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1996-05-07 第136回国会 参議院 建設委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年五月七日(火曜日)    午後一時一分開会     —————————————    委員の異動  四月二十六日     辞任         補欠選任      谷川 秀善君     倉田 寛之君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         永田 良雄君     理 事                 石渡 清元君                 太田 豊秋君                 片上 公人君                 緒方 靖夫君     委 員                 井上  孝君                 岩井 國臣君                 上野 公成君                 橋本 聖子君                 山崎 正昭君                 市川 一朗君                 長谷川道郎君                 福本 潤一君                 山崎  力君                 赤桐  操君                 大渕 絹子君                 山本 正和君                 奥村 展三君    国務大臣        建 設 大 臣  中尾 栄一君        国 務 大 臣        (北海道開発庁  岡部 三郎君        長官)        国 務 大 臣        (国土庁長官)  鈴木 和美君    政府委員        北海道開発庁総        総監理官     松川 隆志君        北海道開発庁計        画監理官     半田 博保君        国土庁計画・調        整局長      塩谷 隆英君        国土庁土地局長  深澤日出男君        国土庁大都市圏        整備局長     五十嵐健之君        国土庁地方振興        局長       岩崎 忠夫君        建設大臣官房長  伴   襄君        建設大臣官房総        務審議官     小野 邦久君        建設省建設経済        局長       小鷲  茂君        建設省都市局長  近藤 茂夫君        建設省河川局長  松田 芳夫君        建設省道路局長  橋本鋼太郎君        建設省住宅局長  梅野捷一郎君    事務局側        常任委員会専門        員        八島 秀雄君    説明員        人事院事務総局        任用局企画課長  関戸 秀明君        建設大臣官房技        術審議官     井上 靖武君        消防庁防災課長  山口 勝己君    参考人        住宅金融公庫総        裁        高橋  進君        北海道東北開発        公庫総裁     宍倉 宗夫君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○平成八年度一般会計予算内閣提出、衆議院送  付)、平成八年度特別会計予算内閣提出、衆  議院送付)、平成八年度政府関係機関予算(内  閣提出、衆議院送付)について  (総理府所管北海道開発庁国土庁)、建設  省所管住宅金融公庫及び北海道東北開発公庫  )     —————————————
  2. 永田良雄

    委員長永田良雄君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  去る一日、予算委員会から、本日午後の半日間、平成八年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、総理府所管のうち北海道開発庁及び国土庁建設省所管住宅金融公庫北海道東北開発公庫について審査委嘱がありました。  この際、本件を議題といたします。     —————————————
  3. 永田良雄

    委員長永田良雄君) まず、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  委嘱審査のため、本日、住宅金融公庫及び北海道東北開発公庫役職員をそれぞれ参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 永田良雄

    委員長永田良雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  5. 永田良雄

    委員長永田良雄君) 予算概要について政府から説明を聴取いたします。建設大臣中尾栄一君。
  6. 中尾栄一

    国務大臣中尾栄一君) 建設省関係平成八年度予算について、その概要を御説明いたします。  建設省関係一般会計予算は、移しかえが予定されている総理府所管予算を合わせ、歳出六兆七千六億六千二百万円余を予定しております。  うち一般公共事業費は、六兆五千五百三十五億九千七百万円であり、その内訳は、道路整備二兆六千八百五十億二千三百万円、治山治水一兆三千百三十五億九千二百万円、公園千六百六十億六千九百万円、下水道一兆一千七百十九億四千六百万円、住宅対策一兆一千六百十二億八千八百万円、市街地整備五百五十六億七千九百万円となっております。  次に、特別会計予算について御説明いたします。  まず、道路整備特別会計では、歳入歳出とも四兆千五百七十五億九千九百万円余を予定しておりますが、歳入については、前年度に引き続き揮発油税収入の一部直接組み入れを行うこととしております。  また、治水特別会計では、歳入歳出とも一兆六千九百四十二億一千八百万円余を、都市開発資金融通特別会計では、歳入歳出とも一千八百七十八億四千万円余をそれぞれ予定いたしております。  さらに、特定国有財産整備特別会計のうち、建設省所掌分は、歳出六百六十四億三千百万円余を予定しております。  なお、建設省関係のNTT株式売り払い収入活用による収益回収型の無利子貸付金は、歳出九百六十四億二千六百万円を予定いたしております。  建設省といたしましては、以上の予算によりまして、内需の拡大による景気回復を図るとともに、二十一世紀に向けて、生き生きとした活力に満ちた経済社会を構築するための基盤となる質の高い住宅社会資本整備を的確に推進してまいる所存であります。  特に、平成八年度におきましては、計画的な事業推進を図るため、住宅下水道都市公園特定交通安全施設及び海岸について新たな五カ年計画策定するとともに、当面する政策課題に対応する住宅社会資本整備を戦略的、総合的に推進することとし、予算重点的な配分を行うことといたしております。  具体的には、一、高規格幹線道路網地域高規格道路など交流ネットワーク整備地方都市活性化、立ちおくれている下水道整備など魅力と活力を追求する地域づくり推進、二、潤いのある都市環境創出高齢者障害者に優しい町づくり床上浸水解消対策交通安全対策など快適な暮らしを支える生活基盤整備推進、三、道路橋や堤防、住宅等補強木造住宅密集市街地の再生、防災公園避難路整備など安全で安心できる町づくり推進、四、公庫住宅公営住宅等良質な公的住宅の的確な供給都心居住促進対策高齢者向け住宅供給推進、優良な宅地開発促進など住宅宅地対策推進、五、電線共同溝整備道路交通情報システム河川等情報基盤整備ITS高度道路交通システム)の研究開発など情報基盤整備及び新技術開発推進重点を置くことといたしております。  また、阪神淡路地域復興対策については、現在実施中の復興事業進捗状況を勘案しながら、一日も早い復興に向けて必要な事業量確保することといたしております。  次に、事業別重要施策概要について御説明申し上げます。  第一は、住宅宅地対策及び市街地整備であります。  まず、住宅対策については、公的住宅制度の見直しを行いつつ、公庫住宅公営住宅及び特定優良賃貸住宅公団住宅等合計七十六万七千二百六十戸の供給を図るとともに、特に、都心居住促進のための良質な住宅供給住宅市街地整備ケアつき住宅など高齢者向け住宅供給地方定住促進するための住宅供給等を積極的に推進することといたしております。  また、宅地対策については、優良な宅地開発推進を図ることとし、大都市近郊等における優良な事業に対する支援の強化等を図ることといたしております。  さらに、市街地整備については、木造住宅密集市街地の更新を進めるとともに、地方都市活性化に資する市街地整備等を積極的に推進することといたしております。  第二は、都市対策であります。  都市対策については、特に、立ちおくれている地方圏下水道整備及び安全でおいしい水の確保のための下水道高度処理、環境ふれあい公園整備など緑あふれる都市環境創出高齢者障害者に優しい町づくり等に取り組んでいくことといたしております。また、防災公園整備など安全で安心できる町づくりを積極的に推進することといたしております。  第三は、治山治水であります。  治山治水については、特に、床上浸水解消対策渇水頻発地域重点を置いたダム整備等を強力に推進するとともに、潤いのある水辺環境創出のための河川等環境整備水質浄化事業等推進することといたしております。  また、高潮津波等に対する海岸域保全環境整備、頻発する急傾斜地崩壊等に対処するための急傾斜地崩壊対策事業雪崩対策事業推進することといたしております。  第四は、災害復旧であります。  災害復旧については、被災した河川道路早期復旧等を図ることといたしております。  第五は、道路整備であります。  道路整備については、特に、活力ある地域づくりのための高規格幹線道路網地域高規格道路など交流ネットワーク整備、道の駅等活用したふるさと交流拠点事業ウォーキングトレイル整備等推進するとともに、快適な生活環境の実現のための沿道環境整備交通渋滞対策交通安全対策等推進することといたしております。  また、阪神淡路大震災教訓を踏まえた道路橋緊急補強避難路整備等を進めるとともに、高度情報化に対応した電線共同溝道路交通情報システム整備ITS高度道路交通システム)の研究開発等に積極的に取り組んでいくことといたしております。  第六は、官庁営繕であります。  官庁営繕については、行政ニーズ高度化に対応した合同庁舎等建設とあわせ、身障者対応エレベーター整備など高齢者障害者対策推進することといたしております。  引き続きまして、政府関係機関である住宅金融公庫平成八年度予算概要を御説明いたします。  住宅金融公庫収入支出予算は、収入三兆六千四百四十七億四千万円余、支出三兆七千八百二十五億二千九百万円余を予定し、住宅六十三万戸等について総額十兆六千三百三十二億円の貸付契約を行うことといたしております。  以上をもちまして、平成八年度の建設省関係一般会計予算及び特別会計予算並びに住宅金融公庫予算説明を終わります。  よろしく御審議のほどお願いいたします。
  7. 永田良雄

  8. 鈴木和美

    国務大臣鈴木和美君) 総理府所管のうち、国土庁平成八年度予算について、その概要を御説明申し上げます。  国土庁一般会計歳出予算は、三千六百十二億六千八百万円余を予定しております。  また、大蔵省所管産業投資特別会計に計上の日本電信電話株式会社の株式の売払収入活用による社会資本整備促進に関する特別措置法に該当する事業のうち、国土庁に係る無利子貸付金について、歳出一千三百万円を予定しております。  次に、平成八年度予算重点について御説明いたします。  第一に、国土計画推進についてであります。  我が国を取り巻く諸情勢の大きな変化に対応し、来るべき二十一世紀にふさわしい国土づくりの指針を示すため、新しい全国総合開発計画策定することとし、予算額十二億二千六百万円余を予定しております。また、国土総合開発事業調整費により、公共事業の一層効率的かつ整合的な執行を図るとともに、活力と特色のある地域づくり推進することとし、予算額百五十三億六千五百万円を予定しております。  第二に、総合的土地対策推進についてであります。  適正かつ合理的な土地利用確保等を図るため、二十一世紀を展望した中長期的な観点からの土地政策あり方検討土地有効利用促進土地情報総合的整備等推進することとし、予算額五十九億八千三百万円余を予定しております。  また、地価公示等を引き続き着実に実施することとし、予算額四十六億一千百万円余を予定しております。  さらに、第四次国土調査事業十カ年計画に基づき、地籍調査等国土調査推進することとし、予算額百三十億百万円余を予定しております。  第三に、総合的な水資源対策推進についてであります。  最近の渇水にもかんがみ、良質な水資源安定的確保を図るため、水資源開発推進水資源有効利用促進等総合的な水資源対策を積極的に推進することとし、予算額八百七十六億九千三百万円余を予定しております。  なお、水資源開発公団については、前述の予算額のうちの八百七十二億三千万円余の補助金等財政投融資資金等を合わせて三千八百六十七億五百万円余の資金により、ダム、用水路の建設事業等計画的に促進することといたしております。  第四に、大都市圏整備推進についてであります。  大都市圏整備と秩序ある発展を図るため、大都市圏に係る整備計画策定に向けた総合的検討を進めるとともに、首都機能及び国の行政機関等の移転に関する調査検討、大深度地下利用あり方に関する検討を積極的に推進するほか、大都市防災対策推進業務核都市大阪湾臨海地域筑波研究学園都市、関西文化学術研究都市の建設整備琵琶湖総合開発計画推進等を図ることとし、予算額九億七千八百万円余を予定しております。  第五に、地方振興推進についてであります。  まず、新しい各地方開発促進計画策定等、新たな時代に向けた地方あり方についての多角的な検討を進めることとし、予算額一億九千九百万円余を予定しております。  また、人口地方定住と多極分散型国土の形成を図るため、地方拠点都市地域整備や多様なリゾートの整備、個性豊かな魅力ある地域づくりなどの施策を総合的に推進するとともに、大都市住民地方回帰をさらに促すこととし、予算額十四億九千八百万円余を予定しております。  次に、立地条件に恵まれない半島地域過疎地域山村地域、中山間地域豪雪地帯、離島、奄美群島及び小笠原諸島における生活環境整備産業振興のための諸施策等を引き続き推進することとし、予算額二千二百二億一千四百万円余を予定しております。  第六に、災害対策推進についてであります。  阪神淡路大震災教訓を踏まえ、災害対策充実強化を図るため、地域防災拠点施設整備モデル事業及び地震防災情報システム整備事業の創設を初め、震災対策強化活動火山対策推進防災情報収集伝達システム充実強化防災に関する国際協力推進等災害対策を総合的に推進することとし、予算額二十六億九千四百万円余を予定しております。  第七に、地域振興整備公団事業についてであります。  地域振興整備公団については、十四億五百万円の国の一般会計補給金財政投融資資金等を合わせて千七百八十億五千二百万円の資金により、人口及び産業地方への分散地域開発発展に寄与するため、地方都市開発整備、工業の再配置地域産業高度化地方拠点都市地域整備産業業務施設の再配置及び産炭地域振興のための事業を引き続き実施することといたしております。  以上をもちまして、平成八年度の国土庁予算概要説明を終わります。  よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
  9. 永田良雄

  10. 岡部三郎

    国務大臣岡部三郎君) 平成八年度の北海道開発予算について、その概要を御説明申し上げます。  平成八年度総理府所管一般会計予算のうち、北海道開発庁に計上いたしました予算額は、歳出九千九百八十六億二千五百万円、国庫債務負担行為三百二十九億一千四百万円であります。  次に、これら歳出予算の主な経費につきまして、その大略を御説明申し上げます。  第一に、国土保全及び水資源開発事業経費に充てるため、予算額一千七百四十六億二千六百万円を予定いたしております。  これは、石狩川等重要水系災害多発地域中小河川及び都市河川重点を置いた河川整備を初め、洪水調節及び水需給の逼迫に対処する多目的ダム建設火山砂防事業都市対策砂防事業及び急傾斜地崩壊対策事業等治水事業推進するほか、森林公益的機能拡充強化を図るための治山事業、並びに高潮侵食対策等海岸事業推進するための経費であります。  第二に、道路整備事業経費に充てるため、予算額三千四百五十七億九千万円を予定いたしております。  これは、交通体系の基軸となる高規格幹線道路地域高規格道路から国道、地方道に至る道路網の体系的、総合的な整備推進するとともに、交通安全施設等整備事業雪寒地域道路事業、さらには、都市周辺のバイパス、連続立体交差、街路及び土地区画整理等事業推進するほか、先般のトンネル崩落事故教訓等も踏まえ、道路防災対策重点的に進めるための経費であります。  第三に、港湾空港整備事業経費に充てるため、予算額七百八億二千九百万円を予定いたしております。  これは、室蘭港及び苫小牧港という特定重要港湾石狩湾新港その他の重要港湾整備を進めるとともに、地域開発拠点となる地方港湾整備推進するための経費、並びに新千歳空港その他の空港整備推進するための経費であります。  第四に、生活環境施設整備事業経費に充てるため、予算額一千二百五十九億六千六百万円を予定いたしております。  これは、公営住宅等建設及び関連公共施設整備推進するための経費、並びに下水道環境衛生施設及び都市公園整備推進するための経費であります。  第五に、農林水産業基盤整備事業経費に充てるため、予算額二千六百二十六億四千六百万円を予定いたしております。  これは、ウルグアイ・ラウンド農業合意に伴う新たな国際環境に対応した多様で生産性の高い農業への速やかな展開を図るための農業生産基盤整備及び農村地域生活環境の改善を図る農村整備等を行う農業農村整備事業水産業振興を図るための基盤となる漁港漁村整備及び沿岸漁場整備開発事業、並びに豊かな森林資源を維持培養するとともに森林総合利用基盤整備する造林及び林道事業推進するための経費であります。  引き続き、平成八年度の北海道東北開発公庫予算について、その概要を御説明申し上げます。  北海道東北開発公庫は、北海道及び東北地方における産業振興開発促進するため、民間金融機関と協調して良質な産業資金供給することを業務といたしております。  北海道東北開発公庫平成八年度予算は、出融資枠二千百九十六億円であります。  これらの原資といたしましては、政府出資金四十億円、政府借入金六百六十九億円、債券発行による収入六百六十八億円を予定し、残りの八百十九億円は、外債二百億円の発行を含む自己資金等で調達することといたしております。  また、特別金利貸し付けにつきましては、北海道及び東北地方における地域産業育成創出や安全で快適な地方都市づくりのための制度を拡充するほか、無利子貸し付けにつきましても対象事業拡大を図るなど、公庫出融資機能を拡充することといたしております。  以上をもちまして、平成八年度の北海道開発予算並びに北海道東北開発公庫予算説明を終わります。  よろしく御審議のほどお願いをいたします。
  11. 永田良雄

    委員長永田良雄君) 以上で政府からの説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  12. 岩井國臣

    岩井國臣君 バブルの崩壊に伴う平成不況も、ことしに入りまして明るさを取り戻してきております。四月の月例経済報告によりますと、やっと緩やかながらも景気回復動きを続けていると評価されるようになりました。為替相場がここのところ安定しておりますし、超低金利政策によりまして民間設備投資もようやく強含みの傾向を示しております。また、住宅投資もここのところかなり高水準に落ちついておるんじゃなかろうか。  そういったことも当然あるわけでございますが、私はやはり、数次にわたります経済対策によりまして公共投資我が国経済を下支えしてきた、そして昨年の超大型補正予算によりましてその効果が逐次あらわれてきておるのではなかろうか、そのように考えておるわけでございます。しかし、我が国経済はやっと緩やかな回復動きが見られる程度のところでございまして、本格的な回復基調に乗ったとは到底言えないのではなかろうか。ここ当分の間、やはり公共投資我が国経済を引っ張っていかなければならないし、その意味で建設行政現下におきます最大課題は、建設大臣所信表明の中でもおっしゃっておりました本格的景気回復に向けた取り組みではなかろうかと思います。  そして、我が国経済全般を見回しましたときに何といっても現下最大課題金融の安定という問題でございます。もちろん、予算の一日も早い成立が望まれていたわけでございますが、おかげさまでその出口がやっと見えてきたというようなことでございます。  残念ながら住専問題から暫定予算という事態にならざるを得なかったわけでございますけれども、公共事業切れ目のない予算執行という点ではおおむね支障のない暫定予算が組まれ、建設行政という立場からは特に問題がなかったのではなかろうか、こんなふうに私は見ておるわけでございますが、建設大臣、いかがでしょう、その辺の御所見をお聞かせいただきたいわけでございます。本格的景気回復という観点から建設大臣は今までの経済対策につきましてどう評価されているのか、また緩やかながらも景気回復動きがあるという現在の経済情勢をどう見ておられるのか、その辺のところをまずお聞きしたいわけでございます。
  13. 中尾栄一

    国務大臣中尾栄一君) 今回の不況は、まず需給ギャップ拡大、あるいは資産価額の急激なおかつ大幅な変動というものに円高等の影響も加わりまして、長期にわたって厳しい状況が続くことに相なったわけでございます。民間設備投資等の低迷が続く中で、数次景気対策がなければ我が国経済は深刻なマイナス成長を経験することになったと考えられておるものでございまして、公共投資増加景気の下支えに大きな役割を果たしたと考えておる次第でございます。  現在の景気の現状につきましては、先生も御指摘のとおりに設備投資及び住宅建設等に明るい動きが見られておりまして、輸出がおおむね横ばいで推移をし、こうしたことを背景に生産は確かに御指摘のように緩やかながら増加をしておることは事実でございます。厳しい雇用情勢など懸念すべき点も多々ございますけれども、景気は緩やかながら回復動きを続けていると認識をしている次第でございます。  本格的景気回復に向けました取り組み内閣に課せられました緊急の課題でございまして、今後とも、現在御審議いただいている平成八年度予算成立を相まって、その執行切れ目なくかつ着実に実施する等景気回復に積極的に取り組んでまいりたいと考えておる次第でございます。
  14. 岩井國臣

    岩井國臣君 今国会住専国会と言われております。先ほども言いましたけれども、現下最大課題は何といいましても金融の安定ということでございますから、予算委員会が住専問題を中心に審議してきておられるのも当然といえば当然のことでございます。しかし、私の関心は、住専問題そのものもさることながら、金融の安定といいますか、日本経済の安定という問題でございます。バブルがはじけました。我が国金融といいますか、経済はまことに大変と言わざるを得ないのではなかろうかと思います。何でこんなことになってしまったのか。  国土庁長官国土庁土地政策所管しておられるわけでございまして、そういう立場からの御所見をお伺いしたいわけでございますが、近年におきます我が国経済の推移にかんがみまして、今までの土地政策のどこに問題があったのか、その辺のお考えをお聞きしたいわけでございます。
  15. 鈴木和美

    国務大臣鈴木和美君) 先生御案内だと存じますが、今までは、土地政策推進の要綱で明らかなように、つまり六つの観点があったように思うのでございます。一つは土地利用計画整備充実、二つ目には住宅宅地の供給促進、三つ目に土地有効利用促進、四つ目に土地取引規制、五つ目に土地関連融資の規制、そして六つ目に土地に関する負担の合理化、こういう課題を総合的に私どもとしては実施してきたつもりでございます。これらの土地政策の基本は、短期的なバブル対策だけでなく、住宅の質や高いコスト構造といった我が国経済社会の構造的な問題への対応を中長期的に目指すと考えております。  そのうち、投機的な取引や著しく適正を欠く価格による土地取引を抑制する観点から導入されてまいりました監視区域とかそれから土地関連融資等にかかわる施策につきましては、現在の経済社会の動向の変化に応じまして適宜緩和そして解除を行ってきたところでございます。また、土地税制につきましても、土地をめぐる状況変化や最近の経済情勢にかんがみまして、土地基本法の理念を踏まえつつ景気対策観点も考慮に入れて見直しを行ってきたところでございます。さらに、先月四月二十六日には、規制緩和推進計画の一環といたしまして国土法に基づく土地取引関係規制につきまして経済社会情勢に適合して適切に行うように通達を発したところでございます。  今後、我が国経済社会状況の変化に的確に対応しつつ、ゆとりある住宅、住環境の形成、快適で安心できる町づくり推進、新しい産業経済への転換等を図っていくためには、地価が現在の状況でございますので、これから所有から利用へという観点から土地有効利用を一層促進することが重要だと考えております。  このような観点から、四月二十四日、土地政策審議会に対しまして今後の土地政策あり方について諮問を行いまして、土地の公共性等を踏まえつつ、経済社会状況の変化に対応した新たな土地政策あり方について御審議をいただいているところでございます。さらに、土地政策審議会の審議を踏まえまして、各省庁と連携を図りつつ新たな土地政策推進要綱の策定をこれから目指してまいりたい、そのように考えているところでございます。
  16. 岩井國臣

    岩井國臣君 住専問題もさることながら、金融の安定を図り我が国の経済の安定を図っていくためには、基本的には、今国土庁長官からのお話もございましたけれども、やはり土地の流動化対策というものが喫緊の課題ではなかろうかと思います。おかげさまで昨年末の税制調査会で一応の決着がつき土地税制の改正が行われる運びになっておるわけでございますが、しかし、土地の流動化対策といたしましては、税制上の対策のみならず各般にわたって土地有効利用促進していく必要があるわけでございます。そういう観点から若干突っ込んで御質問させていただきたいと思います。  土地政策の取りまとめ役は言うまでもなく国土庁ということでございます。当面、土地有効利用促進について強力に取り組んでいくというお話があったわけでございます。中長期的には、今までの土地政策の反省に立ってこれからの土地政策あり方というものをしっかり検討していく必要がある、それは審議会で検討していく、こういうお話でございました。しかし、現下経済情勢を考えたときに、そんな悠長なことはちょっと言っておられないのではなかろうか。今すぐにでもやれることはとにかく直ちにやっていく必要があるのではないかと思います。この点はいかがでございましょうか。
  17. 深澤日出男

    政府委員深澤日出男君) 先ほど大臣が申し上げましたとおり、現在、土地有効利用ということが喫緊の課題でございます。これは関係各省挙げて取り組む必要があるわけでございますが、国土庁といたしましては、国土庁あるいは建設省、東京都等々で構成いたします東京土地有効利用促進協議会という場がございます。その活動によりまして低未利用地に関する情報の収集、提供等を一層推進していきたいというふうに考えておりますが、先般、与党三党において取りまとめられました土地有効利用促進策、これを踏まえながら積極的に取り組んでいきたいというふうに考えているところでございます。  具体的には、官民いろんな土地に関する情報がございますけれども、オフィスの需給動向だとか、あるいは土地住宅の取引の動向だとか、そういうものをばらばら公表するというのではなくて、できるだけまとめて皆様にお知らせするということで四月十八日に各種の指標を公表したところでございますし、それから先月の二十二日でございますが、国土庁長官、有識者十名ほどに集まっていただきまして、土地有効利用・まちづくり懇談会を開催して、土地有効利用とかあるいは町づくりに向けての各界の意見をお聞きしたところでございます。さらに、農住組合という手法もございますので、町づくりセミナーを先月末にも開きまして、いろんな組合、制度の運営、広報宣伝活動を広げているところでございます。さらに、土地取引の規制緩和は、先ほど長官が申し上げましたように、四月二十六日に国土法の運用について規制緩和の通達を発出したところでございます。  短期的には当面そういうこともやろうということで今やっているところでございますが、これは国土庁を中心にやっておりますけれども、政府全体としてさらに公共用地の取得の積極的推進として、都市開発を誘発するような街路、公園等の公共用地取得の積極的な実施だとか、あるいは容積率特例制度というものでいろんな特定街区、あるいは都心居住型の総合設計制度等々がございますけれども、そういう容積率特例制度を積極的に活用していただくようにマニュアルをつくっていくとか、あるいは不良債権担保土地等についていわゆるレインズ、指定流通機構へ登録するということを確立するというようなことも早急に取り組んでいきたいと考えているところでございます。
  18. 岩井國臣

    岩井國臣君 今申されましたように、国土庁自体としての施策もさることながら、建設省その他関係省庁の施策を総合的に展開していくということが必要でございますので、どうか土地関係の所管窓口でございます国土庁の方でしっかりと旗を振ってやっていっていただきたいと思うわけでございます。  次に、中長期といいますか、中期的な問題でございますが、先ほど長官のお話にもございました土地政策審議会、これでいろいろ今後の土地政策あり方検討していくということになっておるようでございます。  したがいまして、それが終わらないとはっきりしたことは言えないのかもしれませんけれども、今の段階で結構です、中期的な課題としてどんなことが考えられるのか。今すぐは無理でも、少し検討して、本年度中といいますか本年度の後半といいますか、あるいは来年にかかるものもあるかもわかりませんけれども、それぐらいのタイミングでやっていけるようなことが幾つかあるんじゃないかと思うんですが、その辺をお聞きしたいと思うわけでございます。
  19. 深澤日出男

    政府委員深澤日出男君) 具体的には土地政策審議会でいろいろ議論をしていただこうと思っておりますけれども、有効利用観点から申し上げますと、先ほども直ちに取り組みたいということを申し上げたんですが、道路公園等の公共用地の取得、こういうものをより一層進めるためにはどうしたらいいのか。あるいは、民間の優良な都市開発プロジェクトに対してどういう支援をしていくのか。あるいは、都心居住というような住宅あるいは密集住宅市街地等における住環境の整備だとか、そういう事業をどうやって進めるのか。あるいは、防災用地の取得ということを推進することによって防災町づくりということをどうやって進めていったらいいのか。さらには、これから高齢化社会になるわけでございますけれども、いわゆる社会福祉施設だとかあるいは文化施設だとか、そういう各種の公的な施設の整備ということを我々としてもぜひ応援していきたいと、そういうために土地政策としてどうあるべきかというようなことも有効利用促進策として考えていく必要があるか。  さらに、土地政策全体、有効利用には必ずしも直には結びつかないかもしれませんけれども、今の土地の需給関係、こういうものをどうやって考えていったらいいのか、評価していったらいいのか、その需給見通しというものをどうやってつくっていくのか。それをまた踏まえた供給、いいものを供給しなければならないという意味でその供給策というものは具体的にどんなものがあるのか。  さらに、土地に関するいろんな情報、これも先ほど若干触れましたけれども、いわゆるリアルタイムでいろんな取引情報だとか土地に関するもろもろの情報が手に入る、我々も提供できるというような体制がどうやって出てくるのか。  さらには、適正な土地利用確保という観点からいきますと、やはり公共の福祉優先という考え方をどうやって徹底したらいいのか、あるいは土地利用計画というものをどうやって充実していくのか。  それから、質の高い土地利用ということを目指す場合に、所有権のあり方だとかあるいは敷地のあり方だとか、そういうところも含めていろんなことを考えていく必要があるのではないのかなというようなことを私自身としては問題として持っているわけでございますが、いずれにしましてもこの審議会の審議をお願いしたところでございますので、今後その審議を踏まえて土地政策あり方について検討をしてまいりたいというふうに考えております。
  20. 岩井國臣

    岩井國臣君 土地有効利用というのは現下の大変重要な課題で、政府全体としてしっかり取り組んでいただく必要があるかと思います。各論で私もいろいろ御質問したいことがあるのでございますけれども、時間の関係もございますので、今後土地政策審議会でいろいろ議論になっていくだろうということで、次に移らさせていただきたいと思います。  次は、公共事業あり方についての問題でございます。  御承知のように、近年公共事業の進め方について国民から大変厳しい批判がございます、一部ですけれども。全部じゃないと思います。全般的には建設省はよくやっておられるのではなかろうかと、そう思いますが、一部には大変厳しい批判がある。  これは何も建設省だけのことではないわけでございますが、建設省にもやはり縦割りの弊害というものがないわけではないと、こんなふうに思います。近年随分よくなってきたと思いますけれども、昔は局あって省なしとか、ひどいときには課あって局なしとか、そんなこともちょっと言われていた。各省庁との縄張り争いというのか、そういうものも結構激しかった。近年は大分よくなったと思います。しかし、まだ縦割りの弊害というものが払拭されたわけではない、そういう批判があるわけでございます。民間に比べまして公共事業はコストが高過ぎるのではないか、こういう批判がございます。  そこで質問でございますけれども、先般、建設大臣は、公共事業の効率的、効果的な実施ということで全省的な検討を行うように指示をなさったように聞いておるわけでございますが、この指示はどういうお考えでなさったのでしょうか。建設大臣の所信をお聞かせいただきたいというふうに思います。
  21. 中尾栄一

    国務大臣中尾栄一君) 我が国住宅社会資本整備水準は依然として立ちおくれておりまして、国民の公共事業に対する期待感は極めて大きいものがございますが、一方、近時、国民にとって真に必要な分野に十分な投資が行われていないのではないかとか、あるいはまた縦割り行政のもとで投資の重複を招いているのではないかとか、あるいはコストダウンに対する努力が足りないんじゃないのかなと、先生もその御指摘の一部を御披露されておりましたが、さまざまな指摘がなされておるわけでございます。  建設省におきましては、従来から公共工事の建設費の縮減に関する行動計画策定並びに第三者の意見を反映した大規模公共事業の再評価システムの導入など、個別的な取り組みを行ってきておるところでございますが、私は、今後、住宅社会資本整備を的確に推進するためには、こうした指摘を真摯に受けとめまして、そしてより総合的に公共事業あり方というものを重視いたしまして、さらに見直すべきものは見直し、また効率的、効果的な事業推進を図ることが現に必要ではないのかと考えておる次第でございます。  このため、今般、省内に公共事業の効率的・効果的実施についての検討委員会を設けまして、公共事業重点化、効率化、透明化とでもいいましょうか、そういった課題について全省的に検討するように指示させていただいたものでございます。  本委員会におきましては、外部の有識者をお招きいたしまして、公共事業あり方について幅広く御意見、御指摘をいただきたいと考えておりまして、これを踏まえて、当面、本年七月を目途に中間的に取りまとめを行わさせまして、そしてまた可能なものから平成九年度予算概算要求に反映することができればと、このように考えておる次第でございます。
  22. 岩井國臣

    岩井國臣君 ただいまは建設大臣から基本的な物の考え方というふうなものをお話しいただいたわけでございますけれども、少し具体的に御質問したいと思います。建設大臣の指示を受けて建設省は具体的にどんな検討をされるのか、具体的な検討課題といったものを教えていただきたいと思うわけでございます。
  23. 伴襄

    政府委員(伴襄君) 大臣から御紹介ありました公共事業の効率的・効果的実施についての検討委員会を早速省内に設けておりまして、大臣からお話がありましたように、非常に財政上の制約もありますので、あるいはまた公共事業に対するいろいろな御批判もありますから、限られた財源をより効果的に活用して効率的に公共事業をどう進めていくかという観点に立って、公共事業あり方全般について外部の有識者の御意見、御指摘をいただきながら幅広く検討したいと思っております。  大臣、三点申されまして、重点化、効率化、透明化とおっしゃいました。  公共事業重点化というのは、例えば国が緊急かつ重点的に取り組むべき政策課題、これに対応してどう重点としていくかというようなこととか、あるいは国と公共団体の役割分担、国と民間との役割分担、こういったことも検討したらどうかと思っております。  それから、公共事業の効率化でございますが、これも先ほど先生から御指摘ありましたけれども、縦割りというような御批判もありますので、事業を総合化して他省庁所管事業を含めた横断的連携をどうしていくかといったようなこと。それから補助金でございますが、統合化、メニュー化あるいは事業の一括採択方式の導入といったようなことも考えたらどうか。あるいは、既存ストックの有効活用だとか、あるいは税制、融資、規制緩和等々を含めた事業の多様化をどう進めていくかといったようなことを考えております。  それから、公共事業の透明化でございますが、これは例えば事業採択基準、これを明確化したらどうか。あるいは入札・契約制度、今いろいろ進めておりますが、これをどう定着していくか。あるいは情報公開でございますけれども、公共事業事業計画、実施効果についてどう情報公開していくかといったようなことを総合的、統括的にいろんな課題を真っ正面から受けとめて検討してまいりたいというふうに考えております。
  24. 岩井國臣

    岩井國臣君 次の問題に移らさせていただきます。  日本の内閣制というものは、一部に危機管理に適さないとか、あるいは各省が強過ぎて首相官邸の意向が徹底しにくいとか、いろいろ批判もございます。私も、確かにそういう不都合な点もあるのではなかろうか、そんな気もするわけでございますが、基本的には我が国の国民性に合っているとそんなふうに実は思っております。縄張り争いというふうな弊害もないではないのでございますけれども、つかさつかさが切磋琢磨してそれで全体として大きなエネルギーが発揮されますので、私は我が国内閣制というものを前向きにとらえているのでございます。  しかし、不都合な点は改良を加える必要がございますし、弊害は除去しなければなりません。ただいまの説明によりますと、これから建設省が全省的に検討を進めようとしておられる検討課題の中に、先ほど官房長からもお話ございましたが、他省庁所管事業を含めた横断的な連携というのがありましたね。その点に焦点を絞ってお尋ねをしたいと思います。  各局長にお聞きしていけばいいのでございますけれども、似たようなことだと思いますので、例えばというふうなことで道路局長にお聞きしたいわけであります。道路局では今他省庁とどういう連携をしておられるのか、連携でございます。また、今後のおつもりみたいなものがあれば、そういうものもお聞きしたいと思います。
  25. 橋本鋼太郎

    政府委員橋本鋼太郎君) 道路についての他省庁との連携についての御質問でありますが、まず、建設省の中におきましても、例えば幹線道路の沿道整備を進めるに当たりましては、我々としては都市局、住宅局あるいは道路局とこういう連携を常に図っておりますし、今後ともそういう連携を保ってまいりたいと考えております。  また、他省庁との連携は極めて重要であります。特に、道路は日常生活を支える最も基本的な施設でありますし、関連する分野が多岐にわたるということは十分承知しております。国民の多様なニーズにこたえていくためには、あるいは効率的、効果的な事業を進めていく上では他省庁との連携が極めて重要と考えております。  そういう意味で、従来から、例えば空港港湾、こういう交通拠点施設と道路というものは一体的に整備していこうということで努力をしておりますし、住宅とか学校とかこういう公共的施設についてのアクセス道路についても、これらの部局と十分相談をしてやっております。  特に、平成八年度からは新たな施策も展開したいと考えております。  例えば通産省と連携いたしまして、地域産業の育成支援施策を進めていくということで、二十一世紀活力圏創造事業、こういうものを創設いたしました。都市の中心市街地の振興あるいは郊外部の整備につきまして通産省のいろんな施策建設省のいろんな施策を一体的に進めていこうという施策でございます。  また、農水省との連携といたしましては、従来から道路と農道との調整についていろいろ御指摘がございます。そういう意味では、両省におきまして協議会をつくってこれを円滑に進めていこうというのはもちろんでありますが、さらに一歩進めまして、現在は道の駅、こういうふるさと交流拠点事業というものも創設いたしました。農水省が実施しておりますふるさと情報の提供システムあるいは物産館などの整備と、建設省整備します道の駅あるいは道路交通情報の提供、こういうものを一体的にやっていこうと考えております。  あるいは、沿道の環境整備でありますが、先ほど省内でも一緒にやっていると言いましたが、他省庁、環境庁、警察庁、通産省、運輸省とも連携をいたしまして総合的な対策を推進していきたいということでございます。町づくりと一体化をしていく、あるいは交通規制も含めた騒音の低減策をつくる必要がありますし、自動車の単体対策の強化も必要であります。関係省庁との連携を十分図っていきたいと考えております。  また、渋滞対策につきましても、従来は環状道路をつくる、あるいはバイパスをつくるという道路整備にどちらかといいますと重点が置かれておりましたが、これからは道路の利用のやり方の工夫が必要であります。そういう意味では、バス専用レーン、あるいはバス優先レーン、パーク・アンド・ライド、シャトルバス、時差出勤、いろいろソフトな施策が必要でありますので、運輸省あるいは警察庁とも十分な連携が必要であります。  そのように、個々の施策ごとではありますが、関係省庁との連携を今後とも十分強化してまいりたいと考えております。
  26. 岩井國臣

    岩井國臣君 大変積極的に取り組んでおられる様子がよくわかりまして、安心いたしました。ぜひ道路局だけじゃなくて各局、そういうことでひとつ横の連携というものをしっかりとっていっていただきたいと思います。  次は、自治省の方に御質問したいんですけれども、来ていただいていますね。  昨年十月の決算委員会でございましたが、私は建設省の水防センター構想というものを取り上げまして質問させていただきました。この構想は今は河川防災ステーションというふうに名前が変わっておるかもわかりませんが、そういった水防センターといいますか防災ステーションといいますか、建設省の方でやっておられる施策はやはり基本的に自治省との連携というものが重要かと思います。  そこで質問でございますが、防災体制の整備拡充というのはその後どうなっておるのか、そしてまた、そういう中で河川防災ステーションを含む建設省との連携、その辺のお考えをお聞きしたいわけでございます。
  27. 山口勝己

    説明員(山口勝己君) お答えをいたします。  防災体制の整備拡充についてでございますが、先生御指摘のように、災害時におきます被害を最小限に食いとめますためには、地域住民による自主的な防災活動が極めて重要であると存じます。  このため、消防庁といたしましては、自主防災に必要な資機材の整備につきまして平成七年度補正予算におきまして新たに国庫補助制度を創設いたしましたのを初め、自主防災組織の育成強化のための財政支援措置の充実に努めているところでございます。  また、都道府県や市町村におきますコミュニティー防災拠点を初めとした地域防災拠点整備推進することといたしております。これは、平常時には防災の研修や住民の憩いの場となり、災害時には防災活動の拠点として、また住民の避難所等としての機能を有するものでございます。  お尋ねがございました河川防災ステーションにつきましても、水防の拠点となるばかりではなく、大規模災害時には地域防災拠点の一つともなると考えられますので、これらの各種の防災拠点がいろいろな災害に対応した消防防災活動の拠点としての役割を果たすことができますように、建設省地方公共団体とも連携をとってまいりたいと存じます。
  28. 岩井國臣

    岩井國臣君 自主防災体制の整備という観点からは、地域における水防活動も極めて重要な課題かと存じます。  この点から建設省と自治省との連携というものは極めて重要でございます。実務者レベルでのふだんからの協力関係というものが必要だと思いますが、その点について今度は建設省のお考えをお聞きしたいと思います。  水防団員と消防団員というのはほとんどダブっているんですね。ですから、自治省とよほど連携を深めていかないといかぬのじゃなかろうかと思いますが、その点いかがでしょうか。
  29. 松田芳夫

    政府委員(松田芳夫君) 水防活動は、洪水等の緊急時において、地域のことは地域の人たちが自分で守るという自主防災の思想そのものの発露であります。治水事業の進捗やあるいは治水施設の近代化にもかかわらず、水害の根絶の困難な我が国におきましては、地域における水防活動の意義は時代の変革を超えて極めて重要であると私どもも考えているところであります。  しかしながら、委員お話しのとおり、近年、農村域を中心とする社会の変革により水防団員、消防団員数が年々減少しております。特に、水防活動に従事する水防団、消防団の合わせた団員数は、昭和五十年には約百二十万人であったものが、平成五年には百万人を下回り、平成七年現在約九十九万人となっております。また、このうち消防団員と兼任の水防団員は九十七万人となってございます。差し引きいたしますと純粋に水防団員というのは二万人、こういうような形になります。  これまで建設省としては、消防行政を所管する自治省とも連携を図り、事業所等の勤務者で団員となっている者への水防活動及び消防活動に対する配慮事項について通知するなど、水防団員の処遇改善の推進を図るほか、先ほどお話がございました河川防災ステーションの整備など、水防活動を側面から積極的にバックアップする努力をしているところであります。  また、建設省地方建設局等におきましては、水防技術講習会や水防連絡会等により、平素から消防団との意思疎通を図り、技術の研さんを図っているところであります。今後とも、建設省といたしましては、平素から実務者レベルでの協力関係を維持しつつ、さらに一層自治省と調整、協力を図り、あるいはまた県、市町村と協力し、水防活動を支援する体制の整備に積極的に取り組んでまいる所存であります。
  30. 岩井國臣

    岩井國臣君 それでは次に、高規格道路地域高規格道路に関連いたしまして若干の質問をさせていただきたいと思います。  先ほど省庁間の連携という問題を取り上げさせていただきました。私は、これからの大事なキーワードといたしまして、共生、コミュニケーション、連携という言葉を考えております。この三つの言葉は少しずつニュアンスが違うのでございますけれども、同根の言葉でございます。ですから、共生社会を目指そうと言ってもいいし、コミュニケーション社会を目指そうと言ってもいいし、連携社会を目指そうと言ってもいいわけでありまして、まあ同じようなことなんですね。  ところで、今の四全総計画におきまして交流ということがテーマになっております。私は、交流をコミュニケーションとこう言いかえているのでございますけれども、交流もコミュニケーションも同じようなことですね。そして、次の新しい国土計画では地域連携ということが大きなテーマになるやに聞いております。  そこで、まず国土庁にお聞きいたしますが、今盛んに地域連携ということが言われておりますが、なぜ地域連携ということが言われるようになったのか、その辺をお答えいただきたいわけであります。
  31. 塩谷隆英

    政府委員(塩谷隆英君) 昨今、既存の行政単位の枠を超えまして、複数の地域がそれぞれの特性に応じて適切な役割を担い、相互に補完、連携し合いながら地域発展を図っていくという、御指摘地域連携ということが各地で提唱されております。  これは、社会資本などの効率的な整備や利活用、あるいは地域に共通いたします広域的な課題の解決、さらには災害発生時の迅速な支援などの面で大きな効果が期待されておりまして、大変意義のあるものであるというふうに考えております。  このような地域連携ということが言われるようになった背景でございますが、我が国は長期的に人口減少・高齢化時代に突入をいたしまして投資余力の大幅な減少が予想されます。また、人々の価値観もますます多様化をしてまいります。こうした状況の変化に対応いたしまして、個性的で多様な地域の自立的発展が求められる中で、それぞれの地域が選択的な施策を展開して、相互補完と連携によって効率的、効果的な地域づくりを進めていくことが必要になっているという事情が背景になっているものと考えております。  地域連携につきましては、昨年十二月に国土審議計画部会報告として公表されました二十一世紀の国土のグランドデザインにおきましても、望ましい国土構造の構築に向けた重要な課題と位置づけておりまして、国土庁といたしましても、新しい全国総合開発計画策定作業の中で地域連携のあり方や支援方策などにつきましてさらに検討を深めていきたいというふうに考えております。
  32. 岩井國臣

    岩井國臣君 私、地域の連携というときに地域連携軸というように、何も軸だけで連携というものを考える必要は必ずしもないんじゃないかと思いますが、地域連携軸ということで、割にそういうことを言う人が多いのでございますけれども、その辺の問題はともかく、軸というものも大事だと思います。  それで、これからの国土構造というものを考えたときに、やはり高規格道路とか地域高規格道路といいます幹線道路ネットワークの整備が不可欠でございます。このことはだれも異論のないところだと思います。国会移転もいいんですけれども、それよりも高規格道路とか地域高規格道路を全国に張りめぐらすことを急ぐことの方がもっと大事じゃないか、そんなふうに思っております。  そういう観点からの質問でございますが、高規格道路が完成するのはいつごろになるのでしょうか。二〇一〇年ごろには全部完成するんでしょうか。余り悠長にはやっておれぬのじゃないだろうか、こんなふうに思います。地域高規格道路の方も急がれるのでございますけれども、まず高規格道路につきまして、その具体的なスケジュールというのはどうなっているのかということをお尋ねしたいわけであります。
  33. 橋本鋼太郎

    政府委員橋本鋼太郎君) 高規格幹線道路につきましては、多極分散型国土の形成あるいは活力ある地域づくりあるいは広域的な連携強化のために極めて重要なプロジェクトであると考えております。現在一万四千キロの高規格幹線道路整備を進めております。  現在におきましては、昭和六十二年に四全総でこれは定めたものでありますが、平成七年度末で計画延長のおおむね四七%に相当します六千五百四十五キロが開通しております。今後、日本海側の縦貫軸あるいは横断道路を含めてまだまだ整備する必要があると考えております。二〇〇〇年までに約九千キロ、それから二十一世紀初頭、これを我々は二〇一五年あるいは二〇二〇年、このように一応目安として置いておりますが、それまでに完成したいということでありまして、そういう意味では今後二十年ないし二十五年でこの高規格幹線道路整備したい、このように考えております。  先ほど申し上げました二〇〇〇年までに約九千キロの整備をするというのは現状では極めて厳しい状況でございますが、今後、予算重点投資あるいは国費助成等大幅な拡充を図りましてこのような施策に努力していきたいと考えております。  あわせまして、地域高規格道路につきましては、二十一世紀初頭までに約六千キロから八千キロという目標を持っております。これは、第十一次道路整備五カ年計画平成四年から具体的にスタートしておりますので、現在調査区間等が重点ではありますが、今後、地域の要望にこたえられるように調査区間をふやしていく、あるいは整備区間をさらにふやしていくということで整備促進に努めてまいりたいと考えております。
  34. 岩井國臣

    岩井國臣君 地域高規格道路も含めまして平成八年度の取り組みをちょっとお聞きしょうと思っておったんですが、大分時間がなくなってきました。  ことしは、国土開発幹線自動車道建設審議会いわゆる国幹審が開かれるやに聞いておるのでございますけれども、基本計画それから整備計画策定の対象となる路線、その延長はどの程度になるんでしょうかということと、それから実際に基本計画が出るのはどれぐらいか、それから整備計画が出るのはどれぐらいか、およその見通しで結構でございますけれどもその辺を教えていただけないでしょうか。
  35. 橋本鋼太郎

    政府委員橋本鋼太郎君) 国土開発幹線自動車道建設審議会につきましては、前回は平成三年に実施しております。そういう意味では約五年を経過しようとしている状況であります。  新たな基本計画策定の対象となる路線は現在予定路線の区間でありまして、約千九百十七キロ、三十四区間ございます。また、新たな整備計画策定の対象となる路線は現在基本計画区間でありまして、これについては約千七百十六キロ、五十二区間となっております。  いずれにいたしましても、先ほど申し上げましたとおり、二十一世紀初頭までに全ネットワークの整備を進めていくという上では、今後、相当努力をしてこれらの整備計画あるいは基本計画策定していく必要があると考えております。  この場合、新たな整備計画策定につきましては、昨年十一月三十日に道路審議会の中間答申を得ておりまして、その中で、料金上昇の抑制を図りながら、しかし建設費や管理費を削減する、あるいは公的な助成を拡充していく、あるいは有料道路制度の償還制度そのものを見直していく、さらに地方の協力もお願いしていく、あるいはまた一般国道の自動車専用道路活用してはどうかというようないろいろな施策を提示していただいておりますので、これらをうまく組み合わせていきたいと考えております。  また、特にこの整備計画策定するためには、各地域におきまして都市計画決定の手続あるいは環境アセスメントを終了しておく必要がありますので、現在その手続を鋭意進めております。そういう意味で、これらの手続の状況等も考えながら、関係機関と十分調整をしてこの整備計画策定の規模は定めてまいりたいと思います。  先ほど申し上げましたが、平成三年から既に五年がたっておるということもございまして、各地方からこの新たな整備計画策定については大変強い要望がございます。さらに、二十一世紀初頭に向けてこの高規格幹線道路整備していくというためには相当の規模の整備計画策定する必要があるのではないかと認識しております。  いずれにいたしましても、それらの規模をどうするかにつきましては、今後、関係機関と十分調整をしてまいりたいと考えております。また、新たな基本計画につきましても、今後、道路整備効果あるいは採算性の双方から勘案して検討してまいりたいと考えております。
  36. 岩井國臣

    岩井國臣君 ひとつよろしくお願いします。  次は規制緩和について御質問します。  昨年末、政府で作成されました「構造改革のための経済社会計画」、あの新経済社会計画において住宅のコストを大幅に下げるというふうなことが決まりました。それを受けてだろうと思いますけれども、建設省ではこのたび緊急重点計画というものをお決めになりました。橋本総理の強いリーダーシップがあったというふうに聞いておりますが、建設大臣もすばらしい御決断をなさったのではないかと思います。建設省の近来にない大ヒットだと思います。ホームランかもしれません。こんなふうに思います。  建設大臣に、「住宅建設コスト低減のための緊急重点計画」について、そのポイントというふうなものと、これからの決意というふうなものをお伺いさせていただきたいわけでございます。
  37. 中尾栄一

    国務大臣中尾栄一君) 大変にお褒めの言葉を賜りましてありがとうございました。  国民が真に豊かな生活を実現するためには、質の高い住宅整備を積極的に進める必要があることは申すまでもございません。そのためには、住宅建設コストの低減を図ることが極めて重要な施策の一つでございまして、かねがね総理からも特別の御指示もございました。関係省庁とともに住宅建設コスト低減のための緊急重点計画策定した次第でございます。  この計画のポイントは、建築基準について、原則として性能規定化をするなど、ある意味において建築規制の抜本的な見直し、輸入住宅あるいは海外資材・部品の導入の円滑化、また住宅建設コスト低減を図るリーディングプロジェクトの推進、このようなものであろうと思うのでございます。この計画に、極めて具体性の高い計画を考えておりまして、関係省庁と十分な連絡をとりながら着実な実施を図り住宅建設コストの低減をぜひとも推進してまいりたい、このように考え、今なおかつこれに対する努力を怠らずやっておるつもりでございます。
  38. 岩井國臣

    岩井國臣君 少し今の点につきまして突っ込んでといいますか詳しく教えていただきたいわけですけれども、住宅局長、今大臣がお述べになりました建築規制体系の抜本的見直しというふうなことでございますが、具体的にどういうものなのか、今までなぜこういうことができなかったのかということです。例えば、現行の建築基準では部材の寸法とか材質など細かく決めておるわけでございますが、今回はそういうことはもう法律で規制するのはやめまして性能だけでいく、こういうことでございますけれども、今までそういうことではなかなか安心できなかったというか、そういう面があるのだと思いますけれども、今まで性能規定ということでは問題があるというふうに私は考えておったわけでありますが、それを大きく踏み越えられるわけであります。大転換だと思うんですけれども、大丈夫でしょうか。
  39. 梅野捷一郎

    政府委員梅野捷一郎君) 先ほど大臣から申し上げました緊急重点計画の中の一つの柱が建築規制体系を抜本的に見直すということでございます、今先生御指摘のとおりでございます。その中で、従来の仕様書型の基準といわれております建物の具体的な部分を直接表示しながら安全性等を決めていくというやり方から性能規定に変えようということで、現在審議会の御審議を煩わせているところでございますけれども、その中で私どもが取り上げておりますのは国際基準との調和、これだけ交流してまいりますと国際基準との調和を図る必要がある。また、大変な量が建つわけでございますので、より一層自己責任の原則が確立できるような方法に変えていきたい。あるいは、民間におきます選択の自由度の拡大とか、技術開発が進むという観点からも実は性能規定化しようという考えに立っているわけでございます。  これまで性能型の規定ではなくて仕様書型となっておったというのは、一般的には建てる建物の様式といいましょうか工法というものが長い歴史の中でかなり確立をしていたということがベースになっておりまして、そういうケースにおいては、とれはアメリカなどでもそうでございますけれども、むしろ実用的には仕様書型の基準の方がわかりやすいといいましょうか、そういう長所を持っているわけでございます。しかし、ただいま申し上げたような点から考えると、今後新しい技術が開発されるとか、固まった工法ではなくてどんどん新しい技術を採用しながら自由度を高めていくというような観点でまいりますと、規制の体系そのものを性能規定化していこうということでございます。  従来の仕様書型の規定でなれ親しんでおる生産部門もあるわけでございますが、それらについては、中心は性能規定に置くつもりでございますが、それを受けた具体的な仕様書型の規定というものも十分補完する形では運用してまいりたい、そういう前提で体系を組みかえていこうというふうに考えているところでございますので、実質的には両立する部分がかなりある、安定的な工法についてはいわば両立していくというような状況が予想されているところでございまして、そういうことができれば混乱もなくいくのではないかというふうに考えているところでございます。
  40. 岩井國臣

    岩井國臣君 住宅につきましては、かなり小規模といいますか、大工さんにちょっと毛の生えたような業者さん方があるわけでございますので、余り性能だけでも問題がある面があるということでございますので、ひとつ適切にお願いをしたいと思います。  あと、情報インフラの関連で幾つか御質問をしたいなと思っておったんですけれども、時間がなくなってまいりました。簡単に御要望だけ申し上げておきたいと思います。  一つは、光ファイバーの問題でありますけれども、下水道法の改正で下水道を積極的に光ファイバーの利用に供していこう、民間に開放していこう、こういう施策をとられるようになったわけでありますが、道路の方もあるいは河川の方も、まだ本格的ではないんですけれども、かなりそれぞれの高度な管理のために今やっておられますね。そういったものをぜひ下水道と同じように民間に開放する。光ファイバーというのは物すごい容量を持っていますから、自分らの施設の管理だけで使うのはもったいない、こう思いますので、ぜひそういう方向で御検討いただきたいということ。  それから、去る二月二十二日の建設委員会でGISとCALSの問題を取り上げまして、前向きの答えをいただいたんです。そのとき一つ忘れていまして、先ほどの大臣の予算概要説明の中にも出てまいりましたけれども、ITS、インテリジェント・トランスポート・システム、これを建設省の方で積極的に取り組んでいこうとしておられるわけでございまして、この点について少し詳しくお聞きしたがったんですが、時間がございませんので、ひとつ積極的に取り組んでいただきたいということだけ申し上げまして、次に移らさせていただきたいと思います。  最近、大変気象状況がおかしい、北海道はきのう雪が降ったんですね。五月になって雪が降るなんというのは本当に異常じゃないかと思うんですが、これは世界的にアメリカでもヨーロッパでもアジアでも各国で異常気象が発生しております。雨が降るときはわっと降る、降らないときはもう大渇水、熱波だというふうなことなんですね。我が国も御案内のとおり一昨年、昨年と続いて渇水でございました。降るときは降る、こういうことでございまして、まあ異常洪水も異常渇水もともに心配なわけでございますけれども、ひとつ洪水に関連いたしまして北海道開発庁長官にちょっとお尋ねをしたいと思います。  こういう状況、戦後、二十二年にキャスリン台風があって、二十八年に西日本豪雨があって、三十四年に伊勢湾台風があってとか、どうもやっぱり気象の大きな波があるようですね。そんなことでいよいよ災害が発生しやすいような、近年、昭和四十年、五十年、余り大きな災害はなかったんですけれども、これから少しまたそういう災害頻発の時期に入ってきたのかなというふうな感じもちょっとするんです。  北海道、あるいは沖縄もそうですけれども、やはり国土の均衡ある発展という観点から、これから積極的に開発を進めていかなきゃいかぬ。今北海道開発庁の方では新しい北海道総合開発計画策定中だと聞いております、十カ年計画ですね。これからの北海道発展にとって大事な計画になると思います。  それはさておきまして、私は北海道のこれからの発展というものを考えたときに、やはり治水事業、特に石狩川の治水事業というものが極めて大事ではないかと思います。長い間北海道の悲願でございました千歳川の放水路、これは世紀の大事業なわけであります。なかなかいろんな影響がございますし、そういう影響というものも考えなきゃいかぬし、海の方の問題もあるんです、漁業問題もありますし、いろいろ問題がある。それから、地域振興もやらないとなかなか地元の同意がとれない。いろいろ問題があるようでありますが、千歳川放水路につきまして影響対策とかそれから地域振興対策をどのようにお考えになっているのか。  北海道開発庁の場合には各省の施策を総合的に展開できるような仕組みになっておりますし、北海道開発庁でないとこういう世紀事業はできないんじゃないかぐらいの感じもするわけでございまして、北海道庁との連携というものも極めて大事だと思いますが、これから千歳川放水路につきまして、そういう影響対策とか地域振興策というものをどのように進めようとなさっているのか、長官のお考えと決意をお伺いさせていただきたいと思います。
  41. 岡部三郎

    国務大臣岡部三郎君) 昭和五十六年の八月でしたか石狩川の大水害がありまして、あのとき私はたまたま北海道におりまして、石狩川下流地域、それから千歳川の沿岸の町村をずっと回って歩いたことがあります。あのときに、もうまさに北海道の水害といいますか、洪水被害のすさまじさというものを身をもって体験をいたしたわけでありますが、こういった石狩川ないし千歳川の、特に千歳川の流域の根本的な治水対策ということで今御指摘の千歳川放水路の事業計画をされたわけでありまして、これはやはりあの地域にとつてはまこと重要な事業である。したがって、ぜひとも実現に努力をしなきゃいかぬというふうに考えております。  しかしながら、御指摘のように、千歳川放水路というのは今まで川のないところに新たに川をつくるわけでありますから、この放水路の用地に当たるところは相当の土地が買収をされるということもありますし、土地は取られなくても地域がそのことによって分断をされて、農業なり地域経済に相当影響が出るというようなことが予想されるわけであります。それからまた、放水路の河口海域においては、放水時に放流水が漁業に相当の影響があるということも予想されるわけであります。  農業についていいますと、例えば、新たに大きな河川ができるものですから、それによってその周辺に霧の害が生ずるんではないかといったようなことも懸念をされておるわけでありまして、これについては開発局が試験圃場をつくりまして、いろいろ周辺に水面を設けて、そういうことが果たして生ずるのかどうか、現地試験によって地域の御理解を得るというふうな努力も今やっているところであります。また、放水路の通過により地元農業地域経済にマイナスの影響が出ることのないよう、地域の将来計画地域の方々や関係行政機関と一緒に検討いたしまして、その実現に努力をいたしておるわけであります。  それから漁業につきましては、これはまことに残念でありますが、今のところ、影響調査や対策の検討を続けておりますけれども、現段階ではまだ漁業者の理解を得られない状況にあるのが現状であります。今後、さらに影響対策等を十分用意いたしまして、誠意を持って話し合うことによりましてこの世紀の大事業が実現できるように努力をしてまいりたい。  先ほど縦割りのお話がございましたが、開発庁、開発局には縦割りはございませんので、全庁一丸となりまして、建設部門のみならず農業部門、水産部門と一緒にこの実現に最大限努力してまいりますので、よろしくお願いをいたしたいと思います。
  42. 岩井國臣

    岩井國臣君 北海道庁との問題ですね、北海道開発庁及び開発局の中は縦割りはないんですけれども、やっぱり道庁との連携、道庁の協力がないとこういう世紀事業はできないと思いますので、そちらの方との連携もひとつよろしくお願いしたいと思います。  さて、中小・中堅建設業の保護育成という問題で質問を通告させていただいておりましたんですけれども、ちょっと時間がなくなりましたので、次回にでもさせていただきたいと思います。まことに申しわけございません。  最後に地方分権の問題に触れまして、私の質問を終わりたいというふうに思います。  建設大臣所信表明の中で、地方分権について、国と地方が適切な役割と責任の分担のもとに、協力し合いながら諸事業を進めていく、そのような観点から地方分権の一層の推進に努める、このように申されました。そしてさらに、二月二十二日の建設委員会で私の質問に対しましてお答えがございました。地方分権推進委員会において三月の中間報告に向けてさまざまな議論が出されている云々と、その辺の推移を見ながら適切に対処していくというふうな趣旨のお話があったわけであります。  さて、三月に中間報告が出ました。  そこで、地方分権に対する私の基本的な考え方と、それから建設省に対しますお願いを申し述べさせていただいて、それについての大臣の御所見をお伺いしたいというふうに思います。  地方分権推進委員会の中間報告では、機関委任事務原則廃止という基本的な考え方が打ち出されておるわけでございまして、地方分権推進法においてはそこまで言っていないわけでございますし、それから三党合意でも検討するとしか言っていないわけであります。ですから、機関委任事務を廃止するかしないかにつきましてはもっと慎重な検討が必要だと思います。  つまり、機関委任事務を廃止し自治事務とするという原則に立って検討を進めるのではなくて、機関委任事務を廃止し自治事務にするというそういう原則的な考え方が果たして世界の潮流に合っているのかどうか、その辺のことも十分お調べいただいて慎重な検討が必要ではないかと、そういうふうに思っておるわけでございます。  もちろん、地方分権は積極的に進めるべきでございます。建設省は二十一世紀に向けまして新たな建設行政を進めなければならないのであって、規制緩和も情報公開も、そしてまた地方分権もひとつ他の省庁に率先して積極的に進めてほしいというふうに願っております。  しかし、地方分権を進める場合、機関委任事務原則廃止という物差してはなくて、国の責務というものをしっかり認識し、その部分については、国と地方との関係どいたしまして機関委任としての関係をある程度認めた上で、国の責務でやるべきものの物差しというものをつくってそして検討作業を進めるべきではないか、こんなふうに思います。  今大事なことは、地方分権推進法に規定しております住民に身近な行政というものについての冷静かつ広範な論議でございまして、ぜひ市町村長の声を十分に聞きながら具体的な内容の詰めを進めていって、住民に身近な事業はどんどん市町村に任せていく、そういうふうにしていただきたい、そう願っておるわけでございます。  その辺の事柄につきまして、大臣の御所見をお伺いしたいと思うわけでございます。
  43. 中尾栄一

    国務大臣中尾栄一君) ただいま岩井委員がおっしゃられましたことは、本当に貴重な御意見として承りましたし、私も大いに感ずるところがございました。  地方分権につきましては、建設行政推進する上では重要な課題と認識しておることは申すまでもございませんが、これまでも権限の移譲、補助金の整理合理化などを積極的に進めてきたところもこれまた御理解いただけることと思うのでございます。  国土建設行政におきましては、地方分権を進めるに当たりまして、国と地方がそれぞれ適切な役割と責任分担のもと協力、共同し合って事業を進めていくことが極めて重要なことであると考えておる次第でございます。  国といたしましては、地方分権推進法第四条にうたわれておるとおり、まず第一に、全国的な規模でまたは全国的な視点に立って行われなければならない施策及び事業の実施や、また第二点といたしましては、全国的に統一して定めることが望ましい国民の諸活動に関する基本的な準則に関する事務などが国が本来果たすべき役割を重点的に担っていく責務であると認識しておる次第でございます。  現在、地方分権推進委員会におきましては、委員指摘の機関委任事務制度や補助制度等について論議が行われているところでございますが、今後の勧告に向けましては地方公共団体における事務の実態や実務担当者の意見等を十分に踏まえまして、国道や河川の管理、都市計画制度土地収用制度整備といった個々の具体的な事務ごとに慎重かつ十分な論議がこれから尽くされていくことを期待もしておりますし、またそうであってほしいものだと私も考えておる次第でございます。また、委員の御努力もお願い申し上げたいと思います。
  44. 岩井國臣

    岩井國臣君 終わります。
  45. 長谷川道郎

    長谷川道郎君 先ほど岩井委員からの御質問がございましたが、私は、やや違う観点公共投資景気浮揚についてお伺いをいたしたいと思います。  先ほどの建設大臣概要説明の中でも、本予算の主たる目的は内需拡大による景気回復を図ることであるという御説明がございました。本国会の大臣所信の中でも、第一の課題は本格的な景気回復に向けた取り組みであるというふうな記述がございます。    〔委員長退席、理事石渡清元君着席〕  しかし私は、建設行政の主たる目的が景気回復であるとすれば、それは経済企画庁の中で建設省が仕事をすればいいんであって、建設省建設省として別な論理がなければならないんじゃないかと思うんです。建設省の主たる任務が景気回復経済対策であるとすれば、今不況でありますのですが、この理屈を逆手にとれば景気がよくなったときには公共事業が要らなくなる。まさかそういうことにもならぬと思うわけであります。  かつて福田内閣のころ総需要抑制というのがあり、ほとんど効果がないままに終わった政策ではなかったかと思うわけですが、あれで結果的に本四架橋、上越新幹線、東北新幹線が大幅におくれたわけで、結果的に事業がおくれて予算が肥大化、オーバーをしたという、そういう結果しか残さなかった。  次に第二点として、今の国債の発行残高を当然のことながら視野に入れた建設行政でなければならないと思うわけです。今、地方債を含めてGDP比九〇%近くの財政赤字、これはこの間政府機能をストップさせたアメリカが六三%、それよりもはるかに日本の財政赤字というのは膨大なわけです。例えば今、金利が最低基準ですが、国債が三・三五%の金利になっております。これを複利で計算しますと、ことし一兆円発行した国債が三十年後には二兆八千億、二・八倍になるわけです。建設行政景気経済対策を主管とするとしたら三十年後の国債償還に果たして建設省が責任を持てるのかという問題にもなると思うわけです。  そういったことで、もちろん経済対策はないわけにはいきませんが、ちなみに昨年の二次にわたる補正が景気にどういう効果を及ぼしたか、それをどう評価されるかという点についてお伺いいたしたいと思います。
  46. 小野邦久

    政府委員(小野邦久君) 先生御指摘のとおり、今回の不況というのは大変長いわけでございます。平成七年度には二度の補正を認めていただきまして、公共投資増加ということによって景気の下支えをするということをやってきたわけでございます。  具体的に平成七年度の二度の補正がどう景気回復に役立ったのかということでございますが、御案内のとおり実質GDPの伸び率というものは、現在、平成七年度の第三・四半期しか出ておりませんが、第三・四半期で見てみますと〇・九%のGDPの実質伸び率がございます。このうち公共投資の寄与度というのは〇・六%あるわけでございまして、公共投資の伸び率がゼロの場合には実質GDPの伸び率というのは〇・三%にとどまったということでございます。こういう観点からも、公共投資増加というものは我が国経済景気の下支えというものに大変大きな役割を持ってきているのではないか、こう思うわけでございます。  もちろん先生御指摘のとおり、公共投資は国民生活を豊かにする、あるいは産業基盤というような観点から実施をするわけでございまして、景気対策としてやるわけではもちろんないわけでございますけれども、公共投資には、何といってもこういうように需給ギャップが大変拡大しているときには需要の創出効果というものがあるわけでございます。そういう点からは、景気に対して大変下支え効果としては大きなものがある、こういうふうに考えているところでございます。
  47. 長谷川道郎

    長谷川道郎君 需要の創出景気の下支えになるという御説明でございましたが、今それはしかし経済学的にもいろいろ議論の分かれるところで、いろんな説があるわけです。たまたま、ことしがケインズが亡くなって五十年だそうでありますが、建設省としてできたらひとつもうそろそろ新しい理念をつくられる時期ではないかなというふうな考えがいたすわけです。  続きまして、事業の優先という問題についてお伺いしたいと思うわけでありますが、先ほど岩井委員の御質問に対する御答弁の中で、効率的、重点的な公共事業の配分についての検討会を設けられるというふうなお答えがございました。今後、そういうことでやられるわけでありますが、現在、道路にしろ下水にしろ公園にしろいろいろ国民の多様な要請があると思うわけでありますが、その中で建設省は今どういう優先順位のつけ方の理論を持っていらっしゃるのかお伺いしたいと思います。
  48. 伴襄

    政府委員(伴襄君) 御案内のとおり、我が国住宅社会資本整備水準は欧米諸国に比べて依然として立ちおくれておりますし、それから建設省所管事業道路にしましても河川整備にしましても、あるいは下水、公園住宅にいたしましても、いずれも国民のニーズが極めて高い。各種の世論調査を見ましてもその上位を占めているわけでございまして、そういったニーズを踏まえながら、二十一世紀の高齢化社会を目前に控えて積極的な整備を強く求められているという現状でございます。  また、現時点におきましても、公共下水道住宅といったいわゆる生活関連資本整備社会資本だけでなくて、阪神淡路大震災教訓からいいましても、安全、安心できる町づくりに向けて河川道路等の根幹的な公共施設の整備促進が強く求められている状況にあるというようなことでございまして、何が言いたいかといいますと、建設省所管事業いずれも大変重要なものでありまして、どれか一つ減らしてどれかだけを立てるというふうにはなかなかいかないという現状でございます。  そうした中でございますが、平成八年度予算におきましては、住宅下水道公園といったような生活基盤施設に関する事業について国の平均を上回る予算確保する、その一方で、道路河川などの根幹的な施設の整備促進にも配慮したと、こういうことでございます。  先ほど、冒頭に大臣が平成八年度の建設関係の予算概要説明を申し上げまして、そのときに五つの重点を申しました。一つは地域づくり、一つは快適な暮らしを支える生活基盤整備、一つは安全・安心対策、一つは住生活の充実、もう一つは情報化等の新たなニーズにこたえるというこの五つの柱を申し上げましたけれども、建設省事業重点配分に当たりましては、こういった五つの政策課題を特に設定いたしましてこれに対する事業について重点的な配分を行っている、そういう形でもって、その緊急整備の要請があります住宅社会資本整備の国民の期待にこたえていくという姿勢でございます。
  49. 長谷川道郎

    長谷川道郎君 大変わかりやすい答弁でございまして、ありがとうございます。例えば下水にしろ道路にしろ現実の問題としてはそれぞれ応援団がたくさんついている事業でございまして、なかなか今官房長は突っ込んだお答えをできづらいところでありましょうが、しかし、そこから先のプライオリティーをつけるのはやはり政治家の役割だと思います。これについてはまた後ほど時間があれば触れたいと思います。  次にシーリング、予算のシェアの問題でありますが、積年のシーリング、シーリングでやってきた予算によって予算が硬直化をしたという批判がよくあるわけです。    〔理事石渡清元君退席、委員長着席〕  私は古い話はわかりませんが、今の予算も、恐らく十年、二十年前の各省、各局の予算もさほどシェアの配分という点では変わっておらないと思うわけです。今建設省事業におけるシェアの配分、これについて何か特別基本的なお考えがございますかどうかお伺いしたいと思います。
  50. 伴襄

    政府委員(伴襄君) 先はどのような背景でございますので、いずれもそれぞれ重要な事業でございまして、ある分野を極端に減らしてある分野を極端に伸ばすということはなかなかできにくい状況にあります。しかしながら、シェアが前年がこうだったからそういうふうに踏襲していくということだけはやるまいと考えておりまして、先ほど申し上げましたように、政策課題をまず立てまして、その政策課題に対応した予算重点に配分していくという姿勢で、シェアはその結果であるという考え方でございまして、まず政策課題ありき、それに対して重点的に投資するという対応でございます。
  51. 長谷川道郎

    長谷川道郎君 政策課題があって予算の配分があるということでありますが、現実的に予算の配分が全然変わっておらないということはどういうことであるか、私もちょっと理解できないわけであります。  今お伺いした二点、なぜお伺いしたかといいますと、公共事業重点枠という問題で実はお伺いをしたがったんです。本年度概算要求でも、昨年に引き続きまして公共投資重点枠という項目があるわけです。これは、各省通計でありますが三千億、この重点枠で硬直化した予算の配分を重点的な仕向けにするというそういう試みであろうと思うわけでありますが、この重点枠というのは現実にどのように機能するのか、また昨年の場合したのか。  申し上げましたように三千億、建設省でどのぐらい取っていらっしゃるかわかりませんが、通計で三千億という規模での重点枠でありますと、言ってはなんですが、三千億といえば大きな金でありますが、予算から見ればはした金といいますか、ボリュームの少ない予算であるわけです。果たして、この重点枠で本当の意味での予算の今までの枠を打破した重点的な配分ができるのかどうか。そういう意味ではいささかボリュームが小さいような感じがいたしますが、この公共投資重点枠がどのように機能したのか、これからさせるのかという点でお伺いをいたしたいと思います。
  52. 伴襄

    政府委員(伴襄君) 公共投資重点化枠は、そのときの制度の考え方としまして、本格的な高齢化社会の到来する二十一世紀を控えまして、新たな時代の要請に的確に対応して公共投資重点化を図ろうということで七年度、八年度概算要求で設けられております。  この重点化枠を設けたことによる予算全体での影響というのはちょっと私が答える立場ではありませんが、しかしながら、例えば公共事業と非公共、いわゆる箱物ですね、それとの比率などを、一般の当初予算でございますと七対一でございますけれども、五対一という、要するに箱物のウエートを高めているといったようなことをやっておりまして、全体にもいろいろ配分の考え方を変えているんではないかと思っております。  建設省予算に限って申し上げますと、特に重点化枠の中には、事業の重要性に応じまして特に緊急に整備を行う必要のあるものとか、早期に整備効果の発揮が見込まれるものに重点を置いて要求したところでございます。例えば、もう少しで供用が開始可能だとか、あるいは未供用町村における下水道整備を、未供用町村をなるべくなくそうというようなことで、もう少し継ぎ足せば発現効果があらわれるというようなものとか、それから緊急性の高い、例えば床上浸水解消対策だとか、あるいは道路橋緊急補強とかといったような緊急性の高いもの、そういったものについて重点的に行ったわけでございます。  公共投資重点化枠が設けられたことによりまして、事業の緊急性、重要性に即しながら重点的、戦略的な投資が行われるということではないかと思いますし、また何よりもこういうことをやることによりまして、我々も公共事業について相当時間の概念、急ぐとかもう少しで出るとかというそういう時間の概念をかなり入れて特に重点化枠を要求しましたので、そういうメリットもあるんではないかなと思っております。
  53. 長谷川道郎

    長谷川道郎君 前段の質問で申し上げましたように、今、硬直化と言ってはあれですが、極めて固定的な予算配分になっているのではないか。建設省だけではありません、各省ともそうであります。今までの予算の枠組みというのは、申し上げましたように、政治的ないろんな事情がございますのでそういうことになったと思うわけでありますが、これを打破する一つの手段として私は重点化枠というのは極めて有効な政策的な措置ではないかと思うわけであります。  特に、大臣からもひとつ積極的にお取り組みをいただきたいと思うわけでありますが、今まで三点の質問で申し上げました一つの新しいプライオリティーの理念というのをぜひ建設省で御検討いただきたいということであります。昭和四十年ごろ、当時の河野建設大臣は、歩道を伴わない道路は今後一切つくらないというふうにおっしゃった。私はまだもちろん学生でありましたが、大変すばらしい、いかにも政治家的な御発言だなというふうに思ったわけです。建設大臣のリーダーシップということで、建設大臣がことしはこれをやるよとおっしゃれば大概のことはできると思うんです。ぜひひとつ建設大臣から強力なリーダーシップを発揮していただきたい。やはり政治家というのは、失礼ながら行政の皆さんにはできないことをやるのが政治家の役割だろう。  何か先ほどの御説明でも、公共事業の効率的実施について検討会、審議会をおつくりになるということでありますが、それだけではなく、ひとつ大臣から積極的に、よしことしはこれをやるんだというぐらいのお取り組みをぜひお願い申し上げたいと思うわけでございます。  次に、都市計画法の問題で二、三お伺いいたしたいと思うんですが、新潟県に湯沢町というところがございまして、人口九千三百人程度の町でありますが、これはリゾートマンションの乱開発で有名になったところです。人口九千三百人の町に五十九棟、一万四千八百四十戸。九千三百人の人口に対して一万四千戸のマンションが供給をされる。人口一人当たり一・六戸。今ここの委員が十五、六人でありますので、十五、六人で全員マンションを持ってももう十戸ぐらい余るというくらいの極めて過剰な供給があった。マンションをつくるというようなことはもちろん悪い側面だけでないわけでありますが、その中で一万四千戸のうち、住民登録をしておるのが百三十戸しかない、一%にも満たない居住者しかいないということです。  これは、個々の例はいろいろあるでしょうが、大きくくくれば、一つの乱開発のいい、いいというか、悪いサンプルであると思うんですね。当該地区は都市計画法では白地地区であるわけです。旧都市計画法では容積率四〇〇%、それを選択しての建築である。現都市計画法で白地地区は最高三〇〇%まで容積率がとれる。最高三〇〇%の容積率をとった場合、果たして白地地区の建築がコントロール、規制できるかというと、やや問題ではないかと思うわけでありますが、この点についてお伺いいたします。
  54. 近藤茂夫

    政府委員(近藤茂夫君) 確かにある程度の開発行為が出てきた場合には、一般的な形といたしましては、まず都市計画区域に指定する、そしてさらにその地域について用途地域をかけるという形が最も望ましい都市計画だということが言えるかと思います。  先生御指摘のとおり、単純に白地地域につきましては、平成四年の都市計画法の改正の際、都市計画区域外においても建築基準法の改正によりまして条例によって今まで以上に幅広い形で地域の実態に合った規制をすることができる、建ぺい率五〇%、あるいは容積率一〇〇%、それから二〇〇、三〇〇までできる、容積率の場合、そういうある程度幅広い弾力的な対応ができるように可能にしたわけでございます。弾力的な対応としては、やはり都市計画区域に指定して用途地域、旧法でいけば八種類、平成四年の改正によれば十二種類ということになりますので、かなりきめ細かい対応ができる。基本的にはそういう意味で都市計画区域に入れて、そして用途地域で対応することが好ましい、このように理解しているところでございます。
  55. 長谷川道郎

    長谷川道郎君 ただいまの弾力的な対応というお答えでありますが、弾力的な対応がざる法にならないようにぜひひとつ御対応をいただきたいと思うわけであります。  そういった都市計画の建ぺい率、容積率を審議する場が都市計画審議会であると思うんです。私は実は以前、地方自治体の都市計画審議委員をやっておりました。私のようなまさに素人が都市計画の数値を審議するという、私はその現場にいたわけでありますが、率直に申し上げて役所のアリバイ工作だなというような感じがいたしたわけでありますが、都市計画審議会についてどういうふうにお考えになっていらっしゃるのかお伺いいたしたいと思います。
  56. 近藤茂夫

    政府委員(近藤茂夫君) 確かに先生御指摘のとおり、制度面においては住民参加の規定、縦覧等の手続、公聴会、説明会等の手続、そしてさらには都市計画地方審議会の手続ということで、極めて住民参加に関する手続は制度的に充実しているわけでございますが、とりわけ運用によっては意味がなくなってきた、これは先生御指摘のとおりだと思います。  現在、都市計画地方審議会においてできるだけ活性化された審議がされるようにということで、私どももそういう考え方を公共団体の方々に説明するわけでございますが、既に公共団体側においても、例えば重要問題につきましては専門の先生方を臨時に指名する、あるいは専門の委員を任命するという格好の専門部会を設けるやり方をとっている県が現時点で二十五府県ございます。また、過去に問題によってはそういう制度を採用した県が十七道府県ございます。こういった形で通常は確かにルーチン的な面があるわけでございますが、とりわけ線引き、あるいは用途地域の再編あるいは再開発、地域住民に大きな影響を与える問題についてはこの都市計画地方審議会での審議が非常に重要になるわけでございますので、そういった場合には専門部会等を活用するように今後とも私どもも指導してまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。
  57. 長谷川道郎

    長谷川道郎君 都市計画審議会、これも難しい問題でありますが、ただ単にもちろんお役所の線引き、決定だけで事が運べるわけありません。かといって住民大会を開いて決定するというのも政策的にはうまくない場合もある、非常に難しい。実は難しい問題でありますが、都市計画審議会のあり方について、先ほど申し上げましたように大変失礼な話でありますが、役所のアリバイ工作であるというような印象がないわけではございません。ぜひひとつ都市計画審議会のあり方について御検討をお願いいたしたいというふうに考えます。  続きまして、同じく都市計画の問題でありますが、これはいずれ次回の建設委員会の質問に譲ろうと思うわけでありますが、今東京を含めた都心の土地有効利用、先ほど岩井先生からも御質問がありましたが、例えば東京の山手線の線区内で平均の建物の階数が丁何階というような資料もございます。東京の都心の土地が有効に利用されていないということが、ひいては地価の高騰を招いて通勤の混雑を招いてありとあらゆるところに大きく影響しておるわけです。したがって、個別の問題ではなくて基本的な物の考え方として、特に市街地、都心における土地有効利用についてどういうふうに今後お進めになるのかお伺いしたい。
  58. 近藤茂夫

    政府委員(近藤茂夫君) 私ども、基本的に都心の有効利用というのは非常に重要な課題だというふうに認識しているわけでございます。一つは、いわゆるコミュニティーが消滅しているということで、どうしても安全という観点からもやはりそこに住民が住んでいただかなければいけない、また大都市における重要な政策課題が良質な住宅供給、こういう二つの観点からも有効利用を進めていきたいというふうに考えているところでございます。  先生御指摘のとおり、二十三区について見ますと、平均の指定容積率二五三%ぐらいございます。ただ、これは用途地域で指定された容積の平均でございます。そのうち利用されているのは約五〇%程度でございます。もちろんいわゆる前面道路の幅員による容積率制限等の規定がございますので、有効可能な面積、有効可能な容積率が大体指定容積率の七割程度というのを我々は目安で考えているわけでございます。  ただ現状からいいますと、かなり交通混雑等環境面でも問題があるわけでございますので、基本的に都心の有効利用を進めていきたいという考え方はございますが、一律に有効利用、高度利用のための容積緩和をするのではなくて、いい町づくりの案が提出された場合には容積の割り増しをする。そういう形で環境面との調整もとれた形での有効利用を進めていきたい、こういうふうに考えているところでございます。
  59. 長谷川道郎

    長谷川道郎君 今都市計画の問題で何点かお伺いいたしましたが、実はこれは最後の結論でこれをお伺いしたがったわけでありますが、九二年に本現行法が審議をされました際に、当時の社会党さんが対案を出されました。  その対案、ポイントだけ申し上げますと、第一点はメニューの追加を中止して規制基準をわかりやすくする、第二点が地方分権の発想を導入する、第三点が乱開発を防ぎ土地所有権の制限をも視野に入れるという私は大変すばらしい対案であったと思うわけであります。  これについて国土庁長官のお考えを承りたいと存じます。
  60. 鈴木和美

    国務大臣鈴木和美君) 今、先生御案内のように平成四年でございますね、都市計画法の改正のときに四項目が設定されたと承知しています。つまり、用途地域制度整備と地区計画制度の拡充、市町村の都市計画に関する基本的な方針の創設、四つ目に開発許可制度の改善、こういう議論が行われたときに、社会党などから都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案が提示されて、今先生の御発言のとおりだと思っています。  そういう御提案をいただきまして、そのときには特に御主張の点は取り入れられたと思うんですが、特に都市計画決定権限の移譲、このところが一番問題だったように思うのでございます。したがいまして、地方分権を初めとする都市計画に関する課題については、建設省さんが今御答弁していますように、都市計画中央審議会でこれから議論がされることだと思っています。そのときに、今御発言の趣旨の社会党の案なるものがどのように評価されるかはこれから審議を見守っていきたいと思っているところでございます。  国土庁といたしましては、先ほど御答弁申し上げましたように所有から利用へということでございますので、今局長が答えたように、有効利用の具体的な促進策をこれから提示しながら、各関係省庁と協力しながら対応してまいりたい、かように思っておるところであります。
  61. 長谷川道郎

    長谷川道郎君 今の法案の対案の審議がありましたのが第百二十三国会でございました。当時の建設省都市局長の御答弁によりますと、非常に多種多様なメニューが設けられ複雑なものになっておるのは全く同感でございます、相当枝番がついたややっこしい制度になっておりまして、局長をやっていくのもなかなか大変なくらい複雑な制度でございますという御答弁がございました。  今私、この議場でどなたの御答弁かとお伺いしましたら、我が平成会の市川議員の御答弁ということでございました。平成会きってのベテラン建設省OBの市川議員をしてもなかなか大変なくらい複雑な制度だということであるようであります。  先ほど鈴木長官からもお話がございましたように、社会党さんの案が出されたわけであります。ぜひこういう観点でまた今後お取り組みをいただきたいと思います。  以上でございます。
  62. 山崎力

    山崎力君 平成会の山崎力でございます。  時間の関係もございますので今回は、さきの質問にもありましたけれども、建設コストの問題と、それから大規模開発のいろいろなところでやっている現状を、今どうなっておるのかという点も踏まえて、その一つであるむつ小川原の開発、もしそういったことで的確、簡潔な御答弁で時間の余裕がありますれば、いわゆる建設というものと景観の問題について御質問させていただきたいと思います。  最後の質問を最初に持ってくるようで恐縮でございますが、いわゆる人工構造物を国土につくっていくというお仕事をなさっている両担当大臣に対して、特に今の我が国の大都市、東京を中心とする大都市、そういった都市景観が潤いのあるよい町であるかという現状認識についてまずお考えを伺いたいと思います。
  63. 中尾栄一

    国務大臣中尾栄一君) 美しい都市景観という御指摘でございますが、これからの都市づくりに当たりましては、委員指摘のように、歴史、文化、風土といった地域の特性を生かしまして、景観にすぐれた市民の誇れる美しい町づくりというものを進めていくことが極めて重要ではないか、こう考えておる次第でございます。このことは、国民の意識の高度化、多様化が進む中で、大都市のみならず地方都市を含む全国の都市行政共通の重要な問題であるとして認識しておる次第でございます。  景観に配慮した町づくりにつきましては、東京で例を挙げれば、近年、民間では恵比寿ガーデンプレイスのような新名所が生まれるとともに、また公共施設についてもレインボーブリッジに見られますように、機能面のみならず景観に配慮した整備が行われておる次第でございます。また青森市においても、これは柳町通りにおいて景観面に配慮したシンボルロードの整備作業が進められていると伺っておる次第でございますが、建設省におきましても美しい町づくり推進のため、今後とも都市計画制度の充実を初めなお一層の努力を払ってまいる所存でございますので、また多様にわたりまして委員からもいろいろと御指導、御鞭撻を願いたいと思う次第でございます。
  64. 鈴木和美

    国務大臣鈴木和美君) 国土庁といたしましては、ポスト四全総ではないんですが、新しい二十一世紀に向けた国土づくりを現在検討中でございまして、その中でも強調しておりますのは、安全で安心できる国土利用、自然と共有する持続可能な国土の利用、そして美しくゆとりある国土の利用、これが景観に対する基本的な考え方で今対応しておるところでございます。  なお、実力中尾建設大臣でございますから、国土庁建設省とよく連絡をとりながら、御指導を仰ぎながら調整官庁として対応してまいりたい、かように思っておるところでございます。
  65. 山崎力

    山崎力君 この問題については、時間が余りますれば、余裕ができましたら後ほど続けたいと思います。  次の問題として、先ほども出ましたけれども、建設コストの低減対策というものについてお伺いしたいと思います。  まず前提として、我が国公共事業建設コストは諸外国、特に先進国と比べて高いのではないかという指摘が巷間ずっとなされておりますが、そういう点でのデータ等どのように建設省は認識しておられるでしょうか。
  66. 井上靖武

    説明員井上靖武君) 我が国社会資本建設費が諸外国と比較して高いのではないかという指摘があることについては承知しております。  ただ、建設コストに関しましては、単純に各国の実績値を比較するのではなくて、地形、地質、それから周辺土地利用などの諸外国との条件の違いを取り去った上で、全く同一に設計された構造物をそれぞれの国の建設資材単価あるいは労務単価及びその積算方式を用いまして工事費を算定し、これを比較するのが妥当な方法であろうというふうに考えます。  この観点に立ちまして我が国と米国の河川道路などの重要な公共事業建設費を比較してみましたところ、建設費を構成する資材費、労務費、機械経費のいずれも我が国が高いことを反映いたしまして、それらの総価格であります工事総額は、円ドルレートで換算した場合、一割から四割程度我が国の方が高い結果となりました。  しかしながら、我が国と諸外国との間にはほとんどの財やサービスについて幅広く価格差が生じておりまして、建設コストのみが突出しているわけではないというふうに認識しております。  ただ、建設省といたしましては、国民の貴重な税金を厳正に執行するという意味から、率先してできる限りの縮減に努めるべきだとの認識のもとに、平成六年十二月に公共工事の建設費の縮減に関する行動計画策定し、その着実な実施を図っているところであります。今後とも、公共工事の建設費縮減の着実な推進に向けて努力してまいりたいと考えております。
  67. 山崎力

    山崎力君 結果的に一〇%から四〇%高いデータが出ているということでございますが、今おっしゃられた中で材料というもの、これは今までの建設工事ということになりますと国内産ということで、輸送コストがかなりの部分を占めるものが多いということもございまして、それ専用といいますか、それしか見ていなかったのが、このグローバルな時代になると当然外国から安いものを輸入すればということも出てこようかと思います。国際化の時代、外国からの建設業界への参入問題もあったと記憶しております。そういう点でこれから一層の御努力を願いたいと思います。  それから、ちょっと飛ぶようですが、質問通告をしていなかったんですが、コストの問題で今一つ気になっているのは、さきの大震災の関係で耐震工事がかなりこれからも気になってくるところがあろうかと思うんですが、現在のところ耐震性向上のためのコストアップということは建設省としてどのように考えていらっしゃるでしょうか。もしデータがあれば教えていただきたいと思います。
  68. 井上靖武

    説明員井上靖武君) 今回の阪神大震災を受けまして、今まで想定していたよりも強い地震力を受けたわけでございますので、今後阪神大震災級の地震が起きても大丈夫なように、例えば道路橋につきましてはそのような設計法をとることといたしております。たくさんのいろんなタイプの橋梁を初めとする土木構造物について適用することになりますので、それが実際にどのくらいの価格になるかについてはもう少し実績を見てからお答えしたいと思っております。
  69. 山崎力

    山崎力君 昨年起きて、結果がある程度判明してから予算ということになりますと、来年度あたりからということになるのかどうか、その辺は御努力願いたいと思います。  そして、具体的なコストということになりますと、実際の建設省の入札の予定価格と落札価格というものに当然違いが出てくるわけでございます。落札価格が一番安いところに通常落ちるわけですけれども、そういったものがどんどん下がってくればこれは当然国費に余裕が出てくるということになるんですが、実際のところそういったことはどういうふうな状況でございましょうか。
  70. 伴襄

    政府委員(伴襄君) 予定価格、落札価格の関係でございますが、建設省の直轄工事の落札価格の状況を見ますと、個別事案で異なっておりまして決して一律ではありませんけれども、最近のある地方建設局の例でいきますと、その大半が予定価格との比較で九〇%台後半という状況にございます。  ただ、個別事案によりましては、低入札価格調査制度というのを設けておりまして、予定価格よりも余りにも低いものでおろしますと、本当にやれるかどうかということで価格調査に入る制度がございますけれども、これが最近かなり増加してきておりまして、したがいまして平均的にはそういうことでございますが、かなりの増加率でその低入札価格調査をする必要がある案件が出てきているということでございまして、そういう点からいきますと低い価格で落札している例がふえてきているということかと思います。
  71. 山崎力

    山崎力君 国民にとっては、なるべく安い工事でやってくれればこれにこしたことはないわけです。若干話が飛ぶようですけれども、いわゆるこれまで護送船団方式と言われてきた銀行がいろいろなことでこの激しい経済情勢の中で現実にはつぶれてくるところも出てくる、こういう状況でございます。その意味で、建設業界もこれからますます一層激しい競争が出てくる、その競争がいい方向に行けばまさに国民にとっては助かるということになるわけでございます。  そこで問題は、技術革新という時代ですから、新しい工法等で低価格で、従来例えば百億でできたものが九十億でできるというような工法を開発した会社というものが出てくれば、そういったものがどんどん落札してどんどん業績を伸ばせるということも可能だと思うんです。あるいは、建設省、技術院その他で、新工法でこうやれば出てくると、当然毎年の改定で単価の計算はし直していっているわけでしょうから、そうすれば全般的に安い価格で工事が発注できる、こういうことになろうかと思います。  そういった点で、そういうふうな新しい技術革新をどう建設現場に取り入れていくかということについて、建設省の基本的な姿勢をお伺いしたいと思います。
  72. 伴襄

    政府委員(伴襄君) 新工法を開発してコストダウンを図っていくということになりますと、そうやって技術開発等によってコストダウンに努めた企業が入札制度においては、今は価格だけの競争になっておりますから、当然、適切、有利に取り扱われるということになると思います。  したがって、今の価格のみで落札者を決めるという制度からいいますとそういう傾向になっていると思いますが、ただ、せっかく技術開発してコストダウンしても、その努力した企業のコストダウンの結果、技術開発の結果がすぐ皆さんに均てんしてしまって、せっかくの努力がすぐ無になるというような状況でもいけませんので、その辺は特許とリンクさせたり、入札の条件の中でそれを生かしたりという工夫が必要かと思いますけれども、方向としては当然そういうコストダウンの競争の結果が入札の落札結果に結びつくという仕組みにはなっているところでございます。
  73. 山崎力

    山崎力君 コストダウン、技術開発というのはすべての業界においてこれから必要になっていく、ある意味では銀行でも生保その他の金融機関についても新しい商品で需要の拡大をねらうという時代でございます。そういう意味で、コストダウンでできるだけ、これから将来も余り予算の伸びが期待できない時代に、皆様方の努力、業界の努力で、予算的には伸びなくても内容的にはどんどん工事が進むというふうな方向へ御努力願いたいと思います。  そこで、ちょっとそこと絡んで非常に裏腹の問題でございます。これは、今度の予算の中でもやっておりますが、いわゆる地場産業的な建設会社、中小企業といえるような建設会社をどう育成していくかという問題がございます。この点について、コストダウンを図る大企業、あるいは中小であっても新しい工法をやって伸びる企業、これを育成した方が非常に国民にとってはその意味ではよろしいということなんですが、反面一つには安さをねらう余り競争会社が手抜き工事その他で対抗するのではないか、あるいはそれを恐れるために検査コストのアップでトータルで見ると余りコストダウンにならぬというようなことも考えられるわけでございますが、その点について建設省としてはどうお考えなのか、ちょっとお考えを伺いたいと思います。
  74. 中尾栄一

    国務大臣中尾栄一君) 私は、余り建設問題は今までタッチはしたことがないのでございますけれども、建設省に対して客観的に眺めておったときは、今委員が御指摘の問題点なんかは非常にシビアに考え、とらえ、なおかつそのような方向でもし機会あらば考えていきたいな、こう思っておったわけでございます。  さてそこで、建設コストの低減というものが重要な課題でございますから、建設省では既に策定した六十一項目から成る公共工事の建設費の縮減に関する行動計画というものに基づきまして積極的に取り組んでいるところでございます。今御指摘がございましたように、コスト低減の取り組みが品質を下げるようなことにならないように適正な品質を確保することがあわせて重要であるという認識を持たなければなりません。このため、発注者、設計者、施工者それぞれの責任と役割を明確にしながら、三者一体となって取り組むことを基本として各種の品質確保向上のための施策推進していかなければならない、こう思っておるわけでございます。  先般、私のところにも中小企業関係の代表の方々がお見えになって、生きる道をそれぞれのフェアな立場で考えてもらいたい、こういう要望がございました。私はこれに対しては即答いたしたつもりでございます。  といいますのは、大企業だけがあたかもノウハウを持って、そして同じようなノウハウを持っている中小建設業者あるいは中小零細企業者等には一切の配分もないというようなことがあってはならない。汗を流した者は汗を流した分だけは報いられる、私はこれがあって初めて、言うなれば人生設計もあり、会社の一つの大きな設計も出てくるのではないかという考え方に立っておりましたから、激励をさせていただくと同時に、その健全な育成を図ることが極めて重要だという旨を主張いたしまして、建設省においては既に中小建設業者の受注機会の確保対策をまとめ、対策を実施しているところ、でございます。  このように、建設コストの低減に当たっては品質の確保、中小建設業者対策にも配慮をしながら、今後とも総合的にバランス、ハーモナイゼーションということを十分に重んじながら取り組んでまいりたいという意思だけは申し添えておきたいと思います。
  75. 山崎力

    山崎力君 この問題は、特に公共工事の地方財政に占める地方公共団体ということに関しますと非常に強い関心を持つ問題でございます。国の直轄事業だけでなくて、補助金を出す。先ほど補助金の整理ということも出ておりますけれども、出したからにはその補助金が的確な形で入札、受注されて施工されるというような形をこれから、割り切ると言っては変ですけれども、関与するところは幾ら地方の時代といえども国として監視の目は緩めないでいただきたいというふうに御要望申し上げたいと思います。  それからもう一つ、具体的になりますけれども、中小企業の育成ということについてランクづけというもの、これが透明性の問題で一つ出てまいります。例えばAランク、Bランク、Cランク等ありまして、実績でそこをやるというときに、そういったもとに発注になりますと、BランクのものはなかなかAランクの工事に、上に行けないという現状も予想されて内部的には問題化しております。  それからもう一つ、何ゆえに大企業とジョイントベンチャーを組むか、こういった場合に一番出てくるのは、仮に中小の企業がそれを技術的に施工できるとしても何か事故等があった場合にそのことの補てんができない、そのときの一種の保険として大企業とジョイントベンチャーを組まざるを得ないという状況がございます。そういった点で、銀行ではございませんけれども、失敗したときの業界の保険機構の充実といったこともこれから重要になってくるのではないかと思いますので、大臣に御要望申し上げたいと思います。  続いて、むつ小川原開発のことについての御質問に移らせていただきます。  大規模開発事業、いわゆる国家石油備蓄基地及び核燃料サイクル基地ということで今活動しておりますが、その華やかな一面に隠された形でまだ売れていない土地が膨大に残っている。なかなか売れ先が見つからないという状況がございます。そういった意味で、現状がどの程度のものなのか、特にさきの住専ではありませんけれども、政府等から出資した金額がどのくらい今残高として残っているのか、そして今年度予算は恐らく債権その他の利払いに使うということだろうと予想されますが、そういったことでどのぐらいの金が出る予定なのか御説明願いたいと思います。
  76. 岩崎忠夫

    政府委員(岩崎忠夫君) むつ小川原開発でございますけれども、昭和四十四年に閣議決定されました新全総におきまして大規模工業基地として位置づけられたものでございまして、昭和六十二年の四全総におきましても、「我が国でも数少ない貴重な大規模工業適地であることから、所要の基盤整備を図りつつ、基幹資源型工業の立地にとどまらず長期的視点に立った有効利用を積極的に推進する。」とされているわけであります。  本開発の基本となる計画でございますが、青森県が昭和五十年十二月に作成し、昭和六十年に修正いたしましたむつ小川原開発第二次基本計画でございまして、関係省庁はむつ小川原総合開発会議において計画の調整を行いまして、昭和五十二年と昭和六十年の閣議口頭了解に従いまして同基本計画を参酌しつつ、計画の具体化のための措置を講じているところであります。  そこで、むつ小川原開発地域の企業立地でございますが、いまだその途上にあるわけでありますが、既に国家石油備蓄基地、原子燃料サイクル施設及び関連企業等の立地によりまして約千百ヘクタールの用地分譲がなされているわけであります。また、むつ小川原港湾整備事業、小川原湖総合開発事業及び道路整備事業の所要の基盤整備のほかに、業務商業施設、住宅等生活環境整備が進められているところでございます。  そこで、先生のお尋ねがございました土地の分譲状況はそういうことで千百ヘクタールでございますが、北海道東北開発公庫がむつ小川原会社に対し出資をいたしております。北東公庫がむつ小川原株式会社に、これは当該用地の用地買収を行っている会社でありますが、資本金のうち三分の一の出資を行っているわけであります。また、北海道東北開発公庫のむつ小川原株式会社に対します融資の状況は詳しく承知しているものでございませんけれども、同公庫のむつ小川原株式会社に対します平成六年十二月末の貸付残高は約八百八十億円程度であるというように伺っているところでございます。
  77. 山崎力

    山崎力君 千百ヘクタール売れているということですが、売れていないのはどのくらいあるんでしょうか。
  78. 岩崎忠夫

    政府委員(岩崎忠夫君) むつ小川原開発の第二次基本計画によりますと、工業用地として二千八百ヘクタールほど土地の区分で予定しているわけであります。既に千百ヘクタールほどが国家石油備蓄基地あるいは原燃サイクル施設その他に売却されているわけでありまして、二千八百ヘクタール丸々使えるということでございませんので、千百を引きまして、あと千五百ヘクタールが今日の時点で売却することが可能という面積だと考えておるわけであります。
  79. 山崎力

    山崎力君 それではもう一回になりますけれども、北東公庫の融資残高八百八十億ということでございますが、今年度予算でその利払い等に国側が払う予算、これは北東公庫への予算ということの中に含まれると思いますが、大体いかほどになる予定でございましょうか。
  80. 岩崎忠夫

    政府委員(岩崎忠夫君) 私ども、北東公庫から利払いの経費がどのくらい本年度予定されているかというのについては数字を承知しておりませんところでございます。
  81. 山崎力

    山崎力君 それでは、その数字自体はともかくといたしまして私が何を言いたいか、後でその数字自体もお知らせ願いたいと思いますけれども、要するに現状では収入はほとんどゼロなわけでございます。売った代金という、土地が最近売れているわけではございません。最初の計画からもう二十年余、修正してからも十年余が経過しているわけでございます。そういった中で当然開発計画というものの見直しが行われているやに聞いております。  聞くところによると、明年度くらいまでには何とかしたいというような形で計画が進められておりますが、その辺についてはどういうふうになっておりますでしょうか。
  82. 鈴木和美

    国務大臣鈴木和美君) 今御指摘のとおりでございますが、私どもが掌握しているのは、この計画は青森県が作成した計画でございますが、今局長からお話しのように二次計画ができ上がりまして、現在平成七年度から二カ年の予定でむつ小川原開発検討委員会というのが設置されて、フォローアップをする、調査をする、こういうふうに伺っておるところでございます。  したがいまして、その調査において開発の現状や問題点の把握、それから経済社会の動向などが検討されてまいりますと、開発の基本的方向の検討などを踏まえまして、県そのものが将来のビジョンをもう一回作成されるんじゃないのか、こういうふうに理解しています。  国土庁といたしましては、先生御案内だと思いますが関係省庁が十四あるわけでございます、十四ある中で担当官によりましてむつ小川原総合開発会議の構成がありまして、事務局が国土庁所管であるということで運営しておりますが、この調査結果などを踏まえながら、県と十分な連絡をとりながらこれからの対応をするということが国土庁の対応の考え方でございます。
  83. 山崎力

    山崎力君 私が先ほど利子その他計画を御質問申し上げたのは、これはある意味では一番恐れているのが第二、第三の住専処理機構あるいは国鉄清算事業団になりはしないかということでございます。  いつの日か買った土地、確かに工業造成用地としてやったわけですが、その資本投下がなかなか回収に向かわない、要するに土地が売れぬ、こういう状況が続いております。こういう経済情勢ですからなかなか光明が見えてこない。しかも、売るところは第三セクター的な会社でございます。国が出資しておるわけでございます。県ももちろんそうですし、経済界もやっております。そういったところが一生懸命に売り方を探しても、なかなかこの十年見えてこなかった。  今までの計画ではちょっと問題があるということで、今県で再検討中であるということでございますが、何はともあれ問題を解決するには売れないことにはしようがないわけでございます。そういった意味で、会社の販売努力、皆様方の努力もあろうと思いますけれども、国側としても国民のせっかくこれまでの投じられた税金を無にしないためにも、各省庁間の連絡をとりましてなるべく売れやすくするということの御努力をお願いしたいと思います。  その中で、若干細かくなりますけれども、水事業の工業用水の見直しというのがございます。これは、地元選出の私とすれば皆様方より若干存じ上げている部分があろうと思うんですが、もうこういった中で工場は来ないというような判断のもとに、水利用の面で地元漁民等の一種の水利権その他の漁業権、そういったもので水利用の計画計画どおりではなくて現状のままいきそうだというようなことになっておりまして、いざ工場が来るといっても水資源がないよと言われかねないような状況にもあるやに聞いておりますが、その辺はいかがになっておりますでしょうか。
  84. 松田芳夫

    政府委員(松田芳夫君) むつ小川原開発の特に水関係のことでございますけれども、小川原湖総合開発事業と水関係は申しておりますが、今委員お話しの近年の社会経済状況の変化にかんがみて、この水関係の小川原湖総合開発事業につきましても地域のさまざまな意見を聴取し、今後の事業の進め方を判断するために、昨年九月に小川原湖総合開発事業審議委員会というものを設置して現在御議論いただいているところであります。これは、全国各地にダム問題でいろいろ事業の見直し的な議論が生じまして、その中で今の時点でいろんな議論をちょうだいしようというようなことから始まった審議委員会でございますが、小川原湖につきましても審議委員会を設けて現在御議論を賜っているところであります。  そこの審議委員会で昨年十一月二十七日に開催されました第二回の委員会におきまして、事業者及び各利水機関、上水道とか工業用水、あるいは農業用水も一部ございますけれども、そういった各利水機関からの説明を受けて、小川原湖の全面淡水化については見直したらどうか、それから全面淡水化以外の方策による代替水源を検討するということが審議委員会から建設省の出先でございます東北地方建設局に対して要請がございました。  一方、先ほど来お話が出ておりますが、現在青森県においてむつ小川原開発事業の見直し作業が行われておりますので、これと並行いたしまして一方で用水関係、かんがい用水の確保の問題、それから関係市町村の一部から水道用水の早急な確保の要望というものが一方でもあるわけでありまして、そういうことも私ども十分承知しております。  それから、一部地元、三沢市等の周辺の市町村で構成される広域水道企業団というのがございますけれども、その方々の方はむしろ新規の水源がどうなるのか、もし小川原湖総合開発が仮になくなったような場合に新しい水源はどうなるのかと非常に御心配しているというお話がございます。  今後の建設省といたしましては、この小川原湖総合開発事業の見直し作業と歩調をそろえて代替水源の検討を行うとともに、この審議委員会の意見も踏まえた上で適切な対応を図ってまいるつもりでおります。
  85. 山崎力

    山崎力君 いろいろ難問があるということでまだ見直し作業中なんですが、その間でも売る努力というものは必要ですし、そうなってくると条件が違ってくる中でどう売ったらいいかということもございます。その辺のところ、特に関係省庁の多いところでございますので、連絡を密にしてこれからの事業を進めていただきたいと御要望申し上げます。  最後に、最初の問題のことで、時間も迫っておりますので簡潔に申し上げますが、少なくとも都市景観の中で、この予算の中にもございましたけれども、省庁の建築、今新しく旧内務省、今の人事院ビルの建てかえ工事が始まっておりますが、省庁建築についての画一化その他の検討が始まっておると聞いております。  御要望でございます。大臣に一言お答え願えればと思いますが、法務省の旧館が残っておりますけれども、かつては役所の建築というのはその時代を背景とした一つの様式があったように聞いております。今の役所の建築、コストの面で非常に厳しいんですけれども、これが平成時代の官庁建築であるというような形の統一のとれた官庁街としての町並みを整えるような建築にしていただきたいということが要望でございますので、その辺を御答弁いただいて、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
  86. 中尾栄一

    国務大臣中尾栄一君) 霞が関地区は、皇居及び日比谷公園の緑あるいはお堀の水辺と接しておりまして、首都東京の中で極めて美しい場所にあることは委員も御案内のとおりでございます。  また、現在の官庁街は、明治の官庁集中計画に始まりまして既に百年以上経過しておりまして、国会議事堂、法務省赤れんが庁舎などの歴史的な建築物を擁しております。  官庁施設の整備に当たりましては、昭和五十一年の中央官衙整備計画の基本方針に関する建築審議会答申を受けまして、霞が関の自然や歴史を生かして首都の中核としてふさわしいすぐれた景観を創造するよう、緑とオープンスペースの確保、建物の高さ、形に対する配慮、歴史的建築物の保存等に努めてきておる次第でございます。  今後とも、現在の景観を損のうことなく、統一性、一体性のある調和のとれた官庁街として整備をしてまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  87. 赤桐操

    赤桐操君 先ほど来、建設省関係平成八年度予算についての大臣からの御説明を承ってまいりました。この八年度予算の中でも住宅宅地関連公共施設整備促進事業費について計上されているようでございますが、どの程度になっておるのか重ねて伺っておきたいと思います。
  88. 梅野捷一郎

    政府委員梅野捷一郎君) 平成八年度予算案におきましては、住宅宅地関連公共施設整備促進事業、これにつきまして関連制度を含めまして対前年度で四%増の国費で千九百十八億を計上しているところでございます。
  89. 赤桐操

    赤桐操君 これは、制度発足以来の年度別の措置がそれぞれの年度にわたりまして御努力をいただいてきたと思うのでありますが、この制度が一番先にでき上がったときには三百億計上されていたと思います。以後毎年三百億ずつ積み重ねられていくということで私どもは理解しておったのでありますが、その後の状況を見るとそうではなさそうに思うのでありますが、その後の状況についての御説明をひとつ願いたいと思います。
  90. 梅野捷一郎

    政府委員梅野捷一郎君) ただいま先生御指摘のように、この制度につきましては、五十三年度に国費三百億をもちまして制度を発足したわけでございまして、当時、ぜひとも緊急にこの制度がそれなりの事業に見合って活用されて適切な住宅供給が進むようにということで、昭和五十六年までは三百億ずつというような単位で増額が進んでまいりまして、五十六年には一千億というところまで到達したわけでございますが、その後は一千億から千七十億程度の金額でずっと推移をしてきたというのが実態でございます。  平成三年度以降は、また大都市対策等も一層促進するという観点から若干ずつ予算も増額が図られまして、先ほど申し上げましたように、平成八年度の予算案におきましては千九百十八億というのがこれまでの経緯でございます。
  91. 赤桐操

    赤桐操君 当初予算から大体三百億ずつ推移してまいりまして、これが私はその後も必要度は続いていると認識しておりますが、そういう観点から考えるというと、少なくとも五千五百億前後には行っていなくちゃまずいのではないかと思うんです。この点は住宅局長、どういうふうにお考えになりますか。
  92. 梅野捷一郎

    政府委員梅野捷一郎君) 先ほど申し上げましたように、当初この制度ができました際に、公共施設のいろんな観点からの整備が大変御要望が高く、また重要だということから、住宅地の開発に、なかなかそういう理由だけで基盤である公共施設の整備が進まないという観点から、当時先生にも大変御理解をいただき御支援いただいて三百億のこの関公制度が発足したわけでございます。  ただいま御指摘のように、当時の考え方、既に十七年を経過しているわけでございますが、一千億という状況にまで引き上げてそれでやっていくという考え方で、もちろん私どもこの関公制度というのは、今申し上げましたように、基本的には本来住宅地としての基盤をできるだけ本来の事業で進めていただくという中で、特別に住宅が緊急性の高いところというようなことで設けられた制度でございます。御指摘のように、当時かなり長期にわたって年間大幅な増加が続くかどうかということについては、私どもも意気込みとしてはそういうことで出発したわけでございますが、その後、いろんな事業状況それから特にシーリングという問題もございまして、一千億を超えてからのさらに大幅な増加というのは、全体の中での位置取りというようなこともございまして、先ほど来申し上げているような金額で推移をしてきたという状況にございます。
  93. 赤桐操

    赤桐操君 今の住宅局長の御説明によりますと、五十六年、五十五年度までは順調にいったと。どうやら五十六年には一千億というところにまで行っております。その後、五十九年度までしばらくの間その状態が続いて、その主なる理由はシーリングの関係だ、こういうふうに承ったんですが、六十年度、六十一年度、この辺も大体いただいた資料によるというと一千五十億程度です。六十三年もそうです。平成元年になって一千七十億、二年、一千七十億、三年度になってようやく千二百億を超えるという状況のようです。    〔委員長退席、理事石渡清元君着席〕  これは、私は当時の政府側の方針があったと思うんですけれども、また建設省にも大分御努力をいただいたと思います。ですから一千億でとどまったんだろうと思うんですが、その後三百億に復していくのかなと思っていたのですが、復していないですね、残念ながら。  私は、しばらくちょっと離れておりましたのでうっかりしておりましたが、特にこの両三年をよく見てみるというと、残念ながらこれは削減された状態が続いている、こういうように見えるんです。この主たる理由は何ですか。私は必要だと思うんです。局長、どのようにお考えになっていますか。
  94. 梅野捷一郎

    政府委員梅野捷一郎君) やはり基盤のきっちりした状況での住宅投資をしないことには、単に住宅という器だけをつくって生活環境が整わない、あるいは逆に言えば、そういう環境条件、基盤となる条件を整備しないと住宅建設が進まない、この点についてはそういう面からの先生の御指摘だと思います。  私どもも全くそう思うわけでございますが、先ほど申し上げましたが、今日の予算全体の枠の中で、大体現在でいいますと一兆円オーダーというような、そちらの伸び全体も必ずしも十分な伸びをしなかったわけでございますが、その中でのシェアとしてこういう基盤部分についての割合、上物についての割合、いろんな割合の中で今日の数字で推移をしてきたということでございまして、当時さらにこの部分を先生御指摘のような大幅な増加を長年にわたって続けられるという状況が私どもとしては実現をしていないということでございます。
  95. 赤桐操

    赤桐操君 どうも余りはっきりしていないように思うんですけれども、これは建設省側だけの理由ではないと思います。  さかのぼりまして、これが私どもの予算委員会で論議されたのは昭和五十二年の予算委員会です。ここで実は、当時は長谷川四郎さんが建設大臣でいらっしゃって、私が事前に長谷川大臣とも随分話し合いをいたしましたけれども、しょせん予算になるということでございました。  特に、ちょうどそのころ、五十二年というと住宅公団の公団家賃が大分上昇を始めておりまして、これはちょっとまずいじゃないかという批判が出ておりました。たまたま千葉県の八千代市に村上団地という団地が、これは大団地でございますが、八万戸でき上がることになって、五十二年前後にも大体工事が行われておりましたが、ここで初めて明らかにされたのは傾斜家賃でありました。このときの家賃の額を申し上げるというと、七万円から十一万円という傾斜家賃です。最初入居時は七万円だけれども、それがだんだん上がっていって十一万円まで到達する、こういう家賃方式を採用するということに相なりました。当時の千葉県下における公団家賃の大体の相場というのは、同じ十八坪ないしは二十坪くらいのものは大体四万円台であったと思いますね。四万から四万二、三千円くらいになっていたかと思います。  そういう状況の中で、七万円からスタートするということは、これは実は施設その他もかなり新しいものでぐあいのいい団地になるようでございましたけれども、いささか庶民感情からすれば隔たりがある、大変な距離感があるということで、これを実は取り上げて私が南部総裁と話し合いをいたしたわけでありますが、住宅公団には見解がございます、公団には公団としての規定がありますからこれを超えてそれを安くするとかそういうことはできませんということでございまして、残念ながらこれは総裁との話し合いの中ではうまくいかなかった。  これは予算委員会で本格的に論議する以外にない、そういうことになりまして、私が五十二年の予算委員会でこの問題を取り上げて、具体的に具体例として申し上げたことを記憶しているわけであります。  そのときの状況の中では、公共負担分とそれから金利の問題で、やはりこれは公団に対して国が政策的に援助しなければできない、私はこういうふうに判断をいたしたわけであります。したがって、公共負担分については公団にこれを全部任せないで、もっと具体的に言えば、家賃に組み込むことをやらないで国と自治体がこれを持っていく、そういうことを考えるべきだと。特に、住宅公団は政府の実施部隊ですから、これは国が持つ以外はないでしょう、こういうように考えたわけです。    〔理事石渡清元君退席、委員長着席〕  それから、もう一つの金利の問題について、当時一%下げるとかなりの家賃の低下を図ることができたんですね。かなり高い金利を使っておった。あの当時、財投の金が五・五%でしょう。それで、公団が用地買収に使っておった金は七%から八%前後に至っておったと思います。こういう状況の中では、これはとてもじゃないけれども安くしろといっても無理だ、こういうふうに考えて、金利の補てんをすべきではないかということも私は考えた。  その前に実は申し上げることになりますが、四十八年、これはちょうど私が選挙に出る前の年でありました。四十八年にたまたまソ連との話し合いがございまして、材木の問題等がございまして交渉に出たことがあります。これは、一週間モスクワでいろいろ折衝が行われて話がまとまって私はパリに入ったのでありますが、このパリで私が見たのはHLMのやっておりました住宅の実情ですね。それからドイツでは、同じように生活協同組合が中心になっておりました住宅建設、この状況を視察いたしたわけでございます。  この中で、フランスの住宅局長と私との間の話し合いでは次のようなことを覚えております。金利についてはどのくらいかと。これに対する答弁は、一ないし三%。これがフランスにおける住宅建設の場合の金利でございます。今もこれは変わりがないようであります。それから、さらにドイツに、当時は西独でございましたが、西独においても同様の答弁でありました。  それから、ドイツにおいては、特に私は現地の建設状況、新しい現場のあれも要求したのでありますが、同様にフランスにおきましてもパリ郊外の大体三十キロくらいのところに五つの衛星都市が建設される計画がございました。イブリーというところで建設が着工されているところなので、そこの現場に参りまして実態を調査したのでありますが、そのときの結論として現場からはね返った答えは、金利は一ないし三%と。さらに、公共負担分についての私の問いに対しては、日本の場合においては大体受益者負担として公共負担分は全部かぶっている、しかしこちらの方ではどうなっているかという質問に対しては、受益者負担とは何か、こういうことでわからなかった。これを説明するのに大体二十分ぐらいかかったですね。それで、現場の説明をしてくれる所長さんと課長さんが納得した結論としては、何のために税金を納めているんですかと、こういう結論であったわけです。  フランスではそういうことはありません。フランス政府と州政府でこれは全部責任を負っております、したがって公共負担分については一切なしと。これはそういうやり方をとりません、金利は一ないし三%と。なるほどこれは一つの政策だ、こういうように私は考えた。西ドイツにおいても同様の答えが返ってきた。大体、ヨーロッパはほとんど全部共通してこういう考え方に立っておるようでありました。基本理念がそこに一つあったと思いますが、とにかくこれはヨーロッパ全体の考え方として共通しておったようであります。それが公共負担分についての負担の割合と、それから金利の問題、こういうことで出てきておったと思います。  こういう状況でありまして、したがって私は、この委員会で金利の低減を図ること、さらにまた言うなれば公共負担分の低減を図ること、こういうことを要望いたしたわけであります。特に公共負担分については大きいですよ。  これはちょっと時間がかかりますので余り詳しく述べるのは避けたいと思いますが、例えば十万坪の土地を公団が買収し、あるいは民間が買収している。本当に団地をつくるということになったときには公共負担分が五割ですよ。純粋の住宅用地は五〇%しかないですよ。それで、道路とか公園とか学校とか、あるいはまた遊水地とか、こういったものが全部そこに入ってくるわけです。それは一切用地費の方にかけられてくる。だから、土地費そのものがもう認可になると同時に倍になる、これが実態じゃないんですかね。  さらに、そこに加えて金利が入ることになる、あるいはまた造成費が入ってくることになる、事務費が入ってくることになる。民間でいえば、今度はもうけが入るでしょう。そうしたものが全部重なってくる。これが全部用地費にかぶさってくる。こうなれば、用地費が一坪単価三万円で買ったものであってもこれはもう販売するときには恐らく七、八倍のものになるんじゃないでしょうか。これはもう常識ですよ、どう考えてみてもそうなるんです。  ですから、日本のこれからの住宅政策から考えたときに、政府の実施部隊である公団が少なくとも家賃の計算の中に公的負担分を入れるということについては避けなければならぬのではないか。あるいはまた、金利についても、大体アメリカも含めて西欧各国が考えることは一ないし三%、高くても三・二、三%程度ということになるならば、これは日本においてもその三倍ぐらいの金をかけて公的事業団体が行うということについてはおかしな話ではないのか、こういうことになると思います。  これが大体時間で約二時間ぐらい論争したと思いますけれども、このときに村山大蔵大臣の答弁は、わかった、関係省庁からもう一度やってもらいたい、こういうことであったはずであります。そういうことで大体このときの論議は終了したのでありますが、その後、長谷川大臣がおやめになるときに私に、予算に入りましたよと、こういうことで帰られたのであります。  後で、住宅局長からお伺いしたところ、三百億計上されております、しかもこれは毎年三百億ずつ上積みされることに相なっておりますのでと。そうですが、そうすると十年たつと三千億になるのか、私は三百億程度のものであっては今の需要にとてもじゃないが焼け石に水だと思うけれども、それは時間をかげながら、繰り上げてもひとつ計上してもらうようにこれからの努力を重ねる以外にないということで当時の住宅局長さんのお話を伺った経過がありますが、そういう状況なんです。  ですから、私は正直申し上げて、こういう考え方をするならば、少なくとも民間の場合にはこれはどのぐらいもうけがあるんだということになりますから余り適切な例になりませんけれども、公団の例で話をするならばこれ以上透明で明確なものはないと思うんですね。しかも、これは政府の政策の実施部隊ですよ。ここに少なくともすべてのものがあらわれてこなければならぬはずであって、そういうような考え方で今日までの経過を考えて、当時は三百億が適当な額であったかもしれない、十七年たった今日においては住宅の価格も大変上がってきている、土地費も上がってきている。そういう中である以上は、もっと本来ならば三百億を引き上げなきゃならぬはずではないかと思うんです。  ですから、三百億のままで来ても今日になれば少なくとも五千億を超えることになるだろうと当初私は申し上げたんですけれども、本来物価の状況その他から比較するならばもうこれは一兆を超えていますよ、この金は。そのくらいの腹を据えてかからなければならない大きな政策であったと私は考える。  局長、いかがでございますか。
  96. 梅野捷一郎

    政府委員梅野捷一郎君) ただいま赤桐先生から当時のきっかけのことについて詳しくお話を伺うことができました。  たまたま私、当時課長補佐でこの問題に取り組んでおったんですが、そこまで具体的なお話があったということまでは余り存じておりませんでしたが、先生御指摘のように当時は関連公共施設の負担が大変多うございまして、それに対しましては立てかえ施行という制度しか直接的な制度はございませんで、何とか関公、関連でやる公共施設の整備に直接国費が入れられないかということで、多分今のお話がございましたように先生方、特に先生の御支援もあってこういうことが動き出したんだというふうに思っております。  当時は、今申し上げたように制度自体がそうでございましたし、それから大変新しいところに団地開発をし出したということもございまして、かなり長期にわたる事業が非常にふえ出した時期だったと思います。その点でも、ただいま先生御指摘のようにそのことによる金利の、最終的な懐妊期間が長うございますので、ただでさえ現在よりは高い金利状況でございましたのでますますそういう問題は深刻であったということも全く今御指摘のとおりだというふうに思っております。  私ども、できることならばその金利というものも家賃とのバランスというものを常に考えてやれないかということを考えているわけでございますが、そのために財投の制度を使って何とかその水準では努力をさせていただいておりますし、また公共施設の整備につきましても、先生の御指摘によりますとまだまだというか、当時のお考えから見ると相当に力が入っていないという御指摘も、そういう見方を受ける面もあろうかというふうに思っているところでございますが、その後、例えば当時の国費が入れられる事業の対象も若干拡充をするとか、内容の拡充をしながら今日まで努力をさせていただいたところでございます。  基本的な考え方、住宅というものはこうあるべきである、負担の内訳はこうあるべきだという基本的なお考えについては私も大きな意味で全くそうではないかというふうに思うところでございまして、それぞれの制度につきましては事業費の確保、国費の確保等につきましても引き続き努力をすべきだというふうに思っているところでございます。
  97. 赤桐操

    赤桐操君 いただいた資料の中に出ているんですが、団地事業主体別の表を見まするというと、この関連公共費の千九百億、二千億近いものでありますけれども、これが使われている状況を見まするというと、これは平成七年度で、公的な関係が三九%、それから公団が二二%、民間が三九%になっているんです。  これは合わせて一〇〇になるんですけれども、それぞれが三倍ずつ供給されたと仮定すれば少なくともそれだけでも三倍になるんじゃないですか、金額全体は。一〇〇%の需要を満たしていないんですよ、各事業団体は。公団だってそうだと思います、それから公営住宅においてもそうだと思いますけれども、これは考えられる点だと思いますね。  それからもう一つ。関連公共費と受益者負担の関係というのは、日本の住宅政策と土地問題との基本的な問題になるように私は考えます。  まず、時間の関係がありますから要約して申し上げたいと思いますが、一つの団地ができ上がる場合における隣接地への影響を考えなければならないと思う。その団地が仮に三万円の坪単価の価格で買収されたと仮定して、売り出されるときに少なくとも二十四、五五で売られた、こういうふうになったときに隣の土地は幾らになりますか。隣の普通の、荒れ地であるか畑であるか田んぼであるかは別にいたしまして、三万円で買われた隣の土地はどのくらいになるか。これができ上がるころには恐らく十万を超えるでしょう。大体の相場はそうなっていると私は考える。少なくとも三倍から五倍くらいにはね上がるんですね。  これは、何もこの土地そのものは努力もしていなければ資本も投下されていないわけですよ。しかし、隣の土地が高くなったということだけでもって大きな引き上げが出てくる、評価が上がってくる、これが実態じゃないんでしょうか。そういう状況でもって今までの団地の隣が荒らされてきたわけだと思います。それから、土地鑑定士なんかの鑑定の中にも近傍類似価額というのが入っておる、鑑定の中にもこれは入るんですよ。そういう実は状況にあると思うんです。  こういうものに対する対策というものはとられたのかとられなかったのか、これはやはり私は大変重要な問題だと思っております。これは、研究課題として御検討していただいて結構だと思いますが、一つ私は指摘しておきたいと思うんです。  それから、あと問題は、こういうぐあいに例えば土地がある、関連公共その他は思い切って国から出る、自治体から出る、こうなるというと、まず簡単な表現で申し上げるんですけれども、土地費が半値になるでしょう、五〇%公共負担分だと仮定すれば半値になる。隣の土地を三万円、まさかこれは十数万円にはならないですよ、その場合においては。もっとこれは低廉に抑えることはできるんです。あるいはまたそういう対策もとることができると思うんです、法的にも。だから、関連公共というものをきちっと法律的に実施していくという一つの考え方を持つならば、そこに新しい私は土地の自然抑制の力が出てくる、こういうように考えるんですが、これもあわせてひとつ御検討願いたいと思うんです。  それから、いよいよもう二十一世紀に入ろうとしておりますけれども、住宅政策全体の中で理念をもう一遍検討し直す必要があるんじゃないでしょうか。これは特に住宅局で真剣に検討していただく必要があると私は考える。  例えば、外国へ行きますと、パリの郊外で、あるいはデュッセルドルフその他では日本人もかなり家を借りておる人がおるんです。その家賃の中には、あるいは買い取った場合の価格の中にはいわゆる公共関連費というものが入っていないんです。金利も一ないし三%でつくられているんです。ところが、日本に来ている記者だとかあるいは商社マンが入っているそれぞれの住宅については、みんな家賃に対しても関連公共費が入っているんです。道路代、公園の代金あるいは遊水地、学校、こういったものの代金がみんな入っているんですよ。  それからさらに、言うなれば価格そのものについても全体で非常に低廉なものを手に入れることができる、日本の場合においては非常に高価だ、こういう批判も出ている。国際化時代に今入ろうとしている中で、先ほどは建設する材料その他についての指摘がなされておりましたね。こういうふうなものを国際化時代にふさわしいものにせよ、こういうわけであります。土地そのものが今のような状況の中で、どんなに建設する建築物をひねってみたところで限度があると思いますね。基本的なものをやはり検討する必要があるのではないだろうか、私はそういうように実は考えておるものであります。  基本理念として、住宅というのはしょせんは社会的に保障されていくべきものだ、こういう理念を私自身は持っているんですよ。だから、そういう理念で見ていますから、どう見ても矛盾に満ちたものだと考えるわけですけれども、この理念を真剣に我が国でも取り上げて住宅政策の中に織り込んでいくべき時期が来ているんではないか。西欧諸国においてはこの理念で徹していますよ、どの国に行っても。住宅が商品として安易に売買されるということはあり得ないです。これはやはり日本でバブル前後から発生した一つの大きな現象だと思う。  これについては、真剣に、理念的に、社会的に、住宅というものはこうあるべきだということで国が保障すべきものだ、あるいはまた社会的にこれを保障していくべきものだということについて、二十一世紀を迎えるに当たって、高齢化社会を迎えるに当たって真剣にひとつこれは取り組んでいただきたい、このように思うんです。  住宅局長でも大臣でもよろしいのでありますが、最後に大臣のお考えも承りたいと思います。お願いしたいと思います。
  98. 梅野捷一郎

    政府委員梅野捷一郎君) ただいま先生から御指摘ございましたように、私どももできれば、住宅というものがいわば本来公共施設等の基盤整備されている状態で建てられるというのが理想でございますから、そういうものがまだおくれている場合には、そこでかかった費用については極力同様の負担の原則というものに近いもので考えていくべきだというふうに考えるところでございます。  そういう観点から、先生の御指摘にもありますような関公制度というものが出てまいりましたし、またできるだけそれが現在の事業に適用しやすい、金額、総額のことももちろんございますし、しやすい方向に運用していくという考えもございまして、その方向で、また一方ではいわゆる開発指導要綱という形で、地域状況と開発とのギャップのところは一部不適切な部分も認められるわけでございますが、そういう点も極力ギャップを除きながらきちんとした形の、適正な負担で住宅に居住できるような方向で、ぜひとも御指導もいただきながら積極的に組み立ててまいりたいというふうに思っているところでございます。
  99. 赤桐操

    赤桐操君 最後に、関連公共費というのは大変長い一つの歴史を積み重ねております。そして、これから二十一世紀に入るに当たってますます重要な項目だろうと考えます。この拡大をひとつ要望いたしまして、大臣の御見解をちょうだいして、終わりたいと思います。
  100. 中尾栄一

    国務大臣中尾栄一君) 先ほど来、先生から大変な昔の思い出話を含めまして、特に長谷川四郎さんの話も出ました。昭和五十二年ころかなというふうに私も思い出しました。群馬県の方ではございましたが、庶民的な政治家として極めて私も兄事しておった次第でございます。その話等々聞きまして、やはり同じような庶民政治家であられる先生がそのようないきさつがあったのかなと歴史を回顧しながら、なおかつ感ずるものがございました。  先ほど局長の答弁がございましたように、鋭意努力をいたします。
  101. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 日本共産党の緒方靖夫です。  私は、さきの予算委員会で住専問題に関連して大蔵省と金融機関の癒着の問題について取り上げ、その中で銀行から大蔵省への出向、いわゆる天上がりの問題をただしました。この問題を調査する中で、常勤天上がり、これは大蔵省だけではなくて建設、外務、通産、郵政の各省にもあり、特に重大な問題点を痛感したのが建設省の天上がり問題でした。  まず、実態についてなんですけれども、現在建設省に採用されている天上がり常勤職員の数、配属部署、どの企業からの出向かを挙げていただきたいと思います。  同様に、人数だけで結構ですが、非常勤の数、お願いいたします。
  102. 伴襄

    政府委員(伴襄君) 建設省におきまして民間企業から採用した、まず常勤職員でございますが、平成八年五月二日現在で十二名おりまして、うち銀行が九名、保険会社が三名でございますが、いずれも銀行、保険会社でございます。その配属先は、いろいろありまして、例えば建設経済局に三名とか住宅局に四名などとなっております。  また、非常勤職員の方は五名が在職中でございますが、これもいずれも銀行及び保険会社の方でございます。
  103. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 配付いたしました資料の一を御参照いただきたいんですけれども、これは建設省が私に提出いたしました資料をもとにしてこちらで作成したものなんですが、常勤職員の出向状況を示したものです。これは八八年からのものなんですけれども、この表に間違いがないかどうか確認したいと思います。
  104. 伴襄

    政府委員(伴襄君) ちょっと個別には十分にチェックしておりませんが、先生の方に提出した私どもの資料に基づいて作成されたならば、資料1、資料2とも間違いないものと思います。
  105. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 この表を見ていただくとはっきりするんですけれども、八八年から現在までの九年間、合計五十二名の常勤の天上がり職員を受け入れているわけですね、すべて金融機関から。配属先も、建設省には六局あると聞いておりますけれどもそのすべてに、それから五十五課のうち十課に及んでおります。所属の課も、政策部門が中心で、一番多いのが住宅住宅政策課の十名、次が大臣官房政策課と建設経済局建設業課の各九名となっております。  こうした任用を常勤、非常勤それぞれいつから行っているのか、これまでの採用人数の合計は何人か、それから常勤職員の格付、またその常勤職員には部下がいるかどうかお尋ねいたします。
  106. 伴襄

    政府委員(伴襄君) 民間企業からの常勤職員の採用につきましては、昭和四十六年度から行っております。  それから、非常勤の職員の採用は、専門調査制度というのができまして、これは人事院の方で決められた制度でございますが、これを昭和六十二年度から行っているところでございます。  それから、合格付とおっしゃったと思いますが、格付につきましては、いずれもすべて係長ポストということでございます。
  107. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 数についてはいかがですか。これまでの累計ですが。
  108. 伴襄

    政府委員(伴襄君) 先ほど六十三年度以降五十二名とおっしゃいましたが、それも含めまして、昭和四十六年度以降ではちょうど百名でございます。いずれも銀行、保険会社でございます。
  109. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 資料の2を御参照いただきたいんですけれども、この表は、こうした常勤職員の受け入れ資料の1を、上の方は配属局課別に、下を金融機関別にそれぞれ整理し直したものです。矢印の始まりが採用年月、そして矢印の終わりが退職年月を示しております。どれもきれいに二年ごとに移っている。本当にきれいに並んでいると思うんですね。例えば長銀は、一番上にありますけれども、大臣官房政策課にきれいに二年ごとに間断なく送り込んでいるわけです。ポストが構造的に既得権化している、このことがはっきりわかると思うんです。  建設省の交流相手はずっと金融機関ばかりなんですけれども、なぜ特定の金融機関に偏っているんですか。
  110. 伴襄

    政府委員(伴襄君) 民間との人事交流というのは、こういう社会経済情勢の急速な変化の中でございますので、私どもも民間の方に出向するという制度は持っておりまして職員も派遣しておりますが、同様に民間からも受け入れるというようなことで、我々のメリットとしては、そういう交流をすることによって民間の業務運営とか発想方法とか、そういったことを取り入れて行政に的確に反映させていくという観点で行っているわけでございまして、具体的には、民間企業で得たいろんな知識とか経験につきまして建設行政の上で活用していこうということでございます。  実際にも、ここにございますように、建設省の直接の所管のところはまずいということでございまして、一応金融界、銀行、保険の方から来ていただいておりますけれども、いずれも金融上のいろんなノウハウを建設行政に反映していこうという面で成果を上げているわけでございまして、来ていただいている方々、それぞれ経済分析だとかあるいは統計分析とか、あるいは金融、保険、あるいは企業経営、そういったものについてそれぞれ知識を持っておられる方に来ていただいておりますから、そういった高度な知識を建設行政、その面は比較的建設省の苦手な分野でございますので、それを生かしていきたいということもございます。
  111. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 余り説得力がないと思うんですが、なぜ金融機関一しかも特定の金融機関にということについてのお答えがないわけですね。  それで、今民間の発想、ノウハウと言われましたけれども、そういうことならば、先ほど大臣が言われたんですよ、大企業だけがノウハウを持っているわけではない、中小も持っていると言われましたね、大臣。ですから、もっと広く民間からいろんな交流をすればいいんだけれども、よりによってどうして金融機関の大企業なのか、この点が問題なんです。  私は、ここに非常に大きな意味があると思います。  第一に、金融機関が日本の経済、社会で果たしている巨大な役割、このことははっきりしております。大きなプロジェクトというのはやっぱり銀行が先導して進んでいきますでしょう。例えば東京都の臨海副都心の問題、予算規模は十兆円規模でしたけれども、これが銀行主導だった。これから大きな問題になるであろう首都移転の問題も、やはり銀行とのかかわり、これがいろんな形で指摘されています。  資料の3を見ていただきたいんですけれども、ここに金融機関と建設の関係ですね、そのことを指摘しておきましたが、私は、ゼネコンや建設業が入っていないからいいじゃないかということをもし言われるとしたら、今もちょっと触れられたと思うんですけれども、やはりそれはおかしいと思うんです。金融機関と建設会社というのはもう密接に結びついているということは私が指摘するまでもないことなんです。  しかも、これは六つの大企業集団を形成して、社長会などを行って政策協議をしょっちゅうしている、情報交換をしょっちゅうしている、このことは周知の事実なんです。しかも、これに参加していなくても、メーンバンクとしてゼネコンに絶対的な力を持っているというそういう関係ですね。このことは非常にはっきりしていると思うんですよ。  ですから、こういうことを考えていったときに、やはり非常に大きな問題があると思います。  それで、建設省への出向先というのは、今言われたように大体政策、計画部門ですね。今後日本の建設、国土政策がどのように進められるか、その青写真をつくる重要な部局だと思います。情報が漏れないか、そういったことがいろいろ心配になるわけですけれども、そのことも私は重大な問題になると思います。  お尋ねですけれども、これらの常勤職員というのは、一般職員と比べて特に仕事の制限、権限、これが区別されていることがあるのか、制限されていることがあるのかどうかお尋ねします。
  112. 伴襄

    政府委員(伴襄君) 先生は大手の銀行だけとおっしゃいましたけれども、これは特に希望のあるところ、強制するわけにいきませんので、希望のある銀行あるいは保険会社からやっておるわけでございまして、しかも一部その仕事の職柄、特に長銀は固定しておりますけれども、それ以外は極力座布団化しないように、担当も変えるようにしておりまして、すべての金融機関に門戸を開放しているというつもりでおるわけでございます。  それから来ていただいているポストも、これはそれぞれ企画立案業務とか調査分析業務等でございまして、特にそれぞれの営業活動に直接影響あるようなところはないわけでございますし、許認可事務とかあるいは補助金の交付とかそういったところの担当はさせないというようなことでございますし、また係長クラスでございますので、そんな役所の全権限を持っているようなところでもないということでございます。  ゼネコンでというお話がありましたけれども、ゼネコンに限らず産業界はいずれも金融機関から融資を受けたり保険からいろいろ関係があるわけでございますので、それを言ってしまうともう全部関係があるというようなことになりますので、来ていただいておりますところのいろんな、例えば万が一職務上知り得た秘密があったとしましても、これはいずれも常勤、非常勤とも国家公務員法の適用がございます。国家公務員法では、その職務上知ることができた秘密は漏らしてはいけないと、それは職を退いた後もずっと永久に守れ、もしその秘密を守らなければ、秘密を漏らした場合には一年以下の懲役、三万円以下の罰金に処すると、こういう厳しい規定もございますので、その心配もないんではないかなというふうに思っております。
  113. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 肝心のお尋ねに対する答弁がはっきりなかったんですけれども、常勤職員と一般職員、何か区別がありますか。一言でいいです。
  114. 伴襄

    政府委員(伴襄君) 常勤、非常勤の別にかかわりなく、国家公務員法の適用によりまして国家公務員として扱うわけでございますので、特に区別はございません。また一般職員とも区別はありません。
  115. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 区別するとしたら、これ根拠がないから大変な問題になると思いますので、当然のことだと思います。  人事院にお伺いしたいんですけれども、常勤職員の採用は、人事院規則の八—一二の第九条の八号に基づいて、「選考による採用について人事院の承認を得たもの」という条項に基づくと思うんですが、無試験の採用、選考採用ということだと思いますけれども、どのように承認されるのかお尋ねします。
  116. 関戸秀明

    説明員(関戸秀明君) お答えいたします。  今議論になっておりますのは、民間企業から今御指摘になりました規定に基づいて選考採用する場合であろうかと思います。こういう場合については、一定期間経過後に当該民間企業へ復帰するということが予定されておりまして、そういうものにつきましては派遣元企業からの採用の実績等を見て、そういうものを踏まえまして、同号の規定による承認につきまして包括承認も行っております。
  117. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 包括承認ということなんですけれども、そうすると任命権者は大臣になりますか、だれになりますか。
  118. 関戸秀明

    説明員(関戸秀明君) 基本的には任命権者ということになります。各省庁におきまして選考権者というのがございまして、その選考権者が選考をする。その場合に、人事院の承認を個々に必要としないという形になります。
  119. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 建設省の場合には、私この規定を見ましたけれども、大臣が承認すると、それを事務次官が代行するという、そういう規定があるということを見ました。時間の節約のためにそういうことを指摘しておきますけれども、大臣、こうした天上がりの職員の状態について今いろいろ出ましたけれども、大臣はこれまで御存じでしたか、お尋ねします。
  120. 中尾栄一

    国務大臣中尾栄一君) 率直に申し上げますと、私も天上がりという言葉を聞いたのは委員からが初めてなわけでございまして、どういうことかということで、ちょうど予算委員会が終わった後でございましたでしょうか、本省に帰りましてから係の者に聞きました。そしたら、天上がりというのは余り知らないんだけれども、天下りというのはございますから、下りというのはあるんだけれども天上がりというのはないと。  しかし、先ほども申し上げましたように、答弁といたしましては、はっきり申し上げて建設省そのものに直接的な関係のない、むしろ銀行当局、これは委員がもしお調べいただければありがたいんですが、私も十何年前に経済企画庁の長官を一年数カ月やったことがございました。そのころちょうどバブル経済の土地の問題などもあったわけなんです。私は相当銀行を締め上げたつもりです、二回にわたりまして。あの答弁を見ていただいても、悪いのはどこかと、こう聞いたときに、私はそれは銀行だ、銀行であると。特に、メーンバンクと称する銀行は全くもってけしからぬ、これを徹底的に精査せよということを私は言ったつもりでございますし、経企も大蔵もそのとおり動いたと思います。  私は実は、銀行当局に申し上げる前に、銀行法の改正というのがございました。この参議院にも玉置和郎君とかその他おられまして、私とともに動いておりましたから、私は銀行を何も助けようなんて意図は全くなく、大蔵の銀行局に、二十二条あった銀行法を七十七条にするいわく因縁がわからないから一条一条のアイテムごとに検討せよということで、金融制度調査会をとことんまで半年間もんだことがございました。かといって、銀行からお礼を言われたことはございません。それだけに、私自身は銀行というものも礼儀知らずのけしからぬ連中がそろっておるなと思ったこともございます。私は、だから怒って経企庁に言ったわけじゃございません。  すなわち、銀行が当てずっぽうにそこら辺に二百坪の土地があればそれを担保に入れればもう幾らでも貸すから持ってこい、見もしないようなものを持ってこいと、これは銀行家とは申しません、私はこれはやる仕事は銀行屋と。銀行家というのは、少なくとも企画がよく、その人材さえ立派であるということならば、その企画にかけることも銀行家の哲学だとまで私は申し上げたことがあります。  そこで、そういう中にあって、建設省にもしそういうようなことがあるならばこれはいかぬと思ったものですから、私もこれを全部調べたわけでございます。ところが、考えてみれば係長クラスというのは、実は私もお目にかかることもない分でございまして、はっきり申し上げてこのメンバーのあれを見ますと、少なくとも本省のキャリアメンバーというのは一応言うなれば甲種合格したようなメンバーですから、したがってこれに対応するぐらいだというと、このぐらいの格の生命保険会社だとか銀行だとかとなるのかなというところで出向して、残念ながら建設省は、確かにバランスシートを見る目とかあるいは比較的に国際的な語学力とかというものは他の省から見れば多少劣っているところもあるのかもしれません。そういうことを率直に官房長は謙虚に言われたんじゃないかと思いますので、その点はひとつ御理解願っていただければありがたい。  そこで私は、この民間との人事交流というものは、社会経済情勢の急速な変化の中で、民間の業務運営あるいは発想を取り入れて行政の的確な運営を推進する観点から行っているところでありまして、民間との人事交流に当たっては国家公務員法による守秘義務が課せられていることに加えて、相手方の会社、受け入れポスト等について公務の公正の確保に欠けることのないよう一定の配慮をすることが必要と思いますが、交流自体は私は有意義なことと考えておりますので、今後とも続けていきたいと考えておる次第でございます。御理解のほどをお願いします。
  121. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 今言われた点ですけれども、大臣、非常に重大な点を見落としていると思います。私は目的が二つあると思うんです。官房長は希望すればと言われたけれども、金融機関はみんな希望しますよ。なぜかというと、やはり一つは情報収集、これがあるんです。  私は実際、その経験話を聞いてきました。どう言っているかというと、在職中、価値ある情報収集を追求しているというんです。公表される決定でもその内容を事前に一刻も早くキャッチし、いち早く出身行に伝えることが仕事だった、こう言っているんですよ。  それからもう一つ、係長クラスというけれども、出向するのはみんな二十代後半、三十代初めですよ。そこで机を並べている相手も、行く行くは建設省をしょって立つそういう若い人たちかもしれない。そういう人がまざっているわけです。だから銀行は、こういう人たちと仲よくなれ、出向するときに必ず言われる言葉があるんです。人間関係を大切に、友人をたくさんつくれ、そう言っているんです。それが二十年、三十年後に生きてくるという長期作戦に立っているんですよ。だから、大臣、やっぱりそういうことをちゃんと知ってほしいんです。  それで、何のためにそれをやっているかというと、金融機関の利益のため、利益誘導のためなんです。ですから、はっきり言って問題点を官民の交流というきれいな言葉で終わらせちゃいけない、そう思います。そして、やはりこの問題について、大臣、きちっと実態を見てほしいと思います。私が幾つか言いました。大臣はきょう饒舌でいろいろしゃべられたので時間がなくなりましたけれども、やはりその点で情報収集と人脈づくり、これがねらいだということをあけすけに語っているわけです。それが派遣する側の企業のメリットなんです。だから希望するんです。  だから、その点をちゃんと踏まえて、大臣、予算委員会で聞かれましたでしょう、大蔵省との関係でも久保大蔵大臣は何と言いましたか。これについてはきちっと姿勢を正した方がよいのではないかと考えまして、新たに金融機関から交流を行うことについては当分これを停止することを指示した、そう言っているんです。聞かれましたでしょう、大臣は隣に座っているから。  しかも、先ほどお話があったように、鈴木国土庁長官は、実力建設大臣と言いました。それからまた、先ほど長谷川委員は、建設大臣、ことしはこれをやると言えばできると。これは予算のことだと思いますけれども、これは予算は関係ない。むしろ予算が返ってくるんですよ、人事費が浮く。  ですから、大臣、やっぱりこういう事実をちゃんと見て決断してほしい。政治家として、そして任命権者として。このことを要望したいと思うんですけれども、少なくともこの実態、私は問題点をいろいろ言いましたが、それについてちゃんとした十分な調査をする……
  122. 永田良雄

    委員長永田良雄君) 緒方委員、時間が来ております、簡潔に。
  123. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 そのことを約束し、しかるべき対処をしていただきたい。このことをお願いしたいと思います。大臣。
  124. 中尾栄一

    国務大臣中尾栄一君) 念頭に置かせていただきます。
  125. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 終わります。
  126. 奥村展三

    ○奥村展三君 いろいろと御質問させていただきたかったわけでございますが、重複もいたすわけでございます。  前回の委員会でも質問をさせていただきました。先ほど、予算概要説明におきまして、鈴木長官からの説明の中に、大都市圏整備計画の中の琵琶湖総合開発事業推進ということでお述べをいただいたわけでありますが、四半世紀にわたりまして新規の水利用ということでこの問題を国家挙げて取り組んでいただいたわけでございますが、前回も申し上げましたとおり、平成八年度で期限切れになるわけでございます。今後は琵琶湖の保全、このことが近畿圏の発展にとって大変重要な問題であるという認識を私自身、当然滋賀県そのものも持っておるわけでございます。そうしたときに、水質の保全あるいは水源の涵養、自然的環境、景観等々いろいろ今後課題がたくさんあるわけでございます。  前回も、県と十分に連携をとりながら進めていこうということを長官からもお聞きいたしたわけでございますが、四月になりまして琵琶湖水政審議会が持たれまして、これは中間まとめでありますが、今後の方針あるいはまた琵琶湖に関することを審議会で議論をしていただいたわけでございますが、まだ長官の手元までは上がっていないと思っております。  しかし、前回もお願いをいたしましたとおり、これは本当に一つの県だけの問題ではなくて、二府四県はもとより、あるいは三重県、岐阜県、福井県等近隣の県にも大変影響を及ぼす事業でもあったわけでございます。  今日まで関係の皆さん方に大変な御尽力をいただいたわけでございますが、考えてみますと五十二年に淡水赤潮が発生をいたしました。そしてまた、アオコと言われる水の華、これが昭和五十八年に発生をいたしております。そして、平成六年も北湖で、ちょうど琵琶湖大橋より北の方でございますが、ここだけは大丈夫だろうと言われておったんですが、ここにも平成六年にアオコが発生をしたり、大変険悪な状態になっておるわけでございます。  前回も長官からも琵琶湖にかけていただく意気込みをお聞きいたしたわけでございますが、今日も変わらないと思いますけれども、所見をお伺いできたらと思っております。
  127. 鈴木和美

    国務大臣鈴木和美君) 先般の委員会でも先生にお答えを申し上げたと思いますが、一番最初に琵琶湖をどう思うかという御質問があったときに答えたと思うのですが、まず大事なことは自然環境の保全だと。特に、景観もありましょう、文化の施設もあるわけです、そういう意味で自然環境の保全がまず第一だと思うと。  二つ目には、汚れつつある水質の回復を図る、これも大切なことだ。同時に、琵琶湖周辺の洪水被害の除去の問題もこれも大切だ。地域産業発展も大切だよと。そういう意味では、琵琶湖というものが重要な湖であるということを認識していると答えたと思います。  同時に、今お話しのように淀川下流、阪神地域の急激な都市用水の需要が増大してきていますから、水資源の開発と琵琶湖の周辺の総合的ないわゆる地域整備ということが非常に大切だ。そういう意味で、昭和四十七年にいわゆる計画ができ上がって、今、先生御指摘のように平成八年で大体ほぼめどがつくという状況でございます。  けれども、琵琶湖そのものに関しては重要な湖だと思っているから、どうぞ先生、県との間に、また同時に地域の公共団体との間にどういうふうにこれから進めたらいいのかということを御相談いただくことが大切じゃないのかなということを申し上げまして、今でも琵琶湖に関する問題認識としては重要な湖である、こういう認識に立っております。
  128. 奥村展三

    ○奥村展三君 ありがとうございました。決して琵琶湖だけを重大化して申し上げているのではなくて、やはり今御答弁いただきましたように一千四百万人の命の水でもございますし、そしてまた琵琶湖を守ることが日本国土を守っていくという大きな基盤に立っていろいろと申し上げておるところでございます。  そこで、局長さんにお伺いをいたしたいわけでございますが、先ほども申し上げましたとおり、県の水政審のまとめができまして、国の方に今提出をなされたかと思っておるんです。まだ細部の作業はそこまで至っていないと思うわけでございますが、局長さん、水政審の中間まとめを一応ごらんいただいてどのような感想をお持ちになったか、お伺いをいたしたいと思います。
  129. 五十嵐健之

    政府委員五十嵐健之君) 先生御指摘のように、本年四月九日でございますけれども、滋賀県の琵琶湖水政審議会から滋賀県に対しまして琵琶湖の総合的保全のための課題と今後の取り組み、中間取りまとめ、これは御案内のように滋賀県が水政審議会に提出して、その中間取りまとめを一応了承された、こういう性格のものでございます。  この中を拝見いたしますと、滋賀県が示されました取り組みでございますけれども、琵琶湖の価値、非常に価値があるということ、それから琵琶湖総合開発に関する成果、そして今後の課題、こういったようなことを取りまとめられて、琵琶湖の総合的保全のための取り組みにつきまして、水質の保全、それから水源の涵養、そして自然環境、景観の保全、この三つの観点を特に重点的に取り上げられまして、今まで実施されました施策、それから現状、今後の取り組み方針、こういったようなことを述べられたものと承知しております。特に、これまで琵琶湖の保全に関しまして実施した施策あるいは琵琶湖の水質等の環境条件に関する件について極めて詳細な取りまとめが行われたものと承知しております。  まだ、私ども県から正式にどうこうということでない段階でございます。資料を拝見しているという段階でございますので、誤解があるかもしれませんけれども、今後の取り組みの方向、そういった点につきましては、近畿圏における大変大きな問題ということでございます。下流地域を含めまして琵琶湖の総合的な保全の必要性が全体的にどのように受けとめられているのか、あるいは目的とこの対策の有効性等々、これからいろいろ御議論がなされるところなのではないかと、このように承知しております。
  130. 奥村展三

    ○奥村展三君 まだ中間まとめの段階でございますから、今後いろんな動きをしてくると思います。ぜひよろしくお願いをいたしたいと思います。  現行法の琵琶湖総合開発事業、これはもう最終年度を迎えているわけでございます。この中でも、今御答弁いただきましたように、水質保全面、このことを特に重点にお取り組みをいただいて、県は県なりでいろいろ条例やあるいは要綱等でできる問題もあるわけでございます。しかし、法律をもってあるいはまた新しい仕組みをもって、この保全あるいは水源の涵養だとか、先ほども申し上げた環境等のいろんな問題がここに派生してくるわけでございますので、国家の大事業をきょう今日まで進めてきていただきました、そういうような意味で県民挙げて取り組んでもまいったようでございますし、今後もぜひ国挙げてお取り組みをいただきますことを要望させていただきまして、質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  131. 永田良雄

    委員長永田良雄君) 以上をもちまして、平成八年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、総理府所管のうち北海道開発庁及び国土庁建設省所管住宅金融公庫北海道東北開発公庫についての委嘱審査は終了いたしました。  なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  132. 永田良雄

    委員長永田良雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十七分散会      —————・—————