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1996-09-11 第136回国会 参議院 決算委員会 閉会後第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年九月十一日(水曜日)    午前十時開会     —————————————    委員異動  九月三日     辞任         補欠選任      続  訓弘君     小山 峰男君      菅野  壽君     朝日 俊弘君      武田邦太郎君     国井 正幸君  九月十日     辞任         補欠選任      海野 義孝君     林 久美子君      小山 峰男君     和田 洋子君      益田 洋介君     渡辺 孝男君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         野沢 太三君     理 事                 笠原 潤一君                 塩崎 恭久君                 山崎 順子君                 山下 栄一君                 筆坂 秀世君     委 員                 岩井 國臣君                 海老原義彦君                 景山俊太郎君                 清水嘉与子君                 陣内 孝雄君                 中島 眞人君                 松村 龍二君                 守住 有信君                 吉川 芳男君                 加藤 修一君                 林 久美子君                 星野 朋市君                 和田 洋子君                 渡辺 孝男君                 朝日 俊弘君                 上山 和人君                 水野 誠一君                 栗原 君子君    国務大臣        大 蔵 大 臣  久保  亘君        農林水産大臣   大原 一三君        国 務 大 臣        (北海道開発庁        長官)        (沖縄開発庁長        官)       岡部 三郎君        国 務 大 臣        (国土庁長官)  鈴木 和美君    事務局側        常任委員会専門        員        貝田 泰雄君    説明員        内閣総理大臣官        房参事官     松井 靖夫君        沖縄開発庁総務        局長       嘉手川 勇君        沖縄開発庁振興        局長       牧  隆壽君        国土庁計画・調        整局長      塩谷 隆英君        国土庁地方振興        局長       鈴木 正明君        国土庁防災局長  福田 秀文君        大蔵大臣官房審        議官       尾原 榮夫君        大蔵省主計局次        長        細川 興一君        大蔵省銀行局長  山口 公生君        大蔵省銀行局長  福田  誠君        大蔵省銀行局保        険部長      高木 勇樹君        農林水産省構造        改善局長     野中 和雄君        農林水産省農産        園芸局長     高木  賢君        農林水産省畜産        局長       熊澤 英昭君        食糧庁長官    高橋 政行君        中小企業庁小規        模企業部小売商        業課長      近藤 賢二君        郵政省貯金営業        課長       江島 啓三君        会計検査院事務        総局第一局長   深田 烝治君        会計検査院事務        総局第三局長   山田 昭郎君        会計検査院事務        総局第四局長   小川 光吉君        会計検査院事務        総局第と局長   森下 伸昭君    参考人        国民金融公庫副        総裁       安部  彪君        農林漁業金融公        庫総裁      鶴岡 俊彦君        北海道東北開発        公庫総裁     宍倉 宗夫君        沖縄振興開発金        融公庫理事長   塚越 則男君        日本開発銀行総        裁        吉野 良彦君        日本輸出入銀行        総裁       保田  博君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○平成六年度一般会計歳入歳出決算平成六年度  特別会計歳入歳出決算平成六年度国税収納金  整理資金受払計算書平成六年度政府関係機関  決算書内閣提出) ○平成六年度国有財産増減及び現在額総計算書  (内閣提出) ○平成六年度国有財産無償貸付状況計算書(内  閣提出)     —————————————
  2. 野沢太三

    委員長野沢太三君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る三日、続訓弘君、菅野壽君及び武田邦太郎君が委員辞任され、その補欠として小山峰男君、朝日俊弘君及び国井正幸君が選任されました。  また、昨十日、海野義孝君、益田洋介君及び小山峰男君が委員辞任され、その補欠として林久美子君、渡辺孝男君及び和田洋子君が選任されました。     —————————————
  3. 野沢太三

  4. 野沢太三

    委員長野沢太三君) この際、お諮りいたします。  議事の都合により、これら決算概要説明及び決算検査概要説明の聴取は、いずれもこれを省略して、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 野沢太三

    委員長野沢太三君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  速記をとめてください。    〔速記中止
  6. 野沢太三

    委員長野沢太三君) 速記を起こしてください。     —————————————
  7. 野沢太三

    委員長野沢太三君) それでは、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 守住有信

    守住有信君 自民党守住でございます。  きょうは大蔵省中心大蔵の関連、横の関連する部分を、いろいろ私のやっておること、考え方、実態、これを言いながらお聞かせいただきたいと思います。  まず第一は国有財産国有財産だけではなくて公有財産。  特に私が念頭に置いておりますのは、例えば中核都市とかいろいろな県庁所在地等から見まして、旧来の商店街がどんどん疲弊しておるんですな、シャッターがおりたり、本当の特有な専門店だけは別ですけれども。それで、規制緩和規制緩和で郊外に大店舗ができて、大駐車場ができて、お客はそちらの方へ行くという大きな流れになっておりますね。  問題は、その商店街駐車場がないんですね。長い間私が見ておりますと、例えば国の出先の施設、県や市の施設、あるいは民間銀行その他も駐車場つきであるわけでございます。土曜、日曜、祭日は職員も来ない。もちろんいわゆる行政上のお客様もお見えにならない。駐車場はあいておるんですね。すぐ横に商店街があるが駐車場はない。物すごい有料駐車場をつくってもコストが高くなって、いろいろ努力はしておられますけれども、なかなか成果が上がらぬ。  国有財産、県や市の公有財産、あるいは民間駐車場つき銀行もあれば、いろいろございますね。それをなぜ活用せぬだろうかということで、自分自身で、もう六、七年ぐらい前になりますけれども、御承知のとおり私は熊本市でございますが、郵政局がありて、その横に郵政会館があるんです。郵政会館の土地は、周り普通財産なんですね。いわゆる事業財産じゃない、郵便局じゃございませんから。それで、周りがずっとあいておるんです。ふだんのときはその職員なり必要のあるお客さんの駐車場になっておる。土曜、日曜はがらんとしておる。  そこで、あれは普通財産ですから、熊本財務局長さんに話しまして、財務局からその財産を市に貸す。商店街民間ですから貸せません。地元公共団体に貸す。それで地元熊本市が上通り商栄会に貸す。そしてまた、その維持管理の問題があります、責任がありますから。市が協定をしまして、そして市のシルバーセンター、六十歳以上の元気な人たちはいっぱいおられますから、そういう年金生活者の人をシルバーセンターから派遣するということで土曜、日曜のいわゆる国有財産有効活用、こういうことでやり出しましたわけです。  その他、いろいろ自治体関係、あるいはまた銀行その他も、駐車場がついておる。土曜、日曜、祝日はがらんとしておりますね。そういう方式でやれぬのだろうかということで、自分で実例をやってみました。  それで、特に小売業というのは非常にこうなっておるんですね、バブルの後は余計なっておる。景気がどうだというときに真っ先に現象があらわれるのはああいう商店街小売業なんですね。大店舗ができるとどんどんお客をとられる。そこで通産省も、中小企業庁中心にやっておられるけれども縦割りではこれがなかなかいかないですね。  いわゆる大蔵国有財産、あるいは県、市、あるいは民間の既にでき上がっておる駐車場、土曜、日曜がらんとしておるやつを活用していく、商店街のすぐ横にあるやつについてですよ、離れているやつはだめだけれども。そういうのをやりだしてみたんですが、具体例として、私自身が乗り込んでいって市役所にがんがん言う、財務局に言う、これはできますけれども、なかなかこれが全国的にできない。  それで、いろいろ調べておりますと、特に宇都宮市が、市長さんは市長会会長でございますけれども宇都宮市がそういうやり方で積極的に地域銀行その他の駐車場活用する。責任がありますから、市がそこの企業協定をする。それでシルバーセンターから派遣をしてその維持管理管理人の役目を果たす。こういうのをモデル的に、宇都宮市のあれは、NHKの報道だとか地元新聞とかあるいは条例、そういうのもとってみたわけですけれども、非常にモデル的にいっておるなと。  ところが、それは氷山の一角でございまして、こういうことについて、財産大蔵とか公有財産自治体財産です、民もありますけれども。そういう例を幾つかやってみました、自分自身で。どういうふうにそれを全国展開するか。福岡通産局があって離れておりますでしょう。福岡にあるわけだな通産局は、中小企業担当はね。それで、県庁というと県全体なものですからやはり動きが、そういう中核都市とか県庁所在地とか、そこから具体例をどんどんつくって、国有財産公有財産民有財産駐車場利活用、そして商店街対策振興策、これに続いてつながっておるんじゃないかと私は思っております。  そういうことについては、私がやりだしたのは六、七年前だが、自民党駐車場議連というものをつくってやっておったわけです。最近は動き余りないですけれども自民党は選挙前で大騒ぎだから。それはそれとしても、そこらあたりについてまず中核通産省中小企業庁、どういうふうにお取り組みであるか、お聞かせをいただきたいと思います。
  9. 近藤賢二

    説明員近藤賢二君) お答えを申し上げます。  私ども中小企業庁といたしましても、先生指摘のとおり、駐車場問題というのは非常に重要だというように認識をしておるわけでございます。  特に、中心市街地商店街駐車場問題、これがうまくいかないことにはお客さまになかなか土日のお休みに来ていただけないといったような実態がございます。  そこで、私どもとしては、制度的にいろいろな補助制度でありますとか、高度化利子融資制度といった中小商業者がみんなで一緒になってやる場合にいろいろと支援をする方策を持っておるわけでございますが、さらに、今先生から御指摘ございましたような形で、例えば休日の県の施設、休日の市の施設、さらには休日の銀行施設といったものを開放していただいて活用できないかということを私どもといたしましても検討してまいりました。  昨年九月に先生から決算委員会で御指摘をいただいたことも踏まえまして、大蔵省自治省にも御協力をいただきながら私ども検討してまいりまして、この六月に塚原通産大臣からの御指示を受けまして都道府県知事、それから全国市長会全国銀行協会連合会会長あて駐車場の休日開放への協力要請といったことをやってきておるわけでございます。  今、御指摘ございました熊本上通り商店街の横にございます郵政省駐車場活用方法、さらには宇都宮ケース、ほかにもいろいろな形で駐車場活用しているケースがございます。全国でどういうようにうまく使っているかということを、私どもも引き続き支援をしながら、何とか中心市街地それから地元商店街がますます活性化して戻っていくようにいろいろと努力をしたいと、このように考えております。
  10. 守住有信

    守住有信君 そのように、大蔵省国有財産管理しておられるんです。実は、財務局長とやったときに大分苦労したんですよ、許可をとるのに。行政行為が要りますので大分苦労しました。通産中小企業庁が一生懸命になってやっておる。だから大蔵からも、国有財産管理の方からも、ぽんといろいろ具体例でどんどん下部の機関にこれは徹底していただきたい。そうすると、地元商店街、名店街が再びこうなってくる。  金が、コストがかからぬのですよ、低利融資とかなんかよりは。どでかい有料駐車場、すごく金がかかるんですよ。財源難のこれからだ、いかにして余り財源を食わぬようにしながら、ノウハウを出して、連携してそういう活用をする。遊休地活用遊休駐車場活用、これは大蔵省が一番のやっぱりリーダーですから。それを公有財産自治体の方にも自治省も同じようなあれで、せっかくある駐車場、金はかからぬのですよ。アルバイト代だけで済むんですよ、市役所シルバーセンターから六十歳以上の人を二、三名派遣して。これは事故が起こっちゃいけませんから、管理はきちっとする、市が持って。大きなコストはかからない、税金も余り食わぬで済むというふうな考えでおりますので、あえてこれを冒頭に強調したいと思っております。  それから、もう一つありますのが、今、携帯電話移動電話時代になりました。そうしますと、やっぱり県庁所在地で、実は熊本市役所が大きなビルですから、向こう側電波が飛ばないわけです、行かない。そうすると、下の方は下通りとか新市街とかあってこれが聞きにくいんです。お店の中でみんなやっておる、喫茶店でもこうやっておる、聞こえない。  そこで私は、三年ぐらい前になりますか、ドコモ電気通信監理局無線部長市役所一緒に連れていきまして、やっとできたんですよ。市有財産審議会かなんかありますね、国有財産と同じように。それが最初はこういう言い方だった。公益的かもしれぬけれども株式会社です、ほかにも電力とかガスとか公営企業はいろいろありますと、こういう論法だった。何を言うか、市役所市民のためにあるじゃないかと。その市民ビル電波障害なんですよ。こっちの帯山の方からNTT電波を出しましても、そこでビルに当たって向こうへ行かぬわけです。やっと市役所にも一カ所ですけれども、まだこれが全国的なものにはなってないんですよ。いろんな県庁所在地があります。県や市のビルが建っております。その周りはほとんど商店街。そしてこれなんです、今の時代、どんどん。これが一つ。  だから、そういうものもございますので、使用許可という問題について、ビル陰電波障害移動電話のよく聞こえないという問題についてもお互いが、電気通信事業者とそういうあれとが一緒に場所を貸してやると。屋上に二メートルぐらいの受発信機をちょっとつけてやればいいんだ。工事をするのは電気通信事業者ですから。  現に実はこの周辺霞が関かいわい、これは移動電話電波障害地域なんです。国会初めいわゆる霞が関の地帯、官庁街、大きいビルがございまして、難聴地域なんです。  それで、最初郵政移動通信課長に言いまして郵政省屋上に立てようと思ったら、郵政省は文部省と同じで官庁街の外れの方なんだな。真ん中はどこだといって調べさせたら法務省法務省屋上。それで、これも国有財産ですから、やっぱりあの理財局国有財産オーケーが要るわけです。それから、あともう一つ建設省官庁営繕屋上に立てるものですから、震度とか強度とか、これをやっぱり技術的にきちっとしていかないといけませんから、建設省官庁営繕、これも一緒になってそれのオーケーをとって今やっと動き出して、九月の下旬ごろから工事に入って、移動通信会社が四社ございますから屋上に四本立てる。そして、恐らく十一月ごろにはこの霞が関周辺移動電話難聴が解消できる、こう思っております。  それで、やっぱりそういう国有財産公有財産のちょっとしたところ、ただこの手続がもういろいろなっておるものだから、郵政省ドコモもあっちへ行きこっちへ行きということで、まあしかしこの官庁街の方は今度は秋には完全に聞こえるようになりますので一歩前進だなと思っておりますけれども、これは一つの例でございます。  私は、ほかにもいろいろあると思うので、ただ業者任せにしないで、通信時代にどんどん入っております、無線時代に入っておりますから、郵政省初めそういう通信業者一緒になって、どこが一番屋上でいいのか。ちょっとした二メートルぐらいのあれですから、電力会社は電柱に立てる、NTTのグループは公衆電話の上に立てる、これはいろいろやっておりますけれども、大きなビル街になりますとなかなかビル陰障害電波障害ということで十分できない。そこをやはりこういう情報の時代通信時代と言われておりますから、そういうものをきめ細かいところにも関心を持って、能動的に、商店街対策だけでなくて、商店街も声が聞こえぬとだめですから、そういうことに御努力をいただきたい、こう思うわけでございまして、一つの例でお話し申し上げました。  大臣もどうか、国有財産公有財産に向かっても、公有財産の方からそういう利活用、そして余り金をかけぬ。新しいやつを、駐車場低利融資があってももとのあれは物すごくかかるんですね、駐車場、大駐車場。まあ中度駐車場でもいいですけれども、経営的にも大変だとか、いっぱい聞きますのでね。そういうせっかくの国や自治体や、場合によっては民間遊休施設活用する、こういう例を二つ申し上げましたけれども、よろしくお願いをいたしたいと思います。  大臣、これはきめ細かい話でございます。大きな話のテーマ、グローバルじゃございませんけれども、いかがでございましょうか。
  11. 久保亘

    国務大臣久保亘君) 大変重要な問題について御発言をいただいたと思っております。国有財産利用を恒久的に制約したり、あるいは国有財産を開放することによって営利的な利用が行われたりするようなことになってはいけないんだと思っておりますが、今お話がございましたように、地域住民利便に供したり、あるいは地域の経済の活力に役立つような形での国有財産活用が法の範囲内においてどのようにできるかというようなことについては、積極的に考えていかなければならないことであろうと考えております。
  12. 守住有信

    守住有信君 ありがとうございました。  もう一つそういうのと関連いたしまして、今国税の方では相続税やその他の物納財産、これに対して新聞公告までしてやっておられますね。物納財産の処分がなかなかできない。私は、かつて考えられぬようなあのかたそうの大蔵省がといいますか、物納財産新聞公告に出して、宅建業その他にももちろんですけれども、家が欲しい個人個人人たちその他、これを新聞公告しておられますので、これも相当前進したなと。財源難、その中でのこれは細かい努力ぶりだなと、こう思っておるわけでございます。  それで、もう一つ私が感謝したいのは、あれは去年でございますか、今まで銀行だけでございました国税納入方法逓信委員会で法律改正して、郵便振替、いろんな郵便局のオンライン、振替、過疎も入っておりますから、これの利用国税当局はおやりになった。我々も法律改正した、対応して。しかも、手数料は一回十円でございますけれども、その十円を国税当局が負担しておられる。大蔵国税だけでございますな、国税だけ。ところが、これに対比いたしまして地方公共団体、県、市町村など地方の方は、地方税の何種類から始まりまして、国民年金国民健康保険、学校の授業料公営住宅の借料と、二十何項目ありますよね。ところが、自治省自治体任せでございまして、指定金融機関はそれぞれの県や市町村が決める、建前はそうでございますけれども。  そして、これはちょっといらいらしておりますが、まず県は出納長だ、市町村収入役だ。例えば収入役、各県ごと協議会をつくって、官官接待じゃない、銀官接待だ。実態幾つも把握しております。それから、出納長の方も、九州や中国、近畿とかブロックごと協議会をつくっております、出納長協議会、県は。  そうして、この間も熊本県、私の足元で、福島知事ととうとう大げんかして木村という出納長をやめさせた。彼がどういうとらえ方をしておったかといいますと、まず九州出納長協議会で申し合わせをしています。郵便局は入れません、手数料十円がただになるまでしません、ただになっても熊本県は最後でございますと木村という出納長がぬかしやがった。福島とけんかしてこれを三月末にやめさせましたよ。  私は哲学を持っておるんです、自由主義社会、県民が選ぶんだ、市民が選ぶんだ。銀行でもどっちでもいいんですよ、市民が選ぶんだ。それを指定金融機関地方は第一地銀、大都会の方は都市銀行、指定されておる。ほかはオープンになっていないんですよ。ひとつその辺のところをまず郵政省が痛切に感じておるなら、一般地方債で何千億という金を貸して三十年間も長期安定資金で、銀行は七年ぐらいですから、銀行よりも低利でやっておる。財投、やれ財投がいかぬ、どうだこうだと、財投がなくなったら地方公共団体はどうなりますか。金利も違う、融通条件も期間も違う。二十五年、三十年長期安定だと。  ところが、指定金融機関の問題になると、一方じゃ金を借りなくなる。借りておるのも出納長ですよ、収入役ですよ、事務をやるのは。そこらあたりをまず郵政省からその実態を、県なんかでも本当にわずかな県で、二十何項目あるのにちょっとだけで、ひとつその実態皆さんの前に明らかにしてもらいたいと思いますが、郵政省来ておられますか。
  13. 江島啓三

    説明員江島啓三君) お答え申し上げます。  公金の自動払い込み、銀行などでは自動引き落としと申しておりますけれども、これにつきましては、民間金融機関のみならず、住民皆さんの身近な機関でございます郵便局でも取り扱いをしてほしいという地域住民方々の御要望があるところでございます。そういうわけで、私どもといたしましても、地域住民方々生活利便性の向上という観点から、各地域におきまして郵政局郵便局地方公共団体といろいろ御相談させていただき導入を図っているところでございます。本年度、平成八年の七月末現在で、三千三百二の地方公共団体のうち二千七十六団体、導入率六二・九%という団体が郵便局を通じての公金の自動払い込みというのを実施しております。  なお、都道府県につきましては、従来、民間金融機関に限定した取り扱いをしていたところでございますけれども平成六年十二月に東京都が住宅使用料の郵便局における自動払い込みを導入いたしまして、引き続き平成七年度に同じく東京都が個人事業税、固定資産税及び都市計画税を導入いたしました。  また、新潟県と滋賀県におきましては、住宅使用料の郵便局自動払い込みを導入したというのが現状でございます。
  14. 守住有信

    守住有信君 今お聞きいただきましたように、県の数も、サービスの種類も物すごくあるんだ。特に福祉関係なんかは納入も支払いもあります。高齢者、身障者その他、福祉の時代、きめの細かい自治体。こういう二十何項目、そのうちの一つですけれども、今出たのは家賃と東京都の幾つかの地方税だけだ。ほかの県はゼロだ。  自治省、これは行政局の方か。一方、財政局の方は、地方債で恩恵を受けながら、郵便局の貯金、保険、どうとらえておるんだ。これはまた自治省の日がありますから、同じ参議院の倉田大臣にも開き直らにゃいかぬと思っておる。一遍とめてみると、金を貸すのを。  昔、田中角栄さんが郵政大臣になった。それで、保険局長がどこには何百億、何十億と、政府関係機関公共団体、ずっと所管事項を説明した。ところが、だれも仁義切りも来ぬ、お世話になっておりますも来ない。それで、角さんがかんかんになって怒っておった。ところが、当時の文書課長が淺野といってフジテレビの会長までになりましたけれども、それが文書をとめたんですよ、文書課長ですから。翌年の三月三十一日まで貸せばいいんですからね、運用計画はそうなっておる、建前は。それでとめたら大騒ぎになって、角さんのところにあいさつに来出した。  私は、その話を聞きまして、若いころ運用課の課長補佐を五年半もやりましたから。それでとめた。チンピラ係長ぐらい来てもとめておく。部長が来る、それでもとめておく。今度はやっと政府関係機関の担当理事が来る。こういう状況が今でも続いておる。県の方も、本省がやっておるけれども、東京事務所のあれがちょこつと来る、これが実態です。  これでは郵政省、おとなし過ぎる。とめてみろ。法律違反にはならないんだ。翌年三月三十一日までは貸さにゃいけませんよ、財投計画あるいは地方債計画はそういう建前でございます。言うたらすぐ貸すからいけないんだ。三十年間も低利で安定資金。ところが、一方では同じ出納長収入役が、これは地方債の担当でございます。そういう実態だ。そして、その裏側に銀官接待がある。この間の宮城県の裁判で公表されました。金融機関から出た話だ。それは接待を受ける方だ。地方自治団体は本省側を接待する、今度は地方自治団体の方は地元の第一地銀その他から接待を受ける。  もう一回申しますよ。かつて、この決算委員会財務局長一緒に東北地方に視察に参りました。それで、最後が青森。それで浅虫温泉のホテルへ一緒に入っていきましたら、地下のホール、大広間、障子がだっと並んでおりまして、一番端の方にみちのく銀行、青森県収入役協議会様御席と。私はこういう性分ですから、現認主義者ですから、昔も組合員を処分するときも現認でやりました。がらっと障子をあけて、おいと。そうしたら、こっちは銀行が六十何名、浴衣を着て、市町村収入役は一泊しておる。おなごが酌して回っておった。何だ、これはと。  それは氷山の一角なんですよ。第二の人生の世話もしておるんだ、表に出ないけれども。そのネタは握っております。新聞記者と一緒になって、ネタを追えと。官官接待の次は銀官接待でございますから、そのことを自治省行政監察も検査院も、よく踏まえておいてくださいよ。おれは自民党であって与党だけれども、こういう問題になると野党的になるんだ。許せぬ、こういう気持ちになるわけで、この程度の警告にここはとどめておきますが、また自治省の日があるんだから。  さて、もう一問。  台湾は、御承知かと思いますが確定債務、郵便貯金、簡易保険、郵便年金、軍事郵便貯金、この四つでございますが、五十年以上百年、日清戦争以降日本の郵便局がありました。そして、台湾の人たちは預金しておった。簡易保険にも加入しておった。これを百二十倍で返済する、台湾の物価で見ましてね。それで去年の十月からこれは粛々と始まっております。軍人の未払い給与の問題についてはちょっと殴り込みがありましたな、台北の事務所に。これは別といたしまして、大衆社会の問題。ところが、これは残っておるんですよ。例えば、台湾の日本の銀行、台湾の生命保険会社、戦前からあったもの、これはそのままでございます。  それで、私は、大蔵省銀行局の銀行課長、当時住専問題があったから、これは余り邪魔しちゃいかぬ、苦難な道を乗り越えにゃいかぬからと、ある程度峠が過ぎましてから銀行局の銀行課長、調査課長、保険の一課長さんへ電話をしました。生保も、明治生命がこの間会長にかわりましたので、明治生命も呼びつけました。ところが、銀行局は説明にも来ない。主計局と同じような姿勢になっておるのか。これをその後どうしていくのか、確定債務、外政審議室中心に長い間やってきたんですよ。そして具体例もやり出した、去年の十月。もう一年たっんですよ。まず国営事業が模範を示して、その次は民間の生保、銀行だと、こういう構えになった。  民間の世界ではあるけれども、これについてどう行政的にもハッパをかけておられるのか、外政、銀行局、両方からこの関係を御説明いただきたいと思います。  お願いします。
  15. 山口公生

    説明員(山口公生君) お答え申し上げます。  台湾確定債務問題につきましては、今先生指摘のように、軍事郵便貯金等の取り扱いは平成七年の年度から支払いが行われております。  問題は、今御指摘民間の問題でございまして、個人の生命保険、銀行預金等の民間債務でございまして、これは民間のものでございますのでいわゆる確定債務という中には含まれないわけでございます。それで、生命保険会社及び銀行におきましては、各社が契約者、預金者から支払い請求があれば、それを正当な権利者であるかどうかの確認をしまして、それで支払いを行うという考え方で、現に請求があって確認できたものについては支払いが行われているというふうに聞いております。  銀行について申し上げますと、当時台湾に支店を置いておりました銀行は数はそう多くありませんが、ちょっと確認をさせていただきましたところ、最近、数は少ない、しかし来たものについてはそういったことで金利をつけてお支払いをしておりますと、こういうことでございました。  それから、保険会社の方でございますが、こちらの方が少し数としても多うございますが、これにつきましても、実は今御指摘のように、今までは各社の判断で払っております。ただお客様の方でそれじゃとても受け取れないというような話もあるようでございます。それで、今御指摘平成七年の十月から簡易保険の上乗せ支払いというものが開始されましたので、それが新しい事態というような認識もしておりまして、これを踏まえまして、現在その取り扱いをどうすべきだろうかということで今各社で鋭意検討を行っております。  そういった状況でございます。
  16. 松井靖夫

    説明員(松井靖夫君) お答え申し上げます。  私ども外政審議室、国の機関の確定債務について調整を行ってまいりました。  民間の債務のお話につきましては、特に今御指摘の点につきましては、大蔵省方々ともいろいろ御相談の上、我々としてできることがあるのであればお手伝いをしたいと。ただ、何分にもこの確定債務の世界というのは一つの経済合理性の世界ということになっておりますので、私どもとしては、気持ちの上でいろいろお手伝いをしたいと思いますが、具体的にどういうことができるかについては、まだどういうことができるかというのはわかっておりませんので、これからもいろいろできることがあればお手伝いしていきたいと思っております。
  17. 守住有信

    守住有信君 一番最初、細川内閣のころでしたか、我々超党派で、社会党は田口さんでございましたかな、さきがけは井出さんとか、板垣さんとか、いろいろ一緒に行きまして、そこから始めたんですよね。  それで、台湾の立法院の連中は最大が七千倍と言うた。なぜだ。昔の二等兵の、給与と言っていいか知らぬけれども、あれと今の自衛隊の二等兵相当職がちょうど七千倍ぐらいなんですよね。こっちは悪性インフレとかいろいろありましたけれども。それで、私は立法院の三十人ぐらいおったところで言いましたよ。私も二等兵だった。一銭五厘のはがきで、徴兵で皆さん方のお父さんと同じように従軍した。昔は徴兵制ですよ。今は応募制です。台湾は徴兵制で来ておりますからね。昔の二等兵と今の台湾兵の二等兵とがちょうど百二十倍なんです。だから百二十倍の倍率で、台湾の生活が基礎ですからね。日本の生活じゃありません。円の高さとかそういうことじゃない。それで、百二十倍で払う、お返しする。嫌なら取りに来ぬでもよかと。  ところが、どんどんどんどん、えらい何万件という件数になっているんです。それはちゃんと高雄と台北に交流協会の事務所、窓口を開きまして、それで台湾のテレビとか新聞とか、CATVも盛んですからそれにも報道をして、そして窓口をつくって、現に見てきましたけれども、台湾の人たちが、女の子が四十人ぐらいその実務に携わっておるわけです。それと同じように、外政審議室は、やれることがあったならとか言っておる。  やっぱり彼らの不満というもの、それは軍人は物すごい不満を持っていますよ。たった百二十倍か。命をもとにともに戦ったのにたった百二十倍か。それで襲撃事件もあったんですよね。あれは軍人の未払い給与の問題なんです。一般大衆の方は粛々と、不満はあるだろうと思いますけれども取りに来ておられる。それで、みんな戦災がなかったから保険証書とか通帳を大事にして持っておられるんですよ。これは民間の場合も同じですよ。  だから、やっぱり台湾の現地に、それから交流協会に外政審議室として同じようにブランチを置いて、郵便局も五年間でまだいくんですから、一年たったらあと四年間有効でいくんだから、官と民あわせてこれの解決を続けていかにゃいかぬと。それが我々日華議員連盟が、台湾にもこの間行ってきました、十四名。その思いが、ほかのテーマもありますけれども、言い出すと尖閣列島とかいろいろありますからもうやめておきますけれども、そこをやっぱり先例をつくったからやっていっていただきたい。  それで、水俣病は、あしたは環境庁がございますので、水俣病対策も、大臣がおられぬけれども、鹿児島ですから出水市も患者団体もおる。これは御体験のとおりですから、あしたまた部下の方々からよくお聞き取りをいただきたいと思います。  ちょっと時間が過ぎましたけれども、終わります。
  18. 陣内孝雄

    ○陣内孝雄君 自由民主党の陣内でございます。  引き続いてお尋ねいたします。  農林水産大臣にまずお礼を申し上げたいと思いますが、大臣はさきの通常国会で住専問題の処理などに関して五百回以上、五百二十回とおっしゃっていたでしょうか答弁に立たれたようで、大変お疲れさまでございました。そして、そのおかげで経営悪化が心配されていた農協系の金融機関はようやく経営立て直しに希望が出てまいり、預金者である農家の皆さんは本当にほっとしております。ありがとうございました。  さて、我が国農業を取り巻く情勢は、自由化、国際化へ向け激しく変わっており、この影響を乗り切るために農政は的確な対応を求められております。農水省ではきのう早速、新基本法検討本部を設置されたようであります。そこで、実力と実績を存分にお示しいただいておる農林水産大臣になお一層の御尽力と御活躍をお願いして、若干の質問をさせていただきたいと思います。  最初に、一九九三年十二月のウルグアイ・ラウンド農業合意で我が国は米のミニマムアクセスを受け入れることとなり、日本農業は将来への展望を見失うほどショックを受けました。合意初年度の米のミニマムアクセスは年間約四十万トン、六年後の最終年度には年間約八十万トンの輸入を義務づけられております。そればかりでなく、合意の中には裏の方で国境措置として重要な関税率を二〇〇〇年の見直し時期に向けて年々低下させていくという約束事になっておるわけでございます。  具体的には、合意最終年度には初年度の八五%にまで関税率が低下するわけでございます。したがって、見直しに当たってはこのように既に低くなった関税率をスタート台にしてそれから先をどうするのか再交渉しなければならないわけでございます。米の自由化とほとんど変わらない仕組みに置かれていると私は思うわけでございます。  我が国の稲作農家は自然条件からくる制約で経営規模は極端に小さくて、米国の百分の一程度という零細ぶりでございます。国際の競争に到底太刀打ちできない宿命的な日本農業が生き残るためには、農業の基盤強化、それから構造改善、生活環境の整備など農村の活性化を図る必要があります。世界が食糧不足の方向に進みつつある中で、ここで農政上のしっかりとした対応をしないと我が国の農業が衰退し、その結果食糧安全保障が守れなくなっていくことを私どもは真剣に認識しておくべきだと考えております。  そこで、この意味から平成六年十月に決定されたウルグアイ・ラウンド農業合意関連対策大綱に基づき、総事業費六兆百億円に及ぶ農業合意関連対策を平成十二年度までに六年間で少なくとも完了させねばならないということでございますが、この大綱に基づく農業農村整備緊急特別対策が今計画どおりに順調に進んでいるのかどうか、その点をまずお尋ねしておきたいと思います。
  19. 野中和雄

    説明員(野中和雄君) ウルグアイ・ラウンド合意の実施期間中に我が国農業の体質を強化していかなければならないということで、今お話しのとおりでございます。  農業農村整備事業につきましては、八年度の予算におきまして前年比で一〇二・六%、総額一兆二千二百七十九億円の国費を確保いたしまして、この中でウルグアイ・ラウンド関連対策につきましても合計六百億円を計上いたしたところでございます。これと平成七年度第二次補正までの既に実施しております額を合わせますと、対策総額三兆五千五百億円のおおむね三六%に当たる約一兆二千九百九億円の事業量を確保いたしまして、鋭意事業の推進に当たっているところでございます。
  20. 陣内孝雄

    ○陣内孝雄君 緊急特別対策として六カ年間で三兆五千五百億が計上されているわけですが、これを計画的に推進するということになりますと、毎年約六千億円を平均して投資していかなければならない。平成八年度の当初予算では極めて不十分であるというふうに考えるわけでございますが、そうなりますと多額の追加の補正予算が必要になるということは必至だろうと思います。加えて、景気対策の面でも確実な回復軌道に乗せるという点で、この時点での補正予算というのは私は欠かせないものだと思うわけでございます。  農業対策というのは用地費用の割合が非常に少ないということで、この事業の乗数効果というのは非常に高い。したがって、景気対策に大いに役立つということでございますので、その点も踏まえて補正予算をきちんと実現し、今年度の事業を計画どおりに進めていただきたいと思うんですが、その点について重ねてお尋ねいたします。
  21. 野中和雄

    説明員(野中和雄君) ウルグアイ・ラウンド関連農業農村整備緊急特別対策でございますけれども先生お話しのとおり、平成六年度から六年間で事業費総額三兆五千五百億円の事業を実施していくわけでございまして、これまでは主に補正予算で措置をしてきたところでございます。  このような経緯も踏まえまして、平成九年度の予算概算要求基準、閣議了解でございますけれども、ここにおきましては、ウルグァイ・ラウンド農業合意関連対策に係る経費の平成九年度における取り扱いについては予算編成過程において検討するものとするというふうにされたところでございます。  ウルグアイ・ラウンド対策の事業の着実な推進をしていきますためには、お話しのように、毎年安定的な事業量を確保することが必要であるというふうに私どもも考えているわけでございまして、今後、補正予算が編成されます場合には所要の予算を要求していきたいというふうに考えております。
  22. 陣内孝雄

    ○陣内孝雄君 この特別対策を円滑に進めるためには、そのほかにも必要な取り組みがいろいろあると思います。いずれにしても、農家は集中的に予算を投資して短期間で基盤整備が行われることを切望しているわけでございますが、そのためには道路とか河川など農業基盤の整備と一緒に整備をしなければならないこともあるわけでございます。  したがって、農業基盤整備の計画の立案、事業の進め方などにつきまして、早目に関係機関と協議に入り、理解と協力を十分に得られるようにしておくということも大事だと思います。起工承諾とか、あるいは用地費の後払いなど機敏な対応も農業側でやってもらわなければならないと思いますが、そういう点についてどのように取り組んでおられるのか、お尋ねいたします。
  23. 野中和雄

    説明員(野中和雄君) 先生指摘のとおり、農業農村整備緊急特別対策の事業の推進に当たりまして、例えば核事業でございます圃場整備事業について見ますと、平成四年度の新規採択地区、これは内地のものでございますけれども、道路と関連するものが約五割、河川と関連するものが約二割というふうに関連のほかの事業と連携を図ることが必要な地区が多いことは確かにそのとおりでございます。  したがいまして、私どもも従来より、主として都道府県におきまして農業農村整備の担当部局と土木部局などの関連部局との間で各地区の進度調整を図っているところでございます。また、必要な場合には国土庁所管の事業調整費を活用してきているところでございます。  お話しのように、今後とも私どもも関連のほかの事業との進度調整を図りまして、農村地域におきます社会資本の一体的な整備を進めて、この農業農村整備の緊急特別対策が効果を上げるように円滑に推進を図ってまいりたいと考えております。
  24. 陣内孝雄

    ○陣内孝雄君 今お話に出ましたように、関連他事業の進度のおくれが出ないように国土総合開発事業調整費によって進度の調整を十分図ってもらわなければならないと私は思うわけでございます。現場を歩いてそういう事例が非常に多いと強く感じるわけでございますが、国土庁の適切な対応に期待しております。国土庁としてどのようにお考えでしょうか、お聞かせください。
  25. 塩谷隆英

    説明員(塩谷隆英君) 御指摘のように、公共事業の実施に当たりましては、計画段階及び事業実施段階におきまして関係省庁間で十分調整を図りつつ、関連する他の公共事業と整合性を保っていくということが極めて重要であると考えております。特に、事業実施段階におきまして事業間の進度を調整いたしまして総合効果を発揮させるために、国土庁所管の国土総合開発事業調整費の果たす役割は極めて大きいものと認識をいたしております。  御指摘のありましたウルグアイ・ラウンド対策に係ります農業農村整備事業を推進していく上でも、関連のあります河川事業や道路事業との間に進度の違いが生ずるような場合にはそこに調整費を投入することによりまして、工期の短縮、事業効果の早期発現、経費の節減などの総合効果が期待されるわけでありまして、これまでもこのような場合に事業調整費の活用を図ってまいってきたところであります。  国土庁といたしましてもウルグアイ・ラウンド対策の重要性は十分認識をいたしているつもりでありまして、関係各省庁間においてより一層の調整が図られることを期待しているところでありますが、関係省庁から具体的な御要望があれば、事業調整費を積極的に活用いたしましてウルグアイ・ラウンド対策と他の事業間の調整を図ってまいりたいと考えております。
  26. 陣内孝雄

    ○陣内孝雄君 大変心強いお話をいただきましてありがとうございました。ぜひよろしくお願いしておきます。  最近、米の需給見通しについて気がかりな推測が聞かされます。戦後三度目の米余り時代を迎え、この処理のために新たな財政負担が起こるのではないか、こういうことも伝えられております。  そこで、農水省としてこの時点で、平成八、九米穀年度についてどのように需給を見通しておられるのか、現在のわかる範囲でお聞かせいただきたいと思います。
  27. 高橋政行

    説明員(高橋政行君) お答え申し上げます。  まず八米穀年度の需給の見通しでございますが、御承知のように平成六年産が米の大豊作でございまして、また昨年のお米が作況指数一〇二ということでございましたので、引き続き緩和基調で推移をしてきているところでございます。こういう中で、国内産の主食用のお米がどんなふうに今売却されているかという状況でございますが、非常にことし夏場が猛暑であったというようなことで消費量の減少が見られるとか、あるいは流通業者の皆さん方が手持ち在庫をできるだけ持たないようにして放出してくるというようなことなどが原因いたしまして、我々が基本計画で示しております数字をかなり下回る、そういう見込みでございます。  特に政府米でどんな状況かと申し上げますと、消費者の新米志向が強い中でへ政府米は原則一年古米で売却するということにしておりまして、ことしの六月までの売却計画、大体七十一万トンということで予定をしておりますが、その半分程度の売却しか現在行われていないという状況でございます。  我々、これからこの十月末まで四カ月あるわけでございまして、何とか売り込みの努力をしていきたいと思っておりますが、いずれにせよ、政府米が計画どおり売れなかったということになりますと、その分が在庫に上乗せされるというような状況でございます。  それから、ミニマムアクセス米の関係でございますが、これも外国産米、いろいろと加工業者が使うのがふなれであるとかいうような問題などがございまして、七月までの売却実績では約八万トン程度の売却でございました。これから努力もしていかなければなりませんが、十月末の持ち越し在庫は現在予想している十万トンを相当上回るのではないかというふうに思っております。  それから、九米穀年度でございますが、これは八米穀年度の需給実績がただいま申し上げましたようにまだ完全に出ておりませんし、それから八年産米の生産量、出荷量がどうなるかというような問題もございますので、これらを見きわめながら本年十一月に策定いたします米穀の生産及び出荷の指針の中で明らかにするようにしていきたいと思っておるところでございます。
  28. 陣内孝雄

    ○陣内孝雄君 わかりましたが、もうちょっと中身を少し教えていただきたいんですけれども、今の見通しの中で主食用等の需要量はこれからも減少していくんじゃないかというふうに見通しておられるとか、あるいは加工用等の需要量はふえていくだろうということもどうも予想しておられるようですけれども、その場合はどういう用途で増加が期待できるのか。そしてもう一つは、米のミニマムアクセスは、冒頭申し上げましたように、年を追って増加していくわけでございますが、それに伴う生産調整というのは強化していく必要がないのかどうか。その辺についてお尋ねをいたしたいと思います。
  29. 高橋政行

    説明員(高橋政行君) 我々、基本計画の中で主食用等需要とそれから加工用等需要ということで分けて書いてございますが、まず主食用の需要について申し上げますと、今までの傾向からいたしますと今後とも減少が続くのではないかというふうに思っております。それで、昨年、新生産調整の推進対策を行ったわけでございますが、そのときに三年間を見通したわけでございまして、その中では需要量は毎年五万トン程度減少するのではないかというふうに見込んでいるところでございます。しかしながら、我々といたしましても、この米の消費拡大につきましては、米を中心とした日本型の食生活が栄養とか健康保持の面でもすぐれているということでございますので、国民の皆さん方にそういった理解を深めることを基本としながら普及啓発活動に努めていきたいと思っております。  それから、加工用等の需要でございますが、今後とも実需に応じまして米菓——あられ、せんべいとかいう類でございますが、米菓とかみそなどの加工用仕向けのほかに、新規加工用途もいろいろ開発していかなきゃいけないと思っておりますし、そのほか今輸入の米粉調製品、米の調製品という形で入っておりますが、これを何とか代替、これにかわって置きかえて供給をしていくことも考えたい。さらにはまた、国際機関、食糧不足国等からの要請に応じた援助輸出などにつきましても需要の確保を図ってまいりたいというふうに思っているところでございます。
  30. 高木賢

    説明員高木賢君) ミニマムアクセス米と生産調整の目標数量との関係についてのお尋ねでございます。  ことしから実施しております新生産調整推進対策において生産調整目標面積を定めておりますけれども、これは閣議了解でありますミニマムアクセス導入に伴う転作の強化は行わない、この趣旨に従いまして国産米の過剰在庫を適正備蓄水準までに縮減するという観点から算定したものでございまして、ミニマムアクセス米の導入に係る要素、こういうものは一切加味をしたものでないということでございます。
  31. 陣内孝雄

    ○陣内孝雄君 わかりました。  しかし、いずれにしても生産調整がこれから非常に大事になってくるということだと思います。  それで、そのことについてお伺いしたいと思いますが、食糧の安定供給を図る上で米の備蓄水準を適正水準に維持することは、これはもう極めて重要で、そのために生産調整を機動的、弾力的に行えるように、また生産者の協力が得やすいような、そういう生産調整方式を積極的に導入していかなければならない、こう考えるわけでございます。  そういう意味で、平成七年度から始まった調整水田については私は期待を持っているわけですが、その普及の現状、助成のあり方あるいは農水省の認識をまずお尋ねしたいと思います。
  32. 高木賢

    説明員高木賢君) 調整水田につきましては、先生からお話がありましたように、水田に水を張ることによって水稲の生産力を維持される状態に管理する方法ということで、平成七年度から新たに導入したものでございます。  ことしの実施状況を見ますと、七年度が三万二千ヘクタールというものに比べまして、六月三十日現在の計画をまとめたものでございますが、全国で六万二千ヘクタールということで、約倍増というような状況になっております。  この調整水田は、御指摘のように米の需給事情に弾力的に対応できるという調整弁としての効果を持つことはもちろんでございますが、連作障害を回避したり、水稲の生産力を維持するとか、あるいはさらには国土保全の効果も期待できるということでございますので、今後ともその効果的な活用が図られるように努力をしてまいりたいと考えております。
  33. 陣内孝雄

    ○陣内孝雄君 調整水田が生産調整の一つの方策として次第に活用されつつあるということでございますが、さらに需給調整に機動的、弾力的に取り組む上から、農家に調整水田方式をもっともっと積極的に受け入れてもらえるように、そういう中身の改善に向けた検討をお願いしてみたいと思うわけでございます。  それは二つありまして、部分調整の水田方式と全面的に一つの田んぼを調整水田に丸ごと利用する場合と両方あるわけでございますが、私は、部分調整水田につきましては全面調整水田の場合よりも少し手間暇を余計かけている分だけこれに対する転作助成を手厚くしてもいいんじゃないか、こういうふうにかねてから考え、こういう機会にも何回か申し上げたことがあるかと思います。  要は、部分的に水田の一部分に稲作をし、残りを調整水田とするようなケースの場合には、同じように田んぼを一面全体について手間とか資機材を投入せざるを得ないということで、その結果、部分調整水田方式の方が全面的な調整水田とする場合よりも管理コストが多くかかるわけでございます。したがって、そのコスト面とかあるいは良好な状況に水田を維持しようというその努力のあり方、こういうものに十分配慮していけば、部分調整水田方式に対する転作助成を先ほど申し上げましたように全面的な調整水田方式よりも手厚くするのがむしろ合理的ではないか、こういうふうに思うわけでございます。しかも、部分調整するということで非常により弾力的に生産調整率の変化に応じた協力が得やすいだろう、こういうふうに思うからでございます。  次に、一枚を丸ごと全面的に調整する水田方式、これも私は大変重要だと思います。特に、これは中山間地域での特別対策としてもっとこれを変形するといいますか、補強していってもらえないかなというふうに思うわけでございます。  レンゲなど地力増進作物による多面的機能水田として今生産調整に利用しているわけですけれども、そういう水田を引き続いて調整水田にそっくり切りかえていく、そうして複合的な生産調整方式を組み立てていく、こういう新たな検討があってほしいなと、こういうふうに思うわけでございます。中山間対策としてよくデカップリングの導入が求められておりますけれども、中山間地域での景観とか土づくり、あるいは国土保全、生産調整など多面的な効果を引き出す、こういう施策というものを新たに中山間対策として位置づけてはいかがかと思うからでございます。  いずれにしましても、適正規模を上回る備蓄米を高い管理経費をかけて倉庫で保管するよりも、水田を良好な状態に管理していつでも米の生産が可能なようにしておく調整水田の方策が食糧の安定供給上賢明な施策であろうと思うのでございます。  備蓄水準に応じて部分調整水田を増減させながら生産調整を機動的、弾力的に行うことで食糧の安定供給と農家経済の向上を図ってほしいと思います。いかがでございましょうか。これは要望にしておきましょう。いろいろ難しい検討課題が多いと思いますので、それにとどめておきます。  それから、これは質問の通告はしておりませんけれども、最近飼料穀物が大変急騰しております。トウモロコシの不作ということが原因になっておるわけでございますが、その結果、我が国の畜産農業、この飼料はもうほとんどが外国に依存しているわけでございますが、これはもう大変な打撃を受けて立ち行きできなくなっておる。ひいては消費者にも迷惑をかけるような状況が来かねないということでございます。  農林省としてこの点についてどういう受けとめ方をして、どういう対策を考えようとしておられるのか、ちょっとお聞かせ願いたい。突然ですが、済みません、お願いします。
  34. 熊澤英昭

    説明員(熊澤英昭君) お答え申し上げます。  先生指摘のとおり、昨年の米国のトウモロコシが大変不作でございまして、このためにシカゴのトウモロコシ相場がブッシェル当たり五ドルを超えるというような水準まで高騰を見たわけでございます。このため、国内の配合飼料の価格は昨年の十月以降四度にわたって値上げとなっておりまして、トン当たり一万円程度値上げとなったわけでございますけれども、これに対しましては民間の配合飼料価格の安定基金がございます。それと国が二分の一の助成をいたしております配合飼料価格の安定機構がございます。この両基金からの補てんによりまして農家段階での負担増というのは四千円強にとどめたというところでございます。これが一つの対策でございます。  それからさらに、物流面で九月から十月にかけまして端境期が来るわけでございますけれども、その間、アメリカのトウモロコシの在庫率が大変低くなっておりますので物流面で滞るという可能性もございます。このため、私ども政府で現在トウモロコシ八十万トン、それから大麦を四十万トン備蓄を保有しておりますので、この備蓄の活用によりまして物流面での手当ては確保してまいりたいというふうに考えております。  なお、本年産の米国のトウモロコシの状況でございますけれども、八月時点で、米国の農務省が公表いたしました数字では作付面積で約一二%増加をいたしております。また、これまでの生育状況が比較的順調に推移しているということで、大体二億二千万程度の収量を米国農務省は見ておりますが、最近では、民間の予測機関、アナリストのレポートでは、米国の農務省よりもやや強目、多少多目の収穫予想も出ておりますので、これまでのところ本年産のトウモロコシの作柄については順調と見てよいかと思います。  今後心配されるのは早霜が来ることでございますが、これまでで見る限り生育は順調というふうに見られております。このため、シカゴのトウモロコシ相場、一時五ドルを超えた水準が現在三ドル五十セント程度で推移をしているという状況で、このところやや落ちつきを見せているということだと思いますので、今後の国内の配合飼料価格についてもやや落ちついてくるだろうというふうに見ているところでございます。
  35. 陣内孝雄

    ○陣内孝雄君 重大な問題でございますので、今後とも対応についてはひとつよろしくお願いします。  今のお話を聞いても感ずるんですが、これが穀物飼料じゃなくてもし米であったらどうだったろうか、これから先食糧が人口問題とともに大事な時期になりますので、ひとつ十分それぞれの事態で対応のよろしきをお願いしておきたいと思います。  次に、ちょっと時間がなくなってまいりましたので大変申しわけございませんが、実は私、水稲の湛水直播をずっと農林省にいろいろノウハウを教えていただいて普及実現に努めているわけでございますが、その際にいろいろと感ずること、あるいはまたその推進に必要なジャンボタニシ対策についていよいよ農林省でも取り上げていただくようになったことについてお伺いしたがったんですが、ちょっとそれは申しわけございません、割愛させていただきます。  それから、中核農家に農地を流動化していかなければ、そういう構造改善をしていかなければこれからの農業の再建というのは難しいわけでございます。そういう際に農地の出し手に協力していただくということが大事になってまいりますが、特に離農者に対する雇用の場が農村に十分ないということがその隘路になっていると思います。最近、農村工業導入に対して農林省はどういう取り組みをされておるのか、お伺いしたいと思います。
  36. 野中和雄

    説明員(野中和雄君) 農村地域への工業等の導入でございますが、農村地域工業等導入促進法に基づきまして、農村地域におきます就業機会の確保あるいは地域の活性化、そして農業構造の改善に寄与するということを目的といたしまして、工業用地等の取得、造成あるいは立地企業の設備等の導入に対しまして低利融資あるいは各種の税制上の特例措置を講じまして、私どもといたしましても積極的に推進をしているところでございます。  この結果、成果でございますが、現在では全国約千二百の市町村におきまして農工の実施計画が策定をされまして、約七千五百社が立地をいたしております。そして約四十八万人の雇用が創出をされておりまして、このうち農家世帯員からの雇用者が約十五万人ということでございますので、こういう工業等の導入されております地域では安定的な就業機会が確保されたことによりまして農地の流動化等の農業構造の改善も他の地域に比べれば相対的に進んでいるというような状況でございます。  しかしながら、近年、御承知のとおり農村地域への工業の立地状況につきましても、海外の立地との競合あるいは企業の立地ニーズの多様化といったようなことで大きく変化をしている状況でございます。こういう状況を踏まえまして、ことしの六月に新しい農村工業等導入基本方針というのを策定、公表いたしまして、域内の企業の交流の活発化等によりまして内発型の産業の育成等を進めるというようなことで、そういう方針を決めて進めることにしたところでございます。  今後とも、この新しい基本方針に即しまして、農村地域への工業等の導入、先生お話しのとおり一層推進をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  37. 陣内孝雄

    ○陣内孝雄君 時間がなくなりましたので、最後に要望だけさせていただきます。  農地の出し手となる離農者に土地改良負担金の返済をもっと軽減することで農地の流動化がより進むのではないかと私は見ております。このところ認定農家は着実にふえてきておりますが、肝心の農地の集積はというと余り進んでいないのが実態でございます。この解決のために誘導政策が必要だと私は思うわけでございます。  佐賀県では、認定農家に農地を貸し出す農家の土地改良事業の年償還額を軽減するために、年償還額の二割を助成する農地流動化負担金助成事業というのを平成七年度から始めております。他県でも類似の施策が行われているんじゃないかと思うわけでございますが、この施策は国の実施として取り上げてもらいたいと考えます。佐賀県の場合は、その上でさらにまた上乗せをしてこの負担を軽減していかなければならないといういろんな難しい問題を考えておりますが、そういう意味では、地方と国が十分連携をしながら役割を分担するという意味でお願いをしているわけでございます。  時間が来ましたので、このことをひとつ今後の施策の中で取り上げていただくように強くお願いして、質問を終わります。ありがとうございました。
  38. 岩井國臣

    ○岩井國臣君 過疎過密の問題、つまり地域格差の是正という問題は古くて新しい問題であるかと存じます。  私たちは、全国のどこに住んでもそれなりに生き生きと暮らしていけなければならないと思いますし、そういう意味で国土の均衡ある発展というものが考えられなければなりません。と同時に、国土の均衡ある発展というものは、地震や水害等の大規模災害、あるいは世界における食糧危機といった非常事態におきます危機管理というものを考えたときに、国としてまことに重要かつ基本的な課題かと存じます。  したがいまして、国土の均衡ある発展という課題につきましては、私は、政治においてもそうでありますけれども行政においてももっと真剣に取り組まなければならないのではなかろうかというふうに思っております。かかる観点から、本日は過疎対策と沖縄の振興策という問題を取り上げたいと思います。  地域振興のための法律でございますけれども、過疎地域活性化特別措置法のほかに半島振興法、山村振興法、豪雪地帯対策特別措置法、離島振興法と多くの法律があるわけでございます。これらの法律に基づきまして行われる対策、正式には特定地域振興対策と言うんだそうでありますけれども、これらの地域は全部いわゆる過疎地域であるわけでございまして、私が過疎対策と言うときは、厳密な意味での過疎対策、つまり過疎地域活性化特別措置法に基づく対策のほかに、先ほど言いましたもろもろの法律に基づきます特定地域振興対策全体のことを言っている場合がございますので、その点お含みおきいただきたいと存じます。  今まで行われてきました過疎対策につきましては、後ほど取り上げますように決して問題なしとは言いませんが、国土庁では今まで一生懸命取り組んできておられるかと存じます。私はそれなりに評価をしております。それに比べまして、沖縄開発庁は過疎対策にどう取り組んできておられたのか。私にはその辺が余りよく見えないものですから、そこで、まず沖縄開発庁に過疎対策について質問させていただきたいと思います。  沖縄には過疎地域があるわけでありまして、沖縄の過疎地域の振興、つまり過疎対策というものは当然沖縄開発庁の所管事項になっているわけです。  沖縄開発庁としては、平成六年度においてどんな過疎対策を行われたのか、その点の御説明をお願いしたいと思います。特に、過疎地域滞在施設整備モデル事業というのがあるわけですけれども、その実施状況について教えていただきたいと思います。
  39. 嘉手川勇

    説明員嘉手川勇君) 御答弁を申し上げます。  沖縄県におきましては、五十三市町村ございます。この五十三のうち、沖縄本島北部地域の五町村と離島の十七町村の合計二十二町村がいわゆる過疎法に基づく過疎地域の指定を受けておるところでございます。  沖縄県は有数な離島県でございまして、この離島や本島の一部の過疎地域は地理的にも自然的な条件によりいろいろな制約を受けているわけでございます。また、若年人口の減少や高齢化の進展など多くの問題を抱えているところでございます。  このため、沖縄開発庁といたしましては、第三次沖縄振興開発計画に基づきまして、県土の均衡ある発展を図るため、離島・過疎地域につきまして、道路、空港、港湾などの交通・通信体系の整備を初め、水資源の開発や国土の保全、生活環境施設や教育文化施設の整備、保健、医療、福祉の確保など各種基盤の整備や施策の推進に努めてまいったところでございます。  具体的に申しますと、平成六年度におきましては、久米島空港の整備、竹富町、今帰仁村の中山間地域農村活性化総合整備事業の推進、南大東漁港の整備、座間味村の慶留間−阿嘉線、これは離島架橋の問題でございますが、この阿嘉橋の整備、仲里村などの特定環境保全公共下水道の整備、無医地区医師派遣事業の実施などを推進してまいりました。さらに、離島における観光レクリエーションの推進に資するため、沖縄コミュニティ・アイランド事業も実施しているところでございます。  今後とも、こうした地域の振興には特に配慮し、魅力と活力のある地域社会の形成に努力してまいるつもりでおります。
  40. 岩井國臣

    ○岩井國臣君 私の質問にお答えになっていない部分がございます。過疎地域滞在施設整備モデル事業のことをお聞きしたんですけれども、これやっていないわけであります。おやりになっていないということでちょっとお答えがなかったんじゃないかと思いますが、結構でございます。  次に、農林水産省にお伺いしたいと思います。  農林水産省は、中山問地域対策のモデル事業といたしまして、農村体験施設とか都市と農村との交流施設なんかをおつくりになっておられますね。しかし、そういった施設をうまく管理できる有能な人材が見つからずに困っているというケースが何か結構多いようでございます。私の耳にも随分入るわけでございますが、その点、農林水産省の御所見をお伺いしたいと思います。
  41. 野中和雄

    説明員(野中和雄君) 中山間地域の活性化を図りますために、最近特にこういう交流施設、体験施設などの整備、非常に要望が多うございまして、こういう整備を推進しているところでございます。こういうような施設の整備に当たりましては、確かに先生指摘のとおり、この施設管理運営ということが極めて重要であるというふうに私どもも考えております。  したがいまして、事業申請の段階で施設管理運営計画を作成する、あるいは事業実施後におきまして達成状況の報告をきちっと求めるというようなことで施設の適切かつ効率的な管理運営に努めているということでございます。  また、こういう施設を通じました地域の活性化を図っていきますためには、地域おこしを担います人材の育成でございますとか、あるいは農協や地元観光協会などの関係機関協力体制の整備が重要であるというふうに考えているわけでございまして、この点につきまして各種の優良事例を収集整理いたしまして提供いたしますほかに、平成八年度からは新しい事業といたしまして、流通加工なりマーケティング等の幅広い分野の専門家を地域おこしマイスターということで県段階で登録をいたしまして、中山間地域に派遣をすることによりまして地域の活性化と人材の育成を支援する事業を新たに起こすことにしたところでございます。  こういう交流施設等を核にした地域の活性化ということを図る市町村が近年非常にふえておるわけでございまして、今後ともこういう事業を活用しながら人材の育成に努めますとともに、先生指摘のような施設の効率的な管理運営を指導してまいりたいというふうに考えております。
  42. 岩井國臣

    ○岩井國臣君 せっかくいい施策を講じてもそれがうまく運営されていかない、余り利用されないということではやっぱりいかぬわけでありますから、その点ひとつしっかりやっていただきたいと思います。  実は、農林水産省の中山間地対策だけじゃなくて過疎対策、国土庁あるいは自治省その他いろいろ行われておるわけであります。いろんなモデル事業、数え切れないぐらいいっぱいあるかと思うのでございますけれども、その中で特に箱物の事業につきましては、管理運営上の問題等から利用効率が極端に低いものがあるようでございます。  この点につきましてどういうふうに見ておられるのか、会計検査院の御所見をお伺いしたい。また、私が申し上げました極端に利用効率の低いものが多いという観点から、今後特別検査をするお考えはございませんでしょうか。
  43. 小川光吉

    説明員(小川光吉君) お答え申し上げます。  会計検査院におきましては、検査に当たりまして、経済性や効率性の観点はもとよりでございますけれども、いわゆる貴重な財政資金が有効に活用されているかどうかという有効性の観点でも検査をしてまいっております。  先生指摘の地理的な条件などから高齢化、過疎化が進行しているような地域におきまして、農林水産省初め各省で地域の活性化を図るためさまざまな事業を実施しておられます。これらの施設につきましては、都市住民との交流施設など、いわゆる箱物があるわけでございますけれども、会計検査院におきましても、箱物の計画の適否はもとより、その後の管理運営、利用状況などもチェックして、施設が有効に利用されているかどうかの検査を行ってきております。  実際に箱物に関しましては、農林水産省に関する事例といたしまして、昭和五十四年度の決算検査報告で、農村地域における集会施設あるいは多目的な研修施設などの生活環境施設を設置する事業につきまして、建設費の単価が多少高いのではないかとかあるいは施設の規模が大きいのではないかとか、そういうような観点で改善の意見を表示したものがございます。  それからまた、翌年の五十五年度検査報告におきまして、農山漁村の地域特性に即しました施設整備等を行います自然休養村整備事業というものがございますけれども、これにつきまして事業計画の策定、施設利用管理運営状況などに問題がありまして、事業効果が十分発現されていないということから是正改善の処置を要求したという過去の事例もございます。  つきましては、こういう事情も踏まえまして、先生指摘のいわゆる過疎対策として設置されました各種施設が有効に利用されているかという点につきましては、質問の趣旨を体して、今後とも検査に当たりましては強い関心を持って十分に対処していく所存でございます。
  44. 岩井國臣

    ○岩井國臣君 もちろん大変うまくいっている例も多いわけでございまして、私が申し上げましたのはごく一部かもわかりませんけれども、結構あるということで、行政機関というのは会計検査院から注意されるのが一番痛いわけでございまして、ひとつしっかり目を光らせていただきたいなと思うわけであります。  さて、狭義の意味の過疎対策は過疎地域活性化特別措置法に基づいて行われるわけでございますが、この法律では、都道府県知事が過疎地域活性化方針というものをつくりまして、その方針に基づいて市町村計画をつくるということになっているわけであります。  しかし、そこが大問題だと思います。知事の意向といいますか、都道府県の一般的な意向というものが市町村レベルの施策に反映するという仕組みになっておりまして、そこが私は大問題だというふうに思うわけであります。実効ある過疎対策とするためには、市町村が自由に発想して自由に資金を使えるようにしないとだめだと思うんですね。  竹下内閣のときに、ふるさと創生の一億円というのがございました。あれはあれでいろいろ批判もないわけではないと思いますが、市町村が自由に発想して、そして自由に資金を使えるという面で過疎地域はあれで結構元気が出始めた、そういうことがございました。過疎地域の活性化というものは地域の人が元気を出すところから始めなければならない、市町村の自主的な取り組みから始めなければならないと思います。国や都道府県は、金は出すけれども余り口は出さないというのがいいのではなかろうかと思うんですね。  ですから、過疎地域の活性化を図るためには過疎地域活性化特別措置法を今直ちに廃止するのが一番いいという意見もあるぐらいなんです。そうもいかないと思いますけれども、私は中をとりまして一つ妥協案を提案しておきたいと思います。  都道府県知事のつくる過疎地域活性化方針でございますけれども、恐らく過疎地域全般におきます平均的な地域を念頭に置いたものにならざるを得ないわけであります。そんな平均的なもので地域を指導するということが根本的に間違っているのではなかろうか、こんなふうに思うわけであります。知事のつくる方針というのは、市町村長の意見を聞いた上で市町村ごとにつくるようにしないとだめではないか、全県的な平均的なそんな方針でそれぞれの地域を指導していったのではだめじゃないか、こんなふうに思うわけでございます。  国土庁の御所見をお伺いしたいと思います。都道府県知事のつくる方針が市町村ごとにつくられれば、それは地域の特性とか実情というものを色濃く反映したものになるように思います。いかがでしょうか。
  45. 鈴木正明

    説明員鈴木正明君) お話しのように、現在の特別措置法の体系ですと県知事が地域の活性化の基本方針を定めると、こういうことになっておりまして、それに基づいてそれぞれの市町村地域の実情を踏まえて計画をつくる、こういう体系になっております。お話しのように、やはり地元市町村の主体性というものを尊重するということが大事であろうと思います。  それで、基本方針では、活性化の基本的な考え方、方針、事項について定めるということで、それぞれの地域ごと、市町村ごとに計画をつくる、その計画をつくるときには県と市町村とで協議をして定めると、こういうことになっておりますので、その計画の中にそれぞれの過疎市町村の特性とか実情というのが十分反映されていく、それからそれに基づいて実行されていくということが必要ではないかと思います。  なお、事業実施の過程においてやはり新たな事業も必要になってくるということもありますので、その際には計画を変更していただくということになりますと、県と市町村で御相談いただいて計画を変更して新たな事業にも対応していく、こういうことが必要なのではないかと思うわけでございまして、いずれにしても県と市町村とで十分連絡をとって地域の実情に合った過疎対策を進めていくことが重要なのではないかと考えております。
  46. 岩井國臣

    ○岩井國臣君 十分連絡をとるというところがちょっと、言葉としてはそういうことかもわかりませんが、要するに都道府県の市町村に対するコントロールがかなり強いんですよ。それで市町村が自主的にやりたいことがなかなかやれない。県の知事というわけじゃないですよ、やっぱり担当者なんですよ。担当者の了解を得られなければだめですからね、というふうなことが結構あるようでございますので、私は、そういうことで県のトータル的な方針じゃなくて地域特性を踏まえた、あるいはそれぞれの地域の実情を踏まえたきめの細かい方針というものが、もちろん市町村長の意見を聞いた上で必要じゃないかと思っておるわけでございまして、その点もう一度お答えをいただけませんか。
  47. 鈴木正明

    説明員鈴木正明君) 過疎対策を進めていく上では、先生指摘のようにやっぱり地域の実情というものを踏まえる必要がある、その際に市町村の主体性というものを尊重していく必要があるということで、基本方針は、基本的な考え方は県の方でおつくりになるわけですが、それに基づいて各市町村ごとに計画というものをつくります。その計画をつくるに当たっては、市町村の主体性のもとに県と協議をしてつくるという形になりますので、今十分その点についてはきめ細かい配慮をして、市町村の実情というものが反映されるような計画にして、それが実行されるように私どもも配慮してまいりたいと考えております。
  48. 岩井國臣

    ○岩井國臣君 ちょっと不満でございますが、要はその県の平均的というか、例えば平地の多いような地域を念頭に置いた方針で中山間地というか山村地域を指導できないわけですよね。そうなると、平地を念頭に置いた方針が逆に山村地域の過疎対策の活性化の邪魔になるという、ですからやりたいことがなかなかやれないというふうなことがあるようでございますので、ひとつその辺よく御検討をいただければと思います。  さて、二十一世紀におきます、ちょっとオーバーですけれども、世界の大事なキーワードとして共生とかコミュニケーションとか連携というようなことを実は私は書っておるわけです、いろんなところで。だから、国づくり、地域づくりの面でもそんなことを実は言っておるわけであります。そういったコミュニケーションとか連携というようなことで大事なことは、ともかく相手の立場になって考えるということがこれは基本なんです、それが哲学なんですね。  今、沖縄問題が大問題になっておるわけですが、この際大事なことは、当然国は沖縄の立場になって考える、沖縄も国の立場に立って考える、そういうことだろうと思います。国としてやるべきことはちゃんとやってきておるのか。米軍基地縮小の問題が現下の最も大事な問題かもしれませんけれども、その問題はちょっと横に置きまして、沖縄の振興策という立場で国はちゃんとやってきておるのかというようなことを少し議論したい、問題にしたいと思うわけでございます。  沖縄振興開発特別措置法というのがあるわけでございまして、沖縄開発庁はその沖縄振興開発特別措置法に基づいていろんな施策を展開してきておられる。今まで国として行ってまいりました沖縄の振興策に果たして問題はないのかあるのか、その点に焦点を絞ってまず質問したいと思います。  沖縄振興開発特別措置法に基づきまして、今まで国はどのような成果を上げてきたと考えればいいのか、その辺をひとつ教えていただきたい。大臣、いかがでしょうか。
  49. 岡部三郎

    国務大臣(岡部三郎君) 沖縄が本土に復帰いたしましたのは昭和四十七年でございますが、これ以来、今お話がありました沖縄振興開発計画というものを立てまして、これに基づいて諸施策を実施してきたわけでありまして、沖縄振興開発事業費の本年すなわち平成八年までの二十五年間に投資をいたしました額の累計は四兆九千六百億円、約五兆円ということでございます。  この結果、道路、空港、港湾等の交通・通信施設あるいは上下水道等の生活環境施設の整備などが着実に行われまして、施設面での本土との格差は次第に縮小してきたということでございます。  例えば道路について申し上げますと、面積当たりの道路延長というものは、これは本土を一〇〇といたしますとへ既に沖縄は一〇七・一ということになっておるわけです。ただ、人口当たりにいたしますとまだ六三・八%、あるいは自動車一台当たりにしますと六一・七%ということで、確かに道路の延長はたくさんあるんだけれども、人口や自動車に比べるとまだまだ整備が不十分だと言えると思います。  住宅についても申し上げますと、例えば世帯当たりの住宅の数は一〇〇・九%、本土並みに達成されているんですが、問題は中身でありまして、質的にはまだ六割程度ということになっておるわけでありますので、引き続きこういった基盤整備をさらに進めていかなければならないという状況にあると思います。  同時に、やはり沖縄の一番の問題は、そうやって基盤整備が相当進んではおりますけれども、なおかつ県民一人当たりの所得水準は全国四十七都道府県中の最低だと、それから失業率も全国平均の二倍ぐらいになっているというところにあるわけであります。  その原因は何かということを考えてみますと、一つは今言いました基盤整備のおくれ、どうしてもこれはタイムラグがありますから、その効果がまだ十分にあらわれないということもあります。  同時に、基地の問題は置いてとおっしゃいましたが、やっぱり基地の問題を考えずして沖縄問題は論じられないということであります。沖縄本島について言えば、米軍の施設・区域が全体の二割を占めている。しかも平場の、町の真ん中にそういう施設があるというようなことがやっぱり大きな原因になっておるわけでありますので、この米軍施設・区域の整理、統合、縮小ということは、これは沖縄の振興のためにも欠かすことのできない重要な課題であるというように考えておりますし、ただ縮小するだけじゃだめなんで、やっぱり縮小して返された基地の跡地をどのように有効に利用して沖縄の経済の発展なり生活の向上のために利用することができるか、これが我々に課せられたこれからの大きな課題であるというふうに考えております。
  50. 野沢太三

    委員長野沢太三君) ちょっと速記をとめてください。    〔速記中止
  51. 野沢太三

    委員長野沢太三君) 速記を起こして。
  52. 岩井國臣

    ○岩井國臣君 冒頭に、沖縄における過疎対策、例えば平成六年度にどんなことが行われたかというのを実はお聞きしたわけです。余りしっかりやっておられるという感じはしないんですね。国土庁でありますとかあるいは農林水産省でありますとかほかの省庁は、結構時代の流れを見ながら新しい事業の展開あるいはモデル事業とかいろいろなことをやっておられるんです。例えば、ふるさとCアンドCモデル事業とか高齢者コミュニティセンター建設事業とか、過疎地域集落再編整備事業とか山村都市交流環境総合整備モデル事業とか、いろいろやっておられるわけです。  沖縄は、その後一部やっておられるのもあるんですけれども平成六年度の時点でぱっと見ますと、今言いましたようなことを全くやっておられないわけです。道路でありますとか上下水道でありますとか、水資源開発でありますとか港湾でありますとか、不十分な面はまだまだあると思うんです。まあまあやってきておられるのかなと、私はそんな感じがしておるんですけれども時代の流れを先取りしていくような新しいタイプの事業というのはほとんどやっておられないんじゃなかろうかなと。  そのこと自体がちょっと問題というよりもなぜそうなっていくのか、その原因ですよ。これは大臣の答弁は要らないんですけれども、原因いろいろあると思いますのでよくお考えいただきたい。  私も長い間行政におりましたんですけれども沖縄開発庁は出向者が多いわけでありまして、大蔵省でありますとか農林水産省でありますとか建設省でありますとか、親元というのはちよりとおかしいですけれども、その各省の圧力、そんなに圧力があるわけじゃありませんが、各省を超えた形での思い切ったことをなかなかやりにくいということが本質にあるんじゃないか。ですから、大臣、政務次官の上からの強力な指導というものがやはり必要ではないかなと、そんなふうに私自身は思っております。答弁は結構でございますが、ひとつその辺、御検討いただければと思うわけでございます。  さて、沖縄にはフリー・トレード・ゾーンという立派な制度があるわけでございます。しかし、本土からの企業でありますとか外国の企業の立地というのが、ゼロじゃないですけれどもほとんどない。したがって、必ずしもそのフリー・トレード・ゾーンの効果が発揮されていないようでございます。これもその原因はどこにあるのか、こういうことであります。  沖縄のフリー・トレード・ゾーンというのは関税法で言うところの保税制度が基本になっているわけですね。もちろん、若干の税制上の優遇措置とか金融上の優遇措置が組み合わされてはおるわけでありますが、関税法で言うところの保税制度が基本になっている。だけれども、保税制度というのは何も沖縄だけじゃなくて全国幾つかあるわけであります。だから、特別という感じはしない。それから、税制上の優遇措置とか金融上の優遇措置も、同じものじゃないですけれども、やっぱり優遇措置というのはいろいろな角度から全国にあるわけであります。  したがいまして、沖縄に対する特別な配慮というふうな感じは全くしないわけじゃないんですけれども、要するに効果が上がっていないということとあわせて考えますと、ほとんど余り配慮されていないんじゃないかなという感じがするわけであります。特に基地問題、沖縄の犠牲というものを考えたときに、私は、フリー・トレード・ゾーンについてその配慮の仕方が全く足らない、そんなふうに思うわけであります。  沖縄では観光産業がずっと伸びてきていますね。ここ数年ずっと伸びてきておりますが、他の産業は全くだめなんです。私が問題にしたいのは、観光産業が本土復帰の昭和四十七年以降ずっと伸びてきている、急速に伸びてきておる。にもかかわらず完全失業率が本土の倍もある、あるいは県民所得が本土平均の七五%しかない、全国最下位だと、観光がずっと伸びているにもかかわらず、そういう状況にある。そこがやはりちょっと問題ではなかろうかなと思うわけであります。  観光産業はこれからも伸びていくと思います。伸びていくと思いますが、製造業がやはり伸びない限り、これから完全失業率だとか所得格差が改善されないのではなかろうか、全くそういう見込みが立たないのではなかろうか、こんなふうに思うわけでございます。私は、基地が縮小されようがされまいが、国土の均衡ある発展という観点から考えても、やはり沖縄には思い切った産業振興策というものが必要じゃなかろうかと思います。沖縄の犠牲というものを考えればなおさらのことだと、こんなふうに思います。  したがいまして、フリー・トレード・ゾーンの拡充強化というものはもう既に昨日の閣議でも方向が出されたようでございますが、やはり沖縄開発庁が今後政策協議会の中で中心になって関係各省に強力に働きかけていくということがないといけないと思いますので、そういう観点からフリー・トレード・ゾーンにつきまして大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  53. 岡部三郎

    国務大臣(岡部三郎君) 私も岩井先生と全く同じ見解でして、観光業というのは即効性は確かにあります。今失業者が非常に、特に若年失業者が多い。この対策としてまず観光業の振興をもっとやらなきゃいかぬと思っておりますが、やはり基本的には製造業をふやしていかなきゃいかぬ。  その一つの手段としてフリー・トレード・ゾーンがあるわけでありますが、これについては、昭和六十二年から始まったんですが、いろいろ問題がある。四つぐらい今私は問題を抱えておるわけでありますが、一つは税制の問題、それからもう一つはIQの問題。さらに、場所が狭いんですね、今空港のすぐそばで。周りがそれこそ米軍の施設・区域ですから、広げられない。それからまた、ほかの地域にこれをそれじゃ移したらどうかという土地の問題、それからもう一つは事業主体、運営の問題、こういう四つの問題がありまして、今県からもいろいろな要望が出ておりますので、開発庁が中心になりましてこの検討を鋭意進めておるところであります。  時間がありませんので詳しいことは答弁できませんが、そういうことで御了解願いたいと思います。
  54. 岩井國臣

    ○岩井國臣君 終わります。
  55. 野沢太三

    委員長野沢太三君) 速記をとめて。    〔速記中止
  56. 野沢太三

    委員長野沢太三君) 速記を起こして。  午前の審査はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十四分休憩    午後一時一分開会
  57. 野沢太三

    委員長野沢太三君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、平成六年度決算外二件を議題とし、大蔵省農林水産省北海道開発庁沖縄開発庁国土庁国民金融公庫農林漁業金融公庫北海道東北開発公庫沖縄振興開発金融公庫日本開発銀行及び日本輸出入銀行決算について審査を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  58. 星野朋市

    ○星野朋市君 沖縄開発庁にお尋ねをいたします。  昨年、沖縄選出の衆議院議員を中心としていわゆる軍転法というのが成立をいたしましたけれども、現在までにこの軍転法の適用例がございますでしょうか。
  59. 嘉手川勇

    説明員嘉手川勇君) 御答弁申し上げます。  沖縄県における駐留軍用地の返還に伴う特別措置に関する法律、この第八条に基づく返還給付金でございますが、これの支給事務は防衛施設庁が担当いたしておりますけれども、防衛施設庁から伺ったところによりますと、現時点での支給実績はまだないということでございます。  なお、駐留軍用地返還特別措置法の五条に基づきます所有者等への返還の見通しの通知、同法第六条に基づく返還に係る区域、返還の予定時期等を定める返還実施計画の策定については既に同法に基づき実施されていると聞いております。
  60. 星野朋市

    ○星野朋市君 適用がまだないということでございますけれども、その適用がないというのはいろいろあるわけです。申請がまだないのか、それから期限がまだそれだけたっていないのか。申請がないのか期限がたっていないのか、そういうこともあるわけですよ。そういう内容についてわかったら教えていただきたい。
  61. 嘉手川勇

    説明員嘉手川勇君) ただいま先生指摘の点についてでございますが、実はこの八条に関係する事務の所掌を沖縄開発庁は担当いたしておりませんので、確たることを御答弁することができないことをお許しいただきたいと存じます。
  62. 星野朋市

    ○星野朋市君 それはおかしいんで、私は事前通告してあるわけです。だから、自分のところの管掌でないならば当然聞いてくるべきだと私は思うんですけれども、いかがですか。
  63. 嘉手川勇

    説明員嘉手川勇君) この八条の適用に関しましては、昨年十一月に返還された恩納通信所というのがあるそうでございまして、これが初めての返還給付金の対象施設となるというふうに聞いております。  この返還給付金の申請は、返還後一年を経過した後から開始されるということでございまして、したがいまして、現時点においてはまだその適用事例なしというふうに聞いております。
  64. 星野朋市

    ○星野朋市君 そういうことだろうと思うんですね。  問題は、この軍転法の場合は比較的小規模な土地であります。ですから、跡の開発がなかなか決まらないということでこういう法律ができたわけですけれども、今、逆に普天間基地の返還ということが大体五年から七年ということでめどがついた。今まで沖縄県、それから国を挙げて基地の返還というものを求めておったわけでありますから、この普天間基地の返還について、返還後は当然沖縄開発庁の所管事項になるべき問題だと思います。  この普天間基地の返還に伴うシミュレーションというものを開発庁はやっておりますか、どうでしょうか。また、この普天間基地が返還されたときに、その開発計画の主体となる所管の自治体といいますか、多分これは宜野湾市、それから沖縄県庁になると思いますけれども、それに沖縄開発庁がどういうふうに関与していくのかということをお尋ねしたいと思います。
  65. 嘉手川勇

    説明員嘉手川勇君) 沖縄開発庁の基本的な立場といたしましては、県や地元宜野湾市の要望なり、あるいはこの地元に対する指導、助言というものも行って跡地利用に努めたいというのが基本的な姿勢でございます。  現在、地元宜野湾市におきましては、平成七年五月に「アジアの国際交流拠点・宜野湾」というテーマで普天間飛行場の跡地利用計画の基本構想を策定しております。現在、宜野湾市におきまして、沖縄県職員も構成員として参加する策定委員会を設置し、跡地利用計画を策定中だというふうに承知いたしております。  また、一方において沖縄県は、国際都市形成構想、これは素案でございますが、この国際都市形成構想に基づきまして沖縄県の中南部都市圏全域にわたってのマスタープランを策定中でございます。  私どもといたしましては、県や地元とよく相談をいたしまして、できるだけ速やかに跡地の利用計画を策定していただくというのが基本的な考え方でございまして、その策定に当たりまして、沖縄総合事務局を中心といたしまして積極的に指導、助言、また協力をしてまいりたい、このように考えております。
  66. 星野朋市

    ○星野朋市君 けさも開発庁長官から自民党議員に対する御答弁の中に、現在まで沖縄に投じた費用は約五兆円であるというようなお話がございました。実際、窓口は開発庁が中心になってやってきたわけですね。今度も、やはりこれだけ大規模なものの開発ということになると、それは宜野湾市それから沖縄県庁が主体ではあるけれども、それに任せておくというわけにはいかないと思いますね。相当沖縄開発庁がこれに関与するんだろうと思うんですが、長官、どう御見解をお持ちでしょうか。
  67. 岡部三郎

    国務大臣(岡部三郎君) おっしゃいますとおりに、この基地の跡地利用、これについては開発庁が中心になって予算要求その他をこれからやっていかなきゃいかぬわけであります。  それに先立ちまして、今、総務局長からも話がありましたように、まず跡地利用といっても白地に絵をかくようにはなかなかいかないので、やはりそこには地主さんがおられるわけでありますし、地元市町村もおられるわけでありますから、まずその地元中心になってしっかりした土地利用計画を立てていただくということが基本であると思います。その段階で県なり開発庁は当然さまざまな助言を申し上げたり御支援をするということで、その利用計画が立ちました後は、それに基づいて既存のさまざまな制度を活用して最も地元に有利になるような形で事業をやっていく。例えば市街地として利用するならば区画整理事業というものを適用する、あるいは農地として利用するなら圃場整備事業を適用する、そういう事業を適用することによって最も有効な活用ができるように進めてまいりたいというふうに考えております。
  68. 星野朋市

    ○星野朋市君 ここ一連の政府と沖縄県との間の折衝でいろんなことが決まったのは結構なことなんですが、多分それを見越して各省庁の来年度の予算の中に、泥縄的と言っちゃまことに失礼な話ですけれども、沖縄県に関するいろんな要望と予算措置が講ぜられるように私は感じておるんですね。一例を挙げて申しますと、労働省の来年度の予算要求の中に、地元地域の特産品、これを対象とした若年者の労働雇用対策に一億二千万円という要求をしている。こんなことは今さら労働省がやることじゃない。既にそういうことは沖縄開発庁の、振興局の仕事の一部として当然考えなくちゃならないわけです。  先ほどからも沖縄振興に関して製造業の問題だとかいろいろな話が出ていますけれども、なかなかそれが実らなかったという地域的な問題、それから後からちょっと触れますけれども水の問題だとか、いろんな制約があるんですね。今さらそこに政府のほかの省庁がそういうものを予算要求してくるなんということ、これは各省とも多分出してくると思うんですね。そうすると、開発庁というのがあって、屋上屋を重ねるようなことになりはしないかと私は心配しておりますけれども長官、どうお考えですか。
  69. 岡部三郎

    国務大臣(岡部三郎君) 沖縄開発庁は設置法に基づきまして沖縄振興開発計画に基づく諸事業の実施をするのが仕事でございまして、それ以外のことは、当然これは沖縄振興のために必要な事柄がいろいろあろうと思いますが、各省庁が実施をする。その総合調整は、当然予算編成の段階で調整がされるというふうに考えております。
  70. 星野朋市

    ○星野朋市君 今ちょっと触れましたけれども、沖縄に関しては一番主要な問題の一つに水資源の問題がございます。幸いなことにここ三年ばかり非常に雨の降りぐあいがよくて沖縄に水の心配はなく、逆に関東地方に給水制限なんというのが起こったわけですけれども、沖縄の水資源というのは、特に本島について言うと、国頭村という沖縄の北の方の山岳地帯、ここに水源を持ってはるばると南まで導水路で持ってきて使っているというのが実情であります。  海外で成功した海水の淡水化プラントというのが沖縄で初めて四万トン規模でつくられました。昨年から稼働していると思いますけれども、これの現状について、開発庁お聞かせ願いたい。
  71. 牧隆壽

    説明員(牧隆壽君) 海水淡水化プラントについて御質問でございます。  先生指摘のように、沖縄における水資源の確保というのは住民生活の安定あるいは産業の振興に大変重要でございます。復帰後、人口は非常に増加しておりますし、経済も復帰前に比べまして発展しておりますし、また観光客が非常に増加しております。そのようなことから、安定的な水資源を確保するということは大事なことでございまして、ダムによりましてこれまでずっと水を確保してきたわけでございますが、先ほど先生お話がありましたように、平成二、三、四年の年度においてはたびたび渇水に見舞われました。そういうことから、多角的に水源を確保するということから、初めての大規模な海水淡水化プラントの建設に平成五年度着手いたしました。  その状況でございますが、平成八年二月から海水淡水化プラントの稼働を始めまして、八月現在では二万五千トンを既に供給しております。現在、建設はまだ進んでおりまして、全工程を終了します平成九年度当初から日量四万トンで供給能力をフル稼働する予定でございます。
  72. 星野朋市

    ○星野朋市君 四万トンフル稼働すると、沖縄の一日の消費量のどのぐらいの割合になりますか。
  73. 牧隆壽

    説明員(牧隆壽君) 現在、沖縄県の企業局が供給しております一日平均の供給量は四十万一千トンでございまして、四万トンでございますから、約一〇%ということで御理解いただきたいと思います。
  74. 星野朋市

    ○星野朋市君 私は前から、この沖縄の四万トンの施設が完成をしてこれが成功したならば、日本本土の方にも公共事業の一つとしてこういうものを取り入れるべきだという主張をしてまいりました。もちろんこれについては、例えばコストの問題であるとか、それから海水がそこのところだけ三〇%ぐらい濃度が増しちゃうわけですね。そうすることによって生態系というのが崩れる。こういうような問題はあると思いますけれども、日本全体について水の問題というのがこれほど深刻になってきますと、そんなことを言っていられるときではないと思いますので、これは沖縄から要するに日本本土に向かって、こういう成功例があるよといういわゆる発信をすべきだと私は思っておりますけれども長官、いかがお考えですか。
  75. 岡部三郎

    国務大臣(岡部三郎君) おっしゃるとおりでございまして、現状ではまだコスト面で一般の水供給の事業には直ちには適用できないかと思いますが、将来はそういう可能性が多分にあると思いますし、それ以外にも、例えば沖縄でやっております地下ダムというふうな工法が、これも我が国では初めての、我が国でというよりも世界でも珍しいような工法で水の取得をしておるわけでありまして、水問題に関しては沖縄から発信できることがたくさんあろうと思っております。
  76. 星野朋市

    ○星野朋市君 もう一つ沖縄の問題で特徴的な一つの例がございますのでお聞きをしたいと思いますけれども、たしか今年度からモノレールについて着工が始まる。来年度本格化すると思いますけれども、意外に沖縄本島のモノレールについては国会の場でも論議されていないし、余り詳しく知られていないんです。  これは採算その他の面でいろいろな経緯があったと思いますけれども、沖縄のモノレール、いよいよ着工したわけですから、モノレールの概要について御説明願いたいと思います。
  77. 牧隆壽

    説明員(牧隆壽君) 沖縄都市モノレールでございますが、戦後、沖縄には御存じのとおり鉄軌道システムがございませんでした。公共輸送機関としてぜひ鉄軌道システムをという官民挙げての要望が実りまして、那覇都市圏は特に交通渋滞が顕著でございまして、この那覇都市圏に計画されました。那覇市内の那覇空港から首里までの区間約十三キロを二十八分間で運行しようというものでございます。  若干細かくなりますが、モノレールは一車両定員が七十五名でございまして、二両編成で運転されまして、ピーク時の運転間隔は平成十五年で最短六・五分となっております。一時間当たりの輸送力千三百五十人、また開業が平成十五年となっておりますが、利用者の見込みは一日当たり約三万五千人と見込まれております。  建設関係でございますけれども、モノレール事業のうちインフラ部分につきましては、道路の路線ごとに、国道については国、それから県道につきましては沖縄県、市道につきましては那覇市ということで建設主体となります。また、インフラ外部分につきましては、第三セクターでございます沖縄都市モノレール株式会社が整備を行うこととされておりまして、建設事業費は全体で千八十一億円を予定しております。  沖縄都市モノレール事業の収支計画でございます。損益の好転年次は、単年度で開業後の十年、累計で二十五年とされております。  こうした収支計画で大丈夫かという話でございますが、沿線人口が約十万人ございます。また、中南部都市圏では、中部、南部でございますけれども、約百万人の人口がございます。さらには他都市におきます、千葉、北九等でモノレール事業をやっておりますが、モノレール等の利用実績を考慮しますと達成可能なものというふうに考えております。  さらに、我々の今後努力を要することとしましては、周辺に、先生御存じの米軍住宅が返されまして、今二百十四ヘクタールの再開発をやっております。再開発地に二万人以上の居住人口が予定されておりますが、これらの基盤整備等に我々は一生懸命これから努めていかなきゃいけない、そういうことを予定しております。
  78. 星野朋市

    ○星野朋市君 ぜひ成功させていただきたいものと思っております。  余計なことを申し上げるようですけれども、都市圏の公営鉄道、これがみんな赤字でありまして、その累積赤字は現在で一兆数千億円に達するというような状況であります。沖縄のモノレールが第三セクターであるというところに一番問題があるわけです。第三セクターでありますと、赤字が今言ったような計画以上になっていくと追加の増資を次々にやっていかなくちゃならないという問題が控えているわけですから、ぜひこれは成功させていただきたいと思っております。  沖縄関係の問題につきましてはそのぐらいにいたしまして、次は大蔵省にお尋ねをしたいと思います。  去年の四月二十日、予算委員会におきまして私はデリバティブの問題について質問をいたしました。そのときの議事録でありますけれども、私は急激な円高というのは実は投機だという意見を持っておりましたから、そういう形で武村大蔵大臣に質問をし、武村大蔵大臣の答えの中にも一部投機だという答えがあったものですから、それをとらえて、じゃ投機と言うならば今世界を動かしている投機、特にデリバティブ、これは世界でどのぐらいの規模になるかという質問をしたんです。そのときに大蔵省の答えは、確かなことは申し上げられませんけれども一九九二年末でもって想定元本ベースで約十七兆ドルであるというお答えをいただいた。私は言った。今一九九五年でしょう、この二年半の間にデリバティブの想定元本というのは四十兆ドル台に上っている、そのぐらいマンモスになったんだと、そういうことを申し上げました。  つい最近それが明らかになりまして、一九九五年の三月、国際決済銀行の調査によりますと、デリバティブの想定元本は四十七兆五千億ドル、そのうち日本の大手銀行二十行で九五年の三月は何と千五十兆円。九六年、ことしの三月末は約二〇%ふえまして一千二百三十五兆円に達しております。そのぐらいこれは巨大なんです。  新聞の解説は、超低金利が続く中、金利の上昇リスクを回避するための企業の需要が高まった、こんなのんきなことを書いてありますけれども、冗談じゃない。私に言わせれば、超低金利だからこそみんなこのデリバティブに飛びついているわけですね。そして、銀行も勧誘のために最小元本を非常に少ない形で勧誘している。こういう形でデリバティブの何らかの規制をすべきであるし、規制ができないのならば少なくとも日本の銀行のポジションを明らかにしろと、私はこういう質問をいたしまして、それが原因じゃないんですけれども、初めて実態が明らかになった。  そうすると、この中に、例えば大和銀行のように去年一千億も損害を出したところは想定元本を減らしておる、こういうような形でどこの銀行がどれだけのポジションにあるかということは、当然これはわからないと思いますけれども、こんなに巨大になったこのデリバティブに対して大蔵省はどういう御見解をお持ちで、どういうふうな監視をして、それでどういう報告を求めているのか、これをお聞かせ願いたい。  さもなければ、とんでもない損失をこうむるところが出てくるに違いないと思います。現に、おととし、アメリカのラビンという学者がこのデリバティブの問題について本を出した途端に、ベアリングズ社が六百億という大きな損害を出した。大和銀行の一千億もその中の一つであります。こういうようなとてつもない問題が生ずる恐れがあると私は思っておりますけれども大蔵省の御見解を伺いたい。
  79. 山口公生

    説明員(山口公生君) お答え申し上げます。  今、先生から御指摘ただきました世界の数字、日本の数字はそのとおりでございます。御指摘のとおりかなりの額になっておりまして、このデリバティブの取引をどういうふうに扱うかという問題はかなり長い期間かけまして国際的にも大分議論されております。  ただ、これはある意味では金融技術の発達ということでもございまして、これを何らかの形で規制するということはやはりまず好ましくないんではないかという議論の方が強うございます。そうしますと、私どもとしては、先生御懸念のように、思わぬところで損失が生じたりすることをどうやって防げるかという問題だと思うんです。  一つは、金融機関等の仲介業者にしっかりとまずリスク管理をやらせるということが大変重要なことだと思うんですね。リスク管理をやらせると同時に、それを市場がよく見ておく必要があるということで、ディスクロージャーを十分にさせるということだと思うのでございます。  それで、ことしの三月に全銀協の統一開示基準を改定しまして、オフバランス取引の想定元本額、契約金額や信用リスク相当額の定量的情報に加えまして、これだけだとなかなかわかりにくいということがありますので、それに対する補足説明、それから実際に取り扱っている商品、それからその取り組み姿勢、こういった定性的な情報をきちっとディスクローズさせるということで、市場からもチェックをするということで対応しておるわけでございます。  一方で、利用者であります企業等におきましても、この間の御質問でも御懸念を表されておりましたが、これについてもリスクヘッジのニーズがある以上は、企業のこういった行動を制限するということは時代には合わないだろう。そうすると、企業自身でもデリバティブ取引の本質というものをよく理解していただきまして、それを理解した上でリスク管理を十分やっていただく。それをお勧めする金融機関においても、そこの企業のキャッシュフロー等を見て、それで最適なものをお勧めする、こういう姿勢でいくことによって対応していくのが現状においてはベストであろうというふうに考えております。
  80. 星野朋市

    ○星野朋市君 大蔵省、住専のときは後になっていろいろ問題を起こしましたけれども、後で悔いのないようにしっかり監視していただきたいと思います。  終わります。
  81. 山崎順子

    ○山崎順子君 平成会の山崎順子です。  きょうは、閉会後の六月二十五日に閣議で確認されました消費税の五%への税率アップについてお伺いしたいと思っておりますが、これは、わずか五日間の審議日数であったことや、九月三十日までに決めるということを三カ月も前倒ししたこと、また行財政改革の進捗状況や財政状況を踏まえた上で五%にするというようなことが決まっておりましたけれども、その辺の財政状況等、行財政改革等全く何か進んでいないような状況の中でなぜお決めになったのか。その辺について御質問したいのですけれども、まずその前に、日本の今の経済状況をどう大臣がとらえていらっしゃるのか、また政府や大臣が国民を信頼していらっしゃるのか、本当に信頼していらっしゃるなら情報開示というものが徹底されているべきだと思うんですが、そうなっているのかどうか、この三つを柱としてきょうは話を進めたいと思っております。  日本の経済は、もう御存じだと思いますけれども、今一人当たりの名目国民所得がアメリカを四割も超えるようになっております。まさに先進国、成熟国と言っても、中学生などが言うような超がつくような先進国でございますけれども、これは輸出競争力がついて為替レートが上がったからであり、同時に国内は高コストの経済になってしまいました。この構造を放置しておきますと、日本の中の最も有力な、一番とっておきたい競争力のある企業がどんどん海外へ出ていくというそうした空洞化が起きるし、国内に残るのは逆に比較的競争力のない企業ということで、国が衰退していくと言われております。  こうした状況を、例えば金融システムにはもうあちらこちらにがんが転移しているような状況になっているし、今は糖尿病のような成人病にかかっているのではないかということで、今の日本の国の力、経済の力を成人病の糖尿病ですとかがんですとか、そういったものに例える方が大変今多くなっておりますのは大臣も御存じだと思うんですが、それには抜本的な大手術をしなければいけないということがございます。  ところが、どうしてこういうふうになったのかというのは、多分キャッチアップの時代はもう終わったのではないかということが一つあると思うんですが、政府がこのことを本当に認識していらっしゃるのかどうか、ちょっと疑問に思うんですね。  こんなことを皆さんの前でお話しするよりも、私は経済の素人ですから大臣の方がよく御存じですし、議員の方々も御存じですけれども、日本は長い鎖国時代から明治になって、欧米諸国と我が国の力の差をもう嫌というほど見せつけられました。そこで、政府はキャッチアップ、つまり追いつき追い越せということを国家目標としたわけですけれども、それも急いでやる必要があったものですから、国民にいろんな状況、事態を全く知らせないでやるという方式をとってきたのではないかと思います。それはどういうことかといいますと、政府がすべての情報と権力を集中的に持って、国民はただ黙ってまじめに働いていればいい、そして税金さえ納めればいい、そうすれば政府がきちんと必ず将来よくしてあげますよという、そういう方式です。  この間、住専問題で国会が大分紛糾しましたけれども、ああいったように六千八百五十億公的資金を導入しますよ、こんなに不良債権がありますよと一応情報を教えてしまうと、その解決に大変時間がかかってしまうわけですね。だから、教えないのが一番いいという方式で今までやってきて、それがある程度成功をおさめました。ある程度どころか大成功をおさめたかもしれません。  そして、大変な勢いで日本は発展、成長してきたわけですけれども、もうその時代は終わりましたし、これからの日本に期待されていることは、国民に物を教えないでリードするというようなことではなくて、この日本の国に働いているすべての人に十分に情報を提供して、そしてその自己責任とその人の判断で選択してもらう、つまり参加してもらい、そしてチョイス、選択してもらうということが大事なんじゃないかと思うんですね。  ですから、政府が本当にしなきゃいけないことは、公正な情報を流すことと、そして透明なルールを確立するということではないかと思うんですけれども、こういった改革ということをどうも日本はやってこなかったのではないか。そのツケのたまった象徴が、私は昨年の九月二十八日にもこの件について決算委員会で質問したんですけれども、ちょうどそのとき、その日の朝刊の一面を全部にぎわしました大和銀行の事件だったわけです。  この事件は、井口という人が一千百億円も十一年間に損をしていたということが全く見えていなかった。こういったことは世界じゅうの銀行によくあると聞いておりますけれども、こういった問題だけではなくて、大事なことは、そして珍しかったことは、監督当局である大蔵省が世界で最も大切なパートナーとそのとき認識しているアメリカの財務省に、または司法当局に適切に報告しなかった、二カ月も黙っていたということで、これこそ本当に透明なルールもないし、情報開示、ディスクロージャーもないということの象徴ではないかと思うんですね。  そこで、大臣にちょっとお聞きしたいんですけれども、財政改革とかいろんな問題が山積みしておりますが、とにかくこの今の日本の経済の状況がどうなっているのか、がんだとか腎臓病だとか糖尿病だとかに例えられるこの日本経済の病気、元気のない日本経済をどうとらえ、どう立て直すおつもりなのか、そしてまた十分な情報提供を国民にこれから本当になさっていくおつもりなのか、今まではそれがされていたとお思いになっているのか、その辺をまずお話しいただければと思うんですが、いかがでしょうか。
  82. 久保亘

    国務大臣久保亘君) 今日のように経済、金融の自由化、国際化が進みます時代に、日本の場合には今御指摘がございましたようにディスクロージャーと申しますか、情報の開示という問題において非常におくれているのではないかという御指摘があることは十分に承知をいたしております。それゆえにこそ、今、規制緩和の問題もこれからの日本経済が自由化の時代に対応していくために不可避の問題となっているのだと考えております。  私といたしましては、今日の日本経済の状況につきましては、長い低迷の時代と申しますか、バブルの崩壊後の厳しい低迷の時代からようやく脱却しつつある、そういうときだと思っております。特に九五年の一月から三月期以来今日まで五四半期を通じて日本経済はプラス成長を続けることができております。そして、IMFの推計によりましても、九六年の成長率が二・七、九七年は三・一というG7の諸国家の中で最大の成長率が予測されるようになりました。しかし、そのことが実際に日本経済とともにある日本国民、特に中小企業皆さんたちのところで実感として受けとめられているのかということになれば、私はなお厳しいものがあると考えております。  それゆえにこそ、先般出されました日銀短観におきましても、なお緩やかな回復の基調、こういうことでありまして、しかもこの回復の基調というものが財政の出動、特に公共投資、それから九次に及ぶ金利の引き下げによります例を見ない超低金利を長期にわたって続けるという状況の中で、経済の景気回復の下支えが続いているという状況もございます。そういう中で日本の国家財政はまさに危機的な状況を迎えるに至りました。  こういう中で今の日本経済の回復の基調を手放しで大丈夫だという状況にはない、こう思っておりますが、しかし徐々に自律的回復の方向をとりつつ、財政再建と景気の回復という二つのある意味では矛盾する課題を同時に解決していかなければならないという厳しい状況にございますのが今の日本の経済、財政の状況であろうかと考えております。
  83. 山崎順子

    ○山崎順子君 今、大蔵大臣も、大変今の我が国の経済状況、財政状況は厳しいというふうにおっしゃいました。  一般会計の中に財政赤字額が、公債残高が二百四十一兆円あると。これは一万円札を積み上げると富士山の約六百三十倍にもなるし、一秒に一枚ずつ一万円札を数えると七百六十年以上もかかってしまうそうです。そして国民一人当たりの負担額というのが百九十一万円とか百九十二万円とかというような数字になるそうでございます。  そこで、厳しい財政状況ということで、ここにあります「財政構造改革を考える」というような財政構造白書もお出しになっておられます。  そこで、先ほどの情報開示に関係があるんですけれども、債務というのが本当にどのくらいなのか。これを一生懸命普通の方々はお読みになると思うんですけれども、二百四十一兆円ということ以外に、この中のページなんですが、二百四十一兆円というのは大変巨額のものだけれども、それでも国の債務残高の一部にしかすぎませんと書いてございます。さまざまな借入金を合わせると長期債務残高は平成八年度末で三百二十兆円にも達するというふうに書いてある。  また、その後に「今後処理を要する措置」として、隠れ借金と言われているものが約四十三兆円、これはJRのものも含めてですけれども、あるというふうに書いてあるんです。ここに富士山の六百三十倍なんというふうに、こんなふうに図までかかれていまして、二百四十一兆円のことは大変詳しく書いてあるんですが、その後の長期債務が三百二十兆円になることや、それから「今後処理を要する措置」というこの辺のことは、ここもせっかくだったらグラフでもかいていただいてわかりやすくしていただければいいのになと私などは思ったんですけれども、この二百四十兆円と三百二十兆円の差の八十兆円というのはどういうものなのか、ちょっと教えていただけませんでしょうか。
  84. 久保亘

    国務大臣久保亘君) 詳細は政府委員から答弁をさせますが、特別会計からの借り入れ等七十七兆と交付国債、つまり財政収支の中には出てまいりません交付国債が三兆円ございます。これを合わせて八十兆と、このように考えております。
  85. 山崎順子

    ○山崎順子君 それで結構です。  そうしますと、隠れ借金の方の詳細をちょっと教えていただきたいんですが。
  86. 細川興一

    説明員(細川興一君) 隠れ借金と申しますか、毎年「今後処理を要する措置」ということで国会に御提出申し上げておりますが、それは先ほど申し上げましたように八年度末見込みで四十三兆円でございます。  大きいものを申し上げますと、一番大きいものは国鉄の事業団の長期債務で、これが約二十七兆円でございます。そのほか、これまでいろいろな特例的な措置を行ってきておりますのでそれに基づくものがその残りになりますけれども、例えば申し上げますと、政管健保の国庫補助の繰り入れの特例、これが約七千億ぐらいございます。それから政管健保の棚上げ債務が約一兆五千ぐらいございます。それから国民年金特別会計への国庫負担金の繰り入れの平準化に係る特例ということで約四千億ぐらいございます。それから厚生年金の国庫負担金の繰り入れ特例ということで一兆二千億、それから税外収入をお願いするということで自賠責特会から受け入れたものが約一兆円ぐらいございます。そのほか、地方財政対策に伴ういろんな特例措置がございまして、これが合わせますと約十兆円ぐらいございます。  大体そんなところでございます。
  87. 山崎順子

    ○山崎順子君 この隠れ借金と、ここの今おっしゃったものとはまた別のものだと思うんですけれども。  国債費の定率繰り入れがありますね。これはどうなっておりますか。
  88. 細川興一

    説明員(細川興一君) 最近の定率繰り入れの停止措置につきまして申し上げますと、若干さかのぼりますが、六年度には約三兆円、それから七年度には約三兆二千億で、八年度につきましては国債整理基金の資金繰りに支障が生ずるような事態になっておりますので、これは法律の原則どおり繰り入れております。
  89. 山崎順子

    ○山崎順子君 この国債費の定率繰り入れというのは、いわゆる国債の六十年償還ルールによって国債発行により受ける便益に応じて六十年にわたって各世代がその負担を分担するものですから、そうした意味では定率繰り入れ等の停止は、単に将来の国債償還財源の積立額を減少するだけじゃなくて、世代間の負担の公平という観点から見ますと、実質的に後の世代への財政負担の転嫁となるということで、これもいわゆる隠れ借金になるんじゃないかと思うんですね、法律上返しなさいという規定はないんですけれども。それが、今各年度のをおっしゃってくださいましたけれども平成八年度までの累計額でいいますと二十四兆九千五百二十七億円で、約二十五兆になっているんですが、これは四十三兆円の中には入っていませんね。
  90. 細川興一

    説明員(細川興一君) どのように整理するかという問題かと思いますけれども、定率繰り入れの停止につきましては、御承知のようにNTTの株がまだ残っておりますし、そういう売却益等も将来あり得るかもしれません。  そこで、現行の償還ルールによる償還に支障を生じないと見込まれる範囲で、そういうことを踏まえて過去行った措置でございますので、停止額をそのまま将来一般会計から国債整理特会に繰り入れなければならないという性格ではないものですから、これまでは注書きで国会へ提出するものについて書いてきたところでございます。
  91. 山崎順子

    ○山崎順子君 お答えありがとうございました。  そういった形でいろいろな隠れ借金、もちろん規定の仕方が違うということもありましょうが、そういうことが出てかなり債務が多くなっているということなんですが、このように今、政管健保棚上げ債務ですとか地方財政対策に伴う負担とか、そういったものを全部財政のいわゆるやりくり措置、一般会計から本来は特別会計に出さなきゃいけないようなものをそこでストップしておいて将来へ返済を延期するとかそういったもので、言ってみれば赤字になっているものを中でやりくりをしていたということなんです。そういう隠れ借金がもうずっと、私の手元にあるのは五十七年からの表ですけれども、かなりの年月にわたって隠れ借金をあちらこちらでしていまして、これが日本の財政会計の透明性を失わせたということは大きな問題だと思います。  そしてまた、隠れ借金の最大の問題というのは財政運営の目標を混乱させたのではないかというふうに思うわけですけれども、多分その辺はいろいろ指摘されてきたこともあって、政府の方でもそのことをきちんと透明にしなきゃいけないと思われたのか、それとも結局さまざまなやりくりの工夫をなさったけれどもそれが限界に突き当たったせいなのか、いわゆる八年度予算ではそういったやりくりをせずに、しているところもありますけれども、大幅に縮減して、現実に九六年度予算では新規国債発行額が前年度より大幅に膨らみました。  そのことでちょっと説明をいただきたいんですけれども、特例的歳出削減措置という言葉なんですが、隠れ借金のことですが、これは特例公債発行よりもメリットがあるということで今まで御説明なさっていたはずなんですね。それが今回大幅に縮減したというのはどういった考え方の転換があったのか。財政のやりくりによる財政節度を維持する責任の放棄ではないかと思えるんです。また、従来の大蔵省のとってきた考え方について政策的な誤りをお認めになるものなんでしょうか。その辺についてちょっと御説明いただきたいと思います。
  92. 細川興一

    説明員(細川興一君) 今、先生指摘ありましたように、これまで予算の編成過程で歳入歳出両面であらゆる努力を行う、そういう過程におきまして、とりわけ特例公債の発行を回避するために、今御指摘のありましたようないわゆる特例的な歳出削減措置等を行ってきたところでございます。  これらの措置は特例公債と異なりまして、それぞれの制度なり施策なりの運営に支障が生じないという範囲内で行うものでありまして、その意味ではとめどもない特例公債の発行とは違っておのずと歯どめを有しているというようなこともありまして、そういうことも勘案してやむを得ざる措置として行ったところでございます。  ただ先生今御指摘のありましたように、これは財政制度審議会からも御指摘がございますが、こうした措置を多用することによって財政の実態がわかりにくくなっているのではないかという御批判もありました。そこで、八年度の予算編成におきましては、これらの措置の取り扱いについて、日本の財政が特例公債を発行せざるを得ないような危機的な状況に直面している現下でございますが、その厳しい現状を直截に国民に開示していくとの視点をも踏まえまして、この際改めて見直しを行うこととしたところであります。  なお、その見直しに当たりましては、それぞれの事業の運営に支障が生じるかどうかはもちろんでございますが、個々の措置に即してその制度や施策のあり方の原点に立ち返って、どこまでこうした臨時緊急の措置がとり得るのかということを今まで以上に慎重に検討を行って、例えば法律を出させていただいておりますが、その中で七年度では九つの措置を行っておりましたが、八年度の場合には二本の措置に、ぎりぎりのものを取り上げて行ったところでございます。
  93. 山崎順子

    ○山崎順子君 今おっしゃった二本の措置といいますのは、厚生年金の国庫負担金とそれから地方財政の対策に伴う負担のことでしょうか。ちょっとその金額を教えていただけますか。
  94. 細川興一

    説明員(細川興一君) 今申し上げましたのは、厚生年金の年金勘定特会繰り入れの特例、これが八千億でございます。それから、これは税外収入の関係でございますが、外国為替特別会計からの一般会計への繰り入れでございます。それが二千億でございます。
  95. 山崎順子

    ○山崎順子君 そうしますと、地方財政対策に伴う負担の方は、先ほどおっしゃったように平成七年度の末には三兆八千二十五億ですか、これだけのいわゆる渡していない隠れ借金があったわけですが、その後平成八年度では、ちょっと数字が明らかではないんですけれども、やはり隠れ借金のような形でやりくり措置をなさったように思ったんですが、違いますでしょうか。
  96. 細川興一

    説明員(細川興一君) 地方財政対策でいろんな措置をやっているかと思いますが、今申し上げましたのは、特例法として大蔵省から出したものを二本申し上げたところでございます。
  97. 山崎順子

    ○山崎順子君 わかりました。  そうしたら、今の私の前段の質問に答えていただけますか。
  98. 細川興一

    説明員(細川興一君) 先ほど地方財政対策で八年度末の数字を約十兆と申し上げましたが、これの七年度末が約九兆ぐらいでございます。
  99. 山崎順子

    ○山崎順子君 では、ちょっとその辺の数字をぜひ、今の委員会でなくてよろしいんですが、後日いただきたいと思いますのは、この隠れ借金のやりくり措置の推移というのはなかなか外に出ていないんですね。  それで、調査したものでは地方財政というのは大変今厳しくなっていると思うんですが、ここでのやりくりというのは、地方も厳しいのにどうして国から出すべきお金を出していないのか。特例措置でやっているのかもわからないんですが、こちらで残っている金額と随分差があるものですから、一度調べたいと思っているんですが、自治省でも余りつかんでいらっしゃらないのかもしれません。  ちょっとお聞きしたいのは、こういったやりくり措置の公表はきちんとしていらっしゃるんでしょうか。
  100. 細川興一

    説明員(細川興一君) 先ほど申し上げましたが、「今後処理を要する措置」ということで表にいたしまして毎年国会に提出させていただいております。
  101. 山崎順子

    ○山崎順子君 それでは隠れ借金のことも含めてですけれども、すべての国の債務の状況について、毎年度の決算書に「国の債務に関する計算書」というのが添付されているんですが、大蔵省が提出なさっている決算の説明にどうもこれに対する十分な説明が見られないんです。この点について何らか改善の必要があるとはお思いになりませんでしょうか。
  102. 細川興一

    説明員(細川興一君) 直ちに申し上げる方策をちょっと持ち合わせておりませんが、どのようなことができるか検討してみたいと思います。
  103. 山崎順子

    ○山崎順子君 大蔵大臣、大変失礼なんですけれども、私まだ国会議員になって三年なんですが、今まで高齢社会の問題ですとか、少子化の問題ですとか、女性や、また女性を取り巻くサラリーマンの男の方や、さまざまな生活者の視点に立ったいろいろなボランティア活動や政策等を随分やってきたんです。人々の安心できる暮らしとか福祉とか、そういったものを支えるには国家の財政というものが本当に安定していなきゃいけないということで、この三年間毎週のように経済や金融の専門家の方にレクチャーをしていただき、ディスカッションをしという形で私なりにかなり研究、勉強してきたんですけれども決算委員になってからいろいろ決算のこういうのを見ましてもなかなか国の財政をつかむのが難しいんですね。  ここにこんなふうにたくさん持ってきましたけれども、ほかにもこんなにあるんですが、どう見ればどうわかるのかが、私なんか本当に頭が悪いなと自分でもうつくづく嫌になつちゃうんですけれども大蔵大臣だとこういうのはさっとおわかりになるんでしょうか、大変失礼な御質問ですが。
  104. 久保亘

    国務大臣久保亘君) 今お示しになっております資料の中には財政制度審議会がまとめました報告なども先ほどお取り上げになったと思っておりますが、私もそんなに頭脳明断な方でございませんので何でもわかるわけではございませんが、職務上わからなければいけないと思って一生懸命努力いたしております。
  105. 山崎順子

    ○山崎順子君 普通、努力しなくてもわかるような決算書がどうして出ないのかと思うんです。  私は、果たして一国の財務状況というものを負債残高だけで議論することに意味があるのかどうかと思いまして、じゃ債権、資産はどうなっているのか、さっき細かくいろいろ隠れ借金がどうなのかとお聞きしました。まず債務全体がどうなっているかを見て、次は、じゃ資産や債権はどうなっているのか、一生懸命いろんな、もっとたくさん持ってきていただいたんですが、見たんです。確かに少しずつならわかるんですが、じゃここはどうなのかといって、本当にこれ全部ひつくり返しているだけで頭が痛くなってしまうという状況です。  先ほど国民を信頼しているのかというふうに申し上げましたけれども、本当に信頼しているなら、ぱっと国民のだれでもがわかるような決算を示す。そして負債、債務が大変だ大変だ、こんなに国は財政赤字だよというんだけれども、じゃ資産はどうなのか、債権はどうなのか、そういったこともきちんと示していくべきだと思うんですね。  頭のいい人は全部をのみ込んでいて、きちんとだれにでもわかるようにかみ砕いて話す、書くという、それが本当に頭のいい人だと思うんですけれども、どうも日本のこういうものをつくっていらっしゃる方たちは頭がよ過ぎてみんなにわからせないようにする方に努力をしていらっしゃるのか、それとも本当は頭がよくなくてわかりにくい言葉でしか話していらっしゃらないのか、どうも私意地悪いんですけれども、そのどちらかとしか思えないんですね。  決算委員でありながらこんなことを申し上げると、テレビを見ていらっしゃる国民の方々は大変なことだと、もっと危機感をお持ちになるかもしれませんけれども決算委員会委員がぱっとこの決算報告書を読んでみたくなるような、わかりやすくておもしろい決算書がなぜ出てこないのか、そういうようにぜひやっていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  106. 久保亘

    国務大臣久保亘君) 法律の文書とか役所、つまり官僚のところで起案されました文書などというのは非常に難しくて読みづらいということを私もしばしば耳にしますし、私自身もそう感ずることがございます。しかし、そういう批判にこたえることができるように今いろいろと改革が進められているところだと思いますが、とかく日本の場合には改革が諸外国に比べて非常に遅い、おくれているということは私どもも痛感をすることでございます。  今御指摘ございました決算書がおもしろい読み物になるのにはどれぐらいの努力が必要なのか、大変難しいなと思いながら伺っておりましたけれども、わかりやすいもの、そして普通に、気楽に目を通せば大体理解ができるというようなものにするにはどうすればよいかというような努力は絶えずしなければいけないことと思っております。  先生の方にはこれは差し上げてありますか。これは大体よくできていると思いますよ。
  107. 山崎順子

    ○山崎順子君 いただいております。  今、大蔵大臣おっしゃったように、確かに決算書全体はおもしろくならないかもしれませんけれども、わかりやすくしていただきたいし、バランスシートのようなものを、アメリカとかニュージーランドだって国民に財政の理解を得るためには貸借対照表なども決算利用なさっていますから、ぜひそういうふうにしていただきたいと思うんです。  先ほどおっしゃった財政構造白書は確かに図なども入っていてとてもわかりやすくて、こういったものは情報開示の一つとしていいものだと私も評価しております。ただ、これはどうも建設官僚が書いたのではないかと思うくらい公共事業とかそういったものに対して甘い、そして国民に対しては福祉も教育も例外なしにこれから緊縮財政だからカットしなきゃいけないと、どうも私は読んでいて、わかりやすくはなったけれども抜けているところがたくさんあるし、視点が違うんじゃないかなという気がしないではなかったんですけれども、そういったことが読んだ人にわかるということはとてもいいことだと思っているんですね。  さて、景気のことなんですけれども、先ほど日銀短観等で緩やかな回復基調もあるというふうなことをおっしゃいました。日銀短観が八月二十八日に出まして、その後株が二万円割れをしたり、それからその後イラクにアメリカのミサイル攻撃があって石油がまた上がっていますとか、半導体の業界も思わしくありませんし、この夏はO157の影響でスーパー等の生鮮食品は物すごくひどくなりましたから、スーパーのダイエーのような大手でも利益が半減したりとか、ほとんどの中小零細企業はもう青息吐息です。それから銀行はお金を全く貸してくれませんし、それはBIS規制とかさまざまな金融の状況もありますけれども、どう見ても政府や日銀の言うような形で景気が回復しているように思えないというのが現場の感じだと私は思うんですね。それから失業率にしても、五月が三・五で戦後最悪でした。七月は三・四とまた少し持ち直したように思いますが、ずっとひどい状況が続いております。  日本はそもそも労働力が今不足していると言われておりまして、外国人労働者を使う、使わないというような問題もありますし、三Kの方には随分外国人労働者も使っておりますけれども、なぜそういう労働力不足の国なのに新卒者の五人に一人が失業しているか、また知識も経験も人脈も豊富な中高年の方々がリストラされたり、窓際に追いやられたりしているのか。これは職業情報のようなものがないからであって、労働省のいろんなやり方に、また規制緩和ができていないからだということもあると思いますが、とにかく十五歳から二十四歳の男性、女性、また五十五歳から六十四歳の男性の方々が最も失業率が今高いわけです。  そして、中高年の女性は失業率のところに出ていませんけれども、実はこれは専業主婦家庭よりも共働き家庭の方が多くなったときがございます、少しずつ変わってきまして。それが平成四年だったんですが、せっかく共働き家庭の方が多くなったのが平成七年には逆転しているんですね。ということは、やはり中高年女性の就職ができなくなっていて家に入っている。見えない形で失業が起こっているということで、こういったことをすべて見できますと、景気の回復にも、緩やかなというのが同じ意味なのかどうかわかりませんが、本当に力強さがなくて、景気に先行き不透明感があり、また雇用不安の強い中で補正をしないで来年四月に二%の税率アップをするとなるとこの国の景気はますます落ち込みますし、当然個人消費も落ち込むと思うんですが、その辺の見通しはどう考えていらっしゃるんでしょうか。大臣にお願いしたいんですが。
  108. 久保亘

    国務大臣久保亘君) 間もなく経済企画庁の国民所得統計速報が四−六で出されることになると思います。この結果も十分に分析をいたしました上で九六年前期の景気をどう見るか、そしてこれを失速させないよう後期に引き継ぐためにはどういうことが必要であるかという最終的な判断が求められると思っておりまして、その点については総理の方にも御報告申し上げ、大体同じような考え方で支持もいただいているところでございます。  ただ、この前期の景気の状況をどう見るかというのは大変難しい問題もございますけれども、補正予算を仮に景気の下支えのために大型の経済対策として組むということになります場合には、その財源をどこへ求めるかということについても財政上の問題として検討をしなければならないと思っております。  もう一つ重要なことは、平成七年の前期と後期の公共投資の実績、そして平成八年の前期の実績は平成七年と匹敵するものでございます。なお、現在、平成八年の後期の公共投資に投ずることのできる財源につきましても昨年並みのものは確保されていると、このように考えております。
  109. 山崎順子

    ○山崎順子君 私も補正は組まなくていいと思っておりますけれどもただその場合に、来年の四月に消費税を二%アップすることで景気がせっかく、もし緩やかに回復しているのであれば、それに逆に冷水をかけるような形になるのではないかということで心配しているんです。  ちょっと消費税のことを庶民の生活の方で考えてみたいと思います。例えば年収七百万の平均世帯では二%上げることによって年間八万円の税負担増になると言われております。今銀行の金利は大変低いんですよ。ボーナスをもらって、いろいろ住宅ローンだとか払わなきゃいけないのがたくさんあるでしょうが、やっと十万円をもし預けたとしますと、年間の利息がわずか今五百円しかないんですね。  大臣、時間外に同じ自分の預けている銀行からお金をちょっと一万円とか二万円とか足らなくなって引き出すと手数料幾らかかるか御存じですか。多分御自分で時間外に引き出しに行かれたことがないんじゃないかと思うんですが、百三円かかるんです。例えば、ここの参議院の会館の下にある大和銀行先生が預けていらっしゃるとしますね。そしてそれを時間外に自動支払い機にとりに行くと百三円です。そうしますと、十万円をやっと預けて一年間で五百円しか利息がないのに百三円の手数料だと五回あの支払機を使うだけで飛んでしまうお金なんですね。  例えば、おばあさんが孫にちょっと送金してあげようなんて思ったときに、郵便局の送金の手数料だってもっと高いですし、書留ももっと高いというような形になると、何かせっかく預けても何にもならないというような、そういう状況です。  こういったときに、銀行が低金利でどのくらい潤っているか。全国百四十九行の平成七年度決算では、業務純益が前年度比五割以上もふえて六兆七千億円もあるということが出てきます。この低金利は、銀行だけじゃなくて中小零細企業にとっても有利ということがありますから、マクロ的に見れば決して悪いわけではないんですけれども、庶民から見ますと、幾ら預けたってそれが金利として何の潤いもないというときに、もし預金の金利が四、五%ぐらいあるときならともかく、税率を二%アップするというのは大変な重みではないかと思うんです。  先ほどは景気の見通しとかその辺をお聞きしましたが、庶民の生活における消費税率二%アップについては久保大蔵大臣はどのように思っていらっしゃるんでしょうか。
  110. 久保亘

    国務大臣久保亘君) 私は消費税率をアップすべきだという積極論者ではございませんが、しかし、消費税の今回の税率の二%アップの問題は、平成六年十一月の税制改革を国会で議決されましたときに始まる問題でございます。そして、そのときの税制改革以降今日まで、所得税・住民税特別減税等の総額は十六兆五千億円に達しております。  そして二年おくれで、所得税のうち年間三兆五千億、恒久的制度減税といたしましたものの分の財源をどうするかという問題で、当時、六年十一月の御決定の際にこの国会で御論議をいただきまして、その財源に見合うものとして消費税を九年四月一日から五%にするということを議決されたものでございます。  その議決に当たって、五%で大丈夫かという議論も多くございました。そういう中で、附則二十五条によって四つの検討条項を付されて、この検討条項を検討した上で、もし五%を変更する場合には、平成八年九月三十日までに法改正を含む措置をしなければならないと決められていたものでございます。  したがいまして、あの六月、通常国会の終盤のどさくさに紛れてという御批判もございますが、そうではございませんで、あの段階で最終的な判断をいたしませんと九月三十日までに法改正を伴う結論を出すことは困難なのでございまして、九月三十日までにそのことの処理を終わりませんと四月一日からの消費税率の変更が国民生活に逆に多くの面で混乱を引き起こすおそれも多くございました。  したがいまして、法律の定めるところに従い、政府税調並びに与党税調に国会の終盤近く数日にわたって御論議をいただき、平成七年予算、八年予算を編成いたします段階で、これらの検討条項について論議されました問題等の経緯等も踏まえた上で最終的な御判断をいただき、この判断に基づいて四月一日、法定のとおり実施させていただくことを閣議決定いたしたものでございます。
  111. 山崎順子

    ○山崎順子君 今のようなことは大体もうわかっておりますので、わざわざ御答弁いただかなくてもよかったんですけれども。  まず、大蔵大臣の第一の職務といいますのは、経済の自然の力での回復を促進して自然増収の上に立って財政危機を克服することにあると思うんです。国民のお金を郵貯や保険や税金で取り立てたのでは、財政の再建も強行手段なしにはできないと考えます。民間活力を信じずに、国庫にすべてのお金を集めて財政でその支出をできるだけコントロールしたいというのは、相変わらずの強硬な国民を信じない方針のようにしか見えないんですね。  たしか、だめなものはだめと言って消費税導入反対だったのは久保大臣のところの委員長だったように思うんです。今おっしゃったのは特別減税、減税を先にしているから、出世払いをしているからその財源が大事だ、そしてそのわずかな審議でだっと駆け込みでやったわけでもないと一生懸命おっしゃっていますけれども、現実に消費税のアップということでもし二%アップするというのだったら、先ほども私が申しましたように財政状況がどうなのか、行政改革ができているのかというところを加味しなきゃいけないということだったんですが、国民も、皆さん本当に理解して納得するなら私は反対しないと思いますけれども、納得してもらうだけのことをやっていないんじゃないかという気がするんです。  それはどういうことかといいますと、例えば間接税を上げた方がよくて所得税や法人税を下げた方がいいと、直間比率の見直しをしようということをよく言われますけれども、本当に所得税をなしにして間接税を二〇%にするとか、それで貧しい人には戻すというような案もありますが、その見通しだって全然進んでおりません。  それから、国の財政と一般の私たちの家計とを比べるのはどうかと思いますけれども、これにもそうやって国と家計と比べて書いてあります。本当に赤字になっていたら、まず私たち女はどこにむだがあるのか全部見ますよ。そして、この使っているお金が家族にとって有効なものなのかということもしっかりチェックします。どうも国はそこをやっていなくて、それで足りないから税金を上げてくださいとかそういうふうに言っているようにしか見えないんです。  細かいことになりますけれども、公共事業などでは重複投資のむだが多いということが今まで随分たくさん指摘されています。例えば人口二千八百五十人の鳥取県の日吉津村というところがあるんですけれども、ここには全長二十六メートル、幅十三メートルの双子の下水処理場があります。わずか十数メートルの間隔しか離れていない。一つ建設省が所管する公共下水道事業で、もう一つは農水省が所管する農業集落排水事業なんです。名前は違いますけれども、微生物で汚水を処理する機能は全く同じなんです。  それからもう一つは、愛知県の知多半島で、建設省と県の道路公社が建設した約四十キロの有料道路とほぼ並行して農水省の大型農道四十二キロの工事が行われていまして、こういった重複投資のむだなんというのは、今私が言いましたのはほんの一例にすぎません。  また、公共事業のコストは欧米に比べて三割も高いという指摘もあって、じゃということで建設省コスト削減計画を出してコストダウンしましたけれども、それを今度は予算編成のときに削減したかというとそうではなくて、同じ省内で事業量の拡大に使うということであって、私たちから見ればばかみたいにむだが多いわけです。こういった本当に必要な投資が行われているのかどうかといったようなことをチェックしていただかない限り、ただ増税だと言われると納得できないというふうに思うわけですね。それから経済のソフト化で第三次産業がGDPの六〇%以上を占めるようになっておりますけれども、公共投資は相変わらず土木等の伝統的な分野にばかり重点が置かれておりまして、雇用をふやす成長産業を育てるための投資などほとんどしておりません。  また、もっと身近な問題でいきますと、官官接待とか空出張とかそういったことに怒りが集中していますけれども、これもせっかく払った税金が生かされるどころか浪費されているんじゃない.か。本当にそういった予算や投資が適切に行われているのか、むだはなかったかというのを大所高所からどなたが見ていらっしゃるのか。そういったことをきちんと削減してくれて、それでまだここまで、削減費はゼロベースなんていうんじゃなくて、民間企業だったら二割三割カットして当たり前ですよ。そういったことをやって初めて、国民にこれでは困るから何とかというのだったら話がわかるんですけれども、幾らお人よしの国民だって今の説明、今のというのは別に今大蔵大臣がされたということではなくて、今の政府の予算の立て方、また決算の仕方、そういったものを見ていると納得いかない、これでは出せないというふうになるのは当然だと思うんです。  このあたりの、本当に予算配分がきちんと行われているのか、歳出にむだはないのか、またむだな財投がないのか、いろいろな特殊法人の民営化とかそういった行政改革が行われるのか、その辺についての決意をちょっとお伺いしたいんです。
  112. 久保亘

    国務大臣久保亘君) ただいま御批判を含めての御意見のございましたことは、これこそ財政構造改革を進める中で、今日の危機に瀕しております国家財政を再建するという上での最も重要な課題である、こう考えております。  ただ、御理解をいただいておきたいと思っておりますのは、八月末にまとめました各省からの概算要求の総額は八十一兆四千四百億円余でございますが、このうち実に十八兆円を超える国債の元利償還費がございます。また、十七兆円を超える地方交付税が含まれております。実際に一般歳出としてございますものは四十五兆円にも達しないのでございます。それにもかかわらず、歳入歳出の間の格差は、消費税を二%アップし特別減税をなくしましたと仮定した上での歳入を計算しているわけでございますが、なお二十一兆円の不足を生ずるという状況でございます。  そういう中で、この財政の再建という上で、今御指摘がございましたようなことを含めて財政構造改革に私どもとしても全力を挙げて九年度の予算編成に当たりたいと考えておりますので、決算の御審査をいただきます国会におきましても、ぜひただいまのような点についても厳しくいろいろと御意見をいただきますことを心から期待する次第でございます。  予算を編成する側に立ちますと、税収については厳しい御批判をいただき、歳出については非常に多くの御陳情をいただく、こういう状況が毎年続いているわけでございまして、これらの点についても改革しなければならないことだと考えております。
  113. 山崎順子

    ○山崎順子君 圧力団体の方をお向きにならずに、ぜひ普通の生活者の方を向いた予算編成やそういったものを考えていただきたいと思っております。  沖縄開発庁長官には、せっかく来ていただいて、御質問したかったんですが、時間がなくなり申しわけございませんでした。  私の質問をこれで終わります。
  114. 上山和人

    ○上山和人君 社会民主党・護憲連合の上山和人でございます。  きょうは、国土庁に火山災害対策の一点に絞って最初に御質問申し上げて、あと農林水産省に、八月の下旬になりましてから、これは八月二十七日の日経新聞の朝刊でございますけれども、「農業予算未消化一七% 四十七都道府県で九千三百億円」という大きな見出しの記事がございました。そして、三日後の同じく日経の朝刊の社説には、「やはり余った農業予算」というテーマで社説が書かれておりました。こういうものに関連をしながら、農業予算の執行状況について、特にウルグアイ・ラウンド対策費の執行状況についてお尋ねをいたしますので、どうぞひとつよろしくお願い申し上げます。  まず、国土庁にお尋ねしたいのでございますけれども、御存じのとおり世界の活動火山は今約八百でございます。そのうち八割はアジアを含む太平洋を囲む地域の国々にあるのでございまして、しかもこの世界八百の活動火山のうち八十三の活動火山が我が国にあるのでございます。世界の約一割に相当する活動火山の数でございます。  そのうち、私は鹿児島選挙区選出でございますけれども、鹿児島県には桜島を初め七つの活動火山が今活動をいたしているのでございます。そういう意味では、こういう表現がなじむか、適当であるかどうかよくわかりませんけれども、日本は火山先進国と言っていいんじゃないか。あるいはまた、その中でも鹿児島は火山先進県だということも言えると思うのでございます。  この活動火山対策について、これまで国土庁がいろんな積極的な御努力を続けてこられたことについてはよく理解をいたしておりますし、その御努力にはかねて敬意も抱いておりますけれども、まだまだ不十分な面がある、これからもう少し積極的に力を注いでいただかなければならない分野があると思いますので、その一点に絞ってお尋ねをしたいのでございます。  まず、世界の約八百の活動火山は時には大爆発を起こして住民を苦しめるのでございますけれども、一方ではまた火山のエネルギー、資源等は多くの恩恵を私たち人類にもたらしていることも事実でございます。そういう火山対策の基本として、どういう観点から息の長い長期的な視野に立つ火山対策を立てるべきかという基本的な火山対策の観点について国土庁はどのようにお考えになっていらっしゃるか、ちょっとお伺いいたしたいと思います。
  115. 福田秀文

    説明員福田秀文君) 先生今おっしゃいますとおり、日本には世界の火山の一割程度の火山があります。それに対しては、国土庁を初めとして関係する省庁一体となって対策を講じているところでございます。  例えば観測・研究体制につきましては、気象庁を初め関係国立大学等々の観測・研究機関で観測・研究を行っておりますし、一方では活動火山対策特別措置法に基づきまして、それぞれの火山につきまして計画を立て着実に実施しているところでございます。  例えば道路、広場等々の避難施設、こういうものを整備していく事業とか、あるいは農林漁業等の施設の整備とか、あるいは降灰の防除、除去事業、そういうものについて幅広く予算措置も講じ、実施をしているところでございます。
  116. 上山和人

    ○上山和人君 今、御答弁いただきましたように、これまで長い間国土庁は関係省庁と連携をしながら、いろんな分野で今御答弁のような積極的な対策を講じておいでになったことはよく理解しているのであります。火山災害対策は一時的な対策で事の済む問題ではありませんので、長期的に火山対策を立てるに当たっての基本的な観点というのは何かということをきちんとしなければその有効な対策が、部分的には今おっしゃるように非常に誠意を持って対応してきていただいておりますけれども、もっと総合的に住民が安心できるような対策というのは立てにくいのじゃないか、そういう意味で基本的な観点というのをどのようにとらえていらっしゃるかということをお尋ねしたのでございます。  それは、私の方からこれはどうですかと申し上げたいのは、最初申し上げましたように、火山は噴火を起こしてそして私どもに大きな苦しみを与える、同時に一方では火山の持つエネルギー、資源は人類に多くの恩恵をもたらしている面と両面あるわけでございますから、私たちはやっぱり火山国として火山を知ることがまず第一に重要であるし、そして火山とともに生きることを宿命づけられている、これは避けて通れない問題であります。第三の問題としては、火山の資源、エネルギーをどう生かすか。つまり火山を知る、火山とともに生きる、火山を生かす、この三つの観点を基本的に踏まえて、長期的な対策を立てなければならないといつも思っているのでありますけれども、その点について認識に変わりはないと思いますが、いかがでしょうか。
  117. 福田秀文

    説明員福田秀文君) 先生今おっしゃいましたとおり、火山を知る、火山とともに生きる、それから火山の持つ資源、エネルギー、これを積極的に活用する、そういうことを前提として諸施策を講じていくということは私も同感でございます。
  118. 上山和人

    ○上山和人君 そうしますと、そういう三つの基本的な観点を踏まえて、私は、先ほど局長が御答弁なさいましたような、部分的なそれぞれの災害に対応した対策はもちろん極めて重要だし必要でございますけれども、もっと基礎的な総合的な対策を立てる、基礎工事的なものが我が国の火山災害対策には欠けているのではないかといつも思っている者の一人なんです。  そういう意味で、実は申し上げますけれども、昭和六十三年七月に世界三十カ国の火山国の代表が鹿児島に集まりまして、そして鹿児島で国際火山会議が開かれておりますね。昭和六十三年のことですからもうほぼ八年ぐらい前になりましょうか。その火山会議から言い方を変えればもう八年も経過しております。  その国際火山会議で鹿児島宣言が採択をされておりまして、この鹿児島宣言が提言していることが幾つかあります。この国際火山会議で採択された鹿児島宣言が提言しているものの中に、そういう総合的な火山対策、基礎的な火山災害対策に係る重要な提言があると私たちは思って、それが実現されるようにいつも期待しているのでありますけれども、この採択された鹿児島宣言の提言についてどのように国土庁としては御理解をいただいているんでしょうか、ちょっと局長の御見解をいただきたいと思います。
  119. 福田秀文

    説明員福田秀文君) 昭和六十三年に鹿児島で開かれた国際会議で鹿児島宣言がなされておりますけれども、その中では、火山の観測・研究体制の整備充実をさらに図っていく、あるいは資源とエネルギーの利用を図っていく、あるいは火山の自然と資源を生かした観光・産業振興を図っていくというようなことがあらまし含まれておりまして、その最後の方に、火山に関する国際的な総合情報・研究・研修センター機能を確立することが必要だというようなことがうたわれておりまして、私どもとしてもこれは意義の深いことだというふうに考えております。
  120. 上山和人

    ○上山和人君 今、局長御答弁のように、しかも、国際的な火山総合センター的なものを設置してほしいという提言につきましては、昭和六十三年七月の鹿児島国際火山会議で採択された鹿児島宣言に基づきまして、実は平成三年の二月に具体的に国際火山総合センターのようなものを設置することが望ましいという趣旨の提言がさらに明確に行われております。これは平成三年ですから、それからもう五年経過いたしております。  そして、私は、その火山懇談会の提言といいますか、鹿児島宣言による提言に基づきまして、平成五年に実は災害対策特別委員会で御質問申し上げまして、そのときに国際火山総合センターの実現について国土庁の決意をお伺いいたしたのであります。ここに議事録は持っておりますけれども、時間の制限がございますから読み上げませんが、一口にまとめてそのときの局長答弁を申し上げますと、鹿児島県と連携を密にしながら積極的に支援してまいりたいという誠意ある御答弁をいただいたんです。したがって、それからもう五年たっているわけでありますけれども、一向に地元鹿児島でも進んでおりません。国としてなすべきことは何かということも考えながら国土庁としては積極的に検討していきたいというそのときの政府の御答弁でございました。  五年たってなぜこれほど国際会議を経た積極的な、具体的な提言がまだほとんど実現に向かって進んでいないのか、どのようにその原因を国土庁としては把握していらっしゃるのか、まずそれからちょっとお聞かせいただけますか。
  121. 福田秀文

    説明員福田秀文君) 今、先生おっしゃられたこのセンターの構想の具体化のお話は、平成二年に鹿児島県の方で鹿児島火山懇談会というものを設けられて、そこで学識経験者によって検討がなされて、時間をかけて平成五年に報告書がまとめられておるわけでございまして、その中に、今後具体的に現実性を持った方策というものをどうやったらいいかということが示されておるわけでございます。  先生先刻御案内ですのでくどいようですけれども、具体的な中身としては、既存の施設を含めまして研究、研修、情報の各種の機能を持つ施設を有機的に連携することによって全体として国際火山総合センターの役割を果たすことができる、そして各施設の設置主体については国ばかりでなく公共団体等も含めて幅広く考えていく、それからさらにこれらの施設は段階的に整備していくのがいいというようなことが述べられているわけであります。  私ども国土庁といたしましても、この報告の趣旨も十分に踏まえまして、その後、研修等々の措置を講じているところでございます。例えば研修で言いますと、鹿児島県それから関係省庁と相協力いたしまして、国際協力事業団のお力によりまして海外から参加をいただいて防災行政管理セミナーとか、あるいは火山学、火山砂防工学の研修とか、防災技術の研修といったような火山関係の研修、こういうことを鹿児島県でほぼ毎年開催してきたところでございますし、鹿児島県の方におかれましても、海外の研究者等々をお招きしまして鹿児島国際火山フォーラムというものを毎年実施してきているというような状況でございます。  それから最近では、建設省の方で力を注いでくださいまして、桜島に関する火山砂防のための施設、仮称でございますけれども桜島火山砂防センターといったようなものの整備を進めてきておりまして、現在段階で建物そのものはほぼでき上がったというふうに聞いておりますが、こういう施設を効果的に活用するということによっても先生おっしゃる国際火山総合センターの機能の充実が図られるものだというふうに私ども考えておるような次第でございます。
  122. 上山和人

    ○上山和人君 一つ一つのそういう積み重ねといいますか御努力はよくわかるし、地元の取り組みもよく承知をしているつもりでございます。研修会を開く、フォーラムを開く、そういうものの積み重ねは火山災害対策としては確かに重要ですよ。そして総合的な対策としても重要だと思いますけれども、国際火山総合センターというのは何をイメージするかという点で、少し私は国土庁の御認識と理解が違うんです。  いろんな機能を有機的に結合してネットワークを形成して国際総合センターとしての機能を果たすんだというセンターのつくり方もあるでしょう。しかし、それで本当に国際貢献的な役割を果たし得るような、多くの活動火山の引き起こす災害に苦しんでいる各国に対しても火山先進国として国際的な貢献をするという意味でも、もっとまとまった総合センターというのはっくらなければいけないのではないかと思う。そんなに経費のかかる問題でも私はないと思うんです。時間がどんどん過ぎていきますので気持ちがだんだん追われるような状態になっていますけれども。  国土庁の今までの経過はよくわかります。でも、それで本当に根本的にいいのかどうか。鹿児島宣言が採択されて、その宣言に基づいた火山懇談会が提言した国際火山総合センターというのは、今局長から答弁されるような内容のものとして提言をされているのかどうか、もう一度ひとつこの機会に検証していただきたいと思うんです。そして、やっぱり国際的な期待にこたえ得る日本の役割を本当にこの際果たしてほしい、私たちは果たしたいものだ、そんなふうに思いますから、国土庁長官、お忙しいところおいでいただいておりますけれども、どうでしょうか。  予算的にも、これは幾つもの火山関係の施設が鹿児島にはございます。大学にも、ほかの大学にない火山講座も設けられております。そういうものを有機的に結合し、ネットワークを形成しながら総合センターとしての機能を果たすものにするということも一つの方法ではありますけれども、そういうものを活用しながらもなお国際的に貢献できるようなものとして、きちんとした総合火山センターというのはできないものでしょうか。  そして、国土庁には、この際もう一度今までのことを検証しながら火山懇談会の提言を精査してもらって、国際的な期待にこたえ得る立派な火山総合センターを設立することに新たに向かうという御意思はないものでしょうか。長官、どうぞひとつ、もうありのままに御見解を御表明いただければありがたいと思います。
  123. 鈴木和美

    国務大臣鈴木和美君) ただいま局長から経過についてはお話をしたとおりでございます。  ただ一つだけ認識として、上山先生が本問題について各委員会で積極的な御発言と御提言をなさっていることは私も十分承知しております。さて、そのときの判断といたしまして、国際会議を開いた後の懇談会での提唱というものをどういうふうに受けとめるのかというところがちょっと先生と認識が違うんじゃないのかなと私は思うんです。  例えば、懇談会の提唱は、情報とか研究とか研修とかそういうものをやりながら、いずれは総合センターというものを夢見るかもしらぬけれども、一挙にはできないんだから、一つ一つ固めていって、ネットワークみたいなものを形成して総合火山センターとしての機能を果たすようにまず努力した方がいいんじゃないのかという御提言があったように私は受け取っておるんです。  したがいまして、懇談会の域を出て国の方が先にやるということはいかがなものかということで、現在は、そのネットワークを組むことの立場において各施設施設、パートパートのところを充実するようにお願いしている。そこで、建設省も今お話しのような桜島に仮称のセンターをつくるようにした。それから今度は京都大学の問題もございますし、そういう問題を幾つか精査しながら、今先生が提唱されている最終的には国際総合センターというようなものを築き上げるようなことにしていきたいということが私は今まで国土庁がとってきた態度だと思うんです。  そこで、国際的にもう少し、ネットワークはネットワークでいいんだけれども、それを総合的に掌握するところは一体どうするんだということが必ず議論になってくると思うんです。それは検証しながら、近いうちにそういうものを展望しながらやっていったらいいんじゃないのかなということを私は事務方に話をしているところでございます。  したがいまして、今先生の御提言、御発言とそんなに認識は食い違っていないんじゃないのかなというように思っているところでございます。
  124. 上山和人

    ○上山和人君 私どもの認識はそんなに違っていないと思っているんですよ。  火山懇談会の提言は、今局長も答弁されたように、長官も今お答えいただきましたように、既存の諸機能を有機的に結合してネットワークを形成して、総合火山センターの機能を持つようにしたらどうかという趣旨の提言だということはよくわかっているんですけれども、私はやっぱりその機能を十分果たすとすれば、司令塔とは言いませんけれども、そういうネットワークを統括して本当に諸機能に対して中心的な責任を持つ統括的なセンターの中心部というのがないものですから、どちらかというと個々に、ばらばらにとは言いませんけれども、この対策が進められている。総合センターとしての機能と言えない状態にまだ五年たってもとどまっているんじゃないかと思います。  したがって、長官から今前向きの御答弁をいただきましたけれども、これからもう少しそのネットワークを、まだネットワークだって決して十分だとは言えない状態だと思います。これからまだどんどん充実をさせていただかなければなりませんけれども、ネットワーク型でこの総合センターの機能を機能させるにしても、もっとそれを統括して敏速的確に事態に対応できるような、国際的にも貢献できるようなものにするには、火山懇談会の提言したあの表現の枠内だけでは私たちは期待されているものになり得ないんじゃないかと思うものですから、長官、ぜひこの際もう一度火山懇談会の提言を精査していただいて、本当に国際的な役割を果たし得る国際火山総合センターを名実ともに機能させるにはどうしたらいいかということについて御検討いただいて、来年度の予算編成作業、これから本格化するわけでありますけれども、予算措置等についても前向きに御配慮いただけないものか、積極的に御支援をいただきたいと思うんですが、再度長官からお答えをいただければありがたいです。
  125. 鈴木和美

    国務大臣鈴木和美君) せっかくの御提言でございますので、関係省庁、つまり科学技術庁、文部省、農水省、気象庁、建設省など関係省庁と先生の御主張を踏まえまして相談をしながら、なお前向きに取り組むように努力していきたいというように思っております。
  126. 上山和人

    ○上山和人君 ありがとうございました。  ぜひひとつ、火山先進国として果たすべき役割を非常によく御理解いただきまして、今長官の御決意のとおり、前向きに予算措置の段階から御配慮願いたいと重ねてお願い申し上げて、国土庁への質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。  農林水産省にお尋ねしたいんですけれども、先ほど少し新聞記事を御紹介申し上げましたけれども平成六年度の決算からウルグアイ・ラウンド対策の予算が入ったわけであります。資料には区分されておりませんけれども、その消化状況についてひとつ簡明にお答えいただきたい。  特に、先ほど日経新聞の記事を紹介しましたように、八月二十七日の朝刊は「農業予算未消化一七% 四十七都道府県で九千三百億円」、これはやっぱりかなりセンセーショナルな報道なんですね。しかも、三日後の社説でまた「やはり余った農業予算」。「やはり余った」という表現で日経は社説を書いているわけです。この影響は非常に大きいと思うんです。私どもが苦労してウルグァイ・ラウンド対策費、多額の予算を措置いたしましたのに、このウルグアイ・ラウンド交渉合意の後、どう日本の農業を守り発展させるかという観点で本当に真剣に考えて予算措置をしたはずなのに、その予算の消化状況、執行状況がこういうふうに報道されることについては極めて残念なんですよね。    〔委員長退席、理事笠原潤一君着席〕  したがって、その執行状況と同時に、この報道の真偽のほどはどんなものか、これは事実なのかどうかということについて明確にお答えいただきたい。
  127. 高木勇樹

    説明員高木勇樹君) ただいま先生の御指摘になった新聞記事でございますが、これはその新聞社が独自に調査したものというふうに承知をしておりますが、内容を見ますと予算の繰り越しということでございます。  先生御案内のとおり、予算の繰り越しについては予算執行上制度的に認められておるわけでございまして、例えば十月以降の下半期に補正予算が成立した場合などには、県においてこれに対応した予算を手当てするのに時間がかかります。また、積雪地帯などにおきましては、冬にかかりまして事業の実施が実際上できないというようなことがございますので、事業の実施箇所を決めた上で次年度に繰り越しという対応をしているわけでありまして、ほかの公共事業でも一般的に行われているものでございます。  御指摘の記事は、内容は繰り越しのことでございますけれども、見出しが「未消化」、いわば繰り越しが即未消化というような内容になっておるわけでございます。私ども、今先生指摘のとおり、このような記事については問題が大き過ぎるということでございますし、経済専門紙として大変初歩的な間違いではないかということで厳重に抗議をしたところでございます。  なお、七年度の決算については現在まだ作成中でございますが、当省限りの試算によれば、八年度への繰越率は一三・八%程度ということになっております。  ウルグアイ・ラウンド対策につきましては、御承知のように今のシーリングの枠内ではなかなか当初予算ですべて必要な額を計上できませんので、初年の六年度の補正から始まりまして、大体補正でその大部分を対応しているという状況にございます。したがいまして、今申し上げたような事情から一定の額が繰り越されていることは事実でございますが、しかし事業の箇所はきちんと決めてございますし、次年度にきちんと消化をしているということでございます。
  128. 上山和人

    ○上山和人君 最近、特に新聞報道が、私は先般この委員会で大蔵省の記事に関することでただした経過もございますけれども、事実無根の報道だと明確にお答えになるわけですね。しかし、その後事実無根の大見出しの記事が訂正されたことは一度もないし、今厳重に抗議をしたとおっしゃるけれども、正確にこの記事の説明をする補足の記事もその後も全くないわけです。  私は、今日マスコミの影響が非常に大きいときだけに、こういう事実をそのまま伝えないような報道についてはもっと政府全体としても厳しい対応をして正確に、言論、報道の自由は当然あるんですけれども、保障されなければなりませんけれども、それは事実でないことを報道していいということにはならないわけですから、やっぱり厳正に対応すべきだと思いますので、この機会に農林水産省としてもこの報道については、さらに報道機関にはきちんと対応してほしい、これはお願いを申し上げておきます。  そこで、今御答弁がございましたけれども、いずれにしましても私たちが地方におりましても、大臣、聞きますことは、やっぱり補助金漬けで、むしろ農業者の体力をそいでいる面があるんじゃないか。これは率直に、地方段階のJAの皆さん自身のお言葉の中にもちらほら出てまいります。そして、地方自治体が四苦八苦しているという声もやっぱりささやかれます。  これは大臣も恐らくお耳に入っているんじゃないかと思うんですけれども、問題はせっかくの六兆百億のウルグアイ・ラウンド対策費も本当に現場が求めている配分になっているのかなということについては、鹿児島は農業県ですが、私たちも本当に懸念をしているわけでございます。この関係者の思いといいますか、現場の切実な需要に沿う、こたえるような予算配分になっているのかどうかという点については検討する余地があるんじゃないかと思っているのですが、実情について率直に言ってどのように認識をなさっていらっしゃいますか。
  129. 高木勇樹

    説明員高木勇樹君) 先生指摘のとおりウルグアイ・ラウンド対策は六兆百億という事業費でございます。大変大きな額でございますし、これによりまして我が国の農業の体質を早急に強化するというねらいを持っているわけでございますから、当然のことながらそれを受ける農業者またはその団体がまさにみずからの事業として取り組んでそれを生かしていくということが必要であることはおっしゃられるとおりでございまして、私どももそういう点に留意をしてこれまで事業を執行してきているつもりでございます。  特に、これで二年度を経過するわけでございますので、この機会にウルグアイ・ラウンド対策の進行状況等、また現場でどんな要望があるか、改善すべき点はどういう点かということにつきましても省を挙げて検討し、必要なものについては九年度の予算においても改善をするということで臨んでおります。  今後とも、今の先生の御指摘を十分踏まえて、この対策が真に農業者及び農業経営、また体質の強化につながるように省を挙げて頑張りたいと思っております。
  130. 上山和人

    ○上山和人君 ぜひそのように今後とも十分御留意願いたいと思うのであります。    〔理事笠原潤一君退席、委員長着席〕  ことしの二月二十三日の農林水産委員会で社民党の菅野久光委員が、私が今御提起申し上げているような観点から、ウルグアイ・ラウンド対策に関して農業関係者の関連対策に関する意見を聞くべきだと提言をいたしております。それについて大臣の方からは、御指摘のとおりの努力をしたいと御答弁が行われておりますので、今局長も答弁されましたけれども、ぜひこの大臣答弁に沿って今後とも十分関係者の関連対策に関する意見を聴取する努力を続けながら適切な配分を、現場が本当に喜ぶ、農業現場を活性化させる、日本の農業を再建できる、そういう対策として活用できるような配分に御留意願いたいと思います。  そこで、時間がなくなっているんですがお尋ねいたしたいのは、農林水産関係の予算については投資的な予算、例えば文教予算では教育は未来への先行投資として位置づけて科学技術研究費等は投資的経費として取り扱うという、ここ二、三年来そういう考え方が定着をしておりますね。ほかの分野についても大方投資的経費として取り扱う部分というのがあると思うんですけれども、農林水産関係の予算の中には未来への投資的経費として配分する分野があるんですか、ないんですか。いかがでしょう。
  131. 高木勇樹

    説明員高木勇樹君) 先生今おっしゃられましたように、我が農林水産省としても、農林水産業において科学技術等の大事さというのはほかの分野と比べても引けをとらないほど非常に重要だと我々認識しておりまして、当然のことながら我が省には技術会議というところがございまして、農林水産業のいわゆる科学技術、いろいろな技術だけでございません、品種改良を含めて、また農業技術のことはもちろんでございますが、先行きのバイテク、いわゆるバイオテクノロジーなどの手法を使った研究開発、そういうことに大変な力を尽くしております。そういった面での未来へ向けての投資的な分野というのは当然私どもも力を入れているところでございます。  また、農林水産業の場合には土地が一つの生産手段でございます。したがって、その土地、例えば農業でいえば農地を農業機械が効率的に使えるようなことにしていくというのもある意味では未来へ向けた投資でございまして、そういった意味での圃場整備といったようなことにも力を入れているところでございまして、我が省の予算にはそういった投資的な、先生おっしゃられる未来へ向けた投資的な経費、これは当然ふえているわけであります。
  132. 上山和人

    ○上山和人君 よくわかりましたが、具体的に申し上げますと、今農水省にとって、また私どもにとって一番大事なのは環境保全型農業をどう積極的に推進するかということ、それはまた農林水産省の重点施策の一つでもあると思いますけれども、そういう分野はまだこれからの、どちらかというと新しい分野だと思います。こういう分野について、今申し上げるような投資的経費としての重点的な予算配分ができないものか、ぜひそうしてほしい。  特に、今無農薬、有機栽培の試みが全国的に広がっていると思うんです。鹿児島ではアヒルを改良してサツマガモと呼んでいますけれども、アイガモ農法によって無農薬、有機栽培の米を生産しています。その米を食べるとアレルギー症状がなくなる、そして虚弱体質が改善されるということが明白にもう証明済みなんです。  そういうことを考えますと、そういう無農薬、有機栽培等の農法による農産物を食べることは、とることは、アレルギー症状や虚弱体質を改善する効果があることが既に実証されていることから見ましても、これはやっぱり予防医療としても位置づけられるんじゃないか。そういう各省庁間の垣根を超えた総合的な、厚生省の分野になるかもしれない、そういうものとも連携をしながら、もっと広い視点でこういう無農薬、有機栽培等の広がりを見せている農法についても積極的に推進をするような、むしろ未来への投資型予算として重点配分をするような積極姿勢が今必要ではないか、今求められているんではないか。特に環境保全型農業政策の中心的な問題として、私たちは地方にいてそう思っております。  そういう試みをする農家を支援する政策だって具体的になければいけない時期になっているんじゃないかと思うんですが、その点についてどうかひとつ前向きの御答弁をいただけませんか。
  133. 高木賢

    説明員高木賢君) 御指摘の環境保全型農業につきましては、平成四年度に当省で策定いたしましたいわゆる新政策の中におきまして農政の柱の一つということで位置づけまして、現在全国的な推進を図っております。当初の点という存在から面へということで、県なり市町村段階におきましての推進指導とか、あるいは堆肥の供給施設の整備とか、そういったものに対する助成を推進してきているところでございます。  その中で、無農薬栽培といいますか有機栽培につきましても、これは消費者の健康志向というものにこたえるということで全国でさまざまな工夫、取り組みが行われております。私どももこれを積極的に支援するという立場で最近いろんな支援をしているところでございます。  これは、内容としましてはソフト、ハード両面にわたっておりまして、ソフト面では、全国各地のいろんな取り組み、これの情報を集めまして関係の皆様方の便宜に供するということで、より一層知恵を出すということについての助力をしております。それからもう一つは、堆肥供給施設とか有機農産物の集出荷施設、こういった施設整備につきまして補助対象といたしまして積極的に進めておるというのが一つでございます。また、必要なものにつきましては無利子の農業改良資金の貸し付けということも行っております。  そういう中でいろいろな約束事がありますが、ソフト、ハード両方ありますけれども、ハード面の施設につきましては、これは投資的経費というふうに位置づけて積極的推進を図っておるということでございます。
  134. 上山和人

    ○上山和人君 一分間残っておりますから、最後にお願いをいたしたいのは、環境保全型農業の一形態でありますが、有機農業については、これは消費者の安全志向そしてまた自然志向が広がっておりますので、そういう観点から特に重点的にこの支援策を講じてほしい。有機農業への取り組みは全国に広がりは見せていますけれども、全体的に言えばまだほんの一部と、そんな状況ですから、その人たちを激励し、そして支援することによって環境保全型農業が全国的に広がりを見せる。それは今申し上げましたように消費者の自然志向、安全志向にこたえることにもなる大きなこれからの農業政策の分野の問題だと思います。  それで、最後に大臣、恐縮でございますが、そういう私が申し上げましたようなこれからの新しい分野につきまして、未来への先行投資的な位置づけをしながら、今も局長答弁の中にはそういう位置づけをしているという趣旨の答弁がございましたけれども、しっかりその理念を一層確立された上で、有機農業等の取り組みを進めている農家に具体的な援助、支援策を講じるような平成九年度予算でも予算措置をいただきたい、お願いをしたいんですが、最後に大臣の御決意をお伺いして、質問を終わらせていただきます。
  135. 大原一三

    国務大臣(大原一三君) 先生は鹿児島ですし、私は宮崎ですし、いろいろ似たような自然条件の中にあるわけでございますが、私の方のところの町で綾町というのがありまして、これはもう有機農業オンリーの町でございまして、自主投資でおやりになっているんです。それで、人ぷんをコンポストにして全部使っちゃうんだということで、これは川はきれいになるし、そういう意味で非常に先進的な有機農業であります。  おっしゃるように、ハード面は投資である、ソフト面は投資でないという考え方がまだ抜け切れない、農林省の予算の中で。そういった面をやはり試験研究という形で、我が方の試験研究も投資的経費に入っておりますから、先生の御意見を聞きながらそういった努力をしていくべきじゃないのかなと感じたところでございまして、御趣旨に沿うよう我々も努力をしてまいりたいと、こう思っております。
  136. 上山和人

    ○上山和人君 どうもありがとうございました。質問を終わります。
  137. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 きょう、私は変額保険問題についてお伺いしたいと思います。  この変額保険によって多数の被害者が生まれている。被害者の会もつくられている。しかも、多くが高齢者やあるいは年金生活者である。既に四名の自殺者さえ生まれている。もう大変重大な深刻な事態になっています。  この問題で先般四日に横浜地裁で、明治生命と横浜銀行を被告とする裁判で、明らかにこのケースの場合には明治生命と横浜銀行が結託をして、きつい言葉で言えば癒着して、そして説明義務を果たさずに、あるいはまた過大な期待を抱かせて勧誘したんだというので十二億円の払い戻しあるいは損害、こういうものの支払いを命じる判決を下しました。  もともと変額保険というのは、大蔵省がこういう保険を認可しなければ当然こういう被害も生まれなかったわけで、こういう危険な大変リスクの高い変額保険を認可した大蔵省としてこの判決をどう受けとめているのか、まずお伺いしたいと思います。
  138. 福田誠

    説明員福田誠君) お答えいたします。  お尋ねの横浜地裁の件でございますが、本件につきましては判決が確定していない係争中の個別の事柄でございますので、私どもといたしましてはコメントを差し控えさせていただきたいと存じます。  なお、一般論として申し上げれば、保険会社及び銀行は、それぞれ保険業法、銀行法に基づく免許企業でございます。その公共的側面にかんがみまして、業務の適切な運営による経営の健全性確保が強く期待されております。当局といたしましては、保険会社及び銀行に対する国民の信頼が失われることのないようその業務運営につきまして一層適切に指導してまいりたいと存じます。
  139. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 そんな気楽なことを言っているからだめなんだよ。あなたたち、適切な指導をしていると。確かに通達出しているよ、一九八六年に最初の通達出している。しかし、余りにも苦情が多いので八九年にまた通達出しているんですよ。しかし、大蔵行政というのは、通達出しているから指導責任果たしていると、そんなものじゃないでしょう。何のために通達出すかといえば、通達を守らせるために出すんじゃないですか。しかし、現場は全く守っちゃいない。通達は単なる紙くずにされているということですよ。私たち通達出しているから、指導しているから、それで済むなら、あなたたち監督責任は全く最初から放棄しているというのとこれは同じことですよ。  この判決、私読みました。どういうことが書いてあるかといえば、大蔵省のそういう指導が弁明の口実に使われているんです。判決文にも書いてありますよ。例えば、勧誘するときには大体のケースが、運用利回りは確実に九%は保証しますと、こう言っているんです。今は実際にはもっと一〇%以上運用利回りあるけれども、最低でも九%保証しますと。そして保険証書が送られてきた。見てみるとそこには四・五%という数字が書いてある。保険に入った人がおかしいじゃないか、半分じゃないかと問い合わせたところ、大蔵省の指導でこれ以上は書けませんと。大蔵省の指導がいわば生命保険会社、銀行の隠れみのに、そして責任逃れの口実に使われている。これが実態だと。これは判決に書いてありますよ。  大臣、この変額保険問題というのはきょうもちろん初めてじゃないです。衆議院でも随分取り上げられました。ほうっておけば、もちろんそんなことだれも望みませんけれども、本当にあすにだって新たな被害者が出かねない、それぐらい深刻な事態にこの変額保険に入った人というのは追い込まれているんですよ。  そうであるなら、この判決を受けて、それは確定していないでしょう、確定していなくたっていいじゃないですか、何もこの判決、大蔵省にどうしろと言っている判決じゃないんだから。変額保険の実態はこうだということを横浜地裁が認定したんですよ。そうしたら、行政として、既に多くの被害者からの届け出だってあるでしょう、皆さんのところへいっぱい訴えだって来ているんだから、直ちに一体どれだけ全国に被害者がいるのか被害の実態調査をする、あるいはそういう方々大蔵省に苦情を持ってくれば、門前払いするんじゃなくて詳細に訴えを聞いて、銀行に貸し手責任がないのか、保険会社の勧誘に問題はなかったのか実態調査をやって、そして苦情を受け付けて、その解決の処理を速やかに図っていくということで大蔵行政を進めていこうと考えるのが責任ある態度じゃないですか。  これは大臣にお伺いしたいと思います。
  140. 福田誠

    説明員福田誠君) 変額保険をめぐりまして、そのときの募集の説明が十分であったか等々いろいろな問題が生じております。当局といたしましては、変額保険をめぐる苦情等につきましてはまず当事者間で話し合いが行われ、早期に解決が図られることが望ましいと考えておりますが、双方で募集時のいきさつ等について見解が相違し、御指摘のように訴訟となっている事案もあるわけでございます。  当局といたしましては、変額保険を含みます個別問題について苦情等の申し出があった場合には、申し出の内容をお聞きした上で必要に応じて事実関係等についてヒアリングを行い、問題があれば適切に対応するよう保険会社等を指導してきているところでございます。  しかしながら、既に訴訟になっている事案につきましては、裁判に与える影響もございますし、当局がその内容に立ち入ることは難しいものと考えております。  また、実際問題といたしまして、両当事者の認識が異なるというような問題につきまして、その事実関係を当局において最終的に判断するというのは大変難しいことでございますので、そこは御理解賜りたいと存じます。  ただ、当然一般論として申し上げれば、繰り返しになりますが、保険会社は保険業法に基づく免許企業でございます。その……
  141. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 そんなのいいよ、繰り返しの答弁は。時間ないんだからもういい。大臣お願いします。
  142. 久保亘

    国務大臣久保亘君) ただいま政府委員から御答弁申し上げましたように、第一審の判決そのものについては、なお係争中でございますから私がここで申し上げる立場にないと、こう考えております。  ただ、免許業種としての保険会社や銀行が、その自分たちの方の持っている知識のうち都合のいい面だけを顧客に説明をいたしまして、そして変額保険の持ちますリスクなどについて十分な説明を行うことなく契約を行わせて、そのことによって双方の信頼関係が傷つき問題が生じているということであれば、これは私は銀行や保険会社の持ちます公共的性格とその責任に照らしても非常に問題であると考えております。こういった点については、なお裁判中でございますけれども、それらの経緯について、免許をこの業界に与えました立場といたしましてこれらの内容について十分に調査をし、指導すべき点については厳正に指導を行うべきものと考えております。
  143. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 今度の判決で一つ重要なことは、先ほども言いましたけれども銀行と生保がたまたまあるケースで手を結んでいたというのではなしに文字どおり組織的に結んでいた、これが裁判にも資料として出されました。つまり、銀行責任というのが非常に浮かび上がってきた。  この一時払い終身型の変額保険というのは、何千万あるいは億単位の保険料を一度に払い込む、こういう保険ですから、これは通常は銀行から借りなければ入ることができない、いわばセットになっている。これが一時払い終身型変額保険の特徴なんです。ところが、これまで質問主意書などで大蔵省に質問したところでは、たまたまそういうケースがあっただけであった、組織的にはやられていないという答弁でありました。しかし、今度の判決というのは、横浜銀行と明治生命が文字どおり組織的にやっていた、つまり銀行側は募取法違反で保険の勧誘をやっていたということにもこれはなるわけです。  私、きょう三和銀行のある内部資料を持ってきました。これを見ますと、銀行が組織的にやっていたというのが極めて明白です。  きょう、私はここに「厳秘」と押印された「保険料融資のリスクについて」と題する文書を持ってきました。一九九〇年四月付です。バブルがちょうど崩壊が始まる時期です。東日本地区の支店長会議の資料として提出されました。  どういうことが書いてあるかというと、商品名に「一時払変額保険(終身型)」とはっきり書かれているんですよ。生命保険会社の支店長会議じゃないですよ、銀行の支店長会議の資料に商品名として「一時払変額保険(終身型)」とはっきり書かれている。「推進上の留意点」として、「銀行員の保険勧誘は絶対に不可(募取法違反)。」と書いてある。ここまではいいですが、次に何と書いてあるかというと、「勧誘用パンフレットの所持・配布は厳禁。」と。しかし、持っているんですよ。勧誘しちゃいけないというけれども、勧誘用のパンフレットは持っているんです。ただし持っていくな、配布はするなということが書かれている。つまり、募取法違反で勧誘はさせるけれども、証拠を残さぬためにパンフレットは渡すなということが書かれている。  しかも、二枚目を見るとどういうことが書かれているかというと、八九年下期の実施計画・実績表というのがついています。東日本地区、三和銀行は四十の支店がある。ここに売り込みを図る保険名が書いてある。がん保険だとか長期総合保険だとかみどりの保険だとか、その一つに変額保険というのが入っている。そして、幾ら売って収益を上げるか、収益計画と収益実績が書かれているんです。  これは、三和銀行が文字どおり組織的に募取法違反で変額保険の勧誘をやっていたということのあかしじゃないですか、銀行局長どうなんですか。
  144. 福田誠

    説明員福田誠君) 再び委員の方から具体的な三和銀行の例とおっしゃる件について御紹介いただきましたが、私ども、きょう現在そのようなことは承知しておりませんで、一般論として言えば、変額保険につきまして保険料ローンが利用された例があることは承知しておりますが、銀行と保険会社の間でいわゆる提携が行われていたということは承知いたしておりません。
  145. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 それは承知していないのは当たり前だよ。この資料、だって「厳秘」と書いてあるんだから。私、たまたま手に入れたんです、ちなみに私はもと三和銀行におりまして。これは「厳秘」と書いてありますよ、ここに。何だったら後で見せてあげます。三和銀行に行って調べてきなさい、これは本当にあるのかと。こういうことをやっているということですよ。  そして、大蔵省が私は知らないとか、そういう事実をつかんでいないとか言う前に、これだけ訴えが出てきているんだから、銀行にもあるいは生命保険会社にも立入調査をすればいいじゃないですか。大蔵省検査でやっておるでしょう。そして、本当にそういうことがやられているかどうかということを調べる。そうしなきゃ、あなた方はいつまでたっても、私どもは保険業法に基づいてやっていると思います、私ども銀行法に基づいてやっていると思いますと、そんな答弁しかできないんだから。現実にもう被害がいっぱい出ている、その間にも。まじめにあなた方がこの問題に取り組むなら、先ほど大臣は必要な調査をすると、指導もするというふうにおっしゃいましたけれども、本当にそれが今求められているというふうに私は思います。  しかも、私が許せないのは銀行の態度です、生保ももちろんだけれども。住専のときにも銀行のモラルが随分問題になりました。この変額保険では、最もたくさんの訴えを受けているのが三菱銀行、明治生命とのセットです。  どういうことをやっているかというと、例えば三菱銀行は、三菱銀行にだまされて多額の借金を抱えてしまった被害者に対して、土地を競売にかけると。企業といえどもやっぱりモラルが必要だ、自分たちがうまいことを言ってやった保険なんだから。そして、思いどおりの運用実績が上がらなかった、銀行からの貸し付けと利息ばかりふえて今まで絶つ人が出ているときに、競売にかけるというんですよ。私は、日本の銀行経営者というのは人間の魂を失ったのかと言いたいですよ。  こういうケースに対して、訴えがあれば直ちに大蔵省は手を打たなきゃ、これは人の命にかかわる問題ですよ。どうなんですか。
  146. 福田誠

    説明員福田誠君) お答えいたします。  銀行の競売の件でございますが、変額保険の購入のために銀行から融資を受けた債務者がおられて、その方に対して銀行として債権保全上の観点から保証の履行を求めるなり、あるいは保証会社が競売の申し立てを行ったという事実は伺っておりますが、それは銀行として債権保全上の観点から行われる行為ということでありますと私法上の契約に関することでございまして、行政当局としてその競売申し立てを行わないように指導することは、そのこと自体は難しいものと考えております。
  147. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 そんなことは幾らでもやられているんですよ。銀行だって商売でしょう。担保をとっているから直ちにとるなんということはやってないじゃないですか、現実には。今その借り手は大変だって、十年後には、五年後には、三年後には立ち直るかもしれないというところにそんな競売をかけたりしていますか。それが銀行商法というものじゃないですか。そんなことも知らずに保険部長が務まると思っているんですか、あなたは。  大体変額保険というのは違法な売り込みをやらなきゃこれは売れない保険なんですよ。だから、私はこれを認めた大蔵省責任というのは重大だと思うんです。要するに、銀行から借りて、そして保険会社に払い込んで、保険会社がそれを運用するわけです。うまくいきゃいいけれども、うまくいかなきゃ銀行からの借金がかさむばかりになるんですよ。そんな商品を売りに行けと言われた銀行員や生命保険会社の社員はどうするか。これは下手すりゃ財産を失いますよと、そんなセールスをやりますか。やるわけがない、そんなものは。必ずもうかりますよと言わなきゃこんなものは一つだって売れないんだから。だから、みんなその銀行員や保険会社のいわば詐欺的商法にひっかけられたんですよ。  これは東京地裁がことしの七月三十日にやはり判決を出していますが、こういう旨のことを述べています。銀行融資で変額保険に加入し相続税対策を行うというのは具体的危険性が多過ぎると。つまり、変額保険で相続税対策をやるなんということは、そんなことを売り物にするなんということはそもそも問題にならないということを東京地裁の判決でもこれは述べております。  ところが、それをやったんです。これは富士銀行の全社員が持っている「企画ノート」というのがあるんです。その中には「相続対策を切り口とした資産家工作」というページにちゃんと書いてありますよ、これ拡大コピーしましたが。そして、相続対策は二つのアプローチがあると。一つ相続税の節税をいかにするか。つまり、借金をつくって資産を減らしてそして節税する、これが一つの道だと。もう一つの道は納税資金をいかにつくるか、相続税を支払う資金をいかにつくるかと。そのための工作が具体的にこれに書いてありますよ。こういう手口で保険会社と一体になってやられてきたんです。  もう時間が余りありませんが、これはやはり世田谷にお住まいで、横浜銀行と明治生命、さっきの横浜地裁の判決と同じコンビです。これにひっかかった七十歳の女性の方ですが、こう書いています。   昭和二〇年八月、敗戦の焦土に生き残り、飢  えて無一物であった私達。地獄の戦場から九死  に一生を得てやうやく祖国にたどり着いた者達  こそ、私共の世代なのであります。激動の国の  運命に巻き込まれながら、精一杯に生き、精一  杯に働き、晩年の平安をこそ願って来ましたの  に、今、この保険地獄、負債地獄のうちに最後  の幕を引くとしたならば、私達のこれまでの人  生は一体何であったのでしょうか。  これが変額保険の被害者の叫びなんですよ。私はこれを聞くと、変額保険は本当にこのままでいいのか、そのあり方も含めて私はこの問題についてはやはり根本的な検討を加えるべきそういう時期に来ているというふうに思うんですけれども大臣、いかがでしょうか。
  148. 福田誠

    説明員福田誠君) ちょっと事実だけ御答弁させていただきたいんですが、今変額保険の商品そのものについての御批判を賜ったわけでございますが、誤解のないように申し上げますと、この変額保険についてローンが裏打ちされているのが前提の商品ということでは決してございません。むしろ件数としては、ローンつきの場合ははるかに例外でございますので、そこだけは誤解のないようにお願いいたしたいと存じます。  なお、変額保険の商品そのものにつきましては、欧米各国で既に販売されていた商品でございますし、我が国におきましても消費者の金利選好の高まり、あるいは生存保障ニーズの増大といったようなことを背景といたしまして、昭和六十年五月の保険審議会の答申を受けまして六十一年十月から販売された商品でございます。
  149. 久保亘

    国務大臣久保亘君) 商品の種類そのものに問題があるかということになりますれば、今、保険部長が申し上げましたように、国際的にも類似の商品が売られているものだと思っておりますが、しかしその売り方といいますか、利用する国民との間の信頼関係に対して、保険会社や銀行等が法律に基づいてきちっと国民の信頼にこたえるようなやり方をしているのかどうかということで多くの問題があることを私も承知いたしております。  抵当証券の問題、団体生命保険の問題、そして筆坂さんが今御指摘になります変額保険の問題、これらが次々に訴訟になっておりますこと等については、私どもとしてはその商品の販売のやり方等について、また保険業法や銀行法が適切に守られているのかどうかというようなことについては十分に指導、監督の責めを果たしていかなければならないことであろうと考えております。
  150. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 終わります。
  151. 水野誠一

    ○水野誠一君 本日は、私は農水省に中海の干拓事業に関して伺いたいと思います。  この中海干拓事業につきましては、決算委員会の六月の総括質疑の際にも伺ったわけでありますが、そのときには大変残念ながら大原大臣が御健康上の問題で御欠席をされていました。また、その後、三党合意も出てまいりまして、本日はぜひ大臣からも御答弁をいただければというふうに思っています。  そのときに私は、二百七十億円という巨額の国費をさらにつき込んで関西空港の約三倍という広大な海を干拓して農地をつくる必要性が本当にあるのかということ、まして環境破壊という観点からも大いに疑問があるのではないか、こういう事業は、経緯はともかくとして、勇気を持って中止すべきではないだろうかということを申し上げたわけです。  特にこの事業が始まりました三十年前と現在では社会経済情勢も大きく異なってまいりました。干拓してっくった農地は具体的にどのように使うかという点に関して、これまで説得力のある説明が全くなされていません。例えば農水省は具体的な農地の利用計画、営農計画を提示すると約束しながら、これまで十二年間、一回たりとも提示されていない、こういうこともあるわけであります。  私も議事録をたどってみたんですが、昭和五十九年の衆議院農水委員会で農水省は、中海の干拓の営農をどう考えるかはまさにこれからの問題だろうと思っているという答弁をしております。その後の国会の質疑においても、翌六十年、六十一年、六十二年、六十三年と毎年のように検討している、県と相談するというような答弁が繰り返され、最近では平成七年の衆議院農林水産委員会でも島根県の方で検討しているという答えになっているわけであります。  このように十二年間も農水省は具体的な営農計画を出せなかったということは、つまり農地目的を具体化するのが不可能なのではないかとしか思えないわけでありますが、営農計画はその後できたのか、またなぜ営農計画を十二年たっても提示できないのか、そもそも干拓したところで必要な農業用水を確保できるのかというようなさまざまな疑問がわいてくるわけであります。  これらの点について農水省から簡潔に御説明をいただきたいと思います。
  152. 野中和雄

    説明員(野中和雄君) 国営干拓事業は水面下の土地を干拓いたしまして農地にするという特殊性を有しておりますので、営農計画につきましては土地改良事業計画を最初に策定いたします際に事業計画上の営農計画というのをまず定めるわけでございます。それから、干陸後に土地配分を行う際に改めて干陸計画上の営農計画を策定すると、そういう手順をたどるわけでございます。  現在の中海の干拓の本庄工区を含めた五工区でございますが、今申し上げました事業計画上の営農計画につきましては昭和五十九年三月の中海干拓事業の計画変更時点で策定をされております。そして、その時点で干陸、埋め立てを完了しております揖屋、安来、弓浜の工区につきましては六十三年に、彦名工区につきましては平成三年に干陸計画上の営農計画が策定をされているところでございます。  一方、本庄工区でございますけれども、これはまだ干陸をしていないわけでございますので、干陸計画上の営農計画を策定する段階には至っていないわけでございます。しかし、工事が長期間中断をしておりますので、事業計画上の営農計画、これは既に五十九年に立てられておるわけでございますけれども、これを見直すことが必要になっております。  したがいまして、県の方で今回の要請に際しましてこの工区の営農計画を一応つくられておるわけでございますけれども、この県が策定されました営農計画をもとに、今回私どもといたしましては二年間かけてこの地区の調査をきちっとやるということにいたしておりますので、今回の調査の中で詳細な検討を行うことにいたしたいというふうに考えているところでございます。  また、農業用水についてお尋ねでございますけれども、既に完了いたしました四工区につきまして、必要最小限の用水が背後地からの落水あるいは地下水などによりまして確保されて営農が行われているところでございます。本庄工区につきましても、これらの四工区と同様に営農に必要な最小限の用水につきまして、今後、背後地の河川水等の利用につきまして今回行います調査の中で詳細に調査検討をいたしたいというふうに考えております。
  153. 水野誠一

    ○水野誠一君 当然、私は今お話しになりました本庄工区の見直しについてお尋ねをしたわけでありますが、同様に今答弁の中にありました四工区、既にやられている四工区についても後で触れさせていただきたいと思います。  地元では干拓地での農業というものは今でも採算が合わないという声が強いようでありまして、県としてはとりあえず農地としてつくっておいて、ほかの目的に転用するのが本音ではないかというような報道もあるわけであります。  そこで、農水省に伺いたいんですが、これまでに中海で既に干拓された農地、これが全部売れているのか、あるいは売れていないのなら一体どの程度が残っているのか、数を示してお知らせいただきたいと思います。
  154. 野中和雄

    説明員(野中和雄君) 中海干拓事業の全五工区でございますけれども、このうち島根県の揖屋、安来工区、それから鳥取県の弓浜工区につきましては昭和六十三年度に、それから鳥取県の彦名工区につきましては平成三年度にそれぞれ工事が完了いたしまして、両県の農業開発公社を通じまして農地の売り渡しがなされているところでございます。  この売り渡し状況でございますが、平成八年二月末現在におきます完了しております四工区の全体の売り渡し状況でございますが、配分面積五百五十二ヘクタールのうち四百十一ヘクタールが売り渡し済みでございます。未売り渡しの農地が百四十一ヘクタールございますが、これにつきましてもその多くの部分は公社から周辺の農家に貸し付けが行われておりまして、露地野菜栽培等々の農業が行われているわけでございまして、約九割の農地が有効に利用されております。  また揖屋・安来工区につきましては、現在干拓農地の買い受け者の募集が行われておりまして、現在九ヘクタールの農地が新たに売り渡される予定になっているというふうに聞いております。
  155. 水野誠一

    ○水野誠一君 今、御答弁があったんですが、百四十一ヘクタールが売れ残っているという事実はまさにそのとおりだと思います。  ただ、その部分が貸し付けられてそこで農業が営まれているという説明があったんですが、これは本来の目的といいますか計画では売り渡すという計画のもの、それが売れ残っているので貸し付けているということではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
  156. 野中和雄

    説明員(野中和雄君) 基本的には売り渡しということで買っていただくのがいいわけでございますけれども、しかし、県の農業開発公社等が中に入りまして通常一定期間でございますけれども、一定期間貸し付けるという形でお貸ししまして、そして条件が整ったときに買っていただくというような方式というのは、一般の農地につきましてこの農業開発公社が入りまして、中間的な保有をして売り渡すという場合にもそういう手段がとられることは一般的なものでございます。
  157. 水野誠一

    ○水野誠一君 今、御説明があったんですが、ともかく現状百四十一ヘクタールが売れ残っているということは事実だと思います。そういう中で、その販売がされるかどうかわからない農地をさらにまたつくり増していくという必要があるのかどうか、これは大変疑問だと思います。  平成五年度の決算検査報告でも、熊本県の羊角湾の干拓事業の実施が困難になっているという指摘がありますし、また、そのほかの完成した干拓地でも農地が売れ残ったり、あるいは耕作放棄地が出ているというような話も聞いております。もはや農地目的の干陸事業そのものの必要性というものを問い直していく必要があるんではないかというふうに思います。  さらに重要なことは、この干陸事業によって中海、宍道湖という貴重な人類の資産である汽水湖の一部を失うということであります。環境破壊という視点からも大きな問題を抱えているというふうに思います。つまり自然環境の破壊というものと開発というものを比較して考えたときに、開発というものは前には進むけれども、特に自然環境のような問題というのは元には戻ってこない。すなわち、もう取り返しがつかないことになるということを考えても、計画性に乏しい今回のこの開発というものについては相当慎重にとらえていかなければいけないというふうに考えます。  実は、中海、特にこの本庄工区水域は魚介類のかけがえのない育成場として、良好な漁場として天然の宝庫であるというふうに聞いています。現在でも実質的に約十億円程度の水揚げが中海ではあるわけで、特にアカガイの養殖場としては大変有望なところである。また、スズキの養殖などを計画すれば年間六十億円程度の漁業生産が可能であるという専門家の意見もございます。  食糧自給という観点から考えても、農産物同様に我が国の魚介類の自給率は年々下がる一方であるということで、昭和六十年には八六%あった自給率が平成六年度では六一%まで下がっているということも言われるわけであります。  貴重な天然資源であります海を埋め立てて破壊するのではなくて、海として生かし、そして生産の場として利用するということが可能であれば、そのような選択を私はむしろ積極的にしていくべきではないかと思うのでありますが、大臣は農林のみならず水産をも御担当されている大臣でありますので、ひとつ大原大臣の御見解を伺いたいと思います。
  158. 大原一三

    国務大臣(大原一三君) この問題については長い歴史といきさつを持っているわけでございますが、正直に言いまして私も難しい問題を抱え込んだなと、正直な私の感覚でございまして、果たして田んぼをつくっても米をつくる人はいるのかなと、田んぼはまずだめだろうと。それじゃ、あとどういう農業をやるんだろうか等々、農業オンリーから考えましても非常に大きな問題を抱え込んでいるような気がいたします。  幸いにして、与党で徹夜作業でようやく御調整をいただいた結果、もう委員御存じのとおりでございまして、二年間調査をいたしましょうと、こういうことに相なったわけでございまして一私のところに大挙してたくさんの方々が与党の皆さん一緒にお見えになりましたのは主として水産関係の方々でございます。この資源に対していささかもマイナスになるような影響を与える干拓は反対であるという御意見を私もいただきまして、この辺の調査は精力的にやはり今回の予算の中でやっていかなければならぬと思っております。  それに、あそこの真ん中に島がございまして、大根島と言うんだそうでありますが、ボタンの栽培で非常に著名な村がございます。その大事な水資源が枯渇をするんではないのか、そういった問題等々、あるいは環境破壊の問題等々を十分我々も精査して、住民皆さん方の多くの反対の中で強行するということは回避していかなきゃならぬなと、こんな気持ちでこの調査費をいただいたわけでございます。  三億三千といいますと、単年度にしてはかなり巨額の調査費だろうと私は思いますので、十分これを生かしながら、何でもかんでもトンカチを強行するんだという前提はまず白紙にして調査に当たってまいりたいと、かように考えております。
  159. 水野誠一

    ○水野誠一君 ありがとうございました。大変心強いお話をいただけたと思います。  今、大臣がお触れになりました与党の三党合意でありますが、これまで大規模な公共事業というのは、社会状況あるいは経済状況が変化しても一度決まったらもうとまらない、戻れないという嫌いがあったわけでありますが、今回この与党三党の合意が条件つきでなされた、三党合意に基づく総合的な調査の決定ということは公共事業そのもののこれまでのあり方を根本的に見直す第一歩になってくれればと、そんな感想を持って受けとめている次第でございます。  この点をぜひ重くお考えをいただきたいと思うわけでありますが、今申しましたこの条件、二つの条件というのがございます。干拓堤防の試験的な開削と、淡水化の最終的中止の取り扱いを予算編成時までに決めるという、この二つの合意条件があるわけであります。  これは、今回の調査の目的である中海の水産振興の可能性を探るためには実際に堤防開削を行うことが必要でありますし、また事業の影響調査をする上で淡水化が前提かどうかということによって調査内容と結果が全く異なってしまう、淡水化という問題を留保したままでは、事業の一部分の干陸を評価するのはおかしいからである、こういうことだと思います。  したがいまして、この二点、すなわち堤防の試験的開削と淡水化について結論が出なければ調査を実施することはできないというふうに私は理解しておりますが、農水省の御見解はいかがなものか伺いたいと思います。
  160. 野中和雄

    説明員(野中和雄君) 与党三党の合意の中に今お話しの淡水化の問題と、それから既にできております堤防の開削の問題というのがあるわけでございます。  淡水化の問題につきましては、昭和六十三年度に鳥取県知事さん、それから島根県知事さんから、淡水化事業の必要性は変わらないものの当分の間これを延期してほしいという要請を受けまして、延期をしているものでございます。また、今回の今年三月の事業再開の島根県知事さんからの要請に当たりましても、改めましてこの状況に変化はないということを表明されているところでございます。  また、堤防につきましては、淡水化のために設置をされている施設でありますとともに、地域住民の方の重要な生活産業道路としても活用されているところでございます。  農林水産省といたしましては、この堤防開削と淡水化の中止の問題につきましては、事業の最終的な取り扱いと密接に関連をしておりますので、調査の結果や地域の意向などを踏まえまして総合的に判断をすべきではないかというふうに考えておりまして、こういう考えを今までも御説明申し上げてきているところでございます。  今後、予算編成時までに与党で引き続きこれらの問題について御協議が行われることになっておりますので、私どもといたしましては、これらの考えを十分に申し述べさせていただきまして、三党で適切な結論が得られますように御協力を申し上げていきたいというふうに考えております。
  161. 水野誠一

    ○水野誠一君 今私も申しましたように、この二つの条件というのが非常に重要な意味を持っている、重い意味を持っているということを十分にお考えいただいて御検討いただきたいというふうに思っています。  それから、最後にこの事業の地方負担金百二十億円の利子補給の問題に関して伺いたいと思います。  中海干拓事業の地方負担金は年利六・五%の財投資金を使っているわけでありますが、本庄区間の場合には、工事が長引いたということもあり、百億円の借入金に百四十億円の利子がついて何と二百四十億円に膨れ上がってしまったということであります。そのために、島根県の方では四年度から半分の百二十億円の償還を始めまして、残りの百二十億円に関しては農水省が五年間毎年七億八千万の利子を払ってきたということであります。  農水省は九年度以降は島根県がこの利子を負担すべきであるという考えであるというふうに聞いておりますが、国の判断で工事を延期するわけでありますから、引き続き国に利子を払ってもらいたいという県の主張にも一理あるかとも思います。この辺は大変難しい問題だろうとは思うのでありますが、農水省の御見解を伺わせていただきたいと思います。
  162. 野中和雄

    説明員(野中和雄君) 本庄工区の既投資事業費に対しますこれまでの地方負担金はお話しのように約二百四十億円でございまして、このうちの半分の百二十億円につきましては平成四年度に島根県知事が償還を開始したところでございます。また、償還残額の約百二十億円につきましては、平成四年度より五年間、国が特例的に利子補給を行っているところでございまして、今年度がその期限でございます。  地元の島根県知事さんからは償還残の地方負担金についての軽減要望というのが出されておりまして、これは十分承知をしているわけでございますけれども、国といたしましても、財政状況が厳しいことなどから、特例措置の期限が切れます来年度以降について同様の特例措置を継続することは困難であるというふうに考えております。
  163. 水野誠一

    ○水野誠一君 今の点について、できますれば大原大臣からも一言お答えをいただければと思いますが。
  164. 大原一三

    国務大臣(大原一三君) 今、局長が申し上げた線で島根県の当局とはお話をしているようでありますが、予算編成も年末にかけて時間がありますので、いろいろの折衝が今後行われると思いますので、その際にまたいい知恵が出るか出ないか我々も検討をしていかなきゃならぬ、こう思っております。
  165. 水野誠一

    ○水野誠一君 この中海干拓事業の問題というのは、先ほどから申し上げてまいりましたように、公共事業というものの意味が時代によってだんだんに変わってくるというときに、勇気と知恵を持ってそれにどう対応していくかという非常に今政治が求められている一つのトライアル、試練ではないかなと、そういうふうにも思っているわけでございます。  そういう意味では、一部の事例としての中海ということだけではなくて、今後の公共事業というものあるいはこういった河口堰あるいは干拓事業等々、いろいろな事業の見直しということに取り組んでいくための非常に重要な資金源としてもぜひこの意味の重さということを大臣にも御理解をいただきたいというふうにお願いをして、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  166. 栗原君子

    ○栗原君子君 新社会党・平和連合の栗原君子でございます。私は、きょう、久保大蔵大臣に消費税につきまして幾つかお伺いをさせていただきたいと思います。  まず、消費税の税率につきまして、九四年の所得税法及び消費税法の一部を改正する法律の附則第二十五条で本年の九月三十日までに税率の見直しを行うことになったわけでございますが、政府は早々と六月二十五日の閣議で三%から五%への税率引き上げを決定しています。九月三十日までに決めればよいものをなぜ早急に決定されたのか納得できませんので、お伺いをさせていただきます。  そこで、実は各マスコミが世論調査をいたしておりまして、これは七月十日の朝日新聞でございますけれども、消費税率の引き上げについて支持するかしないか、こういったことを問いかけております。支持すると答えている人は一八%、支持しないが七六%でございます。問題は何かということに対しましては、家計の負担が重くなる四六%、税率の歯どめがない二一%、便乗値上げを招く一九%、景気回復の妨げ十一%という結果が出ております。  さらにまた先般、九月三日でございますけれども、日本リサーチセンターが調査をいたしております。消費税の税率のアップに対しまして、基本的に反対というのが六九・七%でございます。やむを得ないというのが二七・二%、基本的に賛成というのはたったの二・九%しかない、こういった状況になっております。  また先般、NHKの世論調査でも、引き上げもやむを得ないというのは二八%でございます。引き上げるべきでないというのが六八・七%、わからない、無回答というのは三・三%という結果が出ているわけでございます。  このことに対しまして、家計を預かっております、特に女性の人たちが多いわけでございますけれども、そういう人たち大臣の方から本当にわかりやすく、普通のおばさんにわかりやすい言葉で答弁をいただければと思います。よろしくお願いします。
  167. 尾原榮夫

    説明員(尾原榮夫君) お答え申し上げます。  最初の御質問は、九月三十日までが検討期限のように書いてあるにもかかわらず、六月二十五日に税率の五%の確認をやったのはどうしてかというお尋ねでございました。  附則二十五条の趣旨でございますが、今回の消費税の新税率の施行に当たりましては、改正法を皆様方に周知する、あるいは事業者の方に準備していただくということを考慮する必要があります。それで、半年の準備期間が必要であると考えられたわけでございます。そのため、消費税率の検討の結果、仮に五%の税率を変更しなければならない場合にはその旨の法案が九月末までに成立していなければならないということになってまいります。これが検討条項で申しております九月末という期限の趣旨でございます。  したがいまして、九月末までに税率を変更する法案が成立するということを念頭に置きますと、法案の作成期間やらあるいは国会の審議期間を考慮する必要がございますので、九月末に相当先立った十分な時期に結論を得ることが必要であったわけでございます。  また、消費税は国民生活やら経済取引全般に深く関連してくる税でございます。したがいまして、検討の上判断が固まれば、その内容を一刻も早く最終的に確認の上告様方に明らかにするということが望ましいのではないかと考えられたわけでございます。また、サミットという状況もございました。  以上のような状況も踏まえまして、六月二十五日に、政府、与党のそれぞれの税調での審議を踏まえまして政府として消費税率についての最終確認を行ったということでございまして、適切な時期での判断ではなかったかと考えているところでございます。  それから、第二点目のお話といたしまして朝日新聞等々の世論調査についてのお尋ねがございました。御指摘の世論調査につきましては我々も承知しております。厳しい結果であるというふうに受けとめているわけでございます。  ただ、こうした調査結果について見ますと、実はこの消費税率の五%、地方消費税の一%を含むわけでございますけれども、所得税、個人住民税の恒久減税とおおむね見合う形での税率引き上げ、それが二年間先行している、恒久減税はこれからも続くわけでございますけれども、そういう所得税減税が行われていること。あるいは今般の税制改革といいますのがまさに活力ある福祉社会を築くための一種の構造改革と理解しておるわけでございますが、そういうものについての意義、内容の理解が必ずしも進んでいなかったということも影響しているのではないかというふうに思っているわけでございます。  今回の税制改革は、今の日本の高齢化の状況、経済の状況、まさに経済構造改革を進めていかなければならないということを税制面から進めていくものでございまして、法律にのっとりまして着実に実施していく必要があると考えておるわけでございます。  ただ、政府としてはこうした世論調査の結果も真摯に受けとめまして、今申し上げましたような税制改革の意義、内容等について広く国民の理解が深まりますよう引き続き積極的に広報を進めていきたい、こういうふうに考えているところでございます。
  168. 栗原君子

    ○栗原君子君 今、長々と答弁をいただきましたけれども、私は今の答弁は国民の皆さんには必ずしも理解はされていない、こう思っているわけでございます。もっと本当にわかりやすい言葉で理解を得られるような、そういう努力というのは私はなされていないと思うんです。だから、いつまでたっても国民大多数が反対であるのに一方的に政府の方では税率を上げるとしか映らないと思います。  ところで、先ほど所得税減税のこともおっしゃいましたけれども、どうせ増税をするなら所得税をということで五四%の人がこういった意見も出しているわけでございます。  それで、かつて久保大蔵大臣平成元年の十一月十日の日に国会で御発言をなさっていらっしゃるものがございますけれども、その中でこれを私は大変ほれぼれして読んだわけでございます。「第一に、食料品等の消費者の選択の余地の少ない生活必需品への課税によって逆進性が如実にあらわれ、年金生活者を初め低所得者への過重な税負担として新たな格差を広げ、不公平感を拡大し、所得再配分機能の低下を招いています。」。  第二、第三、第四とずっと述べていらっしゃるわけでございますけれども、私たちの考え方というのは、当時の七年前の久保大蔵大臣の考え方と一体のものでございます。それが政権与党になりまして百八十度この見解が変わったというのは、私は市民には理解ができないと思います。あのときの見解は何だったのでしょうか。  そしてまた、消費税廃止法案はとりわけ参議院で可決をしているんです。参議院の意思を代表いたしておられます、久保大蔵大臣は参議院から出ていらっしゃる大臣ですから、ここで一言、どういうことでこんなになっているのか、大臣の方から、私は大臣の言葉で答弁をいただきたいと思います。
  169. 久保亘

    国務大臣久保亘君) 今お読み上げになりましたのは、私が提案代表者となりまして国会に提出いたしました消費税法廃止法案の提案に当たっての発言でございます。  この提案に先立って行われました参議院選挙におきまして、私たちは大型間接税に反対する立場を公約して選挙を戦ってまいりました。その選挙を終えて、皆さんの公約を集約する形でこの廃止法案が提案され、参議院の長い審議を経て、たしか百三十六対百十一で可決されたと考えております。その後、この法案は衆議院に回付されまして、衆議院の本会議提案理由までをもって、その後の審議は行われず廃案となりました。  その後、この消費税をめぐる問題は総選挙においても各党の論点となったのでございます。当時、この消費税の改正に関する法案を公約とされた立場の政党もございましたし、依然として廃止を要求し、そのことを公約とした政党もございました。総選挙の後、これをどのように調整すべきかということで各党の代表が集まりまして、この消費税の中でどの点を合意として修正することができるかということについて長い努力を重ねて修正を行ったこともございます。  税制というのは絶えず見直され、そして国民の立場から最も理想的な税制に改正されていく努力が国会に求められているものと私は今も考えております。  ただ今日、私どもは所得税、住民税の減税に対する国民の強い要求にどのようにこたえるかということで、平成六年、国会において御論議をいただき、その際、三年間で合わせて十六兆五千億の減税を行うことを御決定いただきました。そして、そのうち三兆五千億の減税は恒久的な制度減税とすることを決定し、この財源をめぐってさまざまの議論が行われた結果、最終的にこれは消費税の税率アップによって財源を調達する以外に考えられないというところから、大変このことについては厳しい論議が与党の中でもございました。その論議を経た末、最小限の税率アップということで五%への税率アップが同時に所得税減税と見合う形で決定をされたのでございます。この決定を九年の四月一日から実施するということで、この間に所得税、住民税の減税の先行、そして二年おくれの財源としての消費税の税率アップということを決めざるを得なかったのでございます。  しかし、今も消費税そのものの持ちます逆進性の問題、それから税の制度として持っております欠陥、これは消費税が生まれるときに益税という言葉で言われるようになりました。そういう欠陥などをどのように是正していくかということは、税制が国会における最も重要な論議の課題でございますから、今後も引き続き税制改正の問題として私は御論議をいただく問題だと考えております。  ただ、九年四月一日からの消費税の二%アップにつきましては、そのうち一%を地方消費税としてこれを行うということを六年十一月に決定いたしました。そのときつけられました附則二十五条の検討条項等についても二年間にわたって予算編成のときを中心にしていろいろと検討が行われた。その最終的な論議として、通常国会の最終盤に与党税調、政府税調において御論議をいただいて、その結論をいただいた上、政府としても来年四月一日の実施に間に合わせる。そして平成六年十一月に決定された法律の附帯条項二十五条の条件を満足する期間としてこの六月の決定は、閣議決定を行うことは時間的にもやむを得ないものと考えた次第であります。  税制としては、今後もこの改革については国会におきましても政府におきましても論議が行われることは当然でございます。
  170. 栗原君子

    ○栗原君子君 実は、NHKの先般の世論調査でも、暮らし向きが昨年と比べてどうなったか、こういう問いかけをいたしておりますけれども、昨年より楽になったという人は一・九%、少し楽になったというのが七・九%、合わせて九・八%の人は何らかの形で少し暮らしが上向いているということを回答しておりますけれども、しかし一方では、少し苦しくなったという人が一八・八%、苦しくなったという人がまた四・四%、合わせて二三・二%でございまして、圧倒的に一年前よりも今の暮らしの方が苦しくなっている、こういうことを言っています。変わらないという人は六六・五%あるわけでございますけれども、それらを見ますと私は必ずしも今回五%に引き上げることが国民には十分に理解されているとは思えない、こういうことを感じるわけでございます。  そこで、私自身は七年前にはちょうど自治体議員をいたしておりましたものですから、日本社会党の議員として皆さんに消費税廃止を訴えて歩いたわけでございますが、今、あのときは何だったんだと随分私たちにも厳しく詰められておりますけれども、私自身はこの消費税は廃止すべきだと今でも考えているものでございます。これは七年前の久保大蔵大臣と同じ考えを今私は持っているわけでございます。  逆進性の強い消費税は廃止をして従来の物品税の体系に戻すべきではないか、こういったことを考えておりますが、事務当局にお伺いをいたします。現在のこの経済規模の中で物品税をもし復活するといたしますとどの程度の税収があるものでしょうか、ちょっと参考までにお教えくださいませ。
  171. 尾原榮夫

    説明員(尾原榮夫君) お答え申し上げます。  物品税は昭和六十三年の消費税導入のときに廃止された税でございます。今生き残っていればどのぐらいの規模かというのは試算してございませんけれども、当時の税収を思い出しますと二兆円、そのうちの大宗が自動車とそれから家電製品による税収であったというふうに記憶しております。
  172. 栗原君子

    ○栗原君子君 少ししり切れトンボのような感じになりましたけれども、少し時間がありますので、沖縄開発庁長官が来ておいででございますので少し御見解を伺いたいと思います。  八月二十八日の最高裁の判決は、私は、沖縄の住民の考えを無視して、安保条約上の義務履行を事実上最高の公益とし、どんなに基地が密集しようと、どんなに住民の生命や人権や暮らしが奪われようと、破綻されようと、基地提供の権限が政府にあるとの立場をとっておられると思います。  そこで、沖縄開発庁長官、この判決を踏まえまして、国民の生命や権利、生活がどんなに奪われようと、ひたすら安保条約によるアメリカの要求に応じることが沖縄においては最高の公益である、日本においてもまたこれが最高の公益である、このように長官自身もお考えなんでしょうか。
  173. 岡部三郎

    国務大臣(岡部三郎君) 御案内のように、沖縄には我が国の米軍基地の四分の三が集中してあるわけでありまして、これが県民の生活をする上において、また土地利用の面でも、さらに産業振興の面でもさまざまな障害になっておるということは紛れもない事実でございます。この整理、縮小を図っていくことが沖縄の振興にとっても非常に大事なことであるというふうに考えております。
  174. 栗原君子

    ○栗原君子君 沖縄開発庁の方で立派なパンフを作成していらっしゃいまして、私も一通り目を通させていただきまして、県民の皆さんの立場に立った事業をなさろうと大変努力していらっしゃる様子はよく理解できるわけでございます。  そこで、特に私も先般沖縄に調査に参りましたけれども自治体の面積の大半が基地にとられたりとか、あるいは町の真ん中に巨大な基地が居座ったりとか、アメリカですらやられていない市街地に近い山に直接実弾を撃ち込む実弾演習などの実情は、開発庁長官、御自分の目で確かめていらっしゃいますか、あの痛々しい山をごらんになっていらっしゃいますか。
  175. 岡部三郎

    国務大臣(岡部三郎君) 私は就任後、沖縄の今回SACOの中間報告で返還の方針が決まりました十一施設のうちの九施設については、現地に参りましてこの目で確認をしております。
  176. 栗原君子

    ○栗原君子君 そこで、こういったパンフをつくっていただく、あるいはまた教育、文化、福祉の面においていろいろ長官中心努力をしていらっしゃるお気持ちはよくわかるわけでございます。しかし、幾ら努力をしてくださっても、沖縄の皆さん生活というのは、私は本土の皆さんに比べますと一段も二段も低位であると、こういうことを思うんです。  例えば国民一人当たりの県民所得を見てみましても一番低いわけでございますね。もう少しこれが上がるだけの努力といいましょうか、そうしたものが必要ではなかろうかと思っております。そうした面で、何が原因でこれだけお金もつぎ込んで皆さんがこれだけ努力をしてくださっているのに、四十七の都道府県の中で沖縄は一番低位であるんでしょうか。
  177. 岡部三郎

    国務大臣(岡部三郎君) 御案内のように、沖縄が本土に返還されましたのは昭和四十七年でございますから、ちょうどことして二十五年たっわけであります。この間沖振計画に基づきまして極力本土との格差是正に努めてまいりましたが、なおかつ工種によってはまだ本土の六、七〇%の整備率というものもあるわけであります。したがいまして、そういった基盤整備、インフラ整備のより一層の促進を図る必要があります。  それからもう一つ大きな問題は、先ほど申しましたような基地の整理、縮小に努めていくということが沖縄の振興を図る上に非常に重要な課題であるというふうに考えております。
  178. 栗原君子

    ○栗原君子君 終わります。
  179. 野沢太三

    委員長野沢太三君) 他に御発言もないようですから、大蔵省農林水産省北海道開発庁沖縄開発庁国土庁国民金融公庫農林漁業金融公庫北海道東北開発公庫沖縄振興開発金融公庫日本開発銀行及び日本輸出入銀行決算の審査はこの程度といたします。  次回の委員会は明十二日午前十時に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十七分散会      —————・—————