運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1996-04-26 第136回国会 参議院 運輸委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年四月二十六日(金曜日)    午後一時二分開会     —————————————    委員異動  四月十九日     辞任         補欠選任      金田 勝年君     岡部 三郎君  四月二十五日     辞任         補欠選任      岡部 三郎君     岡  利定君  四月二十六日     辞任         補欠選任      筆坂 秀世君     山下 芳生君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         寺崎 昭久君     理事                 鹿熊 安正君                 河本 三郎君                 鴻池 祥肇君                 横尾 和伸君     委 員                 岡  利定君                 亀谷 博昭君                 鈴木 政二君                 二木 秀夫君                 松浦 孝治君                 吉川 芳男君                 泉  信也君                 戸田 邦司君                 平井 卓志君                 瀬谷 英行君                 渕上 貞雄君                 筆坂 秀世君                 山下 芳生君                 中尾 則幸君                 栗原 君子君    国務大臣        運 輸 大 臣  亀井 善之君    政府委員        運輸省航空局長  黒野 匡彦君        運輸省航空局技        術部長      北田 彰良君    事務局側        常任委員会専門        員        志村 昌俊君    説明員        運輸省航空事故        調査委員会事務        局長       豊島  達君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○関西国際空港株式会社法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○航空法の一部を改正する法律案内閣提出、衆  議院送付) ○新東京国際空港公団法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 寺崎昭久

    委員長寺崎昭久君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る十九日、金田勝年君が委員辞任され、その補欠として岡部三郎君が選任されました。  また、昨二十五日、岡部三郎君が委員辞任され、その補欠として岡利定君が選任されました。     —————————————
  3. 寺崎昭久

    委員長寺崎昭久君) 関西国際空港株式会社法の一部を改正する法律案航空法の一部を改正する法律案及び新東京国際空港公団法の一部を改正する法律案の三案を便宜一括して議題といたします。  三案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 鈴木政二

    鈴木政二君 今回の航空法の一部改正については、航空機の安全を第一として、規制緩和や国際的な動向に合わせた法律改正だと解釈をしているわけであります。  そこで、今の航空機の安全ということで思い出されますのは、ちょうど一昨年のきようでありますけれども、四月二十六日、私の地元であります名古屋空港中華航空機墜落事故がありました。犠牲者が二百六十四名という大変な惨事でありまして、ただ今ちょっと会館から出るときに、釧路空港でもきょう小型機が落ちたという話を聞かせていただいて、また後ほどちょっと聞かれれば聞かせていただこうと思っておりますけれども、そういう面ではきょう三回忌、本当に犠牲者の御冥福を心からお祈りするとともに、また釧路空港の亡くなられた六名の方にも御冥福をお祈りする次第であります。  私の持ち時間が十五分ということですので、簡潔に質問をさせていただきます。  この中華航空機事故調査報告書取りまとめ作業が現在進められている最中と聞いております。このような事故がもう二度と発生しない、きょうちょっと事故があったわけでありますけれども事故発生に至った概要を途中でも公表すべきだと私は思うんです。そういう面で事故調査委員会はこれまでどのような調査をしてきたか、まずお尋ねをいたします。
  5. 豊島達

    説明員豊島達君) 事故調査委員会では、平成六年四月二十六日の事故発生後、五月十日に事故概要について経過報告公表、また平成七年の一月九日に意見聴取会のための中間報告書公表いたしております。そして、同年二月七日に意見聴取会を開催いたしまして、その意見聴取会では学識経験者原因関係者乗員組合関係者らがそれぞれの立場から当該事故に対する考え方を述べられました。  事故調査委員会では、これら中間報告等の中で、事故機飛行経過墜落に至った事故原因のあらまし、操縦室音声記録装置飛行記録装置の粗解読などを調査しまして公表をいたしました。
  6. 鈴木政二

    鈴木政二君 それでは、中間報告書を出した後、今現在どのような作業を進めているんですか。
  7. 豊島達

    説明員豊島達君) 現在、事故調査とその原因分析は完了いたしております。当面は報告書の素案を作成いたしまして、フランス台湾からの考え方を聞きまして、現在、報告書最終案をまとめたところでございます。
  8. 鈴木政二

    鈴木政二君 といいますと、もう大体大詰めに来たという解釈を私はするわけでありますけれども、国民は、列車とか船とか自動車とかの交通機関の中でも最も飛行機に対する危機感を持っています。ですから、航空機へのより信頼といいますか深めるためにも、私は、今度の最終報告書公表を本当に早く、そして最も大事でありますけれども正確な内容で行わなきゃいけないと思っているわけです。  今後、最終報告書公表前の段取りをどんなふうに進めていくか。
  9. 豊島達

    説明員豊島達君) 事故調査委員会としましては、本件の事故が、運航者台湾でございますし、製造国フランスでございまして、この事故が国際的にも注目されておることでもありまして、現在、最終報告書の案の推敲英訳に慎重を期して取り組んでいるところでございます。今後は、国際民間航空条約に基づきまして最終報告書の案をフランス台湾等に送付いたしまして、これらの最終的な意見を求めた上で、なるべく早い時期に公表したいと考えております。
  10. 鈴木政二

    鈴木政二君 今なるべく早い時期にとおっしゃいましたけれども、この事故で亡くなられた方の遺族皆さんは一日も早く公表されるのを待っているんです。というのは、航空機事故賠償責任を定めたワルソー条約というのは、訴訟期限事故から二年目というふうに定められているわけですね。御存じのとおりです。そして、その訴訟では最終報告書が証拠の資料として最も重要な意味を持つわけであります。ですから、もう本当に遺族としては一日も早くというような気持ちが実感であります。  事故調皆さんも、恐らくそれはよく頭に入れてきょうの四月二十六日の前に公表したかったというふうに思っております。多分、大臣もその話をよく聞いておると思うんですけれども、一体どうしてこんなにおくれたんですかね。
  11. 豊島達

    説明員豊島達君) 先生おっしゃいましたように、私どもも一生懸命そのことは肝に銘じまして作業に取り組んでまいってきたわけでございますが、今回の事故原因究明に当たりましては、事故機ハイテク機であったということから事故原因分析が極めて複雑多岐にわたっていたということが一つと、また、事故機運航者製造者がともに海外のものであったということから調査関係情報の入手が容易でなかったということと、そして、国際的にも注目されていることでもあって日本文案文推敲英訳に慎重を期しているなどのためで若干時間を要しているということでございます。
  12. 鈴木政二

    鈴木政二君 先月、ある新聞を見たときに、この最終報告案勧告という大変重たい改善措置をされるように報道されております。この勧告は、委員の方も御存じのように、昭和四十九年にこの事故調査委員会が設置されたわけでありますが、群馬県の例の山中に落ちた日航ジャンボ機墜落と、それから米子空港東亜国内航空機墜落、この二件が最も重たい勧告国内ではしたんですけれども、今のお話のように国外では今回初めてだということで、他国に改善を求める勧告というのは非常にいろんな面で私も困難を感じるのを聞いておりますが、そういう中でその内容とか項目がぜひ知りたいわけです。
  13. 豊島達

    説明員豊島達君) 事故調査委員会では、現在、最終報告書案を先ほど申しましたように推敲中でございますが、したがって最終的には確定をいたしておりませんけれども、現行の案文で申し上げますと、台湾当局に対しては、乗員教育訓練体制充実強化、そして運航乗務員相互間の意思疎通円滑化など、そしてフランス当局に対しましては、自動飛行制御システムの機構の改善、それから航空機運用マニュアルの記述の改善など、中項目の数にしておよそ十数項目にわたって勧告を出すことについて検討中でございます。
  14. 鈴木政二

    鈴木政二君 今の説明を聞いて、今回の事故というのは大変事故調としても厳格で公正な姿勢を示している。私も、初めてという割にはきちっとした姿勢を示しておるのに大変評価をするわけであります。特に、台湾には国交がないわけです。そういう面で、今度の勧告を出すということはなかなか勇断が要った、全く敬意を表します。  ただ、調査委員会として、こんな大きい事故でありますので、調査要員というか、それからそれにかかった経費というのを参考までに一遍聞かせてもらいたいわけです。
  15. 豊島達

    説明員豊島達君) まず調査要員の面でございますが、事故調査委員会としましては、事故発生後直ちに調査官全員、これは当時は十七名でございましたが現在十八名おります、この十八名を従事させるとともに、その後逐次、航空宇宙技術研究所研究職職員や大学の先生それからパイロットの経験者などの方々九名に専門委員として事故原因分析作業に当たっていただいているところでございます。  次に経費の面でございますが、財政当局とも調整の上で、年々事故調に認められております予算、これは平成七年度でおよそ五千万円でございますが、これのほかに臨時に追加をしまして、平成六年度と七年度の両年度合計で約一億三千万円の追加財政措置を講じていただきましてこれに対処しておるところでございます。
  16. 鈴木政二

    鈴木政二君 昭和四十九年の設置のとき、衆議院内閣委員会での附帯決議の中で、事故調が初めてできたということで、ともかく人と予算は十分にせよという附帯決議があったわけであります。今お話聞いていると結構な予算でもあるし、人員も結構スタッフがそろっているということでありますので、充実をしてきたなと思っております。  参考までにちょっとお聞かせ願いたいんですけれども自衛隊米軍機事故の場合は、事故調はどうされるんですか。
  17. 豊島達

    説明員豊島達君) 自衛隊機単独の場合は自衛隊の方で調査をいたします。そして、米軍機単独の場合は米軍調査をいたします。民間機自衛隊の場合は事故調査委員会調査をいたします。それから、民間機米軍機の場合には事故調査委員会米軍とが共同で調査を実施するという取り決めが交わされております。
  18. 鈴木政二

    鈴木政二君 今の話を聞いていますと、それはもうずっと前から四十九年から変わってないということですね。
  19. 豊島達

    説明員豊島達君) そのとおりでございます。
  20. 鈴木政二

    鈴木政二君 わかりました。  筆坂先生、ちょうどお見えにならなくてよかったかもわかりませんけれども米軍関係、私もこれからこれをどうしていくのか、地位協定やなんかいろいろあると思いますので、これから随時、また機会があったら質問させていただきたいと思います。  今回の中華航空事故で、私の住んでいるのは名古屋で、これは直接大変感じたわけでありますけれども、そのときの消防体制やまた救難体制をどう評価しているのか。例えば阪神・淡路の大震災のときには緊急態勢大変論議をされているわけであります。空港というのはたくさんあるわけでありまして、たまたま先ほど釧路空港事故が起きた。やっぱりそれらを見直すというのが非常に私は今回重要だと思うんですね。ちょうど出てきたときにこのニュースでありましたから、この質問がたまたまこういう形になってしまったわけですけれども、まずそういう消防体制救援体制、そしてよその空港もどうか、一遍ぜひ聞かせていただきたいと思います。
  21. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) 名古屋空港におきます消防救難体制でございますが、まず消防につきましては、自衛隊との間に協定を結びましてその消防力を利用させていただいているという状況でございます。また、救難体制につきましては、地元消防機関医師会との連絡調整等を図りまして体制整備しているところでございます。  ただ、この消防の中で、放射率といいまして一分間にどれぐらい消化液を出せるかという率がICAOという国際基準で定めたものを若干満たしていない実態でございまして、そこで私ども、七年度から至急に予算措置をとりまして、大型消防車を合わせて二台入れるということで今対応しているところでございます。これが入りますと、十分国際的な基準も満たした対応ができると思っております。  それから、釧路空港も含めまして日本の主な空港はいずれも国際基準を満たしております。
  22. 鈴木政二

    鈴木政二君 大変時間が迫っておりますけれども、きょうの釧路空港情報というのは入っていますか、ちょっと聞かせてください。
  23. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) 今私どもに入っております情報では、けさの十一時八分ごろ、釧路空港で個人が運航しております単発の小型機、六人乗りでございますが、これが滑走路の手前百八十メートルのところに墜落したと、六人乗ってみえまして、大破炎上した結果、六名全員が死亡されたという速報が入っております。原因等は今調べておりますが、若干天候が悪かったという情報も入っております。  以上でございます。
  24. 鈴木政二

    鈴木政二君 時間が参りました。たくさん質問したいわけでありますけれども大臣最後にちょっとお話伺いたいわけであります。  この中華航空機事故、よく大臣御存じのとおりでありますし、遺族に対して運輸省として本当にできる限りのことをしたいというのは大臣も同感だと思うわけでありますけれども、特に人情家亀井大臣、これからの運輸省としての考え方、そして航空法改正に伴ってこうした安全性について、特にまた今釧路事故もあったわけでありますが、最後に御所見を伺って質問を終わりたいと思います。
  25. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 早いもので三周忌を迎えるわけでございまして、御冥福をお祈り申し上げると同時に、御遺族皆さん方にお見舞いを申し上げる次第でございます。  御遺族に対します補償の問題は、まず御遺族中華航空との間で解決をされることが望ましい問題であるわけでありますが、私ども運輸省といたしましても、必要があれば側面から適切な支援を行ってまいりたい、このように考えております。  またあわせて、今も釧路事故と、運輸省といたしましては、航空機安全確保はまさに航空行政の根幹をなす重要な課題、このように受けとめておりまして、今般法律改正をお願いする検査制度問題等々につきましても、十分航空機の安全が確保できるような体制というものをしいてまいりたい、このように考えております。
  26. 鈴木政二

    鈴木政二君 終わります。
  27. 亀谷博昭

    亀谷博昭君 引き続き質問をさせていただきます。  今回の新東京国際空港公団法の一部改正は組織とか業務内容改正ということになっているわけでありますが、私は、成田空港の今後の整備についてちょっとお伺いをしたいと思っております。  平成三年に当時の運輸大臣が、成田空港の二期工事については強制的な手段はとらない、こう言明をされ、その後成田空港問題に関するシンポジウム等もあり、そしてまたそれを受けた形での円卓会議が行われたわけでありまして、それを受けて今は、その結論を尊重して平行滑走路等整備を推進する、こういうことになっているんだろうと思います。成田はここしばらく増便が凍結されているわけですけれども、外国からの乗り入れ希望が相次いでいるという事情もこれあり、成田空港のこれからの進捗というのは非常に内外からも注目をされているところだろうと思います。  そこで、成田空港の現在の状況、どんなふうになっているのか、今後の整備見通し等につきましてお伺いをしたいと思います。
  28. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 成田空港我が国の空の玄関、そして重要な役割をなしておるわけであります。現在、滑走路が一本、この運用によりまして、三十九カ国から新規の乗り入れの要望でございましてこれに対応できない、このようなことでございまして、一日も早く平行滑走路整備をいたしたい、このように考えております。  先ほど御指摘のございました円卓会議において成田空港整備話し合いを今進めておるわけであります。この円卓会議の終結後いろいろ努力をいたしておりまして、従来の対立の構造は解消いたしまして、円卓会議結論を踏まえて地域との共生、この施策を進めております。また、未買収地に係る地権者との誠心誠意話し合い、いわばこのことを車の両輪、このように考えて推進中であります。  具体的には、空港地域との共生の実現を図るために空港周辺緑化整備騒音区域からの移転老朽住宅防音工事等に対する再助成制度など、誠実な取り組みを重ねているところでもございます。また、今回の法律改正をお願いしております中で、この七月には空港公団成田空港内に移転をして地域との共生施策というものをさらに一層本格的なものにしてまいりたい、このように考えております。  今後とも円卓会議結論を尊重して、誠心誠意徹底した話し合いを積み重ねて用地の取得等いろいろ努力をしてまいりたい、このように考えております。
  29. 亀谷博昭

    亀谷博昭君 ありがとうございました。目に見える形での進捗を御期待申し上げたいと思います。  次に、関空についてお伺いをいたしたいと思いますが、今回の法律改正、二本目の滑走路整備するに当たって二期事業は上下主体分離方式というのが特色になっているわけであります。これは税制の優遇措置も考えられているようでありますが、一方で大規模空港経済発展等波及効果が大きいので地元も負担すべしというような形になっておりまして、地元負担がこれから出てくるということになるんだろうと思いますが、この地元負担がどんなふうに行われていくのかということ、これも一つ大きな問題だろうと思います。同時に、これは初めての方式でありますが、これから予定されております中京地区中部圏の新空港等につきましてもこういう方式がとられていくのかどうか。  といいますのは、これは大変新しい形といいますか、これからの空港建設あり方というものをこの辺で考え直していこうということから出てきた発想なのかなというふうにも思っております。着陸料問題もかねて指摘されているところでありますが、そういうことも含め空港経営課題というのもあるわけでありますし、そこで今後の空港建設運営等に当たっては新たな視点からの取り組みというものが必要なのではないかというふうに考えるわけです。  今回、この上下主体分離方式をとるに当たって、今後の空港建設あり方あるいは空港運営あり方というものについてのお考えをお伺いしたいと思います。
  30. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) 今、御審議いただいております法律で、関西国際空港につきましてはいわゆる上下主体分離方式を採用させていただきたいと思っているところでございます。これからの我が国の大規模空港整備につきましては、どうしてもこの国土の特殊性から建設コスト大変膨大になります。かといいまして、国際的な水準を今でもオーバーしているいわゆる空港使用料をさらに高めることはできない。他方、一般財源につきましても、我々なりに一生懸命努力はいたしますけれども、これにつきましてもそうそう大きな期待を安易に抱くわけにもいかない。この中でどうやって大きな空港をつくっていくかということが我々の実は大変悩んでいるところでございます。したがいまして、国だけではなく地方公共団体あるいは地元経済界も一緒になってお願いしますという立場でございまして、反面、民間の手法も入れることによって実際の運用効率性をまた高めるという点もあるかと思っております。  それで、この上下分離方式でございますが、これは特に今回の関空の場合は、一期と違いまして二期ができたといたしましても大きな需要が他の空港からいきなり移ってくるということが期待できないわけでございまして、したがいまして二期の工事が完成した当初の資本費負担というのは大変大きくなります。したがいまして、これを下の埋め立てを別の主体にすることによりまして、例えばよくマンションにも傾斜家賃なんかがありますが、しばらくの間は若干安い賃料で使うというような形で関空会社全体の収支バランスをとるということが大きな目的でございます。そういうことによりまして関西空港建設を促進していく、こういうことをねらったものでございます。  また、中部国際空港等その他の空港についてどうなるかということでございますが、それぞれの空港特殊性に合わせてそれぞれのやり方をしなければいけないと思っておりますが、既に航空審議会の中でも中部空港につきましても上下主体分離方式を採用したらどうかという御提言をいただいております。ただ、関空方式上下主体分離方式がいいのか、中部特色を踏まえた上下主体分離方式がいいのか、この辺は実態に即してこれから検討させていただきたい、かように思っておるところでございます。     —————————————
  31. 寺崎昭久

    委員長寺崎昭久君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、筆坂秀世君が委員辞任され、その補欠として山下芳生君が選任されました。     —————————————
  32. 亀谷博昭

    亀谷博昭君 次に、日米航空交渉についてお伺いをいたしたいと思います。  亀井運輸大臣は、四月十六日、日米航空交渉貨物分野協議合意書に調印をされました。アメリカ側は既に済んでおりますから、間もなくこれが発効するということになるのだろうと思いますが、日米貨物分野協議合意内容、ポイントと、日本側としての受けとめ方についてまず伺いたいと思います。
  33. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 今月十六日に、私と米国ペーニャ運輸長官との間で日米貨物協議合意文書に署名を行ったところであります。その内容は、日本航空が米国先発企業と同等の権利を米国以遠を含め獲得をした、日本貨物航空も大幅に権益を拡大した、こういうことであります。貨物分野における平等が条約締結以来四十三年ぶりに実質的に達成された、このように考えております。
  34. 亀谷博昭

    亀谷博昭君 これまでの御努力に心から敬意を表したいと思っております。ただ、貨物分野におきましても後でちょっと触れますが以遠権の問題等もまだあるようでありますので、今後とものお取り組みをお願いいたしたいと思っております。  そこで、先日来日をされましたクリントン大統領橋本総理大臣との首脳会談の中で、今後の旅客分野についての交渉の進め方といいますか、日本側希望橋本総理が述べられた。クリントン大統領からは明確な御返事はなかったようでありますが、そのことはよく存じているというようなことだったようであります。それを受けた形で亀井運輸大臣からペーニャ・アメリカ運輸長官あて旅客分野協議を早期に再開したいという申し入れをされたということを伺っておりますが、その申し入れ内容と現時点でのアメリカ側の反応はどういうことなのか、お伺いをしたいと思います。
  35. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) さきの日米首脳会談で橋本首相からクリントン大統領に、貨物協議のこと等々今までの経緯もあるわけでありますが、貨物の問題については合意を見たと、その上に立って両国協議についても総理からクリントン大統領お話をしていただきました。大統領もその経緯を御承知でございますので、その席上では細かい話はなかったわけでありますが、その意は十分伝わっておるわけでありまして、それによりまして今後の旅客問題、このことに関しまして私からペーニャ長官の方に書簡をもって十九日に旅客協議交渉の開始と、このような文書を届けたわけであります。  申し入れ内容は、平等でかつより自由な日米航空関係を発展させるために、貨物協議で得られた勢いを旅客分野にも広げていくことが重要ではなかろうか、このようなことを指摘し、協定に基づく旅客協議の開催を申し入れたわけでありまして、現在のところ米側からは、書面ではそれに応ずる、こういうようなことは来ておりませんが、若干事務的にいろいろ事務当局が電話等で連絡をいたしております。  今現在の状況は正確に把握をしておりませんが、今週中には、また向こうから電話等での話があれば私ども事務当局を現地に、あるいは向こうからこちらに来るとか、いろいろ方法はあろうかと思いますが、現地に行くというような準備も実はさせておるような次第でございます。
  36. 亀谷博昭

    亀谷博昭君 大変難しい交渉になろうかと思いますけれども、少しずつでも前進をさせなければならない課題でもありますので、今後の粘り強いお取り組みをまずお願いしておきたいと思います。  そこで、これまでの日米航空交渉をちょっと振り返ってみますと、一九五三年の航空協定締結以来、暫定合意というのは三回ほどありましたけれども、根本的な解決がなされないままに一九九三年以降、協議は中断のままということで今回の申し入れになっているわけでありますが、そういう意味でこれが開始されればまさに画期的と言うと少し表現が違うのかもしれませんが、懸案の解決に向けて大きく前進をする、こういうことであろうと思います。  ただ、この中断されてきている、あるいは今までさまざま問題を抱えながらどうも日本側の意向が通ってこなかったと言われるその最大の問題点というのは幾つかあるのだろうと思いますけれども、まずこれが不平等、不均衡な状況に現在日米間で置かれている、日本の方が不平等、不利益をこうむっている、こういうことになるわけであります。その不平等、不均衡という状況の最たるものは何なのかということを一つまずお伺いしたいと思います。もう一つは以遠権ですね、いわゆる自分の国から相手国を経由して第三国に行く以遠権につきましても双方の日米航空協定の読み方、解釈に大きな開きがある、こういうことも言われているわけであります。  その不平等、不均衡という状況になっている主な点、そしてまた以遠権をめぐる両国の解釈の相違ということについてお聞かせをいただきたいと思います。
  37. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) まず不平等、不均衡の根拠、実態でございますが、大きな点は三つございます。今先生が御指摘のとおり、暫定取り決めが何回もございますからそれを全部挙げると大変になりますが、三つにまとめてみますと、まず最初は以遠権でございます。  これにつきましては、米側は日本の主要な地点から主として東南アジアになりましょうけれども、無制限の以遠権を持っている、こういう立場でございます。それに対しまして、日本はニューヨークからの以遠権を一カ所だけ持っております。ただし、これはサンフランシスコ義務着陸と申しまして、サンフランシスコに一回とまってニューヨークにとまってそれから先へ飛びなさいよという、こういう以遠権です。したがって、現在のスピード時代におきましては利用価値は極めて低い以遠権でございます。その辺の大きな差がございます。  それから二番目は、指定企業数と申しまして、航空協定に定める権利をほぼフルに使える事業者の数が、日本は御案内のとおり日本航空一社でございますが、アメリカ側は三社あるわけでございます。  それから三番目は、お互いが乗り入れる地点の数でございますが、これも決め方がいろいろ複雑なんですが、例として現在使っている地点の数を申し上げますと、日本日本国内から六カ所、それからアメリカの中に十カ所持っています。したがって、この組み合わせで路線を張るわけであります。米側は、それに対しまして日本国内に七カ所、アメリカの国内で二十三カ所ですから、この組み合わせでかなり自由に路線が張れる、この辺が大きな違いでございまして、この三つが不均衡、不平等のポイントでございます。  二番目の以遠権の解釈でございますが、日米の航空協定の十二条でこういう表現がございまして、自国と運輸の最終目的地との間の輸送を主としなければならない。これは簡単に申し上げますと、例えばアメリカのニューヨークから出た飛行機は、ニューヨークから東京、あるいはニューヨークからソウル、この輸送を中心にしなさいよということであります。したがって、例えばその飛行機が仮に成田に着いてソウルにまた回るというときに、成田−ソウル間のお客さんは主としてはいけませんよということがこの日米航空協定の十二条に書いてあるわけでございます。  この主とするとか主としないというのは一体数量的にどうかということは、実は協定には書いてございません。私どもは、極めて常識的に五割は超えないようにしましょうねということを提案しております。それに対しましてアメリカの方は、数字的な規制は一切ないんだということで、あえて申し上げれば、この主としてという解釈を全く無視しているというか、主としてという表現がないと同じ扱いをしているわけであります。具体的には、例えば成田からソウルへ行く便を見ますと、そのお客さんの九割が成田から新たに積んだお客さんというような実態もあるような状態でございまして、この辺といたしましては私どもは全く承認できないところであります。  さらに、以遠権がどこまで自由かということにつきましても、協定の十二条に、日米両国が同意する秩序ある発展の一般原則を定めてそれに従いましょうという規定がございます。私どもは、この一般原則を定めましょうということを提案しておりますが、米側は一切それに応じてこない、こういう状態になっておりまして、以上の点が以遠権をめぐる日米間の争いというか解釈の違いでございます。
  38. 亀谷博昭

    亀谷博昭君 この以遠権をめぐる双方の解釈の違いというのは、非常にこれからも交渉のポイントになっていくんだろうと思いますが、その中でも今局長お話しされました第三国へのいわゆる搭乗率というんでしょうか、成田−ソウルの話をされましたが、そのほかにも九〇%ぐらいという路線がほかにもあるように聞いております。  日本側としてはおおむね五〇%ぐらいが適当かつ妥当なところであろうという主張をこれまでもなさっておられるようですけれども、ただ条文には一切そういうことは書いてないわけでありまして、ここはお互いの話し合いというのか常識の範囲内というのか、その辺で妥協の道を探るしかないんだろうと思いますが、今後の交渉を進めるに当たって、この五〇%という数字をアメリカ側に納得してもらうための何か我が国としてしっかりとした根拠というものを持っておられるのかどうか、それをひとつ伺いたいと思います。
  39. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) 国際間の交渉というのはあえて申し上げればかなりエゴ対エゴがぶつかる分野でございまして、国内のように一定のルールなり一定の常識の中で譲り合うということがなかなかできない分野でございます。  ただ、この主としてというところにつきましては、アメリカ側もある程度は認識をされているのではないかと思いますのは、かつてノースウエスト航空の大阪−シドニー線の運航に関しまして、当時の米側の運輸省の担当者が我が方にあてたレターがございます。その中に十二条に基づく制限があることを認めた表現がございます。もちろんその中に数字は書いてございませんが、彼らの言うように数量的な制限は一切ないよということを彼ら自身が否定している書面もございます。ですから、こういうことも使いながら粘り強く交渉してまいりたいと思っております。
  40. 亀谷博昭

    亀谷博昭君 航空協定をめぐるそれぞれの解釈の仕方等々の違いでそういう問題が起こっているわけですが、私はこの不平等になっているもう一つ原因は一九五九年の日米合意議事録というものにもあるのではないか、こう思っているわけであります。  このときの合意議事録は、アメリカ側から輸送力あるいは運航回数の増加を目的とした事業計画変更書をアメリカ政府に出して、アメリカ政府から日本政府にそれを通告してくる、こういう仕組みになっておりますが、この取り扱いを見ますと、日本政府というのは、アメリカから通告があったときに協定に違反するおそれがあると思われるときはその理由を通知した上で、ただしその指定された日に実施されるように認可しなければならない、こう書いてあるわけですね。そうすると、ここは違反しているんではないですかということがこちら側として言いたいことがあって、その理由を添付したにしても、これはもう認可はしなければならないということが書いてあるわけです。  それからなお、六カ月たった後で日本側の要請があれば問題点について協議を行う、こういう項目もありますが、伺ったところによれば、この協議は何かなされたことがないようにもちょっと聞いておりますけれども、要するに言われたとおりに、こちらはちょっとおかしいと思いながらも認可せざるを得ないという議事録が一九五九年にはつくられているわけでありまして、どうしてこういう議事録がつくられたのかということをひとつお伺いしたいと思います。
  41. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) 今、先生御指摘の点はいわゆる増便に関する事後審査制と申しまして、増便をした上で仮に問題があれば後からとめることはできますよという制度でございます。  これは一九五八年に開始されました日米航空協議、そのときに日本側が最大に要求しておりましたのはロサンゼルスの乗り入れ、これは大変日本とも縁の深いところでございますから、ここにぜひ新しい便をつくりたいということを我々としては熱望していたわけでございます。それに対しまして、アメリカ側がこの事後審査制の導入を求めてきた。これのぶつかり合いになった結果として、我が方もロサンゼルス乗り入れを認めさせるかわりに事後審査制の導入を認めたという経緯があるわけでございます。  なお、この事後審査制を我が国が認めた背景がもう一つございまして、実はアメリカ側は、例えば日本のエアラインが権利のある路線について増便することについては、これは許可制そのものがございません。したがって、アメリカ側に言わせれば、我が国はもう既に事後審査制どころか自由に認めているではないか、日本の方が一方的に審査するのは変ではないかという彼らなりの主張があるわけです。  その辺のやりとりの結果、我々としては、事後審査制をのんだとしても、ロサンゼルス乗り入れを認めさせた方が大きな目で見れば有利だという形でこの制度を受け入れた、こういう経緯でございます。
  42. 亀谷博昭

    亀谷博昭君 きょうは、少し時間が足りませんのでそれ以上の中身についてはまた別な機会にさせていただきたいと思いますけれども、ただ、アメリカが自由に増便できるという仕組みがつくられた、これがもう一つ日米間の不均衡を増大させてきた原因一つであろうというふうに思うわけであります。  次に、今までお尋ねをしてまいりましたこういう以遠権の問題とか今の合意議事録等々、これから解決しなければならない局面がいっぱいあるわけですけれども、同時に、日本側に当然権利があって、しかも一方的にアメリカ側の言いなりになっているような格好になっているというものも現実に今存在しているわけですね。一つの例を挙げれば、仙台−ホノルル便という定期航空路の問題があると思います。  これは一九八九年の暫定合意で認められているはずなんですけれども、一九九四年四月十七日に定期便で飛ばそうと思っていたら直前に認可が保留になって、チャーター便で急場をしのぐことになりました。その後いろんないきさつがありましたけれども、百七十九日間の期限つきでこの便が認められて、百七十九日の認可を繰り返し繰り返し与えられるという格好で今日まで来ているわけであります。  アメリカの国内法では、百八十日を超える認可については自動的に延長するということになっているようでありまして、自動的に延長したくないから百七十九日で切っているんだろうと思います。これが運航差しとめということにはそう簡単にならないんだろうとは思いますけれども、非常に不安定な状態にあることは間違いがない。  そして同時に、これは一九八九年の暫定合意から見れば国際的な協定違反、約束違反とも言えるのではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
  43. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) おっしゃるとおり、我が方に権利のある運航でございます。それに対しまして条件をつけている、期限をつけているということは決して愉快なことではございませんが、私ども今まで三回更新されておりますが、いずれも問題なく進んできております。したがって、これをもって国際約束違反であると言ってこちらが大きな声を出すということは、今は必要ないのではないかと思っております。  ただ、実はもっと大きな問題がございまして、今日米間で問題になっております一つは、我が国が権利を持っている成田からハワイのコナへ飛ぶ便、これを向こう側が認めないということになつております。それに対しまして私どもも対抗措置を講じまして、今対立しているという図式になつております。この点も含めまして、これからの日米の旅客交渉をなるべく早期に開催して話し合いに入りたいと思っているところでございます。
  44. 亀谷博昭

    亀谷博昭君 そうした仙台−ホノルル便のような問題、あるいは以遠権、あるいはまた十二条の解釈等々いろんな問題があるわけでありますけれども、これからやっぱり互恵平等的な条約にこれをどうしても変えていくんだ、協定に変えていくんだということが必要なわけでありまして、これはこれまでも国会のいろんな委員会での政府答弁でも何度も繰り返しそういうお話が出されておりますが、今回亀井運輸大臣から正式に申し入れをして動き出すかもしれないという時期でもありますので、今後この交渉に取り組む基本的な姿勢というものをぜひお伺いしておきたいと思います。
  45. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 先ほどからお話し申し上げましたとおり、貨物分野におきましては合意を見たわけであります。ようやくその平等化がほぼ実質的に達成できた。したがって、旅客分野におきます問題、過去四十年におきます日米航空関係の不平等が依然として存在するわけでありますので、この状況をできる限り早期に解消することが日米間の極めて重要な懸案事項と、このように認識をいたしておりまして、先ほど来申し上げましたとおり書簡を送りその協議をと、こういうことを申し入れておるわけでありまして、この旅客便分野におきます日米航空関係の不平等を早期に是正する、この面に毅然として対応してまいりたい、このように考えております。
  46. 亀谷博昭

    亀谷博昭君 ありがとうございました。ぜひよろしくお願いを申し上げたいと思います。  ただ、これまでの歴代大臣の御答弁の中で、日米航空交渉についてはできるだけやわらかにというんでしょうか交渉を進めたい、できるだけ対決色のない格好で協議を進めたいという御答弁が一方にあるかと思うと、もう一方では、いや、この協定の破棄みたいなことも考えながらやらなきゃいけないんだというような強い調子の御答弁もあったようであります。この日米航空協定については、仲裁規定も破棄規定ももちろんあるわけですけれども、そこまで交渉の前から考える必要はないんだと思いますが、強い姿勢でぜひお取り組みをいただきたいということをお願いいたしておきたいと思います。  それから最後に、今回の日米首脳会談のときのマスコミの報道等でも、よく経済三分野という表現があります。しかし、この三分野というのは半導体とか保険とかフィルムとか、向こうから言われていることが三分野であって、この日米航空交渉も当然両国の経済分野における懸案事項というとらえ方を日本としてはきちっとすべきだというふうに思うわけでありまして、やはり日米間には経済四分野が存在する、常にこの航空問題を旅客分野協議というものをこの中に加えていくという姿勢がやっぱり必要なんではないだろうかというふうに思いますが、最後にそのことについての御見解を伺いたいと思います。
  47. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 先生御指摘のとおり、貨物分野におきましての合意ということから新聞報道等では三分野と、こういうようなことが報道されておったわけでありますが、私は、先ほど御指摘いただきましたように橋本総理大臣クリントン大統領との話、そういうものですぐ早期に対応しなければならないと、四分野と、このような重要な問題がある、こういう認識のもとに書簡を送り旅客の問題での協議を要請したような次第でございまして、十分心得て努力をしてまいりたい、このように考えております。
  48. 亀谷博昭

    亀谷博昭君 ありがとうございました。
  49. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 平成会の横尾和伸でございます。  去る二月二十二日、運輸委員会で私は航空運賃の改定について幅運賃制の問題を取り上げさせていただきました。この幅運賃制については、新聞情報その他で国民の間に大変な不評を買っているという報道でありました。  運輸省の示す幅運賃の範囲内であれば届け出をすれば実質的にはかなり自由に航空会社の判断で運賃が決められる、こういう内容だったかと思いますけれども、幅運賃の上限の決め方が甘いから私はそこには問題があるということを御指摘して、時間に限りがあったので十分なお話もできなかったんですが、その上限の決め方に問題があると言ったのは、競争原理が十分働かないという実態のもとでは幅の示し方、特にそのうちの上限の示し方はかなり厳しいものでないと実質的な値上げを容認する意味合いが濃くなってしまう、こういう心配から申し上げたわけであります。  そこで、この問題の一部を続けてお聞きしたいと思うんですけれども、具体的に東京−札幌、東京−福岡という代表的な二つのドル箱路線について、これは今回六月からでしょうか、届け出がなされている運賃は現行に比べてどう変化をするのか、お伺いしたいと思います。
  50. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) まず、東京−札幌でございますが、これは他の路線も同じでございますけれども、通常期、多客期、閑散期に分けた運賃になっておりまして、多客期は現行が二万三千円でございますが、二万四千四百円でございます。それから、東京−福岡でございますが、これは現行が二万四千五百円、それに対しまして二万六千八百五十円でございます。
  51. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 今のは全日空、日航、日本エアシステム、三社とも同じ数字でしょうか、これからの分ですね。
  52. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) 実はここに至るまでいろんな段階を踏みましたけれども、東京−札幌、東京−福岡は、今の多客期、三社とも同じ額になっております。
  53. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 競争を促したはずのものが一番利用客が多いドル箱路線で三社ともみんな同じ値段になっている、競争になっていないという結果になっているわけです。  そこで、東京−札幌、東京−福岡の両区間で運輸省の示された幅運賃の上限というのは幾らになるんでしょうか。
  54. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) まず東京−札幌でございますが、上限が二万五千四十九円でございます。東京−福岡でございますが、二万七千五百二十円でございます。
  55. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 先ほどお伺いした東京−札幌間が現行で二万三千円が三社とも二万四千四百円、片道一人当たり千四百円の値上げになっているわけです。それも一律になっております。それから、東京−福岡間の例でいいますと二万四千五百円が二万六千八百五十円ということで、これはすごいですね、片道一人二千三百五十円の値上がりになって、しかもこれ三社とも同じ値段です。競争になっていないという結果に、途中の段階でなかったとは断定できませんけれども、結果としては競争が反映されていない結果になっているわけです。  参考のために今幅運賃の上限を伺いましたけれども、そういう中で私は、競争原理を働かせることを前提とする政府の規制緩和策の一環として位置づけられている数少ない実現した規制緩和一つ、貴重なものだと思うんですけれども、これは多客期ですけれども、今の東京−札幌、東京−福岡という一番代表的な路線でこのように競争原理が働いていないかのような結果が得られているわけです。  こういう趣旨を二月二十二日も私、同じ観点から指摘をしたところ、大臣局長もそろって競争による効果が今後あらわれると期待するという趣旨のことを御答弁されました。時間もそのとき十分なかったので、なぜなのかということを十分お聞きできなかったので、今回その根拠を、なぜ競争原理が今後見込まれるのか。特に、これは非常に複雑ですので、今申し上げた東京—福岡、東京—札幌、多客期、言ってみれば夏休みと正月に家族で移動せざるを得ない人たちという前提で、その部分に限って御議論をさせていただきたいと思うんですが、どのようにあらわれてくるのか、競争原理の効果というのはどう期待されるのか、お伺いいたします。
  56. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) この点は従来の制度との比較でぜひ御理解を賜りたいと思っております。  従来の制度は、各社から申請が出ましたものを私どもが審査をいたしまして、原価の上に適正な利潤を上乗せしたものを各社同じ運賃で認可をいたしております。したがいまして、例えばトリプルの路線でありましても運賃が各社ごとに違う可能性がございませんから、悪く言いますとその運賃の中に安住する傾向がなしとしない、こういう時代で来たわけであります。今回は幅の中であれば自由ですよ、したがってうかうかすればほかの会社は自分より低い運賃を提示してお客さんをとるかもしれない、こういう情勢をつくったわけでございます。  先ほども先生ちょっとお触れになりましたけれども、実はこの運賃にセットされるまでの過程で各社とも隣の会社がどういう運賃を出すかということをにらみながら、隣の会社よりも高い運賃では競争にならないということで、お互い横を見ながらぎりぎりの線をセットした、こういうふうに私ども理解しておりまして、結果といたしまして同じ運賃になりましたけれども、このプロセスにおきましてそれぞれが経営判断も踏まえまして自主的な判断でこういう運賃を設定した、この経緯が私どもとしては一つの評価できるところだと思っております。  それから、将来的には、仮にこの三社のうちの一社が大変経営が苦しくなったというときに、その会社だけ値上げするというわけにはこれはいかないわけでありまして、ぎりぎり頑張るという経営努力が当然働きます。あるいは、経営に少しでも余裕を持たすことによって運賃を下げてお客さんをとろうというのが、これは経済原則として当然出てまいるわけでございますから、その点を私どもこれから期待できるという御説明を申し上げた次第でございます。
  57. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 私が申し上げているのは、競争原理が働く状態ならば、この幅の間ならば実質自由に決められるということは評価できると思うんです。そのこと自体を否定しているわけではなくて、ただ、幅を示してこの間で自由に決めなさいということは、上であれば上でもいいですよという意味合いがあるわけでして、しかしそれは競争原理が働かない。  前にも私お聞きしましたけれども、例えば今言ったドル箱路線で要するに競争が、これは路線というんですか、もっと路線がふえてほかの航空会社も、今は三社だけれどもさらに五社も十社も入ってくる、そう極端でないにしたって、三社にプラスまた三社とが入ってきて六社で競争をするというような原理が働くならばいいんですけれども日本の実情からするとどうもそれは望めない。地方のローカル空港お話じゃなくて、今ドル箱路線に限った話をしているんですけれども、こういうところでは競争原理が今実質的に働かない。  そして、多客期というのは、だから多客という言い方をしているんでしょうけれども、お客さんは嫌でも使わざるを得ない。新幹線に乗りかえるわけにもいかない。車で行くわけにもいかない。少しぐらい高くても航空機を使わざるを得ない。そういう人たちが多客期にこのドル箱路線に集中するわけですね。そういう人たちは、決められた料金が少々高いからやめるというわけにもいかない。  そういうことがわかっている中で、たった三社が競争をする。競争にならずに、横目で見ればお互いの状況がすぐわかってしまう。こういう中で競争原理が働くとは思えないということを私は申し上げている。その現実がやむを得ない、すぐにそれを変えるわけにはいかないということもわかります。そうであれば上限の引き方を少し厳しくしないと大変なことになりますよという指摘だったんです。  その競争原理の条件が満たされている、もしそういう前提でお考えであるならば、その条件が満たされているという内容についてお伺いしたいと思います。そうでなければそうでないというお答えでも結構ですけれども
  58. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) 先生の御指摘、まことに大事なポイントだと思っておりまして、私ども日本国内航空が完全な競争状態にあるとは思っておりません。例えば、全く新しい会社が新規参入してくる、あるいは逆に今運航している路線を自由にやめられる、こういう状態ならば一つの理想的な競争状態なんでしょうが、現実はそのようなことは到底望むべくもないというのが実態でございます。したがいまして、このいわば限られた競争の中で一番いいやり方は何だろうかということで出しました結論がこの幅運賃制でございます。  上限を設けましたのは、限定的な競争でございますから、上限をつけないと場合によっては単独路線ではどんどん上に上げてしまうかもしれない、そういうことがあってはいけないということで上限をつけたわけでございますし、下限をつけましたのは、お互いが足を引っ張り合って一つの会社が独占をねらうための競争を仕掛けるということで結果として寡占状態を招くということがあってはいけないということでこの下限をつけた。したがいまして、現在の制限的な競争状態で運賃を少しでも規制緩和するとすればこれ以外にないというのが私ども結論でございます。  したがいまして、先ほど申し上げましたとおり、現在の制度と今までの制度と一体どちらがいいんだという比較の中で御議論をいただきたいと思っておりますし、私ども結論といたしましては、比較した結果現在の制度の方がすぐれているということで実行に移させていただいているということでございます。
  59. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 どっちがいいかということで見てくれというんですけれども、もうちょっと具体的に言いますと例えば東京−福岡間、私が福岡だからという意味じゃなくて一つ例示として申し上げるんですけれども、札幌でも結構ですけれども福岡で申し上げましょう。福岡で言うと、現行が二万四千五百円、これに対して示された上限値は二万七千五百二十円、言ってみれば二万七千五百二十円までの範囲内で自由に決めていいですよと。ですから、要するに片道三千円上げてもいいですよということになっていまして、実際には二千三百五十円アップの二万六千八百五十円で三社とも料金を決めているわけです。  これがどうしてこれまでの制度に比べて現在の制度がいい、こう言えるのか、非常に私理解に苦しむんですけれども局長いかがですか。
  60. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) 私ども、運賃というのは安いほど利用者の方に歓迎されるということはよく理解はしているところでございます。したがいまして、各社が経営努力をすることによってコスト削減を図り、結果として運賃が下がるということをこれからも指導してまいりたいと思っているところでございます。  ただ、かといいましてコスト等を無視した運賃を強制的に行政は会社に強いるということもできないわけでございまして、この上限といいますのは、また後ほど御説明申し上げなきゃいけないと思いますが、ある程度の競争状態を想定した中で合理的な経営をした場合の運賃原価額をもとに設定した額でございまして、これより上げるのは確かにいけない、だけれどもここまでならば認められるであろうというのを私どもなりに判断したものでございます。  したがいまして、今回もこの中で、これより下で各社がそれぞれ努力した上でそれぞれの運賃額を設定していただいたわけでございまして、路線によりましては下がった路線もあれば、また多客期以外の閑散期には運賃が下がっているところもございますし、またさらにはかなりメニューの豊富な割引制度を導入いたしましてそれを利用することによりまして安く利用できる人も出てくる、こういうやり方をしたわけでございます。  したがって、個々の局面をとらえますと先生がおっしゃったような御不満が利用者からあることを私理解できないわけではございませんが、全体として御理解を賜りたいと思っているところでございます。
  61. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 私は特別なものを抜き出したのかもしれませんけれども、特別なものというのは極めて特異なものではないんです、一番国民の多くの人たちが使う代表的なものということで一部を取り上げたんです。それはなぜかというと、議論がわからなくなっちゃうから。非常にサービスがもうむちゃくちゃ種類も多くなりまして、どれがどうなったのか言葉だけでのやりとりで、限られた時間でわかる議論ができないから、一番多く使われて一番影響力も大きい、わかりやすいものを取り上げたというわけであります。  それで、私が申し上げているのは、この制度が悪いというんじゃなくて、制度の上限を決めるのは、競争原理が十分働いてないということを考慮すればかなりぎちぎちのところで決めなきゃいけないということを言っているんです。先ほどの例で言うと、福岡−東京間、現行二万四千五百円に対して二万七千五百二十円まで上げていいですよと、こんな一割以上も何で上げていいということになるのか。  それを調べますと、どうもこれは研究会報告があって、それに基づいて作業が行われたようです。その研究会報告の中では、シングルトラック、ダブルトラック、トリプルトラックと横文字なんであれですが、要するにシングルというのは同一区間内を一社だけが独占している、ダブル・トリプルというのはそれぞれ二社、三社が同じ場所を行き来している、こういうことだそうですけれども、その報告書の中では、専門家の皆さんが十分に検討されて出された中には明確に、ダブル・トリプルトラックの原価のみを用いて算出すると。  要するに、ダブル・トリプルというのはそれなりに複数あるから競争している。シングルトラックというのは独占というイメージとちょっと必ずしも一致しないんですけれども、要するに一社だけが広い意味での独占をしている。こういうことで、一社の独占部分については料金の問題は一回別にして、幅運賃を決めるためには独占の路線を除いて、ダブルあるいはトリプルで競争をそれなりにしているその現状の価格を幅運賃を示す場合の基礎資料としなさい、シングルトラックのものは競争してないからだめですよということを明確に言っているわけです。  それにもかかわらず、標準原価直線というのを距離と旅客原価との関係で直線をつくっているようなんですけれども、これをつくる際に使った資料は、シングルトラックの現状のデータ、前回、二月二十二日の際に、これは私使っちゃいけないんだということを申し上げたのに対して、局長は、いやそれは質問者の方の誤りであって、シングルトラックのデータは一切使っていないという趣旨のことをお答えいただいたんです。  私は、そのときにほかの質問に関する準備もありましたので、それじゃ水かけ論になるので次回別な機会にお尋ねしますということで別な話題に移ったわけですけれども、実はそのことをぎょうはっきりさせていただきたいと思うんですが、シングルトラックの現状の価格のデータはこの幅運賃を設定する際に使っていないということに対して、本当に使っていないのかどうか伺います。
  62. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) 前回、私の御説明がやや不十分であったかもしれませんが、今手元の議事録で私こう申し上げておりまして、「報告書どおりダブル・トリプル、競争状態の路線の原価をベースにこの標準原価を設定してございます。」。若干言葉足らずであったかと思います。  これは先生、工学部御出身ですからよく御理解いただいていると思いますが、この標準原価曲線といいますのは、縦軸に原価をとり、横軸に距離をとります。そうしますと、当然右上がりの、直線に近い曲線ができ上がります。これをシングルも入れた全体の曲線と、それからダブル・トリプルだけの曲線と……
  63. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 使っているんでしょう、シングルを。
  64. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) それを比較いたしまして、どういうやり方をしているかといいますと、実際我が国の路線の数というのは約二百あります。そのうちでシングルが百五十でダブルが五十ぐらいで、したがってダブル・トリプルだけでは母集団が少ないものですから必ずしも正確な傾向値が引けないということで、このシングルの曲線、これは当然上に行きます。それとダブル・トリプルの曲線を並べまして、この差の乖離した比率が平均いたしますと三・八二という数字になります。その数字だけ、この乖離している分だけ全体の曲線を下へ下げる、こういう作業をしているわけでございます。  その辺を含めまして私、ベースにしていると申し上げたわけでございまして、その最初の参考のための曲線をつくるときにシングル路線もプロットして使っていることは先生の御指摘のとおりでございます。
  65. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 今、議事録を読まれましたけれども、その読み上げた部分の前段に「報告書どおり」ということも局長言われているんですよ、「報告書どおりダブル・トリプル、競争状態の路線の原価をベースに」と。確かに「ベースに」とは言っていますけれども、「報告書どおり」とはっきり言っているんです。  報告書には、ダブル・トリプルしか使っちゃいけない、シングルを使うと競争にないから高目のものがデータになってしまうと、そのデータを加工して線をつくるわけですから、高目にもともと設定される傾向の強いシングルのものを使っちゃいけない、こう言っているんで、それに対して「報告書どおり」だと、こう言っているんで話がややこしくなるわけなんです。それで、事実は私が言っているとおりになっているわけで、二万四千五百円の現状に対して二万七千五百二十円まで上げていいという結果になっているわけです。  ちょっと時間の都合もありますので、それでは話をシングルトラックの話に戻しますけれども、そういうことでシングルトラックの路線の原価を用いているのかいないのか、この点についてもう一度お伺いしたいと思います。
  66. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) 時間の都合ございますけれども、私、これは大事なところでございますから正確に申し上げますが、シングルもダブルもトリプルも、すべての路線について傾向、要するに原価曲線としての傾向を探るためには用いております。これは先生おっしゃるとおりであります。ダブルとトリプルだけの曲線をさらにそれに引いて、その乖離率、要するにダブル・トリプルが下にいっている、その分だけを全体平行移動して下に下げたということでございまして、繰り返しますが、我が国で二百路線ある、そのうちダブル・トリプルが五十路線しかないわけでございまして、この五十路線では正確な傾向を示す曲線を引けないということで、こういう手法をとらせていただいたものでございます。
  67. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 今のお話ですと、後で修正を加えたということなんですが、修正の前にはその過程の中で明らかにシングルのトラックを用いているということを今説明されたんだと思います。  私、担当局長が、規制緩和という大きな流れの中で、なおかつ運賃に絡む大事な問題を決める、しかもこれを自由に決めることができる制度をつくる、その中でここまでいいですよということになるわけですけれども、そのときの決める基本データを使ったか使わないかがわからないような局長では困るんですよ。そういう意味で、局長の前回の説明の仕方に不十分なものがあったのかあるいは認識が誤っていたのか、私はどちらかだと思うんですけれども、ここでちょっとその辺を明確にしていただきたいと思うんです。
  68. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) 繰り返させていただきますが、シングルとダブル・トリプルを合わせました曲線を引きまして、それが一つの何といいましょうか、路線の長さに応じて原価がどう変わりますかという傾向を示す。それに対して、その下に引かれるダブル・トリプルとの乖離が三・八二%ございます。それだけ平行して下げるということでございまして、先生のおっしゃるとおり、最初の傾向を示すところではシングル路線を使っていることは事実でございます。  ただ、私どもが申し上げている競争状態をこの原価に反映しているという意味におきましては、ダブル・トリプルが反映されているというふうに理解しているところでございます。
  69. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 局長の言われることは大体、言っている意味合いは理解ができました。結局シングルトラックは使っている、その後、修正をかけているから、シングルのいわゆる無競争状態のデータのその部分は修正がされた結果なくなっているか少なくなっているかという意味合いだと思いました。  大臣、こういう競争原理の中で、言ってみれば、今の状態からすればより新しい原理を定着させるという規制緩和の流れの中で大変意欲的な取り組み一つなんですけれども、今のように説明あるいは理解の点で不十分であると国民は大変迷惑をする場合があります、これは一般論なんですけれども。  大臣、今のやりとりの中での一応大臣のお考えをお聞きして次の問題に移りたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  70. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 幅運賃の制度につきましては、新しい制度として導入をし、また割引率等々いろいろメニューも用意をし、それぞれ各社にも利用者の皆さん方によく理解ができるような努力をしてほしい、このことも申し伝えてあるわけでもございます。今お話がございましたとおり、若干理解ができないような面は多々あろうかと思いますが、今後十分その辺は留意してその制度を生かす努力をしてまいりたい、このように考えております。
  71. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 それでは、限られた時間内でございますので、もう一つの別な話題に移りたいと思うんです。  関西国際空港の件なんですが、関西国際空港は現在の一期工事の完了直前にたしか事故があって、地盤沈下だったと思うんですけれども、大分慌てたといいますか大変だったということをニュースで私はお聞きしているわけなんですが、この問題を詳しくといいますか手短に、ポイントを絞って整理して御説明いただきたいんです。
  72. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) 関空は確かに相当大きな地盤沈下がございまして、実は今も、毎年わずかずつでございますが沈下をいたしております。その時々にマスコミの方々が、かなり話題性に富んだことでございますから若干脚色して報道されたことは事実でございます。  私どもこの関空の一期事業を始める前にボーリング調査等を綿密にやりまして、これは先生御専門なんで釈迦に説法かもしれませんが、私どもの事前予測では、技術的な予測では七・五から十一・五ぐらいの幅で沈下するのではないか、こういう予測値を持っておりました。ただ、その後が若干、今になってみれば甘かったと言われればごもっともでございますが、予算要求をする前の段階といたしまして、計画をつくるときに一応この沈下を八メートルという設定をして予算をセットしたわけでございます。  結果といたしましてこの予測の上限値十一・五、ここまで沈下が進むであろうという段階になっておりまして、技術的にはこの予測が余り外れなかったんですが、それを受けた計画を実際つくる段階におきまして少々甘さがあったということかと思っております。
  73. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 その一期工事の総事業費、当初一兆円だったものが、その地盤沈下のためだと思うんですけれども、その結果一・五兆円になったという認識をしているんですけれども、これは実際はどうなんでしょうか。
  74. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) 地盤沈下も含めまして、大きなのは地盤沈下とそれから旅客ターミナルビルの事業費の増加、この二つでございますが、当初予想よりも事業費が先生御指摘のとおり増大したことは事実でございます。
  75. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 これは一・五倍になったわけですね。かなり基本的な構造物を海の中につくる、そしてその地盤がヘドロ状だとなれば、量まで違ったということで予測はしていたんでしょうけれども、このことによって一兆円が一兆五千億円になったということで、国の負担はどのくらいふえたんでしょうか。
  76. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) この関西空港の事業費につきましては、全体の二割を国が持ち、残り一割を地元、これは地方公共団体地元経済界でございますが、ここで持っていただくというルールをあらかじめ決めておりまして、この事業費の増加が想定されました段階でそれぞれ御相談申し上げ、このルールに従って負担をしていただいております。したがいまして、概算いたしますと五千億掛ける二割が国が負担する分がふえたという計算になります。
  77. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 二割だと大体一千億ぐらいふえているということになります。  そこで、二期工事の予定が一兆五千六百億円という数字が出ているんですね、現在の予定ですけれども。しかし、これは一期工事よりも沖の方に、相当また深いところにつくる、用地造成そのものは深いところにつくるわけです。前の一期工事が一兆五千億円だったのに対して二期工事が一兆五千六百億円と、これは本当にできるのか。中身が十分にわからない今の程度の認識なんですけれども、そういう認識からするととても考えられる数字じゃないんですけれども、これは十分だと言えるんでしょうか。
  78. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) 一期と二期で水深を比べてみますと、一期の場合には平均水深が十八メートルでございます。二期の場合には十九・五メートルで一・五メートル平均的に深くなっております。ただ、ヘドロの状態等がございまして、沈下が二期の方は一期よりもかなりふえるだろうと思っております。  ただ、この一兆五千六百億というのは一期に比べまして二点大きく違っておりまして、一つはこの沈下の予測ということにつきまして、一期の経験に基づきましてかなり正確に把握できることになったという点が一つ違います。それから二番目は、先ほども申し上げました、一期の工事費が大きくふえた原因一つである旅客ターミナルビル、これが二期の方は需要の動向を見てこれからつくりましょうということで、本格的な旅客ターミナルビルはこの二期の事業には入っておりません。  したがいまして、この二点から考えましてこの一兆五千六百億が大幅にオーバーするということは、私ども今の段階ではないと思っております。
  79. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 一期工事で一千億円国庫がふえたわけですけれども、こういうのは私もよくわからないんですが、だれに責任があって、結果どういう責任をとったのかどうか。実態で結構です。とるべきであるとか、もっと強くとるべきであるとか、そういう議論じゃなくて実際にどういうことになったのかお伺いします。
  80. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) こうやってここで先生にしかられているのも責任のとり方の一つかもしれませんけれども、一兆円が一兆五千億になった、確かに当初の準備が甘かったということは我々あらゆるところからおしかりを受けております。ただ、これだけの大きなものをつくる段階におきましては、やはり人間の英知を超えた事態というのもあるわけでございまして、私ども決してこれを軽く扱うつもりはございませんし、貴重な教訓とはさせていただきますが、具体的にどういう責任をおまえとるんだと言われましても、ちょっと私たちとしてはお答えしょうがないというところでございます。
  81. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 要するに、こういうところで責められることも含めて責任をとっているんだろうということのようなんですが、結局そんなことで一千億円が、そんなことと言っては大変失礼かもしれません、大変心が痛んでいるんだと思いますけれども、それにしてもそういうことで一千億円とかそういう単位の国費が使われていくわけだということがわかりました。  そこで伺いたいんですけれども、今回この工事には上下主体分離方式という、何か用地部分とそれからその上に立つ建物と事業主体をかえて分離をして進めるということのようなんですが、今は関西国際空港にはしかるべき会社があるわけですから、その二期工事だったらそのまま二期をやればいいと思うんですけれども、何でこんな分離方式なんというのをとるのか、その必然性がよくわからないんです。特に、こうならねばならぬという観点からその必然性についてお伺いしたいと思うんです。
  82. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) これは、大きく分けまして二つ理由がございます。  一つは、先ほど来御指摘を受けていますように、二期は水深が深いところでございますし、それから沈下も多いものですから、一期に比べますといわゆる下物、埋め立てでございますが、これの工事費がかなり高くなります。これが一つのポイントでございます。二つ目は、一期の場合には開港直後に従来の大阪空港、伊丹からまとまった需要の転移があったわけでございますが、二期につきましては段階的にふえていく、ある一時にいきなりふえるということはなかなか期待できないという点がポイントでございます。  したがいまして、この埋め立ての資本費の負担を当初から会社がすべてかぶりますと極めて劣悪な収支状態になるおそれがあるものですから、上下を分けまして、当初の資本費負担を軽減することによりまして上物であります関空会社の健全な経営を目指したい、こういうのが一つ大きな目的でございます。したがいまして、例えば埋立会社の方が上の関空会社にこの土地をしばらく貸すわけでございますが、このときに傾斜家賃といいましょうか傾斜地代といいましょうか、そういう形も配慮しながら関空会社の経営も維持する、こういう目的で上下分離方式を採用したいということでございます。
  83. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 何かわけのわからないことを言っているようでちょっと理解ができないんですが、前は一兆五千億かかったのに対して今回は一兆五千六百億かかる。若干上物と用地との比率は違うにしても、今の御説明だとその用地造成の方がかなり高くなると、何かけた違いみたいなことを言っているんですが、トータルで一兆五千億と一兆五千六百億、言っている意味がよくわからない。そんなに高くなるといってもこの範囲内だろうと思うんです。ですから、ちょっと必然性についてもよくわからないんですね。  劣悪な経営状態に陥ることを懸念するということもあったんですけれども、劣悪だということはどういうことなのか。要するに、上下主体を分離して、下の方については劣悪部分をまとめておいて、そこには補助金を入れやすくするとかそういう意味なのか。  あるいは、将来の経営破綻を見越していわゆる住専方式といいますか、それがとりやすいために、要するに国庫をぽんと入れやすいと。複雑なものが一緒になっているよりはここがかわいそうだ、赤字がこんなに出ているということが見えやすいようにしていて、そして場合によっては経営の責任を、これは明確になるのか不明確になるのか、これは明瞭な要素があるかはわからないんですけれども、要するに補助金を入れやすくするのではないかというような、そんな想像さえも働いてしまうんですけれども、否定をされるんでしたらその説明をお伺いしたいと思うんです。
  84. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) 仮に関空会社が上物、下物を同時にいたしますと、下の埋め立てに要する有利子資金、これの金利負担が二期事業の開港当初からもろにかかってくるわけであります。そうしますと、関空会社の収支はそのために相当悪い形で外に出るということになります。したがって、利用者がふえる、関空会社の経営が徐々によくなってくる、それに合わせまして借料を上げていくというような扱いをすることによって、関空会社の経営を維持しつつ空港整備を図りたいというものでございます。  今、先生たまたま想像ではありましょうが住専という言葉を言われましたが、現在御提案しております法律の中に、この土地は貸付期間が終わった後は関空会社が取得するということは明確に書いてございます。したがって、最終的にはこの埋め立てのために要しましたコストはすべて関空会社に帰属する、関空会社の負担になるということでございますから、御指摘のような心配は要らないと思っております。
  85. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 帰属するということであれば途中分かれる必要はないので、初めから一体でやっていて何ら問題はないと思うんです。今の御説明はよくわからないんですが、初めに二つに上下で分けて最後には一緒になると、最後のところは説明でわかりましたけれども途中で二つに分ける意味合いがわからない、こう言っているんですが、そこのところをもう少し丁寧に御説明いただけますか。
  86. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) 関空会社民間資本も入った株式会社でございます。したがって、株式会社としての経理をきちんと公開しなければいけないわけでございまして、そういう株式会社にこの膨大な資本費負担を一時にかぶせるというのは、これはあえて言えば非常に非常識な話、難しい話だと思っております。したがって、その負担を平準化することによって当初の資本費の負担を軽くする、それによって関空会社の収支を改善する、こういうことでございます。
  87. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 株式会社を守るためにということは、逆に分離した方は株式会社でない、いわば公に近いという認識をされているようですね。そういう理解であるならば、いわゆる下部部分、用地部分ということなんですが、そういう公に近いものにする、第三セクターか何かはわかりませんけれども、そういう用地造成会社の性格と、役員、職員の数、確保の方法、もう一遍に言いますけれども、特に役員は大蔵省、運輸省等からどの程度天下るのか、この辺について御説明をいただきたいと思います。
  88. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) これは法案及び予算を御審議いただいている最中でございまして、私どもまだ細かくは決めておりませんが、全体の規模はせいぜい十数人程度の役職員の数にしたい、なるべくコンパクトにしたいと思っております。また、ここが持ちます。地を関空会社が引き取った後はこの会社は当然目的を終了して解散するわけでございますから、そういうことも考えますとむしろ関係の方面からの出向者でもって維持した方がいいと思っております。  なお、役員の数も極力減らしまして、専任の役員の数はせいぜい二名程度というふうに考えているところでございます。
  89. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 そうしますと、私の聞き違いでなければ役員が二名程度それから職員が十九名程度ということだったでしょうか。
  90. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) 役職員が十数名程度でございます。
  91. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 そうすると、用地造成会社の役職員が十九名ということはこれが総数、職員も全部含めた数なんですか。念のためにもう一度。
  92. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) 全部の数が十数名でございます。
  93. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 それでは、先ほどの後半部分ですけれども、その役員に大蔵省あるいは運輸省、いいとか悪いとか言っているんじゃないんです、の役人がどの程度天下るのかということなんですが、その前に、用地造成会社の設立は大体いつになるんでしょうか、三年後ぐらいでしょうか。
  94. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) 関空の二期事業は、国としても大変急がなければいけませんし、また地元の期待も大きゅうございまして、我々としては一刻も早く整備を進めたいと思っております。したがいまして、予算が成立し、あるいは今御審議いただいております法律をお認めいただけますれば、なるべく早期にこの埋立会社はつくりたいと思っております。
  95. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 いや、先ほどの御説明を聞いていたら三年後ぐらいかと思ったんで聞いたんですが、今の御説明だと数カ月後ですね。これがきょうもし通れば、できるだけ速やかにと言うんですから、もう数カ月といわずにもつと早いのかもしれませんけれども、そこまで来ているわけです。  そうしますと、その役職員の中に大蔵省、運輸省、天下りという言葉はやめましょう出向ですね、出向の場合はもとに戻るんですけれども、あるいは退職された方が役員として御活躍されるというのは、運輸省の場合は人にもよるんですけれども技術面とかセンスとかそういったことを大変貴重なものが生かせると思うんですが、大蔵省がもし入るとするとちょっとこれは問題があるんじゃないか。  今住専でも問題になっていますけれども、大蔵省とのパイプというのは、補助金は必要かもしれないけれども運輸省がきっちりやればいいんでパイプは不要なんです。大蔵省は、専門はだめ、金融音痴といいますかそれを今証明されているわけです。不正事件も起こしている。こういうところから大体、用地造成会社に大蔵省から天下る必要性は大まかに見ても認められない。運輸省の場合は仕事が仕事ですから、先ほど言った意味で個人の資質、それから経験にもよると思うんです。  そういうことで少なくとも大蔵省は不要だと思うんですけれども、まさかこの二人ないしは十九人の中に大蔵省から天下るという人は入っていないんでしょうね。そのことを確認したいと思います。
  96. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) 運輸省を高く評価していただきまして厚く御礼申し上げますが、それ以外のことにつきましては、何分にもまだ予算の審議中、それから法律そのものも審議中でございますから、私ども具体的に考えておりません。先生の御指摘も一つの重要な意見として承っておきたいと思います。
  97. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 それではもう一度。  今審議中であるという事情もよくわかります。ただ、これはこういう社会情勢の中で新しい会社が設立される、しかも公の色彩が強いものである、国民にとっても非常に影響が大きい、これはいい意味でも。私がこれまで申し上げてきたのは、関空の二期事業に反対だという立場ではありませんので念のために申し上げておきますが、そういう観点から、金融も本当のところはわかっていない、不正事件もばんばん起こしているというこの大蔵省からは、スタート時点もそうですし、今後も天下りの役員はこの用地造成会社には不必要である、入れないということを大臣、今明言できるでしょうか。
  98. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 私どもとしては、この用地造成会社は関西国際空港株式会社及び関係地方公共団体、こういう団体の協力を得なければできないわけであります。これに適する人材を登用し、その目的を達成してまいりたい、このように考えております。
  99. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 それでは、いろいろまだあるんですが区切りもありますので、私の質問は以上で終わりますけれども、あえて上下主体分離方式をとる、補助金も入れやすくなるという性格も出てくる、それだけではありませんけれども、そういう中で特別公に近い組織をつくる。こういう中で本当に国民に役に立つ、国民にとって有用な人材が活用されるということは、私は天下り云々に関係なくそのこと自体は問題があると言ってはおりません。  今、大蔵省のかなり根本的なところが問われている。しかも、この用地造成会社には、金融問題あるいは不正、そういった観点からも、出向はまた別だと思いますけれども、全く大蔵省の役人の天下りは必要がないということで、このことをあえてもう一度申し上げて私の質問を終わります。
  100. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 航空三法のうち主に関西国際空港の問題について質問をさせていただきたいと思います。  我が国の国際空港整備方式につきましては、羽田方式で国の直轄、それから成田方式で公団方式、そして今度三つ目の関西空港民間活力を導入していくという、三つのこれまでの整備方式があったわけでありますが、同じ国際空港といいますか大空港にかかわる事業主体がそれぞれ異なっていることについての背景を説明していただきたいし、なぜ三つに分かれたのかという問題について、メリットがあればメリット、デメリットがあればデメリット等を説明いただきたいと思います。
  101. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) 今、先生御指摘のとおりでございますが、もともと大きな空港は国がつくってまいったわけでございまして、羽田がその典型でございます。成田空港につきましては、これを計画いたしました段階で、かなり建設に膨大な資金も要る、それから要員も要る、これを国が抱えるのではなかなか十分な資金の調達もできないだろうということで、独立採算ということも視野に入れて弾力的なかつ効率的な経営を行う、こういう観点から公団制度を取り入れたということでございます。  さらに、関西国際空港はまた一歩進めまして、成田の教訓といいましょうか、これを参考にいたしまして、やはり空港地域社会とが一体となる必要があるということで、地元公共団体あるいは民間の方々も一緒になってつくろうではないか、そういう協力と責任体制整備するのが望ましいのではないかということ、さらに当時は民間活力の活用ということが大変高く評価されていたときでもございまして、株式会社方式を採用した、こういう一種の歴史的な経緯として今日に至っていると思います。  私どもといたしましては、基本的にはこのような流れ、要するに国だけではなくて地域社会と一緒に空港をつくるという流れはこれからも続くのではないか、望ましい方向ではないか、かように思っておるところでございます。
  102. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 今の説明で、関西空港が株式会社でやるということについては大きな時代の流れというふうに理解はいたします。  そこで、二期事業の関西空港株式会社が単独で行わないで、先ほども質問があっておりましたけれども、用地造成会社をつくって行われていくということにつきましては、民間方式による空港建設というものがもう限界に来たというふうに理解をされた上でこういう選択をされたのですか、どうですか。
  103. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) 関空会社が一期開業後、当初心配した割には利用が伸びております。幸いなことだと思っておりますが、ただ、そうは申しましてもまだまだ経営基盤が確立されていない段階でございます。ただ、その段階におきましても、国全体の必要性あるいは世界全体の流れの中におきまして早期に二期事業に着手しなければいけないという必要性が高まったわけでございまして、それにこたえて本年度予算で二期事業の着手につきまして政府原案に計上させていただいているわけでございます。  したがいまして、まだ経営基盤が弱い段階で新たに大きな事業に着手するということを背景といたしまして、膨大な費用を要する用地造成、これの資本コストを当初の間軽減するという形でこの上下分離方式ということをとらせていただいたわけでございまして、これによって民間の活力もおかりしながら我が国空港建設が進むのではないかと思っております。特に上下分離をとりますが、最終的には関空会社が上物を含め責任を負うわけでございますが、当初どおりの民間活力の利用という目的には達した方式ではないかと思っているところでございます。
  104. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 用地造成会社は第三セクターでつくっていくわけですが、その場合に関西空港株式会社との関係はどのように理解すればいいですか。
  105. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) 法律の中にも若干規定がございますが、この用地造成会社は関空会社地元の公共団体、これが出資してつくる法人でございます。下のこの用地造成会社は、埋め立てをして土地をつくりますとそれを関空会社に貸し付ける、貸付料として埋め立てをしたコストを回収するという期間をしばらく経まして、最終的にコストの回収を終わりますとこの用地を関空会社に譲り渡しまして会社自体の使命を終わる、こういう性格のものでございます。
  106. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 先ほど同僚議員の方から質問がございましたが、用地造成会社の規模、それから事業形態、職員数には先ほど答えられましたので答弁は要りません。  そこで、用地造成会社が造成をいたしました空港用地の所有、貸借等の権利関係、それから借金の債権、債務の関係はどうなるのか。用地造成会社は先ほど解散をするということを言われましたけれども、いつの時点で解散するのか。
  107. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) 会社の規模といたしまして先ほどお答え申し上げたこと以外のことを申し上げますと、資本金の額は約五億と考えておりまして、二億五千万ずつ関空会社地方公共団体が折半して出資するという形でスタートをさせていただきたいと思っております。  そこで、この会社がつくりました空港用地、この土地を約三十年間関空会社に貸す、その間の借料という形で投下資本を回収するというふうに考えております。この回収した後、会社の使命が終わるわけでございますから会社は解散する、そういう計画を有しているところでございます。
  108. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 用地造成会社が背負うことになります借金はどこが返済業務を行っていくのか。また、有利子資金は市中銀行から調達していく意向と聞いておりますけれども、今後、金利が反騰していくような場合に財投による手当て等も必要になってくると思うんですが、その点はいかがでしょう。
  109. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) 用地造成会社はなるべく早期につくりまして、しばらくの間はやはり実際の工事の前の調査、環境アセスメントを含めまして調査をします。したがって、当分の間の調達資金は余り多額にはならない見込みでございまして、当分は市中からの借り入れを考えております。現在は資本市場いろいろな手段ございまして、かなり有利な条件で資金調達ができるかと思っております。ただ、事業が本格化いたしました段階におきましては、より多様な資金の調達方法は考えなければいけないと思っておるところでございます。  そのようにして調達いたしました資金の返済はこの用地造成会社が行います。それは、繰り返しますが、先ほど申し上げました関空会社からの土地使用料、これをもって債務返済にあてるという性格のものでございます。
  110. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 私は、国際空港整備については基本的に国と地方自治体が大きな役割を果たしていかなければならないと考えていますけれども、出資金と無利子貸付金を含めて五五%の公的資金を投入している。この程度であれば用地造成会社が借金の返済業務に支障を来す懸念はないと理解してよろしゅうございますか。
  111. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) 今、先生の御指摘の点は二つに分けて考える必要があると思います。この用地造成会社が借金の返済に必要な十分な額の土地使用料を関空会社が払うかどうか、払えるかどうかということも考えなきゃいけないわけでございまして、私ども、この用地造成会社と関空会社合わせた採算性といいましょうか、それを考えますと、原則といたしまして現在の一期事業で空港を利用している方々が負担していただいている使用料、その程度には抑えるという前提で試算をしてございまして、この五五%の公的資金が投入されれば十分返済できるという見通しを持っているところでございます。
  112. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 しっかり経営をやっていただきたいと思います。  先ほども同僚議員の方からお話があってましたように、一期工事では地盤沈下等で建設費が一兆円から一兆五千億に修正をされたわけでありますし、先ほども質問あってましたように、一期工事より大変難しいと言われる二期工事でありますけれども、事業の進捗状況、国際航空の事情等を勘案して常にやはりフォローアップをしていく必要があると思うんですが、お考えはいかがでしょうか。
  113. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) 御指摘のとおり、大変難しくかつ大規模な事業でございます。しかも工期が約十五年かかるわけでございまして、これは慎重にフォローアップが必要だと思っておりますし、その間の国際情勢の変化あるいは国内情勢の変化によってはさらに一工夫要るような事態が来るかもしれません。いずれにいたしましても、現在の国際航空需要の伸びから見ますと、この十五年で必ず完成させて、日本の空の玄関として十分な機能を果たすようにしたいと思っておるところでございます。
  114. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 やはり常にフォローアップしながら、点検をしながら確実に事業を進めていただきたいと思います。  最後になりますけれども大臣質問をしたいと思うんですが、きょうも釧路空港での航空機事故、それから先ほど同僚議員からもありましたように名古屋中華航空機事故、そして遠くはロシアのチェルノブイリの原発事故、どうも四月二十六日というのは厄日のような感じがするわけですよ。そのときに航空法を審議するというのもこれまた歴史的かなというふうに思いながらも、やはり航空行政の一番は安全でなければならないと思うんです、安全運行でなければならない。そのことについての大臣の見解、認識をお聞きしたいと思いますと同時に、あわせて今後の空港整備に対する基本的な大臣の認識についてお伺いをして、質問を終わります。
  115. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 先生御指摘のとおり、航空はまず安全が何より大切なことでもございます。このことに心がけて運輸行政をしてまいらなければならない、航空行政を推進してまいらなければならない、このように考えております。  なおまた、ますますボーダーレス化する国際社会におきまして、我が国が今後とも安定した発展を持続し、国際社会の一定の地位を確保してまいらなければならないわけであります。そのような観点から、やはり航空需要に対応した交流の基盤施設であります国際ハブ空港国内の拠点空港整備を進めてまいらなければならない、このように考えております。  また、昨年八月末に航空審議会で打ち出された第七次空港整備五カ年計画の中間取りまとめにもございますとおり、国際ハブ空港整備このことは最優先、このように指摘をされておるわけでありまして、この問題に運輸省挙げて努力をしてまいりたい、このように考えております。
  116. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 終わります。
  117. 山下芳生

    山下芳生君 日本共産党の山下でございます。運輸委員会での質問は初めてですので、どうぞよろしくお願いいたします。  私、大阪選出ですので、関西国際空港の問題は地元の有権者の皆さんの大変大きな関心事であります。そこで、まず関空法の改正法案について聞きたいと思います。  今回の法改正の目的は、関空の全体構想につながる二期事業の事業手法について定めることにあると思います。しかし、そのスキームが非常にわかりにくい。したがって、私は、事業手法、スキームそのものについて疑問に思うことを一つ一つ聞きたいと思うんです。  私の理解では、今回のスキームは、二期事業全体を上物の空港施設とそれから下物の空港用地に分ける。そして、上物は関西国際空港株式会社が事業主体になって建設する、下物は新たに用地造成会社をつくってそこが事業主体になる。この用地造成会社は、関空会社が半分出資をして、残りの半分は大阪府や大阪市などの地方公共団体が出資をして設立する。つまり、上物と下物の事業主体を分ける上下主体分離方式ということですけれども、なぜ上物と下物を分ける必要があるのか。これまでもお答えがありましたけれども、もう一回説明いただけますか。
  118. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) 繰り返しになって恐縮でございますが、経営基盤が必ずしも強くない関空会社に二期事業をやっていただかなければいけない、こういう事情が国としてもあるいは地域としてもあるわけでございまして、したがって、膨大な費用がかかる下物ができた段階でその資本費負担をいきなり関空会社にかぶすということがなかなか難しい、一口に申し上げますと、二期事業の完成当初の資本費負担の軽減を図るというのが目的でございます。
  119. 山下芳生

    山下芳生君 関空会社が開港間もなくこういう大きな事業をみずから担うのは困難だということだと思うんですが、もともと一期事業が終わって関西国際空港が開港されたら間もなく二期工事に着手しなければ、これは航空需要から足らなくなつちゃうということは当初からわかっていたんじゃないですか。わかっていた上でなぜ突然この上下主体分離方式ということになるんでしょうか。
  120. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) わかっていたということをどの程度の確実性で申し上げるかどうかですが、私どもこの二期事業をどうするかということにつきまして、運輸省にあります航空審議会でかなり長い時間をかけまして議論してまいったわけでございます。  その結果、現在の国際航空事情からいうと、一刻も猶予はならない、急いでつくるべきという方向が出され、その場合に膨大な資本費負担が生ずるであろう、それを今の関空会社にもろにいきなりすべてかぶせるのは難しかろう、したがって、二期の事業を推進するためには上下主体分離方式しかない、こういう御指摘を受け、それを導入したものでございまして、最終的にはこの関空の二期事業を促進するためにどうしても必要な手段だと思っているところでございます。
  121. 山下芳生

    山下芳生君 航空需要の急激な伸びというのは何も関空だけじゃないと思うんですね、全国の、日本全体の航空需要が伸びているわけですから。その中で、なぜ関空だけが上下主体分離方式となるのか。これはやっぱり航空需要が差し迫っているという説明からだけではなかなか理解できない面があるんじゃないかと私は思います。  そこで次に、総事業費一兆五千六百億円、うち上物が四千二百億円、下物が一兆一千四百億円、これは下物の方が比重はかなり高いわけですけれども、これをどこが負担するのかということでありますが、ここでも上物と下物の扱いが今回のスキームでは違っております。上物については無利子の資金の割合が三〇%、すなわち一千二百六十億円、下物については無利子の資金の割合が五五%、すなわち六千二百七十億円。  そして、この無利子の資金は、これは上下一緒なんですけれども、上物も下物も国と地元が二対一の割合で無利子の資金については負担するということになっておりますけれども、仮に総事業費の規模が当初の計画よりも膨らんだとしたら、無利子の資金は一体どうなるのか。つまり、総事業費の枠が膨らんだら無利子の資金の枠もふやして、上物三〇%、下物五五%という事業費に占める無利子資金の割合は変えないのか。それとも、総事業費の枠が膨らんでも、上物は一千二百六十億円、下物は六千二百七十億円の無利子資金の額は変えないのか、どちらですか。
  122. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) ここは、その段階における航空需要の予測等を踏まえた上で最終的に決めなければいけない問題だと思っております。  現在の負担を決めた背景には、この無利子の資金以外の負担というのは最終的には空港の利用者が負担することになるわけでございまして、この空港の利用者の負担能力が妥当かどうか、負担能力の範囲内かどうかということを我々は片方で視野に入れなければいけないわけであります。これは御案内のとおり、日本空港空港使用料というのは国際的にも大変高い額になっておりまして、これを単に工事費がふえたからそのまま使用料を上げればいいということには、必ずしもするのは難しいという情勢がございます。  したがいまして、そういう事情、それからこれからの関西空港の需要の伸び、その点を総合的に見た上でだれにどんな比率で負担していただくかということを検討しなければいけないと思っております。なお、御参考のために、第一期では従来の負担比率で国と地元が負担したという事実はございます。
  123. 山下芳生

    山下芳生君 つまり、無利子融資の割合を変えないというのを一期で踏襲してきた。二期については、全体の有利子の部分が膨れることによって利用者の負担が重くなり過ぎる場合もあり得るので、それを固定的に考えることはしないと。つまり、無利子の割合が場合によってはふえることもあり得るということですね。そういう理解でいいんですか。
  124. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) 有利子の負担がふえることもあり得ます。
  125. 山下芳生

    山下芳生君 有利子ですか。
  126. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) 有利子あるいは無利子、そこのどこがどうなるかということは、先ほど申し上げましたとおり需要がどうなるか、あるいは利用者の負担能力等々を勘案した上で決まるわけでございまして、例えば有利子の比率はこれで固定するとか、あるいは逆に無利子の負担は負担額をこれで固定するとか、そういうものではございません。
  127. 山下芳生

    山下芳生君 仮に無利子の割合が固定された場合、その無利子を国と地元が二対一の割合で負担する、このスキーム、割合は変えませんか。
  128. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) そこも含めまして、やはり国、地元あるいは地方の経済界との協議の結果でございまして、今の段階でそこを私どもで一方的に断言することは控えた方がよろしいかと思っております。
  129. 山下芳生

    山下芳生君 これは今の段階でコメントは差し控えるということですが、結局ふえることもあり得ると、否定はされませんでした。そうなりますと、私は、総事業費が膨らめば無利子融資の額が膨らむことも大いにあり得る、そうなれば必然的に地元の負担の額も膨らむこともあり得る、そういうスキームになっていると、もちろん話し合いの余地はあるわけですけれども、そういうスキームだというふうに思うわけです。  そうなりますと、総事業費が膨らむというのは、これはもうあり得ない話ではございません。いろんな要因が想定されると思いますが、ちょっとここで一つ一つの場合について少し立ち入ってお伺いしたいんですけれども、例えば関空は海の中に大量の土砂を埋め立てて用地をつくる。どのぐらいの土砂が必要なのかということは、先ほどの議論にもありましたけれども、土砂の重みで海底の地盤がどれほど沈下するかということにかなり影響されます。一期工事では予想を上回る沈下があった。当初八メーターと予想していたのが十一・五メーターに途中で修正されたということになりました。  それに伴って埋め立ての土量が一千七百万立米増加をして、工期が一年半延期されて、当初一兆円の総事業費が一兆四千三百億円に膨れ上がったわけです。その結果、地元の負担の額は当初一千六十八億円だったのが一千四百三十億円に膨らんでいます。これは間違いないですね。
  130. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) 具体的な数字をちょっと今探しておりますが、おおむねそんな数字だと思っております。
  131. 山下芳生

    山下芳生君 今回の二期事業に当たって、予想を上回る沈下はないと言えますか。
  132. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) これはやはり自然が相手ですから断言はできませんが、一期事業を経験した積み重ねというのは大変大きなものでございまして、かなり確度の高い予測を我々はしているつもりでございます。したがいまして、先生、今当然事業費が大幅に増加するという前提での御質問でございますが、私ども、一期と違いまして二期につきましては事業費の大幅な増加はまずないだろうというふうに考えているところでございます。
  133. 山下芳生

    山下芳生君 私も増加をしてほしいと思っているんじゃございません。あり得るということをやっぱり想定しなければならない。  今の沈下の予想について、「新空港レビュー」の二月号に関西国際空港の竹内良夫前社長が講演をされている記事が載っております。それによりますと、「地盤沈下を正確に予測することは不可能だった」と。「現実には、やりながら決めていくしかない。要するに一億数千万トンの土を捨てて、その土が一体どんな影響を与えるかというのは、机上や実験室でわかるはずがないんです。」と。埋め立てながら、様子を見ながらやらないと正確には予想はできないということを一期の経験者が講演で言われている。  ですから、これはまた予想を超える沈下だってあり得るわけです。もしあり得たら、総事業費は膨らむし、無利子融資の一期の教訓を踏まえて割合をそのままにするとしたら、当然必然的に地元の負担もふえるということになります。そういうこともあり得ますね。
  134. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) 私は専門外ですから余り口幅ったいことは言えませんが、いわゆる土木工学というのはある意味におきましては経験工学でございまして、経験を積むことにより蓄積を積み、その上に次のものをつくるという重ねで来ているわけでございます。したがいまして、すぐ隣の一期で極めて貴重な経験を積んだ、その上での予測でございますから、一期に比べますと格段に精度は高いと思っております。  なお、一期におきましても幅を持った沈下の予測をしたわけでございますが、十一・五メートルというのは技術的な予測の上限、その技術的な予測をはるかに超えたということではなくて、技術的にはそこもあり得るということは一応見通していたわけでございます。ただ、計画をつくる段階におきまして、先ほども申し上げましたとおり、若干甘い数字を採用したということでございます。
  135. 山下芳生

    山下芳生君 それから、一期の工事の場合物価の上昇というのも途中で加味をされました。建設開始三年後に物価上昇を見込んで総事業費が六百七十六億円膨らんでおります。今回もこういうことはあり得るんじゃないですか。
  136. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) 物価上昇というのは、当然これは下がる場合はまずないので、最近は物価は落ちついておりますが、あり得ない話ではないと思っております。
  137. 山下芳生

    山下芳生君 そうなるとまた負担がふえる。  しかも私、この地元負担の持ち方、これが一期と二期で大きく変わっているということが今回のスキームの一つの大きなポイントだと思うんです。一期では、地元負担は地方自治体と民間が半分ずつ負担をしました。つまり、当初五百三十四億円ずつ出し合った。これで事業費が途中で約一・五倍になりましたので、最終的には七百十五億円ずつ民間地元自治体が負担し合った。折半したわけですね。ところが今回の二期スキームでは、地方自治体と民間が半々負担するんじゃない、民間は上物のみしか持たない、下物の地元負担はすべて地方公共団体が持つことになっています。  具体的な数字で言いますと、負担額は民間が四百二十億円、これは一期の当初民間が負担した額よりも百十四億円少なくなっております。一方、地方公共団体の負担額は二千九十億円、これは一期の当初と比べて約四倍に急増している。明らかに地方公共団体の負担がふえている。しかも、これ上物は沈みません、沈んでいくのは下物です。そのときの負担は地方自治体がこれは持たぬとあかんということになるわけですから、これは一期のスキームと比べて地方自治体の負担は非常に大きくなっている、そういうことじゃないですか。
  138. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) 私ども地元といろいろ御相談いたしまして、国が二に対しまして地元が一というこういうルール、これは一期のとおり、それを二期に踏襲するということを御了解いただいたわけでございます。地元が公共団体として持つか民間で持つかということは、私ども、どちらかというと地元の方にお任せして御判断をいただいたところでございまして、いろいろな事情があり、また地元公共団体の大変熱心な御意見もあってこういう数字になったのではないかと思っております。
  139. 山下芳生

    山下芳生君 経過はともかく、結果的にはそうなっているということであります。  それで、こういうやり方に対して先ほどの竹内前社長が危惧をされています。「上下二つに分ける考え方は、」「よほどしっかりした責任体制でつくっていかなければ失敗しかねない」、上下分離方式に必要な責任体制ということです。責任体制が二つ上と下に分かれるわけですから、あいまいになったらあかんということを竹内氏は御指摘なわけです。  そこで、だれがこういういろんな事態を想定した場合に責任をとるのかということで、特に沈下などいろんなリスクが上物に比べて多い下物の場合、これで見ますと、用地造成会社の出資は関空会社とそれから地方公共団体が半々出しています。国はそうしますと直接責任はとれないんじゃないですか。  関空会社は当初なぜ別会社にするのかという中に、経営が大変だから関空会社が直接二期工事をやるんじゃなくて別会社をつくったんだという、今回のスキームをつくるその一番に関空会社の経営の困難さが上がっている。しかし、実際に下物をつくる用地造成会社はその関空会社地方公共団体が折半して出資している。これは、もしこのリスクがかぶった場合、関空会社がよしわかったということにはなかなかなりにくい状況が最初からありながら、結局地方公共団体が負担をかなりかぶらなあかんというスキームじゃないでしょうか。
  140. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) 私ども、決してそういう考え方をとっているわけではございませんで、これは現在御審議いただいている法律の中にも書いてございますが、この埋め立てを我々特定用地造成事業という名前で法律の中で呼ばさせていただいておりますが、この実施に関する計画というものを関空会社協議して造成会社がつくる、それを私どもに提出をしていただく、問題があるときには我々が是正命令を出せる、こういうシステムをとっております。したがって、この用地の造成あるいはその後の扱いにつきましてかなりきちっとしたフレームの中でやるわけでございますから、最終的にだれが責任をとるか不明確になるということは全くないと思っております。  さらに、このできました。地は法律上最終的に関空会社が取得するということは当然書いてございます。したがって、関空会社の方でそのコストについても手当てするということは明らかになっているところでございます。
  141. 山下芳生

    山下芳生君 今そういうふうに口頭で大丈夫だと言われますけれども、実際一期の事業でどんなことが起こっているのかということを見れば、本当にそれを真に受けるというのが非常にできない状況があるんです。  例えば一期工事の段階で埋め立て用の土砂の価格、これは大阪府が関空会社に販売する土砂ですけれども、当初原価は一立米当たり千三百五円だったんです。ところが、関空会社が経営が大変だということを理由にして、これは大阪府も判断したんですけれども、一千百二十二円に値引きをして販売しておりますね。その量が四千五百五十万立米、差額百八十三円で掛けますと八十三億円。これ総事業費の枠の外ですよ、大阪府が土を販売するときに値引きしたわけですから。そういう形で地元の自治体がかぶっておるわけです。  あるいは、旅客ターミナルビルのウイングが当初、予算の都合で全部できなかった。それを復活させるためにこれは融資として二百三億円、大阪府が百三十五億円、大阪市が六十八億円、これも総事業費の枠外として出しております。  一期事業の場合、地元自治体の出資割合というのは今度の二期よりもうんと少ないんです。その少ないときにもこれだけ地元はいろんな負担をしてやった。今度この二期のスキームでいきますとさらにもっと、いろんな事態が起こったときに地元の自治体がかぶるということが、これはどう考えても今度のスキームの方が可能性としては大きい。  私、これは大臣最後にこの問題でお伺いしたいんですけれども関空法律を八四年この委員会で論議したときに、空港整備法は、もともと第一種空港、国際空港は国の責任で設置、管理するというふうに書かれております。しかし、それを関空株式会社をつくってやる、いわばその原点から離れる。しかし、離れるときに国会の論戦で政府の方から当時の細田運輸大臣から答弁があったのは、いずれにいたせ国が責任を持てる体制でなければならない、これは確かだと、あるいは、国がこの会社のできた事情等を考えて莫大な負担を地方にかけるというようなことはないようにいたしたい、こういうふうにはっきり答弁しているんです。  空港整備法の原点から外れて株式会社で国際空港をつくるときのいわば歯どめだと言ってきた歯どめからも今度の二期のスキームはさらに離れていく、空港整備法の原点からますます離れていくということになっていないですか。
  142. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 関西国際空港につきましては、我が国の国際航空需要に適切に対応する、こういう観点から地域の国際化あるいは活性化、こういう点も核になるわけでありまして、国と地元の協力、そういう中で整備がまた運営が行われる、こういうことが適当ではなかろうか、このように認識をいたします。したがって、いろいろお考えあろうかと思いますけれども関西国際空港の二期事業につきましても、一期と同様な国と地元との協力の中で早い完成というものを目指す考えであります。
  143. 山下芳生

    山下芳生君 私は、一期の事業の総括を踏まえて、株式会社方式による国際空港建設運営ということについての全面的な見直しこそ今必要だというふうに思います。  次に、航空法改正について質問します。  航空機は空中を飛行するだけに極めて高度な安全性が要求されます。にもかかわらず、運輸省航空機の安全規制をこの間次々に緩和してまいりました。その流れの中で、今度は航空機飛行する上で大前提となる耐空証明を国の検査から製造会社、整備会社に任せるようにするという緩和を行うことは、これは安全上大きな問題だというふうに思います。  今回の見直しの根拠は何でしょうか。
  144. 北田彰良

    政府委員(北田彰良君) 今回の制度改正によりまして、まず国産の新規に製造される航空機につきましては、我が国航空機の製造メーカーの能力を活用し、国の検査を省略できるという仕組みをつくったわけでございますが、我が国航空機メーカーにつきましては、既に国産航空機についてかなりの開発実績も持っておりますし、最近では航空機、エンジン等の国際共同開発を通じまして、設計、製造のノウハウも蓄積してきております。その能力は世界的にも高い評価を得ているところでございます。  また、耐空証明の更新検査につきましては、整備事業者の能力を活用するということを考えているわけでございますが、我が国整備事業者につきましても、既に航空法の規定に基づきまして整備改造する場合の能力の認定を受けた整備事業者の数は着実にふえてきております。また、外国政府から同様の認定を受けた事業者、外国メーカーから当該メーカーと同じレベルの整備を行う能力があると認定を受けたり推奨を受けた事業者も着実に増加してきております。このような状況から、我が国民間事業者の能力は着実に向上してきていると考えております。  また、国際民間航空条約に基づく国際標準によれば、輸入航空機が輸出国の証明を有している場合には、当該証明をもって輸入国は検査の一部または全部を省略することができるとされております。国際的にも航空機安全性等にかかわる証明の受け入れが進展してきておりまして、輸入機は輸出国の証明をもとに旗国の検査を省略することが最近の世界的な趨勢となっております。  今回の改正は、このような情勢変化に対応して、民間事業者の能力や外国の証明を活用することにしたものでございます。
  145. 山下芳生

    山下芳生君 外国や国内民間事業者の能力を活用、そういう事業者の技術が向上しているということはこれは結構なことだと思います。ただ、だからといって安全検査に怠りがあってはならないというふうに思うんですね。その最大の教訓がやはり日航ジャンボ機墜落事故だと。一九八五年八月、御巣鷹山に墜落して五百二十人の方が亡くなりました。事故調査委員会調査報告書で指摘しておりますけれども、この墜落機は七八年、落ちる七年前ですか、に大阪国際空港でしりもち事故を起こしている。その修理が不適切であった、これが事故原因だったということを調査委員会報告書で指摘をしております。  この機の大阪でのしりもち事故の修理は、ボーイング社が日航の整備工場で行いました。その修理を受けた後、日航とそれから運輸省が検査をしましたね。その検査は一体どういうものだったのか、説明いただけますか。
  146. 北田彰良

    政府委員(北田彰良君) 先生が今おっしゃいました大阪のしりもち事故の復旧修理作業につきましての検査は、ボーイング社がまず米国連邦航空局の承認を受けましたやり方によって検査をしたわけでございます。また、日本航空は、自社の検査員によりボーイング社と契約した作業項目が契約どおりに行われたかどうかということを巡回検査することにより確認しました。また、あらかじめ定められた検査項目に立ち会う等の領収検査を実施したわけでございます。運輸省は、日本航空からの修理改造検査の申請に基づきまして、修理計画、修理の過程及び修理完了後の現状について検査を実施したわけでございます。  この国の検査のやり方というのは、従来から行われておりました一般的な方法に準拠して申請者が提出しました図面等による修理計画の審査、その妥当性及び作業記録による修理過程の審査、並びに作業完了した後の現状についての一般的な外観検査、地上における機能試験及び飛行試験等を実施したわけでございます。  なお、当該修理ミスというのは修理の過程において発生したものでございますけれども、この作業記録によりますと、指示されたとおりの作業が行われていなかったにもかかわらず指示されたとおりの作業がされているという記録が残っていたわけでございます。そういう意味で、航空局の書類審査ではそういうことが発見できなかったということでございます。  また、作業が完了した後では当該部分はシールに覆われていたということで、目視検査で発見することは不可能な状態だったわけでございます。  このようなことで、運輸省といたしましては、この事故の教訓を生かしまして、事故機の復旧修理のような大規模な構造修理をやる場合の作業管理体制についてきめ細かく指針を定めまして、修理ミスの防止に努めてきたところでございます。
  147. 山下芳生

    山下芳生君 結局ボーイング社が修理ミスを行った、その後日航は修理後の検査をしたけれども修理ミスを発見できなかった、これ事実ですよ。結局、その後も日航は飛行時間三千時間ごとにC整備を六回実施するということまでやりながら、それでも見つからなかったわけです、修理ミスが。これはボーイングももちろんですけれども、そういうミスを日航もやったわけです、修理のミスを発見できなかったというミスを。  ところが、今度の改正では、そういうことがあるにもかかわらず国がやっていた検査を外国の製造会社や民間事業者に任せるということですから、つまり、ミスの当事者であったボーイング社や日航などに全面的に委任するということになるわけですね。これは、私、あの事故の教訓に逆行するものじゃないかというふうに率直に思うわけです。ジャンボ機の事故の教訓が教えているのは、むしろ製造会社や航空会社とあわせて国の検査体制を強化すべきことであり、もう検査を省略したり緩和していくことは絶対あってはならないことだと私は思うんですけれども、いかがですか。
  148. 北田彰良

    政府委員(北田彰良君) 今回の制度改正の大きなねらいは、小型機の更新検査のような定型的な業務、そういうものについては民間能力の活用ということを考えているわけでございます。事故機の復旧修理のような慎重を要する検査につきましては、いわゆる非定例的な業務、手順が決まっていない、修理法が決まっていない、そういう検査につきましてはやはり国がやることにしております。  そういうわけでございますので、今度の制度の改正によりまして検査のウエートといいますか、定型的に決まった業務は一定の安全措置を講じることによって民間に任せる、そのかわり非常に重要なものについては国が力を入れてやる、そういう改正でございます。
  149. 山下芳生

    山下芳生君 しかし、先ほどの中でも、決まった手順で修理をしたはずのボーイング社が結局決まった手順でしていなかったというんじゃないんですか。
  150. 北田彰良

    政府委員(北田彰良君) 事故機の復旧修理というのは、その壊れ方のケースもさまざまですし、あらかじめ決められた修理の方法とか手順というのは決まっておりません。
  151. 山下芳生

    山下芳生君 いずれにいたしましても、こういう流れ、背景に何があるか、やはり運輸省も経済的効果ということをこの間の見直しの際に言っておりますし、今回の見直しの動機の一つとしてそれも挙げられております。つまり、航空機の使用者としては国の検査に要する費用とか期間が削減されることになり、航空会社にとってもコスト削減の効果がある、そういうことを説明されております。  こうした経済的効果と安全性というものがてんびんにかけられていいものか、私これはそういうものではない。安全の規制の緩和というものがやられるその背景にある、そういう経済性とてんびんにかけるということに対して、非常に私は懸念を持たざるを得ません。ぜひそういうこともしっかり肝に銘じて当たっていただきたいということを申し上げまして、質問を終わります。
  152. 栗原君子

    ○栗原君子君 新社会党・平和連合の栗原君子でございますが、航空三法案に対しまして幾つか質問をさせていただきたいと思います。  まず、成田空港の問題について質問をさせていただきますが、成田空港につきましては、成田空港問題シンポジウムとかあるいはまた成田円卓会議が開催されまして、一応話し合いの路線が確立したように見受けられるわけでございます。  そこで、「第七次空港整備五箇年計画の基本的考え方」ということで、中間取りまとめをお出しになっていらっしゃいまして、これは九五年の八月二十四日にお出しになられたものでございますけれども、この中に「新東京国際空港については、円卓会議結論を尊重し、民主的手続きにより平行滑走路等整備を推進するとともに、」と、このようにございます。少し飛ばしまして、「なお、同空港は、平行滑走路等整備が完成し、空港処理能力が拡大した段階で、一定の国内線の乗り入れを認め、空港周辺地域の利便性向上と際内乗り継ぎ機能の向上を図る。」と、こんなことがうたわれているわけでございます。  これらを見ますと、今後、平行滑走路建設をすることになると思いますけれども、大体いつごろをめどに、そしてまたどのくらいな時間をかけて平行滑走路建設されるお考えなんでしょうか、お伺いいたします。
  153. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) 成田空港につきましては、先生もよく御案内のとおり、大変不幸な歴史を今まで経てきたわけでございまして、そのような事態を改善するために、シンポジウム、円卓会議という場をかりまして地域の方々と徹底的な話し合いをしたわけでございます。  そこで到達いたしました結論は、国の方も強制的な手段を放棄する、一方、地域の方も話し合いのテーブルに着くということで話し合いを前提にして地権者の方々の御同意を得るという動きと、もう一つは、空港そのものを地域共生する、地域と一緒になって存在する空港にしようというこの二つの考え方、これを我々は今車の両輪と俗称しておりますが、この二つを核として進めてまいっているわけであります。したがって、今私ども公団と、あるいは地元の公共団体の御協力も得ながら、各地権者の方々と文字どおり昼夜を分かたず話し合いをさせていただいております。  ただ、残念ながら、今の段階でいついつまでに結論が出ますとか、いついつまでに出したいとかいうことはまだ申し上げるのは早い時期ではないかと思っております。個々の地権者の方々もそれぞれの御事情があり、国の方が一方的に目標を定めることは必ずしも御納得を得られるような状態ではございませんから、今先生の御質問のいつごろかということにつきましてはお答えをちょっと保留させていただきたいと思っているところでございます。
  154. 栗原君子

    ○栗原君子君 ここで三つの地権者のグループがございまして、一つのグループにつきましてはことしの一月に裁判上の和解が成立をしたと、このように言われております。運輸省でいただいた資料では裁判上の和解が成立したということがあるわけでございますが、本人は、これは団結小屋の訴訟のことで和解ということが新聞で報じられたわけですけれども、団結小屋を撤去するときに畑が荒らされたということで、この荒らされた精神的な損害に対して二百二十五万円の和解金を払うということの和解でございまして、用地についてはこれまでどおりに応じない、そして今後もやっぱり闘争を続けていかれると、このように言っていらっしゃるわけでございます。  そしてまた、もう一方の方の地権者の人たちは反対運動の終結宣言を昨年されまして、また国との合意もなされているようでございます。それから、三つあるわけでございますけれども、あと一つかなり強く反対をしていらっしゃるグループがあるわけでございます。  ここらのお持ちになっておられる用地の上を平行滑走路が予定をされているということになるわけでございますが、いろいろ努力はされておられると思いますけれども、そこらあたりどういった努力をしておられるのか。私も実はかつて地方議会にいましたときに、町道一本つくるにいたしましてもなかなか地主さんの了解を得なければこれができないという、随分苦労した経験もございますものですから、ましてや空港ということになりますと地方自治体の苦労よりはもっともっと大きなものであろうと思いますけれども、そこらあたりはどういった御苦労があるものか、もう少しお聞かせいただければと思います。
  155. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) 今、先生御指摘のとおり、成田の空港周辺には三つのグループがあります。そのグループでそれぞれこの空港問題に対します認識に微妙な差がございますし、さらにはこのグループの中でもそれぞれまた違う。さらにグループ全体、例えば小川派という派がございますが、これは派としての反対運動は確かに終結をしていただいておりますが、しからば、じゃこの小川派にかつて属してみえた方々がいずれも用地交渉にすぐに応じられるかというと決してそういうわけじゃございませんで、むしろこれからやっと用地交渉が始まってお一人お一人と話し合いを進めるという段階に来ているわけであります。  したがって文字どおり、仮に地権者の方々が十人見えれば十人それぞれ事情がございまして、私どもとかなり突っ込んだ話し合いが進んでいる方とか、あるいはまだ行っても玄関で追い返される方とか、それはさまざまでございまして、そういう方々を一人一人根気強く話を聞いていただきたいということで努力をしている段階でございます。個別の事情それぞれございますが、なかなか微妙なものでございますから、全体としてそういう非常に難しい中で、私どもあるいは空港公団関係の方々がそれぞれ努力しているということをぜひ御理解を賜りたいと思っているところでございます。
  156. 栗原君子

    ○栗原君子君 この問題につきましては、最初のボタンのかけ違いがあったとよく言われるわけでございます。また一方、利用者の立場からいたしますと大変国内線との乗り継ぎの連絡が悪い、こういった声がよく聞かされるわけでございまして、成田から一たん羽田に帰ってこなければ乗り継ぎをすることができない、電車やバスそしてまた乗用車などで一時間ぐらいかけて都心に帰ってそれから乗り継ぎをするといったことがあります。  そういう矛盾を抱えての中の交渉ですので御苦労もあるのはわかるわけでございますが、それでも粘り強く交渉をずっとこれは続けていかれるお考えではいらっしゃるわけですね。
  157. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) 今、先生お二つのことを御指摘いただいたと思いますが、確かに成田空港、ボタンのかけ違いと言われていることが幾つかあったわけでございまして、今となって思えばあのときにこうしておけばよかったとかいろいろあります。例えば、最初の位置決定のプロセスからいたしまして、もう少し情報の公開という形で地元の御意向も聞きながら決めればこうはならなかったのではないかという反省が多々ございます。ただ、今その昔に返るわけにもいきませんから、そういう積み重ねの上で私どもなりにあきらめることなく努力はしたいと思っております。  ただ、ひところは現地に入ることさえなかなか難しかったという状態からいたしますと、シンポジウム、円卓会議を経ましてかなり地域の方々も率直に意見を聞いていただける、また我々も地域の方々の意見を聞くという、そういう雰囲気が出てきておりまして、今までの何人かの方々の努力の成果が明確に表面にあらわれていることだけは確かでございます。  また先生、先ほど国内線との話がございましたが、御指摘のとおり現在は国際線が中心でございまして、一日当たり七便しか国内線が入っておりません。したがって、平行滑走路ができて空港全体のキャパシティーに余裕が出ました段階におきましては、二つのねらいでこの国内線の路線も年間二万回程度に増強したいと思っております。  そのねらいの一つはやはりハブ機能、要するに国際線から国内線へ乗りかえるということができるような新しい意味におけるハブ空港にしたいというのが一点。それから、成田空港周辺の方々の国内の需要、これにもおこたえしなければいけないということで、二万回程度は国内線に回したい、かように思っているところでございます。
  158. 栗原君子

    ○栗原君子君 そこで、ことしの一月十三日の日経新聞の記事があるわけでございますけれども、「亀井善之運輸大臣は十二日、日本経済新聞社のインタビューに応じ、成田、羽田に続く首都圏でのハブ空港建設計画について「国と地方自治体による協議機関を早期に設けたい」」、このようにおっしゃっておられまして、首都圏第三空港に前向きな取り組みをされるといったような決意のほどが報道されているようではありますけれども、こことの関係というのはどのようになるのでございましょうか。首都圏第三空港は国際線を中心にされるのか、国内線を中心にされるのか、それとも両方兼ねたものを考えていらっしゃるのでしょうか。
  159. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) 首都圏の空港といたしまして羽田と成田、この二つがあるわけでございますが、羽田は現在沖合展開事業がおかげさまで順調に進んでおります。平成十一年度の終わりには完成をいたしますが、羽田の今の地理的な条件からいいましてあれ以上の拡張は困難でございます。そういたしますと、羽田空港は、我々の見通しでは二〇一〇年を待たずにパンクするであろうという見通しを持っております。一方、成田につきましては、これから我々の努力が実ることによりまして平行滑走路が完成いたしますと、二〇一五年ぐらいまでは十分機能するのではないかと思っております。したがって、成田と羽田と比べますと羽田の方がかなり早くパンクする、こうなります。  そこで、今私どもが首都圏第三空港で想定しておりますのは、まずこの羽田空港の能力不足といいましょうかオーバーフローといいましょうか、これに対する対応としてこの新しい空港を急がなければいけない、こういうふうに考えているところでございます。
  160. 栗原君子

    ○栗原君子君 そういたしますと、この近辺に三つの大きな空港を持つということになるわけでございます。そこで今、国会の中でもさまざまな専門家の方たちも加わられまして首都の移転のことについて議論が始まっているわけでございまして、国会の移転特別委員会なるものも設置をなされまして議論もされているわけでございますが、この首都移転とはどのようにこれはかかわってくるものなんでしょうか。
  161. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) 首都の移転につきましてはまだこれから本格的な議論が始まるところだと思いますが、今私どもが伺っている範囲におきましては、国会や政府機関等で約六十万人程度の規模だというふうに伺っております。したがいまして、この程度の人口なり機能がこの東京周辺から移ったといたしましても、この首都圏を取り巻く航空需要というのはまだまだ相当大きなものがあると考えておりまして、この首都機能の移転とは関係なく、やはり首都圏の第三空港の検討は進めなければいけないと思っているところでございます。無論、この首都機能移転の議論がどうなるかは注意深くは見守りますが、首都圏の第三空港につきましても検討を並行して急がなければいけないと思っているところでございます。
  162. 栗原君子

    ○栗原君子君 これから動きが将来的にどうなるかというのはちょっとまだ私たちもっかめないわけでございますけれども、やはりこの将来の計画を十分に考慮されながら運輸省としても努力をしていただきたいものだと思っております。  そこで、先ほど同僚議員からも質問がありました日米航空協定の中の不平等について少し触れさせていただきたいと思います。かなり重複をいたしますのではしょっての質問になりますが、これは専門誌の中に、「諸外国においては、米国との間において平等な協定が締結されてきています。」と言っております。「英国、ドイツは協定破棄の通告をてこに平等な協定の締結に成功しており、カナダは完全自由化の協定を結んでいる」、そしてまた、「豪州は仲裁申し立てにより以遠権の制限に成功し、フランス、タイは協定を破棄し不平等状態の是正に成功しています。」、そしてまた、「G7の中で不平等な状態が残っているのは日本とイタリアのみ」だと、このようにこの専門誌の中では言っております。  先ほどの答弁の中でいろいろ御苦労なされておる様子はわかるわけでございますけれども、もう少しアメリカに対しても強く出ていただくということにはならないものなんでしょうか。答弁をお伺いします。
  163. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) 今、先生が御指摘になりました事実関係、私どももほぼ同じ認識をしております。戦後、やはり圧倒的にアメリカが強い中で各国がアメリカと航空協定を結んだわけでございまして、その国力の差あるいは実際にその国民の移動の実態を背景として、かなりアメリカに有利な協定が世界的にも多くあったわけでございまして、それぞれの国がそれぞれ努力して平等になり、あるいはより自由な協定を今段階的に実現しているわけでございます。  私どもも従来からさまざまな方法で努力をしているところでございまして、先ごろやっと貨物の分野におきましては四十三年ぶりにほぼ実質的に平等だというところまで到達することができたわけでございます。旅客につきまして、なるべく早くアメリカ側をテーブルに着ける、アメリカ側がテーブルに着くようにしむけるというところから我々努力をしなければいけないわけでございまして、先生の御指摘のとおり、より一層我々は強い姿勢交渉に臨みたいと思っております。
  164. 栗原君子

    ○栗原君子君 一九五〇年代は日米両国で需要の面でも差があったということは私たちもわかるわけでございますけれども、現在に至りましては日米の路線に占める利用客の割合というのはもう九〇%近くを日本人が利用しているわけでございますので、もう少し日本にとって有利な方向に私は持っていっていただきたいと、このことをお願いするわけでございます。  そこで、私はこれから本会議もございますので審議に協力をしたいと思いますけれども最後になりますが大臣にお伺いをいたします。  実は、中部新国際空港建設推進の愛知県に三日に一度の接待攻勢があったと、こういうことが新聞の報道にあるわけでございまして、愛知県の航空対策局が三日に一回の割合で頻繁に運輸省の官僚や地元の経済人を接待していた実態が、これは昨年の九月二日、朝日新聞が情報公開で請求した資料からわかった、九四年度の下半期だけでも千四百万円が使われた、年間では二千万円を超えると、こういったことが出てきたわけでございます。  これに対しまして、名古屋の市民オンブズマンは、中部国際空港のためにこんなにも頻繁に接待しなければいけないのか、一般的に人数が多過ぎるではないかと、あるいはまた愛知県では二次会を禁止しており、空領収書で二次会費用にも回った可能性があり、さらに調査をしていきたいという、こういった疑惑があるということをこの市民の人たちも指摘をしているわけでございますね。  それからもう一つは、これは空港工事収賄容疑で大阪航空局の係長を逮捕したと。これは、西日本空港関連施設の工事をめぐり運輸省大阪航空局の係長が業者から現金百数十万円を受け取っていたと、大阪地検特捜部は九月七日に逮捕した、あるいはまた業者の方の家宅捜索をしたとか、そういったことが新聞で報じられているわけでございます。  それから、まだこれだけではなくして、運輸省航空局の職員が国内に出張する際、国内の航空会社から無料航空券を提供させるなどの便宜を受けていたことが明らかになった、こういうことがあるんだそうですね。国内出張は本省の職員分だけで年間約五百回、国外は九三年の場合年間百八十五回にも上っていると。そして、これは戦後間もない時期から慣例として行われているといったようなことがあるわけなんですけれども、こうしたことは慣例になっておるんでしょうか。私も今まで知らなかったんですけれども、ちょっとこの実態をもう少しお聞かせいただきたいと思いますので、お願いします。
  165. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) 一般論といたしまして、綱紀の粛正に我々常に努めなければいけないと思っておりますし、これからも身を正しく処さなげればいけないと思っていますが、今先生の御指摘の中でまず中部でございますが、私もあの新聞を見てびっくりいたしました。早速調べましたら、私ども関係者がそのような接待を受けたという例は極めて少のうございまして、その辺は事務的には、新聞の論調がいかにも私どもがすべて受けているような格好になっておりましたが、厳重に愛知県の方に発表方を気をつけるように抗議をいたしてございます。  それから、今のいわゆるガバメントオーダーでございますが、これは業務のために行くときに我々、当然出張旅費をもらわずに航空券を無料で使うということはございます。これは先生御指摘の数字が正しいかどうかは別にいたしましてございますが、これにつきましてはかねてからきちんと情報を公開いたしまして、また国会でも御説明申し上げているところでございまして、先生が知らなかったということは私ども承知いたしませんが、完全にオープンでやっているところでございます。
  166. 栗原君子

    ○栗原君子君 今は局長さんの答弁でございましたけれども、私は運輸省おまえもかと言われそうな気がするわけでございますが、最後に、これからの空港行政について大臣の決意のほどをお伺いして終わりたいと思います。
  167. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 空港整備についていろいろ航空需要を賄う努力をしてまいらなければならない、このように考えております。  なおまた、今御質問ございました件でございますけれども、私は、就任時に綱紀の粛正、この問題につきましても強く各職員に指示をいたしまして、そのようなことのないような体制というものをしくために今努力をしておるところでもございます。
  168. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 参議院フォーラムの中尾です。今回提案されました関空法の一部改正等の法律案に関連して、来年度から始まる第七次空港整備五カ年計画、第七次空整について何点か御質問申し上げたいと思います。  第七次空整におきましては、先ほどの審議からも基本的には関空の二期事業等都市拠点空港整備促進に重点が移されたと思いますけれども、一方で地方空港整備についてはどのように考えているか、第六次空整との比較、事業規模の点からもまず御説明いただきたいと思います。
  169. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) 第七次の空港整備五カ年計画は具体的な肉づけばこれからでございますが、全体で三兆六千億、六次に比べまして約一三%の伸びの数字をいただいております。その中で、地方空港と拠点空港といいましょうか大きな空港との資金の配分の仕方、これは数字的にはこれからの議論でございますのでお許しをいただきたいと思いますが、基本的な考え方は昨年の八月の航空審議会がまとめていただきましたものの中に明確に書いてございます。  「地方空港の新設及び滑走路の延長については、継続事業を中心として整備を進めることとし、これに加えて、需要への対応を基本としつつ、既存空港の高質化等を進める必要がある。」とございまして、新しい空港の展開というものの必要性は比較的薄くなったのではないか、むしろ今の空港をより使い勝手のいいものにすることを中心にすべきではないか、ただ無論需要への対応が基本ですよ、こういうような指針をいただいております。これに基づきまして具体的な肉づけをこれからさせていただきたいと思っているところでございます。
  170. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 今、局長から御説明ありました航空審議会の昨年八月の中間報告の中で「空港整備を具体的に進めるに当たっては、」「地域社会との共生という視点に立つよう努める必要がある。」と提言しておるわけでございます。これらの指摘は、とりもなおさず地元住民の合意形成がまず大事である、これ私が言うことではありませんが、そういう趣旨だろうと思っています。  現在やっております第六次空整に盛り込まれた新規事業の中で、何らかの形で例えば住民の合意が得られないとか環境問題でつまずいているとか、そういった事業着手されていない空港がありましたら具体的に説明願いたいと思います。
  171. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) 第六次の空港整備五カ年計画、この中におきまして滑走路の新設、延長あるいは新しい空港をつくるというのが、新規事業あるいは予定事業あわせまして二十二カ所掲上をしておりました。このうち十五カ所につきましては、今先生の御指摘のとおり地元との話し合いもつきまして予算措置がなされておりますが、七カ所につきましてはまだ具体的な空港整備計画の成案が得られませんで、結果的に着工のための予算もついていない、こういう状態でございます。その七カ所、いろんな事情がございますが、多くのものが地権者との調整中、あるいは地元でまだ御議論が拡散しているというような状況にございます。
  172. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 私のいただいた資料では名古屋、大島、佐渡、福井等々というふうに承知しております用地権者話し合いがついていない、つまり地元の合意が得られていないと。せっかく第六次空整で新規事業と挙げられておきながらそういう結果でございます。私は、これは当然のことだと思うんです。計画が決まったから何でもかんでもごり押しすべきだと私は思っておりません。  そこで、第七次空整の計画策定に当たっていろいろ各都道府県から事業採択といいますか、計画に盛り込んでほしいという要望がたくさんあると思うんですが、基本的に住民の合意形成等々いろんな盛り込む条件というのが、基本方針があろうかと思いますけれども、端的にその基本方針というのはどこに重点に置いて盛り込む作業にとりかかるのかお伺いしたいと思います。
  173. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) かなりケース・バイ・ケースの判断になろうかと思いますが、基本的にはやはりその事業の緊急性、それから計画の熟度が十分かどうか、あるいは事業費が妥当かどうか、さらには地元が受け入れていただける見通しがあるかどうか、その辺を全体として考えた上で検討していく、結論を出したいと思っているところでございます。
  174. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 そこで、私が伺いたいのは、私の地元であります札幌市内にあります丘珠空港滑走路延長整備計画でございます。現在千四百メートル、YS11が中心に飛んでおる空港でございますが、これをジェット機でも飛べるような二千メートル級の滑走路に延長してほしいという要望が出されておるはずでございます。つい先日も札幌市長が運輸省を訪ねて要請を行っていると聞いております。  若干丘珠空港について御説明しますと、札幌都心からわずか六キロメートルのところにあるわけです。現在では周辺の市街化が進みまして、私もたびたび利用はさせていただくんですが、空港のそばまで第一種住居専用地域が張りついている状態であるわけでございます。札幌市と北海道はトップ会談で、住民が十分にまだ合意しておらないんですが、昨年六月に誘致といいますか第七次空整に盛り込みたいということを決めたようでございます、ジェット化推進について。これで周辺住民の多くの方々は大変怒りまして、今十五団体ですかの方々が反対運動をされております。私もつい先日、住民の方々のヒアリングにも行ってまいりました。多くの方々でございます。  連休明けから夏にかけて、第七次空港整備計画で丘珠空港も当然要請があるわけですから、盛り込むかどうかのヒアリングを行うというふうに聞いております。こうした都心のしかも住宅がどんどんふえている中でさらに滑走路を延長する、これ私はちょっと時代に逆行していると思うのでございますが、住民の合意がほとんど得られていない状況、しかも札幌市議会でも意見が大きく分かれております。こうした状況の中で運輸省の見解、この丘珠空港について第七次空整でどう取り扱うのか、伺いたいと思います。
  175. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) 一口で申し上げますと、まだ白紙でございます。地元からぜひジェット化にという非常に強い声があることも承知しておりますし、逆に今のような、先生の御指摘のような御意見のあることも承知いたしております。私ども、この丘珠空港といいますのは道内航空輸送の拠点でございますから、基本的に道もしくは市がどういうお考えなのかということを尊重しながら判断をしたいと思いますが、当然道なり市もその背後にあります住民の御意向を反映させた上で私ども希望なり意見なりの表明があると思っておるところでございます。
  176. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 伊丹の問題、大阪国際空港の問題が関空建設につながったわけでございますが、規模は全く違うとはいえこの都市部にある空港建設、今の説明でちょっと私納得いかないのは、例えば市から強い要望があった、この概念なんですよ、市というのは何なんだ。それは確かに市長が住民の多くの支持を得て当選したから選ばれたからと言いたいようでございますけれども、少なくとも実態はそうではないということを、私は運輸省がどう認識しているのかということを聞きたいのでございます。  そしてもう一つは、この第七次空整の計画に丘珠空港を盛り込むに当たって少なくとも、行政のトップや行政側から話を聞くだけで済む問題であるかどうか、過去のいろんな問題を教訓としてこのヒアリングのあり方も私は変えていくべきじゃないかと思っているんですが、運輸省考え方伺います。
  177. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) 今先生の、市が住民の代表ではないという御趣旨の……
  178. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 違います。そんなこと言ってないよ。
  179. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) 済みません。私の聞き間違いかもしれませんけれども。  私ども、やはり道、市が住民の代表であり、知事なり市長さんが選挙で選ばれた以上はその方々の意見というのは我々としてまず聞かなければいけない意見だと思っております。それを飛び越えて、地方公共団体のそういう御意見を無視して我々が一方的に物を決めるというのも許されたことではないと思っておるところでございます。
  180. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 ちょっと私の質問が悪いということをあえて言っているみたいですね。お答えがさつばりわからないんですよ。私が言っているのは、市長や道知事がそれは当たり前のことですが、実態をどう認識しているのかということです。これはこのままでいったらおさまらないというから私は今御質問申し上げているんです。  本当に賛否両論、例えば滑走路直下の、いわゆる三キロ周辺の方々のいろいろアンケートを見せていただきました。ほとんど多くの方が実害をこうむる。例えば騒音、今でもYSの騒音がきつい。さらに滑走路を延長していく、その圧迫感がある。これは、皆さんがこれまでの騒音についてももう我慢できないと言っている中でこの計画がなぜあえて持ち出されているのか。これは住民合意が得られていないわけです。市長さんも住民合意を得た上でと言ってはいるんですが、これは私の推測ですよ、正直言って第七次空整が目前に迫っているものですから先に盛り込んでもらってそれから住民合意と読めるわけです。  私は、こういう空港整備あり方はもう終わったんじゃないか。だから、運輸省もそれは地方自治体の一つの考えであると言いながら最終的にはこの計画を策定するわけですから、きちっとした住民合意に対する方針を伺いたい。横向かないでちゃんと答えてくださいよ。
  181. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) 私ども、先ほどもお話申し上げたとおり、この丘珠空港というものの存在意義を決して軽く扱っておるわけじゃございませんが、北海道内の航空輸送の拠点というふうに理解しております。  したがいまして、国がまず出るのではなくて、北海道としてこの空港が要るのかどうなのかということを、今の住民の意見も踏まえまず議論していただく、それが先ではないか。その前に国がのこのこ出ていってこれをどうこうするというのは、それは順序が逆ではないかということを申し上げたわけでございまして、その上でまさに今先生がおっしゃったことを道の中で徹底的な議論をまず最初にしていただく、あるいは市で議論していただく、それがまさに今の地方自治を重視しょうという時代の中で尊重されるべきやり方ではないか、こう思っているわけでございます。
  182. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 運輸省がのこのこ出かけていって、これやれあれやれと言っているわけじゃないんですよ。ヒアリングをやるわけでしょう。だから基本姿勢はどうかと聞いて興るんです。  それともう一点、新千歳空港は随分整備されました。その整備が進む中で、この丘珠は札幌の市内にありますが、この空港が全然役立たずと私は言っていないわけです。地域との共生と書いてあるじゃないですか。この新千歳を何とかうまく利用できないか。御利用なった方わかると思いますけれども、今交通アクセスがよくなりまして四十分弱で空港ターミナルから札幌の都心部まで入れます。  そういった状況の中でこの話し合いがまだ煮詰まっていないんではないかと私は思うのでございますが、第七次空整の計画を進めるに当たって、私ヒアリングのことを聞いているんですよ、これからヒアリング地元から聞くというわけですから、その方針、基本姿勢を聞いているわけですけれども、こうした問題点は私は重要な考慮の中に入れるべきだと思うんですが、いかがですか。
  183. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) 近くに新千歳という立派な空港があることは私どもよく承知しております。ただ反面、丘珠空港が便利だからぜひ丘珠空港整備したいという声も北海道民の中に非常に高いことも事実でございます。したがって、その辺の声を背景にして最終的に知事さんなり市長さんなりがどういうお考えをお示しになり我々にお話しになるか、それをお伺いした上で結論を出したいと思いますが、背後にいろんな住民の方々のいろんな意見があるということは我々なりに考慮には入れなければいけないと思っているところでございます。
  184. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 大臣、ここで一つ伺いたいんですが、私は余り無理を言っていないつもりなんです。丘珠空港の役割も知っているつもりです。ただ、都市化の中で今まで伊丹とかいろんな問題が起こってきた教訓をやっぱり生かしながら、ですからこの中間報告にも地域との共生とうたってあるわけでございますが、環境面それから住民合意形成、この点について空港整備に当たる大臣の基本姿勢を伺っておきたいと思います。
  185. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 一般的には、空港整備についてはまず航空の需要、これへの対応を基本といたさなければならないと思います。そういうような意味で総合的な検討が必要だと思います。御指摘の、空港がその地域社会や環境に与える影響についても十分配慮してまいらなければならない、このように考えております。
  186. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 私も審議に協力して、あと一、二点、航空法の一部改正について伺いたいと思います。  先ほどからも御質疑があったと思いますけれども検査制度の問題でございますが、今回国の検査が省略される範囲が拡大したと先ほどからの御質疑にもありました。この安全性の確保についてやっぱりいま一つ疑問が残るんですけれども、これについて再度お答え願いたいと思います。
  187. 北田彰良

    政府委員(北田彰良君) 今回の改正によりまして、民間事業者の能力や外国の証明等を活用して航空機や装備に対する国の検査を省略する範囲を拡大していくということでございますが、その際の安全確保には万全を期したいと考えております。このため、民間事業者の能力等を活用する範囲は、航空機安全確保の根幹たる設計について国があらかじめ証明した場合に限定することにしております。航空機等が設計どおりにつくられたかどうかなど事実確認を行う定型的な業務に限って活用するということにしております。  また、民間事業者の能力の活用に当たりましては、十分な能力要件を設け、これに適合すると国が認定した事業者に限ってその能力を活用することにしております。また、当該認定事業者に対しましては、定期的、随時の立入検査等によりまして業務が適切に行われていることを監視し、必要な指導監督を行っていくことにしております。  また、外国の証明等の活用に当たりましても、航空機の耐空証明検査において我が国と同等以上の要件及び手続により証明等を行う外国に限ってその証明等を活用することにしております。  このような施策を講じることにより、制度改正後の安全確保に万全を期してまいりたいと考えております。
  188. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 私も、昭和六十年八月の日航ジャンボ機墜落事故の御質問を申し上げようと思って事故調査報告書等々読ませていただきました。確かに目視では発見できなかったという事情も私はわかるんでございますけれども、しかしこうした大きな事故はそれは言いわけにならないわけでございます。  特に、外注化が進んでいる中でしっかりと立入検査等をやっていただきたいと思うんです。外注する、発注するわけです。それについての立入検査等は今後どうされるか、それをお伺いしまして私の質問を終わります。
  189. 北田彰良

    政府委員(北田彰良君) 航空会社が運航する航空機整備というのは、一般の自家用機等に比べて非常に高い安全性が要求されると認識しております。このような認識のもとで、航空会社が整備を委託する場合には、十分な安全性が確保されるよう委託先の選定に当たりましては能力審査を十分に行うこととか、委託先における作業について適切な監督を行うこととか、整備を委託した航空機等の受領に当たっては十分な領収検査を行うこと等を指導しております。また、国といたしましても、航空機とか重要装備品の整備の委託を受ける会社に対しましては整備能力の認定を行っているところでありまして、直接監督指導してきているところでございます。  今後とも、航空会社による整備の委託について安全性が確保されるよう万全を期してまいりたいと考えております。
  190. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 終わります。
  191. 寺崎昭久

    委員長寺崎昭久君) 他に御発言もないようですから、三案に対する質疑は終局したものど認めます。  それでは、これより三案のうち関西国際空港株式会社法の一部を改正する法律案について討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  192. 山下芳生

    山下芳生君 私は、日本共産党を代表し、関西国際空港株式会社法の一部を改正する法律案に対し反対の討論を行います。  反対理由の第一は、国際・国内輸送で大きな役割を果たしている国際空港は、公共性、安全性の確保を第一義的にすべきであり、本来国が管理運営すべきであるにもかかわらず、関西国際空港整備を自治体主導の民間会社にゆだねるものであるからです。国の設置・管理義務の原則からますます離れ、関西空港会社が直接建設することすら放棄し、新たに自治体に出資をさせ用地造成会社までつくり、空港整備法の精神を二重に侵すことにならざるを得ません。  第二は、第一種国際空港であるにもかかわらず地方公共団体が出資することができるとする改正であり、このことにより地方公共団体の財政負担は際限なく広がるおそれが出てくるからです。既に一期事業で見られるように、当初の自治体負担を四倍に増大させるなど過重な負担を強い、その上新たに無利子資金の導入など、事業費が膨張するに伴い自治体の事業負担が増加していく仕組みになっているのであります。  第三は、今回の事業で用いられる用地造成会社は、関空会社のような特別な法律に基づく特殊法人とはせず、商法に基づく株式会社とするもので、関空法で規定され収賄罪の対象となるみなし公務員としての罰則規定も設けていないということです。一兆一千四百億円に上る事業を特殊法人より緩やかな株式会社にゆだねる今回の法改正は、一期事業で露呈した海土協八社談合事件、砂利船汚職事件などの教訓を踏まえた汚職事件再発の防止にならないものであります。  以上で私の反対討論を終わります。
  193. 寺崎昭久

    委員長寺崎昭久君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  関西国際空港株式会社法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  194. 寺崎昭久

    委員長寺崎昭久君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、航空法の一部を改正する法律案について討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  195. 山下芳生

    山下芳生君 私は、日本共産党を代表し、航空法の一部を改正する法律案に対し反対の討論を行います。  反対理由の第一は、航空機は高度の安全性が求められており、その安全の根幹をなす航空機検査制度民間事業者への移管や輸出国の証明でも可能にすることは安全規制を大きく緩和することになるからです。これは絶対容認できません。この改正の背景には、航空企業が目指す徹底したリストラ・低コスト体制の流れがあり、それを受け利潤を第一に優先させ、耐空証明検査まで民間に任せることは安全上大きな問題であります。  第二は、国が行っていた耐空証明検査や更新検査を航空機製造業者や整備業者の検査を経て耐空証明を発行するように変えることは、利害関係者みずからが耐空証明を行うもので、検査の公平性を著しく欠くことになるからです。これは安全性の低下を招くことが明白です。同時に、こうした民間移管、外国の証明の活用は国の航空機検査機能・技術の低下につながり、安全運航上支障が生じていくことになります。  第三に、ジャンボ機などの輸入機の場合、型式証明の検査は最初の一機だけを対象にしたものであり、二機目以降の飛行検査など今まで行ってきた耐空検査を省略し、外国任せにすることは安全上問題があるからです。五百二十人の死者を出した日航ジャンボ機事故もボーイング社任せの無責任体制が浮き彫りになったものであり、この教訓からもむしろ国の検査体制を強化していくべきであります。  第四に、発動機、プロぺラ等の重要装備品の検査は、今回の改正で新たに製造者の確認や外国の証明等で予備品証明を可能とするもので、耐空証明のケースと同様に安全規制の緩和につながることから反対であります。  以上で私の反対討論を終わります。
  196. 寺崎昭久

    委員長寺崎昭久君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  航空法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  197. 寺崎昭久

    委員長寺崎昭久君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、新東京国際空港公団法の一部を改正する法律案について討論に入ります。——別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  新東京国際空港公団法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  198. 寺崎昭久

    委員長寺崎昭久君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、三案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  199. 寺崎昭久

    委員長寺崎昭久君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時二十五分散会      —————・—————