○大渕絹子君 東京都の判断は非常に苦しい判断をしているんです。五十四条の一項の規定は、私がちゃんとおっしゃってくださいと言ったのにあなたはおっしゃいませんでしたけれ
ども、「容易に移転し、若しくは除却することができるものであると認めるときは、その許可をしなければならない。」、「階数が二以下で、かつ、地階を有しないこと。」、それから、「主要構造部(建築基準法第二条第五号に定める主要構造部をいう。)が木造、鉄骨造、コンクリートブロック造その他これらに類する構造であること。」というふうに規定されています。
そうすると、平和祈念館は永久建物ですから、この建物は、簡単に移転できる建物とは全く違う。この五十四条で許可が許されている建物とは全く違うわけです。だからこそ東京都は、そこで五十四条の許可
条件が得られないから、東京都独自で定めている
都市公園及び緑地に関する
都市計画法第五十三条一項の許可取扱基準の二の一に公園と同種のものというところに救いを求めたわけです。この公園の
施設と同種のものというところで、国民公園に移管をするという環境庁の覚書がどうしても必要だったんですね。そういうことで許可がおりているということがあるわけです。
これは、だけれ
ども、先ほど私が
指摘をしてきたように、明らかに法律の枠を超えた形で取り交わされていますし、国民公園に移管をする手続さえも正式には行われていない。しかも、国民公園というのは、この規定がされたときに、国民公園という正式名称を使うようになったのは昭和二十二年の十二月なんですけれ
ども、旧皇室園地に限り閣議決定によって国民公園とすると言っているんです。
しかし、この当該地は陸軍省の役所もあったというふうに聞いていますし、今は九段会館の駐車場ということで東京都の
中央公園の一角と位置づけられている。しかも地目は宅地になっています。だから国民公園にはなれない土地なんです。そういう土地ですので、国民公園にすることを前提にする
厚生省と環境庁の
局長レベルでの確認圭というのは何ら
意味もなさない。これを頼りにして出した東京都の建築許可もこれは
意味が九い。
そして、その建築許可が出された後で
設計変更がされているわけですから、新たにもう一度東京都に建築許可申請をし、許可をいただかなければ建築をすることができない。その平和祈念館を五月に着工しようとしている。しかも、
建設省はみずからの所管、
都市計画法を犯して、そして、さらに自分みずからが申請者になってこの建物をつくろうとしている。
厚生省は何ら傷つかないんですよ、これ違法的なことでやったとしても。傷つくのは
建設省でしょう。こういうことを今やろうとしている。
しかも、地元の住民たちはどう言っているかというと、まだ地元の
合意が得られていない、あそこは防災の避難所として確保しておきたい
都市公園なんだということを言っていらっしゃる。こういう住民の声、区長さんからも区議会からも、あるいは市民団体からも、もう少し住民としっかりと話し合って着工すべきであるという声が出ているわけです。
この声をしっかりと真摯に受けとめて、もう一度
計画を練り直し、合法的に建てられるような形で建設をしていくべきで、私は、建設をどうしてもだめだと言っているわけではありません。しかし、法をつくり、法を守ることを国民に強いている私たちみずからが、自分たちの手で法を犯すような形でこういう建設をすることはいかがなものかということを強く重ねて申し上げたいと思います。
ここに、きょうは時間が三十分ということで短くなってしまってなかなか詰めることができませんけれ
ども、朝日新聞のことしの三月二十日の新聞ですが、国民の投書欄のところに載った記事があります。この記事は私の思いと随分一緒でありますので読ませていただき、
大臣のお
考えの一端にさせていただければというふうに思っています。
「平和祈念館の着工は中止を」、逗子市石崎キんさん、戦没者遺族、七十九歳。
「戦没者追悼平和祈念館」建設に関して、盾生省は、本来高層の建築物は建てられない出京・九段会館前の緑地を、環境庁との「密約」により建設予定地として都の許可を取り、五月に着工する方針を決めたことを、本紙の報道で知った。
国民の歴史観・戦争観が問われる国立の
施設を建設するというのに、その構想に関して国民的な論議の場も設けず、歴史学者や市民団体、戦没者遺族の批判や要請にこたえることもなく、景観、防災などについての地元区議会や住民の声も無視して、百二十三億円の巨費を投じて一方的に事を進める
厚生省の
計画の意図に疑念を禁じ得ない。
「戦中戦後の国民生活上の労苦を後世代に伝えるため」というが、あの戦争を問い直し、加害の事実に向き合い、アジアの痛み、謝罪の思い、不戦の決意へと導かれる展示
内容が欠落していては、「戦後五十年を期して後世代に戦争を伝える」という
目的を果たし得ない。
「密約」を交わしてでも、この際
計画を強行しょうとする
省庁の姿勢を見ても、そこには平和を願い、真に戦没者を悼む思いからはほど遠いものを感じる。私たち戦没者遺族は着工の山止と建設構想の根本的見直しを強く求めている。
こういう投書が寄せられているわけでございます。私も、本当にこの投書と同
意見でございます。
建設大臣、時間が
不足して大変雑駁なやりとりでございますけれ
ども、正確に法を照らしてみても、私は法律の専門家からきちんと勉強させていただいてきよう
質問に立っています。法律で照らしても、まやかしの手続によって建設がされていて、しかも
建設省は事実のところがよく知らされていない中でその施行主、申請者となって建てていかなければならない、こういう
状況でございますので、五月着工というのを見直して、千代田区民の皆さんとの住民
合意をしっかりとやり、しかも合法的な建物をつくっていくという決意を聞かせていただきたいと思います。