○
政府委員(
黒野匡彦君) まず不平等、不均衡の根拠、
実態でございますが、大きな点は三つございます。今
先生が御指摘のとおり、暫定取り決めが何回もございますからそれを全部挙げると大変になりますが、三つにまとめてみますと、まず最初は以遠権でございます。
これにつきましては、米側は
日本の主要な地点から主として東南アジアになりましょうけれ
ども、無制限の以遠権を持っている、こういう
立場でございます。それに対しまして、
日本はニューヨークからの以遠権を一カ所だけ持っております。ただし、これはサンフランシスコ義務着陸と申しまして、サンフランシスコに一回とまってニューヨークにとまってそれから先へ飛びなさいよという、こういう以遠権です。したがって、現在のスピード時代におきましては利用価値は極めて低い以遠権でございます。その辺の大きな差がございます。
それから二番目は、指定企業数と申しまして、航空
協定に定める権利をほぼフルに使える事業者の数が、
日本は御案内のとおり
日本航空一社でございますが、
アメリカ側は三社あるわけでございます。
それから三番目は、お互いが
乗り入れる地点の数でございますが、これも決め方がいろいろ複雑なんですが、例として現在使っている地点の数を申し上げますと、
日本は
日本国内から六カ所、それからアメリカの中に十カ所持っています。したがって、この組み合わせで路線を張るわけであります。米側は、それに対しまして
日本の
国内に七カ所、アメリカの
国内で二十三カ所ですから、この組み合わせでかなり自由に路線が張れる、この辺が大きな違いでございまして、この三つが不均衡、不平等のポイントでございます。
二番目の以遠権の
解釈でございますが、日米の航空
協定の十二条でこういう表現がございまして、自国と運輸の最終目的地との間の輸送を主としなければならない。これは簡単に申し上げますと、例えばアメリカのニューヨークから出た
飛行機は、ニューヨークから東京、あるいはニューヨークからソウル、この輸送を中心にしなさいよということであります。したがって、例えばその
飛行機が仮に成田に着いてソウルにまた回るというときに、成田−ソウル間のお客さんは主としてはいけませんよということがこの日米航空
協定の十二条に書いてあるわけでございます。
この主とするとか主としないというのは一体数量的にどうかということは、実は
協定には書いてございません。私
どもは、極めて常識的に五割は超えないようにしましょうねということを提案しております。それに対しましてアメリカの方は、数字的な規制は一切ないんだということで、あえて申し上げれば、この主としてという
解釈を全く無視しているというか、主としてという表現がないと同じ扱いをしているわけであります。具体的には、例えば成田からソウルへ行く便を見ますと、そのお客さんの九割が成田から新たに積んだお客さんというような
実態もあるような状態でございまして、この辺といたしましては私
どもは全く承認できないところであります。
さらに、以遠権がどこまで自由かということにつきましても、
協定の十二条に、日米両国が同意する秩序ある発展の一般原則を定めてそれに従いましょうという規定がございます。私
どもは、この一般原則を定めましょうということを提案しておりますが、米側は一切それに応じてこない、こういう状態になっておりまして、以上の点が以遠権をめぐる日米間の争いというか
解釈の違いでございます。