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戸田邦司君
平成会の
戸田でございます。
私は、
商標法条約と、それから
商業的造船業における正常な
競争条件に関する
協定、いわゆる
OECD造船協定について質問したいと思います。
商標法条約につきましては、既にもう
国内法が制定されており、それについての
国内法の一部改正というようなことで今回
措置されるということでありまして、今後
運用の適正を図っていただきたい。また、先ほど
武見委員からも御
指摘ありましたが、諸
外国との
関係、特に
発展途上国との
関係については注意深く
運用をしていかなければならない点があるのではないかと思いますが、その辺よろしくお願い申し上げたいと思います。
それから、
OECDの
造船協定でございますが、これにつきましては既に
国内法が
運輸委員会を通っていまして、
法律が成立しております。そこで私も幾つか質問させていただきましたので、それらの点についてはできるだけ
重複を避けてお願い申し上げたいと思います。
実は、私はこの
協定の
交渉当事者でありました。かなり長い
期間にわたって
アメリカあるいは
ECと
交渉を続けてきたというようなことでありますが、そもそもはこれは一九八九年に、SCAと言っておりますが
アメリカの
造船業者の協会、これがノルウェーと
韓国と当時の西ドイツ、それに
日本、これを不公正な
助成を行っているということで、あの悪名高き
通商法三〇一条によってUSTRに
提訴したということに始まっております。
OECDでこれまでそういった
競争条件などについて国際的に話し合いが行われてきたというようなこともありましたので、これを
OECDの場に移して
検討を進めるというようなことになりまして、
交渉の仕方がバイからマルチになったということですが、私はこの
協定の仕上がりを見ましても、結果的にそれが
我が国としては正しい選択であったと思っております。
交渉が五年間という非常に長い時間を要しておりますが、これにつきましては、
アメリカが途中で
政府代表がかわるというようなことがあったり、それから
ブッシュ政権から
クリントン政権にかわって
交渉の立ち上がりが非常におくれたといいますか、
空白期間ができたというようなこともあったと思います。
そもそも
日本については、
日本が相当の
助成を行っているのではないかという神話に基づいて
アメリカがそういうような
問題提起をしたわけでありますが、この
交渉の
途上、
ECが
日本あるいは
韓国の
ダンピングを取り上げまして、
政府助成だけではなく、その
ダンピングも問題にしてきたというところが
一つの大きな点であったかと思っております。この
ダンピングにつきましては、
ECは
ダンピングに関する
協定を置くべきだということを
自分で主張しながら彼らはなかなかドラフトを変えてこなかった、そういうようなこともありまして、非常に長引いた
原因ではなかったかと思います。
この
造船業界というのはマーケットが
一つとよく言われておりますが、世界じゅうの
造船業者が
造船のクライアントであります
海運会社をねらっているというようなことで、
先ほどお話がありましたが、
海運につきましても
便宜置籍というような複雑な運航の仕方をしているということで、その辺がこの
協定の
最終結論を得るのに非常に難しい点ではなかったかと思います。通常の商品のように輸入されるというようなことで
国内市場に与える影響ということであれば、ガットなり現在の
WTOなりそういうような場で扱えたと思いますが、国によっては船は
外国に発注した場合に
国内で通関しない、そういうようなこともある。そういうような点が非常にこの
協定を特殊なものにしているかと思います。
交渉の
途上で、
議長あるいは
事務局が中立てなかったというような感も強く持ちました。途中から
議長を引き受けましたスウェーデンの駐
OECD大使、
ソルマン大使ですが、この人はこの
協定がまとまらなければ
大使をやめるというような決意までしてこの
協定の取りまとめに当たったということであります。そういうようなこともありまして、一九九四年十二月二十一日、問題が起こってから五カ年以上を要して、ようやくその
協定の採択が可能になったということであるかと思います。
私もこの
協定を注意深く読み返してみましたが、
我が国の利益といいますか、我々の
考え方といいますか、
日本の
考え方が非常に強く
協定の中に刻み込まれているというか、そういう
意味では非常によくできた
協定ではなかったかと思います。
この
協定の中身として二つの柱があります。
一つは公的な
助成、
一つはアンタイ
ダンピングということですが、
助成措置としては
ヨーロッパ・
サイドの直接
助成、それと
ヨーロッパあるいは
韓国における
リストラ助成、それに
アメリカの
沿岸法、これは
間接助成でありますが、その
沿岸法によりまして、
アメリカのコースタルサービスをする
船舶に関する限りは
アメリカの
造船所で建造しなければならない、そういうようなことになっているわけです。
その中で
アメリカが
アメリカとして問題にされた
沿岸法、これについては
交渉の
途上で
アメリカ側はこれぐらいいいじゃないかというようなことを相当強く言っておりました。鯨と
サケという例えをしまして、
日本は鯨じゃないか、我々は
サケぐらいだというようなことまで言って、これを何とかそのままにしてもらえないかというようなことを言っておりました。
この
協定を読みますと、
沿岸法は一応認めておりますが、期限を切って見直す、そういうことになっております。
アメリカの
国内事情を
考えますと、これは非常に難しいことではないかと思いますが、その辺について
外務省はどのように受け取っておられるか、お願いしたいと思います。