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1996-03-28 第136回国会 参議院 商工委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年三月二十八日(木曜日)    午後二時開会     —————————————    委員異動  三月十三日     辞任         補欠選任      釜本 邦茂君     斎藤 文夫君      林  芳正君     浦田  勝君      上山 和人君     久保  亘君  三月十四日     辞任         補欠選任      浦田  勝君     保坂 三蔵君      平田 耕一君     釜本 邦茂君      藁科 滿治君     角田 義一君  三月十五日     辞任         補欠選任      釜本 邦茂君     平田 耕一君      保坂 三蔵君     林  芳正君      角田 義一君     藁科 滿治君  三月二十七日     辞任         補欠選任      久保  亘君     萱野  茂君      藁科 滿治君     齋藤  勁君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         沓掛 哲男君     理 事                 加藤 紀文君                 久世 公堯君                 荒木 清寛君                 前川 忠夫君     委 員                 斎藤 文夫君                 坂野重信君                 中曽根弘文君                 野間  赳君                 林  芳正君                 平田 耕一君                 加藤 修一君                 長谷川 清君                 平田 健二君                 萱野  茂君                 齋藤  勁君                 山下 芳生君                 小島 慶三君    国務大臣        通商産業大臣   塚原 俊平君    政府委員        通商産業大臣官        房長       中川 勝弘君        通商産業大臣官        房総務審議官   白川  進君        通商産業省環境        立地局長     鈴木 孝男君        資源エネルギー        庁長官      江崎  格君        資源エネルギー        庁石油部長    河野 博文君        資源エネルギー        庁石炭部長    佐瀬 正敬君        資源エネルギー        庁公益事業部長  太田信一郎君    事務局側        常任委員会専門        員        里田 武臣君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○高圧ガス取締法及び液化石油ガス保安確保  及び取引適正化に関する法律の一部を改正す  る法律案内閣提出衆議院送付) ○石炭鉱害賠償等臨時措置法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 沓掛哲男

    委員長沓掛哲男君) ただいまから商工委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨二十七日、久保亘君及び藁科滿治君が委員辞任され、その補欠として萱野茂君及び齋藤勁君が選任されました。     —————————————
  3. 沓掛哲男

    委員長沓掛哲男君) 高圧ガス取締法及び液化石油ガス保安確保及び取引適正化に関する法律の一部を改正する法律案及び石炭鉱害賠償等臨時措置法の一部を改正する法律案を便宜一括して議題といたします。  まず、政府から順次趣旨説明を聴取いたします。塚原通商産業大臣
  4. 塚原俊平

    国務大臣塚原俊平君) 初めに、高圧ガス取締法及び液化石油ガス保安確保及び取引適正化に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨の御説明を申し上げます。  近時の高圧ガス保安状況を顧みますと、保安技術の進歩及び事業者自主保安活動への積極的な取り組み等により、保安水準が飛躍的に向上してきております。また、液化石油ガス等高圧ガス供給形態につきましても、事業活動多様化消費者志向変化等に伴い、大きく変化してきているところであります。  このような状況の中で、政府といたしましては、高圧ガス保安を合理的かつ効率的に確保する等のため、本法律案提出した次第であります。  次に、本法律案要旨を御説明申し上げます。  第一に、高圧ガス取締法改正であります。  その改正の第一点は、事業者による自主保安活動を一層促進するため、現在、行政庁等が実施している完成検査保安検査等について、高度な保安体制を有する事業者がみずから行うこと等を認めることであります。  第二点は、実効ある規制体系構築のため、流通形態変化技術進展等を踏まえて製造、販売及び貯蔵所に係る規制を見直すとともに、国際化への対応等のための所要措置を講ずることであります。  第三点は、高圧ガス保安確保における事業者自主保安重要性にかんがみ、名称を「高圧ガス保安法」に改めることであります。  第二に、液化石油ガス保安確保及び取引適正化に関する法律改正であります。  その改正の第一点は、液化石油ガスを消費する一般消費者保安を的確に確保するため、これらの一般消費者等についての保安業務を実際に行う者を保安機関として認定する制度を新たに設け、あわせて販売事業に係る許可制登録制に改めることであります。  第二点は、事業者による自主保安活動を一層促進するため、高度な保安体制を有する事業者に対しては、その保安体制に応じて保安に係る調査点検等の義務を軽減することであります。  第三点は、消費者への情報開示の充実を図ることであります。  なお、消費地にあらかじめ設置された貯蔵設備充てん設備から直接ガス充てんを行ういわゆるバルク供給システムに関し両法の適用関係を整理するごとといたしております。  以上がこの法律案提案理由及びその要旨であります。  何とぞ、慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願いを申し上げます。  続きまして、石炭鉱害賠償等臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨の御説明を申し上げます。  行政減量化を図り、鉱害復旧事業法期限である平成十三年度末までに終結させる体制を強化するとの観点から、石炭鉱害事業団と新エネルギー産業技術総合開発機構を統合するため、今回、石炭鉱害賠償等臨時措置法の一部を改正する法律案を提案した次第であります。  次に、この法律案要旨について御説明申し上げます。  第一に、石炭鉱害事業団を新エネルギー産業技術総合開発機構に統合することとし、従来石炭鉱害事業団が行っていた鉱害賠償等の円滑な実施及び鉱害の計画的な復旧のための業務を新エネルギー産業技術総合開発機構に総合的に行わせるとともに、石炭鉱害事業団を解散することといたしております。  第二に、機構組織変更等につきまして、機構に置く役員数等を改正するとともに、特殊法人財務内容の公開の観点から、財務諸表等を新エネルギー産業技術総合開発機構の各事務所に備えつける等の所要改正を行うことといたしております。  以上がこの法律案提案理由及び要旨であります。  何とぞ、慎重御審議の上、御賛同くださいますようにお願いを申し上げます。
  5. 沓掛哲男

    委員長沓掛哲男君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 林芳正

    林芳正君 自由民主党の林芳正でございます。  まず、質問に先立ちまして、今回初めて商工委員会質問に立たせていただくことになりました。先輩諸氏並びに同僚の皆様の御配慮に厚く感謝をいたしたい、こういうふうに思っております。  先ほど委員長からお話がありましたとおり、きょうは高圧ガス取締法及び液化石油ガス保安確保及び取引適正化に関する法律の一部を改正する法律案と、それから石炭鉱害賠償等臨時措置法の一部を改正する法律案を一括して審議させていただくということになったわけでございまして、非常に意義深いコンビネーションではないかなと私は思っておるわけでございます。  と申しますのも、この高圧ガスの方がまさに規制緩和ということでございまして、それから石炭鉱害の方が行政改革ということでございます。二十一世紀に向けて我が国がどういつだ方向を示していくのかという意味におきまして、この規制緩和行政改革というのは車の両輪で、大変に大事なテーマとなってくるわけでございます。そういった意味で、我が国が今までとっておりました経済システム、いわゆる日本型の経済システムというのは、欧米のように官庁取り締まりをするのではなくて、競争をなるべく穏便な形で回避をしながら経済活動を円滑に進めていくために官庁行政がその調整に当たっていただいておったというのが今までの経済システムのいいところであったと私は考えておるわけでございます。その中で、また生産者消費者情報非対称性と申しますか、どうしても生産者の方が多くの情報を持っておって、そして消費者保護のためには行政がいろんな意味調整なり介入をしていただかなきゃならないところがあるといったようなところがあるわけでございます。  しかしながら、時代変化対応してこの規制というものも緩和というか変わっていかなければならないわけでございまして、例えば車検をとりましても、車検制度というのはもともとは車がよく故障をしておった時代のために、消費者保護のために車検というものがあったんではないかなと思うわけでございますが、技術が進歩してまいりまして、この車検制度そのもの見直しが今言われておりますけれども、時代変化技術進展に伴ってあるべき規制の姿というのもおのずから変わってもらわなければいけないのではないかなと考えておるわけでございます。  そういった中で、衰退産業と申しますか、保護されてきた産業が雇用の面を含めましてどういうふうになっていくのか、そしてその中で新しいニュービジネスをどのように生んでいくのか、新しい経済活力を見出していくのかという、うまくバランスをとりながら規制緩和そして行政改革を進めていかなければならない、こういうふうに思うわけでございまして、きょうのこの二つコンビネーションというのは、まさに我が国がこれからとっていかなければならない道を考える上で非常に意義深い二つ法律案である、私はこのように考えておるわけでございます。  そういった前提に立ちまして、この産業保安政策と申しますか、規制のあり方、規制緩和そのものにつきまして通産大臣の御所見をお伺いできればと思います。
  7. 塚原俊平

    国務大臣塚原俊平君) まさに日本の国はずっと保護で来たわけでございますけれども、規制緩和する国にまで諸先輩の力でなってきたわけでございまして、そういった面では、ただいま委員指摘のように、今回の法律案審議も極めて意義深いものであるというふうに認識をいたしております。  保安確保経済社会活動基盤であることは当然でございまして、このために実効性のある保安体制構築するということは極めて重要であるということで、まず保安の面で規制緩和等々の中においても認識をいたしております。  あと細かなことにつきましては、また委員から御指摘をいただきながら、政府委員の方からも答弁させていきたいというふうに思っております。
  8. 林芳正

    林芳正君 ぜひ大臣通産省は最近は規制緩和省になっていただきたいという声もあるようでございますから、霞が関の先頭に立ってこの規制緩和行政改革に当たっていただきたい、こういうふうにお願いをしておきたいと思います。  それでは、高圧ガス取締法及び液化石油ガス法改正についてお尋ねをいたしたいと思います。  今回の改正は、大きく二つ理由で出されておるというふうに承知をいたしております。まず一つは、最近の高圧ガス保安状況を顧みた場合に、先ほど冒頭で申し上げましたように、時代が変わってきたと申しますか保安技術が進歩してまいった、そしてまた事業者方々が自主的に保安活動を積極的に取り組んでいらっしゃっておられますわけでございまして、そういった意味保安水準が飛躍的に向上してきておるというのがまず第一点ではないかというふうに思うわけでございます。そして、次に液化石油ガスLPガスでございますが、これを初めとした高圧ガス供給形態について事業活動多様化やまた消費者志向変化などに伴って大きく変化をしてきておるというのが第二点である、こういうふうに思うわけでございます。  こうした高圧ガスをめぐる状況変化を踏まえて、今回の法改正について幾つか御質問をしたいと思います。また、これは私の個人的な経験でございますが、私、山口県の選出でございまして、地元のガス会社で一年弱ほど実際に穴を掘ったり管を埋めたりしておりました。そういう経験も踏まえて御質問させていただきたい、こういうふうに思うわけでございます。  高圧ガス取締法昭和二十六年に制定されまして、また液化石油ガスの方は四十二年でございますが、以後数十年間たってきた中で自主保安活動というのは大変に顕著にやっております。技術的にも相当に向上をしてきておりまして、また御案内のとおりの平成七年三月の規制緩和推進計画閣議決定にも見られるように、今後は自己責任原則の重視というのが声高にうたわれておりまして、規制必要最小限にしていくべきであるということが叫ばれておるわけでございます。こうした状況下で、これまでのように、学校でいいますと、小学校のように皆さんに一律に規制をかけるということではなくて、高校、大学生のようにそれぞれの方に応じた規制をやっていくということが非常に大事であるのではないか、こういうふうに思うわけでございますが、今回はこうした観点をどのように組み入れて高圧ガス取締法液化石油ガス法改正していこうとされておられるのか、その御趣旨をお伺いしたいと思います。
  9. 鈴木孝男

    政府委員鈴木孝男君) お答えいたします。  今回の法改正提出しました背景は、先生指摘のように、一つ事故の件数が減少している、保安水準向上しているわけでございますが、その背景には保安技術進展というものと事業者保安に対する積極的な取り組みの姿勢、そういったものがあろうかと思っております。  そういう保安水準向上の中で、社会的な要請といたしまして、昨年三月の規制緩和推進計画の中にも、安全のようないわゆる社会的規制につきましてもその必要性を十分チェックいたしまして必要最小限の効率的な規制にすべきであろうという自己責任を重視するという時代の大きな流れがあろうかと思いますし、もう一つまた国際化対応するという流れもあろうかと思っております。  そういう中で、今回保安維持向上を大前提にいたしまして、高圧ガス及び液化石油ガス消費者に係ります保安規制保安あるいは高圧ガス事業形態に即しまして効率的かつ必要最小限のものにしようというのが今回の見直し背景でございまして、具体的には実効性の高い規制構築あるいは自主保安活動推進のための環境の整備、国際化への対応といった三点を大きな柱にして全般的に見直すことにしておるわけでございます。  その中で、一つ特色といたしましては、先生指摘のように、これまでの法改正は大きな事故が起きました場合にそれの規制を強化するという視点に立ったわけでございますが、このような保安水準向上しているあるいは事業者の自主的な保安活動に対する積極的な取り組みが見られるという中におきましては、むしろ一律的な取り締まりというよりは事業者創意工夫技術進展に合わせた保安高度化を図るためには、むしろ、通常の形態の場合には従来のような規制体系でございますけれども、保安レベルの高い事業者に対しましては、それだけの保安コスト負担をしておりますので、そういったものに対する保安面からの何らかのインセンティブを与えるようなことも必要なのではなかろうか、そういった仕組みも入れておりまして、それが一つ特色かと思っております。
  10. 林芳正

    林芳正君 そこで、一律の規制から脱却をしなければならないということでございますが、今回の法改正、今お話ありましたように、自主検査制度というのが導入されることになっておるようでございますが、これについてどのような事業者自主検査を行うことができるようになるのか、そしてまた、そのような事業者が今までと違ってみずから行うことになるこの検査公平性といったものをどのように担保していくということになるのか、その辺についてお伺いをいたしたいと思います。
  11. 鈴木孝男

    政府委員鈴木孝男君) 今回、インセンティブ規制一つ形態といたしまして自主検査制度を導入しようと思っておりますが、その要件でございますけれども、具体的には例えば保安検査の例を挙げますと、保安検査のための組織が的確であるかどうかというのが第一点でございます。また、二点目は保安検査方法、これがまた的確であるかどうかというチェックもいたしたいと思っております。そのほかに、一定の知識、経験を有する者が保安検査を実施いたしまして、その数が一定数以上のものである、そういうこと。この三点が大きな要件かと思っております。そのほかに欠格事由と申しますか、当該事業所におきましてこれまで高圧ガスによる災害が発生した場合には、その発生した日から二年以上経過しているというようなことも一つ要件になろうかと思っております。  このような民間事業者検査を導入するに当たりまして、検査公平性なり中立性というものを担保する必要があろうかと思っておりますが、そのために四つほどの仕組みを考えておりますけれども、一つ検査方法通産省令で定めまして、厳格に検査を要求しております。二番目は、事業者検査記録をきちっと保管いたしまして、行政庁が請求した際にはその記録提出を的確にできる、そういうことで必要に応じまして行政庁チェックが可能になるような体制。三番目は、事業者認定または指定を行う場合に更新制を導入いたしまして事業者保安体制保安技術を定期的にチェックする、そういう体制でございます。もう一つは、仮にそういう事業所におきまして災害が発生した等不的確な事例がありました場合には、認定制度指定制度に対しまして取り消すとかあるいは改善命令を行う、そういったような的確な措置をとるような仕組みも導入しておりまして、検査公平性中立性というものを担保してまいりたいと思っております。
  12. 林芳正

    林芳正君 ありがとうございました。  液化石油ガス販売事業LPガス販売というのは、重いボンベを担いで、いわゆる三Kだとか言われながら、大変に御苦労をされながら事業をされておられるわけでございまして、そういった中で、冒頭に申し上げましたように規制緩和というか、規制意味の中では、生産者と申しますか、供給者消費者関係というのがひとつ大事な問題になってくるわけでございまして、消費者保安確保するための設備点検調査といった保安業務がこの販売事業の方に義務づけられております。  私も検針とか、それから個々のお宅に設置されておりますがス機器検査ということを何カ月かやりまして、大変な作業であるなと実感をいたしておるわけでございますけれども、一方でこれまでの業態の変化に伴って、これは大変な業務でございますから、そうした保安業務を他社に委託しておられる例も増加しておるように聞いておるところでございまして、こうした中で許可制から登録制に移行するということでございますが、どのようにそういった移行の中で今まで同様にと申しますか、消費者保安確保していく措置をとられておるのか、その辺をお聞かせ願えればと思います。
  13. 鈴木孝男

    政府委員鈴木孝男君) 液化石油ガス法高圧ガス取締法特別法といたしまして、一般消費者保安確保を図るという観点から昭和四十二年に制定されたわけでございますが、その四十二年制定当時におきましては保安業務というものは販売事業者がすべて行っていたわけでございます。そういった意味で、販売事業者許可制にしておる理由といたしましては、保安業務を行っていること、それから販売事業者としての責務というこの二つの要素を両方液化石油ガス販売事業者は兼ねているということで許可制にしていると思っております。  それが最近、保安販売が分離するという傾向が昭和五十年以降増加しておりまして、その過程におきまして認定調査機関制度も一部改正で導入をいたしたわけでございますが、その後、液化石油ガス販売形態を詳細に把握いたしますと、どうも保安販売の分離が著しく進んでおります。そういう意味では、保安業務につきまして販売事業者保安業務を行う者を分けまして、むしろ保安業務を実際に行う者をこの液化石油ガス法上的確に位置づけるということが必要ではなかろうかという指摘がございまして、昨年の九月以降、高圧ガス及び火薬類保安審議会におきまして審査いたしました。  そういうことで、今回保安機関認定制というものを導入いたしまして、それに伴いまして、販売事業者保安業務というものはその認定保安機関制度によりまして担保されますので、むしろ販売事業者としての責務という面から着目いたしまして許可制登録制に移行する、こういうシステム審議会の答申で得ましたものですから、それに基づきまして今回の法改正を検討したものでございます。
  14. 林芳正

    林芳正君 ありがとうございました。  消費者保安確保するための業務を行っている液化石油ガス販売事業者方々というのは、中小企業の方が大変に多いわけでございます。そういった中小企業の方がこの一極集中が進む中で地方経済を支えておられるし、今からの地方の発展を担ってもらわなければならない方々であるわけでございますが、こうした中小企業者方々が今回許可制から登録制に移行するということで、いろんな意味での影響があるのではないかな、こういうふうに思うわけでございます。その大きな影響にならないようにいろんな支援策をおつくりになっておられるというふうにお伺いをしておるわけでございますが、いろんな支援策、そしてこの支援策を進めていく上でどのような配慮が必要になってくるのか、その辺を含めましてお伺いできればと思います。
  15. 鈴木孝男

    政府委員鈴木孝男君) 今回の法改正によりまして中小企業方々にいろいろな影響が出てくる、その面での配慮を的確にという御指摘は私どももそのように認識しております。  今回の法改正は、一つには中小企業方々にもいろいろな意味での保安負担の軽減になる、あるいは事業の選択の幅が広がるという意味中小企業方々活性化にも資するものとは思っておりますけれども、法改正に伴います影響中小企業方々に大きな影響にならないように中小企業者に対する支援策も充実したものにする必要があろうかと思っております。  来年度の予算案におきまして、LPガス産業関係予算につきましては九十四億円計上いたしました。これは今年度の八十一億円に比べますと一五・六%の増加でございますが、その具体的な内容といたしましては、中小企業方々集約化とか共同化あるいは高度化、そういった経営基盤の強化につながるような支援策あるいは流通効率化なり保安向上に資するような観点の施策、またLPガスの需要を開発するために各種の技術開発も必要かと思っておりますが、そういった面での支援策など種々の対策を盛り込んでおります。  こういった中小企業支援策を十分活用いたしまして、この法改正に伴いまして中小企業方々事業範囲が拡大するというその点と、政府としてのこの中小企業支援策とを十分連携させまして、円滑に中小企業方々事業を承継していけるような環境整備を図ってまいりたいと思っております。
  16. 林芳正

    林芳正君 ありがとうございました。  これはもう額に限りのある財政事情の中でいろいろと知恵を絞ってやっていただいておるところだと思いますけれども、先ほど申し上げましたように、保安という意味を超えて中小企業対策全般としても今からさらなる拡充をお願いいたしたい、こういうふうに思っております。  この液化石油ガス販売事業においても一律規制から脱却すると。冒頭に申し上げましたように、小学生のようなところから大学生のようなところへということの一つ方法として、今回新たにインセンティブ規制というものを導入されておられるようでございまして、そういうことによって消費者保安を一層向上させていこうということであるように理解をいたしておるところでございますけれども、このインセンティブ規制、片仮名でなかなか聞きなれない言葉でもあるわけでございますが、具体的にどのような規制になっていくのか、またそれによって事業者とそれから消費者双方に新しい規制の仕方によってどのようなメリットが出てくるのか、その辺をお伺いしたいと思います。
  17. 鈴木孝男

    政府委員鈴木孝男君) インセンティブ規制内容でございますけれども、これは事業者方々自主保安に積極的に取り組むという、そういう環境保安面規制の面からも助長していきたいという趣旨でございまして、そういう意味で、保安レベルが高い事業者というものの一つ認定要件を定めまして、それに対しまして保安面規制の面からのインセンティブを与えるわけですが、具体的には集中監視システムの導入をする等、一定の保安確保機器を備えておりまして、それを的確に管理する方法を備えた事業者認定いたしまして、そういう販売事業者に対しまして一般消費先で現在行っております調査点検、それの周期を長期化するか、あるいは業務主任者を設置していただいているわけですが、その数を緩和する、そういったような規制面からのメリットというものを考えておるわけでございます。  このようなインセンティブ規制が導入されますと、そういう保安高度化のためには設備投資が必要なわけですが、そういった設備投資をする意欲が販売事業者の中にも出てくるのではなかろうか、その結果、保安サービスが向上するという意味消費者にも十分メリットが与えられるのではなかろうかと思っております。そういう意味で、この高度な保安確保機器を普及させるためにも一つの方策として有効なのではなかろうかと思っております。  その恩典たる調査点検周期をどのくらいまで延ばすかということでございますけれども、これにつきましては、今回の法改正ができました段階で関係者の意見も十分聴しまして検討してまいりたいと思っておりますけれども、例えば五年を超える期間ぐらい設定してはどうかというような声も強いものですから、そういったような意見も十分拝聴しながら今後検討してまいりたいと思っております。
  18. 林芳正

    林芳正君 まさに私が今御答弁でもし出なければお聞きしたいなと思っておった事柄を簡明に御回答いただきました。  と申しますのも、このインセンティブ規制保安整備、例えば集中監視システムのような投資を誘導するということでございまして、業者にとってこのインセンティブが何であるか。例えば、先ほど申し上げましたように、機器の検査というのは大変な労力でございまして、これが毎年が五年になるのか、七年になるのか、十年になるのかというのは大変に大きな関心があるところでございまして、先に投資をしてそれから後で何年になるのかが決まるということでは、せっかくの制度が入っても実際の投資がなかなか進まないのではないかなと私も思っておりまして、今の御説明では、大体最低五年以上のところだなというような数字を出していただいたわけでございます。  これは、先ほども申し上げましたとおり、委託をされておられるところもあるようでございまして、今度は委託をされておられる方は検査を主たるお仕事にされておる方もあるようでございますけれども、その辺のバランスを考えながら、なるべくこのインセンティブ規制が実効的なものになりますようによろしく御検討をお願いしておきたい、こういうふうに思うわけでございます。  なお、液化石油ガス流通を見ますと、やはり川上からずっと下ってきまして最終的に消費者にいく、この流通の中での販売事業者の方の果たす役割というのは大変に重要なものがあるわけでございまして、消費者との取引に関しましても多くの石油ガス販売事業者の方というのは大変に真摯な取り組みを行っておられます。そうした販売事業者の努力というのは、また努力の積み重ねというものは、今日全国大体約二千五百万人に及ぶ世帯に液化石油ガスが普及しておるという事態にも明確にあらわれておると思っております。  しかしながら、これは私自身にとっても耳の痛い話でもあるわけでございますけれども、ごく一部ではあるにしても消費者との間ではトラブルがゼロだとは言えないという状況でございます。これはどこの業界でもあることではないかなと思いますけれども、例えば平成六年度の消費者相談事業というものを日本エルピーガス連合会の方でおやりになっておるようでございまして、LPガス消費者相談事業における主な相談例ということで相談の件数が二十件以上というものを取り上げておられます。全体で五百二十件弱の相談例の中で、例えば料金制度や基本料金及び従量料金の構成内容が不明確、どこが基本料金でどこからが従量でというのがよくわからないというようなのがトップで百四十二件ほどございます。それ以外にも、地域における平均料金、都市ガスとLP料金を比較したいとか、ほかの販売店と比べて料金が高い、未使用期間における基本料金の徴収は納得がいかない、また都市ガスと比べて料金が高い、それから料金の値上げについて根拠が不明確であるといった料金関係の御相談というのが大変に多うございまして、この五百二十件弱のうち三百五十件弱、大体六割強が料金の問題に集中をしておるわけでございます。中には、販売業者の方から見ればきちっと説明をしておるんだけれども料金に対して苦情があるということもあるんではないか、こう思うわけでございます。  苦情の中には、ここにはあらわれてきませんけれども、液化石油ガスの料金を書面できちっと記載してそれを交付するということをされておられないことがこの料金に対する御不満というか相談の多さということにあらわれておるんではないか、こういうふうに思うわけでございます。また、先ほど申し上げましたように、配付をされておったにしても料金の構成内容が不明確であるという苦情が現実に出てきておるわけでございまして、こういった契約の基本であります料金構成やその他の取引条件というものも顧客に明確に示しておくということは、これはあらゆる商取引についてごく基本的な事項でございますし、これは的確に対応していただかなければいけないということであるというふうに考えております。  今回の法改正保安観点というのが中心になって法律見直しをされておられるわけでございますけれども、こうした消費者との取引のより一層なる適正化という意味からも、措置といいますか対応はされておられると思いますけれども、その辺についてお伺いをいたしたいというふうに思います。
  19. 河野博文

    政府委員(河野博文君) 先生指摘のとおりでございまして、日本エルピーガス連合会では業界団体といたしまして消費者の皆さんからのいろんな相談、苦情を受けとめて会員の経営に生かすというようなことで、これまでもそういった努力をいたしてきております。通産省もこうした努力を支援してまいったところでございますけれども、残念ながらそういった消費者の皆さんとのトラブルが完全にゼロであるというふうには申し上げられないわけでございます。  中でも、今御指摘がありましたように料金問題はその大宗を占めるわけでございますけれども、そうした取引適正化の問題に関しまして、こうしたトラブルに適切に対応するにはどうしたらいいかということで、昨年、石油審議会液化石油ガス委員会という委員会でとるべき対応策の方向性を御議論いただいたところでございます。  中間報告をいただきましたわけですが、その中では、今御指摘のありました契約の締結時におきます書面交付の徹底化を図るためには、例えば未交付、記載漏れあるいは虚偽の記載のような場合に罰則を科すということが適当ではないか、いわゆる罰則担保の御提案をいただきました。また料金表の明確化、設備をめぐる契約解除のトラブルの防止策などについても幾つかの御提言を実はいただいたところでございます。  そこで、今回の法改正におきましては、この提言に基づきまして、書面交付につきましては、これは取引適正化観点保安観点、両方の観点からでございますけれども、罰則の担保措置を導入するということにさせていただいているわけでございます。これによりまして料金表の問題などについても改善が図られるというふうに私どもは考えております。  また、これ以外に相談事業などに寄せられてきております。その他の取引適正化の課題につきましても、でき得る限り所要の省令あるいはそういったものの改正によりまして対応していきたいというふうに考えております。
  20. 林芳正

    林芳正君 ありがとうございました。  まだまだお聞きしたいことがたくさんあるわけでございますけれども、時間の制約もございますし、もう一つの法案についてもお伺いしたいと思っておりますので、これは最初に申し上げましたとおり、我が国の行く末を考えるときに規制緩和と申しますか、よい規制と悪い規制をきちっと選別して、よい規制は必要であるという立場からいろんな規制緩和を考えていくという意味で、今回の法律改正による規制緩和というものがいろんな意味でうまくいくかどうかということが今からの規制緩和一般の流れに大変に大きな影響を与えていくと思います。そういった意味で、先ほどお聞かせ願いましたインセンティブ規制などを初めとして新しい知恵が盛り込まれている法案でございますから、施行後もこの規制緩和というものの嚆矢として積極的に推進を進められることを要望して、こちらの関係質問にさせていただきたい、こう思います。  それでは、引き続きまして石炭鉱害賠償等臨時措置法の一部を改正する法律案についてお伺いをしたいと思います。  冒頭で申し上げましたとおり、こちらの方は行政改革というものの一環としてのものでございます。今回の両法人の統合というものは、既に御案内のとおりでございまして、平成七年の二月二十四日の閣議決定におきまして特殊法人の整理合理化というものがありまして、その中で、「石炭鉱害対策の効率的な実施を図り、目標である平成十三年度末までの石炭鉱害復旧事業の終結に向けた体制を強化するため、石炭鉱害事業団と新エネルギー産業技術総合開発機構とを統合する。」という方針が既に出されておるわけでございまして、それに基づいて今回の法律改正があるというふうに理解をしております。  今回の両法人の統合は、今ありましたように平成十三年度末までに終了することとなっている鉱害復旧事業、法定期限内に終了するための体制を強化するということがうたわれておるわけでございますけれども、現在までに鉱害復旧事業というのがどのような進捗状況にあるのだろうか。法定期限というのは平成十三年度末ですからまだまだ先のようでございますけれども、今の十年計画でちょうど五年たって、あと五年しか残っておらないという見方もできるわけでございます。どのような見通しというか、完全に終了できるという見通しでお進めになっておられると思いますけれども、その辺を含めましてお答えいただければと思います。
  21. 江崎格

    政府委員(江崎格君) お答えいたします。  鉱害二法に基づきまして処理すべき鉱害事業量でございますが、平成四年の十二月に鉱害復旧長期計画というのが決められまして、その中で処理すべき鉱害事業量三千九百億円というふうに見込まれているわけでございます。  おかげさまで、関係者の方々の御努力によりましてその処理の促進に努めてきたわけでございますが、その復旧事業量は年々少しずつ増加傾向にございます。例えば平成四年度が三百三十八億円でございましたが、五年度には四百二億円、それから六年度には四百五十億円というふうにだんだん増加の傾向にございまして、この三年間の合計で千二百億円程度の鉱害復旧事業を行ったわけでございます。  今後の復旧事業でございますけれども、この事業はまさに最終段階、正念場にあるというふうに私ども認識しておりますが、事業の中には関係者との権利関係調整がなされていないということのために復旧事業になかなか着手できないというような案件ですとか、その他なかなか困難を伴う案件がふえてきておるのも事実でございます。  私ども通産省としましては、今後あらゆる努力を傾注いたします。あらゆる努力と申しますのは具体的に申し上げますと、例えばもう既にこの一月に行っておりますが、通産局の中に鉱害復旧支障処理対策業務室というようなものを設けておりますし、それから今回の統合を機にNEDOの鉱害本部の九州事業部にこうした難しい問題を扱います事業調整役というものを新設いたしまして、六名置きたいと思っておりますが、こうした種々の努力によりまして、統合により強化された鉱害処理体制のもとで、法期限でございます平成十三年度末に向けまして累積鉱害の処理の完了に努めていきたい、このように思っております。
  22. 林芳正

    林芳正君 ありがとうございました。  今御答弁ありましたように、この鉱害というのは地域的に非常に偏在をしておるということでございまして、九州そして私の地元でございます山口県にもまだあるわけでございます。一方、東日本の方は着々とと申し上げてもよいと思うんですが、解決を見つつあるということで、日本全体の問題じゃなくなりつつあるわけでございますけれども、山口県や九州も大事な日本の一部でございますので、ぜひ全力を傾けていただきたい、こういうふうに思うわけでございます。  そこで、今回この両法人を統合するわけでございますが、今おっしゃられた中で全力を傾注されていろんな体制強化を図るということでございますが、鉱害復旧事業体制がこの両法人の統合という観点からどのように強化されることになるのか。また、両法人の石炭鉱害にかかわる部門を一本化し必要業務を一元化するということでございますけれども、具体的に一元化によって鉱害処理がどのように以前にも増して進むようになるのかということを改めてお尋ねいたしたい、こういうふうに思います。
  23. 江崎格

    政府委員(江崎格君) お答えいたします。  石炭鉱害復旧事業でございますけれども、従来これは石炭鉱害事業団復旧事業についての中心的な役割を果たしていたわけでございます。一方、NEDOにおきましても、NEDOが保有しております鉱区についての鉱害処理業務を行っておりまして、今回この統合に当たりまして一本化するわけでございますけれども、鉱害本部というものをNEDOに設けまして、両法人に分かれてやっておりました業務を一元的に処理する体制を整えるということでございます。これによりまして、例えば被害者の方が鉱害の処理をしてほしいというような申し出も窓口が一本化されるということもありますし、それから復旧する体制の方におきましても、従来二つに分かれていたものが一体化されるということで、効率的、迅速な復旧体制が可能になるということでございます。
  24. 林芳正

    林芳正君 ありがとうございました。  産炭地域というのがどのようになっておるのか。私の地元も、宇都市、美祢市といったところや小野田市というところに大きな炭鉱がありました。実は、石炭政策という意味では非常に私は先人の偉業だと思っておりますのは、沖ノ山炭鉱というのが宇部にございまして、これを産業転換という面から重化学工業に転換して現在の宇部興産になっておるわけでございます。方々でこういうことがなされておればよろしいわけでございますけれども、なかなか産炭地というのはそういうふうにうまく産業の転換が進んでおるところとそうでないところとあるようなことでございます。そういう意味では、炭鉱の閉山ということが地域経済に与える影響というのは大変に大きいものがあるわけでございまして、地域の経済一般に与える影響、そしてこれに付随して雇用というものにも大きな影響を与えておるわけでございますけれども、こういった炭鉱の閉山による疲弊が相変わらず解消されていないと申しますか、なかなかそこから立ち直れない状況にあるところがまだまだあるんではないかなと思うわけでございますけれども、この辺に関しまして御見解を賜れればと思いますが、いかがでございますか。
  25. 佐瀬正敬

    政府委員(佐瀬正敬君) 御答弁申し上げます。  産炭地域の状況でございますけれども、先生から御指摘いただきましたとおり、その閉山の時期でございますとかあるいは地域の特質によってばらつきがあるという状況はございます。一部の産炭地域の中では閉山による影響が必ずしも順調に解消されているとは言えないような地域も存在するということは遺憾ながら事実でございます。こういう地域におきましては、地方自治体の財政力指数の低下あるいは雇用状況の低迷といったようなごとが現在でも見られる場合もございます。しかしながら、全体を押しなべて見ますと、現行の産炭地域全体で見ますと、近年に至りまして人口も下げどまりの傾向になってまいりましたし、また工業出荷額につきましても全国平均と大体同じぐらいの伸びを示しているという傾向にもなってまいりました。    〔委員長退席、理事久世公堯君着席〕  先ほど申しましたように、地域によってばらつきが見られることは事実でございますけれども、近年ある程度の改善が見られ、産炭地域振興施策が相応の成果を上げてきている面もあるのではないかというふうに認識をいたしております。ただ、御指摘のような地域も依然としてあるわけでございますので、今後とも産炭地域の一層の発展を図るべく、地元の自治体あるいは関係の省庁とも連絡を密にいたしましてきめ細かい対策を講じていきたい、かように考えております。
  26. 林芳正

    林芳正君 ありがとうございます。  冒頭に申し上げましたように平成十三年度末、一部地域においては八年度末ということでございまして、この数字が、数字というか期限だけがひとり歩きをして、産炭地の方がいたずらに、混乱というまではいかないんでしょうけれどもそういう懸念を持たれることがないようにしっかりとした諸施策をお願いいたしたい、こういうふうに思います。  それで、先ほど宇部興産の話をちょっとさせていただいたわけでございますけれども、産炭地域の振興と一言で申しましても、今御答弁がありましたように大変に多岐にわたりますし、なかなか難しい施策である、こういうふうに私も理解をしておるところでございます。石炭にかわる産業を何か見つけていってこれを育てていかなければならないし、これは国が一律にここは石炭のかわりにこういうことをやりなさいとか上から押しつけて、そしてできるというものではないんではないかな、こういうふうに私も理解をいたします。その地域の実情に応じた、またその地域に強い特化した産業というものをみずからその地域の方が見つけていかなければならないし、そしてまたそういった中で地方自治体というものが果たす役割もこれは非常に大きなウエートを占めるものではないか、こういうふうにも理解するわけでございます。逆に申しますと、一度は石炭と申しますか鉱山でにぎわった、昔カリフォルニアがゴールドラッシュということでたくさんの人が集まってきてその後にいろいろなことができたということでございますから、そういった意味では石炭で一度栄えたという共通点もこれありでございます。そういった意味では、国としても産炭地振興ということをかわる産業という観点からもいろいろなことをやっていただかなければいけないのではないか、こういうふうに思うわけでございます。  代替産業の振興と申しますか、またこれは即地方と申しますか地場産業、新しい産業の育成ということにもなっていくのでございましょうけれども、そういった観点からの産炭地振興について所見をお伺いしたいと思います。
  27. 江崎格

    政府委員(江崎格君) お答えいたします。  先生指摘のとおりでございまして、産炭地振興の施策の中で石炭鉱業にかわる産業の振興ということは大変重要なことだというふうに私ども認識しております。  この関係の施策、大きく二つに分けてやっておりまして、一つは石炭鉱業会社自身を多角化するということでございまして、これは構造調整対策の一環といたしまして多角化・新分野開拓事業というものを実施しております。  この事業の実績でございますが、平成四年度から六年度までの三年間に石炭関係の五つの企業グループの関連会社五十六社ございますが、これらの会社の多角化計画というものを大臣が承認するという格好にいたしまして、これによってNEDOがその計画に対して出資をするとか融資をするというようなことをしてきております。これが一つのグループでございます。  それからもう一つが地域全体を多角化するといいますか、産業構造を新しい産業を入れたものに変えていくという施策でございまして、これは地域振興整備公団を中心に実施しております。工業団地の造成ですとか、そこへの企業の誘致、それから地域振興のための地元で設立されました第三セクターへの出資とか融資、こういったようなことをやってきております。  この施策のこれまでの成果でございますけれども、団地造成はこれまで百三十三の団地を完成させておりまして、そこに二千三百社以上の企業をこれまで誘致してきております。私どもの試算では、これによって雇用が合計で十四万人ぐらいふえたというふうに試算をしております。  それから、第三セクターでございますが、これは現在まで七社に対して八億円を出資しておりまして、例えば複層ガラスの製造ですとか花卉の栽培とか、とういったような石炭にかわる産業の振興を行ってきておるわけでございまして、新しい雇用の創造という点で見ましても相応の成果を上げているというふうに考えております。  引き続き、こうした施策を強力に推進してまいりたい、このように思っております。
  28. 林芳正

    林芳正君 ありがとうございます。  大変にいろんな諸施策を御苦労、御苦心なされながらやっておられるということで敬意を表したい、こう思うんですが、団地などは我が県にもございますし、産炭地振興ならずともいろんな目的でこの団地ができております。景気の上昇、また下降という局面もあるのでございましょうけれども、私がこういう団地を見ておりまして、また団地の方のお話を聞いておりまして最近思いますのは、今団地がたくさんできておりますし、一方で産業の空洞化ということが言われておりまして、例えば山口県に来るぐらいなら東南アジアに行った方がいいですよというようなお話も時々聞くわけでございまして、何か付加価値をつけて、例えば研究施設が近くにあって研究者との交流が容易であるとか、外国人の方が来たときの施設が非常に充実をしておるとか、いろんな付加価値をつけてそれで新しい産業を呼んできた方がいいのではないですかねと、こういうようなお話を地方の首長さんなんかとよくするわけでございますけれども、いろんな諸施策の中で団地というのがたくさんできておる。インフラ、工業用水とか電気とか、そういったもののスケールメリットをとるという意味と、それから地場の振興と申しますか、地方産業を分散し、また地場の産業の育成をしていただく、また雇用につなげていくという意味で大変にこれは重要なところでございまして、団地をつくったからには企業に来ていただくということが大変に大事になってくるわけでございますので、そういった意味でより一層知恵を絞っていただきましてこの諸施策を進めていただきたいということをお願いしておきたいというふうに思っております。  国内の石炭の対策としては、九〇年代もう半ばでございますが、この九〇年代を構造調整の最終段階ということで、冒頭にも申し上げましたけれども平成十三年度末、十四年の三月末でございますけれども、までの十年間で新しい石炭政策というものを推進されておられるということでございました。まさにこの四月からの平成八年度というのが折り返してございまして、最後の十年の半分終わってあと残り半分であるところでございます。  そういった意味では、総括的に石炭政策全体を俯瞰されて現在までの進捗状況について大臣にお伺いしたいわけでございますけれども、どのように今までの進捗状況というものをおとらえになっておられて、また最後の大変に大事な五年間の仕上げというものをどういうふうに御推進をしていただけるというふうにお考えなのか、大臣の御所見をお伺いしたい、こういうふうに思います。
  29. 塚原俊平

    国務大臣塚原俊平君) ただいま御指摘いただきましたように、政府といたしましては、構造調整対策、それから産炭地域の振興対策、そして鉱害対策等から成る新しい石炭政策の推進をしてきております。  これらの対策につきましては、まず構造調整対策については、石炭会社が行う新分野開拓事業進展が見られます。まだ政府の協力が足りないよと指摘されるところもありますけれども、徐々にではございますけれどもこれは進展が見られております。それから、産炭地域の振興対策につきましては、石炭鉱業の構造調整に即応した先行的な対策を行っております。それから鉱害対策についても鉱害復旧長期計画におおむね沿った形で進められている等、着実に進展をしているところが見られるわけでございます。  当省といたしましては、新しい石炭政策の期限である平成十三年度末までの間、ちょうど今折り返し点と御指摘をいただきましたが、まさに今が正念場であるという認識を持った中で、現在の石炭政策の推進に最大限努力をしてまいりたいというふうに決意をいたしております。
  30. 林芳正

    林芳正君 どうもありがとうございました。  ぜひ大臣、これは大事なことでございますし、先ほど申し上げましたように平成八年度末、また平成十三年度末というスケジュールのみがひとり歩きして地元の方がいろんな御心配を持つことのないようにぜひ全力を傾けていただきたいと思いますし、この五年間できれば大臣を続けていただきまして、この施策を完遂していただきたいということを最後にお願い申し上げまして、私からの質問にさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
  31. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 私は、液化石油ガス法に限って質問させていただきます。  LPGの販売事業者は、粗い数字で三万の業者、三十万の従業員、そして二千五百万世帯に供給をしている。一方、都市ガスは二千二百万世帯ということでございます。  この法律ができました昭和四十二年当時は確かに事故が多いということで制定されたと思いますけれども、今ではその事故も十分の一、そして都市ガスと同等以上の安全性を確保しているというのが現実でありまして、それについての業界の自主的な保安活動というのは私は適正に評価しなければいけないと思います。  そこで、冒頭大臣にお聞きいたしますけれども、このLPG販売事業者が果たしている意義をどう認識しているのか。また、都市ガス供給業者との役割分担につきましてはどういう見解をお持ちなのか、お尋ねいたします。
  32. 塚原俊平

    国務大臣塚原俊平君) 先生から数字の御指摘がございましたように、LPガスは第一次エネルギー供給の五%を占めるわけでございますが、全国総世帯で五五%、二千五百万世帯が利用されているというようなことで国民生活に不可欠なエネルギーである。さらに地球環境問題の高まりの中で、クリーンなエネルギーというようなことも含めまして、今後とも重要なものであるというふうに認識をいたしております。  さらに、LPガスと都市ガスは家庭用、産業用、幅広い分野に広く普及いたしておりまして、いずれのガスも国民生活に不可欠なエネルギーであるというふうな認識を持っております。
  33. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 今、大臣からは国民生活に不可欠なエネルギーである、あるいはクリーンエネルギー、そういう認識があったわけですが、しかし法律を見ますと、必ずしも大臣がおっしゃったような認識をしているとは私は思えないわけです。  といいますのは、都市ガス規制しておりますガス事業法の第一条の「目的」を見ますと、その中の一つとして「ガス事業の健全な発達を図る」ということがきちんと書いてあるわけですね。要するに、これは公益性ということを認識してこういう規定になっていると思うんです。  一方、現行法もそうですけれども、今回の改正案を見ましても、液化石油ガス法の第一条の「目的」を見ますとそういうことは全然書いてないわけです。要するに「液化石油ガス器具等の製造及び販売等を規制することにより、」、この言葉に端的にあらわれていますけれども、この法律はLPG業者を単に規制の対象としてしか認識していないわけなんですね。本当に大臣のおっしゃったような認識であるのであれば、今回大改正をするんですから、きちんとこの法律にも事業の健全な発展を図るというようなことをうたうとか、あるいはこの改正の中身にもそういうことを入れるとか、そうすべきではなかったんでしょうか。
  34. 河野博文

    政府委員(河野博文君) 今御指摘ございましたように、今回御審議をいただいております液化ガス法、いわゆる液石法は保安確保取引適正化に範囲を限定した法律でございます。そういう意味で、御指摘のように目的の中に事業の健全な発展という言葉はございませんけれども、しかしこのことが通産省といたしまして、今大臣が御答弁申し上げましたようなLPガス産業の健全な発展を軽視するということではないつもりでございます。むしろその重要性は十分認識いたしました上で、こうした法律の運用も、それのみならず例えば予算あるいは金融などの支援措置によって健全な発展を実現したいというふうに考えているところでございます。
  35. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 そういう認識をお持ちであるのならやはりきちんと法律にうたってほしかったというふうに思います。  それで、今回の規制緩和でありますけれども、何のための規制緩和なのかということを確認したいと思います。  言うまでもなく、規制緩和というのは行政の簡素化、国民の負担の軽減あるいは内外価格差の解消ということが目的であるはずでありまして、そういう点からしますと、今回の改正によりまして販売事業者にとりましては確かに負担の軽減ということはあると思います。要するに、安全にやってきたということを評価しまして、安全についての規制必要最小限度にするということになっているわけですね。これは正当であると思いますが、一方で、では消費者にとってはどういうメリットがあるのかということを私は考えなければいけないと思います。  端的に言いまして、今回の規制緩和によりましてLPGの料金が下がるというそういうメリットを消費者が享受することができるのかどうか、その認識をお伺いいたします。
  36. 河野博文

    政府委員(河野博文君) 確かに今回の改正保安の合理化といった点を主にいたしておりますけれども、同時に消費者との関係で言いますと、取引適正化も対象として取り組んでいるわけでございまして、そういう意味では、今まで消費者の皆さんとのトラブルにありました料金制度の透明性などについては今回の改正で取り組んでいるということは申し上げられると思います。  ただ、料金水準の問題になりますと、これは公益事業でございます都市ガスなどと違いまして自由な経済活動にゆだねられている分野でございますので、その水準政府としてどういうふうになるかというふうに占うことはなかなか正直言って難しいというふうに思われます。ただ、今回の改正によりましてLPガス事業者の皆さんの活動が活性化するということを私ども期待しておりますので、そうした活性化が料金面へも反映されるということを一方においては期待しているというと  ころでございます。
  37. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 航空運賃なんかは規制緩和によっ  てかえって高くなってしまったわけでありまして、こんなばかな話はないわけですね。まさか料金が上がるということはこの規制緩和では考えられないと思いますけれども、やはり消費者にも目に見えるようなメリットが享受されなければいけないと思いますし、それについては今後の運用に当たっても注意を喚起いたします。  それで、改正案第三条の販売許可制から登録制に移行、要するにこれは常識的に考えれば新規参入についての窓口を広げるといいますか、規制緩和ではないかと思います。それはおっしゃるように競争の活性化ということを期待しているんでしょうし、ひいては料金が下がるということも十分期待し得るのではないかと私は考えるわけです。もちろん、そんなことは予断を持って通産省とし  て言うわけにいかないと思います。  ただ、私が心配いたしますのは、新規参入が促進されるわけですから、大手業者の参入によって系列化が進んでいくのではないかということを考えるわけです。いろいろ言われているところを読みますと、石油の元売業者とか商社あるいは運送業者やJR各社、こういう方についても参入のチャンスがこれでできるのではないかという指摘もあるわけなんです。実際、そういう大手業者による系列化が進んだ場合には、既存の中小の業者の方が締め出しを食ってしまうのではないかということを非常に憂慮するわけです。  資料によりますと、従業員三人以下の業者が六五%ということでありますが、こういう中小零細な方は、私も地元でよく知っておりますけれども、ほとんど優良で良心的なサービスを提供されているわけです。そういう方が今回の法改正によって生計の基盤が何か非常に揺らぐようなことになってはいけないということを考えます。  それで、そういう意味でお尋ねしたいことは中小企業支援策ということであります。先ほどの先行議員の御質問の中で、九十四億円の予算措置平成八年度は考えておる、一五%増ということでありまして、評価をいたします。  お尋ねいたしたいことは、中小企業近代化促進法というのがございますですね。たしかLPG販売業につきましても、昭和五十七年の七月二十日に近代化支援という指定を受けまして六十二年末までのそういう計画が指定されたはずでございます。この六十二年末の目標、近代化の目標というのはきちんと達成できたのかどうか。それと、今後中小企業支援策としてこの法律をLPG販売業者についても使っていくつもりはないのかどうかということをお尋ねいたします。
  38. 河野博文

    政府委員(河野博文君) 近代化の目標につきましては六十二年に、定めました目標を何とか達することができましたので、予定どおり事業を終了したということでございます。  それから、今後の活用についてでございますけれども、広範な事業者の方がおいでですので、皆さんの御希望をよく聞いて、仮に将来希望が出てくるようであればさらに活用を考えていきたいというふうに考えております。
  39. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 予算措置だけではなくて、あらゆるそういう法律を活用しながら中小企業の支援をしていただきたいと思います。  次に、改正第三条二項の事業の登録の際に申請書に記載しなければならない事項についてお尋ねいたします。  今回、販売許可制から登録制への改正に当たりまして、申請の際に記載しなければならない事項が法定されました。その第五号としまして事故が発生した場合の業者の損害賠償能力についての規定がされております。それを受けまして改正四条一項の五号によりますと、その損害賠償能力につきましては政令で定める基準に適合しなければいけないという規定があるわけですね。その基準に適合しない場合には登録が拒否されるわけですから、この政令で定める基準が何かということが非常に問題になると思います。  通産省としては、この基準については今どういう指針をお持ちでしょうか。
  40. 鈴木孝男

    政府委員鈴木孝男君) お答えいたします。  登録の要件といたしまして、販売事業者が万が一過失によりまして事故が起きた場合に消費者に対しまして補償する、そのための補償措置が必要だろうと思っております。  これにつきまして、補償金額等をどうするかにつきましては今後政令等で定めるわけでございますが、現在既に販売事業者が行っていますような、大半の方々が行われている保険制度等で可能なようなそういう水準を念頭に置いております。
  41. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 端的に言いますと、幾ら以上の保険に入らなければいけないというような基準をお考えだということでよろしいんでしょうか。
  42. 鈴木孝男

    政府委員鈴木孝男君) 参入の阻害にならないように、保険会社や加入方法に制限なく指定要件を定めてまいりたいと思っております。
  43. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 まだ具体的には決まっていないんでしょうけれども、その基準、政令で定める基準というのが余り抽象的でありますと行政裁量の余地というのは広がるわけですから、結局許可制と同じだという話になってしまうわけですね。一方で、おっしゃるように余り高いハードルを決めたんでは新規参入を阻害してしまうということですから、その辺はよく考慮をされて適正な基準を設けていただきたいと要望いたします。  それで最後に、平成七年十二月十九日の液化石油ガス部会報告書をいただいております。その中に「保安対策の課題の変化」というところがありまして、「全体の事故件数が減少する中でCO中毒事故、埋設管事故への対策が大きな課題となっている。」という報告がございますね。これを受けまして、通産省としてはどういう施策を考えているのか、御答弁願います。
  44. 鈴木孝男

    政府委員鈴木孝男君) LPガス事故はピーク時に比べまして十分の一ということで、大幅に減少しておるわけでございますが、これは業界におきます昭和六十一年以降の安全器具の普及運動の成果であろうと私どもは思っております。  そのようなことで事故の件数は減っておりますけれども、先生指摘のように、今後の課題はCO中毒事故とかあるいは埋設管が腐食しないようなそういった対策だろうと思っておりまして、これは今回の法改正で特段の仕組みというのは考えておりませんけれども、むしろCO中毒につきましては、不完全燃焼を防止するようなそういう器具の開発普及あるいは埋設管につきましてはポリエステル管等の腐食に強い材料を今後事業者が使用するようなそういった環境整備を図ってまいりたいと思っております。  今後の課題としてもう一つつけ加えさせていただけば、昨年の阪神・淡路大震災の教訓を生かしまして、地震対策についてもさらに万全を期するということが課題かと思っております。  なお、先ほどの賠償額のところでございますが、政令ではなくて省令で要件を定めることでございます。省令の制定の際には十分関係者の意見も徴しながら決めてまいりたいと思っております。
  45. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 終わります。
  46. 加藤修一

    加藤修一君 平成会の加藤でございます。  私は、石炭鉱害賠償等臨時措置法の一部を改正する法律案について質問をさせていただきます。  本法律案は、特殊法人の整理合理化についての閣議決定を踏まえまして石炭鉱害事業団、それから新エネルギー産業技術総合開発機構、すなわちNEDO、これを一元化するものであります。これに関しましては「行政減量化」というふうに書かれておりますが、石炭鉱害事業団、これは平成十三年度末にもともとなくなるものでありますし、そういった点から考えますと、行政減量化、そういった面での実効性がどれだけあるのか、疑問がございます。  例えば役員の数は、平成十四年度以降については法律役員定数が三名ぐらいは増加するようになりかねない、そういうことがございますし、さらに別の点から考えますと、平成七年の十二月十九日の閣議決定、そこにおきまして特殊法人はディスクロージャーをしなければいけない。その中身について、今回の点につきましては財務諸表、そういったものを各事務所に置く程度のディスクロージャーであると。そういった点ではディスクロージャーに値しないものではないか、そのように考える次第でございます。  周知のように、我が国の財政というのは非常に逼迫しているわけでございまして、二百四十兆円の膨大な赤字を抱えている。そういった意味では歳出を絞らなければならないわけでございますし、それから五%消費税を導入するときには前総理が行政改革を抜本的に行う、こういうことであったわけですが、その結果は非常に残念な内容になっているのではないだろうか、そのように思います。  今後、効率的な行政のあり方を目指して抜本的な改革の必要性を私は主張しておきたいと思います。これに関しましては、答弁は不要でございます。  それでは次に、関連しまして統合化する一方の方のNEDOの事業内容についてなんですけれども、さらに関連事項といたしましてエネルギー消費並びに地球温暖化の一つの原因でありますCO2、これについての我が国の削減対策、そういった点についても言及したいと思います。  最初に塚原通産大臣にお尋ねしたいわけでございますが、エネルギー消費と地球温暖化の関係は非常に密接不可分であるというふうに言われているわけであります。これに関連しまして、国際的な機関といたしましてIPCC、いわゆる気候変動に関する政府間パネル、そういったものがあるわけでございますけれども、昨年の十二月にIPCCの第二次報告があった。その中で、二酸化炭素の増加とその悪影響について地球温暖化のシナリオが発表されたわけであります。  それによりますと、二十一世紀末におきましては、大気中のCO2濃度が上昇し、かなりの排出量削減を見込んだ上でも六〇〇ppmを超えた場合においては、地球の平均温度は二度ほど上がるであろう。そういったことから海面は約五十センチほど上昇する。そういうシナリオ、そういった見解が発表されたわけでございます。  そういったことから影響を考えていきますと、砂浜がなくなってしまうとか、あるいは非常に小さな島国あるいは島嶼国家、そういったものは海にのまれてしまう、そういった事態が生じかねないというふうに言われているわけでございますけれども、通産省もこれについては大変関心を深く持っているように私も感じております。  このように想定される事態に対して一体どのように通産省としては取り組むことをお考えでいらっしゃるか、その辺について御見解をよろしくお願いいたします。
  47. 塚原俊平

    国務大臣塚原俊平君) ただいま先生指摘になりましたように、IPCCの報告書は気候変動問題について現時点では最も信頼すべき情報であるということで、御指摘のとおり当省としても重要視をいたしております。  具体的な対応につきましては政府委員の方から御答弁いたします。
  48. 鈴木孝男

    政府委員鈴木孝男君) 先生指摘のように、昨年十二月にIPCCの第二次レポートが出たわけでございます。今回の報告書は基本的には第一次評価報告書を大きく変更するものではないと思っておりますが、幾つかの特色があるかなと思っております。  一つは、科学的知見を精緻化し、気候への人為的影響を強く示唆したことでございます。また、対策がおくれた場合の損害額及び適応費用の増加につきましても、先生の御指摘のような視点を踏まえまして警告をしておりますし、全地球レベルの問題として途上国も含めてすべての国が取り組むことの必要性、また技術、これが大事である。先進国から途上国への技術移転を含めまして、そういうことの重要さを指摘しているのではなかろうかと思っております。  そういった意味では、私どもも地球温暖化の問題につきましては技術というものが重要だということで、地球再生計画というのを平成元年に世界的に提案しておりますけれども、そういうことで百年ぐらいのタームでこの地球温暖化という地球的規模の問題に対しまして日本も大いに貢献したらどうか。そのために、私どもも温暖化対策のための技術開発予算なども毎年計上しております。大変時間のかかる話でありますし、予防的なものでもございますけれども、IPCCレポートが今回出されたことの重要性も勘案いたしまして、今までの取り組みをさらに強化してまいりたいと思っております。
  49. 加藤修一

    加藤修一君 それと、それに関連いたしまして、ことし第二回の締約国会議が行われるわけでございますけれども、実は明年も締約国会議が行われることになっておるわけでして、それに関しまして日本もホスト国になりたいという声も聞いております。それに関しましてはまだ調整中という話も伺っておりますし、先ほどの答弁の話を考えていきますと通産省さんにおきましても非常に積極的な取り組みを行っていると。そういった点から考えても、第三回の締約国会議、これを日本でぜひとも開催すべきではなかろうか、そのように思うわけでございますけれども、この辺につきましての見解をぜひともお伺いしたいと思います。
  50. 塚原俊平

    国務大臣塚原俊平君) ただいま先生からもお話がございまして、また政府委員からも答弁をいたしましたが、この会議、そしてそれを前提といたしました第三回の締約国会議は非常に重要であるというふうに思っております。特に二〇〇〇年以降の国際的枠組みを決めるというようなことでも重要な会議になると思いますので、積極的に我が国も取り組んでいる、御指摘のとおりでございます。  役所的には通産、外務、環境ということになるんだと思いますけれども、現在政府部内において第三回のこの会議の招致に関しまして最終調整を行っている、ただもう非常に重要であるという認識のもとに調整を行っております。
  51. 加藤修一

    加藤修一君 ただいまの大臣の答弁につきましては、かなり積極的に開催国になっていきたいというふうにとらえてよろしいんでしょうか。どのようにとらえたらよろしいでしょうか。
  52. 塚原俊平

    国務大臣塚原俊平君) いろいろなこれからお話し合い等が国際間、各国間であるんだと思いますけれども、我が国といたしましては積極的に事の重要性から世界に訴えていかなくちゃいけないというようなことから、第三回については強い関心を持って、日本で何とかやるように努力をいたしてまいりたいと考えております。
  53. 加藤修一

    加藤修一君 通産省、外務省、それから環境庁でしょうか、その三つがこれに関してかなりコミットしていく話だと思うんですけれども、通産省独自の立場としてはその辺についてはどうお考えでしょうか。ほかと調整しなければいけないことは十分わかりますので、通産省としてはどうでしょうか。
  54. 鈴木孝男

    政府委員鈴木孝男君) 第三回締約国会議を日本で開催するかどうかにつきましては、昨年三月の第一回締約国会議のときに環境庁長官が出席いたしまして、第三回以降の締約国会議をいずれ日本で開催をする旨の意向表明をしております。それをもとに、環境庁を中心に私どもも含めまして相談にあずかっているわけでございますけれども、通産省といたしましては、先ほど大臣がお話ししましたように、もしも主催国になるならば日本がどういう形でこの会議に貢献できるのか、あるいは産業界を含めましてこの会議に対する日本の主張は何かということを検討いたしませんと、単に主催国になったというだけでは、先ほど大臣が言いましたように重要な会議でございますので、その点につきまして現在関係省庁が相談をしているという段階でございます。
  55. 加藤修一

    加藤修一君 塚原通産大臣の所信表明演説の中で、気候変動、オゾン層の破壊など地球環境問題などの人類共通の問題の解決にも先陣を切って対応してまいりますと、このように述べているわけでございまして、私も当時その大臣の演説を聞いて胸を熱くすると同時に、極めて意を強くしたわけでございます。大臣が先陣を切って対応していくというふうに述べているわけでございますし、それから先ほどの答弁につきましても非常に積極的なあるいは重要なものであるというふうに御認識のようでございますので、今後とも我が国における第三回の締約国会議の開催に向けてぜひとも積極的な取り組みをしていただきたい、そのように思います。  それから次に、この第三回締約国会議におけるいわゆる中身の問題になるわけでございますけれども、先ほどの答弁でなかなか難しいという話、どういうふうに内容を絞っていくか、あるいは具体的な展開を行っていくかということについての重要性ということの御答弁があったわけでございます。二〇〇〇年以降についてもいわゆる削減シナリオ、つまり議定書の内容ということについて、抽象的でよろしいんですけれども、具体的な話についてはこれからそれぞれの国々の間の中で調整をしていけばいいし議論を深めていく、そう  いった中で決定されていくものだと思いますので、どういつだ項目について話し合われるような予定になっているか、どのようなことについて提案されていくか、その辺についてもしお考えがあれば御見解を披露していただきたいと思います。
  56. 塚原俊平

    国務大臣塚原俊平君) 基本的には、大きな枠組みは省エネとそれから新エネルギーということになってくるんだと思いますが、やっぱり省エネにつきましては先進国と発展途上国の間で非常に差異が見られると思います。  それで、これはいわゆる気候だけに限ったことではないんですが、この間ASEMのときもやっぱりヨーロッパ側の関心事は労働基準と環境、それからアジア側はどちらかというと余りそこは触れたくない。日本は一応その間に立って、ヨーロッパにとってもアジアに対して労働基準や環境に対していろいろと言ってくれる心強い存在だし、アジアにとってもうまく間に入ってくれるんじゃないかという心強い存在というような感じがいたしました。  そういった面では、環境部分について我が国が先進国と発展途上国の間に立った形での、このような形で方向を持っていくというようなことは世界の中では、担当部局は大変かもしれませんけれども、テーマとしてまとめの方向に行くには非常に我が国が主催するのはいいんじゃないのかなというようなことから、私はかなり積極的な御答弁を申し上げました。  当然事務方としては三省ありますし、現在政府部内で検討中でもありますし、環境庁長官から最初、来年度以降についての提案をしたというようなこともございましたし、余り通産が一気に前に出てはいけない話になるかもしれませんのでちょっと水をかけるような形の答弁がございましたけれども、それはそれとしてぜひ御理解をいただきまして、できるだけ積極的に、日本としての国際的に役割を果たす極めて重要な部分だと思っておりますので、積極的に私としては進めてまいりたいというふうに考えております。
  57. 加藤修一

    加藤修一君 大臣のただいまの積極的な答弁、大変にありがたく拝聴をさせていただきました。  それでは次に、NEDOの事業内容でございますけれども、新エネルギーの開発に向けて極めて積極的に活動しているように私はとらえておりまして、その中でも私は関心を持って調べたものにつきましては太陽光発電の普及、これについてお伺いしたいわけでございます。  新エネルギーとしての太陽光発電はそれなりの効果があるわけでございますけれども、新エネルギー導入大綱、二〇一〇年におきましてはこの太陽光発電による発電量が四百六十万キロワットというふうに予測しているわけでございますけれども、そもそも太陽光発電に関しまして三キロワットの発電設備のコスト、一世帯ということになるんでしょうか、あるいは平均的な発電コスト、現在の電気料金と比較してどうであるのか。三番目としては、現時点における発電実績と、それから先ほど言いました四百六十万キロワットというふうに予測しているわけですけれども、今後の供給の見通しについてどのようにお考えか、教えていただきたいと思います。
  58. 江崎格

    政府委員(江崎格君) お答えいたします。  太陽光発電でございますが、これは技術的にはかなり新エネルギーの中では実用に近いものということで私ども支援しているわけでございますけれども、いかんせん、まだ量産効果が出る段階まで行っておりませんでして、コストが高うございまして、年々それでも生産がふえておりますのでコストは下がってきていますけれども、平成五年、六年あたりで大体普通の家庭につける三キロワットのものが四百五十万から五百万円ぐらいというように言われております。  それからコストの比較ですが、耐用年数をどのぐらいに見るかによりますけれども、常識的に見まして、現在は一キロワット当たり大体百円前後というふうに私ども推定しております。電気料金は御承知のように大体普通の家庭は二十円から二十五円ぐらいでございますので、大体四倍ないし五倍ぐらいの今のところはコストの差があるという状況でございます。    〔理事久世公堯君退席、委員長着席〕
  59. 加藤修一

    加藤修一君 三番目の質問ですが、いわゆる現時点の発電実績と将来の見通し、通産省ではじいています新エネルギー導入大綱の中でこれについては四百六十万キロワットというふうに言っているわけです。原発で考えていきますと五個分ぐらいに相当する極めて大きなエネルギーであるように思うわけですけれども、現時点の発電実績と比べますとどうなんでしょうかということも考えられますけれども、その辺の供給見通しについてちょっともう少し詳しくお願いします。
  60. 江崎格

    政府委員(江崎格君) 太陽光発電の現在の発電量でございますけれども、実は公式の統計がございませんでして、業界等によりまして情報収集しておりますけれども、平成六年度末で私どもの推計ですと大体二万六千キロワット、これは通常の家庭の使用量で割りますと大体六千軒ないし七千軒分ぐらいということでございますので、エネルギーの供給源としては非常にまだ少ない割合でございます。  先生指摘のように新エネルギー導入大綱では、二〇〇〇年で四十万キロワット、それから二〇一〇年には四百六十万キロワットというかなりのウエートをこの新エネルギー、太陽光発電に期待するということでございますので、現在の施策をさらに強力に充実をしていかないとなかなかこの課題の達成は難しいということで現在取り組んでいるわけでございます。
  61. 加藤修一

    加藤修一君 これに関連しまして、通産省の外郭団体でありますNEFがございますけれども、ここで太陽光発電に関してのモニター事業を進めているというふうに伺っております。相当ニーズがあるというふうにも伺っていますし、それから質問内容になりますけれども、モニターの応募理由、なぜ太陽光発電の装置を自宅につけたいか、その辺の一番大きな理由は何であるかということと、それと応募がどのような状況、多いか少ないか、そういった面も含めまして教えていただきたいということと、さらにモニター事業でございますので助成金を出すということになるわけですけれども、平成八年度あるいは八年度以降についてもどのようにこのモニター制度を活用していくか、その辺についてお伺いしたいというふうに思います。  それで、私自身としては予算規模を拡大して、やはり先ほど来お話し申し上げていますように二酸化炭素の削減に向けた取り組み、これについても相当の効果があるように思われますし、それから夏場の電力供給、ピーク発電量の多少の解消にはなるかなと、将来的にですね。現時点ですぐそうなるとは限らないわけでございますけれども、将来的にはそういった面についての多少の解消、ただ太陽光発電は太陽が出ているときしか発電できないわけですから、そういった意味での不安定性は当然あるにしても、多少の解消につながるんではなかろうか。そういった点から考えますと、やはりもう少し積極的に予算拡張を考えていってもいいのではないか、そのように考えているわけですけれども、その辺についてはどのようなお考えをしておりますでしょうか。
  62. 江崎格

    政府委員(江崎格君) この太陽光発電のモニター事業でございますけれども、平成七年度の例で申し上げますと千件の予算措置をしておりまして、相当な応募がございまして、これは全国各地から平均的に出てきておりまして、それを抽せんによりましてこの千件を選んだという格好になっております。それから平成八年度でございますが、私どもの政府予算における原案におきましては千六百件、六割増しのお願いをしておりまして、予算では約四十億円のお願いをしております。これは個人の住宅へこのモニターで発電システムをつけますときに二分の一の補助をするという仕組みでございます。  応募の理由でございますが、単純に考えますと先ほど申し上げましたように通常の電力を買った方が料金は安いわけでございますけれども、今申し上げましたように補助のシステムがあるということで通常のコストよりは相当安くなるということもございますし、それからこうした国民の中には新エネルギーに大変御興味といいますか関心を持っておられる方が非常に多うございまして、そういった関係でこの予定しておりました、七年度ですと一千件よりも相当上回る応募があったのではないか、このように見ております。  それから、一部にはこうした制度が普及いたしますように制度的にも実はいろんなバックアップの手当てをしておりまして、従来はこういう設備というのは自家用の発電設備ということで電気事業法に基づくかなり厳しい保安上のチェックがあったのでございますけれども、これも一般家電並みに扱うということで規制緩和をいたしましてつけやすくなったということもございますし、それからもう一つ、自分の家で使った分で余った場合には電力会社に買い取らせるということをできるようにいたしました。これは平成五年からでございます。そういたしますと、中には、つまり電力会社に電力が売れるというのを非常に毎日記帳して楽しんでおられるという方もおられて、そういういろんな観点から非常に応募がふえたんではないか、このように理解をしております。
  63. 加藤修一

    加藤修一君 手元に電力中央研究所の報告書がございまして、そのタイトルが「太陽光発電システムの普及分析」ということなわけでございますけれども、この要約を簡単に申し上げますと、今後十五年間に合計五十七万キロワットの太陽光発電システムが設置されればいわゆる量産効果で価格は現在の三分の一に下がるという、そこまで下がれば太陽光発電も電力単価の点でそのほかの電力発電装置と太刀打ちできると。先ほど言いましたように安定性の面で短所はございますけれども、非常に部分的には有望視していいのではなかろうか。もちろん、全体的なベストミックスということも考えていかなければいけないわけでございますけれども、この辺につきましても積極的な助成をやっていただきたい、そのように思うわけでございます。  最後になりましたけれども、やはり現在日本もさまざまな形で大きな課題を抱えているわけでございまして、対応を間違えば非常に大変な時代を迎えざるを得ないというふうに考えることができるんではなかろうかと思います。そういった意味では時代をどう見るかということになるわけでございますが、切り口は非常に多様に見ることができると思います。単純な見方であるかもしれませんが、過去の武力による競争の時代を経て、現在はやはり世界は非常に大きく変わって、国際社会は今や経済による競争、そういった時代に突入しているように私は思います。  先ほど来御答弁をいただいて考えますことは、やはり地球温暖化の問題、いわゆる人類の危機を回避するためには、今求められている考え方それ自体はやはり人類生存への競争、そういったことが言えるんではなかろうか、そのように考えているわけでございます。そういった点から考えますと、先ほど来私もお話し申し上げていますIPCCの報告書をより真剣に受けとめまして明年の第三回締約国会議を我が国で開催すること、さらに国際社会に向かって環境の面におけるイニシアチブを十分に発揮していただきたい、そのように要請いたしまして、私の質問を終了いたします。  どうもありがとうございました。
  64. 前川忠夫

    ○前川忠夫君 最初に、高圧ガスLPガス関係について質問をさせていただきたいと思います。  規制緩和の全体の流れの中でこの問題も出てきたというふうに理解をしているんですが、ただ、私も審議会の石油ガス部会の報告書を読ませていただいて、実は幾つか気になるところがございます。これは部会の報告ですからクレームをつけても仕方がないのかもしれませんが、これをベースにして今度の法改正がされるという点では多少気になりますので、お聞きをしておきたいと思います。  この中で、規制緩和のベースとして、例えば安全や環境については必要最小限という言い方をしているんですね。私は、安全の問題とか環境の問題というのは必要最小限じゃなくて最大限というむしろ考え方に立つべきなんじゃないかというような感じがいたしております。この辺は部会の報告書でありますが、もし見解がございましたら、後ほどお聞きをしたいと思います。  そこで、やはり報告書の中でLPガスを使う消費者自己責任認識した上で使いなさい、こういうくだりがあるんですね。私は、例えば元栓を閉め忘れたとか、まさに利用する側の完全な落ち度という部分についてはこれは当然の話だと思いますけれども、例えば器具ですとかあるいは設備だとか、そういった部分についてまで消費者の方の自己責任原則を適用されたんでは正直言ってたまらないというような感じがするわけです。安全性という問題について、この自己責任原則というのは一体どういう視点で考えておられるのか、まずこの問題について基本的な考え方をお聞きした  いと思います。
  65. 鈴木孝男

    政府委員鈴木孝男君) 先生指摘自己責任という言葉でございますけれども、あるいは環境とか安全についての社会的規制必要最小限という、これは昨年の審議会液化石油ガス部会でも引用しておりますが、そのもとは、御案内のように規制緩和につきましては平岩レポートが数年前に出まして、その際に経済規制社会的規制二つに区分いたしました。経済規制は原則廃止、社会的規制につきましてもその必要性は認めるけれども、本当に必要かどうかを原点に戻って常にチェックしなくてはいけない、こういうことがございました。それを受けまして、昨年三月に閣議決定されました規制緩和推進計画の中で必要最小限という言葉が使われておるわけでございますので、この液化石油ガス部会がそういう時代流れを引用しておるわけでございます。  その際に、自己責任という言葉というのは、一つは官と民との役割の分担だと思っております。今までのように公的な部門がいろいろな形で関与するというのも、これも重要な分野がありますけれども、民間のこれだけの能力の向上あるいはいろいろな分野で技術の進歩等創意工夫が生かされている現状において、官と民との役割を考えたらどうかという形で、民の創意工夫を生かすような形でという形が一つあろうかと思っております。  そういった意味で、民と言った場合には、私ども高圧ガスなり液化石油ガスの場合には事業者消費者というのがあろうかと思います。先生の御指摘は、液化石油ガスの方の場合には高圧ガス取締法特別法でございますので、液化石油ガスの方は一般消費者を対象にしていますから、そうしますと、一般消費者に対する自己責任はどうなのかということも言えますが、私どもは、まずは販売事業者などの事業者事業者責任で、国も基準とか何かを決めますが、その基準をどう守るかというのを、公的部門で許認可とか検査だけでチェックするというよりは、むしろ民間の方々も既に自主的な保安活動の積極的な取り決めができておりますので、そういったものをいかに活用するかという形かと思います。  また、一般消費者の場合にも、この液化石油ガスでも言っておりますが、まず消費者の責任重視の前提としましては、量、質にわたる情報開示というのが必要なんじゃないか。昭和四十二年に液化石油ガス法ができましたときの考え方は、一般消費者方々LPガスについての知識が不十分である、そのために販売事業者がかわっていろいろなチェックをする、こういうことだったわけですが、その後一般消費者方々LPガスにつきましていろいろな知識を持っておると思います。  ただ、それがまだ十分であるかどうかというチェックは必要でありますし、技術の進歩等、社会状況変化を的確に一般消費者にお渡しする必要もありますので、消費者へそういう量、質の情報開示した上で、消費者方々も、現在事故の半数は使われている方々のヒューマンエラーでございますので、そういった意味での消費者の誤動作による事故を減少していこう、それは事業者なり国なりと一緒になって消費者と考えようというのが考え方の基本だろうと思っております。
  66. 前川忠夫

    ○前川忠夫君 この報告書の中でも、ガス、特にCOガス中毒は依然として減っていない。これはまさに死亡につながる事故なんですね。私、今のさまざまな技術をもってしても、この不完全燃焼をなかなか予防することができないという実態はやっぱりあるんだろうと思うんです。  ところが、器具の問題ということで考えてみますと、例えば今マイコンメーターからS型のメーターに切りかえをやっておられると思うんですね。ある程度自動遮断ができるということでありますけれども、少なくともお聞きをしている限りでは、例えばS型メーターにしても、完全に全国に普及をするのは平成二十年ごろになるんじゃないかという話も実は聞いているわけです。  こういうまだ実態にある中で、今の調査点検をする周期二年をさらに延長するという報告あるいは考え方がこの中に出ているんですね。私は、こういう状況の中ではいかがなものかなというような実は気がしてならないんですけれども、二年を延長する場合、現在どの程度延長しようと考えておられるのか。あるいはいつごろこれを決めようとされておられるのか。  また、私はできればこういうものを決める、多分省令で決められるんだろうと思いますが、この際には現場の調査員やあるいは専門家の意見をきちっと聞いた上で、あるいは今の実態をきちっと踏まえた上でやらないと禍根を残すというような気がしていますけれども、この辺についてのお考えがあれば、お聞かせいただきたいと思います。
  67. 鈴木孝男

    政府委員鈴木孝男君) 私ども、LPガス保安の課題としましては三点あろうかと思っております。それは、先生指摘のようにCO中毒の問題、埋設管の問題、地震対策だろうと思っております。  CO中毒につきましては、器具の開発あるいは不完全燃焼防止装置等の安全関係技術開発というのが必要かと思っておりますが、そういうような対策を別途講じながら、しかしながら昭和六十一年以降の安全器具の普及によりまして事故は相当程度減少しておりますので、そういったことも十分踏まえまして、その調査の周期というものを考えていきたいと思っております。  これはまさしく省令事項でございますので、法改正が成りましたならば、先生指摘のように専門家の方々関係者の方々の意見も十分徴しまして、二年をどうするかということにつきましてはいろいろ御関心がありますので、これは法改正の前までに省令を定めてまいりたいと思っております。その際には、また地域特性とかいろいろな要素もあろうかと思います。その点につきましては私ども十分考慮してまいりたいと思っております。
  68. 前川忠夫

    ○前川忠夫君 今回、こういう形で規制緩和の一環として民間の事業者も参画するという形になつてまいりますと、これまで保安センターが果たしてきた役割というのは非常に高いわけですね。それなりにやっぱり評価ができると思うんです。仕事が減るということは間違いないわけですから、そういう意味で、そういう方々が新しい事業を展開するということをしていかなければならないだろう。もちろん、過渡的なあるいは経過的な措置になるのかもしれませんが、そういう支援策について具体的に現段階ではどんなことを考えておられるのか、お聞かせいただければと思います。
  69. 鈴木孝男

    政府委員鈴木孝男君) 保安センターのこれまでの役割あるいは保安センターが蓄えましたいろいろな知識、経験というものは貴重な資産であろうと私ども思っております。  この保安センターが法改正の中でどのように今後活動していくかということにつきましては私どもも大変関心を持っておりまして、一つ支援策、いわゆる保安センターがこれまで持っております知識、経験技術を生かす分野に支援をする方法といたしまして、高圧ガス保安協会に技術支援を含めまして来年度の予算も計上しておりますが、この高圧ガス保安協会によります支援策、さらにはまた法改正になりましていろいろな御要望もあろうかと思いますが、そういったものも含めまして追加的な支援策もあるのかどうか十分検討をしてまいりたいと思っております。
  70. 前川忠夫

    ○前川忠夫君 高圧ガスLPガス関係で最後に質問をしたいと思いますが、昨年の阪神・淡路大震災の際に、いわゆるライフラインと言われている電力、通信あるいはガスはまさに大打撃を受けたわけです。特にガスについては、もちろんこれは都市ガスあるいは高圧ガスも含めてでありますけれども、大変な大きな被害を受けて、結果的に復旧も非常に難しかったということもあって一番最後になってしまった。もちろん、老朽化した埋設管等々の問題もあったようですけれども、この阪神・淡路大震災の教訓をこれからの施策の中でどのように生かそうとされておられるのか。もし具体的に何らかの指針なりあるいは通達なり、そういったものが出されているのであれば、簡単で結構ですから御紹介をいただければというふうに思います。
  71. 鈴木孝男

    政府委員鈴木孝男君) 阪神・淡路大震災から私どもも重要な教訓を得ているものと思っております。  具体的には、高圧ガス保安協会に検討委員会を昨年から設置しておりまして、二つの点について検討しております。一つは家庭用のLPガスでございますが、家庭用のLPガスにつきましてはほとんど事故がなく、むしろ復旧が早くて震災地域の生活再建にも貢献したものと思っておりますが、LPガス設備の耐震性の向上あるいは対震自動ガス遮断器の設置、そういったことについてはさらなる地震対策のために必要かどうか、この点が一つの検討のポイントと思っております。  もう一点は高圧ガスの関連、LPガス貯蔵所の漏えいがございまして、これは現行の耐震基準そのものは問題なかったわけですが、配管系とか液状化対策あるいは計測制御機能につきましての基準をさらに追加すべきではなかろうかという問題がございました。この点も含めまして現在検討委員会で検討しておりますが、検討委員会の報告が出ましたならばそれを踏まえまして私どもの耐震基準の設計、設定等につきまして参考にさせていただきたいと思っております。
  72. 前川忠夫

    ○前川忠夫君 それでは、続いて石炭鉱害事業団のNEDOへの統合問題についてお伺いをしたいと思います。  今回の改正はいわゆる特殊法人の整理合理化の一環として行われるということでありますが、既に他の委員からも御指摘がありましたように、最終的には平成十三年度までに石炭鉱害関係の普及事業を完了させたいということで、今鋭意事業を継続しておられると思うんです。こういう最終的な終局、終結をしていくということが五年後ということですから、まだ五年もあるじゃないかという見方もあればもうあと五年かという見方もあるわけでして、特にそこで働いておられる職員の皆さんにとってみれば、その先どうなるんだろうというのは大変実は心配になるところだろうと思います。  そこで、この新しく統合されるNEDOについては通産省の監督官庁であるわけでありますから、この職員の人たちは今度の統合問題についても積極的に受けとめて協力をしていただいているというふうに私は思います。そういう協力なりあるいは努力ということに対して、この事業が完結をした以降の雇用の問題についてどんなお考えを持っておられるのか。五年先のことだからなかなか答えられないというふうに冷たいことをおっしゃらずに、できれば通産大臣のお考えをお伺いしておきたいというふうに思います。
  73. 塚原俊平

    国務大臣塚原俊平君) 今回、本日のこの委員会の御審議の中でも、行政改革の一環としての御評価と、それから平成十三年度に石炭鉱害事業団自体がなくなるではないか、だから実質的には果たしてどれぐらいの行政改革の効果があるのかという御指摘と、二点の御指摘がございました。そういう状況の中で、平成十三年度以降について特に鉱害事業団の方にお勤めであった皆様方が非常に雇用に対する心配をしているということは認識をいたしております。  まず当面は当然NEDOに雇用されるわけでございますが、平成十三年度に完了した後の職員の雇用のあり方につきましては、その時点でのNEDOの業務状況等にもよりますから、ただいま先生が御指摘されましたように、ちょっと言葉を丁寧に言うならば、その状況を踏まえて対処すべきものと思うということで、今からわからないよということにはなるんだと思うんです。ただ、現在の石炭鉱害事業団の職員の方の将来の雇用については、これはここではっきり答弁させていただいておきますが、直接の雇用者としてのNEDOはもちろん、通産省といたしましても誠心誠意これは対処いたしてまいりたいというふうに決意をいたしております。
  74. 前川忠夫

    ○前川忠夫君 今五年先の話を実はお伺いをしたんですが、これは当然だと思いますけれども、今現在も事業を継続しているわけですから、そういう意味必要最小限度の人員というのは、今現在だってぎりぎりでやっていると思うんです。そういう意味でもう一度確認をしておきたいんですが、統合のときに現在の職員やあるいは臨時の職員の方もおられるわけですが、人員整理を含めた合理化は行わないというふうに理解をしていいのかどうか。役員は何やら少し減らすという話を聞いておりますが、職員についてはそういうことがないのかどうか、もう一度確認をさせていただきたいと思います。
  75. 江崎格

    政府委員(江崎格君) 統合時の職員の人事の問題でございますけれども、一義的には石炭鉱害事業団とNEDOが決定するということでございますけれども、統合時に職員の解雇は行わない方針であるというふうに私ども承知しております。
  76. 前川忠夫

    ○前川忠夫君 そこで、もう一点関連をしてお伺いしておきたいと思いますが、今度の改正法案の附則の第二条第一項に、石炭鉱害事業団がNEDOに統合されるに当たって一切の権利及び義務は、その時においてNEDOが承継するというふうに実はうたわれているわけです。現在、石炭鉱害事業団の労働組合と事業団との間で労働協約等が当然結ばれているわけです、もちろんこれはさまざまな労働条件を含めての話ですが。こういったものも承継をされるというふうに解釈をしていますけれども、それでよろしゅうございますか。
  77. 江崎格

    政府委員(江崎格君) 先生指摘の労働協約などは具体的には職員の待遇の問題にかかわることでございますが、今後両法人間におきましてこうした具体的な待遇の問題につきましては調整といいますか、話し合いが行われます。給与法も違っているわけでございまして、これをどのように調整するかとか、あるいは具体的な職員の処遇、どのように格付するかとか、それから各種の手当がこれも両法人間で違っておりますので、そうしたものについて調整をするわけでございますが、いずれにしましても現行に比べて不利益にならないようにするということを基本方針として適切に対応していくというふうに考えております。
  78. 前川忠夫

    ○前川忠夫君 最後に、きょう提案をされています二つの法案にもある意味じゃ関連をしますし、全体としての問題なのかもしれませんが、行政改革委員会あるいは今の政府規制緩和推進計画、これらについては既に閣議決定をされて、昨日も見直しの作業が行われたわけですけれども、特に規制緩和等を進めていく場合に大変大事なことは、強者の論理に立たずに弱者の立場をきちっと踏まえていただきたい。特に、そこに働いている人たちというのは、国全体の流れ行政改革あるいは規制緩和という流れの中で、これにさおを差すというのはなかなか大変なことなんです。したがって、それはある程度受け入れなきゃならない。受け入れたはいいけれども、結果的にばかを見たのは自分たちだけだったということになりますと、これからさまざまな規制緩和を進めていく場合の大変私は大きな弊害になると思うんです。政府自身がきちっとそういう立場を踏まえて、できるだけきめの細かい配慮をした上で進めていく、こういうきちっとしたスタンスをぜひとっていただきたい。通産省の場合には、さまざまな問題が今規制緩和の中で掲げられています。積極的にやっていくべしという姿勢はもちろん当然だろうと思いますけれども、その場合の何よりも大事なことは、やはりそういう規制緩和によって影響を受ける人たちを大事にしていく、あるいはそういうことに思いをやるということをきちっとしていただきたい。  最後に一言だけ通産大臣から決意をお聞かせいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  79. 塚原俊平

    国務大臣塚原俊平君) ただいまの御指摘の点が一番難しい究極の規制緩和行政改革のテーマであるというふうに認識をいたしております。それが解決されれば、これはもう非常にスムーズに進む話でございますけれども、なかなか最終的にはどなたかは非常につらい思いをするという形にどうしてもなってきているというのが今までの過去の例でございました。  橋本内閣は規制緩和行政改革を掲げて、なおかつ総理自身が若いときからこのテーマに取り組んでこられたわけでございまして、その経験と、そして私どもも知恵の限りを尽くしまして、何とかその難しいテーマに挑んでまいりたいというふうに決意をいたしております。
  80. 山下芳生

    ○山下芳生君 まず、高圧ガス取締法改正について聞きます。  大臣提案理由で「現在、行政庁等が実施している完成検査保安検査等について、高度な保安体制を有する事業者がみずから行うこと等を認めること」を改正点の第一に挙げました。私もそう思います。果たして自主検査保安確保できるのか、これが中心問題だと思うからです。  実は、通産省は既にコンビナート事業所では自主検査を認めております。一九八七年、昭和六十二年施行されたコンビナート等保安規則第四十条第四項に「検査方法検査設備検査員等の状況により製造施設の検査を行うことが適切であると通商産業大臣が認める者は、」云々という規定があり、大臣認定した事業所には保安検査に関する自主検査が導入されております。先ほどの答弁にあった法改正後の自主検査要件とほぼ同じ規定です。コンビ則四十条四項に基づく認定を受けた事業所はこれまでに幾つありますか。数だけで結構です。
  81. 鈴木孝男

    政府委員鈴木孝男君) 四十二事業所、七十一件でございます。
  82. 山下芳生

    ○山下芳生君 これまでにです。
  83. 鈴木孝男

    政府委員鈴木孝男君) 四十一件、七十五事業所でございます。また数字は正確を期してまいりたいと思います。
  84. 山下芳生

    ○山下芳生君 七十五事業所です。  通産省は、コンビ則に基づく七十五の事業所認定された、その自主検査認定を取り消す場合の基準を持っております。「(1)死者一名以上の事故が発生した場合 (2)重傷者二名以上の事故が発生した場合 (3)負傷者六名以上の事故が発生した場合」などですが、こうした重大な事故などでこれまでに認定を取り消された事業所は幾つありますか。それからまた、取り消しまでには至らなかったけれども、事故を起こした事業所は幾つありますか。
  85. 鈴木孝男

    政府委員鈴木孝男君) 取り消した事業所は五事業所でございます。取り消しに至りませんでしたそういう事業所は二十二事業所でございます。
  86. 山下芳生

    ○山下芳生君 認定の取り消しになった重大事故が五、それからそれ以外の事故が二十二ということでした。つまり、認定事業所七十五あったうち二十七の事業所事故を起こしている、三割以上ですね。通産大臣検査方法検査設備検査員等の状況を判断して自主検査を行うことが適切であると認めたはずの事業所昭和六十二年から平成七年までのわずか九年間で三割以工事故を起こしているわけです。  その中には、作業員十名死亡、負傷者七名を出したコンビナート史上まれに見る大事故通産省も言っている平成四年の富士石油袖ヶ浦製油所事故も入っております。これが非常にリアルな実態だと思うんです。自主検査で大丈夫だとは言えないんじゃないですか。
  87. 鈴木孝男

    政府委員鈴木孝男君) 私ども、自主検査を取り入れる考え方は、現在高圧ガスにつきましても事故の件数、事故率等も減少しているわけでございまして、その背景には検査技術等の進歩がありますけれども、事業者保安活動に対する積極的な取り組みがあるわけです。  設備の信頼性が向上した中で、さらに事故を減らしていくにはヒューマンエラー等を減少していく、そのためには企業の創意工夫、ハード、ソフトの両面における工夫が必要なんだろう、そういうふうに思っておりまして、コンビナート認定事業所におきましても事故がございますが、私どもの分析ではヒューマンエラーとか定期修理のための稼働停止、あるいは立ち上げの際の事故が多いわけでございまして、必ずしも事業所自主検査を行ったがゆえに発生したものとは思っておりません。むしろ、こういう事業所創意工夫なり技術進歩の進展に合わせてできるような環境づくりを今後とも一層やることによりまして、保安面高度化が図られるのではなかろうかと思っております。
  88. 山下芳生

    ○山下芳生君 今、コンビナートにおける事故が多いのは自主検査をやっているからだとは思わないとおっしゃいました。これは重大ですよ。認定事業者を認める上で審査項目というのを通産省は決めていらっしゃいます。その中には、単に検査のやり方だけではなくて、事故対策それから防災体制、協力会社にまでそういうことをちゃんと教育するということも含まれていますよ。単に保安検査自主検査でやられていたから事故が大きかったということをこの認定事業者事故が多いことと結びつけるというのは、こういう規定をわざわざその中につくっているわけですから、そういうことは当てはまらないと思うんです。  それから、事故率のことをおっしゃいましたけれども、大臣、ぜひしっかり聞いていただきたいんですが、事故率で見ますともっとはっきりするんです。通産省に聞きましたら、平成五年度、第一種製造事業所全体の事故率は〇・〇三%です。ところが、これを認定事業者に限って見ますと事故率は六・八%にはね上がります。二百倍なんです。高度な保安確保体制構築していると認定され、自主検査を導入した事業所が九年間で三割以工事故を起こす。それから事故率は一般事業所の二百倍になっている。この事実は本当に重大だと思うんです。  しかも、コンビナート規則によりますと、認定された事業者には都道府県知事の立ち会いを受けなくてもよい、二年に一回の自主検査の際には運転停止をしなくてもいい、操業しながら検査をやればいいと。これはいわゆるインセンティブですね、これが付与されているわけです。つまり、ここから言えることは、確かに企業の経済性は確保されているけれども、それによって保安は必ずしも確保されていないということじゃないかと思うんです。こうした実態、現実を踏まえるならば、自主保安インセンティブという考え方は現時点で導入するには無理があるんじゃないかと思うんですけれども、大臣いかがですか。
  89. 鈴木孝男

    政府委員鈴木孝男君) 今回の考え方は、インセンティブ規制ということで、保安レベルが高度のものに対する対応でございます。また、コンビナート認定事業所につきましてもいろいろな審査項目もございますし、また危害予防規程におきましても事故の防止というものについていろいろ検討しているわけでございますが、このインセンティブ規制の考え方は、事故が起きた場合に、その事故の起きた事業所に対しては厳正な対応をするというのが前提でございますので、むしろ自主保安活動の意欲の高い、あるいは新しい投資もしたりして保安高度化する、そういった事業者の意欲というものをどうやって環境整備していくかというのがインセンティブ規制の考え方だと思っております。
  90. 山下芳生

    ○山下芳生君 私は事実に基づいて質問をしているんです。そういう形でインセンティブを付与している、現在コンビ則に基づく事業所が残念ながら事故率が一般事業所に比べて二百倍になっている、この数字は事実ですよ。ですから、果たしてそういうことをしっかり踏まえて今度の法改正が提案されているのか、非常に疑問なわけです。  私は、もっとリアルに見る必要がある。高圧ガス事故発生数が年々低下してきているけれども、今下げどまりになっているということは論議されてきたことです。私、この下げどまりの一因に認定事業者事故率の高さがあると言っても過言ではないというふうに思うわけですよ。しかも、この認定事業者、現在はコンビナートですから、一たび事故を起こせば労働者や地域住民の人命や財産を失わせるような重大事故につながっている。そういう事態があることに対しての真剣な検討なしに今回の法改正でさらに自主検査の対象や、それから内容を拡大するようなことにしたら、これは保安体制向上どころか重大事故を発生させることにもなりかねない、私はそのことを指摘したいんですけれども、大臣の御所見をいただきたいと思います。
  91. 塚原俊平

    国務大臣塚原俊平君) 私は、労働大臣をやりましたときから労災事故に対しては特に厳しい態度でずっと臨んでまいりました。  今回通産大臣に就任いたしまして、この保安関係規制緩和の法案が出てきて、既に私が就任したときには準備が進んでいたわけでございますが、当然そこの今御指摘の部分につきましては私にとりましての最大関心事でございました。  コンビナートの場合は、実はコンビナートは委員会でも幾つか質問を受けまして、御答弁をさせていただく中で事故の悲惨さというものも当然認識をいたしているわけでございます。先生からすると同じ次元の話ということになるかもしれませんが、やはり次元的には、コンビナートの方は詳しくまだ私ども今認識をしておりませんのでわかりませんが、こちらの方に関しては、今回出している法律に関してはかなりしっかりした保安というものが今日までそれぞれの業者、働く方々の努力でなされておりまして、そういった面では、ここでここの規制緩和するということがよりこの業界にとっても消費者にとっても効率的なものにつながるんじゃないかというようなことを私は説明の中から信頼を持ちました。
  92. 山下芳生

    ○山下芳生君 既に今回の法改正を先取り的に実施しているコンビナート規則四十条四項の詳しい中身についてよくわからないという大臣の御答弁、その程度の認識で今回の法改正がやられているということは……
  93. 塚原俊平

    国務大臣塚原俊平君) 四十条四項がわからないというんじゃなくて……
  94. 山下芳生

    ○山下芳生君 コンビナートの実態ですね。
  95. 塚原俊平

    国務大臣塚原俊平君) だから、事故の実態とそれとの関連についてですね。じゃ、もう一回言いましょうか。
  96. 山下芳生

    ○山下芳生君 結構です。  ですから、そのことをしっかり関連を認識した上で法改正に当たるのが当然なんですね。そういうことで今御答弁があったから、私は本当に検討を真剣にするべきだということを申し上げておきたいと思います。  次に、LPガス法の改正案についてお聞きします。  今回の法改正で、保安業務については通産大臣または都道府県知事の認定を受けた者であれば民間会社にも委託できるようになるわけですが、営利を目的にする民間会社に委託すると、保安点検よりも例えば自社の販売するガス器具などの販売促進に力を入れるような弊害も心配されるというふうに思うわけです。  例えば、聞くところによりますと、今こういう業界の労働者の給与の明細を見ますと、基本給というのが随分低くされておりまして、ガス器具の販売等の実績によって査定されるということになっておりますので、恐らくそういう方が行ったときに、保安点検というよりもガス器具の販売の方に力が入らざるを得ない状況があるということも踏まえまして、こういう心配の声も出ているわけです。  それからまた、現在公益法人である保安点検センターが大きな役割を果たしておりますけれども、委託制度の創設はこの保安点検センターの役割を低めることにならないか、あるいはその結果として保安点検水準の地域格差を拡大することにならないか、そうした心配はないのかどうか確認しておきたいと思います。
  97. 鈴木孝男

    政府委員鈴木孝男君) 保安機関認定に際しましては、的確な技術を有すること、十分な補償能力を有するほかに業務公平性にかかわる基準もございまして、具体的に申しますと、役員等機関の構成員の構成が保安業務の的確な遂行に支障を及ぼすおそれがないこと、保安業務以外の業務を兼業しているときには、その兼業により保安業務の的確な遂行に支障を及ぼすおそれがないことなどを認定基準にしております。また、不公正な保安業務が行われた場合には認定の取り消しを含めまして厳格に対処するという方針でございます。  こういったことから、民間会社への委託を行うといたしましても、保安レベルの低下にはつながらないんではなかろうかと思っております。また、現在の保安センター等も重要な役割を果たしていると思っておりますが、そういった保安センターも今後の改正法の中で事業の拡大あるいはこれまでの知識、経験を生かした形での事業活性化ということを図るべく、私どももいろいろな支援策等を講ずるなど、環境整備を図ってまいりたいと思っております。
  98. 山下芳生

    ○山下芳生君 最後に、石炭鉱害賠償法について聞きます。  このままでいきますと二〇〇一年には石炭鉱害関係法は期限切れになりますが、その後も浅所陥没等の鉱害発生が予想されます。この復旧についてもきちっと対応できるようになっているでしょうか。
  99. 江崎格

    政府委員(江崎格君) 今、先生おっしゃったように、十三年度末までに累積鉱害を解消するということで事業を進めておりますが、その後も浅所陥没等が発生するんではないかということでございまして、これは我々もそういう心配をもちろん持っております。  それで、この問題につきましては、平成四年の法律改正におきまして指定法人という制度が創設されておりまして、平成十三年度末以降のこうした問題にこの指定法人で対処するということでございまして、今後私どもこの指定法人の設立に向けて取り組んでまいりたい、このように考えております。
  100. 山下芳生

    ○山下芳生君 終わります。
  101. 小島慶三

    ○小島慶三君 初めに、石炭の方から入りたいと思うんですけれども、これは随分昔の話になりますが、石炭もかつては黒ダイヤとかいろいろ言われて、二千万トンの生産を目標にしてやっていたころもあるわけであります。私がかかわりましたのはそのころでありまして、それから以後スクラップ・アンド・ビルドというようなことがだんだん実施されるに至りまして、私がやっておりましたときにたしか四、五本新しい法律をつくった記憶があります。その一つが炭鉱離職者援護法というので、これは後に雇用促進事業団になります。それからもう一つは、産炭地振興法というので、これは産炭地域振興事業団という形になりましたが、それ以外に合理化事業団というものと、それからもう一つ石炭鉱害事業団というものがありまして、全体でたしか五つぐらいのそういう機関があったと思うのであります。  それから思いますと、今もうほとんど石炭というものの命脈が尽きようとしている状態であって、石炭増産の鬼っ子であった鉱害事業団、これも十三年にはなくなるということでありますから、大変私としては今昔の感にたえないわけであります。  ただ、そんな懐古話をしていてもしようがありませんが、私がやっておりましたときに一番難しいのは鉱害関係でこたえました。ほかの仕事は机上プランでもいろいろできるわけでありますが、鉱害問題というのはそうはいかないんで、現実の生々しいいろんな事実を中心としたその処理の仕事でありますから、これが一番大変だったというふうに思っております。  この法律が十三年までで後なくなってしまうということでありますが、そういった鉱害問題の難しさというものは、これはかなり後を引くんではないかというふうに私は思うんです。例えばそういう仕事をやっていくのに鉱害事業団で土木関係の仕事をやっていた人と、それから新エネルギー機構の方で新しい先端技術をやっていた人と、そういうふうな全然水と油のような組織を一緒にして果たしてこれがうまくいくのか、その辺についてお伺いしたいと思います。
  102. 江崎格

    政府委員(江崎格君) 今回の統合に際しまして、今まで鉱害復旧については石炭鉱害事業団、それと保有鉱区についてはNEDOに分かれてやっておったわけでございますけれども、今回統合に際しましてNEDOの中に鉱害事業本部というものを設けまして、これはかなり独立したといいますか、効率的に動けるように中の組織を考えたいというふうに思っておりまして、そういう点では先生の御指摘の心配はないようにしたいというふうに思っております。  この統合によりまして、種々の困難を抱えております復旧案件につきまして通産局、それからNEDOの鉱害事業本部の中に事業調整役を置くとかあるいは支障処理対策業務室を置くとかいうようなことで、むしろ効率的に対処するようにしたいというふうに思っております。
  103. 小島慶三

    ○小島慶三君 もうぜひそういうふうにお願いをしたいというふうに思います。  仕事の性質の違う人が一緒にやっていますとどうもうまくいかないということがあると思います。私の会社の経験なんかでもいろいろ機構一つにしたりした場合に、どうしても人の関係で五年、十年融和の時間がかかるということがありますので、鉱害関係が粗末にされないようにぜひそういう点はよろしくお願いしたいというふうに思います。  それから、今もちょっと問題が出ましたけれども、やはり累積鉱害とかいろんな仕事が後を引くと思いますので、これもきちっとプランを立てて、時間切れまでには対処をするという方向でひとつぜひお願いをしたいというふうに思います。  それからもう一つガスの方の話になりますが、全体の考え方が従来の取締法、これはもうかなり長い時間取り締まりでやってきたのではないか、七十年以上やっているんじゃないかと思うんですけれども、そういう取り締まりになれた保安から自主保安という形への切りかえというのは、これはかなり意識改革が必要になるというふうに思うんですね。こういった意識改革をどういうふうなインセンティブで誘導していくのか、この辺についてまずお伺いしたいというふうに思います。
  104. 鈴木孝男

    政府委員鈴木孝男君) 今回の改正は、先ほどから御議論ありますように、事故が減少している中で、それの理由技術の進歩あるいは事業者保安に対する積極的な取り組み、そういったことによりまして保安レベル向上しているわけです。片や大きな社会的要請といたしまして規制緩和、これは広い意味での規制緩和でございまして、私どもは保安の問題につきましては合理化、合理化という言葉が適切かとは思っておりますが、そういったほかに国際化という、そういうさまざまな環境変化なりニーズの変化、そういったものに対応しまして、御指摘のように高圧ガス法は大正十一年に制定されていまして相当長い年月があるわけですが、その間、官側からの公的な形の一律取り締まりから、むしろ事業者におきます保安意識の向上をベースにいたしました。  と申しますのは、事業者にとりましても企業経営上保安というものは最大の前提でありますし、また社会的責務認識しておるわけでございますので、事業者にとってもそういう保安確保は大前提である。そういう前提ならば、自主保安を進めるような環境整備をすることによりまして、保安につきましてはいろいろな負担、コスト増があるわけでございますので、そういったものによりまして今の保安レベル向上をさらに一段と進める、保安高度化を図る。そういった意味では、先生指摘のように意識改革というんでしょうか、事業者の責任というものを一段と感じていただくようなことが必要だと思っております。  そういう意味では、基準自体は厳しいものがそのまま維持されるわけですから、それを担保する方法として事業者自主保安というものをうまく活用する、そして公的な部門におきましては重点的な分野についてのチェックをするという、そういうダブルチェックシステムというものが今回の改正の基本的な考え方の一つだろうと思っております。
  105. 小島慶三

    ○小島慶三君 それから、ちょっとこれは角度を変えてお伺いしたいんですけれども、LPガスのこれからのエネルギー供給の中に占めるウエート、これをちょっと教えていただきたいと思います。
  106. 河野博文

    政府委員(河野博文君) 現在、LPガスは一次エネルギー供給の約五%を占めております。今後ともそれほど大きな構成上の変化はないのではないかというふうに思っておりますけれども、基本的には先ほど大臣申し上げましたようにクリーンなエネルギーというふうに位置づけておりますので、産業活性化を期待しているところでございます。
  107. 小島慶三

    ○小島慶三君 それで、五%というと余り大きくないようでありますが、これはやっぱりなかなかガスの本管が行かない地域、そういう地域では非常に重要なウエートを占めておるものだと私は理解しております。そういうところで今度は保安体制のレベルアップというか、そういう意味高圧ガスと並ぶような保安体制というか、そういうことが求められていくと思うんですけれども、今のLPガス事業体質からいってそういう横並びになるまでの保安体制ができるのか。例えば集中監視体制とかセンターとか、そういったものができるかどうか、この点についてひとつお伺いをしたいと思います。
  108. 鈴木孝男

    政府委員鈴木孝男君) LPガス販売業界は大変中小企業方々が大きなシェアを占めておるわけでございます。そういう中で、高度情報化社会におきまして集中監視システムという新しいシステムを導入することが企業経営上からも保安観点からも大変意味のあることだと思っております。  その場合の投資が中小企業事業者にできるかどうかという御指摘でございますけれども、各種支援策も、私ども金融面あるいは集中監視システム中小企業方々にも使いやすくなるようなモデル事業などもやっておりまして、そういった意味で意欲のある中小販売事業者方々もこの集中システムが導入できるような環境が今醸成されつつあるんではなかろうかと思っております。  まだまだ十分じゃないと思いますので、この法改正が施行されるまでの間、そういう支援策なども充実し、また私どもも事業者団体ともよく連携をとりまして、そういう集中監視システムの持つ事業者あるいは消費者保安へのメリットというものを十分周知啓発しながら対応を考えてまいりたいと思っております。
  109. 小島慶三

    ○小島慶三君 最後に、LPガスの業界といったようなものをそういうふうに指導して誘導していただくというのは大変結構だと思うんですけれども、やはりかなり背伸びをしないとLPガスの業界というのはそこまで、自主保安といったようなことまできれいに対応できるとは、こういうことまでついてこられないんじゃないか、そういう懸念、心配を持っております。通産省LPガス業界の体質改善策等についてひとつお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
  110. 河野博文

    政府委員(河野博文君) 先ほどウエートについてお尋ねをいただきましたけれども、私の方で舌足らずでございました。確かに一次エネルギー供給の五%ではございますけれども、供給世帯数をとってみますと二千五百万世帯、全世帯数の五五%ということでございますので、国民生活に不可欠なエネルギーというふうに考えているところでございます。  おっしゃるように、この重要なエネルギー供給を担いますLPガス産業の将来はどうあるかという点につきましては、私どもも常日ごろ心がけている点でございますけれども、一昨年の九月にLPGビジョン検討委員会という学識経験者あるいは業界の皆さんから成る委員会でお考えを取りまとめていただいたところでございます。  そこでの課題は、流通の合理化によるコスト削減あるいは市場環境の整備、また今回御議論をいただいております保安規制見直し、こういったことを通じまして、二十一世紀の初頭には都市ガス以上の消費者に対する満足を実現したいという課題を掲げているわけでございます。  こうした課題を実現するために、私どもといたしましては、例えば流通の合理化、効率化のために、元売、卸あるいは小売の各段階での流通集約化あるいは近代化を支援するために、債務保証をするあるいは利子補給をするといったようなことを考えておりますし、また供給形態を合理化するということで、今回の規制緩和の一環にもなっておりますが、バルク供給システムという新しい供給形態を導入するためにこれも支援をしていきたい。また、先ほどお尋ねいただきました集中監視システムの普及も業界全体のレベルアップのためにも大きな役割を担うと思いますので、こういった方面でも支援をしていきたいということで、こうした各般の施策によりまして、LPガス業界の体質強化を全体としてまた努力をしてまいりたいというふうに思うわけです。同時に、消費者の皆さんとの接点を大事にいたしまして、信頼関係を維持するということのためにも、私ども自身もいろいろな人のお力をかりまして、消費者への価格情報の提供などを行っていきたいというふうに思っております。  業界の皆さんの取引適正化のためにも、今回の法改正の対象となりました料金表の透明性の向上などの法律上の対応策も講じて、全体のレベルアップを図りたいというふうに考えております。これまでの検討のさまざまな過程で御参加いただきました業界の皆さんも非常に熱心にこの課題に取り組んでいただいているというふうに認識をしております。
  111. 小島慶三

    ○小島慶三君 終わります。
  112. 沓掛哲男

    委員長沓掛哲男君) 他に御発言もないようですから、両案の質疑は終局したものと認めます。  これより両案を一括して討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  113. 山下芳生

    ○山下芳生君 私は、日本共産党を代表して、高圧ガス取締法及び液化石油ガス保安確保及び取引適正化に関する法律の一部を改正する法律案に対し、反対の討論を行います。  まず、高圧ガス取締法の一部改正に関してですが、反対理由の第一は、法の目的に民間事業者による高圧ガス保安に関する自主的な活動を推進することを追加して、この立場から高圧ガスを取り扱う企業などに自主保安インセンティブを与えるとして、自主保安推進保安の合理化などの方策を講じていますが、これは利益優先の企業経営と保安のコストをてんびんにかけるものであり、保安確保を優先する立場とは相入れないものであるからであります。  その第二は、高度な保安体制を有すると通産大臣認定した事業者には自主検査を認めることにしています。  それは、現行のコンビナートの自主保安認定事業者体制をさらに推進するものでありますが、質疑の中でも明らかにしたように、今日の事故の下げどまりの一因となっているのがほかならぬ認定事業者であることを見ても、労働者、地域住民の生命や財産の安全確保にとって重大な危険をもたらすことは明らかであるからであります。  その第三は、自主検査制度の導入は、保安確保を利益優先の企業活動にゆだねて、国民の生命・財産の安全を確保すべき政府、都道府県などの責任を事実上放棄する無責任なものになるからであります。  次に、液化石油ガス法の一部改正に関してですが、本案は、全国の世帯の過半に及ぶLPGの保安確保について、消費者の要求や国民の安全確保にとって見過ごせない問題を持つものであります。特に、民間会社に保安業務を委託できるようにした保安機関制度は、公益法人の保安点検センターの役割を低め、保安点検の地域格差の拡大、点検時のガス器具の販売促進など営利本位の弊害が予想され、消費者・国民の安全を事実上軽視しかねないものであります。  最後に、保安センターによるガス漏れの発見が現行の二年に一回でも減少していない現状を見れば、新型のマイコンメーターなどの普及を口実としたLPG消費設備点検周期の延長は消費者の安全確保にとって問題があり、慎重に検討すべきであることを指摘して、討論を終わります。
  114. 沓掛哲男

    委員長沓掛哲男君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  まず、高圧ガス取締法及び液化石油ガス保安確保及び取引適正化に関する法律の一部を改正する法律案について採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  115. 沓掛哲男

    委員長沓掛哲男君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、石炭鉱害賠償等臨時措置法の一部を改正する法律案について採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  116. 沓掛哲男

    委員長沓掛哲男君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  前川忠夫君から発言を求められておりますので、これを許します。前川君。
  117. 前川忠夫

    ○前川忠夫君 私は、ただいま可決されました石炭鉱害賠償等臨時措置法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・自由国民会議、平成会、社会民主党・護憲連合及び新緑風会の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     石炭鉱害賠償等臨時措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)    政府は、本法施行によって石炭鉱害事業団業務が新エネルギー産業技術総合開発機構に引き継がれることに伴い、鉱害関連事業に支障を来さないよう十分留意することのほか、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。  一 累積鉱害復旧事業復旧支障事案の処理に積極的に取り組むことにより、法期限内の復旧完了に努めること。    また、鉱害関係諸法の法期限到来後の鉱害処理について、浅所陥没等の鉱害復旧が適切になされるよう、指定法人による処理体制等について先行的に検討を進めること。  二 新エネルギー産業技術総合開発機構に移行する職員の処遇については、不利益になるようなことがないよう十分配慮するとともに、鉱害業務の推移等を勘案しつつ人員の有効適切な活用等に努めること。  三 行政改革趣旨にかんがみ、新エネルギー産業技術総合開発機構業務については不断に見直しを行い、時代に即した効果的な業務が行われるよう努めること。   右決議する。  以上であります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  118. 沓掛哲男

    委員長沓掛哲男君) ただいま前川君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  119. 沓掛哲男

    委員長沓掛哲男君) 全会一致と認めます。よって、前川君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、塚原通商産業大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。塚原通商産業大臣
  120. 塚原俊平

    国務大臣塚原俊平君) ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を十分に尊重いたしまして、今後とも鉱害復旧事業推進等に全力を尽くしてまいる所存であります。
  121. 沓掛哲男

    委員長沓掛哲男君) なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  122. 沓掛哲男

    委員長沓掛哲男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十九分散会      —————・—————