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1996-06-14 第136回国会 参議院 科学技術特別委員会 第7号
公式Web版
会議録情報
0
平成八年六月十四日(金曜日) 午前十時開会 ――
―――――――――――
委員
の
異動
六月十三日 辞任
補欠選任
楢崎
泰昌
君
武見
敬三
君
松村
龍二
君 林
芳正
君
山本
正和
君
渕上
貞雄
君 ――
―――――――――――
出席者
は左のとおり。
委員長
長谷川
清君 理 事 鹿熊 安正君 吉川 芳男君 石田 美栄君
川橋
幸子君 委 員
海老原義彦
君 太田 豊秋君 沓掛 哲男君
河本
三郎
君 志村
哲良
君
武見
敬三
君 林
芳正
君 友部 達夫君 山崎 力君
渕上
貞雄
君
峰崎
直樹君 阿部 幸代君 立木 洋君
国務大臣
国 務 大 臣 (
科学技術庁長
官)
中川
秀直
君
政府委員
科学技術庁長官
官房長
工藤 尚武君
科学技術庁原子
力局長
岡崎 俊雄君
科学技術庁原子
力安全局長
宮林
正恭
君
事務局側
第三
特別調査室
長 塩入 武三君
説明員
原子力安全委員
会委員長
都甲 泰正君
参考人
動力炉
・
核燃料
開発事業団理事
長
近藤
俊幸
君
動力炉
・
核燃料
開発事業団理事
中野
啓昌
君 ――
―――――――――――
本日の会議に付した案件 ○
参考人
の
出席要求
に関する件 ○
科学技術振興対策樹立
に関する
調査
(
高速増殖原型炉
「
もんじゅ
」の
ナトリウム
漏
えい事故
に関する件) ――
―――――――――――
長谷川清
1
○
委員長
(
長谷川清
君) ただいまから
科学技術特別委員会
を開会いたします。 まず、
委員
の
異動
について御
報告
いたします。 昨十三日、
山本正和
君、
松村龍二
君及び
楢崎泰昌
君が
委員
を辞任され、その
補欠
として
渕上貞雄
君、
林芳正
君及び
武見敬三
君が選任されました。 ――
―――――――――――
長谷川清
2
○
委員長
(
長谷川清
君)
参考人
の
出席要求
に関する件についてお諮りいたします。
科学技術振興対策樹立
に関する
調査
のうち、
高速増殖原型炉
「
もんじゅ
」の
ナトリウム漏えい事故
に関する件の
調査
のため、本日の
委員会
に
動力炉・核燃料開発事業団理事長近藤俊幸
君及び同
理事中野啓昌
君を
参考人
として
出席
を求めたいと存じますが、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
長谷川清
3
○
委員長
(
長谷川清
君) 御
異議
ないと認め、さよう決定いたします。 ――
―――――――――――
長谷川清
4
○
委員長
(
長谷川清
君)
科学技術振興対策樹立
に関する
調査
のうち、
高速増殖原型炉
「
もんじゅ
」の
ナトリウム漏えい事故
に関する件を議題といたします。 同件に関し、
政府
から
報告
を聴取いたします。
中川科学技術庁長官
。
中川秀直
5
○
国務大臣
(
中川秀直
君) 昨年末の「
もんじゅ
」
事故
につきましては、
地元
の
方々
や
国民
の
皆様
に大変な
不安感
、
不信感
を与えるという極めて遺憾な結果を引き起こし、心からおわびを申し上げます。 今回の
事故
については、
専門家
の参画を得て鋭意
調査
を進めてまいりましたところ、
事故
の
原因
となった
温度計
の
破損原因
の
究明
の
見通し
が立ち、他の
調査項目
についても明らかとなってまいりましたので、先般五月二十三日に、「
動力炉・核燃料開発事業団高速増殖原型炉もんじゅナトリウム漏えい事故
の
報告
について」を取りまとめ、公表したところであります。 本
報告書
の詳細については
原子力安全局長
より後ほど
説明
させますが、特に、今回の
事故
の経緯と寄せられた種々の批判を真摯に受けとめ、
科学技術庁
として深くみずからを省みて、率直に反省すべき
諸点
を明記しております。私を含め当庁の職員はこれらを重く受けとめ、今後の
行政
に反映してまいります。これに関連して、別途当庁の
責任
を明らかにいたしました。 私としては、本
報告書
により
事故
の
状況
、
原因等
について相当の
部分
が明らかとなり、現在とり得る限りの
対策
の方針がかなり明確になったものと考えておりますが、なお解明すべきことが残っており、
報告書
にこの点を個々に明記しております。
科学技術庁
としては、引き続き残された
諸点
について
調査
を継続しているところであり、その一環として、先週七日に
ナトリウム漏えい燃焼実験
が行われたところであります。また今後、本
報告書
で明らかにした
対応
及び
改善策
についても速やかに着手し、
一つ
一つ
着実に実行に移してまいります。 また、
動燃事業団
に対して、本
報告書
を踏まえ、
動燃事業団
としての
責任
を明らかにし、適切な
対応
を行い、
地元
の
方々
や
国民
の
皆様
の
信頼
を回復するため最大限の
努力
を尽くすよう指示しました。
動燃事業団
は、直ちに
理事長
が引責辞任し、さらに
関係者
の
責任
を明らかにしたところであります。
原子力安全委員会
におかれては、独自の立場から、「
もんじゅ
」
事故
の
原因
と
再発防止対策
について
調査
、審議が行われるとともに、
研究開発段階
の
原子力施設
の
安全確保
の
あり方
及び
事故
時の
情報公開
の
あり方
について鋭意
検討
が行われているところであり、これらの結果については十分に尊重して
対応
してまいります。
最後
に、今回の
事故
への
対応
を含め、まず
安全対策
を徹底するとともに、
情報
の
公開
、安全を最優先する
体制
や
対策
の
確立等
に努め、常に
国民本位
の姿勢に立って
原子力行政
を進めてまいる決意でありますので、
委員長
初め
委員各位
の御指導、御鞭撻をお願い申し上げます。
長谷川清
6
○
委員長
(
長谷川清
君)
宮林科学技術庁原子力安全局長
。
宮林正恭
7
○
政府委員
(
宮林正恭
君) それでは、
資料
に基づきまして御
説明
させていただきます。 まず、数ページのペーパーで、「
動力炉・核燃料開発事業団高速増殖原型炉もんじゅナトリウム漏えい事故
の
報告
について」という
資料
がございますが、今回の
報告
の本文につきましては少し分厚うございますので、これで
説明
させていただきます。 まず、今回の
報告
につきましては、
規制部門
だけではない、
科学技術庁
全体といたしましてこの
報告
を取りまとめました。それから、今回の
報告
はまだまだ引き続き
調査
を行う
部分
がございますので、引き続き
調査
を行いまして、別途追加して
報告
を取りまとめることにしている
部分
があるということを申し上げたいと思います。
報告書
の要旨でございますが、今回の
事故
につきましては、法律的な概念からいいますと、
原子炉施設
の安全は
確保
されたと。しかしながら、
ナトリウム
が漏れたということにつきましてはやはり極めて重く受けとめているということでございます。 それから、
地元
の方におかれましては、やはり
ナトリウム
の
漏えい
と
火災
というふうなことから強い
衝撃
を受けられたということについては
十分認識
をする必要があると考えておりますし、また、
国民
に対してもそういう
衝撃
を与えているということを強く
認識
しているということを述べております。それから、
動燃
によります不適切な
対応
がございまして、
不安感
なり
不信感
を与えるということになったということも述べております。
漏えい
の
発生原因
でございますが、この
漏えい
を
発生
いたしました
温度計
さや
につきましては、その
設計
において、当時の
米国機械学会
の
技術基準
を正確に理解しないまま
設計
を行った
ミス
ということがあったということを述べております。
漏えい
後の
拡大防止
につきましては、異常時
運転手順書
の記載に問題があったほか、
運転員
の判断にも
適切性
が欠けていた面があったということを述べております。
ナトリウム漏えい
による
影響
でございますが、これらにつきましては、それぞれチェックをいたしました結果、
放射性物質
による
影響
、あるいは
ナトリウム火災
で生じたエアロゾルによる
影響
はなかったということを
確認
いたしております。しかしながら、
鋼製足場
が損傷した
原因
、あるいは
ナトリウム
と
コンクリート
の
反応
を防ぐために敷かれている
鋼板
の
温度上昇
といったような問題などにつきましては、引き続き
検討
するというふうなことにいたしております。
動燃
の
事故
時の
対外対応
につきましては、
状況
がどうであったかということについて
説明
を書いておりまして、それのバックグラウンドにありますものといたしましては、やはり
動燃
は
情報公開
ということについての
認識
が不足していたのではないか、あるいは指揮する者の
役割
が必ずしも十分機能しなかったのではないかなどのことを述べております。 それから、
原子力安全局
の
対応
についても記しておりまして、これにつきましては、
事故
の際の正確かつ迅速な
情報
の把握ができなかったという事実を述べております。 次に、
科学技術庁
として反省すべき点を五点述べております。
一つ
は、
温度計
の
審査
に関しまして、許認可の対象とせず、自主的な活動にゆだねていたこと。
二つ目
といたしまして、
科学技術庁
の
対応
については、
動燃
から
情報
が適切に提供されるという考えに依拠しまして、
能動的対応
に欠ける側面があったこと。それから、
国民
あるいは
地元
の
方々
の不安をできるだけ少なくするような
努力
が不十分であったのではないか。それから
情報開示
についても、
動燃
における
情報
の
開示
をためらわせるような体質あるいは雰囲気をつくってきたことについてなど、
科学技術庁
が
十分掌握
をし切れておらず、そういう点で大きな反省すべきところがある。それから、
動燃
の
経営面
についての監督におきましても不十分であったということでございます。八番目といたしまして、今回のいろいろな
事故
の
教訓
、これは先ほどから申し上げておりますいろいろな
調査
をした結果に基づく
教訓
でございますが、それに基づく
対応
及び
改善策
を八
項目
述べておりまして、
一つ
は、二次系の
温度計
の取りかえと
科学技術庁
による
審査
及び検査。それから、
ナトリウム漏えい
後の
措置
の
充実
。それから、
運転員
が的確に判断できるような
支援システム
の
充実
。それから、
事故
時の
対応
のための
体制
の整備。次いで、
動燃
の
自主保安
の
強化
というふうなことを述べると同時に、
科学技術庁
みずからにおいても
安全性
総点検をやる、そしてその実施は
動燃
にしていただくわけですけれども、その
確認体制
をつくっていく。それから、
運転管理
につきましては能動的な動きに欠けるところにあった、こういうようなことでございますので、
運転管理
の
充実強化
をする。あるいは、
原子力
に対します
安心感
と
信頼感
の
確保
をするというふうなことにつきまして述べております。 それから、同封をいたしましたもう
一つ
の
資料
をちょっと御
説明
させていただきたいと思います。
ナトリウム漏えい燃焼実験
が六月七日に
動燃
の
大洗工学センター
において行われました。しかしながら、これにつきましては
新聞等
で既に御存じのとおりでございますけれども、下に敷かれております
床ライナー
が
破損
をしているという事実が判明をしたわけでございます。 それで、今回の
実験
は、
配管支持装置等
がある状態での
ナトリウム燃焼挙動
を
確認
する。
換気空調ダクト
あるいは
グレーチング
と言っております
足場
でございますが、そういうものが
破損
をしたという事実についての
挙動
を
確認
する。
床ライナー
、下に敷いております
鉄板
でございますが、あるいは側壁の
コンクリート
、そういうものに及ぼす
影響
の
確認
をするということで行いました。 これにつきましては、
ナトリウム
の
温度等
はここに書かれておりますが、スペース的には約十三分の一、それから、いろいろと
測定
をするということから、
床面
におきましては
ステンレス製
の管あるいは枠といったものを設置いたした
状況
で行っております。これにつきましては三ページの上段の方の
写真
、図二でございますが、こういうふうなことで行われました。 しかしながら、この
実験
を行いました結果が図三のようなことになっておりまして、これにつきましては今後十分
解析
をしていきたい、こういうふうに考えているわけでございます。 とりあえずの
観察状況
といたしましては、
ナトリウム化合物
の
堆積
が見られていない、これは「
もんじゅ
」の場合は
堆積
が見られたわけでございますが、そういうことがあること。あるいは、この図でごらんいただきますように、
サンプリングポット
とか
熱伝
対
保護管
、こういうふうなものがなくなっている。それから、先ほど申し上げました
床ライナー
に三カ所穴があいた。当然といいますか、
ダクト
、
グレーチング等
につきましては「
もんじゅ
」と同じように穴があいております。 それで、このような
状況
になったことにつきましては引き続き
検討
するということでございますが、過去にいろいろ行われました
実験
では
床ライナー
に穴があくということは起こったことがないということでございますので、まずこういうことが起こった
原因
について
十分究明
をして、その後的確な
措置
をとっていきたい、こういうふうに考えております。 以上でございます。
長谷川清
8
○
委員長
(
長谷川清
君) これより
質疑
を行います。
質疑
のある方は順次御発言願います。
河本三郎
9
○
河本三郎
君 自民党の
河本
でございます。
大臣
、きょうはどうぞよろしくお願いいたします。また
近藤理事長
、
お忙しいところ
を御
出席
いただきましてありがとうございます。 まず初めに、
一言お礼
を申し上げたいと思います。あの忌まわしい阪神・
淡路大震災
から一年五カ月が過ぎようとしておりますが、
科学技術庁
としても
震災発生
直後より各般にわたる御
支援
の手を差し伸べていただきましたことに、本席をおかりしましていま一度改めて厚く御礼を申し上げたいと思います。 ただ、
震災発生
直後とはまた新たな難しい問題にも直面をしているということも事実でありまして、引き続きの御協力を賜りたい、このようにお願いを申し上げるところでございます。 それでは、ただいま御
説明
がございました「
もんじゅ
」の
事故
に関連して質問をさせていただきたいと思います。
冒頭
に
動燃
の方からも御
説明
をいただきたかったのでございますが、昨年の十二月八日に
事故
が
発生
をしてから、鋭意
原因究明等
に御
努力
をいただいていると思います。しかし、
国民
の間には依然として、ただいま
大臣
からも御
報告
をいただきましたように、強い
不信感
、不安というものが根強く残っているということも事実でございます。 このような
事態
を一刻も早く解消するためには、まず何よりも徹底した
原因究明
をして
安全確保
の
対策
を講じるということが大変重要であり、正確な
情報
の
開示
に努めなければならない、このように考える者の一人であります。 これは五月二十三日付の
報告書
でございますが、最初に「
もんじゅ
」の
安全対策
について、そして
我が国
の
エネルギー安定供給政策
の展望について、順番にお尋ねをしていきたいと思います。 前回二月九日付の
調査状況
の取りまとめに比べますと、特に
温度計
の
破損原因
を中心としてかなり明らかになってきた、このように受けとめられます。 ただ、
報告書
にもあるとおり、さらに
調査検討
を要する
項目
も幾つか残っていると書いてあるのでありまして、引き続き
調査
を継続するとございますが、どのような
調査
なのか、具体的にお答えをいただきたいことが一点。そして
最終報告
というものがいつごろ取りまとめられるのか。この二点について
冒頭
にお伺いしたいと思います。
宮林正恭
10
○
政府委員
(
宮林正恭
君) お答えさせていただきます。
温度計
関連以外にもいろいろと
検討
する必要がございまして、まず、引き続き
調査
する
項目
として
報告書
の中で挙げておりますのは、
当該温度計
のみが
破損
した理由。それから、
床ライナー
の
板厚
が減少しているという
現象
がございますのでその
原因
。これは、先ほど御
報告
申し上げました
ライナー
に穴があいたという
現象
などもこの
関係
でかかわるわけでございます。それから
コンクリート
・
ナトリウム反応
、こういうことが起こる
可能性
がありますので、そこのあたりがどうであったかということなどを引き続き徹底的に
調査検討
する必要がある、こういうふうに申し述べているところでございます。 なおまた、その後新しい事実
関係
が出てまいりますれば、当然それについても継続的に
調査
をさせていただきたい、こういうふうに考えております。 それから、
最終報告
ということでございますが、このような
調査
につきましては時間を決めて
調査
するという
考え方
を私どもとっておりませんで、これは着実に
調査
していく。かつまた、
調査
した結果は適当な
タイミング
で御
報告
を申し上げるというふうな形にさせていただければと、こういうふうに考えているところでございます。したがいまして、現
段階
におきまして
タイミング
などについてちょっと申し上げられるところではございません。
河本三郎
11
○
河本三郎
君 先週の末になるんですか、六月七日に
ナトリウム
の
燃焼挙動
の検証を目的として
模擬実験
が行われました。この
報告書
の
最後
にも
写真
のコピーがついておりますが、
ナトリウム漏えい実験
が実施されたとお聞きしております。先ほど
局長
からお話しございましたように、注目すべき点は
ナトリウム
の受け皿であります
ライナー
、これは
鋼板製
の厚さ六ミリの
ライナー
ということでありますが、これに穴が三カ所あいたと、当初、予想しなかった結果が生じたのであります。 私が理解しておりますのは、この
ライナー
といいますものは、
ナトリウム
と
コンクリート
中の水分が
反応
することを防ぐ
役割
を持っているということで、「
もんじゅ
」にとって極めて重要な部位である、このように
認識
しております。さらに
追加実験
を行い、
ナトリウム化合物
との
反応
などの実態を詳細に把握することが必要ではないかと考えますが、いかがでございましょうか。
宮林正恭
12
○
政府委員
(
宮林正恭
君) お答えさせていただきます。 結論から先に申し上げますと、今回の
実験
の結果につきましては、先ほど申し上げましたように、過去百二十回程度行われておりますいろいろな
ナトリウム
の
漏えい実験
などで一度も起こっていない
現象
でございます。かつまた、「
もんじゅ
」そのものにおいてもそういうことは起こっておりませんので、今回こういうふうな穴があくという
現象
が起こったことにつきましては、十分まずそこの
原因究明
、解明をしたい、こういうふうに考えております。それで、そのために
検討
していくわけでございますが、必要があれば、当然のことといたしまして
実験
も十分やりたいというふうに考えております。
河本三郎
13
○
河本三郎
君
報告書
にございます今回の
事故
の
ナトリウム
の
漏えい量
、約六百九十キログラムとお聞きしておりますけれども、この
漏えい量
と今回の
模擬実験
で
漏えい
をさせた量とは同量のようなものですか。
宮林正恭
14
○
政府委員
(
宮林正恭
君) 先ほど御
説明用
に使いました
資料
の一ページでございますが、
漏えい量
は約六百九十キログラムというのが先日の
実験
のときの量でございました。大体、
実験条件
、
ナトリウム温度
あるいは
ナトリウム漏えい速度
、
実験
時間などにつきましては、実際の「
もんじゅ
」に起こりました
状況
を
模擬
するような形でやったわけでございますが、ただ、
床面
につきましては、先ほど申し上げました別の
条件
があった、あるいは部屋も十三分の一というふうな容積であったということなど、当然、
模擬
でございますので別の
条件
もありました。
河本三郎
15
○
河本三郎
君 失礼しました。
実験
の
漏えい量
が六百九十キログラムということでありますね。 それで、
ライナー
が溶けて
床部
の
コンクリート
と何らかの
反応
をしたと思いますが、この
反応
についてどのような御
見解
を持っておられますか。
宮林正恭
16
○
政府委員
(
宮林正恭
君) まず、
床部
の
部分
のうち
コンクリート
と
反応
したかどうかにつきましては、これは
水素
が
発生
したかどうかということでございまして、現在の一時的な
解析
の
状況
では
水素
は
発生
していないというふうに、
発生
していないというのはちょっと言い過ぎでございまして、少なくとも
水素
が
測定限界
以下であった、こういうふうな
状況
でございました。 それから、床の
鉄板
との
反応
につきましては、これは
ナトリウム
、鉄、それから酸素という三者が共存する中で、かなり高温のところにおきましてはある種の
化学反応
といいますか、そういうものが起こったのではないかというのが一時的な
見通し
として推測されているところでございますが、今後引き続きこれらにつきましては
解析
をしていきたい、こういうふうに考えているところでございます。
河本三郎
17
○
河本三郎
君 これまでの
調査
によりますと、
温度計
の
破損
は、
ナトリウム
の流れに伴う
温度計
の
流体振動
に起因する高
サイクル疲労
によるものであり、この
温度計
さや
が
段つき構造
になり、さらにその
段つき部
のいわゆる応力逃がし、
曲率半径
が考慮されていなかったということだと思います。つまり、応力が非常に集中をしやすい、そういう
設計
であったということが判明しておりますが、具体的には、当時の
設計担当者
がアメリカの
機械学会
の
基準
を正確に理解せずに、
テーパー状
の形状を適用すべきであったところを
段つき構造
のものにしてしまったということが
指摘
をされております。
つまり設計ミス
であります。 このような初歩的な
ミス
もさることながら、
動燃事業団
においても、
温度計
さや
の
設計図面
を
検討
の上で承認しているわけでありまして、その過程で
設計
上の
問題点
を
指摘
、改善できなかったという点は大変大きな問題であったと考えております。俗な表現でありますが、
技術
を売り物にする日本としては極めて情けない
事態
でありまして、国際的にも信用を落としてしまったと言わざるを得ないのであります。私も
流体力学
、
振動工学
を学んだ者の一人として、実に貧しい
設計
であったと思います。 そこで、
動燃
の
近藤理事長
にお伺いをしますが、今回の
設計
の
ミス
を見逃したという点について、どのような
対応
をされるおつもりでございますか。
近藤俊幸
18
○
参考人
(
近藤俊幸
君) 本来、高い
信頼性
を
確保
すべきこの
ナトリウム配管
などの一部でございます御
指摘
の
温度計
に問題があり、
破損
しましたが、これをチェックできなかったということは重く受けとめております。
温度計
さや
の
構造
に対し、慎重な配慮が欠けていたと反省しております。 今後は、
設計
の
考え方
やその根拠、
品質保証システム
における
問題点
など、根源に立ち返った見直しを行っていきたいと思っております。
河本三郎
19
○
河本三郎
君 しっかりとした
対応
を今後とっていただきたいと言うしかございません。 次に、
フランス
の
スーパーフェニックス
の
漏えい事故
を例に出して御質問したいと思います。 今回のような
事故
の
再発防止
のためには、
各国
の
事故
あるいは故障のデータを常に収集して、これを
原子力プラント
の
安全性向上
に役立てるということが重要でございます。
温度計部
からの
ナトリウム
の
漏えい
は、
フランス
の
スーパーフェニックス
において過去に
発生
しておるのでありまして、この
漏えい
の直接の
原因
は溶接不良であったと聞いておりますが、その際、この
スーパーフェニックス
では、同時に
振動対策
として
温度計
の
さや
の長さを短くするという
改善策
をとっておられます。この
振動対策
を「
もんじゅ
」に適用しておけば、今回の
事故
は防止できたかもしれません。
各国
の
安全対策
を
我が国
の
原子力施設
に反映させるためにも、従来より
先進国
と
情報交換
を行っており、
フランス
と安全に関する
情報
の
交換
を行っていると聞いておりますが、この一九八五年に起きました
スーパーフェニックス事故
の
教訓
がなぜ生かされなかったのかということで大変残念でございます。その辺についての御
見解
をお聞きしたいと思います。
宮林正恭
20
○
政府委員
(
宮林正恭
君) 御
説明
させていただきます。
委員
御
指摘
の点につきましては、私どもも大変申しわけないことだと思っておりまして、これにつきまして十分
調査
を進めたいということでやつてきているわけでございますが、現在、私どもが存じているところでは、当庁でこの一九八五年七月に
発生
しました
ナトリウム漏えい
に関する
情報
については、その当時
情報
を入手していたという記録は見当たりません。 それから日仏規制
情報交換
、これは一九八八年が第一回でございましたが、その後第八回まで行われております。第九回もことし行ったわけでございますが、そういうふうな中で本件につきましての議論がされた、特に御
指摘
がございました
温度計
が振動するので短縮化したというようなことにつきましては、話題となっていないということでございます。 これにつきましては、九二年から九四年にかけまして行われました
ナトリウム火災
対策
につきましての
情報
を入手した際にも十分入手できていないというふうな
状況
にございまして、詳細が入手できたのは、ことし
動燃
が一月に、
事故
後にでございますが、現地に行かれたときに入手されたというふうに承知しております。当然、これにつきましてはある種の記述というのが当時記録の中であるわけでございますが、少なくともここまで詳細が判明する、注意を引くというような内容ではなかったということのようでございます。
河本三郎
21
○
河本三郎
君 済みません、聞き取りにくかったのでもう一度御答弁いただきたいんですけれども、話題になっていなかったとおっしゃいましたが、何が話題になっていなかったのですか。
宮林正恭
22
○
政府委員
(
宮林正恭
君) ちょっと
説明
が悪くて申しわけございません。 日仏規制
情報交換
におきまして、
温度計
の短縮化というふうな、まさに今回の
事故
の中身に関連しますような話題というのは出てきていないということでございます。
河本三郎
23
○
河本三郎
君 今御答弁された九六年の一月に入手してそれが初めてわかったと、こういうことでありますか。
宮林正恭
24
○
政府委員
(
宮林正恭
君) はい。
河本三郎
25
○
河本三郎
君 わかりました。
温度計
の
破損
に加えまして、今回の
事故
をこれほど拡大させた要因として運転マニュアル類の不備というものが
指摘
されます。 このマニュアルは、
報告書
にもしっかりと書いてございますが、概要、フローチャート、そして細目の三部構成から成っておりまして、今回の手動トリップ、すなわちエマージェンシーシャットダウンを行い得なかったのは、フローチャートを正しく理解しないまま細目に従って運転操作したことによるものということであります。 このエマージェンシーシャットダウンを行うか行わないかの選択判断というものは、
運転員
にとって心理的に極めて重い負担がかかると私は思います。しかし、原発という性格上、緊急時には
安全性
を最優先にした
対応
が重要であります。
運転員
に負担をかけないためにも、マニュアルというものは細部に至るまで整合性がとれたものでなければならないと考えております。このような配慮に欠けていたことは大変残念でありますが、今回の
教訓
を生かすためにも改めるべきものは改めるという姿勢が必要でありますが、マニュアルの改善について何かお考えがございますか。
宮林正恭
26
○
政府委員
(
宮林正恭
君) マニュアルの改善につきましては、まず運転マニュアルにつきましては、これまでは
政府
が特段の
報告
を受けるという形になっておりませんでした。しかしながら、やはり異常時のものにつきましては、これは安全上非常に重要であるという観点から、「
もんじゅ
」につきましては、これを
安全性
総点検の中で当庁としても
確認
をさせていただくというふうにしたいと思っております。 当然、マニュアル全体につきましては
動燃
において見直しをしていただく、見直しといいますか全体をチェックしていただくというふうに考えております。それからその際には、特に異常時の運転マニュアルにつきましては、緊急時に
運転員
に過度な負担がかからないようなシンプルかつ整合性のとれたものにするように十分指導していきたいと思っております。
河本三郎
27
○
河本三郎
君
温度計
の
設計
や今マニュアルの点についてお聞きをしましたが、
大臣
にお尋ねをいたします。
科学技術庁
として、「
もんじゅ
」の
安全性
確認
への取り組みに当たっての
大臣
のお考えなり御決意をお聞かせいただきたいと思います。
中川秀直
28
○
国務大臣
(
中川秀直
君) お答えの前に、先ほど阪神・
淡路大震災
について先生からお話がございましたが、震災直後はもとより、その後につきましてもまた新たな地域開発の観点から御提案も当庁にいただいておりますので、そういうようなことも鋭意
努力
をして、私ども全力を挙げてまいりますことをあらかじめ申し上げておきます。 お尋ねでございますが、
科学技術庁
という
政府
の立場からいたしましても、
安全確保
のための規制を行うという
責任
を持っておるわけでございます。そういう意味で、今回の
事故
については私どもも
責任
を感じ、そしてまた今後しっかりとした
対応
をしなきゃいかぬ、こう考えていることをまずもって申し上げておきます。 御
指摘
の点につきましては、先ほど来
局長
から申し上げておりますけれども、今後行われる
安全性
総点検の中におきまして、今回の
事故
にかんがみまして一段の
安全性
の
強化
を図るという観点から、
動燃
自身が行います施設、プラントに対する
安全性
及び今御
指摘
のあった保安規定やあるいはマニュアル類についても総点検を行わせるわけでありますが、それについて私どもの方も
安全性
総点検チームというものを設けまして、総点検の基本的な方針も
政府
の方から示し、また必要に応じて現場でもきちんと総点検の実施について
確認
をし、また総点検の結果についてもそれが妥当であるかどうか、また具体的な
改善策
についてもそれが妥当であるかどうか十分
検討
、
確認
をすることにいたしております。 また、そういう総点検の結果につきましても、一層の
情報公開
という観点から、
地元
の
皆様
や
国民
の
皆様
にしっかりと結果を公表して、失われた
信頼
あるいはまた理解というものを回復するために全力を挙げてまいりたい、このように考えております。
河本三郎
29
○
河本三郎
君
大臣
、ありがとうございました。 「
もんじゅ
」の
安全確保
対策
について質問をしてまいりましたが、
原子力
の一般的な考え、取り組みの原点というものについて少し御質問をさせていただきたいと思います。 世界の人口を考えますと、現在約五十七億人の世界の人口が今後爆発的に増加するということが予想されておるわけで、二〇二五年には約八十五億人、二〇五〇年には約百億人に達すると言われております中で、世界のエネルギーの消費は、開発途上国の人口増加や経済発展に伴って急激に増加すると見込まれております。開発途上国も
先進国
と同様、経済発展というものを求める権利がありまして、我々が幾ら省エネルギー政策を進めても、世界的に見ればエネルギー消費が今後とも増加するということは当然でございます。 一方、化石燃料の可採年数といいますものは石油が約四十年、石炭でも二百年と言われております。しかし、これは現在の消費レベルであればと仮定した年数でありまして、今申し上げましたように世界のエネルギー消費が増加すればさらに短くなるわけであります。その
状況
の中で、資源に乏しい日本が将来にわたって安定して発展していくにはエネルギーの安定
確保
が必要不可欠であると私は確信しております。 そこで、
原子力行政
でありますが、
原子力
は供給安定や経済性にすぐれるほか、発電の過程で地球温暖化の
原因
であると言われますCO2、二酸化炭素を
発生
しないために環境問題の解決に大きく貢献をするという特徴があり、既に
我が国
では総発電電力の約三割を担っているということであります。しかし、この
原子力
も燃料としているウランは有限でありまして、その可採年数は四十年程度と言われております。したがって、軽水炉で一回だけ使用して廃棄する方式を今後採用している限り、ほかのエネルギーと同様の運命をたどるということであります。
原子力
が本来持っている性能、特徴を最大限に生かすために、使用済み燃料を再処理して再び燃料として使用する
核燃料
リサイクルを確立することが重要であると考えております。特に、発電をしながら消費したそれ以上の燃料を生み出すことができる高速増殖炉を中心とした
核燃料
リサイクルによるウランの利用効率は飛躍的に向上し、今申し上げました可採年数が四十年程度と言われておりますこの資源量を千年以上にすることができると、このようにお聞きしております。 今回の「
もんじゅ
」の
事故
によって
国民
全体に
原子力
に対する
不安感
、
不信感
を与えてしまったことは大変残念であります。今後の
原子力
開発をさらに円滑に進めていくために、
事故
原因
の
究明
、万全の
安全対策
を講じるということが重要であります。
報告書
に記載された
対応
及び
改善策
を早急に実施していただきたい、このように思っております。
動燃
の
近藤理事長
にその辺の御決意をお聞きしたいと思います。 そこで、
技術
的な面での
安全対策
と同様、社会的な
信頼
を維持していくということも重要でございます。そして、そのためには
情報公開
を初め、日ごろから
地元
や
国民
の理解を得るということが極めて重要でございます。
動燃
の
技術
者の
方々
に大変な御苦労をいただいているわけでございますが、
地元
の理解を得るための配慮に欠ける点があったと言えるかもしれません。そして、今回のビデオを隠したという問題についても、
事故
後の
動燃
の
対応
というものが不適切であったということは否めません。これを反省して徹底的に改めるべきだと私は思います。 今回、
動燃
の
理事長
になられた
近藤理事長
、今回の「
もんじゅ
」の
事故
、そして
動燃
における
対応
等を客観的にごらんになってこられて、さまざまなお考え、感想をお持ちだと思いますが、この際、新
理事長
としてどのような
対応
をしていくのか、その御決意をお聞かせいただきたいと思います。
近藤俊幸
30
○
参考人
(
近藤俊幸
君) 「
もんじゅ
」の
事故
によりまして、
地元
を初めとして
国民
の
皆様
の
動燃
に対する
技術
的
信頼
と社会的信用を失いまして、先生から今御
指摘
ございましたように不信と不安を与えたこと、これを深く反省しております。 現在、「
もんじゅ
」につきましては徹底した
原因究明
を行っているところでございますが、これらの
信頼
回復に向けていくに当たりまして、私は、次の三つの基本方針で取り組んでまいりたいと思っております。
一つ
は、安全に徹した
動燃
にしたいと思っております。プルトニウム等の核物質を取り扱う事業団として、放射線安全並びに核不拡散に対する取り組みはもちろんのこと、
ナトリウム
技術
を初めとする施設全般の
安全確保
についての取り組みを
強化
してまいりたい。この機会に、より
安全性
を高めるために、
設計
やその基本的な
考え方
などを根源に立ち返って見直し、総点検を行い、
一つ
一つ
確実に対処していく所存でございます。
二つ目
は、開かれた
動燃
にしたいということでございます。その趣旨は先ほど先生がおっしゃられたとおりでございまして、
地元
を初め
国民
の
皆様
の理解と
信頼
、また今日では国内だけではなくて国際的にも理解を得ることが大事な時代になっております。このためには徹底した
情報公開
が不可欠であると
認識
しております。そういう意味で開かれた
動燃
にしていきたいと思っております。 それから、三つ目には
地元
重視の
動燃
にしたい、これも先生御
指摘
のとおりでございます。プルトニウムを扱う施設など、社会的に危険視されておりますこの施設を受け入れていただいている
地元
を重視して、
地元
の声をよく聞いて事業を推進するということが非常に重要なことだと思います。地域の
方々
に
安心感
を持って事業団を受け入れてくださるよう
努力
していきたい、こう思っております。 安全に徹した
動燃
、開かれた
動燃
、
地元
重視の
動燃
という方向で取り組んでいきたい、こう思っております。
河本三郎
31
○
河本三郎
君 ありがとうございました。 次に、
原子力
政策円卓会議が既に四回開催されているということでございますが、特に福島、新潟、福井の三県の知事から、
原子力
政策に関する
国民
的合意形成に向けた国のより一層の
努力
を求める強い要望が出されております。それに対して現在、
原子力
委員会
、
原子力
政策円卓会議を開催するなど、国としても大変
努力
を始めているという
報告
を受けておりますが、
大臣
、これまでの円卓会議の御感想をお聞かせいただきたいと思います。
中川秀直
32
○
国務大臣
(
中川秀直
君) 円卓会議は、今回の「
もんじゅ
」の
事故
を契機といたしまして、
国民
的な
原子力
政策に対する共通の
認識
あるいは合意といったようなものを形成すべきである、それについて国や
原子力
委員会
が一層前面に出て
努力
をしなきゃいかぬ、こういういろいろな各界各層の御意見、特に三県知事の御提言等ございまして設けさせていただいたものでございます。 まずスタンスとしては、先に一定の結論を持ってやることではない、それから一定期限をつけてやるものでもない。
原子力
委員会
が行うそういう合意形成の
努力
、共通
認識
形成の
努力
というものは不断にやっていかなきゃいかぬ、いつもやっていかなきゃいかぬ、そういう意味で常設というような気持ちでこれに臨ませていただこう。そして、常にプレスにもまた一般にも
公開
をして開かれた場でやっていこう。また、各界各層の
方々
に出ていただこうということで、推進派のお立場の
方々
もあるいは批判的なお立場の
方々
も公平に御
出席
をいただく。運営もモデレーターという第三者にお願いをする。そんな形で進めさせていただいたところでございます。 私も、この重要性にかんがみまして、四回、国会、公務の都合で短い時間しか出られなかったときもございますが、たとえ短い時間であろうとも毎回必ず出ようということで
出席
させていただいたところでございます。 今までの第四回までの会議は、まさに幅広い立場の
方々
から御
出席
をいただきましてさまざまな観点からの御議論をいただきました。ある意味では非常に自由闊達に行われたという感じがいたします。ただ、まず四回までは特定の分野に議題を特定せず、もうどんな議題でも出していただこう、こういうことで臨ませていただいたために、大体四時間、場合によっては五時間というような長い時間やらせていただくのでございますけれども、一人七分、十分御意見を出していただきましてもすぐ二時間あるいは三時間かかってしまいまして、自由な討論という時間が十分とれなかった。それでも四回目は二時間以上ディスカッションの時間をとることができましたが、そのようなこともございました。 これから五回目以降は、そういう意味で過去四回出された極めて重要な有益な御意見、それぞれのお立場の御意見で大体このくらいの議論の幅があるなということはわかってまいりましたので、多数伺った有益な御意見をこれからは議題として、その中から抽出された課題あるいは
問題点
という形で整理をさせていただいて、第五回目以降は分野を設定して集中的な議論をしていただこう、こう考えております。現在、その具体的な分野の絞り込みについてモデレーター、進行役でございますけれども、その諸先生方に御相談をいただいているところでございます。 先ほど
委員
御
指摘
のエネルギー
見通し
の議論も、それは当然やはりあらゆるデータ、
行政
側が出しているデータだけではなくて、そうでない、こういうデータもあるということも幅広く提出をいたしまして、そういう御議論もいただかなければならぬと思っております。 いずれにしても、これは電源立地地域の住民の問題だけでは決してございません。
国民
一人一人がみずからの問題として考えなければならない問題だと思っております。そういう意味で、幅広い議題を幾つかの分野に設定しまして、その分野についてまた幅広く御議論をいただいていこう、こう思っております。 今と未来、次の世代のことも考えなければなりません。そして、
委員
御
指摘
のように、日本のみならず世界のことを考えなければなりません。何よりも
安全確保
を考えなければなりません。 しかし、その安全の中にも
技術
的な安全、例えば
原子力
発電あるいは
原子力
開発というものは潜在的に危険性は持っておるわけです。それを
技術
的なあらゆる
努力
を通じて、放射能被害、災害を起こさないということで抑え込むというのが宿命的にこの
原子力
開発に課せられたものでございます。そういう意味での安全を
確保
するというのが多重防護という
考え方
で、
技術
的安全でございます。 他方、立地地域初め市民が求めている安全というのはさらにもう少し幅の広いものでございまして、やはり社会的な安心というものも含み、そしてでき得べくばすべての故障、すべての
事故
というものをなくせ、放射能災害が起きなくてもそういうものもあってはならぬと、そういう要求をしているというのが社会的安全ということではないか。その溝を本当に懸命に埋めていかなきゃならぬというのが我々の
努力
だろう、こう思っております。 そういう安全をまず
確保
するということ、同時にまた、二十一世紀に向かって地球環境を
確保
するということ、またコスト、暮らしという問題もございます。 以上申し上げました、今、未来、日本と世界、安全、環境、暮らし、そしてエネルギー、こういった問題について
一つ
の共通
認識
をみんなが自分の内側の問題として考えてつくっていくというのがこの円卓会議の目標だ、このように考えておるところでございます。
河本三郎
33
○
河本三郎
君
最後
に、
大臣
の
原子力
政策に関する御決意をお聞きしたい、このように思いましたが、今の御答弁の中で十分に私も理解できた点がございますので、その点は省略させていただきたいと思います。 きょうは、
問題点
が余り整理できずに質問に立たせていただきましていろいろ御迷惑をかけましたが、これで私の質問を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。
山崎力
34
○山崎力君 平成会の山崎でございます。多岐にわたる質問をさせていただきたいと思います。御答弁は簡潔にお願いしたいと思います。 今回の
事故
は、単純に言えば
温度計
の
設計
の
ミス
であった。それが巨大なああいう「
もんじゅ
」というものをストップさせ、あるいは
動燃
という組織全体の評価を揺るがし、そして
我が国
の
原子力
政策自体にも将来的に大きな
影響
を与える
事故
になってしまった。これは、ほかの
原子力
発電所の美浜の細管破断あるいはそういった別のところという、いわば巨大精密機械ともいえる原子炉
関係
において、一部品がその全体を破壊してしまうといいますかストップさせてしまうというものの
一つ
の典型だろうと思うんです。 そういった観点から、まずこの
温度計
の
設計
ミス
の
原因究明
についてどの範囲まで
調査
なさったのか。具体的に言えば、最終的な
設計
者、個人なのかあるいはチームなのか、その点検をする、クロスチェックをするチーム、そういったものについてどういった人がどういう
調査
をしたのかという点まで
調査
なさったのか、まずお伺いしたいと思います。
宮林正恭
35
○
政府委員
(
宮林正恭
君) 本
報告書
の作成に当たりましては、二次系の
温度計
さや
の
設計
、製作、施工を行いました石川島播磨重工に対して聴取を行っております。
設計
をしましたのは石川島播磨重工でございますが、
動燃
、それからまず一次的なコントラクターでございました東芝についても当然聴取をしているところでございます。それで、具体的には担当部署、東芝の場合は
動力炉
開発部、それから石川島播磨重工につきましては
原子力
事業部の
責任
者から直接聴取するという形をとっております。
山崎力
36
○山崎力君 ということは、具体的にだれが
設計
したかという固有名詞のところまでは
調査
なさっていないということでございますか。
宮林正恭
37
○
政府委員
(
宮林正恭
君) その点につきましては、個人名あるいはその直接の担当者までは聴取を行っておりません。
中野啓昌
38
○
参考人
(
中野
啓昌
君) ただいまの
調査
の範囲につきまして、
動燃
でも実施いたしましたので先生の御質問にお答えさせていただきたいと存じます。
動燃
で実施いたしました
調査
の範囲、
原因究明
といたしましては、今、
局長
からもございましたけれども、
設計
関係者
に関連しましては会社名、部署名、それから内容につきましては
設計
の経緯、
設計
の
考え方
、
設計
時に行われました評価、こういったものを調べております。 また、製作、加工、施工法に関しましては、使用された材料、それから加工、施工法の
調査
も行っております。 つくられた後の検査についてでございますけれども、検査が仕様どおりに行われたかどうか、こういったことの検査、それから流力振動による高
サイクル疲労
調査
も実施いたしております。そのほか
破損
さや
管の
調査
等々も行っておりまして、今、先生御
指摘
の末端まで調べたのかということでございますが、末端の最終的にそれを加工したメーカーまで調べてございます。
山崎力
39
○山崎力君 私がそういう細かい点にこだわるのは、こういった場合
一つ
の組織の問題として、何というんでしょうか、対外的なエクスキューズといいますか、そういうものの整合性を持たせるために、どこで本当に
ミス
があったのか、例えば
設計
した人が一人だったのかチームだったのか、そういう
ミス
があった場合にバックアップする
体制
がその部署にあったのかなかったのか、そういったことが固有名詞まで調べませんとわからないのではないかという問題意識を持っているからでございます。 それが、会社の部署は聞いた、そこからこういう経過であったということを聞いたということはもちろん大切なことでございますけれども、向こう側からの経過
説明
の中に自分たちの
ミス
を覆い隠すような、単純なところを本当にたった一人の
設計
者の文献の読み
ミス
でこういったものが
最後
までまかり通ったのかどうかということは、私に言わせれば、その個人まで確かめないと本当のところはわからないんじゃないかという気がするんですが、その点いかがでございましょうか。
中野啓昌
40
○
参考人
(
中野
啓昌
君) 先生のおっしゃるように、やはりプロジェクト自体が非常に大きいものでございますから、末端まで
一つ
一つ
さかのぼって調べていかないとわからないものと思っております。また、そういう
考え方
から、先ほど申し上げましたように末端まで
調査
いたしました。
山崎力
41
○山崎力君 ちょっと最初の安全
局長
の
説明
と違ったような御答弁だと思うんですが、いわゆる科技庁側はそういったところまではいかなかったけれども、
動燃
さんとしてはそこまでちゃんと調べましたという意味合いで受け取ってよろしいんでございましょうか。
宮林正恭
42
○
政府委員
(
宮林正恭
君) そのあたりのところにつきましては、私どもは
動燃
の方から聞いておりまして、
設計
をいたしましたのはチームでございまして、課長、主務、それから担当という直接的には四名の方が参加をされた。実際に実務を担当された方は担当のお二人で、それを主務、それから課長というふうにチェックをしていかれた、こういうふうに聞いております。
山崎力
43
○山崎力君 そういった点が、残念なことですが、しなくても済めばいいわけですけれども、やはりそこまでやらなければいけない問題だろうと思っておりますので、今後ともその辺の個々それぞれの問題についてやっていただきたいと思います。 そして、次の
段階
として、この
温度計
の
設計
について科技庁は
審査
の対象としていなかったということでございます。その理由。あるいは、次に当然の連想として出てきますのは、
温度計
以外の部材、部品についても
審査
の対象外になっているものがあるんではないか。特に今回の
ナトリウム
に関しては、一次系、二次系含めた配管類に取りつけられているそういった機器について
審査
の対象外というものがほかにもあるんではないか、それは大丈夫なのかという疑問が出てくるわけですが、その辺のところはいかがでございましょうか。
宮林正恭
44
○
政府委員
(
宮林正恭
君) 国の
審査
におきましては、原子炉等規制法に基づきまして災害を防止する、すなわち一般公衆の安全を
確保
するという観点から必要なものについて
審査
を行うということにしております。 御
指摘
の
温度計
につきましては安全
審査
の対象とはいたしておりませんで、
動燃
の
自主保安
によって
安全性
を
確認
するということにいたしておりました。これにつきましては、
報告書
でも述べておりますけれども、今後は
科学技術庁
が
審査
、検査を行うということにいたしております。 それから、御質問のございました点につきましては、
温度計
の
さや
管以外のものにつきましては、
審査
の対象となっていないものといたしまして、例えば配管についております流量計、それから圧力計といった計装品、これらにつきましては、この
構造
というものにつきましては
審査
をするという形になっておりません。それで、
審査
の中身といたしましては、性能及び数といいますか、員数と言っておりますが、そういうものを
確認
する。これは先ほど申し上げました災害の防止をするという観点からそういうふうなことのチェックをしているわけでございます。 それから、あと主配管に接続がされておりますベント管、枝管でございますが、こういうものにつきましては、この主配管と接続をされております
部分
の溶接、こういうものについてはチェックをいたしておりますが、そのあと、ベント管の先端の方に至りますと、必ずしもすべてチェックをする、こういうふうな形はとっておりません。 今回の「
もんじゅ
」の
事故
と同じようなことが起こるのではないかという心配があるという御
指摘
でございますが、これにつきましては今後「
もんじゅ
」の
安全性
総点検をやる、こういうふうなことにいたしておるわけでございまして、その中で十分「
もんじゅ
」のシステム全体の
安全性
を
確認
していくということにしたいと思っております。 その中で、
審査
なり検査を
政府
としてやる必要がある、こういうふうなものが出てまいりますれば、当然そういうふうな
対応
をさせていただくというふうにしていきたい、こういうふうに考えているところでございます。
山崎力
45
○山崎力君 やはり
さや
管
一つ
の欠損がこういう
事故
になったということを考えれば、ほかの機器についても強度的に大丈夫なのかということは、今度動かしました、次は流量計が折れてそこから漏れましたというのでは、これはもう話にもならぬわけでございますので、
皆様
方釈迦に説法だと思いますけれども、その辺の再点検、念には念を入れてやっていただきたいと思います。 続いて、そういった全体の
設計
・工事方法の認可、
審査
、そういったことは科技庁の所管としてやられているわけです。例えばもう全体的な問題、強度計算その他のことをやられていると思うんですが、その場合のクロスチェックといいますか、これは
動燃
さんの方との絡みもあるんですが、そういったものをどうやって計算して大丈夫だよということを担保しているのかという点についてはどういうふうな形になっておりますでしょうか。
宮林正恭
46
○
政府委員
(
宮林正恭
君) 今回の
温度計
につきましては
審査
をいたしておりませんので、一般的な
考え方
ということで御
説明
させていただきたいと思います。 まずクロスチェックでございますが、
行政
庁が
審査
をいたします際には、必要に応じて傘下にございます日本
原子力
研究所、こういうところなどにお願いをして、あるいはそれ以外の機関ということもございますけれども、いろいろとコンピューターでチェックをしていただくというふうなことなどをやっております。 それからまた、いわゆるダブルチェックというシステムによりまして、
原子力安全委員会
におかれましては
政府
のやりました
行政
庁
審査
の中身についてもう一度チェックをされるというふうな
構造
になっております。
山崎力
47
○山崎力君
動燃
の
方々
にお伺いしたいんですが、今回の
報告書
では一義的な
責任
は
動燃
にありますというふうな形になっておると受けとめております。 それで、中間
報告書
が出ているわけですが、そのことについて
動燃
として一義的な
責任
、当然いろいろお感じになっていると思いますが、その辺についての御所見を簡潔にお伺いしたいのと、それから、
動燃
として
動燃
内部の反省を踏まえた
報告書
をつくるお考えがあるのかどうかということをお伺いしたいと思います。
近藤俊幸
48
○
参考人
(
近藤俊幸
君)
動燃
は「
もんじゅ
」の設置者でありますので、
設計
から施工、保守に至るまで
責任
があると考えております。今回の
事故
については重く受けとめております。 それから、
動燃
としての
報告書
でございますが、せんだって六月七日にやりました再現
実験
等を今
解析
中でございますので、そういうものも含めて
報告
したいと思っておりますので、まだ時間をいただきたいと思っております。
山崎力
49
○山崎力君 私がこの問題で
一つ
ひっかかっているといいますか、今回の
動燃
さんの
対応
の中で、残念なことに唯一の犠牲者が
動燃
から出られた。しかも、それは今回の
事故
に直接
関係
している部署の方が
責任
を感じてという形ではなかったということがございます。そういう
動燃
の
報告書
といったたぐいのものを出されるとした場合、その犠牲者の、自殺された方の理由、
原因
、そういったものも調べなければ
動燃
の体質をみずから点検するということにならないのではないかというふうな意識を持っておるんですが、その辺についての
調査
をなされておりますでしょうか。また、その辺を
報告書
の形で公表するお考えがありますでしょうか。
中野啓昌
50
○
参考人
(
中野
啓昌
君) お答えいたします。 大変残念なことに西村次長を失ったわけでございますが、私どもとしましては職制を通じまして、人事部を中心にして彼の死に至った
原因
を
調査
いたしております。 ただ、御案内のように、この趣旨の
原因
といいますのはかなりプライバシーに関連した事項が多うございますので、今先生の御質問にございました
報告書
の中にどういう形で入れるかということについては、十分
検討
して考えたいというふうに思っております。
山崎力
51
○山崎力君 プライバシーの点は当然でございますけれども、いわゆる
動燃
の組織として彼の死に与えた
影響
のある
部分
があれば、その辺のところは最低限明らかにしていただきたいと御要望申し上げます。 続きまして、
原子力安全委員会
の方に質問を移らせていただきますが、
原子力安全委員会
はどのような
役割
と権限を持っているのか、そしてそれに伴う
責任
はどういうものであるのか。特に、安全
審査
についてはどのような形に置かれているのかということを御
説明
願いたいと思います。
都甲泰正
52
○
説明員
(都甲泰正君) お答えいたします。
原子力安全委員会
の
役割
は、
原子力
基本法等に基づきまして、
安全確保
のための規制政策、それから
核燃料
物質及び原子炉の安全規制、さらには
原子力
利用に伴う障害防止の基本等に関しまして「企画し、審議し、及び決定する」こととなっております。 また、
行政
庁が
原子炉施設
の設置許可等を行う場合には、原子炉等規制法に基づきまして、
原子力安全委員会
の意見を聞きましてこれを尊重することとされております。 これらに基づきまして、所掌する
行政
庁におきまして
原子炉施設
の設置許可等に関する安全
審査
が行われました後に、
原子力安全委員会
がその
審査
の内容について、必要な
技術
的能力があること及び災害の防止上支障がないことについての
基準
の適用が妥当であるか否かということに関しまして、客観的な立場からダブルチェックを行っているところでございます。 また、設置許可に関する答申に際しましては、必要に応じまして、原子炉等規制法に基づいて
行政
庁の行う
設計
及び工事の方法の認可あるいは電気事業法に基づいて
行政
庁が行う工事計画の認可以降の
段階
で特に留意すべき重要事項を摘出いたしまして、その処理方針について
行政
庁より
報告
を受け、
審査
をしておるところでございます。
山崎力
53
○山崎力君 そういった概括的なお仕事の中で二点お伺いしたいと思うんですが、一点は、今回の「
もんじゅ
」の
事故
防止という点から
原子力安全委員会
として反省すべき点はなかったのかどうか。
原子力安全委員会
の仕事の内容から見て、ここを注意していれば
さや
管その他あるいはマニュアルの面で改善の余地があったのではなかったかという点が一点でございます。 それから、こういう全体的な安全
審査
の中で、これはちょっと発想が飛ぶんですが、先ほどの
河本
先生の中にもありましたけれども、いわゆる阪神・
淡路大震災
のときのように想定が、前提が狂っていた場合、例えば震度六しか来ないだろうと言っていたのが七来てしまった。こういった場合のチェックというものは、これは具体的なものをやる人たちにとっては不可能なわけでございます。そういった根本的な計数の定め方、そういった点で安全
委員会
というものの
役割
は非常に大きいと思うんですが、そういういわゆる
事故
想定といったものについての
考え方
が今回の「
もんじゅ
」その他について変わってきている
部分
があるのかどうか、お伺いしたいと思います。
都甲泰正
54
○
説明員
(都甲泰正君) 最初の御質問でございますが、今回の「
もんじゅ
」
事故
にかんがみまして、安全
審査
のやり方その他について反映すべきところはないかという御趣旨かと思うのでございますが、この点に関しましては、現在「
もんじゅ
」
事故
調査
を行っております
原子力安全委員会
のワーキンググループといたしましても、その点を含めまして現在
検討
を進めていただいておるところでございます。 また、
原子力安全委員会
といたしましても、特に
研究開発段階
の
原子力施設
の
安全確保
に関しまして、安全
審査
でございますとかそれに続く後続の安全規制
段階
、その他いろいろな
安全確保
の方策全般につきまして現在
検討
を行っておるところでございまして、今後、これらいろいろな
調査
活動の結論を得た上で、安全
委員会
として最終的な
見解
をお示ししたいと考えておるところでございます。 それから、第二番目の御質問の
事故
想定が妥当であったかどうかという御質問に関しましても、これは「
もんじゅ
」の安全
審査
段階
のときの
事故
想定が妥当であったかどうかという御質問の御趣旨かと思いますが、今回の大洗におきます
実験
結果あるいはこの「
もんじゅ
」の
事故
の
原因
調査
等を踏まえまして、これも同じく今後
検討
を続けてまいりたいと思っておるところでございます。
山崎力
55
○山崎力君
最終報告
にそういった形のものを明確な形でお示し願いたいと希望申し上げます。 ところで、今回の問題というのは、私個人の発想だけではないと思うんです。昨年来、阪神大震災で、例えば高速道路のあれが落ちる、新幹線は幸い通っていなかったからいいようなものですけれども橋脚が落ちる、あるいは大丈夫と思われていたビルが使い物にならなくなる。あるいはエイズの問題で、これを使えば死人がかなりの確度で出るであろうという薬剤を長期間
行政
が放置していたという結果を招いている。そして、今度の「
もんじゅ
」の
事故
もそういうことだろうと思うんですが、いわゆる科学
技術
と申しましょうか自然科学の分野において、そういったものを知っている人、ハンドリングできる人というのは一般的に限られる、専門知識を有するという問題があろうかと思うんです。 一般の文科系の大学あるいはそういったものをやってこられた方が、
行政
庁としてそういった専門知識をどう
国民
に対して使っていくのか、システムをどう構築していくのかということが、そういった関連の
行政
庁としては非常に大切なことではないかと私自身思っております。 それが破綻を来したのがある意味ではこの三つの例ではないだろうか。これは、これからの科学の時代、科技庁全体の
行政
の中でいつも振り返らなければならない問題でもあろうかと私自身は思っております。そうした中での
行政
の仕組みというものが、今回の科技庁においては「
もんじゅ
」の
事故
に
対応
してどのように再点検あるいは再構築していかなきゃいかぬのかということを考えているわけですけれども、その辺に関する
大臣
の御所見を伺いたいと思います。
中川秀直
56
○
国務大臣
(
中川秀直
君) 先ほど来、御
質疑
を賜っておりますけれども、「
もんじゅ
」の
安全確保
についての
設計
、施工、運転、保守等すべてにおいて、まず第一義的な
安全確保
の
責任
というものは、これは原子炉設置者である
動燃
の
責任
というふうに法律上もなっておるわけでございます。 また、国の方は、それに対して災害を防止する、公衆の安全を
確保
するという観点から所要の規制を実施する、安全規制をする
責任
を持っておるわけであります。その国の方にも
行政
庁としての科技庁、そしてまた独立した第三者機関としての安全
委員会
、この両方がダブルチェックをしながらやっていくという
体制
になっているわけでございます。 また、こういう施設をつくるメーカーあるいは建設会社等々も、これは発注者である
動燃
の監督下において機器、設備の
設計
、製作、施工、保守等を厳正に実施していく
責任
がある、このように考えております。 こういった国や
動燃
、メーカー、それぞれがみずからの
責任
を果たしていくと、それがすべて一〇〇%あらゆる
努力
を加えてなされまして初めて安全が
確保
されるシステムだ、こう言えると思うのでございますが、今回の
事故
を顧みて、このシステム全体、これまでの
体制
、やり方が本当に十分であったかということを顧みてみますと、やはり十分な点でなかったという点もある、このように私たちは謙虚に真摯に受けとめていかなきゃいかぬと思います。 そこで、この
事故
を
教訓
として一層もっと実効性のあるいろいろなことをしなきゃいけないということで、私どももまた安全
委員会
におかれても御
検討
いただいているんだろうと思いますし、私どもは何よりもまずその
責任
を感じなきゃいかぬと思っております。
動燃
においても
自主保安
あるいは品質保証活動等々において一層
責任
を感じて今お取り組みをいただいていると思います。私ども自身も、
安全性
総点検の中で設備あるいは保安規定、マニュアルについても今後は
審査
の対象に拡充をしてまいりたいと思いますし、また、そのようなことを通じまして、より適切な
安全確保
に努めてまいりたい。
最後
に申し上げますが、私は、放射能災害を起こさないという点においては、
我が国
の
原子力
関係者
の今日までの
努力
はある一定の評価は与えられていいと思います。しかし、それにふさわしい市民からの理解、
国民
からの理解が得られているかというと必ずしもそうではないと思います。それは、やはり今
委員
いろいろな他のことについてもお触れになりましたが、一層透明性を高めていく、そしてわかりやすく、そして正確に御
説明
をして御理解を得るという
努力
が欠けていたからではないか、このように考えております。
山崎力
57
○山崎力君 御答弁のとおりのことであろうと思います。特に民主主義的な
行政
においては、その権限と
責任
の所在の明確化が必要であるという点と、その政策決定の過程が透明性を保っているということが一番の問題であろうと私自身思っております。 いろいろな訴訟も起きております。その中で
関係者
が言っているのは、決定後の数字は出てくるけれども、その数字がどういう計算式に基づいて出てきたのかというところがどうも我々に明らかになっていないという不満も聞かれております。もちろんパテントとかあるいは安全保障上の問題で明らかにできない
部分
はあるかもしれませんけれども、逆に言えば、そういった点を
指摘
することによってオープンにできないということも私は
情報開示
の
一つ
の
あり方
ではないかと思っております。 次に移りますが、これは
最終報告
書、先ほど
河本
先生の方からもありまして、まだ時期は決まっていないということでございますが、私どもの感覚からすれば、
最終報告
に基づいて対処が決まるとなれば、当然八月の概算要求には間に合わぬと、その
報告書
が出ない
段階
での対処方針は出ないわけでしょうから。そうすると、再来年度、十年度の予算にこういったものの対処方針が出てくるのかなというふうな感じでおります。 その点について、
さや
管一本でこれだけの巨大なシステムがストップしている
状況
で、非常に言いにくいことですけれども、その
影響
というものは金額的に見れば莫大な損害を
動燃
さんに与えている、あるいは
動燃
さんは
国民
に対して損害を与えているということになっております。
最終報告
が出るからこれはまだ別として、その費用の負担について、例えば
動燃
さんはその製造者あるいは契約者に対して損害賠償をするお気持ちがあるのかどうか、その点を確かめたいと思います。
中野啓昌
58
○
参考人
(
中野
啓昌
君) 先生お尋ねの、今回の
事故
に関連してメーカーに損害賠償する気があるのかどうかというお尋ねかと存じます。 先生も御案内かと思いますが、最近の新聞に出ておりましたけれども、メーカーは
さや
管に対する
ナトリウム
の流れによる振動及び応力集中を回避することができなかった
温度計
の
設計
に問題があった、メーカーの
設計
上の
ミス
であったということを認めております。 こういうことを前提にいたしまして、現在、
原因究明
で残されました
部分
を私ども解明を進めるとともに、現場ではいわゆる
ナトリウム
漏れによって、
ナトリウム
のエアロゾルによって機器類がいろいろ
影響
を受けておるわけでございます。そういった
影響
調査
を進めている
段階
でございまして、
責任
分担等につきましては、これらの解明、
調査
がなされてから総合的に判断されていくのかなというふうに考えております。 したがいまして、損害の賠償をメーカーに求める
措置
につきましては、それらの解明が済んだところで協議していきたいと思っております。
山崎力
59
○山崎力君 その損害の程度というのをどこまで見積もるかということは、これまた
技術
的な問題であろうかと思います。 ただし、少なくともメーカー、製造者、
設計
者、これがどういった形になるか、東芝さんなのか石播さんなのか、その辺は別といたしまして、
動燃
が頼んだ部品の
設計
ミス
によって事業に重大な
影響
が出た。またその部品を使ったものがもう使えない。その損害によってほかの機器類にも
影響
が出た。単純に考えても、それの取りかえ費用だけでも膨大な金額になるということは想定つくわけでございます。 それと同時に、算定不能なものとして、このプルトニウムを利用する高速増殖炉の計画自体が年の単位でおくれたということに対する人件費とか将来への
影響
ということを考えると、まさにそれは算定不能な額になろうかと思うのでございます。 納税者サイドから見ますと、
動燃
さんの事業主体というのはほとんど税金だというふうに私どもは理解しております。ということは、今回の損害は少なくともメーカーかあるいは
国民
の税金かで賄われなければならないということが現実かと思います。 その点について、再度でございますけれども、確かに損害賠償をするとすればその金額の特定、そしてその理由というものを明らかにしなければ裁判にはならないと思いますけれども、現実に今そういったものでこれだけは最低限問題があるというふうなところということの
問題点
。言い方がまずかったと思いますけれども、少なくとも
動燃
がクロスチェックを怠ったことによる
動燃
側の過失というものと、それからつくったという製造者、メーカー側の過失というものとの
関係
をどういうふうに考えておるのかということで訴訟自体が変わってくると思いますけれども、その辺についてはいかがでございましょうか。
中野啓昌
60
○
参考人
(
中野
啓昌
君) その辺につきましても今
原因
を
調査
している中で、メーカーとの間でどの
段階
でクロスチェックを怠ったのかということも再
確認
しつつ話を進めていきたいというふうに思っております。
山崎力
61
○山崎力君 お金の問題ばかりで非常に恐縮なんですけれども、これは、こういった物事に対する将来の科学
技術
、あるいはそういったものの
事故
のリカバリーについてかなり大きな問題になろうかと思いますので、その先例という意味からも、
国民
の側に対してその辺の事情を明らかにしていくという態度をこれからも続けていただきたいと思うわけでございます。 そういった点から見ますと、この「
もんじゅ
」の
安全対策
全体、あるいは運転再開をするための必要な経費、こういったものは私どもからすれば一民間企業が負担するような、幾ら巨大な民間企業であれその一社ですべてを賄えるような金額ではないというふうに私は想像しております。ということは、この「
もんじゅ
」再開が、
原因究明
が明らかになりあるいは民間会社の負担割合が明らかになった後でも、国として科技庁として、
国民
に対してこれだけの予算をお願いしたいという
事態
が、恐らく長官在任中ではないと思いますけれども、出てくると。そういったときに、この
事故
の
原因
調査
をやっているときの担当
大臣
として長官がどのように引き継いでいくかということが役所として重要だろうと思うんですが、その辺の
考え方
を
大臣
、
最後
にお聞かせ願いたいと思います。 それからもう
一つ
、先輩政治家に対しての質問として、こういった
技術
者あるいは科学
技術
という将来の日本を変えるかもしらぬ、あるいはどういうふうになるかもしらぬという、何というんでしょうか、未知の世界の問題に対して、政治家として
国民
を代表してどう監督といいますか指導していくかといったことは極めて重大な我々の課題だろうと思っておるんですけれども、その辺についての御所見もお答え願いまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
中川秀直
62
○
国務大臣
(
中川秀直
君) 第一点のお尋ねでございますが、これも確かに先ほど来
委員
みずから御
指摘
をいただきましたけれども、今私どもが置かれている
状況
というものは、今回の
事故
の
原因究明
を徹底させるということ、そこから何が必要かということをまずデスクワークではございますけれども明らかにして摘出をする。そして、まず
地元
の
方々
を初めとした
国民
の
皆様
に経費の問題は別として安心していただける
状況
をつくり出していく。その
段階
で初めて高速増殖炉の議論を、今円卓会議等でもエネルギーの問題あるいはまた安全、環境の問題、すべてもろもろを含んで御議論をいただいている、そんな御議論を踏まえながら、初めて運転再開の議論がその
段階
から始めさせていただけるということで、今直ちにそういう議論を前提とした予算の編成とか要求とかいうことはなかなかできることではない、このように思っております。 平成八年度予算、実は
政府
案ができますときは
事故
の直後でございましたが、その
段階
におきましても、この八年度予算でも
事故
が起きた直後、わずか一カ月もなかったわけでございますけれども、その辺多少調整をしたようでございます。 平成九年度予算の要求等あるいはまた編成等に当たりましても、まだ方針は未定でございますけれども、いずれ、この
調査
に必要な経費というのはあると思いますし、
実験
等に必要な経費もあると思います。あるいはまた、それとは別に現にプラントは存在するわけで、直ちに安全
措置
を講じなきゃならない点もあるかもしれません。そういう意味での経費はまたお願いしなければならないことになるかとも思われますが、いずれにしてもその辺はこれから議論をしてまいるところでございます。 そして第一点目の
最後
として、いずれにしても、この
安全対策
あるいはその運転再開等に必要となる経費が将来算出をされてきた場合、そしてまたそれを予算計上される場合には、当然のことながらその内容を、先ほど透明性の
確保
と申しましたが、国会にあるいはまた
国民
の
皆様
にできる限り明らかにして、そしてまた国会において各般から御審議を賜るということが必須のことであろう、このように考えております。 それから
最後
の、第二点目のお尋ねは、これも非常に大きな問題でございまして、直ちにこうでございますと申し上げることはなかなか難しゅうございますけれども、確かに未来に対する挑戦という
部分
においては勇気も持たなければならぬと思います。 この前、アリアン5という衛星が、ヨーロッパ連合でございますが、ESAにおいて打ち上げられまして失敗をしました。これ約四トンのものを上げる、日本のHⅡロケットよりも倍の能力を目指しているもののようでございますが、その後のESAの声明等を見ますと、反省すべき点はきちんと
指摘
していますけれども、我々は必ず成功するんだ、非常に自信を持って信念を持ってやるんだということをこの声明で発表しております。すべての
関係者
の
技術
を凝縮し、政治、
技術
及び産業当局の意思と団結を結集しているから我々は必ず成功すると確信している、こういうことを言っております。そういう点も持たなければ、研究者、
技術
者は一層前に進んでいくことはできないと思います。同時にまた、それが常に
国民
に開かれた形で御理解をいただきながら、そして御納得をいただきながら進められていくためには、常に評価もいただき、そして透明性も
確保
し進められていくべきものではないかなと、こんなことを、今ぱっとお尋ねをいただいたことでございますので、思い浮かんだ次第でございます。
長谷川清
63
○
委員長
(
長谷川清
君) 午前の
質疑
はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。 午前十一時四十分休憩 ―――――・――――― 午後一時開会
長谷川清
64
○
委員長
(
長谷川清
君) ただいまから
科学技術特別委員会
を再開いたします。 休憩前に引き続き、
科学技術振興対策樹立
に関する
調査
のうち、
高速増殖原型炉
「
もんじゅ
」の
ナトリウム漏えい事故
に関する件を議題とし、
質疑
を行います。
質疑
のある方は順次御発言願います。
峰崎直樹
65
○
峰崎
直樹君 社会民主党の
峰崎
でございます。 実は、十一日の火曜日だったんですが、福井県敦賀市に赴きまして、村山党首ともども現地の視察をしてまいりました。昨年の十二月八日、村山党首がまだ総現在任中の
事故
でございました。大変
責任
感旺盛な党首でございましたので、現地を、声を、つぶさに見聞きしてまいったわけでございます。そのときに記者会見などもされましたので、それらも含めて、きょう、
科学技術特別委員会
で私の方から御意見あるいは質問をさせていただきたいと思います。 そこで、
動燃
の
理事長
さんに
冒頭
ちょっとお聞きしたいと思います。 実は、
原子力
の基本政策の基本五
項目
といいますか、通常は三
項目
と呼んだりしておりますが、その中でアカウンタビリティーという言葉をよく使われる。また、
科学技術庁長官
も、衆議院の科学
技術
委員会
、参議院の特別
委員会
の議事録を読んでみますとそれが出てまいります。そういう点に関してどのように思っておられるのか、どういう考えを持っておられるのか、まず
冒頭
、ぜひお聞き申し上げておきたい。
近藤俊幸
66
○
参考人
(
近藤俊幸
君) 「
もんじゅ
」の
事故
によりまして、
地元
を初め
国民
の
皆様
の
動燃
に対する
技術
的な
信頼
、社会的な信用を失いまして、不信と不安を与えたことに対して深く反省しております。 私は、
動燃
の新しい
理事長
に就任いたしまして、基本的にはこういう
考え方
で今後取り組んでいきたいと思っております。
一つ
は、安全に徹した
動燃
にしていきたいということでございます。プルトニウム等の核物質等を取り扱う事業団としまして、放射線安全並びに核不拡散に対する取り組みはもちろんのこと、
ナトリウム
技術
を初めとする施設全般の
安全確保
についての取り組みを
強化
してまいりたい。この機会に、より
安全性
を高めるため、
設計
やその基本的な
考え方
の根源に立ち返りまして、見直し、総点検を行いつつ、
一つ
一つ
着実に対処していきたい、こう思っております。 それから
二つ目
には、開かれた
動燃
をつくっていきたいということで、
地元
を初め
皆様
の理解と
信頼
、また今日では国際的な理解も必要な時代になっております。このためには徹底した
情報公開
が不可欠であると
認識
しております。そういった
情報公開
に努める開かれた
動燃
にしていきたいと念じております。 それから三つ目には、
地元
重視の
動燃
にしたい。プルトニウム取扱施設など社会的に危険視されております施設を受け入れていただいております
地元
を重視しまして、
地元
の声をよく聞き事業を推進してまいりたい、またこのことが重要と
認識
しております。そうして、地域の
方々
に
安心感
を持って事業団を受け入れていただくよう努めてまいりたいとこういうふうに思っております。
峰崎直樹
67
○
峰崎
直樹君 質問したのはアカウンタビリティーということの意味だったんですが、今は
動燃
としての今後の原則的な
考え方
をおっしゃったわけです。実は、民間の電事連におられて、民間の企業からなられたということで大変私は期待をして今の質問をしたわけであります。 実は、これは「
もんじゅ
」に限らず、住専問題もそうでありましょう、あのHIV訴訟の厚生省の問題もそうでしょう。今問われているのは、
情報公開
というのは単純に
情報
を
公開
すればいいということではなくて、いわゆる納税者、タックスペイヤーの観点から見たときに、
情報
はある意味では積極的に
公開
をしていかなければいけない。逆に言えば、民主と
公開
が合わさった
考え方
がそのアカウンタビリティーという言葉で、これを
科学技術庁長官
が二度にわたってお使いになっているという点は私は大変すぐれた見識だと思っていますし、ぜひそういう観点から進めていただきたい。 それで、
動燃
にもお願いをしたいわけでございますが、
事故
隠しとかそういう、ある意味では我々は、市民社会の中で
国民
の前にそういう
情報
はどんなつらいことでも積極的に開かなきゃいかぬ、実はこういう問いかけがこの間なされたんじゃないか。これは実は何も科学
技術
の
行政
に限ったことじゃなくて、例のアメリカの大和銀行の問題もそうでありましょう。あるいは日本の株式会社と言われているところでも、社外取締役をもっと入れようとか、そういうコーポレートガバナンスにまで該当する、日本社会の体質を変えなきゃいけないと、こういう観点で提起をされている大変重要な問題だと思っておりますので、
動燃
の新しい
理事長
になられて、この点はひとつぜひそういう観点からこれからも進めていただきたいというふうに思うわけでございます。 さて、最初に「
もんじゅ
」の
事故
のとらえ方の問題について
科学技術庁
に質問してみたいわけであります。 私も現地へ行ってまいりますと、特に福井県知事は、三県の知事として円卓会議その他に質問あるいは意見を出されているわけでございますが、どうもやはり「
もんじゅ
」の
事故
についてのとらえ方が
科学技術庁
なり
動燃
は非常に狭いのではないだろうかと。実は、三県の栗田福井県知事は我々に対して次のように要望をされているわけでありまして、この点についてどのようにお考えになっているのか聞いてみたいわけであります。 栗田知事は、「
もんじゅ
」の
ナトリウム漏えい事故
の
原因
の徹底
究明
の中で、今回の
事故
は初めて
ナトリウム
が
漏えい
するという「
もんじゅ
」の
安全確保
の根幹にかかわる重大な
事故
だと、「
もんじゅ
」の存立そのものにかかわる重大な問題を引き起こした
事故
である、そういうとらえ方をされているわけです。今回の
調査
報告書
をまだ全部十分に見ておりませんけれども、いわゆる一次系じゃなくて二次系である、放射能漏れはなかった、
調査
をしてみたらどうやら
ミス
があったということは記載されているわけでありますが、そうじゃなくて、どうも「
もんじゅ
」全体にかかわる大きな問題なんじゃないかというとらえ方をして、徹底的にやってもらいたいという要望が出されていると思うんです。 この点について、これは長官からお答え願ったらいいと思うんですが、その現地のいわゆる徹底
究明
、「
もんじゅ
」の
事故
に対するとらえ方とどうも
温度
差があるんじゃないかというふうに思うんですが、そのあたりどのようにお考えになっておりましょうか。
中川秀直
68
○
国務大臣
(
中川秀直
君) 私は、放射能災害を防止する、いかなる場合でも公衆の安全を守る、この
原子力
安全確保
のための今の法体系、原子炉等規制法がございますが、その観点での災害というものは防止し得た
事故
であったと、これは現実の問題として言えると思うのでございます。そして、そういう意味での
技術
的
安全性
と、もちろんかかる
事故
はあってはならぬのでございますけれども、何よりも目的としている放射能災害を起こさないという目的というものは、今回の
事故
においても
安全確保
という点でそれは
確保
された、このように考えております。 しかし、先ほど来の御
質疑
で午前中にも申し上げましたが、ありとあらゆる先端
技術
も駆使して
原子力
が内包している潜在的な危険性というものを多重防護で封じ込め、そして安全を
確保
するという意味の
技術
的
安全性
という議論と、いま
一つ
、理屈を申し上げるわけではございませんが、社会的な安心、安全という観点と、二つやはりあるんだろうと思います。 今、三県知事のお話もございました。特に福井県知事さんの御
指摘
もございました。県民の生命、財産、そしてまた安心、安全、これを預かっておられる現地の知事として今回の
事故
を重く受けとめていかれるというのは、これはまた当然だろうと、このように思います。 と申しますのは、やはり「
もんじゅ
」の場合は高速増殖炉ゆえに冷却剤に
ナトリウム
を使う、この
ナトリウム
が、仮に放射能災害に至らない
事故
であってもそれが
漏えい
した、そして
火災
を起こしたということは、これは仮に放射能災害に結果的に至らなかった
事故
であったとしても、県民、市民の社会的な安心、安全ということについては、かなり大きな
不安感
、そしてまた
不信感
というものを与えてしまった。このインパクトは、初めての
漏えい事故
でもございますし、かねてよりいろいろそういうことも起こり得るのではないかという
指摘
もあった中で、ないという
説明
をしながら起こったという経緯もございまして、これはもう大変な
不安感
を与えてしまったということであろうと存じます。 私は、
技術
的
安全性
だけ
確保
すればいいと言っているのではなくて、何よりももちろん災害を起こさないための
技術
的
安全性
をいかなる手段を講じても
確保
しなければならない。同時にまた、それとあわせて同じような重さで社会的な
安全性
というものを
確保
していかなければ理解が得られない、納得が得られない、こういう観点でその溝を埋めていく
努力
を徹底してやっていかなきゃいかぬという意味で今度の
事故
を重く受けとめておるというふうに申し上げたいと思っております。
峰崎直樹
69
○
峰崎
直樹君 そこで、今度の
報告書
が出されたわけでありますが、また
報告
は引き続き続くのでありましょうが、ちょうど私どもが行っている最中に「
もんじゅ
」の再現
実験
のいわゆる新聞報道に接することになった。 鉄製の床が溶けて穴があいちゃった、さっきの
ライナー
のことですね。現場に私ども案内して見せていただきました。そうすると、下の鉄製の
ライナー
のところが切り取ってありました。今検査中であると。これは穴があかない、要するに前までの記録を見ると、どうも曲がっているとかいろんなことがあるんですが、今度の再現
実験
で鉄製のところに溶けて穴があいちゃったと。 先ほど、
コンクリート
で
水素
が
発生
しなくて爆発には至らなかったということなんですが、これがこういう穴があいたということ、これはいろいろまだ引き続き
検討
するということなんでしょうが、現実に穴があくということになったら、今後の
改善策
といいますか、これ「
もんじゅ
」のあそこのいわゆる漏れてくるところの下に全部敷いているんでしょうから、当然これは全面的に見直しあるいは改装し直さなきゃいかぬという、再現
実験
における大変な結果を示しているんじゃないか。 これはもう
地元
の皆さんもこの新聞記事を見て、とにかくこれは重大なことであるということで、改めてきょう、この再現
実験
を受けて、今後は一体どういうふうにこの問題を解明されようとしておるのか、この点をひとつ明らかにしていただきたいと思います。
中野啓昌
70
○
参考人
(
中野
啓昌
君)
実験
の話でございますので、
実験
を実施いたしました
動燃
の方から御
説明
させていただきます。 先生御
指摘
のように、今回六月七日に実施いたしました
ナトリウム漏えい燃焼実験
、十日の日にふたをあけてみましたら
ライナー
に三カ所穴があいておりました。私ども、過去十数年の間に
ナトリウム
の
漏えい
及び
漏えい
燃焼にかかわる
実験
を百二十回ばかり繰り返してやってまいりましたが、穴があいたという
現象
は今回が初めての知見でございます。 ただいま、その穴のあいた
部分
のサンプルをとったり、それからまたどういうメカニズムでそれができ上がっていったか
調査
を進めておるところでございます。この
調査
結果によっては、先生御
指摘
のように全部取りかえるということもあろうかと存じますが、まずは、なぜ穴があいたかというメカニズムを解明していきたい、このように思っておるところでございます。
峰崎直樹
71
○
峰崎
直樹君 再
実験
されますか。
中野啓昌
72
○
参考人
(
中野
啓昌
君) 実際に今その状態を分析したりいたしておりまして、必要に応じて再
実験
をやっていきたいと思っております。
峰崎直樹
73
○
峰崎
直樹君 これは現地の方も、ぜひこの点はもう徹底的にやってもらいたいという声があったということを要望を申し上げておきたいと思います。 さてそこで、今度は
調査
方法、
原子力安全委員会
とそれから科技庁の
調査
、二つ今回時に進んでいるわけですね。これは私どもの同僚の
川橋
議員が前回質問の中で、科技庁の場合はタクスフォース、それから
原子力安全委員会
はワーキンググループ、この
調査
を委嘱した
方々
の中に、実は国の安全
審査
や安全規制というか、事前にチェックをした人が含まれていると。何人でしょうか。タスクフォースに二名、ワーキンググループに四名。もちろん全員でないのは救いですが、しかしこういう
方々
が入られるというのは、本当に
調査
の第三者性というか健全性というか、公平性というか、そういうことについてこれはちょっとやはりおかしいんじゃないか。 今も、大蔵
行政
改革の中で、金融
行政
の問題も第三者機関だと思うんですね。あの証券
行政
の不始末のときも、証券取引等監視
委員会
を外に出すべきだということでしきりに主張した点なんです。 これと同じような問題がありまして、それは現在のいわゆる
原子力安全委員会
の
強化
の問題、これも要望を出されたんです、現地へ行きまして。今と同じことなのでありまして、
原子力安全委員会
というのは本来
原子力
推進じゃなくて
原子力
の安全を今度はチェックする側ですね、そのチェックする側の事務局が、同じ
科学技術庁
の中の部署がそれを占めているということになると。 これは前回、長官答えておられますが、今の
体制
でも十分そのチェック機能は果たせていると思うというふうにおっしゃっているんです。あるいは行革の問題があって、今は定数がただでさえ足りないんだから、それは新しくまた外に出してつくるということについての
国民
の理解もなかなか得られないんじゃないかとか、そういう意見があるということも私重々わかっているんです。 しかし、
原子力
という問題に関して言えば、これはこれだけの巨大な
技術
でありますから、その点を点検チェックするということについての独立した機構なりそういうものについての必要性というのは、これは十分
国民
に説得力を持って我々も訴えることができるんじゃないだろうか、そういうふうに考えるのでございますが、この点はどのようにお考えになりているのか、改めてお聞きしたいと思うんです。
中川秀直
74
○
国務大臣
(
中川秀直
君) 安全
委員会
についての御
見解
は、安全
委員長
もお見えでございますので、私は
行政
庁の代表という立場でお答えをさせていただきたいと存じます。
委員
御
指摘
のとおり、今回の当庁の
原子力
安全
技術
顧問を中心とした
事故
調査
のタスクフォースに、従来から
原子力施設
の
安全性
の
審査
について御協力をいただいているメンバーがおりますことは事実でございます。詳しく申し上げますと、十二名のタスクフォースのメンバーのうち四名が「
もんじゅ
」の安全
審査
を担当した
原子力
安全
技術
顧問会、FBR部会、高速増殖炉部会でございますが、構成員であったということでございます。 この四名がなぜタスクフォースの
委員
として任命されたかということ、これは私の就任前に発令されていることでございますけれども、これはやっぱりこの
事故
の
原因究明
をする上でも的確な
検討
、広範な
検討
をしなければなりませんが、過去の経緯、なかんずく「
もんじゅ
」の
構造
あるいは設備、そういったものについて相当の知見、専門知識を有しているという者が、あのときはこうだった、あの
構造
はこうだったということの徹底した議論をする上に必要なのではないかという見地から任命をしたということのようでございます。 いずれにしても、タスクフォース構成員は大学教授や国立研究機関の職員等でございまして、
動燃
の職員等、あるいは
動燃
と密接な利害
関係
を有する者、そういう者は含まれていないわけでございます。また、全体的に十二名中四名ということで、八名は全くそういうものに関連していない人が
原因究明
に当たっている、こういう実態であるということは御理解を賜りたい、かように思っております。 しかし、国会の場でそういう御意見もいただいているということは、今後かかる
原因究明
の作業、あるいはまた
原因究明
をしていく
体制
というものの中でどうそれを受けとめていくかということは、私どもなりに受けとめて考えてまいりたい、こう考えております。
峰崎直樹
75
○
峰崎
直樹君 すっきりした答えをいただけないので残念なのでありますが、時間の
関係
もありますので先に進みたいと思うんですが、実は、これもかねてから……
中川秀直
76
○
国務大臣
(
中川秀直
君) 安全
委員会
の方はよろしいですか、ワーキンググループの。
峰崎直樹
77
○
峰崎
直樹君 ワーキンググループの方、もしよければ。
都甲泰正
78
○
説明員
(都甲泰正君)
原子力安全委員会
のワーキンググループの構成員の中にも「
もんじゅ
」の安全
審査
あるいは
行政
庁の
審査
にかかわった
委員
がおられますが、この辺の人選についての安全
委員会
側の
考え方
は、先ほどタスクフォースの人選に関しまして
大臣
の御答弁にありましたのと同じでございますので割愛させていただきたいと思います。 それからもう
一つ
、
原子力安全委員会
の事務局をSTAが行っている、これは
原子力安全委員会
の第三者機関としての機能を果たす上で大いに支障があるのではないかということに関しまして
原子力安全委員会
としての
見解
を述べさせていただきたいと思います。
原子力安全委員会
は、御承知のように総理府に設置されております諮問機関でございまして、現在、下部組織といたしましては、延べ約四百人に及びます各分野の
専門家
から構成されております。二つの
審査
会、それからさらに十六の専門部会、これは
基準
ですとか安全研究ですとか種々の専門的なことを議論していただく専門部会でございます、そのように構成されておるわけでございます。現在五名の
委員
がおりますが、国会の同意を得まして内閣総理
大臣
が任命するということになっておりまして、
行政
庁から独立した第三者機関であると考えております。 さて、二番目の御
指摘
の、事務局が
科学技術庁
の中にあると。現在、
原子力安全局
の中にございますが、安全局の中で規制を行っておりますのは
原子力
規制課とか規制を担当しておる課、室がございますが、それとは別の安全
調査
室というところに事務局をお願いしております。また、
原子力安全委員会
としてはみずからの判断のもとに事務局の運営を行うことができるわけでございまして、事務局を
科学技術庁
が行っていることに問題があるとは私どもは判断いたしておりません。 むしろ、
科学技術庁
の中に事務局があるということで、
科学技術庁
の大勢おられるスタッフに私どもの専門的な目的のためにいろいろお手伝いをお願いすることもございますので、この面で大変プラスになっているのではないかと考えております。それで、もし仮に完全に独立した事務局を持つということになりますと、それだけでも相当大きな事務局にしていただく必要があるのではないかと考えております。 以上、御
説明
申し上げましたように、
原子力安全委員会
が第三者機関としての機能を果たす上で、現在の組織が不都合であると私どもは判断をいたしていない次第でございます。 それから、ワーキンググループの十四人の中で安全
審査
にかかわった人は、具体的に申しますと四名でございますが、その人選の事由は先ほど
大臣
の御答弁にあったのと同じでございます。
峰崎直樹
79
○
峰崎
直樹君 もう本当に丁寧な答弁で、時間がなくなってしまいました。 私は、今の
原子力安全委員
長のお言葉ですが、総理府に置かれているわけですから、本当に独立した、それはやはり
科学技術庁
の進めているところとは別個の、もちろんそれに人やお金はかかるかもしれないけれども、そこはやはりそういうふうに規制していかないと、この大変重大な問題を扱っているときに当然
審査
機関としてはきちんとすべきじゃないかというふうに思っておりますので、ぜひその点を
委員長
もよろしくお願いしたいと思います。 もう時間がなくなってまいりましたので、
最後
にまとめてばたばたとお話し申し上げたいと思うんです。
一つ
はプルサーマル計画、プルトニウム利用をめぐる問題で、これも議論されているんですが、
地元
の皆さん方、特に知事以下、今のような
国民
的合意がない、あるいはMOX燃料の再処理計画が明らかじゃないじゃないかとか、あるいは「
もんじゅ
」の
事故
の
原因
調査
中と、こういうもとではこのプルサーマル計画はもう
検討
する考えはありませんよという大変強い声が出ていますし、さらには
原子力
防災特別
措置
法をつくってもらえないか、これは我々国会議員にももちろん要請があった点でありますし、御存じのようにいつも私も問題にしていますバックエンド
対策
、これもやはり進んでいないじゃないかといったようなことも実は出されております。 我が党の党首村山さんは、そういうことを受けながら、なるほどこれはもう一回、きょうですか、十四日に通産省のエネルギー需給計画の見直しがあるやに聞いておりますが、そういう意味でいうと非常にいい
タイミング
じゃないかな、いわゆる
原子力
長計の見直しの問題を含めて、あるいはいよいよになったらいわゆる
核燃料
リサイクルの
あり方
の問題、その是非も含めて
検討
すべきであるというふうに我が党首はおっしゃったわけでございますが、この点について
科学技術庁長官
、どのようにお考えになっておられるか、前総理の特別補佐官でもありましたので、その点よろしくお願い申し上げて私の質問を終わりたいと思います。
中川秀直
80
○
国務大臣
(
中川秀直
君) ちょっとお答えする前に、安全
委員会
の
あり方
の問題について再度御言及ございましたが、今私は
行政
庁の
責任
者という立場でございます。そういうことでの御答弁を申し上げました。安全
委員
会委員長
からもまた安全
委員会
としてのお立場の御言及がございましたが、これはもう今後、将来国会のこういう御議論等々を通じまして、また政治の場でのさらなる御議論、御
検討
がなされていくんだろうと、私はそのように考えております。 それから、今お尋ねのことでございますけれども、村山社会民主党党首が敦賀でおっしゃられました点、私も関心を持って記者会見等々も全部その当時のやりとりの
状況
を拝見させていただきました。 党首のおっしゃっておられるのは、その長期計画の見直しも
国民
全体が納得し理解する素地がなければできない、そういう視点を含めて見直しを要請したいということで、答えも、記者団のFBRの撤退をした方がいいと考えているのかと、こういう問いかけに対して、そういうことではないと、断定的に結論を出して意見を言っているわけではないが、ともかく今回の
事故
の場合いろんな意味で
国民
の不信を招いているのだから、その不信を解消して、
安全性
を
確認
して皆の理解と納得が得られなければ推進できない、こういうふうな見地での見直しをおっしゃっていると理解をいたしております。 さてそこで、簡潔にお答え申し上げますけれども、通産省においても総合エネルギー
調査
会で分科会を設けられる。これは私どもの円卓会議の議論が始まりましたのを受けまして、その意味でエネルギーの長期的な
見通し
あるいは需給の
関係
といったような観点から討議を始められた、こう理解をしておりまして、見直しをするためという報道がありましたけれども、それは事実は違うというふうに聞いておる次第でございます。以上、これは事実
関係
だけ申し上げた次第でございます。 それで、お尋ねでございますけれども、私どもは円卓会議におきましても、結論先にありきではなくて、幅広く各界各層の御意見をいただいて議論を深めていただいて、その中から長期計画を含む政策に反映すべき事項というものを的確にまた柔軟に反映させていきたいということでございます。例えば余剰プルトニウムを持たないという
我が国
の国策、基本原則がございますが、プルトニウムの需給計画その他についてもいろいろな事情変更が現実にも起こりつつあることは我々もよく見きわめていかなきゃならぬと思っておりますし、そういう中で適切かつ柔軟にそれは
検討
しなきゃいかぬ、こういうふうに考えております。 また、高レベルについても、御
指摘
のとおりこれは真剣に取り組まなきゃいけないということで、高レベルの廃棄物処分の懇談会というものを先般設け、また
原子力
バックエンド
対策
専門部会における
検討
も鋭意本格化をさせてまいりたい、こう考えております。 ただ、これに関して申しますと、何度も申し上げていることでございますけれども、
我が国
の総合的なエネルギーの自給率ということも観点にしっかり置いておかなきゃいけない。
原子力
を含みましても今一六、七%じゃないかと思います。それを除きましたら、本当に水力と国内炭とそしてわずかな国内石油ということになってしまうわけで、そうなるともう五、六%になってしまうのではないかと。 こういう今、未来も含め、そして安全、環境も含め、特に申し上げたいことは、現実に今軽水炉の
原子力
発電所においても使用済み燃料がどんどん蓄積をされてきている。発電所にワンススルーで埋設したらいいじゃないかといったって、発電所立地地域でそのような御理解が全然得られることはできないのでございます。そうすると、それをやはりまた処理処分していかなきゃならない。今海外に再処理をお願いしていますが、それもまた引き取らなきゃいけない。そうするとプルトニウムが出てくるわけでございまして、それをどうやっていくかというと、一番安全なのはMOXにして燃やしてしまうという方向になるわけで、そういう環境への観点ということも我々は十分踏まえていかなければならぬ、こう思っております。
最後
に、お尋ねの
原子力
災害特別
措置
法の制定に関しては、現在国土庁において、中央防災会議のもとで国の防災基本計画をより実践的に改めていくという
検討
が行われているところで、その中で、
原子力
防災
対策
につきましても
原子力
防災計画として、これは今私どもも入りまして具体的な
検討
を行っているところでございまして、そういう
検討
を通じて国、地方自治体等の責務がより明確になってくるものだ、このように考えております。しかし、特別
措置
法等の御要望、御提案があることも重々承知をしておりまして、これからも自治体等々の御意見を十分に伺い、御相談をしながら、また地方分権あるいは行革といった動き、取り組み、それとあわせまして総合的に勘案して
検討
を続けてまいりたい、こう考えております。
峰崎直樹
81
○
峰崎
直樹君 終わります。
阿部幸代
82
○阿部幸代君
ナトリウム火災
の
原因
となった
温度計
について、五月二十三日の
報告書
を踏まえてまず質問いたします。
温度計
さや
が急角度の
段つき構造
になっていたことが厳しい応力集中を招き
破損
に至ったと予想どおり
報告
されています。しかも、この急角度の
段つき構造
というのは、一九八五年十月、メーカーから
動燃
に二次主冷却系配管配置図が提出されたときからのもので、以来どの
段階
でも問題にされてこなかったとなっています。
報告書
は、
動燃
は
温度計
さや
の
設計図面
を
検討
の上で承認しており、その過程で
設計
上の
問題点
を
指摘
、改善できなかった点で問題があったと
動燃
の
責任
を
指摘
していますが、これは
動燃
のいわば無能力を指弾していると思われるんですけれども、それを見過ごした科技庁も同罪だと思います。 このことは前回の質問でも述べましたので繰り返しませんが、なぜこういうことが起こるのか、その分析が必要だと思うんです。何が起こったのかの
説明
、
事故
の経緯の
説明
ではなく、なぜ起こったかの分析、その必要性は認めますね。簡単に答えてください。
宮林正恭
83
○
政府委員
(
宮林正恭
君) その点に関しましては、私どもも引き続き関心を持って調べていきたいと思っております。 それから、それらの背景につきましては、特に
原子力安全委員会
のワーキンググループの
皆様
方、大変関心を持っておいでになります。したがいまして、そういう意味でも明らかにできるものはしていきたい、こういうふうに思っております。
阿部幸代
84
○阿部幸代君 問題の急角度の
段つき構造
ですけれども、
報告書
を読むと、ドリルの刃先の角度に支配され厚みを均一にするために急角度になったと
説明
されています。私はこの
説明
がどうも納得できないのです。製品をつくるときには、まずどんな製品をつくるのか
設計
図が先につくられるはずです。その
設計
図に合わせて必要な機械なり部品、ここではドリルなり道具が使われるというのが常識だと思うんです。ハイテク日本を支えたのは町の職人わざ、こういうふうによく言われるんですけれども、そうした専門の機械加工屋さんに何人にも聞いてみました。どなたも言うんです。いいかげんな図面では物はつくれない、図面をめぐってよくけんかもすると、そこまでおっしゃっていました。この大もとの
設計
図、製造者が直接目にした
設計
図、これは
動燃
に提出されたのでしょうか。 つまり、
報告書
の中で言っている二次主冷却系配管配置図に含まれていたという
温度計
さや
の
構造
図、これはこの大もとの
設計
図そのものだったのでしょうか。
中野啓昌
85
○
参考人
(
中野
啓昌
君) お答えいたします。
破損
いたしました
温度計
の製造に使われました
設計
図といたしましては、IHI、石川島播磨重工でございますが、下請に発注した図がございまして、これを入手いたしております。
阿部幸代
86
○阿部幸代君 今回の
報告書
をつくるに際して、科技庁はこの大もとの
設計
図をしっかりと見ていますね。また、その
設計
図は当然公表してもらえますね。
宮林正恭
87
○
政府委員
(
宮林正恭
君) 今回の
事故
調査
につきましては、なぜこういうふうな
温度計
の
設計
になったかという経緯を調べる、そういう目的で
調査
をしておりまして、そのもとになる製作
設計
の図面までは見ておりません。しかしながら、こういうふうな
設計
の
考え方
で、図面はこういう
考え方
でやっておりますということは図面つきで
説明
を受けております。 また、実際に発注されたときの図面はその後入手はしておりますので、これは私どもが直ちにお渡しできるというふうに申し上げるわけにはいきませんが、
動燃
の方でこれは御希望があればお渡しをする、こういうふうにおっしゃっておりますので、
動燃
の方からお渡しになるものと思っております。
阿部幸代
88
○阿部幸代君 まだ科技庁は及び腰だと思うんです。こんなに
国民
的に関心が持たれている製作
設計
図を
動燃
は持っていると言うんですから、出させればいいと思うんです。ぜひ出していただきたいと思いますが、
動燃
。
中野啓昌
89
○
参考人
(
中野
啓昌
君) この
設計
図につきましては、メーカーと協議の上、先般、別の先生から御要請がございまして既に提出いたしておりますので、今後
公開
していきたい、そのように思っております。
阿部幸代
90
○阿部幸代君 大もとの製作
設計
図ですから、念のために。
報告書
は、メーカーの
温度計
設計
図
関係者
のASME
基準
の誤認を問題にしています。何が起こったのかの
説明
としてはこれで済むと思うんですけれども、なぜ見過ごされてしまったのか、規制当局としても安全
審査
の
体制
と
技術
力が問われているわけで、その
責任
をやはり
報告書
には明記すべきだと思います。 結局ここには、科技庁が
動燃
に
責任
を転嫁し、
動燃
がメーカーに
責任
を転嫁し、メーカーが担当者個人に
責任
を転嫁するという、いわば無
責任
の連続、こういうものを見るんです、私は。そして、この担当者個人でその連続を収束させるその無
責任
さ、メーカー任せの体質、本当はこれが問われていなければならないんだと思うんですけれども、科技庁、どうでしょうか。
宮林正恭
91
○
政府委員
(
宮林正恭
君) その点につきましては、先ほど申し上げましたように、引き続き私ども関心を持って
調査
をしていくというふうに考えております。 今回の
報告書
で申し上げておりますのは、少なくともある程度中身がわかってきた、その
原因
がわかった、なぜ折れたか、こういうところはわかってきた。こういうものにつきましては、やはり節目節目でちゃんと公表していくべきものであろうということでこの
報告書
をつくらせていただきました。 したがいまして、そういうことについて関心を持ってやっていきたいと思いますけれども、今後、そのことにつきましては、御
報告
を差し上げるということも可能であればやっていきたいと思っています。
中川秀直
92
○
国務大臣
(
中川秀直
君) 今
委員
から、科技庁は
動燃
に、
動燃
はメーカーに、メーカーは製造業者に
責任
をどんどん押しつけるだけであると、こういう御
指摘
がございましたが、私どもは、午前中の
質疑
でも申し上げましたが、所管をする原子炉等規制法上、安全規制をするという
責任
を持っておるわけでございます。 その意味で、記者団からも、
報告書
には
科学技術庁
の
責任
という表現がないではないかという御
指摘
もいただきましたが、これは、「反省すべき点」を
責任
とすべき点と置きかえていただいて結構ですと。どうも
責任
という言葉は名詞で、反省するというのは動詞であって、結果的にそういうような気持ちで
責任
という言葉が使われなかった程度の違いしかありませんと。反省するというのは
責任
があるから反省するのであります、そのためにまた
改善策
を講ずるのであります、そういうふうに置きかえていただいて結構ですと、こう申し上げた次第であります。.私ども、
責任
を押しつけるとか、そんな意識でおるということでないということはぜひ御理解をいただきたいと存じますし、これからも、
委員
御
指摘
のように、そういうような体質が批判されているとするならば、そういうことにならないようにきちんとやってまいります。
阿部幸代
93
○阿部幸代君 今回の
調査
に際して製作
設計
図そのものを科技庁が見ていないというこの一字ですね、それをもって見ても、やっぱりまだメーカー任せの体質があるというふうに、私は物事を具体的に考えますから、判断するんです。 それで、メーカー任せの体質の問題で
温度計
をめぐるもう
一つ
の不明朗さ、なぜ一本だけが
破損
したかの問題でも問うておきたいことがあります。 五月三十一日の毎日
新聞等
の報道によりますと、
温度計
を受注した東芝が、
温度計
の製造をした石川島播磨重工業の
調査
と
報告
に基づいて、問題の
温度計
のセンサーの製造番号だけがもとのと異なり、センサーが取りかえられていたということを
動燃
に
報告
したとのことですが、この事実は
確認
してもよろしいですね、
動燃
。
中野啓昌
94
○
参考人
(
中野
啓昌
君) 先生お尋ねのお話は、
温度計
の中のシースを
交換
したということかと存じますが、四月の末に
温度計
のシースが曲がる
可能性
と
さや
管の振動の関連がメーカーから
報告
されましたものですから、四月三十日に至りまして、そのあたりを徹底的に
調査
するようにメーカーに依頼をいたしまして、五月二十九日に
報告
を受けております。
阿部幸代
95
○阿部幸代君 石川島播磨重工業の
調査
によると、九一年二月の機能
確認
で
温度計
の断線が発見され、同年三月、センサー
部分
が取りかえられたということになっています。また、このことは東芝には
報告
されず、九三年七月の科技庁の性能検査で合格もしていたということです。 一体、
動燃
は、この九一年の時点でセンサーの断線と
交換
の事実をつかんでいなかったのでしょうか。
温度計
一本につき六十五万円、溶接費が一本につき百万円という仕事にかかわることですが、こういうことが無断でこっそり行われるということは考えられないわけです。知らなかったのか、記録はないんでしょうか、
動燃
。
中野啓昌
96
○
参考人
(
中野
啓昌
君) 九一年の取りかえた時点に
動燃
はその事実を知らなかったのかというのが先生のお尋ねかと思います。知りませんでした。 これはもう少し詳しく申し上げますと、私ども、「
もんじゅ
」を建設するに当たりまして、「
もんじゅ
」に関する品質保証計画というのをつくっております。その計画に基づきましていろいろな手順書をつくっておるわけでございますが、いわゆる品質管理をする方法については、東芝、石川島播磨もその品質体系の中に入ってもらいまして、そういうような
一つ
一つ
の重要な事項に対してはちゃんと
報告
してもらうことになっております。 本件に関しましても、これは
報告
に該当する事項でございました。そういう意味で、私どもはこれはルール違反だというふうに思っております。厳重に今注意をしておるところでございます。 それからもう
一つ
、先生おっしゃいました記録をもらっているかということですが、記録ももらっておりません。そういう意味でもルール違反だというふうに思っております。
阿部幸代
97
○阿部幸代君 信じられないほどの驚くべきずさんさだと思うんです。ある日こっそりあんな大規模な研究開発施設にだれか人間が入って部品をいじるわけですから、その
報告
も何にもない、記録もない、本当にずさんな
体制
だと思います。 このセンサーの断線と
交換
は九一年のことですけれども、
報告書
の中で、「ステンレス鋼の金属疲労のデータから判断して、き裂は
ナトリウム温度
二百度C、一〇〇%流量で試運転した時の比較的早い時期に
発生
したと考えられた」とあります。また別の箇所では、「振動の大きさを弱める減衰性について
解析
した結果、熱電対シースが曲がって挿入されているかどうかが減衰に
関係
することが明らかになった」とも述べられています。私、よく読んでみたんです。 そこで、相当このシース、センサーのところに目が向きそうなところまでいっているのに、科技庁は、
報告書
作成に際する
調査
でこのシースを、
温度計
がこれだけ問題になっているのに、その
温度計
の経歴をもとにして
調査
しなかったんでしょうか。
宮林正恭
98
○
政府委員
(
宮林正恭
君) そういう問題につきましては私どもも関心は持っていたわけでございますが、これはメーカーの方も知ったのが五月十一日だというふうに聞いておりますから、少なくともその後直ちに
報告
を受けていればいいんですけれども、残念ながらそういう
報告
も受けておりません。したがいまして、私どもは五月三十日までこの事実については承知をしておりませんでした。
阿部幸代
99
○阿部幸代君
温度計
たった一本の問題ではなくてすべての
温度計
が問題になるわけで、一定の
対策
も立てたわけです。すべての
温度計
に目が向きつつあったときに、でも、このシースの問題には目がいかなかった。これは
報告
がなかったからだといって、ああそうですがと言って済ませるわけにいかないんです。この一点だけでもやはり随分ずさんな
調査
だ、その
調査
に基づく
報告書
だということになってしまうんです、結局。
動燃
も科技庁も
ナトリウム火災
事故
原因究明
に本当に能動性を発揮しているのかどうか。企業任せで、メーカー任せで、メーカーの
報告
待ちで、そんなことでは絶対ならないわけなんです。このメーカー任せの体質は本当に重症だと思います。
最後
に、
温度計
一本だけの問題ではないというこの問題ですが、
温度計
全体の問題として熱
衝撃
の
影響
調査
、これをぜひ十分やっていただきたいのです。
専門家
がこの問題を何度も何度も
指摘
しているので、これをやっていただけますか。
宮林正恭
100
○
政府委員
(
宮林正恭
君) そういうふうな御主張をされている
専門家
の方がおいでになるということは私ども承知しております。 私どもとしましては、今後いろいろな形で引き続き
調査
をしていきますので、そういう御意見があるということについては十分留意をして進めさせていただきたいと思っております。しかしながら、この件につきましては、その
専門家
の方に対して反論もあるということも私ども承知しておりますので、それにつきましてはもう少し明確に
解析
した上でお答えできるようにしたい、こういうように思っております。
阿部幸代
101
○阿部幸代君 次に、研究開発
行政
がこのままでよいのかという根本について問うてみたいと思うんです。 「
もんじゅ
」の
設計
ミス
は、今回の
温度計
に限ったことではなくて、過去にも
反応
度異常の問題では炉、心の
設計
ミス
と燃料の製造
ミス
が考えられ、
ナトリウム
の二次系配管の異常変形の問題では
設計
ミス
であることがはっきりしていて、既に設置変更申請が出されています。また、蒸気
発生
器の
設計
ミス
でスクラム、緊急停止も起こっています。これらは衆参両院の
委員会
で我が党の議員が既に取り上げてきたところです。 大規模
事故
にもつながるこうした
設計
ミス
がなぜ繰り返されるのか。結局、「
もんじゅ
」、高速増殖炉の
技術
が未確立てあるということではないんでしょうか。「
もんじゅ
」の臨界達成をもって実用炉並みの安全
審査
を行っているとか、実証炉を開発する
技術
的基盤が十分確立されているとか、これは九四年の
原子力
委員会
の
報告
ですが、こういうのは本当に非科学的な過大評価であり、
国民
合意でもないと思うんですけれども、どうでしょうか。
岡崎俊雄
102
○
政府委員
(岡崎俊雄君) 先生御
指摘
のとおり、高速増殖炉の実用化に至りますためには、今までも
実験
炉でありますとかあるいは種々のいろんな
実験
を積み重ねてきたわけでございます。まだ「
もんじゅ
」はあくまでも原型炉の
段階
、いわば
技術
開発の
段階
でございます。今後、実証炉の
段階
あるいは諸般の
技術
開発を経て実用化につながる、こういう位置づけであろうかと思います。
阿部幸代
103
○阿部幸代君
技術
未確立ということですね。 そこで、橋本総理が一月二十二日の施政方針演説の中で、この「
もんじゅ
」の
事故
に触れているんです。そこで「先端
技術
の開発、実用化に際し、予期せぬ困難な
事態
が
発生
することは避けて通れません」と述べています。この予期せぬことというのは、それが何か新しい真理の発見につながるような場合は理解できるのです。それと、
技術
的な稚拙さ、初歩的
ミス
からくる予期せぬことというのは全く別ではないんでしょうか。
技術
的稚拙さ、初歩的
ミス
に
国民
が不安を抱くのは当然だと思います、下手をすれば人間が死ぬこともあり得るわけですから。 真理の発見と
技術
的な稚拙さ、これを混同したいわば
事故
に対する居直りとも言うべき総理の立場は、「
もんじゅ
」など試験炉に
責任
を持つ者の立場ではないと思うんですけれども、どうでしょうか、
大臣
。
中川秀直
104
○
国務大臣
(
中川秀直
君) 私は、今
委員
御
指摘
のようには受けとめておりません。今施政方針演説、そのくだりのところを手にいたしておりますけれども、総理がおっしゃるのは、予期せぬ困難な
事態
が
発生
することは避けて通れないが、重要なことは、そうした
事態
を直視して
国民
や
専門家
の前にその事実を明らかにして、
原因究明
や徹底した
安全対策
等々に取り組んでいくことだと。つまり、後段の
部分
を強調するための前提として、そういうものはまさか起きないと、そういうおごりではなくて、まさに真摯な、謙虚な態度で進めていかなきゃならぬということを申し上げる、いわば表現上の流れの中でそうおっしゃっておるわけであって、避けて通れないと断定したことだというふうには私は受けとめておらないわけでございます。 つまり、もしや起こるかもしれない、まさかではなくてもしやと、常にそういう気持ちでやらなきゃいけない。私は、午前中の
質疑
でもありましたけれども、そのような失敗、困難というものを起こさないための着実な一歩一歩の前進というものがこういった先端
技術
の開発、実用化に非常に重要だ、それは
技術
的な幼稚さ、稚拙さも含めての話でございますけれども、そのように考えているわけです。 特に
原子力
の場合はその
安全確保
について、人間はヒューマンエラーを起こす。ヒューマンエラーを起こさないために、教育や訓練だけでできることではない、やっぱり先端
技術
を駆使しないとそれは防げないぞという
専門家
の御
指摘
もそのとおりだろうと思います。また、機械は壊れることもある、そういう前提のもとに、そのような場合でも安全が十分に
確保
される、そしてまたハード、ソフト両面において適切に対処していくと、そういうことが重要だ、こういう見地で考えていかなきゃいけない、このように考えております。 特に、
原子力施設
と背中合わせに暮らしておられる
地元
の市民という立場からすれば、安全は市民のものでございますから、そういう
方々
に
不安感
を与えないような、すべて
技術
を過信することなく謙虚な姿勢で細部にわたるまで、今おっしゃったような稚拙さ、幼稚さ、そういうものも起こさないように目配りをし、十分に安全を最優先して取り組んでいかなければならぬ、こういうふうに受けとめております。
阿部幸代
105
○阿部幸代君
温度計
さや
管の形状の初歩的な
ミス
とか
ナトリウム漏えい実験
の不十分さとか、まして
ナトリウム
の扱いについて現場の職員たちが十分な訓練を受けていなかったとか、こういういわば初歩的な問題が理由となって起こる予期せぬこと、それも
技術
の開発、実用化に避けて通ることのできない困難な
事態
だと言って居直る、そういう研究開発思想そのものが日本の研究開発
行政
をゆがめているし、だから
国民
は不安が尽きないのです。このことを私は強調します。 その意味で質問したいのですが、
報告書
は、「
ナトリウム漏えい
と
火災
ということから強い
衝撃
を
地元
の
方々
をはじめ
国民
に対して与えた。これは、二次系
ナトリウム漏えい
であるので
放射性物質
による環境への
影響
は考えにくく、また、炉、心の冷却能力への
影響
もないということからすれば、予想されたものよりも、大きいものであった」、こう言っているんです。予想外の大騒ぎをされたと言わんばかりの書き方です。そして、
原子力
の安全と
国民
の安心、
信頼
をいわば二元的にとらえて、大騒ぎを静める独自性を強調しているんです。
国民
の批判を何とかしようではなくて、なぜ
事故
を繰り返すのか、その分析、そして体質の改善が求められているんではないでしょうか。重ねて
大臣
。
中川秀直
106
○
国務大臣
(
中川秀直
君) 何度も繰り返しますが、居直りということではなくて、まずそういう
技術
的な初歩のものも含めてそういう
事態
が起こり得るんだということ、ヒューマンエラーもございます。機械が本当に足元のところで汎用品だということで見逃されてこういう
事故
も起こる。そういう
事態
を直視して、そういうものが起きないような徹底した
安全対策
をやろうというのが
政府
を代表して総理が所信表明で言われた趣旨でございますので、どうぞ曲げて受けとめていただかないように心からお願いをしたい、かように改めて申し上げておきます。 それから、今お触れになったのは
報告書
の点であると思いますが、この「予想されたものよりも、大きいものであった」ということは、まさに放射能災害というものを、チェルノブイリのシビアアクシデント等々のそういう
事故
に対する
国民
あるいは市民の、そういうことが起こってはならぬと、また起こったときは大変だと、そういう
反応
というものと、それからそういう災害は起こさないけれども、今御
指摘
のあったような初期の
ミス
によって非放射性のループで
ナトリウム
が漏れたということへのインパクトを持った
反応
というものが必ずしも一致しておるとは思いませんけれども、
専門家
から二次系だということで、軽水炉の場合に御
説明
のつくものとシビアアクシデントのちょうどその中間ぐらいの
反応
が今度の「
もんじゅ
」の場合には起きたんではないか、こういう御
指摘
をいただいている。そういう意味で予想されたより大きいということをここに記述したと聞いておりますが、私は、それだから今度の
事故
が軽いものだとか、そんなふうに思っていないことは午前中の答弁でも申し上げたとおりでございます。
阿部幸代
107
○阿部幸代君
ナトリウム火災
の再現
実験
の結果を
国民
は見ていますから、鋼材でできた
床ライナー
に穴もあくことがあるんだ、起こり得るんだということを
認識
しました。ですから、安全の宣伝を幾らされても
国民
は安心しないんです。安全の
確保
のためにどれだけ真剣に取り組んでいるかで
国民
は安心をするんです。当然のことですが、強調しておきます。 それで、体質改善の手始めが徹底した総点検、
報告書
は「
もんじゅ
安全性
総点検チーム」を設ける、こう言っているんですけれども、この総点検だと思います。それをぜひ見守っていきたいんですけれども、何をどんな方法で点検するのか、そこが気になるわけです。
温度計
だけに限らない安全
審査
、それから設工認の
あり方
の総点検が求められるし、つまり国の安全
審査
、原子炉等規制法や
審査
内規の見直しにもつながるような総点検が求められると思います。また、保安規定やマニュアル類の総点検は科技庁も能動的にかかわり、外部の批判的な意見を持つ人も含めた人々の力も取り入れて進めることが期待されます。科技庁は知らなかった、こういうことが今後起こらないようにしてほしいということですが、どうでしょうか。そして、いずれも公表、
公開
の約束をしていただけますか。
宮林正恭
108
○
政府委員
(
宮林正恭
君) まず、
安全性
総点検についてはどういうふうなやり方をやるのか、こういう御質問でございますが、これにつきましては、対象といたしましては、これは「
もんじゅ
」の施設、それから保安規定、マニュアルといったようなものすべてを対象にいたしております。 それで、やり方といたしましては、今後当庁に設置をいたします
安全性
総点検チームにおいてまず基本方針を決めます。その上で、実際の
安全性
総点検を実態的にやるというのは、これはやはり
動燃
にやっていただかなきゃいけない。しかしながら、総点検チームも必要に応じて特に重要だと
認識
するものについては立ち会うというふうなこともしていただくということを考えております。 それで、こういうふうな形でやりました結果をこの総点検チームで聞きまして、それで中身をチェックしていく、こういうふうな形を考えているわけでございます。この
安全性
総点検の結果といたしまして、安全
審査
なり設工認なりということに反映していく必要があるということになりますれば、当然そういうふうな手配をさせていただくということにしたいと思っております。 次に、保安規定、マニュアルの総点検については科技庁が能動的にかかわるべきだと考えるかどうかということでございましたが、これは今申し上げましたようなやり方でございますので、お答えをしていると思います。 それから、総点検において批判的な
専門家
の御意見も取り入れるべきではないかということにつきましては、これは既にいろいろとそういう御意見を承っております。したがいまして、私どもといたしましてはそういう多様な意見、さまざまな観点からの意見といったようなものを取り入れて、それで基本的
考え方
を整理し、あるいは
動燃
における具体的な点検計画といったものにも反映をさせていきたい、こういうふうに考えているところでございます。 それから、総点検の結果等、保安規定なりマニュアルを
公開
すべきということでございますが、総点検の結果につきましては取りまとめた後公表をさせていただきたい、こういうように思っております。また、保安規定につきましても、既に現行のものを
公開
しておりますから、改定いたしましたものは
公開
をさせていただきます。さらに、
事故
時に係る異常時運転マニュアルにつきましても既に
公開
をしておりますので、改定されたものについても同様に
公開
する、こういう
考え方
を持っております。
長谷川清
109
○
委員長
(
長谷川清
君) 時間になっておりますので、
最後
の質問にしてください。
阿部幸代
110
○阿部幸代君
最後
に、
原子力安全委員会
に質問したいと思いますが、ことしの三月十四日、
原子力安全委員会
委員長
談話が出されました。「
国民
の期待に応えるために、その持てる全ての力を結集して本件に取り組む決意である」という決意表明がされています。また、私どもの
認識
とは必ずしも一致しないのですが、先ほどの答弁でも第三者機関を自任なさっています。また、昨日
大臣
も、殊さら第三者機関でなければならない、こういうことを強調されていました。とすると、それにふさわしい取り組みが当然期待されます。 そこでお聞きしますが、安全総点検を徹底するという観点から既設の商業炉の安全総点検が必要ではないでしょうか。この問題についてどう考えるか。またもう
一つ
、
体制
の
強化
なり予算面の増額なりが必要でしたらそれも率直に提案していくべきではないんでしょうか。この二点について伺います。
都甲泰正
111
○
説明員
(都甲泰正君) ただいま御
指摘
いただきました、総点検の結果、既存の軽水炉への反映すべき点があるんではないかという御
指摘
に関しましては、もちろん私どもといたしましても安全にかかわる新しい知見が得られました場合には常にそれを反映するという態度でございます。今度の「
もんじゅ
」に関する総点検の結果、軽水炉に反映すべき新しい知見が得られました場合には、間違いなくそれを反映することになるかと思います。 それから、もう
一つ
御
指摘
いただきました、
原子力安全委員会
が第三者機関としてよりょく機能するために新たな予算とか組織とか、そういう御
指摘
かと思いますが、これは先ほど御答弁申し上げたとおりでございまして、現在の時点におきまして現在の組織で
原子力安全委員会
といたしまして十分に第三者機関としての機能が果たせるものと考えております。
長谷川清
112
○
委員長
(
長谷川清
君) 本
調査
に対する本日の
質疑
はこの程度にとどめます。 本日はこれにて散会いたします。 午後二時七分散会