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1996-03-14 第136回国会 参議院 建設委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年三月十四日(木曜日)    午後二時一分開会     ―――――――――――――    委員異動  三月十四日     辞任         補欠選任      倉田 寛之君     野村 五男君      橋本 聖子君     小山 孝雄君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         永田 良雄君     理 事                 石渡 清元君                 太田 豊秋君                 緒方 靖夫君     委 員                 井上  孝君                 岩井 國臣君                 上野 公成君                 小山 孝雄君                 野村 五男君                 山崎 正昭君                 赤桐  操君                 大渕 絹子君                 山本 正和君                 奥村 展三君    国務大臣        建 設 大 臣  中尾 栄一君        国 務 大 臣        (国土庁長官)  鈴木 和美君    政府委員        国土庁長官官房        長        竹内 克伸君        国土庁大都市圏        整備局長     五十嵐健之君        国土庁防災局長  村瀬 興一君        建設大臣官房長  伴   襄君        建設大臣官房総        務審議官     小野 邦久君        建設省建設経済        局長       小鷲  茂君        建設省道路局長  橋本鋼太郎君    事務局側        常任委員会専門        員        八島 秀雄君     ―――――――――――――    本日の会議に付した案件 ○建設事業及び建設計画等に関する調査  (一般国道二二九号豊浜トンネル崩落事故に関  する件)  (東京湾岸地域石油コンビナート等防災対  策に関する件)  (住宅金融専門会社とゼネコンとの関係に関す   る件)     ―――――――――――――
  2. 永田良雄

    委員長永田良雄君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、倉田寛之君及び橋本聖子君が委員を辞任され、その補欠として野村五男君及び小山孝雄君が選任されました。
  3. 永田良雄

    委員長永田良雄君) この際、申し上げます。  現在のところ、平成会所属委員出席が得られておりません。同会派所属委員出席を要請いたしますので、そのまましばらくお待ちください。  速記をとめて。    〔速記中止
  4. 永田良雄

    委員長永田良雄君) 速記を起こして。  平成会所属委員に対し出席を要請いたしましたが、出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。  建設事業及び建設計画等に関する調査を議題とし、これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 石渡清元

    石渡清元君 どうも御苦労さまでございます。  私は、過般の一般国道二百二十九号豊浜トンネル崩落事故のその後についてを中心に御質問を申し上げます。  まず第一に、今回の事故が、岩盤崩落ということが予知できなかったかどうか。前にも、我が党の岩井議員が御質問をいたしました。あるいはその後のいろいろな経過も御報告をちょうだいいたしましたが、その後さらに詰まったことがあったら御説明、御答弁をいただきたいと思うわけでございます。事故調査委員会も発足をし、もう委員会も第一回が二月二十六日に開かれたというふうに聞いておりますけれども、そういう中での、事故原因等について御答弁を願います。
  6. 橋本鋼太郎

    政府委員橋本鋼太郎君) 建設省におきましても、また北海道開発局におきましても、道路防災は極めて重要な課題だということで、全国的な防災点検あるいは日常パトロール実施してきております。特に、平成二年から三年にかけまして全国的な危険箇所の総点検をいたしましたが、この場合におきましてもおおむね安定しているという結果でございまして、事故危険性についての予知はできておりません。  また、この地域につきましては、平成五年に北海道南西沖地震が発生いたしました。いろいろな地表面変状等も観測できましたので、この地域につきまして直後にパトロール実施する、あるいはいろいろな調査実施したところでございます。しかし、この場合におきましても、変状等がこのトンネルにおきましては確認できなかったわけであります。  さらに、調査によりまして、今後危険性はないのかという検討もいたしたわけであります。危険と思われるような斜面につきまして、北海道南西沖地震原因で大規模斜面変状を生じた箇所、こういうものを見出す目的で調査をいたしましたが、その箇所はなかった。しかし、今後地震により危険になる箇所がないのかということで、ヘリコプターから撮りました写真の判読等によりましていろいろ検討いたしました。その結果、この箇所につきましては、地震による変状は確認されませんでしたが今後の地震に対する安定度はやや低いということで、引き続き調査を行っておったところでございます。  なお、こういう大規模岩盤崩落につきましては、極めて経験の少ない事象でございます。そういう意味で、今御指摘ありましたとおり事故調査委員会を設けまして既に現地で調査をしておりますが、具体的内容につきましては、これの経過報告等は現時点ではございませんので、そういう報告のあり次第また御説明申し上げたいと考えております。
  7. 石渡清元

    石渡清元君 日本地形からして非常にこのような厳しい、険しい、そういう状態場所が多いわけでございまして、ぜひ事故調査徹底的にその原因を詰めていただきまして、それを教訓にこういう再発防止のために生かしていかなければいけないんではないかと思います。したがって、トンネルとか坑口のそういうパトロール状態というのはどうであったのか、その辺のところをもう少し詳しく御説明ください。
  8. 橋本鋼太郎

    政府委員橋本鋼太郎君) 一般的に、幹線道路であります一般国道につきましては一日一回、複数の職員あるいはその補助者によってパトロール実施するということにしております。今回の場合も前日にこのトンネルパトロールカーで点検したわけでありますが、先ほど申し上げましたように異常が発見できなかった、こういう状況でございます。
  9. 石渡清元

    石渡清元君 パトロールの御努力はよくわかるわけでございますけれども、どのようなところが危険なのかという危険箇所を見つける方策とか、そういうパトロールをする方にどのように徹底をしているか。ただ車で回っても、日々刻々地形も変化していましょうし、あるいはいろいろなことが想定をされますので、その辺の対策あるいは指導、それについてはどういうふうにされているんでしょうか。
  10. 橋本鋼太郎

    政府委員橋本鋼太郎君) 日常行っておりますパトロールは時間的な制約もございます。そういう意味で、道路の面あるいは見える斜面について変状がないかどうかということを主体にパトロールしているわけでありますが、なかなかそれだけでは十分ではありません。そういう意味で、年一回は重要なあるいは大きな構造物について定期的な点検をするということで指導をしております。さらに、年一回でもなかなか発見できない場合がありますので、数年に一回、全国的に危険箇所、これは斜面とかのり面トンネルの中あるいはトンネル坑口、あるいは地すべり、雪崩、こういうものを含めて点検をするようにしております。  先ほど申し上げましたように、平成二年から平成三年に前回は点検をしておりますが、今回、平成八年度も改めて点検実施したいと考えております。その場合には、先ほど申し上げましたような大規模岩盤崩落等も今回経験したわけでありますので、そういうものも含めて点検を再度したいと考えております。
  11. 石渡清元

    石渡清元君 パトロールで、目で見るいわゆるビジュアルなそういうのはよくやられるケースなんでございますけれども、やはり専門的にトンネル工学やらあるいは地質工学等々のやや科学的なそういうチェック、点検というのも必要ではないかと思います。その辺のところはどのように対応されているのか。
  12. 橋本鋼太郎

    政府委員橋本鋼太郎君) 御指摘の点もまことにそのとおりでございまして、現在、科学的な手法について検討を進めたいということでございます。例えば、地質調査にその地域地質専門家に参画していただくこと、あるいはいろいろなセンサーを設置すること、あるいはGISのような新しい技術を使って岩盤の変動も観測できないかというような技術開発も含めて現在検討しておりますので、こういうものが今後実用化されるように努力してまいりたいと考えております。現在でも落石等を察知するセンサー等開発されておりますが、なかなか信頼度において問題点があると聞いております。その辺の信頼度も含めて、実用化にたえ得るようなセンサーなり検知器、こういうものの設置も今後の課題ではないかと考えております。
  13. 石渡清元

    石渡清元君 次に、今回の事故教訓として建設省全国緊急点検を指示した、こういうふうに伺っておりますけれども、その内容とまとめ、総括について御報告ください。
  14. 橋本鋼太郎

    政府委員橋本鋼太郎君) 今回の事故の重大さにかんがみまして、早速二月十三日に全国道路管理者に対しましてトンネル坑口及び落石覆工が設置されている箇所のり面斜面につきまして緊急点検を指示いたしました。  緊急点検内容といたしましては、今回の事故発生地点と同様の地形、すなわち海岸線などに多く見られるような岩盤が露出しており崖壁の高さの高いもの、おおむね十五メーター以上、こういうものを対象点検することとしました。この場合に、亀裂規模あるいは岩盤亀裂状況のり面斜面の形、岩壁の高さ、凍結融解湧水の有無、あるいはトンネル坑口部あるいは落石覆工の状況等についても、これも先ほど申し上げましたが、岩盤工学等専門家参加を得ながら進めております。既に全国各地道路管理者で着手しておりまして、三月末までにはこの点検結果を取りまとめたいということで鋭意進めております。点検の結果につきましては、さらに詳細な調査が必要となる場合もありますので、これらの詳細な調査を行うとともに、できるものから補強工事等実施を進めてまいりたいと考えております。
  15. 石渡清元

    石渡清元君 大体、今回の第一回の調査というのは全国でどのくらいが対象になっているのか。道路管理者がやるというのでございますけれども、建設省みたいにスタッフがそろっているところはきっちりできるんですが、地方自治体で余りその専門職がいない、いわゆる組織能力が必ずしも大きくない、あるいは財政的にも厳しいところ等々について何かの手当てをしないと、本当の意味緊急点検になったのかどうかということも心配がありますが、その辺のところはいかがでしょうか。
  16. 橋本鋼太郎

    政府委員橋本鋼太郎君) 今回の点検対象となる箇所につきましては、我々の推測ではありますが、トンネルでは約七千カ所ぐらいになるんではないかと考えております。国道で約二千七百カ所ぐらい、都道府県道で千八百カ所ぐらい、あるいは市町村道で二千カ所ぐらいが対象になると思いますが、この中から、先ほど申し上げましたように特に厳しいと思われる箇所につきまして、これはおおむね二千カ所ぐらいではないかと想定しておりますが、調査を進めながらやってまいりますと、厳しいと思われる箇所もさらに増すこともありますので、二千が三千になるという予測もございますが、現在その辺については進めておる段階であります。  今御指摘のとおり、市町村等になりますとなかなか技術者も少ないという点がございますので、これらにつきましては都道府県に協力をお願いするとか、あるいは技術センターみたいなものが各地にありますのでこういうものも活用していただく、あるいは先ほど申し上げましたようにその地域の大学の地質なり岩盤力学先生方にも参画いただくということで進めてまいりたいと考えております。
  17. 石渡清元

    石渡清元君 危ない岩盤、いわゆるキープロックを見つけることが一番大事であり、これがまた大変なことであるわけでございまして、例えば地元からうちのこの地域のあの場所が危ないから見てくれとかそういったような要請等々が、そういうケースがあったのかどうか。ということは、地方にはなかなか専門家がいないんですね。したがって、危険の判定というのが非常に千差万別になっている傾向がありますが、その辺についてはどんなような結果になっているんでしょうか。
  18. 橋本鋼太郎

    政府委員橋本鋼太郎君) 道路危険性等につきましては、道路制度といたしましてもモニター制度とかあるいは利用者からの通報ということがございます。  モニター制度につきましては、現在でもそれを活用していろいろな情報が得られればそれに対応するようにしておりますが、一般的に申し上げまして落石等その他情報がいろいろまざっておりますので、その中から貴重な情報はどれかというのを選択していく、あるいはいろいろな情報を蓄積していく、データファイル化していくということがまだ不十分な点があるというのは我々も認識しておりますので、その点、いろいろな寄せられた情報をデータファイル化していく問題等、今御指摘ございましたような指摘があった場合に、どういうものについてはどういう専門家にお願いしたらいいんだという点につきましても、これは道路管理強化という意味、あるいは道路管理体制強化という面から検討していく必要があると考えております。
  19. 石渡清元

    石渡清元君 次に、今後の点検の取り組みについてでございますけれども、今までいろいろ御答弁があったわけでございますが、やはりこういう事故を契機に危険箇所の評価の方法やらあるいは点検監視のあり方を見直すべきでないかという意見もあり、また実際にその方向でお取り組みいただいておると思いますけれども、落っこちることばかりじゃなくて、何から手当てをしなければいけないか、危険防止優先順位とかそういったようなことについてはどのように考えていますか。
  20. 橋本鋼太郎

    政府委員橋本鋼太郎君) 今回の事故は特に大規模岩盤崩落ということで、極めて経験が少なかったということでございます。そういう意味で、今回のような大規模岩盤崩落による被災の再発防止、このために現在、三月一日に設置いたしましたが、幅広い学術分野専門家英知を結集した委員会をつくりまして、崩壊のメカニズム、あるいは調査から計画、さらに点検方法、さらには維持管理に至るまでいろいろな技術的な課題について幅広く検討しておりますので、こういうものをぜひ反映してまいりたいと考えております。  また、一般的に点検につきましては、先ほども御説明申し上げましたが、なかなか目視による点検だけでは不十分でありますので、新しい技術の活用、例えばGISによるデータベース化、あるいは予知器開発、あるいはセンサー開発等も取り組んでまいりたいと思いますし、先ほども御説明申し上げましたとおり、地域地質状況等をよく御存じの専門家にも参画していただくというような点検方法の見直しに十分反映してまいりたいと考えております。
  21. 石渡清元

    石渡清元君 建設省は、大規模岩盤崩落に関する技術検討委員会へ一流の専門家を集めた委員会を設置されて、三月中に第一回を行う、こういうことを発表されておりますけれども、もう三月、第一回がスタートしたのか、あるいは検討委員会がどういう手順でどのような結果に導くか、そういったことを御説明ください。
  22. 橋本鋼太郎

    政府委員橋本鋼太郎君) 大規模岩盤崩落に関する技術検討委員会を三月一日に発足いたしました。現在、委員先生方の御都合等もございますので、なるべく早く第一回の委員会を開催するように努力しているところでございます。  この中では、土木工学先生あるいは地質先生、さらには施工方面にも詳しい方々、いろいろな先生をお願いしております。総数で約十七名というメンバーでこれを進めていきたいと考えております。
  23. 石渡清元

    石渡清元君 いろいろな角度から取り組まれていることは多とするわけでございますけれども、この崩落再発防止について、予算的にはいわゆる平成八年度、来年度予算でどのような措置がされているのか、予算のボリュームでもよろしいですし、柱でもよろしいです。
  24. 橋本鋼太郎

    政府委員橋本鋼太郎君) 従来から、道路危険箇所に対します防災対策事業については重点的に取り組んでいるわけでございます。  平成八年度の予算におきましても、事業費で約二千六百億円程度の防災対策事業費を確保してこれに対応することとしておりました。しかし、今回のような新たな事態が発生したわけでありますし、さらには平成八年度におきましても新たな全国的な防災点検をいたしますので、道路事業全体の予算の中ではありますが一部を保留して、今後の必要な箇所、緊急に実施しなくてはいけないような箇所にも対応できるような措置を現在検討している段階でございます。
  25. 石渡清元

    石渡清元君 いわゆる財政措置がある程度なければ、幾らやりますとかいっても、あるいは検討だけしていてもなかなか進まないわけでございまして、その辺のところをぜひひとつ強力に裏づけを確保していただきたい。ということは、それは地方にも言えることでして、地方はなおさら、点検をしろと、点検はするんです、それに対応する財源がまだ乏しいということでありますが、その辺、地方の分まで建設省がどのようにしろとか、あるいは自治省交付税になるのか何かわかりませんけれども、その財源対策まで温かく指導していく、これが一番肝心ではないか。  ということは、こういう事故が起こりますと、行政責任はだれがとるんだ、すぐそういう傾向が最近の社会的雰囲気でございますので、その辺のところは、いや国道路管理者市町村だと始まらないようにきちっとよく説明をし、あるいは地域に住んでいる方もわかるように手当てをしなきゃいけない。その辺についてはいかがでしょうか。
  26. 橋本鋼太郎

    政府委員橋本鋼太郎君) 地方におきます防災事業の推進につきましては、先ほど全国事業費で約二千六百億円というお話を申し上げましたが、この中でも例えば都道府県道につきましての防災事業、あるいは指定区間外一般国道におきましても必要な防災事業実施する場合には補助対象あるいは国庫負担をして実施していくという予算措置もございますので、これらを活用していく点等、あるいは自治省サイドでございますがいろいろな起債等もありますので、こういうものが十分活用できるように自治省とも十分協議をしてまいりたいと考えております。
  27. 石渡清元

    石渡清元君 ぜひひとつ、今回の事故想定外の大事故だということでなくて、これを含めてこれからこういったことがないような体制充実を望むものでございます。  そして、具体的な今回の復旧についてでありますけれども、今回崩落したトンネルというのは旧道が危ないから新たにつくられたものでございまして、現在も代替の旧道状態が必ずしもよくないということを聞いておりますけれども、この復旧について御説明願いたい。
  28. 橋本鋼太郎

    政府委員橋本鋼太郎君) 豊浜トンネル復旧につきましては、地域方々の暮らしとか交通安全の観点からも極めて重要でございます。安全で確実な復旧工法を十分検討する必要がございます。  今御指摘のとおり、現在は旧道を使っております。この旧道につきましては、いろいろな意味危険性がある地域でもございましたので、旧国道でありましたものを現在国道区域に編入して、二十四時間態勢で監視員を配置し、なおかつ。パトロールなんかもしながら二月十九日より供用を開始しているところでありますが、しかし雪崩等の危険がございます。現在も雪崩対策等緊急工事を追加しながら供用をしているというところでございます。そういう意味ではトンネル早期復旧がぜひ必要であります。  しかし、大変な事故でございました。そういう意味で、現在この復旧工法検討する委員会復旧工法技術検討委員会を二月二十八日に設置いたしております。トンネル工学あるいはコンクリート工学地質工学等専門家参加をいただいておりまして、現在審議を進めているところでありますが、この前段には先ほども申し上げましたように事故調査委員会もスタートしておりますので、この事故調査委員会調査結果も踏まえ、さらに復旧委員会のいろいろな検討も踏まえて今後の復旧工法を確定したいと考えております。  いずれにしましても、早期トンネル復旧できますように努力してまいりたいと考えております。
  29. 石渡清元

    石渡清元君 具体的に今度の旧道を利用するために整備をする施設として、のり面雪崩対策とかあるいはスノーポール、坑口照明柱洞窟部分防護工クッションドラム等々が書かれておりますが、これは既にもう終わった上で今供用している、前も使っているんですけれども、使われているんですか。
  30. 橋本鋼太郎

    政府委員橋本鋼太郎君) 二月十九日の時点で必要なものは一応終わりまして供用開始をいたしました。その後、しかしさらに雪崩等危険性がありますので、緊急工事も必要ということで追加工事を進めるという段階でございます。
  31. 石渡清元

    石渡清元君 ぜひ慎重に、またいち早い復旧を期待いたします。  最後になりますけれども、再発防止のためにどのような対策防止策をお考えになっているのか、大臣の方に御意見を。
  32. 中尾栄一

    国務大臣中尾栄一君) 今回の事故を重く受けとめまして、事故後直ちに北海道開発局内学識経験者から成る調査委員会を設置しておりますことは委員指摘のとおりでございまして、事故原因につきまして徹底究明を図ることとしておる次第でございます。  また、道路を利用する皆様方に安心していただけますように、二月十三日付で全国道路管理者に対しまして、トンネル坑口あるいはまた落石覆工、俗にロックシェッドと言っているのでございましょうか、それを設置されている箇所のり面斜面について緊急点検を指示したところでございます。  一方、今回のような大規模岩盤崩落は従来の技術的知見では予測が極めて困難な現象でありますために、岩盤工学等の幅広い学術分野英知を結集した委員会を設置しておりまして、検討を進めてまいりたいと考えておる次第でございます。  さらに、道路パトロール充実強化や、また現在実施中の一般国道二百二十九号を初めこのような厳しい自然状況下にある路線にかかわる防災対策事業について、平成八年度予算の範囲内において所要額を増額いたしました。そして、今回の緊急点検結果を踏まえた新たな対策実施、あるいは観測装置等研究開発充実などを図り安全性向上に取り組む考えでございます。  いずれにいたしましても、委員から先ほど来細かく種々にわたりアドバイスもいただき、なおかつ御指摘も賜ったわけでございますが、今回の事故教訓を踏まえまして、道路管理体制強化も含め、安全な道路交通の確保を図るために最大限の努力を傾注してまいりたいこと、また、まいりますことをお約束申し上げたいと思います。
  33. 石渡清元

    石渡清元君 いろいろな委員会等々を設置されて懸命な対応ということはよくわかるわけでございまして、ぜひひとつこれを生かしていただきたい。というのは、会すれど議せず、議すれど決せず、決すれど行わず、これは日本式、いわゆる小田原評定と言われるものでございまして、いろいろな検討結果というものをできるだけ地方自治体津々浦々に至るまで周知徹底していただくことが一番肝要ではないか。建設省はそういうノウハウの蓄積がいっぱいあるわけですけれども、なかなか地域社会まで浸透されていないんじゃないか。  今回の住専などでも、やはり政府側考えていることが必ずしも地域社会に十分伝わっていないとか、今回はトンネル事故で緊急に御質問をしたわけでありますけれども、例えば建設業でいえば今月三十一日までのいわゆる最低資本金の期限がございます。増資ができなかった、組織変更がおくれた、そのために取引関係がおかしくなったり会社自体に変なことが起こったとかそういったようなことで、やはり周知徹底をいかにするかということが非常に大事だということを最近つくづく感じておるわけでございまして、どうかそういうことを含めて、大臣を先頭にひとつ大いにそれぞれのつかさつかさで力を発揮されますようお願いをいたしまして、質問を終わります。
  34. 永田良雄

    委員長永田良雄君) この際、申し上げます。  ただいまのところ、次の質疑会派である平成会の委員出席が得られておりませんので、順序を変更して質疑を続行することといたします。
  35. 赤桐操

    赤桐操君 私もしばらく三年余り質問段階から遠ざかっておりまして、ちょっと節回しが余りよくないと思いますが、お聞き取りを願いたいと思っております。  阪神大震災につきましては、ただいまもお話がございましたようなことで、いろいろと質問も重ねられてまいりましたし、政府、自治体を挙げて諸対策にお取り組みをいただいているところでございます。私どもも現地を視察いたしまして、先般の調査の結果、大変大きな災害の跡を見ましてつくづく感じましたことは、一年を経てなおかつ大変大きな問題が残されているということを痛感いたしたところでございます。  いろいろと政府、自治体それぞれ取り組んでいただいているところでありまするけれども、しょせんは、これは発生した災害に対する対策でございます。要するに、病気が発生したときのそれに対する対症の療法でございまして、これは何としても一日も早くもとの状態に戻さにやならない、これがただいま課せられた一番の問題でありましょうし、同時にまた阪神のこの後の問題については、将来に大きく二十一世紀に向けて発展できるような基礎固めをひとつ願いたい、このように感じておるものでございます。  そこで、私はもう多くを申し上げることはございませんが、このようにいろんな事件が発生して、災害が発生してはこれに対するところの諸対策に追われる。当然これはもう全力を挙げて取り組まにゃなりませんが、そういうようなことが今日の実情であろうと思います。もちろん、政府、行政、その他の面におきましては、諸対策等につきましても将来を展望して御検討をいただいていることは私ども承知いたしておりますが、しかし、実際には発生した方の問題にとらわれますから、なかなか将来その他の問題にまで手を回すとしても、予算その他の関係からいたしましても思うようにいかない場合がございます。   そういう意味合いから、最近私は非常に感ずるものがございますので、この感じておる一、二の点について率直に両大臣にお聞きをいただきまして御勘案をいただければと、こう思いながらこれから申し上げてみたいと思っております。  阪神の問題が発生して、だれもの頭によぎったことは、もしこれが東京あるいは東京周辺、東京湾、こういうところで発生したとしたならば一体これはどういうことになったんだろうかと。阪神でさえも港がもうほとんど不可能になりまして、ハブ機能を喪失する。台湾、高雄や釜山、朝鮮、こういったところにほとんど今持っていかれてしまっている。さらにまた、南の方ではシンガポールや香港が大変大きく伸びてきておりますから、北米航路その他についてもほとんどこちらの方に入ってしまう。日本がむしろ逆の立場に置かれてきておる。こういうような状況にあるのと同じように、一遍問題が発生したときには、これを回復しようとしてもなかなかできなくなるんですね。そういう意味でハブ機能を一遍喪失してほかに持っていかれまするというと、日本へまた戻すということはこれはなかなか困難なことであると言われております。  そういうようなわけで、これがもし東京湾六港に発生したとしたら、これは一体どうなったんだろうか。東京湾岸に発生したならばどういうことになったんだろうか。東京都及びその周辺に発生したらどういうことになったんだろうか。まさに私は日本列島沈没じゃないかと、このように痛感をいたしたところでございます。  そういうわけで、感じておりまする身近な一、二点についてひとつ申し上げてみたいと思うわけであります。  お手元にこういう資料を差し上げてございますが、東京湾の周りには東京、神奈川、千葉、この一都二県が東京湾をめぐって存在いたしておるわけでありますが、その沿岸は今大変注目すべきものがあると思うんです。一番危ないのが千葉の方なんですけれども、私は千葉の出身でございまして痛感している次第でございますが、石油タンクの数が調べてみると大変多いんです。  それで、差し上げてある資料をごらんいただくとわかりますが、東京湾全体で、湾岸にある石油タンクの数は約七千個に及んでいるんですね。それから、ガスタンクが約八百。したがいまして、全部合わせて九千近い危険物がここに存在していると言っても過言ではないと思うんです。  細かなタンクの構造とか地盤の問題について触れる時間がありませんから、概略の話で大変恐縮ですけれども、大まかに申し上げますが、今、千葉県側の方の高圧ガスタンクの資料をごらんいただきますというと、百トン未満というのは、北部、中部、南部の中でそれぞれ分けられておりますけれども、全体で百五十六ございます。それから、百トンから五百トン未満のものが六十三、五百トンから一千トン未満のものが九十、一千トン以上五千トン未満のものが七十四、五千トン以上が二十一、合わせまして四百四、こういう数字が出ております。  ガスタンクの方だけごらんいただくとわかりますが、一枚めくっていただきまして、その次に東京湾岸の神奈川県側の方のガスタンクが出ております。そこに、川崎が三百二、横浜が四十八、横須賀が三とこうなっております。これを全部合わせまするというと、東京の部分がここには出ておりませんがそれを合わせまするというと大体八百近く、七百九十くらいに及んでおります。これが今の実情でございます。これはガスタンクの方です。  それから、石油タンクの方を見ていただきますとわかりますが、石油タンクは千葉県側の方にございますけれども、これは北部、中部、南部それぞれ分かれております。千キロリットル未満が全部で合計して二千三百十五、一千キロリットルから一万キロリットルが六百四十九、こういうぐあいに順序を追ってまいりまして、一万キロリットルから五万キロリットルが百六十三、五万キロリットルから十万キロリットルまでが百五、十万キロリットル以上が二十。十万から二十万キロリットル、これが千葉県側に二十あります。これは大体、十万キロリットル以上だけを見ても大変なものなんです。これを合わせまするというと、合計で三千二百五十二、千葉県側だけで三千を超えております。こういう状況であります。  神奈川県の方を見まするというと、石油タンクの総合計が二千九百八十五、約三千ございます。十万キロリットル以上はここでは三つぐらいしかないんですが、大体五万キロリットルから十万キロリットル以上、こういうものの大半が千葉県側に寄っていると言っても過言ではないと思います。東京はなぜ少ないかというと、これはコンビナートがありませんから東京には少ないんです。要するに、千葉と神奈川が大体その主体をなしている、こういう状況でございまして、石油タンクの大体九千近いもののあらましが千葉と神奈川と、こういうことがまず言えると思います。  これを今申し上げた理由は、こういう状況の中で、例えば今地震が発生したときに一体どうなるんだろうか。  私は、これは地震ではなかったんですが、四十九年の十二月に水島の石油タンク流出事件がございまして現地視察に参りました。これは院の派遣で参りました。このときは大体三万キロリットルの流出だったんですが、瀬戸内海が覆われたといって大変な騒ぎをしたことがあったんです。参りましたけれども、実際、海上保安庁も消防庁も大変困り果てておったというのが実情でございまして、これが東京湾で一つ二つ十万キロリットル以上のが亀裂を生じて流れ出したということになるというと、これはちょっと簡単にはいかないと思うんです。  それで、かつて電力関係の燃料が流出をいたしまして、四、五十台の車がはせ参じてやっと火災を抑えたという経過があります。二百メートルぐらい先にでかいタンクがありまして、この石油タンクに引火したならば大爆発しただろうと言われておるんです。これは千葉県の話ですよ。ということでありまして、私はこの状態は一日も放置することができないんじゃないかと思っておるんです。  そういう意味で、今九千近い可燃物を周辺に置く東京湾の状態、これはひとつ真剣に考えてみる必要があるだろう、この問題を一つ提起しておきたいと思います。  それから、念のために申し上げますが、普通のこういう大きな、これは見上げるようなものですよ、十万キロリットルといいますと。私も全部見ておりますが、見上げるような物すごいでかいものが、下から土台を構築していってその上に普通だったならばビルディングというものはでき上がるものですね。地下に恐らく地上以上の鉄骨が入ると思うんですよ。ここにはそういうものがないんですよ。全部、地盤改良の上に置かれているわけなんです。ですから、大地震が来て下からいろんな地盤の変化が発生したときには、これはただでは済まないということは申し上げておかなければならないと思います。  そこで、私が申し上げたいもう一つの「東京湾の課題」という、これはちょっと私が緊急に抜いてきたものでありますから余りいい資料じゃないんですが、これは左側はコンビナート地帯ですよ、それから右側の方は液状化発生可能性のある地域でございますね。このコンビナート地帯、今の申し上げた石油タンク、ガスタンク類は、ほとんど全部この液状化発生可能性のあるところに乗っかっているんですよ、今申し上げたような地盤構成の上に乗っかっているんです。岩盤の上に乗っているわけではないんです。  こういう状況で、実は今私は、恐らく直下型地震や東海沖地震でももちろんそうなると思いますけれども、そうしたものが発生したときにはまずこれは液状化が発生するだろう。しかも、置かれている各タンク類はいずれも傾く。傾いたときには、一点にたくさんのものが集中しますから必ずこれは裂けます。そういうことになってくるだろうと心配しているんです。  ちょうど四十九年の水島の流出事件が終わった後、私は地方行政の方へ入っておりまして、当時の自治大臣は福田一先生でございましたけれども、この福田一大臣の方に報告をいたしましたところこれを取り上げてくれまして、特に私は一言付言しておきましたが、海と陸の管理体制が十分でないと思う、一括した投網が必要だろう、例えばコンビナート法のようなものをつくる必要はないか、それで所管の大臣が一手にそれを押さえて緊急措置をする必要がないか、こういうことで問題提起をしたのでありますが、これを福田大臣が取り上げてくれまして今日のコンビナート法ができ上がっております。  これと並行いたしまして、これらの危険物に対するいろいろ緊急措置の法令ができ上がっております、改正ができ上がりました。これが昭和五十一年から二年の通常国会、同じ時期であります。それで、その時期にできたものがいわゆる新法でありますね、取り締まりをする新法。基準を新しくつくり上げたものです。旧法で今までのタンクはほとんどやられているんですよ。今申し上げた九千近いものの中の八〇%は旧法で行われております。約二割ぐらいが新法で行われている。  新法は、例えば大五年間の大地震が発生したあの程度のものであっても耐え得るような基礎対策、例えばタンクの鉄板の厚みがある、基礎工事からそうしたものについてもかなり綿密に指導が出ているようでありますが、旧法は一般建築物の基準で行われておりますからそう簡単に、言うなれば新しくできた法律のようなわけにはいかない、こういうように私たちは考えております。  ですから、本来なればこれを国が指導いたしまして本格的にこの調査をすべきだと思うんです。神奈川や東京はどうしているか知りませんが、千葉ではこのことを私も指摘いたしまして、千葉県はことしから調査費を組んで四月以降タンクを一つ一つ抜いて調査をしているそうです。そして、亀裂があるかどうかを全部調べる、ゆがみがあるかどうかを調べる、こういうことで今やっておるようでありますが、これは大変な費用がかかるようであります。しかし、これは日本一危険なものが多くあるところでありますから千葉県としてはやっておりまするけれども、そういう状況にございます。  ですから、私は、やはりそういった観点に立ってこの東京湾というものをもう一遍見直してみる必要があるのではないか、このように痛感をいたしておるわけであります。  時間の関係がございまするから余り多く申し上げる時間もありませんけれども、きょうは問題の提起ということで申し上げておきたいと思うのであります。  これは国土庁の方で平成五年に大都市圏整備局長の名前で「東京湾地域の総合的な利用と保全のあり方」というものが出ております。懇談会で報告が出ております、これはみんな権威ある方々報告でございますから。その中には、一貫して言われていることは、東京湾あるいは東京周辺はもうほとんど極限を超えている、この課題を解決するには湾外に求める以外ない、こう言っているわけですね。これは国土白書といいますか、この中でも言っているけれども、運輸の方でも同じことを言っているんです。  ですから、それらの点をもう一遍きちんと整理していただきまして、阪神の事例もございまするから、あわせてひとつ御検討おきいただきたい、そして新たなる対策をお急ぎ願いたい、このことを御要請申し上げたいと思います。  両大臣のお考えを伺いまして、終わりたいと思います。
  36. 鈴木和美

    国務大臣(鈴木和美君) まず、赤桐先生には長い間おつき合いいただいておりますから、国民、とりわけ県民の安全と安心のために御努力なさっていることに対して敬意を表したいと思います。  今御指摘の点は私どもとしても十分承知しておりまして、当面、阪神・淡路の経験を踏まえまして本年二月から防災基本計画の追加といたしまして、中央防災会議の専門家会議というのがございまして、ここで今の問題などを取り上げて、五月には大体結論を得るようなスケジュールで今運んでおるところでございます。  なお、もう一つは、御指摘のように石油コンビナート等災害防止法とそれから高圧ガス取締法、これは消防庁、通産省の所管でございますが、私どもとしても調整官庁として強く各省庁に協力を求めまして、先ほど申し上げました専門家会議のところで先生の御指摘なども十分生かしながら対応をしてまいりたい、かように思っておるところでございます。
  37. 中尾栄一

    国務大臣中尾栄一君) 大変貴重な委員からのお話を賜りまして、むしろ私も、関東にすべからく阪神・淡路大震災のあの問題が起こったときに、もうおよそあらゆる学者はこの問題点について触れておるわけでございますが、さりとてそのような具体性のあるお話というのはむしろ直覚的に私の胸に響かせていただきました。本当にそのとおりだなという感を強くした次第でございます。まずもって感謝申し上げたいと思います。  そのような意味で、今回の震災を貴重な教訓とすることは申すまでもないわけでございますが、安全で安心な地域づくり、町づくりというものを、あるいは防災対策につきましては、昨年四月に策定されました震災に強いまちづくり構想や新たな建設省防災業務計画に基づきまして、第一点としまして初動期の情報収集体制強化を初めといたしまして、二点といたしましては、道路橋等の耐震設計基準の見直しなどの公共施設等の安全対策も含めなければなるまい。第三点は安全性の高い市街地整備。なおかつまた四点としましては、災害発生時の安全性の確保。あるいはまた五番目としましては、多少違う観点になるかもしれませんが、ボランティア体制整備などを含めまして災害発生時の社会経済活動の確保。あるいは六点目といたしましては、調査研究体制充実等の総合的な施策の展開を図ってまいりたい、こう考えておる次第でございます。  先ほど、恐らく九千以内かもしれませんが、そのようなものがずっと並んでおる千葉、神奈川地域、ここにある意味における直下型の問題のある地震や天災等々が起こった場合にいかなる被害が起こり得るかということは、これは全く今の学者方の御意見等では集約でき得ない問題点というのが幾つもございますから、あらゆる想定をしながら、先ほど国土庁長官が申されましたようなことと相まって考えていかなければなるまいなということを考えておる次第でございます。
  38. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 日本共産党の緒方靖夫です。  質問に入る前に一言申し上げたいことがあります。  現在、国会の正常化のために話し合いによる正常化の努力が強められていると思いますけれども、そうしたときに、野党第一党の欠席のまま性急に委員会を開催することは参議院にも不正常を拡大することになると考えます。こうした状況下での委員会の開催には反対であるということを表明しておきます。  質問に入ります。  住専問題は金融問題として議論されておりますけれども、その本質というのは大銀行が住専やノンバンクなどを使って土地の買い占めなどに乱脈な融資をして、その結果国民は地価高騰や地上げによる追い出しなど大きな被害をこうむった、そういった国土行政に直接かかわる問題だと思います。  今日、不良債権は百兆円とも言われており、そのうちかなりの部分はゼネコンと言われております。バブル期にゼネコンも土地買い占めに手をかしました。住専、ノンバンクの後はゼネコンの不良債権、こう言われております。  そうしたもとで、建設行政を預かる大臣として、また政治家として、不動産投機などで莫大な不良債権をつくり出した今日の事態をどう受けとめられているのか、大臣にお聞きしたいと思います。
  39. 中尾栄一

    国務大臣中尾栄一君) 約十年前ぐらいのことでございますが、私も当時経済企画庁の長官をしておりまして、そのときに私も、議事録を読んでいただきますればおわかりいただけると思いますが、三回ぐらいにわたりましてバブルの投機的対象といいましょうか、これについては相当強く警告を発したつもりではございましたが、力不足なものですからどうにもなり得ない結果になりました。  あるいは、建設業者の御指摘がございました。確かに、この中には債務保証を行っている企業や販売の目途の立たない不動産などの不良資産を抱えている企業などもあると聞いておりまして、今後いずれこうした債務や不良資産の具体的な処理の問題に直面せざるを得なくなるところも出てくるのではないかと考えているわけでございます。こうした債務や不良資産の処理につきまして、当然のことながらそれぞれの企業で努力したものと理解しておりますが、当面の間は私どもそれを見守ってまいりたいものだと、こう思っております。
  40. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 住専問題では、銀行と大蔵省の癒着、政治献金を通じての銀行や住専、その貸出先と政治家との関係、こうしたことが大きな問題になっております。  中尾大臣にお尋ねいたしますけれども、大臣は住専の融資先から献金を受けておられるのか、また建設業界から献金を受けておられるのか、その点についてお聞きいたします。二点です。
  41. 中尾栄一

    国務大臣中尾栄一君) 住専そのものとは全く関係もございませんし、またその各位の方々ともお会いしたことも一度としてございません。  ただ、住専からの貸出先の百社でございますか、その中で出されたのに一社だけ、私はパーティー券だと思っておりましたが、十二万円ということで、後で秘書に調査させましたところ、それは一律月に一万円の会費でいただいていたということを承りまして、これは即座にお返しをさせていただきましたけれども、そのことも報告させていただいた次第でございます。
  42. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 それから建設業界からの。
  43. 中尾栄一

    国務大臣中尾栄一君) 先ほど言いましたように、それ以外はございません。
  44. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 その一社というのを、融資先、それは名称はどこでしょうか、名前は。
  45. 中尾栄一

    国務大臣中尾栄一君) これは私もそのときにも申し上げたのでございますが、今もって考えるんですが、かえってその会社に御迷惑があってもいけないということで、そのときにも言葉のうちでは申し上げることはいたしませんでした。今ここで発表することは差し控えたいと思います。
  46. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 朝日新聞の九四年の六月十七日付、これは山梨版ということになるんでしょうか、そこに中尾建設大臣のその当時の建設業界からの献金についての考え方が述べられております。それを紹介いたしますと、「法定の浄財は感謝して受け止めてゆく」とこう書かれているんですけれども、そういった考え方というのは現在もお変わりないのかどうか。
  47. 中尾栄一

    国務大臣中尾栄一君) それはいつの新聞でございましょうか。私、ちょっと記憶にないのでございますが。
  48. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 これは朝日新聞で、九四年、平成六年の六月十七日付ということです。
  49. 中尾栄一

    国務大臣中尾栄一君) 御案内のとおり、政治改革がこのような形になりまして、それで当然それにつながるところの政治資金規正法の問題が出されたわけでございます。それで通過したわけでございます。それ以後の考え方は法に沿っていくという考え方でございますから、それまでの間は、当然のことながら幅広く自分の思想的な考え方に共鳴をしていただく会社には一律、限度はございますけれども、決められた限度内におけるものはありがたくいただいていくという考え方は、それは当時あったわけでございます。
  50. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 建設業界からの政治献金ということについて重ねてお伺いいたしますけれども、大臣はこの間受け取られていないということで言われているんでしょうか。
  51. 中尾栄一

    国務大臣中尾栄一君) これは今突然の御質問でございますからまだ調べてはおりませんが、そのような法的に決まった形における、例えばパーティーをしたときのお買い上げをいただいたり、そういうことにおいてはあったのではないかと思いますけれども、どこの会社からどうという、そういうつながりの中におけるものは記憶が定かでないというよりは、私のところでは特別にこの建設業界というものを扱ったことはございません。
  52. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 私の幾つか調べた資料の中で、これは日東建設から政治献金を受け取られているというそういう報告が出されているというものがあるんですけれども、それについては御記憶ありませんか。
  53. 中尾栄一

    国務大臣中尾栄一君) 日東建設、私も建設会社はほかにも知っておりますから、日東建設だけと言われましてもいつどういう形でということは全く覚えておりません。
  54. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 金の受け渡しというのは非常に明確な問題ですので、やはりその点はっきりさせていただく必要があると思うんですけれども、特にこれは日本建設業団体連合会の前田会長が自分たち建設業界が政治家に献金をする意味について、許認可、利権が絡むので政治家には金を出すのだというふうに述べているんですね。ですから、どの財界からも同じですけれども、建設業界からの政治献金という点でいいますと非常に意味があると思います。ただ慈善のために出しているわけじゃないということははっきりしているんです。  その点で、私はやはりこれからゼネコンの不良債権問題は必ず大きな問題になってくると思います。そしてまたその際に、改めて今よりもっと厳しい形で建設大臣の政治姿勢、この問題に対する姿勢が問われると思います。ですから、せめて建設大臣の任期の間、公然と建設業界からは献金をもらわないということをはっきりさせていただくということが非常に大事だと思いますけれども、その点をお尋ねして質問を終わります。
  55. 中尾栄一

    国務大臣中尾栄一君) その方向で自分を戒めていきたいと思います。
  56. 奥村展三

    ○奥村展三君 住専とゼネコン等が保証をいたしておりますが、この問題につきましてお尋ねをいたしたいと思います。  ゴルフ場やあるいはまたビルの建設等、それを入手していくということでゼネコン等が保証を行っているというように仄聞をいたしております。そういうことにつきまして建設省としてどのように実態を把握されているのか、お伺いをいたしたいと思います。
  57. 小鷲茂

    政府委員(小鷲茂君) ただいまお話がございましたように、住専問題に関連してゼネコンがいろんな形で関係しているんではないかということが言われておりまして、当初百社のお名前が新聞等に報道された際にその中に著名な建設会社も何社か入っておりまして、私どもも心配をいたしまして、特に財政資金の問題がございますのでそういうことがあってはいけないなという観点から、どういう経緯、どういうことなのかということを数社に聞かせていただいたことはございます。その段階では、会社自身の借り入れないしは関係する会社が借り入れる際の債務保証というような形で関係している企業が数社ございましたけれども、いわゆる不良債権という形で残っているということではないようでございますので、そういう意味で安堵した次第でございます。  その他、業界全体につきましてどう把握しているのかというふうにお尋ねであるとするならば、残念ながら、その点については必ずしも住専絡みでどれだけの債務保証をしているのかということの実態が判然といたしておりません。債務保証全体額としてゼネコンがどれだけの債務保証をしているのかということにつきましては、いわゆる有価証券報告書によりましてオープンにされておりますので、そういう範囲ではわかりますが、それが住専とどれだけ関係しているのかということにつきまして残念ながら私どもで十分把握できておりません。
  58. 奥村展三

    ○奥村展三君 いろいろ国の大型プロジェクトとの契約等もあるわけでございます。やはりスーパーゼネコンとも言われておる企業もたくさんあるわけでございますが、そういうようなことを考えますときに、やはり建設省として、もちろん経済的な基盤を揺るがすことにもなるわけであります。  先ほど中尾大臣は見守っていきたいというようにおっしゃっておったわけでございますが、これは今後また社会問題になりはしないかなという私は懸念を持っておるところでございます。どうぞひとつ十二分に行政指導といいますか実態を把握されまして、そしてこれからの建設業あるいはまた国家のプロジェクトの基盤を揺るがすことのないようにひとつお願いを申し上げておきたいと思います。  大臣の御所見がありましたらお聞かせいただいて、質問を終わりたいと思います。
  59. 中尾栄一

    国務大臣中尾栄一君) 奥村先生のお言葉を体しながら、その方向に頑張ってまいりたいと考えております。
  60. 永田良雄

    委員長永田良雄君) この際、申し上げます。  次の質疑会派である平成会の委員出席が得られておりません。出席を要請いたしますので、しばらくお待ちください。  速記をとめて。    〔速記中止
  61. 永田良雄

    委員長永田良雄君) 速記を起こして。  次の質疑会派である平成会の委員に対し出席の要請をいたしましたが、出席が得られません。したがいまして、同会派は本日割り当てられた質疑を取りやめたものと認めます。  本日の調査はこの程度にとどめ、本日はこれにて散会いたします。    午後三時十九分散会      ―――――・―――――