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1996-05-07 第136回国会 参議院 環境特別委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年五月七日(火曜日)    午前十時開会     —————————————    委員異動  四月二十六日     辞任       補欠選任      加藤 修一君     足立 良平君  四月三十日     辞任       補欠選任      北岡 秀二君     佐藤 泰三君  五月二日     辞任       補欠選任      畑   恵君     加藤 修一君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         大渕 絹子君     理 事                 狩野  安君                 河本 英典君                 釘宮  磐君                 竹村 泰子君     委 員                 石川  弘君                 鴻池 祥肇君                 佐藤 泰三君                 長峯  基君                 西田 吉宏君                 野村 五男君                 馳   浩君                 加藤 修一君                 広中和歌子君                 和田 洋子君                 朝日 俊弘君                 有働 正治君                 中尾 則幸君                 矢田部 理君    国務大臣        国 務 大 臣        (環境庁長官)  岩垂寿喜男君    政府委員        公害等調整委員        会事務局長    桑原  博君        環境庁長官官房        長        田中 健次君        環境庁企画調整        局長       大西 孝夫君        環境庁企画調整        局環境保健部長  野村  瞭君        環境庁自然保護        局長       澤村  宏君        環境庁大気保全        局長       大澤  進君        環境庁水質保全        局長       嶌田 道夫君    事務局側        第二特別調査室        長        林 五津夫君    説明員        農林水産省農産        園芸局植物防疫        課長       坂野 雅敏君        林野庁業務部経        営企画課長    前田 直登君        建設省河川局治        水課長      渡部 義信君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○平成八年度一般会計予算内閣提出、衆議院送  付)、平成八年度特別会計予算内閣提出、衆  議院送付)、平成八年度政府関係機関予算(内  閣提出、衆議院送付)について  (総理府所管公害等調整委員会環境庁))     —————————————
  2. 大渕絹子

    委員長大渕絹子君) ただいまから環境特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る四月二十六日、加藤修一君が委員辞任され、その補欠として足立良平君が選任されました。  また、去る四月三十日、北岡秀二君が委員辞任され、その補欠として佐藤泰三君が選任されました。  また、去る二日、畑恵君が委員辞任され、その補欠として加藤修一君が選任されました。     —————————————
  3. 大渕絹子

    委員長大渕絹子君) 去る一日、予算委員会から、本日午前の半日間、平成八年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、総理府所管のうち公害等調整委員会及び環境庁について審査の委嘱がありました。  この際、本件を議題といたします。  予算説明につきましては既に聴取いたしておりますので、これより直ちに質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 加藤修一

    加藤修一君 二十一世紀まであと千七百日ということでございますけれども、いかなる世紀にすべきか、あるいはどう人間を幸福にできるのか、世界は真剣だし、もちろん日本も真剣にそれにどう対処していくかということでやっているわけでございます。ローマクラブホフライトネル会長は、私たちは人々に希望のメッセージを与えなければなりません、現実は余りにも深刻な状況にあるからでありますと、こう述べております。また、ロシアの人権回復委員会ヤコブレフ議長は、人間戦争をやめず、犯罪をやめず、自然を破壊し続けていますと、このように述べているわけでございます。  この二十世紀は、一言で言って、余りに人間人間を殺し過ぎました。戦争革命世紀と言われますように、二度にわたる世界大戦や相次いだ革命など、今世紀は血なまぐさい激動の連続であったように思います。二回の大戦などの死者は一億人、地域紛争等による犠牲者は二千万人以上と言われておるわけでありますが、人間人間に対しての暴力であったというふうにとらえることもできますし、さらに、人間人間を含む自然に対して暴力を振るっている今、地球環境が年々悪化しているわけでございます。  これは、大量調達大量生産大量消費、さらに大量廃棄の一連のシステムの運動であり、また構造化されたシステムそのものであると言わざるを得ないわけでございます。まさにこの事実は、世界的な平和学者ヨハン・ガルトングの言う構造的暴力の一種であります。二十世紀の文明の限界が明らかになった現在、私たち人間は今さらながらに深く反省もし、そう認識をせざるを得ないと思います。  さて、そこで質問に入りたいわけでございますけれども在日米軍基地環境問題と米軍が提示しておりますFGS、この関連につきまして御答弁をお願いしたいと思うわけでございます。  アメリカにおきましては、在日米軍基地あるいはさまざまな海外に展開されています基地につきまして、国防総省相当環境汚染が広まっていると。そういうことから、下院の軍事委員会公聴会におきましては、議事録として発表されておりますけれども海外における国防総省環境行動と、そういう形でさまざまな環境汚染の現状を示しているわけでございまして、相当被害あるいは環境破壊が進んでいるというふうに言われているわけでございます。そういった中で、さまざまな形で米軍あるいはアメリカ国防総省は、環境保全に対する行動をどう行うかということで法令を出しておりますけれども、今まで出してきたさまざまな形のものをまとめまして、いわゆるファイナル・ガバニング・スタンダーズというものを提示しているわけでございます。  既にこの資料については環境庁も手に入れておると思います。私も手元にございます。これに対しては、米軍の最終的な一つ基準のあり方であると、さらに、日本国内法それから米国の国内法に照らし合わせてどっちか厳しい方の基準をとるということにつきましては既に予算委員会の総括でも私確認しておりますし、昨年の沖縄・北方特別委員会、そこにおきましても確認させていただいております。  このFGSについて、既に環境庁検討段階に入っているというふうに聞いております。これについての評価と、さらに環境管理行動を行うに当たっての具体的な対応というものをぜひ御答弁をお願いしたいと思います。
  5. 嶌田道夫

    政府委員嶌田道夫君) 御指摘FGS、これはファイナル・ガバニング・スタンダーズと言っておりますが、米軍におきまして、在日米軍基地におきます環境問題に適切に対処しますために、アメリカの国防省の方針に従いまして、守るべき大気水質廃棄物など各般の基準などを盛り込んで策定されたものでございます。  このFGSの作成に先立ちまして、環境庁といたしましては、我が国関係法令基準等につきまして米軍に対しまして情報提供を行いまして、米側においてもこれらをも考慮の上に、昨年、最初のFGSが作成されたところでございます。  なお、このFGSは、毎年見直しを加えることということが中で書かれておりまして、そういうことでございますので、その内容につきましては最新かつ充実したものとなることが望ましいわけでございます。このために、必要な事項があれば、今後とも日米合同委員会環境分科委員会を通じまして改善方アメリカ側米軍要請していきたいというふうに考えております。
  6. 加藤修一

    加藤修一君 具体的な内容についての評価、これについてはどのようにお考えでしょうか、現時点での判断あるいは評価ということでよろしいんですけれども
  7. 嶌田道夫

    政府委員嶌田道夫君) 今申しましたように、昨年、米側日米環境法令基準等を盛り込んでつくったものでございます。  我々が見ますところ、かなりの程度整備されているというふうに考えておりまして、先ほど申しましたように、必要な事項があれば、今後とも日米合同委員会環境分科委員会を通じまして改善方アメリカ側要請していきたいというふうに考えております。
  8. 加藤修一

    加藤修一君 私はさっと見た程度なんですけれども日本ナショナルレベル法令だけじゃなくて、県レベルあるいは市レベル法令も勘案してこれをつくっているというふうに書いてありまして、そういった面で遺漏なきというふうに私は思っているわけですけれども、そういった点について、あればという話が今ございましたけれども、その辺についても踏み込んだ形で検討ということは当然お考えでしょうか。
  9. 嶌田道夫

    政府委員嶌田道夫君) まさしく現時点におきます日米双方関係法令基準等を盛り込んでつくられたものでございます。これからもいろいろ新しいものが出てくると思いますし、我々もいろいろチェックしておりますが、もし今後十分でないところがございましたら、アメリカ側に対して改善方要請していきたいというふうに考えております。
  10. 加藤修一

    加藤修一君 十分な検討をしていただきたい、そのように思います。  それで、在日米軍基地環境汚染に係る問題ということになりますけれども、その前に、米軍基地が逆に米軍以外のエリアからさまざまな形で環境上の被害を受けているというクレーム環境庁あたりにも善処要求という形で来ているように私も伺っております。  これは九五年の十一月一日に新聞に出たケースでございますけれども厚木基地隣接民間施設廃棄物処理でしょうか、その排煙ダイオキシンが含まれていると。かなり猛毒というふうに言われているわけでございますけれども、こういう善処要求に対して環境庁はどのように対処したわけでしょうか。
  11. 大澤進

    政府委員大澤進君) 米軍基地に隣接しております廃棄物処理業者焼却場ばい煙米軍基地内の住宅地域環境を汚染しているということで、かねて問題のあったところでございますが、最近では昨年の十月、米軍よりその改善の要望がされてきたところでございます。  環境庁としましては、関係省庁である厚生省、それから地元神奈川県とも連携いたしまして、当該廃棄物処理業者に対する立入調査とかあるいは周辺環境調査等を実施してきたところでございます。この結果、関係法令にも違反しているというような状況もあることから、ことしの三月末に地元神奈川県等から改善のための措置を講ずるよう指示したところでございます。  現在、神奈川県は、ばい煙発生施設の適正な燃焼管理あるいは排ガス処理施設の適正な管理をするようにということで事業者を指導しているところでございますが、私どもとしても、これら関係省庁あるいは自治体等とも十分連携して、周辺住民影響がないように引き続き指導してまいりたいと考えております。
  12. 加藤修一

    加藤修一君 環境法令に違反しているという話がございましたけれどもダイオキシンに関しては厚生省ガイドラインしかないように私は思っているわけですけれども、その事業者が違反しているというのは、どういう法令にこの場合は違反ということになるんでしょうか。
  13. 大澤進

    政府委員大澤進君) ばい煙発生施設大気汚染防止法によって事前に届け出がされるわけでございますが、そのときにもちろん発生の容量とかどういうものが出てくるかとか細かい規定がございますが、その中の一つに、一部の化学物質について基準をオーバーしているとか、それからもう一つは、届け出内容と実際にその焼却施設運転している内容が違う、つまり時間が届け出内容よりふだんオーバーに運転している、そういうような状況があったわけでございまして、それらの点について改善するよう指導したところでございます。
  14. 加藤修一

    加藤修一君 あえて確認しますけれども、大防法に対しては違反していないということでよろしいでしょうか。  それと、これは日本国内法については未規制物質というふうに理解してよろしいですね、ダイオキシンに関して。
  15. 大澤進

    政府委員大澤進君) 大防法関係では、使用状況、一日の使用時間及び月使用日数等があらかじめ規定されていることになっているわけでございますが、その点については、先ほど申しましたように、それ以上の運転をしていたというようなことで大防法にも関連しております。  それから、後段のダイオキシンそのものについては、法的な規制規定はまだございませんので、法的に直ちに違反するものではございません。
  16. 加藤修一

    加藤修一君 大防法では未規制物質になっていることに対して米軍からそういうクレームがあったときについて、ダイオキシンそのものに対しての対応はどういうふうに考えられたんですか。
  17. 大澤進

    政府委員大澤進君) 法的な規定というのはございませんが、私どもとしてはその実態をもちろん調査をし、どの程度レベルにあるかということを把握して、これは暫定的なガイドライン厚生省関係から焼却施設排出段階におけるガイドラインレベルが出ておりますが、そういうものから出ないように行政指導すべきだと考えております。いずれにしましても、それ以外の点についても燃焼施設運転管理が適切でないというようなこともありまして、法令あるいは条例等にきちんと適応するような運転をするよう指導してまいりたいと考えております。
  18. 加藤修一

    加藤修一君 必ずしも答弁になっていないように私は理解しているわけですけれども、先ほどのFGSでは日本国内法アメリカ国内法を比べてどっちが厳しいかと、厳しい方に実は基準考えますよという話が外務省も公式の発言なわけですけれどもアメリカ軍の方からそういう形で出てきていることについて何らかの対処をしなければいけないという話になってくるように私は思います。  ある意味では、FGS日本国内法考えていった場合に、アメリカは厳しい方ということですから、アメリカ法律の方が厳しいという、いわゆるダイオキシンアメリカ国内法については規制物質ですから、そうなった場合、同じ日本国内において基準が二つ存在するという話になりませんか。つまりダブルスタンダードということになりませんか。その辺どのようにお考えでしょうか。
  19. 嶌田道夫

    政府委員嶌田道夫君) FGSファイナル・ガバニング・スタンダーズの方は、これは米軍基地に起因して我が方に影響がある場合でございまして、今先生が例に出されました厚木基地の場合は基地外のことが基地内の方に影響するということでちょっと事例は違うかと思います。  しかしながら、米軍基地におきます問題につきましては、FGSにつきましては、先ほど答弁いたしましたように、これは日米双方環境法令基準を踏まえまして作成されるということでございますので、したがいまして、米軍基地に起因する環境問題が生じて、それでなおかつ日本に該当します法令等がないような場合につきましては、我が国に今言いましたように基準がないわけでございますので、米側に対しまして適切な環境保全措置が講じられるべきであるというふうに考えておりますので、この点につきましては、先ほど答弁いたしましたように、必要があるときには日米環境委員会の場を通じまして米側要請をしていきたいというふうに考えております。
  20. 加藤修一

    加藤修一君 それじゃ、大防法におきます住民という表現がございますけれども、この住民定義はどのように考えていらっしゃいますか。
  21. 大澤進

    政府委員大澤進君) 法律上特に住民についての定義はきちんとはございませんが、今回既に改正案が出ております、そこでは住民という言葉が使われておりますが、そういう場合には、地方公共団体が大防法に関する知識の普及を図るように努めるべき相手という位置づけで、そこに住んでおられる、居住しておられるという方を住民と位置づけております。
  22. 加藤修一

    加藤修一君 では、在日米軍基地内の住民というのはどういうふうに理解したらいいですか。
  23. 大澤進

    政府委員大澤進君) 私どもとしては、日本国内法が直ちに基地内については及ばないわけでございますが、これまでのいろいろな日米話し合い等の経過から、その地域についても、つまり基地内においてもそういう影響があれば私どもも必要な対応なり対策を立てていく、逆に基地から日本国内住民影響があれば基地側に申し入れていくということの経緯がございまして、いずれにしましても問題があれば話し合いをする中で改善なり指導をしてまいりたい、かように考えております。
  24. 加藤修一

    加藤修一君 在日米軍基地考える場合に、基地それ自体が被害者立場になる場合と加害者立場になる場合が当然あると思います。今のお話によりますと、基地内の住民もいわゆる大防法における住民であるということなわけですけれども、ここで非常に重要な問題が僕は横たわっているように思うんです。  といいますのは、米軍基地内の住民クレームをつけられると。つまり、厳しい方の法令に従うわけですから、日本国内からさまざまな大気汚染物質が来た、日本国内では未規制物質である、しかしアメリカ国内法では規制物質である、米軍基地の中の住民クレームをつける、しかし日本国内住民は未規制物質ですからクレームをつけることができない。同じ住民でありながら、クレームがつけられる場合とつけられない場合がある、こういうふうに理解していいのではないかというふうに思いますけれども、この辺についてはどうでしょうか。
  25. 嶌田道夫

    政府委員嶌田道夫君) どちらか厳しい方と先と言われておりますのはFGSの話だと思いますが、FGSの話につきましては、先ほど申しましたように米軍基地内に起因する環境問題ということに対応するものでございます。したがいまして、米軍基地内に起因する環境問題につきましては、これについてはどちらか厳しい方を適用するということでございまして、先ほども言いましたように厚木基地のような場合には、これは基地外の話でございますので日本国内法が適用されるわけでございます。  本来これは日米環境分科委員会議題ではないわけでございますけれども、これにつきましても米側要請が非常に強くありましたために、我が国法令に従いまして適正な取り締まりを行う、また関係自治体に適切な対応方を促すというようなことを、先ほど大気局長から申しましたようなことをやっておるわけでございます。
  26. 加藤修一

    加藤修一君 FGSについてはもう少し私も踏み込んで勉強しなければいけないと思っていますけれども、今の御答弁内容がそのとおりであるとするならば、まだまだやるべきことが残っているように私は思います。  そういった意味では、なるべくダブルスタンダードが生じないような形でやっていかなくちゃいけないなというふうに思っていますし、これ以外に、米軍横須賀基地のごみの問題とかさまざまな形で基地周辺及び基地内における環境破壊の問題があるように思いますので、恐らく外務省関係することなのかもしれませんが、私は環境庁がやはり米軍基地における総点検というのをやるべきではないか、そのように提案申し上げてこれについての質問を終わりたいと思います。  次に、委員のお手元にお配りしていますように資料がございます。これは厚生省が出しています人口動態調査前回もお話し申し上げた件でございますけれども、要するに悪性新生物についての人口十万人に対しての年齢調整死亡率年次推移であるということで、一六〇から一六五、一つ矢印が書いてあるところを見ていただきたいんですけれども、その中で気管気管支及び肺、これに関しての死亡率を見ていきますと、男性の件ですけれども、約三十年間に一三・六から四六・一ということで三・四倍の死亡率の急増が見られる。  これは喫煙の影響もあるように思いますし、さまざまな論文を調べてまいりますと、やはり大気汚染影響を無視することはできないというふうにどうも落ちついているように思います。前回の御答弁の中にも、決して無視することはできないというふうに言われているわけでございます。  この死亡率考えていきますと、これに関してが、今申し上げましたようにかなり急増しているということで、今回の大防法の中で三年後見直しというふうに言っているわけですけれども、すぐにでも見直しをしなければいけないほど大気汚染については十分な検討をしていかなくちゃいけないのではないかなというふうに思います。そういった意味では、知見を集積するという話にもなっておりますけれども、既に私は論文等を見ても十分集積されているんではないかなというふうに理解しておりますけれども、その辺について御見解はどうでしょうか。
  27. 大澤進

    政府委員大澤進君) この委員お示しのがんデータを見ますと、確かにがん全体も年々ふえているわけでございますが、特に日本の特徴としては、肺がんあるいはその他の大腸がん、男の場合ですが、ふえているわけでございます。これは御承知のように、がん一般にどんな原因というか要因関連があるかというのは、少し前のデータというか論文でございますけれども、イギリスで出されたものがありますが、それによりますと、食物が三分の一の約三五%、それからたばこが三割、あと感染症あるいは性習慣職業等になっておりまして、もちろん地理的要因あるいは公害というか環境汚染の要素もありますが、数字としては非常に低い数字になっております。  それから、がん全体ではそう言われておりますが、気管気管支及び肺のがん大気汚染との関係ですが、これも御承知のとおり、今まで学問的あるいは科学的ないろいろな調査研究指摘されたのは、やはり圧倒的にたばことの関係が強いというような指摘があります。ただし、大気汚染と全然関係ないという必ずしも完全な否定というものは出ておりませんが、大気汚染との関係で具体的に科学的にきちんとしたデータが実態上余り出ていない。ただ、例えば動物実験でやると自動車排ガスと一定の関係が出てくるというようなペーパーはございます。  いずれにしましても、私どもとしては、これまでの大気汚染のモニタリングの指標、NOxとかSOxというものについては、もちろんこれはがんというよりも呼吸機能関係があるというような着目から規制されているわけでございますが、先日、大気汚染防止法の改正されました内容につきましては、大気中の微量ではあるが有害性のある、つまり発がん性を含めた有害性のある物質についてはコントロールしていく必要があるというような考え法律改正もお願いしたところでございます。
  28. 加藤修一

    加藤修一君 ただいまの答弁で、コントロールしていく必要があるというその主な理由一つ、マイナーな理由かもしれませんが、要するに今の厚生省データ関係あるというふうに考えてよろしいですか。
  29. 大澤進

    政府委員大澤進君) このデータと直接あるかどうかは、先ほど申しましたように、これを検証といいますか、大気汚染との因果関係をきちんと明らかにした、私は不勉強であるいは承知していないかもしれませんけれども、そういうものがあるとすれば関係があると言えると思いますが、今のところ私どもとしてはそういう情報といいますか調査を把握していないので、学問的といいますか科学的に言って増加傾向、あるいはこの数字大気汚染というものはどういう関係があるかというのは、私ども今この段階では申し上げることはできません。
  30. 加藤修一

    加藤修一君 前回の発言から後退したような印象を私は受けているわけです。前回は否定し得ないという表現であったように思いますけれども、どうですか。
  31. 大澤進

    政府委員大澤進君) この統計データそのものと大気汚染ということは、またそれ自体の学問的な精査なり評価があろうかと思いますが、前回申し上げましたのは、それはそれとして、日本においては最近、先進国においてもこの五年、十年の間に大気中のいろいろな数多くの科学物質のモニタリングをやっておりますが、そういうモニタリングした結果、一部の物質についてはその物質の性状として発がん性がある、こういうものが検出されているわけで、日本においても一部ですが見つかったと。そういうことから、量は別にして、物質の性状として発がん性があると。  あとはその発がん性のメカニズムなり発症の機構というものに関連してくるわけでございますけれども、性状があり、しかも一定量を超えるというか濃度が濃くなると発がん発生のリスクが高くなる、こういう推定なり関係指摘されているわけでございまして、そういう意味からして、若干にしろ微量にしろ、あるとすればそれが発がんのリスクと関係する、あるいはリスクを上げるということについては否定できないのではないかと。  ただ、それがどの程度どの期間というのは、諸外国においても最近調査に着手したところでございますけれども我が国においても最近調査しておるわけでございますので、具体的にどの程度一般の人に取り込まれているかということはこれからの問題ではないかと考えております。
  32. 加藤修一

    加藤修一君 十分納得していないわけですけれども、余り因果関係だけを追及するのはやめにします。  ただ、私はどう考えても否定し得ないというふうに理解していますし、どうも学説上も、いろいろな大気汚染学会等々調べましてもそういうふうに散見される、あるいはだんだんふえてきているというような論文も見ておりますので、その辺のことについては十分私は理解していただきたいというふうに考えます。それから、海外におきましても、有害物質の存在、さらにそれについて規制相当強化しているという背景には、やはりそういったがん発生の問題とかといったこととは決して無関係ではあり得ないというふうに私は理解しておりますので、環境庁自身ももう少し積極的にその辺について理解を深めていただきたい、そのように思っているわけでございます。  それから次に、ことしの二月二十八日に出されました読売新聞の夕刊の件ですけれども前回もこの辺について御答弁をお願いしたわけです。要するに、一般環境の方の検出濃度数値、これについては公開していますという話でございますけれども、工場などの敷地隣接地、いわゆる低濃度で長期的暴露を受けるどころか高濃度で有害な物質大気に排出されている、これについてやはり私は公開すべき環境情報データであるというふうに理解しているわけですけれども、その辺について再度質問したいと思います。
  33. 大澤進

    政府委員大澤進君) 今の御指摘の読売新聞に二月の末に出ました大気からの有害物質の検出濃度のデータでございますが、これは一般環境、つまり通常人間が住んでいるような地域については自治体等の協力でデータを得ているところでございますが、今回特に新聞のこの見出し等で指摘されている基準の何百倍というようなデータにつきましては、私ども、有害大気汚染物質対策を進める上でその基礎資料を得るために、自治体なりあるいは当該の企業等の協力を得まして、つまりデータを直接個別の事業場、工場について公表するということじゃなくて、基礎データを収集するという観点から、つまり公表しないという関係で測定なり調査をしたところでございまして、そういうことでこのデータに関しては公表することはできないと、こう申し上げたわけでございます。
  34. 加藤修一

    加藤修一君 では、結論を先に申し上げますと、その周辺で低濃度あるいは高濃度で長期的に暴露にさらされている住民に対しては、そういうふうにされていてもそれはやむを得ない、仕方がないと、そのように考えていいですね。
  35. 大澤進

    政府委員大澤進君) 御承知のように、私どもこのデータを収集する段階あるいは調査する段階では、もちろん大気汚染防止法にこれらの物質に対しての規定がないわけでございまして、法的に対応することができなかった、こういう状況がございます。最前、この改正案が通ったわけでございますが、施行は一年以内ということになっておるわけでございますが、いずれにしましても、法を施行する中でそこに規定されたものについてきちんと規制じていくということは当然でございます。  たまたま一部のところで高い値が出たということでございますので、私どもとしてはその時点で関係の自治体にも特に高いところは後フォローするように指導をしてきたところでございます。ただ、これは工場周辺等でたまたま高いのが出たのか、今後も高く出るのか、それは今後わかりませんが、工場周辺等で多くの人がそこに存在しているわけではございませんが、いずれにしても高い濃度が今後とも出るとすれば問題でございますので、私どもとしてはそういうものについてはフォローをしていこうというぐあいに考えております。
  36. 加藤修一

    加藤修一君 答弁がなっていないと思います。今、測定技術論の話を私したくはありませんが、たまたま高い量が出たということは、たまたま低い量が出たという言い方だってできるわけですよ。そんな言い方はないですよ、答弁として。  フォローすると最後に言いましたけれども、フォローというのは何ですか、具体的に言ってくださいよ。
  37. 大澤進

    政府委員大澤進君) たまたまは説明で適切でなかったかと思いますが、もちろん高いことも低いこともあるわけでございますので、低い場合もあり高い場合もあるということは御指摘のとおりだと思います。  私どもとしては、今後自治体等と連携をとりながら、それからもう一つは、大防法の改正をされたわけでございますが、あと基準づくり等をする必要がございますし、また三年を目途に見直し検討するということにもなっておりまして、大気中の大気汚染濃度をモニタリングするとか、あるいは関係情報を集めるということも規定されておりまして、私どもとしてはそういう経過の中で必要な情報の収集あるいはモニタリングをしていこうと、そういう意味でフォローと申し上げたところでございます。
  38. 加藤修一

    加藤修一君 それでは環境庁の基本的な立場についてお聞きしたいのですけれども、国民の生命を守るのも環境庁立場ですね、それとただいまの情報を公開しない、要するに長期的に暴露されていても仕方がない、被害に遭ってもしようがないと、その辺について私は大臣に直接お聞きしたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
  39. 岩垂寿喜男

    ○国務大臣(岩垂寿喜男君) この資料についてのやりとりは、今、大澤局長とやりとりをした経過でおわかりのとおりだと思いますけれども、いずれにしてもこういう新聞の記事が出ますと、周辺住民の皆さんは、おれのところは一体どうなっているんだ、健康や生命は大丈夫なのかと御心配なさることは当然だと思います。その意味で、今度大防法も皆さんの御協力をいただいて改正をさせていただきますけれども、それらの中でもこれらに対する対応を強めてまいりたいと思っています。  それから、一番最後の、東大の名誉教授の森さんの御発言がございます。この御発言のとおりに、確かに大企業は化学の専門家がいらっしゃるものですから割とその辺の点検ということが精密に行われる可能性が強いわけですけれども、中小企業なんかの場合にはなかなかそうはいかぬ。だとすれば、行政がこれに対してどう対応していくかということが問われているわけでございまして、環境庁としても誠心誠意その具体的な状況についてこれからも調査を続けてまいりたいというふうに思っていますし、企業にも積極的な御協力をいただくための日常的な努力を重ねたいというふうに思っていますので、御理解をいただきたいと思います。  いずれにしても、環境庁データよりも人の生命、健康が大事でございますので、そのところに着目をしてこれからも環境行政を続けてまいりたいと思っております。
  40. 加藤修一

    加藤修一君 私は、この記事の情報をぜひ公開すべきだというふうに強く主張しておきたいと思います。  それから、化学物質がさまざまな企業で使われているわけですけれども、それについて知る権利が当然あるわけでございます。例えばアメリカの知る権利に関する法律につきましては、化学物質の保有者に対して緊急対策の計画、二番目、物質安全データ表、三番目、緊急危険化学物質一覧、四番目、有毒化学物質逸出一覧、そういったものをやはり住民に公開することを実は義務づけている点がございます。これは非常に参考になるということを考えているわけです。もちろん一定範囲で秘匿権が認められているわけでございますけれども、やはり当該物質相当健康に対して影響を与えるわけでございますから、そういった点を含めて知る権利について環境庁も積極的に取り組んでいただきたいと思うわけでございます。  それから、アジェンダ21の中でも議論がされているわけですけれども、PRTRの取り組みにつきましても環境庁は積極的にやるべきだと思いますし、それから化学物質専門機関、そういったものの設置あるいは専門家の育成、これについても強力に推し進めていただきたい、そのように思うわけでございます。  私は本当に環境庁の役割というのは重要であると思いますし、時間がないのでここで余り話をするわけにはいかないですけれども、私の尊敬するマハトマ・ガンジーは、たとえ一人になったとも全世界に立ち向かいたまえ、世界から血走った目でにらまれようとも君は真向かって世界を見据えるのだ、恐れてはならない、君の心に響く小さな声を信じたまえと。私にとってガンジーのような心を持つことはもちろん到底かなわないことでございますけれども、しかし、ただ言えますことは、小さな声を信じたいし、それが大きくなりつつあることを私は確信しています。その声の一つはやはり地球環境問題に対する声でありますし、そういった意味するところを考えていきますと環境庁の役割は重大であると、国際的にもますます重要になっているというふうに思っています。  最近大臣がアメリカで表明したように、地球環境問題ということで地球温暖化防止条約第三回締約国会議を日本に招致する件とか、あるいは日本環境行政のシームレスな包括的な環境法の整備を一層充実すべきであると、あるいは、その会議を目指して五千名を超える参加者が来るわけですから、一目でわかる日本環境政策と現状、そういうものを配布すべきだと私は思います。  さらに言いますと、環境それ自体が外交戦略に使われる可能性も十分ある。日本は、環境技術、公害技術については先進国でありますけれども、どうもソフトの面については甚だ心もとない部分もあらわになってきている。そういったことを考えますと、環境の政策が進んでいないから、何とか日本をそういった面でやっつけてしまおうということで外交的な戦略に使われる可能性も十分ある。そのような点についても、さらにそれから現在の環境庁予算が七百五十億円ですか、非常に小規模である、これについては一千億円を目指す決意がおありかどうか、大臣にお聞きしたいと思います。
  41. 岩垂寿喜男

    ○国務大臣(岩垂寿喜男君) 有害化学物質調査研究については、環境庁として精いっぱいこれからも続けていかなければならない課題だというふうに思っておりますので、その点についてはぜひ先生方の御協力を仰ぎたいというふうに思っております。  それから、COP3の招致に関連をいたしまして、これは皆さんにも御協力をいただかなきやなりませんけれども、来年の秋後半という感じでございますが、日本で何とかして開くように取り組みを進めてまいりたいというふうに思っています。  その意味は、もちろん国際的な環境行政について日本がリーダーシップといいましょうか先進的な役割を果たすということが一つでございましょうけれども、それにつけても国内の対策というものが十分でなければなりません。その意味で、やっぱり実績を上げていくために、あと一年有余カ月しかありませんけれども、国内的なさまざまな手だてを、温暖化対策あるいは防止対策について全力を挙げてまいりたいと思いますので、これは個々にもお願いをすることになろうと思いますけれども、各政党の御尽力、御協力をいただきたい、こんなふうに思っております。  それから、率直に申し上げて、その都度環境庁としては予算の概算要求のときからさまざまな要求をいたしておるわけでございますが、御案内のとおりであります。でも、ことしの予算について言えば、その伸び率において例年になく、絶対数が少ないんですから伸び率が高くても金額はそう大して多くならないわけですが、それなりの努力と実績を上げ得たというふうに思っております。  したがって、予算を御協力をいただいて成立させていただければ、ことしももう来年度の概算要求の時期を迎えるわけでございます。ここでは、私は幾つかの点で環境庁としてお願いをして予算化していただきたいなと思う課題がございます。これも率直に申しますけれども、与党とか野党とかというんじゃなしに、党派を超えて日本環境行政について全力を挙げて御協力をいただかなきやなりません。幸いにして参議院の委員各位におかれましては超党派で本当にいろんな面でお力添えをいただいているわけでございまして、そういう点でもぜひこの機会を通して私から改めてお願いを申し上げておきたいというふうに思います。  ありがとうございました。
  42. 加藤修一

    加藤修一君 以上で私の質問を終了いたします。
  43. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 環境庁は、北海道の礼文島だけに生息するレブンアツモリソウなど六種の動植物の保護増殖事業計画と熊本県阿蘇に植生じますハナシノブなどの生息地保護区三カ所の指定をされると。第八次鳥獣保護事業計画とこの事業計画を自然環境保全審議会野生生物部会に諮問され、二十五日、原案どおり答申を得、六月中をめどに指定をされるという報道がされております。  この自然環境保全審議会野生生物部会といいますのはどんな方たちで構成されているんでしょうか、専門家の集団なのでしょうか。
  44. 澤村宏

    政府委員(澤村宏君) そのとおりでございます。
  45. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 ちょっとそのメンバーを知りたかったのですが、私はこの計画や指定を決定する順序と環境保全審に諮問をする順序だてがちょっとどうなのかなと思うんですね、あべこべなのではないかと。専門家の意見を聞いて環境庁が指定するべきなのではないかと。そういうシステムになっているんですね、きっと。諮問をして、答申を得て、それで指定をすると。  もし、ここで環境庁がこれを指定したいというものが向こうからノーと言ってきたらどうするんですか。
  46. 澤村宏

    政府委員(澤村宏君) 通常、生息保護区等の保護の指定につきましては、まずは地元の御意見、特に地元の地方公共団体との調整ということが非常に重要になってきているわけでございます。  近年におきましては、特に自然を保護するというそういう御意見とともに、別の意味でのいろんな利害関係ということもあるわけでございます。まずはそういうことを続けながら、御意見のまとまったものにつきまして、関係行政機関との協議も経まして自然環境保全審議会への諮問をし、そして答申を得る、そういうような流れになっております。
  47. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 なぜ私がこういうことを言うかといいますと、審議会というもののあり方、別にこれは環境庁に限らずどこの省庁でも、例えば法案をつくるときにも必ず老健審とかいろいろな審議会にかけて、そこの答申を得て、それから法案作成に入ると、こういうふうになってるわけなんです。  確かに、専門家の意見を聞くということは、そしてまたその中には市民代表とかいろいろなところの代表者が入っていると思いますので非常に大事なことなんですけれども、聞いていただかないと困るんですけれども、しかし、何となく審議会を非常に重要視していて、もっと省庁が主導権を持ってもいいのではないのかなという疑問を常々持っているものですから、この報道を見ましたときに、答申が出たので環境庁が指定するというような順序立てで果たしていいものなのかどうなのか、今後考える必要はないのか。意見をまず聞いて、それから環境庁がしっかりとそれを考えて指定をする。同じことなのかな、ちょっとよくわからないですが、お考えを聞かせてください。
  48. 澤村宏

    政府委員(澤村宏君) これはなかなか難しい問題でございますが、先生御案内のとおり、例えば現在私どもが問題にしております種の保存法のことを思い返しますと、種の保存法の制定に際しまして「野生生物に関し緊急に講ずべき保護方策について」ということにつきまして諮問をして、そして答申をいただいた、そういうことが法の制定の前段階としてあったわけでございます。  そういうような場におきまして、いろんな形でもって保護のあり方等につきましては広範な御意見は承っておるわけでございますが、先ほど先生が御指摘されました先日の自然環境保全審議会野生生物部会におきます諮問というのは個々具体的なものであるということで、先はどのような流れの中で個別案件ごとに諮問をし、答申をいただくというようなことで進めているわけでございます。
  49. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 わかりましたけれども、今後少し考えていかなきゃならない問題かなというふうに思います。  ところで、レブンアツモリソウに入りますけれども、かねてからこれは非常に希少種になってきている絶滅寸前の植物ということで、私も環境庁にその保護をお願いしていたものでありますから大変うれしくているんですけれども、いただきましたレブンアツモリソウ保護増殖事業計画というのを拝見いたしますと、まだ詳細に生態はわかっていない、「生育地における生育環境改善や盗掘防止対策」、「本種が自然状態で安定的に存続できる状態になることを目標とする。」というふうに書いてございまして、私のこれまで聞いていたところはこういうふうに表現するのかと、この事業計画を見ましてあれしたんですけれども、このレブンアツモリソウというのはほかで繁殖させようと思ってもなかなか土とか空気とかいろいろなことで繁殖ができない。  二番を見ますと、「繁殖様式」、「共生菌の特定」、「実生の定着環境」などというふうに表現されていて、なるほどこういうふうに難しいんだなと思ったんですけれども、人工繁殖技術を開発してというふうに報じられておりますが、これがどのように可能なのかどうか、教えていただきたいと思います。
  50. 澤村宏

    政府委員(澤村宏君) ただいま先生御指摘のとおり、今般、保護増殖計画を定めたところでございます。その中で、生育地におきます生育環境の維持改善、それが一番重要なことではございますが、同時に人工増殖につきましてもこの計画の中に盛り込まれておるわけでございます。  御案内のとおり技術的には大変に困難とされているところではございますが、礼文町におきましては種子からの人工培養に関する取り組みということも行われ始めたというふうに我々聞いております。今後、礼文町とも連携を図りながら、分布の拡大、それから個体数の増加を図るために必要に応じ補完的に実施してまいりたい、そのように考えております。
  51. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 非常に難しい技術なのだけれども一生懸命やるということなんですね、頑張っていただきたいと思います。  地元の方に聞きますと、希少となるとますます園芸的な価値が上がって、まさに盗掘との闘いだと。三千株ぐらいしか残っていない、あるいはもっと少ないかもしれないということなんですけれども、美しいクリーム色というか淡い白というか、あの花を何とかして残していきたいと思うんです。  この盗掘の防止というところを環境庁のお出しになった計画から見ますと、「盗掘及び生育地への不用意な立入りを防止するために、生育地における監視及び保護棚、制札等の整備を行う。」とだけ書いてあるんですけれども、私も一人の人間として、あるいは北海道に住む者として非常に悲しいと思いますのは、珍しいとなると盗んでいきたくなるというこの心根をちゃんとさせるためには、やっぱり私は小さいときからの環境教育なのではないかというふうに思うんです。  もちろん島民の方たちが監視してくださるのも大事だけれども、二十四時間見張っているわけにはいかないわけですから、例えばレッドデータブックに記載されている絶滅寸前の動植物なのであるというふうな、そしてどんな動植物が今絶滅寸前になっているのかというふうな環境教育をやっておられるのかどうか、やるおつもりがおありになるのかどうか、聞かせてください。
  52. 澤村宏

    政府委員(澤村宏君) まず、私から事実関係につきまして申し上げます。  この保護増殖事業計画というのは、環境庁と農林水産省との計画ということになっております。したがいまして、今先生からも幾つが御指摘がございましたけれども、特に盗掘ということに関しましては、国有林野事業の中でも林野庁におきまして生育状況の把握あるいは生育地保護のための巡視、盗掘防止さくの設置等いろいろ行うこととしておりますし、また地元の礼文町におきましても盗掘防止のための巡視を行っているところでございます。  環境庁におきましては、平成八年度におきまして、行政担当者あるいは研究者等の関係者によりますレブンアツモリソウ保護に関するシンポジウムを開催するということを考えておりますが、そういったような事業を通じまして今後地元と連携をとりながら適切に対処していきたい、そのように考えております。
  53. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 ハナシノブもそうだと思いますが、このレブンアツモリソウなどのようにその地域にしか生きていけないという動植物をいかに保護していくかということは大事業であると思いますが、もっともっとそういう意味で子供たちにも大人たちにもぜひ話していっていただきたいというふうに思うわけでございます。  それでは次に移りますが、先日、緑の国勢調査の結果を発表なさいました。前回に比べて何らかの状況変化のあった緑地が四十二万六千ヘクタール、大変な広さであります。そのうち七万ヘクタールが自然林、そのうち半分が北海道であるということなんですね。またまた私は北海道の住民としてはがくんとショックを受けたわけでありますけれども、自然林というのは天然林と同一語ですか。
  54. 澤村宏

    政府委員(澤村宏君) この植生調査報告書の中に、植生自然度のコードというのがございます。その中で、自然林というのは、エゾマツ−トドマツ群集、それからブナ群集等、自然植生のうち多層の植物社会を形成する地域ということになっています。それから、二次林というのは、ブナ・ミズナラ再生林、シイ・カシ萌芽林等、代償植生であっても特に自然植生に近い地区、それは自然林に近い二次林と我々定義しております。それからもう一つが、二次林といたしましてクリ−ミズナラ群落、クヌギ−コナラ群落等、一般には二次林と呼ばれる代償植生地域ということでございます。したがいまして、この二次林の定義の中にはいわゆる再生した二次林というものも含む概念でございます。
  55. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 二次林というのは自然林の中に入るわけですね、天然林ではなくて、そうですが。
  56. 澤村宏

    政府委員(澤村宏君) この植生調査報告におきましては、天然林には再生した二次林も含むと、そういうことでございます。
  57. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 そうしますと、状況の変わった緑地の内訳はどうなりますか。この四十二万六千ヘクタールの内訳がわかりますか。
  58. 澤村宏

    政府委員(澤村宏君) 改変地の内訳の大きいものをちょっと申しますと、今先生御指摘ありましたが、自然林が七万ヘクタール、それから二次林のうち先ほど申しました自然林に近いものが三万二千ヘクタール、それからいわゆるもう一つの二次林の方が十五万ヘクタール、そのようになっております。
  59. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 ちょっと聞き方が悪かったのかもしれませんけれども、私の聞いたのは、例えば二万九千ヘクタールが草原になってしまった、それから農耕地に四万四千ヘクタールもなっている、植林地や農耕地、市街地などに移行してしまっているんですね、この四十二万六千ヘクタール。万やむを得ない場合もあると思います、それから人間が生きていく上で農耕地とかいろいろな市街地とかに移行していかなければならない場合ももちろんあると思いますけれども、四十二万六千ヘクタール、しかもそのうち七万ヘクタールが自然林というのはちょっと大変な数字ではないのかなと思いましてね−−いや、時間がないのでいいです。  きょう私、北海道の話ばかりして恐縮ですけれども、北海道はブナ林の北限と言われているんですね。例えば富良野とか黒松内などにすばらしいブナ林があるんですが、針広混交林というんですか、これは私もいろいろなものを読んでいて知ったんですが、つまり針葉樹と広葉樹とがまざり合って生えているという針広混交林として貴重な植生を持っている地帯なんだそうです。自然林の構成比が四七%と全国の自然林の六割を占めている。非常に私は貴重な場所なのではないかと思うんです。  これに対しまして、これは林野庁の方でしょうか、環境庁もお答えいただきたいと思いますが、この対策といいますか保護策、ありましたら教えてください。
  60. 澤村宏

    政府委員(澤村宏君) 今、先生いろいろ数字を挙げられましたが、自然林の改変面積は七万ヘクタールばかりでありますが、そのうち五一%に当たる三万七千二百ヘクタールが北海道内にあるということでございます。そして、どのような自然林が改変されているかということでございますが、北海道におきましては、エゾイタヤ−シナノキ群落や下部針広混交林でございまして、これらは比較的標高の低いところにも分布しているという状況になっております。  私どもといたしましては、この調査を通じましてこうした現状を明らかにすることによりまして、特に植生自然区分などわかりやすい形で重要性を示す、そういうことを通じまして、さまざまなそれぞれの主体がそれぞれの立場で保全に適切な配慮がなされるようにお願いをしていきたい、そのように考えております。
  61. 前田直登

    説明員(前田直登君) 林野庁サイドの方といたしましては、特に国有林でございますけれども、国有林は我が国の森林面積の約三割を占めておりまして、また天然林がそのうちの約六割を占めております。そういった天然林につきましては、自然環境の保全形成、こういった面でも大変重要な役割を果たしているということでございます。  この国有林の管理に当たりましては、私ども、森林の有しますいろいろな機能のうち特に重点的に発揮すべき機能、こういった機能に応じまして森林をタイプ分けいたしております。例えば、国土保全林ですとかあるいは自然維持林ですとか、そういった形にタイプ分けいたしまして、それぞれにふさわしい施業管理、経営管理を行っていくというようにいたしているところでございます。  そういった中で、原生的な森林など、いわゆる自然環境の保全を図るべきもの、こういったものにつきましては自然維持林に区分いたしまして、特にその中でも貴重なものにつきましては、例えば森林生態系保護林といったような保護林に設定いたしまして厳正な保護管理に努めているというような状況でございます。
  62. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 大臣に質問を申し上げなきゃいけなかったんですけれども、時間の関係でちょっと急ぐことになってしまいました。  大臣のお住まいになっております神奈川県の横浜市水道局は、これは報道されておりますのをお読みになったと思いますが、上水道の一〇%に当たる一日十七万トンを山梨県の道志川から取水して、道志水源基金として今年度予算に十億円を計上している。道志村の総面積の三六%に当たる二千八百ヘクタールの山林を山梨県から八十年前に買い取ったと、さすが大臣のお住まいになっております神奈川県の先人の知恵だと思います。水源林の維持管理に年間一億六千万円を支出していると、それでもダムをつくるよりずっと安いと担当者は言って、まさに緑のダムだということを言っているわけですね。愛知県の豊田市も水道料金に一トン一円上乗せをしているそうですが、だれからも文句は出ていないということで、水源涵養機能を我々はもっと認識する必要があるのではないかと私はかねがね思っているんです。  それで、林野庁にお聞きいたしますが、先ほどお答えいただきましたが、国有林の役割、そのパーセントをちょっと教えてください。
  63. 前田直登

    説明員(前田直登君) 国有林は、我が国の森林面積の約三割、国土面積の二割を占めております。
  64. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 そうではなくて、もう時間がないので私が言ってしまいます。木材生産に五四%、つまり経済林に五四%、それから国土保全に一九%、自然維持に一九%、森林の空間利用に八%と。経済林が五四%なんですね。つまり半分以上は経済林としているわけでして、これは大きな問題で、農林水産委員会でもしばしば取り上げられていると思いますけれども日本の現実であると言わなければならないと思います。  本当は林野庁長官にお聞きしなきゃいけないんでしょうけれども、かわって大臣、このことをどういうふうにお考えでしょうか。
  65. 岩垂寿喜男

    ○国務大臣(岩垂寿喜男君) 私はかねてから申し上げてきたことでございますけれども、治山治水、それからいわゆる情緒空間というふうな意味を含めて、日本の山林が持っている価値というものは表面で言われているよりも大変な金額に上るだろう、そのことを国民の皆さんにわかっていただくことが必要だと。したがって、その財産をみんなで守っていくということが財政制度の上でも私は必要だというふうに思います。  それ以上のことは私からは申しません。しかし、今のような形で、狭い意味で林野、森林行政がだんだん少し緩くなってきましたけれども、独立採算の枠組みの中に原則的に押し込められていけば、これは木を切ったり山を切りまして売る以外になくなってしまうのであります。そうなれば、私たちの子供や孫たちに対してどんな財産を残すのかということを基本的に問い直してみる必要があるだろう、こんなふうに思いますので、無論林野庁の皆さんとも話をしながら、私ども緑や自然を何よりも大事にしていく、一方でしかし、森林経営ということも全くないがしろにするわけにはまいりませんから、施業その他の面を含めて、どうやってそれを守っていき、残していくべきものをどう守っていくのかという努力をしていかなければいけないというふうに思っています。  そこで私は、最後だそうでございますから申し上げますけれども、この緑の国勢調査というのは、実は私ちょっとマスコミの皆さんに御協力をいただいて、これだけ地味な仕事をやっている姿を見て、本当にこういう毎年毎年やっている努力を国民の皆さんにわかっていただいて、それはもちろん衛星などで比較調査をするだけではなくて、場合によったら立ち入りまで含めて地方自治体の御協力をいただきながらああいう立派な地図ができ上がってくるわけであります。そのことを国民がみんなで受けとめていただくためのPRは、私どもまだ決して十分でないなというふうに反省をいたしております。その意味で、そんな点でもそうした地味な活動というものがやっぱり日本の大事な財産を守っていく、国民の生命や健康を守っていくという役割で非常に大きな意味を持っているということをぜひ申し添えさせていただきたいというふうに思います。
  66. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 ありがとうございます。  地味だと大臣おっしゃいましたけれども、地味ですけれども一番インパクトがあるかもしれないんですね。私たちの緑、私たちの山や森をどうやって守ろうかというのはやっぱり国民に一番訴える力があるのではないかと思いますので、ぜひ予算面でも頑張っていただきたいと思います。  最後に林野庁に、きょうは長官がおいでになっているわけではありませんのでぜひお伝えいただきたいと思いますが、今、岩垂大臣がおっしゃいましたように森は荒れているんですね。そして、林野庁はこういう現状をもっとわかりやすく国民に訴えるべきではないかと私は思うんです。つまり、林業経営が成り立たない、造林や間伐の経費はかさむ、人手不足だ、輸入材に押されて国産材の価格は低迷していっている、採算が取れない、木材需要の七八%を海外に頼っている、私たちは北の住民として南の国の木を切って洪水を起こさせ住民の生活を脅かしている、もっと根本的な発想の転換が必要ではないかと。これは環境庁、林野庁、農水省などが協力をしてぜひ発想の転換をしていただきたい。  最後に一つだけお聞きしますが、これは縦割りの行政の中で非常に難しいと思うんですけれども、恩恵を受ける地元、地方自治体、住民、この人たちのヘルプをもう少しお願いできないんでしょうか。ちょっと前もって林野庁にお聞きしましたら、大変それは難しいというふうなお答えでしたけれども、その点はどうでしょうか。これをお聞きして終わります。
  67. 前田直登

    説明員(前田直登君) ちょっと先ほどの関係で一点補足させていただきたいんですが、国有林の木材生産林、確かに五割ほど占めているんですが、そのうちの三分の一強は水源涵養保安林等といたしまして、私ども経済機能だけではなくてそういった水源涵養機能、こういったものもあわせ高度に発揮させていくということで施業管理に努めておるところでございます。  そして、今御質問にございましたように、そういった公益機能の発揮はもとよりですが、それ以外の国有林野事業の推進を通じまして地元にいろいろ寄与しているわけでございますが、私どもこういった中で、いわゆる公益的な部分につきましては一般会計からの繰り入れ等、こういった措置も講じているわけでございます。  御指摘のように、地方公共団体に直接的に経費を負担せよという話につきましてはなかなか難しい問題というふうに考えているわけでございますけれども、私どもも、いろいろ市町村の森でございますとかあるいは水源の森というようなことで、上下流の市町村と連携をとりまして分収育林を実施しますとか、そういった形の中で地元あるいは地方公共団体とも連携をとりながら、一部支援もいただきながら事業を推進しているところでございまして、今後とも地元あるいは地方公共団体との連携に努めて、円滑な国有林野事業の運営に努めてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  68. 有働正治

    ○有働正治君 本日は、渡り鳥でありますがン類の保護、保全策についてお尋ねします。  宮城県の伊豆沼、内沼は、日本のガン類の七割が渡来し越冬する地域として重要な地域になっています。太平洋側では、現在、この伊豆沼と霞ケ浦の江戸崎の二カ所しか越冬地は残されていないわけであります。両地域の保護策につきまして、現地調査また関係者の御要望をもとにお尋ねするわけであります。  伊豆沼についてでありますが、日本に渡来するマガンの約七割が伊豆沼に集中しているようであります。集中化することによりまして、例えば病気が発生した場合などに相当大きな被害発生することが心配されるわけであります。環境庁としても水鳥渡来地集中化問題検討会をつくって集中化問題について検討されていると聞いているわけでありますが、この伊豆沼につきましてどういう手だてをとっておられるのか、まず御説明いただきたいと思います。
  69. 澤村宏

    政府委員(澤村宏君) 今、先生が御指摘になりましたように、環境庁におきましては伊豆沼の地域のほか二地区を含めまして水鳥類集中化問題検討会を開催いたしまして、水鳥の集中化の原因や機構の解明、それから対策の方向性などにつきまして総合的な検討を進めております。  この伊豆沼地区についてでございますが、我が国に渡来するマガンの約七割に当たります約二万羽前後が集中しているという状況に現在ございます。そのため、このマガンの集中化を緩和するということ、そして分散化を図っていくためにはどのような方策が可能か、そういったことについて今検討が始まっているところでございます。
  70. 有働正治

    ○有働正治君 こういう水鳥の集中化を分散化する上で、伊豆沼の南に位置する蕪栗沼というのがあります。ここは非常に大きな役割を私は果たしているというふうに認識しているわけでありますが、環境庁としての認識はいかがでありましょうか。
  71. 澤村宏

    政府委員(澤村宏君) 蕪栗沼につきましては、マガンが約二千六百羽、それからコハクチョウが約一千三百羽渡来しておるところでございます。水鳥の生息地といたしましては良好な沼であると、そのように考えておりまして、伊豆沼のマガンの分散化の対象の一つではないか、そのように考えております。
  72. 有働正治

    ○有働正治君 建設省来ておられますか。建設省にお尋ねしますけれども、今、非常に良好な沼であって、分散地の一つとして環境庁考えておられると。これは環境庁としても重視されておられる、こういう認識だと思うんですね。私も現地を調査いたしましたけれども、確かに多くのマガン、ヒシクイ等々が羽を休め、えさをとっていたという状況で、最適の場所であるということを私自身も目の当たりにしたわけであります。  ところが、この蕪栗沼につきまして、一九七〇年から蕪栗沼遊水池事業というのが宮城県の事業として行われている。これに建設省も事業費の五五%を補助しておられるわけで、政府としても重大なかかわりを持っているというわけであります。  ことし二月十五日付の地元紙、河北新報に「ガンのねぐらがピンチ」という大見出しが出ました。私も取り寄せて見まして、遊水池事業で沼を四十センチほど掘り下げる計画があって、それによってマコモやヨシが消滅するおそれがあってガンの生息環境破壊するという記事の内容でありました。もちろん、私どもは新聞報道すべて正しいという態度をとっているわけではございませんけれども、こういう報道が地元では非常な反響を呼びまして、自然保護団体には非常に心配する声が多いわけであります。  建設省としては、予算補助事業との関連で当然環境に配慮して行うべきだと思うわけでありますし、環境庁その他の意見を聞いて行うべきであると思うわけでありますが、この点いかがでありましょうか。
  73. 渡部義信

    説明員(渡部義信君) 蕪栗沼の遊水池事業につきましては、北上川水系旧迫川の治水対策といたしまして宮城県において昭和四十五年度より事業に着手し、現在までに遊水池の周囲堤や囲繞堤、関連する河川の改修などを進めており、早期に事業を完成させるべく鋭意進捗を図っているところでございます。  御指摘の蕪栗沼の掘削に関しましては、昭和六十年ごろに沼の中の低水路部分について河道整正のための掘削を一部実施していますが、今後、基本的には沼全体を大幅に掘り下げるような工事を実施することは予定しておりません。ただし、将来的には流入河川からの土砂の流入、堆積により上流部への治水上の悪影響が生じることも考えられますので、このような場合には部分的に維持的な掘削を実施する必要が生じることもあり得るものと聞いております。  先生御指摘のとおり、沼を掘削する場合には自然環境に配慮すべきとの御指摘でございますが、河川管理者といたしましても自然環境に配慮しつつ事業を進める考えであり、今後とも必要に応じて地元、環境の専門家等の御意見も伺っていきたいということで聞いております。
  74. 有働正治

    ○有働正治君 水量の増減でマコモ、ヨシなどの生息に重大な影響が出ることはもう必定なわけでありまして、そのことを非常に心配されている。しかも、これは二十五年前の、四半世紀前の計画を環境問題をこれだけ重大視している中でそのままやるなんというのは、当面はやらないというだけではとどまらない、私は根本的に再検討すべきだということを強く指摘しておきます。  建設省は結構でございます。  そこで、今度は環境庁長官の方にお尋ねするわけでありますが、今局長もこの蕪栗沼についてはその重要性を指摘されたわけであります。環境庁といたしましても、政府の予算が伴う事業、県の事業でありますけれども、当然環境保全立場から、しかも伊豆沼の分散地にも考えられるような地域という点から見ましても、関係者の意見を聞いて環境保全立場から十分慎重に対応すべきである。  その点では、この沼に鳥獣保護区などの指定をぜひ行って保全策をとっていただきたい、こういう要望もあるわけで、それらを含めて積極的に対応していただきたい、こういうわけでありますが、いかがでありましょうか。
  75. 岩垂寿喜男

    ○国務大臣(岩垂寿喜男君) 先生御案内のとおりに、鳥獣保護区ということになりますれば地元の理解も協力も得なければならぬわけでありまして、そういう意味では環境庁自身も今日まで努力をいたしてまいりまして、御案内のとおり平成七年度から狩猟自粛の措置が行われています。しかし、これは自粛でございますから、保護区というところまではまだたどり着いていないわけですけれども、宮城県においても地元の意見を踏まえてその方向を検討するというふうに承っておりますので、こうした動きを注目してまいりたい、そして、県がどのような方向で御協力をいただけるのか見守ってまいりたいと思います。
  76. 有働正治

    ○有働正治君 伊豆沼につきましてもう一点お尋ねするわけでありますが、県によりまして伊豆沼・内沼観察路計画というのが持ち上がっているわけであります。計画は、JR東北線沿いの伊豆沼の東側の湿地帯に木道をつくろうというものであります。県は環境アセスを行わず計画を実施しようとしていることが地元で大問題になっているわけであります。県議会に対し中止を求める陳情書も関係者から出されているわけであります。  この地域は、マコモ、ヨシの群落がありまして、水辺の木が生い茂り、水鳥たちの営巣の場となっていることは、平成四年三月、県の伊豆沼・内沼環境保全対策に関する報告書でも明らかになっているところであります。ここは国設の鳥獣保護区でもあるわけで、環境庁としても重大な保全策が求められていると思うわけでありまして、県に対して地元の関係者などの意見も聞いて十分こういう自然保護あるいは水鳥への影響がないように検討すべきであるということを求めるわけでありますが、いかがでありましょうか。
  77. 澤村宏

    政府委員(澤村宏君) 今、先生お話がございましたように、宮城県におきましては、伊豆沼の水鳥、湿地の保護や賢明な利用を促進するというために、生息環境改善、マコモの植栽等でございますが、そういったこと、それから観察路の整備等を推進してきております。そういう中で、今年度において木道の整備を進める、そういう予定があるというふうに聞いております。  現在、県におきましては、地元の関係者の参加のもとに伊豆沼・内沼環境保全対策連絡会議というものを設置いたしまして、御指摘の木道整備問題を含めまして、この環境問題等につきまして鋭意話し合いが進められているというふうに聞いております。環境庁といたしましても、木道の整備に当たりましては、こうした関係者の理解が得られるように指導している、そういうところでございます。
  78. 有働正治

    ○有働正治君 今の問題について長官もお答えいただきたいと思うのでありますが、ラムサール条約の指定登録湿地を守ろうとする世界的な運動が定着している中で、今何で木道なのかと、こういう厳しい意見があるわけであります。そういう点で長官の見解も求めます。  同時にもう一点、今度は茨城県の江戸崎に渡来するヒシクイの保護についてであります。  江戸崎は関東平野でただ一つ残されたガンの渡来地として貴重な地域であると思うわけであります。昨年、私もこの問題を本委員会で質問させていただきました。環境庁も可能な限り県と協力して対応するということで幾つかの指導もやられたということは私も承知しているわけでありますが、質問と相前後して鳥獣保護区の拡大が行われ、一定の手だてがとられました。  そこで私は、その後どうなったのかということで、昨年十二月、現地を訪れてみましたが、禁猟区等が拡充される中で、その区域に銃の音が聞こえなくなった日からねぐらとして移動して、ヒシクイが安心してねぐらを確保するという姿をありありと見ることもできたわけであります。やっぱり保護策をとるとその影響というのが非常に大きいということが示されたわけであります。その点で関係者も、もっともっと国、関係自治体に保護策を拡充していただきたいという強い希望が出されているわけであります。  一つは、私現場を見まして、環境庁の姿が見えないんです。確かに県の鳥獣保護区その他ではありますけれども環境庁としてもこういう天然記念物としての保護策という点で立て看板その他、県の看板その他のあれはありますけれども環境庁というのは本当に見えないんです。本気で環境庁がこういう問題に取り組んでいるというのが訪れた人に姿として映らない。だから、内容上もまだまだ私は弱いと言わざるを得ないわけであります。  具体的に、重要な採食地の一つに引舟地区というのがあります。私も携わっておられる農家の方々から直接話を伺い、そこに飛来する、ここには飛来しないと言われているんですけれどもヒシクイが飛来するんです、記録ビデオも私見させていただきました。ところが、ここが圏央道がもろに通る計画になって、そうなれば貴重な採食場が失われることは確実だと関係者は非常に心配しているわけであります。そういう点で、安定的にヒシクイが渡来できるように保護区を拡大するなど十分な保護策をとっていただきたいと強い要望があるわけでありまして、先ほどの伊豆沼の木道の問題を含めまして、長官の見解を求めるわけであります。
  79. 岩垂寿喜男

    ○国務大臣(岩垂寿喜男君) 木道の件につきましては今局長から答弁をいたしましたとおりでございまして、環境庁としても十分注目をしてまいりたいというふうに思っております。河北新報なんかの論談も拝見をいたしております。それらを含めてラムサール条約という立場を推進していくというスタンスで努力してまいりたいと思っております。  それから、圏央道のことでございますが、これも先生御案内のとおりに、保護対策を検討するために建設省と茨城県が対策委員会を設置いたしまして、平成六年にオオヒシクイへの影響を回避するための提言を行ったと。その結果として恐らく鳥獣保護区などの拡大が見られたのではないかというふうに思いますけれども平成六年の四月に、茨城県の当該区間については環境影響評価の手続を終了したというふうに聞いております。  しかし、にもかかわらず当該地区のオオヒシクイの保護については、今のような経過を踏まえて事業者において適切な配慮が行われるように、環境庁として、これは率直に言いますけれども、県を通してやっていく形に手続としてはなっていくだろうと思いますが、十分な監視をしてまいりまして、必要があれば事業者に対する必要な措置をも講じてまいりたいというふうに思いますので、御理解をいただきたいというふうに思います。
  80. 有働正治

    ○有働正治君 環境庁の顔が見えないという問題、お答えになっていませんよ。
  81. 岩垂寿喜男

    ○国務大臣(岩垂寿喜男君) 顔というのはどういう形になるのかよくわかりませんけれども、立て看板その他のことでも、おっしゃるとおりに配慮しなきゃならぬところがあると思います。だから、できるだけきれいな顔が見えるようにこれから努力をしていくことをお誓いしたいと思います。
  82. 有働正治

    ○有働正治君 終わります。
  83. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 参議院フォーラムの中尾です。まず最初に、交通システム改善環境保全について一問だけ御質問申し上げます。  先日の委員会で、船舶の排気有害物質等の規制強化、これについて御質問申し上げましたが、きょうはITS、高度道路交通システムとのかかわりについて御質問申し上げます。  ITS、高度道路交通システムというのは、最先端の情報通信を使いまして人と道路と車を一体化して効率よい交通システムをつくり上げようという試みでございますが、この研究開発には、運輸、建設、それから郵政、通産、警察庁の五省庁が当たっております。また、この五省庁と連携しまして、一昨年ですか、一九九四年一月にVERTIS、道路・交通・車両インテリジェント化推進協議会が結成されました。それで、ITS導入による試算、試みの数字を発表いたしました。これによりますと、交通渋滞等の大幅な改善によりまして、三十年後には自動車燃料消費量とCO2を約一五%削減できる、あるいは都市部のNOxを約三〇%削減できるという試算値を発表しております。  このITSの推進に向けて重要な要素の一つ環境保全というのが書かれているわけですけれども環境庁がこれ加わっていないんじゃないかなと思っておりますが、ITSに対して何らかの取り組みをなさっているのか、あるいは今後このITSの問題とどうかかわっていくのか、御答弁願いたいと思います。
  84. 大澤進

    政府委員大澤進君) 高度道路交通システム、ITSは、情報通信技術を用いて道路、車、人を一体のシステムとして構築することによって、渋滞のない快適な自動車交通の実現、あるいは安全性の向上……
  85. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 手短にお願いします。
  86. 大澤進

    政府委員大澤進君) はい。  輸送効率の向上、環境負荷の低減を図ることをねらっているものと認識するところでございます。  このシステムは一部既に実用化されたものもございますが、それらの中には、特定路線への自動車の集中による交通渋滞を回避するとか、あるいは料金所のノンストップ化等により交通環境の負荷を軽減し得るものがございますので、環境庁といたしましても自動車環境対策の一つとしてこれは非常に重要だと認識しておりまして、さきの自動車NOx法の総量の削減に関する基本方針、あるいは昨年十二月に道路交通公害対策関係省庁連絡会議で取りまとめました「道路交通騒音の深刻な地域における対策の実施方針について」、ここにおいて先ほど申し上げましたITSの一部であるVICSの早期実現化等、情報提供システムの整備拡充を含む交通流対策の推進を重要な柱として位置づけているところでございまして、私どもは十分関心を持ってこれにかかわっていきたいと考えております。
  87. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 そういう説明は要らないんですよ、わかっていますから。私は、例えば今、高度情報推進化本部ですか、これができました、これに環境庁が入っていないのは一体なぜなんだ、どうかかわっているか端的に答えていただきたいと言ったんです。関心だけ持っていても困るんです。
  88. 大澤進

    政府委員大澤進君) もともと交通システムの構築ということで設置されたものと承知しておりますが、私どもは、環境サイドで関係省庁の会議がございますので、そういう場でいろいろなこういう動きも情報交換しておりまして、私どもも交通環境保全の対策の立場から、これらの動きに合わせて環境サイドからも御意見申し上げているところでございます。
  89. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 かかわってないんですよね、はっきり言って。これ結局は通産だとか。  これはこの次の委員会でやりますけれども、結局環境庁がやっぱりここでかかわるべきだと私は思っているんです。なぜかというと、こういう大事な話をしていて、結局行政サイドだとかそういうサイドから話が来ているんです。そしてこういう実数が出てくるわけですよ。これじゃ環境庁の主体は、これはやっぱり環境保全は大変大事な問題ですので、これは五省庁いろいろ役割あるんですが、環境の面からもぜひとも何らかの形で、これは昨年八月に高度情報通信社会推進本部の有識者会議で情報化の指針が策定されたわけですから、ぜひとも環境庁としても意見を述べるというか、かかわっていくべきだと思うんですが、大臣一言。
  90. 岩垂寿喜男

    ○国務大臣(岩垂寿喜男君) 御指摘のとおりに努力をしてまいりたいというふうに思っております。  いずれにしても、交通問題は環境と全く深いかかわりを持っているわけでございますから、状況をよく調査いたしまして対応してまいりたいと思っております。
  91. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 この問題については改めてゆっくりやらせてください。  オゾン層の保護対策について若干質問いたします。  オゾン層の破壊というのが急速に進んでいるのは、これは私が言うまでもございません。特に、札幌、つくば、それから鹿児島、那覇の四カ所を今気象庁で調査しているんですけれども、私の住む札幌、これは特にひどくて、一九八五年から九四年の十年間にオゾンの全量の七・〇%が減少しているという結果も出ているわけでございます。  特定フロンは、モントリオール議定書の締約国会議で、日本ではことしから全面生産禁止となっておりますけれども使用中の特定フロンの回収がやっぱり進んでいないと指摘されております。実態把握も大変おくれていると。環境庁平成八年度予算でオゾン層保護対策のどこに重点を置いているのか、簡潔に御説明願いたいと思います。
  92. 大澤進

    政府委員大澤進君) これまでもオゾン層保護対策に諸施策を推進しているところでございますが、特に平成七年六月にオゾン層保護対策推進会議において環境庁が中心になって取りまとめました結果を都道府県に通知して自治体が取り組んでいるところでございますが、その結果を踏まえて、非常に自治体も取り組みが進んでいるところ  でございます。  平成八年度では、環境庁としては、一つはフロン回収推進協議会の設置やその活動を促進するためのセミナーの開催等の普及啓発事業を引き続き実施する点、二つ目としては、回収されたフロンを円滑に処理し、回収を促進するため、破壊技術の長期的、安定的運用を確保するための実証事業を実施すること、それから三点目は、引き続き大気濃度のフロンのモニタリングをしていくこと、四点目としては、途上国に対するオゾン層保護対策についての指導、援助をしていくというふうなことでフロン回収・破壊の促進に重点的に八年度以降も取り組んでまいりたいと考えております。
  93. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 時間がありません。これは八年度予算の概要。余りふえてないですね。改めてまた別の機会にやります。  環境庁は二年前から、CFC等特定フロンの回収・破壊促進に協力する自治体を募りまして、オゾン層保護対策地域実践モデル事業を実施しております。しかし、名乗りを上げたのは、私の調べたところでは北海道や東京、大阪など十三都道府県と横浜だけと聞いております。各自治体の足並みがそろわない理由は何なのか、また環境庁としてどう取り組みを強化していくのか、端的にお願いします。
  94. 大澤進

    政府委員大澤進君) 簡単に申し上げます。  この実践モデル事業というのは、全国自治体を対象に一律に実施することを目的とした予算ではございませんので、一部特定の自治体を選定してモデル的に回収システムを構築し実践してもらい、そのフロン回収の実施事例を把握しフロン回収に関する問題点を収集することを目的として実施されて、二年間で十四自治体でございますが、その結果を私どもはモデル事例集として冊子に取りまとめ、他の全国の自治体が回収に取り組んでいく上で参考にしていただくため、既に昨年秋に配付しているところでございます。
  95. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 三月に総務庁の行政監察結果の報告が出ていますね。なかなか細かいところまで及んでいると思いますけれども、この調査の中で、十七都道府県の調査で千二百五十一市区町村のうち特定フロン等の回収処理を実施したのが百四十市区町村である、一一・二%にしかならないと。それから、例えば現在回収されている特定フロン等のほとんどは一般粗大ごみとして処分されておって、全体のまだ二割ぐらいしか処理されていない。問題点はいろいろあろうかと思いますけれども、やっぱり費用負担や役割分担が明確でないと指摘されているわけでございます。  この費用負担の問題解決に当たって、国がやっぱり積極的に、先ほど長官がおっしゃったんですが、例えば中小企業の援助というか、そうした援助を含めた国の対策も急がれるんじゃないかと思うんですが、これについてお答え願います。
  96. 大澤進

    政府委員大澤進君) この特定フロン等の回収処理システムというのはいろいろ議論があるところでございますが、先ほど申しましたが、昨年の六月にその回収等の促進方策を取りまとめたところでございまして、そこで製造・販売事業者、消費者、処理業者、自治体等関係者が役割分担とコスト負担のあり方等についてコンセンサスを形成しながら回収システムをつくるということで取り組んでいるところでございます。  特にこの回収処理のための費用分担については、役割分担と大きく関係するわけでございまして、一律に規定することは非常に難しいと。また、この回収にかかる費用が主に人件費であるとか、さらに装置として必要な回収機器が百万円程度であり税制上の対象になりにくいというようなことから、従来から金融、税制上の措置は講じられていないところでございますので、御理解願いたいと思います。
  97. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 理解するんだったら私聞いていませんよ、理解できないから聞いているんです。  回収費用、これは家庭用冷蔵庫で一キログラム当たり約一万一千円かかるわけですね。そういった問題もやっぱりきちっとやっていただきたい。この問題についても改めて御質問いたします。  農水省、来ていらっしゃいますね、臭化メチルの話、一言聞きたいんですが。  これは三月十四日の化学品審議会オゾン層保護対策部会の中間報告の指摘もございました。土壌薫蒸用に使われる農薬、臭化メチル、これは年間八千トンから約一万トン生産しているというふうに聞いておりますけれども、オゾン層破壊係数としてはCFCと同じように高いというふうな指摘がされております。  昨年十二月の議定書締約国会議で原則二〇一〇年の全廃が決められましたけれども、なかなかこれはスケジュールがはっきりしておらないなと。そして、農水省もこの会議で反対の立場をとっていたと。最終的にはこれは先進国で一致して議決したわけですけれども、これについて対策が私は手ぬるいんじゃないかと、明快な対策を示していただきたいなと思いますが、いかがでしょうか。
  98. 坂野雅敏

    説明員(坂野雅敏君) 御説明申し上げます。  農薬として使用されています臭化メチルにつきましては、昨年十二月の今先生の御指摘ありました締約国会議において、二〇〇一年以降段階的に削減し二〇一〇年において全廃することが決議されております。農林省といたしましても、オゾン層保護に貢献する観点から、これらの国際的合意を遵守してまいりたいと考えております。  なお、現在、臭化メチルにかわります効果的な農薬がないことから、国際合意上の削減計画の前倒しについては困難な状況にあります。このため、代替剤の開発などに積極的に取り組んでいるところであり、臭化メチルの使用を抑制するとともに、新たに開発された防除技術の積極的な活用に努めてまいりたいと考えております。
  99. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 代替の農薬というのはこれは大変なことだろうと思うんですね、営農をしていく上で。しかし、ないからというようなことじゃなくて、これは九八年、二年後に二五%削減、これだって危ぶまれているんですよ。それで二〇〇一年に五〇%、これは目標でありまして、早急に環境庁も含めて取り組んでいただきたい。  最後に、環境庁長官、一言お願いします。
  100. 岩垂寿喜男

    ○国務大臣(岩垂寿喜男君) 先生御案内のように、実は環境庁が中心となりまして関係十八省庁で構成するオゾン層保護対策推進会議というものをつくりました。もう御存じですから私から一々言うこともないと思うんですが、例えば役割分担がもうちょっと整理されなきゃいかぬというふうに思っています。それを急ぎたいというふうに思っています。  総務庁の発表があったんですが、私ども十二月に行った調査によりますと、全国で二千の自治体、約六割の市町村が、事業者や消費者の参加と協力を得て自主的な回収に積極的に取り組みつつある、あるいは取り組もうとしているという計画がはっきりいたしてまいりましたので、それをできるだけプッシュしていきたい、こんなふうに思っています。  技術の面でもいろんな方式があるわけですが、それもそれぞれの地域で選択をしまして、その条件のもとで、例えば燃焼させるやり方などについてもいろいろ廃棄物処理の熱を利用した破壊の方法などを含めて努力をしておりますので、それらも環境庁としてできるだけフォローアップしながら全国にお伝えをしていきたいなと。  財政の問題は、これはもうとことん残る問題だと思います。だから、それはやっぱりこの推進会議の中で議論をしていかなきゃならぬ課題だと思っておりますので、よろしく御理解をいただきたいと思います。
  101. 矢田部理

    ○矢田部理君 私は環境庁長官にすべて答弁を求めますので、他の方は結構でございます。  第一に、水俣病問題でありますが、先般、水俣病四十年ということで慰霊式が行われたようでありますが、いよいよ十九日にチッソと患者団体あるいは原告団との間で最終的な取り決めが行われ、二十日過ぎには裁判も和解して、その点では大詰めを迎えているわけでありますが、ずっとこの問題の解決に当たって一番重要な課題であったのは責任の問題なんですね。チッソに責任があるのはもちろんですが、国としての責任、これをどうとるのか、この問題をどう考えるのかということが焦点のポイントでした。  そこで、環境庁長官として国の責任についてはどんなふうにお考えになっておるのか、まず第一点、伺っておきたいと思います。
  102. 岩垂寿喜男

    ○国務大臣(岩垂寿喜男君) 物事の経過からいえばPPPの原則というのがあるわけですけれども、それは企業者責任ということにまたなければなりません。しかし、国が全く関係がなかったのかといえば、結果論としてかもしれませんけれども、これに対して例えば新潟水俣病に至る経過の中でもっと早く手だてを講ずることができなかったかという問題は、私は残っているだろうと思います。  それらのことを踏まえて、私から申し上げるのは釈迦に説法でございますが、私自身も当時の村山総理に対して、この問題と被爆者援護法の問題は村山内閣の大きな政治課題です、この問題だけは何としてもクリアしなければなりませんということは申し上げてきました。そして、環境部会長として矢田部先生が先頭になって三党の意見をおまとめいただきました。その結果として今日の解決への道筋が開かれたことは、もう私から申すまでもございません。この問題ということに関連をしまして、与党三党の長い長いやりとりの中で総理大臣の談話なども明らかにされたわけでございまして、これらは国の立場に対する言及が私はあったというふうに思っております。  しかし同時に、私自身は長い間、まさに二十数年間環境委員会に所属をいたしてまいりまして、この環境問題の解決に努力をしたつもりでございますけれども、水俣病問題の解決に当たって余りにも私自身の努力を含めて非力であったということを、環境庁長官という立場を含めて率直に被害者の皆さんにごあいさつを申し上げたつもりでございます。  それは確かに、私自身としてという言葉がございますから、その点、患者の皆さん、被害者の皆さんからしてみると、もうちょっと一言欲しかったなというお気持ちはあろうと思いますが、それは裁判のいきさつがあるわけであります。そして、和解ということに至った経過があるわけであります。その重さというものを踏まえた上でぎりぎり三党合意というものができ上がったと私は理解をしておりますので、それを誠実に実行していくということに尽きるだろうというふうに思います。御理解をいただきたいと思います。
  103. 矢田部理

    ○矢田部理君 責任の問題については、長い間患者の皆さん方に大変な苦労、苦しみとか悲しみを強いてきた、行政の責任で解決ができなかったということに対するおわびの言葉は一つあっていいと思うのでありますが、それ以上に患者や関係者が求めてきたのは、水俣病の発生ないし拡大に国自身が責任があるのではないかということで法的責任を追及してきたわけですね。六つの裁判所が、少なくとも三つは法的責任ありという判決を下した。法的な責任はないけれども、例えば、国の対応には問題が多く、「拡大を防止し得なかったことについて、行政として厳しい反省が求められる」と、東京地裁の判決であります。  もう岩垂さんに言ってもしょうがありませんが、通産省などに対しては、「原因究明等の調査に十分協力し、工場排水の提供を求められたならばこれに応じるよう行政指導をしていたならば、」、適切な「行政指導がなされていたならば、水俣病被害の拡大をかなりの程度防止できたのではないか」というようなことを含めて、国の責任、特に新潟などでは発生にも問題があるわけですが、やっぱり拡大についての責任に言及してほしかった。岩垂さんならばそのことができたはずだという期待が強かったのではないか。  私は、村山さんに最終答申をするときにもこのことを強く求めたつもりだし、中間報告でもこの裁判を引用して問題にしたはずなのでありますが、どうもそこが飛んでしまった。そして、言葉をいっぱい、苦しかったろう、悲しかったろう、大変だったろうということを並べるのではなくて、国の責任に言及すること、そのことが求められていたのではないか。  どうも村山内閣の一連の動きを見ておりますと、従軍慰安婦問題もそうだし、被爆者援護法問題もそうでありますが、お金は出すが責任には一切触れない、そういう逃げの態度こそが今問われているのではないかと思ったのですが、もう一言だけ。
  104. 岩垂寿喜男

    ○国務大臣(岩垂寿喜男君) 実は、私自身がこれまで環境行政にかかわってきた中で先生と同じ気持ちを持っていたことは、これは否定しません。  ただ、この結末というものがどういういきさつをたどってきたのかということであるとすれば、それは御指摘のとおりに、裁判所の判決あるいは和解に至る経過の中でのさまざまな指摘もありました。ありましたが、それらの経過を経て和解という道筋にたどり着いたわけであります。そして、原告の側から見ると国家賠償請求訴訟の取り下げというふうな段取りを含めて問題の解決へたどり着いたわけでありますから、それについて、今私が来まして、おいちょっとそれはおかしいぞという議論は、私がたとえどういうふうに思っていたとしても、それとこれとは、今までのいきさつを否定することになりかねない状況を前にして慎重に対応せざるを得なかったということで御理解をいただきたいなというふうに思うんです。  裁判の席上で、御案内のように、当時の科学技術上の限界あるいは法制上の限界などによって国家賠償法上の責任を国として引き受けることは難しいという主張をしてきたわけでございますから、その延長線上での和解という道筋であります。だから、政府として、主張は主張としても、反省すべき点は反省をし、このような悲惨な公害は決して再び繰り返してはいけないという観点に立って総理の談話が述べられているわけであります。その点は、今までのいきさつを十分御存じの、私よりもはるかに専門的な立場で御理解をいただいておられる矢田部先生にはぜひ御理解をいただきたいなと、こんなふうに思います。
  105. 矢田部理

    ○矢田部理君 経過を踏まえればもっと違ったニュアンス、トーンが出ていいのではないかと私は思っているんです。  というのは、国の法律的な責任を求めることは和解としては無理だ、しかし何らかの責任論に言及すべきだという議論が中心になってきたのでありまして、その点では、単に長引いて苦労をかけたから大変でした、済みませんでしたではなくて、やっぱりこの発生拡大についても責任論に言及してしかるべきだというのが私の議論であり、そこがなかったことが「おわび胸打たず 被害者ら冷ややか」という記事になって出てくるのではないかというふうに思います。  その議論を繰り返すつもりはありませんが、いずれにしても終わりに近づいておりますから、このまとめに当たっては、若干問題も残っているようでありますが、万遺漏なきを期していただきたいということを特に申し上げておきたいと思います。  それから次の点でありますが、環境アセスメントであります。  これは岩垂さんも随分苦労されて、環境基本法をつくる時期にも、何とかこれを入れたい、仕上げたいということを考えてきたわけでありますが、残念ながら入りませんでした。したがって、環境基本法は画竜点睛を欠くということにもなりかねなかったのでありますが、三年をめどに調査などをして法制化を含めて検討するという時期がことしの夏になろうかというふうに思っております。  各国の調査をするなどというのは引き延ばしの口実なのでありまして、やろうと思えばあの時期にもできたはずでありますが、岩垂さんが長官の時期にいよいよその課題が時期的にも煮詰まってきているということになってきますと、かねての持論である法制化に取り組むという表明をここでしてもらってもいいのではないかと思っておるのでありますが、いかがでございましょうか。
  106. 岩垂寿喜男

    ○国務大臣(岩垂寿喜男君) この問題はもう私から蒸し返すつもりはございませんが、年来の主張でございます。特に大規模開発、とりわけ公共事業を含めて、走り出してしまったからとめられない、とまったらお金がむだになる、こんな歴史を繰り返してきたように思うんです。だから、やっぱりその前に事前のアセスをきちんとした上で、そしてコンセンサスを得た上でその仕事に取りかかっていくということが必要だという観点に立つならば、何としてもアセスの法制化を実現させたいといって努力をしてきました。  三年前の環境基本法のときに、御案内のように私は宮澤さんに、当時の総理にお出ましをいただいて、率直に申しますけれども、当時もこの問題について各省庁とも足並みが必ずしもそろっていませんでした。だから基本法のときにそれを生かすことはできなかったわけであります。しかし、総理とのやりとりの中で、名前は後からついたわけですが、環境影響評価制度総合研究会、これはたくさんの省庁が入ってくれていますし、各省庁が認識を共通していただくことが大事だと、共有していただくことが大事だと思ってきましてここまでたどり着きましたので、何としても法制化を目指したいというふうに思っております。  ただし、それは私が一人で言っても、この研究会が自主的に議論をしている問題ですから、何回か私は間接的に呼びかけているつもりでございますので、必ずやその期待に、それは皆さんも同じだろうと思いますから、こたえていただけるだろうというふうに信じています。
  107. 矢田部理

    ○矢田部理君 ちょっとわかりにくかったのでありますが、法制化に取り組む、含めてなどというふわっとした、漠とした話ではなくて、今姿勢を示すことが、そしてまた政治的にも閣内をそれで取りまとめるという態度を示すことがあなたの政治にとって極めて大事なんじゃないか、またそういう立場におられるということを私は重ねて申し上げておきたいんですが、一言だけ。
  108. 岩垂寿喜男

    ○国務大臣(岩垂寿喜男君) 御指摘のとおりだと考えております。
  109. 矢田部理

    ○矢田部理君 昔の話から持ち出すといろいろありますけれども、もう一つ、長良川です。  これにもずっと岩垂さんは反対をしてきたし、今でもその気持ちは変わらないと思うのですが、ついに建設が終わって稼働した。水質の悪化が伝えられております。生態系の影響もいろんなことで出ておりますから、一度ぜひ来てほしいという地元からの強い要望もありますし、心ある環境庁長官はしばしば出かけていった経過もありますので、岩垂さん、行ってもう一度その目で確かめていただく、問題点をやっぱり掘り起こしていただくということをしてはいかがかという提案を申し上げますが、いかがでしょうか。
  110. 岩垂寿喜男

    ○国務大臣(岩垂寿喜男君) この間、代表の皆さんがお見えになったときに、私自身も行きたいと思っているということは申しました。ただ、それをいつにするとか、長官の第一回目の視察にというようなことにおこたえをすることはできないと申しました。  その意味は、矢田部先生御存じのとおりに、供用の開始のときに私は、使用使用後というわけじゃないけれども、モニタリングをきちんとしなさい、システムとしてやりなさい、そして問題が起こったら、それはやっぱりいろいろな検討対応考えなきゃいかぬということを建設省に、全く非公式な会合でありますけれども、当時の野坂さんを含めて話をしてきた経過がございます。  その結果として、どちらかといえば批判的な人を含めた委員会が設置されまして、そしてそのモニタリング委員会では、一回、二回、三回、もう三回行われてきまして、三回目が一月、それで五月の下旬に第四回が開かれることになっていまして、それだけの調査データというものはごまかしようなくそれは出てくるわけです。だから私は、それらのものを見て対応することが環境庁という所管からいえば一義的に必要だなと。  自分で提案をして、この場合は自分たちですけれども、それでそれがやられているときに、おまえの言っているのはおかしいぞという議論にはにわかになじまないのではないかという感じがあるわけでありますので、したがってこれらの点については、私は最初に申し上げましたように、行きたいなというふうに思っている気持ちには変化ありません。したがって、それらについてタイミングとそれから今のモニタリング委員会との関連というものも考慮した上で検討してまいりたい、このように思っております。
  111. 矢田部理

    ○矢田部理君 終わります。
  112. 大渕絹子

    委員長大渕絹子君) 以上をもちまして、平成八年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、総理府所管のうち公害等調整委員会及び環境庁についての委嘱審査は終了いたしました。  なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  113. 大渕絹子

    委員長大渕絹子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時三分散会