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1996-02-22 第136回国会 参議院 建設委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年二月二十二日(木曜日)    午前十時開会     —————————————    委員異動  二月十五日     辞任         補欠選任      岡部 三郎君     倉田 寛之君      西山登紀子君     緒方 靖夫君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         永田 良雄君     理 事                 石渡 清元君                 太田 豊秋君                 片上 公人君                 緒方 靖夫君     委 員                 井上  孝君                 岩井 國臣君                 上野 公成君                 橋本 聖子君                 市川 一朗君                 長谷川道郎君                 福本 潤一君                 山崎  力君                 赤桐  操君                 大渕 絹子君                 山本 正和君                 奥村 展三君    国務大臣        建 設 大 臣  中尾 栄一君        国 務 大 臣        (北海道開発庁  岡部 三郎君        長官)        国 務 大 臣        (国土庁長官)  鈴木 和美君    政府委員        阪神淡路復興        対策本部事務局  生田 長人君        次長        北海道開発庁総        務監理官     松川 隆志君        北海道開発庁計        画監理官     半田 博保君        国土庁長官官房        長        竹内 克伸君        国土庁計画・調        整局長      塩谷 隆英君        国土庁土地局長  深澤日出男君        国土庁大都市圏        整備局長     五十嵐健之君        国土庁防災局長  村瀬 興一君        建設大臣官房長  伴   襄君        建設大臣官房総        務審議官     小野 邦久君        建設省建設経済        局長       小鷲  茂君        建設省都市局長  近藤 茂夫君        建設省河川局長  松田 芳夫君        建設省道路局長  橋本鋼太郎君        建設省住宅局長  梅野捷一郎君    事務局側        常任委員会専門        員        八島 秀雄君    説明員        厚生省社会・援        護局保護課長   西沢 英雄君        建設大臣官房技        術審議官     井上 靖武君        自治大臣官房参        事官       原  正之君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○建設事業及び建設計画等に関する調査  (一般国道二二九号豊浜トンネル崩落事故に関  する件)  (建設行政基本施策に関する件)  (国土行政基本施策に関する件)  (北海道総合開発基本施策に関する件)     —————————————
  2. 永田良雄

    委員長永田良雄君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る十五日、西山登紀子君及び岡部三郎君が委員を辞任され、その補欠として緒方靖夫君及び倉田寛之君が選任されました。     —————————————
  3. 永田良雄

    委員長永田良雄君) 議事に先立ち、去る十日に発生いたしました一般国道二百二十九号豊浜トンネル崩落事故により亡くなられました方々に対して、心から御冥福をお祈りし、謹んで黙祷をささげたいと存じます。  どうぞ御起立を願います。黙祷。    〔総員起立黙祷
  4. 永田良雄

    委員長永田良雄君) 黙祷を終わります。御着席願います。     —————————————
  5. 永田良雄

    委員長永田良雄君) 理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 永田良雄

    委員長永田良雄君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事緒方靖夫君を指名いたします。     —————————————
  7. 永田良雄

    委員長永田良雄君) 建設事業及び建設計画等に関する調査を議題といたします。  一般国道二百二十九号豊浜トンネル崩落事故について建設大臣及び北海道開発庁長官から前回報告以降の経過等に関し報告を聴取いたします。建設大臣中尾栄一君。
  8. 中尾栄一

    国務大臣中尾栄一君) 二月十六日夕刻国会審議終了後、北海道開発庁長官とともに救出作業が行われている豊浜トンネル崩落事故現場に向かいました。  今回の事故につきましては、多くの方々の昼夜を問わない懸命の救生活動にもかかわらず、十六日から十七日にかけて被災者二十名の全員の死亡が確認されました。御無事で一刻も早く御家族のもとに戻られますように全力救出作業に取り組んでまいりましたが、このような結果となり、まことに残念で痛惜のきわみであります。  また、御遺族の悲しみとこれまでの御心労に対して深く哀悼の意を表する次第であり、北海道開発庁長官と一緒に十七日から十八日にかけて御遺族のお宅を一軒一軒訪れ、御遺族お悔やみを申し上げさせていただきました。  現地には既に事故調査委員会を十日に発足させたところでありますが、事故重大性にかんがみて、大規模岩盤崩落による被災再発防止等視点から、別途技術的課題崩落防止対策検討するための委員会を早急に設置させたいと考えております。  また、代替道路確保を既に行ったところでありますが、今後はトンネル早期復旧を図るとともに、御遺族方々のお気持ちに報いるためにも、道路管理の万全に向けてさらに一層努めてまいる決意であります。
  9. 永田良雄

  10. 岡部三郎

    国務大臣岡部三郎君) このたび発生した一般国道二百二十九号豊浜トンネルにおける大規模崩落事故により亡くなられた方々とその御遺族に対し深く哀悼の意を表しますとともに、負傷された方に対し心からお見舞いを申し上げます。また、この間、連日、不眠不休救助活動を進めてこられた関係機関の皆様に対し、心から感謝申し上げます。  事故発生以来、一刻も早い救助を願い、二月十二日に引き続き建設大臣とともに十六日に再度現地へ参りましたが、大変残念なことに二十人全員が御遺体で発見されるという痛ましい結果となりました。翌十七日から十八日にかけて御遺族のお宅を訪ね、謹んでお悔やみを申し上げてきたところであります。  現地に設置されておりました合同対策本部は二月十七日をもって解散されましたが、北海道開発局等、これまで構成していたそれぞれの機関の組織において引き続き必要な対策に当たることとなっております。  北海道開発庁におきましては、今回の事故を踏まえ、現在北海道開発局において作成中の防災業務計画の見直しを行うよう指示するとともに、庁内に検討委員会を設け、今回の事故における対応状況を精査し、今後の課題について検討してまいる所存でございます。
  11. 永田良雄

    委員長永田良雄君) 以上で政府からの報告の聴取は終わりました。  これより、建設行政基本施策国土行政基本施策及び北海道総合開発基本施策並びに一般国道二百二十九号豊浜トンネル崩落事故につきまして質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  12. 岩井國臣

    岩井國臣君 私は自由民主党の岩井國臣でございます。  まず最初に、ただいま両大臣から御報告のございましたこのたびの古平町の事故についてお尋ねいたしたいと思いますが、その前に、このたびの事故に巻き込まれましてお亡くなりになりました二十名の方々に対し心から御冥福をお祈り申し上げますとともに、御遺族に対しまして心からお悔やみを申し上げる次第でございます。  さて、二月十日に発生いたしました北海道古平町における岩盤崩落事故は、規模こそ違え、阪神淡路大震災のときと同様、何ともはやまことにやりきれないものでございました。我が国危機管理あり方とかあるいは行政の住民に対する接し方とか、そんなものに多くの国民が腹立たしい思いを持ちながら、今回の事故処理についてその成り行きを見守ったのでございます。  私は、事故そのもの不可抗力といいますかやむを得ないものであったし、また事故処理につきましても、ただいま両大臣から御報告がございましたように、現場におきましてそれぞれ事に当たられた方々はできる限りの努力をされ、その努力に私は全く頭の下がる思いがしております。  そこで、まず建設大臣にちょっとお聞きしたいわけでございますけれども、これ本日のスポーツ新聞でございます。大臣は「不幸な人災とも言うべきあのトンネル事故」云々と発言されたというふうにこのスポーツニッポンの記事に載っておるのでございますけれども、私のただいま申し上げましたような感覚とちょっと違うような感じがいたしますので、そういう真意で言われたんじゃないと思いますが、真意のほどをお聞かせいただきたいと思うわけでございます。
  13. 中尾栄一

    国務大臣中尾栄一君) 今回の岩盤崩落事故につきまして人災ではないかとの一部の方々指摘もあると、こういう意味で申し上げたものでありまして、昨日非常に時間的に迫った委員会でございましただけに、言葉足らずであったことを申し上げたいと思います。  このことは、予算委員会の冒頭にお許しを得てその真意を御説明申し上げたいと思っておったわけでございます。また、そのようにしたいとも思っております。  原因につきましては、事故調査委員会で徹底的な究明がなされるものと考えておる次第でございます。
  14. 岩井國臣

    岩井國臣君 それで私も納得できるわけでございますけれども、先ほど申し上げましたように、現場は必死の努力をされた、事故そのものも私に言わせれば人災とかそういうものではないと、天然不可抗力だとこう思っておるわけでございますが、そういう意味建設省あるいは北海道開発庁を非難するつもりは全くないのでございます。  じゃ、反省点はなかったのか。そういいますと多分そうではないんだ、こんなふうに思うわけでございます。もっと迅速に事故処理ができなかったのかどうか、あるいは被災者方々の御家族等関係者に対しまして対応面反省点はなかったのかどうか、あるいはまた危機管理体制の面で反省点はなかったのかどうか、あるいは迂回路確保はどうであったかとか、いろいろ反省点はあるんじゃないかとこんなふうに思いますし、また今後の対応策につきましてもいろいろ議論があるんじゃないか、こんなふうに思いますが、後ほど橋本先生から幾つかの御質問があるかと思いますので、私からは危機管理体制焦点を絞りまして質問をさせていただきたいと思う次第でございます。  さて、今回のような事故の場合、人命救助まで含めた事故処理責任というものはそもそもだれにあるのか、こういう問題でございますが、市町村長にあるのでしょうか、あるいは都道府県知事にそういった責任があるのでしょうか。それとも施設管理者である国にあるのか、さらには総合調整官庁としての北海道開発庁というようなところにあるのかどうか、こういうことでございます。事故処理に当たりましては当然のことといたしまして、北海道開発局はそういう責任感はともかくとしてやれる限りのことはやらねばならなかったし、またそのようにされたと思うわけでございます。  しかし、人命救助に限定して言えば、私にはその責任まで道路管理者が負っているとは到底思えないわけでございます。道路管理者としての北海道開発局として現場でいろいろ対応されたのか、あるいは総合行政官庁としての北海道庁を含む現地関係機関のリーダー的な立場として現場対応されたのか、その辺はよくわかりませんけれども、当然の成り行きといたしまして北海道開発局中心になって事故処理が進んでいったと思うわけでございます。  私には、危機管理体制という面で今回の事故処理のやり方を考えた場合、そこに一つの盲点と言ってはちょっと言い過ぎかもわかりませんが、今回の場合がどうのこうのじゃなくて、今後の問題としてちょっと問題点があるのではなかろうか。そういうことで、北海道開発庁長官にお尋ねするわけでございますが、危機管理体制あり方というものをちょっと頭の隅に置いていただきながら、今回の事故処理についてどのように見ておられるのかということと、それから関係機関協力関係がうまくいったのかどうか、その辺のところをお聞きしたいと思うわけでございます。
  15. 岡部三郎

    国務大臣岡部三郎君) 今御指摘危機管理体制に対する問題の前に簡単に今回の経過について申し上げますと、今回の事故に際しましては、事故発生の約二時間後には小樽開発建設部の中に事故対策本部を設けまして、開発庁、開発局内にも必要な体制を順次設置いたし、救助活動を開始したところであります。  また、事故重大性にかんがみまして、関係機関が密接な連携を図りながら一刻も早く被災者救助するために、北海道開発局、警察、消防、自衛隊、北海道、余市町、古平町、積丹町等による豊浜トンネル崩落事故現地合同対策本部というのを当日の夕刻には既に設置いたしまして、関係機関が一丸となって救助活動を実施いたしたところであります。結果的には二十名全員が御遺体で発見されるというまことに痛ましいこととなったわけでありますが、難しい状況下ではございましたが最大限の努力が払われたものと考えております。  なお、今回の教訓を踏まえて、やはりこれからこうした事故発生したときに他機関との協力体制をどのようにしていくかということについて今後幅広く検討し、今回の経験を生かしていきたいと考えておりまして、既に北海道開発局に対しましてはそういった指示をいたしたところであります。  さらに、御指摘危機管理観点から、北海道庁なりあるいは開発局あるいは道内の関係機関がどのような役割を持ってどういう連携のもとに進めていくのが一番いいのかということについて近日中に連絡会議を開催いたしまして、こうした関係機関による連絡会議を開催いたしまして、そうした初動体制あるいは参集体制や各機関連携について幅広い議論をいたしてまいる、かようなことになっておりますので、その機会に御指摘点等についても十分検討してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  16. 岩井國臣

    岩井國臣君 今回の事故のようなケースは私もいまだ経験したことはございませんし、そういう意味で全く新しいタイプの形態の事故であったというふうに思います。しかし、これをやはり今後のために教訓にしていく必要があるわけでございまして、これは北海道開発庁だけの問題じゃなくて政府全体の問題だと思いますけれども、ひとつ幅広い御検討をお願いしたいと思うわけでございます。  さて、次は阪神淡路大震災復興に関しまして質問させていただきたいと思います。  私たち参議院建設委員会では去る二月二日、永田委員長中心現地視察に行ってまいりました。あの未曾有の大震災から一年が過ぎまして、神戸では、兵庫県、神戸市御当局の大変な御努力と、そしてまた国土庁を初めとする政府の力強い支援によりまして日増しに明るさを取り戻しつつあるようでございます。しかし、政府の理解と協力がなければ多分解決しないであろう問題もまだまことに多いわけでございます。後ほど橋本先生からも御質問があるかと思いますので、私はインフラ整備焦点を絞りまして幾つかの質問をさせていただきたいと思います。  まず第一でございますが、地震等災害に強い安全な地域づくりを推進していくためには街路を含めました道路網をどう整備していくのか、大変多くの具体的課題がございますが、そのうちリダンダンシーの問題でございます。つまり、緊急時の高速性と円滑な交通確保のためにはどうしても格子状の高規格道路網とそしてそれを補完いたします一般幹線道路網、そういったダブルチャンネル道路網整備が必要でございます。現地におきましてもその早期完成が強く望まれておりました。そこで、建設省にそれらの見通しにつきましてお伺いしたいわけでございます。
  17. 橋本鋼太郎

    政府委員橋本鋼太郎君) 阪神淡路大震災におきましては、阪神高速道路あるいは中国道などの通行どめによりまして阪神地域や東日本あるいは西日本との間の輸送に大きな障害が生じ、生活や経済活動に大きな影響を与えたところでございます。そういう意味で、全国的な規模リダンダンシー確保という観点からは高規格幹線道路網一万四千キロ、これにつきましては災害時のリダンダンシーを考慮した広域ネットワークを構成するものとなっておりますので、今後このようなネットワーク完成に向けて早急な整備が必要であり、そのような努力をしてまいりたいと考えております。  さらに、阪神地域リダンダンシーを考慮した道路ネットワーク、これにつきましては阪神淡路震災復興計画緊急インフラ整備三カ年計画、これは兵庫県において平成七年十一月に策定されたものでありますが、これにおきまして代替性を備えた格子型高規格道路網として位置づけがされております。その中で、広域迂回路確保観点から、例えば本州四国連絡道路神戸・鳴門線あるいは山陽道あるいは西神自動車道完成を目指す、あるいは南北方向道路としましては、阪神高速北神戸線あるいは六甲北有料道路の拡幅などの完成を目指す、このように書いてございますし、代替性を備えた格子型道路網整備という観点からは、阪神間南北線等計画具体化を図るなどとされております。そういうことから、これらの事業調査促進が位置づけられておりますので、これらを総合した東西六幹線南北幹線ネットワークを形成することが必要と考えております。  建設省としましても、兵庫県あるいは関係自治体と密接な連携を図りながら、これらの路線の事業調査計画どおり進捗するように努めてまいりたいと考えております。
  18. 岩井國臣

    岩井國臣君 次は、六甲山の砂防の問題でございます。  これは余り知られていないかと思いますけれども、あの大地震六甲の山が大変緩んだのです。ちょっとした集中豪雨があれば土石流発生するおそれが多分にあると思います。  そこで、建設省に現状と今後の対策につきましてお伺いしたいわけでございます。
  19. 松田芳夫

    政府委員松田芳夫君) 地震発生後に緊急的に実施いたしました実地踏査及びヘリコプターによる空からの調査の結果により、六甲山地では約四百五十カ所の崩壊地が認められましたほか、山体に地割れや地盤の緩みが生じている箇所があることも確認いたしました。このため、集中豪雨等による二次的な土砂災害防止するため、土石流、地すべり、がけ崩れの危険度の高い箇所におきまして災害関連緊急事業等による対策を集中的に実施するとともに、関係機関による兵庫総合土砂災害対策推進連絡会議を新たに設置いたしまして、警戒避難体制拡充強化に努めてきたところであります。  さらに、地震被災しました宅地擁壁対策につきましても、基本的には土地所有者がこれに対処すべきところでございますが、民間宅地の激甚な被災状況にかんがみ、公共施設等に被害が及ぶおそれのある等の一定要件を満たす宅地擁壁につきましては、災害関連緊急急傾斜地崩壊対策事業で措置することといたし、その復旧を鋭意実施しているところであります。  今後とも土砂災害など二次災害防止のため万全を期してまいる所存でありますが、さらに長期的な対策といたしましては、土砂災害に対する安全性を高め、緑豊かな都市環境と景観の創出を図る六甲山系グリーンベルト整備事業など、震災に強い町づくりに寄与する砂防関係事業を推進してまいる所存でございます。
  20. 岩井國臣

    岩井國臣君 今言われました六甲山系グリーンベルト地帯整備については知事さんも大変熱心に言っておられましたので、ひとつよろしくお願いしたいと思います。  次に、三点目でございますけれども、兵庫県では長期的視点から特に重要と思われる戦略的プロジェクト、あるいは復興のシンボルとしてふさわしい対策事業をそれぞれ復興特定事業として位置づけられました。今後、積極的な取り組みをしていこうとしておられるわけでございます。そして、これらのうち阪神淡路復興委員会から提言のありました四プロジェクトにつきまして、政府に対しまして特段の配慮が要るというふうなお話もあったわけでございます。  そこで、国土庁といたしまして、これら四プロジェクトにつきまして今後どう取り組んでいかれるのか、その辺の考え方を国土庁長官にお伺いしたいわけでございます。
  21. 鈴木和美

    国務大臣鈴木和美君) ただいま御指摘がございました特定事業四つでございますが、先生既にもう御案内だと思いますが、一つ上海長江交易促進プロジェクト二つ目にはヘルスケアパークプロジェクト三つ目には新産業構造形成プロジェクト四つ目阪神淡路大震災記念プロジェクト、この四つ復興委員会から提起されておりますので、これは今、私の認識では、現地で県、市それから民間皆さんも含めて対策協議中だと聞いております。私どもといたしましては、あくまでも現地状況の話を承った後に現地とよく調整をしながら、関係省庁協議をして進めていきたいと思っています。  具体的には、ちょっと長くなるかもしれませんが、先般、橋本総理から中尾建設大臣自治大臣と私に御下令がございまして、復興委員会が今度解散終了したものですから兵庫県の皆さん大変国との関係で置き忘れられた、こういうような認識があるということを聞いておるものですから、総理から指示がございまして、今月中に復興対策本部事務局長とそれから内閣内政審議室長等現地に出かけてまいりまして、これからどういうような方向で展開をしていくのかということを地元で協議をしながら対応を進めていくというような今スケジュールになっているわけです。  その中でも、今御指摘四つの問題は当然出てくると思っています。したがいまして、全力を挙げて現地協議しながら、また関係省庁協議しながら対応してまいりたい、かように考えております。
  22. 岩井國臣

    岩井國臣君 ありがとうございました。ひとつよろしくお願いしたいと思います。  さて、その次は景気対策について御質問したいわけでございます。  さきの建設委員会におきまして、建設大臣はその所信表明の中で、建設行政の現下における課題の第一に「本格的景気回復に向けた取り組み」というものを挙げられたわけでございます。二月九日の月例経済報告によりますと、我が国経済もようやく明るさを取り戻しつつあるようでございます。為替相場がここのところ安定してきているというようなこと、超低金利政策によりまして設備投資も最近になってようやく強含みの傾向を見せ始めていること、そしてまた住宅投資がここのところかなり高水準にあることなど、これからの経済を判断する上で幾つかの好材料があるわけでございますけれども、私は何といいましても基本的には近年公共投資我が国経済の下支えをしてきたし、ここ当分の間やはり公共投資我が国経済を引っ張っていかなければならないのではないか、こんなふうに思っておるわけでございます。  そこで、建設省にお聞きしたいわけでございますけれども、建設省では公共投資波及効果というものにつきましてどのように定量評価をしておられるのか、その辺のところをまず教えていただきたいと思います。
  23. 小野邦久

    政府委員小野邦久君) お答えを申し上げます。  公共投資波及効果でございますけれども、これは最近ケインズ政策の批判等いろいろな御議論があるわけでございます。ただ、公共投資波及効果につきましては、マクロ計量モデルによって把握するということは一般的でございます。例えば、経済企画庁の最新の第五次の世界経済モデル、これは平成七年の三月に発表されたものでございますけれども、これによりますと、名目一兆円の公共投資により名目GDPをどのくらい三年間で派生させることになるか。こういう点につきましては、例えば二・一三兆円の増加がある、こういうような試算もあるわけでございまして、所得税の減税等の他の手段と比較しましても大変大きな景気波及効果を持っているというふうに考えております。  今回の不況というのは、いろんな要因があると思いますけれども、何といってもやはり消費が大変落ち込んだということ、あるいは民間設備投資が大幅に減少しているといったようなことが大きな要因でございまして、先生指摘のとおり、数次にわたる経済対策による公共投資の増加というものがなければ我が国経済は大変深刻なマイナス成長になったというふうに考えているわけでございます。  御指摘のとおり、現在の景気に対しての私どもの取り組みでございますけれども、内閣にとっての大変重要な課題だというふうに考えておりまして、今後とも内需主導の景気回復を確実にするためには公共投資あるいは住宅投資を積極的に推進する必要がある、このためには私ども建設行政に課せられました使命でございます公共投資を着実に推進していく必要がある、こういうふうに考えております。
  24. 岩井國臣

    岩井國臣君 次は、用地先行の問題でございます。  切れ目のない事業執行をしていくためには、何よりも平成八年度予算の早期成立というのが不可欠なわけでございます。しかし、少しロングタームで考えますと、切れ目のない事業執行を図っていくためには事業用地の先行取得ということが極めて重要ではないか、こういうふうに思っておるわけでございます。つまり、ここ当分の間、公共投資我が国経済を引っ張っていかなければならないというふうな認識に立ったとき、事業用地の先行取得ということが極めて大切なのでございます。  そこで、建設省にお聞きいたしますが、用地の先行取得につきまして取り組み方がどのようになっているのか、その辺をお伺いしたいわけでございます。
  25. 小鷲茂

    政府委員(小鷲茂君) 御指摘のとおり、公共事業を円滑に進める上では事業用地がきちんと確保されているということが基本でございますので、そのためには当該年度の予算で公共用地を確保することはもとよりでございますが、長期的な視点に立って安定的に、先行的に用地を確保するということはまことに大切なことでございます。  御案内と思いますが、この用地の先行取得のための制度といたしまして幾つかの制度が用意されてございまして、まず事業者がみずから債務負担行為によりまして先行取得を行います制度。国でいいますると、用地国債というものに基づきまして先行取得をする制度。それから、地方の供給公社等にお願いいたしましてあらかじめ先行取得をしていただく、国はこれに対しまして低利融資を行うというスキームもございます。さらには、一般的には公有地の拡大の推進に関する法律というのがございまして、これに基づきまして地方公共団体等が公共用地等の先行取得を行う、こういう仕組みになっているわけでございます。  これらの制度につきましては、逐年改善を図り使いやすいようなものにするという努力がされてまいってきております。例えば、公拡法でいいますると、当初対象地域が都市計画区域内の施設用地ということでございましたが、都市計画区域外も対象に加えるといったような改善も行っております。  また、地方の土地公社によりまして先行買収していただきますケースの場合には、昨年の平成七年度第二次補正予算の際に実は制度改善を果たしていただいたわけでございますが、特に地価の下落期におきましては事業主が再取得するときにどういう価格で再取得するのかということが大変問題になります。通常は、先行取得する主体は資金調達をして金利を負担するわけでございますので再取得の際に金利が回収できないと大変困るわけでございますが、あいにく地価下落期でございますると、時価で再取得するというのが過去の原則でございますので、なかなか金利分が回収できないということになりますけれども、それでは先行取得が進まないことになるであろうということで、金利を含んで再取得をするというふうな制度に改めてもらっております。  こういった制度改善を逐次進めるとともに、現場では一生懸命用地交渉をするということで、逐年、最近用地のストックが幸いにしてふえてきております。年度当初にどのくらいのストックがあるかということは大変大事な指標になるわけでございますが、一時期、年度当初に一年分を割るという時期がございました。昭和六十三年の時点でございますが、一を割り込む、一年分を割り込むという状況であったわけでございますが、最近、公共事業事業量がどんどんふえておるにもかかわらず用地のストックもこれに劣らずふやしておりまして、最近年次では年度当初に一・三年分ほど保有できる、こういう状況になってきております。  今後とも、これらの諸制度を十分活用しながら、先行取得に努めてまいりたいと思っております。
  26. 岩井國臣

    岩井國臣君 事業用地のストックが一を割る、一年分を割るなんというのはとんでもないことでありますが、私に言わせますと、一・三年分でもとてもじゃないがと、もっともっと、こういう感じがございますので、今言われましたように再取得について問題はあるわけでございますけれども、いろいろもう知恵を働かせながら御努力いただいておるわけですが、引き続き強力な推進を図っていただきたい、こう思うわけであります。  さて次に、景気対策につきましては、公共事業中心にいたしました、今問題にしております財政出動の問題、それから金融システムの安定化、規制緩和、これが三本柱でございますが、そういった三本柱に比べますと少しマイナーかもしれませんけれども、やはり土地の流動化の問題があるわけでございます。景気が本格的に回復するためにはやはり金が動くと同時に土地が動かないとどうにもならぬのじゃないか、こんなふうに思うわけです。  先ほどの公共事業用地の先行取得という問題もそうですけれども、土地の流動化が行われないと経済は活性化しない。これは当然のことであって、かかる観点から昨年末の税制改正では長年の懸案事項でございました土地税制の改正が決まりました。清水達雄先生、二年ほど前から大変この問題について御努力いただいたわけですけれども、ようやく百点満点ではないけれども実ったということでございまして、大変喜ばしいことでございます。  しかし、土地の流動化のためには、税制改正だけでいいということではなくて、やはり監視区域の全面解除の問題とか、流通システムの近代化を初めとした幾つかの緊急的に取り組むべき課題があるのじゃないか、こんなふうに思います。その点いかがでしょうか、国土庁及び建設省両方にお聞きしたいと思うわけでございます。土地の流動化の問題でございます。
  27. 鈴木和美

    国務大臣鈴木和美君) 先生指摘のとおりでございまして、景気の回復ということには土地の流動化というものはやはり避けては通れないと思うんです。それから、所有から利用というような考え方を持って取り組まなきゃならぬと思っております。けれども、また土地の投機的な取引なんというのがあっちゃいかぬことでございますから、そういうものを排除しつつ、有効利用というところに国土庁としては全力を注ぎたい、そういうふうに思っています。  有効利用の場合に、今建設省さんからもお話がございましたが、まず第一は、何といっても都市計画とかを地方団体が計画するときに、やはり公共用地の先行取得ということに力を入れなきゃならぬだろう。それから、やっぱり民間の開発機構との連携を強くしながら利用地を拡大していく。同時に、今東京大都市圏では東京の中で八区と我々いろいろ協議してきたんですが、これを二十三区まで広げまして、情報の収集とか連絡体制とかそういうことを考えながら有効利用を進めていこう、こういう考え方に立って今協議を一生懸命やっているところでございます。  そういう状況の中でも、このいろいろ住専問題の絡んだ処理の問題を早く決めてもらわないと、その後の対応というのがなかなか難しいものですから、ぜひそういう意味でもこの国会での予算成立に全力を注いでいただきたい、こういうふうに思う次第でございます。
  28. 小野邦久

    政府委員小野邦久君) 土地市場の活性化が経済に大変大きな影響を与えているという岩井先生の御指摘、そのとおりだと思うわけでございますが、私ども建設省といたしましては、土地の流動化を何とか促進する、あるいは土地の流動化にも資するような土地の有効利用促進対策、あるいは土地取引の活性化対策をぜひ進めなければいけないというふうに思っているわけでございます。  先ほど経済局長からお答えをいたしましたとおり、何といっても公共用地の先行取得というのは大変大事な課題でございます。平成七年度の補正予算でも大幅な増額を認めていただきました。また、民間都市開発推進機構の土地取得業務の要件もいろいろ緩和をしていただきました。あるいは宅地開発指導要綱の見直しでございますとか、定期借地権制度の活用による住宅あるいは土地についてのいろいろな規制の緩和、あるいは前々国会で宅地建物取引業法の一部改正を認めていただきまして、不動産流通市場の形成のためのレインズ、指定流通機構制度というものも発足をさせていただいて制度の充実を図ったわけでございます。  こういう制度とあわせて、何といっても平成八年度の税制改正において、譲渡益課税あるいは地価税についての税率を引き下げるといったような軽減措置を講じられるということになったわけでございます。これも税制面からは土地市場の活性化を通じて土地の有効利用の促進とか、あるいは土地を動かすこと自体大変大きな効果を及ぼすのではないかというふうに私ども思っておりまして、何とかそういう面から土地の流通、流動化にもいろいろな政策手段を通じて寄与していきたい、こう考えているところでございます。
  29. 岩井國臣

    岩井國臣君 次に、これからの国土構造のあり方をにらみながら若干の質問をさせていただきたいと思います。  さきの建設委員会では、国土庁長官におかれまして、現下における国土行政課題として新しい国土計画の策定というものを第一に挙げられました。これからの時代は地球時代とか高齢化時代とか高度情報化時代、いろんな言い方ができると思いますけれども、ともかく我が国経済、社会を取り巻く諸条件は、従来のものとは大変大きく変わってきておることは間違いのないことでございまして、そういう時代の大きな変わり目に新しい時代に合った新しい国土計画というものを策定される、まことに意義の深いものがございます。ぜひ二十一世紀の礎となる立派な国土計画をつくっていただきたいと存ずるわけでございます。  そこで、私からのお願いでございますが、新しい国土計画の策定作業につきましては、建設省北海道開発庁とも十分な連携をとって進めていただきたいということでございます。  建設省では、御存じのとおり昨年十一月に「新連携時代の快適生活ビジョン」というものをまとめられました。また、北海道開発庁におかれましても新たな総合計画の策定に着手しておられます。それらはそれぞれ両大臣からさきの所信表明で触れていただいているのでございますが、それらが国土庁のこれからの作業とどう結びついていくのか、その辺がちょっと私どうもはっきりしないので、ここでそのことを確認したいと思うわけでございます。  三者の作業がスケジュール的にどう絡んでいるのか、その辺の説明をまず建設省北海道開発庁にお聞きいたしまして、それから続いて国土庁にも念のため確認させていただきたいと存じますが、建設省北海道開発庁とは多分十分な時間的余裕を持って調整できるようになっていると思いますけれども、全体といたしましてどんなスケジュールになっているのかというようなことをお尋ねしたいわけでございます。
  30. 小野邦久

    政府委員小野邦久君) ただいま御指摘の「新連携時代の快適生活ビジョン」でございますけれども、私ども建設省といたしましては、二十一世紀に向けていろいろな条件の変化、環境の変化、あるいは経済活動の変化等があるわけでございますが、従来の圏域を超えた新たな連携を通じて、個性的で活力ある地域づくりをどう進めていくのかということが今後大変重要な課題だというふうに認識をいたしておりまして、横断的な物の見方で建設行政を推進していく必要があるだろう、そういうことを基本的な方針として昨年の十一月に「新連携時代の快適生活ビジョン」というのを取りまとめたわけでございます。  これは、具体的な内容といたしましては、二十一世紀初頭までに全国どこでも地域の特性に応じた快適生活を享受可能なようにしたいということと、それから二番目といたしまして、生活者の視点に立って快適生活を実現する生活インフラの整備を推進したいということ、あるいは地域を超えた多様な連携、すなわち新社会連携というものを通じて個性的で活力ある地域をつくりたい、こういう三本の柱を内容とするものでございますが、何といっても今国土庁で新しい全総計画の策定作業を進められているわけでございますが、こういうような新しい方向の中に、建設行政の分野で長期的な視点からどういうようなことを私どもが担当していくのが適当か、そういう一つの目安ということも含めましてこういうビジョンを策定したわけでございます。  今後、幅広く国民の皆様方あるいは各方面からの御意見をいただきながら、また御批判も十分取り入れて、より長期的な視点での建設行政あり方についての一つの指針をまとめていきたい、こういうふうに考えているところでございます。
  31. 岡部三郎

    国務大臣岡部三郎君) 委員指摘のとおり、現行の第五期北海道総合開発計画平成九年度をもって終了するわけでございまして、平成十年度を初年度とする新たな十カ年の北海道総合開発計画の策定に今開発庁といたしましては取り組んでおるところでございます。  この新しい計画におきましては、交通ネットワーク整備あるいは道民の生活環境の整備、さらに、非常に将来需給関係が厳しくなると予想されておる食糧問題について、我が国の食糧基地としての基盤整備を進めるというようなことはもとよりでございますが、同時にやはり北海道においては非常に多くの自然が残されておる、こういうものを活用して国民全体の生活なり休養なりレクリエーションの場として利用していくといったような夢のある計画にいたしてまいりたいと考えておるわけでございまして、その策定に当たりましては、御指摘のように現在国土庁において進められております新たな全国総合開発計画の策定作業とも十分な調整を図って進めてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  32. 鈴木和美

    国務大臣鈴木和美君) ただいま建設省北海道開発庁からお話がございました。先生御案内のとおり、国土審議会の計画部会から十二月に提言がございましたグランドデザインというのがございますので、それをもとにしながら、国民の皆さんから意見を聞くという意味で、現在、全国十二カ所で一日国土審議会というようなものを企画し、実施しております。そういう意見を聞きながら、それで今、もちろん建設省北海道の意見も十分踏まえてはおりますけれども、各省庁ともそれぞれビジョンがございますから、そのものを大体八年の秋ぐらいまでにまとめまして中間的に発表して、また国民の意見を聞きまして、それで今度は八年度の末ぐらいになると思いますが、そこで固めたいというような今スケジュールでございます。そのためにも建設省及び北海道開発庁と十分協議をしながら進めてまいるつもりでございます。
  33. 岩井國臣

    岩井國臣君 先ほど建設省の総務審議官から言われました「新連携時代の快適生活ビジョン」の中で、「全国どこに住んでいても質の高い快適な生活が確保できる」云々とこうございまして、大変すばらしい。それから、国土庁といいますか、国土審議会計画部会で昨年十二月にまとめられました二十一世紀の国土のグランドデザイン、その中にも「小都市、農山漁村、中山間地域等の新たな位置づけ」として、先ほど説明ございました「新たなライフスタイルの実現を可能とする国土のフロンティア」、そんなこともうたっておられるわけでございまして、私は大変すばらしいと思います。  そこで、私の問題指摘でございますが、そういった基本的な考え方で国土政策を進めていく場合、今後何が一番かぎになるのか、こういう問題でございます。  私の考え、結論だけちょっと申し上げますと、それはやはり情報インフラの整備ではないかと思うわけでございます。これからの時代、国レベルでもそうですけれども、国内でも情報インフラの整備いかんによってその地域の発展が決まってくるのではないか、こんな気がしております。したがいまして、全国どこに住んでも質の高い生活ができるようにするためには、あるいは小都市、農山漁村、中山間地等が新たなライフスタイルの実現を可能とする国土のフロンティアであるためには、どうしても情報インフラの整備を急がなければならないのではないか、こんなふうに思うわけでございます。  ところで質問でございますが、私は、道路にしろ下水道にしろあるいは河川にしろ、これから高度な管理を要するものにつきましてはやはり光ファイバーが必要ではなかろうかと、こんなふうに思うわけでございます。  そこで建設省にお聞きするわけでございますが、主要な公共施設につきましては高度管理のため積極的に光ファイバーを敷設する、そういうことにしていただいて、そしてそれを多目的に利用する、要するに民間にも開放するというふうなことをやられたらどうかと思うわけでございますけれども、いかがでございましょうか。
  34. 橋本鋼太郎

    政府委員橋本鋼太郎君) 現在、先生も御指摘のとおり、情報化に対応すべく建設省といたしましても電線類の地中化の五カ年計画、これを平成七年度から平成十一年度までということで二千キロの地下化を目的に電線共同溝の整備を進めることとしておりますが、これと並行いたしまして、御指摘のとおりいろいろな公共施設の管理用の光ファイバーについても総合的に整備してはどうかという観点だと思います。  そういう意味で、現在までも、例えば道路管理者用でありますと五千五百キロの光ファイバーがありますし、下水道管理用にしても約二百キロ、河川管理用についても三百キロ程度の整備を進めてきております。さらに今後、例えば道路管理者用でありますと五年間で五千キロの整備をしていこうと、あるいは他の管理者にいたしましてもいろいろ計画を持って積極的に進めているところであります。そうしますと、こういう公共施設管理用の光ファイバーも全国的なネットワークになつていくものであります。  そこで、今国会に御提案もすることとしておりますが、例えば下水道法の改正等についても、いろいろな所要の改正をすることにより下水道の空間が光ファイバーの収容空間としても活用できるようにしてはどうかというような観点、あるいは最近の電気通信事業に関する規制緩和の動き、こういうものも踏まえながら、公共施設管理用の光ファイバーの民間事業者の利活用に関しては、この利活用の方法あるいは保守管理のあり方など制度的、技術的な課題について積極的に今検討を行っております。  今後、公共施設の管理に支障のない範囲で適切な利用が可能になりますように対応を図ってまいりたいと考えております。
  35. 岩井國臣

    岩井國臣君 どうかひとつ積極的に取り組んでいただきたいと思います。  情報インフラの問題に関連いたしまして、若干続いて御質問申し上げます。  いろいろ情報インフラの問題はあるのでございますが、またいずれ機会を見て取り上げることもあろうかと思いますけれども、本日ここではGIS、地理情報システムですね、それからCALS、生産・調達・運用支援統合情報システムとこう言っているんでしょうか、CALSの問題でございます。  建設省では、昭和五十九年に開催されました先端技術活用懇談会の結論を踏まえまして、積極的に先端技術の活用を図ってきておられるかと思います。現在、幅広にいろんなテーマと取り組んでおられるかと思いますが、最近は今言いましたGISとかCALSの問題にも取り組んでおられるようでございます。  そこで、その取り組み状況についてお聞きしたいわけでございますけれども、私の感じといたしましては、建設省がGISとかあるいはCALSの問題と本気で取り組むというふうなことになりますと、我が国の高度情報化は一気に進むのではなかろうか、アメリカとの格差が一気に縮まる可能性があるのではないか、ちょっとオーバーでしょうか、そんなふうに思っておるわけでございますが、ひとつ今後の見通しも含めてお伺いしたいわけでございます。
  36. 井上靖武

    説明員井上靖武君) 二つの新しいシステムの取り組み状況、それから見通しなどについて御説明申し上げます。  まず、地理情報システムでございます。  高度情報化社会の基盤といたしまして、地理情報システム、すなわちGISは、先ほどお話のありました光ファイバー網の拡充も含めましたいわゆる高速通信ネットワーク整備とともに、これは取り入れるべき極めて重要なシステムというふうに考えております。建設省は、附属機関であります国土地理院が測量と地図調製を担っておりますことなどから、各種統計情報を地理的位置に対応づけることのできる空間データ基盤の整備に率先して取り組むこととしております。  具体的には、学識経験者から成りますGIS研究会を設置いたしまして、二重投資などを避けるための標準化の諸課題を今取りまとめたところでございます。また、平成七年度第二次補正予算によりまして電子地図を一歩進めた空間データ基盤の整備に着手したところでございます。  それから次に、公共事業支援統合情報システム、いわゆる建設CALSにつきまして御説明いたします。  公共工事のコストの縮減、品質確保事業執行の効率化などを図るために、調査、設計、工事、維持管理の各段階で発生します各種の情報を関係者が相互に共有いたしまして、効率的に活用するための新しい情報システムの整備を進めることとしております。  このため、昨年から省内に研究会を設置いたしまして、CALS導入推進のための検討を進めております。また、平成七年度第二次補正予算において措置されました研究費によりまして、建設事業の高度化に資する情報システムの研究開発、これを実施しているところでございます。  このように、豊かな国民生活を実現するため高度情報化に必要な技術の一環としまして、今後ともGIS及びCALSの導入推進に積極的に努力してまいる所存でございます。
  37. 岩井國臣

    岩井國臣君 大分時間がなくなりまして、幾つか用意しておったのができないわけでございますが、ちょっとだけ問題提起させていただきます。どうも最近世界の気象がおかしい、地球の温暖化によるのかどうかわかりませんけれども、ともかく異常な状況かと思います。アメリカ、ヨーロッパ、アフリカ、ロシア、その他もういろんなところで大変な水害とか渇水が起こっておるわけです。国内も御案内のとおりでございます。  そういうことで、私は今後やはり水資源開発という問題は極めて大事な問題ではないか。自然保護運動との関係でなかなか難しい問題が現在生じておるわけでございますけれども、その辺をどうしていくのか。いい解決を図りながら、やはり水資源開発については積極的に取り組んでいく必要がある。そのことに関連して若干質問したかったんですけれども、問題提起だけにとどめさせていただきたいと思います。  それからまた、ダムだけではなくて、大規模公共事業にかかわる計画策定とか事業実施のシステムの問題というのがあるわけでございまして、さきの建設委員会において、建設大臣からそういったシステムの改善に引き続き努力していくと、大変力強いお言葉があったわけでございますので、そのことに関連しても実はちょっと御質問させていただきたかったんですが、時間がなくなりました。  そこで、最後に地方分権の問題に少し触れさせていただいて、私の質疑を終わりたいと思います。  これも、さきの建設委員会で、建設大臣から地方分権の問題について積極的に取り組んでいく旨の決意表明がございました。当然のことといえば当然のことかもわかりませんが、昨年五月に制定されました地方分権推進法に基づきましてまことに適切な決意表明でございまして、私は心から敬意を表する次第でございます。ぜひ地方分権というものを積極的に進めていっていただきたい、そんなふうに思います。  私自身の考え方もいろいろあるのでございますけれども、時間の関係上省略させていただきます。要は、建設省内部におきましても中身を詰めた議論をしていただき、積極的にそういう内容の詰めというものをやっていただきたい。洗い出しというんですか、零細な補助金制度は積極的に廃止していくと同時に、住民に身近な事業というものをどんどん市町村とか都道府県に任せるようにしていったらどうか、こう思うわけでございまして、基本的にそういうふうに願うわけでございます。その辺の建設大臣の御所見をお伺いしたいと思うわけでございます。
  38. 中尾栄一

    国務大臣中尾栄一君) 建設行政におきます地方分権そのものを推進するに当たりまして、国は一つには全国的な規模あるいは視点で行わなければならない施策や事業の実施は極めて大事なことであるという点は言うまでもございません。第二点といたしましても、全国的に統一して定めることが望ましい基本ルールに関する事務などの国が本来果たすべき役割を重点的に担うということとともに、御指摘のとおり住民に身近な行政は地方公共団体が担う形で国と地方が適切な役割と責任分担のもとに協力し合いながら、住宅、社会資本の整備を進めることが極めて重要であると考えておる次第でございます。  そうした観点から、個々の事務についても十分に検討いたしまして、補助金の整理合理化も含めまして分権を進めるべきものについては積極果敢に対応していくことが必要であると考えております。例えば、今国会に公営住宅法の一部を改正する法律案を提出させていただき、高齢者世帯の入居、収入基準の設定について地方の裁量で認めることとするなど、地方公共団体からの地方分権に対する要望等にこたえた内容を盛り込んでいるところでございます。  なお、現在、地方分権推進委員会において三月の中間報告に向けさまざまな論議が出されていると承知しておりますけれども、個々の事務の執行体制あり方などにつきましても十分かつ有意義な論議が尽くされることを私どもといたしましても期待している次第でございます。  以上でございます。
  39. 岩井國臣

    岩井國臣君 終わります。
  40. 橋本聖子

    橋本聖子君 自由民主党の橋本聖子でございます。  建設委員になりまして初めての質疑で多少緊張をしております。また建設行政には詳しくないということもありまして、意外な建設委員と言われておりまして、的確でない質問があるかと存じますが御了承いただきたいと思います。  まず初めに、北海道崩落事故についてお伺いいたしたいと思います。  去る二月十日に発生しました二百二十九号線の豊浜トンネルにおける約五万トンの巨岩崩落事故は、遭難者二十名の全員死亡という痛ましい結果になってしまいました。亡くなられた方々哀悼の意を表するとともに、御遺族には心からお悔やみを申し上げる次第でございます。  私も北海道出身で、何回かあのトンネルを通ったことがあるんですけれども、余計あの場所でというふうなことを思いますと、大変ショックも大きいものがありました。  このようなトンネル北海道では数多いということも承知しております。もしこのような崩落事故が交通量の多い時間帯や観光シーズンに起きた場合は、ざらに多くの犠牲者が出ただろうということは十分に想定できます。さらに、このようなトンネル道路が日本全国に数多くあるということを考えますと、崩落事故が再び起きないよう万全の対策が望まれます。  この点に関しまして、事故後、建設省及び北海道開発庁としてどのような対策をとられましたか。また、現地を視察されました建設大臣そして北海道開発庁長官事故に対する御所見をお伺いしたいと思います。
  41. 中尾栄一

    国務大臣中尾栄一君) 経過から多少ちょっと申し上げますが、平成八年二月十日に発生いたしました一般国道二百二十九号豊浜トンネル崩落事故につきましては、多くの方々の昼夜を問わない懸命な救出作業にもかかわりませず、十六日から十七日にかけて、御指摘のとおり被災者二十名全員の死亡が確認された次第でございます。  御無事で一刻も早く御家族のもとに戻られますように全力救出作業に取り組んでまいりましたが、このような結果と相なりまして、まことに残念で、痛惜のきわみでございます。また、御家族の悲しみとこれまでの御心労に対しましても、深く哀悼の意を表する次第でございます。  また、北海道開発庁長官とともに十七日から十八日にかけて御遺族お悔やみを申し上げさせていただきました。個々の家、全員を訪ねさせていただきまして悲しみを分かち合ったわけでございます。また、この間危険にさらされながら夜を徹しての救生活動を続けられました方々の御努力に深く深く感謝をする次第でございます。  今後は、御遺族方々のお気持ちに報いるためにも、道路管理の万全に向けて、委員の御指摘のとおりさらに一層倍旧の努力を払っていきたいと思っております。
  42. 岡部三郎

    国務大臣岡部三郎君) 今回の崩落事故に際しまして、事故発生後二時間後に小樽開発建設部内に対策本部を設置しましたほか、開発庁また開発局内にも必要な体制を順次設置し、救助活動を行った次第でございます。  また、事故重大性にかんがみまして、関係機関が密接な連携を図りながら一刻も早く被災者救助するため、北海道開発局、警察、消防、自衛隊、北海道庁関係市町村等による現地合同対策本部を設置いたしまして、関係機関が一丸となって救助活動に従事をいたしたわけでございます。  私も十二日早朝現地へ参りまして、人命救助を最優先に一刻も早い救助活動を行うこと、さらに被災者の御家族視点に立った親身な対応などを指示いたした次第でございます。  救助活動は、人命救助という大前提のもとに、さらに二次災害を絶対に起こしてはいかぬ、こういう大変難しい条件下で行われたわけでございますが、その時点時点においては最大限の努力がなされたものと考えております。  しかしながら、結果的には二十名全員が御遺体で発見されるというまことに痛ましいことになりまして、まことに残念至極でございます。  二月十六日夜から再び現地を訪れまして、二十名ものとうとい人命が失われた最悪の結果となりましたが、亡くなられた方々に心から哀悼の意を表しますと同時に、建設大臣とともに御遺族方々を弔問いたし、心からお悔やみを申し上げた次第でございます。  北海道開発庁といたしましては、今回の事故を踏まえ、今回の事故における関係機関との協力体制対応状況等を精査いたしまして、今後の課題について検討してまいる所存でございます。
  43. 橋本聖子

    橋本聖子君 新聞報道等では豊浜トンネルを五年前に調査されたというふうにお聞きしておりますが、その結果異常なしては調査自体を信用できないという声もありました。亀裂の点検などで調べて崩壊の危険性を科学的に調査し判断されているのでしょうか。また、今までの調査はどのようにして行われてきたのか、その点につきましてお伺いしたいと思います。
  44. 橋本鋼太郎

    政府委員橋本鋼太郎君) 平成三年のトンネル防災点検におきましては、坑口部の地質、覆工の亀裂、沈下、湧水、坑口付近の地甘の変状等について調査したところであります。当該豊浜トンネルにつきましては、変状が認められずに、当面対策の必要はないという結果でございました。  しかし、これ以外にもいろいろ調査はしておりまして、例えば平成五年の七月には北海道南西沖地震発生いたしました。早速、北海道開発局の職員が目視によりこの豊浜トンネルの亀裂の有無、地甘の状況等を点検しましたが、このときにおきましても特に異常はないということでありました。  しかしながら、この地震におきまして北海道の他の地域の日本海側の斜面で落石あるいは崩壊等が発見されましたので、大規模な斜面変状箇所を抽出するという目的で北海道開発局が独自の点検を実施しております。平成六年でございますがこのような点検をしております。この点検におきましては、留萌以南の日本海側及び渡島半島沿岸の震度四以上の地域にあった一般国道五路線、百五十五キロの区間について実施しております。  点検のやり方でありますが、震源に近い斜面が強い地震動により緩みが進行している可能性が高く、崩壊源が路上から視認の難しい急崖で長大な斜面の頭部に位置すること、そういう地形的な制約もありますので、ヘリコプターから目視によってコンサルタントの経験豊かな地質専門技術者、こういう者が落石、浮き石、湧水等の有無を見ながら箇所の抽出を行ったものであります。  そういう一次的な箇所の抽出に続きまして、この抽出された斜面について、地震が原因で大規模な斜面変状を生じていないかどうか、これを見出す目的で、さらにもう一度コンサルタントがヘリコプターで撮影した空中写真、これを判読して危険性の評価をしたものでございます。この場合も、残念ながら豊浜トンネル周辺の斜面は、四ランクに分類いたしました一番低いランクと申しましょうか、地震による変状は確認されないが地形、地質的に不安定な箇所、こういう状況でございました。これらの調査地震発生による変状の確認の調査でございました。  さらに、今後地震があったら危険性はないのか、こういう観点から調査をいたしました。この場合も写真判読によりまして地形、地質を調査して評価をしたわけであります。その場合には、地震に対する安定度がやや低い、こういう結果になりました。これを受けまして、平成六年度、平成七年度と、豊浜トンネルにつきましては現地調査等を現在継続して進めておった段階でございます。しかし、大規模崩落の兆候は認められなかった、現在の段階ではこのような報告を受けているところでございます。
  45. 橋本聖子

    橋本聖子君 パトロールや点検、調査に要する人員の関係でなかなか手が回らないかと思いますけれども、ぜひできるだけ有効な手段をとっていただきたいと思います。  諸般の事情から今回の事故のように崩落の兆候をなかなか把握できないということも理解できますが、近くのワッカケトンネルでの崩落、付近の落石などから、再度調査を行ってもよかったのではという声もありました。こう言うと結果論になってしまいますけれども、今回の崩落事故を契機に、付近の住民、またドライバー、観光客の方などから多方面の情報把握や、危険と思われる箇所にセンサーを設置しまして、センサーについては福井県の方でもう既に設置されているということもお聞きしておりますけれども、亀裂が入ったり不安定な状況になった場合に警告が出るような対策を全国的にとることができないかどうか、お伺いしたいと思います。
  46. 橋本鋼太郎

    政府委員橋本鋼太郎君) 御指摘のように、岩盤斜面の安定性を判断するためには岩盤の変状を把握することが極めて重要であります。従来から、点検に当たって、さらに必要な予知の仕組みの研究、技術開発に取り組んできたところでございます。  現在のところ、岩盤斜面の計測のためのセンサーには変状を計測する変位計あるいは収縮計等が開発されておりますが、このような技術開発の動向を踏まえて、実用化のための技術的課題の解決に今後とも積極的に取り組んでまいりたいと思います。  また、この安定性の評価の精度を一層上げるためにはいろいろなデータの集積が必要であります。パトロールの結果、あるいは利用者からの通報、あるいはいろいろな点検結果等から落石等の発生データなどいろいろなデータが集積されますので、GIS、地理情報システム等の活用によりデータベース化をして、これを解析に役立てていくというシステムの導入が極めて重要だと思います。  御指摘の御意見につきましては、極めて今後とも有効な手段と考えておりますので、積極的な導入を図ってまいりたいと考えております。
  47. 橋本聖子

    橋本聖子君 多方面からの情報把握で混乱が生ずることもあるかと思いますが、できるだけ絞った判断ができるよう、ぜひ建設大臣の御決断で有効と思われる措置をとっていただくことをお願いいたしたいと思います。  今回の事故では北海道開発庁が言われるように徹底した原因究明を行うのはもちろんですが、今行われている原因の調査結果を踏まえつつ、再発防止策が当然必要になると思います。再発防止に向けて今後どのような措置と対策をおとりになるのか、建設大臣及び北海道開発庁長官のお考え、御決意を改めてお聞かせいただきたいと思います。
  48. 中尾栄一

    国務大臣中尾栄一君) 委員の御質問にお答えいたします。  今回の事故を重く受けとめて、事故後直ちに北海道開発局内に学識経験者から成ります調査委員会を設置いたしまして、事故の原因について徹底究明を図ることとしております。また、道路を利用する皆様方に安心していただけますように、二月十三日付で全国の道路管理者に対しましてトンネル坑口部及び落石覆工、俗にロックシェッドとこう言っておりますが、それが設置されている箇所ののり面、斜面について緊急点検を指示したところでございます。  一方、今回のような大規模な岩盤の崩落は従来の技術的知見では予測が極めて困難な現象でありますために、岩盤工学等の幅広い学術分野の英知を結集した委員会を発足させ検討を進めている次第でございます。また、そのような方向でやっていきたいということを決意しておる次第でございます。  さらに、道路パトロールの充実強化や、現在実施中の一般国道二百二十九号を初めといたしましてこのような厳しい自然条件下にある路線に係る防災対策事業平成八年度事業費においても、所要額を増額する等一層の重点投資を図るなど、安全性向上に取り組む考え方でございます。  いずれにいたしましても、委員の御指摘のように、今回の事故教訓を踏まえまして、安全な道路交通の確保を図るために最大限の努力を傾注してまいりたいと存ずる次第でございます。
  49. 岡部三郎

    国務大臣岡部三郎君) 北海道開発庁といたしましては、北海道の総合開発を推進する観点から、最近の三度にわたる大規模地震災害等を踏まえ防災対策を講じてきたところでございますが、今回の大規模崩落事故を重く受けとめまして、このような事故の再発防止のための諸施策を講じ、災害に強く安全な地域社会の形成に努めてまいる所存でございます。
  50. 橋本聖子

    橋本聖子君 ぜひよろしくお願いいたします。  次に、ウォーキング・トレイル事業についてお伺いいたします。  この質問については先週国民生活でも質問をさせていただいたんですが、きょうは建設大臣もいらっしゃっていますので、再度この問題について二、三お伺いしたいと思います。  このたび建設省におかれましては、平成八年度から、地域の豊かな自然や歴史、文化に触れながら、安全かつ快適に散策を楽しむことのできる歩行者専用道路等を整備しようとするウォーキング・トレイル事業を創設されましたが、この事業の普及、推進に全面的に支援、お手伝いをさせていただきたいと考えております。  ウォーキング・トレイル事業の対象地区の選定、計画づくりについてですが、いろいろな地域の住民の方の参加を求めまして、そのアイデアを極力生かしていくことが重要であると思います。各地域の個性、特性が十分発揮され、また利用者である住民等のニーズを踏まえまして、住民にとって本当に使い勝手のよいものになるのが一番ベストだというふうに考えておりますが、地域住民等から私たちの町のウォーキング・トレイルといったようなテーマで広範にわたってアイデアを募り、参考に値すべき意見には賞を与えるなどコンクールイベントを行いまして住民に参加していただく方法はとても有効ではないかなというふうに思っております。  建設省では、事業計画をつくる際の住民等の参加のあり方、あるいはその意見の反映の仕方について具体的にどのように考え、また計画の策定主体であります地方公共団体等に対してどのような御指導をされているのかお聞かせいただきたいと思います。
  51. 橋本鋼太郎

    政府委員橋本鋼太郎君) ウォーキング・トレイル事業につきましては、歩くことを通じた健康福祉活動を支援する、あるいは魅力のある地域づくりを図るという観点から、安全、快適に散策できる歩行者空間ネットワーク、こういうものを整備していこうというものでございます。平成八年度から事業を展開していきたいと考えております。  御指摘のとおり、ウォーキング・トレイルの計画策定には地域ごとの個性ある歩行空間づくり、これが必要でございます。そういうことでございますので、郷土史研究会や地元の歩こう会など、地域の方々や歩くことに関心のある方々にこの整備計画策定の時点から参画していただく、さらに一般の住民の方、そこでいろいろ生活をしておられる方、あるいは仕事をしておられる方々からアイデアを募集したい、そのようなことも考えております。  いずれにいたしましても、これは国が主導的にやるということではなくて、国はこういうメニューを提供し、そのメニューを地方が主体となってやる事業でございます。そういうことでありますので、この整備主体となります各地方公共団体が中心になって今御指摘がありました地域住民の参加も十分に取り入れることができるように、我々としても各地方公共団体を指導してまいりたいと考えております。
  52. 橋本聖子

    橋本聖子君 済みません、時間も迫ってまいりましたので、二、三の質問をお願いにかえてお話しさせていただきたいと思います。  ウォーキング・トレイルを利用するのは子供からお年寄り、障害者の方などさまざまです。建設省ではウォーキング・トレイルの施設について障害者の方などが使いやすいようにいろいろな対応を考えておられると思いますが、よく聞く話なんですけれども、せっかくすばらしいものができましても、特に車いすの方がそこに行くまでに歩道が狭かったりまた段差があるなどしてアプローチの面でとても整備が不十分であるため、結局おっくうになり使用しなかったりできないというようなことでどうしても中に閉じこもりがちになってしまう傾向がありますので、いろいろな障害者等の方の立場も考えての歩行空間の面的整備ですとか、障害者の方がウォーキング・トレイル施設まで行きますのに車、バスなどの交通機関を利用する場合の整備をあわせて行っていただきたいというふうに思います。  また、せっかく整備してもだれも使わないのでは意味がなくなってしまいますので、活用、普及のための施策をどうするかも重要であると思います。今、学校の方ではいろんないじめ等の問題もありまして、自然に触れ合う授業というのが大切だというふうに私は思うんですけれども、縦割りではない省際の発想で、他局、関係部局との連携をとりまして休日の学校外活動に利用されるように、これは文部省また地方の各教育委員会との連携になると思いますが、建設省内及び他省庁との連携建設省としてもお考えいただきたいというふうに思っております。  最後に一つ大臣にお伺いしたいと思います。  先週の建設委員会で、建設大臣の御所信を拝聴させていただきました。その中で大臣は、国民の夢をいかに実現していくかが重要であり、夢の実現に向け積極的に取り組む決意であるとお話しになられました。私も全く同感でございまして、感激いたしました。私は、ウォーキング・トレイル事業もある意味では子供からお年寄りに至るまで国民各世代のさまざまな夢をはぐくみ、そしてその夢の実現に寄与する事業ではないかというふうに思っております。  ウォーキング・トレイル事業につきまして、きょうの論議をお聞きになって建設大臣としてどのようにお感じになられましたでしょうか。また、ウォーキング・トレイル事業に今後どのようにお取り組みになるのか、大臣の御所見をお伺いいたしたいと思います。
  53. 中尾栄一

    国務大臣中尾栄一君) 委員は、既にスポーツ界においても名をはせ、同時にまたリーダー格としておやりになっておられる方でございますし、そういう意味においては絶えずチャレンジ精神をお忘れにならずに後輩を育てておられると聞いております。また同時に、御自身もそういう体験をなさっておる、そのような方だけに特に御関心のあることはよく存じ上げております。  私は、さきの参議院建設委員会所信表明におきまして、政治は国民の夢の実現に向けた取り組みであり、建設省の使命も夢を具体的に形にしていくべきものであると確信していると申し上げたところでございます。  ウォーキング・トレイル事業と申しますのは、豊かな自然や歴史、文化に接し、地域の個性を感じながら安全、安心、快適に歩ける道を整備するものでありまして、確かに委員指摘のように、中にはこのような立派な施設があってもなかなか活用するのにはおっくうであるというように厳しく受けとめている方もおられるようでございますが、平成八年度から事業を創設して、そして地方公共団体に対して当該事業整備費用の一部を助成しようというものでございます。当事業は、子供からお年寄りに至る国民各層にまさに夢を具体的な形で与えていく事業一つであると確信しております。同時にまた、そのように認識していただきたいのでございます。  ウォーキング・トレイルに関する地域のさまざまな御相談に対しまして建設省も一緒になって知恵を絞るとともに、ウォーキング・トレイルの整備が推進されますよう、地方公共団体の要望に基づきまして積極的にその整備の助成を実施してまいる所存でございます。
  54. 橋本聖子

    橋本聖子君 ありがとうございました。
  55. 長谷川道郎

    長谷川道郎君 平成会の長谷川道郎でございます。本委員会におきましては初めての質問でございますので、よろしくお願い申し上げます。  まず冒頭、現下の最大の政治課題である住専問題についてお伺いをいたします。住専問題についての財政上の問題は、本委員会議論する問題ではございません。したがって、国土政策という点からお伺いをいたしたいと思うわけであります。  本来、公有の資産である土地が投機の対象になった、それは一つには慢性的な供給不足という背景があると思うんです。そのまた背景には大都市への一極集中、そしてそのもう一つの背景には地方の分散がなかなか進展をしないという、こういったことで今までの国土政策の象徴的な結果としてあらわれてきたのが住専問題ではないかと思うわけでありますが、今回の住専問題につきましてまず御所見を承りたいと存じます。
  56. 深澤日出男

    政府委員深澤日出男君) 住専問題を初めとした不良債権問題につきましては、いろいろ原因が指摘されているところでございます。今御指摘ございましたように、地価の高騰あるいはバブルの崩壊という中で生じてきたものというふうに考えておりますけれども、先般の地価の高騰自身は、金融の緩和、あるいは資産としてやっぱり土地を持っているということが有利だという土地神話の中、いろんな原因があるわけでございまして、東京都心部における事務所のビル需要の増大、あるいは都心部の業務地化等に伴う買いかえ需要、住宅地需要の増大、あるいは将来の地価の値上がりを見込んだ投機的取引の増大などが主な原因であったというふうに分析をしております。  その結果として、いろんな国民生活あるいは経済社会生活、あらゆるところで重大な問題を起こしてきたわけでございますけれども、それを解決するために我々は、政府としては総合的な土地対策を講じてきたところでございまして、土地利用計画整備充実、あるいは住宅宅地の供給の促進、あるいは土地の有効利用の促進等々いろんな各般の施策を推進してきたところでございまして、今後ともそういう施策を適切に推進してまいりたいというふうに考えているところでございます。
  57. 塩谷隆英

    政府委員(塩谷隆英君) ただいま大都市圏一極集中の問題が提起されましたので、その点についてお答えを申し上げます。  国土政策の指針といたしましてこれまで四次にわたり策定されてまいりました全国総合開発計画におきましては、一貫して大都市圏への過度の集中の是正を図って国土の均衡ある発展を目指してまいりました。特に、昭和六十二年に策定されました現行の第四次全国総合開発計画は、東京一極集中の是正と多極分散型国土の形成を基本目標といたしまして、その実現に向けて各般の施策の展開を推進しているところでございます。  人口の社会移動という観点で見ますと、最近では東京圏への人口の転入超過数は昭和六十年度以降減少を続けておりまして、平成六年度にはおよそ一万二千人の転出超過となるなど、東京一極集中状況は新たな局面に入っていると考えております。しかしながら、東京圏へのストックとしての集中の程度は依然として高いわけでありまして、住宅宅地の取得難、通勤難等、過密問題は依然として深刻なことも事実であります。  一方で、地方圏では中枢中核都市の利便性を享受しにくい地域を中心に、地域の活性化が大きな課題となっていることから、引き続き一極集中の是正に取り組んでいく必要があると考えております。
  58. 長谷川道郎

    長谷川道郎君 一極集中の是正を一貫して進められてきたというお話でありますが、感じとしては、なかなかまだ遅々として進展をいたしておらないのではないかというような感じがいたすわけであります。ぜひひとつそういうことでお取り組みをいただきたいと思うわけであります。  また、土地の問題につきましては、先般亡くなられました司馬遼太郎さんが、公有であるべき土地を無用にさわることがいかに悪であるか感じなければならない、土地は公有、共有の財産であり、倫理的には神聖なものであるとの観点から取り組まなければならないというようなことをおっしゃっておったわけであります。ぜひひとつそういうことでお取り組みをいただきたいと思うわけであります。  次に、首都圏の住宅難についてお伺いいたしたいと思うわけであります。  これも広い意味では住専問題の一つの背景であると思うわけでありますが、都市の労働者が生涯の賃金、退職金をもってしてももはや東京都区内では一戸建ての新築住宅を取得するということはまさに絶望的であるわけです。宮澤内閣当時、生活大国五カ年計画におきまして、首都圏における勤労者世帯の平均年収の五倍程度で住宅を取得することを可能にすることを目標にしていたということであるわけでありますが、一生働いてもなかなか家一軒持つことができない、そういう土地政策であったと思うわけでありますが、これについての御見解をお聞かせいただきたいと思います。
  59. 鈴木和美

    国務大臣鈴木和美君) 認識の点は、いろんな民間会社の分析等もあるんですが、私の手元に先般こういうのが届きまして、(資料を示す)宮澤内閣当時の年収の五倍という話があったんですが、これは都内のマンションの実例なんでございますが、不動産経済研究所の調査によりますと、平成七年度で考えますと、年収が八百五十四万円ある、それでマンションの価格の方は四千百四十八万円。ですから、床面積は六十六平米なんですが、年収と比べると現在四・九倍なんですね。それから、これを七十平米に置きかえますと五・一倍。これが今民間状況のように思うんです。  したがって、これからは土地の流動化を進めながら、それで土地の安定化を図りつつ、公共施設とか何かをやっていけば明るい見通しがこれから出てくるのじゃないのかな、こういうふうにも思われておるところでございます。
  60. 長谷川道郎

    長谷川道郎君 今六十六平米云々というお話がございました。しかし、六十六平米のアパートが果たしてマンションと言えるかどうか、住宅として適切、快適な住宅であるかどうか、これはなかなかそうはいかないと思うわけでございます。ぜひひとつまた大都市圏の住宅問題についても積極的にお取り組みをいただきたいと思うわけでございます。  次に、先般の建設大臣の所信の御表明についてお伺いいたしますが、その中で、大規模事業に係る一般競争入札方式の本格的な採用などの新たな入札・契約制度を中小・中堅建設会社の受注機会の確保にも配慮しつつ定着をさせるという御表明があったわけであります。この中で、今零細建設業者の中では非常に不安の多い部分でございますお話がございました受注機会の確保にも配慮をするというのは、具体的にどういう御配慮をいただけるのかについてお伺いいたしたいと思います。
  61. 伴襄

    政府委員(伴襄君) 今お尋ねの中小・中堅業者の受注機会の確保という点でございますが、制度改革は制度改革できちっと進めております。それが理由であってはならないんですが、最近いろいろ統計をとってみますと、特に官公需の受注率が中小・中堅業者、必ずしも芳しくないというようなこともございます。  そこで、かねてから中小企業、特に中小建設業者の受注確保というのは、特に建設業が地場産業で地域経済に占める割合が非常に高いということもありましていろいろな意味で配慮しておりまして、例えば発注標準、ランク分けでございますが、それをきちっと守って中小・中堅業者が受注対象となる工事に大きな業者が入ってこないようにするというようなこととか、あるいはそういった中小業者が受注可能になるように分割発注するといったようなことをやってきておるわけでございます。それでもまだ十分でないということもありまして、先ほど申し上げたような官公需受注率も芳しくないというようなこともございまして、昨年でございますけれども、七月、十月、二度にわたりまして中小・中堅建設業者の受注機会の確保対策というのを取りまとめて今精力的に取り組んでおるところでございます。  具体的に申し上げますと、建設省直轄工事でまず手始めにやっておりますが、例えばジョイントベンチャーでございますけれども、それに関しまして条件を緩和いたしまして規模の小さい建設業者でも共同企業体に参加できるようにするとか、あるいは一般競争入札、公募型指名競争入札等々の新しい制度をやっておりますけれども、その参加資格を緩和いたしまして、例えば地元の中小・中堅建設業者が上位ランクの工事で参入可能とするようにするというようなこと等をやっております。  さらには、先ほど申し上げましたランク区分の発注標準でございますが、これを引き上げまして中小・中堅建設業者が従来より大きな工事を受注できる機会を拡大するということが一番根本的な解決策だと思いますので、今年度の措置としましては、まず関東地建ほか二地建、合わせて三地建でございますけれども暫定的に土木工事の発注標準を引き上げておりますが、平成八年度からはこの暫定措置を全地建に適用して、中小・中堅建設業者の受注機会の拡大を図っていきたいというふうに思っております。  それからあわせまして、これは直轄工事でございますけれども、こういったことをやっていることを公共団体あるいは公団等に対しましても建設省対策を徹底いたしまして、運用の改善を図るように要請しているところでございます。  こうやって、各発注機関そろってそういう対応に邁進していきたいというふうに思っておるところでございます。
  62. 長谷川道郎

    長谷川道郎君 もちろん入札・契約制度は公正であることが当然大前提ではございますが、今御答弁にございましたように、官公需の受注率が芳しくないという御答弁がございました。これは中小零細業者にとりましては極めて深刻な問題であるわけで、どうかひとつ零細業者の育成、保護という観点でもぜひ積極的にお取り組みをいただきたいと思うわけでございます。  続きまして、防災関連で地震の予知という点でお伺いをさせていただきます。  阪神地震から一年が経過いたしました。今あの地震を振り返るとき、地震が予知できておったならば、もしくは何らかの警告が発せられていたならば、事によればあれだけの被害は防げたのではないかという残念な思いがいたすわけであります。もちろん、地震の予知というのはまだ学問的に完成された技術ではございませんし、科学技術庁、文部省、多岐にわたる問題でございますが、防災行政調整機関としての国土庁防災局は地震の予知という問題についてどういうふうにお考えであるか、まずお伺いいたしたいと思います。
  63. 村瀬興一

    政府委員(村瀬興一君) 今、先生おっしゃいました予知ということでございます。その場合に、予知というのがどういうことかという、いろんな定義があると思いますが、例えば東海地震につきましては、短期的な予知、つまり数日間程度で起きる可能性があるというようなことが予知できるということになっておりまして、現在そういう体制で進んでおるわけでございますけれども、それ以外の地域につきましては、そういった意味での予知は現段階ではできないという状況でございます。  現在、科学技術庁を中心といたしまして、そういった意味での短期的な予知ではございませんけれども、例えば活断層の調査、今回の阪神淡路大震災も活断層が動いたことによる地震であるということになっておりますが、活断層自体につきまして、千五百本あるいは二千本というようなことが言われておりますけれども、これまで詳細な調査が済んでおりますのは余り数はございません。  そういったものについてボーリング調査等を徹底して行ってまいりますと、例えばこの活断層につきましては大体千年ぐらいで動くとか、あるいはもっと長いとかというようなことがだんだんわかってまいります。そういたしますと、特定の地域について、例えば千年で動く活断層がある地域につきまして、千年程度経過しているような場合にはかなり危険な段階に差しかかっているというようなことが判断できるようになる。  そういったことで、科学技術庁が中心になりまして、関係機関が行っております観測、監視を集中いたしまして、そこで評価をいたしまして、その上で国民にもしかるべき広報をするというふうな段取りで現在進んでいるところでございます。
  64. 長谷川道郎

    長谷川道郎君 ただいま全国千五百とも二千とも言われる活断層の調査を進行していらっしゃるというお話でございます。なかなか調査が順調に進まないというお話でございます。  例えば、資料をお持ちかどうかわかりませんので大ざっぱな数字で結構なんですが、千五百ないし二千の活断層のうち、どの程度を御調査されていらっしゃいますのか、お伺いしたいと思います。
  65. 村瀬興一

    政府委員(村瀬興一君) 昨年までの段階では五十本程度というふうに聞いておりますけれども、昨年の補正予算、それから今度の八年度予算では、政府といたしましては、通産省の地質調査所が中心になって調査を進めてまいっておりますが、今回御審議いただいております科学技術庁の予算の中には公共団体が活断層の調査をみずから行います場合の補助の予算も組み込まれておりますので、そういったものを活用いたしまして、今までよりはかなりペースが上がってくるものと期待をしているところでございます。
  66. 長谷川道郎

    長谷川道郎君 実は先般、ある報道で、東大の地震研究所が現在最も注目をしておるのが新潟県長岡平野と西山丘陵断層であるというような報道がございました。また、東北大学の予知センターでは、西暦二〇〇〇年までに山形県、秋田県沖でマグニチュード七程度の地震が起きるというような報道がございます。それは学術的にどの程度の検証であるか私も存じませんが、地域住民にとっては極めて不安を募らせる報道であるわけであります。  今お話のございましたとおり、地震の予知、研究というのは各省にまたがる縦割りの部分というのがございました。大変難しい問題であると思うわけでありますが、防災の司令塔は国土庁であるわけです。ぜひひとつまた総合調整機関としての国土庁の漸進的なお取り組みをお願い申し上げたいと思うわけであります。  続きまして、今建設省事業で著しく事業進行が遅延をしているというケースが残念ながら間々見られるわけです。これは、地権者の問題ですとか工法の問題ですとかいろんな要素がありまして、なかなか迅速に展開できない部分もあるというのは十分承知をいたしておるわけでありますが、しかし予算の効率的な執行という点からは事業というのは速やかに進行する、これは当然なことであるわけです。  そこで、実はこの間、今回の提出議案の中の公園の資料を拝見しておりました。国営公園の問題でありますが、讃岐まんのう公園、それから新潟の越後丘陵公園、この事業が、それぞれ事業着手後現在まで十一年ないし七、八年が経過をしております。これはちょっと個別にはどういう状況かよく承知をいたしておりませんが、この問題は、国営公園というのは極めて地域の住民には期待の強い事業でございます。今までの十四カ所の例を見ますと、早い箇所は三、四年、遅くとも六年くらいで供用開始になっておりますが、先ほど申し上げました二件が十年近く経過をいたしましてもなかなか開園のめどが立っておらないということでありますが、これについてお伺いをいたしたいと思います。
  67. 近藤茂夫

    政府委員(近藤茂夫君) 国営公園につきましては、全国で十六カ所今整備をしておりまして、一部開園を含めてそのうち十一カ所が開園されているというのが現状でございます。そして、先生指摘のように、大部分は五、六年で開園されているわけでございますが、その内容について見てみますと、実は国営昭和記念公園とかあるいはすずらん公園に代表されますように全部国有地ないしは一部県有地ということで用地の取得を必要としないもの、また非常に容易なものがそういったふうに非常に早い開園の実態になっているわけでございます。  それに反して、まんのう公園、三百五十ヘクタール、これは全部民有地でございます。したがいまして、まず土地を取得するのに非常に時間がかかるということでございます。もう一つ指摘ございました国営越後丘陵公園につきましても、五十五ヘクタールの民有地についてまず買収を始め、そして現時点ではようやく買収がほぼ終わりましたので、今後は施設整備という段階になりますので、御期待に沿うべくその整備の推進に努めてまいりたいと思っているところでございます。
  68. 長谷川道郎

    長谷川道郎君 先般私は、建設省の直轄事業ではございませんが、ある橋の竣工式に出席をいたしました。延長三百メーター強、予算で六十五億円の橋だったんですが、何と起工以来十二年を経てようやく竣工にこぎつけたと。もちろん、先ほど申し上げましたようにいろいろ問題はあるのでございましょうが、わずか六十五億の橋をかけるのに十二年もかかるというのはいささか時間のかけ過ぎではないかと思います。  そういった事例が各地にあると思うわけでありますが、冒頭申し上げましたように、予算の効率的な執行というのはこれはもう一番心に銘じなければならないことであると思うわけであります。そういった点で、今建設省の各種の事業をひとつチェックしていただきまして、遅延、おくれをいたしております事業につきましては速やかに洗い直しをしていただく、そういう体制もお取り組みをいただきたいと思うわけであります。  続きまして、これが最後になると思うんですが、今回の提出議案にございます公営住宅の問題、高額所得者問題についてお伺いいたしたいと思います。  公営住宅法改正案の第三十条一項に、高額所得者の明け渡しに公的資金による住宅への入居を希望した場合、特段の配慮をしなければならないというふうな指摘があるわけです。本来ペナルティーを科すべき高額所得者にさらに乗せて特段の配慮をするということは、私は、それは親切といえば親切ではございますが、公営住宅法の趣旨に反するのではないか、高額所得者に対しましては契約優先の自己責任を貫徹すべきではないかというふうに考えるわけであります。  そもそも申し上げるまでもなく、この法は住宅困窮者への配慮、これをまず第一に考えるべきではないかと思うわけでございますが、申し上げました法第三十条一項、特段の配慮というのは具体的にどういう配慮であるのか、お伺いをいたしたいと思います。
  69. 梅野捷一郎

    政府委員梅野捷一郎君) お答え申し上げます。  ただいま御指摘のこれから御審議をお願いいたしたいと思っておる改正案についての御指摘でございますが、その中で明け渡しを請求する高額所得者に対する考え方ということでの御質問かと思うわけでございます。  現在の公営住宅法におきましては、同様の規定につきましては二十一条の四という条文の中でこのテーマを現行法においても扱っているわけでございます。明け渡し請求を受けた高額所得者に対して他の「公的資金による住宅への入居等について、特別の配慮をしなければならない。」というのは現行法でもあるわけでございます。事業主体は公団とかあるいは公社、そういうところが供給しております主としてそういう住宅を公的住宅ということで考えているわけでございますが、そこへあっせんを行い優先的に入居できるように管理主体、公団であるとか公社にも協力をお願いしている。実態はそういうことでございます。  今回の今御質問がございました改正案の中でも、基本的には同様の考えを引き継いでいるということでございます。
  70. 長谷川道郎

    長谷川道郎君 それでは時間でございますが、最後に一点だけ私から問題を指摘させていただくということでとどめるつもりでございますが、高速道路の沿道対策、沿道環境対策について今回御提案があるわけであります。  実は、私は首都高の四号線の間際、参議院の清水谷の宿舎をお借りして住んでいます。早朝四時から五時ごろの間は物すごい騒音でございます。道路がすいていますので、トラックが飛ばすわけであります。私みたいに都心に住んでいて静粛な住宅環境を求めるというのは、これは無理なことかもわからないわけでありますが、住宅地で騒音に悩まされている皆さんにとっては大変な御苦労だなということを私はしみじみと実感を、体感をしておるわけです。  先般の国道四十三号線訴訟において、当該騒音のレベルを全国の道路に当てはめると、三千五百キロ延長の道路が違法状態になるという環境庁の指摘があるわけです。騒音問題、これはもちろん大変な膨大な予算のかかる問題でありますが、ぜひひとつこの問題について積極的にお取り組みをいただきたいというお願いを申し上げまして、終了とさせていただきます。
  71. 永田良雄

    委員長永田良雄君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時五十九分休憩      —————・—————    午後一時二分開会
  72. 永田良雄

    委員長永田良雄君) ただいまから建設委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、建設事業及び建設計画等に関する調査を議題とし、建設行政基本施策国土行政基本施策及び北海道総合開発基本施策並びに一般国道二百二十九号豊浜トンネル崩落事故につきまして質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  73. 山崎力

    ○山崎力君 平成会の山崎力でございます。  三大臣所信表明の内容に沿う形で、また先ほどの質疑にもありましたけれども、北海道の豊浜トンネル崩落事故についての若干の質問をこれからさせていただきたいと思います。  当委員会において初めての質問でもこれあり、また事実上、各省庁間で重なり合う部分もあると思いますので、御答弁の際、私の方からの指摘にかかわらず、関連があると思えば御遠慮なくほかの担当のところからでも御答弁願えればと思っております。  まず最初に、豊浜トンネルのことでございます。いろいろな事実関係その他については各所で出ておりますので、私は二、三の点に絞ってこの問題について所見を伺いたいと思います。  一つは、これはさきの阪神淡路大震災教訓が生かされたのかという報道にもあるような指揮命令系の問題でございます。端的に言えば、今度の際に行政側の最高責任者といいますか、もし御当人が当地にいられれば最高指揮官になられるのは建設大臣なんでしょうか、それとも北海道開発庁長官なんでしょうか。その辺はいかがでございましょうか。
  74. 中尾栄一

    国務大臣中尾栄一君) 今回は一般国道の指定区間におけるトンネル岩盤崩落事故でございますから、道路管理責任現地を管理する北海道開発局長であり、また建設大臣は同開発局の指揮監督を行うとされております。  事故発生後における被災者の救出や災害復旧等の対応については、北海道開発局中心に同開発局の上級官庁である北海道開発庁と、道路管理責任を有する建設省が緊密な協力連携のもとに当たることが適切でございまして、今回もこのような対応がとられたところでございます。
  75. 山崎力

    ○山崎力君 今の御答弁にもありましたように、本来、北海道開発局現地現場責任となれば、常識的にといいますか、一般の感覚からすれば北海道開発庁長官がその上にあるというふうに考えるのが普通だと思うんですが、現実にはそういうふうにはなっていないというような御答弁だと承りました。  事ほどさように、こういった問題というのは、何か事があったときに指揮命令系統がきちっと、内部的でなくて、対外的にもわかる形であるということが一つの必要条件だと私は思っております。  例えば、今回の場合はともかくといたしまして、道路の種別による、国道、あるいは国道であっても北海道以外の場合は国直轄管理と地方公共団体管理の場合がある、あるいは北海道でいえば道道、普通のところでいえば県道といったところで違ってくる。ただしその対応というのは、これは敏速かつ迅速に人命救助その他に当たるということは、公道として見れば同じことをしなければならないわけです。それがその場所によって違ってくる、そういったときにどうするのかということが  一般の国民から見ればわかりづらい。そして、それがその内部的なあれで調整に手間取っているとすれば、何をやっているんだ、こういうことになろうかと思います。その点についてのお考えをお伺いしたいと思います。
  76. 岡部三郎

    国務大臣岡部三郎君) ただいま建設大臣からお話がございましたように、道路管理に関しては建設大臣北海道開発局を指揮監督することになっておりますが、北海道開発庁といたしましては、北海道開発局に対し組織管理、業務運営一般についての指導監督を行うということになっておりまして、そうした立場から今回の事故について救助活動の円滑な実施が図られるような所要の指示をいたしたところであります。
  77. 山崎力

    ○山崎力君 申しわけございませんが、今の御答弁でも、むしろそうなってくると一般の見方からするとトップリーダーといいますか指揮所が二つあるような、並列してあるような印象を受けてしまうわけでございます。その点が危機管理においては一番よろしくないということもこれ広く言われていることでございますので、これは今回の事故に限らず大震災、大災害、そういったものに対しての対応をとるときに、行政側としてどういうふうな上下関係、指揮命令系統、対応系統でいくのかということを、これは大きくなれば国土庁の管轄というふうな形にもなろうかと思いますけれども、指揮命令と調整というものがどこでどう行われているか、やはりもう少し国民の側に目に見える形で、わかる形で考えていただきたいということを要望させていただきたいと思います。  次に、ちょっと先ほどの午前中の質疑の中で、あれと思ったことがございました。というのは、今回の事故不可抗力であるというふうな内容のことがあったと記憶しておりますが、現時点でそこまで確認されたかどうかだけ、ちょっと一点、細かいことですが確認させてください。
  78. 橋本鋼太郎

    政府委員橋本鋼太郎君) 今回のトンネル岩盤崩落事故につきましては、原因究明の調査委員会北海道開発局のもとにつくりまして現在究明中でありますので、原因についてはまだこれからの課題と考えております。
  79. 山崎力

    ○山崎力君 それでは、まだ不可抗力とは認められていないということで、次に続けさせていただきます。  この問題に関して、先ほどとも関連しますが、広報体制問題点が広く指摘されておりました。これはいろいろ難しい状態の中で、人命救助その他の実際の活動においては広報というのは、余り直接的な救助活動には結びつかないという意味でとかく今まで軽視された嫌いが私はあると思います。  ところが、この情報化時代において、そういった一般への報道伝達を含めた広報活動というものの位置づけというのは極めて重大になってきている。ある意味において、国民、住民の理解を得る意味において極めて根幹的な課題になってきていると思うのですが、正直に言いまして、今回それが十分に達せられたかというと、やはり私の目から見ても不十分であったと言わざるを得ない部分がかなりございます。そういった点で行政サイドが広報を、こういったことが起きたときにどのように情報伝達をするかという体制を事前にある程度用意しておかなければ、これからも同じことが繰り返されるというふうに私は思っておりますので、その辺についての御見解を伺いたいと思います。
  80. 岡部三郎

    国務大臣岡部三郎君) 広報体制につきましては、当初は救生活動を最優先として取り組んできたために必ずしも御指摘のように十分ではなかった点があったかと思います。救生活動が難航、長期化するにつれて報道陣も増加をいたしてまいりましたし、その対応体制を強化する必要があると判断をいたしまして、十二日に私は現地へ参りましたときに、これに対する応援体制開発局から強化をするように指示をいたしたわけでございます。  しかしながら、結果的には情報の提供がタイムリーに行われたとは先生指摘のように必ずしも言えない点もあったかと思います。また、この説明の方法も非常に事柄が専門的であったために十分に報告者の意図が伝わらなかったという点もありましたし、また報道陣の規模が非常に大きくて担当者が少なかったといったような幾つかの問題点があったと思います。  今後につきましては、これらの経験を踏まえまして、大事故における適切な広報をどのような体制で実施していくのがいいかといったような問題について今後の課題として検討をしてまいりたい、かように考えております。
  81. 山崎力

    ○山崎力君 よろしくお願いします。これは大きな災害になれば当然国土庁サイドも関係してくる問題だと思いますので、その辺、各省庁間でどう広報体制をとるかということの御検討は当然国土庁でもなさっていただけるものとして、次の質問に進ませていただきます。  広い意味での広報とも関連いたしますけれども、私はこういった事故の際、次の世代へのといいますか、教訓を引き継ぐ意味において事後措置、特に調査報告書というものが極めて重要なものになってくるだろうと思います。  その中で、いわゆる自然科学的といいますか、いろいろな力学的な問題とかあるいは地質学的な問題とか、そういったものもこれは当然重要なことでございますけれども、私が見るところ、感じるところにおいては、こうした一連の中でいわゆる人間系といいますか、その担当者がどのような情報を得てどのような判断を下していったかというような問題についての報告書は余り見受けたことがございません。これは科学的な問題というのはどこでも出てくるわけですけれども、いわば社会科学といいますか人間科学的な、人間がその現場に入ったときにどういう状況、情報の中でどう判断したのかということは、これは極めて教訓という意味においては重要な要素を占めるものだと思っております。  そういう意味で、例えば最初に入った人たちがバスがつぶされたのを現認しながらやはり二次災害が起こる可能性があるということでそこで引き上げておりますけれども、そういったときに、どういう状況で二次災害が起こるということを判断し、それがだれが決断したかというようなことをそういった報告書に盛り込んでいただきたいという要望を私自身は持っております。その点についてはいかがでございましょうか。
  82. 橋本鋼太郎

    政府委員橋本鋼太郎君) 今回のような大規模事故における対応の一環だと思います。そういう点につきましては、今後十分検討していくということにしております。
  83. 山崎力

    ○山崎力君 十分検討をしていただいて、それら検討していただいた結果が報告書の中に記載されるという形をとっていただくことを希望して、この問題を終わらせていただきたいと思います。  続いて、主に建設大臣所信表明に沿った形で質問を進めさせていただきますが、まず第一の課題として挙げられた景気回復、これはいろいろ先ほどの質問の中で公共投資というものの内需等に対する効果というものを数字を挙げておっしゃられておりましたけれども、最近の論調において、従前のような効果は建設投資、工事その他においてもう発揮されないのではないかというような意見が出ております。  その辺について、先ほどの、現時点でのこういう効果があるよという、たしかこれは政府側の数字が出ておりましたけれども、どのように建設公共投資が内需拡大等に反映されているかという動きの数字というものと、そういったものに対して建設側として、行政側としてはどう対応していくかということの御検討はなさっておられるのでございましょうか。
  84. 小野邦久

    政府委員小野邦久君) 最近、公共投資波及効果につきまして、午前中も岩井先生からお話がございましたけれども、特にケインズ政策、ケインジアン的な考え方に対していろいろな御批判もございます。かつてのような公共投資波及効果はもうないのではないかといったような御議論もあるわけでございますけれども、私ども政府といたしまして、いろいろ公共投資波及効果を考える場合にはやはり世界経済モデルによって推測をしていくということをやっているわけでございますが、最新の第五次の世界経済モデルによれば、名目一兆円の公共投資によって名目GDPを三年間の合計で二・一三兆円増加をさせる、そういう効果があるということになっております。所得税減税等の他の手段と比較しても大変大きな効果があるというふうに考えております。  ちなみに、昭和五十七年の第一次世界経済モデルでは、この二・一三という数値は実は二・七八という数値でございまして、経済がだんだんサービス化しているとか、あるいは金融等もだんだんグローバル化してきているとか、あるいは石油の価格の上昇があるとかいろんな要因があるわけでございまして、長期的には確かに従来のような数値ではないわけでございますけれども、なお減税等と比較いたしますと大変大きな効果があるというふうに考えております。  今回の不況自身、影響自体はやはり民間設備投資の大変な落ち込みということが非常に大きな要因の一つでもあるわけでございまして、もし仮に数次にわたるような補正予算というものがないとすればどうだったかということを調べてみますと、やはりこれは相当のマイナス成長であったというふうに考えているところでございます。  ちなみに、平成五年度の数字で申し上げますと、もし公的な固定資本形成の伸びが対前年度と比べましてゼロであった、伸びがなかったということを仮定いたしますと、実際の経済成長率、GDPの成長率はマイナスの〇・八という数字もございました。これが、平成五年度、四年度に比べて数次の経済対策によって公共投資を相当ふやした結果、辛うじて〇・二という水面下を上回ったわけでございます。そういったようなことからも、公共投資経済効果はかなり大きなものがある、相当大きなものがあるというふうに考えているわけでございます。  どういう工夫をしているのかということでございますけれども、民需がとにかく力を増してくるまでの景気の下支えということからやはり公共事業を的確に執行する。そのためには、平成七年度には二回の補正も組んでいただいたわけでございます。また、平成八年度予算をできるだけ早く成立させていただいて、切れ目ない執行を図るということも大事だと思っております。  また、土地の流動化の議論も先ほどございましたけれども、土地対策観点からもなるべく流動化に資するという意味で、公共用地の先行取得というようなものも平成七年度の二次補正で相当の金額を積んでいただいております。  そういったような工夫もして、公共投資でやはり景気の下支え、あるいは住宅投資で内需振興というものを図っていきたい、こう思っているところでございます。
  85. 山崎力

    ○山崎力君 わかりました。何も効果がないと言っているのではなくて、数字にも出ましたように、従前ほどの効果が上がってこないという数字を把握しているのであれば、それを従前のような効果を上げる効率的な工夫をしていただきたいという要望でございますので、次に移らせていただきます。  大臣の中の第二の課題として、「質の高い住宅、社会資本の重点的、計画整備」ということをおっしゃっておられました。その中で、特に「重点的な投資」ということを述べておられますが、これは具体的に何を重点とするのか、今までとどこをどう変えていこうとなさっているのかということを御答弁願いたいと思います。
  86. 小野邦久

    政府委員小野邦久君) 大臣所信表明で述べられました質の高い住宅、社会資本のための国民のニーズに的確に対応した重点的な投資ということでございます。公共事業でございますので、真に豊かな国民生活を実現していくというためにはやはり国民の方々の御要望を的確に踏まえていくことが大変大事だと思っております。  例えば、平成八年度予算で御説明をいたしますと、安全で安心できる地域づくりあるいは町づくりの推進、これは阪神淡路大震災教訓ではございませんけれども、耐震性向上のための道路橋の補強でございますとかあるいは堤防の補強、あるいは住宅の補強等、あるいは防災公園の整備といった安全、安心の観点からの町づくりというようなものに重点的に平成八年度予算では力を注いでいるところでございます。  もちろんそれ以外にも、快適な暮らしを支える生活基盤整備の推進、これは下水道とか、あるいは高齢者あるいは障害をお持ちの方に優しい町づくり、そういったような観点からのいろいろな事業がございます。  あるいは、豊かな住生活を実現する。何といっても我が国の中でやはり豊かな住生活の実現というのは大変おくれている分野でもございます。そういったような観点からの都心居住の推進でございますとか、あるいは近郊居住の推進といったような住宅政策。  あるいは、地域が今大変、平成不況の影響もございますけれども、何というか力を失っているのではないかというような御指摘もあるわけでございますが、何とか魅力と活力を追求するような新しい地域づくり、このためにはやはり高規格幹線道路でございますとか地域高規格道路といったような道路網整備ネットワーク整備というのは大変重要な課題でございます。あるいは情報化にどうこたえていくか。  そういったような観点に、例えば平成八年度の予算案でございますと、全体として四・一、私どもでは四・三という数字でございますけれども、今私が申し上げましたような五つの分野につきましては、例えば一〇%あるいは三四%といった高い伸び率を確保いたしまして重点的に投資をしているわけでございます。このような傾向は平成八年度だけではなくて従来もそうでございますが、特に平成八年度予算におきましては、阪神淡路大震災教訓等を踏まえて、より以上にやはり国民の皆様方のニーズの高い分野に重点的に投資をしたい、こういうふうに考えているところでございます。
  87. 山崎力

    ○山崎力君 今の御答弁で大体の大筋の面は見えてきたと思うんですが、私が聞いて残念なのは、最初の阪神淡路大震災のことと絡むんですけれども、安全、安心ないろいろな施設づくりということですが、これは後でもちょっと質問させていただこうと思っていたんですが、いわゆる従来のやり方では安心できなかったということを、それをあのことを教訓にいたしまして何とかそのままにほっておけないということでお金を出すということでいろいろなことをなさっていらっしゃるというふうに受けとめれば、これは何も重点事業にするというふうに筆頭に持ってくる課題ではないのではないかというふうに言いたくなる部分がございます。  それはさておきまして、今の話の中に出てきた豊かな住生活、住環境という問題、これは後の方で「具体的に」ということで大臣も触れられておりますので、ここで少し取り上げさせていただきたいと思います。  私が思うところ、豊かな住環境というもの、都市づくり全体から見て、今回のバブルというときに非常に端的にあらわれたことは、優良な住環境がその当主が死ぬことによって保てない。具体的に言えば相続税。不動産以外の財産を余り持たな  家庭において、当主が亡くなって相続問題が発生したときにそれまでの住宅環境を保てない、それを処分しなければ相続税が払えないという、それがいろいろな住環境の破壊ということにつながっていると思うんです。  これはもちろん税制ですから、大蔵省の所轄、所管になると思うんですけれども、建設行政あるいは国土の町づくりという意味からいけば、今バブル崩壊後若干おさまっているとはいえ、長い目で見ればこれは避けて通れない問題だと思うんですが、その辺についてのお考えはいかがでございましょうか。
  88. 中尾栄一

    国務大臣中尾栄一君) 豊かな住生活の実現のために、今後、質を重視した住宅宅地対策を推進.する必要がございますけれども、都心居住促進対策あるいはまたケアつき住宅などの高齢者向け住宅の供給、大都市近郊等における優良な住宅宅地の供給等により良質なストック形成あるいはまた居住水準の一層の向上を図ることが極めて必要であると考えておる次第でございます。  今回お願いをいたしました公営住宅法あるいはまた住宅金融公庫法、大都市地域における優良宅地開発の促進に関する緊急措置法、俗に優良法と言っておりますが、この改正はいずれもそうした趣旨によるものでございます。  また、御指摘のございました相続税等の問題もございますが、これは相続制度のあり方の問題としてまた議論する必要があるであろうと思っております。  また、宅地の細分化の問題につきましては、土地所有者の立場に立てばさまざまな事情がございまして、困難な問題ではございますが、優良な住宅地が細分化されていくことは大変に残念なことでございますから、建築協定や地区計画などの活用によりましてそのような事態が進まないように努めてまいりたいと考えておる次第でございます。
  89. 山崎力

    ○山崎力君 今の御答弁ですと、いわゆる相続問題は税制の方でまた別に考えて、宅地の細分化についてはまた別にというふうなことなんですが、私が申し上げたいのは、相続によって優良な宅地を意に反して放棄せざるを得ない人がかなりいたんだと、特に都市における優良住宅地において。そして、それが処分された後、それが自然的にといいますかほぼ自動的に細分化されて再配分されると、こういうことによって都市住宅環境がその地域においては悪くなるのではないか。現実に悪くなって、従来の良好な住宅地の様相が保てなくなってきている。こういう実態があるという認識のもとに質問させていただいているわけでございます。  それに対して、本来のそういった豊かな町をつくるという立場の建設省、もちろんつくられることはそれでいいわけですけれども、そのつくった後、今の制度においてはそれが十分今後とも保っていけないという可能性がこの相続問題にはあるんだという御認識からすれば、当然、政府の一員として大蔵省なりなんなりにその辺のことを御討議願うとかそういった形の働きかけはなさっているのか、どう考えていらっしゃるのかということが私の質問の趣旨でございます。
  90. 小鷲茂

    政府委員(小鷲茂君) 行政対応の実態について御説明をさせていただきたいと思います。  おっしゃるように、優良宅地が相続税を契機といたしまして転々譲渡されて細分化されていくということは現実にあるわけでございます。特に、数年前のバブルのピークのときに、相続財産の評価が非常に高くて相続税が払えない、こういうことで起こったわけでございます。  幸いにして地価は最近大分安定化をいたしてきておりまして、今後かつてのような状況は続々と続くということではないんじゃないかというふうに考えておるわけでございますが、さはさりながら、基本的には先生指摘のような問題があることは事実でございます。  しかしながら、先ほど言いましたように制度的に建築協定でありますとか地区計画制度とか、こういうものがあるわけでございますが、こういうものにつきまして基本的に地主の皆さん全員の方が同意していただかないとなかなか導入できないという難しい面もあるわけでございます。  そこで、先生の御提案は、税の方で相続財産が分割されなくて済むような制度要求をしているのかということでございますが、率直に申し上げまして正式の要求として私どもは過去こういうことを大蔵当局に要求してはございませんけれども、せっかくの財産がそのまま子孫の方々に受け継がれていかないというのは大変残念なことはそのとおりでございますので、いろいろ研究させていただきたいと存じます。
  91. 山崎力

    ○山崎力君 続いて第三の課題について、先ほど長谷川委員からもありましたけれども、いわゆる中小・中堅建設業者の育成といいますか、地方におけるそういった業者をどうやっていくかという問題だと思うんですが、この背景には、一つ入札制度に関しては外国企業の参入問題もこれあると思います。  それからもう一つ、具体的に先ほども出た格付という話、ランクづけの問題でいけば、国のランクと、地方公共団体、県その他の同一業者につけるランクづけが違っているといいますか、その辺のところをどうこれから調整していくのか。あるいはランクの下の業者が、地方の場合は公共事業がほとんどだということで一般からの受注が少ないということもあって、どうしてもランクアップの実績づくりの機会に乏しい、こういった不満もこれあるわけですが、そういったことについてこれからどういうふうな考え方で進めていかれるのか、お聞かせ願いたいと思います。
  92. 伴襄

    政府委員(伴襄君) 特に地元の中小・中堅建設対策というようなことで、先ほど午前中にも御答弁申し上げましたが、やっぱり一番決め手になりますのは発注標準、今のランクづけだと思います。これが発注者によってかなり違っていることもまた事実でございますので、なるべくバランスをとるようにと思っておりますが、例えば建設省の発注標準自体もだんだん発注規模が大型化していきますとそれに対応していない面もございますので、先ほど答弁いたしましたが、暫定的にはまず三地方建設局でやりまして、全国的には来年度からやりたい。そういった考え方をほかの国の発注者、公団等、それから地方公共団体、そういったところにもいろんな協議機関がありますので、そういったところで敷衍していきたいというふうに思っております。  それから、中小・中堅建設業者の方がいろんな例えばジョイントベンチャーだとか、それから本来ならランクが下なんですが上の工事に、繰り上がりと言っておりますけれども、参入の機会を得て経験を経ながらその実績をつくっていくということをやっていきたいと思っております。それから、なるべく技術者の要件とか実績の要件も緩和いたしまして、例えば同種の工事であれば幅広く経験をとらえるとか、それからあるいは技術者の経験も、余り短期間で過去三年とか五年ですとなかなか経験がない、十年ぐらい延ばせば経験がふえるとかといったようなことも踏まえて、経験のカウントもしやすくするように、あるいは技術者のカウントをしやすくするようにしたいというようなことを考えて実施しているところでございます。
  93. 山崎力

    ○山崎力君 今おっしゃられた方策が具体的な形で各論でも十分関係者に納得されるような行政をお願いしたいと思います。  続きまして、所信の「当面の諸施策」ということの方に入らせていただきます。  私の選挙区が雪国ということもございまして、いろいろ道路その他都市づくりにおいても雪対策というのが非常に金のかかる、それでいて労多くして春になれば何も残らない、こういう状況でございます。そういった中で、特に道路においてはスタッドレスになってからの物損事故の増加とかいろいろございます。そういった面での具体的な施策を要望しておきたいと思います。御答弁は結構でございます。  それと同時に、いわゆる町づくり、国土づくりの中で、私が個人的に思いますことは、古い時代の町並み、日本においては明治、大正の初めくらいまで、それから欧米各国、特にヨーロッパにおける古い町並み、そういったものと我が国の大都市部における町並みを比べてみますと、統一性とかあるいはバランスとかそういった形がむしろ退化してきているんではないかという考え方を持っております。  これは、どうしても総合的な都市政策というものが私権とのつり合いの中でなかなか難しいということはわかるんですが、例えば「快適生活を支える生活基盤整備」の中で、「公園整備等による潤いのある都市環境の創出、」、こうなっております。ほかの省庁に絡む問題ですけれども、学校とか寺院あるいは神社、そういった旧来の日本古来の、古来といっても学校は明治からですが、そういったもの等の空間を、オープンスペースと言っていいかもしれませんけれども、そういうのを組み込んだ形の都市政策というものがもう少し見えてきていいんじゃないかというふうに思っておるんですが、その点はいかがでございましょうか。
  94. 近藤茂夫

    政府委員(近藤茂夫君) 確かに先生指摘のとおり、ともすれば従来の町づくりは機能面が重視されがちだったわけでございますが、近年、私どもの町づくりの考え方につきましては、国民が非常に質の高い町づくりを要望するということで、私どもも環境とかあるいは文化とか美しさとかそういったことについて配慮しなければいけないということを一つの大きな基本課題として持っているわけでございます。  その場合に、街区単位で町並みを整備しているときに、今先生指摘のオープンスペースをできるだけ整備する、公共事業として整備するだけではなくて、既存の文化的なものを保存する、そういうことも考えていかなければいけない。そのために、今かなり公共団体において一般的に活用されておりますのは、先ほど大臣の答弁にございました地区計画、これは必要に応じてその建物の意匠、形態についても基本的な合意のもとに規制することができるということでもございますし、それからまた神社仏閣についても、これは都市緑地保全法という形の中でそういったものを保全する。  さらには民有地についても、安定的な民有地につきましては市民緑地協定、市民協定という格好でそれが保存そして税制上の特例を設ける、そういった制度も去年の緑地保全法の改正で対応していただいたわけでございまして、今後の町づくり一つ方向として、美しさ、景観、文化、こういったことに十分配慮した町づくりを進めていきたい、このように思っておるところでございます。
  95. 山崎力

    ○山崎力君 ぜひそのような方向でやっていただきたいと思います。  続きまして、「豊かな住生活」は先ほどやりましたので、阪神淡路大震災との絡みで御質問させていただきたいと思います。  一言で言えば悲惨な災害でございましたけれども、建設行政の中で、私が感じますのは、新幹線であるとか地下鉄であるとか高速道路であるとか、いわゆる建造物に対する我が国の建築学会といいますか土木学会といいますか、そういったものの神話が崩壊したのがあの震災の我々の委員会が担当する部分においては重大な問題ではないかと思っております。  あれからもう一年以上経過した中で、今どうなっているかということで思い返してみますと、そういった私たちの担当するところにおいて、あの地震というものが従来の予想を超えた部分がかなりあったと思いますけれども、本当に根幹的な見直しを迫られるものであるのか、それともあの被害が計算ミスといいますか、そういった予想外の計算をしなきゃならぬ係数がふえたものなのか。それとも、そういったものは踏まえたんだけれども、何らかの設計ミスがあったのか、あるいは施工ミスがあったのか、あるいは故意的な手抜き工事があったのか。そういったものの概要というものをやはり広く情報として知らしめることが開かれた行政につながるのではないかと思っております。  ここまで言っていいかどうかわかりませんけれども、そういったものが逐次提示されて、それぞれの建設会社の固有名詞まで出てくれば、これはこれからの建設行政といいますか、そういった中において一般的にかなりの影響力を持つものであると私は思っております。そういった報告書というものは将来出る可能性があるんでしょうか、どうでしょうか。
  96. 井上靖武

    説明員井上靖武君) 昨年の大地震では建設省所管の施設に非常に大きな被害が発生しましたことから、建設省ではこれを重く受けとめまして、地震後から直ちに耐震工学の専門家などから成る委員会を、道路橋それから河川堤防、建築物などの施設ごとに設置しまして、被災原因の徹底究明と施設の耐震性向上方策の検討を行ってきたところでございます。  被災原因につきましては、道路橋につきましては設計を上回る大きな水平方向地震力を受けたこと。建築物については、第一には、現行の耐震基準以前に建築された古い建築物について、耐震性が現行耐震基準で要求する性能に比べて低かったこと。それから第二に、現行の耐震基準によって建てられた新しい建築物について、ピロティー形式の建築物等を中心に十分な設計上の配慮が足りなかったこと。河川堤防につきましては地盤の液状化などが主な原因として挙げられております。  このような各委員会検討結果につきましては、これまで中間報告などとして対外公表をしてまいりましたところですが、このうちダムそれから道路橋、建築物の各委員会報告につきましては、昨年中に最終的なものとして公表を行っております。  その他の委員会検討結果につきましても、最終報告がまとまり次第、公表していくつもりでございます。
  97. 山崎力

    ○山崎力君 もちろん、そういった形のものが出てくるということは前提でございますけれども、あえて言わせていただければ、いわゆる建設省管轄だけでなくて、これは国として考えれば、国の補助金が出ている建物、建造物については当然同じような調査をなさるべきであろうという気がしております。  できるだけ範囲を広げて、これは何年先か今すぐかわかりませんけれども、どこで起きるかわかりませんけれども、地震と離れられない国であるということを考えれば、そういったことが次世代への今の時点での行政の義務だろうというふうに思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。  続いて、これはバブルと絡んでくるんですが、いわゆる建設業、不動産業の振興対策という項目になってくるわけでございます。  もちろん、住専の問題という、貸し先が不動産業ということでございます。これが、住宅、土地分譲あるいは仲介あっせんといった、建設省が本来イメージしているところの業種と違った形のもので、まさに土地を商品として転がすといいますか転売することを目的とした土地利用というような形で、それがバブル崩壊とともに住専問題という形になってきた。  これは、建設行政の中で端的にあらわれておりますのは、先ほどの町づくりという面から見ても、一等地において、不整形といいますか不定形といいますかそういった空き地ができて、そこが何台かの駐車場になっているというところが東京都内その他にもかなり見られる状況になっている。これは、都市をどうつくるかということに関しても、ある意味では醜い、整っていない状況であろうかと思います。  そしてもう一つ言えば、先ほどの話の中でございましたけれども、所有から利用するんだ、土地を持っていることから利用していくんだという考え方が出されておりまして、同時に土地の流動化が景気対策にとって極めて有効である、そっちの方向にいきたいんだというお話も伺いました。  私から見るところ、土地の流動化と土地の利用というものは必ずしも一致しない、むしろ反する部分があるのではないか。土地の流動化と利用の方向へもっていきますと、土地の短期利用というものをイメージしなければ、土地の流動化と土地利用というものは一致しないんではないかという感じを持っておるんですが、その辺についての建設省としてのお考えはいかがなものなんでしょうか。あるいは国土庁の絡みも出てくるかもしれませんが、よろしくお願いいたします。
  98. 小鷲茂

    政府委員(小鷲茂君) 土地利用という観点からいたしますと、建設省の領域があるわけでございますので私どもから御答弁いたしますが、ただいま先生の御意見では、利用と流動化というのは相反する場合があるんではないかということでございますが、私どもが流動化と言っております場合には、土地が動くこと自体が必要だということよりも、動いて、その結果有効利用される、有効利用を目的として動くということが大事だというふうに申し上げているつもりでございます。  したがいまして、流動化というふうに無限定で私どもついつい用語を使っておりますけれども、その前提として、有効利用を前提とする流動化、つまり最終需要者がお買いいただくということを念頭に置いた流動化を促進いたしたいというふうに考えている次第でございます。
  99. 深澤日出男

    政府委員深澤日出男君) 国土庁といたしましても、所有から利用へという土地政策の観点からいたしまして、今建設省から御答弁ありましたように、ただ単に土地が右から左に動くというだけではなくて、あるいは投機的な取引が行われる、土地転がしが行われるという意味での流動化ということは我々は全然考えておりませんで、あくまでも有効利用を前提とし、有効利用されるために土地が動くということが大前提でなければならないというふうに我々は考えております。
  100. 山崎力

    ○山崎力君 おっしゃるとおりだと思います。  ただ、土地の流動化ということが、景気対策に結びつきますねということの言葉自体の印象からすれば、これは極めて誤解を招くことになるし、また逆にバブルの教訓として、土地が流動化する、いわゆる悪い意味での流動化することが景気の表面的な回復につながるという実態もこれございますので、有効利用のための土地の流動化だという、そのためのというのがどうしても置き忘れられがちになるのが実態であると思うんです。  ですから、そういった意味で、これからの土地政策ということで余り土地流動化という言葉を使っていただきたくないというのが私の個人的な意見でございます。  そして、最後の方になってまいりますが、今回のこういった大震災あるいは古平トンネル崩壊事故、そういった建設行政あるいは国土をどうつくっていくかといったときに、将来的なビジョンというものが当然必要であると思うんです。  具体的に言いますと、豊かな住宅、質の高い住宅というのは、国として何平米くらいのことをイメージしているのかとか、あるいは街路というものはどの程度のものをイメージしているのか。それがどの程度、今は実現されているんだけれども、もちろん下水道の普及率を上げていく、そういうふうな一つの将来的にこういったものを我が日本の、我が町あるいはほかの町も含めて建設行政の中、国土行政の中でやっていきたいんだと。これは、北海道に関しては開発庁さんも当然そういった形でやっていきたいんだということがいろいろ言われておるんですが、なかなか総合的なイメージとして伝わってこない。  一つ一つ道路、橋あるいは建物ということに関しては非常に立派な業績その他を上げられているわけでございますけれども、総合的なつながりの中でどういう町づくりをしていくんだ、国土づくりをしていくんだということが、国民に対してこういうことをやっていくんですよということ、やっていきたいんだということを伝えていただくような面もこれからは重視していただきたいと思うわけでございます。  それに関しまして、最後になりますけれども、思いつきのようですが、一つだけちょっと気になっていることを国土庁にお尋ねしたいんです。  首都機能の移転ということで、これが一つ計画として候補地選定その他をやっているわけですが、それとは別にして、バブルがはじけて土地が下落している状態の中で、東京一極集中、そういった中での首都機能が移転した場合の東京の土地の値段とかそういう変動要因が今までと違って出てきていると思うんですが、その辺のところを御答弁願いたいということと、それから北海道開発庁長官あるいは建設大臣に、そういった北海道の総合的な感覚あるいは建設行政全体をこうしたいんだということのお言葉を最後に言いただければと思います。  私の質問はこれで終わらせていただきますが、御答弁のほどよろしくお願いいたします。
  101. 五十嵐健之

    政府委員五十嵐健之君) 首都機能移転関係についての御質問でございます。  いろいろな変動要因がこれから出てくるではないかという御指摘でございますけれども、今までもこういう国土づくりあるいは町づくりにつきましてはどうしても二十年、三十年かかるプロジェクトでございますので、いろんな変動要因があったわけでございます。  この首都機能移転そのものにつきましては、国政全般にわたる種々の改革の一環にしたい、あるいは東京の一極集中の是正に大きく貢献したい、そして防災問題に対応力をつけていきたい、こういう大きな目標のもとで実施したいというふうに考えております。その間にいろんな要素があろうかと思いますが、何とかそれを処理しながら進めてまいりたい、こういうふうに考えております。
  102. 岡部三郎

    国務大臣岡部三郎君) 御指摘北海道の振興開発に関しての基本的な考え方、こういうことでございますが、地域振興はやはりその地域の特色を生かした発展の方向を目指していくということが大変に必要であろうと思っております。  北海道におきましても、諸産業発展のための基盤整備を図る、あるいは住民の方々の生活環境の整備を図るということはもちろん非常に大事なことでございますが、それと同時に、やはり北海道我が国では数少ない多くの大自然が残っておるところでございますから、こうした自然と人間との共生ということを考えながら、その中で今住んでおる人たちはもとより、国民全体が生活の場としてあるいは憩いの場として、休養の場としてこれを国民全体が活用できるようなそうした基盤の整備も大変に必要なことではないかと考えまして、今新たな振興開発計画にもそういうことを織り込んでいきたいということを考えておる次第でございます。
  103. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 まず、北海道の豊浜トンネル事故についてお尋ねを申し上げます。  平成七年度版の国土建設白書では「ゆとりと安心を約束する道づくり」の項で、「わが国の道路整備と管理は極めて厳しい自然条件下で行われてきた。したがって、」「地震、風水害、豪雪等自然災害に強い道路整備は最も根本的な課題のひとつである。」と述べ、「防災対策としては、昭和四十三年以降、」「「落石等の恐れのある箇所の全国総点検」が実施され、その結果抽出された要対策箇所を緊急性の高い箇所から逐次計画的に防災対策を実施してきたところであり、また、道路防災情報の提供についても充実を図ってきた。」と記されてあります。  しかし、残念ながら皆さん方の御努力にもかかわらず、今回北海道古平町の豊浜トンネルにおいて大規模崩落事故発生をしました。昨日、予算委員会大臣が、人災とも言える災害という遺憾の発言をなさったという報道を見まして私は大変評価をいたしました。それは同地区において自然災害が実際に起こっているんです。大きな岩盤の崩落事故も起こっていますけれども、下に道路トンネルがなければそれは単なる崩落であって事故にはつながらなかったんです。たまたまこの豊浜の場合は、崩落をした場所の下がトンネルであったということであって今回事故が起きたわけです。  だから、そういう観点からすれば、これは極めて天災でもあり人災でもあった。開発という道路トンネルを人間がつくったことによってもたらされた事故であるという観点からすれば、大臣のその発言は率直に私は評価ができる。そういう観点でなければ、これから先同じ事故を繰り返さないための反省点というのは決して生まれてこない、そう思うわけです。  そういう観点で、大臣はけさ御答弁を撤回されるような、撤回といいますか、自分の発言の趣旨について質問者と同意見のような御答弁をされたわけですけれども、私はむしろそうではなく、人災とも言える災害であったという観点からこそ再発防止の意欲もわいてくるというふうに思うわけですが、いかがでございましょうか、これは通告をしてありませんが。
  104. 中尾栄一

    国務大臣中尾栄一君) これはお言葉でございますから率直に申し上げますけれども、私も岡部大臣ともどもお見舞いをずっとさせていただいたときにもそういう声があったことは、いろいろとそういう点で御指摘があり、またそういうお言葉で言われて答えを求めた方々も事実ございます。  しかしその際に、私も黙っては聞いておりましたが、これは今から調査をさせていただき、そしてなおかつそのための調査委員会もつくっておるわけでございますから、一概にこれに対してこう思うああ思うと言うことは、私どもの今の現在置かれている立場では全く言い得ることではないということにおける、これは昨日誤解を与えたような言葉もあったかもしれませんが、そういう点でございまして、一部の方にそういう声があったということを強調して申し上げたかったと、こういうわけでございます。
  105. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 お立場上、それ以上の発言はできないと思いますけれども、私はその大臣観点というのは非常に大事だと思います。特に行政の長として御活躍なさる方の考え方としてまことに評価ができるものだと、そう思う国民もたくさんいるということをどうぞわかっていただき、自信を持ってこれから建設行政に取り組んでいただきたいと思っております。  それでは、事故の原因究明でございますけれども、本日来ずっと同僚委員方々からもたくさんの質疑がなされておりますので、できるだけ重複を避けてお聞きをしていきたいと思うわけでございます。  これは二十一日の毎日新聞の朝刊でございますけれども、「緊急検査は、南西沖地震後の九三年十月、開発庁が、定期点検とは別に百九十一カ所で行った。」、この検査によって、「豊浜トンネルの評価では、今回事故のあった古平側の出入り口の地質について「亀裂がやや発達している」「浮石・転石が散在している」と分析、岩盤の亀裂については「垂直系開口亀裂が小規模認められる」と指摘していた。」と書かれてありますけれども、この報道の事実関係について御答弁願います。
  106. 橋本鋼太郎

    政府委員橋本鋼太郎君) 南西沖地震の後に現場では調査を実施いたしまして、マニュアルに従いましてそれぞれ地形、地質を評価しております。その後、報告書に基づきますとそのような表現がございます。
  107. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 率直に認めていただきましてありがとうございました。  その点検マニュアルは、私も要旨だけですけれども見させていただき、大変詳細に点検項目が書かれてあって、その一つ一つがきちんとチェックをされ、しかもこのときには大変残念ながら総合点検の中でCランクといいますか、一ランク、二ランク、三ランクと分けて、その下の四ランク以降に豊浜トンネルが振り分けられてしまったということがありまして、なかなか見抜けなかったということがあるんだろうと思います。  このマニュアルについても、大変細かくチェックをされるようになっておりますが、その後もさらに改善をして、今回の緊急の点検要綱につきましてはさらに膨大な、詳細な点検項目を挙げて、しかも写真やありとあらゆるものを添付するような形で改善をされたことに対しましては大変評価をしておるところでございますが、この総合評価をする専門家の方たち、先ほど来の開発庁長官の御答弁の中にも、専門家等の御意見もいただきながら、あるいは協議会を開きながら総合的な判定をこれからはしていくというふうにおっしゃったわけですけれども、この前回の調査のときには判定決定はどこでなされたのでしょうか。
  108. 橋本鋼太郎

    政府委員橋本鋼太郎君) 一般的には、地質の専門家の指導を受け、北海道開発局の職員がなしたものでございます。
  109. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 私がレクを受けたときにはそういうお答えではなかったのですけれども、もう一度お答え願います。
  110. 橋本鋼太郎

    政府委員橋本鋼太郎君) 北海道開発局の職員がなしたというその前段といたしまして、地質コンサルタントに委託を出して、そこで資料の取りまとめを行い、それを開発局の職員が見ている、こういう意味でございます。
  111. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 最終的な判断をし、そして点検の必要なしの決定をしたのは建設省というふうに承っていますが、いかがですか。
  112. 橋本鋼太郎

    政府委員橋本鋼太郎君) この報告書自体は、地質の関係のコンサルタントに北海道開発局から委託をして、北海道開発局に提出されたものであります。その詳細につきましては今後検討すべき内容と、このように考えております。
  113. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 その点は後でまた詰めさせていただきますが、安全点検のあり方につきましても、道路管理の見直し等についてどのように考えておられますか。
  114. 橋本鋼太郎

    政府委員橋本鋼太郎君) 安全点検につきましては、先ほどからも御指摘がございますが、一般的に五年ごとに防災点検を実施しております。  しかし、南西沖地震のようないろいろな地震とかいろいろな自然災害がありますから、それに伴って必要なものについてはその都度必要な緊急点検を実施してきている、これが実情でございます。
  115. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 次は、人命救助といいますか、救助活動の手順についてお伺いをいたしますが、情報の開示に大変な不足があったのではないかという懸念を私は持っています。  それはなぜならば、十一日の未明に北海道開発土木研究所構造部長の能登さんとおっしゃる方が記者会見をいたしまして、これは今回の事故調査団の団長さんに任命をされている方でございますけれども、その方が事故のあった翌日の十一日の未明、人命の確認ができない限り岩石を爆破する作業はしない、こういうふうに記者会見をなさっているんです。  私は、至極当然なことであり、これは団長として当然の発言であったというふうに思うわけです。そして、その後ダイナマイトの使用ということが決定をされていくわけですけれども、この間に被災者家族にどれほどの情報開示があったのかという点を私は確認したいと思います。
  116. 松川隆志

    政府委員(松川隆志君) 今回の救助活動の初動の状況でございますが、まず当初、余市側そして古平側からいわゆる手掘りによる掘削によりまして人命救助を図ろうということで、一部機械も使いましたがやったところでございますが、非常に危険な状態であるということ。また、ファイバースコープを使いましてバスの内部について確認しようという作業も消防等でやったというふうに伺っておりますが、なかなか確認できるような状態でないと。それから、手掘りによる掘削ではもう限界がある、二次災害のおそれも出てきていると。こういうようないろんな条件をかんがみまして、結局そうしたやり方では非常に困難であるという結論になったというふうに承知しております。  それで、岩盤の除去自体につきましてはこれは発破によるしかないわけでございますが、そうした場合に、御指摘のとおり、人命に対する影響というのは非常に重要なウエートになるということで、御家族の了解をとる必要があるだろうということで御家族と話し合いをしたわけでございます。  その時点において、やはり坑内の様子が、トンネル内の様子がわからないとなかなか御家族も納得できないということもございまして、ビデオによりまして坑内の、特に掘削の結果出てきたバスの前面部についてビデオをお見せして御説明したというふうに伺っております。  そして、その結果、やはり家族としてはもう人命救助のために一刻も早くやってほしいと。ただし、発破によりましてなるべくそれがバス等に影響が出ないように必要な工事等の措置をぜひとってほしいというような御希望もありまして、これはなかなか工事的には難しい問題がございますが、そのための所要の工事を行った、その後に発破を実施したと、そういうふうに聞いております。
  117. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 そこのところの手順がちょっと不足をしていたと私は申し上げているんです。もう少し、つかんだ情報について的確に家族皆さんにつかんでいただいて、その後の処置を的確にしたらもっと早くにこのことは片づいておったのではないかというふうに思うわけで、その点を今後の反省点として十分に考えていただきたいというふうに思っております。  それから、次に補償の問題でございますが、政府事故後直ちに災害弔慰金の支給等に関する法律に基づく災害弔慰金の支給を決定したというふうに報道がなされておるわけですけれども、この事実関係と、この弔慰金の支給に当たって法律の改正を行う必要があるかどうかについて厚生省にお聞きをいたします。
  118. 西沢英雄

    説明員(西沢英雄君) 御説明いたします。  災害弔慰金につきましては、台風、地震などの自然災害によりお亡くなりになった方々につきましては、原因が天災でございまして、遺族方々はその肉親の死につきまして苦情の持っていきどころがない、それからどこからも救いも望めない、こういうことに着目いたしまして、昭和四十八年に議員立法によって自然災害により死亡した方の御遺族に対して弔慰金を支給する制度が設けられたところでございまして、この制度の趣旨に沿って支給する方向でただいま北海道関係市町と相談をしているところでございまして、法の改正は考えておりません。
  119. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 自然災害とは、「この法律において「災害」とは、」というところの項目があり、またそれの後の大臣の判断でと、「準ずる程度の災害」というような条項の中でもいろいろと記載をされているわけですけれども、このたびの災害についてはこの法律の適用内というふうに認めて法律の改正は行わないということと受けとめてよろしいわけですね。法律の改正を行わなくてもこの災害弔慰金を支払うことが可能であるということですね。
  120. 西沢英雄

    説明員(西沢英雄君) おっしゃるとおりでございます。
  121. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 そのほか、労働省では労働災害と認定をして直ちに補償ができるような体制をとったとも聞きますし、運輸省においては、路線バスのいわゆる運送約款では今回の事故についてはバス会社に対しての賠償責任を問うことができないということで、自動車保険の自賠責保険の適用も受けられないというふうに運輸省の法律ではなっているわけですけれども、大蔵省所管の自動車保険の任意保険では一人当たり一千五百万円、それに車両保険、これはバスの車両保険になりますが、五百九十万円の支給というようなことは大体できるというふうにお聞きをしているわけですけれども、建設省では、建設省管轄の中で遺族に対する補償というので今の段階でできるものというのはありますか。
  122. 橋本鋼太郎

    政府委員橋本鋼太郎君) 建設省の場合は、道路という公共施設を管理している立場でございますので、一般的に申し上げますと損害賠償、こういう世界になってまいります。その場合には原因究明を待つ、こういうことがまず前提になります。しかし、早期に誠意を持って対応すべきだという御意見を承っておりますので、できるだけ早く原因究明を行い、適切に対応してまいりたいと考えております。
  123. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 このたびの救助活動について、各関係する機関や自治体については大変な財政支出も強いられたことと思いますけれども、これらに対する財政支援について自治省にお伺いをいたします。
  124. 原正之

    説明員(原正之君) 今回の北海道豊浜トンネル崩落事故関係しました地方公共団体におきましては、災害弔慰金やそのほかの財政負担が生ずることになります。これらの財政負担につきましては、北海道庁を通じまして実情をよく調査した上で、それらの地方団体の財政運営に支障を生ずることのないよう、特別交付税により適切に対処してまいりたいというふうに考えております。
  125. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 ぜひよろしくお願いを申し上げます。  さて、再発防止なんですけれども、今までも落石事故というのは数多く起こっているわけです。七三年の四月二十二日では京都府の宇治田原町の府道で落石があり五人死傷。それから、八一年の九月四日は北海道上磯町の国道二百二十八号線で台風災害による土砂ですか、これで六人死亡。八九年七月には福井県越前町の国道三百五号線での落石事故。それから、八九年八月二十五日は栃木県藤原町の国道百二十一号線での事故。そして、九〇年十月八日では徳島県鳴門市の国道十一号線のバスの事故というふうに、もうバスの事故だけでもこれだけたくさんあるわけで、事故が起こるたびに再発防止ということが必ず声高に叫ばれて行われてきたわけですけれども、今回またこうして不幸にして教訓が生かされないような状況事故が起こってしまったわけですが、自分自身の身は自分自身で守るという観点から、国民に広くその危険箇所について情報を開示すべきではないかというふうに私は御提案を申し上げます。  私たちが自分で住んでいる地域のどことどことどこが危ないのかということを住民がしっかり把握をしていれば、そこを通るときに多少なりとも気をつけて、あるいは注意をしながらどういう状況になっているかということを関心を持って見るということはあると思うんです。そういう住民の人たちからもし異変があれば情報等々も寄せられてくるのではないかというふうに思うわけですけれども、そういう点が非常におくれていると思うんです。  今回の事故が起きてからですけれども、これは週刊読売ですか、こういう形で全国危険箇所トンネルの三十七カ所ということで指摘がされて、その中に、私は新潟県なんですけれども四カ所も危険箇所がこうしてある。しかも、私は自分の住んでいる住居のすぐそばに二カ所あるんです。こういうことは、この記事によってしか知らされていないということを非常に残念に思うし、気をつけようがないんですね、住民の人たちがわかっておらなければ。そういうことで、今度この点検マニュアルによって細かく詳細に上がってくるわけですから、どのトンネルについてはどこの箇所が危ないんだということを地域住民にしっかりと知らせていっていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  126. 橋本鋼太郎

    政府委員橋本鋼太郎君) 道路の防災の観点から、どの箇所が危険であるかという観点につきましては、現在では、例えば豪雨等の異常気象時におきましては危険がある程度予知できますので、異常気象時の通行規制区間ということを明示いたしまして、ある雨量になればそこも通行どめするということを実施しているわけであります。  今御指摘の点につきましては、そういうふうな区間としてとらえているところではなくて、それ以外に個々の箇所として危険箇所という点検をして、現在それに対して防災事業を実施しているところについて公開してはどうかという御指摘と承りました。そういう意味では、この防災危険箇所につきましては、主として道路管理者が対象施設の防災対策を実施するため、あるいはその緊急性を判断するための内部資料として従来から活用してきたものであり、公開を前提として取りまとめたものではございません。  しかしながら、防災点検結果の情報開示の必要性を指摘する意見もあり、今後、情報開示する場合には、道路防災事業の必要性、手法等がよく理解していただけるような内容とすべく、あるいは防災点検結果の開示の方法、範囲等について、地域的に与える影響等も勘案しながら検討してまいりたいと考えております。
  127. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 ぜひ地域の地方自治体とも個々に相談をしながら、その開示方法は地方の自治体に任せていいと思います。そこに住んでいらっしゃる皆さんに何らかの形で広報が行き渡るような形をぜひとっていただきたいというふうに思っております。  それからもう一点は、再発防止の決意をしていただくわけですけれども、そのためには予算の組み替えといいますか、予算の枠組みを従来型の新しい道路や高速道路建設する予算がいつも膨大であって復旧のための予算が少ないということでは、もうこれは今追いつかない状況に日本全国がなっている。それは平成二年度の検査でも七万四千に余る危険箇所指摘をされた点から見てもわかるわけでございますので、これは今後、建設省事業一つの中に道路の改修復旧、危険箇所の防災対策、このことに大きな予算を組んでいく必要があると思いますけれども、そこらも含めて開発庁長官建設大臣からお答えがいただければと思います。
  128. 橋本鋼太郎

    政府委員橋本鋼太郎君) 道路の安全確保は極めて重要でありまして、防災対策は重要な課題ということで従来から十分な対応をしているつもりでございます。  平成二年から平成三年にかけまして防災点検をした結果では、今御指摘のとおり七万四千カ所の危険箇所が抽出されたわけであります。これらにつきましては、各年度積極的に道路防災対策を実施してきておりまして、平成七年度におきましても、当初予算で二千六百十二億円、落石防止工、擁壁工、のり面保護工等を実施してきております。また、平成八年度の予算におきましても、新しく全国的な道路防災点検をする予定にしておりますが、それとともに、約一万カ所について防災対策を実施する費用ということで、事業費二千六百八十七億円を計上しております。  しかし、今回のトンネル崩落事故等にかんがみまして、さらにこの点検を重点的にやることと、道路防災対策全力を挙げていく必要があると考えておりますので、平成八年度予算の範囲内におきまして、道路防災対策に係る費用をさらに増額する、あるいは今回の緊急点検の結果を踏まえて新たな対策の実施が必要な場合、そういうものについても対応していく、さらには岩盤の亀裂の状況等を観測できる観測装置等の研究開発、そういうものも充実していく必要があると思いますので、その辺について十分努力をしてまいりたいと考えております。
  129. 中尾栄一

    国務大臣中尾栄一君) お答えいたします。  今回の事故を極めて重く受けとめまして、事故後直ちに北海道開発局内に学識経験者から成る調査委員会を設置し、事故の原因について徹底究明を図ることとしておる次第でございます。また、道路を利用する皆様方に安心していただけますように、二月十三日付で全国の道路管理者に対しましてトンネル坑口部及び落石覆工が設置されている箇所ののり面、斜面について緊急点検を指示したところでございます。  一方、今回のような大規模な岩盤の崩落は、従来の技術的知見では予測が極めて困難な現象でありますために、岩盤工学等の幅広い学術分野の英知を結集した委員会を発足させ検討を進めてまいりたいと存じます。さらに、道路パトロールの充実強化や、現在実施中の一般国道二百二十九号を初め、このような厳しい自然条件下にある路線にかかわる防災事業の一層の重点的な投資を図るなどいたしまして、安全性向上に取り組む考え方でございます。  いずれにいたしましても、今回の事故教訓を踏まえて、安全な道路交通の確保を図るために、委員指摘のように最大限の努力を傾注してまいることをお約束いたします。
  130. 岡部三郎

    国務大臣岡部三郎君) 北海道におきましては、平成五年から六年にかけまして三回の大地震が起きました。これを契機に防災予算の確保に最重点を置いて努力をしてきたところでございますが、にもかかわらず今回のような事故が生じてしまいましてまことに残念でございます。今後も、こうした必要な予算の確保を図り、防災体制の一層の強化を図ってまいりたいと考えております。
  131. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 事故の件はこのぐらいにいたしまして、次の丹生ダムの建設についてお伺いをしたいと思います。  琵琶湖総合開発の一環として建設が予定されております滋賀県の北部にあります丹生ダムについて、市民の皆さんから、このダムの建設によってダム誘発地震が起こり、そのダム誘発地震がすぐ近くにあります柳ヶ瀬断層や奥川並断層を刺激し直下型の活断層地震が起こるのではないか。そしてこの活断層地震が起きると、その先に敦賀断層もつながっているわけで、その先にある敦賀湾あるいは若狭湾の原発の立地のところに重大な影響を与えるのではないかという懸念が、もう膨大な資料とともに一年、二年くらい前から私のもとに寄せられております。  私は当初、そこの丹生でダム地震、微動地震が起こったにしても、まさか原発のところまではという考え方を持っていたわけでございます。当初はそんなことがあるだろうかということで疑っていたわけでございますけれども、今大臣のもとにも届けてありますが、送られてきました調査報告書やそれから数々の活断層に対する文献、あるいは古い地震の文献、あるいは今直接に石油やガスの開発に携わっていらっしゃる方の、水あるいは流動体が地震を引き起こすんだということの検証をされる論文等々たくさん読ませていただきまして、もしかしたらこれはあり得ることなのではないかというふうに思いました。  それで、きょうあえて取り上げさせていただいているわけでございますけれども、大臣、率直にこの市民の皆さんが行った「ダム、断層、原発調査報告書」を読まれた御感想をお聞かせいただけますか。
  132. 松田芳夫

    政府委員松田芳夫君) 私からちょっと御説明させていただきます。  ダム建設後、ダム湖の貯水によりまして地面の中に水が浸透し地震が誘発されるのではないかというような懸念が一部にございます。このことにつきましては、これまでに幾つかの研究がございますが、物理的な因果関係が明らかにされているものではないものと認識しております。また、これまでに報告された事例では貯水量が約二十億立方メートルを超える非常に巨大な海外のダムでございまして、日本国内ではそのような大きなダムは今のところございませんし、またダムの貯水と地震発生の因果関係が明確に確認されているものは今までのところ聞いておりません。  なお、丹生ダムにつきましては、貯水量が約一億五千万立方メートル程度であり、大規模地震が貯水によって引き起こされる可能性はないものと判断しているところでありますが、今後ともこの問題については私どもも十分に関心を持って研究してまいりたいと考えております。
  133. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 ちょっとそこの認識は違うんじゃないかと思います。  建設省の河川局から届けていただいた資料を見させていただいても、ダムの湛水によって微動地震は起こっているということはもう数々の文献でも紹介されておりますし、皆さんのお願いをしている技術者の立場からという方の文献の中にも実例としてたくさんの事例があるわけで、ダム自身が湛水によって微動地震を起こすことは確実でございます。そして、その微動地震が二・三キロ離れている奥川並断層や、四キロ離れている柳ヶ瀬断層にまで影響を与えるかどうかということがわからないということだけなんであって、ダムによって地震というのは確実に起こることは確かですので、今の御答弁者の認識というのはちょっと違っているというふうに思います。  そしてもう一点は、これはこの報告書が出された後に事実関係がわかってきたことでございますけれども、敦賀の二号発電所の地盤が大変緩い地盤であるということが御報告をされております。岩盤の分類表ではCMになっているということ、しかも花崗岩、これは先ほど朝、自民党の同僚委員の方からの指摘もあったわけですけれども、六甲山の花南岩の山が今回の地震によって風化をされているところはこういうふうにめためたに崩れるわけです。(資料を示す)風化をされていないかない花崗岩については、こういう崩落の仕方をします。そういうことで、花歯岩というのは地質学的に非常に振動には弱い岩盤であるということがわかってまいりました。それで、二号基はそういう花崗岩の岩盤の上にあるという事実が文献によってわかってまいりました。この事実を見て、私は質問をしなきゃいけないなと思ったんです。  ですから、丹生ダムによって引き起こされるかどうかということは、かつて長野県の西部地震が牧尾ダムの湛水によって起こったということを随分と指摘された地震学者がたくさんおられたわけですけれども、その後、その湛水とダム誘発地震についての調査研究はどこの機関においてもやられてこなかったんです、事実。これは、私は環境委員会質問でとってあるわけですけれども、その研究をされていないことについて市民の皆さん地震学者、地質学者なども交えて現地に入り幾日もかけて調査研究をした結果、こういう報告書が出てきて、危ないからはっきり安心とわかるまで一時工事を中止して、そして安全確認をした上で行ったらどうですかという警告を発しているわけです。そのことについて私は声を大にしてお訴えをしたい。  今回の北海道事故もまさに予測しなかったと皆さんは言っておりますけれども、恐らく地域の人たちは大丈夫だろうかというような声を上げていたと思います。それが国会まで届いてこなかったわけでございますけれども、幸い今回のこのことは国会にまで届いてきています。私はぜひ皆さんの適切な御判断でこの調査が続けて行われることを心からお願いをしたい。  あわせて、きょう来ていただいておりますけれどもちょっと時間がなくて答弁していただけませんが、気象庁はここの地域、敦賀断層の地域が地震空白地だということの中で、平成七年度の補正予算で地震予知、探知の予算をとって井戸も二本掘ることが決定をしています。そして、さらにつけ加えれば、丹生ダム建設予定地において建設省でも三本ぐらいの井戸は掘って地震に対する観測をしたいということも言っているわけでございますので、この際、そういう結果が出るまでダム建設の工事は一時中止をして徹底的な調査をしてから行っていただきたい、そのことを強くお願いを申し上げます。大臣いかがでしょうか。
  134. 中尾栄一

    国務大臣中尾栄一君) 丹生ダム建設に当たりましては、安全性確保委員の御指摘のとおりに最も重要な課題であるということを考えておりまして、従来から地震を含めあらゆる角度から安全性確保するための調査検討を重ねてきたわけでございまして、丹生ダムも含めて今後ともその方針にいささかも変わりはないという考え方に立っておるわけでございます。  また、ダム事業につきましてはさまざまな御意見や御質問に対して誠意を持って説明してまいったところでございますが、今後とも、ダム事業について疑問の声がありますればきちんとそれに説明し理解を求めるとともに、さらに安全性を確認しながら万全の体制で、先ほどの委員の御指摘いただきましたような心を心とし、それを体しながらダム工事の建設を進めていく所存であることを申し上げたいと思います。
  135. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 ダムができて湛水をして、そして起こってしまってからでは遅いんですよ、大臣。だからこそ、そこの安全の確認ができるまで、その予算があるならば違う方に向けることができるんじゃありませんか、そのダムの建設。今の時期で、少しの間ストップをさせて道路の防災対策に使うこともできるじゃありませんか。平成八年度では五十億も予算がついているということですから、少し一年間ちょっとストップして、研究結果が出るまでその予算を使わないで済むならば違う方に使うこともできるというふうに思いますので、その点は強く重ねて要望しておきます。  最後に、大変時間が少なくなって、はしょる質問になって申しわけありませんですが、来年の四月から実施をされようとしております四週八休の時短の問題について建設省の御所見といいますか、今後の対応をお願いしたいというふうに思っております。  建設業界は、大手のゼネコンは別といたしましても、下請、孫請の建設業界は大変時短ということからはちょっと遠いところに置かれている現実があることは承知していただいていると思います。  そういう中で、この法律ができることを踏まえて、建設省としても新たないろいろなことをやられておるということは私も十分承知をしておりますが、この際、建設会社にとって一番重要な書類に時短の意欲のありなしを記入させることが何よりも必要だろうと思います。その入札の関係書類に時短に対する取り組みの意欲があるかないかのことを明文化させる項目をぜひ入れていただきたいということで、きょう質問に入らせていただいています。いかがでしょうか。
  136. 井上靖武

    説明員井上靖武君) 建設省では、公募型指名競争入札などによります工事につきましては、指名業者の選定に当たって、当該工事の施工に係る技術的適正等を把握するために建設業者から技術資料の提出を求めております。  そこで、この技術資料として一般に提出を求めるその内容でございますが、これは施工実績、配置予定の技術者などでございますが、これに加えて、施工場所が限定され、しかも計画的施工が可能な建築工事を中心に週休二日制への取り組みの意欲の有無についての記載を求めております。一方、土木工事におきましては、地形、地質、あるいは気象条件の影響を受けやすいといったことから画一的な週休二日制への対応が困難な場合が民間企業の方に多いということもありまして、個別具体の工事の状況を踏まえまして、今後、週休二日制への取り組みの記載について積極的に検討し、建設従事者の労働環境の改善を支援していきたいというふうには考えております。
  137. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 従来から出されております同じ技術資料の中にもその時短の意欲一書かれている部分とない部分というのがあることは非常におかしいというふうに思って統一をすべきだということは、おっしゃるとおりですので、ぜひそこのところは改善をしていただきたい。  もう一点は、今後の課題として、この入札の参加資格審査申請書というのがありますけれども、これに添付が義務づけられております経営事項審査申請書ということの中に労働福祉状況をどうしても書かせる欄がございます。この項目はどういう項目があるかといいますと、雇用保険の加入の有無であるとか健康保険及び厚生年金保険加入の有無とか賃金不払いの件数であるとかあるいは建設業退職金共済組合加入の有無であるとか一連の労働福祉に関する状況があるわけですけれども、この中に四週八休導入の有無の項目をぜひふやしていただきたい、このことをつけ加える、ふやすことが審査に何らの支障を私は与えるものではないというふうに思うわけで、このこともぜひ御検討いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  138. 小鷲茂

    政府委員(小鷲茂君) 経営事項審査の項目として、現在、おっしゃられるような項目について評価の対象になっておるわけでございますが、そこに労働時間についての取り組み状況を付加するかどうかということでございますが、経営事項審査といいますのは公共事業を元請としてとる方を対象にする制度でございまして、率直に申し上げますと、実際に働いている方々は専門工事業に属する方が非常に多いわけでございますので、そういう方々の労働時間をどうするかということが一番大事なことではないかというふうに思います。  さはさりながら、元請の中にも直用という形で雇用されている方々がいらっしゃますので、その問題につきましてどうするかという問題がございますけれども、今すぐこの問題について結論を出すというわけにいきませんが、ある程度の時期が来ますると、こういう評価項目について再検討する時期が定期的に参りますので、そういう際に御指摘の点を踏まえていろいろ検討してみたいと思います。
  139. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 ありがとうございました。終わります。
  140. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 日本共産党の緒方靖夫です。  私は、今回の豊浜トンネルでの事故で亡くなられた方々への御冥福と御家族の皆様方への心からのお見舞いを最初に表明したいと思います。  私は、日本共産党の今回の事故調査団の一員として、十四、十五、二日間にわたって現地に行ってまいりました。そこで御家族に対するお見舞い、また現地調査、さらには対策本部への申し入れ等々を行ってまいりました。  初めに、今回の事故後の対応についてお聞きしたいんですが、現地に行ってみて私は非常に驚いたんですけれども、何しろ家族方々開発局に対して物すごい怒りを持っているんですね。何しろ情報がもうあっちこっち行って一貫しない。ああ言ったと思うとこう言う。もうそういうことが乱れ飛んでいるんですよ。それから、まず情報が全く来ない。そして家族に対する配慮が本当に欠けている。そういう怒りが本当に噴き出して、私自身本当に驚いたんですけれども、怒りが爆発する、そういう状況でした。建設大臣そして北海道開発庁長官現地に行かれてそのことはよく御存じだと思いますので、私は一つ一つ言いません。  しかし、私、そういった対応の一番ひどいあらわれ、象徴が今回の合同対策本部の解散だと思うんですよ。開発庁から資料をもらいましたら、解散の日時は十七日の二十一時三十分、これは最後の遺体収容の三十分後なんですね。どうしてそんな早く解散したのか。  それからもう一つ、私、きょう現地から北海道新聞をファックスで送ってもらったんです。それを読むと、これはやはり建設省からもらった現地合同本部の構成の中にちゃんと自治体が入っている、古平町の渡辺町長がちゃんと入っているんだけれども、その渡辺町長が自分が知らない間に解散された、解散の連絡がなかったと言っているんですね。どうしてこんな事態が起こるのか、それについて最初にお尋ねします。
  141. 岡部三郎

    国務大臣岡部三郎君) 現地合同対策本部の解散についてでございますが、この現地合同対策本部と申しますのはもう先生御案内のように、早期の人命救助を目的として、時々刻々と変化する現地状況を見きわめながら、関係機関の情報連絡及び救助活動方針にかかわる確認、合意を図るために設けられたものでございまして、いわば人命救助のために各機関が共同して基本方針を定め、分担をはっきりと決め、それによって責任を持って実行する、そのための機関でございますので、トンネル内に残されていた方々全員遺体を収容されたことをもってこの救助活動は終了したものと判断し解散をいたしたところでございまして、その後の活動をそれによってすべてやめたということじゃ全くございません。  その後は、おのおのの機関が自分らの職掌を最後までおのおのの責任でやったということでございまして、現に例えば陸上自衛隊も十七日の二十二時まで常駐をしておりますし、後志支庁も十八日の二時三十分まで常駐し、それぞれの仕事をやっておるわけでございます。
  142. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 やはり対策本部の仕事として、例えば旧道をどうやって安全に使うとかそういうこともあったと思うんですね。ですから、本当にひどい話で、だからもう現地の新聞は「身元確認前に合同本部解散」ということで大見出しで報道してあるわけです。家族をさんざん怒らせて、さらに怒らせた、これがあなた方がやったことなんです。  それで、さらにもう一つ、先ほど言った合同本部を構成しているところにも連絡なしに解散しちゃう、これ今答えられなかったけれども、こういうことが起こっているわけですね。こういうこと自身ひどい対応だと思うんです。ですから、そういった点で、遺族方々を逆なでするようなそういう行為だ、家族をさんざん怒らせて、さらにその怒りの仕上げをしたと言われているんです、現地では。私は、こういう対応を二度と繰り返しちゃいけないと思います。  そういった点で、まずいところ、足りないところ多々あったということをいろいろさっき言われているけれども、その点と、それからこういう批判にどうこたえるのか、その点について中尾建設大臣にお伺いしたいと思います。
  143. 中尾栄一

    国務大臣中尾栄一君) 私も、率直に今回の事件を見まして感ずる点は幾つもございます。しかし、家族の各位の方々も、一例を申し上げますならば、私が一番最初に行きましたのは私の意思で行ったわけでございますが、これも国会開会中でございますから、御案内のとおり国会が終わったのが六時半、それですぐに飛行機へ飛び乗って向こうの現地に着いたのが十時半でございましたが、それで現地に着いて、私はお見舞いをしたいという気持ちが一番多くあったわけでございます。  ところが、お見舞いをする時間とてなく、結局は督励を自衛隊、消防庁、地元の方々三カ所にわたってやるというようなこともございまして、その翌日は十時までに国会の予算委員会に間に合わなきゃならないということで、だから私は記者会見でも申し上げたのは、記者会見といいましても外でぶら下がりでやるわけですけれども、私はまた帰ってきますよと言って帰ってきたわけですから、翌一日置いてまた北海道へ行ったわけでございます。  そのように、こういう最中というものは、待つ怒りというものは強いものだということは痛切に私自身も肌で感じておりましたから、じっと聞いておったわけでございますし、また同時に、こちらの言い分は多少あっても、それはもう向こうは被災者の御家族でございますから、当然のことながら言って当たり前の感じもいたします。  そこで、これはもう本当にこういうものは適宜適切、しかも、即時即答、即応できるような形というものが今から一番万全な危機管理に対する対応でなければならぬなということを痛切に感じ入りました。
  144. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 その点、しっかりやっていただきたいと思うんですけれども、地元の現時点での一番の要望というのは、新道のトンネルがつぶれましたから旧道で、もう御案内だと思いますけれども、旧豊浜トンネルとチャラセナイトンネル、この二つを安全にということなんですね。  ところが、私も行ってみて本当に驚いたんだけれども、上を見ると、坑口の上から岩が伸び出しているんですね。二十分ぐらい待って一方交通になるわけですけれども、その間岩が落ちてくるんじゃないか、そういうことをみんな心配しているんですよ、あそこで生活しながら。ですから、安全対策、これを完璧にしていただきたい、このことをまずお約束していただきたいと思います。
  145. 橋本鋼太郎

    政府委員橋本鋼太郎君) 豊浜トンネル復旧までには相当の時間を要することとなると思いますので、かわりとしましては、現在の国道の旧道でありますいわゆる旧国道を使わざるを得ないということでありますが、これは新しいトンネルができている間は一応町道でありましたが通行どめになっておりました。そういうことで、現在は応急的に通しておりますが、御指摘のように雪崩とか落石の危険があります。現在、開発局のもとに二十四時間体制で監視員を配置したり、あるいは安全対策をやろう、あるいは待避所をつくろうということで、通しながらではありますが、さらなる安全確保のためのいろいろな措置を講じているところでございます。
  146. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 ぜひしっかりやっていただきたいと思うんです。  それで、地元民がうんと心配している理由というのは、やっぱり理由があるんですね。それは、九三年七月のあの地震、それがあって、そしてたくさん岩石、岩盤の崩落があったことを知っているからなんです。  特に私は向こうに行って改めて思ったのは、ちょうど東側に三キロのところの地点にワッカケ岬というのがあります。そこで今から一年半前に大きな崩落があったんです。事故にはなりませんでした。自然で、海に落っこったわけですね。現地の人が撮った写真を私きょうこうやって持ってきたんですけれども、少し大きくして、こういう写真なんですね。(資料を示す)それで、ここががばっと落っこって地形が変わっちゃったんです。だから、いつも見ている景色と違うということで皆さんびっくりして、ああこれは大変だ、こんなことでトンネルの上で落っこったらえらいことになるということでみんな心配したんです。  私は、札幌で十四日に開発局の幹部、これは官房次長二人と課長二人の前でこういうことがあると話をしたら、四人とも知らないんですね。そういうことに関心を持っていない。私は本当に驚いたんだけれども、この崩落の後に具体的に何か調査されたのかどうか、それをお伺いします。
  147. 橋本鋼太郎

    政府委員橋本鋼太郎君) 御指摘崩落につきましては、北海道開発局に照会したところ、ワッカケ岬の先端において約二万立方メートルの規模で生じたという報告がございましたが、周辺に集落、道路等が存在せず、被害もないことから、また報道もされないということから、詳細には把握されていなかったのが実態のようであります。  しかし、今も御指摘ありましたとおり、地域の情報あるいは海岸線全体の落石状況等幅広くデータを収集する必要があります。このデータを集積するとともに、これを活用して、今後とも道路管理の万全を尽くしてまいりたいと考えております。
  148. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 結局調べていないわけですね。ですから、そういう種のことが、たまたま人がいなかったけれども、人がいるところで起きたらどういうことになるかということをそれに関連してやっぱり調べるべきなんです。そういったことがやられていない、非常に不十分だと。はっきり言えば、こういうことについての対策がなおざりになっているというそのことを示していると思うんです。  そういう無責任の最たるものとして本当に驚いたのは、実は開発局の人たちと会ったときに、今度の問題で豊浜トンネルについての調査をやったときに、安全だというふうに私たちに言ったんですね。新聞には安全は四段階あって、一番安全と言われているDというふうに報道されてきた。それについて開発局は否定しなかったわけだけれども、これが二十日の夜になったら急にBだと、危険の一つ手前という、そういうランクになったわけです。これは北海道新聞ですけれども、「「異常なし」根拠偽り」と、そういうふうに大きな見出しで報道しているわけですね。そして、この問題についても特に対策を講じていなかったということが報道されているわけです。  ですから、これは理由というのは内部報告の行き違いだということを言われているわけですけれども、私自身この問題について質問しようとは思いません。時間がありません。そういうひどい話があるということをしっかり心にとめて、やはりこの問題は人の命にかかわる問題ですからしっかりやっていただきたいと思います。  もう一つ、私ひどいなと思った話、それは実は道路局長のお話なんですね。先ほど同僚議員の質問への答弁で、平成五年七月の後の点検について、亀裂の有無については特に異常がないという、そういう趣旨のことを言われたと思うんです。  それから、これは十五日の衆議院の建設委員会のところで、これはビデオで起こしたものですけれども、この地域については変状がないということで危険性の認定はしなかったわけであります、というふうに答えられていますね。この問題なんだけれども、一つは実際にそう言っておきながら落ちた、崩落があったということです。  それからもう一つ、私、これなかなかもらえなかったんだけれども、この後の点検、その報告をいただきました。これを読んで本当に驚いたんです。「地震による斜面変状の判定基準」、そこのところで、先ほど局長は少し不正確に言われたと思うんだけれども、ここに書かれているのは、「亀裂が地震により開口したかどうか不明瞭。」と書かれている、不明瞭と。それから、「今回変状の不明瞭な箇所および変状を免れた箇所でも地形・地質的に不安定な素因を有するものについては今後新たな地震が近傍で発生した場合には変状に至る危険性がある。」、そう書かれているんです、これは地震について。  さらに、全体の評価についてなんだけれども、これが本当に驚くべきことなんですね。点検結果、亀裂については、亀裂はやや発達しているという評価ですよ。それから海食崖頭部、ここのところでは一番危険なランク四。それからまた斜面傾斜についてもランク四、六十度以上。そういうことがずっと並んでいるわけですね。そして、この評価についてはランクでBで、地震に対する安定度がやや低いとなっているんです。  先ほどこれについては特に対策をとっておられないということを言われたんだけれども、やはりこれだけ危険があって何もされなかったということは、逆にランクBというのは恐らくたくさんあると思うんですね。これはぜひ資料を出していただきたいんだけれども、今回の対応というのは、危険がいろいろあるとここでも指摘されている、そうした中でやはり非常にまずかったんじゃないかと私は思うわけです。  ですからこういった点で、先ほど余りやられなかったと言われた。時間がないので質問を省きますけれども、その点で中尾建設大臣が当委員会で予想だにできなかった大規模な岩盤が崩落したと言われていましたね。予想だにできなかった。この問題なんだけれども、これだけの報告があってどうして予想だにできなかったのか。大臣はちゃんとこういうことについて報告を受けられていたのかなと思ったりするんです。その点について中尾大臣にお伺いいたします。
  149. 橋本鋼太郎

    政府委員橋本鋼太郎君) 委員指摘の点検についてでありますが、南西沖地震の後、この地震によりまして北海道の日本海側の斜面で落石、崩壊等が発見されました。そういうことから、大規模な斜面変状箇所を抽出しようということで、北海道開発局が独自な点検を平成六年に行ったものであります。  この点検は、非常に広い範囲におきまして実施しております。留萌以南の日本海側、渡島半島沿岸の震度が四以上になったと想定されるところの国道五路線、百五十五キロメートルについて実施したものであります。  まず、この点検におきましては、震災に強い斜面が強い地震動により緩みが進行している可能性が高く、崩壊源が道路上からの視認の難しい急な崖あるいは長大な斜面の頂上でありますので、ヘリコプターの目視によってコンサルタントの経験豊かな地質専門技術者が落石、浮き石、湧水の有無等を見ながら箇所の抽出を行ったものであります。これはさらに詳しい調査をどこを重点にやつていけばいいかという箇所の抽出でございます。その結果、この抽出された斜面について南西沖地震が原因で大規模な斜面変状を生じた箇所を次は見出すという観点から、さらに今度はコンサルタントがヘリコプターで撮影した空中写真、これを判読して評価しているわけでございます。  その評価が、先ほど御指摘のように四ランクに分けた場合に一番低いランクCで、地震による変状は確認されていないが地形、地質的に不安定な箇所ということでございまして、変状は確認されていないという御答弁を申し上げたわけであります。  しかし、今後地震発生するおそれがあるわけであります。今後発生するおそれの地震対応するために、今度はその地震対応として撮影いたしました写真の判読等により地震に対する斜面の安定度を評価したものであります。その結果では、さらに地震発生するとこれは地震に対しての安定度はやや低いという評価を得たわけであります。  そういうことでございまして、現在もこのランクの高いものから平成六年度以降詳細な調査をしております。  豊浜トンネルにつきましても、平成七年にも目視による現地調査を実施しておりましたが、その時点では大規模崩落の兆候が認められなかった、こういうような報告を受けているところでございます。  いずれにいたしましても、いろいろな調査をやっておりましたが、現在の段階では大規模崩落の兆候ということが認められていなかったということでございます。
  150. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 結局、不可抗力だったというようなことをいろいろ並べられていると思うんです。  私はやはりあの辺の地形のことを考えると、これは開発局の土研の道路部長の根岸正充、その方の学術論文で、本を持ってこられなかったからコピーで読んだんだけれども、非常に立派な論文を書かれているんですね。あの地域、積丹半島の地形がいかに危険かということについてもきちっと指摘されているんです。そういうブレーンをちゃんと持っているわけですから、そういう点をきちっととらえて、そして特にこの報告の中で一番重大な亀裂の問題、亀裂は発達していると書いてあるんです、やや発達していると。やっぱりその点をとらえて安全対処しなければならない、そのことを述べておきたいと思うんです。  それにつけても、やっぱり情報公開というのは非常に大事ですね。先ほど同僚委員からも指摘がありました。こういったことが知らされていないんですよ。今回問題になった古平やその近隣の自治体、そういったところにこのトンネルがどういう危険性を持っているのかということについて知らされていない、このことがはっきりしたんです。自治体に知らせませんね、私たち確かめましたけれども。やっぱり、近隣の自治体が知らないでどうして本当にみんなで協力し合う、そういう安全対策ができるのかなと思うんですよ。  私、この国土審議会計画部会の平成七年十二月の文書、これを読んだんですけれども、この中には「地域の被害を最小限に抑えるための初期対応の基本は、まず、個人であり、地域であることを踏まえ、災害、防災に関する情報を可能な限り提供し、個人レベル、地域レベルで自らが対応できるようにする」とちゃんと書いてあるんです。そういったことも今回できていない、このことがはっきりしました。  ですから、一つは情報公開という点で具体的に言いますと自治体、これやっていませんね。あるいは一部やっているかもしれないけれども、今回のあの事故については周りでやっていなかった。このことははっきり確認していますけれども、そういうことをきちっとやってもらう、このことは大事だと思います。ですから、その点で自治体を含めた情報公開についてきちっとやる、その点についてお尋ねいたします。
  151. 橋本鋼太郎

    政府委員橋本鋼太郎君) 危険箇所のデータの公開でありますが、この点検結果は主として道路管理者が対象施設の防災対策を実施するための緊急性の判断をするための内部資料として活用してまいりました。そういう意味では公開を前提としてまとめたものではございません。しかしながら、防災点検結果の情報開示の必要性を指摘する意見もあり、今後、情報を開示する場合には道路防災事業の必要性、手法等がよく理解していただけるような内容とすべく、防災点検結果の開示の方法、範囲等について地域的に与える影響等も勘案しながら検討してまいりたいと思っております。
  152. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 それから、今回の事故の問題に関連して簡潔に述べますけれども、やっぱり建設のときの問題があると思うんです。これは私、北海道の専門家にいろいろ尋ねたんですけれども、あの辺の地形で非常に危険だと。これはこういう非常に大きな本なんですが、「後志の国道」というこういう本で、小樽開発建設部、そこが出された本なんだけれども、その中にはあのトンネルについて安上がりにつくったと書かれているんですね。安上がりで良質なトンネルと書かれているんですが、安いというところが大事なんです。  専門家に聞きますと、海沿いにトンネルを掘るということはやはり風化しちゃうというか非常に危険なんです。内陸に掘るとトンネルが長くなってコストが高くなる。だから安上がりなんです。しかし、あそこでみんなが生活している大事な生活道路ですから、そういう設計についても改めて見直していただく、このことが非常に重要だということを改めて痛感する次第です。  そういうことをずっと考えあわせながら、今後の問題なんですが、今後どういう点検をしていくのか、今回そのマニュアルも出ていて読ませていただきましたけれども、その問題で私は現場の人にいろいろ話を聞いたんですが、現場の人はやっぱり目視が非常に大事だというんですね。クラックは目視じゃなきやわからない。これはマンパワーの問題なんですよ。とすると結局、いかに人員を確保するのか、そのためにいかに人を確保するのかということなんだけれども、人の問題では大変残念なことに、建設省の職員、それから北海道開発局の職員がどんどん減っているんですね。私はある職場で聞いたら、昔二十人いた、それが今五人でやっている、そういう状況なんです。  ですから、そういうふうにして人をどんどん減らしてどうして安全性確保できるのか、安全性を高めることができるのかなということを思うんです。ですから、やっぱり人はふやさなきゃいけない、そしてまた予算をふやさなきゃいけない、そう思うんです。  その点で、今後、安全対策というふうに言われているんだけれども、その点をどうやって進めていくのか。人の問題、職員の増員の問題、それからまた新しい科学を取り入れるということで、例えばセンサーとか、もっと簡単に言えば計測器、クラックのところに計測器を置いて、それを見るだけでクラックがどういうふうになっているかということがわかるわけですから、そういったことを例えば今回の問題になっているところにやられればそれだけでもより科学的な調査ができると思うんです。そういった措置についてどういうふうに取り組まれるのか、その点について北海道開発庁長官にお尋ねしたいと思います。
  153. 橋本鋼太郎

    政府委員橋本鋼太郎君) 最初に、委員指摘の安上がりのトンネルではないかという点でありますが、旧道につきましては約一キロの中にトンネルが三つあります。合計六カ所の出口があるわけであります。これに対応しましてさらに安全性を高めるために一キロ余の大きなトンネルを掘ったものでありまして、昭和五十四年から施行しておりますが、当時としては画期的な大英断とは申しませんが英断に近いのではないかと私は考えております。  それから、人の問題につきましては、確かに道路管理現場では定員削減の影響を受けているのは事実だと思います。しかし、道路管理の重要性から、これは外部委託等いろいろなことを検討いたしまして、道路管理の絶対の完成、保全の確保、これに努めているのが現状だ、このように考えております。  最後に、御指摘ございましたように、今後は地域の地質状況をよく存知している専門家の参画を得るとか、あるいは利用者とか地域の方々から提供されてくるいろいろなデータが集積できるデータベースをつくっていくというようなこと、さらには変状を予知できるセンサーの設置等、いろいろ今後運用を改善し、あるいは技術開発を進めていかなければならない問題があると思います。これらについては積極的に対応してまいりたいと考えております。
  154. 永田良雄

    委員長永田良雄君) 時間が来ましたので、簡潔にお願いします。
  155. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 建設省の職員をふやす等々、これは本当に私は重要な課題だと思います。ですから、そういう点をしっかりやっていただき、同時に、道路の維持管理、安全な管理、これをしっかりやっていただきたい、このことを要望して終わります。ありがとうございました。
  156. 奥村展三

    ○奥村展三君 各委員先生方からいろいろと一般国道二百二十九号豊浜トンネル崩落事故につきまして御質疑をなされておるわけでございますが、お亡くなりになりました二十名の皆さん方に心から哀悼の意を表するところでございます。また、おけがをなされました一名の女性の方にも心からお見舞いを申し上げたいと思います。  さて私は、母なる琵琶湖を擁します滋賀県より選出をいただきました新党さきがけの奥村でございます。伝統あるこの参議院の建設委員会におきまして質問をさせていただく機会を得まして、大変感激もし、また光栄に存じておるところでございます。  大変個別的な問題について質疑をさせていただきますが、委員長のお許しをいただきたいと思うわけでございます。  滋賀県は、今申し上げましたとおり琵琶湖を抱えております。これはもう御承知のとおり、世界的な歴史遺産でもあると私どもは自負をいたしております。自然生態系の宝庫でもあります。そして、近畿一千四百万人の生活をする人々の、また経済の、産業の水としての宝庫でもあると思っております。  そうしたときに、昭和四十七年、琵琶湖総合開発事業を推し進めていただいたわけでございます。この間におきまして、きょうこの委員会にも御出席をされております井上先生が小委員長として大変な御尽力をいただきました。また、元河川局長として岩井先生にも大変な御理解をいただき、御支援をいただいたわけであります。  いよいよ来年度をもって四半世紀にわたるこの事業が終結をするわけでございます。当初四千二百六十六億という巨額をもってスタートいただいたわけでございますが、平成七年度、最終的に一兆八千四百億、そしてまた平成八年度、今四百三十五億ほど国の方に御要望させていただいておるわけでございますが、これの終結を見ますと一兆八千八百億ぐらいになろうかと思います。さりとて、進捗率を考えてみますと、平成七年度末で九八・六%というような結果になってしまうわけであります。  こういうような大プロジェクトであったわけでございますが、もちろん滋賀県、琵琶湖のためではあると思うんですが、しかしこれは中部圏あるいは近畿圏の接点として、先ほど申し上げましたように近畿のいろんな産業、経済あるいは生活の中での大きな力を果たしてきた湖でもあるわけでございます。  そうした意味におきまして、国土庁長官として、今日まで約四半世紀にわたってこの琵琶湖総合開発事業を推し進めていただいた国土庁としての評価といいますか、御所見が伺えたらと思います。よろしくお願いいたします。
  157. 鈴木和美

    国務大臣鈴木和美君) いよいよ補助事業も終わってまいりますけれども、私は琵琶湖の持っているあの地区の位置づけ、これは大変重要だと思うんです。そういう意味でこれからもなお考えにゃいかぬと思いますが、取り急ぎ、政府委員の方から経過とこれからの取り組みについて先に答弁させていただきます。
  158. 五十嵐健之

    政府委員五十嵐健之君) 琵琶湖総合開発事業につきましては、今、先生が簡潔におまとめ、お話しをいただいたところでございます。  琵琶湖の自然環境の保全と汚濁しつつある水質の確保を図りながら、琵琶湖周辺の洪水被害の防除、あるいは地域産業の発展等を図る、そして淀川下流、阪神地域の急激な都市用水の需要の増大に対応するというようなことから、この昭和四十七年度に始められた総合開発事業が実施されたところでございます。  先生指摘のように、当初十年ということでございますが、最終的には二十五年間にわたりまして先生おっしゃいました一兆八千数百億に上ります事業が行われ、今御審議を賜っております平成八年度予算、これをもちまして全体の完了に運んでいける、こういうように考えております。
  159. 奥村展三

    ○奥村展三君 ただいま経過につきましていろいろな所見をお伺いいたしたわけでありますが、確かに今仰せのとおり、琵琶湖はそれだけの意味を持った湖であるわけでございます。  いよいよ事業が終わりまして、保全あるいはまた管理という意味におきまして今後これを継承していかなければならないと思うわけでございます。特に、滋賀県では、御承知のとおり、水政審議会等をずっと続けて、いろんな審議を知事の諮問機関としてやってまいりました。このいろんな審議会の経過を見ましても、新しい仕組みをもって今後取り組まなければならない、そして滋賀県だけではなくて、やはり近畿あるいは中部圏、そして国家の事業としてこの保全管理という中で推し進めるべきだというように言われております。そのような御意見が審議会の中でも出ておるわけでございます。  特にその中で、自然環境、景観の保全、そして水源の涵養、水質保全、こういうような三本柱といいますか、こういうものを総合的に考えて今後も琵琶湖というものを考えていく必要があるんではないか。環境なんかでいきますと、水空間の問題だとかあるいはまた治水の管理だとかいろんなことが言われておりますが、こういうようなことも、県でできる範囲、しかし国家の事業として、そして国の宝庫としての位置づけの中で、今後ももう少し前向きに取り組んでいく必要があるのではないかというようなことを審議会等でも言われておるわけでございます。  やはりこれは大きな目的は利水が主でございますけれども、治水も当然であります。こうしたときに、今後のこの新しい仕組み、現時点でございますが、大変難しいかもわかりませんが、事業が来年度で終わるという段階でございますので、新しい仕組み等を滋賀県がいろいろ考えているわけですが、こういうことについて国土庁として現在お考えいただいていることがありましたら、お聞かせをいただきたいと思います。
  160. 鈴木和美

    国務大臣鈴木和美君) 今、局長から経過について答弁をしたわけでございます。奥村先生現地で大変御苦労なさっていること、重々認識しております。  その上に立って、事業がお話のように九九%、大体完了するというように認識しておるわけでございます。けれども、琵琶湖が古くからの人間生活と密接な関係を有しておりますし、それからあそこにおける琵琶湖の位置づけということを考えると、まず一つは何といっても水資源の問題でしょう、近畿、中部にまで及ぶわけでございますから。それから、その次に問題なのは、やっぱり水の汚れが大変になってくると、水の質という問題が私は大切だと思うんです。それから、あそこにお住まいになっている近辺の人で漁業をやっている方もおいでですね。それから、景観が非常にああいう立派なところでございますから、そういう意味でも景観を守らにゃならぬということと、総合的に今度は環境の問題というのがあるわけでございます。  したがいまして、確かに九九%の事業は終わったけれども、国土庁としてはあそこの持っている琵琶湖の位置づけとか価値観とかというものを非常に重要に認識しています。  けれども、今、県のところで関係市町村も含めていろんな方向検討中だということを聞いておるものでございますから、また新しい事業計画等の御要望があれば現地と一緒になって考える、そういう気持ちで現在おります。
  161. 奥村展三

    ○奥村展三君 ありがとうございます。  確かに滋賀県民は、富栄養化防止条例等をつくりまして、いろいろ県民挙げてこの事業に取り組んでまいりました。私が県議会に当選をいたしましたのが五十四年でございますが、その十一月にあの富栄養化防止条例等が制定をいたしたわけでございます。  そして、大変私ごとで恐縮でございますが、今新党さきがけの代表でございます武村さんが当時知事をなさっておられたときに、確かに県民の皆さんが御家庭や工場やいろんなところで関心を持って水に対しての御努力をいただくのは大事だ、結構だ、しかし環境教育というものをとらまえてみるならば、やはりもっと学校等での勉強、その中に環境というものを取り入れるべきだということで、私は提案をさせていただいて、これは県の単独事業であったわけですが、体験環境学習船「うみの子」という船をつくっていただきました。  現在、二泊三日で滋賀県の小学校五年生が必ず年に一度その船に乗って琵琶湖の周辺をめぐり、そして陸に上がり体験学習をし、あるいはまた船に乗って甲板の掃除をしたり、あるいはまたカッターに乗ったりということで水と親しむ、そういうような学習船をつくってくれということで提案をいたしてそれが実現をしたわけですが、今ちょうど百十日ぐらい琵琶湖を周航しているわけですが、そのようにして県民挙げていろいろとこういうものに取り組んでまいりました。  八年度の予算におきましても、県として保全区域を設定して、あるいはまた地下水を探索して、どのようにして水を確保していくか、保全していくかというようなことにも大きな力を入れていこうといたしておるところでございます。ぜひひとつ、この新しい仕組みについて、今長官がお答えをいただきましたように、県もこれからいろいろな御要望を出してくると思いますし、これはもう先ほども申し上げましたように国の事業としての今後の管理として取り組みをいただきますことをお願いいたしたいと思います。  今後の新しい仕組みについて局長さんの方で何かお考えがありましたら、お答えがいただけたらお願いをしたいと思います。
  162. 五十嵐健之

    政府委員五十嵐健之君) 私どもが考えておりますことは、先ほど長官から御答弁申し上げたことに尽きるわけでございます。  長官も申し上げましたように、この琵琶湖の重要性というようなことを考えますと、いろんな意味で価値を持っております琵琶湖を保全していくということが大変大事な課題と考えているわけでありまして、そうした総合的な環境の保全を図っていくというためには、この総合開発事業の終わった後におきましても各種の方策によりまして水質保全関連事業を行いますとか、あるいは各排水等に対する規制を行ってまいりますとかいうような対策を総合的に続けていく必要があると考えております。  ただ、まだ県の方からのお考えも承っておりませんし、それから各種規制の法律制度その他がいろいろ当時と比べましてたくさんそろってきたというようなことがあるわけでございます。どうやって対応できていくか、県からのお話を承っていろいろまた検討させていただきたいと思っております。
  163. 奥村展三

    ○奥村展三君 ぜひ、国土の施策として取り組みをしていただきたいということを要望させていただきたいと思います。  と同時に、お隣におられます大渕先生が先ほど丹生ダムの件につきまして中尾建設大臣のお話をお聞かせいただいたわけですが、この丹生ダムもやはり昭和四十七年、琵琶湖総合開発事業がスタートいたしましたときに、これはもう治水も当然でありますけれども、利水ダムとして手をつけていただいて、現在地元はこの推進をどんどんやってくれということで町長さん初め地元挙げて努力をいただいているところです。  先ほど大渕委員のお話のとおり、その周辺には姉川断層といって姉川大地震が今から三百年ぐらい前に起きておるところでございます。考えてみれば確かに危険度はあるかもわかりません。しかし、この事業の目的に沿ってぜひ、建設大臣も同席をいただいておりますので、今後よろしくお願いをいたしたいと要望をしておきたいと思います。どうぞひとつ国土庁におかれましても、今後いろんなことで県が御要望いたすかと思いますが、その節はよろしくお願いをいたしたいと思います。  続きまして、本当に身近なことになり過ぎて申しわけないんですが、委員長にお許しをいただきたいんです。  公共事業推進等いろいろ進めていただいておりますし、きょうの午前中の質疑の中で、岩井先生からも事業用地の先行取得等々いろいろなお話がございました。滋賀県は、御承知のとおり歴史的に考えてみましても交通の要所でございます。一号、八号あるいは百六十一号等、近畿圏あるいは中部圏、北陸圏との接点でございます。そうした中で、非常に道路網整備が期待され、急がれているところでございます。  最近、昨年の年末にも二十五日、二十六日、二十七日と三日間滋賀県では雪が降りました。それを数えて、ことし、きょうまでに六回雪が降って交通渋滞等を起こしてしまったわけでありますが、御案内のとおり名神高速道路が岐阜県の方へ行っております。そういう関係で、名神高速道路がとまりますと、三重県から一号線を通って京阪神に通じるというこの道路を必ずみんな迂回をしてまいります。これは従来までは主要道路であったわけでありますが、名神ができてそれを利用するのが多くなっておりますが、こういういろんなアクシデントによりまして一号の利用が非常にふえております。  そうしたときに、栗東水口線という国道一号のバイパス等のいろんな改良をやっていただいておるわけでございますが、現在、この一工区は四車線で供用開始をしていただいたところもございますし、一部用地買収等に今かかっていただいております。三工区におきましては、用地買収あるいは設計等にお入りをいただいておるようですが、真ん中の第二工区ですね、これは橋本局長も近畿地建におられましたからよく知っておられると思うんですが、圃場整備をいたしたところの農免道路に四車線のバイパスをつくるということで平成三年に都市計画決定がなされておるわけですが、そうしたときにまだ事業化がなされていないということで非常に地元として大変な状況になっているようでございます。  そういうようなことを考えますと、一日も早い事業化をしていただくことが先決ではないかなというように思っております。局長のお考えなり、今後の見通しについてお伺いいたしたいと思います。
  164. 橋本鋼太郎

    政府委員橋本鋼太郎君) 御指摘のとおり、滋賀県管内の国道一号にいたしましても八号にしても大変渋滞をしているところでございます。特に一号線につきましては、鈴鹿峠から国道八号と合流する点までこの間約三十六キロありますが、そのうち四車化されておるのが十一キロである。残る二十五キロにつきましては順次四車化あるいはバイパスが必要なわけであります。  先生も御指摘のとおり、栗東水口道路ということの中で東側の部分とか西側の部分につきましては、現在事業に着手し鋭意それを進めているところでありますが、中間に位置するいわゆる中間部が約八キロほど残ってきております。平成三年度に都市計画決定が終わっております。そういう意味で、いろいろな関連事業との調整も含めますと、この区間のうち少なくとも一部区間については平成八年度から事業化する必要があるのではないか、事業化をする予定で現在検討しているところでございます。事業化をし、さらに今後鋭意その整備に努めてまいりたいと考えております。
  165. 奥村展三

    ○奥村展三君 ありがとうございます。ぜひ、一日も早い実現に向かってよろしくお願いをいたしたいと思います。  なお、八号あるいは百六十一号等がございますが、滋賀県の直轄の国道を考えて整備率を見てみますと、全国が五〇・七%ぐらいだと仄聞をいたしておりますが、滋賀県は三〇%に満たない二八・三%のようでございます。全国レベルとは言いませんが、せめてもそこのところへ近づくようにぜひ御配慮いただきますことをお願いいたしたいと思います。  関連をいたしまして、現在、近畿自動車道飛島神戸線といいますか、通称第二名神と我々は呼んでおりますが、この事業に鋭意努力をいただいておるようでございますが、これの進捗状況につきましてお聞かせをいただきたいと思います。
  166. 橋本鋼太郎

    政府委員橋本鋼太郎君) 第二名神高速道路の件でございますが、この高速道路につきましては名古屋市から神戸市に至る百七十キロの路線でございます。安全で快適な高速走行ができる、あるいは高い信頼性を確保するため十分なゆとりを有する道路として、現在計画し設計等を進めているところでございます。  そのうち、事業中となっております区間は、京都府の城陽から三重県の亀山の間六十八キロでございます。平成六年九月に本格的な事業に着手し、これまでに調査、設計、地元協議あるいは測量等いろいろ進めているところであります。滋賀県管内につきましては、現在のところ残念ながら立ち入りの了解が得られないというような地域も約三分の一ぐらいございます。そういう意味では、今後、地元の皆様方の御協力を得る中で平成八年度におきましても地元の協議を進め、協議が調ったところから用地買収を推進し、できれば工事にも順次着手していきたいと考えております。  いずれにいたしましても、地元の御協力がいろいろな意味で必要でございます。我々も日本道路公団を含め努力をしておりますので、ぜひ御協力をお願いしたいと考えております。
  167. 奥村展三

    ○奥村展三君 ありがとうございました。一日も早い促進をお願いいたしたいと思います。  委員長、大変個別な質問になったことをお許しいただきたいと思います。  以上をもって終わらせていただきます。ありがとうございました。
  168. 永田良雄

    委員長永田良雄君) 本日の調査はこの程度にとどめ、本日はこれにて散会いたします。    午後三時三十二分散会      —————・—————