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1996-05-31 第136回国会 参議院 行財政機構及び行政監察に関する調査会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年五月三十一日(金曜日)    午後一時四十分開会     —————————————    委員異動  五月二十四日     辞任        補欠選任      末広真樹子君     椎名 素夫君  五月三十一日     辞任        補欠選任      伊藤 基隆君     前川 忠夫君     —————————————   出席者は左のとおり。     会 長         井上  孝君     理 事                 守住 有信君                 矢野 哲朗君                 石田 美栄君                 都築  譲君                 山下 芳生君     委 員                 井上 吉夫君                 石渡 清元君                 亀谷 博昭君                 小山 孝雄君                 武見 敬三君                 溝手 顕正君                 宮澤  弘君                 足立 良平君                 猪熊 重二君                 常田 享詳君                 大脇 雅子君                 前川 忠夫君                 小島 慶三君                 山田 俊昭君                 椎名 素夫君                 山口 哲夫君    事務局側        第三特別調査室        長        塩入 武三君     —————————————   本日の会議に付した案件行財政機構及び行政監察に関する調査  (時代変化に対応した行政監査在り方)     —————————————
  2. 井上孝

    会長井上孝君) ただいまから行財政機構及び行政監察に関する調査会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る五月二十四日、末広真樹子君が委員辞任され、その補欠として椎名素夫君が選任されました。  また、本日、伊藤基隆君が委員辞任され、その補欠として前川忠夫君が選任されました。     —————————————
  3. 井上孝

    会長井上孝君) 行財政機構及び行政監察に関する調査議題といたします。  本調査会は、第百三十三面国会において設置されて以来、「時代変化に対応した行政監査在り方」をテーマとして、現行の行政監察制度実情問題点オンブズマン類似関連制度、地方自治体のオンブズマン制度及び監査制度などについて調査を進めてまいりました。  その過程において、さまざまな問題点疑問点指摘がなされてまいりましたが、委員皆さんの認識を一つとし、調査会としての方向性を探るべく、本日は自由討議形式委員各位の御意見を伺いたいと存じます。  議事の進め方でありますが、理事会での協議の結果、まず会長より「自由討議に際しての会長提案課題」をお手元に配付し、示させていただいております。ここのペーパーに書いてあります三点を中心に御論議を願いたいと存じます。  その一点目は、「行政監察行政相談制度について」であります。二点目は、「オンブズマン類似関連制度について」であります。三点目は、「これからの行政監査在り方について」であります。  一応、これはお手元にお示しいたしましたが、網羅的に書いてございます。特に、一番、二番はそれぞれ調査会を開催していろいろと説明を聞き、御質疑を賜ったものを書いてございますが、これは、この問題について何かお気づき問題点等がございましたら、フリートーキングの中で御指摘を賜ればありがたいと思います。  今後に向けての行政監査あり方ということになりますと三番目のテーマでございますので、三番目のテーマが一応きょうのフリートーキング中心課題になるんじゃないかなと。しかし、一番目も二番目も関連をいたしますので、何かお気づきの点がございましたら、御遠慮なく御指摘を賜りたいと思います。  きょうの予定でございますが、大体二時間ぐらい、三時四十分ごろまでをめどに御意見を自由にお述べいただきたいと思います。御発言のある方は挙手をしていただきまして、会長の指名を受けて御発言を願います。  なお、御発言は着席のままで結構でございます。
  4. 矢野哲朗

    矢野哲朗君 矢野でございます。上野前理事から途中かわりまして参加させていただいております。  質疑をさせていただこうと思うのでありますが、まず、会長から与えていただきました第三項目のテーマ、今後どうするんだというふうな話が一つポイントになろうかと思いますけれども、現状を考えて、現在の監査あり方で果たして十分なのかどうかというところを私なりに意見を述べさせていただいて、不十分だということになりますれば、しからば今後どうするんだと、こういうふうな一つ考え方をお示しさせていただきたいと思います。  冒頭、私が入る前の話だったと思うのでありますけれども、総務庁の現在の行政監察あり方質疑された内容を読ませていただきました。そうしますと、設置法に基づいて大変この権限は強力だし、監察テーマ選定においては有識者で構成する行政監察懇話会の十分な論議を踏まえてテーマを設定し、なおかつ各省庁内部監査とも十分連携をとりながら、すべての行政分野について必要に応じて行っていると、こういうようなことで、今のところ問題ないというふうな一つお話をいただいた経緯があるようであります。  しかしながら、その結果、例えばどういうふうな形でその勧告並びに報告が生かされているのかなということでの精査をさせていただきますと、時代流れが大変急になってきたということで、旧来の行政組織では十分ウォッチできない、対応できないという流れの中で、この行革、そういった一つの大きな潮流があらわれたにもかかわりませず、閣議報告された案件が十一件しかなかったという現実がありますね。  それで、関係行政機関の長へ勧告もしくは行政運営改善を図る必要性を認めたときに、総理または関係機関の長に改善を指示するように意見を具申することができるというふうなことなのでありますけれども、その結果、十一の報告しか閣議になされていない。私は、時代要請はそんなものではないと思うのでありますね。ですから、そういった意味で、果たしてその辺での調査並びに時代変化に対応する体制が十分できているかというと、一つ私は問題提起をせざるを得ない。  それから、勧告一つとらえてみましても、この内容自体が非常に改善しやすいと言ったらちょっとオーバーかもしれませんけれども、本当に当面の課題、当面の改善要綱というふうな範疇にややもすると帰しているような勧告内容が多く見られると。それだからして、じゃ果たして本当に今の体制で十分なのかというと、大変大きな疑義を持たざるを得ない。なおかつ、特殊法人やら出先機関分野においても、話ですと、監察官が千五百人が千人に減ったということで、大変人手がないというふうな実情も理解できないわけではないですけれども、その辺で、例えば一例でありますけれども、ODAの展開の中で、無償援助業務というのが大宗をなしていることも事実でありますし、そういう中で果たしてどこまでその辺がウォッチできているかというと、そういった物理的な問題もあるのじゃないのかなと。  こういうことで、現在の総務庁における行政監察については大変努力はいただいているけれども、一つは、時代要請に対応した行政組織自体、そして制度運営の評価・改善機能、そこまでの抜本的な指摘がされるのかなというと、その点についての不十分さを感じざるを得ないし、なおかつ改善についても、内部監査一つ限界かなと思うのでありますけれども、そういうふうな監査内容にも陥っている。そして、出先機関についての本当に幅広い行政監察が行われているかというと、その点でもまだまだ不十分さを感じざるを得ない。こういうことからいくと、大変に今の状況では問題があるのではないのかなと感じざるを得ないのであります。  そして、私がこの調査会に入るに当たりまして、一つは、憲法を改正しない限り、オンブズマン制度に準じた組織をつくっても果たしてどれだけの機能を発揮できるのか、また三権分立という立場から非常に難しい問題があるんじゃないのかなというふうな話を私なりにインプットされてこの調査会に出たわけでありますけれども、片岡先生初め三人の参考人お話ですと、まさに問題ありなんというふうなお話をいただきました。  しかしながら、今まさに我々の抱えている行政上の問題として、官官接待やらエイズの問題がるる発生したことも事実であります。そうすると、国民国会に何を期待しているのかなと。そういった問題を未然に防いでほしい、もし問題があったら徹底的にこの問題を追及してほしいと、こういうふうな国会に対する一つの非常に強い要望があろうと思うのであります。しかしながら、果たして今の状況でそういった国民の期待にこたえることができるのかな、その一つとして国政調査権があるんじゃないかと。今の委員会あり方でも国政調査権を十分駆使してひとつそういった真相究明をしたらどうなんだと、こういうふうな話も一部ありました。  しかしながら、私、今までの国政調査権あり方を考えたときに、後ほど共産党さんから説明があろうと思うんでありますけれども、例えばここで一連の過去におけるスキャンダラス的な問題が提示されている、こういうときには国政調査権が行使されまして資料要求やら証人要求と、こういうふうな一つあり方があったと思うんであります。しかしながら、ここまでの問題が起きない限り国政調査権は平常において果たして現実に行使できるのかなと。  私ごとで甚だ恐縮なんでありますけれども、アンゴラ国との友好並びに無償援助展開というのを取り組ませていただいて、どこでどういうふうな援助意思決定がされ、それがどういう手続を踏んでどういうふうに執行されるのかなということで一つのケーススタディーをさせていただきました。そして、ポイントポイントコンサルを先方の国に置くんですと、そうしたらそのコンサルはどういうことで選定されるんですかと、その選定基準並びに選定における一つ判断材料その他の資料をひとつ御提示いただきたいと、こういうふうなお願いをしたところが、企業秘密で御提示できませんと、こういうことなんですね。  そうすると、じゃ私が外務委員会に移って問題提起をして理事会に諮っていただいて、そして初めて国政調査権を持って資料要求するかと。こういうふうな手続が果たして平易な段階で可能なのかなと思うと、甚だ煩雑な手続が必要ですし、時間も要すると。そういうことで国民の今期待しているような国会あり方として十分機能できるのかなというと、私は非常に物理的にも、ましてや行政と一々角を立ててこう話さなきゃいけない、そういうふうな状況が果たしていいものかどうなのか。  そんなことを考えると、スムーズに国政調査権というものを行使できるというような状況にあるのかというと、大きな意味合いからして、行政国会がもっと緊張感ある一つ体制をとれないかなと。間違いを未然に防ぐ、もし間違いがあれば徹底的に追及するということを常時やれるような体制がやっぱり必要なんじゃないのかなと、こうこの一連参考人の御意見を聞いてから考えた次第であります。  特に、先般小林節先生が、私は現役の学者なものだから考え方は常に変わると、本来反対だと。要するに、国会オンブズマン制度を置くということは憲法疑義があるし、実際問題があるということで強い主張をしていた小林先生自体が時の流れ時代要請によってまあいいんじゃないのかなと、こんな考え方にまで変化をしたという一つ経緯があるわけであります。  そういった意味からすると、今、具体的にどんな形でどういう人がどういう手続を経て、どんな機能を持ってというようなことは、今後まだまだ議論展開必要性があろうと思うんでありますけれども、当面何となくふんわりとした組織立ては必要なんじゃないのかなというふうな方向性を何か最近感じとってきたようなんであります。とりあえず口あけとしてそんな意見を私なりに述べさせていただきたいと思います。
  5. 亀谷博昭

    亀谷博昭君 きょうは初めてのフリートーキングということで、会長から、具体的な調査方向性、今後課題とすべき事項等を見出したいと、こういう御提言、御提案がありました。  まさにこの調査会は何を目指してどこに着陸点を見出そうとしているのかというのは、一番最初から考えながらお互いに取り組んできたところだと思うんですね。そういう観点からして、今、矢野先生、幾つかの御提言を含めた御発言がありました。いずれもごもっともだと思うわけでありますが、例えば、現在あるものをどうするのか、現在あるものを私たちがというか、この調査会で求めるものとどのように、乖離と言うと言い方はおかしいのかもしれないけれども、求めるものと現在の制度がどのように違うのか、どのように改革していくべきなのか。そういう今あるものをどうするかということが一つ議論として出されるべきなんじゃないかという感じがします。  それを踏まえた上で、この調査会で今後の行政監察あり方をどうするのかという観点から、じゃ何を取り入れていくのかというようなところに議論が進んでいくのかなというふうに思うわけでありますが、そういう考え方に立った場合に行政監察あり方というのは、やっぱりひとつ整理しておかれるべきなのではないかという感じがいたします。  そういう考え方から、私自身の現在の行政監察についての考え方をちょっと述べさせていただきたいと思うんですが、今も矢野先生からいろいろ御指摘がありましたが、今の行政監察はあくまでも内部監査、しかも相手の省庁に何月何日に行きます、こういうことを調査しますからということを事前通告をして、それでお互い了解のもとで資料を含めた調査をするという仕組みになっているんですね。それで、しかも行政監察局人たちは各省庁から出向している人がほとんどであります。  そういうことから考えていくと、大変精力的に監察をなさって、調査報告書もいっぱい出されている、その御努力には大変敬意を表しますし、大分改善されているものもあるということも事実でありますけれども、ただ、やっぱりこういう時代流れの中でこれでいいのかなと。行政監察局あり方というものを組織、人員、それから方法論を含めて、これはそこまでいけば法律改正も当然含むわけですけれども、そういうことも視野に入れながら行政監察あり方というものを、やっぱりひとつ皆さんの御意見を出していただきながら一つ方向性を見出していただくということが必要なのではないか。  私は、今の行政監察あり方は、御努力はいただいているにしても、時代要請するものとはかけ離れているのではないかという感じを持っております。
  6. 都築譲

    都築譲君 平成会都築です。  今回はフリートークということでございますので、昨年の秋以来今まで御議論されてきた点について総論的な感想を申し上げていきたいと思います。時間も全体で二時間ということでございますから手短にいきたいと思います。  今回の行財政調査会議題としては、一つ行政をどういうふうに監視をしていくのかという議論と、それから個別に、行政の結果として被害があった、あるいは不満がある場合の救済仕組み二つ大きく分かれるのかなと、こういうふうに思っております。  それで、行政監察関係につきましては、当初行政監察制度実情問題点ということでいろいろと聞かせていただきました。今、亀谷先生お話しになられたように、今の行政監察あり方についても相当な問題がある。行政全体から見ては内部監察、ただ、行政監察局から見れば他省外部監察と、こういうことになるわけですが、やはり内部監察限界というのがあるのかなと。  十一月一日のときに私も行政監察限界ということでいろいろ聞かせていただきまして、特にトピックの問題では、例えば金融には入っていないとか、あるいは放送関係についていろんな問題が生じているけれどもやっていないじゃないかとか、あるいは学校教育のいじめの問題とか、あるいは司法の問題とか、行政監察で入らない部分があるんじゃないかと、こういうことを申し上げました。  一部にはやっていると、こういうお話でございましたけれども、その後の事態はやはり住専問題に見られるような金融機関の問題が大きく出て、ついこの間金融問題についても行政監察をしっかりやりますと、こういうふうな話にようやく国会議論を踏まえてなってきた。それからまた報道関係についても、TBSのオウムの報道事件関連して、しっかりとこれからまたやると、こういうふうな話になってきたわけでございます。それは今まで行政監察局総務庁が持っていた限界というのが他省との力関係の中でやっぱりあったんではないかと。だからそこをもっと後押しをしていく役目を国会というのがしつかり持つ必要があるのかなということが一点でございます。  そういった意味では、矢野委員が言われたように、行政国会緊張関係をどういうふうに維持していくか、これは非常に重要な指摘ではないかなと私も思うわけでございます。  それで、行政監察のほかに、国政調査権があるわけでございまして、ですから国会監視機能をどうするのかということで、オンブズマン類似制度関連でいろいろ有識者先生方にお出ましをいただいて御意見を拝聴したわけでございます。  私自身、それはオンブズマンの形についてはいろいろあろうかと思いますけれども、簡単に整理をすると、現在の憲法で認められているということでいけば、やはり最終的な取り消し権とかあるいは措置する権限というのはなくて、オンブズマンというのは調査権限、そしてそれに基づくせいぜい意見具申かあるいは勧告ににとどまると、こういうことでございますから、これだけ行政分野複雑多様化、さらに高度化している状況の中で、オンブズマンということで例えば三人とか五人の方になっていただいても、本当にどこまで目配りが行き届くのかなという問題点もあるんではないかと。  欧米では特に専門のオンブズマン分野というのをまたつくりつつあると、こういうふうな指摘を考えると、むしろ国会の、特に参議院の行政に対する監視機能というのを、国政調査権を使ってもっと機能的に活動していく、情報を入手し、また誤りを指摘し、そしてまた必要があれば立法活動に結びつけていくという活動を強化していくべきではないのかなという印象を持ちました。  それから、あと行政救済制度関係につきましては、行政相談制度というのが相当行われておるわけでございますし、個別の小さな分野から、特にまた制度的な大きな分野については全国の連絡会議というふうな形で取り上げられて制度を変えていくということもあるわけでございますから、それをもっと大いに活用していく必要があるのかなと。それから、各省が持っている行政救済制度というのもありますけれども、これも、裁判にかけるよりは短時間で手短に簡易な方法でということでございますので、その分野もまた国会監視しつつ有効に迅速に機能するようにしていく必要があるだろうと。  それから、オンブズマン関係につきましては、川崎市のオンブズマンが大変有効に機能をしていると、こういうふうなお話がございますし、また行政の、例えば都道府県における食糧費問題等につきまして、空空出張接待、こういった問題についても市民オンブズマンというのが大変有効に今活動しているわけでございまして、これをどういうふうに整理していくのか、この観点はあるのかなと、こういうふうに思います。行政あるいは国会、議会として監視すべきはしっかり監視し、また独自のそういうボランティアでの市民オンブズマンという活動も温かい目で見ていく必要があるのではないのかなと、こういうふうに思っております。  私ども議論の前提として、オンブズマンというイメージがよくわからないままに憲法上の問題とかあるいは国政調査権をそういったところに委譲できるのかというふうな議論をしておったわけでございますけれども、特に諸外国のオンブズマンについては一度本当にオンブズマン実態、今までも何度も調査されておりますけれども、そういったものもよくもう一度精査をして、できればまたそういった先進的な制度を持っておるところもぜひ調査をやっていただければありがたいかと、このように思っております。  とりあえず以上でございます。
  7. 井上孝

    会長井上孝君) ありがとうございました。  三人から、現状行政監察に対する問題点の御指摘やら、特に最近いろんな官官接待とかエイズ問題とか出てきておりまして、これから行政監視というものが非常に重要だというような観点からの御意見がございました。もう少しこの点で進めていきましょうか。
  8. 山下芳生

    山下芳生君 初めに、私たち日本共産党は、オンブズマン制度の創設については基本的に賛成であります。一九七九年にはこの件での法案大綱も発表をしております。しかし、もう既に二十年近くたっているわけですので、それをそのまま当てはめるというのは、これはいささか無理があるということも承知しておりますので、私はこの間の情勢の変化、経過や、あるいは当調査会におけるこれまでの調査を踏まえて考えを述べたいというふうに思うんです。  まず、会長の御提案にあった新制度導入必要性についてであります。今なぜ国会オンブズマンを設置する必要があるのか、国民にこの問題をわかりやすく説得力ある形で議論をすることが大切だというふうに思います。当然のことながら、なぜ、何のために新制度をつくるのかということを議論することは、これはどんな制度をつくるのかという議論の土台にもなるわけですし、しかも、私たちはこれは全面的に賛成はしていないんですが、行政改革という名のもとに今行政機構の統廃合や定員削減が進められている中で新たな制度を創設することになるわけです。これはやはけり、今なぜ、何のために国会オンブズマンを置くのか、だれもが納得する議論がされなければ国民的な合意は得られないんじゃないかというふうに思います。  私は、二つの角度から国会オンブズマン必要性を今感じています。  第一に、国民の目の届かないところで国の行政機構が不正、腐敗の温床にされている、そういう実態があるという問題です。清潔で公正な国民本位行政を実現するために、国会による行政監視体制機能を強化することが必要だというふうに思います。この点は、当調査会においで願いました参考人の各先生からも、例えば関西学院大学教授平松毅さんはこうおっしゃっています。  一般国民オンブズマンに期待している問題は、今問題となっております住専問題とか官官接待などを、マスコミのように単に国民感情をあおるのではなく、第三者的立場で事実を解明し、その事実に基づく理性的な判断資料を議員に提供して審議の充実を図ることにあるのではないかと思われます。  あるいは、国民オンブズマンに期待しているのは、住専問題とか官官接待の問題について自分たち意見を反映できるような仕組みを設けてもらいたいということではないかと思われます、とお述べになっています。  ほかにも、慶応義塾大学教授小林節氏なども、官官接待薬害エイズ、それからゼネコン汚職等も挙げられて、きちんとした行政に対する統制がさいていなかったからこそ起きていること、新しい制度か既存の制度の運用の問題に工夫が必要だという意見を述べられています。  歴史的に見ましても、我が国においてオンブズマン制度に対する関心を高める契機になったのはロッキード事件であります。きょうは皆さんのお手元に参考資料として一九五七年以降の主な疑獄事件の一覧表と証人喚問の実績の資料を配付させていただきました。この資料の証人喚問の実績は、参議院の委員部調整課、衆議院の委員部総務課から提出いただいた資料に基づいて作成をしてあります。  これにも示されておりますけれども、ロッキード事件では国政調査権が見事に発揮をされたと私は思います。一九七六年二月から六月にかけて、衆参両院で延べ三十三人の証人喚問が行われました。喚問が進むにつれて疑獄関係者の逮捕も進んで、七月二十七日には田中角栄前首相が逮捕をされたわけです。  これ、私自身の体験になるんですが、ロッキード事件当時、私は高校生でして、今でもはっきり覚えているんですが、学校の食堂で証人喚問のテレビ中継を見ておりました。食事をしながらテレビの画面にみんな、私だけじゃありません、食い入るように見ておったことを覚えております。そのときの中継はまだ画面が動いておりましたので、非常に国会状況がよくわかりました。それを見ながら当時の私が思ったのは、国民に対して悪事を働いたら国会がちゃんとお裁きをしてくれると、不正は許ざない、国会とはそういうところなんだということを本当に感動的に受けとめたというふうに記憶しております。すかっとしたわけですね。  ところが、国政調査権を行使した疑獄事件の真相の解明は、そのロッキード事件を頂点にその後低調となっております。これは、資料にお示ししてある証人喚問の回数もやはり低下をしているんです。回数もさることながら、内容の面でも真相の解明まで徹底して行うということにはなかなかなっていないんじゃないか。  例えば、これは資料にお示しすることができなかったんですが、尋問の時間を調べてみますと、七六年六月、ロッキード事件で参議院は六人の証人喚問を行いました。尋問時間は当時一証人につき百九十三分、三時間余りかけております、平均的に。それに対して、先日行われました住専問題での参議院での証人喚問、これは四人に対して行いまして、一証人当たりの尋問時間は百三十五分となっております。ロッキード事件と比べて一時間減っているわけですね。回数も減少しておりますし、内容、時間も低下をしているというのが事実であります。  なぜこういうことになっているのかということですが、これはいろんな理由があると思いますが、やはり時々の政党の力関係に証人喚問の回数やその内容が左右されてきたという側面は、これは否定できないんじゃないかというふうに思うわけです。  そうなりますと、そういう証人喚問に関する国会運営上の改善、これはやらなければなりません。同時に、運営上の改善とあわせて、国会国政調査権の充実した行使を保障、補完するための制度としてオンブズマン制度必要性を、こういう証人喚問の実施状況の経過が示しているんじゃないかと考えるわけであります。  例えば、今日の住専問題、薬害エイズの問題でも、行政の中枢にあって事件に深く関与してきた人物の証人喚問はほとんど行われておりません。その結果、真相解明がなかなか進まずに、国民が不満を感じている。もしオンブズマン制度があれば、そしてそのオンブズマン国会議員の付託に基づいて独立して行政内容調査する権限を付与するなど行っておれば、政党の力関係に左右されずに国民の期待にこたえて必要な人物の証人喚問を進めることもできるんじゃないかと。これは非常に重要なことではないかと思います。  平松教授の言葉をかりるならば、自分たち意見を反映できるこうした仕組みが設けられてその機能が発揮されるならば、国民の政治に対する信頼を高めることができるであろうと思います。とりわけ、私自身が高校時代そうであったように、若い皆さんにとっても政治に対する関心や信頼感が高まるんじゃないか、そのことを非常に期待しているものであります。これが第一の理由です。  二つ目の必要性として、現代社会において国民はさまざまな面で行政上の規制を受けたり、あるいは逆にさまざまな行政サービスを受けております。国民生活と行政との接触が深まれば深まるほど、国民にとってみずからの行政上の扱いに対する苦情がふえてくるのは、これはある意味では当然だと思います。国民の権利や利益を擁護するために、国民立場に立って苦情の解決、救済を図る制度が必要になっているのではないかという点です。  この点も、参考人からやはり意見が述べられております。東海大学政治経済学部長の宇都宮氏はこう言っております。「行政の大規模化、複雑化、専門化に対応するために、行政執行が公正に行われるように行政組織全般を中立的な立場から監視統制する新しい仕組みが必要になってきた。」「行政に対する苦情は年金、税金、医療問題、それから騒音、都市計画などにわたって広範囲にあらわれる傾向が出てきております。二十一世紀を展望いたしまして、超高齢化社会を考えていきますと、行政に対する苦情が噴出してくるのではないかということが予想されます。」「類似制度を補完しながら、有機的に連携を図りながら、新しい時代へのニーズに対応するためにオンブズマン制慶が必要になってきている。」と、こういう行政に対する苦情処理、解決を図る面からもオンブズマン制度が必要になってきているのではないかという御意見。  私、一つだけ最近の事例を見てみますと、やっぱりこういう制度があった方がいいんじゃないかということで、きょうは地下鉄サリン事件の被害者の皆さんの置かれている今の現状、これを紹介したいというふうに思うんです。  昨年の三月の事件ですからもう一年以上経過しておりますけれども、ことしの三月、毎日新聞では「地下鉄サリン キズなお深し」という記事も出されました。心的外傷後ストレス障害、PTSDの典型症状を示している被害者の方がたくさんいらっしゃる。共通する症状は、フラッシュバック、事故の惨状を突然思い出すという精神的な被害、おびえる、過敏に反応する、落ちつかない、そういう症状が出てくるそうです。そして、その恐怖を回避する方向に進んで、ついにはみずから無感動や無気力、忘れっぽくなったり、それで体力の衰えを訴えるようになる。それが身体化をするということで、精神障害が身体面にもあらわれて、頭痛や目まい、そういったことから、仕事をすること、日常生活さえ困難になるという状況があるそうです。  こういうサリン事件の被害者の皆さんがどういう治療を受けるかということですが、これはもう自分で医者に行って自分で治療費を払って受けるしかないという状況に今置かれております。犯罪被害者等給付金制度というのがあるんですが、これは障害を受けた場合の給付はあるんですが、これは極めて重い障害に特定されているわけで、心的外傷の後遺症というのはこの犯罪被害者等給付金制度救済対象になることはないということだそうです。  これは非常に深刻な問題でして、被害者、患者の皆さんたちは切実な要望として、この問題について国が被害者の現状をしっかり把握して、そして後遺症に悩む皆さんに対する医療費の負担の問題、さらに進んで精神的カウンセラーの問題、こういう全面的な救済対策を整えてほしいということをお訴えになっておりますが、残念ながら厚生省もそういう実態はなかなか把握していない。それから法務省の方も、検察当局においても事情は聴取しておりますが、これはやっぱり捜査という面での把握になっていると。  そういうことを考えますと、やっぱり被害者が自分で治療費を払っているという問題、これは残念ながら今の制度ではいかんともしがたいという問題なんかが現実にあるわけですけれども、例えばこういう問題でもしオンブズマン制度があって、直ちにそういう問題を調査し、意見を表明したり勧告をするということがなされておれば、一年以上たっているわけですけれども、もう少し早く救済の手が打たれたのではないかなというふうに思っております。こういう事例がたくさんほかにもあるんじゃないかということであります。  以上、二つの角度から私なりにオンブズマン制度必要性について意見を述べさせていただきましたが、ぜひ当調査会でも活発な議論展開いたしまして、国民にわかりやすい形で問題提起する機会になればというふうに思っています。  最後に、私たちがどういう権限組織にしようと考えているのかということは、二十年近く前の法案大綱に私たちはこだわるつもりはございませんが、ごく簡潔な骨子だけ御紹介させていただきますと、国会国政調査権の充実した行使を保障、補完する。そして、行政監督権を実効あるものとするために、国会の附属機関として国会行政監視の機構を置くことにしてはどうか。そして、国会が任命する行政監視官に主として議院あるいは国会議員の付託によって行政内容調査させて、これを報告させ、行政監視体制機能を強化して、行政の過誤や不正、腐敗の防止を図ろうというのが大きな骨子となっております。  ぜひ活発な議論国民のためになる新たな制度あるいは現行の制度改善がされることを期待いたしまして、発言とさせていただきます。ありがとうございました。
  9. 都築譲

    都築譲君 ちょっと運営方法で、冒頭申し上げるべきだったかもしれませんが、できるだけたくさんの方が御発言を二時間以内にしていただくためには、やはり五分程度を目途にして、矢野先生は冒頭口火でございましたから、趣旨説明を含めてやっていただくということで私は黙っておりましたけれども、ぜひたくさんの方がいろんな御意見がおありでしょうから、そういうことで。
  10. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 まず、現在ある制度をどうするのか、あるいはそれをどう補うのかという観点から申しますと、私は行政監察制度というのはなかなかに頑張っておられるのではないかというふうに思います。報告書を出されまして、それに対して勧告がなされるわけです。そして、各省庁のそれに対するレスポンスといいますか、応答と改善方向が示されるわけであります。  しかし、一番欠けているのは、それをフォローアップするという点において非常に欠けているのではないか。何年までにやると検討しながらされていないところとか、あるいは先送りになって十年もまだ何も手つかずのところとか、さまざまなところがあるのではないかと思いますので、やはりフォローアップをきちっとしていくという制度を充実する必要があるのではないかと思います。その点については、この調査会で一定程度試みたことがありますが、こういったことを恒常的に一つの仕事としてやっていくということが必要なのかもしれません。あるいはそういうことのほかに、識者とか専門家などによる委員会を設置して、それが改善しない場合の措置などの具体的な提言を受けることもいいのではないかというふうに考えたりいたします。  それから、新しい制度の導入、国会オンブズマン制度を置くということについては私も賛成でございます。確かに草の根の苦情といいますか、あるいはその声というものを吸い上げる機関については具体的に我が国では制度化されていないわけです。各省庁も、NGOの意見を聴取したり、あるいはNGOの活動とともに行政の施策を行ったりするという機運も高まってきております。NGOの力こそ二十一世紀の新しい政治の地平を切り開く視点だというふうに言われておりますが、我が国においてはそういったものをどうやって行政あるいは立法に反映していくかという点についてまだ十分な議論がなされていないと思います。  小さな声というものは、やはり最初はそのようであっても、やがて十年後に大きなマジョリティーの声になるということは歴史が証明しているわけでございますし、そうした我々の行政ないしは立法が持っていないような発想というオルタナティブな時代の先見性のあるような意見というものも、実はそうした草の根の運動が吸い上げているのではないかと思います。したがって、私は、活力ある国の政治、そして先見性のある国の政治というものを我々が持つためにも、そうしたオンブズマン制度というものの導入を検討すべきではないかと思います。  そのとき、やはり一つは項目別に置くと。最も行政の目の届かないあるいは私たちの政策の立案に必要な声を吸い上げるという意味では、例えば子供オンブズマンとか老人オンブズマンあるいは障害者オンブズマンあるいは女性オンブズマンというような形でのオンブズマンの設置がいいのではないかと思います。  第二には、議員がなるのではなくて、そういう意見もこの間の参考人の中にありましたけれども、やはりそれなりの専門家とか活動をしていた人たち、人材というものを大胆に登用していくということが重要ではないかと思います。  それから第三には、やはりそれなりの権限を持っていただくということではないかと思います。とりわけ、先ほどいろいろ議論になっておりますような取り消し権とかあるいは決定する権利というようなものを持つということまでは憲法疑義があるといたしますれば、しっかりとした調査権限、そしてそれに基づく政策提言ができるような権限を持っていただくべきだと思います。  さらに、やはり主権分立の中で司法の力というものは我が国は相対的に低いのではないかというふうに思っておりますので、やはりそうした悪事といいますかスキャンダル、その他法に触れることがありましたら勇気を持って提訴していただくという、そういう権限を持っていただくということによっていわゆるその権威と各市民の方たちの信頼というものが生まれるのではないかというふうに思っております。
  11. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 調査会には途中から入ってまいりましたので、勉強不足ですけれども、ちょっと違った観点から行政監察オンブズマン制度について考えてみたいと思っております。それは、今社会問題になっております官官接待、それから自治体の中で起きている空空出張、それから空空会議、空空接待、こういう面から今日の行政監察制度オンブズマン制度を見てみたい、そういうふうに思います。  それで、官官接待というのは、これは行政監事局はもう十年以上前から知っていたはずです。ですから、通知として、行政事務運営の公正確保に係る体制及び手続に関する調査という通知を各省庁に出しておりました。それが十数年たって、今日初めてこれが社会問題になり政治問題になっている、この間一体何をしていたのかという問題です。  それから、北海道で起きている空空接待、空空会議空空出張、これは最近起きた問題ではありません。もう十数年前から起きている問題です。私も市長時代におかしいなと思ったことがあったことを思い出すんですけれども、それがなぜ十数年も世の中に問題として出されてこなかったのか、やっぱりここに今日までの監察制度の大きな問題があったんではないかと思います。  私は、その結論として言えば、やっぱり役人の人たちがこういうことに当たっている今の制度では、問題というものはキャッチしてもそれを解決するまでにはなかなか持っていけなかったんでないだろうか。一言で言えば、市民の感覚でそういう問題をとらえていないということが言えるんでないかなと思います。  ですから、行政監察局はこの官官接待の問題をとらえたときに何をしただろうかといえば、さっき言ったように通達を出すわけですね。ところが、受ける方も余りその出てきた通達を重要視していなかったんでないだろうか。通達を出す方も受ける方も、特に出す方は結構地方に行けば官官接待を受けているわけです。ですから、確かに問題はあるなということで出す通達というのは、出さなければならない行政上の手続としてやっただけにすぎなかったんでないだろうか。ですから、結局は行政の形式的な問題のとらえ方、執行、そういうことで終わってしまったんでないだろうか。  特に、自治体の中で起きている空空出張等々は監査事務局そのものがそれをやっている。取り締まる方がそういうことをやるんですから、これはもう問題を提起するべき機構が全然それを提起することもできないと思うんですね。この辺にやはり私は非常に大きな問題がある。そして、国会だとか自治体の議会で政治的な問題にされて初めて事の重要性に気づいて、これはいよいよ何とかしなければならない、こういうことで初めて動き出すわけであります。  ですから、行政監察局が言っておりますけれども、補助金の中身の食糧費が多過ぎる、あるいは補助金として出している食糧費食糧費の使い道としては間違った方向で使っているんでないか、その辺もよくこれから検討してみる必要があるというようなことを言っておりますけれども、私はそんな狭義の問題ではないだろうと思うんです。もっと根本的な問題が私はあるんではないだろうかというように思います。  そういう点で、私はオンブズマン制度というものを非常に重要視していかなければならない。行政の感覚ではとらえられない。したがって、市民的な感覚でとらえるということになればやっぱり国会で、あるいは自治体の議会でそういう問題を取り扱っていく必要がある、そんなふうに実は考えております。  そういう意味で、私は議会の機構の中に議会の附属機関としてぜひ設置するべきである。独立した機関としてつくるということになりますと、立法、行政、司法のどこにも該当しないという機関として憲法上いろいろと問題があるという御指摘もありましたので、議会の附属機関としてとらえてみた方がいいんではないだろうか。  そして、大事については、これは国会あるいは自治体の議会で任命をする。この間の調査会でも申し上げましたけれども、もちろん人事は非常に大事でございます。ですから、国民皆さんから尊敬されるようなそういう方々を選ぶということは非常に大切なことだと思いますけれども、しかし人事の問題で解決するものではない。したがって、あくまでもこのオンブズマン制度には強い権限を与えて、そしてスタッフをまず充実させるということが極めて重要でないだろうか、こんなふうに思います。  最後に一つだけ、行政監察あるいはオンブズマン制度には直接関係はないかもしれないけれども、今申し上げたような官官接待空空出張等々の一連の問題がなぜ行政庁内で解決できなかったんだろうか、それが非常に私は問題があると思うわけです。  かつて、大分前だったと思いますけれども、東大の卒業式で当時の総長が卒業生に向かって、諸君らは社会に出てただ酒は飲むなと、こういう訓辞をされたことを私も新聞で読みまして、大変立派なことをおっしゃると思いました。しかし、実際問題どうだったかというと、恐らくそのときの卒業生の中で結構空空接待をお受けになっていた人たちがたくさんいらっしゃるんじゃないだろうか。  私は、そういう問題というのはおかしいと思う人が庁内でたくさんいたと思うんです。特に若い方々の中には、そういう役所の慣例と言われる中でもこれは不思議だ、改めるべきではないかと思う、そういうことがあったと思う。特に自治体における空空出張なんというのは犯罪行為ですから。  それがなぜ庁内で問題にならないのか。やっぱり私は、庁内でそういうことがきちんと論議されるような雰囲気にない、どうもどこの行政官庁の職場でもそういうことが言えるんでないだろうか。そうすると、職場の中で自由に物が言えるような民主的な職場をつくるということが、行政監察というその前段としてやっぱり解決するべき大きな行政上の問題ではないだろうかなというように実は思います。  そういうことについても、これから真剣に考えていくべき問題であるということもつけ加えて申し上げておきたいと思います。
  12. 井上孝

    会長井上孝君) ありがとうございました。  山口君のは、議会に附属機関としてオンブズマンを置くべきだということですね。
  13. 井上吉夫

    井上吉夫君 私は今の山口さんやら今までにおっしゃった方みたいに質問のことを整理しての話はできませんが、今ありますいろんなやり方、相談委員なりなんなり、そういうあたりが本当に十分みんなの願いを吸い上げて運営されているのかな、そのあたりをもっと細かく検討しながら、それから私どもが思いつき思いつきで言っただけでもできませんので、行政監察局なりいろんなところで相談委員の方々の意見を聞いたりしながら、もっとそういうあたりを細かくまとめ上げるということをやってほしいな。  これをやらないと、いろんな新しい制度とかなんとかいいましても、ねらいとしては確かにいいねらいを持ってやっていこうと考えながらまとめ上げていくわけですけれども、必ずそこには思いがけないむだがあったり、こんなことだったらこっちの方でやれるじゃないのという話が出てきたり、そして山口さんから、今官官接待のこととか空空出張やらいろいろ出ましたが、日本社会でこんなのが全くなしにすぐというぐあいなことを実行させるとしたら、いろんな世の中の仕組みなんというのが大変窮屈になって、どうやって指摘をされないように逃れようかという方に人間の知恵が回ることの方が多くなるんではないのかな。  だから私はいいというんじゃないんですよ。おのずからやっぱり、一つの常識を超えたこんなことをやったんじゃ世の中が認めないよという部分と、しかしこの程度は物事の流れのいわば潤滑油としてある程度は許容されるという、そういうあたりのこともやっぱり頭に置きながら物を考えていかにゃいかぬのじゃないかなというのが一つです。  オンブズマンの話をこの前の機会に何人かの参考人から聞きました。そのときにふっと思いましたのは、言われるとおり確かに人格高潔で、あの人に任せたらという人、それがうまく選べればそれは言うことはないんだけれども、そんな人はいるのと。それと、何人にするの、ただで使うのと。やっぱりそれだけの人だとなると相当高給をもって遇さなければ、人間を選ぶこと自体が難しいでしょう。人間を余り余計養うということになったら、それはどういう経済仕組みの中でそういう人たちをしっかり確保するのということにもなりますから、国のいわば立法とも絡まり、あるいは細かい権限を持って悪いことをしたやつはもう徹底的に究明する。国会国政調査権を持っていろいろ物事を議論する場合は、ついつい政党間の対立の中から物事は、人選からいろんなことが決まってしまうということなども非常にありますので、そういう政党間の都合で操作されないようにするにはどうするんだということも、これまた言葉としては大変そのとおりなんですけれども、実態的にはなかなか容易でない。さはさりながら、みんながやっぱり政党のしがらみとか政党の主張というものから超越した形でやれる範囲はどうなのかな、そのための権限と人数はどういうぐあいにすればいいのかな。私は残念ながら諸外国の事例を調べてもおりませんし、知りませんので、確かにどこかにはやっぱりオンブズマン制度というのがその国のいろんなやり方に非常によく合っているし、日本の場合そういう着想がもう一つない。  ロッキードの問題やいろんなことが言われましたが、そういうものが出た場合に、そのことが見過ごされるということになると、無縁な人であっても、何だあんなやつがのうのうとして大もうけしてという、みんなが持つ正義感みたいなもの、あんなのが通用するようだったら本当にまじめに働く気になれないなというようなことのないようにするためには、やっぱり事件が起こったときにはそれを摘発するという機能がなけりゃならぬというぐあいにも思いますが、実はそのことのために常時巨大な仕組みというのが維持できるのか。そして、そういうものが時として人選を間違ったりすると、余りにも巨大な権限を持ち過ぎることによって、そこから出る弊害というのが起こらないようにするにはどういう対象からオンブズマンを選ぶかということなどについての議論も、先進国の事例も含めて検討する必要があるのではなかろうかな。  したがって、会長から一つ課題としてお出しいただきました中の第一のくだりは、ぜひさらに細かく実態を調べながらやってほしいなと。オンブズマンについては、私は否定はしませんが、今申し上げましたようなことに十分意を用いながら、つくる以上は、新制度は何だこんなことをということを言われないように、細かい検討をした上でつくってほしいなと。  以上申し上げます。
  14. 小島慶三

    ○小島慶三君 今までの皆さんの御意見は一々ごもっともで、私も何か一工夫要るというふうに思っているんですけれども、ちょっとその前に私の経験からお話しさせていただきたいと思うんです。  私は、実は役所に二十一年おりました。二十一年目に首になりまして、御家人崩れで民間に参りました。民間に二十一年おりました。したがって、まあ両方の立場にいたわけでありますが、私がいたころばそういう制度がなかったのかもしれませんけれども、二十一年の間に内部監査というものは一遍もありませんでした。それから外からの、例えば総務庁からの指摘とか、こういうこともありませんでした。  もちろん今はそういう制度が十分にできているんだと思うんですけれども、例えば私のおりました通産の仕事なんかで考えてみますと、個別具体的な問題というのは行政相談で、これはかなりできているんだと思うんです。それから、例えば生活面の問題では国民生活センターとかそういうところにもそういったクレームを受け付けるところがありますから、そういうのである程度やれているんだろうと思うんですね。ただ、総務庁の手を煩わすような大きな政策問題とか、こういう問題に対してはどうかというと、これは非常にたくさん審議会とかそういったものがありまして、その専門委員会とかそういうところでファクトファインディングをやっているということで、これもかなり議論としてはあぶり出されるということはあると思うんです。  ただ、通産の立場で考えてみますと、非常に民間とのつき合いが難しいんですね。事情をよく知らなければ勤まりませんし、余り密着し過ぎると大変な問題になりますし、だから非常に難しい。  私はかつて民間の意見に反対をして首になりました。左遷されたことがあります。そういった場合に、私の政策論というのは間違っていなかったと思うので、じゃ一体どこと相談するかといったら、全くそういうことを相談する場はありませんでした。今で言えば、例えばいろいろ雑誌に書くとかそういった反抗もできたでありましょうけれども、当時は全くそういうことができなかったということで、例えばここにオンブズマンというものがあって、そういう個別具体的な問題あるいは政策的な問題、このどちらに置くかといえばむしろ政策的な問題に置くということなんでしょうけれども、そういうところがあれば何かもっと助かったような気がするわけです。そういうことがありました。  それから、財団にもいたことがありまして、これは十年近くいたんですけれども、結局この場合には余りそういった外部監査みたいなものはありませんでした。あるとすれば経理とか会計とか、そういった点だけの非常に細かな問題がたくさんあったというふうに記憶しております。しかし、じゃこの財団をどうマネージするのかというふうな大きな話については、これは全く何も外部からの示唆もなしということで、そういったのはほかの事業団、公団でも通例であったのではなかろうか。恐らくそういうところには余り目が届いていないという感じがします。  例えば、今、いろんな財団、事業団は九十幾つあるんですけれども、その子会社が三千ある、これについては全くノータッチであるというふうなことがあります。だから、そういった面で、いろいろ非常にきめ細かく見られているところとそうでないところというものはかなりあるので、そのそれぞれに対してオンブズマンという制度がどの程度役に立つのか立たないのか、そういう判断がやっぱりかなり突っ込んで行われないといけないんじゃないかというふうに思っております。  そういう点で、今どこにポイントを置いてやるかという話になれば、これはもう再三申し上げていることですが、私は今の一番の最大の問題というのは財政危機だと思います。財政危機というものは本当に何とかしなきゃいかぬだろうというふうに思っているわけでありますが、この財政危機の中身をなしているのは結構手近なところ、つまり財政支出の感覚というものが麻痺していると、行政官の間にそういうものが麻痺しているんじゃないか。これが先ほど山口さんのおっしゃったような話になってくると思うので、やっぱりそういう点には国民も一番関心を持っておりますし、これはやはり今までの仕組みに加えて何らかの仕組みが必要ではないかというふうに思うんです。そういう場所で、例えば財政の監視あるいは税制のチェック、あるいは個々の一般の支出のチェック、こういったことがもうちょっと行われる仕組みがないのかなというふうに私は実は思っております。これはなかなか内部の自浄力で片づかないというふうに思います。したがって、こういうところにはオンブズマンというふうな制度があるいは役に立つのかなという気がいたします。  その場合でも、一体だれを選ぶかというのは大変な問題でありまして、選びようによっては妙な癒着が新しくできないものでもないというふうに思います。だから、どういう場所に、どういうものに焦点を当てて、どういう組織をつくるか、どういう人を充てるかというふうに、オンブズマン制度あり方というものを一般論でなくて、もうちょっと突き詰めていく必要があるのではないかということを申し上げたいと思います。
  15. 石田美栄

    ○石田美栄君 私もオンブズマンのことについて頭から反対というわけではありませんけれども、市民、一国民立場で、今皆さんがおっしゃっているオンブズマンというのは議会の側にというふうなことですが、もしそれを想定して考えて、国民から見てどう見えるかなと思うと、今政治家に対して、政治に対する不信化の中で、自分たちが十分機能していない、そこにそれを補完したり補強するオンブズマンを置くなんていったって国民には全く納得されないだろうなと思ってお聞きしておりました。  今ある行政監察とかいった制度がどうすればもっと機能するかといったようなことを私たち考えなければいけないと思いますけれども、今、国民が拍手を送っているオンブズマンというのはいわゆる市民オンブズマンで、これは情報公開法ができて、そこでいろんな資料を取り寄せたところからやっている、そして自由な立場でそれを世に訴えている、これが脚光を浴びている。川崎のオンブズマン行政の方に置いたので、私たちそこに視察に行きましたけれども、だれも本当に機能してすばらしいというほどの印象を受けたものではなかったように思います。この市民オンブズマンは、次は各予算の執行をチェックするというふうに言っております。  そんなことを考えますと、例えば私たちのこの国会の中で、参議院の方は特に決算委員会に力を入れてやっていらっしゃるといったら——自分もメンバ一ですけれどもまだ経験が浅うございまして、予算がついてそれがどう執行されているのかというのを本当に正確にチェックしていくというふうなことだって十分やらなくちゃいけないことですし、そういったことを考えると、私は参議院の機能というのはそういう意味でもっともっと考える余地があるんじゃないかなというふうにこの委員会での議論を通じて常に感じておりました。  法律をつくっても、その後その法律が実際にどのように有効に使われていて実行されているのかといったようなことを委員会でチェックする。法律を通す場面では、余り問題ないものであれば参議院の方は審議を軽くするといいますか、その後のフォローといいますか、もっともっと国政調査権を含めて議会の果たす役割、そうしたことをもう一度よく見直した上でなければ、すぐこのオンブズマンという気持ちにはちょっとなれないというのが気持ちでございます。
  16. 井上孝

    会長井上孝君) ありがとうございました。  ちょっと変わった意見が出ましたが、ほかに何か御意見ありませんか。
  17. 小山孝雄

    ○小山孝雄君 私は一昨年の今ごろに参議院の比例区の候補者に指名されて、昨年の七月ぐらいまで一年間、全国各地をめぐって歩いた中でよく言われましたのは、ちょうどいわゆる政治における五五年体制ががらがらと変わっているときだっただけに余計だったと思いますけれども、政治がこのように不安定、混迷でも行政が、官僚がしっかりしておるから日本国は大丈夫だよと、こういうことを、例えばどこかに行く電車に乗って隣り合わせになった一般の人と懇談をしている中でもそういうふうに言われました。しかし、去年あたりからそのしっかりしているはずの官僚、行政も大変な不信を買ってしまった。  今、山口委員から御指摘ありましたように、何とか接待、何とか出張ということももう随分前から内部ではわかっていたはずだということの御指摘もありました。昔お釈迦さんがお弟子さんに向かって、知って犯す罪と知らないで犯す罪とどっちが大きいと思うかねと聞いたと。普通私どもが考えると、知らないで犯す罪の方が大きい、こう思うんですが、逆に、知って犯す罪の方が大きいんだよ、お釈迦さんはこういうふうに答えたというふうに記録されているそうであります。行政の各地で行われてきたであろうあの空空何とか空空何とかというのは、その知って犯す罪、すなわち、これは悪いことだとわかっていても全員が黙っていればそれで済むんだろうということで各地で行われてきたんじゃないのかな。そこに自浄作用というのが働かなかったということがまさしく一番大きな問題だろうと思います。  そういう観点からいきますと、行政内部の監察制度というのはこれはもう限界があるんだろうと。そうすると、私はそこから議会型オンブズマン制度必要性というのを考えなければならないのかなと思います。  今までの先生方お話も大変重要な点、また、ただやみくもにつくってみたところでという御意見もあります。それは本当にそうだと思いますし、ある専門家に、参議院に議会型オンブズマンをこしらえて有効に機能し迅速に対応できる体制に大体どれくらいの職員が必要だろうかと言ったら、ざっと、本当にざっとですが、二百人は要るだろうなと。そうすると一つの役所ぐらい。中央官庁の一番小さなところはどこなんでしょうか、四、五百人だろうと思うんですが、その半分ぐらいの職員が必要になってくる。そうすると、行政改革とどういうふうにこれは考えたらいいのかなという問題があります。あるいはだれをという問題もあるでしょうし、だれがだれに任命し、どういう権限を付与するという、いろんな観点から本当に厳しく、つくってみたけれどもつまらぬ制度だったということにはならないようにしなくちゃいけない。  しかし、私は本院の独自性の立場から、従来からある、そしてまたこれからも存続し続けるであろう総務庁行政監察、これはこれとして存続させていいと思いますし、それとは別に、行政に対する国民の不平不満を的確に吸い上げて解消していく、あるいは不正をチェックして、政治、そして行政に対する信頼を高めていくという観点から、議会型オンブズマンというものをぜひ進める方向で論議をしたらどうなのかなと、こう思います。  そしてその中で、オンブズマンというものを、言葉の定義から、あるいは独立性をどう持たせるのか、それから調査権をどう持たせるのか、あるいは勧告権をどう持たせるのか、こういう観点から一つ一つある程度具体的なテーマに絞って、言うなれば小委員会制度みたいなところで一つ一つ論議を煮詰めていく方向に入っていただいてもいいのかなという感じがいたしましたので、以上申し上げました。
  18. 井上孝

    会長井上孝君) どうもありがとうございました。具体的な御提案がありました。
  19. 武見敬三

    ○武見敬三君 オンブズマン制度の設置の意義についてはいろいろ議論があるかと思いますが、現実に我が国の三権分立の制度というのは実質なかなか機能していない。まず最初に、立法府たる政治及び政治家に対する国民の不信というものが極めて根強いものになった。その次に、昨今の状況下において、今度は行政、官僚機構に対する信頼が崩壊をし始めた。残っているのは司法ぐらいなものでございます。このように、実際に三権の分立が機能しなくなり、いよいよ末期的症状を持つようになったのが今の我が国の歴史的な現状であろうと。  こういうふうに考えたときに、いわゆる常道で、現実にある既存の制度というものを通じて立て直そうとしても、私は、決してこうした三権分立というものの正しい姿を確立することはできないだろう。という場合に、いわばこういう奇策とは言いませんけれども、オンブズマンのような制度を創設することによってこうした三権分立の機能を新たに強化する一つの突破口を開くというのが私はその意義であろうというふうに考えます。そういうふうに考えたときに、参議院にオンブズマンを設置するというのは、その参議院の持つ特性からも極めて説明しやすいものであろうというふうに考えるわけであります。  ただ、先ほど小山議員からも指摘がありましたとおり、このオンブズマンの果たす役割についてはさまざまな議論がされており、なかなかその期待されているところの機能というものが明確になっておりません。しかも、大きく行政改革とのかかわりがいかにという問題もあるとすれば、今度はいわゆる苦情処理というものとのかかわりで議論をされたり、さらには、今度は官僚の倫理観ともかかわる職権乱用やそういった官僚の無責任さとのかかわりの中から議論をされてきたり、一体参議院に設置されるべきオンブズマンというのは何を対象としてこうした監視監察機能を持つものであるのかという点についての具体的な議論を整理しなければ、恐らく議論はこれから先、進まない、だろうと。  したがって、もう既に会長の案の中にそうしたことが整理されて出ているものですから、おおよそ皆さん方の議論はここまでたどり着いてきたわけでありますので、この先、参議院にあるべきオンブズマン機能というものをぜひ議論し、そして論理的に詰めていく、そうした進行をぜひお願いしたい、かように思います。
  20. 溝手顕正

    ○溝手顕正君 私からもちょっと一言お願いしたいんですが、ぜひ新しい制度をつくっていただきたい、参議院にそういうオンブズマンのようなものを導入していただきたいという意味では、大方の皆さん意見と同じだろうと思います。  その中で、実は私は、違法でなければ、憲法上の問題があるとかなんとかということさえなければどんどん進めたらいいじゃないかという考え方を持っております。というのは、既存の制度の整合性とかなんとかごちゃごちゃやっておったらいつまでたってもできないだろうと。だから、やっぱり思い切って進んで、屋上屋を重ねるという批判を論破するだけ我々も理論武装しなくちゃいかぬと思うんですが、とにかく進むべきだろうという意見を持っております。それがまず第一点でございます。  それからもう一つは、先般の先生方お話にありましたように、行政機構というのは極めて肥大化をしている、そしていろんなトラブルが起こっていると、ですから、国会行政をチェックする意味でのオンブズマンというのは法的にも何にも問題ないよというような意見が多かったと思うんです。  それで、実は私がイメージで連想しますのは、水戸黄門とか遠山の金さんとか、こういうところなんですね。これは別に裁判をするというわけでもないんですが、特に水戸黄門の場合は裁判をしているわけじゃない、アドバイスをしているわけです。こういうような雰囲気がないと、いろいろな調査会が参議院にありますが、あんなに本ばっかりいっぱい送ってきて、だれもあんなの読む暇はないですし、何の効果もないし、世直しの何の一助もないと言ったら怒られますが、大して効果はないと思うんです。  ですから、行政機構と庶民とのかかわり合いの中に直接参議院が入っていけるというところに初めて私は意味が出てくるんではないかと。ですから、我々がこんなところでがん首そろえて議論したって、何やつているんだと。だんだん時間がたってくると余り相手にされなくなってしまうんだろうと思います。そういった意味で、裁判権があるわけでもないし、そういうのは承知しているんですが、やはり行政機構と庶民との間のコンフリクトに何らかの形で我々が入っていけて、それが網羅的にすべてをやっているというようなことを考えずに、できることから一つずつ、参議院のオンブズマン機能しているではないかというようなことでスタートしてもいいんじゃないか。  これは、お役所とかそういうところに長くいる人には大変理解しにくい論理かと思うんですが、やっぱり今の水戸黄門のようなイメージがあっていいんじゃないか、そんなところを目指してやったらいかがかな、そんな期待感を持っております。
  21. 井上孝

    会長井上孝君) ありがとうございました。これもちょっと変わった御意見で。  実は私も、この調査会は三年間で結論を出せばいいからじっくりやろうと思っていたんですが、世の中の方が動いちゃいまして、官官接待市民オンブズマンだといって、少し焦りを覚えたりするんですけれども、今の溝手さんの御意見なんか、ちょいとぐさりと刺さるところがあるんです。  いずれこういうことも皆さん方に御相談しながらやっていきたいと思っています。
  22. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 調査会も今一年迎えて何らかの中間報告を出さなきゃいけないという状態だということなんですが、行政相談、行政監察、それぞれ問題はあるかと思いますけれども、やはりこの調査会オンブズマンだろうと思うんですね。  オンブズマン制度の設置論、ほとんどのメンバーが賛成だろうと思っていたら、今、平成会都築さんから先進国をもっと勉強してこれからさらに煮詰めようという提言があったし、石田先生から、川崎のオンブズマン現状を視察しても、それほど実効性を育てていないんじゃないか。今、国民世論は、オンブズマン国会に設けたらついてきてくれないんじゃないかという悲観論が出たわけなんですけれども、私自身、今までのこの調査会でいろいろ議論が出て、オンブズマンに反対される方はいないだろうと思っていたんです。ほとんど僕は賛成論だと聞いていたんですが、反対される方がいたら、貴重な意見としてその反対論も大いに聞きたいというふうに思うわけであります。  それで、三年間の調査期間、まだ十分だと会長おっしゃるけれども、どういうオンブズマンを設置するかどうか、いわゆるオンブズマンのタィプ、権限とか組織とかいろんな問題はあるんだけれども、あるいは議会型にするのか行政型にするのかというような問題もあるんだけれども、とにかく行政チェック機能が極めて乏しいところからいろんな問題が出てきている、それをチェックしてくれるのがオンブズマンではなかろうかという意味合いにおいては、この制度の創設に賛成をされるのがほとんどだろうと思うんですね。  だから、先ほど来から出ているように組織権限論、オンブズマンの実現、創設への具体論に入っていただく、その方法論はよくわかりませんけれども。我々がこの調査会で何人かの参考人を呼んでいろんな意見を聞いたのは、憲法との抵触というところとオンブズマン制度を設置することがいいか悪いかというようなところに限られての参考人招致の調査会だったろうと思うんですね。それをも総合的に判断しますと、オンブズマン設置賛成論者がほとんどであって、その形が、権限をどの程度与えるかが憲法抵触の、一つ二つあるけれども、いわゆる権限の問題ですよね。訴追権とか司法権侵害だとか行政権、六十五条に反しない程度の改善勧告程度のオンブズマンであれば何ら憲法上の疑義がない、こんなことが定説として認められているわけであります。そこら辺のところで、せっかく一年間オンブズマンの創設の有無をやってきたわけですから、何とかオンブズマン制度をこの調査会がある程度具体化して提言されるところまで早く行くことを私は強く希望いたします。  以上です。
  23. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 ちょっと提案なんですけれども、何か制度をつくるときに、議論して議論して法制度を固めてしまって、それが役に立たなければどうなのだろうかという、今まではこういう手法だったと思うんです。いろいろな諸外国の立法例を見ていると、まずパイロットで少しやってみて、そしてそこの中で問題点を挙げて、そしてこうあるべきだという制度を仕組んでいく手法というのは結構使われているようですので、一年なら一年、そういう人たちにちょっと委託をして、委託というとおかしいんですが、普通いろんな工事をするときでも調査費なんてつくわけですから、そういうところで予算をひねり出してパイロット計画でやってみて問題点を検討して、そして本当の制度を仕組むという、そういう手法も取り入れたらどうかなというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  24. 井上孝

    会長井上孝君) ありがとうございました。一つの御提案ですね。
  25. 亀谷博昭

    亀谷博昭君 さっき山田先生からオンブズマンに反対する人がいればというお話がありました。私は別に反対ではないんですが、今の時点で賛成もしていないんです。というのは、私はさっきも申し上げたように、この調査会は何を目指すのかということが今時点でもちょっとまだ不明確、私自身の認識として。  一番最初、現在の行政監察のいろんな仕組み、機構あるいは地方の監査委員制度も含めていろいろ勉強し、その次にオンブズマンの勉強をした。ですから、今行われているさまざまな行政のチェック機関というものをどうするのか、これは触らなくてもいい、オンブズマンをまずいいか悪いか議論しようということであれば私はそれはそれで一つの進め方であろうかと思いますが、別にオンブズマンありきではなくて、やっぱり現在ある行政チェックの、行政監察仕組みというものをもう少しこの調査会で整理してもいいのではないかというふうに私は思っているわけです。  その整理した結果として、やっぱりオンブズマンというものがあっていいのではないかということに来るのであれば、私も別にそのことについて全く否定するつもりもありません。ただ、ありきという考え方はいかがかなと私は今の時点ではそう思っているものですから、今後理事の方々で進め方も御検討いただくと思うんですが、その辺の整理をしていただければありがたいなと、こう思っております。
  26. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 大脇先生の御提案については、ちょっと私は異論があるんです。  普通の行政内部における制度を新しくつくる場合には、大脇先生の御提案は全くそのとおりだと私は思うんですけれども、このオンブズマンの問題ということは、やっぱり国民を対象にしてつくっていかなければならない制度ですね。この間、参考人の方もおっしゃっていましたけれども、国民に本当にこの制度がよく見えて活用してもらえるのか、効果が上がるのか、それはかかってやはり人事であると。それで、その人事が有名な人を持ってきて、その人を見ただけで、あっこれがオンブズマンか、そういうふうになった方がいいというお話もございました。そのくらいやっぱり制度国民の中に徹底して印象づける、PRするということもあったと思うんですね。  ですから、そういうことを考えると中途半端なやり方ではかえって私は失敗するだろう、やるのであれば、大々的なものでなくても、規模は小さくても、こういう制度が新しくできるんだといって、国民にやっぱり期待が本当に持たれるような、目に見えるような形で発足しなければ私は成功しないだろうなと、そういうふうに考えます。  それで、今行政の中にあります行政監察局、これはオンブズマンができれば、今まで行政監察局がやっている一部を、今度は我々参議院がかわってやるようなことにもなりかねないのじゃないだろうかということを考えたときに、行政監察局との関係ということについても検討してみる必要があるんじゃないかというふうに思います。
  27. 都築譲

    都築譲君 山田先生から反対する人の意見をというふうなお話がございましたので、私も亀谷先生と同じで完全に反対というわけではない、一つのチョイスではあろうかと、こういうふうにも思いますが、大いに疑問を感じておりますので、大いに疑問ということは反対に近いということになるかなと思います。  私自身、じゃ参議院の今果たすべき役割、国民から期待されている役割というのは一体何なんだろうかということを、参議院議員になってまだ二年もたっておりませんけれども、つくづく思うわけです。オンブズマンというのができても、先ほど二百人のスタッフを抱えればというふうな話がございましたけれども、今の行政とそれから立法府との関係でいったら、どうしても行政府に依存をする仕組みというのが変わっていないんじゃないか。  今、立法活動をやっていると言いながら、行政府が起案してきた法律を追認する。法律の中身は何かというと、細かいことは政令に委任する、さらに省令に委任する、さらに通達で、例えば法人税法基本通達で、この間も金融機関の三兆五千億円の償却を有税にするか無税にするかを係長が起案するような通達で全部ゆだねているような状況があるわけですから、そういう行政依存型の体質を変えない限り、およそオンブズマンという特定の方にあるいは専門分野の方に、そしてまたスタッフを抱えていただいても十分機能できるんだろうかと。行政監察局が行っている、例えば監察結果報告というのを、この行財政調査会のメンバ一になってからきちっと届けていただけるようになったんですが、あれ自身についても、じゃこの参議院の関係分野の常任委員会あるいは特別委員会でそれを議題に取り上げて議論をしたことが一度だってあるんだろうかというふうに思うわけです。  だから、立法府として本来立法活動を行い、行政監視国政調査権に基づいて行うということであれば、そういった仕組みをもう一度原点に立ち返ってしっかりやってみる。そして、例えば立法活動についてもそういう行政監視をやる中でいろんな情報も入ってきますし、国民の期待というのも、私どもは選挙区に帰って当然直接接して、吸収をして立法府の中で反映させなければいけないだろうということになれば、新しい立法方向はこうだと、それからまた政令とか省令とかあるいは通達もこういうふうに直すべきだと、こういう提言だってあるだろうと、こういうふうに思うわけです。  今までオンブズマンということで言われているのは、的確な行政運営という面と、それから空空出張とかそういうふうな面とか、あるいは山下委員が言われたように政治腐敗の摘発とか、こういったのがあろうかと思います。ただ、国会にゆだねられている国政調査権というのは国民が知りたいと思う真実を摘示して、そして行政に誤りがなかったかということを、あるいは国政全体が誤りがなかったかということを方向づけをはっきりさせていくということにあるんだろうと、こういうふうに思うわけで、犯罪の摘発は当然司法の方でやってもらうべき課題なのかなと、こういうふうに思うわけでございます。  例えば、またもう一つ国民の声ということであれば請願というのもあるわけですが、これも会期末に一括処理をして、行政意見を聞いて、これはオーケーです、これは保留ですということだけで実は済ませているのが現状ですから、むしろ常任委員会なり特別委員会でそういった問題もしっかり取り上げていくとか、そういった形の活動を立法府としてもっとやっていく、常任委員会とか特別委員会活動というのももっと活性化をしていけばしっかりと行政監視できるし、経費の使い道につきましても、これはまた会計検査とかそういったところとの連携をとっていけば、決算委員会だけでなくて常任委員会の方でも取り上げることができるんじゃないかと、こういうように思うわけでございます。  井上吉夫先生が言われたように、そんな特別な哲人政治家のような方が本当に得られるだろうかという問題もございますし、考えれば考えるほど本当に難しい問題ではないのかなということを私は思っておりますので、あえて消極的な意見を申し上げて終わる次第です。  ただ、奇策として溝手先生が言われたようなショック療法というのは僕は非常にあるだろうと、こういうふうに思います。こういう提言をやれば、これは議会として何とかしなければいけないと、それが参議院にまた本当に国民の信頼を回復してくる唯一の大きな道ではないかなと、こういうふうに思っております。
  28. 井上吉夫

    井上吉夫君 絶対反対というのじゃなくて、オンブズマンありきというよりも、僕は亀谷さんが言ったのと大体同じです。あなたの話と大体そういう意味では共通している。  考えてみますと、私も県会もかなり長かったし、市の議会なども長かったので、一番末端の住民との接触の密度の濃いところでの陳情、請願の扱いというのはかなり時間をかけてやったものですよ。国会における陳情、請願というのは理事会に任せて、会期末になってたくさんの陳情、請願を仕分けするというようなことで、もうだんだんこの世界に慣れできますとこんなものかなになってしまいましたけれども、考えてみますと、直接住民が、我々の願いを真剣に受けとめながら議論をしてくださいよ、そのあげく、しかるべき答えを出してできるだけ行政に反映させてくださいよという陳情、請願の扱い一つをもってしても、この際もう一遍どの委員会国会全体として考える必要があるのかなと。これは、私のこの調査会議論の過程で改めて考えたことの一つでした。  確かに、オンブズマンという制度を持って、今までにない何かの新しい手法でやらないと国民の願いというのが本当に吸い上げられないんじゃないのと、あるいは間違ったことあたりもどんどん拾い上げていくというのも今の仕組みでいいのかなというようなことなどを含めると、こんな事態にはショック療法的な何かをという思いもするかもしれませんけれども、しかしそのことよりもという思いで、亀谷さんやら皆さん方何人かと一緒です。
  29. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 僕は、国民が今の政治に対していろんな不満を持っている、それをどこで聞いてもらえるかという不満をぶつけるところ、そしてもっとしっかり監視するなら監視してもらいたい、改めるなら改めてもらいたい、どこにそれを求めるかということになると、僕は今までの長い役所のあれからいきましても、行政ではできないだろうというのが結論なんです。  もし、できるのであれば、もうこれだけの立派な行政監察局という制度があるんですから、国民は当然そこに行くはずなんですね。それがなかなか行けないというのは一体どこに問題があったのかということになると、やっぱりこれは、自分たちが選んだ議員がつくっているそういうオンブズマン制度があるのであれば、議員にかわってそこへ文句を言いに行こうじゃないかというようなことというのが大事ではないかというふうに思うんです。  それで、先ほどちょっと都築先生がおっしゃっていましたけれども、今ここで私たち一つの方向をつくって、そして制度を考えた場合には、これはもう各委員会には当然投げかけるべきだと思いますね。内閣委員会では行政監察局を持っているわけですから、内閣委員会でも議論してもらうでしょうし、それぞれの各行政機関、みんな関係しているわけですから、それぞれの委員会で当然議論をしていただく。ですから、私は三年間あればちょうど三年後にはでき上がるかなと、こう思うんです。
  30. 井上孝

    会長井上孝君) オンブズマンオンブズマン、議会オンブズマンとおっしゃいますが、どういうオンブズマンを描いておられるのか、皆さんオンブズマンとただおっしゃるので、どうも私納得がいかないんです。  どなたかがおっしゃっていましたね、例えば参議院議員をオンブズマンにするのか。あるいは、オンブズマンというのは役員あるいはスタッフであって、例えば調査室長みたいな立場で、それにオンブズマンという資格とある種の権限を与える、そういうものを描いておられるのか。あるいは、オンブズマン委員会というようなものの提案もございました。オンブズマン委員会をつくって、そこで合議制で国会議員が相談をしながらやって国政調査権を発動したらいいじゃないか、こういう御意見もあったんですが、その辺がどうもはっきりしないので、きょうはもう時間が余りありませんが。
  31. 宮澤弘

    ○宮澤弘君 今おっしゃったことの回答ではないんですけれども、私も今の世の中からいって、国民腹膨るるわざですから、何かやっぱりできたらいいと思います。その場合に、今ちょうど会長がおっしゃいましたように、一体議員がオンブズマンになるのか、その下に専門的なオンブズマンというものができるのか、その辺の議論というのは恐らくまだ徹底した議論がないと思います。  それはそれといたしまして、先ほどちょっと請願の話が出ましたけれども、私はオンブズマン制度というふうなもの、何かあったらいいと思いますけれども、それと同時に、今の請願の問題をやっぱり片づけなきゃいけないんじゃないかと思うんです。  井上先生がおっしゃいましたけれども、請願の扱いなんというのはまことに粗雑なものなんですね。あれはまさに国民憲法的な権利ですけれども、まことに粗雑なものです。ですから、オンブズマンオンブズマンで何か風通しのいい穴があくのがいいと私は思いますけれども、やっぱりそれと一緒に、この前のお話のどこかの中に、ドイツか何かは請願委員会が何かオンブズマンを、余り中身は伺えなかったんですが、ですからそういうことと一緒になるのかもしれませんけれども、どうも請願の問題を同時にきっちり片をつける必要があるというような気がいたします。
  32. 井上孝

    会長井上孝君) おっしゃるとおりだと思います。ありがとうございました。
  33. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 私も、請願の取り扱いについては本当にぜひ見直しをしないといけないというふうに思います。  それで、ちょっと言葉足らずでパイロットなどというふうに申し上げましたのは、議論をしないでやみくもにつくってみろというわけではなくて、議会の設置する制度ですからそれなりの議論は要りますが、私は、例えば一定の領域に対して少数制で、本当に一人でも二人でもいいと思いますが、例えばスタッフとしては調査室を充てるなどして、パイロットで本当に国民の期待や声が集まるかどうかというのをやってみるということはいかがかという提案でございます。
  34. 椎名素夫

    椎名素夫君 全く不勉強で、学生でいうと白紙の答案を書かなきゃいかぬというような状態で出てきたのに物を申すのは非常におこがましいと思いますが、理屈からいいますと、これはやっぱりつくった方がいいということになるように思うんです。  とにかく、間違っていること悪いことを直そうというのが根本ですから、大体悪いことというのはやっている人は自分で直すというのはあらゆる場合難しいので、ですから、行政の中でやっていたんじゃ一生懸命やられていても限界があると、そうすると、それを直すものがどこかなきゃいかぬ。三権があって、司法はそれをやっていて今のところ問題がないということになれば、議会がいいと、議会の中でも衆議院の方はごたごたと選挙などやるから参議院に置くのがいいだろうと、こういうお話の筋だと思うんです。  そういう筋からいいますと全くそのとおりで、やってみたらどうかねという気にならないでもないんですが、しかし、一番大事なのは国民がどう見ているかということであるということになると、自浄作用のないということからいえば行政に限らないじゃないかと思っているところに問題があるように思うわけです。  参議院というものを今国民がどう見ているかということ、これを我々真剣に考えなければいけないのであって、我々の大先輩である木村先生がこの間憲法の私案をお書きになりましたが、いろいろ考えたけれども、どう考えても参議院というのは要らぬということで一院制の憲法をお書きになって、そんなことはけしからぬという声も余り起こってこないというのが今の現状じゃないかと思うんです。  そこらあたり、我々よっぽど真剣に考えてみないといけないのであって、これは私、斎藤議長が非常に御熱心に力を入れておられる制度改革検討会というのに出させていただいておりますが、今お話のあった請願の扱いとか、あるいは本当に実質的な審議をどういうふうにこの参議院の中でやっていくかというようなことについて相当具体的な考えも、どれだけ実現できるかわかりませんが、出ていることは出ております。しかし、いずれもいろいろ慣例その他からいって難しいねというようなお話が、新しい考えが出るたびに出てくる。そういうことがあるから逆に、むしろオンブズマンみたいなものをぽんとつくって、葵の御紋を渡してすっきりやらせたらどうだというようなお話になるという面もあるんだろうと思うんです。  そうなりますと、本当にショック療法ということで大変乱暴なことを言わせていただきますと、みんながなるほどと思うのは、そういうものを参議院がつくって、参議院はなくなったということになると国民は大喝采をするんじゃないかという気がいたします。私は恐らくだれに聞いてもそうだと思います。そこらの道路で人を捕まえて、こういう考えはどうかねと言ったら、それはいい考えだと言うに違いないと私は思うんです。  それを乗り越えたようなことを我々はやらなきゃいかぬということをぜひ皆様の頭に入れておいていただいて、これからの議論展開していただければと思います。
  35. 矢野哲朗

    矢野哲朗君 冒頭意見を述べまして、その後ずっと黙っていたのでありますけれども、まずオンブズマンありきじゃないよという御意見、私も甚だ同調させていただきたいと思うのでありますけれども、反面、この幅広い議題の中で一つ詰めて過去五回にわたって調査会を開会してきた、加えて現地調査も二回も行ったという一つの歴史の積み上げの中で、今、会長オンブズマンとはどういうものなんだと、こういうふうな話をされると私も答えに窮しちゃうんです。  しかしながら、何とはなしにそういう組織的なものは、そういうあり方は必要なんだなと。夢の具現化みたいな話ですから、これから具体的に詰めていって、いや、これは現実的な話として無理かなという話になるかもしれません。しかしながら、何とはなしにここまで積み上げてきて方向性が見えたかなと。しからば、それに具体的に肉づけをして、果たしてそれが可能なのかどうなのかなと、今後はこういう展開が必要になってきたような感じがするんです。それじゃないと、今までこの一年間、会長のもとに調査会をやってきたこの一つの歴史とは何だったんだろうなと、私はそういうことを感じるし、その結果として何か方向性は見出したなと。しかしながら、それは一体どういうものなんだと言われると私も的確な答えがまだできない。  ですから、その辺を具体的に肉づけして、本当にこのことが現実として可能なのかどうなのかというふうな検討が進んでいくような調査会を今後私はぜひ持っていただきたいな、こんなことをお願いしたいと思います。
  36. 山下芳生

    山下芳生君 私も、議論の全体の流れは、オンブズマン制度を設置することに賛成か反対かという点での意見はいろいろ分かれると思いますが、今の行政に対する国民の不信あるいは政治不信、これはこのままではだめだという点では皆さん認識は一致しているんじゃないかなというふうに思うわけです。  ですから、そのために今ある既存の制度をもっと改善しなければならない、そうすることによって行政に対する不信や政治に対する不信を取り除くことができるのであれば大いに改善しよう。同時に、その上でなおかつ、やはりオンブズマン制度という新しい制度の創設が必要だという議論に達する可能性もあると思うんです。  ですから、私は、新たに制度をつくることから出発するんじゃなくて、行財政を改革するというこの調査会の大きな目標という点では議論は一致していると思うので、そういう点で、都築先生提案されたことも決して否定的じゃなくて、私は建設的な提案だというふうに受けとめました。一つ一つ詰めていけば全部前向きにいろんな提案が出てくるんじゃないかなというふうに思いました。
  37. 溝手顕正

    ○溝手顕正君 繰り返すようですが、私は、行政というのはどうしようもない、人間がやっておるわけですから、どんな組織をしても直らないと思います。こんなことを言うと怒られますが、人間そのものの根源的な問題がたくさんあるような、これは私の個人の考えかもしれません。ですから、逆に言うと、チェックというのも絶えず新しいチェックの手法を考える、方法論を考えるということはやっていかなくてはいけないんだろうと思います。  それから、山田先生がおっしゃったように、やっぱり議会のチェックという観点から見ると、オンブズマンという言い方がいいのかどうかという問題はありますが、議会として動く、行政行政監察局に任すと、任すというわけじゃないんですが、請願の取り扱いやいろいろあると思いますが、もう少し前向きに議会が出れる手法を探るべきではないか、こういう見解を持っているわけです。
  38. 井上孝

    会長井上孝君) ありがとうございました。御意見も尽きないようでございますが、予定の時間も参りましたので、本日の意見の交換はこの程度で終わりたいと存じます。  委員各位には貴重な御意見をいただきまして、まことにありがとうございました。会長といたしましては、本日の御論議を踏まえ、各理事とも御相談の上、今後対応してまいりたいと存じます。  私自身、先ほどもちょっと申しましたが、いろいろまだ皆さん方と御相談をしながら進めていきたいと思うことがたくさん出てまいりましたので、理事の方ととりあえず近いうちにお打ち合わせをして、今後の国会の推移も見ながら調査会運営をしてまいりたいと思います。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時三十八分散会