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赤桐操君 私もしばらく三年余り
質問の
段階から遠ざかっておりまして、ちょっと節回しが余りよくないと思いますが、お聞き取りを願いたいと思っております。
阪神大震災につきましては、ただいまもお話がございましたようなことで、いろいろと
質問も重ねられてまいりましたし、政府、自治体を挙げて諸
対策にお取り組みをいただいているところでございます。私どもも現地を視察いたしまして、先般の
調査の結果、大変大きな災害の跡を見ましてつくづく感じましたことは、一年を経てなおかつ大変大きな問題が残されているということを痛感いたしたところでございます。
いろいろと政府、自治体それぞれ取り組んでいただいているところでありまするけれども、しょせんは、これは発生した災害に対する
対策でございます。要するに、病気が発生したときのそれに対する対症の療法でございまして、これは何としても一日も早くもとの
状態に戻さにやならない、これがただいま課せられた一番の問題でありましょうし、同時にまた阪神のこの後の問題については、将来に大きく二十一世紀に向けて発展できるような基礎固めをひとつ願いたい、このように感じておるものでございます。
そこで、私はもう多くを申し上げることはございませんが、このようにいろんな事件が発生して、災害が発生してはこれに対するところの諸
対策に追われる。当然これはもう全力を挙げて取り組まにゃなりませんが、そういうようなことが今日の実情であろうと思います。もちろん、政府、行政、その他の面におきましては、諸
対策等につきましても将来を展望して御
検討をいただいていることは私ども承知いたしておりますが、しかし、実際には発生した方の問題にとらわれますから、なかなか将来その他の問題にまで手を回すとしても、
予算その他の関係からいたしましても思うようにいかない場合がございます。
そういう
意味合いから、最近私は非常に感ずるものがございますので、この感じておる一、二の点について率直に両
大臣にお聞きをいただきまして御勘案をいただければと、こう思いながらこれから申し上げてみたいと思っております。
阪神の問題が発生して、だれもの頭によぎったことは、もしこれが東京あるいは東京周辺、東京湾、こういうところで発生したとしたならば一体これはどういうことになったんだろうかと。阪神でさえも港がもうほとんど不可能になりまして、ハブ機能を喪失する。台湾、高雄や釜山、朝鮮、こういったところにほとんど今持っていかれてしまっている。さらにまた、南の方ではシンガポールや香港が大変大きく伸びてきておりますから、北米航路その他についてもほとんどこちらの方に入ってしまう。
日本がむしろ逆の立場に置かれてきておる。こういうような
状況にあるのと同じように、一遍問題が発生したときには、これを回復しようとしてもなかなかできなくなるんですね。そういう
意味でハブ機能を一遍喪失してほかに持っていかれまするというと、
日本へまた戻すということはこれはなかなか困難なことであると言われております。
そういうようなわけで、これがもし東京湾六港に発生したとしたら、これは一体どうなったんだろうか。東京湾岸に発生したならばどういうことになったんだろうか。東京都及びその周辺に発生したらどういうことになったんだろうか。まさに私は
日本列島沈没じゃないかと、このように痛感をいたしたところでございます。
そういうわけで、感じておりまする身近な一、二点についてひとつ申し上げてみたいと思うわけであります。
お手元にこういう資料を差し上げてございますが、東京湾の周りには東京、神奈川、千葉、この一都二県が東京湾をめぐって存在いたしておるわけでありますが、その沿岸は今大変注目すべきものがあると思うんです。一番危ないのが千葉の方なんですけれども、私は千葉の出身でございまして痛感している次第でございますが、石油タンクの数が調べてみると大変多いんです。
それで、差し上げてある資料をごらんいただくとわかりますが、東京湾全体で、湾岸にある石油タンクの数は約七千個に及んでいるんですね。それから、ガスタンクが約八百。したがいまして、全部合わせて九千近い危険物がここに存在していると言っても過言ではないと思うんです。
細かなタンクの構造とか地盤の問題について触れる時間がありませんから、概略の話で大変恐縮ですけれども、大まかに申し上げますが、今、千葉県側の方の高圧ガスタンクの資料をごらんいただきますというと、百トン未満というのは、北部、中部、南部の中でそれぞれ分けられておりますけれども、全体で百五十六ございます。それから、百トンから五百トン未満のものが六十三、五百トンから一千トン未満のものが九十、一千トン以上五千トン未満のものが七十四、五千トン以上が二十一、合わせまして四百四、こういう数字が出ております。
ガスタンクの方だけごらんいただくとわかりますが、一枚めくっていただきまして、その次に東京湾岸の神奈川県側の方のガスタンクが出ております。そこに、川崎が三百二、横浜が四十八、横須賀が三とこうなっております。これを全部合わせまするというと、東京の部分がここには出ておりませんがそれを合わせまするというと大体八百近く、七百九十くらいに及んでおります。これが今の実情でございます。これはガスタンクの方です。
それから、石油タンクの方を見ていただきますとわかりますが、石油タンクは千葉県側の方にございますけれども、これは北部、中部、南部それぞれ分かれております。千キロリットル未満が全部で合計して二千三百十五、一千キロリットルから一万キロリットルが六百四十九、こういうぐあいに順序を追ってまいりまして、一万キロリットルから五万キロリットルが百六十三、五万キロリットルから十万キロリットルまでが百五、十万キロリットル以上が二十。十万から二十万キロリットル、これが千葉県側に二十あります。これは大体、十万キロリットル以上だけを見ても大変なものなんです。これを合わせまするというと、合計で三千二百五十二、千葉県側だけで三千を超えております。こういう
状況であります。
神奈川県の方を見まするというと、石油タンクの総合計が二千九百八十五、約三千ございます。十万キロリットル以上はここでは三つぐらいしかないんですが、大体五万キロリットルから十万キロリットル以上、こういうものの大半が千葉県側に寄っていると言っても過言ではないと思います。東京はなぜ少ないかというと、これはコンビナートがありませんから東京には少ないんです。要するに、千葉と神奈川が大体その主体をなしている、こういう
状況でございまして、石油タンクの大体九千近いもののあらましが千葉と神奈川と、こういうことがまず言えると思います。
これを今申し上げた理由は、こういう
状況の中で、例えば今
地震が発生したときに一体どうなるんだろうか。
私は、これは
地震ではなかったんですが、四十九年の十二月に水島の石油タンク流出事件がございまして現地視察に参りました。これは院の派遣で参りました。このときは大体三万キロリットルの流出だったんですが、瀬戸内海が覆われたといって大変な騒ぎをしたことがあったんです。参りましたけれども、実際、海上保安庁も消防庁も大変困り果てておったというのが実情でございまして、これが東京湾で一つ二つ十万キロリットル以上のが
亀裂を生じて流れ出したということになるというと、これはちょっと簡単にはいかないと思うんです。
それで、かつて電力関係の燃料が流出をいたしまして、四、五十台の車がはせ参じてやっと火災を抑えたという
経過があります。二百メートルぐらい先にでかいタンクがありまして、この石油タンクに引火したならば大爆発しただろうと言われておるんです。これは千葉県の話ですよ。ということでありまして、私はこの
状態は一日も放置することができないんじゃないかと思っておるんです。
そういう
意味で、今九千近い可燃物を周辺に置く東京湾の
状態、これはひとつ真剣に
考えてみる必要があるだろう、この問題を一つ提起しておきたいと思います。
それから、念のために申し上げますが、普通のこういう大きな、これは見上げるようなものですよ、十万キロリットルといいますと。私も全部見ておりますが、見上げるような物すごいでかいものが、下から土台を構築していってその上に普通だったならばビルディングというものはでき上がるものですね。地下に恐らく地上以上の鉄骨が入ると思うんですよ。ここにはそういうものがないんですよ。全部、地盤改良の上に置かれているわけなんです。ですから、大
地震が来て下からいろんな地盤の変化が発生したときには、これはただでは済まないということは申し上げておかなければならないと思います。
そこで、私が申し上げたいもう一つの「東京湾の
課題」という、これはちょっと私が緊急に抜いてきたものでありますから余りいい資料じゃないんですが、これは左側はコンビナート地帯ですよ、それから右側の方は液状化発生可能性のある
地域でございますね。このコンビナート地帯、今の申し上げた石油タンク、ガスタンク類は、ほとんど全部この液状化発生可能性のあるところに乗っかっているんですよ、今申し上げたような地盤構成の上に乗っかっているんです。
岩盤の上に乗っているわけではないんです。
こういう
状況で、実は今私は、恐らく直下型
地震や東海沖
地震でももちろんそうなると思いますけれども、そうしたものが発生したときにはまずこれは液状化が発生するだろう。しかも、置かれている各タンク類はいずれも傾く。傾いたときには、一点にたくさんのものが集中しますから必ずこれは裂けます。そういうことになってくるだろうと心配しているんです。
ちょうど四十九年の水島の流出事件が終わった後、私は
地方行政の方へ入っておりまして、当時の自治
大臣は福田一
先生でございましたけれども、この福田一
大臣の方に
報告をいたしましたところこれを取り上げてくれまして、特に私は一言付言しておきましたが、海と陸の管理
体制が十分でないと思う、一括した投網が必要だろう、例えばコンビナート法のようなものをつくる必要はないか、それで所管の
大臣が一手にそれを押さえて緊急
措置をする必要がないか、こういうことで問題提起をしたのでありますが、これを福田
大臣が取り上げてくれまして今日のコンビナート法ができ上がっております。
これと並行いたしまして、これらの危険物に対するいろいろ緊急
措置の法令ができ上がっております、改正ができ上がりました。これが昭和五十一年から二年の通常国会、同じ時期であります。それで、その時期にできたものがいわゆる新法でありますね、取り締まりをする新法。基準を新しくつくり上げたものです。旧法で今までのタンクはほとんどやられているんですよ。今申し上げた九千近いものの中の八〇%は旧法で行われております。約二割ぐらいが新法で行われている。
新法は、例えば大五年間の大
地震が発生したあの程度のものであっても耐え得るような基礎
対策、例えばタンクの鉄板の厚みがある、基礎工事からそうしたものについてもかなり綿密に
指導が出ているようでありますが、旧法は一般建築物の基準で行われておりますからそう簡単に、言うなれば新しくできた法律のようなわけにはいかない、こういうように私たちは
考えております。
ですから、本来なればこれを国が
指導いたしまして本格的にこの
調査をすべきだと思うんです。神奈川や東京はどうしているか知りませんが、千葉ではこのことを私も
指摘いたしまして、千葉県はことしから
調査費を組んで四月以降タンクを一つ一つ抜いて
調査をしているそうです。そして、
亀裂があるかどうかを全部調べる、ゆがみがあるかどうかを調べる、こういうことで今やっておるようでありますが、これは大変な費用がかかるようであります。しかし、これは
日本一危険なものが多くあるところでありますから千葉県としてはやっておりまするけれども、そういう
状況にございます。
ですから、私は、やはりそういった観点に立ってこの東京湾というものをもう一遍見直してみる必要があるのではないか、このように痛感をいたしておるわけであります。
時間の関係がございまするから余り多く申し上げる時間もありませんけれども、きょうは問題の提起ということで申し上げておきたいと思うのであります。
これは国土庁の方で
平成五年に大都市圏
整備局長の名前で「東京湾
地域の総合的な利用と保全のあり方」というものが出ております。懇談会で
報告が出ております、これはみんな権威ある
方々の
報告でございますから。その中には、一貫して言われていることは、東京湾あるいは東京周辺はもうほとんど極限を超えている、この
課題を解決するには湾外に求める以外ない、こう言っているわけですね。これは国土白書といいますか、この中でも言っているけれども、運輸の方でも同じことを言っているんです。
ですから、それらの点をもう一遍きちんと整理していただきまして、阪神の事例もございまするから、あわせてひとつ御
検討おきいただきたい、そして新たなる
対策をお急ぎ願いたい、このことを御要請申し上げたいと思います。
両
大臣のお
考えを伺いまして、終わりたいと思います。