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1996-04-26 第136回国会 参議院 大蔵委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年四月二十六日(金曜日)    午後二時四十分開会     —————————————    委員異動  四月二十五日     辞任         補欠選任      峰崎 直樹君     伊藤 基隆君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         片山虎之助君     理 事                 石川  弘君                 楢崎 泰昌君                 牛嶋  正君                 直嶋 正行君                 梶原 敬義君     委 員                 上杉 光弘君                大河原太一郎君                 金田 勝年君                 清水 達雄君                 須藤良太郎君                 西田 吉宏君                 猪熊 重二君                 海野 義孝君                 白浜 一良君                 益田 洋介君                 渡辺 孝男君                 伊藤 基隆君                 吉岡 吉典君                 山口 哲夫君    国務大臣        大 蔵 大 臣  久保  亘君    政府委員        大蔵政務次官   山崎 正昭君        大蔵省主計局次        長        伏屋 和彦君        大蔵省主税局長  薄井 信明君        大蔵省理財局長  田波 耕治君        大蔵省銀行局長  西村 吉正君        大蔵省国際金融        局長       榊原 英資君    事務局側        常任委員会専門        員        小林 正二君    説明員        厚生省老人保健        福祉局企画課長  堤  修三君        運輸省鉄道局国        有鉄道清算業務        指導課長     金澤  悟君        自治省財政局財        政課長      林  省吾君    参考人        日本銀行理事   山口  泰君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○平成八年度における財政運営のための公債の発  行の特例等に関する法律案内閣提出、衆議院  送付)     —————————————
  2. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨日、峰崎直樹君が委員を辞任され、その補欠として伊藤基隆君が選任されました。     —————————————
  3. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 次に、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  平成八年度における財政運営のための公債発行特例等に関する法律案の審査のため、本日の委員会参考人として日本銀行理事山口泰君の出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  5. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 平成八年度における財政運営のための公債発行特例等に関する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は前回聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 須藤良太郎

    須藤良太郎君 それでは、平成八年度特例公債法案につきまして、またその関連する問題につきまして若干お尋ねしたいと思います。  まず最初に、依然国民最大の関心事は景気回復にあると思いますけれども、ようやく景気も上向いている感じでありまして、緩やかな回復が続いているというふうに見ておるわけでございます。  ただ一方では、不良債権、地価の低迷、低落というのですか、そういう状況、こういう多くのマイナスの要因を抱えておりますし、不確実な問題も多いと思います。まだまだ予断を許さない状況にあると思いますけれども国民は本格的、確実な回復を期待しておるわけでありまして、大蔵省として我が国景気状況についてどう考えているか、お聞かせいただきたいと思います。
  7. 伏屋和彦

    政府委員伏屋和彦君) お答えを申し上げます。  我が国経済現状を見ますと、設備投資とか住宅投資等に明るい動きが見られまして、こうしたことを背景に生産も緩やかながら増加しているなど、先ほど委員が言われましたように、景気は全体として緩やかな回復動きを続けているというぐあいに考えております。  ただし、厳しい雇用情勢など引き続き懸念すべき点も見られるわけでございまして、このような我が国経済状況は、一昨日開かれました全国の財務局長会議での報告でもございました。  政府といたしましては、国会に御審議をお願いしております平成八年度予算においても景気に配慮しているところでございまして、予算の一日も早い成立をお願いしたいわけでございます。また、先ほど委員も言われましたが、金融システム安定性確保して景気の本格的な回復を実現するためにも、住専問題を含む不良債権問題の早期解決に引き続き取り組んでいく所存でございます。
  8. 須藤良太郎

    須藤良太郎君 そこで、先般ワシントンでG7会議が行われたわけでありますけれども大臣には大変御苦労いただいたわけでございます。  この会議は、これまで世界の為替相場金利あるいは景気等に極めて大きい影響を与えてきたと思うわけでありますが、報道によりますと、各国マクロ的経済指標はおおむね明るい方向に向かっている、こういう共通認識であります。また日本の新聞では、ドル高傾向歓迎とか、あるいは景気回復に強い期待、住専処理日本の公約等々、いろいろ出ておるわけでありますけれどもG7におきましては各国我が国景気状況に対してどういう見方認識だったのか、お聞かせいただければと思います。
  9. 久保亘

    国務大臣久保亘君) G7最初IMF専務理事から全体の経済状況に関する報告がございました。特に、日本景気が予想以上に回復に向かっていることを彼は強調いたしました。そして、九六年二・七、九七年三・一の成長が見込まれる状況であるという説明をいたしました。この数字G7各国の中で、九五年は日本成長率最低見通しでありますが、九六年、九七年はいずれも日本が今度は逆にG7の中で最高の成長率となるという見通し説明報告をいたしました。  その中で、日本経済景気回復は御承知のように財政金融によって下支えをされておりますが、できるだけ早く自律回復の軌道を確かなものにして、景気刺激をそろそろ見直したらどうかというのが彼の説明でございました。そのことは、先進諸国共通で今政治課題となっております財政赤字の克服の問題ともかかわっているわけでございます。  それから、そのカムドシュ専務理事はあわせて、日本では不良債権処理の中で特に今、住専問題の処理に取り組んでおられるが、この問題に対して我々は期待して注目しているということを、一月のG7のときにもそう申しておりましたが、そのような話がございました。  私の方からは、今日の緩やかな回復の連続ではありますけれども、主要な指標においていずれも日本経済景気回復方向に向かいつつあること、そして円高是正が進む中で経常収支の黒字が大幅に縮小していること、このことはつまり輸入が増加しているということでございます。内需中心型の景気回復が進んでいるということなどについて報告をいたしました。  なお、この不良債権処理についても一月のG7に続いて、今、国会論議が続いているが、間もなく九六年度予算案が成立することになろう、その後引き続いて、不良債権処理の象徴的な課題である住専問題の処理を行うための法案審議されることになるだろう、このことは一つ景気問題ともかかわる重要な課題であるということを私の方から報告をいたしました。  日本の問題については、国金局長がおりますから、つけ加えて報告があればやってもらいますが、住専問題などについては、専務理事報告と私の日本経済に対する説明の後、特に各国から意見が出されることはありませんでした。ただ全体として、日本経済回復方向に向かっているということに対して認識が一致しておることと、それから各国を通じて財政再建の問題というのが主要な課題となったという感じがいたしました。  なお、為替の問題につきましてはG7としては、昨年四月の強力な市場に対するメッセージを発してから一年、このG7においては大体この一年間に展開してまいりました為替市場の動向を歓迎するということで一致いたしまして、今後も連携を密にして協力していこうということで、特にこの問題について多くの議論が行われるということではありませんでした。
  10. 須藤良太郎

    須藤良太郎君 ありがとうございました。  それでは次に、提案されております公債特例法案について二、三お伺いいたしたいと思います。  最近の予算におきましては、いわゆる隠れ借金と呼ばれているいろいろな特例的な措置歳出削減なりあるいは歳入確保両面で行われてきたわけでございます。こうした措置は、厳しい財政事情のもとでやむを得ないという面もあるわけでありますけれども、他方、やはり借金借金、表に出した方がいいんじゃないか、こういう厳しい批判もあるわけでございます。今回の法案ではこのような措置がかなり少なくなっているわけでありまして、平成七年度特例措置等では九会計約六兆円、今回、平成八年の特例措置二つ会計で約一兆円と激減しておるわけでございます。  こういうことで、平成八年度予算編成ではこの特例措置にどんな考えで臨んだのか、この辺をお聞かせいただきたいと思います。
  11. 伏屋和彦

    政府委員伏屋和彦君) お答え申し上げます。  いわゆる隠れ借金というのは明確な定義があるわけではございませんが、これまでの予算編成におきまして、歳入歳出両面であらゆる努力を行う過程におきまして、とりわけ特例公債発行を回避するため、いわゆる特例的歳出削減措置等が行われてきたところでございます。  そこで、委員も御指摘がありましたが、平成八年度予算編成に当たりましては、我が国財政特例公債発行せざるを得ない危機的状況に直面していることも踏まえまして、また財政の厳しい現状国民にわかりやすく開示していくためにも、これらの特例的な歳出削減措置につきましてこの際改めて見直しを行うこととしたところでございます。  見直しに当たりましては、それぞれの事業運営支障が生じないかどうかはもちろん、個々の措置に則しましてその制度施策のあり方に立ち返りまして、どこまでこうした臨時緊急の措置をとり得るかについて今まで以上に慎重に検討をさせていただいたわけでございます。  そこで、先ほど委員から御指摘がありましたように、数にいたしまして九つから二つに減っておりまして、歳出歳入確保合計額のベースでも一兆円と、昨年度に比べまして六分の一に縮減しているところでございます。
  12. 須藤良太郎

    須藤良太郎君 政府国会に提出している資料によりますと、これまで講じられてきたいわゆる特例的な措置で、いまだに解消されていないもの等、いわゆる「今後処理を要する措置」が十一件にも上っておりまして、これを単純に合計しますと四十三兆円にも上る、こういうことであります。非常に大きいものも含んでおると思いますけれども、今後これらの取り扱いをどうしていくつもりなのか、お聞かせいただきたいと思います。
  13. 伏屋和彦

    政府委員伏屋和彦君) 今国会にも提出させていただいておりますいわゆる「今後処理を要する措置」というものは、厳しい財政事情のもとでこれまで講じてまいりました特例的な歳出削減措置国鉄清算事業団債務など、今後、国、一般会計が繰り入れを行う等の適切な処理を行う必要がある措置を整理したものでございまして、先ほど委員が言われた数字でございます。  これらの特例的な歳出削減措置につきましては、それぞれの制度施策をめぐります状況考え方も踏まえまして、今までにも返済とか見合い財源確保などの処理に努めてきたところでございます。先ほど言いましたように、八年度予算編成に当たりましては措置そのものをできるだけ縮減を図ったところでございますが、今後におきましても、先ほど委員が言われました今後の処理ということにつきましては、それぞれの制度施策状況とか今までの考え方、さらには国の財政事情等を踏まえまして適切に対応していく必要があると考えている次第でございます。
  14. 須藤良太郎

    須藤良太郎君 国鉄清算事業団の件はきょうはやめますけれども、これは非常に大きい額でございますので、ひとつよろしくこれから対処していただきたいと思います。  そこで、特例公債でありますけれども平成八年度の事情から今回、何年もストップしておりました特例公債発行に踏み切ったわけであります。見方によりますと、建設国債特例公債もそう変わらない、借金借金と、こういうふうに言えるかもしれませんけれども、基本的に資産の形成は全くない、後の時代に残るものは何もない、負担だけが次世代に残るわけでございます。  そういう面からいたしますと、やはりこれは世代間の負担の公平という観点からは極めて重大な問題をはらんでいる、こういうふうに思うわけでありまして、今後の考え方も含めて政府のお考えをお伺いいたしたいと思います。
  15. 伏屋和彦

    政府委員伏屋和彦君) お答え申し上げます。  今委員から御指摘がありましたのですが、特例公債発行にはいろいろな問題があるわけでございます。一つは、歳出は経常的な歳入、収入で賄うという財政基本原則に著しく反する。また、先ほど委員も言われましたように、後世代資産を残さずに利払い費等負担だけを残し、世代間の負担の公平という観点からも大きな問題がございまして、特例公債発行は可能な限り回避すべきものと考えているところでございます。
  16. 須藤良太郎

    須藤良太郎君 それでは次に、財政再建について若干触れたいと思いますけれども、私、痛感といいますか心配しておりますのは、今、財政悪化に対する国民意識というのは余りないのではないか、財政赤字、膨大な公債残高を抱えて財政は大変だ、こう言っても何が財政危機なのか国民には余りよくわからない、国民危機感は正直なところ余りないのではないか、こういうふうに思うわけでありまして、例えば国債発行残高が二百四十一兆円だ、一人当たりにすると百九十何万、二百万近い、こういうことを言っても余り実害を感じていないのが実態ではないか、こういうふうに思うわけでございます。  これからの財政改革再建の本当の主役である国民に対しまして、この膨大な公債残高がもたらす影響につきまして十分明らかにしていく必要があるんではないか、そういうふうに思っておるわけであります。まず財政当局として、現在の財政状況に対する国民意識がどんなようなものであるかということをちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  17. 久保亘

    国務大臣久保亘君) やはり今まで私たちの間には国家は破産しないというそういう考えが何となく存在したと思っておりますが、実際にはもう今の我が国のこの財政赤字状況は、例えば欧州連合の場合ですと、通貨統合加盟資格がない、それほどの借金を抱えるに至ったということであります。そして、この巨大な財政赤字を清算して財政再建を図ろうとするためには、一方では高齢社会の進展に伴って財政需要は多くなってくるわけでありますから、財政再建に当たって、本当に今まで経験したことのない厳しい状況に立ち至っていることについて、国民の皆さんにもぜひ御理解をいただけるように私どもとしては努力をしなければならない状況にあると考えております。  今御指摘いただきましたことについて、今後私ども最大努力が求められていることだと考えております。
  18. 須藤良太郎

    須藤良太郎君 国債発行現状につきましてお聞きしたかったわけでありますけれども、省略させていただきます。  膨大な国債発行をやっておるわけでありますけれども、現在、国債の償還にはそう支障がないというふうに見られるわけでございます。これは民間貯蓄が相当たまっている、いわゆる貯蓄超過状況でありまして、国内の一つのどんぶりの中で金が動いている、こういうことで問題が表に出ていないのではないか、顕在化しないのではないか、こういうふうに考えるわけでありますけれども、まずこれからは高齢化が進む中で貯蓄率はだんだん低下する、そうしますと国債の消化に支障が生じて、それはやはり金利の方にはね返ってくる事態も十分予想されるんではないか、こういうふうに思うわけでありまして、この点はどう見ておられるのかお聞かせいただきたいと思います。
  19. 田波耕治

    政府委員田波耕治君) 長期金利の問題でございますけれども長期金利自体はその時々の金融情勢等、他の要因によって大きく左右されるという要因が多いと思いますので、国債発行だけを取り上げて長期金利に対する影響を一概に論ずることは困難であると思います。  委員指摘のように、我が国の場合はこれまで投資を上回る大幅な民間部門貯蓄があるということで、大量の国債市場でほぼ支障なく消化されてきたわけでございますけれども、このような国債大量発行を続けるとするならば、その時々の金融情勢等によって、いろいろな他の要素はあるということは言えるものの、大量な国債発行というのは市場に対してそれ相応の影響を持ってくる可能性があるというふうに考えておるところでございます。
  20. 須藤良太郎

    須藤良太郎君 いずれにいたしましても、これから財政改革なり再建施策を行うわけでありまして、繰り返しになりますけれども、そのためには、まず今日の財政悪化による影響がこれから国民にどういう形であらわれ、国民生活あるいは経済にどう悪影響を及ぼしていくのか、わかりやすく説明していく必要があると思います。  財政硬直化とかインフレの招来とか、こういうことを言ってもやはり住専金融システム健全化みたいなことにとられるわけでございまして、ぜひ抽象的でなくて極力具体的、わかりやすい説明で実情を訴える必要があると思います。この点ぜひひとつわかりやすく説明していただきたいと思います。
  21. 伏屋和彦

    政府委員伏屋和彦君) 財政悪化がどのように国民への影響があるかということでございますが、まず我が国財政の中身の問題といたしまして、既に利払い費がいわゆる政策的な経費を圧迫しているわけでございまして、その意味では、まず歳出の段階でも国民生活にしわ寄せが及ぶほどまでに悪化しているということでございます。  いま一つ先ほどから委員が御指摘ございますが、現在のところは投資を上回る大幅な民間部門貯蓄等の存在によりまして、先ほど理財局長の答弁にもありましたが、大量の公債市場支障なく消化されてきたこともございまして、これまで我が国国民の皆様は欧米諸国が直面しているような財政赤字支障弊害というような問題がまだ実感としてわいてこられていないのかもしれません。  しかしながら、財政赤字金利の上昇、これに伴いまして民間投資を抑制というか圧迫いたしまして、あるいはインフレとか為替レートへの悪影響をもたらしまして、結局は国民生活水準を低下させ、さらには世代間の不公平を招くものであることは各国共通認識であり、IMF経済見通し等でも分析されているところでございます。  したがいまして、活力ある二十一世紀の経済社会のためにも、財政赤字弊害が顕在化する前に健全な財政体質回復していくことが極めて重要であり、財政改革が必要であるということだと思います。
  22. 須藤良太郎

    須藤良太郎君 ぜひわかりやすく説明していただきたいと思います。  財政再建の方策を考えるに当たりまして、例の財政審等が既に欧米諸国財政健全化への取り組みをいろいろと参考にされているようでございます。細かい面は別にいたしまして、先ほど大臣のお話にもありますように、先進諸国各国相当真剣にこの財政再建策に取り組んでおるわけでございますけれども、そういう外国財政健全化への取り組み日本財政相当参考になるようなものがあるのかどうか、日本大蔵省から見ての考えをお聞かせいただければと思います。
  23. 伏屋和彦

    政府委員伏屋和彦君) 欧米諸国では、長期経済成長見通しを向上させるためにはやはり大幅な財政赤字削減が不可欠であるという共通認識のもとに、それぞれの国が財政赤字削減を現下の最優先課題としてさまざまな努力をし、取り組んでいるところでございます。  アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、それぞれ社会経済システムが異なりますので、諸外国制度改革をそのまま我が国に当てはめるわけにはまいらないわけでございますが、各国ともいわゆる形式的な財政運営目標を定めるだけではなくて、あわせて実質的な歳出カットをいかに行うかということについての議論を幅広く行いまして、その成果を集約しまして、医療保険など個別の歳出削減策とか歳入増加策を実施していることは事実でございまして、大いに参考にすべきものと考えております。  今後とも主要先進国におきます具体的な取り組み状況とか手法等参考にしながら、さらに検討を行ってまいりたいと考えている次第でございます。
  24. 須藤良太郎

    須藤良太郎君 今、財政審は相当頻繁に審議を行っておるようでありますが、その審議状況も加味しながら、今の時点での今後の財政再建目標具体策について財政当局考え方をお聞かせいただきたいと思います。
  25. 伏屋和彦

    政府委員伏屋和彦君) 今後財政改革をどのように進めていくかについて、大蔵省といたしましては、先般国会に提出させていただきました「財政改革を進めるに当たっての基本的考え方」においてお示しいたしましたように、今後、歳出全般につきまして制度の根本にさかのぼって洗い直しを行うことが重要な課題であると考えているわけでございます。  その検討に当たりましては、一つ公的部門の関与すべき範囲をどう考えるのか。財政改革ということは結局は財政サービス見直しそのものであるわけでございます。二つ目には財政支出削減と配分の見直しということでございまして、財政赤字削減に向けまして財政支出削減していく中でいかにして限られた資源で効率的、効果的な財政運営に努めていくかという点でございます。三番目は、先ほどからも出ておりますが、財政赤字経済とか国民生活に与える影響財政赤字が累積いたしますと経済にどのような影響を与えるだろうか。また、景気調整のための財政出動のコストとベネフィットについてどう考えるかというあたりが切り口として今後の検討に当たって重要であると考えております。
  26. 須藤良太郎

    須藤良太郎君 最後になりますけれども財政再建は結局そういい名案はないと思うわけでありまして、いろいろ応用動作なり何かはあるかもしれませんけれども、結局は増税なり歳出カットで痛みを伴わなきゃならないと、こういうふうに思うわけでございます。しかも、これからは金融経済の再生問題、景気回復を図りながらこれを進めるわけでありまして、大変難しい問題にぶつかっておるわけでありますけれども、いわゆる国民負担を伴うだけに、ぜひこれは国会論議を通して国民理解を得ることが極めて重要と、こういうふうに考えるわけでございます。我々も全力を尽くさなければいかぬと思いますけれども最後大臣の決意といいますか、お考えをお聞きして終わりたいと思います。
  27. 久保亘

    国務大臣久保亘君) 今、政府委員の方からも御説明を申し上げましたけれども我が国財政状況は容易ならざる事態であることは共通認識となっていると思っております。  したがいまして、財政当局としても、財政再建のために具体的に目標を定め、そして歳入歳出両面にわたって大胆な見直しを図っていかなければならないと思っております。財政審でも御論議をお願いいたしておりますが、今日のような財政状況の中で根本的な再建の道を見出してまいりますためには、国会における御論議が、歳出見直し財政支出の全体的な見直し等も含めて進めていただくことが何よりも重要なときに来ているのではないかと思っております。  財政改革の問題は、特に当委員会などを中心にされまして、国会でもぜひ再建の方針となるべき御論議を賜りますようにお願いを申し上げ、また大蔵省といたしましても、皆様方の御審議を踏まえて、今日の危機的な状況を克服するために力を尽くしてまいりたいと考えております。
  28. 須藤良太郎

    須藤良太郎君 どうもありがとうございました。
  29. 牛嶋正

    牛嶋正君 平成会の牛嶋でございます。  きょうは、特例公債発行の根拠をもう一度振り返りながら、ちょっと基本的な問題を考えてまいりたいと思っております。  単年度主義に基づいて予算編成が行われている限り、私は、財政法第四条の本文にあるように、「国の歳出は、公債又は借入金以外の歳入を以て、その財源としなければならない。」という均衡予算主義と申しますか、あるいは歳出は経常的な収入で賄うという原則に立つのは当然のことではないかというふうに思います。  と申しますのは、国の歳出によってもたらされる、さまざまな公共財の供給を通じてもたらされる便益、これを享受する現世代がそのまま税負担を負うことで受益と負担の一致がもたらされるからであります。しかし、国が供給します公共財がもたらす便益というのはすべてその年度内で完結するわけではございません。とりわけ歳出が社会資本の形成に向かうときには、その耐用年数にわたって便益がもたらされることになり、単年度ではおさまらないわけであります。  このように、歳出の持つ多年度にわたっての影響考えますと、歳出は経常的な収入で賄うという原則を貫くとしますと、むしろかえって世代間の受益と負担の不一致というのが生まれてくるわけであります。この不一致を調整しようとしますと、借り入れによりまして財源調達を行う、すなわち公共事業費に充てる財源を借り入れで調達する。その社会資本の耐用年数にわたりましてもたらされる便益に応じて借り入れを返済していくという方法をとる。いわゆる利用時払い原則でございますが、それに沿うことによって年度間の受益と負担の一致というのは可能になるというふうに考えるわけであります。  この意味では私は、建設公債、四条公債発行というのは、財政法第四条のただし書きで示されていますけれども、今私が申しましたように単年度主義に欠けております年度間の調整機能を補強するものでありますから、むしろ本文で扱ってもいいというふうに思っております。言うならば建設公債発行の根拠というのは十分にあるわけでありますが、この点について大蔵省はどのようにお考えになるか、まずお聞きしたいと思います。
  30. 伏屋和彦

    政府委員伏屋和彦君) お答え申し上げます。  今委員が言われましたように、財政法はまず第四条第一項の本文で「国の歳出は、公債又は借入金以外の歳入を以て、その財源としなければならない。」と定めまして、いわゆる非募債主義の考え方を原則としているわけでございます。その例外として、公共事業費等の財源につきましては建設公債発行財政法上認めているという書き方でございます。  このように財政法が建設公債発行を例外的に認めておりますのは、先ほど委員も言われましたが、公共事業費等が消費的な支出ではなくて国の資産を形成する公共財というものでございまして、通常、その資産からの受益も先ほど指摘がありましたように長期にわたるものでございますので、これらの経費につきましては公債発行という形でその財源を賄い、その元利償還を通じて後世代にも相応の負担を求めることを許しているものと、そういう考え方が基本的にあるというぐあいに理解しております。  しかしながら、建設公債といえども、これは別の側面でございますが、やはり多額の元利償還負担を伴うものであることから、現在は極めて厳しい財政事情のもとでやむを得ざる措置として建設公債のほぼ満度発行を行わざるを得ない状況にあるものの、やはり建設公債対象経費の財源につきましても財政事情が許す範囲内においてできる限り税財源を充当すべきであり、公債発行を極力抑制していくことも大事なことであるというぐあいに考えております。
  31. 牛嶋正

    牛嶋正君 今、私、建設公債に関しましてはその発行の根拠を説明いたしました。大蔵省のお答えの中にやっぱりこれは借り入れだからというお話がありますけれども、やっぱり単年度主義と非常に絡んでいるわけで、むしろこれは単年度主義ではなくて、会計処理でバランスシートを入れてくるということになりますと、建設国債発行というのはかなりしっかりした財源調達方法だというふうに私は思いますが、しかしこれは会計方式とも関連してまいりますので、きょうはこの議論はもうおいておくことにいたします。  これに対しまして、借金だけが将来世代に残る赤字公債は、先ほど申しました利用時払い原則に基づくものではございません。したがって、財政運営の大原則の一つであります受益と負担の一致、これを崩してしまうわけであります。そのため、財政法は第四条におきましても赤字公債については何ら取り扱ってはいないわけです。言うならば、赤字公債発行根拠はないということではないかというふうに思います。  振り返ってみますと、昭和四十年度補正予算で戦後初めて赤字国債発行されました。それから昭和五十年度の補正予算、それから平成二年度の湾岸(平和財源)法におきましても年度途中で赤字国債発行された。それから昨年の七年度の補正予算でも赤字公債発行されております。これらは、いわば年度途中で歳入が不足するとか、あるいは突発的な出来事があって歳入が著しく不足するため、それを埋め合わせるということで発行されてきたわけです。いわば後始末でございますね。これが私は赤字公債の場合の許される発行の根拠かなというふうに思います。しかしそれでも、先ほどから説明しておりますように、赤字公債発行の根拠は私は与えられていないんではないかというふうに思うわけです。  そうだとしますと、八年度の予算におきまして、当初予算段階で財政運営に必要な財源の確保を図るための赤字公債発行については、全く根拠は私はないのではないかと。それでもやはり歳出歳入のギャップを埋めるために発行せざるを得ないわけですけれども大蔵省としては赤字公債発行されるに当たりましてどんなふうな根拠といいますか、理由づけ、そういったものをお持ちなんでしょうか。
  32. 伏屋和彦

    政府委員伏屋和彦君)  お答えいたします。  最近の時点の話をいたしますと、先ほど委員も言われましたが、平成二年度当初予算におきまして昭和五十年度以降の特例公債依存から脱却した後は、平成二年度にはいわゆる湾岸臨時特別公債を、また平成六年度以降は、経済状況に配慮いたしましたいわゆる所得税等の先行減税を行うための財源手当として減税特例公債発行してきたわけでございますが、これらは、先ほど委員も言われましたか、償還のための財源が確保されていたことからいわゆるつなぎ公債と位置づけることができるものであったと考えております。  いま一つは、平成六年度の第二次補正予算以後の三回の補正予算におきまして特例公債発行してまいったわけでございますが、議会の御承認を得て発行してきたわけでございますが、これらは、阪神・淡路大震災による被害への対応とか、景気対策といった臨時緊急に必要とされる財政措置、そういうものに対応するための発行であるというぐあいに理解しているところでございます。  そこで、先ほど委員も言われましたように、特例公債本来の考え方は、やはり建設公債とは異なる、いわゆる見合いの資産を残さないわけでございまして、利払い費等負担だけを次の世代に残すものであることから、そういう問題があるという意味で、先ほど委員も言われましたように財政法上はその発行が認められていないわけでございます。別途法律により発行の根拠を得なければならないわけでございます。  したがって、その特例公債発行をできる限り回避に努めるべきでございますが、八年度予算におきましては、税収が引き続き厳しい見込みとなりまして徹底した歳出の洗い直しに取り組んだわけでございますが、先ほど指摘がありましたように、七年ぶりに当初予算段階から特例公債発行せざるを得ない事態に立ち至って、この今御審議いただいている法律案を提出したところであるわけでございます。  仮にこの特例公債発行しないといたしますと、その分、その他の事項に係ります歳出の大幅な削減とか大幅な増収策を講じざるを得ないわけで、現在の経済状況のもとでは国民生活とか国民経済悪影響を与えることになってしまうことを考えますと、やはり適切な財政運営を行っていくために今般の特例公債発行はやむを得ないものと考え法律案をお願いしているところでございます。御理解いただきたいと思います。
  33. 牛嶋正

    牛嶋正君 今、適切なとおっしゃいました。これが問題になるわけですね。  財政制度審議会も平成七年十二月十八日に平成八年度予算の編成に関する建議を行っております。この中からちょっと引用させていただきたいんですが、「今般、当初予算段階から特例公債発行せざるを得ない事態となることについては、埋めようもない歳入歳出のギャップの存在を勘案すればやむを得ないこととは言え、誠に遺憾である。」という表現をしております。  私、この文章を読みながら次の二点をお聞きしたいのでありますけれども、この文章の中で、「埋めようもない歳入歳出のギャップの存在」、これを容易に認めたとしますと、これは赤字公債発行の歯どめはもう全くきかなくなってしまうんじゃないか、こういうふうに私は思います。言いかえますと、こうなりますと財政運営の基本方向というのはもう見失われてしまうんじゃないかというふうに思うんです。  そこでお聞きしたいんですけれども、この「埋めようもない歳入歳出のギャップの存在」、これはどういうふうに大蔵省はとらえておられるのか、お聞きしたいと思います。
  34. 伏屋和彦

    政府委員伏屋和彦君) 今言われましたように財政審の建議で、埋めようのない歳入歳出のギャップを考えればやむを得ないという表現があるわけでございます。  平成八年度予算におきましては、まず歳出の面でございますが、景気とか国民生活の質の向上に十分配慮しつつも、歳出削減などに一層強力に取り組んだところでございます。  具体的には、まず一般歳出につきまして従来にも増して洗い直しを行っておりまして、特に経常部門の経費でございますが、厳しく抑制いたしまして、一・五%ということで昭和六十三年以降では最も低い伸びとなったところでございます。また、その他の歳出につきましてもさらに精査を行い、抑制に努めておるところでございます。  他方、このように歳出の抑制を図ったところではございますが、歳入の面でございます。税収が七年度当初予算で見込んでおりました水準を二兆円以上も下回る見込みとなる一方で、先ほどから出ておりますいわゆる特例的な歳出削減措置等がいろんな意味で限界に突き当たっております。それらの理由によりまして、結局、特例公債を含めまして二十一兆円にも上る公債発行に依存せざるを得なかったと。それがギャップということであるわけで、いずれにいたしましても、この八年度予算を地ならしといたしまして財政改革を強力に進めていかなければならないと考えております。
  35. 牛嶋正

    牛嶋正君 次の質問はちょっと本筋から離れるんですけれども、この建議が出されましたのは平成七年十二月十八日ですね。そうしますと、もうこの時期には大蔵省原案はできているんじゃないかと思うんですね。そうだとしますと、この建議というのはただ形式的なものなのかなという感じを受けるんですけれども、この建議とそれから予算編成との関連についてちょっと御説明いただきたいと思います。
  36. 伏屋和彦

    政府委員伏屋和彦君) 私から昨年の予算編成の時間的な経緯を話させていただきますと、八月三十一日に各省から概算要求を受けました後、私どもの方で各省と調整を始めたわけでございます。その後、九月末税収が判明いたしました段階で、昨年の十一月でございますが、税収状況等を考えますと公債発行せざるを得ないんではないかというような財政事情に至ったということでございます。それは大臣もその点を引用して答弁していただいているところでございます。  そういう状況の中で、歳出のさらなる削減調整と経済見通し、税収見通しを踏まえましてその都度その都度、財政制度審議会では御審議いただいて、そして結局昨年末の十二月十八日の建議に至ったわけでございますので、いろいろな経済状況、税収の状況歳出状況はその都度、財政制度審議会での御議論がそれを踏まえていただいているというぐあいに理解しております。
  37. 牛嶋正

    牛嶋正君 それと関連いたしまして、建議の中からもう一カ所ちょっと引用させていただきたいと思います。「今次、特例国債発行のやむなきに至ったからと言って、それを回避すべきであるとの当審議会としてのこれまでの提言は、いささかも変わるべきものではなく、特例公債発行せざるを得ない状況であればこそ、財政構造の改革に一層強力かつ早急に取り組むことが必要である。」と、こう述べているんですね。私はもう精いっぱいの警告だと思うんですけれども、この文章の中で、私、二つ意味が酌み取れるような気がいたします。  一つは、一たんこういうふうに赤字公債発行されてしまうとなかなかこれを抑えることはできない。恐らく九年度もそれから十年度の予算公債発行は避けられないだろうというふうなことを一つここには意味されているような、だからこそ抜本的な思い切った対策を立てるべきである、こういうふうな提言をされているんだと思いますね。  この文章を読みながら、私は五十年代の財政再建のことをちょっと振り返ってみたいわけでありますけれども、五十年代の前半では、一般消費税の増税案などがつぶれて、赤字公債をゼロにするということはあのときなかなかできなかったわけで、したがって第二臨調が設置されて増税なき財政再建というのが打ち出されたんだと思うんですね。  その過程で、できるだけ歳出を抑えて、ゼロシーリングとかマイナスシーリングというのを導入されて、そして税収が上がってふえてくるのを待ちながらそのギャップを埋めていくという財政再建の方途をとられたんだと思うんです。データを見ますと、やはり五十七年度以降赤字公債発行額は非常になだらかに減少していっておりまして、平成二年にゼロになるわけであります。  このことを考えますと、当時と全く違う点は、私は税収の伸びの違いだろうと思うんですね。ですから、今回同じようにゼロシーリングとかマイナスシーリングを導入したとしても、なかなか税収が上がってこないからギャップは埋まらないというふうに思います。それだけに、今回のこういった赤字公債発行に対しましては、この建議でも言われておりますように、財政構造の改革というふうなものを必要とするのではないかというふうに思うわけです。  私、先ほど申しましたように、この埋めることのできない歳入歳出のギャップが存在する限り、これを埋めるために赤字公債発行せざるを得ないというふうな姿勢であれば、私は限りなくこのギャップは拡大していくんではないかと思います。  そこで私の提案でございますけれども、赤字公債発行に当たりましても一つ歯どめをやっぱり設けておくべきではないだろうかと。例えば、特例公債依存度を一〇%という上限を決めて、それ以下でできるだけその発行をとどめる、あるいは建設国債発行額の二分の一以内に赤字公債発行をとどめる、こういった案でございます。  私はこのような思い切った措置を提案したいわけですけれども、そういう措置をとらなければ、先ほどから議論ありますように、財政悪化というのはなかなか歯どめがきかないんではないかというふうに思いますが、この案も含めましてちょっと今度は大蔵大臣から御意見を賜りたい。
  38. 久保亘

    国務大臣久保亘君) 御専門の先生からの大変貴重な御提言だと思いますが、御指摘がございましたように税収が伸びない、逆に当初ベースでは落ちていく、そういう状況の中で、財政再建はこの財政審の答申のとおり特例債の発行を遺憾なこととしてやらなければなりませんけれども、もしこれに歯どめをかける、例えば一〇%で制限をするというような場合には、当然歳出の総枠にも歯どめをかけなければ予算の編成が困難になるだろうと思っております。  この歳出の総枠に歯どめをかけました場合には、それに見合うあらゆる歳出部門の見直しをきちんとやることと同時に、それぞれの分野において財政支出を伴う政策の優先順位を決めることによって、場合によっては予算の上で排除される政策が出てきてもやむを得ない、そこのところがこの再建問題をこれから論議していきます場合に非常に重要な視点となるだろうと思っております。  今御意見を賜りましたことを念頭に置きつつ、今後財政再建論議を進めてみたいと思っております。
  39. 牛嶋正

    牛嶋正君 私も、今、大蔵大臣おっしゃいましたことを一応前提にしながら一つの上限を決めさせていただきました。もちろん、歳出をいかに抑えていくか、これにかかっているというふうに思います。そのためには、予算編成方式につきましてもやっぱり見直しをしていかなきゃいけないというふうに思っております。  これで終わらせていただきます。
  40. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 私の方からは、今後特例公債発行につながる可能性のある国鉄清算事業団長期債務に関して、運輸省並びに大蔵省にお尋ねしたいと思います。  国鉄清算事業団の抱える長期債務約二十八兆円のうち、国民負担の見込み額が約二十兆円にもなりそうだと新聞報道されておりますけれども、運輸省としましては現時点で国民負担の見込み額はどの程度と考えておられますでしょうか。
  41. 金澤悟

    説明員(金澤悟君) お答え申し上げます。  清算事業団の債務につきましては、昭和六十二年四月の国鉄改革時におきまして約二十五兆五千億の債務を有しておりました。それが今年度四月一日現在でおよそ二十七兆六千億に増加しておるものと見込まれております。  では今後の土地や株式がどのように売却されていくのかという点でございますが、土地につきましては、七年度首でおおむね四兆四千億程度の評価をしておりましたが、これは七年度の間に約四千二百五十億円の土地を売却いたしましたので、現在残る土地が約三千五百ヘクタールでございまして、この土地の資産額について現在試算をしておるところでございます。恐らく七月ごろまでには現在の資産額が出るかと思いますが、土地についてはそういう状況でございます。  一方、株につきましてでございますが、JR株式について、現在清算事業団はJR七社の合計六百六十九万株を保有しております。これは額面では約三千三百億円に相当しております。  こうした残る土地及びJR株式を売却してまいりましてどれぐらい収入が上がるかという点でございますが、これは今後の地価の動向やあるいは株式市況といったものに影響されるものでございますので、その見込み額を現時点で具体的に申し上げるということは難しいというふうに考えております。  したがいまして、現時点で委員御質問の最終的な国民負担の額幾らということについて明確にお答え申し上げることはできないわけでございますが、運輸省といたしましては、清算事業団と一体となりまして今申し上げた土地あるいは株式の早期かつ効果的な売却をいたしまして、国民負担の軽減のために努力をしていきたいというふうに考えております。
  42. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 土地それから株式が思うように売れなかったというにはいろんな理由があると思うんですけれども、主な理由だけでも少し述べていただければと思います。
  43. 金澤悟

    説明員(金澤悟君) 債務増加の原因でございますが、主なものといたしましてまず一つには地価の高騰問題、これが平成の初めごろございまして、そういう問題に対処するための土地対策というものを実施してまいりました。そしてその後、地価が下落いたしました段階で今度は清算事業団の土地を売却することになったわけでございますが、土地の需要が非常に低迷しておりまして、私ども希望したような土地の売却が進んでいないというこの土地をめぐる状況一つの原因でございます。  もう一つの原因といたしまして、株の方でございますが、株式市況が清算事業団発足以来非常に低迷いたしております。あるいは先般の阪神・淡路大震災によりまして、私ども上場を目指しておりましたJR西日本の株式について上場基準を満たさなくなった等の事情がございまして、株式の売却が進んでおりません。  こういうことが今委員指摘の債務の増嵩の原因ではないかというふうに考えております。
  44. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 長期債務の返済に当たりまして当面問題になりますのは、平成八年度末に据え置きの期限が切れ、清算事業団が一般会計に返済しなければならなくなる約五兆円の特定無利子貸付金の処理が挙げられております。  この処理に関して運輸省はどのようにお考えになっているんでしょうか。
  45. 金澤悟

    説明員(金澤悟君) 国鉄清算事業団一般会計から無利子で貸し付けを受けております借入金のうちに、今委員指摘の特定無利子貸付金というものが五兆五百九十九億円ございます。これにつきましては、ちょっと長くなりますが、日本国有鉄道清算事業団の債務の負担の軽減を図るために平成二年度において緊急に講ずべき特別措置に関する法律という法律に基づきまして、当初平成四年度とされておりました償還期限、償還の据え置き期限を五年間延長していただきまして、平成九年度、すなわち来年度から償還が開始されることとなっております。  この貸付金について今後どのように取り扱うかという点でございますが、先ほど説明申し上げました土地あるいはJR株式、こういった資産処分がどのように進むかという点を踏まえながら、今後財政当局とも御相談して検討していきたいというふうに考えております。
  46. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 また問題になりますのが、長期債務の金利負担が年間一兆円にも上ると言われております。その点に関して運輸省の見解がお聞きできればと思います。
  47. 金澤悟

    説明員(金澤悟君) 御質問の金利支払いの件でございますが、現在、平成七年度の決算を締めているところでございまして、確定値で申し上げるわけにはまいりませんが、昨年度、平成七年度においておおむね九千五百億円程度の金利支払いになっているものと見込まれております。
  48. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 またもう一つ、清算事業団が保有する土地の処分の期限が平成九年度末になっておりますけれども、このことと、先ほどの一兆円規模の金利負担ということを考えますと、一刻も早く債務処理をしなければならないということになると思うんですけれども平成九年度末が一つの目安になるのかなと考えるんですけれども、そういう期限に関しまして何か御見解がありますでしょうか。
  49. 金澤悟

    説明員(金澤悟君) 国鉄清算事業団長期債務の処理につきましては、既に昭和六十三年の閣議決定におきまして、「土地処分収入等の自主財源を充ててもなお残る事業団の債務等については最終的には国において処理する」ということとなっておりまして、その本格的な処理のために必要な新たな財源並びに措置というものにつきましては、土地の処分等の見通しがおおよそつくと考えられる段階において、これを歳入歳出の全般的見直しとあわせて検討、決定するというふうになっております。  運輸省といたしましては、事業団の債務の処理という問題は国鉄改革の総仕上げという意味を持っておりまして、そういった観点から非常に大きな大切な問題だというふうに認識しておりますので、先ほど説明申し上げました主な償還財源である土地あるいはJR株式、こういったものをできるだけ早期売却をすることに今現在全力を挙げているところでございまして、そういう段階であるということを御理解いただきたいと思います。
  50. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 いつ一般会計処理しなきゃならないかというのはまだ決まっていないということだと思うんですけれども、一応二十兆とも目されているわけですけれども、いずれ一般会計処理しなければならないのが十五兆ぐらいかなというような予想もつくわけです。それらに対して、大蔵省としてはそういう財源をどのように今後処理しようと考えていらっしゃるのか、その辺をお聞かせいただければと思います。
  51. 伏屋和彦

    政府委員伏屋和彦君) お答え申し上げます。  今、運輸省の方からも答弁いただきましたのですが、一つは、近年の土地、株式市場をめぐります厳しい事情から、国鉄清算事業団長期債務等が八年度首におきまして二十七兆六千億円という見込みになっておるわけでございます。この長期債務をどうするかということでございますが、先ほど説明ありましたのですが、昭和六十三年の閣議決定におきまして、残る債務につきましては最終的には国において処理するものとされているわけでございます。  そこで、一つは、まず国鉄の長期債務等の順調な償還と、それによりまして最終的な国民負担の軽減が重要な課題であるということは論をまたないところでございます。清算事業団に未処分の土地、株式がまだ残っておるわけでございまして、今後ともこれらの資産のできる限り早期かつ効果的な処分を進めて、長期債務等をできる限り減少させるということがまず第一に重要であると考えております。  その次に来る話でございます、委員指摘の話でございますが、そういう閣議決定において、ではどういう処理策があるかということで、これは現時点において具体的な債務の処理方策の案を提示できる状況にはございません。先ほど運輸省からも答弁がありましたが、額もそれはまだ見込めない状況で、まだ軽減に鋭意努力をしているという段階でございます。  いずれにいたしましても、処理を行わなければならない額が相当程度に及ぶということは見込まれるわけでございます。国の全体の歳入歳出状況も踏まえまして、国民負担としていかなる形があり得るのか、幅広い検討が必要であるというぐあいに考えております。
  52. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 いずれにしても本当に高額な、もし特例公債で賄うというようなことになればもう二百五十兆にも及ぶ国債残高になってしまうわけで、大変な問題になると思うんですけれども、これはいずれきちんと論議されることと思いますので、次の質問に入らせていただきます。  次に、先ほどもありましたけれども、四月二十一日にワシントンで開かれましたG7で話題になった日本の超低金利政策に関連しまして、日銀並びに大蔵省にお尋ねしたいと思います。  新聞報道では、このG7会議におきまして、日本は長い不況のトンネルを抜け、ようやく景気回復基調に乗りつつあるが、力強さに欠けるため、内需主導での景気回復を万全にしてほしいというような要望があったと伝えられておりますけれども、その中で、日本はたび重なる経済対策などで財政赤字先進国中で最も悪いという状況でありまして、財政出動の余地も限られているため、具体的には超低金利政策の継続を求められたというような報道もありました。  そこで、内需拡大のための超低金利政策の継続に関しまして日銀のお考えをお聞かせいただければと思うんです。本日の新聞の報道では低目金利解除検討というようなニュースもありましたけれども、その点に関しましても、きょうおいでになっています日銀の山口理事にあわせてお伺いできればと思います。
  53. 山口泰

    参考人山口泰君) 初めに、G7と一連の国際会議の模様につきましてでございますけれども、実際に会議出席しまして帰国してまいりました総裁の話では、我が国からは日本景気回復状況あるいは今後の政策運営考え方などにつきまして詳しく会議の場で説明し、各国からは十分な理解が得られたように思うというふうに聞いております。その際に、我が国金融政策の運営につきましてよその国から何か具体的な注文が出たというようなことは格別なかったというふうにも聞いております。  そこで、現在の日本銀行の景気判断について改めて申し上げますと、景気は緩やかに回復しているというふうに判断しております。ただ同時に、これがこれから先自律的な景気回復ということにうまくつながっていくためには、現在のいろいろな経済動きにさらにもう一段の力強さなり広がりなりが出てくることが必要ではないかというふうに思っておるところでございます。  したがいまして、先生お尋ねの当面の政策運営に当たりましても、景気回復の基盤を万全なものにしたいということを基本に考えておりまして、今後の経済情勢の推移を注意深く見守っておるところでございます。そういう状況でございますので、現在何か格別の政策の変更について検討しているとかということもございません。
  54. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 超低金利というものが高齢者にとって非常にマイナスの影響を与えているというような意見もありまして、そのために連立与党の方では、昨年末から本年当初にかけまして、年金受給者の金利を上乗せするような、そういう新定期預金などの金融商品開発を金融機関に要望しているというような報道もあって、銀行ではそういうものを用意したというような報道もあるようですけれども現状ではそういう新定期預金的なものを商品化している銀行はかなり多いものでしょうか。その現状はいかがなものでしょうか。
  55. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) 本年一月八日に与党三党が政策合意を発表いたしまして、その後、年金受取口座を有します方を対象にいたしまして預金金利の上乗せを行っている金融機関が相当数出てまいりました。今、全国の銀行の数が百四十九。これはことしの四月一日から三菱銀行と東京銀行が合併いたしましたので百五十から百四十九になりましたが、その百四十九行のうち九割程度、百三十七行がこのような商品を取り扱うに至っております。  多くのケースは金利を一%程度上乗せするというようなものでございますけれども、そのほか、中小金融機関におきましては、マル優枠を超える預金に源泉徴収税相当分の金利を上乗せする、すなわち実質的に老人マル優枠を拡大するというような形の商品などを売り出していると、こういうケースもございます。
  56. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 このような年金以外に収入のないような高齢世帯にとって、低金利下での利子の減収や、それから現在検討されております公的介護保険の保険料の徴収とか、それからまた消費税のアップということで、高齢者にとっては大きな不安があるわけでございます。  そこで、厚生省の方にお伺いしたいんですけれども、現在、公的介護保険の導入が検討されておりますが、その保険料を負担する対象として、六十五歳以上の高齢者のみとする案、それから四十歳以上とする案、さらに若年層までその枠を広げて二十歳以上とする案などの種々の案が検討されておりますが、まだ結論は出ておりません。  保険料の負担を六十五歳以上とした場合、それから四十歳以上とした場合、それから二十歳以上とした場合の高齢者一人当たりの負担見込み額は月額どれほどになるのか。一〇〇%自己負担とした場合の数値で結構ですので、西暦二〇〇〇年、それからさらに高齢化が進みました二〇一〇年の時点での推定値をお教えいただければと思います。
  57. 堤修三

    説明員(堤修三君) 高齢者介護保険制度につきまして現在まだ検討を続けている最中でございまして、具体的な制度の中身が固まっておりませんので非常にラフな試算ということでございますけれども、まず高齢者の介護費用の将来推計でございますが、二〇〇〇年度、平成十二年度において、施設サービスを必要とする方はすべて一〇〇%の方々、それから在宅で介護を必要とする方のうち、実際に介護保険制度の在宅サービスを受ける方が約半分というふうな想定をいたしまして、かつサービス単価が年率三%で伸びるという前提でございます。  そういたしますと、利用者負担や公費負担を含めました総費用が平成十二年度で四・八兆というふうに見込んでおります。このうち公費負担をどの程度入れるかという議論があるわけでございますが、仮に五〇%というふうに試算をいたしますと、四・八兆の半分、二・四兆を保険料等で負担すると、こういうことになるわけでございます。  この二・四兆を二十歳以上の人口で単純に機械的に割りますと、一人当たりの負担月額は約二千円でございます。同じように四十歳以上の人口で割りますと一人当たりの負担月額が約三千百円、六十五歳以上の人口で割りますと同じように約九千円ということになります。  それから、もう一つ先の遠い将来でございますが、二〇一〇年度、平成二十二年度で同じような試算をしてみます。その場合に、施設サービスを必要とする方は先ほどと同じように一〇〇%、在宅で介護を必要とする方のうち実際に介護保険制度の在宅サービスを受ける方、これは約八〇%というふうな前提を置きますと、平成二十二年度で総費用が十・五兆でございます。この半分を公費で、残りを保険料で持つということになりますと、五・二五兆というのが保険料等で持つわけでございます。  これを二十歳以上の人口で単純に割りますと月額約四千三百円、それから四十歳以上ということでありますと約六千円、六十五歳以上ということでございますと一万六千円、こういうふうなことになります。ただ、今申し上げました額はあくまでも単純に一人当たりの額を割っております。  それから、利用者の方が窓口で払う額をどうするか、あるいは公費負担の割合というのも仮に二分の一というふうにしております。それから保険料の設定方式、所得比例で取る、あるいは定額的に取る、いろんな取り方もございます。そういうことによって異なっておりますので、あくまでも機械的な試算ということで御了解をいただきたいと思います。
  58. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 二〇一〇年の段階で、公費五〇%としても、六十五歳以上の人に限って保険料を徴収することになれば月額一万六千円になるということで大変な負担かと思いますけれども、公費五〇%を導入する場合を考えますと、二〇〇〇年の時点で二・二兆円ぐらい、あるいは二〇一〇年で大体五兆円程度の公費の負担が必要になるというような試算があるわけです。  それでは大蔵省の方にお伺いしたいんですけれども、公的介護保険の公費の方の負担に関しましてどういう財源で賄うのか、もし消費税に多少ともその財源を求めるのであれば、これから予定されている五%の消費税で十分間に合うようなパーセントなのかどうか、その辺についてもお伺いしたいと思います。
  59. 伏屋和彦

    政府委員伏屋和彦君) お答え申し上げます。  先ほど厚生省の方から御答弁していただきましたのですが、現在、老人保健福祉審議会においてまさに検討中でございます。四月二十二日に高齢者介護保険についての報告が出されたわけでございますが、この報告は、一つは、新たな高齢者介護制度のもとで提供される介護サービスのあり方等につきまして、これは一月の報告からさらに具体化された案でございます。  もう一つの高齢者介護保険制度につきまして、これはいろんな御意見がございまして、分かれているものも含めましてそれぞれの問題点ごとに審議会で行われた議論の背景とか理由の整理が行われておるわけで、その意味で介護保険制度の具体的な論点についてさまざまな考え方が列記されているわけでございます。まさにそういう検討中ということでございますので、この介護保険制度の全体の姿が明らかになっているわけではございません。先ほど厚生省の方から機械的な試算ということで、これは一つの試算でございます。  したがいまして、介護保険の導入によります公費がどのようになるだろうか、現在のものとどういうぐあいに変わるんだろうか、変動するんだろうかとか、その次の手当てはどうなるんだろうかということになりますと、これからの介護保険制度検討とあわせまして、今後私ども政府部内で審議会の意見も入れながら、また国会での御議論を踏まえながら検討していくということになると考えております。
  60. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 公的介護保険の方の国の支援というようなことに関しまして、久保大蔵大臣の方からこういうふうな財源でこういうふうにしたいというような何か御意見がありましたらば、お伺いできればと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  61. 久保亘

    国務大臣久保亘君) 今後いろいろ検討すべき課題だと思っております。
  62. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 どうもありがとうございました。  少し早いですけれども、以上で質問を終わりたいと思います。
  63. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 ただいま議題となっております平成八年度における財政運営のための公債発行特例等に関する法律案につきましては、私も賛成の立場でありますので、それを表明し、与えられた時間が十五分以内でありますから、若干はしょった質問になるかと思いますが、真意を酌んで答弁していただきたいと思います。  私は、財政再建財政改革に対して、いろいろ口では言うが、大蔵省当局、大臣も一生懸命努力されているのはよくわかりますが、なかなか絶望的というか非常に厳しいのではないか、このように見ております。  それはどういうことかといいますと、バブルがはじけた後の不況においては、どんどん補正予算を組みなさいと、こういうことで強い要望があり、景気刺激策をとってまいりました。また一方では、福祉に関する予算というか要求は非常に強い。また、地方に行ったら公共事業、特に道路等を地方ではもっと早くよくしてくれという強い要望がある。こういうことが一方にあり、一方では源泉所得税もこれは高い、それから法人税もこれは高い、引き下げろと。そしてまた一方、消費税は余り上げられては困るという我々の要求もあります。こういう資金需要がある、一方では税金は下げろ、こういう中で本当にどうしたらいいのか大変苦しんでおられるし、我々もまさに苦しむところであります。  そこで、今、二百四十一兆円の中に約七十七兆円赤字公債がありますが、やはりこれが一番問題だと。これをふやさない、あるいは抑え込んでいくというのに当面最大の力点を置くべきだと、私はこのように考えております。  それで、私は何度か国会のあちこちで質問したことがあるんですが、これまでを少し振り返ってみますと、平成二年度の国の税収というのは約六十兆円。三年も五十九兆八千億円ぐらいで約六十兆円です。ところが、それからずっと落ちまして、平成七年度は五十一兆をちょっと切っております。八年度推定も五十一兆三千億ぐらいで、九兆から十兆円ぐらい非常に落ち込んでおるんですね。  そしてまたその中身を見ますと、特に法人税が昭和六十三年、平成元年、平成二年は十八兆から十九兆円台のところが、今度は平成四年以降は十二兆ないし十三兆円に大きく景気に左右されて落ち込んでおるわけです。ですから、こういう大きな顕著な流れというのは別としても、やはり景気循環に従って山あり谷あり、こういうことを繰り返してきているわけであります。  そこで、政府には、こういうことに対応するためにかどうか、昭和三十三年に経済基盤強化資金というのを一回利用したことがあるようですが、お蔵入りしていると。五十二年度に設置された決算調整資金、これはどっちも決算剰余金をもってこれに充てていくというような制度がありますが、地方自治体においては財政調整基金、これは私も具体的に聞いて身近に知っている例があるんですが、地方においては、経済の不況等により大幅な税収減に見舞われたり、災害の発生時等による予想外の支出の必要が生じた場合に備えて財政調整基金を設けている。  この違いはどこかといいますと、ここは税金がたくさん入ったと、入ったそのときのその税金を財政調整基金に積み立てていく。一方、国の制度というのは、使った残りの余ったやつを積み立てていくというやり方ですから差がある。  自治省おいでですが、財政調整基金、これは地方自治法の二百四十一条に基づいていると思うんですが、どういうぐあいか、そしてどのように利用されておるのか、推移と現況を簡単に。
  64. 林省吾

    説明員(林省吾君) お答えを申し上げます。  お尋ねの財政調整基金でございますが、これは地方公共団体におきまして財源の年度間調整と将来における健全な財政運営に資するためということで、地方自治法の規定に基づいて積み立てられているものでございます。  先ほども御質問の中にございましたように、地方団体の財政は、経済の不況等によりまして大幅な税収減に見舞われたり、あるいは予期せぬ災害等によりまして思わぬ支出の増加を余儀なくされる場合があるわけでございますが、そういう場合に、このような収入の減少あるいは支出の増加等に備えまして、長期的な視野に立って支障が生じないよう財政運営ができるように考えた結果の基金でございます。  このため、地方財政法におきましては、いろいろな規定があるわけでございますが、決算上剰余金を生じた場合は、その二分の一を下らない額は積み立てなければならない等の規定を設けまして、財政調整基金の積み立て等による中長期的な財政運営健全化を図ることといたしているところであります。  この基金の推移、現状についてのお尋ねでございますが、こういう趣旨で設けられておりますので、基金の残高は税収等の動向を反映した形になっておるわけでございます。平成三年度末に金額ではピークを迎えておりますが、その後の景気の後退に伴いまして……
  65. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 三年度末は幾らですか。
  66. 林省吾

    説明員(林省吾君) 平成三年度末は、県、市町村合わせました結果が三兆九千二百八十億円の規模になっておりましたが、その後、景気の後退に伴いまして地方の税収等が落ち込んだこと等から近年減少の傾向にございます。正確な決算では、六年度決算のデータでございますが、六年度末の基金残高ではこれが三兆六千億台になっておりますが、私ども、最近の七年度の決算見込み、あるいは八年度当初におきます県、市町村の予算計上の状況等を聞いておりますと、地方財政が極めて厳しい状況に置かれておりますことから、七年度、八年度におきましてもそれぞれ地方団体におきましては大幅な取りましが予想されているところでございます。
  67. 梶原敬義

    ○梶原敬義君  大蔵省にお伺いしますけれども平成二年度は今より約十兆円、平成三年も約十兆円余分に、バブルの影響でしょう、入ってきているわけですね。このうちの、十兆円十兆円の半分ずつでもそういう財政調整基金みたいな制度でも設けておれば、一々特例公債発行に関する法律を出して審議をしなくとも、落ち込んだときにはそこから、少なくとも赤字公債発行せぬで済むような、そういうようなやり方をやることが節度として、いろんなやり方があると思いますよ、赤字を消していくやり方もあると思うんだけれども、むしろ自主管理というか、節度をやっぱり伴ったやり方ではないか、このように思うんですが、一考する余地はないかどうか。
  68. 伏屋和彦

    政府委員伏屋和彦君) お答え申し上げます。  今委員が言われましたように、昭和六十一年から平成二年までの間、これが過去の平均的な税収弾性値一・一を超えている時代がございました。そのときは確かに税収が大きく増加したわけでございます。結局その税収増はどういうところに使われているかということになりますと、一つは、税収がふえるものですから地方交付税交付金、これがいわば制度として増加するものがございます。また、この五年間の間に国債費の増加、これは当時利率も高くなったものですから、元利払い等がございました。そしてその中で、やはり特例公債発行額の縮減ということで約二十一兆三千億の縮減を図っておるとか、先ほども御質疑ございましたが、特例的な歳出削減措置処理ということで四兆五千億の処理を当時はやっておったわけでございます。  一たん債務残高を抱えてしまいますと、いわばそういうむしろ後ろ向きの処理の方にとらわれざるを得ないわけでございますが、今委員が言われました、自然増収が生じた場合に、その資金を繰り入れまして、将来の不況時の歳入欠陥の補てん等に充てるための制度を創設してはどうかという御提言、これは平成二年度に特例公債脱却をしたときも行われたことがあるわけでございます。  ただ、この構想につきまして、財政景気調整機能を充実させることが可能でございますし、また、資金の一定の残高が積み上げられますと、歳入欠陥が生じても直ちに特例公債発行という事態に至らずに対応できるという観点から、制度論としては一つ考え方であるわけでございます。  ただ、現実の予算編成過程におきまして、全体としての歳出の規模が下方硬直性を有しておりますし、またどうしても拡張的になりやすい傾向があります。一方で巨額の利払い費を支払いつつ、他方で資金を保有しておく余裕は、例えば現在の財政状況でございますとないわけでございまして、一つ制度論としての考え方ではございますが、今直ちに実現させることは難しいんではないかと。まず多額の公債発行をできる限り圧縮することが先で、まさに御指摘のような考え方を現実の議論としてできるような状態にまず持っていかなければならないという意味での財政健全化取り組みが求められていると考えております。
  69. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 あとまだ用意をしておりましたが、時間が来ましたのでやめますが、これはこれからまた繰り返すことですから、何度も繰り返したことでこうなっておりますから、ひとつ大臣の方も一緒になって検討をしてください。いかがでしょうか。
  70. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 答弁いいですね。
  71. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 はい。
  72. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 私、十年前に議員になって、最初に所属した大蔵委員会で取り上げた最初のテーマがこの特例公債問題でした。途中で大蔵委員会から外れていた時期もありますけれども、この間この特例公債問題を何回取り上げてきたか、ちょっと調べてみようと思いましたけれども、数え切れない状況でありました。  昨年度だけでも、当初予算、一次、二次、三次の補正予算、四回特例公債発行されているという状況であり、大蔵省の文書を見ましても、「我が国財政は昭和五十年度から十五年間にわたり特例公債に依存し続けてきた」と、こういうふうに書かれているところです。そういうことが続いた結果、財政審報告では「時限爆弾を抱えた状態」だと。そういう報告を受けながら、今度の予算を見ると、その時限爆弾を一層巨大なものにする予算になっているわけで、これは一体どういうことになるのかと私は思わざるを得ません。  私、最初にこの問題を取り上げたときの速記録をひっくり返して見ましたら、こんなことを言っておりました。一たんこういう道に踏み出したら、要するに特例公債発行ですね、もうちょうど麻薬患者のように途中でやめられなくなってしまう、そういうことを心配するということを、これは九年か十年か前の速記録で言っていますけれども先ほど牛嶋先生からおっしゃったのと同じような不安を表明していたわけです。  この間の速記録もいろいろ読んでみましたけれども、なぜこういう事態になったか。一つ一つにはいろいろな説明がありますけれども、しかし結局は、財政法が「国の歳出は、公債又は借入金以外の歳入を以て、その財源としなければならない。」と規定している。これについての軽視があったと私は言わざるを得ないと思うんです。  膨大になった公債残高あるいは公債依存というのをどういうふうにして打開するか、これは大変な仕事でありますけれども、私は考え方としてまず大臣にお伺いしますけれども、やはりこの公債依存というのは抑えなくちゃいかぬ、とりわけ特例公債依存というのはやめなきゃいかぬ、これをどう貫くかと。考え方としてその立場に立たない限り打開はないと思うわけでして、その点、私は速記録を読みながら、これは本当に麻薬患者財政だなと思いながらかつての質問を思い出しましたけれども、そういう事態になぜなったんだろうかということと、あわせて今の点をちょっとお伺いしたいと思います。
  73. 久保亘

    国務大臣久保亘君) なぜそうなったかということについては非常にいろいろな要因を挙げなければならないことだと思っておりますが、例えば平成八年度、特例公債法の今御審議をお願いいたしておりますが、こうならざるを得なくなったということは、七十五兆の一般会計予算の中で、実際には国債費十六兆、それからもともと地方財源であるもの、こういうものを全部引いてまいりますと、結局いわゆる一般財源として国が使えるものは、私は多分二十兆を少し超えるだけあるかないかだと思っております。そうすると、結局それで今の国の財政が賄えるかということになれば、これはもうできない。先ほど牛嶋さんが埋めようもないと言われました。これはこの財政歳入歳出両面にわたっての思い切った見直しをやらない限り私は当分埋めようもない状況が繰り返してくると思っております。  八年度の予算に限って、そして特例公債法の御審議をお願い申し上げております立場から申し上げますと、このことなしに財政法の基本を貫けば、平成八年度の予算は編成できないというような事態に立ち至っている。その要因は何かといえば、これは非常にたくさんの要因があろうかと思います。  なお、私も今は御提案をして御審議をお願いする立場にございますが、特例公債法は、これはその都度国会にお諮りして、私も国会の側に立ちます場合にはこれを認めてきた責任もございます。これは、その原因も一つでくくるというのは非常に難しいのだろうと思っております。しかし、この状況をどう克服するかということは、これは私は、もう追い詰められたといえば追い詰められた形で、財政を担当する者、そしてこの財政の方針を予算として審議をいただく国会の側も、今この問題と真剣に取り組むそういう任務を負うに至ったのだと思っております。
  74. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 私、九年前だったと思いますけれども、速記録を読んでみたらこういうことも言っておりました。憲法九条があるのに自衛隊が増強されつつあると。それとこの財政法の規定に反して特例公債がどんどんふえているのと全く同じように日本の法律というのが尊重されていないということも、速記録を読んでみて、そんなことを言ったことを覚えておりませんでしたけれども発見しました。  今おっしゃるいろいろな事情もあると。それからこの間の速記録を読んでみても、結局出さざるを得ないんだという説明がずっと繰り返し繰り返し毎年行われているわけですね。そういう立場に立つ限り、これはやっぱりいつまでたってもなくならない。これはやっちゃならないものだということに一回立たなければ、これはいつまでも今のが続くと思うんです。政策的に何を縮めるかという論議はいろいろあると思います。この十分じゃそれはできませんから述べませんけれどもね。  例えば、私どもはことしのこの国会でも、歳出に徹底的なメスを入れなくちゃいかぬと。その一つとして我々が例示したのは、ゼネコン財政の構造に根本的なメスを入れろと。それがメスを入れないまま継続しているということと、それから二つ目には、国際的に軍縮が問題になっているときに軍事費の増大が続いていると。とりわけ、こんな世界一の財政危機の国がいわゆる思いやり予算をどんどんふやしている。日本はアメリカよりも国債依存度は倍以上ですよね。そういう国がアメリカにいつまでもこういう思いやり予算を続けなくちゃいかぬということはおかしいと思うんですけれどもね。  そういう問題を含めて、やはり財政法の立場を本当に貫くという立場に立たない限りこの問題の解決はないと思うので、その点での大臣考えと、具体的な問題としては、償還財源のない文字どおりの赤字公債発行ですが、こういう赤字公債というのは今後もこれを初めとしてあり得るのか、これはもう今回限りでないと言えるのかどうなのかということをちょっとお伺いしておきたいと思います。
  75. 久保亘

    国務大臣久保亘君) いろいろ政治的な立場、主張がございますから、吉岡さんは吉岡さんのお立場からの御主張があって、これが財政危機要因だ、またこれを再建していくための最も重要な柱だという御主張は、それは一つの御見解としてあるんだと私は思います。それぞれ皆さんが今の財政危機要因をいろいろな角度からお考えになっていると思っております。私は、それらのことをぜひ国会でもしっかり御論議をいただいて、私ども行政の立場におります者もこの財政再建の方針をできるだけ速やかに策定をして、また皆様方と御相談を申し上げなければいけないと思っております。
  76. 伏屋和彦

    政府委員伏屋和彦君) 後段の方の御質問にお答えしたいと思います。今後特例公債発行し続けるのかどうかということでございますが、来年度以降の予算編成を取り巻きます状況、現時点でこれはまだなかなか見通せないわけですし、したがって来年度以降のことについて明確な答弁を申し上げる段階ではございません。  先ほどから言われております、どうしてこういう状況になったかということは、もちろん我が国事情もございますが、先進各国ともこれは共通のいわばテーマになっているわけでございまして、成長率の低下とか人口の高齢化とか貯蓄率の低下とか、それから社会福祉等の政府の役割の増大、加えまして我が国の場合はいわゆる景気対策、経済対策等でこういう状況に至ったわけでございます。  結局は、九年度以降の中期的な財政事情につきましても、先ほどからも御議論がございますが、財政構造について思い切った見直しが行われないならばこの多額の歳出入のギャップはさらにまた年々拡大の一途をたどっていくことになるわけで、そういうおそれが強いということから考えますと、歳出のあらゆる分野について、何度も御答弁申し上げておりますが、やはり徹底した見直しを行っていく必要があると考えておるわけでございます。
  77. 山口哲夫

    山口哲夫君 四月二十三日の参議院予算委員会で橋本総理が自民党の阿部議員の質問に対してこう答えております。「赤字国債という名の借金をもしこれから先許されるとすれば、それが新たな仕事を生み出したり、新たな収入の道を生み出すための、例えば開業の準備、開店準備の費用であったり、新しい企業を起こすための準備であったり、そうした理由が許されるような範囲にこれをとどめながら、」云々と言われております。  もともと赤字国債というのは、歳出歳入のバランスがとれないために、その赤字を埋めるために発行するものでありまして、いわゆる投資的な経費とはちょっと違うんではないかと思うので、そういうことからいうと、総理の言うような、新たな収入の道を生み出すために発行できるものとはちょっと性格的に異なるんじゃないかなというふうに思うんですが、総理がおっしゃっているこの赤字国債で開業、開店の準備を行うというのはどういうことを意味しているんでしょうか。
  78. 伏屋和彦

    政府委員伏屋和彦君) 御指摘の総理の四月二十三日の御答弁についてでございますが、私どもとしては、この前後を読みますと、赤字公債というものを発行せざるを得なくなった状況、この現在の厳しい財政事情ということと、それから新規産業の創造につながる分野への投資が今後重要であるというようなこととか、後にございますが、歳出面につきましてはやはりむだを省いていく努力、不要不急の仕事を後に繰り延べてでも仕事に優先順位をつけなければならないというような点についてお考えを述べられているというぐあいに受けとめておるわけでございます。  委員指摘ありましたが、特例公債は、税収及び税外収入等に加えて建設公債発行してもなお不足する一般会計歳出の財源に充てるために発行されるものでございまして、特定の経費が直接特例公債発行により賄われている、そういう関係になっているわけではございません。そういうぐあいに理解しております。
  79. 山口哲夫

    山口哲夫君 そのとおりだと思うんですね。  ですから、赤字国債というのは特定のもののために発行するのじゃないんであって、総理のおっしゃるように何か新しく開店、開業するための収入を得るために発行するのじゃないので、何か総理勘違いしていらっしゃるんじゃないかなと思うので、その点よく総理の方に御注意しておいた方がいいんじゃないかと思います。私は、何かもう一つ第三の国債でも発行するのかなと思ってこれを読んだときちょっとびっくりしたものですから、あえてお聞きいたしました。  次に、財政再建審議会の設置についてお尋ねしたいと思います。  久保大蔵大臣が三月二十八日の当大蔵委員会で私の財政再建に関する質問にこういうふうに答えています。「今私が省内に要請をいたしておりますのは、具体的に財政再建のために歳入歳出両面にわたってどのようなことをやるべきか、どういう目標に向かって進めるべきか、こういうことについて検討し、その結果をできるだけ早く提出してもらいたい。」、こう答弁しておるんですが、私は、大蔵省の中で幾ら検討してみても抜本的な財政再建計画というものはなかなかつくれないんじゃないかなというふうに思うのです。  なぜならば、もし本当にできるとするならば、せっかく平成二年度で赤字国債発行をしないで済むようになったんですけれども、その後、確かにバブルの影響があったとはいえ再び十二兆円もの赤字国債発行するようなことは、もし大蔵省で本当に財政再建の計画を立てられるのであればそんなことにはならなかっただろうと私は思うんです。  そこで私は提言するんですけれども、やっぱり総理大臣のもとに歳入歳出全般にわたって総合的に議論のできる財政再建のための審議会を設置いたしまして、具体的な財政再建法の策定の諮問をしてはいかがなものだろうか、私はそう考えます。  実は総理大臣は、同じ四月二十三日の参議院の予算委員会で同じ自民党の阿部議員の質問に対してこう答えております。「現在審議会がたくさんりますから、むしろその審議会の連合体、あるいは会長さんたちに集まってもらい、事務局に集まってもらってでも、壁を越えて議論をしてもらうことを工夫したい。」。財政再建に対して総理がそのような決意を述べておりますだけに、私は、この機会にぜひ総理のもとに財政再建のための総合的な議論ができるような審議会を設けて財政再建に当たるべきだ、こう考えますけれども大臣のお考えはいかがでしょうか。
  80. 久保亘

    国務大臣久保亘君) 最初に、私が先回答弁をいたしておりますのは、これは大蔵省の私は当然の任務だと思って申し上げております。そのことを大蔵省で幾らやっても仕方がないというふうに御否定になりますと、何とも申し上げようがないのでありますが、今、財政の責任を、行政の責任を負っております者たちが、その現状をつぶさに分析をしてなすべき道を考えるというのは当然の仕事であり、むしろ義務でもある、私はこう思って要請をしているのであります。  それから、審議会の問題につきましては、これは私が今そのような審議会をつくるべきだとかつくるべきでないとか、ここでちょっと申し上げるのは困難であると思います。
  81. 山口哲夫

    山口哲夫君 前に議論をしたときに、大蔵大臣財政審議会のことについても触れたことがありました。しかし、財政審議会というのは、どちらかというと歳出面を中心にして今後財政をどうしていくかということを論議していただく、担当は主計局が中心になっていますね。しかし、歳入をどう図っていくかということになると今度は税制調査会、これはどちらかというと主税局が中心になる。  ところが、歳入だけ議論してもしょうがないんで、これから日本の全体像を見たときに歳出をどういうふうにやっていくかということになれば、これは例えば今一番大きな問題、これから大きな問題になります年金問題なんかを審議する社会保障制度審議会というのがあるわけです。それは厚生省が担当をする。そのほかにまだ、じゃ全体の財政をどういうふうに膨らませていくか、日本経済全体をどういう方向に持っていくべきなのか、そういうことになるとこれは経済審議会というのがあるわけです。みんなばらばらにやっているわけです。これでは、日本財政全体をどうしていくのか、特に大変な赤字を持っているわけですから、この財政再建をどうしていくかということの議論にはならないと思うんですよ。  だから、総理がおっしゃるように、いろんな審議会あるから、そこの会長さんにみんな集まってもらって大いに議論してもらった方がいいんじゃないかと直観的に感じたと、こう言っているんですね。ですから、やっぱり総理のその発想というのは私は大事にしていくべきものだと思うんです。  そういう意味で、特に財政を担当されている大蔵大臣として、やはり総理自身がそうお考えのようでございますから、御進言されたらいかがですか、そういうことについて。
  82. 伏屋和彦

    政府委員伏屋和彦君) 今委員が言われました点、総理のお話の点と、もう一つ社会保障制度審議会等の多分野にわたる話があるかと思いますが、一つは、総理が言われました財政について、財政制度審議会それから政府税制調査会、経済審議会、社会保障制度審議会の会長さんたちに集まっていただいて将来を議論していただいたらどうかという意向を持っておられるものと私どもも承知しております。具体的にどうするかということにつきましては、これは総理府とか内政審議室等において検討されるものと思っておりますが、財政当局としてもどのような対応を考えるか相談、検討してまいりたいと思っているわけです。  いま一つ先ほど先生の言われた財政がいろんな多分野にわたるという意味では、財政制度審議会が財政構造改革特別部会を二月に設けてから精力的にやっていただいておりまして、もちろんそこのメンバーは非常に幅広い方々が参加しておられますが、さらにいわゆるこの財政構造改革議論で新しい場を設けるということではなくて、必要に応じて、例えば財政制度審議会と他の審議会との連携をどういうぐあいに図っていくのか、そういうことを図りつつ、財政制度審議会を中心に今精力的にやっていただいておるものですから、それを御理解いただきたいと思います。
  83. 山口哲夫

    山口哲夫君 終わります。
  84. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十二分散会