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1996-02-22 第136回国会 参議院 逓信委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年二月二十二日(木曜日)    午前十時開会   出席者は左のとおり。     委員長         及川 一夫君     理 事                 陣内 孝雄君                 吉村剛太郎君                 広中和歌子君                 松前 達郎君     委 員                 岡  利定君                 景山俊太郎君                 河本 英典君                 北岡 秀二君                 保坂 三蔵君                 守住 有信君                 小林  元君                 鶴岡  洋君                 西川 玲子君                 林 久美子君                 伊藤 基隆君                 上田耕一郎君                 山田 俊昭君                 水野 誠一君    国務大臣        郵 政 大 臣  日野 市朗君    政府委員        郵政大臣官房長  谷  公士君        郵政大臣官房審        議官       品川 萬里君        郵政省郵務局長  加藤豊太郎君        郵政省貯金局長  木村  強君        郵政省簡易保険        局長       天野 定功君        郵政省通信政策        局長       山口 憲美君        郵政省電気通信        局長      五十嵐三津雄君        郵政省放送行政        局長       楠田 修司君    事務局側        常任委員会専門        員        星野 欣司君    説明員        郵政大臣官房首        席監察官     高橋 豊久君        郵政大臣官房人        事部長      金澤  薫君        労働省労働基準        局賃金時間部労        働時間課長    石川  透君    参考人        日本電信電話株        式会社電報事業        本部長      山森 隆俊君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○郵政事業通信放送及び電波等に関する調査  (郵政行政基本施策に関する件)     —————————————
  2. 及川一夫

    委員長及川一夫君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。  まず、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  郵政事業 通信 放送及び電波等に関する調査のため、本日の委員会日本電信電話株式会社電報事業本部長山森隆俊君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 及川一夫

    委員長及川一夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  4. 及川一夫

    委員長及川一夫君) 次に、郵政事業通信放送及び電波等に関する調査のうち、郵政行政基本施策に関する件を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  5. 守住有信

    守住有信君 自民党守住でございます。  この前の委員会では日野郵政大臣所信を書いたものを読ませていただきました。その前に、部内誌を読んでおりましたら、井上大臣の所感の中で三つの「シン」、親切とか信頼とか何かあったと思いますが、そこのところが郵政事業をやっていく中で非常に大事な哲学だと、いわば原点だと私も受けとめました。私の名前有信と申しまして、信なくば立たず、そういう信でございますので余計共感を持った次第でございます。  冒頭日野大臣所信以前の、職員に向かっての哲学というか理念というか、そこのところをひとつお聞かせいただきたいと思います。
  6. 日野市朗

    国務大臣日野市朗君) 私は、郵政事業というものは本当に国民の財産である、こう考えておりまして、今まで長い歴史を持って国民の中にすっかり根づいてまいりました。私は、特に郵政事業などというのは古い伝統を持って日本国民の生き方としての文化の中の一部、このようにすら考えているところでございます。  その中で、国民郵政省事業を信用していただく、こちらもその信にこたえていく、このことは非常に大事なことであるというふうに考えております。  有信、信ありということは一つのこれからの大きな指針になってこようかと思いますので、先生のそのお言葉を体しながら頑張ってまいりたいと思っております。
  7. 守住有信

    守住有信君 そこで、質問に入らせていただきます。  事業の方はちょっと後回しにしまして、行政の方で、前にこの逓信委員会向こう側上田委員が御質問なさったテーマと結びつくわけですけれども、私もずっと郵政をやっておりまして、特に沖縄返還のときは電波総務課長をいたしておりました。佐藤内閣沖縄返還、本当に各界必死の思いで長い間の歴史の中から挑戦されまして、そのときに佐藤内閣ののどにがかった小骨という問題がありました。  何だと、電波でございます。VOAボイスオブアメリカ占領時代からずっと沖縄の地にありまして、もちろん、それはソ連、朝鮮半島あるいは中国もありました、いわゆる米中の国交回復以前でございますのでね。フィリピンにもボイスオブアメリカがあった。ドイツにもありました。トルコにもありました。それで沖縄にもあった。これが本土並み返還でございますから、本土と同じように、本土にはボイスオブアメリカはございません。  そこで、返還というここのときに総務課長でございまして、命を受けて何遍も沖縄に参りました、返還以前。赤旗が林立いたしておりました。那覇の北の方の丘陵地帯の山の上に物すごい高い鉄塔の発信機がございまして、ラジオでございますけれども短波放送。中には入れません。その近所に郵便局がありました。その郵便局に、我々郵政でやっぱり放送法がございます。番組の中身はいざ知らずということで、その郵便局で自動的にVOA受信ができる。テープにこれをとりまして、毎日これを外務省に送るという仕組みをつくった覚えがございます。その後、ボイスオブアメリカ、あれは韓国の済州島の方へ移しました。  もう一つございますのが、これはやっぱりラジオでございますが、極東放送というアメリカカソリック放送がございました。これをそのまま認めておったらオウム放送とかいろいろ放送が認められる制度になるわけですから、あくまでも日本放送法電波法の体系のもとにということでこれをやめてもらいまして、あくまでも日本の資本による沖縄のということでの民放が始まるわけでございます。  そのころ、ベトナム戦争でございまして、極東放送アンテナを見にいきましたら、海岸端ずっと壊れた戦車とかベトナム戦争廃棄物が並んでおりました。その中に極東放送アンテナもあったんです。そういうものを映像として思い出すわけです。それはそれとして、はるか昔の沖縄返還前後のことでございます。  もう一つ、この前お聞きしておりましたら、NHK受信料は、アメリカ米軍というよりも、あれは生活の問題でございますから、防衛の問題ではない。防衛の問題なら、それなりに我々自民党としては考えて長期的に粘って対処していきますけれども米軍生活NHK受信料、宿舎でラジオを聞いたりテレビを見たりしておられます、このNHKの問題。これがずっと長い間、あれはアメリカが、要するに駐留した米軍の総司令官以下があれを租税だ、税金だというふうにとらえた。日米安保では税金は払わぬでいいことになっておるからということで。  それとどう絡みがあるか知りませんけれどもスタートのときに租税だというふうにとらえたために今日まで、何かNHKに聞きましたら、今までの分を累積したら十六億何ぼだと、こういうふうにも聞いたわけでございます。金額だけではございませんで、やはり日本の国内に生活を持っておるわけです。  じゃ、その他のアメリカ人、商社その他で多数参っておりますね。これは自分のマンションその他家庭でちゃんとNHK受信料を払っております。なぜ生活の問題として駐留米軍家庭では受信料を払っていないのか。これが、去年、上田さんが指摘されて、私はこれは余り知らなかったんです、実は。あのころ通信の方を専らやっておりまして、日米安保通信小委員会もあります。放送の方は、受信料の方は私自身余り知りませんでして、去年、目の当たりに聞きましてううんと思ったわけでございます。そこで、盛んに放送行政局中心に呼びまして、どうしておるかと。  かつて昭和五十三年、NHKからも言われまして、逓信委員会、衆議院の方でございますけれども、五十三年のときに社会党その他からも御議論があって、これを延々と議論しております。ところが、どうしても、その論調を見ますとNHKの問題、NHKだということで、あのころ坂本朝一NHK会長はみずからの名でアメリカ大使館とか米軍司令官とか、これにも文書が出ております。これもまざまざ知ることができました。  通信の方は、いろいろ私も通信政策局長以下でやっておりましたものですから、通信小委員会でもいろいろな問題を克服してきましたけれども放送受信料の問題、本当にこれは抜けておるなと。国民感情から見てもアンフェアだ、不平等だ、これだけは。ところが、アメリカの方はみんなスポンサー制度でございますから、日本のようなNHK受信料制度がない。したがって、これをヨーロッパのような租税というふうにとらえたんじゃないか。そこのスタート以来、その後もう二十何年ですか、ずっと続いておる。これではいかぬ。  そこで、窓口は外務省北米局でございます。何遍も郵政省は、放送行政局は言っておることは言っておるよ。しかし、口頭でやっただけじゃだめだ、文書を出せ、公文書だと。私も、かつては郵政省文書課長でございますから、行政というものははっきり書いたもので、そして後に資料が残る、何年のときにどういう文書を出してどうだったか。口頭だけではなくて、やっぱり節目節目のときに文書を出してないものですから、長い間郵政省は、それまで一回も放送行政局文書を出していないということも知ったわけでございます。  こういう一連のこと、今後の取り組み、今まではさることながら、これからの取り組みが私は一番大事だと思っております。これは郵政省のかなえの軽重を問われる性質だ。実は、そのときは井上郵政大臣でございまして、あの方は大阪ですけれども、途中で自動車電話なんかしたりして、私も大臣室にも行きました。一生懸命、自分のときに片づけたいというふうな思いがあったと感じております。  さて、その後、内閣がかわって閣僚がかわったわけですけれども、その辺につきまして、まず前座を行政局長の方から御説明をいただきたいと思います。
  8. 楠田修司

    政府委員楠田修司君) 本件在日米軍関係者NHK受信料支払い問題につきましては、守住先生指摘経緯のとおりでございます。  そういう経緯を受けまして、これからのことでありますが、基本的にはこの受信料制度に対する米軍基本的理解というものがまだなされていないという問題がございます。そういうこともありまして、この解決を図るため、本年の一月二十二日、改めて政府間、日本アメリカでありますが、外務省を通してでありますが、郵政省も入りまして話し合いを再開したというところでございます。  なお、政府部内におきましても、去る二月二十日、外務省北米局長に対しまして、在日米軍受信料日米地位協定でいう租税であるとし、支払う義務がないとの解釈のもとに受信料未払い状態が続いているということ、また本件日米地位協定解釈の相違に起因しているので外務省の尽力を得たいこと等を改めて文書をもって要請したところでございます。  今後、この問題の解決に向けまして、さらに連携して努力してまいりたいと思っております。
  9. 守住有信

    守住有信君 それにつけ加えまして、私は単独行動をやる方でございますが、内閣改造、新聞に報道が出まして、すぐさま池田行彦外務大臣のところに単独で参りまして、上の方にははっきりとこの逓信委員会意思というもの、あるいはまた私個人の考えというものを池田外務大臣には、本当に正式任命の前日でございましたけれども飛んでいっております。  そのこともあわせて御承知いただいて、まずは外務省と事務的に詰めて、アメリカ大使館とか米軍の方ともやりながら、これはやっぱり大臣マターの問題だと、こう考えておりますので、井上大臣のときから相当な決意であったことは私は知っておりますので、新大臣としてもどのような取り組みで、でないともう二十何年か延々とこうなんですよ。それで、文書が一発も出ていないんだよ。役人は変わります。閣僚も変わります。しかし、公文書の何月何日に何とかという文書が出ておれば、ここまでやったのかと。ただ外交交渉で、口頭でだけ外務省に言って、何もやらなかったとは思いません、今まで。そういう歴史がある、何のたれべえということは申しませんけれども。  この二月二十日ですか、やっと公文書を出して事実上もアメリカの、日米安保通信小委員会通信放送を含むんですよ。こういうことでございますので、いろんな手法を使って大臣の今後のお取り組みをぜひともお願いしたいと思っております。大臣からひとつ。
  10. 日野市朗

    国務大臣日野市朗君) この問題についての先生の今までの御経験を踏まえた非常に貴重なお話を伺いました。  何しろこの問題は日米地位協定ども絡む非常に重要な問題でございます。私もこの問題の解決に向けて誠心誠意取り組んでまいりたいと思います。それに、二十年間、もうずっと長い間の沿革を踏まえている問題でありますから、慎重の上にも慎重を期さなければならないと思いますが、この問題は早期解決をしたいということで頑張ってまいりたいと思います。
  11. 守住有信

    守住有信君 基地の縮小、整理、統合とか大きなテーマはありますけれども基地とかそういうことでなくて、私は、アメリカ家庭日本テレビも見ておる、衛星放送も見ておる。しかし、基地内だからNHKのセールスマンというか受信料営業マンは中へ入れないんです。そういう意味で、アメリカ基地の中の水道代とか電気代をどぎゃんしとるだろうか。電気通信代がこうでございますから、NHKのあれもちゃんと払うておるはずだと、NTTの方もそう思っておるわけでございますので、そういう思いで、アンフェアがないようにやっていくべきだ、こういうことを申し上げまして、次のテーマに移らせていただきます。  もう一つありますのが、これはアメリカとの関係じゃございませんけれども通産省でいわゆる訪問販売法、これの法律改正をいたします。国会にもう法案は上程されております。その中で、私の記憶によると、電話による訪問販売不当販売、これを新たな条項、規制対象として取り上げる。不当な、嫌がらせ的ないろんなのが消費生活センターには山のように何万件と挙がっておるようでございまして、特にその声の中心家庭の御婦人方でございます。  それと同時に、私は前から通信をやっておりまして、前はアナログでございました。デジタル電話になれば受信機の方に相手電話番号が表示できる。これはできますと、もう十何年前にそういう話だったんです。そして、当時は、私らのころは、五十嵐君も業務課長でおったが、あの誘拐犯、人質、この問題を電話によって家族、御両親のところに子供とか何か誘拐しておいて何千万円よこせとか、こういうことから始まった。これは電話利用ですよ。  そこで、法制局見解をとって、これは違うと。通信の秘密というけれども、理論を立てて、当時は電電公社でございましたが、電電公社に厳しく指導して、交換機のところで、警察が令状を持ってきたら、その家族のところの電話にかかってくる電話でございますからこれを傍受する、そして犯人を特定して捜査していく、こういうことから始まったわけでございます。  その後、大分警察も、警察白書冒頭警察恥辱であると書いてあるんですね。それは、誘拐犯に殺された、最大の恥辱だということで、我々も通信屋として電話屋としてタイアップしていかなきゃいかぬ、社会の秩序。その後、見ておりますと、今度はそういう誘拐でなくて脅迫とか嫌がらせ電話とか無言電話とか、こういうのが日本の乱れた社会の中でどんどん進んでおります。  郵政省さんを私も呼びまして勉強させていただきました。「電気通信利用適正化に関する法制度研究会報告書」、七年十二月、それから「電気通信消費者保護に関する研究会報告書」、七年八月、それ以前ですね。あるいはまた「電話勧誘迷惑電話に関する実態調査結果報告書」、七年十二月一ともに電気通信局。それで、通産省の方は今度の国会訪問販売等に関する法律の追加、電話勧誘による規制、これが入っておるわけでございます。そして、よく調べましたら、既に電気通信管理局長名NTTの方にはそういう新型サービスを開発すべきだと、こういうことの文書が出ておるんです。ただし、これが許認可の何かの文書のついでに入っておるわけです、要請するという。  そこらあたりですが、ここにリンリンとかかった相手電話番号の数字が、デジタル番号が出ると。そうすると、おのずから自制力が働くんですよね。自分がかけた電話がちゃんと相手に知られているよということになりますと、そんな無言電話をやったり嫌がらせをやっても何番だといずれわかる。犯罪的なやつは犯罪でやられると、警察で。そういうことになるだろうというのが私の長い間のとらえ方でございます。  もう大分前から文書で出ておったね、NTTに。大分前でしたな。その後どうなっておるかと、NTT何をしておるかと。あなたの後輩の方だけれども、申し上げるよ。何をしておるか、一年半ぐらい前ね。ちょっとそこのところを正確に、皆さん方にわかるように。よくやっておると思うんですよ、電気通信局。こういう調査研究もやり、NTTにも文書が出ておった。ただ、何かの認可のついでか何かだったと思うけれども、そこのところをひとつ、どういうふうな取り組みをしてきて、今後どうするつもりか、メーカーに対しても。よろしくお願いします。
  12. 五十嵐三津雄

    政府委員五十嵐三津雄君) ただいま先生からるるお話のございましたように、最近の電話社会という状態の中で、脅迫電話あるいは無言電話、それから悪質な勧誘電話、そういういわゆる迷惑電話というようなものが社会問題化しております。  昨年十一月に、郵政省、私どもが実施しましたアンケート調査、三千名ほどを対象としたわけでありますが、迷惑電話を受けたことのあるという人は全体の三分の二に上っているということで、その迷惑電話の内容としては無言電話というのが大変多いという状態になっております。  申し上げるまでもないことですが、電話というようなことで、発信者匿名性というか名前がわからない、あるいは顔が見えないというようなことで、電話メディアというものを使いました特性というのが発信者をして悪用させるというような面が出てきたりしております。  先生が御指摘発信電話番号通知サービスというようなもの、発信者がわかるという意味では、発信電話番号通知サービスというのは着信者に対して発信者電話番号を通知するサービスというようなことで、こうした面から迷惑電話の対策という意味では有効なものではないかというふうに考えております。  このことにつきましては、若干経過を述べさせていただきますと、平成六年の七月、一昨年の七月にNTTがいわゆる迷惑電話ことわりサービスというのをサービスとして世の中に出しました。自分のところに電話がつきますと、この方から来た電話番号は次からはじいてもらいたいというときに、ある一定の番号を回しますと、次回からはその番号についてはもう自分にはかかってこないと、こういう迷惑電話ことわりサービスというものを認可いたしました際に、電気通信審議会が、プライバシーの保護等に配慮をしながら早期導入を検討してもらいたいと、この発信電話番号通知サービス早期導入を要望するということがありました。この要望を受けまして、平成六年の七月に郵政省電気通信局長名前NTTに対して文書指導をしたところであります。  これを踏まえましてNTTは、発信電話番号通知サービスについて、平成八年、ことしの十月に試験サービスを開始する予定ということでございます。そして、平成九年度中には本格的なサービスを提供する予定でございます。この平成九年度中というのはデジタル化の完了ということとも絡みますが、そういうことでサービスを提供する予定でございます。  先生からこれも御指摘ありましたが、昨年の八月には、私ども電気通信消費者保護に関する研究会報告書」をいただいております。それから、さらにこれを法制化すべく、十二月には「電気通信利用適正化に関する法制度研究会報告書」もいただいておりまして、この発信電話番号通知サービス、これの導入というのが利用者消費者からも迷惑電話着信を拒否する上で有効だというような形での報告をいただいているところであります。  なお、このことについては、アメリカあるいはイギリスにおいてもこういうサービスが始まりつつあります。アメリカにおきましても、日本よりかなり早く、六十二年から一部で始まりまして、現在は五十州中四十八州ぐらいで提供されている。イギリスにおきましても、平成六年の十一月からサービスを開始しつつあるというふうに私ども承知をいたしております。  国民利用者電話社会をますます健全なものとしていく、また便利なものとしていくという観点もございますので、こういう状況を踏まえまして、私どもとしても、サービス早期導入されるように、関係の向きに対しまして、先生今御指摘のありました通信事業者あるいは工業会というようなところに必要な文書指導や要請を行ってまいりたいというふうに考えているところでございます。
  13. 守住有信

    守住有信君 大筋わかりました。  そこで、NTTが言っているように、デジタル化が全部終わってからなんて、そんな生ぬるいことじゃだめなんだよ、全部終わってからと。一つの仕事が終わってから次へじゃなくて、同時並行的に進まなきゃいかぬ。もうデジタル化普及率は相当なものでしょう。電子交換機か何かがデジタル交換機へどんどん変わって、私の方の田舎までだんだん来ておるんですよ。だから、その途中でもいいんだよ。そういう行動力でやっていかぬと、本当に消費生活家庭生活は守られないじゃないか。これが郵政姿勢じゃないか、NTT姿勢じゃないか、こういうふうに思っております。  分割論はまだ審議の途中でございますから、はっきり終わってから、まだ特別部会だけでございますから回しまして、もっと切実な、具体的な、巨大な、事実上独占のコングロマリットなんだから、真っ先にやり出す。それから第二電電グループ、NCCの方も、そしてメーカーの方も、これは行政手続法もありますけれども、はっきりした行政意思文書によって各方面に通知し、要請し、そしてそのことをマスコミを通じて、通産省はどんどんマスコミでやっておりますよ、電話訪問販売その他はね。だから大いにやってもらいたい、大臣も。  これは本当に市民社会市民生活を守るための、まあ住まいを守ると申しましたが、私は守住でございます。住まいを守る方でございますので、家庭生活を守る、そういう発想が根っこにあるものですから、いろんな技術の進歩を眺めながらおるわけでございまして、さらに強力に、そしてマスコミ皆さんにも、家庭婦人の会とかいろんな消費者団体とかが多数ございます。そこに、通産省任せじゃなくて、郵政省がみずからそういう各種市民運動の団体に通知をしていくと。そういう世論というものをバックにして、NTT、NCCあるいはメーカー、これに頑張ってやっていただきますように、どんどん取り組んでおられますので、ハッパをかける意味で余計申し上げておるわけでございます。  さて、今度は行政から事業の方へ移らせていただきます。  これはもう大分前からでございますが、私はかつて簡易保険の運用の課長補佐を五年半もしておりました。そして、地方公共団体の指定金融機関、国税の納入は今までみんな銀行だけでございました、都市銀行、地方銀行等。ところが、国税庁、郵政省ともやって、国税庁が国税納入について郵便局も使えると、そしてその手数料をあの国税当局がかわって払うと、そして法律を去年の逓信委員会に出したことは御記憶に新しいと思います。国の方の国税はそういうふうになりますね。両方を使える。選ぶのは国民でございます。選択の自由です。  ところが、県の方は、市町村もありますが、どういうことかといいましたら、今までゼロです。指定金融機関が全部地方銀行です。裏側を言いますと、官官接待というのがあるけれども、銀官接待なんだ。官は地方公務員の官です。  これは申し上げますと、この前も決算委員会で、あのときは野中広務自治大臣でございました。なかなか剛の者でございますけれども、私の体験談を言いました。決算委員会で東北を視察してまいりました、財務局その他と。青森県知事とか青森市長とかとコミュニケーションをやった。浅虫温泉のホテルでした。歩いてそこの場所へ行きましたら、ずっと障子の大座敷でございまして、そして端を見ましたら、みちのく銀行、青森県収入役協議会様御席と。私は昔から現認主義でございますので、障子をがらっとあけて、遠慮なしです、おすと言って入っていきました。そうしたら、青森県の六十幾つぐらい市町村の収入役がおりまして、こっちが銀行側で、女性がお酌して回って、一泊です、年に一回。そういうのがどこでもなされている。収入役です、県の場合は出納長です。  具体例を挙げてあれですけれども、熊本県、私の足元ですから、足元からやらにゃいかぬから福島知事と出納長の木村という人とを並べてがんがんやりました。それでやめさせた、去年の三月。そこまではいいんだけれども、その後です。熊本県中小企業信用保証協会の会長さん、県の出納長が、後ろは肥後銀行、名指しで言います。理事長はおるんです。会長さん。そういうふうな形で市町村の方も収入役の第二の人生をあっせんしておるんです。こういう実態を御承知でございますか、各県。いろいろ私はえぐる方なものだから。  それで、基本的な考え方として、選ぶのは県民、市民、国民です。選択の自由。銀行もいいですよ、それを選ぶのは住民なんです。ところが、のど首のところで地方銀行とか何とか銀行だけと決めておるために郵便局は一切利用がない。郵便振替、預入、払い出し、全国オンラインを四千億もかけてやってきたんです。何も私は貯金事業がかわいいから言っているんじゃない。選択の自由というやつです。自由主義社会で閉ざされている。郵便局だけは排除。その裏が長い間ある。  ところが、一方で簡易保険も郵貯も資金運用部、あるいは簡易保険は直接県、市町村の地方公共団体の長期貸し付け、金利も今最低金利ですけれども、〇・〇一九%低いんですか、しかも期間は二十年、三十年だと。銀行の方はせいぜい七年、一番長くて十年。それで個別取引しよる、個々と。金利もちょっと安くしますからどうぞとか、よそが、第二地銀が攻めてくるとそういうこととか、時間がないから詳しい実態は言いませんけれども、そういう民間側の実態が卑劣な、フェアでいかにゃいかぬ。選ぶのは住民です。銀行でもいいんです、銀行が便利だという方、郵便局が便利だという方。  そして、項目は幾つあるんですか。地方税、簡単に地方税と言うけれども、まず県民税や市民税でしょう、住民税、それから固定資産税あるいは都市計画税。それから例の問題の国民年金、だんだん納入率がダウンしております。あるいは上下水道とか公営住宅の家賃とか学校の授業料とか福祉関係の手数料、もろもろあります。あるいは高齢者に対する給付とか、今度は払う方です、自治団体が。そういう手数も、近所の銀行なら銀行でもいいですよ。都会生活はどっちでもいいんだけれども、住民の一人一人の立場、条件に応じた利用がなきゃいかぬ。  そうしたら、何か銀行はただにしますと言っております、振替の方は手数料は取られますけれども。国税の方は国税当局がみずからその手数料を負担しておる、一回十円ですけれども。こういう実態があるわけです。国の方は、国税の方はそういう一番収納がいいような郵便局もやっと法律改正までして使えるようになった。自治団体の方は法改正は要りません。指定金融機関に知事と出納長、市長と収入役、町長と収入役が追加指定すればいいんです。  ついこの間、去年も逓信委員会でリストをつくらせた。各県、市町村、リストがございます、三千三百の。それで、二十幾つかサービスがあります。これに丸をつけさせました。これをごらんになってください。本当は委員の皆さん自分の足元、地方区の方々は余計自分の足元の県や市町村がどのようなあれになっておるかと。銀行を排除するんじゃありませんよ。銀行と郵便局をともども利用できて、どちらかでもいい、選択させていただく、こういうシステムが苦労してだんだん広がっております。  この前も逓信委員会で議論したときに林田先生と沢田先生がおられまして、私も三期十二年知事をやったが出納長からこういう話を聞いたことは一度もない、それから郵政局長が一遍も知事室に来たことはない、パーティーか何かじゃ会う、何かいろいろといっぱい集まったところの会合では会うけれども、さしでこういうテーマで来たことはない、こういう話を私の質疑が終わった後、林田委員と沢田委員からも言われました。熊本でも十二年間僕も知事をしておったけれどもと。  熊本の郵政局長が具体的なテーマで、コミュニケーションは単なる上っ面じゃだめなんだ、具体的なことで乗り込んでいかにやいかぬ。それでトップが郵政局長。貯金局長が自治大臣とか行政局長や財政局長とやっておられることは知っております。しかし、法の建前が、まして地方分権ですから、地方自治ですから、それぞれの市町村が決める、県が決めるという建前になっておる。そこのところをよく戦略を磨いて、近ごろはえらい木村君も一生懸命になっておる。  もう一つ言いたいのは、保険とタイアップせにゃいかぬ。三事業一体と口では言うけれども、保険ははいはいと言って自治団体に金を貸しております、低利で。貯金は運用部だ、財務局財務部だ、目に見えないんだ。即物的でないんだよ。大蔵から借りていると思っている人がおる、案外。議員でおりますよ、議員でおるんだから。保険だけが直接だ。それでやっぱり貯金と保険が具体的な施策でタイアップする。  具体例を挙げますと、私は保険の運用課長のところに貯金がつくったリスト、丸がついておる、ほとんど白紙です。それを課長とか補佐とか係長のところに置かせて、市町村は郵政局でございますが、郵政局が来るわけです、会合もある、そこで見せる。隣の町はこれだけやっておるけれども、あなたのところはゼロだ、あなた三つぐらいしかやっておらぬとか、そういうふうな本当に行動力を持った、肉薄したやつをやらぬと、トップですよ、これは外務員じゃありません。そこらあたりを谷君が貯金局長のとき、官房長が貯金局長のときからわあわあ言い出したものですから、その後大分進展したと思う。制度的に法律でぽんと地方自治だからいけないんだな、国の方と同じようには。そのやり方をいろいろ指摘しておりますので、その辺のところを、まず貯金局長中心に、そして保険は運用課がどうやってこの貯金の振替サービス問題にタイアップしていくか、いろんな手法があると思いますのでそこらあたりを、せっかく委員の先生方も多数お見えでございますからお聞かせをいただきたいと思います。
  14. 木村強

    政府委員(木村強君) 先生からこういった国会の場、あるいは一月には直接私の部屋にも参上していただきまして具体的な督励を受けたということもございます。役人が主体的にやる仕事ではございますけれども先生のお心を煩わせておるということに対しまして大変申しわけなく思っております。  この問題は、もうかねてから随分議論がございました。私どもも具体的にどうするかというのがポイントだということで、より施策に具体化を持たそうということでいろいろと種々対策を講じております。  特に、昨年の七月段階からは全国の都道府県とか市町村単位に個別の目標、知事であれば知事対策あるいは市町村であればその市に対して、あるいは町村の首長に対して組織セールスのプロジェクトを設置いたしまして、首長あるいは住民、事務当局との打ち合わせなどを計画的にいたしまして、先生からお話がありましたように、郵政局長みずからも乗り込むといったような全体の組織体制は構築をしたところであります。  このためには、地方自治体のやはりウイークポイントもあろうということで、先生指摘のとおり、簡易保険につきましては積立金を直接貸し付けをしておるわけでありますから、自治体との関係、まあおどかすというのもなんでありますけれども、やはり我々も地方公共団体にお役に立っておるということを基本にいたします。  それからまたもう一つは、昨年末、大蔵省と予算折衝をいたしまして、今までは貯金の資金につきましても住民の目に見えない、資金運用部に預けちゃえば後は貯金のお金が学校とか下水道になったということはわからぬということで、運用部に行ってしまえば、厚生年金や保険のお金と一緒になって地方には還元されているんですけれども、どういう形かわからぬということでありますので、都道府県あるいは市町村別に、推計ではありますけれども、大蔵省とも話をいたしまして、この市については、例えば先生の御案内の熊本市についてはこれだけ郵貯のお金が来ているんだということまで明示をさせていこうという話が今進んでおります。場合によっては下水道のところ、あるいは学校のところにモニュメントもつくろう、郵便貯金のお金でできたんだというモニュメントをつくろうというところまで大蔵の理財局と交渉をいたしまして話が進んでおります。  そういったことで、保険の貸し付けあるいは私どもの資金の明示といったような地方公共団体との新しいかかわりがはっきりできる手段も獲得いたしましたので、こういったノウハウも使いながらさらに取り組みを進めてまいりたい、このように考えております。  具体的には、先生御案内のように、私ども、やはり全国津々浦々に設置され、住民の身近な存在であります郵便局で取り扱いができるということは、単に郵便貯金事業ということだけではなくて、行政的観点からも国民にそういった利用機関の場を郵便局あるいは金融機関どちらにでも選択の余地を残しておくということは、まさに守住先生じゃありませんが住民を守るということにもなりますので、そういった観点からひとつ対処をしたいということでやっております。  平成七年度に入りましてからは、この一月末段階でありますけれども郵便局での自動払い込みによる収納の取り扱いにつきましても一千九百四十二団体というところまでこぎつけました。これは全体の中で六割弱でありますけれども平成七年度は一四六%対前年比ということで、一昨年までと比べて五割増しという数まで一気にこぎつけたといったようなことで、着実ではございますけれども、ひとつしっかりとした精神を持って今後とも取り組んでまいりたい。  あくまで住民の立場というもの、行政的視点も入れて、単に郵便貯金事業のお客さんがふえればもうかるんだということではなくて、そういった観点も加えながら、自治省その他に、本省としてやるべきことは自治省との交渉もあります、郵政局段階では地方公共団体に動いていただくということもあります、それぞれの立場で具体的に動くように今後とも努力してまいりたい、かように考えております。
  15. 天野定功

    政府委員(天野定功君) 簡易保険の加入者からお預かりしております簡保資金の地方還元を通じまして地方の振興を図るということで、私どもは積極的に簡保資金の地方貸し付けを行っているところでございます。このようなことで、地方公共団体と簡易保険との間に築かれました関係を広く国民に定着しております郵便貯金の公金自動払い込みの推進に役立てていくことは極めて重要と認識しております。  具体的に申しますと、本省、郵政局及び郵便局、それぞれの段階におきまして、郵便貯金、簡易保険の相互間で情報交換の緊密化を図るとか、地方公共団体の出席する会議の共同開催あるいは地方公共団体への共同での働きかけなど、実効の上がる連携に取り組んでいきたいと考えております。
  16. 守住有信

    守住有信君 ここに東京都出身がおられるけれども、去年の四月に東京都が公営住宅、都営住宅の家賃、これをやり出した。そして今度は二十三区にどんどん及んでおります、具体的に。何も一つだけじゃありません、住宅の家賃だけじゃないからね。こういうふうに岐阜県も動くわけだ。ところが、よその県は、県がゼロなんだな。市町村はそれがちょぼちょぼ入っておる、二十何項目の中で。これが実態だということをあえて重ねて申し上げておきます。  時間がございませんので、あと私が知ったのは、貯金、保険のセールスレディー、女性の採用。女性外務員。女性は内勤は多数おります、貯金センター、保険センター、窓口とか。ところが外務員の世界が、私が調べたら七十名、七十名なんだな。日経の藤井編集委員が四回シリーズで民営化なんてやっておったときに、特定局はこのように職員も努力していますよということを四回シリーズで出まして、その中で、これは貯金だったけれども、何か自転車をこうやっている女性がいるんだ。あのときは九十名と出ておったんだが、ふっと思ったから調べたら、七十名、七十名だ。  女性の特徴、特に保険なんかは、保険の種類、相手のニーズ、御家庭の状況、本当にじっくり女性の優しさでヒアリングをやって、相手の世帯に合うポイントを、商品をセールスして御理解をいただいていかにゃいかぬ。これは女性にとってもってこいの分野ですな。しかも、近ごろはやっと普通局の方でも郵便、貯金、保険の外勤の総合服務というのが実験的に始まり出した。ますます広げていくわけですからね。  その中で、これは人事部と関連しているので人事部長お話し申し上げたんだが、外務員採用と新聞広告出ていますね。そうすると、世の中は配達員とみんな思ってござるんですよ。それがあるんですよ。だから、その表示の仕方も、私の案だけれども郵政外務員募集と書いて、括弧してセールスレディーを含むとか何か。就職難だよ。まして女性は一番厳しいんだよ。そして貯金、保険のセールスにはセールスレディーが一番向いておると私は私なりに見ておる。  そういう意味で、募集するのは人事の方だから、大分前から申し上げておるから、貯金、保険と一緒になって募集のやり方、広告、宣伝、これをよくもう一遍見直すように、そこについて何か具体的に新年度からお取り組みの状況を御説明いただきたいと思います。
  17. 金澤薫

    説明員(金澤薫君) まず、一般的なお話をさせていただきたいと思いますが、郵政省の外務職員の採用につきましては、国家公務員法の定める平等取り扱い、成績主義という原則にのっとりまして、男女の別なく厳正、公正に実施しているところでございます。その結果、女性の外務職員は平成六年九月末現在二百九十一人ということでございます。  しかしながら、現時点におきましては、残念ながら女性の受験者が非常に少ないという状況にございます。先ほど先生も御指摘になられましたように、貯金、保険のセールス部門、これがますます今後重要になってくるというふうに考えておりますが、このような場において女性に積極的に活躍していただきたいというふうに私どもも考えているところでございます。このためには、女性の方々にこのような活躍の場があるということをもっと知ってもらいたいということでございまして、その結果、試験を受けてくださる方がふえていただくということが非常に重要ではないかというふうに思っております。  今後、どういうふうな施策を打っていくかということでございますが、まず募集パンフレットを工夫してまいりたいというふうに考えております。それから広報もさまざまな媒体を使って積極的にやってまいりたいというふうに考えております。それからパンフレットの配付先でございますが、現在、男子校とか男女共学校だけに配付しておりましたが、これを全高校に配付してまいりたいというふうに考えております。  そのようなさまざまな工夫を凝らしまして、女性の受験者の増加に積極的に対応してまいりたいというふうに考えております。
  18. 守住有信

    守住有信君 よき知恵を出して、具体的にね。女性の両親は、女性本人も、郵便外務員といったら外勤の郵便の配達員だとばかりみんな思い込んでいるんですよ。私がちょいちょいと聞いてみたら、一例ですけれども、田舎で、熊本で。そうして、女性はもう一番冬の時代を迎えておる、最近の状況は。しかも、能力を持ったセンスのいい方がいっぱいおられるんだな。  長い間、郵便外務員は男性、配達だけだと。ここのところをもっといろんな手を使って啓蒙をしなきゃいかぬ。それは人事部任せじゃいかぬですよ。貯金局も保険局の系列も特定局長もちゃんとね。これは情報だから、話題だからずっと広げていって、両親や女性の学生さん、生徒さんの思い込みは違うんだと、男女平等社会なんです、こういうことをしっかりよろしく重ねてお願い申し上げます。  それでもう一つ、今まで余り監察の話は出たことがない。信用という問題で部内犯罪に一生懸命取り組んでおられる、あるいは考査を通じて早目におかしいぞという業務取り扱いの中から追っていくということですな。  と同時に、私は前から部外者による強盗、特に局舎侵入事件、これは私の田舎の熊本でも一年間に十二件あったんです。裏口から壊していく。ガラス戸を裏から。表は、どんな田舎の方でも車が時々通ったり、時々は歩行者がある。裏から入って、大体電話線とか電灯線を切る。中を警察が見たら、福岡あたりの不法入国労働者、これがライトバンか何かに乗って、折り畳みのはしごまで中に入れておる。裏から入るんだね、裏庭。塀をちょっと乗り越えて、それで切って、そしてドアは木製だから何のことはない。ガラス戸も総ガラス。昔は鉄のさくがありました。もう何か美観美観で、表も美観だけれども、表は来ぬけれども裏から入ってくる、みんな。そして、現ナマをとる場合もありますし、とれぬ場合もある。しかし、裏木戸、裏ガラスは破壊されておるという局舎侵入というやつ、これが第一歩なんですよね。  昼間は強盗だから、強盗についてはああいうカラーボールをぶつけるとか。この間、大田区で起きたあれも、特定局でおばちゃんに出刃包丁を突きつけて、金も百万かとって、それで課長代理か局長代理かが追いかけた、警察と一緒に。それで塀を越して、どこかの家の二階に行って二階の子供を人質にしたでしょう。生々しいところです。そのもとは郵便局なんだな。郵便局は立派だと思ったですよ。局長代理が追いかけたんですよ。跡を追って、自動車で逃げるやつにカラーボールをぶつける、証拠主義だよね。そういうことで盛んに訓練やっております。  参考までに言うと、銀行もやっておるけれども、銀行なんかは、警察から聞いたら、昼間のやつですな、カウンターの下にポッチがあるんですよ、いろいろ支店の大きさに応じて五個とか七個とか。それで模擬訓練で、警察が強盗のふりして入り込みます、ばっと。そのときに何個これを押したかというのが評定のあれになっておるんですよ。  郵便局も、そういうことを警察と連携しながら監察はやっておりますけれども、昼間の強盗と夜の不法侵入、これに対してどういくか。私はやかましゅう次官にも言って、プロジェクトをつくって、建築部も貯金局も入れて、監察も入れて、局舎の設計基準から設備基準から直せ、ここから見直せと。余り格好よさばかりでいきよるととんでもないことになって、外にあるATM、CDはやられたから今鉄製でがっちり囲んで現ナマがとられぬようにしておりますけれども、中の方です、局舎自体。時間も余りありませんので一言だけ、首席もせっかく来ておる、取り組みを話してください、皆さんに。
  19. 高橋豊久

    説明員(高橋豊久君) 郵便局の局舎侵入等の事件は結構発生してございまして、ちょっと申し上げますと、今年度は二月二十日現在で百二十五件、そのうち二十七件を検挙しております。これによります被害でございますが、現金あるいは切手類等の金目の被害、これが千三百八十一万円でございます。また、ATMとかCDあるいはドア、そういったものを壊される、そういう器物等の被害が千三百二十六万になってございます。  これに対しまして私ども局舎侵入対策を講じているわけでありますが、ちょっとそのことにつきまして御説明させていただきますと、まず最初に郵便局に対して十分な指導をするということで、郵便局舎の戸締まりを厳重にするとか施錠を励行する、あるいは被害があったときに通報できる防犯設備を整えているわけでありますが、その防犯設備の操作を習熟するとか、あるいはこれが壊れて動かないようなことがないように常に点検をする、あるいは被害を最小限にとどめるために郵便局にとめ置く現金の額を必要最小限にとどめるようにする、あるいは警戒を高めるために警察署にパトロールを強化依頼する、こういった指導をしているところでございます。  また、従来からでございますが、現金等の被害防止対策といたしまして、金庫でありますが、容易に破壊することができない強力な金庫を配備したり、あるいはATM、CD用に保護チェスト設置を進めているところでございます。  さらに、平成七年度からでありますが、先生先ほどおっしゃられました裏口からの侵入を防ぐということから、職員出入り口の扉を鋼鉄製にする、そして強化を図る、あるいは窓等の開口部に施錠を二重化する、こういったことも講じているところでございます。そしてまた、そういう局舎侵入が起こったときに異常事態が発生するわけでありますが、そのときに速やかに対応できるように通報関係の委託化を進めているところでございます。  そしてまた、強盗事件につきまして申し上げますと、今年度は二月二十日現在で五十八件発生しておりまして、そのうち三十九件を検挙しているところでございます。不幸にいたしまして、先ほど先生からのお話にもございましたが、人身被害のあったものがそのうち七件で九人ございました。それから、被害金額でありますが、トータルで五千四百六十一万円あったということでございます。  これに対してどういう措置を講じているかということでございますが、強盗事件は人質をとるなどして人命にかかわる重大事件に発展する危険性がありまして、私ども適切に対処しなければならないという認識でございます。  そのために、一つは、強盗に入られたときにどう対応すべきかということを書いた強盗対策マニュアルをつくりまして、全郵便局に配付いたしまして、お客様等の安全確保を第一に適切に対応できるように平素からの取り組みを指導しているところでございます。  また、事件が発生した場合、一番大切なことは警察に直ちに通報するということでありまして、そのために通報装置あるいは防犯ビデオ、こういったものを郵便局に設置しているところでございます。また、強盗に入られたときに慌てないようにということで、実践に役立てるということから訓練もしているわけでございます。所轄の警察署の協力のもとに強盗対策模擬訓練というものを全国的に実施いたしまして、防犯体制を強化しているところでございます。  しかしながら、まだまだ強盗事件多発化の傾向にございまして、さらに昨年、私ども省内に強盗・局舎侵入対策本部というものを設置しておりまして、その中で検討を進めているわけでありますが、今回、新たに特定郵便局長の代表、それから警察庁の防犯対策担当課長、こういった方にも入っていただきまして、十分なアドバイスを得ているところでございます。  平成七年度、その対策本部におきまして決めていただきました緊急対策といたしまして、練習用のカラーボールだとか防犯ステッカー、あるいは防犯用の腕章、こういったものを今回配備したところでございます。
  20. 守住有信

    守住有信君 警察と連携し、今度は警察も二千三百名か、増員するんだよな、交番の不足、県警の方、地方公務員の方。そういう今のような対策本部、地方でも一緒になってやってほしいというのが最後のお願いでございまして、終わらせていただきます。
  21. 河本英典

    ○河本英典君 河本英典でございます。  ずっと守住先生にやっていただいてもいいんですけれども、私も先日の大臣所信に対しまして幾つかの質問をさせていただきたいと存じます。  我が国は戦後五十年を経て大きな転換期に差しかかっております。二十一世紀の新しい社会経済システムを創出しなければならない時期だということはもう最近よく言われていることでございまして、この歴史的な転換期であります今日、長引いている経済の不況と申しますか不活発さ、社会システムの行き詰まり感というか閉塞感にいら立ちさえ感じるわけでございます。  当面は景気の回復を確実なものとし、これを中長期的な安定成長につなげていくということは我が国が直面する大きな課題であり、内需拡大と経済構造改革の一層の推進が必要であると思うわけであります。  とりわけ、情報通信、マルチメディア、ソフトウエア、環境など、二十一世紀に向けての新規産業創出が期待される各分野の発展基盤になるものであると思います。また、現在、我が国が抱えております高齢化社会への対応、ゆとりある豊かな生活の実現などを初めとしたさまざまな社会的課題の解決には、医療や教育など社会の諸分野における情報通信の高度利用が決め手になるのだというふうに大いに期待されておりますし、またそれにふさわしい制度の見直しが急務であるというふうに存ずるわけであります。このような情報通信の高度化の重要性は公共投資基本計画や新経済計画にも盛り込まれているところであります。  そこで、政府として高度情報通信社会推進に向けて具体的にどのように取り組んでおられるかについて、まずお伺いしたいと存じます。
  22. 日野市朗

    国務大臣日野市朗君) 今、河本先生からすぐれた見識がお示しになられまして、私も先生が持っておられる御認識、これを共有するものでございます。  戦後、日本は一生懸命キャッチアップを試みながら経済成長を続けてまいりました。確かに、その経済成長は成功したと言っていいのであろうと私も思います。しかし、ここに来て、その経済成長の形態が一つの大きな壁にぶつかっていること、これもまた争えないところでございます。  これからさらに、その経済成長が一つの壁にぶつかったということは、これは社会全体の構造、その仕組みというものも考え直さざるを得ないというところに我々今来ているというふうに思います。我々はここから新たなステップを踏み出して、新たな経済発展のあり方、これを探っていかなければなりません。日本社会のこれからの構造というものを、どこに問題があり、どこをどういうふうに変えなければならないかということを探っていかなければならない。これは政治家である我々に共通に課せられた課題であるというふうに考えております。  私は、その際に、まず二十一世紀に向けて情報通信の高度化をいかに加速していくかということが一つの重大なポイントになろうかと思います。もちろん、この情報通信を高度化するためのインフラの整備、これが非常に大きな経済的な効果をもたらすこと、また社会の変革に向けての一つのハイウエーをつくるといいますか、そういう効果を持っていること、これも重要な政策課題であって、それに真剣に取り組んでいかなければなりませんが、あとはいかにそれを使いこなしていくのか。私は苗床のようなものだとお話をしたのでありますが、そういうインフラを整備していく、さらにそこにいろんなニーズが生まれてくる、いろんな形の使い方が生まれてくる、それをどのようにうまく使いこなしていくのか、いかにそれを利用していくのか、これは非常に重大な観点であろうと思います。  もちろん、この中にはいろんな形のものが生まれてくるわけでありまして、それをどのように生かしていくかということになりますと、みんなの衆知を結集しなければならないことでございますが、私ども政府の方といたしましても、内閣に高度情報通信社会推進本部を現在設置しておりまして、その基本方針を定めているところであります。  これは単に縦割りではなくて、全省庁を一丸として、横の連携をきちんととりながら今取り組みを進めているところでありまして、この推進本部は橋本内閣総理大臣本部長であり、私が副本部長となっておりますが、こういった情報通信インフラ整備、それから公共分野の情報化、研究開発等、情報通信高度化の総合的かつ計画的な推進に全力を挙げていこうということで今仕事をさせていただいております。  このために、本年五月を目途に、西暦二〇〇〇年までの高度化目標、政府が講ずべき推進方策に関する中期計画を策定いたしたい、こう思っております。  最初は十年程度の期間を置いてという話がございましたが、その間にいろいろ開発を進めようという話ございましたけれども、何分にも技術革新は急速でありますし、さらに国際的な競争も非常にバイタルに進行いたしております。我々はそう長い期間を置いてこれに取り組んでいるというような余裕はございません。我々の仕事はもっとスピードアップしなくちゃいかぬという観点から中期的な展望に立った実効ある政策展開、これを積極的に図ってまいろう、このように思っておりますので、先生方にもこれからの御協力はよろしくお願いいたしたいと考えているところでございます。
  23. 河本英典

    ○河本英典君 内閣総理大臣本部長としてやつていただいているということで、ぜひとも国際化に対してスピードアップをお願いしたいということでございます。  情報通信技術の研究開発についてお伺いしたいと思うんですけれども、米国への立ちおくれということで、取り戻すためには先進的な技術開発を行うベンチャー企業の育成が必要だというふうに考えられるわけでございますけれども、その辺の取り組みなどがございましたらちょっと伺いたいと思います。
  24. 山口憲美

    政府委員(山口憲美君) ベンチャー企業の関係でのお話でございます。恐縮でございますが、ちょっと長くなるかもしれません。  この情報通信技術の研究開発、これはアメリカにリードされているということをもう認めざるを得ないというふうに思っておりまして、例えばインターネット関連の技術でありますとかマルチメディア端末などの技術ではもう明らかにアメリカにリードされているというふうに思っております。その背景には、アメリカではベンチャー企業が育っておりまして、そのベンチャー企業の情報通信技術に対する研究開発が非常に精力的に行われているということが一つの背景にあるというふうに思っております。  こういうベンチャーがアメリカでは育つ環境ということが、我が国と比べて、やはり勉強してみなきゃいけないと思っておりますが、大きな特徴といたしまして、アメリカではエンゼルマネーというのがありまして、個人の投資家がかなりこういったベンチャーに対する投資をされるというふうな環境が一つございます。それから、ベンチャーキャピタルあるいは年金基金がこういったベンチャーに投資をするというふうなこと、それから連邦政府とかあるいは州政府が中小企業支援の資金を用意しているとか、さまざまな形で資金面からベンチャーを育てるような環境ができているというふうに思っております。  一方、我が国というふうなことで考えてみますと、これはいろいろ御意見あるかと思いますが、若者の皆さん方がやはり大企業志向といいますか、そういった傾向がございますし、あるいは一たん入った組織の中で固定化するいわゆる人材の固定化というふうな問題が指摘をされておりますし、そういった人材面での一つの問題。それから資金面でも、ベンチャーキャピタルというものは数からいっても資金量からいってもまだ小さいというふうなこと、それから、よく言われますのは、株式公開に長時間かかるというふうなことで投資した資金の回収がなかなかできにくいというふうなこととかございます。  私ども日本の産業全体の中でベンチャーのウエートというのが、ベンチャーの育ち方が低いと思っております。その中でも、特にアメリカと比べますとこの情報通信分野、アメリカのベンチャーというと情報通信というものが非常に大きな、代表例のようになるほど大きなウエートを占めておりますが、我が国では情報通信のベンチャーの中に占める割合は非常に少ない。これも一つの課題で、私たちも非常に責任を感じているというふうなことでございます。  郵政省では、そういったことで、できるものからやっていかなきゃいけないというふうなことでございまして、今資金面から差し向きベンチャー企業の研究開発に対して支援をしていこうということで、平成七年度の第二次補正予算におきまして、ベンチャー企業等に対しまして助成金を交付するということで先進技術型研究開発助成制度というものを創設させていただきました。これは補正の関係でございますので短い期間に予算執行ということで、わずか二週間ということで公募をさせていただきましたんですが、わずか二週間でございましたけれども六十一件というふうな応募がございました。総額十億五千万円というふうなものがわずか二週間の間にぼっと応募がございました。大変期待されているということを実感している次第でございます。  今後、さらにいろんな施策ということを展開していかなきゃならないと考えておりますが、先ほど大臣からもちょっと触れさせていただきましたが、情報通信高度化中期計画ということを今審議会にお諮りをしていろいろ御検討いただいておりますが、その中でもこの情報通信に関するニュービジネスの振興方策というのを一つの柱にして御審議をお願いしようと考えておりますので、そういった御審議も踏まえて、ここのところに問題があるということを認識して積極的に対処していきたいと考えておる次第でございます。
  25. 河本英典

    ○河本英典君 ベンチャー企業の育成とか中小企業の援助とか、通産省なんかでも中小企業云々がいろいろ出るわけですけれども、私が感じますのは、どうもお金の話ばかり出まして、今おっしゃっていただいたように経営環境ですか、その辺の話が余り出ていないので、政策として、お金を出せばいいということじゃなしに、そっちの環境づくりということが非常に大事じゃないかということを少し申し上げたいなと思っておったわけでございます。  ベンチャー、ベンチャーと言いますけれども、とにかく町の発明家がぽっと出てきて成功するということはめったにない話でございまして、もちろんそれは夢としてあるのはいいことなんですけれども、やはり私が思いますのは、先ほどの職業観といいますか職業意識の話がございましたけれども、学校を出て大企業へ勤めたいというのは日本の性格である、それからアメリカの元気な学生はどちらかというと小さいところへ行って企業を起こしたい、起業家精神が旺盛である、そういった違いがあるんです。  一つのいい例が、アメリカのシリコンバレーですか、スタンフォード大学なんかでよく勉強された方とか、産学の関係で、学者であるとか研究者であるということとビジネスマンであるという職業の垣根を越えて非常に行き来があるという風土といいますか気風といいますか、そういうものが一つの基本的な土壌であって、日本はどちらかといいますと、学者の先生は象牙の塔で、何か学者風で、どちらかといいますと企業人といいますか企業家を余り高く評価せず、お金もうけをする人だというような意識で見ておられます。これは士農工商から来ておるのかどうか知りませんけれども、そういった認識がある。経営者といいますか企業家の方から学者を見ますと、学者の言うことばっかり聞いておったら会社はつぶれてしまうというような認識がありますから、そういった職業観の間に垣根があるんじゃないか。  その垣根を取り除いて、非常に優秀で、勉強して研究されたことをひとつベンチャーで起こして世界的に有名になったろうやないか、そういった精神がまさしく起業家精神でありまして、そこが日本は非常に起こりにくいとも言えますし、起こるような環境がつくられていないのかもしれません。  株式の公開に時間がかかるとかいろんなお話がございましたですけれども一つアメリカンドリームで、今情報通信関係で大変いろんな会社が出ておって、片仮名のいろんなソフトウエアのアプリケーションの会社がたくさん出てきておりますけれども、ああいった会社が一夜にして大変な財を築くサクセスストーリーの主人公でありまして、そんな意味が、まあ日本で好まれるかどうか知りませんけれども、まさしくアメリカンドリームで、そうしたことがなるということが一つの若者の夢でありたい、こういうことを考えますと、株式の公開によって財を、一つの富を得るということが夢であって、私は大事なことではないかと。  それにもう一つは、行き着くところは日本の税制の問題になるでしょうけれども、たくさんそうしてもうけても、たくさん税金を取られて、結局おもしろくない、報われないというような、これは国際化の中での日本の今の経営を取り巻く大きな問題になっているんじゃないかというふうに思うわけであります。これは今ベンチャーについて申しておるわけですけれども、経営一般についてもそうであると思います。  ベンチャー企業というのは、これから科学技術立国として、この間、科学技術基本法が制定されたわけですけれども、そういった意味で法整備も大切ですし、社会一般的なそうした土壌といいますか風土というのを築くということが非常に大事ではないか。こんなことはお役所に言うのも無理かなというような気もいたしますけれども、しかし、そういった認識を持っていただいて、お金を出すという観点だけじゃなしに、そういった風土をつくっていくんだと。  だから、教育の問題まで、教育制度、学校の制度のあり方まで問題になってくるわけですけれども、大いにこれは、本部長内閣総理大臣にやっていただくわけですから、そういったところまで突っ込んで、これからの景気といいますか経済成長の下支えをしていただく新規産業のためにそういった土壌をつくっていただくということが一番今の、二十一世紀の新しい経済社会システムをつくるという観点からいいましたら大切なことではないのかなというふうに思うわけであります。  どうかそういったことで、そういったことを考えていただいておるようでございますので、認識していただいておるようでございますので少し安心しましたですけれども、ぜひお願いしたいなというふうに思うわけであります。  次に、別の質問をさせていただきますけれども大臣所信でもお話ございましたように、近年の移動通信の普及ということは大変目覚ましいものがあるわけでございます。最近の報道でも、PHSを含めて移動電話の加入者が九百万台を突破したというようなことで、売り上げも二兆円を突破する見込みであるという飛躍的な成長ぶりが報道されておるわけです。景気が低迷する中で移動通信の成長に対する期待は大変大きいと考えますけれども、移動通信の成長の状況はどうなのか、また成長するに至った要因は何なのかを少し伺いたいと思います。
  26. 五十嵐三津雄

    政府委員五十嵐三津雄君) ただいま先生からお話のございましたように、ここ二、三年の移動通信の成長というのは大変目覚ましいものがあります。若干数字を申し上げさせていただきますと、今お話のありましたとおり、PHSまで含めますと、いわゆる移動体通信、携帯電話とPHSということでありますが、九百三十八万というような状況になっております。  振り返って、平成六年度末はどうであったかといいますと四百三十三万でございますので、四百万以上この一年間でふえているということであります。さらにもう一年前、平成五年度末という段階では二百十三万でございますので、このときもまた二百万以上ふえているということで、ここ二、三年倍々ということでふえてまいっているというのがまず現状でございます。  さらに、これに加えまして、移動体通信というときには携帯電話とPHS、もう一つ無線呼び出し、一般世の中ではポケベル、ポケットベルと言われていますが、これも昨年の七月に一千万台を超えました。一千万台を超えまして、十二月末現在では一千六十二万台というようなことでございます。  これをマーケット規模とかあるいは設備投資という観点から若干見てまいりますと、平成七年度の設備投資額、移動体通信につきまして一兆円を超える一兆二千億円程度というふうに現在見込まれております。これは前年度から比べますと八五%増でございますが、一兆二千億円程度ということになりますと、鉄鋼業の設備投資が九千六百億でございますので、それをはるかに上回る数字ということになってまいります。  私、記憶で申し上げますが、数年前に半導体の設備投資が日本の鉄鋼業を上回ったことがございます。平成七年度というのは鉄鋼業の設備投資を移動体通信の設備投資がはるかに上回るときになったということでございます。  それから、売上規模で見てまいりますと、二兆二百五十五億円と今平成七年度見込んでおります。これも前年度と比べると四六%の増ということでございます。この二兆という金額はどういう意味合いを持つかということで横並びで見てまいりますと、航空業、飛行機、航空の世界、これが大体二兆二千億円程度でございますので、これとほぼ匹敵するようになってきた。ガス事業の一兆七千億を上回る状況になってきたということでございます。  こういう飛躍的な成長を遂げつつあるその主な要因というのは幾つか考えられるというふうに思っておりますが、一つはやはり競争がどんどん入ってきたと。日本電気通信産業の競争政策というのは昭和六十年に独占から競争へと進んでまいりましたが、その中で最も競争が進んだ世界ということが言えるのではないか。具体的に、平成六年の四月からは携帯電話につきましてはデジタル電話も入れまして一地域四社体制で競争するということになりました。それから、昨年からはPHSが入りましたので、これも移動体と考えますと、PHSは一地域三社入っておりますので七社で競争するというような状況になってまいりました。事業者の方が競争がきつくて困るというようなこともたまに耳にすることありますが、それぞれ順調に伸びているということではなかろうかというふうに思っております。  こういった中にありまして、平成五年七月にはNTTのドコモが分離しておりましたのが九つの会社に分割をした。そういうこともありまして、今どんどん伸びている地域、例えば関西の地域あたりでは地域ごとの料金を設けてほかよりもっと安い料金で提供する、料金が安くなるからまた加入者がふえる、こういう好循環に回ってきているという現実があります。  それから、端末の売り切り制度というのを導入いたしまして、どこでも売ることができ、消費者皆さんも買うことができるというようなことにしてまいりました。  そういった中にありまして、もう一つはやはり技術革新ということが大きく進みまして、デジタル化導入で端末がどんどん小型化してまいりました。今ポケットに入るような携帯電話になりつつあるというような軽量化が進んだと。  それから、そういう中で、安くなってきたのとの好循環ですが、ニーズが非常に多様化してきている。例えば、昨年の十一月には全国の知事さんが集まりまして移動体通信普及推進協議会というようなものをつくられました。各県、自分の県で携帯電話が全部聞こえる地域にしてもらいたいというのが知事さんの主な趣旨であります。  その理由を伺っておりますと、一つは災害と。やはり阪神・淡路大震災に絡む、そういう意味で携帯電話で連絡がとれていく。情報のないところに知事さんたちも判断をする場合の判断なしということで、どうしてもそういう体制が要るということがありました。それに加えましてリゾート地域、若い人たちがその県に来られたときに、ああ、ここは携帯電話が聞こえない地域かと言われるとだんだん落ち込んでいくというようなことがありまして、知事さんたちのお話を伺っておりますと、そういうことでどんどんネットワークを拡大してもらいたいと。  最近の傾向としましてはアウトドアビジネス、国民皆さんがアウトドアで例えばキャンプをするとか、そういうようなことがだんだん盛んになってきているということでありますが、そういった中にありましても、山の中とか川の近くに参りますが、そこでもやはり携帯電話が必要だというようなことで、アウトドアビジネスの発展とともにこの移動体通信が求められるというようなことにもなっております。  そして、先ほど申し上げましたように、料金が大幅に下がってきて、しかも料金もいろいろ多様化してまいっております。基本料金もかつて独占の時代は三万円だったものが、今一番安いものというのは四千五百円程度の月の基本料になっております。まだまだ下がる傾向にあるのではないかというふうに思っておりますが、これが好循環になっているというようなことでございます。  今や移動体通信事業というのは、ある意味で情報通信産業というのがリーディング産業だというふうに言われますが、その中のトップランナーに躍り出ているのではないかというふうに思っておりまして、景気の回復というか経済の成長、それの牽引車になり得るような姿で動き出しているという状況でございまして、私どもといたしましてもさらなる発展ということで、各種の施策につきまして技術開発も含めまして積極的に取り組んでまいりたいというふうに存じております。
  27. 河本英典

    ○河本英典君 さらなる発展ということでやっていただくということで結構なんですけれども利用者の立場からいいますと、これちょっと本当に細かいことかもしれませんけれども、今PHSと携帯電話がつながらないんですね。当初、携帯電話が出たころ、NTTとほかの例えばセルラーとがつながらなかったという状況があったんです。恐らく技術的にはできないことはないと思うんですけれども、何か混乱を避けるためにされておるのか、それとも過当競争になるから少し手控えておられるのか、何かそういったわけがあるんでしょうか。ちょっとそれをお伺いしておきたいと思います。
  28. 五十嵐三津雄

    政府委員五十嵐三津雄君) それぞれの事業者の方が自分のテリトリーを守りたいということで相互に接続するということが進んでいないということではありません。むしろPHSと携帯電話が相互に接続するということによって、ますますこのビジネスが国民皆さんに受け入れられていくというふうに受けとめております。  現在、これがまだ相互に接続できない状態でおりまして、PHSの事業者の方、携帯電話事業者の方、そしてNTTと、PHSは特にNTTのネットワークに乗っていくということがあります。携帯電話はもちろん基本的にはNTTのネットワークに乗っていくということが大宗でございますので、そのことにつきましてシステムのスペックというようなものの確定ということで現在協議中であります。  主な理由というふうに申し上げることができますのは、NTTのネットワークに乗ってまいりますので、その中で料金を取るための課金の情報というソフトの改造というのが一番の問題になってまいります。これ、今NTTから伺っているところでは約二年かかるというふうにしているために、実現というのは平成九年中、来年になる見込みということでございます。  いずれにいたしましても、便利になりつつあるこのサービスを広く国民皆さんに使っていただくというような観点からも、この推進につきまして私どもとしてもしっかりフォローをしてまいりたいというふうに存じております。
  29. 河本英典

    ○河本英典君 そっちの方は進んでいただいていいんですけれども、一方逆に何か病院に持ち込んだ携帯電話によって治療に使用するための輸液ポンプという医療機器が誤作動したというような報道があったんですけれども、こういうふうなことについてどういうふうに対応されていくのか。これからますます使う方がふえてきますので、そういった誤作動で、どうでもいいようなことならいいんです、命にかかわることですと大変なことになるんじゃないかなと思いますので、その辺はどうなのか。
  30. 五十嵐三津雄

    政府委員五十嵐三津雄君) ただいま先生から御指摘がありましたとおり、二月十九日の新聞に「携帯電話で医療機器誤作動」というような、これは岡山の日赤病院での出来事につきまして報道されております。これ自身はもう少しさかのぼった時点のことについての報道なんですが、新聞自身は二月十九日でございます。  だんだん便利に使われていく携帯電話、移動体電話ということでついついいろいろな場所で使うということから、大変命にかかわるような、医療機器についても影響を与えるということが懸念されております。今、私どもがそれについて取り組みつつある、あるいは取り組んできていることにつきまして若干御報告をさせていただきたいというふうに存じます。  まず、金属で覆ってしまうとか、そういうことをやれば大抵のものはうまくいくということがありますが、ついついその医療機器のすぐ近くで携帯電話を使うといったような場合に障害が発生する可能性があるということでございます。このことにつきまして、現実は、輸液ポンプというのは点滴をやるようなものというふうに私理解しているんですが、それを一定の圧をかけて流してやると。この回路の一部が電磁波、携帯電話の利用によって停止したというふうに推定されるものでございます。  こういうようなことにつきまして、私どもこういう電波障害の防止というようなことにつきまして、厚生省等の方にもお入りいただいて、あるいは医師の方にもお入りいただいて、六十二年から不要電波問題対策協議会ということでこういう問題の情報交換、対策ということについて取り組んでまいっております。  こういうことにつきましては海外においても同じようなことが報ぜられているということで、最近、特にアメリカ等々でもこういうことについての取り組みというのが新たなステージで考えられてきているというようなこと、それから今新聞にあったようなこと、こういうような医療機器に対する電波障害ということを専門に扱う部会を、先ほど申し上げました協議会のもとに医用電気機器作業部会というのを設けまして対応してまいっております。厚生省の方、医師の方あるいは電気通信事業者の方、医療機器メーカーの方々、そういう方々にもお入りいただいて検討を始めているところでございます。  病院関係者の御意向もありまして、ことしの三月を目途に病院内での携帯電話の使用制限に関する暫定的なガイドラインというのを取りまとめることで今検討いたしております。このガイドラインにつきまして、電話事業者あるいはメーカーの方々にもお知らせして、その使い方についてそれぞれ留意していただくと同時に、厚生省を通じまして医療機器メーカーとかあるいは医療機関にもしっかりと周知をして、利用者皆さんに注意喚起を促してまいりたいというふうに思っております。  なお、携帯電話電波による医療機器の誤作動に関する詳細なデータについては、今後、作業部会において実験の実施なんかによりましてさらに吟味を進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  31. 河本英典

    ○河本英典君 ぜひよろしくお願いいたします。  間接的に医療機器に影響を与えるということと、もう一つ聞いておりますのは、人体そのものに影響を与えるというんですか、電磁波で何か脳にいろいろと影響を与えるというような話があるんです。そのことはもうお答えいただかなくても結構ですけれども、問題が起こる前にやはり積極的に前向きに研究していただいて、これだけ便利になって利用がふえますと恐らく何か問題が出てくるんじゃないかなというような気がいたしますので、ぜひとも逃げないで正面から研究していただきたいなというふうにお願い申し上げておきます。  それから、次に別の質問をさせていただきます。  最近、大変よく言われておりますインターネットについては、技術開発やそれを利用した電子商取引といいますか、コンピューター上でお金の決済をするとかいうようなことなんでしょうけれどもアメリカに大きくおくれをとっているというふうに感じられるんです。我が国としては官民一体となってさまざまな育成策を講じていくことが大事であるというふうに思うわけですが、郵政省としてはどのようにその取り組みをなさっていくのかを伺っておきたいと思います。
  32. 日野市朗

    国務大臣日野市朗君) インターネットというのは非常に便利なものでございますから、我が国においてもこれが急速に普及するという兆しは見えておると思います。  御承知のように、もうアメリカではこれは爆発的と言ってもいいように普及いたしまして、我が国としても、産業経済の基盤を確立する、それから国民利用者の期待にこたえていくということから積極的な育成策をとってまいりたい、このように考えております。  まず、郵政省としましては、情報通信のニュービジネスの創出という観点から、インターネットを活用した電子商取引の実用化、これを積極的に推進したい。そして、平成七年度補正予算に基づいて、官民一体となったサイバービジネス協議会を受け皿として、その実証実験を開始したいということで現在準備中でございます。  また、インターネットの信頼性向上を目指すという技術開発、これは非常に大事なことでございますが、これを推進することにしておりまして、平成八年度予算案に必要な予算を織り込んでいるところでございます。
  33. 河本英典

    ○河本英典君 通信機器といいますか、日本はハードウェアでは世界的水準でもありますし、メーカーの数も一番多いんじゃないかと思うわけですが、そういったソフトアプリケーションといいますか、そういった利用については立ちおくれていますでしょうし、苦手な部分ではあるかもしれません。しかし、先ほどベンチャーのところで申しましたように、これから国際社会の中で日本が頑張ってやっていくには、そういったことに国として対応していくということが非常に大切ではないかと思うわけであります。  ハードウエアにつきましては、アジア諸国が大分力をつけてきておりますので、つくるところは幾らでもあるわけですけれども、あとどういう使い方をするかという知恵、工夫をしていくことが日本にとって一番大切なことになるわけでありますし、それを生み出す土壌ということが一番大切になるのではないかということを申し上げまして、ちょっと時間が早いですけれども終わらせていただきます。  どうもありがとうございます。
  34. 広中和歌子

    広中和歌子君 先日、沙漠植林ボランティア協会というところから、モシゴルの砂漠の植林、緑化、農業振興についての活動を伺い、大変すばらしいことだと思ったわけです。この協会がというんでしょうか、この団体がボランティア貯金から一部支援を受けているということで、私はこのボランティア貯金が生まれた精神というんでしょうか、そしてそれに協力してくださる預金者の皆様方を初めとして、こうした取り組みにリーダーシップを発揮していらっしゃる郵政省に対して心から敬意を表したいと思うんです。  ただいま預金金利が低くなっている中で、ボランティア貯金の額というのはどのような推移をしているか、まずお伺いいたします。
  35. 木村強

    政府委員(木村強君) 国際ボランティア貯金でありますが、平成三年一月の制度創設以来、多くの国民の皆様から賛同をいただいております。そして、平成八年の一月末では千九百三十万人の方々が御加入をいただいております。  今、御質問のございました寄附金の配分額の推移でありますけれども平成五年度につきましては二十三億一千万円、平成六年度につきましては二十四億八千万円、七年度が二十八億一千万円という形で既に配分をしたところでございます。  年々金利は低下しているということでございますが、加入者の方が増加をされておりますので、何とか平成七年度までは配分状況、額が徐々に右上がりで上がってまいりましたけれども、来年度の後半につきましては金利が超低金利下ということでこのような額にはならないということで、ボランティア団体が継続的、安定的にこういう国際の援助活動に使えるようにということで、あらかじめこういった状況もよく周知をしながら、今までやってきた事業というものがむだにならないように、生かされていくように、さらにきめ細かく来年度については見てまいりたい、このように考えております。
  36. 広中和歌子

    広中和歌子君 私がこのような御質問をするのは、ことしは二十八億円ですけれども、来年は十三億円になるんじゃないかというようなことが言われているので、それが事実かどうかということでございます。  銀行に関して言えば、低金利が銀行に多大な営業利益をもたらし、それが住専その他から生じている不良債権の処理に向けられている。つまり、預金者の得るべき利子所得が銀行に移転されているということで、私たち預金者としては随分怒っているわけでございますけれども、郵便貯金に貯金をして利子を得て暮らしている人たちあるいはボランティア貯金にその一部を差し上げましょうという人たちにとりまして、この低金利というものが十分に説明されていない。銀行が非常に利益を得ているわけですけれども、郵貯はどのくらいの利益を得ているのか、そしてその利益はどこに使われているかということをもうちょっときっちり説明していただくことの方が大切なんじゃないでしょうか。  先ほど同僚議員の守住先生お話では、大蔵省理財局、資金運用部で運用されているということなんでございますけれども、それがやはり庶民に本当の意味で還元されているということを私たちは知る必要があるんじゃないか、そして郵貯の御担当の方としてもそれを御説明する御責任があるんじゃないかと思いますが、その点についてお伺いいたします。
  37. 木村強

    政府委員(木村強君) 今の国際ボランティア貯金につきましては、仕組み自身が、預金者から通常郵便貯金の利子の二〇%を寄附していただきまして、このお金を民間海外援助団体を通じて開発途上地域の住民の福祉の向上等に資するということでございまして、あくまで預金者が受け取られる利子の一部を使うという意味でございまして、これはそのような仕組みであります。  今、先生おっしゃいました郵便貯金事業としてどうかというお話でありますけれども、郵便貯金につきましても預金者に支払います利子というのが郵便貯金事業一つのコストであります。それを大蔵省の資金運用部に全額預託をするという仕組みになっておりまして、この預託の面も国債の表面利率をベースにいたしました利率の決定方式ということでありまして、出口も国債に連動する、それから入り口の預金の金利につきましても民間金融機関の動向等を見て郵政大臣が定めるという形でございますので、入り口も出口も市場金利に連動するという形になっております。  したがいまして、民間金融機関等、今超低金利下の状況でございますので、郵政省の貯金関係につきましても、利率につきましては、国民の皆様に、預金者の皆様に大変心苦しいのではありますけれども、全体の金融の中にあっての国営郵貯でもあるということを考えますと、そのような大きな動きの中で郵貯についても対応せざるを得ないということで、低金利下で大変国民の皆様に心苦しい形を与えております。  ただ、結果といたしまして、やはり私どもも超低金利ということで預金者に利子をより少なく支払っておるという実態でございますので、確かに経営上は、例えば平成六年の決算で見ますと、一般勘定では二千百七十三億円の黒字ということでございます。黒字が計上されておるということで、健全な経営であります。  ただ、この黒字は我々は預金者のために還元をするということで、営利目的ではございませんので、あくまで預金者の利益に還元をしていこうということであります。そのお金をどのように還元をするか。ただ、一般の金利で還元をするということになりますと、民間金融機関とのバランス等の問題がございますので、これをダイレクトに、お金が積み立てられたからすぐ利子で還元するというのは我々としても今の仕組み上非常に難しいと。  しからばどうかといったようなことで、私どもは、将来に向かって金利が上がったり下がったりするというときに、郵貯がお客様に安心して、これからも国の経営として堅実にやっていくための一つの積立金であるという考え方が一つと、そうはいいましてもお金もあるんだからということで、例えば国営らしい、要介護のために一般の金利よりも高くつけていこう、こういったお金で国民の皆様に政策金利として国営らしい、もうけ過ぎないためにあるお金を国民、預金者に還元する、そういう方式を今の金融全体の仕組みの中で国営としてのあり方を見ながら預金者に還元していこうということでございまして、今保持しておるものと、その一部を還元する、この二つの仕組みを通じて何とか預金者の皆様に安心しつつ還元できるものは還元していこう、こういうことで今努力しておる最中でございます。
  38. 広中和歌子

    広中和歌子君 ぜひ透明度を持ってそのような行政をしていただきたいと思います。仮に一%預金金利が下がりますと、今二百兆円のお金が郵貯に集まっているわけでございますから、二兆円のお金が国民の利子所得から消えているということでございます。これはもうちょっと私ども注目してもいい事実じゃないかと思います。  では、次のテーマに移ります。  平成八年度予算でございますが、郵政省の一般会計予算額は六百三十一億七千万円、けたが違うほど小さいんです。一般会計七十五兆一千四十九億円の〇・〇九%にすぎず、極めて少額でございます。  先ほどから同僚議員が御質問になっておりますように、情報通信分野は二十一世紀を切り開く最重要分野であり、そのことは大臣指摘されているわけでございますけれども、これについて私は十分だとは思っておりません。新進党といたしましても予算組みかえ動議をしているわけですが、郵政省予算は、二十一世紀に向け、もうともかく予算のシーリング、そういうものをあるいは従来の枠組みを越えて非常にふやさなければいけないということを言っているわけでございます。  アメリカでは、かねてから情報通信分野を産業競争力回復の切り札として、十年ぐらい前からさまざまな規制緩和、見直しを行うとともに、情報ハイウエー構想に象徴されるような国としての支援やインフラ投資を行ってきたところでございます。また、ヨーロッパでも同様に、ヨーロッパはそれぞれの国、国境を越えまして、国の垣根を越えた取り組みも行っている。  こうした状況に対しまして、我が国の情報通信分野の現時点での国際競争力、そして国際的な分野への対応、これについてお伺いいたします。
  39. 日野市朗

    国務大臣日野市朗君) 今、一般会計予算のお話を伺いました。六百三十一億円では余りにも少ないというお話でございまして、これでも実は頑張ったのだということを申し上げたいわけでございます。  もともとベースが低うございまして、それにいろんな知恵を絞ってまいりまして、シーリング方式の枠組みの中で情報通信分野への重点配分ということの必要性、これは非常に強く訴えております。それから公共投資重点化枠、そして経済発展基盤・学術研究臨時特別加算、こういったものを利用いたしまして、結果としては、前年度に比べれば政府全体では五・八%の伸びでございますが、郵政省としては二五・七%という高い伸び率を獲得したわけであります。  また、一般会計に加えまして、情報通信の高度化のためには財政投融資であるとか産業投資特別会計、税制など各般の支援措置を最大限利用してまいりたい、このように思っております。  郵政省としては、平成八年度予算案に基づく措置の確実な実施にこれから努めてまいりますし、高度情報通信社会早期実現に向けて、予算の一層の重点配分を求めてまいりたいと思っております。  それからもう一つ、高度情報通信社会推進本部がございまして、これは先ほどお話を申し上げましたが、各省庁にまたがってその施策を進めておりますが、そこの予算にもかなりのものが盛り込まれているというふうに御理解をいただきたいというふうに思います。  ともあれ、これは少ないことは間違いありません。さらに事業を進めますために先生方の御協力をよろしくお願いしたい、こう思っております。
  40. 広中和歌子

    広中和歌子君 縦割りを排し、総合的に情報通信社会というのを進めていかなければならないわけでございますけれども、そういう目的で、平成七年二月ですか、政府は高度情報通信社会推進本部を設置され、そしてさまざまな取り組みを行っていられるわけですが、そこにおける総合的なというのか、全体の関係予算というんでしょうか、マルチメディア関係の全体的な予算は七年度で一兆千二百四十七億円、第一次補正でも二千三百六十七億円がついたというふうに伺っておりますけれども、この分におきましてもさらなる取り組みが必要であろうと思います。  郵政大臣はこの高度情報通信社会推進本部の副本部長でいらっしゃるわけですけれども、この分野での取り組みにおいてどのようなリーダーシップを発揮なさろうとしているのか。先ほど御説明ありましたように、郵政省本体としては非常に小さな予算しか持っていない。そういう中で、どのようなリーダーシップを発揮しているのかということでお伺いいたします。
  41. 日野市朗

    国務大臣日野市朗君) 郵政大臣が副本部長ということは、やはり郵政省が担う役割が非常に大きいということ、そういう認識があってのことでございます。  我が国の社会構造の改革を推進して、豊かな国民生活や高度な産業活動を創出していくという上では、情報通信の高度化が最も重要な政策課題の一つであることは言うまでもありません。したがいまして、この推進本部における取り組みを強化していくということ、それから全省庁一丸となって情報通信の高度化を今後さらに加速、推進をしていく、郵政省としてのいろんなメッセージを発信していくということなどが不可欠のことであろうと思います。  実は、一昨日になりますか、推進本部と有識者合同会議がございました。有識者の方々からも八年度予算に引き続いた予算の重点的配分というような推進本部の取り組みの一層の拡充を求める御意見がありまして、また総理から概算要求後に推進本部と有識者の間で予算について協議をする場を設けるというようなお話もあったところでございます。  私といたしましても、高度情報通信社会推進のために、推進本部を中心とする政府取り組み、これを副本部長として一層積極的に展開をさせてまいりたい、このように考えております。
  42. 広中和歌子

    広中和歌子君 その一環といたしまして、行政の情報化というんでしょうか、そういうことも非常に大切な分野だろうと思います。  このたび、伺ったところによりますと、郵政省ではようやく職員一人につきパソコン一台ということを達成されたと伺ったんですけれども、それは本当なんでしょうか。日本では幸か不幸かワープロが非常に普及いたしまして、その結果としてパソコンを持っている人が少ないという中で、大幅に欧米諸国などあるいはアジアの諸国と比べましてもパソコンの利用率が非常に少ない。そして、パソコンを通じて展開されるさまざまな、インターネットとかそういうところにおける取り組みが非常におくれているということを伺っているわけですが、その点について御所見を伺います。
  43. 谷公士

    政府委員(谷公士君) 郵政省行政情報化の点についてお答え申し上げます。  郵政省は、情報通信行政を所管する主管庁ということでもございますし、また郵政事業サービス向上を図るという観点からも、かねてからみずからの情報化の推進に取り組んでまいったところでございます。  今お触れいただきました職員へのパソコンの配備、あるいは本省の情報化ということでございますが、全体的に平成七年度から五年度にわたる情報化の推進計画を持っておりまして、その一環として進めておるわけでございますが、本省のLANにつきましては、それに先立ちまして平成六年四月から運用を開始しております。この五カ年計画の中では全職員に一人一台のパソコン配備という計画をしておりますけれども、現時点では三分の二、三人に二台ということでございますが、三分の二の配備を終わっております。この後、引き続きまして、地方の郵政局あるいは郵便局等へも、これは一人一台というわけにもまいりませんけれども、配備を進めていくということで取り組んでおります。
  44. 広中和歌子

    広中和歌子君 インターネットでホームページを各省庁が開いていらっしゃいますけれども、去年あたり見ますと、大部分が今準備中というふうに書いてございまして、ほとんど情報が載っていないんですね。  インターネットというと英語でやらなきゃいけないというふうな先入観があるわけですけれども日本語ででも情報がどんどん載れば、例えば予算とか、それからこういうような高度情報通信社会推進に向けた基本方針とか、そういったものがどんどん日本語でも載りましたら関心のある方は非常に重宝するんじゃないかと思いますけれども、そうした日本語での取り組みを含めまして、郵政省だけではなくて、他省庁にも働きかけてそうしたことをやっていただければ、さらなる情報開示にもつながっていくというふうになると思います。使えば使うほどこういうものは便利になっていくということだろうと思いますが、その点の御所見をお伺いいたします。
  45. 谷公士

    政府委員(谷公士君) インターネットは、世界で大変普及をしてきておりまして、九千四百七十万人が利用しておられると聞いております。国内でも二百七十万人という大変巨大なネットワークになっております。  特に、私ども郵政省としましても、文字・画像情報等を総合的に統合的に提供するいわゆるスリーWサービスを利用しまして、現在、本省、それから郵政研究所、それから通信総合研究所の三つの機関で、報道発表資料でありますとか郵政省の組織、業務概要などの情報発信を行っているところでございまして、アクセスを見てみますと、この三機関合わせまして一日当たり一万五千件のアクセスを受けております。それだけ一応御利用いただいておる、情報があるということになります。  それから、このことについての日本語の問題でございますけれども平成六年の九月からインターネットのホームページを開設して今のようなことをやってまいったわけでございますけれども、まず英語で始めてきたわけでございます。その後、一部の情報につきまして日本語による情報提供を始めまして、平成八年度からはホームページによる情報は英語版と日本語版と両方提供するようにしていきたいというふうに考えております。  それから、最初に申し上げましたように、情報通信行政を所管する主管庁でもございますし、大臣政府全体の高度情報通信社会推進本部の副本部長ということで、そういう立場を占めて、行政機関全体に対する私どもの役目ということもございますので、御指摘のような点についても心がけてまいりたいと考えております。
  46. 広中和歌子

    広中和歌子君 私を含めまして年齢の上の者はこういうものに対して非常な気おくれというんでしょうか、抵抗がありますし、第一、取りかかろうと思ってもなかなかわからないということがあるんじゃないかと思います。大変差し出がましい言い方でございますが、これまでの郵政省あるいは他の省庁の持っていられた人材では対応できない部分なんかもあるんじゃないかななんて思ったりいたしますので、どうぞ外注をなさるとかベンチャー企業を積極的に御利用になるとか、そういうような形も含めまして果敢な取り組みをしていただければいいなと思うわけでございます。  次に、電話料金について伺います。  電話料金はまず高いというのが感想でございます。例えば、あるところで電話を引こうといたしますと設置料として七万五千円かかる。特に高いのは、市内は安いけれども、長距離電話が非常に高い。それから業務用の専用線、これも非常に高いというふうに言われております。  長距離電話、確かにいろいろな会社が参入いたしまして料金は少しは安くなっている。あるいはその点では画期的に安くなったと言ってもいいんじゃないかと思います、今までが余りにも高かったから。とは思いますけれども、それでも何となしに、管理競争と言っては変ですけれども郵政省の手のひらの中での競争といったような感じがしてしょうがないんでございますけれども、こういうことでいいのかなというような感じがいたします。  特に、これからグローバル化されて海外からの参入もあるでしょう。そういう中で、やはり今までのシステムを守っていく守りの姿勢では結果的には損するといったようなことになるんじゃないかということを心配するわけでございますが、その点についてコメントをお願いいたします。
  47. 五十嵐三津雄

    政府委員五十嵐三津雄君) 先生、今御指摘いただきましたように、日本の国としては一九八五年まで電気通信というのは全く独占の状態で進めてまいりました。ある意味でいいますと国家事業として進めてまいったと。八五年以降、これに競争政策を入れて進めているという中で、競争政策の効果が非常に出ているというのは、先ほど申し上げました移動体通信とか国際料金とか、あるいは長距離と言われる部分だろうというふうに思っております。  でありますが、まだ必ずしも国際並みに落ちついていない部分というのが幾つかあろうかと思います。長距離につきましても、内外価格差的に見てまいりますと、例えば長距離、今最遠距離が百八十円あるいは百七十円といたしますと、現段階ではアメリカあたりは日本の邦貨に直して大体百円程度ということですので、五年以内に百円というのはちょっと遅いかなというふうに思ったりもいたします。  国際料金等につきましてもかなり下がってまいりました。現在、アメリカと比べた場合には、いわゆる基本的な料金でございますが、日本の方がアメリカからかけるよりも三割くらい安いというのが現状であります。日本の方が安いということであります。しかし、シンガポールと日本と比べると、シンガポールの方が、向こうからかけた方が三割ぐらい安い、またこういう現状でもございます。  先生指摘のように、私ども気になっておりますのは、どちらかといいますと競争の入りにくい部分、そこの部分の料金が比較的高くなったり高どまりしているということがございます。専用線につきましても、長距離は下がってまいりましたが、足回りの短いところは先般上げさせていただいたというような状況があります。それから公衆電話もそうでございます。これにつきましても、先般、三倍ほどに上げさせていただいたということがあります。それから基本料、この部分も上げさせていただいたというようなことがありまして、さらなる私どもの努力、事業者の方々の御努力もお願いしてまいらなければならないということがあろうかと思っております。  そこで、先生指摘制度、枠組みをどう考えていくかということでありますが、ただいままでほぼ十年間競争政策を入れてやってまいりました。幾つかのことがわかってきた。国民サイドから見て、簡単に言いますと、なるたけ安い料金で多様なサービスということが基本だろうというふうにまず思っております。  そういった中にありまして、私ども、幾つかのことがあろうかと思いますが、一つはやはり規制緩和を促進しながら競争を進めていくということで、一月二十三日に大臣から規制緩和につきまして抜本的な取り組みについて発表をさせていただいております。  例えば一、二申し上げさせていただきますと、競争が大変進みました、あるいは構造分離が進んで公正競争が進むというふうに見込まれます移動体通信の世界にあっては、料金認可を外すというような方向を打ち出したりもいたしております。  さらにまた、いわゆる公衆網と専用線をつないでいく公−専−公というのが、国会の附帯決議があったということもありまして、これが言ってみますと禁止状態になっておりました。これを解除するということでNTT、KDDからも理解をいただいたと。これを進めると料金がぐっと安くなることが加速されていくであろうというふうに私ども考えております。  そのほか、参入のいわゆる障壁があると言われるようなことにつきましても、私どもマニュアルをつくりましてこれを世の中に発表する、あるいはインターネットにも英語、日本語両方でこれを入れていく、そういうようなことをいたしておりまして、次の通常国会の法改正も含めまして、十年たった今、第二次情報通信改革に入ろうと。そのねらいは、あくまでも安い料金、多彩なサービス、そしてまたより伸び行く情報通信産業のためにどいうことでやってまいりたいというふうに思っております。  このことにつきましては、アメリカの連邦通信法が二月に入りまして大統領も署名して大きく修正をしていくというようなこともありまして、まさに世界的な潮流の中にもあるのではないかという認識で、大きな枠組みについての考え方も含めて取り組んでまいりたいというふうに存じているところでございます。
  48. 広中和歌子

    広中和歌子君 今NTTの分割が議論されているわけでございますけれども、それもさることながら、NTTの海外進出あるいはKDDの国内参入等、いわゆる業務間の相互乗り入れ、そういうことが必要なのではないかなという感じが非常にしているわけでございます。また、国際、長距離、地域といった業務区分も撤廃する方向に行くべきではないかというふうに思いますが、この点についてお伺いいたします。  現状のままでは、米国が実現しつつある長距離、市内相互参入や国際的展開などの流れに乗りおくれてしまうんじゃないか。また、将来、海外の事業者が日本国内へのサービスの参入を求めてまいりましたときに貿易摩擦の種にもなるでしょう。また、そういうようなことを開いておかないと、我々が今度よその国に参入するときにも問題になるんではないか。そうした広い視点から考えますと、早急にこの分野についても御対応を求めたいわけでございますが、いかがでしょうか。
  49. 五十嵐三津雄

    政府委員五十嵐三津雄君) NTT、KDDという形で、今は法律によりまして、NTTは国内通信事業、KDDは国際通信事業ということで、ある意味できちっとした障壁が立って仕事をしてきているということでございます。  これは、一九四五年、日本が第二次世界大戦の後、まず国内のネットワークをどう構築していくか、ずたずたになったネットワークをどう構築していくかということがございました。国民皆さんから電電債というようなことで強制借金をするというようなことで、そのネットワークができ上がってきたというのが昭和五十四年くらいであったというふうに思っております。自動化も含めますとそのころではなかったかというふうに思っております。  一方、伸び行く国際社会ということで、専門的に対応してもらうことも必要であったということで、昭和二十八年にKDDと電電公社が分かれましてその体制に入ったということは、過去の経過において私はそれなりの大変意義のあった体制ではなかったかなというふうに思っております。  ただ、現在、先生から御指摘のありましたように、アメリカに見られるように、通信放送も相互に乗り入れる、地域と長距離も乗り入れるというようなこういうことにありました中で、今のままでいいのかということは大いに考えなければならないポイントではないかというふうに存じております。  ただ、例えば外国に出ていくというような場合にありましても、外資の問題もありますが、実態的独占のまま例えばアメリカに行くというようなときには、フランス・テレコム、ドイツ・テレコムにおいても幾つか条件がつけられたりのことがありました。そういったことを考えますと、外資の問題だけでなくて、国内における競争状態の創出ということも極めて重要なことではないかというふうに存じております。  そういったことも含めながら、KDD、NTTのあり方ということにつきまして今審議会で御審議をいただいておりますので、私どもそれによりまして適切な対処をしてまいりたいというふうに考えております。  もう一つ加えて申し上げますと、NTT、KDDというそれぞれの特殊法人につきましては法律によりまして区分がありますが、それ以外の、言ってみますと新規事業者の方は何の区分もございません。このことにつきましては大臣が一月二十三日に発表したこのマニュアルの中にもあるいは申請書の中にも明確にしております。  申し上げますと、実態的にも、例えばある日本の衛星会社が今まで国内のサービスをやっておりましたが、今度はハワイに通信をするとか、既に始まっております。あるいは、もう一つの衛星会社は国内でやっておりましたが台湾で通信を始める、そういうことはどんどんやっておりまして、特殊法人たるNTT、KDD以外についてはそのような区分がないわけであります。あるいは、通信放送という意味におきましては、CATVをやっている会社が通信をやるということで既に許可をとってその行動を開始している会社が五つはございます。  そういうことでございますので、日本の法制というのは一九八五年のこの改革でございますので、私どもとしてはその区分はきちっと整理されていると。ただ、あえて申し上げますと、政策的にはやはりどんどんお互いに参入し合って競争状態をつくっていくという政策は大いに参考になるのではないかというふうに存じております。
  50. 広中和歌子

    広中和歌子君 ぜひその方向で推進していただきたいと思います。  先日なんですが、私はたまたまシンガポール空港にいたわけでございます。そうしましたら、空港の待合室である方が携帯電話を使っているんですね。それで、シンガポールでしたからシンガポールの国内にいる家族とか何かにかけているのかなと思ったんですが、非常に関心があったものですからどこへかけているんですかと聞いたわけです。そうしたら自分の国、その人はたまたまノルウェーの人だったわけですが、ノルウェーにかけていると言うんですね。つまり、シンガポールからノルウェーに携帯電話電話ができる。私は非常にうらやましくなったんです。私も日本の携帯電話を持ってシンガポール空港で、例えば飛行機が大幅におくれちゃったなんというときに日本電話できるかなと思ったときにどうなんだろうかということでございます。  たまたまシンガポールの空港に売っていた新聞で、シンガポール・テレコムみたいなのがGSM、これはヨーロッパのシステムでございますけれども、そのシステムに加入して相互乗り入れをやっているということからシンガポールの人がシンガポールにいながらヨーロッパに電話がかけられるということらしゅうございますけれども、いろいろな取り組みがそれぞれの国であるいは地域でなされているわけです。  日本ではPDC、アメリカではAMPS、EUではGSM、こういったネットワークがそれぞれ相互乗り入れするということはこれから起こり得るんでしょうか。それともこうした、例えば我々がヨーロッパに行ってもあるいはアメリカに行っても携帯電話が使える時代というのは来るのか、そういうことは可能なのか、それについて伺います。
  51. 五十嵐三津雄

    政府委員五十嵐三津雄君) 現在の段階で、例えばシンガポールに見られますように、GSMの方式でシンガポールを中心とする諸国が広域的に使えるという体制になりている状況というのは、シンガポールに特によく見られる光景でございます。  まず、電話がかけられるかけられないということで申しますと、今、日本でも携帯電話を使って国際電話をするということは可能になっております。つい最近まで、まず加入をしておいて、KDDのオペレーターを呼び出してかけていくというふうになっていましたが、課金の問題等々が整理されて今はかけられるという状態であります。
  52. 広中和歌子

    広中和歌子君 日本から海外に。
  53. 五十嵐三津雄

    政府委員五十嵐三津雄君) 海外にかけられます。
  54. 広中和歌子

    広中和歌子君 海外から日本は。
  55. 五十嵐三津雄

    政府委員五十嵐三津雄君) もちろんかけられます。でありますが、先生日本で使っておられる携帯電話を例えばアメリカへ持っていってすぐ使えるか、アメリカの方々が携帯電話を持ってきて日本ですぐ使えるかということになりますと、そのような形にはなっておりません。  今、日本の国の中では二つの方式で携帯電話デジタルも入れるともう少し加わるわけですが、簡単に言いますとNTT方式とアメリカ・モトローラ方式という形になっています。このもの同士の接続というのはできますが、そのまま端末を持っていってという形にはお互いの国ではなっていないという現状であります。  私ども、今後の世界的標準化の中でそういったことがグローバルにボーダーレス社会の中で使えるようにというようなことで、国際通信機関の場でもいろんな議論をしているというのが現状でございます。  それからもう一つ、もうちょっと限った場で申し上げますと、PHSというのはやはり日本が生み出した大変すぐれた移動体通信だというふうに思っておりまして、私ども昨年からアジア諸国でセミナーを開始する等々やってまいりまして、幾つかの国で取り入れていただけるという体制になっております。  それで、一つの近いうちの夢というふうに私なんかが思っておりますのは、そのPHSの携帯端末を日本からシンガポールへ持っていったらそのまますぐ使える、シンガポールからこっちへ来ても使えるというふうに日本が対応できるというのはこのシステムではないかと思って、産業界の方々とも一緒になってアジアにおける展開を今図っているところでございます。  それから、もう一つ加えて申しますと、グローバルにそれぞれの国で地上波を使ったネットワークを構築していくということがありますけれども、もう一つ、今、国際的あるいは各国で出されてきておりますのが、衛星を上げまして、中低周回衛星、軌道に周回衛星を上げまして、それで世界的なネットワークをつくってしまうということが出ている。これが出てまいりますと、また違った一つのボーダーレス化が進んでいくのではないかというふうに思っております。
  56. 広中和歌子

    広中和歌子君 その一つがイリジウム計画ではないかなと思うわけでございますけれども、これは六十六個ですか、移動衛星を地球上かなり低層のところに並べて、どこからでも電話がかけられるような状況であると。これなんか、例えば仮に北極で遭難するとかそのようなとき、利用範囲は広くないかもしれないけれども、あればもう非常に便利なものではなかろうかと思います。  このイリジウム計画、日本でも日本イリジウム社というのができたようでございますけれども、この可能性と、それから限界というんでしょうか、そしてまたいつごろ実用化されるのか、そしてそのサービスのメリット等について御説明いただければと思います。もう時間も限られておりますので、手短に例えればと思います。そしてまた、海外からの投資規制につきましてもどういうお考えなのか最後に伺いまして、これを最後の質問とさせていただきます。
  57. 五十嵐三津雄

    政府委員五十嵐三津雄君) イリジウムというのは、具体的なシステム名という意味で申し上げますと、低中軌道、要するに今まで上がっている衛星は三万六千キロの空に上がるという、地球と一緒に回っていくということで静止衛星と言っていますが、それとは違った格好で、イメージでいいますと地球の周りを飛行機がぐるぐる回っているような格好、そういう意味では七百キロとか一万キロとか、その程度の高さのところに衛星を、例えば先生から今御指摘のありましたイリジウムあたりは六十六個の衛星を上げてやるということでございます。  現在、こういう周回衛星でサービスを開始しようというふうに国際的にも報告をされ、あるいは日本へもアプローチがあるというのは全部で今のところは五つございます。音声等々を含めていくもの、それからデータだけというのが一つございます。  それからもう一つ、昨年の末になりまして、私の受けとめ方でいきますと、急にアメリカが持ち上げてきたテレデシックというような、これは八百四十個の衛星を地球上七百キロのところに上げる、これは日本でもよく有名になっておりますビル・ゲイツあたりがやろうという構想だということで急に浮上してきた構想があります。  まず、現実的な可能性ということで申し上げさせていただきますと、例えばイリジウムの場合は、今私どもが承知しているのは一九九八年、あと二年後にサービスに入ろうというふうに考えているということであります。これが比較的早いということでありますが、オーブコムというデータだけをやろうという周回衛星は一九九七年というふうに今言われております。  このサービス自身の受け入れ体制等々につきましては、時間の関係もありますので先生に結論的なことを申し上げさせていただきますと、私ども日本へのスムーズな導入を図れるという体制を技術的にも制度的にもとってまいりたいというふうに思っております。そういう意味で、国民皆さんになるたけ技術革新ということの恩典といいますか、それが早く還元できるようにしてまいりたいというふうに存じております。  ただ、先生からお話のありましたとおり、この種のものは大変大きく宣伝されるというところがあるんですけれども、やはり限界があるというふうに私どもは思っております。それは何だといいますと、自動車電話あるいは携帯電話のように一つの周波数を一定地域で細胞をつくるように幾つもの輪をつくっていって同じ周波数を幾つでも使えるというんじゃなくて、だっと世界じゅうに降らせるという意味では大変長い半径の通信のスタイルになるということから、周波数が有効に使えるというのは非常にうまくはいっていないという性質が一方ではあります。  そういう意味では、せいぜい日本でこれが使われるようになっていった場合で収容可能な数というのは最大限百数十万程度の加入にとどまるだろう、目下のところ。世界的に見ても千四百から千五百万じゃないかというふうに言われるようなものだと。そういう意味では、今携帯電話が九百万加入ですから、それから見るとかなり狭い範囲。  ただ、先生がおっしゃったように、イメージでいうと南極に行こうがエベレストの上に行こうが、フランスにかけようがイギリスにかけようが、どこでも世界と電話ができる、こういうようなものになろうかというふうに思っております。  それから、御指摘のありました外資の関係でございますが、私ども今の国際世界でのタイムテーブルという意味では、本年四月を期限にWTOにおきまして基本電気通信サービスについての交渉が多国間でなされております。多国間ですので、私どもその推移を見ながら対応してまいりたい。基本的には自由化の方向に向けながら世界的にも貢献をしてまいりたいというふうに考えております。  ただ、少し申し上げさせていただきたいというふうに思っておりますのは、現在の日本の外資規制というのは私どもは妥当な水準にあるというふうに考えております。アメリカの場合には、例えば無線について二〇%の制限というのがあったりいたしますが、また別の観点で国防生産法というようなものがありまして、国家安全保障上の観点から、大統領がそういう外国企業が米国企業を買収したりする場合の阻止ができる、そういうような条項があったりいたします。それから、英国にありましても黄金株という株がありまして、政府がそれを持っているということがありますが、それによりまして例えばブリティッシュ・テレコムの会長職とか最高の業務執行職については外人を就任させないという定款を置いているというようなことがあったりいたします。それから、フランス、ドイツといったようなところはまだ独占でありまして、いわば外資制限以前の段階にあるというふうに判断しております。  そういった意味で、私どもいわゆる一種事業者の各種制度規制というのは、OECDの九三年の評価がありますが、G7の国の中ではアメリカよりも上に高く評価されているという状態になっている現状を申し上げさせていただきたいと思います。
  58. 及川一夫

    委員長及川一夫君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分に再開することとし、休憩いたします。    午後零時二十四分休憩      —————・—————    午後一時三十分開会
  59. 及川一夫

    委員長及川一夫君) ただいまから逓信委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、郵政事業通信放送及び電波等に関する調査のうち、郵政行政基本施策に関する件を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  60. 林久美子

    ○林久美子君 平成会の林久美子でございます。  先日、郵政大臣は、所信表明演説の冒頭において、昨年の阪神・淡路大震災に触れられ、お亡くなりになられた方々と御遺族に哀悼の意を表されました。今なお不自由な生活を余儀なくされている方々にお見舞いを申し上げられ、とうとい教訓と経験を忘れることなく今後の郵政行政に生かし、一日も早く本格的復興の支援に全力を傾注していくと誓っておられます。その大臣の力強い所信表明の演説を拝聴いたしまして、遅々として進まない震災復興に明るい一縷の望みを託して、本日、数点の質問をさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。  まず初めに、消防庁の調査によると、昨年十二月二十七日現在、阪神・淡路大震災の被害は、震災死亡者が六千三百八人、そのうち関連死が七百八十九名を含みます。負傷者が四万三千百七十七人、住宅被害が、全壊が十五尺半壊が十万八千戸、そして一部破損が二十二万七千戸、合計四十三万六千戸です。応急仮設住宅の入居者は、四万八千三百戸、約九万人が入っております。兵庫県が出した被害総額、十兆円に及ぶと記録されております。  ところで、郵政事業に挺身されている職員、その御家族の方々の被災状況は、そしてまた家屋損害状況はどうだったのでしょうか。そしてまた、応急仮設住宅に入居された職員の方もいらっしゃると思います。その入居後の生活はどうされておりますか、お聞かせ願えますでしょうか。
  61. 金澤薫

    説明員(金澤薫君) お尋ねにお答えしたいと思いますが、まず郵政省職員の被災状況について申し上げたいと思います。  職員の死傷者は、死亡一名、重傷十一名、軽傷五十六名の計六十八名でございます。家族死亡の職員数は三十名ございました。職員の自宅の損壊状況でございますけれども、全壊四百十二戸、半壊五百八十八戸、一部損壊七百五十九戸の計千七百五十九戸でございます。  現在、職員で仮設住宅に入居されている方は百三十二名いらっしゃいます。これら職員の一人一人から現在宿舎の貸与希望を聞いているところでございます。宿舎への入居を希望する職員につきましては、既存の宿舎または現在建設中の宿舎へ優先的に移しかえることとしておりまして、貸与希望者については宿舎を貸与することがほぼ可能というふうに考えております。
  62. 林久美子

    ○林久美子君 郵便局の舎屋の被害もひどかったようですけれども、被災とその復旧状況についてお知らせください。  そしてもう一点は、郵政局舎が震災で被災するということは、郵貯のデータの散逸と消失があるということですけれども、当然、関西地区、首都圏など地域単位で郵貯データは保管されていると考えますけれども、危機管理上非常に大事な点と認識いたしましても、この点、どういうシステムになっているのか、御説明をお願いいたします。
  63. 加藤豊太郎

    政府委員加藤豊太郎君) まず、郵便局舎の被災状況等についてでありますけれども、昨年の阪神・淡路大震災では、郵便局舎も、神戸中央、神戸港、長田、この三つの区の普通局を初めとしまして、特定局二十七局が損傷を受けたり全焼する等の被害をこうむったところでございます。  現在ではこれらの郵便局でも仮設局舎を設けるなどして業務を執行中であります。  この仮設局舎等において業務を運行している郵便局の復興計画についてでありますが、現在、阪神・淡路震災復興計画、いわゆるひょうごフェニックス計画、こういうものとの調整を図りながら総合的に検討し、また推進してまいりたいと考えておる次第でございます。
  64. 木村強

    政府委員(木村強君) 貯金関係の証拠書類等のデータ保管等あるいは危機管理の問題についての御質問でございますが、今回の阪神・淡路大震災におきます関係で預入者の方に場合によってはということで危機が及んだケースにつきましては、預入申込書等はすべて神戸貯金事務センターで現物集中保管をいたしておりました。阪神・淡路大震災で預入申込書等の保管棚の一部が倒れまして散乱したことがございましたけれども、消失したものは一切ございませんでした。  また、システム面につきましてのデータ等でありますけれども、郵便貯金の原簿データ等を管理しております計算センター、これは西日本の計算センターでございますが、ここで二重化をして保管をすると同時に、危ないというものにつきましてはさらに遠隔地ヘコピーの別保管もいたしておりまして、三カ所で保管をしておるということで、神戸の場合には滋賀県にある保管専門業の倉庫に一つ、これはちょっと具体的な名前まで申し上げてしまいましたけれども、場所は滋賀県に一つございます。あとは神戸の西日本計算センターで二重に保管をしておるということであります。  また、この西日本計算センターも、来年一月には新局舎を神戸市の方に、六甲山の裏側でございますけれども、新しくつくりまして、最新の免震構造ということで、ゴムのようなタイヤみたいなものを床の下に置きまして、私も見てまいりましたけれども、万全の措置を講じておるところでございます。
  65. 林久美子

    ○林久美子君 震災で郵便局舎がかなり被災を受けたことは先ほども答弁ありましたけれども郵便局舎の再建に当たって地方公共団体と協議するなど、局舎用地を貸し付けたり、そしてまた郵便局舎と公共施設とを合築することについては検討されているのでしょうか。  最近、この合築方式で国公有地の有効利用が図られる事例がよく見られます。例えば、静岡中央郵便局と静岡の音楽館のAOIとの合築、それから両国郵便局とさわやかワーク中央との合築等が挙げられます。  私は、震災地でありますこの阪神・淡路地区において、生活困窮者のための低家賃住宅の供給のために、あるいは福祉施設などを合築方式を活用して整備し、有効利用していただきたいと思うのですけれども、これは大臣の所見をお伺いしたいと思います。
  66. 日野市朗

    国務大臣日野市朗君) 郵便局の局舎、それからその土地等の利用に関してでございますが、これはああいう被災をされたという特殊な事情等もございます。そういうことも十分勘案をいたしまして、地方公共団体等から郵便局舎と合築をしたいという具体的な申し出があった場合には、業務上の支障の有無とか制度面、技術面の諸条件を真剣に検討いたした上で対処いたしたいというふうに考えております。法制上の問題とかそれから便宜の問題とか、いろいろこれはあるものでございますから、それらを真剣に検討させていただきたいと思っております。
  67. 林久美子

    ○林久美子君 便宜とか、本当にそういう制約がいろいろあると思いますけれども、特に私は今回震災にある神戸の町に本当にもっと協力していただきたいなということを痛感に思いますので、よろしくお願い申し上げます。  所信表明のときに大臣は、「少子・高齢化が急速に進展する中で、すべての国民が健康で生きがいを持ち、安心して暮らせる長寿福祉社会の構築を図ることが我が国の重要な政策課題となっております。」と、そうお述べになっていらっしゃいます。  収入がなくて生きるすべをすべて失った方々が仮設住宅に入居されております。この入居が二年とされていますので、この方々に少しでも明るい夢を与えていただきたい。そして、兵庫住宅復興三年計画で考えられている家賃は月額五万七千八百円、それから引きまして月額今四万二千六百円になっていると言われております。これでは入居できない方々が大勢いらっしゃいます。私は、この半額以下に抑え込んだ家賃程度で入居できるようなそういう困窮者の住宅の建設を願っているんですけれども、これも少し大臣のお心をお聞かせくださいませ。
  68. 日野市朗

    国務大臣日野市朗君) この問題に関しては単に郵政省だけで処理できる問題でもございません。内閣の中でこういうことはいろいろ相談をした上でお答えをさせていただくということで、きょうのところは私からの答弁はちょっと差し控えさせていただきたいと思います。
  69. 林久美子

    ○林久美子君 郵政大臣として今のこの阪神に対しての思いというか、もちろんこれ具体的にきょうは挙げましたけれども、やはり人間として、また一人のそういうお考えとしてお聞かせいただきたかったんですけれども、やはり何でも相談とか上とかということで、私は本当にちょっと残念に思います。  次は、簡保資金の活用についてお伺いいたします。  簡保資金は、確実、有利な方法で公共の利益になるように運用するように定められております、簡保積立金運用法第一条で。そこで、大臣にお願いしたいのは、阪神・淡路地域の本格復興のために簡保資金の運用計画にどのような配慮をなさっていらっしゃるのか、御答弁をお願いいたします。
  70. 天野定功

    政府委員(天野定功君) ちょっと具体的なことですので、簡易保険局長の私の方からお答えさせていただきます。  簡保資金の地方公共団体への融資に当たりましては、これまでも被災した地方公共団体の資金ニーズにできる限り対応するよう配意をしたところでございますが、特に昨年発生いたしました阪神・淡路大震災に関しましては、被害が甚大であるということ、そしてまた被災地方公共団体からの要請等もございまして、被災の地方公共団体の行う一定の条件を備えた公営住宅建設事業の償還期限を、現行の三年据え置き二十五年というものを五年据え置き三十年に延長するという特例措置をいたしたところでございます。
  71. 林久美子

    ○林久美子君 大臣の御所見は。
  72. 日野市朗

    国務大臣日野市朗君) 今、局長の方から具体的にとってまいった措置についてはお話を申し上げました。  この震災復興に対して配慮すべき点は十分配慮してまいらなければならないというふうに思っておりますので、これからの将来に向かっても前向きな対処をしてまいりたいと思っております。
  73. 林久美子

    ○林久美子君 どうぞよろしくお願いいたします。  次に、加入者福祉施設の阪神地区への重点整備をお願いしたいのですけれども、現在、介護つき終身利用型加入者ホームという言葉があります。今、千葉県の浦安市にただ一カ所だけ、カーサ・デ・かんぽ浦安という名がついているんですけれども、これが平成三年に設置されましたけれども、なぜかこの数年建設が滞っております。ぜひこのときこそ阪神地区に新設されたいと望みますけれども、いかがでしょうか。  そして、このカーサ・デ・かんぽは、簡保加入者が安心して充実した老後を過ごせるように、日常の健康管理に加え、万一寝たきりになっても介護サービスが受けられる終身型の新しいタイプの簡保加入者のホームであります。問題は入居一時金が高いということなんです。そして、その積算根拠はどうなっているのか。また、地価の下落が続く今日で、時代を反映して安くすることができるのではないかということを思っております。そのところ、お聞かせください。
  74. 天野定功

    政府委員(天野定功君) 現在、御指摘のように、千葉県の浦安にカーサ・デ・かんぽ浦安という名称で介護機能つきの終身利用型加入者ホームを設置しているところでございます。この設置に当たりましては、確実な需要が見入めるか、あるいは提携できる医療機関が存在するのか、さらに高齢者の就業の場が確保されるかといった点につきまして十分な検討が必要でございまして、こうした点を踏まえまして、第二号の施設につきましては大阪市の鶴見区に設置することを決定し、平成五年三月に用地を取得したところでございます。  ただいま、このような施設をさらに神戸の地に建設してはいかがかという御提言かと思いますが、今後の計画につきましては、ただいま申しました諸点に加えまして、現在パイロットプランとして設置しておりますカーサ・デ・かんぽの運営状況の推移、公的介護のあり方など社会情勢の推移、そしてまた簡保資金としての施設の地域的な均てん性等の諸事情を勘案した上、さらに慎重に検討していかなきゃならないというふうに考えております。  それから、この入居金につきまして、高いのではないか、そしてまた算出根拠を伺いたいという御指摘でございましたが、この入居一時金につきましては、居室及び共用施設を利用する権利、健康管理等日常の生活サービスを受ける権利、そして寝たきり等の介護サービスを受ける権利、こういったもろもろの権利につきましては終身にわたって保有することに対する権利金でありまして、入居者が入居時に一括して納入する料金でございます。具体的な料金は居室の広さにより異なるわけでありますが、例えば四十六平米の居室に一人で入居されました場合は現在二千七百七十万円となっております。  この入居一時金の算出は、入居期間を二十年と想定いたしまして、施設の運営に必要な人件費及び万一介護が必要になった場合の介護費と固定資産の維持管理に必要な修繕費、固定資産税、備品費、建物の火災保険のような物件費を算国会計したものでございます。  カーサ・デ・かんぽ浦安の入居一時金につきましては、簡易保険の加入者福祉施設であるという観点から、加入者が容易に利用できるように配慮した料金設定を行っておると考えておりまして、東京近郊に所在するという点を考慮しますと、民間が運営しているものはもとより、地方自治体が運営している介護つき終身利用型ホームと比べましても割安なものだと考えております。
  75. 林久美子

    ○林久美子君 この計画は本当にすばらしいものだと思いますので、また本当に日本の中でどんどん広げていっていただきたいと思います。  次に、超低金利の制度についてでありますけれども、御案内のとおり、今日の金融界における低金利制度でどれほど貯金者の利益が損なわれているかわかりません。平成二年の九月時点で郵貯の定額貯金の十年物の金利が六・三三%だったのですけれども、現在、平成七年九月からは一・一五%となっております。この五年間で五・一八%も低下しています。特に、震災被害者や老後生活者にとっては非常に重苦しさを実感されていると私は推測します。しかし、貯金者側にとっては苦しくても、受け入れ側にとっては逆に歓迎すべき制度となっております。なぜならば、支払い利息が少なく済むからであります。  そこで、大臣にお願いいたしますが、郵貯にとって低金利制度は歓迎すべきものと思われますか、それとも即座に改正すべきだと考えられているのか。例えば、不況も和らいでおり、さらに貸出金利が高いなど、不況対策としての矛盾点もあるところから、そういう大臣の御意見をお伺いいたします。
  76. 日野市朗

    国務大臣日野市朗君) これは、もう先生よく御存じのとおりに、金利というものは金融当局の所管する事項でありまして、我々の方としてもなかなかこれは手のつけられない問題でもあります。ある日突然日銀の方で公定歩合の上下がいろいろやられるわけでありまして、この金利政策を運用するに当たって、景気の問題等いろんな観点から日銀の金利を決めるセクションにおいてお決めいただいているわけであります。  ただ、現在、非常に低金利であること、そしてこういう金利がずっと低下をしてきているというところから、郵便貯金の金利も低水準にシフトしていかざるを得ないということがございまして、これは預金者の皆さんの立場を考えてみますと、私としても非常に心苦しい思いはいたしております。しかし、これは国営、非営利の郵便貯金でございますから、経済的に弱い立場にある方々に対して、このような低金利の状態の中にありながらも、我々としても積極的に努力をして支援してまいらなければならない、こういう立場であろう、こう考えております。  具体的に我々もいろいろ検討して、老齢福祉年金の受給者等を対象とする福祉定期郵便貯金、これを平成九年の二月末まで取り扱うということで期限の延期をいたすわけでございます。それから、経済的負担の大きい要介護者に対して定期郵便貯金の金利の優遇、こういったことを実施してまいりたいというふうに考えております。  我々としても、このような状況の中での精いっぱいの努力を積み上げていくこと、これが我々の責務と、こう考えております。
  77. 林久美子

    ○林久美子君 この低金利の状態はいつまで続くと思われますでしょうか。
  78. 日野市朗

    国務大臣日野市朗君) こればかりはどうも、まあ一種のサンクチュアリーでございまして、聖域でございまして、これは政治家としても、それはいろいろ思いはあります、希望は持つ。しかし、これは日銀の金利政策、これが最終的には発動する場でございますので、今ここで私から推測を申し上げることもちょっと難しいかと思います。
  79. 林久美子

    ○林久美子君 先ほど、要介護に対する定期郵便貯金の金利の優遇策というのは本当に私もすばらしいことだと思います。  そしてもう一点、災害ボランティア口座の創設の話がございますね。それぞれの法案の準備も進められていると思うんですけれども、この低金利に泣かされている被災者たちに直接還元できる御配慮をいただきたいとお願いするんですけれども、この災害ボランティア口座のシステムというか、それをお聞かせ願えますでしょうか。
  80. 木村強

    政府委員(木村強君) 現在、災害ボランティア口座ということで、いわゆる国内のボランティア団体に対しまして援助を行おうと。郵便局は二万四千のネットワークがございます。国際ボランティア貯金につきましては、先ほど広中先生からの御質問にもありましたように、郵便貯金の金利の二〇%を積み立ててボランティア団体に寄附をしようということで、郵政大臣が橋渡しをいたしまして、郵便局を通じて国民皆さんの善意を国際社会に生かそうという仕組みでございます。  そういう面では郵便局は既に実行しておるわけでありますけれども、昨年の阪神・淡路大震災でボランティア活動というものが国内におきましても非常な活躍をされたと。私どもいろんな立場の人々から直接そのようなお話を聞きまして、外国などと比べますとボランティアの精神というのがなかなか日本には育ちにくかったわけでありますけれども、幸いなことに、中身は不幸でありましたけれども国民の善意があのような大震災で沸き上がったということで、私どもとしても何かお手伝いができないかということで昨年来から知恵を絞ってまいったわけであります。  その結果、郵便振替口座ということで、災害でございますからあくまで臨時突発的なものであります。国際ボランティア貯金のように継続的、安定的に開発途上国等に援助をしようというものではなくて、いつ起こるかわからない。むしろこういう事態は起こらないにこしたことはないわけでありますけれども、もし起こった場合には、郵便局の窓口で振替口座というものを使って御寄附をいただければ、それを郵政大臣郵政審議会等に諮りまして、慎重に検討した上で、そういった災害に駆けつけた善意のボランティア活動の皆さん方に少しでも資金的な援助ができればという意味で、大臣の御了解も得まして、大蔵省との昨年末の大臣折衝、次官折衝以下の過程によりまして合意ができたものですから、法案を準備して、参議院先議ということで、現在のところこの逓信委員会でまず第一に審議をしていただくということで準備が進められているわけであります。  そういうことで、振替口座を使ってやろう、臨時突発的な仕組みだということで、貯金の利子ではございません。郵便局の窓口で振替口座に振り込んでいただければ、それを慎重に郵政大臣が見まして、その善意を災害救助活動に走ったボランティアの皆さん方に援助をするという、まさに郵貯のお金で何か与えるという施策ではございませんけれども、間接的ではありますけれども郵便局のネットワークを使ってその善意が届けられればということで、災害を契機とした一つ郵便局のネットワークの国民的な活用だと、このように考えております。
  81. 林久美子

    ○林久美子君 これは震災があった後のこういう一つの結果だと思いますし、本当によかったと思っております。  最後に、郵便貯金や簡保における睡眠状態について、今度の震災で死亡された本人やまた家族の発生により貯蓄あるいは簡保が睡眠状態に陥る事例もあると考えられます。その睡眠状態の発生防止策をどう講じられているか。また、睡眠状態にある郵便貯金及び簡保はそれぞれ年間約五十億及び約五億円発生していると言われておりますけれども、郵貯においては制度改正でさらに十年延ばして権利消滅を行うようですけれども、その後どうされるのか、それぞれについて御答弁をお願いいたします。
  82. 天野定功

    政府委員(天野定功君) 簡易生命保険法によりますと、保険金や還付金は五年を経過しますと支払い義務が時効で消滅することになっておりますけれども、その後、支払いかなければいわゆる睡眠保険と、こういうふうに呼んでおります。  ただいま御指摘の睡眠保険を発生させないための工夫でございますけれども、私どもの方では契約の加入時あるいは満期保険金の支払い事由の発生時等におきまして契約者等に対しまして注意を喚起する幾つかの方策を講じております。  まず、契約の加入時におきましては、御契約者にお渡しします「ご契約のしおり」の中で、支払い事由が発生したときの保険金等の早期の請求と時効による権利消滅について記載して注意を促しております。  次に、満期保険金等の支払いの約一カ月前に支払いの御案内をお送りしまして、早期の支払い請求を促しております。  さらに、満期保険金等の支払い事由発生後一年を経過してもなお支払い請求がない場合には、再度、支払いの案内書を契約者等にお送りいたしまして、支払い請求を促しているところでございます。  以上のような措置を講じておりまして、最近この五年間、時効の件数は半減しておるというような状況でございます。  それからまた、この睡眠保険として積み立てられている資金はどのように使用されているかというお尋ねでございますけれども、時効完成後の取り扱いについては特別の法律の規定はございません。それでは具体的にどうしているかと申しますと、時効が完成しました保険金等につきましては、積み立てていた契約準備金から取りましまして剰余金として計上し、加入者に分配するように取り扱っているところでございます。
  83. 林久美子

    ○林久美子君 時間が参りましたので、どうもありがとうございました。
  84. 伊藤基隆

    ○伊藤基隆君 私は、社会民主党・護憲連合の伊藤基隆であります。  まず、日野郵政大臣の御就任、心からお喜び申し上げます。社民党の中でも政策通で知られている大臣の就任については、郵政事業の発展のために大変喜ばしいことだというふうに思っております。郵政事業に期待をしているお客様ないしはそこに働いている職員のためにもぜひ頑張っていただきたいと、冒頭お願いしておきます。  最初に、郵政事業運営に関する郵政大臣としての基本姿勢についてお伺いしたいわけでございますが、その前に、大臣郵政大臣に御就任になる前、あらかじめ決められた道筋ではないと思いまして、一市民という立場から郵便局を利用されていてどのように見ておられたか、そのことについて、冒頭簡単にお伺いいたします。
  85. 日野市朗

    国務大臣日野市朗君) 私も郵便局とはいろいろ深いつながりを持ってまいりました。特に、選挙区内の郵便局などとはいろいろおつき合いをしてまいったところであります。そして、私は郵便局事業というものを随分積極的に利用させていただいたと思っております。特に、郵政事業には深い関心を持ちましておつき合いをしてきたつもりでおります。  その中で私が感じておりましたことは、全国どこに行っても郵便局というのはある、そして本当に郵便局の局員の方々と地域の住民の方々の間には密接な人的な関係があるわけでございます。そういう姿を見ておりまして、私もこれは非常にほほ笑ましいと思いながら、また同時に郵政の三事業というのはすばらしい日本の宝物だ、これを大事にしていかなくちゃいかぬというふうに思ってきたわけであります。  さらに進めて言えば、郵便局を通していろいろ、郵便を出す、それから貯金をしておく、それから簡保で自分の将来のことを考えていく、こういうことは日本人の生活文化の一つのあらわれ、一つの発現の仕方ではないか、こんなふうにも思ってまいったわけでございまして、この三事業というのは、我々は日本全体の共有の宝物として、国営としてきちんと大事にしていかなくちゃいけないというふうに考えています。
  86. 伊藤基隆

    ○伊藤基隆君 大臣が一個人という立場からも郵政事業に対して深く知っておられて、高く評価されておられるということについて、私も昨年まで郵政事業と深くかかわってきた立場でありますし、午前中の質問をなされた守住さんは郵政省のトップにおられた方でありますが、私は田舎の郵便局で郵便配達、貯金、保険の募集、電話交換、さまざまやってかかわってきました立場から、大変心強いことでございます。私自身も実際やってきて、郵政事業に対する利用者皆さんの評価というのは、私どもの自画自賛ととかくとられがちでございますが、大きな信頼、掛け値なしの高い評価を得ておるというふうに思っております。  私が行革審の専門委員になったときにも、郵政事業を批判される方はいっぱいおられましたけれども、その方々の奥さんのお話を聞きますと、頻繁に郵便局にお出かけになって定額貯金を積んで大変評価が高いということでございまして、それらの審議会の委員は本人が出てくるより奥さんが出てきた方がよっぽどいいのではないかというふうに思ったところでございます。  さて、この郵政事業の評価の問題、金融、通信の基盤的なサービスをしている完成度が高いシステムでございますけれども、状況の変化が非常に激しいわけでありまして、この状況の変化に合わせないと瞬く間に時代おくれということになりかねないことだろうと思っております。常に状況に対して変化をさせるということでないと、現状にとどまる、現状の評価を受け続ける、さらに発展させることにはならないだろうというふうに思うわけでございます。  最近、何かにつけて二十一世紀の何々という言葉がずっと使われております。二十世紀は残り四年、二十一世紀は目前でございます。それだけでなく、近年におけるグローバリゼーションの進展や社会経済、産業構造の転換は大変目覚ましいものがありまして、単に二十一世紀という時代の区切りだけでなくて、全く新しい地球社会の到来を予見させるような気がいたします。これは、午前中からの討論等をお聞きしましても、皆さん指摘し、認識を持っていることだろうというふうに理解しております。  さて、その急激な構造転換が起こっている中で既存の社会システムにほころびが目立ってきているのではないか。出口が見えない閉塞感が漂っているという感じがいたします。そうした中で、新しい可能性を見出すツールとしてマルチメディアということが脚光を浴びておるわけでございます。  マルチメディアを基盤とする社会はどのような社会なのか、またそれがどのようなテンポで進むのか、いまだ判然としない点もありますけれども、最近の新聞を読みますと、アメリカのハイテク調査会社IDCの調査によれば、一九九六年のアメリカのパソコンの出荷台数は二千六百万台に達すると。このところ伸び悩んでいるカラーテレビの二千三百二十三万台を抜くだろうというふうに言われております。日本でも同様の状況が起こり得るだろうと言われております。このような現象はマルチメディア社会の実現が近いことを予測させる一つのデータではないだろうかと思っています。  最近、これも日経新聞で読みました。東京大学の月尾教授のレポートでございますが、マルチメディアによる社会、産業構造の転換を革命というふうにおっしゃっておられます。私も、石油危機が産業構造転換の一つの動機となったように、マルチメディアによりこれまでと異なった新しい社会が到来するのを感じるわけでございます。また、マルチメディアによる社会の転換とは別に、高齢化社会の深まりなど社会の成熟化も大きな問題でございます。  こうした社会構造の転換の中で、郵政事業に対する国民のニーズも当然のこととして変化しているわけでございますが、郵政事業は、情報通信、物流の担い手としての郵便、金融サービスとしての郵貯、高齢化社会に向けた国民の自助努力の手助けをするサービスとしての簡易保険、そして多様な行政代行サービス、マルチメディア社会の基盤形成を担う電気通信放送行政と、いずれも現代社会の形成または将来への発展に不可欠な事業行政サービスを行っているわけでございます。  その重要な事業行政について今後どのような観点で進めようとしているのか、大臣の抱負とポリシーについてお伺いしたいと思います。
  87. 日野市朗

    国務大臣日野市朗君) 世紀末という言葉がございます。それから、二十一世紀を迎えてということもよく使われるわけでございますが、時間的な流れからいえば自然な時間の流れにすぎないわけでございます。しかし、私なんかも見ておりまして、まさに今まで二十世紀がずっと進行してきた、そして二十一世紀にかかろうとする、世紀末と言っていいかどうかわかりませんが、この時期に当たって多くのものが大きな変化を遂げようとしていること、これは間違いのないところなんでございましょう。  まず、産業構造というのは、追いつき追い越せでやってきた日本の経済、これが今一つの大きな壁にぶつかってしまって、さあ、これからどういうふうに日本の経済を運営していくのかということについては多くの迷いがあるように思います。  また、政治の状況も非常に大きな転換があり、かつて自民党さん一党支配と言われたそういう時代とは変わって、今私がここに郵政大臣としているようなものでございまして、大きな転換がここでも行われている。そして、そういう状況というのは社会全体、日本の文化全体、これに大きな波及的な効果をもたらしておりまして、今我々非常に価値観の混乱、それから文化的な価値の尺度、そういったものいずれもかなり迷いながら皆さん先を模索していると言っていいのではなかろうかというふうに思うんです。  そして、私はこういうときに一つ大事にしなくちゃならぬものがある。従来から伝統に根差して我々が大事にしてきた制度の中で、これはきちっと守っていかなくちゃいかぬという制度というものはあると思うんでございます。  郵政省に即して言うならば、郵便、貯金、簡保、こういった日本国民がずっと大事にしてきたもの、これは今しっかりと生活基盤として我々は大事にしていかなくちゃいけない。それと同時に、これから日本社会が、経済が、文化がどのように進んでいくか、新しいフロンティアを目指して進んでいくというエネルギーもまた大事にしなければならないと思います。そして、それが進んでいくためのきちんとしたレールを敷いていかなければならないというふうに思っております。  マルチメディアを先生指摘になりましたが、そういった情報通信の基盤的なインフラを整備していく、これ自体が大きな経済的な効果をもたらすこと、これはもちろんでございますが、そういった基盤の上に、私はこれを苗床のようなもの、こう申し上げておりますが、そこから育ってくる多くのメディア、マルチメディアと一口で言いますが、そういったメディアがすくすくと育っていけるような、そして中には使えるものもあるし使えないものもあるんでありましょう。しかし、そういったものがどんどん伸びていける可能性を我々は提供していかなければならないというふうに思っております。それが、これからの郵政省事業として、情報通信の仕事、これをさらに一層高度化し、利用者利便を飛躍的に向上させる、こういう方向で取り組んでいくこと、これが郵政省の仕事であろうと、このように考えております。
  88. 伊藤基隆

    ○伊藤基隆君 大臣所信をお伺いしまして、まさに同感でございますし、大変心強く思ったところでございます。  さて、郵政事業は郵便事業の安定供給ということを基盤として、その信頼性の上に郵便貯金事業、簡易保険事業が成り立っているというふうに思います。もう一つ郵政省のマルチメディア、情報通信放送の仕事、業務、これも同時にかかわり合って非常に重要な役割を果たしているわけですが、非常に象徴的だと思うんです。  一つは、高度な技術革新によるマルチメディア社会をどう先導していくかという役割と、最も基盤的な、人が介在する通信サービス。人が介在することの重要性はさきの逓信委員会で私は実例を挙げて申し上げたわけでございますが、そういうときに私はまさに原点に返って事業は人であるというふうに考えます。一時的に効率よく運営されていても、それがそこに働く職員の犠牲の上に成り立っているようではその効率性も長続きはいたしません。  今、特定新規事業実施円滑化臨時措置法という法律の認定を受けたベンチャー企業では、ストックオプションなどによって社員の士気を高める施策が導入されようとしております。郵政省には一般会計、特別会計、双方で三十万人の職員が働いているわけですし、関連事業家族を合わせれば百数十万の人たちが郵政省関連で生計を立てているわけでございます。もちろん、国の機関でありますからストックオプションのような制度導入は無理としても、働きに見合う処遇は必要であろうかというふうに考えています。さまざまな困難な事情があることはわかりますが、ぜひ大臣におかれても、職員が仕事の中に生きがい、働きがいを持って充実した気持ちで働いて、家族を安心して職員が支えられるよう処遇の改善に努力をしていただきたいと希望するものでございます。  人はペイだけで働くわけではございません。上司と部下の関係、職場の人間関係、職場環境など、いかに気持ちよく働くかも重要な問題であろうかというふうに思います。その点、郵政省の職場にはさまざまな問題があることを大臣も御承知かというふうに思います。省の幹部と現場の管理者の姿勢が極めて重要でありますし、この解決には一定の時間が必要なこともわかりますけれども大臣の就任中にぜひ前進が図られるようお願いしたいというふうに思います。このことは私の要望として申し上げておきたいと思います。  そこで、質問通告しなかったことで申しわけないんですが、電通局長にちょっとお伺いしたいと思います。  広中先生との御議論で触発されたわけでございますが、郵政省がマルチメディア時代に向けてその先導役、政策形成を務めておるわけでございますけれども、それでは郵政事業そのものについてどうなのか。マルチメディア時代において、その技術の活用また技術の応用、開発、これによって国民生活に直結したサービスである郵政事業を抜本的に改編する必要があるのではないか。そのことについて検討されておるか。おらなければ、個人的な見解といいましょうか、今後どうしようとしているかということについてちょっとお聞きしたいなというふうに思います。
  89. 五十嵐三津雄

    政府委員五十嵐三津雄君) 私、答えるべき立場であるかどうかちょっとわかりませんが、せっかく先生から御指名をいただきましたので、個人的な立場ということで申し上げさせていただきたいというふうに思っております。  今マルチメディア時代といったときに、技術革新というのが大きな背景になって出てきたことであります。デジタル化、双方向化、大容量化、こういう中で出てきたマルチメディアの一つの可能性を考えてみますと、このこと自身は、ある意味でいいますと、技術の可能性だけを考えていきますと、大変大げさな言い方かもしれませんが、無限の可能性を秘めたような技術革新になってきている。それを月尾先生あたりが革命というふうにおっしゃっているのかもしれません。ある意味の第何回かの産業革命、第二次の産業革命というのかもしれません。当然のことながら、そのインパクトというのは郵便局サービス事業といいますか、郵便局事業にもいろんな意味で影響を与えてくるであろうというふうに思っております。そういう意味では、現実に郵政省が、例えばP—SATというような格好で衛星を使ってのネットワークを既に構築するとか、貯金、保険のオンラインのネットワークがあるとか、こういうことについてもさらに次の高度化に向かっているということで、ある意味におきましては郵政省内のLANも張りめぐらせて、これはもう既に光のメディアも使いまして光LANも入れております。私の部屋なんかは光のメディアになっておりますが、そういう意味では事業としてもどんどんそういうものを取り入れているという現状かというふうに思っております。  例えば、貯金とか保険とか、こういう金融の面をとりましても、今後の問題点はだんだん電子決済の取り組みになってくる。電子商取引とか、そういう流れになってくる。そういったときに、貯金や保険あるいは郵便というものがどう対応するかということもあるだろうというふうに思っております。  さらに、現実に郵便事業なんかで取り組んでいる問題は、レタックスというようなものは、ある意味でいいますと電気通信と郵便サービスの融合したものというふうに申し上げてもいいのじゃないかというふうに思っております。今後、こういうものの出現に伴いまして、このサービスも根差すところは結局国民皆さんの利便ということでありますが、それを最大限の中心にしながら、積極的に取り入れていくべきものじゃないかというふうに考えております。
  90. 伊藤基隆

    ○伊藤基隆君 突然の質問でございましたが、明快なお答えをいただきましてありがとうございました。  次に、郵便事業についてお尋ねいたします。  一昨年、一九九四年一月、平均二四%の郵便料金の値上げを行いました。その直後、郵便物は八%から一〇%と大きく減少いたしました。その後、大口差し出しの広告郵便の割引率を高めるなどの施策と、関係者挙げての営業努力を行った結果と思いますが、減少幅が小さくなって、今ではほとんど値上げ以前の状況まで回復したと聞いております。大変結構なことではないかというふうに思っています。  しかし、私の記憶では、かつての値上げの際には九四年の値上げのときほどの減少はなかったように思っております。値上げ直後に郵便物が大幅に減少し、実質的な値引きをした結果需要が回復したのは郵便需要の価格弾性値が高くなっていることのあらわれであって、この背景には大型の郵便物や小包で競争状況にある宅配便、ファクスなど、郵便と競合する電気通信サービスの普及などという条件があるのではないかというふうに思っております。  このように、郵便を取り巻く状況が非常に変化している現在、安易な料金の値上げは事業にとっては致命的になりかねないというふうに思います。これから極力値上げを回避する、持続安定的にサービスを提供する、このことが迫られていることではないだろうか。それにはリストラを進めるしかないというふうに考えております。  ただ、この場合、リストラでございますが、民間宅配便で業績を伸ばしているところを見ると、間接部門の経費を極力軽減して、お客さんと接する第一線にはセールスドライバーと称してやる気のある優秀な人材を配置し、それにふさわしい処遇をしているというふうに聞いております。  これに対して、郵便の場合は、これまで効率化というと、どちらかというと配達、収集などお客様と接するところから外部委託するというようなケースが多くありまして、このやり方は時代逆行的といいましょうか、かえってサービスダウン、お客様離れということになりかねないんじゃないかというふうに思っています。間接部門のリストラを優先させていくべきではないかというふうに考えます。
  91. 金澤薫

    説明員(金澤薫君) 郵便料金につきまして、安易な料金改定ができる環境にはないということにつきましては、先生のお考えに同感する部分が非常に多うございます。  郵便事業につきましては、このため、これまで作業の機械化とか民間委託とか勤務形態の見直し等の効率化、合理化施策を積極的に推進して経費節減を図り、健全経営に努めてきたところでございます。  一方、御指摘の間接部門、これは本省、地方郵政局等の管理部門、それから郵便局の共通部門等がございますけれども、ここにおきましても、従来から事務処理の機械化、事務の簡素化、民間委託の推進等、各種効率化施策の実施によりスリム化に努めてきたところでございます。  今後とも、健全かつ効率的な事業運営を図る観点から、事業部門につきましても効率化を一層推進いたしますとともに、間接部門につきましても各種効率化施策の実施を積極的に推進してまいりたいというふうに考えております。  なお、昭和六十一年度から平成七年度までの十年間で、間接部門では五・四%の人員の削減をやっております。一方、郵便貯金、保険等の事業部門では一・三%の削減というふうになっておりまして、間接部門におけるリストラが事業部門を上回っているということでございまして、省としても間接部門について積極的にリストラを行ってきたということでございます。
  92. 伊藤基隆

    ○伊藤基隆君 私は、特にこの郵便料金問題とリストラについて、後にまた機会があれば議論したいと思いますけれども、今郵便料金のみならず、公共料金のあり方ということについて根本的に問い直さなければならない、そういうところに来ているのではないかというふうに思っています。消費者、コンシューマーに対するよりよいサービスの提供ということに公的セクターのサービス機関が全力を挙げて取り組まなきゃならない問題でございます。  認識が発展してきておると思います。利用者消費者の認識が非常に発展してきている。当然にして受けるべきサービスに対する期待感というよりは、契約的思想というものがかなり強いんじゃないか。そうしたときに、公共料金設定に当たっては、機構、システム、要員の重点配置、営業のあり方、料金体系などを総点検したコスト点検ということが強く求められているというふうに考えております。このテーマは後にまた議論する場があると思いますので、よろしくお願いしたいと思います。  貯金事業についてお伺いいたします。  幾つかの信用組合や兵庫銀行などの事実上の倒産や住専問題などもあって、国民の金融システムに対する信頼が揺らいでおります。こうした情勢を背景としまして、郵貯と都市銀行に資金が集中しているというふうに聞いております。郵貯への信頼から貯金が集まることは結構なことでありますが、あながち手放しで喜んでいるわけにはまいりません。何よりも金融システム全体の信頼回復が今日の日本の喫緊の課題でありまして、この点については別のところで改めて取り上げることにしまして、ここでは郵便貯金に絞ってお伺いしておきたいと思います。  近年、国鉄清算事業団債務の隠れ借金問題がクローズアップしておりまして、それと関連して、その原因が、そこに原資があるからだというふうな言い方がされ、郵便貯金原因説、もっと言えば郵貯悪者説を唱える向きもございます。こうした言い方はほとんど言いがかりとしか言いようがありませんけれども、ただ郵便貯金が巨大な資金を集め、それが財投の有力な原資になっていることだけは確かなことでございます。財投に郵貯が貢献していくことはこれからも重要であろうというふうに思っております。  しかし同時に、金融自由化の進展の中で、郵貯が資金の自主運用部分を増加して経営の健全化とお客様へのサービスの充実に充てることもまた重要でございます。近年の超低金利の中で、郵貯の金融自由化対策資金の運用は必ずしも容易ではないと思っておりますが、そうした中で、先ほども言ったように、この制度が経営の健全化とお客様サービスヘの拡充に貢献できるような運用実績を上げているのか、現在の状況についてお聞かせいただきたいというふうに思います。  また、実績を上げているとすれば、自由化対策資金を一層拡充し、より経営の健全化に貢献すべきだというふうに私は思いますが、資金の積み増しの方針があるのかどうか、この際、お尋ねしたいと思います。
  93. 木村強

    政府委員(木村強君) ただいま金融自由化対策資金の状況はどうかという御質問であったかと思います。  金融自由化が進展しております。ひとり郵貯だけがそういう形に乗りおくれてはいかぬだろう、また逆に、金融の自由化というのは預金者のためだということで、郵政省は相当以前から、ある意味では旗振り役といいましょうか、護送船団方式のやり方では預金者にとってプラスにならないんだということで旗振りをしてきた経緯もございます。  そういう意味で、個人の金融に対する関心は非常に強うございまして、これから金融自由化が進めば進むほど国営、非営利の郵貯のあるべき姿というものがますます浮き彫りになってこようかと、このような気持ちで対処しております。そのためにも、私どもは健全経営をしなきゃいかぬ、そして集まったお金は、非営利でありますから、国民にすべて、預金者にすべて還元するんだと、こういう原理でございますので、この辺を基本に据えた運用も行っていこうということでございます。  私どもの運用残高、平成八年一月末で三十五兆余りになっております。内容は、国債、地方債等の債券を中心に、確実、有利な運用方法という手法をとっておりまして、まさにインカムゲインをメーンにした運用を行っておると。これは昭和六十二年の制度創設からの哲学でございまして、堅実に、損はしないと。預託利率が私どものある意味では、運用部に渡して、その預託利率と同じ額で、預かったお金で回すということでありますから、それよりはプラスになるということで、決して欠損を出さないという精神でやってまいりました。八年間の累計で二千七百四億円の利益を上げております。  平成七年度につきましても、先生今おっしゃいましたように、私ども運用の立場は非常に苦しゅうございます。長短金利が低位に推移いたしておりまして、運用をやっておる者にとりましては非常に厳しい環境でございますけれども、何とか頑張って黒字を見込んでおるということで、平成七年度につきましても黒字という線で努力をしておるところであります。  それから、現在、運用の額につきましては、平成八年度末までに四十兆円まで持っていこうということで政府部内で合意が見られておりまして、平成八年度の予算が終わります平成九年三月末までに四十兆円を総額運用しようと。これは平均残高二百兆余りの約二割ということでありますが、その後につきましては、私どもはこれからどのような形で運用の額をふやしていくのかどうか、郵便貯金事業の健全な経営の確保であるとか、それから金融環境が非常に変化をいたしておりますこういった事情、それから財政投融資への資金供給、先生が今おっしゃいましたように、郵貯のお金はそれぞれ個人のやはり災害とか老後だとか、そういう個人の預金の積み重ねではありますけれども、集まったお金が大きいものですから、これをどう使うかというのが非常に大切であります。  そういう意味では、そういった財政投融資の資金供給等、私どもとしましては、政府におきましても公共投資基本計画で六百三十兆が二十一世紀に向かって要るんだというお話でございますので、財政投融資の意味あるいは活用の仕方、工夫をすればますます私はそういった仕組み、あるいはお金というものが必要であろうと思いますけれども、そういった財政投融資への資金供給の状況等を見ながら、私どもで市場で運用して、預金者のことを考える、あるいは事業のことを考えるという観点につきましても思いをいたし、資金運用額について検討してまいりたい、このように考えております。
  94. 伊藤基隆

    ○伊藤基隆君 重ねて貯金局長にお尋ねいたします。  かつて第三次行革審の審議の際、銀行の方から、郵貯の存在が金融自由化の阻害要因になっている、国民経済的に見て問題がある、また赤字が発生し、その赤字問題が最終的には国民の負担につながりかねないという郵貯の縮小廃止論が出てまいりまして、盛んに主張いたしました。私は行革審の専門委員としてこの審議に参加して反論したわけでございますが、将来的な問題は証明できないわけでありまして、たった一人で、多勢に無勢というよりは、徹底的にそういう追及を受けたわけでございます。  あれ以降、既に二年八カ月がたっております。今、住専問題を持ち出すまでもなく、不良債権問題または経営破綻問題等が現実に起こっているわけでございますが、郵貯の経営は、この当時銀行協会の幹部が指摘したように、国民に負担をかけるような状態になっているのか、あるいは将来そのようなことになる危険があるのか、このことについてお尋ねしたいというふうに思います。
  95. 木村強

    政府委員(木村強君) 平成五年の年末に第三次行革審の結論が出ましたときには、伊藤先生には大変専門的立場から国営郵貯というものにつきまして議論を展開していただきまして、郵便貯金に大変御理解のある対応をしていただいたということで、郵政事業、これは我々役所ということではなくて、個人の金融というものについて今のやり方にやはり不満があろう方々にとっては非常に救いになっただろうということで、我々は個人金融についてやはりどうしても民間の営利では行き届かない部分、これから金融自由化が進めば進むほど個人というものに対してきちっとフォローしていく、もうからない小口の部門というものに対して手厚く見ていく、ここがなければ真の意味の自由化も進まないんではないかということで、あのときの支えで今の郵貯があるというふうに私ども大変感謝をいたしております。  その中で、そのときの議論の経過でありますけれども平成六年度の郵貯の特会の決算を見てまいりますと、一般勘定は二千百七十三億円の黒字でございます。同年までの積立金でありますけれども、一兆八千億円という額でございます。それから、金融自由化対策資金の運用、先ほどお話が出ました対策資金特別勘定につきましても百七十七億円の黒字ということで、積立金の累計は三千億程度ということで、いずれも健全経営を確保しておる。  その後の状況につきましても、先ほど先生からもお話が出ておりましたように、超低金利下でございますから、経営としては、手法としては民間金融機関に金利などを倣っていく必要があろうということで、確かに利ざやは出てきておりまして、健全経営という意味からは郵貯は盤石な体制になりつつございます。  しかし、民間金融機関の資産保有の度合い等を見てまいりますと、郵貯の額というものが例えば一兆八千億になったからといって、これからの自由化、預金金利が上がったときに郵便貯金も同じような立場で預金者のために金利も上げていかなきゃいかぬといったような将来のリスク管理も考えた経営を考えてまいりますと、今の積立金は決して多過ぎるということではありませんけれども、着実に伸びてきておる。これを不良債権等の消化に充てるということじゃありませんので、運用部に預けて、金利がずっと返ってきておるという状況でございますので、私どもの積立金については確実に運用がなされておるというふうに考えておりまして、私どもといたしましても預金者のために万全の体制がとれるものだというふうに確信いたしております。
  96. 伊藤基隆

    ○伊藤基隆君 簡易保険事業についてお伺いしたいわけでございますが、時間の配分を誤りまして切迫しておりますので、またの機会にさせていただきますので御容赦ください。  電気通信事業規制緩和問題についてお尋ねいたします。  一つは、第一種電気通信事業者の新規参入規制についてでございますが、新規参入の自由は競争を促進するための絶対条件であろうというのは論をまたないところでございます。しかるに、電気通信事業法第十条第一号及び二号は需給調整といって規定しておりますが、これは電通審の委員である立教大学の舟田教授もその著作の中で新規参入規制と言っているように、新規参入規制の条項というふうに思われます。新規参入規制は競争を阻害することは明白であります。規制を撤廃するべきではないかというふうに考えます。  二つ目に、電気通信事業の業務区分規制についてでございますが、郵政省は一月二十三日、これから新規参入しようとする事業者については、許可申請に際して、国内、国際の業務区分を記述しなくてもよいことに改めましたが、これはあくまでもこれからの新規参入事業者に対してでございます。事業区分別に参入規制をしていないというふうにおっしゃるならば、しかも参入に際しては必要最小限の記載事項だけを要求するのでありますれば、なぜ既に事業計画を毎年提出している既存事業者の事業変更を自由に認めないのか。不必要な規制であるというふうに考えるので、撤廃すべきではないだろうかというふうに思うわけです。  それから、第二種電気通信事業規制緩和についてでございますが、第二種電気通信事業については、電気通信回線の収容能力が千二百bps、ビット・パー・セカンド、一秒当たりのビット数だそうでございますが、その換算五百回線以上及び国際通信を扱う者を特別第二種電気通信事業者としております。この根拠は何でございましょうか。技術革新により伝送能力は飛躍的に拡大しているのに、この基準では合理的ではないと考えますが、どうでしょうか。  また、郵政省は特別第二種電気通信事業者の数を半減させると言っているようですが、数の問題ではなく、基本的に規制を撤廃すべきではないかというふうに考えますけれども、お考えをお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
  97. 五十嵐三津雄

    政府委員五十嵐三津雄君) 先生からは三点お尋ねがあったかと思います。一括してお答えをさせていただきたいというふうに思っております。  まず、第一種電気通信事業者の参入の規制関係でございます。特に新規参入との関係でお尋ねがございました。  一種事業者は、今、先生からお話のありましたように、これは許可という形になっております。私どもとして、この許可をとるということにつきましては、国民生活に大変影響の深い公共的なそういう事業を営むというようなことから、その事業の確実性や合理性、経理的な基礎、あるいは技術的な能力というような観点、そういったことから許可が必要であるというふうにいたしております。あわせまして、この許可をとることによりまして、例えば道路を使用するだとかあるいは公用水面を使用するだとか、そういうようなことにつきましてもそれぞれ許可をとっていかなければなりません。  例えば、例を申し上げますと、昭和六十年に許可をとった新規事業者が長距離のサービスを提供するということで、大阪まで東京と最初結びました。そのときは道路についての許可は千七百の許可をとっております。これはどういうことかといいますと、この第一種電気通信事業者の許可をとったということで、道路についての許可は建設省等々の許可でございますが、それは義務許可ということになっていまして、一種事業者の免許があるということで一カ月以内に許可を与えなければならないとか、そういう形になって、基本的にはスムーズな参入になっていると。  一種電気通信事業者の場合は、基本的に自分でネットワークを設置していくという設置概念というのがあって一種事業者になっております。そのときに自分でネットワークを構築しなければサービスはできない。そのネットワークを構築するというときに、道路を使う、場合によっては私有地にも入ります。土地収用法の話になってまいります。公用水面というようなところで、ざっと関連する法律が二十近くはある、あるいは超えるかもしれない、こういうふうに思っております。  そういった形の許可をとりながらネットワークを張っていくという意味では、むしろこの許可があることによってネットワークを張っていくという観点、公益事業特権と私ども言っておりますが、そういう特権を持って参入できるということで、この参入が円滑に続いて促進をされてきたというのがこの十年間の実績ではなかったかというふうに考えているところでございます。  ただ、私どもとしては、昨年の十二月に行政改革委員会の意見というのをいただいておりますが、その中でも過剰設備防止条項という参入についての需給調整的なもの、それとこの公益事業特権とをリンクした格好で成っているということについて、必ずしもこの過剰設備防止条項というのがあるということで公益事業特権が付与されるということになるのではないのではないかという御議論がありました。  ただ、問題なのは、例えば道路の許可をいただくとか土地収用という話は郵政省の所管するものではございません。そういった意味で、私どもとしては、もしこの過剰設備防止条項という先生がおっしゃった法律の項目、それがなくても公益事業特権が付与されるということであれば、私どもとしては過剰設備防止条項は廃止しても結構だというふうに考えておりまして、そのことを前提として、なぜ前提とするかというと、先ほど申し上げました新規参入者がネットワークを張って事業ができるようにするというのがねらいであります。そういう意味で、今各省とその調整に入ったところでございます。そういうふうなことで、各省がもしそういう過剰設備防止条項がなくても公益事業特権を与えるということになりましたら、私ども法律改正をいたしたいというふうに存じております。  それから、もう一つの新規事業者、事業区分の関係でございますが、まず前提として申し上げなければなりませんのは、我が国の法制度からいきますと、NTTとKDDにつきましては、NTTは国内通信事業、KDDは国際通信事業というそれぞれ法律上の制約がありますが、その他の事業者は、今百二十以上参入されている既存の事業者でありましても、これから入ってくる事業者でありましても、業務区分についてのいわゆる制限はございません。ただ、世の中に業務区分があるというようなことを盛んに言われておりましたので、このことを明確にしたいというようなことも考えまして、この一月二十三日に郵政大臣規制緩和のパッケージを発表いたしました。その中に、この業務区分の規制についてこれを明確化するということで、二、三の手だてを講じたところであります。  現実的には、事業の許可申請に当たりまして省令を改正して、様式も明らかにして、そういう業務区分がないという形で書き出せるものにしたというのが一つであります。  さらに、このことにつきまして、参入したい方々に御理解いただけるように電気通信事業参入マニュアルというのをつくりまして、これによりまして、英文、日本文両方にしたものでありますが、インターネットにも入れまして情報を提供しているということであります。  それから、マニュアルの中で、例えば長距離通信事業者による地域や国際といった他の事業への進出を妨げるものではないというようなこともその中に明確化いたしまして、そういう意味では既存の事業者も他の分野に入るというか参入するということが可能であるというのは、法律制度だけでなくて、この中でもう一度明確にしたということであります。  なお、現実を申し上げますと、例えば既存の事業者として国内の衛星サービスをやるということで始めた会社は日本で今二つあります。その二つの会社が、近年、ここ一、二年のことでありますが、ある会社は国際に出まして、ハワイとかそっちにサービスを始めた、もう一つの会社は台湾とかアジアの方にサービスを始めたということで、そういう意味合いにおきましても、既存事業者でありましても新規の事業者でありましても、NTT、KDDのような意味合いにおきます業務区分というのはないところでございます。  私どもとしては、むしろ一〇〇%独占で一九八五年までやってきた我が国の電気通信市場のマーケットになるたけ有効に多くの方々が新規参入していただきたい、その競争が進むことによって消費者の利益が出てくるということを期待しているというものでございます。  それからもう一点、第二種電気通信事業のうち、特に特別第二種の観点についての御質問がございました。  このことにつきまして、特別第二種電気通信事業者というのは、日本を越えて外国と電気通信のネットワークを例えばNTTとかKDDから借りましてサービスを提供するという方、それからもう一つの大きさは、先生指摘の千二百ビット換算の五百回線という国内部分にあって、この大きさでありますと、一九八五年の当時ですと、大体国内全体にサービスをするというような規模とスケールといいますか、そういうふうに考えられておりました。  したがいまして、ネットワークを借りてやる方ではありますけれども、全体的に国内的にサービスをするということで、例えば金融関係でシステムダウンを起こすというようなことになると非常に大きな影響があるというようなことから、これにつきましては登録というようなある意味のルールを適用しておりました。それは、技術基準が必要であるとか、あるいは一定の技術者がそこにいて全体的な調整をやるというようなことを求めたところでございます。根拠というのは、当時はそういう考え方でありました。  なお、このことにつきましては、一九八五年に電気通信事業法が国会を通過するその一年前、一九八四年でございますが、参議院におきまして附帯決議ができておりまして、そのときにこの規模につきまして附帯決議がつけられておった。それがそのまま政令になって一つの基準になったという経過がございました。  ただ、先生指摘のように、現在のような技術革新が進んでいる昨今、このままの規模、大きさでいいのかということがあろうかというふうに思っております。この辺は御指摘のとおりではなかろうかと思っておりまして、私どもとしてはこれを見直すべきときに来ているというふうに考えております。  そういうことで、私どもとしましては、より多くの方々が簡単に届け出等々、そういうことで事業展開ができるというふうにしていくことが好ましいのではないかというふうに考えておりまして、規制緩和を行うということで、本年の七月を目途に電気通信事業法の施行令を改正するということでただいま取り組み中でございます。
  98. 伊藤基隆

    ○伊藤基隆君 どうもありがとうございました。
  99. 及川一夫

    委員長及川一夫君) 十分かかりましたよ。
  100. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 日本共産党の上田でございます。  日野大臣、先ほど郵政事業は宝だと言われましたので、国民のための公共性をしっかりと守っていただくよう要望したいと思います。  私は、きょうは二つテーマを取り上げて、一つはSOLAS条約とNTTの銚子無線局の廃止問題、もう一つ郵便局のニュー夜勤問題でございます。  最初の問題は、海上安全に関する国際条約のSOLAS条約が九〇年に改正になって、トツートツーのモールス通信から衛星を利用した無線電話のシステムに九九年一月末までに全面的に移行するということが決まりました。逓信委員会でも電波法の改正が取り上げられて、私どもの党も賛成しました。  この移行、このシステムはGMDSSというんですけれども、いい点とマイナス点、やっぱりいろいろあるんです。いい点は、特に資格がなくてもちょっとした講習でだれでもやれるようになる、それから自動化、能率化、これが進むという点があるけれども、同時に後で述べるいろいろマイナス点もやっぱりあるんです。それで、七年の移行なんだけれども、ちょうど四年たって、あと三年です。  まず、郵政省にお伺いしたいのは、このGMDSS対象の船の中で設備を何%導入しているか、時間が短いので簡潔に答えてください。
  101. 五十嵐三津雄

    政府委員五十嵐三津雄君) 我が国の対象船舶は約二万そうというふうに考えておりますが、導入状況は平成七年十二月末現在で四百十三そうでございます。
  102. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 つまり二%なんですね。日本が最も進んでいるところで二%です。この条約加盟国、外務省に聞いたら百二十五カ国ある。発展途上国なんかでは日本よりもっと大変ですよ。これはなかなか、あと三年なのに日本でも二%しかこの設備を船が導入してないという現状なんです。何でこんなにおくれるんだろうと。これは二つ理由があるんです。一つは、設備になかなか金がかかるんです。私、ここに資料を持っていますけれども、いろんな設備が要る。ちゃんといろんなシステムを入れると二千万円かかるんです。金が非常にかかる。二番目は、どうもシステムの信頼度が高くないんです。  局長にお伺いしますが、衛星によるEPIRBの遭難警報の取り扱いのうち、誤報その他トラブルは何%起きていますか。
  103. 五十嵐三津雄

    政府委員五十嵐三津雄君) 平成六年に海上保安庁が扱った非常通信自動送信衛星システム、先生おっしゃるEPIRB、これの発信状況で、海難に伴うもの十三件、それから海難以外のもの二百八件、計二百二十一件となっているというふうに承知をしております。
  104. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 つまり、九四%が誤発射、その他原因不明等々で、装置が動いた、SOSが来たと、わずか六%しか正確じゃないんです。  これは、イギリスの資料があるんだけれどもイギリスで九六%だっていうんですよ。アメリカで九七%誤発射だっていうんです。そういう状況になっているわけですね。こうなってくると、あと三年で一体どういうことになるかということがやっぱり大問題になってきます。  電波監理局の資料を見ますと、関東電波監理局の研究調査報告というのがあるんだけれども、こういう普及状況ですと平成九年から十年に全部切りかえが集中するだろう、当局もメーカーも対応は困難だ、大きな混乱が招かれることが予想されると。これは郵政省の関東電波監理局がそういう研究報告書を発表しているんですよ。大混乱が起きそうだっていうんですけれども、どうですか、局長、その大混乱を防げる自信はあるんですか。
  105. 五十嵐三津雄

    政府委員五十嵐三津雄君) まず、基本といたしまして、SOLAS条約に基づきまして一九九九年一月までに完全導入を完了していくということでございます。そういった意味で、モールスからこういう自動的で確実な海難救助手順といいますか、そういうことで取り組んでくるということでございます。同時に、条約でもそのことについて義務づけがなされております。私どもはそれに向かって完了すべく取り組んでまいりたいというふうに考えております。  具体的には、これの促進の協議会というのを昨年の十月につくりました。そういった中におきまして、周知啓蒙のパンフレットをつくっていくとか、あるいはシンポジウムを開催する等々取り組んでいるところでありますが、あるいは財政投融資の適用というようなことにつきましても平成八年度の予算原案に盛り込ませていただいているということでございます。
  106. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 記録を見ると、やはり日本イギリスがかなり責任を負っている、発言が高いんですね。今言われたように、九四年には国際海事機関、ロンドンで誤発射問題の会議が行われている。日本が議題を提供して、郵政省、運輸省から出した日本文書も私は見ました。そこである結論が出て、やっぱりやっているんですね。その結論の結果の報告を見ますと、機器の改善やユーザーに対する問題点の周知、こういうことを実施することをおととしの暮れに決めている。  同時に、明らかにされたことでは、切りかえが大変おくれているというので、会議で日本イギリスが現在のペースが続くと期限までにすべての船の工事が完了しないおそれがあることを指摘した、早期の切りかえを船主に勧告することになった、こういうことになっている。  この国際海事機関というのはロンドンにあるんですよ。ロンドンにちょうどうちの赤旗の特派員がおりますので、私、きのう赤旗の特派員に連絡をして、IMOにこのおくれを一体どうする気なんだということを問い合わせてもらいました。すぐ特派員から返事が来ました。IMO広報部でこの件を尋ねたところ、広報官はこう答えた。警報誤発射問題はよく知られている、九九年義務づけというのは国際合意であってIMOがこれを変えたりすることはできないと。決まっているんだから。しかし、導入は業界と各国政府が行うものであり、各国政府はこれに関して新たな提案があればIMOに持ち出すことは可能だ。これはそうでしょうね。  ですから、九〇年にこの条約改正をやって、九九年一月三十一日にすっかり切りかえると決めたけれども日本でさえまだ二%しか普及していない。誤発射はこんなでしょう。こういう状況で、あと三年で発展途上国の船も目がけて切りかえられるかと。これは船の安全と人間の命にもかかわる問題。  私は、だから日本の負っている大きな責任と発言権の大きさからいって、IMOの広報部は各国政府は問題があったら持ち出してくれというんだから、これは郵政省はもっと現状をもう一度調べて、本当に一体できるのかと。メーカーだって大変、当局だって許可から届け出から対処困難だという報告がちゃんとおたくから出ているんだから、これに。  だから、そういう大混乱を招くという予想がある以上、もう一度本気で真剣に検討をすべきだと思うんですけれども、これは大臣に、これは大臣は初めての問題かもしらぬけれども、どうですか。局長でいいです。
  107. 五十嵐三津雄

    政府委員五十嵐三津雄君) 先ほど申し上げたことでございますが、いわゆる海難救助ということにつきましてはさらに進んだ高度の制度を国際的に取り組んでいこうということでスタートの時期も決めている現状でございます。  そういった意味合いにおきましては、私ども関係者の協議会をつくりましたり、さらに平成八年度の予算に財政上の支援につきましても盛り込む等々しておりまして、この方向に向かって鋭意取り組んでまいりたいというふうに存じております。
  108. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 鋭意取り組んでまいりたいという言葉で済めば簡単ですよ。対象は二万隻あるんだから、日本の船だけで。日本通信は、外国の船、中国から東南アジアの船、どんどん来るんですから。その船たちは何も設備を変えないで、持てない、どうするかということで、日本だけの問題じゃないので、言葉だけのことではなくてしっかり検討していただきたい。  この逓信委員会で、平成三年四月二十三日、電波法の改正が満場一致で通ったときに附帯決議ができています。この附帯決議に、「GMDSSの導入に当たっては、その機能を確認しつつ、一層の信頼性の確保に努めるとともに、現行制度との併存のもとで円滑な運用が図れるよう万全を期すこと。」と。僕は当時逓信委員じゃないんだけれども、僕はなかなかしっかりした附帯決議だと思うんですね。「一層の信頼性の確保」、やっぱりまだ技術的に未完の部分があることを知っていて信頼性を確保しろと。それから、「現行制度との併存のもとで」というのは、モールス通信システム、やっぱりこれ併存をずっとやっていかなきゃいかぬと。私どもも、全部切りかえるな、いつまでもと言うんじゃないんですよ。そうじゃなくて安全を確保しながらということなんです。  こういう状況だと、どうなんですか、郵政省、このモールス信号、これ九九年の一月三十一日までにはもう廃止するということを郵政省としては決めているんですか。この附帯決議には併存ということまで書いてあるんですよ。
  109. 五十嵐三津雄

    政府委員五十嵐三津雄君) まず、モールス信号からこのGMDSSに移っていくというその経過の中にあっては、現状がそうでありますように、併存する時期が当然あるわけであります。そういった意味で、国際的に約束として決まったこの時期に向かって私ども鋭意取り組んでいくということは変わらないところであります。  なお、信頼性の向上というような観点からも、先ほど申し上げたように、協議会をつくりましたり、さらに運用につきましても、お互いに取り組むべきことについても意識統一しつつ取り組んでまいりたいというふうに存じております。
  110. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 SOS問題でも、このシステムに変わると、今までモールスでは優先権があったんですね、SOSについては。今度は無線電話ですからないんですよ。電話線いっぱいだったら行かないんだ、SOSが。そういうシステムの欠陥もあるんだけれども、これはまた別として、今度はNTTにお聞きしたい。  この無線通信システムがこういうSOS問題と同時に一般公共サービスをやっているわけですね。特に気象情報だとか船の出入に関する業務情報だとか、これが非常に多いわけです。それで、NTTは、まだ三年あるのに、とにかく先走って、長崎と銚子と二つの無線局しかないのに、この歴史のある銚子無線局を三月三十一日で廃止ということをNTTは決めてしまったわけです。あそこに百十五名職員がいらっしゃいまして、国家試験を受けた一級通信士、一級技術士百十五人、全国から集まっている。その人たちの九割以上を銚子以外に全部配置転換させる、全く別の仕事に。これは、労働問題でも大変だけれども、船の安全という意味で銚子無線局を三年前に、今廃止して一体どうなるかという大問題が起きている。  NTTは銚子無線局廃止の理由として無線電報サービスがどんどん減るということを理由に挙げた。九五年度は九四年度の五四%減る、そういう見通しを明らかにしたんだね、NTT。実績はどうですか、九五年度の。
  111. 山森隆俊

    参考人山森隆俊君) お答えいたします。  当初は、平成六年の当初に我々予測しました。そのときは平成七年度で二十九万通ぐらいになるんじゃないかというふうに予測しております。
  112. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 九五年度の実績を言ってください、九五年度十二月末の。何万通だったか。
  113. 山森隆俊

    参考人山森隆俊君) ちょっと十二月の数字は持ち合わせておりませんけれども、九五年、平成七年度末のことを見込みで申しますと、大体四十万通ぐらいになると思っています。
  114. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 二〇%ぐらいしか減ってないんですよ、五四%減るという見通しが。明らかに違うでしょう、違ったでしょう。
  115. 山森隆俊

    参考人山森隆俊君) はい。
  116. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 うなずいている。  そうすると、今四十万通と言った。四十万というと減ってないですよ、これは。NTTは九五年度予想で三十万三千通と言ったんだから、予想より十万通多い。全然減ってない。減ってないのに長崎だけにするんですよ、長崎だけに。これはやっぱり非常に僕は危険な状況が生まれると思うんです。  ここに、銚子局、長崎局、それから中波十二局のすべての運用時間の表があります。銚子はこれまで百五十三時間、長崎は百六十九時間、合わせて三百二十二時間の運用時間だったのに、銚子が全部なくなって、長崎も百六十九から百六十三時間に六時間減らすんですよ。そうすると、合わせると半分以下になる。三百二十二時間が百六十三時間だから半分以下じゃないな、四九%減って五一%になる。そうすると、通信数は二割しか減ってないのに窓口は半分にしちやうんですよ。これどうなりますか。電話線いっぱいで、やってみても長崎は通じない。結局、韓国を通じて、KDDを通じてぐるっと回すとか、そういうことになるんです。こういう海の公共サービス通信、これだけの公共性があるのに、何でこんなに急いで長崎一局にするんですか。おかしいと思うんです。その責任をどう思っているんですか。
  117. 山森隆俊

    参考人山森隆俊君) まず、通数のことから、誤解があってはいけませんので、私の方からちょっと説明させていただきます。  最近におきます銚子、長崎の両海岸局での平日の通数でございますけれども、一運用波一時間当たり大体三二通ぐらいの扱いになっております。一通当たりの交信時間というのは五分ちょっとでございます。そのほかに細々とした作業も実はございます。このデータからおわかりになりますように、そういうのも全部集めまして運用時間は一日大体全部延べで三百二十一時間、先ほど先生のおっしゃったとおりでございます。それに占める実質の交信とか細々とした作業は現実百五時間なんでございます。三〇%の稼働ということでございます。これがまず一点でございます。  このようなことから、現在の両局の交信等時間を単純に合算しましても、長崎一海岸局の体制に移行しまして、そして運用波を見直して運用時間を百六十三時間、先生先ほどおっしゃいましたような時間にしましても、これ十分にたえ得る稼働になるわけです。この辺のこともひとつ御了承願いたいと思います。  それから、先ほど二十九万通ぐらいの見通しに対して現在四十万通という現時点での推測でございますけれども、これも事実でございます。ただ、私大事だと思っておりますのは、四十万通にしましても、今のような計算でいきますと十分長崎一局でたえ得る、たえ得ると言ったら変ですが、対処できるものでありまして、その辺もひとつ十分御理解をいただきたい、こういうふうに思っています。  以上でございます。
  118. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 反論したいんですけれども、もう時間がないので、今度は郵政大臣です。  電気通信事業法の第十四条で、「第一種電気通信事業者は、」等々「の事項を変更しようとするときは、郵政大臣の許可を受けなければならない。」、こう決まっている、第十四条。「ただし、郵政省令で定める軽微な変更については、この限りでない。」と。電気通信事業法の施行規則第十一条に軽微な変更は何かというのを決めてあるんです。端末系伝送路設備。中継系伝送路設備にっ円いては伝送能力の六〇%以上の増加または二〇%以上の減少とならないものと言うんですよ。  私さっき言いましたように、今度の銚子無線局廃止は、運用時間が五一%になるんだから、四九%減らすんですから、明白に二〇%以上超えているじゃありませんか。電話交換機の変更には、百台のうち二十台以上変えるときは許可を受けてちゃんとやっているんですよ。何で今度の銚子局の廃止については、郵政省ではこれは軽微な変更に当たるとして、届け出だけでいいんだ、許可は必要ないんだという態度をとっておると言うんだけれども、どうですか、許可は必要じゃないですか。
  119. 五十嵐三津雄

    政府委員五十嵐三津雄君) 先生お話しのとおり、私どもとしては、十四条の二項ということで、これは、もし提出されるということになりましたら届け出ということで足りるというふうに考えております。  これにつきましては、短波によりまして引き続き無線電報サービスが長崎無線局を通じまして提供されるということで、いわゆる電気通信事業の一部の廃止に当たるというふうには思っておりません。そういった意味で、私どもは許可は不要であるというふうに考えているところであります。
  120. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 これは全く本当にNTT寄りの態度ですよ。国民や船の態度に立っていないですよ。先ほどのSOLAS条約にかかわるこれだけ国際的な大問題を控え、それを三年も早くやっているんで、労働者には犠牲を与える、船の一般公共サービスには物すごい窓口が減るというような状況の問題を今のような態度で、許可は要らないんだという態度なんだ。これは全く大蔵省と同じだね、官僚的態度は。これじゃだめになりますよ、日本郵政事業は。  それで私は、次の問題もあるので、郵政大臣に、この銚子無線局の三月末の廃止、これを郵政省として本格的に検討していただきたい。どうですか、大臣
  121. 日野市朗

    国務大臣日野市朗君) 今NTTの方からるる御説明がございました。先生からもいろいろ御主張はございましたが、こういう状況の中で、NTTとして合理化を図るという上での経営判断によって長崎一局によって提供することとしているわけでございますが、引き続き現在と同様のサービスが提供されるものというふうに理解いたしたいと思います。  また、長崎局においては、無線設備の二重化等災害時の通信のバックアップのための措置もとられておりますし、遭難・安全通信については海上保安庁の海岸局が全国に設置されておりまして、海上の安全確保に関する通信システムも構築されているところでございます。  一方、NTTの銚子海岸局は無線電報サービスの遂行のための無線局でありまして、海上の安全確保を本来目的としているものではないと理解をいたします。こうした点から、今般、銚子海岸局が廃止されても海上の安全確保上問題はないものと考えております。  このような観点から、本件電報サービスを長崎局一局によって行うというNTTの方針については、郵政省としても特段見直すべき必要はないものと考えます。
  122. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 どうもやっぱり、政治家が官僚に動かされるようではなかなか宝は守れませんよ。これは最後に一言申し上げておきます。  今の大臣の答弁は全く不満ですけれども、次に郵便局のニュー夜勤問題に移りたいと思います。  これは完全週休二日のために九三年の三月二十一日から始まったもので、ちょうどこれも三年たったんですね。それまで通称十六勤と言われていた夜勤があった。郵便局というのは真夜中が一番忙しいんですよ。郵便、小包の仕分けから何から物すごい仕事を真夜中にやっている職場で、それまでは十六勤と。十六勤というのは八時間ずつ続けるわけですよ、十六時間。ただし、三時間有給で特別休息がある、有給ですよ。だから、三時間特別休息があるから、ちょっとおふろに入っても大体二時間は寝られたんですよ。これでずっと大体うまくもっていたんですね。  それが今度はニュー夜勤という言葉で変わったんです。拘束は同じです。夕方五時から朝の九時まで十六時間。間に二時間、無給ですよ、今度は。無給の中断時間というのを置いたんです。今度はお金は出ないんだ。それでこれをニュー夜勤と言う。無給でしかも二時間でしょう。特別休息三十分、中断というわけだ。一時間半足して二時間だと。そうすると、一時間ちょっとしか仮眠できない。これを三年やったわけだ。  それで、もう驚くべき状況が生まれたんです。郵産労および新夜勤の廃止を求める全国郵便職場連絡会に連絡があったもので、このニュー夜勤に参加している職員の中で死亡者が二十一名出た、在職死亡者が。過労死の人もいる。ちょっと大臣にこのリストを差し上げたい。(資料を手渡す)郵政省に聞いたら、一人だけちょっと公務上のあれではないかという問題が出されているところがあるそうですけれども、聞いてもなかなか認めない。これ事実です、二十一人。  職場の名前から年齢から、どういう状況でなったか。やっぱり心不全が多い、心不全が。それで、三年の間にニュー夜勤の翌日とかそのときとか死亡者が出たというのは、その背景に、これ氷山の一角ですよ、二十一名の死亡は。それまでほとんどこういう在職死亡者というのはなかったというんだから。これは膨大な深刻な健康破壊が進んでいるという問題がここにある。  それで、私と衆議院の矢島議員とそれから緒方参議院議員と三人で、二月二日の深夜から三日にかけて東京の新東京と京橋郵便局の実態を見てきました。やっぱりすごいものですよ。  例えば、京橋の場合は二つタイプがある。一つのB六というタイプは夕方五時から翌朝の一時四十五分まで、ちょっとの休み以外は立ちっぱなしですごい作業です。それから、勤務中断一時間半。それで朝の三時十五分からまた始まるわけだ、仕事が。ちょっと寝て、一時間ぐらいでたたき起こされるわけだ。大体課長代理だか副課長がたたき起こす役目なんですよ。それで、たたき起こされて、三時十五分からの立ちっぱなしの、これは本当につらいそうです。眠りながらやっている人が出ると。それから休みは五分ですよ。たばこも吸えない、五分じゃ。朝食は十五分です。いや、これは大変な状況なんですね。  それで、この京橋でも、去年の九月、Aさんが亡くなられた。この人の勤務表を見ますと、ここにあります。Aさんは月に五回やっている。これを月に五回やっている。  それから新東京は、あそこに一緒にある東京小包郵便局、ここで二十一歳の大学生のゆうメイトという臨時の、アルバイトの人が、これ十二時間連続の新夜勤ですよ、週に二、三回やるわけだ。二十一歳の大学生が去年のやっぱり、ぜんそくを持っていた人で、翌日ぜんそく発作で亡くなっているんですね。  それで、労働組合から言われて僕はやっているんじゃないですよ。労働組合から言われたことももちろん大事に思うけれども、現場を見て、二十一名もこういう死亡者が出ていて、現場はこれじゃ健康破壊がひどくなることは明らかだと思うんですね。  労働省来ていますか。ILO条約並びに勧告でこの夜勤についてのがありますね。これに違反しているんじゃないかと私は思います。  ILOの勧告は、これは重要な勧告になっていまして、夜業に関する勧告は、「いかなる二十四時間においても八時間を超えるべきではない。」と。「二の勤務の間に少なくとも十一時間の休息の期間ができる限り保障されるべきである。」と。このニュー夜勤は間に中断二時間しかないんですよ。この勧告は十一時間間に置けとなっているんだから。労働省、どうですか。ILO、これまで批准はしてないけれども日本も賛成しているんだけれども、違反していると思うけれども
  123. 石川透

    説明員(石川透君) 先生お尋ねの件は、夜業に関します勧告、第百七十八号勧告でございますが、その第六項におきましては、先と言われますとおり、「二の勤務の間に少なくとも十一時間の休息の期間ができる限り保障されるべきである。」というふうに規定されているところでございます。  二時間の勤務解放時間がこの勧告に対し問題ではないかという御指摘でございますが、そもそも勧告は条約と異なりまして、各国の経済的及び社会的事情から見て画一的な規制を行うことは困難と思われる事項につきまして一定の目標を掲げ、各国がそれに近づくことを目的とするものでございます。したがいまして、法的な義務を課すものではございません。勧告の文言に合致しないことをもちまして直ちに問題であり是正すべきである、違反であるというのはいかがかというふうに考えているところでございます。
  124. 及川一夫

    委員長及川一夫君) 上田委員、時間が来ていますからまとめてください。
  125. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 勧告と条約は違う、勧告は十一時間間に置けというのに二時間だと、各国画一的でなくていい、こういう答弁。労働省は労働者の権利守れませんよ、健康も。  それで大臣日本産業衛生学会、こういう問題の専門家です。去年の二月に提言を出しているんです。この提言は、「深夜帯の八時間勤務につきおおむね二時間以上の適切な仮眠時間を保証する。」、二時間以上なんですよ、人間の生理のシステムがありますから。僕はきょう研究書を持ってきているけれども、もう時間がないんで言えないけれども、夜勤で最初の二時間というのはノンレム睡眠、深く寝て、普通に夜寝るのと同じぐらい効果があるというのが研究で明らかになった。その深く寝入った二時間の一時間のところでたたき起こされちゃう。これは人間の生理を破壊しますよ。  大臣、私はこの問題を非常に重視しているんで、これからたびたびやりますから覚悟してください。このままほっといて数年たちますと、やっぱり郵便局の職員、労働者の健康は必ず破壊されます。家庭生活社会生活も。住専で金融システムの安定がどうかと言っているけれども、郵便システムが危なくなりますよ、これ。ですから、私は有給で二時間以上の仮眠を保障すること、三時間の休息を有給で、五十歳以上はこういうのにつかせない、これは緊急に必要だと思うんだけれども、最後に大臣の誠実な責任ある答弁を求めます。
  126. 日野市朗

    国務大臣日野市朗君) ILOの勧告は日本はまだ批准していないところでございまして、またILOの夜業に関する勧告案でございますね、これに労働時間と休息時間に関する取り決めがございます。「夜業を行ういかなる二十四時間においても八時間を超えるべきではない。」というような取り決めがありまして、「但し、勤務の大半が単なる付き添い若しくは待機状態の場合、又は代替の勤務計画が団体交渉を通じて合意されている場合には、この限りではない。」というふうになっております。  また、先生からちょうだいいたしましたこのリストでございますが、郵政省におきましてもこのリストに基づいて調査した結果も実は持っております。その中をずっと見てみますと、私傷病であるという認定を受けた者、それから公務外認定を受けた者、これがずっとありまして、現在、公務認定を受けた者は交通事故死をされた方一件ございます。五件については現在調査を進めているところであります。  そして、平成五年三月に郵便関係職員に完全週休二日制を実施するに当たって必要となる要員を生み出すために、従前の十六時間勤務、これを廃止して、新しい勤務システムとして二つの勤務を組み合わせたニュー夜勤という一つのシステムをつくったわけでございます。これは、サービスを極力低下させず、かつ現行の予算、定員の範囲内で実施するとの政府の方針がございまして、これは平成三年十二月の閣議決定でございますが、それを踏まえてこのような処置をとったものであります。  また、この勤務は、関係法令、労働組合との協約等で定められておりまして、実施後三年近く経過した現在では、この新しい勤務システムは定着しているものと考えております。  なお、職員の健康問題については重大な問題でありますから、今後とも十分に配慮してまいるつもりでおります。
  127. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 終わります。
  128. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 二院クラブの山田でございます。  大臣はお忙しいからテレビなど見る機会が少ないと思いますけれども、いわゆる俗悪番組についてのテレビ番組のあり方という観点から御感想なり御意見をお伺いしたいと思います。    〔委員長退席、理事陣内孝雄君着席〕
  129. 日野市朗

    国務大臣日野市朗君) 私も結構テレビを拝見しておりまして、俗悪番組のたぐいも見ないわけではございません。  テレビというものは、国民の共有財産である電波を用いて広く国民に情報を送っているわけでありますから、社会的な影響力の非常に大きい公共的なメディアでございます。こうしたテレビにおける番組というものは豊かで文化的な社会の形成に貢献するということが必要なわけでございまして、私も俗悪番組と言われるもの、さてどれが俗悪番組かということから、それは非常に大きな問題があるところでございまして、これからも十分な検討は進めてまいりたいというふうに思います。
  130. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 おっしゃるとおり、俗悪番組と一般に言われるわけですが、何をして俗悪番組か極めてはっきりしないところであります。  放送法の三条の二というのを見てみますと、放送事業者というのは番組編成に当たって公序良俗を害しないようにやらなきゃいかぬ、こういう規定があるわけであります。公序良俗に反しない番組。  公序良俗に反するというと、俗に暴力シーンだとかわいせつな性的なシーンを放映するとか、あるいは下品な番組なんでありましょうけれども、このところの新聞を見ていますと枚挙にいとまがないように投書がなされているんですね。俗悪番組の放映の中止を何とかしてくれないか、何とかならないかという主婦の声は多く聞くところであります。  私どもも体験するところでありますが、極めて小さな子供たちが話しているところを見ると、てめえぶっ殺すぞ、おまえ何とかかんとかと到底考えられない言葉で会話を取り交わしている。これは恐らくテレビが、あるいは漫画本の影響もあるんでありましょうけれども、影響力が非常に大きいと思われるわけであります。  テレビ番組のあり方については、人権とかプライバシーだとかいうようないろんな保護の観点からNHKと民放とが協力して何らかの研究会、審議会をおつくりになっているようにも聞いているんですが、こういう俗悪番組追放のための勉強会、諮問機関、そういう委員会みたいなものがあるのかないのか。もしなければ、そういうようなものをつくって、何らかの俗悪番組追放というか、いい番組がつくられるような形への番組の姿勢、あり方を問う機関というものをぜひ設置していただきたいという希望を込めて、その点をお尋ねいたします。
  131. 楠田修司

    政府委員楠田修司君) 放送番組のあり方につきましては、例えば国政モニターであるとか直接郵政省にさまざまな意見が寄せられるというようなことがしばしばございます。その中では、先生指摘のような例えばいじめの問題あるいは暴力の問題、子供向けのテレビの番組でこんなに人殺しの場面がたくさんあっていいのかというふうな意見もございます。  我々として、放送事業者は基本的には放送法の第三条の三の規定に基づきましてみずから定める番組基準というのをつくります。その番組基準の中で、例えば青少年問題に関しますと、児童及び青少年の人格形成に貢献し、よい習慣、責任感、正しい勇気などの精神を尊重させるように配慮するとみずから決めて、それに沿う番組をつくるということになっておるわけであります。しかしながら、実際にはそういうふうな御意見もたくさんございます。なお、放送というのはこれから多チャンネル化して、いろんな放送がふえてくるときにこのような問題がたくさん起こるんではないかという危惧をなされる方もあるわけでございます。  そういう中で、郵政省といたしましては、昨年九月から、有識者から成る懇談会でありますが、これにはNHK、民放連にも入っていただいております。また、PTAあるいは人権問題の専門的な弁護士さんとかあるいは学者の方々等々入っていただきまして、名前は多チャンネル時代における視聴者と放送に関する懇談会というものでございますが、この中で一つテーマとして、放送が青少年に与える影響も含めて今検討していただいておるところでございます。その中で、そういうチェックする機関、外国のものも調査いたしまして、どのようなものがあるかということをいろいろ今意見を出していただいておるところでございます。    〔理事陣内孝雄君退席、委員長着席〕  それを踏まえまして、日本に適するような形あるいは現在の状況でどのような番組審議機関を、今ございますけれども、それをどのように運用するか等々含めまして考えていきたいというふうに思っております。
  132. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 アメリカでことしの二月八日、いわゆるバイオレンスチップという連邦新放送法が追加条項の形で成立しております。それはどういう条項かというと、アメリカというのは非常に暴力というものが若者に与える影響が多いということで、テレビ番組に対する一般の家庭、親権者たちからの何とかならないかという声が相当前々から持ち上がっていた。そういう観点を踏まえてでありましょうが、ことしの二月八日に成立しているわけであります。  そのバイオレンスチップという条項の盛り込みの内容は、保護者が買ったテレビにある機械なり設備を設置して、子供が見ようと思っても見られないような構造設備を設置してしまう、親がテレビに対する監視権、管理権を持つちゃおうという、日本に取り入れたら極めて問題のような制度アメリカはことし成立させました。  今月二十日ですか、毎日新聞で郵政省楠田修司放送行政局長が、このアメリカ制度日本にはないのでぜひ取り入れたい、こういうふうに御発言なさっていると報道されております。このアメリカのバイオレンスチップみたいな形で、これに限りませんが、これを取り入れるか、あるいはこれ以外の先ほどおっしゃった方法で暴力番組、いわゆる俗悪番組に対する規制、対処の仕方として郵政省は今このバイオレンスチップ、アメリカの法以外に何らかの対応をお考えなのか否か、お尋ねをいたします。
  133. 楠田修司

    政府委員楠田修司君) バイオレンスチップ、先生の御説明のとおりであります。  もう少し詳しく申し上げますと、アメリカでは二月八日に成立いたしまして、テレビ製造業者は十三インチ以上のテレビにVチップ、バイオレンスチップを内蔵させる。かつ、放送事業者は自主的に暴力や性的シーンの多い番組のレベルを格付しまして、これレーティングと言っておりますが、番組にこれを示す信号をつける。そして、格付の基準については放送事業者が一年以内にFCCの承認を得られる案を自主的に作成する。それを作成しない場合はFCCが第三者機関の勧告に基づきガイドラインを作成する。かつ、これらは今すぐというわけじゃなくて、少しの暫定期間を置いて成立させるというふうなことでありまして、親はそのレーティングを見まして、Vチップによりまして子供に見せないようにすることができる、こういうふうなシステムでございます。  我が国の場合ですが、新聞には「かもしれない」というふうな形で出たんですが、こういうことを紹介したときに、日本はどうするかというときに、いや絶対これは日本ではだめだとは申せない、現在、視聴者の懇談会等でこういうことも話題にはなっております、これだけ言ったわけですが、それが新聞にはああいうふうになったわけであります。日本アメリカとは情勢が違いますので、必ずしもアメリカと同じようにこれが適用できるかどうかということはまだ申し上げるわけにいかないと思いますけれども、これも一つの事例として検討の課題だというふうには考えております。
  134. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 次に、質問を変えますが、午前中、河本委員が携帯電話のことで医療機器との関係を聞かれました。重複する部分もあるいはあるかもしれませんが、その関連として、私自身極めて重要なテーマだと、問題だと思いますので、確認の意味も含めましてお尋ねをいたします。  ことしの毎日新聞の二月の報道なんですが、事件といいますか、事は去年岡山の日赤病院で起こった。日赤病院に入院中の患者が点滴を受けながら携帯電話をかけたら、この点滴が作動を停止してしまったという報道であります。その後、携帯電話が発する電磁波が医療機器に与える影響ということを真剣に考えなきゃいかぬということで何度か実験をされたら、それはやはり携帯電話が発する電磁波が医療機器に影響を与えた結果、誤作動、いわゆる点滴が停止したということは明確に立証されていると聞いております。  たまたま点滴であったから看護婦さんが急いでいじってまた戻ったわけですけれども、私の友人なんかに心臓にバイパスを常に入れている人もいるわけですけれども、こんな人が携帯電話をかけたときに心臓のバイパスが停止してしまったら大変な問題になるわけであります。  河本先生の質問に対して、午前中、目下検討中である、データ作成中であるというお答えであったわけですけれども、これは極めて僕は重要なことだと思うんです。医療機器に与える影響、人体に与える影響、これが本当にあるのかどうか、急いでこれは調査されなければいけない緊急、逼迫のテーマだと思います。  午前中に、携帯電話の売り上げが年々倍々と来ている、現在、九百何万の売土台数を誇っている、携帯電話の販売はこの不況を打開するための新しい事業としての牽引車になるんだとまでおっしゃった。この大事な携帯電話の販売がそういう非常に極めて危険性を持っているとしたなら、これはまさしく厚生省のつい最近のエイズウイルスの感染じゃないけれども、資料公開、いわゆる危険性の確認を怠ったためにあれだけの被害を生んでいる、あれの二の舞を生んでしまうんじゃないかという危険性すら私は痛感するのであります。  そういう観点から、携帯電話と医療機器との間にどういう影響力があるのか、そして携帯電話と人体への影響をどの程度調査され、現在どの程度まで立証されているのか、これをお尋ねいたします。
  135. 五十嵐三津雄

    政府委員五十嵐三津雄君) 午前中も申し上げたところでございますが、先生最初に御指摘になった点というのは、当時、点滴をやっているときにポンプから五十センチないし三十センチの距離で携帯電話を使ったときに起こったというふうに言われているものでございます。  特に、こういった事案が起こったということを踏まえまして、医用電気機器作業部会というのをつくって急速検討に入っております。従来からやっていたものにプラスしまして、これはもちろん病院関係者それから厚生省の方々、医療機器メーカー、そういう方々も皆入りまして、本年三月を目途に、病院の中で使う携帯電話の使用制限というようなことにつきましてガイドラインをまとめるということにいたしております。こういうことで、この三月に出ますので、これを直接扱う事業者あるいはメーカーにそれを連絡し徹底していく。一方で、厚生省を通じて医療機器あるいは医療関係者にこれを周知する。要するに、マナーに類するような側面もかなりありますので、そういう面もあわせてガイドラインの作成に取りかかっているところでございます。
  136. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 ガイドラインの作成程度で事足りるのかどうか、早急にこの因果関係の立証をやっていただきたい。アメリカではもう訴訟が起きているんですね。携帯電話を使ったために腎盂炎になったということで損害賠償請求訴訟が起こされた。因果関係の立証不十分ということで請求棄却にはなっておりますが、それ以後、携帯電話使用は必ずアンテナから二・五センチ離しなさいという政府通達という形でアメリカは徹底されているんです。  そういう意味において、危険かどうかわからない状態の中にある今現在、放置のままガイドラインで徹底周知を図るということで足りるのか。究明されて、何もない、全然影響ございませんよという発表を一刻も早くしていただきたいんですが、それが出るかどうかわからない。現に、幾つかのデータが危険性を指摘している。  こういう状況下の中にあって、今二月でありますけれども、三月じゅうにはその結論が出るわけですか。
  137. 五十嵐三津雄

    政府委員五十嵐三津雄君) そうでございます。
  138. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 人体に影響を与えて、今や携帯電話をかけているとがんになつちゃうなんというデマまで飛び込んでいる。そういう状況は御存じかどうかわかりませんけれども、まさしく人体に与える影響、この携帯電話というものの影響度が非常に叫ばれている。ぜひ郵政省として明確な検証、調査、研究の結果を速やかに発表していただきたい。ぜひお願いを申し上げまして、この質問を終わります。  次に、マルチメディアの通信の弊害についてお尋ねをいたします。  マルチメディアの振興、推進に関してはいろんなところで多くの声を聞くわけであります。このマルチメディア振興というのは、すべての人を平等に結び、福祉や民主主義社会を推進する上で、また長引く不況を打開するための経済対策としてもまことに重要な施策であります。コンピューター通信網を使った教育、医療、商取引等の情報提供は、我々人類に限りない利便性と明るい未来とを与えてくれるわけであります。  反面、その利便性が犯罪の温床と化するおそれもあるという事実であります。現に、アメリカにおいては、コンピューター通信網を使った青少年のポルノ汚染、詐欺、名誉毀損、機密情報の盗難、悪質な選挙妨害等が発生しております。我が国においても、昨今、インターネット上でポルノが警視庁によって摘発されたところであります。今後、こうしたマルチメディア通信を悪用した犯罪行為は急増していくであろうと言われております。  このインターネットのマルチメディア通信がさらに怖いと思われるのは、精神的に未熟な青少年が、コンピューター好きな青少年が爆弾やサリンの有害化学薬品の製造方法に関する情報を簡単に入手できるという現状なんです。極端な話、原爆ですらつくられるとまで言われているんです、このインターネット情報を活用すれば。  大臣所信表明の中にも、来るべき二十一世紀のマルチメディアの時代の利点と振興が大いに強調されております。この明るい陽の部分と、その裏の影の部分といいますか、マルチメディアの二十一世紀に向けてのいろんな振興、進展、いい面は幾つか紹介されたり叫ばれているわけでありますが、その裏側の部分といいますか、影、落差の問題だとかいろいろあるわけであります。  今、私が申し上げましたようないわゆる光の部分ではなくして、弊害部分に関して、大臣はこのマルチメディアの弊害をどのように考えておられるのか、それに対する取り組む姿勢をお尋ねいたします。
  139. 日野市朗

    国務大臣日野市朗君) まさに先生おっしゃるとおりでありまして、光の部分があれば影の部分があると。また、病理現象といいますか、そういうものもこういう新しいものというのは必ず持っていると私は考えます。そして、そういった病理現象、影の部分、これをいかに除去していくかということも非常に重大な仕事であるということを私もよく認識しているつもりでございます。  このマルチメディアの進展によりまして、今先生おっしゃったように、インターネットにおけるわいせつ情報だとか爆弾の製造方法などというような犯罪情報とでもいいますか、そういったものがどんどん流通をするというような危険もございます。また、マルチメディア機器の操作にふなれで情報格差が生ずるというようなことも一つの病理現象とも言えると思いますし、ハッカーなんというのがありまして侵入をしてくる。また、他人の名義を無断で使用した者による銀行口座への無断侵入、こういう非常に大きな病理の部分というものを我々も十分に認識をしなければならない、このように思っています。  そういった新たな社会問題が生ずるおそれがあるわけでありますから、このような課題に適切に対応していくために多くの方々の御意見を拝聴することが必要であるという観点から、二十一世紀に向けた通信放送の融合に関する懇談会を開催いたしまして、その中でさまざまな問題について総合的に検討していただいているところでございます。そして、この懇談会の中には法制部会というようなものも置きまして、今検討をお進めいただいているところでございます。  来るべきマルチメディア社会が、国民にとって本当に豊かな社会をつくっていけるように、このような課題にも我々忘れたりこれを無視したりするということは決していたしませんで、積極的に取り組んでまいりたい、こう考えております。
  140. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 次に、私はことしの一月に本委員会及川委員長初め五人で離島、長崎県の対馬を視察してまいりました。そこでのいろんな問題、離島特有の問題、僻地の問題があるわけですけれども、厚生省との絡みもあってあれなんですが、純粋に郵政省関係に関する問題を一点だけ感じましたことを質問したいと思うんです。  対馬というのは四万四千の人口で、そこにはいづはら病院という総合病院が一つだけあるんですね。総合病院といっても脳外科がないんです。だから、対馬で脳溢血とかクモ膜下出血を起こしますと、そこでの治療の方法がないんです。  そこで、患者はそのいづはら病院に運ばれまして、CTスキャンで脳の輪切りの映像を撮りまして、それを長崎の大学へ電話回線を利用して送って、長崎大学の専門医がそれを見て診断をして、直ちに患者を運んで手術が可能か、治るか治らないか、あるいはだめかという診断をするというところを見まして、遠隔地医療でNTTというか電話回線による映像送付による診断、まさしくマルチメディアの最たるものを見てまいったわけであります。  この対馬と同じような条件というのは、日本の僻地とかいろんなところにいっぱいあると思うんですが、私無知で全然知らないんですが、これは極めていい制度であって、いいわけなんですが、日本のいろんなところにこういうような電話回線に基づく診断方法なんというのはあるのかどうか。もしなければ、そういうものはぜひ、厚生省とかいろんなところでの影響はあるわけでありますけれども、そこら辺のところをちょっとお尋ねいたします。
  141. 山口憲美

    政府委員(山口憲美君) 医療分野というのは、マルチメディアの中のアプリケーションと言っておりますが、利活用の方法として大変有力な分野だというふうに思っておりまして、私どもも厚生省と連携をして、いいものをまずつくっていくということが必要でございますので、今力を入れてやっているということでございます。  今お話しの対馬のようなケースというのが全国的に展開されているかということになりますと、なかなか、長崎県は大変一生懸命に取り組んでおられまして、大変成果を上げておられるものでございます。  もしお許しいただければ御説明させていただきますが、こういった医療の分野ではいろんな形での使い方がございます。そして、そういったものを開発しながら利用をしていただいて、そうしてまた問題点を改善して本格的な普及にというふうな形で進めていくのがいいのかなというふうに考えておりますが、一番大切なのは、やはり伝送をいかに医療にたえられるような形のものにまで持っていくかというところが非常に大事なことでございます。  大きく分けまして二つございまして、医療機関相互間でお医者さん同士がやるというものと、それから患者さんとお医暫さんの間に電気通信が介在するという二つのタイプがございます。  医療機関相互間のものということにつきましては、先ほどのお話のようなエックス線でありますとかCTスキャンというふうなものの診断画像を伝送するというふうな形で自治体がいろいろ取り組んでおられますので、そういったものに対しまして格差是正事業というふうな形のものを通じて支援をしていきたい。現実にもう始めておりますが、そういったことを考えております。それからまた、中にはこういう医療情報を衛星を介してやるというふうなことも可能かどうかということでの伝送実験等もやらさせていただいております。  それから、直接患者の皆さん先生を結んでというものにつきましては、血糖値だとか血圧だとか、そういったものの伝送を行ってやるようなシステムというふうなものが今開発されて実験をされております。そのほか一番大切なのは、いかに経済的にシステムを組むかということがこの普及のためには大切だというふうなことで、過疎地に適した経済的なシステムの開発というふうなことでの実験もさせていただいているということでございます。  それからまた、かなり大がかりなものといたしましては、この五月ごろから始めたいと思っておりますが、日米間で立体画像を前提といたしました医療の情報伝送のようなものをやりまして、アメリカの方、これは具体的にはノースカロライナと名古屋大学、そして私ども通信総合研究所を介在してというふうなことを考えております。それから、クリーブランドと九州大学の医学部と産業医科大学の医学部というふうなところで立体画像をやろうとしております。  これは、アメリカ日本では病気の治療等について得手不得手があるんだそうでございまして、そういった向こうの得手のものをこちらへいろいろ教えていただくとか、双方やろうとか、あるいはこういうものが普及しますと、先生お話では、症例というのは非常に日本では少ないけれども、全世界のものを集めると症例としてかなりのものが集まって一定の判断ができるとか、そういうメリットがあるというふうなお話も聞いております。  いろんなケースが医療の世界では使えるのではないかというふうに思っておりまして、先ほど申しましたように、厚生省の皆さんとも御相談しながら、十分に実用にたえ得るようなものに仕上げていきたいというふうに考えている次第でございます。
  142. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 よくわかりました。  電話回線による映像、脳のCTは白黒で判断可能だそうですけれども、内臓、胃とか腸だとカラーでないとどうしようもないというようなお話も聞きました。カラーにすると白黒と比べると何か相当高いということで、電話回線によるCTスキャンによるカラーの映像伝送が非常に困難だと、経済的理由からだというようなことを聞きまして、経済大国日本で経済のために人命救助がおくれないような形で考慮されることを期待し、NTTのさらなる過疎地医療に対する取り組みを徹底していただくことを希望いたします。  幾つか質問を用意したんですが、最後の質問で、よくコールバックという、何か日本からアメリカに、外国に電話すると高い。内外電話料の価格差によって立つ原因なんですが、僕はよくわからないんですが、何らかの通信を向こうに発して切ってしまう、そうすると向こうからかけてくるという。  日本の発信量と受信量を統計で見てみますと、何か向こうからの受信の方が圧倒的に多いということで、すべてこのコールバックということではないんでありましょうけれども、やはり国際電話日本からの方が高いという、内外の電話料の価格差だろう。幾つかいろいろと言われているところでありましょうけれども、こういう形のあること自体が、私ども聞きまして極めて不自然だと思うんですね。  日本からアメリカにかけたいのに、直接かけるんじゃなくして、向こうに何らかの連絡をして向こうから改めてかけさせるという、料金が安ければその方法を考えるのは人間の知恵でもあるのかもしれませんけれども、こういうコールバックという弊害に対して郵政省は事実をどのように認識されていて、どう対応されようとしているのか、お尋ねをいたします。
  143. 五十嵐三津雄

    政府委員五十嵐三津雄君) コールバックをビジネスとしてやっている方は幾つかの仕組みがあるようですけれども先生からお話のありましたように、こちらからアメリカにかけたいんですけれども、何らかの信号を発してアメリカからこっちにかけさせる、例えばこういうことだという前提で御説明を申し上げさせていただきたいというふうに思っておりますが、言ってみますと、日本からかけるよりもその国からかけてくるという方が安いという面では、このコールバックの仕組みを使いますと消費者という面ではそれに利益をもたらすという側面がございます。  一方、日本発信の通話が外国からの通話に振りかえられるということで、国際通信事業者は需要が減っていくという意味で経営に与える影響というようなことが問題になります。  ちょっと数字を見てまいりますと、日本全体では、平成六年度の数字で見ますと、着信よりも発信が実は多いんですが、アメリカとの関係で見ますと、やはり日本に着く方が多いという流れになっております。  この問題、最初のうちは特にアメリカとの間で問題になりました。アメリカとの間の料金の格差という意味で問題になりました。当時、一昨年になりますが、KDD初め国際通信事業者は、日本の料金を安くするということで、金額がほぼ同じになれば今のような方法はとってこないということで安くいたしました。その結果、どうなったかということですが、為替の関係もかかわってきまして、今円がどちらかというと安目に行ったということで、今はアメリカから日本にかける方が三割ぐらい高いという状態に変わりました。ただ、例えばアジアで、香港、シンガポール、これは日本より三割以上安いという状況がございます。そんなことで、このことにつきましてはITUという国際電気通信連合の場でも議論がされております。  そういうことですので、その推移を踏まえなければならないというふうに思っておりますが、基本的には相手の国との間の方向別の格差を是正して、内外価格差といいますか、それを是正していくということが根本的なことではないかというふうに考えているところでございます。  なお、通信事業者の皆様方の最近の理解というのは、そういう意味で次のステップはアジアとかそちらに向けて、料金格差がある部分についての料金の低廉化の方向に向かって取り組もうという動きになっているというふうに私自身は承知をいたしております。
  144. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 終わります。
  145. 水野誠一

    ○水野誠一君 さきがけの水野でございます。  大臣は、本年一月二十三日に「「第二次情報通信改革」に向けた規制緩和の推進について」を発表されました。そこでは、行政改革委員会等の意見を踏まえて、参入規制の問題、料金規制あるいは接続規制の緩和、見直しなど、情報通信を取り巻く社会経済情勢の急激な変化に対応したものであるということで、これは評価されるものではないかと思います。  しかし、私は、これからの情報通信行政というものは、これは単に情報通信行政の問題だけではないんですが、今我が国における行政全体に求められるものだというふうに考えております。いわゆる産業の保護育成中心行政を全面的に改めて民間の自由な競争を促進していく、またその民間の自由な競争のための環境を整えていく、こういう方向に向かっていかなければいけないんではないかというふうに考えています。市場における競争の促進あるいはサービスの多様化、それから低廉な料金の実現というような方向に行政が向かっていくべきではないかというふうに思っています。  その点からいくと、まだその考え方のベースが本当の意味での自由化というものに向かっているのかどうかというようなところで多少御質問をさせていただきたいというふうに思っています。  それと同時に、先ほど広中先生からの御指摘もあったように、郵政省における情報通信分野の予算というのが六百三十一億というような金額であり、これはまだまだ不十分な金額ではないかなということを私も痛感するわけであります。  今後、二十一世紀に向けて、この情報通信分野というものが非常に重要な分野であるだけに、ぜひとも大臣の今後の二十一世紀に向けての御見解、ビジョンを伺わせていただきたいと思います。
  146. 日野市朗

    国務大臣日野市朗君) 先生指摘のように、一月二十三日に大幅な規制緩和についての方針をお示しいたしました。  一九八五年、昭和六十年でありますが、第一次情報通信改革を行ったわけでございまして、それによりまして活発な参入、それから事業者間の競争が行われて、料金の低廉化、サービスの多様化に結びついていったというふうに思います。それが進展していったというふうに思っております。  それ以来、十年をけみしているわけでありますが、急速な技術革新、それから社会情勢の変化ということがございまして、我が国の経済の構造改革を促す上で情報通信の果たす役割というのは一層大きなものになってまいりましたし、だんだん大きくなってきたというよりは、むしろ質的な転換をしているのではなかろうか、こういうふうに考えております。  こういった状況を踏まえまして、我が国の高コスト構造ということがよく言われておりますが、これの是正をも図る、そのために情報通信市場の活性化を図っていくということで、御指摘のような情報通信市場の競争を一層促すという方向で行政を展開してまいろう、このように思っている次第であります。  一月二十三日には、「「第二次情報通信改革」に向けた規制緩和の推進について」ということで規制緩和策を発表させていただいたわけでありますが、今後、電気通信審議会の答申をも踏まえながら、競争を通じた情報通信産業のダイナミズムの創出に向けて第二次情報通信改革の実現のために取り組んでまいりたい、このように考えております。  もちろん、この情報通信というメディアはこれからの日本の経済構造、それから社会の構造を大きく変えていく、そして新しい日本の活力というものが生み出されるとすれば、この情報通信の分野が寄与するところ非常に大きいものと考えております。
  147. 水野誠一

    ○水野誠一君 今、あえて冒頭大臣にお考えをもう一度確認させていただきましたのは、競争というものの概念、しかもこの情報通信という分野における競争の概念というのは、どうも国内の市場だけをにらんでいるということではない、もっと大きな世界の情報通信市場というものをにらんで物事を発想していかなきゃいけないということにほかならないからであります。  今の世界の情報通信市場では、御案内のように、メガキャリアと呼ばれる各国を代表する巨大通信事業者による戦略的な提携というのが展開されつつあるわけであります。AT&Tを中核とする国際企業連合、それから英国のブリティッシュ・テレコムと米国のMCIとの連合、あるいはドイツ、フランスの両テレコムと米国のスプリント社との連合、大きく三つのグループによって国際的な勢力地図が今描かれようとしているわけであります。  このような各国メガキャリアによる積極的な国際提携というのは世界における通信需要の獲得を目指したものであるわけですが、加えて、今後の基幹産業と期待されている通信機器やソフトウエアなど広範な周辺産業の発展にとっても非常に重要な意味を持つということは申し上げるまでもないわけです。  このようなメガキャリアの出現の背景を考えていきますと、英国がブリティッシュ・テレコムの非分割を、あるいはドイツ、フランスもそれぞれのテレコムの非分割を決定したことがあるのではないかというふうに考えます。  また、現在、これは今話題になっておりますが、電気通信審議会で論議されているNTTの分割の問題に関しても、このような国際的なメガキャリアの存在、あるいは国際的なメガキャリアとの今後考えられる競合、競争というものを考慮した視点が必要だというふうに思うわけでありますが、仄聞している限りにおいてはこういった視点がどうも十分ではないんではないかなという危惧を持ちます。  先ほどからもいろいろ御質問がありましたが、インターネットに代表されるコンピューターネットワークの発展、あるいはあらゆる情報というものがボーダーレス化を急速に進めている中で、我が国の電気通信事業者が世界のメガキャリアの動きに取り残されない国際化戦略を展開できる環境整備が必要なのではないかと思います。  すなわち、完全な自由化というものを前提にメガキャリアの国内参入を受けて立つ、立てる、あるいはなおかつ日本通信業者が海外市場に進出していくためには、場合によってはNTTの分割ではなく、NTT、KDDをも連合した新たなメガキャリアづくりが必要であるというような考え方さえもできるんではないかと思うわけであります。  今、述べてまいりましたような国際競争の現状、また我が国の情報通信産業の国際競争力向上のための環境整備ということに関して、郵政省のお考えを例えればというふうに思います。
  148. 五十嵐三津雄

    政府委員五十嵐三津雄君) 先生からるるお話のありましたとおり、ワールドパートナーというようなものについてはKDDが参加するとか、そういう形で日本のキャリアの方々も動いてきているということで、簡単に言いますと、ねらいは国内も国際もそれぞれサービスがワンストップショッピングでやれるというようなこと、一方の見方から見ますと、こういう事業者がお互いに提携をして、大口のお客といいますか、多国籍の企業のお客を囲い込むというような要素もあるんじゃないかというふうに思われます。  こういった中にありまして、国際通信の世界というのは、全体から見れば我が国においては五%程度、そういう分野の産業ではありますが、先生指摘のような動き、こういった中で国際提携をして、より活発なサービス展開をすると同時に、また事業者としても海外進出していくということは極めて重要なことだというふうに思っております。その中で私どもアメリカの動きとヨーロッパ大陸の動きは若干違っているのではないかというふうに考えております。  アメリカの国では決してメガキャリアというようなことは申しません。自国の中にあって、メガで独占をするというイメージを持つことはないというふうに私ども何度か確認した中でも聞いております。国内の中に競争がある。アメリカ政府関係者が言う言葉では、十の国際的に競争できる会社がある、それが積極的に国内の競争を背景に海外に出ていくということであります。  ヨーロッパ大陸の国々にありまして、特にドイツ、フランスというのは今の独占を一九九八年に初めて競争に向かうという世界でありますので、これはまだまだ国営事業といいますか、こういう段階ではなかろうかというふうに思っております。  一方、マーケットというような観点から見ても、ヨーロッパ、ドイツ、フランス、イギリスを足しましても、大体世界のGDPで見て四百四十六兆ぐらい。日本だけで四百六十六兆。三国より上回るというような日本の経済のスケールになっております。  そういった意味合いにおきましては、ある意味でいいますと、国内におきます競争、そういったことを進めながら積極的に海外に進出する、あるいは提携するということで、私どももダイナミックな競争環境というのをつくることに積極的に努めてまいりたいというふうに存じております。
  149. 水野誠一

    ○水野誠一君 競争というものを国内の競争に限定せずに、国際的視野からぜひお考えをいただきたいというふうに思います。  次に、放送行政について伺いたいと思うんです。  先ほど山田先生からVチップについての御質問がありました。私もVチップに絡めて、日本の低俗番組あるいは暴力番組ということに対する規制の問題を伺いたいと思っていたわけでありますが、もう既に山田先生から出ましたので、重複は避けさせていただきたいと思います。  ただ、その中で、政府委員のお答えの中に、Vチップの導入について、日本アメリカと違うのでやや難しい点もあるんではないかというようなお話がありました。その点について、もう少し伺いたいと思います。  と申しますのは、こういった放送に対して規制をするということになりますと、確かに報道の自由とかあるいは言論の自由、表現の自由という問題が絶えずつきまとうことになるわけであります。これもまた非常にデリケートな重要なテーマであるというふうに思うわけでありますが、アメリカを考えた場合には、アメリカというのはさらにもっとこういった報道の自由あるいは言論の自由に対してシビアな考え方を持っている。  アメリカでは、私の記憶が正しいとすれば、放送コードについてもたしか十三ぐらいのカテゴリー、グレードを持って規制に当たっているというふうに聞きますし、今回のVチップ、バイオレンスチップの導入というようなことに対しても非常に積極的に動いてきているという中で、アメリカと違うという意味はどういう意味でお使いになったのかということについてお尋ねしたいと思います。
  150. 楠田修司

    政府委員楠田修司君) この問題でアメリカと違うと申し上げましたのは、それほど大きな意味はないわけです。  実は、視聴者の懇談会等でも話されたものがあるわけですが、アメリカ日本と違う面があるとしますと、このバイオレンス、殺人とかそういうふうなものがやっぱりアメリカは物すごく多いと。日本はそれに比べて、まあそうは言ってもまだ麻薬の問題であるとか暴力の問題はアメリカほどではないという意見も一つございます。  それから、アメリカの場合は、視聴者団体といいますか、そういうものが非常に組織化されておりまして、番組等に対する注文も非常に多い。ところが、残念ながら日本では、団体の方も認めておられましたが、視聴者団体もなかなかまとまった意見が出せない。かつ、問題は、放送会社へそれを出したとしても十分受け取るところがない、反映されない、こういうような組織的な問題がある。  そういうふうな中で、このバイオレンスチップ、私は難しいとかそういうことは別に言っておりません。アメリカと若干環境が違うということだけを申し上げておるわけですが、バイオレンスチップはそういう背景でアメリカ導入されたというふうに思っております。かつ、このバイオレンスチップも、私の調べた範囲では、そんなにスムーズにいっているわけではなくて、まだなおかつアメリカで議論は非常にございます。これは親に責任を課すものではないか、あるいはやっぱり表現の自由の問題、今まだ議論を呼んでいるところでございますので、そういう面も注視しながら、やはり日本としてはこれは一つの事例として参考にしていきたいとは考えておるわけでございます。
  151. 水野誠一

    ○水野誠一君 今、日本アメリカでは暴力あるいは麻薬等々の浸透度も違うというお話もあったんですが、ともかくここ数年の麻薬あるいは暴力についての変わりようといいますか、さま変わりというのは大変急速に進んでいる。その浸透はどんどん入ってきている。それから、犯罪の若年化あるいはその手段の残忍さというものは目を覆うばかりのものがあるというふうに思います。また、オウム真理教の事件等を見ても、やはりあの背景には幼児体験における劇画であるとか映画であるとかテレビ番組であるとか、そういうものの影響がないとは言えないんではないかという中で、やはり日本においても、アメリカに単に追従していくということではなく、独自の哲学を持った、思想を持った政策というものが考えられていくべきではないかというふうに私は思っております。  こういう点について文部省等ともどんな形で意見交換をされているのかというようなこともお聞きしたいんですが、ともかくその問題を提起をさせていただいて、次の質問に移らせていただきたいと思います。  次に、ハイビジョン関連施設の取り扱いについて郵政省のお考えを伺いたいと思います。  大臣は、先日の所信表明において、二十一世紀のマルチメディア社会に向けた放送行政の展開はデジタル放送の普及、発達にある、これが必要不可欠というふうに述べておられます。これは全く私も同感であるわけであるわけです。  しかしながら、我が国においては、一方でハイビジョン放送というものがあり、NHK中心平成十年度からの本放送を目指して今実用化試験放送が実施されています。伺いますと、この四月からは民放とともに放送時間を週十六時間拡大して九十三時間の放送を行うというふうにも聞いております。  また、郵政省においても昭和六十二年にハイビジョン推進室を設置された。現在は高度映像推進室というふうに名前は変わっているようであります。また、その推進母体として平成三年には社団法人ハイビジョン推進協会を設立されたなど、省を挙げてハイビジョン放送の普及、推進に取り組んできておられるわけであります。  さらに、地域情報化の一環ということで、昭和六十三年からハイビジョンシティー構想を推進され、この一月三十日にも新たにハイビジョンシティーモデル都市の指定が行われています。郵政省はこれまでに二十九都道府県、三十九地域を指定して、財政投融資などを利用して支援を行ってきているということもあるわけであります。  デジタル放送中心放送行政を今後展開する中で、これらのハイビジョンの関連施設について今後どのように取り扱っていかれるのか、あるいはその関連性というのがあるのかどうか、この辺について例えればと思います。
  152. 楠田修司

    政府委員楠田修司君) 来るべき来世紀に向けまして、放送の方向というのを長期に考えた場合、やはりデジタル化と、これは通信との融合あるいは多チャンネル、品質等々を考えましてもやっぱりデジタル技術というのは世界的に非常に進歩しておりまして、放送も、あらゆる放送についてやっぱりデジタル化は免れないだろうというふうに考えております。最終的には地上放送デジタル化ということも来世紀には展望されるわけでありますから、これはやはり基本的な方針として考えるべきだろうということでやっております。  一方、ハイビジョンでございますが、ハイビジョンはアナログ方式と言われておりますが、これは伝送の分野がアナログ方式でございまして、ハイビジョンの機器の中そのものあるいは送信のというか、中で撮影するとか、そういうところは全部デジタルになっております。電波を発射する送信のところがアナログ方式、ミューズ方式というのをとっておりまして、これをハイビジョンと称しているわけであります。  このハイビジョンというのは、現在、世界に先駆けて開発されました唯一の高精細度テレビジョンであります。現在、ハイビジョンの放送は既に十万台を超える受信機になっておるわけでありまして、今BS3という衛星でもちましてNHKの第一、第二の衛星放送とこのハイビジョンの実用化試験局、もう一つはWOWOWという四つやっておるわけですが、これを次の衛星でも実施するということにしております。  では、ハイビジョンが将来どうなるのだと。お尋ねは恐らくハイビジョンのデジタル化ということに絡む問題であろうと思いますが、ハイビジョンのデジタルの伝送につきましては現在研究中でありますけれども、まだこの技術は完全に開発されておりません。したがいまして、現状ではアナログ方式のハイビジョンが唯一の高精細度テレビであるという形で考えております。  かつ、このハイビジョンの放送の場合、いろんなソフトを今撮っておるわけでありまして、例えばオリンピックの番組とか、こういう撮りたソフトは将来の保存ということでも使えますし、それから現在の放送でも使えるということで、ソフト面では現在からもこれを推進する必要があるだろうということで、省としましてもそれを支援するという立場でいろいろ施策を打っているという状況でございます。
  153. 水野誠一

    ○水野誠一君 今のお話はよくわかりましたのですが、ともかく送信方法としてのデジタル化ということをぜひ郵政省としても御推進をいただくということによって、郵政省のお考えになっている二十一世紀の情報通信のビジョンというものにひとつしっかりとした整合性を持たせていただくということをお願いしたいと思います。  先ほど山田委員の方からも御質問があったところでありますが、また午前中の討議の中だったと思いますが、国際電話の料金の問題というのが話題になりました。  確かに、郵政省のデータによりますと、米国発日本までの国際通話標準料金というのは四分三十秒で九百九十三円、KDDの日本発米国までの料金が同じく四・五分で六百六十円ということで、アメリカからの国際料金の方が今現在の為替レートでは高いということのようなんですが、実際問題には、これは米国の中にはいろいろな長距離の入札制度や何かもありますので、実際の割引、ディスカウントを考えますと、アメリカ側からの料金の方が安いんではないかなという気がしています。私も実はコールバック方式というのをよく利用してアメリカ電話をする利用者、ヘビーユーザーの一人なものですから、実感としてよくわかるんです。  そういう中で、やはり先ほどの質問にも絡むんですが、料金の問題、国際的な料金の格差というものをなくしていくということ、これは単に国際料金だけではなくて、NTTに加入する際の負担七万二千八百円という金額がやっぱり米国と比べると十倍になるとか、いろいろな国内料金についてもまだまだ格差があるということの中で、今いろいろ御審議をいただいている電気通信審議会の内容、目的というのも、確かにそういう自由化と同時に料金の内外価格差をなくしていくということになっていくと思うんでありますが、ともかくこの料金規制の緩和ということ、これが非常に重要なテーマになることは間違いないわけであります。  一月二十三日に示されました規制緩和策の中では、料金の認可制から届け出制への移行の促進が検討課題として実際入っているわけであります。特に、現在爆発的な伸びを見せている、先ほどもいろいろ質問の中にも出ていますが、携帯電話あるいは自動車電話などの移動体通信の料金について平成八年度中の届け出制への移行が検討されているということでありますが、これは大変結構なことだというふうに思います。  しかし、そのほかの通話料、基本料あるいは新規加入料などの料金についてはまだ認可制にとどまっているというような状況もあるわけでありまして、今後、やはりその辺の規制緩和の促進というのは非常に重要な課題になるのではないかなと思うんですが、最後にそれについて今後の展望を伺って、質問を終わらせていただきたいと思います。
  154. 五十嵐三津雄

    政府委員五十嵐三津雄君) 先生から御指摘がありましたとおり、電気通信の競争政策導入を図りまして、当面大きな目標は、料金を低廉化する、サービスを多様化する、高度化するということでやってまいりました。そういった中にありまして、幾つかの料金についての規制緩和策もとってまいりました。  昨年、電気通信事業法を承認していただきまして、昨年十月からは国民の基本的な生活にかかわるもの、あるいは経済の基本的なものにかかわるもの、これ以外は認可から外すというようなことになってまいりまして、今回、大臣が発表させていただきました移動体通信についても基本的にはそういう流れにあるところでございます。  問題でありますのは、一つ消費者サイドから見て基本的な生活にかかわる部分等々についての政府のかかわり方についてもいろいろな注文が出されるという側面がございます。それから、現実の問題といたしまして、日本の国は一九八五年までは国家独占でやってまいりました。独占ということについては新規参入がないということでありますので、競争がないということでございます。その部分がまだ大きく残っているということであります。  そういった圧倒的に強い事業者、例えば国際通信の世界で見ましても、まだKDDが六五%以上のシェアがある。それはだんだんと伸ばしていったんではなくて、独占からそこまでやっていったというようなことを考えてまいりますと、基本的には独占のないところに競争が進むということですので、そういったあり方も考えながら、私ども規制緩和策について今後とも前向きに取り組んでまいりたいというふうに思っております。
  155. 水野誠一

    ○水野誠一君 終わります。
  156. 及川一夫

    委員長及川一夫君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時二十六分散会