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前川忠夫君 実は、今度の三月末で切れます「自己資本充実のために」ということで、これは
中小企業庁の方で
中小企業向けに配られた、あるいは資料としていただいた資料の中に今の
投資育成会社が
投資をする場合の基準が書いてあるんですね。
これを見てみますと、「将来、
株式を証券市場等に
公開する意向を持っていること。」、あるいは「
事業が
成長発展する見込みがあること。」、さらには「原則として、最近二期ないし三期の業績が、一株当たり」、これは額面五十円換算ですが、「五円以上の配当」、あるいは利益が一株当たり「年十七・五円以上の利益を計上していること。」と。今の
中小企業で年五円の配当あるいは一株当たり十七・五円の利益が上がっている
企業なんというのはそうたくさんはないと思うんですね。したがって、大変厳しいわけですね、条件が。
これは私が身近に
経験をしたといいますか聞いた
ケースですから、すべての
投資をしたところがそうだというふうに私は断定をしませんが、ある
企業において、この
投資育成会社から
投資をしていただいて株を持っていただいている、この基準を満たさなければいけない、したがって利益を出すために、賃金の要求をされて交渉をしていた組合に対して、賃上げは我慢をしてくれ、できませんという回答がされたという事例があるんですね。もちろん、それは今現在でも千五百幾つですか、あるわけですから、まあそれだけあれば中にはそんなところもあるよという御
指摘があるかもしれません。しかし、たとえ一つであってもそういうところが出ますと、何だ、
通産省が一枚かんでいる
会社が
投資をしている
会社でこういうことをやっているのかというふうに言われるわけですね。
ですから、私は、非常に積極的な
意味での、今、
長官がおっしゃったように資本の充実という
意味で前向きに議論を受けとめていただければいいんですけれ
ども、ちょっと裏から見ますと、今申し上げたような
ケースというのも起こり得るんですね。ですから、基準づくりの問題や何かについても今の実態等を含めてやっぱり見直しをしていくべきではないかというふうに実は考えているわけです。
この点についてはこれで最後にしたいと思いますが、ぜひさまざまな
施策で、いろんな各
分野にわたって、あるいは各段階にわたっていろんな
施策をとられているということについて私も評価をしているんですが、これまでの実は
施策に対する検証というんですか、これをやっぱりきちっとやっていただかないと、これは確かに三十八年にできた
法律であります。と同時に、先ほどのお話のように、昭和六十一年に民間法人になったわけですね。もう十年たっているわけですね。十年前と今とではやっぱり事情が変わっている場合もあり得るんですね。
確かに最低資本を達成するという
意味で、直近の話でありますが、もう本当に数日で切れるわけですけれ
ども、効果があったという部分もあるいはあるかもしれません。しかし、実態として、今申し上げたような事情がある、あるいはそういう
ケースも実は聞いているということを考えます一と、こういった
法律についてもその都度やはり点検をしていただいて、改めるべき点は改め、あるいは基準を見直すべき点はぜひ見直しをしていただきたい。一部でもやっぱりそういう誤解が生まれるような、何か
通産省が
指導して要求を抑え込まれたというような印象を、これは
経営者も悪いのかもしれません。しかし、そういう印象をもし受けるとすると、私は行政の立場としては心外だというふうにおっしゃるんだろうと思います。
ぜひこれは心してこれからの取り扱いなり、あるいは場合によっては見直しをひとつお願いしたいということを最後にお願いして、
お答えをいただいた後で、私の
質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。