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1996-09-03 第136回国会 参議院 決算委員会 閉会後第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年九月三日(火曜日)    午前十一時二分開会     ―――――――――――――    委員異動  七月二十四日     辞任         補欠選任      山崎  力君     寺澤 芳男君  八月二十二日     辞任         補欠選任      牛嶋  正君     海野 義孝君      武田 節子君     加藤 修一君      続  訓弘君     小山 峰男君      寺澤 芳男君     益田 洋介君      国井 正幸君     武田邦太郎君  八月二十六日     辞任         補欠選任      岡  利定君     吉川 芳男君  八月二十七日     辞任         補欠選任      山口 哲夫君     栗原 君子君  八月二十九日     辞任         補欠選任      星野 朋市君     石田 美栄君  八月三十日     辞任         補欠選任      石田 美栄君     星野 朋市君  九月二日     辞任         補欠選任      小山 峰男君     続  訓弘君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         野沢 太三君     理 事                 笠原 潤一君                 塩崎 恭久君                 西田 吉宏君                 山崎 順子君                 山下 栄一君                 筆坂 秀世君     委 員                 岩井 國臣君                 海老原義彦君                 景山俊太郎君                 清水嘉与子君                 陣内 孝雄君                 中島 眞人君                 長峯  基君                 松村 龍二君                 守住 有信君                 吉川 芳男君                 海野 義孝君                 加藤 修一君                 続  訓弘君                 星野 朋市君                 益田 洋介君                 今井  澄君                 上山 和人君                 武田邦太郎君                 水野 誠一君                 田  英夫君                 栗原 君子君    国務大臣        外 務 大 臣  池田 行彦君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  臼井日出男君        国 務 大 臣        (科学技術庁長        官)       中川 秀直君    事務局側        常任委員会専門  貝田 泰雄君    説明員        内閣官房内閣外        政審議室長    平林  博君        警察庁警備局警        備企画課長    小林 武仁君        防衛庁防衛局長  秋山 昌廣君        防衛庁教育訓練        局長       粟  威之君        防衛庁人事局長  大越 康弘君        防衛庁装備局長  鴇田 勝彦君        防衛施設庁長官  諸冨 増夫君        科学技術庁長官        官房長      沖村 憲樹君        科学技術庁科学        技術政策局長   落合 俊雄君        科学技術庁科学        技術振興局長   青江  茂君        科学技術庁研究        開発局長     加藤 康宏君        科学技術庁原子        力局長      岡崎 俊雄君        科学技術庁原子        力安全局長    池田  要君        外務省アジア局        長        加藤 良三君        外務省経済協力        局長       畠中  篤君        通商産業省機械        情報産業局産業        機械課長     中嶋  誠君        運輸省海上技術        安全局造船課長  井上 四郎君        運輸省港湾局管        理課長      伊藤 鎭樹君        海上保安庁装備        技術部船舶課長  森  良夫君        海上保安庁灯台        部監理課長    山下 恭弘君        会計検査院事務        総長官房総務審        議官       牛嶋 博久君        会計検査院事務        総局第一局長   深田 烝治君        会計検査院事務        総局第二局長   諸田 敏朗君        会計検査院事務        総局第五局長   森下 伸昭君    参考人        動力炉核燃料        開発事業団理事        長        近藤 俊幸君        動力炉核燃料  藤本 昭穂君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件理事補欠選任の件 ○平成年度一般会計歳入歳出決算平成年度  特別会計歳入歳出決算平成年度国税収納金  整理資金受払計算書平成年度政府関係機関  決算書内閣提出) ○平成年度国有財産増減及び現在額総計算書  (内閣提出) ○平成年度国有財産無償貸付状況計算書(内  閣提出)     ―――――――――――――
  2. 野沢太三

    委員長野沢太三君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る七月二十四日、吉川芳男君及び山崎力君が委員辞任され、その補欠として塩崎恭久君及び寺澤芳男君が選任されました。  また、去る八月二十二日、国井正幸君、牛嶋正君、武田節子君及び寺澤芳男君が委員辞任され、その補欠として武田邦太郎君、海野義孝君、加藤修一君及び益田洋介君が選任されました。  また、去る八月二十六日、岡利定君が委員辞任され、その補欠として吉川芳男君が選任されました。  また、去る八月二十七日、山口哲夫君が委員辞任され、その補欠として栗原君子君が選任されました。
  3. 野沢太三

    委員長野沢太三君) 理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が二名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 野沢太三

    委員長野沢太三君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事塩崎恭久君及び山下栄一君を指名いたします。
  5. 野沢太三

    委員長野沢太三君) 平成年度決算外二件を議題といたします。  本日は、外務省防衛庁及び科学技術庁決算について審査を行います。
  6. 野沢太三

    委員長野沢太三君) この際、お諮りいたします。  議事の都合により、これら決算概要説明及び決算検査概要説明の聴取は、いずれもこれを省略して、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 野沢太三

    委員長野沢太三君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
  8. 野沢太三

    委員長野沢太三君) それでは、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  9. 守住有信

    守住有信君 自由民主党の守住でございますけれども、最初、前半の方は主として外務省外務大臣にお尋ねいたしまして、申しわけありませんが、あと残りの時間は科学技術庁の方にお尋ねしたいと思います。  まずその前に、外務大臣、お疲れさまでございました。一番重要な中近東四カ国、しかもイスラエル、政権がかわった後のいわゆるアラブの自治政府といいますか、今度御招待なさるようですけれども、そこをお回りになって、特に私が申し上げたいのは、あのゴラン高原に初めて日本の閣僚として現地視察、慰問に行かれた。ちょうど今、交代で熊本の方の西部方面総監部が四十名、それまでは東北、北海道でございましたけれども、ちょうど参っておるという真っ最中でございましたので、そういう郷土の思いも込めまして感謝申し上げたいと思います。  また、お帰りには香港お立ち寄りで、例の香港軍票の問題がぼっと起き上がったようでございますが、実はそのころ、先月の下旬ですけれども、参議院の日華友好議員連盟井上会長村上幹事長以下十四名が三日間にわたって、いわゆる台湾中華民国民主的手続立法院選挙も、総統選挙ももちろんですけれども、地方自治体の方の選挙もずっと民主的な手続で全部終わった。こういう背景を控えまして、日華友好ということで参ったわけでございます。  特に、私は電気通信でございましたので、以前はODA関連無償援助、中国の大陸の方、北京の方と、一番最初は天草と上海の海底ケーブル、これもやりましたし、いろんな無償援助もやりました。円借款もやりましたが、途中からちょっと待てよ、台湾を忘れておる、中華民国を忘れておると、こういう思いでおりました。五十年以前の、もう五十一年になりますけれども、台湾方々は同じ日本人でございました。日本の兵隊でございまして、そこで残された問題、確定債務大衆社会郵便貯金軍事郵便貯金簡易保険郵便年金もございますし、一方では軍人未払い給与という問題もございます。  ちょうどあれは細川内閣の最中でございますけれども、超党派で、社会党の田口さんとか、キャップは、もう民社党はなくなってしまいましたが井上計さんとか、その他さきがけの代表の井出正一さん、自民党は板垣先生と私と参りまして、長い間立法院とも大激論をいたしました。  思い出しますと、台湾に着きまして台北市に行った。ちょうど大デモが起こっておりまして、我々はバスに乗って台湾の警察の守りのもとにホテルに入ったわけですが、大デモ日本国旗を焼いておりましたのが見えました。それはなぜだと。細川首相のときに北京に行かれて謝罪発言、そしてその中で台湾の問題には一言も触れてない。同じ日本兵として戦った台湾日本人でした。その思いが彼らの中からばっと起き上がっておりまして、立法院議員三十数名と議論をいたしました。  最初は例の台湾の慰安婦問題、それから香港軍票マルク債なんという問題も出ましたけれども、しかしそれはこっちへ置いて、我々はあくまでも台湾に住んでおられる方々の個人の確定債務、これに対して面倒を見なきゃいかぬと。郵便局も、台湾にも日本国内郵便局と同じようにそのまま戦前からあったわけであります。そして、台湾人たち郵便貯金簡易保険郵便年金軍事郵便貯金もございました。それを預金しておられて、そのままほったらかしになっている。  それで、私は九州の熊本ですが、実は熊本地方貯金局に五十一年以前の原簿がきちっと保管されていた。保険の方は福岡の簡保センターの地下の倉庫の中にきちっと保存されておりました。そこに四、五年前から気がつきまして、これを何とかしてあげなきゃいかぬ、こういう思いで行ったわけでございます。  その後も十四人でつい先月行ってまいりまして、個別にも代行しております事務所に行きました。そうしたら窓ガラスが壊れている。それは何でかというと、貯金とか保険の方じゃなくて、元軍人未払い給与の問題で元軍人の皆さんが非常に激高して、金づちか何か持ってガラスをぶち破ったとかそういう事件があったわけでございますが、それは台湾の元軍人のあるいは御遺族の思いが端的にあらわれておると私は思いました。  それは現地事務所は苦労しておりました。防弾ガラスびゅっと整備をし直すとか、四十名ぐらい台湾の女性の職員の人、一件一件点検し直すわけですから、これを雇ってやっておられましたけれども。  そういう中で、この点はなお残っておる問題があるなということを痛感いたしまして、いずれ井上会長村上幹事長の方から外務省の方その他へもお話が行くと思いますけれども、ちょっと前置きとしてその点だけを触れさせていただきたいと思います。  なお、郵政郵便局の方は非常に順調に進んでおりまして、これは十月二日月曜日からでございますけれども、この未払い問題、確定債務支払い請求軍事郵便貯金外地郵便貯金、いわゆる郵便貯金ですね、七月までで一万三千百件ぐらい、簡易保険郵便年金は一万四千七百件等、こういう状況でございまして、こっちの方は非常にスムーズに進んでおりますが、なお知らない方々が多数おられるということを痛感したわけでございます。  したがいまして、やはり台湾新聞とかテレビとか、台湾はCATVが物すごく発展しておりますけれども、そういう場の中で、台湾に住んでおられる、中華民国といいますか台湾といいますか、その人たちに十分これが浸透しないと、例えば「ニイタカヤマノボレ」の山岳地帯のところがずっとありますから、都会地だけじゃございません。そういう人たちもこういう未払い証書をお持ちでございます。大事にしておられます。保険証書郵便年金貯金通帳も、戦災に遭っていませんので、みんな大事に保管されておる。この資料がございますから、あとPR、浸透、啓蒙、これにうんと力を入れていかなきゃいかぬ。一回目はやったようでございますけれども、さらに一年ぐらいたったらもう一回、あれは五カ年有効でございますから、その中でやっていかなきゃいかぬ。なお問題は、元軍人未払い給与の問題だけは残っておるということを感じたわけでございますので、冒頭、その点をお話し申し上げておきたいと思います。  それからなお、時間もあれでございますが、私は外務省ODAODAというのも三種類ある、無償援助技術援助円借款。特に私は資金運用部郵便貯金の方でございますから、その資金運用部の原資の源泉である郵便貯金、これが円借款になって二十年、三十年、あるいは低利で、長期で、それは返還はしてもらうわけですけれども。いろんな発展途上国社会資本整備あるいは環境とか、今度四つの大項目をお立てになったようですけれども、そういう理念のもとに今進行中でございます。  ただこの点も、PRというか啓蒙というか、国内では我々のところにODA白書上下、こんな厚いやつが二冊参ります。ところが、まず第一は、じゃ途上国大衆社会にどれだけ知られておるだろうか。相手方の政府は知っておりますわな。関係者は知っておりますけれども、その途上国大衆社会、これがどれだけ知っておるか。  実は私、もう三年ぐらい前になりますか、今、外政審議室長平林さんが経済協力局長時代に部屋まで行きまして、そして、それぞれの大使館パンフレットをつくれ、写真入れて現地語で。まあ後ろの方は英語になりますけれども、現地語を尊重して現地の生きた実態を、円借款無償援助パンフレットをつくる。それぞれの途上国大使館中心につくって、印刷も現地主義。こういうやり方でやって、それからそれを全部大使館から集めて、今度は国内外務省でコンペをやる。そこに日本のマスコミ以下を呼んで、そしてその実態を知らせる。  いろいろありますが、今一つ具体的に申し上げますと、はっきり言いますが、共同通信社が日曜の埋め草記事の配信の中で、我が熊本熊日新聞にこういう見出し。「ODA環境破壊郵便貯金」。その写真も、砂漠化しておるところに貯金通帳まで差し込んだ、つくった写真です。これを共同が配信しまして、そのとき熊日岐阜新聞信濃毎日、埋め草記事、また他紙も来週やると、日曜日に。  それで、共同通信に乗り込みまして、編集局長はちょうど月曜日だったから役員会議をしておったから、次長のニュースセンター長、がんがんやって、それから外務省経済協力局、それから理財局理財局長のところまで行きまして、それから郵政記者クラブまで行ってその新聞記事のコピーをみんな各社にまいたところが、やっぱり違います、これはおかしいと。朝日も読売も産経も日経もこれはおかしいと。各社ごとに批判させる、こういうやり方もとった覚えがあります。  ODAというのは非常にある部分だけをとらえましてデフォルメされやすい、こういう面は多々あると思いますので、よっぽど客観的な、末端も念頭に置いた、その地域地域途上国念頭に置いた目に見える形でのPRといいますか、国内はもちろんでございますけれども、それが非常に重要ではないか。  まして財政再建、もう税金なんて使わぬぞと。郵便貯金の方は税金じゃありませんので、長期低利で、低利ではあるかもしれぬけれども、二十年たったら、三十年たったら返していただく、こういう仕組みですから。そこの三つの仕組みの違いを、無償援助、これは税金ですね、それから技術協力あるいは青年海外協力隊、それから円借款、これの内容、それに応じて日本国民への啓蒙が非常に大事ではないか、こういうことを前から痛感しておりますけれども、何か来年度予算のシーリングは防衛予算よりももっと下に抑えるとか、これは大蔵大臣にも物申さにゃいかぬと思っておりますけれども、こういう環境念頭に置いた社会資本整備をやはりやっていかにゃいかぬ。二十年、三十年かかる。  途上国、東南アジアばかりじゃございません。例えばアフリカでも、私は熊本水俣病問題をずっとやってまいりましたけれども、アフリカのタンザニア、あのビクトリア湖、あの周辺に金鉱山とか化学肥料工場があるんですよ。増産ですからね、農業生産。それで、やっぱり有機水銀が漏れ出しておって魚が、水俣病もそうでしたけれども。それで、熊本から熊本大学の医学部の水俣病専門家、直接タッチした人たちが、これは環境事業団の基金の補助と、私らは一方ではボランーティア貯金やっておりますのでボランティア貯金と合わせまして、そこへ行ってもらって早目早目に、ブラジルの方も現象が起こっておりますから、そういう環境公害、これも念頭に置いた社会資本整備が非常に大事じゃないかと。水俣は公害の原点でございます、四十何年前から。でございますので、これそういう部分ですけれども、そして、そういうことが私は、日本技術や体験や思想、哲学、手法、これが非常に実は大事じゃないか、こう思っております。  ここは決算委員会でございますけれども、外務省については、平成年度決算検査報告を見ますと不当事項指摘事項は何もございません。  実は、私はそれと同時に、会計検査院の方だけでなくて行政監察、これをいろいろ勉強させていただいております。  こういうふうに、これは「行政上の諸問題と改善方策 平成年度における行政監察結果等の概要」、監修総務庁行政監察局、こういうのもございますし、また、特別に別記したやつを行政監察局からとりましたが、「経済協力政府開発援助)に関する行政監察結果に基づく勧告 無償資金協力及び技術協力中心として」。次の年度円借款の方は入るようでございますけれども、その中で非常に貴重な指摘、提言がなされておるわけでございます。  いろいろ分厚い本でございますから、一々ここではあれいたしませんけれども、この最後のところで、百四ページですけれども、  外務省及び事業団は、我が国の政府開発援助について被援助国国民の正しい理解・評価を得るため、援助情報に関する現地報道機関への情報提供現地公用語によるパンフレット作成配布等広報活動を実施しているが、その効果を確保する面から、現地語によるパンフレット作成等よりきめ細かな配慮が求められている。   したがって、云々と。情報公開広報あといろいろ具体的な仕分けがございますし、我が国内においても、   地方報道機関関係者による援助案件現地視察を積極的に実施するよう事業団を指導すること。   また、帰国した専門家による講演会の積極的な実施等地方における広報活動の充実を図るよう事業団を指導すること。   援助に関する現地語による。パンフレット作成配布を促進すること等により、被援助国国民に対する広報を一層充実するとともに、事業団においても同様の措置を講ずるよう事業団を指導すること。その他、パンフレットばかりじゃございません、テレビもございます。今度は科学技術庁も大いにテレビを使って科学技術振興実態を青少年に向かって、子供たちに向かってPRなさるあれが予算のポイントに入っておるようでございましたけれども、そういうのをパンフレット新聞報道と同時にやっぱり映像で見る。わかりやすいんです、補足説明映像で。こういう手法を、いろいろお取り組みだろうとは思いますけれども、さらに徹底する。  ODAというのはいろんなあれが、NGOのへんちくりんな団体が中にはあります。環境破壊とか言うたり、そういう本まで出ておるんですよ。それで、わからぬのが、共同通信がそれを全国に配信したりやっておるわけですから。こういう点について、外務省はよくおわかりだけれども、もっと強力なきめ細かい広報活動海外国内と両面にわたって、こういう七年四月の総務庁からの指摘を踏まえてどういうふうにお取り組みいただいておるのか、ちょっと御説明いただきたいと思います。
  10. 畠中篤

    説明員畠中篤君) 政府といたしましては、先生指摘のとおり、経済協力を進めてまいりますに当たりましては、国民理解と支持を得ることが非常に重要だと認識しておりまして、ODA広報あるいは情報公開といったことに努めてきております。  例えばODA白書やあるいは年次報告といったものを編集しております。あるいは各種のパンフレット作成しておりますが、それに加えまして、最近、東京広尾国際協力プラザという施設を開設いたしまして、ODAに関する情報を集めて一般市民に公開しております。また、特にODAプロジェクトの大部分開発途上国で実施されていることもございまして、なかなか一般方々が直接目にする機会というものが少のうございます。現地の様子を伝える努力をいろいろしておりますが、例えば御指摘のようなODA案件を紹介するテレビなどもつくるべく努力をしております。平成五年から少しずつ始めておりますが、まだ予算が小そうございますので、今後ともこれは拡充していきたいと思っております。  それから、開発途上国におきます広報でございますけれども、御指摘のとおり、せっかくの日本援助でございます。顔の見える援助ということで、いかに現地方々に広く知ってもらえるかということでいろいろ工夫をしておりまして、日本援助プロジェクト完工式とかあるいはいろんな儀式がありますときには、できるだけ先方の指導者にも出席をしてもらって、報道関係でも広く知らされるような努力をしております。  先生の御指摘ございました現地語によりますODA広報の。パンフレットでございますけれども、御指摘を踏まえまして、本年度から予算計上いたしまして、現在ネパールとかパキスタン、メキシコ、ブラジルとかケニアといったようなところで現地語による日本ODA広報パンフレット作成中でございます。  繰り返しになりますが、できるだけ広く実態日本国民方々にも知っていただきたいし、それから現地途上国方々にも知っていただく必要があるので、いろいろ工夫をしてまいりたいと思っております。ありがとうございます。
  11. 守住有信

    守住有信君 外務省広報予算だけでなくて、内閣と一体、外政審議室がある。内閣広報予算は百四十億円あります。それと内外一体ですから、内政審議室外政審議室内閣、これと外務省が、あるいは事業団と連携したやり方。そうでないと、ただでさえいろんな意味で縦割り行政なんだから、連携すればいい。予算的にも百四十億ぐらいある、内閣広報予算は。きょうは内閣は来ておらぬけれども、一応これが終わったらまた内政、外政審議室長のところに行ってわんわん言ってこようと思いますが、そういう連携をする。そして海外国内両面にわたっていろんな手法を使って、テレビももちろんですよ、映像の時代、国際放送もそうですよ。電波が届かぬ地域もあるかもしれぬが、これからだんだんアジアから始めていかなきゃいかぬ、こう思っておりますので、この点を御指摘申し上げます。  それから、もう時間も余りありませんが、せっかく科学技術庁長官もおいででございます。科学技術庁の方は検査院の指摘では管理費の問題ですね。ワンクッション経た政府関係機関からいろいろ大学とか民間に、その管理費がちょっとだけ指摘されて、もうお直しになったようですけれども、聞きましたら。  あとは、いろいろな科学技術はこれからの創造立国日本科学技術、その中で今度は宇宙の問題。いろいろ新聞報道を見ておりますと、前は日本の宇宙産業、一発上げるのにハードも含めて百九十億台だと、今度は八十五億を目指す。単に数字だけでなくて、アメリカのヒューズ・グループとか、今度また新しい、アメリカが日本に頼みに来る、委託に来るという、まさしくこれは宇宙産業、今まで研究開発とかいろいろコストをかけてきたけれども、そういう時代を迎えつつある。中国もロケットやって外国とやろうと思ったがみんなへまをした。NASAも時々へまする。アリアンもへまをした。日本はそうじゃない、しかもどんどんコスト安になってくる。そういう背景があると思いますけれども、そこのところを宇宙関係の責任者から事業団の問題も含めて、皆さん方もお聞きですから、ちょっと御説明をいただきたいと思います。
  12. 加藤康宏

    説明員加藤康宏君) 今、先生の御指摘になりましたのはHⅡロケットのことかと思いますが、HⅡロケットは既に四号機まで打ち上げまして、すべて成功しているわけでございます。  我々としましては、技術は確立されたと考えております。したがいまして、その技術の信頼性をそのまま確保しながら、今後は設計の見直しとか構造を変えたりしまして、あるいは材料とか製造法を変更するとか、さらに新しい電子技術を採用いたしまして大幅なコストの低減化を図ろうとしております。先ほど先生、百九十億円とおっしゃいましたが、それを八十五億円以下の半分以下にしたいと考えているわけでございます。  そういう削減の努力の例でございますが、例えば第一段のエンジン、これはLE7という世界に誇るようなエンジンでございますが、その溶接箇所、現在千三百ぐらいございますけれども、改良型のHⅡAではそれを六百ぐらいに減らす、六百カ所ぐらいに大幅に削減する。それによりまして溶接の作業量が大幅に削減されるわけでございます。それから、固体の補助ロケットというのが二つ横についておりますが、それは従来縦に四つに分割したものを組み立てていたわけでございますけれども、これからそれを一体のものを現地で組み立てるということにいたしたいと考えております。それによりましても組み立ての作業旦が削減されます。それから、発射場での作業を大幅に自動化する等いたしまして、現地での発射の準備作業、従来九十日、三カ月間ぐらいかかっていたところを二十日間ぐらいで終える。そういうことによりましても大幅なコストの減が可能になるわけでございます。  そのほか、ロケット全般につきまして電気系統の装置の統合化とか安い部品を使う、そういうような努力をいたしまして先ほどの目標を達成したいと考えております。そのような目標達成は二〇〇〇年ごろを目指しておりますが、それによりまして国際的にも信頼性はもとより経済性も比肩できるものになるわけでございまして、日本の民間の企業によります国際的な通信衛星、それの打ち上げの受託も可能になろうかと考えている次第でございます。
  13. 守住有信

    守住有信君 片りんがわかりました。  もう一つ、科学技術庁長官、今これは決算ですけれども、来年度予算で、鋼材の強度を倍にする、重量を半分にする、そういう基礎研究から通産省とかなんかと一緒になってお取り組みのようでございますけれども、こういうのがもろもろこの宇宙の問題にもずっとこれは影響してくるんじゃないか。先へ向かって進む創造立国、創造性、もう日本には資源はありませんから、頭脳立国でございます。これで産学官一緒になって各省庁も連携してやっていかれるということを橋本総理以下も切望しておられますし、私もその中の一人でございます。  その辺のところを最後に、外務大臣も今までちょっとお聞きになっておってODA関連科学技術庁長官から最後にひとつ、まだ時間ございますので、お考え、決意をお伺いしたいと思っております。何でも結構でございますから、どうぞ。
  14. 中川秀直

    ○国務大臣(中川秀直君) 守住委員にはいつも科学技術分野で党の部会長としても御指導を賜り、また当委員会の委員先生方に昨年十一月、科学技術基本法を制定していただいて、それに基づきまして本年七月、基本計画を定めさせていただきました。  平成年度の新予算はまさにその科学技術創造立国元年の概算要求ということになりまして、私ども科学技術会議を初めいろいろな国会の諸先生方の御意見も体しながら懸命に今取り組んでいる次第でございます。その中で挙げられますことは、やはり二十一世紀に向けて宇宙も含め、海洋も含め、そしてまた物質、ライフサイエンス、いろんな分野を含めまして目標を定めましてそれを達成していく、そういうテーマをきちんと掲げていかなきゃいかぬ、こう考えております。  宇宙については、ただいま政府委員からも答弁しましたとおり、諸外国からも、実際それがどうなるかはわかりませんが、全体で二十五基の人工衛星を日本で打ち上げられないか、こんな話もございまして、HⅡAロケットの開発を前倒しで促進すること、あるいはまた新たなものとして宇宙無人往還機HOPElXの開発、さらにはNASDA、開発事業団において月面探査車の開発等にも取り組んでまいりたいと思っております。  同時にまた、先般、NASAへ参りましてゴールディン長官等とも打ち合わせをいたしましたが、こちらからは、何とか我々のかけがえのない惑星である地球を守るために、温暖化を初めさまざまな地球環境の変動の予測をきちんと宇宙から、あるいは海洋から陸域からやっていくべきではないかと。そういうために先般打ち上げた「みどり」、ADEOSも活用するし、これから打ち上げる熱帯降雨観測衛星なども使う。  また、それを海からもきちんとしなければなりませんので、赤道あるいはまた北極圏において「みらい」、新しい海洋観測船等も活用しながら、いろいろなブイを赤道、特に日本の場合は日付変更線から西側になりますが、アメリカが東側になりますが、ブイを設置いたしまして、そのデータをリアルタイムでとっていく。あるいはまた、北極においても「みらい」等が観測するデータを全部新しいデータでとりまして、そしてそれを、これから開発をまたしなければなりませんが、今の大型計算機のさらに千倍ぐらいの能力で、シミュレーターと称しておりますが、計算をする。  こういうことによりまして、今百キロ四方ぐらいの地球全球的なデータが十キロ四方ぐらいのさらに細かい網目でとれるようになる。そういうことを積み重ねてまいりますと、今の気候変動予測も場合によっては一年単位で可能になるのではないか、またそういうことを目指してやりたい。これを日米協力でやったらどうかという提案をいたしました。先方も、大統領補佐官初め賛成をしてくれた次第でございます。  また、向こうからは、火星の生物の痕跡があったということで、これに対する日米協力も申し出がございました。我が方としても、何ができるか今専門家を集めて検討に入っているところでございます。  あわせまして、基本計画では、今委員触れましたとおり、二十一世紀を目指してもう一度日本が世界一を目指す分野として、新しい物質・材料の開発、例えば超鉄鋼、新世紀構造材料を開発したい。これは筑波の金材研を中心にマザーラインを設けまして、二倍の強度、二倍の寿命の鉄鋼を開発する。これは超微細の組成の組み合わせといいましょうか、粗い鉄鋼要素を組み合わせるのじゃなくて、きちんとコントロールして微細組織の要素を全部組み合わせますと二倍の強度になる。こういうことでやりますと、大体まあ建物なんかでも、阪神・淡路で壊れるものが壊れない、あるいは百年でももつ。あるいは、橋でも二千メートルしかかけられないものが六千メートルかけられるようになる。鉄道でも、レールが三年、五年でかえなきゃいけないものが倍ぐらいの寿命になる。  こういうことで、もう一度そういう分野で世界一を目指す。それからできる工作機械や自動車でもまた新たな発展を期すことができる、こういうことも考えておるところでございます。  また、各省と連絡をして、人間の一番の中枢器官である脳の科学を一層欧米に比して負けないように頑張りたい。  さらには、たんぱく質の高次機能の解明とか、あるいは先端技術を開発するためのツールの開発とか、そういったことをきちんとやって二十一世紀の新しい人類への貢献、また日本の新産業の創出、そういうものに資してまいりたい、こう考えている次第でございます。
  15. 池田行彦

    ○国務大臣(池田行彦君) まず、守住委員の方から台湾の関係についてお話がございました。  御指摘にもございましたように、現在台湾は経済的には大変目覚ましい発展をしておりまして、もうAPECのメンバーになっているということでもございます。そういったことで、世界の成長センターと言われるこのアジア地域におきましても重要な要素である、このように考えている次第でございます。  また、政治の面でも、御指摘のございましたようにいろいろな民主的な動きが進められている、これは意義深いことだと存じております。  そういったことでございますので、我が国といたしましても、台湾との関係、もとより昭和四十七年の日中共同声明で定められましたように、非政府間の実務関係としてではございますけれども、そういった枠組みの中で日台関係の発展を図ってきているところでございます。  そしてまた、御指摘のございました台湾住民の元日本兵の問題につきましては、長らく放置されておりましたのが、昭和六十三年でございましたか、特別の法律ができまして、人道的な見地からの弔慰金等の支払いということで、平成年度まで処理させていただきました。  また、郵便貯金あるいは未払い給与等のいわゆる確定債務につきましては、委員を初め超党派の御努力もございまして、ことしからその支払いが始められたところでございます。  そういったことで、台湾との関係も円滑に進めてまいりたいと存じます。  また、ODAにつきましては、御指摘のようにODAの重要性は幾ら強調しても足りないところでございまして、単に我が国の外交の大きな手段であるということだけじゃございません。やはり開発途上国が発展するということは、ひいては我が国も含めましたいわゆる先進工業国の将来のためにも必要なことでございますので、今後とも、もとより効率化を図りながらでございますけれども、開発途上国に対するそういう協力を進めてまいりたいと思います。  また、その際のPRにつきましては内外ともに重視してまいりたい、また御指摘のように特に映像を使ったPRというものに努めてまいりたいと思います。それから、広告を出しちゃいけないのでございますね。なるべく広告じゃないメディアを通じての施策が必要だと思います。  したがいまして、例えば先般私中東に参りましたときにも、時間を見ましてODAの現場へ行っていろいろ見ました。それが現地のメディアで大きく放送されると、そんなことも組み合わせながら御指摘のような方向で進めてまいりたいと存じます。
  16. 守住有信

    守住有信君 どうもありがとうございました。
  17. 吉川芳男

    吉川芳男君 自由民主党の吉川芳男であります。限られた時間でありますので、早速科学技術庁に対して質問を申し上げます。  まず、昨年十一月、議員立法により成立しました科学技術基本法に基づきまして、本年七月二日に科学技術基本計画が閣議決定されたわけでございますが、同計画では平成年度からの五年間における科学技術関係経費の総額として約十七兆円が必要であると明記されております。科学技術関係予算の中核を担う科学技術庁予算の役割は以前にも増して重要になってきたところと言えます。  そこで、科学技術予算とその執行について以下幾つかの質問をいたしたいと思うのでございますが、まず第一点としましては、科学技術関係予算の有効適切な使用の確保と事後検証ということについてお尋ねいたします。  科学技術庁予算の特徴としまして、他省庁への予算の移しかえが多く、また動燃や宇宙開発事業団など特殊法人に対する支出が多いことが挙げられております。私の調査では、平成年度において科学技術庁から他省庁へ移しかえられた予算は約百億円となっていますが、中でも科学技術振興調整費などはその過半が他省庁へ移しかえられている形となっております。また、歳出予算総額で約四千四百七十四億円のうち特殊法人への出資金や補助金等が約三千七百十八億円になっておりまして、全体の八三%を占めております。つまり、本庁で使用する予算は約七百三十七億円、一七%にすぎない。したがって、科学技術関係予算の有効適切な使用を確保するためには、他省庁に移しかえられた予算執行や特殊法人への出資金等に対する評価や事後検証が不可欠であると言えると思うのであります。  そこで、お尋ねしたいことの一つは、科学技術振興調整費の計上及びその適切な執行について、科学技術庁、大蔵省、予算が差しかえられた省庁との間でどのような協議あるいは調整が行われておるのですかということと、いま一つは、特殊法人に対する補助金等の有効かつ適切な使用についての監督と事後検証はどういう形で行われているのか、説明をいただきたいと思うのであります。
  18. 落合俊雄

    説明員(落合俊雄君) ただいま御質問ございました科学技術振興調整費でございますが、この科学技術振興調整費は科学技術振興に必要な重要研究業務の総合推進の調整のために、科学技術会議の方針に沿いまして、各省庁、大学、民間等の既存の研究体制の枠を越えました横断的、総合的な研究開発の推進を図るということを主たる目的といたしまして昭和五十六年度から科学技術庁に一括計上されております経費でございます。  御質問ございました本調整費の運用でございますが、これにつきましては科学技術会議が定めました基本方針にのっとりまして、各省庁等から提案を受けまして、科学技術会議の政策委員会が毎年定めます調整費の具体的運用についてに沿って実施をされているところでございます。  また、科学技術庁といたしましても、関係省庁連絡会の開催というような場を通じまして関係各省庁との連携をとっているところでございます。  さらに、実際の執行に当たりましては、予算の成立後、目の区分及び他省庁への移しかえにつきまして、財政当局との実行協議を経まして適正に各省に配分をするという仕組みをとっているところでございます。
  19. 沖村憲樹

    説明員(沖村憲樹君) 先生の御質問のうち、特殊法人関係についてお答えさせていただきたいと思います。  当庁の特殊法人でございますが、その資金の運用につきましては、各特殊法人に設立の根拠法がございまして、その法律にのっとりまして厳格を期して指導、監督を行っております。  具体的に申し上げますと、まず事業年度が始まる前でございますが、その当該法人の事業計画、資金計画、それから収支予算につきまして審査をいたしまして、それを認可するということをやっております。また、年度途中でございますが、それぞれの法人の事業の進捗のぐあい、資金の使用のぐあい、そういうことを把握いたしまして、状況に応じて年間、数度に分けて出資金や補助金を交付いたしております。また、事業年度の終了後でございますが、事業報告書、それから決算につきまして審査をいたしまして、それを承認するというようなことによりまして監督、事後検証を行わせていただいております。  また、そのほか補助金の執行につきましては、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律というのがございまして、その法律の手続に従いまして交付決定に当たっての事前の審査、事業の実施状況の報告、さらに事業完成後の実地調査等を行って指導、監督を行っております。  いずれにいたしましても、これまでも万全を期してやっている所存ではございますけれども、今後とも適切かつ厳格に指導、監督に努めてまいりたいというふうに考えております。
  20. 吉川芳男

    吉川芳男君 当然のことをやっていらっしゃると思うのでございますが、評価あるいは監督、事後検証というものをきちっと今後ともやっていただきたいと思うのであります。  次に、科学技術関係予算の事後評価機関を設置したらどうかということについてお尋ねいたします。  現在、我が国の財政赤字は極めて深刻になっており、科学技術振興を取り巻く状況も楽観を許さないと思っております。科学技術基本計画の目標達成に向けて国民理解を得るためには研究資金の有効的な運用が不可欠であることは言うまでもありません。そのためには科学技術関係予算の適正な会計処理が確保されなければならないのは当然ですが、それと同時に、科学技術関係予算が国全体として有効に使用されているかどうかの評価や事後検証が必要であると思うのでございます。  そこで、科学技術関係予算執行後の評価を行う委員会の設置を検討すべきではないかと考えますが、現状を含めて長官の御見解をいただけたらと思うのでございます。蛇足かもしれませんけれども、聞くところによりますと、科学技術会議の中にそれに類したものがあるというふうにも聞いております。またアメリカでは議会の中にちゃんとプロジェクトごとの評価委員会があるとも聞いておりますけれども、そんなことも含めましてひとつ御答弁をお願いいたします。
  21. 中川秀直

    ○国務大臣(中川秀直君) 御指摘のとおり、研究開発の成果等に対する評価を適切に実施することはこれからの科学技術振興にとって不可欠の重要課題であると考えております。先般、閣議決定されました科学技術基本計画におきましても、すぐれた研究開発成果を上げるために厳正な評価の必要性ということを強調いたしておりまして、特に国の研究開発全般に共通する評価のための大綱的な指針、いわゆる判断基準といいましょうか、そういうものを今年度中を目途に検討して策定するということを基本計画でうたっておる次第でございます。  これを受けまして、できれば今月中にと、こう考えておりますが、科学技術会議において本件評価指針の策定のための検討を開始していただく予定でございます。これは、政策委員会のもとに小委員会を設けて、年度内にそういうものを出していただくというつもりでおるわけでございます。  また、現状では、科学技術会議のもとに科学技術会議が決めました研究開発課題についてのそれぞれの委員会がございまして、そういう中で評価をいたしておるわけでございますけれども、今後は、科学技術会議の小委員会で打ち出していただく評価の大綱的指針に基づきまして評価を具体的にそれぞれ実施する、こういう形になっていこうと考えておりますし、当庁においても、みずから所管の研究機関について評価の強化を図る、また、各省庁における評価の実施状況科学技術庁として把握をしながら必要に応じて助言をするといったようなことに努めてまいりたいと考えております。  アメリカの例は、委員御承知でございますが、OTAという評価機関がございました。日本でもそれを設けろという議論もございますが、これは政府の所管ではなくて国会の御議論であろうと思っております。しかし、アメリカはその技術評価局、いろいろ予算の制約もございましたのでありましょうが、民間や政府情報の方が速くて質がよかったといったこと等々もあったようでございまして、実際にはその後廃止をされたと聞いております。だからといって、日本でそれが要るか要らないかという議論は、これは全く国会、日本日本でまた考えるべきことであろうと考えております。  以上であります。
  22. 吉川芳男

    吉川芳男君 次に、公募型研究助成制度ということについてお伺いしますけれども、平成年度予算から特殊法人を活用した公募型の研究助成制度が本格的に導入されてきたわけでございますが、省庁や官民の壁を越えた研究開発の促進のために同制度が活用されることが期待されております。その一方で研究テーマ等が他省庁のものと重複するおそれがないとは言えないと思います。また、同制度を有効に活用するためには、その研究成果を一定の時点で的確に評価し、新たなテーマ選定を生かしていくことが重要であると思います。  そこで、我が国の科学技術振興政策の中心を担う科学技術庁といたしましては、一つには、この公募型研究助成制度のテーマ選定や研究成果の評価に当たってどのような方法を考えているのか、また、他省庁の類似の制度との相互調整をどうやって図っていくのかを御説明いただきたいと思うのであります。
  23. 青江茂

    説明員(青江茂君) お答え申し上げます。  先生指摘のとおり、特殊法人への出資金を活用しての基礎研究の強化のための制度というのが六省庁でもってスタートいたしたわけでございますが、私どもの事業と申しますのは戦略的基礎研究推進事業というふうに名づけてございますけれども、基本的な仕組みをちょっと御説明申し上げます。  まず、例えば環境への負荷の非常に低い社会の実現でございますとか脳の高次機能の解明、こういったふうな非常に高いかつチャレンジングな戦略目標というものを設定いたします。その上で、その目標達成に必要な研究の重要な領域というものを定めまして、それをもってして全国の研究所にさあ手を挙げてきてくださいということで公募をかけるわけでございますが、それに対しまして研究者は自分たちのチームをオーガナイズいたしまして、私どもとしてはこういった研究をこういったアプローチでもってということで公募がなされる。それに対しまして各領域ごとに研究の総括及びアドバイザー数人を置きまして、その厳正な審査を経ましてテーマを決めているということなのでございますけれども、その過程といいますのは非常に透明度の高い形でもって審査がなされておるという状況でございます。  また、評価につきましても、その研究の総括が日々のかなり濃密な評価をなすと同時に、年一度必ずシンポジウム、ワークショップというものを開きまして、その採択された研究チームはそこへ出まして、その自分たちの一年間の成果というものを披歴するというふうな形でもってレビューを受けるという形になってございます。  他省庁も同様な制度、特殊法人への出資金というものを活用して基礎研究の強化を図るという制度が六つ同時にスタートしたわけでございます。この大きな枠組みと申しますのは、私どもの仕組みというのが基本的には基礎段階におきましてのシーズ、種でございますね、それを発掘し、そして芽出しまで持っていく、こういったことであろうというふうに思ってございます。それに対しまして、各省庁は文字どおりそのシーズ、種というものを種にいたしまして、さらにその応用への展開というものの可能性を追求するというふうな役割を担っておる。  一方、文部省の仕組みと申しますのは、その種が育つためにはいい土壌が必要なわけでございますので、そのいい土壌をはぐくむといったその学問の領域におきましての層の厚さというものを形成していく、こういったお役目を担っていただいている、そういう役割分担でもってそれぞれ進め下ておるというところでございます。  しかし、いずれにいたしましても、それぞれの制度と申しますのは我が国におきましての独創的な研究というものを強化充実させていこうというところに集約されるわけでございます。全体として整合性のとれた形で事業展開が期せられるということが大変重要だと思ってございまして、科学技術会議のもとに我が国のリーディングサイエンスの方にお集まりをいただきまして、そのそれぞれの制度というものを全部一括して総覧していただく、そして御指導をいただくというふうな仕組みというものもでき上がってございます。  一方、同時に実務者レベルでもちまして、六省庁の実務者が定期的に連絡協議というふうなことをいたしまして、その連携といったことにつきまして協議を重ねておる、こういった仕組みでもって全体的に整合性のとれた形で事業遂行がなされるというふうな仕組みになってございます。  以上でございます。
  24. 吉川芳男

    吉川芳男君 それでは次に、人工衛星の保険の適用について一つお伺いいたします。  今ほど守住委員からお話もありましたように、日本の宇宙衛星の打ち上げ技術というものは内外より大変高い評価を受けておるということについて、私も同様に思っております。  先般も、HⅡ、ADEOS、「みどり」は成功したわけでございますし、またヒューズ社等からも十基ほどのオプションがあったということも承っております。たまたま今審議しているのは平成年度の問題でございますので、ちょうど六年八月のきく六号というのは残念ながら静止軌道への投入が失敗しているわけでございまして、それ以後人工衛星に対する保険の適用が問題となっており、これを受けて宇宙開発委員会に設置されました宇宙保険問題等懇談会は平成七年九月に報告書を提出しているわけでございます。同報告書では、以前にも付保の実績がある実用衛星に加えて、研究開発衛星についても保険を掛けるか否かということを検討対象としておるとしております。  そこで伺いたいのは、保険適用の判断及び保険金額の算定は宇宙開発事業団に一任されているものか、衛星打ち上げに多額の国費が投入されることを考えるならば何らかの第三者的な判断が必要ではないかなと思いますので、お聞きするわけでございます。
  25. 加藤康宏

    説明員加藤康宏君) 先生指摘のように、人工衛星の打ち上げの保険の付保の問題につきましては、宇宙開発委員会が懇談会を設けまして、その考え方を昨年の九月に示したところでございます。その報告書では、国費を用いて衛星を打ち上げる場合でございますが、その場合は、例えば気象衛星等そういう実用衛星につきましては、不測の事態の対応措置の一環といたしまして、サービスを継続的に提供するための措置、例えば予備の衛星を早目に打ち上げるとかそういうこともあるかと思いますが、あわせまして保険の付保も検討すべきであるとしておりますが、研究開発衛星につきましては原則としては保険を付さないということにしております。  しかしながら、宇宙開発事業団の衛星につきましては、宇宙開発事業団が一つの独立した法人でございますので、その法人の事業運営上の裁量の範囲内でそのときの衛星の性格とか保険料率が幾らかとか、そのときの社会情勢等も考慮いたしまして、個別に付保を検討すべきとしております。  なお、付保する場合の保険金の使途といたしましては、後続する衛星の対策、それをしないと次の衛星がおくれてしまうというふうな場合がございますが、そういうような後続衛星の対策とか事故等の原因究明あるいは代替措置等に要する経費を掲げております。  したがいまして、宇宙開発事業団の衛星の打ち上げ及び保険の付保につきましては、そこに示されました考え方に従いまして宇宙開発事業団科学技術庁がそれぞれ協議しながら判断している次第でございます。  以上でございます。
  26. 吉川芳男

    吉川芳男君 次に、「もんじゅ」事故と今後の原子炉施設の安全規制について三点ほどお伺いいたします。  まず、「もんじゅ」の事故は昨年十二月八日に発生したわけでございますが、ナトリウム漏れ事故というものが、動燃の情報隠しもあったりして、原子力政策に対する国民の信頼が大きく損なわれた事件でございます。特に、事故発生後の現場の拙劣な対応を見るときに、実験炉の常陽以来もう二十年近くにわたる運用経験が「もんじゅ」に何にも生かされていなかったのかという感を抱かざるを得ないわけでございます。  国民の信頼を回復するためには、「もんじゅ」に係る安全規制、特に保安規定を抜本的に見直す必要があると思いまするけれども、科学技術庁の見解はどうかということでございます。既に本年の五月、「もんじゅ」のナトリウム漏れ事故報告と題するいわゆる中間報告が出されておるところでありますが、世間の評価はなかなか厳しいものがあります。保安規定がなかったのではないかという失礼な物言いはいたしませんけれども、異常時のマニュアルといいますか手順書がわかりにくかったのではなかろうか等々、いろいろ検討整備する必要は多いと思うのでございますが、科学技術庁としてはどのようにお考えでございましょうか。
  27. 池田要

    説明員池田要君) お答え申し上げます。  先生指摘のとおり、実験炉常陽の経験をいかに反映してきたかということでございますけれども、常陽につきましてはこれまで、今回「もんじゅ」が経験いたしましたようなナトリウムの漏えい事故というものは経験してございません、発生しなかったわけでございます。このため、「もんじゅ」につきましても、ナトリウムを取り扱う設備施設の維持管理に十分な経験を有しておって、仮にナトリウムの漏えい等がありましても迅速に措置し、多量の漏えいに至ることはないと考えていた事情がございます。しかしながら、今回は温度計さやの破損によりまして二次冷却材のナトリウムが漏えいするという、発生の可能性は極めて低いと考えていたことが現実に発生いたしました。  事故発生後の原子炉停止の操作に時間を要したこと、ナトリウムの漏えいが継続するなど当初の対応が不適切であったために、地元の方々を初め国民の皆様に不安感、不信感を与えることになったことは極めて遺憾なことと考えております。  また、ただいま先生から特に保安規定につきまして御指摘がございました。保安規定は原子炉施設を安全に運転、管理いたしますために必要な事項のうち基本的なものを定めるものでございまして、これを国が認可する仕組みになってございます。また、異常時におきます運転の手順でございますとか具体的な事項につきましては、原子炉施設の設置者がこの下部規定といたしまして運転マニュアル等として定めるものでございます。  今回の事故におきましては、この異常時の運転マニュアルに対応を誤らせる不適切な記述があったことから、事故の拡大の防止に支障を来した側面がございました。このため、ことし五月の科学技術庁がまとめました報告におきましても、今後、保安規定やマニュアル類を誤解を生じないように明瞭なものとするために動燃事業団に点検を行わせること、また異常時の対応に関しますものにつきましては、科学技術庁におきまして内容の妥当性それから関連するマニュアル間の整合性につきまして確認していく方針を示したところでございます。  今後、この方針に従いまして、保安規定等の点検を的確に実行いたしますとともに、設備類も含めまして安全性の総点検を実施いたしまして、再び同様の事故を起こすことのないよう徹底した対策を講じたいと存じております。そして、国民の皆様の不安感を払拭して信頼の回復を図るよう努力してまいりたいと存じております。
  28. 吉川芳男

    吉川芳男君 今ほど対応をお答えいただきましたが、冒頭私は、常陽の二十年の経験が今生かされていないんではないかという質問を申し上げたんですけれども、その間、何ら温度計のさや等に異常がなかったからという言いわけというか御答弁があったように記憶しています。しかし、私は事故後、委員会で視察をしたときに、常陽で使われた形と新しいそのさやが折れた形とを並べて見た場合、それはもう形状も何も全然違うんですね。簡単に言えば、常陽の場合はずんぐりむっくりしていますけれども、「もんじゅ」の場合は大変鋭角的に細長い形なんです。このつけ根のところが、これは素人の私が見たって金属疲労や耐用年数が来ればあれは折れるんじゃないかなということはもう一日にしてわかるような形態であるわけでございます。  それで、今回はいわゆる汎用品に対する審査体制の見直しということでお聞きいたします。これは聞くところによりますと、米国機械学会、ASMEの基準を大分汎用器具に対しては取り入れているということはお聞きしていまするけれども、大体一九七四年の基準はクリアしている。しかし、九一年の基準は、追加の見直しがあったにもかかわらずそれが生かされていないというような大変大きな見落としというか失敗があるわけでございますが、今後は、こういう汎用部品というものに対して動燃のチェックに任せられていいものか、またこれらに対しては科技庁自身の審査体制を強化するべきだと思うのでございますが、どうお考えですか。  そして、このような重大な事故や損失を与えた施工業者、一体これらに対する責任追及というのは、あるいは損害賠償というものを要求されるのかどうか、それらも含めてひとつ御答弁願いたいと思います。
  29. 池田要

    説明員池田要君) お答え申し上げます。  先生指摘の国の審査でございますけれども、そもそも原子炉によります災害を防止いたしますために、その設計の妥当性につきましては国の審査が行われるものでございます。具体的に申し上げますと、放射性物質を内に閉じ込めます容器、機器、配管類等の設計でございますとか、原子炉を安全に維持するための信号系統の設計等の妥当性を確認するものでございます。  今回の事故の原因となりました温度計につきましては、検出器の種類それから性能につきましては科学技術庁が詳細設計の内容を確認しておりました。しかしながら、さやの構造につきましては、常陽での経験もございまして動燃の責任において設計、製作を行うことといたしまして、いわゆる設計及び工事方法の認可という過程での対象とはしてございませんでした。しかしながら今回、温度計さやに設計上の問題があったということでございまして、ナトリウム漏えいの事故を発生いたしました。安全確保に万全を期するために、今後科学技術庁といたしましてはさやの構造につきましても審査、検査を行うこととしてございます。  また、温度計さやに限らず、動燃事業団の責任におきまして設計、製作を行ってまいりました他の機器などにつきましても安全性総点検を行うこととしております。その結果を踏まえまして、必要と考えられるものにつきましては、今後科学技術庁が審査、検査を行いまして、安全確保に万全を期してまいりたいと存じます。  また、先生から事業者の責任につきまして御指摘ございました。この点につきましては、現在のところまだ原因究明の過程にございます。これは私どもとしてもできるだけ早い時期に結論を出したいと思っておりますけれども、その過程におきまして明らかにしていくことだと存じております。
  30. 吉川芳男

    吉川芳男君 最後に、原子力政策の情報公開ということについてお伺いいたします。  国民の間で原子力に対する不信感が高まっていることに対応いたしまして、原子力委員会は本年四月以来、公開の原子力政策円卓会議を開催しております。国民のさまざまな意見を原子力政策に反映させるための努力として評価できますけれども、国民の信頼を回復するためには原子力委員会自体の情報公開が不可欠だと思うのでございます。今こそ自主、民主、公開という原子力基本法の基本精神に立ち返って、原子力委員会の個々の会合の内容を積極的に国民に公開していくべきだと考えまするけれども、科学技術庁長官の考え方はいかがでございましょうか。  なお、これに伴って三県知事の円卓会議というかシンポジウムといいますか、一回から十回まで行われているようでございますが、こういうものはどういうふうに評価といいますか、受けとめておられるんですか。それらも含めてひとつ。
  31. 中川秀直

    ○国務大臣(中川秀直君) 御指摘のとおり、自主、民主、公開という原子力基本法の精神を今の時代、国民の信頼と理解を得るためにさらにどう具体的に実現していくかということは、今我々に課せられた極めて重要な課題であると考えております。  円卓会議はそういう気持ちで四月から始めたものでございますけれども、既に十回、先般の敦賀を十回目といたしまして開催してまいりました。立地地域においても、あるいはまた一般公募の参加者、また既に委嘱をしております、それも倍にいたしました原子力モニターの皆さんからの御参加、それから三県知事さん、あるいはまた当該立地地域の首長さん、またいろいろな団体の方々、そしてまた現在の原子力政策に批判的なお立場の方々も、適正なバランス、数を見込みながら、モデレー夕ーの方々に御選定いただいて十回続けてきた次第でございます。  三県知事さんからもその都度有益な御意見を伺ってまいりましたし、これからそういう御意見をしっかりと政策に反映させていかなきゃいかぬと考えているところでございます。具体的には、来る今月の中旬に行われます十一回目の会議を終了後、モデレーターの方々にこの十一回を振り返ってどう問題を摘出し、どうそれを政策に反映していくか御議論をいただく、そしてそれなりのまた答えを出していこうと考えております。  今まで円卓会議の中で出た御意見の中でモデレー夕ーの方々に二点集約していただいたことが、ただいま吉川委員指摘の一層の情報公開の推進ということと、政策決定に国民、市民の意見をどう反映させるか、参加させるかという二点でございました。これについても、モデレー夕ーの方々にお取りまとめいただきつつ、我々としても真剣に、それがどう具体化できるか考えねばならぬということで、鋭意今検討いたしているところでございます。  先般、私は、訪米した折にアメリカの原子力規制委員会を訪問いたしまして、ジャクソン委員長と会談をいたしまして、アメリカがどういうふうなやり方をしてきているのかいろいろ聞いてまいりました。スリーマイルアイランドの事故から十六年たっているそうですが、その間、米国においてもさまざまな取り組み、改善をしてきているようでございます。アメリカはアメリカのやり方がございますが、私としても参考になる点が随分ございました。  政策を決める前にフェデラルレジスター、官報でございましょうか、あるいはまた電子掲示板、インターネット、いろいろ通じてそれを公知、公に知らせて意見を伺う、また規制の最終版のところでももう一回公示をして意見を聞く、いろんなことを努力してやっているようでございます。  また、会議の公開という今委員が御指摘のあった点についても、機密とか保障措置、核ジャックに対する防護措置でございますが、そういう情報、調査中の案件、あるいはプライバシー、機密、特許、あるいはサイトにおける規制、技術スタッフと事業者との会談、そういうもの等々を除きまして、また規制委員会が安全に対する責任重大な行政上の負担を負わせ、これに抵触する会議というものは非公開ということのようですが、それ以外は基本的には公開をするということでやっているということ等々も伺ってまいりました。  また、情報公開についても基本的に国民の健康、安全にかかわる情報は文書として公開するという原則で可能な限りやるということのようでございます。米国は米国のやり方日本日本やり方があると思いますが、そういうことも参考にしてやはり議論しなければいけないと思っております。  現実できるところからいろいろやっていこうということで、主要原子力施設の各種許認可の申請書初め保安規定、いろいろなものについても公開ということでもう既にスタートさせていただいておりますし、また会議の議事録等、原子力関係資料、情報も速やかに公開をするということで今取り組みを始めているところでございます。  今後とも一層そういう努力を通じて信頼へまた理解を回復したい、かように考えております。
  32. 吉川芳男

    吉川芳男君 終わります。
  33. 野沢太三

    委員長野沢太三君) 午前の審査はこの程度とし、午後一時二十分まで休憩いたします。    午後零時十八分休憩      ―――――・―――――    午後一時二十二分開会
  34. 野沢太三

    委員長野沢太三君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、平成年度決算外二件を議題とし、外務省防衛庁及び科学技術庁決算について審査を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  35. 岩井國臣

    ○岩井國臣君 日米安保体制が我が国の存立と繁栄の基礎であることは今さら言うまでもないと思いますけれども、と同時に、日米安保体制は日米協力関係の政治的基盤でもあるかと思います。ということは、日米両国の国際社会におきます役割というものを考えますときに、日米安保体制というものは国際社会の平和と安定にとってまことに重要な意義を有しておるかと思います。しかも、今世界はあらゆる面で先行き不透明といいますか、まことに混沌とした状態にありますので、ちょっとオーバーかもわかりませんが、歴史的に見まして、国際社会の平和と安定にとって今というこの時期が大変重要な時期ではなかろうかと思われてなりません。  かかる観点から、私は、この四月の日米安全保障共同宣言の持つ意義というものを考えておりますけれども、我が国は、この四月の日米安全保障共同宣言に基づきまして、国際社会の平和と安定のためにも、まずは日米両国における相互信頼確立のために最大限の努力をしていかなければならないのではなかろうか、こんなふうに思います。  そこで、今最も気になるのが言うまでもなく沖縄の問題でございます。基地縮小の問題でございます。県道一〇四号線越え実弾射撃訓練の本土への移転問題なども決して見通しが明るいとは言えないのでございますので、私は大変心配しておるわけでございます。  本日は平成年度決算に関する審議でございますので、防衛施設庁の今までの基地対策に問題があるのかないのか、もしあるとすればどこに問題があるのか、その点を重点に質問してまいりたいと存じますが、その前に導入部といたしまして、沖縄実弾訓練の本土移転問題につきまして防衛庁長官にまず質問させていただきたいと思います。  臼井防衛庁長官は、先般、沖縄実弾訓練の本土移転問題の解決を図るために北海道及び宮城、山梨、静岡、大分各県の知事さんのところへ行かれたと思いますが、どういう状況だったのか。まずその辺をお伺いすると同時に、今後の見通しにつきましてもお伺いしたいと思います。
  36. 臼井日出男

    ○国務大臣(臼井日出男君) 委員お尋ねの県道一〇四号線越え実弾射撃訓練の移転の問題でございますが、日米合同委員会のもとに設置をされておりますいわゆる作業班におきまして、昨年の十月以来、本土の複数の演習場で分散実施をするということで専門的、技術的な検討を重ねてまいってきているところでございます。その結果、先般、米側からも演習場の面積あるいは機能、着弾地の規模とかあるいは射撃陣地の規模、アクセスのあり方、受け入れ施設等を総合的に勘案して、矢臼別、王城寺原、東富士、北富士、日出生台、この五つの演習場においてならば分散実施が可能である、こういう報告を受けたところでございまして、私ども日本側におきましても、八月の十二日にその五カ所であれば実施可能であることを決定させていただきました。  こうした状況の中で、お地元の御意向にかかわらず、そうした米側の要件の決定あるいは私どもの日本側の決定あるいは八月末、先般でございますが、日米合同委員会で承認と、こうした手続を逐次踏むことになっておりましたので、私も、本件の問題の解決を図るために、八月十九日から二十六日までの間に一〇四号線越えの実弾射撃訓練、五カ所の所在首長さん、知事さん等にお目にかかりまして、直接こうした事情を御報告し、御理解をいただくとともに、また今後ともお地元の御要望、御事情等もしっかり伺わせていただいて、私どもも誠意を持って最大限の努力をし、また御相談を申し上げる、こういうことをお話しいたしてきたところでございます。  その際に、知事さん等からは、訓練量の増加あるいはそうした周辺の環境の問題が起きること、あるいは米側の規律維持の問題等について厳しい御意見をお承りしたわけでございます。  私どもといたしましては、沖縄県、長いこと米軍の施設・区域の集中することによって御苦労をおかけいたしてまいっておりますので、できるだけ早く少しでもその御苦労を軽減したい、こう考えているわけでございまして、私ども防衛庁といたしましても、今後本件の解決に当たって関係する地元の御理解を得るために最大限の努力をいたしてまいりたい、このように考えている次第でございます。いよいよ、これから個々の御事情等も伺いながら、私どももいろいろ誠意を持ってお話をさせていただく段階にあるということを御報告申し上げさせていただきます。
  37. 岩井國臣

    ○岩井國臣君 去る八月二十四日の新聞でございますが、防衛施設庁は沖縄実弾訓練の本土移転問題を早々とあきらめたかのごとき記事が載っておりましたけれども、臼井防衛庁長官が今御説明いただきましたように一生懸命努力しておられる最中になぜああいうコメントを発表されたのか、私はびっくりしたといいますか、ちょっと納得できないような気持ちでございます。  あのコメントにつきましてもお聞きしたい点がございますが、それはちょっと横へ置きまして、沖縄実弾訓練の本土移転問題の検討経緯につきまして諸冨防衛施設庁長官にお聞きしたいと思います。  実弾訓練の移転問題は、那覇港湾施設、読谷補助飛行場の問題とともに、いわゆる三事案として平成七年一月の日米首脳会談で取り上げられ、戦後五十年の節目として解決することが決められたわけですね。防衛施設庁としては関係知事説得のために、それ以降今日まで約一年半あるわけでありますが、その一年半の間どんな努力をしてこられたのか、その点をお聞きしたいと思います。
  38. 諸冨増夫

    説明員(諸冨増夫君) お答えいたします。  ただいま先生指摘のように、一〇四号線越え射撃問題はいわゆる沖縄三事案ということで、平成七年の一月、村山政権当時、村山・クリントン会談が行われまして、そこでこの問題についての解決へ全力を尽くすというような趣旨の合意がされたところでございます。  その合意を受けまして、私ども防衛施設庁といたしましては、この一〇四号線越え射撃の問題解決につきましては日米間でいろんな可能性についてあらゆる角度から検討をした結果、同年の九月でございますが、先ほど大臣からも答弁いたしましたように、安全保障協議委員会において分散実施する方向で技術的、専門的な検討を進めていくということで日米双方の認識が一致をしたというところでございます。  その合意を受けまして、日米合同委員会のもとに私どもは特別作業班というものを設置いたしました。それが昨年の十月でございます。その十月以降、私ども現在十カ所の演習場、いわゆる射程距離が四ないし五キロとれる程度の演習場について、キャンプ・ハンセンで行われておる射撃と同様の演習場、そういう機能といいますか、そういうものが確保できる演習場を一応対象を十カ所に絞りまして、いろんな観点から日米間で検討をしてきたわけでございます。  そういういろんな過去の検討を受けまして、私どもとしては、日米間でこの特別作業班のいわゆる技術的な観点からの合意を得たのが八月十二日、つい先日でございますが、この八月十二日に本土の五カ所の演習場、先ほど御答弁しておりました矢臼別、王城寺原、東富士、北富士、日出生台、この五カ所において実弾射撃訓練の分散実施を行うということについて日米間で技術的な検討の結果合意を得られたということで、私ども日米間で正式の合意を見たのが、技術的ないわゆる事務的な検討でございますが十二日でございまして、合同委員会でその後正式にこの事務的な検討結果を受け入れたのが実は八月二十九日という段取りになっております。  したがいまして、大臣に行っていただきましたのは、八月十二日に一応日米間の実質的な合意ができたということで、それ以降、地元に対する正式のお願いに伺うというようなことが私どもとしては正式に、許されると言うとちょっとオーバーでございますが、正式な地元に対する御説明を開始する時期がようやく日米間の合意ができてできたということでございます。  いずれにいたしましても、それ以前いろんな形でいろんな報道等ございまして、私どもとしてはその都度地元に対するいろんな形の御説明は当然しておったと、こういう状況でございます。
  39. 岩井國臣

    ○岩井國臣君 よくわかりました。  技術的な問題ということですけれども、平成七年一月の日米首脳会談で、正式には決まっていないかもしれないけれども実弾訓練の本土移転の方向が一応そこで決められたと、こういうことですよね。したがって、私なんかの感覚でいきますと、当然本土のどこか、特定はされなくてもどこかへ行くわけですから、どういう問題が生じるのだとか、トップレベルじゃなくても事務的にいろいろ詰めが行われるのが普通ではなかろうかなと、そういう感じがするわけですが、ちょっと私調べてみたら、地元とそういう本土移転という前提に立ってのいろんな事務的な折衝というんですか、いろんな検討というのか、そういう形跡が余りないものですからちょっと不思議に思ったわけでございます。  確認させていただきますと、まだ実弾訓練の場所がどこかというのは決まらなかった、五つに分散移転になるのか四つになるのか三つになるのか、どこになるのか、そういうことが決まらなかったのでという先ほどの御説明でした。  私ちょっと思っていましたのは、この種の場合、関係知事への説得というのは必要ないというふうな防衛施設庁にお考えがあるのではなかろうかとか、あるいは那覇空港施設あるいは読谷補助飛行場の問題と同時決着でないといかぬとか、そんな考え方があるいはあるのかなと思っておったわけでありますけれども、そういうことではなくて純技術的に場所が決まらなかった、そういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  40. 諸冨増夫

    説明員(諸冨増夫君) 今、先生指摘のように、まさに私ども十カ所が技術的には受け入れ可能であるということで検討を進めてまいりましたが、実際にどういう形で米側と合意が成立するのか、これは全く八月十二日までの段階では合意に至らなかったということは御指摘のとおりでございまして、私どもそれまでの間にいろんな形で、この十カ所の方々からいろいろ照会なり問い合わせがあるとか、そういうことに対しては誠実に対応してきた、こういう事情でございます。
  41. 岩井國臣

    ○岩井國臣君 先ほど言いました八月二十四日の新聞によりますと、諸冨防衛施設庁長官は、地元の理解が得られなければ実弾訓練の本土移転はあきらめざるを得ない、そういうふうな趣旨の発言をしておられますけれども、この種のケースの場合、地元市町村長や知事の同意が必要なんでしょうか。法制度上どうなっておりますか。
  42. 諸冨増夫

    説明員(諸冨増夫君) こういう演習場の使用なりあるいは飛行場、いろんな形で私どもふだんから地元の自治体の方々にお願いをするわけでございますが、一番大事なことは、やはり地元の首長さん方を初めいろんな関係の方々理解を得るということが一番大事なことであるという認識に立っております。  したがいまして、こういう基地対策を進めていくに当たりまして、先生指摘ございました発言の趣旨は、あくまでも地元の理解が一番重要で、その理解を得るということに私ども全力を挙げておるんだという趣旨を私申し上げたつもりでございまして、何とか一刻も早く地元の理解を得て、この一〇四号線越えを初め、ほかのいろんな懸案になっております三事案あるいはそれ以外のいろんな事案についても、常に私ども地元の理解を得なければこれはなかなか円滑に進まないものですから、そういうことで防衛庁長官の御指導のもとに私ども各施設局全力を挙げて今説得に当たっておる、こういう状況でございます。
  43. 岩井國臣

    ○岩井國臣君 法制度上はどうなっていますか、地元の同意が要るようになっていますか。
  44. 諸冨増夫

    説明員(諸冨増夫君) 法制度上、明確にそういうことが規定されているというわけではございません。したがいまして、私どもとしては常に地元の理解を得るということに重点を置いておるということでございまして、私の発言の趣旨におきましても、そういうことで地元の同意というか理解、そういうものについて常に不可欠なものであるというような考え方を一応申し述べさせていただいている、こういうことでございます。
  45. 岩井國臣

    ○岩井國臣君 大変結構だと思うんです。私は諸冨防衛施設庁長官のお考えでいいと思いますが、違う意見もございまして、法制度上、関係県知事、例えば地元の同意を必要としていないので、もちろんいろいろ折衝はやるにしても、最後、決断すべきときは決断すべきだというふうな意見も当然あるわけであります。ありますが、今の防衛施設庁長官のお考えで私は賛成でございますけれども、問題は、法制度上何の規定もないということなんです。法制度上何の規定もないとなると、同意を得るように地元に働きかけるか否かはそのときの気分といいますか、気分というのはちょっとおかしいですけれども、そのときの防衛施設庁幹部の考え方いかんによるのではなかろうか、そんなことにならざるを得ないんじゃないかと思います。  平成七年一月の日米首脳会談で実弾訓練の本土移転の方向が決まって以来今日まで関係知事の了解が得られていないのは、技術的な問題が基本的にあるということでありますが、少し地元に対する、説得工作というのはちょっと言葉は悪いですけれども、いろいろ交渉ですね、ちょっと余りにも私らの感覚からいきますとおろそかになっておったのではなかろうかなと、こんなふうに私は思っております。  それはなぜかというと、法制度上同意を得るというふうになっていないからですよ。だから、人によっては防衛施設庁長官のような、諸冨さんのようなお考えの方もおりますし、いや必ずしも同意は要らないんだ、国の安全保障にかかわる問題だから地元の同意なんか要らないんだという考え方も恐らく防衛施設庁の中にも私はあるんじゃないかなと、ちょっとそんな感じがするわけであります。  基地問題の処理につきまして、なぜ法制度上の取り扱いがそのようにあいまいになっているのか、その点私にはよくわかりませんが、基地問題につきましては、基地周辺対策事業につきましてもいいかげんというか、いいかげんというのはちょっと言い過ぎでありますけれども、まことにあいまいな面があるように思われますので、次に基地周辺対策事業につきまして質問したいと思います。  騒音対策につきましては、全国約三十五万件につきまして当初の防音工事が平成年度におおむね終わったようですね。現在は、追加工事と称して、既に終わった住宅に対しまして新たな部屋の防音工事を追加的に行っておられる。そして、その追加工事の進捗率ですけれども、平成年度末でおおむね五〇%だと聞いております。ということは、まだまだ追加工事の必要な住宅が十八万戸ほどあるということですよね。防衛施設庁は航空騒音に対する周辺住民の受忍義務というものをどのようにお考えになっているのかわかりませんが、この十八万戸ほどの住宅では航空騒音に対し受忍義務の限度を超えていると考えるべきではないのでしょうか。  そこで質問でありますが、航空騒音に対する住民の受忍義務につきましてお聞きするわけでありますが、防衛施設庁ではWECPNLという航空騒音の単位をお使いになっておられますね。その単位で申し上げます。例えば八十程度の航空騒音の場合、それは受忍義務の限度を超えていると考えるのでしょうか、それともまだ受忍義務の範囲内と考えるべきなんでしょうか。いかがでしょうか。
  46. 諸冨増夫

    説明員(諸冨増夫君) ちょっと専門的になって恐縮でございますが、今の先生の御質問、ちょっと確認させながらお答えしたいと思います。  いわゆる環境整備法に基づきまして、現在航空機騒音の度合いにつきましては先生指摘のWECPNLという基準がございまして、私ども、こういう基準に基づきまして住宅防音とかあるいはそれ以外のいろんな移転等の措置を行っておるという状況でございます。  それで、このWECPNLというのは、いわゆる公害対策の総合的推進を図る、もって国民の健康を保護するとともに、生活環境を保全することを目的とするといういわゆる公害対策基本法第九条というのがございまして、ここの考え方を私ども採用させていただいているところでございます。したがいまして、この航空機騒音に関する環境基準というのがいわゆる環境庁の告示でございまして、その告示に基づいて私どもも自衛隊及び米軍が使用するいわゆる飛行場周辺地域については、軍用ではないいわゆる公共飛行場に準じて施策を行っておるというのが現状でございます。  したがいまして、このWECPNLという航空機騒音の評価方法を周辺対策行政を実施する上での指針として私ども取り入れたという考え方をとっておりまして、今先生御質問のこれをもって直ちに受忍義務の限界といいますか、限度の判断要素というふうに直接結びつくものではないというふうに考えているところでございます。
  47. 岩井國臣

    ○岩井國臣君 その辺はちょっと私はおかしいと思います。あいまいだと思いますね。  基地周辺対策事業費は昭和六十二年度を一〇〇として、平成年度もほとんど一〇〇に近いですね。一〇二でしたか、もうほとんど伸びがない、ここ十年金く伸びがない。防衛関係の全体予算は一三七、一・三七倍に伸びておる。それから、在日米軍駐留経費負担は二四八ですね、二・四九倍に伸びておる。全体予算が伸びているにもかかわらず、なぜ基地周辺対策事業がこんなに冷遇されているのかと私全く理解に苦しみます。  そこで、防衛施設周辺の生活環境整備等に関する法律、先ほど言われた法律の第四条についてお聞きしたいと思います。なぜこの法律に航空機騒音だけが対象になっておって実弾訓練に伴う騒音が対象から外されているのかという問題もございます。その点は衆議院の鈴木宗男先生が常におっしゃっておられる問題でございます。私も全く鈴木先生の御指摘のとおりだと思っておりますが、法第四条についての改正の問題、これはこの決算委員会で取り上げるのは適当でないと思いますので、ここではそれはちょっと横へ置きまして、法第四条の解釈についてお聞きしたいと思います。  法第四条には、さっき八十と僕は申し上げましたけれども、七十五が一種になっているわけですね。第一種区域の住宅に居住する者が必要な防音工事を行う場合、国はその工事に関し必要な助成をしなければならないというふうに法律にはっきり規定されています。つまり、国の予算上の都合で居住者が行おうとする防音工事を国がいたずらに遅延さすようなことがあってはならないのであって、第四条に基づく防音工事につきましては、国はその予算上の手当てについて最大限の努力をしなければならないと私は解釈しておるのでございますけれども、違いますか。
  48. 諸冨増夫

    説明員(諸冨増夫君) 住宅防音につきまして、先生指摘のように現段階ではまだ、実は一室防音については私ども一〇〇%終了しておるんですが、いわゆる残室のございます、最大で五室でございますが、こういうものについて確かに御指摘のように予算の関係もございまして整備がおくれておるということはもう御指摘のとおりでございます。  しかしながら、私ども、限られた予算の中で、この基地周辺対策経費の中でも特に毎年度大体四五%前後の費用をこの住宅防音最重点ということでやっておるわけでございますが、いずれにしてもその予算上の制約が一つございます。それからもう一つは、やはりこれは個人個人に対する補助でございまして、個人の方々の御希望に合わせて実はこの助成をやっていく関係もございまして、私どもから希望した方々が必ずしも一〇〇%お受けいただかない、あるいは翌年度自分のところでは部屋の改装をするからそういう時期に合わせてくれとか、いろんな事情がございます。そういう事情も一方ではございます。  いずれにしても、私どもとしては現在防衛庁を挙げてこの住宅防音について最重点事項ということでやっておりますが、予算の制約とかそういう事情があっておくれておるということはまさに御指摘のとおりでございまして、今後とも何とか一刻も早く、この御希望の方々の住宅防音については全力を挙げて対処したいと、このように考えております。
  49. 岩井國臣

    ○岩井國臣君 予算上の都合というのはわからぬわけではありませんが、やはり地元の希望といいますか声に私は十分こたえられていないというふうに思いますので、その点だけ指摘しておきたいと思います。  東富士、北富士の両演習場につきましては地元との間で協定を結んでおられますね。そして、その協定では、さまざまな地域開発事業について防衛施設庁は地元と農林水産省や建設省などとの調整役を果たすというふうになっていますね。大変結構なことだと思いますが、他の演習場、矢臼別、王城寺原、日出生台、そういうところではそういう協定はないのではないでしょうか。ちょっと私、正確なことを知らないのですけれども、どうもなさそうだと。  これはおかしいなと思うんですね。東富士、北富士におきましては何か特別の事情があるんだろうとは思いますけれども、それにしてもやはりおかしいと思います。あるところでは立派な協定があり、あるところではない。行政上の不公平というものが存在していると思います。  なぜこうなっているのか。私の考えではやはり法制度上の不備がここにあらわれているのではなかろうかと、こんなふうに思います。すなわち、基地周辺対策では損失補償だけが問題になっておりますね、法律上。それに対し、例えば水資源開発ではそういう損失補償はそんなものはもう当たり前のこととなっていまして、むしろ地域開発に焦点が当たっているんですよ。国土庁が中心になりまして、各省と協議の上、水源地域整備計画というものを策定して地域開発を推進することになっておるんです。基地周辺対策ではそんなものは全くないと。全くないんですよ、何も。  長官、ダムでは水源地域対策特別措置法という立派な法律がある、あるいはまた琵琶湖に関しては琵琶湖総合開発特別措置法という立派な法律があるんですね。建設省は必死の努力をしてそういう状態をつくってきたわけであります。そういう立派な法律があるんです。防衛施設庁では今までそういう努力をしてこなかったんではありませんか。その結果、基地周辺対策では地域開発を推進するようなものは何もない。多少それらしきものとしては東富士、北富士の両演習場の協定があるだけだと。私は随分落差を感じるんです。  防衛目的というのは、単に装備の充実にとどまらないで防衛施設の安定使用、とりわけ基地周辺住民の生活の安定、福祉の向上等の施策を通じて醸成される基地周辺住民の理解と協力なしに達成することは到底困難だと思います。政府は、全国基地協議会、防衛施設周辺整備全国協議会、全国市議会議長会の基地協議会など、要するに地元の皆さんの意見にもっと耳を傾けて、基地周辺住民とともに国防に当たる、そういう意識の転換が必要ではなかろうかと思います。  国防というものは自衛隊だけでできるものではない。防衛庁だけでできるものではありませんよ。もちろん自衛隊とか防衛庁中心になるわけでありますけれども、やはり国民とともに防衛に当たる、基地周辺住民の皆さんとともに防衛に当たる、そういう考え方でないとこれからやっていけないのではないかと思います。  実弾射撃訓練の本土移転問題を早急に解決するためには基地周辺対策をさらに促進することを今明確に打ち出す必要があるのじゃなかろうか。私は地域開発に焦点を当てた何らかの特別立法を制定すべきだと考えますが、長官、いかがでしょう。もちろん現在の法律とは別に、そしてそのことを関係者に対し長官の決意表明として今すぐにでも発表すべきではなかろうかと思います。  北海道の矢臼別演習場につきましては、条件つき容認の姿勢が示されたようでございますけれども、おざなりの対応ではこれから全体をうまく解決していくのはなかなか難しいんじゃなかろうかと、そんなふうに心配しているんです。諸冨防衛施設庁長官のあんな後ろ向きのコメントでは私は全く話にならぬじゃないかと、こう思いますが、長官いかがでしょうか。
  50. 臼井日出男

    ○国務大臣(臼井日出男君) 私ども政府といたしましては、今回の沖縄県民の負担軽減のための実弾射撃訓練の移転、分散移転につきまして、新たに御負担をおかけする地域に対してはでき得る限りのことをしなければならない、このように考えております。  先ほど来お話にございました演習場の成り立ちにもいろいろ経過がございまして、それらのことも含めて、そうした協定のあるところ、ないところあるわけでございますが、先ほど来お話に出ておりましたように、例えば従来は航空機騒音に重点が置かれ過ぎておって、今回問題になっております射撃音に対する配慮というものは私ども欠けておったと率直に反省をしなければならないと、こういうふうに思っております。こうした個々の御事情というものをそれぞれ勘案しながら、地域に合った施策というものを実施していかなければならないと、こういうふうに考えております。  先般、SACOで取りまとめられました具体的措置の的確かつ迅速な実施を確保するための方策、法制面あるいは経費面も含め総合的な観点から実施を検討し、実施をしていくということになっておりまして、これは閣議決定をさせていただきました。そして、今回の平成年度予算におきましても、単に私ども防衛庁あるいは防衛施設庁という立場を超えて、国を挙げてこれらの問題に対しては積極的に取り組んでいく、こういう姿勢を示させていただいているところでございます。  なお、御指摘にございました特別立法等につきましてはまだ具体的な、お地元の事情等もこれから伺うという段階でございまして、すぐ私からお答えすることはできないわけでございますが、御指摘のとおりに政府を挙げて全力を挙げて努力をいたしてまいりたいと、このように考えさせていただいている次第でございます。
  51. 岩井國臣

    ○岩井國臣君 終わります。
  52. 海野義孝

    海野義孝君 平成会の海野義孝であります。  つい先月、決算委員に任命になりまして、きょうは決算委員会としては初めての登板ということになりました。きょうは、大きく三つのことにつきまして御質問申し上げ、関係の方々の御答弁をお願いしたいと、かように存ずる次第でございます。  最初に、科学技術庁並びに動力炉核燃料開発事業団の皆様方に御質問申し上げたいと思います。  もう既に御案内のとおりで、現橋本政権の最重要政策の一つとしまして、いわゆる行政改革について大変重要視され、つい最近も大変大胆な行革の構想につきまして、例えば十四省庁に統合されるというような、かなり思い切ったといいますか、大変な意気込みを御発表になっておりました。  その点、私は行革につきましてお聞きしたいと思うんですが、橋本総理の諮問機関としまして行政改革委員会というものが財界あるいは学識経験者等のいろいろな方々で形成されておりますけれども、その行革委員会におきましては郵便貯金の問題とかあるいは財政投融資制度、こういったことについての抜本的な見直し等について着手される官民活動分担小委員会、これがことしの三月に発足したわけでございます。  この小委員会ができました理由につきましては、財投が肥大化しているということによりまして、そういった中で弊害としまして、官業による民業の圧迫というようなことが少しずつ進んできていると、これはいろいろと報道等でも報じられているとおりでございます。規制緩和という重要な柱がありますけれども、こういうような面がこれの促進に当たってやはり足かせになっているということが言われているわけでございます。  ところで、中川長官におかれましては、この行革の目標の一つであるいわゆる官業による民業の圧迫ということについて、これは当然御所管の科学技術庁の中に特殊法人も幾つかおありになるわけですけれども、全体としましてこういった民業の圧迫というようなことを当然正すことは正していかなくてはならない、このように思うわけでございます。その辺につきましてまず中川長官の御所見、御意見あるいはお取り組みについてお伺いしたいと、このように思います。
  53. 中川秀直

    ○国務大臣(中川秀直君) 官業による民業の圧迫をどう是正するかという問題につきましては、行政というものは民間の活動領域を侵すことなく必要最小限の活動領域にしていく、そして民間が自律的かつ主体的に活動できるようなシステムを構築して、行政はそれをまた支えるような必要最小限の分野にとどめ、簡素で効率的な行政を実現していくということが重要であると、このように考えております。
  54. 海野義孝

    海野義孝君 今の長官の御答弁ではやや抽象的といいますか、よく私にはその御意思というか、それがまだ十分には伝わりません。したがいまして、さらに話を少し進めさせていただいて、長官からやや具体的にまた御答弁をお聞きしたいと、かように思う次第でございます。  実は昨年二月二十四日に閣議で決定されましたが、いわゆる「特殊法人の整理合理化について」というものが発表になりました。そこにうたわれていることはたくさんありますけれども、その中で「統廃合及び民営化の推進等」「特殊法人の管理運営の改善等」というくだりがございます。「いわゆる子会社・関連会社が存在する法人については、子会社等の財務内容等の情報公開を進めることにより、全体像を明らかにする。」ということがそこに決まっておるわけでございます。  科学技術庁におかれましては、その管轄下に、この三月に法案としてこれは審議をされましたけれども、一つは従来の新技術事業団、これと日本科学技術情報センター、これが統合されましてこの十月には科学技術振興事業団という形で発足をされるということで、一つ前向きに具体的なことが決定をされたということにつきましては大変多とするところでありますけれども、私が勉強させていただいた中では、科学技術関係の資料集とかいろいろなものを読ませていただきましたが、そういった中には科学技術庁の管轄の中には動力炉核燃料開発事業団とか宇宙開発事業団とか、そういった大きな業務に取り組んでいらっしゃる特殊法人もあるわけでございます。  こういったところにつきましても、今度十月から発足します科学技術振興事業団と同じように、動燃さんの場合あるいは宇宙開発事業団等につきましてもそういう子会社というかあるいは関係会社といいますか、そういったところにつきましての見直しというようなことについて何か進めておられるかどうか。まず、その辺につきまして、ひとつ科学技術庁長官にその後の状況についてちょっと御答弁をいただきたい、このように思います。
  55. 岡崎俊雄

    説明員(岡崎俊雄君) 先生指摘のとおり、今後の行政運営に当たりまして、二十一世紀の情勢変化に柔軟に対応できるような行政改革を進めるというのは政府全体として不可欠な課題だと存じております。その中にありまして、資源に乏しい我が国が将来の発展のために科学技術を総合的に振興していくということは他方不可欠であろうかと思います。  今の御指摘科学技術振興事業団の創設等も契機といたしまして、科学技術庁全体のもちろん組織体制というものをできるだけ合理化していくということについて引き続き努めてまいりたいと存じておりますし、そういった広い観点から原子力関係の動燃事業団のありようについても引き続き合理化に努めてまいりたいと思っております。
  56. 海野義孝

    海野義孝君 きょうは御多忙のところを動燃開発事業団方々もおいでになっていらっしゃいますので、少し話を続けさせていただこうと、このように思います。  私は民間企業に三十数年おりまして、そういった意味でも、近年のいわゆるバブルの発生さらには崩壊の過程におきまして大変深刻な長期不況にあえいだわけでございまして、民間企業では相当ないわゆるリストラをやってまいりました。  話は前後しますけれども、私が関係しておりました証券界等におきましても、事業の性格から、大変変転きわまりないといいますか、好不況の波に洗われるというような事業でありますので、そういった証券会社の場合もいわゆる受け皿をどれだけつくるかということが大変重要なことでございまして、さらには、最近はまた証券界の場合ですと、五十歳ぐらいでいわゆる希望退職を募るというような形で、当初言うなれば終身雇用的な意味合いで就職した者がこの荒波にさらされて大変な思いをしてきたわけであります。  動燃さんの場合も、国家的なそういう事業をなさっていく中で相当多くの、私が調べさせていただいたのでは三千人近くの陣容を擁して事業をやっておられるわけですから、そういたしますと、そういった方々がいわゆる六十歳でありますか、定年の年はよくわかりませんが、やはりそういった方々のその後の身の振り方といったことも当然お考えになっていかなくちゃならないということ等もありまして、関係会社というか、そういったものをやはりおつくりになっていることがあろうかと思います。  そういった問題と、今、橋本政権の中で行革の中で言われておりますような、官業が民業を圧迫してはいけないというようなことにつきましての兼ね合いというようなことからいいますと、これまで動燃さんの傘下にいろいろな会社もおありになるわけですけれども、そういったところにつきましても基本的に今後のお考えというか方針についてもやはり当然変わっていくんじゃないかと、このようにも思うわけでございます。  そういった意味で、いわゆる特殊法人さんの関係会社あるいは子会社さん等について今後どういうような施策をお持ちなのか、あるいはそういったことを今後どのように進めていかれるお考えであるか、その辺について一言御説明いただければと思います。
  57. 近藤俊幸

    参考人(近藤俊幸君) お答えします。  事業団におきましては、官業が民業を圧迫するようなことはあってはならないし、ないものと思っております。先生指摘の点につきましては、今後とも十分注意を払っていきたいと考えております。  また、先生から御指摘のあった個々の点につきまして、総務担当理事から答弁させていただきたいと思います。
  58. 藤本昭穂

    参考人(藤本昭穂君) 事業団が出資をいたしております会社というのは国内におきましてはございません。しかしながら、事業団とは別組織である共済会、いわゆる互助会でございますけれども、この共済会が株を保有しているということはございます。一応その保有しておる会社は六社あるということでございます。  先生も御承知のとおり、事業団の業務というのは核物質を取り扱う業務が非常に多いわけでございますけれども、この核物質を取り扱う業務によってはある程度受注会社というものが限られてくる場合というのがあるわけでございます。そこで、六社は主にそのような業務を受注いたしておるわけでございますけれども、ここで六社の七年度の契約実績をちょっと申し上げますと、全体の約五%ということになっておるわけでございますが、これは必ずしも発注が集中しているということではないというふうに思うわけでございます。  動燃としましては、できるだけ広く民間活力を活用いたしていかなければならないというふうに考えております。先ほど理事長から申し上げましたように、今後とも十分に注意を払ってやっていかなければならないというふうに考えております。
  59. 海野義孝

    海野義孝君 大体よく理解できましたので、あとは、行革の進展という中で科学技術庁の傘下のそういった特殊法人さんにおかれましても、今後相当民間と同様にといいますか、そういったスタンスに立って今後行革の一端を担って進めていただきたい。できる限りより多くの民間の企業に門戸を開き、そうした今のおっしゃったお話ですと、大体五%ぐらいの業務をその関係の今の六社さんでおやりになっているということでありますけれども、ということは私が予想したよりはかなり少ないというように思いますけれども、そういった方向に沿ってひとつ今後も御努力をいただきたいということをお願い申し上げます。  次に、「もんじゅ」の事故、その後の原子力政策という問題につきまして、これもまた中川長官あるいは動燃さんの皆様方に現状についての御説明をいただくということになろうかと思いますが、ちょっと私も欲張りまして質問を三つ実は事前にお願いしてありますので、関係の方々もいらしておりますから二つで終わるというわけにいきませんので、次の二番目の質問につきましては、簡潔に申し上げますから御答弁の方々も簡潔にひとつお答えいただきたい、このように思う次第でございます。  まず、「もんじゅ」の事故についてでございます。  先ほど午前中に吉川先生からも御質問がありまして、あらまし御答弁がありましたから重複は避けたいと思うわけでございますけれども、その「もんじゅ」の事故につきまして、もう既にこの点は報道等あるいは御発表になっているかと思いまが、こういった高速増殖炉の関係につきましては、いわゆる連合艦隊方式というような形でこういった装置等について多くの企業も携わっているということかと思うんですけれども、実はこの五月二十三日ですか中間報告がありまして、まずそれを読ませていただきますと、その漏えいの原因については温度計さや管の設計ミスというようなことが出ているわけでございます。  実はその点について、実験炉常陽の場合の二次系のメーカー、それと今回の「もんじゅ」の場合のメーカーとが違っているということでありまして、その辺がやはり企業間の情報交換といいますか、そういったことが十分に行われていなかったんじゃないかというようなことが私ちょっと気になるわけです。  ということは、つまり私がわかりにくいのは、常陽で採用したさや管、テイパー状のものと、それから「もんじゅ」の工次系で採用した段つき構造の形状というのが違っていたということであります。  高速増殖炉の開発については、言うまでもなく実験炉、原型炉、実証炉というような形で進んでいくわけでしょうけれども、そういった中で、実験炉で採用しなかったものを原型炉で採用するというようなことがありますれば、何のために実験炉で実験をしてきたかといった点が私甚だわかりにくい。  私は、科学技術については専門じゃありませんからいろいろと勉強した範囲のことでありますけれども、そういったことをちょっと素人なりに、これは私が申し上げていることが間違っているかもわかりませんが、その辺についてひとつ科学技術庁あるいは動燃の方にこの点についてのお答えをいただきたいと思います。
  60. 池田要

    説明員池田要君) お答え申し上げます。  ただいま先生から二次系の温度計につきまして、メーカーが異なることによってその間に常陽で蓄積されたはずの経験がしかるべく移転されていなかったのではないかという御指摘がございました。  この点につきましては、装置、部品につきましてどういう企業を選ぶかといったことにつきましては、動燃事業団がこれは企業としてしかるべく選択をするということかと存じます。この点につきましては、必ずしも我が方、安全規制の観点からは特段政府サイドから注文をするという立場にもございません。  きょうは動燃事業団もおりますから、事業団からこの間の事情について御説明申し上げることになろうかと思います。
  61. 海野義孝

    海野義孝君 今の点についてはどうですか。
  62. 近藤俊幸

    参考人(近藤俊幸君) 温度計についてのメーカーの技術力を引き出すということを期待したということでございます。
  63. 海野義孝

    海野義孝君 ちょっと何か答弁がどうもよくわかりません。実情をおっしゃっていただけないのか、あるいはその辺のところはなおあれかわかりませんけれども。
  64. 中川秀直

    ○国務大臣(中川秀直君) 私の知る限りで御報告申し上げます。  常陽で使いました温度計、テイパー状になっておるというものについては「もんじゅ」も一次系の温度計は同じような形状であったと、このように聞いております。  問題は、二次系のいわゆる非放射性のナトリウムが循環しているその温度計の設計について、段つき構造になっておったということが今度の事故の原因の一つとして挙げられているわけでございます。  その段つき構造になってしまった経緯について、当庁もこれは反省をし、また責任を感じて今後は安全審査にかからしめる、こういうふうに五月二十三日の報告書の中でも触れておるわけでございますけれども、なぜ段つき構造になってしまったか、それについてはメーカー担当者からも事情を聴取しまして、その結果、ASMEというアメリカの機械設計の基準、その基準は二部ございまして、後段の部分のテイパー状のものにすべきだというものを設計の段階においてそのメーカーが見落としてしまったというような事実関係がその後明らかになってまいりました。  これは動燃においても我々においても、メーカーの技術的な能力を信頼したゆえに起こったことでございますけれども、事ナトリウムの漏えいを起こしたということに関しては大きな反省点でございまして、今後かかることがないようにやってまいる、こういう決意でおる次第でございます。
  65. 海野義孝

    海野義孝君 どうもありがとうございました。  そこで、「もんじゅ」の事故その後ということであります。  五月二十三日に中間報告がなされた、その後のことでありますけれども、私どもの参議院におきましても科学技術特別委員会等で常会中はいろいろとそういった情報の発表等がなされたわけでありますけれども、その後につきましては私も報道等で断片的にしか存じませんので、その辺ちょっと関係の方に御答弁をお願いしたいと思うんです。時間の関係もありますので幾つかのことをまとめて申し上げますので、簡潔に現状について教えていただければいいと思います。  三つほどございますが、一つはこの「もんじゅ」の事故につきましての原因究明というのはすべて終わったのかという点。第二点は、科学技術庁が計画されています安全性ということについての総点検、これは現在どういう状況にあるか。第三点、三月十八日から八月四日まで設備の点検をなされたというように承知しておりますけれども、この結果についてはいつ御報告があるのか、どういう形で発表になられるか。以上三点につきまして、科学技術庁あるいは動燃の方々、関係の方から簡潔にお教えいただきたい、このように思います。
  66. 池田要

    説明員池田要君) お答え申し上げます。  原因究明につきましてでございますが、五月二十三日に公表いたしました報告書の中で幾つか引き続き検討するとした点がございます。すなわち、なぜこの二次系冷却ループの中で当該温度計一つのみが破損したのかといったような点がございます。こういった点を含めまして現在まだ調査検討を継続しておるところでございまして、最終的な報告書が取りまとまるまでにまだ若干の時間をいただきたいと思っております。  なお、六月七日にナトリウムの漏えい燃焼実験というのを行ってございまして、このときにライナに穴があくといった事故時の状況とは異なった事実を招来しておりまして、この間に得られましたデータの詳細な分析を行うといったことも含めまして、今この実験結果についての総合的な評価検討を進めているところでございます。したがいまして、こういった成果を踏まえまして可及的速やかに原因究明については結論を得たいと思っております。  また、もう一つは安全性の総点検についての御指摘がございました。この五月二十三日の報告書におきましても、設備、それから事故発生後の対応、こういった点につきましての幾つかの問題点があったわけでございますし、この点を含めまして安全性の総点検を行うことにつきましての方針をその報告書の中に記したところでございます。すなわち、「もんじゅ」の設備、それから保安規定、マニュアル類、こういったものについてはかに同様の問題がないかどうかといったことを確認する、それから改善策の妥当性、こういったものにつきましての検討をして確認するといったことを目的として安全性総点検を行う準備を目下進めているところでございます。  この点につきましては、専門家の参加を得まして科学技術庁に「もんじゅ」の安全性総点検のチームを組織したいと、これの活動を開始することを計画しておりますけれども、現在このチームの構成等につきまして準備を進めているところでございます。  なお、原因調査との関連につきましては、この調査が引き続き行われているところでございますから、この調査の結果も踏まえながら安全性総点検を進めていくということを考えてございます。  なお、もう一つ、ことしの三月から八月までに動燃事業団が設備の点検を実施したということについてのお尋ねがございました。  動燃事業団におきましては、「もんじゅ」が既に建設、それから主要な設備の設置を終えました段階、すなわち平成年度以降、その設備の機能を維持する観点から年に一回自主的に設備の点検を実施してきてございます。本年の三月から八月まで実施しましたのもこの設備の点検でございまして、一次系、二次系の冷却系の主循環ポンプでございますとか、ディーゼル発電機、こういった設備の点検が実施されまして、特に異常のないことを確認したというふうに承知しております。  また、これらの設備のうち、原子炉等規制法に基づきます使用前検査の対象になります設備等につきましては、科学技術庁におきましてもその内容について確認したところでございます。  それから、この結果につきましては、八月上旬に動燃事業団がプレスに発表しているというふうに承知しております。  以上でございます。
  67. 海野義孝

    海野義孝君 大変ありがとうございました。  先般、私も個人的に科学技術庁の方にいろいろと教えていただきまして、今回のこの昨年暮れの不幸な事故以降、大変慎重にその点検等に取り組んでいらっしゃるということで、早急に結論は出ないだろうというようなこともおっしゃっておりまして、私は慎重にも慎重を期して、今後の我が国のエネルギー問題、いわゆる原子力政策等にも大変大きな問題でありますので、その点は引き続きよろしくお願いしたいと思います。  次に、午前中にも吉川先生から御質問がありましたことですけれども、この四月に、こういった「もんじゅ」の事故を契機にしまして、原子力政策という問題について広範にわたって検討していくということから円卓会議が持たれて、これまで十回開催されたということで、これにつきましても部分的には私いろいろな資料で拝見をしました。全体的には膨大な資料ということなんで、私はとてもではないけれども読み切れませんから、それはもうサマリーだけについてお教えをいただいておりますので、その点は重複を避けます。  私は、今回、原子力委員委員長、つまり中川長官がこういった対策に取り組まれたということについては大変その御努力に対しては敬意を表するわけでありますけれども、いろいろと伺っているところによりますと、どうも今後の原子力政策について国民的な合意を得ていくということが甚だ大変であるというような感じを持っているわけですけれども、率直なところ、長官からその辺お教えいただきたいと思います。
  68. 中川秀直

    ○国務大臣(中川秀直君) 合意を形成するということは非常に容易ではない、困難を伴うのではないかというお尋ねでございますが、まことにそのとおりであろうと思っております。それぞれに国、社会全体のエネルギーをどう確保するか、現実性また技術性すべてを踏まえてどう確保するかということと、それぞれの地域の市民の皆さん、住民の皆さんの気持ちの上での判断、やはり迷惑施設だなという御判断、いわゆる全体利益と個別利益といったような問題もないとは言い切れないものがあろうと思います。しかし、これをやっぱり乗り越えていく努力をしないと本当に二十一世紀のエネルギーは確保できません。  したがいまして、それを乗り越えていく合意形成のための取り組みをありとあらゆる方法でやっていこうというのが、例えば今度の円卓会議でもございます。午前中も御答弁申し上げましたが、この会議についてはこの九月十八日、第十一回円卓会議を一つの中間的なめどといたしまして、今まで出た御意見を聞きっ放しということではいけませんので、一応まとめてみて、どういうことがとりあえず答えとしてあり得るのか、モデレーターの方々中心に御議論をいただき、我々も我々で真剣に検討してまたお諮りを申し上げたい、こう考えているところでございます。  私の今までこの数カ月間やってまいりました感じで申し上げますと、就任当初からよく申し上げておりますが、アカウンタビリティー、情報の公開についてはむしろ当方に説明する責任があるという立場で一層の透明性を確保していく、それがまず信頼の基礎だと。安全というものは、単に技術的な安全ではなくて社会的に受け入れられる安全、社会的安全、安心というものも必要だということも申し上げてまいりまして、そういうものを確保するためには、安全は市民のものであるからそれにかかわる情報は基本的に公開をするということでなければ信頼は得られない、こう考えておりますし、またそういうことから初めて信頼性というものも出てくる。同時にまた、そうくるくる政策が変わっても、これはやはりかえって不安感を招くことにもなり、一貫性というものもその情報公開やあるいは政策の取り組み方については必要だろう、こう思っております。  それからまた、やはり政策決定に国民の声を一層反映する仕組みというかそういうものも大いに研究しなければいけない。いろんなものを積み重ねながら、またフィードバックをしながら、ボールが行ったり来たりしながら初めて、なるほどこれならばこういうことなのかなという御理解や御納得、御信頼を得ていく、それしか道はないのではないか、私はそう考えております。
  69. 海野義孝

    海野義孝君 今の長官の御答弁、お気持ちをそのまま御発表になっていらっしゃる、こう思います。  四十年来のいわゆる原子力政策、とれは原子力委員会で進めていらっしゃったわけですけれども、これは、今回のこういった原子力の問題ということだけでなくて、私は広く痛感するのは、やはり国民に広く情報というものを公開する、国民によく知らしめるということがいかなる政策においても言えるんじゃないかと思います。  例えば、今問題になっているごみの発生地とそれを捨てるところとが県をまたいでいるというようなことで、大変地域住民と発生している都会との間の問題等がありますけれども、共通の点は、やはり国民に広く理解をしていただきながら、例えばこの原子力政策につきましても、従来の政策立案、開発戦略の枠内にとどまるのではなくて、長官がおっしゃったような御努力を並行してされていかないと、これから二十一世紀に向かって今の我が国の政治、経済、社会の閉塞感という問題はますますこれは強まっていくのではないかというように危惧いたしますので、そういった面でも長官の今後の御努力、お取り組みをよろしくお願い申し上げまして、科学技術庁、それから動燃さんに対する私の質問を終わらせていただきます。  最後に、時間が少なくなりましたけれども、最近の問題に絡みまして会計検査院、これはまた後ほども御質問なさる方もいらっしゃるし、日にちを改めてまたこの問題については会計検査院の日もあるわけですので、私がきょう質問申し上げるというのはいささかどうかと思いましたけれども、ごく簡単にちょっとお聞かせいただきたいと、このように思うわけでございます。  もう既に御案内のとおりで、ここ財政再建という問題が大変大きな問題になっておりまして、そういった中で、やはり一つは財政再建には入るをはかって出るを制するという問題がありますから、そういう意味ではいわゆる予算の編成の問題あるいはまた予算の執行の状態等につきまして、特に会計検査院方々は現在は平成年度の会計検査の結果を御発表になり、私どもでは現在それを決算委員会で審議をしているわけでございますけれども、このところいろいろな不祥事件が絶えないわけでございます。このことにつきまして私は具体的なことを挙げては申しませんけれども、もう皆様方重々御承知のとおり大変いろいろなことがありまして、言うなれば予算の執行についていささか不明朗というか不正というか、残念なそういったことが一面では見られるという問題があります。  こういったことにつきましては、既に今回の愛知県の問題につきましても、今から十二、三年前にも同様なことがあったというようなことを聞くわけであります。これについてはやはり会計検査院としての一つの業務の限界といいますか、そういったことでこれは具体的な最終的なところには至らなかったということでありますけれども、そういう面からして私は、会計検査院の権限ということについて、やはりこれは今後できる限り法的にも強化していくということが望ましいんじゃないかと、このように考えるわけでございます。  その点で、まずちょっと私の考えを申し上げたいと思いますが、要するに私は、日本の立法府、我々議会としましては、政策形成のそういった力、いわゆる機能を強化するということが必要じゃないかと、このように思うわけでございます。その点でアメリカの場合は、日本とはそういう行政あるいは司法、立法のシステムとも違う面があるわけでございますけれども、アメリカの場合では大変その政策形成機能を高めるという面でいわゆる連邦議会にはいろいろと政策を形成していくためにサポートする強力な機関があるということでございます。  その一つは御承知の議会の調査局、それからもう一つは議会の予算局、こういったものがありますが、さらには会計検査院、これも日本と異なって、日本の場合はいわゆる内閣に属すというんですか、そういう立場ですけれども、アメリカの場合は立法府に属している無党派の独立機関であるというように聞いているわけでございます。単に政府機関の会計検査にとどまらずに、既存の政策の修正とか存続の判断、そういったもととなる政策評価といったことにつきましてもアメリカの検査院は行っているということであります。  この点、私まだ不勉強でよくわかりませんですが、我が国の会計検査院の場合、業務に携わっていらっしゃる中で、現在、そういったいわゆる私が質問として事前に申し上げてある財政改革と会計検査院のありようというかお取り組み方、今後お考えになっていること、そういったことについて、合規性の問題とか経済性あるいは効率性とかいろいろなことについては御努力をされてそれなりに効果を年々出していらっしゃるということはわかりますけれども、近年抱えているいろいろなこういう問題等も含めて、私が申し上げたことを踏まえて、ひとつ会計検査院としての権限の範囲で今後お考えになるあるいは取り組んでいかれる、そういう点につきまして御説明いただきたい、このように思います。
  70. 牛嶋博久

    説明員牛嶋博久君) お答えいたします。  会計検査院といたしましては、近年の行政改革などの効率的な行財政の執行が強く求められている状況の中で、決算や会計経理の正確性、合規性の観点はもとより、事業の経済性、効率性の観点、さらには事業全体の有効性の観点など、広い視野に立った多角的な観点から検査を行ってきております。  その結果、これまでにも各年度の検査報告におきまして経済性、効率性の観点からの指摘を多数行いますとともに、有効性の観点からの検査結果として、ダム事業や国営干拓事業などの大規模事業の実施に対するさまざまな提言を行ってきております。さらに、平成年度決算検査報告におきましては、東京共同銀行に対する日銀出資や日本下水道事業団の入札談合などについてその検査状況を記述しているところであります。  このように、これまでも検査報告の内容の拡大充実にいろいろと努めているところでありますが、会計検査院におきましては、与えられた権限等の範囲内で検査体制を一層充実強化し、検査手法や検査報告の記述にさらに工夫を凝らすなどして、検査結果が今後の予算編成や行政改革に反映され、また寄与できるように努力してまいりたい、そのように考えております。
  71. 海野義孝

    海野義孝君 検査院の皆様方の日ごろの御努力に対しまして感謝申し上げるとともに、今後ますます多難な財政改革、財政再建の中で会計検査院の皆様方のお仕事の重要性ということを痛感するわけでございますので、さらに精進されて御努力いただくようにお願いしまして、私の時間が参りましたのでこれで質問を終わります。  ありがとうございました。
  72. 益田洋介

    益田洋介君 新進党、平成会の益田洋介でございます。  本日は、沖縄の基地問題、それから航空自衛隊F15型機の撃墜事故について、さらに時間があれば、若干領土問題等お伺いしたいと思います。  まず最初に、八月二十八日、代理署名訴訟の最高裁判決が出まして、国側の全面勝訴ということになったわけでございまして、沖縄の方々は非常に残念がっていられるという意見も聞いております。  判決文の骨子は、御案内のとおり、強制使用は私有財産を公共の用に供するものであり、違憲とは考えられないといったものでありました。そして、さらには日米安保における義務の履行の上で合理性も認められる、そういった骨子でございました。  そして、十五人の大法廷の裁判官は全員一致で国側の勝訴を決めたわけでございますが、中で園部逸夫裁判官は、その補足意見といたしまして次のように述べております。国家の安全に関する高度な政治的、外交的判断に立ち入って審査することは、司法の限界を超える可能性がある。すなわち、本件は司法の判断にもともとゆだねるべき問題ではなく、日米政府間のさまざまな行政的な措置を必要とするということを敷衍していると私は考えるわけでございます。  言いかえるならば、最高裁判決が出たからといって沖縄はそれに従えというふうな一方的な、抑圧的な姿勢をとるのではなく、あくまでも行政努力、外交努力というものが肝要である、そのことを強調したものだというふうに考えますが、この補足意見につきまして、外務大臣、そして防衛庁長官の御意見を伺いたいと思います。
  73. 池田行彦

    ○国務大臣(池田行彦君) 委員指摘のとおり、今回の判決におきましては、全員一致で上告人の上告を棄却する旨の判決が出されたわけでございます。  そもそも今回の訴訟につきましては、安保条約の目的達成のために我が国が施設・区域を円滑かつ安定的に米軍に提供することが条約上の義務である、こういうことから国としてもやむを得ずそれを提起したものでございまして、今回最高裁が法の趣旨にのっとって迅速かつ適切な審理をされたことに対しましては深く敬意を表するものでございます。また、沖縄県知事におかれましても、この判決の趣旨を踏まえて、特措法に基づく手続について御理解、御協力をいただけるように期待しているところでございます。  しかしながら、ただいま委員も御指摘になりました園部裁判官の補足意見にもございますことも十分我々念頭に置きながら、あくまで今後とも沖縄県民の方々の地元の声にも十分耳を傾けながら県民の御負担を可能な限り軽減していくことが重要である、このように認識しておる次第でございまして、今後そのような姿勢で対処してまいりたい、そう存じます。
  74. 臼井日出男

    ○国務大臣(臼井日出男君) 委員指摘の最高裁判所大法廷における職務執行命令裁判請求事件につきましては、裁判官全員一致で上告人の上告を棄却する旨の判決がされたわけでございます。  今回の訴訟は、日米安全保障条約の目的達成のため我が国に駐留する米軍に施設・区域を安定的に供給する、このことが我々日本側の条約上の義務であるということからやむを得ず提起したものでございまして、最高裁判所が法の趣旨にのっとって迅速かつ適切な審理をされたことに対し私は深く敬意を表している次第であります。沖縄県知事におかれましては、この最高裁判所大法廷の判決の趣旨を踏まえて、今後、駐留軍用地特措法の趣旨に基づく手続について御理解、御協力をいただけるように期待をいたしております。  しかしながら、当庁といたしましては、沖縄県民の御負担を可能な限り早期に軽減をしていく、このことが大切であると認識をいたしておりまして、今委員指摘をいただきました点も考慮しながら、お地元の声にも十分耳を傾けながら、一方では日米安保条約の目的達成との調和を図りつつ、沖縄県における駐留軍施設及び区域の整理、統合、縮小に今後とも努力をいたしてまいりたい、このように考えております。
  75. 益田洋介

    益田洋介君 さらに、御承知と思いますが、ほかの六人の裁判官の方も補足意見、非常に私は興味深い補足意見だと思っておりますが、述べておりまして、その中で、基地の集中による犯罪の多発や航空機騒音の影響などの沖縄の痛みに関して、基地の整理、縮小が十分な成果を上げているとは言えない、このように補足意見の中で言及をいたしておりまして、私は、このことは繰り返しこの問題は司法の問題ではないんだ、あくまでも行政の問題であるという指摘を最高裁は行ったものだというふうに考えております。  しかし、一方で、現実は普天間のヘリポート移設先をめぐってアメリカ軍及びまた地元との調整が日本行政側としておくれている、暗礁に乗り上げているというふうな報道もされているくらいでございますが、さらに県道一〇四号線越えの実弾射撃訓練の本土への五カ所の移設についても、周辺自治体がすべて難色を示しているというのが現状であると、そのように理解しております。  そこで私は、十月に予定されていると伺っております日米間のSACO、沖縄施設・区域特別行動委員会の最終報告が果たして作成可能なのかどうか、そこまでの作業を防衛庁として進めていくことができるのかどうか、非常に疑問に思っておりますので、長官の御意見また経緯についてお話をいただきたいと思います。
  76. 臼井日出男

    ○国務大臣(臼井日出男君) 今、委員指摘をいただきました今後の沖縄の整理、統合、縮小に関連をいたしました問題につきましては、十一月の最終報告を目指して、今、日米共同作業で努力をいたしているさなかでございます。  特に、九月十九日には2プラス2を開催する運びになっております。これに向けて、そのもとに置かれております作業委員会、作業班、そういった作業も鋭意努力をさせていただきまして、十一月の最終報告に間に合うように今後とも全力を挙げて努力をいたしてまいりたい、このように考えております。
  77. 益田洋介

    益田洋介君 私は今回の最高裁の判決、裁判を通じまして、沖縄の県民の方々が期待していたのはやはり平和的生存権、それから法のもとの平等、そして地方自治の尊重といった我が国憲法の理念に照らして、そして現在置かれている沖縄の基地周辺住民の現状を司法がどういうふうに判断するのか、そうしたことを県民の方は期待をしていたというふうに考えるわけでございます。しかし、残念ながら裁判所はこうしたことには一切見解を示さずに、安保条約上の義務の履行の重要性について繰り返し強調していたということで残念に思っております。  御承知のとおり、安保条約の前文には、条約の精神として、日米両国が「民主主義の諸原則、個人の自由及び法の支配を擁護することを希望」するというふうにうたわれているわけでございます。そこで、こうした沖縄の実情を踏まえないで出された判決というのは、本来最高裁が担うべき役割を果たさなかったのではないかと私は思っております。  この条約の前文を読む限り、強制使用は安保条約の精神に反するんじゃないか。もう一度読み上げますと、前文は、「民主主義の諸原則、個人の自由」、そして「法の支配を擁護することを希望」するという、これが安保条約の基本精神である。であるならば、今回の強制使用はこの安保条約の精神そのものに反するんじゃないか、このように考えております。  この点について、長官の御意見をお伺いしたいと思います。外務大臣もできればよろしくお願いいたします。
  78. 臼井日出男

    ○国務大臣(臼井日出男君) ただいま御指摘をいただきました今回の最高裁の判決、これによって私ども政府が沖縄県の長い間の御苦労に対して、整理、統合、縮小に対しての努力をしなくていいということを必ずしも指しているわけではございません。そういう意味では、私どもは引き続き今後とも最大限の努力をさせていただくと先ほど述べさせていただいた次第でございます。  今後とも、沖縄県側ともよくお話し合いをしながら誠心誠意努力をいたしていきたいと考えておりますが、この法律問題というものは必ずしも私は委員指摘のようなものではない、こういうふうに感じている次第であります。
  79. 池田行彦

    ○国務大臣(池田行彦君) 今般の最高裁判決につきましては先ほど御答弁申し上げたとおりでございます。  いずれにいたしましても、私どもは憲法あるいは法律、そして条約の定めるところによりまして行政は運営していかれなくちゃいけないと考えておりますし、とりわけ沖縄にございます基地の問題につきましては、県民の方々の御負担を少しでも軽減できるように最大限の努力をしてまいりたい、こう考えている次第でございます。
  80. 益田洋介

    益田洋介君 私は、今回のことを通じまして重要なことはむしろ中長期的に日本全体として米軍基地をどのように減らしていくのか、そしてそれを可能にするのに国際環境をどのようにつくっていけばほかの国の方にも理解をしていただけるのか、あくまでも今アメリカはナイ・リポートで述べたように十万人の極東の常時兵力配置ということを言っておりますので、沖縄からあるいは日本の本土から米軍基地が減るということは、ほかの国にも若干痛みを味わっていただかなきゃならない、そういうふうな国際的な調整にこれから向かっていかなければならないのではないかというふうに考えるわけであります。  そして、その一例としましては、六月に私がオーストラリアへ行きましたときにアレクザンダー・ダウナー外相と対談をさせていただきました。その際、米豪共同訓練の実施に合意をしたというふうなお話を伺いまして、やはり米豪関係を特に安保の問題で重要視していくのがオーストラリアの方針であるという話をしておりまして、私はその際に、この基地の問題についてもオーストラリアは前向きに検討する意向はおありなのかという質問をいたしました。そうしたら、そこまでの話はまだ突っ込んでした経験はないんだという説明でありました。  聞くところによりますと、今月十八日から二十一日までの間、ハワード総理が訪日をされるということですが、この点について話し合われる用意があるのかどうか、外務大臣の御意見をお伺いしたいと思います。
  81. 池田行彦

    ○国務大臣(池田行彦君) ただいま委員指摘になりましたオーストラリアと米国との間の訓練の問題、あるいは安全保障上のいろいろな話し合いにつきましては、これはオーストラリアとアメリカとの間の話し合いでございまして、そのことが直ちに我が国の駐日米軍のあり方に関係してくるというわけではございません。  いずれにいたしましても、私どもは現在の国際情勢、とりわけこの地域の安全保障環境を考えました場合に、我が国に駐留いたします米軍を含めまして、アジア太平洋地域で十万人の米軍が存在するということがアメリカのこの地域での安全保障のコミットメントを果たしていく上で必要である、こういうふうに考えておる次第でございます。  そして、ただいま委員指摘のございました、ハワード・オーストラリア首相が来日される際に先ほども申された点を話し合うのかということでございますけれども、これは当然ハワード首相がお見えになりましたら、日豪間のバイラテラルの問題のみならず国際情勢、とりわけアジア太平洋地域の問題について全般的に意見交換されるということは想定されるわけでございますが、さて具体的に今御指摘のあった問題が議題になるかどうかは、これは現在の段階で確たることを申し上げられないということでございます。全般的な国際情勢、地域情勢の話はなされることになりましょう。
  82. 益田洋介

    益田洋介君 これは通告のちょっと余裕がございませんで、新しく入ったニュースでございますので、若干説明をさせていただいて御意見を拝聴させていただくということになると思います。  アメリカの民間機関であるナショナル・セキュリティー・アーカイブという会社がございますが、そこがアメリカの情報公開法によって入手したと言われる一九六九年十一月十三日付のアメリカ国務省の機密文書、題名は「沖縄問題の討議の要点」という書類によりますと、当時のジョンソン国務次官がニクソン大統領に対して次のように報告をしている。日本政府は、韓国及び台湾防衛のための沖縄米軍基地使用に関し、相当な行動の自由を期待してよいと保証してきておりますという報告がなされている。  本来、現行の日米安保におきましては、朝鮮半島などの有事の際は、米軍が在日米軍基地から戦闘行動に直接出撃するのは両国間の事前協議の対象となるというふうにされているわけであります。したがいまして、これを平たくそのまま読むのであれば、この事前協議というのではイエスでもノーでもどちらでも日本政府の自由な裁量で答えることができる、そしてそれを何回か繰り返し確認してきたのが我が国政府の公式見解であるというふうに理解しておりますが、この文章によりますと、六九年の沖縄返還交渉の段階でもう事前協議というのは既に形骸化されてしまっている。日本ではもう自由に米軍基地を韓国及び台湾防衛のために使えるんだというふうな話になってしまっているんだということが明らかになってくるわけでございます。  このことは御承知だったかどうかわかりませんが、外務大臣及び防衛庁長官の御所見をお伺いしたいと思います。
  83. 池田行彦

    ○国務大臣(池田行彦君) 私、ただいま御指摘の六九年の国務省文書なるものを今読んでおりませんので、そのことについて直接お答えするわけにはまいりませんけれども、一般的に申しまして、御承知のとおり、日米安保条約上、米軍は極東有事の際に日本にございます基地を使用して所要の行動をとることができるわけでございます。当然、そういった行動の中でまた必要なものにつきましては我が国に対する事前協議がなされるわけでございますが、そのとき我が国としては、具体的なケースにつきましてそのときの国際情勢あるいはそれぞれのいろいろな状況、我が国の立場、安全等々いろいろな観点から判断いたしまして、その協議に対して我が国としての態度を回答することになるわけでございます。  したがいまして、事前に包括的に協議をしなくてもどうぞ御自由にお使いくださって結構ですなんということはあったはずがございません。もしかなり自由な行動を期待できるというふうに米側でとらえたとするならば、それはその当時のこの地域の諸情勢、そうして我が国と米国との関係その他もろもろの情勢を判断して、極東地域の安全を守るために米軍が必要と考え日本に協議した場合に、日本からはかなりの確度でその協議にイエスの回答が来るということを期待し、あるいは期待されるということで、米側の国務省としての認識を示した文書ではないかと思います。決して事前に一般的包括的な了承を与えるというような性格のものではなかったと存じます。
  84. 臼井日出男

    ○国務大臣(臼井日出男君) 今、委員指摘の文書につきましては、確認がとれておりませんのでお答えできないわけでございますが、今外務大臣からもお話ございましたとおり、一般的に申し上げまして、日米間で事前協議を必要とする問題、現在においてもそうしたことは当然なされるべきものはなさなければならない、こういう立場に立っておりまして、そのとおり実行できるものと考えておりまして、形骸化しているということは私どもは考えておりません。
  85. 益田洋介

    益田洋介君 それでは、質問を嘉手納基地の問題に移したいと思います。  六月二十八日に日米の外交・防衛次官級会議が開催されたわけでありますが、その際、アメリカのウォルター・スローコム国防次官が我が国の秋山防衛局長が示した嘉手納基地飛行場の普天間ヘリポート統合案に対して大変な反対をしたというふうに伝え聞いております。しかし、いろいろな協議の結果、統合案についても検討をしようという結論で会議が終わったということでありますが、その後も大変難航をしているということを伺っております。  それは一つは、限られた土地の中で何でもかんでもスマートにしてしまうという日本の自衛隊と違って、有事の際に最大限に力が発揮できる、そのための態勢を確保するために広大な基地を利用するというアメリカ軍の考え方、基本的にその観点が違う、基準が違うというところで非常に難航しているというふうに伺っております。この経過がその後どうなっているか、長官にお尋ねしたいと思います。  そして、私は基本的に、今外務大臣がおっしゃいましたが、沖縄の負担を軽減することに最大限の努力をしていくんだ、それが政府の方針であるというお話であったわけでございますが、一つのジレンマがあって、在日米軍の能力と即応態勢を維持するためには沖縄の負担軽減との兼ね合いで非常にジレンマが生じる、そういう状態だというふうに考えております。実際にアメリカが望んでいる能力と即応態勢を確保するために嘉手納の基地への統合案でいいものかどうか、了解ざせられるのかどうか。  そして一方では、統合案について嘉手納の人たちは大変反対をしております。そして、空中警戒管制機だとか空中給油機、それからF15をそろえている嘉手納飛行場は大変防衛にとって枢要な場所であって、言ってみればこれはアジアの中での最大級の空軍基地であるわけで、ちょうど海軍の横須賀基地と同じように在日米軍にとっては目玉のようなところでありますから、アメリカ軍が心配しているのは、結局このヘリポートを嘉手納に移設するという案をごり押しすると、今度は嘉手納の周辺住民が大変な反対をして、そして嘉手納から米軍基地を移設してもらいたいというような運動まで広がっていったら困るというふうな懸念をアメリカ軍は強く持っているというふうにも聞いておりますが、その点も踏まえて長官の御意見をお伺いしたいと思います。
  86. 臼井日出男

    ○国務大臣(臼井日出男君) 今、委員指摘をいただきました嘉手納飛行場の重要性というものは、私も同じ考えでございます。  普天間飛行場の代替ヘリポートの移設先の問題につきましては、本年四月十五日のSACO中間報告を受けまして、現在日米間に設置をいたしております特別作業班において鋭意検討を行っているところでございます。米側においては、技術的、専門的な、また軍事的な観点から代替ヘリポートの規模等について検討いたしておるわけでございますが、これに並行いたしまして嘉手納飛行場への統合案についても検討しているということは承知をいたしております。  普天間飛行場の返還は、沖縄県及び沖縄県民の方々の強い要望を背景として今実行されようとしているわけでございまして、今後できるだけ早期に移転先につきまして沖縄県側の理解も含めた関係者の御理解も得ながら実施をするように努力をいたしてまいりたいと、このように考えておる次第でございます。  なお、ただいま委員指摘をいただきました経過等につきましては、詳細にわたりますので政府委員の方から御答弁をいたさせます。
  87. 秋山昌廣

    説明員(秋山昌廣君) 今、御質問がございました普天間飛行場の代替ヘリポートの移転先につきましては、SACOあるいはその代理会議、あるいはその作業班というところで検討しているわけでございますけれども、現時点で米側が行っておりますところの技術的あるいは軍事的観点からの作業、こういう作業を踏まえまして日米共同でさらに検討してまいりたいと考えておるところでございます。  御指摘がございました米軍の能力の問題あるいは即応態勢の問題、そういった問題、まさにその四月のSACOの中間レポートにもそういう関係の考えも示されておりまして、そういう問題を含めて嘉手納の飛行場への統合の案あるいはその他の案を比較検討しながら検討している。その場合に、今大臣からも御説明がございましたように、地元関係者理解を得るためにどういう案が最も適当なのかといったようなことを詰めた具体的な作業をしているという段階でございまして、個々の作業の状況について今どういうふうになっているのかというのは、まさに動いている状況でございますので答弁は差し控えさせていただきたいと思います。  なお、一点つけ加えますと、六月の次官会議、スローコム次官が来られたときに、これはもちろんいろいろ議論をいたしました。これは次官同士の話でございますので、先ほどちょっと防衛局長の方から話があったという付言がございましたけれども、次官同士でいろいろな話し合いがなされたという点についてちょっとお断りをさせていただきたいと思います。
  88. 益田洋介

    益田洋介君 それでは次に、航空自衛隊F15型機の撃墜事故に移りますが、その前に、先ほど申し上げました六九年十一月十三日のこの機密文書につきまして内容をごらんになっていらっしゃらないという大臣と長官のお話でございましたので、ぜひ取り寄せていただいて内容を照査していただきたいと思います。その上でもう一度別の機会に、実際それがどういうふうに文脈が読めるものかということについてお話をさせていただきたいと思っておりますので、ぜひお願いいたします。
  89. 池田行彦

    ○国務大臣(池田行彦君) 先ほど御答弁申し上げましたように、私その文書は今読んではおりませんけれども、先ほど委員指摘されましたようにかなりの行動の自由を期待できるという記述であれば、先ほど御答弁申し上げたような国務省としての期待感のあるいは認識の表明であろうということを申し上げたわけでございます。  いずれにいたしましても、先ほど申しましたように、一般的、包括的に事前協議に対してイエスという返事をするとか、あるいは事前協議の対象になっているものを協議は不要であるとか、そういうことは我が国政府としてとったはずがございませんから、これはいわば文書をわざわざ取り寄せてみるまでもなく、先ほど御答弁申し上げたことに尽きておると思います。
  90. 益田洋介

    益田洋介君 内容を見ないでそれについてコメントするということは私は不可能だと思いますので、ぜひ実際に取り寄せて、それで見てください。常識的に考えてこうだという御答弁では私はならない。実際、文書の中でそうなっているわけですから、一方的にもうこれは形骸化したようになっているはずですから、それをぜひ取り寄せて照査していただきたいと思います。よろしゅうございますか。
  91. 池田行彦

    ○国務大臣(池田行彦君) 先ほど申しましたように、常識でこういうふうになっていると考えると申し上げているのではございません。それはもう条約上の、条約の規定の仕方から、それから日本政府がずっととってまいりましたこれまでの基本的な方針からしまして、先ほど御答弁したようなことしかあり得ないということを申し上げているような次第でございます。
  92. 益田洋介

    益田洋介君 非常に大事なことでございますので、重ねてお願いいたします。  六九年の沖縄返還交渉の際に一つの条件というような形で出されて、そしてその条約の条文自体が半ば否定されたような形になっているということがこの文書を見れば明らかになるはずでございますので,どうかその点お約束いただけますか。
  93. 池田行彦

    ○国務大臣(池田行彦君) 調べてみますけれども、私が先ほど御答弁したとおりだということでございます。
  94. 益田洋介

    益田洋介君 いずれにしても調べていただけるということをお約束いただけたわけですので、議論はそれからにさせていただきたいと思います。  じゃ、ちょっと理事の方お願いします。
  95. 野沢太三

    委員長野沢太三君) ただいまの益田君の御要望につきましては、後刻理事会協議によりまして検討いたしたいと思います。  質問を続行してください。
  96. 益田洋介

    益田洋介君 昨年、平成七年十一月二十二日水曜日の朝八時三十九分ごろ、大変不幸な事故が起きたわけでございますが、幸いにして撃墜された飛行機のパイロットの方は命に別状ございませんで、これは不幸中の幸いだったと思います。  演習中のアラート予備機、これはAIM9Lというミサイルを搭載して要撃戦闘訓練をしていたわけでありますが、一号機の操縦者が攻撃訓練を実施中に赤外線ミサイルを実際に発射してしまって、そして二号機の後尾に命中して、それが海に落下した。即その場で海中から操縦士は救出をされたわけでございます。  原因についていろいろ防衛庁としては調査をされてこられたと思います。そして、そのときにはまずこういうことをおっしゃっている。ミサイルの発射系統が導通状態、つまりボタンを押せばもうミサイルが発射できるような状態になっていた。その場合は、機内のディジタル表示で、そういう状態になっている、導通状態になっているということが操縦士によくわかるようになっているはずだ。本来であれば、この導通状態は機械的にマスター・アーム・スイッチというのがあるそうですが、これを切っておけば導通する状態にはなりませんし、したがって論理的にミサイルが発射するという可能性は皆無なわけです。なのにもかかわらず導通状態になっていて、表示盤は壊れていなかったと、後で調査の結果わかったそうですが。なのに、操縦士がスイッチを押してミサイルを発射したというのが事故のあらましだったというふうに思います。  ところで、この機体の中の装置についてさまざまな調査をしたというふうな発表を航空幕僚長がしておりますが、しかし、その調査を製造会社である三菱重工に依頼してやらせたということでは、これはちょっと独立性に欠ける。やはり本来であれば、第三者の機関に依頼して綿密な調査をさせるべきであったんではないか。製造会社に製造ミスがあったなんということは、これは当然報告してくるわけはないわけでございますから、私はこの点が一つどうしてもわからない点であって、お答えできる範囲で、なぜその製造会社にやらせて第三者機関に依頼しなかったのか、その点をお伺いしたい。それが第一点でございます。  それから第二点については、これはその後わかったことですけれども、実はこの第三〇三飛行隊、石川県の小松基地に駐屯しているわけでございますが、それが八七年にF4戦闘機からF15戦闘機に機種転換をして訓練をするようになった。ところが、その訓練に使用する際の規則書というのは、マニュアルですね、あるいは注意書きというようなものは、八二年に作成されたF4戦闘機のものをそのまま使っていたという事実が発覚しております。  それからさらに、F15のアラート予備機、これはミサイルを搭載した訓練機でありますが、それについては注意事項は口頭でしか操縦士に伝えていなかった。したがって当時は、事故後の調査でわかったことは、操縦士の理解とか知識はまちまちであった、全く統一されたものではなかった。機種を変えながら前の機種のマニュアルで操縦をさせていた。  これは僕は大変な問題じゃないかと思います。これは人為的な問題だというふうに結論を、五月の三十一日に操作ミスが主原因であるというような発表をして、そして一号機の操縦士はこの後停職十日間、それから操縦はもうしてはなりませんと、禁止という処分を受けている。一人だけ悪いんだということになっている。ですから、訓練に際しての防衛庁の姿勢、それから指導監督というところに私はもともと大きな問題があったんじゃないかというふうに考えるわけです。  さらには、当時の杉山航空幕僚長は記者会見をして、事故発生当時は、主原因は操縦士ではないと、あたかも機械に、機体の中の装置に問題があるということを明言していたわけです。それが、調査をしてみたらば、機体は何ともないと。どこに調査させたか。製造会社の三菱重工に調査させた。それで、悪いのは操縦士一人だと、こういうふうな結論にだんだん変わってきたわけであります。  これは自衛隊の方のみならず国民の生命にかかわる大変重大な問題でありますし、F15戦闘機というのは一機百億円もするわけで、これはそのまま損失したわけでございますけれども、この辺もちょっと、国民税金を使って、今回も予算の計上で大分いろいろと議論があったようですけれども、私はそうした立場で、防衛庁の責任者として今の二点及び三点目の国民の経費削減、軽減のための精神が防衛庁に欠けているんじゃないかという気持ちがありますので、どうかそれに対する御意見また御決意のほどを長官にお願いしたいと思います。
  97. 臼井日出男

    ○国務大臣(臼井日出男君) 今お尋ねのF15J型機ミサイル不時発射事故につきましては、武器にかかわる事故でございまして、まことに遺憾でございます。今後ともこうした事故防止には最大限の努力をいたしてまいりたい、このように考えている次第でございます。  なお、この詳細につきましては政府委員の方から御報告、お答えを申し上げさせていただきますが、今後こういったことのないように、安全装置の付加、教育の徹底、そして実弾搭載のアラート予備機による攻撃動作訓練の禁止、こういったものを行うことによりまして再発防止に万全を期してまいりたい、このように考えております。
  98. 粟威之

    説明員(粟威之君) 先生幾つか御質問ございましたけれども、まず原因究明でございますが、三菱重工にというお話がありましたが、私どもまず最初に、事故が起きましたときに小松の現地部隊で事故調査をやりました。その結果、特に機体上は異常ないという確信を得ましたが、念のために三菱重工に調査を依頼いたしまして、それで三菱重工から、異物の混入や回線の絶縁不良等の異常は認められず、機体側に事故原因に結びつく要因はないものと考えるというふうな回答をいただいておるところでございます。  さらに、機種の変更に伴ってミサイルの取り扱いが変わっていないというお話がございましたけれども、機種はなるほど先生のおっしゃるとおりでございますが、ミサイルはサイドワインダーということでそれについては同じでございました。  それから、杉山幕僚長がパイロットではないというように当時申し上げたというお話がありましたが、その当時、事故の原因がはっきりしていない段階で、そういうふうなことは一般的に可能性もあるのかというようなことを申し上げたかもわかりませんが、いずれにいたしましても、事故の原因は当該機を調査して原因を究明するものでございまして、事故の原因はパイロットがマスター・アーム・スイッチが導通状態にあることを見過ごして発射装置を操作した、こういうことが主原因でございます。  なお、再発防止につきましては、先ほど大臣からのお話にもありましたが、まずマスター・アーム・スイッチというものを必要がないときはさわらないように固縛と申しますか、かたく縛りまして、必要があるときにそれを切ってマスター・アーム・スイッチを取り扱う。  さらに、発射装置でありますピックル・ボタンというものにつきまして、これは出っ張っておるわけでございますが、そこにリングをつけまして誤ってピックル・ボタンを押すというようなことがないようにしております。  さらに、そういうようなことをやりまして、武器を含めまして武器の発射機構と申しますか、ヘッドアップディスプレi、ディジタルにそういういろいろな表示が出てきたときにはこういう意味なんだということにつきまして、改めて教育の徹底を図ったところでございます。  さらに、先ほど大臣からも申し上げましたとおり、実弾搭載のアラート予備機における攻撃動作訓練を禁止することによって再発防止に万全を期しているところでございます。  以上でございます。
  99. 益田洋介

    益田洋介君 ありがとうございました。
  100. 今井澄

    ○今井澄君 社会民主党の今井澄でございます。  本日は各省庁別ということで、ちょっと細かい問題について、金額的にも細かいですし、また手続的にもいろいろ細かいですが、せっかく会計検査院さんが一生懸命やられたことなので質問をさせていただきたいと思います。  まず最初は、外務省ODAをめぐる談合につきましてですが、昨年、平成七年三月二十七日に公正取引委員会から二件の排除勧告が出されております。そのうちの一件につきましては、昨年十月二十五日に取扱商社三十七社に対しまして課徴金納付命令が出され、他の一件についてはことしの三月八日、漁業資材の供給業者に対する課徴金納付命令等、警告が出されております。  このうちの最初に申し上げました一件は技術協力における機材調達の件でありまして、これはJICAが発注して一般商社三十七社が応札をし納品をしている件でありますが、このことにつきましては平成年度決算検査報告にも掲記をされております。「特定検査対象に関する検査状況」の第四として出ておりますし、またこの問題につきましては、昨年四月十日の本決算委員会において我が党の川橋幸子委員質疑を行いました。  しかし、もう一件の水産無償における被援助政府に供与される漁業資機材の入札、これは発注者が被援助国の政府であるわけで、また応札をし納入した業者、漁網製造業者五社、これは全部日本の業者でありますけれども、これについては会計検査報告に掲記されていないんですね。なぜこれは掲記されていないのか、あるいは検査をしなかったのか、まず最初会計検査院にお尋ねをいたします。
  101. 深田烝治

    説明員(深田烝治君) お答え申し上げます。  会計検査院の検査は、国あるいは国の出資団体等を検査の対象といたしまして、これら機関の会計経理を監督し、その適正を期し、かつ是正を図る、そういうことを目的といたしております。そして、検査院はこの立場から、発注者であります国や出資法人等の契約手続が適正か、また契約価格の前提となります予定価格の積算が適切かなどといった観点から検査を行っております。  一方、談合を調査、究明いたしますためには、すべての入札参加業者につきまして検査をすることが必要となりますが、検査院が検査できますのは国の契約相手方の当該契約に関する会計に限られております。したがいまして、検査院は談合の有無やその実態を調査し究明する立場にはございませんで、談合の調査は本院の検査の目的や権限を超えることになっている、そういうことにつきまして御理解を賜りたいと思います。  しかし、検査対象機関の会計経理につきまして談合の疑いが提起されました場合には、会計経理を監督しその適正と是正を図る見地から、入札方式や業者の選定といった契約手続は、競争の実が上がり、その利益を享受することができるよう適切に行われているか、あるいは談合により競争の利益が損なわれ、それが契約価格の不経済に結びついて割高となっていないかといった点につきまして留意して検査してきたところでございます。  そして、平成年度決算検査報告におきましては、ただいまのJICAが契約いたしました技術協力実施等に供する機材の調達につきまして、特定検査対象に関する検査状況といたしまして掲記しているところでございます。  しかしながら、水産無償における被援助政府に供与されます漁業資機材の調達をめぐって指摘された行為につきましては、この行為が漁網製造販売業者と被援助国に漁業資機材を納入する商社との民間会社同士の契約に関しまして行われたものというふうに承知いたしておりますので、検査を実施しなかったものでございます。
  102. 今井澄

    ○今井澄君 今の回答に私はちょっと納得できないところがありまして、やはり国民の血税を使って行われたものについて談合が、しかもこれは日本であるわけですから、会計検査院の権限外だとかということでなくて、その他政策目的等のことも含めて、先ほども御質疑がありましたが、もっと積極的にやるべきだと思います。  会計検査院のあり方についてはまた別の機会、会計検査院の日にやりたいと思いますので、その点はそこにとどめておきたいと思います。  外務省にお伺いしたいんですが、この談合が行われた水産無償において、その被援助国の名前、それから入札代行を行ったコンサルタント会社、その名前、会社の数、これをお答えいただきたいと思います。
  103. 畠中篤

    説明員畠中篤君) 本件につきましては、ただいま会計検査院の方からも御説明がありましたけれども、平成元年一月十三日から平成六年八月二十九日までの間に行われました水産無償資金協力に関連しまして、本邦企業に対しまして製品を納入することに関連しまして独占禁止法違反行為がありまして排除勧告を受けたものと承知しておりまして、無償資金協力を預かります外務省といたしましても本勧告を重大なものとして受けとめております。  しかしながら、水産無償を含みます二国間無償資金協力は被援助国が契約の主体となって施設建設、資材調達を行っております。本件違反行為は、この被援助国とそれから入札をしてまいります業者との契約に関する入札に関連して起こったものではございませんで、その入札に参加しようとする業者に納入する製品の製造業者、この場合には漁網会社でございますけれども、その間で行われた取引に関連して起こった談合でございます。  したがいまして、無償資金協力の入札自体は毛ほど申し上げましたように被援助政府が主体なって行われるわけでございますが、その入札自体は適正に行われているということでございまして、そのもとでの民間企業同士の取引につきましては外務省としても知るべき立場にないわけでございまして、そのいずれの水産無償案件に関連しまして違反行為が行われたかということについては当省としても承知しておりません。  また、公正取引委員会の勧告におきましても、これに関連しました被援助国名、あるいは入札代行コンサルタントといったようなものは明示されておりません。
  104. 今井澄

    ○今井澄君 このことに関して名前は言えないということの御答弁ですけれども、これに関しては事前に外務省の方といろいろ折衝をしましたところ、どの国がいつどの件でやったか、それにかかわった入札のコンサルタントはどこであったかというのは実は情報公開されているんだと、外務省の公式の報告書にあるということで私も御説明をいただきまして手元に持っているわけでありますが、本決算委員会ではそういう名前を言えないのは、今言われた理由のほかに、ざっくばらんに言えば、悪いのはその談合をやった漁網会社五社なのであって、それにかかわったコンサルタント会社や被援助国が悪いわけじゃないんだから、こういうところで答弁すると非常にいけないんだという御答弁だったんです。ところが、私は必ずしもそうは思わないんです。  こういう無償援助の場合に、例えば日本から資金の提供を受ける。そうすると、日本以外から買ってももちろんいいわけなんですけれども、主として援助を受ける段階から日本のコンサルタント会社を通じて援助を受ける手続とかそういうふうな取り組みがまず始まるわけです。要するに、被援助国が日本無償援助を求める段階で既に日本のコンサルタント会社がかかわるということがあるわけですし、それから引き続き、いざ、いよいよ援助を受けるとなると、今度はそれで入札を行って、その資金で資機材を調達するというのにまた入札や予定価格を決めるコンサルタントがかかわる。  これは聞くところによりますと、こちら側から公式に調査団を派遣したようなときに、これが援助プロジェクトたり得るのかどうかということで調査団を派遣するときにコンサルタントなんかを加えた場合には、当然それは後の入札行為にはかかわらせない。それは国の立場としてそうなんですが、被援助国が初めから、まず援助を引き出す段階から日本のコンサルタントがかかわっていれば、最後の予定価格を決め入札を決めるところまで一貫してほとんどかかわっているというのが実態と聞いております。まさにそうだと思うんです。  そうしますと、これが全く漁網会社五社の談合に関係がないと言い切っていいものかどうか。実はそこのところも会計検査院にも外務省にもきっちり目を光らせてもらいたいと思うんです。結果的には役に立った無償援助だったと思います、この例の場合には。大体三十二カ国、延べ四十四件、それにかかわったコンサルタント会社が九社ということを外務省からお聞きしておりますが、結果的には役に立ったにしても、そこに談合どいうことがあれば、やはりその効率性だとか、それから信用の問題で非常に問題になるわけです。そうしますと、形式論理ではなく、きちっとこういう問題について外務省としても目を光らせるべきではないだろうか。どういうコンサルタント会社がかかわってやっているんだろうか、公正に入札が行われているかということですね。  また、この点について会計検査院にお聞きしましたところ、もし被援助国が協力してくれるならば、本来検査の対象ではなくてもそれはやってもいいというふうな御意向も聞いたように私は思っております。  その点で、こういう問題について外務省としてももうちょっと積極的姿勢をとるべきではないかと思うんですが、外務大臣の御所見を伺いたいと思います。
  105. 池田行彦

    ○国務大臣(池田行彦君) 我が国の開発途上国に対する経済協力、非常に大切なことではございますけれども、それは国民の貴重な税金あるいは貯金を原資として行われるわけでございますから、あくまで適正に行われなくちゃいけないものだと思います。そしてまた、むだがあってはいけないんだと思います。そういった観点から、今回御指摘のございましたような談合ということがございましたことは本当に遺憾なことだと存じます。そういったことで、いろいろ改善の措置はとってはいるわけでございますが、今後ともさらに留意してまいりたいと思います。  そしてまた、御指摘のございました無償援助の話につきましては、ただいまの御質疑、そして外務省からの答弁を聞いておりまして、確かに形式あるいは建前の話としては、契約の主体は援助の受け入れ国でございますし、何か直接の、また被援助国と契約をした第一次的な当事者との間ではこの不正はなかったということでございますから、確かに法的な建前上の処理としては、五社でございますか、漁網会社が処分され、あるいは排除されればそれで法律的には済んだと言えるかもしれませんけれども、実態的に考えますと、それは被援助国あるいは第一次的な契約相手先というのはある意味では被害者なのかもしれません、談合されたわけですから。しかし、それでもしそのために高いものをつかまされたとするならば、それはひいては我が国の経済協力無償援助も、適正に行われれば同じことを行うためにもう少し少なくて済んだんじゃないのか、そういうこともあるわけでございますから、私どももどういうことが可能か研究してみなくちゃなりませんけれども、単に形式論理的にこう言うんじゃなくて、実質的に適正に経済協力が行われるためにこの上ともいろいろ工夫してまいりたいと存じます。  それからなお、最後の方で委員から御指摘のございました、主権の問題があるから会計検査院の検査は権限としてはできない、しかし何か方法があるんじゃないかという点でございますが、それは現在でもある程度行われておりまして、権限としてではなくて、会計検査院が調査なさるとき、我々外務省の方から相手国の方に話をしまして、協力を得て調査をしている。あるいはまたその会計検査院の調査以外にも、適宜外交ルートを通じて必要な資料の提出を求める等の協力を得ているというふうなケースがございますので、今後ともそういったことも活用しながら、我が国の経済協力の一層の適正化に努めてまいりたいと存じます。
  106. 今井澄

    ○今井澄君 どうかそういう姿勢でよろしくお願いいたします。  特に、これまでは我が国は右肩上がりの経済成長の中でこういうことも割合におおらかにできたわけでありますが、今後は非常に厳しい情勢の中でありますから、きちっと効率的かつ信頼できる方向でお願いしたいと思います。  引き続いて、今度は防衛庁科学技術庁についてなんですが、会計検査報告を見ますと防衛庁科学技術庁は余りないんですね。さかのぼって調べてみても余りない。これがまたどういう意味かということを若干不思議にも思うわけで、最近特に警察に関しても朝日新聞とかアエラとかで盛んに取り上げられておりまして、なかなか会計検査院が手をつけにくいとか入りにくいとかというふうな話もあるんですが、それはそれとしまして、防衛庁に関しまして、防衛庁科学技術庁もそうですが、「本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項」ということで、これはお金の処理が行われないで事務的な改善が行われて済んでいるんですが、これはどうも私ちょっと不思議に思いました。  まず防衛庁に関しては、護衛艦等艦船の請負契約における建造保険料の計算に当たって、その保険をつける対象額の算定を誤っていたということで、今度は間違いのないように計算をするというふうに改善の処置を講じたという事項なんですが、これは平成元年十二月に契約して平成五年二月及び三月に就役した護衛艦「ちくま」ほか三隻の建造保険料の計算を誤っていて、約六千百八十万円過大に計算をしていた。これは私の解釈では、この額そのものではないにしても、これに等しい額が過大に支払われていたのではないかなと、だから返してもらわなきゃいけないんじゃないかなと思うんですが、どうもそうではないらしい。  これはどうしてそういうことが起こったかというと、護衛艦「ちくま」及び「とね」の官給品、武器とか、それに防衛庁側が買ってこれを載せてくれ、装備してくれということで出した官給品の値段、保険をつけるときの値段を、同型だったものですから二隻分を一隻分と間違って計算した、したがって倍に計算しているわけですね。それから、同じように掃海艦の「やえやま」と「つしま」の官給品についても同じ計算をしています。その結果六千百八十万円が過大に計算されたということで、今後は海上幕僚監部から、船をつくるときの、こういう計算をして契約をする調達実施本部に連絡が来るときに一隻ごとの載せる物の値段をつける、書くということで、正しい計算が平成年度から行われるようになった。まあこれでめでたしめでたしというか、済んだということになっているんですが、どうも私はそうは思えないんですね。  それで、まず一つは、例えばこの「ちくま」と「とね」という護衛艦を見ますと、これは平成年度からつくられているんですが、その前の六十一年度からやはり「あぶくま」と「じんつう」という同型艦が二隻同時に建造されている。それから六十二年度からは「おおよど」と「せんだい」という同型艦が建造されている。すると、このときも過大に計算されていたんじゃないだろうか。会計検査院はそこまで調べたのかどうかということと、もう一つは、この過大に計算されたものを、今後事務処理がいいからいいのか、なぜこれを返さなくていいのか、これについて会計検査院の見解をお聞きしたいと思います。
  107. 諸田敏朗

    説明員(諸田敏朗君) お答えいたします。  艦船建造請負契約の適否の調査に当たりましては、証拠書類の保存期限との関連で元年度以降の契約分を対象といたしました。したがいまして、それ以前の年度の契約分については調査はいたしておりません。  それから二番目の御質問でございますけれども、本件事案は、予定価格を決定するに当たりまして、その基準となる積算額、これは計算価格でございますが、これについて調査しましたところ保険料を過大に計算している部分がありましたので、この点について指摘したところ、当局において改善の処置をとられたというものであります。  なお、過大に計算された保険料六千百八十万円は低減が見込まれる積算額を示しているものでございます。  また、本件事案の場合、実際の契約金額は修正後の積算額の総額を下回っている状況でありまして、結果として割高な契約となっていないということから保険料は返納されていないと承知しております。  以上でございます。
  108. 今井澄

    ○今井澄君 実は、きょう皆様のお手元に資料を配っていただいたわけで、これが会計検査院が私のところへ説明をされたものです。「艦船建造の計算価格等の概念図」ということで、一番左側が、こうやって積み上げて計算するんですよというところで、保険料も積み上げる。これが計算価格になって、一番右の欄にあるように、この計算価格をもとに相対で契約をしていく、随意契約になりますが、交渉するときのまず予定価格を決める。結果的には契約金額がそれを下回る形で決まっていく。一つの例示ですけれども、計算価格が一〇〇だとして、それをもとに予定価格九〇を出して、それで造船会社と交渉をして結果的に八九という契約金額で決まった。  そうすると、今の会計検査院のなぜ返さなくていいかというのは、ここで過大に見積もった保険料、真ん中のところを見ますと、例えばこの一〇〇のうちの五だったとすると、予定価格は九〇で、契約価格が八九だから、そうしますと結局その間には一〇ないし一一の差が出ているので、この五はその中で吸収されちゃうからこれはいいんだと言うんですね。  私はこの説明が全く納得できませんでして、その下に書いてあるのが私の見解なんですが、五を過大に見積もったとすると、予定価格が百分の九十になったところでそれはほぼ四・五に当たるんじゃないか。さらに、契約が八九になったとすると四・四五に当たるんだから、やっぱりこの部分は最終的に支払った金額の中に過大に見積もりされたのが圧縮されて入っているんじゃないかと思うんですね。それはそれとしまして、これは会計検査院との問題ですから、次回やらせていただきます。  そこで、私はもう一つ、防衛庁が全部こうやって計算をする、船体価格から艤装品から官給品から一般管理費から保険料まで全部計算して、それで業者とやるということですね。このことについてちょっと違和感を感じざるを得ません。  そもそも、確かにどんな場合でも建造業者、艦船に限らず航空機でもプラントでも何でもそうですけれども、危険があれば当然保険を掛けるわけですね。その契約が成立してから納入するまでの間の保険を掛けるというのは、これはそうだろうと思います。そうすると、この掛けた保険料というのは最終的にその商品価格に含まれてくる、反映されてくることもこれは一般的に間違いないだろうと思うんですが、何か護衛艦等の場合はそれをすべて保険料まで幾ら幾らですよということを国側で計算して契約するということが果たして公正な取引を保証しているんだろうかということについて疑問を感じます、もちろん一般の競争ということがなかなか難しい分野ではありますけれども。  そこで防衛庁にお聞きしたいのは、官給品が非常に高価なわけですね、護衛艦の場合はかなりの価格の部分を占める。だからといって、船体から何から全部含めて保険料はこうですよということをあらかじめ防衛庁の方で計算してくるということについて一体どういうことなのか。これでいいと思っているのかどうかということです。  それから航空機の場合も、これは官給品、電子機器だとか武器だとか非常に高いと思うんです。航空機についても同じようにこうやって全部国側で計算して、それをもとにして業者と値段を決めているのかどうか。外国の場合、アメリカの軍隊とかはどうなのか。そういうことについてちょっとお聞きしたいんです。
  109. 鴇田勝彦

    説明員(鴇田勝彦君) 艦船の製造請負契約についての御質問でございます。  幾つか御質問ございますが、まず第一点で申し上げますと、艦船につきましては、先生も御高承のように高度かつ複雑なシステムとして構成されております。その建造費も大変高額なものでありますから、受注会社であります造船会社にとりましては、他の一般の民間の契約、発注と同じように、一たん事故が発生した場合の事故の大きさによりまして受注した利益も一瞬にして失ってしまったり、あるいは会社そのものの経営基盤が損なわれるということから、当然のことながら一般商慣行といたしましても保険に付保をする、リスクを分散しているわけでございます。  私ども発注者である国の立場から見ましても、必要とする艦船の入手が経営基盤の動揺によりまして一層困難になったり、あるいは長期的に防衛生産あるいは技術基盤の維持に支障を来すことになるといった問題も発注者側の問題としてもございます。  したがいまして、我々といたしましては、官給品に限らず、船体、機関、そういったものも含めまして、これ全体を建造保険に付保をしていただきまして、建造中の事故に伴う造船会社の経営上の危険負担を回避して健全な経営基盤を確保していただく。したがって、防衛力整備上のリスクを軽減することが必要であるというように考えているわけでございます。  そこで、私どもといたしましては、一般商船の建造の場合の商慣習も考慮に入れさせていただきまして、艦艇建造請負契約、これは初めて締結をいたしましたのが昭和二十八年度の計画艦からでございますが、この保険の付保の必要性を認めまして、この保険の付保に伴う保険料の負担につきましても原価の一部と算定をして現在に至っているわけでございます。  同じく御質問にございました航空機についてはどうであるかという点でございますが、全く同様の理由から、同じように製造メーカーの方に保険を付保していただいて、その保険料については我々のやっております原価計算システムの中でカウントをする、負担をするということにさせていただいております。  また、御質問にございました海外の事情でございますが、残念ながら艦船及び航空機、飛行機につきましての諸外国におきます調達に当たる契約の内容の詳細については我々承知をしてございません。正確に本院でお答えするということは大変困難でございますので、その点御理解をいただきたいと思います。
  110. 今井澄

    ○今井澄君 そこで、運輸省、海上保安庁、通産省にもおいでいただいていると思いますので、運輸省には一般の船舶の場合どうなのか。それから、海上保安庁では海上保安庁の巡視船等の建造の受注関係のときはどうなのか。それから、通産省には一般の航空機、民間航空会社等が航空機を発注する場合はどうなのか、その他大型のプラント等、こういうものについてどうなのかをごく簡潔にお答えいただきたいと思います。
  111. 井上四郎

    説明員井上四郎君) 我が国の造船所で建造されております一般船舶につきましては、そのほとんどが非常に高価なものであるということから、商慣習上建造保険に入っているというのが実情でございます。
  112. 森良夫

    説明員(森良夫君) 海上保安庁におきましては、一般商船と同様に建造保険料を原価の一部として算定いたしております。
  113. 中嶋誠

    説明員(中嶋誠君) 民間におきますこれらの発注の態様につきましては、基本的には契約の当事者間で決まることでございますので、個々の案件によって違いがございます。  まず、一般の民間の飛行機でございますけれども、製造会社、メーカーの方で機体の一部を製造する場合、これには一般の火災保険を掛けております。完成機まで製造をする場合には、飛行保険あるいは地上保険、第三者損害賠償保険を掛けております。いずれにしても、こういう保険料は一義的にはメーカー側の負担になりますけれども、コストの一部として計算をされまして、全体の代価の中で回収がされます。  それから、一般のプラント建造でございますけれども、業者に問い合わせをしてみたところ、プラントの建造に係る保険料は一般的には主契約に含まれる、つまり契約時の受注の額に含まれる、その上で受注者側が保険を掛けるのが一般的でございます。ただし、場合によっては発注者側で保険を付保するということもございます。  例えば、発注者側で保険を掛けた方が受注者側の保険の料率よりも有利である場合でございますとか、あるいは複数の受注者に発注するという場合であって、個別の受注者ごとに保険に入るよりは発注者側の方で一括して保険を掛ける方がコスト的にもリスク管理的にも有利な場合、こういった場合には発注者側で保険を付保するということでございました。
  114. 今井澄

    ○今井澄君 航空機については、最近の厳しい競争の状況の中で余り保険を掛けないとか、そういうところもあるというふうに聞いておりますが、いずれにしましても、これは非常に高価な大型なもので、しかもいろいろ危険も伴うので、保険を掛けるというのは当然だろうと思うし、掛けた保険料がコストとして定価にはね返ってくる、契約額にはね返ってくる、これは常識だろうと思うんですね。  ただ、ここで問題にしたいのは、我が国の経済もここで大分変わってきたわけです。例えば業界育成型から規制を緩和して業界の自由競争の中でやってくるという傾向に変わってきているわけで、今の通産省の御答弁の中にもそういうニュアンスが受け取れると思うんです。  ですから、保険を幾ら掛けるのか、どういう保険を掛けるのかというのは、これは実は業者の方の問題なんでありまして、官給品にかかわらないところまで全部含めて経営問題に及んだら困るからということで、そこまで丁寧にコストに積み上げて計算をしていくということが、ただ安く買うためにこちらも計算根拠を持つというのとは別に、そこまで踏み込むというのは私はいかがかと思うんです。特に防衛庁の調達するものについては、これはなかなか一般の市場で調達できるものではない、本当に相対の取引になるわけですから。これは裏でいろんなことも言われているわけです。  そうしますと、もっとこの辺については現在の産業の転換や経済情勢の変化に合わせて価格の計算や契約の仕方についても疑いを差し挟まれないようにきちっとしたやり方をとっていく必要があるし、昭和二十八年から始めたこの慣行をそのまま行っていくということは、どうしてもこの報告書を見ると手とり足とり面倒を見過ぎているというふうな気がするわけでありますので、この辺についてはちょっと見解もお伺いしたいと思いますが、時間の関係もありますので次に移らせていただきます。もし時間がありましたらまた長官に後でお尋ねしたいと思います。何しろ欲張って三省庁全部お聞きしょうと思っているものですから。  最後に、科学技術庁でありますけれども、科学技術庁については先ほどもちょっと質疑の中で出てきました科学技術振興調整費による研究、私も実は医師をやっているときにこの研究の一端を担わせていただいたこともありまして、大変楽しいというか意義ある思い出があるんですけれども、その研究業務委託契約における一般管理費の過大な積算についてということで、やはり今の防衛庁のと同じように「改善の処置を講じた事項」というふうな項目で出ております。  これは平成年度及び六年度科学技術総合研究委託契約のうち国立大学等への再委託を含む委託契約計八十七件について約六千二百八十万円の過大な一般管理費が支払われているということで、科学技術庁から民間会社とか特殊法人とかそういうところに委託した研究が今度国立大学に再委託されるという場合には、再委託を受ける国立大学の場合には国立てあるということから一般管理費をもらわないということになっているわけですね。  この一般管理費は普通は直接経費の一〇%を計上しているようですけれども、一たん受けておいてすぐストレートで再委託先の国立大学に研究を委託したものについても委託を受けた最初の元請のところが一〇%の一般管理費を受け取っている。これは過大ではないかというので計算してみたら六千二百八十万円だったそうですけれども、これを今後はどうするかというと、そうやって国立大学に再委託した場合には、一千万円以下の場合には五%、一千万円を超える場合には超えた分について三%だけを一般管理費として計算し直すというふうに改善をしたと。それで一応一件落着ということになっているようですが、これもまたちょっと理解できないのです。  きょう皆様方に資料としてもう一枚お配りしてあるものがあると思います。  そこで、会計検査院にまずお尋ねしたいんですけれども、この約六千二百八十万円というのは国庫に返納されているのかどうか、される必要があるのではないだろうかということ、それから、これは当然平成年度以前にもあったと思われますけれども、いつごろまでさかのぼって、総額としてはどのぐらい過大に一般管理費が支払われているのか、計算されているのか、それをお答えいただきたいと思います。
  115. 森下伸昭

    説明員(森下伸昭君) お答え申し上げます。  最初の御質問の返納されているかどうかという点につきまして、本件指摘に関しまして、科学技術庁におきましては国庫に返還をさせていないというふうに聞いております。このことにつきましては次のように考えられるのではないかというふうに思います。  本件委託費は補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律の適用になるものではございません。それから、この当該委託契約につきましては対等な当事者間での私法上の契約でございます。したがいまして、こういうことを考えますと、積算基準を事後的に改めたことによりまして開差額が生じたといたしましても、そのことを理由に契約額の一部を委託先に返還を求めるということは困難なのではないかというふうに考えております。  それから、このような事態は以前にもあったのではないかという点でございますが、本件につきましては科学技術振興調整費の予算が五年度あたりから大変伸びてきております。したがいまして、昨年そのようなことにも注目をいたしまして、決算確認の対象年度であります六年度の事業と、それからその前年の五年度の事業を中心に検査を実施したわけでございます。  その中で、ただいまのように再委託に係る一般管理費の積算が不適切であるという事態がわかりましたので、今後このような予算が七年度、八年度と伸びていくことが見込まれますので、このような事態をできるだけ早く改善をしていただく、改善の処置をとっていただく必要があるということで、調査をそういう年度に絞って行ったものでございます。したがいまして、四年度以前につきましても類似の事態がなかったとは言えない、あったのではなかろうかという推定はすることはできますけれども、その総額あるいは件数等につきましては把握をしていないということでございます。
  116. 今井澄

    ○今井澄君 今の御説明も私はちょっと納得しかねるんです。要するに、一般管理費というのは必要と見込まれるだろうということで支払われているわけですが、それは過大で、一〇%は多過ぎると、五%とか三%でいいんじゃないかということになれば、その差額は当然国庫に返されるべきというふうに考えるのは常識だろうと思うんですが、このことは先ほどの件ともあわせまして、今度、会計検査院に関する決算審査のときにやらせていただきたいと思います。  そこで、科学技術庁にお尋ねいたしますが、一般管理費を直接経費に対して一〇%見込むというんですが、一般管理費の具体的な内容は何ですか。そしてまた、何で一〇%かというその根拠について教えてください。
  117. 落合俊雄

    説明員(落合俊雄君) 御質問の一般管理費でございますが、一般管理費というのは、契約の処理でございますとか物品の管理等に必要な管理部門の経費など、あらかじめ詳細な積算が困難なものということで、率で算定するという考え方に基づいて計上をいたしているものでございます。  科学技術振興調整費におきます研究業務委託契約におきます一般管理費につきましては、委託先の受託規程を尊重しつつも、予算の制約がございますので、本庁におきます他の委託事業でございますとか他省庁におきます例を参考といたしまして、直接経費の一〇%を上限として運用をしてきたということでございます。
  118. 今井澄

    ○今井澄君 いや、全然具体的にお答えいただいていないと思うんですけれども。一般管理費以外に、例えば今お話があった管理に係る水道光熱費とか通信運搬費とか修繕修理費とか、それから消費税相当額、ちゃんとこれは直接経費に計上されているんです。ただ、例えば自分たちの研究室で受けたと、それで研究室の一角に机を置いて、机を共用する場合もありますけれども、そこにだれか人を雇ってやる。そうすると、例えば一年間の研究をする場合に、その一年間、研究のための電気をつけますね。電気をつけたうちの何%を、研究室の本来のあれではなくて、その研究のために使ったかというのは確かにわかりにくい。そういうことで計算するんだろうと思いますけれども、これがどうして一〇%に当たるか。  私は、実際に自分自身が幾つかの国の研究事業を受けてみて、率直に言って一〇%はかかっていないと思うんですよ。しかも、別に直接経費として計算できるものは算定できるんです。例えば電話、通信運搬費、切手なんかは、別に自分の所属しているところからもらうわけじゃなくて、ちゃんとそれ用に買うわけです。電話だって場合によっては必要だったら電話を引くこともできるわけです。そうしますと、この一般管理費というのは非常にわかりにくいというふうに思います。  しかも、これは国立大学が再委託を受ける場合にはこの一般管理費はもらわないとなっているわけです、同じ国の機関だから。それはある意味では無視できるというか、無視できないほどだったらそれは国立大学の経営にもかかわることですから、これは相当になるわけです。そういう点からいうと、どうも一般管理費一〇%を見込むということ自身が非常にわかりにくい。  しかも、きょう資料として配らせていただきました二枚目ですけれども、要するに上のが今までのやり方科学技術庁からA民間機関、これは特殊法人か何かに委託される。そのうちの一番上のbの部分は国立大学にストレートで行く、上から二番目のaは自分のところでやる。そうすると、自分のところでやったaにかかる一〇%をAに計上する。同時に、国立大学へ横流ししたと言ったら悪いですけれども、すっと素通りしたbについても一〇%計上した。これはまずいから、この一番下の部分については下の段にあるように一千万以下は五%、一千万を超える部分については三%にして減らしたということなんですが、これについてもちょっと問題があるんじゃないかと思うんです。  なぜ一〇%かからないかと、会計検査院の方でそういうふうにしたかというと、国立大学に行くということは初めから決まっていたんだと。このA民間医療機関に委託されて、さて、じゃどこに再委託しましょうかと決めたわけではなくて、あらかじめ決定されているので契約締結後に再委託先を選定する必要はないということが会計検査院の見解。  それからもう一つ、例えば研究完了の際に作成する研究成果報告書についても、再委託先の国立大学等が作成した研究成果についてその内容の評価を行わず、単にみずから実施した研究と合わせて編集し科学技術庁に提出しているだけだ。だから、そのことに関しては再委託に関する業務やその研究取りまとめについては何らかかっていない。これは別のあれからすれば、先ほどの質疑にも出ていましたけれども、最初から研究費を文部省の方に委託して国立大学に移しかえてやればいいようなものなんですね。したがって、ほとんど素通りをしているわけです。ですからかからないということなんで、それが会計検査院が一〇は多過ぎるよと言った理由だと思うんです。  それを三または五にした上で、なおかつ右に変な線が出て上に行っているんですけれども、率を減らした分で、だけど、A民間機関がこれじゃ少な過ぎて困ると言った分は直接経費として上に計上しますよとなっているのは、これまた何とも理解しがたいんです、一般管理費を何で今度直接経費として計上するかということ自身が。そもそも一般管理費というものを算定する根拠とも矛盾してくるような気がするんですね。  そうすると、これは率直に言いまして、研究を受ける側としてはこういう一般管理費というのがあるのは大変ありがたいんで、割合自由にいろいろ使えるということもあるんですけれども、言ってみればこれはピンはねといいますか、余禄といいますか、もちろんそういう人たちが自由に研究をやって実が上がることはいいことだと思いますけれども、厳密に計算すると余分なお金が払われているということになるんじゃないんでしょうか。  その辺についてちょっと、これは科学技術庁長官いかがでしょうか。あるいは事務当局でも結構ですけれども。
  119. 落合俊雄

    説明員(落合俊雄君) 科学技術庁といたしましては、先ほど会計検査院からも御答弁がございましたが、会計検査院指摘を踏まえまして、再委託に係ります一般管理費の積算上の新しい基準というものを昨年の十一月に定めたところでございまして、平成年度の研究に係る契約からこの新しい積算の基準を適用いたしております。  ただいま御指摘ございました三%、五%の、この右側に出ている分についてでございますが、従来から研究の遂行に必要な通信費、賃金等は本来直接経費でございますけれども、少額の場合には従来から一般管理費によって支弁されていたという場合がございますので、これらについては今後直接経費として計上することも認めるという扱いをしているところでございます。
  120. 中川秀直

    ○国務大臣(中川秀直君) 事実関係については政府委員の答弁したとおりでございますが、委員指摘の御趣旨は、我が国の財政事情を考えて一円といえども本当にむだなく効率的に会計処理が行われるべきだ、こういう御趣旨であろうと存じます。  会計検査院からも御指摘をいただいて、国立大学等が再委託を受けた場合は、国の政策への相互協力などの趣旨から、文部省の通達で直接経費だけを徴するという観点から、やはり一括で一般管理費一〇%ということでなく、そういう処理は適切でないよと、積算の仕方を変えなさいと、こういうことでございましたので、昨年の十一月に改正をさせていただいたということでございます。  また、それでもなおかつ個々の研究課題ごとにいろいろ事情が異なる点もあろうと思いますが、しかしこの趣旨を体して、仮に少額の場合でも極力直接経費として計上し、今までのそういった御指摘を今後いただかないように臨んでまいりたい、かように考えております。
  121. 今井澄

    ○今井澄君 どうもきょうは細かいことばかり申し上げましたが、今の問題でも、ある機関が受けてそのまま実はもともとある国立大学に素通りすることがわかっているようなものについて、例えば一千万の研究費で、今度減らしたとはいえ五十万がどうして素通りをした機関に入るのかということ自身が説明できないんですね。  そういうこともありますし、それから防衛庁長官にお聞きする時間がなくなってしまいましたが、やはりこういう情勢でありますので、国民のお金は公正に使う、効率的に使うということで、過大に国が何か面倒を見るようなことになっているんじゃないかという印象を与えることのないように今後お願いをしたいと思います。  以上、終わります。
  122. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 まず最初に、防衛庁長官に御質問いたします。  今月、次の日曜日、八日には沖縄で地位協定見直し、基地の縮小、整理ということで県民投票が行われます。この問題について、陸上自衛隊第一混成団の村田秀信団長が八月八日の隊員朝礼でこういう発言をしています。投票で賛否を問う中身に具体性がなく、県民投票は無意味であると。これはとんでもない発言で、具体性がないというふうにこの方はおっしゃっているんだが、例えば地位協定見直しについては既に沖縄県からこう見直してほしいという詳細な要望が政府に出されていることは長官も御存じであります。あるいはアクションプログラムを作成してどうやって基地の縮小、整理をやるかと、これについても具体的なプランが出ている。  沖縄の自衛隊幹部がこういうことも知らないで、要求には、問題には具体性がないとか、県民投票は無意味であると。沖縄タイムスによれば、この朝礼を聞いた隊員の一人は、これは県民投票に行くなというふうにしか受け取れなかった、こういう感想であります。つまり、自衛隊幹部が県議会で決めた県民投票を事実上妨害するこういう発言を行っている。  この点について、防衛庁長官の御見解をお伺いしたいと思います。
  123. 大越康弘

    説明員(大越康弘君) お答えをいたします。  混成団長の発言について私どもが調べたところによりますと、御指摘の朝礼の訓話は、第一混成団へ新たに転入した者に対しまして、新しい業務に速やかに精通をし、また常に問題意識を持って業務に臨むよう心構えを示しつつ、沖縄の現状問題にも触れたところでございますけれども、その中で県民投票につきましては、県民投票の設問内容が県民の代表者であります県議会で既に議決された内容であり、改めて県民に直接聞くということはどういうことだろうか、そういった趣旨は述べましたけれども、県民投票が無意味であると、そういった発言はありませんで、また棄権を促すとか妨害をするという意図もなかったというふうに承知しております。  しかしながら、隊員がさまざまに受けとめることを考えれば、部隊指揮官として誤解を与えるような発言をしたことは慎重さに欠けておったというふうに認識しているところでございます。
  124. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 そういう発言はなかったということだけれども、しかしそういうふうに誤解を受ける発言はあったということです。沖縄がなぜこういう県民投票をやるか。沖縄の歴史を知ればこの気持ちというのはよくわかりますよ。  戦時中は日本軍によって土地が奪われました。そして米軍が上陸して、よく銃剣とブルドーザーと言うけれども、その前にはへーグ陸戦法規に違反してどういうことがやられたかというと、県民を幾つかの収容所に囲い込んで、そしてその間に勝手に線を引っ張って基地をつくっていったんです。そして、その後も銃剣とブルドーザーを使うと。そして土地を強奪していったんです。そして、本土復帰のときにはどうなったかというと、いわばそれを固定化する、そのために米軍用地特措法がつくられて今日に至っているわけでしょう。  私有地が、沖縄県民の意思がただの一度も反映したことなく五十年以上奪われてきたんですよ。だから、大田知事は、今度は沖縄が、県民が初めてこの問題についてはっきりとした意思を示す機会だということをおっしゃっているんです。  大臣、どうなんですか、局長に答えさせないで。大臣はこの沖縄県民の心情についてどうお考えなのか、お伺いしたいと思います。
  125. 臼井日出男

    ○国務大臣(臼井日出男君) 今、委員お話をいただきましたとおり、私どもも沖縄県の県民の長年にわたる御苦労についてよく承知をいたしているところでございます。  この県民投票につきましては、県民の総意を問うと、こういうことでございますので、御答弁は控えさせていただくわけでございますが、私どもも従来から沖縄県に所在をする米軍の施設・区域の整理、統合、縮小には全力を尽くして努力をいたしてまいりました。この結果のいかんにかかわらず、引き続き最大の努力をもって沖縄県民の御負担を早期に軽減すべく努力をいたしてまいりたいと、このように考えております。
  126. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 次に、今キャンプ・ハンセンで行われている百五十五ミリりゅう弾砲の砲撃演習の本土移転問題について伺いたいと思います。  日米合同委員会で、北海道の矢臼別、宮城の王城寺原、山梨の北富士、静岡の東富士、そして大分の日出生台と、この五カ所への移転が合意をしました。長官も、先ほど来答弁あったように、関係自治体を回られました。総じて反対だと、来てほしくないというのが大方の自治体の対応でありました。この理由というのは、長官、一体何で反対なのかとお考えでしょうか。
  127. 諸冨増夫

    説明員(諸冨増夫君) 演習場の使用に当たりまして、かねがね地元の住民の方々に私どもいろいろ御理解をいただきながら進めているところでございますが、地元住民の方々の中にもいろんな御意見の方がおられることはもう御承知のとおりでございまして、私どもそういう中で理解を得ながらふだんの自衛隊の演習あるいは日米共同訓練等について実施させていただいているという状況でございます。  したがいまして、今回一〇四号線越えの移転等につきましても、いろいろ地元のそういう意見等を反映しながら御意見を私どもに賜っているというふうに考えております。したがいまして、今後とも私ども全力を挙げて地元の御理解を得ながら一日も早く移転問題が片づくように努力をしたいと、このように考えております。
  128. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 質問には何も答えていないですよ。何で反対しているかと聞いたんです。理由は明白ですよ。  今、キャンプ・ハンセンで行われている実弾砲撃演習というのは、九四年度の実績で実施回数が十一回、三十三日間、撃ち込まれた砲弾の数が三千六百発。しかし、例えば東富士ではもっと大規模な演習がやられているんですよ、米軍によって。同じ九四年度実績でいうと五十二日間、キャンプ・ハンセンより十九日間多いですよ。発射弾数は六千八百発、キャンプ・ハンセンよりも三千二百発多い。北富士が十五日間、一千百発。  だから、例えば富士吉田市議会で行った移転反対決議は、「現行使用協定の限界点に達した使用実態は当市並びに演習場関係住民の被害を益々増大させている。」。山梨県知事も、県は既に役割分担を果たしており、これ以上は応じられない、実施している訓練も軽減してほしいぐらいだと、こう述べておられる。長官もお聞きになったでしょう。だから反対していると、こういうことなんです。  しかも、今言った北富士、東富士は米軍の演習です。いずれも自衛隊の演習もここでは行われている。どういう実態かというと、自衛隊は百五十五ミリ、二百三ミリ、この二種類のりゅう弾砲の訓練を行っています。九五年度実績で見ますと、これは米軍以外に自衛隊が、矢臼別では百十日間、王城寺原では四十日間、東富士八十日間、北富士三十一日間、日出生台百日間、これが既にこの五カ所では行われているんです。北富士、東富士は、さっき言ったようにその上にプラス米軍がキャンプ・ハンセン以上の訓練をやっているんですよ。そこへ移転しようというんです、さらにキャンプ・ハンセンから。  大臣、これじゃ反対されるのが当たり前じゃないですか。防衛施設庁長官の答弁はもういいですよ、大臣どうなんですか。
  129. 臼井日出男

    ○国務大臣(臼井日出男君) 今回私どもが決定をいたしました五演習場も視察いたしましたし、周辺の首長さん方にお目にかかりまして、また知事さんにもお目にかかっていろいろお話もお伺いいたしました。  委員お話しのとおり、既にそれらの演習地においては大変多くの演習をお引き受けいただいている、これは事実でございます。また、それなりの御苦労もいただいているわけでございまして、私は、こうした問題は沖縄のみならず日本本土においても多くの演習場等において周辺自治体がそうした御苦労をしていただいているということを改めて感じた次第でございます。  また一方、沖縄における県道一〇四号線越えの実弾射撃訓練、もちろん当然演習の際には県道を閉鎖いたしまして迂回路をもって実施いたしておりますが、まあいわば沖縄における演習の象徴的な事由としてこれを廃止していただきたい、こういう御要望が県民から多く出ております。  県道越えをしないということになりますと、百五十五ミリ砲というのは訓練ができない。沖縄には同レベルのものがない。やむを得ず沖縄県民の長年の御苦労にこたえる意味からおいても本土に分散をして負担をそれぞれ軽減しながらお引き受けいただく、こういうことに決定をさせていただいた次第でございます。  この移転に当たっては、いよいよこれから我々も誠意を持って御相談申し上げるわけでありますが、これらの話し合いの中で移転先の御負担というものをできるだけ軽減するように努力をいたしてまいりたいというふうに考えております。
  130. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 誤解のないようにしていただきたいんですが、キャンプ・ハンセン、金武町で行われているこの訓練が軽いということを私は言っているんじゃないんですよ。私も金武町にも行きました。ちょうど着弾点である伊芸区の区長さんにもお会いしました。今キャンプ・ハンセンでやっている訓練というのはよく一〇四号線越えというふうに言われるんですが、行ってみるとよくわかりますよ、それだけじゃないんです。着弾点の近くには沖縄自動車道も通っているんです。現にその自動車道に破片が飛んできたこともあるんです。ですから、このキャンプ・ハンセンでの訓練をやめてもらいたいと金武町の皆さんや沖縄県民の皆さんがおっしゃるのは、これは当然だと思う。  今、東富士の演習場を見ますと、昨年までは大体三門から四門で行われていた。沖縄でも大体二門から三門でやられていた。今度、日米合同委員会の合意で、最大規模の場合は十二門だということになっています。東富士にはもう既に十二門設置されているんですよ。地元の合意とおっしゃるけれども、事実上先取りでもう運び込まれている。そして訓練が行われている。これが実態だということであります。  よく地元の納得というのが最前提である、最重要であるということをおっしゃるわけですけれども、そこで運輸省に伺いますが、例えば、宮城県の王城寺原に移動する場合には仙台新港を使わなきゃいかぬ。あるいは矢臼別に行く場合には釧路港を使わなきゃいかぬ。輸送艦を使うことになります。その場合に、港というのは自治体管理になっていますね。ですから、今、有事立法研究の中でも運輸省が検討課題に挙げているのが、この港湾の使用をどうするか、自治体首長が反対したら使えないというのが問題になっているぐらいです。  ところが、例えば仙台市で言えば、宮城県は挙げて反対ですよ、王城寺原に来ることは。そうすると、仙台市は港を使うことに反対する、こういう可能性だってあるわけです。そうすると、仙台新港について言えば米軍への提供施設というのはないわけだから、つまり港湾の管理者が米軍の輸送艦は入港させない、港を使わせないんだ、バースも使わせないんだということになれば、これは入港もできないし使うことはできないということになるんじゃないですか。
  131. 伊藤鎭樹

    説明員(伊藤鎭樹君) お答え申し上げます。  若干仮定の港湾使用についての御質問でございますので、ちょっと抽象的なお答えになるかと思いますが、確かに、我が国の港湾の管理は港湾法に基づきまして地方公共団体等が港湾管理者となっております。港湾管理者は法令や条約の枠内で適切な港湾施設の管理を行っていくということが基本であろうかと、そういうふうに存じております。  以上でございます。
  132. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 だめだよ、もうちょっと具体的に答えなきゃ。仮定の話じゃないよ。あなたたち、港を管理しているんでしょう。法律の解釈を聞いているんですよ。何が仮定の話だ。
  133. 伊藤鎭樹

    説明員(伊藤鎭樹君) 失礼いたしました。  仮定と申しましたのは、どこの港をどういう形で使うかということを直接私ども聞いているわけではございませんので、そういう意味で仮定ということで申し上げた次第でございますが、先ほども申し上げましたように、港湾の管理運営につきましては関係法令や関係条約、そういうものにのっとって港湾管理者が港湾管理条例というものを定めて、そういうものに従って適切に管理していくという一般的な港湾管理の考え方を申し上げた次第でございます。
  134. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 だから、港湾管理者である自治体首長が拒否すれば入港できないということでしょう。それを聞いているんですよ。
  135. 伊藤鎭樹

    説明員(伊藤鎭樹君) 先ほども申し上げましたように、港湾の管理につきましては、港湾法という法律の中で港湾管理者という地位をある意味で自治体が与えられているわけでございます。そういう中で関係法令や条約にのっとって管理運営をしていくというのが基本であると思っております。  ただ、かつていろんなケースを見てみますと、やはり事前に自治体とも十分な調整を図って港湾の使用というのが行われていくというのが望ましいというふうに私どもとしては考えております。
  136. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 じゃ、聞き方を変えます。  自治体首長の意思を全く無視しては使えないと、こういうことですね。
  137. 伊藤鎭樹

    説明員(伊藤鎭樹君) 自治体首長の意思というものがどういうものかということでございますけれども、港湾の管理というのはやはり法令及び条約というものにのっとって管理していただくという前提で港湾の管理というものについて自治体に管理権が与えられておるわけでございます。そこの点を申し上げた次第でございます。
  138. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 要するに、合意の上で使うということだから、合意しなけりゃ使えないということなんですよ、遠回しに言うけれども。だから、自治体首長が、例えば仙台市長が使わせませんと言えば使えないということなんですよ。そのことははっきりした。  この場合に、移転すると沖縄の痛みを分かち合うことになるんだと、こういうふうによく言われるわけですよ。ところが、今も言ったように、現に沖縄のキャンプ・ハンセン以上の砲撃演習が行われている。しかも、SACOの中間報告を見ると、「危機の際に必要な砲兵射撃は除く。」ということで、いつでもキャンプ・ハンセンでの実弾砲撃演習を再開できる、こういう留保条件までついているんです。あるいはまた、沖縄の痛みを分かち合うというけれども、海兵隊は、例えばこれが実際に強行されれば、五カ所に移動して訓練を行って、訓練が終わればまた沖縄に帰ってくるんですよ。そうでしょう、長官。  沖縄県民の要求は、沖縄の大きな部隊、大半が海兵隊ですよ、この海兵隊にいなくなってほしいというのが沖縄県民の要求。ところが、本土にもし分散移転すれば、沖縄の海兵隊の基地というのはこれはかえって固定化していく、恒久化していく。移動費用は日本側負担だというんですから、米軍にとってはこれは痛みなんて何にもない。むしろキャンプ・ハンセンは射程が短いんですよ、二キロ、三キロしかない。矢臼別とか王城寺原へ行けばもっと長い射程で訓練することができる。言ってみれば、痛みを分かち合うどころか願ったりかなったり。こういうことをあなた方は沖縄の痛みを分かち合うという理屈でやろうとしているんです。  じゃ、沖縄県民はそんなことを望んでいるか。もちろんキャンプ・ハンセンからいなくなってほしい。しかし同時に、こんな嫌な訓練、沖縄から本土へ持っていかれたってこれは本土が迷惑するだけだ。だったらアメリカ本土でやればいいじゃないかというのが沖縄県民の意思だということを私申し上げておきたいと思います。  次に、米軍の強襲揚陸艦であるベローウッドの佐世保重工業での修理問題について伺いたいと思うんです。  御存じのように、米軍の強襲揚陸艦であるベローウッド、これを佐世保重工業、SSKの第三ドックを使って約五カ月間長期の修理をするということが今米軍から求められています。ところが、この第三ドックというのはSSKの七〇%以上の売り上げを稼いでいるドックなんです。ところが、これは一九六八年に米軍が接収していたものを日本側に返されて、それが佐世保重工業に払い下げられたわけですけれども、そのときの返還協定でこれは無料提供するということになっているんです。  これに対して佐世保重工業の長谷川社長も、こんなことをやられれば佐世保重工業はとても立ち行かない。第三ドックというのは佐世保重工にとってのいわば生命ともいえるドックなんだ。これを無料提供で五カ月間やられれば損害は三百六十億円に上る。しかも第三ドックを使うだけじゃない、第二ドックでは約六百人の米兵がそこで生活するというんです。つい最近も米兵による強盗殺人事件が起こった。治安対策から考えたって到底こんなものは受け入れることはできない。ドックの前に船を沈めてだって断固阻止するというのが佐世保重工業の態度ですよ。  きょう三日、市議会の代表が防衛庁に陳情にも来られていますでしょう、超党派で。それはそうですよ。佐世保重工業の七割以上の売り上げを占めているドックを無料で無理やり使おうというんです。しかも卑劣なおどしまでかけていますね。もし佐世保重工業が受け入れなければ、第三ドックは使うけれども仕事は三菱重工や住友重機にやらせるという。とんでもない、まさに占領下と見まがうような強引なことが今佐世保重工業に対してやられている。佐世保重工というのは佐世保市内の総工業出荷額の三割以上を占めているんですよ。ここが五カ月間遊んでしまう、ドックの使用料が入ってこない。これは文字どおり死活問題です。  外務大臣、五月三十日の衆議院外務委員会で「円満裏に解決した」と当時おっしゃいましたけれども、今や決裂でこういう状況になっているんです。一体、この米側の横暴な要求を許すのかどうなのか。私、外務大臣防衛庁長官、両大臣にお伺いしたいと思います。
  139. 池田行彦

    ○国務大臣(池田行彦君) 本件につきましては、米海軍から佐世保重工の第三ドックにおいて艦船ベローウッドの補修を行いたい旨の打診があり、その後いろいろ両者間で協議が行われまして、本年二月の時点でございますけれども、その時点で米海軍が佐世保重工をプライムコントラクターとするという方針を発表したわけでございます。しかし、その後両者の間で契約内容の詳細についての協議がはかばかしく進んでおりませんで、現在決着を見ていない、こういう状況にございます。  本件は、一義的には米海軍と佐世保重工との間の契約にかかわる問題でございます。しかしながら、今後の推移いかんによりましては佐世保市と米海軍との関係にも影響を及ぼす可能性も否定できない、こういうことでございますので、外務省といたしましても、安保条約の円滑な運用を図るという観点から、何とか当事者間の話し合いによって円満かつ迅速な解決が図れるようにしたい、そういうことを期待しておりまして、そういった観点から可能な限り協力をしてまいりたい、こう考えておる次第でございます。
  140. 臼井日出男

    ○国務大臣(臼井日出男君) ただいま外務大臣からお話をいただきましたように、昨年末から米海軍とSSKの間で話し合いに入りまして、二月に一度米軍との間で話し合いが妥結をしたと、こういうふうに聞いておりましたけれども、その後契約条件の問題をめぐり折り合いがっかず、この八月に至り中断をしたと、こういうふうに聞いております。  本件は商議の上の問題でございますが、基地の安定使用ということもあり、米海軍側、SSK双方と連絡をよくとり合いまして、関係省庁とも調整をしながら円満な解決に向けて現在努力をいたしているところでございます。
  141. 水野誠一

    ○水野誠一君 私は、外務省ODA事業のことについて伺いたいと思います。    〔委員長退席、理事西田吉宏君着席〕  もう既にきょうも守住委員あるいは今井委員からODAについての御質問がありましたので、私はこのODA事業の評価活動あるいはフォローアップについて外務省の見解を伺いたいと思っております。  御案内のように、日本は今国民一人当たり負担額が一万円を超える、その地位を五年間連続しているという大変なODA大国になったわけでありますが、それだからこそODAの量から質への転換ということが盛んに言われているわけであります。しかし、なかなか質的な面ということではまだまだお粗末な話も多いというふうに理解をしています。  今回、会計検査院が無償協力に関して、バングラデシュにおける漁網製造機械整備事業とセネガルにおける小売市場改修事業を指摘しております。  このバングラデシュのケースは、漁業振興を目的に漁網製造機械十台と周辺機器購入のために昭和五十九年に二億円余りを贈与した、そしてそれによって漁網の製造が始まったという案件であります。その当時もう既にこの漁網の技術というのが進んでおりまして、その当時では結び目がない、網目の緩まない網が主流になっていたわけでありますが、この持ち込まれた機械というのは実は網目に結び目のある古い機械であったということでありました。その後どんどんと技術が進んでいくに従ってこの機械自体が使われなくなってきたということで、操業開始後九年間で何と三三%程度しか稼働していない、もう一部の機械は完全に休止状態になっているというようなことが報告されています。  また、セネガルの小売市場改修事業の場合は、近代的な設備を持つ衛生的な市場に全面改修するということを目的としたわけで、平成四年から五年、二年にわたりまして二億円が贈与され、市場の一部が完成したわけでありますが、セネガル側が自国予算で建設することになっていた残りの施設が財政難で完成できず、そのためにこの市場は依然として非常に非衛生な状態に放置されているということであります。  開発途上国の政治経済状況というものをしっかり把握していない、あるいは国際的な経済技術水準の変化を予測していないということからこう一いった問題が起きたわけでありますが、それ以上に、我が国が援助した事業を、やりっ放してはなくて専門的かつ客観的に評価してさらにフォローアップしていくという体制が不十分であったことがこういった問題を繰り返させているのではないかなという感じがします。  実際に調べてみますと、無償資金協力案件に関しましては、終了時において事業が評価されているものは全体のわずか五・四%にすぎないというふうに聞いています。平成年度には無償資金協力は二千四百二十八億という巨額に上るわけでありますから、しっかりと終了時評価をやっていただかないと大変困るわけであります。こういった体制の弱さが今回検査院に指摘されていることではないかと思います。  そこで、外務省に伺いたいのでありますが、この二つの事業、これは一つの事例として申し上げたわけですが、この二つの事業に関して外務省や国際協力事業団は一体どのような評価活動あるいはフォローアップを実施したのかを教えていただきたいと思います。  また、我が国のODA事業の終了時評価、フォローアップ、また事業終了後数年後に行われる事後評価はどのように行われているのか、現在のODA事業の何%程度がこの終了時評価あるいは事後評価されているのか、その点も含めてお答えいただきたいと思います。
  142. 畠中篤

    説明員畠中篤君) 御指摘の二事業につきまして御説明いたしますが、この二つの事業につきましては、大使館あるいはJICA事務所を通じまして、まず漁網製造機械整備事業の方につきましては平成三年に、それからセネガルの方の小売市場改修事業計画の方は平成七年に、いわゆる現状把握のための調査をまず実施しております。  現状把握の結果、御指摘のような当初考えていたような状況にないということがわかりまして、漁網製造機械整備事業につきましては、平成七年十一月に我が方からフォローアップのための調査団を出しております。そして、経営の合理化を進めるための販売拡大努力といったものをどうやってやるかというようなことをアドバイスしたりいたしまして、先方に漁網が売れるようにどういうふうにしたらいいか改善するようにということでいろいろアドバイスをしてまいりましたけれども、基本的にはしばらく先方の漁網の販売努力というものを見きわめながら、今後必要であればそのフォローアップといったような協力を考えていきたいと思っておりますが、現在のところはそういった調査団を派遣したところでございますので、先方の努力状況を見ておるところでございます。  それから、セネガルの小売市場改修事業につきましては、本年二月に同様の調査団を派遣いたしまして先方工事の実施状況の確認あるいは運営体制といったものについて実態を把握するとともに、先方のつくるべき部分につきましてできるだけ早くつくるように一層の申し入れをいたしまして、今現在は先方の工事が徐々に進められておるところでございます。  まだ十分に当初の計画ほど進んではおりませんけれども、私ども経済協力をしてまいりますときに、当初、我が方と先方で役割分担と申しますか、どこまでを日本がやる、どこからは先方の自助努力に期待するという仕分けをいたします。そういうことで始まりましたけれども、残念ながらこの二件につきましては先方の努力が若干足りない面がある。そういうことで、先生指摘のようにいろんな経済状況の変化ということで当初と違ったようなことで先方の自助努力が十分できないことがございますが、そういったものについては、とりあえずは自助努力を促しつつ、その状況を見ながら必要ならばフォローアップをしていきたい、そう思っております。  それから、現在の終了時評価の無償案件が五・数%という低い状況でございますが、私ども評価をしてまいりますときにいろんな形の評価をしております。一つは外務省が主としてやっております事後評価と申します評価でございまして、これは事業が完成した二、三年後、いわゆる施設なり機材がどの程度有効に使われているか、当初の効果を発揮しているかということを見るために行われますかなり時間をかけた、いろんな項目にわたって目標達成度、妥当性、波及効果、効率性、自立発展性といったようなものについて細かく評価をしてまいる事後評価でございます。  これが外務省の主たる評価でございますが、この評価を実施してまいりますときには在外公館が大体全体の半分ぐらいを行っておりますが、そのほかのものについては第三者の専門家をお願いしたり、あるいはほかの国の、ドナーの政府関係者と一緒に評価をしたりと、客観性を高めることも含めましていろんな努力をしております。これが一つでございます。  もう一つは、JICA、OECFが行います先生先ほど御指摘の終了時評価でございます。これは、無償案件でございますと先ほど御指摘のように五・数%というふうに少ないわけでございますが、これがなぜ少ないかと申しますと、例えば病院その他を建てて、終了時に評価をする必要性のあるものというのは、先ほど申し上げましたようにインパクトとか効果といったものは建った直後に評価するにはちょっと早うございまして、そういうことで無償案件で終了時評価、完成した直後にしなきゃいけないものというのはそう多くございません。  例えば、規模がかなり大きな案件につきましては、その後本当に先方の体制が整っているかどうかといったようなことで評価をしたり、あるいは技術協力をしてまいりますのにプロジェクト技術協力というかなり大がかりな技術協力がございますが、これが五年なら五年で終了しましたときに終了時に評価をいたしまして、技術協力につきましてはどこまで技術が移転できたか、さらにこれを継続する必要があるかというようなことを見る必要がございます。そういう意味で終了時評価をしておりますけれども、無償の案件につきましては、大半のものは先ほど御説明いたしました外務省の数年たった後にやります事後評価というものをしております。したがいまして、無償の終了時評価のパーセンテージが低いのはそういう理由でございます。  そのほかに、先ほどセネガルとバングラデシュのところで御説明いたしましたが、現状調査の評価というのは適宜できるだげ全部の案件についてその都度やることにしておりますけれども、これは評価と申しますよりも実態をちょっと見てみるという程度の評価でございます。  以上でございます。
  143. 水野誠一

    ○水野誠一君 ありがとうございました。  今、経済協力評価報告書のお話もあったわけでありますが、確かに外部の人によっての評価、これは半分ぐらい、これは拝見していても大変価値がある、評価内容が非常に学ぶべきところが多いなという感じがいたします。例えば、今回ではネパールの医療事業のことをNGOでありますAMDA、アジア医師連絡協議会の医師が評価をしているわけでありますが、草の根活動の経験に基づいた大変専門的な評価内容になっているということで、こういうものは私どもが拝見していても評価できるわけであります。  ただ、非常にまずい事例として一つ申し上げたいと思うんですが、半分が在外公館によって評価されているということでありまして、一つの例で申しますと、メキシコにおける未利用硫化鉱開発事業について在メキシコ大使館が九三年に評価を行っている。ここでは、必要な技術移転は十分に行われている、本件プロジェクトの目的は完全に達成されていると述べているわけです。ところが検査院はそれに反して、技術が十分移転されておらず、供与された機材もほとんど利用されていない状態であるという指摘をしている。何でこんなに見解が大きく分かれてしまうのかということが大変不思議なわけであります。どちらの見解が正しいのかとはここでは申し上げにくいんですが、ただ客観的な評価というものが必要だということの証左ではないかというふうに思います。    〔理事西田吉宏君退席、委員長着席〕  外部の専門家に委託する評価の率を増すとか、あるいは日本予算上の問題で日本から専門家を送れないということであれば、現地とかあるいは近隣の国の専門家に評価を委託するというような方法もとって、ぜひ客観的な評価というものをしていかないと次のODAに生かされていかないということになるのではないかと思います。  この点についての見解を、本当に時間がございませんので、一言お答えをいただければと思います。
  144. 畠中篤

    説明員畠中篤君) 私どもが評価を実施してまいりますときには、御指摘のような評価の公正性あるいは客観性というものを確保するためにいろいろな工夫をしてきておりまして、国の内外の有識者あるいは専門家あるいは被援助国側の関係者その他による評価といったようないろいろな形の評価をいたしまして、客観性を増す努力をしております。  また私ども、現在のところは在外公館を通じての評価が事後評価につきましては半分ございますけれども、これも在外公館によってその評価の仕方、いろんなものができるだけまちまちにならないように、一九八六年に外務省に評価検討部会というものをつくりまして、外部の有識者の方々と御相談しながら、外務省が自分でやります評価についてはマニュアルといいますか、そういうものもつくり、いろいろなガイダンスを出して、できるだけ客観的な評価ができる努力をしております。  しかしながら、御指摘のように、今後ともできるだけ客観的な評価というものができるようにいろいろ予算の方でも工夫をしながら努力してまいりたい、そう思っております。
  145. 水野誠一

    ○水野誠一君 今のような例えば正反対の評価が出てしまうというような場合に、私は客観的に見て在外公館の評価というものがやっぱり甘過ぎるのではないかということを感じざるを得ないわけでありまして、ひとつその辺の指導ということも含めて、ぜひ評価の客観性ということを担保していただきたいというふうに思います。  次に、直接借款事業についても同じような問題が言えるわけでありますが、例えば、これはバングラデシュの慢性的な電力供給不足を改善するということで、バージ式、すなわち平底の船をつくり、その上にガスタービン用の発電プラントを建設して河口に設置するという事業が昭和六十年度から六十三年度までの間に六十億余円を貸し付けて行われたわけです。同じくここでも検査院が、この発電所が平成四年以降発電機の故障によって全く発電できない状況になっているということを指摘しています。  この事業はOECFが実施したわけでありますが、私たちの調査によりますと、昭和六十三年に既にもうOECFはこの事業の評価を行っております。その評価報告書によりますと、総合評価として、バングラデシュ電力庁が現在している維持管理体制及びその要員の能力では不十分であり、バングラデシュの実情を十分に勘案した所要の対策を緊急に実施することが必要と思われるという指摘をしているわけです。また予測をしているわけであります。  OECFがこういった予測を直後にしているわけでありますが、しかし残念ながら、これだけの指摘をしておきながら予測された事態がまさに起きているということ、六十億もかけた発電所が動かなくなってしまったということ、こういう現実があるわけでありまして、なぜこの予測をしながらこういったフォローアップができなかったんだろうかということは大変私は残念なことだというふうに思います。  よく日本援助は金余りの人手不足という言われ方をするわけでありますが、確かにそのバングラデシュにおけるOECFの駐在員はわずか二人ということであります。その二名が八百三十億円に上る援助事業を担当しているというふうに聞いております。まさに業務量が多過ぎて事業をこなすのが手いっぱいで、なかなかそのフォローアップまで手が回らないというのが現状なのかどうか、外務省に御見解を伺いたいと思います。
  146. 畠中篤

    説明員畠中篤君) 御指摘のバングラデシュの案件につきまして、私どもが行いました調査その他の経緯を若干御説明いたしますと、御指摘のとおり、昭和六十三年、一九八八年にOECFの事業評価でそのような指摘がございました。それを受けまして、実は直ちに八八年十月から八九年三月にかけまして援助効果促進調査というものをOECFが出しておりまして、その段階におきましては、さらにどこに問題点があるかということを解明いたしまして、保守点検の充実その他を先方の管理責任のある機関にきちんとするようにということで問題点を指摘しております。  しかしながら、私が先ほど申し上げましたように、基本的にはその維持管理はバングラデシュ側の自助努力でやってもらいたいという気持ちがございますので、そういう指摘をして自助努力をしてもらっておったわけでございますが、平成四年以降、残念ながら発電機の故障というようなことでできなくなったということでございます。  これを受けまして、自助努力をしてもらいたかったわけですけれども限界があるということで、OECFは発電船改修事業ということで新たに借款を追加供与いたしまして修復工事を行ったところでございまして、九六年度中にこれは運転を再開することになると思われます。今その修復工事を行っているところでございます。  また、バングラデシュにおきますOECFの駐在員二名とそれからバングラデシュに対します供与額が非常に大きいということとの関係でございますけれども、バングラデシュのOECFの駐在員二名が評価から案件形成から全部をその二名でやっておるわけではございませんで、どちらかと申しますと、二名がバングラデシュ側あるいはその大使館といったようなところとのいろいろな調整をしながら通常の業務をしておりまして、現状把握のフォローアップ程度は二名でやることもございますけれども、先ほど申し上げましたような援助促進調査といったようなこと、あるいはフォローアップ調査のためには本国からそのフォローアップのためのミッションを出したり、コンサルを使ったりということでバックアップをしながらやってきております。  したがいまして、非常に仕事は忙しゅうございますけれども、その二名がそういうことで出先での役割を果たしておって、必要なときには本国からサポートに出るという体制でございますので、御理解いただきたいと思います。
  147. 水野誠一

    ○水野誠一君 今回の検査院の指摘というのもまだまだ氷山の一角であるような気がいたします。こういったODAなり借款の問題が非常に有効に生きていく、我々の出す金が有効に生きていくというためには、しっかりとした評価及びフォローアップというものをお願いしていきたいというふうに思います。  次に、これは質問というよりかむしろ大臣に対してのお願いというようなこともあるわけでありますが、シンクタンクについてちょっと触れさせていただきたいと思います。  アメリカのハワイに一九六〇年に設立されましたイーストウエストセンター、東西センターという国立のシンクタンクがあるわけであります。これは御案内のようにアジアというものを広く見据えて、アジアの経済発展あるいは安全保障の問題等も含めた提案をしてきている非常にすぐれたシンクタンクでありまして、英国のエコノミスト誌のランキングでも世界五位に選ばれたこともあるという内容であります。これは単に研究機関だけではなく教育機関としてもすぐれたものでありまして、今までに六万人の留学生をアジアから受け入れている、そのうち一〇%は日本からの留学生であるということで、恐らく外務省からもここに留学された方が数多くいらっしゃるのではないかなというふうに思っています。  この研究機関、教育研究機関でありますイーストウエストセンターというのは、国立てはありますが単にアメリカだけのものではなくアジアのために活躍をしてきているということで、実際APECの構想もこの機関から提案され生まれたというふうにも聞いているわけであります。  今、アメリカの大変な財政赤字の状況の中で、ここの経費が半分に削減されてしまったということが昨今報道をされました。これに対して韓国、台湾、タイなどは官民双方でかなり大規模な支援を始めているということが報じられています。韓国なんかは数百万ドルの基金をこれに寄せようというような動きもあるようでありますが、残念ながら我が国では、今年度四十五万ドルの補助を計画はしているものの、どうもこういったアジア諸国に比べますとこのイーストウエストセンターに対する支援の盛り上がりというものがまだまだ足りないんではないかなと、そんな感じをしております。  アジアを見据えて、国際的な視野に立って外交政策を展開していく上で、日本国内のシンクタンク、これは残念ながらエコノミスト誌のランキングの中でもベスト二十には一つも入ってこない。これは、民のものは企業色が強過ぎるし官のものは省庁別の色彩が強過ぎる、そういう意味では日本にはシンクタンクがないのかということもよく言われるわけでありますが、私はそれを嘆くよりも、こういったイーストウエストセンターのようなシンクタンクというものをもっと有効に活用して、日本の外交政策、とりわけアジアにおける正しいリーダーシップというものを確立していくということ、これが重要ではないかなと思うわけであります。  こういう視点から、先ほどもお尋ねしましたODA事業等に積極的に活用すべき知恵という意味でも、ぜひひとつこういった点にも目を向けていただきたいと思うわけでありますが、ひとつ外務大臣から一言その御見解を伺いたいと思います。
  148. 池田行彦

    ○国務大臣(池田行彦君) 水野委員指摘のとおり、イーストウエストセンターは大変長い伝統もあり、またすぐれた業績も上げているシンクタンクでございます。もう大分前のことでございますが、私自身もそこで行われたシンポジウムに参加した経験もございます。  そういったことで、我が国といたしましても、一九七八年からでございますが、このセンターにございます太平洋島嶼諸国開発計画というものに対しまして支出をしてきております。九六年度、今年度におきましても、昨年度は二十五万ドルだったわけでございますけれども、それを御指摘のように四十五万ドル、まだ少ないじゃないかというおしかりがございますけれども、四十五万ドル拠出するということを予定している次第でございます。  今後ともこういったすぐれたシンクタンク、これは内外を問わずそういったものを活用しながら、例えばきょう御議論ございましたODAの有効な実施というような面でもいろいろ役立つ、そういうことでございますので、今後いろいろ考えてまいりたい、さらにこういった方面にも力を入れてまいりたいと考える次第でございます。
  149. 水野誠一

    ○水野誠一君 ありがとうございました。
  150. 田英夫

    ○田英夫君 急にきようになりまして科学技術庁にお願いをいたしまして大変恐縮でございますが、きょう朝、情報をキャッチしたものですから、急にお願いをいたしました。  それは、プルトニウムの空輸の問題であります。飛行機で運ぶ、空輸です。九月、今月開催されるIAEAの理事会でプルトニウムの輸送のために安全輸送規則を改正する改正案が採択される可能性がある、こういう情報を聞いたわけです。  この改正案というのはイギリス、フランスが中心になって進めたと思いますが、プルトニウムを入れる容器の基準を新たにきちんと設けて、その場合は空輸することができるという内容になるやに聞いているんですけれども、本当にそういう改正案がIAEAで審議をされるのか、そのことを科学技術庁はキャッチしておられるのかどうか、お答えをいただきたいと思います。
  151. 池田要

    説明員池田要君) お答え申し上げます。  IAEA、すなわち国際原子力機関でございますけれども、放射性物質の輸送につきましては、一九六一年以来、国際基準といたしまして放射性物質安全輸送規則というものをまとめてきてございまして、現在、一九八五年版が各国に取り入れられているところでございます。  今月開催される予定でございますIAEAの理事会におきましては、この従来の基準よりも厳しいプルトニウムの輸送に関します規定が盛り込まれた一九八五年版の放射性物質安全輸送規則の改正案、これが提案される予定と承知しております。
  152. 田英夫

    ○田英夫君 それは私も厳しい内容になると聞いているんですが、同時に、それに適合すれば空輸も可能と。従来、日本は船で運んでかなり国際的に問題になりましたけれども、今回はイギリス、フランスですから、ヨーロッパでの話になっているようですけれども、これが採択されればヨーロッパでは少なくとも空輸が行われるというふうに考えていいんですか。
  153. 池田要

    説明員池田要君) お答え申し上げます。  御質問でございますが一現在でもプルトニウムを空輸することは可能でございます。これは我が国の国内法制上もこのための安全基準、技術基準がございまして、これを満たせば航空機による輸送は可能でございます。  それから、英仏等欧州におきましてもプルトニウムの輸送につきましては航空機で輸送される場合があると承知しております。
  154. 田英夫

    ○田英夫君 いや、私は、例えばアメリカの場合は国内法で空輸できない、こういうことをきちんと決めている。日本の場合はその辺が実は余り議論をされないで事実上空輸ができる状態のままでいるんじゃないだろうか。私は、今回IAEAでそういうことが出てくるならば、私の意見では空輸というものはすべきでない、こういう方に日本政府は投票すべきではないかという気持ちを持っています。  「もんじゅ」のこともありました。あるいはフランスのスーパーフェニックスは、参議院の産業・資源エネルギー調査会長をしているときに参議院の調査団の皆さんと一緒に視察をしたこともあります。もう既にとまっていました。つまり高速増殖炉、プルトニウムを使うこのやり方は非常に問題があるということも国際的に定着をしていると思いますし、プルトニウムというものの危険性というものはもう国民の皆さんの間にも相当定着しているというこの状況の中で、政府が今回のIAEAのこの採択に対してどういう態度をとられるかということは極めて重要な問題だと私は思います。  私の意見は、プルトニウム政策というものをこの際「もんじゅ」の事故を転機にして考え直すべきではないかというのが私の意見ですけれども、きょうは情報を確認いたしまして、改めて時間をとってひとつ御質問をしたいと思います。きょうはありがとうございました。  質問を続けます。  あらかじめ通告をしておきました尖閣列島の問題について外務大臣外務省中心にお伺いをしたいと思いますが、今再び尖閣列島の問題が一つの焦点になってきております。  結論を先に言えば、尖閣列島が日本の領土であるということはこれはもうはっきりしているわけですけれども、国有地と私有地が島によって違う。こういうことで、今回政治団体が灯台を建てました北小島という島は私有地である、一番大きな魚釣島も私有地であると聞いておりますけれども、国有地の島と私有地の島があって、今回その私有地の島に灯台が置かれた。これに対して中国、台湾が厳しい反応をしているということは御存じのとおりでありますけれども、私有地ということになれば、その所有者が了解をすれば建造物を建てることは法律上可能だというふうに言わざるを得ないと思いますが、この点はいかがですか。
  155. 平林博

    説明員平林博君) お答え申し上げます。  田先生指摘のとおりでございます。尖閣列島、五つの島がございますが、魚釣島、南小島、北小島、それから久場島、この四つは民有地、私有地でございます。残りの大正島、これが国有地ということになっておりまして、御指摘のように、今回民間の団体が灯台を設置したのは民有地である北小島ということでございます。したがいまして、民有地への灯台の設置ということでございますので、政府としては合法的に行われた限りにおいては特段の措置を講ずることはできないということでございます。
  156. 田英夫

    ○田英夫君 同時に、国際的には非常に大きな影響があることは言うまでもないわけでありますが、その前に一つ、灯台ということになるわけですから所管は海上保安庁だと思いますけれども、これは正規の灯台と認めるのか。以前に実はこのことは大変中国との絡みの中で問題になったことがありますから、今回の問題も確認をしておきたいと思います。これはつまり海上保安庁が認知した正規の灯台ということになるんでしょうか。
  157. 山下恭弘

    説明員山下恭弘君) 御説明申し上げます。  本件灯台につきましては、七月二十五日に航路標識法に基づく設置の許可申請が提出されたわけでございますが、その後台風九号によりまして約三十度傾いたわけでございます。このため、申請者の側で八月八日に申請を取り下げているところでございます。
  158. 田英夫

    ○田英夫君 何というか、台風のおかげというか、国際的な問題にならないで実は済んだわけであります。  そこで本題に入りますけれども、この尖閣列島の問題について中国、台湾が厳しい反応を示している。そうしたことの中で、去る七月二十二日にこの問題について協議するために総理官邸で関係省庁による打ち合わせ会議が行われたという報道がありますが、これは事実でしょうか。
  159. 平林博

    説明員平林博君) 新聞報道、いろいろ出ておりますが、関係省庁間で本件尖閣列島の灯台をめぐる問題につきましては、いろいろと対外状況、諸外国の反応あるいはそれに対して我が国としてとるべき対応等について、必要が起こった都度適宜関係省庁に集まってもらって連絡調整等を官邸としても行ってきております。  まことに申しわけないことではございますが、個々の打ち合わせ会議の具体的な内容、そういうことにつきましては、大変機微な点もございますのでお答えを控えさせていただければ幸甚と存じます。
  160. 田英夫

    ○田英夫君 関係省庁全部が一堂に会するか、それぞれ個別かということはあるにしても、官邸を中心にそういう会議があって当然だと思います。  そこで、ある報道は、この打ち合わせの中で警察庁が沖縄の機動隊二百名を現地に派遣するというようなことを協議したという報道があります。これは報道ですから、新聞で報道されれば読んだ人はそういうこともあるのかと思いますが、私はこういうことがあったらとんでもないことだという感覚で改めて確認をしたいんですが、警察庁はそういうことを計画されたことがありますか。
  161. 小林武仁

    説明員(小林武仁君) お答え申し上げます。  警察は、本件について関係機関からの連絡などによりまして北小島に灯台のようなものが建設されたことは承知しております。また、これまでも、先ほどお話がございましたように関係省庁と適宜連絡調整を行いまして必要な措置等について検討を行っております。  本件につきましては、今後とも関心を持って事態の推移を見守っていく所存であります。
  162. 田英夫

    ○田英夫君 今のはそういう意味で確認をさせていただいたんですが、つまり二百人の機動隊を現地に派遣するなどという報道は誤りであるというふうに考えていいですか。
  163. 小林武仁

    説明員(小林武仁君) 先ほども申し上げましたように、警察はこれまでも関係省庁と緊密な連絡をとり、必要な措置等について検討を行っておりますが、その具体的な内容については答弁を差し控えさせていただきたいと思います。
  164. 田英夫

    ○田英夫君 国際的な影響があるからという意味で答弁を控えたいということをきょうは了承をしておきます。そういうことを計画することはあってはならないことだと思いますが、今の御答弁でそれ以上のことは申し上げないことにいたしましょう。  今回を含めて、実は尖閣列島については中国、台湾と過去にも何回か問題がありました。一九七八年にはかなり緊迫した状況が出たことは御記憶にあると思います。やはり同じように灯台が設置され、そして中国は百隻を超える漁船がその尖閣列島周辺に出動するという事態が発生をいたしました。折から、実は福田内閣の時代ですが、日中平和友好条約が締結されるかどうかという極めて緊張したといいますか、そういう状況の中での尖閣列島の事態がありました。また、平成に入りましてからも、それほどの大きな騒ぎにはなりませんでしたが、やはり灯台の問題も出ております。  今回の問題が特に政治的にあるいは外交的に非常に大きな意味を持ちますのは、海洋法条約を批准したという新しい条件が加わっている。一九七八年のときに比べると、そのすぐ後に平和友好条約が結ばれ、そして日中両国の間では完全な国交が結ばれ政府間の接触が行われる状況にあるということと、それから海洋法条約が批准をされたというこの二つのことが当時とは違う。特に海洋法条約の批准という新しい条件が加わったために、その二百海里の排他的経済水域をめぐって日中間でどう処理をするか、韓国との竹島の問題も同様でありますけれども、そういうことが新しいと思います。  そういう状況の中で政府としては、海洋法条約が結ばれたことに伴う中国との尖閣列島をめぐる対応をどういう方針で進めようとしておられるのか、聞かせていただきたいと思います。
  165. 加藤良三

    説明員加藤良三君) 海洋法条約の批准に伴いまして、中国との間の経済水域画定交渉、漁業交渉等、これを過般の四月以来開催いたしてまいっております。私どもといたしましては、海洋法条約のもとで結局公平な解決というものがその話し合いを通じて得られるということが眼目とされている、この点に沿いましてそのような合意が得られるよう、中国との交渉というものをできるだけ効率的に進めてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  166. 田英夫

    ○田英夫君 海洋法条約が結ばれる以前から、私も長いこと外務委員会におりましたから、海洋法条約というものにはどういう条項が盛り込まれるか、大陸棚の問題、そんなことを外務省関係者や学者の皆さんと勉強させていただいたことを思い出すんですけれども、そういうことを考えますと、やはり外交的にまず第一に領土の問題ということに対してこの際解決しようということにはなかなかなりにくい。これは大変難しいことですけれども、竹島の問題を含めて領土問題というのは大変即座にすぐに望ましい解決ということはなかなか難しいということになれば、まずやるべきことは、日中間の漁業協定であの水域での漁業をどう円滑に行えるようにするかということが日本の漁業関係者の皆さんにとっても大きな問題ではないかと思いますが、きょうはあえて農水省の皆さんにおいでをいただいておりません。外務省のお考えを聞かせていただきたいと思います。
  167. 加藤良三

    説明員加藤良三君) 御案内のとおり、現在日中間には漁業協定がございますが、その協定水域は北緯二十七度以北の水域ということになっているわけでございますが、この協定は今現在有効に存在しているわけでございます。そういう前提のもとに海洋法条約の趣旨に従いまして、旗国主義にかわる沿岸国主義でございますか、こういうようなものも踏まえた新協定というものをできるだけ早く構築、締結できますように交渉を効率的に進めたいというのが今の私どもの気持ちでございます。
  168. 田英夫

    ○田英夫君 これは非常に重要なことです。大臣、どうぞひとつ、この問題は早く円滑にということでお進めをいただきたいと思います。  もう一つ、尖閣列島をめぐる問題で経済的な問題として予想されることは海底油田の問題だと思います。これはまだ探査中という状況だと思いますけれども、しかしこの尖閣列島をめぐって非常に緊張するのは一つはこれがあるからだと言わざるを得ないわけでありまして、漁業と同時に、この海底油田の問題について日本政府としてはどういう基本的な態度で臨もうとしておられるのか聞かせていただきたいと思います。
  169. 加藤良三

    説明員加藤良三君) 海底油田ということの前提として大陸棚の境界画定という問題があり得ようかと存じます。  その大陸棚につきましては、日本は、日中間の大陸棚のように相対する国の間における大陸棚の境界画定は中間線原則によるべきであるという立場をとっておるわけでございます。それから、先生御案内のとおり、中国側はいわゆる自然延長論というものを現在に至るまで展開いたしておりまして、日中間の大陸棚については、沖縄舟状海盆と申しますか、沖縄トラフのところまで中国が主権的権利を有するということを述べつつ、他方で、衡平原則と呼ばれるものによって友好的な話し合いで解決する用意があるということも明らかにしているわけでございます。  こういった双方の立場というものを突き合わせつつ現在の交渉が継続中の段階にございますけれども、私どもといたしましては、日中間の大陸棚の境界画定が中間線原則を基本としながら日中間の話し合いによって行われるべきものである、こういう考えに基づいて対処してまいりたいと思っております。
  170. 田英夫

    ○田英夫君 技術的に非常に難しいことだと思いまずが、中間線論、それから大陸棚の延長論、これはもう初めから予想されていたことですけれども、そのとおりある意味でぶつかり合っている。しかし、一番大事なことは、もしあの周辺から海底油田が発見され採掘できるという状況が出てきたときにどうするかという腹づもりは持っていなくちゃいかぬ。そうなればますます逆に緊張する交渉になることも事実であります。  そこで、一つは、例えば北海油田の問題なども教訓になるんではないだろうか。イギリスとノルウェーで、そういう意味の今の大陸棚論のような杉で争えば大いに争える状況の中で、結局実利をとって、共同開発をして出てきた石油を分け合うという、これは一つの教訓ではないかなと思いますが、これはしかし、口で言うのは簡単ですが、いざ交渉となるとなかなか難しいかもしれません。しかし、今政府の御答弁で、原則を踏まえるということは守りながらということで私も理解をしたいと思います。  尖閣列島の問題につきましては、私も実は、先ほど申し上げた一九七八年のときにかかわり合いをした記憶がありますので大変関心が深いわけでありますが、あのときも、数百隻の中国の漁船があの周辺に出動するというさなかに、たまたま私は中国を訪問いたしましたら、耿ヒョウという中国の副首相、中国共産党の国際問題の最高責任者という人が初めて会談に出てきまして、あの問題は、漁船があそこに出てしまったのはたまたま偶発的な問題だということを言いまして、偶発的かどうかということはその後随分議論になりましたけれども、いずれにしてももう引き揚げると。事実、その翌日、一九七八年の四月十五日に私は会いまして、十六日には引き揚げました。そして同時に、この問題は、領土問題ということは非常に微妙な問題であるからしばらく棚上げしょうじゃないかという提案を一小政党の代表団の私にそう言われました。  それで、帰りましてから園田外務大臣に御報告をいたしまして、政府間の正規の国交がまだなかったわけでありますけれども、国交といいますか平和友好条約は結ばれていなかったわけでありますが、外交ルートによって円満に平和裏に今日まで至った。  こういう経緯がありますから、ぜひとも日中の友好を損なわない形で、しかも日本のこの主張の原則を守りながら進めなければいけないというなかなかの難題であることは事実ですし、また台湾も一つの主張をしているわけですが、日本政府台湾は中国の一部であるという原則を持っているわけですから、台湾との間の漁業についての話し合いをどう進めるかということも、既に民間では始まっているようでありますけれども、なかなか微妙な問題だと。この辺の解決をひとつ大臣に、御答弁要りませんから、十分お考えをいただきたいということをお願いして、終わります。  ありがとうございました。
  171. 栗原君子

    栗原君子君 新社会党・平和連合の栗原君子でございます。  実は、去る八月十九日の日でございますけれども、防衛施設庁というところから関係の市長あてに「空母インディペンデンス艦載機の着陸訓練について」、こういった文書がおりてまいりました。とりわけ、この中には、硫黄島における着陸訓練、あるいはまた三沢、横田、厚木など、そういったところで夜間訓練をする、こういった中身のものでございます。  派遣機種といたしましては、FA18戦闘・攻撃機ホーネット、あるいはまたEA6電子戦用機プラウラー、F14戦闘機トムキャット、そういった機種四十機が訓練をする。さらには、これに対しましてパイロット及び地上要員三百名から四百名が加わる。こういったものでございます。  特に、ここできよう私は厚木の飛行場に関しまして質問をいたしたいと思っております。  九四年以来一大変これは近ごろない最大の訓練であるということが言われておりまして、特に夜間離発着訓練いわゆるNLPは、空母の出航直前にパイロットの習熟度を高めるために行われ、有事の際、敵のレーダーをかいくぐりながら相手のレーダー基地や対空砲火の基地を攻撃して制空権を確保するための訓練と言われているわけでございます。  地位協定により、米軍用機は日本の航空法による最低安全高度の制限を受けないので、厚木基地周辺の住民または市民は耐えがたい爆音にさらされまして、さらにまた墜落事故により命や人権が無視され続けてきたわけでございます。  そこで、厚木基地のこのNLPは周辺住民に過酷な被害を及ぼしておりますが、今後は厚木でなく全面的に硫黄島で実施をしていただきたい、こういうお願いをするものでございますが、これについては防衛庁長官いかがでございますか。
  172. 諸冨増夫

    説明員(諸冨増夫君) お答えします。  硫黄島におきますいわゆるNLP、艦載機の着陸訓練につきましては、現在、厚木飛行場の代替施設として三宅島に設置するまでの間、同飛行場の騒音の軽減を図るための暫定的措置として日米間で合意されておるということは先生御案内のとおりでございます。  私ども、現在、平成九年以降硫黄島における本格的な訓練が開始されて以降、厚木における訓練は大幅に減少しておるということで、地元の方々に対して私ども政府側の努力もいろいろ御評価いただいているというふうに考えておるところであります。  一方、現在の硫黄島における訓練というのは、やはり厚木飛行場からの距離が約千二百キロメートル離れておるところでございます。したがいまして、在日米軍のいわゆる即応態勢とかあるいは天候が急激に悪化したというような場合を考えますと、どうしても訓練の全部を硫黄島に持っていくことは非常に難しゅうございます。  したがいまして、私どもとしては、従来米軍とできるだけ多く硫黄島の方に持っていくように折衝はしておりますが、今申し上げましたような理由で、やむを得ない部分をどうしても厚木で継続的にお願いせざるを得ない、このような状況でございます。
  173. 栗原君子

    栗原君子君 八九年から四年間かけまして、いわゆる国民の血税でありますものを思いやり予算と称しまして使いまして、百六十八億円かけてこの立派な訓練場ができているわけでございます。だから、そこに行けということをなぜもっと強く言うことができないのでございましょうか。  硫黄島に行きますと、夜間も存分できるわけでございます。それから、騒音の苦情はもちろん出ません。それから、直ちに訓練もできますし、出発地の天候なども心配しなくていいわけでございます。そしてまた、自衛隊もそこにはいるわけでございますので、整備の心配などしなくていい。もう本当にこれは硫黄島に行けば十分な訓練ができるのでございますけれども、なぜそこを強く言うことができないんですか。防衛庁長官、最高の立場として長官から私は答弁いただきたいんですけれども。
  174. 諸冨増夫

    説明員(諸冨増夫君) 事務的な点で先にちょっと答弁させていただきます。  それから、先ほど私読み違えまして、平成九年と申し上げましたが、平成五年の九月以降ということで訂正させていただきます。どうも申しわけございません。  今先生指摘の、いわゆる全部硫黄島へ持っていけないのかという御指摘でございますが、先ほども申し上げましたように非常に距離が離れておるということと、それから即応態勢等の面ということを申し上げましたが、これは硫黄島で訓練をやりまして、いろんな機材を持っていってそこで航空機の離発着訓練をやります。それが終わった後、その機材をもう一度厚木の方に持って帰ってまいります。そこで硫黄島で使いました機材を整備点検いたしまして、それを航空母艦が出航するまでに間に合わせて航空母艦に積み込むというような作業が行われます。したがいまして、その間パイロットは、厚木で機材の整備が行われているような間はどうしても一部やらざるを得ない。これはいわゆるタイムラグといいますか、千二百キロという距離がございます関係でそういうことが一つございます。  それから、先ほども申し上げましたように、計画していたところ硫黄島に台風等の天候不良があったというような場合には、どうしてもそのパイロットのいわゆる出航までにそういう訓練を終わっておく必要がございますので、そういう意味で即応態勢を維持するために何とか、今硫黄島で暫定的にやっておりますが、一部は厚木の方で御負担をお願いしておると、こういう事情でございます。
  175. 栗原君子

    栗原君子君 実戦になりますと、それはもう何カ月でも出ていかなければいけないわけでございますから、普通のサラリーマンみたいに朝出て夜帰るような訓練ということにはならないと思うんですけれども、もっと強く言えると思いますけれども。  さてそこで、実は周辺七市におきましてはこういったことがこの間ずっとあったわけでございまして、その都度、外務大臣あるいはまた防衛庁長官、それから防衛施設庁長官、在日のアメリカ海軍司令官、そういったところにやめてくれと、こういった要請をしているわけでございます。  ここに町田市が先月、八月二十二日に出したものがございまして、もちろん、おいでいただいています池田外務大臣も臼井防衛庁長官にも伝わっているものでございますが、こういったものを毎回のように出す、毎年また出すんだと言っておられます。しかし、それに対して全く回答が来ない。市とすれば公文書として出すものなのに、国の方では回答を一切よこしてくれないと、こういうことを言っていらっしゃいますが、これはなぜなんですか。なぜ公文書に対して公文書で回答することができないのか、これをお答えいただきたいと思います。  それで、やっとことしの三月四日の日でございましたけれども、米軍の厚木司令官の名において英文の回答の文書が来たという報告を受けておりますけれども、その間、昨年は四回この中止の要請を出したと言っています。さらには、ことしになりましてからも四回中止の要請をしているんだけれども、全く回答がないという。なぜ回答ができないのか。これはどなたですか、防衛庁長官、答弁をお願いしたいと思います。
  176. 諸冨増夫

    説明員(諸冨増夫君) ちょっと御質問の趣旨を私ども取り違えておるかと思いますが、地元からのいろんな御要請に対しては、私ども防衛施設庁としては誠心誠意おこたえしておるところでございますが、米軍に対して直接あるいは抗議が行われるような場合には米軍の方で一応処理しておりますので、その間の事情はちょっと私ども調査してみないと何ともお答えできないところでございます。
  177. 栗原君子

    栗原君子君 市の担当者の方からはそのように受けております。全く回答がないということでございます。  そこで、町田市役所からいただいた資料を見てみますと、昨年、九五年なんですけれども、一月には七百六十回やっておりまして、一番多いときでしたら昨年七月は九百回、月に九百回ですよ。年間トータルいたしまして一番少ないときでも二百四十回あるいは二百七十七回。五千八百二十五回この厚木の上空を飛んでいるわけでございます。そのことによりまして住民の人たちからも大変苦情が出ておりまして、特にこの夜間の離発着訓練はちょうど夕食時でございまして、休息時間のときなんですね。家族の会話ができない。あるいは団らんの時間であるけれども、テレビを囲んでの団らんの時間を保つことができない。さらには難聴あるいはまた耳鳴りとか頭痛、肩凝り、高血圧、心臓の動きがひどいとか、胃腸病とか、赤ん坊がおびえるとか、そういった苦情がたくさん出ているんです。こういう住民の人たちからも叫びがあるわけでございますけれども、これでもまだ硫黄島へ行けということが言えないんですか。
  178. 諸冨増夫

    説明員(諸冨増夫君) 先ほど御説明いたしましたような事情で、現在でも厚木基地において二百数十回のNLP訓練が行われていることは先生指摘のとおりでございまして、地元の方々に私ども非常に御迷惑をおかけしているということは重々承知しております。  しかしながら、この厚木飛行場におきます訓練というのは日米安保条約の効果的な運用にとって必要不可欠なことでございまして、私どもとしてはその騒音の軽減というのも一方では重要な課題であると考えております。したがいまして、常々こういう騒音の軽減が何とか図れるように米側の理解と協力を求めながら地元の方々にも御理解を求めておると、こういう状況でございます。
  179. 栗原君子

    栗原君子君 地元の方々に御理解を求めているという答弁でございますけれども、御理解を求めていても御理解なさっていらっしゃらないんですよ。これどうするんですか。住民のそうした命とか人権とか権利とか生活とか、それを大事に考えていらっしゃるんですか。その上にさらに安保条約を大事に考えていらっしゃるんですか。どちらが大事なんですか。それをお答えいただきたい。これは防衛庁長官にお願いします。
  180. 臼井日出男

    ○国務大臣(臼井日出男君) 今、諸冨防衛施設庁長官の方からお答えを申し上げましたけれども、硫黄島においてNLPを実施いたすようになりましてから、先生御承知のとおり、厚木で実施をするものにつきましては出航直前、練度維持のために、非常に空母に着艦をするというのは練度が必要でございまして、極めて短い期間の間で着艦訓練をいたしませんとライセンスが取り消される、こういうふうなこともございまして、遠隔地の硫黄島でできない、あるいは空母甲板が修理をするような状況、こういう状況の中でやむを得ず厚木を使わせていただいている、こういうふうなことを伺っております。  委員お話しのとおり、周辺の皆様方の騒音軽減というものに私ども努力をしなければならない、こう考えておりまして、折に触れて、騒音の増加になるような状況のときには、私どもも自主的に米側に対して自粛の要請もいたしているわけでございます。今後とも周辺の皆様方には、極力騒音軽減というものを心がけるように努力をいたしていかなければならないと思うわけでございますが、いずれにいたしましても、現在行われている厚木のNLP等をゼロにするというのは極めて私ども難しいように感じております。  今後とも、先生のお話もございましたので、引き続き騒音を極力抑制するように米側とも話をしながら努力をいたしたいと思います。
  181. 栗原君子

    栗原君子君 自粛の要請をこの間ずっとしていらっしゃったんだろうと思うんですが、それが聞けないんですよ。言いようが悪いとは思いませんか。そうではないんでしょうか。  それから、今世界は軍縮に向かっていっている時代だと思うんですね。そして、仮想敵国も近辺にはそう見当たらないような状況の中で、硫黄島にも思いやり予算を百六十八億も使って整備をし、そしてさらには本土内でもやるということでは、結局は施設の拡充にしかなっていないと思うんですけれども、そういうことは思われませんか。どうですか。
  182. 諸冨増夫

    説明員(諸冨増夫君) ちょっとお答えになるかどうかあれでございますが、過去の実績を申し上げますと、厚木周辺においては年間三千回を超えるようないわゆるNLPの離発着がございましたが、現在、例えば平成年度の例で申し上げますと、硫黄島ではNLPの訓練が四千七百三十回行われておりまして、厚木では先ほど申し上げましたような理由で二百四十回行われているということで、私どもは、九〇%以上といいますか九〇%近い回数を硫黄島の方で米軍の方に強く申し入れて実施させておる、こういう状況でございます。
  183. 栗原君子

    栗原君子君 九〇%近い実施を申し入れているんでしたら、あともう一息で一〇〇%になるわけですから、さらに強くよろしくお願いいたします。  さらに、ここでもう一つ沖縄の問題について少し触れさせていただきたいと思います。  沖縄の大田知事が代理署名を拒否した理由、根拠、憲法で保障されている平和的生存権と財産権が沖縄では長年にわたり著しく侵害されてまいりました。県民の生活と権利を守ることが自治体として県の自治権の行使ということでございます。  そこで、八月二十八日の最高裁の判決はこれらを私は無視していると思います。安保条約上の義務履行を事実上最高の公益とし、どんなに基地が密集しようと、どんなに住民の生活や権利が、暮らしが奪われようと、破壊されようと、基地提供の権限が政府にあるとの立場に立っていたと思います。  そこで、外務大臣国民の生命や人権、生活がどのように奪われ、破壊されようと、ひたすら憲法の上に安保条約を置き、米軍の要求に応じることこそ最高の公益であるとお考えなのでしょうか。
  184. 池田行彦

    ○国務大臣(池田行彦君) 国民の生命、財産を守る、また安全を守ること、これが非常に大切な公益であろうと思います。そういうことを実現するためにこそ、現在の国際社会の状況というものを見ました場合に、やはり我が国の安全を守るためには日米安保条約の堅持というものが欠くことのできないことである。そういった意味で、これは委員おっしゃるような国民の生命や財産、安全を守るという観点からも大切なことじゃないかと思うわけでございます。そしてまた、安保条約の円滑な運用を図るためには、沖縄にございますものを含めまして基地の提供というものもしなくちゃいけないんだと、こう思います。  しかしながら、一方におきまして、そういうことに伴います住民の方々国民方々の御負担というものが幾ら多くなってもいいということは考えておりませんので、極力それは軽減してまいらなくちゃならない。とりわけ、沖縄の場合には長い間の歴史的な経過もございます。本当に長い間大変な御苦労を忍んでいただいてまいったわけでございますし、また現在におきましても多大な御苦労をおかけしておるわけでございますので、少しでもこの御負担を軽減することができないか、安保条約の目的達成というものとの調和を図りつつ、現在鋭意努力を傾けておることは委員御承知のとおりでございます。
  185. 栗原君子

    栗原君子君 それともう一つ、九月の八日には沖縄で県民投票が行われるわけでございます。その結果、基地の整理、縮小と地位協定の見直しを多くの県民が求めているという結果が出たといたします。政府はどのようにお考えなんでしょうか。
  186. 池田行彦

    ○国務大臣(池田行彦君) 私どもは、先ほど来防何庁長官からも御答弁ございましたし、私も御答弁申し上げておりますように、安保条約の目的達成との調和を図りつつ沖縄の方々の御負担のできる限りの軽減に努めていくという方針で努力をしておるところでございます。そういうことで今後とも進めてまいるわけでございます。  また、御指摘のございました八日に行われる予定の県民投票につきましては、県民の方々のお気持ちというものがあらわれるということで、それを注視してまいると、こういうことでございます。
  187. 栗原君子

    栗原君子君 恐らく、私は大田知事を支持する声が県民の中には多数あるのではなかろうかと思うんです。そのときに、政府の進もうとしている方向とは反対の方向に出た場合に、それでも強引に安保条約があるんだからということで沖縄県民に苦痛を与え続けるのか、苦痛をとることができるのか、私は皆さん方の手腕を拝見したいと思っています。  それから、一つは普天間の移転問題でございますけれども、先ほど同僚議員からも質問がございましたが、実弾演習場の移転問題はどこの自治体も反対だと言っております。それで、合意が得られない限り、これは実施しないんですね。
  188. 諸冨増夫

    説明員(諸冨増夫君) 地元の皆様方の、住民の方々理解を得るということは、私ども非常に重要なことだと考えておりまして、いろいろ実弾射撃の移転問題一あるいは沖縄県内におけるいろんな、SACOで決めております、中間報告で御報告しておりますようなことについての移設につきましては、何とか地元の御了解を得るために今最大の努力をしておるというところでございます。
  189. 栗原君子

    栗原君子君 地元の御了解を得るためには、どういう手段でも使って出ると考えていいんですか。それとも、民主的に話し合いで進めていっていただけるんですね。
  190. 諸冨増夫

    説明員(諸冨増夫君) 私ども、何とお答えしていいかあれですが、それこそ誠心誠意地元の理解を得るために私ども施設局がございまして、先般も防衛庁長官みずから地元に出向いていろいろお話をされたということでございまして、私ども何とか理解を得るために今最大の努力をさせていただいているということでございます。
  191. 栗原君子

    栗原君子君 ありがとうございました。
  192. 野沢太三

    委員長野沢太三君) 他に御発言もないようですから、外務省防衛庁及び科学技術庁決算の審査はこの程度といたします。  次回の委員会は来る十一日午前十時に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後六時散会      ―――――・―――――