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1996-02-15 第136回国会 参議院 決算委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年二月十五日(木曜日)    午後四時三十三分開会     —————————————    委員氏名     委員長         浦田  勝君     理 事         清水 達雄君     理 事         星野 朋市君     理 事         山崎 順子君     理 事         筆坂 秀世君                 岩井 國臣君                 海老原義彦君                 景山俊太郎君                 笠原 潤一君                 木宮 和彦君                 佐藤 泰三君                 清水嘉与子君                 陣内 孝雄君                 中島 眞人君                 長峯  基君                 松村 龍二君                 守住 有信君                 牛嶋  正君                 武田 節子君                 続  訓弘君                 寺澤 秀男君                 山下 栄一君                 朝日 俊弘君                 伊藤 基隆君                 今井  澄君                 菅野 久光君                 照屋 寛徳君                 国井 正幸君                 中尾 則幸君                 水野 誠一君     —————————————    委員異動  一月二十二日     辞任         補欠選任      未宮 和彦君     吉川 芳男君      佐藤 泰三君     尾辻 秀久君      清水 達雄君     岡  利定君      伊藤 基隆君     藁科 滿治君      菅野 久光君     栗原 君子君  一月二十四日     辞任         補欠選任      藁科 滿治君     伊藤 基隆君  一月二十五日     辞任         補欠選任      朝日 俊弘君     竹村 泰子君  二月十四日     辞任         補欠選任      照屋 寛徳君     峰崎 直樹君  二月十五日     辞任         補欠選任      峰崎 直樹君     照屋 寛徳君     —————————————  出席者は左のとおり。    委員長          浦田  勝君    理 事                 尾辻 秀久君                 岡  利定君                 吉川 芳男君                 星野 朋市君                 筆坂 秀世君    委 員                 岩井 國臣君                 海老原義彦君                 景山俊太郎君                 笠原 潤一君                 清水嘉与子君                 陣内 孝雄君                 中島 眞人君                 長峯  基君                 松村 龍二君                 守住 有信君                 牛嶋  正君                 武田 節子君                 続  訓弘君                 寺澤 芳男君                 山下 栄一君                 伊藤 基隆君                 今井  澄君                 竹村 泰子君                 照屋 寛徳君                 国井 正幸君                 中尾 則幸君                 水野 誠一君                 栗原 君子君    国務大臣        大 蔵 大 臣  久保  亘君        法 務 大 臣  長尾 立子君        外 務 大 臣  池田 行彦君        文 部 大 臣  奥田 幹生君        厚 生 大 臣  菅  直人君        農林水産大臣   大原 一三君        労 働 大 臣  永井 孝信君        建 設 大 臣  中尾 栄一君        国 務 大 臣        (国家公安委員        会委員長)    倉田 寛之君        国 務 大 臣        (北海道開発庁        長官)      岡部 三郎君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  臼井日出男君        国 務 大 臣        (科学技術庁長        官)       中川 秀直君         —————        会計検査院長   矢崎 新二君         —————    政府委員        公正取引委員会        委員長      小粥 正巳君        公正取引委員会        事務局審査部長  矢部丈太郎君        警察庁長官官房        総務審議官    山本 博一君        警察庁刑事局長  野田  健君        北海道開発庁総        務監理官     松川 隆志君        防衛施設庁長官  諸冨 増夫君        防衛施設庁施設        部長       小澤  毅君        科学技術庁原子        力局長      岡崎 俊雄君        法務大臣官房長  頃安 健司君        法務省刑事局長  原田 明夫君        外務省北米局長  折田 正樹君        外務省条約局長  林   暘君        大蔵大臣官房審        議官       尾原 榮夫君        大蔵省銀行局長  西村 吉正君        国税庁課税部長  内野 正昭君        文部省初等中等        教育局長     遠山 耕平君        文部省高等教育        局長       雨宮  忠君        厚生大臣官房総        務審議官     亀田 克彦君        厚生大臣官房審        議官       和田  勝君        厚生省健康政策        局長       谷  修一君        厚生省保健医療        局長       松村 明仁君        厚生省薬務局長  荒賀 泰太君        厚生省保険局長  岡光 序治君        社会保険庁運営        部長        兼内閣審議官   横田 吉男君        農林水産大臣官        房長       高木 勇樹君        農林水産省経済        局長       堤  秀隆君        農林水産省構造        改善局長     野中 和雄君        中小企業庁長官  新  欣樹君        労働大臣官房長  渡邊  信君        労働省婦人局長  太田 芳枝君        労働省職業安定        局長       征矢 紀臣君        労働省職業能力        開発局長     伊藤 庄平君        建設大臣官房長  伴   襄君        建設省都市局長  近藤 茂夫君        建設省河川局長  松田 芳夫君        建設省道路局長  橋本鋼太郎君    事務局側        常任委員会専門        員        貝田 泰雄君    説明員        会計検査院事務        総局次長     中島 孝夫君        会計検査院事務        総長官房総務審        議官       深田 烝治君        会計検査院事務        総局第一局長   山田 昭郎君        会計検査院事務        総局第二局長   森下 伸昭君        会計検査院事務        総局第四局長   五十嵐清人君        会計検査院事務        総局第五局長   平岡 哲也君    参考人        日本下水道事業        団理事長     木内 啓介君     —————————————   本日の会議に付した案件理事補欠選任の件 ○国政調査に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○平成年度一般会計歳入歳出決算平成年度  特別会計歳入歳出決算平成年度国税収納金  整理資金受払計算書平成年度政府関係機関  決算書(第百二十九回国会内閣提出)(継続案  件) ○平成年度国有財産増減及び現在額総計算書  (第百二十九回国会内閣提出)(継続案件) ○平成年度国有財産無償貸付状況計算書(第  百二十九回国会内閣提出)(継続案件) ○平成年度一般会計歳入歳出決算平成年度  特別会計歳入歳出決算平成年度国税収納金  整理資金受払計算書平成年度政府関係機関  決算書(第百三十二回国会内閣提出)(継続案  件) ○平成年度国有財産増減及び現在額総計算書  (第百三十二回国会内閣提出)(継続案件) ○平成年度国有財産無償貸付状況計算書(第  百三十二回国会内閣提出)(継続案件)     —————————————
  2. 浦田勝

    委員長浦田勝君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る一月十二日、大木浩君が委員辞任され、その補欠として木宮和彦君が選任されました。  また、去る一月十八日、山口哲夫君が委員辞任され、その補欠として照屋寛徳君が選任されました。  また、去る一月二十二日、木宮和彦君、佐藤泰三君及び清水達雄君が委員辞任され、その補欠として吉川芳男君、尾辻秀久君及び岡利定君が選任されました。  また、去る一月二十五日、朝日俊弘君が委員辞任され、その補欠として竹村泰子君が選任されました。     —————————————
  3. 浦田勝

    委員長浦田勝君) 次に、理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が三名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 浦田勝

    委員長浦田勝君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事尾辻秀久君、岡利定君及び吉川芳男君を指名いたします。     —————————————
  5. 浦田勝

    委員長浦田勝君) 次に、国政調査に関する件についてお諮りいたします。  本委員会は、今期国会におきましても、国家財政経理及び国有財産管理に関する調査を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 浦田勝

    委員長浦田勝君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  7. 浦田勝

    委員長浦田勝君) 次に、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  平成年度決算外二件及び平成年度決算外二件の審査並びに国家財政経理及び国有財産管理に関する調査のため、必要に応じ政府関係機関等役職員参考人として出席を求めることとし、日時及び人選等につきましては、これをあらかじめ委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 浦田勝

    委員長浦田勝君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     —————————————
  9. 浦田勝

    委員長浦田勝君) 次に、平成年度決算外二件及び平成年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、総括的質疑第二回として、各省大臣に対する質疑を行います。  それでは、これより各省大臣に対する質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  10. 吉川芳男

    吉川芳男君 自由民主党吉川芳男です。  本日は、平成四、五年度決算に対する締めくくりの総括的質疑であり、自由民主党といたしましても、参議院における決算審査重要性からいって多くの質問を申し上げたいところでありますが、質疑時間の確保が大変に窮屈な中で各会派に審議をお願いする以上、我々としても最小限の時間で我慢せざるを得ません。したがって、政府側答弁は簡潔にお願いいたします。  そこで、今国会召集日に六年度決算検査報告国会に提出されましたが、その二百二十ページに、平成年度検査報告意見表示のあった国営木曽岬干拓事業についての処置状況が記載されております。元年度報告指摘されて以来既に五年以上を経過し、今回で六度目の報告になるわけです。この木曽岬干拓の問題については、この検査報告を受けて本院の決算委員会でも多くの委員から繰り返し質疑が行われておりますが、いまだ解決に至っておりません。これまでの関係者努力は多としますが、委員会としてこれ以上放置できない問題ではないかと思っております。  そこで、以下、農水省質問いたします。  まず、木曽岬国営干拓事業について、農水省対応と今後の見通しについてお聞きしたいんです。  この事業は、昭和四十一年度に着手されてから既に三十年になろうとしております。長年の懸案であった三重愛知両県の県境問題は平成六年の六月で解決を見ましたけれども、いまだ土地利用計画策定されておらず、広大な土地は更地のままに放置されております。昨年四月の委員会では大河原農水大臣は、希望としては夏くらいまでに土地利用計画策定したいと述べておりますが、十二月の委員会農水省は、三重愛知両県に対して土地利用計画を早急に策定するよう強く要請していると答弁するにとどまっております。  そこで、お伺いしますが、いまだに土地利用計画策定されない理由は何か。また、それに対して農水省はどのような対応をとってきているのか。  もう一問あわせてお伺いします。農水省は、関係地方公共団体とともに土地利用計画が早急に策定されるよう最善の努力をすべきであると思いますが、土地利用計画策定に向けての農水省の具体的な取り組み、また策定見通しについてお聞きいたしたいのであります。
  11. 野中和雄

    政府委員野中和雄君) 木曽岬干拓の最大の懸案事項でございました三重県、愛知県の県境問題につきましては、平成六年六月に三重愛知県知事間で基本的な合意がなされました。現在、三重県、愛知県及び東海農政局で構成をいたします木曽岬干拓土地利用検討会議におきまして、両県共同土地利用計画について鋭意調整が進められているところでございますが、三重県におきます木曽岬町、長島町の町境が確定していないこともございまして、現段階ではまだ結論を得るに至っていない状況でございます。  農林水産省といたしましては、再三にわたりまして県に対しまして早期解決を図るように要請をしてきたところでございまして、その結果、町境問題につきましては木曽岬町、長島町、両町が特別委員会協議会を設置いたしまして、現在、鋭意調整を行っているところでございます。  また、昨年の十二月には、三重県知事は、当省の東海農政局長に対しまして、町境問題の解決につきましては本年度末をめどに解決を図ることとし、その後、速やかに土地利用計画策定する等、事業の完了に向けて最大限努力をすると表明されたところでございます。  農林水産省といたしましては、これらのことが確実に履行されますよう三重県及び愛知県に対し強く要請、指導をする所存でございます。
  12. 吉川芳男

    吉川芳男君 ただいま構造改善局長からこの問題の経緯及び今後の見通しについて答弁がありましたが、本件は、長年にわたる事業費投入にもかかわらず、現在に至るまでその効果が発現していないところに問題があり、極めて遺憾な事態であります。農水省としては、木曽岬干拓問題の一刻も早い解決に向けて、関係自治体を督励するなど、万全の方策を尽くしていただきたいと思います。  最後に、農水大臣決意を承って、私の質問を終わりたいと思います。
  13. 大原一三

    国務大臣大原一三君) このたび農林水産大臣を拝命いたしました大原でございます。どうかよろしくお願いいたします。  ただいま吉川委員指摘木曽岬干拓事業問題でございますが、造成している干拓地は大変広い面積のところでございまして、お金もかけている。私といたしましても、できるだけ早期に有効利用することが御指摘のとおり極めて重要であると認識いたしております。したがって、土地利用計画が早急に策定されるよう三重県及び愛知県に対して強く御要請を申し上げ、御指導すべく決意を表明いたします。
  14. 武田節子

    武田節子君 平成会武田でございます。  まず、住専問題に対する諸問題についてお伺いいたします。  住専問題については、資料が公開されればされるほど金融機関のでたらめさ、無責任ぶりには本当にあきれるばかりでございます。また、昨年来の官官接待に見られるように、何で官庁がこんなていたらくな姿になってしまったのかと思わざるを得ません。国民は正直に社会的責任を果たそうとして、一生懸命汗水を流して、少ない収入の中から税金を支払っていることを政府や官僚の方はどこまで理解しているのでしょうか。国民は余りにもいいかげんな税金の使い方に心底怒っております。国民税金は一円たりともむだにしてはいけないという謙虚な姿勢から政治も行政も始まるものと信じております。  我が国財政民間放漫経営のしりぬぐいをするほど余裕があるのでしょうか。国債累積額は二百四十三兆円です。平成年度国債発行額は、建設公債赤字公債合計で二十一兆二百九十億円です。平成年度予算の公債依存度は二八%も占めております。しかも、隠れ借金累積額が四十三兆円もございます。政府系金融機関でさえも不良債権が七千二百七十七億円を抱えております。事業に失敗した民間財政資金投入するほど余裕があるのでしょうか。大蔵大臣、お答えくださいませ。
  15. 久保亘

    国務大臣久保亘君) 大蔵大臣を命ぜられました久保亘でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。  ただいま武田さんからお話がございましたように、大変厳しい財政状況の中で、私たちは国民皆様方が負担されます税金財政資金として運営を図るわけでございますから、厳しくなければならないと考えております。国会での御審議並びに議決されました目的に従って適正に、効率的に運用されるよう全力を尽くしてまいりたいと考えております。  今、住専処理問題に関して公的資金導入にかかわってのお話であったと思いますが、この問題に関しましては、金融システムに大変大きな懸念を残す深刻な状態となっております中で、早期にこの問題を処理する金融政策上の責任から、国民皆様方税金をこの問題の処理解決のために使わせていただくことをお願い申し上げております。このことは、住専に対する債務者債務を棒引きしたり、その責任を免責したりするものでは絶対にございません。  つくられます住専処理機構は、そのことをしっかりわきまえた上で、金融システムの安定と内外の信頼を確立し、そして、ひいては預金者保護を図りつつ、ようやく明るさを取り戻そうとしている日本経済の今日の状況を一風確かなものとするために、どうしても住専問題を早期に決着させねばならないという立場から、この六千八百五十億を投入することにいたしたものでございます。皆様方の御理解を賜りますようお願いを申し上げます。
  16. 武田節子

    武田節子君 政府金融システム安定化のためとか預金者保護のためと言っておりますけれども、私は全くナンセンスな話だと、こう思っております。  平成五年九月二十一日に公定歩合が二・五%から一・七五%に引き下げられました。それ以来、二年半にわたって預金者は低金利に耐え抜いております。平成五年九月二十一日の金利引き下げについて、日本銀行は、未曾有の低金利が弊害をもたらすことのないよう細心の注意を払いつつ、当面、今回の措置を含む金融緩和累積的効果が速やかに浸透していくよう適切な政策運営に努める所存であると。このときの措置でさえも未曾有の低金利と言明されておりますけれども、その後、平成七年四月十四日に一・〇%、同年九月八日には〇・五%と二度にわたって金利引き下げを行っております。  これらの二度の引き下げが、全くゼロに近い超低金利による預金者を犠牲にして、金融機関救済にあることは業界の常識であります。この間、預金者、特に年金生活者に与える影響ははかり知れないものがございます。何しろ、一千万の定期預金でも、〇・六五で、それから税を引かれると四万ちょっとの金利しかもらえないといった状況にございます。しかも、財政資金投入預金者保護のためと言われているのでは、国民はなめるなと言って、この間の女性新聞にも、「国民をナメルな」という集会をやっておりますけれども、非常に怒っております。  大蔵省は、この二年半にわたって、具体的に、いつ、どのような預金者保護の対策を講じてきたのですか、御説明ください。
  17. 久保亘

    国務大臣久保亘君) 今日、低金利が続いておりますことが、景気回復のための金融政策としてとられた措置である一方、今御指摘になりましたように、年金生活者等に対して大変深刻な影響を与えておりますこともまた御指摘のとおりでございます。  したがいまして、政府といたしましては、これを福祉政策の面でカバーしてまいりますために努力をいたします一方、また民間金融機関等におきまして、金融商品開発など、この低金利時代年金生活者等を守るそれらのことについても努力が行われておりますが、しかし及ぼす影響が大きいことは御指摘をまつまでもございません。これらを政策面でどのようにカバーしていくかということが非常に重要なことだと考えております。  金利そのものにつきましては、これは日本銀行所管事項でございまして、私が金利をどうするというようなことについて申し上げる立場にございませんことは、御理解を賜りたいと思います。
  18. 武田節子

    武田節子君 政府住専処理は余りにも金融機関救済一辺倒過ぎると思います。しかも、第一次、第二次再建計画から始まって今回の公的資金導入まで、余りにも国が介入し過ぎていると思います。第一次、第二次の大蔵省介入の失敗が不良債権を増大させ、ますます解決を困難にいたしました。  それで、今度の住専処理法案は、相変わらず金融システム預金者保護のにしきの御旗を掲げて、第二次損失以降も財政資金投入低利融資政府保証等、底が見えませんで甚だ危険に感じます。  一方、金融機関においてはいまだ責任のなすり合いで、これ自体政府住専処理スキームが軟弱なことを意味していると思います。ノンバンクの住専不良債権処理は、どこまでも金融機関に自主的に対処させるべきだと思います。金融機関に当事者としての確固とした責任の自覚がない限り、金融システムのモラルの回復もあり得ません。安定化は雲の上の話になってしまいます。現在の政府処理スキームも撤廃し、税金を払わない方法での処理案を再検討すべきと思いますが、いかがでございましょうか。
  19. 久保亘

    国務大臣久保亘君) 今日この住専問題の処理、つまり不良債権の象徴的、喫緊の課題となっております住専不良債権処理いたしますことは、これは早期解決を求められる深刻な問題となっているのでございます。  私どもは、公的資金導入することが当然のこととして考えているのではございません。この段階においてこの問題の処理を全力を挙げて政府責任として行わなかった場合どうなるかということについてもいろいろと検討をいたしました末、また民間の企業の問題でありますからこれは法的処理にしたらどうかという御意見もございますが、そのような処理を行った場合にどのような結果が予測されるか、そういったようなことをも検討いたしました上、今日早期処理を迫られている、この将来の国益を考えました場合に、このことを放置すればますます傷口が大きくなり、国民皆様方に御負担をいただくことがさらに大きくなるおそれなしとしない、そういう中での政策の選択でございましたことを御理解賜りたいと思います。
  20. 武田節子

    武田節子君 その辺がなかなか理解できないのですけれども。  政府は、今回の住専不良債権問題が処理されることによって金融システム安定化し、景気回復につながると説明しておりますけれども、専門家筋によりますと、不良債権処理は単なる金融機関救済のみで景気への効果は余り期待できないというのが実情のようであります。  不良債権金融機関ばかりではないのです。バブルという狂乱経済によって、当時住宅を建てた一般国民も高い物件を買い、その結果、バブル崩壊後は、売却しようにも四分の一ぐらいに価格が下がり、売ればローンだけが残るという状況で、にっちもさっちもいかなくなっているのが実情でございます。  私の知人も、一億九千万円の物件を買い、今五千万円に暴落して、退職金で三千万円返済しても焼け石に水です。現在、高額ローンを夫婦、家族が必死になって支払っているわけでございますけれども、このような例は投書欄にもたくさん掲載されております。  また、民間企業においても、まじめに事業を行っている建設業、不動産業においても、バブル崩壊によって資産価格の目減りによって不良債権を抱えているのが実態でございます。それでも倒産だけは避けたいということで必死に働いております。特に固定金利で借りた人は悲惨でございまして、その証拠に、昨年は史上空前となった倒産件数が一万五千百九件、負債額が九兆二千四百十一億円が如実に示しているのでございます。  したがって、民間の個人企業の不良債権が克服されない限り、銀行の不良債権処理のみでは何ら景気がよくならないのは当然でありましょう、民間企業自体に体力がなくなっているんですから。大臣、いかがでございますか。
  21. 久保亘

    国務大臣久保亘君) もし誤解がいろいろな御批判の中にあるとしますならば、私どもの御説明申し上げます努力が足りないのかもしれませんが、この住専問題処理投入いたします公的資金は、住専に対する債務の履行を怠っているものを一人たりとも、一円たりとも免責するものではないということを申し上げてまいりました。十三兆の債権全部を対象にして強力な回収を行わなければならないということでございます。  また、今日のような深刻な状況に立ち至りましたことについての責任は、債務者住専の経営者、母体行の経営者、そして金融機関として農協の系統金融機関の経営のあり方を今後どう考えるかという問題もございます。  また、その時々に的確な判断を監督官庁として下せなかった行政の責任、政策の決定に当たっての政治の責任、こういった問題がきつく問われなければならない問題であると思っております。  私どもは、住専問題の処理の方針を提案いたしますに当たりまして、内閣として積極的な情報の開示、強力な債権の回収、そして責任の明確化ととるべき責任をきちんととらせる、法的責任については徹底的に追及する、そういうことを通じて国民の皆さんの御理解を得つつ、この問題を終局させなければならない、このように考えたのでございます。  また、対外的にも、既に昨年の十月のG7において武村前大蔵大臣が年内、昨年の年内であります、に対策を樹立することを日本側の方針として説明されており、私が一月二十日に参りましたG7においても我が国のとります住専問題処理方策について説明をいたしました。このことに対してG7各国においても理解を示し、その成果が上がることを期待されていたと受けとめております。そして、この住専問題の処理方策が政府において決定を見る段階においてジャパン・プレミアムは〇・五から〇・一を割りまして、今日ではもう間もなくジャパン・プレミアムは完全に解消するという段階まで参っております。  私どもは、全般的な将来にわたっての国益を考えながら、この問題に真剣に、そしてこれを先送りしてさらに傷口を大きくすることがないよう対処しなければならないと考えているのでございます。
  22. 武田節子

    武田節子君 徹底した責任追及を行っていただくことはもう本当に当然中の当然でございますが、それでもなおかつ理解ができない部分が多うございます。  ここで、中小企業の実態から少々お尋ねしたいと思いますけれども、バブル以降、平成元年から七年までの企業の倒産状況を見ますと、倒産件数が八万二千二百二十七件で、そのうちの中小企業は八万一千六百四十四件となって、実に九九・三%を中小企業が占めております。また、倒産した企業全体の負債額は何と四十兆六千九百六十九億円で、そのうちの中小企業の負債額は二十二兆九千九百、約二十四兆でございます。中小企業の負債額が五九%を占めております。  我が国の経済を預かる主要閣僚のお一人として、この数字を見て大蔵大臣はどのように思われますか。また、中小企業庁長官の御意見も伺いたいと思います。
  23. 久保亘

    国務大臣久保亘君) 中小企業は、御発言ございましたように、日本の企業の中で企業数としては九九%を占めると思っております。また、中小企業に就業いたしております勤労者の数は四分の三を超えるのだと思っております。  中小企業が活力が出てこなければ、ここに景気回復の実感が受けとめられる状況にならなければ、本当の意味で日本の景気が回復してきたということにならないのだと思っております。  そのような意味で、昨年の九月の景気回復を目的といたしました経済対策におきましても、中小企業対策費、特に高利の債務で苦しんでおります債務をどうするか、債務金利をどうするかというような問題を含めて二千億余りの補正を組ませていただきました。  また、これからも中小企業振興のための対策は、私の立場で申しますと、予算面においても積極的な取り組みが必要であろうと考えております。
  24. 新欣樹

    政府委員(新欣樹君) 先生、中小企業の倒産対策が十分であるかという御質問がと存じますけれども、私ども全国の商工会議所など計二百六十五カ所に倒産防止特別相談室を設置しておりますけれども、その活用を図る。あるいは、中小企業金融公庫並びに国民金融公庫によります中小企業倒産防止対策貸付の活用を図る。さらに、信用保証協会による倒産関連特例保証等によりまして中小企業の倒産及び連鎖倒産防止対策を講じてきておるところでございます。  今後とも、これらの対策に万全を期してまいる所存でございます。
  25. 武田節子

    武田節子君 金融機関不良債権とこれらの中小企業の二十四兆円の負債額とはどういう違いがあるのか。それともう一つは、中小企業が倒産した二十四兆円に上る負債に対しては、倒産するときに一銭の公的資金もなされておりませんけれども、このことに対してはどのようにお考えでしょうか。中小企業庁長官にお尋ねいたします。
  26. 新欣樹

    政府委員(新欣樹君) 現在の中小企業をめぐる景況は、業況感が総じて低迷を続けているなど厳しい状況にございます。しかしながら、最近の動きとして、製造業の設備投資や昨年十月以降の生産指数の動きなどに一部持ち直しの動きが見られます。ただ、そのような中小企業の景況の持ち直しの動きも、全体としては依然として力強さを欠いておりまして、また大企業の回復に比べても大きくおくれをとっておる現状でございます。  その意味で、景気が確実に回復していくことは全国の中小企業が切に望んでいるところでございまして、日本経済の基盤である金融システムの安定を図っていただくということは、中小企業の事業環境が整備されるという観点からも大変に重要なことと認識をいたしておる次第でございます。
  27. 武田節子

    武田節子君 こんなに大変な中小企業の倒産に対して、貸し付けとか保証協会とか低利融資とかは行っていると思いますけれども、中小企業庁としては大蔵省に六千八百五十億円のような税の投入をすることを要望してはいかがでしょうか。
  28. 新欣樹

    政府委員(新欣樹君) 私ども、倒産防止対策といたしましては、先ほど御説明を申し上げましたような対策に万全を期してまいる所存でございまして、いわゆる中小企業の倒産対策に公的資金導入する考えがあるかというふうな御質問と解すれば、私どもとしては中小企業政策としてそのような措置を講ずることは考えてございません。
  29. 武田節子

    武田節子君 内容的には中小企業の負債額の方がどれほど、長い間血と汗と涙で築いてきた一切の資産も私財もすべて失って、中小企業という弱いがゆえに起きた悲劇の二十四兆円でございます。昨年の暮れなどは四十万や五十万のお金が都合つかなくて倒産した零細企業もたくさんございました。私はこちらにこそ公的資金導入をしてあげるべきだと、こう思うのでございます。  しかも、この人たちの下支えによって我が国の経済発展がなされてきたのですから、金融機関不良債権処理のためにのみの公的資金導入は差別ではないかと思うのですが、中小企業庁長官大蔵大臣にお伺いいたします。
  30. 新欣樹

    政府委員(新欣樹君) 先ほども申し上げましたように、私ども倒産防止対策には各種の措置で万全を尽くしておるつもりでございますし、また中小企業対策の基本は中小企業者の自主的努力を助長するというところにあるわけでございまして、その意味からも倒産防止対策につきましては先はどのような措置措置してまいりたいと考えておるところでございます。  また、差別ではないかというお話でございますけれども、これは、先ほど私ども申し上げましたように、このような経済環境のもとで金融システムの安定を図っていただくということは、中小企業にとりましてもその事業環境の整備を図るという観点からは大変重要なことだと考えております。
  31. 武田節子

    武田節子君 今もろもろ中小企業対策等を伺いましたけれども、私は、これら中小企業に六千八百五十億円が投入されれば一件当たり八百三十九万円の支援ができます。そうすれば、ほとんどが倒産せずに済んだことだと思っております。税の公正、公平ということから見て六千八百五十億円の導入は撤廃すべきと思いますけれども、大蔵大臣、いかがでしょうか。
  32. 久保亘

    国務大臣久保亘君) 中小企業対策の極めて重要なことは私も同感でございます。しかし、その問題と住専問題処理にかかわるものとをあれかこれかといって選択する問題ではない。私はこの重要な課題をどのように責任を持って進めるかという立場で判断すべきものと考えております。
  33. 武田節子

    武田節子君 次に、この住専処理問題に関して最も懸念されるのは納税義務の士気の低下でございます。納税拒否の運動が、明二月十六日から確定申告が始まるんですけれども、徐々にではございますけれどもそういった状況が起きております。  自社の法人税を減額納税した千葉県市川市の電気工事業の谷川さんたち四人は住専への納税を拒否する会を結成することにしています。日本消費者連盟にも同様の呼びかけを検討しております。一万円の抵抗が広がっております。一般紙の声の欄にも怒りの声がたくさん掲載されておりますし、また女性新聞の中にも「血税は使わせない」と。全水道会館で行われた「住専」に怒る市民の会の集会は三百五十人もの参加者が集まって、しかも男性が六割も占めていると。この中で、今の大蔵省銀行局長より前の局長、寺村氏あるいは土田氏等が悪い、この二人を含め五百人ぐらい監獄に入れてもらいたいとか、税金不払い運動はどうしようかとか、我々で全部預金を引き出して銀行をつぶしちゃってもいいのではないかとか、国民が総決起し国会に押しかけよう等々、こういった熱気あふれる提言をなされたこの会があったようでございますけれども、こういった納税義務の士気の低下が大変憂慮されておりますし、私も街頭演説いたしますとすごいそういった反響がございました。  これは住専に対する税金投入を撤廃し、国や地方公共団体の税に対する認識が改まらない限り広がっていくことが懸念されますけれども、法人税の減額納税運動が実際行われていることについて国税庁はどう対応されますか。また、督促しても支払わなかった場合はどういうふうになるのでしょうか。この二点についてお伺いいたします。
  34. 内野正昭

    政府委員(内野正昭君) お答えいたします。  御指摘のような状況につきましてはマスコミ報道等によりまして承知をしておりますけれども、私ども国税当局は税法に従いましてこれを適正公平に執行する立場にございます。仮に税務署等に対しまして事前に税法の定めに従わない申告ですとか、あるいは納税を行わない旨の申し立てがあった場合には、適正な申告等を行っていただきますよう理解を求めることとしているところでございますし、また今後ともそのように努力をしてまいりたいというふうに考えておりますが、それにもかかわりませず税法の定めに従いました申告ですとか納税が行われない場合には、税法の定めるところに従いまして、個々の内容に応じまして必要があれば更正等により是正するなど適正に対処してまいりたいと思います。  なお、納期限までに国税を完納しない納税者に対しましては督促状を発行することになります。それでも督促に応じない場合には的確な滞納整理を行うことになります。
  35. 武田節子

    武田節子君 このように国民が今回の処理案に対して激しい怒りを持って、せめてものこのような一万円抵抗運動を行っても、国はやっぱり血も涙もなく徴収するということなんでしょうけれども、しかも二カ月納税がおくれると七・三%、それ以上おくれると一四・六%と、サラ金並みの金利が徴収されます。今非常に金利低下して、しかも不況の中でもこの率だけは変わらないようでございますけれども、私はこれでは国民はただ馬車馬のように働いて税金だけ納めていればいいというような状況で、余りにも情けないと思います。  延滞税を七・三%、一四・六%徴収するということは余りにも酷だと思いますので、大蔵大臣、この延滞税率について撤廃も含めて検討すべきと思いますが、いかがでしょうか。
  36. 尾原榮夫

    政府委員(尾原榮夫君) ただいまの御指摘のございました延滞税でございますが、これは国税の納期限におくれて納付した方に対して課されるものでございます。  それでは、その割合はどういう考え方で成り立っているかと申し上げますと、もとより金利水準の動向を考慮して定めなければならないということでございますけれども、また一方におきまして納期限を遵守した方と遵守しなかった方との負担の公平の問題、それから滞納を防止するという観点、それからこの割合といいますのは期限不履行に対する損害賠償等の目的で課するというものでございますので、市中金利よりも高率に設定されているわけでございます。  さらにもう一つ御説明させていただきますと、延滞税がこのような性格を持つものでございますことのほかに、納税者みずからの方が計算して納付すべきことになっておりまして、そうなってまいりますと制度の安定性あるいは明確性についての配慮も必要ではないかと考えておるわけでございます。  したがいまして、今御指摘のございました延滞税でございますけれども、短期的な金利水準の動向に伴って撤廃あるいは見直しを行うという性格のものではなく、今の金利水準が本当に長期的にも定着していくものであるだろうか、あるいはこの延滞税の持っております期限内に納付していただきたいということをどう考えるか、さらには制度の安定性をどう考えるかというように、より長期的な観点から判断すべき性格のものであるということで考えているわけでございます。
  37. 武田節子

    武田節子君 住専問題についての最後ですけれども、とにかく国民は怒っておりますし、九〇%近くの人が反対しております。過日の集会でも、一月二十五日に全水道会館で住専問題に怒る市民の会の結成があって三百五十人の人が集会した。絶対に許せない、自分たちに何ができるか。今の大蔵省銀行局長より前の局長、寺村氏、その前の土田氏が悪い、この二人を含め五百人ぐらい監獄に入ってもらいたい、税金不払い運動はどうか、国民総決起して国会に押しかけようなどの提案があったわけでございます。  大変申し上げにくいのですけれども、久保大蔵大臣は、本来ならば今回の住専処理問題ではむしろこちら側について、この六千八百五十億円については恐らく先頭切って反対抗議されたことと思います。私は、議員生活の前に直前まで小規模企業で働く女性の労働運動を連合の女性の皆様と一緒に闘ってまいりました。  大臣は、今お立場が百八十度変わったところに信念まで変わってしまったのかと思うと、まことに残念でございますけれども、いや、むしろ今大臣は針のむしろに座っておられるようにお見受けして、お体におさわりになるのではないかとも心配して、一日も早く解散総選挙して民意を問うべきと思いますけれども、いかがでございましょうか。御所見を伺いたいと思います。
  38. 久保亘

    国務大臣久保亘君) 大変お心遣いをいただきましてありがとうございます。  私は、この住専の問題につきましては、G7で各国の方々の意見も伺う中で、そして大臣の任務につきましてから連日この問題について考え、いろいろな資料も検討をいたしました。今、この問題に対する税金を巨額に使わせていただくということの私にとりましても痛みがございます。  しかし、このことを今やらなかったらどうなるか。そのことは政治家の一人として真剣に考えなければならないことだと思ってまいりました。そして私は、今日提案をいたしております住専問題処理策が今日考えられるベターな方策ではないだろうか、そのように思ってまいりました。したがいまして、私も政治家としての責任をかけてこの問題と取り組み、国民皆様方の利益を守るために全力を挙げたいと決意をいたしております。
  39. 武田節子

    武田節子君 大変お悩みになられたことは理解できますので、またしっかりとよろしくお願いいたします。  次に、学生の就職問題についてお伺いいたします。  雇用失業情勢については、今日まだまだ楽観は許されない状況にございます。ところで、一月三十一日、労働省は今春卒業予定者の就職内定状況を発表しましたけれども、その内容についてどうなっているのか、お伺いいたします。
  40. 征矢紀臣

    政府委員(征矢紀臣君) 今春卒業予定の新規学卒者の関係の内定状況でございますが、高校の新卒者の方々につきましては、十二月末現在におきまして八三・四%でございます。前年同期に比べて二・一ポイント下回っております。大学等の関係者につきましては、十二月末現在で、大学につきましては八一・七%、前年同期に比べて四・二ポイント下回っております。短大につきましては五六・五%、前年同期に比べまして九・六ポイント下回っております。専修学校につきましては、これは七八・四%で、前年同期に比べて二・九ポイント上回っております。  以上のような状況でございまして、今春卒業予定の新卒者の就職環境は極めて厳しい状況にあるというふうに考えております。
  41. 武田節子

    武田節子君 今お話を伺いましたように、特に短大等に見られるように女子学生の就職が厳しい状況にございます。採用する側の女子差別が女子学生の就職を妨げるというようなことは許されないし、それをなくすための均等法改正などに向けた努力が必要であると思います。  お茶の水女子大の篠原教授は、今日のように状況が厳しいときこそ均等法が女性を助けなければならないのに何の役にも立たない、施行十年で均等法の無能ぶりがはっきりしたと指摘されて、均等法の実効性について問題提起されております。  一方、内定率を見ますと、男子に比べ女子は厳しいとはいえ、理系などはその差は縮小しております。また、ただいまお話のように、専修学校では昨年より女子は内定率が上がっているなどの特徴が見られますけれども、この点について文部省はどのように分析されておりますか、お伺いいたします。
  42. 雨宮忠

    政府委員(雨宮忠君) 今、先生御指摘のように、大学の四年制を例にとった場合に、文系と理系を大ざっぱに比較した場合に、やや理系の方が有利だという状況がございます。  それから、専修学校についての御指摘がございました。労働省の調査と若干数字が異なりますけれども、大づかみに申しまして、四年制などの場合の男女差に比べますと、専修学校における就職内定率の男女差、これは非常に少ないものがございます。そのような状況にあることを承知しております。  以上でございます。
  43. 武田節子

    武田節子君 昨年七月から九月にかけて四回の合同会社説明会が行われて、毎回千人が集まるようでございます。集まった女子大生の七四%、それから短大生の九一%が事務職を希望しております。しかし、企業はパソコンやOA機器の導入によって事務職は死語、もう要らない、になりつつあるようでございます。  したがって、職業観も時代に合わせて変えなければなりません。そのために教育行政、労働行政もこれに向けた対応が必要であります。今後は、どんな会社に入るのかよりもどんな職につくのかということが重要になってまいります。労働者自身も能力開発をし、専門性をより高めるということが必要になってくるのではないでしょうか。  学生自身の就業意識や就業のあり方も意識変革が必要になってまいります。働くということはどういうことなのか、働くことは生きることなのですから、どんな専門性を身につけたらよいのか学生自身考えることも必要でありますし、そういう環境づくりのための政府の支援が必要になると思います。特に中学や高校からの職業に関する教育というものが必要となってくるのではないかと思われます。  この点について、労働大臣及び文部大臣に、どのような取り組みをなされていくべきか、御決意をお伺いいたします。
  44. 永井孝信

    国務大臣(永井孝信君) 労働大臣を命じられました永井孝信でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。  今、武田先生からの御提起でございますが、現下のこの厳しい雇用情勢のもとで、学生の就職対策につきましては、御指摘のように職業の生涯全体を見据えた施策を展開しているところでありますが、またそれをより重要な問題としてこれからもとらえていきたいと決意をいたしているところであります。  このために、労働省におきましてはきめ細かな職業相談・紹介を実施しておりますが、若年者が働くことの意義を考え、職業の社会的意義、内容などを理解し、適切な職業選択を行うことを支援するためにシンポジウムの開催、高校生及びその父母等を対象とした職業講座の実施等を行っているところであります。また、女子学生につきましては、将来の職業生活を見通して大学などへの進路決定を行うことになるように、その意識の啓発のためのセミナーも行っているところであります。  さらに、こうした若年者については、大学等で学んできた知識が必ずしも就職に結びつかない場面も非常に多く見られることから、その職業能力の開発の機会が十分に与えられますように、職業能力開発に関する各種情報の提供や未就職者に対する機動的な職業能力開発を実施いたしますとともに、労働者のキャリア形成に必要な能力の開発プランの作成を専門的見地から助言するキャリアカウンセリングも含めた相談、援助等の充実強化を図ることとしているところであります。  今後とも、文部省とも十分に連携を図りながら、これらの施策を積極的に推進をいたしまして、学生の就職支援を推進してまいりたい、こう決意しているところであります。
  45. 奥田幹生

    国務大臣(奥田幹生君) このたび文部大臣を拝命いたしました奥田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  先生御指摘のとおり、卒業間近になってどこに就職しようと慌てふためくよりも、やはり中学校におきましても高等学校におきましても、在学の当時から生徒に自主的に考えさせるというようなことが非常に大事だと思っております。したがって、文部省といたしましては、例えば地域で立派に企業を営んでおられる模範的な経営者、こういうような方を学校に招いてお話を聞くというようなそういう特別な活動もやって奨励しておりますし、そういうことを通じても勤労観でありますとか職業観の育成に努めております。こういうことはこれからもますます充実してまいりたいと思っておるところでございます。  なお、先ほど来お話にございます新規学卒者の就職状況は、今申し上げましたように非常に今なお厳しい状況でございます。でございますから、前文部大臣のころから、去年の十一月でございますけれども、大学の就職担当者に初めて集まってもらって、そして新規開拓あるいはまた指導の充実を図ったところでありますが、私が拝命をいたしまして以後も、先月の二十二日から月末までの町に、日本商工会議所会頭あるいは経団連の会長、日経連の会長、中小企業団体中央会の井上会長、こういうふうな方に直接お目にかかって実情を説明すると同時に、一人でもたくさんの採用をそれぞれの組織の末端まで流してもらいたい、各都道府県の出先にまで通知をして要請してもらいたい、機関誌にも載っけてもらいたいと具体的にお願いをしまして、快く協力をお約束していただいております。したがって、これはどの程度効果がありますか、一人でも多い採用を私としても期待しておるような昨今でございます。  以上でございます。
  46. 武田節子

    武田節子君 ありがとうございました。
  47. 山下栄一

    山下栄一君 平成会山下でございます。関係大臣、大変お疲れでございますけれども、どうぞよろしくお願い申し上げます。  質疑通告の順番、ちょっと変わりますけれども、済みません、初めに下水道事業団の関係質問をさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。特に木内理事長におかれましては、急な御連絡であったと思いますけれども、お出ましいただきまして本当にありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。順番が変わりまして建設大臣に大変御迷惑をおかけいたします。申しわけありません。冒頭、下水道事業関係の御質問をさせていただきたいと思います。  下水道事業団に関連する談合事件につきまして、去年の十月三十日の決算委員会で取り上げさせていただきまして、きょうは二回目でございます。それで、私が質問しました直後にこの事件に関係いたします、これは刑事事件でございますが、東京高裁にて第一回の公判がございました。そういうこともございますので、フォローをさせていただきたいと思うわけでございます。  特に、東京高裁第一回の公判で事業団の談合事件への直接的なかかわりが明らかになったと、こういうふうに認識しておるわけでございますが、まず事業団の理事長にお伺いしたいと思うわけでございますけれども、これは前回の委員会でも申し上げましたように、木内理事長にもお答えいただいたわけでございますが、平成六年以来公取が立入検査をし、また検察の捜索もあったと。その間、事業団におかれましても十七回に及ぶ調査をされた、しかし、事業団幹部の直接的なかかわりは見つからなかったという、そういう御報告が一貫してあったわけでございます。  前回の委員会におきましても、そのことを繰り返し理事長はおっしゃったわけでございますが、第一回の公判におきまして、事業団の幹部でございます工務部元次長が事業団の関与、御自身の関与をみずからお認めになったという、そういうことが明らかになったわけでございますが、そのことにつきまして、この前の答弁にもかかわりがございますので、理事長の現在の御認識をお伺いしたい、このように思います。
  48. 木内啓介

    参考人(木内啓介君) まず、下水道事業団の今回の件につきましては、まことに申しわけなく存じる次第でございます。おわび申し上げます。  お尋ねの事実関係でございますけれども、前回も申し上げましたとおり、当事業団の内部調査には、やはり内部調査でございますので限界がありまして、事業団職員がかかわっていたという事実が確認できませんでした。しかし、今先生御指摘のように、事態が進んでまいりますと、結果として当事業団の内部調査で十分な調査ができなかったのではないかというふうな認識をただいま持っております。現在公判中のことでございますので、その推移を見てまいりたいと思いますけれども、同時に事業団としましては、既に幾つかの改善措置を講じてまいりましたが、さらに必要に応じて業務の改善を進めてまいりたいと存じております。
  49. 山下栄一

    山下栄一君 調査が十分でなかったと、それで今後もとにかく改善するということでは私は済まないと思うんですよ。木内理事長じゃございません、前理事長は国会答弁でそんなことはないということを一たん否定されたわけでございまして、それが今回の検察の指摘によりまして御本人、幹部みずからがそれを全面的にお認めになったわけでございますから、これは大変なことであると、このように私は思うわけでございます。  やはりそれは事業団として、これは公的な機関でございますから明確にそれは謝罪すべきである、こういうふうに思うわけです。と同時に、だからこの事業団の自浄能力が全くなかったということになるわけですよね。それで、もちろん内部監査体制も強化され、改善努力をされていると思うんですけれども、十七回も調査して全然見つからないと。  建設大臣にもそれ報告されているわけで、国会答弁でも報告されながらそうではなかったということが明らかになったということでございますから、やはり強力な内部監査体制をしかないと、これ電気工事関係の談合事件ですけれども、金額は一部でございますし、ほかの工事もあるわけでございますので、全体的な体質にかかわる大変な、これはもういまだかつてない公的機関の談合の直接のかかわりですから、ちょっとやそっとでは済まされないと私思うわけでございまして、その辺の御認識がちょっと甘いのではないかなと、今の御答弁を聞きながら余り責任も感じておられぬのかなというふうに思いましたもので、その辺をもう一度御答弁願うと同時に、今申し上げましたように内部監査体制の強力な改善努力を具体的にお聞かせ願いたいと思います。
  50. 木内啓介

    参考人(木内啓介君) 先生の御指摘のとおりでございますけれども、私どもの内部調査が、言いわけがましいんでございますけれども、捜査の権限もございませんので、聞き取り的な調査でありまして、前理事長さんは部下の言葉を信頼したいという気持ちもございましたでしょう。その点で、今の事態になってまいりますと調査が十分ではなかったのではないかと申し上げざるを得ないと思います。  今公判にかかっていることでございますので、実態がまだはっきりしておりませんからちょっと事態を見守りたいと思っているわけでございます。決して反省が不十分という気持ちはございませんけれども、反省の気持ちを込めまして、今後の問題、前向きの問題としましてはしっかりと方針を考えていく予定でございます。  事業団が、こういったかかる事態が再び起こらないようにどうするかという点でございますけれども、過日、建設大臣の指示をいただきました。それを踏まえて幾つかの改善措置を現に実施しております。一つの方向は、こういったかようなことが起こらないように、あるいは起こりにくいような仕組みと申しますか執行体制を考えることでございます。その点に関しましては、一般競争入札となるような大規模な工事を除きまして、事業団はすべての工事につきまして公募型の指名競争入札制度に変えました。一般の指名競争というのをなくしました。そういうふうなことで契約制度を改善しました。  それからもう一つは、地方公共団体から受託を受けるわけでございますけれども、受託と事業団が発注する業務の間の独立性を確保する、明快に線を引くというふうな措置をとってまいります。それから、予算関係の情報等につきましても、これは公にすべきものは積極的に公にし、また外部には決して言ってはいけないことにつきましては絶対言わないという区切りをきちっとするというふうな施策をとりました。  その上で、先生の御指摘ございました内部監査体制、これも十分ではございませんでしたので、それを強化するということで、まず第一点は、入札・契約手続にかかわる入札監視委員会というのが、これは平成六年の七月から入札監視委員会という外部の学識経験者の先生方を中心に入札を監視する委員会がございます。平成六年の七月から置かれておったんでございますけれども、この監視委員会委員の数を三名から五名にするとか、それから事務執行体制を強化するとか、審議案件を増加するとかいうことで、外部の先生も入っていただけます入札監視委員会を大いに活用していこうという改善も一つはしました。  それからもう一つは、事業団の中の監視委員会の事務局というふうなものを、首席考査役という監察部門の責任者をトップに据えまして、内部の監視体制の強化を図ってまいりました。それから、職員につきましては、独占禁止法あるいは非違行為の防止のための研修を義務づけるような形で実施してまいりました。こういうふうな監視・防止体制も充実してまいりたいと、既にかなりやっておりますけれども、そういう方向でおります。  なお、これから裁判とかが進んでまいります。不十分な場合にはさらに必要な措置を追加して万全を期してまいりたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。
  51. 山下栄一

    山下栄一君 ちょっと今の部分でございますが、明確にしていただきたいんですけれども、第一回の公判で事業団元幹部の方が検察の起訴事実について認められたわけですよ。今後の裁判の行方じゃなくて、同じ行政機関である検察の指摘についてこの幹部は認められているわけですから、今後の裁判とかそんなんじゃなくて、認められていないということですか、まだ認めてない、まだわからぬということをおっしゃっているわけですか。お願いします。
  52. 木内啓介

    参考人(木内啓介君) それは先生のおっしゃるとおりでございます。したがいまして、内部の調査が不十分であったというふうに考えております。
  53. 山下栄一

    山下栄一君 おっしゃるとおりって、何がおっしゃるとおりかわからないけれども、要するにかかわっていましたと、事業団の仕事にかかわったんだという御認識でよろしいんですね。
  54. 木内啓介

    参考人(木内啓介君) 裁判が続いておりますのでそういう言い方をしておりますけれども、事実関係として、職員が検察の冒頭陳述のとおりでしたというふうな感じの答弁をしていることは聞いております。
  55. 山下栄一

    山下栄一君 ちょっと、そんないいかげんな答弁をせんといてくださいよ、時間がありませんので。理事長、それは自分の理事の時代じゃないかもわからぬけれども、そんな御答弁では、これは公正取引委員会も告発し、同じ行政機関である検察庁も指摘して、自分らの内部監査では見つかりませんでしたということでしょう。そういう中途半端なとらえ方では、今、体制を改善しましたと言いますけれども、二度とこういうことを起こさないんだという理事長の強い決意が全然伝わってこないわけで、またこれは起こるかもわからぬと私は思います。これは根本的に改めていただきたいと思うわけでございます。  建設大臣にお聞きしたいと思いますが、この事件につきまして建設大臣も、裁判もございましたので、いろいろと御報告も受けられ、認識も厳しくされているとは思うわけでございますが、今の理事長の御答弁をお聞きになりながら、御感想をまず最初にお願いします。
  56. 中尾栄一

    国務大臣中尾栄一君) 権威ある参議院の決算委員会にお招きを受けまして、そしてこのようなことを聞かせていただきましたが、その前に私も御指摘のとおり省庁の担当官から今までのいきさつも聞かされたわけでございます。  特に、下水道事業団の問題云々というのは、もう既に新聞にも出たことでもございますし、同時にまた私の所属する衆議院の方でも、これはいろいろの角度で、いろいろの名前も出たり消えたり出たりというような形で、よく話題になる問題点であることは間違いございません。  そういう中で、私も非常に興味を持って聞かせてもいただきましたし、今からも、恐らく委員から見れば大変にまだ認識不足と同時に、もうちょっと詳細にわたって知悉しておくべきではないのかと、こういう御指摘もあろうかと思いますが、私の範疇の中でお答えでき得ますことは、日本下水道事業団発注の電気設備工事にかかわる独占禁止法違反事件に関しまして、元事業団職員が当該事件に関与したとして起訴をされ、現在東京高等裁判所において公判中でありますが、このような事態を招いたことはまことに遺憾であると私は思っております。  まだ公判中でございますだけに、その所管をする直接の方はなかなか言いにくい点もあろうかと思いますが、私の立場でこれはまことに遺憾として申し上げる以外にはございません。特に、公共工事の入札及び施行に関して関係法令を遵守すべき旨の指導の徹底を図っている中で起こったということは極めて遺憾でありまして、反省すべき点があることを率直に認め、認識をしておる次第であります。  このため、事業団の受託業務全般にわたって先般行った特別監察に基づく入札契約手続等の改善措置事項の着実な実施を行わしめ、一日も早く事業団に対する国民の信頼の回復を図ることが最も緊急かつ重要である、このように思っておる次第であります。  以上。
  57. 山下栄一

    山下栄一君 大臣も興味を持ってこの事件を見詰めているというふうにおっしゃったわけですが、興味持ってって、僕はそんなレベルじゃないと思うんですよ。国民の信頼回復なんて、僕は絶対できないと思いますわ。  それで、これは前理事長が元建設大臣の野坂大臣によってこれ、事実上解任されているんですね。裏切られたよ、おれはということで説明している。六回も事情聴取して、その都度そんなことございません言うて報告受けてたわけだ、大臣は。六回も聴取されたんですよ。それで結局、検察が起訴した直後に、いや直前か、事実上解任されたということですよ。  これは、下水道事業団というのは建設省の監督下にある、だからこれは監督責任は建設大臣にあると、こういうふうに下水道事業団法四十二条に書いてあるわけでございまして、だからこれはしっかりと監督していただかないと。今も理事長のお話にございましたように、まだちょっと認識が私は甘いのではないかなと思います、そういう意味で。  そんな状況で、下水道のこの生活関連の公共事業というのはどんどん今大きな位置を占めているわけでございまして、事業団のお仕事というのは大変とうとい、また大事なお仕事だと思いますけれども、事業団に対する根本的な不信感がこれはもうあるわけでございます。公的機関がこんな談合にひとつかかわっておったというようなことは前代未聞のことですから、そのことを厳しく御認識いただきたいと思うわけです。  それで、先ほど特別監察とおっしゃいましたけれども、特別監察をされたわけでございますけれども、去年の八月の初めに。その監察結果も発表されているわけですが、私は前回の委員会でもこの監察官の方に御答弁いただいたんですけれども、その段階でも、要するにこの監察を行うに当たりましては強制捜査権みたいな権限はないと。だから談合の関与があったというような事実については確認できなかったと。立入検査されたんですよ、特別監察ということで体制をしいて。だけれども、事業団の関与は見つからなかったと言って、そんな報告がされているわけです。  ということは、特別監察そのものもこれは非常に不十分であったということなわけですよ。もう一回やらさないかぬという事態だと思うんですね。だから、これは監督官庁としてどうするんだという、フォローするという、二度と起こらないようになんと言ったかてだれが信用するかということやと思うんですよ。特別監察やったけれども、起訴された後ですよ。それでもその関与は見つからなかったという報告なわけですよ。  この点いかがですか、今後の再発防止も含めまして。
  58. 中尾栄一

    国務大臣中尾栄一君) 山下委員にお答えいたします。  私も、ただいまこれに直接的に私が監督官庁の責任者として承ったわけでございますから、この委員会が去りました後、しかるべき省員メンバーを呼びまして、徹底的にこの問題は私なりに、またさらに、そのような見つからなかったというような言い方ではなく、はっきりした言い方で私は答弁も求めるし、追及もしたいと思います。  これは私が言うんですから、その点はお信じ賜ってお願い申し上げたいと思います。
  59. 山下栄一

    山下栄一君 先ほど大臣おっしゃいましたように、下水道事業団に対する、また建設省に対する国民の信頼回復のためにも、またこれは行政全般に対する信頼回復のためにも、今御決意をお伺いしたわけでございますけれども、本当にどうか強い姿勢で、中尾大臣のときによみがえったと、こういうふうになりますように、ぜひとも御指導をお願い申し上げたいというふうに思うわけでございます。したがいまして、今後の取り組みにおかれましても、もう一回、再度やり直しをも含めましてお願い申し上げたいと思います。  それで、会計検査院にお伺いいたしますが、談合によって不当利得はなかったのかという、これにつきましては市民オンブズマンですか、今いろんな形で活発に活動されているわけでございますけれども、この市民オンブズマンの方々もこの事件を非常に重視されておりまして、自治体に監査請求を行われたり、またそれがかなわない場合は直接裁判に訴えるという動きをされているわけです。  これは、もちろん検査院も四年度以降ずっと、この事件が発覚してから体制も強化して検査されたとお聞きしておりますけれども、不当利得はなかったのかどうか。談合によって価格がつり上げられて、自治体が損をしておりましたら自治体に賠償せなあかんわけでございますので、その辺の検査結果をお伺いしたい。簡単で結構でございます。
  60. 中島孝夫

    説明員中島孝夫君) 会計検査院では、日本下水道事業団につきまして、その電気設備工事の契約に関して重点的に検査を実施いたしました。  その結果といたしましては、特に予定価格の積算過大などの事態は見受けられなかったところでございます。
  61. 山下栄一

    山下栄一君 不当利得は検査のときはなかったという御認識でございますね。わかりました。  次の問題に行かせていただきますけれども、住専問題。住専並びに住専関連会社、それから住専の融資先、こういう会社に役人のOBの天下りがないか、そういう問題でございます。  特に、今回、非常に重要な立場になるであろう法務、検察、また警察関係のOBの方が、今申し上げました住専並びに住専関連会社、そして住専の融資先に天下りの事実はないかどうか、法務大臣それから国家公安委員長にそれぞれお伺いしたいと思います。
  62. 長尾立子

    国務大臣(長尾立子君) 法務省のOBでいわゆる住専の役員に天下りした例はあるのかという御質問がと思いますが、現在、当省において把握している限りでは、元当省職員が住専各社の役員に再就職した事例はないものと承知いたしております。
  63. 山本博一

    政府委員(山本博一君) 警察庁の関係でございますが、警察庁OBが現在役員などといたしまして住専各社あるいは住専の融資先企業に再就職しているという事実はございません。
  64. 山下栄一

    山下栄一君 きょうの新聞に、この住専の融資先でございますノンバンク、興英コーポレーションという会社のことが載っておりまして、ここの興英コーポレーション所有の物件にも暴力団が要するに妨害を行いまして住専をおどしていたという、そういうことで総会屋が逮捕されたというふうな記事が載っているわけですけれども、その興英コーポレーションという会社の件でございますが、この会社は日本ハウジングローンを初めといたしまして住専三社から約三百四十億円の融資を受けていた、このように新聞に書いてあるわけです。  実際、先日国会に提出されました融資先上位五十社ですか、そこにも載っておるわけでございますけれども、この興英コーポレーション、日本ハウジングローン第九位、貸出額が二百三十二億円ですか、その全額不良債権というそういう会社でございますが、この会社の会社案内を私持っているわけでございます。この中に、設立は昭和五十六年、資本金十六億円、こう書いてありまして、代表者、社長さんの名前が書いてありまして、顧問のところに前田宏という大変有名な方だそうなんですが、元検事総長が顧問として、これは会社案内ですから内部資料でも何でもなくて一般に配布されておるものだと思うんです。元検事総長といったらこれは大変な立場の方だと思うんですけれども、こういう会社案内、私、今手元にあるわけでございますが、法務大臣、この件につきまして御認識、先ほどないとおっしゃっていましたですけれども、今私の話を聞かれてどうでしょうか。
  65. 長尾立子

    国務大臣(長尾立子君) 先ほど御回答申し上げましたのは、住専各社の役員ということにつきまして私ども調査をさせていただきまして、その内容におきまして再就職という事例はないというお答えを申し上げたわけでございます。  ただいま委員の御指摘は、融資先の役員というものを相当広く含めて調査をしろという御趣旨でございますれば、少し時間をかしていただきたいと思います。
  66. 山下栄一

    山下栄一君 ということは、今私が申し上げましたことにつきましては法務省は御認識じゃなかったと。こういう興英コーポレーションという、これは日本興業銀行の事実上の子会社のノンバンクと言われているわけです。  これは先日、衆議院の予算委員会でも指摘があったわけでございますが、この会社の不良債権の実態といいますか、非常に借り手の責任が厳しく問われなきゃならない会社だと思うわけでございますけれども、この顧問の中に元検事総長が入っておられたということはもう大変なことであると思いますので、しっかり御調査をお願いしたいと思うわけでございます。
  67. 長尾立子

    国務大臣(長尾立子君) 今、調査をいたしますときの一つの基準の考え方でございますが、検察関係者は退職後弁護士として活躍をしている例は非常に多いと思います。これらが会社の顧問という意味では弁護士として契約をしているというような形になりましたケースにつきましても調査をするという趣旨と考えてよろしいのでしょうか。私どもとしては、いわば会社の経営そのものにかかわっているという範囲でございますと、先生御質問のように役員という範囲になってくるかと思うのでございますが、単に弁護士として顧問というようなことになっている場合も含めまして調査をしろと、こういう御趣旨で承ってよろしいのでしょうか。お伺いをさせていただきます。
  68. 山下栄一

    山下栄一君 大臣、ちょっと認識を、そんなに軽く考えてもらうと困るわけですよ、私ここに今事実を申し上げたわけだから。  要するにこの興英コーポレーションという、これは先ほど申しましたように借り手の責任を厳しく問わなきゃならない、日本ハウジングローン以下三社から三百億を超える融資を受けていまして、特に日本ハウジングローンの第九位に入っていて、それは貸出金額全部不良債権だというそういう会社ですから。  それでこの興英コーポレーションというのは、港建設という会社がありまして、この関連会社なんですね。港建設グループというのは、これまた興英コーポレーションとは別の形で、いわゆる港建設グループとして今度はこの上位五十社の中に出てくる会社なんですよ。例えば住総二十五位とか、第一住金は五十一位ですけれども、これも全額不良債権という、そういう港建設グループの関連会社でもあるわけです。  その会社の顧問に元検事総長が、弁護士とかそういうことよりも元検事総長がここに顧問として名前が連ねられてこれ流布しておったわけですから、この事実関係を調べないとだれが信用するかと。強力な債権回収の中心として法務、検察がやらなきゃいかぬわけですから、というのが政府の案でしょう。徹底的に先ほど大蔵大臣は回収をやるとおっしゃっていましたけれども、中心、役割を果たすのは法務、検察なわけですから、その最高責任者であるわけですから、それがこの興英コーポレーションという大変な会社の顧問として名を連ねておったということですから、これはもうこのことについて基準がどうでなくて、私がこれ委員会で言っているわけですから、徹底的に調べます、大変なことですという認識で言っていただかないとだめなんです。
  69. 長尾立子

    国務大臣(長尾立子君) 私の言葉足らずで失礼をいたしました。  私は調べないというふうに申し上げているわけではございません。事実を調べまして御報告はさせていただきます。しかし、冒頭に先生の方から役員という形でお話がございましたので、今御指摘のケース以外の者も含めまして調査をさせていただきますので、そのときに弁護士という形の者も含めて調査をするのかどうかということで申し上げたわけでございまして、今の御指摘の者は調査をさせていただいて御報告をさせていただきます。
  70. 山下栄一

    山下栄一君 私は役員とは言ってなかったんですけれども。法務、検察のOBの方が天下りしている、再就職の事実はないかということをお聞きしたわけでございますので、調べるのは法務省の一番大変な仕事ですから、ぜひとも徹底してこれは調べていただきたいと思うわけです。  この方がいつからいつまでこの立場におられたのか、また、報酬額はどれくらいあったかも含めましてきちっと調べていただきまして、国会、この委員会にでも御報告をお願い申し上げたいと思うわけですが、いかがでしょうか。
  71. 長尾立子

    国務大臣(長尾立子君) 調査をいたしまして報告をさせていただきます。
  72. 山下栄一

    山下栄一君 住専の最高責任立場でございます大蔵大臣に、今の私の指摘に対しましてのお考えをお聞きしたいと思います、強力な債権回収をせにゃいかぬわけですからね。
  73. 久保亘

    国務大臣久保亘君) 恐れ入りますが、もう一遍、よく聞こえなかったので。
  74. 山下栄一

    山下栄一君 わかりました。  これは予算関連法案の中にも住専処理法案が出てまいりますよね。そこで強力な債権回収システム、預金保険機構の中にも、また住専処理機構の中にも強力な捜査体制をしくような案が出ているわけですよね。そのかなめとなるのは法務、検察だと私は思うわけです。その最高責任にあった立場の方がこの住専の融資先、それも非常にひどい実態の借り手の中の役員として名を連ねておるという、役員というか顧問としてですね、そういう実態を私は申し上げたわけでございます。  今、法務大臣からきちっと調べて御報告申し上げますという御認識がありましたですけれども、これは今回の政府で出されたこの住専処理策の根幹にかかわることですから、それにつきましての私の質疑に対しまして大蔵大臣の御認識といいますか、お考えをお聞きしたいと、こういうように思います。
  75. 久保亘

    国務大臣久保亘君) 法務大臣が今、調べて報告するというお答えでございましたから、私の方から特に申し上げることはございません。
  76. 山下栄一

    山下栄一君 今申し上げましたように、この会社につきまして元検事総長という方が顧問として名を連ねていたわけでございますけれども、これ以外にもう本当にないのかということも含めましてきちっとお取り組みをしていただかないと、これは強力な債権回収がかぎを握る今回の処理方策でございますので、法務省だけではございませんで、先ほど警察の関係の方の方もないという事実であったわけでございますが、かなめとなる捜査の官庁でございますので、ぜひともきちっとお調べ願いたいと、このように申し上げまして質問を終わりたいと思います。
  77. 今井澄

    今井澄君 私は、きょう二点について御質問したいと思いますが、一つは昨年十二月八日に起きた高速増殖炉原型炉「もんじゅ」の事故にかかわることですが、この問題につきましては証拠隠しとかいろいろな問題があるわけで、その点もやりたいわけですが、本日は時間がないということが第一。  それから、第二には、決算委員会ですから国民の血税の使い方が適正かどうかという、そういう視点に立って一問だけ科学技術庁長官にお尋ねをしたいと思います。    〔委員長退席、理事吉川芳男君着席〕  私はたびたび当委員会でも原発あるいは特に核燃料リサイクルについて御質問を申し上げてきたわけでありますが、平成五年二月二十六日には科学技術特別委員会でも質問を行いまして、昨年九月二十七日は当決算委員会質問いたしました。  それは、高速増殖炉の開発には大変な費用がかかる。それは技術的にただ大変だから費用がかかるというだけではなく、特に危険なナトリウムをコントロールするために大変な技術力とお金がかかるということ。そういうことのために世界各国はほぼ核燃料リサイクル、高速増殖炉を断念しているということも指摘し、我が国もいち早く断念すべきではないかとたびたび指摘してまいりました。  「もんじゅ」の建設費は約六千億円と見積もられていたわけですけれども、今回の事故で本当に動かすようになるとすると何年かかるかわからない、しかも建設費は倍ぐらいになるんじゃないかと言われているわけですね。しかも、「もんじゅ」の前には実験炉「常陽」というのもつくっているわけですから、これもこの開発にお金がかかっているわけですね。さらにまた、この核燃料リサイクルのためにはプルトニウムを抽出することのための再処理施設が必要なわけで、この建設にも膨大な費用がかかっている。  昨年十月三十日の当決算委員会でも私は指摘いたしましたが、現在、六ケ所村に建設中の再処理工場、これは決算委員会で、たしか昨年見てまいりました。もう本当にびっくりするような巨大な施設が夜も明かりをつけて建設をされておりましたけれども、これも当初見積もりが八千四百億円だったのが倍以上の一兆七千億円ということになりそうだというので、電気事業連合会の方からこれでは困る、電力料金が高くなって困るということが言われているということなんですね。  こういう数々のこれまでの事実、事故、それから例えばATRは中止せざるを得なくなったということを考えると、政府としては、この際、核燃料リサイクルを断念すべきではないかということを重ねて申し上げたいのですが、これについて御答弁をお願いいたします。
  78. 中川秀直

    国務大臣(中川秀直君) このたび科学技術庁長官を命ぜられました中川秀直でございます。どうぞよろしくお願いをいたします。  今井先生お尋ねの、核燃料リサイクル政策についてるる御指摘がございました。私ども真摯にそうした御意見を伺いながら、真剣にエネルギー政策の遂行、確立に対処していかなきゃならぬと、そのように本当に思っております。しかし、御案内のごとく、資源小国の我が国でございまして、将来にわたるエネルギーの安定確保ということは、正直、五年や十年でできることではございません。  御承知のとおり、ウランの燃料の原料となる鉱石も確認埋蔵量は大体五十一年とかと言われているところでございまして、そういう意味で、その安定確保を図りながら、もしこのリサイクル政策がきちんと実行に移されるのであるならば、それはもう数百年オーダーのエネルギー源になるという観点から今日までリサイクル政策か一つは打ち立てられてきた。  それからもう一点は、案外これ議論されていないわけでございますけれども、原子力発電から発生する使用済み燃料等核廃棄物の処理処分の問題というのが必ずあるわけでございます。方法は、プルトニウム等を含んだまま直接処分する方法、ワンススルーと言っておりますが、それからプルトニウムを有用物質としてリサイクルする方法、この二つがあるわけでございますけれども、環境に対する負荷あるいはまた将来の安全ということを考えますと、やはりリサイクルという必要性も極めて高いわけでございます。  そういう意味で、いろいろと今日までさまざまな御議論をいただきながら、このリサイクル政策というものを、言い出してもう四十年ぐらいになるそうですが、我が国の基本政策としてきたというふうに理解をいたしております。  今、先生から経済性という御議論もございました。六ケ所の再処理工場についても触れられましたが、いろいろなそういう御議論も伺いながら、真剣にこれも考えていかなければならぬと、こう思っておるのでございます。  しかし、この前発表されました再処理工場の建設費が予定よりも相当増額されるということの原因は、もちろん物価上昇もございますけれども、安全対策ということをもう一回見積もりし直したその結果、より対策を充実せねばならぬということで建設費が高騰したというふうに伺っております。それが電気料金の単価に与える影響ということ、今おっしゃったコストということ、これを考えてみますと、事業者側の大まかな試算によりますと、再処理コストがキロワットアワー当たり七十五銭、これが海外の再処理でかかるコストでございますけれども、この六ケ所の再処理工場の場合はキロワットアワー当たり一円というような増加の度合いではないかということでございます。この再処理コスト増分については、今後、電気事業者が経営全般にわたった効率化、合理化の努力で吸収していく、直ちに料金にはね返るものではない、このように伺っております。  また、発電原価でございますが……
  79. 今井澄

    今井澄君 余り細かいことはいいです。
  80. 中川秀直

    国務大臣(中川秀直君) そうですか。  いずれにしても、他のエネルギー源と比較しましても、簡単に言えば九円前後でこういうキロワット時当たりのコストは原子力の場合は維持できると。いろんな試算の仕方はございますけれども、他の水力だと十三円とか火力だと十円とかということで、基本的にはこの試算の中には再処理の分、あるいはまたリサイクル政策の分、こういうものを全部計算に入れまして試算をいたしまして、「もんじゅ」の今回のこと、あるいは青森の今回のこと、再処理工場の見直しのこと、含めましても基本的には経済性は十分保たれると、こういうふうに理解をいたしております。  ただ、今度の「もんじゅ」の経験も踏まえまして、今後とも幅広く御意見を伺いながら柔軟にいろいろと検討は加えていきたいと、かように考えております。
  81. 今井澄

    今井澄君 その経済性の問題についてはまだ徹底的に議論して、私は絶対に引き合わないというふうに考えておりますので、またいずれ機会を改めてやりたいと思います。  また、エネルギー自給ということが言われますが、じゃ食糧自給はどうなのか、どっちの方が大事なのかという問題もありますし、省エネルギーの問題やクリーンエネルギーの開発に日本が力を十分注いでいないという問題等、できれば農林水産大臣や通産大臣等の御意見も伺いたかったわけですが、本日はそういうことにとどめます。  さて、この問題について会計検査院にお尋ねしたいわけでありますけれども、会計検査院は予算で決められたことが適正、適法に処理されているかということにとどまらず、特に今大きな時代の変化の中で、低成長時代あるいは税収が余り期待されない、その中で国民の血税の使い方が今住専問題を含めて大いなる議論になっているときに、こういう核燃料リサイクルに国民の血税を使うことがいいのかどうかということも含めて検査をすべきではないかと思っているんですが、そのことについてはいかがでしょうか。
  82. 矢崎新二

    会計検査院長(矢崎新二君) お答え申し上げます。  原子力政策が極めて重要な問題であることは私どもも十分承知をいたしておりまして、各種事業につきまして本院としても関心を持って検査に当たっているところでございます。  ただ、原子力政策、エネルギー政策をどういうふうに進めていくかという問題は高度の政策判断の問題でございまして、政府国会で議論をしていただくことが必要な大きな問題ではないかなというふうに考えております。  しかしながら、国費は効率的かつ時代の要請に合った使い方をしなければならないということでございますので、本院といたしましては、実施されております原子力関係の各種事業の検査におきまして、委員指摘の点を十分念頭に置きまして、効率的な実施あるいは事業目的の達成という観点から今後とも積極的に検査に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
  83. 今井澄

    今井澄君 ぜひそういった形で、戦後五十年たって大きな時代の変わり目、これから本当に根本に立ち返って私たちは国民の血税の使い方について考え直してみなければいけないと思います。  そこで、問題はちょっと小さなことになりますが、医療用食品、額としては小さくなりますが、医療用食品について厚生省、その他公正取引委員会、会計検査院等にお尋ねしたいと思います。  ちょうど今発売中の週刊誌に、「「医療食」なんて要らない!——無意味検査で年収五千万円の医療食協会理事長」という、これ厚生省の大分前のOBの方の写真が出ておりますけれども、この問題につきましては、私も実は医療の現場におりましたときからかねがね関心を持っていたというか不思議というか、何とかしなければならない問題と思っておりましたところ、実は平成六年十月二十日及び平成七年二月二十八日に参議院の厚生委員会において萩野委員質疑をされました。その萩野委員質疑を引き継ぐという形で、特にこの決算委員会、国費の使い方を議論する場として適当であると思いますので御質問をいたします。  最初、質問書をつくりまして、厚生省等の皆さん方にお渡ししたものをちょっと省略いたしまして、時間の関係もありますので、私の方からも申し上げながら質問をいたしますので、御答弁をよろしくお願いいたしたいと思います。  この医療用食品という制度は、入院している患者さんが食べる食事、それにちゃんとした栄養が含まれているということを保証するために、財団法人の医療食協会というところが認定した食事の材料を使った場合は一定の給食料の加算ができるという制度ですね。これは昭和五十三年、今から十八年前に発足した制度で、現在はそういう特定の認定された材料を使うと一日につき百八十円加算をして保険で請求ができるということになるわけですね。  そこで、そういう趣旨でよろしいと思いますが、もし間違いがあったらば訂正していただきたいと思いますが、現在その医療用食品を使っている病院は全国にどのぐらいあるのか、病院の数は一万弱だと思いますが、そしてまた診療報酬で請求している病院がどのぐらいあるのか、年間、診療報酬の請求額は総額で幾らぐらいになるのか、それをまずお答えいただきたいと思います。
  84. 岡光序治

    政府委員岡光序治君) この制度を導入したのは五十三年でございます。平成五年十二月末現在で四千三百五十二の病院で使用されております。それから、加算を請求されておる病院は三千三百四十八病院でございます。平成年度の診療報酬で支払いました加算総額は約百六十六億円でございます。
  85. 今井澄

    今井澄君 そこで、そういった含まれている栄養量がはっきりしている食品、今たんぱく質とかカロリーとか十一種類について検査をして認定されていると思うんですが、それはつくる工場の認定があると思いますし、そういう食品を扱う販売業者の認定があると思うんです。  販売業者の方についてお聞きしたいんですが、その認定はどのようにして行われているのか、また現在認定されている業者の数はどのぐらいあるのか、そしてこれは萩野委員が繰り返し指摘した独占の問題でありますが、日清医療食品というところがほとんどのシェアを持っているという話ですが、業界の中における日清医療食品のシェア、そして第二位のナックスナカムラという会社があると思いますが、そこのシェアをお答えいただきたいと思います。
  86. 谷修一

    政府委員(谷修一君) 製造工場並びに販売業者の認定につきましては、各業者の申請によりまして、薬剤師あるいは栄養士等の医療食取り扱い責任者の配置あるいは原材料の保管の状況、また医療用食品の取り扱い方法等、要件として医療食協会が認定をしております。平成七年一月末現在で、製造工場の認定数は六十六社百四十八工場、販売業者の認定数は二十五社となっております。  なお、今お尋ねの日清医療食品のシェアでございますけれども、この財団法人日本医療食協会から提出されました資料によりますと、平成年度において日清医療食品株式会社の医療用食品販売に占める割合は七八・九%、なおナックスナカムラにつきましては五・五%でございます。
  87. 今井澄

    今井澄君 そこで、公正取引委員会にお尋ねしたいんですが、実はこの財団法人日本医療食協会、これ厚生省管轄の財団ですね、認定する側と、それから日清医療食品と、それから第二位のナックスナカムラ、これは合わせて八四、五%のシェアがあるわけですが、ここに不正な何か談合があったというふうなことがうわさされまして、平成六年九月、日清医療食品を被疑者として富士産業ほか二十七社が公正取引委員会に申告をしているというふうにお聞きをしております。  そういう申告があったのかないのか、そしてその内容は一体どういう申告だったのか、そしてそれに対する公正取引委員会の取り組みはどうなっていて、今後公取としてどういう勧告なり審決なりを出される見込みなのか、そこをお尋ねいたします。
  88. 小粥正巳

    政府委員(小粥正巳君) ただいまお尋ねがございました独占禁止法違反の事実につきまして当委員会に寄せられました情報、いわゆる申告でございますけれども、これは私どもその申告があったかどうかという点については業務上明らかにしておりませんので、その点は、お尋ねでございますが、申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。  しかし、お尋ねの医療用食品の事業分野につきまして、当委員会は独占禁止法違反の疑いで関係者から事情聴取をするなど現在審査を進めているところでございます。まだ審査中でございますが、もし審査の結果独占禁止法に違反する事実が認められました場合には、当然のことでございますが、速やかに厳正に対処する所存でございます。
  89. 今井澄

    今井澄君 そこで、医療用食品の認定をする財団法人日本医療食協会についてですが、この設立年月日、それから二番目に役職員の数と役員の出身、特に厚生省出身が何人おられるか、それから現在年間収支がどのくらいで、その収入の中で医療用食品の検査料がどのくらいの比率がということをお尋ねします。  そしてさらに、平成六年十二月二十六日付で厚生省がこの協会あてに「医療用食品の登録及び販売業等の認定手続の改善について」という文書を出していると思いますが、なぜそういう文書を出さなければならなかったのか、そしてそれに対して協会の方からどういう返事が来たのか、そのことについてお尋ねをいたします。
  90. 谷修一

    政府委員(谷修一君) 今お尋ねの財団法人日本医療食協会は、昭和四十七年二月十七日に厚生大臣の認可を受けて設立をされております。  二点目の役職員の数と出身でございますが、現在理事が十九名、監事が二名の計二十一名でございます。このうち厚生省出身者は、理事六名、監事一名、計七名でございます。  次に、年間の収支と年間収入に占める食品検査料の比率でございますけれども、医療食協会から提出されました資料によりますと、平成年度決算でございますが、年間収支は十八億七千万円でございますが、この年間収入に占めます医療用食品の検査料、検定料の比率でございますが、約七億九千二百万円、四二・四%となっております。  四点目のお尋ねでございますが、平成六年十二月二十六日付で医療食協会へ出しました文書でございますが、これは先ほど今井先生の方からお触れになりましたその同じ年の十月二十日の参議院厚生委員会におきます医療食制度に関する質疑を踏まえまして、医療用食品の現状について協会から事情を聞きまして、それを踏まえまして協会に対して、一つは利害の関係しない学識者の意見を十分に取り入れた認定委員会の設置、それから医療用食品の登録あるいは販売の認定手続の明確化並びに新規参入の促進、それから品目につきまして複数製品の登録あるいは分類についての検討、それから認定に対します問い合わせあるいは照会に対する指導内容の記録の保管、それから検定業務量に応じた検定料の徴収といったような点につきまして改善を図るよう通知をいたしたものでございます。  なお、この通知を受けまして、協会からは翌年の三月末日付でこれらの項目について改善を図る旨の回答を得たところでございます。
  91. 今井澄

    今井澄君 何か、検査料は検査した医療用食品の売り上げの五%とかいうことで、売れれば売れるほどこの財団も収入がふえるというふうな構造になっているとも聞いておりまして、癒着が起こっているとすれば、こういうところにもまたそういう原因もあるのではないかと思うのです。  さて、昭和四十七年に日本医療食協会が設立されたとき、現在も理事長をやっておられる方が、厚生省のOBですが、この方が大変な情熱を傾けてこの財団を設立されたというふうにお聞きしております。そのときのことを調べてみますと、当時、日本では患者さんに食事を出すことは、要するに患者さんが入院しているから生きていくためには食事が必要だからということで給食、食事を食わせるというだけの観点であって、栄養を十分とっていただいてこれを治療に役立てるという観点はなかった。  ところが、先進国のアメリカあたりでは食事療法ということが病気の治療上非常に重要だということが指摘されていて、そういうことを日本にも取り入れたいということで情熱を傾けられたということを私もお聞きしまして、まさにそのとおりだろうと思うわけであります。    〔理事吉川芳男君退席、委員長着席〕  私も、長野県の小さな公立病院に就職したのが昭和四十九年でありますが、その当時、病院の調理部門は給食課と言いまして事務の下にあったんですね。それはその病院だけではなくほとんどの病院がそうでした。結局、事務の下にある、要するに患者さんがちり紙が必要だといったらちり紙を差し上げるとか、ベッドをきれいにするとかいう一環として、食事も食わせなきゃならぬという給食だったわけです。  その後、日本でも急速に栄養をもとにした治療ということ、薬よりもむしろ食事の方が大事じゃないかという考え方が広まってまいりましたし、私もそういう考え方で、その病院で給食課というものを事務の系統から切り離しまして診療部門に移しかえて栄養課と名づけて、それでやってきた経験もあるんです。  そういう意味からいいますと、当時、この理事長さんが大変な情熱を傾けてあちらこちら苦労してお金を集めてこの財団を設立してやったということは非常に意義のあったことだというふうに思います。しかし、その後、日本は高度経済成長を遂げ、当時のように患者さんに食べさせる食事の材料に事欠くとか、それを購入するのに困るという状況ではなくて、もう今は全国どこに行っても栄養価計算をしてこういう材料でこういう食事をつくりたいと思えば手に入る時代になったんですね。にもかかわらず、この制度が相変わらず生きているということがあります。  それで、実はこの医療食制度というのは今病院の栄養士さんからものすごく評判が悪いわけです。私のところにも随分陳情が来ます。こういう制度は廃止してほしいということなんです。私はその気持ちがよくわかるんですけれども、栄養士さんたちが苦労して栄養価計算をやり献立を立ていろいろ材料を集めてやろうとするときに、実は医療用食品というのは冷凍食品が八割なんですね。それを買ってきて調理して患者さんに食べてもらうと、一日百八十円ずつ収入がふえるわけです、患者さん一人について。そこで、病院経営の立場からいうと、この医療用食品を使え、冷凍食品を使えということを経営サイドから言ってくるわけです。  私の病院でも経験がありますけれども、栄養士が一生懸命になって地元の地のしゅんの材料を使ってやろうとしているときに、事務長の方から経営改善のためにこれを使えと言ってくるわけです。それで、業者が見本を持ってきて病院の中で試食会をやる。医者やなんかも集められて行きますと、食べてみるとまんざらまずくない、いいじゃないのというような話になるんですけれども、毎日食べさせられる患者さんにとってみれば、冷凍食品じゃたまらないわけですね。  そういうこともありまして、全国病院栄養士協議会が五百七の病院で調査をしましたら、医療用食品を使っていて保険請求をしているという病院の八一%が増収目的だと答えております。栄養成分の管理のためというのは本当に二割足らずなわけなんです。増収目的で使っているんですよ、現在は。国立病院もそうじゃないですか。経営が悪いというんで、今まではほとんど医療用食品は使っていないのに急速にこの一、二年医療用食品を使うようになってきたというふうな問題。  やはり食品が豊かになったこと、食品流通が非常に行き渡るようなことからいって、十八年前には意味があったかもしれないこの制度は今やもう時代おくれだと思いますが、その点いかがお考えでしょうか。厚生省の方に伺います。
  92. 岡光序治

    政府委員岡光序治君) いろいろお考えがあろうかと思いますが、現在、医療機関で栄養管理を行っている場合の基準になっておりますのは日本食品標準成分表だそうでございます。これはあくまでも標準的な成分値を定めているものだそうであります。それともう一つは、やはり食品によっては原材料の産地で相当その内容成分に変動幅がある。あるいは加工食品の場合には使用材料なりいろいろな養分の配合割合によりましてその成分値がなかなか特定できない。かつまた、基本にする標準成分表に載っていないものがあるとか、こういうことで、実は成分表と実際の栄養成分との間にかなり差があるというのが実態だそうでございます。  そういったことを考えますと、やはり内容が、エネルギーなりたんぱく質なり脂質が明示をされて、そしてこういったものがちゃんとある一定の許容幅の中におさまっていますよという医療用食品は、そういうばらつきを是正するという意味でも現代的な意味があるんじゃないだろうか、こんなふうに考えているところでございます。
  93. 今井澄

    今井澄君 確かにばらつきがあるということは事実なんですね。  私も調べてみたんですが、しかしなかなか、こういうことを緻密に調べられていないことがあって、例えばトマトなんかでも、これはビタミンだけなんですけれども、トマトはハウスの中と露地栽培では三割方ビタミンCが違うとか、ホウレンソウも夏と冬とではビタミンCの含有量が二・五倍ぐらい違うとか、確かにあるんですね。それは産地によっても違うでしょう。  しかし、もう一つ大事なことは、調理方法によってもまた違うんですね。調理方法によって、ゆでるか焼くかいためるか、またそれを高温で短時間でやるかぐつぐつゆっくりやるかによって、ビタミンは特にそうですけれども、その他の栄養分も壊れ方が違うんです。非常に複雑な過程をとるわけですね。  確かにそういうことは言えるのかもしれませんが、そうだとすると、医療用食品のカタログを見てみますと、先ほども言いましたけれども、二百六、七十種類、今認定されているんですかね。それで、フライドポテトだとかシャケの切り身だとかいろいろありますけれども、医療用食品以外に市販されているものが圧倒的に多数なんですよ。それで、例えばシャケの切り身にしても、医療用食品として認定されているものは、七十グラムの一切れが百七十八円もするんですね。一般に売られているのは五、六十円で売られているわけです。そうすると、一般に売られているこのシャケの切り身と医療用食品と認定されたものが、たんぱく質や脂肪がどのくらい違うのか、そういうことを厚生省は検査したことがあるんでしょうか。  そして、一般に売られているものは信用ならぬと、医療用食品として認定されたものは高い値段がついて、しかもその上に医療食加算が一日百八十円もして、しかもその検査料を医療財団法人が五%も取るというだけの価値があるということを、一般の冷凍食品なりシャケの切り身なり、そういうものを調べられたんでしょうか。
  94. 岡光序治

    政府委員岡光序治君) 平成六年の十二月に私の方から医療食協会の方に指示をいたしまして、それで昨年の七月から八月にかけまして一応御指摘のような実態調査をいたしました。一般の冷凍食品り場合のそういう栄養成分のばらつきの状況でございます。  それでやりましたのは、魚介類とそれから獣鳥類についてやりまして、それぞれ分析項目十一項目でございますが、その結果は、魚介類では七項目が許容幅を超えていた。それはいわゆる医療用食品で決めておる許容幅を超えているという意味でございます。それから、獣鳥類では回ないし五項目につきまして許容幅を超えているという、非常に限られたケースでございますので全体をそれて推しはかるわけにはいかないかもしれませんが、一応そういう調査をしたことはございます。
  95. 今井澄

    今井澄君 しかし、そもそもその許容幅自身が医療食について随分幅があるわけですね。その随分幅がある上にさらにそれだけの幅があったということで、それはちゃんと統計学的にも有意かどうかは検定した上での結果でしょうか。
  96. 岡光序治

    政府委員岡光序治君) そこまで厳密性は追求できなかろうかと思います。
  97. 今井澄

    今井澄君 まあ確かにばらつきがあり得るだろうと思いますし、例えばその食品が調えてから何日たつのか、あるいはとってから何日たつのかということもあるだろうと思いますね。そういう意味ではある程度のばらつきはあると思います。だから、医療用食品だからといってそれが本当に保証されているということもない。医療用食品自身が二〇%とか物によっては二五%の許容幅があるわけですから、そのぐらいばらつきがあるという前提で食事はつくられているんだと思いますね。  しかも大事なことは、一食一食じゃないんですね。人間の体というのは、その一日のカロリーやなんかだけではなくて、やっぱり毎日毎日の食生活、長年にわたる食生活ということが関係あるわけですから、私はその食品を個々にとっても余り意味がないと思うんです。  それよりも実はもっと重大なことがあるんですね。幾ら栄養士さんが計算をして食事をつくって出しても、患者さんがそれを一〇〇%食べていなければ意味がないんですよ、全然。患者さんというのはやっぱりよく残すんです。好き嫌いがあるだけじゃありません。病院の三悪で、まずい、早い、冷たいというふうに言われているようにとても食べられたものじゃない。しかも、体の状態が悪いところへまずいものを食べにくい環境で出されるということですから、本当に食事療法というのは病院で行うのは難しい、そういう状況にあるわけですね。  そうしますと、実際にどれだけ食べてもらったかということと関係なしに調理前の材料に幾ら栄養素が含まれているかどうかということを一生懸命検査をして、それにお金を払ってみてもほとんど意味がないと私は言わざるを得ないと思うんです。私も病院にいたとき栄養士によく言ったのは、あなたたち計算するのはいいよ、テーブルの上で計算して出したらそれで済むなんて思うんじゃない、病棟に行ってどれだけ残念があるかを調査しなさい。確かにやるんですけれども、これも定期的に年に何回かしかできないんですよ、栄養士も忙しいということもありましてね。  その点、厚生省は、残念調査あるいはさらに嗜好調査ですね、それで好みを聞いて、また複数メニューということも進めていると思いますが、そういうことについてどういう指導をしているのか。また、実際には病院では残念調査というのはどのぐらいの頻度で行われているのか。それがメニューにどう生かされていると把握しているのか。最近はコンピューターを使って栄養価計算をやったりしまして、サイクルメニューといいまして、大体一年間のメニューが決まっているんですよ。それで、それが何日かに一遍くるくる回っていく。そこに工夫しながらその土地のしゅんのものを入れるという、こういう工夫をやっているんですけれども、そういうサイクルメニューの変化につながっているというふうに御理解いただいているんでしょうか。
  98. 岡光序治

    政府委員岡光序治君) 残念調査につきましては、そういう入院時の食事療法ということでいわゆる基準給食をとっている医療機関に対しましては定期的にきちっとやるようにという指導はしておりますが、それがどのような実施率になっているかというのは私ども把握しておりません。  それから、おっしゃいますようにメニューにつきましては、サイクルメニュー、二週間で回していくとかコンピューター管理というのが普及をしているようでございますが、私ども、そういう機械的な処理をするのは一つの処理方法でしょうが、それにしても季節の食材とかあるいは患者の嗜好とか、あるいは残念の状況をそこに反映してくださいということは常にお願いしているところでございます。
  99. 今井澄

    今井澄君 そこで私が申し上げたいのは、十八年前には意義があったかもしれない、あるいは十八年前というよりも、この医療食協会を今の理事長さんがまだ大変お元気なときにつくろうとした四十年代には確かに意味があった。だけど、今や意味がないし、もっと問題は、残念調査をやったり嗜好調査をやったり、あるいは複数メニューにしたり病棟に食堂をつくったり、そういうことで本当に気持ちよく全部食べていただく、そして結果的に栄養価計算が生きるという方にした方がいいと思うんです。  そうしますと、公取委の結果も多分近いうちに出るんじゃないかと思いますし、私はもう黒と出るんじゃないかと思っているんですけれども、かつては価値があったけれども今は意味のない制度というのはやめて、年間で百六十六億円医療費としてむだに使われているんですね。これは国費、国民税金に換算するとそのうちの四十一億円が税金から払われているんです。  こういう制度はもう一日も早くやめて、もしこれだけのお金を使うんだったら栄養士さんを一人でも余分に雇うように、栄養士さんが病棟をぐるぐる回れるように、栄養課の事務室でコンピューターをたたいているだけじゃなくて、患者さんのところのベッドサイドに行っておいしかったですかどうですかということをできるように、そっちの病棟栄養指導の方にお金を振り向けた方が有効な使い方ではないかと思うんですけれども、どうでしょうか。
  100. 岡光序治

    政府委員岡光序治君) 栄養士さんの活動は大切なことだと思っておりまして、これはもう先生御承知のとおりでありますが、平成六年十月の診療報酬改定の際にはベッドサイドで栄養指導をするということにつきましてちゃんと評価をいたしました。あるいは、病院のほか診療所につきましても、栄養士さんをちゃんと配置して食事のことを考えてくださいと、それももう診療報酬上手当てをしましたので、考え方としましてはおっしゃるような方向で栄養士さんの活動をより促進したいというふうに考えておる次第でございます。  それで、医療用食品の問題につきましてはいろいろ御指摘を受けております。そういう中で、私どもやはり病院給食の質を向上するという観点からどのように対応していったらいいのか、確かに私どもは意義があるんじゃないかと思っておるんですが、問題点も多うございますので、そういう方向で物を考えていくべきではないかと考えております。
  101. 今井澄

    今井澄君 厚生大臣に、今のやりとりをお聞きになって、やっぱり行政というものは一たん始めるとなかなかやめられないということでそういうこともあると思いますが、感想をお願いいたします。
  102. 菅直人

    国務大臣(菅直人君) 今、今井先生の方からいろいろ聞かせていただきましたように、私も新聞等でも見ておりましたし、きょうもこの質問が出るということでいろいろ話は伺っておりました。  今、局長の方からありましたように、公取委の結果も近く出るそうですけれども、率直に申し上げて、今、今井さんおっしゃったように、当時は適正な栄養管理というところから意義があったんではないかと思うんですが、それが先ほどの御指摘だと、実際には八〇%以上の人がそれが目的というよりは診療報酬が高いからそちらを選んでいるというような御指摘があるわけですが、もしそういうふうなことが実態であるとすればこの制度が持っている意味が全く失われている、あるいは場合によっては逆にマイナスになっているという可能性も強いわけであります。  そういう点で、今後、この制度を残した形でどう公平に運営するかという検討の仕方もありますけれども、本来制度としてさらに必要なのかどうか、その存続あるいは廃止も含めて検討をして、結果において患者さんにとってあるいは国民にとって制度として残すならより有効な制度に、あるいは制度として残さない方がいいということであれば思い切って廃止をする、それらを含めて検討していきたい、このように今のお話を伺って考えたところであります。
  103. 今井澄

    今井澄君 どうもありがとうございました。  私もずっと長い間医者をやって保健医療、福祉の分野をやってきましたし、厚生委員会等でも厚生省の皆さん方と一緒に仕事をしているわけで、そういう意味では余り厚生省のことだけを指摘したくはないんですけれども、もう一点だけお尋ねいたしますが、会計検査院の指摘事項を見ていまして、やっぱり私自身がその分野で頑張って一緒にやっていると思っている厚生省に関する指摘が非常に多いんですね。平成年度においては不当事項の指摘が二百五十二件、平成年度においては二百三十五件、これが全体の不当事項ですけれども、そのうち厚生省所管にかかわるものが、平成年度は百四十六件で全体の約五八%、それから平成年度は百四十九件で約六三%、平成年度はやや減っていますけれども、八十件で約三。七%なんですね。しかし、全省庁の中で断トツに厚生省の不当事項の指摘が多い。  さらに金額で見ると、平成年度は三十八億円余りで全体の約四九%、五年度は六十六億円余りで約六四%、件数が減った平成年度は百五十六億円余りで約七七%、むしろ額ではふえているんですね。非常にこれは残念なことだと思います。  不当事項のほかにも、処置要求事項とか処置済み事項が厚生省に関しては必ずあるんですね。非常に残念なことだなと思っておりますけれども、どうしてほかの省庁に比べて厚生省がこういうふうに不当事項等の指摘が多いのか、金額が多いのか、そのことについて厚生省としてはどういうふうにお考えになっていますか。
  104. 亀田克彦

    政府委員(亀田克彦君) 会計検査院から不当事項として指摘を受けましたものは、ここ数年、医療保険や年金の保険料の徴収不足、それから年金や医療費の不適正支給にかかわるもの、こういうものが金額的に大きくなっておるわけでございます。  これらにつきましては、保険料納付義務者でございます事業主等が被保険者資格取得届の提出を怠ったり、あるいは制度を十分に理解していなかったと、こういうことなどが大きな要因である、こういうふうに考えておるわけでございます。厚生省といたしましても、当然でございますが、御指摘を踏まえまして、是正措置を講じることはもちろんでございますけれども、事業者あるいは都道府県に対しまして指導の徹底を引き続き図っていく、そういうことによりまして厳正な事務の執行に最大限の努力をしていくというふうに考えておるところでございます。  また、先生から処置要求の御指摘もございました。  六年度におきましては、ホームヘルプサービス事業などにつきまして処置要求をいただいておるわけでございますが、この事項につきましても、国庫補助基準の明確化を図るということをいたしますとともに、同じく都道府県等への指導を徹底していきたい、こういうことによりまして事態の改善を図っていきたい、こういうふうに考えております。
  105. 今井澄

    今井澄君 今の同じ質問ですけれども、なぜ厚生省がこういうふうに多いのか、会計検査院長としてお考えをお聞きしたいと思います。
  106. 矢崎新二

    会計検査院長(矢崎新二君) 厚生省関係指摘が多額でございまして、全体に占める比率も高いということは御指摘のとおりでございます。  これは、一つには、社会保障関係の予算が多額に上っておりまして、国全体の予算の中でも大変大きなウエートを占めておりまして、会計検査院としてもこれに重点を置いて検査をしている分野であることを反映しているものと思っております。  こういった事情に加えまして、社会保障事業の実態を見ますと、各種の分野におきまして大量の件数を処理しなければならないという状況の中で、厚生省や社会保険庁におきまして、事業主、年金受給者、医療機関等の関係者に対しまして指導や啓発の活動がまだ十分でないということ、それからまた同時にこれらの事業主、年金受給者、医療機関等の関係者が提出すべき届け出を出していないということとか、あるいは適切な請求書を提出していないなど、制度を十分に理解していなかったり、不誠実な行為を行ったりしていることも大きな要因となっているものと考えております。  したがいまして、会計検査院といたしましては、厚生省、社会保険庁におきまして一層指導、啓発の徹底を図っていただくとともに、事業主や年金受給者などの関係の方々に対しましても十分制度を御理解いただいて、公正な態度をとっていただきたいというふうに望んでいるところでございます。  会計検査院としては、行政や制度の改善によりまして、より適正な執行が期待できると認めたときには制度の改善の処置を厚生省や社会保険庁に対し適宜要求してきたところでございますけれども、今後ともこういった姿勢で対処してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  107. 今井澄

    今井澄君 終わります。
  108. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 私はきょう、住専問題で特に借り手の問題、中でも暴力団にかかわる問題を中心にお伺いをしたいと思います。  きょう午前中、衆議院の予算委員会で、参考人として出席した末野興産の末野謙一社長は、末野興産所有のビルに暴力団事務所があったと。きょうの陳述だと、七室あった、うち一室については退去させた、六室については今裁判中である、こういう陳述をいたしました。じゃ入居したときに暴力団とわからなかったのかという問いに対してはわからなかったということで、末野興産と暴力団のかかわりについて否定する、こういう態度をとりました。  しかし、私たちが調査したところによりますと、末野興産が暴力団に対して退去を求めたのはことし一月になってからですよ。つまり、この住専問題で大口借り手として末野興産が挙がり、この末野興産がどうも暴力団とかかわりがあるんじゃないかということが大問題になって初めて、ことし一月になって退去を求める。ですから、きょう私ども衆議院で証人喚問を要求しましたが、きょうの末野社長の発言で、これはそのとおりですというふうに認めるわけには到底いかない事情にあるというふうに考えております。  私たち、この問題、独自に調査をいたしました。きょうの末野社長の発言とは若干違います。一社、一つの組は退去したそうですが、私たちが一月に調べた段階では六つのビルに八つの暴力団事務所が入っている。  具体的に言いますと、山健組新井総業、健心会武陜会、これが大阪市中央区島之内二丁目の島之内ラフォーレ天祥、二つの組事務所が入っている。豪友会土佐連合、これが大阪市中央区高津二の四十三の一、高津メゾンエルム天神に入っている。このビルにはもう一つ宅見組樋口組、これも入っている。五つ目に中野会花衆会、これが大阪市中央区日本橋二の五十の十三、日本橋シャトー天神。六つ目が堀組義勝会、大阪市西区阿波座の二の十二、西本町メゾン天祥。七つ目が宅見組石原総業、大阪市淀川区西中島四の十の八、新大阪天神ハイツ。松浦組一正会、大阪市北区兎我野八十、第八天祥ビル。八つの組事務所がこの末野興産のビルに入っている。法曹ビルというのがあって弁護士事務所が入っているビルもあるけれども、一つのビルに二つの組が入っている。暴力団ビルと呼ばれている。警察、こういう実態をつかんでいますか。
  109. 野田健

    政府委員(野田健君) 一月三十一日付の赤旗に、末野興産の所有するビルに暴力団事務所が存在する旨の報道がなされていることは承知しております。  ただ、暴力団事務所といいましても暴力団事務所という表示がされているわけではありませんで、表見的には必ずしも明らかでないのが通常であります。また、特定の部屋が暴力団事務所として使用されているからといって、当該部屋の所在するビルの所有者が暴力団等の関係者と言うことはできないと考えております。  警察は、暴力団対策という観点から暴力団事務所を視察、内偵の対象として把握しているところでありますけれども、一般的に特定の施設が暴力団事務所であるか否かについて述べることは、捜査上の支障が生じるおそれがあることなどから差し控えさせていただいております。  いずれにしろ警察としては、暴力団等の関与する違法行為があれば厳正に対処してまいりたいと考えております。
  110. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 暴力団の名前も言えない、一体どうやって暴力団対策をやるのよ。末野興産社長だから言うんですよ、暴力団がどうかわからなかったと。暴力団対策法を一体何のためにつくっているの、暴力団を絶滅させる気があるの警察は。  しかもそれだけじゃない。末野興産、今やっているんですよ、我々が調べて。謄本も全部とった、全部現地にも行った。かつて入っていた組というのもあるんです。例えば、難波安組米岡興業、日本橋シャトー天祥。倉本組伊原組、南本町天祥ビル。山口組系神谷組、日本橋レジデンス天祥。山口組系大神組、高津メゾンエルム天祥。山口組系西野組、湊町天祥ハイツ。これらは今暴力団が解散をしたり移転をしたりしていなくなった。これを合わせると十三事務所ですよ。  あなた方がこういうものをちゃんと的確に把握をして、そしてビルの所有者に対してこれは暴力団だと、広域暴力団山口組、ほとんど山口組でしょう、この下部組織だと、出ていってくださいということを警察が末野興産なら末野興産に言わなきゃどうするの。そういうことをやりましたか。
  111. 野田健

    政府委員(野田健君) 警察の暴力団壊滅に向けての努力というものは、刑罰法に触れる行為についてこれを適用するということが原則でありまして、民事上の契約に直接どうこう注文をつけるという性質ではないというふうに考えております。
  112. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 だからだめなんだ。末野興産は知らなかったと言っているけれども、この実情を見てごらんなさい。天神ビルという名前を書いたところにいっぱい暴力団が入っている。これを客観的に見れば、好んで末野興産は暴力団組事務所を貸していた、こう言われても仕方がない状況になるんじゃないですか。  警察白書を見たって、地上げ事件に暴力団が介入して巨額の利益を得ようとはかっているというふうに書いているでしょう。末野興産というのは大阪だけじゃない、福岡だってどんどん地上げをやっているんだ。そして、その先兵に暴力団を使ってきたんですよ。だからそういう暴力団を末野興産所有のビルに入れているんです。まさに末野興産と暴力団は持ちつ持たれつの関係だと、これは客観的にそういうふうに見るのが当たり前じゃないですか。フロント企業というのがあるけれども、これは事実上フロント企業に近い、末野興産というのは。あなた方はそういう認識は持っているんですか。それとも大阪で何にも調査していないのか。
  113. 野田健

    政府委員(野田健君) 最近の暴力団の中には、合法的な企業活動を装って経済活動に介入し、その過程において活動資金を獲得しているものがあるところであります。  暴力団取り締まりに当たっては、その資金源を枯渇し、その活動を封圧することが不可欠と考えておりまして、企業活動の仮面のもとに潜在している違法行為の把握に努め、厳正に対処をすることとしております。  ただ、特定の企業と暴力団等との関係については、その関係の程度、態様が一様ではなく、またその把握状況についても捜査上の秘密あるいは個人の名誉、プライバシーにかかわる問題であることから、警察は、暴力団等と関係のある企業にかかわる犯罪を検挙した場合等において、事件捜査を通じて収集した資料により解明し得た場合であって、類似犯罪の発生防止あるいは類似被害の届け出促進等の観点から必要があると認められるときを除き、一般的に暴力団等との関係を述べることは差し控えております。
  114. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 だからだめなんだ。そういう態度をとって、一方で暴力団壊滅とかなんとか言ったって、暴力団の名誉だとか暴力団のプライバシーだとかそんなことをやっていてどうやって市民を守るんだ、あんたたち。  だから、住専はどういうことをやったか。暴力団が入っているビルに住専から金を出しているでしょう。このビルに山口組系の何とか組が入っているとか何とか総業が入っているとか情報を流していれば、流してもそれは住専のことだから貸したかもしれないけれども。  例えば調べてみると、私謄本で見ましたよ、これ。日本ハウジンクローン、これは山口組系石原総業が入っている新大阪天祥ハイツ、八九年から二百億円融資している。今も五十六億円の根抵当権が設定されている。住総、宅見組樋口組、高津メゾンエルム、住総が二十億円融資。福岡の土地の追加担保として九十三億円の抵当権も設定された。地銀生保住宅ローン、これもやはり宅見組樋口組が入っている高津メゾンエルム、二十六億円。住専三社で二百五十億円、福岡の九十三億円を入れれば三百五十億円、暴力団が入っているビルに住専の金が流れ込んで、それが不良債権化して今税金を使おうというんでしょう。  警察は何やっていたんだ、何が個人の名誉だ、何がプライバシーだ。暴力団のプライバシーや暴力団の名誉を守って、そして国民の血税を使う、こんなばかなことは許されますか。  国家公安委員長、どうでしょうか。
  115. 倉田寛之

    国務大臣(倉田寛之君) 先刻来刑事局長がお答えを申し上げたところでございますが、暴力団等との関係のある企業にかかわる犯罪を検挙した場合などにおきまして、事件捜査を通じて収集した資料により解明し得た場合であって、類似犯罪の発生防止等の観点から必要があると認められるときには、当該犯罪にかかわる事実とともに当該企業が暴力団等と関係のある企業である旨を公表しているものと、こう承知をいたしているところでございます。しかしながら、企業と暴力団等との関係を一般的に公表することにつきましては、刑事司法につながる捜査上の問題にもかかわることでございますので差し控えているものと認識をいたしております。  警察は、暴力団の壊滅に向けて全力を傾注し、刑罰法令に触れる行為があれば、あくまでも法の定める手続に従いまして厳正に対処してまいるものと確信をいたしているところでございます。
  116. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 大臣、刑罰法令に触れるものがあれば取り締まるのはそんなものは暴力団だけじゃなくて我々だってそうでしょう、一般市民だって。当たり前のことじゃないですか、そんなことは。  住専に絡んだ暴力団の事件、この間どういうのがあったかというと、平成六年、京都で住専が抵当権を有する建物に政治結社名を記載した看板を出し建物を侵害した事件、こういう事件がある。平成七年には静岡で、住専の競売物件である不動産に暴力団の名称などを記載した張り紙をし競売を妨害した事件。同じく平成七年東京で、破産宣告をした会社の土地に無償で地上権を設定し仮登記するなどして住専など債権者に不利益を与えた、こういう事件があります。これは住専と暴力団に絡んだ事件。  このそれぞれについて、どういう住専、そして暴力団フロント企業が絡んでおればフロント企業名、これはどうなっていますか。
  117. 野田健

    政府委員(野田健君) 今委員指摘の事件は、それぞれ京都府警察、静岡県警察あるいは警視庁が検挙した事件でありますが、それぞれいわゆる住専の会社が貸し出した金の回収をめぐってやったものであります。
  118. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 名前を聞いているんです、名前を。事件の経過なんかいいよ。
  119. 野田健

    政府委員(野田健君) それぞれの事件はそれぞれ解決しておりますけれども、既に過去の事件になっておりますので、個別の事件に該当することでもあり、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。
  120. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 差し控えちゃだめだよ。だって、警察白書でどういうふうに書いているかというと、一九九四年度の暴力団フロント企業、犯罪検挙件数二百五十七件、前年度に比較して四十七件、二二・四%も増加しているんですよ。かかわった暴力団フロント企業は二百七十九企業に上っていると書いているんですよ。犯罪を犯した暴力団フロント企業とあなたたち認定しているじゃないの。何でこの名前を出せないの。  じゃ、どうやって市民はフロント企業から身を守るの、刑事局長、教えてくださいよ。一言でいいよ、企業の名前を見てどうやってフロント企業と見分けるんだ。
  121. 野田健

    政府委員(野田健君) 先ほど御説明申し上げましたように、企業が暴力団と関係あるかどうかということにつきましては、その態様、程度が一様でないということで、事件を検挙したときでないとはっきりしないということであります。  また、いわゆる企業その他が違法、不当な要求を受けたという場合には、企業から個別具体的な相談を受けることになると思いますが、そういった具体的、個別の相談を受けた場合には、その相談内容に応じて、企業防衛の観点あるいは犯罪の予防というような観点から、事件の立件に必要な限りでそれぞれ暴力団情勢あるいは介入の事例の紹介あるいは応対要領、被害防止要領等、必要な事項に関する情報を提供して企業防衛等にも十分役立てていただいているものと考えております。
  122. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 それじゃ事件が起こってからでしょう。暴力団フロント企業に食い物にされて、食いつかれて、それから初めて警察へ相談に行くんでしょう。うちの企業はあそこと取引しようと思うと、警察に行って暴力団フロント企業か調べてくださいと、そんなことを相談する企業が一体日本じゅう探してどこにあるんですか。事件が起こるのを待っているだけじゃないか、それじゃ。事件が起こってからおっ取り刀で駆けつけようというのが今の警察の態度でしょう。  刑事局長いいよ。大臣どうですか、何でそんな名誉を守る必要があるんですか。
  123. 倉田寛之

    国務大臣(倉田寛之君) 何度か同じことを繰り返すことで恐縮でございますが、警察といたしましては、住専問題に限らず、捜査の具体的な内容あるいは進め方等につきましては、先ほど来申し上げましたように、従前から差し控えているものと承知をいたしているところでございます。
  124. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 だから、結局市民の側には何の情報も来ないということ。あなた方がとっている態度は、暴力団や暴力団フロント企業に食い物にされて、そして、さあ事件だということになってから手を打ちましょうという話でしょう。  あの証券スキャンダルのときに、当時の國松刑事局長がこういうふうにおっしゃっていますよ。全銀協、全国銀行協会連合会に九一年八月に暴力団排除組織をつくってほしいという要請を行ったと。情報交換のルールとルートをきちっと確立するというふうに答弁されています。  全銀協で具体的にどういうふうなルールができましたか。そして、あなた方はどういう情報を流しましたか、全銀協に。
  125. 野田健

    政府委員(野田健君) 平成三年十月に全国銀行協会連合会は、金融取引における暴力団の不当な介入の排除と暴力団の反社会的活動を助長する取引を防止するために、暴力団介入排除特別専門委員会を設置されたところであります。  具体的には、担当者等に対する研修会等の企画立案等、金融取引における暴力団の不当な介入を排除するための活動が行われているところでありますが、そのような担当者等に対する研修会等の機会に、警察あるいは都道府県暴力追放運動推進センターがこれに協力をいたしまして、それぞれ必要な情報の開示等を行っているところでございます。  ただ、この場合におきましても、一般的に特定の人物あるいは特定の企業を暴力団との関係があるというような意味で摘示するということはいたしていないという実情にございます。
  126. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 ところが、確かに特別専門委員会ができたんですよ。私聞きましたよ、直接私自身が全銀協に。社会的責任に関する委員会のもとに暴力団介入排除特別専門委員会というのを設置しましたと。何をやっているんですかと聞きましたよ。どういうふうにやるかいろいろ検討しておると。マニュアルづくりでもやっているんですかと。いや、とてもそこまでいきませんと。実質的には何もやっておりませんと、こう言っているんだよ、全銀協は。特別専門委員会はつくったけれども実質的には何もやっていないと私にはっきり回答した。じゃ、警察庁から暴力団フロント企業についての、暴力団についての具体的な情報が一度でも入ったかと。一度も入っておりませんと、こう言っているんですよ。  九一年からもう五年たっている。だから、この五年間にも、警察白書も書いているように、暴力団フロント企業の犯罪はますますふえ続けている。金融や不動産にますます介入している。当たり前じゃないか、特別専門委員会をつくって何もやっていないんだから。小田原評定みたいなことをやっているだけなんだから。国家公安委員長、さっきから二百五十七件とか数字が出ているんですよ、企業数も出ているんですよ、この情報を流さなきゃ。この情報を警察でひとり占めにして暴力団から身を守りなさい、どうやって守るんだ、一体。そんな器用なことできませんよ、だれだって。  今までの主張はわかりました。その答弁、同じ答弁を聞こうと思わない。今私が指摘してきたことを聞いて、こんなことで本当にいいのか、少なくとも今までの態度を再検討する必要があるんじゃないですか。そうしなきゃ国民の安全なんか守れないですよ、フロント企業の根を絶たなきゃ。フロント企業というのはそこから金を吸い上げて暴力団の活動資金にするんですよ。この根っこを絶たなきゃ暴力団壊滅と言ったって絶対それはできない。百年河清を待つがごとき、こういうことになりますよ。  私は、ここは一番決断をして、いいじゃないですか、それで訴える企業があれば、堂々と受けて立てばいいじゃないですか。それより市民の利益の方が大事でしょう。ここは政治家として国家公安委員長の答弁をお願いしたいと思います。
  127. 倉田寛之

    国務大臣(倉田寛之君) 筆坂委員に先ほど来のお答えを申し上げるのは恐縮でございますが、暴力団等に関する情報といいましてもさまざまな性格のものがありますが、個別具体的な相談を受けた場合においては必要な事項を教示しているものと認識をいたしているところでございます。その場合におきましても、特定の企業または個人と暴力団等の関係につきまして一般的に教示することはしていないという認識をいたしているところでございます。
  128. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 だから再検討してほしい。
  129. 倉田寛之

    国務大臣(倉田寛之君) 警察は、個別具体的な事案につきましては、当該事案に必要な限度で関係者に必要な範囲の情報の提供を行ってまいっておるとともに、違法な行為を認知した場合は当然厳正に対処してまいるもの、こういうふうに認識をいたしているところでございます。
  130. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 厳正に対処するのは当たり前の話なんですよ、そんなのは。法令に触れれば、暴力団であろうとなかろうと、だれだってそれによって適正な処理を受けるのは当たり前なんですよ。  私、最後に大蔵大臣にお伺いしたいと思うんですが、この当時、当時の橋本蔵相も、暴力団の介入排除について体制整備を進めるように各業界に指示をしましたというふうに答弁をされております、証券・金融問題特別委員会で。私は、今私の指摘しました実態、こういうものを見たときに、暴力団に関する、あるいはフロント企業に関するこういう情報をやはりもっと公開して、そして社会的にもっと監視していく、こういうことをやらなければ暴力団問題というのは解決しないし、あるいは暴力団と住専、こういう結びつきを断つことも絶対できないと思うんです。私、副総理として大蔵大臣にこの問題についての御見解をお伺いしたいと思うんです。
  131. 久保亘

    国務大臣久保亘君) 国家公安委員長からお答えを申し上げたことでございます。私が直接暴力団の問題とかかわる立場にございませんけれども、住専問題に関して、暴力団が反社会的存在としてこのことにかかわっている問題については強い関心を持ちながら対応してまいりたいと考えております。
  132. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 終わります。
  133. 国井正幸

    国井正幸君 新緑風会の国井正幸でございます。  住専の問題についてお伺いをしたいというふうに思います。  今、国民住専の問題に対して大変な関心を持っておるわけでございまして、マスコミも連日住専の問題を報じているわけでございます。  私のもとにも、民間会社である住専の経営破綻になぜ国民税金を使うんだ、あるいは借りたものを返すというのは当たり前のことではないか、借りた者が返すそぶりも見せずに借金玉だなんということで豪華な邸宅に住んで高級車を乗り回している、そんなことは許されていいんだろうか、ぜひ社会正義を貫いてほしい、こういうふうな意見もあるわけでございます。  あわせて、住専の経営責任を初め、母体行なりあるいは行政の責任というのが非常に不明確なんではないか、今になってだれがどうだこうだという話で一向にらちが明かないんじゃないか、こういうふうな意見なんかも強く出されておるわけでございます。  最近、特に政府並びに与党の関係者から、財政資金投入は農協のいわゆる救済だと、こういうふうな発言がマスコミ等に載っているわけでございまして、私は大変遺憾なことだというふうに思っています。  と申しますのは、十二月二十六日の本委員会において、私は村山総理にもこの問題に対して質問をしました。村山総理が当時、朝日新聞にこの財政資金投入は農政上の判断だ、こういう記事が載っている、どうなんでしょうと言ったら、そういうことではないと、こういうふうな答弁も実はこの委員会でいただいているわけなんですね。そういうことからしますと、大変ここへ来て農協救済と言った方が通りがいいようなごとき話をしている。あるいは答弁が変わってきている。これは私は大変遺憾なことだというふうに思っています。  住専七社の経営が破綻したというのは、これはもう御承知のとおり、母体行がみずからの子会社である住専の本業の住宅ローンに進出をして、子会社の仕事を奪って無謀な不動産投資に走らせたことによるのが非常に私は大きいというふうに思っています。さらに、本来の業務はそういうことでもともと住専大蔵大臣の直轄会社にしてきたわけでございますから、そういう本来の役割を終えた住専というのを整理すべきであったというふうに思うんですね。  それを整理もしないでそのまま放置をしてきた、そして時には母体行の別働隊として自分の銀行の利益を図るために使って、あげくの果ては住専不良債権のごみ箱のごとく使ってきた。これはいろんな報道によっても私は明らかだというふうに思うんですね。そして、行政においても次々に住専に対して通達を発してきたわけですよね。  昭和四十八年五月には大蔵大臣の直轄会社にするという指定をしたし、あるいは四十九年九月には銀行局長の通達で、金融機関以外では住専のみが住宅抵当証券の発行が認められたし、さらに五十年七月、これはやはり銀行局長の通達で、銀行の付随業務を行う銀行の関連会社という位置づけをしてきたし、そして五十五年には大蔵省の銀行局長農水省の経済局長の両局長通達によって、いわゆる農協の員外利用規制の枠外に置かれた、こういうことをずっとやってきたわけですよね。  そういう中で、五十年代の半ばには既に母体行である銀行が住宅ローンを始めているんですよね。いわゆる競合する関係にあるわけです。このときに住専と親会社である母体行が業務を調整した形跡は見られないわけでございます。  こうした一連の措置を行政が発してきたというのは、国民の住宅取得を容易にするために、昭和四十八年ですか、金融制度調査会の答申で、住専は存在意義があって今後育成すべきだと、こういうふうなことがあったことに基づいているんだろうというふうに思うんですね。住専国民のために、国民が必要とする業務を行う、だからこういうふうなことでお墨つきを与えてきたんだろうというふうに私どもは理解するわけですよ。  しかし、もうこのときに別にかわり得るようなことを母体行が始めてきて、もう一定の役割が終わったんじゃないかと私どもは思うわけです。しかも、目的外のことを始めるような状況になってきているときに、なぜこれを整理しなかったんでしょう。いわゆる住専というものを育成してきた、そしていろいろな通達の中で住専というものに社会的な信用を与えてきた、しかしその業務が違ってきた、そのときに、なぜ当初の目的から外れたのに行政としてきちっとした対処をしなかったんでしょうか。その辺をお伺いしたいと思います。
  134. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) 系統のお仕事について御造詣の深い国井委員の御質問でございますが、申し上げるまでもまく、ノンバンクの一種でございます住専の仕事をどのように行いどのように収束するかということは、あくまでも民間の経営者の判断によるべきものでございます。私どももこの住専というものにつきましては従来からそのような姿勢で臨んできたものでございまして、行政当局として初めからその仕事の内容を決め、あるいはその存立について判定を下すという立場ではないと理解をいたしております。
  135. 国井正幸

    国井正幸君 いや、これはやっぱり住専に例えば住宅抵当証券の発行を認めた。ほかにないわけですね、これは。それは住専が設立された当初の目的に従って業務を行うという前提に立って認めたんでしょう。住専が何をやってもいいから認めたということとはわけが違うと思うんです。その辺はいかがですか。
  136. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) 御指摘のように、昭和四十年代の後半に住専が設立され、五十年代の初めに至るまで八つの住専が設立されてまいりましたについては、当初は個人住宅ローンというものを中心にして仕事を行うべき性格のものということで設立され運営されてまいったのも事実でございます。現に、当初そのような仕事のしぶりをしておったことも承知をいたしております。しかしながら、その後、どのような経営方針に基づき、現実にどのような仕事を行うかということにつきましては、第一次的には経営者が判断するべき事柄ではなかったかと承知をしております。
  137. 国井正幸

    国井正幸君 これは私は、話は先に進みますが、平成三年の十月から平成四年の八月にかけて第一次再建計画策定されたわけです。これは政府から配付されている資料でも明らかなとおりでございます。個々の再建計画の骨子の中でも大体似たり寄ったりの文句が書いてあるわけでございますが、基本方針というんでしょうか、それでは創業時の原点に立ち返って住宅ローンを中心とした融資業務に専念するとか、そういうことをどこも書いてあるわけですよ。これは外れていったことがもともと経営破綻の原因なんですよ。今言われたように、住専八社あるうち特に七社がひどい。これはそのことが明らかなんですよ。そのことはきちっと押さえていてもらわなければいけないというふうに思うんです。  第一次再建計画策定された前後の経過、それから第二次再建計画策定された経過が私は非常に重要だというふうに思っているんです。それで、その辺の関係についてちょっとお聞かせをいただきたいというふうに思うんですが、第一次再建計画策定された時点、その時点で母体行あるいは一般行、農協系金融機関、これらが大体どういう意向を持っていたのか。私の知る限りでは、少なくとも農林系はこのときには資金を引き揚げたいというふうな意向があったというふうに私は聞いているんです。この辺について、大蔵大臣、それから農水大臣、いかがでしょうか。
  138. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) 第一次再建計画は、御承知のように、平成三年から四年にかけて策定されたものでございますが、これは母体行のみの金利減免を主として計画されたものでございます。私どもの承知しております限り、第一次再建計画は主として母体行を中心として関係者の間で御議論があったものと理解をいたしております。
  139. 大原一三

    国務大臣大原一三君) 国井委員は第一線で農協関係の仕事をされていらして、私よりもその間の事情は詳しかったんじゃないかと思うのでありますが、私、大臣になりまして、この辺のことをいろいろ事務局から聴取いたしました。後から事務局から説明あると思うのでありますが、やはり正直に言いまして、系統の方が住専の経営について立ち入ってその内容を十分に知る状況にはなかったということであります。  したがって、いろいろ再建の話が出てきたときに、今銀行局長から話がありましたように、これは農林省経由ではございませんで、各住専と信連の、そしてまた農中との話し合いだったと聞いておりますが、この状況では我々の金をここへ預けておくわけにはいかぬ、何とか引き揚げたいという強い要請をした、このように聞いておりまして、それでは困る、何とか五カ年間で再建をするからということで、これは文書にも何もなっておりませんがそういうことで、金利や元本には迷惑かけないからという強い要請があってこの再建計画に、話し合いに乗った、こういう状況であったと聞いております。
  140. 国井正幸

    国井正幸君 私も農協系金融機関の方々から話を伺っている範囲では、今農林水産大臣のお答えのようなふうに私も受けとめております。  それで、その第一次再建計画も一年ないし一年半で破綻をしたわけでございまして、したがって平成五年の二月から六月にかけて第二次再建計画策定をされてきたわけでございます。  この間、平成三年の九月から平成四年の八月にかけて大蔵省の第一回の立入調査が実施をされたわけです。その調査結果によれば、貸付残高に占める不良債権の割合、これは平成四年の七月三十一日に地銀生保住宅ローンを調査しています、立入調査。その不良債権の率というのは五九・八%、大体六割です。さらに、平成四年の八月三十一日、一カ月後、日本ハウジンクローンに立入調査しているわけでございますが、これで不良債権が五三・七%。これはいずれも五〇%を超えているわけですね。私は、普通に考えればもう既にこの時点で住専というのは経営が破綻している、こういうふうに見ていいんではないかなと、そういうふうに思っています。  特に、地銀生保住宅ローンの調査報告によれば、これは我々が配付していただいたところの一部でございますが、  当社は上場を目標として営業店表彰制度において残高純増を最重要視するなど量的拡大を指向した結果、融資に当たって債務者の実態把握あるいは財務内容の分析が不十分であり、さらには、都銀等の紹介案件ということで安易に肩代わりに応需する等、事業計画の妥当性の検討が不十分なまま、短期間に多額の資金が固定化している事例が数多く見受けられた。これは大蔵省報告ですわね。こういうことが記載されているわけですよ、この時点で。これは我々がいただいた資料の一部です。大変にこれは憂慮すべき事態だというふうに私は思うんです。  住専七社の第一次再建計画から日本ハウジンクローンの場合はわずか四カ月後ですよ、第一次再建計画策定されてから四カ月後に大蔵省の第一回の立入調査が行われている。これどうなんでしょう。四カ月前にさかのぼってみて、私はこの第一次再建計画というのが全く作文のような気がしてならないんです。系統資金をつなぎとめておくための作文だ、そんな感じもするんです。原点に戻るとかいろんなことをいったって、もう母体行が始めてやっているわけです、実際。調達資金のコストから見たってこれは全然競争にならないわけです。全くの作文だというふうに思うんですが、この辺どうでしょう、大蔵省として。
  141. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) 先ほどから申し上げておりますように、第一次再建計画というのは当事者の間で取り決められたものでありまして、行政が特に指導を申し上げたとか関与をしたというものではございません。私どもは、ノンバンクの一種でございます住専というものは、原則といたしまして、あくまでも経営者が経営判断に基づいてその経営を行っていくということが基本であろうと存じております。  しかしながら、第一次調査に、このときは初めて住専というものに調査を行ったわけでございますが、当時その住専の経営状況を私どもといたしまして認識いたしまして、住専の経営者がみずからその後の経営の改善に資するように指導と申しますか要請をしたところでございます。  しかしながら、御承知かと存じますけれども、貸金業あるいは住専というものにつきましては、預金を集めております銀行、信用金庫等のように業務を停止させるとか役員を更迭するというような権限を私どもが有しているわけではございません。そういう指導までできないということは御理解いただきたいと存じます。
  142. 国井正幸

    国井正幸君 私が言っているのはそういうことではなくて、不良債権があるということで立入調査をした、わずか四カ月前に再建計画がつくられた、これで本当に再建ができるのかどうか、再建計画の問題まで触れているわけですよ、報告書に。その辺を聞いたんですが、そればかりやっていると遅くなっちゃいますから、時間がなくなるので先に進みますけれども。  私は、そういう中で、しかも第一次再建計画のときにも農林系では、これじゃ我々の金が返してもらえなくなっちゃう、大変なことだ、もう引き揚げなくちゃならぬと。それを今の局長お話ですと、当事者同士でやった、何とか残高置いてくれ、こういうことで決着ついた、この第一次再建計画。ところが、その第一次再建計画も破綻をした。さあ、いよいよこれではだめだ、第二次再建計画をつくらなくちゃならない、こういう事態になったわけです。  そのときに、農協系統からすれば、第一次再建計画であれほど返してくれと言ったのに、結果的に同意をした。今度はまたそれじゃ大変なことだということで大変な抵抗があったわけです。そういう中で、私は銀行局長と経済局長との覚書というのがそういう背景の中で結ばれたというふうに思っているんです。    〔委員長退席、理事吉川芳男君着席〕  さらに、きのうの日本農業新聞ですか、いわゆる母体行責任の誓約書、これは極秘扱いだそうなんですが、大蔵省あてにそれぞれの住専の母体行から出ているというのが報じられているんです。これは事実でしょうか。そういう念書がそれぞれの母体行から大蔵省の銀行局あてに出されているかどうか、お聞きをしたいと思います。
  143. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) これは、衆議院における御議論でも検討の対象になったことでございますけれども、当時再建計画、いわゆる第二次再建計画を誠実に実行していくという趣旨の母体行側からの御意向を記した文書が私どもに提出されているということは事実でございます。ただいま衆議院で資料の提出の御要求がございますが、これはもともと民間金融機関の文書でございますので、相手側の御了解を得た上でその処理を、どのように対処するかということを検討しておる段階でございます。
  144. 国井正幸

    国井正幸君 もう時間もないんで、僕も最後のことを申し上げたいというふうに思うんです。  そういう中で、いわゆるそれぞれの住専の七社の母体行から大蔵省の銀行局に、我々母体行は責任を持ってこの再建計画を履行していきますと、そういう念書も出ている。そして、農協系が引き揚げるという中でもやっぱり残高を維持していく、そういうことを含めて銀行局長農水省の経済局長との覚書もある。そうでなくちゃ、やっぱり農水省としても農協系は指導し切れない、こういう事情が私はあったんだろうというふうに思うんです。  そういう一連のことを見れば、これは普通に考えたら信用しますよ。これで再建計画うまく行くんではないか、そうやって信じてきて、今になったらそれもだめだ、この覚書も守れない、念書も守れない、そして貸した方も悪いんだなんて言われたら、何を信じていいんだ。これは貸し手責任というのは最後に出てくることだ。最初に借り手責任がある。そして、住専と一緒になってやってきた母体行の経営責任もある。そして、なぜ目的が終わった住専をそのままにしてきたか、その間の行政指導の問題も含めてやっぱり行政責任もある。そして、僕は貸し手の責任というのは最後に来るべきだというふうに思う。それがどうも今違う議論がされている、マスコミも含めて。僕は大変遺憾なことだというふうに思うんです。  ぜひ大蔵大臣、この問題に対して、社会正義が貫かれるように、そして正直者がばかを見ないように、これからの日本の中で信頼というものが社会に根づくように、この住専処理問題について誠心誠意御努力していただきたいことをお願い申し上げまして、大臣の所見があれば伺いまして、私もう時間がありませんので、これで終わりたいというふうに思います。
  145. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) 今回の政府の提案をいたしております住専処理方策におきましては、国井委員指摘のような過去のいろいろな経緯等も踏まえまして、それぞれの立場において最大限の努力をお願いするという考え方のもとに策定されておると理解をいたしております。
  146. 国井正幸

    国井正幸君 終わります。
  147. 中尾則幸

    中尾則幸君 参議院フォーラムの中尾でございます。  私はまず、北海道古平町の国道二百二十九号線、豊浜トンネルの崩落事故についてお伺いしたいと思います。  御存じのように、二月十日の午前八時十分に事故が発生いたしました。きようでもう六日たっております。百三十時間余りたっております。バスの乗員乗客十九名と言われております、それから乗用車のドライバー一人、二十名の方がまだ救出されていない現状でございます。御家族の思いを察するとき本当に胸が締めつけられる思いでございます。  まず、建設大臣に伺います。  一刻も早く救出してほしいということは建設大臣、もう重々承知だと思いますけれども、一体いつになるのかということをまずお伺いしたいと思います。
  148. 中尾栄一

    国務大臣中尾栄一君) 私も、実は昨夜行かせていただいたときの私の感想と、それまで写真を見ておって情報を聞くだけの感想とは全く違うなという感じがいたしましたのは、自衛隊も待機をしていただいておる、さらにはまた警察も待機をしておられる、それから消防庁も待機をしておられる、町の方々もボランティアで大勢の方々が、私が行ったのはもう夜中に近いんですけれども大勢おられまして、督励に行ったもののいろいろと事情を聞くことができました。また同時に、トンネルも見ましたし、また岩壁も拝見させてもらいました。
  149. 中尾則幸

    中尾則幸君 手短にお願いします。
  150. 中尾栄一

    国務大臣中尾栄一君) しかし、その中にあって、私は本当にこれは大変なことだと思いましたのは、爆破をするまでがどうしても時間がかかったわけでございまして、幸い爆破は、要するに発破四発目で全部崩れました。  初めに、今回の一般国道二百二十九号、豊浜トンネルの坑口部における大規模な岩盤崩落に巻き込まれた方々及び御家族の方々にまずはお見舞いを申し上げる次第でございますが、現地対策本部では、被災者の救出を最優先に考えまして懸命の作業を進め、昨日二月十四日午前十一時には、発破により、先ほど申し上げましたように、岩塊を破砕する作業を完了したところでございます。その直後から可能な限りの機械、人員を投入いたしまして、昼夜を徹して岩石を除去し、運搬作業を行い、トンネル上部の岩石の除去を完了したところでございます。  また、既に自衛隊を出動要請するとともに、既に待機しておる自衛隊もそのまま引き続き岩石の搬出を行っていると承っております。つい先ほどの情報でございます。  今後とも被災者の方々の早期救出に向かって、委員指摘の最大、全力を傾けて頑張っていきたいと思っております。
  151. 中尾則幸

    中尾則幸君 大変失礼でございますけれども、私の持ち時間は二十四分しかございませんので、いつがめどかということをお伺いしているんですけれども。
  152. 中尾栄一

    国務大臣中尾栄一君) いつをめどに、これはもう私自身があしたとかあさってとかということを言うということは多少軽々でございまして、とにもかくにも最大限において救出せよということの命令だけはきちっと出しておるつもりでございます。
  153. 中尾則幸

    中尾則幸君 これはなぜ六日たったか。あの状況を考えれば、下に乗客がまだいるということで発破作業も大変だということは、私も現地を何回も通っておりますので承知しているつもりでございますが、事故発生があったのは十日、十一日に一回目の発破、これは残念ながら失敗。翌日二回目の発破です。これも失敗しました。三回目でようやく取り除けたと思いきやまだ残って、四回目が終わったのはきのうの十一時でございました。  私がここで申し上げたいのは、例えばバス一台があの大きな岩石の下に埋まっているという、これを確認したのが二月十日の土曜日十一時八分です。もうビデオにも撮って、御承知だと思いますけれども。そして、建設省がトンネルや火災あるいは発破の専門家八人を派遣したのは十三日ですよ。何日たってますか、四日もたっている。  だから、いつですか、橋本総理もとっさの判断が重要であるというふうにおっしゃっていたわけです、危機管理の問題でございますけれども。これについて対応が後手に回ってしまった。例えばこういう災害は対策はし過ぎて悪いことはないということが、またも阪神・淡路大震災の教訓が生かされていないと思うわけでございます。  これについて一言、中尾建設大臣に伺います。
  154. 中尾栄一

    国務大臣中尾栄一君) 私は第一陣、特に北海道開発庁のところに当然のことながらこちらから相当なメンバーが行ったわけでございますが、ましてや北海道開発庁長官御自身が行っていただいて、即座にその日に取って帰るようにして総理並びに私もともども報告を受けたわけでございます。その中にあって、いやこれは即座に発破のエキスパートとかそういう者を送っていかないと、岩盤そのものが普通の岩盤と違ってやわらかいところがたくさんある、だからなかなか難しいというところのことも積極果敢な詳細な報告とともに聞きました。  そこでその夜、即座に建設省の首脳の方から民間の発破の第一人者を送ろうということで、夜中にすぐに電話を入れまして、そしてこれは民間の会社の御協力によってその方々を八人、合計十人送ったと、こういうわけでございますから、これは私どもの中においての最大限の努力をさせていただいた結果だと思っております。
  155. 中尾則幸

    中尾則幸君 これだけに費やしている時間はございませんけれども、やはり、例えば現場を見たとっさの判断を最大限に各省庁の総力を合わせてまずやってみるというふうな姿勢が必要だと思います。  北海道開発庁長官にもお伺いします。  二月十日に事故が発生いたしまして、それで、現地の実質的な対策本部長が小樽道路事務所の所長でございます。これは官庁の縦割りでいえば、その上に北海道開発局があるわけです。当然何か一つ手を打つにもやっぱり上司に報告しなきゃいけない。現地の本部長が小樽道路事務所長、これではいけないというので、本当に実質的な現地の本部長がかわったのはきのう、今度は北海道開発局の建設部長になったんです。これは御家族の方が本当に怒っています。一体危機管理と言っているのは何なんだと。現場の最高指揮者が今度かわる。もう今一刻も早く助けてほしい。私はここに一つの大きな問題があると思うんです。  現地の方も大変、八百人の方やっていらっしゃいます。きょうも氷点下八度の中です。危険な作業です。これを思うときに、やはりああいう二次災害を恐れながらやっていらっしゃる方々の気持ちも体して、皆さんはもっと危機管理の体制をきちっとすべきじゃないかと思うんですが、長官はいかがですか。
  156. 岡部三郎

    国務大臣(岡部三郎君) 十日に崩落事故が発生いたしまして、その日のうちに現地に合同対策本部をつくったわけでありますが、その本部長にはやはり現地の事情を一番詳しく知っておる者が適任だということで高松小樽道路事務所長を開発局長が任命をいたしたわけでございます。  十二日の朝に私は現場に参りまして、高松氏にももちろん会いましたし、それと同時に、小樽開廷の安彦部長が初めから現地に駐在をして、高松君と合議でこの問題を処理しておったんですが、安彦部長は連日連夜の不眠不休で相当疲れておると、こういうことで、開発局長にひとつこれは上位の者を持っていって対策を強化することが必要だろうということを助言いたしました。その日のうちに実は新山建設部長は現地に入っておるんです。したがって、新山さんと高松さんの合議で問題は処理してきたわけでありまして、十四日に名前は新山さんにかわりましたけれども、十二日から実は二人で合議でやっているわけでありまして、そういう点では体制がそこで急に変わったというふうなものではないわけでございます。
  157. 中尾則幸

    中尾則幸君 私は、その体制の話で御家族の方が非常に不信感を持っていらっしゃるということをやっぱり心にとめていただきたいということを申し上げて、ほかにもたくさん聞きたいことがあったんですが、何よりも原因云々と聞くそんな余裕はないと私は思っています。  ただ、最後に指摘しておきたいんですが、今回のトンネル崩落事故、これは小樽開発建設部の内部資料でも大変、絶壁の集塊岩は風化にもろく、落石、崩落の危険があると指摘しているわけです。  ですから、建設大臣、本当は伺いたかったんですが、今、全国のこういう危険箇所のパトロールに入ったということでございますので、もちろんこの救出にはもう全力を挙げていただきたいと同時に、そちらの方も十分対応していただきたいなと思っております。  道路局長の方にも質問用意していましたけれども、ちょっと時間がございませんので、もう結構ですので、早速席を離れて陣頭指揮に当たられてください。よろしくお願いします。どうもありがとうございました。  続いて、厚生大臣に伺います。薬害エイズの問題について何点か御質問したいと思います。  きのうから厚生省前で、大臣御存じのように、HIV訴訟の原告あるいは御家族あるいは支援者の皆さんが座り込みを始めました。抗議の座り込み、これは本当に決死の覚悟であろうと、本当にこれも胸の痛む思いがいたします。  菅厚生大臣はこれまでもエイズ患者、血友病患者の皆さんに対して大変真摯に取り組んでおられた。そして、きのうはまた原告の方とも直接お会いしてお話を伺った。私は大変この姿勢を評価したいと思うわけでございます。  さて、今月八日でございますか、九日に報道がなされましたけれども、省内に設けたプロジェクトチームの調査で、一九八三年夏、厚生省のエイズ研究班の会議に出された資料などが見つかったと、これは報道で承知いたしました。その報道を見てみますと、国は意図的に資料を隠していたんじゃないかと、私も不信感はぬぐえないんでございます。  報道によりますと、今回見つかった資料で、八三年六月前後には厚生省内には血液製剤は危険との認識があったことが裏づけられたというふうにあります。この際、厚生省は、原告はもとより、広く国民に今回の調査結果を一刻も早く明らかにして、国の責任をしっかりと認めるべきじゃないか。これはもう隠せない事実だと私は思っております。  特に、昨年十月六日に東京地裁が出した和解勧告に当たっての所見についても、国の責任をはっきりとうたってあります、重大な責任があると。この点について責任をはっきり認め、そして今、原告の皆さん、患者の皆さんに謝罪すべきじゃないかと私は思っているんですが、大臣の所見を伺いたいと思います。
  158. 菅直人

    国務大臣(菅直人君) 中尾委員も御承知だと思いますが、ことしの一月二十二日に厚生省内に事務次官を責任者とする血液製剤によるHIV感染に関する調査プロジェクトチームというものをつくりました。一カ月をめどに調査をしてほしいと、その調査内容については具体的に十一項目、さらには私の方から、例えばあるところを探しでなかったら、だれにどう聞いてどうなったのか、そういうプロセスを含めてきちっとやるようにという指示を二十五日に関係者に与えました。私には二月九日の昼過ぎに業務局長の方から、この調査のプロセスの中で従来見つからなかった、あるいはなかったと言っていた資料らしきものが見つかったという報告を受けまして、その日の夕方、その見つかったことについて、まず見つかったということを公表した次第であります。  その中身について、今それぞれの立場で精査をしておりまして、いろいろと症例などプライバシーにかかわる問題も入っておりますし、守秘義務の問題は、私は基本的には役所の仕事に関するものですから役所の判断でいいとは思っておりますが、一応そういう問題をきちんとして、できるだけ早い時期に資料そのものを、もちろん一部プライバシー等の問題は黒く塗るか外さなきゃいけませんが、できるだけ早い時期に公表していきたい、こう考えております。  もう一つ、今、中尾委員の言われました裁判所の所見についての見解ですが、昨日も患者、原告団の皆さんにお会いいたしまして、私としてはその所見で指摘をされた国の重大な責任というものは最終的には認めることになるのではないかと思っているということは申し上げました。  この問題は、ただ私の個人的見解ということでは済まない問題でありますので、そういった問題を省内あるいは関係者と十分協議をして、これも余り遅くない時期までにきちっとした見解を出したい、このように考えております。
  159. 中尾則幸

    中尾則幸君 もう一問申し上げます。  私、この十二日に札幌で、HIV訴訟原告の血友病患者の皆さん、御家族、五人からいろいろ胸の詰まる訴えを受けてまいりました。一日も長く生きたい、何とかしてほしい、私たちは時間がない、助けてくれという悲痛な叫びでございました。特に、北海道では満足な治療が受けられない、何とかしてほしいという声を寄せられました。  それで、平成五年七月に厚生省からエイズ治療の拠点病院の整備についての通知がなされましたが、全国四十七都道府県のうち残念ながら私の今住んでおる北海道はまだ拠点病院すらございません。四十二都府県が整備されているそうでございます。こうした皆さんは東京まで来なきゃいけないんです。人目を忍んで、治療費をかけて、そして航空運賃をかけてくるわけです。何とか北海道に、これは青森ほかございますけれども、ここにぜひとも拠点病院、核になる病院をつくっていただきたい。そして、医療体制の充実を図っていただきたい。厚生大臣、一言お願いします。
  160. 菅直人

    国務大臣(菅直人君) 切実なる思いは私もいろいろな機会に聞かせていただいておりまして、拠点病院の整備の問題、あるいは日本ではまだ許可されていないけれどもエイズに効くと言われている薬の使用の問題など、とにかくやれることはこの和解の成立がまだであってもやるように今積極的に取り組んでいるところです。  拠点病院につきましては、今、中尾委員のおっしゃいましたように、現在は四十二都府県百五十六医療機関が設定をされておりまして、その整備に当たっては予算も二十一億計上しております。  しかし、残念ながら北海道ではまだそういった拠点病院が設定されていないことを知っておりますが、これまで八十六カ所、北海道でいうと八十六カ所の医療機関から成るエイズ協力医療機関連絡会議というものを設置していただいていると聞いておりまして、そこを専門相談窓口として位置づけて患者の受け入れの協力を要請してきております。  しかし、これからそういう中から拠点病院の候補となる医療機関の特定を含めて今、道の方と協議をしている状況にあります。できるだけ早い時期に、北海道を含め全国的にまだ十分でないものについてはできるだけ早く設定をしていきたい。  同時に、これは機関だけではなくてお医者さん、何といいましょうか、治療ができるお医者さんというものを養成していかなきゃいけませんので、それも今急ぎやっておりますけれども、それもあわせて進めていきたい、このように考えております。
  161. 中尾則幸

    中尾則幸君 厚生大臣には大変期待がかかっておりますので、どうぞよろしくお願いします。隣の大蔵大臣にもよろしく予算措置をお願い申し上げます。ありがとうございました。  三番目になりますけれども、私は当委員会で昨年十二月二十六日、国の補助事業費と北海道庁の公金不正流用問題について会計検査院長に御質問を申し上げました。ことし一月には札幌市民が国の補助金を流用し空接待を行ったとして住民訴訟を提起しました。さて、十二月二十六日、当委員会会計検査院長が、北海道の問題については各省庁を通して国の補助事業についてチェックし報告を求めるとお答えになりました。  それで、一問、質問を申し上げたいんですが、どのような指示を出したのか、そして各省庁ではどう調査し、また会計検査院にいつ報告がなされるのか、もう時間がありません、端的にお答え願います。
  162. 矢崎新二

    会計検査院長(矢崎新二君) ただいま御指摘の問題につきましては、事務総局に対しまして、北海道における空出張問題等についてどのような状況になっているか、各省庁を通じて報告を聴取するように指示をしたところでございます。  具体的な点につきましては、事務当局の方からお答えさせていただきます。
  163. 深田烝治

    説明員(深田烝治君) 私どもといたしましては、それぞれの補助金を担当している各省庁に対しましてできるだけ早期報告をいただくようお願いしているところでございます。  北海道におきましても今、空出張の中身が国庫補助事業とどのように関連するのか調査中ということでございまして、それを得て各省庁を通しまして私ども報告を受ける、そういうことでございます。
  164. 中尾則幸

    中尾則幸君 平成年度の一般検査がもうそろそろ始まることになっておりますけれども、疑義があればこの平成年度の一般検査の中で、検査というかやるということでございますね。イエス・ノーで結構でございます。
  165. 矢崎新二

    会計検査院長(矢崎新二君) 補助事業を主管する各省庁におきまして北海道から報告を求めていただいているわけでございまして、その上で各省庁が今後の処理方針を決定するというふうに聞いております。  本院といたしましては、主管省庁の処理方針等について報告を得ましたならば、その内容について検討した上で、補助事業の適正な執行を確保するという観点から、必要がもしございますれば、公共事業費等の検査の一環として御指摘の点についても検査を実施することになるわけでございます。
  166. 中尾則幸

    中尾則幸君 続いて法務大臣に伺います。  空出張、空接待、空会議、空雇用、この乱脈ぶりですね。不正経理、これはもう北海道だけじゃないんですよ。北海道は突出して十九億。これ四年間で十九億。私が前に質問したのは十億でございましたけれども、十九億まで上っているんです。まかり通っているわけですよ。先ほど住専の問題もありましたけれども、これが政治をわかりにくくしているんです。なぜ検察がこうした事実を見逃していくのか。  それで、法律の専門家の一人に御意見をちょっと聞きましたら、自分や第三者である他の部署の利益を図る行為は横領または背任に当たると解釈する余地は十分にあると述べておられます。何よりも、だれが見ても明らかな不正行為を私は検察当局は見逃していると思うんですよ。捜査権がない市民オンブズマンが今一生懸命頑張って、情報公開で何とかささやかに調査して出しているわけです。検察はそれで受理するか不受理か。  法務当局に聞きたいんですが、検察側は仕事でしょうというんです、こういうことを調べるのは。わかりにくいんですよ。北海道の例はまだ受理されておりません、受理するかどうかも決めていないんです。これ、空の請求書を送ってそしてお金をためているんですよ、公文書偽造にもなるんじゃないですか。こんな単純なことが、これは国民、道民、みんな怒っているんです、検察はなぜ動かないんだと。このことについて一つだけお答え願いたいんです。  私、法律は詳しくありませんけれども、これは国民それから北海道民、みんな怒っているんです、検察は何をやっているんだと。税金を取るだけ取ったら、脱税したら厳しい処置が待っている、これは住専の問題もですけれども。  きょうはこの問題、法務大臣、民間の大臣として本当に私期待しております。最後に一言明快な御答弁をいただいて、質問を終わります。
  167. 長尾立子

    国務大臣(長尾立子君) 北海道庁における公務員の空出張等不正経理問題が社会の皆様から御批判を受けておりますことは承知をいたしております。これらの問題に関しましては、告発状が検察庁に提出されたということも伺っております。  検察当局としては、犯罪に当たると認められるような事実があると思料する場合には、適正な手続に従って捜査を遂げ、法と証拠に基づき適切に処理するものと思います。
  168. 中尾則幸

    中尾則幸君 終わります。
  169. 水野誠一

    水野誠一君 高速道路の料金問題について、建設大臣にお伺いしたいと思います。  私は、欧米を旅行いたしますといつも感心させられるのは、すばらしい高速道路がある、無料である、すなわちフリーウェーであることであります。このあたりに、日本が経済大国になったとはいえ社会資本の蓄積の格差というものを思い知らされるわけであります。  昨年十一月に出された道路審議会の中間答申では、高速道路の値上げを抑制するための償還期間の延長、つまり現行の四十年を四十五年から五十年に引き延ばすということ、また用地費を償還期間の料金対象から除外することなどの新しい料金制度が提案された。この新しい制度が採用されますと、現行制度のままでは十年後に一・四倍になると言われていました高速料金が一・二倍の値上げで抑えられると聞いております。  しかしそれでも、値上げ幅が少なくなったといっても既に我が国の高速料金というのはアメリカの八倍それからフランスやイタリアなどの三倍と、国際的に比べますと非常に高く、これが物流コストを上げる大きな要因になっていることは明らかであります。  今回の答申では、高速道路予定路線の一部を一般国道で代替しようという考え方が示されているわけでありますが、そのような路線をふやすことにより高速道路のコストを大幅に下げることが可能であるというふうに考えます。  四全総では、建設予定の計約一万一千五百二十キロの高速道路のうち一般国道で代替するのは今のところ七百キロにすぎないと聞いております。しかし、まだ建設の始まっていない二千九百三十三キロの未事業区間に関しても、採算性を重視した見直しを再度行っていただいて、利用度の高くない道路に関しては一般国道自動車専用道路による代替を積極的に進めていくべきではないかというふうに考えます。  この件に関する建設大臣の御見解を伺いたいと思います。
  170. 中尾栄一

    国務大臣中尾栄一君) 水野誠一委員にお答えいたします。  高速自動車国道は、地域の連携と交流を支え、多極分散型国土の形成に資する最も根幹的な施設であるということは御指摘のとおりでございます。その整備状況というのはいまだ道半ばでございまして、高齢化社会の進展を控え、二十一世紀初頭のネットワーク完成を目指し早急な整備が必要であることもこれまた論をまたないところでございます。  道路審議会の中間答申では、料金上昇の抑制を図りつつ、高速自動車国道の着実な整備を推進することについての提言がなされていることは御指摘のとおりでございます。その中では、一般国道を高速走行可能な自動車専用道路として建設することにより高速自動車国道の機能を代替させ、高速自動車国道の全国プールへの負担軽減を図る考え方が示されているところでございます。    〔理事吉川芳男君退席、委員長着席〕  今後、このような御提言を今委員が御指摘のとおり積極的に取り入れまして、料金上昇の抑制を図りながら、なおかつ高速ネットワークの整備を推進していくように検討してまいりたいと考えております。
  171. 水野誠一

    水野誠一君 一日に二、三台しか車が通らない林道に立派な舗装工事がなされているとかいった話がよく引き合いに出される道路行政でありますが、このイメージを一新する意味でも、ぜひこの御検討を進めていただきたいというふうに思います。  さらにもう一つ伺いたいのですが、高速道路行政においては、償還期間後も用地費の償還及び維持管理費を捻出するために料金を無制限に徴収する考えが打ち出されています。これはすべての費用を一括して償還して、その後は無料にするという当初方針の大転換であるというふうに考えます。  では、用地の償還についてどのようにするかという問題、これは用地は国に帰属するのでありますから国が負担すべきだという考え方もありますが、現在この点について建設省ではどのような議論がなされているのか、伺いたいと思います。  また、無制限に徴収される料金水準というのは今後どの程度になるのか、この点についても簡潔にお答えをいただきたいと思います。
  172. 橋本鋼太郎

    政府委員橋本鋼太郎君) 道路審議会の答申におきましても、いわゆる償還期間が終わった後の維持管理をどうするかということについて新しく提言を受けております。  その中で、今後の維持管理費の増加あるいは高速走行の確保や安全性、快適性等のサービスの受益、さらに負担の公平を勘案いたしますと、償還期間後も料金により維持更新を行うことが適当ではないかというような提言をいただいております。  この場合に、その時点での物価水準や維持管理のニーズ等いろいろな条件が変わりますが、現在の料金に占める維持更新費の割合はおおむね三割程度でございます。先ほど委員も御指摘ありましたように、償還期間内の償還対象経費から用地費などを除いた場合には、その用地費をいつ負担するかという問題にも関連いたしますが、いずれにいたしましても建設費の償還が終わった後の料金は大幅に低減するものと考えておりますので、このような提言について十分検討をしてまいりたいと考えております。
  173. 水野誠一

    水野誠一君 次に、多目的ダム等建設事業の実施について建設省にお伺いをしたいと思います。  平成年度の会計検査院の決算検査報告を見ますと、多目的ダム、河口堰等の施設を建設する六事業において、過去に八百五十一億円が費やされていたにもかかわらず事業が長期に停滞しているという指摘がされています。  例えば、八ツ場ダム建設工事では、昭和四十二年度から平成年度までに二百八十八億円が投じられながら、いまだに水没関係者に対する生活再建対策に同意が得られていないことなどから、事業着手後二十九年間を経過した現在でもダム本体工事に取りかかれていない状況、これが指摘されているわけであります。  従来からダム事業に関しては調査から着工までが極めて長期にわたるケースが多いわけでありますが、その間に社会的、経済的ニーズに合致しなくなっているとの批判もあり、特に長良川河口堰問題以降、大規模公共事業を再検討する第三者機関の設置を求める声が強まっているわけであります。  建設省では昨年、ダム事業に関して地方公共団体関係者や学識経験者によるダム事業審議委員会の設置を決めたというふうに伺っておりますが、この委員会のこれまでの審議状況について伺いたいと思います。また今回、会計検査院が指摘しております事業に関してダム事業審議委員会で討論された内容があるのかないのか、その辺についても端的にお答えをいただきたいと思います。
  174. 松田芳夫

    政府委員(松田芳夫君) 平成年度の会計検査院の決算報告におきまして、委員指摘のとおりに、多目的ダムを中心にして事業が長期化しているという御指摘がございました。一部新聞等で報道された内容につきまして必ずしも正確ではなかった点がございましたが、会計検査院の指摘内容につきましては、ダム事業の長期化という事態を改善するために関係機関との緊密な連絡、協調をもとに、事業の総合的な調整を図ることや、周辺の事業の進展と整合性を図ることなどが望ましいというものであり、建設省といたしましては、事業を円滑かつ速やかに進めるべきとの指摘であるというふうに認識してございます。  一般的にダム事業につきましては、大規模に水没問題を伴うことや、上流、下流で複雑な利害関係があることなどから、地域の実態や関係者の意向を尊重しながら慎重に合意形成を図っていく必要が特に大きい性格の事業でございます。そのため、合意形成の過程で多くの時間を要し、結果的に事業完了までに長期間を要することがやむを得ない面もあるというふうに考えてございます。  しかしながら、御指摘の趣旨は十分に受けとめ、地域との十分な合意形成を前提として、円滑な事業実施、執行に努めてまいりたいというふうに考えてございます。  また、群馬県の八ツ場ダムの建設事業におきましては、地元関係者との話し合いが実り、長野原、吾妻町との基本協定とか地元関係者との用地補償調査協定の調印、水源地域対策特別措置法に基づく水源地域整備計画も決定されたところでございまして、地元の方々、関係機関の御協力をいただいて、地元状況は現在大きく好転しているところであるというふうに考えてございます。  それから、長良川河口堰その他等の教訓から、ダム事業審議委員会というような機関を設けまして、全国で十一の事業を選びまして、試行ということで地元の人々の意向その他を確認するシステムを現在進めでございます。十一事業予定してございましたが、そのうち十事業までは既にダム事業審議委員会が発足しておりまして、いろいろな審議を進めております。  建設省といたしましては、当分このダム審議委員会のシステムの試行を見守りつつ、よりよき制度として確立していくようにということで、当分の間、試行を見守ってまいりたいというふうに思っております。
  175. 水野誠一

    水野誠一君 この委員会自体が第三者によるチェック機関ではなくて、委員会の設置主体はあくまでも事業者自身であるということから、本当の公平性といいますか批判性というものが維持できるのかどうかという疑問もあるようであります。このような批判に対する意味でも、客観性を持ち、関係住民の意見を反映させる機関として機能していただきたいというふうに要望を申し上げて、質問を終わらせていただきたいと思います。  次に、厚生省に伺いたいと思います。  厚生大臣に、国民医療費について伺いたいと思います。  今年度国民医療費は約二十六兆円に上ると聞いておりますが、近年、医療費は毎年一兆円ずつ増加をしています。今後、高齢化の進行において、現状のままでは加速度的な増加を余儀なくされると考えられます。特に老人医療費の占める割合は国民医療費の約三割に当たり、医療費の抑制を図るためには老人医療費の適正化を進めることが重要であるということは言うまでもありません。公的介護保険の構想の背景には、この老人医療費の増加を介護保険を導入することによって抑制しようという意図があるのではないかと思います。  しかし、根本的に考えてみますと、この増加要因の背景にある検査づけあるいは薬づけと言われている我が国の医療の体質の存在を見逃すことはできないのではないかと思います。  昨年十二月に提出されました平成年度の会計検査院の検査報告を拝見しますと、前年度に続いて厚生省所管の社会保険関連で巨額のむだ遣いが指摘されています。医療費関係では、七医療機関において検査料の請求が不適正と認められるものが何と八千九十二件報告されています。これは、例えば多くの患者について不必要な検体検査を毎月繰り返して行っていた等のものでありますが、これらの不適当な請求は審査支払い機関における審査を経て支払われているわけであります。となりますと、現在の医療費に関する審査体制に改善すべき点が多々あるのではないかというふうにも考えられます。  また、医療費の三割が薬剤費、すなわち年間八兆円が薬代になっているわけでありますが、現在のように薬価基準と実際の薬の価格の差がある限り、薬を多く使えば使うほどそこに利益が出るということになるわけでありますから、この薬価差益をなくさない限り、薬づけ医療という批判、これをなくすることができないのではないかというふうに思います。  診療報酬の請求に対する審査体制の強化、あるいはその薬価差益の問題を含めて、医療費の抑制に関する厚生大臣の御見解を伺いたいと思います。
  176. 菅直人

    国務大臣(菅直人君) 今、水野さんの方からかなりいろいろな具体的な問題を指摘しながら医療費の増大について御指摘があったわけですが、まさにおっしゃるとおり、二十六兆円という非常に膨大な医療費の中で確かにいろいろな問題が従来から指摘をされているところです。  実は、現在、このような会計検査院の指摘をその都度、都道府県を通じて保険医療機関に伝えて指導する、あるいは支払い機関における審査に反映させるという努力をいたしております。特に、最近指導大綱と呼ばれるものを四十年ぶりに基本的に改め直したところであります。そういった点でこれまで以上に努力をしなきゃいけないと思っておりますが、今その中で幾つか具体的に話をされた問題で、一つは薬価差益の問題があります。  これも本当に古くから常に言われてきたことでありまして、いろいろと改善の努力をしてきているわけですけれども、率直に申し上げると、薬価差益そのものが薬をたくさん使うという傾向に拍車をかけているというのは、一般的に言えばそのとおりだと思うんですが、別の見方をすると、薬価差益によって診療機関が経営を維持しているという側面もあったりして、ですからそういう点では、薬価差益によって薬を使い過ぎないようにすると同時に、場合によっては、必要なものについてはきちんと点数をつけて、あるいは引き上げてやっていくというようなやっぱり一つの組みかえのようなことが必要なんではないか、こんなふうにも思っております。  そういうことで、今、中医協の方から新しい薬価の算定方式などいろいろと建議をいただいておりますけれども、そういうことを含めて、この間やっております加重平均値に一定幅のものを乗せるというやり方、こういうことももう一回これでいいのかきちんと議論の土俵にのせて、薬剤費や薬価差益が患者のためでない形で使われているということの懸念をなくするように努力したい、こう考えております。
  177. 水野誠一

    水野誠一君 次に、公的介護制度について厚生大臣に伺いたいと思います。  厚生省の推計では、二〇〇〇年には介護が必要な高齢者が二百八十万人、二〇二五年には五百二十万人と倍増する予測がされておるわけでありますが、このような莫大な介護需要に対応できるシステムとして公的な介護制度を創設することは非常に有意義なことというふうに考えております。  先月、発表されました老人保健福祉審議会の第二次報告におきましては、この新たな高齢者介護制度のもとで提供される介護サービスの内容がおおむね明らかにされました。また、新しい制度の骨格や費用負担のあり方など介護保険制度に関する内容に関しては今国会中に厚生省より法案が提出される予定と聞いておりますので、一刻も早く制度の骨格をお示しいただきたいというふうに考えております。  さて、公的介護制度に関する中心的な議論の一つに保険の実施主体をどこにするかという問題があります。保険料を徴収してサービスの費用を支払ういわゆる保険者でありますが、これは住民に最も身近な存在である市町村が中心的な役割を果たし、地域の実情、ニーズに応じたサービスを提供することが望ましいというふうに考えられます。  しかし、自治体によっては行財政能力、サービス基盤の整備状況などが大きく異なることも事実であります。例えば、実際に都市部の自治体が非常に高コストな特養老人ホームをつくれる一方、これは都心の例を引きますと一床一億円という事例もあり問題になっているわけでありますが、他の自治体ではごく基礎的なサービスしかできないという、こういった格差は既に存在しているわけであります。また、市町村が運営する国民健康保険の赤字が現在大きな問題となっており、介護保険についてもこのような地域格差が起きないような国の適切な運営指導が必要になるのではないかというふうに考えておりますが、この点について厚生大臣の御見解を伺いたいと思います。
  178. 菅直人

    国務大臣(菅直人君) 介護保険制度については、まさに非常に大きな制度の創設でありますし、議論がいろんなところで高まりつつあるというように思っております。  今、水野さんの方からありました特に保険者をどういうふうにするのか。実は、きょう老健審に事務局案という形で、やはり何らかの案を出さなければ議論が進まないということで三つの案といいましょうか、こういう形か、こういう形か、こういう形があるのではないかという案を出させていただきました。一つはいわゆる保険者を市町村とする案、一つは国とする案、一つは今の老健法のような形で医療保険者とする案の三つであります。  ただ、これがなかなか議論が難しいのは、今言われたように、サービスそのものの実施はできるだけ自治体を中心にした方がいいということは大体関係者で大きな差はないと思うわけです。ただ、財政的な責任をどこが持つかということで、その面では自治体の特に首長さんなどは心配をされております。  今申し上げた三つの案はそれぞれ市町村、国あるいは医療保険者とはなっておりますけれども、実は六十五歳未満の若い人たちから集めたお金は基本的にはプールをして、そして自治体に例えば老人の比率に応じて配分する等のことを基本としていて、六十五歳以上の人についてどういう形で集めるかということなどにおいて若干の差がある。ですから、必ずしも国保のような保険者のように財政も一〇〇%全面的に責任持てと、もちろん国保でも国費は入ってはおりますけれども、それほどの大きな差ではないわけであります。  それから、施設の方はいろいろ言われましたけれども、確かに施設の差は一朝一夕には埋めにくい面もあるかと思いますが、しかしやはります制度を立ち上げて、その差については何らかの形で公平性を保っていく。これは必ずしもまだ厚生省の実とまでは言えませんが、例えばある地域でサービスがまだ低い場合は本人負担分だけは若干その地域はまだ下げておくとか、あるいは逆に今問題になっているもう一つの問題、現金給付とサービス給付、サービス給付だけでいくかどうかという場合に、ある地域でサービスのまだ低いところは例外的に現金給付を認めるとか、いろいろな工夫を加えることによって、将来はあらゆるところできちんとしたサービスが受けられるけれども、その過程の中では若干の差が出ることは理解をしていただいて、そういう方向で立ち上げるということが必要ではないかと、このように考えております。
  179. 水野誠一

    水野誠一君 ありがとうございました。終わります。
  180. 栗原君子

    栗原君子君 新社会党・平和連合の栗原君子でございます。私は沖縄の問題についてお伺いしたいと思います。  本来でございましたら、この三月三十一日で通称象のおりと言われております楚辺通信所の中にあります地主さんがお持ちの土地が期限切れを迎えるということもありまして、しかしこの国会住専の問題が表に大きく出ておりまして、沖縄の問題が少し影が薄くなっていることについて心配しながら質問をさせていただきたいと存じます。  私たち新社会党は、先般、二月三日から二月五日にかけまして、矢田部参議院議員を団長として、五人の国会議員に加え、地方自治体議員、さらには顧問団として軍事評論家、学者、弁護士さんなど総勢二十八名で沖縄の調査を行いました。  現地の米軍基地の調査、あるいはまた大田知事を初め自治体関係者の皆さんや違憲共闘会議、いわゆる反戦地主と言われる人たちにもお会いをいたしました。さらには、政党関係の方、民主団体の人たちとの交流を積極的にそしてまた精力的に進め、調査をしてまいったところであります。特に、米軍基地といたしましては、普天間飛行場、嘉手納飛行場、読谷飛行場、キャンプ・ハンセン、那覇軍港、そういったところを視察したわけでございます。  私は、既に戦後五十年たっているわけでございますけれども、沖縄は五十年間変わっていないのではなかろうかと、こういうことを思いました。昨年は戦後五十年、あるいはまた広島出身の私からすれば被爆五十年という大きな節目の年でございました。広島があの五十年前に廃墟となりまして、五十年間着実に都市計画も進めてまいりまして今日の立派な都市を形成していることに比べまして、沖縄の今日の状態というものは五十年たっても差がある、余りにも変わっていないと、こういうことを感じたわけでございます。  ここで、先般、外務大臣はアメリカに行かれまして、こういった沖縄問題についても深く話し合いもなさってお帰りになっていらっしゃると思うわけでございまして、まずアメリカとの話ではどういったことが大きな議題となったものか、少しかいつまんで答弁いただければと思います。
  181. 池田行彦

    国務大臣(池田行彦君) 栗原委員とは同じ広島の出身でございます。  私も、五十年前のことを考えますと、現在平和公園となっています場所に、私も原爆が投下されますつい半月前まで、小学校、当時国民学校と申しましたが、その児童として住んでおりまして、本当に際どいところでさらに田舎へ疎開しまして命を長らえたわけでございますが、身内の人間あるいは当時の同級生、多くの人間が犠牲になりまして、本当にこういうことが二度とあってはならない、こんな気持ちを持った人間でございます。今委員指摘のとおり、その広島も半世紀をけみしまして今本当に将来に向かって着実な歩みを進めているところでございます。  それに引きかえ、沖縄の皆様方が本当にいまだに大変困難な状況の中にあり、深い悲しみ、また苦しみのお気持ちをお持ちになっている、このことは私どもも深く思いをいたしまして、我が国の安全のためとはいえ、沖縄県民の方々が担っておられます御負担というものを少しでも、いや、でき得る限り軽減していくということに真剣に取り組んでまいらなくちゃいけない、このように考えている次第でございます。  さて、委員質問の、先般おまえはアメリカへ行ってどのような話をしてきたか、こういう点でございます。  私、外務大臣に就任いたしまして一週間くらいの時点でございましたけれども、アメリカへりまして、クリントン大統領、ゴア副大統領も表敬訪問いたし、さらにクリストファー国務長官、ペリー国防長官ともいろいろ日米関係のこれからにつきまして、広範な問題につきまして協議をしてまいった次第でございます。その中で、当然のこととして、我が国の安全あるいはアジア太平洋地域のこれからの安定をどうやって守っていくか、その中で我が国とアメリカがいかなる役割を果たしていくべきか、こういったことについて意見を交換してまいりました。  その中で、私どもといたしましては、世界が大きく変わりました、冷戦は終えんいたしました、しかしながら我が国の安全を守るために、またアジア太平洋地域の安定を維持していく上において、日米の安全保障体制というものの役割は極めて大きいものがあるということを話し合ったわけでございます。また、そういった意味で、その目的を全うしていくためにどういうことをしていかなくちゃいけないか、これを話してまいりました。そういった中で、沖縄を含めまして我が国にございます米軍の基地というものの存在についても当然のこととして話をしたわけでございます。  私どもといたしましては、先ほど申しましたような観点から、今後とも日米安保体制は堅持しなくてはならないと考えておりますが、そしてその安保体制、安保条約の目的を達成するといったそのこととの調和を図りつつ、しかしながら、先ほども申しましたような沖縄の県民の皆様方が直面しておられるような状態、またその思いというものを本当に我が事として考え、とらえ、少しでも、いや、でき得る限り御負担を軽減するために真剣に考えていこう、こういうことで両長官とも話をしてまいった次第でございます。  御承知のとおり、昨年の秋に、一年をめどに沖縄の基地の整理、統合、縮小を図っていくために真剣にやっていこうということで、これまでのいろいろな仕組みに加えまして特別行動委員会、いわゆるSACOというものをつくったわけでございますが、ここで日米が真剣に話し合ってしっかりした成果を出してまいりたい、こう考えております。  その成果を出すというのは、具体的には一年後でございますこの秋でございますけれども、しかしその過程におきまして、この四月にはクリントン大統領が訪日されるということになっております。これは大きな節目でございますから、そのときに向かってSACOを初めとする作業を精力的に進めまして、四月の時点で明確な方向性を基地の問題についても打ち出していこうと、このようなお話をしたところでございます。そして、SACOの作業部会は本日も真剣に話し合ったところでございます。
  182. 栗原君子

    栗原君子君 何さま小会派は時間が少ないものですから、恐れ入ります。  実は、私たち沖縄に調査に参りまして、例えば民間機が入っていく場合でも大変低空で入っていかなければいけないといった状況。そして、沖縄の空はあくまでも米軍が握っている、米軍の許可がなければ私たちも沖縄に入れない、こういった状況があるわけでございます。それから、完全武装した米軍の軍隊が民間地域を闊歩するという行軍訓練をやるわけでございまして、住民の皆さんから見ますと、住民を大変威圧する行為としか受け取ることができないと、こういったことも指摘されておりました。  それからまた、昼夜の区別なく軍用機が飛ぶわけでございます。本土の厚木とか横田におきましては、飛行時間の制限に関する日米合同委員会が存在するために、夜は飛行訓練をしないわけでございますが、沖縄では昼夜の区別なくこれをやるわけでございますね。それとか、米軍の車両の高速道路の使用料は無料になっている。住民感情からどう考えてみてもこれは不公平なことである、こういうことでございます。さらには、米軍の自動車税の特別条例、例えば二千ccクラスでございますと軍人軍属は一般県民の六分の一の税率でいい。  そしてまた、教職員の皆さんとも懇談をいたしましたけれども、子供たちの教育の面で大変これは好ましい状況ではないということでございます。子供たちが外に出て遊ぶことができない、外に出たがらないんだと、こんなことをおっしゃっておられました。一つ一つ私たちは県民の皆さんがそうおっしゃることが大変胸にずきんずきんとくるわけでございますね。五十年間、米軍の基地の重圧のもとで県民生活がなされ、そして、そのために住民としての権利が保障されていないということ、これを感じ取ることもできたわけでございます。  さらに、基地の密度からいたしましても本土の五百倍でございます。しかも、これが五十年間続いている、これはまだ二十一世紀まで持ち続けられるのではなかろうか、こんな心配があるわけです。この間、本土におきましては基地は四分の一に削減しているわけでございますけれども、返還後一四・四%しか沖縄においては約束のものが返還をされていないということ。少なくとも本土並みに返還をしてくれてもいいんではないか、こういった厳しい指摘もあったわけでございます。  さらにもう一つ、私は金武町というところの自治体の関係者の皆さんからも説明を聞きました。一〇四号線を越えての実弾の演習でございますけれども、これが回数にいたしまして百六十五回、日数にして二百六十一日、そしてまた着弾数が三万九千四百八十五発というのであります。山を標的にいたしまして実弾演習をするわけでございますから、かつては青々とした緑いっぱいの山でございましたけれども、今は赤茶けた肌が見えるという大変痛々しい山になっているのでございます。  そして、自治体の議員の方たちがハワイの演習場を視察に行かれました。ハワイでは、森でしょうか林でしょうか、そこの中には撃ち込まないわけですね。その手前に撃ち込んで、そして山肌がめくれたら、その後きれいに補修をするわけです。そして不発弾があれば、それは全部その都度その都度除去するわけでございますけれども、沖縄では全くこういったことはなされていないわけです。そのために、集中豪雨のときには赤茶けた水が川に流れてくる、そして海に流れてくる、サンゴ礁を傷める、漁網を傷める、こういったことが言われているわけでございます。  そしてまた、米軍の人たちは六カ月交代のローテーションを組んで来るわけでございまして、しかも二十歳から二十一歳という、アメリカの本土では訓練もしなくて沖縄に来るわけでございまして、沖縄で訓練を受けている状況だと。そして、金はないし、いろいろいたずらもしてみたくなる年ごろでもあるんだと、こんなことも住民の皆さんから指摘をされていたわけでございます。  あれやこれやひっくるめまして、どう見ても私は沖縄は差別をされている、こうしか思えないわけでございますが、こういったことについて防衛庁長官並びに外務大臣、どうお考えでいらっしゃるんですか。このままでいいとは思っていらっしゃらないと思いますけれども、御答弁をお願いします。
  183. 臼井日出男

    国務大臣臼井日出男君) ただいま委員お話をいただきましたとおり、米軍の施設・区域が沖縄に集中をしている、このことによりましていろいろな問題が起きて、沖縄の皆様方が沖縄における米軍の区域・施設についての整理、統合、縮小の御要望が強いということはよく承知をいたしております。  委員、先ほどいろいろお話をいただいたわけでございますが、先般、私も沖縄の方に参りまして知事さんにもお目にかからせていただきましたし、ヘリコプターで基地全般を拝見もいたしましたし、またクールラック司令官にもお目にかかっていろいろお話も聞かせていただきました。また、嘉手納飛行場にも参りまして、司令官に直接基地内をくまなくお引き回しをいただきながら、いろいろお話も伺いました。  その中で私が特に感じたことは、大変騒音あるいはその周辺の皆様方に対する注意というものをしながらやっているということも伺ってまいりました。今後とも、私どもも既に米軍側とお話し合いをいたしました項目等も含め、長い間御苦労いただいている沖縄の皆様方のお気持ちを外しながら、一つ一つ確実に整理、統合、縮小に向けて努力をいたしてまいりたい、こういうふうに存じております。
  184. 池田行彦

    国務大臣(池田行彦君) ただいま防衛庁長官から御答弁ございましたし、御注意もございましたから、簡潔に答弁いたします。  今、栗原委員指摘の中で、騒音の問題等々、基地の縮小とは別にしましても配慮すべき問題が多々あるというお話がございました。そのとおりでございまして、文字どおり今SACOを初めとしまして、そういった場所でもそういった問題について着実に進めようとしているところでございます。  それから第二点でございますが、沖縄に駐在いたします米軍の兵士のいろんな行動についての御注意もございました。やはり綱紀の粛正等につきましては私どももこれは厳に注意しなくちゃいかぬ、こう思っておりますし、米側においてもその点は大変大切に考えておりまして、ペリー国防長官御自身が太平洋軍の司令官に対しましてそういった点について指示をされた、こういうふうにも承知しております。  それから第三点でございますが、基地の演習場の運用について、ハワイ等において行われることと違うではないかという御指摘がございましたけれども、私どもの承知しているところでは、沖縄における運用とハワイを初めとする米本土での演習場の運用において違いがあるとは承知しておりません。ただ、ハワイで演習場をやめたといいましょうか、演習を中止した場所におきまして、御指摘のような環境面その他への配慮をいろいろしてクリーンアップをしたという事情はあるようでございます。  いずれにいたしましても、そういった面も含めまして実質的に改善を図る余地があるかどうかこれからも真剣に検討してまいりたい、こう考えておる次第でございます。
  185. 栗原君子

    栗原君子君 実は、県の経済に基地の占める依存度といいましょうか、これを調べておられましたけれども、一九七二年には依存度は一五・四%でございましたけれども、一九九二年には五・一%と県民の皆さんの基地経済への依存度というのは減っているわけでございます。これらを考えますと、私は大幅に基地の削減をしていただきたい、こう思うわけでございます。  そこで、沖縄県が今進めておられます二〇一五年を目途にいたしましての米軍基地の計画的かつ段階的な返還を目指す基地返還アクションプログラム、これは県内四十カ所すべての米軍基地を対象としているわけでございまして、第一期は二〇〇一年まで、第二期は二〇一〇年まで、そして第三期は二〇一五年までということで進めていらっしゃいます。そして、その後には第三次の沖縄振興開発計画を中心とした開発を進めていくとか、あるいは国の方で作業しておられる次期全国総合開発計画の想定目標に到達をするために開発を計画的に進めていくとか、あるいはまた国際都市形成整備構想の目標実現にこれを到達させていくとか、そういったことできちんとした都市計画を進めようということを考えていらっしゃるわけでございます。  このことにつきましては、多分知事さんからも総理大臣にお話も行っていると思いますけれども、この計画を県の要求しておられるような状況まで約束ができそうでございましょうか、どうでございましょうか、一言。これは削減が基本でございますけれども。
  186. 臼井日出男

    国務大臣臼井日出男君) ただいま委員お話をいただきましたアクションプログラムの件につきまして、先ほど私お話を申し上げましたとおり、私どもは沖縄に所在をする基地の整理、統合、縮小に向けて現在までも努力をさせていただいている途中でございます。  今回、沖縄県が取りまとめられました基地返還アクションプログラムにつきましては、将来の展望を踏まえた沖縄県の御要望として十分承知をいたしているところでございます。  また一方、日米安保体制は、我が国の安全のみならずアジア太平洋諸国の安全と平和のために不可欠でございます。その中で、沖縄における施設・区域は在日米軍のプレゼンスを支える重要な役割を担っているわけでございます。先ほどお話をいたしましたとおり、先般、大田知事さんにもお目にかからせていただきました際に、大田知事さんの御要望も承りました。その上で、私どもの現在抱えておりますこれらの問題について御理解と御協力をお願いいたしたところでございます。  いずれにいたしましても、私ども防衛庁といたしましては、日米安保条約の目的達成との整合性を図りつつ、沖縄県における米軍施設・区域の整理、統合、縮小に向けて、米側とも協議の上、現実的に、かつ誠意を持って対処してまいりたいと思います。
  187. 栗原君子

    栗原君子君 御答弁いただかないわけでございますけれども、ちょうど大蔵大臣がいらっしゃいますが、六千三百億という思いやり予算を出し過ぎるのではなかろうか。今日、住専の問題で六千八百五十億ということが出ておりまして、国民の八割から九割の人たちが公的資金導入すべきでないといった、そういったマスコミの世論調査もあるわけでございますが、六千三百億という膨大な思いやり予算を出していると、思いやり過ぎだから居座るのではなかろうかと、こんな住民感情もあるわけでございまして、これだけ財政的にも厳しいわけでございますから、ぜひそうした面で軍縮に向けて予算はしっかりと削減をしていただくように、基地の削減もあわせてお願いをして、時間が参りましたので終わります。  ありがとうございました。
  188. 浦田勝

    委員長浦田勝君) 他に御発言もなければ、平成年度決算外二件及び平成年度決算外二件に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  189. 浦田勝

    委員長浦田勝君) 御異議ないと認めます。  これより平成年度決算外二件及び平成年度決算外二件について討論に入ります。  平成年度決算及び平成年度決算の議決案はお手元に配付のとおりでございます。  なお、議決案については、理事会において協議の結果、議決案は両年度決算を一括して作成することとし、また、そのうち内閣に対する警告は配付の案文どおりとすることに各会派の意見が一致したものでございます。  案文を朗読いたします。     内閣に対し、次のとおり警告する。  (一) 国の一般会計において、平成年度一兆五千四百四十七億円、平成年度五千六百六十三億円と、戦後初めて二年連続の決算上の不足、いわゆる歳入欠陥が生じ、その後の財政運営に困難を来していることは、誠に遺憾である。  政府は、税収の減少や公債残高の急増等により、極めて深刻な財政状況にあることを厳しく認識し、歳出全体について社会・経済情勢の変化を踏まえた徹底した見直しを進める。など、財政改革に真剣に取り組むとともに、財政の現状や将来展望等について国民に分かりやすく明らかにすること等により、国民理解を求めながら、今後の本格的高齢社会に対応し得る行財政の確立に向けて一層の努力を傾注すべきである。  (二) 核燃料を柔軟かつ効率的に利用できる新型転換炉は、昭和四十二年からその開発が開始され、原型炉「ふげん」の成果に基づき、昭和五十七年から実証炉建設計画が進められてきたが、その建設費が当初見積もりを大幅に上回ることが判明したこと等のため、平成七年八月に同建設計画は中止に至った。  政府は、昭和四十二年度から平成年度までの間に約二千億円の国費が投入された新型転換炉の開発において、その実証炉建設計画が中止に至った事態を重く受け止め、今後、このような大型技術開発の実用化の推進に当たっては、研究開発体制の一風の整備を図るとともに、進捗状況に応じて開発計画の評価を行うこと等により、適時適切な措置を講ずるよう努めるべきである。  (三) 国民健康保険の財政調整交付金について、市町村による不適正な受給の指摘が、決算検査報告において、昭和六十三年度以降毎年続いており、平成年度までの不適正受給の総額が百五億円に上っていることは、遺憾である。  政府は、構造的な問題を抱える国民健康保険制度の安定化に更に努力するとともに、この種事態の根絶を期するため、都道府県及び市町村に対する指導の徹底を図るべきである。  (四) 厚生年金保険及び国民年金の積立金の一部をより有利に運用することを目的とした自主運用事業について、平成年度末において約七千億円の繰越欠損金が生じていることは、年金資金運用の健全性、安定性の観点から看過できない。  政府は、今後の厳しい年金財政の状況にかんがみ、国民共有の資産とも言うべき年金積立金の安全かつ効率的な運用体制の整備に更に努力するとともに、自主運用事業に対する国民理解を得られるよう、市場への影響等に配慮しつつ、ディスクロージャーの一層の推進に努めるべきである。  (五) 認可法人である日本下水道事業団が、地方公共団体の委託を受けて、平成年度及び五年度に発注した下水道の電気設備工事について、いわゆる入札談合が行われ、しかも同事業団の幹部職員がこれに関与していたことが明らかになったことは、極めて遺憾である。  政府は、公共工事の入札・契約手続の改善に取り組んでいる中で、このような事件が発生したことを厳しく受け止め、同事業団に対し、発注における透明性・客観性の一層の確保や受委託関係の明確化等の改善措置を着実に実行させるなど、この種事件の再発防止に万全を期すべきである。  以上であります。  それでは、御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  190. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 私は、日本共産党を代表して、平成年度決算外二件及び平成年度決算外二件について、これを是認することに反対の討論を行います。  反対理由の第一は、バブル崩壊と深刻な不況の中で、旧態依然とした公共事業の拡大など大企業向けの施策中心で、国民生活にはそのおこぼれを期待するという真の景気対策とはほど遠い内容の執行結果だということであります。  公共事業費は両年度とも約五%増で、日米構造協議での合意に基づく大型プロジェクト中心となっており、中小企業への波及効果はごく小さいものであります。このような従来型のトリクルダウン政策では国民の暮らしを守る景気対策とはなり得ません。  反対理由の第二は、世界的な軍縮の流れに反して軍事費を拡大し、ODAの突出や米輸入自由化を準備するための新農業政策の実施など、対米貢献をさらに強めるものとなっていることです。  軍事費は両年度ともそれぞれ三・八%、二・〇%の増、米軍への思いやり予算も両年度それぞれ一一・七%、一五・三%増とするなど、アメリカの要求に全面的にこたえたものとなっています。ODAも援助先は大企業の進出先やアメリカの軍事援助国などで、人道援助である食糧援助費は大幅削減するなど、真の国際貢献とはほど遠いものであります。  食糧管理費は十二年連続削減など、中小農家の九割以上の営農を放棄させる新農業政策を実施して米輸入自由化を準備するなど、米と日本の農業を守れという国民の願いに背を向けたものだからであります。  反対理由の第三は、その一方で一層本格的な福祉、教育の切り捨て、地方自治体への負担押しつけを進めるなど、国民生活を直撃するものとなっていることです。  生活保護費は四年連続の削減、文教費は軍事費より低い伸びに抑えられ、義務教育国庫負担金の一部削減のテンポを速めて地方自治体負担としたり、補助金カットや地方交付税交付金を三年連続でカットするなど、生活のあらゆる分野で地方自治体と住民に負担増を強いたものとなっていることです。  反対理由の第四は、巨額の財源不足を国債の大量発行と債務返還の繰り延べで埋め合わせるなど、将来の国民負担増大を必至とするものとなっていることであります。その上、補正予算財源と税収減の穴埋めにも国債を大量発行するなど財政危機をますます深刻化させ、消費税増税など国民への負担増の危険を一層強めているからであります。  以上、本決算について是認できない理由を述べ、私の反対討論を終わります。
  191. 尾辻秀久

    尾辻秀久君 私は、自由民主党・自由国民会議を代表して、平成年度決算外二件及び平成年度決算外二件に対し、いずれもこれを是認することに賛成するとともに、委員長提案の警告案に賛成の意を表明するものであります。  是認に賛成する第一の理由は、平成年度及び五年度における我が国の経済は、バブル崩壊の影響等を受けて景気の低迷が続き、大変に厳しいものがありましたが、政府は緊急かつ大型の経済対策を数次にわたって実施し、景気のさらなる落ち込みと実体経済への悪影響の防止に全力を尽くしたことにあります。  すなわち、政府は四年三月の緊急経済対策を踏まえて公共事業等の執行促進を図ったのを手始めに、同年八月には総規模十兆七千億円に上る総合経済対策を策定し、公共投資の大幅な追加等を行いました。五年度に入ってからも、四月に総規模十三兆円を上回る総合的な経済対策を講じることにより、景気への即効性を念頭に置いて最大限の配慮を行いました。続いて、五年九月には厳しい経済情勢に対応した緊急経済対策を講じ、翌六年二月には十五兆円を上回る最大規模の総合経済対策を実施し、景気浮揚のための内需拡大等を図ったのであります。  是認に賛成する第二の理由は、景気の低迷が続き、今後の経済財政運営の厳しさがさらに増す中にあっても、平成年度を初年度とする新しい経済五カ年計画を策定し、国民一人一人が豊かさとゆとりを実感できる生活大国の実現を目指して、生活者の視点に立った社会資本の整備目標を定めるなど、より直接的に国民生活の質の向上が図られるような各種の施策を進めたことであります。  社会資本整備については、公共事業関係費について、生活関連重点化枠などを通じて生活に密接に関連した住宅、下水道や環境衛生の分野に重点的に配分したほか、高齢者保健福祉推進十カ年戦略、いわゆるゴールドプランを着実に推進するなど、国民のニーズに沿ったきめ細かな施策を展開いたしました。  このように政府においては、平成年度から五年度にかけて、バブル崩壊の景気への影響を最小限にとどめるために積極的な景気対策を講じるとともに、国民生活の質の向上に重点を置いた施策を進めるなど、厳しい経済情勢のもとで可能な限りの方策を講じてきたことはおおむね評価できるものと思います。  しかしながら、バブルの崩壊と景気調整の長期化は税収面にも大きな影響を及ぼし、平成年度、五年度ともに税収は対前年度減となり、両年度とも決算上の不足、いわゆる歳入欠陥が発生したことはまことに遺憾であり、その後の財政運営に困難を来していることは紛れもない事実であります。  政府においては、正確な経済見通し策定と税収見積もりの精度向上に引き続き努力するとともに、今後の財政運営に当たっては、公債残高が急増する現下の極めて深刻な財政状況を厳しく認識し、歳出全体について徹底した見直しを進めるなど、財政改革に全力で取り組むとともに、今後の本格的高齢社会に対応し得る行財政の確立に向けて一層の努力を傾注すべきことを、この際改めて強く要請いたします。  以上、両年度決算の是認に賛成する理由及び今後の財政運営に当たっての要望を述べましたが、財政執行上の個々の問題につきましては、会計検査院から指摘された事項のほか、本委員会審査の中でも反省ないし留意すべき点の質疑がなされました。  例えば、いわゆる官官接待に象徴される中央と地方の癒着体質、大蔵省の元幹部職員が在職中に極めて異例な接待を受けていた問題などでありますが、政府においては、このような問題で再び国民から批判を受けることのないよう公務員の綱紀粛正に厳正に取り組むべきであり、そのほかの指摘、提言についても真摯に受けとめ、事態の改善に一層の努力をすべきであります。  今後、本格的高齢社会への対応や国際社会への貢献はもちろんのこと、阪神・淡路大震災の復興などの多大な財政需要が見込まれる状況にありますが、政府においては、一層の財政の効率化及び行政の適正化に努めて国民の信頼にこたえていくよう強く要望しておきます。  最後に、参議院における決算審査の充実と審議促進について一言述べたいと思います。  平成四、五年度決算については、審査のおくれを回復し、その促進を図るため、両年度決算を一括して審査するという異例の措置となりましたが、浦田委員長の指導のもと、各会派の御協力により精力的に審査を進め、本日、議決の運びとなりました。  内閣の交代など諸般の事情により、六年度決算が提出される前に委員会審査を終了することはできませんでしたが、今後とも、次年度決算提出前の審査終了という本来の姿に近づけるべく、各会派の協力のもと、さらに努力していこうではありませんか。  政府においても、本院の決算審査に積極的に協力し、決算審査の一層の充実によりその成果が適時適切に今後の予算編成に反映されるよう強く要望いたしまして、私の賛成討論を終わります。
  192. 伊藤基隆

    伊藤基隆君 私は、社会民主党・護憲連合を代表して、ただいま議題となりました平成年度決算外二件及び平成年度決算外二件に対し、その是認に賛成するとともに、委員長提案の警告決議案に賛成する旨の討論を行います。  平成年度及び五年度の経済財政運営を概観いたしますと、バブル崩壊の過程における経済情勢の判断が大変に難しかったという事情はあるにしても、政府の経済見通しや当初予算における税収見積もりが余りにも実績値からはかけ離れており、また補正予算における歳入の修正も十分でなかった結果、我が国の財政史上初めて二年連続して決算上の不足、すなわち歳入欠陥を生じるという極めて遺憾な事態を生じたのであります。  政府においては、バブル崩壊後の深刻な経済不況に対して、累次にわたる緊急あるいは総合的な経済対策を講じ、景気対策に最大限の取り組みを行っており、その努力は評価するものでありますが、十分な景気浮揚の効果をもたらすことができなかったことも事実であります。  また一方、歳出面を見ましても、財政状況が極めて厳しい折にもかかわらず、ポスト冷戦をにらんだ防衛費の削減、あるいは事業効果の疑わしい歳出についての見直しや節減が十分に行われたとは思われません。  このように見てくると、平成四、五年度における政府の経済財政運営は決して十分ではなく、多くの反省が必要でありますが、両年度決算の是認に賛成する理由は、平成五年夏の細川連立政権に参画して以降、現政権においても予算編成及びその後の予算執行に重大な責任を負っており、本院の決算審査において明らかになった経済や行財政運営の問題点を反省材料として、今後の行財政運営に生かしていくことこそがより重要であると考えたからであります。  その意味で、委員長提案の警告決議案には全面的に賛成するものであり、政府においてはこれを真摯に受けとめ、事態の改善に全力を尽くすとともに、今後の予算編成及び行財政の執行に生かしていただきたい。このことを強く要請しておきたいと思います。  次に、四年度及び五年度決算審査にあらわれた具体的な事項について、我が党の所見を申し述べます。  第一に、国際協力事業団の入札談合事件についてであります。  国際協力事業団が発注した技術協力で供与される機材の指名競争入札において、多数の業者がいわゆる入札談合を行い、公正取引委員会による排除勧告を受けるに至ったことは、ODAに対する国民の信頼を損なうものであり、極めて遺憾であります。  政府は、ODAの主たる財源が国民税金であることを踏まえ、入札制度の透明性向上などの再発防止策を講ずることにより、国民の信頼回復に全力を尽くすべきであります。  第二に、国営木曽岬干拓事業の問題であります。  本事業は昭和四十一年度に着手され、四十九年度までに干陸が完了しているにもかかわらず、三重愛知両県の県境問題が未解決のまま推移し、平成六年六月に同問題について両県知事の合意を見た後も、いまだ土地利用計画策定に至らず、その結果、六年度までに百五十四億円に上る事業費投入されながら、事業効果が発現しておりません。  この問題については、我が党所属の委員平成四年以降繰り返して問題解決に向けての質疑を続けてきており、政府に対し警告議決をすべき段階に来ているとの強い意見もあります。  我々は、政府及び関係地方公共団体努力をさらに見守るとともに、むだの象徴ともなっている木曽岬問題の最終解決まで、引き続き強い関心を払っていきたいと思います。  第三に、ダム等の大規模公共事業についてであります。  近年、長良川河口堰問題に見られるように、大規模公共事業のあり方についてその見直しを求める声が強まっており、これに対応して建設省では、昨年夏以降、第三者参加のダム等事業審議委員会を各地に設置しております。  政府は、治水、利水両面において、ダム等をめぐる社会経済情勢が大きく変化していることを踏まえ、ダム等の事業効果について総合的に判断し、事業の見直しを含めた適時適切な措置をとるよう努めるべきであり、新設されたダム等事業審議委員会が、地域住民の声を切り捨てるとか、事業再開あるいは推進の追認機関になることのないよう、強くくぎを刺しておきたいと思います。  今後は、ダムとか河口堰だけでなく、自民党長期政権当時から続く大規模な公共事業や核燃料リサイクル政策などに関しても、事業効果の発現や費用等について総合的に検討すべきであるということを最後に申し上げて、社会民主党・護憲連合を代表しての討論を終わりたいと思います。
  193. 浦田勝

    委員長浦田勝君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  194. 浦田勝

    委員長浦田勝君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより順次採決に入ります。  まず、平成年度一般会計歳入歳出決算平成年度特別会計歳入歳出決算平成年度国税収納金整理資金受払計算書平成年度政府関係機関決算書及び平成年度一般会計歳入歳出決算平成年度特別会計歳入歳出決算平成年度国税収納金整理資金受払計算書平成年度政府関係機関決算書の採決を行います。  第一に、平成年度決算は、これを是認することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  195. 浦田勝

    委員長浦田勝君) 多数と認めます。  第二に、平成年度決算は、これを是認することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  196. 浦田勝

    委員長浦田勝君) 多数と認めます。  第三に、内閣に対し、先刻朗読のとおり警告することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  197. 浦田勝

    委員長浦田勝君) 全会一致と認めます。よって、平成年度決算及び平成年度決算につきましては、多数をもってこれを是認することとし、内閣に対し、先刻朗読いたしましたとおり警告すべきものと議決いたしました。  次に、平成年度国有財産増減及び現在額総計算書の採決を行います。  本件につきましては、これを是認することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  198. 浦田勝

    委員長浦田勝君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって是認すべきものと議決いたしました。  次に、平成年度国有財産無償貸付状況計算書の採決を行います。  本件につきましては、これを是認することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  199. 浦田勝

    委員長浦田勝君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって是認すべきものと議決いたしました。  次に、平成年度国有財産増減及び現在額総計算書の採決を行います。  本件につきましては、これを是認することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  200. 浦田勝

    委員長浦田勝君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって是認すべきものと議決いたしました。  次に、平成年度国有財産無償貸付状況計算書の採決を行います。  本件につきましては、これを是認することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  201. 浦田勝

    委員長浦田勝君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって是認すべきものと議決いたしました。  なお、これらの案件審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  202. 浦田勝

    委員長浦田勝君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  この際、内閣に対する警告について関係国務大臣から発言を求められておりますので、順次これを許します。久保大蔵大臣
  203. 久保亘

    国務大臣久保亘君) ただいま御決議のありました今後の本格的高齢社会に対応し得る行財政の確立につきましては、御決議の趣旨を踏まえ、努力してまいりたいと存じます。
  204. 浦田勝

    委員長浦田勝君) 中川科学技術庁長官。
  205. 中川秀直

    国務大臣(中川秀直君) ただいま御決議になりました新型転換炉の実証炉計画の中止に関連する事項につきましては、御決議の趣旨を十分踏まえ、一層努力してまいる所存であります。
  206. 浦田勝

    委員長浦田勝君) 菅厚生大臣。
  207. 菅直人

    国務大臣(菅直人君) ただいま御決議のありました国民健康保険の財政調整交付金の不適正受給に係る指導の徹底、年金積立金自主運用事業における運用体制の整備及びディスクロージャーの推進につきましては、御決議の趣旨を踏まえ、一層努力してまいる所存であります。
  208. 浦田勝

    委員長浦田勝君) 中尾建設大臣。
  209. 中尾栄一

    国務大臣中尾栄一君) ただいま御決議のありました日本下水道事業団の発注工事に関する入札・契約手続につきましては、御趣旨を踏まえ、当事業団において発注における透明性、客観性の一層の確保や受委託関係の明確化等の改善措置が着実に行われるよう、今後とも適切な指導を行ってまいる所存であります。  ありがとうございました。
  210. 浦田勝

    委員長浦田勝君) 以上をもちまして関係国務大臣の発言は終了いたしました。  審査の終了に際しまして、一言ごあいさつを申し上げます。  平成年度決算及び平成年度決算審査は昨年の二月十五日に着手し、ちょうど一カ年を経過いたしました。この間、委員皆様方の御熱心なる調査審査により、ここに終了する運びとなりました。また、会計検査院、政府関係機関等の格段の御協力のもとに審査を進め、本日、審査を完了することができました。ここに改めて深く皆様方に感謝を申し上げる次第であります。どうも御協力ありがとうございました。  本日はこれにて散会いたします。    午後九時三十三分散会