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1996-06-06 第136回国会 参議院 商工委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年六月六日(木曜日)    午前十一時三十分開会     —————————————    委員異動  六月五日     辞任        補欠選任      久保  亘君     山本 正和君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         沓掛 哲男君     理 事                 加藤 紀文君                 久世 公堯君                 荒木 清寛君                 前川 忠夫君     委 員                 斎藤 文夫君                 坂野 重信君                 中曽根弘文君                 野間  赳君                 林  芳正君                 平田 耕一君                 加藤 修一君                 長谷川 清君                 平田 健二君                 山本 正和君                 藁科 滿治君                 山下 芳生君                 小島 慶三君    国務大臣        国 務 大 臣        (内閣官房長官) 梶山 静六君    政府委員        公正取引委員会        委員長      小粥 正巳君        公正取引委員会        事務局長     糸田 省吾君        公正取引委員会        事務局経済部長  塩田 薫範君        公正取引委員会        事務局取引部長  大熊まさよ君        公正取引委員会        事務局審査部長  矢部丈太郎君    事務局側        常任委員会専門        員        里田 武臣君     —————————————   本日の会議に付した案件私的独占禁止及び公正取引確保に関する法  律の一部を改正する法律案内閣提出衆議院  送付) ○地方自治法第百五十六条第六項の規定基づ  き、公正取引委員会事務局地方事務所管轄  区域変更及び支所設置に関し承認を求める  の件(内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 沓掛哲男

    委員長沓掛哲男君) ただいまから商工委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨五日、久保亘君が委員を辞任され、その補欠として山本正和君が選任されました。     —————————————
  3. 沓掛哲男

    委員長沓掛哲男君) 私的独占禁止及び公正取引確保に関する法律の一部を改正する法律案及び地方自治法第百五十六条第六項の規定基づき、公正取引委員会事務局地方事務所管轄区域変更及び支所設置に関し承認を求めるの件、以上両案件を一括して議題といたします。  両案件趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 平田耕一

    平田耕一君 公正取引委員会から「最近の公正取引委員会取組」ということし五月の文書をちょうだいしまして、その中に「企業結合規制見直し」という欄がございます。持ち株会社等の一部改正と第四章の手続面を中心とする検討ということが記載されておるわけであります。  さき商工委員会住専母体行についてこの第四章十三条三項の長年にわたる違反確認をしていただいたばかりでありますし、なおかつその行為につきまして私自身独占禁止法上の問題というものもあるんではないかという疑問も持っておりますので、その関連でこのたびの法改正ということであれば大変に注意するべきだなと私自身は思っておりますが、そのかかわりについて簡単にお答えいただきたいと思います。
  5. 小粥正巳

    政府委員(小粥正巳君) ただいまのお尋ねは、現在御審議お願いしております公正取引委員会事務局組織強化についての法案企業結合関係についての一般的な見直し、これは現在私ども大事な仕事として取り組んでおりますけれども、その関連についてのお尋ねでございます。  申すまでもなく、事務局組織抜本的強化につきましては、政府策定をいたしました、今年三月に改定をされておりますけれども規制緩和推進計画におきましてその旨が明記されているところでございます。それから、いま一つお尋ね持ち株会社規制見直しを含む企業結合関係についての見直しにつきましても、同じくこの規制緩和推進計画の中でやはり検討すべき課題として取り上げられているところは御案内のとおりでございます。  このような状況を踏まえて、私ども、まず予算関連でもございます組織強化検討を行い、先般改正法案提出して、現在、御審議をちょうだいしているところでございます。  一方、企業結合関係についての見直しにつきましては、独占禁止法第四章改正問題研究会を開催するなど所要検討を行ってまいりまして、その中の一つの大きなテーマでございます持ち株会社関係についても検討をしてまいりました。この持ち株会社規制見直しにつきましては、御案内のとおり、現在、与党三党で独占禁止法改正問題プロジェクトチーム設置をされまして調整が行われているところでございまして、私どもその調整を見守っているところでございます。  この持ち株会社規制見直しの問題と、それからただいま法案お願いをしております事務局組織強化問題とは、これは直接の関係はないわけでございますが、ともに規制緩和との関連で、私どもといたしましては、あるいは政府全体としてその検討、そして検討の結果によっては所要の措置を講ずる必要がある、そういう意味で双方とも独占禁止法関連する重要な課題である、こういうふうに認識をしております。
  6. 平田耕一

    平田耕一君 ありがとうございます。  それでは次も同じく「最近の公正取引委員会取組」の書類の中から、「法運用透明性確保」というふうに記載をしていただいておりまして、「行政指導に関する独占禁止法上の考え方」というガイドライン作成というふうになっておるわけであります。それは平成六年六月三十日付の作成でございますが、その文中の「はじめに」という前文のうち、「事業者又は事業者団体行為については、たとえそれが行政機関行政指導により誘発されたものであっても、独占禁止法適用が妨げられるものではない。」というふうにあります。これはこのガイドラインが出される前からある考え方であろうと思いますが、独占禁止法が制定されて以来ということでよろしいでしょうか。簡潔にひとつお答えいただきたいと思います。
  7. 小粥正巳

    政府委員(小粥正巳君) ただいまお尋ねがございました、私どもが一昨年六月に公表した行政指導ガイドラインにつきましては、これまで他の行政機関との調整事例あるいは違反被疑事件審査過程等で認められた事例などを踏まえながら、行政指導に関する独禁法上の考え方をこの段階でより明確、具体的に明らかにしたものでございます。そして、今御指摘のように、その中で、事業者団体あるいは事業者行為について、たとえそれが行政機関行政指導によって誘発されたものであっても、独禁法違反行為要件に該当するときは独禁法適用が妨げられるものではないということを明記しております。  一方、実は十数年前でございますけれども、昭和五十六年に公表いたしました改定前の行政指導ガイドラインがございますけれども、この中には、ただいまの点につきましては、「行政指導は、そのあり方によっては、独占禁止法違反するカルテル等を誘発するおそれがある。」、こういう記載をしております。したがいまして、行政機関行政指導によって誘発された行為でありましても法違反要件に該当するときには当然に独禁法適用があることを前提として、独禁法行政指導との関係についての考え方を明らかにしているものでございます。  したがいまして、その点に関しましては、現行のガイドライン改定前のガイドラインとの間で基本的に考え方が異なるものではございません。
  8. 平田耕一

    平田耕一君 ありがとうございます。  同じくその前文の中に「公正取引委員会は、独占禁止法との関係において問題を生じさせるおそれがある行政指導については、従来、個々事案ごと事前関係行政機関調整を図り、問題点指摘し、改善等を要望してきたところである。」とあるわけでありますが、以下の質問に対してイエスノーでお答えいただければ短時間に終わると思いますのでお願いをしたいんですが、その打ち合わせをされた個々事案の中に大蔵省銀行局打ち合わせ実績が入っておりますか否か、お尋ねしたいと思います。
  9. 小粥正巳

    政府委員(小粥正巳君) ただいまのお尋ねは、この行政指導ガイドライン対象として、例えば大蔵省金融行政上の行政指導が入っているかということでございますが、これは当然対象でございます。
  10. 平田耕一

    平田耕一君 個々事案でそういう実績があったということで解釈させていただいてよろしゅうございますか。
  11. 小粥正巳

    政府委員(小粥正巳君) 金融行政上の行政指導につきまして、この行政指導ガイドラインのいわば適用と申しますか、そのような具体例があるかという点につきましては、具体例として私直ちに承知をしておりませんけれども、いずれにしましても、この行政指導ガイドラインにつきましては、分野にかかわらず行政官庁行政指導一般適用されるものでございます。
  12. 平田耕一

    平田耕一君 個々事案ごと調整を図ってきたという過去形で書いてありますので、実際の問題の中に銀行局との調整が入っておったかどうか、後ほど御連絡いただければありがたいと思います。  次の質問に移りますが、同じくその前文に「行政機関においては、本考え方に十分留意するとともに、」というところで、「行政指導を行うに当たって個々事案ごと事前公正取引委員会調整することを期待するものである。」とありますが、これは現時点においては各省庁にすべて徹底しておるという解釈でよろしゅうございましょうか、お答えいただきたいと思います。
  13. 小粥正巳

    政府委員(小粥正巳君) ただいまの点でございますけれども、これは政府策定をいたしました規制緩和推進計画及び改定計画におきましても「規制緩和後において、規制に代わって競争制限的な行政指導が行われることのないよう、」ただいま御指摘の「「行政指導に関する独占禁止法上の考え方」の趣旨を踏まえ、関係省庁公正取引委員会事前所要調整を図る。」、こういう意味閣議決定がなされておるわけでございまして、私ども、そして関係各省もこの趣旨に従って調整を行っております。
  14. 平田耕一

    平田耕一君 同じくその前文の中に「本考え方においては、次の用語は、以下のような意味を持つものとする。」とありまして、「事業者」の欄に「商業、工業、金融業その他の事業を行うもの」となっておりますが、その中に例えば住専母体行を含むことができるかどうか。事業者団体の中に全銀協、全信協、全信中協を含むことができるかどうか。行政指導のそういう言葉の中に、平成二年三月二十七日の「土地関連融資の抑制について」という銀行局長通達を含むことができるかどうか。この三点をイエスノーでお答えいただければありがたいと思います。
  15. 小粥正巳

    政府委員(小粥正巳君) ただいまの御質問は、すべてそのとおりでございます。
  16. 平田耕一

    平田耕一君 ありがとうございます。  次に移りまして、同じくそのガイドラインですが、流通取引慣行に関する独占禁止法上の指針につきましてお尋ねいたします。  やっぱりその「はじめに」という前文の二の最後の段でございますが、「本指針は、主として財の取引について独占禁止法上の考え方を示したものであるが、役務取引についてもその考え方は基本的には同様である。」というふうに書いてあります。その「役務取引」というところに融資ということが含まれるかどうか、お教えいただきたいと思います。
  17. 小粥正巳

    政府委員(小粥正巳君) ただいまお尋ね役務取引の中には、金融機関役務取引一般、したがいまして、お尋ね融資も含まれると考えております。
  18. 平田耕一

    平田耕一君 同じく流通取引慣行指針につきまして、第一部の第一、「顧客獲得競争制限」、その二に「事業者が共同して行う顧客獲得競争制限」のところに「事業者が他の事業者と共同して、例えば次のような行為を行い、」云々とありまして、その「当該行為は不当な取引制限に該当し、独占禁止法第三条の規定違反する(注一)。」というふうにあるわけであります。  その「(注一)」の説明が「明示決定がなされなくても、事業者間に取引先制限又は市場分割云々ということがあって、「制限されれば独占禁止法違反する。」とあるわけでありますが、この「明示決定」という言葉は、いわゆる業界での明確な取り決め事項とか話し合いの事実等のことを意味するのでありましょうか、お教えいただきたいと思います。
  19. 小粥正巳

    政府委員(小粥正巳君) ただいまのお尋ねは、流通取引慣行ガイドラインにおきましての事業者間の例えば取引先制限あるいは市場分割等に係る業界共通意思、その共通意思形成というものについて明示決定がなされているかどうか。明示決定は、具体的にはただいま御指摘のように、仮に申し合わせ決定をされている、あるいはその文書が記録されている、そういうものが通例でありましょうけれども、いずれにしましても、まさに実態に即して明示と認められれば、いわば共通意思決定が明らかに確認できるという意味でございます。  そこで、明確な申し合わせや協定がない場合にどうか。それが次の問題になろうかと思いますけれども、必ずしも明示決定がなされなくても、共通意思の連絡があるということが事実として確認をできる場合、例えば他の者の行動を予測し、これと歩調をそろえる意思形成をされていれば、いわゆる明示ではなくて暗黙の了解であっても共同して行ったものと認められる場合があり得るわけでございます。それはあくまで事実いかんでございます。
  20. 平田耕一

    平田耕一君 ありがとうございました。  同じくガイドラインでありますが、会社株式所有審査に関する事務処理基準についてお尋ねします。  やっぱりその「はじめに」の前文の「本事務処理基準は、会社株式所有が、一定取引分野における競争を実質的に制限することとなるか否かを判断するに当たり、」というところでありますが、この「会社株式所有が」という文章解釈が大変重要であると思ってお尋ねをいたします。  例えばJCBグループUCグループ信託銀行、第二地銀協会等のメンバーの株式所有によって設立されたそれぞれのグループ共同出資会社たる住専がその母体との関連において、さき質問いたしました行政指導に関するガイドライン流通取引慣行ガイドライン等により独占禁止法上の適法性判断する必要がある場合、その遠因が、あるいは根本原因共同出資会社たる住専設立そのものであることをもってその文章の中の「会社株式所有が」という文章解釈をすることができると思いますが、時間がかかるようであれば、後日また御返事をいただきたいというふうに思います。
  21. 小粥正巳

    政府委員(小粥正巳君) ただいまのお尋ねは、いわゆる住専母体行との関連を例に取り上げられまして、これが会社株式所有審査に当たって競争実質的制限につながる問題としてどのように評価するか、そういうお尋ねであろうかと思います。  ただいまの例で申しまして、親会社と子会社、あるいは親会社間で株式所有による結合関係があるかどうか、これについてまず私ども事務処理基準上で一定基準に従いまして結合関係の有無を判断いたします。次いで、その結合関係があるとみなされた場合にさらに、ただいまお尋ねのその結果としての一定取引分野における競争実質的制限につながるおそれがあるかどうか、その内容についての審査をいたします。  そのような順序で判断をするわけでございまして、具体的に母体行と住専との関係につきましては、この母体行と住専関係を一般的に考察をいたしますと、私ども、これが結合関係が認められるとは考えにくいというふうに判断をしております。
  22. 平田耕一

    平田耕一君 まさしくその点がこの論点の分かれ目であろうと思ってお尋ねしました。若干この「会社株式所有が」という文章解釈がまだちょっと腑に落ちませんので、また事務局と詰めさせていただきたいと思います。  それから、最後質問であります。  かねてから指摘をさせていただきました十三条第三項の役員兼任届け出義務について、過去一切の届け出がなかったことはさき商工委員会確認をしていただきました。しかし、現在その届け出の要請にこたえて兼任届け出がなされたということでありますが、住専母体行といえば、小粥委員長と同等の経歴、資格、識見をお持ちになっている大蔵OBの方々が多数天下りされておられ、なおかつ銀行局の直接監督下にある数少ない金融機関であり、法律を知らなかったということでは済まされない立場であろうと思います。  その人々独占禁止法にのっとった株主比率でもって住専を設立し、その法律罰則まで規定されている届け出を一切なさなかったというのは何ゆえなのか。独禁法の厳正な運用を目指す公正取引委員会として、その何ゆえかということを調査する必要があると思いますが、いかがでございましょうか。最後にお答えいただきまして、質問を終わりたいと思います。
  23. 小粥正巳

    政府委員(小粥正巳君) ただいまのお尋ねは、企業結合関係一つ形態であります役員兼任について、これは独占禁止法上、第十三条三項の規定でありますけれども届け出義務がございます。もしこの届け出がなされていない場合、あるいは虚偽の届け出がなされた場合には、御指摘のように罰金刑に処する、このような定めがあるわけでございます。  ところで、ただいまお尋ね住専役員を派遣しております母体行からの役員兼任届け出書の問題でございますけれども、これは御指摘のとおり、この点についての届け出書がある段階まで未提出であったことは事実でございます。そこで、私ども提出の事実を認めまして、直ちに指導によりまして迅速に提出を求めたところでございますが、これらの会社は、いずれも直ちに私ども指導に従って自主的に役員兼任届け出書提出してきたところでございます。  この届け出義務を怠っていた、そして私ども指導によってこれがいわば迅速に補完をされた、こういうことでありますが、確かに届け出義務違反という事実はこれは私ども認識するところでございますし、これは当然その対象である母体行が独禁法規定について十分承知をせず、あるいは注意をせず届け出を怠ったということでありますから、私どもそれはまことに遺憾であると考えております。一方また、私どもがこのような点について法律上の規定が遵守されていなかった、それも相当期間その事実が存在したということに、大変申し訳ないんですが、気がつかなかったというところは、十分私どもの監視が行き届いていなかったということで深く反省をしているところでございます。  ただ、この点につきましては、このような届け出につきましては、私どもその届け出がないことに気がついたとき速やかに指導によって届け出書提出を求める、それによって届け出書が速やかに提出をされれば、大変遺憾なことではありますけれども、この違法行為がそこで結果的に治癒されたと、こういうふうに考えているわけでありまして、そのようなケースについて法律上の規定にございます罰則を科するということについては特段検討を行ってはおりません。ただ、申すまでもないわけでございますけれども、もし悪質な届け出義務違反があるというケースにつきましては、今後とも罰則適用を含めて厳正に対処する所存でございます。
  24. 平田耕一

    平田耕一君 もう一問だけ。  かなり長期の届け出義務違反でありますし、先ほど質問で申し上げましたように、そういう形で当然知っておっていただかなければならない企業人々でありまして、日本の産業をリードしておる銀行あるいは大蔵からの転出ということでありますので、これはなぜ届けられなかったのかというその理由については、もう不問に付すというお考えでございましょうか。  私自身は、やっぱりなぜなのかということだけはぜひとも教えていただいて、しかる後に、届け出義務違反だからということはよくわかるわけでありますけれども届け出が何年間か、もしかすると二十何年にわたるかもしれない、なぜなのかということを、それを調査いただくことによって事の本質の一部でもかいま見ることができるんじゃないかなという思いがありますので、ぜひともなぜなのかということだけは調査をしていただいて、そして不問に付すということでないと、今後この条項を適用できる、もっとも届け出が促進されれば結果いいわけですけれども、悪質な違反があったとしてもそれを摘発することは難しいと思いますので、ぜひお願い申し上げたいと思いますが、委員長の所見をお伺いしたいと思います。
  25. 小粥正巳

    政府委員(小粥正巳君) ただいまの御指摘は私ども深く反省をしなければいけないところでございます。  端的に申し上げれば、このケースは、当然知るべき、認識すべきであった独禁法上の企業結合関係届け出義務について該当者がこれを知らなかったと、私どもそういうふうに認識をするわけでございます、それにつきましては私ども努めているつもりではございますけれども独禁法個々規定につきまして対象企業側に対してなお十分な知識が浸透していなかった、その点については私ども独禁法の普及につきまして努力をしてきたつもりであり、また個々企業あるいは業界団体についてもいわゆるコンプライアンス・プログラム、独禁法遵守体制の整備を強く呼びかけ、また各団体も特に昨今は非常に強くこれを認識して対応してもらっていると思っておりますけれども、今の御指摘をいただきますと、例えばこういう分野についてその点がまだ不十分であったということを私ども深く反省をして、今後十分に注意をしたいと思っております。
  26. 平田耕一

    平田耕一君 終わります。
  27. 前川忠夫

    前川忠夫君 私の方からは、今度の機能強化については、年来、当時は社会党、現在は社会民主党でありますが、公正取引委員会を含めた独占禁止法強化は私どもが望んでいたことでありますから、基本的に今回の法案については支持をし評価をしていきたいというふうに考えています。ただ、幾つか懸念をしている部分もございますので、これらについて若干質問をさせていただきたいと思います。  まず一つは、依然として道半ばではありますが、政府基本方針として大変重要な課題として規制緩和の問題がございます。  規制緩和というのは、もちろんさまざまな形態をとるわけですけれども、私は、この規制緩和の問題については、特に独占禁止法分野では消費者保護というところに視点が当てられています。その場合に、いわゆる規制緩和に伴って逆にまた新たな規制をしなければならない分野といいますか部分、こういうものが出てくるのではないかと。そういう部分について今回の機能強化というものがどういう役割なりを果たすのか、あるいはどんな意味を持っているのか、この辺についてまず最初にお尋ねをしたいと思います。
  28. 小粥正巳

    政府委員(小粥正巳君) ただいまのお尋ねは、現在、当委員会におきまして御審議お願いしておりますこの独占禁止法改正は、申すまでもなく公正取引委員会体制機能強化でございますけれども、特にこの規制緩和との関連で今回の機構改革がどのような実質的な意義、効果があるのかと、こういう点のお尋ねかと存じます。  私ども規制緩和の問題につきまして、これは申すまでもなく政府の最も重要な施策でありますし、またこの規制緩和独占禁止法積極的展開、これを一体として進めていくことが特に私どもとしましても極めて重要な課題であると考えております。  そこで具体的には、今回の機構改革におきましても、御指摘規制緩和関連部門につきまして政府規制制度及び独占禁止法適用除外制度、さらに行政指導等の調査に当たる人員を具体的に増員しております。それから、政府規制制度等の調査あるいは所管省庁との調整を一元的に担当する課を内部の組織がえによって新たに設けることにしております。  このように、規制緩和関連の調査・調整体制の整備ということ、そして事務局全体の機構を強化することが、今申し上げましたような規制緩和関連で他省庁との調整におきましても、これは大変調整能力の向上が図られる、こういうふうに考えております。  それからもう一つ、大変大事なことと考えておりますのは、規制緩和後の市場におきまして中小企業者や消費者に対して不当な不利益を与えるような不公正な取引、これが行われることがあり得るわけでありまして、これに対して適切に対処していく、これが公正取引委員会の今後の業務として大変重要になっていると考えております。  したがって、この点との関連では、今回の機構改革におきまして事務総局のもとに局が二つ設置されることになりますが、その一つであります経済取引局に特に取引部を設けまして、この取引部におきまして、今申し上げました意味での公正な競争ルールの策定あるいは取引慣行等の調査、是正等の業務をこの取引部で総括をさせることにいたしまして、このような業務の事務処理体制強化を図っていく、こういうことを私ども今回の機構改革によって実現できるものと確信をしております。
  29. 前川忠夫

    前川忠夫君 ありがとうございました。  そこで、今回の機能強化を含めまして、公正取引委員会といいますか独占禁止政策について特に日米経済協議の中でもこれは話題になったところでありまして、そういう意味では私は必ずしも外圧をもって日本の政策が変わるということを歓迎するわけではもちろんありません。  ただ、いわゆる経済のグローバル化あるいはボーダーレスの時代と言われる中で、日本の独占禁止法というのが法施行以来かなりの年月が既に経過をしております。もうかれこれ五十年近い年月がたつわけですが、この新しい国際化の時代の中で、日本のいわゆる商習慣といいますか、あるいは経済慣行等々の中で諸外国との整合性という点で問題ありとするんですが、今の公取の事務局としてはどんなような認識をお持ちなのか、この辺についてお伺いをしたいと思います。  例えば具体的なケースを申し上げると、これはちょっと特異なケースなんだろうと思いますが、例のあのフィルムの問題ですね。アメリカのコダック社は、本来、日本における市場の問題ですから、日本において提訴をするなりなんなりすればいいんですが、実際にはアメリカのUSTR、いわゆるアメリカの通商代表部に対して問題を持ち込んで、今、日米間の大きな問題になっているわけです。  こういった事例というのは、日本における独占禁止政策上の運用も含めまして問題点があったからなのではないかというような見方もあるんですけれども、この辺についてはいかがでしょうか。
  30. 小粥正巳

    政府委員(小粥正巳君) ただいまのお尋ねは、アメリカのコダック社によって提起をされましたいわゆるフィルム市場問題を例に取り上げられながら、我が国の独禁法運用体制あるいは経済社会の取引慣行、そういったものが諸外国と比べてどのような位置づけが行われているか、そういうことであろうと思いますけれども、問題は二つあると思います。  一つは、現実の経済の動き、日本の市場における各分野市場での取引慣行が他の国と一体著しく乖離をしているのか、こういう問題がございます。確かに取引慣行はそれぞれの経済社会において特有、固有なものがございますから、各国いろいろ現実に違いがあることは当然でございますけれども、ただ経済の国際化がこれだけ進展をしておる今の経済社会でございますから、例えば十年前、二十年前に比べまして我が国の一般的な市場における取引慣行あるいは企業行為が普遍的なルールである独占禁止法基準に沿って行われている。その意味では日本の、そしてアメリカを初めとします諸外国の経済社会における取引の慣行実態というものがかつてほど大きな違いはなくなってきている、あるいは大きな違いがあってはとてもこの日本としてもこれからの国際経済社会に適応していけない、そういう状況にあろうかと思いますし、その点はまた私ども公正取引委員会の業務としても国際的な整合性という一つ基準を持ちながら監視をしている、こういうことでございます。  それから、問題の二つは、取引慣行が彼我かなり類似をしてきたといたしまして、それではそれに対して適用される独占禁止法体系あるいはその制度がどうなっているか、もう一つ運用具体的にどうであろうか、その点についての違いはないのかという御指摘かと思いますけれども、日本の独占禁止法体制、制度面につきましては、これも今御指摘の五十年の歴史がございますけれども、特に近年、御案内のように何回か制度の強化改正を重ねてまいりました。したがいまして、例えば刑事罰、課徴金の引き上げ等を含めまして違反行為に対する抑止措置は相当強化されてきた、こういうふうに考えておりまして、競争制限行為に対する規制などの基本的枠組みあるいは考え方、制度そのものは若干の違いはあるにいたしましても、諸外国の競争に比較して遜色のないものになっている、こういうふうに考えております。  しからば、その適用面ではどうかという点でございますが、適用の比較はなかなか難しゅうございますけれども、例えばカルテルのような代表的な独禁法違反行為、これに対する制裁という面で考えますと、御案内のように例えばアメリカでは刑事罰による罰金、EUにおきましては制裁金という形をとります。それから、我が国におきましては課徴金納付命令という制度がございます。これは罰金そのものではございませんけれども違反企業に対しての抑止効果という意味ではほぼ同様と考えられます。  これが近年、大体欧米と比べてどのような水準になっているかということを一例で申し上げますと、例えば昨年度、平成七年度における公正取引委員会が納付命令をいたしました課徴金の総額が約六十四億円でございます。一方、同じ年度におきましてアメリカにおける独禁法違反行為に対する罰金額、これが米ドルで四千百万ドルばかりでありますから、為替レートで換算いたしますと四十数億円、こういうことになります。それから、EUにおける九五年度の制裁金額、これは千四百五十一万ECUでありますから、これも換算をいたしますと約十九億円ということでございまして、これは一例でございますけれども運用面で日本の現在の運用実績が諸外国と比べても決して遜色がないというふうに私どもは考えております。  このように、独禁法違反行為に対して厳正に対処するとともに、競争政策全般の適切な運営に努めているつもりでございますけれども、ただ、先ほどのコダックの例に見られますように、我が国の独禁法、制度運用がまだ不十分であるという、これは私率直に誤解だと思っておりますが一その誤解がもしあるとしますと、やはり私どものPR活動等にまだ足りないところがある、こういうふうに考えざるを得ないわけでありますし、私ども地道な日々の業務の積み重ねによりまして、公正取引委員会あるいはこの独禁法運用についての内外の信頼を一層高めるように、積極的な法運用に努めてまいりたいと考えております。
  31. 前川忠夫

    前川忠夫君 時間の関係がありますので、最後お尋ねをしたいと思うんですが、独占禁止法の第一条、独占禁止法の目的は、基本的には私は消費者保護という視点がもちろん一つはあるんだろうと思います。ただし、消費者というのは物をつくっているという意味では生産者でもあるんですね、日本のような場合には。と同時に、それに介在をするさまざまな事業を営んでいる方があるわけですね。私は、物が安く手に入るという点では確かに消費者にとっては大変好ましいことだと。と同時に、最近の価格破壊ということが、結果的には生産者に対するさまざまな圧力になったり、あるいは不安材料になったり、場合によってはとてもではないけれどもやっていられないということで、業をやめたいというケースも出てきているわけです。  と同様に、衆議院委員会のときにも私ども委員から質問があったと思いますけれども、例えば最近の極端な例としては家電製品の不当廉売と言われるような事例、こういうものを見ていますと、消費者を保護する、あるいは消費者の利便がまず最優先なんだという視点が余りにも強くなりますと、生産をする立場だとかあるいは流通業界だとか、そういうところに逆にまたしわ寄せがいくという、こういう相矛盾をするケースというのがよく出てくるんですね。この辺のバランスとかミスマッチの部分について、これからの公正取引委員会としてどんなような視点で対応していかれようとしているのか。ぜひ今度の機能強化の問題については、国民の側から見ましても公正取引委員会に頑張ってほしいという声があると同時に、本当に何をやっているんだという声があることも事実でありますので、この辺のこれからの姿勢も含めて、委員長の方からの決意を含めてお聞かせをいただければというふうに思います。
  32. 小粥正巳

    政府委員(小粥正巳君) ただいま独禁法の一条をお引きいただきまして、消費者利益の確保ということが独禁法の目的であろうけれども、一方生産者の視点もと、こういうお尋ねでございますけれども、端的に市場におきますいわば極端な安売りのケース、これを例にとっての御質問でございます。  事業者が創意工夫、つまり公正自由な競争を通じてより安い商品を提供する、これはもう端的に消費者の利益でございます。ただ、そうではなくて、採算を度外視した著しく低い価格で商品を販売する、そして顧客を獲得しようとする行為は、これはもはや正常な公正な競争手段とは言えないと。したがいまして、それは結果的に消費者の利益にもならない、独禁法上も問題にせざるを得ない、こういうふうに考えておりまして、具体的に独占禁止法上の不当廉売の疑いのある事案につきましては、そのような端緒に接しました場合には、当然のことですが調査を行い、違反のおそれが認められる場合には所要の措置を講じているところでございます。  ただいま御指摘の家電の著しい不当廉売につきましても、私ども早速調査をして注意をしたところでございますが、今後とも、先ほど申し上げましたけれども規制が緩和された後に競争が本当に活発に行われるようになった市場で中小企業者、これは消費者も含みますけれども、に不当な不利益を及ぼすような、例えば不当廉売等のいわゆる不公正な取引方法、これが横行するようでは、これは私どもとしては見逃すわけにはもちろんまいりません。今後とも厳正に対処していく所存でございます。
  33. 前川忠夫

    前川忠夫君 ありがとうございました。終わります。
  34. 小島慶三

    ○小島慶三君 きょうは委員長お出ましをいただきまして、ありがとうございます。  私は、この独禁法の今回の改正については大変大きな期待をかけていたわけであります。しかしながら、実際提案された法律案を見ますと、非常に長年の懸案であった持ち株会社の問題には全然これは触れておらないということで、機構の拡充、もっと公取さんの立場で言えば機能強化ということかもしれませんが、そういうことだけに終わっておるわけでありまして、私は大変これには賛成できないものであります。  やはり財政困難なこの時期に、リストラが最も必要な時期に行政機構を拡充するということはいかがなものかということが一点であります。それから二点としては、先ほど来同僚委員からの御質問がいろいろございましたが、規制緩和のための調整というか、規制緩和のための規制というか、何かそういう点がにじみ出るような機構改革ではないかというふうに私は思います。その二点でこの法案には私はこのままでは賛成できないという立場を申し上げておきたいと思います。  そういうことで、あと討論はいたしませんが、公取さんの方のお立場で今後とも持ち株会社の問題をどういうふうにお扱いになるつもりか、これをお伺いしたいと思います。
  35. 小粥正巳

    政府委員(小粥正巳君) 持ち株会社規制見直しについてのお尋ねでございます。  この点につきましては、先ほども申し上げましたけれども政府規制緩和推進計画の中でも、企業のリストラの促進あるいはベンチャー企業の振興等を図る見地から、独占禁止政策に反しない範囲で持ち株会社の解禁を行うものとして所要検討を行う、こういうふうに掲げられていることは御案内のとおりでございます。私どもも、昨年以来特にこの問題について内部での検討、そして企業結合に関する第四章改正問題研究会等の場でもいろいろと議論をしていただきまして、私ども政府規制緩和計画に掲げられたような方向に沿っての見直し作業に従事をしてきたところでございます。  ただ、法律改正の問題でございますから、当然に与党間の基本的なコンセンサスが必要でございまして、この点は、先般来、与党三党間におきまして、独占禁止法改正問題についてのプロジェクトチームが設置をされまして、この持ち株会社問題を中心に極めて精力的な御検討が行われているところでございます。  したがいまして、私どもは、現在この御検討の結果を見守りながら、その結果を踏まえつつ先ほど申し上げました独禁政策に反しない範囲での持ち株会社規制見直しという所期の課題に対して今後とも積極的に取り組んでいく所存でございます。
  36. 小島慶三

    ○小島慶三君 ぜひそういう角度で、小粥名委員長のもとでそういった方向が実現するように私も強く希望を申し上げておきたいと思います。  それからもう一点でございますけれども、今の持ち株会社の問題が日本とアメリカの独禁政策上の一つのギャップといいますか食い違いといいますか、そういうことであると思うんですけれども、それ以外にもいろいろアメリカから指摘されておる日本の公正取引政策上のいろんな弱点といいますか、そういう点について一体どういうふうな問題があと残っておるのか、それに対して公取さんではどういうふうにその対応をお考えなのか、これをお伺いしたいと思います。
  37. 小粥正巳

    政府委員(小粥正巳君) ただいまの御質問は、諸外国、特にアメリカから独占禁止制度あるいは政策についてどのような要請が寄せられているのか、それに対して公正取引委員会あるいは日本政府がどのように対応してきたか、こういうお尋ねでございます。  この点につきましては、詳細にわたることは避けますけれども、御案内のように、近年特に日米構造問題協議、この点におきましてアメリカ側は、いわば日本経済の構造に関する問題として競争政策に関する特に三つの分野についての種々の要請がございました。  一つは、排他的取引慣行に関する事項でありまして、その中で、特に違法行為に対する独占禁止法上の対応を制度、運用面で強化すること。系列に関する事項として、流通取引慣行ガイドライン作成その他監視、調査を実施すること。流通に関する事項として、特に景品に関する公正競争規約の見直し、こういうものがございました。この内容につきまして詳細に御説明する時間はございませんけれども、それぞれ制度の改正その他見直しを逐次行っているところでございます。  それから、平成五年になりますと日米包括経済協議、このような表題のもとにいわば枠組みがつくられまして、規制緩和競争政策作業部会の場で具体的にこれまで八回の会合がございましたけれども、そこでアメリカ側からさらに競争政策に関する要望事項がいろいろ寄せられております。その中で主要なものを申し上げますと、刑事告発の増加を含む独禁法運用強化、それから、ちょうど今御審議お願いしております法案とも関連をいたしますが、公正取引委員会事務局機能あるいは組織の拡充強化、それから適用除外カルテル制度の廃止の観点からの見直し、さらに国際契約の届け出義務の廃止等と、かなり具体的な制度の改廃等についても端的な要請が寄せられているところでございます。  また、この点に関しまして、平成二年の告発に関する方針の公表以来、これはアメリカに比べれば、彼我の対応、運用の違いがございますけれども、刑事告発につきましても、私ども、件数は多くはございませんが、特に重要、大型な事案を中心に刑事告発を積極的に行っているところでございますし、事務局体制強化につきましてはまさに今回の法案で御審議お願いしているところでございます。適用除外カルテル制度の廃止の問題につきましても、先般の三月の規制緩和推進計画改定の中で、現在四十七制度、他の法律による独禁法適用除外制度がございますが、その七割強に当たる三十三制度を平成十年度末までに廃止する方向で見直しを行う等、結果的にはアメリカ側の要望に対応する制度の強化あるいは運用積極的展開を図っているところでございます。  ただ、一言申し上げさせていただきますと、このような要請がたまたま近年米国から寄せられてきたことは事実でございますけれども、私ども、米国から要請があったからいわば受け身でこのような独禁政策の強化を行っているという、そういうつもりは毛頭ございません。アメリカの要求も確かに一つの端緒ではございますけれども、これは端的に申せば、外からだけではなく、むしろ規制緩和推進が現在内閣の最重要課題になっておりますことでも分明でございますけれども、それと一体としての競争政策の積極的展開がまさに日本の国内から極めて強い要望として、政策的な課題として意識をされている、そういう背景のもとに今幾つかの例で申し上げましたような強化を行っている。それがたまたまあるものはアメリカ側の要請、要望とも一致をするものである。一方で、アメリカ側の要望、要請の中でも、内容的にはやや誤解に基づく注文あるいはまた日本の経済社会の実態ないし法制度の考え方からして、受け入れる必要がない、あるいは受けるべきではない、そういうものも幾つかございます。  これも詳述は避けますけれども、そういうものについてはもちろんこのような考え方、このような理由で米側の要請は受け入れられないということを日米協議のそれぞれのレベルの場におきましてアメリカ側にも明確に説明をして理解を求めているところでございます。  概括そのような状況ということで御理解いただきたいと思います。
  38. 小島慶三

    ○小島慶三君 ありがとうございました。  非常に多岐にわたっておると思いますけれども、アメリカ側で理のあるもの、これを受け入れるのにはやぶさかでないと思うんです。やはり先ほど前川委員のお話もございましたようなその国その国の事情というものもございますから、ぜひ公正取引政策としての自発性といいますか内発性といいますか、そういう点に重点を置いてこれからの政策をお願いしたい、こういうふうに思います。  以上で私の質問を終わります。
  39. 平田健二

    平田健二君 平成会の平田でございます。  まず、公取の機能強化ということについてお尋ねをいたしたいと思います。  平成元年の日米構造協議以来、いろいろな公取の機能強化が行われてきたわけでございます。先ほど小粥委員長のお話にもございました課徴金の改定でありますとか刑事罰の強化、こういったものが行われてきたわけでございます。しかし、それでも相変わらずカルテルや不公正な取引が横行しておるといいますか、後を絶たないわけでございます。さきに公取が調査で発表いたしました下請をいじめておるというような実態、あるいはここ数日間の新聞報道を見ましても、牛乳の不当表示あるいは製パン業者の日付の問題、あるいは先ほども同僚委員から出ました電気製品の不当廉売、さらには持ち株会社の解禁の問題いろんな問題があるわけでございます。  そこで、公取がこれから活躍する場はいろいろとあると思いますけれども、先ほどもありましたアメリカを初め外国から公取をもっと強化すべきだという要請もございます。のみならず、国民的な視点から見ましても非常にそういった要望は強いわけでございまして、今回の法改正で組織も一新され人員もふえるわけでございますが、公取としての組織強化機能強化についての決意をまずお聞かせいただきたいと思います。
  40. 小粥正巳

    政府委員(小粥正巳君) ただいまの御質問は、御審議お願いしております今回の独禁法改正法案によりまして、一体公正取引委員会がどのように体制機能強化していき、これからどういう考え方独禁法運用していこうとするか、こういうお尋ねでございます。  私ども、今回の機構改革によりまして、一般的に申せば、何よりも業務の効率性あるいは機動性、そして政策立案、調整機能を向上させる、これを最大の眼目としているわけでございまして、御指摘のように、内外から公取の今後の業務につきまして非常に強い要請が寄せられておりますが、それを果たしていくためにふさわしい機構の拡充、こういうことを考えているわけでございます。  そこで、特に機構改革によりまして具体的にどのような取り組みができると考えているのか、こういう点を例示的に申し上げたいと思いますけれども、価格カルテルでありますとか入札談合行為のような独占禁止法違反行為への厳正な対応、特に大型、重大な事件、国民生活に密接に関連する事件等への積極的な取り組み、これは審査部門の強化、特に新しく設けられます審査局の中に特別審査部を設けまして、こういう点にとりわけ専門的な知識、技能を持つ職員を集中して対応しよう、一つの例がこれでございます。  それからもう一つ、先ほど来いろいろ御議論がございました政府規制見直しあるいは適用除外制度の見直しでございますけれども、新設の経済取引局によりまして、いろいろな行政分野を持っております他省庁との調整機能、これが格段に向上する、こういうことを期待しているわけでございます。  それから、何よりも規制緩和後に、先ほどもお答え申し上げましたけれども、中小企業者や消費者が不当な不利益を受ける、そういうケースがあり得るわけでございまして、公正な競争ルールの徹底、定着ということに特にこれから意を用いていかなければいけないと思いますが、この問題を統括的に取り扱うために、新たに設けられます経済取引局の中に取引部を設置いたしまして、この取引部で今申し上げました公正な競争ルールの徹底あるいはそれについての監視、対応、そういうものを統一的に効率的に行うということでございます。  それからもう一つどもの頭にあります重要な課題といたしまして、経済のグローバル化に伴いまして競争政策の国際的なハーモナイゼーション、これが大変重要な課題になっておりまして、これにつきましては二国間あるいは多国間で実際に問題が生ずる、あるいは二国間、多国間の場でお互いに独禁当局が協力をしながらこういう国際的な競争政策の課題に取り組まなければいけない、そういう状況でございますけれども、これに対する適切な対応として、今回の改正によりまして国際課を新たに設置いたしまして、国際的な課題への適切な対応を考えております。  以上は重要な課題についてのいわば例を申し上げたわけでございますが、今回の機構改革によりまして、業務の機動性、効率性あるいは政策立案、調整機能の向上を図るというふうに申し上げましたが、今私ども具体的に持っております問題意識を申し上げますと以上のようなことでございます。  ただ、さらに一言つけ加えさせていただきたいのでございますけれども、御審議をいただきまして、幸いこの機構改革が制度として成立をいたしましても、私、決してそれで十分であるとは考えておりません。非常に大事なことは、機能の向上ということを申しましたけれども、いわば入れ物である制度だけがいかに立派になりましても、実際にそれを運用する職員の個々のモラールあるいは知識、技能、そういうものがレベルアップされなければ、せっかくお認めいただく機構改革が本当に生きないわけでございますので、私、このような機構改革が実現いたしました暁には、職員のあらゆる意味での質の向上あるいはモラールの向上、そういうものが特段に重要であると考えております。  幸い、私どもの仕事につきまして特に近年内外の期待、時には厳しいおしかりもございますけれども、期待、要望というものが寄せられておりまして、公取の職員は非常に使命感を持って仕事に取り組んでいるわけでございますので、今後機構改革が実現いたしました暁には、一層これをモラールアップいたしまして、質の向上、そしてせっかくお認めいただきます機構改革が本当の意味での機能の向上、そして公正取引委員会全体の役割を果たすにふさわしい裏づけ、内容が盛られますように、私ども心して取り組んでまいりたいと考えている次第でございます。
  41. 平田健二

    平田健二君 それでは次に、個々ケースについてお尋ねをいたしたいと思います。  まず、押しつけ販売、これは前回も私質問をさせていただきました。お答えをいただいたわけですけれども公正取引委員会指導によって組織ぐるみあるいは会社ぐるみの押しつけ販売というのは少なくなっているという状況が報告されておりますが、しかし、いまだやはり現場の段階で仕入れ担当者が納入業者に対して押しつけ販売をする、こういったケースがあるわけでございます。納入業者の方は、極端に言えば、担当者から押しつけ販売をされて、会社に持って帰って、これ押しつけ販売されたから買い取ってくださいということはなかなかできない、自腹で買い取らなきゃいかぬ、こういったケースが非常に多いというふうに聞いております。  せっかく今回公取の機能強化するわけでございますので、こういった末端の現場で行われておる押しつけ販売、こういったものについて被害者からの苦情を受け付ける相談コーナー、こういったものをぜひ設置していただきたい。私はどこどこの会社から押しつけ販売をされましたとなかなか個人では言えないわけですね、次の取引の問題もありますから。そういった面で、ぜひそういった相談コーナー、簡単に電話をして相談できる、こういった窓口をぜひひとつ設けていただきたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  42. 小粥正巳

    政府委員(小粥正巳君) ただいまのお尋ねは、大規模な業者によるいわゆる押しつけ販売のケースでございまして、特に具体的に御指摘がございましたように、仕入れの担当者が納入業者に対してまさに取引に影響を及ぼし得る立場にいる、そういう立場である物品の購入を要請する、こういうケースでございますが、これは正常な商慣習に照らしましても恐らく不当な不利益を納入業者に及ぼす、そういうケースであろうかと思います。これは申すまでもなく独禁法上不公正な取引方法、その中の優越的地位の乱用行為として問題になり得ると考えております。  私ども、これらの問題につきましては、先ほど来お答えしておりますように、特に規制緩和後の市場においていわば取引上の弱い立場を持つ中小企業者が不当に不利益を受けることがないように、このような押しつけ販売を含めてこのような事態に私どもとしまして最大限の注意を払って監視をしていくというつもりでございます。  それからまた、既に実施を何度もしておりますが、大規模小売業者による納入取引の適正化のための実態調査を行う、そして問題になるケースがあればそれを取り上げて指導するあるいは厳正に処分をする、こういう活動も一方でしているわけでございまして、御評価いただきましたようにそのようなケースが次第に減ってきているとは思いますけれども、しかし現実にまだ残念ながら行われている例も認められるわけでございまして、今後とも取引実態の把握に努めて違反行為が行われることのないよう未然防止に努めていく所存でございます。  その未然防止あるいは違反行為摘発のための大事な手がかりは、いわば被害を受けた事業者からの情報提供でございます。私ども、申告と称しておりますけれども、これはどのような場合であれ独禁法上の違法な行為の疑いがある、仮に御自分が被害を受けたというお話でなくてもそういう例を承知している、公取に調べてほしいという、そういう広い意味の情報提供は違反行為に対する審査の大変大事な手がかりでもございますので、どのような形でも、これはもう仮に匿名でももちろん結構でございます。ただいまの御質問でなかなか訴えにくいというお話もございました。  私ども本局あるいは地方事務所を含めまして、そのような申告、情報の提供あるいはいわゆる苦情相談、そのようないかなる形であれ、そういう外からのお話に対しましてはこれをできるだけ丁寧にお伺いをして、私どもとして調査の端緒として大いに活用する。そして、実際に違法行為が認められれば当然のことながら適切に対応するということを、従来から特に留意をしているところでございますが、規制緩和が今後進行していきますと、一方ではこういう中小企業者が規制緩和後の市場で非常に不利益を受けるというようなケースが、これはふえては困りますけれども、とりわけ私ども気をつけていかなければならない。そのために、大変大事な情報源ということで、今御指摘のようなこういう情報、苦情受け付けという点については、私ども従来以上に心して対応させていただきたいと考えております。
  43. 平田健二

    平田健二君 若干関連性があるんですが、独禁法第四十五条にはこう書いてあるわけです。何人も、この法律規定違反する事実があると思われるときには、公正取引委員会に対し、その事実を報告し、適当な措置を求めることができる。さらに、文書具体的な事実を示された場合には、公正取引委員会文書で回答する、こういった条文があるわけでございますが、このことは余り国民には知られてないんですね。  どういうことかといいますと、私は選挙区は岐阜でございまして、木曾川の近くに家があるんですが、いろんな方とお話をしていますと、木曾川の堤防の工事、護岸工事等について、もう十年来ほとんど業者の方は変わりません、私どもも指定業者なんだけれども特定の業者しかもう落札できないんだ、何か変なことがあっているんじゃないかなという、こういううわさが実は飛び交っているわけです。しかし、そういううわさがあっても、実は住民の皆さん、国民の一人一人にこういった独禁法第四十五条のような法律があることが理解されていない、どこにどういうふうに持っていっていいのかわからない、こういった状況にあると思われます。  そういった面では、公正取引委員会の窓口が十分に機能していない、PRされていないというふうに思われますけれども、いかがでしょうか。
  44. 小粥正巳

    政府委員(小粥正巳君) ただいま独禁法四十五条をお引きいただきまして、情報提供に対する通知制度、これが十分一般の国民レベルに浸透していないのではないかというお尋ねでございます。  これは私ども懸命にPRに努めてきているつもりではございますけれども、今御指摘のような実態があるといたしますと、まだまだ私どもの努力不足であるということを反省いたしまして、今後の機構改革をお認めいただきました後、やはりそういう点にも十分意を用いたいと思っております。  それから、お尋ねの、例えば入札に関して不利益な取り扱いを受けているのではないかという、そういう疑いについての情報でございますけれども、そのようなものを含めまして、文字どおり独禁法におよそ関連するいかなる情報でも、私ども先ほど申し上げました、本局であれ地方事務所であれ、これは積極的にお受けをいたします。申し上げましたように匿名でももちろん結構でございます。お電話であれお手紙であれ、それはもういかなるものでもお受けをいたします。  ただ、念のために申し上げなければいけませんのは、先ほど入札についての具体的なケースをお示しになってのお尋ねでございますが、ある情報がありまして、私どもそれを受けましたら必ずこれは調査をいたします。ただし、調査をした結果、違法行為の疑いありとして審査活動に入る場合と、調査をしてみたけれどもどうしても疑うに足りるだけの相当程度の資料と申しますかそれが見当たらないという場合ももちろん具体的にはございます。ですから、およそ情報を提供すれば必ず公取がいわば審査という形で動くはずだということまで御期待をいただきますと、時にそのとおりにならない場合もございますから、その点は、恐縮でございますけれども、御理解をいただきたいと思います。  しかし、いかなる情報であれ、私どもとしては丁寧にお伺いをして、私どもの調査活動の重要な端緒として活用させていただきますし、文書でお示しの場合には、いずれにしましても調査をした結果についての御連絡、通知をさせていただく。この条文の規定どおりに運用しているつもりでございます。
  45. 平田健二

    平田健二君 今申し上げましたのは、そういった事実があるから取り締まれということではなくて、そういったことが起こっておるのに、法第四十五条でそういったことが文書でも何でもとにかく公正取引委員会へ連絡をすることができますよという、そういった方法があるということをPRしてほしい、こういうことであります。ひとつよろしく。
  46. 小粥正巳

    政府委員(小粥正巳君) 御指摘を踏まえまして、十分今後対応させていただきます。
  47. 平田健二

    平田健二君 先日、新聞の朝刊を読んでおりまして、ちょっと変な広告を見ました。これは我が国を代表する新聞でありますが、内容は「中国医大留学で医師資格を取得」、こう書いてあるんです。私読みまして、普通の話学力といいますか普通の感覚で読んで、ぱっと見て、中国の医科大学へ留学をして医師の資格を取って日本で医師の活動ができる、こういうふうに読めるわけです。これを見まして私、日本ではそうではないはずだ、多分日本の国の医師の国家資格がありますから、そういった資格を取らなければお医者さんになることはできないと。  そこで、私は警察に見解を求めました。警察の方は、担当省庁行政指導が優先し、その手の負えないとき、被害の実態があってから、うそだけでは取り締まる法規がないという説明でした。次に厚生省へ聞いてみました。内容は明らかに誤りであるが、厚生省には医師法にしろ医療法にしろ対応する手段がないということでございました。双方が言いましたのは、被害が出る前に対応ができるのは、不当な表示の禁止ということで公正取引委員会しかないんではないでしょうか、こういう回答をいただきました。誇大広告の場合には、禁止は訪問販売法にもございますが、訪問販売や通信販売に該当しない場合には訪問販売法もどうすることもできない。こういうわけでございまして、不当な表示ということで公正取引委員会機能しなければ、被害が出るのを待つということしかないわけでありまして、不当な表示を防止するということで公正取引委員会ではこういったケースに排除命令を出すことができないのかどうか、お尋ねをいたしたいと思います。
  48. 小粥正巳

    政府委員(小粥正巳君) 一般的に申しますと、一般消費者に誤認をされ不当な顧客誘引となるような不当表示でありますと、これは景品表示法によって規制対象になるということは御案内のとおりでございます。  ただいまのお尋ねの件につきまして、私、具体的な事実関係承知しておりませんので一般的にお答え申し上げますけれども、確かにそのような広告がありますと、しかし日本では医師は国家試験による免許が必要でありますから、その点は一般消費者に誤認をさせる程度に至るだろうか、つまり景表法上の不当表示に当たると直ちに言えるかどうかという点は私もちょっと自信がございません。  その点はまさに法律上の要件であります一般消費者に誤認をされて不当な顧客誘引になるかという、ですからあくまで実態を検討させていただかなきゃいけませんけれども、もし一般消費者も誤認するような不当表示であるという独禁法上の認定ができますれば、これは景表法上の問題違法行為の疑いありとして適切に対応しなければいけないと考えておりますけれども、この点は実態を私どもまたよく検討させていただきたいと思っております。
  49. 平田健二

    平田健二君 それからもう一点。  この広告を出した新聞は日本を代表する新聞社であります、名前は申し上げませんが。こういった非常に紛らわしい広告を、日本を代表するような新聞社が調査も何もしないでこういった広告を載せることについてどういうふうに思われますか。
  50. 小粥正巳

    政府委員(小粥正巳君) 独禁法上、独禁法の特別法であります景品表示法は、これはあくまで当該事業者が自分の供給する商品あるいはサービスに関して行う広告表示が規制対象でありますから、仮にそれが不当表示に当たれば、その事業者規制対象になります。  したがいまして、そのような表示広告を載せた広告媒体、例えば新聞が直接独禁法上の規制対象にはならないわけでございますが、ただいまのお尋ねは、仮に独禁法上でなくても、その広告媒体自体の一体責任はないのか、こういうお尋ねであろうかと思います。  私どもの業務の範囲におきまして、例えば実際にやっていることでございますが、広告媒体の団体がございますが、そこと提携をとりまして、少なくとも景表法上問題がある広告が生じることのないよう、その未然防止のためのいろいろ打ち合わせなり調整を行っているところでありまして、独禁法上の問題としては広告媒体との関連は、私どもとしましては、不当表示に当たるような広告が掲載されることのないように、法規制対象ではございませんけれども、広告媒体の団体等とよく連携をとってまいりたいということでございます。
  51. 平田健二

    平田健二君 次に、梶山官房長官にお尋ねをいたします。お忙しい中、本当に御苦労さまでございます。  今回の法改正で、委員の定年が六十五歳から七十歳に延長されるということでございます。この法案趣旨では、ふさわしい人材を広く求める観点からということになっております。その実効が担保されなくては意味がないわけでありまして、例えば昭和二十二年の公取設立時の公正取引委員会委員の構成は、委員長の中山喜久松さん、大同製鋼会長を初め日本勧業銀行の理事、それから弁護士、京都大学の教授と、民間の出身の方が四人もいまして、当時は七名の委員だというふうに聞いておりますが、四人が民間の出身ということで過半数を占めておったわけでございます。ところが、その後、民間からの登用がなくなりまして、日銀関係者を除きますと、昭和二十七年に就任された高野善一郎さん、日経新聞政治部長が最後の民間からの委員の任用でございました。それ以降は民間からの登用はないわけでございます。  きのう、おととい、それからきょうにかけての報道によりますと、小粥委員長の後任の委員長さんの候補者は四代続いた大蔵省の出身から法務省の出身にかわると、こういうことが報道されておるわけでございます。これはお役所の中のたらい回してはなくて、本当に趣旨説明のように広く各層から委員を選出しなければならないと思っております。  そこで長官にお尋ねするわけですけれども、今後民間から委員を選出する意向はあるかどうかをお尋ねいたします。
  52. 梶山静六

    ○国務大臣(梶山静六君) 委員指摘のとおり、公正取引委員会の行政は、経済の広範な分野における事業者の活動を対象とし、かつ処分に当たり準司法的な手続がとられるなど、法律または経済に関する豊富な知識と高度な専門性が必要とされております。  そういうところから、委員長及び委員については、独禁法において、三十五歳以上で法律または経済に関する学識経験のある者のうちから総理大臣が両議院の同意を得て任命されるということになっております。  今回の改正法案は、委員長及び委員の定年の引き上げが盛り込まれ、今後はなお一層幅広い範囲からの人選を可能にすることを目的としたものであることは御承知のとおりであります。法律や経済に関する豊富な知識と高度な専門性を備えた人材が幅広く選考され、両議院からの同意を得て任命されていくものというふうに期待をいたしておるわけであります。  大事については幅広い人選を可能にすることを目的としておるわけでありまして、ただいまこの法案審議をいただいているところであり、その趣旨を踏まえて、これからも独禁法改正規定に従い、しかるべき時期に所要の手続がとられて人選が決定をされるものというふうに期待をいたしております。
  53. 平田健二

    平田健二君 次に、持ち株会社の解禁問題についてお尋ねをいたします。  今回の法改正で、持ち株会社解禁問題も一緒に盛り込まれて法案審議をされる予定であったというふうに聞いております。まず最初に、なぜ今回の改正案の中で見送られたのか、その理由と背景についてお伺いをいたしたいと思います。  さらに、今後の法案作成のプロセスについてお尋ねをいたしたいわけですけれども、持ち株会社解禁についてはさまざまな視点から議論がされておるというふうに思います。中でも、雇用問題を中心とする労働条件や特に労使の交渉に大きな影響を与えるということが懸念をされておるわけでございます。やっぱりこういった問題は、国民各層から広く意見を聞き、判断することが必要ではないかなというふうに思っております。一部の報道によりますと、労働組合と話をされておるようですけれども、どうもその話し合いが暗礁に乗り上げておるというふうに聞いております。私は、この持ち株会社解禁について、今国会は見送ったけれども次の秋の臨時国会ではまた出すよと、こういったことになるんではないかなと危惧をしておるわけです。  そこで、梶山官房長官にぜひお願いをしておきたいのは、やはり労働組合あるいは国民各層の合意がないとこの改正法案については提出はしないんだということでひとつお願いをしたいと思いますが、梶山官房長官が大臣に在任中は提出しないよとぜひ言っていただきたいということをお願いして、最後質問にいたしたいと思います。よろしくお願いします。
  54. 梶山静六

    ○国務大臣(梶山静六君) 持ち株会社禁止制度については、この三月に閣議決定がされ、改定された規制緩和推進計画において「持株会社規制について、企業のリストラの促進、ベンチャー企業の振興等を図るため、独占禁止政策に反しない範囲で持株会社を解禁すべく見直しを行い、所要の措置を講じる。」ということにいたされております。  現在、この問題は与党三党で独占禁止法改正問題プロジェクトチーム設置をされ、持ち株会社解禁に伴う労働問題等も含め検討が行われるところであり、政府としてもこのプロジェクトチームの検討結果を踏まえてこれから適切に対応されていくということにしたいと考えております。
  55. 平田健二

    平田健二君 ありがとうございました。
  56. 山下芳生

    ○山下芳生君 独禁法改正については、持ち株会社解禁をめぐっていろいろな経過がありますが、今回の改正案そのものの内容は基本的に公正取引委員会機能強化するという方向にあると思いますので、賛成するものであります。その上に立って若干の問題点についてただしたいと思います。  一つは、下請企業対策であります。  公取全体の定員はふやされておりますのに、この間、下請法関係の定員は八九年をピークに九〇年、九一年、九二年と毎年減り続け、以後三十九名で横ばい状態であります。全体の定員がふえておりますので、下請法担当者のウエートは減り続けております。公正取引委員会が先月十五日に発表した九五年度下請法運用状況調査によれば、この二年間、違反事件発生件数は減ってきているものの、実体規定違反では減額や返品あるいは買いただきなど、悪質な違反事例の割合がこの四年間一貫して増加をしております。長期にわたる不況で深刻な経営にあり、しかも親企業の犠牲にされている下請中小企業を守るために、この部門の定員をふやして迅速な対応をするところにこそ公正取引委員会の存在意義があるのではないかと私は思いますが、官房長官にこの点での政府の姿勢について確認をしておきたいと思います。
  57. 梶山静六

    ○国務大臣(梶山静六君) 下請法担当部門を含む公正取引委員会の機構・定員については、これまで政府全体において行財政改革を推進している厳しい状況のもとで、関係各機関の御努力により毎年その整備充実が図られているところであります。  委員指摘の、いわばこの下請事業者を守るための下請法担当の人員について横ばいではないかということが言われておりますが、以前から見ますと、最近は横ばいかもしれませんが、定員の増加は見られておりますし、機能化が進められ、現実に各種の調査や苦情処理やあるいは対策が講じられていることははるかに前進をいたしておる、このような認識でおりますし、さらに徹底をしてまいりたい、このように考えております。
  58. 山下芳生

    ○山下芳生君 次に、最近の中小企業分野で起こっている問題について質問をしたいと思います。  先日、中小企業家同友会全国協議会あるいは全国商工団体連合会から要望、要求を聞かせていただきました。下請取引の適正化、公正取引確保共通した要求でありました。  以下、聞かせていただいた具体例を挙げて公取の対応を聞きたいと思うんですが、まず下請法違反事件がかなり広範に広がっているという問題であります。  例えば、当初の契約を発注者である親企業の都合で途中で設計変更し、単価は納品時に調整するということにしておきながら、結局その経費増を下請である中小企業の負担にさせるという、これは下請法違反あるいは優越的地位の乱用にも当たるケースだと思いますが、こういうケースが最近ふえてきております。ところが先日、業者がこの問題で公取に申告に行きますと、レアケースとして相手にしてくれなかったと非常に憤慨をされておりました。これは公取としてもきちっと対応をする必要があるんではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  59. 小粥正巳

    政府委員(小粥正巳君) ただいまのお尋ねのようなケース、つまり親事業者が一方的な都合で、その下請事業者が責任がないのに設計その他発注の内容を変更して、そのまた費用を負担させる、代金の減額をする、こういう行為は、念のためでございますが、その場合に下請法の適用がある場合には当然この下請法上の買いただきあるいは代金減額に該当するおそれがあるということで、もちろん事実をどのように確認できるかということによりますけれども、私どもとしてこれを見逃すようなことはもちろんしてはいないつもりでございます。  今のお尋ねは公取に申告をしたけれども相手にされなかったという御指摘でございますけれども、私どもとしますと、一般的に本局でも地方でも、先ほど来お答え申し上げておりますように、私ども違法行為に対する審査活動の大事な端緒でございますから、すべてどのような情報でも私どもとしては丁寧にそのお話を伺っておくように指導しているつもりでございますので、その点はさらに徹底をさせていただきたいと思います。  ただ、先ほど申し上げましたように、このようなケースが間々下請法の直接の対象にならない、御存じのように製造業あるいは修理に今の下請法の適用範囲が限られているということは御案内のとおりでございますから、この下請法の適用対象にならない場合ということも考えられるかもしれません。その点は具体的な事実を承知しておりませんけれども、一般的に、もう一度申し上げれば、このような事例につきまして具体的な情報に接しました場合には、当然下請法上厳正な調査を行って、問題のある行為が認められれば適切に是正、対応をいたしますし、もしも御指摘のように窓口が大変不親切であったというようなケースがありましたら、私ども早速、それについてはそのようなことがないように今後十分に気をつけて対応させていただきます。
  60. 山下芳生

    ○山下芳生君 ぜひ丁寧かつ厳正な対応をしていただきたいと思います。  次に、いわゆる価格破壊で問題になっております家電量販店の問題です。  栃木県宇都宮市のコジマという大生家電量販店チェーンの例ですが、先着十名に限って扇風機を一円で販売し、そのお客にはお車代として千円をキャッシュバックしております。私は、これは不当廉売や差別対価あるいは景表法の違反のおそれがあると思いますが、当事者は、事前公正取引委員会に意見を打診したが問題ないという確認をとっていると言っております。こうした事態の進行の中で、一般の家電商は深刻な経営危機にさらされているわけですが、公取は先日、こうした安売り合戦を繰り広げている北関東地域の量販店三社に対し口頭注意をしたそうでありますが、これまた当事者は、公取から注意を受けた事実はないとマスコミに答えております。一体どんな指導をしているのか、これが一点です。  それから、製造物責任法、PL法の施行に伴いまして、親企業が下請企業や子会社に対しみずからの責任を転嫁することを認めさせる誓約書の提出を強要したり、PL保険への加入を取引条件にするなどの事態が頻発をしております。公取は指導通達を出しておりますが、一向に改まっていない、ぜひ実態を調査して指導、改善を強めてほしいという要望も出されております。  以上二点、公取の具体的な対応をお聞かせ願えますか。
  61. 小粥正巳

    政府委員(小粥正巳君) ただいまの家電業界のいわゆる一円セールについてでございますけれども、私どもといたしましても、この問題は独禁法禁止されております不当廉売に当たる疑いがあるということで審査を行いまして、関係人に対して、このような行為法違反であるから今後同様の行為を繰り返さないようにということで明確に注意をしたところでございます。  ただいま御指摘の、新聞で当事者がどのように言っているかという、それについては私ども申し上げる立場ではございませんけれども、明らかに不当廉売に該当するおそれがあるという指摘をし、今後同様の行為を繰り返さないようにという注意をいたしました。その点については、企業関係人も十分認識をしているところであると申し上げます。  それからもう一つお尋ねは、製造物責任法の施行に伴って下請に対する親企業の優越的地位の乱用があり得るという問題でございますが、私どもこの点は、PL法の施行を前にいたしましてこういう問題が起こり得るということは十分に認識をいたしまして、下請事業者に不当な負担が及ぶことのないように種々の調査をいたしました。そして親事業者、下請事業者双方がこのPL法の施行に関連して下請取引の適正化の見地からどのような点に留意すべきかという点の取りまとめを行いまして、これは昨年の六月に公表いたしました。そして、さらに中小企業庁と連絡をとり合いながら、関係の親事業者団体に対して詳細な注意を含めた通知をしたところでございます。  それから、私どもは、これは中小企業庁も同様でございますけれども、毎年下請法違反行為の監視のために書面による定期調査を行っているわけですけれども平成七年度後半以降の定期調査に、今度施行されましたPL法につきまして新たにPL法関連の調査項目を加えまして、御指摘のような不当な責任転嫁等の行為の有無について監視を行っているところでございまして、もし不当な行為がこのような調査等、あるいはいかなる申告に基づきましてもそのような行為が認められる場合には、申すまでもなく下請法あるいは独禁法規定基づきまして厳正に対処してまいります。
  62. 山下芳生

    ○山下芳生君 もう一つ、現在中小企業には団体法などに基づいてカルテル規制適用除外が認められておりますが、規制緩和の動きの中で新しい事業がなかなか認められない、あるいは現在認められているものも見直されることになっていることから、中小企業者の中で不安感が広がっております。中小企業が共同で事業を進めることによって大企業とも公正で自由な競争を進めるためには、現行制度はどうしても必要であり、安易な見直しは行うべきでないという要求があります。こうした声に公取も耳を傾ける必要があると思いますが、いかがでしょうか。
  63. 小粥正巳

    政府委員(小粥正巳君) ただいまのお尋ねは、事業者間の競争制限する独禁法適用除外制度の見直し関連する問題でございますけれども、私ども一般論とすれば、中小企業分野を含めまして我が国市場における公正かつ自由な競争を一層促進することが重要でありまして、この見直しに、これは規制緩和推進計画にも明記をされておりますけれども、積極的に取り組んでいるところでございます。  ただ、見直しに当たりましては、御指摘の中小企業の方々を含めた各方面の意見を参酌しながらその必要性を判断しているところでございまして、これも一般論として申し上げれば、取引上弱い立場にある中小事業者のような立場の方々に規制緩和後の市場で不当な不利益が与えられることのないように、先ほど来御指摘もあります不公正な取引法などに対して厳正に対処していく必要があると考えております。  なお、御指摘の中小企業団体のカルテルの適用除外制度につきましては、今回のこの見直し閣議決定におきましても、その内容についてなお引き続き検討することとされているものもありますので、現在これらについて制度の必要性の検討を含めて見直しを行っているところであるということを御報告申し上げます。
  64. 山下芳生

    ○山下芳生君 最後に、今回の法改正によって近畿地方事務所に中国事務所及び四国事務所を統合することになり、現在の中・四国事務所はそれぞれ支所に格下げとなります。  この機構改革には二つの心配点があると思います。一つは、中・四国事務所にあった決裁権限が近畿事務所に移り、行政事務の処理に相当の時間がかかることになって、結果として消費者や事業者が不利益をこうむることになりはしないか。それからもう一つは、両地方事務所で働く職員などの賃金や労働時間を含む処遇が支所に格下げになることによって引き下げられることにはならないか、またこれから採用される職員にもその心配はないのか、この二点を確認しておきたいと思います。
  65. 小粥正巳

    政府委員(小粥正巳君) ただいま御指摘の今回の機構改革によりまして、私ども地方事務所の中で比較的規模の小さい中国、四国両事務所につきましては近畿事務所に統合して違反事件に対する審査活動等をより効率的に行うということで、効率性の見地から統合を行うことにしたわけでございます。しかし、この三事務所の統合後におきましても、それぞれの現在の事務所の所在地に支所設置いたしまして、御指摘のような地域における事業者、消費者に御不便をおかけすることのないように、例えば各種の届け出や相談の受け付けその他、いずれにしましても現行と事実上変わりのない業務処理体制を構築する予定でございますので、その点の御懸念のないように私ども対応させていただきます。  それからなお、今後それらの支所となった従来の両事務所におきまして新たに採用される職員でございますけれども、これらの職員が不利に扱われるというようなことは、これはもう全く私ども想定もしておりません。そのようなことの御懸念もまた起こり得ないように対応をさせていただきます。
  66. 山下芳生

    ○山下芳生君 終わります。
  67. 沓掛哲男

    委員長沓掛哲男君) 他に御発言もないようですから、両案件質疑は終局したものと認めます。  これより両案件を一括して討論に入ります。——別に御意見もないようですから、これより直ちに両案件の採決に入ります。  まず、私的独占禁止及び公正取引確保に関する法律の一部を改正する法律案について採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  68. 沓掛哲男

    委員長沓掛哲男君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、地方自治法第百五十六条第六項の規定基づき、公正取引委員会事務局地方事務所管轄区域変更及び支所設置に関し承認を求めるの件について採決を行います。  本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  69. 沓掛哲男

    委員長沓掛哲男君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって承認すべきものと決定いたしました。  なお、両案件審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  70. 沓掛哲男

    委員長沓掛哲男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時九分散会