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1996-04-30 第136回国会 参議院 厚生委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年四月三十日(火曜日)    午後三時十一分開会     —————————————    委員異動  四月二十六日     辞任         補欠選任      小川 勝也君     田浦  直君  四月三十日     辞任         補欠選任      木暮 山人君     北澤 俊美君      齋藤  勁君     竹村 泰子君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         今井  澄君     理 事                 石井 道子君                 大島 慶久君                 釘宮  磐君                 朝日 俊弘君     委 員                 阿部 正俊君                 尾辻 秀久君                 清水嘉与子君                 塩崎 恭久君                 高木 正明君                 中島 眞人君                 長峯  基君                 勝木 健司君                 北澤 俊美君                 田浦  直君                 水島  裕君                 山本  保君                 竹村 泰子君                 西山登紀子君    国務大臣        厚 生 大 臣  菅  直人君    政府委員        厚生大臣官房総        務審議官     亀田 克彦君        厚生省保健医療        局長       松村 明仁君        厚生省社会・援        護局長      佐々木典夫君    事務局側        常任委員会専門        員        水野 国利君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○社会保障研究所解散に関する法律案内閣提  出、衆議院送付)     —————————————
  2. 今井澄

    委員長今井澄君) ただいまから厚生委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る二十六日、小川勝也君が委員辞任され、その補欠として田浦直君が選任されました。  また、本日、木暮山人君及び齋藤勁君委員辞任され、その補欠として北澤俊美君及び竹村泰子君が選任されました。     —————————————
  3. 今井澄

    委員長今井澄君) 社会保障研究所解散に関する法律案を議題といたします。  本案につきましては既に趣旨説明を聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 清水嘉与子

    清水嘉与子君 自由民主党の清水でございます。よろしくお願いいたします。  今回、特殊法人整理合理化を図るという内閣方針のもとに社会保障研究所廃止するという法律が出されたわけでございますけれども、実際に廃止といいましても、その機能厚生省試験研究機関全体の再構築の中で拡大の方向で取り込まれることになっております。  そこで、まず厚生大臣にこの試験研究機関の再構築についてお伺いしたいわけでございます。  厚生科学研究対象というのは保健医療福祉生活衛生など国民生活に密着した広い分野にわたっておりまして、この分野での科学技術の発展あるいは研究体制充実というのはより国民の安心とか安全の確保につながりますし、また豊かな生活づくりにも貢献できるという意味でも大変重要なことだというふうに思っております。  昨年の一月に厚生省試験研究機関重点整備・再構築構想をお示しになりましたけれども、この構想の基本的な考え方はどのようなものなのか、また今後の再構築スケジュールについてもあわせてお伺いしたいと思います。
  5. 菅直人

    国務大臣菅直人君) 今、清水委員の方からもお話がありましたように、厚生省の監督している国立試験研究機関はいろいろな役割を担っているわけですけれども、どういった考え方でこの整備・再構築を進めているかという問題について大筋の話をさせていただきます。  今日、我が国においては、エイズを初め国民の生命を脅かす感染症に対してその発症のメカニズムの解明や治療方法開発が強く求められております。また、遺伝子組みかえの技術を活用した画期的な医薬品の開発など、先端的研究への取り組みが期待されております。国立試験研究機関重点整備・再構築は、このような時代の要請に迅速かつ的確に対応し厚生科学研究の一層の推進を図っていくため、特殊法人社会保障研究所も含め現在八つの試験研究機関を六つの試験研究機関に再構築するものであります。  この再構築スケジュールについては、計画の初年度であります平成八年度において、まず第一にただいま御審議いただいております社会保障研究所解散国立社会保障人口問題研究所を新たにといいましょうか、実質上は合併でしょうが、新たに設置をするという問題、第二に国立多摩研究所国立予防衛生研究所の支所としてハンセン病治療研究センターに改組するといった点、第三に国立公衆衛生院を発展的に改組して設置する国立保健医療福祉政策研究所施設整備に着手すること、この三点を平成八年度においての計画といたしております。  また、平成九年度以降においても、国立衛生科学研究所国立厚生科学基盤技術開発研究所など、その他の再構築案の具体的な内容について順次検討を行い、平成十二年度をめどとして試験研究機関の再構築を進めてまいりたい、このような段取りを考えております。
  6. 清水嘉与子

    清水嘉与子君 この社会保障研究所というのは昭和三十七年の社会保障制度審議会の勧告がきっかけになってつくられたというふうに伺っております。当時、審議会におきましては、審議過程で必要な資料とか研究が余りにも少なかった、そこで完全な社会保障制度計画的、組織的に確立するためにまず有力な調査研究機関が必要だというようなことを御提言なさっているわけでございます。  昭和四十年にこの研究所設立されたわけでございますけれども、自来三十年余り、この社会保障研究所がこれまでに果たした役割、特に厚生行政の面から見た評価をぜひ大臣にお伺いしたいというふうに思うわけです。  また、この三十年の間に大学だとかあるいは民間の研究所などで社会保障研究というのも随分充実してきているわけなんですけれども、今後もこの国立試験研究機関研究を実施しなければいけないという理由、あわせてお伺いしたいと思います。
  7. 菅直人

    国務大臣菅直人君) 社会保障研究所は、設立以来、社会保障に関する基礎的かつ総合的な調査研究を行うとともに、研究成果機関誌研究書等を通じて発表してきたところであります。こういった点、今、清水委員からもお話がありましたように、特にその三十年前の時点ではこの分野で大変ある意味ではパイオニア的な仕事をしていただいてきたというふうに思っております。そういう中で、シンポジウム、基礎講座などを開催することにより研究成果の普及も図ってきているわけであります。これらの活動を通じて社会保障の給付や負担のあり方などについて情報や基礎的な検討素材を提供してきていただいたところであります。また、社会保障研究所からは多くの研究者大学に輩出しており、このような人材育成を通じ我が国社会保障研究の向上に貢献してきていただきました。  大学における社会保障研究はこういう過程の中でこの三十年間相当活発になってはきていると思われますが、しかし、全体に言いますとまだまだ体制的に十分とは言えない状況にあると思っております。また、体系的に研究が行われているということも、個々の大学ばらばらですので、必ずしも十分な体系的な研究が行われているとも言えないのではないか。  したがって、新研究所のような社会保障研究の中心的な役割を果たす研究機関はこれからも必要であって、この機関大学などの研究者連携しつつ全体としての研究充実が図られるようにしていくことが適当だと考えている次第です。
  8. 清水嘉与子

    清水嘉与子君 次に、社会保障研究所廃止と新しい機構であります国立社会保障人口問題研究所、仮称だそうですけれども、この設置メリットについて伺いたいと思うんです。  今、大臣おっしゃいましたように、三十年の歴史というのは非常に高い評価を得ているわけでございますが、そうした評価を得てきております社会保障研究所を、関係者方々はこの廃止について大変不安に思っていらっしゃるわけですけれども廃止するというからには当然のことながら行政改革という観点からそれなりの何かメリットがあるんだろうというふうにも思われますし、また一方におきましてこれまでの機能が新しい研究体制の中で拡大されるというような説明を私たち受けているわけでございますが、そういう研究体制充実という観点からもそのメリット期待されるのかというふうに思います。  そういう両面から、具体的にどんなメリットがあるのか、お聞かせいただきたいと思います。
  9. 亀田克彦

    政府委員亀田克彦君) 社会保障研究につきましては、御案内のように、人口少子あるいは高齢化が進展しておりまして、そういう中で人口問題研究と密接な連携を図りつつ研究をしていく、そういう必要性が大変高まっておると、こういうふうに認識をいたしてございます。  こういうことから、先生指摘のように、国立試験研究機関の再構築の中で両分野を総合的に研究できる体制整備する、そういう中でできるだけ実質的に社会保障研究体制充実する、こういうことで国立社会保障人口問題研究所設置する、こういうことにいたしたわけでございます。  これに伴いまして、社会保障研究所につきましては特殊法人整理合理化という社会的要請にこたえるため廃止をいたすことにしておりますけれども、これによりまして行政改革効果といたしまして特殊法人一つ減り、その定員や予算も削減される、言ってみれば丸々一つ特殊法人がなくなる、こういう効果もあるというふうに認識をいたしております。
  10. 清水嘉与子

    清水嘉与子君 設立当時の国会の審議を拝見いたしますと、厚生省附属機関にするよりも、もっと基礎的な研究を行う、つまり学問的な性格の強い独立性確保できる特殊法人の方がいいという説明をしているわけなんですね。それとどういうふうに今の御説明は合うのかよくわかりません。  そしてまた、このたびの社会保障研究所解散に当たっての社会保障制度審議会答申の中でも、公正中立立場から調査研究がなされるために研究独立性確保されるべきだということが指摘されております。また、研究所の中の研究者方々からも同様な懸念が寄せられているんですね。  公費で運営される研究機関でありますから、特殊法人でありましてもやっぱり国の行政に資する研究をしていただくということは、これは言うまでもないことではないかと私は思うわけでございまして、社会保障研究所もこれまで十分その期待にこたえてこられたわけですけれども、なぜこれほどみんなが心配しているのだろうか、どうもよくわからないわけなんですね。そもそも特殊法人から国立試験研究機関に変わるということで研究者研究を進めるに当たって何らか制約を受けるのだろうかどうだろうか、この辺ぜひお答えいただきたいと思うんです。  そしてまた、仮に研究者の中で、ただの懸念ならいいんですが、そういう懸念があるのであれば、社会保障制度審議会でも指摘しておりますように、研究中立性あるいは独立性を担保するために評議員会のようなものを持ったらどうか、そしてそれは所長助言機関のような機能を果たしたらどうかというようなことを指摘しておりますけれども、これは私は大変いい指摘ではないかなというふうに思うわけなんです。  他省庁の試験研究機関では評議員会のような組織を政令とか省令ではっきり明文化している例は結構幾らでもあるわけなんですが、この点につきまして、その組織の明文化も含めて、厚生省、どんなふうにお考えでいらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。
  11. 亀田克彦

    政府委員亀田克彦君) 国立試験研究機関については当然だと思いますが、また先生今御指摘ございましたように、国立てはなくてもその経費を丸々国費で賄っておる、そういうものにつきましてもまた同じであろうと思いますが、そういうところの研究につきましては国民要請ニーズに応じた研究を行っていく、こういうことが望まれると申しますか、国民の負託なり期待にこたえるところであろうと思っております。  そういうことでございますが、そうした国民ニーズに応じました研究公正中立立場から進められ、その成果が余すところなく公表される、こういうことは極めて重要なことである、こういうふうに考えてございます。これは国立機関につきましても同じであろう、こういうふうに考えておるわけでございまして、国立だから研究者研究を進めるに当たりまして内容にわたって何らかの制約を受けるというようなことはないものと考えております。  なお、先生からいろいろございましたように、このことにつきまして御懸念の向きがあることは私どもも承知をいたしているところでございまして、本年一月の社会保障制度審議会答申におきましてもその旨の御要望をいただいているところでありまして、私どもといたしましてもこのことをできるだけ新研究所の仕組みとして担保していきたい、こういうことを考えておるわけでございまして、新研究所における研究活動全般基本方針等につきまして公平中立立場から検討を行うことを目的とする外部学識者による会議を開催するために必要な経費平成八年度予算案に計上をいたしておるところでございます。  この会議機能、位置づけの方法等でございますが、これも先生から今、各省によりましていろいろな仕方があるというようなお話がございましたけれども社会保障研究所、それから人口問題研究所関係者にも御参加をいただきまして、社会保障制度審議会答申趣旨を踏まえつつ現在検討を行っておる、こういう状況でございまして、この検討の結果を踏まえまして御懸念がないように適切に対処をしてまいりたい、こういうふうに考えておるところでございます。
  12. 清水嘉与子

    清水嘉与子君 今の御答弁にございました一月に出されました社会保障制度審議会答申を読みますと、この研究所を誕生させたという思い入れもあったと思うんですけれども、例えば所長の人選のこと、あるいは研究独立性確保のことなど、社会保障関係者意見要望が非常に多く取り入れられているという印象を受けるわけでございます。  これに対しまして、再構築相手側であります人口問題研究所、こちらの方の関係者意見というのは余り私どもの方に聞こえてまいらないわけでございます。人口問題審議会というのもあるはすでございますけれども、本件については審議対象にならないというようなことで審議会にもかかっていないということをお伺いしました。社会保障制度審議会設置法におきましても、別に研究所に関する件について審議する任務とか権限があるというふうに思えませんけれども、やはり今いろいろと心配がありましたように、研究独立性が保たれないというようなこと、そんなことも重要でございますけれども研究体制を揺るがすような事項がせっかく設置されております審議会でかからないということの方がもっと問題じゃないかなと私は思うわけです。とにかく、新研究所運営に当たりましては、人口問題研究所関係者方々にも十分意見を聴取していただきたいというふうに思うわけです。  いずれにいたしましても、かなり共通する部分があるということがさっきの御説明でもございましたけれども、新研究所は生まれも育ちも違う二つ組織一つになるということでございますから、新研究所設置の所期の目的達成のために、組織運営予算も含めまして、社会保障人口問題の両研究分野につきまして有機的な連携を図るための揺るぎない運営体制を築く必要があるというふうに思います。  先ほどちょっとお触れになりましたけれども、この問題について改めて厚生省の対応についてお伺いしたいと思います。
  13. 亀田克彦

    政府委員亀田克彦君) 新研究所構想あるいは計画の樹立に当たりましては、当然のことでございますけれども人口問題研究所管理者の方の御意見も聞いておりますし、また適宜必要に応じまして職員組合の方との話し合いも進めておるわけでございます。  そういうことのほかに、先ほどちょっと触れましたけれども、この新研究所運営を具体的にどうしていくかということにつきまして、例えば所長さんに対する助言機関あり方など、公平中立研究確保するためにはどうしていくか、あるいはまた外部研究者にも御参加いただく研究プロジェクト、あるいは機関誌等の発行、図書室の開放のあり方等、この新しい研究所研究ネットワークの中核として機能していくためにはどういうことが必要なのか、あるいはまた、先生から最後にございましたけれども社会保障研究人口問題研究を真に連携をとって協力してやっていくためにはどうしたらいいのか、こういうことにつきまして、本年二月からでございますが、社会保障研究所人口問題研究所の両研究所関係者にも御参加いただきましていろいろ検討をいたしておるところでございます。  したがいまして、このような検討の場を通じましても、これからの新研究所運営あり方につきまして人口問題研究所意見も十分に反映されるのではないか、こういうふうに考えておりますし、また私ども十分頭の中にとどめおいてそうなるように努力をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  14. 清水嘉与子

    清水嘉与子君 次に、社会保障研究所で働いていらっしゃる職員方々処遇の問題についてお伺いしたいというふうに思います。  今回、社会保障研究所解散廃止されるに当たりまして、現在研究所で働いている職員皆様方は当然身分を失うことになってしまうわけでございます。こうした職員方々雇用の場について、これは政府が当然責任を持って確保していくべきだというふうに私は考えているわけでございますが、伺うところによりますと、この特殊法人職員の方というのは国家公務員よりも処遇がいいのだそうでございまして、こういう方々雇用を今後どういうふうに確保していくのか、あるいは処遇をどうするのかというふうなことがやはりこれから問題になるんじゃないかというふうに思いますけれども、どんなふうにこれから対処しようとされておるのか、お伺いしたいと思います。
  15. 亀田克彦

    政府委員亀田克彦君) 社会保障研究所解散はいろいろな大きな理由社会保障研究人口問題の研究とこれからは一体としてやっていく必要がある、あるいは特殊法人整理合理化という社会的な要請、こういう大きな必要性あるいは効果ということを考えて社会保障研究所解散を行いたい、こういうことでございますが、それに当たりましては職員生活に不安を来すことのないよう政府としても十分留意をしなければならない、こういうことは当然のことである、こういうふうに考えておりまして、基本的には本人の意向を十分踏まえまして雇用確保、あるいは先生からお話しございましたその処遇等につきまして、私どもといたしましても最大限の努力をしていきたい、またそういう必要があるというふうに考えておるわけでございます。  若干申し上げますと、この社会保障研究所職員雇用確保につきましては、本人が御希望になる場合には国家公務員として採用をしたい、こういうふうに考えております。また、それ以外の場という御希望もあればできるだけの努力をしたいというふうに考えておるところでございます。  それから、給与等処遇についてでございますが、先生案内のように、国家公務員給与等につきましては一般職職員給与に関する法律という法律がございます。また、それに基づく人事院規則というものもあるわけでございますが、その範囲内でできるだけの配慮をする必要があるということで、今後人事院あるいは関係機関十分協議を行ってまいりたいというふうに考えております。
  16. 清水嘉与子

    清水嘉与子君 ぜひその辺につきまして、研究所方々あるいは職員方々が困らないように御配慮をちょうだいしたいというふうに思います。  最後質問になりますけれども大臣にその決意を伺って質問を終わりたいと思います。  この社会保障研究所解散し、新たに国立社会保障人口問題研究所設置するという今回の措置、これが将来成功だったと評価されるかどうか、これはやはりこの研究所において研究者皆様方が今まで以上に能力を発揮しやすい環境が準備できるかどうか、そして社会的要請にこたえ得る、国民期待にこたえ得る研究が続けられて、そして具体的に研究成果を上げていくことができるかどうかということにかかっているんじゃないかというふうに思います。  こういった立派な研究所をつくっていく、試験研究機関の再構築の一環としてまず第一歩でございますし、ぜひ立派な研究所をつくってほしいというふうに私は思っておりますし、社会保障研究所あるいは人口問題研究所、それぞれ大変国際的にも優秀な研究をしていらっしゃることは私も十分承知しておりますので、そういう意味ではぜひいいものにしていただきたいというふうに思っているわけでございますが、ぜひこの機会に大臣決意をお伺いして最後質問にしたいと思います。
  17. 菅直人

    国務大臣菅直人君) 今回のこの制度改正は、率直に申し上げて二つの要素があったと思っております。一つは、やはり大きな政府全体の努力としての行政改革、特に特殊法人改革というものが一方にあり、また一方に厚生省としても試験研究機関について再構築をしようと、そのことが重なってこういった方向性が出されてきたと思っております。そういった意味で、今、委員が言われるように、その結果が、何といいましょうか、よかったと言われるためには、これらの積極的な機能が生かされ、あるいはさらに発展することが重要だと、私もそのように考えております。  そういった中で、少子高齢化が急速に進行している中で社会保障我が国社会経済国民生活においてますます重要な位置を占めるようになってきており、新研究所において社会保障及び人口問題の総合的な調査研究が行われ、その成果が広く国民に公表され、社会保障についての国民の理解の助けとなるとともに、今後の社会保障制度あり方検討に資することは大変有意義なことであり、大いに期待をいたしているところであります。  今後とも、新研究所関係者などの御意見を伺いながら、新研究所において国民要請に応じた総合的な研究が実施され、その成果が広く国民に活用され、まさしく国民のための研究所となるよう、その研究体制充実研究成果の活用の推進などに積極的に努力をしてまいりたい、このように考えております。
  18. 清水嘉与子

    清水嘉与子君 どうぞよろしくお願い申し上げます。  終わります。
  19. 山本保

    山本保君 平成会山本保です。  社会保障研究所解散に関する法律案につきましてお伺いいたします。もう今の清水委員お話の中に大分尽くされているとは思いますけれども、繰り返しのところもたくさんありますが、どうぞお許しください。  最初に、今最後厚生大臣お話しなさったことと関連いたしますが、まさに現在進められております行政改革の流れがあるわけでございますけれども平成七年二月の閣議決定で二十一法人整理合理化、そして特殊法人合理化効率化等が発表され、そして昨年末の「当面の行政改革推進方策について」によって現在進められていると思うわけでございます。  ただ、見ておりますと、ただ単に二つ法人を合併して、そして役員の数が少し減るというような程度のものにしかなっていないんじゃないかという気もするわけであります。もちろん、それでも少しはお金のむだが減るということでは合理化ではあるとは思いますけれども、しかしながら本来この行政改革というのは、平成五年の審議会答申などを見ましてもわかりやすいスローガンになっております、官から民へ、そして国から地方へと、こういう流れの中でこの行政改革が進められていかなくちゃいけないんじゃないかと思うわけですし、また大臣もこのことをこれまで進めてこられた新党さきがけの大臣としてそういう主張をなさってこられたと思うわけであります。  最初にお聞きしますのは、この社会保障研究所はちょっとおきまして、政府によって今進められている整理合理化行政改革、これについてどういうお考えをお持ちなのか、はっきり申し上げれば御自分でも非常に内容があるとお考えになっておられるのか、もしくは単なるつじつま合わせ、数合わせにすぎないというふうに思っておられるのか、この辺についてお聞きしたいんです。
  20. 菅直人

    国務大臣菅直人君) 行政改革は長年の歴代内閣の重要課題でありまして、その中でこの特殊法人の問題も相当以前から何度となく課題に上がってきているわけです。そういう中で、確かにさきがけとして一昨年でしたか、九十二ある特殊法人について、党としてかなり思い切った改革案を提示いたしたこともあります。そういったものを踏まえながら、与党間の調整あるいは政府、各省庁との調整などがありまして、現在その後の政府の決定に基づいて特殊法人を含む行政改革が進んでいるわけであります。  確かに山本委員おっしゃるように、それではこれが百点満点と言えるかという、そういうお尋ねだとすれば、決して百点満点とは言えないと思っております。ただ、この問題は、御承知のように、与党がたとえかわろうとも大変重い課題であるということを私もかなり身にしみておりまして、そういう中で九十二の特殊法人の中で先ほど二十一という数字を挙げられましたけれども、確かに内容を含めて百点とか合格点とか十分だとかという言い方は私もいたしませんけれども、しかし従来いろいろな時期に取り組まれた中でいえば、少なくとも従来よりは一歩あるいは二歩踏み込んだ中身になっているというふうに私は理解しております。  それは、ただ数の問題として従来よりも多かったということだけではなくて、この数には挙がっていない大きな特殊法人の中のあり方についても相当踏み込んだ改革案が提示され、盛り込まれているということも含めて、そういうことをトータルして言えば、十分とまでは言えないけれども従来よりは相当踏み込んで、努力の跡があるなんて第三者的に言うつもりはありませんけれども、精いっぱいの努力をしたと、努力をしていると、そういうふうに私は認識をいたしております。
  21. 山本保

    山本保君 先ほど申し上げるのにちょっとうっかりしたのでもう一問大臣にお聞きしますからそれを絡めてもう一度それも言っていただきたいのですが、さきがけはたしか今度の消費税の税率アップの前提として行政改革をきちんと行うんだということを言っておられたんじゃないかなと思うんです。今のお話ですと、そうするとこれは完璧ではないが、しかし大分踏み込んだんだということなので、じゃ消費税五%もそれでいこうというようなお考えなのかなという気もするわけです。  それはそれとしまして、その辺もお聞きしたいんですが、次に社会保障研究所、今のお話でなかなか大変な課題であるということは私もよくわかりますけれども社会保障研究所廃止するということについてもお聞きしたいわけであります。  今お話があったように、二十一の特殊法人がなくなるというようなことですけれども、実際にはほとんど中身が変わらなくて、ちょうど先々週ですか、これは悪い例ではありませんけれども、たしかここでもお話しさせていただいた社会福祉医療事業団、あれが十年も前に両方一緒になっておったのに十年間実はその勘定、いわゆる経理は全く別々にやっておったというような、ただ単に形だけ、形だけならいいけれども看板だけというようなことすらあると言われておるわけであります。  たしか唯一の特殊法人の整理というか廃止がこの社会保障研究所ですね。今、清水委員からもお話があったように、非常にちゃんとした仕事をしているんじゃないかと私も思っているわけです。私も、実は社会福祉学会に入っていますからここの先生方、たくさんの人をよく知っていまして、個人的にも今回についていろいろ御意見をいただいております。何かスケープゴートにされたんじゃないかというような気もするわけでありますけれども、この辺について御意見を伺います。
  22. 菅直人

    国務大臣菅直人君) 最初に言われました消費税の問題は、たしか議論の仕方としては五%それ自体というのではなくて、ことし九月に見直し規定が含まれております、その後のさらに引き上げる引き上げないといった議論の場合に行政改革というものが前提になるのではないか、あるいは行政改革を進めることによってさらなる引き上げをできるだけ抑制すべきではないか、そういう趣旨のことをさきがけとして主張してきたというふうに認識をいたしております。  確かに、これは細かく言えばたくさんの場面があるわけですが、日本の財政の中では、あるいは特殊法人の中でもいろいろな分野があるわけでありまして、例えば特殊法人の中では年間千億以上の一般歳出からの繰入金が入っている団体もありますし、何十万人、今、民営化になるものならないものありますけれども、相当の人数で事業をやっていて、事業内容そのものをそろそろ考えていいんじゃないかといったような相当大規模なものも含まれていることはよく御存じだと思います。  あるいは、特殊法人という分野に限らず、例えば公共事業を景気対策のために長年やってきているわけですけれども、そういうものについてももっと効率的なやり方があるのではないかといったような議論もありまして、そういった大変幅広い、あるいは奥の深い議論の中では、ぜひそういったむだというか非効率な、あるいは必ずしも合理的でない公費の使い方をもっと是正して国民の負担ができるだけ大きくなり過ぎないようにするという考え方としては今ももちろん持っております。  ただ、それが現実のものに十分なっているかといえば、先ほどこの問題でも申し上げたように、十分かと言われれば、決して十分ではないけれども一つ一つ取り組みに努力している、そういうふりに言わせていただくしかないかなと思っております。  もう一つ、この社会保障研究所がある種のスケープゴートにされたのではないかというような御指摘であります。  私も、最初に先ほど清水委員の御質問にもお答えしたように、今回の改革二つのことが重なっていると。一つは、先ほど来申し上げている、議論している政府方針としての行政改革をできるだけ進めたいという問題、そしてもう一つ厚生省としてのいろいろな試験研究機関をより効率的な体制にするため、将来に向かって国民にとってより意味のあるものにするための再構築という、この二つが重なっていると思うわけです。  第一点目の方は、先ほど政府委員も申し上げたように、いろんな評価はあるかもしれませんが、結果的に一つ特殊法人がなくなり、その定数は決して、何といいましょうか、国家公務員の定数に上乗せをしているのではなくて、国家公務員の定数の中で機能は残されたという意味でありますので、ある意味では一定の行政改革効果は上がると認めていただけるのではないかと思っております。  さらに言えば、今度は内容的に社会保障研究所が果たしていた機能がこの新しい体制の中でより効果的になるかならないか、まさにそこが今一番議論をしていただいているところだと思いますけれども、確かに独立性の問題は私もいろんな関係者からお話を聞きました。独立性というのは、大学というやり方が一番独立的なのか、あるいは特殊法人という形がちょうど適当なのか、あるいは国立研究所であってもきちんとした体制をとればそれはそれで学問的な独立性が得られるのか、いろいろな考え方、いろいろな事情はあると思います。しかし、少なくとも関係者の皆さんを含め、あるいは私どもを含めて一定の独立性はきちっと確保しようということを前提とした改革になっておりますので、その点については今後の努力も含めて従来の独立性と変わらない独立性といいましょうか、そういうものは確保できるというふうに思っております。  また、積極的な意味でいえば、人口の問題というのは社会保障との関係でいえば非常に関連性の深い問題である、もちろん関連性のない分野もあるかもしれませんけれども、関連性の高い分野もかなりあるわけでありますので、そういった点ではそれらを合わせることによって研究スタッフの実質的な増員などを可能にしておりますし、そういう点ではもう一つ厚生省にとって、国民にとってよりよい試験研究機関へ向けての再構築という面も、私はその方向に踏み出している、そういうふうに申し上げていいのではないかと思っております。
  23. 山本保

    山本保君 大臣、どうもありがとうございました。  それでは、今、最後にいろいろ内容について出ましたことについてもう少し細かくお聞きしたいと思っております。  最初に、より意味のある改革であると、このようにしたいというお話がありました。私もその基本的な考え方については全く同感であります。そこで、そのためにも今、この最初の時点で確認をしておきたいと思っているわけであります。  三十九年六月に参議院の社会労働委員会で社会保障研究所をつくるという議論がなされたわけですね。そこで、当時の梅本さん、官房長だと思いますが、「附属機関ということになりますと、これは完全に国家公務員の身分で研究をするということでございますので、これは研究所という性格から見まして不適当であろう。」とか、また「給与その他の事業運営面で附属機関よりも弾力性が持てる、活動しやすいということと、今後国連その他国際機関からの援助の受け入れや、あるいは民間資金等の活用をはかるということも、附属機関ではできませんが、」、こういうふうに非常に具体的に挙げられまして、附属機関よりは特殊法人研究所の方がいいんだと、こういうふうにお話が載っております。  もちろん、大分前の話ですからこれが今そのまま当てはまるかどうかということがありますけれども大臣からも今そんなお話があり、もっと自由な独立した研究ということであれば大学研究所、例えば厚生省ですと、日本社会事業大学という立派な大学があるわけですが、そういう大学研究所にするとか、研究所が独自で採算のとれるようなものというのはなかなか難しいかもしれませんけれども、財団法人にするとか、いろんな状況の中で検討されてこういう結論を出されたのではないかと思うわけですけれども、この辺について、最初の特殊法人の方がよろしいということ、そして現在においてはそれよりも附属機関にした方がいいということについての整理された結論についてお伺いしたいと思います。
  24. 亀田克彦

    政府委員亀田克彦君) 今回の措置の趣旨につきましては、先ほど大臣からも御答弁申し上げたところでございますが、少子高齢化の急速な進展等を背景といたしまして、社会保障研究体制充実が求められるとともに、社会保障研究人口問題研究との密接な連携を図っていく必要が高まっておると、こういうふうに認識をいたしております。  こういうことから、再々申し上げておりますが、試験研究機関全体の再構築の中で新たに新研究所設置いたしまして、人口問題研究との連携を図りつつ、社会保障に係る研究体制をできるだけ実質的に充実する、こういうふうにしたものでございます。  一方、これも申し上げましたけれども、これに伴いまして社会保障研究所特殊法人整理合理化、こういう社会的要請にこたえるために廃止をいたすわけでもございますけれども、これによりまして、俗な言葉で恐縮でございますが、特殊法人一つ丸々なくなると、こういう効果もあるものでございます。  先生指摘の、社会保障研究を進めていく場合にどの形態がいいか、こういうことでございますけれども一つは現行の特殊法人という形態があるわけでございますが、この場合で考えてみますと、現下の状況から現在以上の研究体制充実を図るということは現実的に困難な状況でございまして、先生案内のように、むしろその縮小が求められておるというのが現実ではなかろうかと思います。  また先ほどの、今回の措置をした理由の裏返しになりますけれども、この形態によりますと人口問題と緊密な連携をとった総合的な研究、こういう要請にはこたえられないことになりますし、またこれも裏返してございますが、特殊法人整理合理化、こういう社会的要請にもこたえられない、こういうような問題があるのではなかろうかと、こういうふうに考えております。  次に、財団法人、民法法人だと思いますが、こういう形態で考えてみました場合には、まず研究に必要な財源、これをどう確保していくのか。利潤の上がる事業ではございませんので現実的に申し上げまして不可能なのではないか、こういうふうに考えられるわけでございまして、仮にそれでは国庫補助をつぎ込んで現在の特殊法人社会保障研究所のように国庫丸抱えでやっていくということになりますれば、特殊法人から民法法人に形態は変わりますけれども、実質的な行政改革効果がなくなる、こういうような問題があると思いますし、また裏返しの話といたしまして、人口問題との総合的な緊密な連携をとった研究というのも円滑にはできないのではなかろうかと、こんなふうに思うわけでございます。  それから、大学研究所、こういう形態を考えてみました場合には、先ほど財団法人について申し上げましたような問題があろうかと思いますけれども、それに加えまして、やはり大臣からも御答弁申し上げましたけれども大学という性格から国民ニーズに的確にこたえた体系的な研究を継続的に実施していくというのはなかなか困難な面があるのではなかろうかと、こういうふうに考えておるところでございます。  問題点を挙げましたけれどもメリットというようなことで考えてみますと、各論では、いろいろな工夫をしますれば、例えば独立性とかそういう担保はし得るものと考えておりますけれども、相対的に申し上げまして、国立機関の場合と比べまして特殊法人の方がやや独立性が高いと。ただ、先ほどから申し上げておりますように、特殊法人社会保障研究所につきましてはほぼ全額国費で賄っておる、こういう特殊な事情はございます。さらに、財団法人という形態、大学研究所という形態、これはさらに総論的に申し上げますと独立性が高まる、これは事実であろうと認識をいたしております。
  25. 山本保

    山本保君 お話趣旨はわかります。幾ら民間にしても、事実上国のお金が行っておるようなことではしょうがないんじゃないかということ。  これはちょっと議題が違いますけれども、今、衆議院の新進党の方でNPO法案というのを出しておるわけでして、大臣もよく御存じだと思いますが、ああいうような財政的な根本的な改革という形にしないとこういう問題は解決しないんじゃないかなと思います。また、今、審議官は大学のことをおっしゃいましたけれども、確かにこれは日本の大学の姿であって、アメリカなどではまさに地域の社会保障、社会福祉研究の、研究というよりもその事業の中核になっているいろいろな大学があるわけですから、本来そういう形にもなってほしいなと思うわけですけれども、現在の時点でそれが不可能であるということについては私は残念ながら認めざるを得ないのかなと思います。  じゃ、次の論点に移らせていただきますけれども、時間もありますので適宜お話ししますが、まず、今いろいろおっしゃられましたように、大変力のある研究をやってきたんじゃないかなと思うわけです。  そこで、細かい話ですけれども、その研究成果国民に公開するというようなことで、図書館とか、本などいろんな雑誌を刊行されている、そういう形は今後ももちろん続けていただけるんでしょうねということが第一であります。第二に、研究所として蓄積している情報、データ等についてどのような形で公開されるのか。考えますと、人口研の場合はやはり役所の機関ですからそれ相応の手続をとらないといけないんじゃないかなと。今の社保研であればその辺は学生さんでもちょっと行けば優に全部見られるんじゃないかなんという気がするわけですけれども、こういうところはこれからはどういうふうに改革されますか。
  26. 亀田克彦

    政府委員亀田克彦君) 社会保障研究所の現在の一番大きな仕事は社会保障についての総合的、基礎的な研究をするということでございますけれども、これとあわせましてその成果国民皆さんに広く公開するというのが並んで大きな仕事になっておるわけでございます。  先生の御質問、後者の質問かと思いますけれども、現状を申し上げますと、先生案内かと思いますが、一つには、この世界と申しますとまた俗な言葉になりますが、「季刊社会保障研究」、「海外社会保障情報」、こういうような機関誌研究叢書等を発行いたしておりまして、これを通じて公開をすると。また、これらは研究所内の研究だけではなくて外部の方の研究評価をして載せる、こんな役割も果たしておる、こういうふうに承知をいたしております。それ以外に、社会保障トップセミナーでございますとか社会保障研究所基礎講座、こういうようなものを随時開催いたしておりまして成果の普及が行われておる、こういうのが現状でございます。  この新研究所における今後の取り扱いでございますけれども機関誌の発行でございますとか、ただいま申し上げましたセミナーの開催につきましては平成八年度予算案において必要な予算を計上いたしておるところでございます。これによりまして引き続き発行ができるということでございますけれども、さらにこれらが国立になってもより広く国民の手に入るようにするためにはどういう工夫が必要かというような検討を現在いたしておるところでございます。  また、先生からお話がございました、もっともっと広く、こういうお話でございますが、先生も御案内かと思いますが、実はこの点につきましては本年一月の社会保障制度審議会から要望も出ておるところでございまして、インターネットとかパソコン通信とかいろいろ新しいメディアがあるわけでございますけれども、こんなものを活用してこれからさらにさらに普及していくためにはどうしたらいいかというようなことにつきまして現在両研究所関係者にもお集まりいただきまして検討いたしておるところでございますので、その成果を踏まえまして対応をしてまいりたいと考えております。  それから、先生から図書室の話もあったかと思います。  新研究所図書室の図書、文献、これからは人口関係の文献もあるし社会保障の文献も一堂にある、こういう状況になるわけでございますが、これらの図書、文献につきましてはこれまで同様一般の国民方々に閲覧できるようにする、そういう予定で考えております。  もう一つ、それらの貸し出しはどうかということでございますが、現在の社会保障研究所におきましては対象者を絞りまして、簡単に言えば返してくれることが確実な方ということのようでございますが、そういうやり方で貸し出しも一部やっておると、こういうふうに聞いております。そういう現在の社会保障研究所での取り扱いの仕方、あるいは他の国立試験研究機関厚生省以外にもたくさんございますけれども、それらがどういう知恵を絞っておるか、そういうことも参考にいたしまして貸し出しの問題につきましては十分これから検討してまいりたい、こういうふうに考えております。
  27. 山本保

    山本保君 ぜひ積極的に御対応いただきたいと思います。  次に、研究所所長さんのことでございます。  衆議院の方の議論で既に菅厚生大臣から新進党の山本孝史議員への答弁として、役人や官僚やそのOBではなくて学識経験者を選ぶというふうな答弁がなされたと聞いているわけでありますけれども、この辺については間違いないのか、そういうことがもう決定しておるのか、これからまだ検討中なのか、それも含めてどういう方をこの所長にされる予定なのか、お聞きしたいと思います。
  28. 亀田克彦

    政府委員亀田克彦君) 政府委員といたしましては、新研究所所長につきましては厚生大臣がその任務を遂行するために最もふさわしい方を任命されるのではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。その際には、社会保障人口問題の現下の課題、こういったことにつきまして学識を有していること、あるいはまた、先ほど来出ておりますけれども、この研究所はネットワークの中核として機能していく必要がある、こういうようなことがございますので、大学でございますとか他の研究所との連携確保でございますとか、そういう役割も果たせること、こういうことなどが考慮され、いわゆる学識経験者の中から幅広く選考が行われるのではないか、こういうふうに政府委員としては考えております。
  29. 山本保

    山本保君 次に、これも制度審議会からの答申にあったことですけれども、この所長の補佐といいますか、重要事項について助言する評議員会のようなものをという文言がたしかあったかと思うわけでありますが、こういう助言などを行うような、現在では役員会という形で行われているようでありますけれども、今後もそれについては同じような形を考えておられるのか、これは重ねての質問になるかもしれませんが、よろしくお願いします。
  30. 亀田克彦

    政府委員亀田克彦君) 先ほど来、国立になります新研究所独立性の問題あるいは公平中立研究の実施の問題、そういう御質問をいただいておりますけれども、新研究所における研究活動全般基本方針等につきまして公平中立立場から検討を行うことを目的とする外部学識者による会議を開催するために必要な経費平成八年度予算案で計上いたしておるところでございます。  こういう考え方もございまして、一月の制度審答申では例えば評議員会の明文化、こういう御要望をいただいておるところでございますけれども、私どもはこの制度審の答申を尊重いたしまして、今後この具体的なあり方につきまして検討をしていく、結論を出していく、こういうふうに考えておるところでございます。  若干もうちょっと具体的に申し上げますと、他省庁の試験研究機関でも評議員会というものを設けております例が幾つかあるわけでございますが、名称でございますとか委員の構成でございますとか、あるいは規定上の位置づけの方法でございますとか、種々の形態がある状況でございまして、繰り返しになりますけれども、現在、新研究所につきましてはどういう機能を持たせたらいいのか、位置づけはどういう形がいいのかということを検討いたしておるところでございまして、検討の結果を待って適切に対処していきたい、こういうふうに考えております。
  31. 山本保

    山本保君 それでは、こういう研究所というのはやはり若い、また優秀な方が参加され、そして業績を上げてまた他の大学等にも移っていかれる、次々と新しい若手の研究者を育てていくというようなことも重要じゃないかなと思うわけです。  国立機関は、まさに国家公務員としてなるときに、その人事というのは逆に難しくなってくるんじゃないかなというようなおそれも感ずるんですが、その辺はいかがでございますか。
  32. 亀田克彦

    政府委員亀田克彦君) 先生指摘のとおり、この新研究所が引き続き、研究分野と申しますか、その中核機関として機能していく、こういうことのためには大学からも来ていただきたいし、あるいはこの研究所からも大学に行っていただく、こういうことが極めて重要であろう、こういうふうに考えております。  そういうことを可能にいたしますために、平成八年度の予算案におきまして、外部研究者と共同で研究を進めるいわゆる共同研究プロジェクト、この実施に必要な予算確保しておるところでございますし、また外部研究者が特別研究員という形で継続的に研究所研究活動に参加していただく、こういう予算も計上いたしておるところでございます。  これらを活用することによりまして広い意味での人事交流を活発化いたしまして、制度審答申から言われております研究の活性化を図ってまいりたい、こういうふうに考えております。
  33. 山本保

    山本保君 それでは、先ほどから何度もお話の中に出てきたと思いますが、平成七年一月、「二十一世紀に向けた厚生科学研究の総合的推進について」という新研究機関構想厚生省から発表され、そしてこの今回の社会保障研究所廃止というのはよりよい、より高い、またより広い意味での研究機構の中で位置づけるんだというお話があったと思うんですけれども、これはどういう形でこれから進められていくのか、うまくいっているのか、そしてその中でこの新しい社会保障人口問題研究所はどういう部門を担当されるのかということについてお伺いしたいんです。
  34. 亀田克彦

    政府委員亀田克彦君) 国立試験研究機関の再構築でございますけれども、現在、特殊法人社会保障研究所を含めまして八つの機関があるわけでございますが、これを時代の要請に応じて、また合理化ということも考えながら六つの機関に再編成していこうというのが今回の構想でございます。初年度、八年度と考えておりますけれども、御提案させていただいておりますこの特殊法人廃止、それに伴っての新研究所設置のほか幾つか、二つの点につきまして着手をし、あるいは実施をする、こういうことになっております。  この辺の具体的な考え方でございますけれども、この再構築につきましては、保健医療福祉生活衛生等に関する研究分野のうち行政政策にかかわる研究、あるいは自然科学分野の基礎研究、あるいは民間では担いがたい例えば希少感染症、こういうような研究分野、こういうものにつきましては国立機関が中心になってやっていく必要がある、こう考えておるわけでございますが、それらの分野につきまして研究手法、それから研究分野に応じまして先ほど申し上げました六つの研究機関に再構築する、こういう考え方で整理をいたしております。  具体的に申し上げますと、文献でございますとか調査統計等の資料の収集、分析、評価、そういうものを中心とした手法により研究を行う研究機関と実験を中心とした手法により研究を行う研究機関にまず大別いたしまして、さらにそれらにつきまして、疾病の予防でございますとか、あるいは医薬品等の安全性の確保でございますとか、そういう最も合理的でかつ機能的と考えられる研究分野の区分に応じて再構築をするということで全体的に考えたわけでございます。  御指摘の新研究所考え方でございますが、このような基本的な考え方に基づきまして、文献や調査統計等の分析、評価等を中心にした手法による研究機関としてお願いをいたしております社会保障人口問題について総合的、理論的な調査研究を行うものとして新研究所を考えておりますし、またもう一つ、地域における保健医療福祉サービスの提供のあり方やあるいはマンパワーの確保等についての実践的な調査研究を行う、それとあわせまして地域の保健医療福祉サービスを担う人材に対する研修を行うということで国立保健医療福祉政策研究所、仮称でございますが、これを考えておるところでございます。  ちょっと長くなりましたが、以上のような考え方でございます。
  35. 山本保

    山本保君 どうもありがとうございます。  もう時間がなくなりましたので質問は以上にいたしますけれども、今お話があった直接の大きな研究所から、または民間の研究所への補助金、そしてそのほかにエイズ問題などでよく今名前が出ています厚生科学研究とか、またそのほかの小さな委託研究までたくさんあるわけでして、私も実は自分がやっておりましたからよくわかっておるんですが、こういう研究費全体をもう一度大きな目で見ていただきたい。年間数十万から百万程度の小さな研究費というのがいっぱいあります。これではなかなか効果が出ないだろうと思うわけです。余り言うと、おまえは何やっていたのだと言われると申しわけないんですけれども、ぜひ今のような夢のある研究体制ということ、そして他省とも連携をとられながら、ぜひ国民の負託にこたえていただけるような研究の向上をお願いしたいと最後に申し上げまして質問を終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。
  36. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 社会民主党の朝日でございます。  既にそれぞれの委員から御質問がありまして、それとかなりダブるところがあるんですが、じっとお聞きしていますと少しずつニュアンスが違うようなお答えもあるようですので、改めて三点ほど私の方から新しい研究所運営あり方の問題についてお尋ねをしたいと思います。  まず第一点は、新しくスタートする国立社会保障人口問題研究所の基本的な性格づけについて。  そもそも昭和三十七年の社会保障制度審議会の勧告に基づいて今日の社会保障研究所はスタートしたというふうに理解をしております。今後、どのようなものになるのか、引き続き社会保障制度審議会の勧告に沿ったものとなるというふうに受けとめてよいのかどうか、まずこの点を確認しておきたいと思います。
  37. 亀田克彦

    政府委員亀田克彦君) 御指摘昭和三十七年の社会保障制度審議会の勧告におきましては、完全な社会保障制度計画的、組織的に確立するためには、まずもって有力な研究機関設置が必要であるということが提唱されております。  今回の措置によりまして社会保障研究所解散することになるわけでございますが、新たに設置いたします国立社会保障人口問題研究所にその研究機能を引き継ぐことといたしておるわけでございまして、社会保障制度審議会の勧告で示されました方向に沿っているものと考えておるところでございます。  また、新研究所におきましては、社会保障制度審議会の勧告等も十分踏まえましてその運営が行われる必要があるし、また行われるものと理解をいたしております。
  38. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 次に、二番目ですが、先ほど来たびたび質問が出ておりますけれども、新しい研究所研究に関する助言指導の機能を有する評議員会組織上明確に位置づけるべきであるという意見が再々出されております。この点に関して厚生省の方は、ことし一月の制度審の答申を尊重しつつ現在新しい研究所の発足に向けての準備委員会で検討中である、検討結果を踏まえ、必要があればそのための組織要求を行う旨のお答えをいただいていると思いますが、この点、私からも改めて確認のために再度質問しておきたいと思います。
  39. 亀田克彦

    政府委員亀田克彦君) 新研究所における研究活動全般基本方針等につきまして、公平中立立場から検討を行うことを目的とする外部学識者による会議を開催するために必要な経費平成八年度予算案に計上しているところでございます。  この会議機能あるいは位置づけの方法等につきましては、現在、社会保障制度審議会答申を尊重しつつ社会保障研究所及び人口問題研究所関係者にも御参加いただきまして検討を行っているところでございます。検討の結果、必要な場合には、衆議院の方でも申し上げましたけれども平成九年度の予算要求におきまして所要の組織要求を検討してまいりたいと、かように考えておるところでございます。
  40. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 ただいまのお答えの中で、学識者による会議のための予算平成八年度計上している、こういうことでありますが、その学識者による会議というのは制度審の答申が求めているような所長に対する助言機関としての役割を担うものであり、さらに引き続き今後も継続的に開催されていくものというふうに理解してよろしいでしょうか。
  41. 亀田克彦

    政府委員亀田克彦君) 御指摘平成八年度予算案に盛り込みました外部学識者による会議でございますけれども、これは新研究所研究あり方につきまして公平中立立場から時代の要請に応じた研究が行われるようにするためのものでございまして、先生指摘の制度審から御指摘、御要望いただいておりますところの所長に対する助言機関設置、この役割を果たすものと考えておるところでございます。  次に、この会議機能、位置づけの方法等につきましては、先ほども申し上げたところでございますが、現在、社会保障研究所及び人口問題研究所関係者にも御参加いただき、検討をいただいておるところでございまして、その結果も踏まえて検討する必要があると考えておりますけれども予算そのものにつきましては平成九年度概算要求におきましても要求をしてまいりたいというふうに考えております。
  42. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 以上で実務的なというか、運用面に関する質問を終わりたいと思いますが、ただ一点、要望をしておきたいと思います。  社会保障制度審議会からの答申どもあり、また衆参においてさまざまにこれからの研究所あり方あるいは運営の仕方について論議がされているわけですが、どうも関係者の間でのいささか不信感のようなものがあるように感じられてなりません。ぜひ、今後さまざまな仕組み、制度をつくりつつ、関係者との間のもう少し率直な意見交換も含めて信頼関係を回復するような努力を特に私の方からお願いをしておきたいと思います。  では次に、先ほど来大臣に対しても御質問がございましたが、ちょうど去年の七月に社会保障制度審議会社会保障体制の再構築に関する勧告、こういういわば四十数年ぶりの勧告を取りまとめたというふうに私は理解をしております。そういう意味では、今後社会保障分野に係る調査研究活動はますます重要でありますし、ある意味では国民的な検討課題であるというふうに考えます。ぜひ、両研究所の統合をきっかけとして、これまで以上に社会保障研究の活性化を図っていく必要があると思います。  この新たな研究所がそのような機能役割に十分こたえ得るものになるのかどうか、していけるのかどうか、ぜひ大臣の基本的な考え方をお示しいただきたいと思います。
  43. 菅直人

    国務大臣菅直人君) 社会保障研究につきましては、人口少子高齢化が進展する中で、人口問題研究と密接な連携を図りつつ研究する必要性が高まっていると考えております。このため、国立試験研究機関の再構築の中で両分野を総合的に研究できる体制整備するという観点から国立社会保障人口問題研究所設置することとしたものであります。  また、経済成長が鈍化する中で、社会保障制度については制度の根本にさかのぼった検討が求められております。こうした中で、社会保障に係る研究充実が近年より新しい局面で強く求められているというふうに考えております。このため、国立社会保障人口問題研究所設置に当たりましては、社会保障及び人口問題に関する研究体制充実を図ることといたしております。また、社会保障の給付や負担のあり方について、人口、家族・世帯の構造の変化などに係る調査研究と密接に連携しつつ、より効果的な研究推進できるものと考え、また期待もいたしております。  そういった意味で、この両研究所がいわば一つ研究所として再スタートをするということは、私は今後の関係者努力を含めて社会保障のこれからの新しい局面に向けての検討研究に大きく寄与していただけるものと期待をいたしております。特に、今後とも少子高齢化社会がまさに到来しつつあるわけでありまして、そういう中におきまして社会保障及び人口問題に関する研究体制充実には厚生省としても極めて重要視をして努力をしてまいりたい、このように考えております。
  44. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 最後に、そのような機能役割期待される研究所、先ほどもお話がありましたけれども研究のための基礎的データ等を含めて同研究所が有するデータ、資料、論文等について、これらの分野に関心を有する幅広い人たちに対して積極的に資料提供、情報公開をする、そのための仕組みをつくるということは私はぜひ必要だと思います。例えば、パソコン通信など最新の情報通信手段の活用を含めて今まで以上に積極的な体制の確立に向けての取り組みを求めたいと思いますが、いかがでしょうか。
  45. 亀田克彦

    政府委員亀田克彦君) 先生指摘のように、新研究所役割といたしまして、研究成果などを国民に公開していくことは大変重要な役割であるというふうに考えております。  先ほどの社会保障制度審議会答申におきましても、「機関誌研究叢書の継続的な発行、図書・資料の整備、集積をはじめ内外の社会保障に関する研究成果や情報を集め、それらを公開するとともに、社会保障に対する国民理解を深めるため広く国民が利用できるシステムを早急につくる必要がある。」と、こういう御要望をいただいておるところでございます。  新研究所運営の具体的内容につきましては、社会保障研究所及び人口問題研究所関係者にも御参加いただき、現在検討を行っておるところでございます。第一に、機関誌研究叢書の発行につきましては、引き続き幅広く希望者が購入できますような、そういう工夫をしてまいりたいというふうに考えてございます。また、新研究所図書室における図書、文献の聞覚につきましては、一般の方々でも可能となるようにしたいと考えております。関連いたしまして、貸し出しにつきましては、社会保障研究所における取り扱いや他の国立試験研究機関における取り扱いを参考といたしまして、図書、文献の管理の問題を含めましてよく検討をしていきたい、こういうふうに考えてございます。  第三に、パソコン通信など最新の情報手段の活用によります情報提供体制整備につきましては、今後その具体的な実施体制等につきまして検討をしていきたいというふうに考えてございます。  いずれにいたしましても、新研究所研究成果が広く国民に活用されますよう積極的に努力をしてまいりたい、かように考えております。
  46. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 最後要望一つ申し上げて終わりたいと思います。  今、積極的に検討してまいりたいというお答えをいただいたわけですが、ぜひ今後の検討課題の中に、例えば政府の中に、せめて厚生省の所管する社会保障に関連する分野、例えば統計情報部というのがありますが、そういう分野が持っているデータなどとあるいは研究所のデータなどとを共通データベース化するなどということも今後必要になってくるのではないか。つまり、より広い視野からのデータの検討とそれに基づく制度の仕組み方、これについての検討社会保障制度の再構築に当たってはぜひとも不可欠であるというふうに思います。そのような観点から、今後の検討課題の中でそのようなことも含めて検討いただければということを最後要望申し上げて質問を終わりたいと思います。  どうもありがとうございました。
  47. 西山登紀子

    西山登紀子君 今回の社会保障研究所解散についてさまざまな危惧が出されているわけですけれども、その中でも大きいものはやはり研究内容、質に関する危惧だと思います。  特殊法人から国立機関になることによって、国の政策にとって都合のいいような研究や政策の論証ですね、これを優先することになりはしないか、人事面でもそのようなことになりはしないか、こういう危惧でございます。参議院の昭和三十九年ですね、社会保障研究所法案の審議のときに厚生委員会の附帯決議がついているわけですが、そのときですら、運営上厳守すべきこととして、「調査研究にあたっては、いやしくも政府の影響を受けるがごときことがあってはならない」と指摘しているわけです。  大臣にお伺いしますけれども、学問的、自主的な立場政府社会保障政策も検討できる、必要ならばこれに対して批判的な見解も発表できる、そのような独自性と独立性のある研究所として運営すべきだと考えますけれども、御意見はどうでしょうか。
  48. 菅直人

    国務大臣菅直人君) 少子高齢化が進展する中で、社会保障社会経済国民生活の中で重要な位置を占めるようになってきております。したがって、新しい研究所国民要請に応じた研究を行っていくことが望まれるとともに、そのような国民要請に応じながら自主性のある研究が行われ、その成果が公表され、社会保障に対する国民の理解の助けとなるとともに、今後の社会保障あり方に資するという役割を果たしていくべきであると、このように考えております。  今、西山委員が御指摘がありましたように、独立性とか中立性という問題につきましては、つまり研究内容そのものについては当然そういうものが保障されるような形で、新たな研究所もその点については相当配慮した形で構成されるというふうに理解をしているところです。  平成八年度予算において、新研究所研究の基本方針について検討していただくよう外部の有識者による会議を開催するために必要な経費の計上を既にしておりますが、これによって新研究所研究独立性国民要請に応じた研究の実施の両者のバランスを確保できるものと考えております。
  49. 西山登紀子

    西山登紀子君 社会保障制度審議会に諮問をされたのも閣議決定がされて後のことでございます。ですから、私はやはり関係者意見が非常に軽視された、そういう経過があったというふうに思うわけです。  ですから、社会保障制度審議会のことし一月の答申にも、「社会保障研究所解散することに一抹の不安がないわけではない」、「その機能を実質的に拡大して再編成される研究機関に引き継ぐという趣旨を前向きにとらえることを前提として、了解する。」、このような答申内容になっているわけです。もろ手を挙げて賛成する、そういう立場でもありませんし、むしろ私は条件をつけているというふうにすら受けとめられます。  実際、二十三名の削減という、こういう結果というのは研究体制充実とは決して相入れないということは明白ではないかと思うわけです。民間人の方々も大変心配しておられて、隅谷三喜男先生を初め百六十名の方々がことしの二月に直接大臣にもお会いして意見を述べておられるわけです。私たちの方にも御要請がありました。研究の自由の確保と公正で中立な研究体制の維持発展、それから社会保障研究のネットワークの中核としての機能の継承、このような具体的な意見が述べられているわけですけれども、こういう点について耳を傾け、そしてぜひ保障されるようにお願いをしたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
  50. 亀田克彦

    政府委員亀田克彦君) 本年一月に国立社会保障人口問題研究所における研究あり方等につきまして社会保障制度審議会から答申をいただいておるわけでございますが、要望がついておりまして、それを大別いたしますと、一つ研究独立性確保二つ目は研究の活性化、三つ目は研究成果の公開等に大別できる、こういうふうに考えてございます。  これらの事項につきましては、平成八年度予算案においてもできるだけの配慮をしたところでございますが、所長に対する助言機関あり方等につきまして現在種々検討をいたしておるところでございまして、検討結果を待って適切に対処してまいりたい、こういうふうに考えてございます。  また、御指摘の民間の学者さん方からの御要望でございますが、この御要望につきましては厚生大臣もいただいておるところでございますが、ただいま申し上げました本年一月に社会保障制度審議会からいただきました答申とほぼこの趣旨において同一のものであると認識をいたしております。したがいまして、社会保障制度審議会答申を尊重いたしまして対応していく、その過程の中で対応してまいりたい、かように考えております。
  51. 西山登紀子

    西山登紀子君 最後に、緊急の問題として薬害エイズの問題について伺いたいわけですけれども、長野県の国立松本病院でエイズウイルスに感染をして二人の息子さんを亡くされたその御両親からお手紙が来ているわけです。お父さんのお手紙です。病院長殿ということで出されているわけですけれども、私は九三年九月、九六年二月に非加熱製剤によるエイズ感染症で二人の息子を亡くした父親です。長男は八〇年九月五日生まれ、次男は八三年九月二十四日生まれです。今、二人を亡くした我々にとってどうしても納得のいかない点があります。一、八三年当時、本当に非加熱製剤が危険だと察知していなかったか。二、何年から何年まで非加熱製剤を使っていたか、及び製剤名。三、告知がおくれた理由は。また、母親とも、三人とも同時に検査を受け、その後半年後に息子がプラスになった理由について誠意ある調査をしてほしい、回答をしてほしいというお父さんのお手紙です。  大臣、こういう事例についてどのように感想を持たれるか、善処されて誠意を持って回答をしていただきたいということをお願いしたいと思います。
  52. 菅直人

    国務大臣菅直人君) 今、長野県国立松本病院において血友病患者で二人の息子さんを亡くされたという御遺族からの手紙の一部紹介がありましたが、そのことについて私の方も承知をいたしております。大変ある意味で痛ましいことだと思っております。  現在、その事実を厚生省としても確認をいたしている途中でありまして、その御遺族からの要請に対しては誠実に対応するように指導しているところです。そう遠くない時期には少なくともきちっとした御返事ができるのではないかと思っておりますが、とりあえず中間的にもう少し時間をかしてほしいということをお伝えするようにいたしているところです。ですから、そういうことを含めてそう遠くない時期にはきちっとした御報告ができるように指導してまいりたい、このように思っております。
  53. 今井澄

    委員長今井澄君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  54. 西山登紀子

    西山登紀子君 私は、日本共産党を代表して、社会保障研究所解散に関する法律案に反対する討論を行います。  この改正案は、社会保障研究所解散し、他の国立研究機関と統合しようとするものですが、研究所の定数二十三名の実質的な削減を含んでいます。定数の確保なくして研究体制充実は困難であり、社会保障制度審議会答申機能を実質的に拡大して再編成される研究機関に引き継ぐことを前提として統合を了解するとした趣旨にも反するものです。  そして、この統合の決定は、社会保障制度審議会への諮問を閣議決定の後に行うなど、関係者の意向を軽視するというやり方で決定されました。社会保障に関する基礎的、総合的な研究行政から独立的、中立的に学問的な見地から行う機関として設立された社会保障研究所役割評価、検証もされず整理統合を進めることは民主的な合意を無視していることを示すものです。  高齢化少子化が深刻化する二十一世紀の社会保障研究は、国民はもちろん、研究者や関係職員の合意を前提に進めるべきです。国民の切実な願いにこたえる研究体制の拡充と民主的運営を要求して、私の反対討論を終わります。
  55. 今井澄

    委員長今井澄君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  社会保障研究所解散に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  56. 今井澄

    委員長今井澄君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  釘宮君から発言を求められておりますので、これを許します。釘宮磐君。
  57. 釘宮磐

    ○釘宮磐君 私は、ただいま可決されました社会保障研究所解散に関する法律案に対し、自由民主党、平成会及び社会民主党・護憲連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     社会保障研究所解散に関する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行に当たり、次の事項について、適切な措置を講ずるべきである。  一、国立社会保障人口問題研究所(仮称)において公正中立立場から調査研究が行われるよう、所長を学識経験者から広く選任することや研究活動全般基本方針等に関し所長に助言する体制整備すること等も含め、具体的な運営方法について適切な措置を講ずること。  二、同研究所研究成果や情報等については、これらを一般に広く公開するとともに、国民が利用できるシステムの開発に早急に取り組むこと。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ御賛同いただけますようお願いいたします。
  58. 今井澄

    委員長今井澄君) ただいま釘宮君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  59. 今井澄

    委員長今井澄君) 全会一致と認めます。よって、釘宮君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、菅厚生大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。菅厚生大臣
  60. 菅直人

    国務大臣菅直人君) ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その御趣旨を十分尊重いたしまして、努力をいたす所存でございます。
  61. 今井澄

    委員長今井澄君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  62. 今井澄

    委員長今井澄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十六分散会      —————・—————