あるいはかねて御指摘のありました発信電話番号通知サービスということによって受信者側が発信者の番号を知ることができるということで、いわゆる迷惑電話の抑止効果というのは期待できるということがございます。このことにつきましては、今NTTから申請をこのサービスについて受けたところでございます。具体的には、平成八年中に名古屋、横浜、福岡、こういったところで試験的に提供したい、平成九年度から全国サービスを提供したい、こういうふうにしております。  ただ、審議会がこれを受けましてただいま検討に入っておりますが、今までは発信者番号というのは自動的に受信者がわかるということにはなっておりません。そういう意味では利用者、国民の皆さんの電話の利用の仕方が基本的に変更してくる、ある意味でプライバシーの問題もございます。そういう意味で、国民生活と密接に関係があるというようなことで、審議会では来月公聴会を開催するということになってございます。なるたけ速やかな手続を経て認可をいたしたいというふうな気持ちで考えておりますが、発信者のプライバシーの保護と、それから受け手側のある意味でいうと安寧といいますか、プライバシーといいますか、そういうバランスということを配慮しながら早期に導入に向けて努めていかなければならないというふうに考えているところでございます。  このことにつきましてはかねがね御指摘をいただいておりまして、NTTにも指導してまいっております。NTTもこれまでいわゆる迷惑電話ということにつきましては、例えば迷惑電話おことわりサービスというようなものをサービスとして提供する、あるいは二重番号サービスとか「でんわばん」という不在案内サービス方式で嫌がらせ電話を避けていくとか、あるいは電話番号の変更をするとか、そういう等々の施策を講じてまいりましたが、今回、こういうことで発信者の番号がわかるサービスの提供ということに取り組むこととなったところでございます。
  66. 守住有信

    守住有信君 二重番号とかいろいろ、例えば夜切りかえると、自分の関係の深いところだけは番号入力してあるから、そこだけはかかってきてあとはかからぬとか、いろいろある。ただ、あれは付加使用料が高いんだよ、NTTの姿勢として。認可しておるだろうけれども、高いんだ。一番安いやつでやるというのが私の発想の中にあるんです。  一般大衆、どこかわからぬ、どこへでもかかってくるんだからね。もう遊びがてらやっておる、嫌がらせを。土曜、日曜が一番多いんだ。なぜか。家で遊んでおるやつが勉強部屋からカチャカチャとやっておる。言い出せば切りがありません。  そこで、学者先生も法益というものを、どっちが法益かと。プライバシー、秘密だ、発信者の秘密だと、何がと。  五十嵐さん、昔、僕が局長のときにあなたは業務課長で、警察と内閣法制局から、今まであった通信の秘密は郵便法だけの通信の秘密。電気通信、電話の通信の秘密を法制局見解でとって、警察庁の、あのころは仁平捜査一課長だった。誘拐犯をいかにして発見してパクってやるか。わしらも加勢せにゃいかぬ、警察任せじゃだめだ。脅迫電話がかかってくるんだが通信の秘密だから教えられぬという当時の電電公社、全電通もそうだったよ。私は変えろと言ったんだ。嫌がらせとはそれに準ずるようなやつだ。  だから、学者か何か知らぬけれども、同じ法益のバランスということをよく主張して、ただ学者任せ、審議会任せ、研究会任せじゃだめだよ。おれは市民の代表として、特に家庭におられる女性や子供の代表として主張しておるわけですから、よくそこのところを学者、研究会の人たちにも訴えていっていただきたい。大臣もそこのところだけはお願いしておきます。  それで、もう余り時間がないんで、また次のテーマの一番大事なNHKの受信料、米軍の基地の中の私生活ですからね。防衛じゃないんだ、あれは。防衛ならいざ知らず、生活、日本国民の私生活と同じ受信料。  NHKは基地の中に入れぬからね。ずっとでしょう。もう何十年だよ、日本が独立して。昭和二十七年の四月、サンフランシスコ平和条約発効以来、あれだけがずっとだ。基地内の上下水道、光熱費、電話、あれなんてどうなっておるか。同じ生活費、受信料だけがNHKは苦労してやっておる。ちゃんと三つのところに昔会長名で文書出しておる。そして例の法制局見解。税金じゃない。アメリカはみんな民放だから、スポンサーだから、それで日本のNHKのこういう受信料というのはわからなかった。イギリスとかなんかは税金でしょう、ヨーロッパは。だから税金だ、税金は払わぬでいいとなっておるんだ、日米安保で。ところが、これは私生活の方の話ですからね。  何か二月二十日にやっと文書を出して、北米局長ばかりか、アメリカ大使館、米軍の駐留総司令官、外務省の人と一緒に行け、私は池田行彦さんにも言っておったんだからね、外務大臣にもね。大臣にもそうですよ。  こういう姿勢を郵政省として、もうNHKに任せよう、逓信委員会の昔の論議はNHKの問題でと、こう来よったんだ、ずっと。私はもう本当に、この前もあっちの方の委員が言って、ううんと思った。日米安保の通信委員会も前にやりよった。放送もですよ。それだから具体的に、北米局長あての文書だけじゃなくて、北米局の局長以下と一緒になってアメリカの大使、米軍の総司令官、ここへ行く。今度総司令官は交代だからね。空軍の中将だ。彼はもう本国へ帰る、だれが来るか知らぬが。そういう大幹部のところへ行ってやらぬとだめでござんすからな。何遍もかみつくのは私生活だからですよ。日米安保じゃないんだ。有事とかなんやかんやの話じゃないんだからね。だから余計、これは郵政省、恥辱ですよ、このまま放置しておいては。  そして、私なんか早目に言うけれども、NHKは今何十億か黒字だな。それで受信料値上げのときにどのようになりますか。あえて問われますよ。前の井上大臣のときも、おい、やるぞと言ってやりよったんだ、大臣マターだと言ってね。局長と一緒にこの点だけはまた注意喚起の意味であえて申し上げておきます。  それで、まだ残っておりますから最後に、京都のATRという国際電気通信基礎技術研究所の十周年記念にこの間行きました。  そして、そこであれを育ててこられた大阪大学の熊谷元学長、科学技術基本法でやっておりますな、科学技術部会の中の有力メンバーでもあるんですよ。あの方が京都の研究所で、スライドを使って、今までの十年、これからの十年、そしてあれははっきり言って産投の会計から金が出ているんです。建設国債とか一般会計からじゃないんです。だから、いわば基礎研究といいながら、もう実用研究だけなんですよ、この中身の性格が。あえて具体的なことは言いません。  それで、熊谷元学長が長い間スライドを使ってこれからの十年はということでおっしゃったことが猛烈に残っております。向こうもちゃんと知っております、課長クラスが来ておりましたから。  そこで、やっぱり科学技術の振興策、科学技術基本法をつくって、今度は自民党が中核になって三党とやっていくわけですね。その中で、この問題は民間的な、産投会計だけれども出資ですから、株で配当を返さにゃいかぬですよ。よその省庁の基礎研究所はみんな税金か建設国債でやっておるわけだ。これだけがそういう産投出資で、基本構造が十年前、NTTの株の配分でやって。だから絶えず応用研究なんですよ。パテントはたくさんとっています、応用の方で。ところが、一番大事なのは基礎研究でしょう。郵政省にとっても情報通信にとっても我が国の全体の科学技術の振興策にとっても一番大事なのは基礎開発、これは政府の任務なんだ。  そういう意味で、あえて御提言だけを、問題意識は持っておられますから、その問題意識をがっと高めにゃいかぬわけだ。そして、どの銭を使うか、建設国債の枠が一番いいと思っているんだ。八年度予算、科学振興費は全体としては一〇・九%増。政調会長の山崎拓さん以下が大蔵省とわあわあやり合ったわけです。今後も、来年に向かってもいろいろあるけれども、研究開発の基礎というのは政府の任務だ、民間は応用、実用だ。  それで、投資することによっていずれはね返ってくる。所得税、私は恒久所得税と言いたい。法人税、いずれ五年先、十年先にはね返ってくるんだ。それで、知的所有権、特許、アメリカに何ぼ特許料払っていますか。巨大な額だ。あの特許だけは、知的所有権だけはもう輸入ばっかりだものな。応用の方は多少輸出があります。科学技術庁の分析です。  そういうのを踏まえて、このシンボルがATRなんですよ。基礎研究所だ、応用研究所じゃございません。そこのところだけをよく、原点の資金が税金その他建設国債じゃない、産投会計の出資ですから、配当で返さにゃいかぬのですよ。そういう悲劇があそこにはあるわけです。ただ、大阪にそういうものがなかったから、大阪大学の教授以下、関西経済界はこれを招致したわけです。あの京阪奈だな。もう十年たったわけです。  そして、科学技術基本法もつくり、もう目の色を変えてやっていくわけだから、大蔵の主計局とけんかしながらやっていくわけだ。その中の郵政省のシンボルとして、八月まででしょう、予算要求は。これはどうなっておるんだろうかということも大臣のお耳にお入れしておく次第でございます。  以上で終わります。
  67. 林久美子

    ○林久美子君 平成会の林久美子でございます。  まず、郵政省は昨年の震災を契機に通信放送機構法を改正いたしました。そして、この六月五日に晴れて神戸に二開発センターが開所いたします。私も神戸出身といたしまして本当にうれしく思っております。ありがとうございました。  次世代の総合防災通信ネットワーク、そして次世代のデジタル映像通信情報通信分野の企業支援を目的とした共同利用型施設を神戸に整備しまして研究開発を行うものでございまして、この法改正には私も質問させていただきました。その後、二つの研究開発センターがオープンする運びになっていますが、法改正後のこの施設整備の進捗について簡単に御説明をお願いいたします。
  68. 山口憲美

    政府委員(山口憲美君) 昨年、通信放送機構法の改正をしていただきまして、また予算措置も、補正予算でございましたんですができたというふうなことで、今お話しのように、神戸市に初めて通信放送分野の研究開発を皆さんでやっていただくための施設というふうなものを整備させていただいたということでございます。私どもはこれをなるべく早くオープンさせるということに力を注いでやってきておりまして、今お話しのように、準備が整いましたので六月五日に開所式を開かせていただくというふうなことで進めているということでございます。  こういったものがうまく機能するようにいろいろとまだ工夫をしていかなきゃいけないというふうに思っておりますが、こういったものの成果を踏まえまして、さらにまた地元の皆さんともお話し合いをしながらこういったものの整備を進めていきたい、こういうふうに考えている次第でございます。今のところは一つに力を入れている、こういうことでございます。
  69. 林久美子

    ○林久美子君 震災の後の復興のためにも、ぜひ力を入れていただきたいと思っております。  それでは、二点目ですけれども信頼性向上施設整備事業の拡充についてでございます。二点お伺いいたします。  光ファイバー網の整備のために今回も融資制度の拡充を図っているのに対しまして、震災に強いネットワークづくりのためには五年度に創設された債務保証制度しかありません。利子補給をして事業者の負担の軽減を図って、ネットワークの信頼性を向上させることは今回もまだなされておりません。ここはほかの電気通信施設整備事業と同様にきちっと利子補給をして、安全性確保に努力すべきではないかと思います。  昨年の基盤法の改正の際にライフライン税制という提案が先輩議員からありました。その際、五十嵐局長から、情報通信はライフラインとしての役割があり、支援策についての充実を図っていく努力をするという答弁があり、大蔵省に対する宿題になっておりましたけれども、今回の税制改正ではどのような検討をなされたのか、お伺いいたします。
  70. 五十嵐三津雄

    政府委員五十嵐三津雄君) ただいま先生から御指摘のありましたとおりに、平成五年度に改正されました電気通信基盤充実臨時措置法に基づきまして、今シールド式の洞道、そして電子式の回線切りかえ装置、こういったものにつきまして、電気通信システムの信頼性向上に資する施設の整備ということで税制上、金融上の支援措置というのができ上がっております。具体的な内容につきましては、それぞれ例えば初年度一二%の特別償却とか、あるいは取得後五年度分についての固定資産税の課税標準を三分の二に圧縮するとか、そういうたぐいのものであります。  今回、平成八年度の税制改正につきまして、阪神・淡路の大震災を教訓といたしまして、私ども情報通信のネットワークの安全、信頼性の向上を図るということで、新たに非常用の無線装置、そして非常用の電源装置につきまして税制の対象設備に追加したということでございます。対象として非常用の無線装置、そして非常用の電源装置、これにつきまして対象を拡充してまいりました。先生ただいま御指摘のありましたとおりに、平成五年度以降、いわゆる信頼性向上促進税制と私ども言っておりますが、こういうものとしての対象設備を拡大したというのは初めてのことでございます。  そういった意味で、私ども今後とも情報通信ネットワークの構築に当たりまして、災害に強い、あるいは信頼性のあるそういうネットワークの構築を目指して一層その充実に努めてまいりたいどいうふうに存じております。
  71. 林久美子

    ○林久美子君 どうもありがとうございました。  それでは、三点目なんですけれども先ほど守住議員からお話がありましたけれども、光ファイバー網の整備についてお伺いいたします。これはどちらかといいますと提言のようなものでございます。  光ファイバーケーブルの敷設の仕方には大きく分けて架空線と地中化の二種類があります。平成六年末では架空線が七割、そして地中化が三割の比率になっております。震災に遭った経験から申しますと、暗やみの中で電信柱が倒れたりしまして、そして交通網の遮断のみならず、自転車でみんな町を走ったときに電線にひっかかって首や顔をけがした人が多かったんですね。そういう意味でも、また景観を損ねる意味からも、方向性としては地中化への道を進んでいると思うんですけれども、例えば下水道を利用して光ファイバー網を完備するなどの方法も考えておられます。  そこで、一つ提言したいのは、一つの家庭を見ますと、電気線とか電話線は空中から今度は水道や下水道の地下に引っ張っていく。これは一般的ですけれども、電気線とか電話線を空中から一つの中に入れるために家庭共同溝というのをつくりまして、整備しまして、外から家庭に入る施設を一本化する。経済的な面がすごくネックになりますけれども、建設省や自治省、そして厚生省とともにぜひ相談してそういう方向に進めていただきたいと思うんですけれども郵政大臣の御所感をお願いいたします。
  72. 日野市朗

    ○国務大臣(日野市朗君) 非常にいい提案をちょうだいしたと思っております。  光ファイバー網をきちっと引いていくということは二十一世紀を支える基盤的な社会資本だというふうに思っておりますから、早くこれをやっていきたいというふうに思っております。  そして、通信ケーブルの地中化ということも、今、先生は安全性の問題でもおっしゃいました。人の安全性もさることながら、それと同時に通信の安全、信頼性の確保という観点からも必要なことであるというふうに思っております。  現在、上水道、下水道に共同で通信ケーブルを地中化するということで共同溝を進めておりますし、それから電力線との共同地中化ということで電線共同溝というものもやっております。下水道についてはいろいろ問題があったんですが、下水道法の改正案が今国会で可決、成立をいたしました。また一方、厚生省においては、上水道における光ファイバー網、光ファイバー敷設の技術的な課題について現在検討を進めていただいております。  こういった共同溝、それから電線共同溝、これはいずれも幹線部分の共回収容施設としての活用が主な部分でございますが、しかし今後、上水道、下水道における関係省庁の取り組み等、いろいろ密接にこちらも連携しながら技術的課題を解決して、光ファイバー網を上水道、下水道とともに一本化して家庭の中に引き込む、そして光ファイバー及び地中化の一層の推進を図るという方策について検討してまいろうと前向きに考えております。  御提案に感謝いたします。
  73. 林久美子

    ○林久美子君 ぜひよろしくお願いいたします。もうヨーロッパでは中心の都市は大体一〇〇%そうやって地中化されていると伺っております。  それでは、最後ですけれども、高度情報通信社会の実現に向けて展開する情報通信政策の一環として、平成六年八月に高度情報通信社会推進本部が設置されました。そして、総理大臣が推進本部長で、官房長官、郵政大臣、そして通産大臣が副本部長に就任されています。既に平成七年二月に高度情報通信社会推進に向けた基本方針を決定し、高度情報通信社会の実現に向けての意義とか行動原則、官民の役割、政府の取り組みのあり方等々、基本的な考えを明確にされております。  しかし、政策だけでは非常に不安定です。時の政府の都合のよいように政争の具にさらされますし、また法律の裏づけを持って初めて普遍化が確保されると思いますので、この基本法を明確に制定すべきときが来ているのではないかと思います。  基盤法のような臨時的な法律の整備ではなくて、総合的な普遍性のある法律体系をつくるべきと提案したいと思いますが、郵政大臣の御所感をお願いいたします。
  74. 日野市朗

    ○国務大臣(日野市朗君) 御審議をいただいております電気通信基盤充実臨時措置法でございますが、平成三年に制定をされまして、この法律を使っていろいろ政策を推進してきているわけであります。この法律の期限というのは平成十三年ということになっておりますが、それまでの間にいろんな基盤が充実していくと思うんでございます。この法律というのはそういう意味では使い勝手がいいといいますか、非常に役に立つ法律だというふうに考えておりますが、この法律も大いに役に立ってどんどん基盤の充実が図られていくというふうに思うんでございます。  それで、そういう状況になったときにどのような法制をさらに準備するかということは、改めてそのような状態になってさらなる検討を進めてみたい、こう思っております。現在はこの法律を使いながら事態を前進させてまいりたいというふうに思っておりますので、ひとつよろしくお願いしたいと思います。
  75. 林久美子

    ○林久美子君 今、四点質問させていただきましたけれども、これからの問題でございますので、どうぞよろしくお願いいたします。  終わります。
  76. 小林元

    ○小林元君 平成会の小林元でございます。  通信放送機構について御質問させていただきます。  この機構は昭和五十四年に衛星を管制するというような目的でスタートしたわけでございます。そういうことで通信放送衛星機構。それが平成四年になりまして、研究開発に関する業務を追加して法律の名前も変えたということでございます。  今回、第一条を変える、目的規定を変えるのは二回目でございますが、その改正の理由というのでしょうか、その辺を簡単にお伺いしたいと思います。
  77. 山口憲美

    政府委員(山口憲美君) 今回の法律改正の中で目的規定のところを改正させていただいております。  具体的には、「等の業務」、こういうふうになっておりましたのを、そこを明確に、「等」ではなくて「高度通信放送研究開発を行う者に対する支援に関する業務」というふうに改正をさせていただいているということでございます。  従来から支援業務というふうに言っておりますが、支援に関する業務といたしまして、研究開発の基盤施設の整備、それからこういう研究開発基盤施設の整備をされる方に対して出資をすること、それから海外からの研究者の招聘、こういうふうな研究開発を中心にいたしまして支援をしてまいりましたのですが、今回新たにさらに研究開発の債務保証という形での支援を加えるということになったものですから、従来から「等」という形で表現していたものを、もう少し明確にこの目的規定に顕在化させる方がいい、こういうふうなことでこのたびこのような形で改正をさせていただいた、こういうことでございます。
  78. 小林元

    ○小林元君 ただいまの局長の答弁でございますが、まさに平成四年の時点でもう既に支援事業というんでしょうか、研究開発事業を追加した段階におきまして「等」ではなくて現在のような姿になっていたんではないか。ですから、平成四年度の時点で、郵政省としては、機構もそういう研究開発業務をやる、さらに支援業務をやるんだという積極的な姿勢がどうも見られなかったんじゃないか。  今回、資金あるいは社債ですか、そういうものに対する債務保証を追加したということで支援業務という明確な言葉を入れたわけでございます。私はそのように感じたものですから、これからのリーディング産業である情報通信産業として、その発展のために先導的な役割を機構が果たすというふうに考えておられると思いますけれども、そういうことではなかったのかなというふうに考えております。  そこで、そういうふうに研究開発の支援業務ということになりますと、従来の衛星管制というようなことの業務に力を入れるというよりは、今後はまさに先導的な研究開発をやるんだ、ベンチャー企業を育てるんだ、そういうことになってくると思うんです。そういう役割というものが変わってきているんではないかというふうに私は認識しているんですが、いかがでしょうか。
  79. 山口憲美

    政府委員(山口憲美君) 今お話しいただきましたように、通信放送機構のこれまでの歴史というものを考えてみますと、その時代時代の行政課題というものを反映するような形で進展をしてきているというふうに言えると思います。と申しますのは、私どもを支援してくれるものといたしましてはこの通信放送機構がただ一つでございますので、したがってそこにその時代の動きといいますか、行政課題というものが反映してきているということでございます。  お話しのように、昭和五十四年当時、まだ衛星への期待が非常に大きかった時代でございまして、この管制をということで始まったものでございます。その後、平成二年からは民間の事業に対する支援業務というふうなものが追加になっておりますが、これはいわゆる自由化というものが入りまして、新規事業が参入してくるというふうに環境が大きく変わってきたということに伴いまして、こういった民間の支援業務というふうなものが必要になってきたということでございます。  平成四年からはさらに研究開発というふうなものが入ってきておりますが、これは従来の電話中心というものから、マルチメディアと言われますように非常に多彩な分野に広がってきたということでの研究開発が大きなウエートを占めてきたということで、こういうふうな形で研究開発が機構の中の主要な業務として加わってきた、こういう経緯をたどっているわけでございます。  今回、法律の改正でお願いしておりますのも、この研究開発をやっていく際に民間の研究機関を使わせていただいた方が効率的で安上がりに研究開発ができるというふうなものがテーマによってはあるものですから、ひとつそういった選択肢も可能にしていただくようにということで、委託研究というものを拡充し、あるいはまた民間のニュービジネス支援というふうな形での研究開発の債務保証ということをさせていただくということでございます。  いずれにいたしましても、通信放送機構というものは大変機動性に富んでいるいい組織ということになるわけでございまして、持っております。そういったメリットというものを十分に生かして、この研究開発というふうなものの成果を上げていくのに非常に格好のものだと思いますので、今後ともそういった形での機構を十分に活用するような方向でいろいろ施策の充実を図ってまいりたいというふうに考えている次第でございます。御支援を賜れればと思います。
  80. 小林元

    ○小林元君 そこで、先ほども申し上げましたけれども、衛星の管制というんでしょうか、あるいは運用についても現在やられておるわけでございます。しかし、現状は日本サテライトシステムズがやっているビデオバード、JCSATでございましょうか、あるいは宇宙通信がやっているSCC、スーパーバード、そういうものがあるわけで、もう民間で自立的にやれるというような状況もあるわけでございます。  既に、昭和五十八年の臨調の最終答申でも民間法人化というような提言がなされております。その際には、「特殊会社とし、」「自立化の原則に従い民間法人化する」というような書き方でございますが、平成四年度には、「通信放送基盤整備、高度化等に向けた政策支援業務の役割の増大に対応し」と、もう既に支援という言葉は衛星の管制の提言の中にも入っているわけでございます。  いずれにしましても、それがさらに平成七年の十二月の閣議決定で、行革の推進方策について、「管制業務について、平成十一年度を目途に、経営の自立化を図るため」、こういうふうになっておるわけでございます。十一年度までやると。もう既に民間で自立、自営できるという中で、いつまで放送機構がやっているのか、十一年度というのは随分後ではないかという感じがしておるのでございますが、その辺はいかがでございましょうか。
  81. 山口憲美

    政府委員(山口憲美君) 機構が行っております管制業務でございますが、実は国の開発資金が投じられた衛星ということで最後の衛星になるのが放送衛星のBS3bでございます。平成十年まではこの衛星が動いているということで、この管制が十年に終了いたしますので、それ以降につきまして自立化を図っていくということで十一年というのを決めているものでございます。  お話ございましたように、平成八年度の行革大綱の中で、「通信放送機構については、管制業務について、平成十一年度を目途に、経営の自立化を図るため、その具体的方策について」、ちょっと長くなりますので真ん中を飛ばさせていただきますが、「平成七年度末を目途に結論を得る」、こういうふうになっているものでございます。  自立をするということになっておるわけでございますが、この自立化とは何ぞや、こういうことでございますが、三つの原則が臨調の答申の中で言われておりまして、役員の選任が自主的に行われるということ、それからちょっとはしょって申し上げて恐縮でございますが、補助金等に依存していないことということのほかに、もう一つは国からの出資がないこと、こういうことになっているわけでございます。  実は、通信放送機構の衛星管制業務につきましては国からの出資金が三十四億円、こういう出資をいただいているということでございまして、これを返すということが自立化の一つの要件になるわけでございます。そこで、私どもこの三十四億円の出資金を国庫に返還するということで関係皆様方にもお話をして結論を得たということでございます。  したがいまして、先ほど申しましたように、今、国が投じてやっている衛星が終わるときには、この三十四億円の資金を国庫にお返しをし、そして通信放送機構の管制業務については自立化を達成する、こういうふうなスケジュールになっているということでございます。
  82. 小林元

    ○小林元君 閣議決定で「平成七年度末を目途に結論を得る」ということになっていたわけですね。ですから、今の考え方といいますか、こういう結論にしたというお話は閣議決定か何かしたわけでございましょうか。つまり、例えば国からの出資金の返還方法を含め、いろんなことについて平成七年度末を目途に結論を得ると。だから、郵政省としてそういう結論を出して、これは閣議決定ですから例えば閣議に報告とか決定というような手続で方針を固めたのかどうかということです。
  83. 山口憲美

    政府委員(山口憲美君) 平成八年度の行革大綱におきまして、「平成七年度末を目途に結論を得る」、こういうことでございますから、得るようにしましょうと閣議決定がなされたということでございます。したがいまして、私どもは、平成七年度末には関係者の間で話し合いをして、そして民営化をしますと決定した内容を実践するといいますか、そういうふうに確保するというのは私どもに課せられた仕事ということで作業をしてきて、そういう状態になっているということでございまして、その結論自体は特に閣議決定を経るとかということでなくて、閣議決定に基づいてそういう措置をさせていただいた、こういうことでございます。
  84. 小林元

    ○小林元君 通常は閣議決定をしてこういうことを決める、結論を得るということでございますので、普通の場合は閣議に返すというか、報告なり決定をするというのがルールではないのかなということで、そういう質問を申し上げたわけでございます。  それから、時間がありませんので要望にさせていただきたいと思いますけれども、要望といいますか、大臣に一言お願いしたいのでございますけれども、今のように衛星管制業務というのがだんだん離れていくということで、研究開発業務といいますか、それが通信放送機構の役割であるということになりまして、先ほど守住先生からもお話もありましたが、唯一の認可法人でもあるし、非常に大事な機関ではないか、官民のパイプを太くするというような形で研究開発を進める上で非常に大事ではないかと思います。これからの高度情報通信社会を構築するに当たってこの機構というのは非常に大きな役割を果たしているんではないか。その辺につきまして、大臣、お考えがあればお聞かせをいただきたいと思います。
  85. 日野市朗

    ○国務大臣(日野市朗君) 今まで日本は科学技術の世界でも追いつき追い越せということでやってきた。これからは、今までのそういう姿勢から、いわばフロントランナーとなってどんどん前に進んでいくぞという覚悟が必要だと思うんです。そういう意味では基礎的な研究の重要性というのは非常に高まってまいろうかと思います。  そして、国会においても科学技術基本法、これは議員立法でつくられておりまして、こういう科学技術を進めていく、基礎的な部分もきちんと進めていくということは国会における各党のコンセンサスになっているというふうに私思っております。こういう状況の中で政府が科学技術についての研究開発の取り組みをどんどん強化していくということで、この通信放送機構情報通信分野の研究開発の実施及びその支援機関として非常に重要な役割を果たさなくちゃいけない、こういうふうに思っております。引き続き通信放送機構の研究開発の強化、充実に向けてまいりたい、こう思っております。
  86. 西川玲子

    ○西川玲子君 平成会の松あきらこと西川玲子でございます。  私も通信放送機構法の一部を改正する法律案について質問をさせていただきます。  さて、昨年二月に政府の高度情報通信社会に向けた基本方針が発表されております。日野郵政大臣は内閣の推進本部の副本部長さんをされておられます。この基本方針を読みましても、ネットワークインフラとかペーパーレス化とか、あるいは衛星放送情報革命とか、言葉はたくさん出ておりますけれども国民生活としての高度情報通信社会という姿がなかなか見えてこない。そのときに私たちが一体どんな生活をしているのかと思うんですね。  郵政省では、電波で車をマルチメディア化するなど検討されております。また、民間調査での二十一世紀の暮らしのイメージは一人一人自由に生きたいということのようです。果たして政府の言う二〇一〇年はどういつだ社会になるんでしょうか。大臣は二〇一〇年を目指して高度情報通信社会を具体的にどのようにイメージを想定されていてこの機構法の法案をお出しになったのか、まずそのあたりのイメージをお聞かせいただきたいんです。  私も娘にわかりやすく説明したいと思いますので、どうかお孫さんに説明するようにわかりやすく説明をよろしくお願いいたします。
  87. 日野市朗

    ○国務大臣(日野市朗君) 実は、私も郵政省方々にはもっと易しい言葉でちゃんと説明するようにしたらどうか、文章をつくるのも易しい言葉で、専門家しかわからないような言葉は余り使わないようにしてもらいたいということは常々お話をしているんでありますが、どうも専門家集団になっちゃうとそういう難しい言葉をどうしても使って物事を説明しようとすることになります。  それで、今お話しのように、娘さんにわかるような、じゃ高度情報通信社会というのは何だと、こう聞かれますと、実は私も説明の仕方というのは非常に難しい。じゃ、どういう特定のイメージがあるかと言われると、これは非常に難しいんでございますね。言うなれば、まず総論を勉強して各論を知るようにしていくのか、そういう形の説明でいいのか。それとも、高度情報通信社会などというのはむしろ各論をまずいろいろやって、その各論を積み重ねていって、そこで総論的なイメージというものができ上がってくるものではないか、そんなふうに思っているわけでございます。  そうはいっても、少し総論的に説明をさせていただきますと、高度情報通信社会というのは、まず情報の自由な創造ということ、それから情報の流通、それからそれを共有化していくことが可能になってくるように、ということは当然情報通信のインフラがきちんと整備されていなくちゃいけないというふうに思います。  こういうことは何で必要かといいますと、経済のフロンティアを拡大していく、経済をどんどん進めていく、引っ張っていくという観点でございます。それから、国土の均衡ある発展、これは情報通信インフラが整備されてくる、情報化社会になっていく、そういうことになりますと情報の一極集中というふうなことはなくなるわけで、北海道と鹿児島を即時につないで情報の交換ができるというような、そういった国土の均衡ある発展を目指していく。それから、高齢化社会にいろいろ対応していく。こういう二十一世紀に向けての我が国が当面している課題を解決するための決め手になるものであろうというふうに思っているわけでございます。  それで、各論的に具体的なイメージを幾つか申し上げますと、高齢者とか身障者の方、それから社会的にハンディキャップを持っておられる方であっても低廉な簡便なサービスを受けることができるといった社会的な弱者への配慮、これが行き届いた社会がまず一つここでイメージとして出てくるんじゃないか。  それから、中央と地方の情報ギャップが解消されて、情報やサービスの格差を感ずることなく、また全国どこにいても就業の機会を得ることができるような社会、そういう社会も一つイメージされるのではないか。そんな社会になってほしいというような、我々としてはそういう夢を描きながら、その夢がいろいろ集まってきて一つの大きなイメージができ上がっていく、こういうふうに考えております。  何だか娘さんがおわかりになるかどうか、ちょっと自信はありませんが。
  88. 西川玲子

    ○西川玲子君 ありがとうございます。  どなたにとっても、本当にこれを言葉にするということはなかなか難しいような気がいたします。しかし、ここ二、三年、携帯電話の世界だけ見てもびっくりするほどの変化で、本当にもうどんどん変わっていく。二〇一〇年といいますと十四、五年先ですから、小学校一年生が二十になります。まさに高度情報通信社会の担い手は今の子供たちだというふうに私は思います。  子供たちに皮膚感覚での体得が絶対に必要だと思うんです。日本の将来を展望しますと、学校教育のあり方にも大きく影響を与えざるを得ないと思っております。  我が地元の横浜市の季刊誌に「暮らしの中のマルチメディア」として、都筑区の中川西小学校と中区の本町小学校での「教室のマルチメディア」という取り組みが紹介されているんです。とてもよく書いてあるんですけれども、どんな社会になっても物づくりの開発ばかりではなく、担い手づくり、人づくりが大切だということなんですね。この冊子にも書いてありますけれども、パソコンは知識を詰め込む学習マシンじゃない、それを通じて他人とのコミュニケーションをすることの重要性を実体験のうちに培っていこうという姿勢、これは私も大変重要なことと思います。  機構の研究開発支援がどんなに進んでも、使う側の需要が伸びてこなければ本当に宝の持ちぐされたというふうに思ってしまいます。ですから、先ほどの小学校のように、学校教育の中でマルチメディアの担い手を育てるということがとても大切だと思います。  我が参議院の議員会館には光ファイバーの幹線が引かれているのみで、各部屋には残念ながらないんです。しかし、二〇一〇年に向けた高度情報通信社会を見通せば、全国の学校にまず優先的に光ファイバー網を整備して将来の担い手を育てるべきだと思いますが、いかがでございましょうか、お伺いいたしたいと思います。
  89. 山口憲美

    政府委員(山口憲美君) 高度情報通信社会になったときの学校といいますか、教育の世界というのは大変大きく変わってくるんじゃないかと思っております。教育につきまして、マルチメディアといいますか、こういうものはいろいろ効用がございまして、今、都道府県あるいは市町村の首長さん等が関心を持っておられますのは、一つは、町の中の学校間にやはりどうしても格差があるというふうなことで、こういったものを一つのネットワークで包み込むことによってそういう学校間格差が解消できるというふうなことでの関心を持っておられる方もおられます。  それからもう一つは、意外なことと言っては恐縮なんですけれども、やっぱり学校の中で、教室の中で片隅の方にいてなかなか自分の意思表示をしないような子供が、こういうものを通じて意思表示が出て、意外な意見を持っていることが発見できたというふうな、こういう先生方からの御報告なんかも読ませていただいたことがあります。  それから、もっと進みますと、今まで行けないところにバーチャルの世界で行ける、例えば血管の中に入り込んで中から自分の体を見てみようとか、そういったおもしろい実験等もできるというふうなことで、教育の分野でも大変大きな広がりがあるんだろうというふうに思っております。  そういった意味で、お話しのように、こういった分野につきましてなるべく早くそういったものを普及させていくということは非常に大切だというふうに思っております。そういう意味では、今先生が御指摘の、まずネットワークインフラを整備するということが非常に大切なことでございまして、平成六年五月の電気通信審議会の答申でも、二〇一〇年の光ファイバー網の全国整備完了に先駆けまして、公共的アプリケーションの開発、導入にあわせまして、全国の学校等の公共機関への光ファイバー網整備は二〇〇〇年を目標とするという答申をいただいておりまして、私どももこういったものを踏まえて対応しているということでございます。  いずれにいたしましても、そういったアプリケーションの開発、導入とネットワークインフラというものが同時進行的にうまくいくように考えていかなきゃいけない、こういうふうに思っている次第でございます。
  90. 西川玲子

    ○西川玲子君 ありがとうございました。  通信放送機構による債務保証は、開発法に基つくもの、基盤法に基づくものと受番法に基づくものと今まで三種類ございました。開発法、基盤法に基づくものは、以前、及川委員長質疑がありましたので勉強させていただきました。  今回、新しく高度通信放送研究開発に対する債務保証ができるように法律改正ということですので、昨年できた受番法に基づく債務保証についてどのような実績があったか、これちょっとごく簡潔によろしくお願いいたします。
  91. 山口憲美

    政府委員(山口憲美君) 昨年の受番法の中身につきましてはもう先生御存じですから省略させていただきますけれども、昨年の九月に同法が施行されまして、現在のところ一件債務保証をさせていただいているということでございます。その後も本制度につきまして大変関心が示されまして、いろいろと御相談等が来ているということでございます。  ただ、いずれにいたしましても、債務保証をするということになりますと、かなり厳重な審査をしなきゃいけないということで、成約になるまでにはなかなかいろいろ障害等もございますので、九月に実施ということでございまして、今のところはまだ一件というのが実績でございます。
  92. 西川玲子

    ○西川玲子君 大変なことはあると思いますけれども、やはり中小企業等に債務保証して将来役立つ企業を育てるということは、将来の物づくりの基盤を育てることでとても大切なことだと思っています。  今、大学生が就職よさらばなんといって、就職だけを目指すことから、将来、何か自分の仕事を持ちたい、あるいは何か自分で仕事をしたい、そういう傾向が出始めているわけですね。私はそれはすばらしいと思うんです。そういう方にもぜひ力になってあげられたらと思っております。内閣は高度情報通信社会推進本部をつくっているんですから、もっと出資や債務保証の仕組みを明確にして、アイデアとやる気のある学生やあるいは起業者がどんどん申し込める制度にぜひしていただきたいというふうに要望しておきます。  これからは、今までリスクが大きくて政策に乗らなかったベンチャーに対して、未来をつくる情報通信分野のファイナンスとしての役割は人づくりと物づくりを支える環境づくりとしてとても大きな意義がございます。  大臣、ベンチャーを育てるための機構をおつくりになってでもベンチャーが育つ環境を整備してほしいんです。これこそ副本部長、国務大臣のお仕事だと思いますし、大臣の勇気あるリーダーシップを発揮していただきたいと思います。御所感をお伺いしたいと思います。
  93. 日野市朗

    ○国務大臣(日野市朗君) 先生おっしゃるとおり、今、日本の経済状態がこういう手詰まり状況でございまして、新たな突破口を開いていく、新たな分野に、それこそフロンティアに我々が展開していくぞという積極的な企業、その中にはベンチャー企業も当然入るんですが、そしてベンチャー企業が大きな役割を果たさなければならない。そのようなベンチャーが育っていけるような、堂々とみずからを発展させていけるような企業をつくっていくためのいろいろの機構といいますか、つくっていかなくちゃいかぬと思います。  まず第一に、ベンチャー企業というのは最初は金がないんですね、資金がない。そういう資金調達の環境を整備していく。それから、ストックオプション制度なんというのも考えられるわけでございますし、そういうものを整備しながら人材を確保していく。それから、従業員がやるぞというやる気が起きるようなものをつくっていく。それから、情報通信インフラの整備といったようなことも積極的に進めていく。こういうことを進めていかなければならないというふうに考えているわけでございます。これは関係省庁と一致協力をしまして、こういう環境の整備をしてまいりたいと思っております。
  94. 西川玲子

    ○西川玲子君 よろしくお願いいたします。  先ほど守住先生が米軍のNHKの受信料についておっしゃいました。私はきょうはこれを申し上げるつもりはなかったんですけれども、実は先日私も横田基地へ視察に参りまして、何でも質問があったらどうぞと言われましたので、米軍の思いやり予算の中にはNHKの受信料も入っていないのにどうして取れないのか、私も実はその質問をしようと思って勉強したことがございますので、それが気になっておりましたので伺ったんですよ。  伺った方が女性の若い大尉さんだったので正式な答えではなかったかもしれませんけれども、あそこには極東放送というのがあるんですね。中にも大きなスタジオもございます。私たちは極東放送の受信料を払っていると言うんですよ。つまり、極東放送に対してお金を払っているからそれは関係ないんじゃないかというようなことをおっしゃるわけです。ですから、これを一回ちょっとお調べいただきたい。  ですから、NHKの受信料なんてはなから全然もう眼中にない、極東放送に払っているんだから関係ないでしょうというようなお答えが返ってきた。実は基地の中には日本人の従業員も千六百人ほどおりますし、ちょっとこれ何か意識が違っちゃっているなという感覚がいたしましたので、これはちょっと一言お願いしたいということで申し上げました。  それからもう一つ、これは委員長にお願いしたいんです。  やはり先ほど守住先生からお話がありましたけれども機構は七つの勘定と四つの基金がありますよね。ですから、NHKと同じように、逓信委員会で決算審査ができるようにぜひごれは委員長からよろしくお願いしたい、こういうことをやるべきだと私は思います。  以上、お願い申し上げまして、質問を終わらせていただきたいと思います。
  95. 伊藤基隆

    ○伊藤基隆君 私は、まず、電気通信市場における接続に関する政策立案という機能とその遵守状況の監視、裁定の機能について、今後の議論をするまた検討する素材にしたいと思いまして、基礎的な問題を幾つか御質問申し上げます。  まず、我が国と同様に電気通信に競争を導入しているアメリカ及びイギリスにおいては、接続に関する行政はどこがどのように行っているのか、この点についてお伺いいたします。
  96. 五十嵐三津雄

    政府委員五十嵐三津雄君) アメリカにおきましては、接続に関する行政というのは連邦通信委員会、フェデラル・コミュニケーションズ・コミッション、FCCと私ども略称を言っておりますが、そこで行っております。英国におきましては電気通信庁、オフィス・オブ・テレコミュニケーションズ、OFTELと私ども言っておりますが、そこで料金規制などとあわせまして一体として行っているというのが実態であるというふうに承知をいたしております。
  97. 伊藤基隆

    ○伊藤基隆君 アメリカ及びイギリスにおいて、接続に関するルールの策定とその監視、裁定を別の機関が担当すべきだという考えがあるか、またはそういう動向があるか、この点についてお伺いします。
  98. 五十嵐三津雄

    政府委員五十嵐三津雄君) 電気通信の市場というのは急速な技術革新、技術革新の非常に激しい部分でありますので、接続のルールを決めまして、それについて監視あるいは裁定をやるといった場合に、絶えず監視、裁定、裁定からまたルールにフィードバックするという循環で動くというのが普通の英米のあり方だというふうに承知をしております。そういった意味合いからも、先生ただいま御指摘のような格好でルール策定する機関と裁定あるいは監視する機関と分けるというような動きはないというふうに承知をいたしております。
  99. 伊藤基隆

    ○伊藤基隆君 それではお伺いしますが、現在我が国において接続に関する基本ルールの策定状況はどのような状況になっておるか、この点についてお伺いします。
  100. 五十嵐三津雄

    政府委員五十嵐三津雄君) 接続のルールの策定につきましては、三月に規制緩和推進計画ということで閣議で決定されたものがあります。その内容は、接続の義務化あるいは接続条件の約款化、そういうようなことについて基本的なルールを策定すべきということで、具体的な内容は平成八年中に決定するタイムスケジュールというふうになっております。これを受けまして、四月二十五日に接続の基本ルールのあり方について電気通信審議会に郵政大臣から諮問をいたしました。現在、この審議会におきまして接続の円滑化に関する特別部会というのが設置されまして、その部会におきまして具体的な審議が行われているということでございます。私どもといたしましては、年内に電気通信審議会から御答申をいただきまして、これを踏まえて接続の基本的なルールの具体的な内容を決定してまいりたいというふうに存じております。
  101. 伊藤基隆

    ○伊藤基隆君 そこで、大臣にお伺いいたしますけれども、接続に関して第三者機関の設置という考えがありますけれども、この点についての大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
  102. 日野市朗

    ○国務大臣(日野市朗君) 今、局長から御答弁申し上げましたが、英米においては、この接続に関するルールの策定それから監視、裁定ということは、料金規制などの他の行政規制とあわせて同一の行政機関で行われているわけでございます。  この接続に関する行政については、接続料金というのは消費者の料金に直接かかわっていくわけでございます。長距離系の新事業者がNTTに支払う接続料金というのは売り上げの約半分というような状態になっておりまして、これはすぐに消費者の料金にかかわってまいります。また、非常に技術革新が活発なところでございまして、その接続ルールの内容というのは、今決めて、それが何年も何年もというわけになかなかいきません。どんどん進歩していくわけでございまして、専門性が非常に高いという一面も見逃すことができないわけでございます。  そういったことから、料金の規制とか技術基準などのネットワーク行政とあわせて、電気通信行政を所管する郵政省がこれをやっていくということは私は合理的な根拠があるのではないか、こういうふうに思っているわけでございます。先生のお気持ちもわからないわけではありませんが、これは郵政省がやった方がいいというふうに私としては考えております。
  103. 伊藤基隆

    ○伊藤基隆君 次に、WTO基本電気通信交渉についてお伺いいたします。  WTOの基本電気通信交渉は、電気通信分野では初めての多角的貿易協定を確立するものということで注目されておりましたが、交渉期限の四月三十日までに参加国の合意に至らず、一九九七年二月十五日まで延期ということになりました。原因は、アメリカが交渉期限間際になって、これまで約束していた国際と衛星の重要な二つの分野での自由化約束を制限及び延期する提案を行ったことによって延期となったというふうに伺っております。  そこでお聞きしたいんですが、基本電気通信交渉が成功した際、世界の電気通信市場に与える影響の予測についてお伺いしたい。さらには、アメリカが今回の約束を撤回した意図は那辺にあるか、この点についてもお伺いしたいと思います。
  104. 内海善雄

    説明員(内海善雄君) 基本電気通信交渉が成功裏に終結するということは、すなわち各国が電気通信市場を開放して競争政策を取り入れる、そういうことになるわけでございますけれども、そういうことになった場合、現在世界じゅうで大体五十兆円ぐらいの電気通信市場があると言われておりますので、その五十兆円ぐらいの市場がさらに活性化し拡大し、一層大きなビジネスチャンスになる、そういうことではないかと考えております。  さらに、競争が導入されますと、日本でも経験いたしましたように、料金が低廉化し、サービスも向上するということが各国でも行われ、それがまた波及して日本の方もよくなってくる、そういうことが成功した場合の予測でございます。  先生お尋ねの米国がいろいろ約束の撤回等をやったということの背景でございますが、米国自身は各国のオファー、各国の自由化案が不十分だ、各国が不十分だからアメリカの方も自由化はできないんだ、そういうような相互主義的な考え方で国際とそれから衛星通信について制限なり約束をしないということを言ったわけでございます。しかし、ジュネーブで交渉をしておりますが、交渉している我々の間では、米国政府が産業界あるいは議会筋から非常にいろんな強い意見なりを受けまして、そしてそれを反映して、米国の市場をある程度コントロールする、規制することをてこにしてほかの国に開放を迫るようにするんだ、そういう産業界の強い意見を反映した結果そういうことになったんではないかなというふうに一般に言われているところでございます。  そういうような、相手がやればこっちもやるんだという考え方、あるいはこっちが規制してその力でもって相手をこじあけるんだとか、そういうような考え方というのは相互主義の考え方でございまして、これはWTOの基本原則である最恵国待遇の原則というのに非常に反するものでございますので、各国ともアメリカの態度に対して非常に反発して、その結果、交渉が終結せずに継続交渉ということになったわけでございます。
  105. 伊藤基隆

    ○伊藤基隆君 日本がこの交渉に第一種電気通信事業の事業許可、無線局免許、外国人役員等について、現状三分の一未満の外資制限などを撤廃するとの提案を行っております。そのことが国内の事業体に与える影響はどのようなものがあるのか、さらには国際化、自由化に対していかなる影響または有効な作用をするのか、この点についてお伺いしたいと思います。
  106. 内海善雄

    説明員(内海善雄君) まず、国際化関係でございますけれども、実はこの交渉というのは二年間やっておりましたけれども、交渉を二年間やっている間に交渉が沈滞化する時期もあれば、非常に高揚してみんな一生懸命やろうというふうな時期もあったわけでございます。  我が国が外資制限の撤廃を発表した時期というのは、どちらかといいますと多少沈滞して、何かうまいブレークスルーがないかなというふうなことをやっていたときでございます。日本がそういう大胆な案を出すことによって世界じゅうがそれを歓迎し、ほかの国も同じようにしよう、そういうムードが非常に強く出てきまして、そして神戸で開かれました四極通商閣僚会議でも郵政大臣出席されて、その中で非常にいいムードになって世界的な自由化の動きというのが出てきたところでございます。そういう意味で国際的には非常に評価されたんではないかなというふうに考えております。  それから、そういうことをすることによって国内の産業に与える影響でございますが、これは外資制限を撤廃すること、すなわち国内市場をさらに競争状態にするということで、外国企業と切磋琢磨し、料金の低廉化、サービスの改善ということが図られていくと同時に、交渉が成功した場合は国内産業が外国で非常に大きなビジネスチャンスを得るというようなことで、電気通信の世界は今現在非常に国際的な活動が活発になっておりますので、こういう我が国の提案というのが世界的な提案になり、産業界に与える影響、それから我々消費者に与える影響というのは非常に有効に作用するのではないかなというふうに考えております。
  107. 伊藤基隆

    ○伊藤基隆君 今回のWTOに関する郵政省側からの提案ということについては、いきなりという感じもありますけれども、将来への激しい競争化または国際化ということの試みとして評価したいと思っております。  さて、機構法関連についてお伺いいたします。  先ほど小林委員からの質問にもございましたが、通信放送機構の発足時から今日までの状況について、非常に複雑というか、時々そのことが問題視される経過がございます。  そこで、今回まとめてお伺いしておきたいわけでございますけれども通信放送機構の発足時の形態と役割について、またその後の経過と変化、その政策目標、こういうことについてきちんとこの際整理をする意味でお答えいただきたいというふうに思います。
  108. 山口憲美

    政府委員(山口憲美君) 通信放送機構は、先ほども御説明をさせていただいたところでございますが、その時代の行政課題を反映するような形で進展をしてきたわけでございます。  昭和五十四年に認可法人として設立をされました。このときには衛星に大変期待が集まっている時代でございまして、そういったことでこの通信放送機構は衛星の管制をするというふうな形でその役割を与えられたということでございました。  具体的な効果といたしましては、五十八年のCS2の打ち上げによりまして全国即時ダイヤル通話の実現というものに大きく寄与したというふうに思っておりますし、それから五十九年にはBS2によりまして世界で初めての衛星放送を開始したという形で、大変大きく宇宙空間の開発から実用化へというふうなことでの新時代の幕あけに一枚加わって、重要な役割を果たしたというふうに思っているところでございます。  その後、電気通信分野におきましては、電気通信の自由化ということによりまして競争原理が導入され、そして新規に事業者が参入され、そして電話だけではない多様なサービスの提供が可能になってきたというふうな変化がございました。  こういった歴史的な政策転換と言っていいかと思いますが、そういったものを着実に実施し、そして成果を上げ、しかも全国的にあまねくこういった自由化のメリットを与えていくというふうなこと、そういったことから通信放送機構につきまして、平成二年からでございますが、民間事業者への政策的な支援業務というものを行うようになったということでございます。この支援の中身につきましては、それぞれの法律がそれぞれ目的を持っておりますので、その目的に即して支援の業務を行っているということでございます。  そして、さらに平成四年でございますが、このときから研究開発業務が加えられるようになったわけでございますが、この情報通信というものが経済フロンティア、開拓の切り札というふうなことが言われ、しかも技術先導型の分野だというふうなことがございます。  そういった意味で、技術を重視していかなければならないわけでございますが、こういった技術開発を民間のみにゆだねるというわけにはなかなかいかない分野もございまして、そういった分野につきましては、産学官というふうに言われておりますが、そういった幅広い人材でありますとか技術力というものを結集して進めていく必要があるというふうなことから、そういった協力の得やすいものとして通信放送機構が期待を担っている、こういうことでございます。今回も、先ほども申し上げたんですが、そういったことで研究開発の中身の充実をさせていただくということでございます。  これからも放送機構はそういった時代の要請にこたえて内容の充実を図っていかなきゃいけないというふうに思っておりますが、特に柔軟で機動的な業務運営ができるというふうなメリットを生かして、そういった要請にこたえていく必要があるのではないかというふうに考えている次第でございます。
  109. 伊藤基隆

    ○伊藤基隆君 情報通信分野の研究開発でありますが、我が国のこの分野においては基礎的な部分、基礎的研究についておくれをとっている。これは守住委員とのやりとりでもお伺いすることができたわけですが、今回、国と民間の適切な役割分担ということについてどのように考えておられるのか。通信総合研究所、通信放送機構及び民間企業、それぞれがどのような役割を持っているのか、または今回の委託研究と研究開発債務保証はその中でどのような位置づけとなるのか。特に、この役割分担について重点を置いてお答えいただきたいというふうに思います。
  110. 山口憲美

    政府委員(山口憲美君) 通信放送機構通信総合研究所、この二つが私ども関係では国が取り組むべき研究開発のテーマにつきまして実施をしているということでございます。  国が取り組むべき研究開発というのは、一般的にリスク性の高いあるいは公共性の高い研究開発で民間の実施が期待されないものということでございます。もうちょっと砕いて御説明をさせていただきますと、一つは非常に基礎的でハイリスクな分野の研究開発、それからもう一つは公共性が高い分野の研究開発、それから多様な分野に共通性があるとかあるいは普遍性があるというふうな研究開発、それから波及性が高くなおかつ緊急性があるもの、そういうふうなものにつきましてはなかなか民間の企業等の研究所で実施がしていただきにくい分野ではないかということを考えまして、こういった分野につきまして国が研究開発をしていく必要があるだろうということでございます。  ただいま御説明申し上げましたのは、先般、二十七日でございますが電気通信技術審議会から答申をちょうだいいたしました。その答申の中で、そういった形で国の研究開発というものの物差しをお示しいただきまして、同時に、答申の中では、そういう物差しで研究開発課題というものを差し向き見ると七十七の課題があるという具体的な課題の提示もいただいているということでございます。  こういうような研究開発につきまして、先ほど申しましたとおり、通信放送機構通信総合研究所が担うということでございますが、機構につきましては認可法人であるということから、他の部外の機関の協力が非常に得やすい、機動的、弾力的に研究開発が実施できるというメリットを持っているというふうに考えておりまして、そういった関係の皆さん等の協力を得ながらいろいろ研究開発をしていくというのがこの通信放送機構だというふうに考えております。  そういうふうなことを考えますと、通信放送機構が開発に取り組むテーマというのは、通信総合研究所に比べますと、国がやるべき分野ではありますけれども、比較的応用分野に近い分野を担うというふうな形になっていくのかなというふうに思っている次第でございます。  なお、民間の研究開発につきましては、民間がそれぞれの企業目的を達成するという観点から、サービスであるとか機器というものを生み出すための前提として研究開発をされているものというふうに認識している次第でございます。
  111. 伊藤基隆

    ○伊藤基隆君 次に、基盤法関連でお伺いいたします。  まず一つは、特別融資の対象に加える光加入者線ネットワーク装置、これは事業者が設置、所有するものか、それとも加入者が設置、所有するものか。さらには、これまで幹線、すなわち配線との接点、饋線点までを特別融資の対象としてきた理由はどこにあるのか。また今回、配線系統に特別融資拡大をする理由はどこにあるのか。  私は、察するに、政策誘導によって光ファイバーネットワークの推進を図るということを思うわけでございますけれども、今回、光加入者線ネットワーク装置を特別融資の対象に加え整備を推進することによって、その装置を本来必要としない加入者宅まで事業者が勝手というか、かなり説得、または契約等によって設置してしまう。十分な理解を得ないまま、これはやらなくてはならないような意識の中で設置されてしまうというようなことが起こりはしないか。そういうことについての保護または制限とか、それぞれ加入者の意思の尊重とか、そういったことについてどのように考えているか。
  112. 五十嵐三津雄

    政府委員五十嵐三津雄君) 先生からお話のありました光加入者線ネットワーク装置、これは一般的に、今回の支援のスキームの中でも基本的には電気通信事業者またはCATV事業者が設置、所有するものというのが基本でございます。  今回これをさらに、饋線点までであったものをONUを対象とするということになりました理由でございますが、これも先生から御指摘のあったところでございますが、政策的になるたけ低廉なネットワークを構築していくということで事業者が行うというものについて特別融資をするという形で政策的な制度になったというものでございます。  一般的に電力の引き込み線でありますとかあるいはガスの引き込みというようなことにつきましては受益者負担というようなことで、加入者がみずから負担するという形が一般的でございます。言ってみますと、支援の分界点ほどこまでかという議論があるわけでありますが、二十一世紀に向かっての情報通信基盤の整備という意味では、この光加入者線ネットワーク装置の低廉化が不可欠であるということで、今般政策的に特に特別融資の対象になったものというふうに存じております。  なお、そういうことを受けて事業者が、言ってみますと加入者の理解が十分いかないまま勝手にそういう措置をとるのではないかという御指摘がございました。このことにつきましては、一般的にはそういうことはなかなか考えにくい、起こりにくいものではないかというふうに思います。といいますのは、ネットワーク上いわゆる加入者線の電報電話局から措置をするということだけではなくて、加入者宅に工事をしなければならないということがありますので、加入者の同意を得るというような具体的なことがありませんと設置ができないという現実がございます。  それから、現在のところ、この光加入者線ネットワーク装置というのはまだ大変高価なものになっておりまして、これをやるということにつきましても事業者に具体的なメリットがないと勝手に行うことはちょっと考えがたいというようなこと。それから、事業者と加入者の契約ということを考えましても、回線使用料は今の電話の例えばINS一五〇〇というものを考えますと十八倍ぐらい料金として取らなければならない。それから、INS一五〇〇の場合ですが、ONUの使用料が月額一万二千円というようなことからも、こういう契約を結ぶ必要がありますので起こりがたいというふうに一応考えております。  ただ、先生おっしゃいましたように、そういう事態が起こらないよう私どもも事業者に対して適切な対応を求めてまいりたいというふうに存じております。
  113. 伊藤基隆

    ○伊藤基隆君 終わります。
  114. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 まず、通信放送機構法改正案について質問します。  私、去年逓信委員になったばかりで、この機構の歴史は余り知らなかったんですが、先ほど局長の御説明もあったし、こういうのを見ますと、なかなかこれまでの経過機構としての発展というか重みがますます大きくなっておるような気がします。    〔委員長退席、理事吉村剛太郎君着席〕  最初は衛星という名前がついていたんですね。それから今度は技術開発ということで、衛星の名称がなくなって通信放送機構になった。今度の改正は、みずからの研究開発だけでなく、民間企業、研究機関などに委託できるようにするということなんですね。  それで、最初にお伺いしたいのは、一つは、通研があるわけですね、通信総合研究所がある。職員四百二十三名、予算百一億円で基礎・応用研究を実施している。それからもう一つ、通産省と共管で設立した基盤技術研究促進センターもある。ここもさまざまな基盤技術に関する試験研究促進というふうになっているわけです。なかなか複雑なんだなと思うんですけれども一つは、本当に研究開発に力を入れるんなら、国としてこの通信総合研究所、ここにもつと力を入れてやればいいんじゃないかと思うんです。  私ども共産党は、研究開発に国の予算を投入すること自体にはもちろん反対じゃなくて、国や郵政省が実施すべき研究開発まで民間に委託したり、事実上補助金を出して民間が負うべきリスクを国民が肩がわりするということはすべきでないという立場なんです。なぜ通研にもっと力を入れないのか。    〔理事吉村剛太郎君退席、委員長着席〕  機構は、この通研の五年分に相当する、九五年だけで四百九十八億円やっているわけですね。それで、さらに何で委託研究にしなきゃならないのか。今年度は約十二億円で五テーマを委託するというんですけれども、そういう諸関係について、なぜこういうことをしなきゃいけないのか、なぜ通研にもっと力を入れないのかをお伺いしたいと思います。
  115. 山口憲美

    政府委員(山口憲美君) 今お話の中で、基盤技術研究促進センター、基盤センターと省略させていただきますが、基盤センターのお話が出たんでございますが、まず通信放送機構通信総合研究所は国が取り組むべき研究開発課題に対して取り組むということでございます。基盤技術研究促進センターというのは民間が行う研究開発、テーマとしてはもう民間がやるべきだという、それを促進するために支援をしているということでございまして、そういう切り分けが一つあるということでございます。  それから、今回なぜ民間に委託をするのかというお話でございますが、実は通信放送機構につきましては、研究開発を直轄研究というふうに言っておりますが、自前で、自分のテリトリーの中で研究開発をやってまいりました。ところが、研究開発のテーマがだんだん広がっていくことに伴いまして、どうも民間の研究所のスタッフあるいは施設というものを使わせていただいた方が安上がりにできるんじゃないかというふうな分野に広がってきている、こういうことでございます。  例えば、今十二億円というお話がございましたんですが、その五つの中の一つの例で御説明をさせていただきますと、どれでもいいんですが、トータル光通信技術研究開発というのが一番最初にございます。これについて御説明いたしますと、光ファイバーで一万キロぐらいのところを無中継でわあっと送れるような研究開発をしようということなんですが、そういうことになりますと、まず光ファイバーというものをつくらなきゃいけないという作業がございます。そういう光ファイバー網を試作する施設とか設備というふうなものを自前でやるということになりますと数十億円の投資をしなきゃならぬということになるわけですが、民間の機関には既にこういう光ファイバー網を製造しているというふうなこともありまして、そういう施設というものがあるということでございます。  そうして、なおかつ、この光ファイバー網を製作する工程では特別な技能というものが必要でございまして、そういった設備を使いこなせる専門家というものも雇わなきゃいかぬというふうなこともございますが、これもそこにいる方にお願いした方がいいだろうと。そうしてまた、こういう研究開発というものも、そこにおられる方の方が能力があるということであれば、その研究開発を行われる研究者もお願いしたいと。  こういうことで、どうもいろいろ考えてくると、自分で全部何でもかんでも抱え込んでやるよりも、そういう外の力、本来国がやるべき研究課題ではあるんだけれども、これを遂行するには外の力をおかりした方がどうも経済的、効率的にできる、こういうふうに判断をいたしまして、テーマによっては委託もできるような選択肢を一つ与えていただきたいということで今回法律改正をお願いしている、こういうことでございます。
  116. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 だんだん仕事が広がるこの機構、現在二十一テーマの研究開発を実施している。これから公募研究、委託研究をさらに追加するわけですね。どういう体制になっているのか、機構の総人数、研究開発の体制について簡潔に御説明願います。
  117. 山口憲美

    政府委員(山口憲美君) 通信放送機構の研究開発推進体制でございますが、いろいろ経緯がございまして、今も一生懸命この整備に努めているということでございます。現在、今年度七名をさらにこの研究推進の関係で増員をしていただきまして、十四名というのが正規の定員という形、正規といいますか、定員としてはなっているということでございます。  ただ、この放送機構の行います研究というものは、テーマに応じまして最適な専門の研究者に来ていただいてやるということが非常に効率的だというふうに私ども考えておりまして、そういった意味では、期間を限定いたしまして当該研究プロジェクトに対して最適な研究者に集まっていただいて研究開発を推進しているということでございます。  具体的には、プロジェクトごとにリーダーというふうなものをお願いいたしまして、そしてこのリーダーの方を中心にいたしまして実施計画だとかスタッフ、研究者の選定等を行ってプロジェクトチームをつくって進めていただいているということでございます。それからまた、そういったものの進行管理あるいは成果というふうなものについては、また別のグループの部外の専門家の皆様方から評価をいただくような仕組みで進めているということでございます。  私どもとしては、まだまだ整備をしていかなきゃならないところがあると思いますけれども、ひとつこういう柔軟で比較的ベストの研究者を集めるには非常にいい仕組みではないかというふうに思っている次第でございます。
  118. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 調査室からいただいた参考資料の十八ページに「機構で実施中の研究開発課題」というのがあるんですけれども、見てみるとなかなかのもので、一般会計の予算累積が一つの研究テーマで八十五億円とか八十四億円というのがあるんですね。リーダーは西澤潤一氏なんかもおりまして、これはなかなかのリーダーを置いているんだなと思います。多いもので八十億円を超すようなこういう予算を使った研究開発。研究開発グループが七名だと。この七名は結局マネジメントをやっているんだと思うんです。みずから研究しているわけじゃないんですね、体制は。  それで、私は、これまでやっていた研究自身もかなり事実上の委託研究的な性格があるんじゃないかと思うんです。例えば、私も前に改正問題のときに質問したのがありますけれども、次世代デジタル映像通信に関する総合的な研究開発、これ神戸リサーチセンター、それで四十五億円でしょう。二月十四日の日経新聞を見ますと、私も神戸製鋼の名を挙げたんだが、神戸製鋼がマルチメディア研究設備一式を四十五億円で受注、研究員派遣など運営責任を持つという報道が出ていまして、結局実際は神戸製鋼中心のプロジェクトにもやっぱりなっているんじゃないか、この実例が。そう思うんです。さて、今度それを委託研究すると。  郵政省の「通信放送機構法の一部を改正する法律案について」というのを見ますと、目的は、高度情報通信社会の構築に向けて、産学官の緊密な連携により推進する体制をつくるとみずから言っている、産と学と官と緊密な連携でと。私は、こういうのを読みまして、マルチメディア時代を迎えて、高度通信放送産業を、やっぱり産業の高度化、合理化を進める上で、郵政省はかなりの体制とかなりの資金をつぎ込んでやりつつあるんだなという感じがしたんです。  例えば、今までも自動車産業については通産省が物すごいことをやりました。機械工業振興臨時措置法、これは三次にわたって五六年から七〇年まで、次が機電法、特定電子工業及び特定機械工業振興臨時措置法、これは七一年から七七年、次が機情法、特定機械情報産業振興臨時措置法。こういうことで、日本の自動車産業は物すごいものになって、確かに高度なものになったけれども、円高とリストラの悪循環だとか日米貿易摩擦だとか、さまざまな問題を生み出してきているわけです。そういう自動車産業を育成したのと今違うの一は、物すごい財政危機のときだと。  私のところにも配られてきたけれども、中央公論の武村さんの「このままでは国が滅ぶ」なんというのを各議員に配るような、去年の財政制度審議会の報告では時限爆弾みたいなものだと、日本の財政は。そういう時期に、高度通信放送産業をどう育成するかということでなかなか皆さん苦労もされているんだろうけれども、一歩間違えますと、産学官の緊密な連携が産学官の癒着になりかねない。天下り、天上がりなんということが生まれかねないので、これは皆さん方もしっかりやっていただきたいし、我々国会も、また国民も、この問題についてはこれだけの財政危機のときだけにしっかり監視する必要がやっぱりあるんじゃないか、そう思っているんです。  ですから、我々は、今度出資という形だけれども、例えば機構は特殊法人じゃないんですね。認可法人で、特殊法人見直しには入らない。それから、補助金の削減とか見直しとあるけれども、補助金という形じゃなくて出資という形でやろうとしているけれども、実際上、事実上、今までのも補助金だし、今度のも、今度は公然と委託研究ということで企業に対する、先ほど局長は設備を企業が持っているのでそれを使わせていただくんだという話をされていたけれども、企業自身がやることを、企業は設備を持って自分でやるんですから、そこへ出資という形で機構をトンネルにして補助金として注ぎ込んでいく危険があるのではないか、そう思うんですけれども、いかがですか。
  119. 山口憲美

    政府委員(山口憲美君) いろいろ御説明申し上げたいこと、お話にございましたんですが、我が国の情報通信技術の研究開発というのは、私としては、欧米、特にアメリカにもう置いていかれているというふうに考えておりまして、その辺のところに力を入れていくということが、財政が非常に厳しい折でございますけれども、やはり投資的な意味で非常に重要なことだというふうに考えていろいろお願いをしているということでございます。  ただいま補助金的な性格を持っているんじゃないかというお話でございますが、この研究課題は本来民間がおやりにならないものでございまして、ほうっておいたらそこに穴があいてしまうという分野につきまして、これをやはりやっておかなければならない、これは専門家の皆様方がそういうことでこの分野は重要だと、国費を使ってでもやっておけ、こういうふうにおっしゃっておられる分野につきまして国として手当てをしようということでございます。  そこで、その手当てをする際に一番いいやり方、効率的なやり方は何かというふうに考えてまいりますと、一つこの機構という割合に柔軟に弾力的にできる、こういったもののメリットを生かし、そうして、ただいま申しましたように、これは民間の皆さんにお願いしなきゃいけないわけですけれども、自分の研究のあいている場合に、そこのところを何とか使わせていただけないかというふうなことでお願いをして使わせていただいて、国としては最も安上がりな方法でやりたいということでございまして、私どもといたしましては補助金を民間に差し上げるというふうな感じといいますか、そういうことは全然思っていないということでございます。
  120. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 そうおっしゃるんなら、やっぱり情報公開をしっかりやっていただきたい。  先ほど申した基盤センターの方は、ここにありますけれども、例えば平成七年度の出資、融資、新規採択案件、関係する企業名も全部リストで公表されているんですよ、一つ一つの案件について。ここにあります、全部。出資予定者、企業名が全部書いてある。機構については、先ほどお話があったけれども、これまでもプロジェクトリーダーの名前は、確かに大学教授の名前なんかは出ているけれども、八十何億円も使うような研究開発の一つ一つのテーマについて、どういう企業が関係しているかということについての情報公開がないんです。これはやっぱりやるべきだと思うんですね。しかも、これから委託研究するわけでしょう。大臣、どうですか、やっぱり情報公開。官学産で緊密に連携してやるというんだから、関連する企業名の情報公開。これは大きな問題だから、大臣、答えてください。局長、いいです。時間もないんだから。
  121. 日野市朗

    ○国務大臣(日野市朗君) 実は仙台のリサーチセンターは八十五億ということで、西澤東北大学学長に対して委託をして、今その事業を進めているわけですが、あそこで産学官の産の部分、さて、どういう企業がここでメリットを受け取るのかというようなことになって、私、今しきりと考えているんです。  東北の経済界のかなり多くの企業ですが、それが集まってこれをバックアップしましょう、そしてそこの成果も東北地方のこれからの発展のために大いに生かしていきましょうというような形で集まっております。  そして、その企業の名簿というのももうとっくに世に問われているわけで、へえ、こんな企業も応援しているのかというような私なんかは受け取り方をいたしております。特に情報を開示するというような形で大げさにやるところまで、ここまでみんな知っていて、それをさらに情報の開示ということで事新たにやる必要までは東北ではないわけです、西澤先生がやっておられる部分については。  ただ、情報開示ということは必要なことでございますから、差し支えないものはどんどん開示していっていいのではないかと私は思います。特に、この事業の関係で隠すべきこともないのではないかなというふうに私なんかは考えているわけですが、なお、さらに補充する点があったら局長の方からお答えをさせていただきたいと思います。
  122. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 余り隠すべきことはないとおっしゃるんなら、企業の関係していないプロジェクトは関係していないとして、関係しているものはぜひきちんとやっていただきたいと思います。  次に字幕放送問題をやろうと思ったんですが、もう時間がありませんので省きます。次に回します、次回に。  電気通信基盤法の改正案問題について、これも絞ってお伺いしたいんですが、調査室の資料を見ますと、十ページのところで加入者系光ファイバー網への投資予定額が書いてありますけれども、二〇〇〇年までの五年間の投資予定額は一兆六百三十五億円。その三〇%融資として三千百六十九億円という数字が出ています。  ところで、電通審の答申では、二〇一〇年まで、有名な数字だけど三十三兆円から五十三兆円という試算が発表されている。調査室資料の十五ページを見ますと、超低利融資の対象である加入者系光ファイバー網だけで十五兆六千五百億円となっているんですね。二〇〇〇年まではその二〇%だから三兆千三百億円が必要になって、その三〇%を対象にすると九千三百九十億円となって、これは調査室資料で、また郵政省の言うこの三千百六十九億円の三倍必要ということになるんです。だから、二〇〇〇年までといったって三倍必要になって大体数が合わない。  じゃ、二〇〇〇年たってから二〇一〇年までどうなるのか。これちゃんとやりませんと、それこそ今の財政危機の中でこういうことを無理にやろうとすると、これは財政破綻が進むだけじゃなくて、国家財政でできないんなら、低利融資も無理なら、じゃ使用料の値上げということになって国民負担になってくる危険もあるんです。  結局、中心になるのはNTTなんで、NTTの九五年度決算は、九五年二月の基本料金の値上げで、千七百億円増収効果で三千二百八十九億円の経常利益まで上げているわけでしょう。だから、こういう莫大な経常利益を上げているところに国民負担やら、この財政危機のときに超低利融資でつぎ込むというようなことではなく、もっと抜本的な考え方で、光ファイバーの整備なんかについてもそういう国民負担の見通しはしっかり立てて、それこそ見直しが必要ならやるということでやっていただかないと大体計算が合わない。  国民負担の見通しについて郵政省としてはどう考えておられるのか、お答えいただきたいと思います。
  123. 五十嵐三津雄

    政府委員五十嵐三津雄君) 光ファイバー網の設備投資につきまして、電気通信審議会の答申をいただきました当時、全部をひっくるめまして、方式の違いもありますので、三十三兆程度というのが出されております。先生からお話のありましたとおり、加入者線あるいは加入者の交換機等々を含めたものでございます。  現実にこの特別融資制度が創設されまして、そういった中で二〇〇〇年までのいわゆる加入者系の光ファイバー網についての投資というのをそれぞれ見てみますと、ほぼ三兆円弱程度かというふうに推測されるところでございます。  そして、先生御指摘の国民の皆さんの負担とのかかわりでございますが、基本的には日本の情報通信インフラというのは、一九八五年以降、民間の企業、具体的には例えばNTTでありますとか新しい事業者でありますとかCATV事業者、こういう方々が設置をしていくということであります。  そういった中にありまして、二〇〇〇年までの間、特に次世代のネットワークでございますブロードバンドISDNということを考えますと、需要もなかなか立ち上がってこない時期、そういう意味では民間の事業者がネットワークを構築していくためには大変難しい時期、せめてその限られた期間だけでも支援をしていこうという形で認められてきている制度でございます。そういった意味合いにおきましては、この期間中、限られたものにつきましてのいわゆる特別融資制度、これの支援をいたしたいというふうに考えているものでございます。  なお、基本的には電話の加入者の方々の受益者負担ということで賄われるべきものというふうに考えております。これにつきましても、光ファイバーの技術の革新によります低廉化、そういうものを踏まえながら、個別の料金につきましては、国民の皆さんに新たな大きな負担がなくて進んでいくであろうというのも加入者系の光ファイバー、加入者線の大宗を持っておりますNTTもそういう予想をいたしているところでございます。
  124. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 まだ四分あるんで、先ほど次に回すと言いましたけれども、字幕放送問題を一問だけ聞いておきます。  前にもお聞きしたんですけれども、今度この調査研究会の報告書が出まして、これはなかなか充実した、私は非常に高く評価できる報告書だと、専門家の方々がお集まりになったので大変うれしいと思ったんです。  私、きょう少しこの問題を質問したいと思いまして難聴者の組織の人たちと連絡したら、私のところに三十通以上子供たちの作文が今度は送られてきました。NHKの教育テレビで今字幕放送をやっていないんだけれども、学校の理科とか社会科とか道徳科でやっぱりテレビを見るんですね。そうすると、その難聴の子供たちは、この手紙を見ると大変なんです。感想文を書けと言ったって何もわからない。子供たち、同級生はみんな泣いたけれども、私は何でみんな泣くかわからないんで下を向いてうつむいたとか。ですから、NHKの教育テレビにぜひ字幕放送をという作文が私のところへ集まってきたんです。  これだけじゃなくて、委員会でも何回も取り上げられているんだけれども、民放その他の免許問題があるわけですね。今の文字多重放送の免許については、そのための施設がなければ免許を出さないということになっているために、かなりの民放、またNHKの教育放送局など持っていないところが多いわけです。  しかし、この報告書でも非常に強調をしているのは、今キー局は地方の民間放送局が免許を持っていないのでわざわざ字幕をカットして放送しているんです。しかし、その施設がなくても、キー局のを受けてそのまま放送すればできるわけです。だから、この調査報告では、テレビジョン放送の免許のみで字幕放送を実施することができるように措置してほしいということを字幕放送の法的措置とともに要求しているんです。  確かに、とにかく本免許を持っていれば字幕放送をそのまま実施できると、特別に設備を使わないでも。これはやっぱり郵政省の決断だけで大変喜ばれると思いますので、ぜひこれは実施してほしいと思うんですが、いかがでしょうか。
  125. 楠田修司

    政府委員(楠田修司君) 先生御指摘のように、現在、この字幕放送というものも文字多重放送の中に入っておるわけでございます。文字多重放送というのは普通の一般の放送と違う免許になっておりますから、したがいまして両方取らないと字幕も見られない、こういうことになるわけであります。  そういう中で、東京のキー局はこの免許を取って実際に字幕放送をやっておるわけですが、地方の民放の場合、採算とかいろんな面でこれを取っていない。したがいまして、東京のキー局が字幕のものを系列局へ流したとしても、それが見られないということが現実に起こっているわけであります。したがいまして、じゃ地方の民放に免許を取りなさい、こう言ってもなかなか取らないというような実情でありますので、一つの考え方として、今回この調査研究会から出たのは、この字幕放送に関しては普通の免許があれば自動的に取れるようにしたらどうだろう、こういう提案をいただいておるわけであります。これをするには、免許制度の見直しということで詳細な検討と、場合によっては法律の改正等必要になってまいります。  したがいまして、できるだけそういう方向に向けてこれから積極的に取り組んでまいりたいということを今考えておるところでございます。
  126. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 ひとつよろしくお願いします。終わります。
  127. 及川一夫

    委員長及川一夫君) この際、委員異動について御報告いたします。  ただいま河本英典君が委員辞任され、その補欠として三浦一水君が選任されました。
  128. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 機構法の一部改正について、単純な質問で恐縮ですが、研究開発債務保証業務の追加というのが機構法の改正の概要なんですけれども先ほど山口局長は、過去の実績というか、現在までわずか一件しか債務保証していない、こういうお答えだったんですが、わずか一件しかない過去の実績のものを、余り利用度のないものを改めて追加しようとする理由はどこにあるのか、教えていただきたいと思います。
  129. 山口憲美

    政府委員(山口憲美君) 先ほど一件と申し上げましたのは、ちょっと法律の名称を省略して恐縮ですが、受番法と言っている先般つくっていただきました九月から実施になった法律、あれに基づいてやっているのが一件だということでございます。  それで、こういう債務保証というのはいろんな形の分野のものについてやっておるわけでございますが、今回法律改正をお願いしますのは、民間の皆様方がニュービジネスと申しますか、そういった中小企業等の皆様方が新しい研究開発をやりたいんだけれども銀行から融資が十分に受けられないというふうな場合に、債務保証をすることによってそういう皆様方が自分のいいシーズを生み出すようなもののお手伝いをしようということで、全く今までにない分野についてこういうものをやろう、こういうことでございます。
  130. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 そうですが心全くない、新しくやろうということですか。それはちょっと誤解していまして、申しわけありません。  しからば、新しくそういう債務保証をして企業を助けよう、情報通信の研究開発に適用しようという趣旨はよくわかるんですけれども、例えば債務保証を受けようと思う場合、どういう審査がなされて、基準とその体制と申しますか、どの程度の条件、要件を満たせば借りられる、債務保証していただけるのか。民間の銀行で借りられない人たちがこの機構を介してやれるということで、民間銀行から借りるよりも緩やかな要件で当然借りられるようになっているんだろうとは思うんですが、そこら辺の基準等についてお尋ねをいたします。
  131. 山口憲美

    政府委員(山口憲美君) 債務保証の審査の基準ということでございますが、三つほど要素があるというふうに考えております。  それは、まず、そこで行われる研究開発のテーマがやはり先端性があるというふうなことで、もう既に開発が済んでいるような技術というのは対象になりません。先端的な性格を持つような研究開発が融資の対象になっているかどうかということが一つでございます。それからもう一つは、そういったテーマをみずから研究開発をして成功に導くだけの能力がその会社にあるかどうかということでございます。それからもう一つは、その企業が持っている財務、財務的に十分大丈夫かどうか。この三点につきまして選定の際の基準として審査をしようということでございます。  具体的には、こういった審査を行うに当たりましては部外の方にお願いをいたしまして、技術面それから金融面から審査をしていただくというふうに考えているところでございます。融資総額の八〇%をめどに債務保証したいというふうに考えておりまして、したがいまして二〇%部分についてはどこかで手当てをされるということで、そちらの方でもかなりの厳しい審査をされるんじゃないかというふうに思いますが、そういった形での安全性の確保も十分配慮していきたいと考えている次第でございます。
  132. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 よくわかりました。  次に、きょう、警察庁の方が来ていただいているということで、質問させていただきますが、前にプリペイドカードについて質問が出たということであれなんですが、私はクレジットカードのセキュリティーの問題をちょっとお尋ねしたいんです。  先日、我が国におけるクレジットカードの不正使用による被害発生率が欧米と同じレベルまで悪化しているという全国防犯協会連合会というところから研究報告がなされているわけであります。カードに伴ういろんな犯罪、問題点、幾らかあるわけであります。日本の民族というのは現金主義でカードになじまない民族だと思っていたわけですが、消費者が必要、消費者ニーズというよりも企業からの商業戦略によってカードが確保されてしまって、膨大にふえていってしまって、非常に大きな問題を醸し出しているという現実があるわけです。  このカードの不正使用、あるいはカードの変造、偽造、いろいろと問題があるんでしょうけれども、このクレジットカードにおける犯罪の傾向といいますか、背景と現状と欧米との比較、今後の安全対策についてどのようにお考えか、警察庁の方にお尋ねをいたします。
  133. 平石治兌

    説明員(平石治兌君) 御説明申し上げます。  先生御指摘の防犯協会連合会から出されましたものはクレジットセキュリティに関する研究報告書でございまして、本年三月に出されたものでございます。  この内容によりますと、我が国のクレジットカードに関する犯罪被害の現状といたしまして、警察で検挙しているもの、これは我々の方で把握しておるわけでございますが、盗難に遭ったカードを不正使用したもの、それから偽造したカードを不正使用したもの、これについての検挙は平成七年で五千件を超えておるというような状況でございます。ただこれ以上に、盗難保険金の支払い額でございますが、この合計金額が実は平成五年度で百二十七億円に上っておるというような状況にございます。  それと、クレジットカードが不正使用されるリスク率でございます。これは売上金額を分母といたしまして不正使用された金額がどのぐらいあるかということでございます。これについてはいろいろとり方があるわけでございますが、報告書の中では既にヨーロッパを上回っておる、アメリカのそれに近づきつつあるというふうな指摘がなされているところでございます。  こういった犯罪の発生の背景でございますが、一つには、クレジットカードの使用者が真正なカードの会員であるかどうか、盗んで他人のものを使っておるのか、そういったものを確認するオーソリシステムというのがございますが、これのシステムがまだ十分に整っていないということ、それからクレジットカードを使用する消費者、加盟店に対する会員規約の内容やリスクについての啓発が十分でないというふうな指摘がなされているところでございます。  警察庁といたしましても、報告書の指摘する問題点を十分踏まえまして、クレジットカードシステムについて、いずれ電子商取引時代というものが来ると言われているところでございまして、その決済システムに利用されるという側面を考えまして、犯罪者につけ込まれにくいシステムを開発するよう、本人認証の徹底や消費者啓発の課題につきまして、関係省庁や関係業界、それから消費者団体等と連携をとりながら、その安全性の向上に取り組んでまいりたいと考えております。
  134. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 よろしくお願いをいたします。  この通信放送機構においても、今の関連なんですが、情報通信セキュリティーのための予算の取り入れが平成七年度で一般会計が三億五千万、八年度で一億七千万の予算が一応情報通信セキュリティーの予算費用として一般会計に組まれているんですが、これは具体的に何に使って、どういう形でどういう研究が進んでいるかというのがわかれば教えていただきたいんです。
  135. 山口憲美

    政府委員(山口憲美君) 通信放送機構で行っております情報セキュリティー技術の研究開発、平成七年度からでございますが、これは少し先を見通した研究開発、こういう研究所ですから、どうしても先を見通したものをやっておりまして、動画を含んだ、そういった将来もっともっと高度化してくる事態になった場合の研究開発をしているということでございます。  そういうレベルの研究開発でございますが、内容的には通信ネットワーク上における情報の漏えいとか改ざんを防止するいわゆる暗号技術、その内容は未来的なものだということでございます。それからもう一つは、本人性の確認とか通信内容の真正性、正しいかどうかというふうなものの確認をするいわゆる認証技術、この暗号技術と認証技術というものを中心にしてやっているということでございます。  なお、こういうものを確実にするためには、ネットワーク上で中に入ってくるのを防止するというふうな技術もあわせて必要だということで、アクセス制御技術というふうなものもあわせてやっているということでございます。  具体的な内容としてはそういうことでございますが、いずれにいたしましても、こういった暗号とか認証技術のセキュリティー関係の技術というのは、これからネットワーク上でのいろいろな取引が行われる際には非常に重要なものになってくるということで、少し前広に研究開発をしておこう、こういうことでやっているものでございます。
  136. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 私、この方に弱いんですけれども、すべからくこれから現金でなくて電子によって決済がなされて、キャッシュによるあれがなくなっていくんだろうということで、電子マネーということを今おっしゃったわけですが、電子マネーはいろいろと将来の研究課題として日本でも今研究されているんでしょうけれども、欧米じゃもうこれが実用化されているとも聞いているんです。電子マネーに対して郵政省の取り組む姿勢はどんなものなんでしょうか、その点、わかればお聞かせいただきたいんです。
  137. 五十嵐三津雄

    政府委員五十嵐三津雄君) ただいま先生からお話のございましたとおり、電子マネーは二十一世紀の通貨とも言われておりまして、それぞれ諸外国である意味で開発、実験的に行われているという状況というふうに思っております。  私ども、特に承知しておりますのは、電子マネーと言われる中でもICカードの中に情報を入れ込んでやるような、そういう意味でのICカード型というのが一つでございます。もう一つは、ネットワークとコンピューターとを結んでいく、そのコンピューター側に情報を蓄積して行うというネットワーク型、こういう二つの型が主かというふうに思っております。  それぞれ、英国においてはICカード型での具体的な実験、実証がなされつつある。それから、アメリカにおいてもいわゆるネットワーク型ということでのeキャッシュと言われておりますが、そういう形での試行、実験がなされつつあるというふうに承知をいたしております。  我が国の取り組み、私ども郵政省の取り組みでございますが、このことにつきましては、具体的な進め方としては制度上、技術上そしてまた安全という意味でのセキュリティー等々の問題がございます。それは暗証でありますとか、あるいは認証機関の問題とか、そういったことがございます。このことにつきまして、今年四月に調査研究会を行っていただいて報告書をいただいております。  私ども、こういうものを踏まえての具体的な措置をとってまいりたいというふうに思っておりますが、もう一つ、いわゆる実用化に向かっての実験を今推進いたしております。平成七年度の補正予算でお認めいただいた予算でございますが、これに基づきまして、サイバービジネス協議会のもとで百社ほどの企業が参加をいたしまして電子商取引の実証実験を今行っているということでございます。こういう実証実験を行う一方で、先ほども申し上げました報告書もいただいております。  こういうものを踏まえながら取り組んでまいりたいというふうに思っておりますが、ネットワーク上のことでございますので、だんだんグローバルな段階へ進んでまいります。そういう意味で、G7あるいはAPECでの共同プロジェクトというようなことで先ほど申し上げましたサイバービジネス協議会も承認されておりますので、国際的な連携も図りながら、これの具体的な推進、充実に取り組んでまいりたいというふうに存じております。
  138. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 終わります。
  139. 中尾則幸

    中尾則幸君 中尾でございます。私、最後の質問で十五分でございまして、簡潔にお答えいただければ大変ありがたいと思います。  私は、今回の基盤法、それから機構法について賛成の立場で御質問申し上げます。  郵政省が進めています高度情報通信社会、各省庁ともいろいろ調べて、これまでも各委員会で質問申し上げましたけれども、あちらこちらで郵政省が各省庁と連携をとってやっているなということを改めて感じました。  例えば、モービルマルチメディア、世界各国で取り組みが大変進んでいるITS、これは運輸省、それから建設省、郵政省もかかわっております。VICS、横文字ばかりで大変恐縮なんですけれども、いわゆるカーナビゲーション、将来は高速道路の料金をノンストップで自動的に収受するシステムをつくろうというような話も出ています。推進協議会では五十兆円というような大幅な試算を出しておりまして、百二十三兆円という二〇一〇年の目標、その五十兆円の部分をITSで占めるのかなという感じがいたします。  それから、労働省等もいろいろ調べましたら、この二月からテレワーク、在宅勤務あるいはサテライト勤務というようなことが実験的に各会社で始まっているように思います。これも労働省と郵政省がタッグマッチでやっていらっしゃる。大変頑張っていらっしゃるなと思います。  例えば、ある会社で通勤時間を減らそうというので実験的にやっているんですけれども、東京の都心に出てくるのをやめて、サテライトオフィスを職住接近でやったところ、通常百十五分かかるところが四十三分で、片道通勤時間が減った。七十二分片道で余裕が生まれたというようなことで、こうした試みというのはマルチメディア社会の一つの恩恵であろうかと思います。  さて、本法律案の趣旨に沿って質問いたしたいと思います。十五分しかないので、早口で大変申しわけありません。  中継系についての光化はほとんど終わっております。ただ、先ほどからの御質疑にもありましたけれども、加入者系、いわゆるファイバー・ツー・ザ・ホームと言われているのはなかなか進まない。これに支援するというわけですから、例えば低利を含めてもっと予算を使ったらどうかなと私も思っているんですが、今回の予算措置は大変的確であろうと思います。  一つお伺いしたいのは、二〇一〇年にいわゆるファイバー・ツー・ザ・ホーム、世帯にも先ファイバーを届ける、これは大変厳しい状態ではないかと思うんです。というのは、いろいろ計画はございますけれども、電通審の答申はありますけれども、ある一定のところは進むと思うんです。地方都市までは行くけれども、どうも田舎には光ファイバーが行くとはなかなか思えない。水を差すわけじゃないんですけれども、簡潔にその展望をお示しいただきたいと思います。
  140. 五十嵐三津雄

    政府委員五十嵐三津雄君) 加入者系の光ファイバー網の整備というのは、今現在考えましても六千万加入あるわけですから、大変だというふうに私ども認識をいたしております。ただ、おかげさまで、平成七年度以降、こういう制度をお認めいただきまして、現在それは比較的順調に、九五年度末で予定した数字よりもより多く、一二%を超える状況ではなかろうかというふうに今推定をいたしております。  でありますが、二〇〇〇年で二〇%をカバーして、二〇〇五年で六〇%、そして二〇一〇年で全部完了、こう考えましたとき、先生から御指摘がありましたとおり、需要の起こってくる都市部、この辺はいわゆるコマーシャルベースで比較的順調に展開していく様相が強いというふうに考えます。  でありますが、過疎地でありますとか農村部とか、そういったところにおいてはどうなるのか。ただ、私ども認識といたしましては、そういうところほど距離とか時間を克服する通信というのが非常に有効に働かなければならないものというふうに考えておりまして、整備に当たっては、面的なことにつきましては機能的な側面というのを考えながらやっていく必要があるというふうに考えております。  そういった意味では、過疎地とか農村部、そういった需要が比較的低い地域では学校とか病院とか、そういう公共的な機関にアプリケーションを開発し導入していく。例えば一つとりますと、先ほどからお話の出ておりましたテレワークのようなものでも結構かと思います。そういうものを、アプリケーションを開発していくことによって、そこに光ファイバーを優先的に入れていく、その地域では。そういう形で、需要とのかかわりで面的な起こりと、もう一つ機能的な意味合い、これを十分考えて均衡ある発展をさせるようにしてまいりたい。  そういった意味でも、公的なアプリケーションの開発、充実、これが地域にも先ファイバー網を導入する大きなきっかけになるものというふうに考えております。
  141. 中尾則幸

    中尾則幸君 今、五十嵐局長お話ありましたけれども、やっぱり便利でなきゃだめなんですよね。使い勝手がよくなければだめだと私は思うんです。  ことしの一月、京阪奈の関西学研都市を二日間ちょっと私は視察してまいりました。あそこはもう最先端の技術、B-ISDNを使いまして遠隔医療、大変すごい世界だなと改めて感心したわけです。それが一つの動脈としたら、このマルチメディア社会というのは静脈、地方あるいは僻地を含めてそういう動脈から静脈に流すだけの政策じゃなくて、できるところからやっていくというのが私は一つの秘訣ではないかと思います。  その一つに、厚生省と郵政省が取り組んで、こういうことをやっているとなかなか目立たないんですが、福祉の町づくり実験、これは金沢市で五十戸の世帯にテレビ電話を、INS六四、普通の電話を使いましてお年寄りの人たちに保健婦さんだとかそういう人たちが電話をかけて、四分割で、元気ですか、どこか悪いんですかというような実験を始めたと言っております。  私は、こういう一つの、先ほど言った静脈的な発想法、いわゆるアプリケーション、それについて郵政省はもう思い切って取り組むべきじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
  142. 山口憲美

    政府委員(山口憲美君) アプリケーションの開発をするには大変重要な分野だというふうに考えております。  金沢の例の御説明がございましたんですが、いろいろのレベルがございまして、今お話しのように、金沢の場合にはテレビ電話、それからパソコンを使ってということでございます。これはもう既にある機器でございます。こういったものを使って割合にローコストでできる、そういったものも一つのアプリケーションとして、特徴を持っているものとして大切に普及させていかなきゃいけないと思っております。と同時に、またかなり高度なものも考えていかなきゃいけない。  そういった意味では、通信総合研究所とかあるいは機構におきまして新しいアプリケーションを開発するような技術開発というものをやっております。それからまた、自治体で一生懸命に取り組まれるようなところにつきましては、自治体ネットワークというふうなことでちょっと時代先取り的なものもやっていただいております。それから、関西でごらんになっていただいたということでございますが、民間でおやりになるそういったアプリケーションにも我々関心を持っていかなきゃいけないというふうに思っております。  ちょっと時間がなくて細かく御説明できなくて恐縮でございますが、ネットワークのインフラ整備とアプリケーションというのが両々相まって高度情報通信社会を構築されるものだということで、力を入れていきたいと思っております。
  143. 中尾則幸

    中尾則幸君 本法律案の改正ポイントの一つであります情報通信研究開発体制の強化について、いま一つ見えにくいなと思っているんです。  新規事業、委託研究制度四億円余、それから研究開発十一億円余などが盛り込まれています。大変結構なことだと思いますけれども、この中で何項目かあります。トータル光通信技術の研究開発、これはハードの面でございましょう。その中で四番目に、高齢者、障害者のための機能代行・支援通信システム技術研究開発、こういうのは公的、国でなければできない一つの研究だろうと思うんです。  例えば、聞きますと、まばたきで機器を動かしてみたり、耳骨と言うんですか、耳の骨で障害者のあれを光通信に持っていくとか、いろいろあるやに聞いております。こういう障害者の抱える問題、先ほど大臣もおっしゃっておりましたけれども、これがマルチメディア一つの役割じゃないかと思っておりますけれども、こうした障害者あるいは社会的弱者に対しての研究開発にぜひとも具体的な政策を盛り込んでいただきたいなと思っているんですが、いかがですか。
  144. 山口憲美

    政府委員(山口憲美君) ただいま御指摘の点は大変大事な点だと私たちは思っております。  高度情報通信社会推進本部の基本方針の中に七つの原則がございますが、その中の一つに「誰でも」というのがございます。だれでもというのは、そういう社会的なハンディを負っておられる方でもひとしく情報にアクセスできるようなそういう社会をと、こういうことでございます。  そういった意味からいたしますと、私どもこういう研究開発をする際に、一つは使いやすい端末機器の開発、それからそういったものをベースにしてそういった皆様方に向いているシステムを組んでいくというふうなこと、そういった側面から研究開発等、あるいは普及策を講ずるということを進めていきたいというふうに考えております。  ちょっと具体的内容を省略させていただいて恐縮でございますが、そういったことで進めさせていただきたいと思っております。
  145. 中尾則幸

    中尾則幸君 私もいろいろ地方で聞かれるんです。おまえ、昔逓信委員だったから、マルチメディアというのは何だと言われるんです。わかりやすく説明するのはなかなかできないので、電子寄せなべだとか電子万華鏡だとか電子玉手箱とか言って説明するんですが、なかなかわかりにくい世界だなと思っております。  一カ所、今、山口局長の話ございましたけれども、例えば遠隔医療、なぜ光を導入するのかということ。私も各地方の町役場にちょっと行きますと、そこの町立病院に目のお医者さんがいない。そうすると、地方では都会まで出るのにどうしても一時間もかかる、お年寄りが。そのときに、一つは今検討を進めておるんですけれども、光がもう九六%カバレッジありますから町には来ているんです。NTTに来ています。そこから町立病院に引いて、そしてそこで例えば木曜日なら木曜日に遠隔診断、それは光ファイバーを引かなきゃいけないですね、これはINS六四というわけにいきませんから。そういったシステムだということを説明しますと、ああそうか、町に行かなくても目の診療ができるのかと言うんですね。そんなふうに具体的に思いました。  時間もございませんので、ファイバー・ツー・ザ・ホーム、略称FTTHと言われますけれども、Hはホームでございます。先日、厚生省ともちょっと打ち合わせしましたら、障害者のためにやはり郵政省が音頭をとってもう一押ししていただきたいと。このHはホームのHでありますけれども、ホスピタルのHでないかと私は勝手に思っておるわけです。  つまり、脊損だとか、それからいろいろな事情で障害を持ってしまった。ある病院ですよ、これは大変難しい形だろうと思いますけれども、ファイバー・ツー・ザ・ホームとイコールでファイバー・ツー・ザ・ホスピタル、私はそういう研究もぜひ加えていただければなと思うんです。  ちなみに、在宅の身体障害者が全国総数で二百七十二万人いるようです。六十歳以上の方が六二%ですから、私の言っていることにすべて当たらないかもしれませんけれども、そういう視点もぜひ必要でないかなと思うんですが、質問通告はないんですが、そういう弱者に対して大臣から一言。
  146. 日野市朗

    ○国務大臣(日野市朗君) 弱者は情報格差があってはならぬ、これはもう私たち常に考えているところでございますし、それから政府として内閣総理大臣を本部長とする高度情報通信社会推進本部、ここでも基本方針として提言しているわけでございます。  弱者のための施策、これは力を入れてやってまいりたいと思っております。
  147. 中尾則幸

    中尾則幸君 今のファイバー・ツー・ザ・ホスピタルじゃないですけれども、それについて。
  148. 五十嵐三津雄

    政府委員五十嵐三津雄君) ただいま大臣から申し上げさせていただいた基本的な方針かというふうに思いますが、先ほど申し上げましたように、公共的なアプリケーションを病院や学校、そういったところに展開していく、そういった中で優先的に光ファイバーを引いていく体制ができる。また、特に地方にあってはそういうことを十分認識して、バランスのとれた光ファイバーのネットワークを構築してまいりたいというふうに存じております。
  149. 中尾則幸

    中尾則幸君 あと残り二分で、最後の質問になります。  まだまだ勉強不足ですけれども、私なりに全国各地いろいろ調べさせてもらっております。先ほどもある委員から御指摘ありましたけれども、マルチメディア社会というのは何なんだと。用語が大変横文字が多いということで、せっかくいろいろな施策をやっていても見えにくい、一般国民にわかりにくいという先ほどの指摘は、私はそのとおりだと思うんです。  もうちょっと身近に、さっき言った端末の開発だとかあるわけですね。使い勝手がよくなきゃだめだとか料金の問題とかありますけれども、このように郵政省は一生懸命各所に入り込んで、余り予算も使わないで知恵を使いながらやっているというのは、大変私は努力は多としたいんですけれども、もうちょっと積極的に、見える政策を展開していただきたい。マルチメディアって何だというようなことであれば、せっかくの施策も生きてこないと私は思うのでございます。  最後に、市場原理だけではない、国としてやるべき仕事というのは光ファイバーのみならず、マルチメディアの実現に大事だと思いますけれども最後に大臣の決意を伺って私の質問を終わります。
  150. 日野市朗

    ○国務大臣(日野市朗君) おっしゃるとおり、マルチメディアとは何ぞやと真っ向から総論的に考えるというのも一つの方法かと思いますけれども先ほど私もお答えしましたが、まず各論の積み重ねということで一つのイメージをつくり上げていくということも大切であろう、こう思います。できるだけ郵政省の方も易しい言葉で、先ほどファイバー・ツー・ザ・ホームかホスピタルか、これはどちらでもいい、イメージとして取り上げていただくということと同時に、それをわかりやすいような言葉で表現することが大事かと思います。  それで、例えば遠隔医療、それから遠く離れたところでの教育というような、いろいろわかりやすいマルチメディアというのがあるわけでございまして、そういうことをわかりやすく説明するようなことは我々もこれから心がけてまいりたいというふうに思っておりますし、案外皆さん気がつかないところで既にマルチメディアの成果というものはあらわれているわけでございますから、そういうこともわかりやすく説明するということなどもいろいろ考えてまいりたいと思っております。
  151. 及川一夫

    委員長及川一夫君) 質疑の過程で出ました、通信機構にかかわる守住委員、それから西川委員から出ました総括並びにこの逓信委員会でもわかりやすい議論ができるように資料として提出をされたいという御要望がございました。これは後日理事会で検討して、御要望に沿うようにひとつ努力をしたい、こういうふうに申し上げておきます。  他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  152. 及川一夫

    委員長及川一夫君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  153. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 私は、日本共産党を代表して、通信放送機構法の一部を改正する法律案電気通信基盤充実臨時措置法の一部を改正する法律案に対し、反対の討論を行います。  通信放送機構法改正案に反対する理由は、新たに設けられた民間企業への委託研究が事実上の大企業への補助金となる危険性が極めて高いからであります。  今回の改正を受けて、民間企業への委託研究を予定しているトータル光通信技術、超高速マルチメディア移動体通信技術、インテリジェント映像技術、総合デジタル放送技術などは、民間企業が将来の商品化に向けた研究開発に属するものであり、本来、民間企業のリスクでみずから研究開発を実施すべきものであります。これを国が肩がわりしてやる必然性はありません。しかも、国債残高が二百四十兆円と史上最高という財政の危機が叫ばれているときに、建設国債を財源にして、借金までして民間企業への研究開発を委託研究の名のもとに事実上の補助金を出すことには断じて認められません。  質問でも指摘したように、通信放送機構がみずから研究開発を実施していると言われてきましたが、機構はテーマを決めて、事実上、研究者などプロジェクトの研究先任せになっているのが実態であります。その上、次世代デジタル映像通信に関する総合的な研究開発に神戸製鋼が参加していることが明白に示しているように、今回の改正は公然と大企業等への委託研究を促進するもので、賛成できません。  我が党は、研究開発に国の予算を投入することに反対するものではありません。国や機構は、高齢者、障害者のための機能代行支援通信システムの研究開発など、民間企業では採算ベースに乗らないため手がつけられない研究開発にこそ支援の中心に据えることを主張するものです。  次に、電気通信基盤法の改正案に反対する理由は、加入者系光ファイバー網の整備のために五年分の利子補給を全額前払いで予算措置をとる前例のない超低利融資制度を創設して、大企業、とりわけNTTへの優遇措置を一層拡大させるからであります。  光ファイバー網の構築には五十兆円を超える設備投資が必要だと言われていますが、この設備投資をだれが、どのように負担するか明確にされていません。にもかかわらず、二〇〇〇年までの先行整備期間に光ファイバー網の人口カバレッジ二〇%を達成させるために、加入者系光ファイバー網化を潜在的に需要が大きい大都市部から優先させて進めるために、利子補給による実質的な補助金を増大させることは認められません。  光ファイバー網の敷設の主役はNTTであり、我が国の大企業の中でも一、二を争う大企業であるNTTの設備投資計画を支援することにほかなりません。NTTは、昨年、将来の設備投資のためという理由で基本料金を引き上げ、千七百億円もの増収効果を上げる一方で、市外料金引き下げにもかかわらず、九五年度は三千二百八十九億円の経常利益を上げているのであります。光ファイバー網の全国整備を現在のまま推進すれば、電話料金の値上げや地域間料金格差など、国民と利用者に値上げとサービスダウンをもたらすことを指摘して、私の反対討論を終わります。
  154. 及川一夫

    委員長及川一夫君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  155. 及川一夫

    委員長及川一夫君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより両案について順次採決に入ります。  まず、電気通信基盤充実臨時措置法の一部を改正する法律案について採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  156. 及川一夫

    委員長及川一夫君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  陣内君から発言を求められておりますので、これを許します。陣内君。
  157. 陣内孝雄

    ○陣内孝雄君 私は、ただいま可決されました電気通信基盤充実臨時措置法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、平成会、社会民主党・護憲連合、二院クラブ及び新党さきがけの各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     電気通信基盤充実臨時措置法の一部を改     正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たり、次の各項の実  施に努めるべきである。  一、高度情報通信社会の実現に向けて、光ファ   イバ網の整備に係る支援措置の拡充・強化を   図るとともに、その機能を十分発揮できるよ   う各種のアプリケーションの開発・実用化の   一層の促進に努めること。  一、情報通信ネットワークの安全・信頼性の向   上を図るため、信頼性向上施設整備事業に対   する各種支援措置の一層の拡充を図ることに   より、災害に強い情報通信基盤を構築するこ   と。   右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  158. 及川一夫

    委員長及川一夫君) ただいま陣内君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  159. 及川一夫

    委員長及川一夫君) 多数と認めます。よって、陣内君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、日野郵政大臣から発言を求められておりますので、これを許します。日野郵政大臣
  160. 日野市朗

    ○国務大臣(日野市朗君) ただいま電気通信基盤充実臨時措置法の一部を改正する法律案を御可決いただき、厚く御礼を申し上げます。  本委員会の御審議を通じて承りました貴重な御意見並びにただいまの附帯決議につきましては、今後の郵政行政を進めるに当たり御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。  まことにありがとうございました。
  161. 及川一夫

    委員長及川一夫君) 次に、通信放送機構法の一部を改正する法律案について採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。     〔賛成者挙手〕
  162. 及川一夫

    委員長及川一夫君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  陣内君から発言を求められておりますので、これを許します。陣内君。
  163. 陣内孝雄

    ○陣内孝雄君 私は、ただいま可決されました通信放送機構法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、平成会、社会民主党・護憲連合、二院クラブ及び新党さきがけの各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     通信放送機構法の一部を改正する法律     案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たり、次の各項の実  施に努めるべきである。  一、高度情報通信社会の実現に向けて、情報通   信分野の研究開発の重要性が一層強まること   にかんがみ、財政金融面を含めた施策の拡充   を図るとともに、総合的かつ計画的に研究開   発を推進すること。  一、通信放送機構の業務内容を積極的に公開   し、成果の普及に努めるとともに、これまで   の業務の実績を見極めつつ、今後機構機能   強化を含め情報通信に対する支援体制の一層   の充実を図ること。   右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  164. 及川一夫

    委員長及川一夫君) ただいま陣内君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  165. 及川一夫

    委員長及川一夫君) 多数と認めます。よって、陣内君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、日野郵政大臣から発言を求められておりますので、これを許します。日野郵政大臣
  166. 日野市朗

    ○国務大臣(日野市朗君) ただいま通信放送機構法の一部を改正する法律案を御可決いただき、厚く御礼を申し上げます。  本委員会の御審議を通じて承りました貴重な御意見並びにただいまの附帯決議につきましては、今後の郵政行政を進めるに当たり御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。  まことにありがとうございました。
  167. 及川一夫

    委員長及川一夫君) なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  168. 及川一夫

    委員長及川一夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  169. 及川一夫

    委員長及川一夫君) 次に、電波法の一部を改正する法律案を議題といたします。  政府から趣旨説明を聴取いたします。日野郵政大臣
  170. 日野市朗

    ○国務大臣(日野市朗君) 電波法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  この法律案は、無線局の増加の状況等にかんがみ、電波利用料の金額を引き下げるとともに、電波利用料を財源として支出すべき電波利用共益費用に関する規定を整備しようとするものであります。  次に、この法律案の概要について申し上げます。  第一尺無線局の増加の状況等にかんがみ、一部の無線局の区分について電波利用料の金額を引き下げることとしております。  第二に、電波利用共益費用に係る事務の例として、電波のより能率的な利用に資する技術を用いた無線設備について無線設備の技術基準を定めるために行う試験及びその結果の分析の事務を加えることとしております。  なお、この法律は、公布の日から施行することといたしております。  以上がこの法律案の提案理由及び概要であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
  171. 及川一夫

    委員長及川一夫君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後七時二十九分散会      ―――――・―――――