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1996-03-15 第136回国会 参議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年三月十五日(金曜日)    午後一時開会     —————————————     委員異動   三月十四日     辞任       補欠選任      橋本 聖子君     岩井 國臣君     —————————————    出席者は左のとおり。     委員長         成瀬 守重君     理 事                 木宮 和彦君                 楢崎 泰昌君                 萱野  茂君     委 員                 板垣  正君                 岩井 國臣君                 尾辻 秀久君                 高木 正明君                 三浦 一水君                 谷本  巍君                 照屋 寛徳君                 吉岡 吉典君                 武田邦太郎君                 島袋 宗康君                 奥村 展三君     国務大臣        外 務 大 臣  池田 行彦君        国 務 大 臣        (沖縄開発庁長        官)       岡部 三郎君     政府委員        防衛施設庁長官  諸冨 増夫君        防衛施設庁施設        部長       小澤  毅君        沖縄開発庁総務        局長       嘉手川 勇君        沖縄開発庁振興        局長       瀧川 哲男君        外務省アジア局        長        加藤 良三君        外務省北米局長  折田 正樹君        外務省条約局長  林   暘君    事務局側        第一特別調査室        長        入内島 修君    説明員        建設省建設経済        局総務課長    初谷 雄一君        自治省行政局行        政課長      朝日 信夫君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○沖縄及び北方問題に関しての対策樹立に関する  調査  (在沖米軍基地整理縮小に関する件)  (米軍用地強制使用問題に関する件)  (沖縄振興開発に関する件)  (中国の軍事演習をめぐる問題に関する件)  (新石垣空港建設に関する件)  (米海兵隊民間地域行軍に関する件)  (嘉手納基地及び普天間基地騒音防止協定に  関する件)  (日米安保体制に関する件)  (県道一〇四号越え射撃訓練に関する件)     —————————————
  2. 成瀬守重

    委員長成瀬守重君) ただいまから沖縄及び北方問題に関する特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。昨十四日、橋本聖子君が委員を辞任され、その補欠として岩井國臣君が選任されました。     —————————————
  3. 成瀬守重

    委員長成瀬守重君) 沖縄及び北方問題に関しての対策樹立に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  4. 板垣正

    板垣正君 沖縄の問題が、いろいろな意味全国の、またある意味では全世界の注目の中で、しかも沖縄県民皆さん方思いというものを深く察しつつ今あるわけでございます。  私も仕事の関係、つまり戦没された方々の遺族の関係あるいは戦没された方々慰霊関係、こういうかかわりでございますけれども沖縄県とのつながりはもう昭和三十年代の初めから、ほとんど毎年のように現地に伺う、あるいは沖縄からもお見えになる。その間、本土復帰という歴史的な日を目の当たりにいたしましたし、またその後の沖縄の第一次振計以来の発展の姿、そして沖縄皆さん方の、厳しい中にもあの試練を乗り越えてたくましく生き抜いておられる、しかも常に歌と踊りは忘れないという、こういう姿に深い感銘を与えられつつ、長年お世話にも相なってきた立場であります。  しかし、そうしたみずからは沖縄についてはよく触れ合っているというふうな思いは持っておりましたけれども、このたびの沖縄における不祥事を起点とする、改めてのこの沖縄基地問題というものがまさに真っ正面に提起され、深刻な問題に直面をいたしまして、私は改めて本当の沖縄というものをまだ理解できていなかったと。  ただ、沖縄方々の必死になって頑張っておられるあのお姿に、またあれだけ丁重に戦没者慰霊碑を建ててお祭りをしていただいておる、香華を絶やさない、そういう本当に心温まるものに、ある意味では身を任せるといいますか、甘えると申しますか、それらを包み込んだもっともっと深刻な、まさにあの戦争、占領下アメリカ支配下、そしてようやくの復帰、これにのしかかっているのはあの悲惨な戦いのつめ跡であり、また今なお沖縄本島の二割を占めると言われゑ全国の、日本基地の七五%を占めるというこの基地のまさに重圧であります。この重みというものを、私自身、ついついうっかり、それほどの重みというものをやはり感ずるところ乏しかった。  改めて、沖縄県民皆さん方の言語に絶する苦難の中から、大きな痛手の中から、しかもそれに続くこうした基地のいろいろな重圧、これはまさに察するに余りある、お察ししても察し切れない。沖縄県民でなくしては、あの土地におられて、そこで毎日生活しておられるそのお立場であってこそ、恐らくその痛みというものが、そうでなければ理解できないのではないか。  そうは思いますけれども、しかし遅まきではありまするけれども、私は日本人の一人として、また特に長いかかわりを持ってきた一人として、この直面する大きな重大な問題が、何とか沖縄皆さん方のあの多年の御苦難が少しでも明るい方向に、少しでも痛手がいやされる方向に解決されることを心から願わずにはおれないのでございます。  しかも、現実の厳しさというものは依然として横たわっております。沖縄基地日米安保体制かかわりにおけるまさに我が国の平和と安全、その基軸としての日米関係、その基軸としての米軍基地存在というものは、これまた一億二千万国民のよりどころと申しますか、この存在を受けとめ、かつこれを単に受け身ではなくして、特に冷戦後の現状においてはむしろこれを拠点にして、アジア太平洋地域信頼醸成平和環境紛争未然防止、そういう面にもやはり積極的に行動していかなければならない。そういう流れの中で、近く日米首脳会談も行われる。いわゆる安保の再確認と申しますか、そうしたものも大きな柱として確認されなければならない、こういう現状に置かれているわけでございます。  実は、きょうは午前中は内閣委員会がございまして、やはり関連の中でこの沖縄の問題について、現状、いろいろな問題について切実な論議が展開されたわけでございます。  現在、沖縄県と日本国政府の、あるいはアメリカ日本側の、それぞれ行動委員会なり協議会なりが設けられて真剣な論議が積み重ねられておる。また今後、アメリカクリントン大統領訪日に向けて一応の方向づけを出さなければ、さらには、この秋にはさらに具体的なものに結びつかせていかなければ、こういう極めて切迫した状況にある。  もう一つ大きな問題は、あの署名拒否に伴う基地訴訟の問題、これも二十五日に判決という形でございますけれども、これまた極めて重大、深刻な事態が予想される。こういう問題について午前中も随分論議をされましたけれども、深刻な問題であり、同時にまた極めて今慎重な熱意ある協議のさなかに置かれておる、あるいは判決の寸前にあるというふうなこともありまして、現在のこの時点においてそうした状況の明確な結論的なお話というものはなかなか難しい。そういう点では、お尋ねする立場においては非常に難しいといいますか、微妙な時期に際会しているわけでございます。  それはそれといたしまして、やはりますは沖縄米軍基地問題協議会、県と日本国政府の間でいろいろ積み重ねの協議が行われている。あるいは沖縄施設区域、これの特別行動委員会、これにつきましても何回か回数を重ね、一部報道等によりますと、具体的な項目について日本側からも提起され、またある程度、少しの見通しがつきつつある、あるいはある特定の問題については極めて今難航しているというふうな状況も伺うわけであります。  この問題については恐らく沖縄県民皆さん方に心から喜んでいただけるような、まさに目に見えるような基地返還縮小というものは、私は率直に言ってなかなか期待できないと思う。恐らく爆発的な沖縄皆さん方の憤激、御不満があらわれるような事態を迎える可能性も否定できません。しかし、それであればあるほど、まさに精魂を傾け、誠心誠意を尽くして、誠意を持ってこの問題に取り組んでいただいていると思いますし、またその思いをあらわしていただければと思うのでございます。  そういう意味合いにおきまして、前置きが長くなりましたけれども、現在の県の協議会状況、さらには日米間の交渉の現在の状況、これからの見通し等について、それぞれからお話をいただければと思います。
  5. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) ただいま板垣委員からは、長年、沖縄の問題、そして沖縄県民立場、そういったものに深い関心を持ち、また真剣に取り組まれた、そういった経緯を踏まえながら、現在、政府そして沖縄県との間で、また我が国と米国の間で取り進めている作業について真剣にこれを進めなくちゃいけない、こういった趣旨のお話がございました。私どももそのような観点から今真剣に取り組んでおるところでございます。  御指摘もございましたように、沖縄におきましては、過ぐる大戦におきまして我が国において唯一戦場になった、こういうことで、県民皆様方には大変な御苦痛を与えたところでございます。その際、当時の海軍部隊司令官であった大田実中将から、沖縄県民かく戦えり、後世格別の御高配賜らんことをという切々な東京への報告があったということも承知しております。  それだけではなくて、それから戦後長くああいった本土とは違った米軍施政下に置かれ、さらに復帰後も現に我が国に所在いたします基地の七五%と言われるような大きなものがこの沖縄にある。こういったことで県民皆様方に大変な苦しみあるいは御負担をおかけしてきた、こういうことに我々は深く思いをいたしまして、もとより日米安保条約目的達成、これとの調和を図らなくてはなりませんけれども、できる限りの基地整理統合縮小、それに取り組まなくちゃならない、今、全力で取り組んでおるところでございます。  そして、沖縄県と国との間の基地問題に関する協議会におきましては、これまでもその総会あるいは幹事会において沖縄地元のいろいろな御要望等についてもお伺いしているところでございます。そして、実は明日も、週末ではございますが、大田知事にも御上京賜りまして、私どもも参加いたしまして協議会を開きたい、こう思っております。  そしてまた、日米間におきましては、昨年の秋に特別行動委員会というものが設置されまして、一年間を目途に具体的な成果を上げていこうということで鋭意作業を進めておりますが、とりわけ来月にはクリントン米大統領が来日されまして、その際日米安保体制意義というものを再確認しよう、こういうことになっております。それへ向かって一定の方向性を出すということで精力的に作業を進めてまいりました。特別行動委員会幹事会、ワーキンググループはごれまでに四回の会合を開きまして真剣に話し合いを進めております。そういった中で、現在まで鋭意作業を進めてまいりましたが、まだ結論を得て表へ発表できるという段階には至っておりません。  しかし、現段階で大体のことを申しますと、こういうことでございます。  まず、基地そのもの整理統合縮小の問題と、騒音問題そのほかの基地運用にかかわる問題、こういうものがございます。  まず、運用の問題につきましては、当初、騒音問題等項目について検討を進めるということになっておりましたけれども、その後、さらに四項目を追加いたしまして、今、九項目について検討を進めております。その中で、例えば騒音の問題につきましては、従来、嘉手納及び普天間の両飛行場につきましては本土横田厚木などのケースにございますようないわゆる騒音防止取り決めというものがございませんでした。これを何とか横田厚木と同じようにしようということで進めてまいりまして、これまでのところで基本的に横田厚木と同じような内容の取り決めを結べるということで実質的な話し合いがついているところでございます。  そしてまた、運用にかかわる問題でいま一つ車両番号を明白につける、こういう話でございましたが、これにつきましても、全車両について公道を走行する場合には原則的に番号票をきちっとつけるということで日米間の合意が形成されております。  この両項目につきましては、現在さらに詳細を詰めまして、できるだけ早い時期にきちっとした正式の合意へ達したい、こういう段取りになっている次第でございます。  そのほかの七項目につきましても、鋭意検討話し合いを進めておりまして、早期に動かせるものから一つ一つ具体的な改善を図ってまいろう、こう考えております。  さて次に、基地そのもの整理統合縮小の点でございますが、これにつきましては、現在各施設についての論点整理であるとかあるいは非常に具体的な問題点の洗い直しというものに日米共同作業をしているところでございます。  今御質問の中で、新聞報道の中で日本側提案があったというふうなこともあるがというお話がございましたが、これは日本側提案米側がそれにこたえるこたえないというふうな作業の進め方ではございませんで、日米が共同して力を合わせて一つ方向といいましょうか、さらには具体的な対処方法対処案をつくっていこう、こういうことでやっておりますので、提案などという話ではございませんけれども、今真剣に論点整理問題点の洗い直しをしておる、こういうふうに御理解いただきたいと思います。  また、そのほか、新聞報道などで個別のケースについて、これは整理あるいは縮小につながらぬではないかとか、あるいはこの件は難しいんではないかとかいろんな報道をされていることは私も承知はしておりますけれども作業の仕方がただいま申しましたようなことでございますので、今具体的なケース個別ケースについてあらかじめ申し上げることは控えさせていただきたいと思いますし、いずれにいたしましてもまだそういったものについて結論が出ているものは何もない、こういうことでございます。  いずれにいたしましても、四月の大統領訪日という大きな節目に向かってこれからさらに作業に精力的に取り組み、沖縄県民皆様方の御負担を少しでも軽減してまいりたい、こう考えている次第でございます。  お話もございましたように、なかなか地元方々の御理解は十分に得られないかもしれませんけれども、しかし誠意を持って、しかもぎりぎりの、できる限りの努力をし、成果は出してきたんだという点は御理解いただけるようにやってまいりたい、このように考えている次第でございます。
  6. 板垣正

    板垣正君 この特別委員会におきましても、一月の中旬に成瀬委員長初め私ども現地視察に参ったわけでございます。大田知事さんのお話も承り、また各主な、嘉手納、瑞慶覧、普天間あるいはキャンプ・ハンセン、基地もいろいろまさに目の当たりにし、私も何回か嘉手納等にも視察に参りました。  今度参りまして一番感じたことは、これは委員長もまずこの間の不祥事件について、再びああいうことを起こすな、こういう場面からまず始まったわけではございますけれども、会いました司令官あるいは副司令官人たちの姿勢というのは本当にさま変わりに感じました。今までの視察ですと、やはりああした人たちが胸を張ってアメリカ世界戦略なり日米安保体制意義なりを大いにぶち上げる、こういうふうな雰囲気が今まででございましたけれども、今回参りましたときには司令官、副司令官、まずおわびですね。まず申しわけないと。そしてまた、基地の問題あるいは騒音の問題でもこうこうこういうふうにしてなるべく近くの住民の方々に累が及ばないように、こういうふうに努めておりますと向こうからいろいろ説明をするという、今までは本当になかったような場面でした。  例えば、嘉手納飛行場滑走路のF15の離着陸にしても、なるべく滑走路の真ん中を使って騒音飛行場の中で消化されるようにやらせておるとか、あるいは給油機移動についても、移動については四つあるエンジンのうち二つのエンジンしか使わせない、それで離陸のときの音を立てないようにして移動するとか、それからまたなるべく休みの日には演習はほかの地域でやるようにするとかいろいろ言って、みずから案内をしてくれました。我が方の提供した施設によるエンジン騒音の装置ですね、そういうようなものも実際に見てまいりまして、アメリカアメリカなりになるべく誠意を持って対処したいという思いがあることは受けとめたわけでございます。  ただ、そういう場面はそれで受けとめますが、またこちらへ戻りまして沖縄県の琉球新報とか沖縄タイムスを見ますと、やっぱり朝早くから嘉手納なら嘉手納の爆音というものは物すごいというふうなことで、日夜そうしたものが大変深刻な事態を迎えておるということが報道される。軍の組織でありますからいろんな部隊組織とか命令の組織もあるんです。ほかから来た部隊を全部そこまで統括できないというふうなこともあるようでございますが、いずれにしましても今お話しのとおりに遅まきながら騒音防止協定も結ばれて、そうした問題についても積極的に取り上げられているということは大変結構なことだと思いますし、ぜひ今申し上げましたような運用の面における問題についても詰めていただきたい、こう思うのでございます。  それからもう一つの問題、私ども心配しておりますのは訴訟かかわりですね。これもなかなか難しい裁判でございます。しかも沖縄の県知事さんが被告の立場で審判を受けられる、日本国内閣総理大臣がそれを訴える立場というふうな極めて深刻な事態。しかし、この訴訟の運びというものもいろいろな波乱を含みながらもう既に二十五日には結審と。また、これをめぐってもう既に三月末には期限を迎える基地通信施設がございますね。そうした扱いというようなことをめぐって大変な混乱が起こるんじゃないのか、これを憂慮しているわけでございますが、その辺の状況なり見通しについて伺える範囲でお話しいただきたいと思います。
  7. 諸冨増夫

    政府委員(諸冨増夫君) ただいまも先生指摘のように、三月三十一日まで期限がございます賃貸借契約楚辺通信所のところが一名いまだ契約を再三お願いしておりますがだめだということで、私どもやむを得ず駐留軍の特措法に基づく訴訟をしておる、それで御指摘のように二十五日に判決を迎えるという状況でございます。何とか判決後も私ども期限内に使用権限をいただけるようにまだこれから残された期間最大努力をしたい、このように考えておりますが、現段階では大変厳しい状況に来ておるということは私ども再三説明しているとおりでございます。現在、警備当局等の情報によりますと、今御指摘のように期限切れに対して本土の方からも支援団体方々がある程度応援に駆けつけるというような状況も私ども承知しておるところでございます。  ちなみに申し上げますと、現在沖縄県の駐留軍用地地主さんは全部で三万二千名おられますが、そのうち二万九千人はもう既に賃貸借契約をいただいておるところでございます。残りの二千九百人がどうしても賃貸借契約に応じていただけないということで現在訴訟手続に入っておるところでございますが、その二千九百人のうちの二千八百人が一坪地主と言われているいわゆる反戦地主と言われている方々でございます。したがいまして、こういう方々動き等につきましても私ども十二分に注意しながら、今後何とか混乱が起きないように、波乱が起きないような状況で円満に解決したいと心から念願しておりますが、現在そういう状況だということで私ども承知している限りのことを今御説明した次第でございます。
  8. 板垣正

    板垣正君 いろいろ御苦労も多いと思うわけでございますけれども、どうか混乱のなるべくないようにこの上とも御努力をお願い申し上げたいわけであります。  さてそこで、岡部沖縄開発庁長官大臣就任はまことにおめでたいわけでございますけれども、時が時ですね。一番焦点にある沖縄県の責任者に御就任でございます。もう既に沖縄現地視察され、また多年の御経験がありますから沖縄の問題についても既に十分御承知のところでもございましょう。同時に、現在取り組まれておる大きな問題、開発庁は何といっても沖縄県の発展あるいは沖縄県民生活にかかわる重責がございます。そういう中で、今置かれている沖縄県民のあるいは沖縄の将来のあり方、直面している問題をどう乗り越え、将来の発展をどういう方向づけでいこうか、どういう問題に今一番沖縄開発庁長官として力を注いでおられるか。その辺の将来についてぜひお話を承りたい。  沖縄の方もそうした基地の問題、本当にそうしたことのいても立ってもおれない思いもございましょう。  同時に、今まで耐え抜いてこられた、厳しい試練の嵐を乗り切ってこられたたくましいそういうお立場で、困難な中で明るい未来を切り開いていこうという思いというものは、これはもう伝統的にまた今日も強いものがあろうと私ども参るたびに感ずるわけでございますが、そうした中で、沖縄開発庁長官としての抱負経編について、ひとつぜひ聞かせていただきたいと思います。よろしくお願いします。
  9. 岡部三郎

    国務大臣岡部三郎君) ただいまもこの沖縄基地問題につきましていろいろと御議論があったわけでございますが、先生指摘のとおり、沖縄本島に限って見ましてもその二〇%が米軍専用施設区域に充てられているわけでありまして、これがやはり土地利用の上からも大きな制約になっておりますし、また県民生活にもさまざまな影響を及ぼしているということは紛れもない事実でございます。  このために、第三次振計におきましても施設区域整理縮小及び返還跡地有効利用重要性ということが指摘されておるところでありますし、開発庁といたしましても、従来もこの返還跡地につきましては、地元跡地利用計画が固められたものにつきましては速やかに高率の国庫補助による事業の施行に努めてきたところであります。今後も米軍基地整理縮小が進展することを大いに期待いたしますとともに、その跡地有効利用に努めまして、沖縄経済発展県民生活振興のために努めてまいりたいと思っておる次第でございます。  それと同時に、依然として本土との経済格差というものは非常に大きなものがあるわけでありますから、この第三次振計に基づきまして、その格差是正努力をすると同時に、自立的な発展基礎条件を整備いたしまして、沖縄の有する自然的、地理的な条件、豊かな海洋資源存在亜熱帯地域に適応し得るような独自の技術の蓄積等の多くの地域特性を積極的に活用しまして、亜熱帯農業あるいは観光リゾート産業等特色のある産業振興、また我が国の南の交流拠点としての基盤整備、さらには、国際的な観光保養地域としての整備等を図りまして、活力と潤いのある沖縄県を実現してまいりたいと考えておる次第でございます。  また、現在、第三次振計の後半を迎えるに当たりまして、計画基本理念、目標の達成のために新しい時代の潮流、与件の変化を踏まえて計画期間後半の施策転換への方向等につきまして、平成八年度を目途沖縄振興開発審議会におきまして調査審議をいただいておるところであります。  沖縄は、何といいましても青い空、青い海、亜熱帯の自然環境が我が国では最も多く残されておるところでもありますし、また国民のこういう自然環境に対する認識というものも相当深められつつある昨今であります。  さらに、沖縄は長寿の県でありまして、これから高齢化社会を迎え、高度情報化社会といったようなことを考えますと、そうした面でお年寄りが安んじて生活ができる地域としては最も適したところではないかというふうにも考えるわけであります。そうした沖縄を取り巻く社会経済情勢の変化に対応した沖縄振興開発というものをこれから考えていかなければならない。  幸いに、今審議会においてもいろいろと調査審議が進められておりますので、それらを踏まえまして、引き続き三次振計に基づく諸事業を推進しまして、計画の目標達成に鋭意努めてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  10. 板垣正

    板垣正君 ありがとうございました。大変共感を覚える抱負を承りました。どうぞ御検討をお願いいたします。  せっかく外務大臣がお見えでございますので、別件で恐縮でございますが、我々が今注目しておりますのは中台関係の緊張です。そこで、中国の外務大臣も近く見えるというような話もございますが、どうぞそういう機会には率直におっしゃっていただきたいという点がございます。  それは、今度のような中国のやり方はまずい、中国にとってもマイナスです。ああいう武力で威嚇を行う、どう弁明しようと台湾の総統選挙に対する武力的威嚇には違いない。それが周辺の国にも大変な迷惑をかけ、不安をもたらしながら、香港情報によると二千三百億円というんです、今までで予算を使ったのが。ことしの軍事費の四分の一とか三分の一とか、もっともそれは軍事費からじゃなくてほかから出ていると、こういうんだから、あそこの軍事費は。隠れ軍事費がいっぱいある国なんです。  いずれにしても、平和な民主主義を大事にしていかなけりゃならない冷戦後の新しい平和の秩序を対話の中で、協調の中で利害の調整、紛争防止を図っていこうという大きな流れの中で、これは我が国も日中友好を基軸に据え、あくまで基本線は中国は一つです、それから、中国が開放経済体制で本当に開かれた国になり国際社会に軟着陸してくださいと。これはアメリカの政策でもある。そういうことで、莫大な援助、莫大な借款も差し上げてきている、こういうことに対する非常な期待を裏切る姿ではないのか。  しかも、かえって李総統さんの人気はウナギ登りですよ。それはそうですよ。あの国の民主主義の選挙というものは一九一一年の辛亥革命以来、建国以来の夢であった。孫文さんの三民主義の主権在民の夢であった。その夢が今度かなえられる、これが総統選挙なんだと。こういう誇りと今までの辛酸の中で積み重ねた選挙でありますから、これは国交があろうとなかろうと、私どもはそういうものに対しては心から敬意を表し支持する。  そういうものを力で押さえつける、こういう野蛮な中国のやり方は、そんなことをやっていたらあなたの国はもう本当に世界から信頼を失うよ、我々も借款なんかできませんよと。もう少し大国らしくきちっとした対話の中で、台湾は何も独立なんて言っていないんです。これはデマなんですよ。台湾が独立を求めているというのは、ごく一部の人は言っているかもしれませんけれども、国民政府、台湾の世論からいっても、あるいは指導者の立場からいろいろ言っておられるのは、いかにして平和な統一をするか、民主自由、均富、そういう両方、両岸の統一を目指そう、それが理想なんだと、こういうことでありますから、どうか大臣、そういう立場で対処していただきたい。そのお気持ちをお述べいただければありがたいと思います。
  11. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 私どもも、今、台湾海峡、その周辺地域をめぐる緊張の高まりというものに対しましては非常に大きな関心を有し、事態がこれ以上進展しないように、緩和されていくように切望しているところでございます。そしてまた、委員も御指摘になりましたように、我が国といたしましてもこの関係は両当事者の間の平和裏の話し合いを通じて解決を見出してもらいたい、これが我が国を含む国際社会の一致した願いである、こう思っております。そういった基本線に沿って、現在の緊張についても中国側も自重自制してもらいたい、こう考えている次第でございます。ましてや我が国の領土からも非常に近いところでございまして、現に航空路の変更を余儀なくされているというような影響も出ているところでございますので、その観点からも重大な関心を持たざるを得ません。  そういったことは、既に今回二度にわたりまして在京の大使館に対しましても申し入れているところでございます。また、中台関係が両当事者の平和裏の話し合いで解決を見られることを望むということは、そういった一般的な基本的な立場はこれまでもいろんな場で申し入れております。具体的には、先般ASEMの会合がバンコクで行われましたときの日中首脳会議でも行われておりますし、私自身就任以来二度にわたりまして銭其シン外務大臣との会談を持っておりますが、その場でも申し入れておるところでございます。  そして、今、中国の物事の運び方が中国自身のためにも決していい方法ではないんじゃないかという御指摘がございました。私もそう思います。それで、その点につきましても、中国が今政策のトッププライオリティーを改革・開放路線の進展、つまりは平和裏に経済の成長を通じて国民生活を向上していく、しかもそれを実現する上において国際社会との協調あるいは国際社会からのいろいろな協力を得ながら進めていくという基本線を持っているわけでございますから、そういうことを考えるならば、やはり現在の台湾海峡をめぐって緊張が高まるような状況をつくり出しているのはいかにもまずいじゃないかということは率直に私は申しております。その中で、具体的に我が国としても中国のそのような改革・開放路線の進展のために経済協力面その他で協力しているんだけれども、今のようなやり方では我が国の国内でもいろいろ異論が出てくるよということも指摘しながら申しておるところでございます。  いずれにいたしましても、アジア太平洋地域、さらには世界全体の安定のためにも、中国が建設的なパートナーとして国際社会の中にきちんと位置づけられるということが大切だと思いますので、そういった観点を踏まえながらこれからも友情ある説得と申しましょうか、そういうことでいろいろな機会をとらえて中国側にも話をしてまいりたい、こう考えている次第でございます。
  12. 板垣正

    板垣正君 ありがとうございました。終わります。
  13. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 沖縄開発庁におかれましては、岡部長官を初め全庁、全職員の皆さん方沖縄振興開発を初め沖縄県が抱えている諸問題解決のために御奮闘いただいていることに心から敬意を表するものでございます。岡部長官を先頭に今後とも百二十七万県民の期待にこたえられる諸施策を力強く推進していただきますよう冒頭にお願いを申し上げる次第でございます。  さて、岡部長官は去る二月二十七日、地元琉球新報とのインタビューで、県政の争点になっております新石垣空港建設問題について、この調査費の件でございますが、「「調査しなければ良いも悪いも分からない。調査は必要であり、その上で将来の発展という大乗的見地からどこがいいか地元で決めてほしい」」とお述べになり、「調査を優先させるべきだとの考えを明らかにした。」、こういう報道がなされております。  御承知のように、新石垣空港の建設というのは、これは八重山郡民の大きな願いでございますし、同時に現在の石垣空港が暫定空港である、こういう立場に立ちますと、何としても一日も早く新石垣空港をつくらなければならない、こういう思いでいっぱいでございます。沖縄県では、いろんな専門家の御意見も拝聴しながら、新石垣空港の位置選定についてこれまで作業を進めてまいりまして、宮良牧中案というのが決まったわけでございます。  そこで、この宮良牧中案についての調査費の計上問題というのが大きな課題になっておりますけれども、この二月二十七日の長官のインタビューの本意というんでしょうか御趣旨と、それから新石垣空港建設へ向けた調査費の計上問題を含めて、長官のお考えを賜りたいと思います。
  14. 岡部三郎

    国務大臣岡部三郎君) 先生指摘のとおり、八重山群島の振興開発また住民の方々生活の向上ということを考えますと、やはり新石垣空港の建設というのは最も重要なプロジェクトであると我々も考えております。新石垣空港の建設につきましては、県が事業主体になりまして、平成四年に沖縄県知事が宮良地区を建設候補地として選定されましたが、この地元合意の形成を初め農政上の課題等もありまして、なお県において検討すべき課題がいろいろと残っておるというふうに聞いております。  先般の記者会見におきまして私が申し上げたのは、新石垣空港の建設に先立っては一般論として各種の調査が必要であるということを申し上げたわけでございまして、新石垣空港の調査を具体的にどのように行うのかということは、これは県営事業でございますから、地元沖縄県において決めるべきものであると考えております。  いずれにいたしましても、開発庁といたしましては、県及び地元関係者が八重山地域の将来の発展のため新石垣空港のあるべき姿について大乗的な見地から十分御協議をいただき、お互いの理解のもとに一日も早い合意形成が図られるように期待いたしておるところでございます。
  15. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 ことしの秋に予定されております第七次空整との関係で、私はやっぱり早目に調査をしてその調査の結果に基づいて七次空整に組み入れていく、そういう作業が必要だと思いますが、その七次空整との関係ではどのような見通し  なんでしょうか。
  16. 岡部三郎

    国務大臣岡部三郎君) 七次空整につきましては、御指摘のようにこの秋には具体的な内容が決まると聞いておりますので、それまでにはやはり少なくとも計画の具体案についてある程度のまとまりをつくる必要があろうかと思います。そうしませんと、やはりまた今までどおりのような予定地区ということになる危険性があるものですから、我々としてはそうならないように地元の御協力を賜りたいと存じております。
  17. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 我が沖縄県は離島県でございます。その離島県にあってさらに有人の離島が四十二もある、こういうことになっているわけでございますが、宮古の伊良部架橋、夢の大橋と言われております伊良部架橋の早期実現については、これは伊良部町だけじゃなくして今や宮古郡民全体の要望になっておるというふうに私は理解をしておるのでございますが、この伊良部架橋の実現へ向けて開発庁が今どのような取り組みをなさっておられるのか、この点についてお聞かせいただきたいと思います。
  18. 岡部三郎

    国務大臣岡部三郎君) 沖縄は言うまでもなく離島県でございまして、架橋の整備により離島間の交通の円滑化を図るということは、住民の生活の向上や地域振興開発を進める上において極めて重大なことであると認識をいたしております。  伊良部架橋につきましては、約四キロメートルに及ぶ長大橋でありますし事業費も膨大な額になると見込まれておるために、同架橋の具体化に当たっては、架橋が住民生活の向上と地域発展に十分活用されることとなるよう地元におけるさまざまな地域振興プロジェクトを進めていくことが極めて重要な課題であると思います。また、架橋の建設に当たっては、これは当然のことでございますが、地元関係者、関係団体との合意形成を図ることが必要だと思います。沖縄県では、平成四年度から地質調査等の基礎調査や事業手法の検討を積極的に進めておりますが、今後しばらくの間、さらに調査検討が必要であるというふうに聞いております。  開発庁といたしましては、これらの状況を踏まえるとともに、道路予算の推移等を見ながら伊良部架橋について検討してまいりたいと存じております。
  19. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 次に、防衛施設庁長官米軍用地の強制使用問題についてお伺いをいたします。  御案内のように、総理大臣が大田沖縄県知事を被告として提訴しております職務執行命令訴訟が去る三月十一日に結審となり、そして来る二十五日に判決の運びとなりました。私は一人の沖縄県民として、また在野法曹弁護士の立場で今回の職務執行命令訴訟の審理の過程を見ました場合に、これはもう裁判所が司法権の独立をかなぐり捨てて、むしろ司法権の自殺行為に等しい。県側が申請をしておった証人を全く調べないままに結審をした、実質審理をしない形式審理のみで判決をしようとする、このことについて今県民が大きな怒りを持っておるわけであります。ただ、この場においては裁判の内容について論議をするのはふさわしくないかもしれません。  私は、一つだけ強調しておきたいのは、いわゆる楚辺通信所、象のおりと言われる通信所で三月三十一日の期限切れによって国が正当な使用権原を失った場合に、これはやはり私は国が正当な使用権原を取得しないままに占有を継続するということは法治国家としてとるべきじゃないと思います。と申し上げますのは、安保条約に基づいて政府として基地提供義務が仮にあったとしても、法治国家でありますから、その義務を果たすために政府が、国家が不法行為を犯すということになりますと、これはやっぱり国民に対して説明がつかないわけであります。  したがいまして、国の方は沖縄県の収用委員会に対して使用裁決の申請と同時に米軍用地収用特措法に基づいて六カ月間の緊急使用の申し立てをするようでございますが、施設庁長官、この期限内に当該土地の正当な使用権原が取得できない場合にどういうふうな対応をするおつもりですか。マスコミ報道によりますと、橋本総理みずからが、この職務執行命令訴訟に敗訴する場合の事態も想定して対応するようにと、こういう御指示をなさったということも報じられております。今私が聞きました法治国家としてあるべき国がとるべき態度と、その期限内に正当な使用権原を取得できない場合の対応についてお聞かせ願いたいと思います。
  20. 諸冨増夫

    政府委員(諸冨増夫君) お答えします。  ただいま先生おっしゃいましたように、二十五日の判決を私ども待っておる状況でございますので、それ以降の状況について今ここで断定的なことをいろいろ申し上げるのはいかがかと思っております。しかしながら、三月三十一日までに使用期限が来る土地がございまして、この地域についての月内といいますか三月中の諸手続を終えることにつきましては、御指摘のように大変厳しい困難な状況に今なっておるという認識は私ども持っておるところでございます。  一方では、この施設楚辺通信所という極めて重要な、米側にとっても重要な施設だという認識もございます。したがいまして、我が国といたしましては安保条約の第六条に基づきまして施設区域として引き続き駐留米軍に提供をする必要がございます。このために、私どもとしては現段階では判決を受けまして、まだ判決は出ておらない段階で余り断定的なことは申し上げられませんが、万一私どもの方が勝訴いたしました際には、直ちに私どもその代行署名を総理にお願いいたしますと同時に、それで使用認定の方の手続が終了いたしますので、引き続きまして裁決申請の方の手続をとらせていただく。それと同時に、緊急使用手続を県の収用委員会の方にお願いして、何とか期限内にこの手続、緊急使用の方の手続でございますが、これが得られるような努力をまだ最後のぎりぎりまでさせていただきたいということを考えているところでございます。
  21. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 重ねて申し上げますけれども、いかに楚辺通信所が重要な施設であっても、政府が、国家が、権原がないままに不法占拠をするということはこれは法治国家として断じてやるべきじゃない。そうじゃないと国民に向かって法律を守れなんて言えませんよ。私はそのことを一言申し上げておきたいと思います。  それから、外務省にお伺いいたしますが、せんだって二月二十二日の外務委員会で、私はアメリカ海兵隊の民間地域における行軍問題をただしました。その際に、二月十六日にアメリカ海兵隊が民間地域で強行した例のキャンプ・コートニーを発着点とする訓練について折田北米局長は、私の質問に対して、キャンプ・コートニーを出てキャンプ・マクトリアスに入ったかのようなそういう答弁をしております。しかし、これはその後の調査によっても、キャンプ・コートニーからキャンプ・マクトリアスへの部隊間の移動はなかったということがはっきりしておるわけであります。  この民間地域での行軍訓練すらやめろと言えない日本政府の態度、これは沖縄県民にとっては非常に情けないわけですよ。そうでしょう。演習場とか訓練場とかあって、そこまで兵隊を運ぶのにコストがかかるから、費用がかかるからと言っているんですよ、アメリカは。そんなことじゃ許されないでしょう。何のために演習場、訓練場はあるんですか。アメリカ自身がこの行軍は軍事的な訓練だと言っているんですよ。兵士を鍛錬するための訓練だと言っているんです。にもかかわらず、日本政府は地位協定五条二項による部隊間の移動だから構わないんだ、こういうことじゃ沖縄県民はこれまでも五十年間基地重圧で苦しんできて、そのような政府の態度でまた苦しみを強制されると思うんです。  一体、北米局長、事実関係のその後の調査とこの行軍についてどのようにお考えになっているか、お聞かせください。
  22. 折田正樹

    政府委員(折田正樹君) 二月十六日、第三海兵隊本部大隊所属の隊員約百五十名が午前五時にキャンプ・コートニーを出発し、キャンプ・マクトリアスに行き、再びキャンプ・コートニーに戻る約八マイルの徒歩による移動を実施したものと承知しております。  米軍は、この移動を行うに先立ちまして、所轄の警察に道路使用許可申請を行い許可を取得したとのことでございますし、また武器の携行はなかったとのことでございます。  今、委員、キャンプ・マクトリアスの施設区域の中に入ったのかどうかという点でございますが、この点につきましては入ったという事実はなかったということでございますが、キャンプ・コートニーを出発してキャンプ・マクトリアスを目的地として行われたものであります。それから、米側はこれを施設区域間の移動として行ったという旨の発表を行っていることでございます。これらを勘案いたしますと、地位協定第五条に言う「移動」と認められるものと解されるというふうに我々は受けとめております。  しかしながら、いわゆるこの行軍の問題につきましては、沖縄からさまざまな問題点指摘をいただいているところでございますし、沖縄との間の基地問題協議会におきましても問題点の強い指摘をいただいております。  私どもといたしましては、解釈論は別といたしまして、どのようにしたら実質的な改善を図ることができるか、政府として真剣に検討を行っていきたいというふうに考えております。
  23. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 騒音防止協定の点についてお伺いをいたします。  厚木横田と同じような騒音防止協定嘉手納基地普天間基地についても締結をしよう、こういうことが沖縄米軍基地問題協議会の中で議論されているやに聞いております。問題はその中身であります。  先日、昨年一年間の騒音発生回数を県が発表いたしました。実に三万七千七百三十五回。これは七十デシベル以上を五回以上継続した回数でございますが、一日平均で百六回。騒音の継続時間の累計が二百九十三時間余り、一日平均で四十九分三十秒。しかも、夜間、早朝の騒音がますます激化しております。  結論を申し上げます。  私は、これは厚木横田のような騒音防止協定を早目に締結すべきだという考え方を持っておりますが、同時に、内容については何も厚木横田と同じようにする、そういうものじゃないと思います。嘉手納とか普天間の爆音の実態に照らして、県の軍転協が提案している内容から後退しないように、特に夜間、早朝の静かな夜、平穏な生活を確保するような内容にしてほしいと思いますが、大臣のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  24. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 嘉手納及び普天間飛行場における騒音問題につきましては、ただいま御指摘がございましたように、本土横田厚木、こういった飛行場におきましてはいわゆる騒音防止協定と言われていますが、合同委員会の合意があるわけでございます。それが沖縄の場合にございませんので、同じようなものをということで、これを踏まえこれまで特別行動委員会におきましても鋭意努力をしてまいりました。そうして、これまでに基本的に横田厚木と同様の合意を形成しようということで一致しております。  さらに詳細を詰めまして、できるだけ早く正式合意に至りたい、こう考えて作業しているところでございます。
  25. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 私は、最初に、この委員会には委員会開催反対だということで出席しておられない会派があることに関連して、一言述べておきたいと思います。  私も、この委員会を不正常な状況で開くことには反対でありました。今衆議院で正常化のための努力が重要な局面を迎えているときに、私は衆参両院とも無理をしないでこれを実らせるということに協力するようにという立場からであります。  しかし、委員会が開かれたからには、私どもどんな場合でも審議に参加するという立場ですので、私もここで審議に参加させてもらいます。  こういう形で無理をしてでも委員会を開いたわけですから、沖縄問題たくさん論議しなくちゃいかぬ問題がありますので、正常化した暁には大いに頻繁に委員会を開いて、徹底した審議ができるようにしていただきたいという希望も表明しておきます。  さて、もう既に内容的に申し上げませんが、政府基地存続という立場を貫くならば、国内法上の根拠がないまま軍事基地が存続するという事態が生まれようとし、これはもう避けられない事態であります。  橋本総理も、悲しい残念な事態ということを言いながらも、衆議院予算委員会の答弁の中で、この事態が避けられないということはお認めになっております。この事態、今さっきも指摘がありました、主権国家、法治国家として国内法上の根拠のない外国軍事基地の存続という事態を、外務大臣大臣として、また政治家としてどのように説明なさるのか、お伺いします。
  26. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 先ほどこの委員会におきまして他の委員の質問に対しまして防衛施設庁の方からも答弁ございましたが、この問題につきましては、今非常に難しい状況に立ち至っていることは我々も承知している次第でございます。  しかしながら、当該施設につきましては、安保条約六条に基づきます施設及び区域として引き続き駐留米軍に提供する必要がある、このように考えておりますので、これからいろいろ担当の官庁において努力もしてまいりますが、何とか緊急的な使用ができるような手続というものをとってまいる、こういうことで対処してまいりたい、こう考えている次第でございます。
  27. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 安保条約があるために国内法上の根拠がなくても基地の存続はやむを得ないということだったと思います。これが主権国家のあるべき姿だというのが橋本内閣の政治姿勢だというふうに承りました。  私は、前回の委員会で、河野外務大臣でしたけれども大臣に向かって、沖縄大田知事は、公約に沿い、また超党派の県民の要求に沿った政治を行っている、これを国は違法だとして訴訟を起こす、こういう権限が大体国にあるのかということを中心とする質問を行いました。  今の法的根拠がなくても基地を存続するということにしても、地方自治法を否定する今の前回問題にしたような訴訟の問題にしても、なぜこういう事態が生まれるかということが私は重大な問題だと思います。  それは、沖縄県民基地も核もない沖縄ということを叫び続けている、それに沿った政治を行わないで基地の存続を基本とする政治を続けてきた、その破綻が今の事態であります。  そもそも、今の日本国憲法というのは、軍事基地のための土地の収用などということは最初から想定していない。そういう憲法のもとで基地を存続する、そのためには住民の意向も地方自治体の意向も踏みにじる、それがこういう事態をつくり出している根源だということを私は申し上げざるを得ません。  そして、訴訟についても、今、公約を守った大田知事を被告席に座らせた裁判について、司法の行政への追随ではないか、司法の独立の危機ではないか、こういう憂慮の声が広がっているということも私は指摘しておかざるを得ません。  そして、無理に無理を今も続けようとしている、その一つが、機関委任事務だとして今行っている問題であります。土地収用法第三十六条の自治体の長の土地調書への署名押印が機関委任事務だとしている問題であります。  そこで、私は防衛施設庁長官にお伺いします。  土地収用法第三十六条第五項は、第四項の市町村長の土地調書への署名押印が拒否されることをも予定しております。拒否することを予定された事務、つまりやってもやらなくてもいいというそういう事務がどうして機関委任事務だということになるのかお伺いします。
  28. 小澤毅

    政府委員(小澤毅君) 先生御案内のように、国の機関委任事務と申しますのは、国の事務の中で、法律またはこれに基づく政令の定めるところによりまして、普通地方公共団体の長等が管理、執行する事務でございます。  それでは、今回の駐留軍用地特措法に基づく事務でございますけれども、これのもとは、もとと申しますか、駐留軍用地特措法は土地収用法の特別法でございます。したがいまして、土地収用法に掲げられた都道府県知事の事務は、いずれもこれは国の機関委任事務として認められております。したがいまして、駐留軍用地はその土地収用法の特別法でありますことから、駐留軍用地特措法第十四条により適用されます、先生ただいま御指摘土地収用法第三十六条第五項の都道府県知事による署名押印等の事務は国の機関委任事務でございます。なお、これにつきましては、地方自治法の第百四十八条第二項別表三の方にもその旨我々は読みとれるというふうに思っております。  したがいまして、この署名押印につきまして、都道府県知事は土地調書が測量、調査、その他の資料に基づいて作成されたものであることを確認すれば署名押印しなければならないものでございます。これを拒否した場合には、これは違法になるんではないかというふうに我々は考えておるところでございます。
  29. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 そうなっていないんですよ。拒否することも予定しているんですよ。だから、拒否しても拒否しなくてもいいものがなぜ機関委任事務かというのが私の質問です。あなたは私の質問に答えないで長々お答えになりました。つまり、その事務の性質がどういうものかということです。それはまあ置きましょう。  元自治省事務次官の長野士郎氏が、「逐条地方自治法」という本で、土地収用法が第二十四条、第二十六条の二、第二十七条、第三十四条の四、第四十二条、第四十五条、第四十七条の四と、一番特例規定が多い法律とされているにもかかわらず、この土地収用法第三十六条の事務は、機関委任事務に関する行政命令手続の特別法の例に挙げられておりません。このことは、この事務が機関委任事務と考えられていなかったことを示すものだと思います。自治省、どうお考えですか。
  30. 朝日信夫

    説明員(朝日信夫君) 地方自治法第百五十一条の二の第十五項では、事務の代行手続に関しまして、他の個別の法律の中にそれに相当する規定がある場合につきましては、その個別の法律の手続による旨を定めておるわけでございますが、御指摘の「逐条地方自治法」の該当部分につきましては、そうした特別法の主だったものを例示的に掲げられているというふうに考えております。  したがいまして、そこに例示的に記されていないことをもちまして、収用法三十六条の事務が機関委任事務に当たらないとは言えないものと考えております。
  31. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 基地の中で地主も確認しようがない土地の強制収用など法律はそもそも予定していない、そういうことだと私は思います。だから、ここに例示もしていないんだと。  要するに、沖縄県民というのは、今、取られる取られない以前の問題、ある言い方をすれば、奪われる権利さえもない形で奪われようとしているという事態だと思います。  そこで、もう一つ。  元建設省官房審議官の小澤道一氏が建設省在職中にお書きになった「逐条解説土地収用法」では、市町村長の署名押印拒否を認めた根拠の一つとして、起業者に適正な土地調書を作成させることを挙げ、さらに、「都道府県の吏員も、この確認をすることができないときには、やはり、これを拒否すべきである。かくては、調書の作成が事実上不可能となるが、起業者はかかる事態とならぬように、適正な調書作成に努めざるをえないのである。」と、こういうふうに書いておられます。  これ、建設省にお伺いします。  市町村長の署名押印拒否に法的な正当性があることを認めている、こういうことだと思いますが、どうでしょうか。
  32. 初谷雄一

    説明員(初谷雄一君) 土地収用法のことについて申し上げますが、土地収用法におきまして、土地調書はあらかじめ権利関係をできるだけ整理いたしまして、収用委員会における審理の円滑化、迅速化を図るために作成されるものでございます。  そこで、土地所有者等が調書への署名押印を拒まれた場合には、起業者は市町村長に署名押印を求めなければならないこととされているところでございます。  しかし、市町村長は事業への反対、あるいは地元の利害、感情への考慮など、さまざまな理由からこれを拒むこともなしとしないことから、土地収用法第三十六条第五項は、万一このような事態が生じた場合にも、収用手続の迅速、的確な執行を図る見地から都道府県知事の署名押印について規定しているところでございます。  したがいまして、同項の規定が適用される、市町村長が拒否される事由にはいろんなものがあり得ると思いますが、そういう中で調書が適正に作成されていない場合もあり得ることから、起業者による適正な調書の作成を確保する効果も有しているというふうに考えております。  なお、市町村長が署名押印をされるに当たりまして、調書の作成が適正であるかどうか判断するに当たりましては、調書が、収用委員会の審理に先立ちまして、あらかじめできるだけ権利関係整理するためのものでございまして、事実関係は最終的には収用委員会の審理を通じて確認されるものでございますので、市町村長の署名押印の段階で権利関係の事実を最終的に確認することまで求められているものではございません。  したがいまして、調書が、測量、調査、その他の資料に基づきまして、その段階で最善の努力を尽くして作成されたものであることを……
  33. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 簡単に質問にだけ答えてください。
  34. 初谷雄一

    説明員(初谷雄一君) 失礼いたしました。確認すれば足るものというふうに考えております。
  35. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 要するに、私は、拒否することを法律上保障している、その拒否をしたからといって、今度はそれに対して職務執行命令の裁判を起こすということ自体が非常に大きな矛盾だと。この問題、時間がありませんから、これ以上論議を続けませんけれども、そういう法律上も非常に整備されていない勝手な解釈で無理に無理をいよいよ重ねようとしているのが今の事態だということだけ申し上げておきます。  最後に、外務大臣に一言。問題提起の意味でちょっと発言させてもらいますが、千島問題についてであります。  私が数年前から外務省の関係者に問題提起し続けてきた中身でございますけれども日本の学者の調査研究によると、千島がソ連領に編入される発端になったのは、スターリンが千島を失地、失った土地だというとんでもない主張を始めたことによるものではありますが、直接のきっかけになったのは、アメリカのトルーマン大統領がソ連を対日参戦させるための条件として、一九四三年、昭和十八年十月五日、国務省関係者をホワイトハウスに招集して行った秘密会議で、千島列島はロシアに引き渡されるべきであると、こういう決定を下して対ソ交渉を始めたことにあるということが明らかにされております。そして、このホワイトハウスの決定文書は国立公文書館にファイルされているということも、これはもう既に一九八一年から日本の学者が書いております。それはNHKの放送でも取り上げられ、こういう本にもなっております。私はこれ非常に重視して勉強しまして、私もこういう長い研究論文をまとめて持っております。外務省の関係者にはこの点で私、長い間話をしてきた経過もございます。  私、問題提起したいのは、千島問題の解決をしていく上でこういう経過というのはやはり注視すべきだと。外務大臣御存じであったかなかったか、御存じでなければ、こういうことには関心をお持ちかどうかということを含め、またこういう経過に対して今日アメリカはどう考え、どういう説明をするだろうかというふうなことも私は提起してみる余地のある問題だと思います。  これはきょうここで論議しようというわけではなくて、外務大臣に問題提起ですけれども、そういう問題提起についての御返答だけお伺いしておきます。
  36. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) ただいまいろいろお話ございましたけれども、千島の帰属につきましては、我が国に関する限りはこれはやはりサンフランシスコ条約でどういうふうな対処をされたかと、これで考えるべきであると考えております。  その前の、例えばヤルタ会談でどういうやりとりがあったか、ましてやそれ以前に、例えば米国の政府内でどういう論議があったとかということは、国際法上この千島の帰属を考える場合に我が国として考慮すべき要素であるとは考えておりません。  なお、北方四島はサンフランシスコ条約上も我が国の領土であるということは明白であると、こういうふうに考える次第でございます。
  37. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 終わります。
  38. 武田邦太郎

    武田邦太郎君 今、私が夜昼なしに非常に気になりますのは、沖縄県民の皆さんがどういう気持ちでおられるのか。政府本土の皆さんも我々の気持ちなどは全く無視している。事あるごとに沖縄の皆さんの苦しみを我が苦しみとしてという言葉は繰り返されるけれども、余りにも白々しいではないか。こういうふうな思いを日々深くしているじゃないか。沖縄県民の皆さんの意思をそのままにしておいて沖縄に関する日本の政策がやれるのか。まずこの点について大臣のお考えを伺います。
  39. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 私は沖縄の今後をどうするか、その中におきまして米軍に提供しております基地の問題をどうするか、こういった問題を考えます場合に、当然沖縄県民皆様方のお気持ち、とりわけ長年にわたりあれだけの重い御負担を強いられてこられたわけでございます。それから、それに起因いたします苦しみ、悲しみといったお気持ちを十分に考えて対応していかなくてはならない、これは基本であると、こういうふうに考えております。  私どもといたしましては、もとより日米安保条約、これを堅持していく、それの目的との調整を図りながらと、こう申しております。しかし、その目的が十分にかなえられるためにも、やはり沖縄県民皆様方に御理解をちょうだいする、これが大切であると考えております。そういった観点から、現在、基地整理統合縮小の問題につきましても、また基地運用にかかわる諸問題につきましても、日米共同誠心誠意県民皆様方の御負担の軽減に努力をしておるところでございます。また、その作業をするに当たりましては、基地問題協議会等々の場を通ずる沖縄現地の、そして県民皆様方の御要望というものも十分勘案しながら進めているということを御理解ちょうだいしたいと思います。
  40. 武田邦太郎

    武田邦太郎君 今まで二人の同僚が言われたのを繰り返すことになると思いますけれども日米安保を守るために沖縄が犠牲にならざるを得ないという論理的帰結になるわけですね。これをそのままにしておいていいかどうかという問題が今我々の目の前にあるではないかと、こういうふうに思うんですね。  先ほどの議論の中でも、日本はこれで法治国家と言えるのかという、あるいは、私もこの委員会で申したことがありますけれども日本アメリカが対等の国として同盟を結んでいるのか、一段日本の方が下の立場に置かれて同盟を強制されているのか、こういうことについて多くの国民が疑問を持っているではないかと思うんですね。  だから、沖縄は犠牲になるのか、日米安保は対等の同盟であるのか、こういうことについてはっきりとお答え願いたいと思います。
  41. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 今の日米安保体制日米対等のものであるかという点でございますけれども、私は、この安保条約が締結された時点におきましては、御承知のとおり冷戦下でございましたからいろいろな考え方があったと思います。しかし、そういった時点におきましても、我が国として国の安全を守る、このためにはやはり、米国との同盟関係とおっしゃいましたが、安保体制をとるということが必要である、それが非常に国益にかなうことだという判断があったと思うわけでございます。  そしてまた、米国側におきましても、やはり米国自身の国益、そして米国を含む自由主義陣営の安定、安全を守るために日本との安全保障体制が必要である、こういう認識、判断があり、その判断の合致するところ、国益の合致するところ、この条約が結ばれたものと、こう考えております。  さて、現在におきまして、冷戦が終えんいたしましてかなり時間がたっております。しかしながら、アジア太平洋地域状況というものを考えますと、やはりこれはまだ非常に不安定な要因もあり、またこの地域の安全、安定を守っていく上においてのいろんな仕組みが考えられております。それは国際連合というものもございましょうし、あるいは地域的ないろいろな信頼醸成の仕組みというものも考えられております。  しかしながら、実際に力を備えたものとして安定を維持していこうといった場合には、それぞれの国がみずからを守っていくという備えをすると同時に、やはりこれまでこの地域において安全保障の面で大きな役割を果たしてまいりました米国との間の関係を大切にしていくということが必要であるという状況にあると、こう考えております。  とりわけ、我が国の場合を考えました場合には、自衛隊を中心とした我が国自身の国を守る体制と同時に、日米安保条約というものはやはり我が国の安全のため、我が国の国益の立場から必要なものであると、こう考える次第でございます。  一方、米国について申しますと、確かに冷戦が終えんいたしまして、かつてのような世界全体の平和、安定を守っていくのが米国自身の責任であると、ミッショナリーのですね、そういった観点がかつては濃厚であったかと思います。そういった観点が冷戦下に比べればやや薄らいできたというのは否定できないと思うのでございます。  しかしながら、米国自身がこれはアジア太平洋国家の一つでございますし、特に経済的その他の面から申しますと、日本も含めましたアジア地域、特に東アジア地域との間の交流が随分貿易の面でもあるいは投資その他の面でも広がってきておりまして、そういった意味アメリカ自身のインタレスト、いわば国益と言ってもよろしゅうございましょうが、それがこの地域に随分ある。そういったものを守っていくためにもアジア太平洋地域の平和、安定が大切であるという、こういう観点がございます。そういったいわばアメリカのインタレストを守るという観点からいって、米国にとっても日米安保体制は現在また将来にわたっての情勢下でも必要なものである、こういった判断があるんだと私は考えるわけでございます。そういった日米双方のみずからの国の利益を踏まえた判断というものが合致してこういった安保体制が維持されるというわけでございますので、私はこれは対等な関係である、こういうふうに考えております。  もとより、みずからの国の利益だけではなくて、この地域全体の安定というものが日米双方にとっても利益であり関心事であることは当然でございます。ただ、この条約の構成が我が国の憲法の関係もございましていわゆる片務的になっておるという指摘はございますけれども、これはいわば技術的な面あるいは法制的な面でございまして、安保体制全体をとらえますならば、これは対等な関係で両者の判断の合致するところに成立している、こういうふうに考える次第でございます。
  42. 武田邦太郎

    武田邦太郎君 日米安保が実質的に対等の同盟かどうかについては見解が分かれると思います。だから、多くの国民はそうじゃないという不安感を持っていることは間違いないと思うんです。だから、そういうことの不安なり疑いなりを払拭するような、内外にそういう行動をするときに十分気をつけてやっていただきたいと切に希望したいと思います。  それで、今おっしゃったように、東アジアあるいは太平洋関係が非常に不安定だ、これは抽象的に言えばそうでありますけれども、現実的に言えば最大の問題は米中の対立なんです。これは北朝鮮もありましょうし、東南アジアの問題もありますけれどもアメリカと中国との対立が日米安保なるものをどうしても必要だと思わしめている最大の原因ではないかと。  今度の台湾海峡の問題について、アメリカが二隻の空母を中心とする船隊を動員する、こういうことなども日本としては中国のああいう実弾射撃その他に対してするなと要望する、あるいはそのことをやるならば円借款も一部凍結するぞというような姿勢を示すときには、逆にアメリカに対しても中国に対して余り防衛なりあるいは軍事的な不安なり、あるいは脅かすといったらちょっと言い過ぎかもしれませんが、そういう感じを与えないように注意してもらいたいというバランス感覚を持って日本は発言しませんと、中国から見れば日本アメリカの味方になって中国を敵に回す、そういうふうな感じをややもすると持たしめる危険がないかと思うのです。  核実験の場合もそうですよ。直ちに核実験を停止しろということを要求しますけれども、そのときにでなくてもいいから、米国に対しても核廃絶の計画を立てなさい、そういうことを片方で日本が発言しないで中国の核実験だけ攻撃する、こういうバランス感覚のない発言がややもすると日本をめぐる不安感を激成する心配がある、こう思うんです。  アメリカは、もう御承知のように核について言えば、シミュレーションでどんどんと核兵器を前進させる素地を持っておりますし、中国ははるかにおくれているわけですね。おくれているままでおれと、こう言うわけですよ、要するに。そういうことが今のアメリカと中国の対立関係において通用するかと、言ったって聞きやしないと思いながら言っておるのか。もっと効果的に、核実験なんかやめなさい、こう言う以上は、中国がなるほどと思ってやめるような条件をつくって言わなければ、それは今のところでは夢のようにお考えになるかもしれませんが、三つの国がまず三十年は不可侵条約を結ぼうじゃないか、こういうふうなことを日本が言って、その論理の発展の先に、核実験なんか要らぬことだ、やめなさいと、それを攻撃じゃなくて中国のために、中国に対する愛情、本当の憂いを持って言うのと攻撃的に言うのじゃ効き目が全然違うわけです。  これはぜひ新任の外務大臣日本が外部に対して発言するときには切に周囲に対する十分なバランス感覚を持って発言しませんと、争いを激化するばかりであって、実際は価値のない発言をするということになりかねないと思うんです。どうかひとつ。
  43. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 中国に対してもあるいはアメリカに対しても、またその他の国に対しても、バランス感覚を持って判断をし発言していくべきであるという御指摘は、私どももそのとおりに考えております。  しかし、その前に、武田委員指摘の中で、日米安保体制が必要なる最大の理由は米中関係であるという、こういう御指摘ございましたけれども、私どもは、今、日米安保体制が特に特定のどこかの国を、あるいはどこかの関係を頭に置きながらこの体制を必要としている、こうは考えておりません。全体としてのアジア太平洋地域とりわけ我が国の周辺地域状況というものがまだ不安定要因をはらんでおる、こういうことを前提にいたしまして、みずからがきちんと安全を守るための体制を整えておく、このことが必要なんだと、こういうふうに考えておるような次第でございます。  それからまた、我々といたしましては、中国がこの地域の建設的なパートナーとしての位置をしっかりと固め、そして我が国やあるいは米国等とも連携をとりながら、この地域の安定と発展に力を尽くしていくという、そういう状態が実現することを最大の願いとしております。そしてまた、米国も決して中国というものを何かこれからこの地域に非常に不安定をもたらす要因であるとか、そういった要素であるというふうには考えていないと思うのでございます。  それは米国においてもいろんな見方があるのは事実でございます。これからの事の推移いかんによっては、中国はあれだけの大きな国土あるいは人口その他の力を持っているので、いろんな大きな影響をこのアジア地域の将来に及ぼすであろうという考えは持っておりますけれども、しかしながら、そういったものが先ほど申しましたような地域の建設的なパートナーとしての役割を果たすようになるならば、これは大きな安定的な要素になるわけでございますので、その両方の可能性があるとするならば、後の方の安定的な要素になるようにいろいろ手を尽くしていこうというのが米国の基本的な主流をなす考えでもある、こう私は考えておるような次第でございます。  そういった認識に立ちましていろいろやってまいりますけれども、例えば今回の台湾海峡をめぐる問題についての我が国立場の表明につきましても、私どもは中国に対しても自制、自重を求めております。しかしながら、一方におきまして、米国に対しても、我々は決して中国というものは基本的にあのあたりの緊張をいたずらに高め、さらに場合によっては現実の武力衝突につなげていくというようなことを意図しているとは思わないし、また、あの国の今の置かれた立場、それを踏まえた政策というものから考えましても決してそういうことではないと思うから、アメリカの中国その他に対する対応についてもそのような認識のもとに考えていただくのが適切ではないかなということも申し上げたこともあるわけでございます。  それから、核の問題につきましても、核実験については私どもは、これも中国だけじゃございませんで、どの国の核実験に対してもこれは反対するという立場で一貫してきたわけでございます。そういったことでございますし、また米国に対しましても、現実に今の世界がどういうことになっているかということは十分に踏まえながら、我が国としては、核のない世界を実現するということを目指して着実な努力をしていくということで、国連の場においてもいろいろやってきておるわけでございますので、その点についても決してバランス感覚を失して一方にのみ厳しいということは避けてまいらなくちゃいけませんし、避けるような努力をしてきたつもりでございます。
  44. 武田邦太郎

    武田邦太郎君 もう一つお願いしたいのは、そういうお考えも一つの考えとして結構ですけれども、率直に聞けば、アメリカに対しても中国に対しても余りに好意的な観察ですね。そうばかり見ておっていいかと。国の守りということは常に最悪の場合を考えてそれに対応する準備を一面に持ちませんと、まあ外交はそれでいいかもしれませんが、国を守るという立場から言えば、最悪の場合を常に考えて用意しないと、これは国の安全保障ということにはならないんですね。  例えば、ペンタゴンではもう日常茶飯事のように、こういう状況になったならば日米安保は解消するという議論をやっているというんです。日本ではやっているでしょうか。だから、こういう条件になった場合には沖縄は完全に解放されるんだということをいろんな角度から検討してしかるべきだと思うんです。  今おっしゃったことが大臣のお考えのすべてであれば、これは余りに簡単過ぎるんじゃないですか。そうじゃないと思います、腹の中は。もちろん防衛庁でもあるいは外務省でも我々に言って悪いところで最悪の場合を考えて用意なさっているとは思いますけれども、これは老婆心までに、そういうことばかり言っていると国民は承知しないと。もっと危ないぞ、現実は。現に海兵隊の第一線を指揮する若手幹部は、もう沖縄基地現地にふさわしい実地訓練をやるのには十分じゃないということを言っているわけです。  だから、アメリカの側から見ましても、沖縄の軍事基地としての価値、どういうふうに見ているかというのは一色ではないわけです。また、日本の側が、アメリカが一番大事だと、日米安保が絶対的に日本が存立するのに唯一の基盤であるかのごとき考えを本当に持っているとするならば、これは世界の外交界では笑われるんじゃないですか。
  45. 成瀬守重

    委員長成瀬守重君) 武田君、時間をオーバーいたしております。
  46. 武田邦太郎

    武田邦太郎君 わかりました。それでは御返事はまたこの次にいただくことにします。  つまり、余りに簡単だということです。それは本当はそうじゃないと思いますよ。思いますけれども、少なくとも我々とのやりとりではもうそういうことは通用しないということだけはおわかりになってくれないといけません、これは。  終わります。
  47. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 沖縄開発庁長官、御就任おめでとうございます。  もう戦後五十一年目ですか、そして沖縄復帰してから二十四年、二十一世紀に向けて何とか沖縄の若い人たちに夢と希望を与えようじゃないかという発想が今、大田県政の中で非常にやられまして、これはやはり何としても、地域的な特性からいたしますと、国際都市形成構想というのが打ち出されまして、やはり国際交流の拠点都市としてより発展させようじゃないかと、それが国際的にも大きな貢献をするだろうというふうな目的でこの構想が出ておりますけれども、この国際都市形成構想について、今の進行中の第三次振計、そしてポスト第三次振計に向けて、長官として、今、大田県政が進めている構想についてどのようにお考えなのか、お聞かせ願いたいと思います。
  48. 岡部三郎

    国務大臣岡部三郎君) 御指摘のように、沖縄県におきまして、現在、県内関係方面の意見を聞きながら二十一世紀に向けた沖縄のグランドデザインとして国際都市形成整備構想が策定中であるというふうに聞いております。  一方、第三次沖縄振興開発計画におきましても、最重点施策の一つといたしまして、沖縄地域特性等を積極的に活用し、「近隣アジア、太平洋諸国等どの我が国の南における国際交流・協力拠点の形成を図り、経済、文化、学術等の国際交流を積極的に推進する。」こととしているところでありますので、今後とも、沖縄県で今検討されております国際都市形成整備構想につきましてよくお話を承りまして、国際交流拠点の形成に努めてまいりたいと考えております。
  49. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 長官がおっしゃるとおりのことをぜひ実現するように、なお一層のお力をかしていただきたいと思います。  そこで、去年の九月四日の事件を発端として、十月二十一日の県民の総決起大会、私も参加したんですけれども、あの高校生が言ったことを非常に感銘深く受けとめているんです。私たち若者に新しい沖縄をスタートさせてほしい、軍隊のない沖縄、悲劇のない平和な島を返してくださいと、こういうことをあの若い女性が、少女といいますか、高校生が言っているわけです。  そういうふうな立場を踏まえていきますと、今の日米安保条約のもとで、そして今代理署名拒否の問題で裁判が係属されております。そういったふうな意味から、日米首脳会談に向けて準備作業を今急いでいるようでありますけれども、先ほど来説明がありますけれども、やはり沖縄米軍基地というものがそれでいいのかというふうなことをいつも日常的に我々は考えるわけであります。そういう立場からすると、二十一世紀に向けた沖縄構想というものが打ち出されて、そしてこれは本気になって沖縄県民はそれがもう一番大事なことであるというふうなことでこれを推進する立場にあるわけです。  先ほど外務大臣もおっしゃったように、大田少将が、司令官が、沖縄県民かく戦えり、後世特段の配慮をといったふうなことをおっしゃりながら、しかも現在はなおこれが継続しているというふうな実感なんですよ。全然配慮されてない、特段の。あれだけの犠牲を受けていながら、特段の配慮どころか本当に基地重圧を今味わっているということが実感であるわけでございます。  そこで、この四月の日米基地のクリントンとの問題がだんだん浮上してまいっておりますけれども、それについてどういうふうな位置づけをしているのか、お聞かせ願いたいと思います。
  50. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 先ほど来御答弁申し上げておりますように、沖縄県民皆様方が本当に長きにわたり非常に重い御負担を担ってこられたということは私どもも痛感しておるところでございます。そして、現にまだそういったものがあると。  しかしながら一方におきまして、長くは申しませんけれども、私どもといたしましては、現在の、また予見し得る近い将来にわたりまして我が国の安全を守るためにはやはり日米安保体制の維持は不可欠である、こう考えておりまして、そのためには沖縄存在するものを含めましてやはり米軍に対する基地の提供は続けていかなくてはならない、こう思っております。  しかしながら、そういった中においても、可能な限り沖縄県民皆様方の御負担を軽減したいということで今鋭意努力をしておるところでございまして、これも先ほど来いろいろ答弁してまいりましたけれども、昨年の秋新設いたしました特別行動委員会を通じまして、現在日米両方が共同作業で、個々の基地につきまして一体どういうふうな問題点があるのか、そういったものを洗い出しながら作業を進めているところでございます。  現段階においてまだ結論は申せませんけれども、四月の大統領訪日に向けまして作業を促進しまして、そのときにはかなり具体的な方向性がお示しできるようにしてまいりたい、このように考えておる次第でございます。  なお、悲劇のない島というようなお話ございました。基地運用に伴いましていろいろな問題がございます。そちらについては、できるものから早期に一つ一つ着実に実行していこうということで進めております。米軍も、また米国全体といたしましても、とりわけ昨年の九月のあの痛ましい不幸な事件につきましては心底から反省しておりまして、二度とああいったようなことが起こらないようにということで、今教育面も含め努力しているということを御理解ちょうだいしたいと思います。
  51. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 報道によりますと、四月に向けて十七カ所の施設返還提案がなされているというふうに報道されております。  従来から二十三事案や三事案、この重複はどうなっているのか、あるのかないのか。それから、全く新しい返還対象施設はどこどこなのか。その十七カ所のうち二十三事案あるいは三事案、重複の関係、十七カ所というものがどういうふうなところなのか、その辺を御説明願いたいと思います。
  52. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) ただいま御指摘の十七という報道は私も読みました。  しかしながら、今、特別行動委員会での作業は、先ほども申しましたように、個々の施設についての論点整理しましたり、あるいはその問題点の洗い出しということで精力的にやっておりますけれども、まだ今の段階で個別にどこがどうなるということを決めている段階でございませんので、今の段階で個別のこれからの対処方法について御報告を申し上げることはまだちょっとできないというのが実態でございます。  それからなお、例えばその二十三事案あるいは三事案との関係はどうか、あるいは新規のものがあるかという点でございますけれども、私どもはこれまでのそういうふうないろいろな作業といいますか、これまで従来から検討してきた経緯というものを踏まえながら、また協議会の場その他を通じて沖縄県からもちょうだいしております要望も踏まえながらいろいろ検討している次第でございますので、その点についても具体的に申し上げるのは差し控えさせていただきたいと思います。
  53. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 沖縄県内で基地返還というものが一番最重点の施設区域はやはり普天間飛行場だと思うんです。政府としては普天間飛行場というものを本腰で対米折衝なされているのか、また予測される面についてちょっと御説明願いたいと思います。
  54. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 御指摘普天間飛行場につきましては、先般、沖縄県から御要望のございましたいわゆるアクションプログラムにおきましても非常に高い関心をお持ちであるということをよく承知しております。  しかし、他方におきまして、御承知のとおり同飛行場は現実の米軍運用におきましても大きな役割を担った施設であるということも事実でございますので、そういったこともいろいろ勘案しながら考えておるところでございまして、いずれにいたしましても先ほども御答弁申し上げましたように、特別行動委員会における作業というものは今本当に総合的にやっておるところでございますので、個別案件について今どうなるということを申し上げるのは差し控えさせていただくのが適切かと考える次第でございます。
  55. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 先ほど来論議されております強制使用に対する判決が三月二十五日に行われるわけです。事実上これは楚辺通信所施設契約が切れるというふうな事態になるわけです。  そこで、重複するかもしれませんが、そういった一日以降使用が法的な根拠を失うというふうなことになるわけでありますけれども、実際本音としてどういう形でこれを今対処しようとしているのか。それから、地主もはっきり言って自分たちはその間自分の土地にちゃんと入っていって確かめるというふうなことさえ言っているわけです。そういったふうなもろもろの動きについて政府としてはどのように対処するつもりなのか、その辺を御説明願いたいと思います。
  56. 諸冨増夫

    政府委員(諸冨増夫君) 先ほど来たびたび答弁しておりますように、私どもとしては現段階で何とか期限までに使用権原が得られるように現在最大の努力はしておるところでございますが、御指摘のように、残りの使用期間が満了するまでの間に手続を終えることは極めて困難な状況に来ておるというふうに認識しているところでございます。  先ほど来申し上げておりますように、やはり安保条約六条に基づきまして私どもとしては施設区域として引き続き駐留米軍に提供する義務がございますので、そのためにあわせて緊急使用の手続をとらざるを得ない、こういうふうに考えておるところでございます。  したがいまして、まだ今の仮定の御質問に対しましても、私ども種々の観点からいろいろ勉強をさせていただいておるところでございますが、個々の具体的な問題については答弁を今申し上げる段階にはないということで、御理解をいただきたいと思う次第でございます。  なお、御本人の立ち入り等につきましても、御本人の方から私どもの方に文書で、四月一日以降は明け渡しといいますか返還と立ち入りの請求が来ておることは先生指摘のとおりでございますが、そういう点につきましても現在あわせて政府内で検討をさせていただいておるという状況でございます。
  57. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 中国の軍事演習によって、ミサイル発射というものが盛んに今論議されておりますけれども、与那国に一番近いところでこれが行われているというふうな実態でございますので、やはりこれは島民が非常に不安と、さらにまた漁業関係で操業も非常に難しくなっているというふうな状況になっているわけです。したがいまして、これはもう非常に我が国にとっては大きな問題に発展しかねない課題だと思います。  そこで、このミサイル演習をやはり何としてでも与那国近海、特に沖縄は非常に近いわけですから、そういった地域に不安のないような、あるいは漁業もちゃんと操業できるような体制を一日も早くこれは処置してもらってとらぬといかぬわけですけれども、その辺について再度やはり外務省の強い姿勢をどのようにこれから打ち出していくのか、その辺についてお伺いしておきたいと思います。
  58. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 今回の中国のいわゆる訓練についてでございますけれども、御指摘のように与那国島から六十キロという近傍の地でございます。そして、それに伴ういろんな影響があるのではないかと私どもも心配いたしまして調査をしております。  その中で沖縄県知事からも御要望をちょうだいしておりまして、訓練地域そのものに対する沖縄県の漁業関係方々の出漁というのはないようでございますけれども、この訓練地域の割に近いところへ十数隻、十九隻でございましたか、一本釣りの漁船が出漁を予定したのを控えておるんだ、こういうことをお伺いしております。  こういったことも踏まえまして、私どもは中国側に対しましてもこれまで二度にわたって申し入れをしたわけでございますが、その中で特に与那国島にも言及いたしまして、それも近いところであるので非常に心配しているんだと、こういうことにも言及しながら中国側の自制、自重した行動を求めてきたところでございます。
  59. 奥村展三

    ○奥村展三君 沖縄を取り巻く諸問題、大変緊急かつ重大なときを迎えていると思います。こういうときに委員会をお開きいただきましたことを大変意義があるということで感謝を申し上げる次第であります。  幾つか御質問申し上げようと思っておりましたが、もう既にそれぞれ各委員から質問をなされておりますので、一部削除して質問をさせていただきたいと思います。  まず一点目でございますが、主要三事案のうち特に県道一〇四号、この一〇四号越えの実弾射撃訓練を実施しておるわけでございますが、一部きょうの報道によりますと国内での移転等のことがなされておりましたけれども、この国内での選択といいますか、選定状況をお伺いいたしたいと思います。
  60. 諸冨増夫

    政府委員(諸冨増夫君) 三事案のうちの一つでございます一〇四号線越え射撃の事案につきましては、現在、政府内では昨年の九月に日米安全保障協議委員会、私ども2プラス2と言っておりますが、そこの場において、分散実施の方向で技術的、専門的検討を進めていくということが日米間で合意をされております。それを受けまして私ども日米合同委員会の中に特別作業班というのを設置しておりまして、分散実施するという方向で現在検討を進めておるという状況でございます。  私ども米軍運用上の要請であるとか、移転先の自衛隊の訓練が現在演習場で行われておるわけでございますのでそういうところの調和をどうやって図っていくのかとか、そういうさまざまな技術的、専門的な点につきまして現在、鋭意検討を進めておるところでございます。しかしながら、現段階ではまだ具体的な候補地等を煮詰めるといいますか、決定するというような状況には至っておりません。  一方、私どもといたしましては、現在の一〇四号線越えの射撃の分散実施ということは、ちょっと長くなって恐縮でございますが、現在行われております射撃の状況が一回当たり三日から四日程度、それで年間十回程度の射撃、合計いたしますと年間三十数日程度の射撃が行われておるわけでございますが、そういうものを本土の現在ございます演習場、物理的にといいますか単純に射程四キロないし五キロをとれる演習場は全国に九カ所ございますが、その九カ所の中のいずれかにどういう方法で持っていくのか、こういう点も含めて現在検討を進めておるという状況でございます。  私どもとしては、現在のところ、ことしの半ばごろまでをめどに何とか日米間で結論を得て、地元の方の御了解をいただいた上で速やかに実施といいますか実行に移りたいというふうに考えておるところでございまして、現段階では、今申し上げましたような技術的、専門的な事項の検討をしておる段階でございまして、具体的な候補地等を決定しているとか、それに基づいて地元との調整に当たっているとか、まだそういう状況では全くございません。
  61. 奥村展三

    ○奥村展三君 しかしながら、先ほど申し上げましたけさの一部の報道でもう地名もはっきり出ているような状況でございます。御当地の方々にとりましては大変不安な状況になろうと思います。  御承知かと思いますが、この一〇四号越えの訓練場の近くには学校等もあるわけですし、通勤通学等非常に不便を感じ、そしてまた周辺の方々も、私も現地へ寄せていただいていろいろお話を聞きましたが、大変な状況のようでございます。しっかりと踏まえてどのようにされるか、今後十分検討の上に検討を重ねられて進めていただきたいと思います。  そのときに感じたんですが、あの実弾が山肌にじかに撃ち込まれておる。そして、環境問題やあるいは周辺の皆さん方のことを考えるときに大変なことだなというようなことも、不発弾の問題もあるわけですが、お聞きをいたしますと、ハワイの方で訓練をなされている米国のその訓練場は森林だとか自然を守ってそこには撃ち込まない、森林のふもとに撃ち込んでおるというような状況を聞かされたわけでありますが、環境面からしても何とかこれはならないのかなという感じを受けたんですが、どんなものでしょうか。
  62. 折田正樹

    政府委員(折田正樹君) 今お話しの実弾射撃による環境破壊の問題でございます。  沖縄との間の基地問題協議会の中でも沖縄側からの御要望を受けております。私ども、今ハワイで実際にどのような不発弾処理が行われているのかというのを調査しております。そして、その調査の結果を踏まえまして、検討をしていきたいと考えているところでございます。
  63. 奥村展三

    ○奥村展三君 先ほど分散をしてというお話もありましたし、また今ハワイの不発弾とおっしゃいましたけれども、実際に実弾訓練をなされて、自然といいますか樹木等を守っておやりだということを現地でお聞きをしたわけです。十分そこの点を踏まえて協議をしていただきたいというように思います。  次に、基地縮小の中で建造物の高層化等を考えておるというようなことが一部新聞報道であったわけですが、この真意はいかがなものですか、お伺いをしたいと思います。
  64. 小澤毅

    政府委員(小澤毅君) お答えいたします。   一部の報道で、沖縄米軍基地整理統合縮小問題で、在沖海兵隊の中枢基地であるキャンプ瑞慶覧やキャンプ桑江などの家族住宅、司令部等について高層化等を考えているというのが報道されていることは、私ども承知しております。  この沖縄にあります米軍施設区域整理統合縮小問題、これは先ほど来いろいろ御議論されておりますけれども、そこでも御答弁ございますように、沖縄における施設及び区域に関する特別行動委員会において、今各施設についての問題点の洗い出しや論点整理作業を行っているところでございます。したがいまして、現段階において個別の事案について、またその費用等も含めまして、具体的に申し上げることについてはまだそのような段階に至っていないという状況でございます。
  65. 奥村展三

    ○奥村展三君 騒音防止協定やあるいはまた先ほど各委員から代理署名の裁判の結審等のお話も質問なされておりましたし、重複をいたしますので、考えておりましたけれどもやめておきたいと思います。  特に、中国が台湾周辺の海峡におきましてこの訓練を行っておるわけですが、やはりもう少し政府としても、先ほど外務大臣から大使を通じというお話もございましたが、やはり毅然たる態度で臨んでいただきたいということを申し上げまして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  66. 成瀬守重

    委員長成瀬守重君) それでは、本日の調査はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時十一分散会      —————・—————