運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1996-06-05 第136回国会 参議院 災害対策特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年六月五日(水曜日)    午後一時開会     —————————————    委員異動  六月五日     辞任       補欠選任      釜本 邦茂君     山本 一太君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         須藤良太郎君     理 事                 佐藤 静雄君                 陣内 孝雄君                 北澤 俊美君                 渡辺 四郎君     委 員                 岩井 國臣君                 鎌田 要人君                 清水 達雄君                 竹山  裕君                 山本 一太君                 依田 智治君                 市川 一朗君                 田浦  直君                 戸田 邦司君                 長谷川道郎君                 横尾 和伸君                 赤桐  操君                 村沢  牧君                 山下 芳生君                 本岡 昭次君    国務大臣        国 務 大 臣        (国土庁長官)  鈴木 和美君    政府委員        阪神淡路復興        対策本部事務局        次長       生田 長人君        国土庁防災局長  村瀬 興一君   最高裁判所長官代理者        最高裁判所事務        総局総務局長   涌井 紀夫君   事務局側        常任委員会専門        員        八島 秀雄君    説明員        厚生省生活衛生        局水道環境部水        道整備課長    浜田 康敬君        厚生省社会・援        護局保護課長   西沢 英雄君        建設省住宅局住        宅整備課長    山中 保教君        建設省住宅局建        築指導課建築物        防災対策室長   佐々木 宏君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○特定非常災害被害者権利利益保全等を図  るための特別措置に関する法律案内閣提出、  衆議院送付)     —————————————
  2. 須藤良太郎

    委員長須藤良太郎君) ただいまから災害対策特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、釜本邦茂君が委員を辞任され、その補欠として山本一太君が選任されました。     —————————————
  3. 須藤良太郎

    委員長須藤良太郎君) 特定非常災害被害者権利利益保全等を図るための特別措置に関する法律案議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 北澤俊美

    北澤俊美君 平成会北澤でございます。  本日議題となっております法律案につきまして順次御質問申し上げますので、ひとつよろしくお願いをいたします。  最初に、阪神淡路大震災被災地が一日も早く復興するようにということで、昨年は十六本の大震災関連立法措置が行われたわけでありますが、税制上あるいはまた財政上の特例措置、その他復興のための措置がそれぞれ講じられたわけでありますが、本日議題となっておりますところの法律案はそのうちの三本の法律について恒久化を図る、こういうことであるわけでありますが、議論前提として、これに先立ちまして、まず仮設住宅に関してお伺いをいたしたいわけであります。  阪神淡路大震災における仮設住宅入居状況、これは直近の入居状況、それから災害公営住宅等恒久住宅建設進捗状況、これについて状況お話しいただきたいと同時に、簡単で結構でありますから、今後の見通しについて簡潔にお伺いをいたしたいわけであります。長官お願いをいたしたいと思います。
  5. 西沢英雄

    説明員西沢英雄君) 仮設住宅でございますが、兵庫県と大阪府を合わせまして四万九千六百八十一戸を建設いたしました。本年五月一日現在での入居状況でございますが、兵庫県では四万一千五百三十二世帯大阪府では千百七十三世帯との報告を受けております。入居率に直しますと約八六%となっております。また人員につきましては、平均世帯人員からの推計でございますが、兵庫県におきまして約七万九千人、大阪府につきましては約二千六百人と地元自治体で推計しているところでございます。
  6. 山中保教

    説明員山中保教君) 公的供給住宅進捗状況でございますが、兵庫県が作成をいたしましたひょうご住宅復興三カ年計画では、公的供給住宅七万七千戸を供給することといたしております。平成八年度当初予算までに、この戸数の九五%に当たります七万三千戸の建設の着手に必要な予算を確保いたしております。  この進捗状況でございますが、六月一日現在、見込みも含みますが、用地確保いたしておりますものが全体の約七割、五万四千九百戸でございます。それから、着工に至りましたのが約三割ございまして、二万二千三百戸ということになってございます。  今後とも、できるだけ早く供給ができるように、公共団体に私どもも積極的に支援をしていきたいというふうに考えております。
  7. 北澤俊美

    北澤俊美君 ただいま状況をお聞きしますと八六%、だから大半の方がまだ入居しておると。これは、入居していることに基づいて、後ほど質問しますけれども仮設住宅の延長の問題があるわけであります。これは恒久住宅を早くするということ、それには財政支援をしっかりしなきゃいかぬ、こういうことはずっと一年間ほぼ言われてきたわけでありますけれども、各省庁もそれからまた総理自身もたびたびこのことは言明されておるわけでありまして、これが必ずしも今私がお聞きした数字では順調に進んでいるというふうには、省庁の方はそれぞれそんなような印象を持っておるんでしょうけれども、我々からすると少し遅いのではないかと。また、兵庫の三カ年計画も見直しをしようとしておるというふうに聞いておるわけでありますが、この辺のところもどんなふうに進もうとしておるのか、ちょっとお聞きをしたいというふうに思います。  いずれにいたしましても、これから家賃の安い公営住宅がどのくらい供給できるのか、それからまた家賃はどのぐらいになるのか、こういうことですが、これは多少語弊があるかもしれませんけれども仮設住宅へ一年二年と住んでいきますと安い家賃に対する期待感はどんどん膨らんでくると、こういうふうに思うんです。そうすると、移ろうと思うけれどもそんな高いところではだめだと、一体どのぐらいの家賃が設定されるのかなと、こういうような期待感が膨らんでくる。そして、それと現実とのそごの中で不信感がわいてくる。こんなようなことになるとこれは大変なことでありますので、そういう不幸な市民感情といいますか、被災者感情を惹起しないように早くからこういうものをPRしていく必要があると、私はそんなふうに思うんですが、いかがですかな。
  8. 山中保教

    説明員山中保教君) まず、公的住宅供給の方について私の方からお答えをさせていただきたいというふうに思います。  先般、仮設住宅に入居なさっている方々対象といたしまして兵庫県が実態調査アンケート調査をいたしました。その結果によりますと、高齢者方々が多いとか、あるいは一人、二人の小世帯方々が多いとか、さらには公的賃貸住宅を御希望される方が非常に多いというふうな結果が出ております。  こういう結果に基づきまして、地元では公営住宅をふやさなくてはいけないんではないかというふうな希望を持っております。私どももそのことは承知をいたしております。  現在、地元、県を中心にいたしまして、調査結果を踏まえまして公的住宅供給計画の点検というのを行っているところでございます。これによりまして、必要な戸数をこれから確保していく必要があるわけでございますけれども、私どもも、仮設住宅にお住まいの方々にとりましては何よりも恒久住宅にお入りいただく、いっときも早くお入りいただくということが大変重要でございますし、御安心いただけるだけの量的な数は確保しなくちゃいけないんではないかと、かように思っている次第でございますので、これらの結果を踏まえまして、必要な災害復興公営住宅の確保に向けて最大限努力をしていきたいというふうに思っております。
  9. 北澤俊美

    北澤俊美君 仮設住宅については後ほど我が会派の市川委員の方からまた御質問申し上げますが、今私は家賃の設定についても、どのぐらいのものになるのかというようなことを早くというふうに申し上げたんだが、きっとまだ申し上げるに至っていないのかな。
  10. 生田長人

    政府委員生田長人君) 家賃対策についてお答えを申し上げます。  おっしゃるとおり、家賃対策につきましては、今回の兵庫県の実態調査によりますと大変低所得で高齢の方が多いということも事実でございますので、これらを含めまして、現在、県、市、それから各省庁との間で住宅実務者会議というのをやっておりまして、毎週精力的に協議を続けさせていただいているところでございます。  できるだけ私どもとしましては一日も早くまとめたいというふうに考えておりますが、これまた御承知だと思いますけれども、県の実態調査自身が多少おくれたこともございまして、作業が少しおくれぎみになっております。しかしながら、六月の末から七月にかけまして、県、市では公的供給住宅一元募集というのをやろうというぐあいにしておりますので、何とかこれに間に合わすべく現在努力をしているところでございます。
  11. 北澤俊美

    北澤俊美君 一日も早く指針を出していただきたいというふうに思います。  次に、法律恒久化についてお伺いをいたします。  阪神淡路大震災関連の十六法律のうち、性格上恒久化にふさわしいもの、そしてまた一方ではふさわしくないものと、こういうふうに分けられるわけでありますけれども阪神淡路大震災に対処するための特別の財政援助及び助成に関する法律、これにつきましては国土庁の、阪神淡路大震災関連法律定型化一般化についての考え方というその後の資料によれば、この法律については定型化一般化についてはふさわしくない、すなわちバツ印をしてあるのでありますが、私はこれについては私なりの意見を持っておるわけでありますけれども、まず最初に、恒久化できない理由について御説明をいただきたいと思います。
  12. 村瀬興一

    政府委員村瀬興一君) 今、先生がおっしゃいました阪神淡路大震災に対処するための特別の財政援助及び助成に関する法律でございますが、これにつきましては、御承知のように阪神淡路大震災が非常に大きな災害であるということから特別の財政援助あるいは助成をしたものでございます。  こういった特別の助成あるいは財政援助、それから税制上の措置も同じ部類に入ると思いますけれども、そういった措置につきましては、大きな災害が起きました都度、そのときの財政状況あるいはニーズといったものを個別に判断をいたしまして、その都度国会法律を制定あるいは改正していただいて措置をすべきものというふうに考えております。今回お願いしております三つの事項につきましては、定型的に判断できるものというようなたぐいのものをピックアップしておるということでございます。
  13. 北澤俊美

    北澤俊美君 部分的にはそういうことも言えるというふうに思うんですが。  そこで、昨年いわゆる財政援助法が本委員会で審議された際に、ここにおいでの横尾委員から、財政援助法による特例措置の中には激甚法対象に組み入れて恒久化すべきものがあるのではないかというような論議があって、激甚法対象施設を見直すべきではないかと、こう指摘をされたわけでありますが、残念ながらそのときの論議が生かされていないわけであります。また、議事録を見ますと、当時の小里大臣は、この災害を貴重な経験として、関係法等も十分今後留意していくべきであるという前向きな答弁をしておるわけですね。  そのとき論議になった問題をこれからちょっと取り上げていきますけれども、この大臣答弁も、今回のこれを見ると、生かされていないと私は思うんです。  個別の問題に入りますけれども国民生活に密着した極めて公共性の高い上水道一般廃棄物処理施設信号機、これは公安委員会設置交通安全施設ですね、こういうものは激甚法対象となっていないんですよね。一方で、同じ交通安全施設であっても建設省所管のものは対象となっており、また下水道私立学校という、そのときの論議収益性というものが議論されたわけでありますけれども、ある程度収益性が認められるものも対象となっておるわけでありまして、これをひっくるめて言うと、激甚法対象施設整合性がとられていないんだと、こういうふうに思うんです。  激甚法不備は、先ほどもちょっと触れましたけれども、結局は災害たびごと特定財政援助法が必要となるのであって、これは昭和三十七年の激甚災害法の法案を提案されたときの提案理由説明の中にこういうふうに書かれておるんですね。「激甚災害発生のつど特例法を制定することを避け、合理的かつ恒久的な制度を作ることを目的とするという基本原則に反するものであります。」。  本法律を作成するに当たって、このことに留意し、または検討、整理されたものがあれば御説明を願いたい。  結局、その都度法律をやっていくということは避けるんだ、総合的な整合性のとれた法律をつくるんだと、こういうふうに言って、昭和三十七年に法律ができたわけです。  だから、その後に、例えば昭和五十九年に下水道設備なんかを入れたときに、本来ならば上水道が入ってしかるべきなんだけれども、そういうものが入っていない。それでまた、今度のように今世紀最大、我々文化国家になってから初めて体験するようなこんな大きな災害の中で経験したことが、新しい法をつくるときに整備され切っていないというのはどうも腑に落ちない。これはこの前のときも論議されたけれども、今回もそれが置いてきぼりになった。  これは厚生省厚生省で何か、ちょっと聞いてみましたら、予算措置でできているというようなことを言っているんですけれども、これはまた厚生省の見解もお聞きをしたいと思いますが、まず基本的に、今度この問題を整理できなかった考え方をちょっと教えてくれませんか。
  14. 村瀬興一

    政府委員村瀬興一君) 激甚法につきましては、この前、阪神淡路財政援助法律の御審議の際にいろいろな御議論をいただいたところでございます。  激甚法というのは、比較的頻繁に起きる災害を念頭に置いて、そういったある程度災害が起きた場合に特別の補助率引き上げ等を行うというものでございますし、今回お願いしております法律は、阪神淡路級の非常に大きな災害が起きた場合に、あらかじめ法律国会で議決しておいていただいて、政令で災害を指定してしかるべく運用させていただくというものでございまして、今あります激甚法と今回お願いしております法律対象となる災害程度において相当開きがあるというふうに考えております。  激甚法につきましては、御指摘がありましたようないろんな問題があろうかと思います。実は私ども、その後二度にわたりまして災対法の改正お願いしてきておりますところから、まことに申しわけないんですが、激甚法についてまだ十分な検討をするところまで至っておりません。したがいまして、今後そういったことも検討しなきゃいかぬとは思っております。  若干申し上げますと、まず上水道でございますが、確かに下水道は入っておりますが上水道は入っておりません。仮に上水道激甚法対象にするということにいたしますと、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法という法律、これは建設省所管でございますけれども、まずその法律対象にする必要が恐らくあるということになろうかと思います。  所管厚生省も、これまでのところ、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法対象にして、さらに激甚法対象にするというふうな御意向が必ずしも明確ではなかったんではないかというふうに思っております。所管であります厚生省がそういう希望があるということであれば、まず、国庫負担法の方の対象にすることについて建設省としかるべき協議をするということが先決になろうかと思います。  それから、交通安全施設につきましては、交通安全施設がこれまで災害によって受けております。その被害の額でございますとか、その額によって地方公共団体財政に与える影響の大きさ等を勘案していく必要があるだろうというふうに考えております。  それから、一般廃棄物処理施設につきましても、これも被害程度でございますとかあるいは対象事業所管省庁考え方というものも十分踏まえて、総合的な検討をする必要があるのではないかというふうに考えておるところでございます。
  15. 北澤俊美

    北澤俊美君 厚生省は何かないですか。
  16. 浜田康敬

    説明員浜田康敬君) ただいま先生の方から、水道施設あるいは一般廃棄物処理施設などにつきまして、激甚法対象になっていない点についての厚生省の考えはいかがかということでお尋ねがございました。  かつていろいろな経緯があったかと思いますけれども、総じて申し上げますれば、今国土庁の方からもお話がございましたように、まずは、激甚法かさ上げ法ということでございますので、基本となります法律補助の体系があってのかさ上げたということが前提になるという法体系の仕組みの問題があったかと思います。したがいまして、まずは、根拠となる、災害復旧に対する法律補助を行うかどうかということについての議論が必要になってくるわけでございますが、これにつきましては、恐らく過去のこうした水道施設あるいは廃棄物処理施設災害状況というのは、通年的にはそれほど大きなものはなかったというふうなことでありますとか、あるいはその施設を運営しております事業の態様でありますとかというような議論があって、なかなか法律補助ということにはなってこなかったようでございます。  したがいまして、現在の状況は、先生も御指摘いただきましたように、予算補助という形ではございますけれども、恒久的な交付要綱を定めまして、水道施設あるいは廃棄物処理施設につきましては二分の一の国庫補助を行うことにしておりますし、さらには地震について言いますれば、マグニチュード六以上の地震であって復旧事業費等が大きいものにつきましては補助率かさ上げ措置も講じるというような措置を講じてきております。阪神淡路につきましては、御指摘のとおりそうしたものにさらにかさ上げが必要なほど被害が甚大であったということで、特別立法対象事業として十分の八の国庫補助をしたというような経緯で今まで来ております。  私どもとしても、こうした措置でいけるところはいくということでございますが、今後とも水道施設あるいは廃棄物処理施設復旧に対する国庫補助制度のあり方につきまして、このたびの阪神淡路大震災経験も踏まえました今後の検討を重ねていきたいというふうに思っておるところでございます。
  17. 北澤俊美

    北澤俊美君 今の答弁でよくわかるんだ、考え方が。よくないということもね。  この法律成立過程というのは、確かに今、公共土木施設何とかから始まってきているわけだ、激甚法。これは、そのときには我が国の経済力の問題とか、インフラ整備状況とか、そういう問題があってそこに組み込まれていないというようなことは、これは当時とすればやむを得なかったかもしらぬ。しかし、それがだんだんにインフラ整備もでき、それから経済力も上がってきた中で、建設省は、まあ国土庁建設省の非常に近しいところにあるからというせいかどうか知らぬが、ちゃっかりという言葉はおかしいが、きちんと入れるべきものは自分所管のものは入れておるんだよね。  厚生省考え方はおかしいんだ。立法府の立場からすると、災害というのは国民にいっどこでどんな状況で、予測のできないところで起きるわけでして、それを一省庁予算措置で賄えるということをここで堂々と言って、今後のそれに対応するような姿勢を見せるとすれば、それは思い上がりも甚だしいんだ、省庁として。国民は、自分たちの危険に対して、不安に対して法律できちんと規定をされていて初めて日常生活を安心して暮らせるという安心感がそこで生まれるわけなんだから。法律というものは大体そういうものなんだ。それに対する厚生省考え方はそれは絶対間違っている。  片方下水道上水道下水道の順序からすれば、そんなことはわかり切っていることで、上水道が先に普及していって下水道が後に普及したわけだ。それが、激甚法下水道の方は早くにもう対象になっていて、上水道の方は対象になっていない。災害現場へ行ってごらんなさい。下水道を心配している人いますか。水が出ないという心配はするけれども。まずそこからでしょう。そういう物の考え方にまず立たなきゃ、厚生省自分から進んで激甚法改正を申し入れて、自分たちのところのものをそこへ組み込むという姿勢にならなきゃいかぬと、僕はそう思う。  それから、交通施設についても、建設省関係のものは対象になっていて、公安委員会の方のは対象になっていない。これは法の不備ですよ。  国土庁長官、これ全体を今お聞きになっていてどんなふうに思われますか。前向きなひとつ御答弁お願いします。
  18. 鈴木和美

    国務大臣鈴木和美君) 先生の今のお話を承っておりまして、各省庁ともそれぞれに意見があるところではございますが、いずれにしてもこの大災害阪神淡路という大きな経験をしたことでございますから、今そこに全力を集中している関係で若干検討がおくれている部分もあると存じます。今先生の御指摘を十分承って、これから対応に遺憾のないようにぜひ対処してまいりたいと、かように思っています。
  19. 北澤俊美

    北澤俊美君 ぜひひとつそういう形で、ここでの論議がこれでもう多分三回、四回になっているというふうに思いますので、実りあるものにしてほしいと、こういうふうに思います。  ちなみに、前回の横尾委員の質問に対して、当時の建設省河川局長がこういう答弁をしているんですよ。激甚法対象施設にするには、それぞれの所轄官庁判断先決であるとの答弁をしているんですね。これはまさに縦割り行政の弊害の最たるものです。それぞれの省庁自分たち判断して、法の中に入れたいと思うものは入れると。それで、片方予算措置だけでその都度。こんなことを役所のお役人に我々権限までゆだねているつもりは全くない。だから、ぜひひとつ今の御答弁にありますように国土庁長官はリーダーシップを発揮して、法のその整合性努力していただきたいと強く御要望申し上げておきます。  もう時間が余りありませんので、お願いしてあったことが全部質問できませんけれども、次に、本法適用対象となる災害の範囲についてお伺いをいたしたいというふうに思います。  本法特例措置が適用される災害は、「著しく異常かつ激甚な非常災害」と、これも日本語としてなかなか難しい日本語で、こういう表現で作文を書けばきっと赤ペンで直されるんだろうと思うんだが、これがいささか定着し始めておるわけでありますけれども。それで、特定非常災害に指定されたものに限定されると、こういうふうになっておりますが、今度の阪神淡路は当然だとしても、雲仙・普賢岳災害や北海道の南西沖地震クラス災害は、これはどういうふうに扱われるのか、ちょっとお聞かせください。
  20. 村瀬興一

    政府委員村瀬興一君) 「著しく異常かつ激甚な非常災害」ということについてでございますが、これは阪神淡路大震災級の極めて大規模かつまれに見る災害であるというふうに考えております。  具体的には、死者、行方不明者、負傷者、避難者等の罹災者が多数発生していること、それから住宅の倒壊等の建物被害が多数発生していること、交通やライフラインが広範囲に途絶していること、これらの被害により地域全体の日常生活や業務環境が破壊された状況にあること等の諸要因を総合的に勘案して、著しく異常かつ激甚な非常災害に該当するかどうかということを判断したいというふうに考えております。  過去の災害について見ますと、大正十二年の関東大震災、これは死者、行方不明者が合わせて十四万二千八百余名でございますが、これでありますとか、阪神淡路大震災、それから昭和三十四年に起きました伊勢湾台風、これは死者が約五千百人でございます。それから昭和二十三年に起きました福井地震、これは死者が約三千八百人でございますが、今申し上げましたような災害につきましては著しく異常かつ激甚な非常災害に該当するものというふうに考えておりますが、今先生おっしゃいました雲仙・普賢岳の噴火災害、これは死者、行方不明者が四十四人でございます。それから平成五年の北海道南西沖地震災害、これは死者、行方不明者が二百三十名でございますが、こういった災害についてはこの法律で言っております災害にはならないというふうに考えておるところでございます。
  21. 北澤俊美

    北澤俊美君 特定非常災害という縛りがかけられると、あれよりも大きい災害でなければという不安が今度逆に国民の側にのしかかってくるわけですよ。このことについては私は大変不安を感じておるわけであります。せっかくの法律で、しかも中身はいいにもかかわらず、その縛りが国民に不安を起こさせるということについては十分また御配慮をいただきたいと思うんです。  最後にもう一つだけお聞きをしておきますけれども特例措置なんですけれども、今度の災害経験の中から学ばれて、大変いいことをたくさん列挙してやっていただいておるんですよ。  これはこれでいいんだが、ところで法律用語というのはなかなか難しくて、例えばその中身の中で一つ、「道路交通法第九十二条の二第一項及び第二項に規定する免許証の有効期間内において当該免許証が有効であること。」について、「当該免許証に係る免許を受けた者であって、」と、延々と書いてあるんですけれども、これは結局七年六月三十日までは延長されるということですね。  災害が来た、おれの免許は多分あした書きかえだったんだけれども、これが延びるんだと。こういうことで大変いいことなんだけれども法律というのは結局は国民に対して安心感を与えることなんだから、もう少しわかりやすく何とかこれPRできぬものかと思うんですよ。これを見まして、私も法学部を出たから幾らか読み方がわかるのかと思ったら、やっぱり勉強しなかったせいか、なかなかこれを読んでいてもわからぬのですよ。  結局、国民災害に遭ったときの心理というのは、瞬間的に、おれのあの心配事はどうなるんだろうかな、国が何とかかばってくれるのかなということと、もう一つは、常日ごろから国の制度があって、それが頭の中にインプットされていて、災害が起きた、さあ、あの問題があったけれども法律でカバーしてくれるんだなと思ってその場で安心する。それから、先ほど言ったように、結果として終わってみたら、役所に行ってみたら、それは大丈夫ですよ、延期されていますよということでほっとする。  国民にとってこの法律はとてもいいわけだけれども、このPRの仕方、国民に徹底する仕方をもうちょっと考えていただいた方がいいと、こういうふうに思うんですよ。これはさっきから変なことも言っていたけれども、前向きな意味で、せっかく国民に対してこういうものを法制化しようとしているわけでありますから、ぜひPRについてよく御検討をいただきたい。  これは要望にして、もう時間がありませんから市川さんの方にお譲りいたしますので、ぜひ御検討をいただきたいと思います。
  22. 市川一朗

    市川一朗君 続きまして御質問させていただきたいと思います。  今、北澤委員が御質問なさった件で、長官、非常に大事な部分があると思いますので、私ちょっとフォローさせていただきたいんですが、現在の災害対策の基本的な法体系は、昭和三十六年に災害対策基本法ができて、今話題になった激甚災は昭和三十七年ですね。それは結局、昭和三十四年に伊勢湾台風がありまして、その前の年、昭和三十三年が狩野川台風、台風による被害が非常に大きくありまして、このままではだめだということで国の防災体制を抜本的に組み直したのが昭和三十六年、三十七年だったわけです。  今回の阪神淡路大震災を契機として、その災害対策基本法にすら今回メスを入れたんですね。その審議は前々国会で私どもも加わって一生懸命やったわけです。私どもの会派からも議員立法として提案しまして、その考え方も取り入れられて、政府提案の災害対策基本法改正案をまた修正していただきまして、一歩二歩だとは思いますけれども、かなり前進したと思うんです。  そのころに村山総理もこの委員会に出てまいりまして、私も質問させていただいたのでございますが、いろんな中で、例えば今話題になっております地方公共団体に対する補助のかさ上げとか、あるいは被災した施設に対する資金とかいう意味につきましては、いわば一定の法律の枠がありますから、どうしても対応できないものがある。そうすると、対応できるためには例えば災害対策本部長が、この場合は国土庁長官災害が起きたら自由に使えるような基金ぐらいつくったらどうですかと。そのとき村山総理は、大変貴重な提言ですから考えます、ただいろいろ難しい点はあるんですがねというようなことで、大分姿勢ははっきり示されているんですね。  それから、今の激甚災との関係も、やはり小里大臣が担当大臣として相当前向きに取り組まれて、そして現在あります阪神淡路大震災に対処するための特別の財政援助及び助成に関する法律では、今話題になっております水道とかあるいは廃棄物、それから信号機、こういった今までの歴史的な経緯の中で激甚災では取り込まれていないものも取り組んだわけなんです。  この考え方をこれから恒久的なものの制度に持っていくのか持っていかないのかというときに、今たまたまこの法案はそういう問題についての御提案なんですね。どうしてこれは外されたんですかというような意味においては、先ほど来の御議論を聞いておりますと、私も、非常に真剣にこの問題を考えている一人としては、正直申しまして、余り真剣に取り組まれたような気配を感じませんでした、厚生省答弁も含めまして。  しかし、これは明らかに、いろんな意味で、ああいう大きな地震が来た、都市型の災害が起きる、そのときにライフラインの確保という問題は非常に重要なんですね。それが、昭和三十七年の激甚災ができたのはこういう理論でこうだから、つまり公共土木施設だと。だから理論的には入らないと。まさに建設国債の発行対象経費であるかどうかといったような議論と連動する話なんですね。  それはそれとして、しかし現実に災害が起きたときに必要な施設整備というのはやっぱりきちっと今の時代に即応したものでやるべきだということを実は当時真剣な議論をして、こういう法律ができている。現に実行されているわけですから、できるだけいいものは恒久的な制度として取り入れていこうということでは、やはり責任官庁の大臣がそういうしっかりとしたお気持ちで関係省庁を叱咤激励していただかないと、これは財政の壁がありますから、とても簡単にはいかない問題だと思います。  先ほど前向きの御答弁がございましたので、そういう方向で取り組んでいただけると思いますが、また災害対策特別委員会その他を通じまして、この問題は私どもフォローさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。  それから、仮設住宅関係でございますが、法案の第七条の規定によりまして、建築基準法の今までの二年というのが、存続期間が延長できるということがなされているんですが、具体的に政令で決めて、それからあと一個一個決めていくことになるのか、その辺のプロセスがちょっと頭の中に入りにくいものですから、この法律ができてから最終的にどうなるのか、その辺をちょっと御答弁いただきたいと思います。
  23. 佐々木宏

    説明員(佐々木宏君) ただいまお尋ねの応急仮設住宅の期限の延長の問題でございますが、阪神淡路大震災のケースに即しまして御説明をさせていただきますと、阪神淡路大震災におきましては被害が極めて甚大でまた広範囲でございました。応急仮設住宅も約五万戸と非常に多数に上っておりますので、被災者向けの恒久住宅供給にはなお期間を要するという状況でございます。  そのために、本法案の成立後速やかにできるだけ早く政令によりまして阪神淡路大震災特定非常災害として指定しまして、本特例措置が発動できるようにするという予定でございます。  また、個々の応急仮設住宅についての存続期間の延長につきましては、特定行政庁におきまして、被災者の住宅の需要に応ずるに足りる適当な住宅が不足するために建築基準法の原則の存続期間を超えて存続期間を延長する必要があるかどうかということ、また個々の応急仮設住宅が安全・防火・衛生上延長が支障がないかどうかということを個別に判断して行うということとされております。  したがいまして、個々の応急仮設住宅の存続期間の延長ということにつきましては、許可期限の到来の時期におきまして、恒久住宅供給状況等を踏まえながら特定行政庁において行うということになるものでございます。
  24. 市川一朗

    市川一朗君 考え方は大体わかりましたけれども、現地に行きますと公園がありますね。その公園の中に仮設住宅が何棟かありますね。その中で、例えば数人の方が二年たっても移れないという場合と大部分の方が移れない場合、大部分の方が移れない場合というのはないんじゃないかと思いますが、そういう場合等いろいろな例が考えられますね。  例えば、何戸あるんでしょうか、私が現地で見てきた感じですと大体二、三十戸ありますね。二、三十戸のうち十人足らずの人が二年たっても入れない、ほかへ移れないということで、この法律の適用がされるとすると残りはどういう状況になるんですか。やはり残りもある程度何か特定行政庁がきちっと指定しないと、集団規定も含めて違法建築物になるんじゃないでしょうか。
  25. 佐々木宏

    説明員(佐々木宏君) 建築基準法によります延長後の判断でございますけれども、これはやはり建築基準法の原則によりまして建物の単位で判断をするということになろうかと思います。  その場合、個々のケースでは確かに団地ごとの移転の状況とかそういういろいろな状況が起こってまいろうかと思うわけでございますが、そういったような個々のケースの問題につきましては、やはり地元におきまして関係部局間の調整等もとりながら的確な運用を図っていく必要があるだろうということで指導してまいりたいと思っております。
  26. 市川一朗

    市川一朗君 どうもきちっとやらないと、言葉は適切でないかもしれませんが、いわゆるスラム化という心配も起こり得ますので、心配しておるわけでございます。  安全上、防火上というのは大体ある程度わかるんですけれども、衛生上というのは俗に言う衛生上というんでしょうけれども、心の衛生みたいなのは入りますか。
  27. 佐々木宏

    説明員(佐々木宏君) 建築基準法で衛生上という判断、それにかかわる規定、いろいろございますけれども、建築基準法はやはり建築物に関します最低の基準ということでございまして、そういう意味から申しますと、例えば伝染病が蔓延しかねないような状況にあるとか、そういったようなことが建築基準法で言うところの衛生の判断であるというぐあいに考えております。
  28. 市川一朗

    市川一朗君 そうしますと、やっぱり現実に見てきた感じでいきますと、多分物理的な耐用年数ということでいきますと、あれくらいのものでしたら耐用年数二年ということはないですね。数年はもつでしょうね。後で厚生省の御見解を聞いた方がいいと思いますが、かなりもっと思うんですよ、物理的には。しかし、どう見てもあれ、お年寄りはもちろんですが、元気な人でもあの状況で何年もはもちませんわね。そうすると結局、ほかにいい住宅に入れるかどうかということと、建物は大丈夫かということしか判断されないですね、一応この法律上のあれとしては。何か非常に心配な感じがするんですが。  そういったことを念頭に置いて、厚生省の方おられますね。今までの仮設住宅というのは結局二年ということで、正確に言うと二年三カ月ですか、それで必ず取り外すということで考えてきたと思いますが、こういうふうに今回法律ができますと、激甚にしてかつ異常な災害といいますから、なかなか適用はないのかもしれませんが、しかし場合によっては二年じゃなくて三年あるいは四年というように続く仮設住宅があるとすると、今の仮設住宅では設備的な面も含めた施設としての耐用年数の問題もあると思いますし、それ以上に、やっぱりああいうところへ長く住まわされるといいますか、住む方からすれば、そういったものとしてはかなり問題があるんじゃないかなというふうに思うのでございます。  その辺、この法律を通すことによって、仮設住宅の従来からの仕様みたいなものについて変更するとか考え方を少し変えるとかいうようなことは御検討なさっておられますでしょうか。
  29. 西沢英雄

    説明員西沢英雄君) 仮設住宅でございますが、これは先生御存じのとおり、新しい恒久的な住宅ができるまでの仮住まいとして早急に用意するという使命がございまして、地元自治体初め関係者の御努力をいただいてつくってきたわけでございます。  そうした中で、仕様の問題といいますか、非常に高齢者が多いというふうな状況に着目いたしまして、今回の建設では冷暖房用のエアコンをつけるとか湯沸かし器をつけるとか、手すりや段差の解消のためのスロープをつける等、いろいろな配慮をいたしますとともに、地域型仮設住宅といった福祉等のケアつきの住宅というのもつくってまいったところでございます。  ところで、期限の問題でございますが、一つは、私ども基本的にはリース方式を今までとってまいりました。今回は非常に数が多いものですから、途中から買い取り方式もとりましたけれども、リースというのは二年終わったらまた分解してよそでもって使うという意味合いを持っておりまして、何年と言えませんけれども、相当使えるもので材料的には用意されているというふうに考えているところでございます。  それから、仕様の問題でございますけれども、これは国民生活の様式といいますか実態といいますか、年々変わってまいりまして、そういう状況に合わせた仮設住宅でなければならないという問題は常にあるものでございまして、その辺のところは今回の災害を見直しまして、また今後の課題として勉強させていただきたいというふうに考えている次第でございます。
  30. 市川一朗

    市川一朗君 いろいろ御検討いただければと思う次第でございます。  ところで、仮設住宅に入っている人はもちろんですが、それ以外の方でもいわゆる広い意味での仮住まいをされておる方がいっぱいおられて、その方々が待っておられるのは、先ほど、兵庫の三カ年計画で七万七千戸でしたか、そういう御紹介がありました。その中での大宗を占めるのはやはり公共賃貸住宅だと思うんですね。それは今一生懸命関係者が取り組んでおられると私も理解しておるんですが。  ただ、やはり今話題になったものの裏の面なんですが、何とかひとつ住宅をたくさん早く建てて、それでそういう仮住まいをされておられる方に恒久的な住まいの方に移っていただこうと、こういう施策展開を関係者はやっておられて、我々もそれを望んでおるわけなんですが、どうもその裏打ちとなる予算措置といいますか、その辺が必ずしも第一線まで見てみますとうまくいってない部分があって、やはり戸数を確保するためにいろいろ無理しておられるということで、一言で言えば戸数優先主義で、ちょっと品質低下のおそれがあるんじゃないかという話が伝わってくるんですよ。  特に住都公団の住宅とか、神戸市あたりでは相当苦労しておられるんじゃないかというようなことなんでございますけれども、その辺は建設省は何か把握しておられますでしょうか。
  31. 山中保教

    説明員山中保教君) 恒久住宅の品質の問題でございますが、被災者の方々に一日も早く恒久住宅にお移りいただくということで、建設を急がなくちゃいけないということは私どもの大変大きな使命だというふうに思っております。  しかしながら一方では、供給いたします住宅は長期にわたって社会資本として使われるものでございますので、それなりの立派な品質のものでないといけないというふうに思っております。  御指摘のようなことがあってはいけないということで、恒久住宅建設いたします先ほどお話がございました神戸市とかあるいは住都公団とか県といったようなそういう事業主体が協議会をつくりまして、まずは共通の設計方針をつくると。それから、標準間取り図といったようなものを共通化いたしまして、設計施工での効率化を図るということを行っております。それから、各事業主体につきましては、入札業者の的確な審査でございますとかあるいは工事の監督体制の強化といったようなことも行っておりまして、品質の確保に支障がないように配慮をいたしております。  具体的に神戸市で申し上げますと、二点。一つは、内部の工事監督を行います担当者の人員増でございますが、これにつきましては、他の政令市からの職員の派遣も含めまして震災前よりも増員をいたしております。さらに、これから下半期にかけましては、今までどちらかというと設計業務の人員に重点がかかっていたわけでございますが、設計が一応完了することになりますので、設計の人員を今度は施工の管理の方に回すようなことで、人員を増加するというふうなことが一つでございます。  それから、仕事量が多いものでございますから、外の機関に管理なりを委託すると申しましょうか、具体的に申しますと、住宅・都市整備公団あるいは民間の建築事務所なんかにも工事業務を委託いたしております。それから、住宅・都市整備公団につきましては、現地に本部を設けまして二百数十名を超える人員を重点配備いたしまして、先生指摘のようなことがないようにやっているところでございますし、これからも私どもも執行体制の整備については万全を期していきたいというふうに思っております。
  32. 市川一朗

    市川一朗君 長官、今は住宅の問題で触れさせていただきましたが、それだけじゃございませんで、いろいろ区画整理とかいろんな事業があるわけですけれども、どうもやはり、地元公共団体自体が被害を受けているわけですから、税収減も含めまして体力が非常に弱まっているわけですね、相当苦労しているような情報です。長官もそういう情報はお持ちかもしれません。  このままいきますと、あの被害を受けた直後に合い言葉のように言われました、いわゆる災害に強いまちづくりをやるんだ、むしろ模範的なものをやるんだというのは、いわばかけ声倒れみたいなふうになりまして、結局仮設住宅から早く出るために何でもいいから住宅をつくってほしいというのに象徴されるような形で、せっかくのあの大震災の教訓を十分生かされないままになってしまったんでは、本当に我々も関係者として、被災者の皆さんだけじゃなくて国民全体に申しわけないという気がするのでございます。  そういう意味におきましても、震災を受けてもう五百日を過ぎて、この間もテレビでいろいろ特集をしておりましたけれども、本当にまだまだという感じがするわけでございますので、復興も含めまして、国土庁が中心の官庁になっているわけでございますので、またそういう意味だけじゃなくて、政府の閣僚のお一人としてぜひともこの問題につきましては毅然たる態度で最後までこの姿勢が貫かれますようにお願いしたいと思う次第でございます。  長官のその辺に関します御見識なりあるいは決意なりをお聞きいたしまして、質問を終わりたいと思う次第でございます。
  33. 鈴木和美

    国務大臣鈴木和美君) 一番最初に、市川先生に先ほど力強い御支援をいただきましてありがとうございます。私も、正直、国土庁長官になって阪神淡路の担当大臣ではあるんですが、役所のこういう縦割りというんでしょうか、なかなかきついものがあるなということをしみじみと感じています。けれども、やはり担当省というか担当の国土庁が大きい声を出さない限りなかなか前に進まないわけでございますので、できる限りの今声を大きくしているつもりでございます。  それからもう一つ、先生とちょっと認識が違うのかなと思うのは、お金の面に関しての、国からやっております事業費ベースにおいては、現地知事さんや市長さんとお話しをしている限りにおいては、現地もそれを消化するのに精いっぱいなんですね、今。ただ、それが目に見える形になっているかどうかというと、住宅の方についてもまだ望むとおり戸数ができ上がっていないものですから、何かおくれているという感じがございまして、この辺は、建設省さんからお答えをいただいたように、全力を尽くして公営住宅の方の建設に取り組むと、こういうことにしております。  それから、まちづくりの点では一番私も、前から心配しておったのが区画整理事業でございまして、それが確かにいい事業ではあるのだけれども、個人個人のやっぱり権利、利権が絡む問題なものですからなかなか進まない難しさがございまして、これも早くなるべく住民の皆様の御理解をいただいて進むように、市とも今相談中でございます。  それから、きのう私は記者会見で発表したんですが、今までは行政ベースにおいて国と県及び市との懇談会を定期的に持ってきたんですが、これからはいよいよやっぱり安心したまちづくりですから、そういう意味では経済界との間に定期的な会合を持ちながら対応していかなきゃいかぬだろうということで、六月二十日に第一回目を持つことにいたしまして、行政と経済ベースそれぞれの方々とこれから綿密な相談をして対応を急ぐということをしていきたいと思っています。  五百日目になりまして一番心配していることは、時が過ぎるに従って何か忘れられがちな状況にあることを、やっぱり我々も意を尽くして、PRと言ってはおかしいんですが、この大惨事に対する温かい目の注ぐような努力をこれからもしていかなきゃならぬと思っているところでございます。
  34. 山下芳生

    ○山下芳生君 私は、今回の法律案に基づく特別措置が真に被害者権利利益を守るものとなるよう願う立場から、阪神淡路大震災における被災者の置かれた現状に照らして質問をしたいと思います。  法律案では、災害に起因する民事に関する紛争について、民事調停法による調停の申し立てをする場合、手数料を免除することとしております。これはよいことだと思います。法務省のパンフレット、「阪神淡路大震災に伴う法務省関係の緊急立法」によりますと、震災に起因する民事に関する紛争の例として、「例えば、罹災した土地、建物の賃貸借に関する紛争や建物の補修、再建等に関する紛争等」ということが挙げられております。  きょうは最高裁にもおいでいただいておりますのでお伺いしますけれども阪神淡路大震災の罹災地域に適用された罹災都市借地借家臨時処理法関連の調停申し立て件数、それから借家人に借地権設定を認めた件数はそれぞれ幾つでしょうか。
  35. 涌井紀夫

    最高裁判所長官代理者(涌井紀夫君) 実は、私どもの方での統計のとり方でございますが、委員から今御質問のございましたような細かい統計はとっておりませんで、むしろ申し立て手数料が免除になるような震災に起因する調停かどうかという、そういう大きな枠で統計をとっておるわけでございます。  そういう件数で申し上げますと、昨年一月の震災発生から本年四月末日までの一年四カ月でございますが、この間に震災関係に起因する民事の調停申し立て事件数というのは、神戸地裁管内、大阪地裁管内を合わせますと約三千件弱ございます。ただ、この内訳としまして、罹災都市借地借家臨時処理法の適用があるものが何件かというのはちょっと正確にはわからないわけでございます。したがいまして、この調停事件のうち借地権の設定を認めた事例の件数というのもわからないわけでございます。  ただ、実はこの罹災都市借地借家臨時処理法に基づく事件としましては、調停で話がつかない場合に裁判所に直接裁判で処理をしてもらうというそういう事件がございますが、その事件の中では、この借地権の設定が認められたものが何件か出ておるようでございます。  件数で申し上げますと、この一年四カ月間で、調停ではなく非訟事件と呼んでおりますが、その申し立て件数は五十七件ございましたが、このうち借地権の設定が認められたものが二件、それから借地権の譲り受けが認められたものが一件ございます。
  36. 山下芳生

    ○山下芳生君 調停のうち臨時処理法関係の数字をとっておられないということですが、これはぜひ資料がありましたら後で教えていただきたいと思います。  調停はわからないが、直接裁判になったもの、借地非訟という事態になった事件については五十七件だという報告がありました。  兵庫県の発表では、全壊、半壊の建物の件数というのは二十万棟、四十一万五千世帯であります。そのうち倍地人、借家人がどれぐらい含まれているのかということについての具体的な数字というのは把握されていないと思いますけれども、いずれにいたしましても、被災世帯数と比して、この借地借家関係の調停あるいは裁判の数というのは、これはかなり少ないんじゃないかというふうに思うわけです。  そして、裁判に持ち込んだ結果、借地人に借地権が設定された、あるいは譲り渡されたという例が合わせて数件ということでありますので、これ本当に規模の大きさから見て借地借家人の権利を十分守るような状況になっているのかということを私は疑問に思っているわけです。  なぜこういうふうに件数が少ないのかと申しますと、理由があると思うんですね。例えば借家人にはこの臨時処理法に基づいて優先借家権というものが付与されることになっております。しかし、現実問題を見ますと、今回の大震災においては、老朽した戸建て、長屋建て、アパート等の木造賃貸住宅において特に被害が大きかったわけです。こういう木賃アパートの多くは比較的小規模な経営者によって経営がなされておりました。こういう方々家賃収入のほとんどすべてを生活費に充てておられたと。本来必要な修繕もせず、また定期的な修繕や建てかえ用の費用などは考慮していない場合が多かったというふうに聞いております。ですから、家主が自力でその住宅を再建するという展望がなかなか出ない。したがって、借家人への優先入居権というものが与えられるはずなんだけれども、そうなかなか実際はならない。  そういう場合、借地権をこの借家人が手に入れる手続も可能なわけですが、そういうところに入居されている方というのは一層低所得者の方でございますので、それもなかなかかなわないという状況が広範囲に起こっております。  あるいは、仮に地主、家主が自分で再築する場合、こういう場合もあります。こういう場合は今度は逆に、借家人の借地権の設定は認められない。家主が自分で再建した後の建物についての借家人の優先的賃借権が認められるということでございますけれども、その場合は再建されるのを借家人としては待つしかない。  しかし、実際は、家主や地主が本当に再築するかどうかというのはなかなかこれわからないことも多いわけでして、二年も三年も建つのを待っているわけにはいきませんので、そこで借家人の側からは裁判所に対して、地主、家主の借地権を譲り渡してくれということに対する拒絶の理由には正当性がないじゃないか等を示して、借地権の条件を求めるように申し立てをする場合もあります。  そういう場合、仮にそういう形で調停や裁判になって、これは時間もかかるわけですが、借地権が設定されたときに、今度問題になってくるのは、借地権設定のために支払う金額ですね。聞くところによりますと、更地価格の二割から三割程度必要。神戸市内では、大体十坪程度の土地でも二百万から三百万円ほどかかるというふうに聞きました。その上建築費用がかかるわけですので、こういう負担を考えると、とても耐えられないという事例もたくさん出ているというふうに聞いております。  ですから、申し立て件数も少ないということもあるんですが、なぜかといいますと、調停まで行かずに、これは費用が、余りにも負担が大き過ぎると。地主の方もなかなか建てられない。それから、借地権を手に入れて建てようとする場合も、借家人の方にその資金がない。ですから、権利関係を調停するまでに至らずに、ほとんどの場合は、処理法による権利行使を放棄するのと引きかえに、わずかな立ち退き料をもらって解決しているという事例が多いというのが実態だと思うんですね。  私は、この臨時処理法が神戸、阪神淡路地域に適用されたときには、これが施行されたら、借家人は、倒壊した建物が取り壊され、更地になったところに自分で家や店をつくることができると、大丈夫だという、これはかなり期待が高まったと思うんですが、いざ実施、施行されてみますと、なかなかそういう難しいハードルもある、調停に至らない場合も多いと。経済的な問題がやはりネックになっているということがここに来て新たにこの問題でも浮き彫りになっているんじゃないかというふうに思うわけです。  ですから、やはり特例措置の趣旨を本当に生かすためにも、手数料の免除措置というのはいいことですけれども、その措置を本当に生かすためにも、例えば住宅を自力で再建しようという努力をされている皆さんに対する公的支援というのがこの面からもますます切実になってきているんじゃないか。現地からは、例えば五百万円、自宅の再建費用への支援があれば、こういう問題は随分クリアできて自力で住宅が建ち始めるということも言われております。  大臣にお伺いしますけれども、改めて現段階においてこういう公的支援の必要性、お感じになららないでしょうか。
  37. 鈴木和美

    国務大臣鈴木和美君) いつもこの委員会でも、建設委員会でも皆さんから御意見を賜っているわけでございますが、心情的には山下先生のおっしゃることよくわかります。  けれども、いつもお話し申し上げているとおり、公的支援ということになりますと、つまり個人補償的な応援というか支援というか、そういう知恵を出すだけでございまして、現在の私的所有の段階ではどうしても個人の補償的なことになるような制度は現在の我が国の状況の中ではできないというように思っておるところでございまして、それ以外のところで支援、協力をするあらゆる手を今みんなと知恵を出し合って対応しているというのが実情でございます。
  38. 山下芳生

    ○山下芳生君 被災地の現実が、これまでの法体系では自力で復興することがなかなか難しくなっているという新たな問題を提起されているわけですから、これまでのやり方がどうあれ、真剣にこの問題に対応することが私は大事だというふうに思います。  次に、そういう形で調停数は少ないんですが、調停になった場合の調停のあり方、具体的には調停委員の選任基準について少しお尋ねをしたいと思います。  具体例を一つ挙げさせていただきますと、この方は戦前から借家をされていた方、今回の震災で家屋が全壊し、既に更地になっております。家主からは、身内の中に被災した者がいるので、建物を再築しても再契約を認めることはできないと通告をされました。万一、再築後再入居するならば、家賃は従前の十倍、月額五十万円を支払ってもらうという旨なんですね。この方は、とてもじゃないけれどもそんな家賃は払えませんので、家主が再築すれば再入居したいという旨の内容証明郵便を通知したわけですけれども、そうしたところ、家主の側が簡易裁判所へ調停を申し立ててきた。その調停の場で調停委員会の調停委員が、家主も被害者だと、再築後の建物は家主の身内が優先的に入居することができるので、借家人の使用優先権は認められないとおっしゃったそうなんですね。  確かに、今回の震災は借り主も貸し主もともに被災者だというのはわかります。しかし、社会的弱者である借地借家人を救済することから罹災都市借地借家臨時処理法が適用されたんではないか。入居条件が合わないことを口実にして、身内が入居するからということで優先入居させることが妥当とされてしまったんでは、これは借家人の権利が余りにも軽く扱われ過ぎているのではないかと私は感じたわけです。  具体事例の内容について一々立ち入ることはできません。言うつもりもありません。  そこで、調停委員の中立公正さが私は大事だと思うんですね。調停委員の選任の基準がどうなっているのか、教えていただけますか。
  39. 涌井紀夫

    最高裁判所長官代理者(涌井紀夫君) 調停委員の選任の基準、具体的なものがあるわけではございませんが、実は今回の阪神淡路大震災関係の借地借家関係の調停につきましては、これは恐らく通常の借地借家事件よりも法律的にいろいろ難しい問題があるだろうということを考えまして、私どもの方では、震災直後から、神戸と大阪の調停委員について、できるだけそういう法律の専門知識をお持ちになった調停委員の方に調停委員になっていただきたいということを弁護士会の方にお願いいたしまして、弁護士さんを中心に調停委員を大幅に増加させていただきました。  したがいまして、一般論として申し上げますと、恐らく、法律問題が困難な事件につきましては原則として弁護士さんが調停委員にお入りになっているという形でやっておられるんだろうと思います。今具体的な例で御紹介のありました事例、必ずしもよく承知はしておりませんけれども。  それと、実は調停というのは、調停主任には必ず裁判官が関与しておりまして、事件の大きな調停の方向といいますか、その辺については裁判官の方もきちんと見ていくような指導をしておりますので、できるだけ当事者双方から公平さを疑われることがないような運用をやっていきたいということで、各庁とも調停委員の選任につきましても配慮はしておるところだろうと思っております。
  40. 山下芳生

    ○山下芳生君 大阪の借地借家人組合というのがございまして、神戸、大阪地域でも活動をされております。そこから大阪地方裁判所管内の各裁判所等に、調停人の選任について公正中立にという要望書を出されました。その内容を見ますと、今お答えのあった、配慮をされているということなんですが、今から申し上げるのは、これは震災と直接関係がない事例もありますけれども、実態、こういうのが起こっているんですよね。  現実に借地借家人は、経済的負担能力が非常に低い等の理由からなかなか代理人に委任することができない場合が多いと。しかも、調停委員会は非公開、密室で行われますので、専門的知識の乏しさから一方的な貸し主側の主張に対して的確な反論ができない場合が多いのが現状だと。  例えば、二・五倍の地代の値上げ請求を受け、調停を体験した独居老人は、調停委員から、地代の値上げは当然で周辺の相場はどうでもよい、鑑定で決めるのが時代の流れだ、時代の流れに逆らったらあかんと地主側代理人の言い分を一方的に押しつけられ、これに抵抗すると、地代の値上げを毎年認めなかったら裁判になる、法律が変わったのだからと威圧する態度が示されたと訴えています。  また、固定資産税などの増税に便乗した賃料増額を拒否した調停では、私も土地を貸しており、毎年五%の値上げは正当だ、うちの借地人にも認めてもらっているから応じなさいと、調停委員である立場を逸脱して私的な地位を示して説得する事例も報告をされています。借地借家人が思い余って代理人に委任をすると横柄な態度が一変するという事例もあるというふうに報告されております。  調停委員が中立公正でなければならない義務がありながら、強者に弱く弱者に強い態度がとられている、こういう事態がまかり通っているとするならば、そして調停委員会が一方に偏した調停を行うということがまかり通るならば、国民から見放されて、社会的弱者を救済することを期待している国民から信頼を失うということにもなりかねないと私は危惧をしております。  ぜひ裁判所は、各事件の調停委員を選任するに当たっては、事案を一つ一つ考慮して、一方の利益を代表する職業や階層から選任しないよう配慮して、中立公正な調停を徹底すべきだと私は思いますが、改めて見解を求めたいと思います。
  41. 涌井紀夫

    最高裁判所長官代理者(涌井紀夫君) 委員指摘のとおりでございまして、調停といいますのは、余り法律知識、経験のない御本人がそのまま代理人を選ばないで裁判所に出てこられるわけでございますので、やはり裁判所の調停でございますので、そういういわば法律に詳しくない方にも信頼してもらえる、そういう公正な調停の運用というものを心がけていく必要があるだろうと思っております。  私どもの方でも、いろんな機会に調停委員等の研修等も行いまして、そういう基本的な心構えといいますか、調停に臨む姿勢、いろいろ教育しておるところでございますので、委員指摘のような点を十分これからも配慮していきたいと思っております。
  42. 山下芳生

    ○山下芳生君 よろしくお願いいたします。  次に、こういう自力再建がなかなか難しい場合、やはりどうしても低家賃公営住宅の大量建設ということが大事かと思います。  どのぐらいの公営住宅被災地に必要なのかということで、この間兵庫県が実施をした仮設入居者の皆さんへの全戸アンケートの結果では、公的借家を希望される方が約七割。具体の数で申しますと、アンケートに答えられた方の中で二万五千四百一世帯が公的借家を希望されております。  県の計画では、災害復興公営住宅は一万八千戸の建設計画だと思いますが、もう既に仮設入居者の希望だけでもこれでは数が足らないというふうになっていると思うんですが、これ、ふやす計画ですね。
  43. 山中保教

    説明員山中保教君) ただいまの件、先生から御指摘がございましたように、県が実施いたしました仮設住宅の入居者調査結果を踏まえまして、現在、県で公営住宅を含めた供給計画の点検を行っております。その中では、公営住宅もふやさなくてはいけないんではないかというふうな方向で検討を行っていると聞いておるわけでございますが、私どもも、仮設住宅にお住まいになっている方々を初めとする被災者の方々に一日でも早く御安心いただくためには、必要な公的賃貸住宅は確保することが最大限必要だろうというふうに考えておるところでございまして、県が行っております公的住宅供給計画の点検を踏まえまして、必要な災害復興公営住宅の確保に向けて最大限の努力を払っていきたいというふうに思っております。
  44. 山下芳生

    ○山下芳生君 いや、もう既にアンケートの結果で二万五千四百一要望が出ている。それで一万八千しかない。もう検討するまでもなく、これ、ふやさなければだめなんじゃないですか。
  45. 山中保教

    説明員山中保教君) ただいまそのアンケートの結果を詳細に分析をいたしまして、公営住宅にお入りになるためにはやっぱり収入基準というのがございますので、そういう収入基準の分析でございますとか、それはお入りになる方々の方の問題でございますし、さらに、ふやすにいたしましてもどういう方法でふやすかというふうなことをただいま地元協議をいたしているところでございます。
  46. 山下芳生

    ○山下芳生君 収入基準も、これは仮設のアンケートはとっておりますね。それを見ますと、家族全員の総収入は、百万円未満の方が二九・三%、二百万円未満の方が二三・一%、三百万円未満の方が一七・二%、全体の中で三百万円未満の世帯が七割程度を占めている。他方、五百万円以上の収入を有する世帯は全体の六・九%だというふうに報告されております。  この間改正されました公営住宅法の中に、災害公営住宅の入居者の収入基準というものが設定をされております。それによりますと、災害公営住宅の入居基準は収入が下から四〇%以下で条例で定める金額というふうになっております。収入が下から四〇%というのは、九四年貯蓄動向調査で考えますと、年収五百七十三万円以下ということになります。  こうなりますと、仮設入居者の九割の方が災害公営住宅に入居できる基準にあるというふうに私は思うわけですね。この点からも、もう既に一万八千戸では精査するまでもなく足らない、ふやさなければならないということが示されているんじゃないですか。
  47. 山中保教

    説明員山中保教君) 新しい公営住宅法の改正に伴います入居基準の考え方につきましては、これから政省令を通じまして具体的に固まっていくわけでございますが、現行法で申しますと、三人の世帯でございますと四百万円程度方々がお入りになる収入基準の方になるのではないかというふうに考えております。  低所得者の方々がアンケートの結果では大変多いというのは全く御指摘のとおりでございます。それを踏まえまして、先ほど申し上げましたように、県では現在考えております一万八千戸の公営住宅戸数につきましてどのくらいふやさなくてはいけないかということを検討いたしている状況でございます。
  48. 山下芳生

    ○山下芳生君 現行の公営住宅法に基づく入居基準に照ちしても、大半の方がやはり公営住宅に合致するわけですから、それでそういう方々がもう既に一万八千戸では足らない数、仮設住宅のアンケートだけでもあるわけですから、その仮設以外の方を含めますともっとこれは膨れるわけですから、精査して検討、発表するということでは遅過ぎる。もう一年五カ月たとうとしているわけですから、五百日たっているわけですから、早くそういう展望を示さないと、本当に被災者の皆さんが元気に復興していくという気持ちがわかないんじゃないかと私は思うわけです。  同時に、今の一万八千戸の公営住宅計画も、これはいつ建つんでしょうか。進捗状況をお聞かせください。
  49. 山中保教

    説明員山中保教君) 公営住宅進捗状況でございますけれども、六月一日現在の進捗状況といたしましては、用地確保をいたしておりますのは計画戸数のほぼすべてについてめどが立っております。着工いたしておりますのは計画戸数の約五二%の九千四百戸でございます。未着工の戸数につきましても、今後できる限り迅速に建設されますよう、地元公共団体支援してまいりたいというふうに思っております。
  50. 山下芳生

    ○山下芳生君 神戸新聞が震災五百日の特集で、「暮らしの灯 よみがえれ」ということで、「立ち上がる復興住宅」という特集を組まれました。カラーの非常によくわかる資料です。これを見ますと、「災害復興公営住宅建設計画状況」というのが各区ごとに県営、市営で示されておりますが、やっぱり一万八千戸の半分程度状況がここに示されているんですね。ですから、これを見られた方は、もうすぐ募集があるんじゃないか、戻れるという期待をした方も多いでしょうけれども、この程度かと思って逆にがっくりきた方も多いというふうに聞いております。  ここに、用地は九割方確保したというのであれば、それが示されれば、なるほど用地は示されている、もう確保できたんだということで元気ももう少しはわくのかなと思ったんですが、私は、それが全然ないので、果たして本当に用地九割というのは確保できたんだろうかというふうに思うわけですが、この九割方確保したという用地、どこにどれだけどのような形で確保されているんでしょうか。
  51. 山中保教

    説明員山中保教君) 用地の確保の状況について詳細は持っておりませんので、まことに申しわけございませんが、御答弁できないのでございますけれども、被災されている方々に一日でも早く御安心いただくためには、委員指摘のようにどこにいつごろ供給されるかということをできるだけ早く明らかにしなくてはいけないということは、地元公共団体あるいは私どももそのように考えております。  現在、先ほど申し上げましたように、アンケートの結果を踏まえまして、全体計画について供給計画を点検いたしておるところでございますので、その点検結果をできるだけ早く早期に地元の皆様方に御提示も申し上げ、御安心をいただけるように、今懸命に努力をいたしているところでございます。
  52. 山下芳生

    ○山下芳生君 最後にお聞きしますけれども、用地を確保したというその用地、これは各自治体がもう購入済みとして確保したというふうに理解してよろしいんでしょうか。
  53. 山中保教

    説明員山中保教君) 多くは契約をいたしているものでございますけれども、中には埋立地のようなものがございまして、そういうものにつきましては、埋め立て後契約をいたすものもございます。そういうものは一応めどが立ったというふうにカウントいたしてございます。
  54. 山下芳生

    ○山下芳生君 この用地の確保については、自治体は大変大きな負担を財政的に強いられます。これから恐らくこの公営住宅の当初の計画では足らなくなるであろうと私どもは思っておりますけれども、そうしますとますますたくさんの用地が必要になる。改めて用地取得費用に対する国の助成もやるべきじゃないか等、新たな問題が提起されておりますので、大臣の決意を聞いて質問を終わります。
  55. 鈴木和美

    国務大臣鈴木和美君) 先生の御意見を重々拝聴して、対応してまいりたいとは思っております。
  56. 山下芳生

    ○山下芳生君 終わります。
  57. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 阪神淡路大震災における復興問題に関係して質問をいたします。  今も住宅の問題がございましたから、それに関連して質問します。  今、公的借家を希望している二万五千四百一世帯が入ろうとしても、一万八千戸しか計画がないじゃないかというふうにあったんですが、公的住宅の七万七千戸の計画があって、災害復興公営住宅等が二万四千戸、そのうちの災害復興公営住宅が一万八千戸、再開発系住宅が六千戸、合わせて二万四千戸というのがありますね、一つのくくりに。それからその次に災害復興公営住宅一万八千戸というのがありますね。そして、公団・公社住宅二万二千戸、民間住宅四万六千戸のうち一万三千戸、これ合わせて七万七千一尺これを国がやろうとしているんだと、こういうことです。一万八千戸というのは、この災害復興公営住宅というのと災害復興公営住宅というところに同じ一万八千戸あるんですが、今議論をなさった、これをふやせと、いや、それは検討中だというのは、これはどちらのことを言っておられるんですか。
  58. 山中保教

    説明員山中保教君) 先ほど御質問がございました一万八千戸は、災害復興公営住宅の方でございます。
  59. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 そうすると、災害復興公営住宅の一万八千戸というのは、これはこの議論はどうなるんですか。
  60. 山中保教

    説明員山中保教君) 災害復興公営住宅と申しますのは、民間の地主の方がお建てになる住宅に対しまして一部建設段階で補助をし、管理段階で家賃補助をするものでございます。それを災害復興公営住宅と県では呼んでおるものでございます。その住宅につきましては、ただいま一万八千戸の計画に対しまして用地の確保が約四二%の七千五百一尺着工は二割強の四千二百戸でございますし、先ほど申し上げました災害復興公営住宅につきましては、一万八千戸の計画に対しまして、用地につきましてはほぼ全戸数を確保し、さらに着工は約半分の九千四百戸、こういう状況でございます。
  61. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 そうすると、災害復興公営住宅というのは、これは公的住宅あるいは公的借家住宅ということになるのですか、ならないのですか。
  62. 山中保教

    説明員山中保教君) 建設段階で補助金を入れておりますとか、あるいは管理段階で家賃に対しまして補助をいたしておりますというふうなことでございますので、私どもでは公的賃貸住宅の中に含めてございます。
  63. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 そうすると、その一万八千戸で足るとか足らぬとかという話じゃなくて、災害復興公営住宅が一万八千戸あり、それに準ずるものがまた一万八千戸あるということで、そのトータルの三万六千戸がこのアンケートに出てきた二万五千四百一世帯と対応できるというふうに実際に入居希望の場合はなるんですか。
  64. 山中保教

    説明員山中保教君) アンケートの結果の公的借家と申しますのが二万五千四百一戸でございまして、これはただいま申しました公営住宅でございますとかあるいは災害復興公営住宅あるいは公団住宅などの公的賃貸住宅全体を含むものでございます。
  65. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 だから、先ほどの議論を聞いておると、一万八千戸で足らぬじゃないかということだけで議論すると、ちょっと僕は議論がおかしいんじゃないかと。トータルとして、公的借家に入りたいという人の希望を収入に準じていろんな形でそこに対応できる状態にあると考えた方がいいんじゃないんですか。
  66. 山中保教

    説明員山中保教君) ただいま先生から御指摘ございましたように、公的賃貸住宅の中で所得の低い方には公営住宅、さらに、多少公営住宅より所得の高い方には災害復興公営住宅というぐあいに、一応所得階層別に供給をする計画になっておるわけでございます。それにつきましては、先ほど来申し上げておりますような現在の進捗状況なんでございますが、アンケート結果によりますと……
  67. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 私は、建設省答弁も気をつけてもらわないかぬのは、やはり被災者は非常に不安なんですよ、将来に対して。だから、今の議論をしておると、一万八千戸しかない、ほか二万五千人おる、これからその増を検討していくんだということを言うと不安になっていくわけでしょう。  じゃなくて、一万八千戸とまた一万八千戸があって、それは家賃の種類に合わせて対応できる状態で今やっているんだというふうにあなた方が話をしていかないと私はだめだということを言いたいためにこの質問をしたということですから、やっぱり気をつけないかぬと思うんです。十分なことをしておられるとは思わぬけれども、だけど余り後ろ向きの話ばかりではいいことないと思いますので。  そこで、私はアンケートの調査結果を見て、本岡さん、そんなこと今ごろ驚いてどうするのやと言われそうな気がするんですが、しかし、とにかく七十歳以上が世帯主になっている方が二六・七%もいて、そして六十五歳から六十九歳が一五・一%、六十歳から六十四歳が一四・八%、結局被災された世帯主が六十歳以上が五六・六%を占めていたということは、もう完全なる老人社会ですよね、はっきり言うたら。そういうところに被災者が出てきた。  そして結果として、家族の総収入でも百万円未満が二九・三%、二百万円未満が二三・一%、三百万円未満が一七・二%ということで、結局六九・六%が三百万円未満の収入という状態の方が今応急仮設住宅に入っておられるということなんですね。四万八千三百戸に対して三万七千百七十六戸の世帯が回答してきたということですから、かなり回答率も高いと思うんです。  そこで問題は、そういう収入の実態を見て、そして一方、公的住宅を建てている。スムーズに応急仮設住宅から公的住宅へ移ってもらわないかぬというところで、次にネックになるのが家賃であるということになってくるわけです。持ち家を持つ力がないんですから、結局公的住宅でもって家賃を払ってもらわないかぬ。  そこで、公的住宅家賃を所得の一〇%前後に抑える方針を神戸市は持って臨もうとしていると。家賃を収入の一〇%と。もちろんそれは年金とかいうことしかないんだから当然だと思うんですが。そうすると、百万円未満の収入の二九・三%、約三割の皆さんには一万円以下の家賃で神戸市は入ってもらおうというふうにしているわけです。それなら入っていただけるだろう、スムーズに移住できるだろうと、こう考えているわけですよ。  ところが、そんな公営住宅が一方建つのかという問題のギャップをだれがどう埋めるのかということで、今地元では国に対して、家賃補助として具体的に一万円以下というふうな問題も念頭に置いてやっていただかなければ、文字どおり被災難民が生まれて、仮設住宅で出ていけと言っても、強制的に出ていってもらうわけにはいかぬだろう。力のある人は出ていく、歯抜けのような状態になって、あの応急仮設住宅の中で低収入の方が残っているという姿を、しかもそれが高齢であるということを見たら、もうそれは耐えられへん状態だと私は考えます。  だから、一万円以下の家賃をというそのこと自身、それも暴論やないか、そんな安い公営住宅を建ててどうするんや、そんなものを国が補助してどうするんやという議論も、機械的な平等の観点からいえばそういう議論も私はあってもいいと思うけれども、しかし大震災のこの窮状を救い、生存権そのものが奪われようとする人たちに対して応急的にそういう措置を国がとるということが、やっぱり国はありがたいな、やっぱり最後は頼りになるのは政府やという国と市民との間の信頼感がそこで結ばれていくわけですよ。だからそういう意味で、どうしても今神戸市のやろうとしている家賃のこの問題について国の援助が欲しい、やっていただきたいと私も切実に思う。  しかし、国がこれをアウトだと、こうやったときに、自治体は直接住民と接しておりますから、自治体は逃げられへんと思うんです。そうすると、自治体が独自で、なけなしの財布から金を出してそういう対応をしなければならぬ。そうすると、自治体が赤字でまた大変なことになってくる。その後始末はどうするんだということに必ずなってくると私は思うんですよ。自治体は逃げられへんと思うんです。国から三万円以下に抑えなさいと言われたって、自治体はやっぱりその間の問題を何とかしょうとかかると思うんですよ。  だから、何とか、被災地の自治体がこの家賃補助を提案して言っていることに対して国がひとつ誠実に対応して、文字どおりこのことをもって国の信頼、政治に対する信頼、政府に対する信頼をやっぱり回復していく重大なテーマであるというふうに考えていただきたいと、こう思うんです。  国土庁長官にここのところはぜひともいい答弁をいただきたいと思います。いかがですか。
  68. 鈴木和美

    国務大臣鈴木和美君) 住宅の問題は生活の再建にとって欠かせない問題ですから、今建設省さんからも御答弁があるとおり、まず公営住宅を早く建てること、そしてそこに移ってもらう、これが第一義だと思うんです。  なおかつ、それでも重い家賃に耐えられないという方に対してどうするのかということにつきましては、前からこれは橋本総理から関係大臣に御指示がありまして、検討を鋭意やってまいりました。本当であれば五月の中旬ぐらいに結論を出し得るように努力しておったのでございますが、県、市の実態調査が一カ月おくれたものですから、一カ月おくれたものをもう一回、今先生指摘のような内容でございますので、よく分析をいたしまして、早目に結論を出すように努力したいと思っています。そのときに、早目に結論を出すという各省庁の気分というか対応というところまでは一致してまいりました。  さて、どのぐらいのことになるのかということになると、財政支出に絡む問題でございますから、それぞれの各省庁検討を今度は細部にわたって行いまして、今神戸市が一〇%という話が出ているのでございますが、その一〇%が神戸市でどの段階で決まったかどうか私はわかりませんけれども、一つの目安であることは事実だと思うんです。そういうものを受けまして、できれば六月の中旬ぐらいまでに決定するように運びたいと思っています。しかし、若干この国会等の関係もございまして六月の後半になるかもしれませんけれども、なるべく早く安心できるような対応を明示したいということで今努力中でございます。
  69. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 大臣のひとつこの問題の解決への全面的な御努力に期待をして、さすがは国土庁長官ようやったと神戸市民から拍手喝采が受けられるようにお願いしたい、こう思います。  そこで、事実かどうか私も確証は持っていないんですが、神戸市で生活保護受給世帯が震災前に比べて一千世帯も減少したというふうに言われているんです。もしこのことが事実であるならば、どうもこれも私の思いと違います。私はふえているだろうと思ったんですが、減っているというんですね。なぜ減っているのかというと、生活保護申請に対して義援金、見舞金、災害弔慰金を収入扱いにするということから、あなたは収入があるからということで生活保護を受けられない、保護を受けていた人がそれから外されるということが起こっているようです。  この義援金、見舞金、これは当然災害義援金ですよ、災害見舞金、国民がカンパで出してきたんですね。それから災害弔慰金、これは法律に基づいて出す弔慰金ですね。それとこの生活保護法との関係は一体どうなっているんですか。
  70. 西沢英雄

    説明員西沢英雄君) 神戸市の保護の動向でございますが、確かに震災前と比べまして世帯数にいたしまして約一千世帯減少しております。その中身をどう評価するかということなんですけれども、実は今回、仮設住宅建設等がございまして、神戸市外へ転出した被保護世帯が約五百六十世帯ほどございます。そのほかに社会福祉施設にお入りになった方が二百五、六十ございまして、両者足しますと大体九百ぐらいの数字になります。したがいまして、今回神戸市の被保護世帯数が減少しておりますけれども、実質的に保護が減ったということではございませんで、中心部の住家が被害を受けましたものですから、それに伴って周辺部に転出されたということが主ではないかというふうに考えております。  それから、義援金、見舞金、災害弔慰金でございますが、生活保護の中での取り扱いでございますけれども、義援金、見舞金というのは災害によって被害を受けられた方々に対するものでございまして、生活保護の取り扱いといたしましては、災害によって失われました生活基盤の回復、例えば家財道具を買い直すとか、いわゆる自立更生と言っておりますけれども、そういう用途に充てていただける場合には収入として認定しないというふうな取り扱いにしております。  それから、災害弔慰金につきましては、これは世帯主ですと五百万円という多額のお金が出てまいりまして、それを自立更生に充てるのかあるいは生活費に充てるのか、その辺のところは最終的にはよく御相談して御本人でお決めいただく問題でございますけれども、生活費に充てる形となれば収入として認定する、恐らくこれだけの額ですからしばらく自立するということになるかと思います。  ただ、今正確な数字を伺っておりませんけれども、こういう形で廃止された数が相当に上るというようなことは伺っておりませんので、大体義援金とか見舞金は自立更生にお使いいただいているんではなかろうかというふうに考えておる次第でございます。
  71. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 自立更生に使ったお金と生活に使ったお金と、区別できるんですか、そんなこと実態的に。私はそれは不可能やと思う。理屈じゃないですよ、それは。毎日毎日食べていかないかぬのに、生活もせぬと自立更生じたりできますか。生活するということが自立更生でしょう。そういう理屈を言うと私は間違いを起こすと思いますよ。  だから、こういうことが起こるんですよ一義援金を基本的にすべて収入として認定する、今回の義援金全額が自立更生のために使われているとは限らないので、生活保護受給者には自立更生計画書の提出を求めよというようなことが国の方針として自治体に指導が行っているというんですよ。あなたの話と随分違います。義援金を基本的にすべて収入として認定せいと、そして自立更生計画を出させろという。三十万か四十万でしょう。この義援金というのは何ですか。国民のカンパでしょう。千七百億ほど集まったんですか、それを何で国が、行政が、どう使うたかというようなことまで立ち入ってそれを調べてあれこれ言う権限があるんですか。国民はそんなことを求めてカンパしたんですか。もしこんなことをやっているとしたら大ごとですよ。直ちにやめさせなさいよ。どうですか。
  72. 西沢英雄

    説明員西沢英雄君) 生活保護制度は憲法二十五条によります生存権保障の法として成立しておりまして、資産、能力その他あらゆるものを活用してもなお最低生活を維持できないというときにその差額分を支給する制度でございます。  あらゆるものを活用するということが原則であるとすれば、お金が入ったら認定するのが原則だという言い方はあるいはできるかもしれません。しかし、今回の災害で支給されました義援金について収入認定するのが原則だというのは、言い方としてもちょっと適切でないと思います。  生活費に充てていただきますと、生活保護で支給すべき差額がなくなってしまいますので支給されないという問題がございますけれども、むしろ災害によって失われました生活用品を買いそろえるとか、そういったいわゆる生活保護が保障しょうとしております生活費以外の分野に使っていただけるのであれば収入として認定しないと。そういったことをよく御本人に制度を御説明いたしまして、そういった使い方をしていただく。そうした中での物の整理として自立計画書という形でそのことを確認するといったことも手段、方法として出てくるかと思いますけれども基本的には今回の義援金については収入として認定しないという方向での指導と話し合いをしているところでございます。
  73. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 そうすると、私が今言ったような指導は国はしていないということになるわけですね。しているのかいないのか、言ってください。私がさっき読んだでしょう。基本的に収入と認定するんだと、それで使い方について自立更生計画書の提出を求めて、それで中身を調べてやれということ、義援金にまでやれということの指導はしているのかしていないのか、それだけ。イエスかノーかだけ。
  74. 西沢英雄

    説明員西沢英雄君) 義援金について基本的に収入認定すべきであるという指導はいたしておりません。多分誤解かと思いますけれども……
  75. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 それでいいんだ。  わかりました。それでは、こういうことをやっているところは国の方針だといってやっているようですから、国の方針でないことを自治体がやっている。みんなおかしいと思うでしょう。義援金をどう使うたかということまで一々国が出ていって、行政が調べるといって、ここにぎょうさんおられるけれども、そんなことできると思いますか。こういうことをやったらいけませんよ、絶対に。  そこで、私は思うんですが、今度の災害に対していろんな行政の分野のところで法律も含めて特例措置を設けましたね。いろんな特例措置を設けました。時期が来たから四月一日で打ち切ったのもあるし、まだ続いているのもありますが、生活保護法の分野でも私は特例措置というものをつくるべきではないか。  それで、今言っているように、生活保護を受けている世帯に対して、義援金であるとか見舞金であるとか、また、自分の家の世帯主、大黒柱が亡くなった、子供が亡くなった、そういう悲しみを伴ったところの弔慰金が出てくる。それが臨時収入になったときに、それを通常の状態のときに入ってくる臨時収入と同じように扱えば今のようなトラブルが起こるわけで、だから被災地に対して、生活保護法の解釈というのか、取り扱いというのか、収入の問題に関しての特例措置を一定期間つくったらそういうトラブルが現場で起こらないんじゃないんですか。その検討を一遍やってください。今からでは遅いのかもしれぬけれども、それでもまだ何ぼか間に合うと思う。いかがですか。
  76. 西沢英雄

    説明員西沢英雄君) 先ほど申し上げましたように、生活保護は憲法二十五条によります生存権の保障の法でございまして、そこで保障されるべき水準というのは保護の基準で定められているわけでございまして、それを全国統一的な考え方のもとで定められているわけでございまして、生存権の保障に二重の決め方というのはあり得ないかというふうに考えております。  ただ、運用の面でございますと、先ほど来先生お話がございましたように、原則と例外の話がございましたけれども、生活保護は、収入というのはまず生活に充てていただくというのが基本でございまして、これは収入認定するという手続になるわけでございますけれども、義援金等につきましては自立更生に充てる限り収入認定をしないと。今回の義援金につきましてはそういった目的に沿って使っていただくように相談、支援を行っているというふうに聞いております。  それから、弔慰金の使い方の問題につきましても、例えば世帯主の方が亡くなってその子供の高校の教育資金にするとか、それも自立更生の一つの範疇なんでございますけれども、そういった取り扱いにつきましては収入認定をしないと。いろんなプログラムがございまして、その世帯の実態と、これからの生活再建をどういうふうに考えていかれるのか、その辺の事情をよくお伺いいたしまして、生活保護制度の中でどう対応するか、制度の仕組みがどうなっているか、あなたはどうされますかと、よくじっくり御相談をされまして、趣旨に沿った取り扱いができるようによく話し合ってやるように指導をしているところでございます。
  77. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 最後に、長官、私はこんな言葉は使いたくないんですが、対応を間違うと震災難民が大都市の中に生まれるんじゃないかということをずっと心配しているんです。  それで、今取り上げました生活保護世帯関係する問題は、これは通常でも、社会的弱者という言葉は余りいいことないと思うんですが、それしか使いようがないから使いますが、そうすると被災弱者と言われる人が、被災者が全体が非常に厳しい状況にあって、またその最後に、ぎりぎりのところにおられるその人たちの生活が本当に再建できるのかどうかという、そこのところに神戸の、阪神間の、淡路復旧復興の物差しをぜひ当ててもらって、そして国土庁として全般的なこの問題の解決をぜひともやっていただきたいということをお願いいたしまして、私の質問を終わります。  以上です。
  78. 須藤良太郎

    委員長須藤良太郎君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。——別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  特定非常災害被害者権利利益保全等を図るための特別措置に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  79. 須藤良太郎

    委員長須藤良太郎君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  80. 須藤良太郎

    委員長須藤良太郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時五十四分散会