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1996-03-26 第136回国会 参議院 大蔵委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年三月二十六日(火曜日)    午後二時三十分開会     —————————————    委員異動  三月十五日     辞任         補欠選任      谷川 秀善君     須藤良太郎君  三月十八日     辞任         補欠選任      千葉 景子君     志苫  裕君  三月二十六日     辞任         補欠選任      山口 哲夫君     栗原 君子君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         片山虎之助君     理 事                 石川  弘君                 楢崎 泰昌君                 牛嶋  正君                 直嶋 正行君                 梶原 敬義君     委 員                 上杉 光弘君                大河原太一郎君                 金田 勝年君                 佐藤 泰三君                 清水 達雄君                 須藤良太郎君                 西田 吉宏君                 猪熊 重二君                 海野 義孝君                 白浜 一良君                 益田 洋介君                 渡辺 孝男君                 峰崎 直樹君                 吉岡 吉典君                 栗原 君子君    国務大臣        大 蔵 大 臣  久保  亘君    政府委員        大蔵政務次官   山崎 正昭君        大蔵省主計局次        長        伏屋 和彦君        大蔵省主税局長  薄井 信明君        大蔵省関税局長  久保田勇夫君        国税庁次長    若林 勝三君    事務局側        常任委員会専門        員        小林 正二君    説明員        経済企画庁調整        局調整課長    永谷 安賢君        国土庁土地局土        地政策課長    長瀬 哲郎君        通商産業省産業        政策局国際企業        課長       藤岡 文七君        自治省税務学府        県税課長     石田 直裕君        自治省税務局固        定資産税課長   片山 善博君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○平成八年分所得税特別減税のための臨時措置  法案内閣提出衆議院送付) ○租税特別措置法の一部を改正する法律案内閣  提出衆議院送付) ○関税定率法等の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付)     —————————————
  2. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る十五日、谷川秀善君が委員辞任され、その補欠として須藤良太郎君が、また、去る十八日、千葉景子君が委員辞任され、その補欠として志苫裕君が、また、本日、山口哲夫君が委員辞任され、その補欠として栗原君子君がそれぞれ選任されました。     —————————————
  3. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 平成八年分所得税特別減税のための臨時措置法案租税特別措置法の一部を改正する法律案及び関税定率法等の一部を改正する法律案の三案を一括して議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。久保大蔵大臣
  4. 久保亘

    国務大臣久保亘君) ただいま議題となりました三法律案につきまして、提案理由及びその内容を御説明申し上げます。  まず、平成八年分所得税特別減税のための臨時措置法案につきまして御説明申し上げます。  政府は、当面の景気に配慮して、平成八年分の所得税につきまして、昨年に引き続き特別減税を実施することとし、本法律案提出した次第であります。  以下、この法律案内容につきまして御説明申し上げます。  この特別減税は、平成八年分の所得税に限り、同年分の所得税額からその一五%相当額を控除することにより実施することとしております。なお、一五%相当額が五万円を超える場合には、控除額は五万円としております。  この特別減税の具体的な実施方法に関しましては、給与所得者については、平成八年一月から六月までの間に支払われた給与等に係る源泉徴収税額の一五%相当額を、原則として同年六月に還付し、同年十二月の年末調整の際に、給与等年税額の一五%相当額から同年六月の還付金額を控除した残額を控除することにより実施することとしております。  次に、公的年金等受給者については、原則として平成八年六月及び十二月に半年分の源泉徴収税額の一五%相当額をそれぞれ還付することとしております。  また、事業所得者等については、平成八年分の確定申告の際に、所得税額からその一五%相当額を控除することにより実施することとしております。  次に、租税特別措置法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。  政府は、当面の経済状況等を踏まえ、土地税制証券税制等について適切な対応を図る一方、課税適正化租税特別措置整理合理化その他所要措置を講ずることとし、本法律案提出した次第であります。  以下、この法律案内容につきまして御説明申し上げます。  第一に、土地税制について、平成三年に行われた土地税制改革以後の状況変化や現下の経済情勢等にかんがみ、土地基本法を基礎とした現行土地税制基本的枠組みを維持しつつ、土地の保有、譲渡、取得の各段階にわたる税負担のあり方を見直し、所要調整を行うこととしております。  第二に、証券税制について、証券市場活性化等の観点から有価証券取引税税率引き下げを行うとともに、株式譲渡益課税改正を行うこととしております。  第三に、課税適正化のため、公益法人等に対する課税消費税課税等について所要改正を行うこととしております。  第四に、その他の租税特別措置改正として、いわゆるストックオプションに係る課税特例等措置を講ずる一方、企業関係租税特別措置等について整理合理化等を行うこととしております。  そのほか、いわゆるオフショア勘定において経理された預金等の利子の非課税措置等適用期限の到来する特別措置について、実情に応じその適用期限を延長する等の措置を講ずることとしております。  次に、関税定率法等の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。  政府は、最近における内外の経済情勢変化対応し、我が国市場の一層の開放を図る等の見地から、関税率減免税還付制度等について所要改正を行うこととし、本法律案提出した次第であります。  以下、この法律案内容につきまして御説明申し上げます。  第一は、関税率等改正であります。  ウルグアイ・ラウンド交渉に基づく我が国関税譲許品目のうち、段階的に関税率引き下げていくことを国際的に譲許している一部の鉱工業品について、平成十年一月一日から適用されるべき関税率平成八年四月一日から適用することにより関税率段階的引き下げを前倒しすることとしております。また、繭、生糸の関税割り当て一次税率等撤廃等を行うとともに、平成八年三月三十一日に適用期限の到来する暫定関税率適用期限延長等を行うこととしております。  第二は、減免税還付制度延長等であります。  平成八年三月三十一日に適用期限の到来する石油関係免税還付制度等について、その適用期限延長等を行うこととしております。  そのほか、災害による関税申請等期限延長制度等を設けるとともに、所要の規定の整備を行うこととしております。  以上が三法律案提案理由及びその内容であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  5. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 金田勝年

    金田勝年君 ただいま趣旨説明がございました三つ法案につきまして、いただきました時間で幾つかのことをお尋ねしたいと考えております。どうかよろしくお願いいたします。  まず初めに、税と表裏一体といいますか、非常に厳しい今の財政事情というものを踏まえて幾つかお聞きしたい。そしてその後に、税の今回のこの二法の関係で、土地税制関係あるいは特別減税関係そして法人税関係、そういったようなことについていろいろとお伺いしてまいりたい。そしてまた三つ目関税定率法暫定措置法関税法の三法の法案について御質問させていただきたい。大体以上のような順番でお考えをお聞かせいただきたい、このように考えております。  まず、財政につきましてでございますが、我が国財政というのは、もう既に御承知のように、税収が五年連続して対前年度減になっているという、そういう見込みが今言われております。そしてまた、バブル崩壊後の景気の問題、それから阪神淡路大震災対応するための対策、そういったようなことで累次にわたって経済対策を実施してきた。そういうふうな状況から、今財政状況というのを見た場合に、非常に悪化した状態にあると、このように受けとめておるわけであります。  そこで、公債残高を見ますと、この五年間でとらえますと、三年度から八年度でございますが、百七十二兆円から二百四十一兆円、五年間で六十九兆円ふえておる。約七十兆でございます。その前の五年間というのは、六十一年度から平成三年度になるんですが、百四十五兆から百七十二兆ということで二十七兆円の増ということですから、こういう数字を見ても、この過去五年間で七十兆円も増加する。そしてまた、八年度末には税収の約五年分に相当する二百四十一兆円という残高に達するという見込みであります。  また、八年度予算を見ましても、きょうはその法案ではないわけですけれども、まさに七年ぶりに当初予算において償還財源手当てのない多額の特例公債を発行せざるを得ないという状況にあるわけであります。十一兆九千九百八十億円。これは、平成二年度の特例公債依存から脱却して以来発行された特例公債で、例えば平成二年の補正のときの湾岸時の臨時特別公債とか、平成六年の当初の減税特例債、あるいは二次補正で、大震災がありましたので、それに対応するための特例公債、あるいは平成七年度の一次補正円高対策震災対策を考慮した経済対策特例公債、それから平成七年度二次補正経済対策を講じたわけですけれども、そのための特例公債といったような、いわばつなぎ公債とか臨時緊急の財政措置といったような、そういう対応するためのものと比べまして、基本的に八年度の特例公債というのは性格が異なっておるというふうに考えるわけですけれども、その辺について大蔵省、どういうふうに考えておられますか、お聞かせください。
  7. 伏屋和彦

    政府委員伏屋和彦君) お答え申し上げます。  今委員が御指摘になられましたように、平成二年度の当初予算におきまして昭和五十年度以降の特例公債依存から脱却した後、平成二年度には、湾岸地域における平和回復活動を支援するために湾岸臨時特別公債を、また平成六年度以降は、経済状況に配慮し、所得税等先行減税を行うための財源手当てとしての減税特例公債を発行してきたわけでございます。しかしながら、これらはその償還のための財源が確保されていたということから、先ほど委員が御指摘になられましたように、いわゆるつなぎ公債として位置づけることができるものであるわけでございます。  その後、平成六年度第二次補正予算以後の、先ほど委員が言われました三回の補正予算におきまして特例公債を発行してまいったわけでございますが、これらは、阪神淡路大震災による被害への対応とか、景気対策といった臨時緊急に必要とされる財政措置対応するために発行したものであると考えているわけでございます。  これに対しまして、今回の平成八年度予算におきます特例公債は、当初予算段階としては、先ほど委員指摘されましたように、七年ぶり償還財源手当てのない特例公債でございまして、先般当委員会でも御審議をお願いいたしました平成七年度三次補正予算における特例公債と同様に、歳入歳出の構造的なギャップを補てんするという性格のものでございまして、我が国財政体質が極めて悪化してきていることを直截に示すものであるということを財政当局としても強く認識しているわけでございます。こうした厳しい財政状況にかんがみますと、財政構造の改善は急務であると考えているわけでございます。
  8. 金田勝年

    金田勝年君 まさに我が国財政は危機的な状況に立ち至っているということで非常に憂慮をしておるものでありますけれども、国際的に比較してみた場合に我が国財政というのは、例えばフローベース公債依存度とかあるいは利払い費歳出総額に占める割合とか、あるいはストックベース長期政府債務残高をとらえて比較してみたり、いろんなとらえ方があると思いますが、そういうふうな見地から国際的に比較いたしまして、先進外国の中でやはり最悪と言えるほどまでに今悪化しているのではないかと考えるわけであります。その点につきましてどういうふうに御認識でございましょうか。
  9. 伏屋和彦

    政府委員伏屋和彦君) お答え申し上げます。  今委員が言われましたように、財政状況をとらえるとらえ方はいろんな指標があるわけでございます。我が国財政は、フロー財政指標でございます公債依存度は二八・〇%ということで、いわゆる先進国の一〇%台に対して高い水準にあるわけでございます。利払い費一般会計歳出総額に占める割合も一五・六%ということで、これも極めて高い水準にあるわけでございます。  さらには、ストック指標でございます国の長期政府債務残高の、これは各国経済規模もあるものですから、対GDP比で比較いたしますと六四・六%となるなど、今委員が御指摘になられましたとおり、フローストックいずれの指標で見ましても、我が国財政主要先進国中最も悪いと言えるほどの水準になっているわけでございます。
  10. 金田勝年

    金田勝年君 そういうことでありますが、日本が一番悪いという状態になってきたわけですけれども、財政赤字の問題というのは先進外国も直面しているのであります。アメリカでは、御承知のように財政収支均衡目標年次をめぐりまして、シャットダウンというんでしょうか、窓口閉鎖ということで、大統領議会が対立して、先日は政府機関の一部が閉鎖されたということがありますし、またヨーロッパでも、フランス社会保障制度の見直しとかをめぐってストライキが起こるといったようなことで、先進外国ではやはり財政健全化に向けて非常に厳しい、かつ大胆な取り組みを講じ始めていると、このように思われるわけでございますが、こうした例を含めまして、諸外国におきます財政健全化に向けての取り組み内容というものがわかりましたら教えていただきたいと思います。
  11. 伏屋和彦

    政府委員伏屋和彦君) 今委員が言われましたように諸外国財政改革に取り組んでいるわけでございますが、昨年十月の七カ国蔵相中央銀行総裁会議の声明において示されているものに、欧米諸国は、いわゆる長期成長見通しを向上させるためには、中期的にさらに大幅な財政赤字削減が不可欠であると認識しておりまして、各国とも今財政赤字削減に積極的に取り組んでいると、先進国共通のいわば課題に財政改革がなっておるわけでございます。  例えばアメリカにおきましては、先ほど委員も言われましたが、財政収支均衡目標年次をめぐりまして当初大統領議会が対立しておったわけでございますが、その後、目標年次につきましては二〇〇二年度までの均衡を目指すということで一致したところでございまして、現在、医療費削減も含めた議論大統領議会との間で展開されているわけでございます。  ヨーロッパにおきましても、これは先般この委員会でも出ましたんですが、通貨統合に参加するための条件として、地方も合わせました債務残高ストックGDP比を六〇%以下にするとか、フロー財政赤字GDP比を三%以下に抑えることが条件として含まれておりまして、各国とも財政赤字削減に取り組んでいるわけでございます。  先ほども御指摘がありましたように、フランスではストライキを引き起こしながらも、社会保障債務返済税を導入するとか、社会保障制度改革に取り組んでおりますし、またドイツにおきましても、旧東ドイツ地域支援等のために悪化しました財政の立て直しのために取り組んでおりまして、九六年度予算は四十三年ぶりに対前年度マイナス予算となっているわけでございます。イギリスでも、マイナス成長を経験する中にあっても健全財政こそ経済持続的回復にとって重要であるという認識のもとで、増税を実施するなど財政健全化に取り組んでいるわけでございます。  このように、主要先進国いずれも財政赤字削減に積極的に取り組んでおるわけでございますので、先ほどの御質問の中にありました、今や我が国主要先進国の中でも最も悪いと言える財政事情に悪化しているわけでございますので、我が国としても今後財政改革に積極的に取り組んでいかなければならないと考えておる次第でございます。
  12. 金田勝年

    金田勝年君 そういう状況にあるわけでございまして、我が国が、これからのやはり財政が本来期待される機能といいますか、役割といいますか、そういうものをきちっと果たしていくということを実現するためには、やっぱり本当に並々ならぬ努力対応が必要になってくる。そういうわけですが、去る一月二十六日に予算委員会大蔵省の方から提出されたわけですが、「財政中期展望」、そしてまた「財政改革を進めるに当たっての基本的考え方」といったものを提出されておる。さまざまな試算が入っておったわけですけれども、大蔵省としては我が国財政の今後の姿を中期的にどういうふうに見ておられるか、教えていただきたいと思います。
  13. 伏屋和彦

    政府委員伏屋和彦君) お答え申し上げます。  今委員指摘されましたように、先般御提出申し上げました資料、大きく分けまして三つに分かれておるわけでございます。  一つは「財政改革を進めるに当たっての基本的考え方」でございます。今後の財政改革についての御議論を始めていただくに当たり、複数の試算を提示したところでございます。  このうち、二番目の「財政中期展望」におきまして、特例公債発行下における過去の諸試算の例に倣いまして、財政法原則に著しく反しまして将来世代負担を残すのみである特例公債を機械的にまず減額する姿によりまして、「財政中期展望」では今後の中期的な財政事情を示しておるわけでございます。  この試算では、例えば平成九年度に特例公債発行をゼロとこれは仮定するわけでございますが、その仮定のもとでは、九年度におきまして、これは全額直ちに十三兆五千億というかつて例を見ない規模の要調整額、いわゆる歳出歳入ギャップが発生するわけでございます。平成十二年度、西暦二〇〇〇年度までの四年間とか、十五年度、西暦二〇〇三年までの七年間で特例公債発行をゼロとする仮定のもとにおきましても、三年後の十一年度にそれぞれ十二兆八千億とか十兆円という巨額の要調整額が発生することとなるわけで、いずれのケースをとってみましても今後の財政事情は、特例公債のみを減額するだけでも大変な努力を要するものであることがおわかりいただけるかと思います。  一方、今回はさらに、一定の仮定のもとに機械的に今後の財政収支状況試算したいわゆる「中期的な財政事情に関する仮定計算例」をお示ししているわけでございますが、この仮定計算例(イ)では、公債減額を行わずに各年度における歳出歳入ギャップをすべて公債発行により賄うと仮定した場合の平成十八年度までの試算でございますが、これによりますと、仮に公債減額努力を怠ったならば、歳出歳入ギャップは当然のことながら年々拡大いたしまして、公債発行額及び残高増大一途をたどるわけでございます。平成十八年度末には公債残高四百八十二兆円ということで、先ほどから出ております平成八年度末見込みの二百四十一兆円のほぼ倍に達するというような状況でございます。  そういう意味で、先ほど質問認識でございますが、中期的な財政状況は極めて厳しいものでございまして、財政健全化への取り組みは一刻の猶予も許されないものと考えておるところでございます。
  14. 金田勝年

    金田勝年君 まさに、中期的に見るとそういう問題があると。これは単に景気循環的な一過性のものではなくて構造的な要因が背景にあるということをおっしゃっていると思いますが、今後経済成長に伴なって税収が増加するといたしましても、国債費地方交付税、それから既存の制度や施策におきます一般歳出のすべての増加、そういったものを到底賄い切れないんではないかという心配が出てくる。そしてまた、現状のままでは歳出歳入ギャップといいますか、これが年々拡大の一途をたどっていくと、そういう見込みということになりましたらこれは大変なのであります。  基本的には、財政赤字が累積していきますと金利が上がって、アメリカ外国なんかではそれがクラウディングアウトにつながるといったような議論もあるわけですが、今までは日本では貯蓄率が高いということで、金利には影響しないという意見もあったわけでございますけれども、これからは少子・高齢化社会を迎えるということでございますから、貯蓄率の低下が生じていくと。他方で国債残高を減らさなければいけないということですから、これは容易なことではないわけであります。貯蓄率が低下していく、高齢化社会の到来、そういったようなことも考えると、クラウディングアウト危険性も先々考えなきゃいけなくなるかもしれませんし、あるいは政策的経費が圧迫されて今後の経済成長の足かせになっていくという問題も顕在化してくるわけであります。  でございますから、伺いたいんですが、財政当局として、財政事情が悪化するということでさまざまな影響が経済に及んでくると、こう思うわけでありますけれども、その辺はどのようにごらんになっていますか。
  15. 伏屋和彦

    政府委員伏屋和彦君) お答え申し上げます。  今委員が御指摘になられました財政悪化問題点につきましては、まさに昨年十二月の財政制度審議会財政の基本問題に関する報告におきましても指摘されているところでございます。  一つは、中期的に見てやはり経済の活力を奪い、経済の発展を阻害するということでございます。先ほど委員も言われましたように、金利の上昇とかクラウディングアウト、さらにはインフレ、為替への悪影響などの経済に対する弊害を生じさせるほか、利払い費等増大を通じまして財政を硬直化させまして、財政対応力が損なわれていくということになるわけでございます。  いま一つは、世代間の公平を損なうという問題があるわけでございます。将来世代にさらに重い負担をツケ送りしたり、将来世代選択権のないままに、将来の世代の人が選べないままで社会資本整備内容が決定されて、そして負担が決まってしまうというような問題も中にはあるわけでございます。  このような財政悪化問題点は、先ほど委員が言われましたが、現在我が国民間部門におきまして投資を上回る大幅な貯蓄が存在するわけで、その意味ではまだ問題点が顕在化するに至っていないわけでございますが、しかしながら、この点は各国でも非常に関心が持たれておりまして、昨年十月の先進十カ国の蔵相中央銀行総裁会議研究レポートでも指摘されておるわけでございます。  今後、我が国欧米諸国に例を見ないほどの急速な、先ほど委員が言われました少子・高齢化が進むわけでございます。我が国の過剰貯蓄は早晩著しく減少していくと考えられておりまして、その時点から財政赤字の弊害が顕在化し、長期にわたって我が国経済の活力を奪っていくのではないかと心配するわけでございます。
  16. 金田勝年

    金田勝年君 ただいまの答弁のようなさまざまな点が心配になる、こういう状況でございますから、財政本来が持ちます機能、景気調整ももちろんですけれども、資源の効率的配分、それから所得の再分配、いろんな役割が本来課せられておったわけでございますが、そういうふうな本来機能、そして今答弁にありましたようなさまざまな点、こういうことが問題になってきたのではこれからの日本経済にとって非常に残念なことになるわけでございますから、ここでやはり不退転の決意でそういうふうなことにならないように、財政のあるべき姿、健全化も含めてぜひ財政当局として頑張って取り組んでいっていただきたい。  中期展望を拝見していろんな思いを持ったのでございますが、その思いを申し上げて、まずは大蔵大臣のその取り組みの決意をお伺いしたい、こういうふうに考えておる次第であります。
  17. 久保亘

    国務大臣久保亘君) 我が国の危機的な財政事情につきましては、今、金田さんの方からも御発言がございましたし、主計局次長の方からもお答えを申し上げました。  諸外国におきましても財政赤字の克服のためにさまざまな努力が払われておりますが、今、我が国先進諸国家の中で群を抜いて財政事情が悪化しているということが数字の上でも明らかとなっております。  昨年の秋に前大蔵大臣の武村さんが財政危機宣言ともいうべきものを発表されましたのもそのような事情に基づくものでございますが、私といたしましては、諸外国努力の例にも学びながら、目標を定めて、そして歳入歳出両面から財政立て直しのための具体的な方策をどのように立てるべきかということについて、大蔵省としても速やかにこれらの問題を整理いたしまして、そして今、財政制度審議会でも御審議をいただいておりますし、国会でも大蔵委員会を中心に皆様方の御議論を賜っているわけでございますが、大蔵省といたしましても、国民の皆様に事情を十分に御理解いただいた上、財政再建のためにとるべき方策について御議論をいただき、そして国民の理解をいただきながら、来年度の予算編成が財政再建に向けての初年度としてスタートできるように取り組んでまいらなければならないと考えているところでございます。
  18. 金田勝年

    金田勝年君 財政状況がこのように厳しい事情にあるということはわかったわけでございますが、そういう状況の中で、今回二兆円規模特別減税を七年度に引き続き継続することとしたと。国税レベルでは約一・四兆円でございますが、この二兆円もの特別減税を継続する。これは、厳しい財政事情特別減税による景気対策の効果を比較考量いたしまして、恐らく特別減税による景気対策の効果というものに重きを置いた結果であろう、こういうふうに思うわけであります。  八年度の特別減税につきましては、申し上げるまでもなく、平成六年九月の連立与党の税制改革大綱の中で、景気が特に好転した場合には改めて検討するけれども、基本的には八年度も継続するという路線に従った措置であると。そして八年度の予算編成の議論の中で、景気が特に好転したという判断に至らなかったがゆえに今回の継続を決めたというふうに私は受けとめておるわけでございますが、それにしても、現下の厳しい財政事情の中で、特別減税による景気浮揚効果というものが認められなければ、到底その継続を認めることにはならなかったのではないかなと、こういうふうにも考えられるわけであります。  そこでお聞きしたいのでありますが、経済企画庁は来ておられますか。  政府がこれまで特別減税平成六年、七年、そして今度は平成八年度でございますが行うわけですが、これまでの減税の効果というものをどのように受けとめておられるものでございますか。そしてまた、例えば制度減税に係る部分につきましては先行で行っているということでございますから、先行で行う部分の効果というものもあろうかと思うのであります。そういう効果についてどのように受けとめておられるか。そしてまた、これから八年度に行います特別減税景気刺激効果というものをどのように見込んでおられるのか。その辺を教えていただきたいと思います。
  19. 永谷安賢

    説明員(永谷安賢君) 個人所得税減税の景気に及ぼす影響についてのお尋ねでございますが、御案内のとおり、当然のことながら個人の所得税減税をやりますと可処分所得がふえる。それで、その中から貯蓄に漏れていく部分というのがあるわけですけれども、消費性向を一定だとすれば、当然のことながらその分、消費が上がる。消費が上がって景気に対してもいい影響を及ぼすということだろうと思います。  それで、定量的にそれがどの程度景気にいい影響を及ぼすのかということなんですけれども、私どもで持っております世界経済モデルの乗数でお話しいたしますと、名目GDP比一%相当額の減税を毎年続ける、名目GDP比の一%相当額ということですから、今の税額に置きかえますと五兆円弱、四・七兆円ぐらいでしょうか、その程度の減税を毎年やっていくと。そうしますと、一年目に実質GDPを〇・四二%ポイント引き上げる、二年目に〇・七二%ポイント引き上げる、三年目に〇・八三%引き上げる、こういう計算結果になっております。
  20. 金田勝年

    金田勝年君 我が国経済にとりまして、現下の景気を何としてもよくしていかなければいけない、景気を浮揚していくということが重要だということはもちろんでありまして、そのための措置としてこの特別減税の継続が位置づけられるわけでございますけれども、同時に、我が国の現状を考えますと、やはり今が大きな構造変革の時期であるという時代認識経済面においてもそういうものを持つことが重要であると私は思うわけであります。  これまで話が出ましたけれども、我が国経済社会が少子・高齢社会に移行する、そして国際化が進展する、そして情報通信の高度化といった時代の変化に直面して、やはりいや応なく構造的な問題への対応というものが迫られているということで、平成六年の六月でございましたが、税制改革についての税調答申、これを読ませていただくとこの辺の考え方、問題意識というものが非常によく出ているわけであります。そして、それを受けて一昨年、平成六年の秋に、こうした構造改革の大きな一歩として個人所得課税負担の軽減と消費課税の充実を図ると、そういう税制改革を行うことを決めたというふうに受けとめておるわけであります。  そこで、今の税制を考えるに当たっての大前提といたしまして、大前提と受けとめるべきと申しますか、平成六年の秋の税制改革の意義について伺いたいと思います。
  21. 薄井信明

    政府委員(薄井信明君) お答え申し上げます。  平成六年十一月に通していただきました税制改革、活力ある福祉社会の実現を目指すと、こういう視点に立って行わせていただいたわけでございます。内容的には、個人の所得課税、これは国税である所得税地方税である住民税両方についてですが、個人所得課税につきまして、働き盛りの中堅所得階層に税負担が強く当たっている状況を改めて累進構造の緩和をすると、こういう内容でございました。また、財政需要を安定的に確保する、財政需要に対応していくということのための財源を社会の構成員が広く分かち合えるということを考えますときに、消費税について、いわゆる中小事業者に対する特例措置の改革とともに、税率を引き上げるということによりまして消費課税の充実を図ったわけでございます。  この両点が平成六年の税制改革の中心的な内容でございまして、中長期的に見まして勤労意欲とかあるいは事業意欲に対して好ましい影響を与えて、そういう意味経済社会の活力を高めていく構造改革であったと確信しているわけでございます。  また、少子・高齢化社会における福祉等、社会保障などの公共サービスを安定的に供給していくための税体系という意味からも、活力ある福祉社会への実現に向けての第一歩となっているものと考えております。
  22. 金田勝年

    金田勝年君 世代間の負担の公平確保に配慮した形ということで、また同時に経済活力の維持も図ろうということだと私は思っておるのでございます。その今おっしゃられた世代間の負担の公平確保というところでございますが、税制改革を議論いたします際に世代間の負担の公平といったような概念がよく用いられるのでありますが、今後の少子・高齢化社会を見込んで、改革がどのような観点から世代間の公平な負担に資するというふうに考えられるのか、そこを教えていただきたいと思います。
  23. 薄井信明

    政府委員(薄井信明君) これから将来を展望いたしますと、高齢化あるいは少子の社会に進んでいくということは否定できないわけでございまして、そういった時代の中で、社会の中で適正な負担をお願いするにはどうしたらいいかということが税制にとって重要なポイントの一つになろうかと思います。つまり、活力ある福祉社会というものを目指していく観点からどうしたらいいかということかと思います。  そういう意味で、繰り返しになるかと思いますが、個人所得課税につきまして、これは勤労者が中心となって負担をすることになりますので、その負担が余り若い人たちに偏らないようにしないといけない。一方で、御老人の方にも負担能力のある方もいらっしゃるわけですから、その方の消費に伴って負担をお願いするというようなことをミックスすることによってお互いに、若い人、高齢者を含めたこれからの社会が財政需要に対応していくことができると、こういうことを考えた税制改革であったということでございます。
  24. 金田勝年

    金田勝年君 そういうお考えの中で、きょう審議させていただいております法案でございますが、この税制改革でございますが、さきに述べました二兆円、国税、地方税合わせて二兆円の特別減税景気対策のためという観点もあって二階建て部分の減税として実施しているのに対しまして、一階部分の制度減税、これも国税、地方税合わせて三・五兆円規模で実施しておるわけでございます。国税ベースですと約二・四兆円でございましたか、三・五兆円規模で実施している。  それでお聞きしたいのですが、今後の経済社会の構造変化というものを踏まえた場合に、いかなる理念に基づいてこの制度減税というものを措置したのでありますか、教えてください。
  25. 薄井信明

    政府委員(薄井信明君) 個人所得課税のあり方という観点から考えたときに、これから迎える社会、経済にとりてどういう負担のあり方が適切であるかという検討を当時重ねたわけでございます。  活力ある福祉社会ということを先ほど申し上げましたが、端的には中堅所得階層にとって税負担の累増感、収入が上がると税負担が重くなっていく感じがするというこの累増感を緩和しまして、一方で歳出面の諸措置を安定的に維持するために社会の構成員が広く負担を分かち合えるようにということで、個人所得課税負担軽減した分を消費課税の充実を図る、こういった組み合わせでバランスある安定的な税体系を構築するということが行われたわけでございます。  今、直接の御質問は、個人所得課税のうち、いわゆる一階部分の三・五兆円の制度減税の哲学ということかと思いますが、社会の中核にいらっしゃる働き盛りの中堅所得階層の負担累増感を緩和すると申し上げましたが、具体的には所得税率の二〇%の部分を中心といたしまして大幅な税率ブラケットの拡大を行いました。これによりまして、収入が追加的に増加するにつれて税引き後の手取り金額が急激にふえずに滑らかにふえていくような累進構造を構築したということでございます。  具体的には、改正前には二〇%の税率というのは、夫婦子二人の給与所得者の場合は年収七百万ぐらいから一千万ぐらいの方に適用になっていたわけですが、これを七百万から七百七十万ぐらいまでは一〇%の税率、それから七百七十万から一千三百五十万ぐらいまでですが、ここは二〇%ということで、ほとんどの給与所得者についてはこの二〇%のところで完結するような所得税体系にさせていただいたということでございます。これによりまして、勤労者のやる気といいますか活力といいますか、そういったものを引き出して経済全体の活性化に資するということができると考えたわけでございます。
  26. 金田勝年

    金田勝年君 そういう性格を持つ制度減税でございますが、この制度減税によります個人所得課税負担軽減とおおむね見合う形で、消費税地方消費税を合わせた税率平成九年の四月一日から五%とするということが去る六年十一月の税制改革関連法において法定されておるわけであります。  この法律には、附則の二十五条でございますが四つの検討条項が盛り込まれている。「社会保障等に要する費用の財源を確保する観点、行政及び財政の改革の推進状況租税特別措置等及び消費税に係る課税適正化状況財政状況等を総合的に勘案」という四つの検討条項が入っておる。これらを総合的に勘案して、「必要があると認めるときは、」消費税税率について「平成八年九月三十日までに所要措置を講ずる」ということにしておるわけであります。  これらの検討項目というのは、先ほどから申し上げております我が国の構造改革をこれから進めていく観点で非常に重要な視点であると考えられるのでありますけれども、これから政府として具体的にどのような手続でそれぞれの四つの事項につきまして評価を加え、検討を加え、見直しを進めていこうとされているのか、その辺をお聞かせいただきたいと思います。
  27. 薄井信明

    政府委員(薄井信明君) お答え申し上げます。  平成六年十一月に成立しました税制改革関連法におきましては、消費税とそれから地方消費税を合わせた税率は、既に平成七年から実施しております所得税、個人住民税の負担軽減とおおむね見合う形で、御指摘のように、平成九年四月一日から五%とすることが法律ではっきり書かれているわけでございます。  ただ、附則におきましていわゆる検討条項がつけられておりまして、この検討条項についてのお尋ねでございます。四項目ございますが、平成七年度予算編成、平成八年度予算編成に当たりまして、私どもこの四つの観点については常に頭に置き、それぞれの場で真剣に取り組み、それぞれに前進をしてきていると考えておるわけでございます。  直接的には、税制の世界について申し上げますと、租税特別措置整理合理化、あるいは消費税についての一層の充実といいますか、中小特例等の見直しということにつきまして、これまでこの二年度重ねてまいっているわけでございます。  その他の項目につきましては、財政事情につきましては先ほど主計局次長からお話ししたような状況にありますし、また、社会保障の問題につきましては平成七年、八年度におきましてそれぞれ進展はしておりますし、一方で、大きな問題として介護の問題が今議論されているわけでございます。また、行革の話につきましても去年大きな前進をし、ことし法律化されて議論を積み重ねてきていると承知しておりますし、また、規制緩和の問題等々についてはまさに現在議論されている。  こういったものを集約して、最終的に税率を五%のままでいいのかどうか、さらに上げる必要があるのかどうかという決断をしなければならない時期が来るわけでございますが、法律によりますと、本年九月末という期限が置かれております。このときまでに必要な措置を講ずるということは法律上の措置も講じなければならないということですから、こういった法律上の規定を踏まえて、今後私ども政府部内におきまして決断をしていく時期を持ちたいと思っておるわけでございます。
  28. 金田勝年

    金田勝年君 四つの検討項目でございます。これがどういう状況にあるか、それぞれ御承知ではございましょうし、また、それぞれ主管しておりますところで努力をされておられる話を踏まえて検討を進められるんでしょうが、ちょっとここで聞いておきたいんですが、検討項目の一つでございます、租税特別措置課税適正化という点です。  租税特別措置、きょうは租税特別措置法改正もあるわけでございますが、その整理合理化というものにつきましては、これまで二年にわたって、七年度に引き続いて八年度の税制改正においても見直しが行われたというふうに受けとめておりますが、その七年度の改正、八年度の改正租税特別措置課税適正化につきまして、その考え方とこれまでの実績といいますか、そういう点についてお聞かせいただきたいと思います。
  29. 薄井信明

    政府委員(薄井信明君) 租税特別措置も検討項目の一つでございまして、平成七年度、八年度につきましては、それまで行ってきました租税特別措置整理合理化以上に力を入れて措置してきたものでございます。  租特についての基本的な私どもの考え方ですが、特定の政策目的、それは時代が求める政策目的というものはあるわけでございまして、そういうものを実現していくための政策手段としてその存在を否定するものではございませんが、一方で、税負担の公平だとかあるいは経済活動に対する中立性、あるいは簡素であるかどうかといったような税制の基本理念からしますとぶつかるところもあるわけでございまして、その両者をバランスをとりながら議論をしてきております。  個々の措置につきましては、したがいまして、政策目的、効果を絶えず吟味いたしまして、時代おくれになっているならばやめていく、整理合理化していくということでやってまいったわけでございます。そういう意味で、特に昭和五十年代、五十一年以降ですか、毎年のようにやらせていただいてきているわけでございます。  平成七年、八年についての御質問でございます。今申し上げました基本的な考え方に当然立ちつつ、あわせて消費税率の検討条項の趣旨も踏まえまして、特に力を入れて今回政策目的、効果等の十分な洗い直しを行い、私どもとしましては大幅な整理合理化が行い得たと思っておるわけでございます。ただ、一方で時代が必要とする新しい租特もありますので、そういうものの新設もあわせて行っていることはつけ加えておきたいと思います。  なお、租特の見直しに当たっての考え方ですが、その目的が現下の喫緊の政策課題に資するものであるかどうか、あるいは政策目的達成のために本当に効果的なのかどうか、そもそも政策手段として税制でやることがいいのかどうか、あるいは利用実態が特定の方に偏っていないのかどうか、せっかく設けたけれども利用が低調ではないのかどうか、つくってからもう長い間時間がかかっているんではないか、こういった点について十分に吟味をいたしまして、廃止、縮減に努めたところでございます。  数字で申し上げますと、平成八年度の改正におきましては、租特について廃止したものが十二項目ございます。一方で縮減合理化したものが三十四項目、それから創設したものが十項目となっております。なお、一年前ですが、七年度改正におきましては、廃止したものが八項目、縮減合理化したもの二十七項目、創設したもの四項目となっております、  やや長くなってしまいましたが、特に企業関係の租特につきましては、その性格上、数が多いといったようなことから見直しに力を入れてきたわけでございますが、平成七年、八年の両年度の改正を通じまして項目数の一割をスクラップすることができました。それから、残ったものの半数以上の項目について縮減合理化を行っております。項目数は新設の三項目を含めて七十七項目、八十二項目あったものが七十七項目に減少しておりまして、この水準は十年前の数に等しくなっているということでございます。
  30. 金田勝年

    金田勝年君 四項目の中に一つ主税局が今取り組んでいる項目がありますので、今、一つ租税特別措置についてはお聞きしたわけでございますが、時間の関係でほかは割愛しておきますが、このような検討や対応というものが進んでいきますと、所得、消費、資産、このバランスにいずれにしてもこの税制改革を通じて影響が出てくることになるわけでありますね。税体系の構築を考えたときに、そのバランスというものがどういうふうな形であるのか、そしてまた目指すのか、そういうところをお聞きしたいんです。  実は、私はかつて消費税が導入されましたときに大阪国税局というところで調査部長というのをやっておりまして、課税のバランスというものについて身をもっていろいろと勉強したり体験したりしておったわけでございますが、当時はたしかOECDの二十四カ国で日本が一番消費課税割合が低い国になっておったんではないかなと、これは消費税導入の前でございますが、そういうふうに記憶しているのであります。  そしてまた、それからしばらく時間がたったわけでございまして、消費税が導入され現在に至って、そしてまた今のような構造改革を進めていく、こういうプロセスを経ているわけでございますが、当時と今と我が国の所得、消費、資産のバランスというのはどういうふうに変わってきておるのか、そしてまた目指す水準というものはあるのか、その辺についてちょっとお聞かせいただきたい。
  31. 薄井信明

    政府委員(薄井信明君) 平成六年十一月の税制改革によりまして、個人所得課税の軽減、それから消費課税の充実ということを行いました。それを数字で拾ってみますと、平成六年度の当初予算ベースで国も地方も合わせて、これはOECDの場合は国も地方も合わせたのもありますので、これで入手し得る資料で数字を拾ってみますと、所得課税のウエートは五四%程度であったものが四ポイント低下しまして五〇%程度になっております。また消費課税のウエートは二二%程度であったものが二七%に、それから資産課税のウエートは二五%から二四になると、相対的な関係ではございますがそのように変化をしたであろうと試算できるようでございます。  先ほどの御指摘で、かつてはOECD二十四カ国中日本は消費課税税収全体に占める比率が最低であったという御指摘ですが、その後最低の水準からは昇格して、下から四つ目ぐらいになっている年もあるようでございます。一方で所得課税の方が改革後、上から三番目ぐらいだったのが幾分下がってきているということでございます。資産課税についてはそれほど大きく動いていないという状況でございます。  なお、御質問で、どういうバランスをねらっていくのかということでございます。これにつきましては、一義的に何%、何%、何%がいいという答えはなかなか見つけにくいところだと思います。ただ、先ほど最初に御質問いただきましたように、これからの我が国を考えた場合に、どういう税金で負担し合うことが我が国の活力にもつながり、また負担感からしても妥当であるかということを考えたときには、おのずから国民の声というものがにじみ出てくるものでございます。やはり消費課税日本の場合相対的に低過ぎるんではないかなということから平成六年の改革はさせていただきました。  今後とも、国民の皆様の声を伺いながら望ましい方向へと直していくことが必要であろうと思っております。
  32. 金田勝年

    金田勝年君 そういう御趣旨でございますと、来年の四月一日からということに向けて、先ほど申し上げました「平成八年九月三十日までに所要措置を講ずる」ということなんですが、「必要があると認めるとき」ですが、構造改革を進める観点から今一生懸命鋭意努力してきた経緯の中で、この辺についてもひとつ十分な検討をされていくんだろうと思うのでありますが、その辺の感じを教えていただきたい。
  33. 薄井信明

    政府委員(薄井信明君) 平成六年秋の改正は、個人所得課税、それから消費課税について先ほど来申し上げているような形での改革をすることが税制としての構造改革に当たるんだということで判断したわけでございますが、ただ、そのときに所得課税を軽減し消費課税を充実するということを同時に実施すると、その当時の経済状況からすると適当でないという判断を政府、与党ともしたわけでございます。  そういう意味で、平成九年四月から消費税率の引き上げは行いますが、この消費税率の引き上げと、既に平成七年から行っている個人所得課税の減税というのは両方がワンセットで構造改革である、その実現の過程に今あるんだと考えているわけでございまして、少くともその点が法定されていると認識しているわけでございます。  ただ、消費課税の方を地方消費税を含めまして五%でいいのかどうかということにつきましては、平成六年秋の議論では十分議論し尽くせなかったということから四つの勘案項目というものが宿題として残っている、そのように認識しております。  したがいまして、四つの勘案項目につきまして、既に大体答えの出てきている部分もありますが、例えば社会保障の財源のようにこれから答えの出てくるところを待ちまして、このままでいいのかどうかという議論をしていきたい、このような位置づけで認識しておる次第です。
  34. 金田勝年

    金田勝年君 この点について大臣の見解も伺いたいと思います。
  35. 久保亘

    国務大臣久保亘君) 今、主税局長からお答えを申し上げましたが、実務的には主税局長がお答え申したとおりでございますが、かつてこの消費税を国民福祉税として七%にする案が細川政権のときに検討されたことがございますが、このことに対しては国民の皆様方の非常に強い反対の意見もございまして、これは撤回されることになったのであります。  六年の十一月に、減税との見合いにおいて、その財源を確保するために消費税税率地方消費税を含めて五%とすることで法定されたわけでありまして、これは来年の四月一日から確実に実施されなければならないと考えております。  しかしその際、今、主税局長が申し上げましたように、四つの検討事項を中心にことしの九月三十日までに、もしこの税率について変更を行う場合にはその措置をとるということが検討条項として明記されてございます。今そのことについて検討をいたしている段階でございますが、衆議院の予算委員会においてもお尋ねがございましてお答え申し上げましたが、この九月三十日の時点におきまして既に法定されております消費税五%の税率を変更することは容易なことではない、十分国民の皆様方の御意向等にも配慮をしながら検討条項についての結論を出してまいりたい、このように考えております。
  36. 金田勝年

    金田勝年君 続きまして、土地税制の方をちょっとお聞かせいただきたいと思います。  ついせんだっての二十一日に発表されました公示地価、これで五年連続の下落を記録したということになっておりますが、この辺のポイントをちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  37. 長瀬哲郎

    説明員(長瀬哲郎君) 平成七年、一年間の全国の地価の動向につきまして御説明申し上げます。  大都市圏におきましては、住宅地は下落、商業地は顕著な下落となっておりまして、住宅地、商業地ともに五年連続しての下落でございます。地方圏におきましては、住宅地は横ばい、商業地は下落となっておりまして、商業地は四年連続で下落しているという状況でございます。  数字を申し上げますと、大都市圏の住宅地は四・六%の下落、商業地が一六・〇%の下落、また地方圏におきましては、住宅地は〇・六%の下落、商業地が五・八%の下落となっております。
  38. 金田勝年

    金田勝年君 この資料を拝見しますと、地価公示が発表されましたが、三大都市圏の商業地でとらえますと、平成三年のピーク時に比べますと、五年連続で地価が累積でもう四割程度にまで下落しているわけであります。  そういうことで、これを踏まえてどういうふうに土地政策というものを考えていくかということをちょっとお聞きしたいわけでございます。まず、土地税制というものと関係してくるわけでございますが、三年度の税制改革で土地税制につきましては、バブル経済すなわち地価高騰を背景にでき上がった、そういう性格もあるのでございますが、地価動向と土地税制の関連性につきましていろんな議論が行われているというふうに思うわけであります。今回の土地税制改正につきましては、地価動向との関係というものをどのような理論的整理のもとに行われたものかという点をお聞かせいただきたいと思います。
  39. 薄井信明

    政府委員(薄井信明君) 御指摘のように、平成三年の税制改革、土地税制改革におきまして今日の土地税制の基本をつくり上げたわけでございますが、その当時におきましてはいわゆるバブルの時期でございまして、当時、平成元年の年末でございましたが、土地基本法が制定されるといったような形で、政府としましては土地問題が最大の課題として議論を重ねた結果、税制につきましては平成三年の改正で種々の措置を講じたということでございます。  そのときの私どもの考え方は、土地税制がすべての原因とは思っておりませんでしたが、やはり土地税制自体も地価の水準があれほど高くなる一つの要因であったのではないかという御指摘を謙虚に踏まえまして、例えば評価につきましてこれを改めていく方向で大きく改正いたしましたし、税負担のあり方につきましても、税で担える部分を最大限担っていこうということで、短期の土地対策というよりは、今後こういうことが起きてこないような構造的な対応として、土地の取得、保有、譲渡ということにつきましてそれぞれ措置を講じさせていただいたわけでございます。  そのときの考え方についてここで述べることは省略いたしますが、そのときに比べて現状はどうであるかということを考えますと、今、国土庁さんからお話がありましたように、土地をめぐる状況が明らかに大きく変わっております、また地価の水準も大きく変わっております。  ということで、平成三年に打ち立てました土地税制の基本的あり方あるいは土地基本法の哲学といったものを生かしつつ必要な調整を行うことが大切であるということで、今回、譲渡所得課税につきましてはかなりの大きな軽減を図ったわけでございますし、また土地保有課税の部門では、国税としての地価税につきまして税率の軽減をいたしております。また登録免許税につきましても、本来であれば負担が上がっていくところを、現行のまま維持するという措置を講じたわけでございます。  繰り返しになりますが、基本を守りつつ、土地をめぐる状況が大きく変わっていることを受けて、税率水準等について調整を行ったということでございます。
  40. 金田勝年

    金田勝年君 個別にお聞きしていきたいんですが、その前に、地価公示が出たということですから、全国の市町村は固定資産税の課税基準になります固定資産税評価額の評価がえに向けた作業に入るんだろうと、そして今年の暮れに向けて検討されるんだと思いますけれども、これらが登録免許税や不動産取得税の負担を左右することになるという面もあろうかと思いますので、九年度の固定資産税評価がえについて、今回の地価公示の結果から見てどのようなものになるというふうに見込まれますか。自治省いらしていたらお願いいたします。
  41. 片山善博

    説明員片山善博君) 平成九年度の評価がえの作業を現在やっております。平成六年度の評価がえ以来、地価公示に連動して評価の均衡化・適正化を図るということをやっておりまして、具体的に申しますと、平成九年度の評価がえは、平成八年一月一日の地価公示の七割をめどに評価がえするという作業を現在やっております。したがいまして、今後評価が進むわけでありますけれども、この間、すなわち三年間の地価の下落傾向を適切に反映した評価がえを行うことになると思います。
  42. 金田勝年

    金田勝年君 これから鋭意おやりになられるんだろう、こういうふうに思うわけでございます。  その際にお願いしておきたいと思いますのが、固定資産税の評価をめぐりまして、地価公示価格の水準の七割評価ということのもとで一・四%の税率課税されるのが、納税者や零細企業なんかも含めて納税企業から極めて厳しいという意見も見られるわけであります。数多くの不服申し立てが起こっているということも聞いておりますものですから、その評価のあり方についてさまざまな議論もあろうかと思いますので、九年度の評価がえに当たりましては、納税者や納税企業の立場に立って、十分論議を尽くして適切な対応をお願いしたいということをお願いしておきたいと思います。  それでは、引き続いて土地税制の具体の話に入らせていただきたいと思うのでございますが、まず、個別の改正について簡単で結構でございますから御説明いただきたいと思います。この後、質問したい話がたくさんございますので簡単で結構でございます。先ほど主税局長から御答弁がありました基本的考え方というものは地価税についての場合どういうことであったか、簡単にもう一度教えてください。
  43. 薄井信明

    政府委員(薄井信明君) 地価税は平成四年から実体として動き出しております。スタートにおきましては〇・二%という税率が適用になりましたが、その後〇・三%ということで今日まで来ておるわけでございます。その後の国、地方を合わせた保有課税の充実、あるいは先ほど来申し上げているような土地をめぐる状況変化を受けまして、今回、地価税の税率につきましては、平成八年分からは〇・一五%に引き下げるという措置を講じております。  地価税の制度は、御承知のように、地価というものを課税標準として税率を掛けるわけでございますから、先ほど来御指摘のように地価自体が今急激に下がっておりますので、例えば平成七年分の地価税収入は多分四千億円ぐらいかなと思っておりますが、今回これが〇・一五になって二千億円になるかというと、さらに低く、多分千七百億円ちょっとというぐらいに下がっていくだろうと考えております。  なお、地価税につきましてもう一つ、定額控除につきまして一部手直しをさせていただいているというのが今回の地価税制度改正内容でございます。
  44. 金田勝年

    金田勝年君 ちょっとつけ足しになるようですが、〇・一五%の根拠というのがもしあったらお聞かせいただきたいと思います。
  45. 薄井信明

    政府委員(薄井信明君) 税率そのものについて、具体的に計数的に〇・一五の根拠と言われるとなかなか説明しにくいわけでございますが、先ほど説明いたしましたように、スタートにおきまして〇・二%ということでスタートいたしましたが、今回さらにもう一段の配慮を加えて〇・一五にしたわけでございます。  それに至るに際しましては、地価税の存在につきまして多くの議論がございました。地価税はそのまま存続すべきであるというお考えの方、あるいは地価税はもっと低くてもいいのではないか、固定資産税との関係からすると今回やめてもいいのではないかという議論も含めて議論をした結果、〇・一五が適当であるという結論に達したということでございます。
  46. 金田勝年

    金田勝年君 時間の関係で前へ進ませていただきますが、登録免許税の特例は八年度限りのものと。同じように取得税でいきますと不動産取得税もあるわけですが、ここでは登録免許税ということで、九年度以降の登録免許税の負担のあり方についてはどのように考えておられますか。
  47. 薄井信明

    政府委員(薄井信明君) 登録免許税につきましては、平成六年、七年、八年分につきまして、平成六年の固定資産税の評価がえのときに軽減措置を講じました。これは、平成六年の固定資産税の評価がえがかなり大きな税負担アップにつながるということがあらかじめわかっていた中での議論でございましたので、平成六年の評価がえの期間、つまり六、七、八年の三年分について措置をしたということでございます。  今回、法律を改正しなければ、先ほど触れましたが、軽減割合が六割から五割に縮減することになっておりましたが、土地をめぐる状況変化を踏まえまして、平成六年、七年と同じ水準に維持することにしたわけでございます。そういう意味で、八年分だけ直させていただきました。  九年分以降どうするかにつきましては、先ほど自治省さんから御答弁がありました、九年の固定資産税の評価の状況を見きわめて対応していくべき問題であろうと考えております。
  48. 金田勝年

    金田勝年君 続いて、保有、譲渡、取得という意味での譲渡のところですけれども、土地譲渡課税について昨年土地税制をめぐるたくさんの論議があったわけでございます。その中で土地流動化のため大胆な軽減を行うべきだという議論がかなりあったと思うんですけれども、今回の改正内容というのは実質的に平成三年の土地税制改革前並みに緩和されたと言えるんでしょうか。そしてまた、改正に当たっての考え方というものを簡単に教えていただきたいと思います。
  49. 薄井信明

    政府委員(薄井信明君) 平成二年秋に平成三年土地税制改革議論が行われたわけでございます。その際に土地譲渡課税につきましても幅広い議論が行われまして、公共用に使われるような土地譲渡、こういうものは極端に税負担は低くていい、一方で、それ以外のものにつきましてはある程度負担が重くてもいいのではないかという考え方がとられたわけでございます。そういう意味で、めり張りのついた税体系ということが当時言われたわけでございます。  念のため申し上げますと、平成二年までの税制では、優良な譲渡につきましては二六%一本、それから一般の譲渡につきましては、譲渡益四千万円までは優良な譲渡と同じく二六%、四千万円を超える部分については三二・五、こういう土地譲渡についての個人所得課税制度になっておりました。つまり、二六と三二・五と二つの税率が適用になっていたわけでございます。  これを平成三年から改めまして、いわゆる優良な譲渡につきましては二六ではなくて二〇%にする、一方で、一般の譲渡につきましては二六、三二・五の二段階をやめて三九%一本にするということで措置させていただいたのが平成三年の土地税制改革でございました。先ほど申し上げたように、めり張りのある土地譲渡課税制度ということで措置したわけでございます。  これを平成七年に一部改正いたしました。昨年改正させていただきまして、三九%の一般の譲渡の部分につきまして、四千万円までの部分は三二・五にするという措置を講じました。これは平成六年の秋の所得税率の見直しを背景にいたしまして、土地譲渡所得課税も所得課税の一環でございますから、これとの対応ということで手当てをさせていただいたわけでございます。  今回、これをさらに見直して、これから申し上げるような姿にしたわけでございます。  まず内容を申し上げますと、一般の譲渡につきましては、四千万円までの部分は二六%、そういう意味では平成二年の制度と同じでございます。それから四千万円から八千万円の部分は三二・五、これも平成二年までの制度と同じになったということでございます。八千万円を超える部分につきましては三九%が維持されるということでございます。  土地というものを譲渡したときに負担していただく税金はある程度負担が重くていいという考え方を八千万超の部分については残していくということで、平成三年の土地税制改革の考え方を維持しつつ、一方で土地の有効利用に適当と考えられる、あるいは土地をめぐる状況変化を受けて軽減をさせていただいた。その状況変化の中には、保有課税が充実されてきているという実態も私ども踏まえたつもりでございます。  なお、優良な譲渡につきましては、平成二年以前に戻るとすれば二六%一本でいいわけでございますが、ここはやはり平成三年の改革の考え方、つまり優良な譲渡については低い税率でもいいという考え方をここでも踏襲いたしまして、四千万円までは二〇%を残すという措置を講じたということでございます。  したがいまして、一般の通常の規模譲渡益であれば、結果的には平成二年前の負担関係と同じになってはおりますが、一方で、大きな譲渡あるいは優良な譲渡のうち四千万円以下のものにつきましては、めり張りというものを生かしてあるというふうに考えまして、今回の土地税制改革を行ったということでございます。
  50. 金田勝年

    金田勝年君 そういうことで保有、譲渡、取得各段階について今回の土地税制改正というものが行われたわけですけれども、全体としてちょっとお話を教えていただきたいんですが、今回の土地税制改正が全体として土地取引にいかなる好影響を与えるというふうに受けとめて考えておられるか。  またそれとの関連で、有識者の間に、土地の流動化のためには保有税負担を重くして、そして譲渡課税や取得課税を軽減すべきだという見解も見られるわけでございますが、そういう意味において今回の地価税の改正というものはどういうふうな位置づけで考えたらいいか。  あるいは、今回の改正土地流動化の観点からはどういう効果があるんだろうか、ひいては経済全体にどういう影響があるというふうに受けとめておられるか、そこのところを簡単で結構ですからちょっとお聞かせください。
  51. 薄井信明

    政府委員(薄井信明君) 土地税制といいますと、どうしても土地の流動化等々の政策的な観点がクローズアップされがちではございますが、税制である以上、例えばサラリーマンが稼ぐ給料に対する税金との関係とか、そういった税負担の公平ということも常に考えていかなければならない問題だと思いますし、また、土地以外の資産を保有した場合と土地を持った場合の関係についても考えなければいけない、こういう面を常に私ども忘れてはいけないと思っております。そういった面を踏まえた上で、土地政策という観点からの土地税制ということを考えた場合、適切な土地利用計画に基づく有効利用の促進ということが大切だと思っております。  今回の土地税制改革において土地に係る税負担調整を行ったということは、中長期的には全体として利用度の高い土地活用を図る者が土地を取得しやすくなる効果を持つだろうと私ども考えております。そういう意味で、有効利用の促進に資するものと期待しております。
  52. 金田勝年

    金田勝年君 そこで、土地税制についてはそういう考え方で今回はおやりになられたということですが、先ほど公示地価が発表になりまして、これの水準というものはかなりの方がバブル以前にもう戻ったよと、こういうふうに評価しておる方もいると。そういう中で、やはり今の土地の政策というものは、この地価下落を踏まえてきっちりと確立されて対応されなければいけないということが言われておるわけであります。  去年九月の経済対策の中にも、土地の有効利用の促進とか、内容としてはいろいろ盛り込んでおるわけでございまして、何といいますか、お役人さんの言葉で言えば有効利用かもしれませんし、私どもわかりやすく言えば流動化ということなのかもしれませんが、そういうことがやはりどんどん行われていって、もちろんそのために土地政策の総点検が必要でございますし、その土地の活用に最重点を置く対策といいますか、そういうものを国土庁だけでできるものではないかもしれませんが、やはり関係者一丸となってこの際やっていかなきゃいけないんではないか。そしてまた税制も、先はどのような考え方があるわけでございますから、一緒になってこの土地政策というものを真剣に考えていく今まさにその時期にあるんではないか。  金融との関係とかは、またこれから先いろんな質問を申し上げる機会をいただけると思いますのでそのときに移しますが、やはりその土地政策のあり方を一言、国土庁の方からまとめてちょっと答えていただきたい。
  53. 長瀬哲郎

    説明員(長瀬哲郎君) ただいま先生のお言葉の中にありましたように、土地の活用を図る施策を推進するということ、大変重要だと考えております。我々、第一に考えていきたいポイントだと、このように思っております。  ところで、地価の下落傾向を受けまして、大都市圏の住宅地につきましてはマンションなど住宅を取得しやすい環境が生じてはいますものの、通勤時間だとか広さといった質の面ではまだまだ満足できる状況にもないと言えると思われます。また、経済の国際化の進展に伴い、我が国経済の高コスト構造の是正の必要性も指摘されているところでございます。  そのような中、今後、我が国経済社会の状況変化に的確に対応しつつ、ゆとりある住宅、住環境の形成あるいは快適で安心できる町づくりの推進、新しい産業構造への転換等を図っていくためには、地価がこのような状況にあります今こそ、所有から利用へという観点から土地の有効利用を一層促進していくことが必要であろうと考えております。  このため、都心居住を進めるための優良プロジェクトに対する支援、あるいは防災町づくり等、そのような幅広い観点から、土地の有効利用の促進に向けまして各般の施策を総合的に推進していくことが必要であろうと考えております。
  54. 金田勝年

    金田勝年君 時間も限られていますので、続いて法人課税の問題に入りたいと思います。  我が国経済の国際化というのは申し上げるまでもないわけであります。もう経済取引は既にグローバル化されておりまして、非常に従来とは違う。もちろん、アメリカを初めとする先進諸国との競争もこれまで以上に激しさを増すわけでございますが、キャッチアップしてくるアジア諸国の、いわゆる新興の工業国からの追い上げも非常に激しさを増してきている。そういう非常に大きな潮流の変化とでも言うべき状況の中で、我々としては空洞化という問題に対しては十分な対応をしていかなきゃいかぬのじゃないか、こういうふうに思っておるわけであります。  我々与党三党は、平成七年の十二月でございましたが、八年度の税制改正大綱の検討項目において、読ませていただきますが、  法人課税のあり方については、税負担の公平、経済活動に対する中立性という観点を基本としつつ、空洞化問題といった産業構造の変化我が国経済の一層の国際化の進展、企業活力の維持の観点などを踏まえ、課税ベースを拡大しつつ税率引き下げるという基本的方向に沿って鋭意検討を進める。 というようにしておるわけでありまして、ことしの一月の「新しい政権に向けての三党政策合意」におきましても、「課税ベースの拡大等を前提とする法人課税の見直し等、大綱に記された検討事項について引き続き取り組む。」としているところであるわけであります。  そこで、まず最初に通産省にお伺いしたいのでありますが、産業の空洞化が進行しているということが今言われるわけでありますけれども、実際のところ、我が国の産業の国際化ということは現状としてどういうふうになっていると御認識なのか。製造業等が海外にシフトしている現状、その辺を簡単で結構ですからお聞かせください。
  55. 藤岡文七

    説明員(藤岡文七君) 委員指摘のとおり、最近、我が国産業はアジアを中心として積極的に展開をいたしております。この原因といたしましては、九三年初以降の円高の進展、さらには八〇年代後半以降のアジア諸国における対外開放施策の進展等があるわけでございます。  これに伴いまして、我が国の対外直接投資、これは企業を経営する目的で行う投資でございますが、も着実に九三年以降増勢をたどっており、我が国企業の現地法人の生産比率を我が国国内全体との比率で見ますと、おおむね一〇%に達してございます。特に、電気機械それから輸送機械、自動車でございますが、その分野に至りましては、これは九三年度、若干古い数字におきましても、それぞれ海外の生産比率が電気機械で一二・六%、輸送機械で一七・三%と、かように進展いたしております。  以上でございます。
  56. 金田勝年

    金田勝年君 そういうことでアジア諸国というものを考えてみますと、よく先進国法人税率がどうこうということを、後で申し上げますが、それもそうなんですが、アジア諸国、例えばアジアNIESの諸国の法人税率は、韓国は二八%、それから台湾は二五%、香港は一六・五%、シンガポールは二七%となっておるわけですね。日本は基本税率は三七・五%でございますが、これは国税だけでございますが、そういうふうにかなり私どもの国よりも低いという現状があることには非常に留意していかなければいけないと思うわけであります。  そのことにつきましては、これらの国の経済規模とか発展段階とかいろいろ違いますから、単純にその税負担の多寡というものをこういう税率で見て論じるというものも、いろいろ考えなきゃいけないところもあるんですけれども、一方で、アメリカを初めとする先進諸国との比較でまたそれを見た場合には、私どもの国の法人税税率といいますか負担といいますか、そういうものはどういうふうになっているか、簡単にお答えいただきたいと思います。
  57. 薄井信明

    政府委員(薄井信明君) 法人が税負担をどれだけ負っているかというその実態的な負担についてはなかなか数字はないわけでございます。したがいまして、課税ベースがどうあるかということは比較のしようがなかなか難しいんですけれども、課税ベースの話を除いて税率だけの比較を簡単に申し上げますと、アメリカはいわゆる実効税率が国、地方合わせて四一・〇五%、イギリスが三三%、ドイツは五二・三五%、フランスは三六カ三分の二%というように承知しております。
  58. 金田勝年

    金田勝年君 そういうことで、まさに我が国の法人課税の実効税率というのはドイツと並んで主要国の中で非常に高い水準であると。四九・九八%ということでございますが、そのうち三分の二が国税で三分の一が地方税ということになるわけでございます。アメリカやイギリスが日本よりも実効税率が低くなっているというのは、やはりレーガンやサッチャーの時代に法人税負担を軽減する税制改正を行った結果であるのではないかというふうに思われるわけであります。  もちろん我が国の場合も三七・五に至るまで、平成二年の四月になったわけでございますが、これを下げてきた努力の経緯というのはあるのでございますが、アメリカの八六年のレーガン改革とかイギリスの八四年の改革、そういったようなもので税率引き下げる改革を行ってきている。その際に課税ベースというものも考慮してきているのは事実のようでございます。    〔委員長退席、理事石川弘君着席〕  そこで、私は時間の関係で申し上げたいのでございますが、我が国経済社会構造というものを考えて、そしてまた一方で国際化あるいは国際競争力、それと経済取引の複雑化や金融取引の変化というものの中で、税制もこれらの新しい動きに対応したものにつくり変えていくということであれば、やはり企業活力が十分に発揮できるように、国税、地方税を通じた法人課税の見直しというのは当然に必要ではないかというように考えておるわけであります。  ただ一方で、その場合に財源をどうするかという難しい問題もセットの話であるわけでございまして、これはなかなか悩ましい話ということになるわけでございますが、中長期的にその税体系全部を考えました場合には、所得、資産、消費といったようなものの間で、やはりバランスのとれた税体系を構築するという中長期のスタンスというものも重要でございますから、そういうものも考えて法人課税の見直しの方向をこれからは検討していく必要があるのではないか、こういうように思うわけであります。  財源のことも考えなければいけませんし、今後の経済構造改革を推進する、そして、新しい産業の発展にも好影響を与えるといったような意味もあわせ考えていかなければいけない。    〔理事石川弘君退席、委員長着席〕 その場合に、先ほどもございましたように、課税ベースの拡大といったようなものも含めて税率引き下げることを基本的な考え方として法人課税のあり方を見直していくことが必要だと、こういうふうに思うわけであります。こういう考え方に対してどのようにお考えでございましょうか。
  59. 薄井信明

    政府委員(薄井信明君) 法人課税について今御指摘いただいた点はほとんど私も同感でございまして、法人税のあり方が日本の産業に与える影響を十分考えなくちゃいけないのは当然のことであります。  あわせて、一方で法人税は貴重な財源でございます。現在十二、三兆円ではございますが、この十二、三兆円の法人税収を軽減するとなれば、そのかわり財源をどこから探すかという問題を考えないでは答えは出せないという問題があります。  ただ、トータルとしての法人税収を短期的には減らせないとしても、法人税の中身を変えていくことがプラスである面もあろうかと思います。例えば、所得税についてフラット化をしたように、税率について下げていくことが日本の企業、特に新しく起こってくる企業にとってプラスであるという考え方は十分成り立つと思います。さっき御指摘のあったサッチャーとかレーガンの改革というのは課税ベースを広げて税率を下げました。そのときの発想はまさにそういうことであったと私ども承知しております。  ただ、その課税ベースを広げて財源を確保してということにつきましては、それで事業をやってきている方々にとってはなかなか受け入れがたいところもあろうかと思います。そういう意味で十分そこは議論を積み重ねて、納得のいく課税ベースの拡大、それにより財源を確保し税率を下げていくということをしていかなければいけないと思っております。政府税調におきましては去年の秋からこの点についての議論を重ねておるところでございます。
  60. 金田勝年

    金田勝年君 そこで、法人所得課税の実効税率が国際的に高い水準だと申し上げたんですけれども、それは比べてみますとよくわかってまいりますが、特に法人事業税でございますね、地方税、その法人事業税の存在にあるという意見もあるわけでございます。自治省の方いらっしゃいますか。地方にとって法人事業税が重要な財源だということはよく承知しておりますけれども、その法人事業税の今後のあり方について、そういう見地からちょっと御見解を伺いたいなと、こういうふうに思うわけであります。簡単で結構でございます。
  61. 石田直裕

    説明員(石田直裕君) お答えいたします。  まず、我が国の法人課税の実効税率が諸外国と比較して、特に法人事業税に原因があって高いのではないかという御意見もあるということでございますけれども、私どもといたしましては、諸外国とは地方団体が果たしている役割やその規模が大きく異なっておりますので、一概に比較するのはいかがかというふうに考えておるところでございます。  また、今後の法人事業税のあり方につきましては、先ほど薄井局長からも御答弁ありましたとおり、現在、政府税制調査会におきまして、法人課税財政や税体系に占める重要性にも留意しつつ、税率課税ベースの両面にわたって包括的な検討をするとされておりますので、法人事業税についても同様の観点から検討がなされるものと理解いたしております。  その場合におきましても、諸外国地方自治制度や税制度の違い、あるいは地方税体系に占める法人所得課税の地位、さらには地方分権の推進状況も踏まえました総合的な検討がなされる必要があると考えておるところでございます。
  62. 金田勝年

    金田勝年君 いずれにしましても、これからやはり多角的に議論を進められることと思いますので、租税理論ももちろんですし、企業会計や税実務といったようなものも視野に入れて、専門的、技術的に検討を深めていっていただきたい。そしてまた、時間をかけてしっかりと幅広い議論を進めていっていただきたいというふうに思うわけであります。聞くところによりますと、秋に予定している中期答申に向けて御検討されるということでございますので、しっかりとよろしくそこら辺を検討していただきたいと思うわけであります。  続きまして、国税庁はお見えでございますね。私もかつて税の職場に勤めておりました者の一人として、私は、今全国の国税局と税務署の抱える課題、まさに働いている人たちのその思いといいますか、職員の皆さんのその意欲と正義感というものを非常に大事にしていくべき時期に今あると、こういうふうに思うわけでございまして、そういう意味でちょっとお尋ね、お願いをしたいと、こういうふうに思うわけであります。  国税の職場の仕事というのは、税の公平確保に対して非常に国民の意識が高まっている現状でございますから、取引が国際化しても、機械化しても、複雑化しても、困難化しても一生懸命にやっていかなければいけない。こういうことの中で、高度な専門的知識と能力を持って、正義感を持って頑張らなければいけない、もちろん意欲も大事だと、こういうことになるわけであります。  そういうことを考えますと、適正・公平な課税を実現するという税務の職場の使命というのが別途あるわけでございますから、職員は知識や経験や技能というものをより研さんして高めていかなければいけないし、中高年層職員というのはそういう意味では非常に責任ある立場にある、こういうふうに思うわけであります。  したがいまして、旺盛な仕事への意欲というものをますます持って頑張っていただくためには、やはり今の国税の職場の職員の年齢構成がいびつだという現状を踏まえて、何とか中高年層職員が職場の中で意欲を持って働けるように、具体的に申しますと、税務署の調査や徴収の事務の中核になって働いております上席調査官という方たちの人員は今七千人なのでございますが、年齢構成がいびつなせいで、五年後にはこの七千人が倍になりまして、八年後の平成十六年にはこの上席調査官の人員が一万八千五百人になる。その方たちは今は調査官の立場でおられるんですが、そういうふうにだんだん上席調査官になって責任ある立場につく。しかし、これはさらに責任を評価した形の処遇がなければ意欲を持って働いてもらうわけにはいかないわけでございますから、ポストや機構面の手当てというものを多くの中高年層職員に御配慮いただいて、そして職場の士気の高揚といいますか、そういうことにつながるように御配慮いただきたい、こういうふうに思うわけであります。  この現状についてどう考えておられるか。そしてまた、中高年層職員の処遇と国税局、税務署の機構のポストの充実というものを、適正・公平な課税の実現に寄与するという見地から国税庁当局として本当に急いで検討の上対処をしていただくということをお願いしたいと思います。いかがですか。
  63. 若林勝三

    政府委員(若林勝三君) お答え申し上げます。  国税職員の現状につきまして、今委員からお話がございましたように年齢構成はかなりいびつな形をしておるわけでございまして、将来的に中高年層職員の数というのは非常にふえてくるということは事実でございます。実はこういった職員に税務行政上非常に活躍していただかないといけないということも事実でございます。  さらに、御指摘いただきましたように税務行政というのは非常に難しい問題を抱えております。また、歳入官庁だということの特殊性があるわけでございます。そういう中におきまして、こういった職員の処遇改善をどうやって図っていくかということについて我々は従来から非常に努力をいたしてきたわけでございます。  そういう可能な限りの努力を払ってきた中で、例えば給与面では、これまで毎年かなり上位級の定数確保というのが図られてまいりましたし、また真に必要なポストということについては、その新増設についても関係方面の御理解が得られてきたのではないかというふうに考えておるわけでございますけれども、さらに今後ともそういった問題を十分踏まえまして、職員の処遇改善といったこと、士気の高揚のためにも我々努力していくべきものと考えております。
  64. 金田勝年

    金田勝年君 ぜひよろしくお願いしたい。特に、級別には八級、九級の統括官、特官。その八級、九級ポストが非常に重要だということを申し上げておきたいと思います。  それから、今回の法律の租税特別措置法の一部改正法案の中に一つございますが、公益法人等に対する課税適正化という内容があるわけでございます。これはこの中に入っていますが、収益事業を営まない公益法人等につきましても、年間収入五千万超の法人につきましては収支計算書を所轄税務署長に提出する特例制度というものが盛り込まれておるわけであります。  そういうことからまいりますと、公益法人等は二十五万件を超える数だと、たしかそうだったと思いますが、この数のうちどのぐらいが該当してくるのか、これは直ちにはわかりませんがかなり膨大なものになるのではないか。そうしますと、国税局や税務署の事務量というのは非常にその分ふえていくわけでございますから、まあこれは法律が通ってからの話でございますが、そういう見地からも国税局、税務署の十分な定員の増加ということをもひとつ念頭に入れておいていただきたいなと。執行を伴わない税制というのはあり得ないんだということを申し上げさせていただきたい、こういうように思うわけであります。  それから、時間の関係でもう一点でございますが、私は選挙区が秋田だから申し上げておるわけではありませんが、仙台国税局というのは私が昔勤務したこともあるのであります。この国税局の方から非常に強い陳情もいただいておったのでありますが、これは全国的に見てこういうところがあったらぜひ配慮してあげたいな、こういうふうにお願い申し上げたいのであります。  国税職員が入居している宿舎というのは、非常に老朽化した木造ブロックづくりの宿舎というものが多く存在しておりまして、特に仙台に限らず地方局におきましては宿舎全体の約三割も老朽化した木造ブロックづくりというものがあるわけであります。結局、その絶対数が足りないから廃止予定協議済み宿舎にも入居しているといったような状況にありまして、これも職員の皆さんの働く意欲にかかわる話だということを踏まえていただいて、ひとつ早急に鉄筋コンクリートづくりの宿舎へ建てかえていただきたい、こういうお願いもさせていただきたいと思います。  以上二点、ちょっと簡単にお答えいただければと思います。
  65. 若林勝三

    政府委員(若林勝三君) 税務行政をめぐる環境につきましていろいろお話をいただきました。課税対象が非常にふえる、先ほど指摘ございましたような制度改正があればその分また事務量がふえると。こういった中でこれまでも国税庁といたしましては、コンピューター化をしますとか、調査をやるに当たりましてもその効率的なやり方を工夫するとか、いろいろ工夫なり改善を図ってきたわけでございます。しかし、こういった努力にもおのずと限界があるわけでございまして、やはり人員の確保というのは非常に大切なことであるし、これが課税の適正・公平化のためにも重要なことであるという認識を持っております。そういう意味で、人員の確保といった点についても関係方面の理解をさらに得られるように努力をしていきたいと思っておるところでございます。  それからもう一つ、職員の宿舎等の、独身寮もございますが、そういったものについての御指摘でございます。こういったものにつきましては、職員が安んじて職務に専念してもらうという意味におきまして、こういった各地における宿舎状況を踏まえまして、老朽宿舎の建てかえ等その改善に努力してまいったわけでございます。そういった面におきましても、今後とも改善をさらに進めていくという観点から、関係方面の理解も得られるようさらに努力をしてまいりたいと思っております。
  66. 金田勝年

    金田勝年君 時間が百十五分もあるのかと思いましたが、やってみるとなかなか足りないものでございまして、もう一つ大事な法律がございます。関税定率法等の一部を改正する法律案でございますが、APECの関税暫定措置法の件でございます。ウルグアイ・ラウンドの関税引き下げの前倒しについて、ちょっと政策的なことでございますので、大事なことなのでちょっとお聞かせいただきたいと思います。  我が国は巨額の貿易黒字を持っておったわけでございますから、我が国市場へのアクセス改善の観点というのがございまして、従来から関税を含めた国境措置削減努力をしてきたわけであります。ウルグアイ・ラウンドにおきましても、やっぱり国内の困難な産業事情というものもあるわけでございますが、多角的自由貿易体制の維持強化を図るために、その取りまとめに積極的に貢献してきたということが言えるのではないかというふうに思っております。  こうした中で、アジア太平洋地域における貿易・投資の自由化等について検討するフォーラムとしてAPECが設けられた、これは一九八九年の話でございます。そして去年の十一月には我が国を議長とするAPEC大阪会議が開催されて、我が国も積極的に貢献ができた、こういうことでございますが、このAPEC大阪会議における成果といえば、一昨年のボゴール宣言で示された、アジア太平洋における自由で開かれた貿易及び投資という目標を達成するための道筋を描くものとして行動指針を取りまとめたわけでございますし、また、APECにおける自由化を真剣に進めるという政治的決議を内外に示すことを目的として当初の措置を取りまとめた、これらが大きな成果であったということが言えるわけであります。  そこでお尋ねしたいのでございますが、これまでのAPECの動きを踏まえて、APECにおける各国の今後の関税政策はいかにあるべきであるというふうに考えておられるか、そして昨年の大阪のAPEC会議において、貿易の自由化・円滑化の中で関税については今後どのような方向で考えていくこととされたのか、その辺を教えていただきたいと思います。
  67. 久保田勇夫

    政府委員久保田勇夫君) お答えを申し上げます。  先ほど委員おっしゃいましたように、昨年の大阪のAPEC総会でいろんなことを決めたわけでございます。せっかくの機会ですから一つだけ申し上げさせていただきますと、APECと自由貿易地域という二つの概念がございまして、自由貿易地域というのは、域内の国は貿易の自由化をするけれども、域外に対しては必ずしもそういうことを認めさせないということでございます。その自由貿易地域の一つの典型として関税同盟というのがございまして、関税同盟というのは、その自由貿易地域の一つでありますが、メンバー以外の人に対する政策は同じものをとるということでございます。  いずれにしましても、現在国際的に自由貿易地域なり関税同盟というのは大変広がっておりまして、具体的には、ヨーロッパにはEUがございますし、アメリカにはNAFTAがございます。それから南米にはメルコスールというのができつつありまして、そういう意味では、これに属していない大きな国というのは日本ぐらいなものであります。その自由貿易地域というのは、一見非常にいいように聞こえますけれども、その自由化のメリットを域外国に必ずしも及ぼさないということがあるわけでございます。  しかしながら、これに対しましてAPECはこういう意味でのいわゆる厳密な自由貿易地域ということになっておりませんで、いわゆる開かれた地域協力の原則というのはそういうことでございまして、APECの自由化の成果は非メンバーにも享受されるということになっている。そこに大きな特色があるわけでございます。  したがいまして、昨年十一月のAPEC大阪会議におきましても、我が国はいろんな形で積極的なリーダーシップをとらせていただきました。幾つかございますが時間もございませんので省略させていただきますが、まず、関税自身は行動指針の中で非常に重要な項目として取り上げられましたし、さらに先ほどお話しございました当初の措置におきまして、幅広い関税措置を持ち寄り、我が国鉱工業品に係るウルグアイ・ラウンドの関税引き下げの前倒し等を表明したわけでございます。他方では、APECの中での自由化・円滑化の中で非常に大きなものは税関手続の調和、簡素化でございまして、この分野では我が国が議長を務めまして、APEC税関手続小委員会におきまして電算化等のための具体的な計画をつくったところでございます。  法律の方に戻りまして、そういう意味で、今回の鉱工業品に係るウルグアイ・ラウンドの前倒しは昨年十一月のAPEC大阪会議で対外的に約束したものでございまして、鉱工業品のうち六百九十七品目についてウルグアイ・ラウンドで合意した段階関税引き下げを前倒しして、九八年一月から適用する予定の関税率を九六年四月から適用するというものでございます。先ほど委員がおっしゃいましたように、我が国としましては引き続きこのAPECを開かれた地域として推進するということに努力をするということでございますし、税関、関税当局もその線に沿って努力をいたしたいと考えております。
  68. 金田勝年

    金田勝年君 我が国としては、今回このウルグアイ・ラウンド関税引き下げの前倒しということでやっておられますように、今後ともWTO等の場を通じて世界貿易における保護主義的な動きを回避しながら多角的自由貿易体制の維持強化に貢献していくことが大事だと、こういうふうに考えられるわけでございますし、したがいましてAPECに積極的に貢献していただいて、APEC地域へ、あるいはひいては世界の貿易の拡大を図って、もってWTO体制の強化に貢献していくべきであるというふうに考えておるわけであります。  このほかにも、加工再輸入減税制度とかいろいろお聞きしたがったんですが、時間も参りましたので最後に一点。  先ほどは国税の執行について申し上げたのでございますが、税関の執行につきましても、やっぱり国際化という問題が私どもの国の経済社会にあまねく及んでいますので、我が国の貿易、とりわけ輸入が大幅に拡大する中で、麻薬や鉄砲といったような水際の取り締まりを図ってそして国民生活の安全を確保するんだと、こういうふうな非常に大事な使命を持っておるわけであります。  そういうことで、税関はどのような役割を果たすべきと考えておられるのか。またそのためには、やはり予算や必要な定員、これは八年度は二十二名の増員だったというふうに聞いておるのでございますが、この両方についてもやはり配慮していただく必要があるんではないかというふうに思うのでございますが、その点についてお答えをいただいて、質問を終わらせていただきたいと思います。
  69. 久保田勇夫

    政府委員久保田勇夫君) それでは簡潔に申し上げます。  今、関税局、税関を取り巻いている状況でございますが、一方では通関の迅速化ということを求める商業側の強い要望がございまして、これは国際競争の面からも見過ごせないものでございます。  他方では、しかし今おっしゃいましたように、銃砲、麻薬等のいわゆる社会悪物品をいかにとめるかということの要請はますます強くなっておりまして、こういう難しい要請をどうやって両立させていくかということが関税局、税関に課された課題だというふうに考えてございます。  なお、あわせて、国際的な責務でございます知的財産権の侵害物品でありますとかワシントン条約該当物品の取り締まり等、いわゆる我々で他法令事務と申しておりますが、それも相当ふえてきておりまして、そういう意味から、先ほど委員がおっしゃいましたような事務量の伸び、例えば輸入申告件数は十年前に比べて三倍になってございますし、空港の入国者数は二五〇%になっているわけでございます。  しかし、そういうふうなところを踏まえまして、従来同様に事務の重点化、機械化等を行いまして、業務運営の円滑化・効率化に努めてまいりたいというふうに考えておりまして、このような努力をしつつ、必要な予算、要員につきましては、厳しい行財政事情のもとではございますが、その確保に最大限の努力を払ってきたところでございます。  今後も、税関の業務量の推移等を踏まえまして、引き続きこのような努力を払ってまいる所存でございますし、それによってその責務を果たしていきたいというふうに考えております。  以上でございます。
  70. 金田勝年

    金田勝年君 以上で終わります。
  71. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 最初に、景気の動向とそれから特別減税の問題についてお聞きしたいと思います。経済企画庁の方はお見えになっていますでしょうか。  では、お尋ねしたいと思うのでありますが、先ほど金田委員質問もございましたが、今、日本景気というのは一体どうなっているんだろうかと非常に心配をしているわけであります。とりわけ今の日本経済の実態を見てみますと、景気の空洞化と言われている状況がかなりの勢いで進展しているんじゃないんだろうか、そんな思いでおります。  最近における景気動向について、まず最初に経済企画庁の方からお答え願いたいと思います。
  72. 永谷安賢

    説明員(永谷安賢君) 景気の現状と先行きについて簡単に御説明させていただければと思います。  私ども、二月の月例経済報告で、これは御案内かと思いますけれども、景気には緩やかながら再び回復の動きが見られ始めているということで、新聞あたりでは景気回復宣言だというふうに報道されましたけれども、二月に再び景気回復の局面に入ったんではないかという判断を示しております。その後、三月の月例経済報告で、それを一応裏打ちするような形で、緩やかながら回復の動きが見られているというふうに判断しております。  これも先生御案内かと思いますけれども、その後、たしか三月の十九日だったかと思いますけれども、国民所得統計の速報、QEと称しておりますけれども、去年の十−十二月期のQEの数字が出ました。それを見ますと、前期比で〇・九%、年率に換算しますと三・六%という、ある意味ではいい結果でございました。ただ、これも御案内かと思いますけれども、中身を子細に検討してみますと、専ら住宅投資であるとか公共投資であるとか、そういう政策的に引っ張られている部分で経済をリードしていると。他方、民間の設備投資であるとかあるいは個人消費については底がたい動きを示しているんですけれども、まだまだ従来の回復期に比べるとそれほど強くないのかなというような動きだったんではないかというふうに分析しております。  そういうことで、足元の景気を一言で申し上げれば、緩やかながら回復していますという政府のこれまでの政策判断におおむね合致した動きではないかというふうに思っております。  それで、これからの動きなんですけれども、せっかくそうやって明るい動きが見られ始めているものを定着させ、まさに民間経済主体の持続的な成長経路に移行させていくことがとりわけ重要なんだろうと思います。  そういうことで、非常に我々として今気になっておりますのは、雇用情勢であるとかあるいは中小企業の動向等でございますけれども、そういう部分に細心の注意を払いながら、切れ目なく適時適切な政策を講じていくということが一番大事ではないかなというふうに思っております。  そういう政策努力を織り込んだ上で、私どもとしては、一月に閣議決定していただきました政府経済見通し、今年度が一・二%、それから平成八年度が二・五%という見通しを示し閣議決定していただいているわけですけれども、それは今申し上げましたような政策努力というのを織り込めば達成可能ではないかなというふうに思っております。
  73. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 今経企庁の方からお聞きしても、やっぱりまだ緩やかながらということですから、力強くということではないですね。さらに定着をさせるためには切れ目なく適時適切というお話がありました。  そこで、実は今年度は二兆円の特別減税をやりましょうということなんですが、先ほど金田委員質問にもありましたように、来年の四月一日は今までの予定どおりでいけば五%への消費税率の引き上げと、もちろんこれは地方消費税も入るんですが。そうすると、主税局長、一%の消費税でたしか二兆円強ですね、これは間違いございませんね、増税額は。
  74. 薄井信明

    政府委員(薄井信明君) ベースがやや古いかもしれませんけれども、グロスでは二兆四、五千億になりますが、その分、国、地方歳出がふえますので、それをネットアウトしますと二兆ちょっとということかと思います。
  75. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 そうしますと、今年度は二兆円やりますと。来年はもし実施をしないということになりますと二兆円の増税になる。それにいわゆる消費税の引き上げが二%あったとしますと四兆円強、合わせると六兆円一気にこれは増税になるということになりますね。そうすると、今の景気判断でいいますと、緩やかながら景気は上がっているけれども、設備投資にまだ、いわゆる投資が投資を呼ぶようなそういう好況状態になっていないと。そうなると、一気に六兆円強の増税が行われるということは、果たしてこれは日本経済にどんな影響を与えるんだろうか。この点、大蔵当局というふうに言いましょうか、大臣からでもよろしゅうございますが、お答え願えればと思うんですが。
  76. 薄井信明

    政府委員(薄井信明君) 瞬間風速といいますか、瞬間的には確かにそういう計算になろうかと思います。ただ、平成六年の税制改革の際にこれをセットとして御議論いただき、法案も通していただいているわけで、このことにつきましては、国民を含め経済界を含め、そのことを織り込み済みで経済活動、個人生活が行われていると考えておりますし、また例えば平成八年、景気はかなり上向いてきていますけれども、これを確実にしていくということでしっかりした経済状況をつくっているわけでございますから、そのことが平成九年、十年にも効果を及ぼしていく。先ほど経企庁から減税の効果は単年度だけではないということを答弁していたように記憶しておりますが、そういう意味でも、そのことを含め、織り込み済みで国会での御論議をいただいたと考えております。  一方、仮に二兆円の減税をさらに継続するというふうなこと、私ども考えておりませんが、それはどの財源でやるかということを考えたときに、先ほど金田委員の御質問にもありましたが、赤字公債に頼った財政運営をこれ以上続けていくこと、これ以上拡大していくことはいろんな意味経済に逆にマイナスにきいてくる。例えば、金利上昇を招いたりすることが大きな意味経済にマイナスを与えるわけでございますので、私ども平成六年に御論議いただいた方針で実現していく。また一方で、足元の経済をより確実なものにしていく努力を重ねていくということが今我々に求められていることかと思っております。
  77. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 おっしゃられることはよくわかるんです。しかし、これはこれから先の実体経済の推移いかんによっては、私も平成六年のあの税制改革のときにその一員として加わった責任ももちろんあるわけでありますが、しかし、経済は生き物でございますので、我々もこの景気の動向に最大限やはり注意を払いながら、今の特別減税の問題、今年までということになっておりますけれども、今後柔軟に考えていいのかなというふうに思っているところでございます。  それはまた別にいたしまして、租税特別措置法の方に入っていきたいと思います。  さて、この何年間か我々社民党も与党の一員になって、いつも年末には年度税制改正に参加をするようになってきたわけでありますが、いつも私はそのときに思うんですが、この租税特別措置と言われているものは一体全体これは、本来の目的はもちろんそれぞれあるんでしょうけれども、一度ゼロベースに戻してみる必要があるんじゃないでしょうか。  今、法人税のあり方についての議論がこれから本格的に進むと言われているわけであります。大蔵省の方からすればなかなかそうではないというふうにおっしゃられるでありましょうが、ともすればこの租税特別措置というのを不公平税制の一環として組み入れる方々がおられるわけであります。不公平税制ではなくて、政策税制で非常に重要なんだというふうにおっしゃられるとすれば、いや、これは実は大変効果が上がっているんですということをやはり立証していかなきゃいけないんじゃないかと思うんです。  その意味で、この租税特別措置について、いわゆる企業関係租特の問題については一度やはりゼロベースに戻してみて、法人税制全体の中で本当に効果が上がっているのかどうなのか、こういったことを見直しをかけてみる時期に来ているのではないかなというふうに思うんですが、この点いかがでございましょうか。
  78. 薄井信明

    政府委員(薄井信明君) 租税特別措置特に企業関係につきましては政策目的を実現するための有力な手段であるという位置づけを私どもしております。ただ、それがもう要らなくなったのに残っているというような状況はまさに御指摘のように不公平税制そのものだと思うわけでございまして、そういう意味で、常に洗いがえをし、吟味をしていくことが大切だと思っております。  ただ、毎年毎年大変な作業をして租特の整理合理化をやっているありさまを多分今御指摘いただいているんだと思いますが、確かに私どもも、一度ゼロベースにして、根っこから必要なものを要求していただきたいということをお願いしたいような気持ちがないわけではないんですが、やはり企業の経営、運営というもの、あるいは企業活動というものがつながっているということを考えますと、なかなかそういうことに踏み切りにくいわけではございます。  ただ、これも御指摘いただきましたが、企業関係税制、特に法人課税税制を見直すべきだという議論の中で、課税ベースを広げて税率を下げろというのは、言いかえれば、ゼロベースで一挙にゼロにして要求させるということではないんですけれども、考え方としては、租税特別措置をちまちまとやっているよりはその財源税率を下げた方がいいんではないかという哲学の違いかと思います。これは与党においても御指摘いただいているわけでございます。  ただ、課税ベースは、それぞれの企業、産業が、活用しているところはなかなか離したがらない、一方で、活用していないところは税率を下げてほしいという、それぞれ利害が反するものですから、なかなか難しいので手がつかないで来てしまったことは私ども反省している次第です。  この秋にかけて、法人課税の見直しは、御指摘のようなゼロベースで企業関係租特を見直せというような意気込みを私ども持ちながら、課税ベースの拡大、そして税率引き下げということがどれだけできるか、努力したいと思いますし、これが秋にまとまるかどうか、ここも自信ありませんけれども、ただ、始めなければいけないという気持ちでいるということを申し上げたいと思います。
  79. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 ちょっと関連してお聞きしてみたいんですが、諸外国でこういう租税特別措置というのは、企業関係租税特別措置法というのは存在しているんでしょうか、G7で。
  80. 薄井信明

    政府委員(薄井信明君) 私も余り他国の詳しいことは存じませんが、例えばアメリカの場合は税法自体が一本しかなくて、日本でいえば地方税法のようにすべての税制がコードというものにまとめられております。したがって、いわゆる租特と言われるものもその中に全部入っているというふうに認識しております。日本のように、基本法があって租特が別にあるという例の方があるいは少ないんではないかなというふうには思っております。
  81. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 今後のいわゆる先進国間の経済制度というのは、これは租特のようなものまで本当にハーモナイズされるかどうかわかりませんが、我々もこれからも検討していかなきゃいかぬ課題かなと思っております。  さて、個別の土地税制にちょっと入ってみたいわけでありますが、先ほど金田委員の方から大分突っ込んで入ったわけですが、まず最初に国土庁にちょっとお聞きしたいと思います。  ちょっとおさらいになるかもしれませんが、平成元年だったでしょうか、土地基本法があのバブルのさなかに制定をされたわけであります。その中で土地に関する税制の役割というのはどのような役割が果たせられたのか、まず明らかにしていただきたい。
  82. 長瀬哲郎

    説明員(長瀬哲郎君) 土地基本法の第十五条におきまして、「国及び地方公共団体は、土地についての基本理念にのっとり、土地に関する施策を踏まえ、税負担の公平の確保を図りつつ、土地に関し、適正な税制上の措置を講ずるものとする。」と、このようにされております。現行の土地税制基本的枠組みは、この土地基本法の理念に沿った総合的な土地対策の一環として長期的、構造的な観点から論議されているものと考えております。
  83. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 もう一歩突っ込んで、四つぐらいたしか整理された中に、土地の価値の増加に対応した適正な税制というのはございませんでしたか。
  84. 長瀬哲郎

    説明員(長瀬哲郎君) 先ほど十五条を申し上げましたときに、「土地についての基本理念にのっとり、」と申し上げましたが、そこが四つございます。ただいま先生御指摘の、価値の増加に伴う利益に応じた適切な負担、四つ目にこの項目が挙がってございます。
  85. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 ありがとうございました。  そこで、今度は大蔵省にお聞きしたいんですが、そういう観点に立って、土地の取得、保有それから譲渡三つにわたって税制が展開されているわけですが、本来であれば、保有の課税については基本的には市町村を中心とした固定資産税だったわけですね。これが地価税というものを設けてきたわけでありまして、実はこの税制改正をめぐって与党の中でも大変な論議のあったところはもう御承知のとおりだろうと思うんですが、この地価税については大蔵省としてはどういう観点で——どういう観点というのは、この土地基本法に基づく恒久税制なのか、それとも一時的にバブルを退治するための政策税制なのか、こういった点で実は大分見解の相違が内部にもあったような気がするんですが、大蔵省としては現段階ではどのようにお考えになっていますか。
  86. 薄井信明

    政府委員(薄井信明君) 平成三年の改革ですので、平成二年の秋の議論を思い出してみますと、土地税制改革論議の中で、所得、消費、資産の間での均衡のとれた税体系の構築、そういう意味では土地と他の資産との間の負担の公平・適正化ということをベースに置きつつ、その当時議論されていた地価の急激な上昇、これがどうして生じてしまったか、税制に問題はないかという問題意識、この二つがあったわけです。それと平成元年の十二月にできました土地基本法の基本理念、今御質問ありました、ここで土地税制についても触れられているということから、平成二年に議論がされたわけでございます。  きっかけとしましては土地の高騰ということでございますので、そういう意味では、私どもこれをどういうぐあいに措置していくか大議論したわけです。特に保有課税につきましては固定資産税という地方の税金がございますので、これを活用できないかということも含めて議論いたしました。当時の判断としましては、国税において、当時の固定資産税の現状のもとでは地価税を創設することが適切であるという考え方に至ったわけでございます。  この地価税をどういう性格のものと考えるかという御質問でございますが、定義の問題かと思いますけれども、適用期限をこの法律に設けていないという意味では、そういう意味では期限のない税制であるということは言えるかと思います。他方、この議論をしたときの背景を考えますと、いわゆる租税特別措置の一項目というような意味ではありませんけれども、土地の保有に対する課税のあり方、あわせて地価の形成にどう税制を役立てるかというようなことを考えた政策的な発想があったということは否めないと思っておる次第でございます。
  87. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 自治省の方にちょっとお聞きしたいと思いますが、固定資産税ですね、固定資産税というのは一体どういう性格の税なのか。
  88. 片山善博

    説明員片山善博君) 固定資産税につきましては、市町村の基幹税目でございまして、資産の保有と市町村の行政サービスとの間に存在いたします受益関係に着目をし、広く土地、家屋及び償却資産の保有に対しまして毎年経常的に課税する税でございます。そのような観点で固定資産税の制度をつくっております。
  89. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 今おっしゃられたように、固定資産税はその土地保有と市町村との間にある応益的な関係に着目した税なんです。そうすると、その応益的な課税に対して、たしか公示地価の七〇%掛ける一・四%、約〇・九八%だと思いますが、その税率をそのまま掛けると非常に法外な税収を持ってしまうために、東京を中心としたかなりの土地においてはそのいわゆる一般税率が掛けられないんじゃないですか。そういう地域は相当多いというふうに聞いているんですが、その点いかがでしょうか。
  90. 片山善博

    説明員片山善博君) 先ほど金田委員質問のときに御答弁いたしましたが、現在平成九年度の評価がえに向けて作業をいたしております。  その結果がどうなるのかということが今一番重要なわけでありますけれども、平成九年度以降のそれぞれの土地税負担のあり方につきましては、その評価がえの動向を見て今後検討すべきものだと考えております。
  91. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 いや、そういうことを言っているんではなくて、私が言っているのは、要するに東京でこんな大変な高い土地がある。そして、私の北海道でいえば猿払やその地域に行くと本当にただ同然の土地がある。そこを全部均一で税率というのは本来的に掛けることになっているんですね。しかし、それがさまざまな調整措置が加わって、たしか私の昨年度の資料を見たときに、東京の地価税から逆算をしたときに、その実際の実効税率を調べてみると〇・九八になっておらぬ、〇・二四程度になっているんじゃないかというふうに見て、これはやはり現実に東京で〇・九八掛けることについては事実上不可能じゃないか。  不可能であるというのは、東京なら東京都、そういったところに対して提供しているサービスに対する税でいえば、そんな〇・九八要りませんと、〇・二四で結構ですと。そうすると、この残り〇・七四に対しては、一体これは——その持っている人たちは、保有すると東京にあって、それがさまざまな社会的便益によって地価が高騰する、その地価が高騰した分の〇・二四しか実は保有に対してはかからないという、それに対してどうするかという問題がこの地価税にあったんではないかと思うんですが、この点は大蔵省、どのように考えておられますか。
  92. 薄井信明

    政府委員(薄井信明君) 平成二年の議論にまた戻りますが、地価税につきましては、土地の資産価値に応じて負担を求めるべき税として創設が適切であるというふうに考えられたわけでございます。  ただし、納税者あるいは企業個人にとってみれば、土地を保有することについてかかる税金であるという意味では同じ税金なわけでございまして、その点も踏まえてその負担については考えるべきだというふうに私ども認識しておりまして、当時の法律の附則には、五年ごとに固定資産税の負担状況を踏まえて地価税の税率等を見直すべきだといった趣旨が書かれていたかと思います。今回の地価税の税率見直しも、それを踏まえまして見直しさせていただいたということでございます。
  93. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 そういう意味で、この話をこれ以上ここで続けてもあれなんですが、本当に一握りの企業にしかかからないという点でこれは問題じゃないかと言われているんです。私が今話した点は、別にこれ企業だけじゃなくて、そういう本来高い土地にいて、それに応じたいわゆる土地基本法に基づいた税としては、価値が上がったんだからそれ相応の税負担はしてもらいますよと、その観点は個人の土地所有であれ、もちろんこれは土地所有が大きいか小さいかでまた制限を設けることも必要だと思うんですが、私はそういうふうにやはり広げて解釈していくべきものじゃないかなと。ただ、今の時期にそれを入れるのがいいかどうかというのはまた別の問題ですが、そのように考えているということだけ申し上げて、この地価税の問題と固定資産税の問題については終わらせて、次に移っていきたいと思うんです。いわゆる譲渡課税の問題に移っていきたいと思います。  私は、譲渡益の問題を見たときに、去年も実は譲渡益を途中で変えましたですよね。そしてまた一年もたたないうちにと言ったら変でありますが、一年たったらまた変えたわけです。このようにくるくる変えることが問題だというふうに私どもは思い、そしていろんな方々のそういう指摘を受けるんです。  今度の税制改正に対して、この一年間、昨年一度三二・五%という税率を設けて変えて、これでもう中期的に変えないんですよというふうに進めていったにもかかわらずこういうふうになってしまった。この点について大蔵省、今どのように考えておられるか。あるいは今後この譲渡課税のあり方について、やはり私はくるくる変えるべきではないと思っているのですが、その点についての御見解を伺いたい。
  94. 薄井信明

    政府委員(薄井信明君) 税制一般の考え方として、社会がある以上税が必要なわけですが、その税負担をどうするかということが各税法になるわけでございまして、この税法がありますと企業の活動とか個人の生活はそれを前提に営まれるということからすると、ころころ変わるということは適切でないという面が税には基本的にあると思います。土地税制もそのとおりだと思います。  ただ一方、税制が逆に経済活動に合わなくなってきたときには大胆に変えていくことも必要であると。この二つの調和が非常に難しいわけでございまして、一度決めたら税制は直さないということではなく、やはり状況に応じて必要な改正は私していくべきだと思います。ただし、安ければいい、低ければいいということにおもねて改正していくのは私は適切じゃない、その調和の問題だと思います。  そういう意味で、昨年の年末の議論というのは、現在の経済情勢、それから固定資産税を初めとする保有課税の充実だとかあるいは土地取引をめぐる状況、例えば譲渡益の規模が極端に減ってきている、極端とも言えないかもしれませんけれども往時に比べて減ってきている、そういったこと。それから経済状況等を考えたときに、これは国民の皆様あるいは企業が考えている部分に、主張されている部分に酌み取るべきところがあるのではないかという判断をさせていただいたわけでございます。基本的にただ安くしたという意味ではなくて、さまざまな状況を総合勘案した上でこの際直しておくことが必要だと思ったわけです。  ただ、今後について考えると、先ほどちょっと長い答弁をさせていただきましたが、かなりの水準に来ております。土地も他の資産と同じように、これを持っていることあるいは譲渡することに対する課税が他より安過ぎてはこれは大問題です。やや重いぐらいでいいかと思います。そういう意味ではいいところに今回は来たというふうに思っております。
  95. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 確かに一般論としてはそうだろうと思うんですが、去年変えたとき、これは地方の何といいましょうか、土地を持っておられてそして売買をした、かなり地方の方々を優遇するという点で変えた制度改革ですが、本当に現実にはそれはちゃんと効果があったんでしょうか。そこは、まだ統計上効果は出てないんでしょうか。
  96. 薄井信明

    政府委員(薄井信明君) 正直申し上げて、きちっとしたデータをつかんでいません。また、土地取引の件数等を見ましても、確かに去年後半に伸びてはきておりますけれども、それが必ずしも顕著でなく、出たり入ったりしている面があるということで、全体の効果を把握し切れない状況にあるということでございます。
  97. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 全体の効果を把握しないままにまた安くしてしまったということだろうと思うんですが、私はちょっとそこは見識がなかったかな、去年の結果を見て、もう一年待ってみてそして改正するというぐらいのやはり見識が必要なんじゃないかなと思います。この点はこの法律案改正しろということじゃありませんので、今後ぜひともそういう改善をしていただきたいと思うわけであります。  さてもう一つ、実は今度廃止をされている中身で、いわゆる相続税の取得価額課税の特例の廃止、いわゆる三年縛りの問題なんですが、この制度ができたのはいつで、しかもこれはなぜつくられた制度なのか、まず最初にお聞きしたいと思います。
  98. 薄井信明

    政府委員(薄井信明君) いわゆる相続税の三年縛りという制度でございまして、昭和六十三年末の抜本改正の際に創設されたものでございます。この制度内容といいますのは、土地の相続税評価額と実勢価額との乖離を利用しまして、相続直前に不動産を取得することによって相続税の負担の軽減を図る例が多く見られたということから措置したものでございます。
  99. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 それを今回ある意味では廃止をされた。それはその後実勢価格が、相続税に係るいわゆる課税標準そのものがもう実勢価格とそんなに差がなくなってきたからということなんでしょうか。これは私は、相続税の取得価額の特例を、これを廃止するんじゃなくてむしろ凍結して、そしてまた同じような問題が起きる危険性があれば、いつでもその準備に備えておくという形の方が望ましいんではないかというふうに思うんですが、この点はいかがでございましょうか。
  100. 薄井信明

    政府委員(薄井信明君) 今回やめるに至りました背景は、今御推察のとおりその適用件数が減ってきているということでございます。  ただ、今後のことを考えたら、凍結しておいて、とめておいて今後動き出せるようにしておいたらどうかという御指摘かと思いますが、先ほど申し上げましたように、土地の相続税評価額と実勢価額との乖離というところに着目した事例を阻止するための手当てでございまして、そういう意味では、これ六十三年に始めましたけれども、その後、先ほど申し上げましたように平成二年の大議論で、土地の評価の問題はやっぱり土地問題にマイナスの効果があるということで、評価の適正化ということが土地基本法でも言われ、土地税制上も大胆に私ども実施したわけでございまして、平成二年、三年の土地の相続税評価の適正化、さらには、そのときの議論で、地価公示制度も着目されるようになりました。その結果、基準地点というものが、かつては一万六千地点と言われておりましたが、現在では三万地点を超えるというように、公示価格、必ずしもまだ十分でないという御指摘はありますけれども、着々と充実してきているわけです。  そういうことからすれば、当時とは状況が違うと考えますので、今回これは廃止しても適当ではないかと考えた次第でございます。
  101. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 ちょっと心配はありますが、この点はこれ以上あれしません。  次に、株式の譲渡課税の問題についてお尋ねしたいわけですが、二つのポイントがあるわけですね。みなし譲渡利益の五%というものを五・二五にするかわりに、いわゆる有取税を引き下げる。暫定的にということなんですが。これはいわゆる株式譲渡益にある、今回の中身じゃなくて、いわゆる源泉分離で、簡易なやり方、みなしのやり方と、そして本則の申告のやり方と二つあるわけですね。こういうときに、本則をやる方がつらいわけですね、きちっとしたいわゆる申告をやるなり文書をつくらなきゃいけない、いろんな手作業がある。その方が重くて、みなしの方が軽い。軽いというか、簡単にできちゃう。しかもその方が有利である。これは実は消費税の中の簡易課税制度、今回出ている簡易課税制度の中にも何か共通したものがあるんです。  こういうみなしの規定というのはたくさんいろんな税法の中にあるんですが、できればみなしで簡単にやれる方法は少しペナルティーをかけるとか、できる限り本則でやれるようにインセンティブを与えるという方が私はこれは、こっちの方にみんないっちゃう、そしてここが税逃れになっちゃう、節税効果になっちゃう、こういう可能性が開けているというのは、どうも私は税の公平性という観点から見て問題じゃないかと思うんですが、この点はいかがでございましょうか。
  102. 薄井信明

    政府委員(薄井信明君) 証券税制に関しての御質問でございます。  さきの抜本改革、これは平成元年前後の抜本改革のときでございますが、それまではいわゆる株式の譲渡課税というものは原則課税でございました。これは、そうせざるを得ない、むしろ総合的な課税をすることが不公平になるということから原則課税制度をとっておったわけですが、これを改めて原則課税に持ってきました。原則課税に持っていくということは、非課税から課税に持っていくときの階段が余りに高過ぎれば株式市場にも大きな影響を与えるということで、そういうことも配慮した上で現在の申告分離課税と源泉分離課税の選択制が当時とられたわけでございます。  したがいまして、当時にしてみれば、非課税から課税になったということで大前進をしたというふうに私ども考えておるわけでございますが、これが六、七年たち定着した段階においてどうあるべきかというのが今の御指摘かと思います。そういう意味では、本来的には総合課税かもしれませんが、それができない状況にあっては源泉分離課税よりも申告分離課税の方が本来的な姿であるという御指摘は私もそのとおりだと思っております。  今回、有価証券取引税を軽減する、現在の株式市場状況も考えまして軽減する際に、証券市場証券税制の全体を見たときには、源泉分離課税を上げていくという考え方をあわせてとったわけですけれども、この考え方は、今委員の御指摘のような意味で、源泉分離課税税率が重くなっていってもそれはバランスがとれる、また考え方としてもおかしくないというふうに考えたわけでございます。ただし、これを極端に上げていくことは、今回有価証券取引税の減税をすることによって現在の経済状況、株式市場状況対応しようとした際にマイナスになっては意味がないわけでございまして、おのずから限度があったということでございます。考え方においては、委員の御指摘は私は理解できるところでございます。
  103. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 最後の質問にしたいと思うんですが、これは今回の租税特別措置法の問題ではございませんで、実は今、与党の中で持ち株会社の問題について議論をしているわけです。  かつて私も一度予算委員会質問したことがございまして、そのとき本当に当時の主税局長の大変厳しい拒否反応に遭ったテーマなんですが、それは、いわゆる持ち株会社を導入することに伴って連結納税制度というものを導入しなければその効果は極めて薄いというふうに言われているわけでありまして、この連結納税制度というのは実は、いろいろ聞いてみますと、これは本来持ち株会社で導入しなくても、現在でもいわゆる事業持ち株会社やそれらの関係も含めて本来的には連結納税制度にすべきだと。  もう既に連結決算というふうな仕組みなども出始めているというふうに聞いておりますので、この点、改めて大蔵省の御見解もお聞きしておきたいと思うわけであります。
  104. 薄井信明

    政府委員(薄井信明君) 連結納税制度についての御質問でございます。  アメリカの連結納税制度が有名なのでありますが、企業グループを一体のものとして課税する制度であるということなんですけれども、税金の面で一体として課税するのであるならば、企業経理、つまり商法における世界でもこれは連結決算制度を採用してしかるべきだと私ども思っております。税の面だけでこれを採用するというのはいかがなものかという点を一点申し上げたいと思っております。  それから、名実ともに連結ベースで企業経営が日本では行われているのかどうか、あるいは行われるのかどうかということも大事なことだと思っております。課税上も企業グループを一体としてとらえるにふさわしいと見られるような状況がない限り、一つの法人が赤字である、この赤字分を黒字の企業の分で消す、逆かもしれませんが、そういうことのためだけに連結納税制度をとることは私は適切ではないと思っておるわけでございます。そういう意味で、日本ではまだ連結納税制度を導入するための土壌が整っていないんではないかという認識でおるわけでございます。  それから、外国についても、アメリカにおいてはかなり厳しい商法上の規定等々を踏まえて、また、企業実態も一体化してやっているということについても御認識いただきたいと思っております。  なお、事業持ち株会社というのは現在既にあるわけでございまして、そういうところには通常の今課税をやっている。今回議論されている純粋持ち株会社に限られた問題ではないわけでございます。したがいまして、連結納税制度につきましては、先ほど来申し上げている法人課税のあり方の問題として議論すべき問題であって、単に税負担だけから議論してはいけないと思っております。  なお最後に、仮に今のまま単に連結納税制度にいけば、企業の税負担は激減すると思います。激減してもいいじゃないかというならば、その財源をどうするかという問題もあろうということを申し上げておきたいと思います。
  105. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 最後におっしゃられた企業の税負担が激減するという点は私どももぐっさりくるんですが、ただ、企業も世界的な競争をやっているわけでしょう。まさにメガコンペティションでやっているわけですね。そうすると、国際競争をやるときに日本の税制は諸外国、これはアメリカだけではありませんね、入っているのは。イギリスもドイツもフランスも入っておりますね。イタリアが入っていません。ルクセンブルクが入っていないとかという話は聞いていますが、そうするとかなりの世界の主要先進国で入っている。そうすると、税が経済活動に対して阻害要因になっちゃいけない、中立性でなきゃいかぬというときに、国際的な税制が、日本の場合には連結納税が認められていません。アメリカやイギリスやドイツでは認められています。そのことによる国際的な競争力上の格差というものがもし生じるとしたら、これは税制度としてはいかがなものかなと。  これはもちろん、税が激減することに対する対策をあなた用意しなさいと言われたら私自身も困るんですけれども、その点どのようにお考えになっているのか、今法人税の見直し等になっていますので、その点少しお聞きしておきたいと思います。
  106. 薄井信明

    政府委員(薄井信明君) 外国状況を申し上げますと、G7諸国を見てみますと、連結決算をベースにしましたいわゆる連結納税を採用している国はアメリカフランスでございまして、必ずしも連結納税が国際的なルールになっているわけではございません。  アメリカでは先ほど申し上げたとおりでございますが、そのアメリカにおいても、現状はやや違うかもしれませんが、なぜ連結納税がとられたかという制度を調べてみますと、アメリカでは、異例のことなんですが、法人税に累進税率の適用が行われておりました。今もその尾っぽが残っているようなところがありますが。この累進税率の適用を逃れる目的で会社を分割していた、それをまとめて申告しなさい、高い税率を掛けますよというのが連結納税制度アメリカが採用した最初の考え方であったと承知しております。今そのとおりだと言えませんが、アメリカの実情はそういうことです。  それから、イギリスのケースはやや連結納税制度とは違う形でやっておると私ども認識しております。あわせて、ドイツもいわゆる連結納税制度ではない。それに近いと言われておりますけれども、一定の要件を満たす場合に親子会社間の損益の通算を認める制度でございまして、連結決算をベースとしたいわゆる連結納税とは違うというふうに認識しております。また、イタリア、カナダにはこのような制度はございません。  とはいいますものの、先ほど申し上げましたように、この問題について議論するとすれば、法人課税、企業課税のあり方の問題として議論をしてまいるべき問題だと思っております。
  107. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 これは地方税にも影響してくるんじゃないかと思うので、この点どのように地方段階では検討されているか、お聞きしたいと思います。
  108. 石田直裕

    説明員(石田直裕君) お答えいたします。  連結納税制度の導入につきましては、地方税といたしましては法人事業税あるいは住民税に影響するかと存じますけれども、連結納税制度の導入についてはただいま薄井局長の方から御答弁がありましたような法人税と共通の問題がありますほか、私どもとしてはどうしてもまず、地方税収全体がどのようになるのか、あるいは地方税の課税原則に照らしましてどう考えればいいのか、さらには個別の地方団体の税収の変動がどうなるであろうかということが心配になるわけでございますので、現状においては、連結納税制度地方税に導入するということについてはなお一層の検討が必要ではないかというふうに考えております。
  109. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 ちょっと早いんですが、以上をもって終わりたいと思いますが、最後に今の。  私は、私が読んだ資料がまずかったのかもしれませんが、連結決算で税を納めているのは確かにアメリカフランスだと思いますが、さっきのドイツやイギリス型も連結納税に含めている専門家もいるということで、これはまた我々ももっと広く検討してみたいと思っておりますが、主税局及び税務局の方でもまたこの点については検討しておいていただきたいなと。  特に持ち株会社の問題というのは、戦後五十年それを前提にしないさまざまなシステムで来ておりますが、これがもし導入されるということになったときは、これは相当やはりさまざまな法制度に大きな影響を与えるシステムだと思いますので、税務当局の方もぜひその点についての前広の検討だけはしておく必要があるんじゃないかということだけ申し上げまして、ちょっと早いんですけれども、終わらせていただきます。
  110. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 三案に対する本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後五時二十分散会      —————・—————