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1996-03-26 第136回国会 参議院 地方行政委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年三月二十六日(火曜日)    午後二時三十分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         菅野  壽君     理 事                 鎌田 要人君                 溝手 顕正君                 続  訓弘君                 渡辺 四郎君     委 員                 関根 則之君                 竹山  裕君                 谷川 秀善君                 真鍋 賢二君                 松浦  功君                 岩瀬 良三君                 小川 勝也君                 小山 峰男君                 和田 洋子君                 清水 澄子君                 有働 正治君                 西川  潔君                 田村 公平君    国務大臣        自 治 大 臣 倉田 寛之君    政府委員        警察庁長官官房        総務審議官    山本 博一君        自治大臣官房長  二橋 正弘君        自治省行政局公        務員部長     鈴木 正明君        自治省財政局長  遠藤 安彦君        自治省税務局長  佐野 徹治君    事務局側        常任委員会専門        員        佐藤  勝君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○地方行政改革に関する調査  (平成年度地方財政計画に関する件) ○地方税法等の一部を改正する法律案内閣提出  、衆議院送付) ○地方交付税法等の一部を改正する法律案内閣  提出衆議院送付)(閣法第四一号)     —————————————
  2. 菅野壽

    委員長菅野壽君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。  この際、委員長から申し上げます。  去る十四日の本委員会で、田村委員より、地方分権推進委員会事務局に対し、地方分権推進委員会地域づくり部会中間報告案要旨なるものがマスコミで報道されながら、同委員資料要求には応じず、その対応も不誠実であったと指摘する質疑が行われました。  その際、委員長より、地方分権推進委員会事務局に対し、事実関係調査の上、後刻報告するように申しておきましたところ、二十二日の本委員会散会後の理事会におきまして、東田事務局長より、事務局内での調査に基づく報告と釈明がなされ、今後の対応として、資料管理には万全を期す、記者発表を行う際には同時に関係委員会委員には資料配付を行う旨の意思表明がありました。  以上、御報告いたします。     —————————————
  3. 菅野壽

    委員長菅野壽君) 地方行政改革に関する調査議題といたします。  平成年度地方財政計画について、政府から説明聴取いたします。倉田自治大臣
  4. 倉田寛之

    国務大臣倉田寛之君) 平成年度地方財政計画概要について御説明申し上げます。  平成年度地方財政につきましては、現下の厳しい経済地方財政状況を踏まえ、おおむね国と同一の基調により、歳入面においては、地方税負担公平適正化推進及び地方交付税所要額確保を図り、歳出面においては、経費全般について徹底した節減合理化を図るとともに、住民に身近な社会資本整備災害に強い安全な町づくり、総合的な地域福祉施策充実、自主的、主体的な活力ある地域づくりなどを積極的に推進するため必要な事業費確保に配慮する等、限られた財源重点的配分経費支出効率化に徹し、節度ある行財政運営を行うことを基本としております。  以下、平成年度地方財政計画策定方針について御説明申し上げます。  第一に、地方税については、最近の社会経済情勢対応して、平成年度分個人住民税特別減税実施宅地等に係る不動産取得税課税標準特例措置実施平成年度分固定資産税等負担調整率変更個人住民税均等割税率見直し等を行うこととしております。  第二に、地方財政運営に支障が生じることのないようにするため、所得税及び住民税減税に伴う影響額について地方交付税増額及び減税補てん債発行により補てんするとともに、所得税及び住民税減税以外の地方財源不足見込み額についても、地方交付税増額及び建設地方債発行により補てんすることとしております。  第三に、地域経済振興や雇用の安定を図りつつ、自主的、主体的な活力ある地域づくり住民に身近な社会資本整備災害に強い安全な町づくり、総合的な地域福祉施策充実農山漁村地域活性化等を図るため、地方単独事業費確保等所要措置を講じることとしております。  第四に、地方行財政運営合理化財政秩序の確立を図るため、定員管理合理化及び一般行政経費等の抑制を行うとともに、国庫補助負担金について補助負担基準改善を進めることとしております。  以上の方針のもとに、平成年度地方財政計画を策定いたしました結果、歳入歳出規模は八十五兆二千八百四十八億円となり、前年度に比べ二兆七千七百五十五億円、三・四%の増加となっております。  以上が平成年度地方財政計画概要であります。
  5. 菅野壽

    委員長菅野壽君) 次に、補足説明聴取いたします。遠藤財政局長
  6. 遠藤安彦

    政府委員遠藤安彦君) 平成年度地方財政計画につきましては、ただいま自治大臣から御説明いたしましたとおりでありますが、なお若干の点につきまして補足して御説明いたします。  地方財政計画規模は八十五兆二千八百四十八億円で、前年度に比較いたしまして二兆七千七百五十五億円、三・四%の増加となっております。  まず、歳入について御説明いたします。  地方税収入見込み額は、道府県税十三兆七千七百八十六億円、市町村税二十兆二十九億円、合わせて三十三兆七千八百十五億円であります。前年度に対し道府県税は二千五百九十四億円、一・八%減少し、市町村税は二千七百七十億円、一・四%増加しております。  なお、平成年度においては、最近の社会経済情勢対応して、平成年度分個人住民税に係る特別減税実施土地等長期譲渡所得に係る個人住民税税率見直し宅地等に係る不動産取得税課税標準特例措置実施平成年度分固定資産税等負担調整率変更個人住民税均等割税率見直し等措置を講じるとともに、非課税等特別措置整理合理化等のため所要措置を講じることといたしております。  また、地方譲与税収入見込み額総額一兆九千九百八十六億円で、前年度に対し百二十三億円、〇・六%の増加となっております。  次に、地方交付税につきましては、平成年度所得税法人税、酒税、消費税及びたばこ税のそれぞれ一定割合の額の合計額十二兆八千八百六十六億円から平成年度分精算額千二百十八億円を減額した額十二兆七千六百四十七億円に、地方交付税法附則第四条第三項の規定に基づく加算額四千百三十八億円及び臨時特例加算額四千二百五十三億円を加算した額に、返還金五億円、交付税特別会計における資金運用部からの借入金三兆六千八百九十七億円及び同特別会計における剰余金三百億円を加算した額から、同特別会計借入金利子支払い額四千八百三十億円を控除した額十六兆八千四百十億円を計上いたしました結果、前年度に対し六千八百八十一億円、四・三%の増加となっております。  国庫支出金総額十三兆六百六十二億円で、前年度に対し二千六百四十五億円、二・一%の増加となっております。  次に、地方債につきましては、住民税減税に伴う減収額を含む地方財源不足に対処するための地方債を含め、普通会計分地方債発行予定額は十二兆九千六百二十億円で、前年度に対し一兆六千五百六十六億円、一四・七%の増加となっております。  なお、地方債計画全体の規模は十八兆一千百三億円で、前年度に対し二兆七百七十一億円、一三・〇%の増加となっております。  また、使用料及び手数料並びに雑収入につきましては、最近における実績等を勘案した額を計上いたしております。  以上の結果、地方税地方譲与税及び地方交付税を合わせた一般財源合計額は五十二兆六千二百十一億円となり、歳入全体に占める割合は六一・七%となっております。  次に、歳出について御説明いたします。  まず、給与関係経費についてでありますが、総額は二十二兆八千八百三十四億円で、前年度に対し千八百五十億円、〇・八%の増加となっております。職員数につきましては、国家公務員定員削減方針に準じて定員削減を行うとともに、警察官のほか、福祉関係保健等関係職員について所要の増員を見込むことといたしております。  次に、一般行政経費につきましては総額十七兆五千百四億円、前年度に対し六千九百三十二億円、四・一%の増加となっております。このうち、国庫補助負担金等を伴うものは七兆六千六百一億円で、前年度に対し三千三百七十一億円、四・六%の増加となっております。国庫補助負担金を伴わないものは九兆八千五百三億円で、前年度に対し三千五百六十一億円、三・八%の増加となっております。この中では、防災対策強化に要する経費及び地域産業創造対策に要する経費を新たに計上いたしております。  また、少子・高齢化進展等対応した福祉施策の一層の充実を図るため社会福祉系統経費充実するほか、農山漁村ふるさと事業に要する経費農山漁村対策及び森林山村対策に要する経費私学経常費助成に要する経費地域文化振興対策に要する経費地域スポーツ振興対策に要する経費環境保全対策に要する経費国際化推進対策に要する経費地域情報発信等対策に要する経費ふるさとづくり事業に要する経費災害等年度途中における追加財政需要に対する財源等を計上いたしております。  公債費総額八兆八千六百二十三億円で、前年度に対し一兆一千六百八十四億円、一五・二%の増加となっております。  維持補修費につきましては、前年度に対し百七十九億円、二・〇%の増、九千三百四十七億円を計上いたしております。  投資的経費総額三十一兆六百五十二億円で、前年度に対し七千三十二億円、二・三%の増加となっております。このうち、直轄・補助事業につきましては十兆九千六百五十二億円で、前年度に対し一千三十二億円、一・〇%の増加となっております。  地方単独事業につきましては、ふるさとづくり事業地方特定道路整備ふるさと農道・林道の整備災害に強い安全な町づくりなど、生活関連基盤整備を重点的に推進することができるよう所要事業費確保することとし、前年度に対し六千億円、三・一%増の二十兆一千億円を計上いたしております。  公営企業繰出金につきましては、地方公営企業経営基盤強化、上下水道、交通、病院等生活関連社会資本整備推進等に配慮し、総額三兆一千九百八十八億円を計上いたしております。  最後に、地方交付税の不交付団体における平均水準を超える必要経費については、税収入状況等を勘案して所要額を計上いたしております。  以上をもちまして、地方財政計画補足説明を終わらせていただきます。
  7. 菅野壽

    委員長菅野壽君) 以上で説明聴取は終わりました。     —————————————
  8. 菅野壽

    委員長菅野壽君) 次に、地方税法等の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。  まず、政府から順次趣旨説明聴取いたします。倉田自治大臣
  9. 倉田寛之

    国務大臣倉田寛之君) ただいま議題となりました地方税法等の一部を改正する法律案提案理由とその要旨につきまして御説明申し上げます。  最近における社会経済情勢等にかんがみ、住民負担の軽減及び合理化等を図るため、平成年度分個人住民税に係る定率による特別減税実施長期譲渡所得に係る個人住民税税率見直し宅地等に係る不動産取得税課税標準特例措置実施並びに平成年度分固定資産税及び都市計画税負担調整率変更を行うとともに、個人住民税均等割税率見直し非課税等特別措置整理合理化等を行うこととし、あわせて個人住民税に係る特別減税による減収額を埋めるため、地方債特例措置を講じる必要があります。  以上がこの法律案を提案いたします理由であります。  次に、この法律案要旨につきまして御説明申し上げます。  第一は、地方税法改正に関する事項であります。  その一は、道府県民税及び市町村民税についての改正であります。  個人道府県民税及び市町村民税につきましては、当面の景気に特に配慮するため、平成年度分所得割額の一五%相当額を軽減する特別減税を二万円を限度として行うこととするとともに、個人土地等譲渡に係る長期譲渡所得について、特別控除後の譲渡益四千万円以下の部分及び四千万円を超え八千万円以下の部分に係る税率引き下げ等を行うことといたしております。  また、昭和六十年度以来据え置かれてきた個人均等割税率について、その後の国民所得推移等を勘案し、その見直しを行うことといたしております。  その二は、不動産取得税についての改正であります。  不動産取得税につきましては、宅地及び宅地比土地について、平成八年一月一日から同年十二月三十一日までの間に取得した場合に限り、課税標準を価格の二分の一の額とする等の措置を講じることといたしております。  その三は、固定資産税及び都市計画税についての改正であります。  固定資産税及び都市計画税につきましては、平成年度税負担を緩和するため、平成年度分宅地等に係る負担調整率変更することといたしております。  また、新築住宅に係る固定資産税減額措置適用期限を延長するとともに、公害防止用設備に係る非課税措置見直しを行う等の措置を講じることといたしております。  その四は、特別土地保有税についての改正であります。  特別土地保有税につきましては、輸入の促進及び対内投資事業円滑化に関する臨時措置法に規定する特定集積地区における一定施設等の用に供する土地またはその取得について非課税とする等の措置を講じることといたしております。  第二は、地方財政法改正に関する事項であります。  地方財政に関する事項につきましては、個人道府県民税または市町村民税に係る特別減税による減収額を埋めるため、地方債特例措置を講じることといたしております。  以上が地方税法等の一部を改正する法律案提案理由及びその要旨であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。  続きまして、ただいま議題となりました地方交付税法等の一部を改正する法律案提案理由とその要旨について御説明申し上げます。  地方財政の収支が引き続き著しく不均衡な状況にあること等にかんがみ、地方交付税総額確保に資するため、平成年度分地方交付税総額について特例措置を講ずるとともに、平成年度から平成十八年度までの各年度における一般会計から交付税特別会計への繰り入れに関する特例を設けるほか、各種の制度改正に伴って必要となる経費及び地方団体行政水準の向上のため必要となる経費財源措置するため、地方交付税単位費用改正し、あわせて、新産業都市建設首都圏近郊整備地帯整備等に係る財政上の特別措置を引き続き講ずることとする等の必要があります。  以上がこの法律案提出いたしました理由であります。  次に、この法律案内容について御説明申し上げます。  第一は、地方交付税法の一部改正に関する事項であります。  まず、平成年度分地方交付税総額につきましては、地方交付税法第六条第二項の額に、平成年度における法定加算額四千百三十八億円、臨時特例加算額四千二百五十三億円、交付税特別会計借入金三兆六千八百九十七億円及び同特別会計における剰余金三百億円を加算した額から、同特別会計借入金利子支払い額四千八百三十億円を控除した額とすることとしております。  また、平成年度交付税特別会計において借り入れた借入金のうち一兆二百二十五億五千万円については、その償還金に相当する額を、平成年度から平成十八年度までの各年度分地方交付税総額に加算することとし、当該加算額一般会計から同特別会計に繰り入れることとしております。  さらに、平成十四年度から平成二十三年度までの地方交付税総額につきましては、八千三百十三億円を加算することとしております。  次に、平成年度分普通交付税算定につきましては、自主的、主体的な地域づくり推進等地域振興に要する経費災害に強い安全な町づくり震災対策推進等に要する経費、総合的な地域福祉施策充実に要する経費道路、街路、公園、下水道、社会福祉施設清掃施設等住民生活に直結する公共施設整備及び維持管理に要する経費教職員定数改善義務教育施設整備私学助成充実、生涯学習の推進等教育施策に要する経費農山漁村地域活性化農山漁村対策森林山村対策に要する経費自然環境保全廃棄物の減量化等快適な環境づくりに要する経費地域社会における国際化情報化への対応及び文化スポーツ振興に要する経費消防救急業務充実等に要する経費並びに国民健康保険財政についてその安定化のための措置等に要する経費財源等措置することとしております。  また、阪神・淡路大震災復興基金の創設及び雲仙岳災害対策基金の延長に伴い、当該基金に係る地方債利子支払いに要する経費措置することとしております。  さらに、基準財政収入額算定方法について、平成年度における道府県民税及び市町村民税減税による減収額を加算することとする特例を設けることとしております。  第二は、新産業都市建設及び工業整備特別地域整備のための国の財政上の特別措置に関する法律の一部改正についてであります。  都道府県分利子補給措置について新規発行を許可される地方債利子補給下限の率及び利子補給幅改定を行うとともに、市町村分国庫補助負担率かさ上げ措置について財政力による調整割合を高めることとした上、同法の適用期間を五年間延長することとしております。  第三は、首都圏近畿圏及び中部圏近郊整備地帯等整備のための国の財政上の特別措置に関する法律の一部改正についてであります。  都府県分利子補給措置について新規発行を許可される地方債利子補給下限の率及び利子補給幅改定を行うとともに、市町村分国庫補助負担率かさ上げ措置について財政力による調整割合を高めることとした上、同法の適用期間を五年間延長することとしております。  以上が地方交付税法等の一部を改正する法律案提案理由及びその要旨であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  10. 菅野壽

    委員長菅野壽君) 以上で両案の趣旨説明聴取は終わりました。  なお、地方税法等の一部を改正する法律案に対する政府委員からの補足説明につきましては、理事会で協議いたしました結果、説明聴取は行わず、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしました。  これより両案に対する質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  11. 谷川秀善

    谷川秀善君 自由民主党の谷川秀善でございます。  ただいま御提案されました地方税法等の一部を改正する法律案地方交付税法等の一部を改正する法律案につきましては、賛成をする立場で二、三御質問させていただきたいと思います。  平成年度我が国経済見通しの中で書かれておりますが、一番は景気回復確実化、二番は経済構造改革推進、三番は豊かで安心できる経済社会創造、四番は行財政改革推進、そして五番目は調和ある対外経済関係の形成、いずれも先行き非常に不透明でございまして、これらの経済見通しが実現できるかどうかということは大変危惧されるところであります。  特に平成年度予算、いまだに軌道に乗っておりませんし、五十日の暫定予算が組まれるような話でございますので、何とか一日も早く予算は可決をして、それでこういう経済見通しが着実に前へ進んでいくようにしていただきたいものだと、私も委員の一人として強く感じるところでございます。  そこで、平成年度平成年度のいわゆる国税地方税税金というのは国に納める税金地方に納める税金と、大ざっぱに分けますと大体この二つに相なるわけでございますので、平成年度平成年度のいわゆる国税地方税総額で結構でございますので、ちょっとお知らせをいただきたいと思います。
  12. 佐野徹治

    政府委員佐野徹治君) 平成年度と八年度国税及び地方税収入見込みでございますけれども、平成年度につきましては、国税は補正後の予算額でございますけれども、五十三兆七千四十八億円でございます。それから、地方関係につきましては決算がまだ出ておりませんので、地方財政計画の当初見込み額、これで申し上げますと、道府県税合計が十四兆三百八十億円、市町村税合計が十九兆七千二百五十九億円、両方合わせますと約三十三兆七千億円余りでございます。  それから、平成年度でございますけれども、国税の当初予算額は五十四兆四千八百八億円でございます。それから、地方財政計画関係でございますけれども、地方財政計画計上額計画外収入見込み額を加えました地方税収入見込み額は三十四兆三千百八億円でございます。
  13. 谷川秀善

    谷川秀善君 それでは、支出はどうなっておりますか、平成年度平成年度、まあ八年度予算で結構でございますから、大体推計で結構でございますが、どれぐらいになっておりますか。
  14. 遠藤安彦

    政府委員遠藤安彦君) 歳出の方でございますけれども、現在、年度が進行しておりますので決算額はまだ出ておりませんが、地方財政計画に計上された額を御参考までに申し上げます。平成年度におきましては歳国会計が八十二兆五千億でございまして、来年度平成年度は先ほど御説明をいたしましたように、財政計画規模としては八十五兆二千八百四十八億円でございまして、三・四%という伸び率になっております。  これは財政計画数字でございますので、実際の決算額とは若干乖離がありますけれども、地方団体においてはこの財政計画伸び率あるいはその内容に基づいて来年度予算も計上して、議会で今御審議をいただいていることと思いますので、一つ参考になる数字ではないかということで申し上げます。
  15. 谷川秀善

    谷川秀善君 今御説明をいただきましたが、地方と国と、税源についてはこの数字から見ましても、収入の方は国の方が大体倍ぐらい入っておるわけです。それで、出る方は地方はその倍ぐらい使っているわけですね。そうすると、収入は半分で出る方は倍だということに大ざっぱに言いますとなるわけでございまして、交付税というものでそれをカバーしているんだろうと思うんですけれども、この辺のところは後でまたお伺いをいたしたいと思います。  それで、三千数百の地方自治体があると思います、県、市町村を入れますと。そうすると、府県と市町村別にいわゆる不交付団体はどれぐらいございますか。
  16. 遠藤安彦

    政府委員遠藤安彦君) 都道府県における不交付団体は現在は東京都ただ一つでありまして、かつてはこれに神奈川、愛知、それから大阪という大体この四都府県が不交付団体であったわけでありますが、近年の景気の停滞による地方税収入の伸び悩みによりまして、現在は東京都だけになっております。  それから、市町村の不交付団体につきましては、多いときには大体百八十ぐらいの団体があったわけでありますが、平成年度はこれが大分少なくなっておりまして百五十三団体というような数字になっております。
  17. 谷川秀善

    谷川秀善君 結局、府県は現在はもう東京都だけである。大阪もずっと不交付団体でございましたが、交付団体に転落をいたしております。市町村に至っては、三千ほどある市町村のうち百五十三団体であると。このままいけば、恐らくもっと交付団体がふえるのではないかと思いますけれども、こういう状況の中で自治省さんの方には大変御苦労をおかけいたしておるわけでございます。  それで、いわゆる公債の発行残高ですね、国の方は今大変な発行残高になるというふうにここにも書いてございますが、平成年度末で二百二十二兆の見込みだと、こう書いていますね。このままいきますと、平成年度の公債残高は二百四十一兆円になる、こういうふうに予測をされておりますが、この公債残高、国の方と地方債の残高、平成年度で結構でございますから、どれぐらいでございましょうか。
  18. 遠藤安彦

    政府委員遠藤安彦君) 地方借入金の残高の問題でございますが、平成年度末で、普通会計におきます地方債の残高が現在のところ九十二兆円程度でございます。ただ、これに公営企業の地方債の残高のうち普通会計が負担すべき部分がございます。これが約二十兆円ほどございますので、いわゆる税をもって将来返さなければならないという意味の地方債残高で申し上げますと、平成年度末百十二兆円程度になるということでございます。  御質問にはありませんでしたが、来年八年度末の見込みではこの額が百二十二兆円ほどに膨らんでいくということであります。  それから、地方債以外にも地方借入金につきましては交付税特別会計における借入金がございまして、これは将来の交付税から返還をしなければならないというマクロの意味の地方の借金になっておるわけでありますが、平成年度末で約十二兆円、それから平成年度末で十四兆円ということになります。
  19. 谷川秀善

    谷川秀善君 私の計算でも、平成年度末では大体百二十三兆ぐらい、平成年度末では大体百三十六兆ぐらいになるのではないか、こう思います。  そういたしますと、国と地方を合わせますといわゆる借金が三百七十七兆、こういうことになるわけですね。大変な数字だろうと思いますよ、この借金。それで、税収が大体五十三兆ないし五十四兆、こういうことになりますと、これは何年分になりますか、借金が。国の財政地方財政もこれでもっていくのかということがそういう意味では非常に心配になるわけであります。それはどういうふうにお考えになっておられますか。
  20. 遠藤安彦

    政府委員遠藤安彦君) 御質問のとおりでありまして、国も地方も非常に大きな借入金の残高を持っている上に、来年度の国の一般会計予算、それから現在御審議をいただいております平成年度地方財政、これも戦後最高の財源不足というようなことでございますので、非常に厳しい状況にあるというように認識をいたしております。  特に地方財政の場合につきましては、御指摘のように、確かに全体の借金の総額が大きいということに加えまして、個別の地方団体におきましても、公債費負担比率が一五%以上の団体、私どもこういった団体を、財政の硬直化の度合いからいいますと黄信号の団体だあるいは赤信号の団体だという表現を使っておりますけれども、平成年度決算、昨年度決算においてこういう団体が三千三百のうち四割を占めるというようなことになっておるわけであります。  確かに一時、昭和五十年代の終わりから六十年代の初めにかけまして財政が大変厳しいときがありまして、この公債費負担比率が一五%以上の団体というのが地方団体団体数の五割を超えたことがございます。その後いわゆるバブル景気というようなことで、地方税あるいは地方交付税が順調に伸びてきたというようなことを背景として、公債費負担比率の割合が一五%を超える団体の数が地方団体の三割程度にまで改善をされたわけでありますが、この二、三年の財政収入が不如意であること、あるいは景気対策を行わなければならないことといったようなことで借金財政をとらざるを得ないというような背景の中で、公債費負担比率の割合が一五%以上の団体が四割に達するというようなことになっているわけであります。  私どもは、地方財政というのはマクロでも借金が非常に多額であるし、ミクロにおいても各団体ごとに大変硬直化の度合いを強めているということで、財政的に懸念をしている状況であります。
  21. 谷川秀善

    谷川秀善君 ただいまおっしゃったとおりだと思います。特に地方は、県民なり市民なり町民さんのニーズが非常に強いわけですね。だから、あれもやれこれもやれ、こういうことで収入よりも支出の方がどんどんふえていくということだろうと思うんです。そういう意味では、本当にこれから真剣に行政改革をやってスリムにしていかないと、この財政事情というのはなかなか改善をされないんではないかと思います。  それでは、平成元年、平成二年、平成三年ぐらいの国税地方税収入状況をちょっとお伺いしたいと思います。
  22. 佐野徹治

    政府委員佐野徹治君) 平成年度から三年度までというお話でございますので、国税地方税のそれぞれの決算額につきましてお話を申しますと、国税関係でございますが、平成年度は五十七兆一千三百六十一億円でございます。それから、平成年度は六十二兆七千七百九十八億円でございます。平成年度は六十三兆二千百十億円でございます。  それから、地方税関係でございますけれども、決算額で、平成年度は三十一兆七千九百五十一億円でございます。平成年度は三十三兆四千五百四億円、それから平成年度は三十五兆七百二十七億円でございます。
  23. 谷川秀善

    谷川秀善君 今お答えをいただいた数字で見ますと、平成年度国税収入見込み額が大体五十四兆、こういうことですね。それで、平成元年が五十七兆、平成二年が六十二兆、平成三年が六十三兆、まあ地方税の方はおいておくとして。これはバブルのときの収入じゃないですか、その辺どうですか。
  24. 佐野徹治

    政府委員佐野徹治君) 私ども、国税関係につきましての正確な分析の資料は手元にございませんけれども、この差額が約九兆円近くございます。恐らく、これは法人の関係の税だとか、それから土地譲渡所得に関するいろんな税がございますけれども、こういった点の差が大きいのではないかというふうに考えております。
  25. 谷川秀善

    谷川秀善君 多分そうだろうと思うんです。私は大阪の副知事をいたしておりましたが、地方税でも、いわゆる府民税、法人税を含めまして一番税が入ったのは大体一兆四千五百億ぐらいあったと思うんです。ところが、それからバブルがはじけまして、平成年度は、見込みでございますが、もう恐らく一兆一千億を切るのではないか。  三千五百億の乖離があるわけです。  そういうことで、私が副知事のときに基金だとかなんとかで貯金をいたしておきまして、やっときのう府議会が終わったようでございまして、聞いてみますと、それを全部はたいてやっと平成年度予算案が組めた、こういうことであります。平成年度は、景気がこのような状況であれば、大阪のように非常に税収のある地方自治体でも来年はまともな予算案が組めるかどうかということを非常に心配をいたしております。  そういう意味では、いわゆる住専の解決に六千八百五十億、こんなの当然出してしかるべきでしょう。そう思いますよ、これ。違いますか。バブルでもうかったのは国であり地方だと私は思っておるわけですよ。そんなの、単年度だけで比較したら、平成年度六十三兆、平成年度五十四兆、九兆ですよ。単年度だけで九兆。それだけ税収が入ったわけでしょう。その辺のところをやっぱりよくお考えをいただかないと、これから景気がよくなりませんと本当に国も地方も大変なことに相なるのではないかというふうに私は思っているわけです。  だから、国は貯金してあったんです。その貯金を出すだけの話じゃないですか。それもたったの一兆足らずだと私は思いますが、どうお考えでございましょうか。
  26. 遠藤安彦

    政府委員遠藤安彦君) 確かに、地方財政におきましても、昭和六十二年度ぐらいから平成年度ぐらいまで、ただいま税務局長がお答えいたしましたが、大変地方税収がふえ、また国税収入がふえたということは事実でございます。私ども、当時財政を担当いたしておりまして、この税の自然増収というものをどういう方向に使うべきかということで二つの対策を立てたわけであります。  一つは、昭和五十年代におきます財源不足の時代に、大変無理をして交付税特別会計で借り入れをする、あるいは地方債を増発するというようなことをやっておりまして、当時、地方借入金が非常にぶえておったということがあったわけであります。これをある程度余裕が出てきた税収入の中で過去の借入金を返済していこうということで実施をいたしたわけであります。  具体的に申し上げますと、その数年間で、交付税特別会計借入金地方負担分で六兆円ほどあったものを、平成年度ではこれを一割の六千億程度にまで縮めたということが一つございます。それから、五十年代に十兆円近く出しました財源対策債、これにつきましてもいわゆる実質的な償却措置を講じようということで各地方団体に減債基金を設置していただきまして、交付税でその減債基金の設置に必要な金額というものを基準財政需要額の中に算入をして積んだわけであります。こういった過去の借金あるいは借入金の償却というものを私の計算では十三兆円ぐらい行って、このときに地方借入金というものがかなり身軽になったということが一つあるわけであります。  それから第二の点は、地方の時代あるいは地方分権の時代ということでありますが、地方団体が自主的、自立的に仕事ができるというのはどうしたらいいんだろうかと当時随分議論をいたしまして、到達した結論というのは、地方が単独で事業を実施できるようにするということがやはり非常に重要ではないかということであったわけであります。  これまでの投資的な経費の歴史からいいますと、いわゆる大きな事業は国から補助金をもらって実施するということが主流になっておったわけであります。地方の単独事業というのは、国の補助金を受けて行えないような小さな仕事を単独事業でやるという考え方が定着しておったわけでありますけれども、財源的にも先ほど申し上げましたように若干余裕があるような状態になりましたので、この単独事業というものを大きく前進させることが地方団体にとって大変有効ではないかということでありました。結局、そういったような単独事業がどんどんできるような財政システムというものを地方団体に提供したわけであります。  効果としましては、昭和六十三年の決算で、戦後の地方財政史上初めてでありますけれども、単独事業が補助事業を上回るというようなことになっております。現在は、単独事業が補助事業の一・五倍あるいは一・八倍といったような水準になっておるわけであります。  私ども、バブルのおかげと言うと語弊があろうかと思いますけれども、税収入というものが予定以上に入ったときには過去の借入金を返済する、そして地方の自主性を伸ばすために単独事業の規模を大きくする、そういったようなことに使ってきたというように思っている次第でございます。
  27. 谷川秀善

    谷川秀善君 おっしゃったとおり、やはり地方地方なりに努力をして、税源の培養といいますか税の再生産というか、そういうことは努力をしていかなきゃならないと思っております。  それで、地方交付税法についてちょっとお伺いをしておきたいんですが、第六条の三第二項、これには、総額がおおむね一割程度以上財源不足が二年連続して生じ、三年目もそういう状態になったときにはやらなきゃいかぬと書いてございますが、今年度の場合はそれをおやりになっておられないですね。その理由をちょっとお伺いいたしたいと思います。
  28. 遠藤安彦

    政府委員遠藤安彦君) 地方交付税法六条の三第二項の規定は、大幅な財源不足が引き続いて三年以上生ずるようなときには地方財政制度の改正または交付税率の引き上げを行うものとするという規定があるわけでございます。御指摘のように、平成年度及び七年度に引き続きまして来年度も大幅な財源不足が生じることになったわけでありまして、私どもは、この地方交付税法の六条の三第二項の規定に該当する事態に立ち至ったということで、平成年度地方財政対策に取り組んだわけでございます。  御指摘の中で、六条の三第二項の規定に該当する措置を講じなかったのではないかということでございますが、私ども、交付税法の改正として現在審議をお願いしておる中には、六条の三第二項の規定による財政制度の単年度限りの改正ではございますけれども、それを大蔵省と協議いたしまして、最終的に決定をして法律の中に書いて御審議していただいておるというように理解をいたしておるわけであります。  どうしてこういう単年度限りの措置をとったかということでございますが、幾つか理由があるわけでありますけれども、一つには、税収入の動向というのは経済の動向に大きく左右されるわけでありますが、平成年度及び平成年度にとりました景気対策のための補正措置等々の影響もあって、最近ようやく景気に明るい兆しが見え出してきたというようなことがあります。そういった点から来年度の税収というものを見きわめる必要があるのではないかということが一点。  それから、平成年度には、既に法律で決定していただいておりますけれども、地方消費税の創設を控えて、平成年度のうちに税制改革の議論が予定をされているわけであります。そういった結果も地方財政に大きな影響を及ぼすというように想定をされるわけでございますので、交付税率の引き上げといったような恒久的な制度改正というものはこの場合必ずしも適当ではないのではないかという判断のもとに、御提案をさせていただいておりますような内容平成年度限りの特例措置ということにさせていただいたわけでございます。  中身につきましては、通常収支の不足について、平成年度、七年度につきましては地方団体のサイドで交付税特別会計で借り入れをして償還していくということでありましたが、平成年度につきましては、国と地方が折半してそれぞれ補てんする措置を講ずるということで対策をまとめたわけでございます。よろしく御理解のほどをお願い申し上げたいと存じます。
  29. 谷川秀善

    谷川秀善君 大変御苦労をされたことはよくわかるわけでございますが、いずれにいたしましても、これからは地方分権の時代である、こう言われておりますし、また地方分権法も成立して本当に地方分権を進めてまいらなきゃならない時期に来たと思っておりますが、いずれにしても一番大切なのは財源であります。これは幾ら権限を地方に分権をいたしましても、実際に仕事をやる場合、いわゆる財源が伴わないと地方分権は絵にかいたもちになるのではないかというふうに思っております。  そういう意味で、いわゆる各種補助金、これは各省にまたがっておると思いますが、補助金総額地方団体に行っている額はどれぐらいでございましょうか。平成年度で結構でございます。
  30. 遠藤安彦

    政府委員遠藤安彦君) 平成年度の手元の数字で申し上げさせていただきますと、来年度地方財政計画におきます国庫支出金総額は十三兆六百六十二億円でございまして、前の年度に対しまして二千六百四十五億円、二・一%の増加になっております。
  31. 谷川秀善

    谷川秀善君 そういたしますと、地方交付税と補助金を足しますと、もう相当な地方団体財源になっているわけですね。固定財源以上に行っている地方自治体も相当あるんではないかと思いますが、この二つを何とかお考えいただいて、税制改革の中でも、せめて六大府県ぐらいは地方交付税をちょうだいしなくてもやっていける、補助金をちょうだいしなくてもやっていけるという税制をお組み立ていただかないと、なかなか地方分権は前へ進まぬだろうと私は思っておるわけであります。  そういう意味ではこれからも非常に大変な問題だろうと思いますが、いわゆる独自財源地方自治体に与える方向でお考えをいただきませんと、本当に地方分権を進める上では絵にかいたもちになってしまうんじゃないかというふうに私も長い間地方自治体で働かせていただいた一員として思うわけです。  これは当然それぞれ地域差がございますから、十分国の方で配分をお考えいただいて、もうどうしても税収が上がらぬ市町村もありますよ、そういうところへはそういうふうにやっていただいて、それで少なくとも大阪府などが交付団体になるなんというような状況では、これはどうも地方分権が前へ向くかどうかということは大変危惧されると思いますよ。特に府県税は景気の変動に一番左右されるわけです。だから、恐らくこれから景気が回復をいたしましても、それが税にはね返ってくるのは二、三年かかるわけです。ところが、景気が落ち込みますとその影響は明くる年にどかんとくる、こういう税体系になっているわけですよ、税の分配になっているわけです。  だから、その辺もよくこれから十分お考えをいただいて、せめていわゆる六大府県、六大都市ぐらいは交付金をいただかなくても自前で仕事がやっていけるというふうにお願いをいたしたいと思いますが、自治大臣地方分権を進めるに当たりまして、税制と財源確保についてひとつ御決意をお伺いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
  32. 遠藤安彦

    政府委員遠藤安彦君) 総括的なお話はまた大臣から御答弁があろうかと思いますが、部分的な問題につきまして御質問の中にありましたので、ちょっと私から御答弁をさせていただきたいと思います。  御質問にありましたとおり、地方一般財源というのは税と交付税で成り立っているわけでありますし、税は独自財源でありますから、そういった意味で地方財源を考える場合には、やはり税収入というものを主体に物を考えていかなければならないだろうというように思っているところであります。  ただ、御理解をいただきたいのは、この三千三百の地方団体の大半は大変財政的に脆弱な団体が多いわけであります。この三千三百の中で、交付税収入額の方が自分のところで徴収する地方税収入額よりも多いという団体が実に七割もあるわけであります。こういう団体は要するに税源がないわけでありますので、税源を幾ら地方のサイドに大きくしましても直接的には税収がふえないということがございます。  私ども、これから地方分権ということが大きな課題になってきておるわけでありますので、地方の税財源充実ということを考えていくわけでありますが、やはり税収入を基本としながらも弱小団体のためには交付税のことも考えていかなければいけないということで、ある意味では税と交付税のバランスというものを考えて地方財源対策を講じていかなければならないのではないかというように思っている次第であります。  御提案しております平成年度地方財政対策の中でも、実は私どもも苦心をいたしましたのは、地方税収入が御指摘のとおり前年度に対し〇・一%の伸びであるというようなことで、税収はほとんど伸びない。そういった中で交付税伸び率をある程度確保いたしませんと、地方団体財政運営というのが非常に窮屈になるというようなことで、最終的には借り入れ部分が多いのではないかというおしかりを受けるわけでありますけれども、交付税伸び率を前年度に対しまして四・三%と、財政計画全体の伸び率三・四%よりも大きくしたというような背景もあるわけでございますので、そういった点も御理解をいただければ非常に幸いであるというように考えております。
  33. 倉田寛之

    国務大臣倉田寛之君) 谷川委員からいろいろな角度で御指摘がございましたが、地方分権の推進という点につきましては、自治省といたしましても極めて重要な課題の一つであるという認識のもとに、その実現を図ってまいります上では、言うまでもなく地方団体が地域の実情に即した事務事業を自主的、自立的に行って、同時にまた住民の皆様の福祉の向上を図っていくということが肝要だろうというふうに思います。そういった意味からも、事務の配分に応じた地方税財源というものを安定的に確保して財政の基盤というものを確立していくということにつきましては御指摘のとおりだろうと思います。  技術的な面につきましては先ほど財政局長からもお答えを申し上げましたが、先般の税制改革におきまして、地方分権を推進して地方税源の充実を図るために地方消費税というものを導入することにいたしたところでございますが、地方分権の推進に当たりまして、国と地方の役割分担に応じた地方税財源充実強化というのは不可欠でございます。  したがいまして、地方税充実強化というものを基本としながら、地方交付税充実強化であるとか、権限の移譲、国庫補助負担金整理合理化等とあわせまして、国から地方への税財源の移譲を図っていくという考え方につきまして地方分権推進委員会審議の場に積極的にお伝えを申し上げまして、国と地方の役割分担に応じた地方の税財源の一層の充実強化、あるいは地方分権の推進という意味においてもこれに資してまいりたいというふうに考えておるところでございます。  委員御案内のように、地方分権推進委員会におきましてはこの三月に中間答申が出されます。この中間答申をお出しになった後、本年の末には、指針の勧告に向けていろいろな関係団体からヒアリングをしつつ取りまとめを行っていかれるものと承知をいたしておりますので、それらの審議を踏まえながら今御指摘の点につきましては対応をさせていただきたいというふうに考えているところでございます。
  34. 谷川秀善

    谷川秀善君 ありがとうございました。どうぞよろしくお願いします。
  35. 渡辺四郎

    ○渡辺四郎君 先ほどから予算説明の中でもいろいろお話がありました。それから今、谷川先生の方からもいろいろと財政問題について質問がありましたが、もう少し私は八年度改正問題を中心にお尋ねしてみたいと思います。  自治省がまとめた平成年度都道府県及び市町村決算を見てみますと、先ほどからお話がありますように、引き続く景気の低迷やそれに対応した特別減税実施などの影響によりまして、都道府県では三年連続、市町村においては戦後初めて地方税収が前年を下回る、こういう結果になりました。地方財政の現状は、今お話があったように非常に厳しい状況にあるわけです。  そこで、八年度においても、住専の処理問題を含めて、残念ながら今の景気状況というのはよい方向に上昇するという見通しは余りないんじゃないか、特に税収の伸びというのが期待できないということになりますと非常に厳しくなるというふうに思っておかなきゃいけないんじゃ、ないか。    〔委員長退席、理事鎌田要人君着席〕  そのような観点から八年度地方税改正案を見ますと、税負担の軽減措置が非常に目立ってまいりました。地方財政の立場からいいますと、なかなかこれは厳しい状況になるわけです。しかし、これらの地方税制としては、これも先ほどからお話がありましたように、九年度から地方消費税が導入をされるという方針のようでありますが、分権時代に向けた新しい第一歩を踏み出そうと、平成年度予算はそういうおつもりで計画がされておるというふうに思うわけです。  ここで、何点かに絞って八年度予算改正案のポイントを、あるいは概要でも結構ですから、財政局長の方からお聞かせ願えたら幸いでございます。
  36. 遠藤安彦

    政府委員遠藤安彦君) 平成年度地方財政対策でありますが、一つ地方財政対策全体の問題でありまして、財源不足額が非常に大きい中でどのように対応するかということであります。私は、平成年度地方財政対策に入ります段階で、課題として大きく二つあるというように考えておったわけであります。  一つは、言うまでもありませんけれども、三年連続で地方財政に大きな通常収支の財源不足がある。このことは、とりもなおさず地方交付税法六条の三第二項の規定に該当するわけでありますので、この規定をどのようにクリアするかということでございます。  それからもう一点は、地方税収が今御質問にありましたとおり伸び悩む、むしろ前年度と同額程度であるという中で、弱小団体の多い地方財政運営を支障なからしめるためには、交付税というものをある程度確保しないといけないのではないかという二つの課題を実は歳入面では抱えているということで財政対策に入ったわけであります。  結果といたしましては、第一の六条の三第二項の規定のクリアの問題につきましては、御提案をさせていただいておりますとおり、通常収支の不足のうち交付税をもって対処すべき部分については国と地方で折半して責任を分担し合うということにさせていただいたわけであります。    〔理事鎌田要人君退席、委員長着席〕  しかもその中では、ここ数年とられておりましたように、単に交付税特別会計で借り入れをしてそれを後年度返済するという方式ではなくて、借入金を将来ふやさないという意味からは国の一般会計から直接繰り入れられる額を多くする、そういうことに意を用いたわけであります。法定加算額四千百三十八億、それから地方から国に貸しておりました残額が約一兆円ほど平成年度以降返していただくことになっておりましたが、このうち四千二百五十三億を繰り上げて返していただくという措置をとったわけであります。これらのことにつきましては、国におきましても大変厳しい財政状況の中でこういった措置をとっていただいたということは、やはり地方財政が相当厳しいということを御理解いただいた上での措置であると私どもも考えている次第であります。  それから、もう一つの課題につきましては、交付税総額の伸びを前年度に対しまして四・三%の伸びにすることができたわけであります。地方財政計画の伸びが三・四%という中で四・三%の伸びが確保できたということ、一般財源全体の伸びが税まで入れますと一・八%程度ということでございますので率としては低うございますけれども、弱小団体を中心に交付税が伸びたということで、地方団体の方もある程度の安心感を感じることができたのではないかというように感じている次第であります。  それから、歳出面におきましては、この二、三年の借入金主体の財政運営ということでございましたので、借入金の返済、地方団体でいいますといわゆる公債費に当たるわけでありますけれども、公債費の伸びが非常に高いということはもう避けられないことであります。しかし、経済事情及び税収入等の状況が厳しいわけでありますので、やはり全体の歳出というものは厳しく抑制基調でやっていくべきではないかということで、これまで二けたの伸び、また平成年度では五%の伸びを確保いたしておりました地方の単独事業の伸び率も三・一%というぐあいに低く抑えまして、地方財政計画を含む全体の伸び率は三・四%ということになったということが主要な歳入歳出の特徴かと思われます。
  37. 渡辺四郎

    ○渡辺四郎君 確かに交付税総額確保するために大変な努力をされたことは、私も先般来の委員会でも評価をしておるわけですが、そういう大変な努力にもかかわらず、非常に財政の厳しい中で、特別減税改正案では八年度も七年度と同規模個人住民税の定率による特別減税を、所得税との見合いという関係もありましょうが、継続することになっておると。  これは御承知のとおり、六年の税制改革要綱の備考に書き込まれているものですが、現在の経済状況等を総合的に勘案した場合、八年度もやっぱり実施をするということについては、これは妥当なものだということで政府や与党でも踏み切ったと思うんです。この特別減税の継続についてはもう三年にもなる、制度減税は三年目ですから、ということになりますと、非常に好意的に受け取られておる一方、この方式については、こんなに続けば九年度以降は恒久減税化すべきじゃないかというお話もあるわけですね。  ですから、これは非常に難しい問題であるわけですが、確かに今二階建て減税というようなことで非常にわかりにくいといいますか、厳しい財政事情や先の読みが非常に難しい景気状況を考えた場合には、所得課税への負担軽減と景気対策の要請という双方にそれぞれ配慮する仕組みになっておるものですからわかりにくさもあると思うんです。そういう点から見て、特別減税をもし恒久化するといった場合には、私は新たな代替財源をどこに求めていくかということを考えなければいけないと思うし、先ほどありましたように、これから先、高齢化社会が進んでいく、地方の非常にたくさんのニーズが起きておる、そういう中で確かに消費税そのものの引き上げについてはかなり国民の皆さんからも抵抗があるわけですから、国民の合意を得るためには大変難しい思いがするわけです。  これは大臣にちょっとお聞きをしておきたいんですが、もし減税として恒久化しようというふうにいった場合に、代替財源等について何かお考えがあれば、大臣の御所見をお伺いしておきたいと思うんです。
  38. 佐野徹治

    政府委員佐野徹治君) 税制に関することでございますので、私の方から御説明をさせていただきたいと思います。  今お話がございましたように、個人所得課税の減税関係消費税率の見直し関係、これらをあわせまして一昨年十一月の税制改正でセットで法案をお決めいただいておるものでございます。  平成六年の税制改正におきましては、今お話がございましたいわゆる恒久減税分、制度減税分と、それから臨時的なと申しますか単年度特別減税分、これらをセットにいたしまして、一方では地方消費税の創設、それからまた全体の地方財政フレームの中で消費税地方交付税からの繰り入れ税率の引き上げ、こういうことがセットで決められておるものでございます。  そのときの経緯の一環といたしまして、平成年度分につきましてはその後の景気状況を見ながら考えていこうということで、昨年の税制改正におきましてその時点での景気状況を判断いたしまして、平成年度におきましても平成年度に引き続いて、特に当面の景気に配慮をして実施するということで今回お願いをしておるものでございます。  こういう観点からないしは従前の経緯から申し上げますと、特別減税それ自体はあくまでも景気対策、経済対策の一つとして考えられているものというように私ども理解をいたしておりまして、これ自身恒久的なものとして考えられているものではないということで御理解をいただければと思っております。
  39. 渡辺四郎

    ○渡辺四郎君 それでは、次に固定資産税の問題についてお伺いをしたいと思います。  御承知のように市町村の基幹税目であることはもう間違いないわけですが、これも先ほどからお話がありましたように、特に都道府県段階になりますと景気に非常に左右されるという不安定な状況にありますが、市町村段階では非常にこれが大きなウエートを占めておる問題で、急激な地価の下落を背景に土地評価額と地価公示価格の逆転が問題化したために、七年度の税制改正では異例の措置として二年後の地価下落を織り込みながら臨時的な負担調整措置を図ったわけです。この中でそういうことでやってまいりましたけれども、なお大都市に住む居住者の皆さんの中からは、地価が下がるのに何で固定資産税が上がるのかというような疑問の声が出されてまいりました。  一方、先ほどから言いますように市町村の基幹税目ですから、自治体としては非常に大事な税源であるということで大変な難しさはあるわけですが、結果的には緊急の臨時措置ということになるのか、あるいは負担調整を講ずるということになったと思いますけれども、昨年九五年の一月号の雑誌の地方税についての新春座談会で、当時の板倉固定資産税課長は、平成年度改正で評価がえに伴う特例措置はぜひ今回限りとする必要があるというふうに実は述べておりましたが、今申し上げましたように、八年度もさらなる負担調整率変更する、こういうふうに提起されております。  わからぬことはありませんが、この理由を少し説明していただきたいということと同時に、本年度も地価は先般来の発表のとおり下落が続いておる。そうしますと、もしこのような措置が三年連続するようになれば、固定資産税のあり方そのものについても抜本的に検討を加えなきゃいけないんじゃないかというのが一つの問題としてあるわけです。  九年度は、御承知のとおり固定資産税の三年に一回の評価がえの年に当たるわけですけれども、今の地価の動向や経済状況あるいは税負担状況等について、先ほど申し上げましたように総合的な角度から検討を加えて、そして必要なのは、今、固定資産税算定方法特例措置とか負担調整とかいろいろあって非常にわかりにくいというのが一般の住民の皆さんの声、窓口に来て市の職員、町村の職員が説明しても住民の方はなかなかわかりにくい、こういう声があるわけですね。  税制というのは簡素化が中心でなきゃいけないわけですから、そういうふうにわかりやすい制度を含めて検討し直す必要があるんじゃないかというふうに私自身思うわけですが、これについてどういうお考えがあるかお聞かせください。
  40. 佐野徹治

    政府委員佐野徹治君) まず、平成年度の税制改正案でさらに負担調整措置見直しを行う、この理由についてでございます。  平成年度の評価がえでございますけれども、この平成年度から、土地基本法等の趣旨を踏まえまして地価公示価格の七割程度を目標として評価の均衡化、適正化を図ったところでございますけれども、固定資産税というのが毎年資産を所有しておることに対しまして恒常的にと申しますか、継続的に課税をするという性格の税でございますので、これに伴います税負担面につきましては、平成年度改正平成年度改正、それからまた今回の平成年度改正、それぞれいろんな調整措置を講じてきたところでございます。  特に平成年度改正につきましては、確かに平成年度平成年度、いろんな調整措置を講じたわけでございますし、そういう経緯もあるわけでございますけれども、ここ数年連続いたしまして地価が下落をしているということ、それからまた国民所得だとか企業の収益が必ずしも伸びていないという最近の経済情勢も踏まえまして納税者の負担感にもやはり配慮する必要があるのではないか、こういう点も考えまして平成年度におきましても負担調整率変更措置を現在お願いしておるところでございます。  それから、制度が非常に複雑になっているじゃないか、こういうお話でございますが、確かに平成年度の評価がえに関連をいたしまして、今御説明を申し上げましたように平成年度改正、七年度改正、またこのたび八年度改正案で特例措置をお願いしているわけでございますけれども、現在の固定資産税の税額の計算の仕組みが非常に複雑になっているということは私どもも事実であると思っているわけでございます。基本的に課税の仕組みというのはできる限り簡素化が図られるのが望ましいというように考えておるところでございます。  それから、固定資産税のあり方の問題でございます。固定資産税というのは市町村税の基幹的な税目でございますし、税の性格から申し上げましても市町村税として非常にふさわしい税であるというように思っておりますので、この税につきましては、中長期的に見ますとこれを充実していく、そういう方向を基本とすべきであるというふうに私ども考えております。  それで、具体の話といたしまして、平成年度は評価がえがございます。平成年度の評価がえにつきましても、私ども地価公示価格の七割を目標にということでそれぞれ市町村に評価がえの作業をお願いしてございますけれども、このところの地価の下落、こういうことも反映をいたしまして、土地の評価の均衡化、適正化、これが図られていくのではないかと思っております。  一方、負担の問題につきましては、この評価がえの動向もよくにらみながら税制調査会でもいろんな議論がなされると思いますので、そういうことにつきましても十分留意をいたしながら、平成年度の評価がえ、それからそれに関連いたします税負担の問題につきましては考えてまいりたいと思っております。
  41. 渡辺四郎

    ○渡辺四郎君 去年の予算編成の段階で、平成年度固定資産税の評価がえでは私らも一緒に委員会で大変な議論をしてきた。本当に異例の措置として、二年後まで地価がどう下がっていくかということで決めていったいきさつがあったわけですが、政府税調や与党の中でもそこら辺の理解がなかなかいかなかったんじゃないかと、実は悔しく思った一幕もあったわけです。この辺が国民の皆さんにも余り理解されない部分があったんじゃないかというふうに思うわけですから、ぜひひとつ九年度の評価がえについてはわかりやすい方向で、国民の皆さんの協力を得るということに努力をしていただきたいというふうに思うわけです。  最後に、私は先般来も申し上げましたが、もう地方財政は危機的な状況だ、だから地方財政の危機的宣言を発するべきではないかというようなことまで申し上げましたけれども、これも谷川先生からお話がありました。経常収支比率や公債費比率の悪化の傾向というのは、六年度市町村決算を見ましても、先ほどお話がありましたように、経常収支比率が七五%以上の団体が前年度よりも五百二十一団体ふえたと。千七百四十一団体で、全体の五割に達し、財政構造の硬直化が一層増してきたということも局長からお話がありました。  こういうことを第一に押さえながら、第二はやはり公債費比率もどんどん伸びておるということで、警戒ラインの一五%以上の団体が前年度よりも二百二十一ふえたと、これも千三百二十二市町村となって全体の四割を占めている。公債費の負担が増大をしてきておることを示しておるわけですが、こういう財政構造の弾力性を判断する指標として使われております経常収支比率や公債費の負担比率が悪化しているのを見ると、地方財政状況は、先ほどから申し上げますように、もう危機的状況に近づいておるというふうに思うわけです。  その中で、行政経費効率化あるいは節約ということも十分注意をしなきゃいけないわけですが、一方、景気が低迷をする、税収は落ち込む、しかしそういう中でも地方景気回復のために単独事業を中心に経済対策に大変な協力をしなきゃいけない。そうしますと、どうしても財政支出は大きくなってくる、財源不足が出るものですから地方債を増発する、その結果公債費の負担比率がどんどん増加をしていく、ますます地方財政を圧迫してくる、こういう現状がここ二、三年続いておるというふうに見なきゃいけないんじゃないだろうか。  そういう中で、昨年の暮れに財政危機宣言を大蔵大臣が発表をいたしました。国家財政の危機をクローズアップしましたが、本年の一月に大蔵省は「財政改革を進めるに当たっての基本的考え方」を提起いたしました。大臣が参加のもとに閣議決定をいたしました。  その中で、八年度予算財政の現状、今後の財政改革の課題を示しておりますが、その末尾に、一定の仮定のもとに中期的視点に立った財政運営を進めていく上での手がかりを示すものとして、後年度負担額の推計をもとに今後の財政事情を「財政の中期展望」ということで平成年度から十一年度という形で試算をしておったようです。  地方もそういう点では財政危機宣言をやり、国民の皆さん、住民の皆さんに地方財政の現状を訴えていくということを一方ではやりながら、そういう地方財政の現状をわかりやすいような方向で住民の皆さんに示す方法があるんじゃないか。  数字で示すのはなかなか難しいかもしれませんけれども、公債費比率とかいろいろ言ったってなかなかわかりにくいものですから、これほど借金がありますよ、後世代に残さないためにはどうすればいいんですかというようなことを含めて、住民の皆さんの理解を得るためにしなければ、来年からは、例えば五%の消費税の引き上げ問題についてもまだまだ国民の皆さんも、高齢化社会に向けて金は要るというのはわかっておりながらも、負担増にはやっぱりなかなか難しさがあるものですから、そういう点も含めて、私はここらでやっぱり地方自治体の財政の危機ということを大きくクローズアップして国民の皆さんの協力を得るべきじゃないかというふうに思うわけですが、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  42. 倉田寛之

    国務大臣倉田寛之君) 渡辺委員の御指摘がございましたように、国の財政につきましては、平成七年の十一月にいわゆる財政危機宣言が行われました。地方財政につきましても、まことに厳しい状況にあることは御指摘のとおりでございます。  こういう状況にありますことを国民の皆様に御理解いただく必要があることは変わりございませんが、自治省としてやらなければならないということは、このような状況のもとにおきまして地方団体がその役割を十分果たしていけるように必要な財源確保して、地方財政運営に支障が生じないように最大限努力をしなければならぬというふうに考えておるところでございます。  なおまた、中期展望等につきましては技術的な問題でもございますので、財政局長よりお答えをさせていただきたいと思います。
  43. 遠藤安彦

    政府委員遠藤安彦君) 御質問の中に財政の中期展望が掲げられておるわけであります。地方も、かつては中期展望といいますか、中期見通しというようなものあるいは財政参考試算といったようなものを出した経緯もあるわけでありますが、地方の場合は何せ三千三百の地方団体の集合の財政であるわけでありまして、積み上げ方式による将来推計というのはこれはほとんど不可能であるわけであります。  一つは、国の政策がちょっとでも変わりますと地方財政に大きな影響を及ぼして想定した数値が狂ってきてしまうというようなことがございますので、現在、こういう中期的な財政動向といったようなものをあえてつくるということはいたしていないわけであります。ただ、先ほど大臣が御答弁されましたけれども、基本的にはやはり三千三百の地方団体財政運営に支障のないような財政対策を講じていく、しかも厳しい財政状況の中で借入金等の問題も非常に大きく地方財政にのしかかってきているわけであります。  御指摘がありました国民にそういう状況を理解させる必要があるのではないかというようなことにつきましては、よくそういう御趣旨を頭に入れて今後対応をしてまいりたいというように思っております。
  44. 渡辺四郎

    ○渡辺四郎君 終わります。
  45. 西川潔

    ○西川潔君 よろしくお願いいたします。  いろいろ予算のお話をお伺いいたしまして、私は、来年度に新たに創設される介護つき高齢者住宅事業について本日はお伺いしたいと思います。  この公営介護住宅につきましては、三年ほど前に公営企業金融公庫の研究会から報告書で提言がされましたときに当委員会で質問をさせていただきました。その後も経過について御説明をいただきました。三年という短期間で事業化に至るということは関係者が本当にどれほど努力をしていただいたか、ここで敬意を表したいと思います。  そこで、今後、各自治体におきまして整備を進めていかれるに当たりまして、課題と展望についてお伺いしたいと思うんですけれども、自治省では公営企業制度について基本的な枠組みから見直す方針であるとお伺いしておりますが、まずこの点につきまして大臣の方からお伺いします。
  46. 倉田寛之

    国務大臣倉田寛之君) 地方分権の時代を迎えまして、地方団体みずからの創意工夫によりまして地域の総合的な経営を目指すことが期待をされていると存じます。なおまた、みずからの力で高齢化対策等に対する新たな課題に積極的に対応していくということも求められていると思います。  こういった状況の中におきまして公営企業がいかに対応していくべきか、こういう問題意識のもとに、来年度、部内に研究会を置きまして、地方公営企業を取り巻く現状にかかわる課題であるとか、社会経済情勢の変化などに即応した地方公営企業のあり方などにつきまして調査研究を行うことにいたしているところでございます。
  47. 西川潔

    ○西川潔君 そうした中で、自治省では、来年度より地方自治体が公営企業を通じまして公営介護住宅を整備する場合に財政支援をしていく、こういうふうに言っておられるわけですが、その趣旨と内容について、昨年三月に報告されている公営企業金融公庫の調査結果についてお伺いをしたいと思います。
  48. 遠藤安彦

    政府委員遠藤安彦君) 公営介護住宅を整備する場合に財政支援をしようということでございますが、高齢者の人口が増加をしていく、その中で要介護者というものも当然急増するというように予想されるわけであります。核家族化が進展しておりますし、それによりまして高齢者の世帯あるいはひとり暮らしの高齢者が増加をしてくるということが当然予想され、今後の大きな問題だという認識を私ども持っているわけでございます。一方では、この高齢者介護サービスの供給体制というのはまだ必ずしも十分でないという状況でありますし、民間が経営する有料の老人ホームの多くは入居に当たって大変多額の資金を要するというような状況でございます。  御質問にありましたように、平成年度に公営企業金融公庫が設置した研究会で検討をいたしたわけでありますが、その結果を踏まえて、地域における高齢者に対する福祉サービスの供給体制の整備に資するために、高齢者に対する住宅の提供と生活サービス及び介護サービスの提供を一体的に行う介護つき高齢者住宅事業を公営企業として実施する場合について、新たに建設改良費の一〇%について一般会計から出資を行いまして、そのうちの五〇%について交付税措置をしようという内容のものであります。そういった措置を講じることによって事業化を支援していこうという趣旨でございます。
  49. 西川潔

    ○西川潔君 そこで、自治体において現在この住宅の設立を予定しているというような状況についてお伺いしたいと思うんです。
  50. 遠藤安彦

    政府委員遠藤安彦君) 先ほど申し上げましたように、この研究会の報告書を踏まえて平成年度から事業化のための支援措置を講じようということであります。地方公共団体に対しては積極的に事業化について検討を行っていただくようお願いをいたしているところでありますが、事業の性格上、事業化までにはある程度地方団体の中で検討をする期間が必要だろうと思われますし、制度が決まってすぐ翌日から事業に着手するという性格のものではないわけであります。各地方団体において、いろいろの点から事業化の可能性について検討をしていくことになろうかと思います。  現在、私の手元には、県レベルにおいて数団体が事業化の可能性について検討を行っているというように聞いておりますが、今回の財政措置を活用してできるだけ多くの団体が積極的に事業化について検討をし、そして実施していっていただきたいなというように希望をいたしておる次第でございます。
  51. 西川潔

    ○西川潔君 よろしく検討をお願いしたいんですけれども、自治体の中でも設立に当たりましてさまざまな問題に直面しているというお話もお伺いをいたしております。  そうした中で、公営介護住宅としてはどのような特色と役割を持ち合わせるかということだと思うんです。例えば、同じ中堅所得層を対象としているケアハウスの場合ですけれども、介護は外部のサービスを利用するといったシステムとなっておりますし、寝たきりになりました場合には特別養護老人ホームなどへ移ることになるケースが大変多いわけです。  この点、この住宅の場合は終身介護を住宅内で受けることができるのでしょうか、またその場合にはサービスは外部のサービスを利用するのか、それとも自前で行うのか、そして自前で行う場合はマンパワーの確保につきましてどのようにお考えであるのか、公営介護住宅の特色と役割についてお伺いしたいと思います。
  52. 遠藤安彦

    政府委員遠藤安彦君) 今回、公営企業として財政措置を講じようとしております介護つき高齢者住宅事業でございますけれども、高齢者に対する住宅の提供と、それから生活サービス、介護サービス、こういったものの提供を一体的にやろうという事業でありますが、入居時に徴収する一時金と、それから月払いの金額によって運営する終身利用型の施設というように認識をいたしております。  したがって、御質問にありましたが、基本的には入居者の負担により施設内で終身介護を受けることができるというように考えております。法律上の区分で言えば、有料老人ホームの一種になろうかというように思っている次第でございます。
  53. 西川潔

    ○西川潔君 次に、このサービスの質と入居費用面とのバランスについてお伺いしたいと思うんです。  利用者の立場からいたしますと、例えば寝たきりや痴呆症になったとしてもこの住宅内での終身介護を希望されると思います。その場合には、当然ながら手厚い介護が必要となってくるわけですけれども、入居料金はもうアップすると思います。しかし、中堅所得層を対象にするのであればある程度の限度があると思います。ですから、自治省ではこの点をどういうふうに、今お金の話がちょっと出たんですけれども、お伺いしたいと思います。
  54. 遠藤安彦

    政府委員遠藤安彦君) この事業でございますが、基本的には受益者負担の原則のもとに、さっき言いました住宅の提供、生活サービス、介護サービスの提供と一体的にやるという事業でございますから、このサービス水準を上げるかどうするかということは入居者負担の水準とどうしても連動をするというように考えております。  公営企業の研究会で事業化の可能性を検討するに当たって、民間の事業も現在あるわけでありますけれども、そういったものにおけるサービスの実施状況参考としながらサービス内容を設定して、居室の規模などについては民間事業の場合よりもやや小さめに設定をする、そういうようなことによって入居者の負担が軽減されるような試算をしたわけであります。今回の事業化の支援措置においては一般会計の出資制度というものを設けることにいたしましたので、さらに入居者の負担の軽減が図れるというように配慮をしたところでございます。  各地方団体が具体的にこの事業化を検討する場合には、研究会の報告書等も参考にしながら、その地域地域の実情に合ったサービス水準をどうするのか、それから地方団体の対象とする入居者の負担の水準をどの程度にするのか、そういったものを検討した上で具体的な事業化を図っていただきたいというように思っている次第でございます。
  55. 西川潔

    ○西川潔君 報告書のシミュレーションの結果でございますけれども、百人規模の施設におきまして、一人室で入居時の一括支払いのお金が約二千六百万円、月払いが約十三万円、二人室で約四千三百万円、月払いが二十二万円、こうなっておるわけです。民間に比べまして低額とはいうものの、かなり高額感があるわけです。入居する場合には、大金の捻出のために持ち家を処分するケースが非常に多くなってまいります。しかし、バブルが崩壊した現在、土地などの財産処分は大変難しいと思われますし、中堅所得層にとりましては退職金だけでは不足する、その分の資金の捻出が現実には相当難しい状況にあるわけです。  そうした中で、持ち家を処分してこの住宅の入居資金とする場合に買いかえ特例の対象にならないかといった要望も前からあるわけですけれども、これらの点についてどのようにお考えでしょうかということをお伺いしたいんです。  ここで、少しお待ちいただきたいんですが、実は昨日、質問の内容を事務所を通じまして自治省の担当者の方に御説明をさせていただいたんです。これはひとつ僕からのお願いですが、僕は委員会で役所の人を裏切ったりとかそういうことは本当に一度もしたことはございませんし、西川さん、これは答弁ができないというようなときには、ちゃんとそちらの理由も聞きまして、相談の上やらせていただいているんです。そのときには、僕はいつもここで質問書を読んで演説だけをして終わらせていただいております。  実はきのう、自治省の方に二人お越しいただいたんですけれども、お一人の方が、それは大蔵省に聞いていただきたい、自治省は答弁できないと、その物の言い方が大変心痛むものでございましたというお話も聞いております。それは大臣の方から、また局長さんや上におられる方々からひとつよき御指導をしていただきたいと思います。  僕は、重箱の隅をつつくようなそういうことは今まで一度もしたことはございませんし、お話をいただいたときには、御無理な答弁をいただくことも自治省の方に一度もしておりません。今までの方にはちゃんとお話をさせていただいて、仲よく、僕らは庶民の代弁者ですし、偉そうに言ったこともありません。ただ、国会に参っている以上は、全国の皆さん方に少しでも喜んでいただけるような努力を日々やらせていただいているんです。自治省というところは、僕の印象では、お役所間のお仕事とか全国自治体とのお仕事、そういうふうに認識をしておるわけです。  もう少し市民一人一人の御意見を吸い上げていただけるような、細かい質問ばかりですけれども、ただお部屋に来ていただく方々にちゃんと大臣の方から御指導していただきたいと思うんですけれども、よろしく御答弁ください。
  56. 倉田寛之

    国務大臣倉田寛之君) 西川委員から、委員の御質問に対してお伺いをいたしました担当者の接し方について適切を欠いたのではないか、こういう視点で御注意がございました。  御案内のように、自治省という省は他の省と違いまして、本省に四百人、消防庁に二百人、我田引水になりますが、六百人前後の極めてスリムな、風通しのいい省であろうかというふうに私も大臣就任後、肌で感じております。  しかし、御指摘の点もございますので、その点をしんしゃくさせていただきまして、十分遺漏ないように期してまいりたいというふうに思います。
  57. 遠藤安彦

    政府委員遠藤安彦君) 質問取りの際に失礼な言動があったとすれば、私の責任でございますので、この場でおわびを申し上げます。  御質問に対する答えでありますけれども、介護つきの高齢者住宅事業は、先ほど申し上げましたように受益者負担の原則のもとに公営企業として実施することとしているわけであります。一般会計出資制度等を考えまして入居者の負担の軽減を図ることとしておりますけれども、今二千六百万ということで委員の御質問がございましたが、一般会計の出資を前提としてはじき直してみますと、入居一時金としては、一人部屋の場合に約二千三百万円程度、それから二人部屋の場合には三千八百万円程度が必要との試算になってございます。  御指摘のように、入居に当たって所有する金融資産のみでは入居一時金が支払えない、そういう場合もあるわけでありますし、住宅等の資産の処分を行うことも必要な場合というのが具体的には考えられるわけでありますが、民間の事業の例と比較をいたしますと入居者の負担が相当軽減をされておりまして、終身にわたって住宅の提供と生活サービスあるいは介護サービスの提供を受けることができることを考えれば、受益の水準に見合うものではないかというように考えております。  今回の財政措置は、地域における高齢者に対する福祉サービスの供給体制の整備のうち、公営企業方式が活用可能な部分について事業化の支援を行うこととしたものでございますので、より低額の所得の方、あるいは金融資産をそれまで持っておられない方等につきましては、やはり福祉施設の整備充実というものを図っていく必要があるのではないかという思いでおります。
  58. 西川潔

    ○西川潔君 ありがとうございます。  この入居費用の捻出ですけれども、持ち家処分ができないような場合には、例えば武蔵野市の武蔵野方式というものがございますが、土地を担保にするようなこともリンクさせていくような方法について今後僕は検討していただきたいというふうに思うんですけれども、御答弁をお願いします。
  59. 遠藤安彦

    政府委員遠藤安彦君) 先ほども申し上げましたが、この介護つきの高齢者住宅事業につきましては、入居時に徴収する入居一時金、それから入居後に月払いの金額によって運営をしていくということを想定いたしておるわけであります。  武蔵野方式という御質問でございますけれども、私ども必ずしもその詳細について承知いたしておるわけではございません。いわゆる受益者負担金を後払いする方式ではないかというように思っておりますけれども、私どもが考えておりますのは、入居時に前払いといいますか一時金を支払うという方式を考えているわけでありますから、ちょっと方式が違うわけであります。ただ、そういう方式でなければだめだというわけではないんで、地方公共団体が事業化するに当たって、いろいろな受益者負担の徴収方法というのは工夫をして考えられるだろうと思っております。  ただ、私どもがそういうことを想定していなかったということでありますが、今後具体的に事業化を進めるに当たって、御質問のような方式について検討をする団体があれば私どもも十分相談に応じていきたいというように考えております。
  60. 西川潔

    ○西川潔君 よろしくお願いいたします。  報告書では介護保険についても触れられているわけですけれども、介護保険が制度化された場合の入居者のメリット、そういう部分もお伺いしておきたいと思います。
  61. 遠藤安彦

    政府委員遠藤安彦君) 介護保険の問題は、報告書では確かに触れておるわけでありますが、政府の中でも今検討中ということでございますし、その仕組みや内容が具体的に固まってまいりませんと、公的な介護保険が導入された場合に介護つき高齢者住宅への影響がどうなるのかということは方式によっていろいろ異なってくるのではないかというように思いますので、こうなればこうなりますという形で現在ちょっと明確にお答えを申し上げるというような状況にはないわけであります。  いずれにしても、介護というものが住宅にはついてくる話でございますので、御質問のように何らかの影響は当然あろうかと思います。介護保険の具体的な制度の決まり方、そういったものを見きわめながら今後対応していきたいというように現在考えておりますので、御了解を賜りたいと思います。
  62. 西川潔

    ○西川潔君 かしこまりました。  最後の質問とさせていただきたいと思いますが、公営企業によります今後のシルバーサービスのあり方について、自治省といたしましてはどのように考えていかれるのかということを最後に大臣にお伺いして、質問を終わりたいと思います。
  63. 倉田寛之

    国務大臣倉田寛之君) 高齢者の増加に伴いまして、シルバーサービスの需要が増大しつつあることは承知をいたしているところでございます。  しかし、シルバーサービスの供給体制は十分であるかどうかということになりますと、その整備につきましてはまだまだ十分とは言いがたい面があろうかと思います。したがいまして、行政と民間の事業者、この両者の適切な役割分担のもとにこれらの事業を進めていかなければならないのではないかというふうに私は考えております。  その場合に、民間事業者の場合は採算性を前提にしたサービスの提供を行うということがまず考えられるでありましょう。また一方、行政側におきましては財政上の制約などもございますので、十分な対応が困難な場合があろうかと考えられます。受益者負担の原則のもとで提供をされますシルバーサービスにつきまして、公営企業方式の活用につきまして今後検討していく意義があろうか、こういうふうに存じます。  平成年度からは、公営企業方式によります介護つき高齢者住宅事業につきまして事業化のための支援措置を講ずることにいたしているところでございます。さらに、在宅サービスなどの他のシルバーサービスにつきましても、公営企業方式によります事業化の可能性はいかがかという点につきましても検討を進めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  64. 田村公平

    田村公平君 質問に先立ちまして、今、西川委員からお話がありましたが、この委員長報告を冒頭にいただきましたけれども、十四日に私が言ったことは自治省の方々も聞いておったと思うんです。官房長おられるでしょう。官房長は人事権を持っておるでしょう。どうしてそういうふうな職員をあなた方はつくっているんですか。私は、はっきり言って大変不誠実な思いをしたんですよ、だからあれだけ怒ったんです。十四日にあって、またきのうそういうことがあったというのは、大いに反省を促したいと思います。一地方分権推進委員会の事務局の問題だけではないと私は思っております。答弁は要りません。  本論に入らせていただきます。  地方交付税法等の一部を改正する法律案要綱の「基準財政需要額の算定方法改正」というところの八番に、「地域社会における国際化及び情報化への対応並びに文化スポーツ振興に要する経費財源措置すること。」とあります。これは佐野局長にお伺いしたいと思いますけれども、「国際化」とはどういうことか教えてください。  これは後で国籍条項のことに実は入ってくるものですから、自治省が考える国際化というのはどういうことですか。
  65. 遠藤安彦

    政府委員遠藤安彦君) 担当の局長がちょっとおりませんが、私のところの法律ですので、私から御答弁をさせていただきたいと思います。  近年、地方公共団体と外国の地方公共団体とのつながりというのが大変深まってまいってきております。御承知のとおり、一つは姉妹都市の提携ということを通じて、外国の地方自治体との間に人、物、文化、それからスポーツ、そういった面の人と人との交流が主になるわけでありますけれども、そういった交流を通じて地域の国際化を図っていくケースが非常にあるわけであります。  それからもう一つは、外国の方が観光あるいは仕事、そういった面を通じて今、日本の中に大変入ってきております。そういう方々たちに、町の中でいろいろな施設あるいは名所旧跡とかそういったものが非常にわかりやすい表示にする必要があるというようなことで対応をしている団体も多いわけであります。  それから、ある意味では国家的なプロジェクトでありますけれども、例えばJETプログラムというようなもので、英語でありますとかフランス語でありますとかドイツ語でありますとか、そういったいわゆる中学校、高等学校の助手として外国の青年に来ていただいて、そして日本の子供たちにそういった言語を教えていただくJETプログラムといったようなものもその中にはあるわけであります。  私どもはこういうことを総称して国際化という物の言い方をしておるわけであります。
  66. 田村公平

    田村公平君 極めてわかりやすい国際化ということでございます。  これはきょうの読売新聞の「対立討論」でございます。これは公務員部長にお尋ねをしたいと思いますが、この中で聞き手の方が「政令指定都市の一部が行っている専門事務職採用制度ではだめなのか。」、橋本知事の答弁が「ぼくももし、自治省の役人ならそう説得するかもしれない。しかし、政治家として、国際化へ向け曖昧さをなくすには、単に専門職だけでなく、一般行政職にも枠を広げていくべきだと考える。」、こういうふうに言っております。この国際化とこっちの国際化とは意味が全然違うと思うんですけれども、どういうふうにお考えですか。
  67. 鈴木正明

    政府委員(鈴木正明君) 今、財政局長の方からお話ししましたように、地方団体において国際化が進んでおるということの中で、高知県においては県の職員に外国人の方の採用の道というものを全面的に広げたい、こういうお考えを示されているわけでございます。  私どもの考え方は先般来お話ししていますが、公務員に関する当然の法理ということを踏まえて外国人の採用、任用に当たっていただきたいということでございまして、全面的に開放するということについては問題があるということでお話をいたしております。
  68. 田村公平

    田村公平君 この記事によれば、実は自治省と高知県知事のやりとりというのは私どもはマスコミでしか知らないわけです。ですから、この前も質問させていただいたんです。  「徹底抗戦か」という問いに対して、  抗戦しているつもりはない。何か問題があればお聞かせください、と言っている。自治省も知事に説明したと言うし、ぼくも説明をうかがったつもりだ。何か慎重にして欲しい、という論点があるのなら具体的に示して欲しい。突っ張っているつもりはない。おかしいとなれば、態度を変えるのにやぶさかではない。重要なのは、自治省だけの問題ではないということではないか。もっと、国全体の問題として考えるべきテーマと思っている。 こういうふうに言っておりますが、実際のところ、知事と自治省とは国籍条項でどういうやりとりをしたんですか。知事の言葉によれば、自治省も論点があるのなら具体的に示してほしいということをマスコミに言っているんですけれども、お教えいただきたいと思います。
  69. 鈴木正明

    政府委員(鈴木正明君) 公務員の採用に関し、特に外国人の方の採用に関しまして私ども自治省の考え方、これは従来からお話ししておりますように、政府全体としてとってきた考え方でございます。内閣法制局長官の考え方に示されておりますように、私どももそれと同じ考え方をとってきたところでございます。  重ねることになりますが、その基本的なところは、公権力の行使または公の意思の形成への参画に携わる公務員となるためには日本国籍を必要とする、それ以外の公務員となるためには必ずしも日本国籍を必要としない、これが公務員に関する当然の法理という法的な考え方であるということでございます。  高知県知事さんのお考えは、突き詰めるとやはりそれとは別な考え方をお持ちのようでございまして、公務員に採用するに当たっては外国人、日本人を問う必要はない、こういうお考えでございます。
  70. 田村公平

    田村公平君 実は知事は、公務員はサービス業だとも言っておりますけれども、公務員部長地方公務員を含めましてサービス業ですか、公務員は。
  71. 鈴木正明

    政府委員(鈴木正明君) 地方公共団体の仕事の中には、福祉関係を中心といたしましていわゆる給付行政と言われるものがございます。そういった面ではサービス的な行政分野というものがあることは事実でございますが、地方団体が行っている行政のすべてがサービス業だということには当たらないと思います。
  72. 田村公平

    田村公平君 国家公務員におきましては、人事院という機関が採用基準だとかいろんな規則を決めるというふうに私は思っておりますし、地方公務員、つまり都道府県においては私ども高知県にも人事委員会という独立した機関がありまして、そこで採用試験等をやるわけです。  知事というものはつまり任免権者であって、試験の結果、例えば一番から二十番なら二十番まであった人を採用するかしないかを決めるのが知事の役割だと思うんです。人事委員会が国籍条項を撤廃したいというのであれば私は非常に理解がしやすいんですけれども、どうして知事と自治省という形になっておるのか、そこらを部長から教えていただきたいんです。
  73. 鈴木正明

    政府委員(鈴木正明君) この問題につきましてはちょっと経過を御説明させていただきたいと思いますが、高知県の人事当局、これは人事課あるいは総務部とかございます。またお話しのように人事委員会がございます。そことはこれまでもお話をしておりまして、私どもの考え方なり資料なりお渡しして御理解を求めてきているところでございます。  今お話しのように知事部局、知事を含めてですが、やはり任命権者という形で人事行政については責任を持りている面がございますので、この採用問題については知事としてのお考えを表明されており、また人事委員会に対しましても知事からお願いといいますか、お話をしていると伺っております。
  74. 田村公平

    田村公平君 何か非常に越権行為のように私は思っております。  もう一つ、これは仮定の話ですけれども、私は昭和四十年に大学へ入りまして、第二外国語は中国語をやりましたが、いわゆる北京漢語でございます。大変分母の多いといいますか、人口が今は十二億人とも言われております中華人民共和国、北京大学というのは、大変失礼な言い方かもしれませんが、恐らく我が国の東京大学よりもレベルが高いのではないか、分母が大きいですから。そこの学生さんが正規のルートで日本にやってきまして、私どもの高知大学にも留学生という形で、あるいは東大にも既に来ております。  それで、高知県庁が来年何人とるのか知りませんけれども、例えば二十人とると。二百人の方々が北京大学から受けに来て、多分一番から二百番までは北京大学の方が席を順番にとっていくと思います。そうすると、任免権者である知事は、高知県出身者の二百一番目の人は当然とらないわけです、二十人ぐらいですから。それを年々歳々繰り返していきますと、高知県庁は、中国が悪いとかいうんじゃないんです、例えばの話です、それはほかの国々でもいいと思うんです。そういうことすら想定されるんではないかということが一つ、これは非常に危惧を持っています。  それからもう一つは、高知県がそういうことをやる中で、いわゆる警察公務員は違うんだ、あるいは麻薬捜査にかかわる職員は違うんだ、まさに公権力の行使であると言っておりますけれども、私がもし警察官の立場であれば、警察官だけは日本国籍というのも逆の差別になってくるのかな、あるいは警察官をやっていることがダーティージョブなのかなということすら出てくるんではないか、整合性がなくなってくるんではないかという気がしておりますけれども、部長、そこらはどのようにお考えでしょうか。
  75. 鈴木正明

    政府委員(鈴木正明君) 公務員の採用に関する基本的な考え方は、今お話がございましたが、公権力の行使等に携わる公務員になるには日本国籍を必要とすると。それで、人事的な考慮を考えれば、一般職のような職について採用の道を開くということはいろいろ問題が出てくる、こういうことででき得ない、こう申し上げているわけでございます。  お話しのように、公権力の行使等に携わる職員の中でそれぞれ取り扱いが違うということになれば、それはまた問題になると思っております。
  76. 田村公平

    田村公平君 新党さきがけ、今連立与党を組んでおられると思いますけれども、そこの代表幹事であり、しかも橋本大二郎さんとは御学友でもあり、衆議院選挙のときは私の応援はしてくれなかったけれども、北海道まで応援に行ったというぐらい仲のいい方でございます鳩山由紀夫代表幹事が、「横浜市内で講演し、高知県の橋本大二郎知事が県職員採用試験の受験資格を制限している国籍条項を撤廃する方針を表明し、自治省と対立している問題に関連して「国政での参政権すら与えてよいと思う。日本に長く住み、頑張っていこうという人には被選挙権を与えていい」と述べ、」と、かなり応援をしておるわけです。  それと同時に、さきがけでは、今大変エイズで頑張っておられる菅直人厚生大臣が二月二十七日の閣議後の記者会見で、「橋本知事を支持する」と言ったというふうに報道されております。  これは大臣、私は先般の質問のときに橋本内閣総理大臣、お兄さんでありますけれども、内閣記者会なのか総理番なのか知りませんが、とにかく報道されたことは、この前の議事録にも出ておりますけれども、閣内不統一ではないというふうにおっしゃったんですけれども、これで総理の次が厚生大臣ですから、二人出てきております。ここらは大臣、どうなんでしょう。
  77. 倉田寛之

    国務大臣倉田寛之君) 御指摘の報道されました新聞の記事は私も拝見をいたしております。菅厚生大臣の発言につきましては、新聞の報道でしか私は今知る由がございませんので詳しくはわかりませんが、どういった具体的な意味を持つのか判断しがたいところでもございます。新聞で拝見をいたしましたところでは、政治家個人として考え方を述べたものではないかというふうな理解を持って読ませていただきました。  なおまた、さきに田村委員が御質問されましたときに総理のコメントが出ておりましたが、私が申し上げたそのときの議事録を今ここで見ておりました。あの内容を見ますと、私どもが申し上げていることに抵触することではないというふうに考えております、こういう合意でお答えをしております。  あの記事は、でき得る職種もあればでき得ない職種もある、こういうような御発言が括弧書きで書かれておりまして、他の解説につきましては記者の方がどういうふうにお感じになってお書きになったかは知る由もございませんが、意味するところはそういう理解を私いたしましたので、当時の御答弁ではそのように申し上げたところでございます。
  78. 田村公平

    田村公平君 知事とか大臣は、例えばこの見解について政治家個人としてどう思いますかというふうなことがあった場合は別でしょうけれども、原則的に言えば二十四時間職務権限者であると思います。その職務権限者が発言したことは、やはりこれは大臣としての発言だと思います。  例えば日本にゼネコン、スーパーゼネコンいっぱいあります、一々固有名詞挙げませんが、どこのゼネコンも立派に仕事ができます。例えば厚生省所管の病院とかそういう建築について、何々建設がいい、これは大臣じゃない、政治家個人で言ったんだと。それはどうなんですか、職務権限ありますよ。  公人というのは二十四時間職務権限があるというのが知事とか大臣の職務だと思いますから、そういう意味で、大臣もう一度、閣議じゃなくてもいいです、個人的でもいいですけれども、閣内不統一だと私は思うんです。連立の枠組みを含めて、後で結構ですからよく意見を、私たちは情けないことに小さな会派なものですから、全部自分で新聞を探したり自分で勉強しないと全然データも入ってこぬものですから、そういうことできちっとしたことをもう一度お答えいただきたいというふうに思います。  あわせまして、これほどがたがたいろいろ言うんであれば、どうですか、いっそ法律でぴしっとつくられるようなことを大臣はお考えになっていないですか。
  79. 倉田寛之

    国務大臣倉田寛之君) 閣僚は公人としての立場がすべてであるのではないかという田村委員の御指摘は、私も理解できるところでございます。  ただ、この新聞を拝見しておりますと、こう述べておられるんですね。政治家個人としては橋本氏と共通した考えだというふうに菅厚生大臣が述べられたという記事でございます。同時に、もう一方の高知新聞では菅直人厚生大臣のコメントは書かれておりませんで、閣議後の記者会見で橋本氏を支持する考え方を表明しているということでございます。先刻申し上げましたように、これらの記事から知る範囲で受けとめさせていただきますと政治家個人としての考え方を述べたものであろうという理解をいたします、こういうふうに私は申し上げたわけでございますので、そのようにお受け取りをいただきたいというふうに思います。  同時に、今後こういった問題に対して何か抜本的に考えることはないかという実は合意を込めた御質問であったと思いますが、先ほど来公務員部長からお答えを申し上げましたように、政府といたしましては、従来から内閣法制局見解に示されております公務員に関する当然の法理として公権力の行使または公の意思の形成への参画に携わる公務員となるためには日本国籍を必要といたします、それ以外の公務員となるためには必ずしも日本国籍を必要としないものもございますと、国家公務員のみならず地方公務員の場合も同様であるという解釈に立っております。  答弁が長くなって恐縮でございますが、田村委員御案内かとも思いますが、社会情勢の変化の中におきまして、例えば五十七年には、学術の国際交流を推進するため国公立大学に外国人の教員を任用するための特別措置法というものが制定をされました。自治省といたしましても、先刻田村委員の御質問にお答えいたしましたように、保健婦であるとか助産婦であるとか看護婦などの専門的、技術的な職種につきましては国籍要件を付する必要はないというふうに考えておるところでございます。  しかし、地方公務員にはいろんな職種がございますので、一般事務職等につきまして国籍要件を撤廃するということにつきましては問題があろうというふうに考えておるところでございまして、高知県に対しましても、適当でないという指導等を実は自治省としていたしてきたところでございます。
  80. 田村公平

    田村公平君 内閣法制局というところは行政府における最高裁のようなものでございますから、そこが出した見解について、政治家個人であろうとなかろうと閣僚たる者が違う意見を言うというのは、これはやっぱり閣内不統一と言われてもしようがないんですよ。寝言を言ったってだめなんですから。あの会社がいいとかそういうことは、寝言で言ってもだめなんです。酒を飲んで言ってもだめなんです、大臣であるというのは。だって職務権限を持っているわけですから。いつもそれでいろいろ問題が起きる。  ですから、そういう意味で閣内不統一にならないように、また必要であれば立法措置をちゃんとするように。だって、内閣法制局の見解に反することを言うんだもの、閣僚が。それはやっぱりちょっと聞けない話ですよ、大臣。  ということで、時間はちょっとありますけれども、きょうは終わらせていただきます。ありがとうございました。
  81. 菅野壽

    委員長菅野壽君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後五時二分散会      —————・—————