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1996-06-17 第136回国会 参議院 選挙制度に関する特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年六月十七日(月曜日)    正午開会     —————————————    委員異動  五月十五日     辞任         補欠選任      末広真樹子君     椎名 素夫君  六月十四日     辞任         補欠選任      下稲葉耕吉君     亀谷 博昭君      橋本  敦君     吉川 春子君  六月十七日     辞任         補欠選任      片山虎之助君     海老原義彦君      鈴木 貞敏君     武見 敬三君      村上 正邦君     塩崎 恭久君      平野 貞夫君     今泉  昭君     —————————————   出席者は左のとおり。     理 事                 岡  利定君                 関根 則之君                 石井 一二君                 一井 淳治君     委 員                 海老原義彦君                 亀谷 博昭君                 塩崎 恭久君                 武見 敬三君                 中原  爽君                 松浦  功君                 森山 眞弓君                 今泉  昭君                 勝木 健司君                 水島  裕君                 山本  保君                 朝日 俊弘君                 吉川 春子君                 椎名 素夫君                 江本 孟紀君    衆議院議員        公職選挙法改正        に関する調査特        別委員長     簗瀬  進君        公職選挙法改正        に関する調査特        別委員長代理   荒井 広幸君        公職選挙法改正        に関する調査特        別委員長代理   堀込 征雄君        公職選挙法改正        に関する調査特        別委員長代理   横光 克彦君    国務大臣        自 治 大 臣  倉田 寛之君    政府委員        自治省行政局選        挙部長      谷合 靖夫君    事務局側        常任委員会専門        員        佐藤  勝君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○公職選挙法の一部を改正する法律案衆議院提  出)     —————————————    〔理事石井一二委員長席に着く〕
  2. 石井一二

    理事石井一二君) ただいまから選挙制度に関する特別委員会を開会いたします。  委員長都合により出席できませんので、委員長の委託により、私が委員長の職務を代行いたします。よろしくお願いいたします。  委員異動について御報告いたします。  先般、末広真樹子君、橋本敦君及び下稲葉耕吉君が委員辞任され、その補欠として椎名素夫君、吉川春子君及び亀谷博昭君が選任されました。  また、本日、平野貞夫君、片山虎之助君、鈴木貞敏君及び村上正邦君が委員辞任され、その補欠として今泉昭君、海老原義彦君、武見敬三君及び塩崎恭久君が選任されました。     —————————————
  3. 石井一二

    理事石井一二君) 公職選挙法の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、提出者から趣旨説明を聴取いたします。衆議院公職選挙法改正に関する調査特別委員長簗瀬進君。
  4. 簗瀬進

    衆議院議員簗瀬進君) ただいま議題となりました公職選挙法の一部を改正する法律案につきまして、提案趣旨及びその内容を御説明申し上げます。  平成六年の公職選挙法改正により、衆議院議員選挙制度が小選挙比例代表並立制に改められ、政党中心政策本位制度とされたことに伴い、小選挙選挙比例代表選挙のいずれにつきましても、政党等に大幅に選挙運動の手段が認められることとなっております。  しかしながら、このような選挙運動のあり方については、各党においてさまざまな論議が行われております。すなわち、小選挙選挙におきましては、一選挙当たり有権者数面積は、ともに従来のいわゆる中選挙区と比べおおむね二分の一以下に縮小され、また一選挙当たり平均世帯数も約三十四万世帯から約十五万世帯に減少していること、それにもかかわらず、選挙運動につきましては、基本的には従来と同じ数量のものがそのまま候補者個人に認められるとともに、候補者届け出政党にも同様の数量選挙運動が認められること、これらの選挙運動を従来より短縮された十二日間の選挙運動期間において行うこととする制度は、過大な選挙運動を惹起することとなり、社会生活にも多大な影響を与えるおそれがあると言わざるを得ないことなどであります。  本案は、このような論議背景として、衆議院議員選挙制度について、政党中心政策本位選挙実現を図るという基本的な考え方を維持しつつ、公正で金のかからない選挙実現に資するため、選挙運動方法数量に関し合理化を図ることとして取りまとめたものであります。  次に、その主な内容について御説明申し上げます。  第一は、小選挙選出議員選挙において候補者届け出政党が使用することができる自動車または船舶及び拡声機についてであります。現行法では、都道府県ごとに、届け出候補者数が三人を超える場合、その超える数が五人を増すごと自動車一台または船舶一隻及び拡声機一そろいを追加して使用することができることとされていますが、その超える数五人を十人に改めることといたしております。また、拡声機には携帯用拡声機を含む旨を明らかにすることといたしております。  第二は、小選挙選出議員選挙において候補者届け出政党頒布することができる通常はがき枚数についてであります。現行法では、都道府県ごとに、三万五千枚に当該都道府県における届け出候補者数を乗じて得た数とされていますが、この三万五千枚を二万枚に削減することといたしております。  第三は、ビラについてであります。  小選挙選出議員選挙において候補者届け出政党頒布することができるビラ枚数は、現行法では、都道府県ごとに、七万枚に当該都道府県における届け出候補者数を乗じて得た数とされていますが、この七万枚を四万枚に削減するとともに、各小選挙区において頒布することができるビラ枚数は、候補者を届け出た小選挙ごとに四万枚を限度とすることといたしております。また、新たに、候補者届け出政党頒布するビラの規格について一定の制限を設けることといたしております。  比例代表選出議員選挙において名簿届け出政党等頒布することができるビラについては、現行法では、選挙ごとに、三種類以内とされていますが、これを二種類以内に制限することといたしております。  第四は、ポスターについてであります。  小選挙選出議員選挙において候補者届け出政党が掲示することができるポスター枚数は、現行法では、都道府県ごとに、千五百枚に当該都道府県における届け出候補者数を乗じて得た数とされていますが、この千五百枚を千枚に削減するとともに、各小選挙区において掲示することができるポスター枚数は、候補者を届け出た小選挙ごとに千枚を限度とすることといたしております。  また、比例代表選出議員選挙において名簿届け出政党等が掲示することができるポスター枚数は、現行法では、七百五十枚に当該選挙区における名簿登載者数を乗じて得た数とされていますが、この七百五十枚を五百枚に削減するとともに、新たに、その種類を三種類以内に制限することといたしております。  第五は、小選挙選出議員選挙において候補者届け出政党が行う政見放送についてであります。現行法では、候補者届け出政党が行う政見放送の時間数は、都道府県ごとに、届け出候補者数に応じて定めることとされておりますが、さらにきめ細かく届け出候補者数に応じて政見放送の時間数を定めることとするよう、所要の措置を講ずることといたしております。  第六は、小選挙選出議員選挙において候補者届け出政党が開催する政党演説会及び比例代表選出議員選挙において名簿届け出政党等が開催する政党等演説会についてであります。現行法では、開催回数についての制限はありませんが、新たに、これらの演説会を同時に開催する場合の箇所数について、政党演説会にあっては、都道府県ごとに、二に当該都道府県における届け出候補者数を乗じて得た数以内に制限するとともに、各小選挙区においては候補者を届け出た小選挙ごとに二を限度とすることとし、また、政党等演説会にあっては、比例代表選挙選挙ごとに、八以内に制限することといたしております。  以上のほか、所要規定の整備を行うことといたしております。  なお、この法律は、公布の日から施行することとし、改正後の公職選挙法規定は、この法律施行日以後初めてその期日を公示される総選挙から適用することといたしております。  以上が本案提案趣旨及び内容であります。  何とぞ、速やかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。
  5. 石井一二

    理事石井一二君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 吉川春子

    吉川春子君 今回の法改正で、衆議院では日本共産党反対意見表明をしたのみで、質疑は全く行われませんでした。提案理由説明では、各党においてさまざまな論議が行われている、このような論議背景に取りまとめたなどと言っていますが、各党消長にかかわる選挙制度について、自分たちが納得すればいいということなのでしょうか。一部の大政党のみが自分たち都合のいいような内容国会審議なしで通すことは許せません。  また、選挙制度をどうするかは、議会制民主主義国民主権にとって重要な問題です。こんなに国会審議が軽く扱われていいはずがありません。新聞の社説でも、「ご都合主義が過ぎないか」として、「新制度都合のよい部分はさらに都合よくし、都合の悪い部分は変えたり切り落としたりする。」こと、ろくな審議を経ないまま、駆け込みで成立させることに強い批判を浴びせています。  なぜ国会審議をしないのですか。最近の傾向として、国会審議逐条審議もしないとか、審議が極端に少なくなっているとか、こういう批判も強いわけですけれども、これでは法律の執行に当たって、行政府の恣意の歯どめにもなりません。御都合主義によって、行政へのチェックという三権分立に基づく国会の任務を放棄するものではないかと、私は強い疑問を持ちますが、いかがですか。
  7. 簗瀬進

    衆議院議員簗瀬進君) 御都合主義という御批判もございました。確かに、選挙運動という議員一人一人の生き死ににかかわる問題、そして当然それは政党消長にかかわってくる問題であるという御指摘は、私どもも十分に理解をいたしているつもりであります。それゆえに、かなりの個利個略あるいは党利党略というようなものがそこに集中した結果、本当の意味で実のある論議が行われるだろうかということについて、その懸念もございます。  そういう中で、今回の改正については、各党がそれぞれ代表を出し合いまして、自民党、社民党、新党さきがけ、そしてそこで成案をある程度得たものについては新進党さんあるいは市民リーグさん、そして事前には共産党さんにも一応の御説明をさせていただいて、その上で、これは我々の問題でありますので委員長提案ということで運べないものだろうかと、そういう真摯な取り組みがなされたものと理解をいたしております。決して御都合主義ではないと考えております。
  8. 吉川春子

    吉川春子君 個利個略に基づいているものであると、そういうものだから審議オープンにするのはなかなか難しいという御意見もあったと思いますが、私は、そういう問題であるからこそ国民の前にオープン議論をして、個利個略というよりは自分たちの主張なんですから、それを国民の前に明らかにして、そして批判は甘んじて受けると、そういうやっぱり情報公開というのも今一つの流れです。閣議でもそういうふうに決めていると思います。そういう問題で、やっぱり国会審議ということが一番国民の目の届くことですし、私たち事前に相談にあずかった覚えはありません。そういう点で、今度の手続面においても私は最初に厳しく指摘したところです。  法案の内容について伺っていきたいと思いますけれども、昨年、参議院選挙投票率は四四・五%、史上最低でした。最近の投票率はほとんど例外なく下がり続けています。これは、政治への信頼が失われている結果というふうにも言えますし、信頼を取り戻すことが求められています。主権在民立場からもっと投票率を高めることが必要であるということは共通の認識であると思うんです。有権者憲法の保障する選挙権を正しく行使するためには、政党候補者についての十分な情報を得ることが不可欠の条件だと思います。有権者はどういう方法情報を得ているんでしょうか。  明るい選挙推進協会では、世論調査をしまして、有権者選挙投票候補者を決める際に候補者やその所属政党についての情報を必要とするとして、有権者情報を提供する媒体が何であるか調査をしました。それによりますと、候補者では、テレビの政見放送経歴放送がトップで五八%、そしてビラ三八%、はがき二五%、ポスター四三%。政党では、ビラポスター、文書などが三七%となっています。  今回の法改正で、演説会はがきビラポスター等制限が行われるわけですけれども、これは国民立場から見て、有権者の受け取る候補者政党についての情報、特に政党についての情報が少なくなるということにつながるのではないでしょうか。いかがですか。
  9. 簗瀬進

    衆議院議員簗瀬進君) 政治への信頼は、政治有権者に対して提供する情報の実質にかかっているというのは、まさに先生の御指摘のとおりだと思うんです。最近において、各政党ともに例えば新しい情報媒体でございますインターネット等を通して、共産党さんも新しくホームページをおつくりになった、そういうことでは、各政党ともに新しい情報時代に対応した、有権者政治を伝える努力を真剣にいたしているわけであります。  そもそも選挙においては、それぞれの候補者政党政策を十分に知るということ、これが十分に保障されていなければならない、それはまさに御指摘のとおりだと思います。選挙運動量は、それを担保するものでなければならないということは確かであります。本改正は、先ほどの趣旨のとおり、確かにはがきビラ等選挙運動の量の削減を行っているものでありますが、その点では形式的に見ますと削減ということに受け取られがちでありますけれども、今回の選挙制度改正に伴いまして、小選挙選挙においては従来の中選挙区制に比べて一つ選挙区の面積も小さくなっておりますし、有権者も少なくなっておるわけであります。  現行法のままの選挙運動量選挙運動を行っていくということは、その労力あるいは費用がいずれにしても過大ではないか。公正で金のかからない選挙実現するという、やっぱり他方から見た政治信頼を確保するポイントというようなものがあるわけでありまして、そういう点から見てみますと、現行法のまま選挙運動をするということについては、社会生活にも多大な影響を及ぼすおそれがある、このような議論が出てきたわけであります。  そういうことで、国民に対して情報をできるだけ多く提供すべきであるという御視点とともに、そのことはそのためならば幾ら費用をかけてもいいんだということにはつながらないのではないのか、その双方のバランスをとったところでの選挙の姿というものをつくっていく、それによって高い次元での国民信頼というようなものが得られるのではないかというのが今回の改正趣旨理解をいたしております。
  10. 吉川春子

    吉川春子君 過大な選挙運動によって社会生活に多大な影響を与えるおそれがあると、高い次元での御配慮だそうですけれども政党助成金はそういう政党活動のための費用として支給されているのではありませんか。私たち日本共産党は、憲法違反政党助成金反対でありますし、受け取っておりませんけれども、こういう政党助成を受け取って、そして国民に対して情報を十分に提供するということももう一つ趣旨であったと思います。  政党助成金は受け取るけれどもビラポスターはがきお金がかかるから出すのを法律で減らすというのでは、やはり虫がよ過ぎるのではないでしょうか。減らしたい政党は任意に減らすということで、法律規制をかけるということまでする必要はないんじゃないですか。
  11. 簗瀬進

    衆議院議員簗瀬進君) 確かにそのような御指摘もありますが、お話の中にありました公的助成はいわゆる政党助成でございまして、選挙助成ではないと私たち理解をさせていただいております。そういう意味では、政党日常活動の中で活発に情報をしっかりと提供しながら国民の皆さんの信頼を得ていく、そこが一番の原則にあるというふうに私どもは承知をさせていただいております。  また、確かに自主規制といいますか、それぞれの政党個人議員の判断に任せればよいのではないかという御指摘でありますけれども、過去の今までのいろんな経験を見てみますと、やはり選挙という一種の修羅場といいますか、そういうところになってまいりますと、残念ながらどうしてもお互いにエキサイトしエスカレートしてしまう。こういうふうな実態があるのも私ども今までみずから経験しているところでもございまして、そういう趣旨での改正であるということは御理解を賜ればありがたいと思っております。
  12. 吉川春子

    吉川春子君 公的助成を使って日常的に有権者情報を与えることもその助成金趣旨だとおっしゃいました。日常的に情報を与えることももちろんそうですが、一番情報を得たいとき、一番情報を提供しなければならないときがまさに選挙のときです。そのときにこそ有効に使うという、何遍も言いますけれども、私たち政党助成反対で受け取っていないんですが、受け取るのであればそういう趣旨で使うべきでないかと思うんです。  そうして、いろいろおっしゃっておりますけれども、今回枚数とか回数制限しているものは現行法有料のものなんです。公費で賄うものはそのまま数を減らしていないんですよ。ところが、有料にして自分たちで払わなきゃならないものだけ枚数制限しているわけなんです。  例えば、小選挙区の候補者について現行どおりなんですけれども立て札看板はがき三万五千枚、ビラポスター個人演説会、これは今も公費で賄うということになっているので今回削減はしていない。しかし、はがきビラポスター演説会、これは候補者届け出政党あるいは名簿届け出政党はこの費用有料になっているんです。改正点は、その有料になっているものだけ枚数削減した。こういうことで、自分お金を払うものは法律枚数制限してしまった。  だから、今回制限するということについてのメルクマールは、公費で持ってもらえるかどうかということじゃありませんか。そして、それは余りにも虫がいい話だと思うんですが、いかがですか。
  13. 簗瀬進

    衆議院議員簗瀬進君) 御指摘はわからないわけではありませんけれども、例えば個人負担をするということでありますが、じゃ、その負担がどこに回っていくのかということを考えていただければ、やはり最終的には広い意味国民全体の方にいってしまうと。そういうふうなことになってまいりますと、まさに金のかからない選挙を何とか実現しょうと言っている、そこと結果としては裏腹な関係になってしまうというふうに考えております。
  14. 吉川春子

    吉川春子君 ちょっと意味不明の御答弁でありました。  自治省にお伺いいたしますけれども、一九九四年の小選挙制導入のときに、それまで自由であった政党法定ビラ配布新聞折り込みその他の方法に限定いたしました。私は、当時の佐藤自治大臣質問をいたしまして、これは政党活動制限だということで追及をいたしました。これに対して大臣は、政令事項で郵便による頒布も検討している、ビラは三種類、そして枚数制限はないということで、政党活動の自由を担保しているんだと、このようにおっしゃったわけです。  今回の改正で、ビラ種類は二種類にする、枚数制限は設ける、そして伺うところによると、郵送による配布政令で禁止する方向だということであります。だとすれば、大臣政党活動の自由を担保していると答弁したものが、私はあえて言いますが、今回の改悪によって全部奪われることになるのではありませんか。
  15. 谷合靖夫

    政府委員谷合靖夫君) 平成六年三月三日の参議院政治改革特別委員会における質疑については、確認をしたところ、そのような答弁を当時の佐藤大臣が申し上げておることは間違いございません。ただ、現実論として、比例選挙の場合につきましては確かに種類制限がありますが枚数制限はないわけでございますし、また、小選挙区の政党選挙においては枚数削減等が行われている、これも事実でございます。  ただ、私どもといたしましては、その頒布方法政令で定めるということになっておりまして、今回は、各党与党及び新進党の御論議の中で郵送について削減をしようと、そういう結論が出ておるわけでございますから、こうした選挙運動に関する各党の御結論については政府としても尊重し今後の政令改正というものを考えていきたい。これは各党の御議論を踏まえてこうした問題については対処することが私どもとしては適切な対応ではないかというふうに考えております。
  16. 吉川春子

    吉川春子君 政令制定権行政府にあるわけですから、やっぱり行政府は、大臣答弁もあり、そういう形できちっと対処していただきたい。政党が言うことだからといって、それを行政府がそのままうのみにするということだけはないようにしていただきたいということを私は注文しておきます。  政党演説会制限はなぜ行うのかという点を提案者にお伺いします。  「過大な選挙運動を惹起することとなり、社会生活にも多大な影響を与えるおそれがある」と、今回の改正理由ですけれども政党演説会が開かれたってうるさくはないし、なぜこういうことを制限するんですか、理由がわかりません。
  17. 簗瀬進

    衆議院議員簗瀬進君) 政党演説会については、先ほども話題になっております与野党の協議が真剣に行われておりまして、その中にも出席をいたしておりました堀込委員がおりますので、堀込さんの方に答えていただきます。
  18. 堀込征雄

    衆議院議員堀込征雄君) 先生指摘政党演説会の話でございますが、基本的に制限はございません。今度入れたのは、同時開催制限するわけであります。  そこで、私ども党内でもそうですし与党各党もそうでございますが、この同時開催制限なしたと例えば立て札看板も町じゆうにずっと掲げられる、しかも個人のお宅を三軒置きぐらいにお借りすれば、政党ですから事実上戸別訪問ができる、そういう弊害がやっぱり予想される。したがって、時間としては、同時開催箇所としては五カ所、そして政党の方の二カ所、計七カ所できれば、これは一日じゅう何十カ所もできるわけでありますから、選挙の公正という点で、選挙実態から見てやっぱりその程度の適切な制限は必要なのではないか、こういうことで与野党の合意が成った、こういうことでございます。
  19. 吉川春子

    吉川春子君 時間がもう迫ってまいりまして、これが最後の質問になるかと思いますが、私は、今回もし改正するとすれば、個人立候補政見放送を認めるという改正をまずやらなきゃいけなかったんじゃないかと思います。  明るい選挙推進協会世論調査で、最も有権者情報を受け、また役に立ったとしているのがテレビです。このテレビ政見放送政党には認めているが、個人には全く認めていない。無所属立候補者にとって著しく不利ではありませんか。これは憲法の法のもとの平等にも反するし、政党に所属しない無党派層が五〇%以上超えている、こういう声を無視することになるのであるし、これは小選挙制度一つの矛盾だと思うんです。むしろ、私たちは小選挙区制を廃止せよという立場ですが、公選法の改正を個々にやるとすれば、まさにこの無所属立候補について政見放送を認めるという改正こそすべきではなかったんですか。
  20. 簗瀬進

    衆議院議員簗瀬進君) 御指摘の件等は、先ほどの政治改革についての与野党協議の場でも真剣に議論がされたやに伺っております。  ただ、今回の制度があくまで政党中心政策中心の政治にしていくための選挙制度である、ここに原則を置いていたということ。それからもう一つ、テレビも実際は時間を配分している、そういう物理的な制約の中での放送をしていかなければならない、そういう問題もある。そのような総合的な立場から今回の改正のような趣旨になったと御理解を賜ればと思っております。
  21. 吉川春子

    吉川春子君 時間ですので終わります。
  22. 石井一二

    理事石井一二君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  23. 吉川春子

    吉川春子君 私は、日本共産党代表して、公職選挙法の一部改正案に反対の討論を行います。  最初に、本改正案の審議について申したいと思います。  本改正案の審議は、衆議院では委員審議が省略され、本院においても、我が党の十分な質疑時間の保障を求める要求があるにもかかわらず、わずか二十分の質問制限されました。これは、現在行われている参議院制度改革検討会の委員審議の充実の方向にも反するものです。選挙制度議会制民主主義の土俵づくりとも言うべきもので、各党による十分な審議が保障されるべきものです。本来なら公聴会も行われてしかるべきです。今回のような超スピード審議は、国会を形骸化し、良識の府と期待されている参議院の名を辱めるものであると言わなければなりません。  次に、本改正案についてです。  そもそも小選挙区制は、民意をゆがめる憲法違反選挙制度であり、本院では否決されたものです。しかるに、それが談合で復活されたことは断じて容認できません。  今回、その小選挙区制を金がかかるという口実で選挙活動の自由をさらに制約する改悪を行おうとすることは、政治活動の自由や国民の知る権利に対する制約をさらに強め、まさに暗やみ選挙を拡大する暴挙と言うほかありません。  そもそも国民代表を選ぶ選挙は、議会制民主主義国民主権の根本です。有権者政党候補者について十分な情報を得ることは、有権者がみずから判断して憲法に保障された参政権を正当に行使するための不可欠の前提です。そのためにも、選挙のときこそ政党候補者選挙政党活動の自由は最大限に保障されるべきものです。  すなわち、今回の改正は、法定ビラについて、新たに郵送配布を禁止するとともに、種類枚数についても比例代表選挙の三種類以内を二種類以内に制限し、小選挙選挙の七万枚を四万枚に削減し、政党等演説会同時開催を大幅に制限し、小選挙選挙政党カーの台数を減らし、かつまた、政党ポスター政党選挙はがき枚数まで削減するなど、政党の最も基本的な政策宣伝や選挙活動の制限を一層強化するものです。  さきの改悪公選法がまだ一度も実施されていない段階で、与党三党と新進党は多数をもってさらにこうした制限を加えようとしています。憲法違反政党助成金を受け取りながら、金がかかるなどとの口実で、政党として当然の国民への政策宣伝活動を切り縮めることは、まさに国民を愚弄するものと言わなくてはなりません。  そもそも、金がかかるからと選挙運動に枠をはめることは政党助成趣旨にそぐわない。政党中心選挙に移行しやすくするため、選挙経費を補うことが助成の趣旨一つだった。政党本位の選挙を目指すとしてきた名分を政党みずからないがしろにする動きとして、この改正は見逃せないとマスコミも警告をしているではありませんか。  本来、選挙運動に対する制限は、買収・供応などの不正の防止に限定すべきです。金権選挙をなくすためと言うなら、かねてから我が党が強く指摘しているような金権腐敗政治の根源である企業団体献金こそ全面廃止すべきです。  私は、政党政治活動の自由と国民の知る権利を乱暴に制限する今回の公選法改正反対するとともに、民意をゆがめ、第一党に虚構の多数を与えるばかりか、金権選挙を助長する大もとになっている小選挙区制の廃止を強く求めて、反対討論を終わります。
  24. 石井一二

    理事石井一二君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  公職選挙法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  25. 石井一二

    理事石井一二君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  26. 石井一二

    理事石井一二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時三十二分散会      —————・—————