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1996-04-11 第136回国会 参議院 大蔵委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年四月十一日(木曜日)    午前十時開会     —————————————    委員異動  四月十日     辞任         補欠選任      益田 洋介君     大森 礼子君      志苫  裕君     伊藤 基隆君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         片山虎之助君     理 事                 石川  弘君                 楢崎 泰昌君                 牛嶋  正君                 直嶋 正行君                 梶原 敬義君     委 員                 上杉 光弘君                大河原太一郎君                 金田 勝年君                 佐藤 泰三君                 清水 達雄君                 須藤良太郎君                 西田 吉宏君                 猪熊 重二君                 海野 義孝君                 大森 礼子君                 白浜 一良君                 渡辺 孝男君                 伊藤 基隆君                 峰崎 直樹君                 吉岡 吉典君                 山口 哲夫君    国務大臣        大 蔵 大 臣  久保  亘君    政府委員        大蔵政務次官   山崎 正昭君        大蔵省主計局次        長        伏屋 和彦君        大蔵省理財局た        ばこ塩事業審議        官        宝賀 寿男君        大蔵省銀行局長  西村 吉正君        国税庁課税部長  内野 正昭君    事務局側        常任委員会専門        員        小林 正二君    参考人        日本たばこ産業        株式会社代表取        締役社長    田村 哲朗君        社団法人日本塩        工業会会長   前囿 利治君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○塩事業法案内閣提出)     —————————————
  2. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨日、志苫裕君及び益田洋介君が委員を辞任され、その補欠として伊藤基隆君及び大森礼子君が選任されました。     —————————————
  3. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 次に、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  塩事業法案の審査のため、本日の委員会参考人として日本たばこ産業株式会社代表取締役社長田村哲朗君及び社団法人日本塩工業会会長前囿利治君の出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  5. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 塩事業法案を議題とし、前回に引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 牛嶋正

    牛嶋正君 平成会牛嶋でございます。平成会は一時間質問時間をいただいておりますが、前半の三十分、私がやらせていただきます。  昭和五十九年に、これまでの日本専売公社が改組されまして日本たばこ産業株式会社移行いたしました。そのとき、たばこについては専売制度が廃止されたわけでありますけれども、塩の専売制度はそのまま存続させるという決定がなされました。恐らくその理由といたしましては、まだ塩については専売制度の廃止のための条件といいますか、環境が整っていないというふうな判断であったと思います。  その条件とか環境については、そのとき制定されました改正塩専売法の第一条に二つ条件が掲げられていると思います。塩の需給及び価格の安定の確保、これが第一の条件。いま一つは、国内塩産業基盤強化であったかと思います。ということは、今回塩の専売制度も廃止して市場メカニズム移行するということは、この二つ条件が大体整ったというふうに見てもいいのかなというふうに思いますけれども、その点について大蔵省はどんなふうにお考えになっているのか、まずお聞きしたいと思います。
  7. 久保亘

    国務大臣久保亘君) 塩専売法は、塩の需給及び価格の安定を確保するとともに、あわせて国内塩産業基盤強化することを目的とした法律であることは、今、牛嶋さんから御指摘がございましたとおりでございます。  これらの改正に当たっての条件整備されたのかということでございますが、塩事業法では、良質な塩の安定的な供給確保我が国塩産業の健全な発展目的としておりますけれども、今後努力をしてまいらなければならない問題も多くあると思っております。  塩の需給及び価格の安定につきましては、大蔵大臣需給見通しを策定、公表することによりまして間接的に需給及び価格の安定を確保するとともに、塩事業センターが離島・過疎地を含め塩の安定供給を行うこととしておりまして、引き続きこれらの問題に配慮をしてまいりたいと思っております。  また、国内塩産業基盤強化につきましては、これまで国内製塩企業コスト削減卸売業者再編整備による経営規模拡大等を進めてきておりますことに加えまして、塩産業自立化達成のため、平成十三年度末までの間、所要経過措置及び塩事業センターによる助成措置を講ずることといたしておりまして、経過期間内に塩産業自立化が可能になるものと考えて今回の法律を提案いたしているところでございます。
  8. 牛嶋正

    牛嶋正君 この二つ条件について、私なりに塩の特性などを勘案いたしまして検証させていただきました。この二つ条件を中心にきょう御質問をさせていただきたいと、こんなふうに思っております。  昭和六十年から平成六年までの十年間の塩の需給推移を見てまいりますと、一般用それからソーダのための塩に分けて、一般用昭和六十年を一〇〇といたしますと、平成六年は一〇四・八であります。もうほとんど非常に安定した需給推移を示しているように思います。ソーダ工業用も、やや一般用よりも伸びておりますが、それでも十年間で指数で申しますと一一四ということですから、これも非常に安定した推移を示しているのではないかと思います。  供給の方も、国内生産で見てまいりますと、昭和六十年を一〇〇といたしまして、平成六年は一〇四・九でありまして、これも非常に安定した推移を示しております。  一方、価格の方を見ますと、家庭用塩で見て、昭和五十六年三月から次に行われる価格改定まで十一年経過しております。平成四年に家庭用塩消費者価格が改定されておりますけれども、それでも平均いたしまして二四%のアップということですから、この価格推移もやはり非常に安定した推移を示していたというふうに見ることができます。  しかし、私は、それだけで先ほど申しました条件が整いつつあるとは言えないのではないか。と申しますのは、これこそ専売制度がそういった安定化を誘導してきたというふうに見なければならないからであります。  塩の特性、これにつきましては先回のこの委員会におきまして楢崎先生からいろいろ御説明がありました。私たちの食生活にとって欠くことのできない必需品でありますけれども、これを経済学的に表現いたしますと、こういった必需財というのは価格に対して弾力性がゼロなんですね。言うならば需要曲線というのは垂直であると。垂直の需要曲線を描くわけであります。  したがって、この前も議論ありましたけれども価格が引き下げられても需要は伸びないわけであります。恐らく専売制度から自由経済移行いたしますと供給曲線の方は下へ下がるでしょう、押し下げられるでしょう、競争によって。恐らく、流通機構の見直しとかあるいは塩の保管管理の面でのシステム改善とか、そういうふうなことで供給曲線は引き下げられると思います。  そうしますと、先ほど申しましたように需要曲線は垂直ですからどういう結果になるかというと、価格だけが下がって、そして需要は伸びないわけであります。そうしますと、全体の売り上げ合理化をすればするほどどんどん下がっていく、減少していく、こういう非常に大変な性質を持っているわけですね。  そういう意味では、こういった必需財の場合、そして需要曲線が垂直な形をとる場合は、自由化といいましてもなかなかなじまない。と申しますのは、合理化をすれば売り上げが減るわけですから、なかなかインセンティブもわいてこないということになります。  そういう状況のもとで、恐らく流通機構の中で今の元売業者卸売業者、ここのところで大変な淘汰が行われるのではないかなというふうに私は思っております。そのためにいろいろな経過措置を設けておられるわけですけれども、しかし、塩が持っている先ほど申しました需要曲線が垂直であるというこの性質は変わらないわけでありますから、したがって、こういった経過措置を設けたといたしましても、かなり供給側に大きなダメージが加わるのではないかというふうに思いますけれども、その点についてどういうふうにお考えになっておりますのか、きょう日本たばこ産業からお見えいただいておりますけれども、お答えいただければというふうに思います。
  9. 田村哲朗

    参考人田村哲朗君) ただいま先生指摘の点でございますが、確かにこの十年間、需給見通しを見てまいりますと、大変安定的と申しますか、需要量供給量とも大幅に伸びるということはございませんで、大変堅調な伸びの推移をしてきておるところでございます。  おっしゃいますように、塩というのは価格弾力性がゼロだという御指摘でございましたけれども、所得がふえれば買う量がふえる、あるいは値段が下がれば買う量がふえるという商品ではないと私どもも思っておりまして、そういう意味では弾力性が大変低いというふうに言わざるを得ないのかなというふうに思います。  今先生指摘のように、そういう商品が新しい自由化という状況の中に入ってまいります場合に、供給側の方に売り上げダウンというふうなことで大変プッシュがあるのではないかというふうな御指摘でございますが、そういうこともあろうかというふうに私どもも思っております。この辺ははっきり申し上げることはちょっとできないわけでございますが、そういう可能性がなきにしもあらずというふうなことは考えておかなければいかぬだろうというふうに思います。  したがいまして、メーカー側でございますし、あるいは卸・流通側でございますが、それぞれが相当なやはり合理化等をやっていかなければいけないだろうと思いますし、新しい商品開発に対する工夫みたいなこともやっていかなければいかぬだろうというふうに思っております。  今回、特に製塩メーカーは、これから輸入塩価格競争をしなければいかぬというふうな事態を直接迎えるわけでございまして、何とか合理化をして価格の引き下げというふうなことをやりながらそういう波を乗り切っていこうというふうに考えておりますし、卸につきましては、先ほど大臣の方から御指摘もございましたけれども規模拡大と再編成ということを通じて、できるだけそういう状態になってもやっていけるようにというふうなことでこれまでも指導をいたしておりますし、これからもぜひそういうことでやっていっていただかなければいかぬのじゃないかなというふうに思っております。  幸い、今回の事業法の中で助成措置も講じられるというふうなことでございますので、そういうことも大いに活用しながらそういうことをやっていくということだろうと思っております。
  10. 牛嶋正

    牛嶋正君 そういう意味では、少し時間がかかってもやっぱり慎重に進めていっていただきたい、こんなふうに私は思っております。  と申しますのは、やっぱり塩産業というのは非常に伝統的な産業でありまして、それぞれの地域におきましては地場産業としての性格も持っておりますので、そういうことでできるだけ慎重に、時間をかけても移行を進めていただきたい、こんなふうに思います。  次に、国内塩産業基盤強化でございますけれどもたばこ産業株式会社から出されております塩専売事業の概要、平成七年度版をちょっと読ませていただきました。日本塩産業歴史が記述されているわけでございますけれども、その歴史を読ませていただきますと、塩産業基盤強化というのは、これは非常に歴史的に見ましても延々と明治時代から続いているのではないかというふうに思いました。  中でも、第四次というふうに呼ばれておりますけれども昭和四十五年から四十六年にかけての整理統合では、今の塩生産業者七社の体制がつくられたわけです。そしてそこでは、これまでの塩田製塩を全部廃止いたしまして、日本開発されましたイオン交換膜製塩法というのが全面的に取り入れられたわけです。それによりまして生産コストは飛躍的にダウンをいたしました。言いかえますと労働生産性は飛躍的に増大をしたわけです。私は、この段階で一応塩産業基盤強化された、こういうふうに見ているわけでございます。  ところが、先ほど申しました改正塩専売法では、自立化めどが得られてから移行考える、こういう附則の条項がございます。ですから、その点についてはまだ国内塩産業基盤強化条件は整っていなかったというふうに解釈されているわけでありますけれども、この自立化めどなんですけれども、そのとき具体的にどういうふうな目標値が設定されていたのか、これについては大蔵省にお尋ねしたいと思います。
  11. 宝賀寿男

    政府委員宝賀寿男君) 国内塩産業基盤強化をこれまで進めてまいりましたが、かつて議論されましたときには、まだ相当程度内外価格差があって国内塩産業自立化めどが立ちにくいというような形で理解されておりましたが、現在では内外価格差は、かなり粗い試算もございますが、トン当たり千五百円程度まで縮まってきているというふうに承知しております。  今回提案しております法案におきましては、平成十三年度末までの間、所要経過措置及び塩事業センターによります助成措置を講じてまいることとなっておりまして、そういった措置等を通じまして、経過期間の中で塩産業自立化が可能になるというふうに展望しているところでございます。
  12. 牛嶋正

    牛嶋正君 今の御説明ですと、現在、国内生産が百四十万トン、それから輸入が七百五十万トンでありまして、世界各国の中で日本が一番自給率が低くて一五%なんです。少なくともこれを維持したいというふうなことだろうと思うのでありますけれども、なお内外価格差トン当たり千五百円の価格差があるということは、これは大変な努力をしなければなかなか埋められないのではないかなというふうに私は思っております。  と申しますのは、先ほども申しましたように、これまでイオン交換膜開発それから改良、もうかなり生産性を高めるための努力をされてきているわけでありまして、技術的に見ましても非常にもう限界に来ているのではないかなというふうな気がするからであります。  もう一段の努力をということになりますと、幾つかの検討項目が上がってくると思いますが、その場合に問題になりますのは、今の国内塩生産生産コスト構成比がどうなっているのか、その構成比の中で最も大きなウエートを占めているものについて、やっぱりそれを引き下げる努力をしていかなければならないと思うのでありますけれども、こういうデータがあればちょっとお示し願いたいと思いますが、今仮にその構成比の私が考えます大きな項目といたしましては、まず人件費、それからその次は利子等を含む資本費、そして燃料費、それから減価償却費輸送費、そしてその他というふうに分けた場合に、それぞれの費用項目構成比というのはわかりますか。もしわかれば教えてください。
  13. 田村哲朗

    参考人田村哲朗君) 概略で恐縮でございますが申し上げたいと思います。  現在私どもの方で、塩の標準的な塩種と申しますか、並塩というふうに申しておりますが、並塩の二十五キロ包装でございますが、これを現在トン当たり一万四千八百円で買い入れております。この金額はほぼコストに見合うというふうにお考えいただいてよろしいかと思いますが、今先生指摘のように大体五つの費用項目に分かれるかと思っておりますが、一つ労務費でございます。それから一つエネルギー費でございます。それから一つ経費、それから材料費、それから減価償却費等資本費、大体このくらいに分かれると思いますが、大ざっぱに申し上げまして三千円ぐらい、ほぼ同じようなウエートで、それぞれが大体二〇%二〇%というようにお考えいただいたらいいんですが、その中でもやや高いのは労務費でございます。  以上でございます。
  14. 牛嶋正

    牛嶋正君 労務費がやや高いということでございますが、やはりこれを下げていくということになりますとリストラの問題が当然出てくるわけです。もう一つはやっぱり技術開発によりまして省力化を一層進めるということもあろうかと思いますが、いずれにしましてもリストラを避けることはできません。  また、先ほどの中で同じようなウエートを占めているとおっしゃいました燃料費につきましても、これもやはり技術開発を伴うものだと思います。しかしこの技術開発というのは、これは大変な努力をいたしましてもその成果は必ずしも期待どおり出てくるわけではございません。しかし、今の塩生産七社を見ますと、規模的に申しましても研究費に大きな投資をするというふうな余裕はないように思います。そうしますと、この技術開発の点についてはどこかでやっぱり面倒を見ていかなきゃいけないんではないかなというふうな気がするわけです。  もう一つ輸送費でございますけれども輸送費につきまして問題になりますのは、これは工場のアロケーション、配置の問題。今見てみますと、どうもやっぱり西に偏っておりまして、特に瀬戸内海に集中しているようで、五社集中しています。東は福島に一社ということでございます。恐らくこの工場の今の配置というのはこれまでの塩田製塩のときの、やはりそこで行われてきたのが吸収されながら今の生産体制になっていった歴史的な経緯があっての話だと思うんです。しかし、イオン交換膜製塩法では、これはもう日照時間なんて問題ないわけでありまして、海水さえあればいいわけであります。したがって、全国的に輸送費考えて最も合理的な工場配置というふうなものも考えられるわけでございますけれども、その点については今この経過措置の中でどんなふうにお考えになっておりますのか。二点についてちょっとお尋ねをいたします。
  15. 宝賀寿男

    政府委員宝賀寿男君) 国内の塩の生産につきましては、先生お話しありましたように、まずイオン交換膜の製法が昭和四十七年に導入されて以来さまざまな形で合理化が進められてきておりまして、その中で、塩分の濃縮技術向上とかあるいは単位当たり消費電力低減等々、さまざまな形で技術革新を進めてきておりまして、今後とも高性能の新型のイオン交換膜技法が導入できるのではないかというふうに見込んでおりますので、今後ともさらに経費削減のために努めてまいりたいというふうに思っております。  そうした技術開発のためには、今後ともさまざまな形で製造技法開発していかなければならないということでございまして、これにつきましては、塩事業センターの仕事の一つとして塩産業関係調査研究というものもございますので、それら等を通じて進めてまいりたいというふうに思っておるところでございます。  それから、塩の輸送費でございますが、現実にかなりのウエートを占めておりますが、これまで国内塩配達効率向上ということでその低減に努めてきております。経過期間におきましては、塩卸売業者物流拠点整備等を助成することにしておりまして、さらに一層効率的な整備というものを進めてまいりたいと思っております。  今、製塩業者は全国に七社ございまして、瀬戸内地方に五社というふうに固まっておりますが、今申し上げました物流拠点整備等を通じて配送効率をさらに高めてまいりたいというふうに思っております。
  16. 牛嶋正

    牛嶋正君 これは質問というよりも私の希望を申し上げたいのでありますが、その技術開発のときに一つ考慮していただきたいのは、燃料費といいますか、あるいはエネルギー消費というものもできるだけ抑えていただきたいということであります。  と申しますのは、地球規模環境問題を考えますと、今、日本輸入しておりますメキシコとかあるいはオーストラリアの製塩方法というのは天日製塩ですね。これはもうほとんどクリーンな太陽熱を利用しての製塩であります。化石燃料はゼロに等しいのではないかというふうに思います。そうだといたしますと、地球規模で見てみた場合に、やはりそういったクリーンなエネルギーを使って塩を製造していくというのが望ましいわけでありますので、我が国におきましても国内産業の育成ということがございますけれども、あわせてそういった環境問題も考えながら技術開発をしていただきたい、こういうことを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
  17. 海野義孝

    海野義孝君 平成会海野でございます。    〔委員長退席理事石川弘着席〕  本日は、塩工業会さん、それからたばこ産業さんからも御多忙のところをおいでいただいておりまして、大変ありがとうございます。後ほど一、二お伺いさせていただきたいと思います。  これまで、一昨日の楢崎先生、それから今の牛嶋先生から塩産業につきましてはぼ全般にわたりましての御質問、また、それに対する政府初め皆様方からの御回答をいただきましたので大体理解できるわけでありますけれども、私の持ち時間の範囲で、若干重複するかもしれませんけれども質問をさせていただきたいと思います。  これまでこの塩専売法というのは大変長い歴史があったわけでございますけれども、今般、約五年間の経過措置経過期間を置く中で、いわゆる市場メカニズムに依存する、そういった方向へ移るわけでございます。これには業界自体自立化への御努力、あるいはまた今一般のいわゆる規制緩和あるいは行革、こういった一連の流れの中で、今回、塩産業につきましても新しい制度へ踏み切られるという大英断をなされるということかと思います。  そういった中で、今回のこの新しい法案によりますと、これ四十一条あるかと思いますが、それに対して附則として大変長いたくさんの条文があるということから見ましても、なかなかこの新しい制度への移行ということは容易ではないというように私は思うわけでございます。そうした中で、できるだけ公的な関与というものは最小限にするというようなことも言われておるわけでございますが、今回専売制度から原則民営化されるという中で、政府の役割について具体的に少し御説明いただきたいと、このように思います。よろしくお願いします。
  18. 宝賀寿男

    政府委員宝賀寿男君) 今回の制度改定目的でございますが、これまで塩専売制度は塩の安定供給に大変寄与してきたところでございますが、    〔理事石川弘退席委員長着席〕 一方で、塩の製造輸入流通を包括的に管理するシステムであるということで、規制が強く、市場原理が働く余地が少ないということで、そのために塩産業構造改善、ひいては産業発展を阻害する要因にもなっているという指摘もあったところでございます。  そのために、市場原理に基づく構造改善を進めることにより、国内塩産業の一層の発展に資するということと、多様な消費者ニーズに適切に対応することが可能となるよう、塩の安定供給のための所要の措置を講じたというところでございます。  公的な部分につきましては極力少なくして、市場原理に基づくような形で対応していきたいというのが趣旨でございますが、一方で、専売制度が果たしてきた安定供給という点につきましては十分に配慮するとともに、経過期間中に穏やかに移行できるように政府としても見守ってまいりたいというふうに思っております。またその中で、塩需給見通しというものも含めまして、間接的に需給及び価格の安定を図るための措置も考えているところでございます。
  19. 海野義孝

    海野義孝君 そうした中で、実はちょっと気になるわけでございますけれども、現在の塩専売法附則第二条です。そこでは、先ほど牛嶋先生もお触れになりましたけれども、「自立化の目途が得られた段階で、この法律について検討を加え、必要に応じ所要の措置を講ずる」、こういうことであります。いわゆる経過措置を講じ、そうした中で今回そういった原則自由化の方向へ踏み切るということになりますと、要は自立化めどが得られたかどうか、あるいはいつごろ得られるかというような点についてもうちょっと突っ込んでお聞きしたいんですけれども、この五年間の経過措置で完全に自立化の目途が立つというように見て今回踏み切られることになったということですか。
  20. 宝賀寿男

    政府委員宝賀寿男君) 先生指摘のように、大変今回の法案につきましては経過措置関係の附則が多いということで、これは穏やかに経過措置をとることによりまして制度移行をさせていきたいということでございますが、その中で、消費者に対する激変緩和ということと、国内製塩業者卸売業者等に対しての自立化達成のための経過措置というのも設けているわけでございます。  国内塩産業自立化というものにつきましては、内外価格差解消に向けてのメーカーに対する援助、助成、それから卸売関係につきましては物流拠点整備等経過措置考えておりまして、そういった経過措置を適切に実行していくことによりまして、もちろんそれぞれ関係業者の自助努力というのもございますが、そうした中で自立化達成が行われるんではないかというふうに展望しているところでございます。
  21. 海野義孝

    海野義孝君 よくわかりますが、現在の専売制度におきましては、価格需給の安定、これに大変貢献してきたということはこれまでの議員の方々の御質問の答弁でもわかります。ただ、今回のこの法案では、安定供給確保ということについては第一条でうたわれているわけでありますけれども価格の面につきましては特に触れられていない。これは、これまでの専売法からそういった市場のメカニズムにゆだねるということかと思いますけれども、何せ価格硬直性が強いものですから、価格が下がって、それによって需要がふえることによって関係の業者の方々の収入の面が保証されるというか、安定した移行ができるということには必ずしもならない、そういうように思うわけであります。  そういった点で、今後の新しい制度では、塩の価格、これは具体的にはどういうような設定というか、公的にその辺について指導とか関与されるかということをお聞きしたいと思います。
  22. 宝賀寿男

    政府委員宝賀寿男君) 塩専売制度のもとにおきましては、政府は塩の製造輸入流通等を包括的に管理していまして、その中で塩の価格というのも政府の関与のもとに決定されてきておりまして、かなり安い値段になってきているというふうに承知しておりますが、この価格決定におきまして政府の関与を廃止するということは、原則自由の市場構造に転換するということで、塩の価格は原則として市場原理にゆだねられるということになるわけでございます。  しかしながら、塩は国民生活に不可欠な代替性のない物資であるということでございますので、今後とも塩の需給及び価格の安定ということについては鋭意注意してまいらなければならないというふうに承知しております。その中での措置といたしましては、大蔵大臣が塩需給見通しを策定、公表するということによりまして間接的に需給の安定、ひいては価格の安定というものに資するように努めたいと存じますし、特に生活に密接な関連のある生活用塩の供給につきましては、塩事業センターというものを予定しておりまして、この塩事業センターが良質の塩を安定した価格供給するというふうに考えておりますので、こういった措置等を通じて価格の安定ということを図ってまいりたいと存じております。
  23. 海野義孝

    海野義孝君 その価格の面でもうちょっとお聞きしたいんですが、現在はたばこ産業さんが、元売さんに対しての塩の売り渡し価格、これは大蔵大臣の認可を受けて全国一本立てで決めていらっしゃると。さらに元売人から直接の消費者あるいは小売人に対しての販売価格、また一般消費者への販売価格についても大蔵大臣の認可を受けて公告されていると、こういうことであるわけです。さらにまた、会社の売り渡し価格にまたその会社の決めた手数料あるいは運賃を加えた額が販売の上限価格となっていると、また大口の消費については割引制度があると、こういうふうなことなんで、大変そういった面では、需給面での安定ということと同時に、価格面についても大変な配慮をされているということです。  これが、市場の原理というか、そういった方向に行く場合に、果たして価格が安定した形で供給できるかと。これは消費者の場合もそうですし、あわせて業界の方々についても安定した経営というか、もちろん今後努力をされていかなくてはならないということはあるんですけれども、そういった中でも、今までのそういうふうにガードされた部分が一気に取り払われた場合に、今後の価格というものがどういうふうになっていくかという点が大変心配なわけなんで、その辺については特に問題がないか、その点をちょっとくどいようですけれどもお聞きしたいんです。いかがでございますか。
  24. 田村哲朗

    参考人田村哲朗君) ただいま先生指摘価格の安定の問題でございますが、私どもの方は、今回の新法下の新しい仕組みに移りましてもそう大きな価格変動がなくいくんではないかというふうに見通しております。  その一つの理由といたしましては、御存じのように経過期間というのを設けていただいております。その中で、その五年間の間は流通のルート規制というのが従来とそんなに変わらない形でやらせていただけるということになっております。そういうことによりまして、そう混乱もなく流れていく、価格の方も流れていくというふうに一つは思います。  それからもう一つは、先ほどもちょっとお話が出ましたけれども、生活用塩というのが流れるわけでございまして、生活用塩につきましては、今度新しくできます塩事業センターが全国の販売店の皆さん方に、言ってみれば同じお値段で売り渡しをするということになってございます。そういう意味では、中身的にはその部分が一つの基準になろうかと思いますので、そんなに大きく消費者にお渡しになる価格が変わらないだろうというふうに思っていることでございます。  それから三点目でございますが、これも経過期間にかかわるわけでございますが、経過期間は従来の専売塩も、徐々に少なくなっていくとは思いますが、並行して自主的に流れる塩と一緒に流れることになってございます。そういう意味では、その辺の価格というのは従来の専売塩を踏襲したような形で流れてまいりますので、その辺がやっぱり価格に影響してくるんではないかというふうに考えております。  総体的に申し上げますと、以上三点でそう大きな価格の変動はないだろうというふうに考えております。
  25. 海野義孝

    海野義孝君 今のお話である程度安堵しますけれども、今お話しの中に出てまいりました塩事業センター、これは大変重要な役割を今後果たされていくというように思うんですけれども、民営化によりまして、現在のたばこ産業さんの中の塩専売事業本部の業務というもの、またそこに相当数の人を抱えていらっしゃると思いますけれども、そういった方々は具体的にどうなっていくのか、現在の事業本部さんの業務と塩事業センターさんの業務との関係、その辺について少し御説明いただきたいと思います。
  26. 田村哲朗

    参考人田村哲朗君) 私ども塩専売事業本部、日本たばこの中にございますが、現在約五百人の社員で運営をいたしてございます。今回新しい法律が成立をいたしますと、来年の四月一日をもちまして私どもの方は組織をなくすといいますか、やめるというふうに考えております。  今回、こういう新しい仕組みに移りますが、昭和六十年、専売改革によりまして専売公社から御存じのようにたばこ産業株式会社に改組をしたわけでございます。そのときに塩専売事業につきましてはたばこ会社の方でやるということになっておりますけれども、中身的には、先ほども指摘がございましたように、自立化の目途がついた段階で検討するということになっておりまして、言ってみれば、暫定的に日本たばこの方でその時期までやるというふうに理解をいたしております。そういう意味からも、私どもの方としては民間の事業の皆様方にお任せをしていくということがいいんではないかというふうに思っているわけでございます。  また、塩事業センターが新しくできます。塩事業センターにつきましては、制度改革が円滑に進みますように、制度改革の当初には私どもの方の社員が、言ってみれば知識と経験を持っているということもございまして、塩事業センターの必要に応じまして出向等で対応するというふうなことはあろうかと思っております。  しかし、私どもの方の専売事業本部の社員につきましては、我が社全体の中で配置転換等によりまして対応していくというふうに考えております。  以上でございます。
  27. 海野義孝

    海野義孝君 そうしますと、現在の事業本部の抱えていらっしゃる方々についての雇用の問題については特に問題はない、心配はないということでよろしゅうございますか。
  28. 田村哲朗

    参考人田村哲朗君) ただいま申しましたように、私どもの方のたばこ等の、塩以外の部門の中で吸収をしていく、対応していくというふうに思っているところでございます。
  29. 海野義孝

    海野義孝君 次に、塩工業会の方がおいでになっていらっしゃいますので、一、二お教えいただきたいと思います。  実は、先般、副会長さんにお越しいただきましてちょっと勉強させていただいたわけでありますけれども、そのときお聞きできなかったこと等も含めてちょっとお教えいただきたいと思います。  先ほどから、いわゆる新制度になりましても塩の需給関係の安定、価格についての安定化を極力図っていくと、こういったお話がありましたけれども、やはり気になるのは、自立化するということでこれまで業界を挙げて御努力されてきていることだとは思いますけれども、一応この五年間の間に、いろいろ助成等も受けながら、さらに合理化あるいはそのほかを進めていくというように伺っているわけでございますけれども、将来に向かって競争が大変激しくなっていくと。現に、新しい制度移行するというようなことが起こってきた過程におきまして、元売人の方あるいは小売関係等においても、業界の中で整理統合といいますか、そういった動きが始まっているやに聞くんです。専売権を有し、そうした中で保護されてきた業界が、言うならば裸になって競争していくという時代がやがては来るわけで、当面その過渡期に差しかかるということであります。  そういった中で製造とか販売、販売については卸それから小売、こういった関係に携わられる業者の方々の経営上の問題、こういった点がやっぱり心配になるんですけれども、その辺はスムーズに新しい制度移行していく過程で具体的にどういつだ対策を今後進めていかれるか。これまでもいろいろ御努力されていると思うんですが、この五年間という経過措置の中でのことについて少しお教えいただければと思います。
  30. 前囿利治

    参考人(前囿利治君) お答えいたします。  今までは、塩の業界というのは近いうちに競争市場に直面するな、これに備えて頑張らにゃいかぬなという頭の中で描いていた競争市場が、この法律が通ったことによって今度は現実に競争市場に直面する、こういうことが大きな変化でございます。そこで、生産者にしても卸にしても小売にしても、大変厳しい解決を迫られる問題に直面する、こういうことになるわけでございます。  生産で申し上げますと、輸入塩国内塩との競争コストの差というのがございますが、これを頑張って埋めなきゃならぬというテーマが一番大事なテーマでございます。このテーマを片づけていくには、工場コスト合理化をする、そのためには思い切った投資をする、それから場合によっては企業の統廃合ということも避けて通れぬかもしれぬと。それからまた、イオン交換膜の性能のいいものを開発して導入していく、こういうことも必要になってきます。それからまた、七社で共同をして、物流の共同化というふうなことで物流費の節減もやっていく、こういった難しい問題を解いていかなきゃならないということになります。  それから卸の場合は、今までどの企業も零細規模で非常に基盤が弱いという状態がありましたので、今度はこの規模拡大、それから基盤強化ということが重要なテーマになってくると思います。  そこで、既に始まっておりますけれども、企業の統廃合というふうなこと、それからまた元売企業の協業化というふうなことを進めていきながら、流通拠点同士の情報ネットワークを整備していくとか、倉庫を整備していくとか、こういった課題を解決していかなきゃならぬという状況でございます。こういった問題は、口で言うと簡単ですけれども、実際実行するというのはなかなか難しい問題でございます。  そこで、業界としては一生懸命自助努力をしながら、この法案の中に入っておりますような経過措置、こういうものをその自助努力としっかり結びつけて頑張っていかなきゃならぬという覚悟をしているところでございます。五年間でこれだけの宿題をきちっと片づけられるのかなという心配がないわけじゃありませんけれども、そんな心配をするよりも、まず一生懸命頑張ってみるしかないなと、そういうことで取り組んでいかなきゃならぬというふうに思っております。  それから、小売さんの場合ですね、これは小売店さんの商売の中で塩の占める割合というのは非常に小さいですから、商売自身としてはそう大きな問題があるわけじゃありませんけれども、十一万店の小売屋さんが今一本の組織になっておりますが、これを支えているのは、国の専売事業を支えているなという誇りと意識が支えになってこの十一万店の組織維持が守られているわけですが、この専売がなくなることによってその辺の組織維持がぐらぐらすると、せっかくおっしゃっている生活用塩の安定供給にもこれは支障を来しかねませんので、この辺は組織がぐらぐらしないように、特に公的法人といいますか塩事業センター大蔵省あたりでその辺をよくケアしていただいてやっていく、こういうことを望みたいなというふうに思っております。  大体そんなことでございます。
  31. 海野義孝

    海野義孝君 大変ありがとうございました。  確かに今、元売が約八十社ぐらい、小売は十一万前後というようなことで、規模も大変小さいということですけれども、今までは一定の販売手数料といったものが、保障されていたと言うのはどうかと思いますが、小売価格の中に加えられていたということで、それなりにそういった業者の方も努力をされてこれまで来たと思いますけれども、やはり今後は、政府また業界として大いにそういった助成措置等も講じながら、自立化に向かっての努力をこれから五年間の経過措置の中で続けていただきたいと。  私は、消費者にとっても、新しい制度によってニーズの多様化に対応した製品の供給ができると同時に、一方では、業界に携わっている多くの業者の方々が安定した経営を続けていかれるように政府としても格段の配慮を今後経過措置の中で講じていただいて、やはり新しい市場に依存するということでありますから、当然技術革新あるいは徹底した合理化等を行っていくわけですが、そういったものがスムーズに進み、そして約百年の専売制度からこの新しい制度移行することによって結果的によかったということになるように、ひとつ関係の方々の御努力をお願いするということを申し上げて、私の質問にさせていただきます。  ありがとうございました。
  32. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 私は社民党の梶原でございますが、これから質問をさせていただきたいと思います。  塩専売事業のもとで、これまで長い間国民に安定して塩を供給していただきました関係者の皆さんや従業者の皆さんにこの際心から敬意を表したいと思います。参考人としておいでいただきました日本たばこ産業株式会社田村社長さん、社団法人日本塩工業会会長の前囿利治さんには、これから質問を若干することになると思いますが、よろしくお願いをいたします。  時間がありませんからポイントだけはしょって質問いたしますが、この塩専売事業を廃止することによりまして、いろいろ答申等も出ておりますが、国民に対してそれは一体どういう影響を及ぼすのか、メリットは一体あるのかないのか。私は、中卸をしている人たちに一体消費者はどうなるのかということを聞いてみましたら、大きな需要者、例えばみそ、しょうゆ、漬物とか、大きな消費者というか需要者に対しましては、恐らく価格はこれからこれによって下がってくるだろうと、そして中小の皆さんの価格というのはむしろ上がる傾向が将来出てくるのではないかと。家庭は一体どうなるのかというと、家庭はむしろ将来は上がる傾向になるのではないか、こういう感じも承ったんですが、大蔵省はその辺はどのようにお考えか、国民に対するメリットは一体あるのかないのか、最初にお伺いします。
  33. 宝賀寿男

    政府委員宝賀寿男君) 今回の改革によります国民への影響でございますが、現在の塩専売は財政専売ではなく公益専売という形で行われておりますので、価格としては、高い価格を維持しているというわけではなくて、むしろ相当安い形で推移してきているというふうに承知しております。  この価格の今後の動向については、予測の困難な部分がございますが、塩事業センターを通じて安定的に供給するということで、価格については余り大きな影響がないんではないかというふうに思っております。むしろ消費者のメリットとしましては、今までの限られた規格の塩から、多様な消費者ニーズに即応した商品というのがさまざまな形で生み出されるんではないかというふうに期待しているところでございます。
  34. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 なかなか難しい問題ですから、この程度にして次に移ります。  国内製塩業者、これは昭和三十五年当時は製造場数が三十六カ所、従業員総数が四千四百四十一人が、現在では七社、千百四十八人。非常に合理化というか国際競争にさらされて大変厳しい状況になっていると思うんです。前囿参考人にちょっと教えてほしいんですが、七社各社の経営状況というか、例えば累積赤字があるのか、あるいは経営内容はまあまあいいところいっているのか、その辺のことをお伺いをしたいというのが第一点。  それから、残る千百四十八人のこの人たちの雇用問題ですね、私も民間の出身で労働組合のそんな仕事もしておったものですから、こういうときに働く者のことが本当に心配になるんですね。この人たちの雇用確保の問題、この二点についてお伺いしたいと思います。
  35. 前囿利治

    参考人(前囿利治君) お答えいたします。  七社の経営内容でございますが、七社の年間の経常利益は約三十億足らずぐらいでございまして、割に今のところ順調にいっているという状況でございます。  それから雇用の確保の問題でございますが、製塩企業の雇用を確保するにはどういう手があるかと。これは端的に申し上げますと、これから競争市場の中で製塩企業が頑張って生き延びていく、これが雇用確保の一番の基本かなと、そういうふうに思います。  そこで、生き延びていくためには私は三つのポイントがあるかなというふうに思います。一つは、製塩企業が持っている限りの知恵と汗を絞り出して合理化努力をやっていく。その場合には、もちろん本体の合理化も当然ですけれども、輸送の合理化とかあるいは新規事業の開発とか、そういうことも含めて精いっぱい合理化努力をしていく。もう一つは、その際に従業員の方々の理解と協力を得るように全力を挙げて努力する、これが二番目かなと思います。三番目が、こういった企業の経営努力と、それから今度の法案の中にありますような経過措置、こういうものを密接に結びつけて、結局は競争力を高めて製塩企業は生き延びていく。これが雇用確保の大事な点ではないかなと、そういうふうに思っております。
  36. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 どうもありがとうございました。ぜひ頑張ってください。  次に、今七十六社あります卸業者ですね、この辺は大体どのように推移するというように見られておられますか、前囿参考人
  37. 前囿利治

    参考人(前囿利治君) 私、まだ元売の方に直接タッチしておりませんので定かなことを申し上げられないんですけれども、現に企業の統廃合というのを進めております。それからまた、統廃合じゃありませんけれども、個別の元売さんが協業化して協業組合をつくるというようなことで、これは現に発足を見ております。だから、そういった合併、統合をした企業、それから協業組合になる協同化、そういったものを魂を入れてスムーズにやっていくということが大事かなと思いますが、この元売の統廃合というのは、ことし一年間はまだ共助金の支援をするということも続いておりますので、もっともっと進むのではないかなと。だから、五年間という残された期間に一生懸命みんな自立化を目指して頑張っていくということになるのではないかなと。心配なところもありますけれども、それを頑張っていくしかないなというふうに思っております。
  38. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 答弁要りませんが、大蔵省にお願いをしたいんですが、元売の関係もこれは非常にまた厳しくなると思いますので、これは企業はもちろんでありますが、従業員のことについても配慮をするようにぜひ要請をしたいと思います。  次に、塩事業センターのことについて承りますが、最初に塩事業センターの資産額、これが昭和六十年度当時は三百七十億円、塩の方にいただいた資産が、七年度末で九百六十七億円、約一千億近く想像以上にお金を持っておられるのを承りまして、実は結構なことだなと、このように思っております。ただ、これはどうして三百七十億が一千億近くに膨らんだのという疑問を最初に持ちました。承りますと、一つは運用益の面が恐らくあったんだろうと。それから若干経営努力もあって、いわばしかし売り買いでこの差が出るわけですから、そういう点では国民から集めた、売ったお金が相当残ってきた、このようなことだろうと思うんですね。  この資産、これをこれからどのように使っていくのかというのが問題で、法律の中にはいろいろと指導しそして援助すると、こういうところまでしか書いてないわけです。いろいろと聞いてみますと、この一千億をどう使うかというのは、一つは助成の方に幾ら持っていくか、それから生活用塩の確保に幾らこれを使っていくか、もう一つは研究開発事業に幾ら使うかと、こういうようなことのようですが、これは全部大蔵大臣が知っておきやいいことだ、国会はそこまでという法律になっておるんです。  法案を審議するときに、我々いつも大枠だけして、あとはもう役所がやりますよというような形ですから、信頼がないというわけじゃないんですが、もう少しここら辺は、法律を出すときにあるいは整備をするときに、国会で審議をする一千億からの財産、これはやっぱり税金をかけないでたまった金ですから、これはいわば国費に近いようなものですから、ここは一つ非常に大きな今後のポイントになると思うんですよ。その辺について、今いろいろなことを申し上げましたが、担当の方から答弁をしてください。
  39. 宝賀寿男

    政府委員宝賀寿男君) 御指摘のように、昭和六十年度の事業開始時におきまして塩専売事業は、事業運営の基本金とそれから塩専売価格安定準備金という形で三百七十億円の拠出を受けておりまして、その三百七十億円が現在の段階で約九百七十億円まで積み上がってきておりますが、これは、日本たばこ産業株式会社において販売価格を適正な水準に維持しつつ、一方、国内製塩業者自立化を図るという観点から、国内塩製造コスト低減を誘導するために買い入れ価格を引き下げてきた経緯がございます。したがって、現在の資産額は、そうした塩事業の収益と、それから収益が生み出しました積立金の運用利益によって形成されたものと認識しております。  こうした塩専売事業に係る資産は、積み上がってきた過程を考えますと、今後とも塩事業センターの業務を通じまして引き続き塩の安定供給を図るために使用するほか、塩産業自立化のために活用することを考えておるところでございます。  具体的には、塩専売制度廃止に伴いまして、日本たばこ産業株式会社の塩に関する研究所が同社の研究所と位置づけられなくなることになりますので、同研究所を母体とする財団法人を設立することとしておりまして、これに三百二十億円相当の資産を拠出することとしております。こうした研究所を通じまして、塩産業の今後ともの調査研究等に努めてまいりたいというふうに考えております。  次に、塩産業自立化達成のための合理化推進及び転廃業に対する助成のために塩事業センターに助成業務特別勘定を設けることとしておりますが、これにつきましては現在のところ約三百億円を拠出することを予定しておりまして、この基金を使いまして塩産業のさまざまな自立化達成のための手段というのを講じてまいりたいと存じております。  それから、現在の資産から今申し上げました二つの拠出を控除した残りの資産が約三百七十億円程度と見込まれますが、これは倉庫や在庫等を含むものでございますが、これにつきましては、日本たばこ産業株式会社塩専売事業を行うに当たりまして専売公社から引き継いだ財産の額に相当するものと考えまして、塩事業センターの生活用塩の供給のための特別勘定に拠出するということで、この基金を用いまして生活用塩が今後とも安定的にきちっと供給できるように体制を積んでいきたいというふうに考えておるところでございます。
  40. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 これは会計検査院の範囲の及ぶところでなくなるわけですね、今度センターに行きますと。その点いかがですか。
  41. 宝賀寿男

    政府委員宝賀寿男君) 塩事業センターの業務につきましては、その年度の都度大蔵省の方で認可するという形で事業を考えておりますので、その事業につきましては、法律の趣旨にのっとりまして適切に運用されていくかどうかというのを業務方法書等からきっちりチェックするとともに、使途についても適正な運用になるように心がけてまいりたいと存じます。
  42. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 それのチェックですね、そういうものは大蔵省はどこの部署でやるんですか。
  43. 宝賀寿男

    政府委員宝賀寿男君) 現在のたばこ塩事業室は、たばこ及び塩事業の管理監督という任に当たっておりまして、今後この専売事業がなくなりましても大蔵省の所管事業として塩事業というのを考えておりますので、現在の私どもたばこ塩事業室で対応して、トータル的には理財局の中に位置しますが、十分見てまいりたいと存じます。
  44. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 研究所に、財団法人か何かわかりませんが、それに三百二十億という、これ大金ですね、大金です。これが妥当かどうかというのはもう全く今、我々判断できないんです。それで承りますが、前囿さん、大体こんなものですかね。
  45. 前囿利治

    参考人(前囿利治君) 研究所は研究所でございまして、技術開発のネタをいろいろ開発をして、それが製塩企業に利用できるようにしていこうと、こういうことでございますので、そういうところを充実してほしいというのは我々の要望でもございます。  それから同時に、特に経過期間中、自立化がこの五年間に本当にできるかどうかなと、そういう思いも持ちながら、しかし一生懸命頑張っていこうということで努力をしていくわけです。そういった技術的な面とかあるいは政策的な面とか、そういうところで促進策を、知恵を出してもらうという意味では、ある程度の人間も抱えておいてもらわないと、今、生活用塩の話がありましたけれども、生活用塩の供給の仕事も大事ですけれども、同時に製造とか卸とか、その辺が五年間の間に自立できるようなちゃんとした知恵をひとつ一緒になって出してもらうというようなこともありまして、私はまあいいところではないかなというふうに思っております。
  46. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 大蔵大臣、お願いをしたいのは、この約一千億の資金がたまったということは、これは普通民間の企業ではたまらないんです、こういうのは。それは利益が出れば全部税金取られますから、四〇%そこらからもう取られていくからこれはたまらない。この関係についてはそういうものは全部免除です。それは消費税はかけているのかな。問題は、そういうお金の一千億をどこにどのように使うかというのは、もうおれに任せておけと、こうしてやるんじゃなくて、やっぱりこれは大蔵大臣よく目で見て、判断して、本当に国民に対しても妥当な状況であるかどうかというのは大臣のところでぜひ目配りをしていただきたい、このように思うのであります。これももう答弁は要りません。  それから最後に、先ほど日本たばこの副社長から答弁が海野議員に対してありました約五百人の職員の雇用問題雇用の継続問題というのもこれもまた大変なことでして、人一人生活をするためには奥さんがおるし家族がおるし、企業とそれからたばこ会社と両方とも、従事した皆さんに対しては十分な配慮をしていただきたい、このように思います。そういう立場になった者でないとこれはわからぬのですね、本当にあすどうなるかということはわからない。そのことをお願いをしたいんですが、いかがでしょうか。
  47. 田村哲朗

    参考人田村哲朗君) 先生の今申し上げられましたことを胸のうちに刻みまして、これから実行していく場合に対応してまいりたいというふうに思います。どうもありがとうございました。
  48. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 そうして最後にお願いでありますが、やっぱりこれまでよかったのは、離島へ行こうが本当にへんぴなところへ行こうが、塩はどこで買っても同じような価格で手に入っておりまして非常に安心できたんですが、これがどうなっていくのかというのは非常に心配があるところであります。この点について、これから移行過程で十分手を尽くしていただきたいと思います。  以上でありますが、最後に大蔵大臣の感想を聞きまして、終わりたいと思います。
  49. 久保亘

    国務大臣久保亘君) 今回のこの塩専売制度の廃止は、その目指しますところは、需給両面から国民生活にとって有効な役割となるようということを願ってのことでございます。  供給側自立化の問題、そして需要者側が安定的に良質の塩の供給を受けられるようになる、こういう立場で考えていかなければならないと思っておりますし、これから五年間の経過期間の間にそれらのことが十分に基礎が確立できるようにしてまいりたいと思っております。  国民生活にとって不可欠のものである一方、その需要の限界とか、いろいろまた塩の持ちます特性もございます。そういうものをよく検討の上、この専売制度の廃止後の五年間がまた国、政府にとりましても極めて重要な期間であろうと考えております。
  50. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 百年続いた専売制度を廃止しようというわけですから、いろいろな問題がたくさんあります。しかし、我々一番考えなくちゃならない問題は、やはり塩の安定供給、それから今でも自給率一五%という塩の需給国内塩産業をどう守り発展させていくかという、これまでも論議されてきたテーマですが、そういうことにあると思います。  私、最初にお伺いしたいんですが、なぜ一体塩の専売制度を廃止しなくちゃならないのかという点なんです。  塩の安定供給国内塩生産の保護、振興という点からいえば、私は国が全面的に責任を負う専売制度というのがやはり一番好ましい制度ではないかという気がいたします。先ほどの答弁を聞いていますと、何か専売制度というのは塩産業発展の阻害要因になっているとか、消費者ニーズに対する対応の障害になっていると。専売制度はそんな悪いものだったのかなという気もするわけで、私はそれが一番好ましいと。もちろん、違った形でその保障があれば、我々は必要以上の不安を持つ必要はないと思いますけれども、最初に、なぜ廃止するのかという点をお伺いします。
  51. 宝賀寿男

    政府委員宝賀寿男君) 塩専売制度は、先生指摘のように、これまで塩の安定供給に大変寄与してきたというふうに私ども承知しております。ただ一方で、塩の製造輸入及び流通を包括的に管理するシステムであるということで、規制が強いんではないかということで、その結果、塩産業構造改善等について若干の阻害要因になっているんではないかという指摘もございます。  そうした状況を踏まえまして、私ども国内及び海外の塩を取り巻く状況を判断いたしまして、その上でさらに市場原理を踏まえた構造改善を進めていくことによりまして、国内塩産業の一層の発展に資するとともに、多様な消費者ニーズに適切に対応することが可能となるように考えたわけですが、一方、先生指摘のように、塩の安定供給の措置をしっかり講じていくということが大変重要であるというふうに考えております。これにつきましては、最小限ではございますが、公的な関与を通じて消費者に対して安定的な生活用塩の供給というものを措置いたしまして、その上で塩の専売制度を廃止するということで考えたわけでございます。
  52. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 専売制度をなくすと大変立派な状態になるということかどうか。これはまあいろいろ論議はあると思いますけれども、ここではその論議はしません、二つ私が提起した点での保障がより大事だと思いますので。  そこで、もうこれまでの論議で塩の、とりわけ生活用塩の安定供給は問題なし、心配なしということが繰り返し答弁されてきました。その点をもう一度、制度的にこうなるから大丈夫だと。それから、それは五年間の過渡的措置ではないのか、その先も大丈夫だということなのかどうなのかということと、あわせてお答え願います。
  53. 宝賀寿男

    政府委員宝賀寿男君) 塩事業法案におきましては、生活用塩の安定供給ということについては大変意を用いたところでございまして、そのための措置としましては、第一に、大蔵大臣が塩需給見通しを策定、公表することによりまして間接的に需給の安定に資するというふうに考えておりますとともに、生活用塩の供給事業を行います塩事業センターというものを設けまして、その塩事業センターを通じまして離島・過疎地を含めまして良質の塩の安定的な供給ということに努めてまいりたいと思います。  この生活用塩の供給事業に対しましては約三百七十億円の基金の拠出を行いまして、この基金の拠出をもとに適切に安定的な供給に努めてまいりたいというふうに考えております。
  54. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 過渡的かどうかという点、ちょっと幾つか抜けましたので、答えていただきたい。
  55. 宝賀寿男

    政府委員宝賀寿男君) この大蔵大臣需給見通し及び塩事業センターの生活用塩の供給は、経過措置ではございませんで、永続的にやってまいりたい、適切な運用を心がけてまいりたいと考えております。
  56. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 私もそう読んでおりましたけれども、今の答弁で一層それをはっきりさせていただきました。  その次に、価格の問題。これも何回もずっと論議になった点ですけれども、前回の委員会で、離島も山間僻地も生活用塩については全国一律の価格になるように努めたいという答弁でした。どういうやり方でそういうふうになるのか。一方では自由化といううたい文句があるわけですから、原則自由化という中で、いや大丈夫だ、その点はという、そこらをちょっと説明してください。
  57. 宝賀寿男

    政府委員宝賀寿男君) 塩事業センター供給いたします生活用塩につきましては、小売店の段階におきまして離島・過疎地を含めて全国一律の標準販売価格ということになるように予定しております。  その具体的な仕組みにつきましては現在検討中でございますが、地域によりまして運送費の実費等を勘案して塩事業センターから売り渡し価格考えるなどの方法を工夫しまして、消費段階で全国一律の標準販売価格ということが可能になるように今後具体的に検討を進めたいと思っております。
  58. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 今の答弁で大体わかりましたけれども専売制度の廃止、原則自由化という言葉だけから印象づけられるものは、そうすると山間僻地とか離島なんかはえらい高いものになるじゃないかというように受け取られがちですけれども、原則自由化といってもそういう価格安定措置がとられる、だから全国の皆さん安心してくださいと、そういうことだととってよろしいですか。
  59. 宝賀寿男

    政府委員宝賀寿男君) 塩が国民生活に不可欠であるという物資の性格から考えますと、公的な形を最小限にしながら安定的に適切に供給してまいるという形で考えておりまして、先生の御指摘のとおりでございます。    〔委員長退席理事石川弘着席
  60. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 供給そして価格、この点は安定した価格で全国隅々まで供給されるからということの保障が将来ともある、そういうものだというふうに仕組みの上でもなっているという答弁でしたし、私も読んだ限りではそうなっているというふうに思います。したがってその限りでは、専売制度は廃止するけれども専売制度の廃止とともに、いわゆる自由化でどうなるかわからないというものでないというふうにとらせていただきます。  その次に、国内塩産業の問題です。これをどうして振興させていくか、守っていくか。  日本自給率一五%と。これは外国とのいろいろな条件の違いというものもあると思いますが、この一五%というものが低下するということはないのかどうなのか。ここら辺はもう一つ重要な問題だと思いますので、この国内塩産業の振興についての見通しを含めてどのようにお考えになっていますか。    〔理事石川弘退席委員長着席
  61. 宝賀寿男

    政府委員宝賀寿男君) 御指摘のとおり、我が国の塩の自給率は一五%程度でございまして、諸外国に比べまして極めて低い状況ではございますが、一方で食料用の塩の需給程度は自給しているというふうに思っております。こうした状況でございますが、たばこ事業等審議会の答申におきましては、経済合理性のもとで食料用の需要量程度の塩を国内生産により確保し、良質の塩の安定的な供給を図ることが必要というようにうたわれておりまして、その趣旨に沿うように適切に対処してまいる所存でございます。  本法案におきましては、国内塩産業自立化というものを支援するために、経過期間を含めてさまざまな形で所要の措置を講じているところでございまして、今後ともさらに適切に我が国塩生産を進めてまいりたいと思っております。
  62. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 価格面で、技術発展によって大体国際価格と対抗できるようにする見通しがあるという説明もこれまでいろいろ聞いてまいりましたけれども、そこらはどういうふうに見通しておられますか。
  63. 宝賀寿男

    政府委員宝賀寿男君) 現在のところまだ国内塩と海外から輸入されている塩との価格差はございますが、これにつきましては、経過期間中の対応としまして、一方でソーダ工業用塩以外の塩につきまして塩事業センターが一元的に輸入販売を行う形をとるとともに、もう一方で、さらに合理化促進ということでイオン交換樹脂の関係の技術向上というものや、メーカーにつきましてもさらに合理化投資というものが適切に行われるように措置してまいりまして、そうした措置を通じまして国内塩産業が自立できるように考えてまいりたいと思っております。
  64. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 その際、合理化の中で労働者の問題等、先ほどもいろいろ要望的発言がありましたけれども、これは私は繰り返しません。  それから、今、統廃合等いろいろ五年間について不安なきにしもあらずだけれども努力してみるしかないという決意表明ともとれる答弁がありましたけれども、そういう点については十分なる配慮のもとにやっていただきたいということ、これは私も要望的に申し上げておくにとどめたいと思います。  百年の制度を変えるという問題ですから、冒頭言いましたように、専売制度がより好ましいというふうに私は今でも思っていますけれども、しかし、別の形で国民に必要な塩の安定供給の保障はあるということでありましたので、この問題については、国民も持っていたであろう疑問に答える形でこの程度にとどめて、この機会に、大蔵大臣、ちょっとテーマが別になりますけれども、私は提案というか要望というかを申し上げておきたいと思います。  それは、今、日本国内でもいろいろな形で広がっている貸し手責任の問題についてであります。  四月一日、御存じのように三菱銀行と東京銀行が合併して世界最大の銀行が誕生しましたけれども、新聞はこの四月一日に、東京銀行本店の前に変額保険被害者の会の人々が喪章をつけて抗議行動を行ったということを書いておりました。経済関係の雑誌では非常に大きくこれを取り上げて、新しい世界最大の銀行の出発はそういう暗い一面を持ったものになったというふうにも書いておりました。  時間がありませんから一括してあれしますけれども、これより前、三月二十五日に、実はこの日、抗議行動をやったような人々が中心になってつくっている銀行の貸し手責任を問う会というのがございます。それがフォーラムを開きまして、このフォーラムには各党首あてに各党代表の出席を求めて会合を開いております。私が聞いたところでは、与党も社民党とさきがけの代表が出席して、ここでこの会の人々に理解を示すあいさつ、報告があったと聞いております。私も出席する予定でしたけれども、議運の理事会が長引いて残念ながら出席できませんでした。  そこでの話を聞きますと、いわゆるバブル期の銀行から融資をだまし同然の形で受けた人々の実態が次々と報告されたということを聞きました。恐らくここにおられる大蔵委員の皆さんのところにも、そういう点での請願、陳情、解決方等たくさん持ち込まれておいでだろうと思いますけれども、私も、変額保険の人のみならず、いろいろな人が次々やってきて、銀行の手を煩わしたり銀行に取り次いだりもしているところであります。それを見ますと、こんなひどいことが本当にあっていいだろうかと思うものが随分あるんですね。それは、一方的な言い分だけじゃなくて、置いて帰った文書を見ても私はそう思うんです。  例えば変額保険なんか、保険料を一銭も払わずに高額の相続税対策資金が準備できる相続対策プランが開発されました、こういう文書が置いていってあるんですね。どういうものかというその具体的なケース、あなたの相続対策プランというふうなものをつくって持ってきて、私も保険に若干かかわったことがあるので経験がありますけれども、そんな文書を何で置いて帰るんだろうかと思うような文書を置いて帰っているんですね。それを見ると、例えば変額保険、運用利回り九%の例、これは三菱の例ですが、とにかく銀行から一億六千万円ぐらいの保険料を一時払いで払う、そうすると五億円の保険で将来四億幾らの効果がある、こういうプランが書いてあるんですね。  それで、後からあなたのところはどんな資料を持って回っているかというのを持ってくると、会社が発行したのには、僕らのところに持ってくるのには、九%の場合、四・五%の場合、〇%の場合というふうに運用利回りの三つぐらいケースがあるけれども、それなんかを見ると、九%だけの例が書いてあって、四億ぐらい効果が出て、相続税は一銭も掛金が要らないと。普通の市民生活をしているところへそういうものを持ち込んで、信用して入ったらもう今や利子も払えないというようなそういう例がいっぱいある。あのバブル期というのは本当に狂わせたんだなと思います。  きのうもある企業の、これは大きい企業をやっている人が、銀行にひっかかってこうだと言って、これは変額保険じゃありませんけれどもお見えになっていました。きのう来られたそのお方は、その借金をめぐって奥さんがちょっと精神障害になったという人ですし、つい最近来られた人は、この合併した銀行との関係で御主人がとうとう発狂されたと。変額保険の会の例で言うと、この会の人の話だと、確認できただけで自殺者が四人確認されていると。これはやはり法律上いろいろあるかもしれませんけれども、そういう人々が、詐欺同然の融資をした貸し手に責任ありということで、それに今弁護士とか法律家、学者、いろんな人も参加してこの運動が日本でも広がっている。アメリカではもう幾つかの判例も出るという状況にまでなっております。  私は、大蔵省にいろいろこの問題ではお手数もかけてきましたし、ここの委員会でも問題を提起しまして、銀行が債権回収をどのように行うかという場合に、銀行の公共性にかんがみていやしくも社会的批判を受けるようなことがあってはならないという答弁も、これは西村銀行局長からかつていただきました。それから前大蔵大臣からは、借り手の保護ということも必要だという答弁もいただきました。  私は、そういう答弁をもう一歩積極的に行政面で生かしていただきたい。そのためにも、大蔵省の中にそういう人の声を率直に聞くような仕組みもつくっていただいて、もうアメリカでは大きな判例も出るような問題になっているこの問題について、日本大蔵省としてもこたえ、研究もしていく、そういう体制をぜひとっていただきたいというのが私の大蔵大臣への要請あるいは問題提起ですけれども、いかがでしょうか。
  65. 久保亘

    国務大臣久保亘君) 今、吉岡さんからお話がありましたような問題は私も幾つか知っておりまして、私のところにも直接手紙もいただいた例もございます。ただ、大蔵大臣として今お答えできますことは、これらの問題は、当事者間の正規の契約に基づいて行われております場合には、私法上の問題として当事者間で処理する以外に現在は方法がないのではなかろうかと思っております。  しかし私は、金融機関、特に銀行などは、金融そのものに関して、借り手の方はいわゆる素人、アマチュアである場合が多いわけですね。それで、貸し手の方はプロでありますから、プロがアマチュアをだますというようなことは絶対に許されないことだと思っております。そういう点では、やはり金融に関して必要な道義が守られ、そして十分な知識を相手方にも説明した上で、納得の上での契約でなければならないと考えております。そういう点につきましては、金融機関の融資のあり方として今後やはり考えていかなければならないことだと思っております。  なお、後段でお話がございました、これらの問題に関する苦情についてどうするのかということであろうと思いますが、現在の大蔵行政機構の中でどのような方法が可能か、どういう部門でやったらそういうことが可能になるのか、少し検討させていただきたいと思います。
  66. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 塩事業法案については、もうほとんど問題も出尽くしていると思いますので、一つだけ質問させていただきたいと思います。  これは後ほど附帯決議の中にも出てくると思いますけれども日本たばこ産業株式会社塩専売事業本部が廃止になるわけですけれども、それにあわせて塩の製造業者、塩の卸売業者合理化、転廃業等が行われるわけですが、その塩産業に従事する人たちの人数というのは一体どのぐらいいらっしゃるのか、事業本部とそれから製造業者等にちょっと分類して教えていただきたいと思います。  それにあわせて、当然これは雇用の不安が出てくるわけでありますけれども、それの安定を当然これから図っていかなければならないと思うんですが、具体的にどういうことを考えていらっしゃるのか、その辺についてお尋ねをいたします。
  67. 宝賀寿男

    政府委員宝賀寿男君) 現在の塩事業関係者の数についてでございますが、まず、日本たばこ産業株式会社塩専売事業本部の従業員は約五百名と承知しております。次に、塩の製造業者でございますが、これは現在七社で約一千百名。次に、塩卸売業者につきましては七十六社で約千三百名と承知しております。また、塩の小売に携わっている業者でございますが、これは約十万一千人であるというふうに承知しております。  今回の制度改革におきましては、こういった塩関係者の雇用の安定というのも十分配慮して進めていかなければならないというふうに承知しておりますが、日本たばこ産業株式会社の職員につきましては、会社内の配置転換をスムーズに進めることによりまして対応するというふうに聞いておりますし、そのほか塩産業関係の従事者の雇用安定につきましては、経過措置を含めまして塩産業自立化達成を行うことによりまして、適切に雇用を確保してまいりたいというように承知しております。
  68. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 政府としても、こういう関係する従業員の方々が路頭に迷うことのないように、ぜひひとつしっかりこれから対策を講じていただきたいと思いますけれども、その辺の決意のほどを一言お願いいたします。
  69. 宝賀寿男

    政府委員宝賀寿男君) 制度改革に当たりまして、いわば適切な制度に進んでいくために雇用の安定というのは欠かせないものでございますので、しっかり留意して進めてまいりたいと存じます。
  70. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 それでは次に、大蔵大臣にお尋ねをいたします。  昨夜、一九九六年度の予算案の採決に当たりまして、与党三党と新進党の間で合意事項が調ったというふうに報道をされております。  その合意事項を読んでみますと、住専予算については制度整備した上で措置するというふうになっておりますけれども、この制度というのは一体何を指すのか、その辺についていかがでしょうか。
  71. 久保亘

    国務大臣久保亘君) 今御質問のございました事項につきましては、国会の責任において政党間で協議され合意されたものと承っておりますが、まだ正式に予算委員会において修正案として出されたものではございません。これからの問題でございますし、政党間の御協議の内容について私がその解釈を申し上げる立場にないと思っております。
  72. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 政党間の合意事項であることはわかりますけれども、これは議院内閣制ですから、政府の方で全然これに対しては関与せずという、そういうふうに考えていいんですか。
  73. 久保亘

    国務大臣久保亘君) これは、私がお聞きいたしておりますところでは政府修正という形にはならないものでございまして、政党間において修正を取り決められ、総則に十六条を追加修正されるものと承っております。  これが正式に修正となりました場合には、政府の見解を国会で求められれば私ども申し上げねばならぬと思っておりますが、現在はまだ修正案として出されているものでもございませんので、私からは申し上げられないとお答えしているのであります。
  74. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 それでは、修正案が通った場合においては、当然、予算を執行する立場においてはそれを全面的にのんでいくというような判断に立つというふうに解釈してよろしいですね。
  75. 久保亘

    国務大臣久保亘君) 国会に御審議をいただきました案件について、予算であれ法律であれ、国会が最終的に御決定になりましたものを政府として誠実に執行することは当然のことでございます。
  76. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 それでは事務当局にお尋ねいたしますけれども、この住専問題について制度整備した上でという制度というのは、大体予想されるのはどういうことを予想されますか。
  77. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) ただいま大臣からもお答え申し上げましたとおり、現在政党の間で御議論をしておられることでございますので、私ども事務当局がそれについてコメントするという性格のものではないと理解をいたしております。
  78. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 大蔵当局として、住専問題を提案している立場からいえば、大体この国会の中で議論をしているその経緯から、この制度整備をするというその制度というのは、大体予測されるのはどういうものかということぐらいは判断がつくのではないんですか。
  79. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) 繰り返しの答弁で恐縮でございますが、私ども今の段階で、政党間で御議論をしておられることにつきまして、その私どもの理解を御説明申し上げるということは差し控えるのが筋ではないかと考えているところでございます。
  80. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 それじゃ私の考え方として申し上げますけれども、予算が通りますと、当然それに関連する法案を通さなければ予算の執行ができませんですね。そうすると、今出ている制度の関係する法案というのは大体二つあると思うんです。一つは住専の処理機構、これを新たにつくらなければならない。それからもう一つは現在既にある法案で預金保険機構、これは一部改正をしなければならないと思うんですけれども、そういうものがこれは制度として考えてよろしいものでしょうかね。
  81. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) 与野党間でお話し合いをしておられます制度ということには、今お話のございました法案の内容というものは当然関係してくるんではないかと推測をいたしますけれども、そういうことについて私が今の段階で御説明を申し上げるということは差し控えさせていただきたいと存じます。
  82. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 今お話があったように、当然そういうものが推測されると思うんです。しかし、これは別に合意されなくても、当然予算を上げる場合にこの法律案も上がってこなければ予算の執行ができない。ということになれば、もしそれが制度とするならばこれは当然のことですね。特別新たに合意しなくても政府としてはやらなければならない、国会としても通さなければならないというようなことで、何か新しい制度というものがあるのかなと考えたけれども、どうも私の判断では何もない。  結局は当たり前のことをこの合意事項の中では言っているのかなというふうに私は感じたわけです。政府の方としてはそれにタッチすることができないと言うので、それ以上はやめますけれども、夕べの合意事項を私なりに判断するには、どうもそういうことだなと。これは合意事項と言っても、当たり前のことを合意されて、それを中心にして合意されたのかなというように解釈したということだけは、私の意見として申し上げておきたいと思います。  それで、もう一つ住専問題についてお尋ねいたしますのは、住専処理のために政府は六千八百五十億円というものを支出しようということで予算に計上しているわけですね。ところが、これに対して大変国民の批判が高まってきた。そこで、政府・与党が住専の追加措置というのを三月五日に発表をしているわけです。  それを見ますと、既にもう報道されていることですから詳しく申し上げることもないと思うんですけれども、民間の金融機関は今後七年間で一・五兆円規模の経営の合理化・効率化を行って、五千億円程度の税収増をもって国への新たなる寄与を行うということが一つ。そして、農協系統は今後七年間で少なくとも六千億から七千億円規模の経営の合理化・効率化を行って、千八百億円程度の税収増をもって国への新たなる寄与を行う。要するに、政府が今予算を出そうとする六千八百五十億のうち六千八百億というものを、民間金融機関と農協がもっとリストラをやって、努力をして利益を上げさせて、それに対して税金がかかる、その税金が六千八百億だというような考え方なわけですね。そういうふうに解釈してよろしいんですか、これは。
  83. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) 先般、与党が御決定になりました「住専問題に関する新たな措置について」という文書には七項目から成る事項が記載されておりまして、「責任の明確化と徹底追及」とか、あるいは「金融行政の改革」等各般の施策について述べられているわけでございますが、その中に今御指摘の金融機関と農協系統の新たなる寄与という項目も含まれていることは承知をしておるところでございます。  私どもは、住専問題の処理について国民の御理解をいただくため、与党の関係者の皆様方の間で熱心な御議論が重ねられ取りまとめられたものと承知しておりますが、これは政府といたしまして、その趣旨を重く受けとめ最大限尊重するということになっております。当然、政府の一員としての大蔵省といたしましてもそういう方針で臨みたいと考えております。  なお、個々の項目の解釈につきましては、これまた私がこのような場で御説明を申し上げるという立場にはないということも御理解をいただきたく存じます。
  84. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 そうすると大蔵大臣、今局長からもお話があったように、政府・与党の追加措置というものは、大臣の方としても当然これは受け入れてそういう方向で政府としても進みたい、こういうふうに解釈してよろしいわけですね。
  85. 久保亘

    国務大臣久保亘君) 今、山口さんが言われた中で一つだけ誤りがありますのは、これは政府・与党の追加措置ではございません。与党三党がお決めになりましたもので、与党三党から政府に申し入れと申しますか、こういう新たなる追加措置を尊重するようにということで答申されたものでございます。これを政府側としては、今銀行局長が申し上げました七項目にわたりますものについて理解をし、このことも含めて、住専問題処理のために全力を尽くすという立場を与党側には申し上げたところでございます。
  86. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 それは承知の上で質問しているんですけれども政府・与党、こういうふうに言われていますけれども、当然さっき言ったように議院内閣制ですから、これだけ重要な問題ですから、当然政府の方の意向というものもこの中には反映されているものとして質問したんです。  ただこれは、どこの企業でも今それなりにみんなリストラをやって努力をしているわけですね。頑張っているわけですよ。ですから、金融機関も住専問題があるなしにかかわらず一生懸命合理化をして、リストラをやって、そして利益を上げて税金を払うというのは当たり前のことではないかなと思うんですね。これは当然のことを何であえて、六千八百億政府が支出するものにかわって、いずれその金額だけを税金で納めてもらうという、そういう案が出てくるのか私にはとても理解できないわけですね。ですから、これはもうほかの企業も当たり前にやらなければならないことであって、銀行もこれがためにやるというすりかえはどうしても納得できないなと。  それで私は、やっぱり六千八百五十億というのは、これは母体行の責任できちっと処理すべきだと思うんです。少なくとも母体行が金を出して住専をつくる、役員を大蔵省と合わせて八〇%も送って経営指導をする、そして融資のあっせんを母体行がやって、融資あっせんしたものが何と焦げついているのが九〇%を超えているというわけですから、私はやっぱり母体行の責任というのは非常に大きいと思うんです。そして、母体行がそれじゃ一体それだけの力がないのかといえば、そんなことはないと思うんですね。  そういうことから申しましても、母体行の責任でこれを完全に処理させるということについて、大蔵大臣いかがお考えでしょうか。
  87. 久保亘

    国務大臣久保亘君) 既に衆議院予算委員会におきましても、また暫定予算の御審議をいただきました参議院予算委員会におきましても、この住専問題にかかわっての責任をどういうふうに考えるのかということについては繰り返し御質問をいただきまして、私の方からも誠実に繰り返しお答えをいたしました。  住専の設立、出資、人事、経営、その他紹介融資等も含めて母体行の負うべき責任は極めて大きいものがある。今、母体行はこの住専問題の処理に当たって関係者の協議でかなりな負担等を約束しているけれども、これで十分ということではない。さらにその努力を続けるべきであるということで、政府考え方は私の方から申し上げてきているところであります。  ただ、このことについては質問者の側も御了解をいただいていることでありますが、だからといって、法的に、今協議で合意している以上のものを政府側から母体行である銀行に対して強制する手段は存在しない。そこが非常に難しいところである。あくまでも協議と合意に基づいての負担でなければならない。その責任論に基づく協議を私たちは可能な限りいろいろな立場を通じて進めております。  そういう努力の中で、与党の方でもおやりになったその一つとしてここへ出てきているのであります。これで済んだというようなものがここへ出されたものではない、これが今私どもの理解でございます。
  88. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。——別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  塩事業法案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  89. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  直嶋君から発言を求められておりますので、これを許します。直嶋君。
  90. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 私は、ただいま可決されました塩事業法案に対し、自由民主党、平成会、社会民主党・護憲連合、日本共産党及び新社会党・平和連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     塩事業法案に対する附帯決議(案)   政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。  一 塩専売制度改革の趣旨にかんがみ、消費者ニーズに対応した多様な塩の供給が行われるよう努めること。  一 塩が国民生活に不可欠な代替性のない生活必需物資であることにかんがみ、良質な塩の安定的な供給確保するとともに、緊急時にも十分対応できるよう所要の備蓄量を確保すること。特に、離島・過疎地等における供給及び価格の安定が維持されるよう努めること。  一 国内塩輸入塩価格面で適切な競争が可能となるよう関税割当制度の導入等について検討するとともに、経済合理性の下で食料用塩の需要量と同程度の塩が国内生産により確保されるよう努めること。  一 塩の製造流通業界の実態に即しつつ、生産流通両面の一層の構造改善を推進し、もって国内塩産業自立化の促進が図られるよう努めること。  一 日本たばこ産業株式会社塩専売事業本部の廃止及び塩製造業者、塩卸売業者合理化・転廃業に当たっては、塩産業従事者の雇用面の不安が生じることのないよう努めること。   右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  91. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) ただいま直嶋君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  92. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 全会一致と認めます。よって、直嶋君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、久保大蔵大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。久保大蔵大臣
  93. 久保亘

    国務大臣久保亘君) ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても御趣旨に沿って配慮してまいりたいと存じます。
  94. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  95. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時十一分散会