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1996-03-26 第136回国会 参議院 中小企業対策特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年三月二十六日(火曜日)    午後三時九分開会     —————————————    委員異動  三月十五日     辞任         補欠選任      川橋 幸子君     三重野栄子君  三月十八日     辞任         補欠選任      瀬谷 英行君     前川 忠夫君  三月二十五日     辞任         補欠選任      齋藤  勁君     角田 義一君  三月二十六日     辞任         補欠選任      角田 義一君     齋藤  勁君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         二木 秀夫君     理 事                 石渡 清元君                 中曽根弘文君                 今泉  昭君                 前川 忠夫君     委 員                 大木  浩君                 景山俊太郎君                 小山 孝雄君                 塩崎 恭久君                 平田 耕一君                 真鍋 賢二君                 阿曽田 清君                 武田 節子君                 西川 玲子君                 渡辺 孝男君                 齋藤  勁君                 三重野栄子君                 西山登紀子君                 国井 正幸君    国務大臣        通商産業大臣   塚原 俊平君    政府委員        通商産業大臣官        房長       中川 勝弘君        通商産業大臣官        房総務審議官   白川  進君        中小企業庁長官  新  欣樹君        中小企業庁次長  鴇田 勝彦君        中小企業庁計画        部長       藤島 安之君        中小企業庁小規        模企業部長    井田  敏君    事務局側        常任委員会専門        員        里田 武臣君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○中小企業創造的事業活動促進に関する臨時  措置法の一部を改正する法律案内閣提出、衆  議院送付)     —————————————
  2. 二木秀夫

    委員長二木秀夫君) ただいまから中小企業対策特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る十五日、川橋幸子君が委員辞任され、その補欠として三重野栄子君が選任されました。  また、去る十八日、瀬谷英行君が委員辞任され、その補欠として前川忠夫君が選任されました。     —————————————
  3. 二木秀夫

    委員長二木秀夫君) 理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 二木秀夫

    委員長二木秀夫君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事前川忠夫君を指名いたします。     —————————————
  5. 二木秀夫

    委員長二木秀夫君) 中小企業創造的事業活動促進に関する臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。塚原通商産業大臣
  6. 塚原俊平

    国務大臣塚原俊平君) 中小企業創造的事業活動促進に関する臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  中小企業創造的事業活動促進に関する臨時措置法は、企業家精神に富む中小企業創造的事業活動促進を通じて新たな事業分野開拓を図ることを目的として昨年四月に施行され、これまでその積極的な活用がなされております。  他方我が国経済は、製造業等海外展開の進展、海外調達拡大等により産業空洞化への懸念がいまだ払拭できない状況にあり、このような状況を打開するためには、中小企業による新たな事業分野のさらなる開拓を図り、経済構造改革を強力に推進していくことが極めて重要になっております。  本法律案は、以上のような観点から、創造的事業活動を行う中小企業者に対する支援措置拡充することを目的として立案されたものであります。  次に、この法律案要旨を御説明申し上げます。  第一に、研究開発等を行う中小企業者株式及び社債による資金調達支援する公益法人指定支援機関として指定するとともに、その支援機関の行う債務保証について中小企業信用保険公庫保険制度を創設する等の措置を講ずることとしております。  第二に、本法に基づく計画認定を受けた中小企業者リース等により導入する機械類等について、機械類信用保険てん補率引き上げることとしております。  第三に、本法に基づく計画認定を受けた中小企業者金融機関からの借り入れについて、新事業開拓保険付保限度額引き上げることとしております。  以上がこの法律案提案理由及びその要旨であります。  何とぞ、慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  7. 二木秀夫

    委員長二木秀夫君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 西川玲子

    西川玲子君 平成会松あきらこと西川玲子でございます。中小企業創造活動促進法について質問をさせていただきます。  戦後五十年たちまして、日本世界経済に大きな影響を与えるところまで成長いたしました。しかし、現在、主要産業成長の鈍化が言われ、下請中小企業にとりましては厳しい環境が続くものとの観測がございます。現在、大企業は停滞を脱出したという報道もございますけれども中小企業におきましてはまだまだといった状態だと思います。  中小企業日本経済を支える重要な地位にあると言われ続けておりますけれども、相変わらず体質のもろさ、弱さといったものが改革されているとは思えません。このごろは新規投資をする意欲も減退しているようで、将来の日本経済心配になります。  これからの時代は、もう中小企業の犠牲で日本成長があるんだなどという体質を変えていくべき時代が来ていると私は思います。中小企業はそれなりにすばらしい技術経験がありながら、世の中に技術を出せないでいるケースというのがたくさんあると思います。  先日もテレビで見たんですけれども先端技術に、日本の旧来より培われていた技術、例えば日本和紙の紙すきの技術がどうしても必要とか、これは何かコンピューターの関係だと思います。それから、セラミックスで陶磁器の技術が欠かせないなど重要な技術中小企業には蓄積をされております。このように、中小企業はこれからもいろいろな分野で新しい事業を起こしていただける方々だというふうに思います。  政府中小企業役割をどのように考えているか、お答えをいただきたいと思います。
  9. 新欣樹

    政府委員(新欣樹君) 中小企業でございますが、事業所数にして六百四十七万事業所、これは全事業所数の九九%に当たります。また、従業員数にしましても四千二百万人ということで、これも全従業員数の七八%を占めるということでございます。したがいまして、国民経済を支え、また雇用を支えるという役割を果たしていると言うことができようかと思います。  また、産地でありますとか商店街というものを通じまして、いわゆる地域経済担い手になるということでもございますが、さらにこの地域につきましては経済のみならず、あるいはお祭りとか伝統行事とか、そういう文化の担い手としての役割も果たしてきておるわけでございます。   また、近年になりまして特に期待される役割が、委員指摘のように、新しい事業分野開拓する、経済フロンティア開拓していくという役割かと思うわけでございます。  こうした新規事業分野中小企業持ち前の小回りのきいた機動性を発揮することによって日本経済を活性化していくという役割、あるいはそれによって新たな雇用を創出していくという役割、こういうものが期待されることになろうかと思います。
  10. 西川玲子

    西川玲子君 ありがとうございました。  ソニーとか本田とかは最初は中小企業だったんですけれども、そこからスタートしまして今や世界的な企業成長いたしました。会社を起こす以上はやはりどこもソニー本田というところを目指しているんでしょうし、また近年それぞれ新しい特徴を持った企業が次々と誕生しているという報道もございます。  かつて七〇年代、八〇年代にもそういう動きがありました。今度は日本の将来の経済を支える一翼として新しく誕生する企業を育て上げていくことは大変重要な施策と思います。いつもブームで終わってしまうのは、たとえ高い技術力を持っていても十分な資金調達力会社経営のノウハウがなかったりでどうしても持続することができませんでした。  政府は、企業家精神旺盛なこうした中小企業者に対してどのように支援をしていく所存か、お尋ねをしたいと思います。
  11. 新欣樹

    政府委員(新欣樹君) 企業家精神旺盛な創造的な中小企業支援していくということは、これは先ほど申し上げた経済構造改革を推進する上での経済フロンティア開拓するという意味で非常に重要なことだと認識をいたしております。  そうした流れの中で、昨年の四月に中小企業創造活動促進法という法律施行していただきました一これによりまして、技術開発に対する補助金でありますとか、金融、税制などの支援策を講じたところでございます。  また、昨年秋の第二次補正予算によりまして、創造的中小企業創出支援事業という事業を創設いたしました。これによりまして、新規事業に取り組むベンチャー企業に対します直接金融措置という新しい手段を整備いたしたところでございます。  平成八年度におきましても、資金面技術面経営面などから支援施策の一層の充実を図って、企業家精神旺盛な中小企業育成に取り組んでまいりたいと思っておるところでございます。
  12. 西川玲子

    西川玲子君 ありがとうございます。  新規事業施策について今、中小企業に対する事業育成策を種々挙げられましたけれども、その中で、現在改正審議している、おっしゃいました中小企業創造活動促進法というのはどのような役割を果たすのか、お答えいただきたいと思います。
  13. 新欣樹

    政府委員(新欣樹君) 中小企業創造活動促進法は、新商品開発などを初めとする創造的事業活動促進することを通じまして新規事業育成し、日本経済構造改革の推進というものを図ることを目的として制定された法律でございます。したがいまして、新規事業育成策の中心的な役割を担っているものと考えております。  この法律の中身でございますけれども創業五年未満の方、あるいは売上高に対する試験研究費の割合が三%を超える方につきましては、例えば設備投資減税といった助成措置がありますし、またこういった方以外でも、都道府県の知事の計画認定を受けます場合には、こういった投資減税などのほか技術改善費補助金の充実した交付が受けられる、あるいは金融面債務保証制度の特例などが受けられる、こういう制度でございまして、こうした措置を通じまして新規事業育成に今努めておるところでございます。  平成八年度における新規事業育成策につきましても、この創造法改正をただいまお願いしておるところでございますけれども、これによってさらなる支援措置強化拡充を図りたいと考えておるところでございます。
  14. 西川玲子

    西川玲子君 その中小企業創造活動促進法平成七年から施行をされておりますけれども、この施策執行状況はいかがでございましょうか。中小企業者のニーズに合っているかどうか、不断の検証があろうかとも思いますけれども、利用というのは十分に進んでいるんでしょうか。施行状況お答えいただきたいと思います。
  15. 新欣樹

    政府委員(新欣樹君) この中小企業創造活動促進法、昨年の四月の施行でございますけれども中小企業庁都道府県と密接な連携のもとにこの法の施行に万全を尽くしてまいりました。当初、それほどいくかなという思いがあったのでございますが、本年二月末現在、認定件数は六百十二件という数に上っておりまして、しかもすべての都道府県において認定がなされておる状況でございます。  また、先ほど申し上げた技術開発補助金、これを一例として申し上げますと、平成八年度予算案においては六億円増の二十一億円を計上して予算額拡充ども行っているところでございます。
  16. 西川玲子

    西川玲子君 今の御説明では中小企業者相当好感を持たれているというふうに思います。将来の日本を引っ張っていく中小企業者を十分育てられるという実感、そういう感触がおありなんだと思います。  改正法概要について御説明をお願いいたします。
  17. 新欣樹

    政府委員(新欣樹君) 法律改正概要でございますが、その前に、昨年の十月に平成七年度の第二次補正予算におきまして、都道府県ベンチャー財団を通じたベンチャー企業株式及び社債による資金調達を円滑にする制度、これを創設いたした次第でございますけれども、今回の改正案におきましては、この都道府県ベンチャー財団法律上の指定支援機関として位置づけまして、中小企業信用保険公庫による再保険制度を創設するなど創造的中小企業資金調達手段を一層多様化する措置を講ずることといたしておる次第でございます。
  18. 西川玲子

    西川玲子君 指定支援機関として指定されるベンチャー財団都道府県財団であるということですけれども、各都道府県取り組み状況ということはどういうふうになっているんでしょうか、お答えをよろしくお願いいたします。
  19. 藤島安之

    政府委員藤島安之君) ただいま長官お答えいたしましたような、昨年の秋の補正予算に基づきます創造的中小企業創出支援事業実施主体としての都道府県ベンチャー財団設立状況でございますけれども平成七年度中に十の都道府県が既に設立されております。この三月末に実際に、現実債務保証とか、あるいは株式の引き受けをするベンチャーキャピタルに対する預託事業を開始することといたしております。  さらに、平成八年度におきましても、三十二の府県が現在私どもの方に設立をしたいということで相談に参っております。そのほか五つの都県においても検討したいと、こういうふうに言っております。非常に積極的な取り組みと私どもは受けとめております。
  20. 西川玲子

    西川玲子君 都道府県が本制度に積極的な取り組み意欲を持っているということはすばらしいことだと思います。とかく自治体自治体企業企業というふうになりがちだと思いますけれども、これからは自治体企業はより密接であるべきだというふうに思っております。  実際の投資活動を行ういわゆるベンチャーキャピタルはどのようなもので、役割などどのように位置づけていますか、御説明をいただきたいと思います。
  21. 藤島安之

    政府委員藤島安之君) 新たな事業分野開拓に取り組む創造的中小企業の場合には、特に設立間近の創業期におきましては、短期的には利益を生まない研究開発費や最新の設備を購入するための費用等事業規模に比較して多額の資金を必要とするという場合が多いわけでございます。  他方、こうした創造的中小企業経営者につきましても、例えば大企業からスピンアウトした研究者でありましても、技術のレベルは高くとも会社経営そのものについては必ずしも十分な経験を有していない、そういうケースが多いわけでございます。  こうした創造的な中小企業に対して資金を円滑に供給したり、あるいはその成長を促していくというためには、この中小企業の将来性あるいはリスクを適切に評価いたしまして、借り入れとは違いまして、確実な返済を要求しないかわりに企業成長によりキャピタルゲインを得ることを目的とした、そういうことでリスクマネーを供給する、あるいはこうした創造的中小企業に対しまして必要に応じ事業経営マーケティング等について的確なアドバイスを行う、こういう役割を果たすのがベンチャーキャピタルでございます。この機関がこの創造的な中小企業支援事業にとって非常に大事なものだと考えております。  ただ、私ども日本の国ではこのベンチャーキャピタル成長がまだ不十分でございまして、これは中小企業が開業してから株式公開に至るまで平均して十七年と大変長い時間がかかる、そういったことで資金の回収が難しい、こういった事情もあるわけでございます。私ども通産省といたしましては、こうした株式公開までの期間を短縮したり、今私どもが御提案申し上げます法案によりましていろいろな支援措置を講ずることによりましてこうしたベンチャーキャピタルが育ち、その結果として新規の創造的な中小企業育成されていく、こういうことを期待しているわけでございます。
  22. 西川玲子

    西川玲子君 種々創造的事業活動についてお尋ねをいたしましたけれども、これもとても重要ですけれども創造的事業活動ばかり行っている中小企業ばかりではないと私は思います。  我が神奈川県は川崎市あるいは横浜市を核に多くの中小企業を抱えておりますけれども日本を支える六百五十万と言われる中小企業環境は依然として厳しく、創造的中小企業に対する支援策よりも、むしろ景気影響等により経営の苦しい一般の中小企業者に対する支援策拡充すべきとの意見も多々あると私は思います。いかがお考えか、承りたいと思います。
  23. 新欣樹

    政府委員(新欣樹君) 委員指摘のように、現在の中小企業の業況でございますが、月例経済報告などでは景気回復基調にあるということが言われているわけでありますけれども中小企業におきましては、一部製造業の生産の数字などにその兆しが見られるものの、全体としては、小売業サービス業ども含めて考えますと、まだまだ力強さに欠ける状況にあろうかと思います。  そうした意味から、中小企業経営基盤安定強化というものを図っていくということは、御指摘のように非常に重要なことだと存じます。このため、私ども昨年十月の第二次補正予算におきまして、特に金融面での対策を講じたところであります。  一つには、政府系中小企業金融機関のいわゆる既往債務につきまして、これが過去非常に高い金利のときに借りた既往債務、高い金利であるがゆえに現在のような超低金利ともいうべき金利水準から比較しますと非常に割高感があり、またそれによって非常にお困りの中小企業方々がおられたわけでございます。いろいろ難しい問題はございましたけれども、五%超の金利につきましては向こう一年間これを五%まで減免できるという措置を講じ、負担軽減というものを図ってきたところでございます。  また、資産価値の低落ということから担保余力が少なくなった中小企業方々が多く見受けられますので、このため信用保証協会を通ずる債務保証の中で特に無担保による債務保証というものを強化しようということで、中小企業信用保険法臨時国会において改正をいたしました。無担保保険限度額引き上げ、また無担保保証である特別小口保険限度額引き上げというようなことを図ってまいったところでございます。  さらに、最近特に小売業における商店街の疲弊というものが目立つわけでございます。これは消費者のいろいろな嗜好の変化、また交通体系変化、モータリゼーションというようなところから各種の小売業を取り巻く環境が厳しくなってきておる中で、商店街空き店舗などが目立つようになっております。まずは私ども空き店舗が出ないような魅力ある商店街づくりというものに努力をいたすということでありますけれども、また現実に出てきておる空き店舗につきましては、シャッターを何とかあける空き店舗対策というようなことにも取りかかったところでございまして、そういう意味で、中小企業経営基盤安定強化という面にも十分配慮した施策を講じておるところでござ.います。  また一方、中小企業持ち前企業家精神というものを十分に発揮できるような新商品、新技術開発といった創造的な事業活動促進するということも経済構造改革といった観点からは重要な課題でございますので、そういう意味で、車の両輪として施策展開を図ってまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  24. 西川玲子

    西川玲子君 ありがとうございました。安心いたしました。  中小企業振興策は、冒頭申し上げましたとおり、日本産業を活力あふれたものにできるかどうか大変重要な位置にあると思います。この創造的中小企業振興策も極めて重要と考えますが、今後の通産大臣の御決意を伺って、大分早いんですけれども質問を終わらせていただきたいと思います。
  25. 塚原俊平

    国務大臣塚原俊平君) ただいま先生の方から大体全部で法律施行状況も含めて五点、非常に重要な部分で御チェックをいただきました。その御チェックを十分に私ども肝に銘じながら、この法案国会で御審議いただき通過をさせていただきましたならば、運用していく過程で、さらに創造的中小企業が今後の経済発展担い手として頑張っていけるように、資金面技術面経営面等さまざまな分野支援をしてまいりたいというふうに考えております。  また加えまして、ただいまこの創造的中小企業以外の中小企業につきまして御地元の状況から大変な御心配のお言葉がございました。  中小企業庁長官の方からかなり細かくお答えを申し上げましたが、本委員会におきましてもいろいろな形で私どもに対しまして御指導、御指摘をいただいておる点がございます。これから日本の国の景気回復をしていく中で一番大きな二つの不安要素である中小企業雇用というその二点のうちの一点を、本委員会の御指導、御指摘をいただきながらしっかりとした施策をすることによりまして、中小企業の少しでもの景気好転を頑張ってまいりたいというふうに考えております。  今後ともよろしく御指導をお願い申し上げます。
  26. 前川忠夫

    前川忠夫君 私の方から、ただいま提案がありました中小創造法に関連をする形で二、三お伺いをしたいと思います。  既に昨年の本委員会でも質問させていただきましたが、今、中小企業をめぐる環境というのは大変厳しい。しかし、中には新しい事業に進出をしよう、あるいは新しい製品開発しようという積極的な経営者の方もおられるわけですから、そういった事業者に対して法の上でさまざまな支援策を講じるということについては、私も積極的に通産省取り組みについては評価をしたいと思います。  ただ、一言で新規事業あるいは新製品といいましても、大変なリスクを実は伴うということは御案内のとおりであります。当然のことでありますが、全く新しい事業を始めようとすれば、当然その事業に伴う新しい技術者が必要だし、あるいは中でそういう者を養成しなければならない。あるいは新しい製品が仮にでき上がれば、売り込む販売のルートも新たに開拓をしなければいけない。また、新しい分野での採算性ということを考えてみますと、一たびその製品がヒットをしますと次の新しい業者が参入をしてきて、市場のシェア争いというのがこれまた激しくなる。あるいは最近の場合には、製品のサイクルといいますか、が大変短くなってきているのは御案内のとおりでありまして、そういう意味では、非常に短い期間開発のコストを回収しなければいけない。そういう環境に今、中小皆さん方は置かれているんじゃないだろうかというふうに私は実は見ているわけであります。  もちろん、既存の中小企業の場合でも、既に独自の製品を持っているとかあるいは独自のブランドを持ってしっかりとした企業活動をしておられるところもあるわけですが、恐らく大多数の中小企業というのは、例えば自動車産業であったり、あるいは電機産業であったり、さまざまな産業の子会社であったり、下請であったり、孫会社であったりという形で今活動しているというのが実態だろうと思うんです。しかし、そういう系列下にあるといいますか、部品供給にある事業者というのは、御案内のような今リストラのあらしの中で大変厳しいコスト削減の要望に直面をいたしています。  そういう意味では、こういった事業者の実態というものをきちっと把握した上でこれからの施策というのを立てていかなければいけないんじゃないか。この辺の中小企業環境をめぐる厳しさというのが起業の減少、つまり業を起こす事業者が減ってむしろ廃業の方が多いという実態に私はあらわれているんじゃないかというふうに思います。  そこで、昨年から、あるいは今度の場合の法律もそうでありますが、さまざまな支援策をとろうということについては私は積極的に評価をしたいと思うんですが、実は今度の中小創造法の中に、中小企業投資育成株式会社法の特例についてという条項が、たしか七条だったと思いますが、あったと思います。もちろん、これは違った法律ですから違った場で議論をすればよろしいんでしょうが、関連をするものですから、ちょっとお聞かせをいただきたいと思うんです。  この中小企業投資育成株式会社というのはこれは法律に基づいて設置をされているわけですが、現在一体どんな事業をして、どういうエリアの活動をされておられるのか、その点についてまずひとつお伺いをしたいと思います。
  27. 藤島安之

    政府委員藤島安之君) 中小企業投資育成会社の現況についてのお尋ねでございますが、この中小企業投資育成株式会社は、中小企業投資育成株式会社法という昭和三十八年に制定された法律に基づきまして、中小企業の自己資本の充実を促進する、あるいはその健全な成長を図る、そのために中小企業に対する投資を主として目的とする事業を行うことを目的として東京、名古屋及び大阪に設立されたものでございます。現在の資本金は、東京が六十六億七千三百四十万円、名古屋が四十三億八十万円、大阪が六十八億二千万円となっております。  事業内容でございますけれども、大きく分けて二つございまして、一つは投資事業でございます。もう一つは育成事業、コンサルテーション事業でございます。  投資事業につきましては、会社設立に際して発行される株式の引受事業あるいは増資新株の引受事業、さらには転換社債の引受事業あるいは新株引受権付社債の引受事業等があるわけでございます。  第二の柱といたしましてのコンサルテーション事業につきましては、投資先の企業の依頼に応じまして、その効果的な育成が図られるよう経営管理または技術状況に応じ適切な指導を行うと、こういうものでございます。  三十八年以来投資をしましたその三社の合計の累計は二千三百九十七社、千百二十六億一千四百万円となっております。その後、株を手放したりしたものがございますので、現在の投資残高は一千五百七十一社、六百八十七億七千万円と、こういうふうになっております。  投資先の企業の上場・店頭登録状況でございますが、三社合計で上場した企業が四十社、店頭登録企業が三十四社となっております。こうしたこともございまして、投資育成会社の収支状況は配当収入のほかに、こうした公開に基づきますキャピタルゲインが得られたこともあって順調に推移していると、こういうふうに理解しております。
  28. 前川忠夫

    前川忠夫君 実は、聞くところによりますと、投資育成会社から投資を受ける場合の条件というのは大変厳しいというふうに聞いているわけですが、確かにこの会社については事業に関する規程ですとか、あるいは事業計画というんでしょうか、これはたしか通産大臣の認可やあるいは届け出が必要ということになっているはずですね。中小企業の資本を充実させよう、あるいは活動を支援しようという通産省の考え方からしますと、余りにも厳し過ぎるんじゃないかというふうに私ども聞いているんですけれども、監督をする立場の通産省としてはどんな考え方をお持ちになってこれを監督されておられるのか、まずお伺いをさせていただきたいと思います。
  29. 新欣樹

    政府委員(新欣樹君) 中小企業投資育成株式会社でございますけれども、これは昭和三十八年に特殊法人として設立をされたという経緯がございます。その目的中小企業の自己資本の充実を促進するという観点でございます。  これが投資の中立性を維持しつつ経営の自立化を図るということで昭和六十一年に民間法人化されたということでございまして、そういう意味では、いわゆる特殊法人的なものから民間法人化したようなものとして機能をするということでありますけれども、しかしやはり中小企業を取り巻く経済環境は依然として厳しく、中小企業経営基盤の安定を図るためにはこの中小企業投資育成会社が果たす政策的役割は引き続き重要だというふうに考えておるわけです。  したがいまして、この創造的中小企業促進法、これにおきましても七条、御指摘のとおりでございますけれども、特例措置ということで、通常であれば一億円以下の企業に対する投資というのが投資育成会社事業内容でございますが、こうしたベンチャー企業と申しますか、創造的な事業活動を行う中小企業という場合には一億円を超える投資という、設立の場合でも結構ですし、あるいは増資というような場合でも結構でございますが、一億円を超えたものに対しても事業の対象にすることができるというような措置を講ずることにして、そういう意味では、一部政策的な役割も担っていただきたいというふうに考えておるところでございます。
  30. 前川忠夫

    前川忠夫君 この会社の性格が非常にわかりづらいといいますか、当初は今お話しのように特殊法人でスタートをして、今は、昭和六十一年ですか、民間法人という形になったと。したがって、民間ですからある程度金もうけはしなきゃならないですね。変な言い方ですけれども。そのためにさまざまな基準をつくるわけですね、投資をする場合の。しかし、そのさまざまな基準というのは通産省も一枚かんでいるというふうに考えてよろしいですか。
  31. 藤島安之

    政府委員藤島安之君) 中小企業投資育成会社法の第六条によりますと、「会社は、業務開始の際、その営む事業に関する規程を定め、通商産業大臣の認可を受けなければならない。」と、こういうふうになっておりますので、投資の基準につきましても私ども監督している状況にございます。
  32. 前川忠夫

    前川忠夫君 実は、今度の三月末で切れます「自己資本充実のために」ということで、これは中小企業庁の方で中小企業向けに配られた、あるいは資料としていただいた資料の中に今の投資育成会社投資をする場合の基準が書いてあるんですね。  これを見てみますと、「将来、株式を証券市場等に公開する意向を持っていること。」、あるいは「事業成長発展する見込みがあること。」、さらには「原則として、最近二期ないし三期の業績が、一株当たり」、これは額面五十円換算ですが、「五円以上の配当」、あるいは利益が一株当たり「年十七・五円以上の利益を計上していること。」と。今の中小企業で年五円の配当あるいは一株当たり十七・五円の利益が上がっている企業なんというのはそうたくさんはないと思うんですね。したがって、大変厳しいわけですね、条件が。  これは私が身近に経験をしたといいますか聞いたケースですから、すべての投資をしたところがそうだというふうに私は断定をしませんが、ある企業において、この投資育成会社から投資をしていただいて株を持っていただいている、この基準を満たさなければいけない、したがって利益を出すために、賃金の要求をされて交渉をしていた組合に対して、賃上げは我慢をしてくれ、できませんという回答がされたという事例があるんですね。もちろん、それは今現在でも千五百幾つですか、あるわけですから、まあそれだけあれば中にはそんなところもあるよという御指摘があるかもしれません。しかし、たとえ一つであってもそういうところが出ますと、何だ、通産省が一枚かんでいる会社投資をしている会社でこういうことをやっているのかというふうに言われるわけですね。  ですから、私は、非常に積極的な意味での、今、長官がおっしゃったように資本の充実という意味で前向きに議論を受けとめていただければいいんですけれども、ちょっと裏から見ますと、今申し上げたようなケースというのも起こり得るんですね。ですから、基準づくりの問題や何かについても今の実態等を含めてやっぱり見直しをしていくべきではないかというふうに実は考えているわけです。  この点についてはこれで最後にしたいと思いますが、ぜひさまざまな施策で、いろんな各分野にわたって、あるいは各段階にわたっていろんな施策をとられているということについて私も評価をしているんですが、これまでの実は施策に対する検証というんですか、これをやっぱりきちっとやっていただかないと、これは確かに三十八年にできた法律であります。と同時に、先ほどのお話のように、昭和六十一年に民間法人になったわけですね。もう十年たっているわけですね。十年前と今とではやっぱり事情が変わっている場合もあり得るんですね。  確かに最低資本を達成するという意味で、直近の話でありますが、もう本当に数日で切れるわけですけれども、効果があったという部分もあるいはあるかもしれません。しかし、実態として、今申し上げたような事情がある、あるいはそういうケースも実は聞いているということを考えます一と、こういった法律についてもその都度やはり点検をしていただいて、改めるべき点は改め、あるいは基準を見直すべき点はぜひ見直しをしていただきたい。一部でもやっぱりそういう誤解が生まれるような、何か通産省指導して要求を抑え込まれたというような印象を、これは経営者も悪いのかもしれません。しかし、そういう印象をもし受けるとすると、私は行政の立場としては心外だというふうにおっしゃるんだろうと思います。  ぜひこれは心してこれからの取り扱いなり、あるいは場合によっては見直しをひとつお願いしたいということを最後にお願いして、お答えをいただいた後で、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  33. 藤島安之

    政府委員藤島安之君) 今、投資育成会社の内容について御理解を賜りながらいろいろな観点から御質問をいただきましたけれども、その投資基準についてお答え申し上げますと、委員申し上げられましたとおり、こうした基準がございまして、通産大臣がこれを認可しているという事情がございます。その内容につきまして、今、配当、利益の面でいいますと、過去二年、三年、額面五十円換算で配当が年五円とか、あるいは一株当たりの利益が年十七・五円と、こういう基準がございますが、これは「原則として」と、こういうふうになっております。  したがいまして、例えば投資企業が新設企業の場合についてこういうことは難しいわけでございますから、経営者の能力あるいは事業計画の妥当性あるいは成長性を判断して弾力的に対応していったらいいと思っておりますし、投資企業がベンチャービジネスの場合につきましては、その商品の裏づけとなる先端性あるいは独創性、そういうものが商品化されていると、そういうようなこととか、あるいは研究開発の比率が売上高に対して三%以上であるとか、いろんな要素を判断していいと思っております。  したがいまして、この原則にこだわらずに、各投資育成会社がその経営基盤の安定を図りながら再投資ができるようなことを我々としては期待したいと、こういうふうに考えております。
  34. 西山登紀子

    西山登紀子君 京都中小企業家同友会というところがことしの二月に京都府と懇談をされまして、「中小企業家の要望と意見」というものを出しておられます。私も拝見させていただきまして、大変興味深く思いました。  その中で、「こんにちの経済状況は依然として厳しい事態のもとにあり、いまだに明るい展望をもって将来を見通すことが出来ないのが実態であります。こうした中で、私たちは経営の継続と発展に鋭意努力しております。」というのが初めに述べられておりまして、さらに、府は、国に対して利用しやすい実効力ある制度の導入ということを働きかけてもらいたいというところでこの中小企業創造活動促進法に触れているわけであります。私もそのほかに何人かの中小企業家の方々にお話を伺いました。具体的な改善点について触れておきたいと思います。  まず、制度のPRの問題です。  制度の宣伝が十分されていない、大企業の下請などに情報が偏っている、資本金一千万円のかなりベテランの企業家の方でもこういう法律を十分知らないとかいうふうな御意見もございました。ですから、政府がテレビあるいは新聞などを使いましてもっとこういういいことは宣伝をすべきだと思いますけれども、どうですか。
  35. 新欣樹

    政府委員(新欣樹君) この中小企業創造活動促進法につきまして前向きの御評価をいただいたこと、大変ありがたく思っております。  この法律制定当初から実は大いにこれはPRをすべしという声もございまして、私どもいろいろなパンフレットをつくったり、あるいは通産局、都道府県を通じて末端の中小企業者方々に行き渡るような努力をしてまいったところでございます。また、商工会、商工会議所等のルートを通じたり、いろいろな形でPR活動を行ってまいりました。  テレビ、新聞などマスコミを使ってはどうかということでございますが、私自身、実は「あまから問答」というテレビ番組に出演させていただきまして、こうしたベンチャー支援策につきましていろいろPRに努めたこともございます。ただ、もっともっとPRをしたらどうかという励ましのお言葉と受けとめまして、今後もいろいろ考えていきたいと思っております。
  36. 西山登紀子

    西山登紀子君 次に、手続の簡素化の問題なんですけれども、なかなか中小企業の皆さんはこういう文書作成自体に時間がとられるということが大変御苦労なようでございます。制度の本旨を生かすためにも、申請の文書などの簡素化をぜひというふうな御意見もいただきましたけれども、ごもっともだと思うんですが、どうですか。
  37. 藤島安之

    政府委員藤島安之君) この中小創造法を御利用いただくためには、研究開発事業計画を作成しまして都道府県認定を受けることが必要でございます。もちろん、この認定の申請書類につきましては、書類の作成が中小企業の方にとって過重な負担にならないようにするために可能な限り簡素化を図ってまいってきているところでございます。  例えば、この中小創造法の前身たる法律であります中小企業技術開発促進臨時措置法と比較いたしますと、例えば申請書類の記述項目は技術法では六項目でございましたのを創造法では四項目に削るとか、あるいは添付する営業報告書を最近三期分を求めていたものを直近の二期分に減らすとか、あるいは提出する申請書の数でございますが、本文の申請書一通に対して四通をお願いしていたものを新しい創造法では写しは一通に限ると、そういうような工夫をさせていただいております。  そういうことで、できるだけ中小企業に負担がかからないように努力をいたしているところでございます。
  38. 西山登紀子

    西山登紀子君 次に、認定されても融資を受けられるか、あるいは補助金が十分とれるかというような疑問も持っていらっしゃる方もいらっしゃいました。枠が少なくなっちゃう、そういうことはありませんか。
  39. 新欣樹

    政府委員(新欣樹君) 補助金の枠でございますが、この創造的中小企業振興枠というのを技術改善費補助金の中に特枠として設けておるところでございます。  八年度予算案におきましては、対前年度当初予算比で六億円増の二十一億円を計上いたしておるところでございまして、予算額拡充ということには努めておる次第でございます。  七年度におきましても、当初予算に対し補正予算などの措置を講じて、中小企業者方々のニーズにできるだけこたえるように努めておるところでございます。
  40. 西山登紀子

    西山登紀子君 次に、設備投資減税の適用期間というのは創設五年未満になっているんですけれども、こういうことをやっていらっしゃる方からしますと、研究開発には十分時間をかけないと実りがなかなか出ない、弾力的な運用をしてほしいという要望もあるわけですが、これにもこたえるべきだと思いますが、どうですか。
  41. 藤島安之

    政府委員藤島安之君) この設備投資減税の対象となる創業企業というのをどういう範囲にするかということにつきましては、一昨年の中小企業近代化審議会でさまざまな角度から議論をしていただいたわけでございます。技術開発に二、三年を要し、それから事業化に二年ぐらいかかるということで、大抵の企業創業して事業化するためには五年ぐらい必要だと、こういうアンケート調査結果も踏まえながら最大限拾うという、税金でございますので、対象範囲を絞れという要請の中で最大限とるということで五年ということにしたわけでございます。  なお、設立後五年以上の企業につきましても、研究開発等事業計画をおつくりいただきまして認定を受ければこうした設備投資減税の適用も受けることができる、そういうふうな工夫もしておるわけでございます。  いずれにいたしましても、いろんな角度で五年以降の創造的な中小企業についても十分な支援を講じてまいりたいと、こういうふうに考えております。
  42. 西山登紀子

    西山登紀子君 最後に、大臣にお伺いをしたいわけですけれども本法案はベンチャー企業育成意欲的な創業支援しようというものでありまして、我が党も賛成できるものです。しかし、中小企業の発展の基本になるものは、大企業はリストラを進めて生産拠点を海外に移して国内産業空洞化する、そういうことについて国民の立場からの民主的な育成が基本的には必要であるというふうに考えております。  そこで、本法案の実施によりまして、最近は廃業率の方が上回っているという現状があるわけですけれども中小企業の現状がどのように改善が図られるか、開業率を引き上げることにどれだけ期待ができるのか、見通しも含めて大臣のお考えをお伺いします。
  43. 塚原俊平

    国務大臣塚原俊平君) 我が国経済製造業等海外展開の進展、既存市場の成熟化など大きな構造変化に直面をしているわけでございますが、こうした中で我が国企業の開廃業率が、なかんずく製造業の開廃業率について、開業率が平成三年から六年にかけて平均で三・一%まで低下をする。それから、廃業率は年平均で四・六%に上昇する。開業率と廃業率の逆転が生じておりまして、きのうも衆議院の方におきましても御議論をいただきました。  このような状況を打開するために、本法律案の実施も含めて、企業家精神に富んで新規事業分野開拓に取り組む創造的中小企業支援する施策等を総合的に講じておるわけでございますが、これらにより新規開業が促進され、我が国の経済フロンティアの拡大、開業率の上昇につながるということを期待いたしております。
  44. 国井正幸

    ○国井正幸君 ほかの委員会とダブっていまして大変おくれて参りまして、そんなことでもう質問があったかと思いますけれども、重複した場合はお許しをいただきたいというふうに思います。  本案につきまして私は大変いいことだというふうに思っております。ただ、一つだけお聞きしたいと思うんですが、さきの補正でとられた措置があるわけでございまして、この中でベンチャービジネスを育てていく、そのためにやはりベンチャーキャピタルをぜひこれまた育成をしなければならない、こういうふうなことだというふうに思うんです。いわゆる最初の補正の中身で、ベンチャー財団からベンチャーキャピタルへの融資、そしてさらにベンチャー企業へ融資をした場合の債務保証ベンチャー財団がやると、こういうふうなことになっているわけなんです。  私、いろいろ選挙区なんか回って歩いていますと、どうもいわゆる住専の問題もあるんでしょうけれども、銀行がなかなか中小企業に金を貸さないというんですね。そういう意味で、中小企業の皆さん、これはベンチャー企業に限らず、大変苦労しているわけなんですね。ましてや、ベンチャーということになりますとリスクを大変伴うというふうなことで、どうもやっぱり銀行がもう一つ萎縮しているのではないか、率直なところそんな感じが私はしています。そういう意味で、債務保証をするということ。  それで、ベンチャー財団についても今年度中に十都府県ですか、これでできるだろう、こういうふうなお話のようですが、このベンチャーキャピタル、これが実態としてどうなんだろうか。銀行本体がそれをやるのか、あるいは子会社をつくってそれ専門でやるのか、その辺どうでしょうか。今までの動きというんでしょうか、つかんでいる実態についてちょっとお聞かせをいただきたいと思うんです。
  45. 新欣樹

    政府委員(新欣樹君) 昨年の秋にとりました措置は、御指摘のように、ベンチャーキャピタルを通じてベンチャー企業に対して株式の引き受け、あるいは社債の引き受けということでいわゆる直接金融の円滑化を図ろうと、こういうものでございます。一方、金融機関の融資というのは、これは御案内のようにいわゆる間接金融と呼ばれるものでございます。  したがいまして、私ども、本来でありますれば、アメリカのようにエンジェルと呼ばれる個人投資家などが日本にも非常に数多くおられて、そういう方々がこういったベンチャー企業に対して自由に投資をするという状況になっていればこういったものは必要ないのかもしれませんけれども、やはり現状はそうではございませんので、できるだけリスクの高いベンチャー企業への資金、しかも直接金融という形で円滑なる供給を図るというところに着目をした措置であるわけです。そのためには、御指摘のように、ベンチャーキャピタルというものの機能というものが非常に重要になってきておるわけです。  現在ございますベンチャーキャピタル、銀行の子会社であるとか、あるいは証券会社の子会社であるとか、あるいは一部事業者会社の子会社であるとか、こういうものもございますし、また全くの独立のものというものもございまして、私ども百を超える数が現在、日本には存在するというふうに把握をしておるところでございます。  これの投資態度をより積極的にさせるというのが去年の補正予算措置でございますし、今回の法改正はそれをさらにまた円滑なものにしていこうという意味で法改正をお願いしたと、こういうことでございます。
  46. 国井正幸

    ○国井正幸君 それで、百幾つあるということなんですが、これはどうなんでしょうか、傾向としてはふえてきているんでしょうか。今お話ありましたように、いろんな系列があると思うんですよ、銀行の系列も含めて。  そういう意味では、この措置をとって、債務保証があるわけですよね、七〇%だったですか。そういう意味では三割のリスクでやれると、こういうふうなことになったわけですね。そういうふうな債務保証措置を講じたことによってこのベンチャーキャピタルが件数的にふえてきたり、あるいは規模が大きくなったり、そういうことはどうでしょうか、短時間のうちかもしれませんけれども、そういう傾向はありますか。
  47. 新欣樹

    政府委員(新欣樹君) このベンチャーキャピタル、アメリカなどを見ますと非常にたくさんの数がございます。これが、例えば先ほど申し上げたエンジェルという個人投資家などの資金、あるいは年金基金の資金などをオーガナイズしてベンチャー企業への橋渡しを行うというような形で非常にたくさんのものが生まれておるわけです。  日本の場合、ベンチャーキャピタルというのがそういう意味では少しずつふえてきておるということは言えようかと思いますが、アメリカで言う本来の意味でのベンチャーキャピタル、つまり単に投資だけするわけではなくて、そのベンチャー企業に対してさらに経営面にまでアドバイスをしていくというような形で、本格的なベンチャーキャピタルとして育っているものというのはまだまだ十分でないというふうに私ども認識をいたしておるところでございます。  したがいまして、今後いろいろふえていく傾向にはあると思いますけれども、数よりもむしろその中身というものもよく見きわめてやっていく必要があろうと、こういうふうに考えておるところでございます。
  48. 国井正幸

    ○国井正幸君 聞く話によりますと、地方銀行なんかでもこの制度については大変注目をしていると、こういうふうな話も聞いているわけでございますので、そういう積極的な意味での銀行の対応等についてはぜひ芽を摘まないようにして大切に育ててあげてやっていただきたいなというふうに思います。  それと、今、西山先生からも話がありましたように、こういう制度を運営していく上で中小企業の皆さんから出てくる要望といいますと、やっぱり書類とか手続とかが非常に大変だと、こういうふうなことを言われるんですね。そういう面では、中小企業であるがゆえになかなか事務能力をきちっと持てない部分も往々にしてあるわけですよ。そういう点も踏まえて、本当に必要とする部分はきちっとやらなくちゃいけないけれども、山になるような資料を徴したりなんかしないで、スムーズにこういう制度が運営されるように特段の御努力をお願いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  49. 二木秀夫

    委員長二木秀夫君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。——別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  中小企業創造的事業活動促進に関する臨時措置法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  50. 二木秀夫

    委員長二木秀夫君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  51. 二木秀夫

    委員長二木秀夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時十三分散会      —————・—————