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1996-05-16 第136回国会 参議院 外務委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年五月十六日(木曜日)    午前十時開会     —————————————    委員異動  五月十五日     辞任         補欠選任      武田邦太郎君     本岡 昭次君  五月十六日     辞任         補欠選任      照屋 寛徳君     谷本  巍君      矢田部 理君     栗原 君子君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         木庭健太郎君     理 事                 笠原 潤一君                 野沢 太三君                 寺澤 芳男君                 川橋 幸子君     委 員                 岩崎 純三君                 大木  浩君                 武見 敬三君                 成瀬 守重君                 宮澤  弘君                 田村 秀昭君                 高野 博師君                 畑   恵君                 谷本  巍君                 立木  洋君                 本岡 昭次君                 佐藤 道夫君                 椎名 素夫君                 栗原 君子君     国務大臣         外 務 大 臣 池田 行彦君     政府委員         防衛施設庁総務         部長      大野 琢也君         防衛施設庁施設         部長      小澤  毅君         外務大臣官房長 原口 幸市君         外務大臣官房審         議官      谷内正太郎君         外務省総合外交         政策局国際社会         協力部長    朝海 和夫君         外務省アジア局         長       加藤 良三君         外務省北米局長 折田 正樹君         外務省中南米局         長       佐藤 俊一君         外務省中近東ア         フリカ局長   法眼 健作君         外務省経済局長 野上 義二君         外務省条約局長 林   暘君     事務局側         常任委員会専門 大島 弘輔君         員     説明員         厚生省保健医療         局精神保健課長 吉田 哲彦君         運輸省航空局監         理部総務課航空         企画調査室長  谷山  將君         運輸省航空局監         理部国際航空課         長       柴田 耕介君         自治省行政局公         務員部公務員課         長       猪野  積君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○航空業務に関する日本国エティオピア連邦民  主共和国との間の協定締結について承認を求  めるの件(内閣提出衆議院送付) ○所得に対する租税に関する二重課税回避及び  脱税防止のための日本国メキシコ合衆国と  の間の条約締結について承認を求めるの件  (内閣提出衆議院送付) ○国際情勢等に関する調査  (小委員長の報告)  (中国・台湾情勢に関する決議の件)     —————————————
  2. 木庭健太郎

    委員長木庭健太郎君) ただいまから外務委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨十五日、武田邦太郎君が委員辞任され、その補欠として本岡昭次君が選任されました。     —————————————
  3. 木庭健太郎

    委員長木庭健太郎君) 航空業務に関する日本国エティオピア連邦民主共和国との間の協定締結について承認を求めるの件及び所得に対する租税に関する二重課税回避及び脱税防止のための日本国メキシコ合衆国との間の条約締結について承認を求めるの件、以上二件を便宜一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 大木浩

    大木浩君 本日は二つの協定ないし条約議題になっておりますが、私はそのうちの飛行機の方を主としてやらせていただきたいと思います。  今回、日本エチオピアの間に航空協定締結されて、いよいよ承認という段階になっております。エチオピアというのは日本にとってはかなり遠い国という感覚はありますけれども、最近は日本アフリカ関係というものも徐々に緊密化しておるということでございまして、こういった航空協定締結によって一層その連携が深まる可能性が強まっておるということは大変喜ばしいことでございまして、協定自身については私どもも賛成であります。  外務大臣は最近、たしかあれはUNCTAD会議でしたか、南アフリカの方へおいでになったということですが、エチオピアに限らずアフリカとの関係アフリカといいましてもサハラ以南とそれからマグレブの方では大分感じが違うと思いますが、特にサハラ以南中心にした日本アフリカ諸国との関係というものを、最近の御訪問の御実績も踏まえてこれからどういうふうに展開していかれるか、全般的な御判断をひとつお聞かせいただけるとありがたいと思います。
  5. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 委員指摘のとおり、先般、四月三十日から南アフリカ共和国で開かれましたUNCTADの総会に出席してまいりました。それと同時に、その際に、南部アフリカの国々を中心としてアフリカ諸国の代表の方々ともいろいろお話をする機会を得たわけでございます。  御指摘のとおり、アフリカ一言で申しましても、マグレブ諸国あるいは西部アフリカ諸国、それと南部アフリカ諸国と、いろいろな特色があるわけでございまして、一律に申し上げるわけにはまいらぬところでございます。しかし、押しなべて申しまして、いわゆる開発途上国という中でアジア諸国は次々とテークオフを実現しておるということ、そういったいろいろな動きがあるわけでございますので、これから世界全体でもいわゆる南の問題をどうするかといったときに、アフリカ諸国にいかに安定を、そうしてさらに発展のきっかけをつかんでもらうか、これが世界的な一つの大きな課題になろうかと思います。  そういった観点から、我が国といたしましてもアフリカの安定と開発に積極的に取り組んでいこうという考えを持っておりまして、既に九三年に東京で第一回のアフリカ開発会議というものを我が国が主催いたしました。そしてまた、その後もいろいろフォローアップということで支援活動を行ってきたわけでございますけれども、今回、そういったこれまでの実績あるいは経験も踏まえましてさらにそれを進展させていこうということで、UNCTADにおける私のスピーチの中におきまして、九八年度を目途にいたしまして東京において第二回のアフリカ開発会議を開きたい、こういうことを提議いたしました。そしてまた、その際はぜひマンデラ南アフリカ大統領にもその中心人物の一人として御出席いただけないかと、こういうこともお願いしてきたような次第でございます。  さらに、具体的なアフリカ支援の内容としまして、アフリカ人づくり支援あるいはポリオの根絶という問題が今大きな課題になっておりますが、これについても日本が積極的にイニシアチブをとっていこう、こういったことを提議したところでございます。  そしてまた、これまでにも、九四年の段階で二年間で十三億ドルの支援策を実行すると発表したわけでございますが、これはもう着実に実行されておるわけでございますし、ただいま申しましたようなことでございまして、今後アフリカ国づくりに対する支援我が国経済協力あるいは外交政策一つの重要な柱として進めていく所存でございます。
  6. 大木浩

    大木浩君 九三年でしたか、アフリカ開発会議一を日本でやられたということで、大変に意義があったと思います。実は、私も先般ある国際会議、これはわかりやすく言うと世界保守党会議なんですけれども、そこへ行きましたときにもアフリカについていろいろ議論いたしました。  アフリカといいますと、従来の歴史からいいますとヨーロッパ諸国が特別の関係をずっと長く持っておったということで、知識、経験においては非常に豊かなものがあるわけであります。しかし、日本とかアジア諸国とも最近は必ずしも疎遠ということでもなくて、特に日本の場合は経済力もありますからいろいろとアフリカ諸国との関係もある。例えば南アにとっても主な貿易国一つですね。そういうようなことで、ひとつ今後ともアフリカ諸国との関係については、遠い国だからということではなくて、それだけの意味がある関係でございますので、どうぞひとつこれからも十分力を入れて対アフリカ外交をぜひ展開していただきたいと思います。  ところで、これはちょっと運輸省の方に一緒にお聞きいただきたいんですが、今回のエチオピアとの航空協定というのは、向こう乗り入れ地点、こちらの出発点といいますか、大阪乗り入れ地点としてはイメージされておりますね。これは、大阪を特に向こうが選んだというよりは、むしろこちらが、もう成田空港はいっぱいでとても入れぬからと、こういうことで交渉の結果結局大阪ということになったんですか。その辺について一言、そういうことかどうかだけ報告していただきたい。
  7. 柴田耕介

    説明員柴田耕介君) 基本的には、諸外国の場合には成田空港への乗り入れ希望が大変多うございます。しかしながら、成田空港状況でございますと新規の乗り入れば認められないというふうな状況になっておりまして、その次として大阪を選んだということでございます。
  8. 大木浩

    大木浩君 そういうことで、これからもいろんな国と航空協定をだんだんに結んでいくということになると、こちらの乗り入れ地点がどこかということが非常に問題になると思うんですね。  そこで、私は選挙区が愛知県でございますので、今、中部国際空港建設というものが一つ課題になっておるわけですけれども中部国際空港国際がついておるわけでございまして、そういう意味国際線との関係でも大いに活用していただくような空港にしていただきたいんです。  今後運輸省としまして、主な国際空港といえば差し当たっては成田それから関西空港、それからいずれ中部ができると、その辺をどういうふうにこれから国際線を入れる場合に使っていかれるのか。今、一体どういう比重になっているのか知りませんが、これからどういう比重というか、全体今の三つ、あるいはさらに追加するか、新しい空港も出てくるかもしれませんが、どういうふうに使っていこうと思っておられるのか、ちょっとその辺のところを、概略的な見通しでいいんですが教えてください。
  9. 柴田耕介

    説明員柴田耕介君) 先ほど申し上げましたように、新東京国際空港の場合には非常に制約が多いということで、現在新しい航空企業乗り入れというのは可能ではございません。  したがいまして、諸外国要望ということで申し上げますれば、新関西国際空港乗り入れをしたいというのが強い要望でございます。さらに、それ以外の地点といたしましては名古屋でございますとか福岡とか、こういうところへの要望がございます。  さらに、近隣諸国におきましては、地方空港韓国を結ぶ、そういったようなところが航空路線網発展として使われていくというふうに思っております。
  10. 大木浩

    大木浩君 そうしますと、今はどうですか。今は成田関西とでほとんどですかね。多少近いところで言うと名古屋あたりからも出ているようですけれども、その辺の比重はどのぐらいで、今後どういうことになっていくのか、大ざっぱな話でいいんですけれども、ごく概略的な姿だけ、例えばこれから十年二十年たったらどうなるのかというようなことをちょっと教えていただきたいと思います。
  11. 柴田耕介

    説明員柴田耕介君) 私ども考え方としては、今、成田空港建設について最大限の努力をしているところでございますが、なかなかそれがうまく進展していないという状況でございます。現在の状況を申し上げますと、東京における空港利用率というのは六四%、それから関西空港が一七・三%、それ以外の地方空港が一八・七%、こういうふうな状況になってございます。  したがいまして、今の状況からすれば関西空港及び地方空港名古屋も含めますし、福岡、札幌というのが活用されると思いますが、そのような状況がだんだんふえていくという状況ではないか、私どもとしてもそういうふうに対応せざるを得ないのではないか、こういうふうに考えております。
  12. 大木浩

    大木浩君 ちょっと済みません、確認しますが、今の時点では東京というか成田が何%ですか。
  13. 柴田耕介

    説明員柴田耕介君) 国際線旅客でございますが、東京が六四%、関西空港が一七・三%、それから地方空港が一八・七%、こういったシェアでございます。
  14. 大木浩

    大木浩君 そうしますと、今のその六四%が今後余り増加する見込みはないわけですね、今の飛行場としてのキャパシティーからいいますと。それがだんだんに減っていくということで、関西ないしは地方ということがふえてくる、こういうことですね。
  15. 柴田耕介

    説明員柴田耕介君) はい。
  16. 大木浩

    大木浩君 そこで、最近アジア地域におけるい  わゆるハブ空港の話というのがよく出ております。例えば韓国などは非常に大きな国際空港建設しておるということで、二年ほど前に韓国の大田で国際博覧会がありまして、そのときに話をしておりましたら、今度は仁川ソウルの郊外の沖合に物すごく大きな空港建設すると二年ほど前に言っていたんですが、既に建設中だと思います。そうすると、むしろもうあそこが東アジアにおけるハブ空港になってしまうんじゃないか。  実は、現在でもヨーロッパやらアメリカへ行くときに、韓国経由というのが非常にあるわけですね。いろんな理由で使われていると思います。それは、韓国に用があってついでにということもあるでしょうし、航空運賃の話もあるでしょうし、それから飛行機込みぐあいのこともあるでしょう。そういうことで、今、仁川沖につくっておる飛行場というのは、飛行場ばかりでなくて実はあそこへ自由貿易地域もつくると、第二の香港だかシンガポールだか知りませんが、つくるようなことも言っておるということです。今、私がお話ししておるのは仁川ですけれども、ほかにもアジア諸国、例えばシンガポールなんかも大変立派な飛行場をつくるし、将来もまたつくる、さらに拡張するというような話も聞いています。そうなると、日本におきましては、今、第七次空港整備計画を進めておられますね。  まず、第七次についてお聞きしますけれども、これはいつごろ正式に決まるのか。閣議決定が今年後半ぐらいだというふうに言われておりますが、そういうことでしょうか。
  17. 谷山將

    説明員谷山將君) 第七次空港整備五カ年計画につきましては、本年の二月に総額について閣議了解をいたしまして、本年の秋ごろ正式な閣議決定ということを考えております。
  18. 大木浩

    大木浩君 それで、閣議決定をしていただくのはいいんですけれども、その決定をことしの後半にやると。ところが、よその方の国の計画はまたそれを超えたような規模のものがどんどんできてくるというと、こちらに飛行場ができたころはあちらにもつと立派なものができてしまって、現実日本としてはハブ空港の機能を果たし得ないというようなことになるんではないかという心配もあるんです。  運輸省としては、あるいは政府全体としてかもしれませんけれども、そういったことについてこれから十年二十年先の、あるいはもっと先かもしれませんが、今の国際航空路整備ということについては、日本だけの話じゃなくて世界全体、とりあえずは東アジアについてどこまでそういったことを視野に入れて考えておられるのか、ちょっとその辺のところを御説明願いたいと思います。
  19. 谷山將

    説明員谷山將君) 今後の空港整備を展望いたしますと、先生指摘のとおり、ますますボーダーレス化が進む国際社会におきまして我が国が今後とも安定した発展を続けていくためには、やはり交流の基盤施設であります国際ハブ空港それから国内拠点空港、これを時期を失うことなく進めることが喫緊の課題であるというふうに考えております。  先生指摘になった第七次空港整備五カ年計画が今年度から始まるわけでございますけれども、これに関しまして昨年の八月末に航空審議会の方から中間取りまとめをいただいておりまして、ここにおきましても国際ハブ空港等大都市圏における拠点空港整備を最優先課題として進めろというふうに言われておるわけでございます。運輸省といたしましても、この中間取りまとめを受けまして、この趣旨に沿った空港整備を進めていきたいと考えております。  具体的に国際ハブ空港に関して申し上げますと、現在滑走路一本で運用されております首都圏成田空港でございますけれども円卓会議の結論を尊重いたしまして、話し合いを通じまして、平行滑走路等整備を推進することといたしております。  また、先ほどお話が出ました関西国際空港でございますけれども、これも滑走路一本で今運用されているわけでございますけれども、八年度より二期事業といたしまして上下主体分離方式によりまして新しい平行滑走路整備というものに着手するということといたしまして、そのための予算を計上いたしまして、さらに関西国際空港株式会社法の一部改正案が今通常国会において可決されたところでございます。  このように国際ハブ空港整備を積極的に推進いたしますれば、先ほどソウルの話が出ておるわけでございますけれども先生指摘のとおり運賃の問題その他ございますけれども航空会社空港路線を形成する重要要素というのは、やはり基本的には背後の経済力すなわち利用者需要があるかないかということであると考えておりますので、今言ったような国際ハブ空港整備を推進していきますれば、アジア諸国空港に対抗いたしましても今後とも我が国空港も十分機能していくのではないかというふうに考えております。
  20. 大木浩

    大木浩君 どうもその辺のところは多少、大丈夫だという感じを私は持っていないんですけれどもね。  それで、今おっしゃったように航空会社が各空港のヒンターランドの経済力というかそういったものを持つということは、結局お客さんがいるかいないか、あるいは貨物があるかどうかという、それが一つポイントだから確かにそういうことはあると思うんですけれども日本におきまして各地方空港もだんだん総体的にはそういった力がついてくるし、それから飛行場をつくる場合の立地条件というようなことを考えると、東京だけ、大阪だけじゃなかなか全部を賄い切れないということもあるんじゃないかと思うんですね。  これはどこまで現実性があるか知りませんけれども竹村健一さんかだれかが飛行場をつくるなら佐賀県かどこかへつくれと、そういう話もありましたね。今のところは笑い話になっているけれども、これから日本全体としてそういった飛行場整備をする場合、よほどよその国のことも視野に入れながら、かつそういった立地条件のことも考えながらということになると、地方空港をもっと活用するということが大事になってくるんじゃないかなという感じがするんです。  先ほどお話で、今は東京が六四%、関西が一七%で、あと残り全部ひっくるめて一八%というようなお話がありましたけれども、今の東京大阪以外の地方空港比重というものが高まるあるいは高めるというお考えなのかどうか、その辺は運輸省としてはどうお考えでしょうか。
  21. 柴田耕介

    説明員柴田耕介君) 先生指摘のとおり、地方空港活用というのは大変重要な課題というふうに私どもも認識してございます。  これは名古屋とか福岡というのを含めた数字でございますが、現在十八空港国際化国際線が飛んでおります。これにつきましては、特に近隣諸国との関係におきましては、自宅から手近な空港活用して諸外国に飛んで行くということで、大変希望が多うございます。しかしながら、中長距離路線になりますと需要の面でなかなかそれが成り立たないという問題がございますが、私どもとしてはチャーター便の運航、こういうものを通じまして地方空港国際化にも積極的に取り組んでいるところでございます。
  22. 大木浩

    大木浩君 飛行機に乗るということがそう特別のことじゃなくて、げた履きでそのまま電車に乗るのに近いような世の中にだんだんなってくるんじゃないかと思いますから、そうすればやっぱり自分の家から近い空港活用ということをみんな考えるわけです。特に、先ほどから言っているように、成田なんかは非常に込み合ってしまってなかなかあれだということになれば、余計そういった点が大事になると思いますので、どうぞひとつその辺はこれからの空港整備計画の中で十分に考えながら全体の計画を進めていただきたいと思うわけでございます。  ちょっと話を変えて、現在運輸省日米航空協定交渉というのをやっておられると。先般来、主として貨物の方でいろいろ議論があったと思います。貨物については一応決着ということだと思いますが、そういうことでしょうか。
  23. 柴田耕介

    説明員柴田耕介君) 貨物専用便分野につきましては、昨年九月からことしの三月まで協議を進めてまいりまして、日本航空につきましてはことしの四月に米側先発企業と全く同様な、米国以遠権を含めまして獲得いたしました。さらに、新たに米国乗り入れ地点として三地点を獲得すると。さらに、日本貨物航空につきましては、便数制約乗り入れ地点制限、組み合わせの制限というものを大変受けておったわけでございますが、その辺を大幅に拡大いたしまして、ほぼ実質的な平等が確保されたというところまで至った段階でございます。
  24. 大木浩

    大木浩君 貨物はそういうことで一応決着ですが、旅客についての交渉というのは、これは大分昔から何回もやっておるようですけれども難航しておる。  実は、私も外務省に籍を置いておりましたころに日米航空交渉をやって、そのころはまだロサンゼルスだとかサンフランシスコに入るとかなんとかいったころの大変古い話で、それからいろいろと変わっているわけですけれども日米航空協定のこの中身というのが不平等条約じゃないかということをずっと言われています。これは昔のことを思い出しましても、占領下日本というところからスタートした、あるいは日本には実際には民間航空というものはほとんどなかったという状況からスタートしていますから、非常にそういったハンディキャップはあったと思います。  それにしても、現在の姿でもまだ非常に不平等じゃないかということを考えるわけですけれども、その中身はちょっと後にして、これから旅客についても交渉を続けられるということか、どういう段階であるか、ちょっと教えてください。
  25. 柴田耕介

    説明員柴田耕介君) 先生指摘のとおり、旅客分野につきましては引き続き不平等が依然として存在しているという状況でございます。これは、以遠区間を含みます路線、それから便数、それから企業の参入の条件といったことで不平等がございます。この状況をできる限り早期に解消していくことが日米航空関係の安定的かつ健全な発展にとって極めて重要な課題だというふうに認識しておりますので、来月の六月三日と四日でございますが、非公式に米国と話し合って旅客協議への道筋をつけていきたいと、こういうふうに考えております。
  26. 大木浩

    大木浩君 今のお話でも不平等だということは認識をしておると、こうおっしゃったわけであります。それから今、ポイント・ビヨンドが非常に不平等だと、こういうことをおっしゃったんですけれども、どうも私は全体として、アメリカといろいろ交渉しても、今の例えばポイント・ビヨンドの話などは、アメリカ経由で南米あるいはブラジルでしたか、にポイントをとってもなかなか十分に活用されないというような点もあるので、そういうところで交渉にもこちらの主張が必ずしも十分に反映されないんじゃないかという気もするんです。  いずれにいたしましても、今不平等だということを言われたので、どういう点が不平等であるか。今、ビヨンドの点は言われましたけれども、どういった点の不平等をこれから解消といいますか、少なくしていこという方針でやられるのか。また、それについてこちらが不平等不平等だと言っても、それは国際的に我が方の主張が受け入れられるような体制というか基準というか、とにかく根拠があるのか、その辺のところをひとつ、余り時間もございませんので、簡単に御説明いただきたいと思います。
  27. 柴田耕介

    説明員柴田耕介君) 先ほど申し上げましたように、以遠地点米国側の考え方によりますならばアメリカ側はアジアに無制限に以遠権を持っているということでございますが、日本側は現実にはサンパウロに週二便しか運航できない、あともう一つはサンフランシスコに義務着陸をした上でニューヨークからヨーロッパ、こういうふうになっておりまして、今このような路線を使ってヨーロッパに行く方はおられません。そういう状況にございます。さらに、日米間の運航路線、それからそこに参入できる企業、例えば全日空についてはそれぞれの運航地点が極めて限られておりますし、さらに運航便数についても制限を受けているということでございます。したがいまして、こういう状況を解消していきたいというふうに考えております。  諸外国状況でございますが、例えばタイでございますれば、ことし早々、大変不平等状況というものを解消すべく合意を達成しております。そういうふうに、両方がバランスのとれた形で発展していかないことには世界的に問題があるということについては認識があろうと思います。今回、貨物分野で平等化がほぼ実質的に達成されたということもそういう背景を受けてのものだというふうに認識しております。したがいまして、米側の理解を何とか求めていきたいと、こういうふうに考えております。
  28. 大木浩

    大木浩君 貨物の方は両方ともお互いに拡大していこう、こういうことで合意に達したというふうに理解したんですが、旅客の方になりますと、これは非常に大きな、例えば今の以遠権なんかは数字を見せていただいても全然話にならない差がありますね。そういうことも含めて、そういうところで平等にするのか。しかし、これは現実から見て、こっちが使わないんですから、あるいは使えないんですから、余り以遠権以遠権と言ってみてもどうも迫力がないような気もするんだけれども、平等というのを、もうちょっとそこら辺のところを、これからはここのところがポイントだというようなあれがあるのか、御説明いただきたいと思います。
  29. 柴田耕介

    説明員柴田耕介君) 従来に比しますと、確かに先生も御指摘のように、日本からアメリカへ行って以遠というものの価値と、それから今発展が大変進んでおりますアメリカにとっての日本からの以遠というものは、価値として大変違うものがあると思います。しかしながら、最近では中南米との関係も強化されているという状況でございますので、日本側としても日本側の以遠権の拡充を図っていきたい。ただ、アメリカ側の以遠の拡充につきましては、これはアジア諸国の反発というものもございますので、その辺も見ながらバランスをとっていきたいというふうに考えております。
  30. 大木浩

    大木浩君 いずれにいたしましても、航空業務というものはこれからもますます発展していくんだろうと思いますが、今の不平等条約の解消というのもただ形の上で解消ということでは、どうもなかなかならないんでしょうけれども、実質的に日本としてはどこが必要になるのか。これは日本の国としてのインタレストもあるし、それから各航空会社の営業上のいろんな利益というのもあるでしょうから、その辺はなかなか調整が難しいんじゃないか。  私は、航空会社の今まで言っていたことがずっと一貫性があるような気もしないので、それは見通しがいろいろ変わってきまずから必ずしも長期的な見通しができないかもしれませんけれども、その辺もひとつ念頭に置いて、航空業務というのは非常に大事なあれだと思いますので、ぜひともひとつよろしくお願いしたいと思います。  外務省外務大臣も一応航空協定は見ておられるわけでございますので、今後の世界的な航空業務に対して外務省としてもどういうふうなお考えであるか、ひとつその辺のところの大臣のお考えを伺って、私の質問を終わりたいと思います。
  31. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 先ほど来いろいろ御論議ございますように、航空協定、特に日米航空協定は一九五三年に締結されたものでございますので、構造上もまた運用上もいろいろ不平等な点があるということは否定できないと思います。  そういった意味で、外務省といたしましてもそういった点の解消には努力してまいりたいと思います。もとより基本は企業の競争力強化の努力というものも必要でございましょうし、また委員指摘のように、いろいろな世界各地の経済の発展状況はどうかということもあるわけでございますけれども、しかしやはり協定上の不平等というものが否定できないとすれば、その面の解消には努力してまいりたいと考えておる次第でございます。
  32. 成瀬守重

    ○成瀬守重君 メキシコとの租税条約に対しましては賛成でございますが、メキシコのことについてちょっと伺いたいと思います。  私はこれまでたびたびメキシコを伺いましたが、特に一九九〇年の三月に、かねてから文化交流の一環として設立のお手伝いをいたしておりましたトルーカ市の陶磁器学校を訪ね、次いでメキシコの最高裁判所、大統領官邸をお訪ねしまして、当時のサリナス大統領にもお会いいたしました。そのころ、メキシコは空前の好景気に沸き返って、実質経済成長率は四・五%、一人当たりのGDPは二千九百ドルで、サリナス大統領はメキシコ中興の祖と称賛されて、NAFTA、いわゆる北米自由貿易協定締結するというので意気軒高としておられました。  その折に私は、日本がちょうどWHOの事務局長に立候補いたしておりましたので、ぜひメキシコの一票を投じてほしいとサリナス大統領に直接お願いしましたら、その場で承諾してくださり、後に一票を投じてくれましたが、それから四年、一九九四年にサリナス大統領の数々の疑惑が発覚して、まさに落ちた偶像といった思いがいたしました。  この一九九四年一月にはNAFTAが発効し、五月にはOECDに加盟して、十二月には現在のセディジョ大統領が就任されて新しい政権が発足したんですが、十二月二十日ごろからメキシコ通貨のペソが大暴落しまして、ペソ売りの圧力に押されて二週間のうちにアメリカ・ドルに対して四割も下落し、前年に二百四十五億ドルもあった外貨準備高が六十二億ドルにまで激減してしまったと。このままで行ったらデフォルトになるんじゃないかと心配いたしたんですが、年末年始の慌ただしい時期に、アメリカ中心として世界各国の中央銀行首脳が集まって、メキシコのデフォルトが世界の金融システムの崩壊の引き金になるんじゃないかと心配して、百八十億ドル、一兆八千億円の緊急金融融資政策がつくり上げられました。世界最大の資金供給国であった日本も数十億ドルを負担したと聞いております。  今、我が国も国の内外で深刻な金融危機に遭遇していますが、メキシコのこういったカントリーリスクは他山の石とすべき点があるんじゃないか。そこで、一体どのような原因でこのような金融危機が発生したのか、こういった点についてお伺いしたいと思います。
  33. 佐藤俊一

    政府委員佐藤俊一君) メキシコは、委員から今御指摘のございましたように、八八年のサリナス政権以来、自由化政策を非常に推進いたしました。したがいまして、国内においてはインフレの抑制に成功いたしましたし、そのほか債務の削減、民営化、外資導入といったようなことで多大な成果をおさめまして、今御指摘のございました対外的にもNAFTAの発効にこぎつけましたし、OECDの加盟というものも実現をいたしました。  しかしながら、サリナス政権のとりました政策の中で、インフレ対策としてペソ高を維持いたしました。その結果、貿易赤字というものが必然的に拡大するという結果になったわけでございます。その際、その赤字分が外国からの証券投資の流入など資本収支の黒字によって補てんをするという、そういう構造がこの経済運営の結果生じたわけでございます。  そのような中で、九四年の初頭からチアパス州におきまして一連の社会的な不安定な状態、特に一部の原住民、現地におられる住民というものを中心にいたしました武装蜂起といったような事態がございまして、それに加えまして与党の大統領候補が暗殺されるといったような社会不安というものが生じました。この結果、先ほど申し上げましたように、当時、米国金利が上昇しつつあったということを背景に、メキシコの金融市場から外国資本が一斉に逃避をするということがこの際の金融危機の発生の原因だと言われております。  メキシコ政府は、これに対しまして自国通貨を買い支えるために外貨準備を使いましたが、これも使い果たし、九四年十二月になりますとペソを切り下げる、さらに十二月の二十日過ぎには変動相場制に移行いたしまして、為替政策の全面的な転換というものを行いました。これが金融危機の原因になったというふうに分析をいたしております。
  34. 成瀬守重

    ○成瀬守重君 こういった金融危機がアメリカを初め国際社会にどういつだ影響をもたらしたか、またアメリカやカナダ、NAFTAに対してどういつだような影響をもたらしたか、ちょっとその点について伺いたいんです。
  35. 佐藤俊一

    政府委員佐藤俊一君) 金融危機は、御指摘のように、新興市場を中心にいたしまして他国の経済にも大変影響があったと思われます。中南米、東南アジア、それから欧州地域の幾つかの国においては、株式、外国為替市場というものに動揺が見られました。しかしながら、各国の通貨当局が非常に適切な対応をしたということでございまして、一部で懸念された世界的な規模での対外債務不履行といったような危機的な状況には幸いにも至らなかったというふうに認識しております。  ただ、御指摘のございましたNAFTAの運用に影響があるんではないかという点、これは大変世界の経済界の関心の的であったわけでございますが、幸いメキシコは、むしろNAFTAによります域内関税の撤廃あるいは域内関税の引き下げといったようなものをてこにいたしまして、米国への輸出拡大というものを実現いたしました。その結果、それが一応経済回復の要因となっておりますので、そういう意味においてはNAFTAの運用には直接影響がなかったというふうに認識しております。
  36. 成瀬守重

    ○成瀬守重君 金融危機の後、一年半過ぎたが、現在メキシコの経済状況は一体どうなっているか。特に、対外債務の状況はどうなっているでしょうか。
  37. 佐藤俊一

    政府委員佐藤俊一君) メキシコは、このような事態に対しまして、九五年一月になりますと、国家予算を削減する、あるいは民営化といったようなものを推進するという緊縮政策を発表いたしました。それと同時に、御指摘のございました総額約五百億ドルの国際支援というものがアメリカ政府中心に、主導によりまして決定をされたということで、一応最悪の状態は切り抜けたというふうに認識しておりまして、その結果、金融市場も一応の安定というものを回復いたしました。  しかしながら、経済運営の結果、引き続き失業問題とか、あるいは変動相場制への移行に伴い増大した金融機関の不良債権の問題、金利が相変わらず非常に高い水準にあること、それから物価の上昇といったようなものがございまして、こういう諸問題は依然としてあるわけでございます。  その中で、輸出の拡大、先ほど申し上げましたように、九四年度の赤字が百八十五億ドルだったのに対して、九五年度には貿易黒字が約七十三億ドル計上いたしておりますので、この輸出の拡大とかそれを反映いたしました株価の上昇など、なかなか難しい問題と同時に明るい材料というものも見られております。メキシコ政府としては、一応今後緩やかな成長ということを期待しているというふうに聞いております。  ただ、対外債務の問題というのは、これは依然大きな問題でございますが、サリナス前大統領が債権国あるいは国際機関などと積極的な交渉をいたしまして、いわゆるブレイディ・プラン、新債務戦略の適用の第一号というふうになりました。その結果、九四年十二月末に対外公的債務残高というのは八百五十億ドル内外ということが言われております。しかし、これは債務危機に見舞われた八〇年代に比しますれば、対外債務の国内総生産に対します比率というのは格段に低下しているということが言えますので、そういう意味においては今のところそれほど深刻な問題になっていないというふうに考える向きが多いようでございます。
  38. 成瀬守重

    ○成瀬守重君 メキシコの政治情勢は一体どうなっているかということですが、金融危機の後、成長率は相当落ちていると思いますし、それから失業率なんかもふえているんじゃないかと思うんですが、セディジョ大統領はこういった困難な課題を抱えて、メキシコの政治情勢というものは一体どうなっているか、伺いたいと思います。
  39. 佐藤俊一

    政府委員佐藤俊一君) セディジョ政権は、九四年十二月に発足してすぐ金融危機の処理というものに忙殺をされたわけでございます。特に、九五年後半までは経済問題の処理に忙殺されました。セディジョ政権は、発足当初、政治改革と民主化の推進というものを公約としておりました。  その後の国内政治の推移を見てみますと、九五年に実施された州知事選挙、それから市町村選挙では野党の国民行動党の躍進が顕著に見られまして、そういう意味では六十年以上にわたって一党独裁を維持してまいりました与党でございます制度的革命党、PRIの退潮がちょっと目立つような状況になっております。ただ、この退潮というのも、やはりメキシコにおきます民主化の進展の証左の一つであるという側面もございます。そういう中で、政府と主要四政党によります政治改革論議というものが再開をされておりまして、本年四月には政治改革法案というものが国会に提出されております。  それから、御指摘のございましたような政治状況の中で一番の課題として解決をしなきゃいけないのはいわゆるチアパス問題でございますが、セディジョ大統領は、就任式の際に、あくまでも対話を通じた交渉による解決を図ると公約をしております。その後、この問題については若干の紆余曲折がございますが、九五年四月から和平交渉というものが定着いたしまして、本年二月には先住民の諸権利と文化という、そういうくくりの問題について合意というものが具体的にできておりまして、和平交渉は一応進展しつつあるというふうに認識されております。  メキシコの内政については、セディジョ政権についていろいろな報道がなされておりますが、このいろいろな報道というのが、内政に問題があるということではなくて、むしろ報道の自由の拡大の結果であるという側面もございまして、セディジョ政権は就任時の公約を淡々と実行して政権の安定が図られているというふうに認識をいたしております。
  40. 成瀬守重

    ○成瀬守重君 来年は日本人のメキシコ移住百周年という一つの節目を迎えるわけですが、在留邦人が四千二百名、日系人が一万五百名いらっしゃると伺っております。日本政府は、一九五四年に締結した文化協定をもとに、百万米ドルで日墨友好基金、大平基金と言われるものを設立して、運用益をもって日墨文化交流事業に対して資金援助をしてきました。  私は、前にメキシコへ行ったときに日墨学院というところに伺いまして、非常にすぐれた日系人及び現地人の方々の教育、育成に当たってこられたということを見てまいりました。日本人、日系人だけではなくてメキシコの人も一緒になって学んでいるという姿を見たんですが、これによって多くの人材を輩出して日墨親善に多大な貢献をしてきたわけです。十数年前に日墨学院の理事長をやったカルロス・春日さんが訪日されたときに、私は当時の鈴木善幸総理のもとに御案内して、日墨学院が日本とメキシコとの友好親善に果たした役割というものを伺ったわけです。  この移住百周年を迎えるに当たって、日墨学院の充実発展のために日本側から何らかの貢献をして、今後もますますそういった意味の充実発展のために寄与すべきじゃないかと思うんですが、こういった点について外務大臣の御意見を伺いたいのですが、いかがでしょうか。
  41. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 委員指摘のように、明年は百周年を迎えるわけでございまして、いろいろな記念行事も予定されております。外務省といたしましても、現地にございますメキシコ日本商工会議所であるとかあるいは日墨協会と大使館が協力いたしまして、そういった諸行事が本当に意義のあるものになるように準備を進めておるところでございます。  そして、今御指摘のように日系人一万五千名余りですか、でございますけれども、そういった方々が、日系人であるというだけじゃなくて、本当にすぐれたメキシコ国民としてメキシコ国の将来の安定と発展に大きな役割を果たすことを期待したいと思いますし、またもとより日墨両国関係の前進のために力を尽くしてもらいたいと期待しておるわけでございます。  さて、御指摘の日墨学院でございますが、実は私もかつて日墨学院、現地も視察いたしまして、今御指摘のように単に在留邦人あるいは日系人の方々だけではなくて、現地の方々の教育の面でも大きな役割を果たしていると、本当にすぐれた教育事業であるなという感銘を覚えたことがございます。私も今具体的に日墨学院について外務省としてどういう取り組みをしておるか、報告をまだ大使館の方から受けておりませんけれども、百周年という大切な節目でもあり、そういった日墨両国のためにも、あるいはメキシコの将来の発展にも大切な意義のある事業であるならば、適切な手段、方法をもって外務省としても対応してまいりたい、こう考える次第でございます。
  42. 成瀬守重

    ○成瀬守重君 メキシコの問題は大体以上ですが、次にちょっと視点を変えて北朝鮮の問題で伺いたいと思うんです。  今、北朝鮮の問題でさまざまな情報が伝えられて、体制が崩壊しようとしているんじゃないかという情報も伝えられているわけですが、そういった中で、原爆やらノドン一号、二号などのミサイルも持って、不測の事態が発生するんじゃないか、あるいは場合によっては大量の難民が発生するんではないかというようなことも聞かれるわけです。そういったものに対して政府はどんな情報を持っているか、あるいはどういった考えをお持ちになっていらっしゃるか、伺いたいと思います。
  43. 加藤良三

    政府委員(加藤良三君) それでは情報の点につきまして申し上げたいと存じます。  今、北朝鮮は食糧、エネルギー不足など種々の困難を抱えておりまして、今後ともその動向には細心の注意を払っていく必要があるというのが基本的な感じでございます。  例えば、現在韓国への亡命者の増加は確かに見られます。すなわち、九〇年以降、年間七名ないし十名ぐらいのものでございましたが、九四、九五年は四十名程度に増加しているようでございます。それから、本年に入ってからも、在ザンビア大使館の書記官などが韓国に亡命しております。中朝の国境を越えて中国に逃げ込む者もふえているというふうにも言われておりますが、その数とか正確な実態は実は不明でございます。いずれにいたしましても、現在大量の難民が発生しているというような状況はないように思います。
  44. 成瀬守重

    ○成瀬守重君 現在はないと思いますけれども、そういった不測の事態が発生したときに、そのときになって対応策を考えても間に合わないわけですが、そういった面についての対応策、そういった事態が発生した場合について我が国としてどういつだ対応策を考えたらいいか、そういった点についてはまだお考えになっておられないんですか、どうですか。
  45. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 現状については、先ほど政府委員から御答弁申し上げたとおりでございます。そういうことでございますので、現時点において特定の国あるいは地域を前提にして、そうして大量難民が発生するという仮定を置いていろいろお話しするというのはちょっと差し控えさせていただきたいと存じます。  あくまで一般論として考えますならば、仮に大量の難民流入というような事態が生じた場合にはどうするかと。これは、もとより外務省一省で対応できる問題じゃございません。政府が一体となってそれに対応しなくちゃいけない、こういう事態であると考えるわけでございますが、そういったことにつきましては、これまでももとより研究はされたと思いますけれども、十分であったかと言われますと、確信を持ってさようでございますと胸を張れる状態ではないというのが偽らざるところでございます。  そういったことで、先般の日米首脳会談を契機といたしまして、我が国の周辺地域でいろんなことが起きた場合に、非常に重大な事態が起きた場合にどういうふうに対処するかということについてはいろいろ研究していこうじゃないかと、こういうことが合意されたわけでございます。そういったことを踏まえていろんなことをやっていく、そういった中には難民の発生あるいは我が国への流入という事態にどう対応するかということの研究もこれは含まれ得るんだと、こういうふうに考えております。
  46. 成瀬守重

    ○成瀬守重君 十三、十四日に韓国の済州島で開催された日韓米の高級事務レベル協議においては北朝鮮情勢に関してどういったような認識がそれぞれあったか、伺いたいと思います。
  47. 加藤良三

    政府委員(加藤良三君) 今回の日米韓三国の高級事務レベル会合は、過般の一月、ホノルルで行われた会合に続く第二回目のものでございました。  そこでの三国の認識ということについて申し上げますと、基本的には北朝鮮情勢は経済、食糧を中心に厳しい情勢になっている、特に食糧不足については今後とも注視していく必要があるということで変わっておりません。  ただ、今回は時間の経過とともに一層そのような問題が厳しさを増しておるという認識が示されたようでございます。他方、金正日が現時点においても実効的に政府、党、軍を支配しているという認識も一致して得られたと承知いたしております。
  48. 成瀬守重

    ○成瀬守重君 その協議のとき、四月十六日に、金泳三韓国大統領とクリントン米国大統領から提案された四者会合といいますか、これについてはどのようなことが話し合われたか。特に、北朝鮮側は七日に外務省のスポークスマンが、もう少しこの問題を待ってほしいというような意味の声明をしたと言われていますが、北朝鮮に四者会談を受け入れさせるためにどのような方策を講じることにしたのか、そういった点について伺いたいと思います。
  49. 加藤良三

    政府委員(加藤良三君) 日韓米の三国は、朝鮮半島の平和のために北朝鮮が四者会合に応ずることが極めて重要であるということについて意見の一致を見ました。また、この提案は朝鮮半島の平和にとって最も実際的な提案であって、北朝鮮が四者会合自体のみずからにとっての利点を十分検討すべきであるという認識でも一致を見たわけでございます。  なお、米韓両国は北朝鮮に対して共同で本件提案について説明する用意があるという見解を示されたわけでございますが、北朝鮮に四者会合を受け入れさせるための方策ということについては具体的な議論にはならなかったというふうに承知いたしております。
  50. 成瀬守重

    ○成瀬守重君 韓国は昔は北京だとかモスクワを通じて北朝鮮との接触とかいろいろな面をやったと思うんですけれども、今回、そういったような意味で北朝鮮が余り韓国との直接な交渉、むしろ米朝会談のような形をとろうとしている。これの意味はわかるような気もするわけですが、そういうことでは本当の意味の四者会談が実現しなければ、北朝鮮におけるそういったような問題の解決にはならないんじゃないか。あくまでもそういった面では四者会談を日本としても実現するように努力すべきだと思いますが、日本としてはその四者会談を実現するためにどういったようなことを、陰からサポートかもしれませんけれども考えていられるんですか。
  51. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 御指摘のとおり、この四者会合というものがこれからの朝鮮半島の安定をもたらしていく上での当面のかぎになるものであると考えておりますので、何とかこれを実現させなくてはいけない、このように考えている次第でございます。  そして、そのことは、まずその当事者でございます米国あるいは韓国あたりがいろいろ努力しているわけでございますけれども韓国も従来と同様にいろんな場所といいましょうか、接点を求めて北への働きかけも試みたようでございますけれども、なかなかはかばかしい進展がない。そして、北朝鮮の側は、一応この提案を検討するという姿勢でありながら、説明を求めると。しかし、その説明については、どうも米国からの単独のということを志向しているように見られます。  そういったことで、先ほどお話がございましたように、先般の日韓米三国の会談におきましては、米韓両国は共同して北朝鮮に説明していくんだ、そういうことをはっきりしたと。だから、北朝鮮に対してこれを説明するのも米韓共同なんだよと。そしてまた、その四者会合というものは米国と北だけの交渉の場ではなくて、あくまで韓国も含めた四者での話し合いなんだということをはっきりさせていくと、こういうことにしたわけでございます。  我が国は、直接そういうことを正面に立っていろいろ行動していく立場ではございませんけれども、いろいろな折にこの四者会合の進め方について米韓と連携をとり、それを支持していくということを明らかにしていると、こういうことでございます。
  52. 成瀬守重

    ○成瀬守重君 もうちょっと突っ込んで伺いたいんですが、済州島の協議のときに、我が国から今後の対北朝鮮の政策に対してどのような考え方をある程度具体的に話し合われたか、提案されたというか言われたか、またアメリカ及び韓国からどのような考え方が表明されたか、もう少し突っ込んでお話ししていただければありがたいんですが。
  53. 加藤良三

    政府委員(加藤良三君) 日本からは、日朝関係について韓国及び米国などの関係国と密接に連携しながら対応していくということを述べまして、また日朝国交正常化には日朝間の戦後の不正常な関係を正すという側面と、それから朝鮮半島の平和と安定に資するものとすべきであるという両側面があるということを述べました。また、南北間の直接対話が朝鮮半島の平和と安定の達成のためには不可欠と日本考えておりまして、このような考え方はこれまでも機会があるごとに北朝鮮に対してもこれを伝えてきており、今後もそのように対応していくということを述べた次第でございます。  米国からは、北朝鮮に対する経済制裁緩和の予定は現時点ではないけれども、制裁緩和は核問題に関する枠組み合意の履行という観点から今後とも検討していく必要があるというふうに述べたようでございます。また、ミサイル問題や核問題に関する枠組み合意など広範にわたって北朝鮮と話し合ってきておりまして、今後も話し合いは行っていくが、朝鮮半島の平和体制の問題はあくまで南北間の対話を基本に話し合われるべきであるというふうな見解を表明いたしました。  最後に、韓国からは、南北経済協力事業者の承認あるいは食用油の供与発表といった雰囲気改善の努力をしているけれども、北朝鮮側が南北対話に応じてくる見通しは必ずしも明るくないという説明があったと承知いたしております。
  54. 成瀬守重

    ○成瀬守重君 北朝鮮は、ともすれば韓国を疎外してアメリカ交渉しょうと。そういったことに対して、韓国はかなり不愉快な思いをしているんじゃないか。それに対して、日本が両者を仲介するとか、あるいはそれに対して骨を折るとか、そういったような話し合いは余り出ませんでしたか。
  55. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) そこのところは常日ごろから心がけておるところでございまして、今回の会合でも先ほど申し上げましたような一応の認識の一致、合意が形成された、その過程において我が国出席者がそういう十分な役割を果たしたと、こういうふうに考えております。
  56. 成瀬守重

    ○成瀬守重君 北朝鮮問題は我が国にとっても非常に影響力の多い問題ですし、しかも目前に迫った危機的な様相もある程度はらんでいるんではないかと思われますので、今後ともひとつ慎重に外務省との対応をお願いしたいと思います。  以上でございます。
  57. 畑恵

    ○畑恵君 平成会の畑でございます。  まず冒頭に、本日審議案件として上がっております日本・メキシコ租税条約及び日本・エティオピア航空協定につきまして、二件とも賛成する旨を申し上げさせていただきます。  残りの時間をいただきまして一般質問に移らせていただきます。きょうは、我が国におきます女性の人権あるいは尊厳に対するこの国での認識のあり方が円満な外交関係にいかに影響を及ぼして国益をある意味では損ねかねない状況を生み出しているか、二つの事件をめぐって御質問をさせていただきます。  まず一問目は、アメリカの三菱自動車製造が女性従業員へのセクシュアル・ハラスメントを放置していたとしてアメリカの雇用機会均等委員会、EEOCから提訴されている事件について伺いたいと思います。  同事件は、もう既に日本でもかなり報道されております。人権活動家らが全米各地での三菱自動車の不買運動や同社の販売店に対する抗議行動を呼びかけるなどして、今やセクシュアル・ハラスメントの問題というよりも、日米の政財界を巻き込むような大問題に発展していると思われます。  この種の問題、果たして事実がどうであるのか、工場の中でEEOCが報告しているようなセクハラの事実があったのかなかったのか、またその実態に対して会社が妥当な処置をとったのかとらなかったのかということをここで議論することは全くいたすつもりはございません。ただ、これほどまでにこの問題が発展したその背景としまして、私自身もたまたまこの連休中に海外に出まして、特に海外の新聞等を読む機会が多かったので感じたことなんですけれども、端的に言えば日本は女性べつ視の国という他国から思われている一つのイメージが巧みに今回の問題と連結されて、そして非常に大きく発展していってしまったという、そういう経過があるのではないかと思われます。  ここに一例として、たまたま産経新聞が載せているコメントを読ませていただきますと、例えばワシントン・ポストは「三菱が男性従業員のセクハラに寛容なのは、日本の伝統的男性優越意識がからんでいる」からだ。また、ニューヨーク・タイムズ紙は「日本の自動車企業にはセクハラはない。なぜなら女性は働いていないからだ。女はお茶をいれるなどの補助的な仕事だけで人間扱いされない。この意識が三菱のセクハラの伏線になったと信じられる」。タイム誌は「米国人従業員は男性優越主義の日本で研修を受け、性的遊戯を楽しむクラブで毎日のように接待され、それをそのまま米国に持ち帰った。彼らは女に何をしてもいいという日本考え方に自然に染まっていた」ということで、今、議場からも苦笑が漏れたように、日本人女性の私が読んで、何を一体言っているんだろうと本当に首をかしげたくなるようなことが、これだけのステータスのある各紙にそのまま毎日のように、これは決してこの文章だけではなくて、連日こうした文章が掲載されていたと。  これはやはり単なる一企業の中のセクハラ騒動という域をはるかに脱していると思いますので、こうした状況に関して外務省の方々がどのように受けとめられていらっしゃるのか、まず率直なところを伺いたいと思います。
  58. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) この問題は、事柄の性格というのは、MMMAというのは確かに親会社は日本企業でございますけれども、これは米国法に基づいて米国で設立された企業でございまして米国法に属していると。そういったことで、外務省としてあるいは日本政府としてこれに介入していくという性格のものではない、こう思っております。  また、今これはEEOCからの提訴によって裁判所に行き、そしてそこで和解の話し合いが進められておるとも聞いておりますが、いずれにしても、我々としてはこれを注視しながら、本件が早急に解決されることを期待しているわけでございます。  一方において、ただいま委員指摘のように、いろいろな報道が内外で、特にアメリカでなされているのはよく承知しております。そして、その中の論評というものは必ずしも当を得たものではないケースも少なくございません。しかしながら、そういうふうな報道がなされ、そういったものが読者あるいは視聴者へどういうふうな影響を与えるか、そしてまたそのことが場合によっては日米の経済関係あるいは関係全般に好ましからざる影響を与える可能性もなしとしないと。  こういうことを考えますと、我々としましてもやはりこれは注意深く事態を注視しながら、今申しましたような好ましからざる影響が起きないように気配り目配りをしてまいらなくちゃいけない、こんな気持ちでいるところでございます。
  59. 畑恵

    ○畑恵君 私自身も冒頭にも申し上げましたように、この問題に対する実際の訴訟に対して何か具体的に質問をするつもりは毛頭ございませんし、今、外務大臣がお答えくださったのと同様の趣旨で斉藤邦彦駐米大使がコメントを出されておりますので、そちらも拝見して、そのとおりだと思います。  ただ、ここまで発展してしまったその背景は、まさにこれは大統領選、これを目の前にしてある意味ポイント稼ぎというんでしょうか、日本たたき、その標的に三菱というある意味日本と連動する大きな名前を持ったところが照準を当てられてしまったということだとは思うんですけれども、ただ、いかんせん、これだけの文章が毎日各紙に躍りますと、もうこれは決して三菱ということではなく、日本というのはこういう国であるという、そのイメージ形成というのが毎日毎日なされているわけですね。  今、目配り気配りというお言葉を伺ったんですけれども、では実際にどのような目配り気配りをなさっていくおつもりであるのか。やはりその国のイメージづくりであるとか情報発信であるとかということに関して各国は、決して目配り気配りだけではなくて、非常に予算も割き、人員も割き、時間もかけているわけですね。そういうような積み重ねがあった末に、たとえ一つ企業外国で何か問題が起きたとしても、それが大きく発展するかしないかというところは、通常の日常の積み重ねによってやはり大きく分かれるところだと思います。  そういう意味で、今回の問題というのは非常に示唆に富んだ事件だと私は理解しているんですけれども、この問題を踏まえて、これから日本のイメージ形成そして情報発信に向けて、こういう面でより取り組んでいこうというような何かお考えがありましたらぜひ伺いたいんです。
  60. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) そういった日本に対するいろいろな印象をどうするかという面につきましても、この問題と直接といいましょうか、かなり強く結びつけていろいろな対応をするということは、必ずしも効果という面からいっても適切かどうかという疑問もあると思います。少し回りくどい、即効性はないかもしれませんけれども、やはり我が国の社会のあり方なりなんなりというものを正確に伝え、そして正確な理解をちょうだいする。さらに言えば、我が国の社会のありようそのものもいろいろ考えなくちゃいかぬ点もあるかと思うのでございます。  しかし、外務省といたしましては、いろいろな広報面においてそういった我が国の文化なり社会なりに対する理解をさらに深めていただくような配慮をしていくと、こういうことかと思います。  そういった意味では、具体的には文化広報の活動の強化ということもございましょうし、さらこその中で、例えば経済面だけではなくて、あるいは政治面だけではなくて、こういった社会のありよう等に関する広報についても力を入れていくということも必要かなと、こう考える次第でございます。
  61. 畑恵

    ○畑恵君 ただいまのコメントが私にとってはやや残念な結果でしたので、もうちょっと踏み込んで申し上げさせていただければ、今回、この三菱自動車の問題がここまで大きくなった最も大きな要因は、やはり日本の正しい姿というのが世界に理解されていなかった、それに対する努力が足りなかった、その背景があってこそここまで広がってしまったということなので、私自身は、その欠如していた部分はお認めになられた上で反省をしていただいて、そして早急に措置をとられて、このような形で発展することのないような何かしら対策をとっていく、そういうコメントが当然出されてしかるべきだというふうにこの記事を読んでいた中で思うんです。  これはイエローペーパーが書いた記事では決してございません。繰り返しになりますけれども、それぞれ世界的に認知された新聞あるいは雑誌が連日のように掲載した記事であります。例えばアメリカが、またフランスがドイツが、日本で逆にこういう記事が書かれたらどうであろうと。例えば政府側から抗議があるんじゃないかとか、反対に日本ではここまでは書けないだろうとか、いろんなことを私は考えたんです。恐らく皆様方もかなりこの記事は読んでいらっしゃると思うんですけれども、読まれたときに、何でこういうことを書かれるんだろうか、書かれないようにするにはどうしたらいいんだろう、そういうことはお考えになりませんでしたでしょうか。
  62. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 私どもも、こういったいろいろな報道がございまして、見まして、いや、我々としてもいろいろ心しなくちゃいけないところがあるなという思いがあると同時に、一方で、これは違うんだがな、ここのところはもう少し正しい姿を理解してもらわなくちゃいかぬなと、そういう気持ちも非常に強いものがございました。しかし、さてそれでは政府としてあるいは外務省として直ちにそれと結びつけて何らかの行動をとることがいいかどうかというのは、またちょっと考えなくちゃいけないところだなと、そういうことで先はどのような御答弁をしたわけでございます。  我々として、それは従来の広報活動その他において、日本の正しい姿について理解を得るという面で足りなかったという認識はありますが、それについてはきちんとこれから対応をしなくちゃいけない。しかし、それも即効性を求めてやるのではなくて、政府としては地道な活動を展開していかなくちゃいけない、そういう趣旨で申したわけでございます。  それで、私が期待したいのは、やはりマスメディアの力というのは非常に強うございます。それを今回も如実に示しているものでございますから、逆にそうなりますと、日本のマスメディアもどうか日本の正しい姿を世界に理解してもらうためにいろいろな発信をしていただきたいなと。今回のように海外でいろいろ誤ったニュースがあるならば、それを輸入しまして、日本の国内でどんどんこうやるというだけでなくて、日本の実相はこうだよということを海外に向かっても発信していただくこと、そんなことも期待したいなと考える次第でございます。
  63. 畑恵

    ○畑恵君 さまざまなそちらからの御注文というのもございますのでしょうけれども、私自身も決して連動させてということを考えているのではございません。連動させますと、まさに三菱側がとった、あのデモを動員したというような話があって、反対にまた攻撃側に火に油を注ぐようなことになったということもありますので、決してそういうことを望んでいるのではありませんけれども、やはりこれはしかるべき適切な処置をとりませんと、この部分をたたくと日本というのは弱いぞということで一つのアキレス腱と見られて、ある意味で外交上、言葉はよくないかもしれないですけれども、つけ込まれる要因にもなりかねないのではないかと私は危惧しております。  女性が男性に対して御質問をするので、何となく糾弾されているような形で受け取られてしまうと大変私としては不本意なんですけれども、決してそうではなくて、日本の国益をキープしていく、守っていくにはどうしたらいいのかということで、やはりこういう記事が二度とこのような形で出ない処置を私は具体的にとっていくべきだと考えて本日御質問させていただきました。この問題はこれぐらいにとどめておきます。  次に、先日、三月二十八日にも質問させていただきました従軍慰安婦問題でございますが、本日はちょっとお時間も多くございませんので、アジア女性基金に問題を絞りまして御質問をさせていただきます。  五月二日に呼びかけ人の中心人物でいらっしゃいます三木睦子さんが辞表を提出された。これはお預かりになっているということでございますけれども、ちょうど私が先回質問させていただいたときに、連名ではありますけれども、三木さんの小論文、コメントが毎日新聞に載って、それを紹介させていただいて、その中で非常に政府に対して不満、不安感が募ったというような、そういう文章が掲載されていて、そして恐らくその思いが飽和点に達して今回辞表提出ということになったと思うんですけれども外務省としては今回の三木さんの行動に対してどのように受けとめていらっしゃいますでしょうか。
  64. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) この基金につきましては、いろいろな見方、いろいろな御意見がございました。それは、この基金に積極的に当初から参画されました呼びかけ人の方々の中でもそうであったと思うんです。一つの意見に集約されていたわけではなくて、いろんなお考えがあったと、こういうものと承知しております。そして、ただいまお話がございました三木さんにつきましても、当初から御本人としてのいろんな思いなり御意見はあったんだと思います。それでありながらも、しかし基金のためにさまざまな面でまことに精力的に御尽力を賜ってきたと、このように聞いております。  今、御本人としての思いと事業そのものの進展ぶりあるいは進展しない状況、そのはざまの中でついに飽和点に達してというような趣旨の御説明がございましたけれども、私としましては、基金の事業の方は三木さんなんかの呼びかけ、そしてまたその後の御尽力、そういったものが着実に効果あるいは成果に結びつきつつあるんじゃないのかなと。決してまだ十分ではございませんけれども、これまで国民の各層への呼びかけ、そういったものにこたえていただきまして三億三千万円までの基金も集まったところでございますし、これからさらに努力をしていくならば、本当の所期の姿でございます国民の善意の運動というものとして展開し得るんじゃないかと、こういうふうに考えている次第でございます。  そういった意味で、いずれにいたしましても、政府といたしましては、今後ともできる限りの協力をこの基金の活動に対して行っていきまして、また基金だけではなくて、事業の方もこの夏ぐらいには実行に移すと、こういうことを考えておりますので、そういったことで、基金の事業については国民の皆様方からも、また委員からもひとつ温かく見守っていただきましてお力添えをいただけるようにと、こう考えている次第でございます。
  65. 畑恵

    ○畑恵君 やはり御認識が基本的に非常に大きく隔たっているなということを感じました。基金が効果を及ぼしているという今コメントが出ましたけれども、及ぼしていないから三木さんはおやめになる決意をなさったんだと思いますし、そして抗議の意味での辞表提出というのは決して三木さんにとどまらず、何人かの方がそういうお考えを持っているというふうに私自身聞いております。  三木さんが辞表を提出されたときの記者会見の中で、「政府は一向に個人賠償の論議を推し進める気配がないばかりか、(橋本政権になってからは)個人補償はありえないなどと公言している」ということに関して不満を述べられ、そして「若い首相が政府の主宰者として謝らないというのは予想もしていなかった」と三木さんは述べられていらっしゃいます。  こうしたさまざまなアジア女性基金のあり方が問題になって、この国民基金というのは例えば女性の名誉と尊厳を脅かす今日的な問題への取り組みを慰安婦問題の償いと同時に事業に入れていらっしゃって国内三団体に援助をしようと。そうしましたら、こうした経緯に基づいて、援助をしてくれる、費用を賄ってくれるのはありがたいけれども受け入れかねるという形で三つの団体がそれを拒否したという経緯もございますので、私自身は、この女性基金が社会的に認知されているとか効果を上げているというような方向からすると、まさに逆の方向に今進んでいるのではないかと思うんです。  再度伺いますけれども、いかがでございましょうか。
  66. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 先ほども申しましたように、呼びかけ人の方にもあるいはこの問題を真剣に考えておられるほかの立場の方々にも、いろいろな御意見がおありになるということはよく承知しております。  しかしながら、政府といたしましては、とにもかくにもこの基金の事業を通じてこの問題に対しても所期の目的を達したい、こういうふうに今努力している次第でございますので、そのようないろいろな御意見をお持ちの方も、御自分の意見と一〇〇%一致はしないけれども、しかしこの問題に対応する面で、その方々の目から見てもある程度のそういう評価はできるんじゃないかというふうなお立場で対応していただけないかなということを期待しておるような次第でございます。
  67. 畑恵

    ○畑恵君 今の一〇〇%一致しないという部分は、国家賠償をするのか、個人に対して補償をするのか、国が謝るのかという、そういう部分でそれぞれいろいろな考え方があるということをおっしゃられているんだと思います。  確かに、それぞれすべてが同じだとは申しませんけれども、少なくともある程度歩み寄れる、またはとにかくいわゆる従軍慰安婦という過酷な運命を強いられた方々に対して少しでもその傷をいやしていただける、そして私どもが償いたいというその思いを受けとめていただけるという、そういう次善の策になればというその思いで、それだけは一つ同じでこれは歩んできた問題だと思うんです。ところが、実際にその運命を強いられた方々御本人たちから、この基金のお金は受け取れない、それよりも何よりもまず国家賠償、国家が私たちに謝るべきであるという声が非常に高く上がってしまって、気持ちまでも拒否されているという、その状況があって今こうした問題が起きてきているのだと思います。  先ほどからのコメントを伺っていますと、決してその思いを私自身が疑うわけではございませんけれども、事実として、今アジア女性基金がそうした行為をしていく団体としては各所から認められていない、逆の方向に進んでしまっているということはこれは事実ですので、事実は事実として御認識をいただいて、もしそれでもアジア女性基金というこの機関を通じて何かをしていくのであれば、やはりそれなりの対応をきちんととっていかれるべきだと私は思います。  そして、そのきちんと対応をされるという中におわびの手紙問題というのがございますけれども、橋本総理は、最初に三木さんが直訴に行かれたときには、私自身は三木さんの近くにいた方から伺ったんですけれども、非常に冷淡なお答えであった、全くそういう気持ちがないというようなコメントが三木さんに辞表提出を決意させたというふうに私自身は近くの方から伺っておるんですけれども、その後さまざまな変遷の中で、手紙を書くかどうかはわからないけれども、少なくともおわびの気持ちは何かしらで伝えたいということがマスコミによって報じられています。  実際どのような形で、どういうことをおわびの気持ちとしてお伝えになろうとしていらっしゃるのか、首相に本当は聞かなければいけないところを恐縮でございますけれども、お教えいただけますでしょうか。
  68. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) その点につきましては、総理御自身も予算委員会で御答弁された点があると思いますけれども、たしか三木さんとお会いになりましたときには、そのことは話題にならなかったと答弁しておられると思います。  それからまた、この事業を実行に移す際にも、決してお金を差し上げればそれで済むなんということは毛頭思っていないと、それは自分の誠意がちゃんと伝わるようなことをぜひしなくちゃいけないと、こういうふうに考えておられると理解しております。ただ、それを具体的にどういう形のものにするかということは、またこれから検討し、考えていくということだと思います。  いずれにいたしましても、この基金の事業本来の目的から申しましても、それは、あのような時代に大変過酷な運命に遭遇され、大変なお苦しみ、そして現在に至るまで心の傷をお持ちになることを余儀なくされた方々に対する心からの気持ち、誠意というものを示すということは真剣に考えておられる、こう思いますし、我々もそういった気持ちでございます。
  69. 畑恵

    ○畑恵君 時間が超過しておりますのでこれだけ申し上げさせていただきますが、今回の政府及び首相の対応の仕方というのは恐らく世界が注視していることと思われます。そして、それによって、先ほどのセクハラの問題とも連動してまいりますけれども日本が女性の人権、尊厳に対してどのように考えているのか、そういう面もすべてこれは一つリンクして世界からとらえられる危険性、可能性が恐らく十分にあることと思いますので、余りかたくなな態度をとられますと、やはり日本はそういう国なのかというような、またマスコミが書くようなことも危惧されますので、決してそういう状況にならないように、本当の国益を考えられて誠意を示していただければと要望して、終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  70. 木庭健太郎

    委員長木庭健太郎君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後二時三十分に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時二十九分休憩      —————・—————    午後二時三十分開会
  71. 木庭健太郎

    委員長木庭健太郎君) ただいまから外務委員会を再開いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  本日、矢田部理君及び照屋寛徳君が委員辞任され、その補欠として栗原君子君及び谷本巍君が選任されました。     —————————————
  72. 木庭健太郎

    委員長木庭健太郎君) 休憩前に引き続き、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  73. 本岡昭次

    本岡昭次君 新緑風会の本岡です。  本日提案されました協定条約には賛成でございます。  そこで、この際、先日行われました国連人権委員会において議論された旧日本軍の慰安婦問題について質問をいたします。  まず、審議の経過を確認したいと思います。  私も国会の休暇をもらいましてジュネーブに行ってまいりました。去る三月十八日より国連欧州本部で開かれていた人権委員会が、四月十九日、慰安婦問題も含めたクマラスワミ報告書を全会一致で採択しております。もちろん日本政府も賛成をいたしました。  国連人権委員会特別報告者クマラスワミ女史は、報告書の中で、旧日本軍による従軍慰安婦問題を戦時における軍事的性奴隷制とし、日本政府の法的責任による解決を勧告しました。政府は、サンフランシスコ平和条約や二国間条約決着済みであるとしてクマラスワミ報告の拒否を求めていく立場でこの人権委員会に臨みました。  そのため、日本政府は、人権委員会メンバーの各国政府代表に日本政府が人権委員会に配付予定の国連文書を事前に送付するとともに、アメリカなどの外務大臣にも池田外務大臣の書簡をもってこの日本政府の立場を支持する要請を行いました。しかし、各国政府代表の支持を得ることができず、配付予定の国連文書を印刷直前に撤回し、新しい文書を再提出せざるを得ないという状況になりました。  人権委員会での発言は、慰安婦に関するクマラスワミ報告を熱烈に支持し歓迎した韓国を初め各国政府代表やNGOは数多くありましても、この日本政府の拒否を求める立場を支持する国あるいはNGOはどこもありませんでした。  さらに、クマラスワミ報告の決議案作成段階で、日本政府は三つの文書から成る女性に対する暴力に関する報告書の中で、慰安婦問題を報告した附属文書1の削除を強硬に求めました。そのために決議文案の作成が二日間もおくれましたが、これまた日本は支持されることなく孤立いたしました。  最終的に、決議は、女性に対する暴力、その原因と結果に対する特別報告者の作業を歓迎し、クマラスワミ報告の本文と附属文書1、2を含めた報告書をテークノートするという内容で、日本政府が要求した附属文書1は削除されることもなく、全会一致で採決されました。  以上が私の知っている人権委員会における従軍慰安婦問題の審議の概要ですが、外務省としてこの経過の事実を確認していただけますか。
  74. 朝海和夫

    政府委員(朝海和夫君) まず初めに、本岡委員は四月十九日に慰安婦問題を含めたクマラスワミ報告書を全会一致で採択されたと御説明されたと思いますが、私どもはそういうことではなかったと理解しております。採択されましたのはクマラスワミ報告ではございません。女性に対する暴力撤廃についての決議でございます。  また、ほかにも幾つかのことをおっしゃっておられましたが、日本は、確かにこの慰安婦の問題というのは重要な問題でございますから、あるいは法律論において正確を期する必要もございますものですから、日本の立場を詳しく記しました文書をもって関係国に説明しておりました。そのことは事実でございますが、それは国連人権委員会に配付予定の文書を事前に各国に送付して、各国の支持が得られなかったから急いで撤回したということではございません。現実に国連に文書を提出いたしましたが、それは前もって説明用に配っておりました文書よりは簡単なものでございますが、簡潔に直してございますが、もともとの文書を撤回したとかいうことでは全然ございません。  また、クマラスワミ報告を韓国が熱烈に支持されたというようなことをおっしゃったかと思いますが、韓国の発言について、人権委員会における対応でございますが、私はただ韓国の実際の発言の内容をひっくり返すしかございませんが、韓国が人権委員会で申しておりましたことは、韓国政府は、一九九三年三月に従軍慰安婦問題に関して日本政府に対して物質的補償を求めない、こういうことを表明して、真相の究明を求めてきたということをまず言っております。続けまして、こうした観点から一九九三年八月の日本の官房長官の談話は一つの積極的なステップとして評価しているということまで発言しております。  他方、そういうことを発言する傍らにおいて、同時に日本政府が特別報告者の勧告を自主的かつ早急に実施するために必要な措置をとるよう要請するといったようなこともあわせて発言しておるというのが事実関係でございます。  クマラスワミ報告を支持する各国政府代表やNGOの発言が数多くあったというようなこともあわせておっしゃったかと思いますけれども、ジュネーブの人権委員会で討議されておりましたのはあくまでも女性に対する暴力の問題でございまして、その一部分として確かに従軍慰安婦の問題も討議されましたが、従軍慰安婦の問題に言及して発言した国は四カ国でございます。そのうち一カ国は日本でございます。残りの三カ国は、中国、韓国、フィリピンでございますが、フィリピンの場合は日本政府がこれまでとってきた措置を評価するといったトーンの発言であったと承知しております。もちろんNGOの方々からも幾つか発言がございましたが、五十数団体が女性に対する暴力について発言した中で、慰安婦に言及したのは十程度であったかと記憶いたしております。  いずれにいたしましても、日本がどこからも支持されることなく孤立したというようなことではないと私は理解しておりまして、結果的に採択された決議もクマラスワミさんの報告書はテークノートする、クマラスワミさんの家庭内暴力についての報告の内容は評価し歓迎するということでございまして、こうした内容の決議になるに当たっては、この決議の取りまとめに当たったのはカナダでございますが、カナダが中心的な役割を果たしたわけでございまして、日本が支持することなく孤立してこういう決議になったというふうには理解しておりません。
  75. 本岡昭次

    本岡昭次君 ただいまの発言は会議録に残されますから公式なものとして、これから国連人権委員会なり関係者が見て、日本政府がどう受けとめたかということに対する批判の材料になると思います。時間がありませんから、それはそのときに譲ります。  ただ、韓国の発言問題、私はここに持っておりますが、熱烈か熱烈でなかったかというのは主観の問題が入ります。しかし、あなたは故意に大事なことを報告しない。例えば「韓国政府は、特別報告者の報告書に含まれた徹底した事実調査の結果と見解を高く評価し、一九九五年七月、関係国訪問調査の結果に基づいた特別報告者の勧告事項を歓迎し、支持します。」というふうに言い切っております。そしてまた、「従って、韓国政府は、日本政府が特別報告者の勧告事項の履行のため自発的、かつ迅速な措置をとるよう求めます。」、また、「従って、われわれ代表団は「女性への暴力撤廃決議案」に特別報告官の報告書内容が適切に反映されることが必須であると考えます。」、こういうふうに言っております。  これをあなたのように見るか私のように見るかの違いであろうと。私はこの報告の部分を読んだのでありますから。今のような外務省の対応では、これは国際的に非常に困ります。  そこでもう一度尋ねますが、あなたは孤立しなかったと言いましたが、それでは日本を支持した国はどこですか。
  76. 朝海和夫

    政府委員(朝海和夫君) 私どもは、ジュネーブの人権委員会に備えて、通常どおりでございますけれども、幾つかの国と前もって意見交換をしてまいりました。その中でこのクマラスワミ報告、女性に対する暴力の問題についての意見交換も行ってまいったわけでございます。あるいはジュネーブで実際会議が行われている最中もいろいろな機会をとらえて意見交換をしてまいりましたが、私どもの理解では、欧米の国々はもちろんのこと、多くの国はこの問題はサンフランシスコ平和条約その他の二国間条約によって決着済みであるという日本の立場に同意していると理解しているわけでございます。
  77. 本岡昭次

    本岡昭次君 同意している国がなぜ人権委員会で発言してくれないんですか。
  78. 朝海和夫

    政府委員(朝海和夫君) 同意したからこそ発言しなかったんだと思います。
  79. 本岡昭次

    本岡昭次君 それでは、テークノートするとはどういうことですか。
  80. 朝海和夫

    政府委員(朝海和夫君) テークノートという言葉につきましては、通常、国際会議その他でよく使われますけれども、そういった場合、一般に記録にとどめる、記録する、留意する、そういったふうに訳しておりまして、今回の場合もそういう意味合いのものであろう、いずれにしましても評価を含まない意味での中立的な表現であろうと考えております。
  81. 本岡昭次

    本岡昭次君 具体的に私も今までテークノートを使われたものを持っておりますが、あなたのおっしゃるような形で訳されておりません。注目しという言葉になっておりますが、どうですか。
  82. 朝海和夫

    政府委員(朝海和夫君) テークノートという言葉につきまして、私どもも幾つか条約協定の先例に当たってございます。そこで出てくることは、ほとんどすべての場合、記録にとどめる、留意するといった訳を用いているということでございます。
  83. 本岡昭次

    本岡昭次君 それで、今回はどう訳するんですか。
  84. 朝海和夫

    政府委員(朝海和夫君) 今回もそのように理解しております。
  85. 本岡昭次

    本岡昭次君 そのようにとはどう訳するんですか。言ってください、はっきり。
  86. 朝海和夫

    政府委員(朝海和夫君) 今回の決議は、条約協定とは異なりまして、正式な日本語訳はつくってございません。ただ、便宜のために私どもが訳をつくってございますが、そこではまさにテークノートということを日本語で言ったらどうなんだという御議論があることも実は念頭に置きまして、テークノートという言葉をそのまま使ってございます。
  87. 本岡昭次

    本岡昭次君 なぜ日本語に訳さないんですか。
  88. 朝海和夫

    政府委員(朝海和夫君) 日本語に訳すとすれば、記録にとどめる、記録する、留意するといった意味だと考えております。
  89. 本岡昭次

    本岡昭次君 それでは、テークノートというのは評価を含まない中立的な表現であり、採択されたということは必ずしも適当でないというのも正式の見解ですか。
  90. 朝海和夫

    政府委員(朝海和夫君) そのように考えております。
  91. 本岡昭次

    本岡昭次君 そうすると、クマラスワミ報告全体は採択されていないということになるわけですか。
  92. 朝海和夫

    政府委員(朝海和夫君) そのとおりでございます。
  93. 本岡昭次

    本岡昭次君 それで人権委員会なり国際社会に通用しますか。
  94. 朝海和夫

    政府委員(朝海和夫君) それが人権委員会の決定でございます。
  95. 本岡昭次

    本岡昭次君 そうすると、女性に対する暴力撤廃決議というものが採択されて、その中の一つの項目に「女性に対する暴力、その原因と結果に関する特別報告者の作業を歓迎し、報告」、この報告の中に本文とアド1、アド2があって、それを括弧でくくんで全体としてテークノートするということを、わざわざ採択に必要のないものを何で入れるんですか。
  96. 朝海和夫

    政府委員(朝海和夫君) 冒頭申し上げましたとおり、採択されたのは決議でございます。決議の中身は何かというと、女性に対する暴力についての報告者の文書につきましては、ただいままさに委員が御指摘になったとおり、テークノートということが決議の内容であるわけでございます。  ただ、この決議そのものは、ほかにもいろいろなことが書いてございまして、今回のクマラスワミさんの報告の中で家庭内暴力に関する部分、その部分についてはまさに決議案に書いてございますけれども、特別報告者の分析を称賛する、あるいはそのほかのことも中身にわたっては決議の中に盛り込まれているわけでございます。
  97. 本岡昭次

    本岡昭次君 そんなことは尋ねていないですよ。  この報告の中に本文とアド1、アド2を括弧で包んでテークノートするということを、あなた方はこのことは採択に値しないと言うのなら、報告そのものが採択されていないというふうに日本は解釈するということになるんですかと尋ねておるんです。
  98. 朝海和夫

    政府委員(朝海和夫君) 報告書そのものは採択されておりません。
  99. 本岡昭次

    本岡昭次君 これは大変なことを解釈しましたね。わかりました。それならそれで、それはまた人権委員会その他のところで議論をいたします。  外務大臣、私はこういうこともあろうかと思って行ってきたんです、朝海さんはお行きになったのかどうか知りませんが。これは外務大臣なり総理大臣が人権委員会でどんな議論があったのか、日本政府がどういう対応をしたのか、その結果どういう結論になったのかという事実、真実、真相を知らずして、報告だけでそうかそうかということですと、これは大変なことになると思います。私は驚きました、これは。  この問題は今回で終わりません。通常五月には奴隷制部会がございます、人権委員会の。七月には差別小委員会があります。来年には人権委員会があります。ジュネーブにおける人権委員会の場で、この慰安婦問題を取り上げているんじゃないんですよ、戦時における軍事的性奴隷という今日的な、ボスニア・ヘルツェゴビナ等で起こっている問題との関係でずっと議論が進んでいくんです。そのたびに日本の従軍慰安婦の対応はどうかということが過去の問題として現在の問題とオーバーラップして議論になってくるんです。  それに対して、日本政府が今のような態度で臨んだとしたら、これは人権委員会で大恥をかくことになると。それもあえて覚悟の上でおやりになるんなら、それはおやりになるのもよろしかろう。これはしっかり腹を据えて、私もこれは国連の人権委員会、その場で対決しなければ仕方がないと思います。外務大臣にその覚悟がおありなら仕方がない。  そこで、もう時間がないから最後にお伺いしますが、こういう態度を一方ではとりながら、国民基金によるお金を無理やり、もらいたくないと言っている被害者の方、元慰安婦の皆さんに何とか受け取らそうとしている。それで、その被害者の皆さんが何を言っているかと、韓国やフィリピンや台湾の。国民基金が私たちを二度殺すものであると。もらいたくない、私たちは誠意を実行してほしいんだと、こういう言い方をされているわけなんです。それを何とか受け取れ、何とか受け取れといってあなた方は国民基金を前面に押し立てて、韓国やフィリピン、台湾の元被害者にお金を受け取らそうとする。その結果、どういうことが起こると思いますか。大変な私は混乱が起こると思う。  まず、受け取る人と受け取らない人、各国政府の対応、韓国はこれは別の対応をするでしょう、台湾、フィリピンそれぞれ。そのときの混乱に対して日本政府がどういう責任をとるのかという問題を考えたときに、私は大変恐ろしい結果を頭に浮かべるんです。  ここは外務大臣なり総理大臣が一つの決断の問題として国民基金でやろうとした、しかし国際世論の問題が一方にあり、また国民基金に集まるお金の問題があり、また国民基金からのお金を受け取ったくない、やはり謝罪なり補償というものを日本からいただくならば、これは国の責任による、国の責任に基づくものをいただきたい、こう言っている関係国なりあるいはまたこの被害者の皆さんに対して、国民基金でなければいけないんだ、これしか方法がないんだといって強引にこの問題をやっていく。その結果何が起こるか、本当に私は恐ろしい思いがするんですよ。  外務大臣一言だけ、ここで賢明なひとつ判断を私はお願いしたいと思うんです。多くの選択肢がある中の国民基金しかないというのじゃなくて、これだけの国際世論の中のいろんな議論が起こっている中でいま一つの選択肢にこの人権委員会の議論も加えましょう、そして考えてみましょうというぐらいの余裕、配慮があってもいいんじゃないですか。もう少し懐の深い外交を展開されたらいかがですか。余りにも硬直し過ぎると思うんです。いかがですか。終わります、これで。返事だけ下さい。
  100. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 我が国の法律的な立場は御承知のとおりでございます。しかし、そうでございますけれども、元従軍慰安婦の方々に、その御心情、あるいはいろいろなめてこられた辛酸、それから今日もその方々の心に残している深い傷跡というものに我々は本当に深い思いをいたさなくちゃならないと思います。そして、その我々の誠意というものは何とかお伝えしなくちゃいけない、こう考えている次第でございます。  それで、誠意を示す手段、方法として一体何があるかと。いろいろ各方面の考え方も聴取し、政府としても真剣に考えましてつくり上げましたのが、現在取り組んでおりますいわゆる基金としての元従軍慰安婦の方々に対する国民的償いをあらわす事業でございますので、その本旨というものをよく御説明申し上げ、そして御理解をちょうだいして、何とか所期の目的が達せられるように努力をしてまいりたいと考える次第でございます。
  101. 高野博師

    ○高野博師君 二つの条約については賛成であります。  メキシコに関する質問の前に、ワールドカップについて二、三お伺いいたします。  この間は、前回の外務委員会でも時間がなくなって途中になってしまったものですから、もう一度念のため、サッカーのワールドカップの共同開催に対する日本政府の立場はどのようなものか、お答え願います。
  102. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 二〇〇二年のワールドカップ招致運動につきましては、これは基本的に日本サッカー協会が主体となって行っておるものでございます。そして、政府といたしましては、昨年の二月二十一日に閣議了解を行いましてそれを支援していこう、こういうことを決めている次第でございます。そういったことで今支援活動をしておるわけでございますが、今後とも国際サッカー連盟、いわゆるFIFAと申しますが、そこにおけるいろいろな議論、あるいは各方面における活動の動向というものを見守りながら、これまでの閣議了解の線に沿って進めてまいりたい、こう思っておる次第でございます。  いずれにいたしましても、本件をめぐりましてかりそめにも日韓両国の国民の間に感情的な摩擦といいましょうか、そういったものが生ずるということは避けられないものかなと、こう考えておる次第でございまして、そういうふうに期待しているところでございます。事はスポーツでございますので、何とかフェアプレーの精神に基づいてさわやかな決定ができないかな、こう考えております。
  103. 高野博師

    ○高野博師君 ということは、共同開催に対する政府の立場というのは特にないということですね。
  104. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 先ほども申しましたように、基本的に物事を決定します。その主体というのは国際サッカー連盟でございますし、我が国に招致するという運動のその主体は財団法人である日本サッカー協会でございますので、共同開催云々というところは、そういった連盟の規約なりそこでの決定に従うものだと思います。したがいまして、政府としてこういう方針というものを独自に決めるわけにはまいらない、こう考えております。
  105. 高野博師

    ○高野博師君 韓国の大統領の秘書室長が、韓国に招致が実現すれば北朝鮮と分散開催をする用意がある、南北の共同開催については朝鮮半島の平和と安定に貢献するんではないかと、そういうかなり政治的な発言をしたのを私はこの間テレビで見ました、衛星放送で。  北朝鮮に五、六万人のサッカー場を持っているのかどうか、建設できるのかどうかわかりませんけれども、こういう事実があることを御存じでしょうか。
  106. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 私どももそういった報道があったことは承知しておりまして、またそのような御発言はあったものと承知しております。
  107. 高野博師

    ○高野博師君 朝日新聞にスポーツの世界に政治を持ち込むべきではないという、外務省のどなたかが発言したものが載っておりましたけれども、これも事実でしょうか。
  108. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) その報道については、あるいはその報道のもとになったとされるかもしれないその発言については私は承知いたしませんけれども、それは基本的に先ほど私が答弁申し上げましたように政府あるいは外務省としての立場というものがあると。それを報道機関の方でどういうふうに解釈して、またそのように報道されたかということかと存じます。
  109. 高野博師

    ○高野博師君 わかりました。私はこの逆で、スポーツを政治の世界に持ち込もうという、そういうことの方が問題ではないかなという感じがしています。  また、個人的には共同開催には反対で、こういうことをやると、ルールを変更しなくちゃいかぬということもありますけれども、実際に開催場所の選定とか輸送の手段とか、あるいはオープニングとか決勝戦をどこでやるとか、非常に複雑になって対立することもあり得るということで、今のルールのままで開催を決定する、決まったらそれは素直に受け入れるということが大事ではないか。いずれにしても余り期間がありませんけれども政府としてもぜひ日本招致方について側面的な援助をお願いしたいと思います。  それでは、日本とメキシコの租税条約に関連して幾つか御質問したいと思います。  この条約で日墨の経済文化交流が促進されるということであれば賛成いたします。  この租税条約については、メキシコ側からかなり前から条約を結びたいという意思が表明されていたと。しかし、メキシコの政治経済事情が余りよくないこの時期に急速どうしてこれが合意に至ったのか、その背景等についてお伺いいたします。  アルゼンチンなんかも私の知っている限りでは十数年前から租税条約をやろうということでありますが、これはまだ合意に達していない。中南米ではブラジルと今回のメキシコだけということでございますが、その辺の事情をお聞かせ願いたいと思います。
  110. 佐藤俊一

    政府委員佐藤俊一君) 御承知のように、我が国とメキシコは非常に伝統的な良好な関係にございまして、御指摘のような経済的な状況というものも確かに存在しておりましたが、九四年ごろから特にカナダ、アメリカと一緒になりまして、いわゆる北米の自由貿易協定、NAFTAというものが発効されまして、そういう新しい状況を踏まえて我が国の実業界、我が国企業のメキシコに対する関心が非常に高まりました。その結果、投資を中心とした経済関係というのは九四年以来非常に活発化したということを認識しております。  こういう状況を見まして、メキシコ側は、従来から日本、メキシコ間の経済的及び人的交流の促進を図るために我が国との間で租税条約締結したいという意向を持っておりましたが、こういう九四年ごろからの新しい状況を踏まえまして、そういう意向が非常に積極的になりました。その意向を受けまして私どももメキシコ側と鋭意交渉をした結果、このたび合意に至ったものでございます。  具体的には、平成五年の四月ごろからメキシコ政府から同条約締結のための交渉を開始したいということを公式に提案してきたので、我が国としてもこれに応じたというのが経緯でございます。
  111. 高野博師

    ○高野博師君 午前中もメキシコの対外債務問題についての御質問がありましたので繰り返しませんが、九四年の十二月にペソの大幅な切り下げがあった、対外流動性の危機を招いた。九五年にかなり緊縮財政をとったけれども、成長率はマイナス六・九%、それからインフレ率が五〇%を超えた。テキーラ・ショックなどと呼ばれたわけです。  メキシコについては、八二年に対外債務の支払い不履行によって対外信用を失墜させたという経緯がありまして、このときに国際資本市場に復帰するのに約七年かかったが、今回の場合は約七カ月という短期間で復帰したということです。この背景にはNAFTAがあって、米国が強力にメキシコを支援した、あるいはこのNAFTAという大市場でメキシコの輸出の増大を図ることができたという、そういうことが大きな原因でうまくいったのかなというふうに認識していますが、そういうことでしょうか。
  112. 佐藤俊一

    政府委員佐藤俊一君) 御指摘のような経緯を踏まえているメキシコ経済の状況だと思います。例えば、対外債務が八〇年代と比べて、現在、九四年末でも統計によりますと三〇%以上、四〇%近いというような状況ではありますけれども、八〇年代に比べれば格段の改善ということが言えると思います。  特に、御指摘のございました、いろいろ問題はあっても明るい材料というのはやはり幾つかございまして、輸出の拡大という意味で、九四年が赤字だったのに九五年には貿易黒字が約七十三億ドル出ている、十四カ月連続で黒字になっているといったようなこと、それから株価なんかも上昇しているというようなことで、明るい材料が見られるということで、メキシコの経済というのがメキシコ政府が言っておりますように、その予言のとおり緩やかな成長になってくれればいいなと期待をしているということでございます。
  113. 高野博師

    ○高野博師君 政治関係についてはけさほども御質問がありましたので繰り返しませんが、メキシコの伝統的な政治体制というか、いわゆる制度的革命党、PRIの独裁というか、一党支配体制が終わりつつあるという認識をしておりますが、その中で国民行動党のような都市とかあるいは中産階級を基盤にした政党が躍進しつつある。私がちょうどメキシコにいたころにサリナス政権ができて、国民行動党が伸び始める時期だったものですから非常に関心を持っております。九七年に選挙制度を改革した上で国政選挙が実施できるかどうかという、その辺が今の政権が問われているところではないかと思います。  一つはチアパス問題で、NAFTAが成立した直後にチアパス州でサパティスタの民族解放軍の反乱が起きたんですが、この和平交渉等はどうなっているか、あるいはその根本的な原因は何なのか、その辺についてお伺いいたします。
  114. 佐藤俊一

    政府委員佐藤俊一君) チアパス問題でございますけれども、これが御承知のように国際場裏の非常に大きな注目を浴びましたのは、やはり九四年一月一日から四日にかけての非常な騒擾を伴う事態であったというふうに考えております。メキシコの官憲側といわゆる蜂起という事態を招きました武装された先住民との間で多数の死傷者が出たということで、当時OECD加盟を目指していたこの国にとっては、なかなかメキシコの内政の難しさというものを具現した事件であったと思います。  ただ、この武力衝突がありました後、政府側も対話による解決という路線を打ち出しまして、一月十六日になりますとサパティスタ国民解放軍の方も停戦宣言というのを行って、政治対話による解決という方向を双方が模索するという段階に入ったと思います。  サリナス政権下ではいろいろな事情で交渉は実現されませんでしたけれども、最近ではセディジョ大統領が就任の際にチアパス問題はあくまで交渉による解決を図るという公約を改めて確約をいたしまして、九五年の四月から和平交渉が開始されておりまして、現在ほぼ月一回のペースで交渉が行われております。  この交渉の中の課題というものがいろいろ挙げられておりますが、主要な四議題のうち、先住民の諸権利と文化という議題につきましては、本年二月には合意が双方の間でできたようでございます。今後は民主主義と正義とか、あるいは福祉と開発、チアパス州の女性と権利といったようなそれぞれ銘打った議題のもとでの実質的な交渉が続けられると思います。いずれにしろ、この問題の持っております複雑な問題というものをこの四つの議題でもって、この議題交渉の中で解決をしていこうというふうに私どもは見ております。
  115. 高野博師

    ○高野博師君 私は、このチアパス州には二度ほど行ったことがありまして、非常に関心を持っております。特に、榎本移民が最初に入植した地域でもあります。メキシコの中では最も貧しい地域だということで、根本的には貧困の問題があるのかなということと、サリナス政権が開発政策をとった中で社会的な格差が非常に大きくなったというようなことも原因としてあるのではないか。  榎本移民との関係で、来年、移住百周年ということでいろんな記念の事業が今計画されているということで、先日も訪日中の日系人の代表とも会いましていろんな意見を交換しました。それで、メキシコの場合、この三十五人の榎本移民が先ほどのチアパスに入ってから百年がたった、この間に移住者並びにその子孫の方が営々として日系社会を築いてきた。この日系人あるいは日本人移住者がメキシコ官民の対日理解を促進するとか、対日信頼感を醸成するとか、非常に大きな貢献をしてきたと思うんですが、そういう意味でその労苦を検証するということは大きな意味があろうと思います。  特に、日墨関係の中でこの百周年というのを政府としてはどういうふうにとらえているのか、どういう位置づけをされているのか、その辺についてお伺いいたします。
  116. 佐藤俊一

    政府委員佐藤俊一君) 私どもといたしましても、今御指摘のありましたような意義を踏まえまして、できるだけの協力をしたいというふうに考えております。現在、現地におきましては、日系人の親睦団体でございます日墨協会、あるいは我が方の出先でございます大使館、それからメキシコの日本商工会議所の三者の間でいろいろな準備が進められております。  それで、その意義ということでございますが、まずはメキシコに我々の日本からの移住を受け入れてくれたこのメキシコの国の包容力というものに感謝と評価というものを表明しながら、今後はメキシコ国民としてぜひ日系の方々にメキシコの発展に貢献してもらいたい。それから、この機会に、今までの百年の友好関係を思い浮かべながら、今後新しい百年のための日本とメキシコの一層の友好関係の増進にかけ橋として貢献してもらいたいという気持ちを込めて、政府といたしましても、年間を通じまして要人往来や文化事業といったようなものに協力をして新たな百年の幕あけにしたい、かように考えて準備をしているところでございます。
  117. 高野博師

    ○高野博師君 移住百周年の事業の中でチアパスに文化会館を建設する計画があると。これについてはぜひとも前向きに取り組んでいただきたいと思うんですが、政府としては何か予算的な措置等を考えておられるんでしょうか。
  118. 佐藤俊一

    政府委員佐藤俊一君) 先ほど指摘のございましたこの準備委員会の方々に先般お目にかかりましたときに、そのお話を初めて伺いました。こういう記念的な事業の中でそういう建物を建てるあるいは新しい施設をつくるというのは、いろいろな工夫ができませんとなかなか実現ができないと思います。  お話を伺いましたので、まず私どもとしてはこの話を真摯に取り上げまして、この可能性を検討したいというふうに考えておりますし、それから日本側の各方面からは、こういうようないろいろなイニシアチブについて、可能なものについて御協力が得られるかどうかもあわせて私どもは見ていきたいというふうに思っております。
  119. 高野博師

    ○高野博師君 それでは、時間がないので、ドミニカ共和国の移民問題についてお伺いいたします。  約四十年前にドミニカ共和国に移住したということで、この入植者が入植地の条件が余りに違うということで引き揚げ等の問題が起こりましたけれども、この問題は今どうなっているんでしょうか。
  120. 佐藤俊一

    政府委員佐藤俊一君) 今御指摘の問題というのは、当時、政府といたしましてもできる限りの事前調査と、それからその後、入植状況改善のための努力というものを行ってまいりました。しかしながら、その後の現地の政治経済状況が予期しないような形で悪化をいたしました。それから、そのときの政権が崩壊をするといったようなことで事態の改善が非常に難しくなって、移住者の方々は大変苦労されたということは政府としても認識をしております。  政府としては、これまでも移住者の方々に対して、農工業の融資、教育支援、医療衛生の支援、生活環境整備等の援護を行ってきております。この問題については、政府がいろいろな段階でいろいろの具体的な措置をとったことは委員も御承知のとおりだと思います。しかし、まだ安定定着の段階に達しておられない方々が困難を抱えておられる状況も見られますので、移住者の方々と支援措置について現在話し合いを行っているところでございます。私どもといたしましても、できる限りの支援を行うという基本方針には全く変わりありません。
  121. 高野博師

    ○高野博師君 実は、この件に関しては、数カ月前にテレビでドキュメンタリーをやっておりまして、私もそれを見て驚きました。いまだにこの問題は解決していなかったのかなということで、今、局長がおっしゃったように安定定着をしていない、四十年もたってまだ定着していないという、これは大きな問題ではないかなというふうに私は思います。  この移民の問題、移住した先の政権が倒れたとかいろいろあると思うんですが、私は最初に入植するときの調査報告書の一部を読んだことがあります。調査報告に問題はなかったのかという印象を持っているんですが、この問題の原因はどの辺にあるのか、政府はどうとらえておるのか、お伺いいたします。
  122. 佐藤俊一

    政府委員佐藤俊一君) その点も含めまして、日本政府としてはいろいろな段階でいろいろな判断をし、措置をとったと思います。  一つだけ申し上げますと、昭和三十六年でございますか集団帰国をされた例、それから南米のほかの国に転住をされた例、それからそのままドミニカ共和国にとどまった方々、そういうような三つの、一区切りをつけた措置というものは過去とったことがございます。したがって、こういう措置をとるということは、入植をされたときに予想されなかったことについて、やはりこれは具体的に手当てをしなきゃいけないという判断になったのではないかと、私はこの経緯を見る限り、そういうふうに思います。  したがって、その残留をされた方々、現在日系社会といたしまして約二百世帯の方々が残っている、大まかに言いますと四分の一ぐらいの方がそのまま残っていて、現在まだ非常に難しい状況にあられるということでございますので、引き続き支援をしていきたいという気持ちは、今言ったような経緯からも変わっておりません。
  123. 高野博師

    ○高野博師君 この問題については、日本政府を相手に訴訟を起こすという動きがあるというふうに聞いております。そういうことになったときに、政府としてはこれを受けられるのかどうか。  私は、この問題が今まで四十年間も続いていて、今度裁判になれば、この問題は非常に複雑ですからあと十年とか二十年とかかかることも予想される。そうすると、海外雄飛の夢を抱いて移住した人々が、四十年も五十年も失意のまま終わってしまうというようなことがあっていいんだろうかということを感じます。  日本は経済大国とは言われますけれども、人権小国とかあるいは人道小国とか、そういうことを言われないように、先ほどの慰安婦の問題も含めて、この問題については抜本的な解決を図るような手を打つべきではないか、私はそう思っておりまして、裁判になる前に手を打ったらどうかと思っているんですが、その辺、大臣の見解を伺います。
  124. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) かつて移住というのは日本の国の政策の中でも非常に大きな位置を占めておりました。そういった移住された方々は、概して申しますと、移住先の国においてきちんとした位置を見出され、安定さらには繁栄という道を歩いておられる、そういうこともございます。また、日本の国のその後の状況の変化もございました。かつて移住事業団なんというものもございましたけれども、今はそれも国際協力事業団の一部になり、しかもその部門はだんだん縮小しているところでございます。  しかしながら、一方において、今、委員指摘のドミニカのような問題もあるわけでございます。そういたしますと、政府としても、大きなところで問題は大体順調にいっているから、あるいはその使命は果たしたからというので放置して済むものではないと思います。実情を十分調べながら、いかなる方策を講ずるべきか、よく検討してまいりたいと思います。
  125. 高野博師

    ○高野博師君 時間が来ましたので、この問題についてはまた取り上げたいと思っていますが、本件の最初の移住したときの調査報告書が、四十年前なので残っているかどうかわかりませんが、もしあればそのコピー、それから当時ドミニカ移住に関する宣伝、広報、あるいはあっせん等をやったんだと思うんですが、当時の何か参考の資料があれば出していただきたいと思います。  終わります。
  126. 川橋幸子

    川橋幸子君 社会民主党の川橋幸子でございます。前回の委員会に引き続きまして、きょうも人権問題を中心に質問させていただきたいと思います。  なお、提案されております二条約については賛成でございます。  前回の質問は、アメリカ国務省がアメリカの連邦議会に提出しました人権問題の日本の実情の部分を引きまして、その記述に沿いまして、女性の政治参加、雇用機会均等法の見直し、従軍慰安婦問題、アイヌ新法、部落基本法問題、地方公務員の国籍条項、外国人労働者の入管上の救済措置の問題、一連の問題についてお尋ねさせていただきました。  きょうは、前回お尋ねした質問のうち、その後最近また事態が動いております問題、従軍慰安婦、アメリカ三菱自工のセクハラ訴訟問題、それから地方公務員の国籍条項問題、この三点を追加的に質問させていただきながら、最後に国連の人権問題に対します取り組みの姿勢についての政府の受けとめ方を総合的にお伺いしたいと思います。  まず、従軍慰安婦問題でございますけれども、本日も同僚委員からさまざまな質問があったわけでございますが、要約いたしますと、個人保障と政府としての謝罪というこの二点に焦点が移ってきているように私には受けとめられます。  私の個人的な意見としましては、日弁連が昨年一月に提言をいたしました常設の仲裁裁判所を利用することはどうかと、これも一つの方法ではないかと私見では思っております。  それはさておきましても、アジアの女性の平和基金、この問題は、政府としてはこの基金でもってぜひいい方向で対処したい、解決したいという意気込みで始められました平和基金でございますので、大変難しい状況に立っているようでございますけれども、何とか事態を打開する方向で解決していただけないものだろうかという、そういう観点からお伺いしたいと思います。  現在、三億円余の寄附が集まっているそうでございますが、目標額にはまだ遠く及ばないというふうに伺っております。しかし、ことし七月には、一人二百万になるのでしょうか三百万になるのでしょうか、基金の方としましては金額を確定してお渡ししたいと、こういう状況になっているようでございますが、そのお金の集まりぐあいがなかなか思うようにいかない場合には一体どうこれを日本政府としては解決、善処できるのだろうかと、こういう点からお伺いしたいと思います。
  127. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 委員指摘のように、政府といたしましては女性のためのアジア平和国民基金、この事業を通じまして何とか元従軍慰安婦の方々に対する国民的な償いというものを実行し、またそういった大変厳しい境遇にあられ、また現在も心にその痛みを持ち続けておられる方々に対して誠意をお示ししたい、こういうことでこの基金の事業を支援していくという努力をしているところでございます。  しかし、この運動が所期のとおりの活動を展開しているかと申しますと、なかなかそうは言い切れないところがあるということも否定できないと思います。私の手元にあります事務当局のつくりました紙には、着実に国民運動として広がりを見せてきていると書いてあるのでございますけれども、正直申しまして、これは私どももそうならなければならないと思っておりまして、努力をしております。そして、ある程度その方向へ向かう兆しもございますけれども、まだ現段階ではそんなに胸を張れるものではないと思っております。  御指摘のございました募金額も、現在のところ三億三千万円というところでございますので、目標額を達成するためには今後さらに国民の各層への御理解を得るべく努力を傾注してまいらなくちゃいけないということで、総理御自身もいろいろ心を砕き、手を尽くしておられるところでございます。  そしてまた、それでもそれがうまくいかなかったときにどうだという御趣旨の御質問でございましたけれども、まず今は最大限の努力をしていると。そして、いずれにいたしましても、もうこの夏には御指摘もございましたように事業の具体化を図ろうということで基金もやっておられるわけでございますから、その事業の具体化に支障のないようにあらゆる面で考えていかなくちゃいけないと、こう考えておる次第でございます。
  128. 川橋幸子

    川橋幸子君 今回役員をおやめになりました三木睦子さんも「「反対、反対と政府に言うだけでは何も実を結ばない」と、呼びかけ人を辞めた後も引き続き基金を支援する姿勢を示している。」というふうに、きょうの毎日新聞でございますが、報じられているところでございます。  同じこの記事の中では、やはり日本政府が政策判断で資金を投入してはどうかという、こういう意見がこの財団の中にあることが報じられておるわけでございます。住専を持ち出して申しわけございませんけれども、住専に、民間企業の後始末に六千八百五十億の金額を投入して後で回収するというぐらいでしたらぜひこれは、個人の方の善意を集めるのはさまざまな事業に後で振り向けられるはずでございますから、政策判断として支障がないようにするというふうにお伺いしたそのことは、それを含むというふうに理解させていただいてよろしいでしょうか。
  129. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) これは一つは、先般来何度も御答弁しておりますように、我が国としての法律的な立場がございます。法律的にはサンフランシスコ条約その他で済んでいるものだという立場がございます。しかしながら、だからといってこの問題はもうこれでいいということじゃないんだよということで進めている事業でございます。  それからまたいま一つは、この基金の事業というものは、あくまで幅広く国民各層の御理解、そうして御協力をちょうだいいたしまして国民的な誠意をお示しするということであると、そういうことでございますので、国のお金でやったらどうかという点につきましては、単なる政策判断で済むかどうかという点もあろうかと思います。  しかし、先ほど申しましたような法的な立場であるとかあるいはその基金の基本的な性格という、そういうものを大切にしながら、どのような知恵があるか、その辺はいろいろまたこれからも検討、工夫はしてみなくちゃいけないところだと、こう思っております。
  130. 川橋幸子

    川橋幸子君 それでは、外務大臣が力強い御答弁でございますので御信頼して、きょうはこれ以上お伺いすることはやめます。  ただ、一点御紹介したいと思うのは、この毎日新聞の記事によりますと、十三日付のニューヨーク・タイムズと書いてございますけれども、この基金をめぐる状況というのは、近隣諸国の反感をなだめるどころか、新たな日本不信を呼び起こしていると報じられているということでございます。国際信用の問題も大変大きゅうございますので、最善の策がとれないなら次善の策でその信頼回復に努めてくださいますようにお願いいたしまして、次のアメリカ三菱自工のセクシュアル・ハラスメント問題に入りたいと思います。  EEOCから提訴されたわけでございますが、これもやはり国際信用の問題でございます。午前中の同僚議員の御質問も多々ございましたけれども、大臣は民間の問題なのでというふうに、何となくそちらが強調されたように私には受けとめられたところでございました。しかし、現に駐米斉藤大使は大変適切な発言をなさっていらっしゃると私は思うんです。大使といいますのは政府の高官の一員というよりも、多分日本国民を代表して、現地でおわびといいますか謝罪といいますか善処といいますか、そういう気持ちを素直に表現なさった記事をちらっと私は見かけたところでございます。  この問題について、民間企業の問題ということではなく外交上の問題としてお考えいただいた場合には、もう少し国内でもセクハラの問題、セクハラという言葉が嫌がらせというふうに翻訳されるわけでございますけれども、お隣にお座りの英語の権威の平成会の寺澤理事にお伺いしましたら、ハラスメントというのはやっぱり人権侵害、侵害という意味アメリカでは認識されている言葉であろうと午前中にいいサジェスチョンをいただきました。そういう点からこの問題についても政府としてきちんと受けとめていただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  131. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 私どもも、政府としてこれに関心を持たない、民間の話であると、そう突き放しているものでは決してございません。この問題の帰趨あるいはそれの影響するところについては大きな関心を持って注視しておるところでございます。ただ、具体的にこのケース、事件とあえて申し上げてもよろしゅうございましょう、それの処理について政府として介入するということは、これはできない性格のものだとまず考えております。  それから二つ目に、その及ぼし得る影響を考えていろいろ政府が対応するといたしましても、余りこのケースと直接に結びつけてやるということはかえって効果の面で適当でないこともあり得るんじゃないかと。そういったことで、非常に迂遠なようには見えるけれども我が国の実情というものを正しく御理解いただけるような活動に従来以上に力を入れてまいりたいということを御答弁申し上げた次第でございます。  それと同時に、一番基本には、やはり我が国の社会にまだこういった問題について十分な理解がないという点があるならば、これも心していかなくてはならないと、こう考えております。
  132. 川橋幸子

    川橋幸子君 直接参考にはなりませんけれども、今回の件で私は米国政府の対応を思い出したことがございました。何かといいますと、沖縄少女のレイプ事件のときに、ハワイのホノルルにいらっしゃるマッキーさんとおっしゃるんですか、司令官の方が直ちに解任されたという食言問題がございました。もちろんこれは事件が違いますし、こちらの訴訟そのものについては法律上でもって判断されるべきことだと思いますけれども、セクシュアル・ハラスメントというものは、単に嫌がらせとかいじめとかそういうものではなくて、米国国務省の報告の中にも人種・性差別の禁止の中にセクハラについて分析されておりまして、日本でもセクハラについての認識が向上しているけれども、なお女性にとって大きな問題であることに変わりはないというような、こういう記述のされ方をするわけでございます。  国内では労働省かと思いますが、セクハラについてもっと根本的な問題があるということで、みずから日本が姿勢を改めるような、そういう政府の方向にぜひ大臣のリーダーシップで導いてくださいますようにお願いして、次の質問に入らせていただきます。  次は、地方公務員の国籍条項の問題でございます。  自治省お見えだと思いますが、前回、私は質問のときに間違えたことを申し上げました。内閣法制局見解というもので、法律ではないけれども、公権力の行使あるいは公の意思の形成のために外国籍の人をその職につけるのは適当でないということは当然の法理ということでやられているわけでございますけれども、これを前回、質問では昭和五十二年というふうに申し上げてしまったんですが、これは一九五三年の間違いでございまして、何と昭和二十八年の話でございました。それから事態が大変大きく変わったわけでございます。  さて、本日の朝日新聞の報道の中では、自民党の地方行政関係の部会から自治省に対して、少なくとも公権力の行使、公の意思形成というのはどんな基準でこれを判断するのか明確にそこを検討して示すようにというような記事がございまして、私は自民党ではございませんけれども、この論旨には大賛成でございます。  こういう問題について、川崎市の判断について自治省はこれからどういうふうに対処していかれますでしょうか。
  133. 猪野積

    説明員(猪野積君) 川崎市の判断についてのお尋ねでございますが、このたび、五月の十三日でございますけれども……
  134. 川橋幸子

    川橋幸子君 経過は皆さん御存じですから、できるだけ結論をクリアにお答えいただければと思います。
  135. 猪野積

    説明員(猪野積君) はい、わかりました。  川崎市の人事委員会におきまして、採用試験の受験資格に、日本国籍を有しない人は公権力の行使または公の意思の形成に参画させないとする条件を付しまして、消防士を除く全区分で国籍要件を設けないこと、また職員の任用に当たってはこの条件を前提とした人事管理を行うことを決定したと聞いております。  自治省といたしましては、一般事務職等についてこのような条件で国籍要件を撤廃することは、将来にわたる適切な人事管理という点及び将来における公務員に関する当然の法理に基づいた任用の確保という点から見て問題があり、適当ではないと考えておりまして、川崎市に対しまして引き続き理解を求めてまいりたいと考えております。
  136. 川橋幸子

    川橋幸子君 明確な基準を設けるべきという、その論についてはどのように検討なさいますか。
  137. 猪野積

    説明員(猪野積君) 自治省といたしましては、従来から、公権力の行使または公の意思の形成の参画に携わる公務員であるかどうかということにつきましては、それぞれ地方公共団体において職の実態等も異なるところもございますので、地方公務員の任用に係る職の職務内容を検討いたしまして、当該地方公共団体において具体的に判断されるべきものと考えてきております。
  138. 川橋幸子

    川橋幸子君 それじゃ、判断は自治体にゆだねるということでよろしいわけですね。それなら大変結構な御答弁でございますが。  加えまして、この件についてたくさんの報道がなされ、なお新聞等では論説にも取り上げられている。世論の動向というのはもう少し緩めたらいいのではないかと、こういう反応だと私は思っております。  それから、将来の人事管理において、昇進できない、管理職に任用できないということは雇用管理上問題を生ずるじゃないかというのは、それは当該採用する自治体自身が一番悩む話あるいは本人も悩む話ということでございまして、それだから入り口のところでシャットアウトというのは、自治省としては相手の心配まで、大変心配し過ぎなのではないかというふうに私には思われるわけです。これはもうお答えは結構です。  では、基準を明確にしていただくことで、それをお調べになると同時に、最後は自治体にその判断を任せるという、そういう見解でよろしいですね。
  139. 猪野積

    説明員(猪野積君) お答えを申し上げます。  具体的に、公権力の行使または公の意思の形成の参画に携わる地方公務員であるかどうかということにつきましては、地方公務員の任用に係る職の職務内容を検討して当該地方公共団体において具体的に判断されるべきものでございますが、これにつきましては、おのずから、何が公権力の行使に当たるかというふうなことについては、これはある程度の考え方、客観的なものはあるというふうに思われます。また、そのように判断された職について外国人を任用できないものというふうに考えてきております。
  140. 川橋幸子

    川橋幸子君 再度尋ねないであれで終わっておけばよかったなと、今残念な思いがいたしますが、これはまたこれからクリアにさせていただきますので、よろしくお願いいたします。  それでは、国連の一連の世界会議が開かれてきておりますけれども、今度は女性の問題あるいは人権の問題に大変重要な関係のありますカイロの人口・開発会議、それと北京会議についてお伺いしたいと思います。  カイロの人口・開発会議といいますのは非常に画期的な会議であったわけでございます。どういう意味かといいますと、人口政策というのは、当初はお医者さんあるいは保健婦さん、助産婦さんといったような医療の関係の方々の公衆衛生上の観点から取り組まれておりましたのが、人口爆発を憂慮するという、そういう観点から、国家政策として人口政策を行うという方向、色彩が割合濃くなりまして、それがカイロでは女性の自己決定権を尊重することがむしろ人口政策を解決する方法であるというようなことが打ち出されたわけでございます。  そこで、リプロダクティブヘルス・ライツという、そういう言葉がコンセンサスで採択されたわけでございます。自己決定権、つまり子供をいっ何人産むのか産まないのか、女性の人生を決定するのは女性自身だから女性の自己決定権にゆだねようと。それから、その自己決定権に対して健康サービス活動としてそれをサポートするような条件整備をしましょうという、そういう意味を持っているものでございます。  カイロ会議で、実はひょんなことから、日本に優生保護法というものがあって、この優生保護法というのが十九世紀末のヨーロッパの、代表的にはドイツ・ナチスの断種法のような、不良な子孫を残さない、優秀な子孫だけを残すと、この法律を想起させてしまったわけでございます。  前回のこの委員会でも北海道旧土人保護法という非常にもう時代の使命を終わったような法律のことに触れまして、これはいずれアイヌ新法として制定され直すという、その解決の方向が見えたわけでございます。それからもう一つは、らい予防法というのは今国会でようやくこれも改正されたわけでございますけれども、この優生保護法というのも、この二つの法律と並んで三大時代錯誤法の一つといいましょうか、とても私ども国外に出ますと、この法律の存在が重いものとしてかぶさってくるわけでございます。  それで厚生省の方にお伺いしたいのですが、厚生省の方でもこの点を憂慮されておられて、名前をどういうふうに変えればよいか、あるいはその内容を精神障害者、遺伝性疾患のある人については本人の同意なしに優生手術できると、ここの部分をどうやって削除できるかということで悩んでおられるようでございますが、現在の検討状況はいかがでございましょうか。
  141. 吉田哲彦

    説明員(吉田哲彦君) 優生保護法につきましては、ただいま委員指摘のように、不良な子孫の出生を防止する優生思想の法目的や、精神障害者や遺伝性疾患を有する者に対し、本人の同意なしに優生手術を行うことができるなどの障害者を差別する規定がありますことから、見直しをすべきものと考えておるところでございます。  ただし、その場合、見直しするに当たりまして、今、委員も御指摘のように、法律の名前をどうするのか、あるいは削除するにしてもどこからどこまでを削除してしまうのか、あるいは削除してしまった場合、あと何かつけ加えるべきものがあるのかないのか、これについてはいろいろ議論があるところでございまして、今関係の皆様方ともいろいろ協議あるいは勉強をしているという状況でございます。
  142. 川橋幸子

    川橋幸子君 女性の自己決定権、カップルの自己決定権を尊重するために、家族計画とか避妊とかについての多様な選択肢あるいは情報を当事者たちに提供するというのがりプロヘルスの概念なわけでございますが、この部分も日本の場合はまず母子保健という概念でとらえていることから、個人ないしは家族の人生設計についてサービスするという政策の立て方になかなかなっていないことが一つ。  それから、避妊手段が非常に日本の場合少ないですね。一番典型的に言われますのがピル、低用量ピルといって用いる分量が少ないのでしょうか、日本は先進国の中では唯一のビル鎖国国と。世界百七、八十カ国あるのでしょうか、その中でピルが認められていない国は十一カ国しかないそうでございます。ばっと読みますと、アルバニア、チャド、ジブチ、フレンチポリネシア、北朝鮮、グアム、ラトビア、リトアニア、マカオ、バージン諸島、それと日本と、こういう状態です。ぜひ委員の方々にも御運解いただきたいのでございます。  その反面、コンドームの失敗というのが非常に多いこと。それから、十代の子供たちに適切な情報がない、あるいは性教育というものが十分じゃないということでしょうか、十代の子供たちの妊娠中絶というものが増加していることが危惧されていると、こういう状況にあるわけでございます。  こういう問題を考えますと、優生保護法を改正して、名前を改正して中身の優生手術の部分を削除すると、今度はどういう法律、新法が必要かの話に多分なるかと思います。この新法の話になりますと、いつも性教育は文部省の話、厚生省は性感染症だけ扱っているというような感じで、縦割りの中ですき間ができてしまうわけです。それがリプロヘルス・ライツの概念に遠く離れた状態に日本はあるわけでございますが、文部省、厚生省の谷間を埋めて、両省で協議しながら、あるいは専門家の意見を聞きながらいい改善策を立てる。もしそれに時間のかかるようだったら、とりあえず名前の変更と優生手術の部分だけは削除すると、段階的な方法もあるかと思いますが、こういう建設的な方向をとっていただけないでしょうか。
  143. 吉田哲彦

    説明員(吉田哲彦君) 優生保護法につきましては、先ほど申し上げましたように、優生思想の問題があるわけでございますとともに、もう一つこの優生保護法の中には人工妊娠中絶の規定がございます。この規定については、先ほどから御意見のございますように、全面的に改正をすべきという御意見あるいは女性の自由意思による中絶を保障する法律をつくるべきだという御意見のある一方では、胎児の生命尊重のために中絶については強化すべきだというような御意見まで、国民の間で大変幅広い意見があるわけでございます。  この優生保護法については、前段に申し上げた点については改正すべきという点があるわけでございますが、それでも具体的な改正の案についていろいろな御意見がある、さらにその後段の方はもっと幅広い御意見があるということで、今まで長年この問題については検討をし、具体的になりましても成案が得られなかったと、こういう経緯がございます。  この法律問題については、私どもも何とかしなきゃいかぬとは思っております。したがいまして、関係の方々と今鋭意勉強をし、そして御意見を聞きながらまた国民の御意見も聞きながら、具体的にどういう形でやればいいのか、模索をしているという段階でございます。
  144. 川橋幸子

    川橋幸子君 悩みは私も十分わかっているつもりでございますが、大きな壁があるからといって行政が手をこまねくというのも私は行政の使命からいって問題なのではないかと思います。政治もお手伝いしなければいけないと思います。できるところから段階的に着実にやっていただけますようにぜひお願いしまして、次の質問に移ります。  きょうもまた質問がたくさんで、予定質問が消化できなくて内政審議室の方には大変また御迷惑をかけます。国連人権教育の十年、しっかりやってくださいという要望だけ申し上げて終わらせていただいて、最後に外務大臣に人権問題と外交問題を全部くるつとまとめてお尋ねしてみたいと思います。  ポスト冷戦後の一連の国連の世界会議といいますのは、リオの環境会議、ウィーンの人権会議、カイロの人口会議、デンマークの社会開発サミット、北京の女性会議と、非常に人権問題の比重が大きくなっている、ポスト冷戦後の世界の動きは人権問題というものに焦点が非常に大きく移っているように思います。これについてどう思われるかということ。  それから、ILOの公正労働基準ですとかG7の雇用サミットがせんだってあったわけでございますが、ここでも人権問題が論じられたり、それから池田大臣が来週おいでになる雇用サミットでもOECDでも公正労働基準と経済発展との関係が論じられるということがございます。  先進国の方は、絶えず人権と経済をリンクして考えるのに対しまして、途上国は割合発展の権利を主張なさることが多いようです。人権概念というのは西欧諸国の押しつけだという反発が出ることがあるのでございますけれども、西欧諸国アジア諸国との中間にある日本としては、どうやってこれに対処をしていかれるおつもりか。去年のAPECでは、アジア的価値観で成功したというようなことをおっしゃられたのですが、いまいちあれがあいまいで、何がアジア的な価値観だったのか、もしかしたら両方から誤解されて終わるという日本の宿命もあるのではないかという心配があります。  質問時間がオーバーして恐縮ですが、お答えを聞いて、私の質問を終わらせていただきます。
  145. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 委員指摘のポスト冷戦後に国連の催しました一連の会議でございますが、これはやはり二十一世紀に向けまして取り組まなくちゃいけないグローバルな地球的規模の問題を取り上げたと、こういう点で特色があるといいましょうか、共通している面があると思います。  それは、グローバルな問題というのは環境問題その他多岐にわたるわけでございますが、そういった中で人権という問題も確かに一つの大きなライトモチーフだったかなと、こう考えます。  御指摘になりました会議の中でも、ウィーンの世界人権会議であるとか北京の世界女性会議というものは、人権の普遍性、とりわけ女性の人権の問題が中心テーマになったと、このように考えている次第でございます。また、ILOあるいは雇用サミットというような場におきましても、そういったものが大きな関心を呼んでまた大切に扱われているのは御指摘のとおりだと、こう思っております。  ただ、御指摘のございました中で、G7の雇用会議におきましては、人権問題そのものについては議論はされなかったと思っておりますけれども、しかしそのことが人権問題を軽んずるものではございません。  さて、人権と開発途上国中心とする発展の権利、その間をどう考えるか、とりわけいわゆる西欧先進国と開発途上国の中間にあるといいましょうか、仲を取り持つべき役回りである日本はどう考えるかという点でございます。  もとより、発展の権利というようなものも普遍的かつ奪うことのできない権利であるということは当然でございますけれども、しかしそのことが、発展がまだ不十分だからといって人権を奪うことあるいは侵したりすることはやむを得ないんだという、そういうことはこれは認められないものである、人権が不十分であることの正当化の理由として発展段階を援用することはできないと、こう考えております。普遍的な価値であると思っております。  日本もそういった観点から取り組んでいくわけでございますが、ただ人権の宣言をすればいいわけではございません。それが実質的に保障されるためには、経済、社会的ないろんな条件整備、そういった面で我が国が果たすべき役割は多いと考えております。
  146. 立木洋

    ○立木洋君 エチオピア航空協定については賛成です。ただ、メキシコとの租税条約についてはちょっと意見があるので、後刻意見を表明させていただくことにして、質問は次の点、お願いしたいと思います。  一つは、子どもの権利条約の問題についてですが、政府報告書を国連の子ども権利委員会に提出する期限が五月の二十二日ではないかというふうに承知しております。これは初めて出される報告書になるわけで、この問題を一昨年に審議したときに、当時は羽田孜さんが外務大臣でしたが、条約が批准されたからといって安心することは許されない、今後とも子どもの権利の状態がよくなり、前進することを願って報告書の問題等も含めて対応していきたいという御答弁をいただきました。それで、今度初めての報告書ということもあって、次の三点を端的に求めておきたいと思うんです。  一つは、しかるべき形で国会にこの政府報告書を提供するなり報告するなりしていただきたい。私自身が読みたいからです。ほかに読みたい方もおられるんじゃないかと思うので、大切なものなので、最初ですから出していただきたい。  それから二つ目の点は、この子どもの権利条約の四十四条の六項に、締約国は国連に提出する報告書を「自国において公衆が広く利用できるようにする。」というのが条約で定められております。ですから、これを読みたい人等についてはその手に渡るような可能性、国内においても広く公衆に知らせることができるような方法を検討していただきたい。これは条約の精神に基づくものだろうと思います。これが二点目です。  三点目には、実質的に子どもの権利の状態をよくするために「子どもの権利条約 市民・NGO報告書をつくる会」等を初め子どもの権利について関心を持っているNGOの団体が既に結成されて、いろいろな活動を行っておられます。ですから、外務省は、こういう団体とも、よく意見を聞き、意見交換するようなことについても今後とも努力をしていただきたい。  この三点を求めておきたいんですが、簡潔に御答弁をいただきたい。
  147. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 御指摘の報告書の国連への提出期限は五月二十一日になっておるようでございまして、今、関係省庁で協議しまして、鋭意作業を進めておるところでございます。  同報告書を国連へ提出しました後には、今御指摘ございました国会の方につきましては、その報告なり提供なりしかるべき手段、方途を講じて御利用いただけるように配慮してまいりたい、取り計らってまいりたい、こう思っております。  また、そのほかにも関心を有する方、大勢おいでになられるわけでございます。御指摘のございました四十四条六項でございましたか、ここにも「公衆が広く利用できるようにする。」ということがあるわけでございますから、それも適切に対応してまいりたいと思います。  それから第三点の、この問題につきましていろいろ御関心をお持ちになり、あるいはいろいろ取り組んでおられる方々の御意見は、今後とも政府といたしましてもよく拝聴し、また政府としての施策を講じていく際の参考にしてまいりたい、このように考える次第でございます。
  148. 立木洋

    ○立木洋君 次にACSAですが、これが署名されたときに内閣官房長官が談話を発表されております。その談話の一部分に、いろいろなものが提供されるわけですが、この提供については「これらの一部には、武器輸出三原則等における武器等に当たるものが含まれることとなる可能性がある。」と、こういうふうに述べられています。これは一九七六年二月二十七日の政府の統一見解によっても、これに反することになるのではないか。  特に、統一見解の中では、輸出が認められない国をあらかじめ三点指摘しておりますけれども、それ以外の国についても憲法とそれから輸出貿易管理令の定めによって、精神に基づいていわゆる武器の輸出は慎まなければならないという趣旨のことが決められておりますが、憲法の精神から見ても慎まなければならないという点からも反するのではないかと思います。  憲法の見地からこのような「武器等に当たるものが含まれることとなる可能性がある。」というのは、やっぱり抵触するというふうに感じるんですが、いかがでしょうか。
  149. 折田正樹

    政府委員(折田正樹君) 四月十五日に内閣官房長官が談話で、これは署名の閣議の際でございますが、官房長官談話を出しておられます。  その中の「二」のところで「本協定に基づく物品又は役務の相互提供は、食料、水、宿泊、輸送、燃料、被服、通信、部品又は構成品等について行われるものとされているが、これらの一部には、武器輸出三原則等における武器等に当たるものが含まれることとなる可能性がある。」と。  これは、協定に基づきまして、協定の第二条、それから付表というのがございまして、そこに該当するものがこの協定の対象になるわけでございますが、例えば軍用船舶の構成品とか部品とかいうもの、これは私どもの所管ではなくて通産省の所管でございますけれども、武器輸出三原則のもととなっております貿管令の武器の項目に該当することがあり得るということでございます。そういうことでいろいろ検討してきたということでございますが、今回の協定の内容及び意義にかんがみまして「本協定の下で行われる武器等の提供は武器輸出三原則等によらないこととする。」という官房長官の談話があったわけでございます。  しかし、この場合、この協定においては提供先が米軍に限定されるということ。それから、受領者の義務として提供される物品または役務の国連憲章と両立しないような使用が禁止されるということ、これは協定の第一条の四項に書いてございます。それから、提供側政府の事前同意なくして第三者に移転を行うことの禁止が定められていること、これは第六条でございます。これらによりまして、国際紛争等を助長することを回避するという武器輸出三原則等の基本理念は確保されることとなるということでございまして、私どもはそのように受けとめているわけでございます。
  150. 立木洋

    ○立木洋君 今、折田局長が言われたのは、その内容を端的にこの官房長官の談話の中で述べられていますけれども一つ一つ私申し上げますと、結局通産省が管理している輸出貿易管理令の別表には武器の部品が禁止項目の中に明確に記載されておりますね。これをなぜアメリカにだけ許すのか。憲法の精神からそういうことは慎まなければならないということが明確にされているわけですね。その時々の政策に基づいて変更するのではなくて、だから憲法の精神の解釈を変えるのかどうかという問題に当たると思うんです。  それから第二点は、この問題については結局、国連憲章と両立しない使用は禁止されていると言うけれども、国連憲章では四十一条に御承知のように非軍事的な措置が認められ、それが十分に果たされないときには軍事的措置さえ四十二条で認められているんです。日本の憲法では軍事的な措置は一切認めてはならないという規定になっているわけですから、国連憲章と両立しない使用は禁止されているからといって憲法で認められるということにはならないわけです。だから、憲法の精神に抵触しない枠内でということを言ってもその釈明によって納得できるものにはならない。  それから、なぜ提供先が米軍だけに限定されるのか。米軍だけに限定されるということは、憲法の上に米軍の地位を置くのかどうか。憲法に反してまでも武器の提供を米軍に対して行うという、そういう規定が一体憲法のどこに認められているのかという問題にもなるわけです。  憲法というのは日本の基本法です。この基本法の基本的な解釈、これは御承知のようにもう今まで全部ありますね。一九七二年三月二十三日、これは当時の田中通産大臣ですが、「憲法の精神にのっとりまして、国際紛争は武力をもって解決をしないという精神で、日本から輸出をされた武器が国際紛争で使われるということになれば、これは間接的なものにもなると思いますので、武器というものの輸出ということに対しては、非常に慎重でなければならない」と述べられています。また、一九八一年、園田外務大臣も、武器の輸出とかあるいは軍事的援助は憲法によってできないのは当然でありますと、こういうふうに述べられているわけです。  それが、米軍にだけは憲法上できないとされてきたことがなぜ憲法上でも認められ得るという結論に変わるのか、どこにその根拠があるのか、明確にしていただきたいと思います。
  151. 折田正樹

    政府委員(折田正樹君) 憲法そのものの議論はちょっと私の守備範囲を超える問題でございますけれども、私が理解しているところでは、武器輸出三原則は憲法の規定そのものから出てくるものではないと。ただ、武器輸出三原則というのは、先ほど委員が引用されました答弁の中にありましたけれども、憲法の精神にのっとったものであるということで、国際紛争等を助長することを回避するということを趣旨としたものというふうに受けとめております。  今回、私ども締結いたしました物品役務の相互提供に関する協定といいますものは、日米安保条約の円滑かつ効果的な運用に寄与するということ、それから国連を中心といたしました国際平和のための努力への積極的寄与という観点から、私ども、これはそういうことにふさわしいものであるというふうに考えているわけでございます。
  152. 立木洋

    ○立木洋君 先日、防衛庁長官は、通常、平時に適用するというふうな言い方をしていました。通常、平時に適用すると。去る十四日、秋山防衛局長は衆議院の安全保障委員会で、この武器の部品、これがアメリカ軍の武力の行使、つまり作戦に使用されるのは妨げられないのではないかというふうに言われていました。だから、米軍の武力の行使、戦闘行動に日本が提供した武器が使われるということもあり得るということを認めたわけです。  そうすると、武力行使に提供され得る部品、これを認めるということはいわゆる武力行使を助長する結果になるということは明白で、それが米軍の武力行使なら結構だと、ほかの国にはいけないというのは一体どういう法的な根拠があるのでしょうか。  北米局長だから折田さんだけが答弁しなければならないというふうに私は思わないので、大臣もひとつ見解を述べてくださいよ。憲法問題ですから、国務大臣として見識のあるところをちゃんと表明していただかないと。いかがでしょうか。
  153. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) ACSAにいたしましても、その他今回の日米首脳会談を契機にしましていろいろこれから進めていこうとしております協力の措置にいたしましても、いずれも憲法の範囲内であることは当然のことでございます。私どもはそのように考えております。  それから、武器輸出三原則の関係でございますけれども、武器輸出三原則等の中に憲法の精神あるいは貿管令の規定を引いていたところがありましたが、それを引いて委員は、だからそれから外れたらすなわちもう憲法違反ではないかというふうな御立論のようにも見えますけれども、それはそういうものではないだろうと思っております。憲法というものがありまして、その枠内でいろんな対応があったんだと、そして従来の武器輸出三原則というのは憲法の枠内で行うことが可能な行為の中でもこれはやるのはやめておこうというので、さらにその範囲を絞ってやったという、こういう面があったんだと思います。  そして、そういったことでございますからこそ、今回ACSAとの関係では武器輸出三原則等によらないことにしましたけれども、それはこれまでの憲法とその三原則との間にございましたすき間の間でちゃんと対応できると、これは憲法の枠内であるということでございます。  それから、なぜアメリカとの関係ならばとおっしゃるのでございますけれども、それは御承知のとおり、日本の安全を守っていく上で日米安保条約というものがありますので、米国との関係はそれは格別のものであるということは当然でございます。  そういったことでございますので、今回この関係におきまして三原則等によらないといたしましても、先ほど北米局長が答えましたようないろいろな配慮もしておりますから、国際紛争等を助長することを回避するという三原則等の基本理念そのものは確保されている、このように考える次第でございます。  それからまた、平時か否かというお話がございました。今回のACSAは、共同訓練あるいはPKOそれから国際的な緊急援助活動、そういったものを対象としておるわけでございます。そういった切り口からやっているわけでございますけれども、それが常識的には、あるいは一般的にはいわゆる平時という状態とするという、こういうことで平時というとらえ方をされることは妥当なことだと思います。  しかしながら、それじゃすべてそうなのかということになりますと、今、委員が御指摘されましたように米軍に部品が、部品でございますよ、武器そのものではございませんよ、それを補修するときの部品などが組み込まれると、それが米軍に行って、それが長年の間に米軍でいろいろ使用されているときに、場合によってほかの面にそれが供用されるということがあったといたしましても、それをもって、これは有事に供与するんじゃないか、国際紛争等を助長するんじゃないかと言うのは、それはやはりかなり論理の飛躍があるんじゃないかと考える次第でございます。
  154. 立木洋

    ○立木洋君 大分長くしゃべっていただいたので時間が少なくなりましたけれども。  一九八一年の一月二十九日の政府の答弁書の中に明確に「武器の専用部分品の輸出についても厳格に対処しているところである。」と。これは憲法の精神に基づいて、こちら側の質問に対する政府答弁書で明確なんですよ。今の大臣のお話では、憲法の中だと、憲法の枠内だということばかりを一生懸命言われるんですけれども中身一つもないんですよ。私が述べたことについて何一つお答えになっていただいていないと言わざるを得ないんです。  結局、今まで政府自身がこれは憲法の精神からいってやってはならないんだということを繰り返し主張してきたんですよ。それを何でアメリカにだけは例外規定を認めるんですか。そういうことを認める根拠が憲法の条文の中に一体あるんですか。日本の法律の中に一体どこにそういう枠内と認めることがあるんですか。国連憲章を持ち出してきても、国連憲章の四十二条は軍事的な措置を認めているわけですから、これは憲法と同一に論じるわけにはいかないわけです。ですから、最も重要な違いがあるので国連憲章上認められても憲法としては認められないという見地に立ったからこそ、憲法の精神に基づいて武器の輸出はできませんよという措置をとってきたんです。  そういう措置をとってきておりながら、今度のACSAを結ぶに当たっては、アメリカだけは別だと、第三国に輸出されないから結構だということになると、アメリカだけを特別の地位に置く、そういうときの法的な根拠は一体あるのかどうなのか。対等平等の原則に基づく日本の外交姿勢というのは本当に一体どこにあるのかと。アメリカの言うことならすべて結構だというふうな形で外交を行うというのが基本姿勢になるのかどうかということまで問題にせざるを得なくなる。  ですから、憲法の枠内、憲法の中だと何ぼ言われても、今言ったような幾つかの条件を挙げてみても、やっぱり憲法に抵触すると言ってきたこれまでの日本政府の精神から見て、抵触しないという根拠は一つも出しておらない。なぜ抵触しないのか。
  155. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 今御指摘の答弁書がございました時点においても、今回規定しましたようなACSAをつくり、例えば部品の提供をしたとしましても、それは憲法の禁ずるところであったとは思いません。ただ、その当時の諸般の情勢に基づいて政策判断としてそういったことを、いわゆる我が方からの物品あるいは役務の提供についての需要もそんなに強くなかったと思います。だから、そういったこともありまして、そういうことは憲法の枠内で許される行為ではあるけれども、それはやるんだということを政策的に判断をして決める必要もなかったと、こういうことだと思います。  御承知のとおり、その当時におきましては、例えば米軍の装備、それからそれに対して我が方の例えば自衛隊の持っている装備あるいは自衛隊の持っていろいろんな部品その他から申しましても、そんなに米軍の方が我が方からの物品あるいはサービスの供与を必要とする事業も今日ほど高くなかったのではないかと思います、共同訓練あるいはましてやPKOとか緊急援助というのは当時なかったものでございますから。そういうことです。
  156. 立木洋

    ○立木洋君 もうこれで質問を終わらなければならないので、一言だけ。これは答弁は要りません。  今のお話を聞いても、私は憲法上これが許されるというふうに変えた態度についてはいささかも納得することができない。だから、引き続いてこの問題は追及しなければならないと思います。これはやっぱり憲法の上に米軍に対する協力の姿勢を置くという姿勢への変更以外の何物でもない。そういうことだけは指摘させておいていただきます。また後で続けますよ。  これで終わります。
  157. 椎名素夫

    ○椎名素夫君 この前の前の質問で、同盟論の途中ですから、また続きをやらせていただきますので、ちょっとおつき合いを願います。  日米安保共同宣言というのが出たわけですが、この中に「両国の政策を方向づける深遠な共通の価値、即ち自由の維持、民主主義の追求、及び人権の尊重に対するコミットメントを再確認」と書いてありますが、いろいろな方法で一緒にやろうという話はともかくとして、基本的には、この日米同盟関係で守ろうというのは今言ったこういうことなんでしょうか。
  158. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) おっしゃるとおり、ここの共同宣言にもうたってございます日米が共有いたします自由、民主主義、人権といった価値、これに対するコミットメントというものがその同盟関係を維持しようという基盤にあると思います。  しかし、この価値観だけではなくて、同時に、例えば我が国米国が共有するインタレストと申しましょうか、国としての利益という面からもその同盟関係は根拠づけられるものだと思いますし、さらに申しますならば、両国が共同してアジア太平洋のためにあるいは世界のために担っていかなくちゃいけない、果たしていかなくちゃいけない役割というものもそういった同盟関係の基礎になり得る部分があると思います。
  159. 椎名素夫

    ○椎名素夫君 おっしゃるとおりで、インタレストそれから役割、しかしその基本にはこの三つがあると、こういうことですね。これはもう共有していると。  そして、ちょっと思い出すんですが、前にあるアメリカ人が日本のプロ野球の話を書いたんですね。いわゆる助っ人というのがいろいろ来ますが、この人たちが日本の野球で経験したことをもとにして、大変珍しいものを叙述するような本を書いた。  どういうことかというと、つまり、同じに見えるけれども随分これは違うものだということが書いてあるんですね。日本では道というのが好きで、剣道、柔道、茶道、何とかかんとか。結局、アメリカ人が野球選手として契約して、そういうつもりで来たんだけれども、野球道というのに接して、これは一体どういうことかと困惑したというのがさまざまな例で書いてあるんですね。だからといって野球にはルールがあるからまあしょうがないということで、それなりにプレーをして帰るということだったわけです。  自由、民主主義、人権というものが、こういうときにはまあ書いておくかという感じで扱われているという気がどうも時々するんですね。本当にそうなんだろうか。これは日本語では自由、民主主義、人権尊重というようなことが書いてありますが、これから受けるこっち側の感じと、それから英語では「commitment to the profound common values」というのが書いてあって、つまり「the maintenance of freedom, the pursuit ofdemocracy, and respect for human rights」と書いてある。こういう言葉に対する思い入れに落差がありはしないかという気がするんですね。  もしそこらあたりの落差がひどいと、まあ決まり文句だから書いておこうというのと、今言ったようなことに対してどう感じているかという食い違いがあると、これから現実にインタレストを守り役割を果たすという行動の中でいろんな意味で食い違いが出てきやしないかと思うんですが、どうでしょう。
  160. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 文字どおりプロファウンドなお考えに出る御質問でございまして、十分に御答弁できるかどうかと思うのでございますけれども。  委員の今御指摘されました点、確かに我々注意しなくちゃいけないところだと思います。私どもも、自由、民主主義、人権という価値がこれは当然のことだと、当然というか普遍的な価値であり守らなくちゃならないものだと、このように常々申しております。それに対する、思い入れという言葉を使われましたけれども、どの程度真剣にあるいは深刻にそういうものを考えておるかということになりますと、やはり我々はよく反省もしてみなくちゃいかぬ点があると思います。  それは今回の共同宣言においてどうであったかというだけじゃなくて、我々はこの日本という国、この社会の中で、あるいは我々国民の意識の中でどれだけこのような現代社会における、とりわけ西欧社会において育ってまいりましたこの普遍的な価値に対する認識が定着しているかということにもかかわってくるんだと思いますけれども、そういった面では単にここに記述をしてあるというだけではなくて、我々がこういった価値に対する認識を深めながら、今おっしゃいましたようにそごの生じないように努めていかなくちゃいけないと考える次第でございます。
  161. 椎名素夫

    ○椎名素夫君 それで、また思い出すことを言うんですが、昔、私の父が外務大臣をやっているときに、日本にとってアメリカとは何ですかと聞かれたときに、アメリカ日本の番犬だと言ったんですね。大変に奇想天外で意外な表現だというので、相当物議を醸したことがあるわけですけれども考えてみると別に不思議な話じゃないと思うんです。これは一つの同盟関係の一面だと思うんです。そういうのもあるんですね。  例えば、二国が同盟関係を結んでお互いのインタレスト、役割をどうにかしょうというときには、日本アメリカを番犬と思っている。ただし、アメリカの大統領が、アメリカの国会で日本アメリカにとって何だと言ったときに、番犬ですと言っても怒っちゃいけないんですね。両方が、ああ、いい番犬を見つけたと、こう思ったときに同盟関係というのはうまくいくということもあるんですね。  ところが、私思うんですが、十九世紀の。パワーポリティックスなんかでやっているときは大体そんなような関係でみんなやっていたし、二十世紀になってもヒトラーなんかがあっちへついたりこっちへついたりわけがわからなくなって、日本の総理大臣がわからないからといってやめちゃったということもありましたけれども、そういうあたりでは通用する。  それから、冷戦のように敵味方がはっきりしているときもそれでしのげるだろうと思うんですね。現実日本は大体それでしのいできたんじゃないか。そのために、さっきおっしゃったことは大変興味があるんですが、自由、民主主義、人権というよりもインタレスト、役割のあたりにむしろ重点が移って、しかし相手はそういう説教が好きな国だから自由、民主主義、人権と書いておく。そうすれば、余りいざこざにならないというような気分が忍び込んでいないかということが非常に私は重要だと思うんです。  それで、日米安保共同宣言というものが出ましたが、これは例えば中国の政府などが少し神経質になっている。しかし、決してそういうものではない。敵を想定しているものではなくて、あえて敵というならば不安定、不確実に対するおもしということが非常に大事なんで、それだと番犬主義ではうまくいかなくなるんじゃないかと思うんですね。そこで、ある行動をするときにやっぱり物差しが必要になってくる。これからの複雑な世の中で日本が行動を起こす場合もあるだろうし、アメリカが行動を起こす場合もあるだろうし、そのときに、それはやるものじゃないよとこっちが言ったりする場合には、その行動の物差しがなきゃいかぬ。そこで私は、これからの世界ではこの共有する価値というのが昔よりも大変に重要な意味が出てくるんじゃないかと思うんです。  つまり、これは軍事だけの問題じゃありませんで、二十世紀になって戦争というのは国家総力戦になりましたが、これから先は平和の維持に向けて国家総力戦をやらなきゃいかぬ、一国だけではできないということなので、それに対するおもしというのは私は依然として同盟関係だと思うんですが、そうなるとますます価値の共有というのは大事になるわけですね。  これは、私の杞憂ならばいいんですが、お役所の方々が共同声明なんかをでっち上げる、でっち上げると言ってはいけないな、お書きになったりするときに、部品として当たり前のごとくはめ込んでいくというような感じを、もう一度ぜひ原点に戻って考えられた上で、それなら何をやるかといういろんなことがありますが、その先のことに進むべきだと思うんですね。これから先、有事の対処の研究とかあるいはガイドラインの見直しとかいろんな実際の作業をお始めになるんでしょうけれども、そのときにやっぱりこのことはぜひ忘れないでやっていただきたいというふうに考えております。特にお答えは要りませんけれども、何かコメントがあればぜひお願いいたします。
  162. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) よくわかりました。私も先ほどインタレストというような言い方をしてあるいは恐縮だったかもしれませんけれども、しかしそういったものを可能にするのも、その基本にはこのような普遍的な価値というものを大切にしていくということがあったんだと思います。そのことをよく考えながら今後も対応してまいりたいと思います。文字どおり日に三省をいたしまして、この三つの価値を大切にし、日米の同盟関係がその目的とするところの役割を十分果たすようにしてまいりたいと思っております。
  163. 椎名素夫

    ○椎名素夫君 ですから、日米同盟のために価値が大事なんじゃなしに、やっぱり日本の国がこういう価値を本当にこの頭の先で考えるだけじゃないような国にするということがまず来て、それから価値の共有というものが出るということだと思いますので、大臣は外務大臣でいらっしゃいますけれども、これは内閣総理大臣以下みんな共有していただきたい感覚だと私は思います。  どうもありがとうございました。
  164. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 大変高通な理想論、世界論の次に極めて即物的な現実論をさせていただきます。  きょう、どういうわけか皆さん方お取り上げになりませんでしたけれども、沖縄の楚辺通信所の用地問題です。  先般、沖縄の収用委員会が緊急使用の申請を不許可とする決定をしましたが、この決定に対してなぜ司法判断を求めて訴えを提起しなかったのかということを私はいぶかしく思っておるわけです。防衛施設庁長官は、この点について記者会見で、裁判にすると何しろ時間がかかる、それから仮に勝訴いたしましても使用の権原が得られるわけでもないので何ら実益がないので見送ったと、こういうことを申していたということですが、実益がないとすればもう最初から緊急使用の申し立てなんかする必要もなかったんじゃないかという気もいたします。  そもそもこういう問題について政府が裁判所その他に申し入れをする場合、意見書を提出をする場合には、主管省を中心として関係省庁全部が集まって、あらゆる問題、法律問題を中心として提議し合って何度も何度も意見交換し協議を重ねて、それでようやく意見書をまとめ、その上さらに問題によっては内閣法制局に行きまして法律論を十分に聞かせてもらって、これでよしという自信を持って裁判所とかあるいは地方委員会等に提出するわけです。  今回も多分そうしただろうと思いますが、せっかくそうして苦心して提出したのにかかわらず、沖縄の一地方委員会は、何だこんなものは、全く法律論としてもなっていないということで却下をしたというような感じであります。これはまなじりを決して怒るかと思いましたら、どういうわけか、これは大したことはないからということで、もうあきらめてしまっていると。  これはせっかくですから申し上げますと、一つの行政先例になるんですね。同じような問題がほかの地方で起きた場合に、はて、こういう問題が沖縄であったぞ、あれを取り寄せて検討をしてみようというと、そこで政府の意見は全然取り上げられていない、ああ、これはこういうことかということで、行政先例として一つ一つ積み上げられていくわけですから、いろんな政治情勢からこれは見送ろうと、そう簡単にいくものではないわけだと私は思っております。  特に裁判が時間がかかると。これは当然といえば当然で、別にやくざの話し合いとは違うわけですから、原告、被告それぞれが言いたいことを言って、それを裁判所がじっくり聞いて結論を出すわけですから多少の時間がかかるのは当然なことで、これは法治国家である以上やむを得ない、やむを得ないというか当たり前のことなわけで、だれでもがそうやって、最後には裁判所の判断を仰いで法律的なことを決めていくというわけであります。  この沖縄の収用委員会の裁決書の中でも法律問題が随所に出てきております。ですから、あのままに確定させていいんだろうかという気もするわけですが、これはなぜ訴訟提起を見送ったのか、その辺をちょっとお伺いしたいと思います。今の裁判に対する考え方も含めまして、大臣からの方かいいんじゃないかと思いますので、お願いいたします。
  165. 小澤毅

    政府委員(小澤毅君) お答えいたします。  ただいま先生からありました問題提起につきましては、我々も不許可とされたことに対しまして、それの裁判の提起につきましては種々考えました。ただいま先生お話にもございましたように、裁判に長期間を要すること、また県の収用委員会がなしました不許可とする処分についてそれを取り消すとの判決を仮に得たとしましても、これが直ちに緊急使用に当たるものではないのではないか、権原を取得する意味ではないということに帰着いたしました。  そうしますと、改めてまた同委員会の審議を経て許可を得る必要があるということなどから、実益性についてはなかなか乏しいんではないかということと、さらに、今現在、裁決申請の手続を収用委員会はやっておるわけでございます。国といたしましては、一日も早く正権原による使用ができるようにということで、この裁決申請に基づきます手続を早期に進めていきたいというふうな趣旨が今回の収用委員会の不許可に対する我々の対応でございました。
  166. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 この問題につきまして、期限が徒過したときに、政府の見解は直ちに違法とは言えない、こういうことでありました。直ちに違法とは何だろうかと考えておりましたら、梶山官房長官は、これは時間の問題だということで、時間がたてば違法になるんだというようなことをどこかの委員会で述べていたと。なるほどそうかと思いましたが、直ちに違法とは言えないという日本語を解釈すれば、まあ一カ月か二カ月か、その期間はもうぼちぼち迫りつつあるんだろうと思います、まさか三年先五年先というわけでもありますまい。  まことに申しわけないんですけれども、こんな回答を要求すること自体がおかしいとは思いますけれども、やっぱり国民は知りたがるわけで、一体これはいつになると違法になるんでしょうか、それとも違法になるにはさらに時間の経過のほかに条件があって違法になるということなのか、その辺のところをちょっと教えてもらえればありがたいと思います。
  167. 小澤毅

    政府委員(小澤毅君) さきに官房長官からの談話が発表されまして、四つの事情があったということを御説明したことは先生既に御承知のことと思います。そのうちの一つでございました、目下、駐留軍用地特別措置法に基づいて土地使用の権原を得るための所定手続をとり、引き続き適法に使用し続けるための努力を行っているということの中には、現に緊急使用の手続を行っていたこと、さらに裁決申請の手続を行っていたこと、このようなことが含まれていたわけでございますけれども、そのうちの緊急使用が不許可になったということをもちまして直ちにこのような評価が覆るというには至るものではないと我々は考えているところでございます。
  168. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 この問題、私は土地収用法の問題ではないんじゃないかと思います。国または公共団体の起業者がある事業を始めようとしまして、それには地権者が、仮に百人なら百人関係している、そのうち九十八人までがオーケーして土地を提供する、残りの二人が反対しているものですから土地収用法を適用して収用すると。こういう場合であって、全員が何ら異議なく土地を提供してそれで十年二十年と平穏公然に公的な施設が運営されていく。そのうちに一人か二人の地主が、もう契約の更新には応じない、こういうことを言い出して、話し合い中にその期間が徒過する。これは一体土地収用法の問題だろうかどうか。こういう例につきまして、適用した例もあるやに聞いておりますけれども、私が考えるにこれは純然たる民事問題ではないか、こういうふうに思うわけです。  そもそもが公的施設に土地を提供することを承諾して土地を提供しているわけです。ですから、その人の考えからいきますれば、施設かある限りどうぞお使いくださいませというのが提供の趣旨なんで、もし嫌ならば最初から私は嫌だと言って土地収用委員会で収用してもらえばいいし、期限はもう二十年だけだと言えば、恐らく国などは、それでは困る、それならいっそ拒否してくれということで、きちっと手続にかけて収用するという方法を選ぶでしょう。  平穏公然裏に使用して、提供者も地権者も、大丈夫、契約更新に応じてくれる、要するに施設がある限り、基地なら基地として運営されている限り提供してくれると思って平穏公然裏にやってきたところが、突然にもう契約更新に応じないということを言われた場合、これは一体何だろうかと。その段階でもう既に使用中でもあるわけで、急に使用をやめろと言われても困るわけです。そんなことは絶対不可能なわけですから、常識的な範囲で考えてみましても、相手方の言っていることが、地権者の言っていることがいかに無理難題であるかということはすぐわかるわけです。民法はこういう場合について、この前もちょっと申し上げましたけれども、権利濫用という法理を用いておるわけです。  ですから、もしどうしても土地を返してもらいたいというふうに考えるならば、その地権者は期間を徒過したところで土地引き渡し請求か何かの訴訟を起こせばいいわけです。一方、国の方は国の方で、相手が起こさなければこちらから、こういう事情であなたは二十年前に土地を提供した、今にわかに提供しないということはおかしい、ですから契約更新に応ずる義務がある、これは当たり前のことだということで国側から裁判を起こすことも一向おかしくないわけです。その裁判でけりがつくまでの間、今までどおりにその土地を平穏公然裏に国が使用するのはこれは当たり前ではないかというふうにも考えるわけで、こういう問題について土地収用法が顔を出す問題ではないんじゃないかと私は考えておるんですが、これは大臣でもいいし、どちらでもよろしいんですが、いかがでしょうか。
  169. 小澤毅

    政府委員(小澤毅君) まず、今回の楚辺通信所に係ります土地の問題について、ちょっと経緯を述べさせていただきたいと思います。  本件土地につきましては、当初契約なさっていた方がおりまして、その方から平成六年に生前贈与を受けたというような事情がございます。そこで、我々としては、ちょうど民法の二十年に当たりますことしの四月一日以降使用権原が得られなくなるという状況があったわけでございまして、今回、この駐留軍用地特措法というものを適用したわけでございます。  この駐留軍用地特措法につきましては、先生御案内のように、昭和二十七年に講和条約が発効されたときにできたものでございまして、一般的な公用使用の手続について定めました土地収用法の手続をも勘案しながら、この駐留軍用地につきましても土地等の使用または使用の手続について必要な規定をしていくというものがこの駐留軍用地特措法でございます。  したがいまして、このような土地収用法の手続を適用している部分がございますので、駐留軍用地特措法でも土地収用法というのが出てくるというところでございます。
  170. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 私が言いたいのは、このままにしまして国の方から訴えを提起するか、あるいは知花氏の方から訴えを提起してもらってその裁判を通じて解決していったらどうかと。その判決が確定するまでは今までの平穏公然たる国の使用というもの、米軍基地としての機能を果たしていくことは当たり前のことではないか、こう考えておるわけです。  それから、来年になりますと二千名か三千名が同じような問題が起きてくるということだそうです。これにつきましては、法律で解決するという考えと、それから話し合いでいけ、こういう考えとがあるようであります。しかし、話し合いがまとまればこれにこしたことはないわけですけれども、話し合いで解決しない場合にどうするか。最悪の事態を想定しまして対応を考えておくのは政治の責任です。当然なことです。ですから、法律をつくることが沖縄の心を踏みにじるなんというものと全然問題が違うわけですから、そのときにどうするかということを十分に検討して、必要ならば立法的な解決をしておく。  もう御案内と思いますけれども、借地借家法では、建物を使用するために土地を提供させた、その期限が二十年なら二十年が来た場合に、建物の所有者が期間更新しますよということを申し入れれば期間は自動的に延長していくということになると。これは当たり前のことです。建物使用の目的で土地を提供したわけですから、二十年で嫌だということは言えないわけです。  この当たり前の法律論をどうか大手を振って、胸を張って言っていただきたいと思うわけです。私は極めて当たり前なことではないかと思うのです。沖縄の心とは一切関係のない法律論でございますからね。  そういうわけで、最後に現在の内閣で大変枢要な地位を占めておられる外務大臣の、この私の見解についてのコメントをいただきまして、終わりにしたいと思います。
  171. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 先般もいろいろ御議論がございまして、宇奈月温泉にかかわる判例なんかも引用されながら御高説をお伺いしました。今回も借地借家法の規定の仕方、それからまた本来この問題は民事の問題としてやるべきじゃないかといったような御論議、私といたしましても傾聴してまいったところでございます。  ただ、法律的にはおっしゃるようなことも十分よくわかります。しかしながら、一方におきまして、やはり現実に沖縄の方々の御理解を得ていく、その上で初めて基地の提供ということも可能になり、安保の目的も達成できるんだと思うのでございます。したがいまして、現実に今これをどうするかという問題についての法律論、あるいはいま一つ御議論のございました、将来必要ならばその法律改正をしてという立法論につきましても、もとよりそれはいろんな選択肢、いろんな可能性を検討する、研究するという努力はしなくちゃなりませんけれども、それと同時に大切なのは、やはり基本的に地主の方あるいは広く県民の方々の御理解を広げていく、深めていくということじゃないかと思います。  御示唆がございました点も含めて、今後いろいろ各方面で努力をしてまいりたいと思います。
  172. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 終わります。
  173. 木庭健太郎

    委員長木庭健太郎君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認め、これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  174. 立木洋

    ○立木洋君 私は、日本共産党を代表して、日本メキシコ合衆国との租税条約に反対の立場で討論を行います。  この条約は、資本交流を活発化するとして課税率を低く制限し、国家の主権に属する課税権に制約を加えるものになっているからであります。  また、海外に進出することによって莫大な利潤を得ている大企業に対して、実質的な補助金であるみなし外国税額控除制度など、これまでも繰り返し指摘してきたわけですが、国内以上の優遇税制を保障する必要はないからであります。  さらに、こうした措置が国内の産業と雇用の空洞化を進める一因ともなります。数年来の円高で企業の海外進出が急速に進み、国内雇用は大幅に減り、労働条件は大きく切り下げられているわけであります。条約締結により、問題は解決されず、むしろ事態が深刻化するおそれさえあります。  以上の理由から条約に反対の立場を表明して、討論を終わります。
  175. 木庭健太郎

    委員長木庭健太郎君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  まず、航空業務に関する日本国エティオピア連邦民主共和国との間の協定締結について承認を求めるの件の採決を行います。  本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  176. 木庭健太郎

    委員長木庭健太郎君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  次に、所得に対する租税に関する二重課税回避及び脱税防止のための日本国メキシコ合衆国との間の条約締結について承認を求めるの件の採決を行います。  本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  177. 木庭健太郎

    委員長木庭健太郎君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって承認すべきものと決定いたしました。  なお、両件の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  178. 木庭健太郎

    委員長木庭健太郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  179. 木庭健太郎

    委員長木庭健太郎君) 次に、国際情勢等に関する調査議題といたします。  アジア・太平洋に関する小委員長から、アジア・太平洋に関する件のうち、中国・台湾情勢についての報告書が提出されております。  この際、武見小委員長から中国・台湾情勢について報告を聴取いたします。武見小委員長
  180. 武見敬三

    ○武見敬三君 アジア・太平洋に関する小委員会について御報告申し上げます。  小委員会は、アジア太平洋地域における我が国の外交のあり方について幅広い視野から調査、検討を行うため、本年二月二十九日に設置されて以来、小委員十四名をもって活動を進めてまいりました。  まず、三月十二日の第一回小委員会において、アジア・太平洋に関する小委員会は、時局に即した形で外交と国民世論との間のよき仲介者としての役割を担うべきことを確認し、その第一弾として、当面、三月二十三日の台湾総統選挙を控えてにわかに緊張が高まった中国・台湾情勢に焦点を当て、短期集中的に調査、検討することといたしました。  そこで、三月十九日に平松茂雄杏林大学教授、小島朋之慶応義塾大学教授、井尻秀憲筑波大学助教授を参考人として招き、意見聴取と質疑を行ったのを皮切りに、二十七日には米国ハーバード大学のエズラ・ヴォーゲル教授、朱建栄東洋学園大学助教授、田中明彦東京大学助教授、四月三日には若林正丈東京大学教授、佐藤幸人アジア経済研究所研究員をそれぞれ招いて同様に意見の聴取と質疑を行い、中国・台湾情勢について多角的かつ詳細な検討を加えました。また、四月十日には外務省アジア局長と北米局長、防衛庁の防衛局長からも説明を聴取し、我が国の対応について質疑を行いました。  これらの意見及び説明の聴取と質疑の内容を踏まえて、小委員会に別途設置された幹事会において論議を重ねた後、五月十四日のアジア・太平洋に関する小委員会において、中国・台湾情勢に関する調査の経過及び概要とともに、五点から成る提言を盛り込んだ報告書を取りまとめた次第であります。  提言の全文は次のとおりであります。   中台関係は、昨年一月に江八点(江沢民・中国国家主席の台湾政策八項目提案)、四月に李六点(李登輝・台湾総統の六項目提案)が提案されたが、同年六月の李登輝総統訪米を契機に中台双方の軍事演習が活発化し、緊張が激化した。   そうした中で本年三月二十三日、台湾において初の民選による指導者選出の選挙が行われたが、この選挙をはさんで中国は、台湾付近でミサイル発射訓練、海・空軍実弾演習及び陸海空統合演習を実施した。一方、米国は、同時期に空母インディペンデンス及びニミッツを含む艦船を台湾周辺海域に派遣した。   もとより我々は、一九七二年の日中共同声明、一九七八年の日中平和友好条約に基づき、日中両国民の更なる善隣友好関係の増進を願うものであるが、今回の軍事的諸行動には関心を持たざるをえない。また、台湾海峡における緊張の高まりを深く憂慮するものである。   本小委員会は、今回のかかる事態は、アジア・太平洋の平和と安定に係わる国際的な関心事であると認識して議論し、その結果に基づき、次の提言と期待を表明するものである。  一、台湾問題は、中台双方による自主的、平和的な話し合いによって解決されるべきであり、これが妨げられるようなことがあってはならない。  二、台湾海峡における軍事的緊張が、中台双方の軍備増強につながり、アジア近隣諸国の安全保障上の警戒心を招き、すでに顕在化しつつあるアジアの軍拡競争に拍車がかかるような事態を回避するための措置が速やかに講じられるよう強く希望する。  三、台湾が、みずからの努力により民主主義の制度化に尽力しつつあり、民選により指導者を選出したことを歓迎するとともに、中台双方が民主主義と人権の保障を発展させ、より開かれた社会を建設していくよう期待する。  四、中国経済及び台湾経済が持続的に発展し、かつ、資本、技術、市場をめぐる中台経済関係発展していることを歓迎し、これがアジア・太平洋における持続可能な成長に貢献することを期待する。  五、日中両国政府間のすべての分野における対話を一層充実させ、こうした対話を議会間交流、民間交流などの各レベルでも緊密に行うことにより、日中両国間の相互理解を一層深めるとともに、両国関係アジア・太平洋の平和と安定に貢献するよう積極的に努力するべきである。  以上が提言の全文並びに中国・台湾情勢をめぐるアジア・太平洋に関する小委員会の活動の概要であります。  本日、「中国・台湾情勢に関する報告書」を外務委員の皆様のお手元にお配りしてありますが、外務委員会におかれましては、この提言を含む本報告書を御了承いただき、関係各方面に御周知くださいますよう、委員長においてお取り計らい願いたいと存じます。  なお、アジア・太平洋に関する小委員会は、今回の活動に引き続き、今会期中さらに活動を継続してまいる所存でありますので、一層の御理解と御支援をお願い申し上げます。また、今回のような活動をより充実させるためには現地調査が不可欠であることが多くの小委員から指摘されております。今後、外務委員会による海外調査のための委員派遣が可能となりますよう、特段の御努力、御配慮をお願いいたしたいと存じます。  以上、御報告申し上げます。
  181. 木庭健太郎

    委員長木庭健太郎君) 以上で小委員長からの報告は終わりました。  ただいまの報告につきまして、何か御発言はございますか。——御発言はないものと認めます。     —————————————
  182. 木庭健太郎

    委員長木庭健太郎君) この際、便宜私から、ただいまの小委員会の提言及び報告を踏まえまして、自由民主党、平成会、社会民主党・護憲連合、日本共産党、新緑風会、二院クラブ及び参議院フォーラムの各派共同提案による中国・台湾情勢に関する決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     中国・台湾情勢に関する決議(案)   中台関係は、昨年一月に江八点(江沢民・中国国家主席の台湾政策八項目提案)、四月に李六点(李登輝・台湾総統の六項目提案)が提案されたが、同年六月の李登輝総統訪米を契機に中台双方の軍事演習が活発化し、緊張が激化した。   そうした中で本年三月二十三日、台湾において初の民選による指導者選出の選挙が行われたが、この選挙をはさんで中国は、台湾付近でミサイル発射訓練、海・空軍実弾演習及び陸海空統合演習を実施した。一方、米国は、同時期に空母インディペンデンス及びニミッツを含む艦船を台湾周辺海域に派遣した。   もとより我々は、一九七二年の日中共同声明、一九七八年の日中平和友好条約に基づき、日中両国民の更なる善隣友好関係の増進を願うものであるが、今回の軍事的諸行動には関心を持たざるをえない。また、台湾海峡における緊張の高まりを深く憂慮するものである。   本委員会は、今回のかかる事態は、アジア・太平洋の平和と安定に係わる国際的な関心事であると認識し、次の提言と期待を表明するものである。  一、台湾問題は、中台双方による自主的、平和的な話し合いによって解決されるべきであり、これが妨げられるようなことがあってはならない。  二、台湾海峡における軍事的緊張が、中台双方の軍備増強につながり、アジア近隣諸国の安全保障上の警戒心を招き、すでに顕在化しつつあるアジアの軍拡競争に拍車がかかるような事態を回避するための措置が速やかに講じられるよう強く希望する。  三、台湾が、みずからの努力により民主主義の制度化に尽力しつつあり、民選により指導者を選出したことを歓迎するとともに、中台双方が民主主義と人権の保障を発展させ、より開かれた社会を建設していくよう期待する。  四、中国経済及び台湾経済が持続的に発展し、かつ、資本、技術、市場をめぐる中台経済関係発展していることを歓迎し、これがアジア・太平洋における持続可能な成長に貢献することを期待する。  五、日中両国政府間のすべての分野における対話を一層充実させ、こうした対話を議会間交流、民間交流などの各レベルでも緊密に行うことにより、日中両国間の相互理解を一層深めるとともに、両国関係アジア・太平洋の平和と安定に貢献するよう積極的に努力するべきである。   右、決議する。  以上でございます。  本決議案を本委員会の決議とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  183. 木庭健太郎

    委員長木庭健太郎君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたしました。  ただいまの決議に対し、池田外務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。池田外務大臣
  184. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 政府といたしましても、台湾海峡の情勢に大きな関心を持っており、東アジアの平和と安定の観点から、台湾をめぐる問題が台湾海峡の両岸の当事者の間においてあくまでも平和的に解決されることを強く希望しているところであります。また、政府としては日中共同声明を堅持し、日中両国政府間の対話を一層促進し、中国との友好協力関係発展させ、両国関係アジア太平洋の平和と安定に資するものとなるよう努めてまいる所存であります。  関係各位の御努力を多とし、ただいま当委員会で採択された決議を十分参考とさせていただきます。
  185. 木庭健太郎

    委員長木庭健太郎君) この際、お諮りいたします。  本調査報告書につきましては、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  186. 木庭健太郎

    委員長木庭健太郎君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  なお、小委員長から御要望のございました件につきましては、今後理事会で御相談いたしたいと存じます。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十七分散会      —————・—————