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1996-04-26 第136回国会 参議院 厚生委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年四月二十六日(金曜日)    午後一時三十一分開会     —————————————    委員異動  四月二十五日     辞任         補欠選任      田浦  直君     小川 勝也君  四月二十六日     辞任         補欠選任      竹村 泰子君     齋藤  勁君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         今井  澄君     理 事                 石井 道子君                 大島 慶久君                 釘宮  磐君                 朝日 俊弘君     委 員                 阿部 正俊君                 尾辻 秀久君                 清水嘉与子君                 塩崎 恭久君                 高木 正明君                 中島 眞人君                 長峯  基君                 小川 勝也君                 勝木 健司君                 木暮 山人君                 水島  裕君                 山本  保君                 齋藤  勁君                 西山登紀子君    国務大臣        厚 生 大 臣  菅  直人君    政府委員        厚生省健康政策        局長       谷  修一君        厚生省保険医療        局長       松村 明仁君        厚生省薬務局長  荒賀 泰太君        厚生省老人保健        福祉局長     羽毛田信吾君        厚生省保険局長  岡光 序治君    事務局側        常任委員会専門        員        水野 国利君    説明員        文部省高等教育        局医学教育課長  寺脇  研君        自治省財政局公        営企業第二課準        公営企業室長   木村 良樹君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○国立病院等の再編成に伴う特別措置に関する法  律の一部を改正する法律案内閣提出、衆議院  送付)     —————————————
  2. 今井澄

    委員長今井澄君) ただいまから厚生委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨二十五日、田浦直君が委員辞任され、その補欠として小川勝也君が選任されました。  また、本日、竹村泰子君が委員辞任され、その補欠として齋藤勁君が選任されました。     —————————————
  3. 今井澄

    委員長今井澄君) 国立病院等の再編成に伴う特別措置に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案につきましては既に趣旨説明を聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 尾辻秀久

    尾辻秀久君 私は、このたびの改正に賛成の立場から幾つかの質問をいたします。  まず、にわか勉強でしたが、改めて国立病院療養所の歴史を調べてみました。昭和二十年に旧陸海軍病院などを引き継いで発足しています。以来、国民病と言われた結核への取り組み、あるいはがんや脳卒中に対する取り組みなど、大きな役割を果たしてきました。評価をしておきたいと思います。  しかし、五十年たちますと、その間に国立以外の医療機関公立病院私立病院が充実してまいりまして、発足当初、国立て三〇%のベッドを占めていたものが今や五%を切ろうとしております。まさに隔世の感ありといいますか、時の流れを感じます。  私は、時の流れに乗ることだけが正しいとは思いませんが、この際、検討すべきことの一つに公私の役割分担をきちんとすべきであるということがあると考えます。さらに、保健医療福祉はできるだけ地域ニーズに合わせて一体として地域で取り組んでいこうという地方分権流れもあります。国立病院療養所の再編成に取り組んでいくには、これらのことを踏まえて行うべきであると考えます。  そこでまず第一に、今回の法改正趣旨概要について簡単に伺います。
  5. 松村明仁

    政府委員松村明仁君) 国立病院療養所の再編成は、昭和六十一年に全体計画を策定いたしまして、以来十年が経過したところでございます。この間、国立病院等の再編成に伴う特別措置に関する法律、こういったものを適用するなど各種支援措置を講じてまいりましたけれども、残念ながらその進捗ははかばかしくないと言わざるを得ません。  また一方で、地域におきましては医療計画の策定を通じ医療供給体制の拡充が図られてまいっております。また、高齢社会到来等から医療保健福祉を総合的に推進する動きが出ておるところでございます。  このような国立病院療養所を取り巻きます状況変化を踏まえて、再編成推進方策の柱でございます再編成特別措置法改正お願いいたしまして、これによって地域選択の幅を広げて再編成の一層の推進を図ろうと、こう考えておるものでございます。  具体的にちょっと申しますと、これまでの再編成の過程で浮かび上がった地域ニーズを反映することによりまして、地域において再編成を受け入れやすくするために譲渡後の国立病院等資産利用範囲を、これまでは医療機関というふうになっておったわけですけれども医療機関のほか、福祉施設などをあわせて整備する場合までも広げることにしております。  また、従来の運営費補助制度に加えまして、国立病院等資産減額譲渡を受ける医療機関施設整備に要する費用補助制度も新たに設けるなどの措置を講ずることとしております。  これが概要でございます。
  6. 尾辻秀久

    尾辻秀久君 お話を伺いますと大変立派な内容なんですが、ところが現実には十年前にこの計画がスタートしてわずか十三のケースしか終了していないわけでございます。  このあたりの理由について厚生省はどのように考えておられるのか、多分反省もしておられるのじゃないかと思いますが、その反省を今後どう生かそうとしておられるのか、その辺についてお伺いをいたします。
  7. 松村明仁

    政府委員松村明仁君) これまで再編成進捗がはかばかしくなかった理由といたしまして、その背景というか基礎には残念ながら厚生省努力不足、我々の努力不足ということがあったことは認めざるを得ないわけでありますけれども、それにいたしましても、まず計画を発表した後、病院が立地しております地元自治体等の御理解がなかなか得られなかったということがあろうかと思います。また、適当な引受先が得られなかった、こういうこともあろうかと思います。それから、先ほども申しましたけれども医療機関とあわせて保健衛生施設でありますとか社会福祉施設等整備したい、こういう地域ニーズ変化、こういったことに対応し切れなかった、こういうようなことがその理由だと、こんなふうに考えております。  そこで、再編成計画を策定して以来十カ年が経過したわけでございます。この間の国立病院療養所を取り巻く状況変化を踏まえまして、再編成推進方策の柱ともいえるこの再編成特別措置法改正することによりまして、地域において選択の幅を広げて再編成の一層の推進を図ろうと、こう考えております。  具体的に申しますと、再編成地域で受け入れやすくするために、譲渡をした後の国立病院等資産利用範囲を、医療機関のほかに、例えば特別養護老人ホームでありますとかあるいはケアホームというような福祉施設などをあわせて整備する場合にも広げる、こういうことにしております。  また、運営費補助制度に加えまして、国立病院等資産減額譲渡を受ける医療機関施設整備に要する費用補助制度を設ける、こういったようなことをいたしまして、今回、国立病院等の再編成特別措置法改正お願いいたしまして、国立医療機関にふさわしい機能が担えるように努力をしていきたい、このような考えを持っておるところでございます。
  8. 尾辻秀久

    尾辻秀久君 反省の弁もお聞きをいたしました。  そこで、さらに頑張ってこの再編成推進していただかなければなりませんけれども、そのために、今も幾つか具体的にも言われたようでありますが、真正面から取り組んでいただかなければならない課題があります。  私は、その第一は労使一体となって再編成を進めていくことだと考えます。国立病院の組合が再編成に反対しているのは私も承知をしておりますけれども、そのために地元自治体関係者の中に国立病院を引き取ったくないという思いがあると聞きます。  まず、厚生省労使関係健全化を図るため汗をかき、正常な労使関係をつくっていくことが必要であります。このことは再編成を通じてなお国立として存続、充実させることになる病院をさらによりよいものにしていくためにも必要だと考えますが、いかがでありましょうか。
  9. 松村明仁

    政府委員松村明仁君) 私ども厚生省といたしましても、国立病院療養所におきます労使関係健全化ということは重要なことだと認識をしておるところでございます。  そこで、平成四年の七月でございますが、内部の組織も少しく変更をいたしまして職員厚生課というものを設置いたしました。以来、この課の中で職員団体との間におきます適正な労使関係構築に力を注いでおるところでございます。  具体的な状況を申し上げますと、平成六年の九月に職員団体と協議をいたしまして、交渉のあり方に関するルール化というものを図ったところでございます。  こういうことで、現在こうした一定のルールに従いまして適正な労使関係構築努力を続けておりますが、そのほか随時、管理者及び中間管理者対象といたしまして、労務に関する研修を実施するなど、健全な労使関係構築する労務対策充実強化を今図っておるところでございます。
  10. 尾辻秀久

    尾辻秀久君 今お答えになったことは非常に大切なことでありますから、ぜひよろしくお進めいただくようにお願いをいたしておきます。  再編成ということを考えますときに忘れてならないことは、再編成後その地域でどのような医療地元に提供される体制になるかという配慮であります。  先ほどの説明の中にもありましたが、地元自治体などの理解を得るためには、自治体、議会、医師会といった関係者と十分話し合い、場合によっては保健福祉などとの連携考えてその後の利用を詰めていくことが大切であります。地元も狭いエゴにはとらわれず、跡地や建物をどう上手に利用していくかを真剣に考えていかなければならないわけですが、その場合、国も一方的に上から事を進めるのではなく、こうした関係者とよく話し合うことが双方にとって重要だと考えますが、この点はいかがでありますか。
  11. 松村明仁

    政府委員松村明仁君) 国立病院の再編成といいますと、この計画推進に当たりまして地域医療事情に各般の影響を与えるということもございます。そういうことで、私ども自治体を初め地元関係者と十分に話し合う、理解を求める、こういうことで進めていくことは当然だと考えております。これまでも私どもは十分にお話し合いをさせていただいておりますし、今後も理解を得ながら進めてまいりたいと考えております。  いずれにいたしましても、私どもの進めてまいります再編成計画国立病院療養所機能強化のためには不可欠、こういうふうに考えております。ぜひともなし遂げなければならないものでございまして、地元でいろいろこれまでも国立病院のことについて御関心を持っていただいております関係方々に十分御理解お願いしていきたいと考えております。
  12. 尾辻秀久

    尾辻秀久君 この再編成後の国立病院療養所というのは、言うならば政策医療とでもいうのでしょうか、ほかにはまねのできない、まさに国ならばこそという、そうした医療を提供してもらわなければならないと考えます。  その中の一つとして、日ごろ私も大変関心を持っています腎臓病対策についてはどのように考えておられるのか、この点についてこの際でありますからお尋ねをしておきたいと思います。
  13. 松村明仁

    政府委員松村明仁君) 腎不全方々医療につきましては、厚生省といたしましても、国の医療政策として特に推進すべき医療、こういうふうに考えて位置づけておるところであります。  そこで、国立病院療養所の再編成計画にお去ましても、全国の腎移植に関する中核的施設としての機能を有する国立佐倉病院腎不全基幹病院、こういうふうに位置づけております。そこで、平成元年の十月にはこの佐倉病院臨床研究部を設置いたしまして、腎不全医療に対する体制整備も行っておるところでございます。この佐倉病院をモデルの施設、こういうことで国立病院の中でも腎不全対策について重要なものと考えてこの対策を進めておるところでございます。  また、そこまではまいりませんけれども国立岡山病院でありますとか国立長崎中央病院におきましても、腎臓移植等腎不全医療を行う、総合診療施設と私どもは申しておりますけれども、そういう施設整備をいたしまして腎臓病に対する取り組みの一環としておるところでございます。
  14. 尾辻秀久

    尾辻秀久君 再編成後に残る国立病院というのは、どういう表現がいいのか知りませんが、言うならば少数精鋭国立病院になるんだと考えますから、そして、申し上げたように、その病院ではまさに国立てしかできない医療をやってもらわなきゃ因るわけでありますから、このことだけは賛成する立場からもよろしくお願いを申し上げておきたいと思います。  またその中の一つに、申し上げたように、腎臓病対策というのは大きな課題だと思いますから、あわせて取り組みをよろしくお願い申し上げます。  そこで、腎臓病に関連して、今回の法案とは直接関係ないのでありますけれども、この際でありますから少しお尋ねをしてみたいと思います。  それは腎臓病患者食事療法についてであります。腎臓病患者さんはいろいろと生活上の不便を強いられるわけであります。ですから、できるだけ透析に頼らずに食事療法を行っていきたいという願いは、これはもう当然のこととして強くあります。ところが、この食事療法というのはなかなか奥が深いというのでしょうか、研究も大変だと聞いております。  そこでまず、この食事療法について国ももっと真剣に取り組んでほしいと考えるわけでありますが、これについての政府のお考えをお聞きしたいと存じます。
  15. 松村明仁

    政府委員松村明仁君) 腎臓病食事療法に関しまして、これまで厚生省では特定疾患調査研究事業というものの中で、これはいわゆる難病を調査研究する研究事業でございますが、その中で進行性腎障害調査研究班というものをつくっておりまして、その中で研究を進めておるところでございます。  そこで、今、委員御指摘のように、腎臓が軽度の不全状態になってまいりまして、これが非常に重篤な不全状態に至らないように腎不全進行をおくらせる、こういうことが重要になってまいります。このためには低たんぱく、食事の中のたんぱく質を減らすということがどうも治療効果があると言われておりまして、この低たんぱく食の治療効果等について研究推進してきているところでございます。  そこで、具体的にはこの研究成果をもとに平成六年に食事療法のガイドラインというものを作成いたしまして、関係学会あるいは医師会あるいは都道府県等に配布をいたしますなど、こういったところでの研究成果臨床の場へ還元を図っておるところでございます。  今後とも、食事療法によりまして腎透析になるべく至らない、あるいは腎透析に入ってしまうのをおくらせる、こういうことが重要でございますので、そういったことを課題といたしまして平成八年度以降も引き続き研究推進に努めてまいりたいと思っております。
  16. 尾辻秀久

    尾辻秀久君 今おっしゃったように、腎臓病患者さんが透析に入ってしまえば、これはもう一生涯透析をしなきゃならぬわけであります。ですから、何とか透析に入らずに済むようにしたい、あるいはまた、どうしても最後透析をしなきゃならないとしても、できるだけその時期をおくらせたい、これは申し上げたように当然だれしもが願うことであります。ですから、このことはもう本当に真剣に取り組んでいただきたいと思うんです。  いただいた時間もあるようですから、そこまでお聞きするとは申しておりませんでしたけれども、念のためといいますか、この際ですからお聞きしたいのは、その研究にかけておられる費用というのはどのぐらいかけておられるものか、お手元資料がありますか。なければ結構ですが、あれば答えてください。
  17. 松村明仁

    政府委員松村明仁君) まことに申しわけありません。  全体ではこの調査研究費に二十八億円のお金が出ておりますが、その中の一部の研究費でございまして、ちょっと今その研究だけの研究費の額は手元数字を持っておりません。
  18. 尾辻秀久

    尾辻秀久君 いずれにしましても全体で二十八億で、その二十八億で研究しておられる項目というのは相当幾つもあるわけですよね。そのうちの一つですから何分の一かでしかない、そういうふうに思います。  そこまでお聞きしますとは申し上げていなかったことでありますから余り詳しいことはお聞きしませんが、じゃ透析になったら、一人の患者さんに何百万もかかると聞いておりますが、一体厚生省としては一人幾らかかると言っておられるのか、そして国全体でどのぐらいかかるものか、これはお手元資料はありませんか。
  19. 岡光序治

    政府委員岡光序治君) 申しわけないんですが、人工透析に要する費用総額をちょっと手元に持ち合わせておりません。直ちに取り寄せてもよろしゅうございますが。
  20. 尾辻秀久

    尾辻秀久君 正直に言いますが、きょうは余り早くやめるなと言われているのでそこまでお聞きしますと言わなかったことまでお聞きしておるところでありまして、ですから細かな数字はいいんです。  ただ、私が言いたいことは、透析になれば一人五百万かかると、こう言われていますが、これは大体間違いのない数字ですよね。どうですか。
  21. 松村明仁

    政府委員松村明仁君) いろいろなケースがあるかと思いますが、私どももおおむねその程度かかると思っております。
  22. 尾辻秀久

    尾辻秀久君 そこで、まさに今お答えいただいたように、腎臓病患者透析対象になりますと五百万かかると言われております。しかし、既に申し上げたように、在宅食事療法を行えば透析を行わずに済んだり透析を始める時期をおくらせることが可能であります。ただ、これには、さっきもちょっとその研究をしていただいているというお答えをいただいたんですが、いろんな言葉遣いになっておりますが、言うならば治療用特殊食品の使用が欠かせません。  今申し上げたように、医療費の縮減をさせるためにもこうした治療用特殊食品の方に金を使った方が、変な表現になるかもしれませんが、言うならばうんと安上がりになるわけでありますから、むしろこっちに金をかけるべきだと私は思いますが、このことについての政府のお考えをお聞かせください。
  23. 岡光序治

    政府委員岡光序治君) 現在の診療報酬上の評価といたしましては、いわばその判断料を出しているわけでございます。  入院患者につきましては医師食事せんというものを出します。薬の処方せんと同じようなものでございますが、そうしたものに基づきまして、腎臓食を提供した場合にはそれだけ手間暇かかりますので、一人一日三百五十円の加算を設けるということにしております。  それから、外来患者につきまして、腎臓病患者の場合にその患者さんの生活条件とか嗜好とか、そういったものを勘案しまして、具体的な献立をつくって栄養食事指導せんというものを交付するわけでございますが、そういったことをやった場合には、初診の場合に、初回の指導を行った月には月に二回算定できまして、一回につき百点、千円の報酬を差し上げる、こういうことにしております。  先生から御指摘ありましたのは、低たんぱく食品であるとか腎臓病患者さんにふさわしい食品そのものに着目をして、それが恐らく高いものについているだろうから在宅でそういうものをとる場合に在宅食事料として何か考えられないかという発想だろうと思うんですが、なかなか個人の、献立指導はいたしますが、食品そのものの購入の点につきましてまで実は在宅の場合には視野が及んでいないわけでございます。  私ども、とりあえずは入院患者について、そういう特別の食品を使用した場合にそれだけ割高になりますので何か対応できないだろうか、こういう問題意識を持っておりまして、この点、中医協で今いろいろと御審議をいただいておる、そういうことでございます。
  24. 尾辻秀久

    尾辻秀久君 おっしゃるように、それは普通一般に食べる食事じゃないかと言われればそうでありますけれども、しかし腎臓病患者にとりましてそれは単なる一般食事ではなくて、まさに医療として、ある意味では医療として、もっと言うと、極端な言い方をすると薬として、こういうことにもなるんじゃないかと思うんですね。  ですから、何か今のお答えだけ聞いておるとちょっと冷たいんじゃないかなと思いますが、最後お答えは検討したいということでもありますけれども、もう少し何か考えようはないか、重ねてお尋ねをいたします。
  25. 岡光序治

    政府委員岡光序治君) 先生のおっしゃる御趣旨、私ども理解はできますので、そういう在宅の場合でどういうふうな工夫ができるのか、その点も含めて検討させていただきたいと思います。
  26. 尾辻秀久

    尾辻秀久君 そうなりますと、ずばり聞きますが、今の考えられる範囲では保険の中で考えるということになりますか。
  27. 岡光序治

    政府委員岡光序治君) 私が御答弁しているのは保険範囲診療報酬上の医師なり栄養士さんなりの行動に着目した対応でございます。  先生のおっしゃる話でありますと、むしろ在宅での腎臓病患者さんのいわば在宅での生活のしよう、しぶりについての指導の中での発想考えなきゃいけないと。それは診療報酬上の対応ではありませんで、患者さんその方についてのいわば病気との取り組みの問題として考えなきゃいけないんじゃないかと思います。
  28. 尾辻秀久

    尾辻秀久君 まさにおっしゃるとおりに、保険という範囲の中だけで考えずに、まさに国全体として病気とどう取り組むかという一つ政策でもあると思いますから、これは後ほど大臣に再編成に取り組む決意をお伺いしたいと思いますから、もし大臣に何か今私がお尋ねしたことで国全体の取り組みとしてお考えいただけないか、保険という範囲じゃなくて何か国として制度をつくるぐらいのことをお考えいただけないか、もしお答えいただくならば後ほど一緒にお答えいただきますようにお願いをいたしておきます。  そこで、もう少し時間があるようですから、できれば御質問しようと思っていたこと、途中で折に触れお答えいただいたようにも思いますけれども、このことを一つ取り出してお尋ねをしておきたいと思います。  再編成を行う場合ですが、地元の要望にこたえていくことが肝要であります。それならば、地元が希望するものであればどのような用途であっても国立病院を減額してお譲りするという考え方もあるようです。具体的にはどのような用途施設医療機関一体として設ける場合にこの法律対象考えているのか、改めてお尋ねをいたします。  それからまた、どのような用途施設であってもこの法律対象とすべきだという考え方についてはどう思っておられるのか、お尋ねいたします。
  29. 松村明仁

    政府委員松村明仁君) 具体的に申しますと、どのような施設を認めるかということにつきましては今後関係省庁との調整の上で政令で定めることとしておるわけでございますが、今考えられるものといたしましては、例えば地域保健所を病院の隣に建てるとか、あるいはお引き受けいただく医療機関連携のもとに特別養護老人ホームをつくっていただくとか、あるいは老人デイサービスセンターあるいは養護学校というようなものをおつくりいただく場合には減額譲渡対象としていこう、こういうふうに考えております。  そこで、じゃもっとこれを広げて地元の方が期待をされればどんなものでも、どんなものと言ったらちょっと語弊がありますけれども、もっともっと幅広くやったらどうかという御意見でございますが、今回私どもお願い申し上げておりますこの再編成特別措置法というものは再編成ということを円滑に実施していく、こういう大きな目的があるわけでございます。そういたしますと、やはり地域において国立病院譲渡なりされた後の医療を確保することがやはり法律の目的として必要なことであります。  したがって、減額譲渡対象として私ども考えております範囲というものは、やはり医療機関は残らなくちゃいかぬだろうと。それから、その残る医療機関保健あるいは医療サービスを提供されるわけでございますが、その医療機関が提供されるサービスの機能の向上に寄与する、残った医療機関が提供するサービスの質の向上あるいは利便の向上とかにやはり関係がないとやや難しいのかなと。私ども法律範囲で申し上げると、まず医療機関と関連をしているということであって、もっと幅広くというものはまたこれは別の考えから対応をしていただきたいと。ただ、私どももなるべく幅広く医療機関連携できる施設というものは考えてまいりたいと思っております。
  30. 尾辻秀久

    尾辻秀久君 具体的に進めていくといろいろ出てくるんだろうなと思います。  そこで最後に、再編成に取り組む決意を大臣にお伺いして、先ほどお尋ねしたことはもしということでお答えいただければというお願いをして私の質問を終わります。
  31. 菅直人

    ○国務大臣(菅直人君) 今、尾辻委員の方から、この国立病院の問題に関連して、特に腎臓の治療等についてのお話もありました。もう大分以前になりますが、私も国会に出た最初の質問が、実は人工透析の問題を当時の園田厚生大臣にしたことをちょっと思い出しながら聞いておりました。そのときもやはり今以上に人工透析費用が高くて、細かい数字は覚えておりませんが、トータルで言うと何千億という単位の費用がかかっていたように思いますし、またその診断によっては必ずしも必要がないところまで人工透析が使われているなんという事例も当時報道されていて、そんなことで質問をしたことを思い出しておりました。  先ほど委員の方から言われました佐倉の病院長にも最近お会いをいたしまして、現在、御存じのように国立病院を中心に幾つかのセンター病院をつくっているわけですが、それに準じる形でさらに幾つかのものを考えてほしい、そういう中にこの腎臓の問題も入れてほしいというような要請もありまして、これはまさに再編成によって、先ほど先と言われたように、国ならばこそやれるということに集中してエネルギーを注ぐということと並行しなければなかなか難しいわけですが、やはりこの問題は大変大きな問題だと思っておりまして、そういう点ではこの再編成の中でそういう機能がより高められる方向がとれればと、私も同感で思っているところです。  今おっしゃった問題は、食事療養を含めた一種の治療であり予防であるといいましょうか、透析まで至らない形でどうするかという問題、これも先ほど来政府委員からお答えしたように大変重要でありますし、それをできるだけサポートできるように考えていきたいと思っております。  そういう意味では、透析というのも、私も何人かの方と当時お会いしていろいろ話を聞きましたけれども透析というのはなかなか大変、治療というよりもいわば永久に続けなきゃいけないという問題ですので、さらに言えばこれに移植の問題がかかってくるのかなと。これもまた非常に大きな課題がありますけれども、移植の問題も含めて何らかの前向きの方向が出せないかなと、私はそんな感じを持っております。  そういう中で、再編成に取り組む決意ということをお尋ねいただきましたが、先ほど来尾辻委員の方からも言っていただきましたように、国立病院療養所の再編成医療機関における役割分担として、国立にふさわしい広域を対象とした、また高度なあるいは専門的な医療が担えるようにその質的な機能強化するために進めているところであります。そういった意味で、国立病院療養所が二十一世紀に向けて国立医療機関としての役割を積極的に果たして国民の期待にこたえられるよう重要施策として今後とも不退転の決意で再編成推進取り組み、そしてより質の高い医療のサービスを国民に提供できるように努力していきたいと、このように考えております。
  32. 尾辻秀久

    尾辻秀久君 終わります。
  33. 木暮山人

    ○木暮山人君 平成会の木暮山人でございます。  日本のいわゆる厚生行政が、近来の歴史の中で大変多様な様相を呈しながら、加えまして戦前戦後の大きな影響等々ありまして、また日本の国が敗戦の中から立ち上がるに際しましてどんな格好でいけばいいのか、大変多難な中で厚生行政がいろいろと立案されてきたということについては敬意を表するものであります。  もう一つ、今、菅厚生大臣、御就任になられまして、ちょうど五十年の節目といいましょうか、今までの人たちのやった見積もり違いとか誤算とか、いろんなマイナスを全部お一人で引き受けて、あっちで謝ったりこっちでおわびしたり、まことに多難な折に御質問するのも非常に心苦しいところもあるのでございますけれども、やはり日本の厚生行政というものが、そんなことに別に何にもかかわりのない、現在の厚生大臣がおやりになったこともないのにもかかわらず、その見積もり違いを何十年か後におわびしたり大変なことになっているんだと、そういうような要素が今もこの厚生省のいろんなものの中にあるわけであります。  最近、私は厚生省医療の中で、特に今の場合は病院の再編成でございますけれども、この再編成というのもこれはもう十年前からいろいろ大変御苦労なされてきたんだけれども、どうにもならなくて、さてどうしようかと。ここで再編成というようなことになっているんだけれども、時節柄これもなかなか歯切れのいいことも言い切れず、大変なことであります。  そんな中でひとつ、この国立病院の再編成措置法律案の質問をする前に、私は特に歯科で最近何でこんなまた歯切れの悪いようなことが二つも三つも、今の厚生省のスタンスがこんなものなのかなという例としてお伺いしたいと思うのであります。  今回の診療報酬改定で、歯科において補綴物の維持管理料が新設されました。これはどんなことかというと、二年間の歯科補綴物の保障を条件に、これを選択して県に届け出た医療機関は維持管理料としてこれまでの点数に上乗せして算定できる、一方、これを選択しない医療機関が二年以内につくり直した場合は診療報酬は三割軽減するというような制度であります。  これはやる人間を何かこう欲と得でひとつ釣ってやろうと、一本釣りのような大変歯切れの悪い制度でもあるし、そして、どうしてこんなことをしなきゃならないのか。既に契約してあるものに対してその責任を再確認しようと、そのする方法としてはうまうましたみたいなお話をなさるわけです。しかし、高齢化社会になりますと、歯周疾患で歯の土台になるのがだめになってしまうケースも出てくるわけであります。どんなにきちんと入れ歯をつくりましても、歯科医師の責任だけで維持できるものではありません。  今回の措置は、見かけ二・二%アップ、実質ゼロ改定の診療報酬の財源探しのための苦肉の策ともとられるわけですが、制度新設の背景、財政効果についてお伺いするとともに、保障期間がなぜ二年なのか、二年間で壊れる補綴物の割合がどれぐらいなのか、厚生省はどんな認識をしているか、ひとつお聞かせいただきたいと思います。
  34. 岡光序治

    政府委員岡光序治君) 今回の改定で御指摘のような補綴物維持管理料を新設しましたが、その新設の背景についてまず御説明を申し上げます。  冠とかブリッジにつきましては、せっかく装着をするわけでございますので、それをいわば長もちをさせたい、長くうまく使っていただきたい、こういう気持ちがあるわけでございまして、そういう意味でそういう工夫をしていただくという点に着目をして、その部分につきまして高い評価を加えようじゃないかというのが背景でございます。  こういったものを取り入れた場合の財政的な効果という御質問でございましたが、これはそれを選択するかどうかというのがまず医療機関選択になっておりまして、どれだけこのような点数を採用されるか実は割合がわかっておりません。それから、二年以内のつくり直しの頻度がどういうふうになっていくのか、これについても実は把握できておりませんので具体的な財政効果の計算はしかねております。  それでもう一点、二年以内にというふうに期間を設定したことについてどういう背景があるのかということでございますが、これは私ども、いろんな学者先生とか研究がありますのでそれで見てみますと、物によって違いますけれども、大体こういった冠とかブリッジは平均で六年ないしは九年くらい壊れないで維持されておるというのがいろんな先生方の研究結果からうかがい知れる状況でございます。  そういうことでございますが、まちまちでございますので、したがいまして少なくとも二年というぐらいの期間はそれが維持されてほしいと、こういう思いがしますのと、もう一つ、これは補強的な発想でございますが、歯科の技工指示書、こういった関係書類はとりあえず三年間保存しておいてくださいということでございますので、どういう指示をしてこういう装着物ができたかということをチェックできるのは三年以内ということになりますので、そんなことを総合勘案いたしまして二年というふうな期間を設定したわけでございます。  もう一点、その二年以内に壊れているのはどんな状況かということでございますが、これも特定の大学での調査から得た資料でございますが、多く見積もって二年以内に壊れる割合は全体の一五%程度じゃないかという一つの調査がございます。この辺もこういったものを採用された実態を見た上でもう一回具体的にはチェックをしたいと考えております。
  35. 木暮山人

    ○木暮山人君 今は厚生行政のスタンスを見ていただこうと思って質問しているわけでございますけれども、平均六年、九年もつものはそれでいいじゃないですか。それを加算して二年以内に壊れたときはこうなんだよなんて、こんないいかげんなことをなさらなくてもいいんじゃないかと思うのでございますけれども、いややってみるんだとおっしゃれば、それで六年後また、今の局長がおやりになっているかわかりませんけれども、次の人が今の厚生大臣みたいにいろいろとまた質問されたりするんじゃないかと思うんですが、私はそういう意味ではちゃんと議事録を全部そろえて持ってきておるわけです、きょうは。  それでもう一つ腑に落ちないこと、これはやっぱり厚生省のスタンスなんですよね。国立病院の問題の十年間の経過、戦前、戦後から今までの経過を質問させていただきたいと思うのであります。  一つは、寝たきりの老人がいるわけでございます。寝たきりの老人は動けない。大変なんですね。簡単に言いますと、歯医者はその老人のところに訪問させていただくわけです。行って歯をつくってやる、治療をするわけです。  これは厚生省のお考えとして、個人の座敷に、立派なお宅もありますから、それは歯科の診療所より立派なところもあると思うけれども、寝たきりのお年寄りのいる部屋を保健所が認可される歯科の診療所、医療施設としてこれは緊急避難の意味でお考えになられているならば、これはいいと思うんですね。それでいいと思います。しかし、やはりそこで最終の終末治療までしてもいいんだよということをおやりになっているわけですね。  それで私は、不的確な、不安定な、完全に満足させることのできないようなものを患者に供給する、これ緊急避難だから気が休まればそれでいいといえばそれでいいのでありますが、そういうやり方の方が保険の点数が高くて、それで寝たきりの老人を歯科の診療所、病院に連れてきて入院させて、ちゃんと治療してもう九〇%機能回復させてお帰しする、この料金が違うわけですね。私は、こういう立場、いろんなお考えをひとつただしていきたいと思うんです。  これも今の見積もり違い、いいかげんな厚生行政の私は一つのあらわれじゃないかと思うんですね。これは少なくとも料金は、訪問診療でつくった補綴物というのは御存じのように少なくとも五〇%から五五%ぐらいの機能回復能力しかないもの、こっちの方が高くて、九〇%ぐらい機能回復している方が安いということでは、私はこれはどうしても納得がいかない。  厚生大臣、これをお聞きになって、いやそれでいいんだよと、いいかげんな方が高くていいかげんでない方が安いのでいいんだよとおっしゃれば私はいいし、緊急避難ということになればそれでいいと思うのでございますけれども、ちょっと一言大臣に御答弁をお願いしたいと思うのでございます。
  36. 菅直人

    ○国務大臣(菅直人君) 今、木暮先生のおっしゃることが私に正確に理解できておるかどうかわかりませんが、寝たきりの老人が大変ふえている中で、なかなかそういう方を歯科にあるいは病院にお連れしにくいという中で訪問をいただいて治療をしていただく、そういうことでそれに対してある程度のといいましょうか、かなりの訪問診療の点数をつけているというふうに理解しております。  確かに、その中でつくられる、何といいましょうか、治療の内容があるいはきちっとした施設の中でつくられるものと同等のものがなかなか難しいということが先生のお話からするとあるのかもしれません。  ですから、その中身というものがそれ自身の機能の問題と、多分寝たきり老人においても治療が受けられるようにという、今まで非常に受けにくいところを受けられるようにということを促進するために、そういう診療を促進できるようにということでいわば加算をしたのではないかと。  おっしゃる点に的確に答えられているかどうかわかりませんが、あえて答弁しろと言われたので私の感想を申し上げました。
  37. 木暮山人

    ○木暮山人君 そういたしますと、大臣は、機能回復能力が非常に悪いものでも、そこに行ってあげる、それでいいんだと今理解させていただきましたのですけれども、それは医療を担当する者としてはどこにどうなろうと最大のものを供給するという考えをみんな持っていると私は思うんです。  そういたしましたら、やはりこれは五〇%の回復能力と九五%の回復能力を患者さんに与えるということになれば、料金は少なくとも同じでなければいけないんじゃないかと思うのでありまして、そこのところをもう一度、いやいいんだ、やはり低い方がいいんだとお考えなものか、大臣、そこのところをもう一言お願いします。
  38. 菅直人

    ○国務大臣(菅直人君) 最初に申し上げたように、的確な答弁になっているかどうか、内容がはっきり、機能回復の差がどういう形であらわれるかということが実はちょっと私の中に明確にないものですからあれですが、私が申し上げたのは、機能回復という点での評価というのは当然それはそれとしてあっていいと思うんですが、例えば、私も親族でそういう状態になった人間がおりますが、寝たきりになったときになかなか歯医者さんに連れていくことができないという状態を考えたときに、連れていくことが難しいことについて、来ていただいて診療していただくというところにはそれなりの加算といいましょうか、いわゆる往診料のようなものがあることは合理的ではないかと思ったという意味で申し上げたわけです。そこにおける機能回復がどちらがいいという話とは別に、寝たきりの状態でも治療が受けられるという意味では意味があるのではないかと、そういうふうに理解して答弁したわけです。
  39. 木暮山人

    ○木暮山人君 今、寝たきりの老人を寝台自動車にでも何でも乗せて運搬できるわけでございまして、別に歩いてこいとか持ってこいということでじゃなくて、それを含めて私は少なくとも料金は同じにすべきだと、こう質問しておるわけでございまして、これについては大臣はいいんだと、そんなのは五〇%の方でいいとおっしゃっているならそれで結構であります。
  40. 羽毛田信吾

    政府委員羽毛田信吾君) 歯科の訪問診療を設けましたゆえん、理由は、今、厚生大臣が述べましたとおり、寝たきりというような形でなかなか通院が困難だというときでもやっぱり歯の治療を受けさせてあげるということが患者にとって一つの大きな意味がございますから、そういう意味で歯科訪問診療を設けているわけであります。  そのことを是とするならば、そこに行って処置等をすることが必要な場合もございますけれども、その場合には必要な設備は当然、先生も御指摘になったように、整っていないというようなことから、投入コストという意味でやっぱり在宅患者に対して行われる場合についてはそれなりの手間暇もかかり、また診療に当たられる先生の方からいえば、その分の余分な手間暇あるいは余分な神経を使うというようなことがございますから、そういったことを評価して加算をしているわけです。  一方、入院につきましては当然また入院ということに伴っての診療の評価の部分については、例えば在宅にはない入院時医学管理料というような形でのドクターズフィーを見るというように、それぞれそこは実態に応じた対応がされておるということで、もとはやはりそういう在宅において通院困難な場合でも歯科治療をやってあげる、やってあげるという言い方はおかしいですけれども、行うことが寝たきりのお年寄りにとっていいことかどうかということについて言えば、やはりいいことだというふうに考えているということから出発するのではございませんでしょうか。
  41. 木暮山人

    ○木暮山人君 それは当たり前のことなんですよ。そういうことがないとお考えになっているからそうなんでありまして、私が申し上げるのは、例えば診療をしに行く場合、自分の診療施設から患者さんのところまでお伺いする、それはグロースで料金を計算したとき同じになさったらどうかと言っているんです。患者さんをお連れして入院させて、治して、ちゃんと管理をよくして、そして少なくとも機能を九〇%以上回復してお帰しする、それのグロースのお金と、行って気休めで、何か本当に親切だよとだけ売り込んで機能は五〇%しか回復できないというのが同じ値段でいいものかなと、私はこう思っているんですよ。
  42. 羽毛田信吾

    政府委員羽毛田信吾君) 私ども、訪問診療をされて、その際にそこで判断をされて治療もしなきゃいかぬということである程度の治療までされた場合に、そこは一つはその患者さんの容体との関係で、このぐらいの容体ならしばらくすれば通ってこられるとなれば、それはそういう判断もあるでしょうが、それでもなおかつそこで処置もしなきゃならないという御判断があった場合には、それはやはりお医者さんとしてはいいかげんということは恐らくないと思います。置かれた状況下で一生懸命、最大限の治療をなさるんだろうと思います。  その際にはやっぱり診療する側からすれば訪問先での治療の置かれた条件と入院でやられるときの置かれた条件はそれぞれ違いますから、その際のコストというものを評価するならば、訪問診療で行かれたときにはやはりそういう設備等の整っていないところで神経も使い、またいろいろ技術的な配慮もしながらやられるという部分を評価し、また入院という形でやられたときには、入院であるがゆえにいろいろな医学管理をなさるという部分の評価をしということでそれぞれの評価がなされていると。  そういうことでございますから、同じ歯の治療であるからトータルで一緒にならなければいけないということには必ずしもならないのではなかろうかなというふうに考えます。
  43. 木暮山人

    ○木暮山人君 私は、やっぱり寝たきりの老人が点滴と流動食でどうなるかという極端な考え方、ちゃんと自分で物をかんで食べているという感じ、これは相当変わってくるんです。今そういう実験がいろんなところでなされていまして、こういうことですよ、大体八〇%以上回復して、本人が納得した補綴物、これが口の中に入りますと、かむ、食べる、話すという喜びが出てくるわけですね。人間はとって食うという本能があるわけですよ。今、その本能を全部死なせてしまっているわけですね。要するに、流動食を入れていればかむ必要はないんです。点滴をやっていればそれで済むかもしれない、極端なことを言いますと。やはり自分で物をとって、かんで、食って栄養をとらなければだめだという本能を生かさなかったら、老人は何の楽しみもないと思うんですよ。  余り長くしていると時間がなくなるけれども、そんなスタンスで考えずに、ひとつちゃんとした正確な、そして効果は最大の効果のある方をおとりになるようにいろいろ考えていただきたいと思います。  それで、いよいよ国立病院の問題に入りたいと思いますけれども、それが今の厚生省のスタンスだ、立場だと私は理解しまして質問をさせていただきたいと思います。  国立病院等の再編成に伴う特別措置に関する法律の一部を改正する法律案に対する質問に入るわけでありますが、改めて申し上げるまでもなく、我が国の医療は自由開業制のもとで私的医療機関を中心にこれまで成り立ってまいりました。国立病院等の再編成についても公私を問わぬすべての医療供給体制医療政策のもとで考えていかねばならぬ問題であることは論をまちません。私は、今回せっかくの機会でありますので、今申し上げた観点から我が国の医療政策のあり方全般も含め質問させていただきたいと存じます。  さて、国立病院療養所の再編成計画昭和六十一年度からおおむね十年間を計画期間として策定されました。それから十年が経過したわけでありますが、再編成は完了はおろか遅々として進んでおりません。先ほど尾辻議員もいろいろと御質問なさっておりましたが、再編成進捗状況、今後の目途、再編成がなかなか進んでこなかった理由についてもう一度お伺いしたいと思います。  また、今回の改正により再編成計画はどの程度進むと見込んでいるか、今回の法改正の効果について具体的に将来の認識をひとつお聞かせいただきたいと、かように思います。
  44. 松村明仁

    政府委員松村明仁君) 現行の再編成計画は、今、委員御指摘のように、昭和六十一年度を初年度といたしましておおむね十年間で、計画でございますが、数字を申し上げて失礼ですが、二百三十九施設のうち七十四施設を統合あるいは移譲により数を減らすというか、そういう統合、移譲を行いまして最終的には百六十五施設としよう、こういうのが十年前の考えでございました。  そこで、現在の進捗状況でございますが、統合、移譲を合わせてこれまで残念ながら計画を大幅に下回ります十三施設を減らしております。したがって、十三施設を減らして二百二十六施設となっておりまして、残りは六十一施設、こういう数字でございます。  この進捗がはかばかしく進まなかった理由をもう一度ということでございますが、私ども厚生省努力不足という背景があったということは認めざるを得ないと思うんですが、しかし計画を発表いたしましたときに、厚生省のこの国立病院がすぐなくなる、あるいはまた厚生省のこの再編計画というものが、何というか、説明不足もあったんでしょうけれども地元自治体等の理解が得られにくかった。それから、適当な引受先というものがあらわれなかった、あるいは得られなかった。それから、地域におきましては、単独の医療機関ではなくて、医療機関とあわせて保健衛生施設あるいは社会福祉施設等整備したい、こういう地域ニーズ、こういったものが変化をしておったんだと思うんですが、こういうものに対応できなかった、こういうことが進捗がはかばかしくなかった理由ではないかというふうに分析をしておるところでございます。  そこで、今回の改正におきましては、これまでの再編成進捗状況あるいはこの間におきます医療計画策定というような問題、それから地域における医療保健福祉、こういったものは総合的に進めていきたいというような状況が出てまいりましたので、こうした変化を踏まえまして、地域ニーズを的確に反映することによって地域の万々が医療機関以外にもそういった資源を使える、そういう選択の幅を広げて再編成の一層の推進を図ろう、こういうふうに考えておるところでございます。  また、今後の目途といいましょうか、見通してございますが、現在十施設ぐらいで実際に動きがございまして、さらに今回法改正をいたしますことによって相当数のケースにおいて具体的な動きか出るものと期待をしておるところでございます。
  45. 木暮山人

    ○木暮山人君 どうもありがとうございました。    〔委員長退席、理事朝日俊弘君着席〕  要するに、調査不足と見積もり違いということでございまして、それと社会の変動でございますからこれもいたし方ないことだと思うんですが、やはりその都度すぐ対応して、もし悪かったら直していってもいいんじゃないか、私はこんなふうに考えております。  今度この法律をおつくりになるわけです。やはり、見積もり違いとかいろんな手違いが出てくると思います。そのときはやはり遠慮なくどんどん一番いい方向に持っていって、いやおれは決めたんだからこうだよと、そして十年たってだれもいなくなってからまた法律改正するなんて、そんな考え、スタンスではなくて、ちゃんと日本の国家の厚生行政というものをひとつお考えになっていっていただきたい、かように思います。  次に、皆様の方に通告いたしておきましたものはもう時間がございませんからちょっと飛ばさせていただきまして、これは同僚議員からもたびたび取り上げられておりますが、こういう厚生行政というものをおやりになる裏にはそれを担当する立場の人間がいるわけですね、患者さんとお医者さんという感じで。その患者さんの方はいいですね。  第一次医療体系でお医者さんを充足した。第二次医療体系では制度整備した。しかし、余りもたもた整備しているうちに高齢化社会に乗りおくれてしまった。今、高齢化社会を一生懸命追いかけていても、まだその高齢化社会に追いついていないのが現状で、第三次の医療体系の問題というのはそういうところに大変な問題が内在しているのではないか、こんなふうに思うのであります。  それはそれとしまして、いわゆる保険医、要するに医療を担当する側でありますね、この担当する保険医療機関保険医に対する指導、監査についてお伺いしたいと思うのであります。  我が国の医療制度は、自由主義経済を基盤とする自由開業制度と国民皆保険制度という性格の相反する二つの制度を基盤にして成り立っております。医療保険制度のもとで、国は医療機関保険医本人を指定し、民間の機関も個人も国の管理下に繰り入れる二重指定方式を採用しております。さらに、医療保険の内容は、診療報酬という価格統制のもとで医療を規格化し、標準化した現物給付となっております。  さらに、医療機関医師、歯科医師に対する指導、監査を強める中で、歯科の医療保険においてはかつて、御存じのように、水野旋風といいまして、これにたたかれて十何人かの方が自殺しております。これはなさった方が全部悪いわけでもありません。強硬な厚生省の態度、これが非常に影響したわけであります。これは昭和二十七、八年の話でありますけれども、それによって国民皆保険制度が成り立ってきているわけであります。また、その後、上杉事件に代表される幾つかの不幸な事件が起こりました。本委員会においても、先般、愛媛の事件が同僚委員より取り上げられましたが、指導、監査による不幸な事件は、自殺として公表されていないものを含め、私の承知している範囲でもまだ数件あります。    〔理事朝日俊弘君退席、委員長着席〕  そこで、過去五年の個別指導、監査件数についてまずお尋ねします。さらに、個別指導あるいは監査の呼び出しを受けながらこれを欠席した者の数、個別指導、監査の呼び出しを受けた後、自殺を含めた死亡もしくは医療機関を閉鎖した事例についてどの程度把握しておられるか、お伺いしたいと思います。
  46. 岡光序治

    政府委員岡光序治君) 個別指導の過去五年間の実績でございますが、平成二年度から六年度までの合計は三万五千九百件、年平均で約七千二百件でございます。それから、監査につきましては、二年度から六年度までの合計は二百二十件、年間の平均件数が約四十五件でございます。  それから、個別指導を欠席するという事例があるかということでございますが、病気だとかいろんな理由で欠席をなさっても、その後そういう病状の回復を待つなど当該の医療機関と調整をいたしまして、予定している個別指導対象についてはすべて実施をしております。  それから、不幸な事例はどのぐらいかということでございますが、過去五年間で四例となっております。これにつきましては、医師ケースが二ケース、それから歯科医師ケースが二ケースというふうに把握をしております。歯科のケースで申し上げますと、共同指導をする三週間前に亡くなられたというのが一つ、それから共同指導の前日に亡くなられたというケースがもう一例でございます。  それから、この指導、監査の結果、どういう状況になっておるかということでございますが、監査が、先ほど申し上げましたように、五年間で二百二十件でございますが、そのうち保険医療機関の取り消しを行いましたものは九十八件でございます。
  47. 木暮山人

    ○木暮山人君 私の知っている中でも、これは歯医者だけでも二件では済んでいないですね。北海道で一件あります。これは御存じですか、北海道の件は。それで福井県の件も御存じですか。三重県の件は御存じですね。それと愛媛県。まだ枚挙にいとまなく幾らでもあります。  欠席はだれもなさらないと先ほどおっしゃったけれども、前日に自殺していたらだれが出てくるんですか。当然欠席しているわけですよ。  ところで、こういうようなことがなぜ起きるか、それをどんな認識でいるか、ちょっとお伺いしたいと思います。
  48. 岡光序治

    政府委員岡光序治君) 愛媛県のケースで私ども申し上げたいと思いますが、愛媛県のケースは、個別指導の前の日に自殺をされたケースでございます。愛媛県を通じて確認をいたしましたのですが、指導との関連性については必ずしも明らかとなっておらないということでございます。  もう少し突っ込んでいろいろ聞きましたら、指導を受けるに当たって県の歯科医師会等から、こういう格好で指導を受けなさい、こんな質問が恐らくあるだろうからそれについては十分準備をしておきなさい、こういうふうな趣旨のそれこそ事前の対応ぶりについて関係者からいろいろアドバイスを受けられたようでございまして、恐らくそういったことが大きなプレッシャーになってそういう不幸な事件につながっていったのではないだろうか、こんなふうに認識をしております。  私ども指導そのものにつきましては、監査ではございませんので、保険のシステムをよく御理解いただいて、その約束事に従って保険診療を行っていただきたい、こういう趣旨でいわば教育的なことを優先して考えているわけでございまして、あくまでも懇切丁寧に行うということが基本方向でございます。
  49. 木暮山人

    ○木暮山人君 どうも御苦労さまです。  局長は、口をお開きになれば指導のモットーは懇切丁寧だと言われております。懇切丁寧で自殺者が出るわけはありません。  現場では大変な陣立てで指導、監査が行われております。その会場に指名されて出る場合は何か法廷に出るような感じで、厚生省関係保険課の方、それから県の保険課、それとそれに関する人たちが大勢集まって一人に対していろんな質問をするわけです。また、ひどいときは机をたたいて怒りつける。そうやって指導される方が、これは経験が豊富で、何か基準があってそういう行政の権限まで持っているのかということになると、そこまではないんじゃないか。  それでまた、そういう指定を受ける場合のシステムが物すごく狂っていると思う。それはどういうことかというと、県からまず医師会、歯科医師会に、ことしは何人ぐらいあなたの方で指導、監査しますよと。それから、その中から今度県の方から、はい、じゃこの方たちはいかがなものでしょうと出すわけです。そんな事実は御存じないと思いますけれども。  そうしますとどういうことになるかというと、いろんな悪弊が生じてくる。そんな悪弊の中でこの国民皆保険が本当に国民に対して濃密な、高度な医療を施していけるかといったら、私はこれはなかなか施していけないと思いましてこういう問題を表向きに今出してみたわけでありますが、きょうはこれをやるのには時間が三十分や四十分じゃとても間に合いませんもので、そういうスタンスを厚生省の方ではひとつ十分お考えになって、今、四月の大綱ももう一度ちょっと見直されたらよろしいんじゃないかと思う。  ということは、今の医療保険というものは請負制ではありません。出来高払いです。それで約束事です。それで、今度保険医療費の予算がこれぐらいことしはできたよというと、本当はこれは厚生省でちゃんと点数を定めるべきだと思うんですよ。それをつかみ取りみたいに、各担当のグループに、おまえの方は二・二%予算上げたのに、勝手にしなさいよと。そんな二・二%というけれども、頻度の余計なものと頻度の少ないものがありまして、頻度の余計なものだけで計算したら二・二%だけれども、それは余り必要のないような点数の上げ方で、本当に必要なものについて保険点数は逆に下がったりしています。これは厚生省がどうやって上げているか下げているか、中央医療協議会も私はわからないと思いますよ。しかし、今のシステムがそうなってきているからそれでいいんだとおっしゃれば、それで私はいいと思いますけれども。  そこら辺を厚生省として今度の体系の中でもいわゆる出来高払いの最高の一〇%を監査とか指導対象にするというような意向を持っているということは、これは萎縮診療をさせる。日本の医療というのはもうこれ以上伸びない。それを抑制して今の延命治療を抑えるならそれでいい。しかし、今の延命治療そのものはいわゆる脳外科、これが脳の移植ができないということになれば、脳のいわゆる生命だけの人生になると思う。肝臓とか腎臓を幾ら取りかえていっても、脳を取りかえることはできないでしょう、今から。そうしますと、そこら辺で延命治療を今まで厚生省が放任してきた、いわゆる国民皆保険の一番大事なところを放任してきた結果が、あと五年か十年たつと大変な問題になってくると私は思います。  そういう意味では、それを今から逆に予算だけで抑える、一番上の請求高の高い一〇%を指導、監査の対象にするなんということを細々今度の新しい大綱で書いてあるということは、これはちょっと考えなきゃならないと思うんですけれども、そこら辺のお考えをお示し願いたいと思います。
  50. 岡光序治

    政府委員岡光序治君) 指導に当たりましては、先生御指摘がありましたような恣意性が入っては困りますので、したがいまして客観基準としてレセプト一件当たりの点数を基準に考えたいと思っております。  それから、恣意性排除のためには、どの医療機関指導対象にするか、その選定委員会を設けまして対応したいと考えております。しかも、そういった点数につきまして、非常に高点数であるというのが合理的な理由で高点数な状況につきましては、それは指導から外すということも考えておりまして、私ども考えておりますことは、むだな医療を排除して、かつ良質な医療を効率よく確保するという観点からそういう指導を行うという考え方でございます。  なお、診療報酬につきましては、そのときの医療機関の経営状況、それから国全体の経済の状況、これは国民負担の関係でございますので、そういったものを総合勘案いたしまして、とりあえずどれだけトータルとして補えばよろしいのかという発想診療報酬改定のトータルの対応について判断をしてもらうわけでございます。そして、そのトータルの判断の中でどの部分に配分をしていくのかというのは、個別の点数につきまして最も必要なところにその配分を決めていく。そして、結果といたしましていわば各診療科がバランスよく、今申し上げましたような良質な医療を効率よく供給できるようなそういう体制になるようにということで改定をやっているつもりでございます。  その改定の考え方もまた医療機関関係の皆様方によくよく御理解をいただきまして、その約束事にのっとって適切に医療をやっていただく、こういうことで相協力をしていい国民医療を確保したい、こういう考え方でございます。
  51. 木暮山人

    ○木暮山人君 まことに結構なことでございまして、そのように実際なるようにひとつお願いしたいと思います。  もう一つ指導、監査の問題で、指導医療官の資格というものを国がどのように定めているのか、ひとつお答え願いたいと思います。
  52. 岡光序治

    政府委員岡光序治君) 私どもは、指導医療官につきましては臨床経験、それから人格、識見、こういったものがちゃんと一定のレベルに達しているようにという観点から選んでいるところでございます。  といいますのは、保険医療機関に対する指導でございますので、その診療内容の適否など医学的な専門事項について判断を必要としますので、そういう意味で臨床経験、それから指導を行うに当たりましてはやはり円満な人格、バランスのとれた性格でないといけないと思いますので、人格、識見、こういったものを一つの判断基準にいたしまして選定をしているところでございます。
  53. 木暮山人

    ○木暮山人君 最後に、厚生大臣に一言お伺いしたいと思うんです。  今、局長からの御答弁もありましたが、実際、いわゆる指導医療官は大学を卒業して四、五年ぐらいの方がたくさんおります。それが三十年も四十年も開業している歴戦の勇士を監査、指導するわけであります。このギャップはなかなか大変だと思います。それが現在の状況であります。  私は、やはりそれはそれなりで結構ですよ、局長の言われるように、人格、識見、学識経験でとおっしゃるならそれでいいのでありますが、そういう規定があるかということは、私は問いたくもありませんけれども、そういうものを含めまして、大臣、日本の今の厚生行政というものは非常に岐路に立っております。謝るだけが能じゃなくて、国家百年の大計を、せっかく大臣におなりになったんですから、ここで示してあげていただきたいと思うんです。みんなうろうろしちゃって歯切れの悪い法律ばかりつくっているんです。水俣病からいろいろ御苦労だと思いますが、今度は内向きにこれから百年はこうやるんだという大き左指針を、日本の国のために、大臣、ひとつお願いしたいと思います。
  54. 菅直人

    ○国務大臣(菅直人君) 先日もたしか予算委員会でしたか、阿部先生の方から日本の戦後の平均寿命がどう変化したかというのを提示いただいて、それを見ますと、率直に申し上げて私は日本の厚生行政というのは、その数字はたしか戦後、昭和二十二年から平成七年か六年かの間であったと思いますが、大変な平均寿命の延びでありまして、そういう点では本当に非常に成果を上げてきた厚生行政だったというふうに言っても、それは全くどなたも異存がないのではないかと思うわけです。  ただ、同時に、成果が上がった中で新しい問題がまさにいろいろと起きてきている。それは、もちろん高齢化という問題もありますけれども先生の今言われたこの診療報酬のあり方も含めて、今までのままでいいのかどうかという議論は当然あろうかと思っております。私も出来高払いというものの制度について若干以前から関心を持っておりましたけれども、確かにいろいろな矛盾もありますけれども、一方ではこの制度によって、何といいましょうか、いろいろな診療が行われてきて、先ほど申し上げたように、結果として今日のようなほとんどの人が医療保険の中で診療を受けられ、相当の平均寿命を実現したということでは、マイナス面もいろいろ部分的にはあったかと思いますが、トータルとしては私はこの制度もプラス面が多かったというふうに見てもいいのではないかと思っております。  ただ、今日に至った中で、その中でのいろいろな矛盾点、今、先生からもおっしゃいましたけれども、高ければ必ず悪いかといえばそうではなくて、もちろん中身によっては高度の医療も必要な場面もありますし、また先ほど訪問の場合のこととかいろいろなことも言われましたが、なかなかこの出来高払いだけでは質的なものの評価が難しいという側面もあるということも承知をいたしております。  そういう中で、とても私に厚生行政すべてについてどうあるべきというところまで言えるだけの力量はありませんけれども、少なくとも今後の二十一世紀に向かっての厚生省のあり方あるいは医療のあり方というものは、従来の成功は成功として、改めてある意味では新しい白紙の上にどういう制度をつくるかというところまで考えるぐらいのつもりで議論をしていく必要があるのではないだろうか。そういう意味では、きょう伺った問題も含めてそういう議論の材料にさせていただきたい、このように考えております。
  55. 木暮山人

    ○木暮山人君 どうもありがとうございました。  これで質問を終わらせていただきます。
  56. 水島裕

    ○水島裕君 国立病院等の再編成の一層の推進を図るための今回の法律案には原則として賛成でございます。しかし、地域住民の健康、福祉、あるいは職員の再雇用などに十分配慮をすることが必要という意見を平成会は持っております。  私は、本日は特に政策医療を担う都市部の基幹的な国立病院に関しまして意見を述べ、御回答をいただきたいと思います。  まず最初に、エイズ関連ということになりますが、エイズの拠点病院を公表すべきではないか、あるいはそうするように都道府県に厚生省が十分働きかけるべきではないかということでございます。  今回の薬害エイズの問題で国民のエイズ患者さんに対する感覚、認識というものも大分変わりまして、エイズの患者さんが病院に来たからほかの患者さんが減ってしまうというようなことは少なくなったように思われます。また、その拠点病院の多くは国立病院でございますので、経営も安定しているということであります。さらに、御存じのB型、C型肝炎というのは、もちろんエイズに比べれば軽症でございますけれども、やはりうつっていろいろ問題を起こすということでございますが、どの病院もこのウイルス性肝炎は受け入れているわけでございます。それですから、まずその拠点病院を公表すべきではないかということについて御意見をいただきたいと思います。
  57. 松村明仁

    政府委員松村明仁君) エイズ治療の拠点病院名につきましては、地域医療機関に周知をいたしますとともに、患者・感染者の方々にも明らかにすることが望ましいことはもう当然でございます。したがいまして、厚生省といたしましては、従来より拠点病院名の公表につきまして関係機関に働きかけているところでございます。  具体的な努力といいましょうか、例を申しますと、四月十二日に都道府県エイズ拠点病院等緊急連絡会議というものを持たせていただきまして、拠点病院名の公表につきまして各都道府県あるいは各拠点病院の幹部の方に直接公表の促進を働きかけたところでございます。また、今、委員御指摘の指導ということでは、広く一般に差しさわりがあるということで公表ができない残念な場合ですけれども、しかしながら少なくとも医師会でありますとかその他の専門団体あるいは患者団体の方々等には拠点病院の周知を行うよう、これは四月五日でございますけれども、各都道府県にも指導をしたところでございます。  今後とも、こうしたことで情報が十分に提供できるように努めてまいりたいと思います。
  58. 水島裕

    ○水島裕君 私どもも班会議などを通して努力いたしたいと思います。  次に、要望でございますけれども、エイズの患者さんというのは主として血友病の専門家等にかかっておりますので、国立病院を拠点病院となされるときは近くの血友病の専門家の人とよく連携をとっていただきたいということを申し添えておきます。  次に、難病等の政策医療についてお尋ねいたしますけれども、昨年の厚生科学会議でもって免疫異常あるいは代謝性疾患、感覚器障害という疾患について研究拠点となるような病院あるいは研究所が必要ではないかということが提言されておりますし、この三月にはリューマチとアレルギーが標傍科として厚生省の医道審議会で認められたわけであります。  ですから、こういう疾患を中心にナショナルセンターに準じた施設ができると非常にいいというふうに考えているわけでございますけれども、いかがでございましょうか。あるいは進行中のものがございましたらお答えいただきたいと思います。
  59. 松村明仁

    政府委員松村明仁君) 厚生科学会議の御提言も私ども受けとめております。そういうことで、今、委員御指摘の免疫異常あるいは感覚器障害あるいは代謝性の疾患など、長期にわたりまして苦痛やあるいは日常生活あるいは社会生活上の制約を伴う疾患に対する医療につきましても非常に重要なものである、さらに私ども国立病院療養所が行うべき政策的な医療だと考えております。  そういうことで、アレルギーあるいは代謝性疾患の糖尿病あるいは腎疾患などの疾患に対しましては、これまで全国の中心的な役割を果たす病院基幹病院あるいは基幹施設というふうに位置づけまして、専門病床を整備するとともに、研究面の充実ということで臨床研究部を設置するなど、医療臨床研究面での体制整備を行っておるところでございます。  今後、全国の中核となります国立病院療養所機能整備及び研究拠点としての整備について十分研究を行いまして、再編成計画を通じてこういったことの推進努力してまいりたいと思います。
  60. 水島裕

    ○水島裕君 リューマチとアレルギーにつきましては、例えば実績のある国立相模原病院というものの機能強化しまして、今のがんセンターのように診療とともに研究、研修、それから情報発信といったような機能を持つようなものにすると、実績を踏まえて非常に合理的でいいのではないかと思いますが、いかがでございましょうか。
  61. 松村明仁

    政府委員松村明仁君) 国立相模原病院という名前が出ましたが、私ども国立相模原病院はリューマチ、アレルギーに関する専門的な力があると、こういうふうに思っておりまして、これも今申し上げましたような基幹施設として位置づけておるところでございます。それで、専用の病床を整備しておりまして、専門外来というようなことにもかねてより努力をしてきておるところであります。  こういったことで、昭和五十一年には、前にも一般論で申しましたけれども臨床研究部というものも設置をさせていただいて、診断、治療に加えまして、日常のそういう活動のほかに治療法の研究などの推進を図っているところでございます。今、委員御指摘の情報の発信というようなことも今後の重要な機能だと、こういうことを認識して今後機能強化の方策につきましては検討させていただきたいと思います。
  62. 水島裕

    ○水島裕君 ちょうど標傍科で認められ、患者さん方も非常に望んでおりますので、ますます計画を進めていただければと思います。  それから、先ほどの厚生科学会議で出てきた残りは感覚器障害と代謝性疾患でございますが、その例としましては糖尿病とか視力障害があると思いますけれども、こういう疾患についての治療というのは現在ある程度の病院以上では大体うまくいっているんじゃないかと思います。しかし、その根本的な治療に結びつく研究となりますと十分ではないのであります。  実は、こういう疾患の根本的治療あるいは進歩というのは、医学ばかりではなくて高分子化学とか工学とか、そういうものとの共同、いわゆる集学的な研究が必要でありまして、そうすれば私は根本治癒、それから非常に著しい改善というのも夢ではないと思います。  そういうことを踏まえまして、例えば糖尿病センターあるいは目のセンター、むしろ研究の方に重きを置いて診療プラス研究ができるセンターということが非常に必要じゃないかと思いますけれども、御意見がございましたらお願いいたします。
  63. 松村明仁

    政府委員松村明仁君) 先ほども申しましたけれども、疾病の範囲というのは非常に広うございます。また、高齢社会というようなことで、成人病を中心としていろんな代謝性の疾患でありますとか、あるいは感覚器の障害というようなことが重要な問題となってきておることは私ども理解をしております。  こういった長期にわたる疾病あるいは社会生活上の制約を伴う疾病等については、今後取り組むべき課題と位置づけまして、治療・研究体制の充実などに鋭意努力をしてまいりたいと思います。
  64. 水島裕

    ○水島裕君 何となくインパクトがないお答えのような気がします。  私は、いろんな疾患から幾つか選んで申し上げているというのではなくて、厚生省の厚生科学会議でもって免疫異常と代謝性疾患と感覚器障害、そういうふうに提言されたわけで、それに沿って私もそれだったらこういうのがいいと申し上げているのでありまして、疾患がたくさんあるから何とかだというのではなくて、やはり一貫して政策を進めていただきたいと思います。  それでは次に、国立病院の活性化について御質問をさせていただきたいと思います。  これまでいろいろ取り上げられなかったことも菅厚生大臣になってからは思い切って取り上げられたりしておりますし、文部省の方も来ていらっしゃいますね、文部省もぜひそうであってほしいと願っておりますので、御質問したいと思います。  国立がんセンターなど一部の国立病院を除きますと、国立病院というのは行きますと何となく暗いんですね。それで、活性化されていないということで、何とか活性化する道がないかと思っていろいろ考えているわけでございまして、私は二つアイデアを申し上げたいと思います。  一つは、私どもの同僚が国立病院に行くとき、国立病院にすぐれた人材に行ってもらいたいわけでございますけれども、そういうときに教授とか助教授にはなれなくなるというのが一つの大きなネックになって行かないとか、そういうことになってしまうのでございます。結局、よしあしは別としまして、そういう肩書も国立病院で使える、あるということになると非常にいい人材が行くわけでございます。  そのために二つ道があるんじゃないかと思います。  一つは、国立病院にすぐれた臨床家がいらっしゃるわけでございます。その人を近くの、あるいは関連の大学にクリニカルプロフェッサーとしてお招きして、その大学ででもよろしいし国立病院でもいいけれども、学生とか研修医の指導をしてもらうということにしますと、今そこにいらっしゃる文部省と厚生省でもめております研修医の必修化ということにもいい影響があるのではないかと思います。  もう一つ、逆に今度は大学の教授、助教授、これは私立大学がやりやすいと思いますけれども、一回休職しまして、例えば五年ぐらい休職しますと、ずっと助教授、教授で例えば某私立大学ではいられるわけでございます。休職しまして、その間、例えば五年を限って国立病院の部長に就任する、そういうことをうまく繰り返していきますと、両方の定員制も問題ありませんし、非常に活性化されるし、コミュニケートもできるわけであります。  こういうようないわば一種の人事交流というのが本質的にできるものか、厚生省の担当局長、それから文部省の担当課長、それからぜひ菅厚生大臣に御意見をいただきたいと思います。
  65. 松村明仁

    政府委員松村明仁君) すぐれた人材を国立病院に招聘するといいましょうか、またその逆で国立病院のすぐれた医師、あるいはその他の職種の方でもいいんですが、大学等の交流ということでございます。  事務的なことをちょっと申し上げますが、例えば国立病院の職員を大学等の業務に従事させる場合でございますが、国立大学でありますと併任発令というようなことでできるわけですが、私立大学の教授等を兼務させる場合は兼業の許可というようなものをとっていただく、こういったことで対応をしておるところでございます。  それから、逆に大学等の職員の方を国立病院の業務に従事させる場合にあっては、これも国立大学の教授からは併任発令、また私立大学の教授の方であれば非常勤職員として任用するということでございます。  そういうわけで、そういう道はあるわけでございますが、数というものは残念ながらそう多くはないのかなと考えています。
  66. 寺脇研

    説明員(寺脇研君) 国立病院を初めといたしまして、大学以外の病院の優秀な臨床医の方々が医学部あるいは附属病院におきまして教育指導に携わっていただくということは医学部、また附属病院の医学教育、また診療水準の向上にも大いにつながると考えまして、文部省としてもこれは積極的に考えてまいらなければならないというふうに思っております。  現行の制度におきましては、国立病院等から来ていただく場合には非常勤講師あるいは客員教授というような制度を活用することが考えられますが、これをさらに一歩進めまして、大学外の優秀な臨床医の方々が大学の教育指導に携わることができるような新たな制度を設ける必要があるのではないかということで検討をしておるところでございます。  昨年十一月から文部省に設けております将来の医学医療の在り方に関する懇談会におきましても、御指摘のような制度の意義について積極的に議論がなされているところでございます。今後、この懇談会の議論の結論等を踏まえつつ具体的に方策を打ち出してまいりたいというふうに考えております。  また、私立大学の教授等が国立病院で勤務をするという件でございますが、私立大学の教員の労働条件は労働基準法等一般的な労働法制による規律のもとで学校法人と教員との労働契約等に基づいて決定される仕組みになっております。  御指摘のような件の取り扱いにつきましては、私立大学側から申し上げれば、休職について労働法制上の制約は特段ございませんので、学校法人と教員の間に合意が成立する限り可能であると考えております。また、そういった人事交流をやりますことは当該私立大学にとっても教育研究、診療の充実につながるものと考えております。
  67. 菅直人

    ○国務大臣(菅直人君) 国立病院の活性化のために人事交流をという水島先生の御提案であります。  率直に申し上げまして、特に医療の分野、私もこの間、こういう立場になりまして、いわゆる国立病院という厚生省が監督をしている部門と、同時に国立、私立の大学及び大学病院というものとが一方で共通の課題取り組みながら、逆に言えば行政としては別の役所に属しているということの中で思った以上に、何といいましょうか、そこにいろいろな制度上の壁というのか、あるいはいろいろな交流がかなり自由にいけているのかなというように外にいたときには思っていたんですけれども、今、先生から言われたように、必ずしもそれほど自由な行き来になっていないということを最近感じております。  そういう意味では、どの分野も重要ではありますけれども、特にこの分野はまさに一体として議論をしている、あるいは役割分担をしていろんなものが進んでいる分野ですから、人事の交流というのは大変重要だというふうに認識しております。  研究振興のために民間資金を導入することや、私立大学を含めた大学の教授をその資格のままで国立病院に勤務させるといったことも考えられますし、先ほど政府委員の方からも言いましたように、いろいろな併任とか非常勤とか、あるいは先生が言われたように休職とかいろいろな扱い方があろうかと思っております。  そういう点では、きょうは文部省の担当の方も来ておられますが、私が言うのも、余り言い過ぎになるとあれですが、役所の壁を超えた医療分野における交流というものをもう少し積極的に現場段階でも議論してもらいたいと思っておりますし、私も私なりに努力をしてみたい、このように考えております。
  68. 水島裕

    ○水島裕君 文部省の方もこの間の木曽医学教育課長に続いて寺脇課長がとても話がわかりそうなので安心しました。ぜひこの話は続けていただきたいと思います。  それに比べて松村局長の方は、今エイズその他で大変御心労だとは思いますけれども、先ほどもちゃんと休職して行くというふうにいろいろ御質問しているわけでございますので、もう少しよく厚生省の方も検討して、私はこれまでは文部省の方が話がわかりにくくて厚生省の方がわかりいいと思っていたのが逆みたいで、誤解なさっているんだと思います。  最後に、本当はまだ私数分あるんですけれども、少し時間を食っているそうでございますので最後はこちらからの希望だけにしたいと思います。  もう一つ国立病院を活性化するのに必要なのは研究費でございます。ことしも政府が推し進めている基礎研究に約五%ぐらいを出すという政府の方針、特に足腰を強めるための研究、基礎科学の研究というのが大変必要でありまして、これも国立病院では同じだと思います。もちろん、臨床的な思考がある程度入ることは当然でございますけれども。  ところが、今、国立病院というのは民間から資金が非常に入りにくくなっているわけですね。がんセンターにしましても財団をつくってやっているということでございますので、ぜひ、きょうはもう時間がなくなりましたから結構でございますけれども、民間の資金を研究に入れやすくすることをもう一度考えていただかないと、随分古い法律で今やっていらっしゃるようでございますので、その点最後に意向だけでもあるいはおっしゃっていただければありがたいと思います。
  69. 松村明仁

    政府委員松村明仁君) 先ほど私の答弁に不足がございまして、まことに申しわけありませんでした。  先生の御指摘のようなケースにつきましては、相手方の報酬の有無とか、勤務時間等の勤務条件によっていろいろ本務に影響等の問題があるという可能性もありますので、個別に十分検討させていただきます。  それから、研究費の問題でございますが、国立病院といたしましては、現在、受託研究という予算の項目がございまして、制限というか、限度がありますけれども、ここで一応民間の方からの研究費も受け取れるような窓はあいているということでございますが、今の先生のお話はもっと広いお話だと思いますので、今後検討させていただきたいと思います。
  70. 水島裕

    ○水島裕君 それでは、終わりにいたしますけれども、現在のことは大体わかっていて、しかも調べて御質問しているわけでございますので、その点次回からどうぞよろしくお願いいたします。
  71. 西山登紀子

    西山登紀子君 この法案につきまして、ある病院の院長さんにお伺いいたしましたところ、もとの法律国立病院の安売り法というふうに言うならば、この改正案というのは国立病院のいわば投げ売り法だと、こんなふうな指摘をされたわけです。  もちろん、医療施設の安売りだとか投げ売りなどは本来あってはならないことであるわけですけれども、私はこういう比喩といいますか御指摘はずばりこの法案の本質を指摘されたように思いました。国民の目は非常に鋭く厳しいものであるというふうに思いました。  そこで、まずこの法律の成立過程、これを振り返ってみたいと思うんですけれども、もともとこの法律というのは大変な難産の末成立したものです。第百四国会に提出されたわけですけれども、そのときは衆議院の本会議で趣旨説明がされただけ、百五国会で廃案、再度百七国会に提出されたわけですけれども、百八通常国会でも継続、百九国会でやっと成立をしたわけです。しかも、そのとき賛成したのは与党の自民党だけでございました。当時野党であった各党はそろって反対をしたわけです。それほど国民の中に異論があり、国民の抵抗が非常に強かった、そういう法律であったわけです。  私は、今この十年を振り返りまして、当時の野党が国民の財産である国立病院の安売り、こういうことに反対をしたことは正しかったというふうに思いますし、またこの十年の経過がそのことを明らかにしたのではないかと思います。  この統廃合法によって十年間で、先ほども説明がありましたけれども、全国二百二十九カ所のうち三分の一の七十四の施設を統廃合または売却、これが方針であったわけですけれども、実際はどうであったかといいますと、売却による減目標三十四カ所のうち実績はわずか二カ所です。統合による減目標はどうかといえば、四十カ所のうち十一カ所。もうこの計画は失敗をしたと、こういう結論ではないかと思うんです。  再編成が所期の目標どおりに進まなかった原因、先ほど局長はるる言われたわけですけれども、私はこれは説明にはなっていないと思うんですね。自治体理解が得られなかった、引受手がなかった。それでは十年かかっても理解が得られなかったその理由は何なのか、十年かかっても引受手がなかったその理由は何なのかと、こういうもっと掘り下げた本質的な解明が必要だと思うんです。そういう意味でもう一度お伺いします。  再編成が目標どおりうまく進まなかった最大の要因は何と考えていますか。
  72. 松村明仁

    政府委員松村明仁君) 繰り返すようでまことに恐縮でございますが、私どもといたしましては、厚生省努力という問題もあったかと思いますけれども、やはりこの計画が出たときに各自治体におかれては、単に国立病院をなくしていく、そういうふうな危惧があったと思われます。これはもちろん我々の説明不足というようなこともあるんでしょうけれども、いずれにいたしましても地元自治体理解が得られなかったこと、それから適当な引受先があらわれなかった、得られなかった、それからさらに地域といたしましてはそれぞれその地域ニーズというようなものも変わってきた、そういうことに対応できなかった、こういうことが私どもの分析によります。その理由でございます。
  73. 西山登紀子

    西山登紀子君 少し聞き方を変えたいと思うんですけれども、この再編合理化方針に反対を表明した自治体の数は延べ三千以上にも上るわけですね。  厚生省が発表した統廃合の対象施設に該当する自治体でこの統廃合に積極的に賛成を表明した、この方針に賛成だという表明をした市町村はありましたか。
  74. 松村明仁

    政府委員松村明仁君) 再編成計画の公表当時の自治体の反応につきまして必ずしも詳細に把握はできていないところでございます。  しかし、最近の傾向について申し上げますと、再編成によりまして我々が目指しております広域を対象とした高度なあるいは専門医療などを新しい機能としたそういう病院が実際にできてきた、さらにまた経営移譲の場合には、移譲を受けてそれから地域の御要望に合った病院を実際につくっていく、こういったケースを目の当たりにされて、私どもの感じますところでは再編成に対する自治体等理解も進んできた、今後この動きが出てくる、こういうふうに感じております。
  75. 西山登紀子

    西山登紀子君 お答えになっていないと思うんですね。方針に賛成を表明した市町村はあったかという質問なんです。もう時間がありませんので私の方から申し上げますけれども一つもないわけですよ。秋田の本荘市、ただ一つ当初は賛成していたわけですけれども、しかし今は強く反対しています。  私は、うまく進まなかった本当の理由というのは、私もあちこちの要請にも行って視察も重ねてきたわけですけれども、本当の理由は住民、議会、それから首長も含めて国の地域医療からの撤退には反対だ、むしろ国は地域医療にも政策医療にももっと責任を持って自分たちの地元でよい医療をしてほしい、この意思と抵抗が予定どおり進まなかった最大の要因ではなかったかと思うわけです。  そしてまた、例えば引受手がないというお話がありましたけれども、この二つの移譲先のうちの一つは福知山です。この福知山は、調べてみますと、移譲をしたわけですけれども、累積赤字は今四億四千万円になっています。最も引受手がない理由はここにあるのではないでしょうか。  そういうふうに考えてみますと、普通、政策を再度決定する場合にはこれまでの実践から教訓を酌んで方針を決めるものではないかと思うんです。この十年間の実践をきちっと分析をいたしますと、教訓を酌み取るといたしますと、これは私が指摘をしておりますように、国民の意思というのは、また各自治体の意思もそうなんですが、国民の意思や要望というのは、やはり国立の機関として地域医療の中核あるいは政策医療をしっかりやってほしい、これが十年間かかって酌み取る教訓ではないかと思うんです。  ところが、政府の酌み取り方というのは全く逆で、国民の要望とは全く逆で百八十度違うと思うんですね。安売りはだめだ、今度は投げ売りしかない、こんなふうに政府が教訓を酌み取って今度の改正を出してきたということについては、私は本当に問題であり賛成できないわけであります。  そこで、大臣にお伺いいたします。  今度の法案の法改正にはこういう経過があり、こういう背景があるわけです。ですから、八七年の国会で厚生大臣が、当時は斎藤さんですが、御答弁なさっています。この計画は「見切り発車をしてやっていくというような性格のものではない」、「話し合いを十分に重ね、大方のコンセンサスを得られるまで努力をいたしてまいる。」、このように回答しているわけですけれども、菅厚生大臣もこの立場を引き続き踏襲していただきたい。踏襲してくださいますね。
  76. 菅直人

    ○国務大臣(菅直人君) 十年前、私も衆議院の社会労働委員会にいて議論をした覚えがありますし、正確には覚えておりませんが、当時私は野党でしたから賛成はしなかったのかもしれないと今思い起こしておりました。  ただ、今、西山委員がおっしゃる論理というのは、論理としてわからないことはないんですけれども、つまりは地域医療の中核も国立病院でやれ、しかし同時に政策医療もやれと。しかし、率直に申し上げて、相当性格が違うわけですよね。  ですから、本来、何といいましょうか、それぞれの地域国立病院というものが相当のウエートを占めていた時代から今はベッド数で五%といった時代になって、そういう中では政策医療に集中していこうと。つい最近もALSの患者さんがまた来られましたけれども、そういう難病の方とかそういう方に対する対応に集中して力を注いでいこうという方向性が私は次第次第に理解を増してきているんだろうというふうに思っております。  ですから、そういう点では両方やれと言われるのは、それは両方をやるという考え方もあるかもしれないけれども、少なくとも現在厚生省としてはこの国立病院療養所については政策医療を中心にしたものに力を入れて、それによって国民の要望にこたえようといたしているということをぜひ御理解いただきたいと思うわけです。  そういうことを含めて、確かに再編成に当たっては、とはいえども自治体関係者等の理解を得なければならないと思っておりますので、自治体を初め地元関係者とは各種の機会をとらえて十分話し合いをして理解を得ながら進めていくこととしていきたい、再編成計画国立病院療養所機能強化のためには不可欠であって、ぜひともなし遂げねばならないものでありますので、そういう前向きの部分も含めて、そして跡地利用の問題も含めて地元関係者の十分な御理解お願いしていきたい、こう考えております。
  77. 西山登紀子

    西山登紀子君 次に、譲渡対象の問題について質問をいたします。  政令で譲渡対象を拡大するというふうにしているわけですけれども国立病院部が出している懇談会の報告というものを見ましたところ、その譲渡対象の中に財団法人等の公益法人や、それから医学部を持たない学校法人などもこの譲渡対象に拡大することが検討をされているわけです。さらに、もっと広く、更地となった場合の扱いだとか、そういうようなことにも言及がされています。私はこの拡大は非常に問題があるというふうに思うわけです。先ほど投げ売りという比喩を紹介いたしましたけれども、その投げ売りになる最たるものではないかというふうに思うわけですね。  公益法人といっても、いろいろな公益法人があるわけであります。当委員会でも質問がありましたけれども、あの安部氏の血友病総合治療普及会、これも厚生大臣認可の財団法人であるとか、いろいろ学校法人でも補助金の流用等問題になったような法人もあります。ということで、譲渡対象を安易にこういうふうに広げるということは許されないと思うんですね。  その点について、公益法人などを対象とするべきではないということについての御答弁をお願いいたします。
  78. 松村明仁

    政府委員松村明仁君) 今回の再編成特別措置法改正は、地域選択の幅を広げまして一層の推進を図るということで進めておるところでございます。  そこで、この譲渡先の問題でございますが、これにつきましては現在、委員も御指摘のように、政令の改正事項でございまして、譲渡先となる医療機関の開設者の範囲をどのようにするか、私どもは、今申しましたように、再編成の一層の推進を図るためにはやはり地域のそれぞれの人たちが受けやすくする、そういうことで開設者の範囲も拡大したい、このように考えております。  具体的な点につきましては、現在協議を進めているところでございます。
  79. 西山登紀子

    西山登紀子君 次に、譲渡要件の緩和についてお聞きしたいと思います。  私は、先ほど来投げ売りとかいろいろ比喩を用いているわけですけれども、働いている人が現にいるわけですよね。そして、その人たちは国家公務員として、国民の公僕として誇りを持って仕事もしていれば生身の人間でもあり家族もあるわけです。そういう人たちをひっくるめて移譲する、あるいは売り渡す、こういう計画であるわけです。新たに三分の一以上二分の一未満の職員引き継ぎというようなランクを設けまして、その場合は八割引きだというようなことであります。  私は非常に心配なのは、条件が緩和されると再就職ができない人が出てくるのではないか、一体それはだれが選ぶのか、残る人はだれなのか、どうなるのか、こういう不安が出てくるわけです。  そこで、八七年の国会審議のときにもその点が非常に問題になっておりまして、御答弁の中で職員の身分や勤務条件や給与や処遇などに関する事項については十分配慮するという国会答弁もあるわけです。表現は悪いわけですけれども、生首は決して切らない、失業するような職員は絶対に出さない、この点を明確に答弁をしていただきたいと思います。
  80. 松村明仁

    政府委員松村明仁君) 統合される場合、あるいは施設が移譲をされるという場合に、そこに勤めておられる方々の処遇というものは最も重要な問題の一つと私ども考えておるところでございます。  そこで、これまでの例でもそうでありましたように、各職員の希望を尊重するために、まず計画段階からよく御説明をする、それから意向調査等を行います。移譲先を希望する場合、自分は国立病院の移譲が決まってその移譲先の方に行きたいという場合は、厚生省と移譲先でその職員の方々の将来について調整を十分に行います。また、自分は国立病院でやはり勤務したい、こういう方につきましてはその希望を尊重する等、身分の保証が確保されるように最大限の努力をしておるところでございます。
  81. 西山登紀子

    西山登紀子君 最後にお伺いしたいと思うんですけれども厚生省のこうした姿勢、つまり国立病院への住民の期待、それに真っ向から受けて立とうとしない、こういう姿勢というのは現存する国立病院に対してもそういう姿勢があらわれているわけです。  国立京都病院の例を申し上げたいと思うんですけれども、先日私は組合の方からの御要請がありまして視察をしてまいりました。国立京都病院の産婦人科病棟で大変な実態があるということを感じました。  平成五年の十二月に改善命令を厚生省は出しているわけですけれども、改善というのは言いかえれば看護婦さんの定員を減らすということです。ベッド数を産婦人科病棟で五十六床を四十二床にいたしまして、看護婦さんを八人減らしました。夜勤の準夜が四名だったのを三名、深夜が五名だったのを三名、こういうふうに減らしたわけです。三名というと何か複数で夜勤をしているように思われるかもしれませんけれども、それは違いまして、未熟児・新生児室というのがあって、また褥室、分娩室というのがあって、婦人科があってと、こういうふうにコの字形に大きな広い広い病棟、二つの病棟を合わせたような産婦人科病棟なんです。つまり、各コーナーは一人ずつの夜勤になるわけです。こういう状態になっているわけです。  問題は、分娩数はどうかといいますと、若い夫婦の国立病院に対する期待というのは非常に強うございまして、看護婦さんを減らした平成六年度はどうかといえば、これは厚生省の調べですけれども、前年度、平成五年度の六百八十分娩数よりも上回って七百五十一分娩数、こういうことでよりたくさんのお母さんが分娩をしているわけです。ところが、定員は減ってしまっているわけです。  しかも、平成七年一月の組合の方で調べた患者数、私も非常にびっくりしたんですけれども、ベッド数四十二、この四十二をオーバーしている日にちが何と一カ月のうち二十七日、定数内はわずか四日です。未熟児室というのがあるんですけれども、これは定数内はわずか一日、あとは全部定数をオーバーして未熟児が入っているわけです。しかも、その未熟児の中には超未熟児と言われる一千グラム未満の赤ちゃんが、一千グラム未満といえば片手に乗るぐらいの大きさです、この赤ちゃんが厚生省のお調べになったデータでも一年間に分娩数の〇・八%いらっしゃるということ、異常出産は一八・二%、こういう状況であります。私は大変心配です。事故が起こってからでは取り返しがつかない、こういうことです。  ですから、二つの点をお願いをします。ぜひ実態を調べていただいて、看護婦さんの過重労働やあるいは患者さんの安全、こういうことをしっかり考え対策を直ちに立てていただきたいということが一つです。もう一つは、京都の乳児死亡率は全国二位というような悪評があるわけですけれども、NICUというのが、特定集中治療室ですね、これがありません。ですから、国立病院がそういう点、空白を埋める使命を持っていると思いますので、周産期医療の中心として国立京都病院整備していただきたい、この二点をお伺いして質問を終わります。
  82. 今井澄

    委員長今井澄君) 時間がオーバーしておりますので、答えは極めて簡潔にお願いいたします。
  83. 松村明仁

    政府委員松村明仁君) 実態調査をいたしまして、必要であれば対策を講じたいと思います。
  84. 齋藤勁

    齋藤勁君 今回の再編成に伴う特別措置に関する法律の一部改正でございますが、これまでも説明あるいは議論になっていますとおり、昭和六十一年度を初年度とする対象の数が二百三十九、そして現在実績として十三、こういうことに実はなっております。  まず、第一点目にお伺いいたしますけれども、今回の新しい考え方、再編成に対する一つの方向に伴いまして、いつを目標にして今後取り組んでいくのかということについて、従来はおおむね十年をということで今日に至っているわけでございますけれども、今回は何年ぐらいを目標にしていくのかということについてお伺いしたいと思います。
  85. 松村明仁

    政府委員松村明仁君) 大変厳しい御質問でございますが、この再編成計画といいますのは、今ずっとお話し申し上げましたように、各地域におきまして医療をうまく引き受けていただくということ、あるいはまた医療の秩序といいましょうか分布といいましょうか、医療状況変化しないように移譲なり統合なりをうまく進めるということで、いずれにいたしましても相手があるといいましょうか、非常にいろんな関係がございます。したがって、現時点においてその完了時期を具体的に見込むことはまことに困難であるということは御理解いただきたいと思います。
  86. 齋藤勁

    齋藤勁君 前回の法律提案のときに議論された議員の方もいますし、大臣もそのときの社労の委員だったということも先ほど答弁の中でございましたけれども、当時の、昭和六十年二月一日のいわゆる懇談会の答申、そして引き続き三月二十八日に厚生省が基本指針を出していまして、「昭和六十一年度を初年度とするおおむね十年」というのがこの基本指針の方にあるわけですね。  今回はまだいわゆる懇談会の提言というものなんですが、今回も当時と同じようにこういうような数字も含めました基本指針ということについてはもう既に検討されて用意されているのかどうか、今、局長からの答弁もございましたけれども、目標数値について触れていく、年次について触れていくというような用意があるのかどうか、再度お伺いしたいと思います。
  87. 松村明仁

    政府委員松村明仁君) 前はおおむね十年で見直すといいましょうか、そういうことで行われておりましたが、今回もその辺については、今申し上げたように、見込みということはなかなか難しいところがございます。本当に具体的なことを申し上げると、現在十ケースぐらいは動きがございます。こういったことで、もしこの法案が成立をいたしますと、こういったケースは非常に弾みがつくと思っております。  また、再編成を要する施設は六十一施設あるわけでございますが、これもこの法案の成立を待って相当数に具体的な動きが出ると期待はできますが、いつまでにと言われますとちょっとなかなか答えにくいと、御理解いただきたいと思います。
  88. 齋藤勁

    齋藤勁君 私は、神奈川県が選挙区でございまして、昨年の七月当選したてのまだほやほやでございます。前回も含めてでございますけれども、今日までの統合案と、そして今回の再編成に当たっての考え方対象病院は実は同じ病院名が記載をされております。  現時点に立ちましてお伺いしたいと思いますけれども厚生省考え方で言います国立横浜東病院国立横浜病院の統合ということについて、どう統合しようと考えておられるのかということ、そして同じく国立療養所神奈川病院国立小児病院二宮分院との統合についての考え方、そして国立横須賀病院の移譲先についてどう考えられているのか、三点につきましてお伺いしたいと思います。
  89. 松村明仁

    政府委員松村明仁君) 国立横浜病院国立横浜東病院の統合のケースでございますが、横浜病院と横浜東病院は横浜市内にございます。距離的にも近接しておりまして、さらに近隣には類似の機能を有する相当数の規模の医療機関がある、こういう状況でございますので、目下の計画によりますと、横浜病院と横浜東病院を統合いたしまして、国立医療機関として相ふさわしい機能を果たしていくための施設として整備することとしております。  それから、国立横須賀病院の移譲のケースでございますが、横須賀病院国立病院の中では病床の規模が二百八十一床ということで比較的小そうございます。また、入院患者さんの割合というのがほとんど地元の方、九〇%ということで地域一般医療を中心とした医療機関となっておりますことから、再編成計画においては国が直営いたしますよりも地域関係の深い他の経営主体に経営を移譲するという計画になってございます。地元方々と相談をしながら進めてまいりたいと思っております。  最後に、国立療養所神奈川病院国立小児病院二宮分院でございますが、この二つの医療機関とも距離的に近接をしております。また、二宮分院というのは六十一床でございます。こういったことから見まして今後の期待される国立医療機関としての機能を果たすことは難しいということでございまして、二宮分院と神奈川病院を統合いたしまして、難病等の基幹施設としての役割を果たすような医療機関として整備をしていきたいと考えております。
  90. 齋藤勁

    齋藤勁君 そこで、これからの地元自治体との合意の進め方でございますけれども、先ほど来なぜ進捗しなかったかということについてるる厚生省の方から答弁がございました。  御案内のように、それぞれの自治体では医療計画を立てて、そしてまた医療計画の見直しの時期に入っているわけですね。今、神奈川県のそれぞれの統合と移譲についての現段階の考え方を伺いました。神奈川県で言いますと、既にもう終盤の段階に入っていまして、来年の二月にはとにかく医療計画の改定について見直しをオープンにしていくと。私も正式にまだ伺っておりませんけれども、この十年間の厚生省の統合再編についての流れをずっと見てきて、また十年というようなことは県は思っていませんけれども、引き続きこれまで県内にある国立病院はすべて現存してそのままあるんだという想定でどうもこの見直しの作業に入っているという、そんなように実は私も伺っているところであります。  そういう点で言いますと、今度はさまざまな実は方策をして進捗をしようというふうに言いつつも、そして自治体の方にいろいろ協力を求めると言いつつも、先ほど来言っている厚生省努力不足があって自治体の方にはまだそんなふうに実は現段階では届いていないと。これからやるんだという厚生省のお考え方かもわかりませんが、少なくともここできちんと調整を図らないと大変な実は事態になるわけですね。  そういう意味で、とりわけ私は神奈川県というふうに言っておりますけれども、この県の医療計画見直しとの関係について、調整をしていくということについての厚生省考え方について伺いたいと思います。
  91. 松村明仁

    政府委員松村明仁君) 今後の国立病院療養所の期待される機能といいますものは、主として広域を対象とする高度または専門的医療を担当していくと、こういうふうに考えております。そういうことで地域医療計画の中にもやはり位置づけられて、私どもとその他公的、私的の医療機関連携をしながら機能を果たしていくということは当然のことと考えております。  したがいまして、これまでも各自治体と話し合いをよくしたつもりではありますが、さらに具体的に再編成を進めるに当たりましては、各都道府県並びに地元自治体方々と十分な話し合いをしてまいりたいと思います。
  92. 齋藤勁

    齋藤勁君 大臣、今回の改正をされた以降の進め方、地元自治体と十分調整し、話し合いを持っていきたいということでございますけれども大臣考え方について伺いたいと思います。  いずれにしましても、地元自治体が今申し上げましたように積極的に例えば協力支援していくということにならなきゃ成り立たないと思います。私自身も身近なところに、東病院も横浜病院も私自身の住所に近いところにございますが、御承知りとおり、横浜というのは三百万都市ということで、いかに距離が近くてもそれだけ人口がいるということでそれだけの医療を必要とする、こういうふうになっていくわけでありまして、後の医療、そして同時に今度の特定施設も含めまして具体的に連携をしていかなければ、やっぱりこれは絵にかいたもちになってしまうというふうに思います。  そういう意味で、自治体に対して、いわゆる住民に対してそのための条件あるいは環境の整備が私は不可欠であると思います。その点について大臣のお考えを伺いたいと思います。
  93. 菅直人

    ○国務大臣(菅直人君) 今、齋藤委員おっしゃったとおり、国立病院療養所の再編成計画を進めるためには地元自治体理解と協力が不可欠だと考えております。このため、地元自治体理解と協力を得ることができるようにするためにも、再編成推進方策の柱であります再編成特措法、今回お願いしているこの法律改正をすることによりまして地域選択の幅を広げ、再編成の一層の推進を図ろうといたしているところであります。  具体的には、これまで再編成取り組みの過程で浮かび上がった地域ニーズを反映することにより、地域において再編成を受け入れやすくするために、譲渡後の国立病院等資産利用範囲医療機関のほか、これからますます必要になるとされております福祉施設などをあわせて整備する場合にも適用を広げていきたいということが一つ入っております。  また、従来の運営費補助制度に加え、国立病院等資産減額譲渡を受ける医療機関施設整備に要する費用補助制度、これを新たに設けることによってその後の地域医療の、何といいましょうか、整備の補助ということの措置も行いたいということにいたしております。  さらに、平成八年度から国立病院療養所の再編成計画に基づく移譲、または統合後の後利用に関する地元自治体計画作成に対する補助制度計画作成自体に対する補助制度を導入して国立病院等の跡地の活用計画への支援を行うことにいたしております。  こういったことを含めまして、先ほど来繰り返して申し上げておりますように、自治体を初め地元関係者の皆さんといろいろな機会をとらえて十分話し合いをして、理解を得ながら進めてまいりたい、このように考えております。
  94. 齋藤勁

    齋藤勁君 ただいま大臣から後段で地元とよく話し合いという答弁がございました。なお再度私も意見を申し上げて終わりたいと思います。  いずれにしましても、単純に統合、国の立場になれば廃止になるわけですけれども、いずれにしてもその後の医療、そして同時にさまざまな施設を含めた国と自治体地元の入った中での連携を十分とっていただきたい。ですから、理解を得た上でというのはやはりあくまでも私は大前提になろうかというふうに思います。  そしてまた、衆議院の方でも附帯決議ございますし、参議院でも附帯決議があろうと思います。これから附帯決議も提案されるわけでございますので、その点につきましてきちっと守っていただきながら、今度の改正に伴う法律の実効を図っていただきたいということも申し上げさせていただきまして終わりたいと思います。
  95. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 社会民主党の朝日でございます。  私は、今回提出されております法律案の中で、新たに創設をされる管理委託を伴う地方公共団体への譲渡の場合の減額措置という、この項目についてやや実務的に厚生省及び自治省の方にお尋ねをしたいと思います。正直申し上げて、ちょっとよくわからない点がある、こういうことでございます。  そこで、まず第一点はこの減額措置ですが、これは一たん国から地方公共団体が土地、建物等の譲渡を受ける、そしてその譲渡を受けた上でその医療機関の管理運営のすべて、一部ではなくてすべてを他の団体に委託する、こういう場合を想定しているというふうに読めますが、そう理解してよろしいでしょうか。
  96. 松村明仁

    政府委員松村明仁君) 管理委託ということでございますが、地方公共団体が国立病院等の土地、建物等の資産譲渡を受けた後に、その病院あるいは医療機関の運営をみずから行うのではなくて、地方自治法第二百四十四条の二に基づき、公益法人等他の団体に当該医療機関の管理運営を委託することでございます。
  97. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 その場合、その医療機関は地方公営企業法の財務規定等の適用を受ける病院、いわゆる自治体病院あるいは公立病院、こういう規定になりますかどうか。そして、地方公営企業法の適用を受けるとすれば、当然その医療機関病院事業会計について自治体の議会にその会計報告を提出する義務があるというふうに理解いたしますが、それでよろしいでしょうか。
  98. 木村良樹

    説明員(木村良樹君) 病院事業につきましては、地方公営企業法第二条第二項により、大学附属病院や独立の伝染病院等、特別な場合を除き地方公営企業法の財務に関する規定が当然に適用されるということになっております。地方公共団体が管理委託を行う場合も設置主体はあくまで地方公共団体ということでございますので、みずから病院会計を設け、これには地方公営企業法の財務規定が適用されるということでございまして、またその予算や決算につきましては地方議会の審議を経るということになっております。
  99. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 三つ目に確認しておきたいと思いますが、この減額措置の適用を受ける場合には、今お話のあった委託先の医療機関が、自治体、地方公共団体ではなくて、委託先の医療機関国立病院等の職員の二分の一あるいは三分の一以上を採用することが条件というふうに書かれておりますが、そうなりますとこの場合の職員の身分、雇用関係とかあるいは雇用条件、これは委託先の医療機関の職員、こういう扱いになりますか。あるいは設置主体である当該自治体の職員という扱いになりますか。この辺ちょっと確認させてください。
  100. 松村明仁

    政府委員松村明仁君) 管理委託によります経営移譲に際して国立病院等の職員を引き継ぐ場合に、その職員の身分は地方公共団体の職員ではなくて、委託先の医療機関の職員として採用されることになります。
  101. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 四つ目に、先ほども少しお答えが一部あったんですが、もう一度伺います。  地方公共団体が病院事業の全部を他の団体に委託するという場合、これは現状では必ずしもそう多くはない形態だというふうに思いますが、そのような場合に地方公共団体から管理委託を受けることのできる団体の範囲といいますか、基準といいますか、条件等があればお聞かせいただきたいと思います。
  102. 木村良樹

    説明員(木村良樹君) 地方公共団体は、地方自治法第二百四十四条の二の規定に基づき、地方公共団体が出資している一定の法人、公共団体もしくは公共的団体にその施設の管理委託ができるということになっております。  病院につきましては、現在管理委託されている例としては、地元医師会や第三セクターとしての医療公社などがございます。
  103. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 五番目に、そうしますと、現在幾つかそのような管理委託の形態で運営されている病院があるというお話ですが、当然その病院事業の会計報告、その内容は当該病院の診療活動あるいは財政運営の状況を少なくともその事業会計報告を見れば自治体議会において十分にチェックできる程度の内容、詳細な収支決算報告も含めてそのような内容の報告が提出されているべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  104. 木村良樹

    説明員(木村良樹君) 管理委託の場合でございましても公の施設ということでございますので、その設置、管理に関すること、例えば一般的に言いますと料金等というようなものは条例で定める必要がございますし、また地方公共団体は管理受託者から報告を徴し、実地調査を行い、また必要な指示等を行うことにより管理の適正を期すことと法律上されております。また、毎年度の予算、決算は議会で審議されるということになります。
  105. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 なぜくどくどとこの点についてお伺いしたのかといいますと、せっかく自治体譲渡を受ける、しかし管理運営をその他の団体に委託してしまう、あとのチェックができないようでは困る、こういう観点からお尋ねしたわけであります。  お聞きしますと、一応制度上そのようにきちっと自治体の議会でチェックできる仕組みがある、こういうお話でございますが、実は正直申し上げると、そのような制度や仕組みが必ずしも実態的には的確に運用されているとは思えないような事例もありまして、一つ具体例を挙げれば、ある病院では病院の医業費用の細かい明細が出ておりませんで、全体の費用の八〇%が委託料、こういう形で報告されているようなものもありまして、これでは材料費が一体幾らかかっているのか、人件費が幾らかかっているのか、その中でも医者がどれぐらい取っているのか、こういうところはちょっとチェックしようがないような報告もあるわけですね。  そういう事例もあるということから考えて、私は自治体、地方公共団体が病院事業を丸々管理委託する方式というのは必ずしもお勧めできないといいますか、決して安易に採用されるべきではないというふうに思っております。ましてや今回国立病院譲渡を受けるということで、このことがある種強引に、ある種安易に進められ過ぎますと、今度は既存の自治体病院までもが管理委託、こういう動きにもつながりかねないわけでありまして、そのようなことがあってはならないということを特にここでは強調しておきたいと思います。  したがって、今回の措置自治体が受けとめる場合には、先ほどもお話がありましたように、福祉関連施設などの併設等も含めて、まずは自治体が直営でやってみたらどうなのか、それができないとすれば簡易管理委託方式でやってみたらどうなのか、その上でメリット・デメリットを十分にしんしゃくした形で、しかも自治体政策的な判断として一定の結論を下すような姿勢が必要だろうというふうに私は考えますが、いかがでしょうか。
  106. 木村良樹

    説明員(木村良樹君) 御論議いただいております管理委託方式でございますが、これは地域医療確保のため当該地域において病院の存続が不可欠ではあるけれども、地方公共団体には病院経営のノウハウが十分に備わっていないというケースもあろうということからその道が開かれたものというふうに考えております。  そういうことでありますので、そもそもそのような形で国から病院の移譲を受けるかどうか、そのものが地方公共団体にとって高度の政策的判断を要する問題であるというふうに考えております。  このような視点から、私ども、今回の法律改正に当たっては、厚生省との間で地方公共団体が国立病院の移譲または譲渡を受けるか否かは地方公共団体の自主的な判断によるものであるという共通の認識を有しているところでございます。  こういう流れの中での管理方式でございますから、御指摘のとおり、直営か管理委託かは当然のことながら当該団体が慎重な判断のもとに決められるものと、このように考えております。したがいまして、このことが既存病院の管理委託を促進するというようなことにつながるというふうには考えておりません。
  107. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 以上でお考えとしてはおおむね理解できましたが、実際私も数カ所、国立病院療養所自治体で受けた、あるいは受けようとしているところにお邪魔をしていろいろお話を伺いました。直営で結構それなりに、むしろこれまで以上にきちんとやっておられるところもあるわけですので、ぜひそんな点も含めて、いろんな事情があるでしょうし、あるいは経緯があるでしょうから一概には言えないと思いますが、ぜひ慎重な対応お願いしたいと思います。  それでは次に、実務的な話から少し飛びますが、ぜひこの機会に大臣に基本的な考え方お尋ねしたいというふうに思っていることが一つございます。  それは保健医療福祉サービスの提供体制、これを整備確保していくための行政責任を一体どこが担うのが一番適切なのかという、こういう問題であります。  ちょっと急にふろしきを広げ過ぎて理解しにくいかもしれませんが、現実問題としてそういう仕組みを、法律制度をつくる、こういうことを含めて最終的な責任は国にあることは言をまちませんが、さらにそれぞれのサービス提供体制、提供主体は多様な運営主体が参加していいというふうに考えます。しかし、それらを含めて一定の行政主体がサービス提供体制整備確保についてそれなりに責任を持って計画を立て推進し、あるいは誘導していく、こういうことがぜひ必要なのではないかというふうに私は常々思っています。  最近、幾つかの法改正の中で、例えば高齢者の福祉サービスについては、主として在宅サービスを中心に、この部分は市町村でぜひ責任を持ってくれ、施設サービスについては市町村のレベルでは少し狭いかもしれないから高齢者の保健福祉エリアを設定して、そこで一定の整備確保を図ろうではないかと、こういう方向が示されてきておりますし、またそれに沿った計画も立てられてきているわけですね。  同じような計画、都道府県医療計画というのが実はあるわけですが、どうもこれまでの都道府県医療計画はどちらかといえば二次医療圏ごとの病床規制という何か抑えに回る役割だけであって、むしろ私は二次医療圏を基礎的な単位として、例えばそれぞれの病院あるいは医療機関の適切な役割分担と相互の連携を図るなど、地域あるいは二次医療圏のレベルでの医療提供体制整備を図るためにぜひとも必要な圏域設定だと思うし、それを都道府県がもっと積極的に推進する、こういう位置づけを明らかにしていくべきではないかと、こんなふうに思っています。  先ほど来の質疑の中でも、やはり都道府県の医療計画国立病院のこれからの再編成の問題とどう調和を図っていくのかというお話がありました。私は、ぜひこの機会に、当該自治体だけではなくて、むしろ医療機関医療提供体制整備確保に関して都道府県がもう少し明確な責任を有する、こういう形での位置づけができないものかというふうに思っているんですが、この点、大臣の基本的な考え方で結構ですので、お聞かせいただければと思います。
  108. 菅直人

    ○国務大臣(菅直人君) 都道府県が大きくいえば保健医療福祉サービスについて責任を持つべきだと思うけれども、どういう形で考えているかという趣旨で、なかなか大きな問題ですので十分的確な答えになるかどうかわかりませんが、一応考え方を申し上げてみたいと思います。  医療提供体制整備に関する都道府県等の行政責任については、医療法においては、国及び地方公共団体は良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保に努める旨の総則的な規定が置かれております。また、御指摘のとおり、都道府県は医療提供体制の確保に関する医療計画の策定が義務づけられるとともに、国及び地方公共団体は医療計画の達成のために必要な措置を講ずるよう努める旨の規定がされているところであります。  都道府県等の行政責任についてさらに明確にすべきとの御意見でありますが、昨日取りまとめられました医療審議会の意見具申においては、都道府県が、地域における必要病床数のみならず、つまりは二次医療圏の必要病床数といった量的な問題のみならず、専門医療、救急医療あるいは僻地医療の確保、また医療施設間の業務連携など、医療計画に必ず明記をする方向で医療計画の見直しの方向が提言されたところであります。  今後、地域の実情を踏まえて地域に必要な医療提供の体制をどのように確保するかという観点から、都道府県等役割についても検討して、医療審議会の意見具申も踏まえて必要に応じて制度改正を行ってまいりたいと思っております。  そういった意味で、今、朝日委員の方からもおっしゃいましたように、都道府県の役割というのをもう少し、量だけでなく質、あるいはいろいろな関連性を含めて受け持っていただく、責任をもうちょっと受け持っていただく範囲をふやす方向で検討していく必要があるのではないか、このように考えております。
  109. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 今、私の問い方が少し悪かったのかもしれません。必ずしも総則の中にきちんと書けということを言っているのではなくて、むしろ医療計画がどちらかといえば病床規制的な側面が強く、整備の方向でのベクトルが非常に少ないじゃないか、具体的なそういう積極的な役割を都道府県にもっと担っていけるようなという思いで申し上げましたのでちょっと誤解のないように、ぜひ今お話のあった医療計画の見直しを含めてそのような方向の検討を期待したいと思います。  最後に、これで質問は終わりますが、一言だけせっかくの機会ですから要望を申し上げておきたいと思います。  三月末に薬害エイズ訴訟の和解が取りまとめられました。その後引き続きどのような治療体制の確保、恒久対策をつくっていくかということが今具体的な協議課題になっていると思います。先ほど水島委員からのお話もございました。これは与党三党の福祉プロジェクトの方からの申し入れと軌を一にして、国立病院がエイズ治療の拠点的な機能をぜひ積極的に担っていただくことも含めて再編成計画推進していただくよう、これは最後お願いを申し上げまして質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  110. 今井澄

    委員長今井澄君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  111. 西山登紀子

    西山登紀子君 私は、日本共産党を代表して、国立病院等の再編成に伴う特別措置に関する法律の一部を改正する法律案に反対する討論を行います。  八四年に閣議決定された行革大綱で国立病院療養所の整理合理化が決定され、厚生省は、八六年度から九五年度の十年間を目途に、国立病院療養所の約三分の一に相当する七十四施設を統廃合、または経営移譲を行おうとしてきました。しかし、この十年間、国立病院療養所の統廃合は計画どおり進んでいません。この最大の要因は、地域医療を守れ、国は医療に責任を持てという議会や住民等の切実な声が根強かったからであります。反対決議を上げた自治体は延べ三千にも及んでいます。政府は、この十年間の実績や国民の要望に謙虚に耳を傾け、正しく教訓を酌み取るべきです。  ところが、政府は逆に本改正によって国立病院等譲渡要件をさらに緩和しようとしています。地方自治体直営以外に第三セクター等への経営移譲を認め、また政令で譲渡対象を公益法人、特定医療法人、さらに医学部を持たない大学などにも拡大しようとしています。このように、本改正案の本質は、国立病院等をいわば安売りから投げ売りに転じて、再編合理化を一層促進しようというものであります。  私は、長年、国民医療を担ってきた国民の貴重な財産である国立病院等を、またそれを支えてこられた職員の皆さんの努力を無にするような、このような改正案には到底賛成することはできません。  今こそ、国民、地域住民の切実な医療要求にこたえ、国立病院療養所整備拡充をこそ図るべきであることを指摘して、反対の討論を終わります。
  112. 今井澄

    委員長今井澄君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  国立病院等の再編成に伴う特別措置に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  113. 今井澄

    委員長今井澄君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  釘宮君から発言を求められておりますので、これを許します。釘宮磐君。
  114. 釘宮磐

    ○釘宮磐君 私は、ただいま可決されました国立病院等の再編成に伴う特別措置に関する法律の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、平成会及び社会民主党・護憲連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     国立病院等の再編成に伴う特別措置に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行に当たり、次の事項について、適切な措置を講ずるべきである。  一、国立病院療養所国立医療機関としてふさわしい役割を果たせるよう、再編成等を通して、その機能強化を図り、難病、エイズ、広域災害医療等の政策医療を積極的に展開すること。  二、国立病院療養所が国民の期待に応えていくよう医療スタッフ及び施設設備の強化に努めるとともに、経営の効率化を図ること。  三、国立病院療養所における健全な労使関係の確立に引き続き努めること。  四、国立病院等の再編成に当たっては、自治体等関係者と十分話合いのうえ進めるとともに、地域医療計画との整合性を図ること。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ御賛同いただけますようお願い申し上げます。
  115. 今井澄

    委員長今井澄君) ただいま釘宮君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  116. 今井澄

    委員長今井澄君) 多数と認めます。よって、釘宮君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、菅厚生大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。菅厚生大臣
  117. 菅直人

    ○国務大臣(菅直人君) ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その御趣旨を十分尊重いたしまして、努力をいたす所存でございます。
  118. 今井澄

    委員長今井澄君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  119. 今井澄

    委員長今井澄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十二分散会