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1996-05-22 第136回国会 参議院 地方分権及び規制緩和に関する特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年五月二十二日(水曜日)    午前十時五十七分開会     —————————————    委員異動  五月二十一日     辞任         補欠選任      今井  澄君     伊藤 基隆君     —————————————   出席者は左のとおり。    委員長          浜四津敏子君    理 事                 斎藤 文夫君                 服部三男雄君                 勝木 健司君                 齋藤  勁君     委 員                 阿部 正俊君                 亀谷 博昭君                 北岡 秀二君                 久世 公堯君                 陣内 孝雄君                 谷川 秀善君                 野沢 太三君                 小川 勝也君                 小山 峰男君                 菅川 健二君                 続  訓弘君                 伊藤 基隆君                 上山 和人君                 吉川 春子君                 小島 慶三君    国務大臣        自 治 大 臣  倉田 寛之君        国 務 大 臣        (総務庁長官)  中西 績介君    政府委員        行政改革委員会        事務局長     田中 一昭君        地方分権推進会        員会事務局長   東田 親司君        総務庁人事局長  池ノ内祐司君        総務庁行政管理        局長       陶山  晧君        自治省行政局長  松本 英昭君        自治省行政局公        務員部長     鈴木 正明君        自治省行政局選        挙部長      谷合 靖夫君        自治省財政局長  遠藤 安彦君        自治省税務局長  佐野 徹治君    事務局側        常任委員会専門        員        佐藤  勝君    説明員        内閣官房内閣内        政審議室内閣審        議官       潮  明夫君        人事院事務総局        職員局職員課長  佐久間健一君        国土庁計画・調        整局総務課長   飯塚 和憲君        外務大臣官房外        務参事官     近藤 誠一君        厚生省健康政策        局計画課長    西本  至君        農林水産省構造        改善局農政部農        政課長      石原 一郎君        通商産業省産業        政策局流通産業        課長       福井 雅輝君        資源エネルギー        庁石油部計画課        長        小平 信因君        郵政省電気通信        局電気通信事業        部事業政策課長  小笠原倫明君        労働省婦人局婦        人政策課長    北井久美子君        労働省婦人局婦        人労働課長    荒  竜夫君        労働省職業安定        局業務調整課民        間需要調整事業        室長       森山  寛君        建設大臣官房文        書課長      藤田  真君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○地方分権推進及び規制緩和に関する調査  (地方分権推進及び規制緩和に関する件)  (地方分権推進委員会中間報告に関する件)  (規制緩和推進計画改定に関する件)     —————————————
  2. 浜四津敏子

    委員長浜四津敏子君) ただいまから地方分権及び規制緩和に関する特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日、今井澄君が委員を辞任され、その補欠として伊藤基隆君が選任されました。     —————————————
  3. 浜四津敏子

    委員長浜四津敏子君) 地方分権推進及び規制緩和に関する調査を議題といたします。  先般聴取いたしました倉田自治大臣及び中西総務庁長官の所信、地方分権推進委員会中間報告及び規制緩和推進計画改定について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 久世公堯

    久世公堯君 二十一世紀を展望いたしまして、内政外交の諸問題を解決していくためには、行政みずからが時代の変革を踏まえて改革することが必要だろうと思います。  昨年の暮れ以来、政府においては幾つかの調査会審議会答申が出されたわけでございまして、例えば行政改革委員会規制緩和答申、それから国会等移転調査会報告国土審議会部会報告、それからことしの三月になりまして地方分権推進委員会部会報告中間報告が出されたわけでございます。  これらの提言なり報告に基づきまして、行政改革は既に動き出していると思います。また、後ほど御質問申し上げたいのでございますが、ここ二カ月間ぐらい、官邸主導によりましていわゆる行革関連四つ審議会懇談会会合、また財政構造改革に関する四つの別の審議会懇談会発足もし、回を重ねているわけでございます。審議会等が有機的な連携のもとに対処をいたしております。  私は、もともと行政改革は官と民、すなわち規制緩和とか特殊法人改革、あるいは行政民間との活動領域分担、それから二番目には国と地方、まさに地方分権、さらに政と官、内閣機能なり総合調整なり中央省庁改革、こういうものを一体的に行う必要性があると思います。  従来、とかく行政改革と申しますと、どちらかといえば勧告答申の段階におきましては総論になって、各論になりますと各省庁抵抗で竜頭蛇尾に陥る、こういう欠陥があったわけでございますが、これから行革に取り組むに当たっては総論の後で各論を行うわけではなくて、各論を進めることも大事だろうと思いますし、現に規制緩和などはそれが今着々と進んでおります。また、地方分権の方も中間報告の前に二つ部会報告を出して、かなり事が進んでいるわけでございます。  さらに、政と官の問題になりますと、官と民やあるいは国と地方というようなものに係る改革を進める上において非常に重要な意味を持ってくる。現に今、橋本内閣におきましては、官邸主導審議会委員会等懇談会が開かれているわけでございます。  私は、まず総務庁長官お尋ねしたいわけでございますが、このように政府答申が行われる、答申に基づいて実行に着手する。そして、片や官邸主導調査会委員会等懇談会が行われておる。そしてまた、新聞等で既に報道されておりますように、これはどちらかといえば政治ベースかもしれませんが、橋本行革基本方向というメガコンペティションに向けての行政システム確立ということが今叫ばれているわけでございます。  そこで総務庁長官に、今日進められつつある行革の進捗というものは、第二次臨調あるいは行革審等の最近の一連の行政改革の中においてどのように位置づけられるのか。また、橋本内閣行革担当大臣としてこれからどのような方針を目指して行革を進められるのか。橋本総理は、日米安保なりあるいは沖縄問題について外交上大きな成果を上げられておりますが、内政の本番の一つと言われる行革にこれから積極的に取り組まれるのだろうと思います。そのリーダーシップに強い期待をいたしておる者の一人でございます。このような行革の当面する課題実行のプログラムについて御答弁を願いたいと思います。
  5. 中西績介

    国務大臣中西績介君) 近年、国民経済成熟化あるいは高齢化等が急速に進みまして、国際情勢におきましても大変な激変の時期を迎えておる。こういう時期における行政を取り巻く情勢というのは極めて大きく変化をしておるということを考えますと、これらの変化に対応いたしまして、既存の行政あり方制度あるいは運営あり方などを見直し改革していくことが最も重要だと思っております。  今後、規制緩和あるいは地方分権特殊法人情報公開などの各般の改革課題について、これら諸課題相互連携十分留意をしながら積極的に取り組み、国民期待にこたえられるようにしていきたいと思っております。  なお、官邸において四審議会あるいは調査会などの皆さんにお集まり願って御討議いたしておりますけれども、これらにつきましても十分連携をとりながらこうした問題について対応していきたいと思っております。
  6. 久世公堯

    久世公堯君 それでは少し行革具体論に入りたいと思っておりますが、行革の前提という場合には、今までもそうでございましたが、まず行政として行う範囲公的部門守備範囲と申しますか、いわば行政民間との活動領域分担見直して、行政に限界を画することが必要だろうと思います。  承るところによりますと、行政改革委員会におきましては最近、官民活動分担小委員会というものを設置されたと聞きますけれども設置の背景なりあるいは審議内容なり、今後の課題について承りたいと思います。  また、規制緩和推進に当たりまして、行政民間部門活動領域を侵すことのないように留意する必要がある。そして、規制緩和官民役割分担あり方とは密接に関連いたしております。ひとつ、規制緩和官民役割分担あり方についても承りたいと思います。
  7. 田中一昭

    政府委員田中一昭君) お答えいたします。  行政改革委員会は、平成六年の十二月に三年の限時機関として発足いたしました。設置法にも書いてございますが、規制緩和を初めとする行政改革実施状況監視、それから行政情報公開のための法律制度の整備に関する調査審議所掌事務としております。発足以来委員会では、今お話がございましたが、平成七年の三月に行政情報公開部会を設け、また四月には規制緩和小委員会発足させまして、それぞれ専門的な調査検討を進めております。  一方、行政改革委員会におきましては、今お話がございましたけれども社会経済情勢国民のニーズの変化に伴いまして公的部門についての見直しが迫られている、こういう認識に立ちまして、公的部門をめぐるいろいろな問題につきまして監視活動を進めてまいりました。  その結果、公的部門守備範囲見直しに際しての判断基準、理念が必ずしもはっきりしておらぬということが問題ではないかということで、今後公的部門見直しに当たりましては、まずもって行政民間活動領域分担の基本的な考え方整理が不可欠である、こういう認識を得るに至ったところでございます。  このため、行政改革委員会のもとに、ただいまお話のございました官民活動分担小委員会というものをこの三月十八日に発足させまして、行政と、民間活動領域分担を徹底的に洗い直すための物差しづくりをまず行う、こういうことにした次第でございます。  この官民活動分担小委員会でございますが、昨日までに七回の会合を重ねておりまして、今後の進め方についてのフリートーキングとか、有識者のヒアリング等を実施しておるところでございます。今後、検討状況にもよりますが、年内には委員会としてのただいま申し上げた物差しづくりについての意見を取りまとめていくというふうに考えております。
  8. 久世公堯

    久世公堯君 従来、規制緩和地方分権というのはよく車の両輪だということを行政改革で言われてまいりました。  実は、私ども自民党におきましては、この中間報告が出されましてから毎週二回か三回、朝早く朝飯会を開きまして、各行政部門地方分権あり方についていろいろ自由討議をやっております。その議論の過程におきましても、例えば交通行政なんかの面において規制緩和を進めれば、ある意味においては同時に地方分権成果が上がっていくんだ、こういう話も今出てきているわけでございますが、規制緩和地方分権は車の両輪、これをどのようにこれから行政改革相互に連関づけて進められるか承りたいと思います。
  9. 中西績介

    国務大臣中西績介君) 規制緩和地方分権関係につきましては、先般の地方分権推進委員会中間報告におきまして、「地方分権推進は、「国から地方へ」の権限委譲であり関与縮小である。その限りにおいてそれは、「官から民へ」の関与縮小を求め「官主導から民自律へ」の転換を追求している規制緩和推進と、軸を一にしている。」と述べられております。  他方、従来から橋本総理が述べられておりますように、規制緩和地方分権が場合によっては二律背反の側面を持つことも否定できないと考えられております。  いずれにいたしましても、政府といたしましては規制緩和地方分権はもとより、行政改革に関する諸課題相互有機的関連による効果を配慮して、積極的に取り組んでまいりたいと思っております。
  10. 久世公堯

    久世公堯君 それでは次に、地方分権について承りたいと思います。  先般出ました中間報告につきましては、私はやはり地方分権推進において画期的な一里塚を築き上げたものだろうと思います。基本的にはあの報告書には賛成をいたしたいと思います。この中間報告成果をことしの秋以降の分権推進委員会が行われます政府に対する勧告につなげる必要があると思います。  そこで、まず推進委員会事務局の方に承りたいわけでございますが、今求められておりますところの抜本的な行政改革は、規制緩和を初めとして、先ほど申し上げましたように官民分担というものをまず見直す必要があると思います。これは地方分権推進するに当たっても同じでございまして、まず、現在国や地方公共団体が行っている行政事務が本当に必要なものであるかどうか、これを検討されるべきものと思いますが、委員会検討方針はいかがでございますか。
  11. 東田親司

    政府委員東田親司君) お答え申し上げます。  今回の私ども委員会中間報告におきましては、先ほど総務庁長官から御答弁がございましたように、国から地方への地方分権推進と、官主導から民自律への転換を追求している規制緩和推進とは、中央集権型行政システム変革推進する車の両輪であり、この双方が並行して徹底して推進されたときに初めて明治維新、戦後改革に次ぐ第三の改革が成就するとの認識を示しております。  お尋ね行政事務役割を見直すことを考えているのかどうかということでございますけれども、今回の中間報告で特に具体的に触れております箇所を申し上げますと、機関委任事務制度廃止に向けまして抜本的に事務見直しを行っていく必要があるというふうに述べております。その際に、社会情勢変化等によりまして既に役割や使命を終えたもの、あるいは国の規制緩和政策等により社会的、経済的意義が乏しくなったものなどについては、まず機関委任事務自体廃止するということを見直しの手順として示しているところでございます。  このような中間報告考え方に基づきまして、今後具体的な検討を得るべく現在担当グループ等設置して審議を進め始めたところでございます。
  12. 久世公堯

    久世公堯君 次に、自治大臣にお伺いをいたしたいと思います。  今回の中間報告では、機関委任事務廃止ということを強くうたっているわけでございます。私は、機関委任事務廃止というのは地方分権推進していくに当たっての一つの象徴的な存在だろうと思います。と申しますのは、過去四十数年にわたって機関委任事務というものが地方分権という流れを阻止している元凶であろうと私は思っておりますし、またそう言われてきたわけでございます。  そこで、分権を進める上においてこれを廃止するのは結構でございます。中間報告によりますと、この法定受託事務とそれから自治事務自治事務の中には法律定めのある自治事務とそうでない全くの自治事務、こういうふうに分けられております。各省庁がその趣旨をよく読んでいただいて、この事務法定受託事務だ、これは自治事務だけれども法律によって定めのある自治事務なんだ、こう仕分けをしてもらえばいいと思うんですけれども、やはり自治事務という言葉にかなり抵抗を持っているようでございます。  もちろん、地方分権でこれから地方自治を大いに振興していくためには、地域の創意工夫あるいは地方の知恵によって行政を進めるという自治事務範囲を広げていただくのは大賛成でございますが、法律定めのある自治事務とか、そういうのを自治事務という言葉ではなくて例えば団体事務、こう言った方が国と地方との関係で通りがいいならばそれも一つの案じゃなかろうか、私はいつも気にしているわけでございます。団体委任事務とか共同事務という言葉も提案があるそうでございますが、それはやはり分権趣旨から問題であろう。団体事務というようにしたらどうだろうかと思うのでございますが、自治大臣、いかがでございますか。
  13. 松本英昭

    政府委員松本英昭君) 中間報告におきましては、確かに今委員指摘のように自治事務という言葉を使っておりますが、仮称ということになっておりまして、分権委員会の中にもいろいろと用語につきましては御議論のあるところと私どもも承っております。  今、委員指摘団体事務という言葉、これも定義でございますからそう厳格に申し上げる必要もないのかもしれませんけれども団体事務という言葉になりますと、恐らく現在、分権推進委員会中間報告でおまとめになりましたいわゆる自治事務というものとそれから法定受託事務というもの、法定受託事務というものも、法律的な構成といたしましては団体が受託した委任事務という意味においてやはり同じ団体事務というもう少し上位の概念でくくられる、そういう配慮があったんではないかと思います。  ただ、今申し上げましたように、今後自治事務という言葉はあくまで中間報告において仮称となっておりますので、分権推進委員会においてこれからもさらに検討がなされるものと考えております。
  14. 久世公堯

    久世公堯君 分権推進委員会の方では、今の点はどうお考えでございますか。
  15. 東田親司

    政府委員東田親司君) 私ども委員会の論議におきまして、これまでの事務区分を白紙に戻しましてまた新しく法定受託事務自治事務という二つ区分にしたわけでございますが、今、自治省局長さんの御答弁のとおり、いずれも仮称ということにしておりまして、とりあえずの名前ということでございます。今後、個別の検討をしていった結果、この名前があるいは変わるかもしれないという意味仮称をつけておるわけでございます。  その際、どうして自治事務という名前かということでございますけれども、恐らくこれを起草された先生のお考えは、ただいまの局長さんのお考えのとおり、一方で法定受託事務という言葉を使っておりまして、国から地方公共団体に委託をするという事務だと。一方、それに対して地方自治体本来の事務であるという意味自治事務が適当ではないかというお考えでこのような仮称を用いたのではないかと思っております。
  16. 久世公堯

    久世公堯君 次に、自治省政府委員お尋ねをいたしたいと思います。  私は、毎年の地方財政対策なり各省と自治省との地方財政の折衝を見ておりまして、自治省は大変だなという感じをいつも受けております。と申しますのは、自治省国庫補助負担金について、一方においては改革是正を叫んでおられます。行政局は叫ばれるだけでいいのかもしれませんが、財政当局地方財政措置になりますと、やはり結果として予算に、補助金になった以上は裏負担を見なければいけない、交付税措置をしなければいけないということで、場合によっては相矛盾することもある二重の責務を持っておられるんだろうと思います。あるべき姿と現実の調整をどのようにお考えになっておるか、承りたいと思います。  また、国庫補助金というものは、私はすべてが悪いのではなくて、特に今度の中間答申趣旨に照らしますと、問題は、例えば都市計画なんかはその典型でございますが、補助金の一件ごとの審査を通じて国と地方公共団体関係をいわゆる上下関係主従関係に置くことになっておるんだろうと思います。補助金行政弊害を是正する見地からも、補助基準なり補助要綱なり補助金交付手続あり方について、やはりこの際抜本的な改革をする必要があると思うわけでございますが、いかがお考えでございますか。
  17. 遠藤安彦

    政府委員遠藤安彦君) お答えを申し上げます。  地方分権推進ということは、とりもなおさず地方自治確立ということに結びつくと思うわけであります。そういうことになりますと、やはり国と地方公共団体との役割分担ということがきちっと明確にされる必要がある。そういった中で、地方団体自主性自立性というものを高める必要があるわけでありまして、そういった観点から、国庫補助負担金というものの整理合理化考えていかなきゃならないんではないかというように思っている次第であります。  その整理合理化の基本的な方向としては、分権推進に関する大綱方針にも示されておりますように、人件費補助に係る補助金でありますとか交付金などの一般財源化、あるいは奨励的な補助金等の基本的な縮減といったようなことを進めていく必要があるわけでありまして、やはり国と地方との役割分担を見直すことにあわせて、本当に必要なものに限定をしていくという方針が明らかにされているというように理解をいたしております。  その際、補助金等一般財源化するというようなときに当たっては、地方一般財源を確保していくということも大変重要なことであろうと思っている次第でございます。  今回の地方分権推進委員会中間報告の御趣旨も大体この方針に沿ったものだというように理解をいたしておりますし、今後さらに議論が深められていくというように思っておりますが、私ども地方団体自主性を高めるという見地から、補助金整理合理化あるいは税財源の移譲といったようなことも含めて地方一般財源充実確保に努めていかなければならないだろうというように考えております。  また、御質問の後段にありました、いわゆる補助金行政弊害是正といったような観点からの問題でございますが、補助負担金に係ります補助基準の設定あるいは事務手続合理化といったことにつきましては、これまでいろいろと御指摘、御提言がされているところでありまして、自治省としても各省庁に毎年度予算編成に当たりまして文書をもって改善方を申し入れているところでありますし、いろいろな機会をとらえて改善に取り組んでまいったわけであります。  特に、この点について分権委員会中間報告においても「補助条件等については、補助目的の達成、運用の適正化等のために必要最小限のものとし、」「地方公共団体自主性の発揮、総合的な事業実施が可能となるようできる限り弾力化を図る。」というようにされているところでありますので、今後とも地方団体の自主的、自立的な行政運営を確保し、分権推進していく観点から積極的な見直しを行っていく必要があるというように思っている次第でございます。
  18. 久世公堯

    久世公堯君 分権の最後に、自治大臣に承りたいと思います。  私ども自民党でこの議論をやっておりますと、いわゆる受け皿論というのがあるわけでございます。受け皿論と申しますのは、地方分権を受ける市町村なり都道府県市町村規模がまだ小さい。町村に至っては人口五千人未満のがまだかなりある、あるいは都道府県も今の社会経済情勢からいうと規模が小さい。したがって、市町村が大きく合併するなりあるいは府県が道州制と言わないまでも広域行政体制がしっかりできるまでは地方分権推進することはできない、かなり地方自治理解がある人もこういう受け皿がなければだめだ、こういう議論があるわけでございますが、私はこれは地方分権推進に逆行するためにする議論地方分権否定論だろうと思っております。  分権を具体的に推進することがまず先行すべき課題であって、現に地方公務員の質も、都道府県なり、特に都市におきましては相当向上しております。要は地方公共団体を信頼するかどうかにかかっているわけでございますので、毅然とした態度で分権を進めるべきだと思います。  自治省におかれましても、去年でございましたか、市町村合併の特例法の十年延長をやられるときにも、根本的に合併を進めるべく随分研究会もやられたし、検討されて、単純延長に近いものになったわけでございますが、やはりもう一回これをやり直すということも大事だと思いますし、そういう分権受け皿を、体制を整えることも私は大事だと思う。  また、せっかく連合制度をおつくりになったんだから、都道府県の区域を越える連合というのも現におやりになったらいいと思います。それはそれで進めるべきで、受け皿も整備をしつつありますが、同時に、だからといって分権はだめだというんじゃなくてどんどん推進する必要がある、このように私は確信をいたしておりますが、大臣、いかがでございましょうか。
  19. 倉田寛之

    国務大臣倉田寛之君) 久世委員、いろいろな角度で御指摘をなされましたが、いわゆる受け皿論につきましては、いろんな御議論があることは私も承知をいたしております。  ただ、地方自治法が施行されまして半世紀を経過しようとしておるわけでございます。この間において地方公共団体がその能力を着実に向上させてきているという、冷静な目でやっぱり評価をしていくことが大事だ、こういうふうに思います。  また、地方分権推進していく上におきまして、地方公共団体行政体制の整備確立というのは非常に重要なことであることは言をまちません。同時に、国と地方主従関係上下関係から新しい対等協力の関係に改めていく。さらに、先刻来御指摘のありました機関委任事務制度の抜本的な改革であるとか権限移譲であるとか、国の関与や必置規制の廃止であるとか、規制緩和などを積極的に進めていくのは当然のことであろうと思います。  同時に、町村の合併の御指摘をされましたが、お話にもございましたように町村合併法を一部改正させていただいております。今回の改正の中におきましては、住民の発議制度ども取り入れた、ものになっておりますので、これらを十分活用して合併にも資していけるように指導と助言はしてまいりたい、こういうふうに思っておるところでございます。  いずれにいたしましても、地方分権推進は先ほど来の御議論にありますように中央集権的な行政システム改革を図ろうということでございますから、平成五年の国会における全会一致の決議、平成七年の地方分権推進法の全会一致の可決経緯というものを十分踏まえて、互いに事業を推し進めていかなければならない、かように思っておるところでございます。
  20. 久世公堯

    久世公堯君 最後に、橋本総理行革構想、特にここ二カ月ばかり審議会委員会等懇談会を三回やっておられるわけでございますが、これについて御質問したいと思います。  御承知のとおり、行革関係審議会として経済審議会行革委員会地方分権推進委員会、それから国会等移転調査会が既に二回懇談会を開いておられます。この点につきましては、私は予算委員会におきましても質問をさせていただきました。また、財政構造改革に関連する財政制度審議会、経済審議会、税調それから社会保障制度審議会懇談会を開始されました。これは懇談会の前に、ここにおられます阿部委員もこういう点を予算委員会で御質疑になったわけでございます。  こういう審議会委員会等の有機的な連携を図る懇談会を総理が官邸主導でやっておられることにつきましては、私は総理のリーダーシップに対して非常に評価をいたしたいと思っております。まず、この二つの、四審議会ができたわけでございますが、これから国政の重要問題について次々に審議会懇談会をやられるのか。特に行革にとって、あるいは国民負担とか財政構造、公共投資の見直しにとって後者の方が大事だからこの二つをやられるのか。これにつきまして、政府委員の方から今後の目標も含めて簡単に御答弁いただきたいと思います。
  21. 潮明夫

    説明員(潮明夫君) お答えをいたします。  ただいまおっしゃられましたように、四つ審議会あるいは委員会等でございますが、我が国の構造改革推進するに当たりまして、規制緩和、それから地方分権推進中央省庁そのもののあり方、首都機能移転といったことにつきまして、その有機的連携を図ることが大変重要な課題であるという総理の御提案がございまして、関連する四審議会の会長の皆さんによる懇談会というのを開催いたしているところであります。また、財政構造改革につきましても、総理から、これに関係する審議会の会長の皆様方に一堂に会していただいて、それぞれのお立場から財政構造あるいはこれらをめぐります諸問題について意見交換をしていただいてはどうかということでございまして、懇談が持たれているところでございます。  今後もこういう懇談の場を通じまして、今お挙げいたしました四つ課題あるいは財政構造改革といった問題につきまして、有機的連関について議論が深められていくということを期待いたしているというところでございます。
  22. 久世公堯

    久世公堯君 この二つの、四つずつの審議会をやっておられるようでございますが、当面はこの中でも前者、すなわち行革絡みでございますが、およそ行革の抜本的な改革というのは何か起爆剤あるいはその契機となるものが必要だろうと思います。この審議会懇談会の内容を承っておりますと、何となく首都機能の移転というものを起爆剤にしたいと。それも時期的には二〇一〇年であると。これを軸として国会なり内閣なり中央省庁の抜本的な改革をやって、かつ地方分権をこの際に強力に実施するということが望ましいとされているやに承っております。また、さらに大きな行革構想でございますところの橋本ビジョンの方にもそういう思想がうかがわれております。  先ほどの四つ審議会におきましても、例えば経済審議会においてはその中に首都機能移転小委員会というものをつくって計画的にやられるようでございますし、また、自治省におきましても首都機能の移転に関連する地方行財政のシステムについて既に調査研究の報告書を出されているようでございます。  各省庁がこの首都機能の移転というものに合わせていろんな研究をやられるのも結構でございます。一方におきまして、もちろん移転調査会報告書の最後には東京のあり方について示しておられます。一体東京はどうなるんだというところからいろいろと異論も出ているやに承っておりますし、それから首都機能を移転する場合に、中央省庁あり方としては政策部門だけを移すんだと、そういうふうにうまく切れるものだろうか、こういう疑問もわいているわけでございます。そういうところを通じまして、行政改革の所管大臣としての総務庁長官はどのようにお考えになっているかを承りたいと思います。
  23. 中西績介

    国務大臣中西績介君) それぞれの審議会なりあるいは委員会等改革問題について有機的に連携を図ってやられるということは、これらを推進するに当たりまして、総理のこうした考え方、大変意義深いものが私はあると思っております。  そうした上に立ちまして、関係審議会の会長さんあたりの懇談におきまして御議論をいただいておりますけれども、今後、行政改革推進に当たっては、これらの調整が大変重要でありますから、有益なものと考えております。こうした関係審議会が提出していただく御意見などを十分踏まえまして行政改革を進める具体的方策を決定していくことによりまして各般の調整がうまくいくということが、これからこれらを推進するに当たりまして、あるいは施策を遂行するに当たって大変意義深いものと認識をいたしておるところであります。
  24. 久世公堯

    久世公堯君 私も、今、大臣が御答弁になりましたように、やはりこういうものは一つの契機、起爆剤が必要だから、時期も二〇一〇年、首都機能移転のあの報告書を読みますと、第一段階のときに焦点を合わせて、中央省庁改革分権もそれに目標を合わせられるのが一つの非常に大事なことだと思います。  そこで、国土庁の政府委員説明員がおいでであろうと思いますけれども、国土庁におきましては、昨年の暮れに国土審の計画部会が二十一世紀の国土のグランドデザインを発表になりました。今までも、三全総の場合もそうだったし四全総の場合もそうでございましたが、首都機能の移転というようなものについては報告書に記されております。  国土庁におきましても、いよいよこの秋には次期全総計画の素案をおつくりになる。来年の三月にはいよいよ四全総に次ぐ、五全総とは言わないと言っておられますが、次期総合開発計画をおつくりになる。私は、ぜひそこに首都機能の移転のあり方だけではなくて、それに向かって行政改革なり地方分権も一体としていく、もちろん審議会の所掌範囲というものはあろうと思いますが、その方向づけというものをやっていただきたいと思います。  そういう意味において、私はこの四つ審議会審議に国土庁も入ってもらいたいなと、こう思うのでございますが、国土庁としてはどのようにお考えでございますか。  また、自治省にも、分権推進委員会が入っているからいいという考え方と、もっと基本的な地方制度あり方調査審議する地方制度調査会があるわけでございますから、そういう地方制度調査会もその中に置いて議論した方がいいんじゃなかろうか、こういう考え方を私は持っております。もちろんお決めになるのは官邸の方でございますけれども、それぞれ国土庁なりあるいは自治省がその点にどのような考え方を持っておられるかを承って、私の質疑を終わりたいと思います。
  25. 飯塚和憲

    説明員(飯塚和憲君) 経済審議会の会長、行政改革委員会委員長地方分権推進委員会委員長及び国会等移転調査会の会長の懇談会につきましては、我が国の構造改革推進するに当たりまして、規制緩和地方分権推進中央省庁そのもののあり方、首都機能移転について、まず有機的連携が必要であると総理が提言をされ、四審議会委員会の会長、委員長が賛同されて開催されているというふうに聞いております。  国土審議会といたしましても、首都機能移転等の問題は重要な問題と認識をしておりまして、新しい全国総合開発計画の策定に当たりましても、国土政策の観点から総合的に検討していくことが必要であるというふうに考えているところでございます。国土審議会の会長を懇談会のメンバーとするか否かという点につきましては、基本的には四審議会等の会長、委員長が御判断されるべき問題であると認識しております。
  26. 松本英昭

    政府委員松本英昭君) 地方制度調査会をただいま委員指摘のようないわゆる四審議会懇談会のメンバーにというお話じゃないかと思うわけでございますが、地方制度調査会とそれから地方分権推進委員会地方分権推進委員会は四審議会のメンバーになっていただいているわけでございますが、地方制度調査会地方分権に関する審議といわゆる地方分権推進委員会における審議というのは有機的ないろいろ連携をとっております。  地方団体の内部的なことにつきましては、地方制度調査会の方においてこれからも審議を続けていくことになろうと思っておりますので、そういう関係地方分権推進委員会を通じて地方制度調査会の御意向等もこの四審議会の方に反映をしていただく、そういう方法があるんではないかというように考えているところでございます。
  27. 久世公堯

    久世公堯君 ありがとうございました。
  28. 亀谷博昭

    ○亀谷博昭君 久世委員から行政改革、また地方分権規制緩和等の基本的な問題について質疑があったところでありますが、私も地方分権規制緩和を進める上での問題点について幾つか伺わせていただきたいと思います。  地方分権は古くて新しい課題でありますが、今ようやく実行の段階に至っております。そこで、基本的な考え方についてまずお伺いをいたしたいと思うのでありますが、地方分権は国の役割見直し、そしてまた自治体による主体的な地域づくり、この二つが大きな視点になっているわけであります。  国の行政を見直す中で、国の論理で地方に権限を分けるという発想ではなくて、人がいて地域が生まれ、その集合体として市町村があり県があり国があるという成り立ちを考えるまでもなく、地域に関することは地域がそれぞれの独自性にこだわりながら、個性ある地域づくりを進めていくということが肝要であろうかと思いますし、分権の基本でなければならないのではないか、こう考えるわけであります。地域の住民が主体の地域社会をどうつくるのか、憲法でうたわれている地方自治の本旨をどう実現していくのかという観点が必要であります。  例えば、各論の中で地域交通の権限を地方に移すかどうかという問題があります。これについては、複数県にまたがる交通はすべて国の考え方でやらなければならないというような現在の役所側の発想ではなくて、地方に任せることを前提とした新たな発想が必要ではないか、こういう指摘もなされているわけであります。  要するに、地方分権を進める基本は地方にとって何が必要なのか、何が地方にとって便利なのかという視点から地方の立場に立った推進がなされなければならないと思うわけであります。これから最終の勧告に向けて具体的な論点を整理していかれることになるわけでありますけれども分権を進めるに当たっての基本的な考え方についてまずお伺いをいたしたいと思います。
  29. 中西績介

    国務大臣中西績介君) 地方分権推進につきましては、地方の実情に沿った個性あふれる行政、そしてさらに地方公共団体自主性あるいは自立性、こうしたものが高まっていくことが極めて重要であると考えます。こうするためには、地方分権大綱及び地方分権推進法に基づきまして地方分権を総合的にさらに計画的に推進するところが大変重要だと思っております。  したがって、地方分権推進委員会におきまして、精力的に今審議を進めていただいておりますので、同委員会からいろいろ今後財政的な問題等を含めまして出されてくると思います。地方公共団体はもとより、広く関係者の意見も十分踏まえた上で今審議を尽くしておりますので、こうした状態が続きますが、年内には地方分権推進計画の作成のための具体的な指針を含む勧告がなされます。したがって、政府といたしましては委員会勧告を受けまして速やかに実効性のあるものを、計画を作成していく必要があると考えております。
  30. 倉田寛之

    国務大臣倉田寛之君) 地方分権推進というテーマは、全国的な統一性であるとか公平性であるとかということを重視をしてまいりました現行の画一と集権、この行政システムを住民の皆様や地域の視点に立って多様と分権行政システムに改めてまいりましょう、こういう考え方でございます。一口に申し上げれば、集中から分散、集権から分権、こういう考え方で進めることになっておるわけでございます。  したがいまして、地方公共団体それぞれが地域の行政主体というものをどんどん能力的にも高めていただいたり、さらには創意工夫を生かした地域づくりをお進めいただくなり、急速に進みつつある高齢化社会に対してもきめ細かな地域福祉の展開をしていただこう、それぞれの地域の課題に責任を持って対処していただきましょう、こういうことになろうかと思います。  地方がその実情に沿って個性あふれる行政を積極的に展開してまいりますことは、住民に身近な行政はできる限り住民に身近な地方の公共団体が担っていく、こういうことを基本として地方分権推進していく。そうして、そのために権限の移譲であるとか国の関与等の廃止であるとか緩和であるとか、機関委任事務の抜本的な見直しであるとか地方税財源の充実強化などの改革であるとかというものも積極的に進めることである、こういう認識に立っておるところでございます。  いずれにしても、地方分権推進は今時代の流れでもございますし、地域の行政に責任を有する地方の公共団体にとりましても長年の念願でもございます。自治省といたしましても、来るべき二十一世紀に向けて実りある成果ができるように強い決意で臨んでまいりたい、かように考えているところでございます。いささか長くなりましたが、御理解賜りたいと思います。
  31. 亀谷博昭

    ○亀谷博昭君 ありがとうございました。  画一、集権から地方の視点に立った多様と分権へというような考え方をお示しをいただきました。ぜひそのような視点での分権への取り組みをお願いをいたしたいと思います。  そういうことになりますと、地方分権というのはまさに地方自治が土台であります。地方自治体が自己責任を原則として新しい地域社会をつくり上げていかなければならないということになってまいります。自分たちで判断をし、選択をし、実行をする。そこに住民が参加して地域づくりを進めていく。その結果には当然責任が伴うわけであります。地方分権地方自治の完結を目指す以上、これは当然のことであります。  その結果、自治体によっては行政の一部分で一時的な停滞あるいはサービス水準の低下ということが起こり得るのではないかというふうに思います。そうならないことがよいことではありますけれども、起こり得る可能性はあるというふうに思います。しかし、私はそれはそれで許容されるべきなのではないかというふうに考えております。  例えば、介護等の福祉サービスにかかわることでも、サンプルや統計のとり方にもよりますけれども、現在も都道府県によって格差があるというようなことがよく言われておりますし、また文部行政等でも施設あるいは父兄負担の問題等々で必ずしも全国均一ではないわけであります。  そういう中で、財源も含めて地方に権限を移し、地方がみずからの裁量で事業を実施していく結果として、自治体間で格差が生ずるとしてもやむを得ないのではないか、こう考えるわけであります。そのことを恐れていると、まさに子離れをしない親のように、転ぶのではないか、けがをするのではないかというようなことだけを考えていると、いつまでたっても地方分権は進まないことになる、こう考えるわけであります。  そこで、自治体が真剣に取り組んだ結果の責任というのは各自治体が負うべきは当然のことでございまして、ある部分で一時的に格差が生じるのはやむを得ないのではないかと私は考えるんですが、分権を進める立場からどのようにお考えになられるでしょうか。
  32. 松本英昭

    政府委員松本英昭君) 委員指摘のように、地方分権というのは自己決定、自己責任の原則というものの貫徹ということに一つの目標があろうかと思います。そういう中におきまして、現実に地方分権が進みましたときに、ある一定の水準以上のサービスについて地域によっていろいろと差が出てくる、これはまたこれでいわゆる多様化とか個性化ということで評価される面もあろうかと思うわけでございます。  地方分権推進委員会中間報告の中におきましても、結果として地方公共団体間で施策等に差が生じることになっても、それは尊厳なる個性差と認識すべきとの考え方、すなわち地域の個性と多様性のあらわれととらえるべきものという考え方が示されているところでございます。  いずれにいたしましても、地方分権推進というのは国と地方の新たな関係の構築を目指すものでございまして、私どもといたしましても地方分権推進法に則した実りある成果期待しているところでございます。
  33. 亀谷博昭

    ○亀谷博昭君 さはさりながら、できるだけ格差が生じないように、ともどもに努力をしていかなければならないものと思います。  次に、都道府県市町村との関係についてお尋ねをいたします。  現在の論議あるいはまた中間報告等々では、都道府県市町村の二層制の枠組みで進めていって、必要に応じて制度見直しを行う、いわゆる二段階論が主流になっております。現実問題として、都道府県市町村のかかわりということが大きな課題であるわけですけれども中間報告には具体的にこの件についての記載はありません。  まず、地方分権を進めるに当たって、権限の配分、移譲というのは都道府県を中心にするのか市町村を中心にするのか、これは大変難しい問題であります。現在の二層制を前提にする以上は、どちらかを中心にするということはなかなか今の段階で難しいことであろうかと思います。しかし、都道府県市町村とのかかわり、それぞれの役割はしっかり踏まえておかなければ分権というのはうまく進まないのではないかというふうに考えるわけであります。「今後、地方分権の視点に立って、都道府県市町村との新たな関係あり方についても引き続き検討していく必要がある。」と報告には書いてありますが、今後どの程度明確な役割分担を示していこうとされているのか、お伺いをいたしたいと思います。
  34. 松本英昭

    政府委員松本英昭君) 委員指摘のように、地方分権推進委員会報告におきましては、第三章の「地方公共団体における行政体制等の整備」の最初に、「都道府県市町村との新しい関係」というのを取り上げております。ここでは、これもまた今委員指摘のように、「今後、地方分権の視点に立って、都道府県市町村との新たな関係あり方についても引き続き検討していく必要がある。」という指摘で結んでおるところでございます。  したがいまして、地方分権推進委員会におきましては、今後、都道府県市町村との関係につきましても鋭意審議をなされて、あるべき姿を勧告、指針としてお出しいただけるんではないかと思っておるところでございます。  基本的には、都道府県市町村役割及びその関係の問題は、市町村は基礎的な自治体として、また都道府県は地域における広域、総合的な行政主体として所要の調整を図りつつ、それぞれ自主的、自立的な行政が展開できるようにしていくことが基本かと考えているところでございます。今の中間報告の中にも、そういう一般的な都道府県市町村関係につきましては、ただいま申し上げましたような方向指摘があるところでございます。  いずれにいたしましても、さきに申し上げましたように、この問題は大変重要な問題でございます。今後、地方分権推進委員会においてもこの問題にも十分に留意して審議が進められるものと期待をいたしているところでございます。
  35. 亀谷博昭

    ○亀谷博昭君 機関委任事務あるいは補助金の問題等々を含めて、国、県、市町村という位置関係ができ上がっているのは事実であります。しかし、国と県もこれからは上下ではなくて横並びですよ。県と市町村も同じようなことが今後言われるわけでありますから、これは分権を進めるための土台にもなろうかと思いますから、しっかりとお取り組みをいただきたいと思います。  次に、市町村規模について、さっき久世委員から受け皿論ということがございました。これから許認可等の規制緩和が進み、市町村はかなり独自に、自由に政策を進める、選択する、実施するというような機会が拡大されてまいりますと、当然事務量もふえてくるわけであります。また、権限が財源とともに移譲されてまいりますと、受け入れる市町村規模というのがやはり問題になってくるのではないか。  先ほど自治大臣から、地方自治体が着実に力をつけてきているという御答弁もありましたけれども、例えば千人未満の町村ということを考えた場合に、財政力あるいはまた人的な問題、仕組み等々で果たしてどの程度自治体として独立した形で行政を進めることが可能なのかという疑問がわいてくるわけであります。  そこで、規制緩和分権を進めるに当たりまして、なかなか難しいとは思いますけれども市町村規模といいますか、受ける側の市町村についてどんなふうにお考えになっておられるのかお伺いをいたしたいと思います。
  36. 松本英昭

    政府委員松本英昭君) 地方分権を進めるに当たりまして、基礎的団体である市町村規模というものはどれぐらいが適切かという御議論につきましてはよく話題になるところでございます。いわゆるかつての昭和の大合併のときには、主に新制中学校を円滑に運営できる規模という観点から、一つの最低人口規模というようなものを想定いたして国が町村合併を促進したということがございます。  しかしながら、現在の状況を考えてみますと、市町村が置かれました多様な状況やさまざまな住民のニーズ等にかんがみますと、なかなかかつてのように一律に市町村の人口規模を全国を通じて単純に判断をしていいものかどうかということは私ども大変疑問に思っているところでございます。  ただ、今御指摘のように、いずれにいたしましても地方分権推進という観点から、先ほども大臣から御答弁がありましたように、分権とそれからその受け皿である地方行政側の財政整備というものが、やはり最低限必要なものは整備していくという考え方は当然必要なもので、並行して進めていかなければならないということを私どもも痛感をいたしているところでございます。  委員の御指摘の、どの程度かという御質問には的確にお答えいたしかねるわけでございますけれども、私どもも、市町村が力をつけて分権受け皿としてふさわしいものになっていくように、これからも必要な検討を進めてまいりたいと考えているところでございます。
  37. 亀谷博昭

    ○亀谷博昭君 現在の市町村がそれぞれしっかりと効率的に分権を受け入れて行政推進していただければ一番いいわけでありますけれども、やはり今後、先ほども議論ありましたが、合併ということも当然分権を進める中で出てくる課題であろうかと思います。  報告にもございますが、自主的合併の推進ということが述べられております。もちろん市町村の合併は自主的であることが基本であるはずでありますけれども、より効率的な規制緩和地方分権を進めるという観点に立てば、もう少し踏み込んだ合併推進の方策というものも考えられてきていいのではないか。  先ほど、大臣から法律改正に伴いましての合併推進の現状についてのお話がございましたけれども、今後具体的に分権を進めるに当たってのもうちょっと踏み込んだ形での合併推進の方策というものは考えられないのかどうか。その辺について、お考えを伺いたいと思います。
  38. 倉田寛之

    国務大臣倉田寛之君) 委員指摘なさいましたように、昨今、過密過疎の問題が生じている現況の中で、市町村等の規模に格差が出ているということは現実の問題としてございます。  そこで、そういったことの認識に立ちながら、市町村の合併につきましては、市町村の行財政基盤を強化していくという意味で非常に重要な意味を持ち、有効な適切な方策の一つとなろうということも承知をいたしております。  先ほども触れましたが、昨年、住民発議制度の創設であるとか、合併市町村の町づくりを支援するための財政措置の強化を初めといたしまして相当の行財政措置の拡充が図られました改正合併特例法、これを有効に活用させていただきまして、都道府県とも十二分に連携を図ってまいりながら、あくまでも自主的な市町村の合併の推進を図っていくように助言と御相談に応じてまいりたい、かように考えているところでございます。
  39. 亀谷博昭

    ○亀谷博昭君 合併というのは自主的に行われるものでありますから、急にどうということはなかなか難しいことであります。そこで、広域的な行政の展開というのが合併とあわせてやっぱりもっと考えられていかなければならないんだろうと思います。現在でも市町村間でのさまざまな取り組みはなされておりますが、どうも余り効率的に行われていない部分がたくさんあるようであります。  分権が成功するかどうかというのも、やはり広域行政がどう進むかという部分にもかかってくるのではないかと思いますが、広域事務組合あるいは今般導入されました広域連合制度等を含めまして広域行政をどう進めていかれるのか、お考えをお聞きしたいと思います。
  40. 松本英昭

    政府委員松本英昭君) 今後の広域行政への取り組み、これもまことに重要なことだと私ども考えているところでございます。特に、都市や周辺農村漁村というものを一体とした圏域の総合的、計画的な振興を図っていくということ、あるいはまた地方分権受け皿としての広域行政体制の整備という観点、そういう観点から広域行政体制のさらなる確立というものを私どもは促進していかなければならないというように考えております。  そういうことで、先ほど委員指摘になりましたような従来からありますいわゆる広域圏行政の上に、昨年の六月からは広域連合制度発足ということをいたしたわけでございます。  その上に、さらに私どもが今考えておりますのは、時代に即した、また地方分権推進の動きをも踏まえました広域行政圏のあり方というものをやはり考えていかなければならないだろうということで、調査研究委員会設置して、現在鋭意検討を進めているところでございます。
  41. 亀谷博昭

    ○亀谷博昭君 次に、地方議会のあり方について二、三お伺いをしたいと思います。  この報告の中に、「地方公共団体の自治責任」というところに、地域住民の代表機関としての地方公共団体の最終意思の決定に与かる地位にある地方議会と首長の責任は格段に重くなるという表現があります。そしてさらに、知事あるいは首長はこれまで以上に地域住民の意向に鋭敏に応答するようになる。地方議会にとっても、その機能が強化され、知事、首長に対する監視、牽制、批判機能の重要性が増す。これは民主主義の徹底である、こういうような記述がずっとあるわけであります。  要するに、地方自治の本旨の実現のために、地域住民は批判の矛先をみずから選出した地方議会に向けなさいよという表現があります。要するに、責任が重くなる、そして地域住民の当然意見を述べる対象として地方議会の責任が重くなってくる。こういうことがあるわけでありますけれども、そのほかに、じゃ地方議会をどうするかということについては、この報告にはほとんど述べられていないわけであります。  そこで、地方議会のあり方についてはかねて議論があるところでありますけれども、現在の地方議会の制度、機能についてどんな認識を持っておられるのか、まずお伺いをしたいと思います。
  42. 松本英昭

    政府委員松本英昭君) 現在、地方議会の機能は、いわゆる議決権と称する決定権、それから意見の提出権、あるいは諮問・答申権、請願受理権、あるいは同意権、不信任議決権、調査権あるいは解散権というようなものを持っております。  今、委員指摘のように、地方議会はいわゆる首長制というものをとっておりまして、首長制度のもとにおける議会のあり方というのは非常に難しい一面があろうかとよく指摘をされているところでございます。  そういう中にありまして、地方分権にふさわしい地方議会のあり方というものについて、さきに委員が御指摘のように、地方議会にとってもその機能が強化され、知事、市町村長に対する監視、牽制、批判機能の重要性が増すということは、さきの地方分権推進委員会中間報告でも御指摘になっているところでございます。  また、二十四次の地方制度調査会地方分権推進に関する答申におきましても、「地方公共団体の果たすべき新たな役割に対応して、地方議会もその本来の機能が十分発揮できるよう、自主的な改革に取り組むべきである。」と述べているところでございます。  これら地方議会のあり方等につきましても、住民の意思の反映というような観点からさらなる専門的ないろいろな審議が今後とも必要になろうかと私どもも意識をしているところでございます。
  43. 亀谷博昭

    ○亀谷博昭君 地方議会につきましては、私も地方議会出身者でありますが、制度や機能を論じる前に、地方議会そのものが取り組み方あるいは議員個々の意識等々変革をしなければいけないのではないかという点も指摘をされているところであります。  しかしながら、今回の報告を見ますと、「住民参加の拡大」というところで、直接請求制度、住民監査請求制度という従来の制度に加えまして、住民参加拡大のために直接請求制度見直し、住民投票制度検討などがうたわれております。  もちろん、直接民主主義の場を拡大していくということは重要なことであり、私も賛意を表するところでありますが、住民代表としての議会のあり方というものもやはりこれからの分権論議の中で検討されていかなければならないのではないかというふうに思います。時間がありませんから、この件は今の行政局長の御答弁に合わせてぜひ今後しっかりしたお取り組みをお願い申し上げておきたいと思います。  一つだけ、新たな意見と申しますか、提案を含めて御意見を伺いたいのでありますが、それは都道府県会議員の定数と選挙区の問題であります。  御存じのとおり、地方議会の議員定数というのは地方自治法によって定められております。すべて人口がその土台になっているわけであります。県も市町村も同じであります。また、選挙区というのは公職選挙法によりまして郡市を基本とする、こう書いてあります。場合によりましては合区をするとかあるいは特別区を設けるとかという特例も認められてはおりますけれども、基本はあくまでも郡と市であります。  各都道府県には人口によって定数の定め方がありまして、例えば宮城県は今県会議員六十四名ということになっておりますが、このような郡市を単位にして人口によって六十四人を宮城県内に割り振っていきますと、最終的には都市部の方にどんどん議員が集中をするという傾向が出てまいります。宮城県の場合も、仙台という大都市がありますから、六十四名のうち二十四名が今仙台市に配分をされているわけであります。過疎が進む郡部におきましては幾ら面積が広くても議員がどんどん減る、こういう状況になります。  そこで、人口を基本とする現在の定数の定め方そのものの変更ということになりますとかなり大きな問題になってきますから、それはひとまずおくといたしまして、都道府県に人口によって県会議員の数を割り振った後は、選挙区の設定とかあるいは選挙区への定数の配分というのは各都道府県にお任せをするということも考えられていいのではないか、こう思うわけであります。県会議員の仕事というのは人口によってのみ割り切られるものではありませんし、人数が少なくても面積が広ければ道路の問題、川の問題を含めそれなりの大きな仕事がたくさんあるわけであります。  そういう意味で、人口による都道府県のバランスはそのままにいたしまして、それぞれの都道府県の事情によって議会の判断で選挙区の設定あるいは定数の配分というものが行われるような見直しというのはできないものか。これは公職選挙法の改正を伴うわけでありますから、今すぐにどうというわけにはいかないと思いますが、そういうこともやはりこれから考えていくべき課題なのではないかというふうに思いますので、とりあえず所見をお伺いしておきたいと思いますし、先ほど述べましたこととあわせて、この際、地方議会のあり方というものにもしっかり取り組んでいただきたいということをお願いしておきたいと思います。
  44. 谷合靖夫

    政府委員(谷合靖夫君) 今の都道府県議会の選挙区なり選挙区別定数については御指摘のとおりでございます。これを、いわゆる総定数だけを与えて後はそれぞれの地方公共団体の例えば条例にゆだねるかどうかという問題はかなり大きな問題がございますし、現在は一定の基準という形でそのような規定の仕方にされておるわけでございます。  ただ、都道府県別定数ということになりますと、現在も、「おおむね人口を基準とし、地域間の均衡を考慮して定めることができる。」、つまり必ずしも人口原則によらなくてもよろしいという十五条の八項のただし書きという規定がありまして、これについては各都道府県で御判断をいただいているというふうな状況になっておりますので、現実的なそうした運用の中でそういう定数というのは各都道府県ごとに御判断をいただいているものというふうに考えております。
  45. 亀谷博昭

    ○亀谷博昭君 お話はよくわかりますけれども、現実にはなかなかそういっておらない部分が多いということでありまして、これからの例えば一つの県の中の地域振興をどう図っていくのかということを考えた場合に、機械的な定数の配分あるいは選挙区の設定ということは、この際、地方分権を進める中で考えていかれていい課題ではないかと思いますので、今後のお取り組みをお願いいたしておきたいと思います。  次に、もう一つ地方分権を進める上で自治体の自立能力をどう高めるかという観点からの監査制度の問題があります。  財政面における自主権限が拡大されるに伴いまして、行政の公正さをどう確保するかという観点からも監査制度改善が必要であるということは既に指摘をされてきているところであります。第二十四次の地方制度調査会の先日の報告でも、外部監査制度の導入というのが打ち出されてきております。当然、今後の地方制度調査会の動きを見ながらということになると思いますけれども、監査機能の充実についてはどのように取り組んでいかれるお考えなのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  46. 松本英昭

    政府委員松本英昭君) 委員指摘のように、地方分権が進んでまいりますと、当然地方公共団体における行政の公正、能率という観点からの自己チェックシステムというものをより向上させる必要があるわけでございます。そういう観点から、これも委員指摘のように、去る四月十六日に二十四次の地方制度調査会の専門小委員会において、現在の監査委員制度の充実強化という方向とそれから外部監査制度の導入の両面から検討をすべきということで意見の集約が行われ、小委員会報告がなされたところでございます。  現在の監査委員制度の充実ということにつきましては、より高い独立性と専門性を確保するための方策といたしましてどういう方策があるか、あるいはこの監査委員の定数、選任方法や選任資格等について見直してはどうかとか、そのほか事務局体制をさらに充実すべきではないかというようなことが指摘され、検討する必要があるという意見が出ておりました。  また、外部監査制度につきましては、導入の必要性とともに、導入の検討に当たりましては、現行監査委員制度と外部監査制度関係とか、外部監査の対象をどのようなものにするかとか、方式をどのようなものにするかというような点に留意するよう述べられておりまして、こういう点を踏まえて次期の地方制度調査会において審議が行われるものと私どもは聞いているところでございます。
  47. 亀谷博昭

    ○亀谷博昭君 仏つくって魂入れずということになりませんように、ぜひひとつ監査制度の充実についてはよろしくお願いを申し上げたいと思います。  次に、規制緩和について、時間もありませんが、許された時間内でちょっとお尋ねをいたします。  さきの総務庁長官の御発言、また規制緩和推進計画改定の目的というところにも、「自己責任原則と市場原理に立つ自由な経済社会としていく」という表現があります。自己責任原則と市場原理に立つ自由な経済社会というのはどのような社会を考えておられるのか、その基本的なお考えを伺いたいと思います。
  48. 中西績介

    国務大臣中西績介君) 規制緩和推進計画におきましては、今言われましたように、目的としまして、我が国経済社会の抜本的な構造改革を図り、国際的に開かれ、自己責任原則と市場原理に基づいた自由な経済社会としていくことを基本とするとなっておることはもう御指摘のとおりであります。  具体的に申し上げるといたしますならば、国民あるいは企業が過度な行政依存というものを避けなくてはならぬと思います。したがって、そうした体質をどう改めるかということとあわせて、十分かつ公平に入手できる情報のもとにおきまして、みずからの選択あるいは責任をどう持つかということがこれからの問題でありますから、こうした環境の整備を十分やっていく必要があるだろう、こう考えます。  これとあわせまして、政府の規制による市場介入ということが逆にあるわけでありますから、公正なルールの確保など、必要最小限のものにどうとどめるかということがまたこれからの課題になってくると思います。したがって、市場原理がより有効に機能するようにこれからの行政側の対応というものは十分考えていく必要があるだろう。そうしたことを目指していく必要があります。
  49. 亀谷博昭

    ○亀谷博昭君 お話しいただきましたように、規制緩和は官の主導を緩めて個々の自由と責任を重視する民主導の経済社会をつくるということであろうかと思います。具体的には、消費者の選択の幅を広げる、あるいはまた内外価格差の縮小であるとかいろんな課題があります。  ただ、規制緩和がすべてとは言えないものもあるのではないかというふうに考えるところであります。私は、規制緩和を進めることに賛成の立場でありますけれども規制緩和がすべてで、あとは市場原理でというふうに言えない部分もある。例えば、大店法見直しと旧来の商店街とのかかわりをどう考えるのかというのも大きな課題であります。  きょうは、通産省からもおいでいただいていると思いますが、その辺についてお考えを聞かせていただきたいと思います。
  50. 福井雅輝

    説明員(福井雅輝君) 大店法につきましては、大型店の出店に際しまして、中小小売業の方々の事業機会の確保という観点とそれから消費者の利益の保護、そういう双方の観点から調整を行うものでございます。  大店法につきましては、平成二年以来三次の規制緩和措置を行ってきたところでありますが、同時に通産省といたしましては、消費者行動の変化でありますとか価格競争の激化でありますとか、そういう著しい環境変化に直面しております中小小売商業対策といたしまして、意欲ある中小小売業者がこうした環境変化に的確に対応し得るように、商店街の活性化のために総合的な対策の推進に努めてまいったところでございます。  三月に改定されました政府規制緩和推進計画では、平成九年度に「制度について見直しを行う。」とされております。その際には、消費者それから商店街で構成される中小小売業の方々、学識経験者、幅広く意見を聞いた上で検討する必要があるというふうに考えているところでございます。  また、通産省といたしましては、中小企業庁を中心に引き続き商店街の活性化のための総合的な対策を講じてまいりたいというふうに考えております。
  51. 亀谷博昭

    ○亀谷博昭君 なかなか答弁も難しいんだろうと思いますけれども、私は大店法の見直しを否定するものではありません。しかしながら、旧来の商店街が我が国の地域社会の形成に大きな役割を果たしてきたということも事実であります。人と人とのかかわりが薄れつつある中で、そうした役割はこれからも大切なものであろうかと思います。そうした商店街をどう残していくのかということは、規制緩和と同時にやっぱり考えられなければならない大きな課題であろうかと思います。  これは一つの例として申し上げたんですけれども、今日の日本をつくり上げてきた土台を崩さない、よき慣習あるいは地域社会の仕組みを変えないことも大切でありますし、そうしたものを規制緩和とのかかわりでどう考えていかれるのか、最後にお尋ねをして私の質問を終わります。
  52. 中西績介

    国務大臣中西績介君) 今指摘をされますように、規制緩和推進すればするほど負の問題が必ず出てくるだろう、このことは十分承知をいたしております。  したがって、規制緩和だとか、経済の構造変化に対応いたしまして政策的な努力あるいは配慮がまた非常に必要になるわけでありますから、個々の事情に即しまして適切な対処を図って推進していくべきものと考えております。特に、規制緩和に伴い生ずるさまざまな課題につきましては、政策面での対応などきめ細かい配慮を行う必要があるだろう。  当庁といたしましては、政策的なものまで言及することはできませんけれども、中小企業対策だとか雇用対策だとか、挙げれば幾つもの問題が出てまいりますので、これらについては政府一体となってどう措置していくかということについて考えなくてはならぬと思っております。
  53. 亀谷博昭

    ○亀谷博昭君 ありがとうございました。終わります。
  54. 浜四津敏子

    委員長浜四津敏子君) 午後一時三十分に再開することとし、休憩いたします。    午後零時二十四分休憩      —————・—————    午後一時三十分開会
  55. 浜四津敏子

    委員長浜四津敏子君) ただいまから地方分権及び規制緩和に関する特別委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、地方分権推進及び規制緩和に関する調査を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  56. 小山峰男

    ○小山峰男君 最初に、規制緩和について二点ほどお尋ねをしたいと思います。  規制緩和必要性等につきましては、もうるるいろいろなところでお話があったわけでございますし、あえて重複は避けたいと思いますが、いずれにしましても三月二十九日に規制緩和推進計画改定が行われておるわけでございます。資料等でも既に八百十八事項が措置済みあるいは一部措置されたと。今後九百七十九事項が措置、検討されるというふうに言われておるわけでございます。  これだけの数を見ますと、規制緩和もかなり進んだように見えるわけでございますが、NTTの問題だとかあるいは持ち株会社の問題だとか重要な問題が先送りされているとか、多くの課題検討するとか非常に抽象的な言葉で述べられているというようなことがあるわけでございまして、必ずしも十分な対応がなされていないというふうに思っているわけでございます。また、国民から見ましても、自由な経済社会になってきているのかという実感は、必ずしも肌身に感じていないというふうに思っておるわけでございます。  しかし、長官の説明にもありますが、三分の二が措置済みというようなことが言われておるわけでございますが、具体的な経済的な効果といってもなかなか難しいと思いますが、そういうものがどういう点で出てきているのか。  また、規制緩和等が行われれば、当然国の公務員の定数というような問題も削減が図られてしかるべきだというふうに思っているわけでございまして、その辺について御説明をお願いしたいと思います。
  57. 陶山晧

    政府委員(陶山晧君) ただいま先生から御指摘のございました、規制緩和に関するいわば具体的な効果ということでございます。  このことにつきまして、いわば技術的にもなかなか数字的にあるいは定量的にきちんとした御説明を申し上げるというのは難しい要素が多々あるということは御理解をいただきたいと存じますが、私どもといたしましても、具体的な効果について、規制緩和白書の作成等に当たりましてできるだけ努力をしてみたいと考えております。したがって、きちんとした数字的な御説明をただいま申し上げられないのはまことに申しわけないと存じますが、いわば規制緩和と申しましてもいろいろな側面があるわけでございます。  ただいまの効果という観点で申し上げますならば、新規事業の創出あるいは事業拡大の促進、あるいは競争の促進とか価格の弾力化によって市場を効率化していく。国際的な基準への調和とか市場アクセスの改善などによって輸入の促進を図っていく。消費者とか事業者の負担軽減によって経済的コストの削減を図る等々の観点で相当の効果が期待される事項が多々含まれているというふうに考えております。  いずれにしても、規制緩和への取り組みと申しますのは一度きりで終わりとかいう性格のものではさらさらございません。政府といたしましては、行革委員会の御意見あるいは内外の各団体の御意見等踏まえながら引き続きその推進に努力をしていく必要があろうと考えております。  二つ目に、規制緩和と定員管理との関係についてのお尋ねがございました。  規制緩和推進が公務員の定員とどうかかわりがあるかということでございますけれども、国家公務員の定員につきましては大変厳しい管理を行っているところでございます。  ただ、それぞれの規制緩和項目が行政事務の量にどれだけ具体的な影響を与えるのかということを、すべてについてきちんと具体的に算出をするということはこれまた大変難しいことでございます。  私どもといたしましては、毎年度予算編成過程を通じまして各年度の国家公務員の定員を各省庁の要求を受けていわば査定をする立場でございますが、その作業の過程におきまして、規制緩和の具体化、推進の要素が業務量にどれだけ影響を与えるのかということにつきまして、常に意識をしながら各省庁議論をさせていただいておるところでございます。  今後ともに、規制緩和行政事務の増減との関係については常に意識を持ちながら対応してまいりたいと考えております。
  58. 小山峰男

    ○小山峰男君 八年度の予算定員を見ましても、特別会計では三角の二千四十六、これは国有林野会計というようなものが大きな要素だと思うんですが、一般会計では三角七十というようなことで必ずしも十分な形になっていないというふうに思うわけでございます。ぜひ、今おっしゃられたように、各省ごとにそれぞれ規制緩和効果等も勘案して今後定員管理をお願いしたいというふうに思うわけでございます。  それから次に、今回、規制緩和改定が出たわけでございますが、その前等におきまして外国等からいろいろな意見があったというような報道もあるわけでございまして、三月十九日にはアメリカのカンター前通商代表が池田外相あてに、具体性に欠け、新たな目立った公約がないというような大変厳しい不満の意が示されたというようなこともあるわけでございます。  それらの内容、対応、また、今回の改定が出た場合の各国の反応等につきましてお話をいただきたいと思います。
  59. 近藤誠一

    説明員(近藤誠一君) 昨年の規制緩和推進三年計画の発表以来、アメリカ、ヨーロッパを初めとしまして、諸外国からは我が国の規制緩和の進展状況について大変高い関心と期待が表明されております。  したがいまして、一方で政府としましては、内容の策定あるいは改定に当たりまして、行革委の意見の最大尊重あるいは国内の意見に耳を傾けると同時に、こういった諸外国からの要望にも十分配慮をしながら策定を進めてまいりました。また、策定の方法につきましても、改定の前に検討状況を公表するといった透明性を確保するという点も努力しまして、この点では大変諸外国から高い評価を得ております。三月の改定内容につきましては、アメリカ、ヨーロッパ等より一定の評価を得ております。  具体的には、アメリカ、これはUSTR、通商代表部がプレスリリースを発表いたしまして、この改定計画の発表を歓迎すると。そして、一定の分野については意義深いコミットメントになる可能性があるという評価をしつつ、同時に、もっと大胆な規制緩和計画を期待していた、今後とも引き続き努力をしてほしいという反応が来ております。ヨーロッパ、EUにおきましても同様、一定の分野の進捗を評価しつつ、さらなる努力を要請するという反応になっております。
  60. 小山峰男

    ○小山峰男君 外国の言いなりになれという意味ではございませんが、いずれにしても、日本経済の構造改善としては規制緩和は大変重要な課題であるわけでございまして、いろいろの対応をしながらぜひこの実を上げてほしいというように思うわけでございます。  次に、地方分権についてお尋ねするわけでございますが、地方分権推進等につきましては、もう既にその必要性等は十分御存じの皆さんでございますが、その中で特に地方財源の充実強化というのは必要不可欠なことであるというふうに思うわけでございます。この場合、考えられる方策としては、当然地方税財源充実確保地方交付税の安定的確保ということに一応私は尽きるのではないかというふうに思っているわけでございます。  地方税財源充実確保につきましては、この中間報告におきましても、課税自主権を尊重し、できるだけ税源の偏在性が少なく、かつ税収の安定性を備えた地方税体系の構築に配慮すべきであるという問題提起がなされているところでございまして、これから当然関係各省等で検討がなされていくというふうに思うわけでございます。  しかし、いろいろ考えてみますと、新たな税財源の創設というのはなかなか地方団体にとっても大変なことだというふうに思うわけでございますし、そうすると現在の国税部分を地方に移管するということが最大の施策になろうというふうに思うわけでございます。  今後、検討するということでございますが、当然自治省としても既にそういう問題については相当検討がなされているというふうに思っておるわけでございまして、その辺の状況あるいは考え方についてお聞きしたいと思います。
  61. 佐野徹治

    政府委員(佐野徹治君) 今お話がございましたように、地方分権推進に伴います地方税財源の充実の問題は非常に重要な問題であるというように考えているところでございます。  今お話がございましたけれども、その際に新たに地方税を創設するということにつきましては、そういうことになりますと国民負担率の上昇という問題もございますし、地方分権の問題というのは国と地方役割分担をどうするかという行政間の問題でございますので、やはりこの問題は直ちに国民理解を得られるのかどうか、そういう問題があるのではないかと思っております。  今、御指摘の国と地方の税源配分の問題につきましては、現在地方分権推進委員会におきまして、国と地方役割分担あり方に即して権限の移譲をどうするか、それから補助金等整理合理化の問題をどう扱うか、そういったこととの関連で地方税財源充実確保の問題についてどう進めていくか、こういったことにつきまして地方分権推進計画のための具体的な指針づくりが行われているところでございます。  私どもといたしましては、これらの審議等も踏まえまして、基本的にはやはり地方税財源の一層の充実確保を図る、こういう立場で対応してまいりたいと考えているところでございます。
  62. 小山峰男

    ○小山峰男君 いずれにしましても、入り口が二対一で出口が一対二というような状況であるわけでございまして、この乖離をぜひ少なくとも一対一ぐらいにしていただくように御努力いただきたいというふうに思うところでございます。  それから、中間報告では機関委任事務廃止というようなことで、ある意味では大変画期的でございますが、そのかわりとして自治事務とかあるいは法定受託事務というふうに整理をなされたわけでございますが、名前を変えただけでは実際問題として地方分権の実が上がってこないのではないかというふうに思っております。やっぱり事務のシステムそのものを変えないとどうしようもないというふうに思うわけでございます。  お手元に資料を配付させていただいておりますが、県の状況を必ずしも全部ではございませんが「法令、補助金交付要綱等に基づき県が策定する計画の概要」ということで申し上げてございます。法律だとか補助要綱だとかいろいろの形の中で、ざっと拾いましても百七というような形で県に計画づくりが義務づけられ、その計画に基づいた事業に補助金が出るというようなシステムが従来パターンとして行われていたわけでございまして、こういうシステムをやはり抜本的に見直さない限り本当の地方分権はあり得ないというふうに思っておるわけでございます。  そういう意味で、私は、先ほどもお話がございましたが、地方公共団体が自発的に事務を実施し、公共団体間の自由な競争を促進していくべきだと。また一事務によっては福祉に重点的な市町村があったり公共事業に重点的な市町村があったりということで、むしろ差があることが当然だというふうに思っているわけでございますが、そういうことにつきましてこのシステムをぜひ変えていかなければならないと思っております。その辺のお考え方をよろしくお願いします。
  63. 松本英昭

    政府委員松本英昭君) 地方公共団体行政を行っていきます際に自主性自立性ということが大切である、これは当然のことでございます。一方で、やはり地方公共団体がいろいろ行政を行う際に、国との調整という問題もあるわけでございます。問題は、今、委員が御指摘になられましたように、その際のシステムがどうあるか、そこがやはり大きなポイントの一つではなかろうかと思っているところでございます。  地方分権推進委員会のさきの中間報告におきましては国の関与という言葉を使っておりますが、これは言いかえると国と地方調整ということになるかと思うんでございますけれども二つの大きな方向を示しておると思っております。一つは、国と地方調整関係をできるだけ対等、協力の関係に持っていくという方向、それからもう一つは、公正、透明なものとしていく、こういう方向でシステムを改善していこうとしていると承知をいたしているところでございます。  そういうことから、国の関与については、その整理合理化を図りつつ地方公共団体の担う事務に応じた関与の態様を提言するとともに、国、地方公共団体間の関係調整ルールを一般法で定めていこう。そしてまた補助負担金につきましても、過度の関与等を是正して見直し方向を示しているところでございます。  こういう方向に沿いまして、今、委員の御指摘のような分権行政システム変革するという方向で、今後とも分権推進委員会審議が続けられるものと考えているところでございます。
  64. 小山峰男

    ○小山峰男君 基本的にはそういうことで進めていただきたいと思うわけでございます。  さて、最近国会にかかります法律等を私が見ましても、いわゆる従来型のシステムによる施策の遂行というのが大変多いというふうに思うわけでございます。一方で地方分権ということを進めながら、一方で従来型のシステムを依然として行政の施策の中で採用しているということはおかしいことだというふうに思うわけでございます。  そういう意味では、これからの施策というのは国としてどこかで地方分権という網の目をくぐらせて、その上で施策化をするというようなことが大変重要だと思っております。そういう意味では、どこの省がこれをやるのがいいのか私もわかりませんが、一番地方分権推進しておられる自治省なりが地方分権という観点でそれぞれの施策を洗い直してほしいと思っているわけでございますが、自治大臣どうでしょう。
  65. 松本英昭

    政府委員松本英昭君) 政府といたしましては、平成六年の十二月二十五日に地方分権推進に関する大綱方針というのを決定いたしたところでございます。この大綱方針におきましては、各省庁法律の立案を行う場合にあっても、当然に地方分権推進という趣旨に沿って行われるべきものという前提に立っていると考えているところでございます。  ただいま自治省がというお話もございましたので申し上げさせていただきますと、自治省といたしましても、従来から地方自治確立という観点から、地方自治に影響を及ぼす国の施策の企画立案及び運営に関しまして必要な意見を関係省庁に申し出てきたところでございます。この根拠は自治省設置法の第四条の規定に基づいておるところでございますが、今後とも委員の御指摘のようなことも踏まえながら地方分権推進に資するよう努めてまいる所存でございます。
  66. 小山峰男

    ○小山峰男君 ぜひそういう形の総合調整機能を十分発揮をしていただくということをお願いして、質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
  67. 菅川健二

    ○菅川健二君 平成会の菅川健二でございます。どうぞよろしくお願いいたします。自治省関係の方、しばらく御休憩いただきたいと思います。  私は、去る三月二十九日に改定されました政府規制緩和推進計画に関連して御質問を申し上げたいと思います。  計画に計上されました具体的な規制緩和方策につきましては、全体で千七百九十七項目、新規に五百六十九項目と大変盛りだくさんになっておるわけでございます。先ほど同僚の小山委員から話がございましたように、規制緩和の目玉となりますのはバツ印で、一歩進んで二歩足踏み、先送りの状況でございまして、政府にどの程度やる気があるのか疑問に感じておるわけでございます。  もとより、規制緩和というのは役所の権限を取り上げるわけでございまして、役人の最も抵抗するところでございます。私も長らく役人としてこういうことをやってきたわけでございますけれども、それを役所にやらせて満足な回答を得られないというのはむしろ当然でございまして、ここに官僚組織を超越した政治家のリーダーシップが強く望まれるのではないかと思うわけでございます。しかるに、今回の計画改定に当たりまして、橋本総理が指導力を発揮したのは輸入住宅一項目だけだと言われておるわけでございまして、各省大臣がどの程度汗を流されたのか皆目我々には伝わってこないわけでございます。  そこで、総務庁長官には各省の取りまとめ役といたしましていろいろと御苦労されたことと思いますが、大臣御自身がこの計画改定に当たってどの程度汗をかかれたのか、具体的なことがございましたら御答弁いただきたいと思います。
  68. 中西績介

    国務大臣中西績介君) 規制緩和というのは、もう絶えず答弁等でいたしておりますように、経済社会の抜本的な改革をやるんだということを基調にいたしまして、国際的に開かれる体制をどうとるのか、さらにまた自己責任と市場原理に立つ自由な経済社会、これをどのように推し進めていくか、こうした政策課題を現内閣といたしましては重要課題一つとしておるわけであります。  したがって、先般規制緩和推進計画改定を行ったところでありますけれども、この中で特に各種規制の徹底的な見直し、さらに新たな規制緩和方策というものを盛り込みまして、数を余り言うべきではないと思いますけれども、約六百に近いものを新たに加えてやるということにいたしたわけであります。  こういう状況の中でございますから、改定計画を取りまとめるに当たって、今指摘がございましたように、どのような位置づけであったかということを指摘されるわけでありますけれども、特に私の場合には各省庁との関連をどのように調整するかということでもって、事務当局を督励すると同時に、三月下旬になりまして閣僚懇談会などを開催いたしまして、各関係閣僚あるいは与党行政改革プロジェクトチームの皆さんとも最終的な調整を行いながら、改定計画がより充実したものになるように努力をしてきたつもりであります。
  69. 菅川健二

    ○菅川健二君 総務庁としてはいろいろおやりになったことと思いますが、各省庁が出されてきたもののホチキスの役割を果たしただけにすぎないんではないかという批判もあるわけでございます。計画改定に当たりまして、各省庁とのやりとりの中におきましてどのような姿勢、物差しで臨まれたのかお伺いいたしたいと思います。
  70. 陶山晧

    政府委員(陶山晧君) ただいまの先生の御質問に対して、若干実務的な御説明になるかもしれませんが、まず昨年の規制緩和計画の最初の改定に当たりまして、本年の特色としては、一つ行政改革委員会から具体的な改革意見が内閣に提出をされたという要素がございました。それから、これは昨年も同様でございましたけれども、外国政府を含めて内外の各種団体から多数の具体的な要望、意見が政府に寄せられたところでございます。その数は私ども整理によりますと約二千事項にわたっております。  後者の内外からの意見、要望の中には、若干規制緩和という範疇から外れるような要素のものももちろんございますけれども、これら多数の一つ一つの要望、意見につきまして、各省庁に具体的に意見等を私どもの立場でお願いをいたしました。その際、私ども取りまとめの立場といたしましては、それぞれの項目についていわば政府全体の取りまとめの素案ともいうべき原案を各省庁に提示をさせていただきました。  それは、今の段階では必ずしも直ちに具体化という状況がなかなか難しいという問題でありましても、極力検討方向政府計画の中に具体的に盛り込むこと、また実施時期についても、いつまでに結論を出すという意味のできるだけ具体的な内容を盛り込むこと、例えばそうしたような方向一つ一つの項目について取りまとめの立場としての考え方をお示しをし、そういう観点で、そういう姿勢で各省庁一つ一つについて調整をさせていただきました。  また、行革委員会の御意見につきましては、大変精力的な詰めた議論を経て提出をされたものでございますから、政府としてこれを最大限に尊重することが当然のことでございまして、これにつきましても各省庁との間で最大限尊重という評価が世の中にきちんと行われるように、私どもとして最大の努力をしたと考えております。  いずれにいたしましても、規制緩和それぞれ一つ一つの項目につきましては、事柄の性格からなかなか直ちに具体化ということは難しい要素のものがあることはもちろん否定いたしませんが、少しでも前向きに、いわばステップ・バイ・ステップであっても前に進むような方向で引き続き私どもの立場として政府全体の取りまとめの努力を続けていきたいと考えております。
  71. 菅川健二

    ○菅川健二君 いろいろな御努力をなさっておることは多といたすわけでございますが、私は各省の縦割り行政の中で、総務庁としては横にくし刺しをする基準、例えば新規参入規制は全廃するとかあるいは数値目標を設定するとか、いろいろな基準等を設定して各省と対応していただくことが必要であろうと思います。今後ともそういった点で御留意いただきたいと思います。  そこで、計画の具体的な中身に若干入らせていただきたいと思いますが、私が懸念いたしておりますのは、どうも情報通信分野における規制緩和がおくれているのではないかということでございます。海外におきましては情報通信革命とも言える情報通信分野の技術的進展が見られ、この分野における国際競争はますます激化いたしておるわけでございます。  こうした流れに乗りおくれないためにも徹底的な規制緩和を進め、我が国が競争力を向上させていくことが急務であると考えておるわけでございますが、郵政省としてこの点をどう認識しておられるか、お聞きいたしたいと思います。  特にこの分野におきまして、第一に参入規制の見直しの問題、第二に接続規制の見直しの問題、そして第三に外資規制の緩和の問題が重要である、と考えますが、これについてどうお考えでしょうか。
  72. 小笠原倫明

    説明員小笠原倫明君) 先生御指摘のとおり、情報通信分野におきましては最近大変急速な技術革新、あるいは経済のグローバル化、それに伴いましてこの分野でも国際競争の進展等が生じております。  それに伴いまして、私ども、情報通信分野が経済全体の改革といいますか、例えば高コスト構造の是正とか、そういったようなものに果たす役割というのも重要なものになっているというふうに考えているところでございます。  こうした状況を踏まえまして、去る二月二十九日でございますが、郵政大臣の諮問機関であります電気通信審議会から、この分野での競争を一層促進するために、一つは先生御指摘規制緩和推進、それからもう一つは接続に関する政策の推進、それからNTTの再編成の実施、こういったことを三位一体と申しますか同時に実施すべきである、こういう御趣旨答申をちょうだいしておるところでございます。  私は三点ほど申し上げましたが、そのうちNTTの再編成に関しましては、先般の閣議決定によりまして、「次期通常国会に向けて結論を得ることができるよう引き続き検討を進める。」、こういうふうになっておりますが、あわせて規制緩和推進、それから接続に関する政策の推進、こういった点につきましても郵政省として積極的に推進したいと考えておるところでございます。  規制緩和推進につきましては、三月の規制緩和推進計画改定に先立ちまして、ことし一月に私どもなりに抜本的と申しますか、全体にわたる規制緩和策を発表させていただいておりますが、その中で、先生御指摘の参入規制ということにつきましても、これまでのスキームを大幅に変えるという方向改革方向を発表させていただいたところであります。  具体的に申しますと、参入規制について言いますと、現在我が国の第一種電気通信事業と申しますか、こういったものの制度といいますのは、国際的に見ますと、例えばOECDの通信白書というものがございますが、その中でも、G7、いわゆる先進主要国の中でも最も進んだレベルにあるというふうに評価されておるわけでございます。これをさらに改善いたしまして、一層新規参入を円滑にするという観点から過剰設備防止条項、これは参入許可の基準の一つでございますが、著しく設備が過剰にならないようにという観点から審査をするという条項でございますが、これを削除するということにしております。  そのための環境整備ということで、現在こういう過剰設備防止条項を前提に第一種電気通信事業者の方に認められておりますいろいろな特権、例えば国公道の優先的利用とかあるいは私有地に対する強制的使用権とか、現在のこういった特権を維持することができるように、各省と鋭意新しい仕組みについて現在調整を進めているところでございます。  それから外資の関係でございますが、この分野では去る四月三十日、つまり先月末を交渉期限といたしまして、WTOの場でいわゆるマルチの場でも交渉が進められておりました。  こうした交渉を成功に導くという観点から、先月の五日でございましたが、他の国が自由化措置を講ずるということを前提に、日本ではNTT、KDD以外の電気通信事業者の外資規制を撤廃するという方針を既に表明しておるところでございます。  ただ、残念ながらこの交渉自体が四月三十日に決着を見ませんで、来年の二月十五日まで継続交渉ということになりましたものですから、我が国としては引き続きこの交渉の成功に向けて積極的に交渉に参画していきたい、かように考えておるところでございます。  最後に、接続に関する政策という問題でございますが、電気通信分野におきましては、NTT以外の事業者がNTTの地域通信網と接続いたしませんとサービスが提供できないという他の産業には見られない特異な市場構造になっております。  こうした接続というのが円滑にまいりますように、例えばNTT地域通信網に対する接続の義務づけ、そういったことも含めましてこういう具体的なルールを今年中に固めるということを内容とする方針を先般閣議決定された規制緩和推進計画改定に盛り込ませていただいておりまして、現在、電気通信審議会の場で鋭意御審議をちょうだいしているところでございます。  以上でございます。
  73. 菅川健二

    ○菅川健二君 ひとつ一層の御努力をお願いいたしたいと思います。  次に、私の選挙区に所在します中国経済連合会という会があるわけでございますが、会員企業七百社余りからアンケート調査を実施いたしまして、去る三月に規制緩和に関する中国地域の産業活性化方策と規制緩和に関する二十一項目の提言提言とそれから調査報告書をまとめたわけでございます。  企業現場からの切実な要望が大変多く含まれておるわけでございまして、これからの規制緩和推進にぜひ役立てていただきたいと思うわけでございます。とりわけ中国地方は製造業を中心に経済が停滞いたしておりまして、規制緩和による製造業のリストラクチャーの促進と新しい産業おこしによる新たな雇用創出が強く望まれておるわけでございます。  提言のうち労働関係につきまして一つだけ取り上げさせていただきますと、労働者と雇用者の間の多様なニーズに柔軟な対応をいたしますために人材の有効活用があるわけでございますが、労働者の派遣事業とかあるいは有料職業紹介事業の思い切った拡充、女子労働に関する母性保護を除く規制の撤廃等を図る必要があるとしておるわけでございます。  改定計画の中にも一部項目があるわけでございますが、内容はすべて先送りになっておるわけでございます。今後、早急に具体化を図るべきだと考えるわけでございますが、今後の具体的な取り組みについてお伺いいたしたいと思います。
  74. 森山寛

    説明員(森山寛君) 派遣事業と民営職業紹介事業の規制緩和につきましては、三月に改定されました規制緩和推進計画に基づきまして適切に対処するというふうにしているわけでございます。  具体的には、有料職業紹介事業につきましては昨年末の行政改革委員会の意見を尊重しまして、職業の範囲それから手数料等々につきまして現在鋭意検討を進めておりまして、本年中にこの検討をまとめまして、来年度から実施をしてまいりたいというふうに考えております。  それから、派遣事業につきましては、これも一昨年から御議論をいただきまして、昨年末に建議をいただきました。  その内容には、対象業務の拡大、それからまた育児休業等を取得した場合の代替要員の確保、それに対する特例という問題等々ございまして、そういうものを内容にいたしました改正法案を今国会に提出させていただいております。今現在審議中でございますが、この成立をお願いしているところでございます。  さらに、この問題につきましては、先ほど申し上げました有料職業紹介事業の見直しが終わり次第この制度あり方につきまして検討を開始していくというふうになっているところでございます。
  75. 北井久美子

    説明員北井久美子君) 引き続きまして、労働基準法の女子保護規定の問題につきまして御説明申し上げます。  労働基準法上の時間外労働、休日労働、深夜労働に関します女子保護規定についてでございますけれども、これは雇用の分野におきます男女の均等な取り扱いをより進めるための男女雇用機会均等法の見直しとあわせまして、現在、婦人少年問題審議会婦人部会におきまして精力的に御議論を願っているところでございます。  今後、さらにこの審議会の場におきまして労使に十分御議論をいただきまして、労働省といたしましてはその結果を踏まえて速やかに対応してまいりたいと考えております。
  76. 菅川健二

    ○菅川健二君 どうぞよろしくお願いいたします。  次に、規制緩和と石油価格動向についてお伺いいたしたいと思います。  三月末でいわゆる特石法が廃止になりまして、石油輸入の規制緩和が図られたわけでございます。その後の石油価格動向を見ますと、ガソリンは相対的に値下げの傾向にあり好ましい方向にあるわけでございますが、なお地域的な格差がございまして、四月一日時点で調べましてもリッター当たり地域によって十七円の差があるわけでございます。特に私の選挙区の広島とか鳥取、島根など中国地方は最も高いところに属しておるわけでございます。  このような格差はどうして生じたのか。ぜひ早急に是正していただきたいと思うわけでございますが、いかがでございましょうか。  また、ガソリン以外の灯油、重油、軽油は逆に値上げの傾向が見られるわけでございます。  例えばA重油について見ますと、昨年九月にリッター当たり二十四円がことしの四月には二十八円になっておるわけでございます。広島県のある企業で、仕入れ価格で同地点でとってみますと二七%もアップしておるというような実態があるわけでございます。素材メーカーなどでは経営の大きな圧迫要因になっておるわけでございます。  その原因は何なのか。今後、ガソリン、灯油、軽油等石油価格全般についての価格動向についての見通しについてもあわせてお伺いいたしたいと思います。  いずれにいたしましても、石油価格の内外価格差を解消するということは、我々消費者にとりましても生産者にとりましても大変重要な問題でございます。今後とも特石法廃止に続く規制緩和について格段の努力をお願いいたしたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
  77. 小平信因

    説明員(小平信因君) 石油製品の価格につきましては、特石法の廃止を初めといたします規制緩和検討が始まりました平成六年一月以来、ことしの四月までの約二年余りの間に、ガソリン価格につきましては全国平均で約十五円というふうに大幅に値下がりをしております。計算をいたしますと、一年間に大体五千万キロリットルのガソリンが売られておりますので、年間七千五百億円程度が消費者、需要家に還元をされているという計算になろうかと思います。  今、先生御指摘のガソリン価格の地域格差でございますけれども、ことしの一月には高いところと安いところで格差が三十円あったわけでございまして、今お話しの十七円という格差は三十円から比べますとかなり小さくなりつつあるということでございます。これは、石油会社が規制緩和の中でできるだけ全国一律の仕切り価格で対応していくということで努力をしている結果であるかと思いますので、これからもこういう方向は定着をしていくものというふうに考えております。  ただ、全国を比べますと、輸送のコスト等の差によりましてある程度の地域差というものが残ることはやむを得ない点があるということにつきましては御理解をいただきたいと思います。  次に、A重油の点でございますけれども、これも規制緩和を機会にいたしまして、今までの日本の石油製品の価格体系はガソリンだけが高く、軽油、灯油、A重油等は安いという世界でも非常に特殊な価格体系をとっていたわけでございますが、輸入が自由化される中でガソリンが下がる、他方で軽油、灯油、A重油等についてはユーザーの御理解を得ながらある程度の是正をさせていただくということで石油会社が交渉をしている状況でございます。  灯油、軽油につきましては、それでもまだ二年余り前に比べますと三円ぐらい低い状況にございます。A重油につきましては、これは相対の取引が多うございますので、個別の価格のレベルについては必ずしも詳しく承知しておりませんけれども、全体の価格の動向につきましては今申し上げたようなことで推移をしていくものというふうに考えております。  いずれにいたしましても、石油産業の分野におきましては、規制緩和を受けまして精製、元売、スタンド業界、人員の合理化を初めといたしまして必死のコスト削減努力をしている状況にございますので、通産省といたしましてはこれまでの規制緩和の効果を見守りながらさらに努力をしていきたいというふうに考えております。
  78. 菅川健二

    ○菅川健二君 ひとつ引き続き御努力のほどをお願いいたしたいと思います。  最後に、規制緩和というのはこれからさらに積極的に進めなければならないと思うわけでございます。今後、計画の見直し改定を行っていくと承知いたしておるわけでございますが、今後の取り組みの姿勢につきまして、決意のほどを総務庁長官に一言お願いいたしたいと思います。
  79. 中西績介

    国務大臣中西績介君) 規制緩和につきましては、引き続いて推進計画に基づき平成九年度までに仕上げるということになっておりますから、この実現を図るための推進をどのようにするかということで、これから後の日程といたしましては、内外の意見を特に重要視して、行政改革委員会監視結果なども含めまして十分踏まえた結果、八年度末までに計画を再度改定する、こういう方針でおるわけであります。  特に、措置できなかった部分等につきましても今回の場合には明らかにして皆さんの前にお示しをし、そして御論議をさらに深めていこう、こういうように考えておるところであります。
  80. 小川勝也

    ○小川勝也君 小川勝也でございます。  私からは地方分権の分野に絞って質問をさせていただきます。  まず、中間取りまとめを御発表いただきました地方分権推進委員会事務局の方にお尋ねをいたします。  この報告書が出るまでにも検討回数が非常に多く、そして私の議員会館の事務室にも何回も議論の結果をお届けいただきました。この膨大なる御議論、非常に頼もしく見させていただいておりますが、いろいろと御苦労のあることも伺っております。  そんな中で私も大変気になっておりますのが、当然のこととはいえ各省の抵抗が非常に厳しい、そのように伺っておるわけでございますが、その辺のことについてまずお伺いをしたいと思います。
  81. 東田親司

    政府委員東田親司君) ただいまお尋ねございましたように、私ども委員会におきまして昨年の秋以降、各省庁のヒアリングをしたわけでございますが、ヒアリングの内容は大きく分けて三点になろうかと思います。  一つは、各省庁から所管する各行政課題についての制度の概要、基本的考え方を伺いました。それから二つ目は、地方団体改革の意見を出しておりますのでこれに対する各省庁考え方を伺ったわけでございます。そして三点目は、十二月末でございますが、機関委任事務廃止した場合の検討試案、これにつきまして本年に入りましてから各省庁考え方を伺ったということで、三つに分けることができるかと思います。  そのヒアリングの過程で各省庁から御意見が種々出たわけでございますけれども、総じて申し上げますと、制度的な課題、特に機関委任事務制度に関する意見を御披露した方がよろしいかと思いますが、どういう御主張が総じてあったかということで申し上げます。  やはり全国的な統一性、公平性を確保する必要のある事務、あるいは都道府県の区域を越える広域的な事務、これはやはり国の役割として残すべきではないかという点。それから現在、機関委任事務につきまして種々国が関与いたしているわけでございますけれども、この関与につきましても、今後のあり方として一律にここからここまでしか認めないというような定め方をするのではなくて、個々の事務の実態に即応した検討をすべきではないかといったような意見が主な意見でなかったかと思います。  しかしながら、私どもが昨年暮れに出しました機関委任事務廃止後の検討試案に対しまして、およそ基本的に反対であるという意見が出されたわけではございませんで、先ほど申し上げましたような各省庁の御懸念、御意見等を踏まえまして今回の中間報告として取りまとめたわけでございます。  今後、中間報告が出てから一月半ほどたっておりますが、この中間報告をもとにいたしまして、各省庁を含めまして各界各層の意見を幅広く聞きまして、勧告に向けての取りまとめをさらに進めていきたいということで取り組んでいるところでございます。
  82. 小川勝也

    ○小川勝也君 私も詳しく読んだわけじゃありませんけれども、各省それぞれ御意見がおありになると思います。それも全部が全部理論的につじつまが合うとは私は思いませんけれども、なぜ各省の地方分権に対する反対論に説得力があるのかということを考えてみますと、私は、現在のままの地方自治体を受け皿としてとらえているからだと思うのであります。  一つは、それぞれの都道府県あるいは市町村にすべて地方分権を受け取るだけの能力がないということ、あるいは、先ほどの御説明にもありましたとおり都道府県にまたがっての施策というものがあるからだと思います。  その受け皿論といたしまして、例えば道州制の議論なんかは御議論の中にあったのでしょうか、その辺をお伺いしたいと思います。
  83. 東田親司

    政府委員東田親司君) 地方分権を進める手法としていわゆる道州制を導入すべきであるという御意見につきましては、当委員会も当初から承知しておるわけでございます。  これに対しまして、当委員会は昨年の十月に基本的考え方というのを出しまして、当時ちょうど二つ部会発足する時点であったものですから、二つ部会に新たに参画していただく専門委員に対しまして基本的考え方を一たんそこで集約したわけでございます。  その時点での考え方は、道州制等の議論をした場合に、その結論が出ないと分権が進まないというデメリットがあるわけでございます。そこで、私ども委員会としては、やはり当面、現行の基本であります都道府県市町村という二層制を前提にして地方分権の視点に立った制度あり方検討しようではないか、いわば現在の制度を前提に分権を急ぐという考えに立ってこれから審議しようではないかということで考えを集約いたしまして、その後、中間報告に至っているわけでございます。  なお、中間報告で触れてございますけれども、道州制等のことにつきましては、私どもとらないという考え方でございますけれども、多様な広域行政の仕組みというのが現在でもあるではないか。これをできるだけ地域の実情に応じたものを選択していただいて、地方団体が積極的に取り組んでいくようにしていただきたいという考え方中間報告で述べているところでございます。
  84. 小川勝也

    ○小川勝也君 道州制については理解をさせていただきました。  それでは、午前中から議論になっておりますけれども市町村合併。いわゆる最小単位の自治体として、人口が千人に満たない自治体もたくさんあるわけであります。例えば、人口が五百万人に達する県あるいは道としてこの分権の問題を考えるとすれば、分権によるメリットというのははかり知れないわけでございます。ただ、人口が千人台一万人以下の市町村にとってはすべてがバラ色の話でないわけでございます。  その合併論についてどのような議論があったのか、若干御紹介をいただきたいと思います。
  85. 東田親司

    政府委員東田親司君) 分権推進に当たりまして、地方公共団体が新たな役割を担うにふさわしい体制の整備確立を図る必要があるということで、御指摘のような市町村の合併、特に自主的な合併を推進していくということも今後の重要な課題であるということで認識しております。  中間報告ではどう言っているかということで申し上げますと、「今後、地方分権の進展と相まって、地方自治の担い手としての市町村の基盤をより強固なものとしていくためには、自主的な合併が一層促進される必要がある。」、こういう表現にしておりまして、これからこの観点でさらに議論が深められるものと承知しております。
  86. 小川勝也

    ○小川勝也君 いろいろな分野で、合併の議論であるとか、あるいは地方分権と合併との話をどうリンクさせるかということについても意見の分かれることだと思います。きょうの午前中の議論にありましたとおり、受け皿論を盾に地方分権に反対をするというやからもおるように聞いております。それは言語道断ではございますけれども、私はこの受け皿がどんどん整備されていくということがすなわち地方分権に直結するとも考えますので、内容はともかくといたしまして、地方分権推進委員会の中で大いに御議論をいただければと思っております。  それでは、地方分権に関しまして、ことしの四月から実際にスタートいたしました中核市制度についてお伺いをしたいと思います。  これはことしの四月からスタートしたということでございますけれども、御議論の中、いろいろな考え方に基づいてスタートした制度だと認識をしておりますが、その導入までのいきさつ、あるいは意義、そしてその主な内容をお聞かせ願いたいと思います。
  87. 倉田寛之

    国務大臣倉田寛之君) 小川委員から中核市制度の基本理念いかんという意味を込められてのお尋ねだろうと思います。  中核市制度は、第二十三次の地方制度調査会の中核市及び広域連合に関する答申に基づきまして、平成六年の地方自治法の一部改正により創設されたものでございます。制度の創設の趣旨につきましては、指定都市以外の都市で規模能力が比較的大きな都市につきまして、その事務権限を強化して、できる限り住民の皆様の身近で行政を行うことができるようにするものでございまして、地方分権推進する具体的な方策の一つであろう、こう考えておるところでございます。
  88. 小川勝也

    ○小川勝也君 私は、個人的にでございますけれども、この中核市という制度は政令指定都市に次いで権限を地方に移譲するいわばテストケースとしてこれからの地方分権への非常に重要な役割を果たすと考えておりました。そして、まず要件を満たしている市が二十八あると聞いておりますが、最初にスタートしたのが十二の市でございまして、来年また五つの市が追加されるということでございますけれども、先にスタートした中核市と、二十八の中に含まれておりながらまだ指定を受けていない都市との差異が何であるか、ちょっとお伺いしたいと思います。
  89. 松本英昭

    政府委員松本英昭君) 中核市は、それぞれの市がみずから中核市になるという意欲を示されまして申請され、それに基づいて政令で指定していくという手続になっているわけでございます。今、御指摘のいわゆる要件の満たされております二十八市あるわけでございますけれども、去る四月一日から発足いたしましたのは十二市でございますし、現在、来年四月から発足に向けて準備を進めていただいておりますのが五市でございます。  その差が何かということでございますが、中核市の要件を満たしておられますそれぞれの市の御事情もありますし、それから県の御事情もございます。  一つ大きな要素といたしまして、中核市はいわゆる保健所を設置していただかなければならない、保健所設置市になるということが一つございます。現実に二十八市の中で保健所を既に以前から設置しておられました市も相当ございましたが、今回の十二市の中のかなりの市は既に保健所を設置しておられました。もちろん全部が全部ではございません。新たに四月一日から保健所を設置された市もございますが、多くの場合はそういう市でございました。  逆に申し上げますと、残っております市のかなりの部分は保健所の整備というのが課題になっている、そういうように考えていただいてもいいと思います。これはすべてその理由だけではございませんが、それが一つの大きな要素になっていることは事実だと思います。
  90. 小川勝也

    ○小川勝也君 恐縮ですが、北海道では旭川市と函館市が要件を満たしておるわけですけれども、個別の事情について御説明をお願いをしたいと思います。
  91. 松本英昭

    政府委員松本英昭君) まず、函館市の方から申し上げますと、実は函館市は昨年の国勢調査で人口の要件を切りまして、そういうことで今のところこの二十八市の方には挙がっておりません。  旭川市の方は要件を満たしております。この旭川市につきましても、先ほど少し申し上げましたが、実は保健所をまだ設置されておらないわけでございます。そういうことで、保健所設置等の問題もあわせて現在御検討中であるように伺っているところでございます。
  92. 小川勝也

    ○小川勝也君 今の質問で何を申し上げたかったかといいますと、もし地方の市にとって中核市に指定されることにメリットがあるとすれば、自治体は競って保健所をつくりまして中核市として指定されるように運動をすると思います。もし、この中核市という制度に魅力がないということであれば、指定のための準備を整えないということも考えられるので、そのことが非常に重要だということで御質問をさせていただきました。  私は、もしこの中核市としての制度が、先ほど私が申し上げたとおりの地方分権への一里塚としての役割を持つとするならば、要件を満たした市が少しでも早く指定を受けられるように自治省としても対応していってしかるべきだと考えますが、その辺のところでお答えをいただきたいと思います。
  93. 松本英昭

    政府委員松本英昭君) 二十八市のうち、いまだ中核市への移行のスケジュールが定まっておらないところにおきましても、実は県、市の連絡協議会等を設置したりあるいは設置を準備中であったり、大体中核市に向けて動きがあるやに聞いております。中にはまだ未定というところもございますが、一応の目標を掲げて中核市の指定に向けてこれから検討を進めていかれる、そういうように伺っているところが大部分でございます。  私どもも、そういう当該市のお考えというものを十分そんたくいたしまして、必要な助言それからまた御支援をしてまいりたいと考えているところでございます。
  94. 小川勝也

    ○小川勝也君 漏れ聞くところによりますと、この中核市制度に立候補するあるいは指定を受けるということに魅力が乏しいのではないかということも聞くわけでございます。例えば、地方債の発行について、都道府県を通さずに直接国と交渉する権限などもっと権限を拡充してもいいのではないかという意見もあります。その辺についてはいかがでしょうか。
  95. 松本英昭

    政府委員松本英昭君) 中核市につきまして、いわゆる県の権限となっておりますものをかなり大幅に移譲いたしております。はっきり申し上げますと、政令指定都市の中で、例えば国道とか県道の管理、それから児童相談所に係る事務とか、義務教育職員の任免というような事務、あるいは大都市における大都市特有の行政事情で都道府県の権限になっているけれども政令指定都市にはおりているというようなもの、こういうものを除きますと大部分は実は政令指定都市の権限になっているものは中核市の権限におりておるわけでございます。  一方、もう一つ、政令指定都市には監督特例という制度がございます。この行政監督特例というのは戦前の制度に由来するものでございまして、そもそもはいわゆる五大都市監督特例というものから出ております。この政令指定都市の制度ができました際には、その前に地方自治法上、制度として実際は動かなかったんですけれども制度化されておりましたいわゆる特別市制という制度との関係がございまして、そこでいわゆる都道府県が持っております監督というものを政令指定都市になった場合に国の監督にする、あるいはその監督を受けなくて済むようにするという監督特例を設けたわけでございます。  中核市の制度をつくりますときに、監督特例をどうするかという議論が多々ございました。ただ、大きな方向といたしましては、中核市というのは県から分離するという考え方でなくて、県と協調して周辺の地域とも調整をとりながら行政を進めていっていただく必要があるだろう。そういう考え方に立ちますと、これはやはり原則としていわゆる監督特例を認めない方向で、県のもとにおいて調整をしていただく、こういう考え方の方がいいのではないかと。そういうことで、先ほど申されましたような監督の権限を国に引き上げるというようなことは避けるべきだ、そういう考え方に原則として立っています。  一部だけ、福祉施設関係につきましては監督を不要にするというような制度を設けておりますけれども、おおむねただいま申し上げましたような考え方に基づいて県でやはり調整をとっていただく、こういう考え方制度化されたものでございます。
  96. 小川勝也

    ○小川勝也君 私は中核市の制度に大変大きな期待をしておりまして、中核市がより住民に密着した行政推進することによって、それ以外の市やあるいは市町村が、新たな地方分権に向けて受け皿の整備であるとか、自分たちの行政の充実、あるいは先ほど来話題に出しておりますけれども市町村合併の誘因になりますことを期待するわけでございます。  先ほども道州制の話を少し出しましたけれども、今は都道府県と政令指定都市、そして中核市あるいはそれ以外の市町村、こういう形で自治体制度運営されておりますが、将来にわたってその辺の見直しはどう考えておられますでしょうか。
  97. 松本英昭

    政府委員松本英昭君) 地方自治制度をまず大きくは何層制にするのがいいのかという議論は、これは言ってみれば戦前から大変いろんな考え方があったわけでございます。現在は、いわゆる都道府県市町村の二層制というものを前提として地方自治行政が行われているということでございます。  これについてどうするかということについて、差し当たり今回の地方分権推進に対しては、ただいま地方分権推進委員会事務局長が御答弁いたしましたように、昨年の十月において、基本的考え方において二層制を前提としてやっていくんだ、こういう方向が示されておるところでございます。ただ、議論としてはいろいろとあることは私どもも承知をいたしております。  それからいま一つ、基礎的団体である市町村の段階をどういうふうに考えるか。現在の制度は政令指定都市という制度と中核市という制度ができて、そのほかの市町村につきましては、一般的には大体同じ権限、機能を持つという制度になっております。このことについて、さらに段階的に考えるべきだという考え方もございましょう。  しかし一方では、やはり基礎的団体をそんなに段階的に考えていくのは地方自治制度としてはおかしいのではないかという考えもございます。この辺はいま少し、特に小規模市町村との関係をどう考えるかというようなことも踏まえまして議論を詰めていかなければならないだろうと思っております。  今、二十四次の地方制度調査会において、特に小規模市町村をどうするかということについて議論がございまして、次期地方制度調査会においてこの議論についてさらに深めていくという報告をいただいておるところでございますので、そういう点も今後また検討をされるのではないかというふうに考えております。
  98. 小川勝也

    ○小川勝也君 最後に二点、倉田自治大臣にお伺いをしたいと思います。  これは大臣の御出身でございます自民党行革推進本部が関係をいたしましたいわゆる橋本ビジョンに関連してでございますが、一点目は市町村合併についての言及でございます。  午前中の御議論あるいは御答弁の中にもいろいろ出ておりましたが、今までは自主的な市町村の合併を推進しという、自主的というところに非常に力が入っておったわけでございますが、今回の橋本ビジョンに関して言いますれば、「市町村が基礎的自治体として地方行政を担うために市町村合併を促進し適正規模の実現を図る。」とございます。今までの御認識自治大臣としての御認識、変わったかどうかお尋ねをしたいと思います。
  99. 倉田寛之

    国務大臣倉田寛之君) 市町村合併の問題につきましては、かねてからいろいろな場面で申し上げてきた私の考え方は変わっておりません。  御案内のように、地方分権推進していきます観点から、住民の皆様に最も身近な地方公共団体である市町村が、自主的な合併によりまして地域づくりの主体となって行財政能力を強化していく、そのことは極めて重要でございます。したがいまして、合併を推進するに当たりましては、関係する市町村の住民の皆様の自主的な判断が尊重されなければならないというふうに思います。  したがいまして、市町村の合併の意義であるとか効果といったものを住民の皆様がよく御理解をいただきまして合併を選択できるようにしていくことが必要だと思いますし、合併特例法等々を効率よく運用してこれに資してまいりたいものと、こういうふうに思っておるところでございます。
  100. 小川勝也

    ○小川勝也君 ありがとうございました。  最後の質問をさせていただきます。  最初に委員会事務局の方に、各省からの抵抗がありはしないかという質問をさせていただきました。もちろん、自治省にしてもいろいろと省内の御事情があるかと思います。先ほどの橋本ビジョンによりますと、地方交付税を行政委員会を設けて配分をする、あるいは地方債の発行許可制度廃止して債券市場にゆだねると、こういう内容がございます。  そういうことになりますと、自治省もいろいろな形でスリムになってしまいまして、もしかすると選挙部と消防庁以外は残らないかもしれない、そういうことも考えられるわけでございます。その御認識について、自治大臣の強い決意をお伺いして最後の質問にさせていただきます。
  101. 倉田寛之

    国務大臣倉田寛之君) かねてから申し上げてまいりましたように、地方分権推進というのはもう今や時代の流れでございます。地方の公共団体にとりましても長年の願望でもあります。したがって、私といたしましても強い決意で取り組んでまいりたい、こう申し上げてまいりましたことに変化はございません。  地方分権推進委員会におきまして、地方公共団体あるいは関係省庁等からも意見を聴取した上で、去る三月の二十九日に、現時点における委員会の基本姿勢と検討方向を明らかにした中間報告を取りまとめられたところでございます。  自治省といたしましても、分権行政システムへの転換を進めてまいります上で、中間報告に盛り込まれました事項につきまして、現在、全省的に検討を進めさせていただいているところでございます。  また、地方分権推進法におきましては、五年間に集中的かつ計画的な取り組みを行い、成果を上げることというふうにされておることも承知をいたしております。地方分権推進委員会から具体的な指針の勧告を受けました場合には、それを尊重して作成されます政府地方分権推進計画に基づきまして、自治省におきましてもこれを着実に実施してまいりたい、こう考えているところでございます。
  102. 小川勝也

    ○小川勝也君 質問を終わります。ありがとうございました。
  103. 上山和人

    ○上山和人君 社会民主党・護憲連合の上山和人でございます。  地方分権規制緩和中央集権型行政システム変革を進める車の両輪だと言われておりますけれども、私に与えられた時間は四十分でございますので、きょうは地方分権推進委員会中間報告をめぐる問題についてのみ質問をさせていただきますので、どうぞひとつよろしくお願い申し上げます。  私は、参議院に参りましてからこの夏で四年が経過するのでございますけれども、この間、驚いたことの一つは、何といっても自治体の皆さんを初め地方から霞が関の各省庁へ、あるいは私ども衆参両院の議員への陳情が予算編成時だけでなくてほとんど通年的であることと、そしておいでになる皆さんの数が思ったより非常に多いということでございました。  松本局長にちょっとお尋ねしたいんですけれども、そういう地方からの中央陳情の実態について、年間トータルで大体何人ぐらいの皆さんがお見えになるのか、そしてそれに要する経費はどのくらいと把握なさっていらっしゃいますか。これは重大な御関心事だと思いますよ。
  104. 松本英昭

    政府委員松本英昭君) 委員指摘のように大変重大な事実であろうかとは思っておりますが、残念ながら、私どもの方で年間どの程度か、あるいはその費用がどうだということについて調べたことがございませんので、お答えを差し控えさせていただくことをお許しいただきたいと思います。
  105. 上山和人

    ○上山和人君 自治省がその気におなりになればすぐわかることだと思うんですよ。これは自治省が各自治体に、自治体以外のことは調べられないかもしれませんけれども、その気になればこれはすぐ私は集約できることではないかと思います。それほど関心のなかった問題じゃない、今、局長は大変重大な問題だとおっしゃいましたのでね。これからは、ただ漠然と眺めているよりは、やっぱりこの動向には今まで以上に関心を持って実態の把握にはお努めいただいた方がいいんじゃないかと思いますので、ひとつお願いを申し上げておきます。  私の手元にある資料で見ますと、平成三年の参議院地方行政委員会の議事録があります。当時の社会党の岩本久人議員が質問をしておりますが、質問者と自治省政府委員の方の質疑のやりとりを通じて年間約三百億、要する経費がその程度ではないかという資料がございます。これは正確な数字ではないと思いますが、質問者がそういう提起をして、お答えになった政府委員の方がほぼそのぐらいではないでしょうかとお答えになっていますから、年間三百億ぐらいが費やされているという一つのデータがあります、これはもう参考のデータにしかすぎないと思いますけれども。  もっと近くは、おととし、平成六年の十二月二十日の毎日新聞の朝刊ですが、そのころは局長は国土庁においでになりましたか、お気づきにはなりませんでしたかね、この毎日新聞の記事につきましては。これが四十七都道府県調査をして発表しておりますが、答えなかった県もある。しかも、これは一年間を通してではなくて、大蔵原案が内示をされる十二月二十日前後の短いこの期間に絞っての調査であります。  三十六道県が大蔵原案内示の十二月二十日前後に東京に何人職員を送ったかということについて答えておりますね。三十六道県でトータル千五百四十七人、したがって平均四十三人の職員がこの短いほんのわずかの期間に上京しておりますね。多いところは山梨の百二十人、これは近いからでしょうけれどもね。そして、沖縄や愛知や山形が八十人を超えている。そういう大量の陳情団が上京してくるわけですね。  それに要した出張経費は幾らだったかという調査に対して、二十七道県が答えています。トータル八千四十六万円ですから、平均三百万ですね。山梨が一千二百万、沖縄が一千万、このわずかの期間に陳情に要した経費として答えておりますね。  こういう実態について今まで自治省が余り調査をなさらなかったことについてはどうも納得しにくい面もありますけれども、それはそれとしまして、笑えない笑い話として今まで私どもにいろいろ伝わっておりますのは、わずかという言い方は語弊があるかもしれませんけれども、数百万の予算をつけてもらうために自治体の幹部が数十回も陳情を重ねた、それに要した経費の方がつけてもらった予算よりも多かったと。もう笑えない笑い話になりますかね、深刻なそういう話題がずっとつきまとっておりますよ、この陳情行動につきましては。  一体この姿は何かということを私たちはいつも思ってまいりましたし、これではいけない、何とかしなければという思いはみんな同じではないでしょうか。やっぱり地方分権を推し進める以外にこの問題の解決策はないという思いでずっと見てまいりまして、今回、三月二十九日に中間報告が出たという経過になるわけであります。余り申し上げたくないですけれども、ちょうどこの時期にまた霞が関の神話が崩壊する姿が具体的に表面に出始めております。これは、薬害エイズの問題をめぐる諸問題にいたしましても、住専処理に関連する大蔵省の問題にいたしましても、本当に偶然の一致なんでしょうけれども中間報告が出たそのころから霞が関の神話が崩壊する姿が具体的に表面に出始めている。  私は、諸井委員長が「明治維新、戦後改革に次ぐ第三の改革」の機会であって、この機を逃せば地方分権の実現はあり得ないとおっしゃっていましたけれども地方分権を具体化する時期はまさに成熟している、成熟しているという言い方も少しおかしいと思うんですけれども、成熟していると思うんです。自治大臣総務庁長官に、この中間報告をどう受けとめていらっしゃるか、そしてどう評価なさっていらっしゃるかについて、再質問の必要がないように念を入れてお聞かせいただきたいと思います。
  106. 倉田寛之

    国務大臣倉田寛之君) 地方分権推進委員会におきましては、委員御案内かとも存じますが、昨年七月の発足以来九カ月の間に延べ七十七回に及ぶ会議をお開きされまして、中間報告をまとめられたと実は承知をいたしているところでございます。委員及び専門委員の皆様の地方分権にかける並々ならぬ熱意と御苦労に対して敬意を表する次第でもございます。  今回の中間報告は、間近に迫りました二十一世紀を見据えて、長年にわたって形成をされて定着をしてまいりました現行の中央集権型の行政システム変革して、新しい地方分権行政システムを構築して定着をさせよう、そういう意気込みを強く感じさせる中間報告であった、こういうふうに私は受けとめておるところでございます。  特に、その内容におきまして、対等・協力、公正・透明、国と地方関係を目指しながら、懸案の機関委任事務制度につきましても制度そのものを廃止する決断をすべきとされまして、国の関与であるとか必置規制のあり方であるとか国と地方公共団体間の関係調整ルールなどを体系的、具体的な改革意見を示しておりまして、さらに国庫補助金税財源についても言及をされております。また、各行政分野における緊要な課題につきましても、改革方向、留意点などについても提言をされております。  このように、全体といたしまして地方分権推進方向に沿ったものと受けとめておりまして、今後の審議を深めていく上からも極めて意義深いものであろう、こういうふうに考えておるところでございます。  今後、年末に予定をされております具体的な指針の勧告に向けまして、さらに熱心な議論を重ねられまして、実りある成果が得られますように心から期待をいたしているところでございます。
  107. 中西績介

    国務大臣中西績介君) 地方分権推進委員会中間報告を読ませていただきましたが、今、自治大臣の方からおよそにつきましては触れていただきました。  ただ、私が申し上げたいのは、地方分権という問題については、これから将来にわたっての日本の、直接的に住民の皆さんと対峙をする、対等な立場でいろいろ意見を出される多くの皆さんの直接的な声をどのように具現化するかという、極めて重要な課題がその中にあるわけでありますから、民主主義の原点と言われるこのあり方について徹底的にやはり追求していく必要があるだろう。そうした意味で、今後、委員会の皆さんに大変な御努力をいただくということはお聞きしておるところであります。  これまでに寄せられました委員あるいは専門委員の皆さんの御努力に対しましては大変な敬意を表するところでありますが、ただ、中間報告につきまして言われておるその中身というのは、「委員会の現時点における基本姿勢と検討方針を明らかにして、広く各界各層の人々の論議を起こし、その理解と賛同を求める趣旨のものであって、委員会の最終結論を提示したものではない。」、さらに「なお関係各方面とも意見の調整が必要である」、こう言われておるところであります。したがって、これから委員会におかれましては、関係各方面の意見を十分聴取いたしまして、広く国民理解を得ながら審議を深められるとかたく信じております。特に、実効性のある具体的な指針の勧告を作成していただくように私たちも期待をしておるところであります。  委員会勧告を待ちまして、なるべく速やかに地方分権推進計画の作成に取りかかることにいたしておりますけれども、このことがまた私たちに課せられた重要課題でもあるということを考えますときに、積極的に取り組んでいかなくてはならない、こう考えております。
  108. 上山和人

    ○上山和人君 ただいま両大臣から大変御丁寧な、そして行き届いた御答弁をいただきまして感謝いたしております。今お話をお聞きしておりまして、両大臣のこの中間報告に対する評価、また中間報告をめぐる今後の取り扱いについてのお気持ちをずっとそのまま展開していただくなら、今後、勧告までの間に予想されるいろんな難しい問題は克服できるんじゃないかなという思いがいたしました。これから自治大臣総務庁長官、中心的にぜひこの大事な役割を果たしてくださいますようにお願いを申し上げておきます。  そこで、三月二十九日に中間報告が出されまして、実はその明くる日のマスコミの論調、特に各新聞の論調は、例えば「政・官、巻き返しへ 官邸はや及び腰」、大体こういう論調です。この十二月の勧告に向けて、マスコミの反応あるいはまたこういうマスコミの論調等を中心に、今国民の目もどこに、どういう思いで向いているかということを考えますと、「政・官、巻き返しへ」、そういうことがあるのかなと思いながらも心配になっている点じゃないかと思う。  「官邸はや及び腰」というのは、これは明くる日、三十日の梶山官房長官の談話ですね。「「相当きつい。政府が一挙にそこまで踏み切れるかどうか」と言葉をにごした。」「首相周辺には早くも及び腰の姿勢がうかがえる。」、これは梶山官房長官の記者会見の様子を報道して、早くも官邸は及び腰だと、そんな報道をしておりますね。  だから、国民の関心事というのは、今、両大臣から本当に前向きのお話がございましたけれども、十二月の勧告そのものが年を越してしまうんじゃないかという懸念が一つはあると思うし、その間に、今、総務庁長官からこの中間報告の性格についても本当に御丁寧なお話がございましたけれども、その勧告が、この中間報告で示されている方向性といいますか、その精神を貫けるんだろうかという懸念がいっぱい地方自治体にも中央にもまた国民全体にもあるんじゃないでしょうか。  この「政・官、巻き返しへ」という、こういうふうな表現で言われるようなことがあってはならないと私たちは思っているし、よもやないと思っておりましたけれども、皆さんお気づきだと思いますけれども、先週の土曜日、十八日の朝日新聞と読売新聞に報道をされておりましたから、それは事実ではないだろうと私たちは思うんですけれども、これは非常に重大な問題であるし、事実なら解明しておかなくちゃいけない。  今後、勧告に向けて最も懸念される問題を象徴的にあらわしている問題でありますからお尋ねをいたしたいんですが、朝日新聞には「国寄り発言求められる 富山 中央省庁側が働きかけ」という大きな見出しで報道されております。この四月十九日に富山で富山一日地方分権委員会が開かれたわけです。  それで、少しこの朝日の関係部分を読んでみますと、   富山県ホームヘルパー協議会の松原良子会長は委員会の前日、富山県の三智文雄厚生部長に呼ばれた。同氏は厚生省課長から県部長になつた。分権推進委員会中間報告に盛り込まれた「保健所長の医師資格規制の廃止」に反対するよう求められたという。   松原さんは「戸惑ったが、内容を決めていたので発表では保健所のことには触れず、福祉施設の定員規制などの緩和を求めた」という。   三觜部長は「直接、厚生省から指示されたわけではないが、国の考えは日常の情報交換で知っている。福祉、医療の代表として幅広い視点をもって発表してほしかった」と説明する。こういう報道があるんです。  お聞きしにくいんだけれども、厚生省、どなたかお答えいただけますか。これは事実なんですかどうなんですか、それをはっきり。
  109. 西本至

    説明員(西本至君) お答えを申し上げます。  事実関係を確認させていただきましたところ、富山の一日分権委員会、これは四月十九日に行われておりますが、このときの発言者というのは福祉の分野の方であった、保健と医療の分野の方が発言者に入っていなかったということでございます。厚生部長というのは保健、医療、福祉全般を担当している部長でございまして、地方分権で取り上げられておる保健、医療、福祉分野の事項について全体的な視点から状況を理解していただくように努めたというふうに説明を受けております。
  110. 上山和人

    ○上山和人君 いや、そういう回りくどい説明じゃなくて、これは事実なんですか。その前日、三智厚生部長がこの松原良子会長に話をしたと。これは事実なんですか。
  111. 西本至

    説明員(西本至君) そのことについては事実でございます。
  112. 上山和人

    ○上山和人君 どうしてその前日、そういう話をわざわざしに行かにゃいかぬのですかね、今言われたような内容であったにしても。  この一日地方分権委員会趣旨というのは、厚生省はどんなふうに御認識ですか。
  113. 西本至

    説明員(西本至君) 中間報告で出されました内容につきまして、広く関係者の意見を求めるために行われるものというふうに理解をいたしております。
  114. 上山和人

    ○上山和人君 それが一つだと思いますね、広く各界、地方の意見を聞くことと。そればかりではなくて、総務庁長官中間報告の性格の一面として強調なさったんですけれども、住民世論の広がり、国民世論の盛り上がりに期待しながらの中間報告の側面がありますから、一日地方委員会もやっぱりそういう趣旨が込められての委員会だと思うんです。広く本当に地方の意見も聞きたい、あるいは住民世論、国民世論の盛り上がり、広がりを目的にして、そういうものを期待しての地方委員会に、なぜわざわざ前日出かけていって、何の話をする必要があるんですか。
  115. 西本至

    説明員(西本至君) 出かけていってとおっしゃられましたが……
  116. 上山和人

    ○上山和人君 呼んで何の話をする必要があるかということです。
  117. 西本至

    説明員(西本至君) それは、私どもが呼んだわけではございませんので、部長の発言を、我々は説明を求めたわけでございます。先ほど申し上げましたように、厚生部長というのは福祉問題、医療問題、ヘルス問題と非常に幅広いものを抱えておるわけでございまして、地方分権委員会の中ではヘルスの問題も取り上げられておる、保健所の問題。しかし、実際には福祉の方しか発言者にいらっしゃらなかったので、十分な意見が反映されないのではないかということを危惧したということがその趣旨であったというふうに説明を受けておるわけでございます。
  118. 上山和人

    ○上山和人君 今、厚生省の方にこのことの直接の責任をこれ以上追及しても余り得るものもないと思いますけれども、でもどう考えたって、どういう目的で今御説明なさるような話をされたにしましても、この一日地方分権委員会の性格から、また地方分権委員会で発言をしようとなさっている地方の方に少なくとも直接の関係者が話をされるということについては、本当に純粋な、それこそ地方の住民として、あるいは団体の責任者として思っていることを発表してほしいという一日分権委員会趣旨から見ても決して適当ではないですよ。そうはお思いになりませんか。
  119. 西本至

    説明員(西本至君) 先生のおっしゃることはまことにそのとおりだと思います。ただ、いろいろな問題がこの中間報告の中に盛り込まれておりますので、やはりできるだけそういう関係者の声も反映できるようなことであってほしいというのが部長の考え方であったんではないかというふうに推察をいたしております。
  120. 上山和人

    ○上山和人君 それ以上お聞きしませんけれども、この四月十九日の富山の一日地方委員会はたしか三回目だったと記憶いたしておりますが、これは広島、群馬に次いで三回目ですね。この後どういう計画がございますか。
  121. 東田親司

    政府委員東田親司君) 一日地方分権委員会の開催の趣旨は、先ほど先生御指摘になりましたように、中間報告を初めといたしまして、地方分権推進に関し広く国民各層から意見を聞くとともに、地方分権必要性国民にアピールするという趣旨で開催しております。  昨年度二回やりまして、群馬県で十一月二十七日、広島県で十二月六日でございます。今年度は五回計画しておりまして、既に三つ実施しておりまして、富山県が四月十九日、兵庫県が四月二十四日、高知県が五月十六日でございます。この後の予定といたしましては、福島県が六月六日、大分県が六月十日ということでございまして、昨年来通算いたしますと富山県は三回目ということでございます。
  122. 上山和人

    ○上山和人君 あと二回ですね。場所は。
  123. 東田親司

    政府委員東田親司君) 福島と大分でございます。
  124. 上山和人

    ○上山和人君 福島、大分であと二回ことしは行われるという予定がございますね。今後も行われるわけでありますから、ぜひこれは教訓として生かさなくちゃいけないと思うんです。  農水省関係でも「県町村会を代表して意見を述べた冨樫清二・立山町長によると、委員会の四日前に、北陸農政局の幹部が町役場を訪れた。この幹部は「二ヘクタールを超す農地転用については、従来通り国の許認可事業として残すべきだ」と農水省の立場を説明した。」と報道されていますね。「発表では農地転用に触れなかったが、「原稿もできていたから、影響はなかった」」とこの町長は説明をされていますけれども、こういう中央省庁側からの働きかけがやっぱりあるんだなと私たちは本当に愕然としますよ。  農水省、この事実はやっぱりあったんですか。
  125. 石原一郎

    説明員(石原一郎君) 御説明申し上げます。  四月十五日に北陸農政局の職員の方から、冨樫町村会会長さんの方に訪問し、説明を行ったことは事実でございます。  なお、説明に当たりましては、報道にありますような圧力とかそういったようなことはございませんで、常々、農林水産省としましては、農政の考え方なり農業を取り巻く状況を皆さん方によくわかっていただくようにということに努めております。そういう中での一環というふうに御理解をしていただければありがたいと思います。  ただ、報道にありますようなとらえられ方をされるというのも、ある意味で残念なことでございますので、今後そういうことのないよう十分気をつけてまいりたいと思っております。
  126. 上山和人

    ○上山和人君 問題をしっかりとらえておかないと、これは教訓にすることはできないと思うんです。今のお答えは少し外れていると思いますよ。これは従来いつもやっていることだからそういうふうに理解してほしいというのと、そういうふうに報道されるのは残念だと言うけれども、残念なのは何が残念なのかなということなんですよ。いつものようなことでもこういう時期にすることが問題なんです。ただ、こんにちはとそばに行ってあいさつをされても、この時期ならやっぱり精神的な影響を受けると思いますよ。こういうことに十分留意すべきだと思うんです。  こういうふうに報道されるのは残念だと言われるけれども、それはどういうふうにこの問題をとらえるかということですから、しっかりとらえて、責任をはっきりされないと、同じことを繰り返されますよ。もう一度きちんと答弁し直してください。
  127. 石原一郎

    説明員(石原一郎君) 御説明の仕方がよくなかったのかもしれませんけれども、そういう時期が時期、しかも直接というようなことで、そうとらえられたことが残念と申し上げたわけでございませんで、ぜひそういう誤解のないよう、農林省なり農業の状況なり施策を説明する際にもそういう状況なりを十分踏まえて、今後そういうようなことのないよう十分留意してまいりたいということでございます。
  128. 上山和人

    ○上山和人君 ぜひ今後とも気をつけていただきたいと思います。これはお互いのことですから、二度と繰り返さないようにやってほしい。  建設省の北陸地建の幹部も訪れて「「(隣の)岐阜県に勝手にダムをつくられたら、富山県知事はどうするのか」などと、河川管理の権限を国が従来通り持つべきだと訴えたという。」、これは事実ですか。
  129. 藤田真

    説明員(藤田真君) お答え申し上げます。  御指摘の点につきまして、先週の報道がございまして、私どもも調べてみました。  北陸地方建設局の局長が四月一日で交代をしておりまして、その着任のあいさつということで管内の首長さん方を回っておるわけでありますけれども、その中で富山県知事さんあるいは富山市の市長さんのところにもごあいさつに参りました。その際、二十分程度いろんな最近の話題についてお話を申し上げ、意見交換をしたと聞いておりますけれども、その中で地方分権についても最近の話題ということで話が及んだと、こういうふうに報告を受けておるところであります。  したがいまして、北陸地方建設局の局長が富山県知事あるいはその市長さんのところにごあいさつに参ったということは事実でございますけれども、特に地方分権のために圧力をかけに行った、そういうようなことはないというふうに考えております。
  130. 上山和人

    ○上山和人君 やっぱりさっきの農水省の方と同じような感じですね。だから、そういう気持ちじゃなかったと言われても、この時期にそんな話をされると、まともにこれは精神的影響は受けますよ。これはもうこれ以上申しませんけれども、どうかひとつ注意をしてほしい。  それで、「他の意見発表者の中には、他の省庁から「(意見陳述の前に) あいさつをしたい」という電話を受けた人もいた。」という報道もまたございます。  ぜひひとつこれらの問題は、あとまだ一日地方分権委員会が二カ所もあるということもありますが、そういう場だけでなくて、私たちはこれをきちんと受けとめなくちゃいけないんですけれども、陰に陽に最も心配されている官の圧力、族議員と言われている政の圧力、いろんなことが懸念されておりますから、そういうことが絶対にあってはならない。そこに今国民の関心が向いている重要な問題だけに、この新聞報道を通してお尋ねをいたしましたが、こういう問題を教訓にして、再びこういうことが繰り返されないように御努力を願いたいと思います。これはもう絶対に繰り返さないようにしてください。  農水省、厚生省、建設省から一言ずつ御決意をいただきたい。
  131. 藤田真

    説明員(藤田真君) 今申し上げましたように、建設省が地方公共団体の首長さんに圧力をかける、そういうようなことは富山の場合なかったというふうに信じておりますし、今後そのようなことを行うつもりは全くございません。  いずれにいたしましても、この地方分権委員会中間報告におきまして、広く各界各層の人々の理解と賛同を求めるということと、今後の勧告に向けて関係各界との意見調整に努めるというふうに言っておられます。建設省といたしましても、こういう自由な議論の一環といたしまして、個々の具体の事務ごとに十分な議論が尽くされるように、建設事業の実態を踏まえて、いろいろ各方面の方々と十分に議論をしながら、御理解をいただくように努めてまいりたいというふうに思っております。
  132. 石原一郎

    説明員(石原一郎君) 発言者の自由な意見発表に圧力をかけるようなことはあってはならないと思います。そういう意味で、今後そのようなことのないよう十分努めてまいりたいと考えております。
  133. 西本至

    説明員(西本至君) 先ほど申し上げましたように、今回の新聞報道の件につきましては私どもから圧力をかけたというような事実はございませんが、ただ、私どももいろいろ部長会議ですとか担当者による会議とかいうのをいたしまして現在の状況を説明する機会がございます。そこにおきましても誤解を生じないように慎重にやってまいりたいというふうに考えております。
  134. 上山和人

    ○上山和人君 時間がなくなりましたが、総務庁長官、元締めの立場で、こういうことがないように閣僚懇談会なりの意思統一を十分いただきたいと思うんです。また、この問題について政府全体の意思統一についてもひとつ、いかがですか。
  135. 中西績介

    国務大臣中西績介君) 今、三省からの働きかけがあったなしにかかわらず事前にこういう動きがあったということば、熱心さは買えるにしましても、これは大変な誤解を与えることになるし、そのことが逆に今度は分権推進するに当たって地域の皆さんに大変な誤解と不信の念を与えるということは問題があるわけでありますから、今指摘がございましたように、今後十分これらの問題について閣内におきましても意思統一をする必要があるだろう、こう考えております。この点については、今後の課題として取り組んでまいりたいと思っております。
  136. 上山和人

    ○上山和人君 ほとんど時間がなくなりましたので、最後に一点だけ。  世論の喚起の仕方ですが、住専問題につきましてはたしか大蔵省がパンフレットをつくって、国税局等を通してでしたか、全国的に配布をしている事実がございます。この問題は第三の改革と諸井委員長が言われるように非常に重大な問題なんですが、中間報告の性格から見ましても、総務庁長官が言われたように住民世論、国民世論の広がり、盛り上がりをどう形成していくかという意味で、そういう手だては準備なさっていませんか。
  137. 東田親司

    政府委員東田親司君) ただいま先生御指摘のとおり、地方分権推進する上で国民の皆様の御理解と御支援をいただくことが大変大事なことだということは、私ども委員会は当初より認識しているところでございまして、その旨、諸井委員長からも事務局に対しましてさまざまな工夫を考えてほしいという指示は当初からいただいております。  それで、私ども審議機関というものが基本的な性格でございますので、委員会において、今、地方分権推進上どういうところが問題で、どういう意見が闘わされておるのかということをできるだけ国民の皆様にオープンにして、ああ、地方分権推進する上ではこういうことが乗り越えなきゃならない課題なんだなという点について御理解をいただくことが何より大事じゃないかというふうに思っております。  そこで、委員会審議結果をできるだけ公開していくということで工夫をしておるわけでございますが、一つは先ほど来御指摘いただいております一日分権委員会の開催でございます。  もう一つは、委員会あるいは部会が終了するたびに毎回記者会見を行いまして、その際、委員会審議の素材となった資料で差し支えのないものはできるだけ記者団にお配りをいたしまして、公表をするというやり方をしております。  それから、記者会見ではございませんけれども委員会終了後、三日程度かかっておりますが、速報版でまず簡単な審議概要というのをこしらえまして、これを広くお配りしております。それから、もう少し時間がかかるわけでございますけれども、議事録に相当する詳細な議事要録というものをつくりまして、主なやりとりがほぼわかるという形で公表をしております。  それからもう一点は、今、先生がお尋ねのパンフレットに相当するものになろうかと思いますが、毎月一回、ミニコミ誌のようなものでございますけれども、「分権委ニュース」という名前のA4判の一枚なり二枚のものでございますが、これを多数印刷いたしまして全国の地方団体にも提供するなど、努力をしておるところでございます。したがって、先生お尋ねのパンフレットという趣旨では、この「分権委ニュース」というものをもう少し活用する方法を考えたらどうかという御指摘かと思いますので、さらに努力してまいりたい、と思っております。
  138. 上山和人

    ○上山和人君 わかりました。  最後に、時間がなくなりましたので、倉田自治大臣中西総務庁長官に、先ほど表明いただきました中間報告に対する評価の見解を今後積極的に展開していただきながら、勧告までぜひ分権推進委員会を積極的にバックアップしてくださいますように心から御期待申し上げまして、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  139. 吉川春子

    ○吉川春子君 地方分権中間報告が出されましたけれども地方分権推進していくためには、それを担う受け皿といいますか、行政体制が確立されていなくてはなりません。ところが、実情はどうでしょうか。全体の奉仕者として誇りを持って公務に励めるような待遇とはほど遠く、歯を食いしばって働いている臨時職員、非常勤職員が多数おります。国、地方自治体を問わず、大勢のパート労働者が近年急増しております。  全労連の女性部が九五年九月に編集した冊子「わたしの証言」には一千人の証言が載っておりまして、数百人のパート、国家公務員、地方公務員もその中に少なくないわけです。  国立病院の看護婦は、定員外職員ということで、全く同じ仕事、責任を任せられているにもかかわらず、年一回首切りなどの差別を受けている。看護助手は、就職十七年になるのにいまだに賃金職員という差別で働いている。それから、横浜市の青少年図書館司書は、全員運営委員会雇用です、低賃金です、手当もなく残業もサービスです。学校給食調理員は、私の採用されたときには時給八百七十円だったのですが、十年間働いている人と時間給が同じだということに気がついたときとても驚きました、それに一年で時給が八百八十円とたった十円しか上がっていないのです。臨職保母は、正職の人には病休があるのに臨時保母にはないというのはおかしいのではないですか。船橋市の臨時職員は、雇用期間が一年で切れてしまい、その後うまくいけば一カ月失業後再契約で仕事をすることができますが、半年、一年では短過ぎます、有給休暇、賞与についても検討してほしいです、などリアルな実態を訴えています。これを放置してはならないと思うわけですが、そこで伺います。  まず、地方公務員の正職員、臨時職員の数を男女別に報告していただきたいと思います。
  140. 鈴木正明

    政府委員(鈴木正明君) 地方公務員の常勤の公務員数につきましては毎年度調査をいたしているのでございますが、臨職、非常勤職員の職員数についてはつかんでいないという状況でございます。
  141. 吉川春子

    ○吉川春子君 公務員の正職員の数を言ってください。正職員の数、通告してあったんですけれども、すぐ出ませんか。
  142. 鈴木正明

    政府委員(鈴木正明君) 地方公務員の総数は三百二十七万八千三百三十二人というのが平成七年四月一日現在でございますが、男女別は今持っておりません。
  143. 吉川春子

    ○吉川春子君 今持っていないだけですか。調査はしているんですか。
  144. 鈴木正明

    政府委員(鈴木正明君) 男女別の数につきましては、五年に一度の給与実態調査で調べておりますが、現在、手元に持ってきておりません。
  145. 吉川春子

    ○吉川春子君 パートの職員の数はわからないということでしたけれども、それでは地方公務員のパート職員というのはどういうものを指すのか、簡単明瞭に説明してください。
  146. 鈴木正明

    政府委員(鈴木正明君) 地方公務員のうちパート職員と言われる者につきましては、臨時職員あるいは非常勤職員、こういうことでございます。対して、いわば正式な職員といいますと、恒久的に存在する職に任用される常勤の職員、そして任用の期限のない職員、こういうことになりますので、そうでない職員がこの臨時・非常勤職員になると思います。  具体的には、特定の学識経験に基づいて任用される、いわば特別職としての臨時または非常勤の嘱託員とか調査員という形が一つ。もう一つは、公務員法の十七条に基づきまして非常勤や期限つきで任用される職員、いわゆる期限つきの非常勤職員。それから三つ目のジャンルといたしましては、公務員法の二十二条に基づきまして臨時の職などに任用されますいわゆる臨時的任用職員、こういう職員を一般的に言うものであります。
  147. 吉川春子

    ○吉川春子君 九二年の四月に自治省地方公務員制度あり方に関する研究会を発足させましたけれども、ここで詳しくパート職員についての研究をされたんじゃないんですか。数もつかまれていないんですか。発表してください。
  148. 鈴木正明

    政府委員(鈴木正明君) 地方公務員制度あり方に関する研究会という形で、いわば中長期的にこれからの地方公務員制度あり方についていろいろな観点から御議論をいただいております。その中でもこの問題については検討、御議論をいただいているわけでございます。  それで、ただいまお話しのございました、その中で数字をつかんでいるんではないかということでございますが、地方団体におけるパートの職員の取り扱いについては必ずしも同一でありません。実態を把握しようと努めましたが、それぞれの団体において職務内容、勤務実態等が多岐にわたります。また、地方団体でのとらえ方というものも異なっておりますので、有意なデータを把握するに至らなかったということで、つかんでおりません。
  149. 吉川春子

    ○吉川春子君 今三つの形態を言われましたけれども、形態別にもつかんでいないということですか。イエス、ノーだけでいいです。
  150. 鈴木正明

    政府委員(鈴木正明君) つかんでおりません。
  151. 吉川春子

    ○吉川春子君 自治体に非常にたくさんいるんだけれどもつかんでいないということです。  それでは、非常勤職員の問題ですけれども、非常勤の公務員の十一カ月とか一年で機械的に打ち切りなどが各地で行われているんですね。非常勤は正規の公務員の勤務の四分の三に制限するというような運用とか、一定の継続性を前提とした任用制度として定着してきているんですから、非常勤を無理やりに一年で雇用を打ち切るということは法律の要請ではないのではないんですか。
  152. 鈴木正明

    政府委員(鈴木正明君) どのような勤務形態の職員として任用するかにつきましては、基本的には任命権者が具体的な業務の性質、内容に応じまして決定すべきものでございます。地方団体においては、それぞれの団体における実情に応じまして、勤務条件に係る事項を含めました任用に関する関係法令の定めるところに従いまして臨時または非常勤の職員の活用を図っている、このように考えているところでございます。  先ほど申し上げましたように、幾つかの類型がございますが、それぞれ関係法令に定めるところに従って任用が行われておると考えております。
  153. 吉川春子

    ○吉川春子君 そうじゃないでしょう。全く混乱して、定義もつかめていないじゃないですか。  非常勤というのは継続雇用を前提とした任用制度だと。これはいいですね。そこだけちょっと確認します。
  154. 鈴木正明

    政府委員(鈴木正明君) いわゆる非常勤職員につきましても地方公務員制度におきましては幾つかの形のものがございまして、一概に申し上げられないものでございます。先ほど申し上げました特別職の非常勤という形もございますし、あるいは法十七条によりまして任用に期限が付されている非常勤の方もいるわけでございます。また、いわゆる臨時職員の中でも非常勤の勤務形態という方もいらっしゃるわけでございまして、臨時職員の方の場合は六月を超えない期間で更新は二度までと、こういう形になっております。
  155. 吉川春子

    ○吉川春子君 では、臨時職員について伺いますけれども、保育とか学童とか学校などの職は、これは臨時ではなくて本来はやっぱり恒久の職というふうに考えられるべきではないですか。それはどうですか。
  156. 鈴木正明

    政府委員(鈴木正明君) 地方公務員法上の臨時的任用という場合には、先ほど申し上げましたように、緊急の場合、あるいは臨時の職につける場合、あるいは任用候補者名簿がない場合に任用するということが基本でございますが、お話のように地方団体においてそのとおりの任用が行われているかというと、いろいろなさまざまなケースがございます。
  157. 吉川春子

    ○吉川春子君 法律にもないような任用の形式がそれぞれ行われているなどということを国会で平然と御答弁なさるのはいかがなものでしょうか。  大臣、これまでのお答えを前提にしてお伺いしますけれども、増大する住民要求で行政需要は大幅にふえているんです。しかし、定員枠は厳しく抑えられています。自治省は、ことしの四月二十二日の次官通知「平成八年度地方財政運営について」でも、歳出に関する事項で真っ先に給与関係費を挙げて定員削減を要求するとともに、真に必要とされる新たな行政需要、施設の新設についても原則として職員の配置転換等により対処すること、国の法令による定員を超えて配置している職員については極力解消を図ることを要求しています。  それで、こういう実態の中で各自治体はどうなっているかというと、埼玉県の県職の調査によれば、自治体リストラで長時間労働が進行しているわけです。労働時間が二千時間を超える人が二八%いる、また残業が月三十時間を超える人が三九%いると。私も夜の九時過ぎに県庁に調査に入ったら、オフィスの明かりがまだこうこうとついて、帰宅しないで多くの職員が仕事をしていました。そういう実態の中で、それでも追いつかずに臨時職員で対応しているというのが実態なんですね。  埼玉県庁の正職員は一万二千人ですが、臨時職員は八百六十人いるんです。これは県の正式な数字です。それから、この中には派遣労働者も含んでいます。また、自治労連の調査によると、例えば所沢市は正職員約二千七百人でそのほか臨時が五百、入間市は正規が千七十人でそのほか臨時が四百、狭山市は千三百五十の正規職員のほかに臨時が三百五十、こういうふうにかなり各自治体とも公務が臨時によって賄われているわけなんです。  それで、長時間労働も是正されなくてはなりませんが、同時にパート職員についても、今ずっとお答えいただきましたけれども、全然はっきりしていないんですよ。法律はあるけれども、しかしそれもまたいろいろな採用の仕方があるなどとおっしゃるので、やっぱり私はこの実態をまず正確に把握する必要があると思うんですね。どういう形で働いていて、どれだけの臨時職員がいるか、こういう実態をまず自治省が正式にきちっとつかむ必要があると思うんです。そういうことを早急にやっていただきたいと思いますが、大臣いかがですか。
  158. 鈴木正明

    政府委員(鈴木正明君) ただいまのお話でございますが、繰り返しになる面もございますが、それぞれの地方団体におきまして、特に臨時・非常勤職員については取り扱いが同一ではございませんので、論点を整理しながら実態の把握に努めているところでございます。それぞれ考え方が違うものですから、一律な調査というのはなかなか難しい面がございます。そういうことで、実態を調べながら論点を整理し、また論点を整理しながら実態を調べていくということで調査検討を進めてまいりたいと考えております。
  159. 吉川春子

    ○吉川春子君 地方制度発足してもう五十年にもなろうとするのに、まだそれぞれの自治体でいろいろな対応があると。それで、調査しつつ整理しつつなんということを今ごろおっしゃっていらっしゃる。これでは本当に地方分権受け皿としての地方自治体だって危ういじゃないですか。  そういう地方公務員の実態について、大臣、事務局でも調査はしているようですけれども、もっと的確に大臣の政治力においてつかんでいただきたいと思いますが、どうですか。
  160. 鈴木正明

    政府委員(鈴木正明君) 再度の御指摘でございますが、なかなか地方団体、それぞれ給与あるいは……
  161. 吉川春子

    ○吉川春子君 それはまた聞きますから。
  162. 鈴木正明

    政府委員(鈴木正明君) いろいろな面で答えが違いますものですから、御指摘の点も踏まえながら、論点を整理しながら実態の把握に努めてまいりたいと思います。
  163. 吉川春子

    ○吉川春子君 そういうありさまですから、数さえつかんでいないんですから、ここで働いている職員の権利、身分というものは本当に守られていないわけですね。  自治省に伺いますけれども、いわゆるパート職員に一時金、退職金、昇給制度、こういうものはありますか。あるかないか、端的に答えてください。
  164. 鈴木正明

    政府委員(鈴木正明君) パート職員、非常勤の職員につきましては、報酬及び費用弁償を支払うということで地方自治法に規定しておりますので、お話の点はございません。
  165. 吉川春子

    ○吉川春子君 労働省、お見えですね。  民間の企業に働くパート労働者について、一時金とか退職金、年次有給休暇、社会保険の加入などについて、どのように法律に基づく行政指導の指針で指導をしているのか、お答えいただきたいと思います。
  166. 荒竜夫

    説明員(荒竜夫君) 民間企業のパートタイム労働者につきましては、労働基準法等の労働法規が適用されることは当然でございます。さらに、パートタイム労働者につきましてはいわゆるパートタイム労働法、それからこのパートタイム労働法に基づきまして事業主が雇用管理の改善のために講ずべき指針といったものを定めております。そういったものに基づきまして適正な労働条件の確保、それから雇用管理の改善等について指導を行っているところでございます。  さらには、賃金、賞与等についてお尋ねがございましたけれども、今申し上げましたいわゆるパートタイム労働指針におきまして、賃金、賞与それから退職金につきましては「事業主は、短時間労働者の賃金、賞与及び退職金については、その就業の実態、通常の労働者との均衡等を考慮して定めるように努める」というふうに規定しておりまして、その周知の徹底に努めておるところでございます。
  167. 吉川春子

    ○吉川春子君 それでは、同じ公務員で国家公務員についてお伺いしますけれども、非常勤の国家公務員について、昇給、年次有給休暇、勤務手当、住宅手当、こういうものを支給していますか。退職手当は違いますかね。
  168. 佐久間健一

    説明員佐久間健一君) 国家公務員の非常勤の職員の給与あるいはその他勤務条件等につきましては、もとより関連法令に基づいて措置をされているところでございます。  主要なものを例示いたしますと、例えば給与については、職務内容に応じて常勤職員との均衡を考慮し、かつ予算範囲内で各庁の長が支給するということになっております。また、期末・勤勉手当についても、常勤職員との均衡を考慮して、相当長期にわたる常勤職員とほぼ同様の勤務を行っている者については手当を支給するよう取り扱うということとしております。また、休暇等につきましては、その非常勤職員の職務の性質等、そういうものを考慮しまして、また民間における同種労働者に対する取り扱い、そういうものを考慮して措置しておるところでございます。具体的には、年次休暇についても、週五日勤務して継続六カ月以上勤務すれば年次休暇として十日を与えるというような形での措置をとっておりますし、また別途特別休暇に相当するような休暇についても、それぞれ有給、無給といろいろございますけれども、必要に応じて措置をしているというところでございます。
  169. 吉川春子

    ○吉川春子君 退職手当は総務庁ですか。
  170. 池ノ内祐司

    政府委旦(池ノ内祐司君) 国家公務員の退職手当は、原則としまして常時勤務を要する職員、いわゆる常勤職員に支給するということになっております。しかしながら、非常勤職員でありましても、その勤務形態がいわゆる常勤職員に準ずる者につきましては、職員とみなしまして退職手当を支給することとしております。
  171. 吉川春子

    ○吉川春子君 要するに、地方公務員の非常勤は、今言ったような民間や国家公務員と比べても何にもないんですよ。そういう中で、いろんな対応があるけれども、こういうところに置かれていて果たしていいのかと。  例えば、賃金が非常に低いわけです。地方自治体のパートは八〇%が月収十二万以下と、こういうふうにされているんですけれども、今、労働省やら人事院が言ったように、正職員とのバランスを考えて給料を決めなさいと、こういうような指導をされたことがあるんですか。
  172. 鈴木正明

    政府委員(鈴木正明君) お答えする前に、退職手当につきまして補足させていただきたいと思います。  地方公務員のいわゆる非常勤職員につきましても、実態が常勤職員と同じ者、具体的には常勤職員と同じ勤務時間以上勤務した日が十八日以上あって一年以上、こういう方については退職手当を支給することができると、こういう取り扱いとなっております。  それから、今お話ししました非常勤職員につきましては、地方自治法によりまして報酬と費用弁償を支給すると、こういうことになっておりまして、その報酬につきましてでございますが、それぞれの地方団体におきまして、その職務の内容に応じまして、また同種の民間の職員の給与など地域の実情というものを考慮して決定されるものと、こういうふうに考えておりまして、地方団体にもその旨そういうふうに話をしております。
  173. 吉川春子

    ○吉川春子君 確認します。非常勤ではなくて臨時職員についても今言ったような退職金とか賃金のバランスとか、そういう指導をされているというふうに聞いていいですね。
  174. 鈴木正明

    政府委員(鈴木正明君) ただいま申し上げましたように、常勤職員と同じような勤務状況の場合に、先ほど申し上げましたが、そういった方については退職手当をそのように扱っております。報酬につきましては、今申し上げましたように条例で定めておりまして、その条例の定め考え方は先ほど申し上げました考え方定められております。
  175. 吉川春子

    ○吉川春子君 そうしますと、地方自治体の臨時職員、パートについても、賃金なり退職金なりやっぱり正規の職員とのバランスを考えてきちっと対処することが望ましいと、これが自治省考え方ですね。よろしいんですね。イエス、ノーでいいです。
  176. 鈴木正明

    政府委員(鈴木正明君) 繰り返しになって恐縮ですが、常勤職員に定められております勤務時間以上勤務した日が十八日以上ある月が十二月を超える方についてはお話しのとおりでございます。
  177. 吉川春子

    ○吉川春子君 実態は、多くの臨時職員についてはそういう手当てが何もされていないわけですね。  それで、労働省にお伺いいたしますけれども、最近長野地裁の上田支部で丸子警報器のパート職員に対する賃金差別の事例で判決がおりたんですけれども、その内容について御存じですか。
  178. 荒竜夫

    説明員(荒竜夫君) 今御質問の判決につきましては、丸子警報器に勤務する女性の臨時社員二十八名が、正社員との不当な賃金差別により損害を受けたということをもちまして、平成五年に長野地裁に対して提訴したものでございます。  判決が三月十五日に出たものでございますけれども一つとしましては、女性正社員との職種、作業の内容、勤務時間及び日数等が同様である臨時社員について、二カ月ごとの雇用期間の更新を形式的に繰り返すことによって女性正社員との顕著な賃金格差を維持拡大したことは、均等待遇の理念に違反する差別であり、公序良俗違反として違法である。  それから二つ目といたしまして、均等待遇の理念も抽象的なものであって、使用者側の裁量もある程度は認められるが、本件における諸事情のもとでは、原告らの賃金が同じ勤続年数の女性正社員の八割以下となるときは公序良俗に反し、違法となるという二つの理由をもちまして、被告は原告二十八名中二十六名に対し、女性正社員に対し支払うであろう賃金の八割の額との差額約一千五百万円を支払えというような判決内容でございます。  なお、この判決につきましては、被告、原告双方がそれぞれ東京高等裁判所に対して控訴しております。
  179. 吉川春子

    ○吉川春子君 要するに、パート職員であっても一般の職員と賃金で差別してはならない、ILOのパート条約も締結されましたけれども、日本においても裁判でもそういう流れになってきているわけなんですね。  それで、自治省にもう一つ伺いますけれども、いわゆるパート、臨時職員は、地方公務員に対する守秘義務などの義務は、待遇も悪いし賃金も安いので、こういう義務は免除されているんですか。
  180. 鈴木正明

    政府委員(鈴木正明君) 一般職の臨時・非常勤職員については適用があります。
  181. 吉川春子

    ○吉川春子君 公務員としての義務は課せられていて、待遇だけは国家公務員に比べても民間のパートに比べても極端に悪いんです。  大臣、私は続けて二つお伺いしたいんですが、まず一つは自治体の臨時職員の正規職員との賃金の格差、これはもう世界の流れも日本の流れもそういう方向に向いております。自治体の労働者も、こういう立場に立って賃金や待遇の格差をぜひなくすようにイニシアチブを発揮していただきたいと思いますが、この点どうですか。大臣、答えてください。
  182. 倉田寛之

    国務大臣倉田寛之君) 技術論だから。
  183. 吉川春子

    ○吉川春子君 いや、技術論じゃないんですよ。
  184. 鈴木正明

    政府委員(鈴木正明君) 非常勤職員の方には、何度も恐縮ですが、自治法によりまして報酬を支払うということになっておりますので、その報酬につきましては、その職務の内容に応じて、また地域の民間の方の給与の実情を考慮して定めるということでございまして、地方団体でそれぞれお決めいただいているところでございます。
  185. 吉川春子

    ○吉川春子君 いろいろ職種の差がある、地域の差があるはいいですよ。しかし、保母とか学校とかあるいは看護婦さんとか、同じ仕事をしているわけですよ。それで一方はパート、一方は正職員。しかし、にもかかわらず、賃金の格差もあるし年次有給休暇もとれないし諸手当もない、そういう実情をさっき答弁されたでしょう。  大臣、こういう地方自治体のパート職員に対してこういう待遇であっていいとお考えですか、どうですか。私は、大臣の認識を聞いているのであって、技術論を聞いているんじゃないんです。
  186. 鈴木正明

    政府委員(鈴木正明君) お話しのように、地方団体における臨時職員、非常勤職員の採用、どういう仕事をしているか、その職務の内容というのはさまざまでございまして、そういうことに基づきましてそれぞれ報酬という形で決めているわけでございます。  実態として常勤職員に近い形の方、ちょっと訂正させていただきますが、先ほど退職手当について十八日以上で十二月と申し上げましたが、六月以上ということで、そういう形で、常勤職員の方と近い方については退職手当等につきましては常勤職員と同じ扱いをする。それから、有給休暇についてもこれは国家公務員に準じまして認められていると、こういうことでございます。
  187. 吉川春子

    ○吉川春子君 では、最後に大臣にちょっと質問したいんですけれども、大臣、お答えください。
  188. 倉田寛之

    国務大臣倉田寛之君) 吉川委員の御質問の趣旨は、地方公務員の臨時・非常勤職員の処遇改善についてどう受けとめておるかという合意ではなかろうかと思います。  地方公共団体におきましては、必ずしも正規の常勤職員を配置する必要のない業務について臨時、非常勤職員を充てるなどいたしまして、その事務の性質に応じて臨時・非常勤職員を活用していくということは、一方では行政運営の簡素効率化を図るという上からも一つの有効的な方策であろうと、こういうふうに存じます。その場合に、地方公務員法を初め諸法令の定めるところにのっとりまして任用、勤務条件の設定などを適切に行うことは必要であろうというふうに考えておるところでございます。  今後におきましても、必要に応じて指導は行ってまいりたいと考えておるところであります。
  189. 小島慶三

    ○小島慶三君 きょうは両大臣、御苦労さまでございます。私の時間は十二分でございますので、ごく簡単に一、二問お伺いしたいと思います。  規制緩和ということでありますが、規制というのは、そのもとは市場の欠陥ということから出てくる場合が非常に多い。したがって、例えば危機管理でありますとか、あるいは社会生活でありますとか、あるいは環境の問題でありますとか、こういう点についての規制というのは減ることはない、どんどんふえるというふうに思っております。  私、国の関与の実態把握の結果という資料をいただいたんですけれども、これで見ますと、平成七年三月三十一日現在で国の関与の総数は三千三百三十三件、これは一昨年の案件に比べて四十件実はふえておるんですね。何でふえたかと。ふえたのは六十一件、それから減ったのは二十一件、差し引き四十件がふえておるという形になっているわけです。こういう点から見ますと、これがどんどん続いていけば、黄河じゃありませんが、百年河清を待つようなことで全然減らないということになると思うんですけれども、やはり、例えば非常に緻密な案件を総理府の方で整理しておられるようでありますが、それを措置したということの中身に実は問題があるのではないか。  例えば法律廃止したりなんかして減ったというのは、私の目の子ですと七、八件しかありません。あとの大半は認可を許可にしたとかあるいは許可を届け出にしたとか、届け出を廃止したとか、そういうことが非常に多いんですね。やはりこれは、単に認可を届け出にしたのでは実質的には規制緩和にはならないんですよ。届け出の様式とかいろんな点でクレームがつけられますから、だから届け出にすれば簡単に話が進むということではないというふうに私は思っておるわけであります。したがって、実質的なやはり規制緩和というものをお進めになる必要があるのではないかというふうに私思うんです。  ですから、いわゆる数合わせとかそういうことが言われておりますけれども、そんなことではなくて、先ほど御質問がありましたような例えばNTTの問題だとかあるいはマルチメディアの問題だとか、そういう非常に大きな要素をつかまえて規制緩和の措置というのをお進めになる必要があるのではないかというふうに私思っておるわけであります。  したがって、件数を挙げられて何年何月までにこれを措置すると言われても、先はどのようなグレードダウンの措置だけでは措置にならないというふうに私思っております。だから、実質的に非常に大きな、例えば新しい雇用をもたらすようなものとか、そういった意味の規制というものに規制緩和の重点を切りかえられる必要があるのではないかというふうに私思うのでございますが、いかがなものでございましょうか。
  190. 中西績介

    国務大臣中西績介君) 規制緩和問題について、数だけ論議をしますとこれはもう全く今御指摘のとおりだと思います。したがって、実質的にこの内容がどうであるかということが大変重要だろうと思います。  今回の推進計画におきましては、各省庁から出されました規制を徹底的に見直した結果、さまざまな分野での実質的効果をもたらす措置を私たちはある程度盛り込んでおるという認識をいたしております。新規事業の創出あるいは事業拡大の促進、あるいは競争の促進や価格の弾力化による市場の効率化等々、相当な効果が期待できるのではないかということを考えております。  ただ、もとより規制緩和の取り組みにつきましては今回のこの計画改定だけではありませんで、先ほども申し上げましたように、改定として今度は出しましたけれども、措置できなかった分野につきましても後刻発表いたしまして、国民の皆さんのいろんな御論議に供したいし御意見をいただきたいと思っております。したがって、これから行革委員会だとかあるいは内外のそうした御意見なりを十分勘案いたしまして、これからさらに来年の三月に向けまして改定すべき内容等について改革していきたい、このように考えております。
  191. 小島慶三

    ○小島慶三君 ありがとうございました。ぜひそういうふうに実質的にお進めいただくようにお願いをいたします。  私、実はこれも資料をいただいたんですけれども、今までの規制緩和でどんなものがあるかということでいただきましたのは、ごく最近のものとして、金融では、中長期の預金についての預け入れ期間の上限制限を廃止するというのがあります。これが規制緩和一つだそうであります。それからトラック関係では、今までの一般貨物自動車の運送業者の運送契約の変更、これの届け出を廃止する。それから医薬品の販売量の許可というところでは、置かれる薬剤師の住所について変更の届け出を必要としないというのが挙がっている。  まさにこういうことは非常に瑣末なと言っては失礼ですけれども細かなあれで、これを規制緩和の案件に入れられるというのはちょっとどうかというふうな気がするであります。ですから、もっと実態的なものにひとつお切りかえをいただきたいというふうに思います。  それからこれは地方分権の方の問題でありますが、私、今回の質問をするについて、今まで分権がどのくらい実はあったのか、例えば国から県へ、県から地方自治体へ、あるいは国から地方自治体へ、何件ありましたかという御質問を申し上げたんですけれども、これはわからないということでございました。自治省の方にお伺いしましたら総務庁の方へ聞いてくれ、総務庁の方へ伺いましたら自治省の方へ聞いてくれと。これはキャッチボールと言うほかはないと思うんですけれども、やっぱりその辺の実態はどちらかで責任を持ってお調べになっていただきたいというふうにぜひお願いをいたします。  そういうことで、実態がわかりませんとやはり分権というものが県に押しつけられたりあるいは県から地方自治体に押しつけられたりということで、受け皿の問題にだんだんなっていくのではないかというふうに思っております。先ほど来いろいろ受ける方のキャパシティーの問題が出ましたけれども、この辺についても、例えば広域市町村の問題であるとか、あるいは私はもっと県を広域的に活用する方法が要ると思うんですけれども、そういうふうな手段とか、いろいろそういった面についての御配慮が必要なのではないかというふうに思うのでございます。その辺はいかがでございましょうか。
  192. 松本英昭

    政府委員松本英昭君) 従来、国から県へ、県から自治体へどの程度事務が移行したということについて資料が的確に出されなかったことを大変申しわけなく思っております。これまで累次の臨時行政調査会あるいは行革審の答申等に基づきまして総務庁の方で一括して事務を移譲したような件数につきましては数字を把握しているところでございますので、そういうものにつきましては御報告できると思いますので、また改めて御報告させていただきたいと思います。  それから受け皿の問題でございますが、ただいま申されましたように、一つは、基礎的な地方団体に権限を移譲した場合、すなわち市町村に移譲した場合、その事務能力等にかんがみて対応できるようにどうするか、あるいは広域的な要請に応じて対応できるようにどうするかといういわゆる広域行政あり方の問題がございます。  この点につきましては、先ほども答弁申し上げましたように、昨年から発足いたしました連合制度というものがまさに国等からの権限移譲の受け皿として制度立てをしたものでございます。ただ、それだけではなくて、やはり今日の広域行政事業なり地方分権推進というようなものを考えてみますと、広域行政機構としてさらに多様な権限などの受け皿になり得るような仕組みというものが必要かもしれない、そういう考え方も持っておりまして、現在研究会を設けて検討を進めているところでございます。  一方、委員今御指摘の、都道府県市町村レベルの行政について一定の役割を果たしていくといういわゆる都道府県の補完のあり方、この問題につきましても、特に小規模市町村の対応の問題として私どもも十分問題意識を持っておりまして、この件については恐らく次期の地方制度調査会などにおいても論議が進められるものと見ております。
  193. 小島慶三

    ○小島慶三君 ありがとうございました。終わります。
  194. 浜四津敏子

    委員長浜四津敏子君) 本日の調査はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時十分散会