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1996-05-16 第136回国会 参議院 商工委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年五月十六日(木曜日)    午後一時開会     —————————————    委員異動  五月十五日     辞任         補欠選任      野間  赳君     金田 勝年君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         沓掛 哲男君     理事                 加藤 紀文君                 久世 公堯君                 荒木 清寛君     委員                 金田 勝年君                 斎藤 文夫君                 坂野 重信君                 中曽根弘文君                 林  芳正君                 平田 耕一君                 加藤 修一君                 長谷川 清君                 平田 健二君                 齋藤  勁君                 藁科 滿治君                 山下 芳生君                 小島 慶三君    国務大臣        通商産業大臣   塚原 俊平君    政府委員        公正取引委員会        事務局経済部長  塩田 薫範君        公正取引委員会        事務局取引部長  大熊まさよ君        通商産業大臣官        房長       中川 勝弘君        通商産業大臣官        房総務審議官   白川  進君        通商産業大臣官        房商務流通審議        官        大宮  正君        通商産業大臣官        房審議官     横川  浩君    事務局側        常任委員会専門  里田 武臣君        員    説明員        警察庁生活安全        局生活環境課生        活経済対策室長  園田 一裕君        郵政省電気通信        局電気通信事業        部業務課長    桜井  俊君     —————————————   本日の会議に付した案件訪問販売等に関する法律及び通商産業省設置法  の一部を改正する法律案内閣提出、衆議院送  付)     —————————————
  2. 沓掛哲男

    委員長沓掛哲男君) ただいまから商工委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨十五日、野間赳君が委員を辞任され、その補欠として金田勝年君が選任されました。     —————————————
  3. 沓掛哲男

    委員長沓掛哲男君) 訪問販売等に関する法律及び通商産業省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 平田耕一

    平田耕一君 訪販法につきまして御質問申し上げて、いろいろ勉強もさせていただいたわけであります。最後こ、この訪販法こつきまして大臣に、いずれにいたしましても消費者等被害をより効果的になくするために法律の厳格な運用あるいはPRを徹底して行うということについての大局のお考えをお尋ねするつもりでおるわけであります。  そういたしますと、この訪販法というものを、いずれにしても国民に周知をしなければいけない、そしてその運用につきましても監視体制をつくらなきゃいけない、そしてまた苦情処理についても迅速に相談をしていけるような体制をとらなきゃならないという点から、あるいはまたこれからいろんな経済が進行していくといいますか進んでいく中で、訪販法というもの自体もこれからどんどん進んでいく、進化させていかなきゃならないというふうな点から勉強させていただいております。  先般、三月十二日でございましたか、私が商工委員会指摘をさせていただきましたけれども独占禁止法運用監視あるいはそれに関する苦情処理というものについて、法律というものをいかに守って運用していくかということと相通ずるものがあるだろうというふうに思っておりまして、独占禁止法の点で先般の質問につきましてもどうも私自身腑に落ちない点がまだ多少ございますので、そういった観点から冒頭一つだけ、二点になりますけれども、御質問させていただいて、訪販法に移らせていただきたいというふうに思っておるわけであります。  先般指摘させていただきましたのは、独占禁止法の十三条の第三項で、競争会社間の役員兼任につきましては、公正取引委員会届け出をしなきゃならないというものがある、それにつきまして、住専母体行というのは届け出があるやなしやということを質問いたしましたら、委員会委員長の方から、確かに届け出はない、違反をしておる、そういう事実を御報告いだだいたわけであります。そして、現状においては、それ以降適切に御指導をいただいて、銀行住専からその届け出がなされたようにも聞いておるわけであります。兼務役員の数が、当初は二十三名と私はお聞きしておりましたけれども、最終的には四十四人であるというふうにお聞きしたわけであります。  これを考えてみますと、それは届け出違反でありますけれども現実法律の中にこれは規定してありまして、これに対する罰則規定というものを明確に、条文は定かではございませんが、私は九十五条か何かだったと思いますが、現実罰則規定というものが設けられておるわけでありますね、届け出違反につきまして。そして、なおかつこの罰則規定も両罰規定規定をされておるわけであります。法人と個人と両方罰せられますよということになっておるわけであります。届け出規制であっても違反をすればそういうような罰則規定、両罰規定規定されておるということにつきまして、届け出違反でもってその罰則を適用されるということは過去になかなか例がないようでございますけれども、しかし例がないということが実はこれからどんどん例になっていくんだろうというふうに思うのであります。  事ここに至って住専という問題を考えてみましたときに、これほど大きな国民的な問題になってきた、そのような問題にかかわることでありまして、そして政府としては最悪の事態を想定して、公的資金をその場合には使うのもやむを得ないという案を出しておるわけでありますけれども、根本的に考えれば、住専設立のときには、実は見事にそれぞれの住専というのが独占禁止法禁止をされておる銀行持ち株比率の上限を完全にそれ以下にしてあるわけでありまして、その組織等々、立ち上がりから完全にこれは適法な処理をなされておるわけであります。したがいまして、銀行とか住専方々というのは、確実に独占禁止法なるものの存在あるいはその中身について熟知をし、あるいは恐らくは公正取引委員会相談もかけて、そして設立をして運用に入っていったという経緯があるだろうと私は思っておるわけであります。  あまつさえ、実際には、現在の公正取引委員会委員長大蔵の御出身であります。そして、銀行にも住専にもしかるべき立場大蔵省の方々が行っておられるわけであります。そして、母体行なる銀行というのはまさしく日本経済牽引車でありまして、ここが経済的な行動につきましてはやっぱり範を垂れなければ、今後いかなる法律運用というものもそういう経済面につきましては非常に難しくなるんではないかなというふうに思っております。たとえ手続違反ということにつきましても、これは銀行は知らなかったんだろうとか、ちょっとルーズにしていたんだろうということで、二十数年にわたって届け出をしていなかったという事実については、これはちょっと無視すべからざることではないかなというふうに思っておるわけでございます。  新聞紙上でもいろいろ言われておりますけれども大蔵大臣がいっときには銀行経営者出処進退についても言及せざるを得なかった事態とか、あるいは銀行局長がそのことについても補佐をしたとかしないとかというふうないろんな話があったわけでありますが、もし仮にそんな形で、率先して法というものを知り得る立場の人々からきちんと守っていただきましょうということになれば、これは銀行経営者たる者、直ちにその両罰規定に照らすならば、そんなものはもう経営者の資格はないわけであります。感情的なあるいは立場上のいろんなことをしんしゃくした議論とか示唆をしておるよりも、日本法治国家でありますから、きちんとそのことに照らしていろんな措置をとっていただくところが公正取引委員会、そして独占禁止法運用するということが、現にそれが行えるんであれば、私はこの際、本当に最初の例としてきちんとした対処をしていただく。そして、そのことが今後いろんな経済が進展するに従って、独占禁止法もそうでありますし、訪販法もそうでありますが、またいろんなところで新しい法律ができて、そしてそれをみんなで守っていこうや、そういう国づくりをする上に当たって、ここで銀行が知らなかったからいいじゃないかという、二十年の瑕疵と言っては言葉はきついかもしれませんけれども、落ち度というものをたださないでいいものだろうか、そのことにつきましてのお尋ねをいたしたい。  それからもう一点、公正取引委員会処理基準の中に株式所有に関する処理基準というのがあると思います。そして、それはいろんな会社株式所有をして、独占的行為に陥らないかどうか、あるいは不公正な取引になりやすいようにならないかどうかということを重点的に審査をするための基準というものが示されておるわけであります。  これをよく読みますと、実際には母体行が住専株式をたとえ独占禁止法金融機関の項にありますように五%以下にきっちりしておっても、例えば何々グループあるいは地銀協議会というような形で、共同子会社のような形で住専のような会社をつくった場合には、またほかの項目を適用していきますと、完全に公正取引委員会重点審査項目重点審査会社対象になりますよという処理基準が示してあるわけですね。  したがいまして、その結果は別にいたしまして、その審査をした結果、独占になっておるとか支配構造になっておるとか、あるいは不公正な取引が行われておるとかということはまた別といたしましても、やっぱり重点審査というものをいっかの時点公正取引委員会としてやっていただかなきゃならないんじゃないかなというふうに思う点を、実は役員兼任届け出にはその都度そのときの決算書も添付しなければならないと言っておるわけであります。そういうこととか、それから、それぞれに兼任している役員が、本当に日本の中のすべての会社経営者が感じておるように、その役員の重みというものをどのように感じて経営をしていただいたかとか、そしてしかる結果、このような結果になってしまったとか、いろんなことに波及していくと私は思っておりますので、その兼任届け出違反についての罰則というものと、それから重点処理基準に適合するんじゃないでしょうか、審査していただけないでしょうか。  この二点につきまして、まず訪販法に入る前に、法律というものを私自身がこれからどのように考えていったらいいんだろうかということにつきましてちょっと疑問を持っておりますので、ぜひともひとつお答えをいただきまして、しかる後に訪販法に入らせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
  5. 塩田薫範

    政府委員塩田薫範君) 二点御質問がございました。  第一点目の役員兼任届け出義務違反について罰則を適用すべきではないかという点でございますが、御指摘のように独禁法は第十三条の第三項の規定違反して役員兼任届け出提出をしない場合、あるいは届け出をしても虚偽の記載をした場合、そういった者については二百万円以下の罰金に処することができるということが規定されているところでございます。  公正取引委員会といたしましては、役員兼任届け出提出されていない者につきましては、まず指導によりまして迅速に提出をさせるということにしてきておりまして、届け出義務がある者からは、私どもの方から提出方指導を受けた場合には自主的に役員兼任届け出提出してきているところでございます。  住専関係役員兼任でございますけれども、私どもの方の指導に従いまして届け出書を迅速に提出してきておりまして、現時点では罰則を課すことについて特段の検討を行ってはいないという状況にございます。  いずれにいたしましても、公正取引委員会としては、今後とも悪質な届け出義務違反者に対しましては罰則を含めて厳正に対処していきたいというふうに考えております。  二点目の御質問でございますけれども独占禁止法は、会社が他の会社株式所有することによって一定取引分野における競争を実質的に制限することとなる場合は、そういうような株式所有禁止しているところであります。そういうものを審査する、私どもの方の事務処理基準というのを設けて公表いたしておりますが、その事務処理基準の中で、一定取引分野における競争を実質的に制限することとなるかどうかを判断するに当たりまして、重点的に審査を行う対象案件選別基準あるいはそういうものについて審査するに当たって考慮する事項、そういったものを明らかにしているところでございます。  したがいまして、株式所有あるいは役員兼任の場合も同じでございますけれども一定取引分野における競争を実質的に制限されることになるかどうかということは、住専関係で申しますと、母体行と住専の間に株式所有あるいは役員兼任によって結合関係があるか否かを判断する。結合関係があるというふうに判断される案件の中から、選別基準のいずれかに該当するというものを重点審査対象として特に重点的に審査をする。その際にどういう点を考慮するかということがこの基準の中に書いてありまして、総合的に判断をするということになっているわけであります。  これを住専の場合に当てはめてみますと、母体行それぞれと住専との間の株式所有比率あるいは兼任役員の数は多くないので母体行それぞれと住専との間の結合関係は薄いということで、先ほど申し上げました重点審査対象となるかどうかという判断に至るまでもなく、結合関係が薄いというところで、私ども手続は一段落するということだと思います。  仮に結合関係があると考えると、重点審査対象ということになりますけれども、この場合でも企業向け不動産融資あるいは個人向け住宅融資を行っている事業者は数多く存在いたしておりますので、母体行、住専それぞれいずれのシェアも低いということでございますので、一定取引分野競争を実質的に制限するということはまず想定されないというふうに考えております。
  6. 平田耕一

    平田耕一君 これ以上返答は、この場ですから求めませんけれども、私の意見だけ申し上げておきますと、議論というものが国会でどの程度突っ込まれるかということなんです。  まず届け出については、じゃ二十年間なぜ届け出がなされなかったんだろうということを突っ込んでいくと、実は今回の事件の真相に迫るところがあるんじゃないかなと私は思っております。いつの時点住専銀行競争関係になったということを明確に認識する必要があったという点を、明確にこれはその届け出という項目から入っていけると私は思っております。  それから、後段の重点審査に当たらないという論をお話になられたわけでありますが、その論の中で既に矛盾を呈しておると私は思っております。なぜならば、本来株式基準が、持ち株比率が少ないということはもともと独占禁止法上クリアする株式数でもって設立されておるわけですから、個々の銀行にとってはもちろん比率が少ないことはわかっておるわけでありますけれども、しかしその基準の中の水平型所有ということを突き詰めて法的に解釈を広げていきますと、これは見事に適用されるというふうに私は思っております。結合関係というのはそれから裏づけられていく、またそれによって独占なのか支配なのかあるいは不公正な取引なのかということは別の問題で重点審査はできるだろうというふうに思っております。一つの仮定として、例えば議論が行きどまりになっている点というど、実はどんな質問皆さんがなさいましても、母体行と住専とは融資審査基準が違うんだというところで議論がとまっておるわけであります。  じゃ、なぜ審査基準が違うのかというところを突っ込むためには、私はその重点審査基準の調査から入っていって、なぜ審査基準が違うのかというところを解明していかないと、この問題は解決しないんだろうと私は思っておりますので、鋭意御検討をぜひいただきたいなというふうに思っておる次第であります。  それを突き詰めていきますと、判例はないんですけれども、不公正な取引の中の差別対価ということについて、差別対価というのは価格だけの問題じゃなくて取引一つの大きな要素である。要するに融資の場合に審査基準というものについて差別対価というのは逆差別対価というものに適用できるんではないかなと私は思っておりますから、どうぞひとつ大変大きな国民的な課題でありまして、ほかの法律運用監視苦情処理等にもずっと影響していくわけでありますから、公正取引委員会としても毅然たる態度でもって御研究をぜひとも今後ともお願いを申し上げまして、この件につきましてはおかしていただきたいと思っております。ありがとうございました。  さて、訪問販売法に移らせていただきますけれども、昨今、不況が長引いておりますけれども、その間にあって当業界につきましては、いろんな区分があると思いますけれどもそれなり法整備をしなければならない、あるいは苦情も出てくるといったほどに、必ずや売り上げが伸びておるだろうというふうに思っておるわけでありますが、その辺の御報告を簡単にひとつまず冒頭お願いをしたいと思います。
  7. 大宮正

    政府委員大宮正君) お答えいたします。  訪問販売及び通信販売等売り上げの動向についての御質問でございますけれども、まず訪問販売につきましては、昭和五十年代以降、市場規模が急速に拡大をしておりまして、昭和五十四年度には九千三百億円であった売り上げ昭和六十年度には二兆円を超えるまでに成長しております。その後も主婦の在宅率の低下などマイナス要因があるにもかかわりませず安定的に成長しておりまして、平成四年度以降は、小売業全体の売上高マイナス成長にある中にあっても微増を続けております。この結果、平成六年度には、売上高は三兆一千億に達しておりまして、全小売業売上高に占める割合は二・三%となっております。  また、通信販売につきましても、訪問販売と同様、昭和五十年代以降急速な成長を遂げておりまして、昭和五十年には二千億円でございました売上高が、平成二年度までほぼ一貫して年率一〇%を超えるペースで増加しておりまして、その後も小売業全体の売り上げが低迷する中で、引き続き四ないし五%の成長を維持しております。この結果、平成六年度には売上高は二兆円となっておりまして、小売業全体の売上高に占める割合は一・四八%となっております。
  8. 平田耕一

    平田耕一君 ありがとうございます。まさに成長産業であるということでございます。  そんな背景として、それぞれの事業者がいろんな努力をして顧客ニーズに合った取引形態考え、そしてまた消費者にも受け入れられた結果こういう成長を遂げてきたということであろうかというふうに思います。確かに一部には、あるいはもしかしたら一部でないのかもしれませんけれども、悪質な事業者もおってトラブルの数もそれなりにふえてきておるということでありましょう。しかしながら、多くの事業者消費者ニーズをとらえて健全に商売をしてきた、こういうことであります。  法律改正いたしまして規制を強化するということも大切なんでありましょうけれども、その前に消費者教育とか消費者啓発活動をする、あるいは消費者により賢い選択をしていただけるように何らかの方法考えていくというような形で、対応というものが十分なされていた上で次なる法規制ということに進んでいくんだろうというふうに思いますが、そういうことにつきましての通産省のお考えをお伺いしたいと思います。
  9. 大宮正

    政府委員大宮正君) ただいま先生から御指摘がございましたように、私どもこれは特殊取引と言っておりますけれども、こういう取引あり方の問題といいますか行政のあり方というのは、私どもは三本柱で考えております。  一つは、まさに先生指摘ございましたように、いわゆる消費者に対して啓蒙、普及を行う、消費者教育をしっかりやっていくということが第一点でございます。それから第二点目は、それぞれの取引をしております業界団体がございまして、例えば訪問販売でございますと訪問販売協会、それから昨日参考人で来られました通信販売協会等業界団体がございます。そういう業界団体で自主的に自主規制をしていく、こういったやり方。それから第三番目が法律訪問販売法でもって必要な範囲で規制をしていく。この三つの柱で進めておるわけでございます。  今回、法律改正対象となっております電話勧誘販売等に関しても、従来から消費者啓発に一生懸命努めてきてはおりますけれども、最近、御承知のように電話が非常に普及してきたということ、それからバブルの崩壊等も踏まえまして若い人たちが職業を転職したいとか、あるいは年功序列制が非常に変わってきたというようなそういう社会的背景をバックに、またいわゆる悪質なものにつきましては、電話での勧誘の仕方が非常に巧妙、執拗になっているというようなことでございまして、被害が多く出てきておる現状でございます。そういったことで、今回法改正お願いするに至った次第でございます。  しかしながら、いずれにしましても私どもとしては、消費者啓発の推進は極めて重要であると認識しておるところでございまして、今後ともこういったことをしっかりやっていきたい。それからもう一つ業界団体に対しても自主的な規制というものをきちっとやっていただくということを引き続きお願いしたい、こういうふうに考えております。
  10. 平田耕一

    平田耕一君 消費者教育業界自主規制法規制という、その明確な順番を踏んで手続をとっておられるということであります。そして法改正に至ったということなんでありましょう。それはある程度やむを得ないといたしましても、できればこれは、もともと法律規制は少ない方がよい、訴訟は少ない方がいいということを私は何遍も申し上げるんですけれども、できるだけ過剰規制にならないように心がけていただきたいというふうに思う次第であります。そしてまた、特に電話というものは非常に文明の利器でありまして、消費者にとってもいろんなメリットがあるわけであります。そういった消費者メリットというものを損なうことのないように十分留意をしていただきたいと思います。  きのうの参考人皆さんお話を伺っておりまして思ったんですけれども、例えば電話勧誘拒否者リストというのがアメリカはあるようでございます、電話勧誘拒否者リスト。これはそういうリストなんでしょうけれども日本においては、例えば電話帳の色を変えて、赤の電話帳事業者から電話をかけた場合に、その電話番号に記載されておるものは契約が無効であるというような方法考えられなくもないというふうに私は思っておりまして、消費者メリットを十分考える、健全な取引を阻害することのないよう留意していくという点につきまして、ぜひともひとつ基本に置いていただければありがたいというふうに思います。  そういう点からしまして、昨日もこの法規制につきまして指定商品制なのかそうでないのかという議論がありました。もちろん原理原則考えますれば、できるだけ法の網をかぶせるということよりも、その中でもやむを得ないものだけ指定をするという指定商品制というものは、どこまでもそういう精神でやっていただきますれば非常にそれは結構なことだというふうに思うわけでありますけれども、なかなかそれが指定商品制といいながら、きのうの答弁でもありましたが、答弁というか参考人の話の中にもありましたが、ほとんど指定商品制でもってすべての物品を網羅しておりますよということでありまして、実質網をかぶせたことと変わらないような実態にもなりかねないわけであります。  この点につきまして、産業構造審議会消費経済部会ではどんな議論が行われて、そしてその指定商品制につきまして何らか考え方が出ておるんであれば、お尋ねをいたしたいというふうに思います。
  11. 大宮正

    政府委員大宮正君) ただいま御質問いただきました指定商品制の問題でございますけれども、これは先生からも御質問ございましたけれども、産業構造審議会の消費経済部会においても御議論をいただいておりますし、実は、これは訪問販売法をつくった昭和五十一年、六十三年ごろにもいろいろと議論をされておるところでございます。  それで、今部会でどのような議論があったかということでございますけれども、まず、やはり指定商品制はやめるべきではないか、全面的に規制すべきじゃないかというような御意見もございました。これは商品、役務の種類を問わず、電話勧誘という方法自体の問題に起因するものであるから指定商品制をとるべきではない、こういう主張もあることはあったわけでございます。  ただ、一方におきまして、やはり指定商品制がいいんじゃないかという御意見もございまして、トラブルが生じていないものは過剰規制がかからないようにすべきであり、逆に多岐にわたる商品の中から一体何と何を除外するのかということで、除外するということもこれは大変に事実上難しい問題でございまして、それはやはり無理じゃないか、現行の体制でいくべきじゃないか、こういう議論もございました。  こういった議論いろいろございましたけれども、基本的には、昨日、日本弁護士会の先生もいらっしゃいましたけれども、弁護士会の方も審議会に入っておられまして、法律による規制はやはり必要最小限にとどめるべきである。具体的には、例えば他の業法等により同様な規制が行われているものや、八百屋、魚屋、米屋、酒屋などの一般消費者が通常訪問販売等によって平穏のうちに取引を行っているものについてまで本法の規制にかからしめることは必ずしも適当じゃないんじゃないか、すべての商品を規制対象とすることは不適当である。したがって、指定商品制を維持しながら、問題が生ずるとすれば、その都度政令で追加指定するということで対応するのが適当ではないかということで、いろんな御意見ございましたけれども、審議会としてはそういった判断をするに至ったものでございます。
  12. 平田耕一

    平田耕一君 両論があるということでありまして、原則に基づいて指定商品制ということをとりあえずとられたというふうに思っておるわけでありますけれども、その参考例として、指定商品以外の電話勧誘によるトラブルというものを把握しておられましたら、それらの実態につきまして簡単に御報告いただくのと、今後の対応というものをお聞きしておきたいというふうに思います。
  13. 大宮正

    政府委員大宮正君) いわゆる指定商品以外でトラブルになっているものがあるかどうかという御質問でございますが、実は、いわゆる指定商品以外で苦情相談件数の多いものは、マンションなどの宅地建物取引とそれから商品先物取引でございます。これらにつきましてはそれぞれ業法がございまして、その業法によって事業全体の適正化とのバランスをとりながら電話勧誘についても規制が行われることが適当ではないか。また、従来、訪問販売等につきましても同じような格好で業法があるものについてはそれぞれの法律規制をする、こういう体系になっております。  こういった情勢のもとで、宅建業法につきましては、ことしの四月一日より、建設省令の改正によりまして、マンション販売等にかかわる電話による長時間の勧誘、その他相手方を困惑させる方法による勧誘禁止されたところでございます。また、商品先物取引につきましても商品取引所法、それからもう一つ海外先物取引法にかかわる省令の改正によりまして、本年四月一日より契約締結拒否者に対する再勧誘電話において迷惑を覚えさせるような時間帯に行う勧誘等が禁止されたところでございます。  これら以外につきましては、基本的に規制を講じなければならないほどの被害実態はないものと私ども認識しておりますけれども、今後、被害実態が生じた場合には、必要に応じて関係行政機関とも連絡を密にとりながら適切な対応を図ってまいりたい、こういうふうに考えております。
  14. 平田耕一

    平田耕一君 こういう点につきましてはなかなか非常に難しいからだと思います。法律というものが先回りをしてどんどん規制していくということは、私は本当に望ましからぬことであろうと思いまして、後追いもやむを得ないかというふうに思いますけれども、ひとつ慎重に御対応をお願い申し上げたいというふうに思います。  次に、契約についてお尋ねをいたしたいと思いますが、電話による契約というものがどのような効力を発揮して商売に展開するんだろうということでありますけれども、今後どのようなニューメディアが進展してくるかもしれないという中にあって、電話の契約というものは一通過点での経済的な問題であろうというふうに思うんでありますが、現実に起こっておる問題でありますからひとつお尋ねをいたしておきたいというふうに思います。  いろんな話の中に、電話で話をし、なおかつ消費者が書面で返送して契約を成立させる、それが一番課題じゃないかということも一つの論としてあるわけでありますが、これでいけば消費者は利便性のメリットをなかなか得にくいという反対の問題もあるわけでありまして、そういう便利なものを使って国民、消費者自体もいかにして便利な生活をしていくかということも考えなければならないというふうに思っております。  この電話による契約という点につきまして、どんな考え方があって論じられてきたのか、産構審なんかの御意見がありましたら、お尋ねいたしたいと思います。
  15. 大宮正

    政府委員大宮正君) ただいまの御質問は、いわゆる電話による会話といいますか電話による契約と、それから実際に書面に捺印したときに契約が成立する、その契約時期の問題であると思いますけれども、実は電話による取引事業者だけじゃございませんで、消費者にとっても大変に利便性、迅速性が高いものでございまして、現在電話勧誘販売を含め多くの取引電話によって行われている状況でございます。その典型的なものは為替取引等でございますけれども、こういった状況のもとで、仮に一部の問題のある取引規制のためにすべての電話勧誘販売について消費者が書面に署名捺印して返送しなければ効力が発生しないというふうにした場合には、電話による取引の利便性、迅速性が損なわれることになる、こういうことでございます。  具体的には、電話で契約が成立したと思っていた消費者が書面を送付していないためにいつまでたっても商品が送付されてこないというようなケースもございますし、事業者消費者から書面が送付されるまでは契約が成立しないために、場合によっては長期間にわたって不安定な状況に置かれることになりまして、取引の安定性が著しく害されるという事態にもなります。また、大部分は問題ない取引を行っている消費者にとっては、書面の返送という無用な負担を強いることにもなるわけでございます。  さらに、民法等の他の民事関係法令は契約の成立は原則として諾成契約となっておりまして、訪問販売法において諾成契約の例外を設けることとした場合、これらの関係法令等の調整等検討すべき課題が非常に多うございまして、むしろ民法ルール全体における諾成契約のあり方そのものの問題として検討するのが適当ではないか、こういうことでございます。  一方、消費者救済につきましては、この訪問販売法におきまして、クーリングオフの制度によりましていわゆる消費者の保護というものについての実効性を担保しているというふうに考えております。  産業構造審議会消費経済部会においても、この点について御議論いただいたところでございますけれども、ただいま申し上げましたような理由によりまして、答申において採用されるところとはならなかったものでございます。
  16. 平田耕一

    平田耕一君 ありがとうございました。  その辺の経緯はわかったわけでありますが、先般の商工委員会の委嘱審査質問の中で、お見えになる林先生が電子商取引について質問されておられたわけでありまして、そのお話を聞いておりまして、これから将来の取引というものはどんどん形態が変わるだろうというふうに思っております。  したがいまして、この法律自体も、訪販法自体もこれからどんどんメディアが進展していく、そして法整備していかなきゃならないというその一過程というか、民法、商法を基本にしてそれで網羅できないものを訪問販売法でやっておる、あるいは先ほどお話がありましたように商品先物やその他の不動産取引はそれぞれの法律でもってそういう取引についての規制をしておる、こういうことであろうかというふうに思いますが、そういう全体の法体系の中で今次のこの法律というものの位置といいますか、そういうようなものを簡単に御説明していただきたいのと、それから、そういった形でごれからファクスやパソコン、そういうメディアというものがどんどん取引の中に入ってまいるわけであります。既に入っておるわけでありますけれども、それが今回の法律の中には明確に規定がないということでありますから、その辺のことを関連づけてお話を賜りたいというふうに思います。
  17. 大宮正

    政府委員大宮正君) 御指摘のございましたようにファクス、パソコンなどのいわゆる電子機器等を手段として用いた取引につきましては最近非常に伸びつつあるわけでございまして、現在の法体系のもとでは既に訪問販売法上、通信販売として広告規制等の一定規制が行われておるところでございます。  現行の規制に加えて新たな規制がこういったファクス、パソコン等による取引に必要かどうかという点につきましては、こうした手段を用いた取引の実態を踏まえて検討することが必要であろうかというふうに考えておりますが、現在のところ、ファクス、パソコン等による販売の勧誘は、電話による勧誘の場合のように消費者がそれにより意思形成に影響を受け契約意思が不安定なまま取引を行ってしまうというような実態は余りないようでございまして、消費者からの苦情相談も非常にわずかでございますことから、電話勧誘販売と同様の規制は現時点では必要ない、こういうふうに判断したところでございます。  産業構造審議会消費経済部会においても、一番目に、大きな消費者被害は発生していないこと、二番目に、電話による勧誘における場合のように消費者がそれによって意思形成に影響を受け契約意思が不安定なまま取引を行ってしまうという実態がないことなどから、現時点においては現行法上の規制を行う必要はないというふうな判断が行われているところでございます。  なお、同じ審議会から、消費者保護の観点から注意深くその動向を見守っていく必要があるとの御指摘を受けておりまして、今後、取引実態、被害実態を踏まえて適切に対応してまいりたい、こういうふうに考えております。
  18. 平田耕一

    平田耕一君 ありがとうございました。  では次に、連鎖販売取引についてお尋ねをいたしたいというふうに思います。  同じような観点でありますけれども、まず十二条を改正して禁止行為の対象者が拡大されるということでありますが、私自身はこれを拡大するよりも、むしろ組織の管理者に対する取り締まりを強化する等のことで適正化を図っていくべきではないかなというふうに思っておるわけでありますが、それにつきましての答弁をお願いいたしたいと思います。
  19. 大宮正

    政府委員大宮正君) ただいまの御質問は、禁止行為の対象者の拡大の問題であると思います。  今回の法律改正は、近年の連鎖販売取引における被害実態、これは昭和六十三年に改正をしましてしばらくは被害が横ばいでございましたけれども、ここ数年、また非常に連鎖販売の被害が増加しております。この実態をいろいろと調べてみますと、下位の連鎖販売を行う者が自主的な勧誘活動を行っていることが多くなっておりまして、こうした下位の者が行う勧誘による被害が存在するという実態にかんがみまして、さらなる被害者救済を図るため、産業構造審議会の御指摘も踏まえながら、本条禁止行為の対象に連鎖販売業を営む者を追加、従来は統括者と勧誘者、いわゆるリーダーだけが対象でございましたけれども、連鎖販売業を行う者を追加するということにしたものでございます。  このような実態変化の背景には、連鎖販売業を行う者はそれぞれ独立した自営の業者でございまして、末端で行われる違法行為は統括者の管理の行き届かないところで行われるという事情も存在するということが考えられるわけでございまして、それらの者の行為について統括者に法律上の管理義務を課すことはなかなか難しい状況にございまして、行為者本人の責任を問うことが必要である、こういうふうに判断したところでございます。
  20. 平田耕一

    平田耕一君 ここでも大変難しい、無理に関連づけるわけではございませんけれども、末端加盟者を規制対象にするということにつきまして、この対象者というのはいわゆる主婦であるとか若い方々、いわゆる取引の素人であるということになるわけでありまして、法律を知らない、どこまで周知徹底できるんだろうかどうかということが法律の存在する意味になってくるわけであります。  冒頭に、独占禁止法役員兼任届け出を二十年間、大蔵省からもたくさん人が行っておる、日本経済界をリードする銀行が知らなかった、だから罰しないんだというような話であれば全く無意味になってしまうわけでありまして、その点につきまして、そういうこれは一つの例でありますから、対象は違え法律であることには間違いないわけでありますから、いかにして法律が生きるために皆さんが周知徹底をなされる御所存か、この辺できるだけ具体的にお答えいただきたいなというふうに思います。
  21. 大宮正

    政府委員大宮正君) お答えをいたします。  まさに先生指摘のとおりでございまして、連鎖販売取引禁止行為の対象の範囲が、従来の統括者、勧誘者だけではなく、広く連鎖販売業を行う下位加盟者にまで拡大するということは、いわゆる加盟者となった一般消費者が加害者として取り締まりの対象になるという場合も想定されるところでございます。  このため、御指摘のとおり、改正内容の周知徹底に当たっては、地方公共団体、消費者団体等の協力も得まして、パンフレットの作成等により一般の消費者が加害者とならないために十分注意喚起を行っていくことが重要であると考えておるところでございます。また、事業者団体に対しましても、こういった観点から、各事業者がそれぞれの自分の事業者の販売員に対して法改正の内容を周知するように指導していくことによりその周知徹底を図っていきたい、こういうふうに考えております。
  22. 平田耕一

    平田耕一君 これから将来ますます拡大していく問題ではあろうかと思いますので、まだまだ具体的な方法については言及する時期でないのか、あるいは時間がないのか、いろいろ難しい問題があろうかと思いますが、ひとつ思い切った対策をお願い申し上げたいというふうに思います。  総じてこれにつきましては、今のところ、現時点で、現実に対応するためにはいたし方のない規制なのかなという思いもいたすわけであります。もっとも、悪い人が出てきた場合にはこれを取り締まるのは当たり前の話でありますから、これは必要最小限にしてやっていかなきゃならないという思いは持っておるわけでありますが、この法のあり方といいますか、それをいかに守っていくかというのは一々が例になるわけですから、先ほどの独禁法の問題のようなことにならないようにひとつお願いをしたいというふうに思うわけであります。  どうやってそれを厳格に運用していくのかということにつきまして、現実にこれは厳格に運用したんだなというようなことで、五月八日に資格商法について詐欺事件の摘発があったわけでありまして、それにつきまして、それに至った概要をお伺いし、そして今後その取り締まりについてお考えがございましたら、あわせてお答えいただきたいというように思います。
  23. 園田一裕

    説明員(園田一裕君) お答えいたします。  御質問の事件の件でございますけれども、この事件は、電話勧誘によって各種資格の受験教材を販売していた業者でありますが、これが宅地建物取引主任者資格の教材販売に際しまして、これは過去、かつて各種の資格教材を購入したにもかかわらず資格を取得することができなかった方々対象にいたしまして、電話によって一般の受験者に優先して資格が取れる救済制度ができたなどとうそをつきまして、登録料の名目で多額の金銭をだまし取っていた事件でございます。  この事件につきましては、警視庁が詐欺罪で被疑者十七名を逮捕するなど、現在全容解明に向けて捜査を行っているところでございますが、現在までのところ、被害者は約六千七百名、被害総額は約三十二億円に上るものと見ております。  次は、今後の取り締まりの関係でございますけれども、警察といたしましては、これまで電話勧誘による資格商法に係る事犯につきまして重点的に取り締まりを行ってきたところでございます。ただ、この種事犯につきましては、電話のみによるやりとりであるという上に、この電話勧誘販売に対しまして有効な規制がないということもございまして、詐欺や恐喝罪等刑法の規定を適用せざるを得ないということで、捜査が長期化あるいは極めて難しくなっておるというふうな現状にございます。今回の改正によりまして電話勧誘販売について所要の規制が設けられることになれば、今後はこれに従った取り締まりができるものというふうに考えております。  いずれにいたしましても、警察といたしましては、今後とも消費者被害の未然防止、拡大防止の観点から、法令に違反する悪質な行為に対しましては、関係の機関と緊密な連携をとりまして早期に把握に努めるとともに、厳正かつ適切な取り締まりを行ってまいりたいと考えております。  以上でございます。
  24. 平田耕一

    平田耕一君 ありがとうございます。  戻りまして通産省にお伺いいたしますが、この訪販法に基づく報告聴収、立入検査、指示、業務停止命令等の行政措置の発動が、苦情相談件数というのは飛躍的にふえてきておるという中で、それほど多くないということにつきまして、その実態についてどうお考えなのか、御返答いただきたいと思います。
  25. 大宮正

    政府委員大宮正君) お答えいたします。  訪問販売法違反事犯のうち悪質なものにつきましては、経済事犯として警察当局により取り締まりが積極的に行われておりまして、当省としても情報提供、法令照会等を通じて警察当局との密接な連携のもとに、法の厳格な運用の確保に努めているところでございます。  それから一方で、訪問販売、連鎖販売取引にかかわる指示、命令等の行政措置につきましては、確かに数が必ずしも多くないわけでございますけれども、これは都道府県知事にその権限が委任されておりまして、都道府県においては独自にいわゆる消費者保護条例が整備されておりまして、訪問販売法に基づく行政措置の発動に至る前に、条例に基づき報告聴収、指示等が行われ、対応が図られるケースが多いものと承知しております。なお、このような場合においても、訪問販売法に基づく行政措置が罰則担保となっていることから、これらの条例による対応の大きな後ろ盾として機能しているものと考えております。  今後とも、地方自治体や取り締まり当局との密接な連携のもとに指示、命令等の行政措置の機動的発動を含め、訪問販売法の厳格な運用に努めてまいりたい、こういうふうに考えております。
  26. 平田耕一

    平田耕一君 ありがとうございます。  適切に対処されるというお心構えであることは承知をしておるわけでありますけれども、今回は法改正でございまして、そのことにつきましては、従来に増してより迅速な調査及び機動的な行政措置の発動等が求められるわけであります。かといって、そのための体制整備といいますと、監視体制をあちこちに設けて人を置く、事務所を置くというふうなことも諸般の情勢あるいは行革という問題からいってなかなか難しかろうというふうに思っております。  国民、消費者という立場から見て、それを保護するという観点から、その対応につきまして監視体制あるいは苦情処理体制というものを今後どのようにお考えなのか、ひとつお答えをいただきたいと思います。
  27. 大宮正

    政府委員大宮正君) 当省といたしましては、従来より本省及び全国八カ所の通商産業局に消費者相談室を設置するなど消費者行政の体制整備を図ってきたところでございまして、さらに都道府県、警察等の関係行政機関や民間団体等とも緊密な連携をとりながら法律の厳格な運用に努めてきたところでございます。  今回の法律改正を契機としまして、先生から御指摘のございましたように一層の消費者保護等取引の適正化を図ることが必要でございまして、今後引き続き関係行政機関等とのさらに一層の連携を深めまして、迅速な苦情処理への対応及び機動的な行政措置の発動のための体制整備に努めていきたい、こういうふうに考えております。
  28. 平田耕一

    平田耕一君 その体制整備につきましては本当に一歩踏み込みたいような気持ちでありますけれども、ひとつ国の重荷にならないように、そしてなおかつ効果が上がるようにぜひともお願いを申し上げたいことと、それから行政サイドにおけるそういう体制は別にいたしまして、やっぱりこれからどんどんまだまだ伸びていく、あるいはどのように大きく飛躍するかもしれない業界でございます。相談窓口をきのうお訪ねいたしますと、業界として自主的に一一〇番制度というものをしいておられるようでありますけれども、これとてもなかなか知っておる人がどれだけかなという思いもございまして、業者あるいは業界の自主的な解決策という点につきまして御指導お願い申し上げたいんですが、取り組みがございましたら、あるいは今後のお考えがございましたらお尋ねいたしたいと思います。
  29. 大宮正

    政府委員大宮正君) ただいま御指摘ございましたように、業界自身においてもいわゆる消費者相談といいますか、そういった体制を充実することは非常に重要でございまして、トラブルの迅速な解決を図り、消費者の声を当該企業の商品、サービス等に反映させることが非常に重要でございます。  当省といたしましては、消費者保護基本法の制定を契機といたしまして、昭和四十四年以降、産業界における消費者苦情処理体制の整備につきまして業界に対して協力を要請してきたところでございます。これに関係いたしまして、このような企業の活動を人材面から支援するために、昭和五十五年に消費生活アドバイザー制度を発足させまして企業における消費者志向体制の整備に寄与してきたところでございます。  また、関係業界団体における取り組みにつきましては、日本訪問販売協会及び日本通信販売協会におきまして、消費者からの苦情相談を受け付けるとともに会員企業に対しまして迅速な被害救済を図るため調査、指導を行ってきているところでございます。  今後とも、行政における消費者保護に向けた体制整備を図るとともに、民間企業、関係業界における消費者相談窓口の充実により消費者救済が確実に図られるよう指導してまいりたい、こういうふうに考えております。
  30. 平田耕一

    平田耕一君 ありがとうございました。  今回の改正につきまして、思いつく限りの角度でお尋ねをいたしたわけでありますけれども、最後に、消費者被害の防止をより効果的なものにするためには、法律の厳格な運用とともに消費者教育、啓発を充実しなければならない、あるいは事業者の自主的取り組みに対する指導という総合的な対策が必要であろうかというふうに思うわけでありますけれども、その中の法律の厳格な運用というところを、冒頭私は、所轄は違いますけれどもお尋ねをいたしました独占禁止法なるものが実は二十年間知らなかったということで済まされる問題かどうかという形で、これを不問に付していくというふうな背景から、今後もこちらのサイドはどんどん厳格にやりましょうということもなかなかアンバランスだろうなというふうに思っておるんです。  日本は冠たる法治国家、本当に暮らしやすい、訴訟の少ない、みんなが法律を知っておるという国にするためにどんな形で御担当の所轄の事業をお進めになられるのか、所感で結構でございますから、ぜひとも大臣のお考えをお伺いいたしたいというふうに思います。
  31. 塚原俊平

    ○国務大臣(塚原俊平君) 平田先生と商務流通審議官とのやりとりの中で、先生が最後におまとめになりました三本柱、今回の改正内容を含めた法規制の周知徹底及び悪質商法の手口や商品情報等に係る的確な情報提供による消費者の契約意識の向上等、消費者啓発の積極的な推進というのが一本目。それから、関係業界の自主的な適正化努力に対する指導、支援をするという二本目。そして三本目が、地方自治体や取り締まり当局との緊密な連携のもとで訪問販売法の厳格な運用をするということでこの法の運用に当たってまいりたいと思います。  その過程で、先生から御指摘をいただきましたさまざまな点につきましてもしっかりと留意をしながら、賢い消費者づくりというと大変に横柄な感じになりますが、消費者に正しい理解をいただく私どものPR活動等の努力、さらに業界方々、本当にまじめな業界方々も大変多いわけでございますから、その方々に対して迷惑がかかるような方々に対してはやはり強い姿勢で臨むというような、一つ一つ調和のとれました形での対応をしていく中で、やはり消費者を大切にした行政というものをいたしてまいりたいというふうに考えております。
  32. 平田耕一

    平田耕一君 ありがとうございます。  今般の改正一つの通過点であろうというふうに思っております。そしてそれが、消費者保護というのは非常に大切なことだろうというふうに思っておりますが、私も一人の消費者として、消費者保護という言葉が消費者の甘えというものを生み出さない程度に、保護するべきは確実に保護するんだけれども、しかし消費者とて自主的にきちんと勉強もし、そういう社会の進展になれ親しんでいくといいますか、一緒に成長していって新しい国をつくるというような形の国づくりあるいは経済運営というものをお願い申し上げたい。非常に難しい時点に差しかかっていると思います。いろんな諸問題があって、今大臣お触れになりませんでしたが、片やそういった問題で法というものをどのように解釈して罰則をどのように適用していくのかというようなことも一遍整理をしてかかっていかなきゃならない時期に、時代になっているのかなという思いもございます。  その中の訪販法改正でございまして、その取り組みにつきましては真摯にお考えをいただいて鋭意取り組んでいただいている様子はわかったわけでありますが、基本的な将来の国づくりに向かっては、その法律の存在というものをどう考えていくかということも、ひとつその枠を離れていただきまして、冒頭指摘しました独占禁止法のことにつきましても機会がございましたら御意見なりお伺いをしたいし、またぜひともひとつ法治国家であるから範を垂れるべき人から範を垂れたらどうだという御意見も通産大臣としていろんなところで御発言、御指導もいただければ本当にありがたいと思います。  そのことをお願い申し上げまして、若干早うございますが、質問を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。
  33. 平田健二

    平田健二君 平成会の平田でございます。どうぞよろしくお願いします。  まず、不公正な取引ということで、訪問販売法とは直接関係ございませんが、押しつけ販売の問題について公正取引委員会の方にまずお尋ねをいたします。  その前に、本日の報道によりますと、「下請け法違反 目立つ悪質なケース」ということで公正取引委員会が発表をしておりますが、いわゆる下請いじめ、「代金減額や買いただき」ということで、非常に件数は減っておりますけれども悪質なケースがふえておる、こういう報道がされております。これもまた不公正な取引一つでございます。  公正取引委員会が昨年の二月に行った調査によりますと、五九%の納入業者の方が、六割近いんですが、押しつけ販売をされたというふうに回答をしております。公正取引委員会が三年前につくったガイドラインあるいはこういう調査を行うことによって、企業ぐるみあるいは組織ぐるみの押しつけ販売は確かにこのデータを見ますと減っておりますけれども、問題は、末端の取引を担当しておる方の押しつけ販売が実はまだ八二%にも及んでおる、こういう実態が報告をされておるわけでございます。長引く不況で押しつけ販売が徐々にまたふえておるというような調査もございます。  公正取引委員会としては、こういった不公正な取引あるいは押しつけ販売といったものに今後どういうふうに取り組んでいかれようとしておるのか、お尋ねをいたしたいと思います。
  34. 大熊まさよ

    政府委員大熊まさよ君) 公正取引委員会は、平成三年七月に「流通・取引慣行に関する独占禁止法上の指針」を作成、公表いたしまして、このガイドライン公表後の取引実態を把握する観点から、平成六年に今お尋ねのありました百貨店、スーパー等の大規模小売業者と取引している納入業者を対象に納入取引の実態調査を行いまして、その結果を平成七年二月に取りまとめ、公表したところでございます。  その調査結果によりますと、ガイドライン公表後に、例えば押しつけ販売が減少したとする納入業者の割合も比較的高いことから、ガイドライン公表後はそれ以前に比べて納入取引が公正化の方向に向かいつつあるというふうに評価できる面もあると考えられるのですが、他方で、今御指摘のありましたように、押しつけ販売については仕入れ担当者が納入業者に商品の購入を要請したという回答も納入業者から寄せられるなど、問題点も見られたところでございます。  このため、公正取引委員会としましては、納入取引の一層の公正化を図るために、日本百貨店協会、日本チェーンストア協会等に対して公正取引委員会がつくりましたガイドラインの内容が傘下会員各社内で周知徹底されるように指導を要請いたしました。また、一部の大規模小売業者に対しても社内でその周知徹底を図るよう要請したところでございます。これらの団体及び大規模小売業者におきましては、当委員会の要請を受けまして、自主基準の作成や社内体制の整備等、改善が図られているものと承知しているところでございます。  なお、今後の問題でございますが、担当者にも十分周知されることが重要だというふうに考えております。今後とも、こういう大規模小売業者と納入業者の取引に関しましては、適宜必要な調査等を行うことによりましてその実態を把握するとともに、納入業者に不当に不利益を与えるような押しつけ販売についてはその是正を図るなど、納入取引の公正化に努めてまいりたいというふうに考えております。
  35. 平田健二

    平田健二君 ありがとうございました。  けさほどのニュースにもございますように、中小下請は非常に長引く不況で、通産省の発表にもありますように、なかなかその回復が思うようにならない、そういったときにまたこういった下請いじめ、あるいは押しつけ販売、中小零細企業は踏んだりけったりですね。ひとつぜひ取り締まりを強化していただきたいというふうに要望しておきたいと思います。  次に、マルチ商法について、訪問販売法についてお尋ねをいたします。  先ほども政府お話がございました。しかし、実態は被害が続発をしておるわけでございます。さきの衆議院商工委員会議論の中で、我が党の小池百合子議員の質問に対して政府の答弁は、今回のマルチ商法についてですが、私どもとしては、連鎖販売そのものが基本的に危険であるということは、これはちょっと行き過ぎだと言った上で、さらに小池百合子議員の、マルチが危険であると勧誘される人がわかるように警告的文書を明示すべきだという主張に対しては、通産省は、事業者団体が自主的にやる、法律でそこまで踏み込むのはどうかというのが私ども考え方、こういうふうに述べております。こういう認識ではマルチの被害というのはいつまでたってもなくならないというふうに思うわけでございます。  マルチ規制の最初の答申でございました産業構造審議会流通部会の昭和四十九年の中間答申には、「マルチ商法が上述のような種々の問題点を抱え、社会的トラブルの原因にもなっていることに鑑み、その活動を実質的に禁止するよう厳しい規制を行うべきである。」とした上で、「この商法が組織拡大の手段としてリクルート機能に大きく依存しているところに基本的な問題点があり、このようなリクルート料の授受は極めて好ましくないものと認めざるを得ない。」と言い切っております。こうした考えは今でも継承されているはずだというふうに思います。罪刑法定主義から全面禁止ができないというところだけが何か誇張されておりますけれども、いつの間にか基本的に内在するマルチの危険性に寛容になっているのではないかな、こういう気がいたします。  政府は、このマルチ商法の取引についてどういう認識をお持ちなのか、最初にお尋ねをいたしたいと思います。
  36. 大宮正

    政府委員大宮正君) お答えいたします。  マルチ商法についてどういう認識を持っているかという御質問でございましたけれども、実はこのマルチ商法という定義自体がなかなか難しゅうございまして、法律をつくりました五十一年のときも、いわゆるよいマルチ、悪いマルチ、灰色のマルチというような議論がございまして、それからまた法律規制の態様によりましていろいろな形の新しい形態が出てくるということでございます。  したがいまして、法律の制定時あるいは改正した昭和六十一年のときに、これは衆参両院で議論はされたわけでございますけれども、自主的にこういういわゆる悪質なマルチは禁止したらどうかということに対しまして、いわゆる悪質なマルチ商法を法的に全面禁止しようとした場合には、これは先ほど先生指摘のとおりでございますけれども、罪刑法定主義の観点から、構成要件を厳密にかなり狭く規定せざるを得なくなりまして、その結果、悪質業者による規制回避の脱法行為を容易に許すことになり、取り締まりの観点から見てかえって適当でない、こういう判断をしたわけでございます。  したがいまして、全面禁止するよりもある程度緩やかな要件で定義を行いまして、網をかけた中で、例えば威迫困惑行為であるとか、あるいは不実の告知事実の不告知といったような不当な行為がある場合に、この行為を規制してそれによって悪いマルチ商法を自主的に禁止するというのが有効であろう、こういうことが法制定当時の立法の趣旨でございます。  現在におきましても、こういった考え方に変更はございませんで、私ども、今後ともこういった考え方で法の運用をやっていきたい、こういうふうに考えております。
  37. 平田健二

    平田健二君 そういう言い方もありますが、しかし、四月二十四日から五月八日、五月十六日、マスコミで報道されておるだけでもこれは全部マルチの被害です。今おっしゃられたように、そういう方法でこういったマルチの被害が減っていますかどうですか、お答えください。
  38. 大宮正

    政府委員大宮正君) マルチ商法に対する被害といいますか、私ども苦情処理ということで把握をしておるわけでございますけれども、これは先ほどもちょっとお答えいたしましたけれども昭和六十三年から平成二、三年ごろまでは何となく横ばいでございましたけれども、四年、五年と非常に苦情が多くなっております。こういったことも踏まえまして、取り締まり当局、警察当局においても、平成五年、六年とたしか二十四件でございますけれども、検挙するというようなことでいろいろと取り締まりを強化していただいておるわけでございます。  そういった取り締まりの強化とあわせまして、今般、これは政府の中でも、私ども、警察あるいは司法当局とも御相談をいたしましてどういつだ対応をしようかということをいろいろ検討した結果、先ほどこれもちょっと申し上げましたけれども、従来、統括者、勧誘者だけが禁止行為の対象になっているというのを、いわゆる連鎖販売業を行う者ということでもう少し幅広くその対象範囲を広げていこうということが第一点。それから、ちょっとまだお話がこの場で出ておりませんけれども、特定負担という、これは要するに加盟料とかあるいは商品の引き取りを義務づけるというか、契約の中身としていくというようなことで二万円という規制があるわけでございますが、その実態的なあり方。例えば連鎖販売取引を契約したときに二万円の負担を負わせるというだけじゃございませんで、実態のケースを見ますと、いわゆる契約をした後にあるいは実質的に見本として品物を引き取らせるというような事態も生じておりますので、こういったことも含めて、いわゆる特定の負担のあり方を通達で少し明確にして脱法的なものを防止していこう。こういった二点を今回の改正の大きな柱として御提案をし、引き続きマルチの取り締まりをしっかりやっていこう、こういうことでございます。
  39. 平田健二

    平田健二君 これ以上言っても仕方がありませんので、ちょっとお尋ねいたしますが、マルチ商法に関して、ドイツでは全面禁止、ヨーロッパでは非常に強い厳しい規制があるわけです。ヨーロッパ諸国と比較して日本規制は緩やかだなという感じがしておりますが、日本規制を緩やかにする必要がなぜあるのか、そういった特殊事情が日本にあるのかどうか、お尋ねをいたします。
  40. 大宮正

    政府委員大宮正君) ただいま諸外国の例との比較であると思いますけれども、諸外国の立法例を見ますと、ネズミ講に相当する商品等の流通を伴わない単なる金銭配当システムについてはピラミッド商法などと呼ばれておりまして、ほとんどの国で禁止されております。また、連鎖販売取引のように商品等の流通を伴うシステムにつきましてはマルチレベルマーケティングと呼ばれておりまして、おおむね合法的なものと認めた上で一定規制を課している例がございます。マルチレベルマーケティングに係る各国の法制度を比較してみますと、我が国の法制は規制対象となる取引の範囲が広くなっている点に特徴があるわけでございます。  いずれにしましても、法体系も取引慣行も異なる中で、他国の法令と比較してよしあしを直ちに論ずることは必ずしも容易ではございませんけれども、今般の訪販法改正案は、諸外国の制度と比較しても遜色のないものであるというふうに私ども考えております。
  41. 平田健二

    平田健二君 マルチ商法というのは、売っている商品に魅力があれば、これはその商品だけでも商売が独自にできるわけですね。マルチでなきゃならぬという商品自体を見ますと競争力がない。どこかの資料にありましたけれども粗悪品だと、商品は。とにかくその商品では商売にならぬ、いわゆるネズミ講だと、目的は。脱法のためにそれに粗悪品の商品をつける、こういったことが現在行われておるのではないかなと。  今回の法改正で、ちょっとしたうそを言ったということで、一般の消費者あるいは先ほどもございました主婦だとか社会経験の薄い新入社員だとか、そういった方々まで逮捕されるわけですね。こういった法をつくらなきゃならぬというような極めて不幸な商法は、やはりこれは全面禁止をしなきゃいかぬ。さっきも言いましたように、禁止する方向でというのが昭和四十九年の、当初の審議ですから、ぜひ全面禁止すべきだと思いますが、どうでしょうか。
  42. 大宮正

    政府委員大宮正君) いわゆる悪質なマルチ商法を全面禁止すべきというお話でございます。これは先ほどもちょっと私、法律の制定時あるいは改正時の御議論を説明いたしましたけれども、私どもとしましては、やはり全面禁止ということになりますと、これは法律をつくるときも法制局と物すごくいろんな議論があったようでございまして、やはりそこで罰則がかかったり禁止するわけですから、罪刑法定主義という立場から相当厳密にその規制の中身を規定せざるを得ないと。そうなってくると、そういう網の目をくぐって、むしろいろんな対応が出てきてかえって脱法的な事態が発生するという判断がございまして、先ほども申し上げましたようにいわゆる広く網をかけて、その中で不当あるいは不正な行為を取り締まっていくということが一番法律制度としていいだろうということで、これは政府の中、司法当局、警察当局と御相談をした上で現在のような体制になっている、こういうことでございます。
  43. 平田健二

    平田健二君 どうも衆議院での議論の過程あるいはきのう参考人からも意見をお聞かせいただきましたが、大方の方がこのマルチ商法は禁止すべきだ、あるいは禁止する方向に進むべきだという御意見をお持ちのようであります。ひとつ次の法改正ではそういった方向に進むようにぜひ検討していただきたいと思います。  全面禁止ができないのならば、少なくとも被害を少なくするために、衆議院の議論でもありましたように、マルチ商法についての書面交付といいましょうか、法第十四条の部分に危険の明示ということをはっきりさせるべきではないかという質問があっております。  そこで今、先ほど政府委員からもお答えがありましたように、やはり契約の段階で目立つところに、この契約には最初に負担金がかかりますよ、いわゆる特定負担、次に自分の売り上げ勧誘者を初めとする上部の人にマージンを取られますよ、特定利益の提供、そして自分が勧誘した人は上から、売り上げからマージンをもらえますよ、特定利益の享受、四番目としてクーリングオフが二十日間できますよ、こういった文書を統一的につくって、普通の商売じゃないんだよということを契約前に告知する義務義務づけする、事実だけをそういった書面に記載するということが必要ではないかと思いますが、どうでしょうか。
  44. 大宮正

    政府委員大宮正君) ただいま先生から御指摘のございましたように、いわゆる連鎖販売取引につきましても、契約の相手方に対して書面を交付するという法定書面の交付義務がついておりまして、ここでいろんな商品の種類とかあるいは統括者の氏名、名称、住所、それから連鎖販売業を行う者が統括者でない場合には、当該連鎖販売業を行う者の氏名、名称、住所並びに法人にあっては代表者の氏名、それから商品の種類、商品名、それから問題となります連鎖販売取引において条件とされる特定負担の内容、契約の解除条件その他について、これは書面でちゃんと交付することになっております。実はこの点につきましては、先般の産業構造審議会におきましてもさらに書面の中身の充実というようなことも指摘されております。  私どもとしましては、そういった産業構造審議会の指摘も踏まえまして、こういう書面の記載事項につきましても、例えば特定利益に関することについても記載するようにしたらどうかということで、今検討しておるところでございます。
  45. 平田健二

    平田健二君 今の御答弁ですと、そういったことを記載するようにするということですか、契約書面に。
  46. 大宮正

    政府委員大宮正君) これは、実はもう現在でも法律の第十四条第一項の規定によりまして、連鎖販売取引において条件とされる特定負担をしようとする者に交付する書面に、今申し上げたようなことを記載することになっておりまして、その中身についてさらに充実させることを検討している、こういうことでございます。
  47. 平田健二

    平田健二君 今おっしゃられたのは、多分私どもも承知しておりますが、保険の契約とか旅行業の、どこか旅行へ行くとき、裏に約款が小さな文字でずっと書いてあります。そのことじゃないんでしょうか。  私は、書面の目立っところに大きく、例えば赤い字でこういったことですよ、ここの商売は危険ですよ、こういったことをきちっと書いて契約をさせる、こういう意味です。もう一回お願いします。
  48. 大宮正

    政府委員大宮正君) お答えいたします。  今、先生指摘あったようなことも実は私ども検討したいと思っております。  そういう御質問も出ようかと思いまして、ちょっときょうは訪問販売法の書面のひな形をここへ持ってきております。ここで字の大きさも、それからここにクーリングオフできますよということを太字で書いて、ちゃんとこういう書面を出しなさいということを言っておりますから、私どもとしては連鎖販売についてもうやっているわけでございますけれども、さらにその中身の充実について検討したい、こういうことでございます。
  49. 平田健二

    平田健二君 どうぞひとつよろしく御指導お願いいたしたいと思います。  次に、電話勧誘について若干御質問をさせていただきたいと思います。  今回の改正で、氏名を先に述べよということになりました。しかし、昨日の参考人の意見にもございましたように、例えば山田ですがとか鈴木ですがと言われても、どこの鈴木さんかどこの山田さんかわからぬ、だんだん話しているうちに、いやこれは電話勧誘だった、こういったケースが間々あるというふうにお聞きをいたしたわけでございます。せっかく明示をしなさいと、こういうことですから、少なくとも最初に会社の名前、それから自分の名前、そして会社電話番号、こういったものはきちっと明示をしなさい、こういうふうにぜひしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  50. 大宮正

    政府委員大宮正君) ただいまの先生の御質問は、電話勧誘販売における氏名等の明示というか事業者の名前ということでございます。  これは法律の第九条の四に今度の電話勧誘販売について規定をしてございまして、販売業者または役務提供事業者の氏名または名称及びその勧誘を行う者の氏名並びに商品もしくは権利または役務の種類、それから電話勧誘をするためのものですよということを告げなければならないということがこの電話勧誘販売の第九条の四に書いてございます。  それから電話番号でございますけれども、これは多くの場合は、電話番号はその場で聞けば、向こうは物を売るわけでございますから答えるわけでございますが、実際にはこれは書面の交付義務がございまして、その書面を交付したときに、そこに当然電話番号が入っていなければ消費者は問い合わせることができないわけでございますから、そこに載るわけでございます。私どもとしては、こういう格好でちゃんと電話勧誘をする人の目的が確認できるような格好で法律を整備した、こういうふうに考えております。
  51. 平田健二

    平田健二君 先ほど平田委員から、私も平田ですけれども平田耕一委員から御質問がありました拒否者リストの法制化ということでございますが、イギリスやアメリカでは導入されていると聞いておりますこの拒否者リスト、これをやはり法制化する必要があるのではないかなと。郵政省の研究会報告でも触れられておりますし、具体的に検討すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
  52. 大宮正

    政府委員大宮正君) ただいまの御質問は、いわゆる電話勧誘の拒否者リストの作成を義務づけたらということでございますけれども、いわゆる電話勧誘をしてほしくないという人に勧誘をすることが基本的に問題なわけでございまして、今回の改正法の第九条の五の規定では、契約締結意思のない者への継続的な勧誘や再勧誘禁止するということになっております。また、現にそういうものが行われた場合には、通産大臣が指示をするあるいは命令をして罰則というような格好で担保しておるところでございます。  私どもとしては、この第九条の五の規定は今先生お話にございましたような趣旨で設けたもので、それで足りるのではないかというふうに考えておりまして、法律的に拒否者リストの作成まで事業者義務づけるのはやはり少し行き過ぎというか、いかがなものかな、こういうふうに考えておる次第でございます。
  53. 平田健二

    平田健二君 その拒否者リストの問題ですが、昨日の参考人質疑でどなただったでしょうか、四千九百何がしかの人の名前のいわゆる拒否者リストを自主的につくっておる、こういうことでございましたけれども、重ねて聞きますが、リストを法制化するということは当分考えないということでしょうか。
  54. 大宮正

    政府委員大宮正君) 私どもリストをつくることを事業者法律的に義務づけるということは、罰則なり所要の規制をするわけでございますから、それはちょっと行き過ぎではないか、こういうふうに考えておりますけれども、そういった法規制とは別に、あらかじめ一定電話勧誘を拒否する者に対し勧誘電話をとめるサービス、これはいわゆるテレホン・プレファランス・サービスと言っておりますけれども、こういったものについては、実はもう通産省で平成八年度の予算におきまして調査等のために一千五百万円の新規予算を計上しておりまして、今後業界における自主的な取り組みを大いに後押ししてまいりたい、こういうふうに考えております。
  55. 平田健二

    平田健二君 次に、時間もございませんのでクーリングオフについてお尋ねをいたしたいと思います。  クーリングオフの起算日についてはいろいろと議論があるようでございますが、書面を受領した日というのはどうやって確定するのか、いろんな議論がございます。書面を受け取ったという日を特定することはなかなか難しいというふうに考えております。良質なというと失礼ですが、いい業者ならば問題ないんですが、クーリングオフが問題になるのは大体悪徳といいますか悪質な業者が多いわけですから、やはり書面での契約もしくは書留あるいは日付の証拠が残る、こういったことを義務づける工夫が要るのではないかなというふうに思います。そういうことについてどういうふうにお考えでしょうか。
  56. 大宮正

    政府委員大宮正君) 電話勧誘販売におけるクーリングオフの制度でございますけれども、これは訪問販売におけるクーリングオフ制度の趣旨と同様でございまして、電話勧誘を受けた場合に消費者が主体的な意思形成を行いがたいという弊害、逆にいいますといわゆる購入意思形成過程に瑕疵がある、こういった場合において具体的な一定の期間にそういう瑕疵を治癒するといいますか、そういう機会を消費者に与える、具体的には契約内容として明確に確認することが可能となった時点、すなわち書面を受領した時点をクーリングオフの起算点とすることにしているところでございます。  昨日もお話に出ておりましたけれども、御指摘のように、これは、その考え方の根拠といたしましては、クーリングオフの起算日を消費者が書面を送り返した日とした場合には、消費者が書面を返送するまでクーリングオフ期間が進行しないために、消費者からいつでも解約の申し出ができ、取引の安定性を著しく害されることになり不適切であるというふうに考えているものでございます。  このような考え方に対しまして、昨日もまたこれも議論が出ておりましたけれども電話勧誘販売の形態を選択する事業者取引のリスクを負うべきであるとの御指摘も存在するわけでございますけれども、仮にこのようなリスク負担を事業者に負わせることとなった場合には、事業者消費者が書面に署名して返送しない限り商品を送付しないということが予想されるわけでございます。この場合、数多くの問題ない取引を行っている消費者にとっては、電話による取引の簡易迅速性というメリットが失われることになりまして、また必ず書面を返送しなければ物をもらえないという無用の負担を強いられることになるわけでございます。  また、契約成立の可能性のある言動を行った消費者、はっきりとしている場合でももちろんクーリングオフはできるわけでございますが、あいまいな場合でも、事業者からの書面の交付についてやはり注意をある程度する。郵便物が来ているわけでございますから、先ほど申し上げましたこういうものが行くわけでございますから、普通のDMとはまた違うわけでございまして、自己責任という関係からも、やはり書面はごらんいただくということが必要なんじゃないかなというふうに考えております。  以上のようなことを含めまして、これは産業構造審議会でいろんな議論があったわけでございます。日本弁護士会からも御意見をいただきましたけれども、全体としては、現在のような受領日というのをクーリングオフの起算日にするのが適当じゃないか、こういうふうに結論をいただいて、今回の改正ということになっているわけでございます。
  57. 平田健二

    平田健二君 時間が参りましたのでこれ以上お尋ねしませんが、いずれにしても、このクーリングオフをめぐってのトラブルというのが非常に多いわけですね。ですから、やはりこれは何かひとつ工夫が要るというふうに思うわけです。法改正をするわけですから、ぜひひとつ工夫をいただきたいというふうに思います。  最後に、大臣お待たせいたしました。今までずっとお聞きいただいて、マルチの議論にしても電話勧誘にしても、どうも通産省の基本的なスタンスがやはり生産者本位というふうにしか受け取れない、どうも消費者保護にはまだまだほど遠いぞという印象を強くしたわけでございます。  そこで、こういった訪販法とかいう特例法は、消費者保護をまず第一に考えた特例法ですから、そういったことを踏んまえて消費者保護の観点がちょっと弱いなという感じがいたしますが、その辺についての感想を最後にお聞きして、終わりにしたいと思います。
  58. 塚原俊平

    ○国務大臣(塚原俊平君) 先生からマルチの話、電話勧誘の話、そして今のクーリングオフのお話等々、これからのことも含めましたいろいろな心配される点等の御指摘をいただきました。  前の平田先生の方からは、果たしていわゆる消費者保護をどこまですればいいのか、あるいは平田先生の方からは、逆にちょっと視点が変わった部分からの御指摘を両先生からいただきました。大変に私ども参考になりました。  ただ、前の平田先生にも御答弁させていただきましたが、やはり消費者を保護するというのが当省にとりましては極めて大切な基本方針でございますので、ただいま両先生から御指摘をいただきました点につきましては、十分に肝に銘じながらこの法の運用に当たってまいりたいというふうに考えております。
  59. 平田健二

    平田健二君 どうもありがとうございました。
  60. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 まず、大臣冒頭お尋ねをいたします。  昨日、参考人の中の弁護士会の齋藤参考人は、改正案は評価するけれども遅きに失したというお話でありました。あるいは衆議院に来られました悪徳商法被害者対策委員会会長の堺参考人お話でも、もう既に平成三年ごろからこの法改正を私は進言してきたと。あるいは電話勧誘取引についても平成四年ごろから各地の消費者団体からあるいは消費者行政機関からも要望が来ているはずだ、そういう意味では遅いという御批判があったわけです。  これは、もちろん立法府として怠慢のそしりは免れないわけでありますが、同時に、行政としても今後はもう少しこの被害の実態に敏感に対応すべきではないか、そういう反省はあってしかるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
  61. 塚原俊平

    ○国務大臣(塚原俊平君) 今週の初めに「あまから問答」という政府の広報番組に出させていただきまして、衆議院が通過いたしまして現在参議院で御審議をいただいておる訪問販売法につきましての御説明をさせていただきました。そのときに司会者の方から、何でこんなにおくれたんだという御質問に対して、私は、かなり開き直りと言われるかもしれませんが、国の対応としてはかなり早かったと思うというようなお答えをテレビの中でいたしました。そういう状況の中で、昨日の参考人の方の質疑がございまして、やはりちょっとずうずうし過ぎたかなというようなことで、お話を伺ってやや反省すべき点もございました。  九二年ぐらいから電話被害が急増いたしていたわけでございまして、国会等でもいろんな御指摘があった中で、それでも精いっぱい作業を進めて今日に至ったわけでございますけれども、さらに、私どもこれから行政がより迅速に対応ができますように今回それでも精いっぱい役所としてはやったとは思うのでございます。いろんな御指摘をいただきました。十分にそれを肝に銘じまして、これから特にこのように直接生活者の方に関係のございます極めて重要な部分につきましては、より迅速な対応ができるように心がけてまいりたいというふうに考えております。
  62. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 次に、連鎖販売取引につきまして、先ほどの質問に関連してお尋ねいたします。  法十四条、つまり「連鎖販売取引における書面の交付」、この法律条文自体は今回変わっていないわけです。ただし、その書面の記載内容というのは省令で定めるということになっておりますが、今回その省令の見直しを考えている、そういうことでございますか。
  63. 大宮正

    政府委員大宮正君) ただいま先生から御指摘がございましたように、私どもとしてこの省令の改正考えております。
  64. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 それで、先ほども一つ明確でなかったんですが、その際に、平田議員も言っておりましたが、要するにマルチに参加するということは危険が伴うんだと、そういう一つの警告ですね、これもその書面の記載内容に加えることを今検討しているんですか。
  65. 大宮正

    政府委員大宮正君) ただいまございましたマルチに参加することは危険であるという警告、そういったことまではこの書面の交付事項に記載することは現在考えておりません。
  66. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 私はその点が一番大事だと思うんです。  新設されました十二条、要するに統括者または勧誘者が勧誘に関して一定の事項の告知をしなければいけない。その十二条一項五号を見ますと、いわゆる重要事項というのがあるわけですね。この重要事項の内容もやはり政省令において決めるということになるわけでございますか。
  67. 大宮正

    政府委員大宮正君) 改正法の第十二条第一項第五号におきまして、「連鎖販売業に関する事項であって、連鎖販売取引の相手方の判断に影響を及ぼすこととなる重要なもの」について「故意に事実を告げず、又は不実のことを告げる行為をしてはならない。」というふうに規定をしておりまして、この「重要なもの」の解釈は具体的な事例に即して判断すべき問題でございますが、概括的には、これは省令ではなくて、これはむしろ通達、解釈通達で明確にすることとしております。
  68. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 そうしますと、その通達の中に、解釈指針の中に、いわゆるマルチヘの参加は危険が伴うんだということをぜひ入れるべきだと思うんです。  といいますのは、何が一番マルチに参加する人にとって重要かといいますと、もうかるかもうからないかということなんですが、実際このマルチ取引をしてもうかる人というのは二%、三%というのはもう常識ですから、当然損をする場合の方が多いわけなんですよ。これ以上の重要事項というのはないはずですから、やはりそのことをきちんと告げるべきだ、告知をすべきだという通達をすべきだと思いますが、いかがですか。
  69. 大宮正

    政府委員大宮正君) まず最初に、もうかるとかもうからないというのは、これはどういう取引行為においてもそういうことというのはいろいろとよしあしは別にしましてある程度はあるわけでございまして、それを重要事項に書けというか、私どもとしましては、この重要事項の中身というのは具体的な事例に即して判断をすべきものでございますけれども、概括的には、取引をするために意思決定の要素になるような事項、しかもそれは客観的でなければならぬ、こういうふうに考えております。  具体的には、例えば故意に事実を告げない行為については、相手方が当該事実を知らずに取引を行うことがその者にとって不利になる事項が「重要なもの」でございまして、例えば統括者等の経営が破綻に瀕しているような場合に、財産状況を告げないということなどが問題になるというふうに考えております。それからもう一つ、一連の連鎖販売業の加盟者数とか段階数、各段階における収支の状況等については、そのことを知らずに取引を行うことがその者にとって必ずしも不利になることとは言えませんで、それを告げないことが直ちに本条違反になるものではないと考えております。  一方、不実のことを告げる、いわゆるうそを言う行為については、これは相当範囲が広うございまして、重要な事項の範囲は故意に事実を告げない行為に比しより広くなっておりまして、例、えば、これは今先生の御指摘とはちょっと違いますけれども、連鎖販売業の加盟者数とか段階数、各段階における収支の状況等について不実のことを告げた場合、いわゆるうそを言った場合には、一般的に違法行為になると考えておりまして、この旨解釈通達等において明確にしていく、こういうふうに考えております。
  70. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 お話を聞きますと、今第三次マルチブームでございまして、被害者は二十代、三十代という若い世代が多いわけです。要するに、会社に入ったばかりの余り世間のことを知らない人が被害に遭っているわけでして、あなたは年収一千万ですよというふうに言われて、簡単に信じて会社をやめてしまうということになるわけです。そういう方にとっては、本当にこの組織に参加して年収一千万になる可能性があるのかないのかということが一番大事なことですから、やはりこれ以上の重要事項はないと思うんですよ。株の取引で損をする、もうかるという、もうそういうレベルとはちょっと違うと思うんですね。  だから、そういう客観的な数字が告げられないというのであれば、あるいはそういうピラミッド型になった組織の構造とか、これから参加する人はその何段階目に入るのかとか、各レベルにおけるそういう収支の状況といいますか、そういうことをやはり重要事項として告げることを義務づけるということが、若い人の被害をなくすという意味では大事じゃないんでしょうか、違いますか。
  71. 大宮正

    政府委員大宮正君) 今、先生から御指摘のありましたことは、むしろ私ども禁止行為の十二条の規定を、従来は非常に不明確になっておりました関係で、警察等の要請もございまして重要な事実の不告知、不実の告知というものを具体的に掲げたわけでございます。これは第十二条でございますけれども、第十二条の一項、二項、三項、四項、今お話のありました五項、こういったことについて、今先生お話しになったようなことで、これが不実の告知であるということになれば、当然法律規定によりまして直罰を受けるわけでございます。  私どもとしては、その前提というのは客観的な事実を要するにその重要事項にかかわるものとして書くということでございますから、必ずもうかりますよと言った場合、これは衆議院でも実は議論が出たわけでございますけれども、必ずもうかると言っても、先ほど申し上げましたように、取引をする場合には大体そういったことは、最初の場合は一般の取引でも、これはマルチであろうと電話であろうと訪問であろうと、一般の商売の世界であるわけでございますから、直ちにそれが十二条違反になるということではないと思います。これは状況とそういう言い方の度合いによって違うと思いますけれども、この法律においては十二条に明記をして、そういうものは場合によっては直罰になる。  場合によっては、十五条の指示行為の対象に、この十五条の例えば一項の第二号でございますけれども、「連鎖販売取引につき利益を生ずることが確実であると誤解させるべき断定的判断を提供してその連鎖販売業に係る連鎖販売取引についての契約の締結について勧誘をすること。」ということで、こういった法律規定によって担保していきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  72. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 私も、一歩前進で、これによってかなりの取り締まりが可能になったということは認めますが、私は先ほど言いましたような意見を持っております。  次に、電話勧誘取引につきまして、今回の改正でもこれにつきましてはすべての取引対象とするんではなくて、いわゆる指定商品制をとったわけですね。ところで、きょうは郵政省にも来ていただいていますが、昨年十二月の電気通信利用の適正化に関する法制度研究会報告書におきましては、通産省の立場とは異なって、電話取引規制については指定商品制を採用すべきではない、そういう結論を出しているわけですね。  そこで、そういう結論になった理由と、またそういう郵政省の立場を今回の法改正できちんと通産省に訴えたといいますか要請したのか、お尋ねいたします。
  73. 桜井俊

    説明員(桜井俊君) 郵政省におきましては、先生指摘のとおり、電気通信の利用の適正化を図るという観点から、電気通信利用の適正化に関する法制度研究会というものを開催いたしまして、昨年十二月に報告書を取りまとめていただいております。  この報告書の中では、電話システムというものが、例えば発信者が身元を明らかにしないで電話をかけることができるという匿名性を持っている、あるいは相手の都合に構わず突然不意打ち的に電話をかけることができるという不意打ち性を持っている、あるいは音声のみのやりとりであるために伝達される情報が限定的で不明確になりやすいという、そういった情報の限定性がある、こういった特徴を有していることから、電話勧誘被害と申しますのは、このような電話メディアの特性を悪用することによって発生しているというふうにこの研究会では認識をいたしております。  それを踏まえまして、このような電話メディアの特性というものを踏まえまして、電気通信の利用の適正化を図るという観点から電話勧誘規制あり方というのを考えた場合には、電話勧誘がほとんどの商品、役務を対象としているという形態であるということから、原則としてあらゆる商品、役務を対象とすべきであるという内容の報告をいただいているというのが報告書の内容でございます。  今回の訪問販売法改正でございますけれども、郵政省といたしましては、最近の電話勧誘による消費者被害の急増というのを踏まえて、訪問販売法改正というのは、取引の適正化を図るという観点から、いわばこの事態の緊急性にかんがみて、従来の訪問販売法体系の中で、すなわち指定商品制というもとの中で行われるというふうに理解しておりまして、その意味では一定の合理性があるというふうに理解しているということでございます。
  74. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 前段の説明とこの指定商品制に合理性があるというそこがどう結びつくのか。  私も郵政省のその報告書を読ませていただきましたけれども、要するに電話勧誘でなぜ被害が生じるかというと、それは別に商品や役務の特性に問題があるんじゃなくて、電話取引であるというところに原因があるわけです。要するに、よく言われる密室性とか不意打ち性とかあるいは簡単に電話できるということであれば、そんな指定商品制をということで限定するという合理性はやはりないというように私は思うわけで、通産省にお聞きしますが、なぜせめて電話取引についてだけでも一般的に規制するということにできなかったのか、御説明願います。
  75. 大宮正

    政府委員大宮正君) ただいまの先生の御質問でございますけれども、これは先ほどもちょっと御説明いたしましたけれども、産構審でもいろんな御議論がございました。しかしながら、基本的にはやはり法律による規制は最小限度にとどめるべきであるということ、それから具体的には他の業法、これは先ほど申し上げました例えば宅建業法とかあるいは商品取引所法等ございますけれども、業法等により本法と同様な規制が行われているものや、あるいは八百屋、魚屋、米屋といった一般消費者が通常訪問販売等によって平穏のうちに取引を行っているものについてまで本法の規制に係らしめることは適当ではなく、要するにすべての商品を規制対象とするべきではない、指定商品制をとるべきである、こういう結論になったわけでございます。  私どもとしましては、指定商品制を維持しながら問題が生ずればその都度政令で追加指定をするということで対応することにしておりまして、私どもとして現在の必要なものはすべてカバーされておるというふうに考えておりますし、また今後問題が生ずる場合には直ちに対処したい、こういうふうに考えております。
  76. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 今おっしゃった八百屋、御用聞きのたぐいはこの改正の十条の三項でも適用除外というのがあるわけですから、当然これに入ってくると思いますから、何もそれがあるから指定商品制にしなければいけないんだということじゃないと思うんです。  それで次に、十八条の二、新設されました主務大臣に対する申し出権、これは運用の次第によってはかなり威力を発揮するんではないかという期待をするわけです。ところで、現行法では大臣の権限は、訪問販売、連鎖販売取引に関しては都道府県知事に政令で委任されております。今回の電話勧誘販売につきましても、その指導権限というのは都道府県知事に委任をするんでしょうか、どうでしょうか。
  77. 大宮正

    政府委員大宮正君) 今、先生から御指摘ございましたように、現行法では訪問販売、連鎖販売取引にかかわる主務大臣の権限につきましては都道府県知事に委任されておりますが、これはこうした取引が非常に実態的に見て地域性が強いというかあるいは地縁性が高いものであるという趣旨でございます。  こういった趣旨にかんがみまして、電話勧誘販売が実態的にどの程度地域性といいますかあるいは地縁性を有するものかどうか、これはもう少し実態を十分に調査いたしまして、権限委任を行うべきかどうかは政令指定の際に検討してまいりたい、こういうふうに考えております。
  78. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 いずれにしましても、都道府県知事に委任されている部分につきましては、この申し出権というのは、消費者の申し出権ですか、県知事に対して行うということになりますね。その場合に、調査をして問題があれば適当な措置をするということになっているわけです。  ところが、通産省の発表によります、訪問販売法により権限が委任されている都道府県知事によって報告聴収、立ち入り、指示、これは法何条でしょうか、現行法に基づくそういう措置をどのぐらい実施をしたかという統計があるわけですね。それを見ますと、平成七年度はわずか報告聴収が四件、立ち入りが一件、指示が一件でありまして、せっかく都道府県知事に権限を委任しておるのに本当に有効に機能しておるのかという懸念を持つわけであります。  今回、せっかくこの申し出権がありまして都道府県知事に苦情の申し立てができるということでありますけれども、今の実態からしますと、その苦情申し出に応じて有効に都道府県の側で措置をするということがどの程度期待できるのかという懸念を持つわけですが、この辺はきちっと体制の整備を考えておられますか。
  79. 大宮正

    政府委員大宮正君) まず、現在の訪問販売、連鎖販売取引にかかわる指示命令等が必ずしも数が多くないではないかというお話、これは先ほどもちょっと御質問が出ておりまして、これは実情を申し上げますと、都道府県において独自にいわゆる消費者保護条例が整備されておりまして、訪問販売法に基づく行政措置の発動に至る前に条例に基づく報告聴収、指示等が行われ対応が図られるケースが多いものである、こういうふうに承知しております。また、こういった場合においても訪問販売法に基づく行政措置が罰則担保となっていることから、これらの条例による対応の大きな後ろ盾として機能しているものと考えているというのが私ども立場でございます。  今回、先生質問のございました電話勧誘販売につきましても、仮にこれが地方自治体に権限を委任するような場合には、今訪問販売やあるいは連鎖販売と同じようなケースがないわけではないと思いますけれども、これはきちっといわゆる自治体に対して申し出ができるわけでございますから、これは消費者の方からそういうふうに申し出ていただければそういう対応が法律上担保されていくということでございますし、私どもとしてもこういった規定をせっかく法律改正して入れたわけでございますから、うまく機能するように自治体あるいは関係当局とも十分に連絡をとっていきたい、こういうふうに考えております。
  80. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 今後の運用の実態をぜひ私も注目してまいりたいと思います。  それで、最後に資格商法ということで、私もいろいろ調べたわけですが、必ずしも直接法律に根拠がない、あるわけではない認定資格と言うとわかっていただけるかと思いますけれども、その問題につきまして若干お尋ねしたいと思うんです。  通産省所管の公益法人が認定している資格というのは四十五あるということでございます、調べていただきました。この場合に、公益法人、通産省所管の公益法人に限っても結構ですが、その公益法人が資格をつくる場合には通産省に相談することなくやっていいのか、あるいはきちっと相談してそういう資格を設けるというルールになっているのか、この辺はいかがですか。
  81. 横川浩

    政府委員(横川浩君) 通産省の所管になります公益法人が実施しております資格制度、大きく分けまして二つの種類の資格制度があろうかと思います。  一つは、通産省が告示に基づきまして資格の審査、証明事業を特定の公益法人において実施をいたしますことを認定いたしました上で当該公益法人が称号を付与している、そういった資格制度、現在消費生活アドバイザーなど八制度がこの対象になっておるわけでございます。このほかに、申し上げましたような通産省の認定ではなく公益法人が独自に称号を付与しておる、事業として行っているというものもあるわけでございます。
  82. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 告示に基づく資格の中に、恐らく大臣認定、省認定、省告示という段階があるんではないかと思うんですね。それぞれどういう基準大臣認定になったり、あるいは通産省認定になったり、あるいは通産省告示になったりと、そういう基準になっているんですか。
  83. 横川浩

    政府委員(横川浩君) 多少技術的な説明になりまして大変恐縮でございますけれども、通産大臣の認定を得た上で公益法人が実施をいたしております資格制度につきましては、あらかじめ通産省が告示を定めた上で、申請にもとづきまして当該公益法人が資格付与の事業を行うことを認めているものでございます。つまり、大臣認定といい、また省告示といい、これはいずれも制度としては一体のものでございます。
  84. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 最後に通産大臣にお尋ねしますが、この問題に関しまして厚生省は大臣認定の資格は廃止をするという方針を表明されましたね。その理由は、大臣認定というと何か資格を与えること自体に大臣が関与しているような誤解を生むから好ましくない、だから廃止する方向だという報道がありましたが、通産大臣はこの点はどういう御見解ですか。
  85. 塚原俊平

    ○国務大臣(塚原俊平君) ただいまお話がありました消費生活アドバイザーとかインテリアコーディネーターとかいうのが八つ、私どもの通産省自体が認定した公益法人が実施しているものがあるわけでございますが、いずれもこれはそういう面ではいろいろ御相談なんかされる方が大変にそのことによって信頼をしていただけるということでございますから、かなり責任を持ってこの資格をお出ししているというふうに私どもは理解をいたしております。  ただ、公益法人のあり方あるいは資格制度のあり方も含めまして、現在与党でも議論が進められているというふうに伺っております。政府といたしましては、こうした議論を十分に踏まえまして総理府が中心となって公益法人のあり方に関する検討を進めることになるものというふうに考えますが、通産省といたしましては、こうした政府全体の統一的な方針の策定に積極的に取り組むとともに、統一的な方針にのっとって必要な見直しを行いたいというふうに思っております。
  86. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 終わります。
  87. 加藤修一

    加藤修一君 平成会の加藤でございます。  昨日の石川参考人お話の中にもあったわけでありますけれども、インターネットによる通信販売について決済の関係がクリアできればグローバルな取引ができるということでございました。しかしながら、実態としてきょう配付させていただきました資料の一ページ目にもありますような雑誌が出ていると。そういった意味では、既にインターネットによるグローバルな通信販売が実際に行われているということになるかと思います。  そこで、この問題に関連して伺いたいと思いますけれども、前回の委員会におきまして通産省の電子商取引のプロジェクト、それはICカード型をベースとして実証実験していると。私からすれば、いわゆるeキャッシュ型電子マネーのプロジェクト、それはそのときの御答弁でも一件も実験の対象になっていない、そういうことがあったわけであります。その信頼性とか実現可能性を理由に、またさらに民間の応募がないということでeキャッシュ型の電子マネーの必要性を通産省は認識されてないということのように私は受けておるわけでございますけれども、ICカードの製造でシェアを伸ばしている日本企業が存在しているわけですし、そういった点を考えていきますと、産業振興という面からすればそういった方向に向かうのは自然であろう、私はそういうふうに思いますし、また銀行がプロジェクトに参加している、そういったことから考えていきますと、銀行がみずからの首を絞めるeキャッシュ型の電子マネーの実験はしないと言っても当然だと私は思うわけでございます。  しかし、これからお話しすることが非常に私は重要だと思っているわけですけれども日本国内の事情を考えていれば済むような時代は終わった、そういうふうに理解しております。  といいますのは、やはりボーダーレスの時代に入っている。そういう時代の中において、国内の事情だけで決めていくのはどうかなと、そういうふうに判断しておりますので、万が一eキャッシュ型電子マネーが世界の主流になってしまった場合に、今やっていますプロジェクトのほかのタイプ、そういったものに投入された巨額の金あるいは時間がむだになるばかりではなくして、さらに投入された資金を回収しようというインセンティブが方向転換をしようというときに働くと思うんです。要するに、回収しようということがやはりいろんな面で作用するわけですから、そういった逡巡をしている間に外国企業がどんどん参入してくる、そういった事態が全くないとは言い切れない、そういうふうに判断しているわけでございます。  そこで、通産省がeキャッシュ型電子マネーを現在進めているプロジェクトに含めない、その辺の明確な根拠を示していただきたい、そのように思うわけでございます。  前回の答弁でもございましたけれども、要するに公募型のプロジェクトで民間が主体的にプロジェクトの方向を決めましたということで済むような問題ではないと私は思っていますし、民間ベースでなかなか進められないそういう分野でこそ、やはり政府、国家というのは投資すべきではないか、そのように思っていますし、そこにやはり政府の役割があるように私は思っておりますので、その辺についていかがお考えかということで御答弁をお願いしたいと思います。
  88. 大宮正

    政府委員大宮正君) ただいま先生から御指摘がございましたように、インターネット上で電子貨幣を流すことにより決済を行うシステム、いわゆるeキャッシュに関しましては、海外においてさまざまな実験がなされていることは私どもは承知しております。eキャッシュを含めまして電子決済に関する検討は電子商取引の実現の上で重要な要素の一つであり、電子決済の進展により社会経済に大きな変化が生ずるものと考えております。  かかる認識から、当省といたしましては、電子決済について、民間のニーズに基づいた電子商取引の実証プロジェクトの中で、さまざまな技術開発と実証実験及び制度的課題の解決について検討しているところでございます。  今、先生指摘にございましたように、グローバルな視点、これも当然我々は頭に入れておるわけでございまして、こうした新しい電子決済が現実運用されていくためには、まだいろんな技術的な課題とかあるいは制度的な問題がございます。そういった中で、先生から御指摘をいただきました国際的な視野も頭に入れながら、幅広い視点から検討を行っていくことが必要ではないか、こういうふうに考えております。
  89. 加藤修一

    加藤修一君 幅広い検討をしていくという話で、心強く思っているわけでございますけれども、あちこちの委員会で私も質問させていただいているわけですけれども検討という話が随分と出てくるわけでございまして、私はその検討の中身がよくわからない場合がございますので、さらにその辺について質問させていただきます。  検討の中身として、どこに人を派遣しているのか、あるいはどのくらいのお金をその辺について投資を行おうとしているのか、あるいは期待されるような成果としてはどういう内容を想定し得るんだろうか、あるいはどの程度の期間内にそういった成果をお考えか、その辺についてはどうでしょうか。
  90. 塚原俊平

    ○国務大臣(塚原俊平君) 恐らくきょうはちょっと具体的な答弁ができないと思うんです。それで、一応私の方も先生の方のまとめのやつで答弁を用意してみたんです。ちょっと読んでみますので、この辺でどうだろうということなんですが、どうだろうというのは非常に熱心に進めたいという意味なんですが、まずポイントとして、eキャッシュについても電子商取引の実現の上で重要な要素と認識をいたしまして、今後の技術革新等を踏まえて実証プロジェクトも含め検討を進めてまいりたい。  具体的な答えとしては、当省としては、eキャッシュについても電子決済という観点から電子商取引の実現の上で重要な要素と認識しており、今後電子商取引の実証プロジェクトを通じて関連する課題の解決について検討を進めてまいりたいと思います。さらに、今後技術革新等を踏まえ、現在進んでいる実証プロジェクトにおいてもeキャッシュに係る取り組みがなされるものと思います。  一応こういう答弁なんですが、それでもこの前の答弁よりはちょっと進んだような気がするんです。まだ、今具体的な質問がございましたが、それはもしお許しをいただければ後から先生の方に御説明に行かせていただきたいと思います。  それから、昨日、田中経済企画庁長官から結構興奮ぎみに車から電話がかかってきまして、ビジネスショーを有明でやっておりまして、ちょうど加藤先生と林先生から御質問が出たのを彼は全然答弁なしで横で聞いていたんですけれども、非常に興味を持ちまして見に行ったんだそうです。そうしたら、いわゆるエレクトロニックコマース、それからeキャッシュも含めいろいろな決済方法について、彼はそれを見てかなり興奮して帰ってまいりまして、ともかく私にも見に行けということで、実はけさ行ってまいりました。  先生から御指摘がございますように、一つずつがかなり具体的に前に進んでいるという実態も、やはり御指摘どおりの姿も拝見をいたしてまいりましたので、今日いろいろな形で御心配いただきました点につきましても十分にしっかりこれから対応ができるようにいたしてまいりたいというふうに考えております。
  91. 加藤修一

    加藤修一君 ただいまの御答弁は積極的な内容を含む答弁であったように思います。  そういった意味で、公募だけのプロジェクトの内容にかかわらず、さらにeキャッシュ型の電子マネーについても踏み込んだ形でプロジェクトの中で検討していく、そういうふうに理解してよろしいでしょうか。
  92. 塚原俊平

    ○国務大臣(塚原俊平君) 御趣旨のとおりで結構でございます。
  93. 加藤修一

    加藤修一君 さまざまな政策のリスクということが当然いろんな面であると思いますので、そういったリスク分散のこともお考えになっていただいて、やはり国益を損じないような形での政策の展開、さらに具体的なプロジェクトの推進ということを期待申し上げて、私の質問とさせていただきます。  以上です。
  94. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 社会民主党の齋藤勁でございます。  一番最初に、大臣に聞く予定ではなかったんですけれども、ちょっと一点お伺いしたいんです。  訪問販売等に関する法律の立法の趣旨でございますが、先ほど両平田議員の御質問で、消費者サイドに立つのか事業者サイドに立つか、そしてまた「あまから問答」で、通産省は今度の法改正についてはそんなにおくれていないということで、いやちょっと言い過ぎたのかなという反省のお言葉もございました。私は、今度の法案の上程につきましては素早くは対応していないよ、むしろ遅過ぎたというふうに言わざるを得ない。しかし、法改正に至りました御努力につきましてはもちろん多としたいと思います。  元来、この訪問販売法は、言うまでもないと思うんですけれども、行為規制法であるけれども、悪質なマルチ商法を実質的に禁止するという目的で制定された法律であるということが、法の最初のときの審議あるいはたびたびの法改正の審議のときに通産当局からもこのことをきちんと実は明確にされているわけなんです。  ですから、両サイドに立つかどうかということは別にいたしまして、この立法の趣旨、悪質なマルチ商法を実質的に禁止するという目的なんだということについて、これは衆議院でもお答えいただいているというふうに思いますけれども、再度、本院でも大臣の方からお答えをいただければというふうに思います。
  95. 塚原俊平

    ○国務大臣(塚原俊平君) マルチに関する部分の立法趣旨といたしましては、悪質なマルチ商法を全面的に禁止をいたしますと、法制的理由により脱法行為を許すことになって適当ではございませんが、悪質なマルチ商法を実質的に禁止するという立法当時からの考え方は今後とも変更しないし、その考え方に立っているということでございます。
  96. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 前回の法改正のときも悪質なマルチ商法を実質的に禁止をする目的であるということについて確認をされておりまして、再度私も提起をさせていただいて、今答弁も大臣からいただきました。  たびたび既に各委員方々から御指摘をし、あるいは通産当局からも資料をいただいているとおり、被害が減少するどころか、いずれにしろ警察当局の御奮闘があって九三年、九四年というのは非常に一生懸命仕事をしていただきまして摘発が多く上がったと。ところが、年に数千件もの被害が全国の消費生活センターに届けられているという、こういう実態でございます。ですから、届け出背景には、私は水面下で数倍からあるいは数十倍もあるんではないかというふうに推察せざるを得ません。  警察庁、御出席いただいておりますけれども、よく摘発にまさる啓発はなし、こういうような言葉があろうかと思います。今回の法改正に当たりまして、ぜひ警察の努力にこれから大いに期待をしたいというふうに思いますけれども、現行法に比べてより摘発が可能であるのかどうか、その点についてのお考え方を伺いたいと思います。
  97. 園田一裕

    説明員(園田一裕君) お答えいたします。  今回の改正によって摘発がやりやすくなるかというような御質問でございますが、ただいま委員の御発言にもございましたとおり、警察といたしましては、特に連鎖販売取引に係る事犯につきましてはこれまで重点的に取り締まりを行ってきたところであります。  しかしながら、この連鎖販売取引につきましては実際に勧誘を行っている者の行為が規制対象となっていないという場合が多くて、訪問販売法違反を問うためには、統括者あるいは勧誘者との関係等、当該連鎖販売業の組織の実態まで解明する必要があるということで、捜査が長期化あるいは極めて難しくなっておるところでございます。  ただ、捜査がやりやすくなるかどうかにつきましては、個々具体的な事実関係によって異なりますので一概には申せないわけでありますけれども、今回の改正によりまして、連鎖販売取引につきましては禁止行為等の対象者の範囲が拡大されるということでございますので、今後はこれらの規定に従った取り締まりを行うことができるものと考えております。  いずれにいたしましても、警察といたしましては、今回の改正の趣旨を踏まえまして、消費者被害の未然防止と拡大の防止という観点から、法令に違反する悪質な行為に対しましては、関係機関と緊密な連携をとりながらこの早期把握に努めるとともに、厳正かつ的確な取り締まりを行ってまいりたいと考えております。  また、消費者がこれらの事犯の被害に遭わないためのきめ細かな広報啓発活動というものに対しましても積極的に推進してまいりたいと考えております。
  98. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 通産省にお伺いをいたします。  十二条の禁止行為、重要事項の告知義務でございます。これも繰り返し述べられているわけでございますけれども、この十二条というのは禁止行為を定めております。中でも重要事項について不実の告知をする、うそを言うということでございますけれども、一年以下の懲役または百万円以下の罰金という刑事罰で担保されております。  私は、したがってこの法文が十分働けば大いにやはり抑止力になるというふうに思います。これまでは重要事項の何なんだということについては明確でなかったわけでありまして、商品、特定負担、特定利益に関する事項等が法律に書き込まれたということになったわけだというふうに思います。  そこで、そのほか「連鎖販売業に関する事項であって、連鎖販売取引の相手方の判断に影響を及ぼすこととなる重要なもの」、こういう記載がございます。これは具体的にどのようなことを想定しているのかということをお尋ねしたいと思います。  私は、そういう意味では今回法律に重要事項とは何たるかということが明確になったというふうに指摘させていただいておりますけれども、改めてこの十二条の理由そしてまた効果、そして後段申し上げました「重要なもの」ということについて、何を指しているかについてお尋ねさせていただきたいと思います。
  99. 大宮正

    政府委員大宮正君) ただいま先生から御質問ございましたように、現行法の第十二条におきましては何が重要事項であるかは必ずしも法文上明確でございませんで、取り締まりが有効に行えないという警察御当局からの御指摘も受けたことを踏まえまして、重要事項に該当するものをできるだけ具体的に列記して構成要件を明確化することとしたものでございます。  その具体的内容といたしましては、商品の種類及びその性能等、または権利もしくは役務の種類及びこれらの内容に関する事項、特定負担に関する事項、当該契約の解除に関する事項、特定利益に関する事項などでございます。  また、第十二条第一項第五号の内容でございますけれども、この「重要なもの」の解釈は、具体的な事例に即して判断すべき問題でございますけれども、概括的には取引をするための意思決定の要素になるような事項を言う、こういうふうに理解をしております。  具体的には、故意に事実を告げない行為については、相手方が当該事実を知らずに取引を行うことがその者にとって不利になる事項が重要なものでございまして、例えば統括者等の経営が破綻に瀕している場合に、財産状況等を告げないことなどがその対象となることを考えています。  それから、一連の連鎖販売業の加盟者数、段階数、各段階における収支の状況等については、必ずしもそのことを知らずに取引を行うことが不利になるということは言えないわけでございまして、それを告げないことが直ちに本条違反になるものではないと考えています。  また、不実のことを告げる行為につきましては、これはいわゆるうそをつくわけでございますから、重要な事項の範囲は故意に事実を告げない行為に比しましてより広くなるわけでございまして、例えば連鎖販売業の事業規模、組織の構成等につきまして不実のことを告げた場合には一般的に違法行為になると考えておるため、こういった旨を解釈通達等において明確化していく考えでございます。
  100. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 言ってみれば、この「重要なもの」というくだりなんでございますけれども消費者側にとりまして重要なものということについては、もしそれを聞いていたら組織にいわゆる入会をしなかっただろうという、そういう内容になるというふうに私は思いますね。あなたをとにかく誘っておりますよ、この組織はマルチ商法をやっているんですよ、もうかるのは組織のごくわずかな人なんだと。その率は二、三%以下であって、ピラミッド型の組織ですからこういうクラスにはどういう地位があって、その地位には何人がいてどれだけの収入があるかということ、地位が上がることについてどれだけの勧誘で上がって、全員がもうかるということはないんだと、場合によっては人間関係が壊れていくという、ありていに言えば消費者にとっての真実というのはそういうことだというふうに私は思います。  こういう大きなリスクが伴うんだということが私は何よりも一番重要なことだというふうに思います。そういった意味でこの十四条書面、先ほど来も議論がございましたけれども、十四条書面にはこういったことなんかもやっぱり記載されるべきではないかというふうに私は思いますけれども、いかがでしょうか。
  101. 大宮正

    政府委員大宮正君) 訪問販売法の十四条は、消費者が参加する連鎖販売業の概要や契約内容について不明確であるために消費者が不利益をこうむるという被害を防止するために、事業者に対し連鎖販売業の概要について記載した書面、契約の内容を明らかにする書面の交付を義務づけておるわけでございます。  したがいまして、連鎖販売業や契約内容と無関係の事項についてまで書面記載事項とすることは、規制の最小限化、契約自由の原則に基づく一般の商取引のバランスも考慮すると必ずしも適当ではないのではないか、こういうふうに考えているわけでございます。  このような事情や被害実態等を踏まえた上で、消費者保護を図るという観点からは、その取引が例えば連鎖販売取引である旨を書面記載事項としても、それ自体については連鎖販売業の概要、契約内容との関係で必ずしも客観的に見て意味のあることではないということに考えております。むしろ、これは単なる名称でございまして、例えば、今先生おっしゃった中に連鎖販売業であるということを書かせたらどうかということも入っているかと思いますけれども、我々としても、中身がどういうものかということを書かせることによって、ここに書いてあります特定利益の問題、特定負担の問題を書かせることによってそういった消費者に対する情報を提供して、消費者との情報ギャップといいますかそういったものを埋めていきたい、こういうふうに考えているわけでございます。
  102. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 ちょっと角度を変えて、十二条違反についてお伺いしたいんですけれども、現行法では組織のトップクラスのみが被疑者対象となっていますけれども、今度の改正案では組織の全構成員が被疑者対象となっております。となると、末端の組織の加盟者というのは、余りよくわからないというそんな理解の状態のままで上位クラスの人の言いなりにいわゆる不実の告知をする、つまりうそをついてしまうかもしれない。  その場合、この罪の度合いでございますけれども、私が思うには上位のクラスの人の方が当然罪が重いんではないか、そしてまた、この全体的なシステムをつくった会社の幹部の責任というのは非常に重いんじゃないかというふうに私は思うんですけれども、いかがでございましょうか。
  103. 大宮正

    政府委員大宮正君) これは法律のいわば考え方といいますか構成要件の問題といいますか、実は法のもとの平等という観点からは、同一の構成要件に該当する行為を行った者に対しましては、その身分により法文上の罰則に差異を設けることは法制上なかなか難しい、こういうふうに考えてございます。したがって、連鎖販売取引につきましても、違反行為に対する罰則につきましては、法文上その上限はいわゆる統括者もあるいはいわゆる連鎖販売業を行う者も同じものとなっております。  ただ、実際の司法の場におきましては、違反行為の違法性、有責性の度合いの差異を背景に、組織の上位の者は、上位者である統括者とか勧誘者以外の連鎖販売業を行う者よりも重く罰せられる、上位者の方がいわゆる下位の連鎖販売業を行う者よりも重く罰せられるということが多いと考えられますけれども、いずれにせよ、量刑において対応が図られるべき問題である、こういうふうに認識しております。
  104. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 世にあるほとんどのマルチ業者でございますけれども、みずからの商法をマルチ商法だ、連鎖販売取引だと認めないで、逆にいろんな名前を使って、システム販売とか消費者流通還元システムとか、こういうふうに実は称しているようでございます。私は、これは明らかに法第十二条違反の不実の告知というふうに言えるんではないかなというふうに思いますが、こういうケースは不実の告知ではないでしょうか。いかがですか。
  105. 大宮正

    政府委員大宮正君) 私ども、十四条で、連鎖販売業におきましても訪問販売その他と同じく、これは御承知のように契約内容の概要を相手方に書面をもって交付するということにしておりまして、この法律の中でその記載事項について、先ほどちょっと省令の中身を御紹介しましたけれども、その事業者の氏名なり、商品の種類なり、あるいは特定利益、特定負担に関すること等を記載することにしております。そういう記載事項に反しているかどうか、そういったことで判断をするわけでございまして、そこに例えば連鎖販売業であるということが書いてないとそれが直ちに不実の告知になるということではちょっとないんじゃないかなということで考えております。
  106. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 そこで、社団法人日本訪問販売協会の理事をされている会社でございますけれども日本アムウェイという会社がございます。この会社は、みずからの商法をマルチ商法とも連鎖販売取引業者とも認めていないようでございます。この日本アムウェイは法第十一条に定義された連鎖販売取引業者であるのかないのかということ、このことは、過ぐる九一年に我が党の岡崎トミ子議員が衆議院の特別委員会で一度指摘をしたことがございます。そのときに通産当局は、具体的な取引の実態によっては連鎖販売取引に該当する、こう答弁をされております。  ごく最近、「東京地方裁判所が「アムウェイのビジネスはマルチ(まがい)商法」と」、実はこういう内容のものが出されております。山岡さんという方が「アムウェイ商法を告発する」という本を出版されておりまして、他方、今度この告発をされた会社の方が名誉棄損だということを理由に出版の差しとめを東京地裁にした。  昨年十二月の末に東京地裁からは、連鎖販売取引に該当すると。このアムウェイのビジネスというのは、「新規加盟者を増やさなければ組織を拡大させることができず、加盟者の収入を増やすことができないのに、新規加盟者を増やすことには限界があるため早晩行き詰まるという内在的問題がある」のだと。「ディストリビューターが実際に行っている販売活動は、具体的な取引の実態によっては、訪問販売法に言う連鎖販売取引に該当する場合があるものと言わざるを得ず、また、該当しない場合であっても、これにきわめて類似した取引であることは否定できない」と。アムウェイの販売活動をマルチまがい商法である、こう論じて、一応出版されていることについては真実であると認めざるを得ない、正当な言論活動である、こう結論づけております。  ただ、即刻高裁に即時抗告を行っています。ですから係争中であるわけでございます。私は、マルチ商法ではない、連鎖販売取引業者でないということを主張し続けて係争しているわけですけれども、極めて問題である。そして、明らかにマルチ商法を展開しても、十一条の連鎖販売取引の定義に当てはまらないと一切が野放しになってしまうということでは、これは幾ら法改正してもたまらないなというような感じでございます。  いずれにしましても、脱法行為を展開している業者に少なくとも通産当局は、私の言うような言い方ができるかどうかは別にしまして、あなた方はマルチ業者だ、マルチ商法業者だ、連鎖販売取引業者であるということで強力に指導し、指摘をして法を遵守させるという、そんなことが私は大切ではないかというふうに思います。  改めて質問させていただきますが、九一年に岡崎トミ子議員が指摘したこの答弁、そして今地裁から高裁に行っておりますけれども、この日本アムウェイにつきまして、通産当局の考え方についてぜひともお聞かせいただきたいと思います。
  107. 大宮正

    政府委員大宮正君) ただいま御指摘のございました現在係争中の事案につきましては、これは司法当局の御判断をまつわけでございまして、私どもとしてコメントは差し控えさせていただきたいと思います。  それから、先生からございましたように、いずれにしても、事業者に対して法律をきちっと遵守していくようにという指導につきましては、これは昨日からもいろいろございますけれども関係業界団体あるいは関係業者を含めまして、私ども、今後とも引き続き強力に指導監督をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  108. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 ごくごく最近、このアムウェイのもう本当に直接の被害者だというふうに思います。ある消費者の方が被害者団体に手紙を出し、そして私はその手紙を拝見させていただきました。ここでは、住所とかそれから氏名とかについてお話しするのはプライバシーもございますからできないんですが、私はたまたま神奈川県に住んでおりますが、神奈川県内のある市の奥様が結果的に自殺未遂をされております。このことにつきましては、国会ですから、公の場でございますから、このことが真実であるかどうかということについて大切だと思いますので、私は持っている資料を実は事前に通産当局にもあるいは御答弁いただいています警察当局にもお渡しをしております。  これは、ことしの二月に、いわゆるDという、ディストリビューターという、こういう担当されている女性がとにかく困って、まず最初に睡眠薬を飲み自殺未遂を図った。それだけの量では死ぬことはなくて、実は翌日台所から出刃包丁を出して両手首をめちゃくちゃに切りつけて自殺を図った。ところが、これでも死に切れず、マンションの上の方から投身自殺を図ったけれども、たまたま外の工事中とかでいろいろ鉄板を敷いていたとかいうことで、それでも死ねず一命を取りとめております。  この家族の方からの投書を私はいただいているわけでございますが、これもずっと述べると、大変な長文の手紙ですから不可能でございますけれども、この家族の方が、一命を取りとめたとき本人に尋ねたときに、おまえは何でこんなことをしてくれたんだと涙ながらに質問をすると、この女性は、お父さんにはやめろと言われた、しかしDDからは、多分上部だと思うんですが、もっとやれと言われるし、仲間のDさんは疑問を出すし、自分がどうしていいかわからなくなってしまったということで、自分の小遣いから、それからついには家計費までということで、もう自縄自縛になったということでしょうか、ともかくこの方の自殺未遂の原因は明確にアムウェイのDということが原因であるということが実は言われております。このことのやりとりを中心にやりたいんですけれども、一応事実であるかどうかということですね。  私が申し上げましたのは神奈川県のF市でございますが、T・Sさんという女性でございますけれども、この書類を事前にお渡しを警察庁にしておりますので、こういう事実があったかどうかということについて把握をされているかということを御答弁いただきたいと思います。
  109. 園田一裕

    説明員(園田一裕君) お答えいたします。  お尋ねの事案でございますけれども、これは神奈川県警察において取り扱った事案であると思います。
  110. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 ただいまの御答弁で神奈川県警で扱っている事案であるということについて聞かさせていただきました。  ここで、御本人のこれからのこともございますから、このことで例えばアムウェイと御本人との関係とか、そして私はそのことについて今質疑を深める用意は現時点ではございません。ただし、九一年の指摘以来、この会社がやはりずっと片方では業績を上げているときも大変な実は被害というのを起こして、そしてついには自殺未遂事件まで起きている。被害者の会等もいろいろあるんですけれども、どうももっと隠された自殺未遂、自殺に至っているということの件数も実は私も聞いております。  そこで、警察庁にお答えいただきたいと思いますけれども、いわゆるマルチ商法、連鎖販売取引、これらについて冒頭、私は今回の法改正で摘発がより広まっていくんですかと、こんなことでお答えいただいていますが、ぜひ厳格にマルチ商法、そして連鎖販売取引業に対して取り締まりをしていただきたいというふうに私は思うんですけれども、その点いかがでございましょうか。
  111. 園田一裕

    説明員(園田一裕君) お答えいたします。  連鎖販売取引に係る事犯に対する警察の対応でございますけれども、警察といたしましては、連鎖販売取引に係る事犯につきましては、これまで重点的に取り締まりを行ってまいったところでありまして、平成五年以降、二十八事件二百名を検挙いたしておるところでございます。この種の取引は、経済取引に疎い若者をターゲットにしまして、詐欺的な文言で勧誘することが多い、あるいは消費者取引の内容を十分に理解しないままに契約を締結しまして不利益をこうむる場合が少なくないということなどから、警察といたしましては、関係行政機関とも連携しながら広報啓発活動を推進いたすとともに、消費者被害の未然防止に努めておるところでありますが、違法行為については厳正に対処してまいる所存でございます。
  112. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 これは意見であり要望ですけれども、私もまだ見ていないんですが、大臣、私も借りてくるつもりでございますけれども、アムウェイのいろいろいわゆるDに対しての宣伝方法ですか、会社の仕組みというんでしょうか、ビデオになっているそうでございます。これをやはりいろんな意味で啓発等に、例えば内部資料としてぜひ私は活用すべきじゃないかと思います。いわゆるマインドコントロール状態になって、実はそういう販売員になっていくということでございます。こういう商法があるんだなということについて、ぜひ研究をしていただくように私は提言をさせていただきたいと思います。  とにかく消費者を大切に行う行政をしていきたいという先ほどの答弁でございました。それから、大宮審議官のいろいろやりとりの中で、この二万円以上の問題でも、これから通達の問題で、特定の負担について、このことについてもいろいろ通達でこのあり方につきましても詰めていきたい、こういうような答弁もありました。  もう時間もちょうどなくなりましたので終わりたいと思いますが、それぞれの答弁をぜひ厳格に進めていただきたいということと、私はこのような痛ましい事件を起こさせないということで、法改正が遅い遅いなんということじゃなくて早く、今改正したら次改正しろということはなかなか言えませんけれども、やっぱりこういう事件を起こさせないためにいつも日々消費者の実態について目を配っていただいて対応していただきたいということを申し上げさせていただきまして、終わりたいと思います。
  113. 山下芳生

    ○山下芳生君 今回の訪問販売法改正は、急増する電話勧誘販売や連鎖販売取引による消費者被害の防止と救済、これを進める点で大変重要な意義を持っていると思います。  そこで、私はこの法改正を真に消費者利益の保護を図るものとするために、幾つかの問題点について質問をいたします。  まず伺いたいのは、体制の問題です。  通産省の資料によりますと、訪問販売通信販売、連鎖販売など特殊販売に関する消費者からの苦情相談件数は九四年度で約十万件、被害の実態というのはこの数十倍、数百万件になるであろうという指摘もあります。ところが、訪問販売法に基づく行政措置の実施は、先ほど議論もありましたけれども、九四年度で見ますと、わずか十一件、しかもその十一件すべて報告聴収で、立入検査、指示、業務停止命令はゼロ件となっております。私は、被害の大きさに比べて法に基づく行政措置が余りにも少ないし、甘いんじゃないかというふうに思うんです。これはやっぱり通産省や都道府県における消費者行政の体制が弱いからじゃないんでしょうか。
  114. 大宮正

    政府委員大宮正君) ただいま御指摘いただきました訪問販売法違反事犯のうち、悪質なものにつきましては、先ほど警察の方からも御説明ありましたけれども経済事犯として警察当局による取り締まりが積極的に行われておりまして、当省としても情報提供、法令照会等を通じた警察当局との密接な連携のもとに、法の厳格な運用の確保に努めているところでございます。  また、訪問販売、連鎖販売取引に係る指示、命令等の行政措置については、都道府県知事にその権限が委任されておるところでございますけれども、都道府県においては、独自に、いわゆる消費者保護条例が整備されておりまして、訪問販売法に基づく行政措置の発動に至る前に、条例に基づき報告徴収、指示等が行われ、対応が図られるケースが多いものと承知しております。なお、このような場合においても、訪問販売法に基づく行政措置が罰則担保となっていることから、これらの条例による対応の大きな後ろ盾として機能しているものと考えております。  こういったのが現在までの行政措置の現状でございますけれども先生から御指摘ございましたように、現在の体制が必ずしも十分ではないんじゃないかという御指摘でございますが、私どもとしましては、政府の中におきましては警察当局あるいは場合によっては司法当局、それから地方自治体、それから通産省は通産局というのが全国で八カ所ございますけれどもそういったところ、それから企画庁あるいは国民生活センター、消費生活センターといった、こういうネットワークを通じて従来こういった消費者保護対策を進めてきておりますし、御指摘のように今回の法改正を踏まえまして、これはいろんな機構、定員の問題、財政上もございますけれども、そういった体制の整備を図っていきたい、こういうふうに考えております。
  115. 山下芳生

    ○山下芳生君 予想どおりの答弁でしたけれども、確かに地方自治体で独自に条例に基づいて行政措置をとっております。私、その数字も聞きました。九四年度、条例に基づく行政措置の実施は、報告徴収が二十七件、立入検査十二件、指示九十六件、計百三十五件となっております。これが全国の地方自治体の一年間の合計なんですね。ですから、十万件に及ぶ相談件数や、あるいはその数十倍、数百万件に及ぶであろう被害の実態から見れば、決して多いとは言えないと。  私、ある自治体の消費生活センターで相談活動をされている方から意見を伺いました。数多くの消費者と直接接していらっしゃる第一線で活動されている方ですが、悪質業者に対してもっと行政が指導をしてほしいが、指導するのも順番待ちみたいになっていて苦情の件数に追いつかないと、こう消費者行政の体制が弱いことを第一線の方が指摘をされておりました。  ですから、通産省が地方自治体などと連絡をとりながら法の厳正な運用に努めるのは当然ですけれども、その連携するべき自治体の方でも悪質業者に対する指導が順番待ちになっているという実態があるわけです。自治体の担当職員の皆さんも大変御苦労されていると思うわけですが、今度、今のまま法改正がされますと、現状の上にさらに電話勧誘販売が新たに規制対象に加わってくるわけですので、私は今の体制のままではせっかく改正される訪問販売法の厳正な運用というのが困難になるんではないかという心配をするわけですけれども、この点で何か対応策をお考えでしょうか。
  116. 大宮正

    政府委員大宮正君) ただいま御指摘のございましたように、現在政府、通産省を初めとして関係省庁、地方自治体、それからいわゆる国民生活センター、消費生活センター、こういった体制、必ずしも先生お話がありましたように十分でないんだという現場の方のお話もあるということでございますけれども、私どもとしては、現在の体制というものを十分に活用しながら、しかもこれは先ほどもちょっと申し上げましたけれども相談員の方の数あるいは地方の担当官の数、私どもの数、これはできればもちろんいろんな意味で拡充強化をしていきたいと思っております。  そういった現行体制の効率化とか、あるいは先ほど申し上げましたように機構の整備というものを通じて、今回の法律改正の内容、それから連鎖販売につきましては、何といいますか、そういう規制の枠を広げましたし、電話勧誘販売についてもむしろそういうツールがはっきりしてきた、法律の制度が明確になったわけでございますから、そういったものを通じて、今までは必ずしも電話勧誘販売でも法律規制がございませんので、どういつだ取り締まりをしていいかどうか、先ほど警察からもお話しありましたように、結局刑法とかそういったもので詐欺罪で処罰しなきゃいけないという形になっておりましたけれども、具体的な規定が明記されたわけでございます。そういった意味で、こういった新しい法改正の手段を通じながら、いわゆる取り締まりの強化あるいは苦情相談に応じていきたい、こういうふうに考えております。
  117. 山下芳生

    ○山下芳生君 体制の強化の問題は、今度新たに規制対象となります電話勧誘販売業界の実態からも、私、強く求められているというふうに思うんです。  通産省の資料によりますと、九五年度電話勧誘販売に関する消費者相談案件のうち、業界団体非加入業者、いわゆるアウトサイダーの占める割合が九九・四%、ほとんどすべてということになっております。この数字というのは、電話勧誘販売に伴う消費者被害を防止する上で、アウトサイダー対策が非常に重要だということを意味しているんだと思うんですね。  通産省としては、このアウトサイダー対策、どう進めるおつもりですか。
  118. 大宮正

    政府委員大宮正君) 今般の電話勧誘販売にかかわる法改正によりまして、通信販売協会の加盟者、非加盟者にかかわりなく法律規制が及ぶところとなっておりまして、当省としては、基本的に本法の厳正な運用を通じて悪質な電話勧誘販売事業者に対応することとしております。  なお、通信販売協会におきましても、毎年、昨日も御説明ございましたけれども、全国九地区において、訪問販売法を周知し、取引の適正化を図るため、アウトサイダーへの説明会を実施しているところでございまして、私どもとしても、引き続き、できるだけこういった通信販売協会に加盟していただくようにということで、いろんな場を通じてPRをしていきたい、こういうふうに考えております。
  119. 山下芳生

    ○山下芳生君 昨日のその参考人質疑で、通信販売協会副会長の石川博康氏から、今おっしゃられた毎年全国九カ所でアウトサイダー説明会をやるなどの協会としての自主的努力をされているということを紹介していただきました。その氏の実践的な体験を通じて得た結論が、悪いやつほどよく逃げるということだと紹介もまたされたわけですね。私、これは本質をとらえた名言だというように思うんです。  結局、社名をころころ変更しながら悪徳商法を繰り返すなどのアウトサイダーへの国家的な対策というのは何だろうか。これは、やっぱり行政の側がアンテナをしっかりと張りめぐらせて、消費者からのいろんな苦情相談が上がったら、それを見過ごさずに直ちに迅速に処理する、そういう体制をやっぱりつくるということがアウトサイダー対策にとって一番効率的な対策じゃないかというふうに思うわけですね。  私、実際に今体制がどうなっているのかということも少し数字を調べてみますと、電話勧誘販売に関する相談件数、これは平成元年、一九八九年に約四千件弱だったわけですが、その後この相談件数が急増いたしまして、平成六年、九四年度には二万二千件と、五年間で約五倍になっております。これは特殊販売全体の相談件数も同時期六万五千件から十万件へふえておりますから、相談件数全体もふえているわけですが、とりわけ電話勧誘相談が急増している。  ところが、この五年間の都道府県の消費者行政担当職員の数の推移を見ますと、全国で平成元年は一千百三十二人だったのが、平成六年、一千八十二人ということになっておりまして、相談件数は五倍になっているのに職員の数はほぼ横ばい、微減ということになっているわけですね。これが実態なんです。ですから、このまま新たに法改正するわけですけれども、それが本当に厳正に運用されるかどうかというのは、やはりこういう体制にもしっかり目をやらなければいけないんじゃないかというふうに思うわけです。  大臣にお伺いしますけれども、提案理由で「取引の公正及び購入者等の利益の保護をさらに図る」とおっしゃいました。その実効を上げるためにも、体制の拡充強化の問題は本当に大事だと思うんです。行政改革といいますと、国や自治体の職員を減らすことであるかのような風潮がありますけれども、私はそれは正しくないと思います。やはり国民の立場から見てむだなものを省いて、そして本当に必要な部署にはきちっと体制をとる、これが真の行政改革だと私は思いますけれども、そういうことも踏まえましてこの体制問題、大臣の見解を伺いたいと思います。
  120. 塚原俊平

    ○国務大臣(塚原俊平君) 政府委員の方からもお答えをいたしましたように、今日までも前の法律がしっかり運用できるように頑張ってきたところでございますが、今回の法律改正を契機にいたしまして一層の消費者保護と取引の適正化に努めてまいる所存でございます。  関係行政機関等とのさらに一層の連携のもとに、迅速な案件処理及び機動的な行政措置の発動のための体制整備に努めてまいりたいと考えております。
  121. 山下芳生

    ○山下芳生君 具体的な問題もよくつかんでいただきたいと思います。  次に、日弁連からも指摘されております電話勧誘販売におけるクーリングオフの起算日について質問をいたします。   これは先ほどからも議論があったところですが、電話勧誘の特質からして、クーリングオフの起算日は、消費者の側が契約の成立あるいはその成立の確認に関する何らかの積極的な行為に出たことをもって起算日とすべきではないかという日弁連の指摘ですけれども、私、これは法改正の趣旨に照らしても非常に重要だと思うんです。通産省がそうすべきでないと主張される理由、先ほどからありましたけれども、もう一回わかりやすく説明していただけますでしょうか。
  122. 大宮正

    政府委員大宮正君) 電話勧誘販売におけるクーリングオフ制度は、訪問販売におけるクーリングオフ制度の趣旨と同様でございまして、電話勧誘を受けた場合に消費者が主体的な意思形成を行いにくいという弊害を除去するために設けられ、すなわち意思形成の過程で瑕疵があったと、その瑕疵を治癒するために設けられる制度でございます。こういった観点からは、消費者がみずからこのような意思形成過程の瑕疵を具体的な契約内容として明確に確認することが可能となる時点、すなわち書面を受領した時点をクーリングオフの起算点とすることとしているわけでございます。  御指摘のように、クーリングオフの起算日を消費者が書面を送り返した日とした場合には、消費者が書面を返送するまではクーリングオフ期間が進行しないために、消費者からいつでも解約の申し出ができ、取引の安定性が著しく害されることとなり不適切である、こういうふうに考えている次第でございます。  また、きのうの参考人質疑でもございましたが、電話勧誘販売の形態を選択する事業者取引のリスクを負うべきではないかという御指摘もあるわけでございますけれども、仮にこのようなリスク負担を事業者に負わせることとした場合には、事業者消費者が書面に署名し返送しない限り商品を送付しないということになるケースもたくさん出てくるわけでございます。この場合に、大半のいわゆる問題のない取引を行っている消費者にとっては、電話による取引の簡易、迅速性というメリットが失われることになりますし、さらに書面の返送という無用の負担を強いることにもなるわけでございます。  また、契約成立の可能性のある言動を行った消費者は、事業者から書面が来た場合に書面の交付に注意を払うことが自己責任との関係からも、ある程度の消費者の責任として文書が来た場合にはちゃんと見る、目を通すということがやはり求められているんじゃなかろうかということでございます。先ほど申し上げましたように、来る書面は単なるダイレクトメールではございませんで、ちゃんと赤い印で枠を囲って、太い字で例えばクーリングオフできますよと書いてあるわけでございますから、そういうことでございます。  したがいまして、こういった議論、実はこれも先ほど申し上げましたけれども、産業構造審議会でいろいろと御議論をいただいた上で現在の法律改正の案のようなことになっておるわけでございます。  なお、先生の御指摘のような御懸念の点もございますので、我々としては、この改正法が施行されますれば、第九条の四の規定により消費者事業者の氏名等を知ることができることになることもあり、電話勧誘を行った事業者からの書面交付には注意をするように今後消費者啓発活動に一層の万全を期してまいりたい、こういうふうに考えております。
  123. 山下芳生

    ○山下芳生君 今の御説明は、やっぱりじっくりと聞きますと、いずれも契約に関する消費者の積極的な行為が前提になっているんじゃないかなというふうに私は思うわけです。つまり、消費者の側が契約したつもりになっているのに書面を送らなかったためにいつまでも商品が来ない、これは商品が欲しい、契約したいという意思がある。また逆に、業者の側が幾ら待っても契約したはずの消費者から書面が来ないというのも、業者の側から電話して確認すれば済むことだし、あるいはそのときに、いや、書面を出さなかったのはうっかりじゃなくてその商品を契約する意思が固まっていなかったからなんだということがわかれば、それでオーケーということになる。  ですから私、そういう消費者の側に積極的な契約の行為があるということを前提にして考えるんじゃなくて、今問題になっているのは、電話勧誘被害の実態は、全く消費者に契約に関する積極的な行為のない場合、契約成立の認識があいまいな場合に発生しているのが今度の電話勧誘被害の実態の大半だと思いますね。  そういうことを考えますと、つまり中心問題ですね、契約にかかわって瑕疵が起こる可能性がある、その瑕疵を治癒するためのクーリングオフ制度であるべきだということに立てば、契約の積極的な行為というものを消費者の側が示した場合を起算日にするということがやはり今回の法改正の趣旨から見ても妥当ではないかなというふうに思うんです。しかし、私はここで、そういう意味では、これからの法の運用についてしっかりそういうことも見ながら対処をしていっていただきたいというふうに思いますが、あくまでこれは消費者の保護のための法改正だということを絶対忘れたらあかぬ。  それで、心配しますのは、先ほど書面に赤い枠をつけて送ってくるとおっしゃいましたけれども、その書面は裸で来るわけじゃないと思うんですね。封筒に入ってくるわけで何の変哲もない、ほかのダイレクトメールと変わらない封筒に入ってきた場合、消費者は認識ができない、契約の認識が薄かったら、それをそのまま廃棄する可能性もやっぱりあると思うんです。ですから、そういうことも検討いただきたいと思うわけですが、いかがでしょうか。
  124. 大宮正

    政府委員大宮正君) 私どもとしましては、いわゆる書面交付ということをこの法律では義務づけておりまして、これはまず今回の電話勧誘販売についての法律規制というのは、これは基本的に消費者保護をする。これは今先生からも御指摘ございましたけれども、仮に電話で私は買いますよと言った場合でも、相手にうまく言いくるめられた、あるいはおどかされたというケースもあると思いますけれども、そういったケースにおいても、これは無条件で八日間のクーリング期間を置く。訪問販売法は民法のいわゆる例外規定でございまして、本来であれば民法の一般則、商法の一般則に基づきまして、要するに例えば詐欺、脅迫の取り消しとかあるいは公序良俗違反の無効といった方法がございますけれども消費者保護という立場から、一定の場合にこういった消費者保護のための特例を認めておる、こういう前提でございます。  それで、私どもお話しありましたその封筒の話でございますが、そこまでは私どもこの法律事業者義務づけてはおりませんけれども、いわゆる書面にはきちっと一定の事項を記載し、それでその字の大きさとかあるいは色についても、先ほどちょっとありましたように、これは通達等でちゃんと規定をして、消費者が封筒が来て、またこれはあけないんじゃないかというところまで議論しますと、これはなかなかいろんなケースが出てくるわけでございまして、私どもとしては、そういった法律規制を実施することによって消費者の利益を保護していきたいということを考えておる次第でございます。
  125. 山下芳生

    ○山下芳生君 あくまでも、悪質業者の利益を間違っても保護するんじゃなくて、消費者の利益を保護するような立場で法の運用を厳正に行っていただきたいし、問題が生じましたら、これは直ちに改善するということも行っていただきたいということを要望いたしまして、終わります。
  126. 小島慶三

    ○小島慶三君 私、この問題、いろいろ考えてみまして、何か三本柱というか三点セットというか、そういうものがあると思うんです。  一つは、国の意思としての法律。これはやはり事業者消費者の間の接点をどこに求めるかということが最重要課題であろうというふうに思います。それから二番目は、事業者のモラルだと思うんです。これは相当大きなウエートを占める。それから三番目には、やはり消費者の意識というか認識というか、消費者の自覚といいますか、そのレベルの問題であろうというふうに思うんです。したがって、モラルが低いし消費者の認識が低いという場合には、やはり法律としてはかなり前に出ないといけないということが私あると思うんです。そういう点からいろいろ見ていきますと、今回の改正はかなりいろいろな点でそういった面の改正がなされておりまして、私大変これを高く評価するものであります。  ただ、二つだけ残念なことがあります。その一つは、先ほどから平田健二さんのお話にもありましたし、要するに一番問題になっているのは、やはり何といいましても連鎖販売に関する問題ではないかというふうに私は思うんです。この点につきましては、この連鎖販売というのは、その投機性というか、詐欺性というかあるいは射幸性というか、そういう点から見て国民経済的にも好ましくないというふうに思うのでございますが、この点はやはりできるだけ早く法改正お願いしたいというふうにこれはお願いだけしておきます。早ければ早いだけいいというふうに私思うのでございます。  それから次に、電話勧誘による取引という問題なんですけれども、これは一番の被害者は家庭にいる女性だと思うんです。とにかく電話は長いし、しつこいし、不快感が与えられるし、電話を切ればまたかかってくる、そしてなぜ切ったといってどなる。とにかくもう黙ってこれを聞いていると本当にノイローゼになりそうな、そういう話が非常に多い。それから、これは何とかならないかというので、私の家内ですけれども、警察に駆け込んだ、ところが警察の方では全く取り合ってくれない。仮に、これがどういう法体系によってあれされるかわかりませんが、軽犯罪法といったようなものでこれは処理ができないものかどうか、こういう点について、警察庁おられますね、教えていただきたいと思います。
  127. 園田一裕

    説明員(園田一裕君) お答えいたします。  この電話勧誘による販売の形態、これはいろいろなケースがありまして、どういう法令に当たるとか一概にはちょっと申せませんけれども、この電話勧誘による資格商法に係る事犯の取り締まりに当たりましては、あらゆる法令の適用を検討してまいっておるところでございます。その結果、これまで軽犯罪法を適用した例というのはございませんが、刑法の詐欺罪それから恐喝罪のほかに行政書士法違反でも検挙をいたしておるところでございます。
  128. 小島慶三

    ○小島慶三君 ありがとうございました。そういう形でも法律をバックアップするような意味で警察の方の御努力をぜひお願いしたいというふうに思います。  それで、電話勧誘による取引の問題ですけれども、これは従来の商品取引からいわばクローズアップされて出てきた体系だと思うんですが、そういう意味でこの電話取引勧誘というものが必ずしもはっきりしない。商品取引なのか、それともそうでないのかという、その辺のカテゴリーがかなりはっきりしないという面があると思うんですけれども、これについてはいかがでございましょうか。
  129. 大宮正

    政府委員大宮正君) ただいま小島先生からも御指摘ございましたように、電話勧誘販売という場合に、原則として事業者電話をかけて勧誘を行うことに着目した法律体系でございまして、この勧誘の解釈を明確にすることは大変重要な事柄であるというふうに私ども考えております。  ここで勧誘とは、一言で申しますと、事業者が購入者等の契約締結の意思の形成に影響を与える程度の進め方ということで、法律的にはそういう説明になるわけでございますけれども、これは電話勧誘販売だけではなくて、いわゆる訪問販売でも勧誘というのは法律に書いてございまして、具体的には、これはケースによってまたいろいろと判断する場合があると思いますけれども、例えば新製品の○○はいかがですかとか、あるいは定期講読の契約期限が間もなく切れますが引き続き御講読をお願いしますといったようなことは、これは勧誘に当たるだろうと思います。  それから一方、例えばことしの流行はブルーが流行カラーになっております、あるいは商品のカタログを送りましたがもう着きましたかというような、単なる情報提供や紹介というのは勧誘とは認められないというふうに考えておりまして、今後、こういった勧誘はどこまでが勧誘でどこまでが勧誘でないかというのはなかなかいろんな難しい問題がございますけれども、通達等によって解釈の周知徹底を図ってまいりたい、こういうふうに考えております。
  130. 小島慶三

    ○小島慶三君 例えば、まず事前にダイレクトメールとかそういった資料あるいは広告が送られる、その広告を見て消費者の方が自分の方から注文といったような電話をかける、それから勧誘が行われるというケースがあると思うんですけれども、こういうケースは一体この法律による勧誘になるんですか、ならないんですか。
  131. 大宮正

    政府委員大宮正君) 電話勧誘販売につきましては、事前にダイレクトメール等を送付した後に事業者から電話勧誘を行い、契約締結を迫るというケースにかかわる消費者相談が相当多数寄せられているところでございまして、これは今般の訪問販売法改正によりまして、このような電話勧誘販売につきましても消費者保護のための諸規定を設けることとしておるところでございます。これは、先ほどございましたが、電話をかけて行う勧誘の不意打ち性とかあるいは相手の顔が見えない、あるいは電話をかけやすいといった、そういった特性によりまして、消費者の契約締結についての意思形成の過程に瑕疵が生じやすい点に着目して規制をする、こういうことでございます。  一方、例えばダイレクトメール等の広告等によって消費者が商品に何らかの興味を持った上で主体的に事業者にアプローチしていくというケースでございますけれども、こういったケースにつきましては、消費者にとっては電話による不意打ち性等の特性に基づく意思形成過程の瑕疵が生じたということはなかなか言いにくいわけでございまして、こういったケースまで電話勧誘販売に含めて書面交付、クーリングオフ等の規制にかかわらしめることは、いたずらに電話による簡易迅速な取引を制限することになると考えておるところでございまして、このような取引は原則として電話勧誘販売の定義には含めず、従来どおり通信販売として位置づけているところでございます。
  132. 小島慶三

    ○小島慶三君 そういうふうなケースが電話勧誘販売制度に含まれないということになりますと、非常にたちの悪い事業者がありまして、あなたは何々で当せんしましたとか、そういうふうなことを消費者の方に言ってくる。商品の広告なんかは一切行わずにそういうことを言ってくるという例があるというわけなのでありますが、お電話いただければすてきな商品を差し上げますよと言葉上手にそういうことを言われると、ついこれに乗るというふうな話が出てくると思うんですけれども、こういう点についてはどういうふうにお考えになりますか。
  133. 大宮正

    政府委員大宮正君) 御指摘のようなケースにつきましては、実は従来、訪問販売の分野におきましてもアポイントメントセールスと称しておりまして、例えばあなたは指名されました、あるいは当せんしましたよと言って誘い込んで物を売るというのがございまして、こういったものについては昭和六十三年の法改正時に訪問販売法の定義に含めることとしたものでございます。  これまで電話勧誘販売の分野において御指摘のようなケースの被害実態が生じていることは承知しておりませんけれども、これまでの訪問販売にかかわる被害実態にかんがみれば、悪質な事業者が、今先生から御指摘のあったような脱法のためにそのような手口を用いる可能性は存在するというふうに考えております。したがいまして、今般の電話勧誘販売の定義におきまして、これは法律の第二条の第三項でございますけれども、「電話をかけ又は政令で定める方法により電話をかけさせ、」という部分の政令では、このようなアポイントセールス型の行為を規定する予定でございまして、脱法防止措置を講ずることとしているところでございます。具体的政令案につきましては、今後実態をさらに精査して定めることとしております。
  134. 小島慶三

    ○小島慶三君 この電話勧誘販売の定義の一つの大きな問題点というか、これはやっぱり事業者勧誘という言葉が非常にはっきりしないということがあるのではないか。例えばカタログの到着確認とかあるいは開店の案内とか、そういったことで電話をかけるということがあると思うんですけれども、それも勧誘になるのかどうか、この点はいかがでしょうか。
  135. 大宮正

    政府委員大宮正君) 私ども、今先生から御指摘ございましたカタログを送りましたとかあるいはお店が開きましたよというだけでは、これはいわゆる電話勧誘に当たらないというふうに考えております。
  136. 小島慶三

    ○小島慶三君 それから次に、最近の電話勧誘販売に係る被害の実態というものを見ますと、事業者電話勧誘を行った後で書面を送りつけて署名捺印を迫る、こういうケースがかなりあるようであります。そういった場合には電話勧誘ということになるのかどうか、この点はいかがでしょうか。
  137. 大宮正

    政府委員大宮正君) 御指摘のとおり、電話勧誘販売につきましては、事業者電話勧誘を行った際に消費者からあいまいな返事を引き出しておきまして、その後契約書を送付し既に契約は成立しているものとして消費者に署名捺印を迫り契約を確定させてしまうというような消費者相談が多く寄せられているところでございます。  こうした被害実態にかんがみまして、電話勧誘販売の定義につきましては、事業者電話をかけて行う勧誘により消費者が申し込み等を行った場合を対象とすることとしておりまして、事業者がかけたその電話において消費者が購入の申し込み等を行った場合だけではなくて、一たん消費者電話を切った後に郵便等により申し込み等を行った場合であっても、その事業者電話勧誘と申し込み等との間に因果関係が存在すると認められれば電話勧誘販売の対象とするということにしているところでございます。  実態的に因果関係が存在するか否かの認定につきましては、具体的な事業者勧誘の対応、頻度等を踏まえた個別のケースによって異なると考えられまして、今後消費生活センター等とも連携をとりながら具体的事例の蓄積を図りつつ、法の円滑な運用に努めてまいりたい、こういうふうに考えております。
  138. 小島慶三

    ○小島慶三君 とにかく我々が平常使う勧誘という言葉とこの法律に言われる勧誘というのは、ケースによってはかなり難しいかかわり合いが出てくるということで、私はこの問題についての実際の運用がかなり難しいんじゃないかと思うんですけれども、そういう点から見ますと、さっき言ったような実際の被害が相当大きなものがあるということから見て、このシステムも先送りしたらどうかという感じがないわけではないんです。  例えば一定の時間、女性が家庭で仕事をする、例えば夜の炊事の時間とかあるいは早朝とか、こういった時間帯はこういうことをやってはいけないというぐらいの禁止規定が入れないものか。それから、例えば職場に電話をかけてくる、これは日弁連のあれにもありますが、職場に電話をかけてくるというのは、これも仕事をしている方としては大変にぐあいが悪いということがあると思うんですけれども、そういう点は禁止する、例示的禁止というふうな形がとれないものか、この点はいかがでしょうか。
  139. 大宮正

    政府委員大宮正君) まず第一点の、例えば深夜、早朝における電話勧誘でございますけれども、これはそれ自体が消費者に非常に不快の念を抱かせるものでございまして、一般的に行われているものではございませんで、被害実態もそれほど多くないというふうに認識しております。そういうこととは別に、嫌がらせとかあるいは無言電話といったようなものは別でございますけれども、いわゆる商売を本当にやろうという方がそういう時間帯にやるのは余り被害が多くない、こういうふうに認識している次第でございます。  また、最近の国民の生活様式が多様化しておりまして、生活時間が深夜、早朝に及ぶ場合もございますので、一律に電話勧誘禁止するべき具体的な時間を法律で設定することは、これは難しいのではなかろうか、こういうふうに考えております。  このため、私ども、この法律の体系におきましては、迷惑を覚えさせる仕方での勧誘を行ったような場合等を主務大臣の指示の対象行為といたしまして相手方を困惑させること等を規制し、深夜、早朝電話勧誘についても、個々の事例に即して、その時間帯に電話をすることがその消費者にとって迷惑となるか否かということの認定を柔軟に行うことにより対応したい、こういうふうに考えております。  それからもう一つ、職場への電話勧誘に係るトラブルでございますけれども、職場への電話勧誘自体による問題点というよりは、むしろ職場への電話勧誘を執拗に行って消費者が断りにくい状況をつくるという勧誘方法に起因するものでございまして、したがって、今般、契約締結拒否者への継続勧誘、再勧誘禁止するとともに、個々の勧誘行為の不適切性を法規制により排除することとしたものでございます。  また、電話勧誘を従業員が受けるべきか否かにつきましては、事業者の職場管理の問題でございまして、必要に応じ事業者は従業員にその是非を指示すべきもので、国が法律によって一律に禁止することは適当ではない、こういうふうに考えております。
  140. 小島慶三

    ○小島慶三君 とにかく、今伺いましたところでもわかりますように、具体的なケースというのはかなり込み入ったものがあるというふうに私思っておるわけであります。それを一つ一つ裁いていくというためには、この法律運用の面でかなりの配慮が要るということだろうと思いますので、その辺は後いろいろ御苦心をいただきまして、できるだけこれは消費者にとってプラスになるような形で運用されるということをぜひお願いしたいと思います。  私ども、先般PL法というのをつくらせていただきましたけれども、これもそうなんですけれども、全くそういった意味で国の法律的な意思のあらわし方をどこに持っていきということだけじゃなくて、もう一つやっぱり実施の面で、実行の面でこれが適切に運用されるようにぜひお願いいたしまして、私の質問をこれで終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。
  141. 沓掛哲男

    委員長沓掛哲男君) 他に御発言もないようですから、本案の質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。——別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  訪問販売等に関する法律及び通商産業省設置法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  142. 沓掛哲男

    委員長沓掛哲男君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  荒木清寛君から発言を求められておりますので、これを許します。荒木君。
  143. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 私は、ただいま可決されました訪問販売等に関する法律及び通商産業省設置法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、平成会、社会民主党・護憲連合、日本共産党及び新緑風会の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     訪問販売等に関する法律及び通商産業省     設置法の一部を改正する法律案に対する     附帯決議(案)   政府は、本法施行に当たり、次の諸点につい  て適切な措置を講ずべきである。  一 消費者に対し、今回の法改正の内容の周知   徹底、悪質商法に係る情報提供の充実に努め   るとともに、特に若年層に被害が多発してい   る現状にかんがみ、学校における消費者教育   の充実を図ること等により、消費者被害の未   然防止に努めること。  二 消費者被害の拡大防止に万全を期するため   に、地方自治体の消費生活センター並びに国   民生活センターとの連携強化を図るととも   に、機動的な行政措置発動のための体制を強   化すること。  三 電話勧誘販売事業者等の事業活動の一層の   適正化を図るため、業界団体等に対し、自主   ルールの策定ないしその遵守の徹底に努める   よう指導すること。  四 連鎖販売取引に係る定義については、通達   等によりその明確化を図り、悪質な事業者の   根絶に向けて、法を厳格に運用し、取締りを   強化すること。  五 パソコン通信等による取引の進展が予想さ   れるなかで、新しい形態の消費者被害が多発   することのないように、動向を的確に把握す   るとともに、必要な場合には、消費者被害防   止対策を迅速に講ずること。  六 消費者ニーズの多様化に対応して創出され   る様々な新規産業が、我が国経済の活性化に   寄与するものとして健全に発展するよう留意   すること。   右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  144. 沓掛哲男

    委員長沓掛哲男君) ただいま荒木君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  145. 沓掛哲男

    委員長沓掛哲男君) 全会一致と認めます。よって、荒木君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、塚原通商産業大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。塚原通商産業大臣
  146. 塚原俊平

    ○国務大臣(塚原俊平君) ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その御趣旨を十分に尊重して本法案の適切な実施に努めてまいる所存であります。
  147. 沓掛哲男

    委員長沓掛哲男君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  148. 沓掛哲男

    委員長沓掛哲男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時二十三分散会